1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:26:55.07 ID:HQs1TbMu0
スネーク「外から見た限りでは、普通の古い民家と変わらんな……」

スネーク「庭にも特に変わったところは無い」

オタコン「大丈夫、情報の通りだよ。 あ、でも……」

スネーク「なんだ?」

オタコン「別の家に間違えて入ったりしてないよね?」

スネーク「……大丈夫だ、東雲研究所と書いた看板が掲げてあった。 表にでかでかとな」

オタコン「うん、それも含めて情報通り。 間違いなくそこが東雲研究所だよ」

スネーク「ふむ……しかし、オタコン?」

オタコン「なんだい?」

スネーク「こんな場所に……本当に新兵器なんかあるのか?」

引用元: スネーク「こちらスネーク、東雲研究所に潜入した」 




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:29:16.29 ID:HQs1TbMu0
オタコン「あるさ! 僕の情報網は確かだよ」クイッ

スネーク「……だが、ここはあまりにも狭すぎる」

スネーク「地下に格納庫を建造したとしても、とてもスペースが足りないぞ」

オタコン「それは、新兵器がメタルギアだったら……だろ?」

スネーク「……違うのか?」

オタコン「え? 違うよ」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:32:07.15 ID:HQs1TbMu0
オタコン「あれ? 言ってなかったかな……まあ少なくとも、新兵器としか言っていないはずだ」

スネーク「……そうか」

オタコン「スネーク……」

スネーク「なんだ?」

オタコン「君、ちょっとメタルギアと関わりすぎて感覚が麻痺してない?」

オタコン「どうせ新兵器と言ったらメタルギア、って思い込んだんだろ?」

スネーク「…………」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:34:18.13 ID:HQs1TbMu0
オタコン「スネーク、そこがどこだかわかってる?」

スネーク「ああ……日本だ。 確かに、メタルギアを作るには不向きな土地だな」

オタコン「そういうこと。 ……じゃ、そろそろ本題に入ろうか」

スネーク「ああ」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:37:48.12 ID:HQs1TbMu0
オタコン「今回、君にお願いしてもらうミッションはひとつだけだ」

スネーク「珍しいことだな」

オタコン「そうだね。 ……そのミッションっていうのは、東雲研究所で開発中の新兵器の写真を撮ってくることさ」

スネーク「写真を撮る、か……タンカー以来だな」

オタコン「懐かしいだろう?」

スネーク「いや? そうでもないな」

オタコン「え?」

スネーク「いや最近も、そんなミッションをやったような気がしないか?」

スネーク「スクワットしている小隊長の写真を撮ったり……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:41:42.11 ID:HQs1TbMu0
オタコン「……勘違い、じゃないかな?」

オタコン「アウターヘイブン事件から、君は一度も出撃してないじゃないか」

スネーク「そうだったか? 人違いかもな……いや蛇違いか」

オタコン「ともかく、君はもう引退した身だ。 ……体の老化も未だに止まらない」

オタコン「危険なミッションに狩りだすなんてできないよ」

スネーク「そうだな。 ……俺ももう、こうして無線越しにお前と会話することは無いと思っていた」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:45:07.43 ID:HQs1TbMu0
オタコン「うん。 ……これが最後の潜入任務だよ」

スネーク「そうであればいいがな……」

オタコン「…………」

スネーク「…………」

オタコン「……いい加減話を戻そう。 スネーク、今回も一切の武装は用意されていない」

スネーク「いつもどおり、丸裸での潜入任務だ」

オタコン「そう。 でもいつもと違う所もある」

スネーク「ああ……スニーキングスーツが無い」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:49:15.07 ID:HQs1TbMu0
オタコン「うん。 ……何度も言うけど、そこは日本だ」

オタコン「銃を持っていれば警察に捕まる。 軍服だってどうだか」

スネーク「……不便な国だな」

オタコン「そういうなよ、平和でいいだろう?」

スネーク「ふむ……しかし、CQC用のナイフも持てないのは行き過ぎだな」

スネーク「マッスルスーツも無いんじゃ、戦闘のしようがない」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:52:59.10 ID:HQs1TbMu0
オタコン「スネーク……君の悪いクセだね。 これは潜入任務、しかもただの写真撮影だ」

オタコン「戦えなくたって良いんだよ」

スネーク「しかしな……」

オタコン「日本風の『戦闘服』だって用意してあげたろ?」

スネーク「…………」

オタコン「背広も似合ってるよ、スネーク」

スネーク「そりゃ全裸じゃどうにもならんからな」

オタコン「……雷電はすごかったね」

スネーク「ああ、骨のある奴だ」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 19:58:38.00 ID:HQs1TbMu0
オタコン「……カメラは用意できてるかい?」

スネーク「ああ」

オタコン「……って、スネーク! なんで首にぶら下げてるんだい?」

スネーク「アイテムポーチが無いんだ、これが一番良い。 すぐに使えるしな」

オタコン「あっはっは……メガネにスーツに首からカメラ。 日本人らしくなってきたじゃないか」

スネーク「メガネは要らんだろ……白衣の時も思ったが」

オタコン「おやおや、また異世界の話かい? 全く君には困ったもんだよ」

スネーク「……とにかく、これで写真を取ればいいんだな?」

オタコン「ああ。 今回は端末にアクセスもいらない」

オタコン「直接送ってくれ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:01:52.62 ID:HQs1TbMu0
スネーク「……だが、この格好では満足に隠れることもできない。 大丈夫か?」

オタコン「大丈夫、その時間帯は無人のはずだ」

オタコン「そこの主任の博士がそこに帰ってくるまで、まだ時間がある」

スネーク「……おいおい、ここは本当に研究所なのか?」

オタコン「もちろん。 外に書いてあっただろう?」

スネーク「…………」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:05:26.80 ID:HQs1TbMu0
オタコン「まあとにかく待っててくれ。 直に彼女が帰ってくるはずだ」

スネーク「彼女? 女なのか?」

オタコン「……君が期待しているような人物では無いよ、たぶん」

スネーク「?」

オタコン「そこの博士はね……まだ8歳の女の子らしいんだ」

スネーク「……帰っていいか?」

オタコン「冗談じゃないんだよスネーク」

スネーク「いや、だが……」

オタコン「そんなに驚くことは無いじゃないか。 サニーやエマを見てきた君が?」

スネーク「うむ……」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:08:30.22 ID:HQs1TbMu0
スネーク「……まあ、それに関しては良いだろう。 人は見かけにはよらないものだ」

スネーク「だが、今は留守なんだろう? ……なんで今のうちに写真を撮らず、こんな風にだべってるんだ?」

オタコン「それは……まだ、その新兵器が帰ってこないからさ」

スネーク「……兵器が、帰る? どういうことだ?」

オタコン「実はその、今回のターゲットっていうのはね……」



「ぎゃああああああああ!!!!」



スネーク「!?」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:12:12.26 ID:HQs1TbMu0
オタコン「スネーク!? どうしたんだい?」

スネーク「わからない! 何者かの叫び声がした!」



「ああああああああああ!!」



スネーク「またか!……まるで首を絞められた猫の断末魔みたいな声だな」

スネーク「その博士とやらには拷問癖でもあるのか?」

オタコン「い、いや……彼女には、まだわからないことが多くて」

スネーク「! 扉が開く音がした……とりあえず切るぞ!」

オタコン「あ、ああ!」


プツン

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:18:01.17 ID:HQs1TbMu0
スネーク「…………」コソコソ…


???「ふんふふーん♪ ふんふーん♪」トテトテ


スネーク(白衣の少女……奴が例の科学者か)ササッ


はかせ「おーう♪ あいがっさむっしんまいすろー♪」トテトテ

???「お、おいガキ! この紐引っ張んなって言ってんd……ぐえっ!」ズルズル


スネーク(さっきから叫んでいるのは……)

スネーク(……? どこにも姿が無い?)


