1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:15:47.89 ID:N5iM2pRd0
律子「はぁ……」

伊織「どうしたのよ、朝っぱらからため息なんかついて」

律子「ねえ、伊織。私って竜宮に必要かしら?」

伊織「いきなり何を言うのよ。あんたが企画したんじゃないの?」

律子「そうなんだけど……、良く考えてみて」

伊織「?」

律子「水瀬、三浦、双海。共通点は?」

伊織「水に関係してるわよね」

律子「そう、みんなさんずいが付いてるわ。伊織にいたっては水に瀬でコンボが出来てるじゃない」

伊織「だから竜宮小町なんでしょ?」

律子「でもね、私秋月じゃない。竜宮要素0なのよね」

伊織「関係ないでしょ? 竜宮は私たち3人なんだし……」

引用元: 伊織「律子がネガティブすぎて放っておけない」 




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:24:06.60 ID:N5iM2pRd0
律子「ほ、ほらやっぱり! 私いらないじゃない!」

伊織「今のは言い方が悪かったけど、そういうつもりじゃないわよ」

律子「だって、さんずいコンボに月よ? 部首ではにくづきよ? 一週間のうち、一番忌み嫌われる月曜日よ?」

伊織「ジャンプとか月9とかあるでしょ!」

律子「じゃ、ジャンプだってマガジンとかが水曜日に売ってるから、仕方なしに月曜に売ってるだけで……」

伊織「ジャンプの話題は関係ないでしょ!」

律子「そうよ! 1人だけ月がおかしいんだから、春香をプロデューサーにすれば……」

伊織「春香に任すなら私がやるわよ!!」

律子「じゃあ春香をアイドルで、伊織をプロデューサーに……。真美でもいいわね」

伊織「なんでそう頑なに自分を除こうとするのよ!!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:28:02.27 ID:N5iM2pRd0
伊織「とにかく! あんたが全ての発端でしょ! 自分が決めたことなんだから、最後まで責任持ちなさーい!」

律子「ひぃ!! が、頑張りましゅ!」

伊織「一体全体どうなってるのよ……。前から自己評価が低いと思ってたけど、ここまでひどかったかしら?」

律子「ごめんなさい……」

伊織「雪歩でも乗り移ったの?」

律子「そ、そんなことないわ! 雪歩のような素晴らしい人材が私みたいなダメガネに乗り移るなんて……」

伊織「例えの話に決まってるでしょ!? しかも何ナチュラルに自分をダメガネって言ってるのよ!」

律子「だ、だってこの事務所の眼鏡ってプロデューサーと私でしょ?」

伊織「まあ、そうね。社長はつけてるか分からないけど」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:33:41.08 ID:N5iM2pRd0
律子「考えてみてよ。彼はあの個性派勢をプロデュースしてるのよ? 私なら間違いなく貴音との意思疎通でギブアップよ」

伊織「さらっと酷いこと言ったわね」

律子「そ、そういうつもりじゃないわ! 貴音様はあまりにも高度すぎて私みたいな下賤な……」

伊織「結局それ貴音を褒めてるの? で、落ち込む前に続けなさいよ」

律子「9人ものアイドルを1人でプロデュースしている、それは凄いことよ」

伊織「まあ、それは認めてあげようかしら」

律子「対して私は3人よ。なのにてんやわんやしてる。プロデューサーがイイメガネなら、私はダメガネよ」

伊織「極端すぎるわよ! 1位以外はダメガネって言いたいの!?」

律子「ほら、世間じゃ2番じゃダメなんだし」

伊織「あのね、確かにあいつの方も個性派ぞろいよ? でも考えなさい。うちだってさほど変わらないわ」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:38:12.16 ID:N5iM2pRd0
伊織「まずあずさ。最年長の癖に、どうしようもない方向音痴よ」

