【艦これ】提督「暇っすね」part3 前編

284: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/07(木) 22:48:53.82 ID:TrFIiSfio
-提督鎮守府-

提督「くそっ……!あれから通信も完全に途絶えた。長門たちは無事なのか…」

比叡「て、提督。ここは私達が見てるから、提督は執務室で…その、通信くるかもしれないし!」

提督「あ、ああ、そうだな。すまない、比叡」

比叡「お姉さま、提督を執務室まで……」

提督「いや、大丈夫だ。取り乱して済まない」

金剛「提督…」

赤城「提督!こちらへ真っ直ぐ向かってくる艦隊があります!」

提督「っ!本当か、赤城!」

赤城「あの艦載機は、飛鷹さんのものです!」


提督「長門に陸奥、阿武隈が大破、木曾と大鳳が中破……くそっ」

北上「と、とにかくさ。五人を入渠ドックへ運ぼうよ」

陸奥「ゴホッ、わ、私は後でいいから、先に、姉さんと、阿武隈を…」

木曾「バカ言ってんなよ!陸奥さんだって重症だろ!後回しは、むしろ俺だ!」

提督「安心しろ、入渠ドックも新造されてる。北上の言うとおり、とにかく五人をドックへ運ぶ」

榛名「提督、言われたとおり、病院の方にも連絡を入れて、この後来てくれるそうです」

提督「そうか、長門たちをドックへ運んだら残りのメンバーには話を聞かせてもらう」




285: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/07(木) 23:22:19.34 ID:TrFIiSfio
-会議室-

提督「深海棲艦が深海棲艦を食っただと…?」

羽黒「……地獄です」

神通「恐ろしいのは、捕食する前と後で、明らかに戦闘能力が向上していた点です」

翔鶴「私や大鳳さん、飛鷹さん達の艦載機を全く寄付けないほどの制空力を持つ敵の艦載機…」

川内「私や羽黒達の砲撃なんて意に介してない。パチンコ玉程度にしか思っちゃいなかった」

提督「……で、陸奥が自爆に等しい特攻を仕掛けたと?」

天龍「ああ…」

提督「解った。取り敢えず暁たちのケアだけしておいてくれ。そんなもの見せられて平静でいられるわけもない」

阿賀野「あの、提督」

提督「ん、どうした?」

阿賀野「気の、せいかもしれないんだけど…レ級の一匹がもう一匹を捕食した後で、明らかに捕食した方のレ級
の口の回り方って言うか、喋り方って言うか、向上してるように思えたの」

提督「なに…?」

阿賀野「う~ん、なんて言うのかな…すっごいカタコトで喋ってた人が、いきなり流暢に喋る、みたいな…」

提督「捕食してから、流暢に言葉を操った、か…」

阿賀野「動揺してたし、恐怖もあったから、その…気のせいかもしれないんだけどね」

提督「ああ、わかった。よし、とにかくお前たちも休め。こちらの動きがバレていた事についても気にかかるし、
一度この事を報告しに大本営まで行ってくる」

艦娘「「「了解しました!」」」

286: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/07(木) 23:53:27.49 ID:TrFIiSfio
-執務室-

提督「モーレイ海域には不思議なことに深海棲艦の一団はいなかったそうだ。存在したのは哨戒に当たっていた
一部分の深海棲艦のみ。しかし構成される種別はどれもフラグシップやエリートのみで組まれていたそうだ」

榛名「モーレイ海、何かありそうですね」

提督「だが、現状の戦力ではあの海域を突破することは出来ない。もっと、力をつけないとダメだ」

榛名「……」

提督「取り敢えず今回の件は電文に纏めるには内容が濃すぎる。再び大本営まで赴いて直接、元帥殿に話をしに
行ってくる」

榛名「解りました。留守は榛名が責任を持って受け持ちます。その、提督…あなたも気をつけて下さい」

提督「解ってる。護衛としてお前の姉妹を借りたいんだが構わないか?」

榛名「ふふ、私が許可を下ろす権利なんてありませんよ」

提督「ん、それもそうか?」

榛名「えっと、それじゃ…」

提督「霧島を頼む。それと赤城も呼んできてくれ」

榛名「解りました!」


提督「……って事で、急で悪いが二人には俺の護衛として大本営までのお供をしてもらう」

霧島「ええ、解りました。お任せを、司令」

赤城「解りました。お任せ下さい!」

提督「それじゃ榛名、行ってくる。後のこと済まないが頼んだぞ」

榛名「はい、榛名にお任せ下さい!」

291: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 20:06:18.08 ID:vDpYPrN2o
-大本営-

那智「あっ、これは提督鎮守府の司令官殿」ビシッ

提督「やあ、那智。そう畏まらなくてもいいって」

那智「いえ、そういう訳には…」

提督「まぁまぁ…それより電話で大和には話を通してもらってるんだが確認してもらってもいいかな」

那智「はっ、急ぎ確認させて頂きます」

霧島「初めて訪れましたが、凄いところですね…」キョロキョロ

赤城「何だか、少し圧倒されてしまいます」ドキドキ

提督「この国の要、心臓部だからな」

??「おや、誰かと思えば…」

提督「ん?」

??「最近、名を上げてる提督鎮守府の大佐殿じゃないか」

提督「あなたは…?」

??「ん?ああ、失礼。私は精鋭鎮守府の提督をしている。階級は中将だ」

提督「こ、これは…失礼致しました」サッ

精鋭「噂はかねがね伺っていたけど、ふ~ん、結構いい男ね」

提督「ご、ご冗談を…」

那智「提督大佐」

提督「あ、あぁ那智」

那智「これはこれは…精鋭鎮守府の司令官殿…」チラッ

精鋭「やあ、那智。相変わらずお堅いわね」

那智「性分です。提督大佐、元帥殿から執務室まで案内するようにと賜りました」

提督「そうか。それじゃ頼む。では、精鋭中将殿、失礼致します」サッ

精鋭「ええ、また…お会いしましょう?」

292: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 20:36:28.41 ID:vDpYPrN2o
-元帥執務室-

元帥「大和から大まかな話は聞いた。君の艦隊は無事だったのか?」

提督「五名が大破中破で戻ってきました。幸運だったのは二隻のみが相手だったこと。不運なのは、たった二隻
を相手にして長門、陸奥、大鳳、木曾、阿武隈の五名が大破中破に見舞われた事実です」

元帥「たった二隻にと…」

提督「概要は次のとおりになります」


敵の艦種は戦艦型だったこと。

しかし、攻撃手段は多彩を極め、反応速度は駆逐艦のそれを大幅に上回るほどに俊敏であることです。

攻撃手段は大まかに分けて四種類。

航空戦、砲撃戦、雷撃戦、そして格闘戦を満遍なく駆使してきます。

こちらと意思疎通が図れるほどに言語に精通し、まだ更なる進化を残しているものと思われます。

恐ろしいのは、その新型を従える上位の深海棲艦が存在していたと言う事です。

293: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 20:46:45.35 ID:vDpYPrN2o
元帥「上位の深海棲艦だと?」

提督「その深海棲艦は自らを装甲空母鬼、と名乗っていました」

元帥「鬼…前回の報告では姫と呼ばれる存在もいるようだったが…」

提督「恐らく、その鬼や姫と呼ばれる存在が上位に名を連ねる深海棲艦と推測されます」

元帥「なんと言う事だ……」

294: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 21:14:03.07 ID:vDpYPrN2o
提督「今回は何とか退けることが出来ました。しかし、それも初回の奇襲と陸奥の自爆に等しい特攻によるもの
であり、この方法を作戦として上げることを自分は容認しかねます」

元帥「同意する。艦娘は戦線で戦う兵士である前に、我々と同じ『子』なのだ。過去の先人達と同じ過ちをして
まで、この未曾有の脅威を退けれるとは到底思えん。今の我々には、発達した技術とこの頭脳がある」

提督「しかし、艦娘たちの錬度の向上を待っていては、確実にこの海は深海棲艦によって制圧されてしまいます」

元帥「……提督大佐、君のところの艦娘を六名、私に暫くの間預けてはくれぬか」

提督「は…?そ、それはどういう…」

元帥「前回、言っていたな。近代化改修は未だにその特性が解明されておらず、実装には程遠いものである、と…」

提督「艦娘へどのような副作用があるかもわからないため、元帥殿自らがその研究進行にも歯止めをかけていると、
自分は認識していますが…」

元帥「水面下でな、実験は行われていた」

提督「それは……!」

295: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 21:46:28.56 ID:vDpYPrN2o
元帥「ビスマルク、入れ」


ガチャ…


ビスマルク「お呼びでしょうか、元帥」

元帥「この前、少しだけ見えているな。私の第二秘書艦、ビスマルクだ」

提督「彼女は一体…」

ビスマルク「私は近代化改修被験者の一人です」

提督「な……」

元帥「今までに行った近代化改修は合計六回。先の大戦で散っていった者達の艤装を改修し、それをビスマルク
に転用する形で実施した。ただな、近代化改修によって得られる力に改修を施された艦娘の力が伴わない場合、
反動が引き起こされる」

提督「反動…?」

元帥「うむ…しかし、私はここに一つの望みを見出しているのだ」

296: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 21:55:02.05 ID:vDpYPrN2o
相性も無論ある……例えば、だがな。駆逐艦型に戦艦型の素材を改修すると、元のサイズやその型の違いからか、

