1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:26:59.34 ID:9sjrZdSG0
杏子「はあ…」

杏子「自販機の下に落ちてる小銭を拾う仕事が、思いの外捗ったのはいいけど」
杏子「ずいぶん遠くまで来ちまったな…ここどこだ?」

杏子「…」

杏子(あの自販機を漁ったら帰るか)テクテク

引用元: 杏子「変なグリーフシード拾った」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:27:43.12 ID:9sjrZdSG0
杏子「どういうことだオイ…500円じゃねーか!」

杏子「これで今日の成果は2000円を超えた」

杏子「うんまい棒が20…いや、200本も買えちまう??あれ、20?いや、200?」

杏子「これで三日は軽くもつな」ポン
杏子「ん?なんだ?」

肩を叩かれて振り向くと、怖い笑顔の警察官が立っている。

警官「キミねえ。幾らなんでも、交番のまん前でそれをやられちゃ、見逃せないよ?」ニコ

杏子「」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:28:15.43 ID:9sjrZdSG0
――――――交番――――――

警官「名前は?」

杏子「さくら、きょーこ」

警官「住所は?」

杏子「ねーよ、んなもん」

警官「どうせ家出中か何かなんだろうけど。実家の住所を言いなさい」

杏子「だからないって」

警官「夏休みだってもう終わってるんだよ、いい加減にしなさい」

杏子「…」プイ

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:28:48.42 ID:9sjrZdSG0
【探しています よく似た方を目撃したら】

警官「家出の一つでもしたい年頃かもしれないけどね、そのポスターみたいに
   何かに巻き込まれて帰ってこない子も多いんだよ」
警官「特にここ最近、この街は行方不明者が急増しているんだ」

杏子「ふーん」

10人以上がリストに挙がっているが、確かにすべてここ2ヶ月程度の間に発生していた。
盗難車のリストも目に入ったが、これもこの7月から9月にかけて増えているらしい。

杏子「そう言えば、ここどこなんだ?」

警官「?崎高だけど」

杏子「げっ。そんな遠くまで来ちまったのかよ」

警官「で、君はどこから来たのかな?」

杏子「あっく…」
杏子(もうめんどくせえ!)ダッ

警官「あっ!こら!待ちなさい!止まらないと…!」

杏子(マジかよ、撃つ気か!?)ダダダダ

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:29:22.92 ID:9sjrZdSG0
――――――路地裏――――――

杏子「はぁ…はぁ…」

杏子「何とか撒いたか?…はぁ」ピピーッ!マチナサイ!
杏子「うげ!」トタタタ

杏子「はぁ…はぁ…??」

細い路地の角を曲がった途端、杏子は異様な雰囲気を感知した。
鈍い光を放った幾何学的な模様が浮かび上がっている。

杏子「魔女の結界!?」タタタタ

そうしている間にも、警官の足音が近づいてくる。

杏子「こんな時に…いやむしろ助かった!飛び込んじまえ!」シュンッ

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:29:52.84 ID:9sjrZdSG0
――――――魔女の結界内――――――

杏子「ふぅ…」

杏子「これで撒けただろ」

杏子「しかし魔女の結界で『助かった』てのも変な話だな」

杏子「さて」ヘンシン

杏子「この街だって誰かの縄張りなんだろうけど」

杏子「結界にまで入っちまっちゃ、しょうがねーよな」テクテク

結界の1つめの扉を破って足を踏み出すと、何かが足に当たる。

杏子「う…?」

足元に、首のない動物の死骸が横たわっていた。
破損が激しく、犬か猫かも判らない。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:30:35.70 ID:9sjrZdSG0
杏子「何なんだ…これ…」

顔を上げて目に入った、そこに広がる異様な光景に杏子は立ち尽くした。
動物の死骸だけではない。様々なものが大きな損傷を受け、放置されている。
動物、看板、車、そして人間。
その殆どが、ぼろぼろに破壊されていた。

杏子「死んでからそんなに時間は経ってねえ…」

杏子「こっちもだ…こいつは!?」

見ると、先ほど交番で見た行方不明者の一人に似ている。
不思議と、人間の場合は頭部にはそれほど損傷が見られなかった。

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:31:01.08 ID:9sjrZdSG0
杏子「なるほどな。この街で行方不明者だの盗難車だのが急に増えたってのは、こいつの仕業か」
杏子「かなり攻撃的な奴みたいだ…本気でかからないと、やばそうだな」

杏子「マミ達を呼ぶか?」

杏子「…いや、ここは崎高だった。見滝原からは遠すぎる」
杏子「弱気になるな。ワルプルギスの夜だって、倒したんだ」

杏子「5人で、だけど」

杏子「やばくなったら逃げりゃいい…」フンス

何とか自分を奮い立たせ、杏子は先に進んだ。

杏子「しかし…」

杏子「生き物だけじゃなくって、車まで飲み込んじまう魔女なんて聞いたことねーな」
杏子「しかも何か妙な統一感が…なんだろ?うーん」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:31:28.89 ID:9sjrZdSG0
よくわからない違和感を覚えたまま、2つめの扉に達する。

杏子「そーいや、使い魔が1匹も見当たらねーな」

杏子「さて…本体はこの先か」

杏子は2つめの扉を蹴破った。

杏子「!?」

杏子「こいつが…ここの主か。しかし…これは」ジリッ

魔女の本体が身を隠している、結界の最深部の多くがそうであるように、
広大なスペースが広がっている。

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:32:00.13 ID:9sjrZdSG0
その中心に、魔女はいた。
体長は人間のそれを大きく上回り、背中から黒く歪な羽が4枚生えてはいるが、
魔女の中では比較的人型に近い部類だ。

しかし杏子が思わず後ずさりしたのは、黒翼の魔女の周りの異様さだった。
球形の結界が無数に浮いており、その中に人間や車、鳥などが閉じ込められている。

車などの無機物は当然としても、人間は怯えた表情のまま、鳥に至っては
羽ばたいたままの姿勢で固まっていた。

杏子(何だ…こいつは?あらゆるものを破壊してるかと思いきや…
   自分の部屋では悪趣味なコレクションか)

杏子(しかしこれはこれで妙な統一感が…)

杏子(色、か?)

