1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:06:41.32 ID:7XUcIkzo0
梓「純が律先輩のことかっこいいって言ってましたよ」


律「ふーん?」

梓「よかったですね」

律「んーべつに」

梓「うれしいくせに」

律「嫌じゃないけど嬉しくもないよ」

梓「ふーん…」

律「うん」

引用元: 梓「あずりつ三連発!」律「バッカ、りつあずだよ」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:07:53.73 ID:7XUcIkzo0
梓「……律先輩」

律「うん?」

梓「かっこいいです」

律「ありがと」

梓「嫌じゃないけど嬉しくもないですか?」

律「ううん、嬉しい」

梓「……そーですか」カァ

律「そうですよ」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:10:17.13 ID:7XUcIkzo0
梓「……ふんっ」

律「なんでまだ拗ねてんの?」

梓「なんででしょう?」

律「友達が大好きな律先輩に目を付けたから」

梓「………それもあります」

律「私が梓はちょろいなって思ったから」

梓「そんなこと思ってたんですか?」

律「うん」

梓(………確かに私ちょろいかも)

梓「じゃあそれも追加します」

律「えぇー他にもあんの?」

梓「あります」

律「分かんない」

梓「分かってください」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:12:27.91 ID:7XUcIkzo0
律「んー…梓以外にかっこいいって言われても嬉しくないよってちゃんと言わなかったから」

梓「ちゃんと伝わってるから大丈夫です」

律「あら」

梓「…なんですか」

律「照れる」

梓「全然そんな風に見えないんですけど」

律「いやーん恥ずかちー」

梓「気持ち悪いです」

律「しどい」

梓(変に可愛い子ぶらなくても可愛いですよ)

梓(……なんて言えないけど)

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:15:01.20 ID:7XUcIkzo0
律「分かんないよ、梓。ギブ」

梓「根性なし」

律「しどい」

梓「彼女の気持ちを分かってあげられるぐらいの器量を持ってください」

律「はい」

梓「以後気をつけてくださいね」

律「はい、ごめんなさい」

梓「じゃあ教えてあげますね」

律「はい、お願い致します」ヘヘー

梓「………」

律「はーやーくっ」

梓「分かってますよ!」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:17:28.37 ID:7XUcIkzo0
梓「…………純が」

律「うん」

梓「純が…律先輩をかっこいいって思ったのって高校入学して初めての部活見学の時だったんだって」

律「へぇ(あのとき私メイド服着てたような…着ぐるみだっけ?どっちにしろかっこいいって思われるような格好じゃないような…)」

梓「私が律先輩に出会う前に純はもう律先輩をかっこいいって思ってたんだなぁって…」

律「うん…?」

梓「なんか…ずるいなぁって…」

律「ずるいって」プッ

梓「………笑うところじゃないです」

律「ごめんごめん。でもあの子今澪のファンなんじゃないの」

梓「はい」

律「じゃあいいじゃん」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:18:53.54 ID:7XUcIkzo0
梓「でも私より先に律先輩に少なからず好意を寄せたんです」

律「大げさな」

梓「大げさじゃないです」

律「ヤキモチ妬き屋さんめ」

梓「…うっさいです」カァッ

律「梓は高校卒業したらヤキモチ妬き屋さんになれ」

梓「なんですかそれ」

律「トラックで『ヤキモチいかがぁっすかぁ~ヤキモチいかがぁっすかぁ~』って住宅地を走るんだ」

梓「焼き芋屋のおじさんじゃないですか。嫌ですよ」

律「焼き芋屋のおじさんなめんな!」

梓「別になめてませんよ…。そういう意味じゃなくて…」

律「ん?(そういえば焼き芋食いたいなー)」

梓「…律先輩が私のこともらってくれるんじゃないんですか」

律「おぉ。もらうもらう」

梓(かる…)

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:21:09.31 ID:7XUcIkzo0
律「え、お前働かないの?」

梓「律先輩の匂いのする家で律先輩のことを考えながら家事をこなして律先輩の帰りを待つのが子供の頃からの夢なんです」

律「そうか。一年前のお前は子供だったのか」

梓「今だって子供です」

律「…まぁな」

梓「でもまぁ放課後ティータイムでデビューするなら働いてもいいかな」

律「わぁ。メジャーデビューが私との結婚より下な挙げ句それ以外は働きたくないなんて生意気な野郎だ」

梓「それだけ律先輩が私にとって重いんです」

律「体重そんなに変わらないぞ」

梓「つまんない冗談やめてください」

律「お前こそ萌え殺すような発言やめてください」

梓「萌えって…久しぶりに聞いた気がします」

律「何故か死語みたいになっちゃってるよな」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:23:18.21 ID:7XUcIkzo0
梓「っていうか萌えてたんですか」

