冬馬「俺と765の恋愛事情」 前編

567: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/13(水) 00:38:17.47 ID:ls9kyEWn0
良い切り方を思いつかなかったので、此処から真ルート【マジで短い】に入ります。
なんで真に立たせたんだろう……




568: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/13(水) 00:40:36.43 ID:ls9kyEWn0

真「はぁ、まさか美希に名前呼びを取られるなんて思わなかったなぁ」

雪歩「美希ちゃんは積極的に絡みに行くし、妥当な所だと思うけど……」

真「んー、ボクだって結構積極的に行ってるはずなんだけどなぁ」クイックイッ

雪歩「(関節技を積極的に掛けるのは、なんだか違う気が……」

真「まあ良いか」

雪歩「(そこで止まっちゃうから皆より三歩四歩遅れるんだよぉ!」

雪歩「(若い衆に聞いたから知ってるけど、やよいちゃんは家に誘い込んで家族づきあいしてるし、千早ちゃんは千早ちゃんで趣味が合うらしい、美希ちゃんは言わずもがな積極的に……といってもプロデューサーが好き?なのかな?」

雪歩「(どう見ても天ヶ瀬さんといる時の方が乙女なんだけど、どうなんだろ。それに……」

真「雪歩?」

雪歩「なぁに?」

真「少し喉が渇いたから、お茶しない?」キラン

雪歩「うん///」

雪歩「……(春香ちゃんはどうなのかなぁ」

??「HRKさんはプロデューサーさん一筋ですよ!一筋!!」

雪歩「え!?」

真「どうかした?」

雪歩「う、ううん。なんでもないの。あは、はははは」

雪歩「(どこからぁぁぁ!?」

571: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/14(木) 21:35:07.72 ID:IXedAhmF0

冬馬「……」ズズズ

アーニャ「……」ズズズ

冬ア「ぷはぁ」

アーニャ「ごちそうさまでした、トウマ」

冬馬「おう」

アーニャ「でも、ミナミ、遅いですね」

冬馬「大学に住所変更を知らせるだけじゃないのかよなぁ?」

アーニャ「ダー。それに、こういうのは事務所がやってくれると思ってまシタ」

冬馬「んープライバシーに関わることだし、流石にそれは自分でやらねぇと」

アーニャ「そうです、か?」

冬馬「そうそう」

アーニャ「そうですか」チビチビ

冬馬「あ、この子におかわりください」

アーニャ「トウマ!」

冬馬「あとどんだけ掛かるかわかんねぇんだし、貰っとけ」

アーニャ「спасибочки」

冬馬「?」

アーニャ「ありがとう、ね」

冬馬「なるほど、Пожалуйста……だな」

アーニャ「ふふふ」

冬馬「はははは」





真「………」ギチギチ

雪歩「……(偶然入った喫茶店で天ヶ瀬さんのイチャイチャを発見した真ちゃんの顔が阿修羅過ぎる件について……真ちゃんを抜いて、765グループLINE送信」

ヒビキング『お、おう(困惑』

如月千早『詳しく、萩原さん詳しく!』


572: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/14(木) 21:35:41.61 ID:IXedAhmF0

冬馬「寮、美波ちゃんと二人部屋になるんだったか?」

アーニャ「はい、楽しみです」

冬馬「楽しみか」

アーニャ「ダー」

冬馬「良い所だけじゃなく悪い所もちゃんと探して、折り合いを付けていくんだぞ?(俺はそういうのを見つける間もなかったからな」

アーニャ「ダー」

冬馬「ははは、どいつもこいつも返事だけは良いんだからな」ナデナデ

アーニャ「……」ゴロニャン




真「」ピクピク

雪歩「それ以上は駄目だよ真ちゃん!それは人倫にもとる顔だよ!?」

573: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/14(木) 21:36:20.77 ID:IXedAhmF0


美波「お待たせ」

アーニャ「ミナミ!!」ダキッ

美波「はいはいアーニャちゃんどうしたの?冬馬君に苛められた?」

アーニャ「口説かれました」

冬馬「おい」

アーニャ「ふふ、嘘です」

美波「仲良くしてもらったのね」

アーニャ「ふふ」

美波「(尻尾が見える……」

冬馬「あぁそうだ。少しやることあるから、二人とも先行っててくれるか?」

アーニャ「?」

冬馬「はは、気にすんな。直ぐ行くから」





冬馬「お前、さっきからこえーよ!!」ガクブル

真「……」

雪歩「気付いてたんだぁ」

冬馬「あったりまえだろうが!あんな殺気だった目線向けられれば誰でも気付くわ!!」



580: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/18(月) 22:29:28.89 ID:YvwkdKbK0
冬馬「で、本当になんなんだよ。なんか文句あるのか?」

雪歩「な、何でもないですよ?ただ真ちゃんは今日アレの日で……」

真「ちょ、雪歩!」

雪歩「がっつりサブミッション系な気分らしいんですぅ」

冬馬「あー」

真「ちがっいや違くないけど、納得するな!」

冬馬「あ?なんだよサブミッションアーティストめ」

真「ヒカルドか、ボクはヒカルドなのか!?」

冬馬「はっはーん?」

真「こいつぅぅぅ!!」


581: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/18(月) 22:30:12.13 ID:YvwkdKbK0


真「まったく、冬馬には困っちゃうよ」プリプリ

雪歩「災難ですね」プフ-

冬馬「お前、特番の時のフリーダムさといい、ずいぶんな性格になったよな……ちくしょー、人事みたいに言いやがって」ズキズキ

雪歩「うふふふ。それはそうと、さっきの二人は誰だったんです?」

真「うんうん!!」

冬馬「俺と美希が346でアドバイザーやってんのはお前らも知ってんだろ?そういうことだよ」

雪歩「あぁ、なるほど」

真「?」

冬馬「今のでわからないのか。まじめにお前の将来が心配だよ」

真「ふん、いざとなったら冬馬に貰ってもらうからいいよ」///

冬馬「っ…………………用心棒雇う趣味はねぇから」

真「なにぃぃぃ!?」

冬馬「なんだよ」

雪歩「(真ちゃんはともかく、天ヶ瀬さん照れてる?」






絶対唯一貴音神【よいですか雪歩。生っすかで前に私は言いました「あの御仁に好かれたいのなら先に好意を示さねばならないでしょう、態度ではなく言葉で」と】

雪歩「!?」


582: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/18(月) 22:32:16.90 ID:YvwkdKbK0

絶対唯一貴音神【「お嫁さんにしてもらうアピール」……まさか私も、真がその神域に足を踏み入れることが出来るとは思いませんでした】

雪歩「????」

貴音「私の予想では、千早か美希が言うものだとばかり」

雪歩「し、四条さん!?」

冬馬「あ?四条?」

真「え……どこ?」

雪歩「あ、あれ……さっき声が聞こえたんだけど」

絶対唯一貴音神【ふぅ、あやうく姿を見られてしまう所でした。しかし、なるほど……天ヶ瀬冬馬の反応を見る限り、満更ではない様子】

絶対唯一貴音神【765ぷろだくしょんの仲間として、かの御仁を慕う他の娘達にも助言をしてあげられるなら良かったのですが、それでは勇気を出した真に申し訳が立ちません】

絶対唯一貴音神【なので雪歩や、私は貴方に策を捧げます。仮に、貴方がこの二人を繋げるべきと思い致すのであれば「二人とも、お似合いカップルですぅ」大作戦を決行するのです。わかりましたね?】

雪歩「は、はぁ(私のマネなのかな」

絶対唯一貴音神【似ているでしょう、ドヤァ】

雪歩「そこ、お化けいますよ」

貴音「ひぃぃ!」

冬馬「うげ!本当に四条の声したぞ、どこだ!?」

真「面妖だぁぁ!!!」


雪歩「(なるほど、四条さんだ」

587: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/25(月) 21:21:52.74 ID:rIWcR+CY0
アーニャ「来ません」

美波「そうねぇ」

アーニャ「……」ムゥ

美波「ふふ、冬馬君が来たら「遅い」って二人で言おうね」

アーニャ「ダー、それがいいです」

冬馬「悪い遅くなったな」

ラブライカ「遅い(です」

冬馬「ははは、許せ許せ」

真「冬馬、冬馬!紹介して!」

冬馬「ん、こっちがアナスタシアでこっちが新田美波ちゃんだ」

真「ちゃん?」

美波「あー、えっと、そちらは菊地真ちゃんと萩原雪歩ちゃんで良いのかしら?」

真「!!」ガシッ

美波「!?」

真「貴女は良い人だね……!」ウルウル

美波「え?え?」

冬馬「おい萩原」コソコソ

雪歩「言わなくても分かりますよね、やっぱり」コソコソ

冬雪「(ちゃん付けで即落ちかぁ」

588: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/25(月) 21:22:49.85 ID:rIWcR+CY0

真「へぇ、じゃあ美波は冬馬と親戚なんだ!」ホッ

美波「えぇ」

真「でも凄いや、アイドルの親戚がアイドルになるなんて」

美波「そうね、私も最初は考えもしなかったな」

アーニャ「……ミナミ、ミナミ」ソデクイッ

美波「なぁにアーニャちゃん」

アーニャ「むぅ」

美波「?」

アーニャ「今日は私と、デート、です!」

親戚S「(焼餅かぁ」キュン

真「デート?」

美波「えっと、それはね……」

冬馬「あー、この二人はユニットだ。メンバーの親睦を深めるためにこうして街をぶらつくことにしたんだよ」

冬馬「曲を貰っていくらか経ったがまだまだ連携が甘いからな、ありきたりだがそっから作らねぇと」

雪歩「なるほどぉ。でも、なんでデートに……」

アーニャ「ダー。二人で仲良く遊ぶのはデート、リカが言ってましタ」

雪歩「う、うーん」

真「ははは、そうだね。それならデートだ」


589: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/25(月) 21:23:29.13 ID:rIWcR+CY0

冬馬「俺は二人を案内しながら歩いていかないといけないわけだ。つー訳でかえr」

雪歩「私、美味しいお菓子とか可愛い雑貨のお店知ってるから教えてあげるね!アーニャちゃん」

アーニャ「ダー、お菓子はスバラシイですね!」

冬馬「いやだからな」

真「ボクは可愛い服が」

雪歩「キャピピピーン……プフフ」

真「はぁああああん?」

美波「うふふ」

冬馬「……まぁ良いか」

590: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/25(月) 21:26:07.64 ID:rIWcR+CY0

雪歩「あれが………で」

美波「へぇ」

アーニャ「おおお」

雪歩「こっちは……なんですぅ」

美波「じゃあこっちはどうなのかしら」

雪歩「あぁ、それは……ですね」

アーニャ「これは?」

雪歩「キツイ匂いがするから、オススメはできないね」

美波「はぁ、キャンドルってこんなに匂いがあるんだ」

雪歩「ふふ、アロマキャンドルですから。これ、落ち着くんですよ?」

アーニャ「ダー、どれが良いんでしょう?」

雪歩「アーニャちゃんはラベンダー、美波さんはジャスミンかローズマリーなんて良いんじゃないかな」

雪歩「あ、でも二人部屋になるんですよね?だったらハイビスカスが良いかも」

ラブライカ「なるほどぉ」

真「……(雑貨屋で一時間」

冬馬「……(うああああ」

真冬「(長い!!」

593: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:01:31.16 ID:uuJ2RJ+/0
真「ねぇ冬馬」

冬馬「言いたいことはわかるぜ」

真「じゃあさ……」

冬馬「いやいや、一応課外レッスンっつー名目だからな、三人での外出は」

真「えー」

雪歩「でも、まだ時間掛かりますし、退屈なら二人で時間潰ししてもらっていたほうがこっちも気兼ねがないんですけど……」

美波「そうね」

アーニャ「ダー」

真「あ、アウェーだ」

冬馬「まぁそこまで言うなら萩原にお任せするさ。頼むぜ」

雪歩「はいぃ(私はフォローしないので、勝手にそっちで仲良くやってくださいねぇ」

594: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:02:00.19 ID:uuJ2RJ+/0

真「さて、どうしようか」

冬馬「公園もあるし、適当な店でフリスビーでも買うかぁ?」

真「ねぇ、普通にブラブラするって選択肢はないの?」

冬馬「普通にってお前さ、周りを見ろよ」

真「………」マワリグルー

冬馬「THE・お洒落って感じで若い奴らが大量にいるような店ばかりだぞ?多少変装してるっても俺とお前じゃばれるだろ」

真「そうかなぁ」

冬馬「慢心してファミレスでばれたのを忘れたか?」

真「あー、サインねだられて断ったやつ?」

冬馬「そうだ」

真「ならしょうがないか……」

595: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:02:42.21 ID:uuJ2RJ+/0


真「……」パシッ、シュッ

冬馬「……」パシッ、シュッ

真「……」パシッ、シュッ

冬馬「……お前さ」パシッ…シュッ

真「うん?」パシッ、シュッ

冬馬「あれ、どういうつもりで言ったんだよ」パシッ、シュッ

真「あれ?」パシッ、シュッ

冬馬「俺に貰ってもらうとかいうのだよ」パシッ、シュッ

真「あ」ポロッ

冬馬「……」

真「べ、別に、深い意味はないよ。ただそのままの意味で……」シュッ

冬馬「意味じゃねぇよ」パシッ

596: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:03:49.33 ID:uuJ2RJ+/0

冬馬「俺が聞きたいのは、あんな所で考えなしなことを言った理由だっつーの」

真「か、考えなし……」

冬馬「そうだろ?」

真「それは」

冬馬「誰が聞いてるのかわかんねぇ状況なのに、ああいう誤解されるようなこと言いやがって」

真「誤解って……」

冬馬「トップアイドルがトップアイドルに貰って、なんて、聞かれたら誤解される以外になにかあるか?うん?」

冬馬「ただでさえ共演が多くて邪推されやすいのに「熱愛か?」なんて冗談かまされたらどうするn」

真「冗談じゃないよ」

冬馬「だろう?だから慎m」

真「そっちじゃない!」

冬馬「あん?」

真「僕は、熱愛が冗談じゃないって言ったんだ」

冬馬「それこそ冗談。俺は」

真「僕は冬馬のこと好きだからね。いわゆる、男女の仲として」

冬馬「!」

597: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:05:25.55 ID:uuJ2RJ+/0


冬馬「………」

真「……なんか言ってよ」

冬馬「ふー」

真「なんだよ」

冬馬「別に」

真「……僕だって考えなしに言った訳じゃないよ。」

冬馬「じゃあなんだってんだ。何を考えてそんな……」

真「自分以外の女の子を名前で呼んだり、他の子とイチャイチャしてる」

冬馬「は?」

真「そういうのを目の前で見て、焼餅焼いちゃってるのを自覚して、それでも何も言わないなんて僕には出来ない」

冬馬「いやでも、美希は」

真「……」

冬馬「あー、アイツはPさんに惚れてるし、美波ちゃんは親戚でアナスタシアは可愛い後輩だし、お前がそういう……なんだ、焼餅焼くようなことはねえだろっていうか」

真「関係ない。問題は僕がどう感じたかだろ?」

冬馬「感じたかって言ってもだな、俺たちはアイドルなわけで恋愛は………もちろん、お前が俺を好きだって言ってくれるのは正直な話嬉しいと想うが」

真「冬馬が僕の好意を嬉しいと想ってくれてるんなら、それで良いんだ。僕の気持ちを誰に聞かれても構わないし、報道されても良いし、冗談に取られたらイヤだよ」

冬馬「…………」

598: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:07:13.98 ID:uuJ2RJ+/0

真「それにさ、アイドルだからどうこうって冬馬は言うけど……」

冬馬「言うけど?」

真「僕は春香みたいに一生アイドルだーって訳じゃないし、冬馬もそうだろ?」

冬馬「そりゃ、いつかは引退するけどな……」

真「なら僕は待つし、待てるよ。アイドルじゃなく、ただの男女になれるのをね」

冬馬「ん」

真「だからさ、改めて言っておきたいんだけど良いかな?」

冬馬「…………おう」

真「僕は冬馬のことが大好きだよ。いつから好きになったとか、まるで自覚できていないけれど、それでも好きなんだ」

冬馬「……」

真「今までは恥ずかしくて伝えてなかったけど、美希のことも、千早にやよい、美波やアーニャのことも見たから……もう退けないし、退くつもりもない」

真「君に好意を持っているすべての子達に負けるつもりは無いからね」

真「……」

冬馬「………」

真「そ、それだけなんだけど!文句あるかな!?」///

冬馬「あるわけねぇさ。てか、そうだな、覚悟が出来た感じだな」

真「え?」

冬馬「頷くだけで良い。良いな?頷くだけで良いからしっかり聞け」

真「う、うん」

599: ◆HyZk02P5Ec 2015/05/31(日) 01:09:04.61 ID:uuJ2RJ+/0


冬馬「俺はお前みたいに、愛を語ることは出来ねぇ」

真「うん」

冬馬「お前の気持ちは嬉しいが、アイドルの俺は応えることも出来ねぇ」

真「うん」

冬馬「ただの男になるのも、いつになるかわからねぇ」

真「うん」

冬馬「だからな、だからなぁ………その、なんだ?」

真「うん」

冬馬「俺がお前に、えっと、なんだろうな本当に。あー…………なんつーかだなぁ」

真「うん」

冬馬「……俺はアイドルになりたくてアイドルになって、そこからテッペン取りたくて突っ走って来て、まだまだ先は長いんだよ」

冬馬「だからさ。冗談じゃなく、いつになるか丸っきり、さっぱり、開幕検討もつかねえくらいわかんねぇんだけどよ………俺が、お前を好きだって言える日まで待ってて欲しい」

冬馬「そりゃな?今言えるのが一番なんだろうがよ?それはやっぱり無理だ」

真「うん」

冬馬「女に告白させといて保留とか、俺自身ありえねぇと思うけど……いつか、絶対に言うからさ」

真「うん」

冬馬「今日はその約束だけで許せ……真」

真「……うん!」

608: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/04(木) 22:40:10.22 ID:YpdmXDRX0
武内「こちらがデモになります」

NG&ラブライカ「デモ?」

武内「はい、振り付けも歌詞もすべて入っていますので、なくさないでください」

未央「あー、あのさ……凄くメタなこと聞くけど」

武内「はい?」

未央「これルート分岐直前からってことで良いんだよね?」

武内「そうです。此処からは菊地さんの頑張りが出てこないルートになります」

凛「じゃあ、明日レッスンなくて明後日からっていうのも変わりないかな」

武内「はい」




美希「なんか変なことといってるんだけど……」

蘭子「因果の逆転!!【時間の巻き戻しですね!!】」

冬馬「この物言いを分かり始めてしまった自分が悔しい」

609: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/04(木) 22:40:51.22 ID:YpdmXDRX0

冬馬「美波ちゃんも着々とアイドルの道に進んでるんだなぁ……」シャカシャカ

美波「急にどうしたの?」トントントン

冬馬「別にたいしたことは思ってないけどさ。ただ、ユニット組んで曲貰って、明後日からレッスンも本格的になるだろ?半年後にはお披露目も決まってて、ずいぶんと早足だなって………よし後は炊き上がりを待つだけだ」キュッ

美波「冬馬君の時はどうだった?」サラダモリー

冬馬「さて、どうだったか……俺の場合は長くレッスンだけの時間があったから、そこまでトントン拍子じゃなかった気がするな」

美波「長くって……半年位?」

冬馬「あー、俺が961のオーディションでおっさんに拾われたのが小6の頃で、自分の曲をもらえたのが中2。外部のオーディションを始めて受けて、合格したのが高1の時だから、実質3年かね」

美波「そんなに!?」

冬馬「おう」

美波「焦りとか、なかったの?」

冬馬「全然!「お前は必ずものになる!!」なんて社長直々に面倒見てくれんだぜ?不安も何もありゃしねーよ」

美波「凄い……」

冬馬「実際こうしてられんのもおっさんのお陰だし、凄いもんだよな」

美波「(冬馬君のことなんだけどね)」


610: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/04(木) 22:41:23.40 ID:YpdmXDRX0

冬馬「貰った曲、どんな感じだ?」ガサゴソ

美波「まだはっきりとは掴めてないけど……失恋して、後悔も未練もあるけれど、強がって歩き出す人の歌かな」

冬馬「なるほどね、ただ、一発目から失恋ソングか」ガサゴソ

美波「ふふふ、でも良い曲だと思うの。一度聞いただけで耳にすんなり入ってきて、そのままメロディーが残ってるし」

冬馬「気に入ったんなら良かったよ。デビュー曲は一生物だからな、大切にしねぇと」ガサガサ

美波「そうね……ところで冬馬君?」

冬馬「あん?」ガサゴソ

美波「さっきから何を探してるの?」

冬馬「酒」

美波「!?」

611: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/04(木) 22:41:59.87 ID:YpdmXDRX0

美波「未成年がお酒なんて駄目でしょう!?健康に悪いし、何より法律に違反して」

冬馬「ノンアルコール」

美波「え?」

冬馬「ノンアルコールだよ」

美波「やだ、私ったら///」

冬馬「あはは(可愛い」

冬馬「と、あったあった」

美波「それ……外国の?何語なんだろ」

冬馬「さぁなぁ、英語ドイツ語って訳でもねえだろうけど……まあ大きくアルコール0って書いてあんだし問題ねぇだろ。これさ、前に北斗が大量に酒を持ち込んできやがって、其の時に処分するの忘れたまま今に至るわけだが……果実酒で祝い酒ってことで一杯、な?」

美波「……もしかして飲みたかったの?」

冬馬「……少しだけどな?」

612: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/04(木) 22:42:40.47 ID:YpdmXDRX0


冬馬「おあつらえ向きにチーズもクラッカーもあるし、飯も炊けた、おかずも揃ってる」

美波「本当にただ飲んでるみたいね」

冬馬「そうだなぁ……美波ちゃんは大学で飲み会とかなかったのか?」

美波「私もまだ未成年だから、基本参加しないわ」

冬馬「それがいいぜ。それに、もうアイドルになるんだし気をつけねぇとな」

美波「えぇ」

冬馬「じゃあ、飲むか!」トクトク

美波「ふふふ、ノンアルコールって言っても一応匂いはそれっぽいのね」トクトク

冬馬「みたいだな……乾杯」

美波「乾杯」










冬馬「でさぁぁ言ってやったんだよ俺なんてもてねぇぇよぉぉってさぁぁ?」

美波「酔ってるwwww冬馬君酔ってるwwww」

冬馬「いっや酔ってねえけれどもぉ?」

美波「ノンアルコールwwだからねwwww」

617: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/05(金) 20:39:19.60 ID:0q93TRuB0

冬馬「大体よぉ?アイドルが恋愛だなんてふざけてんのによぉ?もてるんでしょう?とかばっかじゃねええののお?」グビッ

美波「でも実際もてるでしょwwww」グビッ

冬馬「一度だって告られたことねーーしーー!」グビッ

美波「ええーww嘘だーwwww」

冬馬「ダア」

美波「アーニャちゃんの真似wwへwwたwwくwwそww」グビッ

冬馬「うるせええ」グビッ

美波「じゃあ私が告白してあげるね。冬馬君大好き!!」グビ゙ッ

冬馬「俺も大好きだよぉ」グビッ

美波「両想いだねえ」

冬馬「まじかあ」

美波「wwwwww」

冬馬「wwwwww」

美波「ふふふ」

冬馬「あはは」

二人「ふああああはははははははははは!!!!!!」

美波「ふぁあ、あー笑ったら眠くなっちゃった……」

冬馬「だなぁ……寝ようか」

美波「ふふ。両想いなんだし一緒に寝ようか」

冬馬「おうう」

618: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/05(金) 20:39:56.30 ID:0q93TRuB0


美波「狭いねww」

冬馬「一人用だしぃ」

美波「えい」ギュッ

冬馬「えいぃ」ギュッ

美波「ふふふ」

冬馬「あはは……暑いな」

美波「じゃあ脱いじゃおう?」ヌギヌギ

冬馬「そうしよう」ヌギヌギ

美波「あはははは、冬馬君ムキムキ」サワサワ

冬馬「美波ちゃんなんて柔らかいよ………ぐぅ」モ モ スヤァ

美波「うふふふ赤ちゃんみたいwwww………ぐぅ」スヤァ

619: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/05(金) 20:41:18.52 ID:0q93TRuB0


天ヶ瀬冬馬の部屋から数えて二つ下の階の住人、悪徳さんは後にこう語ったという。


悪徳「いや驚きましたよ。だって、朝っぱらからあんな叫び声が聞こえるんですもん」

悪徳「何が驚きって、このマンション。ブラックウェルカンパニーが技術の粋を集めて作り上げた最高の免震耐震防音を誇るシロモノでしてね?いくら真上で歌おうが踊ろうが、下に震動なんて殆ど行きません」

悪徳「実際、私が大きな荷物を夜中に崩してしまったことがあったのですが、なんの苦情も来ませんでしたしね」

悪徳「だからこそ、どこからか聞こえてきたこの悲鳴の威力といったら凄まじいものでした」

悪徳「若い男女の声、なんでしょうね。感情を詰めに詰めた心の底からの叫び……そんな感じで。この土地に住まう霊が、私に何かを語りかけてきたのではないかとすら思ってしまいましたよ」

悪徳「神仏なんて糞食らえとあざ笑った生きて来た者が、そんなあやふやな存在を一瞬で信じてしまうほどのだったのです。その絶叫は……」

625: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/09(火) 23:24:44.22 ID:NCaVi8hv0
冬馬「……」カオマッカゼンラー

美波「……」カオマッカゼンラー

冬馬「………なぁ」

美波「ななな、72かな!?」

冬馬「いや、そのさ……」

美波「うう、うん」

冬馬「なんで俺たちは裸で抱き合ってたんだ」

美波「そ、それはその……(言えない、服を脱ぐのも一緒に寝るのも抱きついたのも、全部私の提案だったなんて……冬馬君は忘れちゃってるみたいだけど」

冬馬「俺、不覚にも酔っちまったから、あぁいやこの言い訳は卑怯だな……俺なんだろ?」

美波「へ?」

冬馬「美波ちゃんが自分から脱ぐわけねぇ。俺が無理やり……クソ!!」フンド

美波「え、えぇぇ?(ひょっとして顔が赤いのって怒ってるから!?」

626: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/09(火) 23:25:27.65 ID:NCaVi8hv0

冬馬「酔って女に暴行するとは、男の風上にも置けねぇよな……もう死んで償うしか」

美波「そ、そこまでする必要なんて。そもそも私が悪いんだし、ね?」

冬馬「いいや駄目だ。俺を信頼して一緒に住んでくれた美波ちゃんに酷いことをしてしまったんだぞ!これをただで済ませたら俺は今後一切、誰にも顔向けができねえ!!」

冬馬「だから俺は逝くよ」

美波「そんなの必要ないからね!?」

冬馬「美波ちゃんは優しいな。けどよ、俺みたいなクズは突き放して良いんだぜ?」

美波「あ、あのね、落ち着いて話を……」

冬馬「俺は落ち着いている。恐らく死ぬ前になって悟ったんだろう。自分の愚かさや矮小さを」トオイメ

美波「世捨て人みたいなこと言わないの!私の話を聞きなさいって!!」

冬馬「止めてくれるな」

美波「え、えええい!もう!!」ギューッ

冬馬「!?」

627: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/09(火) 23:26:14.57 ID:NCaVi8hv0

冬馬「みみみみみみみっみ美波ちゃんぅ!?」

美波「黙りなさい!!」ムニュ

冬馬「(や、柔らかい」

美波「昨日のあれは冬馬が悪かったとかじゃないの!」

冬馬「いやでも」

美波「私も酔っちゃって、色々歯止めが利かなくなっちゃったというか本音が出たというかね?」

冬馬「本音って……?」

美波「それは、私が冬馬君のこと……ってえええええええ!?」ギュウウウ

冬馬「」ミミキーン!