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:32:29.03 ID:9sjrZdSG0
魔女の結界の最深部に踏み入るまでに散々見てきた車や動物、人間の残骸はいずれも白色系の色味をしていた。
白い車、白い服の人間、白い猫。
人間の頭部が比較的無事だったのは、黒翼の魔女が白く見える部分だけをを攻撃する習性だったからもしれない。

対して、魔女の周りに捕らえられている様々なものは、球形の結界が薄い暗色のために判別しづらいが、白くはなさそうだ。
悪趣味なコレクションの中心に鎮座する黒翼の魔女は、杏子の方を向いており、この最深部に入った瞬間に正面から
対峙する羽目になったが、黒翼の魔女はなんの動きも見せない。

杏子「あたしにゃ興味がないってか?天使気取りの魔女さんよ」ジャキッ

杏子「一撃で決めてやるぜ!」ダンッ

一足飛びで黒翼の魔女に飛びかかると、心臓の位置めがけて突く。
正確なその攻撃は確実に黒翼の魔女の中心部を捉えるが、貫通することはできなかった。

杏子「――ッ!硬てぇ!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:33:03.15 ID:9sjrZdSG0
攻撃を受けて初めて杏子に気づいたかのように黒翼の魔女は顔を上げると、大きな腕を振り回して杏子の槍を弾いた。
弾かれた槍が球形の結界の1つに当たり、槍の先端に残っていた魔力により結界が消滅する。
それは鳥が閉じ込められた結界だった。

杏子「!?」

そのまま落ちると思ったのに反し、鳥はそのまま飛び始めた。
いかに魔女の玉座が広大だとは言え、鳥にとっては窮屈であり、壁にぶつかりそうになるたびに
方向転換を余儀なくされているが、全く弱っている様子はない。
そんな意外な光景に目を奪われて硬直した直後、目の前の黒翼の魔女が翼を広げるのを見て、杏子は我に返った。

杏子(やべっ!…って、あれ?)

黒翼の魔女は杏子に目もくれず、結界から逃げ出した鳥に向かって、後を追うように飛び始めた。

杏子「このっ!いくらなんでもちょっとプライドが傷ついたぞ!」ダンッ
杏子「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉおお!」バシュッ

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:33:35.98 ID:9sjrZdSG0
完全に無防備な状態で後ろから杏子の渾身の一撃を受けた黒翼の魔女は、怨嗟の断末魔を残して消滅した。
同時に暗色の結界が全て消滅し、捉えられていたものが開放される。
いずれも薄紅やピンク系統の服装の人間や塗装の車だった。追い回された鳥も、ピンクのインコだった。
消滅した黒翼の魔女から落下したグリーフシードを左手で器用につかみ取り、杏子は着地した。


女性「て!助けて!」
男性「めろおおおお――ってあれ?」

鳥だけでなく、魔女の球形の結界に閉じ込められていた人間もやはり動き出した。
球形の結界に続いて魔女の結界自体も消滅を始め、先程の路地の景色が戻り始める。


男性「お、おまわりさん!怪物が!怪物が!」

杏子「へ!?」バッ

警官「こらっ!待ちなさい!」

杏子「うぇぇぇぇぇえ!?」

振り返ると、先程の警官がすぐ後ろにまで迫ってきていた。

杏子(何で?30分くらいは結界の中にいただろ!)ダッシュ

警官「待っ…うあ?」オマワリサン!オマワリサン!ガシッ

杏子「モブでかした!」タタタタ

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:34:13.24 ID:9sjrZdSG0
――――――大通り――――――

杏子「ふう…」

杏子「今度こそ撒いたな」

杏子「しっかし妙な魔女だったな…強かったんだか弱かったんだか」

杏子「ま、戦利品もあったし、よしとするか」

黒翼の魔女が落としたグリーフシードを取り出して、眺めてみる。
普通のグリーフシードは黒地に白い模様が入っているものだが、これは少し変わっていた。
黒地なのは同様だが、角張った8の字が横向きに描かれ、くびれを境にして片方は薄紅、片方は黒で塗り潰されている。
そして外周はピンク色の細い帯が2本巻きついているような外観だった。

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:34:47.12 ID:9sjrZdSG0
杏子「へえ、3色以上のものもあんだな。珍しい代物だ」

杏子「でも何だかんだで結構魔力を使っちまったからな…。どうせいずれ使うんだ、仕方ねえな」コチン

杏子「…」

杏子「…」

杏子「あれ?全然濁りを吸わねえぞ」
杏子「かと言って、孵化する様子もねえし…。どういうことだオイ」

杏子「新品なのにそんなことってあるか?」

杏子「タダ働きってことかよ。…いや、明日マミかQBに訊いてみるか。何か知ってるかも」

杏子「あー…見滝原まで戻るのめんどくせ…」ハア

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:35:17.83 ID:9sjrZdSG0
――――――翌日 マミホーム――――――

さやか「で、これがそのグリーフシードなんだね」

まどか「あ、かわいい」

さやか「そー?まあ変わったデザインだけど」ポーン

杏子 「はんみゃほれふりはふは…グフッ!!んー!んー!」ゴキュゴキュ

マミ 「しゃべるのは飲み込んでからにしなさいね?いつも言ってるけど」

まどか「あはは」

杏子 「――っぐ、あんま粗末に扱うな、返せよ」

さやか「どれどれ、このさやかちゃんが使って進ぜよう」コチン

杏子 「ちょ、おい」

26: >>25この時間落ちやすくね? 2011/10/18(火) 22:36:20.05 ID:9sjrZdSG0
さやか「…」

さやか「…」


さやか「ほんとだ、全然だめだね。マミさんどうですか?」パス

マミ 「うーん…やっぱりダメみたいね。無駄だろうけど、鹿目さん試してみる?」パス

さやか「QB、これって何なの?何か知ってる?」

QB 「わからない。孵化寸前ならともかく、穢れを吸わないグリーフシードなんてないはずなんだけど」シュゴオオオオオ

マさ杏「」

まどか「えっ!?これ吸うよ!すっごい吸うよ!」シュゴオオオオオオ

さやか「ちょちょちょちょ離して離して!孵化する!孵化しちゃう!」シュゴオオオオオオオ

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:37:24.32 ID:9sjrZdSG0
まどか「ふう…」