はかせ「ふぉーざっさーまー♪」トテトテ

???「は、話……き……け……よ……」ズルズル

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:22:32.89 ID:HQs1TbMu0
スネーク(……? どこだ? どこに……)

スネーク(もしや……ステルス、なのか?)ゾクッ…


はかせ「くらーいむ♪ いっざっうぇーい♪」ゴソゴソ

???「Q」

はかせ「あーいふらーいとぅーゆ……あれ?」ゴソゴソ

???「Q」

はかせ「……ねえねえ阪本ー、いつもの棚におかしが無いよー?」

???「Q」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:26:21.11 ID:HQs1TbMu0
はかせ「あ……そういえば、なのが場所変えるって言ってた……」ガーン

阪本「Q」

はかせ「ねえねえ阪本、なのがどこに隠したかしってる?」クルッ


スネーク「!」サッ

スネーク(……本当に子供なのか。 お菓子がどうのと……)

スネーク(しかしあいつは一体、誰と話しているんだ……?)


はかせ「ねえねえ阪本ー……あれ? 阪本?」ユサユサ

阪本「Q」


スネーク(……?)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:28:55.33 ID:HQs1TbMu0
はかせ「阪本ー、起きてよー!」ユサユサ

阪本「…………」


スネーク(黒猫? いや、まさかな……)


阪本「……う、うん? 俺は一体何を……」



スネーク「!!?」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:32:01.81 ID:HQs1TbMu0
はかせ「阪本ー!」

阪本「うう……なんか、眼鏡のオッサンに連れられて変な川を渡ってたような……」

はかせ「そんなことより、おかしが無いんだけど!」

阪本「はあ? お前またつまみ食いする気で居たのかよ……」



CALL ピルルッ ピルルッ  ピキュイーン



スネーク「オタコン! オタコン!!」

オタコン「な、なんだいスネーク? どうかしたの?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:35:40.85 ID:HQs1TbMu0
スネーク「どうもこうもない! これは一体どういうことだ?」

オタコン「め、珍しいね、君がそんなに慌てるなんて」

スネーク「……猫が」

オタコン「え?」


スネーク「猫が、人間の言葉をしゃべっていた……」


オタコン「ああ……そうなんだ」

スネーク「……? それだけか?」

オタコン「まあね。 ほら、前にもアイルーとかメラルーとか……」

スネーク「それは俺じゃない!」

オタコン「……まあまあ、落ち着いてよスネーク」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:40:23.87 ID:HQs1TbMu0
オタコン「僕は一応、その研究所について調べてきてる。 猫に関する情報もちゃんとあるよ」

オタコン「あまりにファンタジックで眉唾な内容だから、伝えなかったんだけど……本当だったんだね」

スネーク「……あれも、奴の発明なのか?」

オタコン「ああ、たぶんね。 動物と話すことのできるスカーフ……」

スネーク「信じられん……」

オタコン「まあ……君だって無限バンダナとかもってるしね……いまさら……」ボソッ

スネーク「何か言ったか?」

オタコン「何も?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:42:59.00 ID:HQs1TbMu0
スネーク「……それにしてもオタコン。 お前随分と落ち着いているな?」

オタコン「え? そうかな?」

スネーク「まさかとは思うが……その、今回のターゲットとやら」

オタコン「ああ」

スネーク「……あのスカーフが霞むほどの代物なのか?」

オタコン「……そのまさかさ」

スネーク「なんてこった……」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:48:01.36 ID:HQs1TbMu0
スネーク「教えてくれオタコン。 それは一体何なんだ?」

オタコン「そうだね。 君にも説明しておこう」


オタコン「……君は、グレイ・フォックスを覚えているかい?」

スネーク「当然だ」

スネーク「俺の親友……サイボーグ忍者」

オタコン「そう、強化外骨格を纏ったサイボーグ。 雷電もそうだね」

スネーク「まさか……その発明とは、サイボーグなのか?」

オタコン「いや」

オタコン「もっと、すごいもの……」

オタコン「……ロボットさ」

スネーク「ロボット……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:54:18.95 ID:HQs1TbMu0
オタコン「恐ろしい身体能力、そしてそこから得られる戦闘力……」

オタコン「雷電やフォックスを見てもわかるとおり、サイボーグは強力な兵器に成りうる」

スネーク「次回作のメインになるほどにな」

オタコン「そうだね。 だけど、彼らにも弱点はある」

スネーク「生身の部分……」

オタコン「そのとおり。 いくら外側を強化しようと、中身は人間だ」

オタコン「そこに、サイボーグの限界がある」

スネーク「しかし、奴はロボットだと?」

オタコン「ああ……完全に機械のみで構成された人造人間」

オタコン「透析の必要は無いし、クスリによる精神疾患に悩まされることもない」

オタコン「エネルギーロスが少ないから、『ザンダツ』の必要もない」

スネーク「究極の戦士……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 20:59:45.82 ID:HQs1TbMu0
スネーク「だが、見た目や中身が人間と逸脱していては問題があるだろう?」

オタコン「そこが今回のミソなのさ」

スネーク「……?」

オタコン「見ればわかる。 ……そろそろ、奴が帰ってくる時間帯だ」

スネーク「…………」

オタコン「スネーク、もう一度確認するよ? 君の任務は、ロボットの写真を撮ることだけだ」

オタコン「絶対に見つからないでくれよ。 ロリコン爺として逮捕される君なんか見たくないからね」

スネーク「ああ、わかってる。 ……それに、そんなのが相手ならどのみち命は無いだろう」

オタコン「よし。 じゃあ、引き続き博士の方を監視しててくれ」

オタコン「ターゲットの方は、その内帰ってくるだろう」

スネーク「わかった」


プツン

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:04:37.35 ID:HQs1TbMu0
はかせ「見つけたー!」ガサガサ

阪本「はあ……俺は知らないからな」スタスタ

はかせ「ふんふーん♪」ポリポリ ムシャムシャ



ササッ…


スネーク(ふう……なんとか見失わずにすんだな)


はかせ「あーいすてぃー♪ いんなどりー♪」ムシャムシャ

はかせ「すねーくいーたあー♪」パタパタ


スネーク(しかし食うな……)



ガチャッ ガラガラ…



スネーク「!」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:08:19.83 ID:HQs1TbMu0
スネーク(ついに来たか……)


???「はかせー? ただいま戻りました―」テッテッ


スネーク(……ん? 女の声……?)