律「萌えちゃってました」

梓「うそだ」

律「うそじゃないです」

梓「だってなんか余裕ぶってかわしてたじゃないですか」

律「ぶってただけです」

梓「なんですかそれ律先輩こそ私を萌え殺す気ですか」

律「梓萌えー」

梓「律先輩萌えー」

律梓「「萌え萌えー」」

律梓「「きゅんっ」」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:25:52.80 ID:7XUcIkzo0
律「ところでもうあの子のことはいいのかい」

梓「…!」ハッ

律「梓はちょろいなぁ」

梓「ちょろくないです」

律「ちょろちょろだよ」

梓「ちょろちょろじゃないです。っていうかなんですかそれ」

律「さぁ」

梓「本当適当ですね…」

律「梓のことは真剣だよ」

梓「またそーゆーこと…」

律「本当だって」

梓「……分かってますよ」

律「あら恥ずかちー」

梓「もうその件いいです」

律「しどい」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:27:46.78 ID:7XUcIkzo0
梓「……………」

梓「律先輩純の名字言えますか?」

律「え?えーっと……さ、佐々木さん…?いや佐藤さんだったかな…」

梓「もういいです」

律「ごめん…」

梓「?何で謝るんですか?」

律「いや梓の友達なのに名前も覚えないで…」

梓「いいんですよ。全然いいです」

律「そ、そう?」

梓「はい」ニコッ

律(…?何で急に機嫌よくなったんだ?)

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:30:02.27 ID:7XUcIkzo0
翌日

梓「律先輩純の名字知らないって」フフン

純「は?」

憂(梓ちゃんかわいい)クスッ



おわり

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:32:09.77 ID:7XUcIkzo0
梓「ここに惚れ薬があります」


律「…は?」

梓「これを飲むと最初に見た人を好きになってしまいます」

律「待て待て。どこでそんな胡散臭いもの手に入れたんだ」

梓「ムギ先輩に貰いました」

律(………微妙に信憑性あって嫌だな)

梓「ということで…」

律「うん?」

梓「飲んでください!」ガシッ

律「はい!?」

梓「口開けてください!」ググッ

律「ちょっ…待て待て待て待て!」グググッ

律(なに考えててんだこいつ!?)

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:34:30.37 ID:7XUcIkzo0
梓「待・ち・ま・せ・ん!」グググッ

律(す、すげー力!ちっこい体してどっからこんな力が…)ググググ…

梓「にゃああああああああ!!!!」グイッ

律「むぐっ!?」ゴクン

梓「やった!」

律(の、飲んじゃった…)

梓「どうですか…?」ドキドキ

律「………なんともない」

梓「え…」

律(ま、そりゃそうか…いくらムギでも惚れ薬なんてアホなもん作れるわけないよな)

梓「そ…そんな…」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:37:26.39 ID:7XUcIkzo0
律「ていうかお前は私に惚れ薬なんて飲ませてどうするつもりだったんだよ」

梓「………」

律「んー?」

律(……あぁそうか。人のことおもちゃにして遊ぼうって魂胆だったんだな。ったく…梓は先輩への態度がなってないな。特に私に。っていうか私だけに)

律(そっちがそのつもりなら…)

律「うっ…!」

梓「律先輩!?」

律「むっ…胸が…」

梓「胸!?胸がどうかしたんですか!?いつも通りの胸板ですよ!?」

律(こいつ…)イラッ

律「……く…苦しい…胸が…苦しい…」ウウッ…

梓「苦しいんですか…?…もしかして、私が変な薬飲ませたから…」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:39:21.28 ID:7XUcIkzo0
律「そうだよ…梓のせいだ…」

梓「ごっ…ごめんなさ…!」

律「梓を思うだけで、胸がこんなに苦しいんだ」

梓「………え?」

律「悪い子だな梓は…私をこんなに苦しめて」

梓「り、律先輩…?」

律「好きだ、梓…」

梓「!?」カァッ

律(ぷっ!照れてるやがる!)

