7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:18:00.44 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「ずいぶんと女の子が多い学校なんだな」

イチロー「……ん?あれは…」

パワプロ「よしっ!この三人の中心に人数を増やして野球部を作ろう!」

あおい「うん!頑張ろうね!」

矢部「トホホ……夢のハーレム生活は実現しそうにないでやんす」

イチロー「…………」

イチロー(あのユニフォームは……)

引用元: イチロー「ここが恋恋高校か……」 




10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:23:34.31 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「君たちは野球をするのかい?」

パワプロ「わっ!び、びっくりした……」

あおい「その格好は…キミも野球をするの?」

イチロー「ははは、僕にとって野球は命だよ」

矢部(何だかずいぶん年上に見えるでやんす)

パワプロ「じゃあ…俺たちと一緒に野球をしない?」

イチロー「もちろん、野球の練習場を提供してくれるなら喜んで」

あおい「やった!これで四人目だね!」

イチロー(四人目……?)

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:26:44.45 ID:hL5Rb4AuO
---

イチロー「なるほど、元々女子校だったから野球部は存在しなかったわけだね」

パワプロ「そう、人数が集まるまでは正式な部とは認められないんだけど…」

あおい「キミはそれでもいいかな?」

イチロー「構わないさ、どんな状況でも練習は出来る」

パワプロ「良かった、えーっと…そうだ、名前を教えてよ!」

あおい「ボクは早川あおい!ポジションは投手だよ!」

イチロー(女の子の野球プレイヤーか…いや、深くは聞かないでおこう)

パワプロ「俺はパワプロ!よろしく!」

矢部「矢部でやんす!俊足巧守がウリでやんす!」

イチロー「僕はイチロー、これからよろしく頼むよ」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:32:17.54 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「よーし、早速練習だ!」

矢部「い、いきなりでやんすか!?」

パワプロ「こういうのは思ったらすぐに行動したほうがいいんだよ!」

あおい「そうだね、みんなの実力も知っておきたいし!」

イチロー「…………」

イチロー(人数は少ないけど活気に溢れてる……僕にはこれが少し足りないかもしれないな)

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:36:11.72 ID:hL5Rb4AuO
---
グラウンド

あおい「早速だけど誰かボクと一打席で勝負しようよ!」

パワプロ「いいね、やろうやろう!」

あおい「じゃあ最初は誰が……」

矢部「オイラは遠慮しとくでやんす!」

矢部(いきなり打ち取られたら恥ずかしいでやんす)

イチロー「それなら僕がお手合わせをお願いするよ」

あおい「記念すべき最初の相手はイチロー君か……絶対に負けないからね!」

イチロー「僕もメジャーリーガーとしては負けられないな」

あおい「め、メジャーリーガー……?」

イチロー「いや、何でもない」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:38:31.87 ID:hL5Rb4AuO
あおい「じゃあ一球目……行くよ!」ビュッ

スパーン

パワプロ「ストライクだ!」

矢部「外角いっぱいのナイスボールでやんす!」

イチロー(直球は130キロ弱……コースも甘い)

あおい「次は……」ビュッ

スパーン

パワプロ「ストライクツー!」

矢部「今度は内角低め!あれは打てないでやんすね!」

イチロー(いや……これじゃ少しパワーがある選手にはホームランにされる)

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:40:35.24 ID:hL5Rb4AuO
あおい「どうしたのさメジャーリーガー!まだ一回もバットを振ってないよ?」

イチロー「そうだね、そろそろ行かせてもらうよ」

あおい(よし、最後はこのシンカーで……!)

ビュッ

イチロー「!」

カキーン!

あおい「っ!?」

パワプロ「あっ!」

矢部「ら、ライトスタンド一直線でやんす……」

イチロー(ホームランか……)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:46:23.18 ID:hL5Rb4AuO
あおい「そ、そんな……」

イチロー「僕の勝ちだね」

あおい「なんで…最後のシンカーを……」

イチロー「リリースがストレートの時とまるで違ってたからね、変化球が来るのは分かってた」

イチロー「個人的にはカーブかと思ってたけど…まさかシンカーとは…」

矢部「よ、予想が外れたのに打ち返せたでやんすか!?」

イチロー「試合で自分の思う球が来ることなんかほとんどないからね」

イチロー「自分が予想しなかった球にどう対応するか、それが大事なんだ」

矢部「い、一流のプロみたいな発言でやんす……」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:52:05.27 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「……でも、さっきのはホームランを狙って打ったわけじゃない」

パワプロ「狙わなかったって…もしかしてまぐれ当たり?」

イチロー「いや、ライト線を抜いてランニングホームランになるような打球を狙った」

パワプロ(ら…ランニングホームラン?)

イチロー「それがそのままホームランになったのは……球威がなかったからだね」

あおい「……!」

イチロー「まあ、打ち損なってホームランにした僕のミスでもあるけれど」

矢部(ホームランがヒットの打ち損ないなんて意味が分からないでやんす)

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 12:56:34.54 ID:hL5Rb4AuO
あおい「お…女の子じゃ……野球は無理なのかな?」

イチロー「そんなことはないさ、アンダースローで130キロ弱の直球…」

イチロー「加えて打者の膝元へ落ちる変化球……武器はあるんだ」

イチロー「ただし……君の持っている武器はまだ完成していない」

イチロー「君の刀の斬れ味はまだまだ上がる、そして…」

イチロー「その刀を扱う技術を身に付けられれば…君は素晴らしい投手になるよ」

あおい「ど、どうすれば……」

イチロー「毎日小さなことを積み重ねていく、僕からはそうとしか言えない」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:03:04.32 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「そうだ、俺たちの野球はまだ始まったばかりじゃないか!」

パワプロ「たくさん練習して試合をして…それで上手くなればいいんだよ!」

あおい「……うん、そうだね!ボク、頑張るよ!」

矢部「オイラも応援するでやんす!」

パワプロ「応援するだけじゃなくて矢部くんも頑張るんだよ」

矢部「やんすっ!?」

イチロー「…………」

イチロー(さて、彼らはどこまで伸びるのか…)

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:07:11.77 ID:hL5Rb4AuO
---
翌日

あおい「みんなー!マネージャーをやってくれる人が見つかったよ!」

はるか「は、初めまして!七瀬はるかと言います!」

イチロー「僕はイチロー、これからよろしく頼むよ」

パワプロ「俺はキャプテンのパワプロ!よろしくね!」

矢部「…………」

パワプロ「……矢部くん?」

矢部「恋はいつでもハリケーンでやんす」

パワプロ「…………」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:16:02.32 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「ああ、昨日聞き忘れていたんだけれどいいかな?」

あおい「うん?何かな?」

イチロー「この地区で一番強い学校はどこなんだい?」

パワプロ「一番って言われたら…やっぱりあかつき大附属…なのかな?」

矢部「パワフル高校もなかなかでやんすがあかつきはもう格が違うでやんす」

あおい「野球に力を入れてるから練習設備が良くて選手層も厚いよね」

イチロー「ふむ……よし、じゃあちょっと行ってくるよ」

パワプロ「ああ、分かった……え!?」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:23:07.68 ID:hL5Rb4AuO
---
あかつき大附属高校

