ロレンス「…ん」
ロレンス「(リビングの方が明るいな…)」
ロレンス「…」ムクッ
408: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:31:47.61 ID:fd9Lq4uho
窓から射す星空の明かりが頼りのリビング。
片膝を抱えるようにして椅子に座るホロがいた。
お酒の入ったグラスをもう片方の手に持ち、彼女は、
ベランダに続く窓から月を眺めていた。
尾の先の綺麗な白が、月明かりでほんのりと浮かび上がる。
光芒の中に佇むそんな彼女のことを、俺はただ美しいと思う。
409: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:33:49.47 ID:E9gL7dPDO
カラン
ホロ「おや、ぬしよ」
ホロ「ごめん。起こしてしまったかの」
ロレンス「いや、そう言うわけじゃないよ」
ロレンス「と言うか、どうしたんだ? こんな夜中に」
ホロ「何だか今日は眠れなくての」
ホロ「くふ、我ながら子どもみたいでありんす」
410: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:35:42.24 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「それで一人酒か」
ロレンス「俺も誘ってくれればよかったのに」
ホロ「眠っておるぬしを起こすわけにもいかんじゃろ」コク
ロレンス「しかし、こうして俺も目が覚めてしまった」
ホロ「ふふ、ではぬしにも入れよう」
ロレンス「悪いな」
411: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:37:41.33 ID:E9gL7dPDO
ロレンス「そう言えば、今日は満月か」コク
ホロ「うむ」
ホロ「…なんじゃぬしよ、まさか月に当てられて」
ホロ「わっちがこうして起きておるのかと勘繰ったのではあるまいな?」
ロレンス「まあな」カラン
ロレンス「…そうであっても驚かない」
ロレンス「(あんなに幻想的な様子を目にしてしまうとなおさらだ)」
ホロ「たわけ」
412: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:40:06.22 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「何か不眠の理由があるというわけでは」
ホロ「ありんせん。本当に、ただ何となく目が覚めてしまっただけじゃ」
ホロ「あんまり心配せんでくりゃれ?」
ロレンス「別にホロのことを信用していないわけではないよ」コク
ロレンス「だが俺は、ホロも知っての通り抜けている男だからな」
ロレンス「一人で納得してしまうと、よく失敗する」
ホロ「ふむ」
413: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:41:18.02 ID:E9gL7dPDO
ホロ「なので用心深く、ということじゃな」
ホロ「うむ。殊勝な心がけじゃ」
ホロ「じゃがあまりしつこく心配することも決してよいことではない」
ロレンス「ああ。ほどほどに、な」
ホロ「うむ」
ホロ「まあそれが容易ではないからこそ、ぬしはいつも失敗しておるのじゃがな」
ロレンス「…耳が痛いよ」
414: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:43:35.56 ID:fd9Lq4uho
カラン…
ホロ「とはいえ、それが最もぬしらしいところでありんす」
ホロ「じゃからわっちは、ぬしのそう言うところに惚れたんじゃと思う」
ロレンス「…たわけなところってことか」
ホロ「くふ、そうじゃな」
ホロ「思い込み、間違え、余計なことをする」
ホロ「けれどぬしはいつだって真剣じゃ」
ホロ「そんな姿を見ておって惚れぬとあっては、嘘でありんす」
ロレンス「…はは。やけにストレートに褒めるな」
ロレンス「何と言うか、さすがに照れる」ポリポリ
415: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:45:06.62 ID:E9gL7dPDO
ホロ「まあ、アマーティのこともあった」
ホロ「お互いもう少し素直になろうと決めたのは、ついこの前のことでありんす」
ロレンス「…ああ」
ロレンス「まったく。もう初々しいと言える時期なんて、とうに過ぎたのにな」ハハ
ホロ「くふ。そうは言っても一緒になって、ここに来てからまだ日は浅い」
ホロ「その点わっちらは、まだまだじゃと言うことでありんす。浮かれず精進せんとの」
ロレンス「肝に銘じておくよ」
ホロ「んむ」
416: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:46:14.73 ID:fd9Lq4uho
ホロ「何だか話しておったらお腹が空いた」
ホロ「なにか軽くつまめるものでも作ろうかの」ガタッ
ロレンス「悪いな」
ホロ「ううん。料理は妻の務めじゃからな」
ホロ「…余りもので、パスタでもするかの」
ロレンス「それはいい。そうすると、次はワインにするか」
ホロ「おお、いいの」
417: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:47:58.84 ID:E9gL7dPDO
ホロ「お待ちどう」コト
ホロ「ベーコンとほうれん草がメインの、ペペロンチーノじゃ」
ロレンス「…美味い」モグモグ
ホロ「うむ。我ながら上出来じゃ」モグモグ
ロレンス「前は俺がいつも料理をしていたのになぁ」
ロレンス「こうして残り物で料理できるまでになるとは、感慨深い」モグ゙
ホロ「くふ、褒め言葉だと思っておくでありんす」
418: ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:53:31.52 ID:fd9Lq4uho
ロレンス「ごちそうさま」
ホロ「おそまつでありんす」カチャ
ロレンス「…さて。そろそろ寝ないと、明日がまずい」
ホロ「うむ。ぬしには、わっちの分も外で十分働いてもらわんとの」
ロレンス「ああ。ホロのためにも、ばりばり稼がないとな」
ホロ「くふ。嬉しい」
ロレンス「…何だか、そうあんまり素直に言われてしまうと、拍子抜けしてしまうな」
ホロ「くふふ♪」
419: 今回はここまでです、また明日! ◆5elc53sAMI 2013/03/03(日) 23:55:16.11 ID:E9gL7dPDO
ゴソ
ホロ「暖かいの」
ロレンス「二人だからな」
ホロ「そうじゃな」
ギュ
ホロ「…お休み、ぬしさま」
ロレンス「ああ。お休み、ホロ」
424: ある休日の様子。 (引き続き、舞台3) ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:47:33.32 ID:FMpw3WG0o
チーン
ロレンス「…む」パチッ
ロレンス「…」クンクン
ロレンス「いいにおいがするな…」
ムクッ
425: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:50:31.43 ID:FMpw3WG0o
ホロ「おお、ぬしよ。やっと起きたかや。おはよう」
ロレンス「…おはよう」
ホロ「ひどい寝ぐせじゃ」クスクス
ホロ「ほれ、とっとと顔を洗って来んす。朝餉の用意はできておるぞ」
ロレンス「…うん」
426: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:50:58.52 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…」
ホロ「何じゃ、ぼけーっと突っ立って」
ホロ「まだ寝ぼけておるのかや?」
ロレンス「…いや…」
ロレンス「いいもんだよな。朝起きたら、誰かが食事の用意をしてくれているってのは」
ホロ「…」
ホロ「何を唐突にたわけたことを…」ハア
ホロ「本当にまだ夢うつつのようじゃな?」
427: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:51:48.13 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…そんなことはないさ」
ロレンス「そうか、今のは少し間違ったか」
ホロ「は?」
ロレンス「朝起きたら、ホロが。」
ロレンス「こうして俺のために食事を用意してくれているというのが、幸せだ」
ホロ「…」
ホロ「…」//
ホロ「べぇ。朝から甘ったる言葉じゃ。ごちそうさま」
ホロ「じゃが、いやな気はせんの」
ロレンス「はは」
428: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:53:24.30 ID:FMpw3WG0o
ホロ「まったく、ぬしさまと言うお人は」
ホロ「いいからほら、顔を洗って来てくりゃれ?」
ホロ「食事にしよう。一緒に、の」
ロレンス「ああ」スタスタ
ホロ「…くふ。まったく」//
429: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:54:04.96 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「では。頂きます」
ホロ「んむ。おあがり」
ロレンス「…」モグモグ
ロレンス「今日はなにか、用があったかな」
ホロ「ん、そうじゃな」モグ
ホロ「…特別何もないの。いつも通り買い物にはいかないとならんが」
ロレンス「そうか」
430: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:55:24.54 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「今日はうちでのんびりしようか」
ホロ「そうじゃな」モグモグ
ホロ「何も休日じゃから、遠出せんとならないわけではないし」
ホロ「わっちはぬしといられれば、まあよいからの」
ロレンス「まあって何だよ」
ホロ「まあはまあ、じゃ」
ホロ「くふふ、誇ってよいのじゃぞ?」
ホロ「この賢狼が、ぬしだけいれば何事も“まあ”満足すると言っておるのじゃからな」
ロレンス「釈然としないな」
431: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:56:18.28 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「ふん」モグモグ
ホロ「くふ、拗ねるでない」
ホロ「まったくぬしは可愛いお人じゃ」
ロレンス「…俺はきっと、一生こうやってお前にからかわれ続けるんだろうなぁ」
ホロ「…」
ロレンス「…どうかしたか?」
ホロ「ううん、なんでも」モグモグ
ホロ「(そういうことをさらっと言うから、ぬしはたわけなんじゃ)」
ロレンス「?」
432: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:57:17.12 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「おいしかった。ごちそうさま」
ホロ「んむ。さて、ぬしには食後のコーヒーじゃな」ガタ
ロレンス「っと、その前に片づけをしてしまおう」
ロレンス「その方が、気分よく一服できるだろう」ガチャ
ホロ「なんじゃ、わっちがやるのに」
ロレンス「それこそ、一人でのんびりしていたって、ホロと同じで俺も面白くないさ」
ホロ「そうかや…くふ」
ホロ「ありがと」
433: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:58:17.49 ID:FMpw3WG0o
ホロ「はい、コーヒー」コト
ロレンス「ありがとう」
ホロ「わっちは、コーヒーは苦くて飲めないので、ココアにした」
ロレンス「…食後のココアか」
ロレンス「想像しただけで胃がもたれそうだ」
ホロ「ぬしも一口どうかや?」
ロレンス「遠慮するよ」
434: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:59:04.27 ID:FMpw3WG0o
ズズ
ホロ「ぬしの方こそ」
ホロ「よくコーヒーを、何も入れずに飲めるの。わっちには無理じゃ」
ロレンス「味をおいしいと思って飲んでいるかと言えば、そう言うわけでもないしな」
ホロ「そう言うものかや?」ズズ…
ロレンス「インスタントの安物だからかもしれないが」
ロレンス「まあ、食後の胃を休めてるつもりで飲んでいるよ俺は」
ホロ「ふぅん」
435: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 14:59:58.40 ID:FMpw3WG0o
ホロ「さて、一服したし」
ホロ「ぬしよ、手を」
ロレンス「? ん」
パシッ
ホロ「くふ、では」タタッ
ロレンス「お、おい。引っ張るなよ」ガタッ
ロレンス「一体、どこに行くんだ」
436: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 15:00:41.02 ID:FMpw3WG0o
ホロ「ほりゃっ」
バフッ
ロレンス「…子どもか、お前は」
ホロ「くふふ、ぬしが言うのなら子どもでかまわぬ」
ホロ「ほら、ぬしよ」
ロレンス「なんだ」
ホロ「ぎゅーっ」
ギュッ
ロレンス「…抱き返せばいいのか」
ホロ「それを聞いては台無しでありんす」
438: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 15:01:37.61 ID:FMpw3WG0o
ロレンス「…何だか、恥ずかしいな」
ホロ「いつも一緒に寝ているのに、今さら何を恥ずかしがるんじゃ」クス
ロレンス「…いや、何でだろうな」
ホロ「早く早く。わっちからぬしを抱きしめておるだけではさみしいでありんす」
ロレンス「わ、分かったよ」
ロレンス「…」
ギュ
439: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 15:02:40.55 ID:FMpw3WG0o
ホロ「くふふ♪」
ロレンス「…で? 二度寝がしたかったのか?」
ホロ「ううん。別に寝る気はないけど」
ホロ「眠くもないのに、ぼーっとふとんで過ごすのって、なんかいいじゃろ」
ロレンス「…まあ」
ロレンス「確かに、すごく贅沢な時間の使い方のような…気がしないでもない」
ホロ「そうそう、そんな感じじゃ」
440: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 15:06:47.67 ID:FMpw3WG0o
ホロ「と、言うことで」
ホロ「しばらくは、こうしてまったりしよう、ぬしよ」
ロレンス「もちろん構わないが」
ホロ「…くふふ」
ロレンス「…ホロがいいなら、な」ギュ
ホロ「…♪」パタパタ
444: >>443 ありがと! では のんびり続きです。 ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:16:03.32 ID:27g++3R6o
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「…」
ホロ「…」スー…
ロレンス「…そりゃあベッドにいたら寝てしまうよな…」チラ
ロレンス「もう三時か」
スリスリ
ホロ「…♪」
ロレンス「…まあ、いいか…たまには、こんな日があっても」
ナデナデ
ホロ「♪」スー…
445: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:18:27.67 ID:eICgqagDO
ホロ「…ふが」
ロレンス「お、目が覚めたか」
ホロ「…」トロン
ロレンス「おはよう、ホロ」
ホロ「…」ボーッ
ロレンス「はは、間抜けな顔」
ホロ「…くふ」
446: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:20:11.32 ID:27g++3R6o
ホロ「ん」
ロレンス「…っ、んむ」
ホロ「…くふふー、ぬしさまじゃー」
ホロ「おはよぅ」ギュー、スリスリ
ロレンス「…っ」
ロレンス「ホロ、お前まだ寝ぼけて…」
ホロ「…」スー…
ロレンス「…不意打ちはずるいぞ、まったく」ハア
447: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:22:27.71 ID:eICgqagDO
・ ・ ・ ・ ・
ホロ「寝過ぎたでありんす!」
ロレンス「…」キーン
ロレンス「うるさい。耳元で叫ぶな」
ホロ「眠っての! 元気いっぱいなんじゃーっ!」
ロレンス「がーっ! やめろ、このっ」
ホロ「うははー」ゴロゴロー
448: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:23:28.84 ID:27g++3R6o
ホロ「さて、それじゃあ買い物に行こうかの」
ホロ「ぬしよ、何か食べたい物はあるかや?」
ロレンス「そうだなぁ」
ロレンス「…そうだ、それなら」ゴソ
ホロ「?」
449: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:24:49.11 ID:eICgqagDO
ゴトッ
ホロ「…これは?」
ロレンス「社長に日本酒を頂いた。先日のお詫びだと言ってな」
ホロ「…」
ホロ「か、確実に根に持っておるの」
ロレンス「…俺もそう思う」
ロレンス「できるだけ、早いうちに二人で謝りに行くか」
ホロ「う、うむ。ぜひそうさせてくりゃれ」
450: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:25:37.40 ID:27g++3R6o
ロレンス「まあ、それはともかく」
ロレンス「せっかくだから、この日本酒をおいしく飲める料理がいいかな、と」
ホロ「…ふむ」
ホロ「…日本酒と言うとなんじゃ?」
ロレンス「さっぱりしたものじゃないか?」
ホロ&ロレンス「「…」」
451: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:26:49.47 ID:eICgqagDO
ホロ「…まあ、ぶらぶらしながら決めるかや」
ロレンス「そうだな」
ロレンス「とりあえず出かけよう」
ホロ「うむ」
452: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:28:58.53 ID:27g++3R6o
ガチャ
ロレンス「もう三月か」
ロレンス「今日は確かに春らしい陽気だ」
ホロ「ようやく暖かくなって来たの」
ホロ「これじゃと、今日は冷酒の方がいいかもしれぬの」
ロレンス「ちなみに社長は冷酒の方が好きだな」
ホロ「…ちょっと冷やしに戻るでありんす」ガチャ、バタバタ
ロレンス「はは」
453: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:30:57.40 ID:eICgqagDO
ホロ「のう、ぬしよ」
ホロ「…決して余計な意味を込めるのではないが」
ロレンス「うん?」
ホロ「焼き魚なんかはどうかの」
ロレンス「…焼き魚か。確かに日本酒に合いそうだ」
ホロ「んむ」
ロレンス「…そうだな。では俺が買いに行くよ」
ホロ「え」
454: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:32:55.69 ID:27g++3R6o
ロレンス「…何だよ」
ホロ「いや、そうか。そう来るかや」
ホロ「えっと、どうしてぬしが買いに行こうと思うのかや?」
ロレンス「そりゃ、…俺の目の前でお前がアマーティと会うのは、楽しくないからな」
ホロ「…あ、そう」
ホロ「いささか狭量すぎる気もするがの」クスクス
455: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:34:50.78 ID:eICgqagDO
ホロ「まあぬしの好きにすればよい。どうせ普段の買い物でいつも顔を合わせておるし」
ロレンス「そうかい」
ホロ「くふ、拗ねるでない」
ロレンス「拗ねてない」
ホロ「そうかや」
ホロ「くふ♪」
456: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:36:20.58 ID:27g++3R6o
ホロ「では、わっちはあちらのスーパーに行っておるでありんす」
ロレンス「ああ。どの魚がいいかは、アマーティに任せるよ」
ホロ「んむ。そこでまで意地を張らぬ辺り、余計な心配はせんでよさそうじゃ」
ホロ「じゃ。またあとでの」
ロレンス「うん」
457: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:45:12.64 ID:eICgqagDO
・ ・ ・ ・ ・
ガラガラガラ
アマーティ「ありがとうございました」ペコ
ロレンス「いえ。では、また」クルッ
ロレンス「っと」
ホロ「…」
ロレンス「何だ、待っていてくれたんだな」
ロレンス「余計な心配はしないんじゃなかったのか?」
ホロ「…ん、んむ」
ロレンス「…」
458: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:46:22.58 ID:27g++3R6o
ロレンス「…フード、ずれているぞ」
ホロ「あ」
ロレンス「まったく」ギュ
ホロ「わぷ」
ロレンス「それで? そんなところに突っ立って、聞き耳を立てていたのか」
ホロ「そ、そんな言い方ないじゃろ」
ホロ「…つい、どんな会話を交わすのかと気になってしまいんす」
ホロ「じゃが結局はよく聞こえんかったんじゃ。信じてくりゃれ?」
459: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:49:00.19 ID:eICgqagDO
ロレンス「そうか」
ホロ「本当じゃからなっ」
ホロ「…それでその」
ホロ「一体、何を話し込んでおったのかの?」
ロレンス「初めからそう素直に聞けばいいだろ?」
ホロ「そうは言っても、の…」
ロレンス「…」クス
ロレンス「…」ナデナデ
ホロ「…むぅ…」
ロレンス「別に大した話はしていないよ。それこそ本当だ」
460: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:50:19.34 ID:27g++3R6o
ロレンス「そうだ、アマーティがホロのことを褒めていたぞ」
ホロ「?」
ロレンス「大吟醸酒に焼き魚の提案は、さすがだと言っていた」
ホロ「…む」
ホロ「それは嬉しいが、聞き様によっては」
ホロ「男どものデリカシーのないこと、って感じじゃな」
ロレンス「それは邪推だよ」ハハ
ロレンス「…あとは謝ってもいたな」
ホロ「…ん? わっちにかや?」
461: ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:52:33.25 ID:eICgqagDO
ロレンス「ああ。悲しませてしまって申し訳ない、と」
ロレンス「あの野郎、それで俺には謝らないと来てる」
ロレンス「なるほど若いくせに、肝の据わったいい雄って感じだな」
ホロ「…そうじゃな」
ホロ「って。ぬしがそんなことを言っては、わっちが反応に困ってしまいんす」
ロレンス「そりゃそうだ、お前を困らせるために言ったんだから」
ホロ「…ぬしのたわけ」
ロレンス「はは」
462: また明日。 二人ののんびりとした休日は、もう少し続きます。 ◆5elc53sAMI 2013/03/04(月) 23:55:52.16 ID:27g++3R6o
ロレンス「まあ、そんな他愛もない話だよ」
ロレンス「大したことないだろう?」ポン
ホロ「…うむ」
ロレンス「さ、買い物の続きだ。焼き魚だけでは食卓が寂しい」
ロレンス「他にも何か、作ってくれるんだろ?」
ホロ「…くふ。もちろんじゃ」
ホロ「そうじゃな、さて何にしようかの」
465: 続き ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:05:36.91 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
パチッ
ホロ「ただいまでありんす」
ロレンス「ただいまっと」ガサ
ホロ「ぬしよ、もしよければ」
ホロ「今のうちに風呂に入ってしまえばどうかの?」
ホロ「その間にわっちは食事の準備をしておくでありんす」