突如として流れ込んできた力と反発が起こってしまう。馴染むまでに時間が掛かってしまうわけだ。

しかし、十分な錬度を秘めた者であれば、それを柔軟に吸収し、己の力へと転換させる。

無論、これはまだ非公式の内容だ。副作用がないことは立証できたが、失敗した際の反動によってどのような結果が

ついてくるのか、その点に関してはまだ未知数に等しい。

だがこの改修こそ、君の言う新種・仮称『戦艦レ級』や装甲空母鬼と呼ばれる新たな存在に対しての切り札となる…

私はそのように解釈を持っている。

どうだろうか、君の艦隊で錬度が上位の六名を選出してもらい。この近代化改修で戦力を強化する。

成果が見込めれば、再度注意事項を精査した上で本格的なものとしたいと考えている。

297: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/08(金) 22:06:17.95 ID:vDpYPrN2o
提督「失礼を承知の上で申し上げれば、つまり自分の艦隊を実験として使い、最終判断を下したいと…?」

元帥「……言うとおりだ。だが誰でも言いという訳ではない。君だからこそ、ビスマルクの事を含めて話をした。
正直、ここ最近の深海棲艦の成長振りは無視できん。娘の鎮守府には過保護と言われても言い訳できぬだけの戦力
を割いていたのも事実。逆に言えば、大将クラスの錬度を持った艦隊を配備したつもりだ」

提督「その艦隊が鎮守府諸共、大破ロストした……」

元帥「痛恨の極みと言う奴だ。後の報告からレ級クラスが二隻、武蔵と加賀で撃滅する事は出来たようだったが
それも満身創痍…完勝には程遠い辛勝とも呼べるものだ。結果としては敗北……前に、進まねばならんのだ」

提督「……解りました。ただし、この事は機密に触れない程度で艦娘全員に通達し、内容を理解した上で、自分
が選出するのではなく、彼女たちの意思の元、選ばせて貰います」

元帥「構わん。無理を言って済まん。反撃の狼煙を上げるには、相応の力を示さねばならん」

302: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/10(日) 22:27:04.99 ID:hch6zgwho
-帰路-

提督「…………」

赤城「提督?」

霧島「思い詰めているようですが、何かよくない報告でも…」

提督「ん…あぁ、いや。そうじゃない……と、言えばまぁ嘘だが。お前たちにも関係のあることだから、戻って
から全員の居る所で話をする」

赤城「余り思い詰めてばかりいると、榛名さんが心配しますよ」

提督「あ、あのね赤城……」

霧島「司令、榛名はとても素直な子ですがとても傷つきやすい子でもあります」

提督「え、どうしたの、霧島?」

霧島「姉妹としては、榛名を泣かせる不逞な輩を許す訳にはいきません」

提督「ち、因みにだよ?因みに、万が一にも榛名が泣いちゃった場合はどうなるの?」

霧島「司令の耳元で鼓膜を破る勢いでマイクチェックしてみようかと思います」

提督「会議や講義の時のマイクチェックいつも助かってるけど、あれを耳元でやるのは如何なものかな…?」

霧島「そうですねぇ。非常に煩いでしょうねぇ」

提督「うん、論点が違うね?」

霧島「そうでしたか?」

赤城「口では霧島さんには提督でも敵いそうにありませんね」クスッ

提督「俺の威厳を口の上手さで決めるのはどうなのよ…」

303: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/10(日) 22:36:24.73 ID:hch6zgwho
霧島「でも正直驚きました。風の噂でしか聞いてなかったので半信半疑で、元々榛名は前司令からヒドイ扱いを
受けていると聞いてまして、司令が今の鎮守府に着任される前、中将司令の方で憲兵の査察団を抜き打ちで送り
込んだことがあったんです」

提督「そ、そうだったのか!?」

霧島「司令が着任されてから半年後にも査察団、来ていたはずですよ?まぁ、最も前司令の際は決定的な証拠を
掴めず、門前払いに等しかったようですが、その後の調査で埃が立って敢え無く御用になったみたいですが…」

提督「着任してから半年後って、そんな査察団きてたのか?」チラッ

赤城「わ、私は着任したばかりでしたし、解りませんよ?」

提督「ま、まさか赤城、お前……」

赤城「違います!違いますよ!?」

霧島「ふふっ、赤城さんはきっと違いますよ。最も、私も誰がその査察団なのか、までは解りかねますけどね。
私が驚いたのはそんな『提督』という対象に対して嫌悪を抱いていたはずのあの子が司令を受け入れた…それ
が私にとっては驚きであり、それ以上に素直にうれしい、と言うところでしょうか」

提督「はぁ、すっげぇプレッシャーなんだけど…」

霧島「私としては、その怠け癖がなければ尚よし、と言ったところですね」クスッ

提督「ったく……」プイッ

赤城「ふふっ、拗ねてしまいましたね?」クスッ

霧島「ふふふ」クスッ

304: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/10(日) 23:04:16.94 ID:hch6zgwho
-鎮守府・会議室-

榛名「提督、全員揃いました」

提督「よし、長門たちはドックだから居ないが、まぁよしとする。今回、モーレイ海へ進軍した艦娘たちは本当
にご苦労だった。暁たちは大丈夫か?」

暁「う、うん…さ、流石にまだちょっとドキドキするけど、大丈夫よ!」

電「い、電もだいじょうぶなのです!」

響「……」

提督「響?」

響「あ、うん…ごめん。流石にあれはショックが大きかったみたい」

305: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/10(日) 23:41:34.77 ID:hch6zgwho
提督「気に病むな。同じように、口で大丈夫と言っていても本能はそうはいかない。だから決して無茶無理はす
るな。今回挑んだ相手はまさに未知の敵だ。それに背を向けず挑んだ勇気は本物だ」

響「ありがとう、提督」

提督「どういたしまして」ポンポン

響「ふふっ///」

提督「さて、今回集まってもらったのは皆に一つ提案をするためだ」

夕立「何の提案なの?」

提督「今回の戦闘を受けて、このままでは危険と判断した。そこで六名…現在、大本営の方で研究が進んでいる
強化試験にお前たちの中で六名、実験に参加して欲しいという要請が元帥殿自らあった」

白露「じ、実験って…何か痛いこととかしちゃうの…?」

提督「すまない。詳しい内容は選抜された六名を引率していった段階で明言される。一応、この内容はトップシ
ークレットに値する内容だからな。実際、その強化実験に参加した艦娘を見てきたが段違いの実力を見せていた
のは確かだ。ただそこにいるだけで、威圧というものを肌で感じるほどにな。しかし、必ずしも全員が錬度の向
上に繋がるとも明言できない。やはり、そこには個人の努力が必要不可欠と言う事だ。それらを踏まえた上で、
この提案に乗ってくれる者はこの後、執務室まできてくれ。以上だ」

306: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/11(月) 00:15:03.28 ID:h4hQt7ASo
-執務室-

提督「…………」


コンコン…


提督「入れ」

榛名「失礼します」

提督「決まったか?」

榛名「はい、全員で話し合った結果です。誰が行くのかも、決めました。一人は、私が行きます」

提督「いいんだな、榛名」

榛名「はい!榛名は大丈夫です!」

北上「提督、私もいくよ」

提督「強くなりたいか」

北上「うん、皆を守りたいからね~」

提督「わかった」

飛鷹「空母組からは私と……」

龍驤「うちがいくで!」

提督「覚悟は出来てるな?」

飛鷹「ええ、勿論よ!」

龍驤「何ぼでも困難は乗り越えたるわ!」

提督「そうか、わかった」

川内「私も行く」

提督「なんだ、茶化すわけじゃないが珍しいな、川内」

川内「まぁ、なんて言うのかな。妹の神通があんだけ頑張ってるのに、私だけのほほんとは、ね?」

提督「はは、そうか。よし、わかった。最後は……」

衣笠「衣笠さんよ!」

提督「これまた意外…」

衣笠「ちょっと、提督…?」

提督「はは、悪い悪い。よし、それじゃ……」

307: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/11(月) 01:03:50.66 ID:h4hQt7ASo
??「ま、待って下さい!」バタン

提督「ん?」

羽黒「司令官さん…わ、私も、連れて行って下さい!」

川内「羽黒、お前…」

羽黒「お、お願いします!」

提督「しかしな……」

榛名「定員は、固定なんですか?」

提督「え、いや…そりゃ聞いてみないとわからないが…」

飛鷹「だったら、聞いてみてよ!一人も二人も一緒でしょ!?」

提督「相変わらずのとんでも理論でたな…」

飛鷹「な、何よ…」

北上「羽黒っちの勇気パーにすんの~?」

提督「はぁ、もう解ったよ。解った。聞くよ。ただし、ダメだった場合は潔く諦めろ。いいな、羽黒」

羽黒「は、はい!ありがとうございます!」

312: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 20:11:19.55 ID:3P7Wy968o
-大本営-

提督「元帥殿、この度は無理を承諾して頂きありがとうございます」ペコ

元帥「他ならぬ君のところの艦娘の頼みではなぁ。それに、こちらとしてもありがたい申し出だ」

羽黒「あ、あの…ありがとうございます!」

元帥「はは、そう硬くなるな。では演習場にまずは案内する」


元帥「さて、君達七人にはこれからここで定期的に演習戦を行いつつ、ある実験に協力してもらう」

提督「期日は今日から数えて二週間。カリキュラムの内容は近代化改修実践試験だ」

榛名「近代化、改修?」

提督「元帥殿は以前から艦娘の潜在的な力に目をつけていたそうだ。基本となる艤装の改修や改造による強化だ
けでは限界があると察し、艦娘自身の身体能力の向上を目的とした強化を考えた」

