1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:05:36.73 ID:9LL69poG0
妹 「兄ちゃんおきろ~」

兄 「うーん」

妹 「ほら早く」

兄 「はいはい」ゴソゴソ

ピンポーン

妹 「はーい」

兄 「誰だろ」

妹 「叔父さんに決まってるでしょ」

兄 「あっ、生活費!」

引用元: 兄「お兄ちゃん起きろー!」 兄「ああ、おはよう」 




8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:11:24.77 ID:9LL69poG0


叔父(以下”叔”) 「おはよう」

兄・妹 「おはようございます」

叔 「はいこれ、今月の生活費」

兄 「いつもすみません」

叔 「気にしなくていいよ。兄貴・・・・・・つまり君らの親父さんから頼まれただけだから」

妹 「家に上がってください」

叔 「いや、今日は用事があるから」

兄 「そうですか」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:15:21.96 ID:9LL69poG0
叔 「ところで親父さんから何か連絡ないかい?」

妹 「ううん、全然無いわ」

叔 「そうか、娘息子放ったらかして困った親だな」

兄 「俺らは大丈夫ですよ。ねっ」

妹 「うん」

叔 「それなら良いが・・・・・・・。何かあったら連絡暮くれな」

兄・妹 「はい」

叔 「じゃ、来月な」バタン

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:23:34.58 ID:9LL69poG0
ピンポーン
妹 「はーい」

兄 「あれ、叔父さん戻ってきたか?」

妹 「郵便屋さんだった」

兄 「エアメール? 誰からだろ」

妹 「パパからみたい」

兄 「珍しいな、ちょっと見せて」

妹 「はい」

兄 「やっぱいいや」

妹 「?」

兄 「宛先見ろよ」

妹 「あれ? 私あてになってる」

兄 「うん、そう言うこと」

妹 「何かしら?」

兄 「さあな・・・・・・ん? 焦げ臭い」

妹 「キャーッ! 焦げた」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:29:00.99 ID:9LL69poG0
兄 「ところでさ、あの話どうした?」

妹 「ん?」

兄 「友人からのデートの件だよ」

妹 「うーん、まだ」

兄 「そろそろ返事してやれよ。映画の券貰ったんだろ」

妹 「うーん。でも・・・・・・・」

兄 「でも?」

妹 「でもパパが『市外は駄目だ』って言ってたし」

兄 「父さんはどうでもいいだろ、それに言われたの何歳の頃だよ」

妹 「うーん」

兄 「友人が嫌いなのか?」

妹 「そんな事無いけど」

兄 「なら一日位つきあってやれよ」

妹 「でもあそこ市外だし、それに・・・・・・」

兄 「それに?」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:32:28.10 ID:9LL69poG0
翌朝

友人(以下 ”友”)「おはよう」

兄 「ようっ」

友 「あれ、妹ちゃんは?」

兄 「部屋にいる」

妹 「珍しいな、いつも玄関まで出てくるのに」

兄 「友はそれが楽しみで毎朝来てるもんな」

妹 「ちげーよ、たまたま兄ん家と道が同じだけだ ///」

兄 「あっ、そっ」ニヤリ

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:37:13.77 ID:9LL69poG0
妹 「パパからの手紙か。何年ぶりかしら」

パラッ

妹 「また調査してるのね・・・・・・えっ?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:42:07.34 ID:9LL69poG0
兄 「ただいま」

妹 「おかえりー」

妹 「お兄ちゃん」

兄 「ん?」

妹 「今度の休みね」

兄 「ああ、友とのデートだろ?」

妹 「私ね」

兄 「うん」

妹 「海が見たいな」

兄 「えっ?」

兄 「友から映画のチケット貰ったんじゃないのか?」

妹 「うん、でも」

兄 「でも?」

妹 「海が見たいの。お兄ちゃん連れてって」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:46:47.04 ID:9LL69poG0
兄 「・・・・・・?」

妹 「いいでしょ」

兄 「でも海は遠いぞ。市外だぞ」

妹 「それはもういいの。だから連れてって」

兄 「そこまで言うなら、構わないよ」

妹 「ありがとう」

翌日

妹 「あ、電車だ!」

兄 「電車だな」

妹 「切符買おう、切符♪」

兄 「たかが電車で何はしゃいでんだよ」

妹 「だって初めてだから」

兄 「そういや、市外に出るのは初めてだっけ」

妹 「うん♪」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:51:53.55 ID:9LL69poG0
兄 「特急にしようか」

妹 「各駅がいい」

兄 「なんで?」

妹 「各駅の電車でね、お兄ちゃんと向かい合って座るの♪」

兄 「それ、特急でもできるぞ」

妹 「えっ? そうなの」

兄 「そんなことも知らないのかよw」



妹 「あれが海?」

兄 「いや、足の湖。だいいち猫根山の真ん中に海なんて無いだろ」

妹 「なんだ湖か」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:56:36.45 ID:9LL69poG0
妹 「あっ、あれ買おうよあれ」