はかせ「あ、なのおかえりー」テテテ

なの「はい……って、はかせまたお菓子食べたんですか!?」



スネーク「……!!?」



CALL ピルルッ ピルルッ プトゥーン

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:13:06.43 ID:HQs1TbMu0
スネーク「オタコン! オタコンッ!!」

オタコン「な、何だいスネーク? 目標は確認できた?」

スネーク「ああ……いや、しかし……」

オタコン「ふふん。 びっくりでしょ?」

スネーク「……あれはどう見ても、ただの女子高生だ!」

オタコン「いいや。 あれはロボットだよ」

スネーク「根拠は?」

オタコン「背中にネジがついてるだろう?」

スネーク「……?」

オタコン「いやだから、背中にネジがついてるだろう? どう見たってロボットじゃないか」

スネーク「そういう……ものか?」

オタコン「そうだよ、日本じゃ常識さ」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:18:29.63 ID:HQs1TbMu0
スネーク「ううむ……」

オタコン「あ、もしかして君……僕の貸したジャパニメーションのBDに目を通して無いのかい?」

スネーク「あ? あれは……その」

オタコン「はあ……そんなことだろうと思ったよ。 さっきのスカーフにも驚く始末だし」

スネーク「……だがあの、ドラえもんとかいうアニメは長すぎやしないか?」

オタコン「! ドラえもんすら見切ってないだなんて……そんな人だとは思わなかったよ!」

オタコン「……もういいや、速く写真を撮ってきてくれ。 あ、ちゃんとロボットだとわかるような写真を頼むよ?」

スネーク「……ネジが写っていればいいのか?」

オタコン「それじゃ駄目さ。 腕が外れるくらいのことはしてないと」

スネーク(どっちなんだ……)

オタコン「じゃ、頑張ってくれよ!」


プツン

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:23:29.53 ID:HQs1TbMu0
なの「もう、駄目じゃないですか! また夕御飯残しちゃいますよ?」

はかせ「だって……」


コソコソ…

スネーク(……どう見ても人間だな)

スネーク(本当に腕なんて外れるのか……?)


なの「場所も変えておいたのに……どうやって見つけたんですか?」

はかせ「阪本が教えてくれました」テレッ

なの「阪本さーん!!」

阪本「知らねーよ!」テッテッテッ



スネーク(!? まずい、猫がこっちに来る!)ササッ

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:28:23.89 ID:HQs1TbMu0
キュイーン ピッ ピッ ピッ カチッ!


阪本「……ん?」

なの「阪本さん? どうかしましたか?」

阪本「いや……そこに誰か居たような気がしてな」

なの「え……?」トテトテ


シーン…


なの「……誰もいませんね」

阪本「ああ、勘違いだったみたいだな」

なの「あ、そろそろご飯にしようと思うので、ちょっと待っててくださいね」

阪本「おう」


スタスタ……



阪本製薬「…………」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:30:30.53 ID:HQs1TbMu0
キュイーン ピッ ピッ


BOX A

ダンボール箱。
表面に「阪本製薬」と書いてある。


カチャコッ


スネーク(ふう……たまたまダンボール箱があって良かった)

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:35:49.87 ID:HQs1TbMu0
なの「ふんふん♪」ジャー トントン

はかせ「なのー、今日のごはん何?」

なの「ふふっ、今日ははかせの好きなシャケの唐揚げですよ」

はかせ「わーい!」


スネーク「…………」ジーッ


なの「んーっと……あ、あれ?」ガサガサ

はかせ「どしたの?」

なの「け、ケチャップ……切らしちゃってたみたいです」

はかせ「えー……」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:40:44.23 ID:HQs1TbMu0
なの「どうしよう……ソースじゃ駄目ですよね?」

はかせ「…………」ブー

なの「うーん……しょうがない、今から買ってきます」

はかせ「……あ! そうだ!」ゴソゴソ

はかせ「ねえなの、腕出して!」

なの「?」スッ


スネーク「……?」ジーッ


はかせ「ぱーてぃーはまだ終わってない!」ポチッ!


バカンッ ……ボトッ


なの「!?」

スネーク「!?」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:46:56.17 ID:HQs1TbMu0
なの「わわわ……なんでケチャップが私の腕に……」ボトボト

はかせ「へへへ、こんなこともあろうかと改造しておきました」

なの「……でもあの、なんか適当じゃありません?」

なの「ロールケーキの空洞に、ケチャップが三本入ってるだけなんですけど……」

はかせ「もうちょっと改造する?」

なの「あ、すみません、やめてください」


パシャッ


なの「!」ファンッ!

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:50:21.65 ID:HQs1TbMu0
なの「…………」キョロキョロ

はかせ「? どしたの?」

なの「……? いえ、何か聞こえた気がしたんですけど……気のせいだったみたいです」

はかせ「ふーん」

なの「……というか、はかせ」

はかせ「なに?」

なの「棚にケチャップが無かったのって、はかせが私の腕に入れたからじゃ……」

はかせ「……えへへ」テレテレ

なの「はあ……」



コソコソ…



CALL ピルルッ ピルルッ ピキュイーン

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:56:07.31 ID:HQs1TbMu0
スネーク「……オタコン」

オタコン「ああ、スネーク。 どうだい?」

スネーク「……腕が外れて、ケチャップのビンが飛び出す様子をカメラにおさめた」

オタコン「! ああ、その写真で十分だ」

オタコン「どう? よく撮れてるかい?」

スネーク「ああ……」        [R]


ボヤァーン…

――いいセンスだ、これほど充実した戦いは久しぶりだよ

――わ、私の腕がぁー!!


スネーク「……なあ、オタコン」

オタコン「なんだい?」

スネーク「あれは義手……ということは無いのか?」

オタコン「ケチャップのビンを入れても動く義手なんて、見たことは無いね」

スネーク「そうか……」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 21:59:30.66 ID:HQs1TbMu0
オタコン「ともかく、写真は撮れたんだろ? 速くそこを脱出してくれ」

オタコン「写真はその後に送ってくれればいいから」

スネーク「ああ、わかった」

オタコン「…………」

スネーク「? どうした?」

オタコン「……嫌な予感がする」

スネーク「……そうか?」

オタコン「昔懐かしいアイテムがあったら、拾っておくべきかもしれないね」

スネーク「……?」


プツン

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:02:41.56 ID:HQs1TbMu0
……………………
………………
…………


ガサゴソ…


阪本製薬「…………」ズリズリ

スネーク(……ふう、なんとか脱出には成功したか)カチャコッ

スネーク(一刻も早くここを離れねば、俺の常識がどうにかなってしまう……)スタスタ



???「……蛇よ」



スネーク「!?」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:05:59.25 ID:HQs1TbMu0
???「あなたも落ちぶれたものですね」

???「女性ばかりの家に忍び込み、か弱い少女をこそこそ盗撮とは……嘆かわしい」


スネーク「……誰だ! 何処に居る!?」バッ


???「……私を忘れましたか? ここですよ……」バサッ


バサッバサッ… カア カア


スネーク「……! まさか……」



ヒュンッ!!