律子「それは私がちゃんと場所を教えれてないからであって……」

伊織「地図を持たせても変なとこ行くわよ! 次に亜美。言わずもがなの悪戯っ子ね」

律子「それは私の躾がなってないから……」

伊織「そういうのは親の仕事よ。この2人だけでもあの9人と為を張るぐらい大変だと思うわ」

律子「亜美と真美が一緒だから……。あずささんひとりで残り8人分手がかかるってこと?」

伊織「いや、そこまで言ってないわよ……。とにかく! この2人をコントロールしているんだから、律子はダメガネじゃない、以上!」

律子「亜美と真美……、亜美真美……」

伊織「どうしたのよ、律子」

律子「私、真美に殺されちゃうかも」

伊織「はぁ!?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:42:31.99 ID:N5iM2pRd0
律子「だって考えてみてよ……。竜宮にいるのは、妹の亜美」

伊織「そうね。選んだのはあんたでしょ?」

律子「うん、その場にいたからなんとなく」

伊織「なんとなく!?」

律子「だって、その日のかに座のベストな相性はふたご座だったし……」

伊織「その日オンリーじゃない!!」

律子「たまたま私のコーヒーにしなちくを入れようとした亜美を捕まえて、竜宮に入れたけど……」

伊織「し、しなちく……」

律子「姉からしたらたまったもんじゃないと思うの」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:48:07.65 ID:N5iM2pRd0
伊織「そういうものかしら? この業界なんて実力主義じゃない。最近なんかギャル姉妹のカブトムシ妹の方が先に曲出したじゃない」

律子「で、でもしなちくを入れようとしていたところ勧誘したのよ? もしかしたら真美だって私のコーヒーにナルトを入れようとしていたかもしれないし……」

伊織「なんでラーメンのトッピング限定なのよ」

律子「もしかしたら、亜美と真美で私を順番に驚かそうとしていたかもしれないわ」

伊織「で、先行の亜美に決めてしまったと」

律子「だから、本当は真美が竜宮にいたかもしれないのよ!!」

伊織「いやいやいや……。考えすぎよ」

律子「いいえ、考え過ぎじゃないわ」

伊織「何? 真美に命狙われてるって手がかりでもあるの?」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:51:09.81 ID:N5iM2pRd0
律子「このメールを見て頂戴」

伊織「ん? 真美からね。件名は『これなんて意味?』……。本文は」

メール『SHINE』

伊織「」

律子「意味を尋ねるふりをして、私に死ねって言ってるのよ!? これは警察に行かないと……。でもそんなことしたら亜美にまで迷惑が……」

伊織「あのね、律子」

律子「な、何よ? 私は今どうやって真美の機嫌を取ろうか考えているのに……」

伊織「これ、英語じゃない?」

律子「イングリッシュ?」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 00:56:24.89 ID:N5iM2pRd0
伊織「わざわざ英語でどうも。これ、死ねじゃなくてシャインでしょうが。あんたはどこのクモ屋敷の娘よ」

律子「死ねじゃなくて、シャイン……」

伊織「そっ、英語の授業かなんかじゃないの? にしてもShineなんて歌にも出てくるじゃないの」

律子「じゃ、じゃあ真美は私をハンチングしないのね?」

伊織「何よその妙な発音は。大丈夫でしょ。真美だってそこまで子供じゃないわ」

律子「よ、良かった……」

伊織「大袈裟なのよ、あんたは」

律子「じゃあ、私のコーヒーに変なカプセル入れようとしていたのも、気のせいかしら? それを間違って飲んだ小鳥さんがいきなり苦しみだしたのも、見間違いよね!!」

伊織「……ゴメン、それは警察に行った方がいいわ」

律子「?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:01:28.55 ID:N5iM2pRd0
律子「はぁ……」

