1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:11:36.12 ID:YK6kxZz80
P「どうして、って……打ち合わせだよ、今週の仕事のさ。
  何か作業してたみたいだから先に部屋で待たせてもらってたんだよ」

晶葉「あのなぁ……いつも言っているだろう。私の部屋には発明品があるから無断で入るな、と」

P「親御さんに許可はもらったぞ」

晶葉「……だ、だとしても、だ。部屋の主の私に一言くらい断ってだね」

P「そういえば、また何か変なもの作ってたのか?」

晶葉「変なものって言うな! 私の発明を馬鹿にする気か!!」

P「いや、そういうつもりはないけど……最近どうもロボット工学の方から離れてるみたいだし」

晶葉「いいか、君。助手なら覚えておきたまえ。
    ロボットを作るんであれば、人間を取り巻く全てを知る必要があるんだよ」

P「へぇ」

晶葉「だから私はこうやって、視野を広げて知識を付けて、完璧なロボットを作る力を蓄えているんだよ。
    それをなんだ、変なものって……そもそもそんなに変なものを作った覚えはないぞ」

P「そうか?」

晶葉「そうだ」

P「そりゃあ悪かったな。ところで、そろそろ仕事の話に移ってもいいか?」

晶葉「ん? ……んー、そうだな。怒っていちゃあ発明にも戻れないし」

引用元: 池袋晶葉「どうして君が私の部屋に居るんだ」 



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:16:34.61 ID:YK6kxZz80
―――

P「以上だけど、何か質問はあるか?」

晶葉「ないな。それくらいなら朝飯前だ」

P「そうか。さすが天才だな。じゃあ、今週も頼むぞ」

晶葉「ん。また用があったら呼ぶよ……あと、今度はきちんと私に一言言ってから部屋に入るように」

P「はいはい。じゃあなー」

             がちゃっ     バタン

晶葉「ふぅ。まったく、デリカシーの無い奴だ。もう少し、助手としての立場をわきまえてほしいもんだな。
    ……さて、と……どこまで進めたんだったかな……確か……」

           ごそごそ

晶葉「あれ? 確かこの辺に、置いた、はず……」

                      ごそごそ

晶葉「……ない」

晶葉「ない、ない!! えっ!? ど、どういうことだ、確かにここに……あれ!?」

晶葉「……『ねこまっしぐら』が、なくなってる……」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:28:28.69 ID:YK6kxZz80
―――

P「……」

P「さて……なんとなく美味しそうな匂いがしたから持ってきちゃったけど……なんだこれ?」

P「……べっこう飴、かな? この無骨なラッピングはおそらく手作り、だよなぁ」

P「いくら晶葉が天才でも、さすがに飴型ロボットなんてのはありえないだろうし……」

P「いやー、まさか晶葉のやつがべっこう飴なんか作ってるなんてなぁ。
  珍しいこともあるもんだ。雪でも降るんじゃなかろうか」

P「ありがたく貰っておこう。怒られたら、まぁ、その時はその時だ」

P「そういえば、お茶受けがないってちひろさんが言ってたし、丁度いいかなー」

―――  事務所

P「おはようございまーす」

???「あ、プロデューサーさん……えっと、お、おはようございます……」

P「おお、智絵里。もう来てたのか、おはよう」

智絵里「はい……その、今日は、朝からプロデューサーさんと一緒にお仕事って、聞いてたので……」

P「そうか。じゃあ奥で待っててくれ」

智絵里「は、はい」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:36:19.19 ID:YK6kxZz80
P「あれ、智絵里との打ち合わせの資料はどこにおいたかな?」

P「えーっと……確か昨日、ちひろさんに回して……」

P「とりあえず、ちひろさんに聞いてみるか」

P「と、その前に」

          コンコンコン
                    ガチャッ

P「智絵里、居るか?」

智絵里「あ、はい」

P「悪い、もう少しだけ時間がかかりそうだから、お茶でも飲んで待っててくれ」

智絵里「あ……分かりました。じゃあ、待ってます」

P「ありがとう。はいこれお茶、と、お茶受けね。そこの皿に盛っといて」

智絵里「……わぁ……可愛い……!」

P「お、そうか?」

智絵里「これって、飴……ですか?」

P「ああ。まぁそれでも舐めながら少しここに居てくれ」

智絵里「はい……じゃあ、その……いただいちゃいます」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:47:58.79 ID:YK6kxZz80
―――
             がちゃっ

P「いやー、ごめんごめん。資料を探すのに手間取っちゃって!」

智絵里「……」

P「まさか翌日の資料を鍋敷きとして使ってるなんてなー……ん?」

智絵里「……」

P「智絵里? どうした、ぼーっとして」

智絵里「……あ、プロデューサー……さん?」

P「……お前、顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」

智絵里「……だ、大丈夫、です……えへへ」

           ふら……ふら……

P「お、おい、本当に大丈夫なのか!?」

智絵里「大丈夫、大丈夫ですよ。へーきです……あっ」

                ふらっ……

P「……ッ! 智絵里ッ!?」

                          ぎゅっ!

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 20:59:48.19 ID:YK6kxZz80
P「本当に大丈夫か!?」

智絵里「……」

P「智絵里? 智絵里!?」

              すりすり
P「……?」

智絵里「……えへへ……♪」

              すりすり

P「……智絵里? だ、大丈夫、なのか?」

智絵里「はい。大丈夫になりました」

              すりすり

P「……いや、とてもそうには思えないけど……なんか気分が悪いとかないのか?」

智絵里「ないです……あ、でも、えっと……こう、ぽかぽかして、ふわふわしてます」

               すりすり

P「智絵里、とりあえず顔をあげてくれ。みぞおちぐりぐりされるとちょっとキツいから……あと、ごめん、少しおでこ触るぞ」

智絵里「あ、はい……」

               ぴとっ

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 21:15:15.74 ID:YK6kxZz80
智絵里「……んっ……」

P(熱は……ない、よな? そこまで熱くないし……)

智絵里「えへへ……♪」

P「うん、ありがとう。熱はないみたいだけど、やっぱりちょっと顔が赤いな」

智絵里「……あっ」

             きゅっ

P「……」

智絵里「……」

P「……智絵里、もう熱計り終わったから、手、離したいんだけど」

智絵里「……や、です」

P「えっ」

智絵里「もう少し、このままじゃ……ダメ、ですか?」

P「……い、いや、駄目じゃないが……」

智絵里「じゃあ、もう少しだけ……このままで……」

P(なんだ……智絵里の奴、さっきからやけに積極的になってないか……?)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 21:25:23.61 ID:YK6kxZz80
智絵里「~~~♪ ~~~~~♪」

P(……柄にもなく鼻歌まで歌ってるし……何があったんだ……)

智絵里「プロデューサーさん、プロデューサーさん」

P「ん、どうした?」

智絵里「……えへへ、なんでもなーいですっ♪」

P(おかしい! これは絶対におかしい!!)

智絵里「……プロデューサーさんの手、おっきくて、ぽかぽかですね」

P「なぁ、智絵里?」

智絵里「あ……わたしばっかりぽかぽかだと……ずるい、ですね」

              ぴとっ

智絵里「これでお揃い……ですね」

P「智絵里、話しづらい」

智絵里「あ、ほっぺた寒いと話しづらいですよね。あ、温めてあげます、ん、しょっ」

              むにむに

P(……なんなんだろう、この状況は……)

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 21:35:56.59 ID:YK6kxZz80
智絵里「あったかいですか?」

P「うん、ありがとう……ところでさ、智絵里」

智絵里「もう少し、暖かい方がいいですよね」

P「い、いや、もう十分あったまったから!!」

智絵里「……ダメです。もう少しあったかくしないと、風邪、引いちゃうかも……」

P「いや、大丈夫だって、本当に!」

智絵里「ダメったら、ダメです」

P「……駄目か?」

智絵里「ダメです」

P「どうしても?」

智絵里「プロデューサーさんが風邪ひいたら、困っちゃうから……ほっぺた、出してください」

P「は、はい……」

P(……智絵里、目が据わってる……なんなんだよ、この威圧感は……)

智絵里「……はい。じゃあ、もう少しだけ」

                 ぷにっ

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 21:44:40.29 ID:YK6kxZz80
P「……!?」

智絵里「……えへっ♪」

               ぷにぷに    すりすり

P「ち、智絵里っ!?」

智絵里「わたしのほっぺたと、プロデューサーさんのほっぺたで、いっぱいぽかぽかですね……えへへ♪」

P「ヤバい、これはさすがにヤバいって!!」

智絵里「……あったかいですよ?」

P「あったかいけど!! 見た目的に完全にアウトだから!!」

智絵里「ん……いやです……もう少し、もう少しだけ……」

        ぎゅーっ

P「あ、こら、抱きつくな!! ホント、ホントヤバいから!! 凄いことになっちゃって事務所来れなくなるから!」

智絵里「……」

P「ち、智絵里! 話を……」

智絵里「……すぅ」

P「えっ」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 22:00:31.25 ID:YK6kxZz80
P「……えっ、と……ち、智絵里?」

智絵里「……すぅ……すぅ……」

P「ね、寝てる……!? い、今のアレで、寝た、のか!?」

P「と、とりあえず……仮眠室に運ぶか……このままだと、色々と危ないし……ん?」

       ぎゅーっ

P「寝ても離さない、って……一体どうなってるんだ、今日の智絵里は……」

―――

P「……はぁ……疲れた……なんだったんだ、さっきの智絵里は……
  なんか、気が大きくなってるって言うか、凄く積極的っていうか……」

??「……あ」

P「何か悪いものでも食ったのかな、アイツ……」

??「……プロデューサー……おはよう……」

P「……お? 雪美か。おはよう、元気か?」

雪美「元気……」

P「そうか。風邪とか引いてないな?」

雪美「…………うん……」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 22:12:19.01 ID:YK6kxZz80
P「それならいいんだ。どうも智絵里が体調崩したみたいでさ」

雪美「…………大丈夫……?」

P「心配するほどじゃないと思う……んだけど、素人判断だからなぁ。
  ……雪美には言う必要ないだろうけど、今、智絵里を仮眠室で寝かせてるから、あんまり騒がないでくれな」

雪美「……分かった……皆にも…………言っておく……」

P「ありがとう。俺はもう少し智絵里の方についてるから」

雪美「………………ッ……」

P「じゃあな」

雪美「……あ…………プロデューサー……」

P「ん、どうした?」

雪美「……、…………、……何でも……ない……」

P「そうか。あ、応接室に湯呑があるんだが、片づけておいてくれるか?」

雪美「…………うん」

         とことことことこ

              キィッ……     ぱたん

P「さて、と。次は智絵里か……熱がないのに濡れタオルってのはおかしいかな……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 22:33:14.34 ID:YK6kxZz80
P「顔の色も落ち着いてきたな……そろそろ、仕事に戻っても……いや、でも万が一ってことも……」

              がちゃっ
雪美「……」

P「ああ、雪美。どうした?」

雪美「……片づけ…………終わった、から……」

P「そうか、ありがとうな。こっちは見ての通りだ」

雪美「…………お仕事……」

P「……ん?」

          きゅっ        ぐいっ

雪美「……お仕事…………しないと……行こ……プロデューサー…………」

P「えっ……いや、でも……」

雪美「…………お仕事」

P「ほら、もしかしたら病院に連れて行かなきゃいかなくなるかもしれないし」

雪美「………………ッ…………駄目……お仕事、しないと…………」

                  ぽろぽろ

P「ゆ、雪美!?」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 22:49:15.47 ID:YK6kxZz80
P「どうした、雪美!? どこか痛いのか!?」

雪美「…………」

             ふるふる

P「じゃあなんだ、どうしたんだ? 何か悲しいことでもあったのか?」

雪美「…………プロデューサー……」

                ぽろぽろ

P「ああ、どうした!? 何でも言ってみろ!!」

雪美「…………一緒……に……居るって……グスッ……言った……のに…………」

P「……」

雪美「……ずっと…………智絵里に……ついてて…………グスッ……」

                ぽろぽろ

雪美「朝……会えるって…………嬉しくて…………なのに……智絵里と、一緒で…………
    さっきも…………智絵里と一緒で…………い……今も……グスッ……智絵里と一緒が……いいって……」

                ぽろぽろ

P「わ、分かった。分かったから! とりあえず落ち着け! ほら、涙吹いて!」

雪美「……ん……」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 23:05:26.04 ID:YK6kxZz80
P「落ち着いたか?」

雪美「…………うん……ごめん……ね……?」

P「いいよ。いつも雪美は頑張ってくれてるしな」

雪美「…………うん」

P「それで、なんたっていきなり泣き出したんだ?」

雪美「………………やだ」

P「……」

雪美「………………グスッ……やだ……」

                ぽろぽろ

P「……うん。何が嫌なんだ?」

雪美「私……わ、私と…………一緒……一緒…………に……居てくれないと…………やだ……」

                ぽろぽろ

P「うん……じゃあ、一緒だ。今から、一緒。それならいいか?」

雪美「…………うん……」

P(……あの物静かな雪美がいきなり泣きだすなんて、ホント、今日はどうなってるんだよ……)

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 23:19:39.02 ID:YK6kxZz80
P「雪美。こっち」

雪美「…………ん……」

       とことことことこ

P「ちょっとごめんな」

              ぎゅーっ!