梓「ああああああの、その…!」

律(先輩をおもちゃにしようとしたバツだ。もう少しからかってやる)

律「梓…」サラッ

梓「ひゃっ!?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:41:23.55 ID:7XUcIkzo0
律「(ひゃって!)梓の髪、サラサラだな…すごく綺麗だよ」

梓「しょっ!しょんにゃことにゃなあいです!」

律(ぶーーーー!!!噛みまくりじゃん!ダメだもう少し耐えろ私!)ブルブル

梓「り、律先輩…?」

律「あ、あぁごめん…梓の可愛い顔を見てると気持ちがあふれ出してきてどうしたらいいのか分からないんだ…」

梓「………」

律(あれ?無反応?ちょっとクサかったか…?)

梓「…」カァァァァァァァッ

律(めっちゃ耳赤くしてるーーーー!!!!)

律(やばいこれ面白いどうしよう)ブルブル

律「梓…」ギュッ

梓「…!」ドキッ

律「ずっとこうして抱きしめていたい…」

梓「律…先輩」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:45:02.60 ID:7XUcIkzo0
律(………あ、しまった。これじゃ顔が見えない)

律(今ずっとこうしていたいって言ったのにすぐ離すのは変だよな…とりあえず続けよ)

律「梓は、私のこと好きか?」

梓「………はい」

律(……………え?)

梓「律先輩がずっと好きでした…」ギュウッ…

律(……あ、あれ?)

梓「薬なんか使ってごめんなさい。でも好きなんです…律先輩が…。誰にも渡したくない…」

律(………………マジで…?)

梓「薬は一時間ほどで効果が切れるって言ってました。その時の記憶もなくなるって…」

律(記憶がなくなるって…おいおい、随分危ないもの飲ませようとしたな…)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:47:01.76 ID:7XUcIkzo0
梓「今こうして私のことを好きだって言ってくれて、髪を撫でて抱きしめてくれる律先輩は一時間したら消えちゃうんです。律先輩の中でそんなことは初めからなかったことになるんです」

律(これ…本気…だよな…。惚れ薬でおもちゃにしようとしたんじゃなくて…私のことを…)

梓「だから…」

梓「キス、してください」

律「……!?」

梓「勝手なこと言ってるって分かってるんです。それと…今の律先輩が私に逆らえないことも…」

梓「でも…私も知らないフリしますから…。私は忘れられないし、忘れたくないけど…律先輩と同じように無かったことのように振舞いますから…」

梓「だから、お願いします。キスしてください」

律(………梓)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:49:17.18 ID:7XUcIkzo0
翌日 放課後 部室

唯「やっほー!」

梓「あ、お疲れ様です」

唯「あずにゃああああああん!!!」ガバッ

梓「にゃあ!!?」

澪「おい、飛びついたら危ないぞ」

紬「こんにちは、梓ちゃん」

律「……おっす」

梓「お疲れ様です」

唯「ムギちゃんお茶ー」

紬「はいはい、今淹れるね」ニコッ

梓「ちょっと!ムギ先輩はお茶くみ係じゃないんですよ!?」

紬「私はお茶くみ係よ?」

梓「えー!?」

澪「練習…」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:53:04.85 ID:7XUcIkzo0
律(………なんだよ梓のやつ)

律(本当に覚えてないような素振りしやがって…)ムスッ

律(そういえばムギはどういうつもりで…いやそれ聞いたら記憶があるのバレちゃうか…)

紬「りっちゃん」

律「んえ?」

紬「ちょっとお茶淹れるの手伝って?」

唯「えぇ!?りっちゃんにそんなことやらせたらダメだよ!」

律「お前にだけは言われたくないわ!」バシッ

唯「あぁん!」

律「全く…」テクテク

律「それで?なにすればいい?」

紬「適当に手伝ってるフリしててくれればいいわ」

律「え?」

紬「昨日、どうだった?」コソッ

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:56:27.49 ID:7XUcIkzo0
律「………確信犯か」