イチロー「ここがあかつき大附属高校…確かに設備は充実してるな」

パワプロ「…………」

矢部「…………」

あおい「…………」

イチロー「どうしたんだみんな、一流校の迫力に押されてるのかい?」

矢部「い、いきなり敵校に乗り込むなんてどうかしてるでやんす!」

あおい(勢いでボクたちも付いて来ちゃったけどね)

イチロー「大丈夫、何もここで試合をするわけじゃないんだ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:29:47.26 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「ま、まあ細かいことは気にしない!敵チームの力を分析する良い機会だよ」

矢部「そ、そうでやんすね!ポジティブに考えるでやんす!」

澄香「ちょっとあなたたち」

矢部「やんすっ!?」

澄香「見たところ他校の野球部のようだけれど…部外者の立ち入りは禁止よ」

あおい「あ、あの……練習の邪魔はしないので……」

澄香「…………」

澄香(女の子のプレイヤー?それ以前にこんなユニフォームの学校あったかしら…?)

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:36:31.15 ID:hL5Rb4AuO
四条「どうした澄香、何かトラブルか?」

澄香「いえ、そうじゃないんだけど……実は……」

矢部『あ、あの人知ってるでやんす!』

あおい『確かあかつきのレギュラーの人だったような……』

パワプロ『えっ、いきなりそんな凄い人が!?』

四条「なるほど…君たちはあかつきの練習を視察に来たわけだね」

四条「せっかく来てくれたんだ、邪魔をしないなら見ていって構わないよ」

矢部「か、かたじけないでやんす!」

パワプロ(矢部くん、緊張しすぎだよ)

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:41:01.50 ID:hL5Rb4AuO
あおい「あ、あれ?そういえばイチローくんは?」

パワプロ「へ?」


イチロー「違うな…その投球ではまだまだ下半身が使えていない」

猪狩守「なにっ……!」

あおい「何で他校の部員にピッチングを教えてるの!?」

パワプロ(そもそも外野手なのになんでピッチングなんだろう……)

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:48:30.35 ID:hL5Rb4AuO
猪狩守「誰だか知らないが知ったようなことを言うね」

猪狩守「でも生憎、僕は自分より格下の者が言うことは信用しないようにしているんだ」

イチロー「事実を言ったまでさ、今のままじゃプロでは通用しないよ」

猪狩守「……そこまで言うなら僕と勝負しろ、三球の内一本でもヒットが出れば君の勝ち」

猪狩守「それ以外は僕の勝ちだ…僕が勝ったらさっさとここから立ち去ってもらうよ」

イチロー「そうか…それで君の気が済むのなら受けて立つよ」

パワプロ「…………」

あおい「…………」

矢部(どうしてこうなった)

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 13:56:18.60 ID:hL5Rb4AuO
あかつきA「オイ!猪狩の奴が謎の他校生と勝負するみたいだぞ!」

B「マジか!?俺も見る俺も見る!」

ガヤガヤ……

矢部「あわわ…とんでもないことになったでやんす」

一ノ瀬「この騒ぎは……何かあったのかい?」

二宮「猪狩のバカが見学に来た他校生に勝負をふっかけたんですよ」

一ノ瀬「……彼は?」

二宮「さあ、恋恋高校の野球部とか言ってましたけど……」

一ノ瀬「恋恋高校……?」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:03:46.72 ID:hL5Rb4AuO
猪狩守「このギャラリー…もう逃げられないよ」

イチロー「逃げないさ…それにしてもこのギャラリーは……」

猪狩守「ギャラリーに怖じ気づいたとでも?そんなのはただの言い訳だね」

イチロー「いや、やはり多くの人がいる前でのプレーは…気持ちが高ぶるね」

猪狩守「……?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:08:07.46 ID:hL5Rb4AuO
猪狩守「……もういい、始めようか」

イチロー「そうだね……」

猪狩守「…………!」

猪狩守(何だこの威圧感……この僕が気圧されている?そんな馬鹿な…)

猪狩守「関係ない…全力で投げ込むだけだ…!」

矢部(相手はスーパールーキーの猪狩守くん…イチローくんに勝ち目は…)

猪狩守「はあっ!」ビュッ!!

イチロー「よっ」カキーン!!

猪狩守「!?」

矢部「」

パワプロ「ばんなそかな」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:14:40.36 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「僕の勝ちだね」

猪狩守「ぼ、僕の渾身のストレートを…初球から……!」

イチロー「言っただろう、君は上半身に頼りすぎなんだ」

イチロー「もっと下半身を使って振り切らなければスピードは出ない」

猪狩守「……!」

二宮「猪狩のヤツをあっさりと打ち崩した…?」

一ノ瀬「……しかも、彼はまるで本気を出していない」

九十九「せやな」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:20:08.91 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「さて…ずいぶんと練習に支障をきたしてしまったようだ」

イチロー「そろそろお暇させてもらおうかな、彼らの実力の一端も垣間見えたし」

猪狩守「待て!この僕から勝ち逃げをするなんて許さないぞ!」

イチロー「逃げはしないさ、僕は誰かから勝負を挑まれれば必ず受けるよ」

猪狩守「名前…お前の名前をもう一度教えろ!」

イチロー「僕の名前?」

一ノ瀬「ぜひ聞かせてもらいたいね」

二宮「!」

二宮(一ノ瀬先輩が…興味を……?)

イチロー「僕の名前はイチロー、メジャーリーガーさ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:25:50.64 ID:hL5Rb4AuO
あれ、一ノ瀬の一人称って僕だったっけ?


猪狩守(め、メジャーリーガー……?)

イチロー「冗談さ…僕たちは恋恋高校、君たちのライバルになる高校だよ」

パワプロ「そして俺はパワプロ!その恋恋高校のキャプテンだ!」

猪狩守「イチロー…パワプロ…恋恋高校……」

一ノ瀬「覚えておくよ、君たちのその名前は」

矢部(いつの間にやらあかつきのライバルになってるでやんす)

あおい(……まだ部員も4人しかいないのにね)

矢部(そしてさり気なくパワプロくんもアピールしてるでやんす)

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:35:05.08 ID:hL5Rb4AuO
---

イチロー「うん、なかなか楽しめたね」

あおい「楽しめたね、じゃないよ!いきなりライバル宣言なんか……」

イチロー「甲子園に行くんだろう?どのみちあの学校は倒さなきゃいけない」

矢部「それはそうでやんすが……」

イチロー「それに、全国には彼らより強いチームだってたくさんある」

イチロー「世界一を狙うのなら尚更ね」

矢部(話がとんでもないほうに行ってるでやんす)

パワプロ「でも…早く試合がしたいな、さっきのイチローと猪狩みたいな!」

あおい「まずは部員を集めなきゃね」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:40:04.52 ID:hL5Rb4AuO
---
数日後