雪美「…………」

P「ほら、これで今までより一緒だ。だから、もう心配する必要ないぞ。もう泣くな」

雪美「…………ッ…………、…………」

         ぽろぽろ

P「こ、これでも駄目か?」

雪美「………………」

              ふるふる

P「違う、のか?」

雪美「うん………………一緒…………一緒だから…………嬉しくて…………」

               ぽろぽろ

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 23:34:59.58 ID:YK6kxZz80
雪美「ごめん…………ね…………グスッ…………」

P「いいよ。ほら、こっち向いて。拭いてやるから」

雪美「……うん……」

P(ちょっとしたことで悲しくて泣く……感極まって嬉しくて泣く……まるで泣き上戸だな……酒でも入ってるんじゃないだろうな、こいつら……)

雪美「…………プロデューサー……」

P「なんだ?」

雪美「…………膝……」

P「座るか?」

雪美「………………うん」

P「今日の雪美は我儘だな」

雪美「…………」
               じわっ

P「冗談だよ。ほら」

雪美「…………」

         とことこ      ぽすん

P(さて、どうするべきか……このテンションで付きまとわれると、仕事に差し支えが出るし……かといって放置もなぁ……)

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/17(月) 23:58:38.18 ID:YK6kxZz80
雪美「……」

P「なぁ雪美」
                  なでなで

雪美「………………?」

P「そろそろ、仕事に戻りたいなぁー……なんて」

                  なでなで

雪美「……お仕事…………?」

P「そうそう。資料を整理しないと、ちひろさんに怒られちゃうからさ」

雪美「…………、…………ん……」

P「雪美もレッスンの予定が合っただろ、確か」

雪美「……」

               ぽふっ

P「……雪美? なぁ、おい、雪美ー?」

雪美「……すぅー……すぅー……」

P「……」

P「えっ……寝た!?」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 00:16:15.41 ID:jvJisc/E0
P「……」

P「とりあえず雪美と智絵里を並べて寝かせてみたはいいけど……これ、凄いな……
  なんか見てるだけで成仏しそうになる神々しさだ……」

P「しかし、何が起こってるんだ……智絵里も雪美も、いつもとなんか様子が違ったし……そうかと思えば倒れるように寝るし」

P「でもなぁ……智絵里を朝一で見た時はいつもと変わらなかったし……
  雪美も、最初入ってきた時は泣いたりしなかったしなぁ……」

P「……うーん」

?「おはよーございまー!!!」

P「おっ」

?「あ、せんせぇ、おはよー!!」

P「ああ、薫。おはよう」

薫「……あ!! 雪美ちゃんと智絵里ちゃんねてる! おしごとにきたのにねちゃったの?」

P「薫、シーっ……」

薫「あ、そっか……シーっ、だね……おきちゃうもんね」

P「そうそう。それじゃ、薫。二人は寝てるから、一緒にお仕事の準備に行こうか」

薫「はーい」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 01:21:37.42 ID:jvJisc/E0
薫「せんせぇ、今日のおしごとなぁに?」

P「薫は……今日はダンスのレッスンだな」

薫「ダンスかー……せんせぇの今日のおしごとは?」

P「俺は朝は書類整理と打ち合わせ、昼は新しい仕事の調達、その後仕事終りのメンバーの送迎、そして書類整理だな」

薫「んー、じゃあ、いっしょにおしごといけないね」

P「そうだなー……今日は、志乃さんが同じ時間にダンスレッスンだから、志乃さんと一緒にレッスンに行って来てくれるか?」

薫「ちぇー。かおる、せんせぇとがよかったなあ!」

P「そう言うな。ほら、この飴ちゃんやるから」

薫「わーい♪」

            ぱくっ

    prrrrr!  prrrrr!

P「ん? 誰だ、こんな時間に……」

            pi!

P「もしもし」

晶葉{私だ。今ちょっといいか?}

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 01:39:51.22 ID:jvJisc/E0
晶葉{単刀直入に聞くぞ。君、私のラボから飴を持っていかなかったか?}

P「……バレた?」

晶葉{……ハァ……まさかとは思ったが……あのね、プロデューサー、それは立派な窃盗だぞ}

P「まぁまぁ、俺と晶葉の仲だろ?」

晶葉{しかし、その様子じゃあまだ食べてないみたいだな……丁度いい。本当は完成させてから渡したかったが……もともと君にデータを取ってきてもらおうと思ってたものだからね}

P「……まさか、今朝の研究ってこの飴に関するものだったのか? ただのべっこう飴だろ、これ」

晶葉{その飴は『ねこまっしぐら』、効果は、端的にいえば『酩酊状態』になる飴だ。
    とりあえず、詳細は追ってメールで送る。いいか、くれぐれも、悪用するなよ}

P「分かった。じゃあ頼んだな」

             プツッ

P「……ん、酩酊状態?」

P「あー、成程……これのせいで二人が変になったのか」

薫「せんせぇ、だれからおでんわー?」

P「ああ、晶葉から……あ」

薫「どしたの、せんせぇ?」

P「か、薫! 今食べた飴、ぺっ、しなさい! ぺっ!!」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 01:58:58.57 ID:jvJisc/E0
薫「もう食べちゃったよ?」

P「……そうか」

薫「もしかして、あきはちゃんのアメだったの?」

P「んー、なんというかな。飴自体に少し問題があって」

         prprprpr!

P「お……早いな……」

  『説明書
   ・飴を食べさせる

  注意
   ・未完成だから効果時間は短い。だいたい10分程度
   ・『疑似酩酊状態』であるため、アルコールは入っていないし、実際に酔っているワケではない
   ・副作用として倦怠感や強い眠気が想定される。服用には注意するように
   ・その他、微調整中。君が持っていったせいで納得のいく形に仕上げられなかったぞ、どうしてくれる    』

P「どうしてくれる、って言われてもねぇ……」

薫「んー……どうしよ、せんせぇ。かおる、あきはちゃんに新しいアメあげたほうがいいかなぁ?」

P「いや、気にしなくていいよ。それより……薫、体がへんなカンジはしないか?」

薫「うん! 元気だよ!」

P「そうか、じゃあいいんだが……」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 02:19:43.86 ID:jvJisc/E0
P(即効性じゃないみたいだけど……他の二人の様子を見るに、すぐに酔いが回って、寝ちゃうんだろうな。
  ……このまま外に出すのはさすがに危険か)

薫「志乃おねーちゃんまだかなー」

P「薫」

薫「はーい?」

P「今日のお仕事、昼からにしよう」

薫「おやすみ? なんで?」

P「仕事したいけど智絵里たちがまだ寝てるからなぁ。だから少しだけ、朝の間はおやすみだ」

薫「えー!! せんせぇ、ずる休みはいけないんだよ!!」

P「ズルじゃないよ。最近薫はずっと頑張ってたからな。ご褒美休みだ」

薫「ごほうび?」

P「そうだ。皆には……特に杏には秘密だけどな。頑張ったご褒美にちょっとだけお休みだ」

薫「ごほうびかぁ……あ! じゃあさ、じゃあさ、せんせぇ!!」

P「どうした?」

薫「せんせぇもいーっぱいがんばってるから、ごほうびだよね!」

P「どうだろうなー」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 13:34:41.02 ID:EM9UacTq0
―――

           ぐい  ぐい

P「落ち着こう、薫。話し合おう」

薫「せんせぇもいっしょにね、お昼寝するとさ、きもちーよ!」

           ぐい  ぐい

P(顔がだいぶ赤いな……酔いが回ってきたのか?)

薫「せんせぇこっち! かおるがこっちね!」

P「いや、だからな。俺は仕事に……」

薫「……」

P「……な、なんだよ」

薫「えへへー♪」

P(ああ、言われてみれば……酔っ払いの反応だわ、これ。
  しかし、どうするかな……どうせすぐ寝るんだし、ここは薫の言うとおりにしておいた方が楽か)

薫「せんせぇ、こっちー!!」

P「分かったよ、こっちでいいのか?」

薫「うん! それでね、それでね!! かおるが、せんせぇのよこー♪」

139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 13:49:22.82 ID:EM9UacTq0
P「……」

薫「んふふー♪」

         ぎゅーっ

P「薫、寝苦しい」

薫「せんせぇまくらー♪」

P「そうだなー、枕だなー」

薫「せんせぇはね、今かおるのまくらなの!」

P「そうだなー、枕だなー」

薫「うん!!」

              ぎゅーっ

P(テキトーに対応しても大丈夫なのは、さすがは酔っ払いと言うべきか……いや、普段からこんな感じだったか?)

薫「せんせぇ、せんせぇ」

P「どうした?」

薫「赤ちゃんできちゃったらどうしようねー?」

P「」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 14:05:25.53 ID:EM9UacTq0
P「い、いや、いやいやいや!! 薫、何を!!」

薫「千枝ちゃんが言ってたの! 好きな人といっしょのおふとんでねるとね、赤ちゃんができるんだってー」

P「……あ、ああ……そういう……」

薫「かおる、せんせぇのこと大好きだから、赤ちゃんできちゃうかもしれないね!」

P「……あー、そうだな」

P(最近の小学生はマセてると思ったがそうでもなかったな……
  しかし、薫がこんなこと言い出すとは……予想外だった。思わず、逃げだしそうになっちまった)

薫「えへへ、かおるがおかーさんで、せんせぇがおとーさんでね。それでね!」

P「うん、よかったな。ところで薫、顔が近いぞ」

薫「ほんとだね!」

P「いや、だから、少し離れて。近いから」

P(……密着された状態でこういう話をされるのは……こう、キツいな……
  いくら相手が薫だからって、なんとなく凄く悪いことをしてる気がしてくる……)

薫「あ……ねぇねぇ、せんせぇ」

P「どうした?」

薫「かおるがさ、せんせぇのおくさんだったらさ、せんせぇっておかしいね」

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 14:24:57.47 ID:EM9UacTq0
P「おかしいか?」

薫「おかしいよね?」

P「そうだな、おかしいな」

            なでなで

薫「えへへー♪」

P(とりあえず、効果が切れて寝るまで、テキトーに相手しておこう)

薫「じゃあね、せんせぇ。『あなた』と、『Pさん』と、どっちがいい?」

P「……えっ?」

薫「かおるはせんせえのおくさんでね、せんせぇはかおるのおっとさんだからね、せんせぇは、『あなた』か、『Pさん』なの!」

P「……」

薫「せんせぇどっちがいい?」

P「ど、どっちでもいいです」

薫「じゃあどっちもね! えへへ、あなたー♪ Pさーん♪」

            ぎゅーっ

P(……心頭滅却、心頭滅却だ……相手は薫、LO展開は即豚箱……)

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 14:38:03.24 ID:EM9UacTq0
薫「なんだかこうやってよぶと、すっごくあったかいねー!」

P「ああ、薫、顔真っ赤だしな」

P(そろそろ酔い潰れるはず……まだか、まだなのか……!?)

