前回 野明「後藤隊長が765プロに出向?!」

2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:12:04.38 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 宿直室】

野明「あ、また765プロの子たち出てる」

山崎「竜宮小町以外もすっかり売れっ子アイドルになっちゃいましたね」

遊馬「隊長は生で見てるんだよな。あー羨ましい」

野明「私も生で見たいなぁ」

後藤「そうか、生で見たいか」

遊馬「うわっ! た、隊長! びっくりさせないでくださいよ!」

後藤「で、生で見たいんでしょ?」

野明「そりゃ、売れっ子アイドルですから。1回位は会って見たいですよ」

後藤「そうか。じゃ明日来るから。事務所とかハンガーとかきれいにしときなさいね」

遊馬「了解……はい?」

後藤「だから。明日、765プロのアイドルが来るから掃除しなさいっていったの」

遊馬「あああああっあっあっ……!」

野明「ほほほほほっほっほっ!」

後藤「あのさ。トドやアシカじゃないんだから」

引用元: 後藤「765プロの皆さんが第二小隊に体験入隊することになった」 



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:12:31.46 ID:qXeH2EIHo
【翌日 特車二課 事務所】

後藤「――という訳で、今日一日765プロの皆さんが第二小隊に体験入隊することになった」

太田「そ、それで誰が来るのでありますか?!」

野明「あの、真君は来ますか?!」

遊馬「あずささんは?! あずささんは来るんですか?!」

後藤「はいはい静かに。765プロ所属アイドルは全員来ることになっている」

野明「全員……」

後藤「あ、それにプロデューサー2名と事務員が1名、取材記者1名も同行する」

熊耳「大所帯ですね。警備は大丈夫でしょうか。いくらこことはいえ、ファンやマスコミが押し寄せると……」

後藤「あぁ。一応お忍びで来るらしいし、念のための警備は第一小隊にお願いしてある」

進士「第一小隊はとんだ貧乏くじですねぇ」

後藤「もっとも、これは上のえら~い人同士で決まった事だから、恨むならそっちを恨んでもらう」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:13:55.06 ID:qXeH2EIHo
野明「しつもーん! 体験入隊って、どんなことしてもらうんですか?」

後藤「お前たちには普段通りの事をしてもらう」

遊馬「一日体験っていうと、もっとイベントとか制服着てパトロールとか」

後藤「ビデオカメラは入らないからな。そんな派手なことはせんだろう」

熊耳「とは言っても、ずっと事務所で書き仕事という訳にも……」

後藤「そうだな。午前中はイングラムを使っての訓練の見学、午後は、まぁ適当に中を案内しとけばいいだろう」

遊馬「そんな適当な……」

野明「全員来るんですよね。誰が案内とかするんですか?」

後藤「ここにいる1人につき2人、アイドルを受け持ってもらう」

野明「誰になるんだろう」

遊馬「その担当表ってありますか?」

後藤「それは、発表してからのお楽しみ」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:14:20.14 ID:qXeH2EIHo
【第二小隊前正門】

P「よし、着いたぞ」

響「まわり、何もないんだ……」

春香「お店とかも何にもないね」

貴音「上海亭なるお店がありましたが……」

伊織「なんでこのスーパーアイドルの伊織ちゃんが警察の護送車両に乗らなきゃいけないのよ!」

亜美「んっふっふ、これから取り調べだよ真美」

真美「んっふっふ、モクヒしてかつ丼めっちゃお代わりしようね亜美」

真「悪い事してここに来た訳じゃないんだから……」

雪歩「やっぱり男の人ばっかりなのかなぁ……」

あずさ「美希ちゃん、着いたわよ」

美希「ん~、もう少し寝てるの……」

やよい「うっう~! 楽しみですぅ!」

律子「はいみんな、おしゃべりしてないで降りて!」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:14:46.27 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】

後藤「や。みんなお元気そうで何より」

亜美「や。じゃないよ隊長! 亜美めっちゃ会いたかったんだよ!」

真美「そうだよ隊長! 真美だってすっごく会いたかったんだよ!」

P「こ、こら! お前ら俺が挨拶してからだろ!」

春香「お久しぶりです、後藤さん」

千早「お元気そうで何よりです」

律子「今日は1日、よろしくお願いします」

後藤「はい、よろしく。それじゃこっちから自己紹介を……どうした?」

野明「後藤隊長が……アイドルに好かれてる……」

遊馬「こんな……こんなことって……」

太田「えぇいうっとおしい! シャキッとせんかお前ら!」

熊耳「太田君の言う通りよ二人とも」

後藤「自己紹介、お願いね」

野明「は、はい。えーとじゃ私から――」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:15:13.84 ID:qXeH2EIHo
熊耳「自己紹介は以上ですね?」

P「あとはアイドル以外を」

律子「私は竜宮小町のプロデュースを担当しています、秋月律子です」

P「私はそれ以外を担当してるプロデューサーです」

小鳥「主に事務を担当しています音無小鳥です。よろしくお願いします」

吉澤「私は今回の体験入隊の取材をさせていただきます、記者の吉澤です。よろしくお願いします」

熊耳「どうぞよろしく。吉澤さん、ご存じかと思いますが――」

吉澤「はい、あくまでもアイドル主体の取材です。レイバーやその他機密になりそうな点には触れません」

P「一応、765プロと第二小隊の方とで記事の事前チェックはできますので」

熊耳「了解しました」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:15:39.75 ID:qXeH2EIHo
後藤「担当を発表する。アイドル諸君は担当者を先輩と思って行動するように」

野明「アイドルの後輩か……」

後藤「なお、担当アイドルの振り分けは恣意的な要素が入らないよう、くじ引きにて決めてある」

真「斬新な組み合わせになって面白そうって事かな」

遊馬「組み合わせ考えるのが面倒だっただけだろ」

春香「そ、そうなんですか? いや、確かにそうかも……」

後藤「泉巡査。担当アイドルは天海春香、菊地真」

真「うわぁ、あのパトレイバーのパイロットの方ですよね!」

春香「よろしくお願いします!」

野明「こちらこそよろしく。あ、あはは」

後藤「篠原巡査。水瀬伊織、秋月律子」

律子「えぇ?! 私もですか?」

後藤「なんで? 衣装来て舞台立ってたじゃない」

律子「あ、あれは、その……と、とにかくよろしくお願いします」

伊織「よ、よろしくおねがいしま~す」

篠原「はい、よろしく。……ちぇ、あずささんじゃないのか」

伊織「聞こえたわよ」

篠原「っ! アイドルを生で見れて嬉しいなぁ! って言ったの!」

伊織「にひひ、当然よ」

篠原(か、かわいくない奴)

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:16:27.29 ID:qXeH2EIHo
後藤「太田巡査、如月千早、四条貴音」

千早「よろしくお願いします」

貴音「太田殿、色々教えてくださいね」

太田「よ、よろしくおねがいいたします!」

後藤「お~、あがってるあがってる」

進士「赤面しちゃいますね……」

後藤「山崎巡査、高槻やよい、我那覇響」

響「よろしくおねがいします!」

やよい「よ、よろしくおねがいします……」

山崎「響ちゃん、同じ沖縄出身同士よろしく」

響「そうなのか? 訛ってないから分からなかったさー!」

山崎「やよいちゃんも、よろしく。後で、ここで飼ってる鶏も見せてあげるよ」

やよい「本当ですかぁ? よろしくお願いします!」

伊織「み、見た目の割に意外と優しいのね」

遊馬「ひろみちゃんは見た目で損してるんだよなぁ」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:17:15.86 ID:qXeH2EIHo
後藤「進士巡査、星井美希、音無小鳥……あれ?」