マミ 「どうQB、孵化しそう?」ジャキ

杏子 「ま、大して強くなかったし、ここで孵化してもちゃちゃっと片付けてやるけど」チャキ

さやか「冗談になってないって。こんなとこで孵化されたらたまんないよ」スパーダ

QB 「いや、大丈夫みたいだ。鹿目まどかのソウルジェムの穢れを3分の1くらい吸ったようだけど、
    それでもまだ孵化の兆しは見えない」

マミ 「そう…よかった」

QB 「鹿目まどかクラスのソウルジェムの3分の1と言えば、かなりな量の穢れになるはずなんだけどね」

マミ 「ほんとに変なグリーフシードね…暁美さんなら何か知ってたのかしら」

まどか「ほむら、ちゃん…」

杏子 「…やっぱまだ見つかってねーのか?」

さやか「うん…」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:38:28.10 ID:9sjrZdSG0
マミ 「ワルプルギスの夜を倒した翌日にいなくなって…もう3ヶ月以上経つわね」

マミ 「あの戦闘能力と知識量は頼りにしてたのに…いい子だったし」
マミ 「鹿目さんのことも、あんなに気にかけていたのに」

さやか「まどかがこのさやかちゃんを差し置いて懐いてしまうくらいにね」

まどか「…」

さやか「まどか…ほむらにもきっと、何か事情があったんだよ」
さやか「きっと、戻ってくるから」

まどか「…」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:39:33.51 ID:9sjrZdSG0
まどか(私がQBと契約して魔法少女になった翌日に、転校してきたほむらちゃん)
まどか(1ヶ月後、ワルプルギスの夜を5人で倒したその日の夜、私はほむらちゃんに呼び出された)

まどか(とても悲しい眼をして、「約束を守れなくてごめんなさい」と)
まどか(とても悲しい眼をして、「もうあなたを守ることができない」と)

まどか(ワルプルギスの夜の攻撃を防いだ時に、左腕の盾が砕け散ったからなのかな)

まどか(今度は私が、みんながほむらちゃんを守ってあげるから心配しないでって)
まどか(そう言ったけど、ほむらちゃんは泣くばかりで)
まどか(結局翌日から学校に来なくなった――どこにもいなくなった)

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:40:43.43 ID:9sjrZdSG0
まどか「うぅ…」グスッ

さやか「まどか…大丈夫、信じなって」

まどか「うん…ありがと、さやかちゃん」

さやか「さて、遅くなったし、そろそろ帰りますか」

マミ 「あら、残念ね」

杏子 「あたしは来ばっかだし、もうちょいここにいるよ。マミ、紅茶おかわり」モグモグ

マミ 「相変わらずね。まあ佐倉さんは久しぶりだしね」クス

杏子 「あーまどか、そのグリーフシードやるよ。あたしじゃ使えないし、なんか持ち主を選ぶみたいだからな」

まどか「え?あ、ありがとう」

まどか(このグリーフシード…あったかい…?)ギュ
まどか「まだ孵化しないんだよね?QB」

QB 「しばらくは大丈夫だよ。孵化寸前になったら魔力が滲み出し始めるから、それから呼んでくれても
    遅くない。すぐに処理してあげるよ」

まどか「ありがと。もらっておくね、杏子ちゃん」

34: >>thx 少し遅める 2011/10/18(火) 22:42:03.99 ID:9sjrZdSG0
――――――数日後 工場跡地――――――

魔女 「ルロオオオオオオオオオオオオオオオオ…」


杏子 「ふう。やっぱまどかは強えーな…さやか、大丈夫か?」

さやか「…ごめん、油断してたよ。でも大丈夫」パアアア

マミ 「美樹さんの治癒魔法はずいぶんと向上したけど、その反面、まだ攻め方に無茶な部分があるわね」

杏子 「その辺、ほむらがうまくコントロールしてくれてたんだけどな。もういい加減、修正しないとだめだぜ」

さやか「わかってます。すみません…いてて」

さやか「ていうか、杏子だって結構ぼろぼろじゃんよ」

杏子 「うっせーな、かすり傷だよ」

マミ 「あらあら、思ってたよりひどいじゃない。こっちに来て」パアアア

杏子 「う、う、痛くすぐってー。何度やられてもこりゃ慣れねーな」プルプル

マミ 「ほら、動かないの」シュウウウウ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:43:44.15 ID:9sjrZdSG0
杏子 「しかしまどかは強えーけどさ、燃費悪いよな。もうちょっと抑えられねーのか?」シュウウウウ

まどか「うーん…意識してはいるんだけど、なかなかね…」シュウウウ

杏子 「まどかは強い分、グリーフシードの消費が激しいんだ。そろそろ工夫してくれねーとさ」シュウウウ

マミ 「はいおしまい。みんな、疲れたでしょう?私の家でケーキでも食べていかない?」シュウウウ

さやか「いぇっす!待ってましたぁ!」シュウウウウウ

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:46:25.80 ID:9sjrZdSG0

まどか「!?みんな、気を付けて!まだ何かいる!」シュウウウウ

杏子 「!倒せてなかったのか?」シュウウウウ

まどか「違う…さっきとは別の…」シュウウウウ

マミ 「近い!」シュウウウウ

さやか「…っ…」シュウウウ

杏子 「気配が大きくなってきてる…来るぞ」シュウウウウ

マミ 「…」シュウウウ

さやか「…」シュウウウ

さやか「って、さっきから何か音がするけど何?」シュウウウウ

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:48:34.79 ID:9sjrZdSG0
杏子 「ほんとだ。何だ?」シュウウウ