元帥「しかし、君達自身も解るとおり、単純な体力作りや技術の向上では限界が存在する」

川内「あの、提督が今回作ってくれた、こういった新しい艤装とかじゃダメなんですか?」スラッ

元帥「これは…」

313: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 20:39:05.95 ID:3P7Wy968o
提督「対深海棲艦用武刀剣、が正式名称になります。刀身を超合金仕様にし、深海棲艦の装甲や艤装をも寸断、
貫通させるほどの破壊力を秘めています。航空戦、砲撃戦、雷撃戦、中遠距離のレンジから戦うことが基本にな
る彼女たちには無縁だった武装構想です」

元帥「うむ、そうだったか。いや、川内だったな。確かに君が言うとおり、新たな艤装を換装させ元の戦力を向
上させるやり方もあるにはある。しかしそれは言い換えれば金に物を言わせる、と言うやり方だ。資材や資金は
無尽蔵ではない。何より、艦娘の子達が扱える艤装を設計・製作しなければならない。妖精諸君も万能ではない
からな。設計図などあれば別だが、我々が空想した産物を言葉だけで伝えたところで資材の割合がさっぱり解ら
ない故、造りようがなくなってしまうのだよ」

提督「確かに、この刀剣は設計図を基にして資材の割合から何から何まで数字をはじき出して製作してもらった
結果だ」

川内「そっかぁ…」

元帥「さて、次へ案内しようか」

龍驤「あれ、なんや…今からドンパチするんとちゃうんか?」

元帥「はっはっは、元気で何よりだな」

提督「こ、こら、龍驤!言葉を慎め!」

元帥「構わん構わん。私の艦隊の子等はどうも堅苦しくてな。唯一、大和くらいだよ。のんびりとできる相手はな」

提督「き、恐縮です」

314: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 20:47:13.19 ID:3P7Wy968o
元帥「さて、ここが二週間、君達に使ってもらう部屋になる。生憎と数は限られているので三部屋しか用意でき
なかったが、七名なら二名ずつ一部屋、残り三名で一部屋でなんとかなるだろう」

提督「はい、ありがとうございます。皆、今日は一先ず気分を落ち着かせる意味で、ここでゆっくりするといい。
明日から本格的な実験へ移る」

艦娘「「「了解です!」」」




~急襲・モーレイ海~ 完

315: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 21:01:32.23 ID:3P7Wy968o





次章 ~動くとき~

316: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 21:08:49.39 ID:3P7Wy968o
-執務室-

提督「はぁ…」ソワソワ

時雨「提督、これで六回目だよ」

提督「へ?」

時雨「ため息」

提督「あ…すまん。いや、時雨が悪いわけじゃないんだ」

時雨「榛名さん達が心配なのはわかるけどね。本当は、僕も同行したかったんだ」

提督「そうなのか?」

時雨「僕達駆逐艦の売りはやっぱりこの移動速度にあると思うんだ。その分って訳じゃないけど、やっぱり火力
や艤装の強さには限界がある。以前のモーレイ海の時、響に相談されてね。一歩も動くことができなかった。そ
れどころか、足が竦んで恐怖が先に立ったって…」

提督「……そうだよな。レ級の怖さは実際に見ていない俺でも、恐怖を覚えたほどだ。更にその上がいるってな
れば、実際に対峙した彼女たちの恐怖は俺の比じゃないだろう」

時雨「提督は以前に言ってたね。恐怖することは悪いことじゃないって。でもだからこそ、その恐怖に屈してし
まった自分が響は許せなかったんだろうね。同じように、僕もきっとその場にいたら恐怖で足が竦んで動けなか
ったと思う。だから、強くなりたいって思ったんだ」

提督「無理しすぎるのも良くはない。考えすぎて本来見るべき姿を見失うのも同じ事だ。そうならないように、
俺が支えてやらないとならないんだがな」

時雨「自分で言ってて両方該当してしまう提督が言うと、ちょっと可笑しいね」クスッ

提督「あ゛……くそ、やぶ蛇だったか」

時雨「ヒトフタマルマル。さて、僕の秘書艦代理はここまで。午後からは多分、日向さんか夕張さんがきてくれ
ると思うよ」

提督「ああ、わかった。ありがとな」

317: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 21:26:51.83 ID:3P7Wy968o
-食堂-

夕張「うーん…これ、だと……あぁ、ダメダメ!絶対これ無理じゃないのよ!」クシャクシャ

日向「夕張」

夕張「はい?」

日向「午後一の秘書艦代理は確か君だったろ。私はヒトヨンマルマルに遠征任務が入ってしまったので、君に託
したはずだったんだが…」

夕張「うわああ、そうだったぁ!」ガタッ バサバサ

日向「っと…ん?なんだこれは…」カサッ

夕張「えっ、あ……!」

日向「皆の身体データ…?」

夕張「あ、あはは…」

日向「こんなもの、どうするつもりだ」

夕張「うぅ、こ、これだよ」ピラ…

日向「各艦娘、艤装最適化表?」

夕張「た、例えばですね…」バサァ

日向「む…?」

318: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 21:40:30.36 ID:3P7Wy968o
夕張「この表で言うと、これは主砲や副砲についてなんですが、日向さんもお解かりの通り、主砲や副砲と言う
のは私達艦娘には馴染みの基本艤装です。物によっては対空にも秀でてるものがありますよね」

日向「あぁ、最も対空に秀でているのは専ら副砲だと思うけどね」

夕張「仰るとおりです。で、私達にはそれぞれ艦種が分別されています。私であれば軽巡洋艦。日向さんでした
ら、航空戦艦…勿論、備える艤装はこの時点で変わってきます。私達軽巡では持てて中口径が精一杯…ですが、
日向さん達戦艦であれば大口径を扱うことも出来る。けど、備えるものにバランスが悪いもので揃えてしまうと
本来の力を十とした場合、その半分程度しか火力と言う形で力を発揮できてないんじゃないか、と私は考えた訳
です」

日向「ふむ…」

夕張「以前、榛名さんが武蔵さんの形見として46cm三連装砲を扱ってましたが、今の榛名さんではあれを扱いき
れてないように見られたんですよね」

日向「確かに、あれは私から見ても扱いに難しさを感じさせる艤装だった」

夕張「身体能力と相談すると、やはり榛名さんに適しているのは41cm連装砲だと思うんです。これを二門備え、
装甲の厚い敵に対して有効な徹甲弾などを装備した上で水上偵察機や水上観測機を装備すれば、バランスとして
は非常にいいのかなと…空母の皆さんとの連携で弾着観測射撃も行えますし、一対一の場合でも連撃を撃つ事も
これならできると思うんですよ。換装にも46cmよりも軽いのでパパッと移し替えできるかなーって」

日向「個々の身体データと比較して各自最適な装備考察を行っていたというわけか」

夕張「ですです。あはは、まぁ…お節介、と言われたらそれまでなんですけどね」

日向「いや、そういう考え方は良くない。素晴らしいことだ。しかし、約束を忘れてまで熱中するというのは流
石にダメだな」

夕張「はい~、以後気を付けます」ペコリ

日向「まぁ、ヒトサンマルマルまでまだ少し時間はあるし、丁度秘書艦代理と言う仕事でもあるんだ。その考察
を提督に教えるのもいいんじゃないか」

夕張「ですね!じゃあ、早速執務室へ行ってきます!日向さんも遠征、気を付けて行って来て下さい!」

日向「ああ、ありがとう。いってくるよ」

319: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 22:15:42.11 ID:3P7Wy968o
-執務室-

夕張「……と、言う訳で、実はこういったものを私なりに作成してたんですよ」バサ

提督「個々の最適化を計った装備考察…これが遅れた理由か?」

夕張「ま、まぁ…えっとですね、過多な装備と最適な装備ではやっぱり動きも変わると思うんですよ。言ってし
まえば、分不相応な物を備えていても、それが如何に強力であっても、扱えなければ意味がない…と言うのが、
私の持論です。強力な艤装もそれを扱える、理解してる人が居るからこそ、その威力を発揮できる」

提督「確かに…いや、以前に飛鷹からも似た内容の相談は受けていたんだ」

夕張「飛鷹さんからですか?」

提督「艦載機に関することでな。しかし艦載機に関してはその性能云々しか解らない俺としては、明確なアドバ
イスをする事が出来なくてな。赤城にヘルプに来てもらったのを思い出した」

夕張「なるほどぉ…確かに艦載機とかは私も解らないなぁ」

提督「夕張でも解らない事あるんだな…」

夕張「わ、私を何だと思ってたんですか!?」

提督「略して○型ロボット」

夕張「んなぁ!?猫は好きですがこのコンパクトボディを目の前にしてなんて発言…失礼しちゃうわ!」

320: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 22:52:28.39 ID:3P7Wy968o
提督「いやぁ、ある程度無茶振りで頼めば何でもって訳じゃないが完成させてくれるしなぁ」

夕張「それと解らない事は別問題です!全くもう…」ブツブツ

提督「悪かったって。話を戻すと…えーっと、この資料、各艦娘の身体データと艤装の組み合わせ一覧はほぼほ
ぼ完成していると見ていいのか?」

夕張「あ、えっとですね。榛名さんが武蔵さんから形見として受け継いだ46cm三連装砲ですが、設計図が完成し
たので実はもう何個か作ってもらおうと思ってまして」

提督「相変わらずだな…」

夕張「出来れば長門さんや陸奥さんにこの辺りは所持してもらって、火力の底上げに役立てて貰えたらと…」

提督「なるほどな。確かに41cmより一回りもでかい46cmを榛名が扱うよりは、長門や陸奥、日向あたりが扱う方
がバランスもとりやすいかもしれない。しかし、長門と陸奥は未だ療養中。今すぐに調整するのは無理だし、そ
んなことは俺が許さん」