スネーク「!!」シュバッ!

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:11:37.44 ID:HQs1TbMu0
キンッ…!


スネーク「くっ……! 狙撃か!? いや……」


???「ふふふ……」バサバサ

スネーク「……カラス?」

カラス「……ええ、いかにも。 ただのカラスではありませんが」ストッ

スネーク「なるほど、あの猫と同じスカーフか」

カラス「そうです。 ……私はあの方によって、人との交流を得ました」

カラス「カラスは賢く、社会性のあるいきものです……その御恩を、忘れたりはしない」

スネーク「……!?」バッ


ボロッ… ガシャン


スネーク「ちっ、カメラが……!」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:16:53.23 ID:HQs1TbMu0
カラス「さて……これであの方に不利なデータはなくなりました」バサバサ


カラス「これで存分に、盗撮犯へ罰を与えることができますね」ヒュンッ!


スネーク「! またあの突進か……っ!」バッ!


ガキン!!


カラス「ふん、私のくちばしを避けますか」

カラス「しかし油断しないことです……カラスは決して、ただの残飯処理役では無いのですから」バサバサ


スネーク(! やはり奴は……)


カラス「さあ……行きますよ!」バッ!

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:20:54.10 ID:HQs1TbMu0
バババババババッ!!!


スネーク(くっ……速い! まるでバルカン砲だな)

スネーク(だが、所詮はカラス! たたき落として――うっ!?)


グキッ


スネーク「う……あ……」

スネーク「まずい……ぎっ」


スネーク「ぎっくり……」


スネーク「……腰」コシ コシ…


ドサッ

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:23:05.51 ID:HQs1TbMu0
カラス「! 蛇がああああああ!!!!」シュバババババッ!!!



ズドドドドドドッ!!!



カラス「…………」バサバサ



スネーク「」ベチャ……



カラス「……死にましたか」バサバサ…


バッサバッサ……

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:27:06.39 ID:HQs1TbMu0
スネーク「…………」

スネーク「…………」チラッ

スネーク「……行ったか」ベチャア       [R]


ボヤア……

――ちょうどいい色合いを探すのに手間取ってね

――僕の作戦、理解してくれたんだね!



スネーク「……なんてこった、俺の戦闘服が」ベチャ…

スネーク「もうパーティーには着ていけないな……」


CALL ピルルッ ピルルッ プトゥーン

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:30:42.32 ID:HQs1TbMu0
オタコン「スネーク! 無事かい!?」

スネーク「ああ、なんとかな……」

オタコン「良かった……まさか、日本のカラスがあんなに高い戦闘力を持つなんてね」

スネーク「お前でも知らなかったか?」

オタコン「ああ……すまなかった、また危険にさらしてしまったね」

スネーク「まあ良いさ……お前のおかげで切り抜けたようなもんだしな」

オタコン「そうかい? ……カメラは?」

スネーク「壊れている……メモリー部分を正確に撃ちぬいているな。 データの復旧は難しいだろう」

オタコン「そうか……まあ、仕方ないね」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:34:59.69 ID:HQs1TbMu0
スネーク「……しかしどうする、オタコン」

スネーク「写真は回収できなかったが、あの家にロボットが居るのは確かだぞ」

オタコン「ん? ……ああ、そうだね……」

スネーク「? どうした、オタコン」

オタコン「いや、なんでもないよ。 ……ところでスネーク、回収ポイントまで歩けるかい?」

スネーク「いや……腰をやってしまった」

オタコン「そうか、まあ、回収ポイントって言ってもすぐ近くの駅だしね。 僕がそこまで迎えに行くよ」

スネーク「ああ、頼む……ううっ!」


プツン

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:40:32.57 ID:HQs1TbMu0
プルルルッ プルルルッ… ピッ


オタコン「……ああ、もしもし」

オタコン「ああ、僕だよ……うん」

オタコン「大丈夫さ、ちょっとアクシデントが起こったけど……だいたい予定通り」

オタコン「そう、今彼を迎えに行く所さ」

オタコン「……そっちの準備は? うん、うん……」

オタコン「……わかった。 問題無さそうだね」

オタコン「……ああ」

オタコン「『ドラゴン』の手配は、もうすんでる……」

オタコン「うん、じゃあ予定通りね……」

オタコン「……大佐」


ピッ


…………………………

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:41:28.29 ID:HQs1TbMu0
東雲研究所編 終了


→ 時定高校編 スタート

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:48:08.91 ID:HQs1TbMu0
……………………………
……………………
……………


オタコン「スネーク、二ヶ月ほど前の事件を覚えてる?」

スネーク「もちろんだ。 随分辛酸を嘗めさせられたからな」

オタコン「……超高性能ロボット開発の証拠を撮るため、僕らはある研究所に潜入した」

スネーク「群馬県時定市、東雲研究所……」

オタコン「そう。 そして、確かにロボットの開発が行われていることを掴んだ」

スネーク「……だが、カラスに邪魔をされ、ケチャップを撒いて命からがら逃げ出してきた……」

オタコン「……ぷふっ」

スネーク「……オタコン」

オタコン「いや、ごめん……でも、言葉にすると……くくっ……あまりにも、なんというか……」

スネーク「日本製のギャグ漫画のよう、か?」

オタコン「あ、今回はちゃんとチェックしてきてくれたんだね」

スネーク「まあな。 まずは日本のことをよく知らなければ」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:53:09.02 ID:HQs1TbMu0
オタコン「……まあ、今回はそのリベンジマッチ、という所さ」

スネーク「また東雲研究所に?」

オタコン「いや」

スネーク「じゃあ一体?」

オタコン「学校さ」

スネーク「学校?」

オタコン「そう……時定高校」

オタコン「偏差値54、生徒の自主性を重んじることに定評があり、年に一度風船を飛ばす行事があるごく普通の高校さ」

スネーク「……そこに、奴が?」

オタコン「ああ」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 22:58:16.72 ID:HQs1TbMu0
スネーク「高性能のアンドロイドが高校に通っているとはな……俺にペルソナ能力は無いぞ?」

オタコン「そんなとこまで予習してきたの? 相変わらず真面目だね」

スネーク「真面目か……ロボットにまで教育の機会を与えるような、日本人の糞真面目には劣る」

オタコン「君だって、日本人の血が流れてるんだろう?」

スネーク「……そうだったな」

オタコン「どうだい?」

スネーク「何が?」

オタコン「日本さ。 居心地とか……」

スネーク「……まあ、前よりは慣れた。 いい加減銃を持たない生活が長くなってきたしな」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:00:29.27 ID:HQs1TbMu0
オタコン「そう。 ……悪くない?」

スネーク「ん……まあな」

オタコン「それは良かった」

スネーク「……どうしてそんなことを聞く?」

オタコン「それは、今回の作戦内容を聞けばわかる」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:05:41.84 ID:HQs1TbMu0
オタコン「さて、ブリーフィングを始めようか」