マミ 「!気配が、鹿目さんの方からする?」シュウウウ

さやか「まどか!この前の変なグリーフシード、今持ってる?」シュウウウウ

まどか「え?うん持ってるけど…あっ!」シュウウウウ

さやか「!!グリーフシードが穢れを勝手に吸ってる!?」シュウウウウ

杏子 「投げ捨てろ!早く!」シュウウウ

マミ 「いえ、もう手遅れのようね…こうなったら…っQB!?」シュウウウ

QB 「きゅっぷい」キュップイ

杏子 「いいところに!さっさと喰っちまってくれ!」シュウウウ

QB 「人聞きが悪いことを言わないで欲しいな。食べてるわけじゃないんだよ」シュウウウウ

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:53:12.72 ID:9sjrZdSG0
QB 「ぎりぎりだけど、問題ないよ。さあ鹿目まどか、それを僕に放るんだ」クパア

まどか「う、うん」ヒョイッ

バチュッ!
QB 「きゅっぶうわらばっ!」ブシャ

マミ 「QB!」

さやか「グリーフシードが…抵抗した!?」

QB 「」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:55:01.60 ID:9sjrZdSG0
杏子 「ダメだ…死んでやがる」

さやか「見りゃわかるよ…木っ端微塵じゃん」

まどか「そんな…ひどいよ…」

マミ 「はっ!?」


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ



まどか「孵化が…始まる!?」

杏子 「しょーがねーな!さっさと片付けるぞ!」チャキッ


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 22:58:17.51 ID:9sjrZdSG0

――――――魔女結界内――――――

まどか「みんな取り込まれちゃったね…」

マミ 「誰もはぐれてないわね」

さやか「行きましょう!」

杏子 「道案内はあたしに任せな!コイツとは一度やってるからな」

さやか「いや、どうみても一本道じゃん」タタタタ

杏子 「っせえ!」タタタタ


結界内の構成は相変わらずだった。1つめの扉を破り、走る。
やはり、使い魔はいない。

孵化したばかりだから当然だが、何の残骸も転がっておらず、きれいなものだった。
程なくして、2つめの扉に到達した。

杏子 「行くぜ」バン

そこに、魔女はいた。杏子が数日前に倒した魔女と同じだった。

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:04:18.13 ID:9sjrZdSG0
さやか「こいつが…この結界の魔女」

マミ 「あら、ちょっとカッコイイわね」

まどか「マミさん…」

マミ 「冗談よ…さあ、みんな散って取り囲んで!」

マミの号令で、4人の魔法少女は魔女を中心にした五角形の頂点に陣取るように散開した。
ただし、頂点の1つは現在空席となっている。

ほむらが見滝原に現れ、さやかが魔法少女になった後、マミが考案した陣形――il pentagramma≪殺戮の五芒星≫――。
正面を攻撃する限り、その直線上には魔女しかおらず、巻き添えを出す心配がないという実用性は備えていた。
マミ以外はほーむベースと呼んでいる。

杏子 「心配いらねえ、こいつは何もしてこないんだ。白く見えるものでなけr」

さやか「ぎゅぶっ!!?」ドシュ

杏子 「さやかあああああああああああああ!」
まどか「さやかちゃん!」
マミ 「美樹さん!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:07:50.18 ID:9sjrZdSG0

黒翼の魔女は、杏子と対峙した時とは別物のような反応速度でさやかを攻撃した。
しかしさやかの純白のマントが血で染まると、興味を失ったかのように背を向ける。

杏子 「悪い…あいつの習性、解ってたのに…っ!さやか!さやか!」

さやか「いってえぇぇぇ…なにそれ…もっとはやく…言ってよね…」

杏子 「マミ、さやかを頼む!こいつはあたしとまどかで何とかする!」

マミ 「わかったわ!お願い!」

まどか「」

杏子 「…はっ!」

黒翼の魔女は、突然まどかの前に現れた。
硬直するまどかを慈しむような動作を取ると、まどかの周りに球形の結界が現出する。

まどか「」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:11:51.01 ID:9sjrZdSG0
杏子 「しまった!まどかが!」ダッ

マミ 「鹿目さん!」

杏子がまどかを救出しようと、現出したばかりの結界の破壊を試みるが、
黒翼の魔女の羽根がまどかを覆うようにして阻んだ。

杏子 「くそっ!やっぱり硬てえ!まどか!」
杏子 「――なんだ?」

その後の黒翼の魔女の行動は意外なものだった。
まどかを閉じ込めた球形の結界を抱きしめ、蹲ったまま動かなくなった。
4枚の羽根が完全に身体の前部を覆い隠し、球形の結界が見えなくなる。

マミ 「こ…このままじゃ鹿目さんが!」

杏子 「ああ…あたしがこの前見た感じだと、あの結界に閉じ込められてもすぐには死なないらしい。
    かと言って悠長なことは言ってられねえな」

さやか「まどか…」グッ

マミ 「美樹さん!?まだ動いたら!」

さやか「大丈夫です…今なら攻撃してこなさそうだし…早くまどかを助けないと」

マミ 「しょうがないわね…一気にいくわよ!」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:14:45.66 ID:9sjrZdSG0

――――――――――――――――――――――――――――――
BGM 遠い約束 - Xenogears  

   『  …  …   …か…』
   『  …ま …    か…』

まどか「…誰?」

   『…また … たね…』

まどか「ほむ…らちゃん…?」

   『まどか…』
   『まどか…!!』

まどか「ほむらちゃん!どこ?どこにいるの?」

   『もう大 … 夫』
   『あなたを魔法 … にはさせない』

まどか「ほむら…ちゃん?」

   『私は必ず … たを守る』

まどか「どうしたの?何言ってるの?ほむらちゃん?どこ?」

   『何も心配はいら … から』

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:16:33.34 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――