紬「なにが?」ニコニコ

律「梓本気で信じてたぞ」

紬「信じてくれるような行動を取ってくれたってことでいいのかしら?」

律「…さぁね」

紬「もう、意地悪。教えてくれてもいいのに…」

律「意地が悪いのはお前だ。あんなもん用意して…」

紬「だって梓ちゃん悩んでたみたいだったから」

律「もう少しマシなやり方があるだろう?」

紬「じれったいんですもの」

律「とんでもないお嬢様だな…」

紬「うふふ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 01:59:13.44 ID:7XUcIkzo0
紬「あ、そうそう。あれちょっと苦かったかもしれないけどただのお水ににがりを混ぜたもので害はないから、安心してね?」

律「そういえばちょっと苦かったな…。なんでわざわざにがりなんか?」

紬「ふつうのお水じゃもし梓ちゃんが味見とかしちゃったら怪しまれるかなーっと思って」

律「細かいところ拘りやがって」

紬「ふふっ。それにもしかしたらりっちゃんが本気であの惚れ薬を信じてプラシーボ効果が発動するかもしれないと思って」

律「プラシーボか…」

律「……………」

紬「………りっちゃん?もしかして怒ってる…?」

律「…ムギ」

紬「……はい」シュン

律「あれは、紛れもなく惚れ薬だったよ」

紬「………え?」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:00:32.20 ID:7XUcIkzo0
律「梓」

梓「は、はい?」ビクッ

律「話あるからちょっとこい」

梓「え…?」

律「いいから」グイッ

梓「きゃっ」

澪「おい律!?」

唯「ど…どうしたんだろ?」

紬「きっ…」

唯澪「?」

紬「きたああああああああああああ!!!!!!!!」ブシュゥッ!

澪「ひぃっ!?血!!!!!」

唯「ム、ムギちゃん!?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:02:08.40 ID:7XUcIkzo0
澪「うああああああ!律ー!血が!血があああああああ!!!!!」ブルブルブルブルブル

唯「澪ちゃん落ち着いてりっちゃんは今いな…」

紬「うふ…うふふ…」ドップドップ

唯「あぁムギちゃん!は、鼻血ってどうやって止めたらいいんだっけ…」オロオロ

澪「うあああああああ!!血いいいいいいい!!!!」ブルブルブルブル

唯「澪ちゃん!」

紬「………」ドップドップ

唯「ムギちゃん!」

唯「う…うわああああああぁぁぁん!突っ込み(りっちゃん)不在だと収拾つかないよー!!!!!」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:04:24.31 ID:7XUcIkzo0
空き教室

梓「あ、あの…」

律「………梓」

梓「…はい」ビクビク

律「ここに惚れ薬がある」

梓「………はい?」

律「これを飲むと最初に見た人を好きになって、胸が苦しくなる。そのあと髪を撫でて、震えるほど相手への気持ちがあふれ出して抱きしめたくなる」

梓「お、覚えてるんですか!?昨日のこと!?」

律「いや?一時間したら記憶が消えるんだろ?」

梓「覚えてるんじゃないですか…」

梓「………それで、なにが言いたいんですか?」

律「おいおい…随分な言い草だな子猫ちゃん?」

梓「謝ればいいですか?惚れ薬なんか使ってごめんなさいって。それとも抱きしめさせてごめんなさいって言えばいいですか?キスさせてごめんなさいですか?それとも!好きになってごめんなさい、気持ち悪いでしょうって言えばいいですかっ!?」

律「お、落ち着けよ」

梓「っ…」ブルブル

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:07:08.45 ID:7XUcIkzo0
律「あー…泣くな。な?落ち着け」ヨシヨシ

梓「触らないでください!」パシッ

律「てっ…」

梓「なんですか。なんなんですか!こういう時だけ優しくしないでください!普段は優しくなんかしてくれないくせに!」

律「…じゃあなんでその優しくない奴を好きになったんだよ」

梓「知りませんよ…優しくないし、ふざけてばっかだし、頭撫でてくるときもグリグリするから痛いし、唯先輩みたいに休みの日に連絡くれたり遊びに誘ってくれるわけでもないし…」

律(この子私のこと嫌いなんじゃないかしら)

梓「でも…たまに撫で方が優しかったり、落ち込んでるときに気付いてくれたり、生意気な口きいても笑って許してくれたり…」

梓「そうやって…そうやってたまに優しくするから騙されちゃったんですよ!詐欺です!!律先輩はそんな気なくても、無意識に種まいて相手を傷つけるんです!最低です!!!」

律「照れればいいのか怒ればいいのか迷うわぁー」

梓「………」グスッ

律「あー…ごめん」

梓「知りませんよ…こんな時もふざけて…」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:10:26.93 ID:7XUcIkzo0
律「………あのな」