スネーク「ああ」

オタコン「……あー、その前に、スネーク?」

スネーク「何だ?」

オタコン「その……このままじゃ、話を聞きにくくないかい?」

スネーク「いや、大丈夫だ」

オタコン「そう? 運転かわらなくても平気かい?」

スネーク「……オタコン」

オタコン「え?」

スネーク「勘弁してくれ……ここは日本だぞ? 爆撃中のシャドーモセスじゃないんだ」

オタコン「あ、ああ……そう、だね……ごめん、あは、あははは……」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:11:14.93 ID:HQs1TbMu0
スネーク「それで?」

オタコン「え?」

スネーク「ブリーフィングだ。 ……ま、だいたいは聞いているし、見当もつくが……」

スネーク「習慣だからな…… 作戦前にはこれがなきゃ落ち着かん」

オタコン「そうだね。 まあ、一応念のため確認しよう」


オタコン「……僕らが今向かっているのは、例の時定高校。 かのロボット……東雲なのが通う高校さ」

スネーク「ああ、カーナビにもそう表示されている。 レンタカーにしては良い車だ」

オタコン「傷は付けられないね……」

スネーク「ああ。 運転は諦めてくれ」

オタコン「そうするよ」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:17:31.14 ID:HQs1TbMu0
オタコン「……さて。 スネークには、そこでしばらくの間働いてもらう」

スネーク「清掃員か? それとも学食のコック?」

オタコン「教師だよ」

スネーク「……一番向かない仕事だ」

オタコン「そう言うなって。 僕が見た限りでは、若者を導くのはむしろ得意分野に思えるよ?」

スネーク「その若者が、サイボーグで刀を持った男なら一応経験はあるという程度のことだ」

スネーク「それに、俺は教員免許なんか取った覚えは無いぞ?」

オタコン「大丈夫、特別講師として招かれた……という体だ。 経歴もある程度いじってある」

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:22:49.19 ID:HQs1TbMu0
スネーク「よくそんな無茶が通ったな? いくら平和の国とは言え、危機感が無さすぎるぞ」

オタコン「そういうのが特別緩い学校なのさ。 それに、色々と手を回したからね」

スネーク「……あまり派手なことはするな」

オタコン「大丈夫さ、犯罪はほとんどやってない。 『ドラゴン』を手に入れるのは手間だったけど」

スネーク「『ドラゴン』? ……ドラッグか?」

オタコン「クスリであることには間違いないけど……合法なものさ」

スネーク「そうか……なら良いが」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:30:27.90 ID:HQs1TbMu0
オタコン「それでスネークには、彼女の監視と観察を頼みたいんだ」

スネーク「東雲なの、か?」

オタコン「そう。 彼女の所属するクラスを受け持つように手配しておいた」

オタコン「彼女には、まだわかっていないことが多い。 性能、開発目的、行動内容……」

オタコン「講師という立場なら、それを知るのは難しくないだろう?」

スネーク「課題という形で負荷をかけ、その反応を見ることができるからな」

スネーク「他の一般人との比較も容易だ」

オタコン「そういうこと」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:35:01.64 ID:HQs1TbMu0
スネーク「今までの潜入任務に比べれば、気が楽そうだ……」

オタコン「あ、でもカラスには十分注意してくれよ?」

スネーク「無論だ」

オタコン「よし。 ……あ、もうそろそろ着くんじゃないかな?」

スネーク「ん?」


ピコーン マモナク トキサダメコウコウ デス…


スネーク「ああ……そのようだ」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:42:03.49 ID:HQs1TbMu0
オタコン「じゃ、僕はいつも通りMk.Ⅲで君をモニターしてるよ。 何かあったら無線をくれ」

スネーク「わかった。 ……いや、そういえばオタコン?」

オタコン「ん? 何だい?」

スネーク「俺が受け持つ教科は何だ? 英語か?」

オタコン「いや。 それはね……」


…………………………
……………………
………………


―― 1-Q 教室 ――



ワイワイガヤガヤ


ゆっこ「ねえねえみおちゃん、今日の体育ってなんだっけ?」

みお「さあ? ……今日は外部から特別講師が来るって聞いてるけど」

ゆっこ「えっ、そうなの!?」

129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:46:59.69 ID:HQs1TbMu0
みお「そうなの?って……この前桜井先生が黒板に書いてたじゃん」

ゆっこ「そうだっけ……あー、だからなんか騒がしいんだ」

みお「そうだろね……なんか、外国の人なんだって」

ゆっこ「へー! 何処から来たんだろ?」

みお「あくまで噂だけど……アラスカの方に住んでたとか」

ゆっこ「え? じゃあ麻衣ちゃんと同じだね」

みお「えっ、そうなの!? 初耳なんだけど!」

麻衣「…………」コクッ

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:50:46.64 ID:HQs1TbMu0
ゆっこ「中学の時の話だもんね」

みお「そうだったんだ……」

ゆっこ「……あれ? でもアラスカって、日本の中部地方にあるんじゃなかったっけ?」

みお「えっ」

ゆっこ「えっ」

麻衣「…………」パタン



ガラガラガラ…



桜井「はーい! 皆さん静かにしてくださーい」っっ

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/07(金) 23:56:22.22 ID:HQs1TbMu0
桜井「えっと……今日の体育の授業は、外部から特別講師をお招きしています」っっ

桜井「柔道の……えっと、特別な型? のようなものを教えてくださるとのことですので」っっっ

桜井「皆さん頑張ってくださいね!……それでは、お入りください」っっっ


ガラガラガラッ…


ザッ!


スネーク「……待たせたな」

スネーク「今日から体育の特別講師として、お前たちを教えることになった……」

スネーク「……デイビット・ドゥだ」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:00:42.60 ID:HMZCQAYC0
ワイワイガヤガヤ


「うわ……すっごい流暢な日本語」

「結構歳行ってるような……大丈夫かな?」

「でもすごい男前だなあ……」

「なんか、この声夢で聞いたことあるような……」


ワイワイガヤガヤ


スネーク「…………」ジロリ


――!


シーン……



桜井(す、すごい……少し見回しただけで教室が静まり返るなんて……)

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:07:03.60 ID:5zTV0p730
スネーク「……今でこそ退役しているが、俺は今まで軍人だった」

スネーク「物心ついた時から今に至るまで、銃を離した時は無かった」

スネーク「……だから俺は、戦いに関する技術しか知らん」


シーン……


スネーク「だが、今日からお前たちに教えなければならないのはあくまでスポーツだ」

スネーク「別に得意なスポーツが無いわけじゃないんだが……それはここでやるには適さない競技なんでな」

スネーク「だからこの授業では、俺が戦闘のための技術として持っているものを、スポーツの範囲内でお前たちに教えようと思う」

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:15:15.10 ID:5zTV0p730
スネーク「その内容は、さっきミス桜井が言ってくれた通り、柔道のようなものだ」

スネーク「正式な名称は、CQC……クロース・クォーターズ・コンバット」

スネーク「近接戦闘における基本だ。 ……本来ならナイフが不可欠なんだが、それはここでは用いない」

スネーク「この授業の目的はあくまで、お前たちの基礎体力づくりの補助」

スネーク「また、できれば身の回りで起こる危険から身を守るための術をお前たちに与えられたらと思っている」


スネーク「授業内容についての質問は以上だ。 何か質問はあるか?」


シーン……

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:19:13.80 ID:5zTV0p730
スネーク「よろしい。 では、全員起立!」


ガタガタガタン!


