1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 01:18:17.90 ID:nT9BdboM0
兄「あいつ他に好きな人が出来たから別れてくれとか言いだしやがった・・・」

弟「へえ、相手の男ってどんなやつ?」

兄「知らない・・・メールで別れてくれって言われただけだから」

弟「そうなんだ、兄貴ならすぐに新しい彼女出来るって!元気だせよ!」

兄「あぁ・・・」

電話prrr...
弟「ごめん電話来た もしもし幼馴染さん? 今?大丈夫だよ デート?いいよ行こうか うん じゃあ今から迎えにいくね」

兄「」

弟「ごめん兄貴、愚痴聞いてあげたいけどデートの予定入っちゃった 今日帰らないと思うから夕飯いらないわ」ノシ







兄「俺は今日より復讐の鬼と化す・・・」

引用元: 兄「幼馴染に振られた…」 



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 01:35:28.64 ID:lmZsljBJO
妹「計画は順調みたいね」

友「はい、御主人様」

妹「兄さんが女に不満があると愚痴ってたと言う嘘を私が漏らし……」

友「自分が弟君に幼馴染が兄君に飽きていると言う嘘情報を流す」

妹「ふふ……容易い害虫だったわね」

友「では次のフェイズに移りましょうか、御主人様」

妹「ええ。私の両親とあの害虫の両親に二人の所業について相談し、兄が深く傷付いている事を話しましょう」

友「先ずは近親者の信用を奪う。流石です、御主人様」
 

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 02:36:34.25 ID:lmZsljBJO
―翌日―

父「弟、話がある」

弟「ん?」

父「幼馴染さんの事、本当なのか」

弟「げ……」

父「……そうか、分かった」スタスタ

弟「な、何だったんだ……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 02:46:15.20 ID:lmZsljBJO
父「どうやら妹の話は本当の様だ」

母「そう……辛いわね、兄……」

父「どこで育て方を間違ったんだろうな、私は……」

母「貴方だけの責任じゃ無いわ! 私がもっとしっかりしてたら……!」グスッ

父「弟の進路、少し考えるべきか……」

妹「お、お父さん……」オズオズ

父「……き、聞いていたのか、妹」

妹「うん……」

妹「あのね、私……弟の事怖い……」

妹「あんなに仲良かった二人を平気な顔して引き裂いて、さらに兄さんの前でデートの約束する奴なんか……嫌……」

父「……そうか。そうだな、妹は兄と幼馴染さんの事を祝福してたもんな……」

妹「うん……」グスッ

妹(ふふっ……)

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 02:55:43.36 ID:lmZsljBJO
母「貴方……」

父「……うん。弟は全寮制の高校へ進学させよう」

母「そうね。ご近所の目もあるし、その方が良いかもしれないわ」

父「ああ。近い内に弟の担任と相談しようか」

妹(うふふ……これで一匹目……)

母「妹ちゃん、暫くの間兄をお願いね」

父「失恋、それも手酷い仕打ちを受けたんだ。色々とフォローしてやってくれ」

妹「うん。分かったよ、お父さん、お母さん」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 03:02:58.22 ID:lmZsljBJO
―――
――


コンコン

妹「兄さん、入るよ」ガチャ

兄「……」

妹「……兄さん、布団から出よう?」

兄「……」

妹「兄さん……」

兄「で……出てって、くれないか……」

妹(声が震えてる。ずっと泣いてたのね……)ニヤリ

妹「兄さんが布団から出てくれるなら出てくよ」

兄「……見られたく無いんだよ、こんな顔……」

ゴソゴソ

兄「え?」

妹「見ないよ。見えないよ、布団の中暗いもん」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 03:10:48.62 ID:lmZsljBJO
兄「お、お前……っ」

妹「兄さんっ」ギュウッ

兄「な!?」

妹「辛いなら辛いって言いなよ。苦しいなら苦しいって言って良いんだよ?」

妹「言っても誰も兄さんを責めない。私が責めさせないから」ギュッ

兄「……」

妹「泣いても馬鹿にしないよ。兄さんの気持ち、私も痛い程分かるから」

兄「お、お前に俺の気持ちが分かって……」

妹「わかるよ」

妹「だって、私も大切な……大好きな人を奪われた事あるんだから……」

兄「え……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 03:19:27.13 ID:lmZsljBJO
―――
――


妹「復讐?」

兄「ああ。今にしてみれば、馬鹿な事考えたなって思うよ」

妹「……うん。やろう」

兄「は?」

妹「やろうよ、復讐」

兄「簡単に言うけどな、色々リスクがあるんだぞ? 自棄になってる時ならともかく……」

妹「ならリスクの無い復讐をしよ?」

兄「そんな都合の良い話ある訳無いだろ」

妹「あるよ」

兄「はは、まさか」

妹「兄さんは悔しく無いの? 本当に何もしないで良いと思ってる?」

兄「……分かった。詳しく聞かせてくれないか?」

妹「うん。あのね……」ゴニョゴニョ

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 03:33:18.17 ID:lmZsljBJO
―深夜・妹私室―

妹「首尾はどう?」

友『順調です。兄の学校、弟の学校に例の噂を流しておきました』

妹「足が着く様なヘマはして無いでしょうね」

友『御安心を。情報源が特定出来ない様、細心の注意を払ってあります』

妹「ふうん……」

妹「そうだわ。ねえ友、噂を一つ付け足してくれない?」

友『はい。なんなりと』

妹「そうね……あの害虫が弟にxxxされて●●られた事にして」

友『仰せのままに』

妹「ふふ……頼んだわよ、友」ピッ

妹「これで下衆の鬼畜と糞xxxの出来上がりね……」クスクス

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 03:55:33.43 ID:lmZsljBJO
―翌日・通学路―

友「おはよ、兄」

兄「ん、ああ、おはよう……」

友「暗いなぁ、何時もの兄らしく無いじゃん」

兄「まあ……な」

友「あ、あのさ、元気無いのって、別れたのが原因……?」

兄「……どうして、それを……?」

友「これ……」スッ

兄「スマホがどした?」

友「スマホじゃなくてこっち、Twitter!」

『幼馴染が彼氏の弟に乗り換えたんだってよwwwマジxxxwwwwww』

兄「!?」

友「クラスの友達から来たんだ。もう結構拡散してるみたい」

兄「マジかよ……」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:05:48.72 ID:lmZsljBJO
友「大丈夫……な訳無いよな。ごめん、こんなの見せて」

兄「い、いや……大丈夫だよ。俺が悪かったんだ、繋ぎ止められなかった俺が、さ……」

DQN「オッス」

兄「あ、オッスDQN」

DQN「ほれ」ポイッ

兄「ん」パシッ

DQN「やるよ」

兄「は?」

DQN「あ? 俺の紅茶花伝が飲めねぇってか?」

兄「くれるのか?」

DQN「おう……まあ、なんだ。元気出せや」

兄「……ありがとな」

友(よし。予定通り直情型のDQNを味方に出来たみたいだ)

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:14:39.40 ID:lmZsljBJO
―弟の学校―

ガヤガヤ……

弟「おーっす、おはよう」ガララッ

ビクッ

弟「ん?」

ヒソヒソ……

「……お前、よく学校に来れたな」

弟「はぁ? なんだそれ」

「話掛けんなよ、お前の彼女までxxxされるぞ」

「うわ、マジか」

「さいてー、こっち見てる」ヒソヒソ

「だめだって、目を合わせたら●されるよ!」ヒソヒソ

「未成年は捕まっても罪が軽いからやり放題って言ってたらしいよ」ヒソヒソ

「こわっ! どうしよう、今日掃除当番一緒だよう……」グスグス

弟「なんだよ、これ……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:29:32.36 ID:lmZsljBJO
―――
――


兄(教室着いてそうそう、色んな奴に慰められてしまった……)

兄(幼馴染は別のクラスだから様子を伺えないけど、噂が広まってるなら大変な思いしてそうだな)

兄「はあ。もう昼か……」

兄(何時もなら、あいつの作った弁当食ってるんだよな……)

兄「あ」

友「どうしたの?」

兄「昼、どうしよう……」

友「弁当は持って来てない……よね」

兄「はは……」

兄(幼馴染のクリスマスプレゼントに結構奮発したから金無いし、マジでどうしよう)

友「少しで良いなら貸そうか?」

兄「悪い、頼む」

友「おけー。じゃ、購買行こう」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:35:04.96 ID:lmZsljBJO
友「あ……」

兄「どうした?」

友「向こうから行かない?」

兄「何で?」

友「何でって……」

ガヤガヤ

「ねえ、彼氏捨ててxxxして来た奴と付き合ってるマジ?www」

「よっぽど良かったん? そいつの●●●wwwwwwwww」

幼馴染「……」

兄「……」

友「あっちゃー」

友(よし、誘導成功だ)

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:50:27.72 ID:lmZsljBJO
妹『復讐の第一段階です』

妹『兄さんは徹底的に被害者を演じて下さい。そして幼馴染さんが困っていたら、助け船を出して良い人を演出するんです』

兄「……」スタスタ

友「兄?」

兄「止せって、困ってるだろ?」

「ぎゃははははははっ、●●られた彼氏君じゃんwwwwww」

「なに、まだ未練あんの?www」

兄「はは……」

幼馴染「なによ……あんたも笑いに来たの?」

兄「笑わないよ」

「……」

兄「俺と別れて弟と付き合ってるのは事実だけど、単に俺が繋ぎ止める努力しなかっただけなんだ」

兄「だからさ、あんまこいつを困らせないでくれないかな。元カレとしては気分良くないから」

「お、おう……」

「なんかごめんな、はしゃぎ過ぎたわ」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 04:57:23.98 ID:lmZsljBJO
兄「さ、行こうぜ」

友「う、うん」

幼馴染「あ、兄!」

兄「ん?」

幼馴染「ごめん……」

兄(何がごめんだよ、胸糞悪ぃ……)

兄「……ああ。ま、気にすんな」

幼馴染「……うん」

「……なんで彼氏乗り換えたんだ、あいつ」ヒソヒソ

「懐深過ぎワロタwww」ヒソヒソ

「やっぱり●●●には勝てなかったんじゃね?」ヒソヒソ

「友きゅんハァハァ」ヒソヒソ

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 05:20:23.16 ID:lmZsljBJO
友「幼馴染さん、大変そうだね……」

兄(自分で蒔いた種だろ……)

兄「そうだな」

友(この一部始終をDQNに伝えれば幼馴染さん虐めの抑止力に使えそうだね)

友(友情ごっこが好きな直情型には適任だろう)

友(『簡単には楽にしない。真綿で首を絞めるようにジワジワと苦しめる』ですよね、御主人様……)

兄「どうした、ぼおっとして」

友「ん? あはは、何でもないよ」

兄「それより急ごうぜ、食いたいパンが無くなっちまう」

友「うん、そうだね」ニコッ

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 05:31:41.27 ID:lmZsljBJO
DQN「おう、お前らもパンか」

兄「まあな」

DQN「オムソバならもう無ぇぞ」

兄「出遅れたかー」

友「あ、ウインナーロール残ってる。ボクはこれにしようっと」

兄「俺は……お、玉子サンド残ってる!」

DQN「……」

友「すいません、玉子サンドとウインナーロール下さい」

「まいどー」

友「はい。貸しだからね?」

兄「ありがとな」

友「そうだ、せっかくだからDQN君も一緒に食べようよ」

DQN「……」

兄「DQN?」

DQN「あ、ああ? 良いぜ、テラス行って食おうぜwwwwww」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 05:39:41.92 ID:lmZsljBJO
―テラス―

友「んーっ、日差しが暖かくて気持ちー」ノビー

兄「暖房も効いてるから眠くなるわぁ」

DQN「この時間は丁度日が入るからなwww昼寝には最適だぞwwww」

友「昼寝はご飯食べてからだね……ふぁ……」

兄「だな。早く食おう」

DQN「おうwwww」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 05:50:10.24 ID:lmZsljBJO
友「ウインナーロールおいしい」モグモグ