夕張「もう、解ってますよ!」

提督「よし、まぁお前の研究成果はわかった。ここから先は執務業務にその頭脳をフル活用してくれ」

夕張「えっ」

提督「えっ……じゃねぇよ。榛名がいない間は、お前らが数時間刻みで秘書艦代理するって自分たちで言い出し
たんだろうが。きっちり働いてもらうぞ」

321: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/12(火) 23:19:27.93 ID:3P7Wy968o
-数時間後・執務室-

提督「…………」カキカキ

夕張「…………」カキカキ スヤー…

提督「……」カキカキ チラッ

夕張「……」カクン カクン…

提督「……」ポニーテールワシヅカミ


グイッ


夕張「んにゃあ!」ガクン

提督「小休憩まであと少しだ。寝るな」

夕張「うぅ、だからって髪の毛引っ張らなくてもぉ…」グスッ

提督「居眠りした罰と思えば納得できるだろ。ほら、その遠征報告書纏めたら休憩にするぞ」

夕張「むぅ、提督がこんな乱暴な人だとは心外です」

提督「喧しい。口より先に手を動かせ」ガタッ

夕張「あ、あれ…提督どこへ?」

提督「陸奥たちの様子見だ。書き終わった遠征報告書は俺のデスクの脇に置いておくんだぞ」

夕張「了解でーす」

325: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/13(水) 21:47:40.51 ID:BA/yh/Y5o
-救護室-


コンコン


陸奥「あ、はい?」


ガチャッ


陸奥「あ、提督」

提督「具合はどうだ」

陸奥「はい、お陰さまで、と言いたいけど、流石にちょっと無茶が過ぎたみたいね。完治にはまだかかりそう」

提督「はぁ、だろうな。ちょっと見せてみろ」グイッ

陸奥「あっ……」

提督「入渠で粗方の外的な傷は癒えたか…だが至近距離からの戦艦の主砲による爆発なんて洒落になってないぞ。
まだ……動かないか?」

陸奥「す、すみません…感覚自体が……」

提督「そうか。こんな言い方したら悪いのは解ってるが、お前はまだいい方だ。問題は長門と阿武隈だ…」

陸奥「……」

326: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/13(水) 22:13:28.33 ID:BA/yh/Y5o
提督「長門に至っては未だに目を覚ましてない。傷口は塞がったし、脳波測定なんかもクリアした。お前のとパ
ターンが違うのは、長門は最も受けちゃいけない至近距離で一方的に相手の主砲を真正面から受けたって事だ。
殺す気で放たれた一撃だ。しかも聞けば殆ど虚を衝かれての一撃……通常よりもダメージは深刻だったろう。同
じように、阿武隈も腹部を貫かれるほどの重傷を負っていた。幸い、阿武隈は手術後に意識を取り戻しはした」

陸奥「私もついてたのに…」

提督「そう思い詰めるな。長門の意識が戻らないと決まったわけじゃない。そうだろ?」

陸奥「まぁ、うん。そうよね。落ち込むにはまだちょっと、早いかな」

提督「そう言う事だ。それにお前は他の連中を助けたんだ。もっと胸を張れ。お前の助けた命は大きいぞ」アタマポンポン

陸奥「ちょ、ちょっと、提督っ!///」

提督「ん、あぁ…」ニヤニヤ

陸奥「な、何笑ってるのよ!?///」

提督「頭ポンポンされるのは恥ずかしいか」

陸奥「もう…知らないわ!///」プイッ

提督「んな拗ねんでもよかろうに…」ニガワライ

陸奥「ふんっ///」プイッ

提督「ご機嫌損ねたか。やれやれ…まぁゆっくり休め。もう少し体調が回復してきたら、両手のリハビリも兼ね
ていこう。俺は木曾と大鳳の様子を見てくるよ」ニガワライ ガチャ パタン…

陸奥「……こんな、手じゃ……もう、皆を守れないじゃない……ッ!」


ドア越し グス……ヒック……


提督「……それでも、俺は戻ってきてくれて嬉しいよ…陸奥」スタスタ…

327: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/13(水) 22:32:52.14 ID:BA/yh/Y5o
-病室-


コンコン…


大鳳「あっ……」

木曾「げっ……」

提督『木曾、大鳳、入るぞ』


ガチャ…


提督「調子はどう……」

大鳳「……」

木曾「……」

提督「……何をしている?何故、正装に着替えている?」

木曾「あ、いや…これは、だな…」

大鳳「そ、その、体調も戻りましたし、もう大丈夫かと…」

提督「それは医師から通達されての事か?」

木曾「うっ……」

大鳳「そ、それは…」

328: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/13(水) 22:56:07.88 ID:BA/yh/Y5o
提督「俺を困らせたいようだな?」

木曾「そ、そーいうんじゃねぇんだって!」

提督「ほぅ?」

木曾「ぅ……」(やべぇ、目がこえぇ…)

大鳳「」オロオロ

提督「今回は一回目って事で咎めずに置いてやろう。医師から言われてるのはあと一週間は安静って事だ」

大鳳「ち、因みに…破った場合は…」

提督「そうだなぁ…うん、この鎮守府追放にしてやろう」

木曾「ま、まじかよ…」

大鳳「……大人しくしてます」ショボン

木曾「え、えぐ過ぎる…」

提督「喧しい病人め。完治するまで正装にも着替えることは許さん。いいから大人しく寝てろ。動く許可をもら
えた段階でリハビリだ。それまで任務は愚か演習などの激しい動きをすることは許さん。これは提督からの正式
な命令と思って聞け、解ったな?」

木曾「り、了解…」アセ

大鳳「わ、解りました…」アセ

332: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/14(木) 22:09:07.53 ID:ItAuQOYMo
-客室-

提督「はぁ、全く……」

医師「提督殿も大変ですね。自身が盾になって瀕死になったと思えば、今度は艦娘達のやんちゃに付き合ったり
と…私が貴方の身だったらとうの昔に根を上げて全てを放り投げてますよ」

提督「ははは…ごほん、それで…」

医師「ええ、重傷を負った三名の艦娘に関してですね」

提督「長門はまだ意識が戻らない。阿武隈は意識こそ戻ったが……」

医師「はい。ひどく怯えており、今すぐの復帰は望めません」

提督「長門も阿武隈も心配だが、現時点で最も心配なのは陸奥だ。あいつの両手、戻るんですか?」

医師「今の医療は昔よりも目に見えて進化しております。不治といわれた病や原因不明といわれた病の数々も、
その殆どが解明、治療法の確立がなされ、目覚しい成長を遂げているのも事実です。それでも…」

提督「構わない。言ってくれ」

333: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/14(木) 22:40:09.55 ID:ItAuQOYMo
医師「正直なところ、不明です。五分五分なのです。似た境遇で言えば長門がそうでしょうが、彼女は真正面か
ら胴部分にかけての被害が殆どでした。ですが、陸奥の方は両手を中心として被害が広かった。よくあれで両手
が吹っ飛ばなかったと、むしろこっちが驚いたほどです。両手が動かない事実は本人が一番解って……」

提督「あぁ…ただまぁ、俺に出来るのは先生に頼むことくらいだ」

医師「提督殿…」

提督「先生が俺の身だったらとうに投げ出してるって言ったろ?正直ね、そんなんばっかりだよ。他の鎮守府で
聞く話なんてもっとひどい。艦娘を道具としてしか扱わない所や自分の玩具にしてる屑もいる。先生は普通に街
中で艦娘を見かけたことあるかい?」

医師「え?まぁ、多分ですが、何度か…」

提督「普通の女の子だったろ。艤装がなきゃあただの子なんだよ。彼女たちは…俺たちとなんら変わりはない。
ただその内に秘めている潜在的な力が、艤装を扱えるだけに足るものであるってだけで選ばれた子たちなんだ。
事実先生も多分って言ったろ。他の子と見分けなんてつかないくらい、普通なんだよな。まぁ、だから常に海軍
の誰よりも前線に赴いて深海棲艦と戦い続ける彼女たちを提督である俺たちは大事にしてやらなきゃならない」

医師「……はぁ、参りましたねぇ。人の命を扱う私達より、よっぽど提督殿の方が命を尊んでる…私達も、彼女
達を救える方法を、最善を尽くして探しましょう。最先端の医療技術でも古代の医療技術でも、手当たり次第に
探して担当チームとカンファレンスを開き検討し続けますよ」

提督「はい、宜しくお願いします」ペコ

334: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/14(木) 23:08:30.96 ID:ItAuQOYMo


ガチャ パタン


提督「……ん?」

イムヤ「あ……」

提督「お前、聞いてたな…」

イムヤ「あ、あははは…」

提督「ったく、壁に耳あり、障子にイムヤ…」

イムヤ「な、何よその変な例え!」

提督「とにかく、他の誰にも言うな。折を見て必ず俺から言うから、絶対にお前は何も言うな」

イムヤ「ね、ねぇ、司令官…三人とも大丈夫よね?」

提督「あぁ、大丈夫だ……そう、言い切りたいんだがな」

イムヤ「え…?」

提督「生憎、俺は提督で医者じゃない。助かるように祈ってやることしか出来ない。だから、イムヤも祈ってく
れないかな。三人がまた無事に、また笑顔になれるように、一緒に祈ってくれ。頼む…」プイッ スタスタ…

イムヤ「司令官……」

335: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/14(木) 23:27:42.65 ID:ItAuQOYMo
-湾岸-

提督「…………」

赤城「提督、こちらにいらしたんですか」

提督「赤城…」

赤城「心配、と顔に書いてありますよ。貴方がそんな顔をしていたら、他の子達まで心配顔になってしまいます」

提督「ああ、そうだよな。ごめん」

赤城「提督は心配事が多くて大変ですね。ですが、私達も同じくらい、心配してるんですよ。榛名さん達もそう
ですが、長門さん、陸奥さん、阿武隈ちゃん、皆無事で居て欲しいと願ってます」

