1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 01:55:35.81 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「こ、こんにちは……」

岡部「うん? ルカ子か、どうした?」

ルカ子「えっと……まゆりちゃんは、居ませんか?」

岡部「まゆりなら今日はバイトだ。おそらく、今日はラボには来ないだろう」

ルカ子「そうですか……」

岡部「まゆりに何か用があったのか?」

ルカ子「は、はい……またコスプレしないかって誘われて……」

岡部「それを断るために会いに来た、というところか」

ルカ子「……はい、明日にでも言ってみます。……あれ? 岡部さん、その机の上にある袋は……」

岡部「これか? これは……キャベツだ」

引用元: 岡部「餃子、だと?」 ルカ子「は、はい……」 




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:01:41.16 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「キャベツ、ですか……」

岡部「ああ、久しぶりに家に帰ったら親が野菜を食えとうるさくてな……無理矢理持たされた」

ルカ子「そ、そうなんですか」

岡部「だが、料理をしようとも思わず、どうしようかと困っていたのだ……」

ルカ子「野菜炒めなら……すぐにできると思いますよ」

岡部「……正直に言うとだな、夏バテでやる気が全く起きなくてな」

ルカ子「な、夏バテ……岡部さん、大丈夫なんですか?」

岡部「うむ、しっかりと食べているはずなのに、どうして夏バテになるのか……」

ルカ子「えっと、ちなみに昨日は何を食べたんですか?」

岡部「昨日は……朝はまゆりが買ったバナナ、昼は牛丼、夜はカップ麺だな。最近はだいたいこんな感じだ」

ルカ子「あの……それが原因だと思います」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:08:44.78 ID:WJrTftcQ0
岡部「むっ……言われてみれば、野菜が少ない気がするな」

ルカ子「はい……それに、カップ麺ばかりですと、栄養不足になると思います」

岡部「クッ……この狂気のマッドサイエンティストが、栄養のことを考えねばならないとはな……」

ルカ子「ボク……栄養不足で岡部さんが倒れてしまったら……ううっ」

岡部「る、ルカ子! 俺はまだ倒れてなどいない! それにこの鳳凰院凶真がそのようなことで」

ルカ子「で、でも……しっかり食べないと……」

岡部「わ、分かった! だから泣くな! しかし、キャベツだけがあってもな……」

ルカ子「キャベツ……栄養、夏バテ……あっ」

岡部「どうした、ルカ子」

ルカ子「えっと……餃子、というのはどうでしょうか?」

岡部「餃子、だと?」

ルカ子「は、はい……」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:16:31.53 ID:WJrTftcQ0
岡部「なるほど、餃子か……悪くは無いな。ルカ子よ、その案……生かそうではないか!」

ルカ子「あ、ありがとうございます……えっと、冷蔵庫の中には」ガチャ

ルカ子「……飲み物しか、無いんですね」

岡部「常にドクペは用意してあるが……他の物は不足しているのだ、すまん」

ルカ子「い、いえ……では、ボクはお買いものに行ってきます」

岡部「待て、一人で行くつもりか?」

ルカ子「はい、岡部さんはお忙しいでしょうから……」

岡部「ルカ子よ……この鳳凰院凶真、お前を一人で行かせるような男では無い!」

ルカ子「えっ?」

岡部「安心しろ、俺も一緒に行く。……この俺が見定めた品ならば、
    最高の料理が完成するのは間違いないからな! フゥーハハハ!」

ルカ子「あ、ありがとうございます……では、行きましょうか」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:22:26.09 ID:WJrTftcQ0
スーパー

ルカ子(岡部さんとお買いものできるなんて……まゆりちゃんに感謝しないと)

岡部「どうした、何をボーっとしている」

ルカ子「す、すいません……えっと、豚ひき肉と、ニラと」

岡部「ニラ? 餃子にニラを入れるのか?」

ルカ子「ええ、夏バテ解消にはニラが良いと聞いたので……あっ」

岡部「今度は何だ?」

ルカ子「あの……ニラやにんにくを使うと、匂いが気になるかもしれませんが……」

岡部「構わん、最高の餃子を作るためには多少の犠牲はつきものだ。存分にやるのだ、ルカ子よ!」

ルカ子「わ、分かりました。では、ニンニクと、生姜と……」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:31:02.98 ID:WJrTftcQ0
店員「ありがとうございましたー」