薫「これからはかおるがせんせぇの奥さんだから、せんせぇ、うわきはだめだよ?」

P「うん、分かった」

薫「あ……アナタ、うわきはだめだよ!」

P「はい、気をつけます」

薫「んー、すぐには変えられないね」

P「そんなに無理して変えなくてもいいんじゃないか?」

薫「だーめ! かおるはせんせぇのおくさんだもん!」

                  ぎゅーっ

P「そ、そうか……」

薫「おくさんはね、おくさんらしくしなくちゃ、だめだからね!」

                   すりすり

P(……誰か、誰か助けてくれ……早苗さんでもいいから、誰か……)

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 14:49:29.80 ID:EM9UacTq0
薫「……んー……ね、せんせぇ」

P「……なんだ?」

薫「かおるはね、せんせぇのおくさんで、せんせぇのこと、大好きだよ。
  だんなさんのせんせぇは、おくさんのかおるのこと、好き?」

P「……」

薫「……好き?」

P「え、えっと……それは……なんていうのかな……」

薫「……」

P「好きは好き、だけど……薫、大人の好きには色々種類があってな……」

薫「……すぅ」

P「えっ」

薫「んー……すぅ……すぅ……」

P「……」

P「た、助かった……のか?」

P(とりあえず、起こさないように抜け出そう……このままじゃ、本当に危ない……)

―――

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 15:07:38.96 ID:EM9UacTq0
P(ああ、危なかった……あの状態があと十分続いてたら……色々と、終わってたはずだ)

P(酔っぱらってたとはいえ、攻めっ気100%の薫がまさかあそこまでグイグイくるとは……年の分を差し引いても、千枝あたりと比肩するくらいの色気だったな……末恐ろしい)

P(『ねこまっしぐら』……過去に類を見ないほどに厄介な発明品だ……回収して、使いどころを考えないと……)

      がちゃっ

ちひろ「あ、プロデューサーさん、仮眠室にいらっしゃったんですか?」

P「ああ、ちひろさん。おはようございます……」

ちひろ「……お疲れですか? スタドリ、飲みますか?」

P「結構です……あれ?」

ちひろ「どうかしました?」

P「いや、その……ちひろさん、ここにあった飴、知りませんか?」

ちひろ「飴? ……ああ、あのべっこう飴ですか。あれなら、さっき志乃さんが全部持って行きましたよ」

P「……えっ」

ちひろ「二日酔いには甘いものが良いから、レッスンに行く道程で食べるって。あれ、プロデューサーさんの私物だったんですか?」

P「えっと……すみません、ちひろさん。俺、ちょっと志乃さんの方に行ってきますね!」

ちひろ「えっ? はい、気を付けて」

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 15:31:22.49 ID:EM9UacTq0
P「えっと……確かこの道を曲がって……」

志乃「……」

P「居た!! おーい、志乃さん!!」

志乃「……あら? プロデューサーさんじゃない、奇遇ね」

P「志乃さん、飴、飴返してください!!」

志乃「飴?」

P「事務所の机に置いてあった飴です! あれ、実は結構特殊な飴でして……」

志乃「ああ、あれね……あれなら、さっきそこで会った唯ちゃんに渡したわよ。よく考えたら、私は一個で十分だったから」

P「分かりました、ありがとうございます! それじゃあ!!」

志乃「……待って、プロデューサーさん」

P「はい?」

志乃「会ってすぐさようなら……は、さすがに酷いんじゃないかしら?」

P「いや、でも、飴を回収しないと……」

志乃「折角だし、スタジオまで送っていってくれる?」

P「えっと、話を……」

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 15:47:05.14 ID:EM9UacTq0
志乃「ほら、こっちよ」

P「あの、志乃さん……俺、飴を回収にですね……」

志乃「……プロデューサーさん」

P「は、はい」

志乃「私と飴と、どっちを選ぶの?」

P「……」

志乃「……」

P「し、志乃さんで」

志乃「……うふふ。いい子ね、じゃあ行きましょうか」

P「……えっと、志乃さん?」

志乃「なぁに?」

P「目が据わってますけど……もしかして、かなり飲んでます?」

志乃「まさか。今日はまだ飲んでないわ」

P「じゃあ……えっと、さっきの飴食べました?」

志乃「さっきの……っていうと、唯ちゃんに渡したのかしら……それなら、食べたわね」

174: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 16:04:59.99 ID:EM9UacTq0
P(やっぱりか……)

志乃「あれがどうかしたの?」

P「いや、あれ、実はちょっと特殊な飴でして」

志乃「そうだったの。ごめんなさいね、一個貰っちゃって」

P「いや、いいですよ。俺が管理してなかったのが悪いんですし、それに志乃さんですしね」

志乃「……それは、どういうことかしら」

P「言葉通りの意味、ですよ」

志乃「あら、そう」

P(あの飴の効果が出てるんだろうに、ほぼいつも通りだからな……やっぱりこの人いっつも酔ってるのか)

志乃「それじゃあ、行きましょうか」

P「そうですね」

P(まあ、スタジオまで連れて行って、あとはトレーナーさんに任せるか。
  その間、飴を配ったりしないように唯に言っとかないとな)

         pi!  pi!  po!

志乃「……誰かに電話?」

P「ええ、ちょっと唯に……」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 16:17:56.90 ID:EM9UacTq0
          ぱしっ

P「……えっ」

志乃「……それじゃあ、行きましょうか」

P「あの、志乃さん……携帯……」

志乃「駄目よ、プロデューサーさん。ちゃんと私の方を見てないと」

P「……いや、でもですね……俺の方にも都合が……」

志乃「あら、なぁに? 私の言う事が聞けないの?」

P「……」

志乃「うふふ……冗談よ。はい」

           ぽいっ

P「……えっと、志乃さん」

志乃「ただ、私の前では電話しないでね……少し、妬けちゃうから」

P「妬けちゃう、って……」

志乃「言葉どおりの意味よ……私と一緒に居る時くらい、私の方を向いててちょうだい。いい?」

P(なんか……いつもより絡んでくるな……『ねこまっしぐら』で悪酔いしたのか?)

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 17:41:24.70 ID:EM9UacTq0
志乃「それにしても、不思議な感じ……」

P「なにがですか?」

志乃「あの飴を舐めてから……まるで、お酒を飲んだ後みたいなのよ。
    あれ、強めのブランデーでも入ってたの?」

P「そういうワケじゃないんですけど……なんていうかな……」

志乃「……でも、少し残念ね」

P「え?」

志乃「同じ酔うんなら、もう少ししっかりとしたお酒で酔いたかったわ。プロデューサーさんも居てくれることだし……」

              ぎゅっ

志乃「いっそのこと、今から口直しにでも行きましょうか」

P「仕事中ですよ」

志乃「あら……いやだった?」

P「さすがに朝っぱらからお酒は……ねぇ?」

志乃「もう……つれないのね。こんなに寒い日くらい、いいじゃない」

P「それ、夏も同じようなこと言ってましたよね。『うだるような暑さだから汗をかかないと』とか言って」

志乃「そうだったかしら? ……そんな昔のこと、覚えてないわ」

195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 18:05:57.98 ID:EM9UacTq0
志乃「にしても……中途半端に暖まったからか、余計に寒く感じるわね……」

P「……何度も言いますけど、お酒は駄目ですよ。この前もお酒飲んでレッスンに行って、トレーナーさんを困らせたらしいじゃないですか。
  さっきの飴だけで我慢してください」

志乃「そう言われてもね……あの飴、酔いだけまわって、美味しくないし、そんなに暖まらないし、楽しくもない。
    そういうのって、なんとも気持ちの乗らない酔い方じゃない?」

P「言うほど違うもんなんですか?」

志乃「勿論。比べ物にならないわ」

P「そうですか……だとしても、この時間帯からお酒は駄目です」

志乃「頭が固いんだから……それじゃあ、そうね。二番目に好きなもので暖まれないなら、一番好きな人に暖めてもらいましょうか。
    プロデューサーさん、お願いできる?」

P「……い、一応聞きますけど、何をしろっていうんです?」

志乃「別にそんな凄いことをしろって言うわけじゃないの。ただ……そうね、少しだけ……
    さっきの嫌な酔いを醒ます気付け薬代わりに……暖めてもらえないかしら」

P「……いや、それは……また、なんというか……」

志乃「あら、嫌とは言わないわよね? 私のお願い事を、プロデューサーさんに限って、まさか、ね」

P「に、睨まないでください」

志乃「睨んでないわよ。お願いしてるの」

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 18:22:10.51 ID:EM9UacTq0
―――

志乃「……ふふ」

P「……」

志乃「暖めて、って言われて手を握る、なんて……意外とウブなのね、プロデューサーさん」

P「何とでも言ってください」

志乃「あら、いいの?」

P「ごめんなさい、何とでもは言いすぎました。罵るにしても言葉は選んで貰えると嬉しいです」

志乃「もう少し過激なのをくれれば、私の体も一気に火照ったのに……残念だわ」

                   ぴとぉっ

P「ひっ」

志乃「ねぇ、プロデューサーさん?」

P「し、志乃さん! あんまりからかわないでください!!」

志乃「あら、これも駄目?」

P「駄目です!」

志乃「いいじゃない、顔を触るくらい……減るもんじゃないでしょう?」

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 18:38:53.01 ID:EM9UacTq0
P「……はあ」

志乃「……あら、抵抗しないの?」

P「酔っ払いには口で言っても無駄ですからね。いい加減学びましたよ」

志乃「辛辣ね」

P「そりゃあ、朝から色々と迷惑を被ってきたので」

志乃「そう……じゃあ、私くらいは迷惑をかけないようにしてあげたほうがいいかしら?」

P「お任せします」

             スッ……

志乃「じゃあ、面倒をかけないように……暖まるのはこの辺でやめて、お仕事に行ってきましょうかね」

P「助かります」

志乃「ふふ……それじゃあ、今度はもう少し気持ちのいい酔い方ができる場で、お互い暖まりましょう」

P「……その時は、出来る限りお供しますよ」

志乃「あら、嬉しい。じゃあ私はこれで」

P「はい、頑張ってきてください」

―――

206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 19:02:15.41 ID:EM9UacTq0
        prrrr!    prrrr!

P(……いつもより少しだけ悪酔いしたってカンジだったな……
  年少組に比べたら、まだまだ対応に困らない範疇だったし)

        prrrr!    prrrr!

P(……に、しても、だ……今まで四人があの飴舐めたけど……皆悪酔いばっかりだよな……
  もしかして、飴自体の効能が『酩酊』+『悪酔い』なのか?)

                 pi!