ガヤガヤ…

イチロー「とりあえず、集められるだけの人数は集まったようだね」

矢部「奇跡的に9人ぴったり集まったでやんす」

あおい「でも監督が……」

加藤「みんな頑張ったわね…監督の心配ならいらないわ」

矢部「加藤先生!」

加藤「野球部を作ろうとするあなた達のことは知ってたわ、さっき許可も貰ってきたところ」

加藤「私が監督、そして……正式に恋恋高校野球部が発足したわ!」

パワプロ「やっ……たー!!」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 14:47:03.14 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「それで…大会はいつなんだい?」

はるか「それが…一ヶ月後なんです、一応エントリーはしてるんですけど…」

あおい「い、一ヶ月後……?」

パワプロ「ろ、ロクに練習も出来ないじゃないか!」

イチロー「………」

イチロー(一ヶ月か……とりあえず全員をアベレージヒッターにしよう)

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:05:32.84 ID:hL5Rb4AuO
---
一ヶ月後

加藤「それじゃ、オーダーを発表するわ」

1番…イチロー(右)
2番…矢部(中)
3番…早川(投)
4番…パワプロ(三)
5番…田中(捕)
6番…本田(一)
7番…遠藤(左)
8番…岡崎(二)
9番…香川(遊)

加藤「以上よ」

矢部「やったでやんす!スタメンでやんす!」

パワプロ「いや…9人しかいないんだから当然なんだけど」

矢部「そういうことはいいんでやんす、ちょっとくらいいい気分にさせてほしいでやんす」

あおい(後半の4人…何だか野球部っぽくないなぁ……)

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:19:27.40 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「……結局、試合までには必要最低限な練習しか出来なかったか」

矢部「…………」

矢部(必要最低限って…イチロー君の練習メニューは凄まじかったでやんす)

パワプロ(あれだけ練習して一人もケガをしなかったのもある意味すごいような……)

---

イチロー『この練習は僕の独自メニューだ、途中で辛くなるかもしれない』

イチロー『耐えきれない疲労感を感じたらすぐに精神訓練に移行して体力を回復』

イチロー『そして痛みを感じたらバンテリンだ』

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:27:28.51 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「ところで一回戦の相手は…?」

あおい「えーっと……『バス停前高校』…でいいのかな?」

矢部「聞いたことない高校でやんすね」

パワプロ「どこだろうと全力で戦うだけだよ……さあ、行こう!」

田中「…………」

矢部「田中くん、どうしたでやんす?」

田中「いや…どこからか『またお前かよ』という声が聞こえて……」

矢部「き、気のせいでやんす!」

田中「いや…でも……」

イチロー「気になるなら登録名を変えるといい、他との差別化も図れる」

田中「登録名を……変える?」

イチロー「僕も一度変えたことがあってね…そうだな、田中が嫌だったら……」

田中「?」

182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:31:57.13 ID:hL5Rb4AuO
矢部「田中くーん!そろそろ時間でやんすよー!」キョロキョロ

矢部「いないでやんすかー?」

イチロー「良い名前じゃないか、自信を持っていい」

闘莉王「ああ、ありがとうイチロー」

矢部「田中くんっ!?なにがあったでやんすか!?」

闘莉王「いや、これからは登録名をこれでいくことにしたんだよ」

闘莉王「マルクスもいいかと思ったんだけど…それはさすがにな」

矢部「…………」

202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:40:10.94 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「試合の時間だ…行こう」

闘莉王「生まれ変わった俺の力を試すときだな」

矢部「……もうどうにでもなればいいでやんす」

---
数十分後

恋恋10対0バス停前

イチロー「思ったより時間が掛かったね」

矢部「…………」

あおい「…………」

イチロー「ん、どうかしたかい?」

パワプロ「いや…ほとんど初心者の集まりの俺たちがコールド勝ちなんて……」

イチロー「敵の投手の球が素直すぎた、驚くことじゃない」

イチロー「変化球は一球も使わなかったし守備も煩雑だった」

矢部(もしかしたらオイラたち…結構強いかもしれないでやんす)

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:49:28.12 ID:hL5Rb4AuO
二回戦……そよ風高校

パワプロ「二回戦はそよ風高校か…一回戦を1失点で抑えたチームだったよね」

矢部「投手戦になるのは必至でやんす」

あおい「だったら負けられないよ…絶対に!」

阿畑「おっ、一回戦から打線爆発しとったところやな!」

阿畑「ワイのオリジナル変化球がどこまで通じるか試したるわ!」

イチロー「!」

イチロー(ほう…オリジナル変化球……)

220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 15:53:54.05 ID:hL5Rb4AuO
『プレイボール!』

阿畑(まずは一球外に外して様子見やな)ビュッ

『ボール!』

イチロー「…………」

阿畑(何や…振る素振りも見せんかったな……)

イチロー「…………」

阿畑(アイツ……ワイのアバタボールを待っとるな)

阿畑「ええわ、そっちがその気ならなんぼでも投げたる!」

ビュッ!ククッ!

イチロー(この変化……ナックルか!)

カキーン!

阿畑「なっ…!」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:00:56.89 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「センターオーバーだ!」

矢部「上手くすれば二塁まで行けるでやんす!」

ダダダッ!

パワプロ「やったー!初打席から得点圏に……」

ダダダッ!!

あおい「に、二塁も蹴った!?」

阿畑「さ、三塁!三塁や!」

イチロー「遅いね」

『セーフ』

阿畑「あ、あり得んわ…何やアイツのアホみたいな速さは……!」

パワプロ「……と、とりあえずチャンスだよ矢部くん!後は任せた!」

矢部「あ、あんなプレーされると逆にやりにくいでやんす…」

236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:05:43.20 ID:hL5Rb4AuO
『ストライク!バッターアウト!』

矢部「あ……あの変化球は初見じゃ打てないでやんす」

パワプロ「ドンマイ矢部くん、まだ一回だよ!」

あおい「…………」

あおい(あれってナックルだよね、打つのは難しくても当てるくらいなら……)

イチロー「…………」

あおい「よし…!」

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:12:40.06 ID:hL5Rb4AuO
阿畑「おっ、何かと話題になっとる女の子ピッチャーやん!」

阿畑「けどワイはそういうの気にせんからな、勝負なら本気で行くで」

あおい「手加減なんていらないよ、ボクも全力で戦うから」

阿畑「ほんなら…初球はこれやっ!」

ビュッ!ククッ!

あおい「!」

『ボール』

阿畑「あちゃー、やっぱコントロールがアレやな……」

あおい(思ったより打ちにくい変化だった…でも…次は!)

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:23:17.31 ID:hL5Rb4AuO
阿畑「よっしゃ、次こそは……!」

ビュッ!

あおい(今だ!)サッ

パワプロ(す、スクイズだ!)

ククッ!