美波「(わ、私昨日冬馬君のこと大好きって言わなかったっけ!?」

冬馬「み、美波ちゃん?」

美波「(本音!?私の!?」

冬馬「あの、美波ちゃん?」

美波「(冬馬君も好きって……でも冬馬君酔ってたし、そもそも私冬馬君のこと?いや嫌いではないし意識はしてたけど、それはえっと?」

美波「どうなのいう意味!?」

冬馬「何が!?」

633: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 21:56:37.78 ID:OWS6cmMD0
冬馬「落ち着いたか?」

美波「それ、冬馬君に言われたくないよ」

冬馬「……」

美波「……ふふ」

冬馬「あはは」

美波「ふふふ……ふぅ」ギュウ

冬馬「……」ドキドキ

美波「そろそろ朝御飯の用意しよっか」シーツパサッ

冬馬「ばっ、服を着ろ!」ドキドキドキドキ

美波「//////」ワスレテタヒト


634: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 21:57:04.93 ID:OWS6cmMD0

美波「……」モグモグ

冬馬「……」モグモグ

美波「……(気まずい」

冬馬「……(すんげぇ気まずい。いや、俺が悪かったんだけどさ」

美波「あー、冬馬君?」

冬馬「なんだ?」

美波「えっと、その……私サークルで大学行くから、十時には出るね」

冬馬「そうか。俺は適当に出て歩いてるから、何かあったら電話してきてくれ」

美波「えぇ」

二人「………」モグモぐ

635: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 21:57:56.26 ID:OWS6cmMD0

冬馬「美波ちゃんは大学行ったし、遠征も出したし、俺も出かけるか……それにしても」

冬馬「(未だに美波ちゃんの身体の感触というか、膨らみというか、そういうのが残ってやがる」

冬馬「(どんだけムッツリなんだ、俺!」

冬馬「………」

冬馬「……とりあえず喫茶店でも行くか」

636: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 21:59:04.02 ID:OWS6cmMD0

貴音「おや、天ヶ瀬冬馬ですか。奇遇ですね」

冬馬「よう四条、お前ラーメン屋以外にも行くのな」

貴音「私とて、毎食らぁめんというわけではないのですが?」ギロッ

冬馬「わかった。わかったから睨むな」

貴音「まったく」

冬馬「へへへ、あぁコーヒー一つ」

貴音「……」モグモグ

冬馬「今から仕事か?」

貴音「いえ、終わったその帰りですよ」

冬馬「ふうん」

貴音「そういう貴方はどうなのですか。今からあどばいざぁの?」

冬馬「いいや。ただ暇なだけだよ」

貴音「そうですか」

二人「」ズズズ

638: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 21:59:47.47 ID:OWS6cmMD0


貴音「そういえば天ヶ瀬冬馬。明日は貴方のぐらびあが載った雑誌の発売日ではありませんか?」

冬馬「おう、そうだけど……良くわかったな?」

貴音「ふふふ。響と一緒に撮影したのでしょう?ならば、要ちぇけっ!です」

冬馬「ちぇけっ!か」

貴音「ちぇけっ!です」

貴音「と、もうこんな時間ですか……では、私はそろそろお暇を」

冬馬「事務所か?なんなら送ってくぞ?」

貴音「ふふふ、実にありがたいのですが、これから別の収録がありまして」

冬馬「そうか。まぁ頑張れよ」

貴音「ええ。ごきげんよう」

冬馬「じゃあな」



639: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 22:00:46.91 ID:OWS6cmMD0

美波「」ポケー

友人「美波?大丈夫?」

美波「え?え、何が?」

友人「今日、ずーっとぼんやりしてるから。寝不足?」

美波「寝不足ではないけど……ちょっとね」

友人「そう……レッスン、大変?」

美波「ううん、凄く疲れるけど、楽しいから苦しくないかな」

友人「なら良いけどさ」

美波「あはは、ごめんね(いえない、ずっと冬馬君のこと考えてたなんて……」

友人「そういえば、明日美波の冬馬君が」

美波「私のじゃないからね!?」

友人「う、うんわかってるよ?(え、なにこの反応」

友人「で、冬馬君の写真出るって話なんだけどさ」

美波「?」

友人「もう、腹筋とか胸筋が凄いらしいよ!」

美波「き、筋肉?」

友人「細く見えるのにマッチョ体系って凄いねぇ」

美波「マッチョ……」

美波「(そういえば、冬馬君は確かに逞しかったなあ。抱きしめられてると安らぐっていうか……っ!」

美波「いやいやいやいや!!」

友人「本当に大丈夫!!??」

640: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 22:01:12.97 ID:OWS6cmMD0

冬馬「……おかえり」

美波「た、ただいま」

冬馬「……」

美波「……お、お風呂焚くね」

冬馬「やっておいた」

美波「ごはん」

冬馬「出来てる」

美波「そ、そう……」

二人「(や、やりづらい」

美波「さ、先にお風呂入っちゃうね!!」

冬馬「おう」

641: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/12(金) 22:01:44.13 ID:OWS6cmMD0

冬馬「はぁ………どうすっかなぁ」

冬馬「(離れるとそうでもねぇのに、姿見ただけで……」ポワワワワーン

冬馬「(くそっ、そりゃ昔から知ってる女の子の裸なんてみたらモンモンするに決まってんじゃねぇか馬鹿俺!!」

冬馬「(あーあー、もう!こう、肌が綺麗で感触も、こう……ほんとにこう!全体的に柔らかかったし!ぜってぇ妄想だって溢れでんだよ」

冬馬「(可愛い寝顔だったなぁ!!それに先っぽがほんのりピンk」

美波「ふぅ、あがったよ」

冬馬「ク!!!」

美波「え!?」

冬馬「なんでもねえええ!」

644: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 00:17:54.49 ID:GRY7N56A0

冬馬「じゃ、じゃあ美波ちゃんも上がったことだし俺もさっさと入っちまうから!」

美波「え、ええ行ってらっしゃい」

美波「………冬馬君が戻る前にさっさと寝ちゃおう。寝て、明日になったらすぐご飯食べて事務所に行けば良いよね」

美波「レッスン中には流石にこういう気分にはならないだろうし」

美波「はぁ、どうして意識しちゃうんだろう。ただの親戚の男の子なのに……眠ろう」

645: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 00:18:36.41 ID:GRY7N56A0

マストレ「午後からユニット組の初回レッスンということで、ユニット毎に分けず振り付けの確認……なんだが、それぞれデモである程度覚えてきたか?」

未央「一応何度も見たから、最初の方はなんとか」

凛「私も同じようなものかな」

卯月「私もです」

アーニャ「歌の方に気をとられて、ダンスはあまり、です」

美波「ごめんなさい、私も歌を重視してたので……」

マストレ「ふむ、まぁそんなものだろう」

美希「それで、先にどっちをやるの?」

マストレ「順当にNGからだ……まず、私がセンターの手本を見せるから、良く見ておけ。天ヶ瀬、音楽頼む」

冬馬「おう」ポチー

646: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 00:19:17.28 ID:GRY7N56A0


マストレ「とまぁこんなものだな」

NG「おお!」パチパチ

冬馬「この振り貰ったの一昨日だろ?完璧だな」

マストレ「くだらんおべっかはいらないな。聞き及ぶ所では、お前や星井なんて一二度でほぼ覚えてしまうのだろう?」

冬馬「美希はそうだな、俺は流石にもう少し掛かるぜ」

マストレ「ふん、大差ないだろ……では次、ラブライカの手本だ。左右反転の振りがメインであるからとりあえずは今からの動きを覚えろ。天ヶ瀬」

冬馬「へいへい」ポチ

647: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 00:19:54.67 ID:GRY7N56A0


マストレ「どうだ?」

ラブライカ「凄い」パチパチ

美希「なんだかとってもクールで、良い感じなの。見てると踊りたくなるって感じ」ダンシング

冬馬「今のとこ、手本だと右足と左足でステップ逆だな。まあ反転だって話しだし、良いのかね」

マストレ「実際に一発でやられると心が痛い!」

未央「あ、はは」

凛「別世界って感じがするよ」

アーニャ「頑張りましょウ」

卯月「うん!」

美波「そうね、皆で頑張りましょう」

648: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 00:20:40.69 ID:GRY7N56A0


美希「ふふーん、三回も踊ったしパーペキなの!」

冬馬「美希はラブライカの振り付け気に入ったみたいだな」

美希「うん!」

冬馬「じゃあ俺がNGに付いてお前がラブライカで良いか?」

美希「ミキ的にはOKかも。マストレさん、良い?」

マストレ「そこのラインで物が決まったならこちらに問題はない」

美希「じゃあ張り切って教えちゃうね!」

冬馬「マストレさんは最初こっちで借りるからな」

美希「はーい、なの!」


650: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:27:40.07 ID:GRY7N56A0

マストレ「はい終了!」

未央「うわーん!難しいよー!」バターン

凛「うん……難しいね」バターン

卯月「これ、出来るようになるのかなぁ」バターン

マストレ「まだ三時間しかレッスンしてないんだから、難しいのも当然だろ」

未央「でもあの二人が……」

冬馬「こんなもんか?」

美希「そこはこうだと思うな」

冬馬「こうか?」

美希「うん!」

マストレ「だから、あいつらは無視して良いんだぞ?むしろ無視しろ!」

凛「でも、私達もあれくらい出来るように成らなきゃだよね」

卯月「はい……」

未央「うーん、先行き不安ですな。みなみん達の方はどんなもん?」

651: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:28:15.52 ID:GRY7N56A0


美波「私もまだまだかな」

アーニャ「ダー、手ごたえなしですね」

美希「初日にしては頑張ってるって思うな。身体が追いついてないだけで、理解はしてきてるし」

美波「ふふふ、美希ちゃんにそう言って貰えると、ついその気にしちゃうわね」

美希「ミキ、嘘は言ってないもん」

未央「あー、順調ですかー」

凛「負けられないよね、こっちもさ」

卯月「追いついて、追い越しましょう!」

アーニャ「負けません」

冬馬「ははは、その意気だ……つっても焦りは禁物だぞお前ら。お披露目まではまだまだ時間あるんだからな」

NGライカ「はい」

652: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:29:41.04 ID:GRY7N56A0


マストレ「じゃあ予定より早いが、今日のレッスンはここまでにしよう。ちょうどキリも良いしな」

全員「お疲れ様でした!」

美希「もう少し休んだら、向こうが終わる前にランニング始めちゃうの」

未央「私はもう始めようかな」

凛「私も」

卯月「なら私も」

アーニャ「ダー」

美波「私は少し向こうの様子みてくるから。その後かな……ごめんね?」

美希「ううん!ちゃんと走るんだから、時間とかは無問題なの。ミキは見ていくけど、冬馬はどうする?」

冬馬「あー。俺は寄るところあるから先に上がるぜ。神崎たちによろしく言っといてくれ」

美希「はいなの」

デレラ「お疲れ様でした!」

冬馬「お疲れさん」


653: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:30:36.37 ID:GRY7N56A0

冬馬「俺のグラビアが載ってる雑誌の発売日っつーわけで書店に来たんだが」

響「なんで同じ所に買いに来るんだ?冬馬はショッピングモール入りの摩天楼に住んでて、下界に降りる仏要ないんだろう?」

冬馬「んなわけあるか。ていうか、なんでってそりゃこっちの台詞だよ。お前の家、遥か彼方の港区だろうが」

響「ば、馬鹿言うな!自分の家はポンギだぞ、近くのザギンでシースー食えるポンギだぞ」

冬馬「まじか」

響「おーまじだともさ」

冬馬「ははは、そうかそうか」

響「あっはっは」

二人「馬鹿か、お前」

店員「(仲良いなぁ」

654: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:31:08.28 ID:GRY7N56A0

冬馬「お、ホライゾン新刊出てるのか。表紙はミリアムだな、柔らかい笑顔がまた素敵だぜ」

響「あいかわらず氏は仕事が速いぞ」

冬馬「だな。お前、ミリアムと東絡みは好きか?」

響「もちろん、はいさーい、だぞ」

冬馬「そこで使う言葉だったかなぁ」

響「細かいこと気にするなよ神奈川人」

冬馬「それでいいのか沖縄人」

響「いいの!」

冬馬「なるほど」

響「うん。あの二人は武蔵勢の汚れに染まってないのが良いんだよなー」

冬馬「擬似家族的、がだんだんちゃんとした家族風になるのもほっこりできるぜ」

響「うんうん……ところで冬馬」

冬馬「なんだ?」

響「お前全部で何冊本買うつもりなんだ?」

冬馬「十冊かな」

響「買いすぎじゃないか?」

655: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:35:53.85 ID:GRY7N56A0


響「大体、何をそんなに買うんだ?」

冬馬「ホライゾンだろ?ジャイキリだろ?艦これアンソロ二冊と陽炎抜錨全巻、おれはキャプテン最新刊と刃牙道……あぁあとはさっき言ってた雑誌だな」

響「やっぱ買いすぎだろ」

冬馬「そうか?」

響「そうそう。第一自分の雑誌が最後ってどうなんだ?」

冬馬「逆に聞こうか。お前は、自分がシースルー姿でポーズ取ってる写真を本気で見たいのか?」

響「……その言い方はずるいぞ」


656: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/17(水) 23:37:52.36 ID:GRY7N56A0

店員「ありがとうございましたー」

冬馬「ふぅ、あらかた買ったし満足満足」

響「自分も冬馬に釣られていろいろ買っちゃったな……最近読む時間もあまりないのになぁ」

冬馬「忙しいか、やっぱり」

響「まぁね。自分の場合、アイドル仕事より動物関連の撮影が多いからなー。今だと番組のレギュラーコーナーで日本全国の動物園とか歩き回ってるし……楽しいけど時間も取られるし、疲れるさ」

冬馬「お疲れさんだな。少し位本数減らして貰えば良いじゃねぇか」

響「あはは。自分で選んだ仕事で、それが評価されての大変さだし、出来れば減らしたくないぞ」

冬馬「そんな調子だと、家族の世話はどうしてんだ?」

響「ハム蔵とイヌ美が大体やってくれてるさ。このごろはヘビ香とタカ丸も手伝ってくれてるみたいだし、安心安心」

冬馬「それならいいけどよ……それにしても、捕食する側の動物に他の動物の世話任せるって、本当ファンタジーな奴だよな、お前」

響「ふっふーん。自分完璧だからな!!」

冬馬「それ、完璧違う」

661: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/23(火) 01:28:37.50 ID:QL1aW4mz0

美波「ふう、さっぱりした……」

蘭子「はふぅ」

きらり「汗をかいた後のシャワーって、気持ち良いぃよねぇ」

杏「だねぇ」

かな子「……」

みく「二人とも、髪に水が付いてるにゃ!」

みりあ「拭いてー!」

莉嘉「乾かしてー!」

李衣菜「世話焼きってロックだね」

美波「ただロックって言いたいだけよね?よね?」

杏「そこ等へん突っ込んじゃ駄目だよ、折角のキャラだし」

662: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/23(火) 01:29:13.84 ID:QL1aW4mz0

卯月「は、はわわわわ……」ペラッ

凛「冬馬って、案外ガッシリしてるんだね」ジーッ

アーニャ「楓のいう細マッチョ、ですか?」

凛「楓って言う人が誰か分からないけど、そうだね」ジーッ

未央「(しぶりんが思いのほか食いついてて、困惑するちゃんみおさんです……)って、みなみんも皆もおかえりー」

美波「うん、ただいま。みんなは何を見てるの?」

凛「これ」シースルートウマムッキムキ

美波「こ、これはっ」///

卯月「今日発売の月刊【電撃アイドル】ですよ!」

アーニャ「ミナミ、ミナミ!これ凄いです!!」アイドルスマイルカラノイケメンポーズ

美波「」///

未央「で、これね」ヒビキノアゴクイッ ソシテナガシメ

美波「あ、ああ」//////

凛「美波を此処まで照れさせてしまうなんて」

未央「流石トップアイドル」

卯月「ですね!!」

みく杏「(違う気がする……」

663: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/23(火) 01:30:08.00 ID:QL1aW4mz0

美波「(ど、どうしよう。折角忘れかけてきたのにまた//////」

智絵里「これ、お二人のプロフィールも書いてあるんですね」

かな子「そうだね」

きらり「きゃはー。美希ちゃんもきゃわいいーけど、響ちゃんもーきゃわいいにー!」

蘭子「///」

凛「この、響ってアイドル。そんなに動物飼ってるの?」

未央「前にTVで二百近く飼ってるって言ってたよ?」

凛「ネタじゃないって冬馬が言ってたし、事実なんだろうなあ」

美波「(うぅぅ、どうしよう……たぶん、家に帰ったらまたまともに顔も見れない気がする」

杏「へぇ、ゲームが趣味なんだ。嵌ってるのは艦これ。期待の新作はSO5……ほほぅ」

みりあ「すけすけだね!」

莉嘉「響ちゃん、お姉ちゃんより   な感じー!」

李衣菜「また美嘉さんの心にダイレクトなダメージを与えるようなこと言ってる…」


664: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/23(火) 01:30:35.89 ID:QL1aW4mz0

武内「皆さん、随分お楽しみのようですが……どうなさいましたか?」

未央「これだよ」

武内「あぁ、電撃アイドルですか。確か天ヶ瀬さんと我那覇さんのグラビアがメインでしたね」

凛「うん」

未央「いやぁ凄まじいアイドルオーラですぞぉ?」

武内「では、それをぜひ参考にしていただければ幸いです」

卯月「え、あはは」

杏「経験値が足りないなぁ」

美波「あの、プロデューサー?」

武内「はい?」

美波「ちょっとお話したいことがあるんですけど……いいですか?」

武内「込み入った話のようですね。隣の部屋へ行きましょう」

アーニャ「ミナミ?」

美波「あ、気にしないで。たいした話じゃないからね?」

665: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/23(火) 01:31:05.17 ID:QL1aW4mz0

武内「それで、話とは?」

美波「プロデューサーは私が今冬馬君と住んでいるのは知っていますよね?」

武内「えぇ」

美波「それでなんですけど……あのですね?」ゴニョゴニョ

武内「……なるほど、アルコールゼロで酔っ払った挙句に色仕掛けをして翌朝、盛大に自爆した。恥ずかしくて顔が合わせ辛いから引越したい。ですか」

美波「す、すみません……」

武内「まぁ、そこまで弱いとは誰も思いませんし、ゼロであれば飲んだ所でお咎めは誰からも来ませんから、そこはいいのですが……」

武内「ただいまちょうど神崎さんの部屋割り調整をしていまして、もう少し時間をいただければアナスタシアさんとの相部屋も可能となるので、出来れば待って頂きたいのですが」

美波「待つのは良いんですけど、蘭子ちゃん部屋変えですか?」

武内「はい。神崎さんはソロデビューを予定しています。ですので、慣れていただくために一人部屋にしようと思いまして」

美波「なるほど。あ、私はどれくらい待てば良いんでしょう?」

武内「そうですね、三日から五日待っていただければ、と」

美波「了解です。お手数お掛けします」

672: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/30(火) 06:17:57.16 ID:s2yLIdvw0
美波「これからはアーニャちゃんのところにお邪魔させてもらうことになったので、もう少ししたら出て行くね」

冬馬「は?なんだ、いやに急だな」

美波「(何時までもここにいたら、いろいろ恥ずかしいしね……)元々ある程度したらよそに部屋を借りるつもりだったし、それが寮になって早まっただけだよ」

冬馬「そうか」

美波「寂しい?」

冬馬「いいや?」

美波「私的には、そこで少し位寂しいって言ってほしいんだけどなぁ」

冬馬「そういってもな、キャラじゃねぇからそんなこと言う気にもならねぇよ」

美波「へー……家にくると必ず「帰りたくない!」って泣いてた子がそれ言うんだ?」

冬馬「む、昔のことだろ?ノーカンだよノーカン!」

美波「ふふ、そういうことにしておきましょう」

673: ◆HyZk02P5Ec 2015/06/30(火) 06:19:22.19 ID:s2yLIdvw0

冬馬「そんなこんなで出て行く日になったわけだが……」

美波「今日から一人に戻っちゃうけど、何かあったら呼んでね?いつでも来るから」

冬馬「(なんかアレから妙にお姉さんぶることが多くなってる気がする。俺を弟かなにかと勘違いしてるんじゃ無かろうな……」

美波「あと、もうお酒は飲んじゃ駄目だからね?」

冬馬「ノンアルであれだったんだ、飲む気にもなんねぇよ!」

美波「あはは、それもそうよね(私、もう気にしないで居られてるな。良かった」

冬馬「まったく……ほら、そろそろ行かないとアナスタシアが待ちくたびれんぞ?」

美波「うん」

冬馬「……」

美波「ね、冬馬君」

冬馬「おう」

美波「短い間だったけど、お世話になりました」

冬馬「いや、俺も世話になったよ。色々助かったこともあったし……まぁ、これからも別方向でよろしく頼む」

美波「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」

冬馬「………と、改まって挨拶しといてあれだが、結局明日からまたずっとレッスンで会うんだよなぁ」

美波「それは言っちゃいけないと思うよ!?」

676: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/02(木) 23:50:20.66 ID:Ogm4gZzh0

美希「わんつーわんつー、凛はもう少し大きく動こうね」

凛「わかった」

冬馬「島村は動きが大きすぎるから、もう少し抑えような」

卯月「はい!」

冬馬「あと本田!先走り過ぎだって何度も言わせんじゃねぇ!!」

未央「はい!」

美希「未央はセンターなんだから、基準になるように落ち着くかないと駄目だよ」

未央「はい!」

美希「三人とも振り付けは覚えてきたみたいだし、あとは修正修正アンド修正なの!」

冬馬「修正しかいってないぞ?」

美希「それが一番大事だって思うし」

未央「うんうん!というわけでもういっちょ行こう!」

冬馬「張り切るのは良いけどな、少しは力抜けよ」

未央「でも、まだまだ出来てないし」

美希「時間はたくさん有るんだから、ドシっと構えたほうが良いと思うんだけど」

未央「そうなのかなぁ」

冬馬「そうなんだよ。何度何度も言うが、お前は焦りすぎ、突っ走りすぎ。クールに行こうぜ」

未央「う、うん」

677: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/02(木) 23:51:39.47 ID:Ogm4gZzh0

武内「マストレさん」

マストレ「ん?どうした武内君」

武内「いえ、本田さん達の調子はどうでしょうか?」

マストレ「概ね順調だな。お披露目が半年近く後ろにあるのが冗長すぎる位だ」

武内「なるほど」

マストレ「ただ、そうだな、本田が気負い過ぎているということ。やっぱりその一点が心配の種になっているよ」

武内「そうですか」

マストレ「それと、技術的にはおおいに助かるんだが天ヶ瀬も星井も天才肌でな、それがプロジェクト全体の焦りを助長させているきらいがある。そんな二人に追いつこうとする気概を誉めてやりたい所ではあるんだが……NG、特に本田はそれが顕著だ」

マストレ「先行組でそれなりに成果も出ているのだから、もう少し地に足着けてもらいたいぞ……まぁ今日居ないラブライカの二人のように「デートで連携高めます~二日目~」なんて落ち着かれすぎても、それはそれで困るが」

武内「……本田さんたちに落ち着いてもらうため、先に小さなイベントで成功の経験をさせてみるのも良いかも知れませんね」

マストレ「成功の経験に?イベント?臆病な君がそんな先走ったことを言うということは、何か心当たりがあるんだな?」

武内「その通りではあるのですが、臆病は止めて下さい」

マストレ「あっはっは」

武内「まったく……」

678: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/02(木) 23:57:14.28 ID:Ogm4gZzh0


マストレ「で?どういうイベントだ?」

武内「本当に小さいものですよ。近くのショッピングモールで毎週行われるミニステージがあるのですが、そこから346プロにオファーがありまして。この建物から車で十分くらいのところにあるのですが、わかりますか?」

マストレ「あぁ、あそこか。前はよく、子供向けのヒーローショーなんてやっていたな……慣らしとしては丁度良いかもしれんが、他のプロジェクトと競合しないのか?」

武内「それに関しては問題ありません。本当は輿水さんと市原さんが出る予定だったのですが、お二人には別の仕事を回させてもらうということで降りてもらいました」

マストレ「別……?」

武内「市原さんにはテディベア専門店でのコラボイベントを、輿水さんには前々から話のあった「ドキッ☆アイドルリアクション大会」の司会者を」

マストレ「あ、やる方ではないのか」

武内「たまには逆も良いかと思いまして」

マストレ「なるほど」

武内「とりあえずはそんな所です。帰り際に彼女達へ連絡したいと思います」

マストレ「はいはい了解」




武内「というわけで明後日のレッスンは中止してイベントに参加してもらいます」

NG「」ドックンドックンドックンドックン

美希「人って極限まで緊張すると、ああいう顔になるんだね」マガオ

冬馬「そ、そうだな……」ドンビキ

マストレ「そんな急な話だったのか(武内君は昔からナチュラルに鬼畜なことをするよな……」

685: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/05(日) 22:09:10.91 ID:7cV/Y3Wl0
卯月「う、うぅぅ」

凛「もう少し早く言ってもらいたかった……」

冬馬「くくく、こういう急な仕事も芸能界に居ればこそだぜ。初仕事がこういうのってのは、まぁ少し笑えるけどな」

美希「笑っちゃ駄目なの。三人とも緊張してるんだし」

冬馬「わりぃわりぃ。でも俺は良い機会だと思うぜ?」

凛「そうなの?」

冬馬「おう。お前らの焦りは何も知らないから来てるんだよ。俺もそうだったが、こういうのは一度経験しちまえばどうとでもなるもんだ」

卯月「そ、そういうものなんでしょうか?」

冬馬「そういうもんだよ」

卯月「うぅぅ、でも、今から失敗しないか心配ですぅ」

美希「頑張ってきたんだから大丈夫!大丈夫!」

凛「美希にそう言われると大丈夫な気がしてくるね」

冬馬「実際大丈夫だって」

美希「そうそう、あはは」



武内「あの、そちらで和気藹々しているのは結構なのですが、ハイライトが消えた目で私の首に手を掛ける本田さんを止めてくれませんか?」グググググ

美冬「自業自得!」


686: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/05(日) 22:09:49.15 ID:7cV/Y3Wl0

美希「まったく、プロデューサーには困ったものなの」ギューッ

冬馬「そう言ってやるなよ」ブロロロロロ

美希「せめてミキたちに位先に話しておいてくれれば良かったのに」

冬馬「急に決まった仕事なんだろ。それにさっきも言ったけどよ、ほんとうに良い機会だと思うぜ」

美希「良い機会なのはミキにも分かるんだけど……」

冬馬「成功しても失敗しても、どう転んだって今の段階ならダメージもなさそうだし、今のうちに初体験済ませるのも良いさ」

美希「そうかなぁ」

冬馬「ああ。下手に本番前にこういう機会設けて失敗するより、余程な」

美希「でも、卯月と凛はともかく、未央は少し心配なの。今でも空回りしてるのに急なイベントなんて……」

冬馬「そういうが、そもそもこれは本田のことをメインで考えた仕事だと思うぜ?」

美希「え?」

冬馬「あいつが空回りしてるのなんて武内さんも理解してるだろう。なのにこういう持ち込みをしてくるってことは、どうにかしてそれを変えたいのさ」

美希「……」

冬馬「漠然とした不安や焦りなんてのは、理由のある大きな失敗や小さな成功で吹き飛ぶもんだ。だからそれを与えりゃ空回りも多少は抑えられると思ったんじゃねぇかなぁ」



687: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/05(日) 22:10:19.26 ID:7cV/Y3Wl0

美希「そんな簡単に行くものなの?」

冬馬「簡単かはわからねぇけど、今回のこれで成功なら次の成功を、失敗なら次こそ成功を、そういうふうにNGが考えられるようになりゃ御の字だろ」

美希「……適当に言ってない?」

冬馬「あはは、まぁ実際その通りだ。俺たちがどんだけ気を回したところで、結局は本人達の気持ち一つだし、決定権があるのは武内さんだしな」

美希「それ、ぶっちゃけすぎなの!」

冬馬「だがアドバイザーなんてこんなもんさ。俺たちは俺たちの仕事をしてればいいんだよ」

美希「うーん、そういうものかなぁ」

冬馬「そういうもんだ」

美希「……」ギュゥ

冬馬「よし着いたぞ。お前の家、このマンションでいいんだよな?」

美希「そうなの。よいしょっと」

冬馬「じゃあ、また明日な」

美希「えー!折角来たんだから上がっていけば良いのに!」

冬馬「無理無理」

美希「むぅ」


688: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/08(水) 00:39:24.24 ID:ucRa2mem0

冬馬「衝撃のイベント告知から早二日。本番当日になりましたとさ」

美希「え?」

冬馬「気にすんな、独り言だよ」

美希「そうなの……うう」

冬馬「……」

美希「うう、NGの三人は大丈夫かな」

冬馬「大丈夫ってか、朝にお前が緊張しすぎて吐きそうになったから、それを見た本田が逆に落ち着いたじゃねぇか。すくなくとも今日は心配ねぇよ」

美希「……」ソワソワ

冬馬「……ひょっとしてお前、自分の時にもそんな取り乱してたのか?」

美希「ううん、同じステージでデビューしたデコちゃんに蹴られるくらいには落ち着いてたの。真っ青なデコちゃんを見てるほうがすっごく辛かったかも……未央ほどじゃなかったけどね」

冬馬「そうか(なるほど。マイペースさを崩さないにしても他人には敏感なんだな」

美希「ううう、いっそ早く始まって早く終わって欲しいんだけどなぁ」ソワソワ

冬馬「346に居ても落ち着かないって言って早めに来たのはお前だろ?まだ一時間はあるぜ」

美希「うううう」

689: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/08(水) 00:40:03.86 ID:ucRa2mem0


冬馬「美希、少し歩かないか?」

美希「?」

冬馬「店の中適当に散策して時間潰してけば気も紛れるだろ」

美希「でも……」

冬馬「お前がそんな顔で下から見てたら、NG連中が困るぞ?」

美希「う、うん。じゃあ、そうするの」

冬馬「よっし決まりだな。いや、俺此処来るの初めてでさ?実は気になってたりしたわけなんだよ」

美希「そうなの?」

冬馬「おう」

690: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/08(水) 00:41:05.99 ID:ucRa2mem0

冬馬「ユニクロってわりと何処にでもあるよな、部屋着とかそこらのコンビニ行く時には重用するわ」

美希「インナーがそれなりに安いから、パジャマの下とかに着やすいもんね」

冬馬「あと、こういうところにある書店は、店員の趣味で揃ってる本が偏るんだよなぁ」

美希「前にホラー小説ばかり置いてあるところがあって、知らずに入った貴音が気絶した事があるから、出来ればそういうのはノーサンキューね」

美希「ところでこういう店に、結構エステのが入ってたりするけど気持ちいいのかな」

冬馬「金額相当くらいじゃねぇか?安いと数千円とかだし。まぁ346にある施設の方が色々良いだろうけどよ」

美希「あー、こう、なんて言えばいいのかなぁ。。カフェが二つ三つ並んでるのを見ると、商売下手なのかどうなのか悩まない?」

冬馬「確かに、客の取り合いになんねぇのかよとか思うぜ。それに、ここまで並ばれるとなんか知らんが自販機で良いやって気分になる」

美希「そう?」

冬馬「出来れば専門店で飲みたいし、それが無理なら仕方なく入るくらいだからな。だったら煩わしくないほうが良いぜ」

美希「まぁそれはあるかも……」


691: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/08(水) 00:41:43.04 ID:ucRa2mem0

