2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:09:35.64 ID:lfThSbAg0

島村「島村卯月、17歳です。私、精一杯頑張りますから、よろしくお願いしますっ!」

P「えっ」

島村「えっ?」

P「えーっと、ここはアイドル事務所だけど・・・」

島村「えっ、はい そうですよね?私、書類選考で選ばれて・・・」

P「えっ」

島村「えっ?」

引用元: 島村卯月「私、アイドルになります!トップアイドルに!」 



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:14:11.57 ID:lfThSbAg0

P「ちょっと待ってね、ちょっと調べてみるから……」

島村「あ、はい」

P(……あー。今見てみたら、多分これ、あれだ)

P「選考ミスだわ……」

島村「えっ?今なんて……」

P「選考ミス」

島村「」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:21:00.54 ID:lfThSbAg0

P「選考ミスっていうか……選考の通知が、本来の人じゃなくて君に届いちゃったんだよね」

島村「えっ?えっ?」

P「いや、本当にごめん!こっちのミスだから!本当にごめん!」

島村「……あ、あは、そうですよね!私、ちょっと早とちりしちゃって……」

島村「ちょっと考えればわかりますよね!私みたいな取り柄もない子がアイドルなんて」

島村「アイドルになんて……」

島村「……アイド、っぐ、アイドルになん、て、ズズッ んぐ……」

P「ちょ、泣かないで!」

P「わかった!本当は選考を通過しなきゃダメなんだけど、面接しよう。面接」

島村「んぇ……面接……?」

P「そう!面接!だから泣き止んで!!とりあえず泣き止んで!」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:26:43.99 ID:lfThSbAg0


……

…………

島村「すみません、お見苦しいところを……」(ズビビー

P「落ち着いたみたいだし、面接始めようか」

P(とりあえず、本来の選考者や所属アイドル達が来る前に終わらせてしまおう……怒られるの俺だし)

P「えーっと、まず、君の事を教えて欲しいな。経歴とか」

島村「は、はい!島村卯月、17歳です。モバマス高校に通っています」

島村「あの、趣味は友人との長電話で……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:32:43.19 ID:lfThSbAg0

P(……この後十数分、彼女の事を聞いてみた)

P(昔からアイドルに憧れて、いくつもの事務所に応募してはいたんだが)

P(良くて書類選考通過、面接に漕ぎ着ける事も稀だったらしい)

P(その理由……俺には凄くわかる。誰の目にも止まらなかった理由)

P「島村さん」

島村「ダンスの方は……えっ、あっ、はい!」

P「君に、一つ聞きたい事がある」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:39:31.61 ID:lfThSbAg0

P「君の長所を、ここだけは負けないという、長所を教えてくれ」

島村「個性……ですか」

P「そう、個性だ」

島村「………………」

P「少し俺の話になるが、ここの事務所は俺が独立して作った事務所だ」

P「前の事務所でも、何人かのアイドルを担当した」

P「その女の子達は、例えば歌が上手かったり」
  例えば、ダンスが上手かったり
  例えば、自身のビジュアルに自身があったり」

P「彼女たちには、これだけは負けないという自信が、各々にあった」

P「君には、それがないんだ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:53:20.93 ID:lfThSbAg0

島村「……」

P「君には、アイドルになる要素が欠けてる……厳しいことを言うけど」

P「そうだね、そろそろ面接は終わりに」

島村「    …ですか」



島村「個性が無くて、なんで悪いんですか!」

島村「私は……そりゃ、取り柄もないし、可愛くないかもしれません」

島村「でも、アイドルになりたいって、思う、気持ちは!誰にも゛!負けまぜん゛!」




きらり「……」

楓「……」

かなこ「……」

P・島村「!?」  

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:59:05.58 ID:lfThSbAg0

きらり「おはーしゃー☆Pちゃん真面目な話してるカンジー?」

楓「真面目な話をしているようだったので……あ、おはようございます」

かなこ「え~っと、その子が事務所の選考に受かった子ですか?」

P「えっと」


島村「あ゛い゛!!今日からお世話になりま゛す!!島村卯月です!!!」


P「!?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:07:49.35 ID:lfThSbAg0

楓「ほら、涙と……鼻水も拭いて」

島村「あ゛……ずみまぜん」(ズビビビビ

かな子「じゃあ、Pさんの面接受かったんですね~。おめでとうございます!」

きらり「うきゃー!じゃあ今日から仲間だにぃ!おにゃーしゃー☆」

P「ちょ、おま」

P(……!待てよ、こいつ……)

P(俺が選考ミスをした、という事実をばらされたくなければ、このまま入社させろという……脅し……?)