さやか「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」ザシュ

杏子 「うぉらああああああああ!!」ブシュ

マミ 「ティロ・フィナーレ!!」バシュ

3人の魔法少女の猛攻を受け、黒翼の魔女の羽根が、2枚もぎ取れる。
しかしなおも残りの羽根がまどかの救出を阻もうと変形する。
反撃をしてくる様子はなく、ただまどかを閉じ込めた結界を守ろうとしているように見える。

杏子 「くそっ!何なんだこいつは!ただでさえ硬いってのに…!」

――――――――――――――――――――――――――――――

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:18:08.50 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――

   『まどか…』
   『ど … にいるの…』

まどか「ほむらちゃん、私はここだよ!ここにいるよ!」

   『…ま  …  こ … にいるのね』
   『待っ … て … 今 … くから… 』

まどか「ほむらちゃん!聞こえてる?私はここだよ?」

   『…ごめんなさい……ちょっと … ていて』
   『あな … を襲おうとして … 者がいる』
   『まどかを魔女にしようと企む奴が … る』

まどか「私が…魔女に?何言ってるの?ねえほむらちゃん?」

   『大丈夫…大丈夫よ…私に… …せて』
   『あなた … こにいてくれ… ばいいから』

――――――――――――――――――――――――――――――

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:21:15.41 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――

さやか「喰らえぇぇぇぇぇぇ!」サバシュ

杏子 「っっしゃああぁぁぁぁぁ!!」ドシュ

マミ 「ティロ・フィナーレ!!!」バシュ

黒翼の魔女の羽根は全てもぎ取れて、まどかを閉じ込める球形の結界が見えた。
しかし2本の腕がしっかりと結界を抱きかかえており、更に損傷した身体から露わになった
肋骨のような器官が伸び、結界を再び包もうとする。
4枚の羽根も、時間はかかるが再生するようだ。

――――――――――――――――――――――――――――――

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:22:59.30 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――

   『ずっとあなたを見ていた』
   『ずっとあなたに憧れていた』
   『何度だって、いつだって』

まどか「どうしたの?ねぇ、ほむらちゃん…」

   『あなたは私にない全てを持っていた』
   『それを分け与えてくれた』
   『私を気にかけてくれた』
   『私を友達だと言ってくれた』

   『どうして死んでしまったの?』
   『どうして逃げなかったの?』
   『どうして一緒に逃げてくれなかったの?』
   『誰もあなたを恨んだりしないって…言ったのに』

まどか「ほむらちゃん?ねえ聞こえてる?何を言ってるの?私、死んでないよ!」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:25:31.83 ID:9sjrZdSG0

   『私なんかより…あなたに、生きていて、欲しかったのに…』
   『ずっと、ずっと、あなたに…』
   『――生きて…』

まどか「ほむらちゃん…」

   『魔法少女の真実をみんなに話したけど、誰も信じてはくれなかった』
   『でもあなたは…私を信じようとしてくれた』
   『私を守ろうとしてくれた』

   『あなたを守りたいというのが、私の願いだったのに』
   『それでも、あなたは…』
   『私を…私が…ダメな、だけなのに』

まどか「何の話をしてるの…?魔法少女の真実…って何?」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:28:14.41 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――
さやか「いっけえぇぇぇぇぇぇ!」ズドン

杏子 「まだまだああぁぁぁぁぁ!!」ドシュ

マミ 「ティロ・フィナーレ!!!」バシュ

黒翼の魔女の片腕が落ち、まどかが閉じ込められた結界が完全に露出した。
杏子が結界を目掛けて槍を突き出すが、結界を守るように前のめりになった黒翼の魔女の肩に突き刺さる。
素早く切り返して再度結界を狙うが、残った片手に槍を掴まれた。
指が数本飛んだが、黒翼の魔女は槍を離そうとはしない。

杏子 「くそっしぶとい…!倒したほうが早い!さやか、後ろから首筋を狙え!」

さやか「これでとどめだああああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」

――――――――――――――――――――――――――――――

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:31:19.35 ID:9sjrZdSG0
――――――――――――――――――――――――――――――

   『私…まどかとの出会いをやり直せてよかった』

   『辛いこともたくさんあったけど』

   『まどかと一緒にいられて、幸せだった』
   『まどかと一緒に戦えて、幸せだった』

   『まどかを守ることができて、幸せだった』
   『まどかを守りたくて… まも、れ、なく… て… 』

   『そう、ま、も  … ああ …』
   『私は … もう … まど  …か…』

まどか「ほむらちゃん!私の声を聞いて!私もまだほむらちゃんと一緒にいたいよ!一緒に戦いたいよ!」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:34:32.14 ID:9sjrZdSG0

   『…ごめんね … また … あなたを守りきれ … い …みたい…』
   『 でも、…束、忘れないよ … 何度でも … 直して … ならず …』

   『…どか… いかなきゃ … また、 の日に … 度こそ …』
   『ねえ、まど … たしが、また … に戻っても…』

まどか「ほむらちゃん!どこに行くの?行かないで!戻ってきてよ…」




   『 …また 、 仲良くしてくれる?… 』



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:37:07.59 ID:9sjrZdSG0
まどか「約束するよ!だから!帰ってきて!戻ってきてよ!」

   『… よ… った… 』
   『そ … たら』

   『  … また 、 まどか って』

   『 … んでいい  …かな…?』

   『……………』


   『…』



   『』

まどか「ほむらちゃあぁぁぁぁぁぁん!!!」

――――――――――――――――――――――――――――――

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:40:44.19 ID:9sjrZdSG0

頭部を破壊された黒翼の魔女は、あっけなく崩れさった。
同時に、まどかを包む球形の結界が消滅する。

さやか「まどか!」

杏子 「まどか!」

マミ 「鹿目さん!」


まどか「…」
まどか「ほ……」

まどか「ああああああ…」


魔女の結界も自壊を始め、廃工場の景色が蘇ってくる。
そして、1つのグリーフシードが残された。

杏子 「また落としやがったか…」

さやか「もう孵化しないように、QBに食べさしちゃおっか」

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:44:16.80 ID:9sjrZdSG0
まどか「――っ!!」バッ