唯{はいはーい? ゆいだよー☆}

P「あ、唯か? 俺だ」

唯{おっはよー、Pちゃん! んで、こんな朝早くになに? なんかデッカいオシゴト入ってきたとか?
   あ、でもゴメンねー! ゆい、今日オシゴト入ってるんだー!}

P「いや、ちょっと唯に聞きたいことがあってな……お前、志乃さんから飴貰ったか?」

唯{飴? 貰ったよー! えへへ、カワイイよね、コレ! こう、包み方とかも手作りっぽいのがさぁ}

P「それ実は俺のなんだよ。しかもワリと大切なもんでさぁ……返してくれるか?」

唯{えぇーっ……んー、まぁ、大切っていうならいいけどさ……でも、もう、一個他の人に渡しちゃったよ?}

P「えっ……だ、誰に?」

唯{んーとねー}

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 19:16:21.89 ID:EM9UacTq0
P「……」

??「……」

P「飴、食べちゃったか?」

??「た、食べちゃい、ました……あの、ほ、ホントに、ごめんなさい!!」

P「いや、駄目ってわけじゃないんだけど……」

??「で、でも! さっきの飴さ、唯ちゃん、プロデューサーの大ぃ事な飴だって言っでましたぁ!
    わ、わだす……んなこと、これっぽっぢも、知らねーで……ほ、本当に、申し訳ねぇです!!」

P「あ、そんなに謝らなくていいから……ほら、沙織、頭上げろ」

沙織「ほ、ホント、ですか?」

P「ああ。俺なら気にしてないから……ちなみに、いつ頃食べたんだ?」

沙織「んと……事務所さ来たのが、十分ぐらい前で……それがら唯ちゃん来て、飴さもらったんで……
    だいたい、五分ぐらい、だど思います」

P「そうか……体の方に異常はないか?」

沙織「い、異常、ですか? ……大丈夫です!! さ、寒いのには、向こうでなれでっから、こんぐらいなら、へっちゃらです!!」

P「……なら、いいんだが……」

P(だいたい効き始めるころに帰ってこれたってことか……運がいいのか、悪いのか)

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 19:31:32.90 ID:EM9UacTq0
P「それじゃあ沙織、ちょっとついてきてくれるか?」

沙織「へぇ? ……あ、はい」

―――  仮眠室

P「……三人とも、まだ寝てるのか……そうなると、ベッドが足りないな……」

沙織「あ、あの……な、なにするんでしょう?」

P「沙織、薫をそっちのベッドに運ぶの、手伝ってくれるか?」

沙織「は、はい……」

     ・  ・  ・  ・  ・  ・

P「よし……じゃあ、沙織、そっちのベッドに横になってくれ」

沙織「横、って……横さなんねでも、わだす、眠ぐも、体悪ぐもねぇですよ?」

P「頼む、沙織。大事なことなんだ」

沙織「大事……? 大事っづでも……横さなっで何が……あっ」

             かぁぁぁぁぁ……っ

沙織「あ、わ、わ……」

P(顔の赤さが増してる……いよいよ酔いが回り始めたか……)

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 19:51:14.17 ID:EM9UacTq0
沙織「あ、あのっ、ぷ、プロデューサー、あっ、えっ、だ、大事って言うのは、その、だ、大事、ですか!?」

P「ああ、大事なことだ」

沙織「で、でも、ですね……あ、ああーっ!! わ、わだす、今日、歌のレッスンがあって……」

P「レッスンまではもう少し時間があるだろ」

沙織「だ、だげども……ぷ、プロデューサー、こういうのは、もっと、しっかりと、段階踏まねえと!
    あ、やっ! プロデューサーの事が嫌とかじゃねくて、ただ、こ、こういうのは、わだすには、まだ、早ぐて……」

P「沙織、顔真っ赤だぞ。大丈夫か」

沙織「だ、だ、大丈夫じゃ、ねぇです……ば、ばっ、爆、爆発しそう、です……」

P「それじゃあ、落ち着くまで少し横になってろ。俺は少し席を外すから」

沙織「……は、はいぃ……」

          がちゃっ

                      バタン

P「とりあえず、沙織の方はこれで大丈夫」

P「えーっと……残った『ねこまっしぐら』は、俺の机の引き出しに入れたって言ってたっけな」

―――

222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 20:04:44.25 ID:EM9UacTq0
P「あったあった……ひー、ふー、みー……あれ、いくつあったらいいんだっけか……」

P「まあ、唯が俺の机に全部入れたって言ってるんだから、これで全部、なんだろうな」

ちひろ「あ、プロデューサーさん、ちょっといいですか?」

P「はい、どうしました?」

ちひろ「沙織ちゃん、前回の衣装についての意見が聞きたいから呼んできてもらえますか?」

P「……」

ちひろ「……あの、プロデューサーさん?」

P「い、今、ですか?」

ちひろ「出来れば今の方がいいですね」

P「……」

ちひろ「お願いしますね、私はプロデューサーさんが放り出してた資料の整理をしてますので!」

P「……」

―――  仮眠室前

P(どうすっかなぁ……今入るとまた変なことに巻き込まれるのは火を見るより明らかだし……
  だからって、声もかけずに帰るっていうのは……ちひろさん、勘が鋭い上に怒ると怖いしなぁ……)

P(とりあえず、外から声だけかけるか……そろそろ寝てる頃かもしれないし)

224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 20:18:47.85 ID:EM9UacTq0
          コンコン

<は、はひぃっ!!!

P「沙織、起きてるか?」

<お、起きてます!! じゅ、準備、出来ますた!!!

P「……準備?」

<は、はいっ!! 準備、万全です!! は、は、入って、来て、ください!!!

P(なんか、なんとなく、嫌な予感がするが……会話のキャッチボールが出来てるところから考えれば……まだマシな方、なのかな
  だとすれば……上手くすれば、言葉で言いくるめられるかもしれないな……沙織自身、押しが弱いところがあるし)

P「入って、いいのか?」

<はい!! か、覚悟、決めましたぁ!! もう大丈夫です!!

P「じゃあ入るぞー」

        がちゃっ

P「沙織、実はな……」

沙織「……」

P「」

沙織「あ、あの……ふ、ふつつか者、ですが……よ、よろしくお願ぇします……」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 20:33:49.06 ID:EM9UacTq0
P「」

沙織「……そ、その……わだす、東京の子みでーに、綺麗だったり、可愛いかったりしねぇけども……
    で、でも、プロデューサーさんが、わだすでいいっていうなら……」

P「」

沙織「わ、わだす……頑張んます!! だ、だから、よ、よっ、よろしくお願いします!!」

          パタン

沙織「……へっ?」

―――

P「」

P「い、いや……何かの見間違いだったんだ……そうにきまってる……沙織に、沙織に限ってそんなこと……」

          がちゃっ

沙織「あ、あのっ……プロデューサーさん……?」

P「……沙織」

沙織「は、はいっ!!」

P「とりあえず、服を着よう。そして話し合おう。お前とは……いや、お前のこの酔い方とはさすがに少し話し合わなきゃならん」

沙織「へ? は、はい……」

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 20:49:04.87 ID:EM9UacTq0
―――

<……

P「沙織ー」

<……うぅ

P「そろそろ出てこい、沙織ー」

<む、無理です!!!

P「起こったことはもう変わらないから、出てきなさい。ほら、俺も忘れるから、な?」

<だ、だげども、わだすってば、早とちりして……もう、もうお嫁に行げねぇですぅ……

P「……駄目か」

ちひろ「まだ時間掛かりそうですか?」

P「ですねえ……これは、持久戦になるかもしれません」

ちひろ「プロデューサーさん、何やったんですかぁ? ……まさか、沙織ちゃんが抵抗しないのをいいことにセクハラとか!!」

P「ないです!! そんなことやる勇気これっぽっちもないです!!」

ちひろ「そうですか。それはそれで残念」

P「とりあえず、ここは俺に任せてください。ほら、ちひろさんはあっちで仕事して!!」

239: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 21:03:20.34 ID:EM9UacTq0
P「……」

沙織「……あ、あの」

P「……大丈夫だ、今日は何もなかった。そうだろ?」

沙織「は、はい……で、出来れば、すぐに、忘れてください」

P「ああ、分かってる」

沙織「そ、そうしねぇと、わだす、本当にお嫁さいげなくなっちまうんで……
    も、もし、わだすがいきおくれっちまったら! プロデューサーの、せ、せい、ですからね!! せ、責任、取って……もらう、かも、しれねぇ、です」

P「大丈夫、分かってるよ」

沙織「そ、そっすか!! じゃ、じゃあわだす、ちひろさんのとこさ行ってきますんで!!」

P「ああ、頑張ってこい」

沙織「はい!! し、失礼します!」

            がちゃっ
                        バタン

P「……」

P「はあ……お、終わったぁ……」

P「直接的な絡みが一切なかったのに、ここまで疲れるとは……」

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/18(火) 21:18:26.81 ID:EM9UacTq0
P(だけど気になるのは……沙織、本当に酔っぱらってたのか?)

P(やけにハキハキ喋ってたし、足もともしっかりしてたし……どう見ても酔ってるようには見えなかったよな……)

P(効きにくい体質、みたいなのがあるのかもしれないな。そもそもが『酩酊』なんて人によって基準が違うものだし)

    ・  ・  ・  ・  ・  ・

P「考えても分からない、か。とりあえず、今までで分かったことと、この『ねこまっしぐら』の余りを持って一回晶葉のところに行ってみるか」

P「と、その前に……俺の方の仕事もかなりたまってるんだよな……さっさと済ませとかないと……」

           がちゃっ

??「おはようございま~す!」

P「あ、おはようございます。菜帆さん」

菜帆「あぁー!!」

P「へっ、な、なんですか?」

菜帆「他人行儀なのは駄目ですよ~? 仲良くなれないままになっちゃいますから! はい、じゃあ、もう一回~!」

P「……ああ、ごめん、菜帆」

菜帆「はい、オッケーです~。敬語、使っちゃ嫌ですよ?」

P「分かった、気を付けるよ」

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 00:32:53.09 ID:gWKBQG/D0
菜帆「ふー……いっぱい歩いたらお腹すいちゃいました~」

P「お疲れ様。といっても、食べ物は出てこないけどな」

菜帆「ふふふ、大丈夫ですよ~。こういう時のために、私、へそくりをしておいたんです~!」

P「へそくり?」

菜帆「はい! 冷蔵庫の、一番奥に、千枝ちゃんからお土産にもらった生八つ橋を入れておいたんですよ~」

P「冷蔵庫の……生八つ橋……? ……あ」

            とことことことこ
                             がちゃっ         バタン

菜帆「……へそくり、誰かに持って行かれちゃってましたぁ……」

P「そ……そうか、そりゃあ残念だったな」

菜帆「うぅ~……お腹がすいたままだと、レッスン頑張れません……」

P「ま、まぁ、そんな日もあるさ! ドンマイ! 次頑張ろう、次!!」

菜帆「……プロデューサーさん」

P「な、なんだ……言っとくが俺は無実だぞ」

菜帆「いえ……プロデューサーさん……なんだか甘い、いいにおいがします」

P「……甘い、いいにおい?」

304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 00:40:37.54 ID:gWKBQG/D0
菜帆「はい……なんて言うか……プロデューサーさん、飴とか持ってませんか?」

P「飴……飴か……無いな!」

菜帆「本当ですか~? 例えば、この辺に……」

        ごそごそ

P「あ、馬鹿!!」

菜帆「あ! あるじゃないですか~!! もう、プロデューサーさんのイジワル! 隠さなくてもいいじゃないですか!」

P「い、いや、ごめん……これは、その……ちょっと飴とは違うものでな」

菜帆「……プロデューサーさん、他の人は騙せても、他ならぬ私の目はごまかせませんよ~!
    これは飴です。もっと言うなら、自宅で砂糖を煮詰めて作ったべっこう飴です。たぶん、慣れてない人が作った奴ですね」

P「……よく分かるな」

菜帆「えへへ、和菓子は味だけじゃなくて見た目も楽しむものですからね~。
    和菓子を食べてると、物を見る目がつくんですよ」

P「そうか、それは知らなかった」

菜帆「と、言うことで。これは正解した賞品としてもらっちゃいま~す!」

P「あ、菜帆!! ちょっと待て!!」

                   ぱくっ

308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 00:52:54.56 ID:gWKBQG/D0
菜帆「ん~♪」

P「あ、あぁー……」

菜帆「甘いもの、いいですねぇ……♪ こう、疲れた体にしみわたるみたいです~」

P「そ、そうか……」

P(どうしよう……さすがに『吐け』とは言えないしな……)

菜帆「これ、優しい味ですねぇ。なんだか、またたびみたいな味です」

P「またたび、食べたことあるのか?」

菜帆「はい~。あれは、甘くて、美味しいですよ~」

P(とはいえ、沙織みたいにあんまり効果がないこともあるみたいだし……
  警戒し過ぎるのも……いや、でも、他の四人は全員酔ったわけだし……)

菜帆「~~~~~♪ ~~~~~♪」

                ぽりぽり

菜帆「えへへ、ちょっぴり元気になりました~。プロデューサーさん、ごちそうさまです!」

P「ああ、それはよかった」

菜帆「今度は隠したりしないでくださいね?」

P(……どうする……逃げた方がいいか……いや、でも……)

316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 01:10:24.17 ID:gWKBQG/D0
――― 五分後

P(……仕事をやらないといけないから残ってたけど……何もないな……杞憂だったか……?)