兄 「駅弁か」

妹 「うんそれそれ」

兄 「何所で買う?」

妹 「車内販売ってのがあるんだって!」ドヤァ

兄 「御転婆線みたいなローカル線じゃ無理だよ」

妹 「そうなの」ショボーン

兄 「途中の駅で買おう」

妹 「駅でも売ってるの?」

兄 「そりゃ”駅弁”って言うくらいだからな。駅で買おうな」

妹 「うん!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 00:57:44.91 ID:9LL69poG0
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妹 「うーん」

兄 「大丈夫か」

妹 「大丈夫」

兄 「電車に酔ったかな」

妹 「わかんない」

兄 「顔色悪いぞ」

妹 「大丈夫」

兄 「これは家に帰って寝た方がいいな」

妹 「やだ、海見るまで帰んない」

兄 「なに駄々っ子みたいな事言ってんだよ」

妹 「大丈夫だもん」

兄 「そうか、妹がそこまで言うなら・・・・・・」

妹 「うん、ありがとう・・・・・・・」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:01:15.23 ID:9LL69poG0
兄 「おや? 寝ちまったか」

妹 「しょうがないなあ」




妹 「あれ、ここどこ」

兄 「おう、やっと目が覚めたか」

妹 「あ、お兄ちゃん」

兄 「そろそろ海に着くよ。ほら窓から見えるだろ」

妹 「うーん見えない」

兄 「えっ?」

兄 「おい、大丈夫か?」

妹 「うん、大丈夫」

兄 「ひどい熱だ、全然大丈夫じゃないだろ」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:05:48.57 ID:9LL69poG0
妹 「お兄ちゃん、どこに居るの?」

兄 「しっかりしろ」

妹 「お兄ちゃんわかんないよ、抱いてよ」

兄 「おいどうしたんだよ。目が見えないのか?」ギュッ

妹 「あっ、ありがとう」クテッ

兄 「おいっ!」

妹 「・・・・・・」

兄 「返事しろ!」

妹 「・・・・・・」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:10:20.59 ID:9LL69poG0


叔 「亡くなってもう半年か」

兄 「はい」

叔 「気を落としたらいけないよ、君は妹ちゃんの分まで生きなくては駄目だ」

兄 「はい」

叔 「しかし兄貴の奴・・・・・・じゃなくて君のお父さん、我が子の葬式にも来ないなんてな」

兄 「いいんです、もう何年も会ってないですし」

叔 「うちに来ないか? 一人じゃ大変だろう」

兄 「ありがとうございます。でも一人で居させてください」

叔 「大丈夫かい?」

兄 「ええ、大丈夫です」

叔 「そうか、兄君は強いな」

叔 「でも辛くなったらいつでも来なさい」

兄 「はい」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:16:52.80 ID:DwkQ338b0
兄 「だだいまー・・・・・・って誰もいないか」

兄 「何か疲れたな。もう寝よう」

『おにいちゃん。ここどこ?』

『真っ暗で何も見えないよ』

兄 「はっ!」バサッ

兄 「なんだ夢か」

『お兄ちゃん』

兄 「えっ? 空耳?」

『お兄ちゃんっ! 返事してよう』

兄 「妹か?」

『あ、やっと届いた』

兄 「妹か? どこかにいるのか?」

『わかんない。ここ真っ暗なの』

兄 「そんなバカな、葬式して骨も拾ったし」

『えっ? 私死んだの?』

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:23:12.50 ID:DwkQ338b0
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翌日

叔 「妹ちゃんの声が聞こえるだって?」

兄 「はい」

叔 「兄君の気持ちもわかるよ、妹ちゃん良い子だったからね」

兄 「いや、気のせいじゃ無いんですよ」

叔 「きっと辛かったんだね」

 『誰と話してるの?』

兄 「叔父さんと話してる」

叔 「ん、なんだね?」

兄 「いや、あの、いま妹の声が聞こえたんで」

叔 「そうか」

 『叔父さん?』

兄 「うん」

叔 「精神科受けなさい、うちの大学に医学部あるから」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:33:45.54 ID:DwkQ338b0
その夜

兄 「ここかな」ゴソゴソ

 『お兄ちゃん、何やってるの?』

兄 「お前の部屋漁ってる」

 『やめて、恥ずかしい』

兄 「良いだろ、別に下着探してるわけでも無いし」

 『何探してるの?』

兄 「父さんからの手紙」

 『やめて、探さないで』

兄 「あ、そう。じゃあ代わりに下着探そうかな? それとも恥ずかしい自作ポエムとか」

 『やめて~っ』

兄 「なら手紙のありか教えてくれよ」

 『・・・・・・ベットの下』

兄 「これかな?」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:40:33.09 ID:DwkQ338b0
兄 「・・・・・・」