466: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:08:51.00 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「そうだな。それもいいか」
ロレンス「今日はのんびりするがテーマだしな」
ホロ「そうじゃったな」クス
ロレンス「先に風呂に入って、ゆっくりと晩酌ってのは悪くない」
ロレンス「…しかしそれでは」
ホロ「?」
ロレンス「ホロはいつもと変わらないだろ?」
467: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:10:51.86 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…それはまあ…そうじゃろ」
ホロ「いや、それは気にするところではないぞぬしよ」
ロレンス「そうか?」
ロレンス「…いや、それなら正直に言おう」
ホロ「んむ?」
ロレンス「ホロと一緒にお風呂に入りたいです」
ホロ「 」ブッ
468: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:11:46.94 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…」
ロレンス「…」
ホロ「…」
ホロ「…ともかく、先にお湯を張っておいてくりゃれ…」
ホロ「わ、わっちは、その間にできることを、しておくでありんすの」
ロレンス「語尾がおかしくなっているぞ」
ホロ「そんなことないです」
ロレンス「お前の敬語って違和感がすごいな」
469: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:13:57.41 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「照れているのか?」
ホロ「い、いいから早く行きんす!」
ロレンス「この間も一緒に入ったじゃ
ホロ「き、聞こえんの! わっちには聞こえないでありんす!」
ロレンス「…まったく。分かったよ、行って来る」スタスタ
ホロ「…」
ホロ「(な、何がまったくじゃ! それはわっちの台詞じゃろうに!)」//
ホロ「あ、あのたわけめ…覚えておれ…」
470: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:16:24.22 ID:zb4ZeLFRo
トントン
ホロ「よし、と」
ロレンス「溜まったぞー」
ホロ「お、ちょうどよいの」
ホロ「一通り、あとは風呂上がりに火を入れればよいようにしてある」
ロレンス「…本当に料理は上達したよな。手際もいいし」
ホロ「ふふん」フンス
ロレンス「(今さらだが…)」
ロレンス「(俺の嫁が可愛いです)」
ホロ「…なに間の抜けた顔をしておるんじゃ」
ホロ「…」
471: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:18:15.42 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「ねえ、ぬしよ」
ロレンス「うん?」
ホロ「…えっと」
ホロ「もしそう思うなら、…わっちのこと、褒めてくりゃれ?」
ロレンス「 」
ホロ「…」ジッ
ロレンス「(ホ、ホロが頭を撫でて欲しそうに)」
ロレンス「(上目遣いでこちらを見ている、これは―――)」
ホロ「…ぬしよ。のう」
ロレンス「お、おう」
472: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:19:45.91 ID:zb4ZeLFRo
スッ…
ホロ「くふ」
ガッ
ロレンス「へ?」
ホロ「なーんて、言うと思ったかや!」
ロレンス「…!?」ペシッ
ロレンス「いてっ」
ホロ「ふん、さっきのお返しでありんす」
ホロ「せいぜいわっちに見惚れたじゃろ。じゃが、それでお預けじゃ」
ホロ「くふふ、たわけめ」タタッ
ロレンス「なっ、お前」
473: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:20:58.29 ID:zb4ZeLFRo
ピタッ
ホロ「と、言うわけで」
ロレンス「…ん?」
クルッ
ホロ「さきに風呂で待っておるからの」
ホロ「早く来て、くりゃれ?♪」
ロレンス「…っ」
ホロ「じゃあのー」ペタペタ
ホロ「…これで何とか、攻守逆転できたかの…」//
ホロ「わっちまで何をやっておるのやら…」//
474: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 15:21:47.45 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「…」
ロレンス「…」
ロレンス「…風呂、行くか」
478: 続き。 ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:40:14.45 ID:zb4ZeLFRo
ガラ
ホロ「お、来たかや」
ロレンス「…うん」
ホロ「ほれ、座ってくりゃれ? 背中を流すでありんす」
ロレンス「…うん」
ホロ「なんじゃ、緊張しておるのかや?」
ホロ「この前も一緒に入ったばかり、じゃろ?」
ロレンス「…うるさい」
ホロ「くふふ」
479: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:42:04.87 ID:zb4ZeLFRo
ザバッ
ゴシゴシ
ホロ「痛くはないかや?」
ロレンス「ああ。気持ちいいよ」
ホロ「くふ。それは何よりじゃ」
ゴシゴシ
ホロ「…ぬしの背中は大きいの」
ロレンス「まあ、男だからな」
ホロ「これ。そう言うことではありんせん」
ロレンス「…そうか?」
ホロ「そうじゃ」
480: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:44:21.63 ID:zb4ZeLFRo
ザバッ
ホロ「よし。綺麗になったの」
ロレンス「ああ、ありがと…」
ピトッ
ロレンス「…ホロ?」
ホロ「…くふ。なあ、ぬしよ」
ロレンス「…うん」
ホロ「いつもありがと」
ロレンス「…何だ突然」
481: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:45:49.33 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「何となくの」
ホロ「こんなわっちが、今こうして幸せなのは」
ホロ「ぬしのおかげじゃからな」
ホロ「たまにはこうして、感謝の言葉を口にせんとの」
ロレンス「…らしくないって言ったら、怒るか?」
ホロ「ううん。自覚はあるから、気にしないでありんす」
ロレンス「自覚はあるんだな…」
482: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:47:33.34 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「まあ、感謝しているのはお互い様だ」
ロレンス「ほら、いつまでも座っていたら体が冷える。湯船に浸かろう」
ホロ「うむ」
ホロ「その方が、もっとぬしにくっつくことができるしの」
ロレンス「…はいはい。もう動揺はしないからな」
ホロ「それは残念」
483: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:50:25.71 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
ホロ「では」
ロレンス「はい」
パキ
ホロ「…なんだか、緊張するの」
ロレンス「何をだよ」ハハ
484: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:51:11.62 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…行くでありんす」
ロレンス「おう」
ホロ「…」
トクトクトク…
ホロ「…っと。こんなもんかの」
ロレンス「ありがとう。今度は俺が入れるよ」
ホロ「んむ」
トクトクトク…
485: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:52:06.40 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「頂きます」
ロレンス「…」ズズ
ロレンス「うん。おいしい、…と、思う」
ホロ「なんじゃその生煮えな感想は」ズズ
ロレンス「…未だに日本酒は飲み慣れていないからな」
ロレンス「正直、飲み易いかどうかの違いしか分からない」
ホロ「…まあ、わっちも同じじゃけど」
ロレンス「だよな」
486: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:53:28.17 ID:zb4ZeLFRo
・ ・ ・ ・ ・
チビチビ
ロレンス「…今日は本当に、思う存分のんびりできたな」
ホロ「昼寝も散々したしのー」
ロレンス「おかげさまで、元気いっぱいだ」
ホロ「どこがかや?」
ロレンス「…妙なかんぐりはよしてくれ」
ホロ「くふ」
ロレンス「(酔い始めたな、こいつ…)」
487: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:54:55.18 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「…今日も月が綺麗だな」
ホロ「そうじゃな」
ホロ「…」チビ
ホロ「のう、肩を借りてもいいかや」
ロレンス「どうぞ」
ホロ「ありがと」
コテッ
488: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:55:57.47 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「…わっちはの」
ロレンス「うん」
ホロ「これからも、ぬしとこうして」
ホロ「のんびりとお酒を飲めたら、もう十分幸せでありんす」
ロレンス「…酒はいるんだな」
ホロ「む」
ロレンス「なるほど。“まあ”から“もう十分”までに必要なのは酒だったか」
ホロ「…」
489: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 22:57:39.21 ID:zb4ZeLFRo
ホロ「茶化すではありんせん」プイッ
ロレンス「言いだしっぺはお前じゃないか」
ホロ「…むぅ」
ロレンス「はは」
ロレンス「…よしよし」ナデナデ
ホロ「ん…」
490: ◆5elc53sAMI 2013/03/05(火) 23:01:12.79 ID:zb4ZeLFRo
ロレンス「ま、ホロとこんな時間を過ごすためにも、また明日から」
ロレンス「俺はしっかり働かなきゃな」
ホロ「くふ。そうじゃの」
ホロ「わっちも、ぬしのために頑張るでありんす」
ロレンス「うん。よろしく」
ホロ「こちらこそ。よろしくの、ぬしよ」
,,,,,,
/: : {
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l: : : : :l : : : : : : :l仆::心`ヾ厶 イ _ Ⅵ乂
. !: : : : : : : : : : : :i!弋;;ソ イ心 ヾl: :{
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丶: : : : : : : : :iト... ` ー-γ´..:::::r、r、`r、: '.
\: : : : : : 八::::>., / ...::r 、::ヽヽヾ ヤ: :.
* 終わり
496: 舞台1 初心に帰る。 ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 13:56:41.70 ID:aq82O49ro
ガラガラ…
ホロ「暇じゃなー」
ロレンス「お、何だかその台詞は久し振りだな」
ホロ「…まあ、つい先日まで街におったのじゃからな」
ホロ「しかし今回の滞在は忙しかった…」グッタリ
ロレンス「暇ってことは、目に見えた苦労はないってことだからな」
ロレンス「楽ではあるが、今度はそれこそが苦痛になるわけだ」
ホロ「…何事ももう少しとんとんに巡ってくればよいものなんじゃが」
ホロ「なかなか、上手く行かないものでありんす」
ロレンス「そうだな」
497: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 13:58:44.73 ID:aq82O49ro
ホロ「ああ、また固い床で眠らなければならない日々が戻って来るでありんす…」
ロレンス「大げさだな」
ロレンス「…そう言えば、麦畑は寝心地がよかったのか?」
ホロ「…どうじゃったか」
ロレンス「俺はとても眠れそうにないな。想像しただけで痒い」
ホロ「ぞわっとするの」
ロレンス「ずっとそこにいた奴が何を言っているんだか」
498: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:00:38.02 ID:aq82O49ro
ホロ「村におったころのことはよく覚えておらん」
ホロ「ぬしとの旅の思い出の方が、わっちにとっては大切じゃからの。上書きされてしまいんす」
ロレンス「そうか」
ホロ「…何だか、今日はぬしが冷たいの」
ロレンス「いつだって温かいのも鬱陶しいだろ?」
ロレンス「そんなことより、よく眠れる策を練っておいた方がいいんじゃないのか?」
ホロ「む」
499: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:02:33.30 ID:aq82O49ro
ホロ「そうじゃったな」
ホロ「…むぅ、どうするか…」
ロレンス「(そんなに真剣になるようなことでもないと思うが)」
ホロ「…ふむ」
ホロ「くふ」チラ
ロレンス「…何だよ。なにか思いついたのか?」
ホロ「まあの。ま、夜になったら試してみるでありんす」
ロレンス「そうかい」
500: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:03:42.19 ID:aq82O49ro
ホロ「さて、そうなると」
ホロ「夜の悩みは解決したとして…」
ロレンス「…」
ホロ「…なんじゃ、その顔は」
ロレンス「いや、なんでも」
ホロ「たわけ」
ロレンス「…俺が悪いのか?」
501: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:04:36.06 ID:aq82O49ro
ホロ「当面の退屈凌ぎを考えねばならん」
ロレンス「振り出しに戻ったな」
ガラガラ…
ホロ「ぬしはどうしておったのじゃ?」
ホロ「一人旅は、今よりよほど時間を持て余しておったじゃろ」
ロレンス「…そうは言っても、俺は手綱を握っているわけだし」
ロレンス「それに一人旅だからこそ」
ロレンス「そうそう気を抜くわけにもいかなかったからな。暇って感じではなかったと思うが」
ホロ「ほう」
502: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:06:52.65 ID:aq82O49ro
ロレンス「そのころの退屈を思えば、ホロがいる今は俺にとっては退屈でも何でもないな」
ホロ「おっと油断しておった」
ホロ「これじゃからぬしはたわけなんじゃ」//
ロレンス「(何だか安っぽい照れ方だな…)」ハハ…
ロレンス「ん?」
503: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:08:35.10 ID:aq82O49ro
ロレンス「と言うか、それこそ話を戻すが」
ロレンス「むしろお前こそどうしていたんだ」
ホロ「?」
ロレンス「パスロエの村にいたころだよ」
ホロ「…どうって」
ホロ「さっきも言った通りじゃ、もう覚えておらん」
ロレンス「…覚えていないって…」
ホロ「そのくらい何もなかったんじゃろ、きっと」
ホロ「おお、確かに。わっちもそう思えば、今はそれほど退屈しておらんのかもしれんな!」
ロレンス「…」
504: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:10:01.57 ID:aq82O49ro
ホロ「…はは」
ホロ「これ、ぬしよ。そんな顔せんでくりゃれ?」
ロレンス「…いや、その」
スタッ
ホロ「わっちは、荷台の方で尾の手入れでもしておるでありんす」
ホロ「何かあったら、声をかけてくりゃれ?」
ロレンス「…ああ」
505: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:12:00.80 ID:aq82O49ro
・ ・ ・ ・ ・
ガラガラ…
ロレンス「(…この辺りでとめるか)」
ロレンス「ホロ」
ホロ「…」スー…
ロレンス「…眠っているのか」
ロレンス「耳も尻尾も丸見えじゃないか…ったく」
ホロ「ふが」
ロレンス「(そう言えば以前、ホロが眠っている間に馬車を離れて、怒られてしまったことがあったな)」
506: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:13:32.74 ID:aq82O49ro
ホロ「…」スー…
ロレンス「(もう少しだけ…こうして眠らせてやるか)」
ロレンス「まったく」
ナデナデ
ホロ「…くふふ」ムニャ
ロレンス「わがままなお姫様には困ったもんだ」
ホロ「♪」
507: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:15:15.96 ID:aq82O49ro
・ ・ ・ ・ ・
パチ
ホロ「…んむ」
ホロ「ぅ、寝てしまっていたか…ぬしはどこに…」
ロレンス「…」
ホロ「…傍におったか」
ロレンス「…」スー…
ホロ「にしても、近過ぎるじゃろ」
508: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:17:25.40 ID:aq82O49ro
ホロ「…まあ、よい」
ロレンス「…」
ホロ「くふ」
ダキ
ホロ「(こうしてぬしに抱き着けば)」
ホロ「(地や荷台で寝るよりは、マシかと思ったんじゃが…)」
ホロ「…思ったより硬いの、ぬしは」
509: 続く ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 14:20:39.98 ID:aq82O49ro
ロレンス「…」スー…
ホロ「(じゃが)」
ホロ「荷台と違って、ぬしは暖かい」
ホロ「…当たり前じゃな、そんなこと」
ロレンス「…」
ホロ「まあ、仕方ない」
ホロ「今日のところは、ぬしでがまんしてやるでありんす」
ギュゥ
ロレンス「…」ウーン
ホロ「くふふ♪」
ホロ「さて。もう一眠りするかの」
512: 続き。 ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:33:53.62 ID:6v1MoWGDO
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「…ん…」
ロレンス「っうぅ、寒い…」
ロレンス「…もう朝か…俺としたことが」
ロレンス「(下手をしたら凍死していたな)」
ゴソ
ロレンス「…ん」
513: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:36:33.33 ID:VjR08Yqoo
ホロ「…むぅ」ムニャ
ロレンス「…」
ロレンス「そうか、ホロがいたか」
ロレンス「…」
ナデナデ
ホロ「くふ」
ロレンス「…」
514: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:38:01.82 ID:6v1MoWGDO
ギュウ
ロレンス「…動けない」
ホロ「…」
ロレンス「(さすがにそんなことを言っている場合じゃないな)」
ロレンス「ホロ、朝だぞ」ポンポン
ホロ「む…?」
ホロ「…ぅう、寒っ!」
515: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:39:06.77 ID:VjR08Yqoo
ホロ「な、なんじゃこれは…」ハァー
ロレンス「朝だな」
ホロ「…冷えるなんてものではありんせん」
ロレンス「まったくだ」
ロレンス「火を起こして、何か温かい物でも食べよう」
ホロ「そ、それがいいの」
ホロ「でなければ、また旅に出る気力などとても湧きそうにもないでありんす」
516: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:40:19.87 ID:6v1MoWGDO
ホロ「くしゅっ」
ロレンス「しかし、ホロの故郷はもう少し北だろう」
ロレンス「このくらいの寒さなら、なんてことはないんじゃないのか?」
ホロ「…」ズズ
ホロ「…狼の姿と人の姿を一緒にしてはいかんじゃろ」
ロレンス「あ、そうか」
517: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:41:52.49 ID:VjR08Yqoo
パチパチ
ホロ「人の姿は利点も多いが、欠点も多すぎる」
ロレンス「まあな。だが」
トプ…
ロレンス「こんな不便な人の姿をしていなければ、きっとスープなんて誰も考えなかっただろうさ」
ホロ「一理ありんす」
518: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:43:12.59 ID:6v1MoWGDO
ズズ…
ロレンス「しかし、こう寒いと」
ロレンス「本当に…お前の故郷に近づいて来たのだと実感するな」
ホロ「…」ズズ
ホロ「そうじゃの」
ロレンス「…」
519: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:44:12.20 ID:VjR08Yqoo
パサ
ホロ「ん」
ロレンス「…」
ホロ「毛布には、一緒に包まった方が暖かいじゃろ」
ロレンス「…ああ。そうだな」
パチパチ…
520: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:45:59.29 ID:6v1MoWGDO
ホロ「くふ」
ホロ「まあそれでももうしばらくは」
ロレンス「ああ。そんなに急に旅が終わるわけではない」
ロレンス「焦らず、のんびりと旅を続けよう」
ホロ「うむ」
ホロ「…む」
521: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:46:57.94 ID:VjR08Yqoo
…パラ…
ロレンス「…雪だな」
ホロ「…ぬしよ、わっちは」
ホロ「雪は嫌いでありんす」
ホロ「この姿で雪にまみれるなど、考えたくない!」ガバッ
バッ
ロレンス「っ、寒い寒い! 急に毛布を剥ぎ取るなよ…」
ホロ「くふふっ」
522: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:48:14.74 ID:6v1MoWGDO
タタッ
ホロ「この先に、温泉地があるじゃろ」
ロレンス「ニョッヒラだな」
ホロ「早く行こう。温泉にでも浸からぬと、わっちは死んでしまいんす」
ロレンス「大げさな」ハハ
ロレンス「…しょっと。じゃあ、そろそろ出発するか」
ホロ「そうしよう」
523: ◆5elc53sAMI 2013/03/06(水) 23:50:29.96 ID:VjR08Yqoo
ホロ「ん」
ロレンス「…ああ、ありがとう」
ホロ「羽織るものがなければやってられぬからの」
バッ
ロレンス「よし。じゃあ、行くか」
ホロ「んむ!」
/r‐‐─--イ_
>´: : : : : : : : : : : :`ヽ
/: : : :l l:ト : : : : : : : 八
: : :/|:| 斗| \}¦:人: :ハ
{ N ノ rぅフ ヽl :⌒} : }
从rァl '" V_ノ: :ノ
ノ }: { : :}
ヽ _ -‐' ハ:l :∧
´ ,、 / ∨_ rヘ、
__〉゙"'-‐=ニ  ̄ _, ニ=‐- ト、 \
/.::=‐く -‐ー _,.. .. }゙\ . -┴: : : : ‐‐=ミ
':::::::::r‐:::::) _,. --‐‐ ヽ〃´: : ヽ : : : : : : : :`ヽ 、
,:::::::::::::::::厂-‐<二 ___ _ iハ:_: : : :l: : : : : |: : : : : :'. ヽ
.::::::::::::::::/ |´jハN |: : : : : | : : : : : : . .