カダイヤッタ? トモキュンガウインナーヲ!? キノウテレビデサー ヘー オレモモグモグサレテェ

兄「なんかガヤに紛れて変な話が聞こえた気がする」モグモグ

友「気のせいだよ」

兄「そうだな」

DQN「……」

兄「食わないのか?」

DQN「あ、いや、食うに決まってんだろ」

友「……」

友(兄の事、気にしてるみたいだね。さっきの事を話すチャンスかな)

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 05:57:08.16 ID:lmZsljBJO
DQN「……お前、すげえわ」

兄「は? どうしたんだよ、突然」

DQN「俺、彼女居るんだけどよ、同じ事されたらすっげー荒れてると思うんだわ」

友(そう来たか)

DQN「なのに何も無かったみたいに出来んだもんな。すげぇよ、ホント」

兄「……ただの振りだよ」

DQN「あ?」

兄「何でも無い振り。ただ格好付けてるだけなんだ、俺は……」

兄「キツく無い訳……無いじゃん……ッ」

DQN「わ、わりぃ……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:09:47.85 ID:lmZsljBJO
兄「俺の方こそごめん。何か、駄目だな、俺……」ハハハ

DQN「んな事ねぇよ」

兄「はは……ありがとな、気使ってくれて」

DQN「気にすんなって」

友「あ、あのさ」クイクイ

DQN「ん?」

友「さっきね、実は……」ヒソヒソ

DQN「……!?」

兄「何二人でこそこそ話してんだよ、寂しいだろ!」

DQN×トモ ソウイウノモアルノカ! オトコドウシデフケツー

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:18:40.80 ID:lmZsljBJO
DQN「兄」

兄「な、なんだ」

DQN「何かあったら俺を頼れよ」

兄「お、おう」

兄「友、何吹き込んだんだよ」ヒソヒソ

友「秘密ー」

DQN「しっかしパンだけじゃ足んねぇな、帰りにラーメン食っていかね?」

兄「あ、わりぃ、今金欠なんだわ」

DQN「しゃーねーな、奢ってやんよwww」

友「よっぽど連れて行きたいみたいだね」

DQN「おう! 行き付けの旨い店があんだわwww三人で行こうぜwwwww」

兄「奢りと聞いたら行くしか無いな」

DQN「おっし、味噌な。味噌がクソ旨いんだ、あの店www」

友「はは……」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:31:50.80 ID:lmZsljBJO
―――
――


妹『そちらはどう?』

友「はい。問題ありません、御主人様」

妹『そう。こっちは弟が生徒指導の教師に呼び出しを受けていたわ。噂もかなり浸透しているようね』

妹『にしても、可哀想な兄の妹を演じるのは中々愉快ね』

妹『同情されたり、声を掛ける機会だとばかりに言い寄られたり……』

妹『ほんと……退屈しないわ……』

友「も、申し訳ありません!」

妹『ふふ……』

友「幼馴染さんの件に丁度良い緩衝材を手に入れました。ですから……ッ」

妹『そう……なら暫く煩わしい思いをするのは我慢しましょうか』

友「は、はっ。ありがとうございます、御主人様!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:42:33.25 ID:lmZsljBJO
妹『良い知らせを待ってるわ、またね、友ちゃん……』クスッ

友「は、はいっ」ゾクッ

プツッ

友「……良かった、機嫌を治していただけて…………」ホッ

友「頑張らなきゃ……見捨てられないように……」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:51:30.54 ID:lmZsljBJO
―――
――


兄「ただいま……」

妹「おかえりー」トタトタ

兄「おう、ただいま」

妹「あれ、兄さんニンニクの匂いする……」

兄「あー、友達とラーメン食って来たからさ」

妹「ラーメン!? いいなぁ……」

兄「今度連れてくよ。すげぇ旨かったんだ」

妹「ほんとに?」

兄「ああ、妹には慰めて貰ったからな」

妹「えへへ……」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 06:57:52.29 ID:lmZsljBJO
兄「あれ、そういや靴あったけど父さんもう帰って来てるのか?」

妹「あ、うん……」

兄「……何かあったのか?」

妹「えっと……」

兄「あったんだな、何か」

妹「弟が生徒指導の先生に呼ばれて、それで、お母さんが呼ばれたみたいで……」

兄「保護者呼び出しって、何やったんだよ、あいつ!」

妹「……幼馴染さんの事で呼ばれたみたい」

兄「!?」

妹「噂……広まってて、それで……」

兄「そっちでもかよ……」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 07:12:35.22 ID:lmZsljBJO
―リビング―

父「それで、噂はどこまで本当なんだ」

弟「……」

父「黙っていたら分からないだろう」

弟「……」

父「何とか言ったらどうだ」

弟「れ……xxxなんか……してない……」

父「当たり前だ!」バンッ

弟「ひっ」ビクッ

父「……私は少々お前を甘やかし過ぎたのかもしれないな」

父「母さんから聞いたぞ。学校だけでは無く、既に近所でも噂になっている」

父「もしかしたら、もうこの街には住め無くなるかもしれない。事実では無くても、●犯罪を犯したという噂は思う以上に世間体が悪いんだぞ」

父「お前は、それだけの事になる様な噂を生む原因を作ったんだ」

弟「……取られる兄貴が悪いんじゃん」ボソッ

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 07:23:45.60 ID:lmZsljBJO
父「……」ギリッ

弟「な、なんだよ……」

父「そうか」スッ

弟「……」

父「……歯を食いしばれ」シュッ

弟「!?」

ゴスッ!!

弟「うぶッ」ガクッ

弟「ぶっ……お、おげぇ…………」ベチャベチャッ

父「言って良い事、悪い事。やって良い事、悪い事の分別も付かない奴だとは思わなかったぞ」

父「情けない……」

父「まったく、情けないな、私は…………」

母「貴方……」

父「後始末は自分でやれ。この事も、彼女の事もだ」

弟「げほっ……く、クソッ……」ガクガク

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 07:31:46.18 ID:lmZsljBJO
ガチャ

兄「あ……」

父「帰ってたのか」

兄「うん……」

父「兄、少し良いか?」

兄「……ああ」

父「車を出す。着替えて来なさい」

兄「分かった」

妹「兄さん……」

父「はは……妹、別に父さんは兄にお説教をする積もりは無いよ」

妹「ほんとに?」

父「父さんがお前達に嘘を付いたりすると思うかい?」

妹「……ううん」

父「安心して待ってなさい。兄、車で待っているからなるべく早く着替えてくれ」

兄「ああ、分かったよ」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 07:42:05.60 ID:lmZsljBJO
―車内―

兄「……どこ行くんだ?」

父「私がたまに顔を出す店だ。少し遠いが、たまには親子水入らずのドライブも悪く無いだろう」

兄「そう……かもな」

父「はは。不満か」

兄「……」

父「……兄、私は曲がりなりにも弟の親だ。噂が真実だとは思いたくない」

父「だがな、噂が出るという事は、それに準じた事がある物なのだ」

父「吹っ切れとは言わん。忘れろとも言わない」

父「だが、折り合いは付けろ。家族である以上、縁を断ち切るのは簡単な事じゃない」

兄「……分かってる。分かってる積もりだよ、父さん」

父「……そうか」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 07:52:34.18 ID:lmZsljBJO
―――
――


妹「さて、そろそろあのクズの怒りの矛先が兄さんに向かう頃かな」

妹「先に兄さんの部屋に入って内鍵締めて置かないと。きっとあのクズ八つ当たりで兄さんの部屋を荒らすわ」

妹「そうだ、罵声を録音する為に携帯も必要ね」

妹「ふふ……ふふふ…………」

妹「今の貴方に味方なんて居ないって、思い知らせてあげる……」クスクスクス

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 08:03:19.12 ID:lmZsljBJO
ドタドタドタッ

妹「来たわね。寒いけど窓開けないと」ガラッ

ガチャッ ガチャガチャッ

ドンドンッ ドンドンドンッ

「――――! ――! ――――!!」ギャーギャー

妹「ほんと耳障りな声……」

妹「うふふ……聞こえる、お隣さん……?」

妹「貴方が兄さんを捨てて愛した男は、こんな罵詈雑言を大声で吐く様な奴よ」クスッ

妹「私から兄さんを奪った罪、まだまだ償ってね……」ニヤリ

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 08:19:02.26 ID:lmZsljBJO
―深夜―

父「すまんな、随分と遅くなってしまって」

兄「いいよ、お蔭で随分気が楽になったから。それにノンアルコールカクテルも美味しかったし」

父「今度は大人になって酒に逃げたくなったら行くと良い」

兄「ん……そうする」

父「遅くまで付き合わせて言うのも何だが、早く寝るんだぞ」

兄「はは。分かってるよ、父さん」

兄「……愚直、聞いてくれてありがとな」

81: みす。愚直じゃなくて、愚痴です 2012/12/31(月) 08:25:06.33 ID:lmZsljBJO
ガチャ

兄「あれ、部屋に鍵掛かってる」

「兄さんですか?」

兄「妹か?」

「はい。今開けますね」

カチャ

妹「おかえりなさい、兄さん」

兄「ただいま。でも、どうして俺の部屋に?」

妹「ごめんなさい。弟が兄さんに八つ当たりすると思って、内鍵締める為に中に入ってたの」

兄「ああ、なるほど」

妹「兄さんっ」ギュッ

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 08:36:15.94 ID:lmZsljBJO
兄「き、急にどうした!?」

妹「弟、兄さんの部屋に入ろうとして、大声で怒鳴って、ドンドンってドア叩いて……ッ」

妹「壊れるんじゃないかってくらい、ドア叩いて……すごく……怖かったよぉ……」ギューッ

兄「妹……」ギュッ

兄「ありがとう。そんな怖い思いしてまで部屋を守ってくれて」

妹「うん……」

兄「俺、兄ちゃんなのに妹に慰めて貰ったり、助けられてばかりだ」

妹「……私が好きでやってるんだから、気にしないで」

兄「気にするよ。何時かちゃんとお礼しないとな」

妹「お礼? だったら、えと……今夜、一緒に寝て貰って……欲しいな」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 08:48:52.25 ID:lmZsljBJO
兄「い、一緒にって!?」

妹「まだね、怖いの残ってるんだ。ほら……」ピトッ

兄「な!?」

妹「ね? すごいドキドキしてるでしょ?」

兄「柔らかい……じゃなくて! いきなり、む、む、胸触らせるなんて何考えてんだ!」

妹「?」

兄「あの、だからね」

妹「兄さんは私胸触るの嫌?」

兄「そ、そういう問題じゃなくてだな……」

妹「兄さんは実の妹に   な気分になんてならないよね?」ニコッ

兄「あ、当たり前だろ!」

妹「……ならもっと触っても、一緒に寝ても良いよね、兄さん」クスッ

兄「あ、ああ。そうだな……って、あれ?」

192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 20:52:21.77 ID:lmZsljBJO
妹「兄さん……」フニュ

兄(あ、当たってるって!)

妹「兄さんは怖い思いをした妹を一人にする様な人じゃないよね?」スリスリ

兄(ふともも……って、何考えてんだッ)

兄(親身になって俺を慰めて、こんなに尽くしてくれてる妹に対し俺って奴は……!)