小鳥「わ、私もですか?」

後藤「なんかリストに入っちゃってるけど、ま、いいか」

吉澤「取材には支障ありませんよ」

P「ま、そういう事なら……」

美希「よろしくなの!」

小鳥「あ、すいません、よろしくお願いします……」

進士「はい。こちらこそよろしくお願いします」

後藤「熊耳巡査部長、萩原雪歩、双海亜美、双海真美」

P「あれ、亜美と真美どこ行った?」

律子「もぅ! 仕事で来てるってのにあの子たちは!」

シゲ「ちょっと後藤さん?俺アイドル預かるって聞いてないっすよ?!」

亜美「ねぇ、ゲームとかないの?」

真美「あそぼうよおっちゃん」

シゲ「あのね! 俺には斯波繁男っていう名前がちゃんと!」

榊「なんでぇ、随分賑やかだな」

シゲ「お、おやっさ~ん! このガ……もとい、アイドルが入ってきて急に!」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:17:48.27 ID:qXeH2EIHo
榊「第二小隊で1日預かるって話だったな。ちょうどいい。シゲ、お前2人預かれ」

シゲ「えぇぇ?! ちょっと、おやっさん? 今日は整備の仕事だってあるし……」

榊「俺がやっといてやる」

シゲ「お、おやっさんが?!」

榊「それとも、俺の整備じゃ不満か?」

シゲ「と、とんでもない! えー、じゃ、その」

榊「そういう訳だ後藤さん」

後藤「はいはい。それじゃ、双海両名の代わりがいるな」

P「では俺がぜひ」

熊耳「よろしくお願いします」

P「こちらこそ、どうぞよろしく」

雪歩「よろしくお願いしますぅ」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:18:30.14 ID:qXeH2EIHo
後藤「えーと、じゃシゲさんは双海亜美、双海真美、三浦あずさ」

シゲ「3人も?! いや、でもあずささんなら……でへへへ」

亜美「おじさんだね真美……」

真美「いかにも、って感じにの笑い方だね、亜美」

遊馬「ちょっと待った! 隊長、最初からシゲさんも頭数に入れてたんですか?」

後藤「いや、当初は俺も受け持つつもりだった。が。」

遊馬「が?」

後藤「1ヶ月も出向してる俺が受け持つよりは現場の人間に付けたほうが面白そうだろ?」

春香「え~? 私、後藤さんと会うの結構楽しみだったんですよ?」

あずさ「シゲさんが嫌という訳ではないですけど、ちょっと残念です~」

野明「でも、後藤さんとじゃ1日お茶飲んで終わっちゃうかも」

遊馬「絵にならんだろそれじゃ」

雪歩「わ、私はそっちの方がいいかもです……」

律子「あのね……いくら吉澤さんでも記事に出来ないわよ」

後藤「本人目の前にして言うねお前たち」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:19:05.83 ID:qXeH2EIHo
あずさ「それじゃシゲさん、今日一日、よろしくお願いしますね」

シゲ「まっかせて下さい! ぬはははは!」

亜美「よろしく~!」

真美「いっぱい遊んでね!」

シゲ「あー、はいはい」

亜美「あ~、あずさお姉ちゃんの時と態度が違う!」

真美「ひどいよね。そんな悪い子にはオシオキが必要だよね」

シゲ「あ! こら! そのデータはいじっちゃ駄目だって! あああ!」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:20:00.88 ID:qXeH2EIHo
後藤「では、午前中はイングラムを使っての訓練を見学してもらう。篠原」

遊馬「はいっ」

後藤「イングラムについて説明してあげなさい」

遊馬「了解。えー、98式AV、通称イングラム。全高8.02メートル、重量6.02トン」

春香「イングラムか……かっこいいな」

野明「えへへ、それほどでも」

進士「泉さんを褒めたんじゃありませんよ」

遊馬「動力SCB、駆動系にSCLMを採用。37ミリリボルバーカノン、――」

小鳥「スタンスティック等のオプション装備を自在に扱う器用さと、抜群の運動性能を誇る」

遊馬「え? あの、ちょっと?」

律子「見る者に与える心理的影響までも考慮して設計された、警察用パトロールレイバーである」

遊馬「――です。あの、隊長……」

後藤「こっち見られても、俺も知らないんだって。なんで詳しいのか」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:20:42.37 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 埋立地 訓練場】

熊耳「では、今から射撃訓練を行います」

P「いきなりごっつい訓練だなぁ」

真「うわぁ、本物の銃ですよね! ……雪歩、大丈夫?」

雪歩「うん、大丈夫だと思う……ごめんね真ちゃん」

熊耳「萩原さん、駄目そうなら早めに申告して下さい。無理しないように、いい?」

雪歩「はい、ありがとうございます……」

遊馬「よーし、じゃ野明、準備はいいか?」

野明『うぅ、私これ苦手なんだよな……準備出来てるよー』

熊耳「では、みなさん、耳栓は配りましたが、一応手で耳をふさいで下さい」

律子「了解です。ほら、亜美と真美もちゃんと塞ぐのよ」

遊馬「それじゃ行きまーす。野明!」

野明『了解』

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:21:37.59 ID:qXeH2EIHo
美希「うるさいのー!」

響「すっごい音だぞ!」

真「これが本物の音かぁ!」

小鳥「やっぱりリボルバーカノンはいいですよねぇ」

律子「6発だけってのはつまらないですけどね」

進士「太田さんみたいなこと言わないで下さいよ」

野明『終わり! うぅ、みんなの前で撃つことになるなんて……』

遊馬「どれどれ。おー、前よりはマシになってるじゃないか」

あずさ「あんなに小さい的に当てちゃうのね~」

千早(他意はない……他意はないはずよ……)

熊耳「次、太田巡査。準備はいい?」

太田『いつでも大丈夫であります!』

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:22:33.76 ID:qXeH2EIHo
太田『がっはっは! 泉ぃ! 全弾的の中には入るようになったなぁ!』

千早(さっきからこの人、言動ががさつというか……)

野明『うぅ……緊張してなきゃもっと……』

太田『言い訳は見苦しいぞ!』

千早(本当にちゃんとした警察官なのかしら……)

熊耳「おしゃべりはその辺にして、そろそろ初めてちょうだい」

太田『了解しました!』

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:23:10.52 ID:qXeH2EIHo
春香「うっわ、おなかにまで衝撃が来る」

亜美「すっごいハクリョクだね、真美!」

真美「頭の中にまでチョー響いてくるよね亜美!」

進士「どれどれ。……相変わらず驚異的な命中率ですね」

遊馬「これで常識があればなぁ」

太田『聞こえとるぞ篠原ぁ!』

貴音「これは……このようなことが可能なのでしょうか……」

伊織「全弾ど真ん中に命中してるわ……」

やよい「すっごいですぅ!」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:23:41.23 ID:qXeH2EIHo
千早「そんな……」

後藤「意外か?」

千早「っ! ご、後藤さん?!」

後藤「悪い悪い、驚かせたな」

千早「急に背後に立たないでください……。その、正直に言うと意外でした」

後藤「ま、言動があんなだからな、無理もないさ」

千早「同じイングラムでも、パイロットによる差は大きいんですね」

後藤「そりゃそうさ。お前さんたちアイドルと一緒だ」

千早「言われてみれば、確かに……」

後藤「一朝一夕で身に付く能力じゃないのも、な」

千早「あっ……!」

後藤「ま、この後は模擬戦だ。そっちもよく見てるといいよ」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:24:22.60 ID:qXeH2EIHo
遊馬「野明、準備はいいか?」

野明『いつでもいいよ! 汚名挽回してやるんだから』

熊耳「汚名は返上した方がいいわよ。太田君、準備は出来てる?」

太田『はっ! いつでも行けます!』

熊耳「それでは、はじめっ!」

遊馬『野明、どうせ突っ込んでくるから軽くいなしてやれ! 組み付かれるな!』

野明「分かってる!」

熊耳「太田君、相手は勢いを利用してくるわよ、むやみな突進は――」

太田『ぬおおおおおおおっと、どわああ!』

亜美「あ、こけた」

真美「そして押さえつけられた」

遊馬「勝ったな」

熊耳「……はぁ」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:24:59.46 ID:qXeH2EIHo
千早「こ、こんなに素早く動けるものなの?!」