ルカ子「すみません……全て払っていただいてしまって……」

岡部「なに、お前に払わせる訳にはいかないからな。その代り、餃子に関しては任せるぞ」

ルカ子「は、はい……岡部さんが元気になるような餃子、頑張って作ります」

岡部(元気、か。……ダルがいたら面倒なことになっていただろうな)

ルカ子「う、うーん……ごま油も買ったので、少し重くなってしまいました」

岡部「フッ……お前がすべきことは肉体労働ではない。その荷、鳳凰院凶真が預かるとしよう」

ルカ子「あ、ありがとうございます……重くないですか?」

岡部「気にするな。ほら、行くぞ」

ルカ子「は、はい」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:40:59.15 ID:WJrTftcQ0
ビル前

天王寺「ん? 岡部、買い物なんて珍しいじゃねえか」

岡部「お、俺だって買い物くらいはします」

天王寺「そりゃそうか。まあ、どうせ暇なんだろ? ブラウン管でも買ってけ」

岡部「フッ……ミスターブラウン! 俺は無駄なものに投資する程愚かでは無い!」

天王寺「家賃、上げるからな」

岡部「なっ……じょ、ジョークですから本気にしないでください」

天王寺「ったく……可愛い子連れて買い物なんて、良いご身分だよなまったく」

ルカ子「えっ……? か、可愛いなんて……そんな……」

天王寺「ほら、さっさと行け。いつまでも見せつけてんじゃねえぞ」

岡部(……呼び止めたのはそっちではないか)

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:50:25.72 ID:WJrTftcQ0
ラボ

岡部「さて、買い物から帰ってきたが……誰も居ないとはな」

ルカ子(ということは……お、岡部さんと二人っきり……)

岡部「まあいい……ルカ子、早速作り始めるとしよう」

ルカ子「は、はい。えっと、まずは手を洗いましょう」

岡部「食あたりになってしまっては栄養どころでは無いからな……洗うとするか」

ルカ子「あ、あの……手伝って頂けるんですか?」

岡部「当たり前だろう。弟子に全て任せるような師匠など、愚の骨頂! 共に最高の餃子を作ろうではないか!」

ルカ子「ありがとうございます……岡部さん」

ルカ子(岡部さんと一緒にお買いもの……それにお料理まで……ボク、嬉しいです)

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 02:59:29.92 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「まずは……キャベツを切ります。岡部さんはボウルを用意しておいてください」

岡部「ボウルだな。確か、この辺に……あったあった」

ルカ子「ありがとうございます、そこに置いてください」ザクザク

岡部「ほう、相変わらず手際が良いな。」

ルカ子「そ、そうですか……?」

岡部「ああ、まゆりとは違って安心して見ていられる。……き、気にせず続けてくれ」

ルカ子「は、はい……」ザクザク

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:07:40.25 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「切ったキャベツをボウルに入れて……岡部さん、お手伝いをお願いしてもよろしいでしょうか?」

岡部「そこまで畏まらなくてもいい、何をすればいいんだ」

ルカ子「えっと、キャベツを絞ってください」

岡部「絞る? ただ絞るだけで良いのか?」

ルカ子「はい、塩を軽く振って……では、お願いします」

岡部「分かった。……ふんっ! おおっ、水分が出てきたな」

ルカ子「やり過ぎない程度にお願いします。……ボクは力が無いので、岡部さんに居て頂いて良かったです」

岡部「こっちも栄養不足が解消できるのだ、協力はする……ふんっ!」

ルカ子(岡部さんの真剣な表情……だ、ダメ、今は料理に集中しないと……)

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:14:41.42 ID:WJrTftcQ0
岡部「ルカ子、これ位で良いか?」

ルカ子「えっと……はい、大丈夫だと思います」

岡部「ふぅ……ラボには早急にエアコンを用意すべきだな、これだけで汗だくになってしまう」

ルカ子「あっ……岡部さん、失礼します」スッ

岡部「んっ……? る、ルカ子! わざわざ俺の汗を拭わなくてもいい!」

ルカ子「す、すいません……では、このハンカチを使ってください」

岡部「あ、あぁ……」

岡部(近づいてきた瞬間、良い匂いがした。ちょっとドキッとした)