美希「このババロア美味しいの!」

冬馬「アイドルがフードコートってのも、なかなか面白いな」

美希「ミキは春香とか真くんとは良く来るよ?」

冬馬「あん?それでバレねぇのか?」

美希「ぜーんぜん!変装してるし大丈夫なの」

冬馬「マジかよ。俺なんて結構な頻度でバレて大変なんだけどなぁ」

美希「サングラスだけで変装した気になってるからなの。美希は髪型変えたり帽子被ってるから大丈夫なの!」

冬馬「なるほどねぇ……ところで、さっきの二人はともかくフェアリーとか他のアイドルとは遊びに行かないのか?」

美希「響とはたまーに街を歩いてるよ?貴音は中々捕まらないけど、捕まえたら一日つき合わせて遊ぶかなぁ……」

美希「デコちゃんはそもそも出歩かないし、雪歩はあんまり時間が合わない、真美たちとはゲーセンか映画で、あずさとはそもそも休日に会ったことが無い……というか待ち合わせができないから無理」

美希「千早さんはこの頃カメラをもって外に出かけることが多いから、それに着いて行くことは結構有るかな。あと、やよいとはいつも家遊びかファミレスなの!」

冬馬「秋月プロデューサーは?」

美希「律子は忙しいから迷惑かなって思うの」

冬馬「なるほど」

692: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/08(水) 00:42:47.65 ID:ucRa2mem0


冬馬「じゃあそろそろ行くか」

美希「うん」

冬馬「さて、どのくらい集まるかね?」

美希「席に着いて聞いてくれるのはサクラ抜いて十人いれば良いかな。宣伝も何もないし」

冬馬「あとは通り過ぎて行く人が足を止めてくれれば万々歳か」

美希「中央口の正面だし、それは結構期待していいと思うな」

冬馬「そうだな……こう考えてみると、なかなか良い所でのデビューと言って良いのかもしれねぇ」

美希「もう少し前にこの話が決まって、小さくても宣伝出来てれば最高だったかもなの」

695: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/17(金) 23:15:27.40 ID:h4wCaDcW0
これだな



人波1「ワイワイ」

美希「ねぇ冬馬……」

人波2「ガヤガヤ」

冬馬「なんだ……」

人波3「ドンガラガッシャーン」

美希「なんでこんなに人が居るの?」

冬馬「さぁなぁ……」

人波4「ワァァァァ!!」

冬馬「本当になんでだ……」

武内「お二人とも!」

冬馬「武内さん!こりゃいったい何の騒ぎだ!」

武内「話は中で。まずは控え室にお入りください!」

冬馬「オーケイ、見つかったら事だしな」

美希「うん」

696: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/17(金) 23:16:04.26 ID:h4wCaDcW0


武内「ふぅ」

美希「それで、いったい何がどうしたの?」

武内「いえ、それが……」

冬馬「なんだ?何か言いづらいことでもあるのか?」

武内「……どうやら、天ヶ瀬さんが此処に居るのがバレているようでして、ここでミニイベントを行うのは天ヶ瀬さんなのではないかと言う噂が」

美希「もう!そんなサングラス一丁で変装気取るから駄目なの!!」

冬馬「はー!?俺のせいかよ、そうだな俺のせいだな!!」

美希「勝手にキレて勝手に解決しないで欲しいの!!」

武内「お二人とも、落ち着いてください」

美希「落ち着くって」

武内「これは逆にチャンスなのです」

二人「チャンス!」

武内「はい。もともと場数を踏ませておきたいと思って私はこのイベントを企画したのですから、こういうアクシデントも歓迎できます」

二人「歓迎!」

武内「さらに言えば、ここまで想定と違えば言い訳も出来るのでは………」

冬馬「最後にネガ入れんな!!」

697: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/17(金) 23:16:30.10 ID:h4wCaDcW0


未央「なんていうかさ」

凛「うん」

卯月「はい」

未央「最初はね?お客さんは沢山とは言わなくても二十人くらい居るかなって思ってたよ?」

凛「そうだね」

未央「でもさ、すぐに「いやいやサクラと私達の知り合い含めてもそこまで来ないでしょ」ってタカをくくってさ?」

卯月「えぇ」

未央「ステージ裏から覗いたら本当にそのくらいでさ「あーほっとしたようなしなかったようなー」って思って少ししたら」

凛「百人くらい居るらしいよ」

未央「なんでさ!!」

700: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/27(月) 07:18:22.75 ID:byZMB9rT0

未央「ああああ、ヤダなぁもう!」オロオロ

凛「未央、良いからそろそろ落ち着いて」

卯月「そうですよ。もういまさら慌てても意味なんて無いんですから」

未央「うぅ、なんで二人はそんなに落ち着けるのかなぁ?」

凛「それはまぁ……」

卯月「未央ちゃんと美希ちゃんが沢山慌ててるから逆に落ち着けたっていうか……」

未央「OH……」

美希「さささ三人とも、大丈夫?飴食べる?お水摂った?」アワアワ

未央「う、うん大丈夫だよ、大丈夫」シドロモドロ

冬馬「正直すまなかったと言う気持ちで一杯なんだが、よくよく考えたら別に俺のせいじゃないから謝らねぇぞ」

うづりん「えぇ?」

未央「あ、あはは……えっと、二人とも、いったいどうしたの?」

701: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/27(月) 07:19:09.66 ID:byZMB9rT0

冬馬「いや、緊張しているであろうお前達に話をな……本当なら本番前に声を掛けてやるなんて甘いこと、俺はやりたくなかったんだが」

美希「少なくとも、今回は冬馬の凡ミスなんだからフォローは当然なの!」

冬馬「ということで話をしてやろう。まぁ今は本田くらいにしか意味がなさそうだけどな、ははは」

未央「……」

凛「……」

卯月「……」

冬馬「……緊張は誰でもするものだ。しないなんて心の底から言えるのは、余程図太い奴だけだろう」

未央「……」

冬馬「だが、誰でも緊張するとはいえ、それの内容も深さも、まったくと言って同じものはねぇ。人前に出るのが怖い奴、失敗が怖い奴、自分に自信がなくて、それを不安に思うから安定しない奴」

冬馬「人それぞれさ、当然だけどな」

702: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/27(月) 07:19:48.72 ID:byZMB9rT0


冬馬「今回のデビューは突然のことだったし、しかもこんなハプニングが起きて慌てちまうのも分かる、だからそれで緊張しちまうのもやっぱり分かる」

冬馬「緊張してる今、ここで、必要なことは緊張の解し方とかじゃないんだが……」

冬馬「さて本田、必要なことはなんだか分かるか?」

未央「いや、それはそのぉ」

冬馬「わからねぇか?」

未央「うん」

冬馬「必要なのは、イベントが終わった後のことを考えることだ」

未央「へ?」

冬馬「考えてみろ」

未央「で、でもさ、成功するか失敗するか、それも分からないんだよ?考えようがないって!」


703: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/27(月) 07:20:35.15 ID:byZMB9rT0

冬馬「それを考えろ。これが失敗したらどうする?」

未央「それは……泣くかも」

冬馬「それから?」

未央「やっぱり落ち込むし、今日誘った人たちに合わせる顔がないなぁ」

冬馬「その後は?」

未央「もっとレッスンを頑張って、次は成功したいよね。しぶりんとしまむーと、三人で反省会も良いかも」

冬馬「じゃあ成功したら?」

未央「そりゃあ勿論、明日は学校と事務所で自慢するでしょ」

冬馬「そうか」

未央「親にも言えるし、自信もついてアイドルが楽しくなるだろうね」

冬馬「じゃあどうすれば成功と言えると思う?」

704: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/27(月) 07:23:16.96 ID:byZMB9rT0

未央「……ミスしない?」

冬馬「違う」

未央「んー、分からないなぁ。答えは?」

冬馬「簡単なことさ。笑顔で、最後までやりきること」

未央「それだけ?」

冬馬「それだけだ(まぁそれが難しいわけだが」

未央「そうか、それだけで良いのかぁ」

冬馬「ごちゃごちゃ考えるより楽だろ?」

未央「うん!!」

冬馬「あはは、今みたいに本田は元気がいいからな、多少ミスしても笑顔で楽しくパフォーマンスをすれば誰も気にしない。それどころか愛嬌があるって逆に誉められるさ」

未央「そ、そうかな?」

冬馬「おう」

美希「(冬馬のファンが、アイドル自体が好きな人ばっかりだから出来ることだと思うなぁ」

705: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/28(火) 21:08:44.11 ID:MeQNobdg0

武内「皆さん、そろそろ時間です。用意をお願いします」

NG「はい!」

冬馬「その前に、武内さんも何か一言言ってやればどうだ?」

美希「なの!ここはプロデューサーがビシって決める場面だって思うな」

武内「そうですか?」

未央「うんうん、プロデューサーからも何か欲しいね」

凛「ふふ、そうだね」

卯月「私もお願いしたいかなって思います!」

武内「で、では一言」

706: ◆HyZk02P5Ec 2015/07/28(火) 21:09:38.14 ID:MeQNobdg0


武内「今日のこのイベントは、規模的がとても小さいものです。しかし、あなた方にはデビューという大きなイベントであり、アイドル人生で一度しかない日となります」

武内「皆さんが励んできたのは、そんな今日を迎えるためです。これまでを無駄にしないよう、これからの糧になるよう、悔いの残らないよう、最高のパフォーマンスをしましょう」

武内「最後に、この場に集まった人々はあなた方のファンでは有りませんが、今日のステージで全員をファンにしてしまうことが出来ると、私はそう信じています……頑張ってください」

NG「……」

武内「えっと……どうでしょうか?」

冬馬「いやいや、さすがプロデューサーだと思うぜ?」

美希「ハニーとは違う方向で引き込んでくれるの!」

未央「よっし、気合入ったぁ!」

凛「頑張る、うん。頑張ろうか、卯月じゃないけどね」

卯月「はい!沢山頑張りましょう!!」

710: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/02(日) 11:32:00.48 ID:CfQncAMq0

未央『……!』

美希「控え室なんかでいいの?たぶん歌が聞こえないと思うんだけど」ドキドキ

凛『……!』

冬馬「良いんだよ。外から近づくとバレるし、ステージ横も二階から見えちまうからな。それに俺が知りたいのは客の反応だから、これくらい離れてても平気だ」

卯月『!』

NG『……!』

美希「始まった!」ソワソワ

冬馬「……」

711: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/02(日) 11:32:30.54 ID:CfQncAMq0


未央「小さく前ならえ!詰め込んだ気持ちが」

凛「前にも後ろにも」

卯月「ほら弾け飛びそう」

客「新人かな?」

客「脇のポスターにそうかいてあるぜ?」

凛「ホントは飛び出したい」

卯月「トキメキの原石」

NG「準備は完了!無敵ステキ予感 Feelin☆」

NG「目の前にあるのは未知への扉」

凛「君も」

卯月「僕も」

NG「みんな」

NG「おいでよC'mon!」

客「上手くはないけど……案外良い感じ」

客「346って幸子ちゃんとか美嘉ちゃんのところだよな」

客「俺、本当は幸子ちゃんが来るって聞いてたから此処に居るんだけど……NGか、応援したくなるな」

712: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/02(日) 11:33:57.25 ID:CfQncAMq0

NG『!!』

客『!!』

冬馬「盛り上がってるな」

美希「う、うん……最後に失敗したりしないよね?」ドキドキ

冬馬「大丈夫だよ。それに失敗しても良いってさっき言ってたろ」

美希「そうなんだけど……」

NG『!!』

客『!!』

冬馬「ほら、何も無く終わったみたいだぜ?」

客『!!』

客『!!』

冬馬「なかなかどうして掴みが良かったみたいだ」

美希「ふぅぅぅ………ふふん!美希と冬馬がアドバイザーやってたんだから、失敗なんてありえねぇーの!!」

冬馬「アホか」

717: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/08(土) 15:14:50.40 ID:81dOGkIn0
未央「はぁぁぁぁぁ緊張した……」

凛「一曲通しただけなのに、疲れたよ……」

卯月「うぅ、ステップ間違っちゃいましたぁ……」

冬馬「お疲れ様だな。どうだったよ、デビューは」

未央「最っ高!だったかな。今でも心臓がバクバクするけど、楽しかったし!」

凛「確かに、楽しかったよね」

卯月「はい!とっても楽しかったです!」

美希「楽しい……三人とも案外図太いの。ミキはずっと緊張してたから、もうヘトヘトなのに」

冬馬「お前の緊張がおかしいんだ」

美希「むぅうう」

武内「皆さん、初仕事お疲れ様でした」

NG「プロデューサー!」


718: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/08(土) 15:15:18.96 ID:81dOGkIn0

武内「横で見ていましたが、とても良い笑顔でパフォーマンスが出来ていたと思いますよ」

未央「えへへ」

武内「これなら観客の皆さんもファンになって下さったことでしょう」

凛「それならいいんだけど」

卯月「本当にファンの人が出来たなら、これから沢山の人に見てもらえるんですよね……楽しみです!」

未央「うんうん、楽しみ楽しみ!……っとプロデューサー」

武内「はい?」

未央「プロデューサーはどう?私達のファンになっちゃった?」

武内「いいえ」

NG「!?」

武内「?……あぁ、いえ、そういう意味ではなくてですね。皆さんのファン一号を自称する身としては、二度ファンにはなれないので」

NG「ファン一号!?」

武内「はい」

719: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/08(土) 15:16:04.42 ID:81dOGkIn0

未央「一号?」

武内「はい」

凛「家族より?」

武内「そうです」

卯月「えっと、私自身よりもですか?」

武内「勿論」

美希「すげーの、青田買いにもほどがあるの、マジで天才なの」

冬馬「さっすがプロデューサーだぜ!もう最高だなぁ!!」

武内「」テレテレ

美冬「嫌味だから!」

武内「すみません」

720: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/11(火) 09:26:58.98 ID:yooOVODG0

武内「ゴホン……えー、大げさに言いましたが、実際、私はあなた方のファンになっています。問題ありません」

冬馬「なるほど」

武内「では、皆さんが着替え終えたら解散と言うことにします。衣装を私に預けた後は自由にしてください」

未央「せっかくだし、しぶりんとしまむーの三人で遊んでようかな……時間ある?」

凛「私は別にいいけど」

卯月「私は大丈夫です。でも、反省会とかは……」チラリ

冬馬「ん?まぁ親睦を深めるのも大事だろ。それは明日、今日撮ったビデオでも見ながらやろうぜ」

未央「へへ、やったね」

美希「でも、指摘するのはマストレさんにお願いするの」

NG「おうふ」

721: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/11(火) 09:27:39.23 ID:yooOVODG0

美希「ねぇ冬馬」ブロロロロロロ

冬馬「あー?」ブロロロロロ

美希「最近緩くなってない?」

冬馬「緩いってなんだよ?」

美希「緩いは緩いなの。親睦を深めるから反省会は後、なんて自分達じゃ言わないよね?」

冬馬「あいつらに甘いって言いたいのか?そういう意味ならたしかに緩いかもな」

美希「でしょ?」

冬馬「だが、最終到達点が違うんだから甘くなるのも当然だろ」

美希「到達点?」

冬馬「あぁ」

美希「IAとかIUとかのこと?それともランクとか?」

冬馬「いいや、そういうのじゃなくてな」

美希「?」

冬馬「ふぅ……少しそこらの喫茶にでも寄るか」

美希「うん」

722: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/11(火) 09:28:41.43 ID:yooOVODG0

冬馬「コーヒーで」

美希「ミルクティーで……それで、最終到達点ってなんなのなの?」

冬馬「そうだなぁ。まずお前にとって、自分のゴールってなんだ?」

美希「ゴール?んー、キラキラしたまま引退……かなぁ」

冬馬「キラキラか。それってどんな状態だよ」

美希「楽しくて、すっごくウキウキしてる感じなの!」

冬馬「そうか。じゃあここで一つ小話をしよう。日高愛の母親の、日高舞の話だ」

美希「ん?冬馬は愛のお母さんと知り合いなの?」

冬馬「いや?」

美希「え?ならなんで知ってるの?」

冬馬「……」ハァァァァァ

美希「え?え?」

725: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/13(木) 15:27:29.22 ID:zy1FZ/ZO0


冬馬「まぁ良いや、とりあえず聞け」

美希「う、うん」

冬馬「日高舞はアイドル界の伝説だ。アイドルをやってれば一度は耳にするだろうアイドルで、彼女が大小様々なオーディションを荒らしまわったから今のランク制度が出来たと言ってもおかしくねぇんじゃねぇかな」

美希「そんなに凄いの?」

冬馬「正確な時間はわかんねぇけど、デビューから引退までの間、ただの一度しか負けてないと言えば凄さが分かるだろ?」

美希「おおー!」

冬馬「活動期間は三年だ」

美希「え、それくらいしかやってないの?」

冬馬「時間じゃねぇんだよ。その間にシングルでミリオン二枚、ダブルミリオン一枚、トリプルミリオンまで後一万枚になった物が一枚だ」

美希「」

冬馬「とりあえず凄い伝説のアイドルだってことは分かったな?」

美希「うん」

冬馬「なら本題だ」

726: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/13(木) 15:28:06.02 ID:zy1FZ/ZO0


冬馬「日高舞は歌も上手けりゃダンスも出来て、華があってトークで客を引き込むのが上手かった。自分を偽らずに傲慢なほどの自信を持って生きる姿はすべてのアイドル好きをまとめてファンにしちまうくらいだった」

冬馬「歌えば売れて、踊れば喝采、話そうものなら大歓声」

冬馬「そんな日高舞が突然引退会見を開いて、さっさと辞めちまったんだ」

美希「どうして?」

冬馬「つまらなくなったからだ」

美希「つまらない?なんでつまらないの?売れてたし、人気もあったんでしょ?」

冬馬「そこが到達点だ」

美希「?」

冬馬「日高舞はスカウトされてアイドルになったんだが、明確な目標はなかったらしい。行ける所まで行ってみるか、そんな感じだ」

美希「ミキと一緒なの」

冬馬「そういやそうだったな、お前も今じゃ意識が変わってるから忘れてたぜ……それで、実際に高くまで行ってみて、日高舞には自分と張り合うことの出来る存在が居ないことが分かったのさ」

美希「張り合う存在って、ライバルとか?」

冬馬「おう」

美希「でも一度負けたんでしょ?その相手じゃ駄目なの?」

冬馬「おっさんが言うには病気でリタイアしたらしいぜ。デビューしたての有望株で、ダンスは不得手でも歌は如月に負けない位だったっていうんだから、惜しいよなぁ」

美希「そうなんだ……」


727: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/13(木) 15:28:33.82 ID:zy1FZ/ZO0


冬馬「そういうわけだから、行ける所まで行ったしやることも無いし、楽しくもなかったんだろ」

美希「贅沢な話なの。力はあるしファンも居るのに……その二つを欲しくても手に入れられない人もいるのね」

冬馬「(それが分かるようになったんだから、お前も本当に成長したよな)それが日高舞の到達点だったんだろ。最上の高みがゴールだったなら、そこからはもう流して行くしかない」

冬馬「だが、惰性に生きていくことが出来るなら、はなっから行ける所まで行こうなんざ考えねぇと思うんだよな」

美希「そうなのかな……」

冬馬「常に進んでいることを身に課しているなら、停滞と安定は敵でしかないだろ。辞めたことは仕方がなかったと思うぜ」

美希「………冬馬もそうなの?上まで上りきったらアイドル辞めちゃう?」

冬馬「俺も自分のやれる所までやり続けるさ。天海が生涯アイドル宣言してる分、少し弱いけどな……」

冬馬「それに、なんだ、娘の年齢とかから逆算すると、日高舞が辞めた理由には妊娠したってのもあるみたいだからな。一概に言うことは出来ないだろうさ」

美希「最初からそれを理由にすれば良かったんじゃ」

冬馬「人気絶頂のアイドルがいきなり妊娠しました!辞めます!じゃあ、その後の騒ぎは段違いだったと思うぜ……」

美希「あー……」

728: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/13(木) 15:29:01.41 ID:zy1FZ/ZO0


美希「えっと、それで、未央たちと到達点が違うって言うのは?」

冬馬「俺はトップになりたいし、なるつもりだ。だがあいつらは?そういうつもりがあるのか?」

美希「それは、分からないけど」

冬馬「961所属のアイドルや候補生達は皆上を目指してやってきてる。346所属のアイドルは、調べてみたがどちらかと言えば自分の個性を生かした活動をしているな」

冬馬「方向性の違いってだけで、どっちも正解なわけだが……その方向性の違いはそのままゴールの違いでもあるだろ?」

冬馬「961の中では、大きな会場でソロライブを毎年やることを目標にしてる奴も居れば、俺や天海の位置に成り代わりたいって奴も勿論居る。そいつらのゴールは俺と同じと言っても、まぁ良いさ」

冬馬「だが本田、というかシンデレラプロジェクトの奴らはそういうところを目指しているわけじゃないだろ?」

美希「うん、そこまでの考えは無いと思うな」

冬馬「ならば緩くしてるのも当然じゃないか?それに、仕事とはいえ他の事務所メンバーにここまでしてるんだから、俺が普段より緩かろうが問題にはならねぇさ」



729: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/13(木) 15:32:17.19 ID:zy1FZ/ZO0
冬馬の中で一番のアイドルは日高舞の模様


なんで到達点とゴールを別けたのか自分で理解できない人

731: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/22(土) 08:14:23.81 ID:V8ixS0Ow0
冬馬「(NGのデビューから一週間が過ぎた。初めてにしては上出来、くらいにしか考えてなかった俺は、ただいま困惑している」ツイタテノムコウガワ

記者「デビューで大勢の前でパフォーマンスするのって、やっぱり緊張した?」

凛「たしかに緊張はしました。ただ、未央が私と卯月を足した以上に緊張していて、それを見て逆に落ち着いた所もあるので、度合いとしてはほんの少しですが」

記者「なるほど。本田さんはリーダーと言うことで、気負いがあったかな?」

未央「はい。自分が何とかしないとって考えちゃって、頭がぐるぐるしてました。でも、プロデューサーとアドバイザーの方に励ましてもらって、なんとか持ち直せました」

記者「へぇ、どんな励ましだった?」

未央「アドバイザーの方には「笑顔でやりきれば問題ない」。プロデューサーには「一度しかないデビューだから悔いの無いように」と」

記者「そうですか。島村さんはどうでしたか?先のお二人は色々思うところがあったみたいですが、今回のデビューについて」

卯月「私はとにかく、頑張る、頑張ろうとしか言ってなかったので二人ほど何かを考えてなかったです。二人には引っ張られてばかりで……一応最年長なんですけどね、あはは」

冬馬「(いろんな所から取材を受けるようになってるんだもんなぁ……雑誌取材はこれ三件目だぜ?それに、小さいとはいえ電撃アイドルが1ページ使ってくれるらしいし」

冬馬「(なんつうーか、報われてるなぁ」

美希「冬馬が遠い目してる……」

冬馬「シンデレラプロジェクト全体がこういう風に成功していって、最後のライブもしっかり決められれば最高だよなぁ。俺も安心して離れられるし」

美希「皆NGに良い刺激を受けてるし、大丈夫なの。次はラブライカで、その後は未定だけど、きっと上手く行くって思うな!」

732: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/22(土) 08:16:23.46 ID:V8ixS0Ow0


武内「……」ムムム

ちひろ「プロデューサーさん?どうしたんですか、そんな難しい顔をして」

武内「千川さん……いえ、どうしたというか」

ちひろ「?」

武内「本田さんたちの件が余りにも上手く行き過ぎていたようです。上から、他のユニットも早めにデビューさせて知名度を上げたらどうかと……」

ちひろ「えっと、どういうことです?」

武内「約半年後に346プロダクションだけのライブが開かれ、そこで初めて、NGを始めとするユニットメンバー全員を合わせてシンデレラプロジェクトであるという発表をする。というのが今の計画です」

ちひろ「それが変わるんですか?」

武内「まだわかりません。今までは可能な限りユニット間の付き合いを見せず、発表後に一気に絡ませていくつもりでした。しかし、シンデレラプロジェクトメンバーを早いうちから発表し、活躍させれば宣伝も楽だというのが向こうの話でして……」

ちひろ「それも分からないこともないですけど……プロデューサーさん的にはどうです?なにか不味いことでもあるんですか?」

武内「ライブで発表する予定の全体曲がサプライズになりませんし、今まで通りの方がスケジューリングがやり易いと言えばやり易いのですが。難しいでしょうね」

ちひろ「難しいとは?」

武内「これが、シンデレラプロジェクトをNG中心に進めろ、というのでしたら拒否するだけなのですが、あくまでNGが作った良い流れを利用したらどうかという全うな意見ですから」


733: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/22(土) 08:17:00.37 ID:V8ixS0Ow0

武内「上の言い分は正しい。ただその流れで発表するとなると、他のユニットがNGの人気に引っ張られる形になってしまいそうで」

ちひろ「固定ファンがつかないと?」

武内「つかないというか、ユニット自体に熱烈な支持をくれるようにはならないのでは?ということです」

武内「皆さんが個性的な方ばかりですので、普通にデビューすれば根強いファン層を獲得するのもたやすいでしょうが、始まりがNGからの流入ではそれも期待できません」

武内「そもそも今の流れが一過性に過ぎない可能性のほうが高いわけで……もし一過性であれば、NGの流れが途切れるのと同時にシンデレラプロジェクトも潰れてしまいます」

武内「第一少し順調に行ったからと当初の予定を変えるなど、落ち着きが無いと言いますか……」

ちひろ「ふふ」ニコニコ

武内「千川さん?」

ちひろ「自分の中で答えが決まっているなら、そんな難しい顔をしていないで、それをはっきり言えばいいんですよ。このプロジェクトの責任者はプロデューサーなんですから」

武内「そうおっしゃられても、私は一介のプロデューサーに過ぎないんですが」

ちひろ「一介のプロデューサーに、わざわざ黒井社長や高木社長が声を掛けませんよ。自信をもってください」

武内「は、はぁ。では、とりあえず意見の具申に行ってきます」

ちひろ「いってらっしゃい」

734: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/22(土) 08:20:25.54 ID:V8ixS0Ow0


冬馬「ラブライカのデビュー日が決まって、神崎のソロ曲が配られて、他の連中のユニット構成とその曲も全て揃ったと?」

武内「はい」

冬馬「少し急すぎじゃねぇか?そりゃあ全員、ユニット曲に移行して良い位にはやれるようになってるけどさ」

武内「上との話し合いでそうなりました。出来る限り早い内に皆さんにデビューしてもらい、ユニット内である程度高い連携を取れるようになれば全体曲のバランスも取りやすいのではないかというのがその結果です」

武内「デビュー時期がバラバラになるとハプニング的にNGが大成功した分、他のユニットと知名度に差が出てしまいますから、そのあたりも考慮しています」

美希「んーそういわれると、竜宮小町だけが人気だった前の765プロみたいになりそうだもんね」

武内「ええ、それも頭にはありました。当初の予定では、最後のユニットデビューをライブの一月ほど前に考えていましたが、前倒しにすることで、先にも言いましたが連携の問題と知名度の問題を解決できるのです」

冬馬「なるほど、一応納得はしてやるよ。シンデレラプロジェクトとしての発表はライブ時で変わらないとしても、その前からユニット間の競演はあるのか?」

武内「いえ、あくまで346プロの1アイドルユニットとしてデビューしてもらいます。NGの時のようにはならないように、ラブライカを初めこれからのユニットデビューには私のみがついていくことにします。お二人には各ユニットのレッスンと取材時の付き添いを重点的にお願いすることになりますが……」

美希「おーけーなの」

冬馬「任せな」

武内「では、お任せします」

736: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:13:27.64 ID:07bPIQz20

みく「手を伸ばせ もっと高く!」

李衣菜「君と」

みく「君と」

*「君とさぁ進もう!」

冬馬「OK、十分だ」パチパチ

*「!」

冬馬「細かい所はともかくとして、おおよそは上手く出来てるな」

みく「やったにゃ!」

李衣菜「へへへ、やったね!」

*「いえーい」

冬馬「(決定からかなり時間が過ぎて、今は四月だ」

冬馬「(アドバイザーとしてこっちの仕事を優先してきた俺だが、先月は俺の誕生日イベントやら高校の卒業式やら多忙だったこともあり、こっちにくる時間が余り取れなかった」

冬馬「(多忙すぎて高校卒業になんの感慨も持てねぇんだから、因果なものだよなぁ。芸能学校で一年次以外殆ど出てなかったから仕方がないと言えばそうなるんだが………そうやってあまり来れない内に、全ユニットが無事にデビューを果たし俺と美希の役目は少しずつ減っていた」

冬馬「(レッスンだって、特に言うべき所が無い。いや、時間が経てば問題も出てくるんだろうが、俺も美希もそこまで居ないからなぁ」



737: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:14:23.49 ID:07bPIQz20

冬馬「(デビューの話だが、ラブライカは問題なく大成功、神崎も成功、双葉と緒方と三村のユニットも、諸星赤城城ヶ崎のユニットも、勿論目の前で仲良くしている前川と多田も、大成功と言って良い出来だったらしい」

冬馬「(惜しい。生で見たかったぜ」

みりあ「あー!冬馬君居たー!」

冬馬「赤城か。どうした、何か面白いことでもあったか?」

みりあ「ううん。あのね、プロデューサーが今後のことで話し合いたいから応接室まで来てって!」

冬馬「そうか、わざわざありがとな」ポンポン

みりあ「えへへ」

*「……ロリコン」

冬馬「ロリコンじゃねぇ!」



738: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:16:50.57 ID:07bPIQz20

冬馬「来たぜ、何だ」

武内「お疲れ様です。天ヶ瀬さんから見て、皆さんはどうでしょうか?」

冬馬「随分抽象的な聞き方するんだな。それに、あんたは出先で見てて分かるだろ」

武内「私から見て思うことと、他の人が見て思うことは違いますから。具体的に言えばアイドルとして、貴方が彼女達をどう見るか、です」

冬馬「なるほど……先ずは、そうだな、NGの三人は基本的に問題はない。今の調子のままで行けるなら普通に良いアイドルになれるだろうさ」

冬馬「本田は二人を引っ張れるくらいには落ち着いたし、渋谷は最初より積極性が出てきている。アイドルが楽しくなってきたんだろうな」

冬馬「島村は少し二人の後ろに居て、方向に迷ってるみたいだが心配はしてねぇ。接してきた感じ、アイツは天海や俺と同じタイプ。アイドルが目標だったから、それになった今どういう道を選べばいいか分からない……そんなとこだろ」