提督「俺、そんなに顔に出てたかな?」

赤城「ええ、それはもう…鈍い子でも解るくらいには、ですね」

提督「それ相当じゃねぇかよ…」

赤城「今回の出動任務、一番悔しい思いをしているのは負傷した子達だと思うんです。同じくらい、随伴した子
達も悔しい思いをしてると思うんです。だから、随伴できなかった私達は本当の意味で彼女達の思いを汲んで上
げる事は出来ないかもしれません。だから、次の出動時は私が彼女達の分まで奮戦します」

提督「赤城…」

赤城「ですから提督。提督は心置きなく、榛名さん達や長門さん達の心配をして上げて下さい」ニコッ

提督「…恩に着る」

赤城「それが私達の努めですからね。では」ペコリ

提督「はぁ……敵わないな」

339: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/16(土) 22:38:32.67 ID:s60RBmNzo
-大本営-

榛名「はぁ、はぁ、はぁ……」

大和「もう止めた方がいいのでは?」

榛名「……っ!ま、まだです!」

大和「強情ですね」バッ

榛名「……!」サッ

大和「第一、第二主砲。斉射、始め!」ドォン ドォン

榛名「くっ…!」


ボボボン


榛名「至近弾…このっ!」ドォン ドォン

大和「はっ!」


パパパン


榛名「届かない…!」

大和「夾叉か…うん、次は直撃させます!」ジャキッ

榛名「間合いを…詰めれば…!」バッ

大和「遅いっ!」ドォン ドォン


ボボボボン


榛名「きゃあ!」

大和「ここまでですね」

榛名「はぁ、はぁ……」

大和「無理をし過ぎです。近代化改修直後にこのような演習を敢行するなど…」

榛名「守るって、決めたんです。はぁ、はぁ…約束、しましたから…榛名は、約束を破りたくありません」

大和「もう…」(武蔵も頑固な子に想いを託してくれたものね)

榛名「あ、あれ…」ガクッ

大和「ほら、御覧なさい。無理を続ければいざと言う時、本領発揮できませんよ。今日はここまでです」

榛名「は、はい…」ヨロヨロ

340: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/16(土) 23:23:25.50 ID:s60RBmNzo
北上「あ、榛名っち……って、ちょーボロボロなんですけど…」

榛名「あ、あはは…大和さんと演習しててね」

北上「うはぁ、よくやるねぇ…」

榛名「北上さんは何処か行ってたの?」

北上「あー…まぁ、羽黒っちが倒れちゃってねぇ」

榛名「えっ」

北上「まぁ理由は榛名っちと殆ど一緒、かなぁ…にしても、この近代化改修ってヤツ、なぁんか気分っていうか
感覚って言うか、やなのよね~」

榛名「うん、まぁ…確かに体のだるさとか感じる事もあったけど、この間受けたのはなんだかとてもしっくりと
くる感じですんなりと終わったんですよね」

北上「やっぱ人によって変わるのかな~」

榛名「他の皆は?」

北上「ん、多分ご飯中じゃないかな~?結構部屋は広いし、多分川内っち達の部屋でご飯してると思うけど、一
緒に行く?」

榛名「あ、それじゃシャワーだけ先に浴びてこようかな」

北上「あ~、うん。それがいいね~。じゃ、先に部屋で待ってるね~」

341: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/16(土) 23:52:34.53 ID:s60RBmNzo
-川内・衣笠・羽黒部屋-

川内「衣笠に飛鷹や龍驤はなんか感覚的に変化あった?」

衣笠「うーん、感覚で言うなら、今までと艤装は同じなんだけど、なんだか軽くなった気はするんだよねぇ」

飛鷹「私は精度って言うか、艦載機が前よりも強くなった気がする」

龍驤「うちはなんかめっちゃ体、軽ぅなった感じやなぁ」

北上「お~また~」

衣笠「あ、羽黒ちゃん大丈夫そう?」

北上「うーん、まぁ単純に疲労だと思うけど、一週間も経ってないのにちょっと飛ばし過ぎかなって感じ」

川内「無理もないさ。彼女だってあの場に居たんだ。私もそうだけど、ほんと何も出来ないってのは悔しいよ」

衣笠「…あれよね。明らかに深海棲艦の錬度は向上してる感じ。フラグシップにしろエリートにしろ、尋常じゃ
ない早さで成長してる。私達の錬度向上とは比べ物にならないくらい」

北上「提督もけっこー悩んでるみたいだよね~」

衣笠「なぁんか、思い悩んだらどこまでも悩み続けるんだよなぁ、提督」

榛名「あ、お待たせしました」

川内「よっ、お疲れ」

衣笠「あ、そうだ!」

榛名「?」

衣笠「ねね、榛名ちゃん。普段の提督ってさ、どーんな感じなの?」

榛名「へ?」

342: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/17(日) 00:11:19.16 ID:pHJmdQXVo
衣笠「いやぁ、超真面目な時と若干チャラけてる時くらいしか知らないんだよね、私」

榛名「殆ど、それしかないんじゃ…」

衣笠「またまたぁ、榛名ちゃんと二人だけの時とか、違うんじゃないのぉ?ほらほらぁ、今は提督いないんだし
さ、喋っちゃいなさいよ!」

北上「おっ、それいいね~、しびれるね~」

榛名「よ、よくないし!しびれない!」

北上「え、そう?」

龍驤「ど、どうやねん!」フー フー

飛鷹「り、龍驤…鼻息荒くない?」

龍驤「どうやねん!?」フー フー

川内「勢いヤバ…」

榛名「ど、どうって…」

川内「内容次第じゃ、多分龍驤が暴れるな…」

榛名「な、なんで!?」

龍驤「ウ~…」

飛鷹「犬みたいになってるわよ…」

衣笠「さぁさぁ、ほらほらぁ…」ニコニコ

榛名「うぅ…た、確かに普段見せない優しい表情は、あると思いますけど…」

北上「おぉ!あの提督の優しい顔とか……うん、あるか」

榛名「え!?」

飛鷹「あぁ、うん…あるわね」

龍驤「せやな」

衣笠「他には!?」

榛名「えぇ!?」

343: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/17(日) 00:29:12.46 ID:pHJmdQXVo
衣笠「さぁさぁ!喋らないと脱がせちゃうわよぉ?」ガバァ

榛名「きゃあ!ちょ、な、何でそうなるんですか!?」ジタバタ


ガチャ…


羽黒「あ、皆さん…ご迷惑おかけ、して…あの、何を?」

榛名「あ、羽黒ちゃんこれはちがっ…」

羽黒「は、榛名さんと衣笠さん、何してるんですか!?」

衣笠「え、ちょめちょめな事、かな?」グググッ

羽黒「……ッ!///」カー…

榛名「ち、違いますよ!違いますからね!?」ジタバタ

北上「写真写真っと…」パシャ

榛名「な、何撮影してるんですかっ!///」

北上「え、現像して提督に見せびらかそうかと…」

榛名「……っ!///」ジャキッ

北上「ちょ、ウソウソ!ウソだから!主砲はヤバイって!」

衣笠「わわわわ…!さ、流石戦艦…底力はんぱないぃ!」グググッ

榛名「こう、いう、ことは…!榛名は、許、しま、せんっ!!」バィーン

衣笠「きゃあ!」ゴロゴロ

飛鷹「つ、つよ…」

龍驤「衣笠が飛んでったで…」

川内「あっ、このまま枕投げ夜戦突入!?」

榛名「しませんっ!!」

川内「ひぃっ」

榛名「全くもう…!」

348: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 01:31:32.54 ID:3M6LEzVIo
-鎮守府-

提督「へっくし!」

夕立「風邪っぽい?」

提督「んなことないんだがなぁ。さて、と…残りは…んー、まだちょっと残ってるか…」

夕立「提督さん、もうヒトキューマルマル過ぎてるし、たまにはいいんじゃない?」

提督「ん、そうか?でもなぁ…」

夕立「そーそー、たまにはのんびりゆる~く過ごすのもいいっぽい!」

提督「はは、それもそうだな。そんじゃ食堂にでも行って飯でも食うか」

夕立「はーい!」

提督「しかし夕立のその前髪、毎度ピコピコ揺れてて面白いな」

夕立「ふぇ?」

提督「夕立、ジャンプ」

夕立「」ピョン ピコピコ

提督「おー、跳ねる跳ねる」

夕立「?」

提督「よし、満足したから行くか」

夕立「えー!?夕立、意味が解らないっぽい!」

349: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 01:32:29.60 ID:3M6LEzVIo
寝落ちしてました(´・ω・`)
あと2-3レス投稿だけして終わりにします

350: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 01:40:34.45 ID:3M6LEzVIo
-食堂-

提督「今日のご飯は何だろなーっと…」

夕立「今日は豪華っぽい!」

提督「え?豪華?」

日向「やあ、提督」カッポウギスガタ

提督「っと…日向、なんか珍しい格好だな」

日向「ふふ、今日は少し趣向を凝らしてあるからな」

提督「なんだそりゃ」

翔鶴「あら、提督」

提督「うお、翔鶴…」

翔鶴「はい?」

提督「なんていうか、お前…割烹着姿だと……女将さん?ママさん?いや、お母さんだな…」

翔鶴「お、お母さんって…もう、やだ提督ったら!///」ベシッ


ボゴォ


提督「がはっ!」

翔鶴「あらやだ…て、提督?大丈夫ですか?」

提督「げほ、ごほ…だ、大丈夫……じゃない」グッタリ

天龍「おう、提督!何遊んでんだ?」

351: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 02:11:16.34 ID:3M6LEzVIo
提督「これのどこが遊んで……ぶっ」