 『手紙、読んじゃった?』

兄 「ああ、明日大学行ってくる」

 『大学って、叔父さんのところ?』

兄 「うん」


大学

兄 「妹の部屋から、こんな物を見つけたんです」

叔 「これは、僕の兄貴・・・・・つまり君らのお父さんの手紙だね」

兄 「はい」

叔 「うーん」

叔 「ES細胞?これはどういう物だろうね」

兄 「分かりません、難しい単語だらけで」

兄 「それで叔父さんなら分かるかと思って来たんですが」

叔 「そうか、とりあえず読んでみよう」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:50:03.45 ID:DwkQ338b0
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兄 「どうですか?」

叔 「信じられないな、妹ちゃんが未来から来たなんて」

兄 「タイムマシンか何かですか?」

叔 「いや、単なる情報のようだな」

兄 「はぁ、何か難しそうですね」


叔 「少し調べてみたいので、この手紙と貴石を貸してもらえないか」

兄 「ええと、一晩くらいなら」

叔 「一晩だけ? もうすこし調べる時間欲しいが」

兄 「いや、その、えーと」

叔 「兄君、きみは僕に何か隠しているね?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 01:55:51.59 ID:DwkQ338b0
兄 「実は、妹の声は貴石から出てるみたいなんです」

叔 「妹ちゃんの声?」

兄 「はい、妹です」

(妹) 『呼んだ?』

兄 「いや、呼んでないよ」

叔 「えっ、呼んだ?」

兄 「あ、何でもないです」

(妹)『どうしたの? 誰か居るの?』

叔 「兄君、何言ってるのかい?」

兄 「いま、妹と話してまして」

(妹) 『誰か居るの?』

叔 「?」

兄 「妹さ、いま叔父さんと話してる」

(妹)『叔父さん居るの?』

兄 「うん」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:03:02.29 ID:DwkQ338b0
(妹) 『叔父さん今日は』

兄 「叔父さんには聞こえないよ」

(妹) 『そうなの』

叔 「もしかして、妹ちゃんと話してるのかい?」

兄 「はい」

叔 「どんな風に聞こえる?」

兄 「どんな風にと聞かれても・・・・・・うまく説明ができません」

叔 「・・・・・」

兄 「なんとなく脳内に妹が居て、それと会話するような感じです」

(妹) 『えっ、わたし脳内妹になっちゃったの?』

兄 「ちげーよ」

叔 「つまり脳内妹だね?」

兄 「あぁ、はい」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:12:04.57 ID:DwkQ338b0
叔 「大体状況は分かった。妹ちゃんに伝えてくれるかな、一日だけ貴石・・・・・・つまり君を分析してみたいって」

兄 「はい。妹を分析するんですね」

(妹) 『えっ、分析?』

兄 「お前を調べたいんだと」

(妹) 『だれが? 叔父さんが?』

兄 「うん」

(妹)『わかった、叔父さん願いします』

叔 「妹ちゃんの返事あったかい?」

兄 「はい。良いそうです」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:20:21.44 ID:DwkQ338b0
翌日

叔 「手紙にあったことを要約するよ」

兄 「はい」

叔 「未来から肉体を作る細胞のレシピと、貴石に封じた魂を送ってきた」

叔 「その細胞で作った肉体に、貴石の魂を吹き込こんで人間・・・・・・つまり妹ちゃん・・・・・・作ろうとした」

叔 「しかしうまく行かなかったようだな」

兄 「はぁ、失敗ですか」

叔 「貴石も細胞もまだES品(エンジニアリングサンプル)だったので、うまく魂を肉体に転送できなかったようだ」

叔 「そこで、やむなく肉体の頭部にアンテナ立ててそれで貴石と無線接続したという事らしい」

兄 「アンテナ? 妹の体に?」

叔 「妹ちゃん、猫耳あっただろ?」

兄 「ええ、まぁ」

叔 「あれ、ふつうの女の子には無いんだよ」

兄 「えっ、そうなんですか?」

叔 「あれはフィクションだよ兄君」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:29:16.69 ID:DwkQ338b0
兄 「猫耳アンテナの届く範囲ってどれくらいだったんでしょう?」

叔 「正確な値はわからないが、君の家なら市内いっぱい届くんじゃないかな」

兄 「それにしても、なんでそんな面倒な事したんでしょうか? 人間そのものを送ればいいのに」

叔 「それは分からない。どうも極度のエネルギー不足の為らしいが」



叔 「で、問題は貴石の方だ」

兄 「問題? 貴石に何かあったんですか?」

叔 「貴石から脳波が放射されていた」

兄 「つまり貴石の中身が妹の"本体"だったんですね」

叔 「そう、兄君の予想通りの結果だ」

兄 「ありがとうございます。さっそく持って帰ります」ガタッ

叔 「ちょっとまちなさい」

兄 「えっ? はい」



叔 「実はね・・・・・・脳波の放射が下がってきている」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:38:26.05 ID:INj6MGdj0
兄 「じゃあ妹はどうなるんですか? 死んじゃうんですか?」オロオロ