妹「兄さん?」

兄「……今日だけだぞ」

妹「うん。ありがと、兄さん」ニコニコ

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:09:39.43 ID:lmZsljBJO
ギシッ

兄「やっぱり二人だと狭いな」

妹「でもくっついていられるよ? 私は……嬉しい、な……」ギュッ

妹(ふふ……兄さんの匂いしかしないベッド……まだあの害虫に汚されてないベッド……)

兄「どうしたんだよ、ニヤニヤして」

妹「えへへー。兄さんと一緒だから嬉しくって」ニコニコ

兄「っ、そ、そっか」ドキッ

妹「好きな人と一緒に眠れるって、良いね。すごく暖かい……」

兄「そうだな。暖かいな……」ギュッ

妹「兄さん?」

兄「一人は……寒いよな。寂しいよな……」

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:19:26.99 ID:lmZsljBJO
妹「兄さん、私は兄さんを一人にしないよ」

妹「兄さんが寒くならない様、ずっと側にいてあげるからね……」ギュッ

兄「……ああ。ありがとう、妹」ギュウッ

妹「お礼なんか要らないよ。だって私達家族じゃない」

妹「生まれてから死ぬまでずっと家族なんだよ。ずっと、側に居られるんだよ」

妹(だから私達の間に割って入る害虫は許さない)

兄「……」

妹「私の温もりは兄さんだけの物だから」

兄「ん……」

妹「安心して眠ってね、兄さん……」

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:30:01.59 ID:lmZsljBJO
―――
――


妹「もう少し薄手の寝間着にしとけば良かったかな。兄さんの理性は手強いわね……」

妹(クリスマスにプレゼントを渡すまで、あの害虫を抱こうとしなかっただけの事はあるわね)

妹(もっともクリスマス前に弟に貫かれてたのにね。可哀想な兄さん……)

妹(知らずに済んで良かったよ。知っても兄さんは優しいから、気付かない振りをしたかもしれないし)

妹(兄さんに群がって心をかじる害虫は私が全部潰してあげる)

妹(私が守ってあげるからね)

妹「愛してるわ、兄さん……」チュッ

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 21:50:52.22 ID:lmZsljBJO
―深夜―

友『――――以上が日中にあった出来事です』

妹「……そう」

友『DQNは上手く誘導すれば幼馴染を孤立させつつ過度の虐めを防ぐのに利用出来るかと』

妹「そうね。そちらについてはクラスメイトである貴方に一任するわ」

友『はい』

妹「それと……」

友『なんでしょうか』

妹「兄さんが幼馴染を多くの人が見てる前で庇ったのなら、噂の軌道修正をする時かもしれないわね」

友『軌道修正……?』

妹「ええ。可哀想な人から、優しく寛大な人への軌道修正よ」

妹「兄さんの評価を上げる事で相対的に害虫共の評価を下げにいきましょう」

友『分かりました。お任せ下さい、御主人様』

妹「ええ、期待してるわ」ピッ

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 22:13:40.10 ID:lmZsljBJO
―翌日―

父「弟はまだ起きないのか」

母「ええ。返事はするのだけど、学校には行きたくないの一点張りで」

妹(うふふ……)

父「……情けないな。自業自得だと言うのに」

妹(自分の尻すら拭えないガキが過ぎた事をやとたのだから当然よ)

母「貴方、それは言い過ぎじゃ……」

父「……分かっている」

兄「おはよう」

妹「おはようございます、兄さん」

父「ああ、おはよう」

母「おはよう。コーヒーで良い?」

妹「あ、私がやる!」

母「あら、ありがとう妹ちゃん」

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 22:26:16.34 ID:lmZsljBJO
父「では行って来る」

母「はい。行ってらっしゃい」

父「……何かあったら直ぐ連絡してくれ」

母「分かってますよ、貴方」

父「そうか」

妹「兄さん、私達もそろそろ行かないと」

兄「そうだな。ご馳走さま、母さん」

母「はい、お粗末様」

妹「兄さん、私お弁当作ったから持って行って!」

兄「お前が作ったのか?」

妹「う、うん。えへへ……」

母「早起きして作ったのよね。ちゃんと私が手伝ったから安心して良いわよ」

妹「お、お母さん!」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 22:39:20.35 ID:lmZsljBJO
―通学路―

妹「さ、兄さん。復讐の第二段階だよ」

兄「ああ。次は何をやるんだ?」

妹「勉強だよ」

兄「勉強? それだけか?」

妹「うん。とにかく勉強して成績上げて、品行方正に過ごすだけ」

兄「……それが復讐になるのか?」

妹「なるよ。たぶん、一番効果的な復讐だと思う」

兄「効果的、ね……」

妹「あ、信じて無いでしょ!」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 22:49:38.87 ID:lmZsljBJO
妹「はっきり言ってね、弟は頭悪いんだ」

妹「でも、オラオラ系? とはちょっと違うけど女の子受けは良いんだよね」

兄「そうなんだ」

妹「うん。ただね、そういうのって賞味期限が短いんだ」

兄「なんで?」

妹「付加価値が無いから」

兄「付加価値?」

妹「女の子って口にはしないけど、私はこんな素敵な人と付き合ってますよーって自慢しがるの」

妹「だから幾ら顔が良くても、中身が無いと長続きしないんだって」

兄「そこで付加価値……成績か」

妹「そう! 兄さんは優しいし、妹の私から見てもカッコいいよ」

妹「その兄さんが将来性を持てば……ね?」ニコッ

232: 誤字脱字多くてごめんね 2012/12/31(月) 23:06:10.97 ID:lmZsljBJO
妹(優しく寛大……そして将来性。それを棒に振った事を生涯悔やんでね、害虫さん……)クスクス

妹(貴女がそんな兄を捨てて選んだ弟は、もう引き籠りの穀潰しになる寸前よ……)

兄「またニヤニヤして」

妹「あ、うん。兄さんと一緒に通学出来るのが嬉しくて」

兄「そういや久し振りだな、一緒に出るの」

妹「うん。私、ほら、、遠慮してたから」

兄「……そっか。ずっと気を使ってくれてたんだな、妹」

妹「でも、もう遠慮しないからね!」ニコッ

兄「お、おう。お手柔らかに頼む」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 23:18:41.30 ID:lmZsljBJO
―学校―

DQN「ようwww」

兄「おーっす。あの店のラーメン旨かったな、また行こうぜ」

DQN「だろ?ww次は別の店連れてってやんよwwww」

兄「マジで!? 期待して良い?」

DQN「任せとけってwwwwww」

友(単純な人だなぁ)

兄「おはよ、友」

友「おはよう兄、DQN君」

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 23:24:55.22 ID:lmZsljBJO
兄「あ……」

幼馴染「……」

兄「お、おはよう」

幼馴染「……うん。おはよう」トボトボ

兄「あ……」

友「……行っちゃったね」

DQN「チッ……」

兄「……はぁ」

DQN「よく声掛けられるな、お前」

兄「はは……」

友「無理しないでよ?」

兄「ん、分かってる」

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 23:37:35.44 ID:lmZsljBJO
兄(未練が無い訳じゃ無い)

兄(執着してるからこそ、復讐なんて考えたんだから)

兄(でも、未練が、執着があるのは確かなのに、よりを戻したいとは思えないのは……)

兄(妹の慰めや励ましで気持ちを切り換える事が出来たからなんだろうな)

友「どうしたの?」

兄「んー? 俺も気持ち切り換えなきゃ駄目だなって思ってさ」

友「……うん、そうかもね」

DQN「キメ顔で何カッコいい事言ってんだよwww」

兄「はははっ」

友「ふふっ」クスクス

友(……)

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/31(月) 23:50:44.12 ID:lmZsljBJO
―学校―

友(広めるまでもなく兄君が幼馴染さんを庇った事は、ある程度広まってるみたいだね)

友(懐が深いと言う意見と女々しいと言う意見に分かれて、幼馴染さんを攻撃する気配は一先ず和らいでるみたいだ)

友(かと言って兄君を攻撃するには、DQN君が近くに居るからやりにくい)

友(なかなか絶妙な距離感だね……)

友「さて、と。兄、お昼どうする?」

兄「あー、今日は弁当持って来たからなー」

友「そうなんだ」

兄「とりあえずテラスで飯食ったら図書室で自習でもするよ」

友「自習? 珍しね」

兄「はは。失恋の痛みを忘れるのに勉強に逃げる事にしただけだって」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 00:19:07.10 ID:qQjHFolfO
兄「そうだ、弁当食うなら飲み物買わないと」ゴソゴソ

兄「……!」

友「どうしたの?」

兄「……」スッ

友「指輪?」

兄「忘れてたよ、これ……」

友「もしかして、それ」

兄「これをプレゼントする為に必死になってバイトして稼いだんだよな」

兄「そのせいで会う機会が減ってさ……はは、馬鹿みたいだ、俺……」

兄「バイトの事……秘密にしないで、ちゃんと言ってれば……」

友「兄……」

DQN「……おい」

兄「あ、DQN」

DQN「その話、本当なのか」

兄「…………ああ」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 00:24:22.58 ID:qQjHFolfO
DQN「そっか」スタスタ

兄「……」

友(これは、どうした物かな)

友(彼の事だから幼馴染さんにこの事を言うよね)

友(止めるべき……かな。いや、御主人に報告して指示を仰ごう)

友「兄、ジュースはボクが買ってくるよ」

兄「……わりぃ」

友「図書室で待っててね」

兄「ん、分かった……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 00:35:02.07 ID:qQjHFolfO
―――
――


妹『ふうん……』

友「ご指示を」

妹『予定より少し速いけど流れに任せましょう』

友「宜しいのですか?」

妹『兄の本心を知り自らの行いに絶望する。これは予定通りよ』

妹『ただ、少しタイミングが早いから傷が浅いのは残念だけど』

妹『……でも、ここで一度淡い希望を見せるのも悪く無いわ』

妹『寛大な兄を演じている兄さんにすがる姿が目に浮かぶわね……』クスクス

友「了解致しました」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 00:46:32.53 ID:qQjHFolfO
―廊下―

DQN「ちょっと幼馴染呼んでくんね?」

「え……うん」

チョットイイ? ウ、ウン ナニ、マタベツノオトコ? クスクス ヤメナヨー クスクス

幼馴染「な、なに……?」

DQN「話あっからちょっと来てくんない?」

幼馴染「は、話ならここでも……」

DQN「ここで言っても良い訳?」

幼馴染「何の話か分からないし……」

DQN「……兄がバイトしてたの知ってたか?」

幼馴染「……な、なにそれ、知らないよ、そんな事……!」

DQN「やっぱそうだよな。知ったら浮気なんかしねーか」

幼馴染「どういう事、ねえ、バイトって何!?」

14: なんか色々ごめんなさい 2013/01/01(火) 04:29:14.48 ID:qQjHFolfO
DQN「さっき聞いちまったんだよ。お前に指輪プレゼントする為にバイトしてたって」

幼馴染「な……なによ、それ……」

DQN「ダチにアクセ造ってる奴居るから分かるけど、あれ、そうとう高いぞ」

幼馴染「じ、じゃあ……休みに会えなかったりしたのは……」

DQN「バイトしてたんだろうな」

幼馴染「そんな……嘘よ……だって、あいつそんな事一言も……」

DQN「言うと思うか?」

幼馴染「……」

DQN「好きな女喜ばせたいから秘密にしてたんだろうが! あ? それを手前ぇは裏切ったんだよッ!!」

キャーコワーイ ウワァオサナナジミヒドクネ? ガヤガヤ

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 04:41:14.86 ID:qQjHFolfO
DQN「彼女だってのにあいつがバイトしてる間、よりにもよって弟の方とパコってなんて事は無えよな」

幼馴染「わ、私は……ッ」

DQN「寂しかったから、何て言うなよ?」

幼馴染「だって……弟君、優しかったから……」

DQN「チッ、寂しかったの自分だけだと思ってんの?」

幼馴染「それは……」

DQN「……もういいわ。めんどくせぇ」

幼馴染「……」

DQN「二度と俺のダチの前に現れんな。じゃあな」

幼馴染「……兄…………」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 04:50:19.41 ID:qQjHFolfO
友(思った以上に穏便に済ませたけど……)

友(まさか幼馴染さんの教室でバラすなんて、結構残酷な事するね、彼)

友(……悪くない結果だよ、DQN君)

友「さて、と」スタスタ

友「DQN君!」

DQN「お、友じゃん」

友「何か騒がしかったけど?」

DQN「あー。なんだ、その、な……」

友「?」

DQN「我慢出来なくて指輪の事、幼馴染に言っちまった」

友「うわぁ……」

DQN「しゃーねーだろ! 許せなかったんだよ、なんか……」

友「そっか」

DQN「どうせ直ぐバレるだろうけどよ、一応兄には秘密にしろよ」

友「分かってる。じゃね」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:01:24.69 ID:qQjHFolfO
友(立ち話で時間稼ぎ。少し冷静になった幼馴染さんなら……)