伊織「またため息ついてるのね。今度は何よ?」

律子「うん……、涼が女装を告白したじゃない」

伊織「ああ、あんたの従弟の。あれはさすがの私も驚いたわね。にしても女装させてデビューって馬鹿な真似、良く成功したわよね。どこの誰のアイデアよ」

律子「それ、私たちの発案なんだけど……」

伊織「へえ、そうなの……。ってあんたのせい!?」

律子「うん、赫赫云々で」

伊織「まるまるうまうま……、ってそれで分かるわけないでしょうが!!」

律子「ひうっ!?」

伊織「後輩アイドルからなにパクってるのよ……」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:05:20.23 ID:N5iM2pRd0
伊織「で、その涼がどうしたのよ」

律子「うん、涼なんだけど……」

律子「私を殺しに来るかもしれないの」

伊織「またそれ? って前のは洒落にならない結果に終わったけど……」

律子「きっと私たちを恨んでいるに違いないわ。そうよ、毎月女装デビューにかかわった人間が死んでいくの」

伊織「はいはい」

律子「私、石川、岡本……。名前の順だと私が真っ先に殺されるわ」

伊織「はぁ……、そうね」

律子「やっぱり私殺されちゃうの!?」

伊織「知らないわよ!! あのね、律子。私は涼のことをあまり知らないから、何とも言えないけど、復讐するような子なの? とてもそうは見えなかったけど……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:09:11.56 ID:N5iM2pRd0
律子「いいえ、いつもそうじゃない」

律子「あんなおとなしい人が殺人だなんて……。世の常よ」

伊織「そりゃあ明らか様に人殺しそうなやつの印象聞いても仕方ないからね」

律子「涼だって見た目は草食系のヘタレ男子よ」

伊織「女の子みたいな顔してるしね」

律子「そう、女の子みたい……。私よりかわいいのよ、いつもそう。親戚一同は私を可愛がらず、涼ばっかり可愛がって……」

伊織「秋月家の都合は知らないわよ。後あんたもかわ……、いいというより美人なんだし、いいじゃない」

律子「そ、そう? わたし、きれい?」

伊織「どこの口裂け女よ!!」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:14:33.03 ID:N5iM2pRd0
律子「涼の話に戻るわね。やっぱり涼も、望まぬ形でデビューして、フラストレーションが溜まってたに決まってるわ。もしかしたら陰でいろいろと……」

伊織「考えすぎよ」

律子「そんなことないわ! だって考えてみなさいよ! 周りには魅力的な女の子たち(私以外)、なついてくる同期アイドル……。何も起きないわけないじゃない!!」

伊織「まあ、そこは上手いことやってたんじゃないの?」

律子「オネイニーとか?」

伊織「ストレートに言うな、変 !!」

律子「へ、変 って言われた……。自分より年の若い子に変 だなんて……」

伊織「あんたが変なこと言うからよ!」

律子「で、でも少しだけドキドキした自分が嫌だ……、死にたい……」

伊織「な、なに窓から飛び降りようとしてるの!?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:20:23.42 ID:j3G8tGqm0
律子「こ、こんな年下のアイドルに罵倒されてドキドキしちゃうような変 プロデューサーは土に帰った方がましよ!!」

伊織「ここ2階よ!? まだ死ねないわ! じゃなくて、馬鹿なことはやめてこっちに来なさい!!」

律子「で、でも今後変 って言われるだけでドキドキしちゃうのよ? そんなの、この星にいる意味ないわ!!」

伊織「土じゃなかったの!? ってそれ以上体を乗り出さないで! 死にはしないけど痛いから!」

律子「痛いのはいや!!」

伊織「そうよね。じゃあこっちに戻ってきましょう」

律子「苦しまず死ねたら……」

伊織「とりあえず頭の中から死と言う言葉をデリーとしてちょうだい! 話はそれから!!」

律子「うぅ……」

伊織「はぁ、雪歩が進化したらこうなるのかしらね……」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:24:45.08 ID:j3G8tGqm0
伊織「あのね……。別にあんたの 癖はどうでもいいわよ」