.:::::::::::::::/ ゙' ‐- .,_ ノ ⌒ }: : : : :,ハ:、: : : : :} ;
/=‐--イ .丶、 r' ' ' ' /. : : /. : : : : : : :ノ ノ
/ ‐-=≦{{ 丶 \ /{ r ‐v1 : :/i : : : : : : :(( /
/ 》 \ /. : 入_ヽ/ / 人: : : : : : : : :\
′ ∧ ゙ . / : :/ //ヽ/..:::::::::‐-=: : : : : :`: .ー -‐‐……‐‐ - .
/ ∧ \ ′ / 〃 , :/.:::::::::::::::::::::::::::::::::‐-: : : : :¨: : : : :‐- ヽ
〈 ′}:.、 \ { { . "/.′/:/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ミ: : : : : : : : : :`丶. ;
/ / /{:::.\ ' . 乂 _{: { { 〈.::::::::::::::::\::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ: : : : : : : :ヽ: :\ 、ノ
. / / / }:::::::..\  ̄乂 メ、 {\:::::::::::::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::.' : : : : : : : : :_彡ヘ
/ / {:::::::::::... \ ) } ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.' : : : : : : : ; : : : : \
イ j:::::::::::::::::.....\ | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} : : : : : : ノ} : : : } ヽ
「残り短いかもしれぬが―――まだまだわっちは、ぬしとの旅を楽しむつもりじゃからな!」
* 続く
531: 舞台4 5さすが賢狼あざとい ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 13:52:53.72 ID:Qo2Nf0gPo
ワーワー
ほろ「のう、ぬしさまー」
プラーン
ロレンス「うん?」
ほろ「ひまじゃなー」
ロレンス「そうだな」
ほろ「なにかないかのー」
ロレンス「…ないなぁ」
ロレンス「まあ大人しくテレビを見ていたらどうだ」
ほろ「…む」
532: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 13:54:53.89 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「ぬしさまよ、わっちのことじゃぞ?」
ほろ「もうちょっとしんけんになってくれてもよいのではないかや?」
ロレンス「…そんなこと言ってもな」
ほろ「むー」バタバタ
ロレンス「いていて」
ロレンス「こら。俺の上で暴れるんじゃない」ペチ
ほろ「あう」
533: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 13:57:05.39 ID:Qo2Nf0gPo
カキーン!
ほろ「お!」
ヌケター
ほろ「ナイスバッティングじゃ!」ガバッ
ロレンス「突然叫ぶな」ペチ
ほろ「あう」
534: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 13:59:42.08 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「…むー」
ほろ「ぬしさまよ、あまりわっちのあたまを叩くでない!」
ロレンス「…」ペチペチ
ほろ「あうあう」
ロレンス「…お前、あうって言ってりゃ可愛いと思っているんじゃないだろうな」
ほろ「!?」
535: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:01:25.49 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「ぬ、ぬしさまよ、とつぜんなにを」
ロレンス「ああ可愛いよバカ」ペチ
ほろ「!? あうっ」
ほろ「り、りふじんじゃー…」ウエーン
ロレンス「(可愛い)」ペチ
ほろ「ふぎゅっ」
ロレンス「(新しいパターンだと…)」
536: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:02:39.91 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「うぅ…」
ほろ「お、おとなしくしゃべるので」
ほろ「もう叩かないでくりゃれ…」
ロレンス「…」ナデナデ
ほろ「…」
ほろ「…くふふ」スリスリ
ロレンス「…」ナデナデ
537: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:04:43.67 ID:Qo2Nf0gPo
ワーワー
ロレンス「…それにしても」
ロレンス「ホロは日本を応援しているのか?」
ほろ「? とうぜんじゃ」
ほろ「わっちはにほんにすんでおるのじゃから、にほん人でありんす」
ロレンス「…そうなんですか」
ほろ「んむ!」フンス
ロレンス「…」
ペチ
ほろ「あうっ」
538: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:06:04.20 ID:Qo2Nf0gPo
ゲームセッ
ロレンス「あー。負けちゃったな」
ほろ「そうじゃの」
ほろ「だがだいじょうぶじゃ。今日はちょーせーじあいのようなものじゃからなー」
ロレンス「お前意味分かってないだろ?」
ロレンス「と言うかどこで仕入れた知識だ」
ほろ「にほんだいひょうはほ ばっかじゃなー」
ロレンス「オイマジで誰だお前にそんなこと教えた奴」
539: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:08:06.48 ID:Qo2Nf0gPo
ガラガラ…
ほろ「ぺっ」
ロレンス「よし。じゃあ歯磨きも済んだし」
ほろ「ふとんにごー、じゃな!」
タタッ
バフッ
ほろ「おやすみじゃー…」
ほろ「…」zz…
ロレンス「寝るの早すぎるだろ」
ロレンス「…ったく」
540: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:09:29.42 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「…俺も寝るか」
モゾモゾ
ほろ「…」スヤスヤ
ロレンス「暖かいなぁ」
ロレンス「…子どもってどうしてこう」
ロレンス「ぬくいんだろうな。ただのイメージか?」
ほろ「…」スー…
ロレンス「はは。気持ちよさそうに眠っている」
541: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:11:01.54 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「…」ナデナデ
ほろ「…くふ」
モゾモゾ
ギュ
ほろ「…♪」スリスリ
ロレンス「寝たまま俺を探り当てるとは…」
ロレンス「可愛い奴」ナデナデ
ほろ「♪」
542: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:12:39.46 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「…そう言えば」
ロレンス「眠っているホロを叩くと、どんな反応が帰って来るんだろうか」
ほろ「…」スヤスヤ
ロレンス「…」
ロレンス「いや、さすがにそれはよそう」
ほろ「…」ホッ…
ロレンス「また昼寝から起こすときにでも試してみるか」
ほろ「…むぅ…」…ヒィィ…
ロレンス「(反応が面白可愛いな)」
543: いつも通り、落ちないですが。 ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 14:16:38.58 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「まあ、ともかく」
ロレンス「俺も寝るか。明日もホロの相手で、体力を使うしな」
ナデナデ
ロレンス「お休みっと」
ほろ「…♪」ウム…
* 終わり
548: ☆嘘はよくない ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:44:28.28 ID:Qo2Nf0gPo
ガラガラ…
ほろ「…」
ロレンス「…」
ほろ「…」
ロレンス「…」
549: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:46:05.34 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「…」
ロレンス「(今日はホロが大人しいな…珍しい)」
ほろ「…」
ロレンス「…なあ、ホロ」
ほろ「ふぎゅ」ビクッ
ロレンス「…何だ今の声」
550: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:47:56.71 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「…むむ」モゴモゴ
ほろ「…ぅ、ん。な、なん↓じゃー↑ぬしさまよー↑」
ロレンス「上擦っているなんてレベルじゃないな」
ロレンス「…いや、まあ俺は今」
ロレンス「手綱を握っているわけだからな。真後ろにいるお前を振り向くことはできないわけだが…」
ほろ「そ、そうじゃな」
ほろ「ぬしさまはいま、わっちのほうを向くことができぬな」ドキドキ
551: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:50:07.15 ID:Qo2Nf0gPo
ガラガラ…
ロレンス「…」
ほろ「…」ドキドキ
ロレンス「別に、何ともないんだな?」
ほろ「と、とうぜんじゃ」
ほろ「なにもすることがなくて、もう、ごろごろとしておるだけじゃ」
ロレンス「…そうか」
ロレンス「よし。今日はホロの晩飯は抜きだ」
ほろ「!?」
552: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:51:33.03 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「ぬ、ぬしさまよ! わっちがなにをしでかしたら見てもおらんのにそのはんだんはあまりにも…」
ロレンス「しでかしたって、自分に対して使う言葉じゃないだろ…」
ロレンス「と言うかやっぱりなにかしたんだな」
ほろ「ぎく」
ロレンス「大方、勝手に食料を口にしたとか…そんなところだろう」
ほろ「ぎくぎくぅ」
553: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:54:01.30 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「…ぬ、ぬしさまよ…かんべんじゃ」
ほろ「た、たいくつでの、つい」
ロレンス「…あのな、ホロ」ハア
ロレンス「なにか食べたことを怒っているわけじゃないんだ、俺は」
ほろ「…んむ?」
554: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:56:14.38 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「俺たちは二人旅だ」
ロレンス「いいか、俺がお前を世話してやっているんじゃない。…いやまあ実際はそうなんだが」
ロレンス「建前としては、二人で、一緒に、旅をしている」
ロレンス「それはいいな?」
ほろ「…う、うむ」
555: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 21:58:25.23 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「だからな。お前がそうすべきときにきちんとできなかったりすると」
ロレンス「それは俺にも迷惑がかかるし、それ以上に二人の旅自体も上手く行かなくなる」
ロレンス「お前が俺のお客様ならそれでもいいかもしれない。だが」
ロレンス「対等な二人での旅ってのはそうはいかない。分かるな」
ほろ「…んむ」コクン
556: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:01:41.77 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「別に難しいことはない。腹が減ったならきちんと言う、消耗品はそれから使う」
ロレンス「相手に嘘はつかない。とりあえず、これだけは守ってくれ」
ほろ「…わかった…でありんす」コク
ロレンス「いい子だ」ナデナデ
ロレンス「もうしないなら、許してやる」
ほろ「うむ…もうしない」ギュウ
557: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:04:20.96 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「よしよし」
ロレンス「…ちなみに、何を食べたんだ?」
ほろ「そこにあったパンじゃ」
ロレンス「…ああ、あれかぁ…」
ロレンス「おいしかっただろ」
ほろ「んむ♪」
ロレンス「(小麦しか使っていない、上等なやつだからなー…)」ゲンナリ
558: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:06:25.28 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「(…とはいえ)」
ほろ「…」
ロレンス「(反省しているみたいだし、むやみに怒るのは俺の自己満足だ)」
ロレンス「(…でも高く売れただろうなぁ…)」ハア
ほろ「?」
559: ☆嘘はよくない 終わり ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:08:26.67 ID:Qo2Nf0gPo
グイ
ほろ「のう、ぬしさまよ」
ロレンス「…なんだ?」
ほろ「お腹が空いたでありんす」
ロレンス「…散々食べたばかりだろうがっ」ペチ
ほろ「!? あうっ」
ほろ「ぬ、ぬしさまは嘘つきじゃ!」
ギャーギャー
ガラガラ…
馬「…」ヘイワヤ
560: ☆馬「商人失格」 ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:10:53.98 ID:Qo2Nf0gPo
ガラガラ…
ほろ「…むぅー…」プルプル
ほろ「ぬぅ、ダメじゃー!」ドタッ
ロレンス「…今日は騒がしいな」
ロレンス「ホロ、一体何をしているんだ?」
561: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:12:55.20 ID:Qo2Nf0gPo
ほろ「…はぁ、はぁ」
ほろ「んむ、たいくつじゃったので、ちょっと力だめしをしておった」
ロレンス「?」
ロレンス「…ああ、その剣を持てるかどうか試していたのか」
ロレンス「怪我しないようにな」
ほろ「…もてぬのでけがのしようもないでありんす」
ロレンス「それもそうか」ハハ
562: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:15:58.32 ID:Qo2Nf0gPo
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「…今日はこの辺りでとめるか」
ロレンス「なあホロ。さっきの続きになるんだが」
ほろ「む?」
ロレンス「剣が持てないなら、代わりに防具をしてみたらどうだ?」
ほろ「?」
563: ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:18:14.41 ID:Qo2Nf0gPo
ロレンス「これでよしっと」
ほろ「…」
ほろ「ぬ、ぬしさまよ…」プルプル
ロレンス「な、なんだ?」プルプル
ほろ「こ、これは…わっち…動けないでありんす…」プルプル
ロレンス「くくっ、お前めちゃくちゃ可笑しいな、その姿!」ブフッ
ほろ「…く…わ、わらうでないっ…」
ほろ「…おも、おもくて…動けぬ…」プルプル
グラッ
ほろ「ひぅ」
564: ☆馬「商人失格」 終わり ◆5elc53sAMI 2013/03/07(木) 22:20:17.78 ID:Qo2Nf0gPo
ガチャーン!
ヌワー!
ホ、ホロー!
アア、ウリモノノボウグガ!
馬「…」
馬「(商人のくせに何してんだあいつら…)」ヒヒーン
568: 舞台2 >>402 からの続き ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 14:50:33.88 ID:ecbqff5No
―――ゴオォ…
ほろ「ひぅ」
ロレンス「…風が強いな」
ロレンス「(これは、一雨来るかもしれない)」
ほろ「うぅ、ぬしさま…」ギュ
ロレンス「よしよし」ナデナデ
ロレンス「俺にしっかり掴まってろ。怖くないから」
569: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 14:53:04.21 ID:ecbqff5No
ノーラ「もうすぐ森になります」
ノーラ「ここからは、十分に注意して行きましょう」
ロレンス「はい」
ノーラ「狼が出ても慌てないでください」
ノーラ「私は必ず、お二人を無事にラムトラまでお届けします」
ロレンス「…」コク
570: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 14:54:56.42 ID:ecbqff5No
ロレンス「私は、ノーラさんの羊飼いの腕を信じています」
ノーラ「ふふ。ありがとうございます」
ヒョコ
ほろ「おくるだけではこまりんす」
ロレンス「ホロ」
ほろ「きちんと、…リュビンハイゲンへのきろも。まもってくりゃれ」
ノーラ「…あ、そうですね。ごめんなさい」
ロレンス「はは」
571: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 14:58:18.25 ID:ecbqff5No
ノーラ「お二人を、ラムトラまでお届けして」
ロレンス「それから三人で、無事にリュビンハイゲンへ帰りましょう」
ほろ「うむ!」
ノーラ「はい」ニコ
カラン…
572: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:00:03.77 ID:ecbqff5No
・ ・ ・ ・ ・
パカ…パカ…
ロレンス「なあ、ホロ」
ほろ「うん?」
ロレンス「…この森に狼が」
ロレンス「厄介な狼がいることを、俺は知っている」
ほろ「な、なんじゃきゅうに」
ほろ「お、おどかすようなことを言うでない」ガクガク
ロレンス「震えてる震えてる」ヨシヨシ
573: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:02:30.26 ID:ecbqff5No
ロレンス「…いや、まあ」
ロレンス「子どものお前のことをあてにするつもりはないんだが」
ほろ「子どもとはなんじゃ!」
ほろ「けんろーじゃ、けんろう!」
ロレンス「はいはい」
ほろ「むぅ!」プクー
574: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:03:07.41 ID:ecbqff5No
ロレンス「以前お前は、狼など何てことはないと」
ロレンス「そんなような発言をしたことを、覚えているか?」
ほろ「…」ダラダラ
ほろ「な、なんのことかのう」
ロレンス「とぼけるなよ」
ロレンス「いや、というか別に問い詰めているわけではないんだ」ナデナデ
575: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:03:40.14 ID:ecbqff5No
ロレンス「ただ純粋に、お前なら狼と意思疎通できたりするもんかなと、ふと思っただけだ」
ほろ「…うむ」
ほろ「もちろん、かいわはできる」
ほろ「…じゃが、…人だって、いろいろとあるじゃろ」
ロレンス「?」
ほろ「話の通じぬやからは狼にだっているかもしれぬ、ということじゃ」
ロレンス「ああ、なるほど。それはそうだ」
576: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:05:27.54 ID:ecbqff5No
ロレンス「(いくら賢狼と言えどもホロはまだ子どもと変わらない)」
ロレンス「(ある村にずっと縛られ、外の世界を知らなかった)」
ほろ「…」ギュ
ロレンス「(同じ狼相手でも、こんな風に怯えるのは当然ってことか)」
ロレンス「…」ヨシヨシ
577: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:07:18.88 ID:ecbqff5No
ほろ「じゃがわっちには、ぬしさまがおるからの!」
ほろ「わっちはぬしさまを信じておる」
ロレンス「…うん」
ほろ「そして、ぬしさまの信じるノーラと、エネクも信じておる」
ロレンス「そうか」ナデナデ
ほろ「…うむ」
ロレンス「…」チラ
カラン
ノーラ「…エネク」
エネク「バウッ」タタッ
578: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:09:04.75 ID:ecbqff5No
ロレンス「(今回、俺にできることは)」
ロレンス「(ノーラさんの導く通りに大人しく従うことだ)」
ロレンス「(…情けない、と嘆いたって、何も解決はしない)」
ロレンス「(…だが)」
ほろ「?」
ロレンス「…やっぱり、ちょっと情けなさすぎるなぁ」ハア
579: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:10:38.82 ID:ecbqff5No
・ ・ ・ ・ ・
ガカッ ガカッ
ロレンス「(ずいぶんラムトラまでは近づいた)」
ロレンス「(しかし…)」
ゴロゴロ…
ほろ「…ぬしさまよ」
ロレンス「ああ」
ほろ「もう、一雨来るでありんす」
ザザッ
ノーラ「…はぁ、はぁ…」
ロレンス「(空は持ちそうにない)」
ロレンス「(…ラムトラまでは…まだ、もう少しある)」
580: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:12:38.36 ID:ecbqff5No
ザァアアア…
バチャッ
ノーラ「…はぁ」
ほろ「…ぅぅ」グッ
ロレンス「ホロ?」
ほろ「いやなかんじがする」
ロレンス「それは…」
ほろ「…」ピクッ
ノーラ「…っ」スッ
ノーラ「すうっ」
581: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:13:40.84 ID:ecbqff5No
ウオォォォォォォォォォ!!ォォォォ…
ロレンス「っ!」
ノーラ「――はぁ」 プォォォォォォォォ…!!