幼馴染「と、友君っ」

友(ほらね)

友「……何の用?」

幼馴染「あ、兄……教室に居る?」

友「キミに教えるのは嫌だな」

幼馴染「……ッ」

友「弟に乗り換えて、メールで一方的に別れを要求したんだよね?」

友「そんな奴に教える義理は無いよ」

幼馴染「それは……そうしないと、弟君が付き合ってくれないって……」

友(新情報だね)

友「どういう事?」

幼馴染「……弟君、兄に劣等感あって、それで……」

友(兄の彼女を奪って優越感に浸りたかったって事かな。全くの嘘ではなさそうだけど……)

友(気分が悪いよ。弟君に対しても、幼馴染さんに対しても)ギリッ

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:11:45.09 ID:qQjHFolfO
幼馴染「私、ちゃんと謝らたい。だから……!」

友「勝手だね、キミ」

幼馴染「だ、だって!」

友「だって?」

友「だって、なに?」

友「キミがやった事は取り返しの付かない事だって分かってる?」

友「キミと弟君がやった事で、兄がどんな気分で居るか分かってる?」

友「変な噂まで拡がって兄だけじゃなく、家庭にまで迷惑掛かってるって理解してる?」

友「キミだって親に怒られたんじゃないの? 世間体とかさ」

友「そもそも弟君と結ばれたって、兄の両親とキミの両親が祝福してくれるって思った?」

友「浅はかなんだよ。キミも弟君も」

幼馴染「だ、だって、だってぇ…………」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:21:22.91 ID:qQjHFolfO
友(多少は堪えたかな)

幼馴染「……」グスッ

友(女は分からないな。少しでも響いていれば良いんだけど)

友「……兄は図書室に居るよ。勉強するって言ってたから、多分自習室の方だと思う」

幼馴染「……図書室…………」

友「行きたければ行きなよ」

友(そして御主人様の復讐プランの通り上辺だけ許されれば良い)

幼馴染「……うん。ありがとう、友君…………」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:36:08.16 ID:qQjHFolfO
―自習室―

キィ……

兄「遅かったな、もう先に弁当食っちまったぞ、と……も…………」

幼馴染「あ、兄……」

兄(最悪だ。何しに来たんだよ……)

兄「どうした、俺に用か?」

幼馴染「兄……私……わたし……ッ」タッ

兄「おわっ」ガシッ

幼馴染「ごめんなさい、ごめんなさい……!」

兄「どうしたんだよ、急に」

幼馴染「わたし、兄がバイトしてたなんて知らなくてッ」

幼馴染「それなのに、構ってくれないから寂しいって、それで……ッ」

兄「……そうだったんだ」

兄(どっかで聞いたな、この流れ)

兄(ああ、これ浮気女のテンプレじゃん)

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:46:38.65 ID:qQjHFolfO
兄(……胸糞悪いけど、これも復讐の一環だよな)

兄「……ごめんな、寂しい思いさせて」ギュッ

幼馴染「あ……」

幼馴染「あ、兄……兄ぃッ……!」グスッ

兄「俺がちゃんと言ってれば良かったんだ。お前は悪くないよ」ナデナデ

幼馴染「兄……ぐすっ、ひっく……う、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

兄「幼馴染……」ギュッ

兄(……シャワー浴びたいな)

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 05:56:09.68 ID:qQjHFolfO
兄「…………落ち着いたか?」

幼馴染「……うん」

兄「そっか、良かった」

幼馴染「兄、私……弟君と……」

兄(別れてやり直したい)

幼馴染「別れて、兄とやり直したい……」

兄(ま、そうなるよな)

幼馴染「駄目……かな……」

兄(嫌に決まってるだろ。こんなんじゃ、どうせまた浮気するだろうし)

幼馴染「……兄」スッ

兄「……」スイッ

幼馴染「あ」

兄「お前とキスなんてしたら弟に悪いよ」

幼馴染「でも……」

兄「俺はお前と弟を応援するって決めたんだ。だから、頑張れ」ニコッ

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:06:19.43 ID:qQjHFolfO
幼馴染「そんな……」

兄「あいつ、俺より女の扱い分かってそうだしな」

幼馴染「……」

兄「きっと俺なんかより幸せにしてくれるよ」

幼馴染「で、でも!」

兄「でも?」

幼馴染「私は兄と、兄とやり直したいの!」

兄「そんな事言ったら、あいつはどうなるんだよ」

幼馴染「それは……」

兄「あいつが傷付くだろ? 傷付くのは、俺だけで良いんだ」

幼馴染「嫌!!」

兄「嫌って……弟を選んだのは幼馴染だろ?」

幼馴染「嫌、嫌なの!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:14:06.65 ID:qQjHFolfO
幼馴染「兄は昨日聞いてないの!? 夜中に弟君が大声で叫んでたんだよ?」

兄(妹が言ってたやつか)

幼馴染「死ねとか、殺すとか! ワケわかんなくなるくらい滅茶苦茶に!!」

幼馴染「壁とか叩く音も聞こえて! 凄い怖かったんだから!」

幼馴染「そんな事やる人となんて、上手くやれないよぉ……」

兄「……そんな事をする奴を選んだのは幼馴染だろ?」

幼馴染「……」

兄「昨日は父さんと出掛けてから知らないけど、あいつが暴れたってんならたしなめておくよ。だから安心しな」

幼馴染「や、やだよぉ……」

兄「……頼む。あいつまで裏切らないでくれ」

幼馴染「兄……」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:23:49.06 ID:qQjHFolfO
幼馴染「どうしても、駄目……なの……?」

兄「……この痛みは俺だけの物にしたいんだ」

兄「結構……キツいんだぜ、信じてた彼女に裏切られるのって」

幼馴染「……」

兄「何かあったら相談くらいは受けるからさ。な?」

幼馴染「……うん」

兄「じゃ、そろそろ時間だし行くわ」

幼馴染「あ……」

兄「……じゃあな」

幼馴染「……うん」

兄(……)

兄(制服、クリーニングに出してぇ……)

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:36:07.88 ID:qQjHFolfO
―教室―

友「兄、ごめん」

兄「……友が俺の居るとこ教えたのか」

友「どうしても謝りたいって言うから……」

兄「あ、いや、責めてる訳じゃ無いんだ」

友「良かった……」ホッ

兄「はは……友が教えたお蔭で、ちゃんと決別出来たよ。ありがとな」

友「そんな。お礼される事なんかしてないよ!」

兄「漸く気持ちに折り合い付けられたのは、友が幼馴染に俺の居る場所を教えてくれたからなんだ」

兄「だから、ありがとう。友」

友「……うん。どういたしまして、兄」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:51:02.98 ID:qQjHFolfO
兄「ちゃんと決別したし、これどうしようかな」ゴソゴソ

友「指輪?」

兄「ああ。高かったから捨てるのはなぁ……」

友「誰かにあげるとか」

兄「元カノに送る為に買った物をあげるって失礼じゃないか?」

友「うーん。確かに」

兄「返品利かないし、マジでどうしよ」

友(そういえばDQN君、友達にアクセサリー造ってる人が居るって言ってたな)

友「ただで手放すのも何だし、売っちゃう?」

兄「それが一番か。でも学生が質に出せるかな。結構したし……」

友「ちょっと当てがあるんだ。聞いて来るよ」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 06:58:40.21 ID:qQjHFolfO
―――
――


DQN「すげえwwwwwwあの指輪一個で4万www」

兄(だいぶ差額付いたな……)

友「顔パスで買い取ってくれるなんて凄いね」

DQN「結構世話になってるからなwww」

兄「なんにせよ助かったよ」

DQN「おう、任せとけwwwww」

兄「せっかくだから何か奢ろうか? 昨日のラーメンのお礼も兼ねて」

DQN「いいって、気にすんなよ。それに今日は彼女と約束あるからなww」

兄「そうか。じゃ、またな」

DQN「おうwwwまたなwwwww」

友「またねー」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:05:21.41 ID:qQjHFolfO
―アクセサリーショップ―

「あ、あの……」

「いらっしゃい」

「さっきの人から買い取った指輪、見せてくれますか?」

「見てたのか……内緒にして下さいよ、買い取ったの」

「はい、分かってます。それで、指輪は」

「これだよ」

「……あの、幾らですか?」

「……8……いや、7万」

「……分かりました。直ぐお金を用意するんで、誰にも売らないで下さい」

「ああ、構わないよ」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:09:06.66 ID:qQjHFolfO
―――
――


「……貯金しといて良かった」

「貰ったよ、兄……」

「少し早い、クリスマスプレゼント」

「ふふ……ふふふ…………」

「似合うかな、似合うよね。私の為に選んでくれたんだから」

幼馴染「ね、兄……」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:20:06.41 ID:qQjHFolfO
―自宅―

妹「あ、おかえりなさい兄さん!」

兄「ただいま」

妹「遅かったね」

兄「友達と遊んで来たんだ。そういや弟はどうしてる?」

妹「トイレ以外部屋から出ないみたい。暴れる事は無いけど……ちょっと気味が悪いかな」

兄「そっか」

妹「……兄さん良い事あった?」

兄「え?」

妹「なんかね、スッキリした顔してる」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:29:14.20 ID:qQjHFolfO
兄「今日さ、ちゃんと幼馴染と決別出来たんだ」

妹「ほんと?」

妹(報告通りね)

兄「ああ。妹には心配掛けたけど、もう大丈夫だよ」ナデナデ

妹「えへへ……良かったね、兄さんっ」

兄「妹のお蔭だよ。本当にありがとう」ナデナデ

妹「えへへぇ……」

妹(……優しくされて捨てられた害虫が何仕出かすか分からないから警戒が必要ね)

妹(害虫に注視する必要が出た以上、クズはもう処分した方が良いかもしれない)

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:34:55.11 ID:qQjHFolfO
妹「あ、あのね、兄さん」

兄「なんだ?」

妹「弟……怖いし、今日も冷えるから……あの、ね……?」

兄「今夜も添い寝して欲しい、か?」

妹「うんっ」

兄「そうだな……」

妹「だめ?」

兄「良いよ。寒いし仕方ないよな。風邪引いたら大変だし」

妹「やた! ありがとう、兄さん!」

妹(……ふふ、兄さんったら良い訳しちゃって。もう私に依存し始めてるのに…………)クスッ

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:50:35.90 ID:qQjHFolfO
―――
――


妹(私が直接動くのは……いえ、あの害虫と話をするのは不快だけど、あのクズを磨り潰す為に我慢しないと)

ピッ

『お話があります。明日お会い出来ますか?』

妹「送信……っと」

妹「次は」ピピピッ

Prrr…ピッ

友『御用ですか、御主人様』

妹「明日、兄の帰宅が遅れる様に適当に時間を潰して」

友『はっ。仰せのままに』

妹「良い子ね。任せたわ」ピッ

妹「さ、今夜は兄さんと眠るのだから、体を綺麗にしないと……」クスクス

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 07:51:52.86 ID:qQjHFolfO
コーヒー飲んでよかですか

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:09:08.91 ID:qQjHFolfO
―深夜―

妹「ふふ、ぐっすり眠ってる……」

妹「兄さん……大好き……」チュッ

妹「誰よりも、何よりも愛してる……」チュッ レロォ

妹「ん……ふぁっ!? が、我慢……しないと……」クチュ

妹「兄さんは私を妹として愛してくれてるんだから……」クチュクチュ

妹「こんな事したら……軽蔑されちゃうよぉ…………」ツプッ

妹「いたっ」ビクッ

妹「指でも……キツい……」

妹「兄さん……兄さん……っ」チュウウウゥッ

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:13:49.24 ID:qQjHFolfO
妹(駄目……)

妹(これ以上は駄目……)

妹(兄妹が最後の一線を越えるなんて兄さんは望まない)

妹(私は兄さんにとって理想の妹じゃなきゃいけないの)

妹(でも……でも…………)

妹「切ないよぉ……兄さん……」

妹「こんなに……こんなに好きなのにぃ……」グスッ

妹「なんで妹なの……私……」

兄(……妹、お前…………)

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:24:39.14 ID:qQjHFolfO
チュン……チュンチュン

妹「……ふぁ…………」

妹「いけないっ、今何時!?」ガタッ

兄「おはよう妹。まだ7時前だよ」

妹「兄さん!? もう起きてたの?」

兄「ああ。何か目が覚めてさ」

妹「……寝顔……見た?」

兄「涎出てたぞ」

妹「ウソ!?」ゴシゴシ

兄「嘘」

妹「…………!??!!」カアアアアァッッッ

妹「ば、ばばば、ばか! 兄さんのバカァっ!!」ボフボフ

兄「いたっ、やめっ、枕で叩くなって!」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:30:20.38 ID:qQjHFolfO
妹(迂闊だった。あんなに取り乱すなんて……)

妹「はぁ……」

兄「どうした?」

妹「兄さんに辱しめられた」

兄「な!?」

妹「もお……お嫁に行けない……」シクシク

妹(行く積もりなんか無いけど)

兄「妹……」

妹「ううーっ」

兄「仕方ないな。行き遅れたら、俺が養ってやるよ」ナデナデ

妹「……え?」

妹(ええーーーーっ!?)

