1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:10:00.41 ID:+Fi0YfFh0
キャラ崩壊注意



藍子「今日は学校で身体測定があったんですよ」

P「へぇー。去年からどれくらい成長してた?」

藍子「……」

P(————ハッ!?胸の発育がよくない藍子にとって、この手の話はタブーだったのではーッ!?)

藍子「身長がちょっと伸びてました」

P「……そうか。それは良かった」

藍子「はいっ」ニコニコ

P(普通だな……どうやら要らない心配だったようだ)

P(そうだよな。藍子は人を見た目で決めるような人間じゃない。同様に自分が見た目で判断されるという怯えも少ないのだろう。だから胸にコンプレックスを抱かない。人を真に認めることができるから、自分のことも認められる。そういう、人間が持つべき本当の強さを藍子は持ってるんだ)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1612696199

引用元: 【モバマス】P「藍子×コンプレックス過剰になる薬!?」 



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:10:38.45 ID:+Fi0YfFh0
次の日。



P「……ん?なんだ、ここら辺なんか煙たいな」ムワッ

P「近くには志希にゃんラボ……さては!」ガチャッ

志希「あ、プロデューサーおはよ」モワモワモワ

P「ぐえーッ!やっぱり煙の発生源はここか!おい志希これはなんだ!?」

志希「コンプレックス過剰になる薬だよ。これを吸っちゃった人は持ってるコンプレックスをめちゃくちゃ気にするようになるんだ」

P「なんでそんな物を……とりあえずこの煙を止め……」

志希「ねぇ、プロデューサー」

P「ええいなんだ!」

志希「私ちゃんと皆に溶け込めてるかなぁ?」

P「え……?」

志希「何か楽しいことがあっても、すぐに笑えないの。周りの皆が笑ってること確認しないと、安心して笑えないんだ。周りと違うことしてたら、また仲間外れにされちゃうんじゃないかって、怖くて」

志希「もうずっと一人でも平気だったのに、アイドルになって、皆と仲良くなってから、また一人がすごく怖くなって。皆と一緒にしなきゃ、皆と同じ所で笑わなきゃって、そんなことばっかり考えちゃう」

志希「分かってるんだよ?皆、私を仲間外れになんかしないって。でもそれがどうしても信じられなくって、それを信じられない自分も、嫌で……私……私……」

志希「うわああああっっ!!!」ドンガラガッシャン

P「志希ーッ!?」

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:11:11.75 ID:+Fi0YfFh0
志希「わあああ!わあああああっっ!!!頑張って普通になるから!もう百点のテストも取らないから!私も仲間に入れてよぉ!」ジタバタ

P「いつも飄々としてる志希がこんなに……これがコンプレックス過剰状態……恐ろしすぎる」

志希「わーっ!わーっ!」

P「落ち着け志希!落ち着くんだ!」

志希「おんぎゃああああっっ!!」

P「くっ、こりゃ俺じゃ無理だ……同じアイドル仲間を呼んであげねば。志希にゃん保護者会ーッ!」

美嘉「皆どうせ私のこと●●だって馬鹿にしてるんだ……」ズーン

奏「実年齢以上に見られるの辛い……」ズーン

周子「他の人イジったら『やっぱ京都出の奴は性格悪い』とか言われる……」ズーン

P「お前らもかーッ!?」

フレデリカ「こりゃ大変だーッ!!」

P「……フレちゃん?」

フレデリカ「何にも考えてなさそうでちょっとは考えてそうでやっぱり何にも考えてない女、フレデリカ!!」ビシィーッ

P「な、なんと頼もしい能天気っぷり……LiPPSは任せたぞーッ!」

フレデリカ「みーんなフレちゃんのお胸に飛び込んでおいでー。よしよししてあげるからねー」

志希「おぎゃあ!おぎゃあ!」

フレデリカ「よーしよしよし。大丈夫だからねー」ナデナデ

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:12:15.13 ID:+Fi0YfFh0
そしてコンプレックス過剰薬は瞬く間に事務所全体へ広がった!