P(あの一瞬でこいつそこまで……もしかしてとんでもない逸材なのか……?)





島村(勢いで言っちゃった、どうしよう……昨日ワンピース読んでたからかな……)

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:14:32.52 ID:lfThSbAg0

P(その後の俺の行動は早かった)

P(流れで島村卯月を俺のプロダクションに即加入、そして本来送るはずの子に選考通過の旨を伝え)

P(選考ミスをした証拠を全て抹消、『島村卯月ともう一名が選考通過』という結果に書き換えた)

P(これで俺と……島村以外にはばれない!ばれないはず……!)




律子「プロデューサー、あの子、選考通った子と違くないですか?」

P「ドッキーーーン☆」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:23:54.56 ID:lfThSbAg0

P「やぁ、律子!今日はいい天気だね!」

律子「瞳孔開いてますよ」

P「マジで」

律子「そんなことより、あの子ですよ。この前の書類の子と違うんじゃないですか?」

P「えっ、ん~どうだったかなぁ?そんなはずはないよねぇ~」(チラッ

島村「えっ?」

P(合わせろや島村ァァァァア!!選考ミスったと知られたらドヤされるだけじゃ済まねェェェ!)

島村(!! ここで私にプレッシャーをかけて、入社の事実をなかった事にするつもりですね!)

島村(ここまできたら引けません!私は図太くいきますよプロデュサー!)


P・島村「選考通過して無事本日入社した島村卯月です!今後ともよろしく!!」

律子「2人とも瞳孔開いてますよ」

P・卯月「マジで」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:37:40.04 ID:lfThSbAg0

律子「ん~……釈然としませんけど、選考の件は一任してますから私は何も言いません」

P「そうだよな!さすが話が分かるエビフライだぜ!」

律子「ブチ殺すぞ」

P「ごっめ~ん!今はパイナップルだったわ!ごっめ~ん!」

律子「実は他の事務所からヘッドハンティングされてるんですよね」

P「ごめんマジで」(額を床にこすりつけながら)


かな子「プロデューサーさん、いっつもあんな感じだよねぇ」

きらり「んにゃー!りっちゃんに頭があがらないPちゃんもかわいい!ずっきゅん☆」

楓「こんな感じの事務所だから……今日からよろしくね」

島村「あ、はい!よろしくお願いします!」

楓(まだ鼻水ついてる……)




後日の密会にて、第一次 P⇔島村共同戦線が張られる事となった――――

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:43:32.01 ID:lfThSbAg0



……

………

P「うづきん!初仕事とってきたぞ!」

島村「待ってましたプロデューサー!」

楓(いつのまにあんな仲良くなったんだろう……)

P「とは言っても、初仕事だからな。事務所のみんなと一緒の仕事にしておいたぞ」

島村「ありがたいです!緊張しますね~!で、初仕事の内容っていうのは……」

P「フードファイトだ」

島村「えっ?」

P「フードファイト」

島村「えっ」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:49:32.62 ID:lfThSbAg0



……

………

きらり「お仕事で美味しいモノ食べれるってラッキー☆きらりん☆」

かな子「個人戦らしいですよ~。今日はよろしくおねがいしますね!」

島村「どうして……こうなった……?」

P「仕事があるだけありがたいんだからな。文句は聞かん」

P「ほら、始まるぞ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:58:31.23 ID:lfThSbAg0