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:38:10.07 ID:qQjHFolfO
妹「に、兄さん……?」

兄「なんだ?」ナデナデ

妹「冗談……だよね?」

兄「……結構本気」

妹「私も……本気にしちゃうよ? 良いの……?」

兄「ああ。本気にしてくれ」ナデナデ

妹「……」ズキッ

妹(どうしよう……幸せなのに、胸が痛いよ……)

妹(兄さん……私、苦しいよ…………)

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 08:57:36.51 ID:qQjHFolfO
妹「兄さん……」ギュッ

兄「妹……?」

妹「どうして、急にそんな事を言うの?」

兄「……どうしてだろうな」

妹「……」

兄「大切な家族だから……かな」

兄「俺を大切にしてくれた妹を、俺も大切にしたいんだよ。きっと」

妹「……」ズキンッ

妹「なら……証をください、兄さん」

妹「言葉だけじゃ……いやだから……」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:04:11.30 ID:qQjHFolfO
兄「証か……」

妹(駄目……)

兄「妹、目を閉じてくれるか?」

妹「う、うん」

妹(駄目だよ、兄さん……)

兄「……」ゴクッ

妹(兄さんは普通でいてくれなきゃ、駄目だよ……)

兄「……ん」チュッ

妹「んむ……っ」チュルッ

妹(私からするのと全然違う……)

妹(すごい……甘い……)

妹(甘くて……痛い………)

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:12:56.22 ID:qQjHFolfO
兄「これじゃ証にならないかな」

妹「……ううん。兄さんが私を大切にしたいって気持ち、ちゃんと伝わったよ」

兄「……そっか」

妹「ごめんね」

兄「何が?」

妹「妹で……ごめんね……」グスッ

兄「……お前が悪い訳じゃ無いよ」

妹「……うん」

妹(ごめんなさい、兄さん……)

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:17:27.60 ID:qQjHFolfO
―――
――


妹「兄さん、忘れ物ない?」

兄「弁当もハンカチもちゃんと持ったぞ」

妹「ディッシュは?」

兄「あるよ」

妹「ふふ。じゃ、行こっか?」

兄「ああ。それじゃ行って来ます」

妹「行って来まーす」

母「はい、行ってらっしゃい」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:24:18.29 ID:qQjHFolfO
―通学路―

兄「今日も弟の奴出て来なかったな」

妹「仕方ないよ。関係ない私だって行くの嫌だもん」

兄「苛められてないか?」

妹「大丈夫。どっちかって言うと同情されてるから」

兄「そっか、良かった……」ホッ

妹「ふふっ、なんか兄さん過保護」

兄「そ、そうか?」

妹「うんっ。すっごい過保護だよー」クスクス

「兄、おはよう」

妹「!?」ゾクッ

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:30:28.55 ID:qQjHFolfO
兄「……幼馴染」

幼馴染「おはよう、兄」ニコニコ

兄「あ、ああ。おはよう」

幼馴染「妹さんもおはよう」

妹「……おはようございます」

幼馴染「仲……良いんだね」

兄「……まあな」

妹「何の用ですか。弟なら居ませんよ」

幼馴染「挨拶しただけだよ。じゃあね」

兄「あ、ああ。じゃあな……」

幼馴染「あ、そうだ兄」

兄「なんだ?」

幼馴染「これ、似合うかな?」スッ

兄「!?」

幼馴染「うふふ……それじゃ学校でね? バイバイ……」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:40:02.62 ID:qQjHFolfO
妹(雰囲気がまるで違う)

妹(声がおかしい)

妹(目の焦点が怪しい)

妹(厄介な事になったわ……)

兄「なんで……」

妹「!?」

妹「兄さん……?」

兄「な、何でアイツがあの指輪着けてんだよ……」ブツブツ

妹「兄さん!」

兄「え? あ、どうした妹?」

妹「どうしたの? ブツブツ言って」

兄「なんでも無い、大丈夫だよ、妹」

妹「……信じるよ?」

兄「ああ。なんでも無い。なんでも無いから……」

妹(面倒な事になりそうね……)

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:50:26.31 ID:qQjHFolfO
―学校―

友「おはよー」

兄「あ、ああ。おはよう」

友「……何かあった?」

兄「分かるか、やっぱり」

友「何年友達やってると思ってるのさ」

兄「そうだな」

友「それで、何かあったの?」

兄「……指輪」

友「指輪?」

兄「売った筈の指輪を幼馴染が着けてた……」

友「ウソ!? 見間違いとかじゃなくて?」

兄「あの指輪オーダーメイドなんだよ。偶然似たデザインを着けてたなんて考え難い」

兄「それに、わざわざ俺に指輪を見せて『似合う?』って聞いて来たんだ……」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 09:56:09.30 ID:qQjHFolfO
友(まさか昨日ボク達を着けてた……?)

友(そうとしか考えられないよね)

友(でも、何でわざわざ指輪を……)

兄「……気味が悪いな」

友「そうだね……」

兄「帰りに確認しに行くか」

友「うん、その方が良いと思う。ボクも付き合うよ」

友(兄君の帰りを遅くする必要があるしね)

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:03:17.98 ID:qQjHFolfO
―放課後―

兄(今日一日、ずっと視線を感じてたな)

兄(やっぱり幼馴染なんだろうか)

兄「……じゃ、行くか」

友「うん」

「今帰り?」

兄「……ッ」ビクッ

幼馴染「うふふ……偶然だね、私も今帰りなんだ」

友(こいつ、DQN君が居ない時を狙って声を掛けて来た……!?)

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:11:30.56 ID:qQjHFolfO
兄「そ、そうか。じゃ、俺達用事あるから」

幼馴染「へぇ……そうなんだ……」クスッ

幼馴染「私も用があるんだ。だから、またね」

兄「……ああ。またな」

幼馴染「ふふ。私は一人でも大丈夫だよ、もう寂しくないから」スッ

兄(やっぱりあの指輪……!)

友(……)

幼馴染「じゃあね、兄……」ニコッ

兄「!?」ゾクッ

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:16:37.43 ID:qQjHFolfO
友(危険だ。あの女、まともじゃない)

友(御主人様、どうか無茶だけはしないで下さいよ……)

兄「友、俺達も行こう」

友「あ、うん」

兄「念の為、確認しないとな」

友「そうだね。もしかしたら尾けられるかも知れないから、寄り道しながら時間を掛けて行こ?」

兄「だな。その方がよさそうだ」

兄(あいつ、まともじゃなかったし……)

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:20:59.64 ID:qQjHFolfO
―――
――


「なんだ、予定より早く着いたのに私の方が後だったみたいね」

妹「……お待ちしてました、幼馴染さん」

幼馴染「こんにちは、妹ちゃん」

幼馴染「私に用事って何かな?」ニコニコ

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:28:06.80 ID:qQjHFolfO
妹「弟の事でお話があります」

幼馴染「あいつの事で?」

妹「あいつって……貴女の恋人ですよ、弟は」

幼馴染「どうだって良いじゃない、呼び方なんて」

妹(この害虫……ッ)

妹「……そうですね」

幼馴染「それで、あいつが何?」

妹「貴女との事でお父さんに叱られて引き籠ってしまったんです」

幼馴染「ださ……」ボソッ

妹「……ッ」ググッ

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:33:17.83 ID:qQjHFolfO
幼馴染「それで、引き籠りが何なの?」

妹「ああなったのは貴女にも責任があります」

幼馴染「……そうね」

妹「だから、部屋から出る様に説得して下さい」

幼馴染「……」

妹「嫌なんですか?」

幼馴染「……嫌ね」

妹(この害虫、どこまで……ッ)

幼馴染「けど、私もあいつに用があるし……」

幼馴染「良いわ、行ってあげる」

妹「……ありがとうございます」

妹(我慢よ……今は我慢しなきゃ……)

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:41:22.36 ID:qQjHFolfO
―兄宅―

妹「では宜しくお願いします」

幼馴染「ええ」

妹「私はリビングに居ます。何かあったら呼んで下さい」

幼馴染「はいはい、分かったわ」

妹「……」イラッ

幼馴染「じゃ、またね、妹ちゃん」クスクス

妹「……はい」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:47:49.29 ID:qQjHFolfO
―弟・私室―

コンコン

幼馴染「私よ、弟君」

ガチャ

幼馴染「……久し振り」

弟「……」

幼馴染「少し痩せた?」

弟「……」

幼馴染「入って良いかな?」

弟「……」コクッ

幼馴染「お邪魔するね」

パタン

カチリ……

144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 10:58:06.62 ID:qQjHFolfO
幼馴染(カーテン閉め切ってるから暗いな……)

幼馴染(しかも部屋が滅茶苦茶になってるし)

幼馴染「……部屋、荒れてるね」

弟「……」

幼馴染「ね、暗いからカーテン開けない?」

弟「……いやだ」

幼馴染「じゃあ、せめて照明点けようよ」

弟「……いやだ」

幼馴染「なんかおかしいよ、弟君」

弟「……誰の」

幼馴染「?」

弟「誰のせいだよッ!!」

147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:02:01.00 ID:qQjHFolfO
―リビング―

妹(始まったわね)

妹「……」チラッ

妹(遅くても、あと30分ってところかな)

妹(お母さんは買い物で居ないし兄さんも居ない)

妹(弟、最後のお楽しみだよ)

妹(存分に楽しんでね……)

149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:10:39.05 ID:qQjHFolfO
弟「お前が! お前がァッ!!」ガシッ

幼馴染「きゃっ!?」

弟「お前のせいだ! お前のせいで俺は学校も家でも居場所が無くなったんだ!!」

幼馴染「や……やめ……」

幼馴染(やっぱりこれが本性なんだ……)

弟「ちくしょう! ちくしょうッ!!」ビリッ

幼馴染「えっ!?」

弟「クソッ、脱がせ難い服着やがって!!」

幼馴染「や、やだ……やめて……!!」

弟「ざけんな! なんだよ、それ」

弟「散々俺に●られといて、今更嫌とか言うなよ!!」ゴンッ

幼馴染「い、痛いっ、やめ……ッ」

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:18:09.83 ID:qQjHFolfO
幼馴染「嫌よ! 私、こんな事する為に来たんじゃないの!!」

弟「じゃあ何しに来たんだよ! 彼氏の部屋に来たんだぞ、●らに来たんだろ!!」

幼馴染「違う!」

弟「説得に来たってんなら無駄だからな! 居場所の無いところになんか行くもんか!!」

幼馴染「違うよ……」

弟「だったら一体何しに来たんだよ!!」

幼馴染「……」

弟「……何しに……来たんだよ…………」

幼馴染「……別れましょ、弟君」

弟「!?」

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:25:25.66 ID:qQjHFolfO
弟「……ふ」

幼馴染「……」

弟「ふ……ふ、ふ、ふふふ」ワナワナ

幼馴染「……」

弟「ふざけんなァァァァアッ!!!」バキッ!