律子「受け入れてくれるの? このド クサレダメガネを受け入れてくれるの?」

伊織「受け入れるわよ、いくらでも」

律子「本当!? 伊織大好き!」

伊織「わっ! なんなのよこれ!」

律子「えへへ……」

伊織「じょ、情緒不安定にも程があるわ……。これって、俗にいうヤンデレ一歩手前じゃないかしら……」

伊織「とりあえず、放してくれないかしら? ちょっと苦しいんだけど……」

律子「あっ、ごめんなさい! 今ので嫌いになったりした? た?」

伊織「ならないわよ、それぐらいで」

律子「ほっ……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:28:49.91 ID:N5iM2pRd0
伊織「それはさておき、涼の話よ」

律子「うん、きっと私は涼にりゅんりゅんされちゃうのよ……」

伊織「りゅんりゅんが何を指すかは分からないけど、私は大丈夫と思うわよ」

律子「ふぇ?」

伊織「まあ過程はあれだったけど、結果として涼はトップアイドルよ」

律子「そうね……。私はその域に至らなかったけど……」

伊織「はい! で、涼からしたらこうも思えるんじゃない?」

伊織「なんだかんだったけど、女装生活で得たことは今後のアイドル活動にも生かせるだろうって」

律子「ポジティブすぎてまぶしいわ」

伊織「いま、私の額見なかった?」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:35:06.73 ID:j3G8tGqm0
律子「そ、そんなことないわよ! ただ伊織の頭に鏡があるなぁって」

伊織「凸! イッツデコ!!」

律子「ひょ!!」

伊織「いちいちリアクションがパクリ臭いのよね……。まあ良いわ、とにかく! 涼はあんたを恨んでなんかないわよ! 以上!」

律子「そ、そうかな……」

伊織「大丈夫でしょ! あんたの従弟なんだから信じなさいよ!」

律子「そ、そうよね。私が信じないとダメよね?」

伊織「ええ。当たり前じゃ……」

携帯『汗を拭って歩いた道、野原で見つけた小さな花、幼い日の手のぬくもりが……』

律子「はい、秋月です」

伊織「着メロ時の旅人!?」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:38:31.22 ID:j3G8tGqm0
律子「あ、はい。涼は私の従弟ですけど……」

伊織「どこと話してるのかしら?」

律子「そ、そんな……。分かりました、今すぐ行きます!」

伊織「どうしたのよ、あわてた顔して」

律子「涼が……、涼が……」

伊織「涼がどうしたのよ? ま、まさか本当にお礼参りをしようとしたんじゃ……」

律子「間違えて女風呂に入って警察に捕まったって……」

伊織「職業病!?」

律子「はぁ……、私のせいだわ……。私のせいで銭湯にいるおばあちゃんたちにご迷惑を……」

伊織「うわぁ、嬉しくないラッキー   ね」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:44:19.33 ID:iqeDD4c10
律子「はぁ……」

伊織「またため息をついて。どうしたのよ?」

律子「うん。実はね、私に仕事が入ったのよ」

伊織「あんたに? プロデューサーの話を聞く番組?」

律子「いいえ、歌番組よ」

伊織「歌番組? まさか再デビューするとか?」

律子「そうみたい……」

伊織「あら、良かった……、のかしら?」

律子「……」

伊織「その顔じゃ何か納得いってなさそうね。毎度のことだから、碌な目に合わないと思うけど、一応聞いてあげるわ」

律子「聞いてくれるの?」

伊織「まあね。どうせ今日はもう仕事ないし」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:49:22.66 ID:j3G8tGqm0
律子「ねえ、私の代表曲って何?」

伊織「代表曲? そうね……。『魔法をかけて』と『いっぱいいっぱい』ってとこかしら? アニマスじゃその2曲だったし」

律子「うん、そうなんだけど……」

伊織「なによ、不満があるわけ? 2曲とも好きよ?」

律子「なんで私みたいな眼鏡がそんなに良い曲を歌えるのかしら……」

伊織「そりゃあんたに合ってたからでしょ」

律子「本当にそうかしら?」

伊織「なんでそう懐疑的なのよ」

律子「だって魔法をかけてなんてそうよ。私みたいな陰気光浦メガネが歌っても仕方ないじゃない」

伊織「ストーップ! 今あんた自分のことすごい表現したわよね!?」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:54:04.46 ID:eGlqeIpA0
伊織「陰気光浦メガネって聞いたことないわよ!」