叔 「・・・・・・その原因は、肉体が死んでエネルギーの供給が失われたんだと思う」

兄 「原因はいいです、なんとかなりませんか。妹を救うことは出来ないんですか?」

兄 「ねえ、叔父さん!」

叔 「兄君の事だからそう言うと思ったよ」

叔 「こんな事もあろうかと、貴石に細工してみたんだが」

コトン

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:47:56.97 ID:INj6MGdj0
兄 「指輪にしたんですか?」

叔 「うん」

兄 「付けてみていいですか」

叔 「ちょっと待て、先に説明するから」

兄 「あっ、はい」



叔 「この指輪を指すと、貴石に兄君のエネルギーが分け与えられる」

兄 「はい、それは分かります」

叔 「そのかわり兄君の体と一体化して外せなくなる」

兄 「指輪をはめたら、外せないってことですか?」

叔 「そう」

兄 「それくらい大したことじゃないです」

叔 「そして君と妹ちゃんは一つの体を共有することになる。部分的にね」

兄 「分かりました。はめてみていいですよね?」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 02:55:28.36 ID:INj6MGdj0
叔 「どうかな、指輪の感じは」

兄 「妹を薬指に差すってのも妙な気分ですね」



兄 「あれ、ここどこ」

兄 「叔父さんの研究室だよ」

兄 「あっ、叔父さん今日は」

叔 「きみ妹ちゃんかい?」

兄 「いや兄です」

兄 「うん、妹って。あれ?」

兄 「きゃーっ、何これ私?」

兄 「お兄ちゃん、どうなってるの?」

兄 「とりあえず落ち着け」

兄 「だって、訳わからないよ」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 03:04:48.36 ID:INj6MGdj0
叔 「いま、君の身に起きたことを説明してくれないかな」

兄 「うーん、目の前が急に明るくなったと思ったら、私お兄ちゃんになってた」

兄 「成功したみたいですね」

叔 「良かった」ホッ



叔 「このままでは兄と妹の区別出来ないから、妹ちゃんが話すときは特別な仕草 "兄(妹)" をしてくれないかな?」

兄(妹) 「これでいいかしら?」

叔 「うん、それでいい」


以下、兄の肉体で妹が話したら”兄(妹)”ってことで

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 03:15:36.67 ID:INj6MGdj0
叔 「今のところ、どこまで共有できてる」

兄 「五感は大体伝わってるようですね」

兄(妹) 「言葉は話せるみたい」

兄 「手足はどうかな?」

兄(妹)「お兄ちゃんの助けがあれば動かせる」

兄 「そうみたいだね」

兄(妹) 「でも疲れるぅ・・・・・・」

兄 「あれ?」

(妹) 『zzz...』

叔 「おや、どうしたんだい?」

兄 「妹の奴、疲れて眠ってしまったようです」

叔 「そんなことも出来るのか」

兄 「そうみたいですね。寝息が聞こえますから」

叔 「寝息?」

兄 「はい、脳内で響いてます」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 03:26:01.10 ID:INj6MGdj0
しばらく後

友 「こんちわー」

兄 「久しぶり」

友 「そろそろ妹ちゃんの一周忌か」

兄 「そうだな」

兄(妹) 「私生きてるから」

友 「えっ?」

兄 「黙ってくれよ? 友は事情知らないんだからさ」ヒソヒソ

(妹) 『あーはいはい』

友 「なんだって?」

兄 「ごめん、最近独り言多くてさ」


友 「大丈夫か?」

兄(妹) 「大丈夫よ」

兄 「そうそう、大丈夫だからさ」

友 「あまり大丈夫には思えないけどなぁ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 03:36:27.42 ID:INj6MGdj0
兄 「ところで今日は何の用事だ?」

友 「ほらよ」

兄 「ん? 願書?」ゴソゴソ

友 「叔父さん所の大学受けるんだろ?」

兄(妹) 「え、お兄ちゃん受けるの?」

友 「?」

兄 「声に出すなよ」

(妹)『あ、ごめん』

兄 「俺の頭じゃ無理だよ」

(妹) 『でも勉強得意じゃん』

友 「んっ、また独り言か?」

兄 「ぜんぜん勉強していないし受験なんて無理だよ」

(妹) 『大丈夫、私も手伝ってあげるから』

友 「・・・・・・???」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 03:50:46.82 ID:INj6MGdj0
友 「あのさ、お前おかしいぞ。大学じゃなくて大学病院の方が良さそうだな」

兄 「あはは、はぁ」

友 「それとも占い師紹介しようか? その人霊媒もしてるから」

兄 「いいよ、自分で何とかする」

友 「じゃあな、春に大学で会おう」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:00:18.89 ID:INj6MGdj0


兄 「キャンパスが桜でいっぱいだ」

友 「合格おめでとう、後 輩 君 w」

兄(妹)「誰かしら?」

兄 「あれ? 友じゃんか」

友 「前に言っただろ”大学で会おう”って」

兄 「そういう意味だっだのかよ」

友 「妹ちゃん、合格おめでとう」

兄(妹) 「え、何で私のこと知ってるの」

友 「前に会ったとき挙動がおかしかったからさ、先生に聞いてきた」

兄 「ふーん」


友 「そういやさ、先生が呼んでたぞ」

兄 「先生? ああ叔父さんの事か」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:08:29.49 ID:INj6MGdj0
トントン