岡部(だが男だ)

岡部(ハンカチからも同じ様に良い匂いがする)

岡部(だが、男だ……男なんだよな……)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:21:39.59 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「次は……岡部さん、豚ひき肉を練って頂けますか?」

岡部「肉を練るのか……これも力が要りそうだな」

ルカ子「ええ、美味しい餃子を作るにはここが大事なので……お願いします」

岡部「分かった、ただ練るだけで良いのか?」

ルカ子「はい。お酒にお塩、お醤油……それにニンニクと生姜を入れて……」

岡部「これを練り合わせる、と。……よし、ふんっ!」

ルカ子「えっと……全体がピンク色になるまで頑張ってください」

岡部「任せ、ろ……ぬうっ、ふんっ」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:31:35.22 ID:WJrTftcQ0
岡部「暑いな……どうだルカ子、全体がピンク色になったぞ」

ルカ子「ありがとうございます。では……先程絞っていただいたキャベツと、ニラを入れて」

岡部「これをまた混ぜれば良いのだな。どれ、この鳳凰院凶真が渾身の力を込めて――」

ルカ子「す、すいません……これは強く混ぜてはいけないんです……」

岡部「何……? そうなのか……」

ルカ子「はい……うまみが水分と一緒に出てしまうので、優しく混ぜ合わせるんです」

岡部「時には力強く、時には繊細に……ルカ子、料理とは奥深いな」

ルカ子「そ、そうでしょうか……?」

岡部「うむ、清心斬魔流の修行のため、これからも精進するように」

ルカ子「わ、分かりました、岡部さん……」

岡部「だから岡部さん、ではなく俺は鳳凰院凶真であって……いや、今日は暑いから後にしよう」

ルカ子「……本当に夏バテみたいですね」

岡部「あぁ……いつもの調子が出ないのだ……」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:39:15.74 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「具はこれで出来上がりました。次は……」

岡部「皮に包むのだな、これは二人でやるべきだろう」

ルカ子「あの、ボク一人でもできるので……岡部さんは休んでいただいても」

岡部「……ここまで手伝ったのだ、共に最後まで戦い抜こうではないか!」

ルカ子「は、はい。……では、よろしくお願いします」

岡部「よし……オペレーション、炎に包まれた国(ムスペルヘイム)……行くぞ、ルカ子!」

ルカ子「お、おー!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:47:36.29 ID:WJrTftcQ0
岡部「…………」

ルカ子「…………」

岡部「……あれだけ盛り上げたところで、やることは地味だったな」

ルカ子「そ、そうですね……」

岡部「……まあ、こうして……よっと。ただ包むだけの作業に盛り上がりも何も無いか」

ルカ子「でも、ボクは……岡部さんと一緒にこうして料理ができて嬉しいです」

岡部「そ、そうか……大したことはしていないが」

ルカ子「いえ……あの、橋田さんや牧瀬さんは頭が良いので、
     岡部さんと一緒に発明品を作ることができます。……でも、ボクは」

岡部「……ルカ子?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:52:55.00 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「ボクは、岡部さんのためには何もできないから……少し羨ましくて」

岡部「フッ……そんなことを気にしなくてもいい、お前は立派なラボメンだ」

ルカ子「……でも」

岡部「今もこうして、俺のために料理を作っている。貢献していることに間違いは無い」

ルカ子「岡部さん……」

岡部「全員、それぞれの役割があるのだ。……何も気にせずただ在るがままでいろ、ルカ子よ」

ルカ子「……分かりました。ボク、岡部さんのためにこれからもお料理を頑張ります!」

岡部「い、いや、そこまでは言っていないのだが……」

ルカ子「えっ……? だ、ダメでしょうか……」

岡部「ええい、泣くな! わ、分かった……また何か作ってくれ、その時は頼む」

ルカ子「は、はい……」

ルカ子(また、岡部さんのためにお料理ができるなんて……今日は来てよかった)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 03:56:58.23 ID:WJrTftcQ0
岡部「――と、話しているうちに全て包み終わってしまったな」