春香「すっごい……普通の人間みたいだったね……」

美希「ダンスだって踊れそうなの」

シゲ「ダンスか、簡単な振付なら出来ると思うよ。ちょっとゆっくりになっちゃうけど」

亜美「ほんと? ねぇシゲちん、踊ってよ!」

真美「そうだよ、真美シゲちんのダンス見たいよ~!」

シゲ「なんで俺なのよ?! っていうかそのシゲちんってのやめてもらえる?」

律子「そうよ、亜美、真美。もっと丁寧に言いなさい」

亜美「んじゃおシゲちん」

真美「ねぇおシゲちん、ちょっとだけでいいから~」

シゲ「あのね! 『お』を付けりゃいいってもんじゃないでしょうが!」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:26:02.86 ID:qXeH2EIHo
熊耳「予定時刻よりはやく終わったわね」

進士「太田さんが瞬殺されましたからねぇ」

太田「ぬぅ~……!」

野明「へっへっへ~、柔よく剛を制す、だよ太田さん」

遊馬「隊長、残りの時間はどうしますか?」

後藤「そうだなぁ。熊耳、何か軽く出来るトレーニングはあるか?」

熊耳「そうですね……いつもの基礎動作訓練とか……でも取材映えはしませんね」

進士「穴を掘ったり埋めたりじゃますますつまらないでしょうしねぇ」

雪歩「穴堀ですか?!」

真「うわっ! 雪歩、いきなり反応しないでよ。するからびっくりしたじゃないか」

熊耳「萩原さんは、レイバーを使っての穴掘りに興味があるの?」

雪歩「はい! ぜひ見てみたいです! 何なら競争してもいいです!」

後藤(競争?)

熊耳「競争はともかく……隊長、よろしいですか?」

隊長「見たいって言ってるんだ。見せてあげたら?」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:30:03.78 ID:qXeH2EIHo
野明「穴掘りか……アルフォンスが汚れちゃう……」

太田「何とも地味な訓練だな、おい」

小鳥「ぶー、そんなのヘラクレス21とかクラブマンにでもやらせときゃいいのに」

律子「ここはいっそ90mm連装ライアットガンを使っての実践訓練とか」

P「お前らは何を言ってるんだ」

太田「隊長! 2人の要望に応えるためにもぜひ!」

進士「あの、暴走警官を不用意に焚き付けないでほしいんですが……」

P「後でがっつり絞めときます」

後藤「太田、馬鹿な事言ってないでさっさと搭乗しなさいって」

熊耳「泉さん、太田くん、準備しなさい」

遊馬「道具がいるな。シゲさん、何かあります?」

シゲ「災害用にって確か用意してあるはずだよ。見てくるわ」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:32:20.08 ID:qXeH2EIHo
後藤「えー、ただ穴を掘って終わりじゃつまらん」

遊馬「競争でもしますか?」

後藤「負けた方は勝った方に今日の昼食をおごる、という事にする」

野明「えー?!」

太田「よぉし。やる気が出てきたぞ!」

後藤「もちろん上海亭からの出前だ。アイドルはおごられるだけ、負けても何もなしな」

熊耳「隊長! 警察官という立場でそれは!」

後藤「まぁまぁ。軽いゲームみたいなもんだ。そう固くなるな」

吉澤「大丈夫、その辺は抜きで記事にしますよ」

律子「あの、雪歩は準備しなくていいのよ?」

雪歩「え?」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:32:58.13 ID:qXeH2EIHo
春香「野明さん、がんばってくださいね!」

真「ボクたち、応援してますからね!」

野明『おぅ! 絶対勝つからね!』

千早「あの、太田さん、頑張ってください」

貴音「負けは許されぬ戦です。太田殿、ゆめゆめご油断なさりませんよう……!」

太田『お、おぅ!』

進士「なんだか凄いプレッシャーを発してますね」

P「さてはラーメン狙いか……。負けたら食えないって訳でもないのに」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:33:59.78 ID:qXeH2EIHo
遊馬「それじゃいくぞー、よーい、はじめっ!」

野明『うりゃあああああ!』

太田『ぬおおおおおお!』

伊織「すごい勢いね」

進士「外部スピーカーで雄たけびを流す意味はあるんですかね?」

遊馬「気合と雰囲気の問題じゃないの?」

亜美「解説の萩原さん、ここまでの両者を見てどうですか?」

雪歩「野明さんの1号機は同じところだけ掘りすぎですね。丁寧さが仇になっている感じです」

真美「対する2号機はどうでしょう?」

雪歩「こちらは一見がさつにも見えますが、堀りはじめとしてはなかなかのスタートですね」

亜美「おおっと、ではすでに勝負は見えたと?」

雪歩「いえ、まだわかりません。両者が自重を考慮しているかどうかが勝負のカギです」

真美「なるほど~。現場からは以上です!」

亜美「いったんスタジオにお返ししまーす!」

P「いや、俺に返されても困るんだが……」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:35:33.81 ID:qXeH2EIHo
―――

――




雪歩「判定の結果、泉野明巡査の勝ちとします」

春香「なんで雪歩が判定を……」

進士「後半、太田さんが自沈して穴を埋めなければ勝てたんですけどねぇ」

雪歩「穴が深くなっても掘り方を変えなかったのが敗因だと思いますぅ……」

遊馬「弱気な言い方とは裏腹にバッサリ切り捨てたな」

太田「くそぉ……そもそも掘削用の為のレイバーじゃないだろうこいつは」

野明「へっへっへ、言い訳は見苦しいよ、太田さん?」

遊馬「太田の自爆が原因なんだ、浮かれるなよ」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:36:34.65 ID:qXeH2EIHo
P「う~ん、まぁレイバーを使っての掘削、と言ってしまえばそれまでだけど……」

律子「予想通り、取材映えしない内容ですね」

P「雪歩の希望を聞いてくれた結果な訳だし、そういう発言は駄目だろ」

吉澤「雪歩ちゃんがチラッと言ってたけど、アイドルとの穴掘り比べなんて面白そうだったけどな」

律子「人間が掘るとこれ位だけど、レイバーだとこんなに掘れるんですよ、っていう感じですか」

P「アリかもしれませんね。……えーと、雪歩? さっきから何を……?」

シゲ「一応あるスコップは全部持ってきたけどね。どれも一緒じゃないの?」

雪歩「この土だとケンスコがいいかなぁ……これは材質的に負けちゃいそうだし……」

響「なあ真、ケンスコって何だ?」

真「ボクに聞かれても……」

進士「あの、彼女は土木作業員じゃなくてアイドルなんですよね?」

律子「登録上はそうなっています」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:37:37.04 ID:qXeH2EIHo
P「雪歩、準備はいいか?」

雪歩「いつでも大丈夫です」

P「制限時間はイングラムで掘った時と一緒だ。それじゃ、スタート!」

真「相変わらず凄い勢いで掘るなぁ」

太田「……なんだありゃあ」

野明「『なんだ』って……なんだろうね……」

進士「1分も経ってないのにもう穴に全身すっぽり入っちゃってますよ」

後藤「篠原、脱出用にロープ持ってきなさい。長ーいやつね」

篠原「そ、そんなのが必要になる位掘るつもりなんですか彼女は?!」

小鳥「イングラムと違って穴の中に入りながら掘れる分、深さを稼ぎやすいのかもしれないですね」

進士「そういう問題じゃないような気が……」

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:38:25.55 ID:qXeH2EIHo
P「よし、そこまで!」