スネーク「まずは体育館へ移動する。 ……そこの、東雲!」

なの「は、はい!」

スネーク「体育館まで案内してくれ。 まだここに来たばかりで不慣れなんでな」

なの「わ、わかりました……こっちです」トテテ

スネーク「よし。 行くぞ、お前たち」

生徒たち「「はいっ!」」


ザッザッザッザッ…



桜井(はあ……厳しくしているわけじゃないのに、みんなが黙って従ってる)

桜井(私……まだまだだなあ……)ションボリ


トボトボ…

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:29:19.05 ID:5zTV0p730
―― 体育館 ――


中之条「よ、よろしくお願いします!」

スネーク「よし、来い!」

中之条「でやああああ!!」

  (□)

スネーク「……甘い!」ヒョイッ

中之条「あれっ?」ボフン

スネーク「まっすぐ突っ込みすぎだ、だから簡単に崩される」

スネーク「だが気迫は十分だ。 そのまま訓練に励めば問題ないだろう」

中之条「は、はい!」

スネーク「よし、次!」


…………………………
……………………
……………

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:33:43.50 ID:5zTV0p730
生徒たち「「…………」」グデー

スネーク「どうした、お前たち? もう息が上がったか」

スネーク「最新作ならこれくらいチュートリアルミッションの内だぞ?」

生徒たち((……何の話だろう……?))


ピピピ…

スネーク「!……まあ良いだろう、まだ始めたばかりだ。 少し休憩にしよう」


ワーイ! ガヤガヤ


スネーク「…………」スタスタ



CALL ピルルッ ピルルッ プトゥーン

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:38:17.99 ID:5zTV0p730
オタコン「どうだいスネーク? 調子は」

スネーク「……老体には少し疲れる仕事だな」

オタコン「そんなこと言って、汗一つかいてないじゃないか。 スネークにも、あんなに優しい投げ方ができるんだね?」

スネーク「……ゴミ捨て場には近寄るなよ、オタコン。 カラスがたくさん居たからな」

オタコン「見てただけさ、撮っちゃいない。 心配いらないよ」

スネーク「なら良いが」

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:46:51.05 ID:5zTV0p730
オタコン「……それで、彼女の方はどうだい?」

スネーク「東雲か。 ……あいつを投げる時、力のかけ方を少し変えてみたんだが」

オタコン「どうだった?」

スネーク「二回とも同じように投げられた。 普通の女子高生と変わらん形でな」

オタコン「っていうと……」

スネーク「普段は力にセーブがかかっているんだろう。 一般人と同じレベルまで力を落としている」

スネーク「だが、より強い負荷がかかるとそれを察知してセーブのかけ方を変える」

オタコン「自己防衛システムだね。 力のセーブと合わせて、三原則の2つを同時にクリアしてるわけだ」

スネーク「なかなか優秀なことだな」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 00:54:12.32 ID:5zTV0p730
オタコン「さすがは東雲博士だ……やはりとても高性能なロボットなんだね」

スネーク「ああ……だが、オタコン」

オタコン「なんだい?」

スネーク「……奴の力には、高度な安全装置がかけられている」

スネーク「そして奴自身の人格は……他の生徒と大差ない。 真面目で、虫も殺せないような人物だ」

オタコン「…………」

スネーク「まだ調査の途中だから何とも言えないが……」

スネーク「……奴は、とても兵器として作られたようには思えん」

スネーク「俺のほうが、まだしもそれに近い」

オタコン「……スネーク」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:04:18.33 ID:5zTV0p730
スネーク「とりあえず、現時点での評価は今の通りだ」

オタコン「……そうか。 じゃあ、やはりその可能性が高いかな……」

スネーク「……どういうことだ?」

オタコン「前にも言った通り、東雲博士には謎が多い。 経歴も、素性も、本名さえ未だ不明なんだ」

オタコン「だから、とても高性能なロボットがそこで作られていたとして……」

オタコン「それが何に使われるかは、完全に未知なんだよ」

スネーク「……なら、奴はただ、身の回りの世話をするためだけのロボットかもしれないのか?」

オタコン「うん……まあね」

スネーク「それなら、調査はもう……」

オタコン「いや、まだ続けてくれ! もしそうでなかった時のリスクが大きすぎる!」

スネーク「……そうか? まあ、まだ調査は始まったばかりだからな」

オタコン「ああ……そのまま続けてくれ」

スネーク「……?」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:09:57.84 ID:5zTV0p730
オタコン「……そうだ、何か他に変わったことはあったかい?」

スネーク「そうだな……まあ無いこともない」

オタコン「どんなこと?」

スネーク「……それがな」

スネーク「東雲とは関係無いんだが……少し変わった生徒が居る」

オタコン「変わった生徒?」

スネーク「ああ」

オタコン「どう言うことだい?」

スネーク「……ただの高校生にしては、少々優秀すぎる」

オタコン「なんて生徒? 一応名前を書き留めておくよ」

スネーク「確か……」


スネーク「……長野原 みお」

187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:14:03.71 ID:5zTV0p730
オタコン「長野原……ふむ。 なるほどね」

スネーク「どうした? 何かあるのか」

オタコン「いや。 ……でも、気をつけてくれよ? 東雲博士の技術なら、誰に何が起きてもおかしくない」

スネーク「わかった。 注意しておこう」

オタコン「それじゃ、頑張ってね!」

スネーク「ああ」


プツン

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:20:34.57 ID:5zTV0p730
スネーク「お前たち、十分体は休まったか?」


ハーイ!


スネーク「よし。 では授業を再開する」

スネーク「休憩前に先頭に来るはずだった者、前へ出ろ」


スッ


みお「は、はい! よろしくお願いします!」


スネーク(こいつか……噂をすればだな)

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:25:44.31 ID:5zTV0p730
スネーク「……よし。 では来い!」

みお「はい……!」バッ


バシッ!


スネーク(……この動き)

みお「てやっ!」バッ


ガシッ!


スネーク(やはり、こいつは……)ヒョイッ


みお「!」バッ!


タンッ… スタッ


ゆっこ「おお、みおちゃんすごい!」

なの「う、腕一本で元の姿勢に戻りましたね……」

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:31:12.19 ID:5zTV0p730
みお「……!」バッ


ガッ!