幼馴染「かは……ッ」

弟「ふざけんな!ふざけんな!ふざけんな!!」

弟「女の癖に!」

弟「兄貴に見棄てられた癖に!」ゴスッ

弟「兄貴と付き合っておいて、毎晩! 毎晩俺に●られてた癖にッ!!」ゴスッ

弟「今更別れようだなんてふざけんなッ!!」ゴスッ

幼馴染「っ……やめ…………」

167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:31:47.29 ID:qQjHFolfO
弟「お前はッ!」バシッ

弟「黙って!」ベリッ

弟「●●いてりゃ良いんだよ!!」グイッ

幼馴染「……ぁ……ぅう…………」コヒュー コヒュー

弟「何とか言えよッ!! このクソアマァッ!!!!」バンッ

幼馴染「…………たすけ……て……あに……」ゲホッ

弟「――――ッ!!!!」ブチッ

170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:36:55.46 ID:qQjHFolfO
ガチャガチャッ!

弟「!?」

幼馴染(……もしかして…………)

弟「だ、だれだよ!?」

ドンドンッ

バンッ

弟「兄貴か!? 兄貴なんだろ! そこでお前の彼女が●られるのを黙って聞いてろ!!」

バンッ

バンッ

バキィッ!!

弟「ひっ……!?」

幼馴染「……あ、あに……?」

176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:41:18.38 ID:qQjHFolfO
妹(残念。たいむおーばー)

父「…………」ボタッ ボタッ

弟「……お、おやじ…………」

父「何をやっている」

弟「……なんで……仕事じゃ…………」

父「何をやっていると聞いているんだ!!」

弟「ひいっ!?」

184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:51:41.33 ID:qQjHFolfO
妹(普段より随分早いわね。お父さん安全運転派なのに)

妹(私としてはもう少し遅くても良かったんだけど)

弟「こ……これは……その……!」

父「……既に警察は呼んである」

弟「な……!?」

妹(ふふ、さようなら……)

父「歯を……食い縛れェェェェエッ!!」ゴウッ!

メリッ……

弟「ッ……!?」

弟「うぶッ!?」

弟「オエッ……おう゛ぇぇぇぇぇッ!!!!」ビチャビチャビチャ!!

妹(これでクズ一匹駆除終了ね)ニヤッ

188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 11:58:03.55 ID:qQjHFolfO
―――
――


兄「弟が捕まったって本当か!?」バタンッ

母「兄……」

妹「本当……だよ、兄さん」

兄「嘘だろ……」

兄「そうだ、父さんは!?」

母「今、幼馴染さんのご両親に謝りに行ってるわ……」

兄「なんで……何でこんな事に……」

妹「兄さん……」

193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:04:18.60 ID:qQjHFolfO
妹「ごめんなさい、兄さん……」

兄「妹……?」

妹「私が……私が弟を部屋から出す様に説得してって、幼馴染さんに頼んだの……」

妹「そのせいで……」グスッ

妹(覚えたてのサルの部屋に行けばどうなるか何て分かってるのにね)

兄「そんな……」

妹「ごめんなさい、兄さん……」

妹(あの害虫が、敢えて乗った様に思えたのは不気味だったけどね)

兄「あのバカ……ッ」

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:13:09.92 ID:qQjHFolfO
父「……兄、帰ってたのか」

兄「父さん……」

母「おかえりなさい、貴方」

父「ああ、ただいま……」

兄「父さん、一体何があったんだ?」

父「……」

兄「父さん!」

父「……弟が」

父「弟が幼馴染さんを暴行した」

兄「な……」

200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:20:37.64 ID:qQjHFolfO
父「幼馴染さんは恋人間のトラブルとして処理したいと言ってくれたが……」

兄「……暴行って……そんな…………」

父「……母さん、私はもう弟を育てて行く自信が無い」

父「弟は……更正施設に預けよう」

母「……ああ……っ」ガクッ

父「済まないが兄、母さんと妹を頼む。私警察に行かなくてはならない」

兄「……分かった」

父「ありがとう、兄」

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:26:45.92 ID:qQjHFolfO
妹(……悪く無い結果ね)

妹(お父さんへの連絡をもう少し遅くすれば、あの害虫が弟にぐちゃぐちゃに●されてたんだけどな)

妹(そしたら事が大きくなって引っ越しを余儀無くされ、あの害虫とバイバイ出来たのに……)


妹(恋人間のトラブルね……あの害虫、何を考えてるの……?)

205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:31:57.02 ID:qQjHFolfO
―幼馴染宅―

幼馴染「うふふ……ふふふふふ…………」

幼馴染「これで邪魔者は居なくなったよ、兄……」

幼馴染「ごめんね、私があんな奴に騙されなかったら……」

幼馴染「でも、もう大丈夫だよ」

幼馴染「兄のくれた指輪があるから、寂しく無いよ……」

幼馴染「もう惑わされないからね……」

幼馴染「待っててね、兄……」

幼馴染「ふふ、ふふふふふ…………」

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:46:54.57 ID:qQjHFolfO
―――
――


妹「首尾は?」

友『最悪の結果は避けられそうです』

妹「芳しく無いって事ね」

友『申し訳ありません……』

妹「謝らないで。貴方の助力あってこその結果よ」

友『勿体ないお言葉です』

妹「ねえ、友」

友『なんでしょうか』

妹「何時もありがとう」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 12:56:33.97 ID:qQjHFolfO
友『御主人様……?』

妹「何時も尽くしてくれてありがとう」

友『そんな……自分の方こそ御主人様に救って頂いてます!』

友『御主人様は自分のただ一人の理解者なんです。それに、御主人様が居なければ……ボクは……ッ』

妹「友……」

友『も、申し訳ありません! せっかく労いの言葉を掛けて頂いたのに……』

妹「ふふ……」

妹「構わないわ。でもね、私が貴方に感謝してる事は覚えておいて」

友『……はい』

妹「では引き続きお願いね」ピッ

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:04:32.13 ID:qQjHFolfO
妹「入れ物と中身が違うのって、そんなに辛いのかな……」

兄「妹ー、そろそろ学校行くぞー」

妹「あ、はーい」

妹(クズの事は害虫の計らいで大事に為らずに済んだ)

妹(結局あいつは更正施設送りになったけど……)

妹「あの害虫……何を考えてるの……?」

兄「妹ーっ、先いっちまうぞー」

妹「あ、待ってよ! 直ぐ行くからぁっ!」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:11:57.15 ID:qQjHFolfO
―通学路―

「兄ー」

兄「……!」

妹(害虫……ッ)

幼馴染「久し振りだね、兄」

兄「……幼馴染」

幼馴染「久し振り、兄」ズイッ

兄「あ、ああ。久し振り」

幼馴染「ケガ治るまでずっと会えなかったけど、私寂しくなかったよ?」

幼馴染「だって……兄のくれた指輪をずっと着けてたから……」ニコッ

兄「そ、そうか」ゾクッ

幼馴染「うふふ……」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:21:40.22 ID:qQjHFolfO
妹(こいつ……)ギリッ

幼馴染「じゃあ、職員室行かなきゃいけないから、先に行くね」

兄「あ、うん、はい」

幼馴染「むぅ……そういう他人行儀なの、傷付くなぁ……」

幼馴染「私、兄の弟に脅されてた被害届なんだよ? もっと優しくしてくれても良いんじゃないかな」

妹「!?」

妹(そう……そういう軌道修正をしたのね、糞虫め……っ)

兄「あ、ああ。ごめん」

幼馴染「うふふ、許してあげる。じゃ、また後でね」

兄「お、おう」

妹「…………」

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:28:27.47 ID:qQjHFolfO
妹(不味い……)

妹(侮り過ぎた)

妹(完全に私のミスだ。手順を間違えた……ッ)

妹(あの糞虫、全部弟に擦り付ける積もりだ)

妹(被害者面して同情買って……)

妹(外堀を埋め、兄とよりを戻す積もりだ……ッ)

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:36:20.03 ID:qQjHFolfO
妹「兄さん、私当番あるから、先行って良い?」

兄「そうなのか?」

妹「うん。えへへ、うっかり忘れてた」

兄「なら急いだ方が良いんじゃないか?」

妹「うんっ。行ってきます、兄さん!」タタタ

兄「ああ。気を付けてなー」

妹「はーいっ」

妹(早く友に連絡して次の手を打たないと!)

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:40:19.17 ID:qQjHFolfO
―――
――


妹「友、予定外の事象で情況が悪化したわ」

友『予定外の事象、ですか?』

妹「それが――――」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:49:55.15 ID:qQjHFolfO
友『……なるほど』

妹「迂闊よ。あいつら同時に潰すべきだったんだわ」

友『そんな。御主人様が失策など……』

妹「私は次の手を考えるから、友はなるべく兄さんと害虫が会わない様にして」

妹「あの害虫、何しでかすか分からないから」

友『確かに先日から異常な感じがしてました。お任せ下さい、兄君は必ず自分がお守りします』

妹「お願い。信じてるわ、友……」

友『はい!』

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 13:59:40.76 ID:qQjHFolfO
―学校―

兄「うーっす」

「お、兄! 聞いたぜ、良かったな!」

兄「は?」

「幼馴染さんの事だよ! 弟に脅されてたんだって?」

兄「はぁ!?」

「お前の為にずっと我慢してたんだってな……」

「ああ。俺酷い事言っちまったし、謝らないと」

兄(どうなってるんだ、これ……!?)

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:07:33.28 ID:qQjHFolfO
友「兄……」

兄「どうなってんだよ、友?」

友「詳しくは分からない。けど幼馴染さんが職員室から戻ってから、こんな感じの話が出て来たんだ」

兄「じゃあ、あいつが何か職員室で話してるのが漏れたって事が……」

友「うん。ボクもそう思う」

友(一転して悲劇のヒロイン気取りなんてね)

友(こんな空気じゃ兄君と幼馴染さんを会わせないなんて無理だ……)

251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:14:02.55 ID:qQjHFolfO
DQN「おい、兄!」

兄「DQN?」

DQN「どうなってんだよ、一体!?」

兄「俺にも分かんねえんだよ!」

DQN「幼馴染の奴の話……嘘だよな?」

兄「証拠は無いけど嘘だ。あんな浮気の常套句を使う奴が脅されてただなんて……」

DQN「……本当だな?」

兄「くだらねぇ嘘なんか吐かねぇよ」

DQN「……だよな。やっぱそうだよな!」

友(あ、ちょっと信じてたな、DQN君)

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:18:06.26 ID:qQjHFolfO
友(少し……様子を見に行った方が良いかもしれない)

友「ちょっとトイレ行って来るよ」

兄「え、もうHR始まるぞ?」

友「直ぐに戻るから!」タタタッ

兄「あ、おい!」

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:28:06.33 ID:qQjHFolfO
―幼馴染・教室―

「大変だったんだね……」

幼馴染「……うん。ずっと騙されて、脅されて……」グスッ

「わわっ。ごめん、辛かったよね?」

幼馴染「ん……えへへ、まだ思い出すと辛いから……」

「それにしても酷いよね。兄君に嫉妬して、幼馴染さんに嘘吐いてまで奪おうとするなんてさ」

幼馴染「ううん……兄を信じ切れなかった私が悪いんだよ……」

「でもやっぱ酷いよ! 弟ってバイトの事知ってたのに隠してたんでしょ!?」

「そうやって揺さぶって、弱ってるところを、だもんな……」

幼馴染「だから、私が兄を信じてあげられなかったからで……」

友(うわぁ……)

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:39:29.83 ID:qQjHFolfO
友(予想以上に酷い)

友(脅されてただけじゃなく、騙されてたってキーワードを組み込むなんてね……)

友(シナリオは兄君が隠れてバイトしてるのを知らずに寂しがってる幼馴染さんに弟君が近付き)

友(事実を隠蔽し幼馴染さんに興味が薄れていると吹き込む)

友(そして弱っている所を利用し事におよび)

友(それをネタに脅迫され関係を続けさせられてた。って所かな……)

友(兄が幼馴染さんに興味が無いって騙されていたというキーワードは大きいね)

友(……厄介だな。厄介過ぎる)

261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:48:08.51 ID:qQjHFolfO
友(これは直ぐに報告しないと)

友(時間的にメールじゃないと駄目、だよね……)スイッ

友(申し訳ありません、御主人様)

友(この件、ボクでは役者が不足してます……)

友(直ぐに次の手をお教え下さい……!)