太田「……」

野明「……」

篠原「……ロープ、長さ足りねぇや」

律子「雪歩ー! 脱出できるー?」

雪歩「はい……今上がっていきますぅ……」

真「あ、上がってきた。おーい、遊馬さーん! ロープ要らなそうですよ!」

進士「スコップを手足のように使って穴を這い上がってきましたね」

雪歩「ふぅ……。すいません、計測をお願いします」

野明「いやぁ……」

篠原「計測するまでもないだろうこれ……」

太田「深さだけならイングラムが頭まですっぽり入るぞ」

雪歩「直径×深さの勝負にした方が良かったかもです……」

進士「いや、そういう問題じゃないと思いますよ、これ……」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:39:17.62 ID:qXeH2EIHo
後藤「という訳で、勝者、萩原雪歩!」

響「すごいぞ雪歩!」

やよい「ロボットに勝っちゃいました!」

あずさ「おめでとう、雪歩ちゃん」

真「やったね、雪歩!」

進士「アイドルの掘削能力を褒めるというのどうなんでしょうね?」

太田「ガテン系アイドルって奴か」

シゲ「聞いたことないよそんなアイドル」

伊織「ちょっと、当初の企画の意図から外れちゃってるじゃない!」

律子「これは人を変えて再トライした方が良くないですか?」

P「そうだな。よし、千早。ちょっとスコップ持ってこっち来てくれ」

千早「わ、私ですか?」

P「スカートを穿いてる子だとちょっとまずいからな。すまんが、頼む」

雪歩「はい、千早ちゃん、スコップ。頑張ってね」

千早「え、えぇ……」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:40:01.34 ID:qXeH2EIHo
P「よーし、そこまで! 春香、お疲れ様」

千早「はぁ……はぁ……何で穴堀なんか……」

野明「安心した。普通の穴掘りだったね」

遊馬「あんな人間掘削機が二人もいてたまるかっての」

雪歩「こんな日もあるよ、気にしないで千早ちゃん」

千早「不調だったからという訳では……」

春香「千早ちゃん、お疲れ様……」

千早「ええ……」

熊耳「以上で穴掘り競争は終了します」

後藤「なお、敗者となった第二小隊全員で765プロの皆さんに食事をおごる事とする」

野明「異議なーし!」

遊馬「ま、しょうがないさ」

P「え?! そんな、自分たちの分はこっちで持ちますよ」

後藤「いいからいいから。素直に出されておきなさいって」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:40:58.96 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 食堂】


熊耳「みんな遠慮せずに食べてちょうだい」

一同「いただきまーす!」

真「こんなにたくさんの出前なんて大変そうですよね」

春香「全員で押し掛けちゃったもんね」

伊織「そもそも、こんな僻地に出前を持ってきてくれるお店があるなんて驚きだわ」

雪歩「あの、かなり無理させちゃったんじゃ……」

野明「これ位大丈夫。普段は特車二課ほぼ全員分の出前を毎日持ってくるんだから」

真「そんなに大きなお店には見えなかったんだけどな……」

シゲ「小さいよ。店主のおやじと出前の若いのが一人だけだから」

春香「え? 一人で作ってるんですか?」

野明「そうだよ。今日は他の人達とは注文別になったから、おじさんも楽だったんじゃないかな」

春香「実はすごいお店なんですね、あそこ」

篠原「だろ? あそこは我ら特車二課の生命線でもあるからな」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:42:11.76 ID:qXeH2EIHo
亜美「でもさ、毎日こ~んなにいっぱい料理作るんっしょ? 大変だよね、真美」

真美「そうだよね~。真美なら絶対いつか『むき~!』ってなっちゃうよ」

篠原「……まぁ、その、なんだ」

シゲ「そ、そうならないように常日頃の信頼関係は大切にしておかないと、ねぇ太田ちゃん?」

太田「おお、おう。遅いからって電話で怒鳴ったりとかはいかんぞ?」

亜美「しないよそんなこと~」

真美「そんな八つ当たりしたってしょうがないじゃん」

進士「だそうですよ、太田さん?」

太田「ぐっ……!」

響「ど、どうしたんだ? なんだか顔色悪いぞ?」

律子「もしかして午前中のトレーニングでお疲れとか?」

伊織「食中毒とかじゃないでしょうね?」

シゲ「なななななななんてこと言うかなこのおデコちゃんは!」

伊織「デコちゃん言うな!」

篠原「そうそう! 犬が舐めた食器で食事しない限りそんなことはないって!」

野明「あのさ……動揺のせいで半分位語っちゃってるよ二人とも」

千早「あの、過去に何か?」

熊耳「何でもないわ。今回の食事は食中毒等も問題はないから、安心して食べてちょうだい」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:43:46.28 ID:qXeH2EIHo
野明「そうそう、遠慮しないで……わっ、貴音ちゃんは、味噌ラーメン大盛り?」

太田「食い切れるんだろうな? 残したらタダじゃおかんぞ?」

貴音「らぁめんを残すなどという愚挙、この四条貴音、決していたしません。では、いただきます」

太田「?!」

野明「早っ! もう食べ終わったの?」

進士「太田さんなんてくらべものにならないような食べっぷりでしたね」

貴音「大変美味でありました。ごちそうさまでした」

野明「あ、はい、お粗末様でした……」

貴音「千早。あなたもらぁめんをたのんだのですね」

千早「ええ」

貴音「おいしそうですね」

千早「ええ、とても美味しいわ」

貴音「それは良かった。おいしいらぁめんを曲者に盗られぬよう、わたくしが見ていてあげましょう」

響「こら貴音、ダメだぞ!」

千早「……えぇと、四条さん、一口食べてみる?」

貴音「まぁ、そこまで言うのであれば一口だけ」

響「あ~あ、千早、あんまり甘やかすと癖になっちゃうんだぞ?」

真「犬のしつけじゃないんだから……」

伊織「似たようなもんよ」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:44:41.74 ID:qXeH2EIHo
P「それはそうと、上海亭って中華料理店っぽかったですけど、おにぎりまであるんですか?」

進士「美希ちゃんが今食べてるのは熊耳巡査部長謹製おにぎりですよ」

小鳥「あわわ、巡査部長ともあろう人におにぎり作らせちゃった……」

熊耳「気にすることはないわ。お口に合うかどうかは分からいけど」

美希「とっても美味しいの!」

野明「おにぎりだけでいいなんて……もしかして中華料理は嫌いだった?」

美希「違うの。美希、おにぎりがと~っても好きなの!」

篠原「変わった奴……」

律子「そういえば進士さんも出前を取っていないようでしたけど」

進士「えへへ、僕はこれなんです」

美希「可愛いお弁当なの!」

春香「プロデューサーさん、愛妻弁当ですよ、愛妻弁当!」

P「うん、そうだな……でもなんで俺に言う春香?」

真「うわ~、桜でんぶでおっきいハートが」

進士「多美子さんが作ってくれるんです、あ、多美子さんって言うのは僕の奥さんの名前で」

春香「いいなぁ、そういうの羨ましい――小鳥さん、どうかしました?」

小鳥「……ふふふ……あずささん、今晩一緒に1杯どうですか?」

あずさ「えぇ、よろこんでおつきあいします~」

律子「今の二人にはふれてはいけない気がするわ……」

小鳥「あ、律子さんも来ますよね」

あずさ「というか、来てくださいね」

律子「うっ……足にはなってあげますからおごってくださいよ?」

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:45:22.75 ID:qXeH2EIHo
響「こ、こら、出て来ちゃ駄目だぞ!」

伊織「ちょっと、連れて来ちゃったの?」

P「ん? どうした二人とも?」

山崎「ハム蔵君っていうんだね、今ごはん用意してあげるよ。ははは、ごめんね、ひまわりの種はないんだ」

響「こら! そんなわがまま……え?」

伊織「響、あんたハム蔵の事紹介してたわけ?」

響「いや、自分、ハム蔵にはポケットから出ないように言っておいたし……」

やよい「ひろみさん、もしかしてハム蔵が何て言ったか分かるんですかぁ?!」

山崎「『昼飯を食わせろ。ゆでキャベツでもいいけどひまわりの種はないのか?』って言ったんだよね」

響「す、すごい! 正解だぞ!」

美希「やけに偉そうなの」

伊織「なんでこっち見るのよ!」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:48:04.29 ID:qXeH2EIHo
やよい「うっうー! 沖縄の人ってすごいです!」