冬馬「こういう奴は大抵、深刻に悩んでいても勝手に答えを見つけるかするからな。近くの人間は少し言葉を掛けてやるだけで良い」

冬馬「そうしてみると、やっぱりNG三人は問題ねぇ」

739: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:17:44.50 ID:07bPIQz20


冬馬「ラブライカ、この二人ほどどっしり構えてる新人は歴史上稀なんじゃねぇかなぁ………親睦深める会パート4とかやってたし」

武内「あー……」

冬馬「まぁいいや。美波ちゃんは垢抜けた感のある、深い色気がある美人でありながらも素顔は純情。アナスタシアは見た目がロシアン系の美女って所だが、性格は幼い」

冬馬「美少女二人、歌は上手いし息の合ったパフォーマンスも上々。性格と見た目のアンバランスさが良い感じで心を惹くな」

冬馬「他のユニットにはない色気が有る分、他より男のファンが多い」

冬馬「ネットで見てると、二人にはいくつかファンクラブが出来ててな、それの分類がラブライカのものと美波ちゃんのもの、アナスタシアのものとバラバラなんだ。これは他の奴らには無い特徴だな」

冬馬「順調に技術は上がってきてるし、心構えも問題ない。だから、さっさと公式ファンクラブ作ってバラバラな奴らを集めちまったほうがいいと思うぜ」

武内「ファンクラブですか………」


740: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:19:21.54 ID:07bPIQz20

冬馬「ローゼンブルクエンゲル、ってか神崎は思いのほか芯の入った活動をしてるな。中二キャラなんて白い眼も向けられるだろうに、それに負けないでやれてる」

武内「いえ、中二ではなく訛りでして」

冬馬「はいはい訛りな。歌や衣装は格好良く、言葉はともかく動きが可愛いから、良い意味でギャップのあるパフォーマンスが売りになるだろう。実際、今でもアイツの良さを十分出せているとは思うぜ」

冬馬「それに、うん、とっても可愛いから問題はねぇな」

武内「かわいい……それでいいのですか?」

冬馬「可愛いは正義。これ紀元前前から言われてることだぜ」

741: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:19:50.85 ID:07bPIQz20


冬馬「キャンディアイランドは双葉に掛かってるといっても過言じゃないな……」

冬馬「緒方も三村も臆病な所があるからそれを双葉が上手くフォローすれば良い」

冬馬「レッスンの時もさり気無く二人に声を掛けてる双葉だから、現場でも問題ないだろうな」

冬馬「ただ、双葉自体はサボり癖が強いから、そこは二人が引っ張れるようにならんと話にならねぇ」

武内「なるほど……」

冬馬「俺も現場行ければ楽なんだがなぁ」

武内「まぁ、あれは彼女の長所と言いますか個性と言いますか……」

冬馬「昔の美希に比べりゃマシにもほどがあるから、そこまで煩くは言わねぇよ」」

742: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:20:25.34 ID:07bPIQz20

冬馬「凸レーションはあれだな、新感覚のユニットだ」

冬馬「シンデレラたちの中で随一といって良いくらい気配りが出来る諸星なら、赤城と城ヶ崎の面倒を十全に見られる」

冬馬「幼いから仕方ないとはいえ、集中力が欠け易くあっちこっち行っちまう二人を纏めて受け止められるのはアイツと前川、美波ちゃんくらいか」

冬馬「二人は諸星の話はしっかり聞いてるし、同年代が隣に居るからレッスンにも力が入りやすくて効果的だ」

冬馬「俺が来た時に比べて体力も付いてきたし、勝手に纏まるしで、口出ししなくても安心してみていられる奴らだな」

武内「そうですか」

冬馬「ただ、赤城は妹が出来たってんで浮き足立ってる感じがあるからな、そこ等へんはアンタを含めた周りの大人が見てやれよ」

武内「分かりました」

743: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:20:58.07 ID:07bPIQz20


冬馬「アスタリスクはラブライカとは違う向きで安定感があるな」

冬馬「自分の好き嫌いやアイドルとしてのキャラが根深く決まってるからこそ、言い争いなんてのが起きるが、そこで相手の否定に走らないのが良い」

冬馬「それに、なんだかんだ言っても最後には互いに歩み寄るから、結果として同じ方向を向いて進むことが出来るだろう。少し違えばただの妥協になるから、そこだけは注意していこうぜ」

冬馬「あと、振り付けの細かい所とか歌詞の一部とか、そういうところを自分色に変えて行こうとするのもポイントが高いな……猫ポーズやらギター構えなんて本当の振りには無かったんだし」

冬馬「概ねこの二人も安心してみていられるんだが、一々解散芸に走らなくても……とは思うぜ」

武内「なるほど」

冬馬「ただ、この二人はデビューして日が浅いから、パフォーマンス面での連携にぎこちなさが残るな」

武内「そこは回数をこなして行けば解決できますね」

冬馬「おう。まぁそれはどのユニットにも言える話なんだが」

武内「そうですね」

744: ◆HyZk02P5Ec 2015/08/30(日) 12:27:55.72 ID:07bPIQz20

冬馬「アイドルとしてって言われたが、現場での様子はアンタからのビデオでしか見てねぇから、レッスンでの言動とか普段の会話で判断してる」

冬馬「総評として、今大きな問題は無い。上手く行ってる。かね」

武内「現時点では、ですか?」

冬馬「そうだな。持ち歌が増えたり全体曲の練習が入ったり、今より忙しくなったりしたら色々変わっていくところも出てくるだろう。そこは現場でしかわからねぇんだから、帯同するアンタがしっかりやれ」

武内「わかりました」

冬馬「まぁそんなところさ」

武内「参考になります」




746: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/02(水) 00:37:52.67 ID:zJOJkoOA0
冬馬「それで?俺にこんな意味のわからねぇこと聞いてどうしたんだよ」

武内「プロジェクトのリーダーを決めるのに、参考としてお聞きしたかったので」

冬馬「……それが聞きたいなら、今言った事殆ど無意味じゃねぇ?」

武内「そうですか?ユニットが安定していない人にリーダーは難しいでしょうし、それ以外にも色々判断基準はありますから」

冬馬「そういうもんか」

武内「えぇ」

冬馬「ふん、アンタがそういうなら構わねぇけどな……用件がそれだけなら俺は帰るぜ?今日はアスタリスクと赤城以外は来てねぇからな」

武内「はい、大丈夫です。お疲れ様でした」

747: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/02(水) 00:38:22.21 ID:zJOJkoOA0



冬馬「………」ブロロロロロロ

冬馬「しっかし、仕事がねぇと色々暇だな。北斗たちは完全に仕事で、高槻は新学期で弟達の世話が忙しいだろうし、菊地は分からんし、美希は小さな仕事入れてあるらしいし……」

冬馬「……あそこだな」






冬馬「つーわけで来たぜ!」

黒井「暇だからと社長室に遊びに来るのは、貴様と吉澤くらいだぞ」

冬馬「人と同じことやってトップ取れるか?」

黒井「ここは同じで良いだろうが!!」

748: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/02(水) 00:38:47.31 ID:zJOJkoOA0


冬馬「まぁまぁ聞けよ。最近とっても暇でな?時間のやりくりに困るんだって」

黒井「ふん、それだけシンデレラプロジェクトが順調だということだろう?良いことではないか」

冬馬「とはいえ、俺はレッスンにしか関われないから、それすら無いとマッサージ受けるかジム使ってるか、風呂に入るかしかねぇんだぞ?これじゃ枯れオヤジだ」

黒井「お前はその前までが働きすぎだったんだ。休養期間ということで諦めろ」

冬馬「休養期間ね……ただ間延びしてるだけな気がするんだけどよ」

黒井「私から見ればたった半年、しかもラジオもトレーニングも続けている程度の休暇だが……どう感じるかはお前次第だな」

冬馬「……」

黒井「まったく、お前はアイドルとしては一流だが、男としては二流も良い所だな」タメイキ

冬馬「む、二流だと?」

黒井「暇を作れないのは三流。暇の潰し方を知らんのは二流。そのまま今のお前だな」

冬馬「ちっ、好きに言いやがるぜ」

750: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/02(水) 00:46:23.84 ID:zJOJkoOA0
 

黒井「読書なりドライブなり、やれることは沢山あるだろう」

冬馬「一人で出来るものはさんざ遣り尽くした。だから暇なんだよ」

黒井「だったら訓練生のトレーニングでも見ていくか?丁度今、期待の新人が励んでいる所だ」

冬馬「いいねぇ、何だよ最初からそれを言えって」

黒井「先輩とはいえ、本当ならよそ者を入れて良いわけではないんだぞ、馬鹿者め」

冬馬「そうかよ。邪魔したな。また暇になったら来るぜ」

黒井「ええい!だから暇つぶしになんぞ来るんじゃない!!」

冬馬「へいへい」

749: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/02(水) 00:42:50.08 ID:zJOJkoOA0



黒井「少々残念な所はあるが、まぁ良い具合に変わっては来ているようだ」

秘書「変わる、ですか?」

黒井「前のアイツは寂しさに慣れていた。何かが無くても、取り合えず帰って次の日を迎えて、仕事にそのまま向かえることが平然と出来るくらいにはな」

黒井「孤高たれと押し付けている私が言うのもおこがましい話だが、アイツは一人で居る事になんの違和感も持たない男になっていた」

黒井「幼い頃から母親は死別して居らず、父親も単身赴任で殆ど家に居なかったというから、その時からの下地はあったんだろうが……当時の私は、そんなこと気にもせず生活の場を整えていたのだ。だというのに、暇の潰し方を知らないのは二流か。ふん、勝手を言うものだと自分に呆れているさ」

秘書「しかし、社長はジュピターを結成させてそれを緩和させようとなさったのでは?」

黒井「貴様も知っているだろう。アイツが我が961プロに入ってからジュピター結成までには三年を遥かに超えているのだ。それだけじゃ根深すぎてどうにもならん」

黒井「ライバル事務所である765のアイドル達との交流を私が止めないのは」

秘書「一人で居る事が前提ともいえる彼が、高槻やよいとの接触では、珍しく「踏み込んだ」姿勢を見せたから。ですね?」

黒井「ウィ。二人の接触に私が気がついた時には、既に冬馬が家に潜り込んでいたり外食したりしていてな……今思うと止めなくて良かったと心底思う」

黒井「アイツは知り合いから預かっている子供だ。暗い方向に進めさせるわけにも行かなかった。今回のアドヴァイザーとて、同年代の存在と気安く、そして濃く接していけば改善されるだろうと見越してのことだったのだし」

黒井「結果、一人が暇だと言いに来るようになったのだから良い方向に変わっているのだろう。まぁ、うちからアドヴァイザーとして出せる人材がそう居なかったから、というのも大きな理由ではあるんだが」

秘書「結果があるのなら、問題ありませんね」

黒井「そうだな。このまま、良い様になってくれれば良いんだが………」



753: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/07(月) 06:47:50.04 ID:tlai+lCY0
冬馬「おっさんが期待の新人なんて言う位だから余程だとは思ってはいたが、アレほどとはなぁ」

冬馬「長い時間掛けて育成していくみたいだし、三年くらい後が楽しみだ……ん?」プルルルルル

冬馬「もしもし?」

P『突然だけど、夜暇か?』

冬馬「Pさんか。暇だがどうした」

P『あー、ちょっと報告と相談があってな。飯でも食いながら話そう』

冬馬「そういうことなら構わんぜ。今出先なんだが、前のところで良いのか?」

P『おう。俺も直ぐ向かうから店の前にいてもらえば助かる』

冬馬「了解だ」

754: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/07(月) 06:48:17.61 ID:tlai+lCY0

P「……」ズズズズズ

冬馬「……」モグモグ

P「……」

冬馬「挨拶もそこそこに黙ってるけど、はやく話せよ」

P「あぁ、うん。そうだな……正月にさ、お前にバイク借りて小鳥さんと初詣行ったろ?」

冬馬「あー、そんなこともあったな」

P「実はあの後、軽くお付き合いすることに決まってさ……」

冬馬「はぁ!?此処に誘うの、心臓が破裂しそうになるとか言ってたくせに手が早くねぇか!?」

P「い、いやさ、小鳥さんの振袖姿があまりにも美しすぎてな?つい「付き合ってくれ」と」

冬馬「結局付き合いするって言うんだから、そうおかしなことにはなってねぇんだろうが……迂闊すぎだ。相手が、いくらあんたに気が有ったって、突然のことで断られちまうことも有り得たんだぞ?」

P「……面目ない」

755: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/07(月) 06:49:04.64 ID:tlai+lCY0


冬馬「続けて」

P「それで、お付き合いしてきてまだ半年にもならないわけなんだが、け、結婚の話になったんだよ」

冬馬「どっちから?」

P「小鳥さんから」

冬馬「だろうな。あんたへタレだから自分では言えなそうだ」

P「ほっとけ……それでな、俺は問題なくOKをした、むしろ土下座してもいいくらいだったわけだし」

冬馬「そうかよ。おめでとう、式には呼んでくれ」

P「ははは、ありがとう。それで此処からが相談なんだが………アイドルにはいつ報告しようかなと」

冬馬「それも大事だが、その前に高木社長じゃないのか?」

P「あーいや、社長にはもう言ったんだよ。あの人は喜んでくれてるから良いんだ」

冬馬「そうか。だからアイドルなのな」

P「おう。皆忙しいけど、出来れば全員いる所で報告したいんだよ。二度三度は手間になるし」

冬馬「(ラブ勢の、結婚に対する反応を問題にするわけじゃねぇのか……いや、こいつははラブ勢を「身近な男への憧れ」で済ます人だったから気にしないだろうな」



756: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/07(月) 06:49:34.86 ID:tlai+lCY0


冬馬「そんなん、ぱぱっと事務所に全員集めちまえば良いじゃねぇか」

P「近いうちに言うのは、色々困らないか?」

冬馬「困る?何でだよ」

P「いや、美希が駄々こねそうでなぁ」

冬馬「(駄々って)……どのタイミングで言ってもそうなるだろ」

P「そうじゃなくてさ、そっちの仕事に影響でないのかって話だ」

冬馬「かなり支障が出そうだな」

P「だったら」

冬馬「勘違いすんなよプロデューサー。あんたは美希のプロデューサーなんだぜ?そっちで大事なことは、他のことなんざ気にせず早い内に済ませるべきだ」

冬馬「問題があっても、こっちはこっちでフォローしてやるからさ、下手に先延ばしにすんな」

P「助かるよ」

冬馬「あんたには世話になってるからな。で、何時言う」

P「……スケジュール的には一週間以内だな。それ以降だと千早に来ている仕事の話で忙しくなってしまうし」

冬馬「そっちの好きなようにしてくれ」

P「分かった」

761: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:44:15.54 ID:xSLJ3Rve0


春香「プロデューサーさんが集まれって言うから来たけど……」

伊織「全員で事務所に集まるなんて久しぶりよね」

真美「だNE。大体は誰か休みだしさ」

あずさ「うふふ、なんの話しかしらねぇ」

雪歩「また、アリーナの時みたいに良い知らせでもくれるんでしょうか」

貴音「私は博多か札幌で仕事がしたいのですが」

美希「貴音、仕事よりもラーメンの方が大切なの?」

響「自分、安らげる旅番組がやりたいぞ。最近疲れててさぁ」

亜美「いつもいつも、皆が好き勝手言ってるから亜美が変なこと言いづらいんだよねぇ」

千早「うふふ、この頃の亜美は確かに大人しいわね。それより律子、これはなんの集まりなの?」

律子「あー、プロデューサー殿が来たら分かるわよ」

真「大事な用件なら良いんだけどさ。折角のオフだったのになぁ」

やよい「うっうー、皆で集まればそれだけで嬉しいかもー!」

高木「あっはっは、皆揃っているね?」

765「おはようございます!」

高木「うむ、元気でよろしい」

762: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:44:52.11 ID:xSLJ3Rve0


高木「実はね、君たちにプロデューサー君と音無君から重大な、それでいておめでたい報告があるんだよ」

春雪貴あ「お、おめでたいって!!」

美希「重大?」

真「なんだろ?」

やよい「?」

千早「もしかして……」

律子「……(荒れそうよね、やっぱり」

高木「さぁ二人とも、存分に発表してくれたまえ!」

P「はい。あのな、お前達」

小鳥「私達……」

P小「結婚することになりました!」

アイドル「………えぇぇぇぇ!?」

763: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:45:21.32 ID:xSLJ3Rve0


春香「……」グラグラ

あずさ「……」ヌケガラ

雪歩「負けた、んだね」クズレオチ

貴音「……おめでとうございます、お二人とも」ナミダメ

響「色々複雑な気分だけど、おめでとうだぞ!小鳥も、プロデューサーも!!」

真「おめでとうございます!」

亜真美「んっふっふー、独身貴族の敗北ですなぁ」

伊織「ふふ、おめでとうとだけ言ってあげるわ!(数人死んでるし……美希も静かだけど」

やよい「ふわぁぁ、確かにすっごいおめでたいことですね!!」

千早「おめでとうございます。式には呼んでくださいね(あとで春香のフォロー、しないと」

美希「……うん、おめでとうなの。ハニー、小鳥も!」

正気アイドル「え?」

美希「え、って?なんなのなの?皆でこっちみて」

千伊「(美希が動揺も何もしてない……?」

亜美「(悲しさのあまりに理解できてないんじゃ」

764: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:45:58.32 ID:xSLJ3Rve0


真美「ミキミキ?兄ちゃんとピヨちゃんが結婚しちゃうんだよ?分かってる?」

美希「?ハニーたちが今言ってたよね?真美は二人が結婚するのはイヤなの?」

真美「そうじゃなくて……」

伊織「真美、美希にはあとで私が聞くから。というわけで、皆……まぁ一部はああなってるけど、あんた達を祝福してるからね」

P「ありがとうな、伊織」

伊織「ふふん、どういたしまして」

春香「……おめでとうございます、プロデューサーさん。小鳥さん」

765: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:46:44.75 ID:xSLJ3Rve0


真「いやぁあの二人が結婚だなんて、そんな感じしなかったのにね。あ、でもお似合いではあるか!」

雪歩「う、うん。オニアイダネ」

律子「こら真、ナチュラルに塩塗らない」

あずさ「男は星の数いるらしいわぁ……手は届かないけれど」

亜美「あずさお姉ちゃん、それ自分で言う台詞じゃないでしょ」

響「美希」

美希「なぁに?」

響「今日フェアリー会議やろう。場所は自分ちで」

美希「わかったの!じゃあ貴音も」

伊織「ちょっと待って」

ひびみき「なに?」

伊織「それ、私も参加するわ。場所は提供するから」

響「自分は良いけど」

美希「ミキも良いよ」

伊織「なら決まりね」

766: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/14(月) 06:47:35.19 ID:xSLJ3Rve0

千早「春香」

春香「……なに?」

千早「これからオフでしょう?久しぶりに泊まりに来ない?」

春香「え?今日?」

千早「えぇ。またしばらく忙しくなりそうでしょう?だから、ね?」

春香「……そうだね、お邪魔しようかな」

千早「待ってるから」

春香「うん」


770: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/19(土) 11:17:52.46 ID:PaAatlRr0

伊織「というわけでフェアリー会議ー!」

響「ドンドンパフパフ!」

美希「やけに慣れてるなぁって思ったけど、そういえば前に何度か来てるよね」

伊織「まぁね。前は響の家で、その前はあんたんちだったかしら」

貴音「そうなると、順番的に私の家にも来ないとならないのではありませんか伊織?」

伊織「機会があれば行くわよ。でも、貴音の家だけは場所が分からないのよね」

響「場所もなにも、ここからそう遠くないぞ?ただ敷地内の空気がおかしくて、入り口まで到達するのがめんどくさくてさぁ」

貴音「いつの間にか入り込んでる方に言われたくはないのですが?貴方と言い美希と言い、導かれるわけでもなくどうやって侵入を……」

美希「そこはほら匂いで、ねぇ?」

響「なぁ?」

貴伊「動物!?」

771: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/19(土) 11:18:37.53 ID:PaAatlRr0


伊織「おほん、まぁそこは本題じゃないし一先ず置いておくとして……美希」

美希「なぁに?」

伊織「こっちが呆けるくらいあっさり、アイツと小鳥の結婚を認めたわね」

美希「認めるも何も、ハニーと小鳥の結婚は二人が決めたんだからミキが口出しすることじゃないよね?」

伊織「あたしが言ってるのはそういうことじゃないの。今まで散々好き好き言ってて、そういう態度も見せてたのに、どうしてそんなに落ち着いていられるのかってことよ。貴音のほうが余程取り乱してたじゃない」

美希「んー、確かにハニーのことは大好きだし、結婚するならハニーかな?とは思ってたけど」

伊織「なら」

美希「でもね?ミキは小鳥のことも大好きだから、二人が結婚するって聞いてもイヤな気持ちにはならなかったの。理由なんて、それだけで十分だと思うな」

伊織「諦められるの?」

美希「諦めるって言われても……」

響「まぁまぁ伊織。美希の中で折り合いがついてるっていうなら、自分達に言えることはないぞ?」

伊織「それはそうなんだけど」

貴音「夜は長いのです。まずはお風呂を頂いて、その後寝室でゆっくりお話いたしましょう。この件もそうですが、近況報告等もしっかりと……近頃は多忙すぎて語らう時間も取れてはいませんでしたしね」

美希「じゃあミキがイッチバーン!」ダット

伊織「あ、こら走るな!!」

772: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/19(土) 11:20:43.52 ID:PaAatlRr0


伊織「……どうして美希はあんなに落ち着いていられるのよ。一年以上ハニーハニー言ってたくせに」

貴音「天ヶ瀬冬馬の存在ではありませんか?美希はあの者を好いているようですし……」

伊織「プロデューサーよりあいつが好きってこと?確かにそういう気は見えるけどどうなのかしらね?私にはプロデューサーと同じような気がするんだけど」

響「自分はなんとなくだけど美希の考えが分かるぞ」

伊織「言ってみなさいよ」

響「美希はたぶん、冬馬とプロデューサーをにぃにだって思ってるんだ」

貴音「にぃに……とは兄のことでしたね」

伊織「兄のようにって、兄にあんな振る舞い方する妹なんていないわよ。でも理由は聞いてあげるわ」

響「いやさ、自分のにぃにが知らない女の人と仲良くするのってイヤだろ?でも、相手を知っちゃうと別にいいかなってなるものだし」

貴音「そういうものなのですか、伊織?」

伊織「えぇ?私はどうだったかしら……」

773: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/19(土) 11:21:25.97 ID:PaAatlRr0

TKKO様「誰に断ってこっちを見ているの?この豚」ムチ ビュッ

伊織兄「豚?あはは、時子さんはおもしろいなぁ」バシッ

TKKO様「!……ふん、あんたは調教しがいのある豚のようね」

兄「ふふ、痛いのはイヤだなぁ」

伊織(8歳)「お兄様と馴れ馴れしくしないで!」

TKKO様「な、なによこの子豚は」

774: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/19(土) 11:22:44.97 ID:PaAatlRr0
伊織(15)「久しぶり!時子さん!!」

TKKO様「良い挨拶ね、妹豚。兄豚はどこかしら?」

兄「ここだよ」

TKKO様「今日こそは躾けてやるわ」

兄「えぇ?時子はもう「痛いのって、気持ちいのね///」とか言って堕ちたじゃないか」

TKKO様「く、くくく、毎度毎度不愉快なことぉぉ」ビュンビュンビュン

兄「あははははは、捕まえてごらーん」スイスイ

伊織「うふふふふ。お兄様ったら、本当に楽しそう」






伊織「それは分かるかもしれないわ」

響「今すっごくアブノーマルな光景が頭に入ってきたんだけど」

貴音「 靡というには少々痛さが強いのでは……」

781: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/27(日) 05:53:07.89 ID:IOcA4wnj0

伊織「ええ、うん、兄の相手が自分の知っている女であれば気にしないのは私の実体験で分かったわ。でも、だからってそれだけで美希がそうだとは思えないんだけど?第一、その法則が美希に当てはまるかなんて、根拠がプロデューサーだけじゃ分からないじゃない」

響「あぁ、それがプロデューサーだけならな」

貴音「おや?そういうと、天ヶ瀬冬馬に対しても美希はこういう考えを見せているのですか?」

響「や、はっきりとは言ってないさ。ただ……」

貴音「ただ?」

響「新田美波ってアイドルのこと、貴音は覚えてるよね?」

貴音「勿論。天ヶ瀬冬馬の親戚ではありませんか?」

伊織「私も知ってる。たしか美希が言ってた名前ね。天ヶ瀬冬馬と仲が良いとか、親戚同士だーって……(親戚ってことは、やよいのライバルにはならなそうね」

響「最初さ、美希は冬馬とその美波って子が仲良しなことに不服だーって感じだったでしょ?」

貴音「そうですね、名前で呼ばせるようになったのも新田某の影響があるようでした。ただ、だからと言ってそう悪い感情はなかったのでは?」

響「まぁ、最初から優しいだの美人だの言ってたからそれはそうなんだけど、それでも仲が良いことに文句は言ってたわけだ。でも、ある程度アドバイザーとして付き合ったからか、今では話の端にも上がらないじゃないか」

782: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/27(日) 05:54:34.42 ID:IOcA4wnj0


貴音「自分が認めているから、わざわざ口を出すまでも無い。そういうことですか?」

響「うん。それに美希の性格上、すこしでも理解できない何かがあったらいつまでもあーだのこーだの言うはずじゃないか?理解できているから美波と冬馬の仲に文句も言わないし、プロデューサーとピヨ子の結婚にも何も言わないんだろ」

伊織「あー、うーん、いまいちスッキリしないわ。あんたの考えが間違ってるとは思えないけど、美希がこれまでプロデューサーに向けてきた好意を知ってると、そういう説明じゃどうにも腑に落ちないというか……」

響「よく考えてみるさ。好きな人間に対する美希のスキンシップは過剰なものが多いけど、少なくともプロデューサーに対するものよりは冬馬に対するもののほうが深くないか?」

貴音「深く?」

響「プロデューサー相手だと、腕に抱きついたり背中に張り付いたりはしているけどそれ以上は無いし、外では殆どやらないよな?でも冬馬の場合はどうだろう?」

伊織「……生で膝枕とかやってたわね、あの馬鹿」

響「だろ?パフォーマンス面が無いわけじゃないだろうけど、それでも冬馬にするほうが色々アレだ。腕に抱きつくなんて社長にもやるから、プロデューサーは親愛の対象ではあっても恋愛の対象じゃないんだろ」

貴音「なるほど」

響「まぁこれが正しいかどうかは……」

美希「ただいまなの~、良い湯加減だったよ」ビババン

響「じっくりお話すればいいさー」

伊貴「なるほどぉ」

美希「ひぃ!?」

784: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/28(月) 19:46:55.96 ID:IrQLTcbe0
伊織「あんたはプロデューサーが大好きだけど、恋愛対象じゃない。どっちかって言えばお兄さんみたいに思っているけど、はっきりそう理解できたのは今日の結婚報告があったから……これでいいのね?」

美希「おおむねその通りですなの」セイザ

響「そうなるとさ、今日のことは貴音の方がダメージでかいよね。あの時めっちゃ涙目だったし」

貴音「な、なにを言っているのですか響!」

伊織「そうねぇ。あいつの結婚に、この中で動揺していたのはあんたくらいだし」

貴音「うぅぅ」///

美希「でも、ミキ的には響がダメージを受けてないことが不思議なんだけど……」

響「自分?」

伊織「そう言われると、あんたも結構あいつにべったりだった気がするわ」

響「いやいや、自分も美希と同じで、プロデューサーをにぃにみたいだなって思ってただけだからな?他意はないぞ」

貴音「なるほど、同じ想いを持つがゆえに美希の気持ちを理解できたのですね、響」

伊織「納得」

785: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/28(月) 19:47:26.85 ID:IrQLTcbe0

P『というわけで、特に問題が起こるでもなく報告を終えたぞ』ドヤァ

冬馬「なによりだな(どうせこの人が理解できて無いだけで、色々あるんだろうな」

P『まったくだ。それはそうと冬馬』

冬馬「なんだ?」

P『346での仕事もそろそろ終わりだろ?それの少し後のほうに、千早に大きな仕事が入ってるんだが』

冬馬「待て待て、それは俺が聞いて良いやつなのか?」

P『平気だよ』

冬馬「そうか。続けてくれ」

P『あぁ。実はな、あいつにアメリカでの仕事のオファーがあったんだよ』

冬馬「まじで?」

P『まじだ。映画の主題歌と劇中歌、あとはそれのエキストラ出演だな』

冬馬「大仕事じゃねーか!」

P『そうなるな』

786: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/28(月) 19:50:06.96 ID:IrQLTcbe0

