1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2008/11/18(火) 19:23:04.85 ID:Eu0jSoVz0
兄「うっせーな!俺はイライラしてんだよ糞がっ!!!!!」

妹「あぅ……ふぇ…うぅ……」

兄「これだから女は嫌なんだよ!!すぐにピーピー泣くんだからよ!!!」

妹「ご、ごめんなさい…」

兄「謝るくらいならとっとと煙草買ってこいよ、今すぐにな!」

バタンッ…

妹「…早く、昔のお兄ちゃんに戻ってよ……」

引用元: 妹「お、お兄ちゃん…痛い!!!!!!」 




8: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:25:46.12 ID:Eu0jSoVz0
妹「あの…たばこ屋さん、すみません」

「なんだい嬢ちゃん」

妹「あ、あの…セブンスターっていう煙草、ほしいんですけど…」

「うーん…嬢ちゃん、20歳に満たない人にはね、煙草売れないんだよ」

妹「分かってます、でも、これ買わないと、私…」

「事情はよく分からないが、ごめんな。ルールなんだよ」

妹「……す、すみませんでした」



11: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:30:06.41 ID:Eu0jSoVz0
コンコン

妹「お、お兄ちゃん…」

兄「ぁん?おめーにしては早く帰ってこれたな」

妹「あ、あの…」

兄「で、煙草は?ちゃんとセッタにしてきただろうな」

妹「そ、れが…煙草屋さんが、20歳にいってない人には売れないって…」

兄「あぁん?なんだと?てめーそんな糞みてーな理由で俺が許すとでも思ってんのかよ!?!?」

妹「ご、ごめんなさい…!でも、自販機じゃ買えな…」

バシッ

兄「てめーふざけんなよ、俺は今煙草がすいてーんだよ今すいてーんだよ!!!!!」

ドガッドガッ

妹「ごめんなさいごめんなさい許してください私が悪かったです!!!!!!いた…っ!!!」

15: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:33:25.52 ID:Eu0jSoVz0
 

兄「おめーの今日の分の夕飯はねーからな」

妹「は、い……ひっく………」

ピロロロロロ ピロロロロロ

兄「はーいはーい、あ、香織?……えー暇だけどwww
  ……うん…なんだよおめー、今すぐ会いたいなんてwwwwww
  ………わーってるって、じゃ、今からおめーんち行くな」

ピッ

兄「少しでも冷蔵庫から物が減ってたら殺すからな、分かったか!?」

妹「はい……」

兄「ちっ…むなくそわりー」

バタンッ!!!

妹「お父さん、お母さん……どうしてよ…」

18: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:37:58.22 ID:Eu0jSoVz0
キーンコーンカーンコーン...

妹友「妹ちゃん、かえろー!」

妹「うん、別のクラスなのに、いつもありがとね」

妹友「いいっていいって!それよりさ……また新しい傷増えたね」

妹「え、あ、うん…昨日、お兄ちゃんにちょっとだけ怒られちゃったんだ。
  全部私が悪いの、全部…」

妹友「…なんで警察に言わないの?いつも私言ってるじゃん……」

妹「だって、お兄ちゃんは何も悪いことしてないから…」

妹友「妹ちゃん、まだ小学生なんだよ?それなのに…先生にすら相談しないで……」

妹「…相談するほどのことじゃないし……」

妹友「今日私の家寄ってく?今日は塾休みだから」

妹「ううん、いい。お兄ちゃん待ってるから…」

妹友「妹ちゃん……」

20: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:42:08.50 ID:Eu0jSoVz0
ガチャリ

妹「ただいま…」

兄「だっひゃひゃひゃひゃwwwwおめーまじそれパネェwwwwwwww」

兄友1「でっさーwwwwそいでさーwwwwww」

兄友2「おめーもよくやるよなー!wwwwww」

妹(お友達…来てたんだ……)

妹「な、何か用意しないと……」

兄友1「あれ?あの子おめーの妹?」

兄「あー?あんな糞なんかと血なんか繋がってねーっつーのwwwwww」

兄友2「うわwwwwひでーwwwwww
    おめーら親いねーんだろ?妹ちゃんが世話してくれてんじゃねーの?www」

兄「それがさー、料理だっていつまでも上達しねーしよwwww
  洗濯だって俺よりへたっぴよwwwwww」

兄友1「だったらおめーやれよwwwww」

兄「だっははwww俺がやるかっつーのwwwwww」

妹(おにいちゃん……)

22: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:46:37.89 ID:Eu0jSoVz0
妹「あの…何か、ご用意しますか……?」

兄友1「うお、近くで見ると結構可愛いなおめーの妹w」

兄「そうなんだよ、顔だけはおふくろ似でいいんだよwwww」

兄友2「確かにおめーのかーちゃん美人だったよなーwwwww
    じゃあなんかつまみになるようなの持ってきてくれるー?」

妹「あ、はい……」

兄友1「俺、あの子なら●●てもいいわwwwwww」

兄「は!?!?てめー手出したらゆるさねーからな」

妹(お、お兄ちゃん…!)

兄「あと5年もしたらこいつの体売って生活するんだからなwwwww
  今から   がばがばじゃつかえねーだろwwwwwww」

妹(…………お兄ちゃん)

27: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:54:03.12 ID:Eu0jSoVz0
妹(おつまみも出したし、今日は量が多いから早めに宿題しないと……)

――1時間後――

妹「ふぅ…宿題終わった。今日はお兄ちゃん、機嫌よくてよかった…。
  …喉渇いたな」



兄「おぉ妹wwwwwwてめー何やってたの?」

妹「あ、宿題……」

兄「ちょっと俺があってるかどうか見てやるよwwwwww」

妹「え!?い、いいよ……」

兄「あー?てめー俺の言うことが聞けねーってのかよ!?!?!?」

妹「……ちょっと待ってて…」

29: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:54:30.96 ID:Eu0jSoVz0
妹「これ…算数と社会……」

兄友2「あーなつかしーわwww俺らんときもこの教科書だったわwwwwww」

兄友1「っつーかお前、勉強できんの?wwwww」

兄「あーん?俺、中学まで学年1位ずっとキープしてたしwwwwwww
  な、妹?」

妹「あ、うん…いつも1位だったよ…」

妹(高校入った今じゃ、テストすらまともに受けてないんだけどね……)

34: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:59:20.37 ID:Eu0jSoVz0
兄「えっとー…算数は百分率かwwwwwwww
  なつかしーwwwwwww」

兄友2「で、どーよ?」

兄「えっとなー…これ×だろー?で、これも×ーwwwwwwww
  あとこれも×××ーwwwwwww」

妹「!?!?!?!?」

兄「はい終わったwwwww次社会は…歴史のドリルねwwwwwww」

妹「お、お兄ちゃん…そんなに間違ってないって…」

兄「あああああん?証拠でもあんのかよwwwwwww」

35: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 19:59:58.07 ID:Eu0jSoVz0
 
妹「私、この間やった百分率のテスト、クラスで唯一100点だったし……」

兄「俺の採点にケチつけてんのかよ!?!?!?!?!?あぁん!?!?!?!?」

バシンッ

妹「いったー…!」

兄友1「おい……お前ちょっと抑えろよ」

兄友2「いくらなんでも妹に暴力は…」

兄「てめーらは黙ってろ粕共が!!!!!!」

兄友1・2「……………」

37: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:03:12.20 ID:Eu0jSoVz0
バシッドガッドゴンッ

妹「やめて…お兄ちゃん痛いやめて!!!!!!」

兄「うっせーんだよ!!!!てめーがけちつけんのがわりーんだよ!!!!」

妹「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!!!!」

兄友1・2「あ、じゃあ俺ら帰るわ…」

兄「あぁん?帰るって…てめーらふざけんなよwwww」

兄友1「だ、だって…俺らだってこれから予定とか…」

兄友2「お、おう……」

バリバリンッ

兄「てめー、俺に逆らう気かよ…」

兄友1「そ、そんなこと…」

兄「だったらおめーらもやれよ、な?」

38: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:05:23.03 ID:Eu0jSoVz0
妹「!?!?!?!?!?!?」

兄「ほーらほーら、こーんな可愛い女の子を痛めつけることができんだぜー?」

ドガッ

妹「ぅぐ……っ」

兄友2「で、でも……」

兄「いいからやれ!!!!!!!!」

兄友2「わ、分かったよ…」

39: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:08:24.75 ID:Eu0jSoVz0
妹「ぐ…カハッ!!!!!」

ドガッドゴッ

妹「ぅ…ぐは……や、嫌…はぅ…!!」

兄「おらおらもっと全力でやれよ!!!!!」

兄友1「で、でもこれ以上したら本当に死ぬぞ…!?!?」

兄友2「そんなことになったら洒落になんねーって……」

兄「…それもそうだな。今日はこれで勘弁してやるよwwwww
  てめーらとっとと帰れ」

兄友2「おう…」

兄友1「お邪魔…しました……」

バタンッ

兄友1「なぁ、あれってドメスティックバイオレンスとかいうの…だよな?」

兄友2「あいつ、まじでやばくね?」

45: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:16:10.03 ID:Eu0jSoVz0
キー..バタン

妹(体中が……痛すぎる………)

妹「う……うぅ…」

妹(いつからおにいちゃんはこうなったんだっけ…
  あぁ、そうだ…お父さんとお母さんがいなくなってからだ……)

47: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:20:05.72 ID:Eu0jSoVz0
妹「もう、二年になるかな……」







父「おーい、早くしないとおいてくぞー!」

母「もう、待ってよお父さんたら…」

妹「女の子は支度に時間がかかるんだよー!!」

兄「おいおい、早くしねーとミッキーに会えないぞ?」

妹「え!?ミッキー会えないの!?!?」

兄「おう。ミッキーは支度なんかで手こずってるような子には会わないんだよー?」

妹「えーーーやだやだー!!お母さん早くー!」

母「はいはい、じーっとしててねw」

父「まったく…先に車乗ってるぞー」

妹「あー、待ってよー!!!」

48: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:22:29.15 ID:Eu0jSoVz0
妹「楽しかったねー!また明日行こう?」

父「ははっww明日は無理だなー」

妹「えーじゃあいつー?」

母「もうwwせめて来年になってからよ」

妹「ぶーっ…」

兄「その代わり、来月はぶどう狩りだろ?」

妹「そうだった!私、ぶどうたくさん食べるの!!!」

兄「お前だったら一ふさも食べられないよww」

妹「食べられるもーん!!!」

51: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:26:51.55 ID:Eu0jSoVz0
妹&兄「Zzzzzz....」

母「あらあら、二人仲良くすっかり寝ちゃったわ」

父「ちょっと腹減ったな、サービスエリアにでも寄っとくか?」

母「そうね、軽食でもつまみましょうか」

バタンッ



妹「ん……お父さん?お母さん?」

妹「ここは…車?」

きゃーっ!!!!!!!!!
バンッバンッ

妹「あれ…?なんか建物が変…」

56: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:29:05.03 ID:Eu0jSoVz0
兄「うーん…あれ、ここどこ?」

妹「ねーおにいちゃん…なんかあそこの建物が騒がしいよー」

兄「騒がしい……?」

バンッバンッ
きゃーーーー!!!!!
うわーーーーーー!!!!!

兄「!?!?!?!?!?」

妹「ねぇ、あの建物どうなってるの?」

兄「拳銃…妹、しゃがめ!!!!」

妹「え?」

兄「いいから!!!!!犯人に見つかる!!!!!」

58: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:32:00.14 ID:Eu0jSoVz0
妹「……静かになったね…」

兄「ばか、まだ顔出すな!!!!!」

妹「ご、ごめんなさい…」

妹(あれ?なんか外から声が…)


『早くしろ!警察が来るぞ!!』

『ま、待てって…』

『それより、まさか本当に人打っちまうとわな…』

『しょうがねーだろ、あの夫婦が邪魔したのがわりーんだよ!』

『とにかく逃げるぞ!』

    ブロロロロロ.....

64: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:34:42.03 ID:Eu0jSoVz0
兄「もういいかな…妹、お前はここで待ってろ」

妹「え、やだ!私も…」

兄「いいから!」

妹「う、うん……」

ファンファンファンファン....

妹(あれ、パトカー…?)

ピーポーピーポー

妹(これは救急車…かな?
  お兄ちゃんは駄目って言ったけど、お外出ちゃおう…)





―そこからは、もう記憶がない

67: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:40:31.02 ID:Eu0jSoVz0
妹(で、気がついたらいつの間にかお葬式やってたんだよね…)





「あの二人、どうなっちゃうのかしら…」

「もう兄くんは来年から高校生でしょう?」

「噂によると、叔父さんが兄くんが高校卒業するまでは養育費を支払うらしいわ」

―ヒソヒソ...

68: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:41:17.19 ID:Eu0jSoVz0
妹「お兄ちゃん、お父さんとお母さんはどうなっちゃったの?」

兄「ぅ……くっ…!」

妹「ねぇ、お父さんとお母さん、あの箱じゃ狭そうだよ。

  早くおうちのベッドに寝かせてあげ―」

兄「うるさい!!!!!!!」

妹「!!!!!…ひ、ひどいよおおお!!!わあああああああああん!!!!!」

70: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:43:57.39 ID:Eu0jSoVz0
ドンドンドンッ

妹「!!!」

兄「てめー、とっとと飯食え。ピザ頼んどいたから」

妹(あ、私…いつの間にか眠って……)

妹「ありがとう…」

ズキンッ

妹「う…痛っ……」

71: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:48:21.30 ID:Eu0jSoVz0
妹「ピザなんて久しぶりだな…」

妹(たった一切れだけど、すごい美味しいや…)

兄「おい」

妹「!?…な、何?お兄ちゃん」

兄「今すぐ煙草買って来い」

妹「え…!?!?で、でも、煙草はこの間駄目って…」

兄「さっき煙草屋の親父にちゃんと言っといたからwwwww
  『これから妹が取りにいくので渡せとけ』ってなwwwwww」

妹「…わ、分かった……」

73: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 20:52:42.55 ID:Eu0jSoVz0
妹「あの…こんばんは」

「はいはいどちら様……っ!!!」

妹「あ、あの…お兄ちゃんに頼まれて煙草を…」

「あ、セブンスターだよね!?!?ほ、ほら…」

妹「あの、大きな箱じゃなくて…」

「いいのいいの!1ダース持ってきな!!!!」

妹「あ、りがとうございます」

妹(煙草屋さん、なんか様子が変…?)

78: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:00:36.80 ID:Eu0jSoVz0
ガラガラ..