ルカ子「ええ。岡部さん、包むのが上手くてびっくりしました」

岡部「マッドサイエンティストたるもの、手先が器用でなくてはならないからな」

ルカ子「な、なるほど……では、早速焼きましょうか」

岡部「よし、ここは任せる。……正直なところ、さっきから腹が減ってしょうがなくてな」

ルカ子「もう少しだけ我慢してください……今、美味しい餃子をご用意しますから」

岡部「ああ、期待しているぞ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:06:23.47 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「まずは、熱したフライパンにごま油を引きます」

岡部(ごま油のいい香りが食欲をそそるな……)

ルカ子「次に、餃子を並べて……」

岡部(……この、ジュージュー、という音。これもまた食欲を……が、我慢だ)

ルカ子「少ししたら、お水を……少しだけ入れて蓋をします」

岡部「水を入れるのか、ふやけてしまわないのか?」

ルカ子「ええ……こうすると、皮がパリパリして美味しくなるので」

岡部「皮はパリパリで中はジューシーということか……い、いかん! 俺の腹に悪霊が……!」

ルカ子「あ、悪霊!? だ、大丈夫ですか!?」

岡部「た、頼む……一刻も早く清心斬魔流の餃子を用意してくれ」

ルカ子「わ、分かりました……もう少しだけ我慢してくださいね」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:14:36.43 ID:WJrTftcQ0
しばらくして

ルカ子「……そろそろ、かな。……えいっ」

岡部「ど、どうだルカ子、コゲてはいないか?」

ルカ子「えっと……はい、大丈夫です。ちゃんときつね色になっています」

岡部「そうか……やっと食べられるのだな」

ルカ子「ええ、今お醤油とお酢とラー油を用意しますね」

岡部(目の前に美味そうな餃子が……)

岡部「……俺だ。機関の精神攻撃を受けている」

岡部「ああ、大丈夫だ。もちろん失敗はしていない……見た目はこんがりきつね色、問題は無い」

岡部「胃袋は満足するはずだ、後で報告はする。エル・プサイ・コングルゥ」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:19:46.15 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「岡部さん、お醤油等はお好みでどうぞ」

岡部「ああ、……醤油に、ラー油と酢を少しずつ……よし」

ルカ子「では、食べましょうか」

岡部「ああ、……では!」

岡部・ルカ子「いただきます」

岡部「……あむ、――んっ!?」

ルカ子「ど、どうですか……?」

岡部「う、う……」

ルカ子(どうしよう……もしかして、失敗して……)

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:25:01.53 ID:WJrTftcQ0
口に入れた瞬間、よく焼けた皮の感触が心地よい。

そのまま餃子を噛むとパリッと音がするとともに、ジューシーな肉汁、
そしてニラの香ばしい香りが口いっぱいに広がった。

噛むごとにニラやニンニクの香りが広がり、食欲を増進する。

味を楽しんだ後、岡部はルカ子の方をまっすぐ向いた。


ルカ子「あ、あの……岡部さん?」

岡部「……ルカ子、この餃子」

ルカ子「は、はい……」

岡部「――美味い! 美味すぎるぞぉ!」

ルカ子「ほっ……良かった」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:31:54.50 ID:WJrTftcQ0
岡部「やるではないかルカ子! これならばいくらでも食べられる!」

ルカ子「喜んでいただけて良かったです……まだたくさんありますから、どうぞ召し上がってください」

岡部「感謝する、……あむ、もぐ。……っ! あ、あっつい……」

ルカ子「そ、そんなに慌てて食べると火傷してしまいますよ……」

岡部「そ、そうだな……しかし美味い。あむ……んっ……」

ルカ子「岡部さん、お飲物はいりますか?」

岡部「ああ、冷蔵庫のドクペを一本取ってくれ」

ルカ子「えっ? お食事中に、甘い炭酸ですか……?」

岡部「うん? 何かおかしいか?」

ルカ子「い、いえ、……はい、どうぞ」

岡部「すまないな。……んぐ、んぐ……やはり、餃子にはドクペだな!」

ルカ子「そ、そうですか……」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:36:49.59 ID:WJrTftcQ0
岡部「……はぁ、満足だ。ずいぶん食べた気がするな……」

ルカ子「これで、少しは元気が出ましたか……?」

岡部「あぁ、お前のおかげだ。ルカ子、感謝するぞ」

ルカ子「いえ……ボクも岡部さんに喜んでいただけて何よりです」

岡部「しかし、この腕前ならばいい嫁になるだろうな……」

ルカ子「えっ……?」

岡部「……あっ」

岡部(し、しまった……つい、嫁などと言ってしまった……)