冬馬「だが、そうなるとかなり長い時間拘束されるんじゃねぇか?スケジュールは……聞くまでも無いか」

P『「765プロ所属のアイドル如月千早」ではなく「765プロ所属のシンガー如月千早」として、外に売り出す絶好の機会だ。優先して組むよ』

冬馬「そうか。で、俺にそれを言う理由は?」

P『あぁ……あいつの家族の話は知ってるよな。墓参りで一緒になったって千早がいってたから』

冬馬「そういう話もあんたとするのか。まぁ如月から色々聞いてるからそれなりには、だが」

P『なるほど。じゃあご両親は別居中だが、千早が双方と手紙のやり取りをしていることは?』

冬馬「知ってる」

P『今度三人一緒に墓参りするって話は』

冬馬「言ってたな。てか、ツイで言ってた気がする」

P『それも知ってるのか……というより、プライベート過ぎる事は乗せるなと言わないと駄目なんだろうか』

冬馬「日時とかは書いて無いからセーフだろ」

P『でだ、その墓参りなんだが……お前、付いて行ってくれないか』

787: ◆HyZk02P5Ec 2015/09/28(月) 20:08:48.66 ID:IrQLTcbe0




冬馬「頭大丈夫か?」

P『失敬な、俺は正常だ』

冬馬「駄目なやつに限ってそう言うんだよ!」

P『一理あるな』

冬馬「で、理由は?」

P『その日、どうしても外せない用事が入っちゃったんだよ。本来は俺が送迎しようと思ってたんだが』

冬馬「どうして俺だ。秋月Pでも良いだろ。いや、むしろ親子三人水入らずで行けば良いんじゃねーのか?」

P『そんなこと言うなよ。俺はあいつに聞いたぞ?お前のお陰で弟さんの墓参りに行くのが苦痛ではなくなったって、両親と向き合う気持ちが出たんだ、ってな』

冬馬「……む」

P『いくら前向きになったとはいえ、三人で直に墓参りなんて空気が重くなるだろ?だから関わりのあるお前に頼みたくてな。親友の春香とも考えたけど、あいつ、こういうの苦手そうだし』

冬馬「あー、うーん」

P『焚き付けたんだから最後まで……とは言わないが、もう少し手伝ってやってくれないか?お前はぶっきらぼうな所はあっても優しい奴だと知ってるから、一緒に行ってくれるとなれば安心なんだ』

冬馬「簡単に言ってくれるな、本当によ……スケジュール」

P『ん?』

冬馬「俺のスケジュールが合えば行ってやるよ。」

P『合うことを期待して待つさ。話はそれだけだ。切るよ』

冬馬「おう。今度は厄介ごとなしで頼むぜ」

P『あぁ、わかった』






冬馬「また面倒な話になってきたな」

P「千早の両親がお前と直接話したいと言ってるから。なんて言えないからなぁ」


791: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/05(月) 06:49:43.46 ID:Jb/jHuR20

冬馬「よう。皆集まってるか?」

凛「あ、おはよう冬馬。大体はいるけど、蘭子と李衣菜がまだかな」

冬馬「そうか」

美波「あ、冬馬君」

アーニャ「おはようございマス」

冬馬「おはよう美波ちゃん、アナスタシアも」

み莉嘉「「おはよー冬馬君!」」ダキッ

冬馬「おう、朝から元気だなお前ら」ギュッ

みりあ「だって今日は午前中だけだし」

莉嘉「全力だよねー」

冬馬「あははは、そうかそうか」

みく「  コン……」

杏「ペ 野郎だぁ」

冬馬「ち、ちげぇって言ってんだろ!!」

きらり「おっすおーっす冬馬君ぅ!」

冬馬「おは☆おは☆」

未央「みつぼしなんてだれでもできるもんぅ」

卯月「エヘ顔ダブルピース系アイドルなんて言わないでください!!」

冬馬「お前、イロモノ系に踏み込むなって前に言わなかったか?」

未月「えへへ」

美希「皆おはようなの~」

デレラ「おはよう!」

冬馬「……来たか」

792: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/05(月) 06:50:12.68 ID:Jb/jHuR20


デレラ「Don't stop dreamin'!」

マストレ「………ふむ、なるほど」

デレラ「………」ドキドキ

マストレ「及第点をやろう」

デレラ「やったー!!」

マストレ「ふふ」

冬馬「細かい問題点の見当はつけたから、あと何回かやったあと個々に指摘していくぞ」

美希「全体的に並びのバランスが悪い気がするんだけど、どうにかならないかな?」

マストレ「年齢的なものもあるから、身長から来る違和感はどうしようもないな。一応本番までに並びを変えても踊れるようには鍛えこむつもりだが」

冬馬「まぁまぁ時間も無いし、先ずはこのままやろうや。三村も緒方も、いけるな?」

かな子「は、はい!」

智絵里「が、頑張ります」

杏「うーん、かな子ちゃんも智絵里ちゃんも体力ついたよね。杏が楽できるようにもっと頑張ってねぇ」

冬馬「お前今日のランニング二割マシな」

杏「横暴だぁ!!」

793: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/05(月) 06:50:40.43 ID:Jb/jHuR20


マストレ「今日はここまで。クールダウンはしっかりやって身体を休めろよ。本番まで殆ど時間は無いんだからな」

デレラ「はい、お疲れ様でした!!」

冬馬「……柔軟が済んだらいつも通りランニングだ。それが終わり次第各自で勝手にやってくれ」

デレラ「はーい」

冬馬「双葉は二割マシ、忘れんなよ?」

杏「えぇぇぇ?」

きらり「きらりも付き合うから、がんばろ?」

杏「うんぅ」

冬馬「ふっ……美希、これから少し付き合え」

美希「どうしたの?」

冬馬「飯でも食おうぜ、って誘いだな」

美希「ゴチになります、なの!」

冬馬「おう」

794: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/05(月) 06:51:09.69 ID:Jb/jHuR20


美希「でね、皆してミキにはハニーの結婚にダメージがあって当然!みたいな顔するんだよ?ミキ、二人の結婚をお祝いしてるのに!」

冬馬「そうか(凹んでねぇのか?」

美希「昨日なんてフェアリー会議にデコちゃんが参加して、ミキのことあーだこーだ言うし!」

冬馬「そうかそうか」

美希「ハニーはミキにとってお兄ちゃんみたいなものだから、結婚するからってなんでもないの!むしろ貴音の方がダメージ大きかったって思うな!」

冬馬「なるほど(こいつ、本当に凹んでないのな。変な気を回す必要は無かったぜ」

冬馬「他のラブ勢はどうした?皆お前みたいに、とはいかないだろ」

美希「貴音はなみだ目だったよ?あとは、あずさが意識飛ばしてで雪歩と春香が踏ん張った感じ?」

冬馬「飛ばしたっておい」

美希「だって本当のことだもん、あはっ!」


795: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/10(土) 00:48:36.80 ID:3zX1dq1N0

美希「豊穣の大地より享受される、恵みの波動を受け取るが良い!!(おにぎり波ぁぁぁぁぁ!」

冬馬「天浮かぶ大いなる星光、虚空を流れて悪辣者を滅せよ!!(ジュピタァァァビィィィンム!」

冬美「づぁぁぁぁぁぁぁ!!」

武内「……あの、お二方はいったい何をしておられるんですか?」

マストレ「コールの練習をする前に、発声を確かめているのだそうだ。内容はわからんがな」

武内「は、はぁ、なるほど」

冬馬「む、大いなる風……わずらわ!(よぉプロデューサー、はやいな」

武内「いえ、お二人ほどでは。予定より来られるのが早いのではありませんか?まだ彼女達も来ていませんが……」

美希「安寧に染まらんと欲す我に穿たれる、早鐘の酷なる仕打ちが故!!(ミキももう少し眠りたかったけど、緊張で心臓がバクバクして眠れなかったの……」

冬馬「我は千里を見通さん。闇への誘い、道連れは多いほうが良かろうよ(どうせそんなこったろうと思ってな。一緒に来たんだよ」

武内「そうだったのですか」

冬馬「一時の無聊を慰めんが為に幕内を遊興してやろうとも思ったが、我はそこまで厚顔ではない(余りに暇なんでステージ裏でも冷やかそうと思ってたんだが、迷惑になりそうだから止めたよ」

武内「あー、お止め頂いて幸いです」

796: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/10(土) 00:49:09.97 ID:3zX1dq1N0

美希「しかして、そうともなれば我らは悪戯に時を浪費することになってしまう(でも、それだと時間の無駄なんだよね」

冬馬「ゆえに(だから」

冬美「漆黒の祝詞にて覇を競い合うものなり!!!(蘭子語で遊んでた!!」

マストレ「いよいよ持って何を言っているのかわからんな」

武内「血統を持たぬものには理解できぬ、古より伝わりし言語よ(熊本方面に住まないと分からない方言ですので」

マストレ「お、おう」

ありす「あの……マスタートレーナーさんが此処に居るって聞いたんですけど」

冬馬「そこもとは何者ぞ(誰だ?」

ありす「そこもと?なにもの?橘ですけど、ってえ?あ、天ヶ瀬冬馬だ……!」

美希「我もおるぞ(ミキもいるよ」

ありす「星井美希ちゃんもいる……!」

武内「……」クビナデ

マストレ「(武内君め、此処に二人が居ることを他の部署には内緒にしてたな?)おい、どうした橘。私に用事があったんじゃないのか?」

ありす「あ、そうでした」

797: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/10(土) 00:49:38.86 ID:3zX1dq1N0


ありす「文香さんが、最後に振り付けの確認をしたいからお手伝いしてくださいって……」トウマトミキチラチラ

マストレ「私にか?妹達がいるだろう」

ありす「私もそう思ったんですけど、ベテラントレーナーさんが「あっちは少人数しかみてないから余裕余裕」って」トウマトミキチラチラ

マストレ「あいつめ……」

武内「此処は構いませんから行ってあげてください」

マストレ「だが、そろそろこちらも揃いだす頃だろう?大丈夫なのか?」

武内「そのためのお二人ですから」

マストレ「あー、なるほど。そういうことなら行こうかな」

ありす「じゃ、じゃあ、今からお願いします」ウシロガミヒカレツツ オテテフリフリ

マストレ「あぁ」

冬美「!」オテテフリフリカエシ

803: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/11(日) 13:13:02.00 ID:YGc41q700

美波「おはようございます」

アーニャ「おはよう、ございマス」

冬馬「おはよう。やっぱり二人は早いな」

美波「私達にとっては今日のステージが本番でしょう?緊張し続けるくらいなら早めに会場を見ておこうかなって」

冬馬「立派立派。だが、それにしては緊張のきの字もねぇけど」

アーニャ「ダー。ミナミが緊張、言うのは嘘ですね。十時にはグッスリ、でした」

美希「ミキより早いの。図太い、さすが美波図太い……」

美波「え、え、だって起きてると不安になりそうだし」

冬馬「あはは、そういうことにしとこうか」

美波「もう!」

804: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/11(日) 13:13:29.13 ID:YGc41q700


きらり「みんなぁ?おっはよーうございまーす!」

杏「肩の上からおはよう、帰っていい?」キラリミギカタ

みりあ「頭の上からおはよーう!」キラリズジョウ

莉嘉「背中からおはよーう!」キラリセナカ

冬馬「お、おはよう」

美希「きらり、そんな重武装で疲れないの?」

きらり「ぜんっぜぇん!三人とも軽いからにぃ!」

アーニャ「バッチシィ、ですねミナミ」

美波「そうね」

805: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/11(日) 13:13:58.08 ID:YGc41q700


卯月「おはようございまーす!島村卯月、今日もいつも以上に頑張ります!!」

かな子「おはようございます」

美希「二人ともおはようなの、ブイッ!」

卯月「ブイッ!」

みりあ「みりあもやるー!」

莉嘉「わたしもー!」

杏「若いのは元気だねぇ」

冬馬「お前も若いだろ」

杏「杏の年齢は、相手プラス二歳がデフォだからぁ」

冬馬「デフォ?」

杏「いやぁ相手が三十路ギリギリだと、杏も気を使うわけですよ」

冬馬「気の使いどころがちがくねぇか……?」

806: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/11(日) 13:14:27.02 ID:YGc41q700


智絵里「お、おはようございます」

美希「おはようなの智絵里。今日も頑張ろうね」

智絵里「はい。が、頑張ります」

卯月「智絵里ちゃん、かな子ちゃんも、ブイッ!」

智絵里「ぶ、ブイッ!」

かな子「ブイッ!」

冬馬「緒方、体調は?」

智絵里「大丈夫です。しっかり寝てきたので」

冬馬「そうか、長丁場になるし、気楽に行けよ」

智絵里「はい」

807: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/11(日) 13:14:56.88 ID:YGc41q700

未央「おっはよー!」

凛「おはよう、皆」

卯月「二人とも、おはようございます。ブイッ!」

未央「ブイーッ」

凛「ふふ、ブイッ!」

冬馬「二人も来たし、あとは神崎だけだな」

凛「蘭子は、さっき下で見たよ。一緒に以降と思ったんだけど、飲み物買ってくるって」

蘭子「同胞達よ!煩わしい太陽ね!!(みなさん、おはようございます!」ドアバーン

冬馬「噂をすれば影だな」

デレラ「わずらわ!」

武内「皆さん揃いましたか」

一同「おはようございます!」

813: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/16(金) 06:50:28.00 ID:aGWKelA00

美波「プロデューサーさん。何か一言お願いします」

武内「わかりました……皆さん。この日、本番の舞台を直前にして、もはや私から言うべきことは一つです……持てる全てを出し切って、ステージを楽しんで来てください」

デレラ「はい!」

武内「それから天ヶ瀬さんと星井さんは今日と、後数回のレッスンでアドバイザーの任を降りることになります」

莉嘉「えー!聞いて無いよP君!」

みく「いやいや、前から言ってたでしょ莉嘉ちゃん?」

みりあ「もう少し一緒にいようよ~」

杏「あんまりわがまま言っちゃ駄目だよみりあちゃん。アイドルやっていくなら会うことだってあるしさー、そんなに気にすること無いって」

武内「そうですね、仕事で会うこともありますからそこは我慢していただければ。えー、そういう訳で、こちら側からお二人に見守ってもらうのはこれが最後となりますので、ぜひ成長を見せてあげてください」

デレラ「はい!!」

美波「最後ってことで二人からも何か貰えたら良いなって思うんだけど」

冬馬「あー……そうだな、ずっと近くで練習を見てたが、現時点ではお前達のパフォーマンスに不安はねぇからさ、最初に武内さんが言ったように楽しくやれよ。それだけで俺は十分だ」

美希「美希もそれで良いかな。アドバイザーは終わりでも、たまに遊びに来るつもりだし気になることはその時に言うからね」

武内「遊びに来る際には連絡をください、歓迎いたしますので」

冬馬「オーケー。じゃあ、俺たちは関係者席で見てるからな、気張れよ」

美希「頑張ってね」

デレラ「はい!」

814: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/16(金) 06:50:54.91 ID:aGWKelA00


楓『満ちては欠ける、想いが今愛おしくて溢れ出すの、舞い踊る風の中で~』

美希「……意外」サイリウム

冬馬「なにがだ」フリフリ

美希「知らないアイドルばかりなのに、歌はどこかで聴いたことがある気がするの」

冬馬「今の高垣楓もさっきの安部菜々も、色々TVに呼ばれてるしな……」

美希「これでBランクなんだよね?アイドルって分からないの」

楓『踏み出す力下さい~!』

美希「もっと上に居ても良いって思うな」

冬馬「ランクアップフェスに出るだけがアイドルじゃねぇだろ。到達点が違うって話したろ」

美希「あー」

楓『はい、こいかぜでした。ありがとうございます~』

楓『MCを挟んでくれと言われているので、此処で少しお話しましょうかぁ』

美希「おっとり系なの」

815: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/16(金) 06:51:22.56 ID:aGWKelA00


美希「そろそろ皆の出番かな?」

冬馬「プログラム的には、そうだろうな」

美希「き、緊張するの」

冬馬「大人しく見てろよ……?」

美希「分かってるけど……」

未央『フラッ!』

凛『イドッ!』

卯月『チキーンッ!』

楓『はい、次はフライドチキンジェネレーションズです』

会場「……」

冬馬「wwww」

美希「冬馬、これは笑っちゃ駄目だと思うな」

816: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/16(金) 06:51:49.21 ID:aGWKelA00

ライカ『ハローグッバイ!綺麗に輝くの~!』

美希「これでユニット曲は終了なの」ハクシュ

冬馬「次は……いよいよか」サイリウムブンマワシ

美波『皆さん、新田美波です』

アーニャ『Добрый день、アー、こんにちは、アナスタシアです』

美波『MCを挟んで、ニュージェネレーションズから私たちまでノンストップで走り抜けましたが、実は私達からお知らせがあります』

冬馬「お、全員出てきたな?」

美希「そのまま歌いだすとかじゃないんだね」

冬馬「みたいだな。会場のファン達は、まぁなんとなく予想してたって奴もいそうだ」

美希「なのなの」



モニター「シンデレラプロジェクト、始動!」

会場「おおー!」

冬馬「なのにこういう反応が大きいのは、やっぱライブだからだよな」

817: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/16(金) 06:52:16.33 ID:aGWKelA00

デレラ『Don't stop dreamin'!』

会場「!!」サイリウム

美希「……」サイリウム

冬馬「……」サイリウム

美希「此処から見てると、なんて言うんだろう……ステージに上がりたくなるの」

冬馬「同じ事務所なら乱入しちまうのになぁ」

美希「私が育てましたとか言って、ねぇ?」

冬馬「なぁ?」

819: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/17(土) 20:57:50.36 ID:UQJOq5Pk0

冬馬「よう」

みく「あ、冬馬君だ」

莉嘉「ねーねー、どうだった!?」

冬馬「皆良かったぜ。ユニット曲も全体曲もな」

李衣菜「やったね!」

みりあ「わーい!」




美希「最初にニュージェネで掴みを取れたのが良かったって思うな」

卯月「えへへ、そうですか?」

美希「うん!」

未央「ミキミキにそう言われると、頑張った甲斐あったなぁって思わない?」

凛「そうだね、今までのレッスンが報われたかな。ただ、フライドチキンがマイクに乗ってたのは少し……あれだけど」

NG美希「あー」

820: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/17(土) 20:59:49.20 ID:UQJOq5Pk0


美嘉「ハロー、美波ちゃん」コソコソ

美波「美嘉ちゃん?どうしたの、そんなに小さくなって」

美嘉「あはは、ちょっと様子を見に来ただけだからさ。どうだった?初めての大きなライブは」

美波「そうね。色々思うところはあったけど。楽しかった、かな?」

美嘉「ふーん?余裕じゃん」

美波「そうでもないよ。ステージに上がる前なんて、アーニャちゃんに手を握って貰ってたくらいだし」

美嘉「ふふ、それでもちゃんとパフォーマンス出来てたんだし、余裕!だよ」

アーニャ「美嘉、来ていましたか?」

美嘉「Приветアーニャちゃん。良いライブだったね」

アーニャ「ダー、とても楽しい時間でした」

美嘉「あはは。楽しい、楽しかった、か。良いコンビだね、二人とも」

821: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/17(土) 21:00:16.86 ID:UQJOq5Pk0

かな子「緊張したよぉ」

智絵里「で、でも」

杏「まぁ、楽しかったねぇ」

きらり「!」

杏「きらり、そこで驚く必要あるかなぁ?」

きらり「驚いたんじゃなくってぇ、感激しちゃっただけだよぉ。杏ちゃんも、きらりや皆みたいにハピハピッ!!してたんだねぇ」

蘭子「我も、魂の底から鳴り響くハピハピの鳴動を抑えられん(私もハピハピしちゃいました!!」

武内「……」ニコニコ

みりあ「あー!プロデューサーが笑ってるー!!」

デレラ「え!?」

美希「ほ、本当なの」

冬馬「あんた……笑えるのな」

武内「いえ、あの、私は結構笑ってる筈ですが……ほら、ユニット結成を伝えた日や、今日の初めなど様々に」

一同「分からないよ!?」

武内「はて」

822: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/17(土) 21:01:43.83 ID:UQJOq5Pk0

控え室「!!」ワイワイガヤガヤ

美城「やはり、賑やかだな」ムム

楓「あら?常務?そこはCPの子達の控え室ですけれど、御用ですか?」

美城「高垣君か。いや、用があるのは武内君のほうになんだが……まぁ良い、出直そう」カツカツカツ

楓「入っちゃえば良いのに」トコトコトコ

美城「成功に盛り上がるのを、他人が邪魔してはいけないだろう」

楓「そうですか」

美城「そういう君はどうして此処に居る。クローネの控え室はあちらではないのか?」

楓「それは……お散歩、でしょうか?」

美城「私に聞かれてもな」

楓「冗談ですよ。ただ、この雰囲気が好きなんです」

美城「雰囲気?」

楓「えぇ。ライブが始まる前の慌しい空気も、ライブ真っ最中の緊張感も、とても楽しいんですけどね?一番は、終わった後ののんびりした感じが、たまらなく好きですねぇ」

美城「君はいつものんびりしているように見えるが」

楓「うふふ、酷いです」




武内「……」ソトヲキニシツツ

冬馬「どうした?」

武内「いえ、なんでもありません」

824: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/28(水) 00:17:59.87 ID:pl5B22ql0


冬馬「ライブが終わって、はや二日。俺と美希がアドバイザーとして346に来る最後の日……なんだが」

美希「ううう」ガンナキ

みりあ「わーん!」ガンナキ

莉嘉「もっと一緒にいようよぉ」ガンナキ

みく「あーもう三人とも!いい加減泣き止むにゃ」

凛「今まで見たいにしょっちゅう会えるわけじゃないけど、会おうと思えば会えるんだから、ね?」

莉嘉「でも……」

美波「みりあちゃん、莉嘉ちゃん。私達がちゃんとお仕事を頑張っていれば、美希ちゃんや冬馬君と共演出来るようになるから、頑張ろう?」

み莉嘉「うん……」

きらり「ほーら、美希ちゃんもぉ。元気だそっ?」

美希「ぐすん……はいなの」

マストレ「まったく」

冬馬「あいつらに何か言わないのか?」

マストレ「なんとかと地頭には戦いを挑まない主義でな……妹で慣れたと言うのもあるが」

冬馬「なるほど」

825: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/28(水) 00:18:26.56 ID:pl5B22ql0

武内「天ヶ瀬さん、少しよろしいでしょうか?」

冬馬「おう、なんだ?」

武内「黒井社長から話は聞いているとは思うのですが、今夜の食事会で」

冬馬「まてまて!その段階でもうおかしいぞ。俺は未成年だし、なによりおっさんからそんな話は聞いてねぇぞ!?」

武内「そうなのですか?「ウィ、話はこちらから付けよう」と仰られていたのですが」

冬馬「まじか……ちょっと待て、今おっさんに確認するから」ケータイトリダシポパピプペ

黒井『冬馬か?お前から私に電話など珍しいではないか』

冬馬「おっさん。俺に伝えるべき用事は無いか?」

黒井『用事だと?』

冬馬「ないのか?」

黒井『あー………何かあったか?』コンバンハカイショクノヨテイガゴザイマス

黒井『だ、そうだ』

冬馬「忘れてたのかよ……」

黒井『忘れていたと言うか、なんというか……間が悪かった!』ガチャン

冬馬「ま、間だぁ?………まぁいいか、続けてくれ」

826: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/28(水) 00:18:54.18 ID:pl5B22ql0

武内「はい。あのCPの発起人が高木社長と黒井社長であるのは」

冬馬「おう、知ってるぜ。てか、俺も発表の場に居たんだし」

武内「そうでしたね。では、その生っすか!の募集で集まった人がCPに一人しか居ないことは?」

冬馬「元々合格者が一人ってことじゃあねーよな?」

武内「いえ、お二人が認めた合格者は全員で十二名です」

冬馬「じゃあ他の連中はどうしたんだよ。最初にスウカウトされたって言ってた美波ちゃんは別として、俺はあの募集で集まった人員のアドバイザーのつもりだったんだが……」

武内「他の方々はCPとは違う、346以外の社も大きく食い込んでいる新規プロジェクトとして準備中です」

冬馬「はぁん?違うプロジェクトってなんだそりゃ」

武内「そちらは極秘プロジェクトですので、申し訳ありませんが……」

冬馬「オーケイオーケイ、そこは触れねぇよ。で、夜の食事会とやらに俺が関わる理由、つーかあんたがおっさんに呼ばれる理由はなんなんだ?」

武内「先ほどCPに居ると合格者、それは島村さんだったのですが、前々から私は、CPに来てくださいませんかと彼女を口説いていまして」

冬馬「はぁ、中々積極的だな」

武内「一目で、この人は大成すると思ってしまいまして」

冬馬「それは同意見だ。まぁ、大成できるかはあんた次第なわけだが」

827: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/28(水) 00:20:09.65 ID:pl5B22ql0

武内「精進します。私は彼女を他所に取られたくは無かったし、彼女も暫くは養成所でレッスンに励むと言っていたので、安心して慎重に話を付けていたのですが……慶の奴、勝手なマネを」

冬馬「(けい?)……素だとそんな口調なのか?」

武内「あ……ごほん。えー、養成所のトレーナーが募集を見て力試しに受けようなどと言ったせいで島村さんが社長たちの目に止まってしまいまして、あやうくそちらに引っ張られそうになってしまったのです」

冬馬「ほう?それでどうしたんだ?」

武内「いてもたってもいられず、お二人の下に直撃し、色々あってCPに力添えを約束いただけました。天ヶ瀬さんの派遣もその一端ですね」

冬馬「その色々が気になるんだが?」

武内「あ、あはは」メソラシ

冬馬「ごまかし方が露骨過ぎんぜ!?」

武内「慣れないもので。それで、貴方が食事会に関わる理由でしたね?」

冬馬「そう、それが聞きたいんだ」

武内「単純に平均年齢引き下げ枠です」

冬馬「そんな理由で俺を呼ぶのかよ!!」

武内「失礼、噛みました」

冬馬「噛む要素も糞もねぇぞ!?」

凛「冬馬、プロデューサーと遊んでないで。そろそろ始まるからこっちに来て」

冬馬「おう。しょうがねぇ、今日はここらで勘弁してやるよ」

828: ◆HyZk02P5Ec 2015/10/28(水) 00:22:10.92 ID:pl5B22ql0


デレラ「リアルが近づいている!Let's go!あのヒカリ目指して!」

冬馬「……」

美希「……」

デレラ「……」

美希「ミキ、色々言いたいこと有ったけど、もう良いや。冬馬は?」

冬馬「そうだなぁ、俺も良いぜ」

未央「それってどういう?」

美希「意味も何もそのままなの。完璧だから、美希たちが教えることはもう無いかな、ってこと」

みりあ「えー!可愛い雑貨屋さんの場所、みりあ知らないよー!?」

莉嘉「かっこいいシールのお店も知らないー!」

美希「あはっ、今度会いに来る時、一緒に行こう?なの!」

李衣菜「まだ色々教えて欲しいこともあるんだけど……」

冬馬「バイクの事とかギターのことは暇があれば教えてやるよ」

みく「一見さんお断りの猫カフェ……」

冬馬「今度連れてってやる」

アーニャ「станция……迷います」

冬馬「スタ……?あー、駅か。新宿でもどこでも案内してやるからメールしろ?な?」

凛「お勧めの犬の散歩コース」

冬馬「花買いに行くついでにマップやるから」

かな子「あの、キッチン用品が」

冬馬「オーケィ俺が良く行く店を教えてやる」

智絵里「あの……四葉、一緒に探しましょう?」

美希「わかったの」

美波「おいしいご飯が食べたいなぁ」

冬馬「了解了解」

卯月「私、765プロと961プロの番組に出る方法が知りたいです」

冬馬「おう!って言われてもなぁ」

卯月「出演させてください!」エヘガオ

冬馬「あー、前向きに検討しておくぜ」




マストレ「あいつらは最後までブレんなぁ……」

武内「アイドルですから!」ドヤァ

マストレ「……」

836: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/04(水) 20:15:41.13 ID:dhSBQB/T0

真ルート補足というか蛇足。





黒井「私はもしかしたらボケたのかも知れんな。今、お前がアイドルを辞めると言ったように聞こえてしまったのだが、本当はなんと言ったんだ?」

冬馬「アンタはボケてなんかいねぇよ。勿論、聞き間違えもしちゃいない。俺はアイドルを辞める」

黒井「な、何を馬鹿なことを……と切り捨てることも出来んだろうな、その顔では。理由を言え」

冬馬「前々から待たせてる女が居るし、そろそろケジメをつけねぇとアレだからな」

黒井「女!?待たせている!?」ガタッ

冬馬「おう」

黒井「誰だ!美波ちゃんか!?美希ちゃんか!?やよいちゃんか!?千早ちゃんなのか!?」ダンダン

冬馬「机を叩くな机を!」

黒井「黙れ!散々、女なんか興味ありませんー、アイドル一筋ですー、スキャンダルー?膝枕したり腕組んだだけじゃないですかやだー!とかやっていたお前に、誰を待たせられるんだ!!」

冬馬「真だよ、菊地真」

黒井「なにぃ!?ま、まことちゃんだとぉ……?」

冬馬「そうだ」

黒井「そ、そうなのか」

黒井「(私は昔から、冬馬の女性関係を吉澤と悪徳に見張らせていた。だが、奴らが上げてきた情報で要注意とされていた女性陣の中に真ちゃんは居なかった。完全に脈なしだったはずだ!」


837: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/04(水) 20:17:17.65 ID:dhSBQB/T0

黒井「ま、まぁケジメだからと言って今日明日で辞めるわけにも行くまい。私も色々、そう、色々混乱しているからまずは話しをしよう。真ちゃんとはどういう話になっているんだ?」

冬馬「保留中」

黒井「は?」

冬馬「保留中」

黒井「……どういう意味なのか詳しく言え」

冬馬「前にあいつに告白されてさ、その時は「まだ応えられねぇ」って言って、待ってもらえないか?って頼んだんだよ」

黒井「今現在アイドルだからと即座に断らず、後に回してでも向き合おうというのはお前の美点だがな……一人の男として言わせてもらうなら、あまり待たせるのもいかんぞ?」

冬馬「!」ギクッ

黒井「……まさか、長く待たせてるんじゃないだろうな?」

冬馬「そ、それは、区切りがつかなかったというか、そういう空気にならなかったというかだなぁ」

黒井「(報告にその空気とやらはないからな。二人の間が悪かったのだろう)……それで、何ヶ月待たせたんだ貴様は」

冬馬「あ、いやその……」

黒井「まさか、半年か?」

冬馬「あーそのなんだー?いや、そのなぁ?」

黒井「……」ジロリ

冬馬「じゅ」

黒井「じゅ?」

冬馬「じゅ、じゅうに、十二、年、です……はい」

黒井「十二年?……………………………………………………ば、ばばばばば!?」



845: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/06(金) 00:23:56.86 ID:Guui7IFu0
黒井「十二年前というとあれか、346でアドヴァイザーをしていた年だったな」ミギテサスリサスリ