―――――――オオオォォオォォォ……
ノーラ「…はあっ」ガクッ
ロレンス「ノーラさん!」
ロレンス「…一旦休みましょう。呼吸を整えないと、また走り出せるはずがない」
グイ
582: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:14:33.63 ID:ecbqff5No
ほろ「ぬしさまよ」
ロレンス「ホロ」
ほろ「…た、たぶん」
ほろ「そんなことをしているひまは、ありんせん」ブルッ
ロレンス「っ、だが」
ノーラ「ホロちゃんの、言う通りです」ゼェ
ロレンス「ノーラさん」
ノーラ「私は、大丈夫ですから。…行きましょう」
583: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:16:26.91 ID:ecbqff5No
ガカッ
ガカッ
ガカッ
ロレンス「(情けない)」
ロレンス「(だが情けない情けないとくり返していても意味はない)」
ザザザッ
ほろ「むぅ」
ほろ「ぬ、ぬしさまよ…」
ほろ「おそらく、わっちらはかこまれておる」
ロレンス「…ああ」
ザッ
ノーラ「!」
584: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:17:08.16 ID:ecbqff5No
狼「ガアッ」
ほろ「ひうっ」
ノーラ「ロレンスさん!」
カランッ
エネク「っ…」バッ
ノーラ「(ああダメ、エネクも間に合わない…!)」
ロレンス「くっ」バッ
585: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:17:36.53 ID:ecbqff5No
ガッ
ロレンス「があぁっ」
ほろ「! ぬ、ぬしさまっ…」
ロレンス「ぐうぅっ」
ギリリ
狼「…!」グルル
ロレンス「(ダメだ、下手に動くと…噛み千切られる…)」
586: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:18:19.25 ID:ecbqff5No
ピカッ―――
ノーラ「きゃあっ」
ドガァッ
狼「ガアッ!」
ロレンス「…ぐっ」
ロレンス「(…よかった、腕は、…残っているな)」
ほろ「ぬしさま!」
ほろ「いま、わっちのことをかばうために、うでを…」
587: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:19:24.80 ID:ecbqff5No
ロレンス「…はは、庇うんじゃなく、…追い返せたらよかったんだがな」
ロレンス「ぐうぅ」ズキッ
ほろ「そ、そんなもんだいでは…!」
ノーラ「ロレンスさん、腕を見せて下さい」
ロレンス「…ぅ」
ノーラ「止血だけ簡単にします。一刻も早くラムトラへ」
ほろ「…」
ザワザワ
588: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:20:11.79 ID:ecbqff5No
ロレンス「…おいホロ」
ほろ「…」
ザワザワザワ
ノーラ「…?」
ロレンス「聞いてるのか。ホロ!」ガッ
ほろ「…ぬしさまよ」
ほろ「さきに行っていてくりゃれ。わっちは」
ロレンス「お前を置いていくわけないだろう」
ほろ「わっちがぬしさまを傷つけられてだまっていられるわけないじゃろ!」
589: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:20:48.73 ID:ecbqff5No
ザァアァァァ…
ロレンス「…怒っているのか、お前」
ほろ「わるいかや」
ロレンス「いいか、よく聞け」
ロレンス「俺は以前、俺とお前は二人で対等に旅をしていると言ったな」
ほろ「…」
ロレンス「悪かった。今回は、俺がそれを分かっていなかった」
ほろ「…」
590: ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:21:18.44 ID:ecbqff5No
ロレンス「俺はホロと」
ロレンス「それにノーラさんがいれば、きっとおおごとにはならないとどこかで高を括っていたんだ」
ロレンス「つまり俺は、二人を一方的に頼っていた」
ほろ「…」
ロレンス「…だからこの傷は、俺が俺の失敗に対して払った報いだよ」
ノーラ「ロレンスさん…」
ほろ「ふん」
ガシ
ロレンス「うぐっ!」
591: 続く。 ◆5elc53sAMI 2013/03/08(金) 15:21:46.80 ID:ecbqff5No
ほろ「そうかや」
ほろ「ぬしさまがそう言うなら、いい。先をいそごう」
ロレンス「っ、…ああ」
ロレンス「ノーラさん、行きましょう」
ノーラ「は、はい」
ほろ「…」ムスッ
ザァァァァァ…
594: 続き! ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:00:44.29 ID:6WxWEBOQo
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「…ぐ」
ロレンス「こ、こは…宿か」
ズキ
ロレンス「っ…腕が、痛い…!」
ロレンス「はは、しかし…」
ロレンス「(痛いってことは、腕はある)」
ロレンス「(そして無事に…ラムトラまで着いた)」
595: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:03:45.55 ID:AGJ2O6tDO
ググ…
ロレンス「…ホロと、ノーラさんは…」
グイ
ロレンス「ん」
ほろ「…」
ロレンス「…ホロ」
ロレンス「よかった、お前も無事だったか」
ほろ「なにが?」
596: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:05:21.15 ID:6WxWEBOQo
ロレンス「え?」
ほろ「なにが、よかったのかの。なにもよくないじゃろ」
ロレンス「…」
ほろ「ぬしさまがこうしてけがをした」
ほろ「ばあいによっては、うで、もって行かれておったかもしれぬ」
ロレンス「…あ、ああ」
597: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:07:18.16 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「かばい方がへたとか、そう言うことではない」
ほろ「…まあ、言わんでもわかっておるじゃろ」
ロレンス「…うん」
ほろ「このたわけめ」ガシッ
ロレンス「いっ!」
ロレンス「…わ、悪かったって」
ほろ「…」ゲシゲシ
ロレンス「…がぁぁあぁ~~…!」
598: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:09:56.93 ID:6WxWEBOQo
キィ
ノーラ「あ、…」
ノーラ「ロレンスさん! 気がつかれたんですね」
ロレンス「ノーラさん。おかげさまで…」
ほろ「…」ゲシ
ロレンス「ひぎっ」
ノーラ「…」
ノーラ「ホロちゃん、…私もいいかな」
ロレンス「!?」
599: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:11:31.06 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「んむ、やってしまえ」
ほろ「このくらいせんとぬしさまは分からぬからの」
ロレンス「ま、待った待った! これ以上は…」
ノーラ「えい」ポン
ロレンス「ぐあぁぁ……」ズキズキ
600: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:13:00.80 ID:6WxWEBOQo
ノーラ「ごめんなさい、ロレンスさん」ペコ
ノーラ「今回は私も少し…浮かれていたんだと思います」
ロレンス「…いえ、それは私こそ」
ロレンス「…本当に…すみませんでした」
ノーラ「はい」ニコ
ノーラ「じゃあ私、何か温かい食べ物でも買って来ますね」
ロレンス「…すいません」
602: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:14:53.20 ID:AGJ2O6tDO
・ ・ ・ ・ ・
ほろ「うむ! 気がすんだでありんすー」ムフー
ロレンス「そ、そうか…」ズキズキ
ロレンス「そいつはよかった…」ゼェ…
ほろ「うむ。それでぬしさまよ」
ロレンス「…うん?」
ほろ「たのまれたしごとはどうする気じゃ?」
ロレンス「…」
603: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:18:25.90 ID:6WxWEBOQo
ロレンス「…今回は商会からの依頼だ」
ロレンス「俺が怪我を負った程度で投げ出すわけにはいかない」
ほろ「…」
ロレンス「…しかし、一つ提案がある」
ほろ「?」
ロレンス「ホロ。お前が、ノーラさんと二人でリュビンハイゲンへ戻ってくれないか」
ほろ「…む、それはつまり」
ロレンス「お前にあとを頼もうと思う」
604: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 00:26:22.61 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「…ふむ」
スッ
ロレンス「…」ビクッ
ほろ「それでこそぬしさまじゃ」
ナデナデ
ロレンス「…」
ロレンス「お前に撫でられるのは、何だか恥ずかしいな」
ほろ「くふふ。今はがまんするのじゃな」ナデナデ
ロレンス「…そうする」
608: 続き。 ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 12:58:33.43 ID:+rvlG1f+o
ナデナデ
ほろ「ぬしさまの言ったとおり」
ほろ「わっちらは、二人たびじゃ」
ロレンス「ああ」
ほろ「わっちも…今はせのびはせん」
ほろ「けんろうとは言え、わっちはおさなく力はないでありんす」
ロレンス「(そこは譲らないんだな…)」ハハ…
609: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:00:06.90 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「じゃがそれでも、なにかわっちにもできることはありんす」
ほろ「だからたよればよい。のう?」
ロレンス「…そうだな」
ロレンス「(やはり、分かっていないのは俺の方だったな)」
ロレンス「ごめんよ、ホロ」
ナデナデ
610: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:01:24.76 ID:+rvlG1f+o
ほろ「くふ、なで合いじゃな」
ロレンス「…うん」
ロレンス「対等な二人だからな。これでいい」
ほろ「んむ♪」
ナデナデ…
611: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:02:48.27 ID:AGJ2O6tDO
―――後日、リュビンハイゲン
ローエン商業組合 商館
キィ…
ヤコブ「む」
ロレンス「あ、館長。その…お久し振りです」
ヤコブ「無事だったか、クラフト」
ヤコブ「…まったく…最初あの二人だけが戻って来たとき、俺の心臓は間違いなく一度止まったな」
ロレンス「…はい、ご心配おかけしました」
612: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:03:25.61 ID:+rvlG1f+o
ヤコブ「はは。その様子だと、十分反省はできたようだ」
ヤコブ「腕一本へのかすり傷は、勉強代にしてはまあ安かったろう」
ロレンス「…そうですね」
ロレンス「(これでかすり傷か…)」ハハ…
ヤコブ「ん? 何か言いたそうな顔だな」ジロ
ロレンス「い、いえ! とんでもない」
613: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:04:44.68 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「あの、ところで…」
ロレンス「ホロとノーラさんがどこにいるか、ご存知ですか?」
ヤコブ「何だ、どこに宿を取っているかも知らないのか」
ロレンス「ええ。いくつか贔屓の方へは顔を出したのですが…」
ヤコブ「…ふむ」
ヤコブ「それなら、教会にでも行ってみたらどうだ」
614: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:05:30.42 ID:+rvlG1f+o
・ ・ ・ ・ ・
ガヤガヤ
ロレンス「…ん」
ロレンス「(ちょうど礼拝の終わったところか…)」
スッ
ロレンス「あ」
ロレンス「ノーラさん!」
ノーラ「へ? …あ」
ほろ「こら、ぬしさまよ!」タタッ
ガシ
615: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:07:10.02 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「おっと」
ほろ「いま、ノーラのことをさきによんだじゃろ!」
ほろ「わっち! わっち!」ピョンピョン
ロレンス「落ち着け。何を伝えたいのかよく分からない」
ロレンス「(と言うかこいつ、この様子だと何も考えず教会に出入りしていた
な…)」ハァ
616: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:07:59.31 ID:+rvlG1f+o
ノーラ「ロレンスさん」
ロレンス「はい?」
ノーラ「お帰りなさい」ニコ
ロレンス「…あ」
ロレンス「は、はい。ただいま帰りました」
ノ―ラ「…」ニコ
617: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:09:45.96 ID:AGJ2O6tDO
ノーラ「一度言ってみたかったんです、お帰りなさいって」
ロレンス「…ノーラさん」
ほろ「むぅ! なにを二人でいーかんじになっておるのじゃ!」
ロレンス「いい感じって何だよ」
ほろ「それよりぬしさまよ! 今なぜノーラを先さきによんだのじゃ!」
ノーラ「…」ドキ
ほろ「わっちをさきによぶべきところじゃろ、そこは!」
ロレンス「…」ソンナコトカ…
ロレンス「いや、だって」
618: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:11:07.00 ID:+rvlG1f+o
ガヤガヤ…
ロレンス「お前は小さいから目につかなかったんだよ」
ロレンス「ノーラさんが先に目についた、それだけだ」
ほろ「…」
ノーラ「…」
ロレンス「な、なんだ」
ほろ「たわけ」ゲシ
ロレンス「ばっ、い!」ジーン
ロレンス「こらぁ! まだ治っていないんだぞ!」
ノーラ「えい」ペシ
ロレンス「っ!? な、ぜ、ノーラさんまで…」ズキズキ
619: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:12:26.85 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「ふん」
ロレンス「ぅぉぉぉ…」ズキズキ
ほろ「あきれてことばも出ないでありんす」
ノーラ「ホロちゃんの言う通りです」
ほろ「よし。ノーラよ、ぬしさまはもう放っておくでありんす」
ほろ「しょうかいからたんまりほうしゅうはいただいたのじゃからな。二人でぜいたくしよう」
ノーラ「ええ、そうね」ニコ
ロレンス「…ん?」
620: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 13:16:54.00 ID:+rvlG1f+o
ロレンス「なあ、ホロお前」
ロレンス「まさか俺がここに戻って来るまでの間…その金に手をつけずにいたのか?」
ほろ「む」
ほろ「とうぜんじゃ。というか、それはぬしさまがわっちに教えたことじゃろうに」クル
_,, -ッ、
_,,, ‐''"..:_::i;;''}″
_ -ッ'゛...:::::::::...'へ ミ}
/...:::/:::::::::::::::;:::':::::、:::::..`'' 、
, フ´..::::::/:::::::::::::::/:::;/i::;ハ::::;:::::::::...\
,. ´, 〃:::::::::::;:::::::::::::::::,'::/ j/ l:::リ:l:l:::::::::...´゙'''ー-,
. // //:::::::::::::::::::::::::::::::レ'、__,,, `l,/j/リ:::|::リ::;::::r'lツ'″
/ ' /.,'::::::::::::::::i:::::::::::::::::l ,門心 `ヽヾ `'j/ l::l:::.'゙゙、 「わっちらは、二人たびじゃ。
..::, ' '.::i::::::::::::::::::l::::::::::::::::| ヾ_少 ゙ __,,, l::l::::.l\:.、
. , '::::, ,.:::::l:::::::::::::::::::;::::::::::::::::l ` ィ'ラヾj/l:.ノ `丶 じゃから何でも二人のもの、そうじゃろ?」
/..::/ ,:::::'';:::::::::::::::::::',:::::::::::::::' lシ /::'イ
. /..::, ,!::::| ';:::::::::ヘ::::::ヘ::::::::::::::' rv- ., > '::::::.ト、
,.:::,' //i::::l ',:::::ヽ;:ヽ;::::ヽ;:::::::::.',、 `, `ッ、 ,':::::::::::l:::..、
|.::| .'::' ',:::', ',::::::/\\:::ヽ;:::::.',丶,,i/ 〈\::::::::', ヽ:.、
. ,:::, .l::i ,ィ'´ ̄``'ー'´`` ' 丶、::ヽ::', , イ::::.、\::..\ ヽ::.、
,.ヘ /7``''-..,_ `_`'_ゝ<:::::::::::::.ヽ \::..\ヽヽ、
ヽヽ / / `' --‐‐'''"´ ̄,/‐''" ヘ::::::::::::::..ヽ ヽ:::::..ヽヽ.ヽ、
゙,ミイ ,/¨ i:::::::::::::::::::..ヽ ヘ;::::.ヘ ヽ:.ヽ、
. / |゙ ` 、, / _ ,, ,'ヽ::::::::::::::::::::::..\ i::::::.i ヽ:.ヽ、
| / `゙ ' ー _,,レ ´ /:l::::ヘ:::::::::::::::::::::;::::..'::::..' ヽ:.ヽ、
/ │ / __/::::l:::::::::;:::::::::::::::::::ヘ メ:::..'\ ヽ::.、
. / / / ,, ''//::::::::'::::::::::!::::::::::::::::::::,':::::; 、::::..ヽ, ヘヘ
/ /, ./ / .//:::::::::,'::::::::::'::::ト::::::::::::/::../\ \:::ヘ l::l
. | ./'´ / ,,/ /〈:::::::::/:::::::::,'::::::l ヘ:::::/:/::::::::.ヽ '::::.', ,':,'
ゞ / " / ';::::/:::::::::/::::::::l lノ''::::::::::::::::::.} ':::.' //
/ l /:::::::/:::::::::/ ノ::::::::::::::::::::::./ /ノ /'
ロレンス「…そうだったな」
ほろ「まあ、もういちどことわったので、しらんがのー」
ロレンス「…俺が悪いのか」ゲンナリ
ノーラ「ふふ」クスクス
627: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:18:16.81 ID:AGJ2O6tDO
◇舞台4◇
*商店街の外れにある薬局
カラカラ…
ロレンス「こんにちは」
ディアナ「あら、ロレンスさん。お久し振りね」
ディアナ「私の差し上げたお薬は効いたかしら?」ニコ
ロレンス「…ええおかげさまで」
ロレンス「一度死んだような思いです。逆に清々しいですね」
ディアナ「あら。それはよかった」
ディアナ「腕に寄りをかけて作った甲斐があったわ」
ロレンス「料理じゃあるまいし…」
628: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:20:09.98 ID:7ipBlQ2To
ディアナ「それで? わざわざそのお礼を言いに来て下さったのかしら」
ロレンス「それももちろんですが、常備薬の買い足しです」
ディアナ「そうね。それは大事だわ」