天龍「な、なんだよ!」

提督「天龍の割烹着姿…ぷ、ぶはははは!眼帯に、割烹着…って、おま、あはははは!」

天龍「う、うるせー!オレだってこんな格好したかなかったんだよ!!」

提督「お玉片手に凄まれても…ひひ、めっちゃ可愛いわ。あー、腹いてぇ……」

天龍「ぐぬぬぬ…」

翔鶴「ほらほら、天龍さん、料理の途中でしょ」

提督「フフッ、美味いか?」キリッ

天龍「て、てめぇ……!」

提督「とか聞いちゃうんですか?聞いちゃうんですか、天龍マm……」

天龍「死ねぇぇぇぇぇッ!!」ブンッ


パカァァン


提督「ぐはっ」

日向「クリーンヒットだな」

翔鶴「そ、そんな冷静に…」アタフタ

夕立「いい音だったぽい…」

天龍「このお玉が刀じゃなくてよかったなぁ、提督…」

提督「な、なんかのゲームでお玉武器にして戦う子が、居たな…あー、いってぇ…」

天龍「ケッ」

355: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 20:32:59.05 ID:6bkJ+t2So
鈴谷「ねね、熊野…これ、どうかな?」

熊野「どれどれ…少し塩気が足りませんわ。小さじ少々ですわね」パッパッ

鈴谷「む…」ズズズ

熊野「どうですの?」

鈴谷「むぅ、美味しい…」

暁「レ、レディーは料理も一人前…!」グスッ

熊野「暁、たまねぎは切れましたの?」

暁「い゛ま゛ぎ っ で る゛よ゛ぉ゛!」グスッ

熊野「仕方ありませんわねぇ」

比叡「私がサポートしましょう!」

熊野「あら、比叡さん。助かりますわ」

比叡「お任せ下さい!気合い、入れて、いきます!」

熊野「き、気合い入れるのは構いませんけど、比叡さん…料理の経験ありまして…?」アセ

比叡「いえ、全く!で、どれからぶっ飛ばせばいいですか!?」

熊野「……は?」

356: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 20:45:48.28 ID:6bkJ+t2So
阿賀野「こんな感じ?こうかな?うーん、こっちかな?」

神通「これを、こう…して。えっと、こっちを、こう……」

ゴーヤ「おー……」

まるゆ「き、きれいです!」

龍田「あとは~、これをこうすればどうかしら~?」

神通「あっ、はい…そうですね。とても綺麗です」

イムヤ「はーい、こっちもセッティングオッケー!」

ゴーヤ「ゴーヤ達の美的センスは却下されてしまったでち」

まるゆ「が、頑張ったんですけどね」

龍田「生きた金魚をテーブルにぶちまけるのはどうかしら~?」

まるゆ「あ、あはは…」

ゴーヤ「海をイメージしてみたけど、ダメみたいだったでち…」

龍田「金魚は海にいないわよ~」ニコニコ

357: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 20:59:34.20 ID:6bkJ+t2So
筑摩「利根姉さん、そっちはどう?」

利根「うむ、こっちは完璧じゃ。赤城、どうじゃ?」

赤城「はい、とても風流に仕上がってると思いますよ?」

時雨「わあ、こっちは畳部屋か。凄いね」

白露「おおお、雰囲気でてるぅ~!」

響「ハラショー。素晴らしいね」

瑞鳳「電ちゃんと一緒に掛け軸作ってきたわよ!」

電「なのです!」

響「こ、これは…ハラ、ショー?」

赤城「電ちゃんの雰囲気出ていて素敵ですよ」ニコニコ

瑞鳳「文字は色とりどりにしてみようって案は私です!」フンス

電「頑張ったのです!」フンス

利根「そ、そうか…」アセ

筑摩「ふふっ」

358: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 21:23:05.94 ID:6bkJ+t2So
霧島「大体終わってきましたか?」

金剛「OKデース!」

夕張「はい、大体は終わりそうですね!」

島風「んもー、早くはじめよーよ!」

霧島「ふふ、そう焦らないの。司令!」

提督「んお、なんだなんだ?」

霧島「暗くなってても仕方ありませんから、木曾や大鳳も復帰が近いと言う事で、イムヤが企画しました」

提督「イムヤが?」


ポンポン


提督「イムヤ…」

イムヤ「本当は皆居る方が良いけどさ、司令官のなんか悲しい顔とか見たくないし。今だけでも笑って欲しいなって、ね」

提督「お前…」

イムヤ「ふふふ、凄いでしょ?普段はこういう事、率先してなんてやらないけどね。私だって本気出したら凄い
んだから!司令官が笑ってくれるなら、それでいいんだ」

359: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 21:47:23.38 ID:6bkJ+t2So
霧島「えーっと…マイク音量大丈夫…?チェック、1、2……。よし。それじゃ、皆さん!司令も執務が終わった
と言う事で、今日は日ごろの感謝を込めて、司令におもてなしをしたいと思います!」

金剛「HEY!霧島、早くするネー!」

比叡「お、お姉さま…」アセ

霧島「金剛お姉さまが煩いので、早いとこ始めますね!」

金剛「What!?」

霧島「はい、それじゃ皆!司令へのおもてなし、始めっ!」

提督「乾杯とかじゃないのか!?」

赤城「ふふっ、まだ皆揃ってないんですから、乾杯はその時にすればいいじゃないですか。今日の主役は提督ですよ?」

日向「そういう事だ。君もたまには肩の荷を降ろしていいと思うぞ、提督。ほら」スッ

提督「おっと…日向からの酌とは」

日向「ふっ、たまにはね。私だって飲みたい時はある」

暁「あぁ!日向ズルいわ!私だって、司令官におしゃくするんだから!」

日向「む…なんだ、そのペットボトルに入ってる液体は…」

暁「えっ、何って…ポ○ジュース、だけど?」

日向「ふっ…」

360: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 22:08:26.62 ID:6bkJ+t2So
暁「あーっ!今バカにしたわね!?」

提督「ほらほら、喧嘩するな。ちゃんと貰うから」

暁「し、司令官がそういうなら、いいけど!」

提督「いいか、暁。レディになるなら相手の冗談も軽く受け流すくらい寛容じゃないとダメだぞ?」

暁「え?あ、いや…えっと、んっと…い、今の冗談、なの?」

日向「私が暁相手に喧嘩腰になるなど、逆にひんしゅくを買うだけだ。笑ったことは謝ろう。ただ素直に可愛い
と思ったまでだ。暁はそれでいい。もう少し大きくなったなら、その手に持ってるのを酒に代えて提督に酌をし
てやるといい。きっと喜ぶぞ」

暁「な、なるほど…」メモメモ…

提督「おい、日向…」

日向「さて、私は別に他意はないよ」

提督「ったく、こいつ…」

瑞鳳「はい!ヒック、はい!祥鳳型軽空母、瑞鳳!脱ぎましゅ!!」

提督「はぁ!?ちょ、おま、まて、まてまて!っていうか、こいつ酒弱いのか!?誰だ飲ませたのは!」

361: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/18(月) 22:23:03.20 ID:6bkJ+t2So
龍田「仕方ない子ね~」ヒュッ


トンッ


瑞鳳「はうあ…!」パタ…

提督「あ、当身一撃…」

翔鶴「さぁ、食べましょう」ドッサリ

赤城「あら、私に勝負を挑む気ですか?」ドッサリ

翔鶴「」チラッ

赤城「」チラッ


バチバチバチ…


提督「こいつらの胃袋どーなってんだ…つーか、俺へのもてなしどこいった!?」

夕張「ファイッ!」

赤城「」カッカッカッカッカ

翔鶴「」カッカッカッカッカ

提督「おめーもセコンドやってんじゃねぇよ!」

夕張「いや、面白そうなので、データ収集も兼ねてですね…」サッ ジー

提督「データ収集絶対後付だろ、お前…ってか、ビデオまで回してんじゃねぇ!」

366: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:24:50.73 ID:xZKSHolEo
-病室-

木曾「はぁ、食堂で一緒に飯食いてぇ…」

大鳳「もしこれで抜け出したら、追放ですよ」

木曾「わーかってるよぉ。あー、くそ!」ボフッ

大鳳「……もっと、強くなりたいですね」

木曾「ああ…言い方は悪ぃが、足手纏いが何人いても別にいい。俺が全部守ってみせる!ただ、てめぇが足手纏
いになるのは絶対にやなんだよ」

大鳳「私も似たようなものです。提督からは焦るな、自分のペースを維持しろとは言われましたけど、どうして
も焦ってしまう自分がいます」

木曾「…あのさ、いやなこと聞くけどよ…」

大鳳「なんですか?」

木曾「前の、お前が居た艦隊……旗艦や参謀勤めてた武蔵や加賀ってのは、強かったのか?」

大鳳「…私が知る中で最強でした。鋼鉄の艦隊と揶揄される鉄壁の防御と圧倒的な火力は近海周辺の深海棲艦な
ど取るに足らない『ただの的』に思えるほどに、強かった。旗艦の武蔵さん、参謀の加賀さん、それをサポート
する霧島さん、鷹の目と揶揄された飛龍さん、駆逐艦の中で今ここにいる島風さんにも劣らない速度を誇った、
天津風さん、海底の目を務めた大井さん、皆秀でる才の集まりでした」

368: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:46:41.35 ID:xZKSHolEo
木曾「けど、お前だってその第一艦隊の一員だったんだろ?」