兄 「お邪魔します」ガチャ

叔 「兄君か、来るの待ってたよ」

兄 「どうしたんですか?」

叔 「妹ちゃんも今起きてる?」

兄(妹) 「はい」

叔 「そうか。うーむ」

兄(妹)「私、席外した方がいいかな?」

叔 「え、そんな事ができるのかい」

兄 「ええ、最近やりかた分かったようです」


兄(妹) 「だって、お兄ちゃん平気で着替たり風呂入ったりすえるから。だから・・・・・・」

兄 「だから何?」ニヤニヤ

兄(妹) 「どうしても全部見えちゃうじゃない///」

叔 「視覚も共有してるからか」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:19:20.16 ID:Gb/oa9gl0
兄 「なんならいま裸になろうか?」

兄(妹) 「やめてよ変 」

兄 「こいつ、俺の裸みて●●するんですよ」

叔 「●●? 脳内で?」

兄 「ええ。●●してるのが俺にもわかる位です」

兄(妹) 「だって///」

兄 「あはは、しかも感覚共有してるから全部バレてるし」

兄(妹) 「お兄ちゃんのバカ! もう知らない ///」

兄 「うわっ」

叔 「んっ?」

兄 「ちょっと頭痛が」ズキーン

叔 「どうした?」

兄 「妹にぶたれました。脳内で」

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60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:26:07.94 ID:Gb/oa9gl0
兄 「もう話しても大丈夫です」

叔 「妹ちゃんはどうなった」

兄 「ふて寝してます」

叔 「そうか、じゃあ本題に入ろう」


叔 「君の父さんからの手紙だが、あのあと僕にも来たんだよ」

兄 「えっ?」

叔 「それでね、君も大学生になったことだし読ませても大丈夫かと思ってね」



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62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:36:36.17 ID:Gb/oa9gl0
 弟へ。過去の私から返事がないのでお前に手紙を送る。

 ○○年前、小惑星が落下して地表は雪と氷に覆われてしまった。我々は
 猫根山の氷下にある人類最後の都市にいる。この都市のエネルギーは
 小惑星落下による衝突の余熱から得ている。しかしそれも尽きてきた。
 ここが凍り付くのも間近だ。

 生き残るために我々はあらゆる研究を行った。その結果、過去改変により
 地球を救う事が可能であると結論した。我々の仲間を送り込み、その者に
 落下を防止をさせるのだ。

 最後のエネルギーで過去の「私」に魂を込めた貴石と万能細胞のレシピを
 送った。その細胞と貴石から一人の娘を再生できるはずだ。その娘は
 人々の精神力、つまり願いを物理的な力に変える能力がある。その力を
 使って小惑星の軌道を変えて欲しい。

 回りくどい方法ですまない。本当は我々自身、つまり生身の人間を過去に
 送りたかった。しかしエネルギーの不足でそれは不可能だった。だから
 お前たちが我々の代わりに地球を救って欲しい。我々への通信は鉱・・・・・・

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63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 04:46:02.13 ID:Gb/oa9gl0
叔 「読み終わったかな?」

兄 「はい。俺らが現代に送られてきたのは理由があったんですね」

叔 「うん。小惑星が地球に落下するのを防ぐ為だった」

兄 「でも、それくらいで人類は滅ぶのものなんでしょうか」

叔 「巻き上げられた土砂が大気を覆ってしまうんだよ。その結果地球は雪玉化してしまう」

兄 「なるほど」

叔 「そのせいで未来の人類が滅びかけている。燃料を掘る力さえ残ってない」
叔 「そして妹ちゃんが貴石になった理由もそこにある」

兄 「はい」

叔 「本来は未来から人間がタイムスリップしてくる筈だったんだ。
叔 「ところがエネルギーが足りないので小さな貴石しか転送できない」
叔 「そのせいで肉体は現代で準備しなければならなくなったんだ」

兄 「それが魂と肉体が別々になった理由だったんですね」

叔 「うん」

兄 「父も未来人だったんですか?」

叔 「一時的にはね。私の想像だが」

兄 「一時的?」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:02:42.66 ID:TMpZpi2v0
叔 「兄貴・・・・・・つまり君たちの父親は地質学者だったろ」

兄 「はい」

叔 「兄貴はもう一つの貴石を発見した。その魂を興味半分で自分の肉体に入れてしまったんだ」

兄 「俺ら兄妹みたいにですか?」

叔 「少し違うな。兄貴の場合は貴石の魂に体を乗っ取られた」

兄 「操り人形みたいな感じでしょうか」

叔 「多分ね」

兄 「俺らの”父”はの貴石の魂、つまり乗っ取った方なんですね」

叔 「うむ。だから体を取り戻した本来の兄貴は君達兄妹とは距離を置いていたんだと思う」

兄 「この手紙を出した”父”はどちらだったんでしょう?」

叔 「どちらでもないようだな。この消印を見てくれ」パサッ

兄 「”平成”? なんですかこれ」

叔 「昭和の次はそうなるらしい」

兄 「ということは、この手紙は未来から直接きたのか」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:11:17.22 ID:TMpZpi2v0
叔 「それで君はどうする?」