野明「もしかして、響ちゃんも動物の言葉が分かるの?」

響「はい! でも、自分以外にもハム蔵の言葉分かる人がいるとは思わなかったさー!」

太田「そうか、そういう事だったのか……」

亜美「そっか、沖縄の人にとっては動物との会話は初期スキルなんだね」

真美「ひびきんだけの特殊能力って訳じゃなかったんだね」

響「なんだかすごい誤解されてるぞ……」

遊馬「実際ひろみちゃんは誤解されやすいんだよな」

野明「体は大きいけどやさしいもんね。動物の知識もあるし、ここで家庭菜園でトマトも育ててるし」

やよい「そうなんですかぁ? 私、家庭菜園が趣味なんですよぉ」

山崎「そうなんだ。午後ビニールハウスを見せてあげるよ」

やよい「本当ですかぁ? うっうー! 楽しみです!」

P「みんな、おしゃべりも良いけど箸も動かすんだぞ。あまり遅くなると迷惑だぞ」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:48:45.21 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】

後藤「さて、午後は各自の作業をアイドルとこなしてもらう」

野明「私と太田さん、シゲさんはイングラムの点検だね」

熊耳「私は篠原巡査、進士巡査と訓練中のデータをまとめます」

山崎「あの、ぼくは鶏たちとトマトの世話をしてもいいでしょうか?」

後藤「ま、いいだろう。765さんの方は何か問題ある?」

P「いえ、特には。あ、それと……」

後藤「あぁ、例の件は榊さんに了解もらって準備してもらうから」

律子「打ち合わせ、15時位からで大丈夫ですか?」

後藤「うん、それくらいには準備も終わるって話だ」

律子「了解。アイドル達には伝えてありますから」

遊馬「あの、隊長? 何かあったんですか?」

後藤「765さんと予定の打ち合わせをな」

熊耳「それでは、アイドルの皆さんは各担当者に付いて行って下さい」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:51:09.96 ID:qXeH2EIHo
【???】

???『予定通り動かなかったら、どうなるか分かっているな?』

???「そう心配しなさんな。ちゃーんと約束は守るよ」

???『ふん。予定通り行けばディスクも渡してやろう』

???「やっぱりやめます、ってのはナシだよ」

???『ほぅ。私を脅すつもりか?』

???「脅すだなんてとんでもない。でもね、約束は守ってもらわないと。じゃないと……」

???『じゃないと、なんだ?』

???「これからもお仕事は続けたいでしょ? おたくも」

???『貴様……。まぁいい。結果に関わらず回収できればディスクは渡す。それでいいな?』

???「うんうん、人間素直が一番だよ。それじゃ、頑張ってくれたまえ。それじゃね」

???「そういた事は我々がやると以前にも言ったはずですよ、課長」

???「まぁまぁ。たまにはこうやってお金稼ぎをしてみたくもなるものさ。サラリーマンとしてはね」

???「ディスク回収は、今となっては必要ないのでは? 余計な接点をこれ以上作るのは危険です」

???「保険だよ、保険。格安で売ってあげたんだ。騒ぎはちゃんと起こしてくれないと」

???「しかし、奴の私怨の為にこちらがひきつけ役になるというのは」

???「それこそが目的だよ」

???「まさか、第一小隊の新型機とやりあうのが目的だと?」

???「そ。品定めだよ。我々のデモンストレーションの相手としてAVS-98はどうなのか、というね」

???「まさかグリフォンを出すつもりですか?」

???「それはちゃんとお相手が決まってからさ」

???「奴は我々のひきつけ役をこなせますか?」

???「心配性だな黒崎くんは。大丈夫、彼もプロダクションの社長だ。それくらい上手くやってくれるさ」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:51:54.48 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】

春香「うわぁ……ボタンとかモニターがいっぱい……!」

太田「なんだ、お前たちレイバーの操縦席を見るのは初めてか?」

真「はい! これを操作してあんな動きが出来るんですよね!」

野明「そうだよ。手足のように操るのは難しいんだから」

千早「そうでしょうね。私にはとても無理だわ……」

貴音「まこと、複雑なものなのですね、れいばぁという物は」

野明「本当は座らせてあげたいんだけど、ごめんね」

春香「いえ、そんな! 壊しちゃったら大変だし」

真「操縦席って結構狭いんですね」

野明「そうでしょ? 乗馬の機種とレイバー乗りは小さい方がいいんだって。隊長が言ってた」

真「実際操縦席見ると分かる気がするなぁ……あれ、点検終わりですか?」

野明「うん、後は整備の人達しかできないから。太田さん、そっちは終わった?」

太田「おぅ。終わったぞ」

野明「よし。それじゃこっちはこれだ」

春香「それは……雑巾、ですか?」

野明「うん。出来るだけ綺麗にしてあげようと思って、よくこうして掃除するんだ」

真「それなら僕にもできます! 手伝ってもいいですか?」

春香「私もやります!」

野明「それじゃ、上は私がやるから足に付いた泥をブラシで落としてもらえる?」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:52:25.45 ID:qXeH2EIHo
太田「よーし、それじゃこっちもやるか。お前たち、ツナギは……着ているな」

貴音「さきほど斯波殿に用意して頂きました。して、わたくし達もこれから掃除を?」

太田「掃除は掃除でも、銃の分解クリーニングをする」

千早「銃、ですか……なんだか怖いです」

太田「武器だから当然だろう。だが、クリーニングもせずに使い続ける方がよっぽど怖い」

貴音「なるほど、それは一理ありますね」

太田「俺が銃が好きだというのがない訳ではないが」

千早(やっぱりそういう理由もあるのね)

太田「お前たちが仲間を大切にしているのは見ていてよくわかる。歌やダンスの練習も相当しているんだろう」

貴音「ありがとうございます」

太田「それはそれで大切にしろ。だがな、道具はどうだ?」

千早「道具……ですか?」

太田「歌やダンスと言っても、衣装は必要だし、覚えるための音楽プレーヤーも必要だろう」

貴音「確かに、その通りです」

太田「そういった道具も、大切なお前たちの仲間だ。大切にしてやれ」

千早「言われてみれば……普段使う道具は道具としか見ていなかったです。機械とか、苦手ですし」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 20:53:34.31 ID:qXeH2EIHo
シゲ「これをイングラムも大切に扱ってくれる人が言ってりゃ少しは説得力あるんだけどね」

太田「な、なにおぅ?」

千早「シゲさん、いつの間に?」

亜美「おシゲちんにイングラムの整備見せてもらったんだよ」

真美「真美たちもちょっと手伝ったんだよ」

あずさ「あら、千早ちゃんたちは鉄砲のおそうじ?」

貴音「えぇ。太田殿から道具も大切にするようにと教えていただいていたところです」

シゲ「ま、太田ちゃんが言ってる事は間違っちゃいないよ」

野明「太田さんが言うからちょっと説得力ないかもしれないけどね~」

太田「泉、貴様ぁ!」

貴音「太田殿、今はそれよりも分解掃除の方が先では?」

千早「やり方を教えてください」

太田「……お、おぅ。二人とも軍手をはめてこっちに来い」

野明「あの太田さんをこうも上手く鎮めるなんて、さすがアイドルだよね」

亜美「アイドルが、というかお姫ちんと千早お姉ちゃんがさすが、って感じだよね」

真美「さすがの太田ちゃんもタジタジ、ですな」

シゲ「どこでそんな言葉覚えてくるんだろうね、この子たちは……」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:02:51.12 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 ニワトリ小屋】