ディアナ「ホロちゃんが来たときは、それはもう必死な様子だったもの」クス
ロレンス「…ええ。いい教訓になりました、揃えるものはきちんと揃えておかないと」
ディアナ「そうね」ニコニコ
629: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:22:04.77 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「…」
ディアナ「…ところで」
ディアナ「何か浮かない表情に見えるけれど、本当はまだ風邪が治っていないのではないかしら?」
ディアナ「よかったら、もっとよく効く薬を…」
ロレンス「い、いえ。体調はもうばっちりですので」
ディアナ「あらそう? 残念だわ」クスクス
ロレンス「…」ハハ…
630: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:24:29.76 ID:7ipBlQ2To
ロレンス「実はご相談したいことが」
ロレンス「…こんなことを聞ける相手は、私にはディアナさんくらいのものですので」
ディアナ「あら。嬉しいことを言って下さるのね」
ディアナ「一体なにかしら?」
ロレンス「ええ。実は先日、」
ロレンス「お隣のノーラさんに、…ごくつまらないことで、少し悲しい思いをさせてしまって」
ディアナ「(あ、相談ってそんな感じの相談なのね)」
631: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:26:29.37 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「それで、何か仲直りするのにきっかけというか」
ロレンス「…アドバイスを頂けたらなと思いまして」
ロレンス「あ、あの、もちろん、あくまでついででして。本来はただお礼に来ただけなのですが…」
ディアナ「いいえ。誰かに頼ってもらえることは、嬉しいことよ」ニコ
ディアナ「それにそう言うことなら、私に妙薬があるわ」
ロレンス「本当ですか!?」
ロレンス「…って、え? 妙薬?」
632: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:29:08.83 ID:7ipBlQ2To
ゴソ
ディアナ「はい、これ」
ロレンス「…これは?」
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|::::::::::::::}ハ ゙、 || |::::::::::::::::::::::::::::::l
|::::::::::::::レヘ ` || |:::::::::::::::::::::::::::::::l 「惚れ薬よ」
|:::::::::/- ーヘ - ‐ 一 || |::::::::::::::::::::::::::::::::l
|:::/ `ニニニユュ、 ¨¨ ||ノ|:::::::::::::::::::::::::::::::::l
ノ' ァ-, |:::::`ト . /|| |::::::::::::::::::::::::::::::::::l
/ ,.':::/_ノ:::::::::} `´ || |:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
/ /::::::´/三ニ< __,,-||ー|:::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
〃 /:::::::::任三三三><ミ三||ニ|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
,.イ イ三三ニ〈三三三三三三ミ、||ili|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
/:::| /三三三三≫ミ、三三三三Y⌒Y!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
ロレンス「…」
ロレンス「え何で? 盛って解決ってなんですかそれ」
ディアナ「?」
ディアナ「だって、私を」
ディアナ「この錬金術師の私を頼って来たのだから、ねえ?」
ロレンス「錬金術!? 製薬って錬金術なんですか!?」
ディアナ「おっと失言」コホン
633: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:30:48.85 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「別にそう言うつもりでディアナさんを頼ったわけでは…」
ロレンス「それに、何も告白の相談に来たわけじゃないですから!」
ディアナ「…残念だわ」
ロレンス「(何がだ!)」
ディアナ「けれど誤解よ? 惚れ薬とは言うけれど、要するに一種の気つけだから」
ディアナ「ちょこっと飲ませて上げれば、会話が弾んだり、気分が昂揚したり」
ディアナ「そうね、なんなら自分が服用してもいいんじゃないかしら」
ロレンス「どんな変 ですかそれ」
ディアナ「あら?」
634: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:32:55.05 ID:7ipBlQ2To
ディアナ「だめかしら?」
ロレンス「だめでしょう」
ロレンス「町の薬局でなにしれっと物騒なものを売っているんですか」ハア
ディアナ「うふふ」
ロレンス「そのタイミングで笑っても何もごまかせないですからね?」
ディアナ「あらあら」クスクス
ロレンス「(この人は、まったく…)」
635: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:34:43.88 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「それはともかく」ゴホン
ロレンス「風邪薬、本当にありがとうございました。助かりました」
ロレンス「それに、ホロが一人で来たりしてご迷惑を」ペコ
ディアナ「お気になさらず」
ロレンス「(結局、相談にはならなかったが…)」
ディアナ「…」
ディアナ「ロレンスさん。最後に一つよろしいかしら」
636: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:36:04.82 ID:7ipBlQ2To
ロレンス「はい?」
ディアナ「先ほど受けた相談のことだけれど」
ディアナ「きっと、なるようになるから。心配しなくてもいいんじゃないかしら」
ロレンス「…はあ」
ロレンス「…まあ、そうですね。その助言、ありがたく受け取っておきます」
ディアナ「ええ」
ロレンス「では、また」ペコ
ディアナ「…」ニコ
637: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:37:58.26 ID:AGJ2O6tDO
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「ホロー」
ほろ「む」
タタッ
ロレンス「悪い。待たせたな」
ほろ「まったくじゃ! まったく、わっちをほうり出してまったく!」
ロレンス「ホロは語彙が貧弱だなぁ」
ほろ「な!? と、とうとつにしんらつすぎるじゃろ!」
ロレンス「お前こそ唐突に語彙が豊富になったな」
638: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:43:07.06 ID:7ipBlQ2To
ほろ「むう!」プクー
ロレンス「…ふむ」
ロレンス「なあ、ホロ。以前から少し気になってはいたんだが」
ほろ「なんじゃ!」
ロレンス「お前さ、平仮名を使っていれば」
ロレンス「多少難しい言葉を口にしてもロリキャラでいられると思っているんじゃないだろうな?」
イ`ヘ
/: :| ヽ
/ : :/ ヽ ___ _,,,:. .-: :´彡フ
_ノ\_∠: : : : : : : : :`: :-: :,:_:/彡 /
( : : : : : : : : : : : : : : `ゝ /
r::/: /: : | : : : : : : : : ::\ /
ほ //: /: : : |: : | |: : |: _: : : :ヽ
{/ 7|`\/i: /|:|/|´: : : : :|ヽ
あ 〉 ,‐-‐、`|7 || |_::|,_|: : :|:::|: |
/ r:oヽ` /.:oヽヽ: :|: | :|
!? { {o:::::::} {:::::0 }/: :|N
| ヾ:::ソ ヾ:::ソ /|: : |
ヽ::::ー-.. /ヽ ..ー-::: ヽ::| r--ッ
-tヽ/´|`::::::::::;/ `、 ::::::::::: /: i } >
::∧: : :|: |J \ / /::i: | /_ゝ
. \ヾ: |::|` - ,, ___`-´_ ,, - ´|: : :|:::|
ヽ: |::|\  ̄/ /| |: : :|: |
639: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:46:26.10 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「ぬ、ぬしさまよ」
ほろ「いろいろとつっこみたいところはありんす」
ロレンス「ほお。言ってみろ」
ほろ「ま、まず。か、かいわでひらがなを使うとは、どういうことかや?」
ロレンス「何かこう、舌足らずな発音ってことだ」
ほろ「したたらず?」
ロレンス「うん。それそれ」
ほろ「(…わからぬ…)」
640: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:47:30.99 ID:7ipBlQ2To
ロレンス「あーあ何だ。全然幼女っぽくないぞ、お前」
ロレンス「普通に賢狼キャラだな。差別化できていない。よくない、よくないよ」ウンウン
ほろ「…ぬ、ぬしさまよ…」
ほろ「わっちにはぬしさまが言っておることがよくわからぬ…」
ロレンス「いいか? もっとこう、ロリホロらしい魅力ってのをだな…」
ノーラ「…あの、商店街のど真ん中で、一体何のお話を…?」
ロレンス「ひぃ」
641: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:49:30.31 ID:AGJ2O6tDO
ほろ「おお、ノーラじゃ!」
ほろ「こんにちは」ニパッ
ノーラ「うん。こんにちはー」
ロレンス「(お、思わず叫んでしまった)」ドキドキ
ロレンス「ごほん」
ロレンス「ノーラさん。どうもこんにちは」キリ
ノーラ「はい。お久し振りです」ペコ
642: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:50:57.36 ID:7ipBlQ2To
ノーラ「…」
ロレンス「(…ノーラさんの様子に妙なところはない…)」
ロレンス「(もしかして、もう先日のことは何とも思っていないんだろうか)」ドキドキ
ノーラ「あの、ロレンスさん」
ロレンス「は、はい。何でしょうか」
ノーラ「…その」
ノーラ「よかったら今日の夕食、ご一緒しませんか?」
ロレンス「え?」
643: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:52:42.15 ID:AGJ2O6tDO
ロレンス「い、いいんですか?」
ノーラ「その、ロレンスさんと、ホロちゃんさえよろしければ…」
ほろ「おーたのしそうでいいのー」
ロレンス「も、もちろんです! ホロもこう言っていることですし」
ロレンス「では、今日はこのまま一緒に買い物へ行きましょうか」
ノーラ「あ、いえ。材料はもう」ガサ
ノーラ「家にある分と、その他はちょうど買ったところですから」
644: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:54:46.74 ID:7ipBlQ2To
ノーラ「なので、うちに来てくだされば助かります」
ほろ「わーい! ちょっとだけお出かけじゃなー」
ノーラ「ふふ。お隣だけどね」
ロレンス「(ディアナさんの言う通りだった。なるようになりそうだ)」ホッ
ロレンス「すいません、ではお言葉に甘えまして…」
ロレンス「ちなみに夕食は何を?」
645: ◆5elc53sAMI 2013/03/09(土) 23:55:59.36 ID:AGJ2O6tDO
ノーラ「…」
ノーラ「ジンギスカン、です」ニコ
ロレンス「…あぁ」
ロレンス「(ふえぇ…なにもかいけつしてなさそうだよぅ…)」
▽つづく!
648: 濃霧かなにか? 乙ありです ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:18:28.91 ID:XRCOPxjzo
▽続き
パチ
ほろ「おじゃまします」ペコ
ノーラ「ただいまー」
ほろ「おかえりなさい!」ニコ
ノーラ「…」
ノーラ「ふふ、ありがとう。ただいま」
ほろ「うむ!」
ロレンス「(微笑ましい)」
649: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:20:00.03 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「(だが俺の胃は緊張で今にも穴が空きそうだ…)」
ロレンス「(ディアナさんのところで、胃薬も買っておけばよかったか…)」ズキズキ
ほろ「む?」
ほろ「ぬしさま、なんだか辛そうじゃな…だいじょうぶかの?」
ロレンス「お、おう」
ほろ「…」ナデナデ
ロレンス「…」
ほろ「いたいのいたいの、とんでけじゃ」ニコ
ロレンス「…」
ロレンス「うん。ありがとう、ホロ」
650: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:21:19.61 ID:XRCOPxjzo
ガサ
ノーラ「大丈夫ですか? あの、私お水を入れて来ますね」タッ
ロレンス「あ、すいません」
ロレンス「(早速気を使わせてしまった…)」キリキリ
ノーラ「どうぞ」ニコ
ロレンス「ありがとうございます」コク
ノーラ「…」
651: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:24:27.17 ID:+XSBnKHDO
・ ・ ・ ・ ・
ほろ「へんなさらじゃ」ポンポン
ロレンス「正確には鍋だな」
ノーラ「ホロちゃんは、羊のお肉が好きなの?」ニコ
ロレンス「(…胃が)」ググ
ほろ「…たべるのは初めてでありんす。しかし」クンクン
ほろ「なんだかなつかしい香りがする」
ロレンス「…懐かしい、ね」
652: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:26:58.31 ID:XRCOPxjzo
ロレンス「羊肉の臭いは独特と言うが、お前は平気なんだな」
ほろ「うむ」
ノーラ「どんなものでも、生きている臭いは他にないものですからね」
ノーラ「結局、慣れているかどうかの問題なんだと思います。私も何ともありませんから」
ほろ「わっちといっしょじゃ!」
ノーラ「そうね」ニコ
653: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:28:24.16 ID:+XSBnKHDO
ほろ「…やさいばかりじゃな」
ノーラ「この上に、お肉を乗せて行くの」ペタペタ
ほろ「おー」
ほろ「これはなかなか…」ジュル
ロレンス「よだれよだれ」
ほろ「む、む」ゴシゴシ
ロレンス「…袖でふくなよ」
ロレンス「(と言うかそもそも生肉を見てよだれを出すな)」
ほろ「くふ♪ たのしみじゃー」
654: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:29:09.55 ID:XRCOPxjzo
ジュー
ほろ「ほー」
ほろ「いい香りがするでありんす!」
ロレンス「そうだな」
ロレンス「っと、ホロ、これ」
ほろ「んむ?」
ロレンス「前掛け。油が飛ぶからしておきなさい」
ほろ「着けてくりゃれ?」
ロレンス「はいはい」
ノーラ「ふふ。二人は本当に仲のいい親子みたいですね」
655: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:30:32.14 ID:+XSBnKHDO
ほろ「そんなことありんせん」
ほろ「わっちは、ぬしさまの…」チラ
ロレンス「?」
ほろ「…は、はずかしので言わないでおく…」//
ロレンス「なに一人で盛りあがっているんだ?」
ほろ「くふふ♪」//
ノーラ「あはは…」
656: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:34:21.03 ID:XRCOPxjzo
ほろ「では」
ほろ「いただきます!」
ロレンス「おあがり」
ほろ「…」モグ
ほろ「…! これは」
,ノM ノM
//} } //ヽヘ
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ほろ「うまい!」
ロレンス「そいつはよかった」モグモグ
ほろ「ぬしさまよ! おちついておるばあいではありんせん!」
ほろ「これはたいへんなことじゃ!」パクパクー
ロレンス「何がだよ落ち着け」モグモグ
657: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:36:02.71 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「味付きの肉なんですね」モグモグ
ノーラ「ええ。その方が、ホロちゃんも食べ易いかなって」
ロレンス「…ありがとうございます。気を使って頂いたみたいで」
ノーラ「い、いえ! そんな、大してことはありませんから…」ゴニョゴニョ
ほろ「ほれ! ぬしさまもたべんと、わっちがぜんぶたべてしまうでありん
すー」パクー
ロレンス「ああ、どうせお前は大して量は食べられないからな。俺はゆっくり食べるよ」パク
ほろ「む! わっちをばかにしおってー」ガーッ
ロレンス「野菜も食べなさい」
658: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:36:51.26 ID:XRCOPxjzo
・ ・ ・ ・ ・
ほろ「…ぉぅ」
ロレンス「食べ過ぎだな」ポンポン
ほろ「…おなかを、たたくでない…」
ロレンス「…」ポンポン
ほろ「…ぬ、ぬしさまの…たわけぇ…」ウップ
ノーラ「(可愛い)」
659: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:38:22.21 ID:+XSBnKHDO
ほろ「…む…」コク
ロレンス「はは。そしていつも通りおねむだな」
ロレンス「担いで帰ってやるから、寝ていいぞ」
ほろ「…ふむ…そうかや…」カクン
ほろ「では、あとは、たのんだ…でありんす…」
ロレンス「だからその」
ロレンス「眠くなったときの無駄に格好いい口調はなんなんだ」
ほろ「…」クー
660: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:40:47.34 ID:XRCOPxjzo
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「よっと」
ほろ「むふ」オェ
ロレンス「…頼むから戻さないでくれよ…」
ロレンス「あの、ホロを寝かせて来ます。すぐ片付けの手伝いに戻りますので」
ノーラ「そんな。ホロちゃんを一人にしちゃダメですよ」
ロレンス「…とはいえ、こんな頂くだけ頂いた形で帰るわけには…」
ノーラ「…あの」
661: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:42:29.72 ID:+XSBnKHDO
ノーラ「…まだ、材料は残っているんですよね…」
ロレンス「へ?」
ロレンス「ああ、そうですね。沢山用意して頂いていたようで」ハハ
ノーラ「は、はい」
ノーラ「…なので、もしよければ」
ノーラ「つ、続きはどうでしょうか。二人で、今度はお酒も入れて」
ロレンス「…」
ロレンス「(アカン)」
ロレンス「(そう言えば、何も解決していなかった…)」ダラダラ
662: また夜にー。 ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 12:45:29.21 ID:XRCOPxjzo
ロレンス「(これはもしかして)」
ロレンス「(これから大変なお説教が始まったりするのでは…)」ダラダラ
ノーラ「…」
キュ
ロレンス「…」
ノーラ「…その」
ノーラ「だ、だめですか?」
ロレンス「…」
ノーラ「…」プルプル
ロレンス「…」
ロレンス「…いえ、喜んで」
▽つづく!