杏子 「まどか?」

さやか「どうしたのよ?って、まどかがそれを触ったら、また――!」

まどか「ひどいよ…こんなのあんまりだよ…」グスグス

マミ 「鹿目さん…どうしたの?あの魔女の結界に閉じ込められている間、何かあったの?」

まどか「魔女、の…。っ…QB!いるんでしょ?出てきてよ!」

QB 「やれやれ、こっちも災難だったんだから少しは気遣って欲しいな」キュップイ

まどか「QB…私は…私たちは――っ!」ダッ

さやか「あ、まどか!」

杏子 「どこ行くんだよ!」

マミ 「どうしたのかしら…」

QB 「呼び出したと思いきやすぐに走り去って…わけがわからないよ」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:47:22.40 ID:9sjrZdSG0
――――――公園――――――

まどか「うぅ…」グスグス
まどか「ほむらちゃん…」シュウウウウ
まどか「…どうして…こんな…」シュウウウウ
まどか「ひどすぎるよ…こんなのってないよ…」シュウウウウ

まどか「ほむらちゃん…励ましてくれてるの?」シュウウウウウ
まどか「私を守ってくれてるの?」シュウウウウ
まどか「こうしてまた孵化させれば…また…会えるのかな?」シュウウウウ

まどか「ほむらちゃんは、それを望んでるの?」シュウウウウ
まどか「嫌だよ…また、傷付けられて…倒されて…何度も何度も…」シュウウウウ
まどか「今度は…私が守ってあげるから…」シュウウウウ
まどか「だから…もう…!」シュウウウウ

QB 「やあ、こんなところにいたのかい」キュップイ

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:50:55.10 ID:9sjrZdSG0
まどか「QB…」シュウウウウ

QB 「早くもかなりの穢れを吸っているようだね。さっきみたいにならないように、もう処理してしまうよ」クパア

まどか「絶対…ダメ…っ!!」ギュッ

QB 「なるほどね」シュウウウウ
QB 「何となくわかったよ」シュウウウウ

QB 「鹿目まどか、何か僕に訊きたいことがあるんじゃないのかい?」シュウウウウ

QB 「マミや美樹さやかがいる場では訊けなかったような」シュウウウウ

まどか「…」シュウウウウ

まどか「魔法少女のソウルジェムが濁りきると…どうなるの」シュウウウウ

QB 「濁らせなければいいんだよ…というのでは、もう納得しないだろうね」シュウウウウ

QB 「察しの通りさ、ソウルジェムは穢れを限界まで溜め込むとグリーフシードに変化し、魔女を生む」シュウウウウ

QB 「その時に放出されるエネルギーを回収するのが、僕たちインキュベーターの目的さ」シュウウウウ

118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:53:42.28 ID:9sjrZdSG0
※※※エントロピーの話 中略※※※

まどか「あなたのいってること、全然理解できない…全然納得できない…」シュウウウウ

QB 「僕は全て話したよ、理解できないとすればそれは君か、君たちの問題だね」シュウウウウ

QB 「さて、鹿目まどか、君の魂もかなりの穢れを溜め込んできたようだ」シュウウウウ

QB 「憎しみや怒りは、穢れとして魂に転嫁される。――いくらでも僕を憎むといい」

QB 「その『暁美ほむら』だったグリーフシードが、かなり無理して吸収しているようだけど」シュウウウウ

QB 「所詮、君の魔力容量に比べたら焼け石に水だ」シュウウウウ

まどか「きゅゥ、…べぇ…ッ!!」シュウウウウ

QB 「暁美ほむらは、ワルプルギスの夜に負けた君を救うために」シュウウウウウウ

QB 「僕と契約して、過去に戻ったんだろうね」シュウウウウウウ

QB 「そして、君が死なないように歴史を作り変えようとした」シュウウウウウウ

まどか「…そん、な…そんなこと…ほむらちゃんは、言って…!」シュウウウウウウ

QB 「彼女がそう明言したわけではないけどね。しかし否定もしなかったよ」シュウウウウウウ

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:56:33.97 ID:9sjrZdSG0
QB 「しかし、ワルプルギスの夜との戦いで彼女は過去に戻る力を失った」シュウウウウウウ

QB 「どういう仕組みかは解らないけど、あの時壊れた盾がその役割を担っていたんだろうね」シュウウウウウウ

まどか「…やめて…QB…」シュウウウウウウ

QB 「彼女は君をどうしても魔法少女にさせたくなかったらしく、2度殺されたよ」シュウウウウウウ

QB 「君が契約済みだと知った後は大人しいものだったけどね」シュウウウウウウ

QB 「恐らく、またやり直すつもりだったんだろう」シュウウウウウウ

QB 「しかしそれがもうできないと知り、絶望に染まった」シュウウウウウウ

QB 「その結果が」

まどか(!!ほむらちゃんの、最後の、言…葉…)


    『約束を守れなくてごめんなさい』

    『もうあなたを守ることができない』

    『  … また 、 仲良くしてくれる? …』


QB 「これで僕らもエネルギー回収ノルマを達成して、母星に帰れるよ」キュップイ

まどか「…ああ、あああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああああ!!」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/18(火) 23:58:00.28 ID:9sjrZdSG0




