1: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:43:20 ID:yki


―――事務所


李衣菜「毎年恒例! Pさんへのバレンタインプレゼント会議~!」

泰葉「いえーい!」

加蓮「どんどんぱふぱふー!」


李衣菜「今年もやってきちゃったね」

泰葉「早く決めないと間に合わないよ」

加蓮「でもさ、こう何年もプレゼント続けてるとだんだんハードル上がってくよね」

泰葉「確かに。マンネリ化は避けたいね」

李衣菜「もう普通のチョコなんかじゃPさんも喜ばないかも……」

加蓮「ってことで、ここらでどかんと大きなプレゼントしない?」

李衣菜「例えば?」

加蓮「お家とか!」

李衣菜「おお~!」

泰葉「じゃあまずは土地から買わなきゃ!」


P「……3人から貰えるならチロルチョコでも嬉しいとちゃんと伝えた方がいいですかね」

ちひろ「いえ、面白いのでしばらく泳がせましょう!」

引用元: モバP「だりやすかれんの欲張りバレンタイン」 




2: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:44:41 ID:yki
加蓮「やっぱり都内の一等地がいいよね~」

李衣菜「地下に防音室とか作ろう、ロックだよ!」

泰葉「地下に防音室と言えば、いま私の島のお家にもギターとかドラムセットとかいっぱい置いてるよ」

李衣菜「えっほんと? 今度遊びに行かせて~」

泰葉「ふふ、いいよ。李衣菜が喜ぶと思って集めてたの♪」

加蓮「もー、ゲームの話に脱線してるし。……あ、島をプレゼントするのもいいんじゃない?」

泰葉「あ、いいかも」

李衣菜「島もいいね~」


P「どうするんですか、泳がせたら家から島にランクアップしましたよ」

ちひろ「しずえさん役で私が島を管理したいですねぇ」

P「どっちかと言うとたぬきの方でしょちひろさんは」?

3: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:45:28 ID:yki
李衣菜「というか、島って買えるの?」

加蓮「さあ?」

泰葉「瀬戸内海辺りなら国や県が管理してる無人島があるんじゃないかな?」

加蓮「DASH的な?」

李衣菜「大先輩の番組!」

泰葉「小さな頃お世話になったな……私のこと覚えていてくれてるかな」

李衣菜「いつか共演出来たらいいね!」

加蓮「いつかじゃなくて絶対、ね♪」


P「……ウインクされました」

ちひろ「私たちも頑張ってお仕事取って来ましょうね!」?

4: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:46:34 ID:yki
泰葉「それより、バレンタインの話だよ。どうするの本当に」

加蓮「そうだよ、家とか言ってる場合じゃないよ李衣菜」

李衣菜「言い出したの加蓮なのに……。でも実際、今までよりいい物って考えると難しいよね」

泰葉「今まではカップケーキに、お菓子の家に、マフラーに……色々作ってきたね」

李衣菜「マフラーは今も使ってもらってるね。嬉しい」

加蓮「うん、嬉しい♪ お菓子を食べてもらうのもいいけど、やっぱり形で残るものがいいのかな?」


ちひろ「使ってますねぇプロデューサーさん?」

P「に、ニヤニヤしないでくださいよ……すごくあったかいんです、これ」?

5: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:47:22 ID:yki
泰葉「ただ、何度も言うようにもう時間がないよ。編み物系は特に時間が足りない」

李衣菜「だよね……もっと早く会議しとけばよかった」

加蓮「言っても仕方ないでしょ、お仕事やレッスンの時間を削るわけにはいかないんだから」

李衣菜「うん、そこはね。アイドルとして頑張ることこそPさんへの恩返しだもん」

泰葉「ふふ、そうだね……バレンタインって機会がなくても、毎日が恩返しだよ」

加蓮「返しても返しても、一生返し切れそうにないけどね♪」


P「……うぅ」

ちひろ「もう、すぐ涙ぐんじゃうんですから♪」

P「そういうのは聞こえないところでやってくれよぉ……!」?

6: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:48:29 ID:yki
李衣菜「それはそれとして、せっかくのバレンタインなんだからチョコとか贈りたい!」

加蓮「たい!」

泰葉「チョコ食べたい!」

李衣菜「はいアポロ!」

泰葉「わーい♪」

李衣菜「星型のやつ見つけると嬉しいよね」

加蓮「え、見たことないっ。見たい見たい、探せ~!」

泰葉「この世の全てをそこに置いてきた!」

李衣菜「うおおおおおおお」


ちひろ「私には分かりますよ、これは照れ隠しでわざとわちゃわちゃしているんです!」

P「だから聞こえないところでやればいいのに……なんでわざわざ事務所でバレンタイン会議なんか」?