263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 14:56:08.79 ID:qQjHFolfO
ヴーッ ヴーッ

ピッ

妹「…………」

妹「……」ギリッ

妹(もう形振り構ってられる余裕はない、か……)

妹(守らなきゃ……あの害虫から兄さんを……)

妹「私が……兄さんを守らなきゃ……」

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:07:12.29 ID:qQjHFolfO
―昼休み―

兄「もう昼が……」

兄(全然集中出来なかった……)

友「兄、お昼いこ?」

友(早く教室から連れ出さないと!)

「おーい、兄ー」

兄「んー?」

「お客さん来てるぞー」

友(遅かった……)

兄「客? まさか、な……」

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:16:32.11 ID:qQjHFolfO
「ほら、幼馴染!」

幼馴染「う、うん……」

「勇気出して!」

幼馴染「わ、分かってるよぉっ」

兄「……」

兄(はは、やっぱこうなるよねー)

兄「よ、どうした?」

幼馴染「あ、あのね!」

幼馴染「こんなのがお詫びになるなんて思って無いけど、これ……」

兄「……弁当?」

幼馴染「うん……」

兄「あ、あのさ。俺、弁当持参してるんだよね……」

「なにそれー!」

「男なら弁当くらい二つ食べられるでしょー!」ソウヨ ソウヨ!

兄「……いただきます」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:24:58.49 ID:qQjHFolfO
幼馴染「……」

兄(……あ、まずい)

「…………」

兄(これ『お前ら一緒に食えよ』って空気だ)

兄「……じゃ、有り難く戴くんで、弁当箱は昼休み終わる前に洗って返すわ」

幼馴染「え……」

「……うわ、幼馴染さんかわいそー」ヒソヒソ

兄(そうだよねー。そうなるよねー)

兄「……せっかくだからテラスで一緒に食うか?」

幼馴染「う、うんっ。あ、でも……」

兄「でも?」

幼馴染「私、自習室が良いな……駄目?」

兄(殆ど個室じゃねぇか!?)

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:34:00.85 ID:qQjHFolfO
―自習室―

兄(結局押しきられてしまった……)

兄(まさか、あのDQNすら無言の圧力に敗北するとは……)

兄「あ、そういや飲み物買ってないわー。俺お茶ないと飯食えないから買ってくるわー」

幼馴染「大丈夫、水筒に兄の好きなお茶入れて来てるから!」

兄「あ、そうなの? ありがとー。マジ助かるー」

幼馴染「お弁当作るの久し振りだけど、兄の好きな物ばかりにしたから沢山食べてね!」

兄「あ、はい」

284: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:46:32.89 ID:qQjHFolfO
兄「じ、じゃあ戴こっかな!」パクッ

幼馴染「……どう?」

兄(味は普通……異物も無い)モグモグ

兄「あ、うん。何時もの味だな」

幼馴染「良かった……」

兄(血だとか爪髪の毛は入ってないな)

幼馴染「ね、これも食べて! 作るの大変だったんだよ?」ニコニコ

兄「ん、どれ……」ヒョイパク

兄(あー、やっぱ何時もの味だわ)

兄(でも、涎とか薄皮くらいなら食べても分かんないよね)

兄(……)

兄(今は無心で食べよう……)

288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 15:58:29.06 ID:qQjHFolfO
兄(お茶を入れるタイミングや気配りはさすが幼なしみって感じだわ)

兄(味の好みも完璧に俺に合わせてる)

兄(何も知らなければコロっといっちゃうよなー)

兄(まあ知ってるからコロっとは行かないんだけどさ)

兄「ごちそうさま」

幼馴染「ど、どうだった……?」

兄「ん? 懐かしい何時もの味だった」

幼馴染「それって、不味かったの? 美味しかったの?」

兄「あー。まあ……旨かったよ、すごく」

幼馴染「ほんと? ほんとに美味しかった?」

兄「ああ。旨かった」

幼馴染「良かった……」

289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:04:54.59 ID:qQjHFolfO
幼馴染「ね……」

兄「ん?」

幼馴染「明日も作って来て、良い?」

兄(どうせNoなんて選択肢は無いんだろ)

兄「そうだな。ま、あれば食うよ」

幼馴染「分かった! 明日、楽しみにしててねっ」ニコッ

兄「ん、期待してる」

幼馴染「うんっ」

292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:10:31.57 ID:qQjHFolfO
兄「じゃ、飯食ったし行くか」

幼馴染「待って!」

兄「ん?」

幼馴染「あの……あのさ……」

兄「……」

幼馴染「兄は、何で私を抱いてくれなかったの……?」

兄(いきないヘヴィなの来たよ……)

幼馴染「教えて。私、そんなに魅力無かった?」

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:19:24.30 ID:qQjHFolfO
幼馴染「兄……」

兄「自分なりのけじめだったんだよ」

幼馴染「ケジメ?」

兄「ちゃんと自分で働いて貰った金でプレゼント買って、本気で生涯を共にしたいんだって見せたかったんだ……」

兄「将来に不安が無い様に、ちゃんと稼ぎに行く覚悟があるって思って欲しくてさ」

兄「指輪はその決意表明の積もりで、それを渡したら……その……」

兄「したい……って考えてた……」

幼馴染「兄……」

兄「ま、結果は大失敗だったんだけどな」

幼馴染「私……そんなに大切に想われてたんだね……」

308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:32:06.08 ID:qQjHFolfO
兄(お前はそれを裏切った)

兄(俺に責任が無いとは言えなくても)

兄(俺はお前に裏切られたんだよ。最悪の形で)

幼馴染「……ごめん、なんて言葉じゃ足りないよね」

幼馴染「こんなに……大事に想ってくれてたのに私……!」

兄(こんなに思いが響かない言葉ってあるんだな……)

幼馴染「あ、兄……お願い、私……もう一度貴方と……っ」

バタンっ

幼馴染「!?」

DQN「兄ー、バスケ人足りないから来てくんね?」

幼馴染「…………」

DQN「……あれ、もしかして邪魔したwww俺?wwwwww」

315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:40:27.40 ID:qQjHFolfO
兄(助かった……)

兄「悪い、幼馴染。用事出来たから行くわ」

幼馴染「……うん」

兄「行こうぜ、DQN」

DQN「おうwww良いのか?www」

兄「友差し金だろ」ヒソヒソ

DQN「やっぱ分かる?」ヒソヒソ

兄「タイミング良すぎ」ヒソヒソ

DQN「空気読まないオブザイヤー大賞だかんなw」ヒソヒソ

兄「そうかい……ともあれ、ありがとな」

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:46:38.62 ID:qQjHFolfO
幼馴染「…………」

幼馴染「……ふふ……ふふふふふふふふふふ」

幼馴染「やっぱりまだ警戒されてるなぁ……」

幼馴染「でも……これがあるから寂しくないよ、兄……」

幼馴染「私の為に用意してくれたこの指輪があれば、私は兄とずっと一緒だからね……」

幼馴染「ふふふふふ、ふふ、うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ…………」

322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:52:03.90 ID:qQjHFolfO
―教室―

友「メール……来てる……」

友「…………」

友「……」

友「……」

友「!?」

友「そ、そんか……」

友(嘘ですよね、御主人様)

友(お願いです、嘘だって直ぐ送って下さい!)

友(お願い……そんな事をボクに命じないで、御主人様……!)

327: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 16:58:16.15 ID:qQjHFolfO
ヴーッ ヴーッ

ピッ

『兄の事で大切な話があります』

「…………」

「へぇ…………」

329: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:05:55.50 ID:qQjHFolfO
―――
――


「貴女から呼び出されるのは二度目ね」

「なるべくなら貴女と言葉を交わしたく無いのですが、兄さんの為ですから」

「奇遇ね。私も貴女と話をするのが嫌なのよ」

「そうですか。その点のみ、気が合いますね」

幼馴染「……」

妹「……」

332: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:19:38.40 ID:qQjHFolfO
幼馴染「それで、兄について大事な話って?」

妹「ああ……それ、半分嘘です」

幼馴染「……ふざけてるの?」

妹「ふざけてませんよ。ただ、貴女を釣るのに効果的と思ったので盛ったまでです」

幼馴染「……」

妹「結果、まんまと釣れた訳ですが」

幼馴染「……バカにしてる?」

妹「ええ。実際バカじゃないですか」

幼馴染「……男も知らない小娘が、あんまり調子に乗らない方が良いんじゃない?」

妹「何人も見境無く加え込むよりは利口だと思いますよ?」クスッ

幼馴染「…………」ギリッ

340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:30:15.74 ID:qQjHFolfO
妹「はぁ……」

妹「時間の無駄は嫌なんで端的に言いますね」

妹「以前、一度だけ貴女に兄の事でお話した事あるじゃないですか」

妹「貴女に対して不満を持っているって」

妹「あれ、嘘です」

幼馴染「!?」

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:32:17.96 ID:qQjHFolfO
妹「まあ、私は不満だったんですけどね」

幼馴染「貴女の……」

妹「……」

幼馴染「貴女のせいだったのね……」

妹「そうですよ。全部、私が仕組みました」

妹「貴女みたいな不貞の輩を兄から引き剥がす為に」

妹「云わば、害虫駆除ですね」

幼馴染「…………」

妹「貴女、一体何人の男に貴女だけって言いました?」

妹「私、知ってるんですよ。全部……」クスッ

347: みす 一体何人の男に貴方だけって~ です 2013/01/01(火) 17:41:49.91 ID:qQjHFolfO
妹「気付いて無いのは兄さんだけ」

妹「ずっと上手く隠してましたもんね」

幼馴染「で、デタラメよ!」

妹「部活の先輩」

幼馴染「!?」

妹「確か、教師も居ましたよね」

妹「信じられないなら写真も見せましょうか?」ピッ

妹「大人っぽい服に化粧もしてますが、これ、貴女ですよね?」

幼馴染「なっ!?」

妹「随分如何わしい建物ですよね」

妹「この建物、なんですか?」

幼馴染「…………」

妹「……貴女みたいな害虫が、兄さんを汚して良い訳無いんですよ。分かりますか?」

351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:46:29.03 ID:qQjHFolfO
妹「兄さんって連れ回すには良い素材ですもんね」

妹「背はそこそこ。顔だって身内の贔屓目に見ての判断ですが良いと思います」

妹「さぞ鼻が高かった事でしょう」

妹「……」

妹「虫酸が走ります」

355: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:51:56.56 ID:qQjHFolfO
妹「そろそろ何か言ったらどうですか?」

幼馴染「……」

妹「はぁ……」

妹「時間が勿体ないから用件だけ言います」

妹「二度と兄さんに近付かないでください」

妹「貴女には弟が居るじゃ無いですか。それで我慢して下さいよ」

幼馴染「……あんたが…………」

妹「どうしました?」

幼馴染「あんたがァァァァァァァァァアッ!!」バッ

363: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 17:58:41.40 ID:qQjHFolfO
妹「きゃっ」ドサッ

幼馴染「あんたが居なければあんたが居なければあんたが居なければあんたが居なければ!!!」グイッ

妹「あっ」カタンッ

幼馴染「ふひ……ふひひひひひひひ…………」ヒョイ

幼馴染「駄目よ……こんな物持ってたら……」

幼馴染「ペーパーナイフだって刺されば痛いんだから……」ニタァ

372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:09:30.57 ID:qQjHFolfO
幼馴染「ねぇ……破瓜の痛みってどれくらいか知ってる……?」

妹「……まだ知りたくもありませんね」ギリッ

幼馴染「試してみようよ……たとえば……」

幼馴染「このくらいかもよぉっ!」ドスッ

妹「くっ………」

妹(股が……)

幼馴染「どう?痛い?」

幼馴染「痛い痛い痛い痛い痛い痛い??」グリグリグリグリ

妹「あぐ……っ」

妹「ッ……た、たいした事……ありませんね……!」

幼馴染「……ッの……クソアマがァァァァァアッ!!!」ブンッ

377: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:11:49.34 ID:qQjHFolfO
妹「!?」

妹(……ごめんね、兄さん)



妹(さよなら)



ドスッ

386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:16:38.70 ID:qQjHFolfO
妹(……)

妹(暗い……)

妹(意外とあっけないな)

妹(痛いのは足だけだし……)

妹(……?)