妹「ただいま…」

兄「今度こそちゃんと手に入っただろうな?」

妹「う、うん…なんか、大きいのくれたよ?」

兄「は?まじで?wwwwww」

妹「320円でこんな大きいの買えるの…?」

兄「あーまじ救われたwwww
  最近あまりまともに吸ってなかったからなwwwww」

妹(あんなに吸っちゃ…体に悪いよ……)

81: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:08:01.59 ID:Eu0jSoVz0
兄「スパー…」

妹(くさいな…もうお風呂入って寝よう……)

兄「おい、妹」

妹「…何?お兄ちゃん」

兄「これ、咥えてみ?」

妹「え!?!?た、煙草を…!?」

兄「まじうめーからwwww損はねーぜwwwww」

妹「で、でも私まだ小学生だもん…」

兄「は?俺に逆らうとどうなるかくらい分かるだろ?wwwwww」

妹「………」

82: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:10:09.53 ID:Eu0jSoVz0
カチッカチッ...

兄「ほら、ありがたく吸えよ」

妹「ねぇ、やっぱり煙草なんてよそうよ…」

兄「うっせーな!!!!!また俺に叩かれてーのかよ!?!?」

妹「ご、ごめんなさい…」

パクッ

妹「スー…!!!!!ゲホッグホッカハッ…」

妹(な、なにこれ…やだ、気持ち悪い…!!)

85: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:14:29.90 ID:Eu0jSoVz0
妹「ケホッコホッ…うっ……」

兄「な?うめーだろ?」

妹「う、うまくないよ…」

兄「まぁ最初はそんなもんだってwwwwww
  一週間もしないうちにスパスパ吸うようになるからwwwww」

妹(嫌…だよ……お父さん、お母さん、助けて……)

86: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:18:56.78 ID:Eu0jSoVz0
ジリリリリリリリリ....   カチッ

妹「ん………」

ズキンッ

妹(まだ体中が痛い…そうだよね、3人に暴力ふるわれたんだし……)

妹「早く、朝ごはん……」

ズキズキンッ

妹「うっ……痛い…」

88: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:23:29.44 ID:Eu0jSoVz0
コトコト...

兄「…………」

妹「あ、お兄ちゃん、おはよ。
  もうすぐにできるから待ってて」

兄「………」

妹(お兄ちゃん、どうしたんだろ…。
  いつもならどんなに不機嫌でも挨拶くらいするのに……)

兄「なー、妹」

妹「な、何?」

兄「この味噌汁って、どれくらい温度あんのかな」

妹「さ、さあ……」

妹(な、なんか嫌な予感がする……)

 

92: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:30:54.87 ID:Eu0jSoVz0
妹(そろそろいいかな…)

カチッ

兄「もうできたの?」

妹「え、うん。今からよそるから」

兄「いいよ、俺がよそるしwwww」

妹「え?」

妹(ど、どうしちゃったのおにいちゃん…)

93: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:37:23.01 ID:Eu0jSoVz0
兄「お前、手でお椀の形作ってみ?wwwww」

妹「え…!?まさかおに―」

兄「いいから早くしろ!!!!」

妹「わ、分かったよ…」

ジャーーッ

妹「あ、あつい!!!!!!や、あつっ!!!!!!!!」

97: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:41:47.79 ID:Eu0jSoVz0
妹「や、あつ!!!」

妹(水道…!!)

ジャー…(水道の水ね)

妹「ハァ…ハァ……」

兄「くくっ…wwwwまじうけるわwwwwww」

妹「ひどい…ひどいよお兄ちゃん……」

107: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:47:03.80 ID:Eu0jSoVz0
妹(しばらく冷やさないとな…今日は遅刻しようかな……)

兄「ごっそさーん!あーまじ学校だりー……」

妹「き、今日は学校行くの?」

兄「あ?てめーには関係ねーだろ糞アマ」

妹「ご、ごめんなさい……」

108: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:49:31.96 ID:Eu0jSoVz0
妹「もしもし、5年の妹ですが…。ひろゆき先生いますか?」

「ひろゆき先生ですね、少々お待ちください」

ひろゆき「もしもし、妹か、どうした?」

妹「あの、先生…今日お味噌汁で手を焼けどしちゃって、まだ痛いんで、
  少しだけ遅刻していってもいいですか?」

ひろゆき「味噌汁?またどうして…」

妹「ね、寝ぼけて溢しちゃって…w」

ひろゆき「きちんと冷やしとけよ?もし無理そうなら今日は欠席でいいからな。
     なんなら昼休みあたり、家に行くけど…」

妹「い、いえいいです!今家散らかってるし……」

ひろゆき「そうか…。とにかく無理だけはするなよ」

妹「はい、すみません。失礼します…」

ガチャン..

 

113: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 21:56:06.26 ID:Eu0jSoVz0
妹「だいぶ良くなったかな…」

妹(そろそろ三時間目が始まるころだ…行こうかな)



ガラガラ..

妹「お、遅れてすみません…」

妹(このクラスメイトの視線は慣れないな…)

ひろゆき「いや、それより手は大丈夫か?」

妹「はい、あんまりひどくなかったみたいです」

ひろゆき「この授業が終わったら一緒に保健室行こうな」

妹「え!?い、いいです!!!!」

妹(もしかしたら体見られて、傷とかばれる……)

118: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:00:37.10 ID:Eu0jSoVz0
キーンコーンカーンコーン

ひろゆき「おい、妹、保健室行くぞ」

妹「い、いいです…」

ひろゆき「なんでだ?そんな痛いことなんてされないって。
     ただ手を見てもらうだけなんだから」

妹「…本当に、手だけなんですか?」

ひろゆき「あぁ、あと氷貰うだけ」

妹「…分かりました」

124: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:04:48.06 ID:Eu0jSoVz0
保健医「ちょっと赤くなっちゃってるね…。
    手のひら出してみて」

妹「は、はい…」

保健医「この薬塗っておけば大丈夫。
    もし水ぶくれが出来ちゃったりしたら、また保健室来てね。
    あと、これ氷よ」

妹「ありがとうございます…。それじゃ、私次体育なので…」

保健医「えぇ、無理はしないようにね」

ガラガラ..ピシャン

保健医「……ひろゆき先生」

ひろゆき先生「はい、なんでしょうか」

保健医「あのやけどの仕方は異常でした。
    普通に味噌汁をこぼしただけなら、両手がびっしり真っ赤になるわけがありません。
    あの子……虐待されてるんじゃないですか?」

130: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:09:46.25 ID:Eu0jSoVz0
ひろゆき「やはり……ですか」

保健医「あなたも気づいていたんですね」

ひろゆき「以前から足を軽く引きずっていたり、
     夏の暑いときでも長袖にジーンズという格好をしたりと、少し目立った行動がありました。
     それに、僕が調べたところ、彼女のお兄さんはかなりの問題児のようですし…」

保健医「お兄さん?ご両親は…?」

ひろゆき「……2年前、テーマパークからの帰りのサービスエリアで、強盗と鉢合わせしてしまい……」

保健医「…そう。
    とにかく、このままではいけないわ。
    これからじっくり調べていきましょう」

ひろゆき「分かりました」

196: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:37:37.30 ID:Eu0jSoVz0
妹「とりあえず、ばれなくて良かった…」

妹(体育、出れるかな…。まだ体のあちこちが痛いよ…。
  よく立ってられるな…)

ガラガラ..

同級生1「あ、妹ちゃん!早くしないと体育始まるよー」

妹「わ、ほんとだ!着替えないと…」

同級生2「私達、廊下で待ってるね!」

妹「ありがと、早くするね!」

妹(学校には、こんなに友達がいるんだ…がんばれ、私!)

206: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:43:09.38 ID:Eu0jSoVz0
とりあえず続けさせていただきますが、これ以上荒れるのは本望じゃないので荒れるようなら検討します




ひろゆき「今日はマラソンをやるぞー。まずは準備運動!」

妹(うぅ…足の膝小僧が曲げると痛い…)

ひろゆき(うーん…妹が痛がってるな。マラソンは控えたほうがいいかもしれない…)

ひろゆき「よし!それじゃあグラウンドを1周だけゆっくりランニング!」

「「「はい!」」」

妹「ハァ……」

ひろゆき「おい、妹」

妹「あ、は、はい!」

ひろゆき「お前、準備体操のとき痛がってただろ?
     今日は控えておけ」

妹「で、でも…」

ひろゆき「無理して悪化するのが一番良くないんだぞ?」

妹「…分かりました」

219: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:47:37.10 ID:Eu0jSoVz0
ひろゆき「よし、それじゃあ今から来月のマラソン大会のルートを確認するぞー。
     先生のあとに続いて走るように。
     具合が悪くなったり怪我をしたら周りが先生に報告しろよー」

「「「はーい」」」

ひろゆき「じゃあ、妹はすまないが教室で待っててくれ。ルートは後日確認しような」

妹「はい、分かりました」

妹(なんか、今日は先生が私のことばかり気にしてくれてるな…。
  火傷だけで、そんなに心配してくれるものなの…?)

228: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:52:00.16 ID:Eu0jSoVz0
妹「はー、体中が痛い…」

妹(しかも、なんか体がふらふらする…どうして?)

妹「とにかく、早く教室…に……」


フラッ      ドサッ

236: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:54:58.14 ID:Eu0jSoVz0
妹「んー……!?!?!?!?」

妹(え、え…?ここどこ?)

保健医「あら、気がついた?」

妹「え?あ…保健医さん?」

保健医「そんな堅苦しい呼び方しないで、お姉さんって呼んでくれればいいわよ。
    みんなそう呼んでるし」

妹「あ、すみません…。
  あの、私、なんでここに…」

保健医「過労による貧血で、あなた倒れたのよ」

246: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 22:58:20.13 ID:Eu0jSoVz0
妹「かろう…?」

保健医「あー、つまり頑張りすぎちゃったってことよ。
    妹ちゃん、家事とか頑張ってるんでしょ?
    ひろゆき先生が言ってたわ」

妹「そうですか……  !?!?」

妹(あれ?私、さっきまでジャージ着てたのに…。
  体操着だけになってる!)

保健医「どうかした?」

妹「!…いえ、なんでもないです。
  もうちょっと休ませてもらってもいいですか?」

保健医「えぇ、構わないわよ。
    私、ちょっと職員室行ってるから、何かあったらそこへ来てちょうだい」

ガラガラ..ピシャン

253: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:00:55.72 ID:Eu0jSoVz0
妹(これ…お姉さんが脱がせてくれたんだよね?)

妹「どうしよ……。このあざだらけの腕とか足とか、全部見られたかも……」

妹(で、でも…お兄ちゃんは悪くないもんね!)

コンコン

妹(誰だろ…)

ひろゆき「妹ー、いるかー?」

妹「せ、先生…!?」

妹(とりあえず、上だけでもジャージ羽織らないと…)

263: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:05:34.09 ID:Eu0jSoVz0
ひろゆき「入るぞー」

妹「は、はい!」

ガラガラ..

ひろゆき「先生に聞いたぞ、過労による貧血だってな」

妹「ご、ごめんなさい…」

ひろゆき「お前が謝ることじゃない。普段よく働いてる証拠だぞ。
     階段なんかでふらつかなくてよかったのが不幸中の幸いだ」

妹「そう…ですね」

ひろゆき「……妹、お前さ…」

妹「あ、はっはい」

ひろゆき(いや…まだあの話題を出すのは早まりすぎか)

ひろゆき「あー、給食はどうする?」

妹「あんまり…食欲ないです」

ひろゆき「そうか。それじゃあとりあえず寝てろよ。それじゃあ」

妹「ありがとうございます」

268: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:08:24.50 ID:Eu0jSoVz0
保健医「妹ちゃーん」

妹「Zzzz...」

保健医「まだ寝てるわね、どうしましょう、このあと…」

保健医(こんなに安心しきって寝れるのなんて、ここくらいしかないものね。
    今日は仕事がまだ残ってるし、
    もう少し寝かせてあげようかしら)

保健医「そうとなれば、ひろゆき先生に報告しないと」

275: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:12:17.72 ID:Eu0jSoVz0
妹「んー…!?」

妹(やば…!今何時!?)

妹「5時45分…私、12時くらいからこんなに寝てたんだ…」

保健医「あら?妹ちゃん起きた?」

妹「あ、お姉さん、すみません…寝すぎちゃって」

保健医「ううん、いいのよ。
    本当は一度起こしたんだけど、妹ちゃん、あまりにも気持ちよさそうでね。
    あと5分くらいで仕事終わるから、家まで送ってくわ」

妹「え!そ、そんな…歩いて帰れます」

保健医「もうお外真っ暗じゃないの!冬は昼が短いのよ?
    ランドセルはそこに置いてあるから、ちょっと待っててちょうだいね」

妹「あ、ありがとうございます」

301: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:23:50.93 ID:Eu0jSoVz0
保健医「じゃ、シートベルトしっかり締めてね」

妹「はい」

保健医「えっとー、道案内してもらえるかな?」

姉「あ、それならこの大通り沿いをずっと下ってって、
  ●●駅前を左に曲がってもらえればそのあとは真っ直ぐです」

保健医「OK、把握したわ」

妹「お願いします」

妹(ハァ…あの痣とか傷を見られたかもって思うと、
  結構動揺しちゃうよ。
  態度に出てないといいけど…)

316: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:28:42.89 ID:Eu0jSoVz0
妹「あの、本当にありがとうございました」

保健医「いえいえ。まぁ、
    あまりこういう特別扱いは良くないんだけど、今日は特別ね」

妹「えへへ…。それじゃあ、また明日」

保健医「えぇ!無理せずにね。おやすみなさい」

ぶろろろろろろ..

322: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:31:38.29 ID:Eu0jSoVz0
妹「ただいま…あれ?」

妹(お兄ちゃんいない……お夕飯どうしよう)

妹「お外で食べてくるのかな…。それじゃあ、今日はお夕飯は適当でいいかな」

334: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:34:37.90 ID:Eu0jSoVz0
妹「うんしょっと…いただきます」

妹(結局お粥にしちゃった…)

ガラガラガラ..