冬馬「お、おう」タンコブナミダメ

黒井「まったく、それだけ待たせては真ちゃんも心変わりするのではないか?内心ではもう終わっているが、昔からの付き合いだから続行しているだけ、ということもあるだろうに……」

冬馬「あいつが今どう思ってるかとか、そんなんわからねぇけど」

黒井「けど?」

冬馬「それと俺が告るのは別問題だろ。あいつが俺に愛想を尽かして振られるんだろうが、昔のままで受けてくれるのかなんてどうでもいいんだ」

冬馬「俺はただ、十二年分の気持ちを乗せるだけなんだからよ」

黒井「待たせといて威張るんじゃない」ゴツン

冬馬「うぎゃ!」

846: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/06(金) 00:24:25.49 ID:Guui7IFu0


冬馬「というわけだ」

翔太「ふぅん?三十近くにもなって社長に拳骨貰うなんて、冬馬君は本当に進歩しないね」ヤレヤレ

冬馬「うっせー」

翔太「それで?色々社長に聞き出されたーって言うけど、とっくに引退してトレーナーしてる僕のところに何の用なの?事務所の後輩達に恥を晒しにきただけなら帰って欲しいなぁ」

冬馬「辛辣!辛辣過ぎだぞお前!」

翔太「あははは、だっていまさら「真に告る、キリッ」とか言ってるんだもん。そんなの僕と北斗君に相談した十年前にしとけば良かったんだって」

冬馬「あ、あの時は俺たち自身物凄く忙しかったし仕方ねぇだろ!」

翔太「真さんとどこかの俳優が熱愛か!?ってなって殴りこみかけそうになった五年前でも良かったじゃない」

冬馬「そ、その時はPさんが「二重の話題提供はやめろ!」って止めるから!」

翔太「ジュピターの解散ライブで真さんが応援に来てくれた二年前は?」

冬馬「あ、あいつが泣き過ぎててそれどころじゃなかったんだよ!」

翔太「はぁ、二人の立ち位置っていうの?そういうのが何も変わって無いんだから、本当に進歩してないじゃない……」

847: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/06(金) 00:25:26.47 ID:Guui7IFu0

翔太「結局さ、冬馬君は今の今までアイドルと真さんを秤に掛けてアイドルに傾けてたんだよ。それが真さんに傾き変わったら直ぐに告白だー!ってなるんだもん、本当に単純だよねぇ」

冬馬「」

翔太「冬馬君でも知ってるだろうけど、あの時から仲がよかった765アイドル達で今でも独身なのって四人だけだからね?それだって冬馬君が早く男を見せていれば三人になってたはずだし(誰とくっ付くかは置いておいて、だけど)」

冬馬「面目ねぇ」

翔太「まぁ、遅きに失したとはいえ決意したんだからこれ以上は言わないけど……何時告白するの?」

冬馬「明後日だ。あいつ、その日は七時まで収録入ってるから、そのあと食事でも誘って言うよ」

翔太「当然、指輪の一つでも持っていくんだよね?」

冬馬「当たり前だろ?形にでもしねぇとスルーされかねねぇからな。それで、お前の所に来た理由なんだが」

翔太「おーこーとーわーりー」

冬馬「ま、まだ何も……!」

翔太「どうせ、僕が渡したものはどんなものだった?とか聞きに来たんでしょ?好きな人に送る物なんだから人の話なんて当てにしないでよねー」

冬馬「う、バレてら」

翔太「僕は社長や北斗君みたいに冬馬君を甘やかすことはなんてしないから、あしからず」

冬馬「(とか言いつつ話は聞いてくれんだよな、こいつ」

848: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/09(月) 22:59:11.76 ID:s1u/eaSj0

冬馬「さて、店に来たのは良いものの……どこを探せば良いのやら」キョロキョロ

店員「(天ヶ瀬冬馬?宝石とかには興味なさそうなのに)……いらっしゃいませ天ヶ瀬様。何かをお探しでしょうか?」

冬馬「ん?あぁ。少し尋ねたいんだが、ペリドットの指輪……出来ればペアで欲しいんだが、良い物はないか?」

店員「(ペリドット?)……要らぬ世話かとは思うのですが、宝石言葉をご承知であられますか?」

冬馬「理解しているよ」

店員「(なるほど)これは失礼をいたしました。では、天ヶ瀬様の御目に適うかどうかはわかりませんが、私が自信を持ってお勧めする物をお見せいたします」

冬馬「頼む」

849: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/09(月) 22:59:40.70 ID:s1u/eaSj0

店員「こちらで御座います」

冬馬「……これは良いな。前に見たものよりも緑に近いが」

店員「天ヶ瀬様が以前ご覧になった物は、恐らくアリゾナ産の物だったのではないでしょうか。一般に出回るアリゾナ産の物は小さく、黒味が強いものやブラウン色が濃いものと、少々価値が低い物が多いのです」

冬馬「そうなのか」

店員「はい。それに比べてこちらのノルウェー産のペリドットは、色味や透明度で大きな評価を付けられております。通常の物に比べ、さきほど天ケ瀬様も仰られておりましたが緑味濃くなっているのが特徴です」

店員「本来、ペリドットというものはミャンマー産の方が価値の高い物が多いのですが、こちらはそれらに対してもまったく引けを取らない物であると確信しております」

店員「天ヶ瀬様はペアでのご所望ということで大きさ、形、色合い、その三つが映し鏡のように等しい物を選び出させていただきました。パートナー様に送られるのであれば、これ以上の物は当店にはございません」

冬馬「なるほど。じゃあこれを貰おうか」

店員「かしこまりました。二つお買い上げということで、もし指輪に刻印をとお考えなら無料でお掘りいたしますが、いかがしましょう?」

冬馬「刻印っていうと?」

店員「大体のお客様は、相手の方に対する短いメッセージや、互いのイニシャルをと仰います」

冬馬「…………Heart to Heart ってのはおかしいかね?」

店員「いいえ、素晴らしいと思いますよ」

冬馬「じゃあそれを刻んでくれ」

店員「かしこまりました」

冬馬「ところで、刻印はどれくらいで入れられるんだ?」

店員「おおよそ四週から五週間といった所でしょうか」

冬馬「な、なるほど(真には来月、来月告白しよう。うん」

850: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/09(月) 23:01:07.23 ID:s1u/eaSj0


北斗「へぇ、冬馬は結局一人で決められたんだ」

翔太『みたいだね。ちゃんと言葉とか守護石とかそういうのも確認して決めたみたいだよ?』

北斗「それは良かった。あいつは変な所で即断するから、指輪もフィーリングで決めるかと思ったよ」

翔太『思ってたなら、アドバイス位あげれば良かったじゃない』

北斗「そういう翔太はあげたのか?」

翔太『なわけないじゃん。僕は自分で決めたんだし』

北斗「あはは、俺もそうだよ。男なら、こういうのは自分で決めないとな」

翔太『うんうん。たださ、刻印に時間が掛かるのを分からなかったみたいで告白自体は延期みたいだよ?』

北斗「はぁ?本末転倒じゃないか、それ」

翔太『だよねぇ。でもまぁ十二年も経ったんだから、一月くらい、ねぇ?』

北斗「あー、いや、それはどうだろうなぁ」

翔太『?』

北斗「こっちの話さ。そろそろ切るよ」

翔太『あ、うん。遅くにごめんねー』ガチャ

北斗「………あの、俺が言ったわけじゃないんだから睨まないで欲しいんだけど」

絶対唯一貴音神【あなた様、お話しましょうか】ゴゴゴゴゴゴゴ

北斗「そのモードは止めてくれ……」

856: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:54:45.59 ID:qMrJ0a2k0
貴音「あなた様」セイザ

北斗「はい」セイザ

貴音「私とて殿方の友情や、下世話な話にむやみやたらと口を挟むつもりはないのですが、先の御手洗翔太が言う一月くらいという言い草には少々腹が立ってしまいました」

北斗「申し訳ないです」

貴音「いいえ、あなた様が悪いわけでは有りません。私もほんの少し、本当に少しではありますが思ってしまいましたから」

北斗「(思ったのね」

貴音「ただ、腹立ったついでに聞かせていただきたいのですが、あなた様がいて何故、あの男と真を直ぐに結婚させることが出来なかったのですか?」

貴音「天ヶ瀬冬馬は背中を押せば勝手に走り出すでしょうし、あなた様なら正しい方向へ導けたのでは?」

北斗「何故って言われても、俺も馬には蹴られたくはないし、犬も食わない会話なんて聞きたくなかったからかなぁ」

北斗「第三者がとやかく言えないともいえるし、面倒でもあるしさ」

貴音「なるほど。はぁ、前々から理解はしていましたが、あなた様はこういう場面では甲斐性無しの極みですね。ぷれいぼぉいを気取るのに友人の仲を取り持つことも出来ないのですから」

北斗「いやいや、俺だって普段なら間に入っても良かったよ?けど、その頃俺はずーっと貴音ちゃんにアタックしてろ?俺としてはそっちに集中したかったんだよね。ますます綺麗になっていく君を他に渡したくはなかったからさ」イケメンスマイル

貴音「あなた様、御自身の不甲斐なさを私のせいにされても困りますよ?わ、悪い気はいたしませんが」///

北斗「あはは、ごめんごめん(ちょろいなぁ」

857: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:55:13.11 ID:qMrJ0a2k0


冬馬「指輪は用意した、評判の良い店のあたりも付けた。あとはスケジュールを摺り合わせていくだけなんだって、おっさん」

黒井「一ヶ月にも満たない時間で調整など出来るか!周りが被る混乱を最小限に抑えようとするなら、半年は必要なのだからな」

冬馬「あん?そんなにはかからねぇだろ。レギュラーなんて七本しかねぇのに」

黒井「時間も局もバラバラで、派閥も関係なくあちこち顔を挟むから煩雑な状態になるんだ!!何故わざわざ次期社長候補VS現社長子息などという面倒な構図のど真ん中に入り込んでいる!!」

冬馬「どっちにも世話になったからどっちとも仲良くやってただけで、そんな相関図は知らなかったんだよ!!」

黒井「知らんで済むかまったく……」

冬馬「」

黒井「とにかく真ちゃんには半年待ってもらえ。鳥でさえ水面を濁さず飛んでいくのだ、貴様も、せめて周りに迷惑を掛けない去り方をするんだな」

冬馬「おう」





冬馬「つーわけでそれが今日なんだぜ」

真「え、えぇ?」

858: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:55:41.69 ID:qMrJ0a2k0


真「確かに早くして欲しいなぁとか思ってたけど、黒井社長に迷惑掛かるならあと一年くらいは待ったよ?」

冬馬「そうはいってもお前、もう直ぐ三十だろ?区切りをつけるには丁度良いと思ったんだが」

真「だったらさ、もう少し前に社長だけには伝えておくとかすれば良かったじゃない。プロデュ……うちの社長も、突発で辞めたあずささんの時には混乱したらしいし」

冬馬「そこまで頭が回らなかったんだよ」

真「……冬馬って、昔から気が利くようで利かないよね」

冬馬「い、言い返せねぇ」

真「あはは。でもそれが冬馬らしいといえばらしいのかもね」

冬馬「そういって貰えるとこっちも楽で良いぜ……」

859: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:56:10.87 ID:qMrJ0a2k0

真「ふふ。それで、せっかく「夜景の綺麗」な「大人のレストラン」に呼んで、指輪の話をしたって言うのに、肝心のお話はどうしたんだい?」

真「この期に及んで先延ばし、なんて言わないよね?」

冬馬「俺もそこまでへタレちゃいねーよ……真」

真「はい」

冬馬「俺と結婚……いや、まずは違うな。十二年前にお前は俺のことを大好きだと言ってくれたな。あの時の俺は保留したが今なら言えるし、言うつもりでこの場を用意した」

冬馬「発表はまだ先だが、俺は今日付けで961プロとの契約を切った。いや、おっさんに切ってもらったと言うほうが正しいか」

冬馬「アイドルを辞めて、ただの男になった。それが今日なんだ」

真「うん」

冬馬「だから言うぞ。真、俺はお前のことが好きだ、大好きだ。愛してる」

冬馬「十二年も待たせておいて、こんなあっさり言うのはアレだろうが……」

真「全然。僕は満足だよ」

冬馬「なに?」

860: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:58:52.33 ID:qMrJ0a2k0


真「僕が君を好きになったのは出会ってから一年も経ってなかった時で、それも、ただ「カッコいいなぁ」って軽い感じだった。それから今までの間に、その好きな気持ちをとても重いものにすることが出来たのは」

真「冬馬がいつだって真剣に僕のことを考えていてくれたからだって、僕はそう思うよ」

冬馬「真剣って、答えを先延ばししまくってたのにか?」

真「ううん、逆に先延ばしにしていたからそう思う、のかな?変な言い方だけどね」

冬馬「??」

真「ふふ。だって、僕が告白する前の君はアイドルに全て振り切っていたじゃないか」

真「でも僕が告白した後は違うね。君はアイドルと僕を抱えてずっと悩んでいた。ずっとアイドルを続けたいから僕を振ろうとかそういう方向じゃなくて、あくまで僕を受け入れる前提でアイドルを辞めることに悩んでいたんだ」

真「真剣じゃないなら、君はもっと早くに僕が望まない結論を出していたと思うよ。それが、アイドル活動を早く妥協して僕を優先するのか、生涯アイドルな春香のようになろうと僕を振るのか、どちらの結論かはわからないけどね」

真「さっきさ、「早くして欲しいなぁと思ってたけど」って僕は言ったじゃない?」

冬馬「あぁ」

真「いやな奴に聞こえちゃうかもだけど、もう少し悩んでいても、とも思ってたよ。君がそれだけ僕を想ってくれているんだって、すごく理解できるから。それが嬉しいから」

冬馬「そう、か」

真「だからだね。君が自分の告白をあっさりしてると思っていても……僕が満足なのは」

861: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/18(水) 00:59:19.04 ID:qMrJ0a2k0



冬馬「いまいち釈然としねぇ……」

真「ようするに、君が僕のために悩んでくれていたから、それで僕に対する愛情が見えていたのさ。っていうことだよ。だから長い言葉はいらないんだ」

冬馬「……女心は良くわかんねぇな」ムムム

真「あはは、そこは追々理解して行ってくれると良いんだけどね」

冬馬「精進するさ。あぁ、精進するとも」

真「でも、そうだね。折角だし、もう一度くらい言って欲しいかな……だめ?」

冬馬「いいや……好きだ」

真「うん。僕もだよ」

866: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/19(木) 21:39:19.75 ID:pfeSI0od0
346編が終わった辺りから再開






北斗「それで、結局その食事会には行かなかったのかい?」ガサゴソ

冬馬「おっさんとかPさんとか、親しい連中と食事だってんならいくらでも行くけどよ、仕事の話になりそうな空気がプンプンだったからなぁ」

北斗「あははは、そういうところに顔を出してこそコネになるんだよ……ここじゃないのか?」ガサゴソ

冬馬「コネなんて、おっさんの伝手くらいで十分だ。後は実力勝負だろ」

北斗「冬馬らしいね」ガサゴン

冬馬「お前だって、モデル時代のコネは使わないだろうが」

北斗「事務所の地力が違いすぎるからね。さすがに961プロみたいに仕事を持ってるところはないのさ」

冬馬「ふーん」

北斗「聞いといてそれか……こっちにもないな」ガサゴソ

冬馬「なぁ」

北斗「うん?」

冬馬「さっきから台所をあちこち空けたり閉めたりしてっけど、何探してんだ?賞味期限切れた菓子とかはもう捨ててるぞ?」

867: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/19(木) 21:40:00.57 ID:pfeSI0od0


北斗「実は、前に持ち込んだ酒を探してるんだよ。とあるメーカーが北欧向けに出す商品の試供品でね。知り合いに譲ってもらっていたんだけど……」

冬馬「酒かぁ」

北斗「そろそろ貴音ちゃんもお酒を飲めるようになるからさ、果実酒だから飲みやすいって聞いてたそれを探しに来たんだ」

冬馬「あ?四条って一月には成人してなかったか?」

北斗「いや、あれは事務所のプロフィール上であって、本当は来月らしいよ。前にそう聞いた」

冬馬「なるほどな」

北斗「うーん、これでもないんだよなぁ」

冬馬「その酒はどんなデザインだったんだ?」

北斗「試供品だからシンプルな奴だったんだけど、果物の写真が張ってあってdeamidase de la purina0って真ん中に書いてあった……あぁ0は目立つように大きく真ん中にあってさ」

冬馬「deamidase de la purina……?」

北斗「なんかプリン体ってスペイン語で書きたかったらしいよ。プリン体ゼロです!っていう意味合いのパッケージで……」

冬馬「それ、なんかどっかで見たことある気がすんだけどなぁ……ん?」

868: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/19(木) 21:40:54.35 ID:pfeSI0od0


美波『それ……外国の?何語なんだろ』

冬馬『さぁなぁ、英語ドイツ語って訳でもねえだろうけど……まあ大きくアルコール0って書いてあんだし問題ねぇだろ。これさ、前に北斗が大量に酒を持ち込んできやがって、其の時に処分するの忘れたまま今に至るわけだが……果実酒で祝い酒ってことで一杯、な?』

美波『……もしかして飲みたかったの?』

冬馬『……少しだけどな?』




冬馬「……あ、アルコールの話じゃなかったのか」マッサオ

北斗「冬馬?」

冬馬「な、なんでもねぇ」

870: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:08:29.07 ID:TcmfFSZ20
黒井「おい、一応当日はスケジュールを空けておいてやったぞ。スキャンダルにはするなよ」

冬馬「あん?藪から棒に何言ってんだ……」

黒井「ウィ、千早ちゃんの墓参りに着いていくのではなかったか?」

冬馬「墓?……あぁ、あれか。Pさんから聞いたのかよ」

黒井「昨日の食事会のときにな」

冬馬「はー、あの人も来てたのかよ。なら行けば良かったかねぇ」

黒井「ふふん、いまさらだな」

冬馬「まぁそれは良いや。それはさて置くとして、今後の俺の活動はどうなるんだ?」

黒井「しばらくは木星日和とゲスト通いだな。既に五六の番組からオファーが来ているんだが……」

冬馬「選抜はあんたに任せるさ。俺は決定に全力を尽くすだけなんでな」

黒井「わかった。では全力つながりで「ドキドキッ!全力(物理)三人旅」に決めておこう」

冬馬「了か……物理?」

871: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:09:25.29 ID:TcmfFSZ20

冬馬『木曜深夜にお騒がせ!』

木星『真夜中の木星日和!』

BGM『アリギルイントロ』


冬馬「最近眠気が酷くてたっかい枕を買いました。はい、と言うわけでリスナーの皆さん久しぶり、今日も今日とて天ヶ瀬冬馬だ」

翔太「何がはい、なのか意味が分からないよ。最近勉強はもう諦めようかな、なんて思ってる御手洗翔太です!」

北斗「いやいや諦めないでね?最近、近所の女の子に老けた?って言われて地味にへこんだ伊集院北斗です」

冬馬「あーやっぱりホームな空間は素晴らしいな。適当に話せるって、本当に素晴らしい」

北斗「いつもと変わらないじゃないか」

翔太「それより久しぶりについてちゃんと説明しなよ。ここ半年「冬馬君はどうしてTVに出ないんですか?」とか「病気ですか?」とか心配したファンの人たちからメールが凄いんだよ?」

冬馬「おぉ、心配されるのは素直に嬉しいな。えっと……そもそもアレは言っていいのか?」

北斗「所々ぼかせば良いんじゃないか?」

冬馬「言おう。俺は、この半年とあるアイドル候補生達のアドバイザーとして付きっ切りで面倒を見てたんだ。それもようやく終わったんでな、戻ってきたよ」

翔太「お疲れ様ー」

冬馬「サンキュー」

872: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:09:52.98 ID:TcmfFSZ20


北斗「リーダーが長く離脱するユニットってあまり無いよね」

翔太「そうそう有ってたまるかーって感じだけど」

北斗「TOKIOさんあたりだと「ちょっと大型船舶の免許取るので一年間ライブやりません」とかやりそうじゃない?」

冬馬「一年はちょっとじゃねぇし、あの人たちは多分どっちもやりながら完遂しちまうだろ」

翔北「あー」

冬馬「と、裏でお便りぽいの掲げてるから、さくっと行っちまおう」

翔太「久しぶりだし今日は全部冬馬君が読もうよ、告知も何もね」

北斗「それは良いな。じゃあこれ箱ね」

冬馬「オーケィ。っと、さっそく一枚目のお便りから……「北斗君、翔太君ジュピジュピー!」」

翔北「ジュピジュピー!」

冬馬「おいまてジュピジュピってなんだ」

翔太「それは後で説明するから読んで読んで」

冬馬「「先週この番組でお二人が『最近はまっていること』についてお話していて思ったのですが、北斗さんのピアノ趣味はどこへ行ってしまったんでしょうか」……だとさ」

北斗「エンジェルちゃんたちの心の中に、だよ☆」

翔太「それでジュピジュピってのはね、先月この番組で「なにか頭につける挨拶が欲しいね」って話が出てさ。一応仮決めにしたんだけど」

冬馬「なるほど。そういうことなら確かに良いかもな」

北斗「スルーしないで!?」

873: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:10:34.35 ID:TcmfFSZ20

冬馬「で、結局どこに飛んだのよ」

北斗「どこも何も、一々何かにつけてピアノの話なんて普通しないだろう?家に帰って弾くくらいだよ」

翔太「でも、前は結構アピールしてたよね?」

北斗「そりゃあね?俺としては事務所から言われてた気高さっていうのを示す必要も」

冬馬「プププ」

北斗「笑うな……まぁ有ったり、それに頭の体操にもなるしで、色々と実入りのある趣味だったんだよ。勿論、多少は下心があったのは否定しないけどさ」

翔太「「やぁ彼女。君のその白い肌、美しい黒髪。それはまるでピアノの鍵盤のようだね。ぜひ俺に弾かせてくれないか?」って滅茶苦茶下心満載だよね……」

冬馬「世が世、人が人ならセクハラ問題だな。これは多少とはいえないぜ……」

北斗「お、おい?」

翔太「これはどうかな?」

冬馬「あぁこれはそうだな」

冬翔「『これって何ギルティ?』」

北斗「やられた……」

874: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:11:01.23 ID:TcmfFSZ20



翔太「せつめーい!」

冬馬「おう!このコーナーはリスナーの皆さんや俺たちの周りで起きた『これは罪だよ!』って思っちまう出来事を、『これはいったい何ギルティなの!?』っと点数付けしちゃうコーナーだぜ!!」

翔太「今年度の暫定王者は「立ち食い蕎麦屋に置いてある爪楊枝を、ランダムに逆さにする!」で158ギルティなんだけど……さぁ北斗君のセクハラ紛いな罪はいったい何ギルティ!?」

北斗「えぇ……」

冬馬「どうだ!」

北斗「それは、あれだよ、100ギルティくらい」

冬翔「はぁぁぁぁ!?低いぃぃl!!」

北斗「ひゃ、150くらいかな?」

冬馬「これがそんなに高いわけねぇだろ」

翔太「馬鹿なの?」

北斗「さっきからやけに心に刺さるんだよなぁ…」

875: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/25(水) 22:11:29.19 ID:TcmfFSZ20


冬馬「じゃあこれは122ギルティということで異論はないな?」

翔太「異議なーし」

北斗「おーけい」

冬馬「じゃあ……ごほん!罪人伊集院北斗よ」

北斗「はい」

冬馬「貴様は罰として、来週の木星日和にゲストを一人連れてくるのだ。身内不可でな!」

北斗「へ?」

冬馬「よいか、これは決定じゃ!」

翔太「甘くない?」

冬馬「合流して一回目だし……俺が裁かれたらいやだしな」

翔北「本音それ!?」

878: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/30(月) 06:51:12.06 ID:vaWakA1n0

冬馬『告知ー!』

翔太『いえーい』

北斗『今日の告知はなんだろなっと』

千早「……」

春香「……(真剣な顔で聞いてるなぁ」

冬馬『沢山のリスナーさんのお陰でこの番組は中々の好評ぶりなわけなんだが、そのせいで感謝イベントとかいうのをやる羽目になったみたいだな』

翔太『言い方、言い方!!』

冬馬『いやぁ取り繕ってもな?心の底からわきあがる「うわめんどぅ」って感覚は消えないわけで』

翔太『えぇぇぇ?』

冬馬『まぁ良いか。これが公開収録なんだとよ。場所は代々木公園で日時は再来週の金曜日、午後二時から二時間ぶっ通しで行くぜ!』

冬馬『詳しい要項は番組HPで確認してくれ』

春香「木曜じゃないんだね」

千早「再来週の金曜日が国民の休日だからじゃないかしら」

冬馬『告知も終わったし、ここで一曲挟んでエンディングにしようか』

翔太『おけー』

北斗『はいはい』

879: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/30(月) 06:51:40.06 ID:vaWakA1n0

木星『また来週!』

千早「堪能したわ」

春香「ラジオも案外いいものだよね。うちにもこういう仕事入って来ないかなぁ」

千早「二人でパーソナリティも面白いかもしれないわね」

春香「そうだねぇ」

千早「プロデューサーにお願いして取ってきて貰おうかしら……って、どの道私は無理だったわ」

春香「え?あ……そうか、今度アメリカに行くんだっけ?」

千早「どれくらいの期間かは分からないけれど、そうみたいね」

春香「出来るだけ早めに帰ってきて欲しいなぁ。千早ちゃんと真の家くらいしかまともに泊まれる所無いんだもん」

千早「あら、理由は宿だけなのかしら?」

春香「そんなこと無いよ。でも言わせないでね?恥ずかしいから」

千早「ふふ、残念」

880: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/30(月) 06:52:10.19 ID:vaWakA1n0


春香「それよりさ、大丈夫なの?あれ」

千早「あれ?あれって何のことかしら?」

春香「家族で行く優君のお墓参りのこと。プロデューサーも律子さんも来てくれないんだよね?」

千早「二人とも忙しいみたいだからしかたないわよ。それにプライベートのことなのだから、事務所の車を出してもらうこと自体、本当はおかしいのだし」

春香「でもさぁ」

千早「心配してくれるの?」

親友「春香だからね」

千早「逆よ」

春香「親友だからね!」

千早「そういう芸を、わざわざ仕込みもしなければ感動もするのに……」

春香「湿っぽくなるのは苦手で」エヘヘ

千早「もう」

881: ◆HyZk02P5Ec 2015/11/30(月) 06:53:04.13 ID:vaWakA1n0
千早「でもね、心配は要らないわ。お父さんとは前に一対一で話したけれど、私自身はなんのわだかまりも無く話すことが出来た。お母さんとはだいぶ前に和解したから問題ない」

春香「いやね、私が心配してるのは千早ちゃんとお母さんとか、千早ちゃんとお父さんの関係じゃなくて、千早ちゃんのお父さんとお母さんの関係なんだけど」

千早「そこは私が間に入るから、なんとかしてみせるわ」

春香「なんとかって……」

千早「大丈夫、大丈夫よ。私が三人で行こうって誘った時、二人ともネガティブなことは言っていなかったもの、また仲良くなれるはずだわ」

春香「うぅん」

千早「そこまで言うなら付いてきてくれても良いのよ?」

春香「そうしたいのは山々なんだけどねぇ……」





P『お前はアクが強すぎるから、親子の対面には付き合うなよ』

春香『え!?』

P『お前が居ると喜劇に成りかねないからなぁ……あ、その日は仕事北海道で響と一緒に熊と戯れてもらうから』

響『熊、楽しみだぞ!!』

貴音『真よかったですねぇ』




春香「くまぁぁぁ」

千早「?」

884: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/04(金) 00:02:00.31 ID:kCvMr23g0

千早「散々、大丈夫大丈夫って春香には言っておいたけど」ソワソワ

千早「当日になるとやっぱり不安になるわね……今のうちに色々確認しておこうかしら」ソワソワ

千早「春香と一緒に選んだ服。スカートなんて私服では履き慣れていないけれど、良しとしておきましょう。上は、よくわからないけれど普通の服。名前は何だったかしら……私も、もう少しお洒落に気を使ったほうが良いのかしらね」

千早「あとは手提げバック。これも前に選んで貰った物。色合いは落ち着いていてお墓に持っていっても可笑しくはないわね」

千早「中にはお線香とライター。少しの紙屑。お菓子と飲み物……」

千早「靴はいつも通りだから問題ない」

千早「……」ソワソワ

千早「お、落ち着かないわね。音楽でも聴いてる?でも、下手をしたら没入しすぎて気付かないかも知れないし」

千早「……い、今どの辺りかメールしてみましょう!」


千早→母&父『今、どの辺り?』

千早「……」ピロリーン

千早「送信音も、変えたほうが良いのかしら」ピロリーン

千早「あら?早いわね」

千早←母&父『千早のアパートの前!』

千早「本当に早い!しかも同時って……まさか二人とも会っちゃってる!?」ドタドタ


885: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/04(金) 00:02:30.72 ID:kCvMr23g0

千早「お母さん!お父さん!?」ダダダダ

千種「うふふ、そうだったの」

千早父「あの子が随分と世話になってるみたいだね」

冬馬「いやぁ、こっちも助かってる面があるんでお互い様というかね」

三人「あはははは」

千早「……………?」

千種「あら千早、おはよう。随分めかし込んでいるのね、可愛いわよ」

千父「久しぶりだな千早。こうして見ると、本当にお母さんの若い頃にそっくりだ」

千早「?……??」

冬馬「どうした如月、何をそんなに混乱してるんだよ」

886: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/04(金) 00:02:57.44 ID:kCvMr23g0