兄 「もちろんやりますよ。人類のためです。」

叔 「妹ちゃんは? 妹ちゃんも危険に晒すが、それでも良いのかい?」

兄 「えーと。そのー」

叔 「この件は君たちの生命に関わる問題だから、妹ちゃんとも良く相談してから返事して欲しい」

兄 「はい」



兄(妹) 「私、やります!」

叔・兄 「寝てたんじゃないのか?」

兄(妹) 「ううん、寝たふりしてただけよ」ドヤッ

兄 「人の脳内で器用なことするなよ」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:18:31.12 ID:TMpZpi2v0


友 「成績どうだった?」

兄 「ほい」パサッ

友 「相変わらず優秀だな」

兄 「だろ」ドヤ

兄(妹) 「半分私がやったんだけどね」

友 「道場には行ってんの?」

兄 「まあなんとかね。最近忙しくて時間がとれないけどさ」

兄(妹) 「お兄ちゃんね、いまこんな感じ」グイッ

友 「すごい腹筋だな」

兄 「腹出すな。俺の体だぞ」

(妹) 『あーはいはい』

友 「妹ちゃん、すこし変わった?」

兄 「こいつ、肉体と一緒に羞恥心も失ったらしいw」

(妹) 『なによぅ』

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:26:49.14 ID:TMpZpi2v0
友 「ところで、最近実験棟に入り浸ってるみたいだな」

兄(妹) 「そうなの、友さん聞いてよ。この間も大爆発起こしてもう大変!」
兄(妹) 「友さんも何か言ってやってよ」

兄 「余計なこと言うんじゃない」



友 「良く分からんが大変そうだな。何やってんだ?」

兄 「叔父さんの実験」

兄(妹) 「そうなの!このあいだ雑誌に載ったのよ。良く分からないけどすごいでしょ。ねっ!」

兄 「あー、お前うるさいから寝てろ」

(妹) 『なによぅ。あっ』 zzz....

友 「お? 妹ちゃん、強制的に寝かせられるんだ」

兄 「うん、やり方最近覚えた」


友 「それで何やってんだ?」

兄 「世界を救うんだ」

友 「え?」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:35:22.97 ID:TMpZpi2v0
兄 「小惑星落下のニュース見た?」

友 「ああ見た。おかげで街中が大騒ぎだ」

兄 「学校も休講だらけになってるしな」


友 「でもどうしようもないだろ。俺らには」

兄 「いま防がないと落ちてくるよ」

友 「でもどうするんだ? アポロ宇宙船でも使うか?」

兄 「それじゃ届かない」

友 「じゃあどうればいい?」

兄 「詳しい話は研究室でしよう」



兄 「叔父さーん、友つれてきました。あれ? 居ないや」

友 「どこ行ったんだろ」

兄(妹) 「メモがおいてある。学長先生に会ってくるって」

兄 「学長先生? 猫耳の件かな」

友 「猫耳?」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 05:49:21.64 ID:TMpZpi2v0
学長室

叔 「・・・・・・ということで、猫耳カチューシャを配布したいのですが」

学長(以下 ”長”) 「本当にこれでエネルギーが放射できるのですか?」

叔 「理論的にはそのはずです」

長 「理論だけか? まだ試していないのか」

叔 「えーと、周囲に被験者となる者が居りませんので」

長 「それでは許可できませんね」

叔 「そこをなんとか」

長 「では仕方ないですね」

叔 「しかしこれがないとエネルギーが足りず、宇宙へ飛べません」

長 「では仕方ないですね、私が試しましょう」

叔 「えっ? でも・・・・・・」

長 「”仲の良い兄がいる妹”が着けないと効果が無いと言いたいのかしら?」

叔 「いやその、まあそうですが」

長 「私もお兄ちゃん(70)が大好きな妹(65)ですから大丈夫よw」カチャッ

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:00:08.77 ID:TMpZpi2v0
研究室

(妹) 『あ、熱い』

兄 「ん? どうした」

友 「おい、指輪が光ってるぞ」

兄 「本当だ」

兄(妹) 「学長室の方からすごい”兄好きエネルギー”が来るっ」

友 「学長室から?」

(妹) 『あんっ ///』ハァハァ

友 「おい、大丈夫か」

-----
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-
学長室

長 「カチューシャを身につけても特に害はなさそうね。配布を許可しましょう」

叔 「ありがとうございます」

長 「それで幾つ配るつもり?」

叔 「最低1000個は必要です」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:12:27.74 ID:TMpZpi2v0
長 「1000個ですか。でも兄妹仲が親密な女子でないとだめなんですよね?」