兄「ただいまー」

妹(!?!?どうしよ、お夕飯作ってない…)

兄「あ?てめー何一人でのうのうと食ってんの?俺の分は?」

妹「あの…ごめんなさい、お兄ちゃん、結局外で食べてくると…」

妹(でも、すごいお酒臭い…)

兄「そういう時は連絡くらいいれるわぼけ!!!!!!
  とっとと飯作れよ粕!!!!!
  それとも俺になんて作る飯はねーってかー!?!?」

妹「そ、そんなこと…」

兄「だったら作れ、5分で作れ!!!!!!」

355: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:39:29.53 ID:Eu0jSoVz0
妹(どうしよう…食材がほとんどないよ……)

妹「あの、お兄ちゃん…」

兄「あぁん?」

妹「冷蔵庫がほとんど空っぽなんだ。
  ちょっとスーパー行ってきてもいい…?」

兄「てめーふざけんな!!!俺は今すげー腹減ってるんだ!!!!
  あるものでちゃっちゃと作りやがれこの糞アマが!!!!!!!!」

妹「で、でも……」

兄「いいから作れ!!!!!殴られてーのか!!!!!!!!」

妹「ご、ごめんなさい……」

362: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:42:13.81 ID:Eu0jSoVz0
妹(えっと…卵1個とベーコン2枚……あとこれとこれ…)

妹「なんとか大丈夫かな…うーん……」




妹「お、お兄ちゃん、お待たせ」

兄「おせーんだよ!!!!2分オーバーだ!!!!」

妹「ごめんなさい…」

375: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:45:21.22 ID:Eu0jSoVz0
妹「はい、どーぞ…」

兄「………で?」

妹「…へ?」

兄「ほら、とっとと全部持ってこいよ」

妹「あの、これだけしか…」

兄「は!?wwwwwwてめー俺のことなめてんの?wwwwwwww」

378: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:46:52.93 ID:Eu0jSoVz0
妹「そういうわけ、じゃ、ないよ…。ただ食材が…」

兄「さっきから食材食材うるせーんだよ!!!!!!!!!!!!
  用意してなかったおめーが悪いんだよ!!!!!!!!!
  俺の言ってることが間違いかと思うか!?!?!?!?!?!?」

妹「お、お兄ちゃんは正しい!!わ、私が全部悪いんです…」

兄「…ちっ。あーまじもう気分萎えてきたんですけどー。
  こんな使えねーなら、5年も待たないでもう売っちまうかなー」

382: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:50:07.85 ID:Eu0jSoVz0
妹「…え?う、売るって……」

兄「今は小学生でもそれなりに需要があるからな。
  それに、おめー顔だけはいいだろ?www
  高く売れそうだなー…」

妹「あの…売るって私を?」

兄「は?ほかに何があんだよwwwwwwww
  世間のおじさんたちにお前の体を売るんだよwwwwwww」

妹「………う、そ…」

390: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:54:40.10 ID:Eu0jSoVz0
ピロロロロロ ピロロロロロ

兄「もしもーし……おう、久しぶりじゃーん?……これから?あー全然いい暇暇ー。
  今超腹減ってるしーwwwww
  ……じゃあ駅前集合でおk?……はいはーいwwww」

ピッ

兄「あー、今日は帰ってこねーからwwwwww
  いい収入源が出来そうなんでね、パーッと遊んでくるわwwwwww」

バタンッ..

392: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:56:29.84 ID:Eu0jSoVz0
妹「あっ……はぁ…うぅ……」

妹(売るって…前にテレビで見たことがある。
    交際とかそういうのが、今問題になってるって…。
  それを私もやるの?)

妹「なんで…こんな……私ばっかり…」

397: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/18(火) 23:58:58.39 ID:Eu0jSoVz0
プルルルルルル プルルルルルル

妹(電話……)

妹「もしもし…」

ひろゆき「もしもし、夜分遅くにすまん。妹だよな?」

妹「せ、先生…!?ど、どうしたんですか?」

ひろゆき「いや、今調子はどうかなと思って……」

妹「あ…貧血のことなら大丈夫ですから…ひくっ…」

ひろゆき「…妹、もしかして泣いてるのか?」

妹「!!!!!」

ひろゆき「何かあったのか?」

妹「い、いえ!!何でもないです、それじゃあまた明日」

ひろゆき「お、おい妹!」

ツー.ツー.ツー...

407: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:03:22.65 ID:JmLP+Ou40
ジリリリリリリリ  カチッ

妹「………」

妹(起きなきゃ……。休んだら、先生に怪しまれる……)

妹「あー、どうしよ…。目が真っ赤に腫れちゃった…。
  冷やさなきゃ……」

テレビ『次は、旬のニュースです。
    山梨県のぶどう農園のぶどうが、程よく実り、
    観光客を喜ばせています』

妹「………」

妹(みんなで…ぶどう狩り、行きたかったな……)

413: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:06:27.32 ID:JmLP+Ou40
同級生1「あ、妹!!」

妹「おはよう」

同級生2「おはようじゃないよ!ねー、昨日貧血で倒れたって聞いたけど…」

妹「あー、そのことか…。
  あれからゆっくり休んだから、もう大丈夫だよ」

同級生1「また気分悪くなったら、私たちに言ってね?」

妹「うん、ありがとう…!」

妹(どうしよう…泣きそう……)

429: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:11:23.97 ID:JmLP+Ou40
キーンコーンカーンコーン

妹(今日は特に何もなかった…良かった)

妹友「妹ー!」

妹「あ、友ちゃん!」

妹友「ねー、昨日大丈夫だった?今気分悪かったりする?」

妹「ううん、大丈夫だよ。それより昨日、先に帰ったんでしょ?ごめんね…」

妹友「私なんていいんだよ別に!早く帰ろ?」

妹「…うん!」

439: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:15:14.61 ID:JmLP+Ou40
妹友「ねぇ、妹」

妹「ん?」

妹友「明日休みじゃん?良かったら、妹の家行ってもいいかな?」

妹「え…!!!!」

妹(どうしよ…。お兄ちゃんがもし家にいるならやばいし……)

妹友「あ、無理なら無理でいいんだよ!
   そしたら別のときでも私構わないし!」

妹「あ、そんなんじゃないの。
  …お兄ちゃんが家にいたらやばいかなって…」

妹友「…そっか」

妹「今日聞いてみるよ。そしたら夜、友ちゃんの家に電話してもいい?」

妹友「もちろんだよ!ごめんねわざわざ」

妹「ううん、遊べるといいね!…あ、私スーパー寄らなきゃなんだ。
  それじゃあ、またあとで」

妹友「うん、それじゃあね」

452: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:18:24.72 ID:JmLP+Ou40
妹「えいしょ…ただいまー」

妹(あ、お兄ちゃんの靴ある…。早くご飯作ろう)

妹「お兄ちゃん、ただいま。
  今からご飯作るけど、カレーでいい?」

兄「あー、どーぞー」

妹(良かった…機嫌は悪くないみたい)

460: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:22:08.71 ID:JmLP+Ou40
妹「お待たせ、これシーザーサラダだよ」

兄「あぁ」

妹「…あの、お兄ちゃん、明日家にいる?」

兄「あ?俺がいるとなんか不都合なわけ?」

妹「う、ううん!そんなんじゃないの…。
  ただ、明日友達が遊びに来たいっていうから、
  もしお兄ちゃんが家にいるなら、
  うるさくなったらお兄ちゃんに迷惑かかっちゃうでしょ?」

兄「明日はちょっと用事があるから夜中まで帰ってこねーよ」

妹「そう…。じゃあ呼んでもいい?」

兄「別に」

妹「ほんと?ありがとう!」

兄「………」

468: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:25:57.29 ID:JmLP+Ou40
プルルルルル プルルルルル

妹友「もしもし、●●です」

妹「あ、もしもし友ちゃん?私だけど…」

妹友「妹?明日どうだって?やっぱ無理…?」

妹「ううん!お兄ちゃん、明日用事で出掛けるみたいなんだ」

妹友「ほんと!?じゃあ明日の10時頃から行ってもいい?」

妹「うん!何時でもいいよ!!」

妹友「分かった、ありがとう!お菓子とジュースと、あとゲームも持ってくね」

妹「ううん、こちらこそありがとう。それじゃあまた明日」

妹友「うん、おやすみ」

ガチャン...

妹(どうしよう…久しぶりに、すごく楽しみだよ…。
  友達と私の家で遊ぶのなんて、いつぶりだろう?)

482: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:32:06.96 ID:JmLP+Ou40
妹「おはよう!!」

妹友「おはよう、妹!
   今日は本当にありがとう」

妹「ううん、こちらこそ!さ、あがってあがって」

妹友「お邪魔します、うわー、結構広いね」

妹「そう?私、生まれた頃から住んでるからよく分からないやーw」

妹友「広い広いって!あ、これオレンジジュースで、あとこれお菓子で…。
   これゲームね!」

妹「わー、これ新しいのだよね?私の家、古いのしかないからさー」

妹友「じゃあ今すぐやろ!はい、これ繋いで」

妹「うん!」

486: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:34:13.16 ID:JmLP+Ou40
――3時間後

妹「なんかお腹空いたね、もう1時近くだし…」

妹友「ほんとー。どうしよっか?」

妹「私ちょっとスーパー行ってくるよ、それでなんか作る!」

妹友「え、いいの?私も行こうか?」

妹「お昼の分しか買わないし、歩いて2・3分だから大丈夫だよ。
  友ちゃんはゲームして待ってて」

妹友「把握ー。いってらっしゃい!」

502: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:38:16.78 ID:JmLP+Ou40
妹「迷ったけど、チャーハンでいいよね?」

妹(早く作っちゃおうっと…)

ガチャッ

妹「ただいま―」

妹友「や!!ちょっと…誰なの!?!?」

妹「…え!?と、友ちゃん…!?」

「おー、予想通り可愛いねwwww
 まじこの子食っちゃっていいの?wwwww」

「兄が言ってただろ?妹とって食っちゃっていいってwww
 まぁ夜にしろとは言ってたけど、昼間でもいいだろ?wwwww」

妹友「ちょっと…放してよ!!!!」

516: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:40:52.05 ID:JmLP+Ou40
妹「友ちゃん!?!?」

妹友「い、妹…!!!!」

「え?お、女の子が二人?」

「ど、どうなって…」

妹「誰なのよあんたたち!!!!!!
  こういうの、不法侵入って言うんだよ!?!?」

「おい、どうする?」

「別に二人とって食ってもいいだろ?」

妹友「ちょっと…いい加減放してよ!!!!!!」

妹「友ちゃんからどいてよ!!!!!!!」

妹(やだ…もしかして、これもお兄ちゃん!?)

525: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:42:39.03 ID:JmLP+Ou40
プルルルルル プルルルルル

妹「で、電話…」

妹(これ、出たほうがいいのかな…)

「電話くらい出たらー?」

「そうそう、うるさくてやってらんねーしwww」

妹「………」

ガチャ

妹「も、もしもし…」

兄『妹か?俺だけど…』

妹「お、お兄ちゃん!?!?!?」

538: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:45:40.63 ID:JmLP+Ou40
兄『お前らさ、もしかして家に男2人来なかった?』

妹「男2人来てるよ!!!今来てるよ!!!!!!!」

兄『は!?!?くそ、あいつら…。
  あれほど夜にしろって言ったのに…クソッ!!
  今からそっち行くから待ってろ』

妹「ま、待ってろって…お、お兄ちゃん!?!?」

ツー.ツー.ツー...

「お、おい…今のって、もしかして兄か…?」

「やばくね…?もし怒ってたら……」

「一先ずここ出ようぜ……」



バタン....

544: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:47:41.59 ID:JmLP+Ou40
妹友「ハァ…ハァ…うぅ……」

妹「だ、大丈夫友ちゃん!?」

妹友「こ、怖かった…ひくっ……」

妹「ごめんね友ちゃん、私のせいだ……」

妹友「う、ううん…妹は、悪くない…から……」

妹「ごめんなさい、本当にごめんなさい…!!!」

妹(お兄ちゃん、どうして……)

553: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:50:17.68 ID:JmLP+Ou40
ガチャッ バタンッ

兄「おい、妹いるか!?」

妹「お、お兄ちゃん…!!!」

兄「あいつらに何もされてないか!?」

妹「私は大丈夫だけど…友ちゃんが……」

妹友「わ、私も何もされて…ないです…。
   ただ、ちょっと腕掴れたりして……」

兄「…すまなかった、本当に。
  友ちゃんって言うんだな、本当に今回はすまなかった…」

妹(お、お兄ちゃんが…土下座してる!?)

564: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:53:22.61 ID:JmLP+Ou40
妹友「あ、あの…私、本当に何も…されて…ないですから……」

兄「…一つだけお願いがあるんだが…。
  ……もう、妹と関わらないでくれるか?」

妹「え!?ちょ、お兄ちゃん…何言ってるの!?」

兄「妹というと、君が絶対に巻き添えくらうんだよ。
  君のためにも、妹とは関わらないほうがいい」

妹友「私、別にそんな…」

兄「頼むから、お願いだ……」

妹友「…………妹、とりあえず、私帰るね…。
   明日、ゲーム取りに来るから…」



バタンッ...

574: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:56:17.76 ID:JmLP+Ou40
妹「お、お兄ちゃん…」

兄「あー、くっそ疲れた…」

妹「……え?」

兄「ったく…なんで俺があんなチビに土下座しなきゃなんねーっつの。
  あーあ!!!
  本当だったら夜にお前が●される予定だったのになー」

妹「お、お兄ちゃん…。
  私達を心配して来てくれたんじゃ…」

兄「は?wwなんで俺が心配しなきゃならねーんだよwwwww
  俺は自分がマッポに捕まらねーよーにしただけだっつーのwwwwww」

妹「………そう、だよね…」

583: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 00:58:50.22 ID:JmLP+Ou40
兄「ちっ…せっかくクラブで酔ってきたところだっつーのに、
  あーこっちに電話してまじ良かった!
  おい、おめーもうあの子とは関わるなよ。
  一緒にいるところなんて見たら、まじで殺すかんな」

妹「………」

兄「分かってるのか!!!!!!!!!」

妹「は、はい…」

兄「ちっ……。今日は帰らねーから」


バタン....

783: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:13:29.98 ID:JmLP+Ou40
―次の日


ひろゆき「うーん……」

女教諭「あら、ひろゆき先生、そんなに唸ってどうしたんですか?」

ひろゆき「いや、ちょっと考え事をしていまして」

女教諭「何か先生のクラスの児童のことでお悩みでも?」

ひろゆき「まぁそんなもんでしょうか…」

女教諭「先生も大変ですね…。
    あ、私来週の課外授業の打ち合わせがあるんだった!
    それでは失礼します」

ひろゆき「はい、ご心配かけました」

ひろゆき(ちょっと、保健医先生に相談してみるかな…)

785: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:16:45.32 ID:JmLP+Ou40
保健医「児童と二者面談?」

ひろゆき「えぇ、一対一でいろいろ話そうと。
     と言っても、堅苦しいわけじゃなく、将来何になりたいかとか、家ではどんなことを手伝っているかとか、
     まぁそんな感じですね」

保健医「…ということは、ついに妹ちゃんに真実を問いただすおつもりですか?」

ひろゆき「えぇ…。もう、あの子の体に新しい傷を増やしたくないんです……。
     一刻も早くの処置が必要だと思います」

保健医「…そうですね、私も賛成です」

ひろゆき「ありがとうございます!今から校長のほうへと掛け合ってきますね」

ガラガラ...ピシャンッ

保健医「……もう、新たな被害者は、出したくないものね…」

802: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:42:15.52 ID:JmLP+Ou40
ガラガラガラ..