7: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:49:15 ID:yki
加蓮「既製品うまうま」

李衣菜「味は手作りじゃ敵わないね、アポロでさえ美味しい……」

泰葉「李衣菜はもっと自信持っていいと思うよ?」

李衣菜「え、そうかなぁ」

加蓮「思いつきでめちゃくちゃ美味しいプリン作ってくる女だもんね、アンタ」

李衣菜「だってテレビでプリンの作り方やってたから……」

泰葉「それであんなに美味しいのが作れるなんて、李衣菜はずるいよ」

李衣菜「ずるくはないと思うけど~……」

加蓮「そーそー、家庭的でロックとかズルだよ!」

泰葉「このハイスペック女子力ロック女!」

李衣菜「貶されてるのか褒められてるのか!?」?

8: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:50:10 ID:yki
加蓮「で、何の話してたんだっけ?」

泰葉「バレンタインどうしようね、って話」

李衣菜「こうやってグダグダしてる時間あったら花束ひとつでも買ってきた方がいいと思うんだよね」

加蓮「お花かぁ。あのクールな黒髪っ娘のお花屋さんとか行ってみる?」

泰葉「この間行ったらワンちゃん抱っこしてあやしてたよ。『よしよしハナコぉ♪』って」

加蓮「訂正、クールじゃなかった」

泰葉「実際すごく慌ててて可愛かった」

李衣菜「あんまりからかったらダメだよ……可愛いけど」


P「クールな黒髪っ娘か……」

ちひろ(スカウトしたそうな顔してる)?

9: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:50:52 ID:yki
泰葉「とまぁ、ここまで案が色々出てきたわけだけど」

李衣菜「形が残るもの、手作りお菓子、それとお花だね」

加蓮「時間ないんだけどね」

李衣菜「どうしよう、ほんとに」

泰葉「うん……」

加蓮「……ほら、言い出しっぺの泰葉がなんとかしてよ?」

泰葉「えっ」

李衣菜「そうだよ、泰葉がなんとかしなきゃ」

泰葉「……も~、しょうがないんだから……。本当、時間がなくて大変だったんですよ……Pさん?」


P「……へっ?」

ちひろ「あら?」?

10: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:51:50 ID:yki
P「え、えっと……?」

泰葉「ふふ、意味もなくPさんがいるところでこんなお話はしませんよ。ここまでは全部わざとです♪」

P「わざと? どういう意味だかさっぱりなんだけど……」


加蓮「――こーゆーことっ♪ ハッピーバレンタイン、Pさんっ!」


P「おわっ、チューリップ? は、花束っ?」

加蓮「どお、驚いたでしょ♪」

泰葉「Pさんを驚かせたくて、突拍子もないことを言ったり何も用意してない風を装ったりしたんですっ」?

11: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:52:37 ID:yki
P「あ、ありがとうっ……いや、びっくりしたよ! 正直、今年は何もないのかなって思っちゃったから」

加蓮「それなら大成功♪ 実はずっと前から計画してたんだからっ」

泰葉「チューリップの花言葉は『思いやり、博愛』……Pさんにぴったりだと思います♪」

P「こ、こんな可愛らしいのは似合わないと思うけどな……でも本当にありがとう、ちゃんと飾らないとな――って」


ちひろ「」


P「ちひろさーん!?」

ちひろ「あ、あまりに純情で素敵な贈り物が尊すぎて気を失っていました……!」

P「何を言ってるんですか……」

加蓮「はい、ちひろさんにはカーネーションね♪」

泰葉「日頃の感謝を込めて、です♪」

ちひろ「アアアアアアアアタヒ…」

P「ちひろさーん!!」?

12: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:53:40 ID:yki
ちひろ「か、花瓶を探してきますね……!」フラフラ…

P「大丈夫かなちひろさん……あれ、そういえば李衣菜は?」

泰葉「あれ?」

加蓮「ちょっと、李衣菜まだなのー?」


李衣菜「ご、ごめーんっ。お待たせしましたPさんっ、特製のチョコプリンです!」


P「え――花束だけじゃないのか!?」

李衣菜「へへ、そうなんです♪ 冷蔵庫で冷やしておいたんですよ~」

加蓮「ちゃんと手作りだよっ。味見もしたし味わってね♪」

泰葉「加蓮はほとんど味見ばかりだったけど。ふふ♪」?

13: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:54:27 ID:yki
加蓮「なんでそういうこと言うかなぁ!」

泰葉「うそ、ウソだよ♪」

加蓮「もー!」

李衣菜「あはは。しっかり3人で分担して頑張ったんです、食べてくださいPさんっ」

P「あ、ああ……なんだかいくつもプレゼントもらって正直頭が追いついてないんだけど」

李衣菜「じゃあ……あーんってしましょうか?」

P「!?」

泰葉「抜け駆け!」

加蓮「するな!」

李衣菜「えへへ、ダメか~♪」?