やよい「うわぁ、これ全部ひろみさんが飼ってるんですかぁ?」

ひろみ「ぼくが、というか、特車二課で、かな。世話はほとんどぼくがやってるけどね」

響「あ、玉子があるぞ!」

ひろみ「これが、ここでは貴重な栄養源なんだ」

やよい「分かります! 玉子があるとないとじゃ大違いですもんね!」

響「確かに、一人暮らしだとそれはすごい分かるぞ!」

ひろみ「近くに食料品店があればいいんだけど、周りは何もないからね」

やよい「お仕事以外の部分も大変なんですね」

響「おなかが空いたらその仕事もできないもんな!」

ひろみ「そうだね……だから食べ物とか食中毒とかは注意しないといけないんだ……」

やよい「ひろみさん?」

ひろみ「な、なんでもないよ。さ、次はトマト畑を見せてあげよう」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:03:29.80 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 電算室】

律子「へぇ~、これがさっきの訓練中の動作データですか」

進士「はい。イングラムにはカメラも付いてますから、搭乗者視点での動画もあるんです」

遊馬「まぁ見ても分からん……えーと、秋月さんと音無さんは分かっちゃいそうだからあんまり見ないでね」

小鳥「なんでですか?!」

律子「まぁこういう場所にはあんまり入れてくれるものじゃないですしね。分かりました」

遊馬(分かっちゃいそうって点は否定しないのな)

伊織「地味な作業よね~」

美希「こんな数字ばっかり見てて飽きないの? 美希だったら飽きて寝ちゃうって思うな」

遊馬「あのね、お仕事だから面白かろうがつまらなかろうがやらにゃならんの」

熊耳「練習内容を分析してより良い動きが出来るよう次に生かす。あなた達にも無縁の話ではないとおもうわ」

P「そうだぞ。レッスンの時に先生や俺と律子がやってることと同じなんだぞ」

美希「あ、そっか……」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:03:57.83 ID:qXeH2EIHo
律子「自分でもある程度は分かるけど、客観的に見ないと分からない部分の方が多いものよ」

雪歩「確かに、自分では出来たと思っても先生に指摘されちゃうことはよくありますぅ……」

伊織「律子なんて重箱の隅をつつくように見つけてくるのよね」

律子「あのね。本人はそう思っても、傍から見ると目立つものなの」

遊馬「その通り。とは言っても……今回のはなぁ」

進士「太田さん瞬殺されましたからね。それまではいつもの猪突猛進ですし」

遊馬「突撃スピードは速くなっていってるけどな」

熊耳「そればかり速くてもしょうがないわ」

進士「対する泉さんの方は、体捌きのスムーズさはさすがですね」

遊馬「相手が太田みたいな単純な動きだと、迷うことなく動けるんだろうな」

熊耳「次は射撃訓練のデータをみてみましょう。篠原君、お願い」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:04:55.41 ID:qXeH2EIHo
小鳥「あの、ずっと気になっていたんですけど、篠原さんってもしかしてあの篠原重工の?」

遊馬「そ。『その』篠原重工の社長が俺の親父」

小鳥「やっぱり! イングラムにも詳しいしもしかして、って思ったんです」

律子「それじゃ、なぜ警察官に?」

伊織「2人とも、その辺にしときなさい。あんまり踏み込んだ事は聞くもんじゃないわよ」

小鳥「え?」

伊織「家がどうであれ、今は警察官なのよ。『あの篠原社長の息子がなぜ』なんて聞き方しちゃ失礼じゃない」

P「伊織、お前……」

小鳥「そうよね。私ったらつい……ごめんなさい、篠原さん」

律子「私も……申し訳ありませんでした」

篠原「あーあー、そんな謝るほどの事じゃないって」

伊織「な、なによ?! それじゃ私がまるで――」

遊馬「俺と伊織ちゃんはちょっと休憩してきまーす!」

伊織「ちょっと?! 何よ急に?! しかもなんで2人だけで?!」

熊耳「……隊長が宿直室の冷蔵庫にジュースを用意してたわ。連れて行ってあげて」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:06:11.46 ID:qXeH2EIHo
【宿直室】

篠原「ほれ」

伊織「あ、ありがとう……あんた、もしかして私に何かするつもりじゃないでしょうね」

篠原「ありがとな」

伊織「な、何がよ」

篠原「まさか君からフォローが入るとは思わなかったんだよ」

伊織「……私も、あんたと同じだからよ」

篠原「それじゃやっぱり水瀬って、あの水瀬か」

伊織「その水瀬よ。『あの水瀬のお嬢様がなぜアイドルに?』なんて腐るほど聞かれたわ」

篠原「だろうな。注目度もただの警察官とじゃ大違いだろう」

伊織「私は、『水瀬財閥のお嬢様』じゃなくて、『水瀬伊織』なのよ」

篠原「そう思われるもんだよな。上が立派ならますますだ……っと、水瀬家の事情は知らないぞ?」

伊織「……私はアイドルとして見てほしい。自分がそう思うから、ああいう質問はされたくないわ」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:06:59.77 ID:qXeH2EIHo
篠原「でもTVに出りゃそうもいかんだろう」

伊織「もちろん答えは用意してあるし、笑顔で答える自信もあるわ」

篠原「なるほど、しっかりしてるんだな」

伊織「当り前よ。トップアイドルの地位を自分の力で手に入れて、パパやママ、兄さん達に見せつけてやるんだから」

篠原「そうか。伊織ちゃん」

伊織「何よ?」

篠原「兄さんたち、大切にするんだぞ」

伊織「べ、別に私が大切にしなくたって……」

 『渋谷区神南にて暴走レイバーによる101発生! 特車二課第一小隊はただちに出動せよ!』

伊織「こ、このサイレンは?」

篠原「第一小隊に出動命令が出たんだよ。俺らもいったん戻ろうぜ」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:08:29.64 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】

春香「さっきの放送から出動まであっという間でしたね」

シゲ「そりゃそうよ。事件事故は待ってくれないんだよ。ぐずぐずしてらんないの」

真「第一小隊の隊長さんって女性の方なんですね」

千早「さっき指示をだしてた女性ですか?」

野明「南雲しのぶ警部補。怒ると怖いんだよ~」

亜美「でもかっこよかったよね~」

真美「後藤隊長よりももっと隊長してたよね~」

野明「それは……なんとなくわかる気がするなぁ」

後藤「ここにいたか。泉。第二小隊のメンバーを会議室に集めろ」

野明「何かするんですか?」

後藤「765プロの皆さんは今から取材だ。その間、ちょっとミーティングをな」

野明「了解。それじゃ、みんなを集めておきます」

後藤「さて、765プロの人たちは隊長室に来てちょうだい。例の件の打ち合わせをするから」

貴音「例の件……なるほど」

春香「うわー、なんだか緊張してきた」

P「普段通りやれば大丈夫だろ。ほら、俺たちも行こう」

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:09:21.69 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 会議室】

熊耳「全員揃ったわね」

遊馬「あれ、隊長がいないぞ」

熊耳「隊長は765プロや取材記者の方と打ち合わせだそうよ」

野明「あの、それで打ち合わせっていうのは?」

熊耳「打ち合わせというか、口止めね」

太田「今日の事は記事になるまで他言無用という事でありますか?」

熊耳「一言で言ってしまえばそうね」

進士「この手の取材が入るなら当然ですね」

熊耳「特に今は情報発信手段がさまざまありますからね、十分注意してちょうだい」

遊馬「日記のつもりで書いた事が全世界に広まっちまうもんな」

山崎「怖い世の中になったものですねぇ」

野明「あの、それは分かりましたけど、他には?」

熊耳「後は、今日の訓練の反省と今後の訓練計画についてね」

進士「データは一応まとめて持ってきましたよ」

熊耳「それじゃまず射撃訓練から。1号機のデータを見せてちょうだい」

遊馬「これですね。えー、まず問題点として――」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:10:57.79 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 隊長室】