ひろゆき「おーい、席着けよー」

同級生1「あ、いけない、先生来ちゃった!」

同級生2「またあとでねー」

妹「うん!」

ひろゆき「今日はみんなに重大な話がある。
     突然だが、明日の放課後から出席番号順に二者面談を行うぞ」

「二者面談…?」

「先生となんか話すの?」

803: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:46:17.20 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「二者面談…つまり、みんなと先生、一対一でお話するっていうことだ」

妹(一対一…どうしよ、あまりおうちのこととか話したくないな…)

「せんせー!俺、水泳教室あるんだけど」

「あ、あたしもそろばん塾ー」

「私もバイオリンのお稽古が…」

ひろゆき「分かってる分かってる。
     もし習い事と二者面談が被るようなら、今言ってくれれば微調整するからな。
     プリント作ってきたから、これ見てくれ」

「俺三日後だ!」

「あー、塾と被ってるー…」

妹(私、明日だ……)

810: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:52:24.97 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「というわけで、明日の3時からスタートな。
     待ってる間は図書室で勉強しててくれ。それじゃあまた明日」

「起立、礼!」

「「「「さようならー」」」」

妹「…ハァ」

同級生1「ねぇ、妹ちゃんはいつだった?」

妹「明日…」

同級生2「ほんと?私もだよ!」

同級生1「えー!いいなー…私明後日だよー」

妹「あははwww」

妹(やだ…何聞かれるか本当怖いよ……)

819: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 18:56:58.53 ID:JmLP+Ou40
ガチャッ

妹「ただいまー…。お兄ちゃん、帰ってないな。
  今日は帰ってこないつもりなのかな?」

妹(まぁいいや…早くご飯食べちゃおう)


―次の日


妹「ハァ…憂鬱だよ……」

妹(あれ?テレビの音…お兄ちゃん帰ってきたんだ)

妹「お、お兄ちゃん、おはよう!」

兄「あ?あー、はよ」

妹「顔洗ったらご飯作るから、ちょっと待ってて!」

831: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:00:34.75 ID:JmLP+Ou40
妹「はい、おまたせ」

兄「………」

妹「あのね、今日先生が二者面談するって言っててね。
  将来の夢とか、そういうことについてお話するみたいなの。
  だから、今日は遅れるかもしれないし、お腹空いたら店屋物でもとっておいてもらってもいいかな?」

兄「あぁ…」

妹「ごめんね、迷惑かけて…。
  外で食べてくるなら外でもいいから。
  あ!いけない、早く支度しないと……」

835: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:03:23.12 ID:JmLP+Ou40
キーンコーンカーンコーン

同級生1「それじゃ、妹ちゃん、B子ちゃん(同級生2)、
     また明日ね!」

同級生2「うん、また明日ー」

妹「ば、バイバイ!」

同級生2「それじゃ、番が来るまで勉強しよっかー」

妹「今日宿題たくさん出たから、早く片付けちゃおうね」

838: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:04:52.36 ID:JmLP+Ou40
―一時間後

同級生2「それじゃあ妹ちゃん、また明日学校でね」

妹「バイバイ、また明日ー」

ひろゆき「おい、最後妹だぞー」

妹「は、はい!」

妹(いよいよか……。
  大丈夫だよね、将来の夢はお医者さんだもんね!)

840: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:08:09.47 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「妹の将来の夢はなんなの?」

妹「あ、はい。将来はお医者さんになりたいって思ってます…」

ひろゆき「お医者さんか!何か理由とかあるの?」

妹「えっと…。一年くらい前に、テレビで『国境無き医師団』っていうのを見て、
  アフリカ地方の恵まれない人たちのために、
  私もお役にたちたいって思って…」

ひろゆき「すごい立派な理由だな!妹なら絶対になれるよ」

妹「あ、ありがとうございます」

妹(なんか意外と普通だな…。
  この調子なら大丈夫かも)

844: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:11:44.23 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「じゃあ次は…。
     苦手な教科ってある?」

妹「あ、特にはないんですけど…。最近社会の年号とかが複雑になってきて、ちょっと難しいかな…?」

ひろゆき「確かに…。それじゃあ今度、先生の方で年表を作ってみるよ。
     そしたらテストの勉強に役立つからな」

妹「あ、あとこの前初めて漢字テストで9点(10点満点中)取っちゃったので、
  それももっと勉強したいかなって思ってます」

ひろゆき「妹は優秀だからな、9点じゃ満足いかないんだろ?」

妹「え、えへへww」

846: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:14:02.38 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「えっと…家では家事とか頑張ってるんだよな?」

妹(い、家のこと…)

妹「は、はい…。えっと…まぁ一応……」

ひろゆき(やっぱり動揺してるな。
     可哀想だが、ここで本音を吐かせないと…)

ひろゆき「じゃあ最後の質問だ。
     お兄さんとの関係はどうなってる?」

妹「え、お、お兄ちゃん…ですか?」

855: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:18:20.81 ID:JmLP+Ou40
妹(ど、どうしよう…)

妹「べ、別に……仲良くやってますよ!
  こ、の間も…二人でお出かけして、それですごく…楽しくて……。
  ヒック…うぅ……ふえぇ…」

ひろゆき「妹、辛いのは分かるが、本当のことを話してくれ」

妹「べ、つに辛いとか…ひくっ!…ないっですし……」

ひろゆき「じゃあなんで泣いてるんだ?妹」

妹「泣いてないです……泣いてないよ…うっ…うわああああああ!」

859: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:21:03.91 ID:JmLP+Ou40
―10分後

ひろゆき「…落ち着いてきたか?」

妹「は、はい…ごめんなさい、取り乱しちゃって……その、私……。
  あの…やっぱり、本当のこと…話さなきゃ駄目なんですか?」

ひろゆき「できるなら、そうしてもらいたいな」

妹「……分かりました…」

妹(やっぱり、先生には隠しとおせないんだ…)

862: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:27:23.66 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「そうか…両親のことがきっかけで……」

妹「で、でも…お父さんとお母さんが死んじゃっただけで、そうなるかなって…。
  あ、あの!」

ひろゆき「どうした?」

妹「わ、私……それでも…ぅぐ…お兄ちゃんのこと、好きです!ひくっ…。
  優しかったお兄ちゃんのこと、私…知ってるから…ヒクッ……」

ひろゆき「妹……」

867: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:34:46.52 ID:JmLP+Ou40
ひろゆき「妹、お前、家を出たほうがいい」

妹「…え?」

ひろゆき「確か、政治家の叔父さんの援助で暮らしてるんだろ?
     それなら、お前も不自由しないはずだ」

妹「い…嫌……。私、お兄ちゃんといますから……」

ひろゆき「しかし…」

妹「嫌です!!!!私、お兄ちゃんと一緒に暮らしたい!!!!!
     これからずっと、私はお兄ちゃんと…ずっと暮らしてくんです!!!!」

ひろゆき「お兄さんは君のことを傷つけてるんだぞ?
     虐待してるんだぞ?
     どうしてそんなにお兄さんと一緒に暮らしたいんだ、妹…」

妹「先生には…先生には分からないよ!!!!
  お父さんとお母さんを亡くした今、
  私にとってお兄ちゃんがどれだけ心強いかなんて!!!!」

ひろゆき「お、おい…妹!!!!」

ガラがラッ…ピシャンッ!

871: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:38:10.47 ID:JmLP+Ou40
妹「ハァ…ハァ……」

ひろゆき『確か、政治家の叔父さんの援助で暮らしてるんだろ?
     それなら、お前も不自由しないはずだ』

妹「ハァ…ひくっ……うぅ…ん…ハァ、ハァ…」

ひろゆき『お兄さんは君のことを傷つけてるんだぞ?
     虐待してるんだぞ?
     どうしてそんなにお兄さんと一緒に暮らしたいんだ、妹…』

妹「ハァ…ハァ……きゃっ!」

ドサッ

妹「いった……うぅ…ヒグッ…!」

妹(どうして私ばかりこんなに辛い思いしなくちゃいけないの……!!!)

881: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:52:27.46 ID:JmLP+Ou40
ガチャッ..

妹「ただいまー…。あれ?お兄ちゃん帰ってきてない…」

妹(なんか今日はご飯作る気なくなっちゃった……。
  店屋物でいいかな……)


―1時間後

ガチャッ

妹「あ、お兄ちゃん、おかえり―」

妹(何これ…お酒臭っ!!!)

兄「おーい妹ーーー!!!!!!
  酒出せ酒ーーーー!!!!!!」

妹「さ、酒って…。お兄ちゃん、もう随分酔って…」

兄「酔ってねーよばーか粕!!!!!!!
  とっととださねーと打ち殺すぞーーーー!!!!!」

妹「わ、分かったよ…」

884: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 19:55:15.01 ID:JmLP+Ou40
兄「うー…ひっく!!!あーくまじくそうめーwwwwwww」

妹「お兄ちゃん、これ以上呑むと体が…」

兄「あぁん!?俺に指図するってーのかあああ!?!?」

妹「そ、そういうわけじゃ―」

バシッ

妹「きゃっ!い、ったー――」

兄「悪い子にはお仕置きですよーwwwwwひゃひゃひゃwwwww」

ジョバーーーッ...

妹「つめた…!や、お酒かけないで……!」

兄「うっせー黙れこの糞アマが!!!!!!!!」

ドカッ

妹「つっ……」

887: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:01:20.60 ID:JmLP+Ou40
兄「しばらく出来の悪ぃ子は外にでも出てな!!!!!!!」

ガチャッ カチッ(鍵を閉める音)

妹「やだ!!!!お兄ちゃん開けてよ!!!!!!」

妹(寒い……お酒かけられたから、余計に冷たいよ……」

妹「…お父さん、お母さん……私も、そっちに行っちゃ…駄目ですか?」

894: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:06:26.46 ID:JmLP+Ou40
―三時間後

妹「へっくちゅ!ぐじゅ……」

妹(手足の感覚がないよ…寒い……)

妹「お兄ちゃん、もう寝たかな?
  こんなときに備えて、鍵常備しといて良かった……」

ガチャリ..キィィィ...

兄「Zzzzzzz...」

妹「良かった…寝てる」

898: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:09:07.13 ID:JmLP+Ou40
兄「Zzzzzz...」

妹「えいしょ…毛布っと……」

妹(風邪ひいたら、困るもんね…)

妹「9時過ぎか…早くお風呂入って寝よう……」

901: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:11:52.23 ID:JmLP+Ou40
―次の日

妹「もしもし、おばあちゃん?私、妹だよ。…………うん、久しぶり。
  ……しばらく、そっちの家に行ってもいいかなって思って…。
  …………うん、そんなに長居はしないから、駄目かな?
  ……ありがと、じゃあ今から支度して、早速行くね」

ガチャンッ

妹(お兄ちゃん、ごめん…。
  私ちょっとだけ、家を出るね……)

906: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:16:52.70 ID:JmLP+Ou40
アナウンス「まもなく、●●駅です。右側のドアが開きます」

妹(もう去年の法事以来だけど、ここも相変わらず変わってないなー…。
  千葉って、実はこんなに田舎なんだな)

妹「おばあちゃん、元気だといいけど…」

909: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:20:14.79 ID:JmLP+Ou40
祖母「ふー…。そろそろ妹が来るかな?」

妹「おばあちゃーーん!!」

祖母「おやおや、妹。まーこんなに大きくなって…!
   来年にはおばあちゃんの背を抜かしちゃうかもねー…」

妹「ごめんね、朝いきなり電話しちゃって…」

祖母「いいのよ、わたしゃ…。それより、学校には連絡したの?」

妹「うん…。田舎のおばあちゃんが危篤ですって言っておいたwww」

祖母「こら!勝手に人を危篤にするんじゃないよ!」

妹「えへへwwwごめんなさーい」

914: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:26:29.30 ID:JmLP+Ou40
妹「あ、落花生だ!こんなにたくさん実ってる…」

祖母「秋が終わるとちょうど食べごろだよ。
   今朝取った分があるから、食べようか?」

妹「ほんと!?わー、やった!」



妹「……なんで落花生がこんなにふにゃふにゃなの…?」

祖母「そりゃあ茹でてあるからだよ」

妹「なんで落花生を茹でるの?落花生はカリカリのピーナッツじゃないの?」

祖母「まぁまぁ、食べてみなさい。とても美味しいからねー」

妹「う、うん…。……お、美味しい!!」

祖母「でしょう?お塩と一緒に茹でてるのよ。
   これは静岡の一部でしか食べないやり方でね、おじいちゃんが静岡出身だからよくやったもんさ」

妹「ねー、これ全部食べてもいい?」

祖母「どうぞお食べ」

妹「やったああ!!」

妹(おばあちゃんの家来て、本当に良かった…)

922: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:30:06.32 ID:JmLP+Ou40
妹「わー…」

妹(すごい自然がいっぱいだな。
  都会から一歩外に出れば、こんなに綺麗な風景が広がるんだ…)

祖母「妹、喉渇いただろ?温かいお茶だよ」

妹「ありがと、おばあちゃん。あちちっ……」

祖母「こらこら、舌を火傷しちゃいけないよ?」

妹「うん、ごめんねww」

933: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:37:24.37 ID:JmLP+Ou40
祖母「ところでまた、どうして急にここに来たんだい?」

妹「!!!…えっとう……」

祖母「何か理由があるんだろう?
   遠慮せずに、おばあちゃんに話してごらん」

妹「……昨日、お兄ちゃんが泥酔した状態で帰ってきたの…」

祖母「うんうん」

妹「それでね…私たくさんぶたれて蹴られてね…ヒクッ…、
  お酒…かけらっれて…ぅ……そのまま外、出され、て……ヒクッ…」

祖母「そうだったのかい…。ごめんね、おばあちゃんがもっと早くなんとかしてれば…」

妹「ううん、違うの…。お兄ちゃんも、お酒入ってたからしょうがないの……うぅ…。
  私、お兄ちゃんのことそれでも好きだから……」

940: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:41:51.44 ID:JmLP+Ou40
祖母「そうだね…うんうん、おばあちゃんも兄のこと大好きだよ。
   しばらくゆっくりしておけばいいさ、別に」

妹「ありがとう、おばあちゃん……」

妹(これはちょっとした休憩なんだ…。3日もしたら帰ろう)

948: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:47:00.44 ID:JmLP+Ou40
妹「ねぇ、おばあちゃん…」