小鳥「……さぁぁ!今回も始まりました!アイドルの血糖値が気になるこの番組!」

小鳥「題して、『アイドル・フード・サバイバル』ッ!!」

小鳥「食って食って食った奴が勝ち!早速本日のメンバーを紹介だァーー!!」



小鳥「そして、最後に新鋭、バンナム事務所からは3人!」

小鳥「ガタイもデカけりゃ胃もデカイッッ!!進撃の巨人、諸星きらりーーーーッッ!!」

きらり「おっすおっすばっちし☆」

小鳥「3度の飯よりメシが好き!!人間パックマン、三村かな子ーーーッッ!!」

かな子「今日も、がっつり頑張ります!」

小鳥「そして期待の新人、無知のポテンシャルはきらり→かな子ラインを止められるか!?」

小鳥「島村卯月ーーーーーーーーッッ!!」



島村「想像してたんと違う……」

小鳥「すでに目が死んでいるゥゥゥッーーーー!!!!」

P「小鳥さん調子いいなぁ」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:09:35.73 ID:lfThSbAg0

小鳥「今回の品はこちら!」

小鳥「こってりとんこつラーメンに、胸焼けがしそうな生クリームその他をたっぷり乗せた……」

小鳥「一杯カロリー3000kcal!スイーツラーメンの登場だァーーーー!!!」

かな子「美味しそうですねぇ」

きらり「ん~今回はあかな子ちんにちょ~っと部があるかにゃぁ」

島村「いや、おかしいでしょ!?女性の一日の摂取カロリー2000kcalだよ!?」

小鳥「ルールはシンプル!30分でどれだけの杯をカラに出来るか!?」

小鳥「前置きは不要!早速サバイバルの始まりだァァーーー!!」


ドォォッォーーーーン!!

小鳥「ドラの合図と同時にッ!スターァァァト!」


きらり「ズゾゾゾゾッゾ」

島村「やべぇ、大口開けて流し込んでる!!」

かな子「おかわりください」

島村「早いよ!お前らアイドルよりも適任の仕事あるよ!!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:21:13.22 ID:lfThSbAg0

「ふふ……すいーつとらぁめんの融合、なんと面妖な……」

島村「!」

「時に……島村卯月殿、アイドルとは、なんと心得ますか」

「アイドルとは……どんな場面でも可憐で、なおかつ情熱的でなければならない」

「ファンの前に堂々とした姿で、牽引し、魅了する」

「私たちは望まれてここにいるのでは?そして、大衆が望む理想のアイドルとは」

島村「あ、あなたは――――」





デブ子「おかわりください」







高嶺「――――どんな時でも、優雅に食事をするものですよ。卯月殿」

小鳥「Aランクアイドル、四条貴音ッ!既に3杯目を完食してるぅうぅぅぅう!!!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:28:15.65 ID:lfThSbAg0
 
かな子「おかわりください」

小鳥「かな子選手4杯目突入ッ!これは壮絶な喰らい合いになるかぁぁーー!」

高嶺「ふふ……新感覚 とでも言うのでしょうか。中々に、美味」

小鳥「高嶺選手、4杯目完食!」



島村「…………」

島村(私だって、食べてる、食べてるけどっ)

島村「もう……食べれないよ゛ぉ……」

小鳥「おぉ~~っと!!島村選手の箸が止まるッ!まだ一杯目で脱落かぁ!」



P「…………」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:35:24.30 ID:lfThSbAg0

P(卯月……お前にこの仕事をあてがった理由)

P(お前に足りないものの一つ……それは目立とうとする『意志』)

P(大食いの場では卯月が目立てる訳がない。それくらい俺だって解ってる)

P(そして隣には『銀色の女王』四条貴音……)

P(この状況で、どうする……?)




卯月「……うっ……う゛……っぐぅ……えぐ……」

卯月「もうこれ以上は……無理だよ……」

卯月「私には無理だったんだ……最初から……アイドルなんて……」









貴音「諦めるのですか。島村卯月」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:41:53.33 ID:lfThSbAg0

島村「えっ……」

貴音「確かに、アイドルとは厳しいもの。大衆の前でも虚勢を張らなければいけないこともありましょう」

貴音「それでいて、凛と立ち続けなければならない……」

貴音「島村卯月、あなたはアイドルのステージにすら立てていない」

島村「……! ……そんなこと……私にだって……」


貴音「ですが」

貴音「今、卯月殿が出来る事はまだあるはずです」

貴音「カメラはまだ、回っています。あがくことすら辞めてしまうのですか」

小鳥「貴音・かな子両選手、共に10杯完食ゥゥゥッゥーーーーーー!!!」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:45:06.56 ID:lfThSbAg0

島村(私はアイドルにすらなっていない……)

島村(この場にいるのに、カメラすら、向けられていない!)