菜帆「~~~♪ ~~~~~~♪」

P(少し残念な気もするが……なにはともあれ、急場はしのげたって考えるべきだろうな)

菜帆「あ、プロデューサーさん。これ、美味しそうじゃないですか?」

P「……お前なぁ、またそんな本見て……またダイエットしなきゃいけないことになるぞ」

菜帆「えぇ~? 心配し過ぎですよぉ! 第一、私、そんなに太ってませんし~」

P「ホントか? この前だってかな子と二人でウェストの話を……」

菜帆「……なんだったら、触ってみますか~?」

P「……は?」

菜帆「そっちの方が分かりやすいでしょ? はい、プロデューサーさん、手貸してくーださいっ!」

P「え、おい、菜帆、ちょっと」

                       むにょっ

菜帆「ね~?」

P「いや、ね~? じゃなくて」

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 01:20:17.07 ID:gWKBQG/D0
菜帆「あら……分かりにくかったですか?」

P「いや、そうじゃなくて、お前何を……あ」

P(菜帆の顔……ほんのり赤くなってる……まさか)

菜帆「じゃあ、もう少し分かりやすく行ってみます?」

P「行ってみます、って……何を」

菜帆「プロデューサーさん、お膝、失礼しますね~」

                むにぃっ

P「」

菜帆「うふふ……どうですか? こうすれば、キチンと見えるし、感じますよねぇ?」

P(間違いない、酔ってる! 菜帆の奴、顔色が変わってないから油断してたが、これは完全に酔ってる!)

菜帆「プロデューサーさん的には、もう少し近い方が、分かりやすいですか~?」

                     すーっ……

P「待て、ナチュラルに首に手を回すな!! アウト!! これはアウト!!」

菜帆「アウト、って……何がアウトなんですか~? なにか、悪いことでもありますか?」

P(あ、駄目だ……コイツ、飲めば飲むほど駄目になる、一番酒飲ませちゃいけないタイプだ……!!)

324: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 01:38:39.05 ID:gWKBQG/D0
P(これは、薫以上に危険だぞ……薫の時はまだ、そういう意味合いが薄かったからよかったものの……
  菜帆のこれは、もはや露骨なxxxの塊状態だ……)

              ぎゅっ
                       むにぃっ

P「うひっ!?」

菜帆「ほぉら……何が悪いのか、キチンと教えてくれないと、分かりませんよ?」

P「お、おい、菜帆……か、顔が近いって……み、耳に息が……」

菜帆「うふふ……これだけ近いと、プロデューサーさんの顔、しっかり見えますね~」

P「見なくていい! そんな近くで見てもいいことないしさ!! ほら、離れて!!」

菜帆「えぇー! でも、こうしてた方が暖かいですし」

                ぎゅーっ

P「ちょ、ホントに……ヤバいから……! だ、抱きつかないで……」

菜帆「何がヤバいんでしょうねぇ~♪ こーんなに、ぽかぽかじゃないですか~♪」

                 ぎゅーっ

                             むにむに

P(このままじゃ駄目だ……さっさと逃げないと勢いに流されて一線を超えかねない……!! なにか、なにかいい方法は……!)

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 01:46:00.65 ID:gWKBQG/D0
あへぇー……

339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 01:51:48.30 ID:gWKBQG/D0
       がちゃっ

ちひろ「プロデューサーさーん、沙織ちゃんの意見まとめたので、目を通して欲しいんですけどー」

P「あ、ちひろさん! いいところに!!」

菜帆「あー!! プロデューサーさんってば、どうしてちひろさんの方向いちゃうんですか~? ほぉら、私はこっちですよ~」

              むにょんっ

P「待て、菜帆! 見られてる!! ちひろさんが見られてるから!!」

菜帆「そうですか。じゃあ、ばれないように、プロデューサーさんの顔を隠しちゃいましょうね~♪」

              ぎゅーっ     むにぃぃぃ―――っ!

P「ま、駄目だって……苦しい、幸せに押しつぶされて息苦しいから……ぷはっ! ち、ちひろさん、助けて!!」

ちひろ「……お取り込み中、でしたか。これは失礼しました。じゃあもう少し時間を開けて……」

P「待って、本当に、助けて……」

ちひろ「冗談ですよ。ほら、菜帆ちゃん。その辺にしとかないと、プロデューサーさんが困ってるでしょう?」

菜帆「んー……だったら、ちひろさんに抱きついちゃいます~♪」

               ぎゅーっ!

ちひろ「きゃっ!? ……もう! 菜帆ちゃん、あんまり抱きつくと、お金取るわよ!」

346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 02:04:11.03 ID:gWKBQG/D0
―――

P「いやあ、助かりました」

ちひろ「菜帆ちゃん、寝ちゃいましたけど、今日お仕事入ってましたっけ?」

P「無かったはずですけど……」

ちひろ「じゃあ、菜帆ちゃんも仮眠室で寝かせときましょうか」

P「……ですね、えっと、じゃあ……」

ちひろ「じゃあ、プロデューサーさんは外回りに行って来てください。あとは私がなんとかしておきますから」

P「……えっ……いいんですか?」

ちひろ「任せてください! と、いうより、もし目を醒ましたりした時に、さっきの今で顔合わせるのは、さすがに気まずいでしょ?」

P「ですね……それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます。本当にありがとうございました。外回り、いってきます」

ちひろ「……ふふ、いえいえ……」

         がちゃっ       バタン

ちひろ「こちらこそ、面白い物を」

ちひろ「成程ねぇ……プロデューサーさんが気にしてたから、なにか特別なものなのかと思っていくつか引き出しから貰っておいたけど……

ちひろ「『酔っぱらう飴』、か……どう使うのが、一番いいかしら」

349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 02:17:44.91 ID:gWKBQG/D0
――― 晶葉ラボ

         がちゃっ

P「居るかー?」

晶葉「むっ……来たな、窃盗犯め」

P「……そういうなって、きちんと返しに来たんだし」

晶葉「返したからって許されることじゃないぞ。私がどれだけ迷惑したか分かってるのか?」

P「ごめんごめん、まさかこんな飴まで発明品だとは思わなくてさ……ほら、返すよ」

晶葉「……ずいぶんと使ったんだな」

P「使ったというか、気が付いたら色んな人が食べてたって言うか……ああ、そういえば、皆に好評だったぞ、お前の作った飴」

晶葉「そうか。まぁ、それは別にいいんだ。わざと好かれそうな見た目にしたんだからな……それで?」

P「ん?」

晶葉「経過報告だよ。効果のほどはどうだったんだ?」

P「ああ、いくつか話しておきたいことはあるな。まず、酔い方だけど……」

―――
――

351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 02:33:44.42 ID:gWKBQG/D0
―――

ちひろ「うーん……やっぱり、これだけだとちょっと不便ね。
     他に道具があるんならまだしも、これだけってなると……どう使うべきか……」

         がちゃっ

??「おはようございます……あら、ちひろさんだけですの?」

ちひろ「プロデューサーさんなら今外回りよ。そろそろ帰ってくると思うけど……」

??「あら、そうですの。それじゃあ、しばらくここで待たせていただいても?」

ちひろ「勿論。そうだ、お茶、淹れてきましょうか?」

??「ええ、お願いします」

ちひろ「はい。じゃあ、少し待っててね」

            ぱたぱたぱたぱた

??「……それにしても、折角出てきたのにPちゃまが居ないなんて……来る前に確認しておくべきだったかしら?」

―――

ちひろ「……」

ちひろ「……!!」

ちひろ「……成程、そういう使い方も、アリね……となると、まずはプロデューサーさんの帰ってくる時間を特定して……」

385: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 10:43:20.19 ID:gWKBQG/D0
晶葉「成程な……まだまだ改良が必要、というわけか」

P「しかし、今度はまた、なんでこんなものを作ろうと思ったんだ?」

晶葉「いい質問だ! 君、酔いというメカニズムとロボットの共通点はなんだかわかるかね?」

P「……さあ?」

晶葉「酔いとはもともと、脳の麻痺が原因でおこる現象なんだ。
    そして、酩酊状態はおよそ全ての脳の機能が麻痺している状態であり、思考や運動も単純になると言える」

P「それがどう関係してくるんだ?」

晶葉「ふっ……プロデューサーにも分かるように説明するとだね、つまり酩酊状態の思考は複雑な部分が取り払われていて、もっとも再現が容易であるともいえるわけだよ!!」

P「……それで、他人を酔っぱらわせて、様子を見て、それをロボットの頭脳作りに役立てよう、と」

晶葉「そうだ。素晴らしいだろう?」

P「……そんな遠回りにする必要はあるのか?」

晶葉「なに?」

P「そういうのってさ、単純な思考の再現とかじゃなくて、もっと単純な回路の積み重ねとかでもいいんじゃないか?」

晶葉「……ふぅ……やはり天才は理解されないものか」

P「いや、絶対にこっちの方が楽だと思うぞ」

晶葉「君がそう思うんならそうなんだろう。君の中では、な」

388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 10:52:58.87 ID:gWKBQG/D0
晶葉「それじゃあ、私は『ねこまっしぐら』の改良に取り掛かる。いいか、今度は邪魔するなよ?」

P「分かったよ」
              prrrrr!  prrrrr!

P「ん? ……晶葉、ちょっと電話に出てもいいか?」

晶葉「ああ、構わないよ」
                       pi!

P「もしもし?」

ちひろ{あ、プロデューサーさんですか? 外回り中に失礼します、千川です! 今、お時間ありますか?}

P「大丈夫ですよ。どうしました?」

ちひろ{申し訳ないんですけど、先方からプロデューサーさんあてに電話が入りまして……
     よければ一度帰ってきてもらえますか?}

P「はい、分かりました。今晶葉の家なので、30分ぐらいで帰ります。先方にもそう伝えておいてください」

ちひろ{はーい、それじゃあ、待ってますねー」

                プツッ

晶葉「仕事か」

P「俺も意外と忙しいんだよ。それじゃあ、また何かあったら来るから」

晶葉「ん」

389: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 11:03:26.09 ID:gWKBQG/D0
――― 事務所

P「ただいま帰りましたー。ちひろさん、さっきの電話の件ですけど」

??「Pちゃま」

P「ん? 桃華か、おはよう……っていうにはもう少し遅いか」

桃華「正座です」

P「えっ」

桃華「正座しなさい」

P「……色々と聞きたいことがあるけど……なんで?」

桃華「つべこべ言わずに、そこに正座をしなさい」

P「……えっと……はい」

         ・  ・  ・  ・  ・  ・

桃華「なぜ正座させられたか、おわかり?」

P「……いや、皆目見当がつきません」

桃華「そう……今までは、他ならぬPちゃまの事なので大目に見てきましたが……
    それでも、わたくしももう我慢の限界です。今日という今日は言わせていただきます」

P「な、何を?」

392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 11:11:03.91 ID:gWKBQG/D0
桃華「他でもありません、Pちゃまの女癖の悪さについてですわ!」

P「えっ」

桃華「まったく、Pちゃまにはわたくしが居るのに、目を離せばすぐにあっちへフラフラ、こっちへフラフラと……
    もう少し、自覚というものを持ったらどうですの!?」