千早「人間言いたいことと聞きたいことが大量にあると、頭が真っ白になるのね……」

両親「はは、何をいまさら」

千早「なんで二人ともそんなに息があってるのよ!?」

冬馬「おいおい、夫婦なんだから当然だろ?」

千早「喧嘩ばかりしていた記憶しかないから仕方が無、っていうか当たり前のように此処に居る冬馬にもビックリしているのだけど!?」

千種「あら、本当に名前で呼んでいるのね?ふふ、最近の女の子は大胆ね」

千父「お前も、昔はそうだったよ」

千種「そ、そうだったかしら?」

千父「そうだよ。大胆で、ステキだったさ」

冬馬「うわあっちいなぁ、本当にあっちいぜ!」

千早「惚気るのはやめて!親の惚気なんて見たくないの!色々辛いー!!」

887: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/04(金) 00:03:23.63 ID:kCvMr23g0

千早「はーはーはー!」

千種「落ち着いた?」

千早「な、なんとか……そ、それで説明はしてくれるのよね?」

冬馬「おう、なんでも聞けよ」

千早「何で貴方が此処に居るの?」

冬馬「そりゃPさんに頼まれたからな」

親子「「「え?」」」

冬馬「え?」

千種「お父さんお父さん」コソコソ

千父「プロデューサーは私達が話したがってるとは言わなかったみたいだね」コソコソ

千早「頼まれたって?」

冬馬「いや、その日は仕事があるから、着いて行ってやってくれってさ」

千早「そこで冬馬に頼む理由が分からないのだけれど」

冬馬「俺も、なんで俺が。と思わないでもなかったけどさ、お前とは色々あったろ?だから俺を選んだんじゃねぇかなぁ(焚き付けたんだから、なんて言われたら断れねぇよ」



888: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/04(金) 00:03:59.80 ID:kCvMr23g0


千早「此処に三人で居るってことは、冬馬が駅まで迎えに行ってくれたってことで良いの?」

冬馬「そうだ」

千早「車で?」

冬馬「おう」

千早「……気まずくなかった?」

冬馬「ちょっとだけな。だが、二人とも話しやすかったから直ぐに慣れたぜ」

千早「私には、あの時以来二人が不仲なイメージしかなかったから凄く混乱しているのだけど……」

冬馬「どうしてお前の両親がまた仲良くなってるのかは知らねぇが、悪いよりは良いだろ?三人で仲良く弟君に手を合わせれば良いさ」

千早「そう、そうよね」

冬馬「その後で、聞きたいこと言いたいこと、全部スッキリさせちまえよ。車中でお母さんから聞いたが、今回の墓参りを提案したのはお前なんだろ?」

千早「えぇ」

冬馬「折角向き合う勇気を出したんだからさ、言葉は惜しむなよ。ただでさ歌以外では口下手なんだから、お前は」ポンポン

千早「//////」

893: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/13(日) 21:57:31.99 ID:l0oNrx9J0

千種「もう少し千早が照れている姿を見ていたい気もしますけど、そろそろ行きましょうか」

千父「そうだな。この調子だと何回でも見られそうだ」

千早「二人とも!」

千種「ふふ、ごめんなさい。じゃあ冬馬君、よろしくお願いします」

冬馬「わかりました。ほら如月、膨れてないで行こうぜ」

千早「膨れてなんか無いから……」

千父「こうしていると、やはり可愛いものだなぁ家の娘は」

千早「からかわない!」//////

894: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/13(日) 21:57:59.65 ID:l0oNrx9J0

冬馬「……」ウンテンチュウ

千早「……」ジョシュセキ

千父「……」

千種「……」

冬馬「(やっぱり墓参りともなると空気が重い。さっきまで冗談交じりにやりあってたが、如月と合流する前は会話が途切れがちだったし」

千早「そろそろかしら」

冬馬「そうだな。降りる準備はしとけよ」

千早「わかった……ふふ。それにしても、三人で来た私達を見たら優はどう思うかしらね」

冬馬「幸せになってほしいと、思うんじゃねぇかなぁ(たとえ割り切ったように見えても、そういう気持ちは一生残るんだろう」

千早「え……」

冬馬「ん?あぁ、すくなくとも俺はそうじゃねぇかと思うがって話な」

親子「……」

895: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/13(日) 21:58:51.24 ID:l0oNrx9J0


冬馬「おっと、マジかよ」

千早「どうしたの?」

冬馬「霊園の駐車場、水道工事してて止まれねぇみてぇだな」

千早「ええ?」

冬馬「しゃあねぇか。適当に止められるところ探しておくんで、三人で先に行って墓の掃除でもしていてください」

千種「わかりました。じゃあそこで止めてもらえるかしら?水を汲んで行きますから」

冬馬「了解」ブロロロロロ

千種「……良い人なのね、彼。千早が好きになるのも分かるわ」

千早「お母さん!」

千種「あら、違うの?」

千早「ちが、くはないけど……!」

千父「あれだとライバルも多いだろう。千早、頑張るんだぞ?」

千早「もう、もう!!」

896: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/13(日) 21:59:17.50 ID:l0oNrx9J0

千早「」ブスゥ

冬馬「ん、どうした如月?」

千早「なんでもないわ」

千種「私とお父さんがつついてたら拗ねちゃったのよね?」

千父「あははは」

冬馬「なるほど(どういうことか分からないが、空気は戻ったな」

千早「それは良いから、早く済ませましょう!冬馬の家のお墓は私が手伝うから!」

冬馬「あ?いいよ、別に。俺は俺でやるかr」

千早「良いの!」

冬馬「お、おう?じゃ、じゃあ頼むな」

千種「あらあら」

897: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/13(日) 21:59:43.18 ID:l0oNrx9J0


冬馬「なぁ、如月」クサヒキヌキ

千早「なに?」ハカイシゴシゴシ

冬馬「お前も、あぁやって膨れたりするんだな。意外だったぜ」

千早「い、いつもじゃないからね?今回はお母さんとお父さんが居るから」

冬馬「はは、可笑しいとか言うつもりはねぇよ。ただ、家族仲が良いっていうのは、やっぱり良い物だなって思っただけさ」

千早「……冬馬はお父さんとは仲が良くないの?」

冬馬「いや、仲は良いと思うぜ?年に一二回しか会わねぇし、電話もこっちからは殆どしないけどな」

千早「(私よりも少ないのね」

冬馬「お前はどんなもんなんだ?その、電話だの会うだのさ」

千早「私は、そうね……冬馬と此処で色々話したでしょう?」

冬馬「あぁ」

千早「あのときまでは一度も会わなかったし会うつもりも無かった。電話も、あちらから掛けてくるまではしなかったわ。けれど、週刊誌の事があって、その後のライブがあって……そうしたら、突然会いたいなって」

冬馬「そうか」

千早「気まずさも、気恥ずかしさもあったから、電話じゃなくて手紙から始めたのだけど、案外それが良かったのかもしれないわね。たぶん、電話だったら一緒にお墓参りに行こうだなんて切り出せなかったと思うから……まぁ、会ってしまえばあっけないものだったけれど」ジトー

冬馬「あはは、そう言うなよ。あっけなく感じるなら良いじゃねぇか、次は意識しないで会えるぜ?」

千早「……そうね、それなら良いわね」

900: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/29(火) 23:43:39.81 ID:Qjae5fiR0

冬馬「よっし大分綺麗になったな。掃除はここで終わりにしようぜ」

千早「そうね。此処までやれば問題ないでしょう」

冬馬「おう。あー、そっちは終わりました?」

千種「えぇ、終わりましたよ。今お線香に火を着けるわね……あぁ、千早」

千早「なに?」

千種「お母さんとお父さんね、飲み物を忘れちゃったから買ってきて貰えないかしら」

千早「そうなの?分かったわ。ついでにゴミも持って行くから袋も貸して」

千種「あら、お願いね」

冬馬「如月、そんくらいなら俺が」

千父「いやいやそこまでさせるわけにはいかないよ。なぁ?」

母娘「えぇ」

901: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/29(火) 23:44:08.36 ID:Qjae5fiR0


千早「じゃあいって来ます」

冬馬「おう」

千父「転ぶんじゃないぞ?」

千種「変な人に声を掛けられても着いていかないのよ?」

千早「くっ!またそういうことを言うんだから!」トコトコ

冬馬「(いじられてんなぁ」

千父「さて、千早も居ないことだし」

千種「そうね、そろそろ良いかも知れないわ」

冬馬「?」

千父「実は、今日のことなんだけれど……」


かくかくしかじか


冬馬「なるほど、そういうわけか」

千父「すまないね。私達としては、ただ君と話がしたかっただけなんだ」

冬馬「そういうことならそうと、最初に言ってくれれば良かったんですよ。時間くらい作ったのに」

千種「プロデューサーが「あいつのことだから、理由を説明して会いたいって言ったら『わざわざ礼を言われるようなことはしてねぇ』って断りますよ」って」

冬馬「……」

夫婦「(図星?」

902: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/29(火) 23:44:48.34 ID:Qjae5fiR0

千父「ごほん。まぁそういうわけでね、一度話をしたかったのさ。君がどういう人間かは娘やプロデューサー、色々な人の話からなんとなく分かってはいたけれど」

千種「やっぱり直接お礼はしたいもの」

千父「だから、ありがとう天ヶ瀬冬馬君。君のお陰で千早は明るくなった。君のお陰で、私達家族は互いに話し合うきっかけが出来た」

冬馬「俺はたいしたことはしてねぇっすよ。如月が変わったのも765の連中と一緒にアイドルをしていたからだし」

千種「春香ちゃんたちにも私達は感謝している。それでも、優のことであの子を立ち直らせてくれたのは間違いなく貴方だわ。」

冬馬「…」

千種「優のことが書かれた週刊誌の記事が出回った時、居てもたってもいられずに、私はあの子の所へいきました。眠り姫のライブの時のことよ」

冬馬「あの時か」

千種「えぇ」

千父「あれには此方も駆けつけたんだが……情け無い話、私達夫婦はあの子に会うことが出来なかった。千早が歌えなくなったのは自分のせいだと、土壇場で怖くなってしまったから」

千種「ああいう場面で私達が再会してしまったのも悪かったんでしょうね。もっと前から夫婦で歩み寄っていれば、千早に寄り添おうとしていたなら、なんの躊躇いも無く会いにいけたでしょうに」

冬馬「……」

903: ◆HyZk02P5Ec 2015/12/29(火) 23:45:19.07 ID:Qjae5fiR0

千種「二人で顔を合わせて、何を言えるでもなくただ立ちすくんでいた時、私達を見つけてくれたのがプロデューサーだった」

冬馬「Pさんが?」

千種「えぇ」

千父「彼は私達の様子を見て、何を聞くでもなく私達を舞台袖まで連れて行ってくれた。そこで千早の姿を見て、歌を聴いて、不覚にも泣いてしまってね」

千父「あぁ、この娘は昔のように歌えるようになったんだな。私達の力など必要なく、立ち上がれるようになったんだな。そう思ってしまったんだよ」

千種「良いお友達に囲まれて、プロデューサーや社長さんのような良い大人に見守られて、千早は過去を振り払えたんだって……でも、千早が立ち上がれるようになった理由はそれだけじゃないと、直ぐにわかったわ。ね?あなた」

千父「そうだね。良い笑顔だった」

冬馬「笑顔?」

千父「内容は遠くて聞き取れなかったけれど、歌った直ぐ後、あの子に話しかけていた青年がいた。彼が肩を叩いて横を歩いていった後、千早は本当に良い笑顔をしていたんだ」

千種「それを見て私達は、千早が立ち直れたのはこの青年のお陰だって理解できたのよ」

冬馬「そうなんですか」

千種「ふふ、なにを他人事みたく……青年とは貴方のことですよ」

冬馬「お、俺?」

907: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/17(日) 23:20:47.80 ID:UeNv2wXP0
千種「覚えてない?」

冬馬「何か言ったことは覚えてるんすけどね?そんなにたいした事を言った覚えが無いんで……」

千種「貴方にはたいしたことが無い言葉でも、それがあの子の力になっていたのなら、それは、やっぱりたいした言葉だと思うの」

千父「だから、私達は君に何度でもありがとうと言うよ」

冬馬「いや、だから」

千父「「わざわざ礼を言われるようなことはしてねぇ」?」

冬馬「」

千父「まぁそれが君の在り方なんだろうから、私達もこれ以上しつこく言うつもりもないよ。ただ私達が感謝していることだけは覚えていてほしいかな?」

冬馬「……うす」

908: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/17(日) 23:21:15.73 ID:UeNv2wXP0

千父「お墓の前でお菓子を食べる話を聞いたときは、この子は何を言っているのかと思ったけれど。やってみると中々面白いね」ブロロロロ

千種「今度来る時はブルーシートでも持ってきましょうか」ブロロロロ

千父「そうだねぇ」

千早「今度?」

冬馬「おいおい、何をそんなに不思議そうにしてんだ。盆とか、弟さんの命日とか、家族で行くタイミングなんていくらでもあるだろ?」

千父「あぁ。千早のスケジュールに予定を合わせていこうね、一番忙しいのはこの子だし」

千種「えぇ」

千早「(昨日は二人の間に入って色々と気を使おうなんて考えていたけど、不要だったわね。冬馬もいたし」

冬馬「(いくら話がしたかったって言っても、三人とも自分達で歩み寄ろうとしてんだから、少なくともこの場に俺は不要だったよなぁ」

909: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/17(日) 23:22:03.22 ID:UeNv2wXP0

冬馬「なんも考えずに墓地から出てきたが、お二人は今日何処のホテルに泊まるんすか?」

千父「いや、千種はともかく私はこれで帰るよ。明日、午後から仕事でね……本当は泊まれれば良かったんだが」

千種「仕事の都合だもの、そこはしかたないわね。私は朝迎えに来てもらった駅前のホテルに予約しているの」

千早「家に泊まれば良いのに」

千種「予約しちゃったからね」

千早「……」

冬馬「次は泊まって貰えば良いさ。えっと、お二人は駅前で降ろしますけど……如月はどうする?三人で飯でも行くなら一緒に降ろすし、行かないなら家まで送るが」

千早「そうね……お母さんとお父さんが良いならそうしようかな」

千種「ふふ、そうしましょうか。ね、お父さん?」

千父「うん、電車まで時間はあるから大丈夫だよ」

冬馬「決まりだな」

910: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/17(日) 23:22:57.40 ID:UeNv2wXP0


千父「あぁ、天ヶ瀬君。この辺りで降ろしてくれるかな?」

冬馬「え?まだ結構距離ありますよ?」

千父「駅前だと周りにバレちゃうだろう?」

冬馬「あー、そういう事」テイシャ

千種「散歩がてら歩くのも、きっと良いものだと思うわ。冬馬君今日は色々とありがとう、助かったわ」

冬馬「ははは。良いっすよ別に……またなんかあれば言えよ?応えられることには応えてやるから」

千早「ふふ。えぇ、ありがとう冬馬」

冬馬「おう」

千父「それじゃあ行こうか。何を食べようね、千早のお勧めは何かな?」

千早「お、おすすめ……」

千種「あら、ないの?」

千早「い、色々あるから絞れないだけよ」トコトコトコ



冬馬「……帰るか」ブロロロロ

911: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/17(日) 23:24:46.52 ID:UeNv2wXP0


春香『なるほど。そういうことになったんだ』ギャオガォォォォ

千早「ええ」

春香『でも良かったね千早ちゃん、二人が仲直りしていて。これで、もう緊張しないでお母さんたちに会えるでしょ?』グルルルルルル

千早「そうね」

春香『ふふふ。でも、冬馬君が居るのを見て驚いた千早ちゃんを見てみたかったなぁ』ガァァァァァァ

千早「そうなの」

春香『うん!あ、そろそろ行かないと、じゃあね!』グワァアアアアアア

千早「ええ、また………後ろの唸り声が気になってまともに会話が出来なかったけれど、いったいなんだったのかしら」




貴音「ひひひひ響ぃ!はやくその熊殿を鎮めてください!!」ガァルルルル

響「あはは、赤カブ太は脳に銃弾を受けた後遺症で凶暴になってるだけでこれが平常なんだぞ」イイコイイコ

春香「貴音さんは怖がりですね、ふふ」

貴音「ひぃぃぃ」

915: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/23(土) 17:48:56.25 ID:TlQyMBI80
春香「というわけで北海道土産ですよ!北海道土産!!」ドゥーブルフロマージュ

冬馬「突然「ねぇ……今、大丈夫?」なんて深刻そうに呼び出したと思えばそれかよ!ありがたく頂くけどさ」

春香「いやぁ冬馬君って、私が普通に誘っても逃げるじゃない?だからああやって言えば来てくれるかなって」

冬馬「はぁ、次はねぇぞ?」

春香「うん(次は違う呼びかたするから、たぶんまた引っかかるんだろうなぁ」

冬馬「で、お前のことだからこれだけじゃねぇんだろ?」

春香「二つもお土産を買うわけないでしょ?」

冬馬「そっちじゃねーよ!用事は何だって言ってんだ!」

春香「えー?本当にただ何か食べたかっただけだよ?」

冬馬「……」

春香「店員さーん!M@STERチョコレートパフェ」

冬馬「二つ」

春香「二つくださーい!」




916: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/23(土) 17:49:23.75 ID:TlQyMBI80

春香「うふふ、やっぱり美味しいなぁ」

冬馬「そうだな」

春香「でも、こうやって一緒に食べてるのって、傍からみたらデートに見えるのかな?」

冬馬「俺には布とデートなんて洒落たことは出来ねぇなぁ」

春香「ねぇリボンのこと?それリボンのこと?」

冬馬「さてな」

春香「むぅ……まぁ良いか。ごちになりまーす」

冬馬「はぁ!?俺が出すのかよ!!」

春香「だめ?」アイドルナミダメ

冬馬「構わねぇよ」アイドルスマイル

春香「やたー!」

冬馬「まったく」

917: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/23(土) 17:50:13.79 ID:TlQyMBI80


春香「と、まぁ軽くジャブを出した所で本題と行きますか」

冬馬「やっぱりなんかあんのか」

春香「ドキドキッ!全力(物理)三人旅っていう言葉に聞き覚えは?」

冬馬「あん?………あぁ、確かそんな話をおっさんにされたな。あれか、それに765も関わるのか?」

春香「いえーす!」

冬馬「はぁん?わざわざ言い出すくらいだ、どうせお前も参加者だろ。俺とお前が居るとして、あとは誰だ?」

春香「さぁ、プロデューサーさんは千早ちゃんか美希にするつもりだって言ってたけど……冬馬君はどっちだと思う?」

冬馬「俺か?俺は、そうだなぁ……」

923: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/31(日) 23:30:40.78 ID:NX6lvkXd0

冬馬「如月じゃねぇかな」

春香「千早ちゃん……その心は?」

冬馬「俺とお前と美希の三人だと、前にやった番組での組み合わせと一緒だろ?」

春香「前?………あぁ、確かにあったねぇ。ドッキリとアトラクション制覇と膝枕!」

冬馬「そうそう。あれも俺たちだったろ。他の番組で使ったものをPさんがまたやるとは思えねぇんだよなぁ」

春香「なるほどぉ」

冬馬「まぁ、結局は想像でしかねぇんだが」

春香「あー、そうだね」

924: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/31(日) 23:31:07.00 ID:NX6lvkXd0


春香「さて、パフェも食べたし出ようかな」

冬馬「そうだな。送るか?」

春香「良いよ良いよ、どうせ今から仕事だし」

冬馬「今から?間に合うのかよ」

春香「余裕のよっちゃんだよ」

冬馬「あー、意味はわからねぇが遅刻しないんなら言うことはねぇな」

春香「あはは。気持ちだけは貰っておくね(先にニケツさせてもらうのは、流石に千早ちゃんに悪いし」

925: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/31(日) 23:31:38.33 ID:NX6lvkXd0

春香「画面の前の皆さん!全力(物理)で三人旅ですよ、三人旅!!はい、天海春香です!」

冬馬「動きやすい格好でってことでジャージ渡されたんだが、スタッフの心配そうな顔に何をやらされるのかマジビビリしてる天ヶ瀬冬馬だ」

千早「旅と題打っているけれど、予定表だとこの周辺しか行き先が無いって言うことにもう不安な如月千早です」

春香「二人とも堅いよー、もっと楽しく行こう?」

冬馬「楽しい物ならいいんだけどな」

千早「えぇ……」

春香「じゃあ、ダウナーな気分を吹き飛ばす企画から行きましょうー……あ、はい進行表通り行けば良いんですね」

千早「最初の目的地はこの先のバッティングセンターだけれど」

冬馬「じゃあ普通にバッティングするだけか。楽勝だな」

926: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/31(日) 23:32:47.08 ID:NX6lvkXd0


お題「後ろから聞こえる言葉を無視し、三人とも打率四割を目指せ!!」

テロップ「失敗のペナルティは大声で恥ずかしいことを叫ぶ」



冬馬「チャレンジは一人三回までで一度の持ち球が十球。本当に、本当なら楽勝だったな」イッカイデメクリア

春香「本当に、本当ならね!」ニカイメデクリア

楓「バットを持ってがんバットりますかー?」

千早「ぶっ、ふふふふっ」カラブリ

春香「……」

冬馬「……おい」

千早「ご、ごめんなさい、でも笑っちゃって」

楓「前私が野球観戦に行った時なんですけど、ナイター照明の眩しさに泣いたーなんて」

千早「うっふふふ」カラブリ

あまあま「それで笑うなぁぁぁぁぁぁ!!!」

927: ◆HyZk02P5Ec 2016/01/31(日) 23:35:06.38 ID:NX6lvkXd0

千早「ごっ、ごめんなさい……」オナカイタイ シッパイシタ

春香「う、うん。しかたないよね、千早ちゃん沸点低いし」

冬馬「最後のほうなんてそもそもバット構えられてなかったしなぁ」

楓「バットを上手く構えられないなんて、BADなことですね」ヒョコッ

千早「ぷふっ」

冬馬「やめろー!これ以上は如月が腹を壊すぞ!」

春香「もう!やめやめ!!」

楓「うふふ、そうですか。ではそろそろお暇させていただきますね。あぁ、私は346プロダクションの高垣楓と申します、この後もよろしく」スタスタスタ

冬馬「あの人、こういうキャラだったんだな(前にライブで見たときはそうは見えなかったが」

春香「それよりさ、今この後もって言ってたんだけど……また来るんじゃない?」

千冬「う、うわぁぁ」



933: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/05(金) 21:00:59.24 ID:7AaPV9UP0

春香「恥ずかしい事ってなにを言えば良いんだろう」

冬馬「さぁ……え、恥ずかしかったことでも良い?」

春香「あ、そっちの方が楽だね」

千早「恥ずかしかったこと。じゃあ私から行こうかしら」

春香「おお、千早ちゃんから動くなんて珍しい」

冬馬「此処は四天王の中でも最弱な俺か天海が行くところだと思うんだが」

千早「四天王?もともと私が失敗したからこうなっているのだしね、先に行くわ」

あまあま「オーケィ!」

934: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/05(金) 21:02:47.21 ID:7AaPV9UP0

千早「私の恥ずかしかったことぉぉ!!」

千早「冬馬がツイッターで「如月まじ妖艶!まじ可愛い!」とか言ってるのを自分のことだと思ってしまって、悶絶した後ゲームの方だと気付いたことぉぉぉぉぉ!!!」

春香「?」チラッ

冬馬「おっさんが睦月型の魅力を報告してきたから俺も乗せられてたんだよ」

春香「なるほど」

冬馬「じゃあ次は」

春香「私の恥ずかしかったことぉぉぉ!!」

冬馬「やりやがった」

春香「大事な現場でクッキーの差し入れをしたら、本気で塩と砂糖を間違えていたときぃぃぃぃぃぃぃぃゃぁぁぁぁ!!!!!」

千冬「切実過ぎる!」

935: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/05(金) 21:03:34.36 ID:7AaPV9UP0


冬馬「俺の恥ずかしかったことぉぉぉ!!!……恥ずかしかったことぉぉぉ?はずかしかったことかぁぁぁぁ?」

冬馬「なんだろうな……思いつかねぇ」

春香「えー!?」

千早「何か無いの?」

冬馬「自分の人生に恥じる所はねぇ!!」ドンッ

はるちは「言い切った」

冬馬「と言いたいんだが少しくらいは何かがありそうだな。ちょい待ってろ」

冬馬「……………整いました!」

春香「別に吟じる必要はないからね?」

冬馬「しねぇよ!あー、俺のはずかしかったことぉぉぉぉおお!!」

冬馬「本屋で欲しかった本をまとめ買いした時、間違って同じ巻を二冊もレジに運んでしまったことぉぉぉぉぉ!!!しかも三回くらい!!同じ本屋で!!!!」ジツワ

春香「不注意すぎない?」

千早「そうね(一度同じ事をしたとはいえないわ」

936: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/05(金) 21:04:29.52 ID:7AaPV9UP0

冬馬「一応三人とも言ったけどよ、これからどうすんだ?」

春香「まだ全力のぜの字も出て無いんだけど」

千早「スタッフさんのカンペだと此処で待機だっていう話だけれど……」

冬馬「待機って事はロケ車が来るのk」

??「うおおおお!!甘い!!!!砂糖菓子のように甘いですよ!!!!」

三人「!?」

春香「この煩さ、愛ちゃん!?」

千早「いえ、この声はあの子じゃ」

茜「そうです私は日高愛ちゃんではなく!日野!!茜です!!!!よろしくおねがいしまぁぁぁぁす!!!!!!!」

三人「う、煩い……」

937: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/02/05(金) 21:05:20.18 ID:7AaPV9UP0

茜「すみません!!でも三人の熱い叫びにテンションが揚がっちゃいまして!!あははははははは!!!」

茜「でも!トップアイドルの皆さんはもっと熱くなれるはず!!いえ、なれます!!なれるんです!!!!」

茜「そういうわけで今から走って次の目的地に向かいましょう!!!!!車なんて甘えです!!!!!」

冬馬「走って!?」

春香「どれくらい走るの?」

茜「まずはお手軽!七キロ先のフットサル場へ向かいましょう!!!」

楓「この場所から、フッと去りましょうね」ヒョイッ

千早「ぐはっ」

冬馬「ツッコミが追いつかねぇぇぇ!!!!」

940: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/14(日) 13:44:21.34 ID:DoCdwAoA0

冬馬「つ、着いた……」ゼイゼィ

茜「いやぁ!皆さんお早いお早い!!」

春香「空を飛びたい……」ハァ

千早「なんでこの人はまるで疲れてないの……」ハァハァ

茜「気合で!!どうにかなりますよ!!!!!」

茜「気合が有るなら沖縄から本土までだって泳げるんですから!!!」

冬馬「泳げねぇよ!何処情報だそれ!!」

茜「え!?泳げないんですか!?」

春香「普通に無理だから!」

茜「でも、765の我那覇響さんは泳げるって言っていましたよ!?」

春香「響ちゃんを根拠にお話されても……」

941: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/14(日) 13:44:57.00 ID:DoCdwAoA0

茜「むぅ」

冬馬「その話はどこか別にやるとして、ここで何をやるのかだけ教えてくれ」

茜「フットサル場にいるんですよ!?やることなんて一つじゃないですか!!」

千早「そうね、フットサル場なんだものフットサ」

茜「羽根!!突きですよおおおおおおお!!!!!」

春香「それ場所関係ないよね!?」

茜「少しスペースがあれば出来るのが、羽根突きの良い所だと私は思うんです!!とっても楽しいにきまってます!!!!」

三人「……はぁ」

茜「ほらほら!元気だしていきましょう!!これから楽しい羽根突き!!!ですし!楽しまないと損ですよ!!!!………まぁ全力関係で色々アレになってますけど!!!!!」

冬馬「不安だ」


942: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/14(日) 13:46:29.23 ID:DoCdwAoA0

千早「羽根突きって言うけれど……この板、大きくないかしら」

冬馬「俺と背の半分くらいあるんだが」

春香「振るの?これを?」

茜「我那覇響さんは「赤カブ太とゴリ雄なら余裕で振れるさー」って言ってました!!」

春香「人間でお願いします!人間で!」

冬馬「赤カブ太ってのが誰かはわからねぇけど、ゴリ雄ってこたぁゴリラだろ?それは余裕だよなぁ」

茜「「え?これ振るの人間なの?あー………貴音なら振れんじゃないか?」とも言ってましたね!!!四条貴音さんは人間ですから!人間で振れるなら皆さんも振れます!!!」

茜「ここから練習タイムを入れるので!がんばりましょー!!!えいえいおー!!!」

三人「お、おー」

943: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/14(日) 13:47:02.80 ID:DoCdwAoA0


冬馬「見た目よりかは全然軽いが!!」ヒョロリ

春香「風圧がモロにくるね!」ヒョロロ

千早「くっ、安定して振れないわ!」フワァァ

茜「うぉぉおぉ気合!!入れて!!行きます!!!!」ブーン

三人「ひ、ひえー」

茜「?どうしたんですか突然!?」ブーン

冬馬「いやなんでもねぇよ、言いたくなっただけだ(この板を」

春香「(なんの抵抗も無く」

千早「(振っているですって?」

944: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/14(日) 13:48:21.98 ID:DoCdwAoA0

一時間経過ですよ!一時間!!