叔 「はい。不仲ですと”嫌いエネルギー”、つまり負のエネルギーをだしますから」

長 「すると兄妹仲を調べなければいけませんね」

叔 「ええ・・・・・・・まあ」

長 「それは学生個人のプライバシーにあたるから大学は関知できない」
長 「だから問題がおきても大学は庇うことはできない。いいですね」

叔 「ええ、はい」ガッカリ

長 「ただし学生たちの自発的な行動なら、話は別」

叔 「え?」

長 「学友会におもしろい学生が居たわね。確か”友”と言う名前のはず」

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-

研究室

兄 「あ、叔父さん戻ってきた」

友 「お邪魔してます」

叔 「ああ友君か、丁度良いときに来たな」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:19:49.45 ID:TMpZpi2v0
友 「話は兄君から聞きました。カチューシャをうまく配れば良いんですね?」

叔 「うん、やってくれるか」

友 「はい。地球の未来がかかってますからね」

兄 「最終期限は何時になるの?」

叔 「日曜朝6時。軌道の関係でそれ以外は無理だな」

兄 「観測所の準備は?」

叔 「それは大丈夫」

叔 「発進地点の市民グランドはおさえた。宇宙服もなんとか間に合わせる」

叔 「後は君たち兄妹だけだが、後悔していないか? 今から止めても良いんだぞ」

兄 「大丈夫です。そのために生まれたんですから」

兄(妹) 「ねっ♪」

------- 日曜(市民グランド) -------

友 「すごい人ですね」

叔 「うん、人々が応援に来てるからな」

友 「あ、学長先生がきた」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:32:26.77 ID:TMpZpi2v0
長 「ご苦労様。がんばってください」

叔 「ご支援ありがとうございます。猫耳もお似合いですよ」

長 「そうかしら///」


兄 「これが宇宙服?」

叔 「背中のファスナー上げるよ」

兄 「う、体に張り付くようだ」

叔 「体にぴったり合うように作ったからね」

兄 「銀地に赤ってちょっと目立ちませんか」

叔 「観測し易いように最新ロケットと同じにしたのさ」

兄 「そういえばラムダ4Sと似てる」


叔 「これ着けて」

兄 「顔面堅いですね。それにてっぺんに板がついてる」

叔 「宇宙には小石が飛んでるかも知れんから顔面は強化してある。頭頂の板は通信用のアンテナだ」

兄 (上手く話せないな)モゴモゴ ヂュワッ

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:41:11.20 ID:TMpZpi2v0
叔 「準備できたな。友君、放送頼む」

友 「了解です」

友 「”こちらは市内放送です”」

友 「”市民の皆様、猫耳を着けて”妹ちゃんガンバレ”という思念を放射してください。繰り返します~”」

(兄) 『友の奴、市内放送なんて使ってるのか』

人々 『・・・・・・(妹ちゃんガンバレ)』ビビビビッ

(妹) 『あ、熱くなってきた。何かがどんどんやって来る!』

友 「あ、兄が光り始めた」

叔 「妹エネルギーが集まってきたんだ」

友 「エネルギー 70,80,90%・・・・・・」

(妹) 『熱いよっ、力がみなぎってきた!』

友 「先生、光が強くて見えません」

(妹) 『あああぁぁぁぁぁっ!』


友 「エネルギー 100%」

ピカッ

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 06:49:33.33 ID:TMpZpi2v0
叔 「兄君! 左手を頭上にあげるんだ!」

兄(はい)ジュワッ シャキーン

人々「おおおっ、兄が巨人になった」

叔 「今だ、飛べ」

兄(はい)ジュワッ キーーーーーーーーーーーーン

叔 「飛んで行ったな」

友 「ええ」


------- 宇宙 -------


妹 『小惑星はどこ』

兄 『あそこだ』

妹 『なにあれ、多面体じゃない』

兄 『まるで単結晶みたいだ』

妹 『ものすごい回転だわ』

兄 『ともかく掴えるぞ』ドカッ

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:00:54.93 ID:TMpZpi2v0
ブンッ

妹 『キャーッ』

兄 『畜生、振り飛ばされた』

妹 『表面つるつるじゃない!』


兄 『これじゃつかみ所がない。回転止めるぞ』

妹 『うん』

兄 『兄キーック』ドカッ

妹 『あ、少し遅くなった』

兄 『よし。もういっちょ』ジュワッ

ドカッ

妹 『あれ? 胸が点滅してるわ』

ピコーン ピコーン

兄 『まずい、時間切れだ』

妹 『えっ、時間切れって何?』

兄 『もう一発いくぞ。兄キーック』 ジュワッ ドカッ

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:11:44.74 ID:TMpZpi2v0
妹 『やったー。回転止んだよ!お兄ちゃん』