P「……あの、桃華、言ってる意味がよく……」

桃華「正座!!」

P「は、はい!」

桃華「確かに、わたくしはまだ、少しだけ、幼いですから……その、そ、そ、そういうことは……まだ、できませんけれど……
    それでも、浮気をせずに待つくらいはしてくれてもいいんじゃなくて?」

P「浮気って……なんのことやら……」

桃華「ちひろさんに聞きましたわ」

P「……」

桃華「ずいぶん、菜帆さんや沙織さんと仲良くしていらっしゃったそうですわねぇ」

P「い、いや……あれは成り行きで……っていうか、浮気になるのか?」

桃華「立派な浮気ですわ!! わたくしというものがありながら、他の女性に不貞を働くなんて!!!」

P(……おかしい……俺、桃華とそんな関係になった覚えないぞ……)

393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 11:22:47.22 ID:gWKBQG/D0
桃華「いいですか、Pちゃま!!」

P「はい……」

桃華「今後、浮気はしないこと!」

P「……気をつけます」

桃華「……約束ですわよ? 破ったら、さすがのわたくしも……」

P「誓います。今後一切そういうことはしません」

桃華「……」

P「……」

桃華「……ウフ、よろしい♪ 今回だけは、そのPちゃまの誓いに免じて、全て許しますわ!」

P「あ、ありがとうございます……なんて言えばいいのか」

桃華「大好きなPちゃまのことですもの。許すのは当然のことですわ!」

P「そうか……」

桃華「それじゃあ、次に移りましょうか」

P「……まだ、何かあるのか?」

桃華「ええ、もちろん。Pちゃまが不貞を働くのは、Pちゃまの落ち度であるとともに、わたくしの落ち度でもありますわ。
    ですから、わたくしの方からもきちんと対処を行わないと……」

398: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 11:41:46.81 ID:gWKBQG/D0
桃華「そ、それじゃあ、行きますわよ、Pちゃま……」

P「ストップ、ストップ!! 桃華、ストップ!! どうして、どうしてこうなった!!」

桃華「Pちゃまの欲求不満を解消するため。は、恥ずかしいのはわたくしも一緒ですわ、ですからほら、じっとなさって……」

P「待て、脱がすな!! 抱きつくな!! どうしたんだよ、お前、今日はおかしいぞ!!」

桃華「おかしくなんてありませんわ。わたくしは、いつも憂いていましたの! Pちゃまの浮気症を!」

P「だからって、いくらなんでもこれはおかしい!」

桃華「おかしくなんてありませんわ」

P「いや、おかしい! あきらかに何か間違ってる!」

桃華「……」

P「……とりあえず落ち着いて話をしよう。な?」

桃華「そんなに……わたくしが、Pちゃまを好きになるのは、おかしいことですか?」

P「……い、いや、そういう意味でおかしいって言ったんじゃなくて……」

桃華「Pちゃまは……こんなに幼いわたくしでは、お嫌?」

P「……えっと、桃華……話を、ね?」

桃華「ほら……じっとなさって……」

402: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:00:47.71 ID:gWKBQG/D0
P(駄目だ、まるで聞いてない……怒ったり、大胆になったり、泣きそうになったり、話を聞かなかったり……まるで今までのアイドルみたいに酔っぱらってるみたいだ……
  でも、『ねこまっしぐら』は全部回収したはず……どうなるってるんだ……?)

桃華「……ん……なかなか、脱がしにくいですわね。Pちゃま、ここのボタンはPちゃまで外していただけるかしら?」

P「いや……だから、そんなことしたら、最悪捕まるって……」

桃華「あら、大丈夫ですわよ。誰が何と言おうと、Pちゃまはわたくしが、『どんな手を使ってでも』守ってさしあげますから!」

P「そんな怖いこと笑顔で言われても」

P(どうする……桃華が酔っ払ってるんだと仮定して……この状況、どうやって切りぬける?
  ワイシャツを脱がされてる俺と、脱がそうとしてる桃華……誰かが事務所に来たらその時点でアウトだ……)

桃華「ウフフ……Pちゃまのためですもの。怖いことでも、わたくし、ためらいませんわ」

P(酔っ払いのあしらい方は……志乃さんあたりだと流れに身を任せるのが一番楽なんだけど……これはさすがに……だとすると……)

P「桃華」

桃華「あら、なぁに?」

P「ここじゃ人目につくから、奥で……じゃ、駄目か?」

P(とりあえず、主導権をこっちに持ってきて、それとなく意識をそらし続けるしかないか)

桃華「あらあら、意外と恥ずかしがり屋さんですのね♪
    でも、Pちゃまの言いたいことも分かりますわ……わたくしてしても、誰かに邪魔されるよりは二人きりの方がいいですもの」

P「そうか……じゃあ、奥に行こう、な?」

404: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:13:31.59 ID:gWKBQG/D0
――― 給湯室

桃華「ここですの?」

P「いやか?」

桃華「いえ……仮眠室の方が、そ、そういうことをやるのであれば、いいものだと思って……」

P「仮眠室は使われてるからな……人が来なさそうな場所と言ったら、ここくらいだろう」

桃華「そう、ですわね」

P(とりあえず……『ねこまっしぐら』が効いてるんだとすれば、あと数分で桃華も例にもれず眠るはずだ……
  だから、その数分をなんとか乗り越える必要がある……そのためには……)

P「桃華、こっちに来て」

桃華「はいっ♪」

P「……一応聞いておくけど、いいんだな?」

桃華「……ええ。Pちゃまのためですもの。それじゃあ、そろそろ上着、脱いでくださる?」

P「……桃華」

桃華「はい? ……あ」

              ぎゅっ

P(桃華のペースに流されず、俺のペースで……とりあえず、こうやって抱きしめて、身動きを封じて……それから……)

406: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:22:49.20 ID:gWKBQG/D0
桃華「Pちゃま?」

P「……」

             ぎゅっ

桃華「わたくしがPちゃまを、満足させてあげなければいけませんのに……
    これでは……その……」

P(なにも考えるな……考えたら負けだ……ただ抱きしめることに集中して、寝るまで、我慢、我慢……)

桃華「……ッ……」

            きゅーっ

P(ああ……桃華、震えながらもしっかり抱きついて来てる……可愛い……
  ……じゃなくて! 無心だ……無心で乗りきれ……もう少しで寝るはずなんだ……)

桃華「……Pちゃま……」

P「……」

桃華「……わたくしなら、大丈夫です……ただ……」

P「……」

桃華「……や、優しくして、ください……」

P「」

408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:30:33.01 ID:gWKBQG/D0
P(あああああああああ!! だ、駄目だ、このままじゃ、このままじゃああああああああ!!!!!)

               ぎゅーっ!!

桃華「……ん……」

P「……あ、ごめん! 強く締めすぎたか!?」

桃華「……」

P「桃華? ……おーい、桃華ー……?」

桃華「……すぅ……」

P「……ね、寝てる……お、わった……?」

P「あ、ぁぁぁぁぁ……た、助かったぁ……」

P「ヤバかった、毎度のことながら、今回もやっぱりヤバかった!」

P「よく我慢できたな……俺……」

桃華「ん……」

P「……仮眠室に、運ぶか……このままじゃ仕事も出来ないし……」

P「桃華、ちょっと失礼」

桃華「……すぅ……んー……」

411: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:50:16.63 ID:gWKBQG/D0
―――
ちひろ「……想像以上にいい画が取れたわね……これ、いくらで買ってもらえるかしら。
     飴の残りはあと三つ……こういう映像を高く買ってくれそうなアイドルと言ったら~♪」

??「……あの……ちひろ、さん?」

ちひろ「っ!?」

??「何を見てるんですか?」

ちひろ「あ、あはは! なんでもないですよー!!」

??「そう、ですか? ……その、今、プロデューサーさんが映ってたような」

ちひろ「そ、そうだ!! 頼子ちゃん、口開けて!!」

頼子「え? ……えっと……」

ちひろ「はい、あーん♪」

頼子「あ、あーん……」

          パキッ              ぱくっ

ちひろ「またたび味の飴らしいの。珍しいでしょう? プロデューサーさんが貰ってきたものらしくてー!」

頼子「……そう、ですね。美味しいです」

ちひろ(ばれたなら、ばれたで次の手を打つだけ……幸い見たのは頼子ちゃんだけみたいだし……
      ここは、頼子ちゃんの弱みをキッチリビデオに納めて、それをネタに頼子ちゃんも巻き込んで押しつぶす!)

413: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 12:57:58.05 ID:gWKBQG/D0
ちひろ「あ、そうだ。頼子ちゃん、今、ヒマ?」

頼子「暇、ですか……? 時間はありますけど……」

ちひろ「そう? 丁度よかったわぁ!! それじゃあ、仮眠室でプロデューサーさんの手伝いして来てもらえるかしら?」

頼子「手伝い、と言われても……何を」

ちひろ「何をするかは、実際に言ってからプロデューサーさんに聞いてください!
     じゃあ、よろしくお願いしますね!」

頼子「……? はい、分かりました」

               ぱたぱたぱたぱた

ちひろ「……ふう、危ない危ない♪」

ちひろ「さーてと、代えのビデオテープは~♪」

―――

P「右のベッドには、智絵里・雪美・薫」

P「左のベッドには、菜帆・桃華」

P「……壮観だな」

              コンコン

P「ん?」

416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:07:41.62 ID:gWKBQG/D0
       がちゃっ

頼子「失礼します」

P「ん、頼子……どうした? 仮眠室使うのか?」

頼子「いえ……ちひろさんから、プロデューサーさんの手伝いをするようにって言われてきたんですけど」

P「手伝い? 手伝いって言われても……」

頼子「……あの、プロデューサーさん……これは、何が……」

P「聞かないでくれ。説明しづらいから」

頼子「そうですか……」

P「にしても、手伝い……? ちひろさん、何考えてるんだ?」

頼子「……こうやって並んで寝るの、気持ちよさそうですね」

P「仕事にはならないがな……いや、いっそ寝顔を撮影してプライベート写真として売ってみるか……」

頼子「フフ……そんなことすると、怒られますよ」

P「分かってるよ。ところで、頼子はこれから仕事か?」

頼子「はい。レッスンスタジオから現場までの移動の前に、事務所に荷物を置いていこうかと思って」

P「そうか、御苦労さま」

418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:17:13.91 ID:gWKBQG/D0
頼子「プロデューサーさんは、お仕事の方は?」

P「……まったく進んでない。今日も残業だな、これは」

頼子「大変そうですね……手伝いますか?」

P「仕事は大丈夫なのか?」

頼子「はい。まだちょっと時間があるので」

P「ありがとう、助かるよ。それじゃ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

――― 事務室

頼子「……ん」

P「……どうした? 頼子」

頼子「……ここ、少し暖房、きつい……かなって」

P「そうか? 言うほどじゃないと思うが……意外と暑がりなのか?」

頼子「分かりません……なんだか、こう、心なしかぽかぽかしてきて……」

P(ぽかぽか……? ……まさかな)

P「体調が悪いようなら言ってくれ。もしそうなら、仕事の方にも連絡をいれないといけないからな」

頼子「はい……」

419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:28:44.76 ID:gWKBQG/D0
       ・  ・  ・  ・  ・  ・

頼子「……」

P「頼子、頼子」

頼子「……あ、はい?」

P「大丈夫か? 顔、真っ赤だぞ」

頼子「大丈夫……だと、思います……」

P「……無理するなよ?」

頼子「はい……プロデューサーさん」

P「どうした?」

頼子「……その……肩、貸してもらっても、いいですか?」

P「ああ、いいぞ」

頼子「……ありがとうございます……」

              ぽふっ

P「……」

頼子「……」

421: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:36:41.31 ID:gWKBQG/D0
P「眠いか?」