667: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:45:10.35 ID:9M45qndIo
*二回戦
ノーラ「で、では。焼きますね」
ロレンス「は、はい」
カチッ
ジュー…
ノーラ「…」
ロレンス「…」
ロレンス「(気まずい…)」チラ
668: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:47:25.05 ID:+XSBnKHDO
ノーラ「…」
ロレンス「(くそ、ノーラさんが一体何を考えているのかさっぱりだ)」
ロレンス「(…じーっと見ているとなんだか頭がぼーっとして来た…火が近いからか…?)」
ロレンス「(あーもうなにがなんだか)」
ジュー…
ほろ「んが」クンクン
ロレンス「…」
ロレンス「(…気の抜ける)」
669: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:48:03.71 ID:9M45qndIo
ノーラ「…」クス
ノーラ「もしかすると、好物の臭いに気がついているのかもしれませんね」
ロレンス「はは。そうかもしれません」
ほろ「…」ムニャ
ロレンス「ホロならそれで目を覚ますくらい、当たり前のようにしそうですから」
ノーラ「そうですね」ニコ
ノーラ「…でも」
ロレンス「?」
ノーラ「今は起きて欲しくないなぁ、なんて…」
ロレンス「…ノーラさん?」
670: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:49:27.99 ID:+XSBnKHDO
ノーラ「…」ニコ
ノーラ「何でもないです。あの、ロレンスさん。お酒はどうしますか?」
ロレンス「…ああ、えっと」
ロレンス「ビールってあります?」
ノーラ「ありますよ。すぐ持って来ますね」タタッ
ロレンス「すいません」
ロレンス「…」
ロレンス「(何だこれ…)」グルグル
671: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:50:22.15 ID:9M45qndIo
ジュー…
ロレンス「では」パキュ
ノーラ「はい。乾杯」
パコッ
ロレンス「こう言っては失礼かもしれませんが」
ノーラ「はい?」ゴク
ロレンス「ノーラさんも、ビールはお好きなんですね」
ロレンス「少し驚きました」ゴク
ノーラ「…そうですね」
ノーラ「実はあまり好みではないんですけど」
672: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:51:42.64 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「え?」
ノーラ「…せっかくの機会ですから、ロレンスさんと同じ物を飲んでいたいと思いました」コク
ロレンス「…」
ロレンス「(…あざといのは羊飼いも同じだったか…)」
ロレンス「(って! 何を考えているんだ俺は)」
ロレンス「(あー頭が回らない。もうどうにでもなれだ)」グイッ
ノーラ「ほら。焼けましたよ」ハイ
ロレンス「おっと。ありがとうございます」プハー
673: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:52:24.52 ID:9M45qndIo
・ ・ ・ ・ ・
ジュー…
ロレンス「…」チビチビ
ロレンス「あの、ノーラさん」
ノーラ「はい?」
ロレンス「…酔った頭でこんな話をすることを、許してください」
ロレンス「…こうでもしないと、私は、ノーラさんの前では」
ロレンス「緊張するような話はできないようです」
ノーラ「…」ドキ
ノーラ「は、はい。何でしょう」
674: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:53:57.84 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「ずっと…謝らなくてはと思っていたんです」
ノーラ「…え?」キョトン
ノーラ「…謝る、ですか?」
ロレンス「え、ええ。先日ノーラさんの前で」
ロレンス「…その、こうして羊を食べるような話をしてしまって」
ロレンス「私はノーラさんを傷つけてしまったので、そのことを」
ノーラ「…あ…」
ロレンス「本当にすいませんでした」ペコ
675: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:54:26.62 ID:9M45qndIo
ノーラ「…」
ロレンス「…」ドキドキ
ノーラ「…」
ロレンス「…あ、あの、ノーラさん…?」
ノーラ「…ぅ」
ロレンス「え」
ノーラ「…ぅぇぇ…」ポロポロ
ロレンス「なっ」
ロレンス「(泣き出したー!)」
676: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:56:24.01 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「えっと、あのその」オロオロ
ノーラ「…ご、ごめんなさい。急に、こんな…」グシ
ロレンス「いえ! どうせまた何か俺が余計なことを…」
ノーラ「ち、違うんです。私の方こそ」グシグシ
ノーラ「てっきりロレンスさんに嫌われてしまったのではないかと…」
ロレンス「え?」
677: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:57:43.25 ID:9M45qndIo
ロレンス「私が、ノーラさんを、ですか?」
ノーラ「は、はい」
ノーラ「街で会ったとき、挨拶もせず…」
ノーラ「とても失礼な態度をしてしまったので」グス
ロレンス「…いやまさか」ハハ
ロレンス「私がそんなことでノーラさんのことを嫌に思ったりするはずがありません」
ノーラ「…そうは言っても」ズズ
ノーラ「あれからしばらく、ロレンスさんは私に会って下さいませんでしたから…」
ロレンス「…そうですね…」
678: ◆5elc53sAMI 2013/03/10(日) 23:59:09.60 ID:+XSBnKHDO
ロレンス「じ、実はですね」
ロレンス「今日こうしてノーラさんがジンギスカンを振舞ってくださったのも」
ロレンス「…ひょっとして、私への当てつけだったのかと…思ってしまいました」
ノーラ「…」
ノーラ「私、そんなに嫌な人だと思われていたんでしょうか…」ウルウル
ロレンス「い、いえとんでもない! 私の勝手な思い違いだと、もうはっきりしましたから!」
ノーラ「冗談です。私の方こそごめんなさい」グス
679: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:00:40.39 ID:WaIEDN4po
ロレンス「…要するに」
ノーラ「お互い、思い違いをして相手に距離を取っていた、ということですね」
ロレンス「そのようです」
ロレンス「…何と言うか、こんな歳にもなって」ハハ…
ロレンス「青臭いというか。不器用なことをしてしまいました」
ノーラ「そうですね」ニコ
ノーラ「でも…とにかく、ロレンスさんに嫌われてしまったわけじゃなくて、…本当によかったです」
ロレンス「それは私も同じ気持ちです」
680: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:02:02.01 ID:HM8OOgaDO
ロレンス「いずれにせよ、誤解が解けてよかった」
ロレンス「これからも、隣同士よろしくお願いします」ペコ
ノーラ「あ、…その」
ロレンス「? はい」
ノーラ「…隣同士だから、じゃなく…」
ノーラ「その、何と言うか…」ゴニョゴニョ
ロレンス「?」
ノーラ「あ、あのですねっ」ズイッ
681: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:03:12.51 ID:WaIEDN4po
ゴロッ
ロレンス「おわっ」
ほろ「…」
ロレンス「…どこから転がって来たんだ、一体」
ほろ「…くふ…」スヤスヤ
ノーラ「…」
ロレンス「っと、失礼しました。話を切ってしまって」
ノーラ「…いえ」
ノーラ「何でもないです」ニコ
ロレンス「…そうですか?」
682: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:05:45.30 ID:HM8OOgaDO
ズキ
ロレンス「っ」
ノーラ「…ロレンスさん?」
ロレンス「(いかん。ほっとしたら、また体が熱くなって来た…)」
ノーラ「…あの、大丈夫ですか?」キョトン
ロレンス「…」
ロレンス「(…まずい)」ムラ
683: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:06:31.57 ID:WaIEDN4po
ロレンス「な、何でもありません」
ロレンス「そろそろ帰りますね。ずいぶん長居してしまいました」ヨット
ほろ「…んあー」
ノーラ「そ、そうですね」
ノーラ「もう遅いですもんね…」シュン
ロレンス「…」
ロレンス「(…あーくそノーラさん可愛いなぁ抱き締めたい…じゃ、ない。落ち着け俺)」グルグル
684: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:08:44.12 ID:HM8OOgaDO
ガチャ
ロレンス「で、では。お邪魔しました」
ノーラ「あの、ロレンスさん」
ロレンス「はい?」
ノーラ「…その」
ノーラ「ま、また明日」ニコ
ロレンス「…はい。また、明日」
685: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:09:27.78 ID:WaIEDN4po
バタン
ノーラ「…はふぅ」
ズルズル
ペタン
ノーラ「よ、よかったぁ…ロレンスさんと仲直りできた…」
ノーラ「えへへ」//
ノーラ「(嬉しくて笑いがとまりません)」
ノーラ「でも、誰も見ていないし…今くらいは、いいよね」エヘヘ
686: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:11:26.17 ID:HM8OOgaDO
ノーラ「これって、やっぱりディアナさんに頂いた薬のおかげなのかなぁ…」
ノーラ「また今度お礼を言いに行かないと」
ノーラ「あ…お片付けしなきゃ。…た、立てるようになってから…」コシヌケチャッタ…
ノーラ「…えへへ♪」
ノーラ「…」
ノーラ「…次こそ…がんばろう」ウン
687: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:11:47.76 ID:WaIEDN4po
バタン
ほろ「くあ?」
ロレンス「…」
ほろ「…むー…あー、かえってきたのかや…」
ほろ「ぬしさまよー、おろしてくりゃれー…ふあぁ」ペタ
ロレンス「…」
ほろ「…なんじゃぬしさま。だまってしまって」
ロレンス「…なあホロ」
ほろ「んむ」
ロレンス「ごめん」
ほろ「む?」
688: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 00:13:21.40 ID:HM8OOgaDO
ギュ
ほろ「ほあ!?」
ロレンス「…」スリスリ
ほろ「な、なんじゃぬしさまよ! とつぜんだきついて、く、くすぐったいでありんす!」
ほろ「あとひげがいたい! ひげをじょりじょりするでない!」
ロレンス「…」スリスリ
ほろ「むごんですりすりするでない! こ、こわいではないかぁ…!」ウワーン
ロレンス「…」スリスリ
*火照った体を冷ますために、
その後ロレンスは小一時間ホロを愛で続けました。
▲終わり
694: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:20:35.55 ID:v+3Zp2klo
◇舞台3◇
ロレンス「じゃあ行って来る」
ホロ「うむ。今日もわっちのために頑張ってくりゃれ」
ロレンス「おう」
ガチャ
バタン
ホロ「…♪」フリフリ
ホロ「さて。山ほど家事が待っていんす」
ホロ「わっちもぬしのために頑張らんとの!」
695: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:21:35.12 ID:v+3Zp2klo
・ ・ ・ ・ ・
コンコン
ロレンス「失礼します」
エーブ「来たか。悪いな、呼び出したりして」
ロレンス「いえとんでもない」
ロレンス「それで社長、用と言うのは…」
エーブ「エーブ、だ」
ロレンス「あ、は、はい」
ロレンス「…え? それは私用のときだけだと…」
エーブ「そうだ。私用で呼んだんだからな」
696: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:22:01.96 ID:v+3Zp2klo
ロレンス「あ、仕事の関係ではなかったんですね…」
ロレンス「(ほっとしたような、逆に怖いような…)」
エーブ「仕事以外で呼んだらまずかったか?」
ロレンス「い、いえ。そんなことはありません」
エーブ「くく、冗談だ」
ロレンス「はは…」
697: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:22:47.71 ID:v+3Zp2klo
エーブ「いやなに、ちょっと夕食の誘いをと思ってな」ギシ
ロレンス「…えっと、仕事の用向きではなく、ですよね」
エーブ「ああ。接待なんかじゃなくプライベートでだ」
ロレンス「…はあ」
エーブ「安心しろ。お前に奥さんがいるのは知っている」
エーブ「先日、偶然、出先でばったり顔を見る機会があったしな」ニヤニヤ
ロレンス「…」ダラダラ
ロレンス「エ、エーブさん、一体何を」
エーブ「そう。俺は、お前に奥さんがいるのを知っている」ニヤ
698: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:23:17.82 ID:v+3Zp2klo
エーブ「だからな」
エーブ「どうだ。一度奥さんを交えて、三人で話をする機会があってもいいと思うんだが」
ロレンス「…」
ロレンス「…はい…ソウデスネ…」
エーブ「よし、決まりだな」
ロレンス「…」
ロレンス「(何だか面倒なことになりそうだ…)」
699: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:25:34.00 ID:v+3Zp2klo
ペロッ
ホロ「うむ。上出来じゃな!」
ホロ「野菜は水に戻してある。あとは盛り付けるくらい…」
ピンポーン
ホロ「む。早い」
ホロ「…いいことじゃ♪」
タタッ
700: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:27:23.35 ID:v+3Zp2klo
ガチャ
ホロ「ぬしよ、おかえり!」
ロレンス「…うん」
エーブ「どうもこんばんは」
ホロ「…む」
ホロ「あ」
エーブ「あんたの旦那の上司です」ニコ
701: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:28:06.72 ID:v+3Zp2klo
ホロ「あ、あの」
ホロ「先日は、ぬしともども大変ご迷惑を…」ペコペコ
ロレンス「(おお、ホロが頭を下げている姿ってのは珍しい)」
エーブ「なにを他人事みたいなこと思ってんだお前は」ベシ
ロレンス「いたっ」
ホロ「?」
702: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:28:36.13 ID:v+3Zp2klo
エーブ「いい奥さんだ。ロレンスには勿体ない」
ロレンス「そ、そんな…」
ホロ「そんな言い方はありんせん!」
ロレンス「…っと」
エーブ「…」
ホロ「…あ、ご、ごめんなさいじゃ!」
703: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:29:22.01 ID:v+3Zp2klo
エーブ「構わない」クス
エーブ「だがやはり勿体ないな」
エーブ「いや、ロレンスを貶めるつもりはないんだ。純粋にあんたへの褒め言葉として受け取ってくれ」
ホロ「う、うむ」
ロレンス「…」
ロレンス「(何と言うか、相変わらずいい性格をした人だ)」ハハ…
704: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:30:03.26 ID:v+3Zp2klo
エーブ「それに先日のことも気にしてはいないので、そんなに謝らないでくれ」
ホロ「さ、さようでありんすか」
ロレンス「(本当にこいつは敬語が下手だな)」
エーブ「何か言ったか?」ギロ
ロレンス「い、いいえ」ゴホッ
ホロ「?」
エーブ「懲りない奴だ」クク
705: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:31:49.40 ID:v+3Zp2klo
エーブ「実は今日」
エーブ「あんたさえよければ、お邪魔したいと思って来たんだが」
エーブ「酒も持って来た」ゴソ
ホロ「も、もちろんわっちは構わぬ」
ホロ「先日頂いたお酒も美味じゃった。その礼にもちょうどいい…と、思ってよいじゃろうか」
エーブ「ああ。ぜひ美味い飯を食わせてくれ」
ホロ「うむ」
ロレンス「…」
ロレンス「(何だか、この二人は意外と馬が合いそうだな)」
706: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:32:28.51 ID:v+3Zp2klo
ロレンス「ビーフシチューか」
ホロ「うむ。今日はまた少し冷えたからの、何か温かい物がいいかと思って」ニコ
ロレンス「(気遣いのできるホロマジ天使)」
エーブ「心の中でのろけるくらいなら口に出したらどうだ」
ロレンス「さっきから社長はなぜ俺の心を読むんです?」
エーブ「エーブだっつってんだろ」ゲシ
ロレンス「いたい」
ホロ「二人は仲がいいの」クスクス
707: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:33:55.58 ID:v+3Zp2klo
ホロ「温め直すので、ちょっと待っていてくりゃれ」カチッ
ホロ「その間に、つまめるようにサラダを先に作ってしまいんす」サッ
パリパリ
パサ
ホロ「あとは…グラスも出してしまうかや」カチャ
エーブ「…おいおい」
エーブ「ずいぶん要領のいい奥さんだな。うちで働かないか」
ホロ「へ?」
ロレンス「急に社長モードになるのは禁止ですよーエーブさーん」
エーブ「…うざいなお前」
ロレンス「ひどい」
708: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:34:48.70 ID:v+3Zp2klo
エーブ「うちの社員は頼りないやつばかりだからなぁ」チラ
ロレンス「…すいません」シュン
ホロ「くふ、ありがたいお言葉でありんす」
カチャ
ホロ「でも残念。わっちが働くのは、このお人のためだけじゃ」
ロレンス「…ホロ」
エーブ「ち。妬けるなぁ」
ホロ「くふふ」
ロレンス「…なんか照れるな」ポリポリ
709: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:35:24.15 ID:v+3Zp2klo
カラン…
ホロ「♪」
エーブ「…」パリパリ
エーブ「なあ、ロレンス」コソ
ロレンス「なんですか?」
エーブ「…俺だって何もなんの訳もなく押し掛けたわけじゃない」
エーブ「奥さんの体調、どうなんだ」
710: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:36:08.38 ID:v+3Zp2klo
ロレンス「…」ハア
ロレンス「それっぽいこと言って、どうせ半分は俺とホロの様子を面白がりに来たんでしょう」
エーブ「まあな」
エーブ「俺は商売と、人生を楽しむために生きている」グイ
ロレンス「(清々しい…)」
エーブ「それで? どうなんだ」フゥ
711: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:38:47.16 ID:v+3Zp2klo
____
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| : :: ,. -.ァ'/ヽ'、/ /、ヽ、ヽv__,.=-‐'ム.: .; .: .: .: .: .: ',
| ,.不〈 、' /、丶,.> '- '  ̄ _ノ | ヽ ト、、.: .: .: .: ヽ
l~| .ト-、,.> ' ´ ォァィ'" | Vヽヽ .: .: .: .: \
|_|__レ'、、__,.ッ | |` ー‐ヵ.: .: .: .: .\
レ'´|| """" | | | /.: .: .: .: ,.=ァ,)
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弋ヽ  ̄ ‐- ,. イ|| ト、 Y__| .: :/
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エーブ「俺の前でくらい、帽子も取ってしまえばいいと思うんだが」
ロレンス「…ホロが気にするんですよ」
エーブ「どうだか。あの人のいい奥さんのことだから」
エーブ「お前に気を使っているってのが大半だと思うがな」
ロレンス「…そうなんですかね」
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弋ヽ  ̄ ‐- ,. イ|| ト、 Y__| .: :/
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エーブ「俺の前でくらい、帽子も取ってしまえばいいと思うんだが」
ロレンス「…ホロが気にするんですよ」
エーブ「どうだか。あの人のいい奥さんのことだから」
エーブ「お前に気を使っているってのが大半だと思うがな」
ロレンス「…そうなんですかね」
712: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:39:13.85 ID:v+3Zp2klo
エーブ「この前の件を見るにな」コク…
エーブ「もう少し、二人で外に出たらどうだ。ばれたらばれただ」
エーブ「今時、耳が生えているくらいで火あぶりにされることもないだろ」フー
ロレンス「何ですかそれ」ハハ
ホロ「お待たせじゃー」
エーブ「いい匂いだ」
ホロ「ありがとう。味の感想も聞かせてくりゃれ」
ロレンス「(…外出、ね)」
713: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:40:54.45 ID:v+3Zp2klo
・ ・ ・ ・ ・
エーブ「これをやる」
ロレンス「…これは?」
エーブ「映画のチケットだ。まあ貰い物だが」
エーブ「奥さんと二人で行けばいい」
ロレンス「…エーブさんそんな、なにもここまで気を使ってもらわなくても」
: : : : : :/: : : : : : : : : : : : /: : : : /: : :入: : : :ヘ: : : ヘ
: : : : :/: : : : : : : : : : : : /: : : : イ: : : :./`ヘ: : : :ヘ: : : :ヘ
: : : : |: : : : : : : : : : : : /: : : :/|:|: : : / ∨: : :l: : : : ト;
: : : :.|: : : : : : : : : : : : l: : : イ| l:|: :.〃 ∨: :l: : : : :lヘ
: : : :.|: : : : : : : : : : : : l: : :/l:| l:|: :/ ∨: |: : : l:l ';
: : :y:l: : : : : : : : : l: : :l: : / .l:| l|: :l ∨:|:l: : l:.l ';
: :/: :l: : : : : :|: : : |: : :l: / リ__l|: l ,/´.l|:|;:|: :l:リ l
:/ ヘ、l: : : l: :l: : : :l: : :l:/' ¨´ヽ ヘ:| '´ |ハ|:/:/ l
:l ハ、.l: : :l: :.|: l:l:.|: : :リ ヽ , , -.ゝ:':/ヾ:l'ノ l
:l ヘ .r'.l: : |l: :|:l: l:|:l: :.l_,,,,,,,,ゝ、 k'´ノ '''´ /リ' ノ
:ヽ、ヾヘ: : l: :l:|: リ: l: :|┘-''''イ` ', ´ /ハ
: : :`ヽ,ヘ: : l: リ: : : ト: | ヘ .l'
ヽヘ: : : :ヘ: :l: :|: : : | ';| / /
ソ ヽ: :l: ヘ:.l: l: : :.| .';| /
/´:ヘ:ト、:ヘ:l: l: : :.| ヘ| _,. , /、
/イ: : :リ:.ヘ:.ヘ: l: : :ト `ヽ` ー´一,. ´/ > .)