ルカ子「…………」

岡部(ルカ子も黙ってしまった……俺としたことが、完全に失念していた)

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:46:20.07 ID:WJrTftcQ0
岡部「……すまない、変なことを言ってしまったな……気にしないでくれ」

ルカ子「……岡部さん、さっきのは……本当ですか?」

岡部「さ、さっきのとは……」

ルカ子「その……ボクが、お嫁さんだったら、良いのに……って」

岡部「そ、それは……本心だったが、言うべきでは無かった。……悪かった、謝る」

ルカ子「あ、謝らないでください……ボク、嬉しかったんです」

岡部「嬉しかった……?」

ルカ子「はい……今日は、岡部さんと一緒にお買い物ができて、一緒にお料理ができて」

ルカ子「ボクの作った料理を美味しいって褒めてくれて……一日中、一緒にいることができて」

岡部「ルカ子……」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 04:56:04.09 ID:WJrTftcQ0
ルカ子「こんな風な時間をまた過ごせたら……きっと、幸せだろうって……っ……思って」

岡部「……そうか」

ルカ子「ボク、もし……岡部さんが許してくれたら……側に居ていい、って……っ、言ってくれたら……」

岡部(これ以上は……いや、聞くべきだ。今は黙って、ルカ子の言葉を待つだけだ……)

ルカ子「……岡部さんの……っ……お嫁さんに……なりたいです」

岡部「……っ」

ルカ子「でも……岡部さんの周りには……まゆりちゃんや、牧瀬さんがいるから」

ルカ子「……ボクなんかより、ずっと素敵な人がいるから……それに、ボクは……こんなだから」

岡部「……ルカ子」

ルカ子「ご、ごめんなさい……急に変なこと言ってしまって。……ボク、帰ります。今日は、ありがとうございました……」

岡部「……待て、ルカ子。お前は、前に言ったことを覚えているか?」

ルカ子「えっ……?」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:04:59.48 ID:WJrTftcQ0
岡部「男か女か、そんなことはどうでもいいと言ったな?」

ルカ子「は、はい……」

岡部「……この鳳凰院凶真、弟子に伝えた言葉を簡単に変えるような男ではない!」

ルカ子「岡部さん……」

岡部「ルカ子よ、俺の側に居たいか? ならばいつまでも居るが良い、そして俺を支えるのだ!」

ルカ子「そ、それは……あ、あの……」

岡部「ああ、お前は俺の嫁になれ。鳳凰院るかとして、この世を共に混沌へと導こうではないか!」

ルカ子「お、岡部さん……岡部さぁん!」

岡部「お、おっと……。フッ……いきなり飛び込んでくるな、受け止める方のことも考えろ」

ルカ子「ぼ、ボク……嬉しくて……だから、っ……だから……」

岡部「……泣くのは今だけだ。ちゃんと後で笑顔を見せろ、良いな?」

ルカ子「……ぐすっ……は、はい……」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:12:21.71 ID:WJrTftcQ0
岡部(漆原るか、見た目はどうみても可憐な女の子)

岡部(だが男だ)

岡部(……おそらく、 的な興奮を得た時は、俺と同じ様に一部が  するであろう)

岡部(男だからな)

岡部(周りからは白い目で見られ、祝福もされないだろう……)

岡部(だが、俺は選んだ)


岡部「ルカ子……落ち着いたか?」

ルカ子「は、はい……ありがとうございます、岡部さん」


岡部(潤んだ瞳、男であったとしてもそれは魅力的に感じる……)

岡部(……一度も女性を知ること無く、その道を進む、か)

岡部(……フッ、常識に囚われない、それが狂気のマッドサイエンティストとしてあるべき姿だろう)

岡部(でも、一度くらいは……いや、いかん、ルカ子を俺は選んだのだ!)