後藤「さて、当初予定していたサプライズライブだが」

亜美「ま、まさか中止?!」

真美「え~?! 真美めっちゃ気合いれてきたのに!」

P「お前らな……話は最後まで聞きなさい」

後藤「当初の予定時間を短縮してもらう事になりそうなんだわ」

小鳥「第一小隊が出動しましたもんね」

後藤「そういう事だ。何かあるとも限らんし、30分位で考えてちょうだい」

律子「曲は何個か飛ばさないといけないですね。今セットリストを――」

P「それなら、これでどうかな」

律子「あ、すいません。……え? これって……」

響「あれ? 曲目少ないぞ?」

貴音「もしや、短縮版なのでは?」

P「出動があるかもしれないって聞いてたからな。事前に何種類か用意してたんだ」

千早「なるほど、これなら30分で収まる内容ですね」

伊織「もぅ! それならそうと最初に言っておきなさいよね!」

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:11:48.99 ID:qXeH2EIHo
P「いきなり変わるかも、なんて不安要素を事前に伝えたくなかったし、それに――」

春香「それに?」

P「お前たちなら、急に予定変わっても何とかしてくれるだろう、って信頼してるからな」

春香「プロデューサーさん……」

伊織「ふん、当たり前じゃない。私を誰だと思ってるのよ」

美希「でこちゃん、顔が赤いの」

伊織「う、うるさいわね!」

やよい「それじゃ、わたしたちもがんばらなきゃですよね!」

律子「さ、そうと決まれば各自準備はじめて!」

P「では、シゲさん、すいませんが場所をお借りします」

シゲ「はいはい。音響も照明もバッチリよ」

亜美「さっすがおシゲちん、出来る男は違いますな」

真美「整備員のカガミですな」

シゲ「でしょ? でしょ? もっと言ってもっと言って!」

P「最初とはうって変わって仲良しになったなぁ」

後藤「波長が同じなのかもしれないよ」

春香「あ、なんとなくわかるかも」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:12:14.85 ID:qXeH2EIHo
『13号埋立地内にて暴走レイバー出現! 特車二課第二小隊はただちに出動せよ!』

律子「13号埋立地って……ここですよね」

後藤「アイドル各員は荷物を持って会議室へ移動しろ。場所は分かるか?」

律子「はい。さっき電算室に行く途中にありましたから」

P「全員、荷物をまとめろ。律子と雪歩は亜美、真美、伊織、やよいと先に会議室へ」

律子「分かりました。みんな、いくわよ。吉澤さんも行きましょう」

P「音無さんは社長へ連絡を」

小鳥「はい。無事だと伝えておきますね」

P「残ったみんなで協力して荷物をまとめよう」

春香「分かりました!」

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:15:50.41 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】

後藤「暴走レイバーだが、どうもこちらに向かっているらしい」

遊馬「隊長! 暴走レイバーの機種は?」

後藤「遠くからのシルエットで見た限りでは、タイプ7に似ているとの事だが、詳細は不明だ」

太田「ブロッケンだと?!」

熊耳「あれで終わりではなかったという事ですか?」

野明「まさか、特車二課が標的なんじゃ……」

後藤「その可能性は非常に高い。泉、太田はイングラムに搭乗。レイバーキャリアには載せずに外に出せ」

野明「了解!」

遊馬「ここで迎え撃つんですか?」

後藤「そうせざるを得ないだろう。進士、山崎はレイバーキャリアで整備ハンガーの入り口をふさげ」

進士「了解しました」

後藤「篠原と熊耳は指揮車を出した後、暴走レイバーの型式を確認しろ」

熊耳「了解しました」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:17:46.89 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 会議室】

P「この荷物で最後だな。こっちの状況は?」

小鳥「社長とは連絡が取れました。定期的にこちらの状況を伝えることにしますね」

P「お願いします」

律子「やっぱりみんな動揺はあるみたいですね。やよい、雪歩は特に」

千早「春香や伊織のおかげでだいぶ落ち着きましたけど」

小鳥「間近で本物の事件が発生したんだもの、無理もないわ」

P「よし、みんな、聞いてくれ」

真「プロデューサー! 今外の状況はどうなってるんですか?」

P「落ち着け。今、後藤さんたちが出動した所だ。犯人はこちらに向かっているらしい」

雪歩「やっぱり……」

P「おそらく初めての経験だろうし、怖い気持ちもよくわかる。でも、第二小隊の人達はもっと危険な所にいる」

春香「野明さん達、これから暴走レイバーを止めなきゃいけないんだ」

P「さっきまで一緒に居て、一緒にご飯も食べた人達が今は俺たちを守ってくれているんだ」

やよい「ひろみさん、私たちよりもずっと怖い思いしてるんだ……」

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:18:50.59 ID:qXeH2EIHo
P「だから、今は彼らを応援し、今俺たちが出来ることをしよう」

あずさ「出来る事、ですか?」

貴音「はて、今は待つ以外に出来る事など……」

P「お前たちは今日最後に何をする予定だ?」

律子「当初の予定ではサプライズライブを――まさか?!」

P「後藤隊長からは中止の要請は来ていない。もちろん、状況的に中止になるかもしれないがな」

春香「そっか。予定通りやることになってもいいように準備しておかなきゃ、ですよね!」

P「その通りだ。おそらく30分も時間が取れないと思う。後はみんながやれる状態かどうか、だが」

亜美「そんなん聞くまでもないっしょ」

真美「真美たち、プロなんだかんね」

P「分かってるさ。お前たちならどんな状況だろうがやってくれるって信じてるからな」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:20:07.87 ID:qXeH2EIHo
律子「よーし、そうと決まれば準備はじめるわよ!」

春香「千早ちゃん、セットリストある? 曲はもっと減らさないといけないかも」

千早「ここにあるわ。2,3曲位で考えておいた方がいいかもしれないわね」

美希「短縮版にすればもっと出来るかもしれないの」

真「時間次第だなぁ。最悪、全員で歌えるの1曲になるかもしれないよ」

亜美「その辺は、第二小隊の頑張り次第だね。うんうん」

真美「お手並み拝見といきますか」

伊織「あんた達、何を偉そうに……」

律子「それじゃ、3パターン位で考えておきましょう」

貴音「響。わたくし達は衣装を確認しておきましょう」

響「わかったさー!」

やよい「響さん、私も手伝います!」

雪歩「私はメイク道具の準備を……」

あずさ「雪歩ちゃん、私も手伝うわ」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:20:39.39 ID:qXeH2EIHo
小鳥「さすが、ですね」

P「ええ。今までいろいろなトラブルを乗り越えて来ましたからね。これが本来の彼女たちの姿ですよ」

小鳥「プロデューサーさんが、ですよ」

P「え?」

小鳥「さっきまでただの不安そうな女の子だったのに、プロデューサーさんの一言でみんなプロの顔になっちゃいましたよ」

P「それは彼女たちが凄いんであって、俺はすごくないですよ」

小鳥「そうですか?」

P「ええ。もっとも、後藤さんに会う前の俺だったら今と同じことは出来ないかもしれないですね」

小鳥「それじゃ、プロデューサーさんも成長したって事ですね」

P「そうみたいです。さて、俺たちは夕方以降のスケジュール確認をしておきましょうか」

小鳥「そうか、いつここから出られるかわからないですもんね」

P「アイドル達の予定はいれていなかったはずですけど、それ以外は?」

小鳥「今スケジュール帳出しますね。えーと――」

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:21:42.13 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 埋立地】

太田『おんがああああああ!』

熊耳「太田くん、もう少しそのまま押さえつけて!」

遊馬「野明、相手がブロッケンじゃ太田機もいつまでも持たんぞ! 早く警棒ぶっ刺しちまえ!」

野明『分かってる! 太田さん、行くよ!』

太田『早くしろ泉ぃ!』

野明『 えいっ! あっ!』

太田『こここ、殺す気か貴様ぁ!』

野明『ご、ごめん! 滑っちゃった!』

遊馬「何やってんだ! 装甲分厚いんだから関節部を狙えって言っただろう!」

野明『太田さん、もう一回行くよ!』

太田『ぬおおおおお! 次外したら承知せんぞ!』

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:22:27.48 ID:qXeH2EIHo
野明『よし、やった!』