兄 『うっ』

妹 『あとは押し返すだけね・・・・・・あれ?』

兄 『だめだ、体が動かない』

妹 『えっ』

ピコーンピ・・・・・・

兄 『エネルギーが尽き・・・・・・』

妹 『お兄ちゃーん』

兄 『・・・・・・』

妹 『どうしよう、せっかく回転止めたのに』



妹 『こうなったら私が何とかしなきゃ』

妹 『お兄ちゃん、体借りるわよ』キリッ

妹 『妹キーック』

ズズッ

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:19:42.36 ID:TMpZpi2v0
妹 『重いわ。ぜんぜん動かない』

妹 『動いてよぅ』 グイグイッ

妹 『こうなったら最後の手段しかない!』




妹 『   妹  ぱ  ー  ん  ち  !  』

                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
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86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:31:00.34 ID:TMpZpi2v0
地上

叔 「小惑星が動き始めたようだな。数値を読み上げてくれ」

友 「150,200,250」

叔 「・・・・・・」

友 「300,500,1000。回避軌道に乗りました」

叔 「落下は防げたようだな」

友 「やったー、成功だー!」

人々 おぉぉぉぉぉ


叔 「学長先生、成功したようです」

長 「おめでとう」

長 「では兄(70)に連絡するわね」チンッ ジーコロコロ ジーコロコロ

長 「もしもし。あ、お兄ちゃん(70)」

長 「うん、自衛隊に兄妹の回収よろしく」

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87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:42:37.34 ID:TMpZpi2v0
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兄 「ここは病院?」

友 「お、起きたか」

兄 「小惑星はどうなった」

友 「はい新聞」パサッ

兄 「”光の巨人、地球を救う”だと。上手く行ったのか?」

友 「うん」


兄 「やった! 俺らやったんだよ」

兄 「妹も喜べ!」


兄 「あれ? 妹?」

兄 「また寝てんのか?」

友 「・・・・・・」

兄 「返事しろよ」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:47:13.18 ID:TMpZpi2v0
友 「兄さ、手の包帯解くぞ」 ファサッ

兄 「貴石が無い!」

友 「うん。君達を回収したときには既に無かった」

兄 「えええっ」

友 「新聞の続き読めよ」

兄 「”貴石の破片は地上に落下。季節外れの流星群を観測”だと?」

友 「ああ」

兄 「嘘だろ」

友 「・・・・・・」

ガチャ

友 「あ、叔父さん」

兄 「妹はどうしたんですか?」

叔 「・・・・・・」

叔 「妹ちゃんはね、最後の力を振り絞って小惑星に左パンチ打った。そして貴石は割れた」

兄 「そんなバカな」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 07:58:42.97 ID:TMpZpi2v0
叔 「最後に残った妹エネルギーを解放させるにはそれしかないと判断したんだろうね」

兄 「うっ・・・・・・」

叔 「妹ちゃんはなすべき事をしたんだ。悲しんじゃいけないよ」

兄 「でも・・・・・・」



叔 「兄君、きみの体が治ったら猫根の鉱山に行こう」

兄 「猫根山?」

叔 「僕の兄貴、つまり君たちの父さんが貴石を見つけた鉱山だ。そこにタイムカプセルを置くんだ」

兄 「それが一体何の意味があるってんですか」

叔 「未来への手紙だよ、妹ちゃんの活躍を伝えよう」

兄 「はぁ」

叔 「だから今は治療に専念しなさい」

兄 「・・・・・・」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 08:09:37.20 ID:TMpZpi2v0
叔 「ここかな」 ザッザッザッ

兄 「寂れた所だなあ」

叔 「閉山して長いからね」

兄 「もしかして妹の貴石が 発見された場所ですか」

叔 「そう、貴石が見つかったのはこの露頭だ。手紙はここに埋めよう」

兄 「はい」

ザクッザクッ

叔 「じゃ、帰るか」

兄 「あれ? 人が居る」

叔 「こんな山奥に人なんて居るわけないだろう」

兄 「ほら、あの帽子の人」

叔 「本当だ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 08:10:38.47 ID:TMpZpi2v0
女 「こんにちは」

兄 「どうも」

女 「この手紙、読みましたわ」パサッ

兄 「あ、いま埋めた奴!」



女 「初めまして、未来からきた”妹”です」 ファサッ

兄 「あっ」

女 「お兄ちゃん。会いたかったよう ///」ダキッ

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92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/16(土) 08:11:55.46 ID:TMpZpi2v0
後日談

友 「どうやって生き返ったんだ?」

兄 「貴石の破片を誰かが集めてくれたそうだ」

友 「それで復活できたのか」

兄 「うん」

友 「でも現代には来れないだろ」

兄 「何故?」

友 「だってさ、未来人は人間を送れないから魂だけ貴石に入れてきたんだろ?」

兄 「その事か。エネルギーが足りてれば人間ごとタイムスリップできるんだそうだ」

友 「小惑星が落ちなければ文明も滅ばないしエネルギーも足りるってことか」

兄 「そういうこと。もっともこれ以上過去改変させないために禁じたらしいけどね」

友 「ところでさ・・・・・・誰が妹ちゃんの破片を集めてくれたんだろうな」



父 ハクション
父 「誰か噂してるのだろか」

おしまい