梓「…はい」

律「謝る必要も、泣く必要もないよ」

梓「っ!またそうやって優しく…!」

律「むしろ私の方に謝らなくちゃいけないことがあるんだ」

梓「え?」

律「さっきちゃんと言わなかったけど、梓がムギからもらったのはただの水ににがりを混ぜたものだよ」

梓「………………は…?」

梓「えっ…え、だって昨日…」

律「梓をからかってやろうと思ってつい☆」

梓「」

梓「さっ…最っ低です!本当に最低です!最悪です!人の気持ち知っててからかうなんて!!!」

律「ば、バカ違う!梓が私に惚れ薬飲ませて遊んでやろうと思ってるのかと思ったからおしおきしてやろうと思ったんだよ!」

梓「なんですかそれぇ…」ヘナッ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:12:25.56 ID:7XUcIkzo0
律「ごめんつい…」

梓「最低です…」

律「すいません…」

梓「………うそですよ。最低なのは私の方です。惚れ薬なんか使って人の気持ちを操作しようとして…」

律「謝んなくていいって言ってんだろ」

梓「でも…」

律「…お前気付いてないの?」

梓「え?なにがですか?」

律「昨日のことよく思い出してみろよ」

梓「………?」

律「だ、だからぁ…」

梓「はい…?」

律「背中が痒くなるようなくさい台詞言ったり、抱きしめたりまではおふざけでできるけど」

律「…いくらなんでもキスはふざけてなんかしないよ」

梓「………!」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:14:37.04 ID:7XUcIkzo0
梓「え!?え!?そ、そういえばキス…え!?どういうことですか!?」

律「えっとまぁ…そういうことだ」

梓「どういうことですか!?」ガシッ

律「ちょ、ちょっと苦しい…」

梓「説明してください!!!」グイーッ

律「ちょ、ゲホッ…!」

梓「あ、ご、ごめんなさい…」パッ

律「…けほっ…うぇ」

梓「だ、大丈夫ですか…?」

律「…お前昨日もそうだったけどすごい力だな」

梓「だ…だって…必死で…」

律「ムードのないやつ」

梓「は、はぁ!?律先輩にムードうんぬん言われたくありません!」

律「バッカお前、私はムード作る天才だぞ!」

梓「みっともないうそはやめてください!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:16:43.07 ID:7XUcIkzo0
律「うそじゃねーって!現に昨日子猫が私の芝居にメロメロに…」

梓「っ!?」カァッ

梓「~~~!!!」バシバシバシ

律「痛い!痛いっす中野さん!」

梓「こ、こんなことやってふざけてる場合じゃないんです!ちゃんと説明してください!」

律「………だからさ」

律「昨日のあれはもしかしたら本物だったのかもな、って話」

梓「……………」

律「………」ドキドキ

梓「どういう意味ですか?」

律「あれぇ!?理解できてないの!?」

梓「え?」キョトン

律「…お前やっぱムードないわ」

梓「はい!?」


お わ り

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:20:02.67 ID:7XUcIkzo0
梓「私、律先輩のこと嫌いです」


律「ふーん」

梓「……………」

律「………」

梓「………えっ」

梓「あ、あの…」

律「ん?」

梓「それだけ…ですか?」

律「なにが?」

梓「え…だってあの…私が言ったことちゃんと聞こえてました?」

律「私のことが嫌いなんだろ?」

梓「はい」

律「……で?」

梓「えっ…」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:23:59.67 ID:7XUcIkzo0
梓「こ、後輩に面と向かって嫌いって言われたんですよ?生意気だって怒るとか、なんで?って聞くとか、あと…」

梓「………私もお前のことが嫌いだ、とか…」

律「特にないな」

梓「……そう…ですか…」

律「うん」

梓(どうでもいいってことですか…私なんかに嫌われようが好かれようがどうでも…)

梓「……………」

梓「………唯先輩と一緒になって練習サボるところが嫌いです」

律「へぇ」

梓「ムギ先輩が厚意で提供してくれてるおやつを当たり前みたいに食べるところが嫌いです!」

律「ふぅん」

梓「澪先輩がドラム走り過ぎだって言ってるのに治す気がないところが嫌いですっ!!!」

律「そうか」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:26:46.39 ID:7XUcIkzo0
梓「……………」