遊馬「隊長、活動の停止を確認しました!」

後藤「よし、あとは機動隊が突入できるようそのまま押さえておけ」

熊耳「了解。太田くんはそのまま押さえておいてちょうだい」

太田『了解であります! しかし、今回は煙は出さないな』

野明『故障しちゃったのかな』

太田『案外、今までのブロッケン事件とは無関係かもしれんぞ』

遊馬「野明、一応周囲の確認しとけよ。仲間がいるっていうパターンかもしれん」

野明「了解。あ、第一小隊が戻ってきたよ」

遊馬「向こうもあっさり終わったみたいだな」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:23:40.19 ID:qXeH2EIHo
後藤「各員、犯人は機動隊により確保された。ごくろうさん」

遊馬「隊長、このブロッケンはどうしますか?」

後藤「とりあえずそのままにしておけ」

遊馬「了解。野明、イングラムはそのままハンガーに入れちまえ」

熊耳「太田くんもね」

野明『了解』

後藤「まさかブロッケンとはな」

熊耳「一連のブロッケンによる犯行と関係があると見たほうがいいのでしょうか?」

後藤「黒いレイバーが出てきてからぱったりなくなったのに、今更か?」

熊耳「それは、確かに気になりますが」

後藤「それにあいつの動きは、明らかにイングラムは眼中になかった」

熊耳「確かに、建物に近づこうとしていましたね」

後藤「単純な暴走事件じゃないだろうな、どっちにしろ」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:24:32.64 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 会議室】

後藤「みんな、いる?」

P「後藤さん! 暴走レイバーは?」

後藤「無事捕まえた。人員に損害はなかったし、レイバーも大きな損壊はなかった」

春香「よ、よかったぁ……」

律子「ありがとうございました」

後藤「いやいや、お仕事をしただけだから」

亜美「お疲れ様でした隊長!」

真美「無事なご帰還、なによりであります!」

後藤「はいはい。それはそうと、準備、出来てる?」

美希「それじゃ、ライブやれるの?!」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:25:19.82 ID:qXeH2EIHo
後藤「時間は短くしてもらいたいけど、やること自体は構わないそうだ」

P「すいません、無理をさせてしまって」

後藤「ま、課長からの指示でもあるから」

P「なるほど……。分かりました。こちらはいつでも準備OKです」

後藤「了解。それじゃ、10分後位に下に来てちょうだい」

真「それじゃ、春香。いつものお願い」

春香「みんな、時間は短いけど精一杯頑張ろう! 765プロー、ファイッ!」

一同「オー!」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:26:15.86 ID:qXeH2EIHo
【特車二課 整備ハンガー】


野明「これ……何か始まるの?」

太田「集まれって言われたきり隊長も姿を見せんぞ」

遊馬「第一小隊も整備班も全員集合かよ」

進士「あの幕、なんでしょうね?」

野明「何か隠してるのか?」

山崎「あ、幕があがりますよ」

遊馬「こ、これって……」

春香「特車二課のみなさん、こんにちは!」

あずさ「今日は、私たち765体験入隊の為に色々と教えていただき、ありがとうございました」

真「そのささやかなお礼の意味も兼ねまして!」

響「今からシークレットライブを開催しまーす!」

亜美「みんなが頑張って事件解決してくれたおかげだよ!」

真美「兄ちゃん姉ちゃん達に負けないくらい、頑張るからねー!」

貴音「短い時間ではありますが、最後まで楽しんでください」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:27:04.54 ID:qXeH2EIHo
後藤「強制はしてないんだけど、凄い数集まっちゃったな」

P「普通のライブ顔負けの盛り上がりですよ。ありがとうございました」

南雲「うちの隊員も喜んでたわ。見ることも出来ないと思ってたみたいだし」

熊耳「ずっと周辺警備で、午後は出動でしたからね」

後藤「あれ、二人とも、前で見なくていいの?」

南雲「あの群衆の中に混ざって騒ぐ気力も体力も残念ながらないわ」

熊耳「こういう事には慣れていませんので、私もここで」

P「えーと、そちらは確か第一小隊の隊長さん、でしたよね?」

後藤「ちゃんと紹介してなかったか。こちら、第一小隊長の南雲警部補」

南雲「南雲です。よろしく」

P「765プロのプロデューサーです。今日はお世話になりました」

熊耳「それにしても、課長がよく許可しましたね」

後藤「むしろ逆だよ。課長から、極力行うようにとの指示が出たんだ」

南雲「例の週刊誌の件がまだ尾を引いてるのかしら?」

熊耳「イメージアップの為にやってもらう必要があると?」

後藤「いや、そうじゃない。もちろん、それもあるんだろうが」

P「それでは、なぜ?」

後藤「課長が、竜宮小町のファンなんだそうだ」

熊耳「……あぁ」

南雲「……そぅ」

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:34:15.53 ID:qXeH2EIHo
【???】


???「――それで、そのまま捕まったのか」

???「あぁ――分かった。――そんなもの放っておけ。役立たずに用はない」

???「――分かった。では、後は頼んだぞ」

???「高木め……次こそ……次は確実に……」


69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:34:52.55 ID:qXeH2EIHo
【3ヶ月後 765プロ事務所】

春香「た、ただいまっ!」

真「グリフォンの事件、どうなりました?!」

小鳥「特車二課のイングラムが勝ったわ。監禁されていた隊員の人達も、無事解放されたわ」

春香「よ、よかったぁ……野明さん達、勝ったんだ……」

P「ほら、今ニュースで解説してるぞ」

『――イングラムの戦い方は素晴らしかったですよ。性能の劣る機体で戦うには、あれしかなかったでしょう』

あずさ「専門家がここまで褒めるなんて、すごいわね」

伊織「イングラム、頭も片腕も取れちゃってるじゃない……」

律子「相手がそれくらい凄かった、って事でしょうね」

亜美「あんなになってもギブアップできないんだもんね……」

真美「ケーサツのお仕事って、ほんと大変なんだね……」

春香「ここにいない子にも知らせてあげなきゃ」

真「みんな気にしてたもんね」

律子「さ、みんな。特車二課の無事も分かった事だし、お仕事しなきゃ」

P「春香と真はもう少ししたらインタビューな」

春香「了解です。場所はすぐ近くでしたもんね」

P「あぁ。真美は亜美と撮影が入ってたな」

真美「そだよ」

律子「その撮影のすぐ後から竜宮小町は歌番組の収録だからね」

亜美「らじゃー!」

P「よし、それじゃ今日の残りも気を引き締めていこうか!」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/14(月) 21:36:05.00 ID:qXeH2EIHo
【数日後 特車二課 隊長室】

南雲「それじゃ、765プロが来た時の襲撃とグリフォンの一件は関係なかった、って事?」

後藤「容疑者がアイドル達のファンだった、って事以外喋らないらしく、それ以上の証拠がないんだって」

南雲「タイプ7なんてそうそうあるものじゃないわ。シャフトから提供されたと考えるのが自然だと思うけど」

後藤「盗難届が1件出てたみたいで、むしろこっちが被害者だ、って反応らしいよ」

南雲「真相は闇の中、って訳ね」

後藤「ま、下手に真相が出てきてごたごたするよりはよかったのかもしれないよ。765さんにとっても」

南雲「それって――いえ、なんでもないわ」

後藤「さわらぬ神になんとやらさ。さて、これでしばらくは暇に――」

 『台東区下谷にて205発生、特車二課第二小隊はただちに出動せよ!』

南雲「ならないみたいね」

後藤「お仕事があってありがたいこと。それじゃ、行ってきます」

                                                            【終わり】