大鳳「私に比べれば、と言う意味ですよ。武蔵さんの一撃は海を割り敵を粉砕する。加賀さんの一撫ではまさに
鎧袖一触……彼女の放つ艦載機からは逃れる術は愚か、受ける術すらないほどに…強かった」

木曾「が、がいしゅう、いっしょく?」

大鳳「日本外史のことわざの一つです。鎧袖とは鎧の袖。一触は文字通りほんの僅かに触れること。鎧の袖がほ
んの少し相手に触れただけで相手は倒れてしまう様を表したことわざです」

木曾「とにかくスゲーって事はよく解ったよ。けどよ、提督の言うとおりだぜ。お前はお前だろ?俺だって確か
に焦った時期はあるよ。けど、結局焦ってもなんにもかわんねぇんだよな。一晩で周りを圧倒できるような魔法
の薬なんてねぇんだ」

大鳳「……一晩は流石に無理かもしれませんけど、数週間…時間をかければ身体能力の強化を図れることが可能
な方法があると、以前に中将提督から聞いたことがあります」

木曾「はぁ?それこそ魔法じゃねぇか」

大鳳「詳しい内容までは聞けませんでしたし、大本営でもまだ検討を拱いている秘密裏の強化方法だとか…ただ、
その手法の名称が確か、近代化改修って言うのは記憶にあります」

木曾「なんでぇ…つまる所、俺等じゃどうしようもねぇって事か。名前だけわかっても仕方ねぇしなぁ」

大鳳「ただし、一縷の望みとしては…」

木曾「……ん、あぁ…!提督か!?」ガバッ

大鳳「はい」

木曾「なるほどね…頼み込んで見る価値は……アリだな」ニヤッ

369: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:56:42.77 ID:xZKSHolEo
-とある海域-

後輩「準備はいいな、お前等……」

??「問題ありません」

??「いつでもいけます」

??「ご命令を、マスター」

後輩「あんなクソの言い分なんてどうでもいい。ようは現時点で目障りな連中を葬れればいいんだろ?だったら
葬ってやろうじゃないか!僕は別ルートから直接内部へ侵入して提督を血祭りに上げる。お前達はここに残存す
る艦娘、全てを血祭りに上げろ!使えそうな奴は後で僕が直々に選別してやる」

??「畏まりました、マスター」

後輩「……さぁ、宴を始めようじゃないか、提督ッ!!」

370: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:57:13.73 ID:xZKSHolEo


~斗酒隻鶏【としゅせきけい】~




371: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:58:00.57 ID:xZKSHolEo
-鎮守府-


ブーン…


赤城「あら?」

翔鶴「…どうか、したのですか?」ムグムグ

赤城「……どうやら、今日の宴は中止かもしれません」スクッ

翔鶴「?」

赤城「提督」

提督「おう、赤城!」

赤城「夜間に入る前の偵察に出していた妖精さんから通達です」

提督「む…」

赤城「識別なしの連合艦隊が近海に布陣していると。数は凡そで十隻近く」

提督「深海棲艦か!?」

赤城「解りませんが、他の鎮守府の艦娘の艦隊であれば定められた識別信号を近海に来れば発するはずです」

提督「ったく、たまの宴会くらいのんびりさせろってんだよ……総員ッ!!」

372: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 21:58:57.97 ID:xZKSHolEo
暁「えっ!?」

響「……!」

夕立「え、何何?」

提督「呆けるのはここまでだ。ある意味深い時間じゃなかったのが幸いしたな。敵の接近を確認した!敵の数は
十隻近くを確認!いいか、決して気を抜くな!!」

373: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 22:08:27.28 ID:xZKSHolEo
-執務室-

赤城「僭越ながら、秘書艦代行、一航戦赤城が勤めさせて頂きます」

提督「ああ、頼んだ。赤城を旗艦とした航空機動艦隊は夜間に入る前に出来る限り制空権の確保と敵の足止めを
頼みたい。瑞鳳は引っ叩いて構わんから意識覚醒させろ」

赤城「はい。お任せ下さい!瑞鳳さんは、さっき天龍さんと龍田さんがヤキ入れてましたので、大丈夫かと…」

提督「ははは……さて、金剛、比叡、霧島」

三人「「「はい!」」」

提督「お前たち水上打撃艦隊は夜戦も視野に入れた艤装で挑め。同じく利根と神通を旗艦にする水雷戦隊」

二人「「はい!」」

提督「お前たちは赤城たちが制空権を確保した段階で電光石火で動け。敵の艦列を霍乱、断絶する。水雷戦隊の
脅威を見せ付けてやれ。同時に航空機動艦隊と連携し水上打撃艦隊の射線確保だ。前衛部隊として危険だが、俺
はお前たちを信じる。次、イムヤを旗艦にした潜水艦隊」

イムヤ「はい!」

提督「先導、警戒役に暁を随伴させる。奇襲に備えて海底で目を光らせておけ。暁は海上でのイムヤたちの目だ」

イムヤ「任せて!」

暁「了解よ!」

提督「ではそれぞれの艦隊の構成を発表する」

374: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 22:09:22.68 ID:xZKSHolEo
■航空機動艦隊
赤城
翔鶴
瑞鳳
日向
天龍
龍田

■水上打撃艦隊
金剛
比叡
霧島
筑摩
鈴谷
熊野

■第一水雷戦隊
利根
夕張
島風



■第二水雷戦隊
神通
阿賀野
白露
時雨
夕立

■潜水艦隊哨戒部隊
イムヤ
ゴーヤ
まるゆ

375: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/19(火) 22:22:25.55 ID:xZKSHolEo
提督「よし、艤装の換装が済み次第、随時出ろ!他の艦隊は赤城隊を中心に布陣しろ。主導は赤城、決して油断
をするな。提督鎮守府連合艦隊、抜錨せよ!」

神通「提督」

提督「神通、どうした」

神通「これを…」チャキッ

提督「これ、お前の刀剣じゃないのか」

神通「少し、違います。夕張さんに協力してもらい、妖精さんと思考を重ねて製造してもらった新作です」

提督「それ、どういう…」

神通「私は、提督。この場で実際に貴方を守ることは出来ません。ですが、守護者としてこの刀剣をお預けする
ことで、少しでも提督をお守りする機会があればと……以前に泣き言を言った自分なりのけじめです。いざと言
うとき、この刀剣が提督の命を救う切っ掛けになれば幸いです」

提督「…お守りって訳か。ありがたい…使わせてもらう」ガシッ

神通「では、第二水雷戦隊神通、いきます!」

381: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/20(水) 20:10:29.54 ID:a5PwjdKmo
-近海-

??「目標の抜錨を確認。では、これより殲滅行動開始します。徹底的に叩きます。索敵も念入りに」



-連合艦隊-

赤城「…!敵の艦載機……?でも、待って、あれは……!」


霧島「そんな、あの艦載機は……友永隊!?」

熊野「なんで、どうして飛龍さんの艦載機が敵のシグナル群から…!」


飛龍「二航戦、出撃します!」


翔鶴「赤城さん、今は迷ってる場合じゃありません!」

赤城「……」グッ

日向「赤城…!」

赤城「私達機動部隊は、この日の為に練成してきた訳ではありません。それでも、本来の彼女達が望んだ姿でな
い以上、これを全力を賭して撃滅します。みなさん、用意はいい?」

瑞鳳「勿論です!」

天龍「舐め腐ったマネしやがって…!マジで許せねぇな!」

龍田「前の分も踏まえてお仕置きね~」

赤城「一航戦の誇りに賭けて、行きます!翔鶴さん、瑞鳳さん、第一次攻撃隊、発艦してください!」バッ

382: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/20(水) 20:38:13.62 ID:a5PwjdKmo
-鎮守府-

提督「後輩だな……どこまで、彼女たちを苦しめる気だ。これ以上の侮辱はない……ッ!」バンッ



-近海-

飛龍「チッ」

瑞鳳「…制空権、確保!」

翔鶴「飛龍さんは私達で抑えます!」

赤城「神通さん、今です!」

神通「第二水雷戦隊、砲雷撃戦…開始します!突撃します、私に続いて下さい!」バッ

阿賀野「飛龍さん…なんで」

利根「神通達の突撃に合わせて吾輩達は側面を叩く!もし、先の金剛等と同じじゃとするなら、今一度目覚めて
もらわねばな!」

夕張「もし……もしも、完全に手遅れの状態だったら…?」

利根「…その時は、安らかに眠ってもらうのみじゃ。では、参ろうか!」

響「どこまで卑劣な連中なんだ。どこまで、私達を侮辱するんだ」

電「許せないのです……絶対に、許せないのです!」

能代「許せない?そうね、私達も許せない。軽巡能代、出撃します」

阿賀野「の、能代……?なんで、能代ッ!」

能代「大丈夫。阿賀野姉ぇもきっちり沈めてあげるから」

神通「皆さん、今はただ前を向いて下さい!」

夕立「負けないんだから!」

時雨「卑劣な手を使ってくるね…」グッ

383: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/20(水) 23:32:28.24 ID:a5PwjdKmo
-鎮守府-

後輩「以前に来たときよりも随分と様変わりしてるなぁ」

提督「あぁ、そうだろうな。屑野郎…」

後輩「センパァイ、久しぶりですね。って言っても、ついこの間会ったばかりですが…それはそうと、屑野郎と
はまた随分と言葉が過ぎませんか?」

提督「俺の知ってる後輩に取って代わったか、本人自身の人格をも変貌させたか…どっちだっていいさ。お前が
屑ってことに変わりがないのは一緒だろ?」

後輩「まさか僕にサシで勝負して勝てるとでも?」

提督「どうせお前のことだ…前回の腹癒せついでに今度こそ俺を巻き込んで殺そうってハラだったんだろ?」チャキッ

後輩「あっはっは、解ってるじゃないですかぁ。その澄ました顔が本当に気に入らないなぁ」ググッ

提督「狡猾、卑劣、下衆な真似…今のお前にとっての三種の神器って訳だ。仁義礼智信……忘れたってならもう
一度その身に刻み込んでやるよ。いろはを教えた者として、きっちりけじめは付けてやる」