冬馬「はぁはぁ」ブンブン

千早「ぐぅ」ブンブン

春香「これは辛い」ブンブン

茜「いやぁ短時間で振れるようになるなんて、流石ですね!!!」

茜「そろそろ皆さんもなれて来たようですし、試合を始めましょうか」

冬馬「そもそもこれで試合になんのかよ」





茜「はい、これです!」

冬馬「羽根と、これは普通の板か?」

春香「これで何を?」

茜「あの大きい板って、ぶっちゃけ「全力」をアピールするだけの小道具なんですよね!!!実際はたいした用のあるの物じゃないんです!!!!」

茜「トップアイドルの皆さんが本気で板をブンブンする姿こそ、この番組に必要な撮影モデルだったんですよおおおお!!!!!」

千冬「くたびれ損!?」

春香「まぁあの大きな板じゃ試合にならないしね、あははは………もう!」



951: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/20(土) 19:46:47.99 ID:uTVO2C/l0
春香「で、普通に羽根突きしていたんだけれども……」チラミ

冬馬「画面的にはナレーションベースで終わったんだろうな。ただ、まぁ」チラミ

千早「」スミダラケ

冬馬「如月、お前下手だったなぁ」

千早「し、しかたがないでしょう?初めてだったんだから」

春香「ふふふ、そうだね、しかたないね。でもさ、墨だらけの顔って言うのも、かなり美味しいと思うよ?」

千早「私は春香や冬馬みたいにバラエティに染まってないのだけれど」

冬馬「お前もいずれ染まるんだよ」

春香「くくくく」

千早「怖いこと言わないで!?もう、ちょっとそこの隅で顔洗ってくるから!!」トコトコ

冬馬「おい、そっちは……」

楓「隅で墨を落とそうだなんて、隅におけないわ。なんて」チラリ

千早「プフェッ」

あまあま「あーあー」

952: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/20(土) 19:47:16.78 ID:uTVO2C/l0

茜「皆さん、走る準備は出来てますか!!!!???」

冬馬「よーそろ」

春香「あいあいまむ」

千早「ふ、ふふふ、良いわよ」

茜「じゃあ今回もかるーく十二キロで」

三人「それは軽くない!!」

茜「そうですか!?」

冬馬「流石にさっきのと合わせて二十キロ弱はキツイんだが!?」

春香「私達アイドルであってランナーじゃないからね?」

茜「でも、トップアイドルなら余裕余裕って番組Dさんが!!」

冬馬「あの人765が絡む仕事だとまじで碌なことしねぇな!?」


953: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/20(土) 19:47:42.45 ID:uTVO2C/l0

冬馬「……」ハァハァハァ

春香「………」シンダメ

茜「いやぁー良い汗かきましたね!!!私の出番はここまでなので、ちょっともう少しだけ走ってきます!!!さよーならーーーーーー!!!!!!!」

あまあま「……さよーならー」

冬馬「内心、実はこの番組日野走らされるだけなんじゃねーのかっ?って気分だったからさ、あれが居なくなって心底ほっとしてる」

春香「正直ね、私も思うよ。千早ちゃんなんて、途中で現れる楓さんにお腹を壊されて……」

千早「」

春香「サイバイマンに自爆されたみたいな格好で何も言えなそうだけど、多分私達と同じ気持ちだと思う」

冬馬「だろうな」ヤムチャシヤガッテ

956: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/29(月) 23:37:11.65 ID:wP07GnUI0
冬馬「とまぁアホなことやってる間に、なんかしらねぇが大掛かりなセットが出来上がってるわけだが」

カンペ「萩原建設がやってくれました」

冬馬「施工者は気にしてねぇからな!?俺が知りたいのはやることなんだよ!!」

春香「ぱっと見ステージに見えないことも無いんだけど」

千早「底が深い物のように見えるし、さっき水を入れていたから……落下式かしら」

冬馬「天海はともかく如月もなんだかんだとバラエティに染まってるよな。そういうことを真面目に言ってんだから」

千早「そ、それは春香とセットで動いていると横でこういうのを見ていることが多いから……経験則で」

冬馬「お笑いコンビかよ」

千早「それは春香と冬馬じゃない!?」

957: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/29(月) 23:37:44.74 ID:wP07GnUI0

冬馬「お、カンペだ……」カンペ

春香「なんだって?」

冬馬「ちなみにあのステージは当番組に一切関係ありません」

春香「えぇ?ならなんで一々萩原建設云々言い出したの?」

冬馬「さぁ……この場でテントを張って明日に備えろ!!って書いてあるがなんなんだ」

千早「テント?この、いかにも都会の公園ですって所で?」

冬馬「あぁ」

春香「そりゃあもうすぐ日の入りだよ?ほとんど走ってるだけだったから拘束時間だけは長かったよ?でもさ他は?」

冬馬「よくわからんバッティングと羽根突きしかしてないな」

春香「この番組、意味が分からないんだけど……」

冬馬「だなぁ」

千早「明日こそ、えぇ明日こそ何かあるのかもしれないし、とりあえずテントを張りましょう?」

あまあま「へーい」

958: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/29(月) 23:38:29.37 ID:wP07GnUI0

春香「これさ」シチュウウチコミ

冬馬「おう」シチュウウチコミ

春香「最初からキャンプの番組にしてくれれば良かったのにって、プロデューサーに文句が言いたい」

冬馬「あー」

千早「正直そっちの方が良かったわね」ホロバサッ

春香「今頃になって走った疲れが来てるよ。いや走るのは良いけど他のはいらなかったと思うんだ、本当に……あ、そっち抑えて」ロープグイ

冬馬「オーケィ」ロープオサエ

千早「春香が仕事の愚痴をテレビで言うのって珍しいわよね。基本、どんな仕事も引き受けるし」

春香「物によるって。今日のはただ疲れるだけなんだもん愚痴の一つも言いたくなるもんでしょ」

冬馬「まぁそう言うなよ……あ、ほら晩飯だってよ」

959: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/29(月) 23:38:55.67 ID:wP07GnUI0

春香「ふぁあふぉうふぃうふぁんふひふぁあふぃふふぁふぇふぉ」ホオバリ

冬馬「口に入れたまましゃべんな。ほら如月、肉食え肉」ジュー

千早「いただくわ」

春香「もぐもぐっ、はぁ……いやぁ、こんな美味しいご飯が食べられるならいくらでもやって良いよこの仕事」

冬馬「手のひら返しやばいぞ。だが、たしかに美味いな」

千早「お肉も野菜も良い物なのでしょうけど、バーベキューだとなおさら美味しく感じるわね」

春香「昼の疲れもあいまって、余計に箸が進む進む」モグモグモグ

冬馬「あぁ」モグモグ

千早「ふぅ……ご馳走様でした」

春香「もういいの?」

千早「えぇ。もうお腹いっぱいよ」

春香「じゃあ私もご馳走様かな。冬馬君あと食べられる?」

冬馬「余裕、余裕」

千早「男の子ね」

冬馬「子って年でもねぇけどな」

960: ◆HyZk02P5Ec 2016/02/29(月) 23:40:45.18 ID:wP07GnUI0
春香「夜はおいしいご飯も食べたし、テントもまぁまぁ良い感じだったから、今日も頑張れるね!」

冬馬「お前、意外と現金な奴だよな。いや、俺もそういう気分だけどよ」

春香「そうは言うけど、手のひらクルーはアイドルの必須スキルですよ!必須スキル!!」

冬馬「そんな風見鶏なアイドルはイヤだぞ!?」

千早「朝から元気ね……」ゴゼンゴジ

春香「天海春香だからね!」

冬馬「カメラ回る直前まで、めっちゃゴロゴロしてたくせに」

春香「え、えへへ、それが天海春香だからね!」

冬馬「自分の名前出してそれっぽく言えば納得されると思うなよ?」

千早「うふふ。あ、カンペ……?」

冬馬「なんだって?」

千早「走る」

冬馬「あ?」

千早「とにかく走るって書いてあるのだけれど。走るのは良いけど他は要らないと春香が言ったから他の要素削ったって」

春香「なにこのクソ番組」

冬馬「アイドルがクソ言うな!あと、本当に手のひらの回転が速ぇよ!」

966: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/06(日) 10:20:19.69 ID:5UeoWU790
春香「かん……そう!!」ヤッタゼ

冬馬「やりきったな」ハァァァ

千早「昨日と合わせて八十七キロ………おかしいわね、これ、一応旅って題打ってなかったかしら」フゥゥゥ

春香「どーせ観光名所の近く通ったから旅だよねとか、そういう奴でしょ。ねぇぇぇぇ!?」

スタッフ「アッ、ハイ」

冬馬「まじかぁ。あー、いやさ、これ、準備も何もなくこうやって走れんだから、しっかり準備すれば愛が地球を救う系の番組のマラソンも出来そうだよな」

春香「やめて!そういうオファー来たらイヤだからやめて!!」

千早「切実ね……」

春香「あ、でも765オールスターで走れば道づ……もとい引きずり込めるね、この沼に!」

冬馬「本音を隠せ、本音を」

967: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/06(日) 10:20:45.74 ID:5UeoWU790


春香「もうさぁ、頼むからこういう番組やるんだったら最初からそう伝えておいて欲しいよぉ」

千早「そうね。私はともかく春香は絶対に断らないんだから正面から言えばいいのよ」

春香「さり気無く一人でエスケープしないでよ千早ちゃん。私達親友でしょ?」

千早「獅子は崖から子を落とすものよ。かわいい子には旅させろというわけで春香だけを颯爽と送り出すわ」

春香「春香さんがかわいいのは承知済みだけど」///

千早「都合の良い所だけは聞こえるわよね、あなたの耳って」

冬馬「お前らが仲良いのは知ってるんだが、なんかもうエンディングらしいぞ」

春香「えぇ?本当に走るだけなの!?実はこの後信濃の秘湯~とか美味しい物リターンズ~!とかじゃないの!?」

冬馬「夢は適わないから夢とかいうよな」

千早「人という字をつければ儚くなるわね」

楓「スカートの下に何も履かないと、儚い気分になりますね」ヒョイッ

千早「ウッ」

冬馬「どこから出てくるんだよ!?」

楓「うふふ、秘密です」

春香「いい加減そのレベルで笑うのやめよう?」

千早「わ、私も好きで笑っているのではないのよ?」

968: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/06(日) 10:21:52.96 ID:5UeoWU790

春香「あー温泉!温泉に行きたい!!」

冬馬「勝手に行けば良いだろ」

春香「私は仕事で行きたいの!!バスは出るしお金になるし良い部屋に泊まれるし!!」

冬馬「私情ばっか持ち込むんじゃねぇぞ!?」

春香「しっかり伝える練習だってしたんだもん!使いたいじゃん!!あー良い湯だなぁ、お肌がすべすべになりますね、えっと硫黄スクナメ塩化カリウムマシマシ」

冬馬「下手なリポート入れんで良い!!」

千早「この番組をご覧のまっとうな旅番組制作陣の方々、ぜひ春香に温泉街を練り歩くロケをお願いします。テレ東さんを特に心待ちしております」

冬馬「やめろ!色々危ないからそういうこと言うなって!!」

春香「山菜尽くしのお料理食べたいので、ぜひそういうのお願いします」アイドルスマイル

冬馬「お前ら最後の最後にそうやって飛ばすのやめろよな!?これエンディンg」






P「こうして画面越しに見ると、冬馬の奴、ますます突っ込み芸に磨きが掛かってきたな」

千早「そうですね」

春香「冬馬君って自分自身猪突するタイプなのに、周りが先に走り出すと引き止めるために動くから、こっちで暴走しちゃえば、それはもう面白い反応をしますからね」

P「あぁ」

伊織「(不憫すぎる」

973: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/17(木) 20:51:46.84 ID:5PQvak/K0

P「まぁ冬馬のことは置いておいて、仕事の話をしようか」

三人「はい」

P「三人を呼んだのは他でも無い、千早のアメリカ行きに関してのことで伊織と春香に相談があったんだ」

春香「相談?」

伊織「ふ~ん?なんとなく察しはつくけど、聞こうじゃないの」

P「俺はだな、スケジュールの関係で此処から先余計な仕事を千早に入れたくないんだ。だからそういう風に予定を組んでいたんだが……今のあれを出立前最後の仕事、なんてことには出来ないしするわけには行かない」

春香「?どうしてですか?」

P「千早はこれからシンガーとして売っていくんだぞ?これじゃ芸人じゃないか」

春香「あー」

千早「主に春香と冬馬のせいだと思うのだけれど」

伊織「アンタも十分染まってるからね?昔みたいにブスっとして感じ悪いのもアレだけど、ノリに乗るのもやめなさいって話よ」

P「アイドル如月千早を引退させる気はないが、それでもシンガー如月千早をメインにしていくことは確定事項なんだ。なのにこういうバラエティを最後の仕事にすると、アメリカでもそういう扱いをされかねん」

伊織「だから何か別の仕事でそれを塗りつぶしたい。でも、予定を新しく組むのも難しい。そういうことよね?」

P「あぁ、そうだ」

974: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/17(木) 20:52:15.08 ID:5PQvak/K0

P「そこで相談というのはだな、伊織と春香にはそれぞれ音楽番組への出演が決まっているだろう?それを千早に回したいんだが……って話な」

伊織「私は別に構わないわ」

千早「水瀬さん?」

伊織「まっ、これは私からの餞別として受けて、しっかりやんなさい」

千早「え、えぇ、ありがとう?」

伊織「にひひっ、どういたしまして」

春香「伊織、やけにあっさりとOK出したね」

伊織「何よ、あんたは出さないの?」

春香「え、いや私は幾らでも良いんだけど」

伊織「私だって幾らでも良いわよ。勿論竜宮小町で受けた仕事は別として、だけどね」

P「ははは、流石に小町にまで踏み込む気は無いさ。律子に怒られるしな」

伊織「……あんた、律子には弱いわよね」

P「……入ったばかりの頃は叱られてばかりだったからな」

975: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/17(木) 20:52:41.32 ID:5PQvak/K0

春香「ああいう話を聞くとようやく実感が沸くね」ソファデネコロビ

千早「え?」ヨコデホンヨミ

春香「千早ちゃんのアメリカ行きだよ。さっき事務所で仕事の交代をする話したよね?それで実感がーって」

千早「あぁそういう……そうね、私はスケジュールの空き具合でなんとなくそういう感覚を覚えたわ。売れ始めてから忙しい時間が続いていたし、少し落ち着かない気分だけれど」

春香「いやぁ売れっ子は辛い辛い」

千早「ふふ。でも、向こうに行ったらまた忙しくなりそうだわ」

春香「折角向こうに行くんだし、暇よりはね、よっぽど良いと思うんだ」

千早「私もそう思うわ。でも、少しは遊ぶ時間が欲しいかしら。カメラを持って、あちこち行ってみたい気分もあるし」

春香「あははは、千早ちゃん写真を撮るようになってから色々歩き回ってるもんねぇ。それも冬馬君から貰った趣味なの?」

千早「どうしてそこで冬馬の名前が出るのかしら?」

春香「え、だって……部屋で焚いてるアロマって、冬馬君のお勧めでしょ?それまで千早ちゃんはそういうのに興味なかったし」クンクン

千早「アロマがそうだからって他の趣味もそういうのじゃ」

春香「千早ちゃんが艦これに手を伸ばしたのって、冬馬君のツイッター見てからだよね?」

千早「…………えぇ」

春香「ほらぁ冬馬君じゃん!」

千早「……」

976: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/17(木) 20:53:09.15 ID:5PQvak/K0


春香「もうさ「私の全て、冬馬で染まってるのぉ」とか言いながら告白しちゃえば良いよ」

千早「は、春香?突然変なこと言わないで頂戴」

春香「変なことって?」

千早「そ、それは……告白とか、染まってるとか」///

春香「台詞は春香さんの実写版イメージ映像だから気にしないで貰って良いんだけどさ、告白はそこまでおかしくないでしょ」

千早「でも、こんな時期にそんな」

春香「アメリカ行きが決まった今だから、逆にチャンスなんだと思うんだけどね、私は」

千早「?」

春香「千早ちゃんはさ、冬馬君のこと好きでしょ?」

千早「そ……それは」

春香「すくなくとも、真とやよいの二人は冬馬君のこと好きだよ。絶対に」

千早「あの二人が!?」

春香「(なんで気付かないのかなぁ」

977: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/17(木) 20:53:41.46 ID:5PQvak/K0


春香「あのね、三人とも隠してるみたいな感じだしてるけどさ、あれ傍からみたら結構バレバレなんだよ?冬馬君が普通の感性持ちだったらすぐに気付くレベル」

千早「そ、そうなの?」

春香「事あるごとに頬染めてれば、それはねぇ……」

千早「う、ううぅ」

春香「でさ、私がすくなくともって言ったのは「二人が冬馬君を好きなのは確定」って意味と「すくなくとも、人数的に二人は好き」って意味だから」

春香「後ろのをもっと簡単に言えば、二人は冬馬君のことが好きだけど、二人以外にも三人四人と冬馬君を好きな人が居るんだろうなって意味」

千早「それって」

春香「ライバルがたくさん居るってことだよ」

千早「ライバル!?」

春香「考えてもみようよ。今は妹気分の美希だってどう転ぶかわからないんだよ?雪歩も冬馬君にはなんだか気安いし、話に聞く美波ちゃんも危ないでしょ?961プロにも仲のいい後輩がいるって聞くし」

春香「私達の知らない交友関係もあるはずだしね」

千早「な」ガクゼン

春香「そういえばやよいは家族ぐるみの付き合いだって風の噂で聞いたような……これは出遅れてるかな?」

千早「で、で、でで、で、で、でも、私だってか、家族紹介くらいしたし」マッサオ

春香「冬馬君、高槻家に入るときは「ただいま」って言うんだって」

千早「」シロメ

979: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/26(土) 10:12:40.78 ID:hdQ+IVsQ0

春香「冬馬君はほら、鈍感でも天然系のジゴロだからさ、千早ちゃんがアメリカに行ってる間にもっとライバルを増やしかねないよね」

千早「」

春香「だからさ、アメリカに行く前に冬馬君に告白しちゃって意識してもらったほうが良いと春香さんは思うんだ。すくなくとも、意識してもらってるうちは邪険に扱われないだろうし」

千早「今だって邪険にされてるわけでは」

春香「でも、その他大勢の一人扱いだよね、あっちにその気はなくってもさ」

千早「それは私が冬馬のことをす、好きって言うのを冬馬が知らないから」

春香「だーかーらー!それを相手に伝えれば良いって言ってるの!!伝えちゃえば冬馬君は千早ちゃんのこと意識するんだから、感情的に見てその他大勢から抜け出せるんだよ!?」

春香「冬馬君の性格なら、誰かに告白されている間は他の女の子の事と親しくしたら失礼とか考えそうだし、それだけで十分な効果があるじゃん」

春香「行く前に「好きだ」って告白して「返事はアメリカから帰って来たら」って言っておいてさ、帰ってきたら「やっぱり忘れて」で少し離れる。これ、冬馬君には効果抜群すぎると思うんだよねぇ」

千早「そ、そんなこと考えてたの?」

春香「そりゃね?千早ちゃんには私と同じ轍は踏んで欲しくないからさ」

千早「同じって、プロデューサーのこと?」

春香「うん」

980: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/26(土) 10:13:08.02 ID:hdQ+IVsQ0

春香「私はもともと生涯現役!って考えだから最初からプロデューサーさんとどうにかなるつもりはなかったけど、それでも好きだったのは千早ちゃんも知ってるでしょ?」

千早「えぇ。泊まりに来るといつも言っていたものね、好きだ好きだって」

春香「うん。でさ、私は一度だってプロデューサーさんにはっきりとアタックしたこともなかったんだよね。それ自体は仕方ないというか自分で決めていたことだし、別にそれに対して何かを言うつもりはなかったんだけどさ」

千早「だけど?」

春香「実際に小鳥さんとのことを聞いた時にね、「どうして私は、一度でもいいから気持ちを伝えなかったんだろう」って思っちゃったんだ」

千早「……」

春香「もし一度でも告白していたら、結果は変わらなかったとしても、少しはプロデューサーさんの心に私を残せたんじゃないかなぁって。今、プロデューサーの中ではきっと、「最初にプロデュースしたアイドル」ってだけなんだよ、私は」

千早「そんなこと」

春香「あとはせいぜい「最初に懐いてくれた」とか「歌が壊滅的」とかそんな物だと思う」

春香「千早ちゃんもさ、今のままだと本当に「仲の良い他事務所のアイドル」とか「ストイックな姿勢が尊敬できる」くらいで終わっちゃうよ?それで満足できるの?」

千早「満足もなにも私は」

春香「私は?」

千早「……今の関係が壊れてしまうのが怖いわ」

春香「怖いのは分かるけど、自分で手を出さないから変わらないなんて関係はないよ?冬馬君が他の誰かを好きになるでも、他の誰かが冬馬君を意識させるとかでもいいけどさ、それでも今の関係は間違いなく壊れちゃうんだし」

千早「……」

春香「まぁ、あくまで春香さんの考えだし、千早ちゃんのやり方を尊重するけどね。冬馬君は鈍感だから誰かと進展なんてしなそうだし、余裕はまだあるでしょ」

千早「そうだと、いいけれど」

981: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/26(土) 10:14:02.00 ID:hdQ+IVsQ0

冬馬「……」ボーッ

後輩女「天ヶ瀬さん!天ヶ瀬さん!?」

冬馬「あん?どうした?」

後輩女「ちゃんと見ててくださいね?寝ないでくださいよ?」

冬馬「別に俺が見てなくてもお前ならCランク昇格なんて楽勝だろ……この相手誰だよ、聞いたこともねぇぞ」

後輩女「わ、私も分かりませんけど、折角敷地内でお会いできたんですから見て行ってください!あとアドヴァイスもください!」

冬馬「オーケイオーケイ、ちゃんと見ていてやるよ。こっちの収録まで時間があるからな……だが俺を引き止めるくらいなんだ、気の抜けた物は見せんじゃねーぞ?」

後輩女「はい!」

千早「(水瀬さんから振り分けられた歌番組の収録局に来たけれど、あれは冬馬と……春香が言っていた961プロの後輩、よね?」

冬馬「納得させられるもん俺に見せられたら、こんど飯奢ってやるよ。何が良い?」

後輩女「デザート!私デザートが良いです!!」

冬馬「め、飯って言ってるだろ……まぁ良いや」

後輩女「やった!」

千早「(………冬馬はやっぱり、可愛い子が好きなのかしら」

989: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:09:34.65 ID:3ZPxBXiz0

冬馬「ただいまーっと……誰も居ねぇのか?」ガラガラ

やよい「おかえりなさい!冬馬さん!」タタタタタ

冬馬「お前か。ただいま」ウワギワタシツツ

やよい「はい!」ウワギウケトリツツ

冬馬「家がやけに静かだが、長介たちはどうしたよ?学校は休みじゃねぇのか?」

やよい「うっうー!みんなは伊織ちゃんに御呼ばれして遊びに行ってますぅ。浩司の入学と長介の卒業祝いに鼠の王国だって」

冬馬「なるほどなぁ。で、お前は行かなかったのか?」

やよい「私はさっきまで仕事でしたのでー」

冬馬「大変だな。だが、そういうことなら今日はゆっくり出来るな。いつもいつもお前は忙しそうだし」

やよい「うーん、最近は長介とかすみが率先して家事をしてくれるので家にいてもやることが無いんです。今日だって、泊まりだって言うのに朝のうちに洗濯もお風呂掃除もしていてくれるし」

冬馬「良い弟達だな……って泊まり?」

やよい「はい。王国の中にあるホテルにお泊りだって」

冬馬「そうか(こいつも美希と一緒で、来月から高校生だろ?入学祝くらいさせてやりたいよなぁ。渡す物もあるし」

冬馬「……二人しかいねぇのにわざわざ家料理ってのもあれだな。おい、飯でも食いに行くぞ」

やよい「う!?」

冬馬「なんだ、嫌か?」

やよい「ぜんぜん!うれしいですー!!」

冬馬「そうか。じゃあ着替えて来いよ、俺はエンジン暖めておくから」

やよい「はい!!」

990: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:10:00.78 ID:3ZPxBXiz0

冬馬「……」ケータイポチポチ

やよい「お待たせしました!!」

冬馬「おう、早かったな」

やよい「えへへ、二人でお出かけするの久しぶりだから、張り切っちゃいました!」

冬馬「そんな久しぶりかねぇ」

やよい「じ、じつはそうでもないかも」

冬馬「はは、そりゃそうだよな。メットは締めたな?プロテクタもつけたな?」

やよい「はい」

冬馬「よし、じゃあ行くか」

やよい「はい!」

991: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:10:28.94 ID:3ZPxBXiz0

冬馬「……」ブロロロロロ

やよい「冬馬さん」

冬馬「なんだ?」

やよい「高校、卒業してどんな気持ちですか?」

冬馬「んあ?どんなって言われてもなぁ……俺は芸能学校だったしさ、一年次以外は殆ど通ってねぇから感慨もわかねぇよ。あの時期は346で色々忙しかったのもあるしな」

やよい「そうですか……」

冬馬「なんでそんなこと聞くんだ?」

やよい「その……私も来月から高校生になるので少し気になっちゃって」

冬馬「確か一般校なんだよな?」

やよい「はい。ちゃんと試験を受けたんですよ」

冬馬「てっきり芸能校に行くんだと思ってたが」

やよい「プロデューサーと社長が「ちゃんと学校は出たほうが良い」って」

冬馬「スケジュール、大変だろ」

やよい「そうですねぇ。でも、私より忙しい春香さんが普通に学校にも顔を出してたって聞いているので、多分なんとかなるんじゃないかなーって」

冬馬「そうか、頑張れよ」

やよい「はいっ!」

992: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:10:59.44 ID:3ZPxBXiz0

やよい「ハンバーグ2500円……!!??は、はわっ!?冬馬さん!?ここ、物凄く高いんじゃ……!?」

冬馬「……高くないからな?」

やよい「今日は四月一日じゃありませんよ?」

冬馬「いや、だからこれくらい普通だろ」

やよい「あ、あはは、まさかぁ。スーパーの特売ならもっと安く買えますよ?えっと、あれは115円パックだからえっとえっと……?」

冬馬「高くねーっていってんだろおおおおお!?どんだけ外食に免疫ないんだよ!普段水瀬が家に持ってくる食材の方が高いわ!!!」

やよい「うーっ!?じゃ、じゃあ冬馬さんの高いって幾らなんですか!?幾らからなら高いんですかぁぁ!?」

冬馬「そ、そういわれると困るけどよ。俺が食べた中で高いのって言ったらあれだよ、確か八千いくらかの」

やよい「八千!?」

冬馬「あ、けどおっさんに連れて行かれたことのあるレストランだともっとしたんじゃねぇかなぁ」

やよい「」ゼック

993: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:11:26.59 ID:3ZPxBXiz0

やよい「あ、味が分かりません美味しいですぅぅ」ナミダメ

冬馬「(混乱してるなぁ」

やよい「うぅぅぅ、今の一口でもやしが百袋飛んでいってとても美味しいですうう」ウッウッ

冬馬「(な、泣いてるぅ!?」

やよい「美味しい、美味しい!」パクパク

冬馬「お前、結構稼いでるだろ。それどうしたんだよ」

やよい「弟達の学費に貯金してます」

冬馬「それは」

やよい「普通はお父さんお母さんが用意するか、奨学金でしょうけど、私がそうしたいんです。もともとアイドルになったのもお金が欲しかったからですし」

冬馬「む……」

やよい「お金のためにアイドルになるなんて、って思います?」

冬馬「いいや?そっちは別に普通だよなぁって感じだけどよ……」

994: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:12:02.12 ID:3ZPxBXiz0


冬馬「まぁ良いか。別にそういう話をするためにここまで来たんじゃねぇし」

やよい「そうですね。せっかく外で楽しくお食事してるんですもん!楽しいお話をしましょう」モキュモキュ

冬馬「だなぁ。そうだ、言い忘れていたが高校入学と誕生日おめでとう。入学祝いはこの食事で済ませてくれっていうのとだな、一応誕生日プレゼントなる物を用意したわけだが」

やよい「ふぇ?!良いですよ、プレゼントなんて!!」

冬馬「そうはいかねえ。お前にはいつも世話になってるからな」

やよい「でも」

冬馬「デモもストもないんだよ。ほら、手をだせ」

やよい「手?」スッ

冬馬「ん」スチャッ

やよい「(あわわわ、手、手が包まれて……!)って、腕時計、ですか?」

冬馬「おう。お前、普段自分に金を使わないだろ?小物も持たないし携帯もまだ持ってないしで、正直何を送っていいのか良くわかんなくてなぁ」

やよい「う、ごめんなさい……」

冬馬「あやまんな、俺はお前のやり方を尊重するよ。たださ、やっぱり少しは身の回りの物に気を金を使っていいんじゃねぇかと思ってだな、こういうものにしたんだよ」

冬馬「ちゃんとお前のパーソナルカラーなオレンジの物を選んだんだぜ?フォリフォリとかいうブランドのイメージカラーもオレンジだって北斗の奴に前に聴いたことがあってな、ならこれしかねぇだろうと」

やよい「……」

冬馬「違う物がよかったか?」

やよい「いいえ!私のことちゃんと考えてくれてたんですもん!とっても、とーっても嬉しいです!!ずっと大事にしますね。冬馬さん、ありがとうございますー!」

冬馬「喜んでもらえてよかったよ。。それに、あぁ、とっても似合ってるぞ」

やよい「///」

冬馬「さぁ、食べよう」

やよい「はい!」

995: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:12:29.58 ID:3ZPxBXiz0

やよい「今日はありがとうございました!」

冬馬「おう。まだ寒いし、身体を冷やすなよ。じゃあな」ブロロロロロロ

やよい「……」フリフリ

やよい「……」ガラガラピシャッ

やよい「……」トテトテトテ

やよい「……」ストン

やよい「………えへへ、えへへへへへへぇぇ」ニヨニヨニヨ

やよい「嬉しいなぁ、うふふ、腕時計かぁ。似合ってるって言ってくれたし//////」

やよい「えへへへへへ」ゴロゴロゴロゴロゴンッ

伊織「………」

やよい「い、いお、いお?いおお?」

伊織「あ、あのね?お泊りは長介たちだけで私はこっちに泊まろうとか思ってたりして、あのね?べつにその……うん、私は何も見ていないから」イイエガオ

やよい「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!????」


996: ◆HyZk02P5Ec 2016/03/30(水) 19:14:37.80 ID:3ZPxBXiz0
伊織ちゃんはちゃんとお祝いするつもりでしたとさ。