あおい(しまっ……変化が予想と違……)

カンッ

矢部「ぴ、ピッチャー正面!失敗でやんす!」

阿畑「ラッキーやな、これはさすがに三塁も走れん……」

ダダダッ!!

阿畑「う、嘘やん!?間に合うわけないわ!」シュッ

イチロー(いや、ここでスライディングすれば……コンマ8秒、僕の方が早い!)ズザザッ!!

『セーフ』

阿畑「」

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:33:30.00 ID:hL5Rb4AuO
その後のパワプロは内野ゴロ、闘莉王は二連続の自打球からの空振りで三アウトとなる。

一回裏

あおい「よし……行くよ!」

座子田「よーし、打つぜー!」

ブンッブンッブンッ

『バッターアウトー!』

座子田「あのシンカーは打てないわ」

阿畑「…………」

その後もカーブとシンカーを織り交ぜた好投球で二者連続三振に打ち取る。

盤石の体制で一回を終了。

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:43:08.37 ID:hL5Rb4AuO
そして九回裏---

恋恋高校……4対1……そよ風高校

あおい(ツーアウトでランナーは二塁……あと一人……!)

阿畑(集中や…あの子の決め球はシンカー……あれに狙いを絞る!)

あおい「これで…打ち取る……!」

ビュッ!ククッ!

阿畑「来たっ!」

カキーン

あおい「あっ!」

パワプロ(マズい!風でギリギリホームランに……)

イチロー「フッ!!」パシッ

阿畑「」

パワプロ「ならなかった」

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 16:49:48.51 ID:hL5Rb4AuO
『ゲームセット!』

阿畑「くっそー負けたわ、強いなそっちは!」

パワプロ「いやいや、あのアバタボールも凄かったですよ!」

阿畑「全力で戦ったから悔いはない、けどな……」

イチロー「?」

阿畑「あれ、ちょっとズルぅない?キレイにサイクルヒット打ちよって…」

パワプロ「ははは……」

あおい(確かにちょっとズルいかも……)

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 17:06:08.28 ID:hL5Rb4AuO
---

パワプロ「やったー!今回も快勝だったぞ!」

矢部「次はいよいよ決勝でやんす!」

あおい「あかつき……だよね」

イチロー「…………」

イチロー(ここまでは何とかなったか……問題は次だ……)

イチロー(試合まであと二日か…二日間で広角打法は…さすがに無理か)

矢部(何だかイチロー君がとんでもないことを考えてる気がするでやんす)

314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 17:14:13.31 ID:hL5Rb4AuO
---
決勝戦当日、グラウンド

イチロー「よし…ウォームアップはこれくらいでいいか」

一ノ瀬「とうとう来たねイチロー君、本当に決勝で戦うことになるとは驚いたよ」

イチロー「……どうも」

一ノ瀬「でも僕たちも負けるわけにはいかない、全力で戦わせてもらうよ」

イチロー「全力で戦うのは当然でしょう……?」

一ノ瀬「そう、僕たちは必ず勝つ…勝つために最善の手を取る……」

イチロー「…………?」

331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 17:27:18.03 ID:hL5Rb4AuO
---
試合開始直前

パワプロ「いよいよだ…ここで勝てば甲子園だ!」

矢部「ここまで来たら何が何でも、必ず勝つでやんす!」

あおい「僕たちの力…見せてやろう!」

闘莉王「いざという時のブロックは任せろ、フィジカルなら誰にも負けやしない」

矢部「闘莉王くん…本田くんも自分に自信を持って頑張るでやんす!」

本田「自信がなけりゃやってられないでしょ」

矢部「やんす……」

345: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 17:38:56.07 ID:hL5Rb4AuO
『プレイボール』

一ノ瀬「やはりイチロー君は先頭打者で来たか……」

イチロー「…………」

一ノ瀬(初球は……)

ビュッ!ククッ!

イチロー「!」

『ボール』

イチロー(ストライクゾーンから変化球で外へ逃がしたのか…)

354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 17:52:03.49 ID:hL5Rb4AuO
一ノ瀬「次は……」

ビュッ!ククッ!

『ボール』

イチロー(今度は低めに外れるカーブか……ずいぶんと慎重だな)

一ノ瀬(さっきのカーブも振ってこない……なら)

一ノ瀬(これで勝負を仕掛けるしかない!)

ビュッ!ククッ!

イチロー(膝元への変化球……だが甘い!)

カキーン!

一ノ瀬「くっ…センター前だ、八嶋!」

八嶋「任せなって!絶対二塁へは行かせない!」

イチロー「……!」

パワプロ(センター前のクリーンヒットで二塁を警戒……?)

あおい(イチロー君の俊足を計算に入れて守ってる……!)

364: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 18:03:36.29 ID:hL5Rb4AuO
矢部「次はオイラでやんす!必ずヒットを……」

一ノ瀬「…………」

矢部「…………」

矢部(と、とてつもない威圧感でやんす……!)

イチロー「…………」

イチロー(マズい……完全に呑まれている……!)


『ストライク!バッターアウト!』

矢部「制球が良くて変化球も多彩でキレまてあって手がつけられないでやんす!」

あおい「そ…そんな……!」


この回、続くあおいとパワプロも三振に打ち取られ無得点。

368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 18:18:20.83 ID:hL5Rb4AuO
あおい「立ち上がり…必ず無失点に抑えなきゃ……!」

一ノ瀬「………」

あおい「…………」

あおい(投手なのに…打席でも凄い威圧感が……!)

イチロー(彼が一番バッター……?)

あおい(怖がっちゃダメだ…全力で投げるしかないよ!)

ビュッ!

一ノ瀬「!」

カキーン!

あおい「あっ!?」

パワプロ「レフトだ、遠藤!」

遠藤「……くそっ、ダメだ追い付かない!」

岡崎「ぬ、抜けた…!」

イチロー(先頭打者で二塁打か……)

373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 18:25:11.50 ID:hL5Rb4AuO
続く四条、安定の送りバントを決めて一死三塁に。

続く打者はパワーヒッター三本松。

あおい(フライもダメだ…三振か凡打で抑えなきゃ)

あおい(初球は膝元へシンカーを……!)

三本松「ふんっ!」

あおい「っ!」

パワプロ「ら、ライトへ飛んだ!」

390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 18:44:30.78 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「一塁、グラブを構えて!ボールが来たらすぐにバックホームだ!」

本田「!」

矢部「い、イチローくん!?何を……」

イチロー「はっ!」ビュンッ!!

三本松「なっ!?」

『一塁アウト!』

本田「ぐっ…闘莉王!!」ビュッ!

闘莉王「任せろ!!」

一ノ瀬「!」

ズザザッ!!

パワプロ「ぼ、ボールは……!」

闘莉王「持ってる……落としちゃいない!!」

『アウト!スリーアウト!!』

四条(記録は……ら、ライト前ゴロ!?)