14: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:55:18 ID:yki
P「う、うまい……!」パクパク

加蓮「でしょでしょ。生クリーム乗ってるのがいいよね♪」モグモグ

李衣菜「加蓮まで食べてるし」

加蓮「いいじゃん、どうせ後でみんなで食べる予定だったんだし~?」

李衣菜「そうだけどさぁ……まだプレゼント残ってるのに」

P「んぐ、えっ?」

加蓮「最後は泰葉の番だもん、私は休憩♪」

P「え、ちょ……待ってくれ、まだ――」


泰葉「あるんですよ♪ どうぞPさん、以前はマフラーでしたけど、今年は手編みの手袋ですっ!」?

15: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:56:14 ID:yki
P「――――」

加蓮「……あれ?」

泰葉「Pさん? 固まっちゃった……」

李衣菜「ぷ、プリンが口から垂れてますよPさん!」

P「――はっ!!? て、手袋!? 花にプリンに手袋!!」

李衣菜「わぁ!」

加蓮「ちょっとPさん、大声出さないでよー」

泰葉「ちょ、ちょっと想像してた反応と違ったね……」

P「逆にどういう反応すればいいか教えてくれ……!!」?

16: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:57:27 ID:yki
加蓮「んー、じゃあ嬉しい?」

P「嬉しい!」

李衣菜「美味しいですか?」

P「美味しい!」

泰葉「手袋はあったかいですか?」

P「あったかい! というかぴったりなのすごくないか?」

泰葉「だって、いつも頭を撫でてくれるじゃないですか♪」

加蓮「いい加減手の大きさも覚えちゃうよね♪」

李衣菜「Pさんの手のひらを思い出しながら作ったからぴったりになったんですよ♪」

P「かわいいなぁ!!」?

17: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:58:16 ID:yki
P「うっ、うぅっ……うれしい、ありがとう、ありがとうみんな……!!」

加蓮「泣き出しちゃった」

李衣菜「成功、ってことでいいのかな?」

泰葉「うん、いいと思う。感極まると涙が出ちゃうのは仕方ないことだもの」

李衣菜「確かにそうだよね♪」

加蓮「うんうん♪」

泰葉「……なに、その生温かい視線は。もうっ」

P「ぐすっ、も、もう何もないよな……? これ以上貰ったら幸せ過ぎて心臓が止まるよ……」

加蓮「と、止まんないで?」

泰葉「今年はこれでおしまいですよ。大袈裟です、Pさん♪」?

18: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:59:00 ID:yki
李衣菜「他にも案はあったんですけどね。それこそお家とか」

P「えっ」

加蓮「あ、言っちゃうの? さすがにいきなり土地やら何やらってのはね~?」

泰葉「いま話題の某白金周辺とかの情報を見たんですけどね、もう高いのなんの」

P「えっ、えっ?」

李衣菜「私たちの貯金合わせてもまだまだ厳しいので諦めたんですよ~。でもいつかは……ね?」

加蓮「ふふっ、ね~♪」

泰葉「数年後、楽しみにしていてくださいね♪」

P「」


こてーんっ?

19: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)18:59:54 ID:yki
加蓮「あ、倒れた」

李衣菜「冗談だったのに」

泰葉「え、冗談だったの?」

加蓮「え?」

李衣菜「えっ?」

泰葉「…………そうだね、冗談だね♪」

加蓮「たまに泰葉怖いよね……」ヒソヒソ

李衣菜「加蓮とは別ベクトルで重いよ……」ヒソ…

加蓮「私重くないけどね?」

泰葉「そ、それより! Pさんを運ばなきゃ、床で寝かせちゃダメだよ! ねっ?」?

20: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)19:00:46 ID:yki
加蓮「Pさん重っ! ちょっと、ちゃんと持ってよ!」

李衣菜「も、持ってるよー!」

泰葉「引きずれちゃってるよ、もっと持ち上げて!」

P「ウーン…」

加蓮「ていうか起きてよPさんっ、まだプリン食べ切ってないし!」

泰葉「ちひろさんもどこまで花瓶を取りに行っちゃったんだろ……?」

李衣菜「うーん、来年はもう少し控えめなプレゼントがいいかな。今年は欲張りすぎちゃったな~、へへへ♪」


P「お、お返し……どうしよう……」



扉の向こうのちひろ「ウッウッ……私はいつあんな純情な気持ちを忘れてしまったんでしょう……!」シクシク…



おわり?

22: ◆5F5enKB7wjS6 21/02/14(日)19:02:42 ID:yki