凛「イタい子扱いされてるの辛い……」ズーン

卯月「そんなことないですよ!」

未央「そうだよしぶりん!しぶりんはかっこいいよ!」

凛「何か言って卯月に真顔で『それってどういう意味ですか?』って言われた時とか消えたくなる……」

卯月「そっ、それはすぐに分からない私が悪いんですよ!凛ちゃんの言葉が素敵すぎる裏返しなんです!」

凛「嘘だ……未央も心の中では『今の蒼すぎ』とか言って馬鹿にしてるんだ……」

未央「そんなことしてないってば!もー……一体どうしたら元に……」


飛鳥「あっ」

蘭子「あっ」

凛「あっ」

飛鳥「そうさ……どうせボクのセカイは誰にも伝わらない、灰色の独り善がりさ……」

蘭子「月夜が写す幻に、微笑むは孤独なる魔の者のみか……」

凛「しょぼりん……」

未央「ああああ三人集まってより面倒くさくっ!?」

のあ「まだまだね……三人とも」

凛「のあさん……?」

のあ「確かに……自分の世界を理解してもらえないのは悲しいこと……でも、自分の世界が他者と完全に同一になってしまうなら、そこに光は生まれない。暗い、暗い宇宙よ」

凛「!」

のあ「融け合わずに残った欠片こそが星。互いに光を放ち、それを受けてもっと輝くことができる。大切なのは受容ではなく、ましてや拒絶でもない。私達が私達だけの世界を持つこと……そうでしょう?」

凛「のあさん……!私達、全然分かってなかった!」ギュッ

飛鳥「のあさんっ!」ギュッ

蘭子「猫の人っ!」ギュッ

のあ「いいのよ……これであなた達は、また一つ強く輝くことができる」ナデナデ

未央(しまむー。のあさんが何言ってるか分かった?)

卯月(分かんなかったけど凛ちゃん達が笑顔なのでいいと思います!ぶいっ!)

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:12:44.25 ID:+Fi0YfFh0
比奈「臭そうって言われるのがしんどいッス……」ズーン

比奈「しかも締め切り前とかは本当にお風呂に入らない日もあるので……比較的不潔な人間と言われても反論できないんスよね……」

文香「大丈夫ですよ。比奈さん」スッ

比奈「文香ちゃん……」

文香「かのサン=テグジュペリは『星の王子さま』でこう述べています。そのものにかけた時間こそが、そのものの価値を決めると……比奈さんが自分の時間を削ってまで書き上げた作品は、きっとそれを読む人の心の支えになります」

文香「たった一つの物語が何人もの人間に明日の夢を見せることがある……それが嘘じゃないことは、物語を愛する者なら誰でも知っていることです。私も、そしてあなたも」

文香「愛する物語のために生き、それを通して人々へ感動を届ける。そんな比奈さんの姿は少しも不潔などではありません。あなたは誰よりも気高く、清らかな、漫画家の荒木比奈です」

比奈「……そうッスよね!なんか自身湧いてきたッス!」

文香「ええ、ですから読書に耽ってお風呂に入り忘れても不潔などではないのです。読書は明日へ進むために必要なのです」


加蓮「奈緒はあそこに混ざらなくていいの?」

奈緒「え?あたしは別にアニメと漫画の見過ぎでお風呂に入り忘れるとかないし……」

加蓮「大丈夫だよ。私は奈緒の匂い好きだよ」クンクン

奈緒「今言うな、今」

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:13:19.52 ID:+Fi0YfFh0
ありす「うわああああっっ!!なんで私はこんなに子供なんですかっ!早く大人になりたいなりたいなりたい!!」

晴「これがありすコンプレックスか」

ありす「なんで晴さんはそんなに冷静なんですか!何かコンプレックスとかないんですか!?」ガバッ

晴「コンプレックスかぁ……アイドルは、ミスったりすることもあるけど仲間と上手くやれてるし……サッカーもこいつにはかなわねぇってヤツとは会ったことねぇなぁ……」

ありす「勉強!勉強は人より苦手でしょう!」

晴「確かに苦手だけど……勉強は苦手でよかったと思ってるんだよ。ありすに教えてもらえるからさ」

ありす「んなっ……この……もう!まったくもう!」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:13:48.49 ID:+Fi0YfFh0
P「事務所中が阿鼻叫喚……最早事務所のアイドルの半分以上が感染してると考えるべきだな……成人男性が泣きわめくなんて地獄だし、俺も感染しないように煙には気を付けないと」スッ