祖母「なんだい?」

妹「お兄ちゃん、なんであんなに変わっちゃったのかな…。
  私、お父さんとお母さんが死んだだけで、あんなに人は変わらないと思う……」

祖母「……本当のこと、知りたいかい?」

妹「本当の…こと?」

祖母「妹には言いづらかったことなんだけど…。
   それでもいいなら、おばあちゃんは言うよ」

妹「……聞きたい、おばあちゃん」

961: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:52:51.64 ID:JmLP+Ou40
祖母「まだお父さんとお母さんが死んですぐのとき、
   兄はどうだったかい?」

妹「…毎日、私のためにご飯作ってくれたり、掃除してくれたりした……」

祖母「そうなんだよ。そのために、進学塾もやめたんだ」

妹「え、そうなの!?」

祖母「妹には黙っていたみたいだけどね…。
   無理に気ぃ使わせないようにしたんだろうね、あの子なりに。
   妹は優しいから、『お兄ちゃんは塾で勉強してきて』って言うと思っていたんだろう」

妹「……それで?」

祖母「…そして、兄はどんどん成績が悪くなっていったんだ。
   塾をやめて、家のことをやっていたからね」

妹「………」

祖母「なんでも、すんごく頭のいい進学校を受ける予定だったらしいけど、
   それもあきらめちゃったらしいんだ…」

妹「……そうだったの…」

968: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 20:56:19.68 ID:JmLP+Ou40
祖母「実はね、兄もおばあちゃんの家に来たときがあったんだよ?」

妹「お兄ちゃんが?」

祖母「うん、そうだよ。
   『俺はこれからどうすればいいのかな』ってねえ。
   随分傷心していたよ…。
   兄の成績が悪くなった途端、教師も兄を相手にしなくなったらしくて……」

妹「そんな…ひどいよ……」

980: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:01:10.12 ID:JmLP+Ou40
祖母「本当、冷たい世の中になったもんだよ…。
   おばあちゃんが兄や妹くらいのときは、勉強なんて二の次で、
   本業は遊びと家の手伝いだったさ。
   今は時代が違うのかもしれんけどね、さすがにおばあちゃんも許せなかった…」

妹「…………」

祖母「それから、兄は悪い人たちとつるむようになったんだろうね…。
   おばあちゃんもこの家を離れられないから、現状がよく分からなかった。
   ごめんね、妹……」

妹「おばあちゃんは、悪くないよ……私が悪いの………」

祖母「どうしてだい?」

妹「だって…だって私がいなければ!!!
  私がお父さんとお母さんが死んだからってお兄ちゃんに甘えていなければ、
  お兄ちゃんは頭のいい学校に行けたじゃん!!!!
  もっと、私がしっかりしていれば……」

10: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:07:06.51 ID:JmLP+Ou40
祖母「妹……」

妹「……私が悪かったんだ…。全部、私が…」

祖母「それは違うよ、妹…」

妹「どこが違うのよ…!!!!!
  私が今みたいに家事してれば、お兄ちゃんも塾行けたんだ…!!!!!
  そうすれば友ちゃんとも絶交せずに済んだ。
  先生とお姉さんに無駄な心配かけずにすんだ。
  これのどこが私のせいじゃないっていうのよ…!!!!」

祖母「妹、気をしっかり持ちなさい!!!!!」

妹「!!!」

祖母「あんたが取り乱しちゃ駄目じゃないか!!!
   とにかく、しばらくはここに落ち着くんだよ、いいね?」

妹「……分かった」

祖母「おばあちゃんは畑に行ってくるから、何かあったら呼ぶんだよ」

ガラガラ..ピシャン

18: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:11:26.98 ID:JmLP+Ou40
妹(お兄ちゃん、今どうしてるかな…。
  ちゃんとご飯食べれてるかな………)

祖母「ほら、妹が好きな鯖の味噌煮だよ」

妹「ありがとう、おばあちゃん」

祖母「たくさん食べなさいね、栄養つけないとのたれ死ぬよ?」

妹「死なないよ!もう……おばあちゃんたら」

祖母「んふふふ」

祖母(やっと妹のいつものペースが戻ってきたねえ。良かった良かった)

23: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:14:39.07 ID:JmLP+Ou40
―三日後

妹「えいしょっと……」

祖母「もう帰って大丈夫?忘れ物はないかい?
   どうせなら駅まで送っていったほうが……」

妹「大丈夫だよ!おばあちゃん心配しすぎだって」

祖母「でもねー…やっぱり心配だし」

妹「何かあったら、おまわりさんに助けてもらうから安心して。
  ……それじゃあ、またね」

祖母「うん…またいつでも来なさいね」

妹「もちろんだよ!ありがとう、おばあちゃん。それじゃあ…」

祖母「気をつけなさいね」

ガラガラ..ピシャン

41: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:21:36.88 ID:JmLP+Ou40
妹「ただいま…」

妹(……お兄ちゃん、いる…)

兄「ぎゃっははははははwwwwwww
  なんだこの漫才師糞おもれーwwwwwww」

妹「あ、の…お兄ちゃん、ただいま……」

兄「おー妹じゃねーかwwwww
  てめーどこ行ってたんだよwwwwww」

妹「ご、ごめんなさい…その、おばあちゃんの所に…」

兄「…おばあちゃんって、千葉のか?」

妹「そ、そうだけど……」

兄「へー…wwwwwあのババア、まだ生きてたのなwwwww」

妹「そんな言い方ないでしょ!!!!!!」

兄「…は?」

妹(や、やば……)

53: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:24:50.66 ID:JmLP+Ou40
兄「てめー、誰にもの言ってんだよ、あぁん?」

妹「ご、ごめんなさい!!!」

兄「今更おせーってーのーーー」

ボガッ

妹「あぅ…いっつ……」

ゲシッドカッ

妹「や…痛い!!!やめてお兄ちゃん痛いよ…!!!!」

兄「おめーまじ目障りなんだよ!!!!!!
  俺が今までどんな思いしてきたのか分かってんのか糞!!!!!!」

妹「ごめんなさい私が全部悪かったです…!!!いたっ!!!
  痛いお願い!!!やめて…!!!!」

59: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:28:48.95 ID:JmLP+Ou40
妹「あ…うぅ……ぐッ…」

兄「苦しいか?苦しいよなぁwwww
  俺はもーっと苦しかったんだよwwwwwwww」

妹「ごめ……なさ………」

兄「…ッ!!!うっせー!!!!」

ドガッ

妹「うっ!!!!!くっ…カハッ…」

62: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:30:39.23 ID:JmLP+Ou40
グッ(妹の腕を引っ張る)

妹「いたッ…」

兄「スパー……なぁ、煙草の火って何度あるか知ってるか?www
  700度だってよwwwww」

妹「……え?」

兄「これ当てたら熱ぃだろーなーwwwww」

妹「…やめて、お兄ちゃん」

兄「根性焼きっつーの、初めてやるなwwwww
  さーてどれどれwwww」

妹「やめて…嫌…!」

兄「せーのーで!」

妹「いやあああああ!!!!」

ジューッ......

73: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:33:41.05 ID:JmLP+Ou40
妹「やあああ!!!熱い熱いやだ放して!!!!!」

ダッ...

ジャーッ.....(水道)

妹「あ、熱い…痛いよ……」

兄「チッ…。逃げやがって糞アマが」

妹「………」

兄「あー気分わりー!!!!!!!
  香織んとこ行ってくっかなー?wwwwww」

ガチャッ....バタン

 

93: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:38:48.65 ID:JmLP+Ou40
妹「これでいいかな…」

妹(とりあえず氷で冷やしたけど…まだひりひりするよ……)

妹「なんか、ものすごく疲れた…。
  ちょっと寝よう…」



プルルルルル プルルルルル

妹(ん…電話?)

妹「もしもし……。はい、そうですが。
  ……え、お兄ちゃんが!?!?……分かりました、すぐに行きます!!!!」

112: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:42:09.43 ID:JmLP+Ou40
妹「お兄ちゃん!!!!!」

医者「妹さんですか?」

妹「ねぇ、お兄ちゃんは!?!?お兄ちゃんはどうなったんですか!?!?」

医者「横断歩道を信号無視した軽自動車にはねられたみたいでね…。
   幸いスピードもそれほど出てなかったし、
   右足首の骨折で済んだよ」

妹「お、お兄ちゃんはどこなんですか!?」

医者「しーっ…。ここは病院だ。
   心配なのは分かるが、心を落ち着かせて、ね?」

妹「…ごめんなさい」

133: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:47:48.60 ID:JmLP+Ou40
看護師1「先生!!!!!!」

医者「なんだ、どうした?」

看護師2「ただ今処置中の腹部の切り傷の出血がひどくて治まりません。
    内臓に傷がついている恐れがあります」

医者「本当か?今すぐ処置しよう」

妹「あの、先生……兄は?」

医者「大丈夫、ちょっと待ってて。おい、この子を案内してあげて」

看護師2「分かりました。さぁ、こちらへおいで」

妹「う、うん……」

145: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:52:15.45 ID:JmLP+Ou40
―10分後

医者「おい、妹さんはいるか!?」

看護師2「え、えぇ…ここに」

医者「君、自分の血液型は分かるかい?」

妹「え?血液型…?えっと…確かAです……」

医者「くそ…A型か……」

看護師2「もしかして…輸血が必要ですか?」

医者「あぁ…しかし、昨日の高速道路での大事故で消費してしまって、
   補充してあったAB型の血液がないんだ。
   仕方がない、ほかの病院へ連絡をとろう」

妹(え、何?どうなってるの?)

 

153: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 21:55:50.26 ID:JmLP+Ou40
妹「お兄ちゃん……」

看護師2「大丈夫よ、先生が今治してくれるからね」

妹「うん………」

妹(お兄ちゃん…絶対に死んじゃやだよ……)

171: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:00:36.59 ID:JmLP+Ou40
―数時間後

医者「妹さん、いるかい?」

妹「は、はい!先生、お兄ちゃんは!?」

医者「今は集中治療室っていうところにいるよ。
   でも集中治療室は、いくら兄妹でも子どもは入っちゃいけない決まりなんだ…。
   明日には出れると思うから、今日はおうちに帰れるかい?」

妹「え?そんな…」

医者「ごめんね、決まりなんだ……」

妹「…分かりました」

医者「ところで、おうちの人は?」

看護師2「身元を調べたところ、お兄さんと妹さんの二人暮らしだそうで、
     今叔父に当たる人物が迎えに来てくれるとの連絡が…」

医者「そうか、良かった…。それじゃあ、しばらく待っていようか」

189: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:05:57.93 ID:JmLP+Ou40
―10分後

叔父「妹!?!?」

妹「叔父さん!お久しぶりです」

叔父「お兄さんの容態は今お医者さんに聞いてきたよ。
   とりあえず、今日は叔父さんの家に泊まって、ね?」

妹「は、はい…」

198: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:08:32.16 ID:JmLP+Ou40
―次の日

妹「あの…兄は何号室か分かりますか?」

看護師「兄さんですね……305号室です」

妹「ありがとうございます!」

妹(お兄ちゃん、元気かな…」

コンコン...

兄「はい」

妹「お兄ちゃん?妹だけど…」

兄「妹…!?…入れよ」

妹「う、うん…失礼します」

209: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:11:49.27 ID:JmLP+Ou40
妹「はい、これ叔父さんがメロンくれたの。
  今切るね」

兄「………」

妹「午後から叔父さんと叔母さん来るみたい。
  私は午後から学校行くから、また帰りに寄るね」

兄「……おめーさ、実は『ざまぁみろww』とか思ってるだろ?」

妹「え…?」

兄「いっつもいっつもひでーことされてさ、
  こんな無様な姿になってwwwww
  内心すげー喜んでるだろwwwwwwww」

妹「…どうしてそんなこと言うの?」

兄「は?まじそういう反応うぜーからwwwww
  黙ってメロン切ってろっつーのwwww」

妹「…うん」

215: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:13:37.95 ID:JmLP+Ou40
妹「それじゃあ、私そろそろ行くね。
  何か買ってきてほしいものとかある?」

兄「あ?じゃあ酒と煙草」

妹「駄目だよ…しばらく我慢して、お願いだから」

兄「は?まじくそうぜーんだけど……」

妹「それじゃ、私行くね。また夕方来るから」

ガラガラッ....

225: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:17:48.24 ID:JmLP+Ou40
―しばらく兄の見舞いに通い続ける兄
    つっぱっている兄も、無意識に妹を頼るようになる

兄「ちょっとそこの雑誌取ってくんねー?」

妹「うん、はいこれ」

兄「あーサンキュ」

妹(お兄ちゃんがお礼言ってくれるなんて、いつぶりだろ…。
  どうでもいいことかもしれないけど、すごく嬉しいや)

妹「あ、お水切れてるね。
  自販機行って買ってくる」

245: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:23:44.23 ID:JmLP+Ou40
妹「えっと…305号室はっと…」

妹(わ…いつもの自販機じゃなくて別の場所行ったから迷っちゃったよー…)

看護師4「あら、あなた妹ちゃんじゃない?」

妹「え?あ、そうですけど…」

看護師4「毎日お見舞いご苦労様ね。
     ところで、うろうろしてどうしたの?」

妹「あの…305号室が分からなくて…」

看護師4「あら、それならここ曲がってすぐよ。
     今看板が壊れちゃって回収してるから、ごめんなさいね」

妹「いえ、ありがとうございました」

250: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:26:16.46 ID:JmLP+Ou40
妹「それじゃあお兄ちゃん、また明日来るね」

ガラガラッ…

妹(今日はお夕飯どうしよう…。
  あれ?看護師さんが立ち話しちゃってる……)

看護師4「え!!じゃあ妹ちゃんとそのお兄さんは……」

看護師5「そうなのよ…。その日常勤だったナースが身元確認のときに見つけたらしくて」

看護師6「私も見た見た!亡くなった父親がA型で妻がO型なのに、AB型の息子なんて生まれるわけないものね」

看護師5「まぁ、今の世の中、珍しくないんじゃないの?『異母兄妹』なんて」

妹(異妹兄弟…って、お母さんが違う兄妹ってこと!?)