律子「そりゃさっき思いついたもの。はぁ、そんなこと思いつく自分が嫌いよ……」

伊織「そこまで。で、魔法をかけてがなんでダメなのよ」

律子「あの曲って、恋の歌じゃない」

伊織「そうなるかしらね?」

律子「私が恋を夢見るお姫様とか歌うのよ?」

伊織「いいじゃない」

律子「良くないわ! 私なんて、私なんて……。毒りんごをあげるお婆さんじゃない……」

伊織「ゴメン、意味が分からない」

律子「そうよ、私みたいな眼鏡はお姫様なんかに会わない、いじわるお婆さんの方がお似合いよ……。恋を夢見るお姫様に覚めない夢を見せ続ける、醜いお婆さんよ……」

伊織「なんでうまいこと言ったやろ? ってドヤ顔してるのよ……」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 01:59:43.72 ID:j3G8tGqm0
伊織「あのね。誰もそんなこと言ってないじゃないの。自己評価低すぎよ」

律子「だ、だって……」

伊織「だってじゃないわ。あんただって恋したことぐらいあるでしょ?」

律子「う、うん。人並みには……。叶うわけないけど……」

伊織「叶う、叶わないは置いておいて。なんでそんなネガティブ思考に陥るか知らないけど、恋をしたいと思ったら、その時点でお姫様よ」

律子「?」

伊織「それに、私が歌っても、きっとあんたほどは歌えないわ」

律子「そんなことないわよ。恋愛サーキュレーション歌ったじゃない」

伊織「関係ないわよ、それ」

律子「凸物語」

伊織「だれがおでこスネイクよ!!」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:04:16.34 ID:eGlqeIpA0
伊織「何言おうとしてたか忘れたわ……。だから、ネガティブになる必要はないわよ。ファンのみんなだってあんたの歌を聴きたいんだし、それを邪魔する奴がいたら私が絞めてあげるわよ」

律子「いおりん……」

伊織「今、いおりんって言わなかった?」

律子「き、気のせいじゃないかしら?」

伊織「まあ何でもいいわよ。これで自信出た?」

律子「うん、でも『いっぱいいっぱい』は……」

伊織「何がダメなのよ。あれライブじゃ盛り上がるじゃないの」

律子「そうなんだけど……。これは曲自体があれというか……」

伊織「どういうことよ?」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:09:43.77 ID:N5iM2pRd0
律子「この前事務所で……」

伊織「事務所で?」

律子「千早が……」

伊織「うん、なんとなく読めて来たわよ……」

律子「『いっぱいいっぱい』の替え歌で、『●●●●●●●●』って歌ってて……」

伊織「そんなとこだと思ったわよ! 千早の名前で展開予想余裕でした!!」

律子「もしかして私千早を傷つけたんじゃ……」

伊織「あれはただの自傷行為よ! 律子は悪くないわ!」

律子「で、でも……。もしかしたらこの前、ノリで●●●●●●●●って歌ってたとこ千早に見られたんじゃ……」

伊織「セルフレイプ!? 犯人あんたじゃない!」

律子「つ、つい出来心で……」

伊織「万引きと同じ感覚!?」

律子「ま、万引きなんかしないわよ! もしかしたら無意識のうちに右手がよっちゃんいかをポケットに忍ばせてたかもしれないけど……」

伊織「何でそんな具体的なの!?」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:14:48.58 ID:iqeDD4c10
律子「だからもしかしたら番組の途中で●●●●●●●●歌ってしまいそうで……。生放送なのよ? お茶の間が凍っちゃうわ」