藍子「あ、プロデューサーさん。おはようございます」

P「藍子は無事……か」

P(フレデリカとは違う形で、藍子は自分に自信を持ってるからな)

藍子「はい!私にコンプレックスなんてありません!」

藍子「……なんて言うと思いましたかーっ!?!?!?」ペチーンッ

P「おああああーッッ!?!?!?」

藍子「どうせ皆もっ、プロデューサーさんも!裏では私の    の小ささを笑ってるんでしょう!ドラム缶だの丸太だの言ってるんでしょーっ!」ペチペチペチペチペチペチ

P「おあおあおあおあおあおあーッッ!!!ごっ、誤解だ藍子!誰も藍子のことを笑ってなんか……」

藍子「じゃあなんで他のアイドルは皆    がおっきいんですか!?これってプロデューサーさんの好みですよねぇ!?どうせおっきい    が好きなんでしょ!プロデューサーさんのアホ!●●●!アホ!」ペチペチペチペチペチペチ

P「いや、確かに見た目もスカウトの参考にするけど、あくまで老若男女問わず好かれることを考えてのあれであって俺個人のあれでは」

藍子「認めたああああ!どうせ私なんて●●枠でスカウトしたんだぁ……    がおっきいアイドルばっかりって指摘から逃れるためだけに隠れ蓑として採用したんだぁ……」シクシク

P(ぐぅ……ッ!藍子がここまで自分の胸にコンプレックスを抱いていたとは……それに気付けないなんて、俺はプロデューサー失格だ……)

P(なら……どうせプロデューサー失格なら!最後に伝えたい……!俺のアイドル高森藍子の魅力を!他でもない藍子自身に!)

P「藍子……俺が憎いか……なら俺を噛めェい!!」

藍子「がぶーっ!」ガブーッ

P「うっ……これで俺もコンプレックス過剰状態に感染したわけだ……そしてこれが俺のコンプレックスだ!喰らえーッッ!!」ズバッ

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:14:16.77 ID:+Fi0YfFh0
藍子「これは……指輪、ですか?」キラッ

P「ああ……藍子が成人した時に、渡すつもりだった……そう!俺のコンプレックスとはロリータコンプレックス!現役高校生である藍子に恋してしまったことなのだッッ!」

藍子「プロデューサーさんが、私のことを、好き……?」ドキッ

P「そうだ……!」

藍子「こんなに胸が小さい私のことが、ですか?」

P「藍子はゆるふわで、人の笑顔のために一生懸命になれる女の子で、一緒に居ると落ち着いて、笑顔を見るだけで癒されて……そんな藍子のことが、俺は大好きだ!」

P(あと実はちっちゃい    も好き)

P「……いい歳しながら高校生に恋する大人なんて気持ち悪いだろう……そんな奴の言葉は聞かなくてもいい。だからせめて、仲間のアイドルや、藍子を応援しているファン達の声を……!」

藍子「……プロデューサーさんっ!」ムギュッ

P「!?」

藍子「私……嬉しいです。アイドルとしてこんなこと言っちゃダメなのかもしれませんが……あなたからの『大好き』が一番……大好きです!」ニコッ

P「……そうか。それは良かった」



こうして藍子は自信を取り戻し、同様に他の感染アイドルも落ち着き、コンプレックス過剰薬事件は幕を閉じたのだった……!

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/07(日) 20:14:42.14 ID:+Fi0YfFh0
P「それでその……藍子。あの時の指輪だけど……」

藍子「はいっ!もちろん今も付けてますよっ!」ニコッ

P「いや……うん……返して?その、大人の人に見つかるとまずいからサ……」

藍子「…………」

P「……藍子?」

藍子「いやですっ」ニコッ

P「!?!?!? あ、藍子ァ!マジでヤバいんだったら!いたずらじゃすまないんだったら!」

藍子「そんなに言うなら力ずくで取り上げたらいいじゃないですか……その時、別の場所に手が当たっても、私怒りませんよ♡」ニヤリ

P(あの顔ッッ!!自分のカラダが●●●だと完璧に把握しているあの蠱惑的な顔ッッ!!)



自信を持たれるのも厄介だなと思うプロデューサーなのであった。おしまい。