スネーク(俺が教えた……スポーツとしてのルールの部分を完全に忘れている。 いや、むしろその逆を行っている)

スネーク(それに加え、この身体能力……ボクシングでもやっていたのか? だとしてもそれだけじゃないな)

スネーク(こいつが正規の訓練を受ければ相当化ける。 ……だが)


クルリッ


みお「えっ? ……あ痛っ」ボフン


スネーク「まだまだ……俺の相手をするには十年早い」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:38:44.87 ID:5zTV0p730
みお「あれ……上手く行ったと思ったのにな」

スネーク「……長野原」

みお「あ、はい!」

スネーク「俺はさっき、こう手首をひねるとそのまま折りかねないから危険だと、教えたはずだな?」

みお「え? あ……」

スネーク「授業前に言った通り、俺はあくまで基礎体力の向上と、護身術のみを教えるつもりだ」

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:41:41.45 ID:5zTV0p730
スネーク「だから、俺の話をよく聞かず、不完全なままで居ると……いつか人を殺しかねん」

スネーク「それは、この国で生まれ、この国で平和に生きるお前にとっては過ぎた力だ。 わかるな?」

みお「……はい」

スネーク「だから、これからはもっとよく話を聞いておくように。 いいな」

みお「……はい」シュン


スネーク「……だが、長野原」

みお「え?」



スネーク「……良いセンスだ。 もっと胸を張れ」



みお「……! はい! ありがとうございます!」スクッ

スネーク「よし! では、次!」

…………………………
…………………
…………

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:47:51.86 ID:5zTV0p730
―― 中庭 ――


プシュッ! ゴキュッ ゴキュッ ゴキュッ…


スネーク「……ふう」プハッ

スネーク「やはり体力回復には、マテ茶とマウンテン・デューが一番だな」

オタコン「冷静に見るとすごい組み合わせだね……」

スネーク「そうか? まあそこらの蛇だのネズミだの食べるよりはマシだろう」

オタコン「そりゃそうかもしれないけど……ま、とりあえずお疲れ様」

スネーク「ああ。 あいつらの相手も、この体にはこたえるもんだ」

209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:53:51.37 ID:5zTV0p730
オタコン「やっぱり、英語とかの方が良かったかな?」

スネーク「いや、肩と腰にはこっちの方がまだやさしい」

オタコン「大変だね……」

スネーク「お前もいつかこうなる。 覚悟しておけ」

オタコン「あ、ああ……」

スネーク「……さて、もう一仕事するか」

オタコン「え? もうホテルに帰っても良いんじゃないのかい?」

スネーク「オタコン、何を言ってるんだ? むしろここからが調査の本番だろう」

スネーク「この学校や、残りの授業を受ける東雲についても調べなくてはな」

オタコン「あ、ああ……そうだね。 それはそうだ」

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 01:59:08.41 ID:5zTV0p730
スネーク「よし……じゃあ切るぞ」

オタコン「うん、気をつけてね」


プツン



タッタッタッタッタッ…


スネーク「……?」


バッ!


スネーク「おっと……」ヒラリ

スネーク「……おいそこの! ちゃんと前を見て走れ!」


タッタッタッ… クルッ


笹原「……失敬。 気をつけよう」

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:03:58.17 ID:5zTV0p730
スネーク「わかれば良い。 だが、走っていいのはここだけだ。 廊下は走るなよ?」

笹原「うむ。 ……では先を急いでいるのでな、さらばだ」タッタッタッ

スネーク(随分古風な話し方をする奴だな……)

笹原「ああ……それと」タッ

スネーク「なんだ?」


笹原「……連れが迷惑をかける。 すまぬな」ピッ


タッタッタッタッ…


スネーク(連れ……? 何を言っているんだ?)



ガッシャン…  ガッシャン…

212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:07:47.04 ID:5zTV0p730
スネーク「……? この音は……」


ガッシャン… ガッシャン…


スネーク(どこかで、聞いたことが……)


ガッシャン ガッシャン


スネーク(あるような……)


ガッシャン ガッシャン



ガシャン!!! ギャオオオオオオ!!


MG-REX「ささはらあああああああああ!!!!」ガシャンッ!




CALL ピルルッ ピルルッ ピキュイーン

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:12:22.58 ID:5zTV0p730
スネーク「オタコオオオオオオオン!!!!」

オタコン「な、何!? なんだいスネーク!? 何が起こったんだ!」

スネーク「どういうことだアレはああああ!!?」

オタコン「ええ!? い、今Mk-Ⅲを……って何あれ」

スネーク「何故メタルギアがここにある!!」

オタコン「ぼ、僕にもわからないよ!」

オタコン「東雲博士が……? でもあれはレックスだし、そもそも部品が……スペースだって!」

スネーク「くっ……あっちに行ってしまう! とりあえず見失う前に追うぞ!」

オタコン「あ、ああ! 気をつけてくれよ!」


プツン

216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:19:30.98 ID:5zTV0p730
スネーク「くっ……!」タッタッタッタッタッ


MG-REX「笹原あああ!! 待ちなさああい!!」ガションガション


スネーク(この声…・女か? 誰が乗っているんだ……!)タッタッタッタッ

スネーク(……! あれは……さっきの妙な生徒!?)


笹原「ふっ……行き止まりとはな。 天もなかなか傾きおる」

MG-REX「さーさーはーらー……!」プシュウウウ…

スネーク「! まさか……やめろぉ!!!」



ダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!


笹原「」


スネーク「……! くっそおおお!!」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:27:10.36 ID:5zTV0p730
スネーク「貴様あああ!! 何が目的だあああ!!!」

MG-REX「……えっ?」ガションガション

スネーク「くそっ……! 顔を見せろおおおお!」

MG-REX「あ、はい……」ガパー

スネーク「!!?」

みさと「え、ええと……」

スネーク「この学校の生徒……!? 何者だ!」

みさと「あの……2年P組の立花みさとです」

スネーク「……そいつをどこで手に入れた!? 何が目的だ!」

みさと「えっと、目的っていうか……その」

みさと「これは、ちょっとした私物でして……学校に持ち込んですみません」ペコッ

スネーク「……!?……?………!!?」

224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:30:38.18 ID:5zTV0p730
スネーク(なんだ……? どういうことだ!? メタルギアが……私物!!?)

スネーク(ついていけない……これは本当に現実か? それとも……)


ポムポム


スネーク「!?」


笹原「……御仁。 細かいことを気にしてはいけない」


スネーク「」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:35:37.76 ID:5zTV0p730
スネーク「お、お前は……確か、さっき蜂の巣になったはずじゃないのか?」

笹原「攻撃なら確かに私の体で受け止めた。 だがこの程度で死にはしない」

笹原「……それだけのことだ」

スネーク「いや待て。 それは……どうなんだ? おかしいだろう」

笹原「ふむ……なら、貴殿は今生きているが」

笹原「今まで……バルカン砲の弾を食らったことは無いのか?」

スネーク「!!」

笹原「おそらくあるだろう。 教師とはそういう仕事だ」

笹原「だが、貴殿は今、こうして生きている。 そういうことだ」

スネーク「……ううむ」

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:42:22.40 ID:5zTV0p730
笹原「だが立花みさとは私物を学校に持込み、中庭を暴走した。 それは事実だ」

みさと「むー……」

笹原「故に、貴殿はそこの歯車を没収する義務がある。 持っていくといい」

スネーク「あ、ああ……」

笹原「だからこの場は……私の顔に免じて、丸くおさめてくれないか?」

スネーク「ああ……」

笹原「かたじけない。 ……では行くぞ、立花みさとよ」ギュッ

みさと「へっ……あ!? て、手……」

笹原「また会おう!」スタスタ

みさと「Q」ズルズル


スネーク「…………」



CALL ピルルッ ピルルッ ピキュイーン

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:45:23.38 ID:5zTV0p730
スネーク「……こちらスネーク。 オタコン、聞こえるか?」