妹「嘘だ……」

264: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:30:49.49 ID:JmLP+Ou40
妹「ハァ…ハァ……やっと着いた…」

ピンポーン

叔母「はい、どちらさまー?」

妹「あの、妹です!!!」

叔母「あら、妹ちゃん?ちょっと待ってて」

ガチャッ

叔母「どうしたの妹ちゃん?」

妹「叔父さんどこですか!?今すぐ叔父さんに会わせて下さい!!」

叔母「え?叔父さん?それならリビングに…」

妹「お邪魔させてもらいます!!」

叔母「え?ちょっと…妹ちゃんどうしたの!?」

272: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:34:05.60 ID:JmLP+Ou40
妹「叔父さん!!!!!」

叔父「あれ?妹ちゃんじゃないか。どうしたんだ突然…」

妹「本当のことを教えてください」

叔父「なんのことだい妹ちゃん…」

妹「叔父さん、お父さんのお兄さんなんでしょ!?!?
  私とお兄ちゃんが異母兄弟って、知ってるはずでしょ!?!?」

叔父「そ、それをどこで…」

妹「看護師さんが話してるの、私、聞いちゃったの…。
  どういうことか、全部話してよ…。
  私だけ知らないなんて、納得、いかないよ…」

叔父「とにかく落ち着いて妹ちゃん…」

妹「落ち着いてなんかいられないよ!!
  お願い、全部話して!!!!」

叔父「……分かった、いつかは全て話そうと思ってたからな…。
   そこに座って」

291: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:41:17.07 ID:JmLP+Ou40
叔父「君のお兄さんは、実は君のお父さんと愛人…つまり浮気相手との間に出来た子供でね」

妹「お父さんが浮気…?」

叔父「うん…。相手は子どもを産んでから行方が分からなくなったみたいだけどね。
   お父さんはお母さんに責められたけど、
   お兄さんを捨てるわけにもいかないだろ?
   お母さんは渋々お兄さんを育てることにしたんだ。
   次第にお母さんも、お兄さんを自分の子どもみたいに大切にしてね、
   叔父さんの家にも三人で遊びにきたりしてたよ」

妹「そのあと、私が産まれたの?」

叔父「あぁ、お兄さんが小学校に入学するかしないかくらいかな?
   こういう言い方はよくないんだろうけど…
   お母さんは今度は妹ちゃんばかり可愛がるようになって、
   お兄さんを邪魔者扱いするようになったんだ。
   それがだんだんエスカレートしていって…
   虐待にいたった」

妹「そんな…私、そんなの全然知らなかった……」

299: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:47:17.22 ID:JmLP+Ou40
叔父「妹ちゃんには精一杯隠していた様子だった。
   だから妹ちゃんは知らなかったんだろうね……」

妹「でも…だったら逃げればいいじゃん!!
  お母さんのところじゃなくて、ほかの施設みたいなとことか…」

叔父「周りも、今の妹ちゃんと同じことを言ったんだよ。
   叔父さんも実はそう言ったんだ。
   お母さんを通報するわけにはいかないだろう?
   だけどね、お兄さんは拒んだんだ。
   『僕はそれでもお母さんが好き』って…」

妹(わ、私と…同じ……?)

叔父「お兄さんは小学校に入って、お母さんにまた振り向いてもらえるようにって、
   たくさん勉強をしたみたいでね。
   ほとんどのテストを満点とってきたんだ。
   お母さんの虐待は減らなかったけど、
   それでもめげずに…。もう見ていられなかった……。
   叔父さんの家に来るように説得しても、お兄さんは来なかった」

妹「……………」

叔父「その後、お父さんとお母さんは亡くなった。
   これが全てだよ」

妹「私……知らなかった……
  何も知らずに今までのうのうと生きてたんだ……」

叔父「妹ちゃんが自分を責める必要性はないよ」

305: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:49:56.72 ID:JmLP+Ou40
妹「お兄ちゃんが…私に暴力を振るう本当の理由は…
  これだったんだ……」

叔父「暴力?どういうことだい妹ちゃん?」

妹「!!な、なんでもないです……」

叔父「駄目だ妹ちゃん、隠し事しないで、全て叔父さんに話してみなさい」

妹「いえ、本当に何も……」

叔父「妹ちゃん!お願いだ、これ以上被害を増やしたくないんだ……。
   もう、叔父さんも辛いのは嫌なんだ…」

妹「……分かりました、全て…話します……」

317: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:55:02.15 ID:JmLP+Ou40
叔父「なんてことだ…妹ちゃんまでお兄さんから……」

妹「でも、私、それでもお兄ちゃんが大好きなんです……!」

叔父「妹ちゃん…」

妹「いつか、お兄ちゃんが前みたいに優しくなってくれるって信じてます。
  本当に私のことが嫌いなら、
  あんなに優しくしてくれなんて、しないはずだもん…」

叔父「…叔父さんも信じるよ。
   まずは、お兄さんの早い回復を祈ろうか」

妹「はい…。あの、ありがとうございました」

叔父「いや、今まで黙っていたこっちが悪かった」

319: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:55:21.11 ID:JmLP+Ou40
妹「そんなことないです、おかげですっきりしました…。
  それじゃあ、今日はお邪魔します」

叔父「それじゃあ送っていくよ」

妹「いえ、まだ明るいし、大丈夫です」

叔父「そうか?無理しなくていいぞ」

妹「本当に大丈夫ですから」

叔父「…何かあったら、叔父さんの家に連絡するんだよ?」

妹「はい、本当にありがとうございました。それじゃあ…」

ガチャッ...バタン

327: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 22:58:31.89 ID:JmLP+Ou40
妹「う、うぅ……」

妹(お兄ちゃんに、会わせる顔がないよ……。
  お兄ちゃんが私に暴力振るのも、仕方ないよ……)

妹「ぐすっ…うぅ……」




妹「Zzzzz....」

ジリリリリリリリ

妹「ん…朝?やば、学校……」

妹(なんだか今日は気分が悪いな…。
  休ませてもらおう)

336: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/19(水) 23:02:24.10 ID:JmLP+Ou40
プルルルルルル プルルッガチャッ

ひろゆき『もしもし、●●小学校です』

妹「もしもし、朝早くにすみません。
  5年の妹ですが……」

ひろゆき『妹!?』

妹「は、はい…。もしかして、ひろゆき先生ですか?」

ひろゆき『おう、先生だ。今日はどうした?』

妹「ちょっといろいろあって…。
  気分悪いんで、休みたいんですが……」

ひろゆき『そうか、それならゆっくり休むといい』

妹「すみません、ありがとうございます。それでは…」

ひろゆき『あ、ちょっと待ってくれ。
     今日、夕方家に伺ってもいいか?』

妹「え、家ですか?……はい、私も先生に話すことあるんで」

ひろゆき『そうか、分かった…。それじゃあお大事に』

妹「はい、それじゃあ…」

535: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 19:54:18.27 ID:Dr9L5FBH0
―夕方

ピンポーン

妹「先生だ…はい」

ひろゆき「よう、妹。調子はどうだ?」

妹「あ、一日休んだら結構良くなりました。
  あの、とりあえずあがってください」

ひろゆき「ありがとう、お邪魔します」



妹「先生、お茶です」

ひろゆき「おー、いちいちすまないな、気を使わせてしまって…」

妹「いえ、これくらい当然ですから。
  ……あの、先生…、今朝言った話のことなんですけど…」

ひろゆき「あー、妹が先生の話したいことだろ?」

妹「……少し、長くなるんですけど…。
  それに、私自身、頭が混乱してて……」

ひろゆき「ゆっくりでいいぞ」

妹「ありがとうございます…」

543: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 19:58:44.97 ID:Dr9L5FBH0
ひろゆき「妹とお兄さんが……異母兄弟?」

妹「はい……。お兄ちゃんが事故して身元確認?とかいうのをして…。
  それで…うっ……」

ひろゆき「大丈夫だ、落ち着いて」

妹「私のせいで、お兄ちゃん…今まで辛くて……」

ひろゆき「妹のせいじゃない。お兄さんの妹に対する仕打ちの方が全然ひどい」

妹「うっ…でも…」

ひろゆき「でも…じゃない。妹は何も悪くないんだ。
     お兄さんも、妹に対する仕打ちはとても許せるものではないが、
     その理由に関してはお兄さんも悪くない」

妹「うっうぅ…先生、ほんと、いろいろ優しいんですね……」

ひろゆき「もちろんだ、先生は妹の味方だぞ?」

妹「えへへ…。本当に頼りになります……」

544: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 19:59:11.84 ID:Dr9L5FBH0
ひろゆき「妹とお兄さんが……異母兄弟?」

妹「はい……。お兄ちゃんが事故して身元確認?とかいうのをして…。
  それで…うっ……」

ひろゆき「大丈夫だ、落ち着いて」

妹「私のせいで、お兄ちゃん…今まで辛くて……」

ひろゆき「妹のせいじゃない。お兄さんの妹に対する仕打ちの方が全然ひどい」

妹「うっ…でも…」

ひろゆき「でも…じゃない。妹は何も悪くないんだ。
     お兄さんも、妹に対する仕打ちはとても許せるものではないが、
     その理由に関してはお兄さんも悪くない」

妹「うっうぅ…先生、ほんと、いろいろ優しいんですね……」

ひろゆき「もちろんだ、先生は妹の味方だぞ?」

妹「えへへ…。本当に頼りになります……」

546: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 19:59:57.86 ID:Dr9L5FBH0
連投してしまった、すまないorz

554: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:07:55.70 ID:Dr9L5FBH0
ひろゆき「おっと…もうこんな時間だ」

妹「あ、本当だ…」

ひろゆき「妹、毎日家に一人でいるのか?」

妹「そうですけど……」

ひろゆき「こんな物騒なのに…。叔父さんいるんだろ?」

妹「でも…叔父さんの家、学校から結構遠いし……」

ひろゆき「そこら辺はこっちがカバーする。
     妹は叔父さんの家に行ったほうがいい」

妹「……実は、叔父さんに言われたんです、同じこと」

ひろゆき「え?だったらなおさら―」

555: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:08:15.60 ID:Dr9L5FBH0
妹「でも、今叔母さんのお腹に赤ちゃんいて、もう今月中に生まれるかもしれないんです。
  だから、ご厄介になるわけにいかないし、
  それに、叔父さんの家、子どもが5人いて、
  私なんか迷惑だし……」

ひろゆき「しかし…」

妹「大丈夫ですから、ほんと…」

ひろゆき「…分かった。これ、先生の携帯の番号だから、
     何かあったらすぐに電話するんだぞ?先生との約束な」

妹「ありがと、先生!あ、もう7時近いですよ?」

ひろゆき「そうだな。それじゃあそろそろ帰るよ」

妹「はい、先生おやすみなさい」

ひろゆき「あぁ、おやすみ」

バタンッ...

560: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:13:07.09 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

妹(お兄ちゃんに、どういう顔して会ったらいいんだろ……)

妹「あー、なんか病室に入りづらい……」

兄「あれ、妹?」

妹「!?!?お、お兄ちゃん!?」

妹(どうして後ろに……)

兄「飲み物買いに言ってたんだ。
  …てめーこそ、とっとと入れば?」

妹「あ、うん、そうだね!」

妹(ちゃ、ちゃんと会話できてる…よね?)

562: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:19:07.02 ID:Dr9L5FBH0
兄「あーまじかったりぃ……」

ピロロロロロ ピロロロロロ

妹「!?!?!?ち、着信音…!?」

兄「あ、香織だ」

妹「ちょっと、お兄ちゃん!!!
  なんで病院に携帯電話があるの!?!?」

兄「別にいいじゃん」

妹「よくない!!貸して!!!!」

バッ

妹「もう………」

兄「っ…てめー、ふざけんなよ……」

妹「え…!?」

妹(やばい…ぶたれる!!!)

563: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:19:36.72 ID:Dr9L5FBH0
妹「っ…………」

兄「……俺、まだ何もやってねーけど」

妹「………………」

兄「なんで、しゃがみこむんだよ…」

妹「ごめんなさいごめんなさい!!!私が悪かったです!!!!!」

兄「お、おい…妹?」

妹「ぶたないで!!!お願いだから!!!!!やめてお兄ちゃん…!!!」

兄「い、もうと………?」

567: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:22:37.02 ID:Dr9L5FBH0
妹「………っ。…え?」

兄「妹…?」

妹「あ、わ、私何やってるんだろww
  馬鹿だなー、私……ww」

兄「………妹…」

妹「あ!お花の水変えないと!!!水道行ってくるね!」

ガラガラッ ピシャンッ...

兄「……俺、何やってんだろ…」

573: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:26:05.52 ID:Dr9L5FBH0
―二週間後

妹「お兄ちゃん、大丈夫?」

兄「は?一人で歩けるから、触らないでくんね?」

妹「ご、ごめん…。でも、荷物くらいは…」

兄「てめーなんかに頼るかよ、糞が」

妹(入院してたときは、頼ってたくせに……)

兄「あー、煙草吸いてー!!!
  何かと医者から口うるさく言われてたからな」

妹「………」

578: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:29:09.22 ID:Dr9L5FBH0
妹「お、お兄ちゃん…何か食べる?」

兄「いらねー」

妹「そ、そう……」

妹(やっぱりそっけない…。
  入院中は単なる一時的な甘えだったんだ……)

兄「おい、とっとと酒とつまみ作れや」

妹「お酒は…駄目だよ記号…」

兄「……くそっ」

妹(あ、あれ?怒ってこない……)

587: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:33:22.05 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

妹(今日は午前中授業って、お兄ちゃんに言い忘れちゃったな…)

妹「ただいまー。お、お兄ちゃんいる?」

兄「あっはははははははwwwwwwwwww」

妹「お兄ちゃん…?」

兄友1「てめーと呑むのとか、超久々じゃね?wwwwwww」

兄「だよなwwwwwあーまじうめーwwwwwwww」

妹(あ、あのお兄ちゃんの友達のうちの1人だ…!!!)

591: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:37:25.73 ID:Dr9L5FBH0
兄「だははwwwww…あれ?い、妹!?」

兄友1「は?妹学校じゃなかったのかよwwwww」

妹「!!…ご、ごめんなさい…。
  今日、午前中授業なの、忘れちゃって……」

兄「ふうんwwwww
  まぁ関係ねーからいいけどwwwwww」

妹「……あ、あの…。
  お兄ちゃん、あまり昼間からお酒は………」

兄友1「お?妹ちゃんも言うようになったなwwwwww
    お兄ちゃんにぶたれちゃうよー?wwwww」

妹「……っ」

592: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:40:23.15 ID:Dr9L5FBH0
兄「うっせーなwwwwてめーはちょっと黙ってろやwwwwwww」

兄友1「フヒヒwwwwサーセンwwwwww」

兄「妹、今日はこれだけしか呑んでねーよwwwwww」

妹「こ、これだけって…?」

妹(缶ビール2本だけ……)

兄「ほかは全部こいつwwwwww
  テンションあがってるのは、久々にダチと呑んでるからwwwwwww」

兄友1「あーもう俺二日酔い決定だわwwwwwww」

妹「う、うん……分かった………。
  もうあまり呑んじゃ駄目だよ…?」

兄「わーってるwwwwwwwてめーは宿題でもしてれば?wwwww」

598: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:43:27.58 ID:Dr9L5FBH0
妹「……ん…」

妹(あ、やば…。宿題しながら寝ちゃった……)

妹「もう外暗いな…。6時半か。
  そろそろご飯作らなきゃ」




兄「Zzzzzzzz....」

兄友1「Zzzzzzzz....」

妹「あ、お兄ちゃんたち、寝てる…」

妹(もう、風邪引いちゃうよ……)

バサッ

妹「これでよしっと…。
  今日は何作ろうかな、冷蔵庫に何あったっけ?」

バタンッ

兄「…………」

605: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:46:32.32 ID:Dr9L5FBH0
―数時間後

兄友1「うえー…気持ちわりぃ……」

妹「あ、の…大丈夫ですか?これ、お薬です……」

兄友1「あー、なんとか…。サンキュwwww
    妹ちゃん、いい嫁さんになるぜwwwwwww」

兄「いいからとっとと帰れ糞野郎。明日学校でな」

兄友1「あいよーwwwwww」

バタンッ

妹「え、がっ学校!?!?」

兄「あ?なんかおかしいかよ」

妹「う、ううん…別に……」

妹(学校なんて…。いつ振りなのかな?)