妹(足……だけ)



幼馴染「な……なんで…………」

幼馴染「なんであんたがここにいんのよ……!?」

392: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:24:35.19 ID:qQjHFolfO
DQN「おい、人のバイク三ケツしといて置いてくなよ!」

DQN「って……おい、マジか……兄……」

ボタッ ボタッ

兄「刺すのはやり過ぎだろ、幼馴染……」

幼馴染「あ……ああ……ちが……ちがうの…………これは…………っ」

妹「な、なんで兄さんが……」

兄「聞いたんだよ、全部……」

妹「!?」

友「はい。ボクが全て話しました、御主人様」

403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:39:26.41 ID:qQjHFolfO
妹「命令に背いたのね、貴方……」

友「あんな命令聞けません!」

友「全部の責任を御主人様に押し付けて、何もかも無かった事になんて、出来る訳ないじゃないですか!!」

妹「……ばか」

妹「私は……兄さんだけで良かったのよ。兄さんだけが全てだったのに……」

友「それでもボクには、ただ一人の理解者である御主人様を失う訳にはいきません!」

妹「ほんと、ばかね……ちゃんと話せば兄さんなら理解してくれるのに……」クスッ

妹「でも……」

妹「ありがとう、友ちゃん……」ニコッ

410: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:48:32.72 ID:qQjHFolfO
兄(うわ……すげぇ血出てる……)

兄(助かんのかな、俺……)

幼馴染「あ……ああ……」

幼馴染「血……血出て……っ!?」

兄「幼馴染……」

幼馴染「なんで……なんで妹を庇うのよ」

幼馴染「こいつが居なければ……私達は……私達は…………!!」

兄「妹守んのに何でもクソあるかよ……」ボタッ ボタッ

幼馴染「だって、そいつが居なければ……!」

418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 18:57:35.56 ID:qQjHFolfO
兄「居なきゃ駄目なんだ……俺には」

幼馴染「な……なに言って……」

兄「俺には妹が居なきゃ駄目なんだよッ!!!!」ゴボッ

兄(ああん、力んだら血が……)

幼馴染「は、は? だった兄、あんなに私を想って……」

兄「今は何とも思ってねぇ……」

幼馴染「う……うそよ! この指輪だって……!?」

バッ

幼馴染「な!? 兄、や、止めっ!」

兄(取れた!)

兄「DQN!! こいつを踏み潰せぇッ!!」ポイッ

DQN「な!? これ四万で売れた指輪じゃねぇか! 良いのかよ!!」

兄「頼む!!」ドクドク

427: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:12:37.45 ID:qQjHFolfO
幼馴染「やめてぇえええぇぇぇっ!」

DQN「えい」グニャ

幼馴染「!?」

幼馴染「うそ……」ガクッ

兄「……」

幼馴染「やっと……やっと身体目当てじゃなくて私自身を好きになってくれる人に会えたのに……」

幼馴染「将来まで考えてくれてたのに……」

幼馴染「なんで……なんで……?」

兄「……」

兄「……だったら何で俺を裏切れたんだよ…………」

幼馴染「それは……」

兄「妹の言った事鵜呑みしないで、ちゃんと聞けば良かったじゃないのか……」

兄「お前はただ、手近な逃げ道に駆け込んだだけだろ……」

429: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:18:18.02 ID:qQjHFolfO
兄「……」クラッ

兄(あ……何か目眩がする……)

兄(シャツ真っ赤じゃん)

ドサッ

兄(あー、なんか遠くで声が聞こえる……)

兄(これは……サイレン?)

兄(やっと公僕様のご登場かよ。どんだけ重役出勤なんだ)

兄(……あー、限界かも……いし……き……が…………)

435: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:27:13.79 ID:qQjHFolfO
DQN・友「兄!」

幼馴染「あ、兄! 兄!!」

妹「……大丈夫ですよ。私みたいな小柄な身体ならともかく、兄さんくらいの体格なら私のペーパーナイフじゃ簡単には致命傷にはなりません」

妹「大方見慣れない血を見て目眩を起こしたんだと思います」

幼馴染「そう……なの……?」

妹「友、私は良いから兄さんの止血をして」

友「はい、御主人様」

DQN(主従   なのか、こいつら)

440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:40:02.92 ID:qQjHFolfO
―――
――


兄「…………」

兄(知らない天井ってこんな気分なんだ……)

兄「短い間に色々あったな……」

友「そうだね」シャリシャリ

兄「警察に取り調べ受けたり」

友「バイク三人乗りしたのバレて停学貰ったり」シャリシャリ

兄「傷が思ったより深くて入院生活を余儀無くされたり」

友「ボクが性同一性障害だってカミングアウトしたり、ね」シャリシャリ

兄「はは……」

友「はい、林檎剥けたよ」

兄「お、ありがとな」

443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:47:33.13 ID:qQjHFolfO
友「そういえば幼馴染さん引っ越すみたい」シャクシャク

兄「そっか……仕方ないよな、あれだけの事あったら」シャクシャク

友「そうだね……」シャクシャク

兄「友って何で妹を御主人って呼ぶんだ?」

友「」ブフォッ

兄「うわ、きたねっ」

友「いきなり何言うかな、キミは!」

兄「いや、気になるじゃん」

友「うう……」

449: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 19:59:22.08 ID:qQjHFolfO
兄「それで、何で御主人って呼んでるんだ?」

友「……恩人なんだ」

兄「恩人?」

友「ボクってこんなだからさ、今みたいに女の子のする服着て出歩く事もあるんだよね」

友「その時に達の悪い連中にしつこく付きまとわれて……その」

友「……引かないでね」

兄「ああ」

友「xxxされそうになったの」

兄「はあッ!?」

456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:11:36.85 ID:qQjHFolfO
兄「おいおいおいおい。お兄ちゃん許しませんよ、そんな事!」

友「未遂だよ……一応」

兄「未遂か。良かった」ホッ

友「続けて良い?」

兄「どうぞ」

友「いよいよ危ないって時に悲鳴が聞こえたんだ。ボク、怖くて声一つ出せなかったのにね」

妹「その後すかさず防犯ブザーを鳴らしたら、犯人は蜘蛛の子を散らすかの様に退散していきましたとさ」

妹「以上です。あ、お見舞いに今川焼買って来たよ」

459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:17:12.79 ID:qQjHFolfO
兄「毎日悪いな。小倉貰うぞ」

妹「はい。友ちゃんはクリームだよね?」

友「ありがとうございます」

妹「もう……それはもう無しにするって言ったじゃん」

友「ご、ごめん! 癖になってて、つい……」

妹「私はチーズベーコン~♪」

465: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:31:39.88 ID:qQjHFolfO
兄「やっぱつぶ餡だな」モグモグ

友「クリームおいしい」モグモグ

妹「次はハンバーグにしてみよう」モグモグ

兄「で、主従   に繋がる話は?」

友「●●●じゃ無いよ!」

妹「兄さん不潔……」

兄「ひでぇ」

妹「簡単な話だよ。友ちゃんみたいなタイプに偏見無かったのを感動されただけ」

友「ボクにとっては凄い救いだったんです! 貞操の危機を救ってくれただけじゃなくて、ボクの抱える障害を受け入れてくれたんですよ!」

友「あの友のごしゅ……妹さんは、後光がさして見えました……」

473: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:41:00.63 ID:qQjHFolfO
妹「ま、友ちゃん助けたのは偶然じゃ無いんだけどね」

兄「そうなのか?」

妹「友ちゃん襲った奴、弟がつるんでた連中のグループなんだよね」

兄「な!?」

妹「私も狙われてたから良く知ってるよ。弟の弱み握る為に調べてた訳だし」

兄「そんな事あったのか……」

兄「!?」

兄「じゃ、まさか弟毛嫌いして全く会話が無かったのって……」

妹「弟と私しか居ない日のお風呂上がりに、あいつに襲われかけたからだよ」

兄「……」ギリギリギリ

妹「兄さんと幼馴染さんの事もあったし、自分の身を守る為もあってさ……」

476: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 20:53:33.31 ID:qQjHFolfO
妹「結局兄さんの為とか言いながら、全部自分の為だったんだよ、私」

妹「兄さんが大好きな事は譲らないけどね」

友「妹さん……」

妹「取り返しのつかない事も沢山裏でやった」

妹「きっと、ロクな死に方しないね」

兄「……そうだな」

483: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:01:57.06 ID:qQjHFolfO
妹「うん……」

妹「今回はほぼ被害者だし未成年者だからってかなりの甘めに見て貰った」

妹「けど、次はこうは行かないと思う」

妹「ごめんなさい、兄さん」

妹(あの時私が死んでいれば計画完了だったって言ったら怒るよね……)

兄「……」

兄「なあ、妹」

妹「なに、兄さん」

494: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:12:58.07 ID:qQjHFolfO
兄「確かにお前のやった事はやり過ぎだと思う」

兄「取り返しのつかない事もやった」

兄「それでもお前は俺の家族なんだよ」

兄「父さんが言ってたんだ。縁は簡単に断ち切れるものじゃないって」

兄「だから家族のやった事は忘れたりするんじゃなくて、折り合いをつけなきゃいけないって」

兄「だから俺は、お前のやった事に折り合いをつけてみせるよ。弟の事だって、何時か、きっとさ……」

498: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:24:47.16 ID:qQjHFolfO
兄「それにさ……」

兄「生まれてから死ぬまで、ずっと家族なんだろ?」

妹「……それ、私が言ってた…………」

兄「ああ。実はさ、あの時の妹の言葉で、俺、かなり救われたんだ」

妹「兄さん……」

兄「ま、心配すんな。お前が俺の痛みを背負おうとした様に、俺もお前の痛みを背負う」

兄「なにせお前は、俺の可愛い妹だからな」

504: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:36:15.85 ID:qQjHFolfO
友「可愛い妹。だってさ」

妹「き、聞いてたよ」

友「よかったね、妹さん」

妹「……うん」

妹「正直言うとね、私、兄さんから縁を切られるの覚悟してた……」

妹「一生許されないかもって思ってた」

妹「なのに……」

友「素敵なお兄さんだね」

妹「友ちゃんの事だって、男なら兄さんの監視に使えるからって利用してたんだよ?」

友「利用されてたとしても、ボクにとって妹さんは御主人様なんだよ。ボクにとっても大切な人なんだ」

506: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:44:51.25 ID:qQjHFolfO
兄「なんだ……良い雰囲気出して」

友「うえぇ!?」

妹「!?」

兄「どうした?」

妹「凄い名案が浮かんだかも……」

友「名案?」

妹「うん。友ちゃん! 私達、結婚しよう!!」

友「へ……?」

514: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:54:40.14 ID:qQjHFolfO
妹「私は一生掛けて兄さんに償ってく積もり」

妹「だから結婚なんて出来ないと思ってた」

妹「兄さんは暫く彼女とかは懲り懲りだろうし、お父さん達には孫の顔を見せる事なんて無いと思う」

妹「けど、友ちゃんと私が結婚すれば万事解決だよ! ヤバい、私天才かも……」

兄「な、なあ……道徳的にすげえ不味い事考えてる気がするんだが……」

友「奇遇だね、ボクも同意見だよ」

妹「うん、これは凄いよ。友ちゃん、不束物ですが宜しくお願いしますね!」

兄「いや、それは不味いって!」



まで妄想した

518: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/01(火) 21:58:24.26 ID:qQjHFolfO
おわりだよ