         KRIEMHILD
         GRETCHEN




131: ID変わったけど>>1 2011/10/19(水) 00:00:59.37 ID:7EQ16pDF0
QB 「きゅっぷい」

QB 「…確かに他の魔法少女とは比べ物にならないエネルギーだったけど」

QB 「思った程ではなかった…僕が資質を見誤ったとでもいうのだろうか?」

シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ

QB 「あれは…暁美ほむらのグリーフシード」

QB 「まどかのエネルギーを…横取りしてる!?」

QB 「くそっ、そんな力があるなんて…早く処理しないt」バチュッ
QB 「たわば!」

QB 「まったく…これで、暁美ほむらに殺されたのは4回目だよ」モグモグ

QB 「孵化が始まる…とりあえずこの場は去らないと」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ

QB 「!?」

139: ID変わったけど>>1 2011/10/19(水) 00:04:06.92 ID:7EQ16pDF0
QB 「結界に取り込まれた?遅かったか!」

QB 「あ…」

QB 「暁美、ほむら…」

黒翼の魔女「QB…」

黒翼の魔女「お前を、もう殺すことはしない…」

QB 「」

黒翼の魔女「永遠に、そこで…私の結界の中で、固まってなさい…」

QB 「」

黒翼の魔女「さあ…まどか…」

黒翼の魔女「私も、一緒に…」

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:07:57.19 ID:7EQ16pDF0
――――――公園付近――――――

BGM Fade to Black(Piano) - Mettallica  

さやか「はぁ…はぁ…っ…何なのよ、アレ…」タッタッタッ

杏子 「ワルプルギスの夜なんか、目じゃねーな…」タッタッタッ

さやか「まどかを探さなきゃ…はぁ…きっと…あそこに…!」タッタッタッ

杏子 「何か最近走ってばっかだな…はぁ…いくぜ!」タッタッタッ

マミ 「はぁ…はぁ…鹿目さん…無事かしら…待ってよお…」ユッサユッサ

――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら『まどか … まどか …』

まどか『ほ…むら…ちゃん…?』

ほむら『また、会えたね…』

まどか『うう…ほむらちゃん…私…』

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:10:18.53 ID:7EQ16pDF0
ほむら『ごめんなさい。ごめんね。まどか』
ほむら『あなたを魔法少女に、魔女にさせないように頑張ってきたつもりだけど』

ほむら『結局、あなたの運命を変えることはできなかった』

まどか『もういいの。もう…』
まどか『こっちこそ、ごめんね…』

まどか『何度も何度も辛い思いして、私のために頑張ってくれて…』
まどか『でも、私、ほむらちゃんと一緒に戦えて…嬉しかった』

まどか『一緒に過ごせて、楽しかったよ』

ほむら『…ありがとう、まどか』
ほむら『どうなっても、あたなは私が守る』
ほむら『それだけは、変わらないから』

ほむら『私の手は、もう汚れてしまったけど』
ほむら『あなたの手は、汚させはしない』

ほむら『…一緒に――来てくれるかしら?』

まどか『うん。…うん!もう、ずっと一緒だよね?どこにも行かないよね?』

ほむら『約束するわ。もう、どこにも行かない。ずっと、ずっと一緒よ』

まどか『ティヒヒッ!』

153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:12:34.99 ID:7EQ16pDF0
――――――――――――――――――――――――――――――

杏子 「近づけば近づくほど…デカイな」

さやか「はぁ…この…公園に…根元があるみたいだね…はぁ」

杏子 「だらしねーな…はぁ…そんなんで戦えるのかよ?…はぁ」

さやか「あんたに…はぁ…言われたくない…はぁ…」

マミ 「ぜえ…ぜぇ…ぜぇ…」


杏子 「うぇ!?」

さやか「なによ…変な声出さないで」

マミ 「これは――またさっきの魔女の気配!?」ゼエゼエ

杏子 「…そうみたいだな。一度に2体か…こりゃいよいよ覚悟決めねーとかもな」

杏子 「最低でも片方は、涅槃に道連れにしてやるさ」

さやか「あんたキリスト教徒でしょ…」

杏子 「だからだよ。天国にも地獄にも、あんなのは連れていけねえさ」

さやか「うわあ…」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:15:14.14 ID:7EQ16pDF0
杏子 「いやちょっと待て…様子が、おかしい」

天を衝く程の威容を誇る魔女。
そして、その足元に、先ほど倒したはずの黒翼の魔女が幾何学的な結界を広げていた。

天を衝く魔女の強大なエネルギーが、その結界に吸い込まれていく。
それに伴って、黒翼の魔女の本体も、結界も、膨張を始めた。


杏子 「何だこりゃ!?魔女と魔女が、戦ってる…のか?」

さやか「…合体しようとしているようにも、見えるけど…」

マミ 「混ざり合っていくわね…」

杏子 「あんなのが一体化したら、さすがにもう…手に負える気がしねえな…」

マミ 「そうね。今のうちに」

さやか「ケリをつけましょう!」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:18:20.22 ID:7EQ16pDF0
しかし、勇気を振り絞って、合体しつつある魔女に向かおうとした3人は、
直後に魔女から放出された膨大な魔力の衝撃波に吹き飛ばされた。

さやか「うわああああ!」
杏子 「ぐあああああ!」
マミ 「きゃああああ!」

ダメージはほぼなかったが、余りの力量差に腰が抜けたように立てなくなった3人の魔法少女を尻目に、
数分で天を衝く魔女と黒翼の魔女の結界の大きさは、殆ど差がなくなるまでになった。

天を衝く魔女は元の4分の1以下に、黒翼の魔女の結界は元の10倍以上に成長していた。
もはや、どちらがどちらを吸収しているのか判別できない。

やがてほぼ球体になった2体の魔女は収縮に転じ、夕日の落ちきった夜空へ上昇を始めた。

さやか「しまった、あんなのが街の方へ行ってしまったら…!!」

杏子 「いや、もうあんなとこまで行っちまったら手が出せねえ。マミならともかく…」

マミ 「…ここで食い止めないと…!でも、身体が…」

街への被害を心配する3人の魔法少女を残して、2体の魔女だった塊は更に上昇を続けていく。

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:20:36.33 ID:7EQ16pDF0
さやか「ああ、もうあんなに高く…」