律「……………」

梓「……言い返さないんですか?」

律「どうして?」

梓「悪口言われてるんですよ?」

律「そうだな」

梓「怒ったり…悲しんだりしないんですか」

律「べつに」

梓「っ…!」

梓「……そうですか。そうですよね。嫌われようがどうでもいい相手ですもんね?そんな相手にどう思われてたって怒りもしないし悲しんだりもしないですよね!!」

律「お前さぁ…」

梓「…はい」

律「なにそんな必死になってんの?」

梓「っ…」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:29:32.59 ID:7XUcIkzo0
律「そんなに怒らせたり、悲しませたりしたかったのか?いくら嫌いな相手だからって悪趣味過ぎるぞ」

梓「………」

律「あとお前澪達の前でそれ言うなよ」

梓「なんでですか」

律「気まずくなるだろうが」

梓「じゃあ…軽音部辞めます。そしたら残りの人たちで仲良くできるでしょう?」

律「澪達のことは好きだろ?」

梓「……好きですけど」

律「じゃあ我慢しろよ。4人中3人が好きなら一人嫌いな奴がいたって我慢できるだろ」

律「みんなに気付かれない程度に距離置いてやるから」

梓「…どうしてですか」

律「あ?」

梓「私に嫌われるのは平気なのに、どうして私が軽音部辞めるのは引き止めてくれるんですか」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:32:07.49 ID:7XUcIkzo0
律「澪達が寂しがるだろ」

梓「!」

梓「やっぱり…律先輩の意思じゃないんですね。律先輩個人は私が辞めようがどうしようが興味ないんですね!!!」

律「………はぁ…」

梓「…なんですかそのため息」

律「お前は私にどうしてほしいわけ?」

梓「………」

律「お前めんどくせーよ」

梓「っ…そういう面倒くさがり屋なところも嫌いです!!」

律「あー…分かった。分かったよ」ガシガシ

梓「…?」

律「私に軽音部辞めろって言いたいんだろ?」

梓「えっ…」

梓(律先輩が…軽音部を辞める…?)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:35:09.05 ID:7XUcIkzo0
律先輩の居ない軽音部。

それを考えただけで、眩暈と…吐き気がした。

律「前向きに考えといてやるよ。なんかもう本当面倒くさいわ」ガタッ

律「澪達が来たら帰ったって言っといて」

梓「ま、待ってください!」ガタッ

律「……」スタスタ

梓「待って!行かないで!」テテテテテッ

ガシッ

律「………」

梓「待ってください…行かないでください…」ギュッ

律「……………」

梓「違うんです…ごめんなさい…律先輩に辞められるぐらいなら本当に私が辞めます…目障りなら学校も辞めます…だから律先輩は軽音部辞めないでください…」

律「………お前本当何がしたいんだよ」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:38:11.18 ID:7XUcIkzo0
梓「……………イヤなんです」

律「だから私が嫌ならっ…!」

梓「唯先輩と楽しそうにじゃれ合う律先輩が嫌いです!」

律「は?」

梓「ムギ先輩に他の人よりも少し優しくする律先輩が嫌いです!!」

梓「当然のようにいつも澪先輩の近くにいる律先輩が大嫌いです!!!!!」

律「………」

律「えっと…中野さん?」

梓「……はい」

律「なんか…まるでヤキモチのように聞こえるんだけど…」

梓「……自意識過剰なところも嫌いです」

律「うっ…(だよな…いくらなんでも自意識過剰だよな…)」カァッ

梓「………」

律「………まぁ、なんだ…その…」

梓「……………うそです」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/13(金) 02:41:44.64 ID:7XUcIkzo0
律「…はぁ?」

梓「自意識過剰なんてうそです」

律「……えっと」

梓「鈍感な律先輩が嫌いです!!!」ダッ

律「あっ、ちょ、おい!」

梓「嫌いですーーーーーー!!!!」ダダダダッ

律「な…なんなんだよ…」

律「………」

律(私も…澪の言うことは素直に聞くお前が嫌いだ)

律(ムギに抱きつかれると緊張するぐらい照れるお前も嫌い)

律(唯の過剰なスキンシップを嫌がるふりしながら実は嬉しがってるお前も嫌い)

律(それと)

律(………好きな相手に素直になれない私とお前が大嫌いだよ、梓)


おわり