417: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:01:28.69 ID:hL5Rb4AuO
本田「痛っ……あいつヤバい、グラブちょっと破けてるわ」

矢部「本田くん!ナイスな捕球と送球でやんす!」

本田「捕球もなにも俺はただグラブ構えてただけ、気が付いたら球が入ってた」

矢部「…………」

パワプロ「何にしても試合はここからだ!気合い入れていこう!」

一同「オオッ!」


一ノ瀬「…………」

二宮「一ノ瀬先輩……」

一ノ瀬「全員が高い身体能力を持っているね…一筋縄じゃいかなそうだ……」

一ノ瀬(だがいくら身体能力が高くとも……)

433: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:13:03.48 ID:hL5Rb4AuO
闘莉王「よし……次は俺か」

矢部「闘莉王くん、期待してるでやんす!」

闘莉王「任せろ、必ず塁に出てやる」

しかし闘莉王、三連続自打球の後、ボール球のスクリューに手を出し空振り三振。

続く打席に立つのは

本田「打つしかないな、これは」

パワプロ「頼む本田!何としても繋げてくれ!」

本田「繋げる?アホ言うな」

パワプロ「……?」

本田「ちょっとジョギングにダイヤモンド一周してくる」

447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:26:08.20 ID:hL5Rb4AuO
一ノ瀬「ふっ!」ビュッ!!

ブンッ!

本田「チッ……!」

矢部「ご、豪快な空振りでやんす……」

イチロー(いや…タイミング自体はピッタリと合わせている、アレが当たれば……)

一ノ瀬「なるほど…だったら…」ビュッ

本田「!」カキーン!

パワプロ(打ち上げた!)

一ノ瀬「よし……七井!」

七井「任せロ」

『アウト!』

本田「くそっ!」

パワプロ「ドンマイ本田!次に合わせよう!」

イチロー(今の…向かい風がなければあるいは……)

イチロー(いや…彼はその風も計算に入れてあれを打たせたのか…?)

455: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:36:01.07 ID:hL5Rb4AuO
続く岡崎はストレートに的を絞るも多彩な変化球に翻弄され見逃しの三振に終わる。

続いて二回、あかつきの攻撃

七井「思いっきり打ち込んでやるゼ」

あおい(四番……気をつけて投げないと……)ビュッ!

七井「フンッ!」

カキィン!

あおい(ライナー!これは抜ける……)

パワプロ「うおおおおっ!」パシッ!!

矢部「な、ナイスキャッチでやんす!」

あおい「パワプロくん!」

パワプロ「守備は任せてあおいちゃん、思いっきり投げるんだ!」

474: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:49:04.62 ID:hL5Rb4AuO
パワプロの好守により奮起させられたあおいは続く打者二人を三振とライト前ゴロに抑える。

迎えた三回、打者は香川

香川「…………」

香川(俺たちの中でクリーンヒットを打てたのは一人だけ……なら)

一ノ瀬「ふっ!」ビュッ!!

香川「こうするしかないっ!」コンッ

二宮(セーフティバント!)

一ノ瀬「!」ビュッ!

香川(トップスピードに乗る加速度には自信が…ある!)

『セーフ』

一ノ瀬「不意をつかれたか……そしてここで彼か」

イチロー「…………」

492: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 19:56:35.65 ID:hL5Rb4AuO
一ノ瀬「……素直に認めるよ」

イチロー「?」

一ノ瀬「君は僕よりも格上の人間だ、はっきり言って打ち取れるとは思えない」

一ノ瀬「だから…こうするしかない……」ビュッ

矢部(け、敬遠でやんす!?)

パワプロ(ノーアウト一塁のこの状況で……!?)

イチロー「……それが君の選択かい?」

一ノ瀬「言っただろう、僕たちは負けるわけにはいかない…これが最善手なんだ」

イチロー「…………」

503: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 20:05:02.13 ID:hL5Rb4AuO
『スリーボール』

イチロー「なるほど……だったら」

ブンッ!

一ノ瀬「なっ……!」

ブンッ!

一ノ瀬(敬遠してるのにわざと振って…ストライクカウントを…?)

イチロー「これでカウントはツーストライク……次の一球ですべてが決まる」

イチロー(勝負して三振を狙いに来るのか…敬遠して歩かせてくるか)

一ノ瀬(僕は…僕は試されているのか……?)

515: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 20:17:31.57 ID:hL5Rb4AuO
『ボール!フォアボール!』

イチロー「…………」

矢部「結局イチローくんは歩かせたでやんすね……」

あおい「イチローくんは打率10割…ヒットしか打ってないから当然かもしれないけど…」

パワプロ「……勝つためには俺たちが打つしかないんだ!矢部くん!」

矢部「任せるでやんす!!」


矢部、気合いを入れるもやはり一ノ瀬は簡単には捉えられずあえなく三振。

続くあおいも変化球で芯を外されキャッチャーフライに倒れる。

そして四番、パワプロ---

529: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 20:27:15.71 ID:hL5Rb4AuO
一ノ瀬(確か彼がキャプテン…先の好守もあって相手チームの精神的支柱だ)

一ノ瀬(その彼を抑えて…流れをこちらへ持ってくる!)ビュッ!

『ストライク!』

パワプロ「…………」

パワプロ(賭けだ…スライダーだけを待つ!)

一ノ瀬「ふっ」ビュッ!ククッ!

パワプロ(違う…スクリューじゃない……!)

一ノ瀬「これで…最後だ!」ビュッ!ククッ!

パワプロ(これだっ!!)

カキーン!

577: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:01:20.23 ID:hL5Rb4AuO
中断して申し訳ない、再開する

587: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:10:42.51 ID:hL5Rb4AuO
矢部「れ、レフト線へのもの凄いライナーでやんす!」

六本木「くっ!」

あかつきの守備職人であるショート六本木がダイビングキャッチを試みる。

グローブにかすり威力は弱まるもレフト線へのヒットに変わりはない。

七井「クソッ!」ビュッ!!

レフトの七井がキャッチして投げるまでに香川がホームイン、そして

イチロー(行ける!)ダダダッ

一ノ瀬「急ぐんだ!彼が三塁を回ったぞ!!」

五十嵐「間に合え!!」ビュッ!

三塁五十嵐がボールを投げた直後、イチローが一塁からホームへと帰還する。

598: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:19:46.76 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「や……やっ…たー!!!」

矢部「凄いでやんす!あの難攻不落の一ノ瀬投手を打ち崩したでやんす!」

あおい「あのピッチャーから点を取ったのってこの地区じゃ私たちが初めてだよ!」

矢部「めちゃくちゃ凄いでやんす!ねっ、本田くん!」

本田「地区で初めてとか興味はない、俺が目指してるのは遥か上だから」

遠藤「バカ、こういう時は素直に喜ぶんだよ!」ゲシッ

本田「痛っ!」

608: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:25:54.61 ID:hL5Rb4AuO
しまった、パワプロの打球左中間のつもりだったのに書き間違えた
あおいちゃんも私とか言ってるし……脳内保管頼む


闘莉王「よしっ……この波に乗って俺も当てていかなきゃな」

矢部「闘莉王くん!期待してるでやんす!!」

あおい「…………」

あおい(何でだろう、嫌な予感しかしないのはボクだけかな?)