伊織「普通歌わないわよ!」

律子「録音した音源がそれだったら……」

伊織「口パク前提!?」

律子「こ、怖いのよ! 生放送で音程がずれたら!」

伊織「口パクの方がえらいことになるわよ!」

律子「口パクなら世間は、ああ、秋月律子ならしょうがないわね。ってなるわ」

伊織「どんだけ信用ないのよ!」

律子「だって、秋月律子よ!?」

伊織「説得力皆無!! 何『だって俺だぜ!』みたいに言うのよ!!」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:18:59.58 ID:iqeDD4c10
伊織「心配ならレッスンするしかないじゃない!」

律子「そ、それなんだけど……」

伊織「それなんだけど?」

律子「収録、今日なのよね……」

伊織「あんたずっとそれで悩んでたの?!」

律子「心配で夜も眠れなかったわ……。昼に寝たけど」

伊織「何よその高田純次みたいなボケは!!」

律子「眠いものは眠いかなーって」

伊織「やよいの真似!? しかも微妙に似てる!?」

律子「うっうー!」

伊織「調子乗ったよこの眼鏡!!」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:25:03.11 ID:N5iM2pRd0
伊織「ぜぇ……、ぜぇ……、なんなのよこの怒涛のボケは……」

律子「だっていおりんは全部返してくれるもの」

伊織「今いおりんって言った! 間違いなくいおりんって言った!!」

律子「律子、いおりん好き!」

伊織「ポニョ!? なんで幼児退行していくのよ……」

律子「それはさておき」

伊織「あっ、急に戻った」

律子「だから生放送でやらかさないか心配なのよ。●●●●●●●●歌った日には、番組打ち切り、765プロ出禁、そのまま倒産という最悪のルートを辿らざるを得ないの」

伊織「いや、そこまで心配してるなら大丈夫じゃないの?」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:32:51.68 ID:N5iM2pRd0
律子「いや、心配するあまり頭の中が●●●●一色になったら……」

伊織「それは嫌ね。聞いている方もまさか脳内で●●●●●●●●言いながら歌ってるなんて思ってもないでしょうし」

律子「口から自然と●●●●ってでそうなのよ……。生放送で●●●●よ? ●●●●いっぱい夢●●●●よ?」

伊織「黙ってたけど、このやり取り文で見たら●●●●がゲシュタルト崩壊してきそうね」

律子「ええ、それはとても恐ろしいわ。字幕はいっぱいなのに、歌は●●●●なのよ?」

伊織「NG大賞はゲットできるんじゃない?」

律子「い、いらないわよ……。いや、私にはお似合いね。NG、それは私のためにある言葉よ……」

伊織「はぁ、どうにかならないかしら……」

律子「ごめんなさい……。私のせいでいおりんに迷惑かけて……」

伊織「あっ、私いおりんで固定なんだ」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:37:22.66 ID:N5iM2pRd0
伊織「迷惑だなんて思ってないわよ。あんたに付き合うのが嫌そうに見える?」

律子「そんなことないわよって顔していても、本当は……」

伊織「素直に信じて欲しいわね。否定ばっかじゃ前に進めないわよ?」

律子「で、でも……」

伊織「でもって言うたび罰金払わせるわよ?」

律子「もで……」

伊織「そこまでして言いたいの!?」

律子「やっぱり●●●●●●●●って言ってしまいそうなの」

伊織「じゃあ一回歌ってみましょ。それで大丈夫なら、本番でも歌える。それでいいでしょ?」

律子「そ、そうね……。リハーサルをしましょう」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:42:41.54 ID:N5iM2pRd0
律子「いっぱいいっぱいやることいっぱい♪」