607: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:48:50.18 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

兄「じゃー行ってくるから」

妹「う、うん…。いってらっしゃい」

バタンッ

妹(こうやって、制服姿のお兄ちゃん見送るのなんて、
  何ヶ月ぶりなんだろう……)

妹「あ、いけない、のほほんとしてる場合じゃなかった!
  遅刻しちゃう」

ガチャッ..バタンッ

610: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:52:03.50 ID:Dr9L5FBH0
ガチャッ...

兄「…………」

妹「あ、お兄ちゃん、おかえりなさい。
  ちょうどご飯できたよ!今日はおでんだから」

兄「………あー」




妹「いただきます」

兄「…………」

妹「き、去年以来だけど…ど、どう…?」

兄「あ?糞まずい」

妹「……のわりにはよく食べるね…」

兄「うっせーな糞アマ。黙って食えや」

妹「ご、ごめんなさい……」

612: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:56:21.41 ID:Dr9L5FBH0
妹(なんか、最近お兄ちゃんが優しいな…。
  まだちょっと溝がある感じもするけど、
  前のお兄ちゃんに戻ってくれるのも、時間の問題…かな?)




―次の日

妹「お、にいちゃん、おはよ!足の調子はどう?」

兄「普通」

妹「そ、そっか!はい、これ朝ごはんだから、たくさん食べてね」

兄「たくさん食うほどのもんじゃねーし」

妹「あ、そうだよね…。うん」

妹(まだちょっと言葉がきついけど…。
  暴力が一切なくなった……)

613: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 20:56:41.80 ID:Dr9L5FBH0
ピンポーン...

?「おーい!!!兄とっとと来いよー!!!!!」

妹「あれ?お兄ちゃんの友達?」

兄「あーそんなもん。それじゃ」

妹「え、今日は学校……」

兄「いかねー。明日行く」

妹「そ、そう…。いってらっしゃい」

バタンッ

618: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:01:35.58 ID:Dr9L5FBH0
―保健室

保健医「ひろゆき先生から全部聞いたわ。
    …その後、お兄さんとはどう?」

妹「あ…の、心なしか、お兄ちゃんが少しずつ優しくなってる気がするんです。
  まだ言葉遣いは前のまんまだけど、暴力が…なくなって……」

保健医「本当?きっと、入院中の妹ちゃんの献身的な対応が良かったのよ」

619: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:02:45.47 ID:Dr9L5FBH0
妹「…私、本当に嬉しいんです……。
  今まで、お兄ちゃんのこと、見捨ててなくてよかった…。
  お兄ちゃんのこと、大好きなままで本当に良かった…。
  ひどいことされて、正直今も心に傷は残ってる。
  でも……、お兄ちゃんが変わってくれるなら、構わないです…!」

保健医「妹ちゃん…。本当に、あなたって子は……。
    まるで天使ね」

妹「え?」

保健医「いいえ、なんでもないわ」

妹「そうですか?あ、そろそろ授業だ…。じゃあ、私はこれで」

保健医「えぇ、また来てね」

ガラガラ...!!

ひろゆき「い、妹いるか!?!?」

妹「ひろゆき先生?」

保健医「どうしたんですか?そんなに慌てて…」

ひろゆき「今警察の方から連絡があった。
     ……妹のお兄さんが、捕まった」

621: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:05:08.02 ID:Dr9L5FBH0
妹(お兄ちゃんが…捕まった?)

妹「…へ?」

ひろゆき「三十分ほど前に、薄暗い裏通りでらしい。
     詳しいことは俺も知らない。
     とにかく、留置所へと向かう」

妹「りゅうちじょ……?」

ひろゆき「保健医先生、校長のほうへと連絡してくれますか?
     俺は一刻も早く向かいますので」

保健医「わ、分かりました…」

630: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:09:06.21 ID:Dr9L5FBH0
妹「叔父さん!!!!!!」

叔父「妹ちゃん!!!」

妹「叔父さん、お兄ちゃんは!?!?
  どうして捕まったの!?!?」

叔父「落ち着いて、妹ちゃん…」

妹「どうしてよー…うっ……」

叔父「あの…あなたは?」

ひろゆき「初めまして、妹さんの担任のひろゆきといいます」

叔父「そうですか、妹がお世話になっています。
   …ここからは私に任せて、先生はお仕事がありますし、お引取りください…」

ひろゆき「…分かりました。妹、気をしっかりと持てよ」

妹「うぅ…ふえぇ……」

638: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:14:18.66 ID:Dr9L5FBH0
妹「ねぇ…どうしてお兄ちゃん捕まったの!?
  叔父さん教えてよ!!!!」

叔父「叔父さんも今連絡を受けたばかりで、実は何も聞かされてないんだ…」

妹「そんなぁ…。もう嫌だ……うわああああああ!」

叔父「妹ちゃん……」

警官「失礼いたします。兄さんの身内の方でしょうか?」

叔父「あ、はい…。兄の叔父です。それでこの子は妹です…」

警官「とりあえず、妹さんの方は別室へと移動させます。
   叔父さんだけ、こちらへお願いいたします」

叔父「わ、分かりました…」

妹「お、叔父さん行かないで!!!!!!」

婦人警官「さ、お嬢ちゃんはこちらへどうぞ」

妹「やだ!!!!叔父さん行かないで!!!!!!!」

646: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:19:30.93 ID:Dr9L5FBH0
バタンッ

警官「では、こちらへとお座りください」

叔父「はい…。あの、兄はどうして…?」

警官「今日の午前10時頃、昼間に巡回中の警官が、
   真昼間から薄暗い裏通りで、大麻の売買を現行犯で見つけまして…」

叔父「た、大麻…!!!!!」

警官「どうやら兄さんは売る側だったようです。
   兄さんの他にも3名捕まっています」

叔父「そ、んな……」

警官「現在尿検査をしていますが、恐らく兄さんは麻薬中毒者ではないと思われます。
   しかし、現在の大麻取締法だと、
   たとえ使用していなくても所持していた時点で罪が問われます」

叔父「………そうですか」

649: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:23:05.76 ID:Dr9L5FBH0
婦人警官「はい、これジュースよ」

妹「…ねぇ、お兄ちゃんどうなるの?」

婦人警官「お姉さんも、まだ分からないわ。
     これから裁判所っていう所で、お兄さんはどういう罰を受けるか決めるの」

妹「…ねぇ、お兄ちゃん死なないよね?」

婦人警官「死にはしないわよ。こんな可愛い妹を置いてなんて、お兄さんは死なないわ」

妹「私、お兄ちゃんとぶどう狩りに行くの。
  だから、お兄ちゃん殺さないで!!!!!!」

婦人警官「……大丈夫よ。絶対に死なないから」

妹「うん…」

654: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:25:16.56 ID:Dr9L5FBH0
―数十分後

妹「叔父さん!!!!
  ねぇ、お兄ちゃん今どこだって!?!?」

叔父「今、お兄さんはあの建物のお部屋にいる。
   今から面会しに行くけど、妹ちゃんも来る?」

妹「行く!!!お兄ちゃんに会いに行く!!!!」

叔父「…だ、そうです」

警官「分かりました。こちらへどうぞ」

657: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:29:25.52 ID:Dr9L5FBH0
警官「ここに座って、しばらくお待ちください」

叔父「ありがとうございます…」

妹「ねぇ、お兄ちゃんあそこのドアから来るの?」

叔父「多分そうだと思うよ」

妹「お兄ちゃん…大丈夫かな」

658: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:32:20.40 ID:Dr9L5FBH0
ガチャリッ

妹「!!!!お兄ちゃん!!!!!!!」

兄「…………」

叔父「兄くん…久しぶり」

兄「……何しに来たわけ」

叔父「何しに来たじゃないだろ!!!!!
   君、どうして薬なんかに関与していたんだ!!!!!」

兄「別にあんたには関係ねーだろwww」

叔父「関係あるとかないとかの問題じゃない!!!!!」

兄「そうやって保護者ぶるの、まじうぜーんだけど?」

659: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:32:38.57 ID:Dr9L5FBH0
叔父「……こんなに小さい妹残して、君っていう人は…」

兄「そんなチビのこと知るか。あんたが引き取れば?wwwww」

バンッ

叔父「君って奴は!!!本当に人間の血が流れているのか!!!!!」

妹「叔父さんやめて!!!!!」

叔父「…くっ」

妹「……しばらく、私おにいちゃんと話したいから、叔父さんは少しの間、出てって……」

叔父「…分かった。すぐに終わらせるんだぞ」

バタンッ

661: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:34:04.97 ID:Dr9L5FBH0
妹「……ごめん、お兄ちゃん………」

兄「は?てめーが謝る必要性がどこに―」

妹「私、半分はお兄ちゃんと血が繋がってないのに、
  叔父さんに私のことでいろいろ言われちゃったから…」

兄「お、お前、それどこで……!」

妹「お兄ちゃんが入院したとき、分かったの…。
  私の存在のせいで、お兄ちゃんの人生、私、私…滅茶苦茶に……しちゃった…」

兄「…………」

676: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:38:37.60 ID:Dr9L5FBH0
妹「本当なら、お兄ちゃんじゃなくて、私が捕まるべきなんだ…」

兄「妹…ちょっと黙れ」

妹「私自体が罪なんだ、私自体が犯罪なんだ…」

兄「おい、妹」

妹「私なんて、いっそのこと産まれてこなければ―」

兄「うるさい!!!!」

監視「おい、もう少し黙れ」

兄「…ちっ。いいか、てめーは一切悪くないんだ。
  そうやって自分のこと責められると俺が胸糞わりーんだよ…分かったか」

妹「う、うん…」

兄「…とっとと叔父出せ。てめーは家に帰ってろ」

妹「…分かった」

687: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:46:05.21 ID:Dr9L5FBH0
叔父「…………」

兄「………」

叔父「…どんな罪の内容になるかは分からないが、
   とにかく、私の方で罰金を支払っておく。
   これで君は牢獄へ閉じ込められることもなくなる」

兄「…そのことなんだけど」

叔父「なんだ?」

兄「……俺、とりあえず大人しく捕まろうと思う」

叔父「…な、なんだと!?」

688: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:46:38.93 ID:Dr9L5FBH0
兄「俺はあんたを保護者なんて思ったことはねー。
  俺の保護者は、死んだ親父と行方不明の母親だけだ。
  金なんて支払ってもらおうなんて糞ほど思ってねー。
  それに、妹に会わせる顔がない」

叔父「そ、そんな理由で…!!駄目だ、私が罰金を―」

兄「お願いだ…。俺に、頭を冷やさせてくれ」

叔父「………」

兄「政治家のコネでとかいうのも、絶対にやめてくれ」

叔父「……分かった、君がそこまで言うなら、大人しく罪を認めるがいい。
   私はこの後も仕事がある。
   判決は…確か三日後だったな。
   それじゃあ、その日まで」

バタンッ...

698: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:51:47.32 ID:Dr9L5FBH0
ガチャリッ..バタンッ

妹「ふっ…うぅ……」

妹(私、これからどうすればいいんだろう…。
  これからもっとお兄ちゃんともっと仲良くなって、
  明るく生きていこうって…決めてたのに……)

ピロロロロロ ピロロロロロ

妹(電話……)

妹「もしもし…」

叔父『もしもし、叔父さんだよ』

妹「あ、叔父さん…」

叔父『突然だが、今日からこっちに妹ちゃんを引き取ることにした』

妹「…え?引き取るって…」

700: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:52:45.90 ID:Dr9L5FBH0
 

叔父『仕事の方が夜の9時頃終わるから、
   それまでに必要なものだけ簡単にまとめておいてほしい』

妹「え!?や、やだよ!!私この家いる!!」

叔父『お願いだ妹ちゃん、叔父さんのお願いを聞いてくれ』

妹「やだやだ!!絶対ここにいる!!!!」

叔父『妹!!!!!君はまだ小学生なんだ!!!!
   一人で暮らすなんて、無理なんだよ!!!!!!』

妹「……」

叔父『本当なら兄くんの入院のときもこちらで引き取るつもりだったが、
   君が拒否してしまい、しょうがなかった。
   しかし、今回はそういうわけにもいかない、分かったね?』

妹「……うん」

704: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:56:20.33 ID:Dr9L5FBH0
―夜9時

叔父「それじゃ、出してくれ」

運転手「畏まりました」

叔父「ちゃんとシートベルトしてね」

妹「……(コクッ」




妹「あ、の…今日からお世話になります、妹です」

長女「そんなに固くならなくていいよ、妹ちゃん。
  自分の家だと思ってリラックスして」

次女「そうそう!ねぇ、ゲームして遊ぼ!?」

叔父「こらこら、妹ちゃんは疲れてるんだ。
   さ、部屋へ案内するよ」

妹「は、はい…」

707: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 21:58:30.79 ID:Dr9L5FBH0
叔父「はい、ここが君の部屋」

妹「ひ、広い……」

叔父「ちょうど空いてる部屋があっただけさ。
   落ち着いたら、勝手にお風呂使ってていいよ」

妹「ありがとうございます。
  良かったら、もうすぐ入っちゃいたいんだけど……」

叔父「そうか?まぁいいだろう、今は誰も入ってないし。
   お風呂は二階にもあるから、そっち使って。
   階段のすぐ横だから。トイレはその隣ね」

妹「はい」

バタンッ

713: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:02:01.82 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

叔父「はい、到着」

妹「えいしょっと…。どうもありがとうございました」

叔父「これからは毎日学校まで送るからね。
   終わったらさっき渡したテレホンカードから、学校の公衆電話で電話して。
   迎えのものを渡すから」

妹「べ、別に一人で帰れます!」

叔父「いいんだ、これくらいさせてくれ」

妹「…分かりました」

叔父「叔父さんは職員室で先生とお話してくるから、
   妹ちゃんは精一杯勉強してきなさい。
   それじゃ、いってらっしゃい」

妹「はい、いってきます」

721: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:06:33.34 ID:Dr9L5FBH0
―夜(飛びすぎすみません)