直後、闘莉王はその日最多の五連続自打球を記録、六球目で空振りしアウトとなる。

625: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:34:08.82 ID:hL5Rb4AuO
闘莉王「…………」

矢部「あの…と、とりあえずいっぱい当たったでやんすね!」

闘莉王「ああ……体にな」

矢部「…………」

矢部「……申し訳ないでやんす」


一ノ瀬「…………」

千石「無名校と思いきや…やはり曲者だったな」

一ノ瀬「すみません監督、甘く入ったスライダーを……」

千石「いやいい…むしろ二失点ですんで幸運と考えよう」

629: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:38:09.09 ID:hL5Rb4AuO
千石「やはり……やるしかないな」

一ノ瀬「し、しかし監督……!」

千石「私だっていい気分はしない……だが、勝つためだ……」

千石「チームを率いるキャプテンのお前ならその意味が分かるだろう」

一ノ瀬「…………!」

四条「一ノ瀬先輩……」

一ノ瀬「四条……あの作戦を全員に伝えてくれ」

四条「……分かりました」

642: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:47:43.56 ID:hL5Rb4AuO
あおい(この回は下位打線だから…少し気楽に投げられるかな…)ビュッ!

八嶋「くっ!」カンッ

『ファール!』

あおい「…………」

あおい(切ってきた?打たせるつもりだったから際どい球じゃないんだけど…)

あおい「なら…これで!」

八嶋「っ」カンッ

『ファール!』

イチロー「…………」

イチロー(マズい…そういうことか……!)

657: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 21:55:37.10 ID:hL5Rb4AuO
『ファール!』

あおい(こ…これで六回目のファール……何でさっきから切ってばかり……)ビュッ!

八嶋「!」コンッ

パワプロ「バントだ、あおいちゃん!」

あおい「分かってる!」ビュッ!

『アウト!』

あおい「良かった…これでワンアウト……!」

続く八番バッターは九十九、流し打ちの上手い優秀な選手だが……

九十九「………」カンッ

『ファール!』

あおい(ま、またファール……!)

九十九(……あんまり良い気分はせんわな)

672: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:05:30.78 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ(おかしい…さっきからカットしてばかり……まさか……!)

あおい「これで……!」ビュッ!

九十九「……」コンッ

闘莉王「バントだ!」

あおい「だ、大丈夫!」ビュッ

『アウトー!』

あおい「ツーアウト……はあっ…はあっ…!」

9番バッターは二宮、あかつきの中でも垢抜けた能力を持った名捕手。

二宮「…………」

二宮(くそっ……こんなんでいいのかよ……!)

そしてまたカットによる連続ファール…そして

二宮「!」コンッ

あおい(ま、また…バント…はあっ……はあっ……)

ピッチャーを走らせるバントを放ち、あかつきは攻撃を終える。

692: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:13:11.24 ID:hL5Rb4AuO
---

あおい「はっ…はっ…」

矢部「だ、大丈夫でやんすか?」

あおい「う、うん平気だよ…ちょっと疲れただけだから……」

パワプロ「間違いない…あおいちゃんの体力を削りに来てる……」

あおい「ぼ、僕の…体力を…?」

パワプロ「俺たちは9人で控えは0、投手はあおいちゃんしかいない」

パワプロ「そのあおいちゃんが体力切れで球が甘くなれば……」

矢部「ま、間違いなく反撃されるでやんす!」

706: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:24:14.46 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「仕掛けてくるとすれば…おそらく6回だろうね」

パワプロ「?」

イチロー「ずっと気になっていたんだ…なぜ一ノ瀬くんが一番なのか…」

矢部「ど、どういうことでやんすか?」

イチロー「あかつきの打順は一番からだけでなく…七番からも始まる打順になってるんだよ」

パワプロ「あかつきの七番って言ったらたしか俊足がウリの……っ!」

イチロー「そう、俊足の彼が塁に出て…巧打の九十九くんが打線を繋げる」

矢部「そ、その次は強打者としても知られる二宮さんでやんす!」

イチロー「そして満塁になったとき打席に入るのは……一ノ瀬くんというわけさ」

720: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:30:51.21 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「つまり、あと二回は…あおいちゃんを消耗させる攻撃が来る可能性が高いのか」

イチロー「確証はないけれどね……」

あおい「…………」

パワプロ「誰か…この中でもしもの時に投手を出来る人は……」

あおい「パワプロくん!」

パワプロ「な、何?あおいちゃん」

あおい「この試合……ボクに投げ抜かせてくれないかな?」

パワプロ「えっ!?」

イチロー「!」

725: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:39:38.17 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「な、何言ってるんだ!敵の狙いはもう明らかなんだよ?」

パワプロ「あおいちゃんは……」

あおい「……女の子、だから?」

パワプロ「!」

あおい「ボクだけがみんなと違う……女の子だから?」

パワプロ「…………っ」

あおい「ごめん、意地悪なこと言っちゃったよね……でも、お願い」

あおい「この試合だけは…ボク一人で投げさせて!」

あおい「この試合に勝つためにも…プロに行くためにも…ボクは絶対退きたくない!」

イチロー「…………」

729: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:48:51.49 ID:hL5Rb4AuO
イチロー「あおいちゃん、本当に君はプロに行くのかい?」

あおい「ど…どうしていきなりそんなことを?」

イチロー「……個人的な意見を言わせてもらうと、君はプロに行くべきじゃない」

あおい「!」

パワプロ「イチロー!なんてことを言うんだ!あおいちゃんはこんなに…」

イチロー「彼女が目標を持って努力をしていることは知ってるよ」

イチロー「女性のアンダースローで130キロと変化球…並大抵の努力じゃない」

イチロー「その努力が出来るだけで人として尊敬に値する」

パワプロ「じゃあどうして……!」

730: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:50:57.65 ID:hL5Rb4AuO
あおい「……やっぱり、ボクが女の子だからなの?」

イチロー「…………」

あおい「女の子じゃ……プロには行けないから?」

イチロー「……行けなくないさ、むしろ行ける可能性は高いと思う」

イチロー「女性初のプロ野球選手…ファンもきっと注目するだろうしね」

矢部「いいことでやんすよ!何も悪いことなんて……」

あおい「ボクは実力じゃなくて……見せ物として注目されるってこと?」

パワプロ「!」

イチロー「……そういう見方をする人も少なくはないってことさ」

734: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 22:53:13.24 ID:hL5Rb4AuO
パワプロ「そんなの間違ってる!真剣な気持ちで野球に向かってるあおいちゃんを……」