島村「アイドルですらない、私にできること」

島村「カメラに映るために、あがくこと!」

島村「それは――――」

P「……!!!」




ビチョォァ








小鳥「島村卯月選手!突如、ラーメンに顔を突っ込んだァァァーーーーーーー!!!」


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:50:06.21 ID:lfThSbAg0


ゴッゴッゴッゴッ


P「汁を……吸ってる……!!」

島村「ゥェァ!お代わり下さい!」

島村(収録が終わったら、井が破裂したっていい!)

島村(今……食べ続ける……!)

ビチョォァ

小鳥「2杯目にも即顔を突っ込んだァァァーーー!!」

グチョ…ムシャ……ムシャ……ズルルルッルル

小鳥「そのままクリームと麺とスープを啜るっ!3つの難関を一気に食べ進めるっ!!」

グチョ…ズルルルッル

「おがわりぐだざい゛っ!!」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:52:17.46 ID:lfThSbAg0


…………

…………

…………

…………


白い天井……
薬品の匂い……スリッパの音……
ここは……


島村「病院?」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:01:32.70 ID:vmXB0azB0

P「お、起きたか」

島村「プロデューサー……?収録は……」

かな子「それがね~、私 結局負けっちゃったよ~」

かな子「さすがはAランクアイドルだよね!」

P「別に食うのが早いからAランクなわけじゃないけどな」

島村「……」

P「そうだな、お前の事だ」


P「お前が4杯目に顔をぶち込んでた時な」

P「途中でお前の動きが止まったんだ」

P「でな、ガバっと顔をあげたと思ったらマーライオンのように」

「ゲロがな」



島村「」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:12:00.46 ID:vmXB0azB0

P「大丈夫!後からCG処理して、口から出てるのをところてんに見える様にしたから」

島村「大丈夫じゃないですよそれ……」

P「……そうだな、大丈夫じゃない。かな子、ちょっと席外してくれるか」

かな子「あ、はい」



P「……なぁ卯月、お前は、まだアイドルしたいか?」

P「お前には酷なことをしたと思っている」

P「最初の仕事にしては……ちょっとヘビーだったな……はは……」

島村「私は、その」

P「……いいんだ、結論は焦らなくていい。病院で休んでる間に、じっくり考えてくれ」

P「正直、お前の顔を器に突っ込んだ時な、大物になると思った」

P「こいつは、もしかしたらとんでもないものを持ってたんじゃないかって」

P「でも……お前が限界なら、俺は止めないよ」

P「またな」

島村「……」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:15:16.91 ID:vmXB0azB0

島村「……アイドルかぁ」

島村「アイドルになろうと思って、ようやくなれたと思ったら」

島村「仕事先でマーライオンになって色んな人に迷惑かけて……」

島村「あなたは、アイドルのステージにすら立てていない!」(キリッ

島村「……なーんて」

島村「私って、個性もないし、歌も、ダンスもヘタ。外見だって……」

島村「…………そういえば、私以外病室にいないなぁ。個室?」

島村「小さな事務所だけど、案外お金は持ってたりして、ね」

島村「リモコンどこだろ」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:21:36.72 ID:vmXB0azB0


……
………

『はい、今度の新曲は、女性に向けてエールを……』


島村「あ、新曲出るんだ!買わなきゃ……」

島村「……私は一曲も出せなかったけどね!なんて……」

『私自身、この曲に共感する部分があって、夢を叶えるっていうことの……』

島村「夢……夢かー……」

島村「私は、アイドルになりたい……なりたかった」

島村「ダンスもできて、歌も上手くて、ファッションショーにも出て」

島村「色んな人に、笑顔を咲かせるような人になりたかった」

島村「なにの、私はいつも目立たなくて……没個性で……」

島村「アイドルになれたら、何かが変わるとでも、思っていたのかなぁ……」

島村「う……う゛ぅ……最近の私、泣いてばっか……だなぁ……っぐ……ずずっ」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:29:02.90 ID:vmXB0azB0