叔母「みんなー、ご飯よー」

「「「はーい!!」」」

長男「やった!今日カレーじゃーん」

長女「何そんなので喜んでるのよ……」

長男「いいだろ別に。今日はカレーの気分だったんだから」

叔母「はいはいそこうるさいわよ、早く食べなさい」

「「いただきまーす」」

妹(あれ?なんか心なしか量が少ないような…)

三女「ねぇ妹ちゃん、明日お休み何して遊ぶ?」

妹「え?そうだなぁ…」

叔母「こら、三女。妹ちゃんは疲れてるんだから、ゆっくりお休みさせてあげなさい」

妹「え?そ、そんな、私大丈夫です」

叔母「いいのよう無理しなくて!ささ、どんどん食べちゃって」

妹「は、はい…」

731: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:10:14.04 ID:Dr9L5FBH0
妹(はー、慣れない環境って疲れる…。
  明日はゆっくり休もう…)


―次の日

叔母「それじゃ、みんないってらっしゃーい!」

子供たち「いってきまーす!!」

バタンッ

妹「あの…みんなはどこへ?」

叔母「長男の運転で遊園地へ行かせたのよ。
   はい、あんたはこれ」

妹「えっと…これは?」

祖母「見て分からないの?雑巾よ雑巾。
   これで、家中の窓を全部磨いてきて。
   それと廊下も雑巾がけね」

妹「……はい」

妹(しょうがないよね、居候の身なんだし…)

743: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:14:32.38 ID:Dr9L5FBH0
―二時間後

妹「あの…全部終わらせました」

叔母「じゃあ次は洗濯物でも洗ってきてちょうだい。
   ベランダに干してくれれば構わないから」

妹「は、はい……」

妹(お、叔母さんは家事やらないのかな?テレビ見てるけど…)

―さらに30分後

妹「お、終わりました…!」

叔母「じゃあ次は一階と二階の風呂掃除とトイレ掃除してきて。
   その次は犬の散歩ね」

妹「あの…少しだけ休みたいんですが―」

叔母「あんた、自分がこの家でどういう存在か分かってるの?
   迷惑してるのよこっちは!休みの日くらい家事やって当然でしょ?」

妹「…すみませんでした」

758: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:21:47.47 ID:Dr9L5FBH0
―夜

妹「ハァ…疲れた……」

妹(すごく広いおうち…。
  そういえば、明日はお兄ちゃんの将来が決まる大事な日なんだよね…。
  私は裁判所には行けないけど……)

妹「早く寝よう……」


―夜中

「~~~~~~~!!」

「~~~~~~~!?!?」

妹(なんかやけに下が騒がしい…)



叔母「なんであんな小娘なんて連れてくるのよ!!!!」

叔父「仕方がないだろ、小学生を家に一人でなんてできるか!!!
   もし妹ちゃんの身に何かあったらどうする気だ!?
   俺は妹ちゃんを実の娘のように思っている、
   お前はどうなんだ!?!?」

759: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:22:02.48 ID:Dr9L5FBH0
叔母「実の娘!?笑わせないでよ。
   あんなのただの邪魔者よ!家事をやることしか才能がないじゃないの!!!
   一見大きい家を建てていかにも金持ちそうにしてるけど、
   こっちは家計のやりくりで大変なのよ!!!」

叔父「一人くらい家族が増えたって全然構わないだろう!!!!」

叔母「構わなくないわよ!!!!!
   とにかく、裁判が終わったらとっとと家から追い出してよね」

叔父「お、おい!!!!!」


妹「………」

770: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:25:08.06 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

叔父「それじゃあ、妹ちゃんは留守番しててね」

妹「うん…。叔父さん、早く帰ってきてね?」

叔父「あぁ、なるべく早く帰ってくるよ。
   みんなと仲良く遊んでてね」

妹「わ、私は家事があるから遊べないよ…」

叔父「もう家事なんてしなくていいから!子供はたくさん勉強して、それ以上にたくさん遊びなさい!」

妹「…うん、分かった。いってらっしゃい」

叔父「うん、いい子にしてるんだぞ」

…バタンッ

772: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:27:59.06 ID:Dr9L5FBH0
―数時間後

次男「なー、次このゲームしようぜ!」

三女「うん!はい、これ妹ちゃんのコントローラーね」

妹「わ、ありがと。私ヘタだけど…」

次男「んなの気にしなくていいよ。楽しければさ!」

母「あんたたち、昼ごはんだよ」

三女「なーんだ、残念。妹ちゃん、行こ?」

妹「う、うん」

母「待って、あんたはここにいな」

妹「…え?」

母「あんたに食べさせる飯はないのよ」

妹「そ、そんな……」

バタン

785: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:32:34.36 ID:Dr9L5FBH0
―夜

妹(お腹空いた…。叔父さんまだかな?」

タッタッタッタッ...ガチャッ

叔父「妹ちゃん!!」

妹「あ、叔父さん!!!ねぇ…、お兄ちゃんは!?
  お兄ちゃんはどうなったの!?!?」

叔父「……実は、警察の方でほかにもいろいろ罪が見つかってな。
   妹ちゃんには難しいけど、大麻所持・脅迫罪・窃盗罪の罪で、
   執行猶予無し、懲役13年…つまり、13年間は刑務所から出られないんだ…」

妹「刑務所って…狭くて暗いお部屋?」

叔父「…あぁ」

妹「そ、そんなのお兄ちゃんが可哀想だよ!!!!」

叔父「何も可哀想じゃない。お兄ちゃんがそれだけ今まで悪いことをしてきたんだ」

妹「…………13年間、お兄ちゃんと会えないの?」

叔父「前みたいに面会は可能だから、会えないわけじゃない。
   ただ、一緒には暮らせない」

妹「そんな…うぅ…ふええええぇ…」

792: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:35:04.78 ID:Dr9L5FBH0
叔父「13年間、長くて辛いだろうけど、
   お兄ちゃんを信じて待っていような?」

妹「……(コクッコクッ」

叔父「よし、女の子なのに強いぞ!
   それじゃあ、ご飯にしようか」

妹「ご、ご飯…」

叔父「お腹空いてるだろ?」

妹「でも、ご飯食べると、叔母さんが…」

叔父「叔母さんは気にしないでいいから。
   叔父さんも今日はもうお腹ぺこぺこなんだ、二人で食べよう」

妹「…うん」

802: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:38:17.00 ID:Dr9L5FBH0
 

―次の日

保健医「あら、具合悪いの?」

妹「ちょっと…疲れて……」

保健医「うーん…軽く熱も出てるわね。
    本当なら無理して学校に来なくていいのに。
    今、妹ちゃん大変なんでしょ?」

妹「…家にいると、いろいろ大変ですから……」

保健医「え?」

妹「少しの間、寝かせてもらっていいですか?」

保健医「それは全然構わないわ。ゆっくり休んで。
    ひろゆき先生にはこちらから言っておくから」

妹「ありがとうございます」

806: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:39:17.38 ID:Dr9L5FBH0
wikiで調べた程度です、すみません

818: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:44:34.05 ID:Dr9L5FBH0
―数日後

叔母「もう無理!!!!!
   あんな厄介者の面倒なんていつまでも見てたら、
   この家は終わりだよ!!!!!」

叔父「おい、待て!!!!!」

バタンッ

妹「!?え?お、叔母さん…!?」

叔母「今すぐ出て行ってちょうだい!!!」

叔父「おい、お前いきなり…」

叔母「今すぐ出て行って!!!お願いだから、これ以上家計を苦しめないで!!!!」

叔父「どうせ毎月生活費を振り込んでいたんだから、そんなに変わらないだろ!!!」

822: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:45:10.24 ID:Dr9L5FBH0
叔母「それだけじゃないわ!!!
   この子、あんたの死んだ兄弟の妻にすごく似てるのよ!!!!!!!」

叔父「お前、それは……!!!!!!」

叔母「いい?あんた。
   今日中に荷物まとめて千葉のばあさんとこにでも行っちまいな!」

叔父「い、いくらなんでも…」

叔母「あんた、実の子供が高校通えなくなってもいいの!?!?」

叔父「………っ」

叔母「いい?分かった?交通費くらい出してやるから
   ありがたいと思いなさいよ」

バタンッ

妹「…………」

827: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:48:29.32 ID:Dr9L5FBH0
―数分後

ガチャッ

叔父「その、妹ちゃん……」

妹「叔父さん…」

叔父「…すまない、許してくれ」

妹「え!ちょ、ちょっと…土下座なんてやめてよ…!!」

叔父「すまなかった…。
   君をずっとここにいさせてやりたかったのに……」

妹「私は大丈夫だから…。
  それに、私もやっぱりおばあちゃんの家にいたほうがいいと思う。
  ……うすうす、ここにはずっといれないと感づいてたし…」

叔父「……もう電車もほとんどない。
   叔父さんが送ってくよ」

妹「で、でも……」

叔父「いいからいいから。荷物の支度終わったら、声かけて」

バタンッ

833: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:51:20.45 ID:Dr9L5FBH0
―車内

妹「ねぇ、叔父さん」

叔父「なんだ?」

妹「千葉に行くって事は…、私、転校するってこと?」

叔父「……そうなるね。
   手続きは、こっちのほうで済ませるから、
   君はゆっくりと過ごしていてくれ。
   …中途半端に引き取ってしまってすまなかった。
   それに妻がひどいことをしたし……」

妹「い、いいよ。
  今までに比べれば、全然、大丈夫だよ…」

叔父「ありがとう、妹ちゃん…。
   まだ1時間くらいかかるから、寝たかったら寝ていいよ」

妹「…はい」

841: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:54:25.45 ID:Dr9L5FBH0
―一時間後

叔父「今まで、お孫さんにひどいことをしてしまって、すみませんでした」

祖母(ちなみに母方)「いえいえ、全然いいですよ。
   むしろ感謝します、今まで子供二人を養ってくれて…」

叔父「そんな、当然のことをしたまでです。
   本当にすみませんでした」

祖母「それより、明日も早くから仕事なんでしょう?
   早く帰って、ゆっくり休んでくださいな)

叔父「今までどおり、養育費の方は振り込んでおきます。
   本当に、すみませんでした。
   …それでは」

ガラガラガラッ...ピシャンッ

844: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 22:57:00.81 ID:Dr9L5FBH0
祖母「さぁ、寒いだろ?おこたに入んな」

妹「ありがとう、おばあちゃん…」

祖母「えーどっこいしょっと…。そんな堅苦しくしなさんな。
   これからこっちから学校に通うことになるし、
   手続きとやらが終わるまで、しばらくゆっくりしなさい。
   妹は今までがんばりすぎた」

妹「……うぅ…ぐす……」

祖母「ほらほら、涙拭いて!
   …もう11時になる、よい子は寝なさい」

妹「うん…。おやすみなさい」

848: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 23:00:21.50 ID:Dr9L5FBH0
―次の日

祖母「あれが小学校だよ」

妹「え!?ちっちゃ!」

祖母「ここは田舎だからねぇ。
   全校生徒は…確か100人いるかいないかくらいじゃないか?」

妹「私のいたところは、確か1000人近くいたよ」

祖母「ちょっと町を離れればこんなもんさ。
   一週間後からここに通うからね」

妹「うん!」

863: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 23:06:08.24 ID:Dr9L5FBH0
一週間後、私は無事に小学校へと転校した。

兄との面会を楽しみにしていた私だが、
どういうわけか、兄の方から面会謝絶。
結局は、釈放まで一度も兄の顔を見ることはできなかった。

そして月日はアッという間に過ぎ、中学・高校へ進学、そして卒業…。

それでも、一日たりとも兄を忘れたことはなかった。



そして、今日…。

876: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 23:10:30.79 ID:Dr9L5FBH0
妹「やばっ…、もうこんな時間!!
  部長、私このあと大事な予定があるので…」

部長「あぁ、お兄さんだろ?早く行ってやれ」

妹「すみません!それでは」

妹(早く…早くお兄ちゃんに会いたい…!!)



ガチャッ…バタン

妹「お兄ちゃん!?お兄ちゃんいる!?!?」

シーン......

妹「あれ?お兄ちゃん、家にいない…。
  叔父さんの話だと、家にそのまま真っ直ぐって言ってたけど……」

妹(な、なんかトラブルが起こったとか?)

ガチャッバタンッ...

兄「ハァ…やっと着いた……」

妹「お、お兄ちゃん……!」

兄「……もしかして、妹?」

919: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 23:21:33.71 ID:Dr9L5FBH0
妹「……えと、おかえり」

兄「…ただいま」

妹「あ、えと…着替えてきたら?
  一応用意してあるから……」

兄「……妹、本当、今まですまなかった…」

妹「…もういいから、ね?」

兄「本当にすまなかった!!!!」

妹「ちょっ…やめてよもう、いきなり土下座なんて。
  お兄ちゃんらしくないって。
  …それより、なんで面会してくれなかったの?
  私、お兄ちゃんに会えるの、すごく楽しみだったのに…」

兄「それは、俺のほうでケジメつけたかったんだ…。
  それに、お前に会わせる顔もなかった。
  ……俺、ムショで一人のおじさんに出会ってな。
  そのおじさん、妻と当時のお前と一緒の小5の娘に、散々暴力ふるってきたんだってよ。
  それで捕まって…。
  そのおじさんさ、ものすごい後悔してて、
  自分がどれだけ反省しているか何日も話してた。
  俺、それ聞いてどれだけ自分が愚かな人間か分かった。
  ムショでまじめに作業して、せめて遠くの世間に貢献しようと思った。
  許してほしいとは言わない。
  だけど…良かったら、また一緒に暮らして…ほしい」

928: ひかる ◆93sj/2AIr2 2008/11/20(木) 23:23:56.93 ID:Dr9L5FBH0
妹「お兄ちゃん……。
  ……あのさ、ぶどう狩り行こうか」

兄「…ぶどう狩り?」

妹「昔、あのサービスエリアで行ってたじゃん。
  家族で一緒に行く予定だったけど…。でも、それも叶わなくて…。
  十何年も、私、お兄ちゃんとぶどう狩り行きたいって思ってたんだから」

兄「妹……」

妹「えへへ……」

兄「今夏だぞ?」

妹「!!!!!!!」

兄「ったく…ばーか」

妹「お兄ちゃんに言われたくないよ…。
  またこれは秋までのお楽しみにとっとこうよ」

兄「…そうだな」

       はい終わり