オタコン「あ、ああ! 大丈夫!?」

スネーク「ああ」

オタコン「どうなった? その……メタルギアは」

スネーク「……没収した」

オタコン「ああ! ……ええ? 何?」

スネーク「まあ、その経緯は後で話す。 だがその前に、オタコン」

スネーク「お前に、話がある」

オタコン「……うん」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:49:10.07 ID:5zTV0p730
スネーク「良いか、オタコン。 俺は任務中に、無線の相手に嘘をつかれることが何より嫌いだ」

オタコン「ああ」

スネーク「だから、今から俺とお前の間に、隠し事は一切無しだ。 わかったな?」

オタコン「……ああ、わかったよ」

スネーク「それなら教えてもらおう。 ……ここは、この町は一体どういう場所なんだ?」

スネーク「このミッションの……本当の目的は一体なんだ?」

オタコン「…………」

スネーク「……オタコン」

オタコン「ああ……全部話すよ、スネーク」

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 02:57:00.01 ID:5zTV0p730
オタコン「まず……その町、時定市のことなんだけど」

オタコン「そこは、『伝説の町』なんだ」

スネーク「どういうことだ?」

オタコン「……時定市。 日本、群馬県のどこかにあると言われる……幻の土地」


オタコン「そこは……あらゆるものを受け入れる町なんだ」


オタコン「有能過ぎて世界に混乱をもたらす科学者。 人間を模した、人間では無い者」

オタコン「あまりに強力な才能を持った者。 知ってはいけないことを知った者。 銃を取ることでしか自分を表現できない者」

オタコン「それがどんな人物であっても、どんな背景を持っていたとしても……それを拒まない町」

オタコン「誰もが平等に、平和な『日常』を得ることが出来る場所」

オタコン「それが……その時定市なのさ」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:02:43.19 ID:5zTV0p730
スネーク「……お前はそれを知っていたのか?」

オタコン「ああ。 知っていたよ」

スネーク「だから、あんな妙な連中がわらわら居ることにも驚かなかったのか……」

オタコン「うん。 ……ここまでとは思わなかったけどね」

スネーク「……東雲なのに関するミッションは、すべて偽装か?」

オタコン「そうだ。 ……この町に居る限り、彼女たちの日常が壊れることは無い」

オタコン「あんなふうにカメラが壊されるのは予想外だったけど、ミッション自体に最初から意味は無い」

スネーク「ただ……俺をこの町に送り込むことだけが目的だったのか」

オタコン「……騙してごめん」

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:10:35.72 ID:5zTV0p730
スネーク「そうだな……気付くべきだった。 ステルスが使えるMk-Ⅲがあれば、写真撮影なんて朝飯前だろうからな」

オタコン「ああ……」

スネーク「……なんでこんな真似をした?」

オタコン「だって……見ていられなかったんだ」

スネーク「何?」

オタコン「スネーク……僕は知っているよ。 君が時折、夜中に汗びっしょりで飛び起きること」

スネーク「…………」

オタコン「君が未だに銃を手放せないことも、定職につけていないことも」

スネーク「……大きなお世話だ」

オタコン「スネーク! いや……デイブ」

オタコン「君はもう開放されたはずだ、自分の人生を生きていくはずだった」

オタコン「でも……本当はまだ、今でも囚われたままだ」

スネーク「…………」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:18:36.71 ID:5zTV0p730
オタコン「それが……それが耐えられなかったんだ。 僕も、キャンベル大佐も」

スネーク「大佐? ……大佐まで関わってるのか」

オタコン「大佐だけじゃない。 サニーや、メリルも……みんなこの作戦に関わっている」

スネーク「どうしてわざわざ、こんなことを? 人一人を町に送るだけだろう」

オタコン「こういう場所を見つけたから行ってみない?って聞いて、君が素直に行くのかい?」

スネーク「…………」

オタコン「別に、そこに留まることを望んでいるわけじゃない」

オタコン「ただ、知って欲しかったんだ……世の中には、そういう場所もあるってこと」

オタコン「どんな過去を持っていても、それを笑って受け入れる場所があるってことを」

スネーク「……オタコン」

オタコン「君は……一人で、孤独に悩まなくてでもいいんだってことを、知って欲しかったんだよ」

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:27:27.69 ID:5zTV0p730
スネーク「オタコン……大佐も、サニーも、何をやっているんだお前たちは」

スネーク「どうしてそう、頼んでも居ないのにお節介をするんだ」

オタコン「……ごめん」

スネーク「…………」

スネーク「だが、オタコン。 ……いや、ハル」

スネーク「俺のことを、そんなに心配してくれているなんて……知らなかった」


スネーク「……ありがとう」


オタコン「……えっ!?」

スネーク「なんだ?」

オタコン「す、スネークが……感謝の言葉を言うなんて……嘘だろ!?」

スネーク「おい! そこまで言われる覚えはないぞ」

オタコン「ああ……ごめん、いや、でも……あ、あっはっはっは」

スネーク「…………」

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:29:44.05 ID:5zTV0p730
スネーク「もういい。 とりあえずホテルに戻る」

オタコン「……そうだね。 この後のことは、それから決めよう」

スネーク「……ああ。 じゃあ切るぞ」


プツン



スネーク「……ふう」トボトボ



タッタッタッタッタッ…

248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:35:08.79 ID:5zTV0p730
スネーク「……ん?」


タッタッタッタッタッ…


みお「はあっ、はあっ……」タッタッタッ

スネーク「長野原? ……どうしたんだ?」

みお「あ……あ、えっと、あの、先生!」

スネーク「何だ?」


みお「明日も……来てくれますよね?」


スネーク「!……ああ」

みお「良かった……あ、あの! 私、頑張りますから! CQC!」

みお「また、よろしくお願いします!」

スネーク「ああ……わかったよ。 じゃあな」

みお「はい! また明日!」フリフリ

スネーク「…………」フリフリ

252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:39:10.08 ID:5zTV0p730
スネーク(……俺は、もう長くない。 子供を作ることもできない)

スネーク(それでも……俺でも、何かを残すことは出来るのか? いや、出来るはずだ)

スネーク(そうだ……伝えなければならないことを、まだ伝えきったわけじゃない)

スネーク(まだ、諦めるわけにはいかない……)


スネーク「……とりあえずは、また明日、か……」



………………………………
………………………
………………

254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:45:20.52 ID:5zTV0p730
―― 1-Q 教室 ――


ガラッ


ゆっこ「……あ、一番のりだ」

ゆっこ「…………」キョロキョロ

ゆっこ「くわがたー」


高崎「何やってんだ相生?」


ゆっこ「!」ファンッ

ゆっこ「せ、先生!? 居るなら行ってくださいよー……」タッタッタッ…



シーン…

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/08(土) 03:47:36.79 ID:5zTV0p730
なの「…………」バサッ

なの「……セーフ」ホッ



ガタガタ… カチャコッ



スネーク「何やってんだ、東雲?」ニヤリ




なの「!」ファンッ!





……終わり