『新曲、【乙女よ大志を抱け!!】聞いてください!!』

 コンコン

島村「!」

島村「あ、ちょ、ちょっと待って!」

島村(プロデューサーか、事務所のみんなかな?)(ズビビビー


「え、えっと、こ、こんにちはー」

島村(帽子を目深に被ってるから誰かわからない……)

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:36:58.70 ID:vmXB0azB0

「あなたの事、四条さんから聞いて、お見舞いっていうのもあるんだけど」

「そう、プロデューサーからもあなたの事聞いてるよ」

「あんまりプロデューサー、担当してる人の事は話そうとしないんだけどね」

「話してるとあなたの話もよく出てきて、プロデューサーもあなたに」

島村「ちょ、ちょっと待って下さい!あの、プロデューサーの知り合いの方ですか?」

「あ、ごめん!これじゃあわからないよね。伊達眼鏡もしてるし」


『来週リリースの【乙女よ大志を抱け!!】歌っていただいたのは――』

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:39:38.42 ID:vmXB0azB0
 
『前年度【アイドルマスター賞】受賞、天海春香さんでした!!』


「――――初めまして、天海春香です!」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:56:20.62 ID:vmXB0azB0

島村「あ、天海 春香……さん……!」

島村(FからAまである”アイドルランク”……その中から、たった一人だけに与えられる称号……)

島村(アイドルの頂点”Sランクアイドル”その前年度受賞者が、私の目の前に……!!)

島村「あ、あ、あ、あの、今日はどうして、こちらなんかに」

春香「そんなに緊張なんてしなくていいよ!確か私達、同い年だよね?春香でいいよ!」

島村「えー……そんなー……」

春香「あはは、あのね、今日来たのは、理由があるんだ」

春香「今日は、お見舞いと、昔の私の話」

春香「これからのアイドル、島村卯月ちゃんの話だよ」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:12:18.37 ID:vmXB0azB0

P「やっちまったなぁー……」

律子「初回に無茶な仕事を入れるのは前からですよね。プロデューサー」

律子「だからうちの事務所、所属アイドルが増えないんですよー」

P「そうかなぁ。俺向いてないのかなぁ」

律子「今更ですねぇ……」

P「いや、今回はちょっとやりすぎたよ」

P「なんだろうな、似てたんだよ……春香に」

律子「春香に?」

P「そ。昔の春香だって、今の卯月と対して変わらなかったさ」

P「春香は先へ進んだ。でも、卯月は多分……ダメだろうな」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:27:15.71 ID:vmXB0azB0

P「だからもう、あいつに無理強いは」

島村「おはようございます!!」

P「!?」

律子「あら、おはよう。休日なのに朝早いのね」

島村「はい 今日は、プロデューサーに伝えたいことがあって」

島村「一晩考えました。これからの事を」

島村「私、アイドルになれたら、自分が変われると思ってました」

島村「アイドルになれば、没個性で、取り柄のない自分から変われるって、そう思ってました」

島村「でも、違いました。アイドルって、そういうものじゃないって」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:40:38.80 ID:vmXB0azB0

島村「アイドルになって、皆を笑顔にしたい。皆にエールを送りたい」

島村「私だけじゃなく、ファンになってくれた皆を笑顔にする」

島村「それが私の、アイドルになりたい理由です」

島村「プロデューサー、どうか」

島村「どうか、私を、トップアイドルにして下さい!」

P「…………」

律子「大きく出たわねぇ。で、どうするの?プロデューサー殿?」

P「……卯月」

島村「はい」

P「お前の、誰にも負けない長所はあるか?」

島村「……私は、夢を諦めそうになりました。夢を捨てて、逃げ出そうとしました」

島村「でも、そんな私に、夢を諦めるなと、もう一度夢を与えてくれたアイドルがいます」

島村「そんなアイドルに、私はなりたい」


島村「夢を与えるアイドルなる。その気持は、誰にも負けません」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:51:36.79 ID:vmXB0azB0