伊織「あれ?」

律子「自分のことで精いっぱい♪」

伊織「これって……」

律子「だけどね 涙の向こうに笑顔がいっぱい♪」

伊織「ちょ、ちょっと……」

律子「いっぱいいっぱい●●●●」

伊織「やめなさーい!!」

律子「ひぃ!!」

伊織「なんかおかしいと思ったら、これクレイジーケンバンドの『いっぱいいっぱい』じゃない!」

律子「あっ、間違えちゃったわ」

伊織「しかも最後の最後で●●●●でたし……」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:48:30.10 ID:N5iM2pRd0
律子「ごめんなさいごめんなさいクレイジーケンバンドさんごめんなさい……。5分だけとは言わず1時間話聞きますから……」

伊織「タイガー&ドラゴン!? まあ気を取り直して、ちゃんと歌いましょ」

律子「そうね……、時間もあまりないし……。私のせいでいおりんの時間が……」

伊織「私のことは良いからさっさと歌いなさい!」

律子「は、はぃ! 行きましゅ!!」

律子「La La La・・・」

伊織「そこからやるのね」

律夫「無意識 いつもあなたを見てるの 気付いてすぐに落ち着きなくなる♪」

伊織「出だしは大丈夫ね」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:55:28.25 ID:N5iM2pRd0
律夫ってだれだよ……。

律子「もう 我を忘れて 私だけですべてが完結 恥ずかしい♪」

律子「話せば話題に尽きないくらいに 楽しく二人の時間過ごせる♪」

律子「ああ どうして私 心構えなしででは会えないの?」

伊織「ここからね……」

律子「ねえ いっぱいいっぱいいっぱいいっぱいあなたの声を そう いっぱいいっぱいおいっぱいいっぱい・・・聞かせて欲しい
もう 絶対・・・他の人より うん 絶対・・・好きだと思う まだそんなこと言えないけど・・・♪」

伊織「1か所怪しかったけど、これなら大丈夫じゃない?」

律子「そ、そうかしら? 生放送で●●●●連呼しなくていいの? テレ朝出禁にならなくて済むの? タモさん怒らせなくて済むの?」

伊織「それはその時にならないと分からないわよ。先のこと思っても仕方ないしね」

律子「そ、そうね……」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 02:58:28.78 ID:N5iM2pRd0
伊織「私も見ててあげるから、安心して歌ってきなさいよ?」

律子「いおりん見ててくれるの?」

伊織「まあ、仲間だもの」

律子「じゃ、じゃあ……」

伊織「?」

律子「一緒に来てくれる?」

伊織「へ?」

律子「伊織を信じてないわけじゃないんだけど、不安なのよ……」

伊織「ふ、不安って……」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:02:18.60 ID:N5iM2pRd0
律子「もしかしたらこれが伊織との最後の会話になるかもしれないし……」

伊織「大袈裟よ」

律子「もしかしたら事務所は姉歯建設で……」

伊織「何時の話よ!?」

律子「アスベストで……」

伊織「それならとっくに死んでるわよ!!」

律子「もしかしたら強盗が……」

伊織「うちに入る馬鹿いないわよ! 961を紹介してあげるわ!」

律子「小鳥さんが爆発……」

伊織「ねーよ!! むしろ爆発しろって言う方じゃない!!」

律子「いおりんに何かあったら不安なのよ!!」

伊織「分かったわよ!! 行けばいいんでしょ、行けば!」

律子「いおりんのそういうとこ、大好き!」

伊織「律子ってこんな手の焼けるやつだったかしら……」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:11:06.51 ID:N5iM2pRd0
そして本番へ……

伊織「あの、律子?」

律子「何、いおりん。私は今精神集中してるの、話しかけるなら後にして」

伊織「いつまで私の手を握ってるつもりよ?」

律子「精神集中が終わるまでよ」

伊織「かれこれ2時間ぐらい繋ぎっぱなんだけど……」

律子「トイレに行くときは外したわよ」

伊織「当たり前でしょうが! 手を繋いで花をつむってどれだけ仲良いのよ!?」

律子「え? 私といおりんは仲良しじゃないの?」

伊織「め、メンドクサイ……」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:15:23.78 ID:N5iM2pRd0
スタッフ「秋月さん、そろそろ本番です!」