イチロー「間違ってるさ、でもプロの経営陣はきっと彼女を利用しようとする」

イチロー「だから僕はあおいちゃんがプロに行くことには賛成出来ない」

あおい「…………」

パワプロ「でも…あおいちゃんにはキレのいいシンカーがある!」

イチロー「たしかにね、初見じゃあれはなかなか打てないと思う」

パワプロ「だったら…」

イチロー「でもプロは一年で終わるわけじゃない、時を重ねるごとに対策もされてくる」

イチロー「今のシンカーじゃ…二年目は持たない、確実にね」

イチロー「その世界で……戦っていく覚悟があおいちゃんにはあるのか?」

752: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:05:22.34 ID:hL5Rb4AuO
あおい「……分からないよ、でも…それでも…ボクは野球がしたい!」

あおい「精一杯努力して……自分が納得出来る生き方をしたい!」

イチロー「…………」

イチロー「分かった、あおいちゃんに任せよう」

パワプロ「イチロー……」

あおい「ありがとう…ボクのワガママを聞いてくれて」

イチロー「我が儘なんて思ってやしないさ……ただ」

イチロー「野球に関して妥協を許さない頑固な姿勢が…まるで……」

---自分のようだったから

765: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:17:13.10 ID:hL5Rb4AuO
岡崎「ちくしょう…またあの変化球に……!」

イチロー「……話をしてるうちにこっちの攻撃も終わったね」

パワプロ「さあ…守備だ」

矢部「センターへ来た球はオイラが何がなんでも取るでやんす!」

パワプロ「大丈夫、サードは抜かせやしないよ!」

香川「ショートもね」

遠藤「レフトは任せろ!フリーキックのような狙いすました返球をするから!」

岡崎「身体に当たってでもボールは止める!」

イチロー「いざと言うときのバックホームは任せていいよ」

闘莉王「それを俺が全力で受ける!」

本田「闘莉王、お前死ぬぞ?」

773: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:25:21.46 ID:hL5Rb4AuO
あおい「み、みんな……」

パワプロ「守備の心配はしなくていいから…あおいちゃんは思いっきり投げればいい」

あおい「うん…分かった!」

パワプロ「さあっ、行くぞみんな!!」

一同「おおっ!」

一ノ瀬「…………っ」


イチローの予想通り、4回5回と投手のあおいを削るプレーは続いた。

反撃の攻撃時もイチローの敬遠、矢部のバントなどで打線が繋がらずに無得点。

そして迎えた6回

783: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:38:51.27 ID:hL5Rb4AuO
あおい「はあっ……はあっ……っ」ビュッ!

八嶋「悪い…許してくれ!」

カキーン!

パワプロ「センター前ヒット……!」

あおい「ここで止めなきゃ……」ビュッ!

九十九「堪忍な…こっちも流し打ちも封印してんのや」

カキーン!

本田「レフトだ!遠藤!センターなのにレフトの遠藤!」

遠藤「ごちゃごちゃ言うな馬鹿!」ビュッ!

『セーフ!』

パワプロ「二連打……!」

791: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:48:45.15 ID:hL5Rb4AuO
二宮「…………」

二宮(勝つためだ…んなことは分かってるんだ…けどこんな……)

あおい「はあっ……はあっ……」

あおい(長打にされちゃダメだ……低めに…集めなきゃ……!)

ビュッ!

二宮「くそっ!」

カキーン!

矢部「流し打ちでやんす!レフト!」

遠藤「またか…くそっ!」ビュンッ!

『セーフ!』

イチロー「……満塁、か」

796: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/21(日) 23:59:08.34 ID:hL5Rb4AuO
一ノ瀬「…………」

一ノ瀬(満塁……何としてもみんなをホームへ返す……!)

あおい「はっ…はっ…」

ビュッ!

『ボール』

一ノ瀬(既に球威も変化球のキレもない……)

ビュンッ!

一ノ瀬(打つしか……ない!)

カキーン!!

パワプロ「あっ!?」

闘莉王「センター!!」

矢部「…………!」

一ノ瀬のフルスイングで打ち返された白球はセンタースコアボードを直撃。

逆転満塁ホームランだった。

805: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:07:07.63 ID:pQ37RnZZO
あおい(う…打たれた……もうダメだ、力が入らない)

あおい(情けないなぁ…ワガママ言うだけ言っといて…一番早く諦めるなんて)

あおい(やっぱりボクには…野球なんて無理だったのかな……)

パワプロ「---!!---!!」

あおい(パワプロくん…なに言ってるか全然聞こえないけど…分かるよ)

あおい「諦めるには…まだ早過ぎるよね」

826: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:18:21.00 ID:pQ37RnZZO
四条「……!」

あおい「…………」

四条(あれだけ連打を浴びて…本塁打まで打たれて…まだ目が死んでない)

四条(体力もとっくになくなってるはずだ……なのに……)

ビュンッ!!

『ストライク!』

四条(どこからこの力が来るんだ…!)

あおいはこの回、執念の投球で上位打線の2、3、4番を凡打に抑えて打ち崩す。

彼女の執念はあかつき側にとって予想外であり…ただ驚愕するばかりだった。

そしてその投球は…仲間には力をもらたすこととなる。

837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:36:47.40 ID:pQ37RnZZO
あおい「はっ……はっ……」

パワプロ「……あおいちゃんはとっくに限界だったんだ、それでも…」

矢部「…………」

パワプロ「あおいちゃんがここまでしてくれたんだ…今度は俺たちが点を取り返す!」

パワプロ「俺たちなら大丈夫だ!」

一同「おおっ!!」

あおいの気迫の投球とパワプロの鼓舞…それは全員の士気を著しく上昇させた。

打順は一番…イチロー

イチロー「…………」

一ノ瀬「…………」

一ノ瀬(勝負するな…敬遠だ……)

ブンッ

一ノ瀬「!」

ブンッ!

一ノ瀬(ボールカウント0から…ツーストライク…?)

841: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:43:05.98 ID:pQ37RnZZO
イチロー「…………」スッ

一ノ瀬(バットを構える前のルーティン……明らかに挑んできている)

一ノ瀬(僕はキャプテンだ…キャプテンとして……)

二宮「…………」サッ

一ノ瀬(二宮…?何のサインを……!)

『低め外角いっぱいのストレート』

一ノ瀬「っ……!」

二宮「…………」

一ノ瀬(本気か二宮……戦うつもりなんだな)

845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:51:51.47 ID:pQ37RnZZO
一ノ瀬「そうだな…プロを目指す者として…逃げっぱなしは良くないな」

矢部「わ、ワインドアップでやんす!」

パワプロ「イチローに挑むつもりだ……!」

一ノ瀬(全力をぶつける…全身全霊を持って!)ビュッ

イチロー「!」

カキーン!

矢部「三塁線の流し打ちでやんす!」

一ノ瀬「五十嵐!」

五十嵐「うぐっ……!」

パワプロ「よしっ、抜けた!!」

ダダダッ

一ノ瀬(一塁蹴って二塁か……)

852: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 00:58:13.00 ID:pQ37RnZZO
一ノ瀬(負けた…か…とんでもないな、彼は)

一ノ瀬「だが…僕は次の打者に全力を注ぐだけだ」

矢部「…………!」

矢部(オイラ、今日は全然活躍してないでやんす…次こそは……!)