P「……お前の意志は、よーく分かった」

P「全身全霊をかけて、島村卯月を、トップアイドルにしてやる。約束だ」

島村「……!ありがとうございます!!」

P「ふぅ……ほらな言ったろ?絶対うづきんは戻ってくるってさ!」

律子「うわぁ……なにこいつぶん殴りてぇ」

P「そうだ。先駆けて、お前に合わせたい奴がいるんだ」

P「ほら、卯月に選考通知が届いたのも……ゴホンゴホンだったじゃん?」

島村「あー……まぁ」

P「それでな、その子も昨日面接して、入社させることにしたんだ」

P「その相手と、卯月。2人をデュオとして、しばらくしたら正式にデビューさせようと思ってる」

島村「えっ!デュオ!?」

島村「っていうか、私まだデビューしてなかったんですか!?」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 03:58:08.79 ID:vmXB0azB0

P「まぁ、この前の大食いも無理矢理ねじ込んだ感じだし」

島村「ねじ込んだ!?」

P「コネで」

島村「コネで!?」

律子「ごめんね……こういう人なのよ……」

島村「いいんです、大体分かって来ましたから……」

P「で、合わせたい子って言うのはだな」

P「しぶりんちゃんだ!」

「…………」

P「……渋谷凛ちゃんです」

凛「……あんたが私のパートナー?まぁ、悪くないかな。今日からよろしくね」
 

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:24:20.54 ID:vmXB0azB0


……

………

凛「この前のロケ、楽しかったね。シンガポール」

卯月「あー、マーライオンの……」

凛「?」

P「ほら、今日は正念場だ。LIVEバトル、気合いれてこうぜ」

凛「わかってるんだけどさ、なんか、落ち着かなくてさ」

凛「今日は珍しく、卯月の方が落ち着いてたりするんだよ」

P「へぇ……」

卯月「へへ……プロデューサー、私だって緊張してるんですよ?」

卯月「でも今日は、プロデューサーさんの方が緊張してるんじゃないですか?」

P「ババババカってんじゃないよよよ」

凛「……いつも通りじゃない?プロデューサー」

卯月「えへへ、そうやっておちゃらけて、すぐ誤魔化そうとしてもわかりますよ」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:37:53.78 ID:vmXB0azB0
P「あー……、まぁ、俺も緊張してる。柄にもなくな」

卯月「わかりますよ。私だって同じです」

卯月「でも、私、凄く楽しみなんです。ついに!って感じですかね!」

卯月「真冬の寒中水泳企画で体を作り、大食いでエネルギーもしっかりとって」

卯月「未開の地トカチ族に、祝福の踊りと秘伝の美容効果のある薬の作り方を教わり…」

卯月「かと思えば、ウイーン少年合唱団に1ヶ月間弟子入り……本当に充実した日々でした」

凛「卯月、ピンの仕事でそんな事やらされてたんだ……」

卯月「プロデューサーが私にくれた仕事、一つも無駄ではなかった」

卯月「アイドルという舞台に、私を立たせてくれた」

卯月「私は、このLIVEのバトルに勝ちます。買って証明してみせます」

卯月「プロデューサーが、私をトップアイドルにしれくれた事を!」

P「……時間だぞ!」

凛「行こう、卯月」

卯月「任せて、凛ちゃん!」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 04:58:25.98 ID:vmXB0azB0
……ワァァァァ!

小鳥「ついにやって来ました!LIVEバトル、タッグ部門最終決戦!」

小鳥「栄光を手に入れるのは、期待の新鋭か、不動の王者か!」

小鳥「選手入場;ッ!!」


小鳥「ステージに羽撃くは幸せの蒼い鳥!【孤高の歌姫】 如月千早!!」  

千早「久しぶりね。渋谷さん」


小鳥「静かに燃やすは不屈の闘志!【ニュージェネレーション】 渋谷凛ッ!!」  

凛「……何度でも向かいます、勝つまでね」


小鳥「言わずと知れたアイドルマスター!【王道アイドル】 天海春香!!」

「卯月ちゃん やっと、会えたね。私、待ってたよ」

「春香さん、私、あなたと勝負して――」

小鳥「ガラスの靴は砕けない!道が無いなら作ればいい!――――

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 05:00:30.69 ID:vmXB0azB0


――――【シンデレラガール】 島村卯月!!」

「――私、アイドルになります!トップアイドルに!」
 


おわり。