律子「ええ、行きましょう、いおりん」

伊織「私客なんだけど!?」

律子「私のすぐそばで聞かせてあげるわ」

伊織「せめて観客席に座らせなさいよ!!」

律子「えー」

伊織「子供かあんたは」

律子「いおりんと離れるなら大人になりたくないよ~」

伊織「ネガティブが消えた代わりに子供になったわね……」

律子「私まだ19だし~」

伊織「私より年上よ!! どっちが保護者なんだか……」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:19:48.67 ID:N5iM2pRd0
律子「律子はまだ、19だ~から~」

伊織「そのテンションじゃ大丈夫そうね。じゃ、最前列で見ておくわよ」

律子「どうしても隣はダメかしら? ほら、赤坂の坂道を……」

伊織「局違うわよ! しかも何しれっと隣に…をネタにしてるのよアンタ!!」

スタッフ「あのー。時間ですよ~」

伊織「いま行かせるわよ! 早く行きなさい、迷惑になるでしょ?」

律子「……うん、怖いけど行くわ」

伊織「はぁ……、どうしてこうなった」

律子「いおりん!」

伊織「何よ?」

律子「頑張ってくるわ!」

伊織「ええ、行ってらっしゃい!」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:23:50.43 ID:N5iM2pRd0
伊織「さて、最前列で見ないとね。後で自殺未遂でもされたらたまったもんじゃないわ」

本番

森田「それじゃあ秋月律子ちゃん、準備しといてね」

女子アナ「恋する女の子の気持ちをいっぱいいっぱい歌ったキュートで盛り上がる曲、秋月律子で、『いっぱいおいっぱい』」

伊織(女子アナが●●●●言いかけたああああ!?)

いっぱいいっぱい 秋月律子

律子「La La La・・・」

伊織(どうか●●●●が出ませんように……)

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:27:33.42 ID:N5iM2pRd0
律子「無意識 いつもあなたを見てるの 気付いてすぐに落ち着きなくなる♪」

律子「もう 我を忘れて 私だけですべてが完結 恥ずかしい♪」

律子「話せば話題に尽きないくらいに 楽しく二人の時間過ごせる♪」

律子「ああ どうして私 心構えなしででは会えないの?」

伊織(さあ、ここからよ! ●●●●が出ませんように!!)

律子「ねえ いおりんいおりんいおりんいおりん あなたの声を
そう いおりんいおりんいおりんいおりん 聞かせて欲しい
もう 変 変 変 変  他の人より
うん 変 変 変 変  好きだと思う まだそんなこと言えないけど♪」

伊織「」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:31:09.76 ID:N5iM2pRd0
律子「ねえ いおりんいおりんいおりんいおりん あなたの声を
そう いおりんいおりんいおりんいおりん 聞かせて欲しい
もう 変 変 変 変  他の人より
うん 変 変 変 変  好きだと思う
まずちょっとだけ探ってみよう
私の眼鏡 好き?嫌い?」



伊織「好きなわけないでしょアホおおおおおお!!」

律子「キャッ!」

お終い

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 03:41:44.38 ID:N5iM2pRd0
 
律子「いおりん~」

伊織「は、離れなさいよ!!」

伊織(あの戦慄の歌番組以降、律子は私にべたべたするようになった)

律子「いおりん、今日はお弁当を作って来たわよ」

伊織「口調はいつも通りなのに、いおりんって呼ばれるのは変な感じね」

律子「いおりんも私のことりったんって呼べばいいのよ?」

伊織「ちゃんじゃなくてたんなのね」

伊織(ちなみに、件の曲いっぱいいっぱいならぬ、いおりんいおりんは何故か100万枚突破、律子はプロデューサーをしながら、アイドルを続けているわ)

律子「いおりん、次は2人で曲を出しましょう!」

伊織「竜宮はどうするのよ?」

律子「そこはほら、何とかなるわよ!」

伊織(一応少しはポジティブになったみたいね。良かった良かった)

おっ ……、お終い。