頼子「いえ……少し……」

頼子「……少し、プロデューサーさんに寄りかかりたかっただけ、です」

P「……」

頼子「ふふ……甘えちゃって、ごめんなさい」

P「いや、いいよ」

頼子「本当ですか?」

P「ああ。これくらいなら今日のどれよりも軽いし」

頼子「じゃあ、もう少しだけ、このままでも、いいですか?」

P「うん……ただ、辛くなったらすぐに言うんだぞ」

頼子「はい……」

     ・  ・  ・  ・  ・  ・

P「……」

頼子「……」

P(あぁ……なんていうか……今までが今までだっただけに、こういうのは癒されるな……)

422: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:52:54.49 ID:gWKBQG/D0
頼子「……あの、プロデューサーさん……もうちょっとだけ、甘えてもいいですか?」

P「……仕事の邪魔にならない程度でなら」

頼子「……手。左手、貸してほしいなぁって……」

P「それくらいなら、まぁ」

          ぎゅっ

頼子「ごめんなさい……手伝うって言ったのに、お願い聞いてもらってばっかりで」

P「いいよ。それにしても、なんで手なんだ?」

頼子「……プロデューサーさんと、手を、繋ぎたかったんです」

P「……へぇ……それはまたどうして?」

頼子「……手は、ですね。人の人生が詰まったもの、なんですよ」

P「へえ、そうなのか」

頼子「はい。だから、芸術の対象として取り上げられることも多いし……逆に、芸術品のミステリアスさを出すために、あえて削られることもあるんです」

P「……それで?」

頼子「こうやって、手をつなぐと……今だけは、私とプロデューサーさんの人生が一緒になってるんですよ。
    どれだけ寂しくても、手をつないでるこの瞬間だけは、一人の世界が二人になる。それって、とっても、頼もしくて素敵だと思いませんか?」

P(やだ……ロマンティック……)

423: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 13:59:05.42 ID:gWKBQG/D0
頼子「本気にしました?」

P「えっ?」

頼子「ふふ……冗談です。本当は、ちょっぴり心細かったんです……
    だから、肩だけじゃなくて、手も、貸してほしいなぁって……」

P「そうか……」

頼子「はい」

―――

ちひろ「……これじゃあただのバカップルじゃない……つまんないの」

ちひろ「はぁ……やっぱり、飴半分じゃ効果も半減なのかぁー」

ちひろ「まぁ、普段奥手な頼子ちゃんが相手なら、この映像ばらまくって言えばたいていの事は聞いてくれそうだけど……」

<今日の頼子はちょっと変だな。熱がないにしても、何か変なものでも食ったんじゃないのか?

<変なもの……あ、そういえば、プロデューサーさんの飴、ちひろさんからいただきました。ごちそうさまでした

<飴? 飴って……

<あれ、プロデューサーさんの、ですよね? またたび飴……

<……

ちひろ「あ」

427: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 14:14:43.33 ID:gWKBQG/D0
ちひろ「……」

ちひろ(撮影を終了、テープは鍵付きの引き出しにしまって……それから、この残った2個半をどう処分するか……)

ちひろ(半分くらいなら飲んで隠せるけど……さすがにあの効き目の飴2個半は、危ない、ですよねぇ)

           チャリーン!

ちひろ「……!」

ちひろ「そうね、こうしましょう。これなら、全部何とかできるでしょうし」

―――

P(道理で、桃華も頼子もこうなるはずだ。あの人がいくつか持ち出してたのか……
  となると、残りがいくつになるかは分からないが、さっさと回収しないと……)

P「頼子、ちょっとちひろさんのところに行って来てもいいか?」

頼子「えっ……はい……」

P「本当にゴメンな。もし辛いようなら、仮眠室で休んでてくれ!!」

               ガチャッ        バタン

頼子「……休んでてくれ、って言われても……」

頼子「……もう少し、甘えていたかったなぁ……なんて」

頼子「……まだ、少し、熱っぽいのかな……少し休んでいこう」

429: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 14:26:24.33 ID:gWKBQG/D0
       がちゃっ

P「ちひろさん、ちょっとお話が……」

ちひろ「あ、プロデューサーさん! えへへ~~~♪ プロデューサーさーん♪」

                  ぎゅーっ!
P「!?」

ちひろ「えへへへ~♪」
                  ぎゅーっ!

P「ち、ちひろさん!? 何年甲斐もないことしてるんですか!!」

ちひろ「年甲斐もないってなんですかぁ!! 怒っちゃいますよ、私!!」

P「いや、おかしいでしょ! あなた、そんなキャラじゃないでしょ!!」

ちひろ「んー……そうですかぁ? だいたいこんな感じですよ?」

P(……この反応……飲みに行った時のちひろさんそっくりだ……まさか……)

P「ちひろさん、こう、このくらいの飴、持ってませんか?」

ちひろ「あ、あれですか? えへへ、おいしかったです~!」

                  ぎゅーっ!

P「あー、あー、あー……もう……」

430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 14:36:52.24 ID:gWKBQG/D0
P「ほら、ちひろさん、しっかりしてください!」

ちひろ「んふふ~♪」

               すりすり

P(……なにかよからぬこと考えて飴を配ってたのかと思ったけど……そうでもない、のかな?)

P「ほら、ちひろさん、こっち来てください。仮眠室いっぱいだからソファでいいですよね?」

ちひろ「えー? 大丈夫ですよぉ! えへへ、スタドリ飲んで、今日も元気に、頑張りましょー!!」

P「叫ばないでください、近所迷惑ですから。ほら、行きますよ」

ちひろ「はーい!! ……ふふ」

―――

P「ほら、横になれますか?」

ちひろ「大丈夫でーす!!」

P「はい、じゃあ横になって。毛布持ってくるから、そこから動かないでくださいね?

              がちゃっ
                              バタン

ちひろ「えへへ~、いってらっさーい♪」

ちひろ「……と、これで、急場は凌げた。さて、とー……問題の飴はどこに隠しましょうかねー」

434: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 14:44:37.05 ID:gWKBQG/D0
            ごそごそ

ちひろ「……戸棚じゃ誰かに見つかっちゃうかもしれないし……かといって口に入れるものを野ざらしって言うのも気が引けるし……」

                 がちゃっ

ちひろ「っ!?」

P「毛布持ってきましたよー……って、なに動きまわってるんですか!」

ちひろ「あ……え、っと……毛布!!」

P「は?」

ちひろ「寒いからですねぇ、毛布探してたんです!! この辺にありましたよねぇ?」

P「……ちひろさん、そこは書類棚です。毛布はありませんよ」

ちひろ「えー、嘘だー!! ありますもん!!」

P「毛布なら俺が持ってきましたから、ちひろさんは横になっててください」

ちひろ「ほらあったー!! ねぇ、言ったでしょー? 毛布は、ここに、あるん、です!」

                         ばふばふ

P「分かりました、ちひろさんの言ってることが全面的に正しいです。だから毛布で叩かないでください」

ちひろ「よし、じゃあ許します!」

437: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 14:59:27.80 ID:gWKBQG/D0
P「はぁ……酔っ払い面倒だなぁ……」

ちひろ「なんですか、侮辱ですか!! 訴えますよ!!」

P「はいはい、ごめんなさいごめんなさい。ほら、横になって」

ちひろ「はーい……だいたいですねぇ! プロデューサーさんはですねぇ!! 私の好意をいっつも無碍にして!!!」

P「どうもすみません。はい、毛布羽織って」

ちひろ「はーい……私だってプロデューサーさんの事を考えて、スタドリを用意してるのに!!」

P「そうですか、それは失礼しました。まったく……酔うと人が変わるんだから……」

ちひろ(……酔うと、人が変わる……?)

          チャリーン!

ちひろ「……!! ぷ、プロデューサーさんっ!」

P「はいなんでしょう?」

ちひろ「え、えーい!!」

                 ぎゅーっ

P「……どうしました?」

ちひろ「えへへ、なんでもないです!」

439: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 15:08:20.08 ID:gWKBQG/D0
P「そうですか、あんまり変なことはしないでくださいね」

ちひろ「はーい!!  ……え、えへへー……♪」

              すりすり

P「何か今日はやけにべったりですね」

ちひろ「そうですかぁ? いっつもどおりですよ~♪」

ちひろ(……やっぱり……酔ったふりをしてれば……酔っていると思われてる今なら……何をやっても許される……!)

P「……」

ちひろ「ど、どうしました? プロデューサーさん」

P「いや、よくよくみると……やっぱりちひろさんの顔も真っ赤だなぁって……」

ちひろ「そ、それは、多分酔っぱらってるからじゃないですかねぇ? それよりもプロデューサーさん! 私……気付いたことがあるんです!」

P「……なんですか?」

ちひろ「私、今、とっても頭を撫でてほしいんです!!」

P「……そうですか」

ちひろ「聞こえませんでしたか? じゃあもう一回言いますね!! 頭を撫でてほしいんです!!」

P「聞こえてますから、大声出さないでくださいってば」

441: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 15:17:53.23 ID:gWKBQG/D0
P「ったく……本当に酔うと面倒な人なんだから……はい、じゃあ、頭貸してください」

ちひろ「は、はい……」

              なでなでなでなで

P「……」

ちひろ「……ッ! ……!!」

P「……あの、大丈夫ですか?」

ちひろ「ひぇえ!? にゃ、なっ、なにがですか!?」

P「いや、凄く小刻みに震えてるから……寒いのかなって」

ちひろ「だ、大丈夫れす!! プロデューサーさんは、黙って頭を撫でてればいいんです!!」

P「はいはい……」

               なでなでなでなで

ちひろ「……えへ、えへへ……♪」

P「そろそろいいですか?」

ちひろ「まーだでーす♪」

P(想像以上に効いてるなぁ、『猫まっしぐら』……)

443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 15:33:10.20 ID:gWKBQG/D0
            コンコン

ちひろ「……!!」

P「ん? はーい」

             がちゃっ

晶葉「なんだ、ここに居たのか」

P「え、晶葉? なんでここに……」

晶葉「いや、どうも数が合わなくてな……君の話の通りだとすると、あと4つ残ってないといけないんだ。
    君に確認しようとしたけど、君は電話に出ない……悪用されると困るから、こうやって私自ら回収に来たってわけだ」

P「ああ……実はな、帰って来てから分かったんだけど、事務所にまだいくつか残ってたみたいなんだ」

晶葉「なに、それは本当か?」

P「ああ、帰ってから三人、酔った子が出てな……しかも、『ねこまっしぐら』を配ってた当のちひろさんも食べちゃったみたいで、後一個を探すのも難航してるんだ」

晶葉「ふぅん……ちょっと失礼」

           ジィ―――――ッ……

ちひろ「……」

晶葉「嘘はいけないぞ、君。ちひろは酔ってないじゃないか」

P「えっ」

446: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 15:46:28.82 ID:gWKBQG/D0
P「……」

ちひろ「……」

晶葉「先に説明したとおり、酔いは脳の活動を麻痺させる。だから活動の活発な目は特に変化が顕著でな。
    いつもより視線が泳ぐ、目が据わる、なんていう何気ない変化から……瞬きの回数が多くなる、二重瞼になる、なんて分かりやすい変化もある」

P「……」

ちひろ「……」

晶葉「見た所、ちひろの目はいつも通り、正常そのものだ。顔こそ赤いが、酔ってはいないはずだ。そうだろう?」

P「……えっと」

ちひろ「……ッ、……ッ、……ッ!!」

            かぁぁぁぁぁぁ……っ

ちひろ「……晶葉ちゃん」

晶葉「どうした? ちひ……ろぉっ!?」

             ガバッ!!       ガシィッ!