矢部「打つでやんす!」カキン

一ノ瀬「内野ゴロだ!六本木!」

六本木(三塁は……ダメだ、速すぎる!なら…一塁へ)ビュッ

矢部「うおおおおー!でやんすー!!」ズザザッ

『セーフ』

866: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:07:56.10 ID:pQ37RnZZO
続く打席のあおい、バッターボックスに入るものの一度もバット振らずにアウト

そして四番、パワプロの打順が回ってくる。

一ノ瀬(一死で一・三塁…彼には先にヒットを打たれている…)

一ノ瀬(何としても抑える!チームのために!)

パワプロ(俺がランナーを一掃すれば同点、下手をすれば逆転だ)

パワプロ(何としても打つ!仲間のために必ず!!)

876: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:18:00.83 ID:pQ37RnZZO
一ノ瀬「はあっ!」ビュッ!

パワプロ「くっ!」キィン!

一ノ瀬(当ててきたか…)

パワプロ(ダメだ…球種が多すぎてどれに狙いを絞ればいいかが……)

『試合で自分の思う球が来ることなんかほとんどないからね』

『自分が予想しなかった球にどう対処するか、それが重要なんだ』

パワプロ(そうだ…ここがターニングポイントか……!)

886: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:27:07.04 ID:pQ37RnZZO
一ノ瀬「はあっ!」ビュッ!!

パワプロ「うおあああああああっ!!」

カキーン!

一ノ瀬「っ!?」

パワプロの決意と仲間の思いを背負ったその打球は

レフトの観客席の中へと消えていった。

5-4

再び、恋恋攻撃のリードとなる

895: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:44:44.71 ID:pQ37RnZZO
その後、続く二者の凡退。攻撃が代わって恋恋高校が守備に。

あおい「さっきのホームラン…すごかった…あとはボクが抑えるよ」

パワプロ「あおいちゃん……うん、任せたよ!」

矢部「もうここまで来たら勝つしかないでやんす!」

イチロー「……行こう」

そう言ってパワプロたちがあおいから背を向けたのとほぼ同時

あおい「…………」

その早川あおいがマウンドに倒れ込んだ。

898: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:49:44.84 ID:pQ37RnZZO
すでに体力の限界だった、もう立っていることさえままならなかった状態。

それでも彼女は最後までボールを放さなかった。


早川あおいの戦線離脱、そして恋恋高校には控えの選手がいない。

それの意味するところは……その場の全員が分かっていた。

快進撃を見せた彼らの一年目の夏は……終わりを告げたのだ。

912: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 01:57:23.61 ID:pQ37RnZZO
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病院

あおい「……ここは…?」

パワプロ「あっ、起きたんだ!良かった、心配したよ!」

あおい「あれ、なんで…け、決勝!決勝は……」

パワプロ「……俺たちが負けた、後一歩だったけどね」

あおい「…………」

あおい「……ボクのせいだ、ボクがムチャして投げてたから…」

パワプロ「それは違う!あおいちゃんのせいじゃない!」

あおい「でも!これじゃ…みんなに会わせる顔がないよ……」

922: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:06:17.98 ID:pQ37RnZZO
パワプロ「あおいちゃんがどう思っても…俺たちには関係ないよ」

あおい「え?」

ガチャッ

矢部「あおいちゃーん!お見舞に来たでやんすー!」

本田「ちわーっす」

遠藤「バカ本田!病院なんだからもう少し粛々と……」

本田「それはごもっともだけど俺の考えは違った」

遠藤「バカかお前」ゲシッ

本田「痛っ!み、ミドルシュート上手くなったなお前……野球止めてサッカー行けよ」

遠藤「なーにバカ言ってんだお前は!」

ギャーギャー!!

あおい「…………」

パワプロ「……誰もあおいちゃんを責めてなんかないでしょ?」

937: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:14:35.77 ID:pQ37RnZZO
あおい「あ、イチローくんは……?」

パワプロ「ああ、アイツはちょっと厄介ごとをね」

あおい「……?」

矢部『パワプロ君、あおいちゃんにはまだ言ってないでやんすか?』

パワプロ『うん、今話したら責任を感じちゃうからね』

あおい「……?」

遠藤「だから病院では静かにしろって!」

本田「本田圭佑の物語は始まったばかり、俺自身のことは俺が決める」

遠藤「それでもマナーは守れバカ!」ゲシッ

本田「二度も蹴ったなお前」

あおい(あの二人はいつまでやってるんだろう……)

944: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:20:56.41 ID:pQ37RnZZO
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あかつき大附属高校

一ノ瀬「これがあかつき大附属野球部の全員の署名だ」

イチロー「悪かったね、手間を掛けさせてしまって」

一ノ瀬「彼女には悪いことをしてしまった…倒れるまで限界に来ているとは思わなかった」

一ノ瀬「監督からもよく謝っておいてくれと言われたよ」

イチロー「あれも一つの作戦…責任を感じることじゃない」

一ノ瀬「……情けない話だ、僕なんかより彼女のほうがずっとプロに相応しい」

一ノ瀬「どんな過酷な状態でどんな相手が来ても決して逃げなかった…勇気ある彼女のほうが」

954: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:30:15.28 ID:pQ37RnZZO
イチロー「……さて、僕はそろそろ行くよ」

一ノ瀬「ああ、わざわざ来てもらって悪かったね」

イチロー「大したことじゃないさ…それじゃあ」

一ノ瀬「待ってくれ……今の君たちへの向かい風は強い」

一ノ瀬「出場不可な女性選手を出場させたこと…その選手が倒れるまで投げさせたこと…」

一ノ瀬「そして高野連の処分や規定はなかなか覆らないことで有名…」

一ノ瀬「それでも諦めることはしないのかい?」

イチロー「やりもせずに最初から諦めるなんてことはしないさ、それに…」

イチロー「世の中の常識を変えるっていうことは。人間としての生きがいでもあるからね」

イチロー「女性に野球は相応しくないなんて常識は…僕たちでいくらでも変えてみせるさ」

964: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:34:23.39 ID:pQ37RnZZO
一ノ瀬「……僕はプロに行く前に君と会えて本当に良かった、ありがとう」

一ノ瀬「ああ、最後にもう一つ……君は一体何者なんだい?」

イチロー「僕かい?僕は」

---メジャーリーガーさ

975: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/22(月) 02:40:53.21 ID:pQ37RnZZO
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病院

ガチャッ

イチロー「やあ」

あおい「イチローくん!」

パワプロ「お、やっと来たかイチロー!」

イチロー「悪かったね、ちょっと道に迷ってしまって」

矢部「何にしてもこれで始められるでやんす」

あおい「始めるって…何を?」

パワプロ「あおいちゃんの復調祝いさ!」

あおい「えーっ!?」

イチロー「ははは、元気だなみんな」


その日、とある病室では野球を愛する男女の楽しげな声がこだましていた。


一部---完