マミ 「このまま…この星を去ってしまうように見えるわね」

杏子 「まさか。でも…確かに…」

さやか「きれい…」

2体の魔女だった塊は、どこか優しげな光の帯を残して、夜空に溶けていった。

マミ 「魔女って、何なのかしらね」
マミ 「実は、宇宙から来ていて…あの2体は還ろうとしていたのかしら?」

さやか「えぇー…それはさすがにないと思いますけど」

杏子 「腹減ったな…」

さやか「あ、それより!まどか!まどかを探さなきゃ!」

マミ 「そうよ!――無事でいてね、鹿目さん」

杏子 「ひとまず魔女の脅威はなくなったし、手分けして探すぞ!」
杏子 「一刻も早く見つけて、ケーキを食うんだ!――まどか!さっさと出てこい!」

さやか「まどかー!」

マミ 「鹿目さーん!」

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:23:54.33 ID:7EQ16pDF0
――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら『まどか』

まどか『なあに、ほむらちゃん』

ほむら『後悔してない?』

ほむら『地球を離れること』

まどか『しょうがないよ』

まどか『私は地上にいるだけで、全ての生命を吸い尽くしてしまうんでしょ?』

ほむら『…』

まどか『それに、ほむらちゃんが一緒にいてくれるんだもん』
まどか『悲しくないって、寂しくないって、それは嘘になるけど』
まどか『不思議と、幸せな気分なんだ』

ほむら『不思議ね、私も…』
ほむら『まどかを魔女化の運命から救うことはできなかったけど』
ほむら『満ち足りた気持ちがするの』

ほむら『まどかが、そばにいてくれるから』
ほむら『これからも、ずっと』

173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:27:09.38 ID:7EQ16pDF0
まどか『ティヒヒ、私と一緒だね!』

ほむら『そうね…これからも一緒よ、まどか』

まどか『うん。…あ、地球がもうあんなに小さく』

まどか『……』
まどか『きれいな星だね』

ほむら『そうね…』

まどか『あれを滅ぼすようなことにならないで…よかった…』
まどか『ほむらちゃんのおかげだよ』

まどか『安心したら何だか眠くなってきちゃった…』

ほむら『休むといいわ。ずっと頑張ってきたんだもの。疲れたでしょう?』

ほむら『膝枕、してあげるから』

177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:29:41.81 ID:7EQ16pDF0
まどか『ほむらちゃん、後で…昔のお話聞かせてね?』

まどか『ほむらちゃんの…ほむらちゃんが…何度も何度も、頑張ってきたお話…』トロトロ

ほむら『あまり愉しい話にはならないけど…いいのかしら』ナデナデ

まどか『いい、よ…ほむらちゃんの、こと…もっと…』トロトロ

ほむら『そうね…これから時間はたくさんあるもの』ナデナデ

ほむら『まどかのことも…いっぱい知りたいな』ナデナデ

まどか『もちろん…いいよ…』トロトロ

ほむら『まどか…』ナデナデ

まどか(ほむらちゃん…)スヤスヤ


 ――『(もうずっと、一緒だよ…!)』――


おわり
 

190: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:33:38.11 ID:7EQ16pDF0
おまけ
後日談 1(ダイジェスト)

まどか「宇宙を漂流してもう…どれくらい経つのかな」

ほむら「さあ…もう数えるのを諦めてから、相当経つのは確かね」

まどか「さすがに暇だなあ」

ほむら「私が38,796回繰り返した1ヵ月間も、全て話してしまったわね」

まどか「私のお気に入りはね、2週目と、954週目と…えーと…」

ほむら「2,481週目、7,765週目、32,997週目がベスト5だったわね」

まどか「さすがだね、ほむらちゃん」

194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:36:09.65 ID:7EQ16pDF0
おまけ後日談 2(ダイジェスト)

まどか「あ、何かきれいな星が見えるよ」

ほむら「生命体がいるかも知れないわね。行ってみる?」

まどか「感じるよ…生命の存在を」ジュルリ

**********************************************

モブ 「な、何だ君たちは??」

まどか「わあ、結構人間に似てる感じだよ」

ほむら「文明もあるみたいね」

まどか「救済のしがいがあるなあ」ウズウズ

ほむら「ダメよまどか…落ち着いて」

まどか「おじさん、ここはどこなんですか?」ソワソワ

モブ 「ここはナメック星という星だが…」
モブ 「悪いことは言わない、帰った方がいい」
モブ 「今この星には、ドラゴンボールを狙ってフリーザ一味が来ているんだ」

ほむら「ドラゴンボール?」

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:38:48.76 ID:7EQ16pDF0
おまけ後日談 3(ダイジェスト)

まどか「何でも願いが叶う、かあ」

ほむら「いつかどこかで聞いたような話ね」

まどか「でも怪しげな代償はなさそうだったよ」
まどか「集めるのが大変だ、っていうのがある意味代償なのかも」

ほむら「私たちがフリーザとやらを出し抜けば…」

まどか「元に、戻せるのかな…?色々と…」

ほむら「…」

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:41:20.33 ID:7EQ16pDF0
おまけ後日談 4(ダイジェスト)

グルド「お前も時間を止められるだと!?フッ、俺に勝てると思うなよ!」

ほむら「wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:45:14.32 ID:7EQ16pDF0
おまけ後日談 5(ダイジェスト)

フリーザ「今のは痛かった…痛かったぞーーーーーー!」

ほむら 「しぶといわね…ザ・ワールド」

フリーザ「」

ほむら 「さあまどか、今のうちにこいつの生命力を根こそぎ吸い取ってしまいなさい」

まどか 「ティヒヒヒヒヒッ!」

213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/19(水) 00:49:37.10 ID:7EQ16pDF0
おまけ後日談 終(ダイジェスト)

まどか 「これが、神龍…!」

神龍  「さあ願いを言うがいい。どんな願いでも3つだけ叶えてやろう」

まどほむ「「私たちの、願いは――!」」


ほんとのトゥルーエンド!