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:18:50.34 ID:WJrTftcQ0
岡部「……なぁ、ルカ子」

ルカ子「はい……何でしょうか?」

岡部「今、俺はお前を抱きしめている訳だが……興奮したりするのか?」

ルカ子「えっ……? あ、あの……ドキドキは、しています……」

岡部「そ、そうか……で、今は……そこはどうなっている?」

ルカ子「そ、そこ……?」

岡部「あぁ……ここの、ことだ」

岡部の視線の先、それはルカ子の下腹部より少し下のところであった。

ルカ子「えっ!? そ、それは……ボク、そんなこと……言えません……」

岡部「恥ずかしがるのも当然だろう。……だが、俺はこれで覚悟を決めたいと思う」

ルカ子「か、覚悟……ですか?」

岡部「現実を確認し、その上でお前を愛していく……そのために、我慢してくれ!」

ルカ子「お、岡部さん! あ、ああっ……」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:26:04.17 ID:WJrTftcQ0
岡部は自らの右手をルカ子の●●へと伸ばした。
そして、そこにあるべきものを確認しようと手を動かす。

(……  は、していないか。だが、この辺に……)

「お、岡部さ、んんっ……そんな、そんなところ……」

(小さい、のか……? いや、必ずあるはず……刺激を与えれば)

岡部はさらに右手の動きを激しくする。ルカ子の一部を握ろうと試みたり、
強くまさぐってみるのだが何も感触が無い。――そこで岡部は思い出す。

(……あれ? もしかして……いや、そんなことがある訳)

「お、おかべさん……ボク……まだ、こんなことは……」

「……ルカ子よ、一つ確認してもいいか」

「えっ……? は、はい……」

「お前は、お――」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:34:46.20 ID:WJrTftcQ0
一時間後

ダル「あれ、今日はオカリンとるか氏だけ?」

岡部「あ、ああ、お前で三人目だ。三人揃ってくるとは珍しいな」

まゆり「ちょうどそこで会ったんだよ。まゆしぃは、忘れ物を取りにきたのです」

紅莉栖「ハロー、……って、何だか良い匂いが」

まゆり「本当だ~。これは……餃子かな?」

紅莉栖「へぇ、二人で食べてたの?」

ルカ子「え、ええ。良かったら、皆さんも召し上がりますか?」

ダル「えっ? いいの? うっひょー! 盛り上がってきますた!」

岡部「ダル、期待してもいいぞ。なにせ俺の嫁が作った最高の餃子なのだからな! フゥーハハハ!」

紅莉栖「はいはい、分かったからいちいち大声をださ……ん?」

まゆり「……あれ? オカリン、今……」

ダル「俺の、嫁、って言った?」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:42:58.95 ID:WJrTftcQ0
岡部「ああ、確かにそう言った。何か問題でもあったか?」

紅莉栖「ちょ、ちょっと! いくら漆原さんが可愛いからってそんな発言するな!」

まゆり「そうだよー。オカリン、言っていいことと悪いことだあるんだよ」

ダル「まぁ、ルカ氏程の可愛さなら、オカリンが嫁宣言するのも仕方ないと思われ」

岡部「そうではない、ルカ子は俺の嫁だ。まあ、今は年齢的にも結婚は不可能だが」

紅莉栖「へっ? そ、それって……もしかして……」

岡部「ルカ子は俺と一生を共にすると誓ったのだ。なあ、ルカ子?」

ルカ子「は、はい……ボクは、岡部さんと……一緒に、生きていきます」

紅莉栖「なっ、なななななななな、何いっ!?」

まゆり「お、オカリン……」

ダル「その歳で結婚宣言とか、オカリンぱねえっす」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/21(月) 05:54:38.72 ID:WJrTftcQ0
岡部「さて、お前達も鳳凰院るかの餃子を味わうがよい。ルカ子、準備を頼む」

ルカ子「は、はい……倫太、じゃなくて凶真さん」

紅莉栖「……ううー」

まゆり「……ううー」

ダル「……オカリン、僕は餃子をテイクアウトしたいんだけど」

岡部「うん? 何故だ、出来立てを食べた方が良いだろう?」

ダル「いや、この後の展開の中で味覚を保つことは不可能だと思います」


岡部「何を言っているのだ? まあいい……ルカ子、手伝うことは無いか?」

ルカ子「大丈夫です。あっ……後で食器を一緒に洗って頂けますか?」

岡部「ああ、お前のためなら何でもする。いつでも俺を頼るのだぞ」

ルカ子「はい……凶真さん」


(男であろうと女であろうとどうでもいい。この世界線で俺は――ルカ子を選んだのだ)


オワリン