´ ` ヾ 、ヘ_| 、: : :l > , ´ ./ /´ i´ ヽ、 「そう思うなら、早く気を使わないで済むようになってくれ」
ヽ \ ヘ: : l、_ `> ´__ノ 人
ヘ \ ヘ: :l  ̄ ̄ ̄/ >
ヘ \ ヘ| / /
ロレンス「……はい」
エーブ「ガチでへこむな」
714: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 13:42:21.88 ID:v+3Zp2klo
エーブ「社員のケアも社長の仕事だ」
エーブ「じゃあな。お邪魔した、奥さんにもよろしく」
ロレンス「はい。お休みなさい」
バタン
ブルルル…
運転手「では出します」
エーブ「おう」
エーブ「(ち。分かってはいたがまた見せつけられたな…どっか他にいい男はいないもんかね)」
エーブ「…っと…がらにもないことを…疲れてんのかな、俺…」ハア
▽続く
716: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:01:16.19 ID:atgppLcuo
▽続き
ジャー…
ロレンス「ただいま」
ロレンス「洗い物、手伝いよ」
ピョコ
ホロ「ううん。構わぬ」
ホロ「前にも言ったが、これはわっちの仕事じゃからな。気にせず休んでいてくりゃれ?」
ロレンス「…そうか」
717: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:03:06.44 ID:HM8OOgaDO
カチャカチャ
ホロ「♪」
ピョコ
ロレンス「…」ズズ
ホロ「ふんふん」フリフリ
ロレンス「…」
ロレンス「(いろいろあって、ホロには獣の耳としっぽが生えている)」
ロレンス「(まあ俺は可愛いと思うから気にしていないんだが…)」
718: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:04:24.29 ID:atgppLcuo
ロレンス「(一応病気と言うことになっている)」
ロレンス「(何か他に不都合があるわけではない)」
キュ
ホロ「なんじゃ、ぬしはまたコーヒーかや。相変わらず好きじゃの」フキフキ
ロレンス「お疲れ」
ロレンス「ホロにはココアでも淹れようか」
ホロ「ありがと」
719: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:05:52.18 ID:HM8OOgaDO
コトコト…
ホロ「ちょっとぬるめでよいからのー」
ロレンス「狼なのに猫舌なのか」
ホロ「む」
ホロ「…ぬしよ、言っておくがの」
ホロ「人以外の大半の動物には食品を加熱することはない。なので、その意味ではわっちも猫舌でありんす」
ロレンス「お、さすが賢狼だな。知識豊富だ」
ホロ「…ばかにしておるじゃろ」
ロレンス「まさか」
ホロ「…むぅ」
720: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:06:55.19 ID:atgppLcuo
コト
ロレンス「ほら。入ったよ」
ホロ「んむ、ありがと」
ロレンス「…座ったらどうだ?」
ホロ「ぬしこそ」
ホロ「…たまには、こうして立ったまま飲むのもよいかなーなんての」
ロレンス「…俺にはよく分からないが」ズズ…
ホロ「そうかや?」フー
ホロ「…ん」コク
ホロ「おいしい」ニコ
ロレンス「そいつはよかった」
721: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:07:57.13 ID:HM8OOgaDO
ホロ「…はふぅ。落ち着くの」
ロレンス「…悪かったな。急に連れて来てしまって」
ホロ「ううん」フリフリ
ホロ「いつ頭を下げるかとぬしと話しておったところじゃったし、いい機会
じゃった」
ロレンス「そうだな」
ホロ「とても気立てのよい方じゃった」
ホロ「あのようなお人になら、わっちも安心してぬしを預けることができる」
ロレンス「…そうだなー」
ホロ「ぬしよ、なぜ遠い目をする」
722: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:09:04.08 ID:atgppLcuo
―――後日
ガチャ
ロレンス「ただいまー」
ホロ「おかえりっ」
ロレンス「っと、びっくりした」
ホロ「くふー」ギュ
ホロ「わっちは耳がよいからの。ぬしが家の前に来ると中からでも分かりんす」ピョコピョコ
ロレンス「…なるほど」ナデナデ
ホロ「♪」
723: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:10:13.18 ID:HM8OOgaDO
ホロ「こんな耳でも」
ホロ「こうしてよいところもあるからの。なかなか悪くない」
ロレンス「そっか」
ロレンス「…それにしても上機嫌だな」
ホロ「んむ」
ホロ「明日はぬしがお休みじゃからなー」ニコニコ
ホロ「ぬしと二人でゆっくりする時間が、わっちには一番の幸せじゃ」
ロレンス「…」ハズカシイ
724: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:10:53.57 ID:atgppLcuo
ロレンス「(っと、照れてる場合じゃないな)」コホン
ホロ「ぬしよ、すまぬが食事の準備はもう少しかかるのでよかったらお風呂を先に…」
ロレンス「なあ、ホロ」
ホロ「…はい」
ロレンス「あ、そんなにかしこまらないでくれると嬉しいかな…」
ホロ「じゃって、ぬしがかしこまっておるから…」//
ロレンス「わ、悪い」
725: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:12:07.73 ID:HM8OOgaDO
ロレンス「…えっと」ゴホン
ホロ「咳払いしすぎじゃ。ぬしは可笑しいのう」クスクス
ロレンス「う、うるさいな」
ホロ「くふ、ごめんごめん」
ロレンス「…えっと」
ホロ「うん」
ロレンス「…次の日曜日」
ロレンス「私と、デートしてくれませんか」
ホロ「…はい」
ホロ「え、なんじゃと?」
726: ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:13:09.24 ID:atgppLcuo
ロレンス「…今頷いたよな?」
ホロ「まあわっちがぬしの誘いを断ることはまずないから、それはいいんじゃ」
ロレンス「…いいんだ」
ロレンス「(だから照れるって)」
ホロ「それで、デートじゃと?」
ロレンス「はい」
ロレンス「社長に映画の券を頂いたので、映画にでも行こうかと」
ホロ「…ふむ。映画かや」
727: いつも以上になんかのんびりしてんなあ。 ◆5elc53sAMI 2013/03/11(月) 22:15:07.89 ID:HM8OOgaDO
ホロ「是非はない」
ホロ「ぬしがそう言うのなら、わっちは一緒に行くでありんす」
ロレンス「そうか」
ロレンス「…嫌じゃないんだよな?」
ホロ「何を言うておる。嫌なはずありんせん」
ホロ「それはさっきも言ったはずじゃ」ニコ
ロレンス「…そうか」
ロレンス「じゃあ、…そんな感じで」
ホロ「んむ」
▽続く
731: ならよかった。 ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:01:24.88 ID:F6pu1mCSo
キュ
ホロ「…」
ロレンス「お。その帽子は初めて見た」
ホロ「ひぅ」
ホロ「ぬ、ぬしよ。急に後ろに立つのはよしてくりゃれ…」ドキドキ
ロレンス「そんなに驚くことないだろう」
732: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:02:54.60 ID:X16X1qhDO
ロレンス「じゃあ行こうか」
ホロ「ん、んむ」
ロレンス「…」
ロレンス「ひょっとして、緊張しているのか?」
ホロ「…わ、悪いかや」
ロレンス「…いいや」
733: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:03:36.42 ID:F6pu1mCSo
ホロ「む。笑うでない」
ロレンス「笑ってないよ」
ホロ「むー」
ロレンス「はは」
ホロ「ほら! 今笑ったじゃろ」
ロレンス「笑ってないって」
ホロ「むぅ!」
734: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:04:40.01 ID:X16X1qhDO
ロレンス「ほら」スッ
ホロ「…」
ホロ「…んむ」
ギュ
ホロ「…まったくぬしは…」
ホロ「いつまで経ってもたわけじゃ」
ロレンス「まあな」
735: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:05:23.35 ID:F6pu1mCSo
テクテク
ロレンス「映画までまだ時間がある」
ロレンス「どこか遅めの朝食に寄ろうと思うんだが」
ホロ「うむ。それがよい」グー
ロレンス「はは。了解」
ロレンス「何か食べたいものはあるか?」
ホロ「ふむ」
ホロ「…そうじゃな」
736: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:06:40.95 ID:X16X1qhDO
店員「いらっしゃいませー」
ロレンス「…何だか、ファストフード店ってのは久し振りだな」
ホロ「わっちは初めてでありんす」
ホロ「実は一度食べてみたかったのじゃー」ワー
ロレンス「…」
ガヤガヤ
ロレンス「(まあ、ホロにとってあまり居心地のいい空間ではないか)」
ロレンス「テイクアウトで」
店員「かしこまりましたー」
737: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:07:30.16 ID:F6pu1mCSo
*二人は公園へ
ガサ
ロレンス「頂きます」
ホロ「…」パク
ホロ「…おいしい」
ロレンス「そいつはよかった」
ホロ「…♪」パクパク
ロレンス「(本当においしそうに食べるよな)」モグ
738: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:08:38.04 ID:X16X1qhDO
ポロポロ
ロレンス「こぼれてるこぼれてる」
ホロ「…む」
ホロ「食べるのが難しいの」
ホロ「ぬしよ、どうしたら上手に食べられる?」
ロレンス「…頑張る」
ホロ「…分かった」
ロレンス「分かったのか」モグ
739: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:11:01.23 ID:F6pu1mCSo
/ / , / / / ,イ : / .,'イ .| l : : iト、 :ト | : :| :i: :
/ / / / / / イ :/ ! l l | _ |! | .:| | l : | :i: :
j ,' ./ ,' , /_/!⌒ ヾ| ´ ` ト、:ノ | | : :j |: :
// i . :| :ト|' __ ゙ _ ゙メ、/ : :,' : :|: :
. /イ l ト、 :l ,,ィニヾ、 ィ"テ≧ト、 /ト、/ : : :|: :
| | : : |〃ろ;;::::} ' ろ;;:::::ハヾト ,' ; : : .!: : あーん
| | : : |ヘ弋ゞ''ノ_ノ {::::ゞイ:::ノ 》`/ / : : j :
| | : : j ゙'' l ::::.. ''ー―' / / : :.,': :
| | : :,' ::::::::::: :::::::::::::::::: / / : : /: :
!; :リ : : :i _ fv ̄ `vヽ. :::::::::::::::::: / イ : : /: :
ハ\r::´,::::::::::: ̄`ヽ. ヽ // .| : : :./: : ←※ハンバーガーです
,、;...::´::::\,イ:::::::...:::.. ... V´` ハ. // |: : :/: : :
ノY´::::::::::⌒`:::::::::::::::::::::::::::::.... | /,'' ,': : /: : :
rノ`i|:::: :::::::::::::::::::::::('\:::Yヽ .:! .ノ' /: : /: : : :
!| イ!:::::::.........:::::::::::::::('\::::::ヽ. \ V ..イ: : /: : : :
ノノ /'):::::::::::::::::::::::::::::(゙\ `ヽ、ヽ `ヽ\ ... イ /: :./: : : : :
バクッ
ホロ「…」モニュモニュ
ロレンス「…ぷ」
ロレンス「リスみたいだな。可愛い」
ホロ「…」モニュモニュ
ホロ「…」モグ//
740: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:12:36.26 ID:X16X1qhDO
ロレンス「お、食べられたか」モグ
ホロ「…」ズコココ
ホロ「ぬしが食べておるそれは?」
ロレンス「オニオンリング」カリ
ホロ「ちょうだい」アーン
ロレンス「ほら」
ホロ「ん」パク
ホロ「お、これもおいしいの」モグモグ
ロレンス「…どうでもいいけど、玉ねぎは平気なんだな?」
ホロ「狼は犬じゃありんせんっ」
741: また夜です。 ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 13:13:52.68 ID:F6pu1mCSo
ホロ「ごちそうさま」ペロ
ホロ「んむ。おいしかったでありんす」チュー
ロレンス「そうだな」
ホロ「…」
ロレンス「…」
ロレンス「たまにはこうして外で食べるのもいいな」
ホロ「そうじゃの」
ホロ「今度はお弁当でも作って来るかや」
ロレンス「サンドイッチが食いたいなぁ」
ホロ「くふ。分かった、楽しみにしておるとよい」
ロレンス「うん」
▽続く
744: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 21:52:56.96 ID:9fJnsaooo
ロレンス「…いい天気だ」
ホロ「…そうじゃの」
ホロ「ふぁ」
ロレンス「ははは、間抜けな顔」
ホロ「…あふ」
ロレンス「そのまま映画に行くと眠ってしまいそうだな」
ロレンス「ちょっと昼寝してから行くか」
745: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 21:55:27.26 ID:X16X1qhDO
ホロ「…それでは間に合わぬかもしれぬ。わっちに気を使うことはありんせん」
ホロ「映画、行きたかったんじゃろ?」
ロレンス「いや?」
ロレンス「それこそお前の台詞じゃないけど」
ロレンス「ホロと一緒なら、まあ何もなくても楽しいからな」
ホロ「…」
ロレンス「疲れているようだし特別に」
ロレンス「今ならただで俺の膝を貸してやろう」ポンポン
ホロ「…」クス
ホロ「ありがと」
746: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 21:58:20.78 ID:9fJnsaooo
ポス
ホロ「…では…お言葉に甘えるとしよう」
ロレンス「そうするといい」ナデナデ
ホロ「くふ」
ホロ「…ぬしの膝は心地よい…」
ロレンス「そうか」
ナデナデ
ホロ「…♪」
747: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:00:08.27 ID:X16X1qhDO
――――――――
―――――
―――
パチ
ホロ「…む…」
ホロ「…」グシグシ
ホロ「…もう日が暮れかかっておる…」
ホロ「(やはり寝過してしまったかや…ぬしには申し訳ないことをしたの)」
ホロ「ぬしよ」
748: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:01:15.50 ID:9fJnsaooo
ロレンス「…」スー…
ホロ「…なんじゃ、ぬしも寝ておるのか」
ホロ「…ぬしこそ、いつもお疲れさま」ニコ
ナデナデ
ロレンス「…ん…」ムニャ
749: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:02:35.16 ID:X16X1qhDO
ホロ「…そーっと」
ロレンス「…ふが」
パタ
ホロ「お返しじゃ」
ホロ「わっちの膝は気持ちよいじゃろ、ぬしよ」ナデナデ
ロレンス「…」スー…
ホロ「くふ。可愛い寝顔をしておる」ナデナデ
750: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:04:15.80 ID:9fJnsaooo
ロレンス「…」
ホロ「のうぬしよ」
ホロ「映画は見れんかったが、こうして外に誘ってくれてわっちは嬉しかった」
ホロ「…何と言うか…ぬしは不器用じゃからの。気を使ってくれておるのが丸分かりじゃ」
ロレンス「…」zz…
ホロ「…暢気に寝息を立ておって」ペシ
ロレンス「ふが」
ホロ「ふふ」
751: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:05:20.10 ID:X16X1qhDO
ホロ「じゃからの…一つだけ謝らせてくりゃれ」
ロレンス「…」スー…
ホロ「あのとき是非はないと言ったのは、少しだけ…」
ホロ「ほんの少しは、ぬしに気を使ってのことじゃった」
ナデナデ
ロレンス「…」
ホロ「…素直になるのも簡単ではないの」
752: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:06:29.41 ID:9fJnsaooo
ロレンス「…ん」
ホロ「お。おはよう」
ロレンス「…」ボーッ
ロレンス「…あれ。いつの間にか、俺の方が寝てしまったか…」
ロレンス「ごめんな、ホロ」
ホロ「ううん」
ホロ「幸せじゃったから、いい」
ロレンス「へ?」
753: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:07:21.24 ID:X16X1qhDO
ロレンス「…」
ロレンス「…そうか」
ホロ「ぬしよ、照れておるのかや?」
ロレンス「照れていない」
ホロ「ほれ、こっちを向いてくりゃれ?」
ロレンス「う、うるさい」
ホロ「…」ニコニコ
754: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:08:53.17 ID:9fJnsaooo
ホロ「今日は楽しかったでありんす」
ロレンス「…まあ、ハンバーガーを食っただけだったが」
ホロ「んむ。だからこそ」
ホロ「やっぱりわっちには、ぬしがおれば十分じゃとよく分かった」
ロレンス「…そっか」
ホロ「うむ! なので、映画はぬしに飽きてからでよい」
ロレンス「…そうかい」ハハ…
755: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 22:10:31.28 ID:X16X1qhDO
ホロ「はい」スッ
ロレンス「…」
ロレンス「ん」ポン
ギュ
ホロ「くふふ」
ホロ「では買い物に行って、それから帰って」
ホロ「二人で夕食にしよう。何か食べたいものはあるかの?」
ロレンス「…そうだなぁ…」
▲終わり
760: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:22:10.85 ID:X16X1qhDO
☆おまけ
エーブ「…」トントン
オーラー「…」
オーラー「…ん、ん」ゴホン
オーラー「社長」
エーブ「何だ」トントン
オーラー「机を叩くのは悪い癖です」
オーラー「何か気がかりなことでも?」
762: >>761 thx よかったらおまけも読んでってやー ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:29:25.59 ID:X16X1qhDO
エーブ「何もない」
ソワソワ
オーラー「(一体どこが…)」ハア
オーラー「いつも社長が仰っていることです」
エーブ「なに?」
オーラー「仕事が手につかないなら能力があっても持て余すだけでしょう」
オーラー「今日は、私が引き継ぎます。もうお帰りください」
エーブ「…オーラー、何を」
オーラー「足手まといです」
763: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:32:22.69 ID:9fJnsaooo
エーブ「…」チッ
エーブ「相変わらず、容赦のない…」
エーブ「分かったよ。帰ればいいんだろ」ガタッ
オーラー「ええ。そうして下さい」
エーブ「…すまないな」ガチャ
バタン
オーラー「(…はあ、まったく)」
オーラー「(社員にケアをして、自身がああでは本末転倒でしょうに)」
オーラー「早く、お嬢様にもよい方でも見つかればいいんですがね…」
764: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:36:10.71 ID:X16X1qhDO
エーブ「…」
エーブ「(まあ、帰ったところですることはないんだが)」
エーブ「…何か美味いものでも食いに行くか」
エーブ「ロレンスでもいれば誘うんだがな…」
765: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:36:36.65 ID:9fJnsaooo
エーブ「…」
エーブ「…」
エーブ「…こう言うとき、どうして真っ先にあいつのことが頭に浮かぶんだろうな…」
エーブ「(我ながら笑える)」
766: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:37:21.43 ID:X16X1qhDO
エーブ「(…たまにはジャンクフードでも食うか)」
店員「いらっしゃいませー」
店員「店内でお召し上がりですか?」
エーブ「ああ」
エーブ「えっと、ビッグマックのセットを…」
767: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:38:07.59 ID:9fJnsaooo
ワイワイ
エーブ「…」モグモグ
ガヤガヤ
エーブ「…」ポロポロ
エーブ「…食べ辛いな…」
ガヤガヤ
エーブ「…」チュー
エーブ「…出るか」
768: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:39:05.33 ID:X16X1qhDO
エーブ「…ん」
エーブ「(そう言えば、今日はロレンスが奥さんを映画に連れて行くと言っていた日か…)」
エーブ「…」チラ
エーブ「ちょうど見ると言っていた映画の時間だな」
エーブ「…ま、まあ。たまには映画を見るのもいい気分転換だろう」ウン
769: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:39:53.58 ID:9fJnsaooo
エーブ「大人一枚」
受付「はい。今日はレディースデーですので、千円です」
エーブ「これで」
受付「ありがとうございます。どうぞお楽しみください」ニコ
ガヤガヤ
エーブ「…カップルばかりだな…」
エーブ「…何がレディースデーだ」チッ
770: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:40:37.59 ID:X16X1qhDO
エーブ「…」キョロ
エーブ「(二人の姿はないか…)」
エーブ「(まあ、いい。映画を見に来たんだからな)」
エーブ「…恋愛物か」
771: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:41:37.12 ID:9fJnsaooo
男『俺、女さんのことが』
女『は、はい』ドキドキ
エーブ「…ありきたりなストーリーだな」ハア
エーブ「(劇場の中にも…いなさそうだな)」キョロ
後ろの客「(上映中にキョロキョロすんなよな…)」チッ
エーブ「…」ビクッ
後ろの客「…」
エーブ「(…何をやっているんだろうか俺は…)」
772: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:42:34.90 ID:X16X1qhDO
エーブ「(結局二人は見つからず)」
エーブ「(本当に、ただ映画を見に来ただけになってしまった)」
エーブ「…」
エーブ「面白くもなかったしな」
エーブ「…帰るか」
773: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:43:16.85 ID:9fJnsaooo
―――翌日
ロレンス「あ、社長。おはようございます」
エーブ「…」
ロレンス「…あの」
ロレンス「何だか機嫌が悪そうですね…?」
エーブ「…」ハア
エーブ「何でもねぇよ。何か用か?」
774: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:44:56.10 ID:X16X1qhDO
ロレンス「あ、あの。先日はありがとうございました」
ロレンス「おかげで、ホロとも今までよりうまくやって行けそうです」
エーブ「…」
エーブ「そいつはよかった」ハア
ロレンス「は、はい」
エーブ「(どうしてこいつと話すとこう気が重くなるんだろうなぁ)」
775: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:46:02.91 ID:X16X1qhDO
ロレンス「…」