ちひろ「はーい、口を閉じて、飲む!!!」

晶葉「ん、んぐっ!? ぐ、ぐぅ……」

                        ごくんっ

450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 15:55:55.53 ID:gWKBQG/D0
晶葉「うっ、うぇっ、けほっ!! けほっ!!」

P「ち、ちひろさん!? あなた何を……」

ちひろ「私、用事を思い出したので帰ります!! じゃあ、そういうことで!!」

              たたたたたたたっ

P「あ、ちょっと!!」

晶葉「ま、待て、プロデューサー!!」

P「……あ、晶葉、大丈夫か!? 怪我とか、してないか?」

晶葉「いや、大丈夫だ……怪我はしてない……そこは、ちひろも気を使ったみたいで……」

P「そうか、そりゃあよかった……」

晶葉「……だが、そう良い状況とも言い難い」

P「……なんで?」

晶葉「……今ので、飲まされたみたいなんだ……」

P「飲まされたって……まさか、『ねこまっしぐら』を?」

晶葉「……ああ……それも、さっきの感じ……二ついっぺんに飲まされた、気がする……」

P「二つって……なんというか……えげつないな、ちひろさん……」

452: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 16:10:29.04 ID:gWKBQG/D0
晶葉「……とりあえず、醜態は晒したくない。どこか隠れられる場所はないか?」

P「給湯室とかなら空いてると思うが」

晶葉「……じゃあ、そこでいい。そこにしよう」

P「……その、大丈夫なのか?」

晶葉「間違って一度に複数服用しても大事にならないようには調整してある。
    だから急性アルコール中毒みたいに命が直接脅かされることはないだろうが……」

P「……だろう、が?」

晶葉「……たぶん、凄く、酔っぱらう」

P「そうか……」

晶葉「いいか? 何があっても給湯室に入ってくるんじゃないぞ!!
    効果時間はおそらく最長でも15分。効果適用までラグが5分と考えて、20分経ったら迎えに来てくれ」

P「20分か……分かった」

晶葉「すまない、迷惑をかけるね」

P「いや、もともと悪いのは俺だしな」

晶葉「それじゃあ、行ってくる。私が給湯室に入ったら、カウントを始めてくれ」

P「OK」

458: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 16:36:15.47 ID:gWKBQG/D0
――― 8分後

P「……もう、晶葉が言ってた『効果が表れてるだろう時間』か」

P「なにもないといいが……」

              がちゃっ          ぱたん

       ぺたぺたぺたぺた

P(ドアの音と足音……仮眠室の誰かが起きたのかな?)

        ガチャッ

晶葉「……」

P「えっ」

晶葉「ん、ここに居たのか!」

P「えっと、晶葉……? なんで給湯室から……」

晶葉「つまらなかった」

P「えっ」

晶葉「聞こえなかったか? つまらなかったから、出てきたんだ!! まったく、一回で聞き取れ、助手なんだから!」

P「えぇー……」

460: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 16:46:15.44 ID:gWKBQG/D0
P「いや、酔ってる姿を見られたくないから給湯室に籠るって言ったのは晶葉だろ」

晶葉「だから、それがつまらなかったんだ」

P「つまらなくても、そう決めたんだろ? だったら……」

晶葉「やだ」

P「……いや、やだじゃなくて」

晶葉「じゃあ来い」

P「……は?」

晶葉「君が居ないとつまらん、来い」

             ぐい  ぐい

晶葉「そもそもどうしてプロデューサーは外で私が一人で給湯室なんだ。ほら、来い。私の傍に居ろ」

P「……」

晶葉「なんだ、なにか文句でもあるのか」

P「い、いや……ないけど」

晶葉「じゃあ給湯室に帰るぞ、来い」

P「……ああ」

464: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 16:58:50.90 ID:gWKBQG/D0
――― 給湯室

晶葉「そもそも君はだね、どうしてそう、いつもいつも私を蔑ろにするんだ!」

P「蔑ろにしたつもりはないけど……」

晶葉「いいや、してる。私がそういうんだ、間違いない!」

P「んな無茶苦茶な……」

晶葉「今朝だって、電話の一本もよこさずに、業務連絡だけして帰っただろうが!」

P「そりゃあ俺にだって仕事があるし……」

晶葉「仕事、仕事、仕事って……仕事と私と、どっちが大事なんだ、君は!!」

P「えっ」

晶葉「ずっと傍に居て私の言動全てを理解しろとは言わない。でも君は私の助手で、私のパートナーだろうが!
    私のことを二の次三の次にして他のことにかまけてていいと思ってるのか!?」

P(顔真っ赤だ……これは本格的に酔ってるな……これは真面目に取り合うだけ無駄かな……)

晶葉「いいか! まずだね、君に会えないとだね、私としては気が乗らないんだよ! つまらないんだよ!!
    仕事だ何だと逃げないで、私の傍に居る事くらいできないのか! 助手のくせに、パートナーのくせに、プロデューサーのくせに!!」

P「はいはい、分かった……とりあえず落ち着こう」

晶葉「私は落ち着いてる! 人を馬鹿にしてるのか、君は!!」

468: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:15:11.91 ID:gWKBQG/D0
晶葉「わ、私だってな! 言いたくて言ってるんじゃないんだ!! 君は、私が言わないと様子を見に来ない!
    時々来たと思ったらやれ業務連絡だ、やれ発明品がどうだ!! 私に何も言わずに勝手に色々喋って行って!!」

P「だからそれは、暇がなくてだな……」

晶葉「ふんだ、どうせ、君からすれば私なんてどうでもいい存在なんだろうな!
    わ、私の事なんて居ないみたいに!! 人を、グスッ、人を便利な道具みたいに!!」

P「いや、そんなこと……」

晶葉「道具ばっかり、グスッ、今日だって、朝、勝手に道具……グスッ」

晶葉「私だってな、私だってなぁ……さ、さ、寂しいんだよ……」

                         ぽろぽろ

晶葉「寂しいんだよ……一人、一人はやだぁ……グスッ……
    もう、もう一人、グスッ、一人はやだ……プロデューサー、助手、居ないの、いやだぁ……グスッ」

                         ぽろぽろ

P「……晶葉」

晶葉「ゔゔゔゔゔぅぅぅぅぅ……グスッ、さ、わ、私、私だって……!!」

P「ごめん」

晶葉「……グスッ……いまさら何だ、どうせ口先だけだろ、君のことだから!!」

P「……まさか、そこまで思いつめてるとは思わなかったんだ……ごめん」

475: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:25:18.80 ID:gWKBQG/D0
晶葉「……謝ったから、許せっていうのか?」

P「……駄目か?」

晶葉「フン、調子のいい奴め。許されるわけがないだろうが! 天才を泣かせた罪は重いんだぞ!!」

P「じゃあ、どうすれば許してくれるんだ?」

晶葉「……約束しろ」

晶葉「これから、用がなくてもうちに来るって、約束しろ」

P「うん」

晶葉「その間は、仕事を持ち込まないって約束しろ。仕事も何もないのに、何の用もないのに、私の家に来て、私の傍に居るって約束しろ」

P「分かった、約束する」

晶葉「破ったらただじゃおかないぞ。もし破ったら、私の作った虫ロボットが君の家に大挙することになるからな」

P「そりゃあ怖いな……それじゃあ、こっちからももう一つ、追加で約束していいか?」

晶葉「グスッ……なんだ?」

P「今言われたことは全部、約束だからじゃなくて、俺の本心でやるって約束する。それでいいか?」

晶葉「……君にしては良い提案だ、採用してやる」

P「そうか、ありがとう」

478: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:34:19.00 ID:gWKBQG/D0
―――

P「晶葉ー……おーい、晶葉ー……」

晶葉「……すぅ……すぅ……」

P「寝たかー? 起きてたら返事しろー……」

晶葉「……んー……」

P「よし、寝てるな……これで効果は切れた……あとは、寝かせておけば、問題解決、か」

晶葉「……」

P「それじゃあ、このまま家まで送っていくかな。仮眠室もいっぱいだし……ん?」

                ぎゅーっ!

P「……あーあー、そんなきつく握っちゃスーツ皺になるって。ほら、離せ」

晶葉「……ん……んんぅ……」

P「掴まなくても大丈夫だぞ、キチンと一緒に居るからな」

                     なでなで

晶葉「……ん……んふー……♪」

P「それじゃ、行こうか」

480: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:41:14.59 ID:gWKBQG/D0
一日目 終了

騒動に関連したアイドル

Cu 緒方智絵里
   奥山沙織
   櫻井桃花
   池袋晶葉

Co 佐城雪美
   柊志乃
   古澤頼子

Pa 龍崎薫
   海老原菜帆

事務員 千川ちひろ


『ねこまっしぐら』

残り半個 … 千川ちひろが所持 → ??

483: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:47:56.40 ID:gWKBQG/D0
―――

P「……さーて、と……ちひろさんも居ない、仕事は山のように残ってる……頑張んなきゃなぁ」

         ガチャッ

???「あ、Pちゃん!!!」

P「お、きらり、お疲れ、仕事終りか?」

きらり「Pちゃーーーん☆☆☆」

           ガシィッ!!!

                       ギュウウウウウウウウウ―――――ッ!!!

P「うぐげェッ!?」

きらり「Pちゃん、きらりねぇ、なんだかぽかぽかきゅーんきゅん♪ してるのー☆
     ぽっかぽかでぇー、はっぴはぴー☆ Pちゃんにもおすそ分けすゅー、えーい☆☆

             メキメキメキメキィィィッ!!

P「な、えっ、なっ!?」

きらり「にょわーってね!! こう、胸の奥からきゅんきゅんがにょわわわーんって!!! すーっごいのー!!!」

                  ベキィッ!!

P「」

486: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 17:55:06.53 ID:gWKBQG/D0
――― 遡る事 5分前

ちひろ「……もし、プロデューサーさんが晶葉ちゃんを送って帰ってくるんだとすると、そろそろかしら」

きらり「あ、ちひろちゃーん! おっすおっすー☆ きらりんに用ってなにぃ?」

ちひろ「あ、きらりちゃん、お疲れ様。実はね、おいしい飴があるの」

きらり「アメ!! おいしいの? おいしいのー?」

ちひろ「おいしいわよー。こう、胸がぽかぽかしてくる味なの」

きらり「きゃーーー☆☆☆ そのアメ、きらりんも欲しいー!!!」

ちひろ「……でも、ごめんね。その飴、これだけしかないの……」

きらり「むぇー……いいなー……きらりんも、そのアメ食べたいゅー……」

ちひろ「……欲しい?」

きらり「うん!!!」

ちひろ「仕方ないわね、じゃあ、特別! はい、プレゼント!!」

きらり「いいの、いいの?」

ちひろ「いいわよー」

きらり「うっぴょーーーー!!!! ちひろちゃん、ありがとにぃ☆☆☆ うぇへへ~☆ はぴはぴキャンディ~☆☆☆

489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 18:00:49.73 ID:gWKBQG/D0
――― 現在

きらり「こうね、じゅわぁぁぁーーーって、じゅわわわわあああああって!!!」

P「」

きらり「Pちゃん、Pちゃーん?」

P「」

きらり「ありゃりゃ、Pちゃん、お昼寝ー? いいお天気だもんにぃー☆」

P「」

きらり「それじゃあ、きらりんもお昼寝ー!! Pちゃん枕でお昼寝ー☆☆」

P「」

            がちゃっ

きらり「……」

きらり「にゃああああああああ!!! か、か、可愛い、Pちゃん、見てみて!! 皆一緒に寝てるー!!!
     きらりんとPちゃんもいーっしょ♪ 五人でぐーぐー、って!!」

きらり「Pちゃん雪美ちゃんの隣ー、きらりん薫ちゃんの隣っ! うぇへへへへ、はぴはぴ~☆」

P「」

490: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 18:06:39.31 ID:gWKBQG/D0
―――  その後

      その日のきらりのはぐはぐは、強烈だった

      まるで、きらりの脳が麻痺してストッパーが外れたようなはぐはぐ

      それは、ただの成人男性である俺に対しては耐えられる負荷ではなく

      意識を手放す直前、俺の頭をよぎったのは

      晶葉との約束を守れないことに対する悲しみと

       『はぴはぴ』という四文字だけだった


                    HAPPY HAPPY END

                ファ イ ル を 消 し ま し た ・ ・ ・