エーブ「…おい」
エーブ「まだ何か用か?」
ロレンス「あ、あのですね」
ロレンス「お礼も兼ねて、よかったらご一緒に食事でもどうかなと…ごちそうします」
エーブ「…」
エーブ「いや、いいよ。奥さんに悪いしな」
776: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:46:59.19 ID:9fJnsaooo
ロレンス「そんな、社長らしくもない」
ロレンス「それに今日、ホロは友人と食事に行くそうなので」
ロレンス「いずれにしても今日は外で取るつもりだったんです」
エーブ「…そうか」
ロレンス「ええ。その、結局映画には行きませんでしたが」
ロレンス「社長には今回に限らずいつもお世話に
エーブ「おい今なんつった」
ロレンス「え?」
777: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:47:56.91 ID:X16X1qhDO
エーブ「…映画には行かなかっただと?」
ロレンス「え、ええ」
エーブ「…この」
エーブ「まあ、いい」ゲシ
ロレンス「いたっ」
ロレンス「え、いいと言いつつ蹴るんですか?」
エーブ「それで? 一体何を奢ってくれるんだ?」ゲシゲシ
ロレンス「ちょ、いた、しゃ、社長。あの、スーツが汚れるからやめて…」
778: ◆5elc53sAMI 2013/03/12(火) 23:48:53.85 ID:9fJnsaooo
ゲシゲシ
エーブ「ふん」
エーブ「おいロレンス」
ロレンス「は、はい」イタイ
エーブ「私のことは」
エーブ「エーブと呼べと、いつも言っているだろう?」ニコ
▲終わり
782: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:00:27.90 ID:JArPc0Abo
◇舞台1◇ 狼の旅の終わり
(>>496-523からの続き)
783: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:01:08.35 ID:JArPc0Abo
ガラガラガラ…
ホロ「暇じゃない」
ロレンス「またか」
ロレンス「…って、え?」
ホロ「忙しい」
コロン
ロレンス「…」
ホロ「…♪」スリスリ
784: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:01:57.46 ID:JArPc0Abo
ロレンス「…」
ロレンス「何だかよく分からないが」ハア
ロレンス「(まあ、機嫌は悪くなさそうなのでいいんだが)」
ホロ「くふ」
ガラガラ…
ホロ「それにしても」ハー
ホロ「この辺りは本当によく冷えるのう」
ロレンス「そうだな」
785: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:02:23.61 ID:JArPc0Abo
ロレンス「…」
ロレンス「さて、いよいよニョッヒラまであと少しだ」
ロレンス「念願の温泉にようやく浸かれるぞ」
ホロ「んむ。今こうして寒い思いをしている分」ブルブル
ホロ「温泉のやつにはしっかりやってもらわんとの!」
ロレンス「温泉のやつってなんだ」
786: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:03:43.80 ID:JArPc0Abo
ロレンス「まあそうだな、道中の苦労があったからこそ」
ロレンス「街についてからのあれこれが楽しいってのが旅の魅力だ」
ホロ「その通りじゃな」
ホロ「…ふむ、それならば」
ロレンス「ん?」
787: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:04:19.37 ID:JArPc0Abo
バッ
ロレンス「なっ」
ホロ「ぬしは着くまでのもう少しの間、そうして薄着でおるとよい!」
ホロ「きっと温泉はさらに格別なものになりんす」
ロレンス「…」ガチガチ
ロレンス「ふ、ふざけていないで返してくれ…」
ホロ「くふ、いやじゃー」
788: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:05:04.56 ID:JArPc0Abo
ホロ「ほっ」スタッ
タタッ
ロレンス「あ」
ホロ「ほれほれ、追って来てみい!」
ロレンス「おい、馬車から降りるのは反則だぞ!」
ホロ「くふふ♪」
ロレンス「…いくらなんでも荷物と荷台があったら追えないよな」
馬「…」セヤセヤ
ガラガラ…
ロレンス「…ったく」
ホロ「ぬしよー、早くー!」タタッ
ロレンス「無茶を言うんじゃない」
789: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:05:32.30 ID:JArPc0Abo
ホロ「…む」
ピタッ
ガラガラ…
ロレンス「ん? どうかしたのか、ホロ」
ホロ「ぬしよ…」
ホロ「見えて来たでありんす」
ロレンス「…?」
790: 短くて申し訳ない、また夜です。 ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 14:07:04.37 ID:JArPc0Abo
ホロにそう言われ顔を上げると、
「……本当だな」
ぼうぼうとして空を覆う、いくつもの白い熱気の束が、
もはや見慣れた一面の銀世界のさらに向こうで立ち上る。
「懐かしい景色じゃ」
賢狼ホロ、その故郷ヨイツからほど近い。
―――ここは世界の果て、ニョッヒラ。
792: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:02:09.00 ID:OwIc3ROVo
・ ・ ・ ・ ・
ロレンス「くしゅっ」
ロレンス「…」ズズ
ホロ「くふ。ぬしよ、鼻水が垂れておりんす」クスクス
ロレンス「…誰のせいですかね」
ホロ「さあ?」
ホロ「ほら、わっちが拭いてあげるからの」フキフキ
ホロ「まったく、商人がそんな間抜けな顔をしていては恥ずかしいじゃろ」
ロレンス「(…こいつ…)」
793: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:03:20.08 ID:w8pNzLODO
ロレンス「は、早く温泉に浸かろう…」
ロレンス「冗談抜きで、このままだと凍死してしまう…」ガチガチ
ホロ「んむ。それがよい」
ホロ「おっと、それなら料理と酒を用意してもらわねば」
ロレンス「…好きな物を頼むといい」
ホロ「…言ったの?」
ロレンス「…ああ」
794: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:03:55.59 ID:OwIc3ROVo
ロレンス「いいだろ。こんなときくらい贅沢しても」
ホロ「…そうかや」
ホロ「では好きなように頼むとしよう♪」
ロレンス「それがいい」
795: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:04:53.92 ID:w8pNzLODO
・ ・ ・ ・ ・
ホロ「…ん…」
ホロ「ぬしよ、温かくて心地よいの…」フゥ
ロレンス「…」
ロレンス「入る前に体を冷やし過ぎて、痛い…」
ホロ「ぷっ」
ホロ「あははは! ぬしよ、ようやく浸かれてそれはないじゃろ!」
ロレンス「…誰のせいだ」
ロレンス「(…痛痒い)」ジンジン
796: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:05:27.66 ID:OwIc3ROVo
ホロ「あー笑った」
ロレンス「ったく」クイ
ホロ「それは?」
ロレンス「はちみつ酒だよ」
ホロ「…珍しいの。ぬしが甘いものを口にするとは」
ロレンス「そうか?」
797: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:06:40.03 ID:w8pNzLODO
ロレンス「ぶどう酒でもいいんだが、あれは冷たい物の方が好みだからな」
ロレンス「体が温まるまでははちみつ酒にしようと思って」コク
ホロ「なるほど」
ロレンス「ホロのはぶどう酒か」
ホロ「んむ」
ホロ「…じゃが、わっちもぬしと同じものが飲みたい」
798: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:07:10.50 ID:OwIc3ROVo
ロレンス「ああ、はちみつ酒な」
ロレンス「ちょっと待ってくれ、今別の器に…」
ホロ「くふ」
パシ
ホロ「ぬしが飲んでおるのをもらえばよい」コク
ロレンス「…そうか」
ホロ「んむ♪」
799: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:08:34.38 ID:w8pNzLODO
・ ・ ・ ・ ・
ペロ
ホロ「…ふー」
ロレンス「今日もよく食べたな」
ホロ「む。雄が雌にその言い方はないのではないかや?」
ロレンス「俺がホロに言う分にはいいんじゃないかな」
ホロ「…」
ホロ「そうじゃの」ブクブク
ロレンス「うん」
800: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:09:27.81 ID:OwIc3ROVo
ホロ「…それにしても」
ロレンス「ん?」
ホロ「…本当に」
ホロ「帰って来たんじゃな。わっちは、故郷の、すぐ傍まで」
ロレンス「…そうだな」
ロレンス「こうなっては反対にパスロエの村が懐かしいんじゃないのか?」
801: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:10:40.37 ID:w8pNzLODO
ホロ「まあ、多少は」
ホロ「戻ろうとはとても思えぬがの」ブクブク
ロレンス「そうだな」ハハ
ホロ「…」
ホロ「のう、ぬしよ」ザバ
ロレンス「うん」
802: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:11:18.11 ID:OwIc3ROVo
ホロ「ここまでわっちを導いてくれて、本当にありがとう」
ロレンス「…」
ロレンス「ああ」
ロレンス「こちらこそ、まさか旅を楽しいと思う日が来るとは思わなかった」
ロレンス「俺も、あのときお前に出会えてよかったと思うよ」
ホロ「くふ。そう言ってもらえると嬉しいの」
803: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:12:30.97 ID:w8pNzLODO
ホロ「…とまあ」
ホロ「一通り、旅に幕を引く前振りは済んだわけじゃな」
ロレンス「なんだそれ」ハハ
ホロ「…ぬしはこれからどうする気じゃ?」
ロレンス「ホロこそ」
ロレンス「このあとは、ヨイツに向かうのか?」
804: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:13:19.32 ID:OwIc3ROVo
ホロ「…」
ホロ「戻っても仕方ないと思っておる」
ホロ「もう、見る影もないようじゃしの」
ロレンス「…それもありだろうな」
ロレンス「(見なければ、何も現実になることはない)」
ロレンス「(そうして心の中に故郷を保つことも、一つの道だろう)」
805: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:14:08.14 ID:w8pNzLODO
ホロ「…ぬしはどうするのじゃ?」
ロレンス「…」
ホロ「もう店を構えるくらいの貯えはあるのじゃろう?」
ロレンス「まあな」
ホロ「…その、正直」
ホロ「少し申し訳ないと思っておる」
ロレンス「…何を?」
806: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:15:08.61 ID:OwIc3ROVo
ホロ「結局こうして、果ての果てまでぬしを付き合わせてしまった」
ホロ「わっちには分からぬが、きっとこれまでにも何度か…店を構える機会はあったのではないかや?」
ロレンス「…さあ、どうだったかな」
ホロ「…くふ。ぬしは、本当に優しい雄じゃ」ニコ
ロレンス「そんなことないさ」
807: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:16:13.43 ID:w8pNzLODO
ホロ「お互い思い残すことはありんせん」
ホロ「…もうずいぶん前の約束だったのに、ぬしは本当にこうしてそれを果たしてくれた」
ホロ「わっちはぬしに、信じられぬくらいの―――返しようもないほどの恩がある。ありがとう」
ロレンス「…いいのか? 賢狼がそう素直に人へ頭を下げて」
ホロ「…こんなときにからかうでない」
ロレンス「(からかわないとやってられないからな)」
ロレンス「(ホロらしくもなく、湿っぽいことだ、まったく)」
808: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:17:10.05 ID:OwIc3ROVo
ロレンス「常々言って来ただろう?」
ロレンス「商人にとって契約は絶対だ。優しいも何も、俺はホロとの約束を果たさないとならなかった」
ロレンス「そして、金の借りも返してもらわないとならなかったからな」ニッ
ホロ「…くふ。そうじゃの」
ホロ「ぬしはもう、一人前の商人じゃからな」ニッ
809: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:18:50.86 ID:w8pNzLODO
ロレンス「…ふぅ」
ロレンス「そろそろ上がろうか」
ホロ「…そうじゃな」
ホロ「くふ。これ以上浸かっておったら茹ってしまいんす」ザバ
ロレンス「(ホロは少し名残惜しそうに湯から身を出す)」
ロレンス「(…ここから出れば、それが二人の別れになると分かっているからだろう)」
ロレンス「…」
810: 次回が最後の投下になります。 ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 19:19:56.58 ID:OwIc3ROVo
ザバ
ロレンス「なあ、ホロ」
ホロ「ん?」
ロレンス「…その」
ロレンス「俺から一つ、提案があるんだ」
ホロ「…うん?」
813: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:41:25.57 ID:OwIc3ROVo
・ ・ ・ ・ ・
ガラガラ…
ホロ「暇じゃ」
ロレンス「…」
ホロ「のう、ぬしよー」ユサユサ
ロレンス「…」ユラユラ
ロレンス「揺らすんじゃない」ペシ
ホロ「あいたっ」
814: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:42:58.03 ID:w8pNzLODO
ホロ「ひーまーじゃー」バタバタ
ロレンス「…子どもか、お前は」
ロレンス「まったく。コルの方がよほど聞き分けができたな」
ホロ「…どうしてここでコル坊を引き合いに出すんじゃ」ムス
ホロ「もうぬしなど知らぬっ」プイ
ロレンス「はいはい」
815: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:47:11.70 ID:iW6+8rmxo
ホロ「…」ゴロッ
ホロ「退屈じゃなー」
ホロ「何か面白いことはないかのー」
ロレンス「ないな」
ホロ「…断言することもないじゃろ」
ロレンス「いつだって旅はそう言うものだ」
ロレンス「ホロだって、もう散々分かっていることだろう?」
ホロ「…まあの」
816: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:48:49.96 ID:w8pNzLODO
ロレンス「それに、どれだけ暇だと言っても仕方ない」
ロレンス「お前はこうして、俺に付いて旅を続けるしかないんだからな」
ホロ「…ぬぅ」
ホロ「ぬしはずるいでありんす」
ロレンス「商人だからな。多少ずる賢いくらいでないとやって行けないのさ」
ホロ「むぅーっ」
817: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:49:57.46 ID:iW6+8rmxo
―――――――
―――――
―――
ロレンス「俺は、もうしばらく旅を続けようと思う」
ホロ「…どうして?」
ロレンス「とくに理由はない」
ロレンス「…理由がないとだめか?」
ホロ「いや…いや」フリフリ
ホロ「そう言う問題ではありんせん」
818: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:50:40.42 ID:w8pNzLODO
ホロ「店を持つのがぬしの夢だったのではないかや?」
ロレンス「そうだ」
ロレンス「だが何も金ができたからと言って慌てて店を建てることもない」
ロレンス「のんびりと行商人を続けて、もう少し経験を積んでからでも遅くはないだろう」
ホロ「…呆れた」
ホロ「ぬしの言い分にも一理ある、しかし」
ホロ「機を逃すような者が商人を名乗るとは可笑しな話じゃ」
ロレンス「そうかな」
819: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:52:13.02 ID:iW6+8rmxo
ホロ「…ぬしの好きにすればよい」
ホロ「わっちはついて行かぬからの!」
ロレンス「いや、一緒に行こう」
ホロ「…いやじゃ」
ロレンス「どうして?」
ホロ「さっきも言うたじゃろ」
ホロ「…わっちは、これ以上ぬしの邪魔をしたくはありんせん」
820: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:53:42.49 ID:w8pNzLODO
ロレンス「そうか」
ロレンス「じゃあ仕方ないな」
ホロ「…んむ。それでよい」
ロレンス「なら、無理やりにでも連れて行こう」
ホロ「…ん?」
821: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:54:53.95 ID:w8pNzLODO
ホロ「なんじゃと?」
ロレンス「さっき、ホロは言ったよな?」
ロレンス「俺に返しようもない恩があると」
ロレンス「それじゃあ仕方ない。俺は商人だ」
ロレンス「どれだけかかっても、お前に借りたものは返してもらわなきゃな」
ホロ「…」
ホロ「…何を言い出すのかと思えば…」
822: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:56:08.65 ID:iW6+8rmxo
ロレンス「前にも言った通り」
ロレンス「商人はしつこい。お前が嫌だと言って俺から逃げても」
ロレンス「俺は必ず、お前に貸した恩を、耳を揃えて返してもらうまで追い続ける」
ホロ「…はあ」
ホロ「…この、……たわけめ」
ロレンス「よく言われる」
823: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:57:15.50 ID:w8pNzLODO
ホロ「…」ハア…
ホロ「もう知らん。ぬしの好きにしんす」プイ
ロレンス「ああ。言われなくとも、そうさせてもらう」
ギュ
ホロ「ん…」
ロレンス「俺はホロと旅を続けたい」
ロレンス「少なくとも、今はまだ、旅に生きる方が俺はいい」
ホロ「…そうかや」
ホロ「わっちは、…今はぬしに飼われておる身じゃ。言うことはありんせん」
ロレンス「そうか」
824: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 22:59:38.64 ID:iW6+8rmxo
ホロ「じゃが覚悟をしておいた方がよい」
ホロ「わっちは金がかかる。ぬしにいくら恩があると言っても、遠慮はせんからの」
ロレンス「そいつは困った」
ロレンス「お前が贅沢をするたびに、俺の夢は遠のく一方だ」
ホロ「む」
ホロ「この…」
ホロ「…もう知らぬ。たわけめ」
ロレンス「まあな」
ホロ「…」
ホロ「…くふ」
825: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 23:02:23.02 ID:w8pNzLODO
・ ・ ・ ・ ・
ガラガラ…
ホロ「じゃが暇なものは暇でありんす」パタパタ
ロレンス「…そう言われてもな」
ロレンス「旅はそう言うもんだ、としか」
ホロ「…同じ台詞をさっきも聞いたでありんす…」
ロレンス「そうだったか?」
ホロ「…まったく」ハア
826: ◆5elc53sAMI 2013/03/13(水) 23:11:07.66 ID:iW6+8rmxo
ホロ「あーあ」
ホロ「こんな時間が、まだ、ずーっと続くのかや…」
ロレンス「いやか?」
ホロ「…ううん」
ホロ「幸せで胸がいっぱいになりそうじゃ」ベッ
ロレンス「そいつはよかった」
/ / / / '.
′ / / / ヽ
/i { .′ / / ! . ト\
__, | ! i / / // /| i | `
. : ´: 〈 ;i ∧ | | / // /i/ ! / / 1 .| |
/ : : /i| 八 ∧ | | /{/]/∠.. __j /}/ __| i |
/: : : : /^'x|| ', !/⌒':、 ! | /´ -- }/ /´ ! 八;
__..≠: : : : : /__爻|L '. l{ {`rヘ | | ./1/ ≠爪ハ`ヽ 抓゙}八{
. : ´: / : : : : : :´: : : : : : : : ``: : .、}_!_\____}N j/ └‐ '- マ/i/
/ : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : \: : : : : : :爻/ '.
' : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽx≦}/^´ 〉
/: : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :∨/ ∧ ィ'′
: : : : : : ′: : : : : : ′: : : / : : : /: : : : : i: : i: : : :〈 ヽ .____ , /
: : : : : : : : : : : : : :,: : : //__ : /: : : :/: : : : ; : : : : \ ` . / 「…早くぬしに恩を返して、旅を終えたいもんじゃまったく」
: : : : : | : : : : : : : i: : //{__/}/ト:、 ///: : /: : : : :|`\ 、 ヽ、 /
: : : : : | : : : : : : : |: // ヽ/〉イ: : / /: /: : :| }\ .> .j_j_i_/
: : : : : | : : : : : : : |'^' 「 ̄-芥ミx, |__/i/17ト: ハl / ハ /ハ 「一体いつになるんだろうな?」
: : : : : | : : : : : : : | V/バ `1/i. \ | , / |
: : : : : | : : : : : : : | `′ /___, /: : !---\L.. ∨ r┘
: ハ : :| : : : : : : :! {'⌒'V: : : |、 . . . . \ \} {\ 「さあ?」
/: : : :| : : : : : : :! 〉 .′: : |. \__. . . . マニ〉ヘ/`\、
: : : |: : !: : : : : : : :! ヽ .: : : : :|;. . . \.``ヽ∨{_ \. . 、`丶、
: : : !: : :!: : : : : : : ! ` _____, /: : : : : :∨. . . .\ . . \\ !. /^\. . `. .
: : ,: : : : ! : : : : : : i /l : : : : : !: :、. . . . . .\. . }\} |ヘ. . . . \. . . \
: /: : /: /!: : : : : : :l\ . イ | !: : : : : :!. 、\. .、 . . . .'〈.:.:.:ヘ|.ハ . . ____\. . .ハ
 ̄ ̄`く: /! : : : : : :! `ト ._, 〔: : |八\!: : : : : !. . \ヽ \. . . .\.:.:.:.:.:.∨ . . . . . \. |
─‐‐ \! : : : : : :! {、j_j厶≠´ ̄ ̄´ ! : : : : i. . . . .ヽヽ. \. . . .\.:.:.:.:.\. . r―一ヘ
―‐‐=ミ \_; : : : : : マニ´ -‐―――八: : : : :! . . . . ハ}. . . `ト. . . }.:.:.:.:.:._j . |. . . .|. . '.
. . . . . . . .\_',: : : : : :',___,≠‐‐――/`トヽ: : : :!. . . . . . . . . . . . . . . \/}_}.八 . . ハ. . .ヽ
. . . . . . . . . . ∧: : : : :∨. . . . . . . . /. . .ハ . '. : : i. . . . . . . . . . . . . . . . . .'く.:.:\ }. . . }. . . .ト、
▲おしまい
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