後輩「やれるもんならやってみろよ!」ビュッ

384: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/20(水) 23:59:55.34 ID:a5PwjdKmo
提督「なっ……!?」サッ


ボゴォォン


提督「お前、その腕…」

後輩「イヒヒヒヒヒ…コロス、お前は、絶対殺すッ!!」グッ

提督「深海棲艦に魂まで売り払ったか…」スラッ

後輩「そんなナマクラの刀一本で僕に挑むんですか?」

提督「ナマクラ?ははは、目利きは素人以下だな。俺にとっては虎徹や之定、菊一文字に勝るとも劣らない名刀だ」

後輩「そぉですかぁ…じゃあ、その愛刀諸共、首も一緒にへし折って上げますよ!」ビュッ

提督「ふっ!」ビュッ


ギィィン ガランガラン


後輩「ぐっ…し、将校剣!?」グラッ

提督「達人じゃないんで間合いの計り方が結構雑でな。だが、一歩半…恐らくこれがベストだ」チャキッ

後輩「平突きの、構え…くそっ」ヨロッ…

提督「ガキの頃は新撰組に良く憧れたもんで、それが影響して剣道も習った。中でも新撰組副長土方歳三が考案
した、この平突きには思い入れが一入だ。だから決して、この間合いから外しはしないッ!」ビュッ


ドシュッ


後輩「がはっ」グラッ

提督「出来ればこのままトドメも刺してやりたいが…お前には聞きたい事が山ほどある。だから…」ビュッ


ドッ


後輩「あがっ……!」ドサッ

提督「…お前を大本営へ連れて行く」キンッ

385: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/21(木) 00:18:27.76 ID:P/Exm9DMo
-近海・夜戦-

金剛「前に出すぎてはダメデース!各員、間合い大切にするネー!」

叢雲「待て…!」

天龍「叢雲…わりぃな」ドン ドン


ボボボン


叢雲「ぐぅ…!」 大破

球磨「全部、コロス…」

龍田「貴女にそんな言葉、似合わないわ。だから、お休みなさい」ドン ドン


ボボボン


球磨「うぅ…!」 大破

赤城「出来る限り、出来る限りでいいです…だから、皆さんお願いします!」

翔鶴「私達がそうだったんです。きっと、彼女達だって…!」ビュン ビュン

飛龍「その程度…!」ビュン ビュン


能代「死ね…ッ!」ドン ドン


サッ ボボボン


阿賀野「能代…!私がわからないの!?」

390: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 21:32:48.35 ID:5zsj94Beo
能代「知ってるわ。殺す相手よ!」ドン ドン


ササッ


阿賀野「くっ…」

霧島「……袂を分かった好です。私だって殺したくはない。それでも来ると言うのなら……」パンッ

能代「殺す…ッ!」

霧島「お仕置きですね!」

阿賀野「き、霧島さん?」

霧島「彼女達はきっと私達より上位の方法で洗脳を受けているはずです。瞳の色の淀み、言動、感情の起伏の無
さ…司令は仰ってました。洗脳に近いものだと。それに加え、私達の深層心理の何かに働きを促してこういった
状態に陥れるのだと…止める手立ては二つ。一つは息の根を止めること。もう一つが、活動を著しく制限させ、
痛みによって正気を取り戻させること。可能ならば、後者でしょう。阿賀野は他の子の援護へ向かって。能代は、
私が救って見せます!」

阿賀野「霧島さん…ありがとう」バッ

能代「きり、しま……!」

霧島「久しぶりね、能代。けど、少し中将司令の掲げていた美徳に反してるんじゃないかしら?破った者は厳罰
が基本。元鋼鉄の艦隊第一艦隊の一翼を担っていた者として、貴女に再度教育を施します。覚悟はいいわね?」

能代「殺してやる…!」バッ

霧島「貴女が姉思いのいい子だったのは知ってるわ。まだ、戻れるはず…きっと!接近戦は余り得意じゃないけ
れど…やってやるわ!」バッ

391: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 21:48:50.22 ID:5zsj94Beo
-鎮守府-

後輩「う……ぐぁ……」

提督「目を覚ましたか。タフな奴だな。それも、何かしら原因があるのか」

後輩「提督ゥッ……貴様ァァァッ!!」

提督「前回は金剛たち、そして今回は飛龍たち…どこまでも外道に落ちたな。言っておくが、艦娘は道具じゃな
いし、お前にとって都合のいい人形でもない。一つの個であり、自我を持つ、俺たちと何も変わらない一人の子
であるという認識を持つべきだ」

後輩「ダマレッ!詭弁やおべんちゃらはもう聞き飽きてるんだ…僕達と何も変わらない一人の子?ハハッ、笑わ
せるな!現に今もこうして同じ穴の狢同士、争い、殺し合ってるじゃないか!」

提督「悪いがうちの艦娘たちは誰一人としてお前が強引に従えて来た艦娘たちを殺そう等と言う気構えで戦場に
立ってはいない」

後輩「ククク…どうせ、すぐに、化けの皮が剥がれるさ……何をどう取り繕おうが、艦娘は人類を脅かすほどの
戦闘兵器…深海棲艦が勝とうが艦娘が勝とうが、人類の行き着く先は同じさ!」

提督「それと貴様が深海棲艦側に寝返った理由は違うだろ。お前の言うその理屈じゃ、別に海軍側に従事してい
たって問題はなかったはずだ」

後輩「問題がない?アハハハハ!問題大有りですよ、センパイ…元帥率いる一部の上層部は幻想紛いの絵空事を
口々にほざくだけで行動には絶対移さない。その癖、自分の周りには強固な艦娘を配備して自分の生命線維持に
は必死になる。実際動くのは佐官将校の僕達…北方海域にはセンパイ、進軍したことありますか」

提督「ああ、つい最近だが、モーレイ海近海まではな」

後輩「ふふっ、あぁ…あの事件ですか…センパイが新型を二隻も沈めてくれたお陰で僕の面子は丸つぶれになっ
たんですよ」

提督「貴様の面子など知ったことか。こっちだって大打撃だ。それがなんだっていうんだ…」

後輩「モーレイ海を突き進んで更に奥地へ行くとあの新型を研究してる泊地があるんですよ…」

提督「何……」

392: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 22:08:08.23 ID:5zsj94Beo
イムヤ「不審な影、鎮守府の方に来てたわよね」

暁「うん、確かに見たわ」

イムヤ「ゴーヤとまるゆ、置いてきたのは失敗だったかしら…」

暁「艦隊って規模じゃなかったわ。見えた影は一つ…」

イムヤ「でも、これ以上いくともう鎮守府の中……ぁっ!」

??「あら、バレちゃった?」

暁「だ、誰よあんた!」

??「ふふっ、威勢のいい駆逐艦ね。その容姿は……特III型駆逐艦一番艦の暁かしら」

暁「……!?な、なんで私の事知ってるのよ!」

??「そっちのポニーテールの子は……海大VI型一番艦潜水艦の伊168……通称はイムヤ、かしら?」

イムヤ「」(この人、少なくとも海軍を知ってる…)

??「見たところ、錬度はまぁまぁ、だけど…まだまだって感じね。それにしても、困った事になったわねぇ」

イムヤ「え…?」

??「開戦を確認した上で更に大きく迂回までしてきたのに…あなた達見つけちゃうんだもの」

暁「あ、あんた何なのよ!」

??「しー…レディが大声上げて捲くし立てるなんて、品が欠けてるわよ?とはいえ、見つかったんじゃ仕方な
いか……」パチンッ

393: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 22:17:24.40 ID:5zsj94Beo
駆逐EL「…………」ニヤッ

暁「…ッ!深海棲艦…!な、なんで、ここに…!」

??「あなた達程度の錬度ならこのエリート一隻で十分かしらね」

イムヤ「あなたは……!」

??「詮索なんて野暮なことしちゃダメよ?元帥お抱えの暗部でもないんだから、専門外の真似事に熱を入れす
ぎると、こういう目に遭うって教わらなかった?教わらないか…ふふっ、それじゃいい夢みてね?」

イムヤ「ま、待……!」

駆逐EL「」スッ

イムヤ「くっ……!」

暁「イムヤ、やるしかないわね」

イムヤ「何なのよ、あの女…!」

394: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 22:35:28.64 ID:5zsj94Beo
提督「やっぱりお前はここで殺すわけにはいかないな」

後輩「僕を殺す?今までに人じゃなくても動物でも殺したことあるんですか?手を汚したこともない奴がよく…」

??「戯言はそこまでにしようか」

後輩「お、お前は…!」

提督「なっ……だ、誰だ!?か、仮面…?」

仮面「別に誰だっていいよ。こっちが用あるのはそっちの馬鹿だ」

後輩「ひ……」

仮面「要らない事をペラペラと…」スラッ…

提督「……!」(あれは……)

仮面「棲艦細胞の投与一番の駄作は貴様だな。やはり男では無理なのかもしれない。最も、細胞に頼らずとも功
を上げている者はいる。まさに貴様は他の者にとっての反面教師にしかならなかったという事だ」

提督「こいつをどうするつもりだ!」

仮面「ふむ、そうだな。この場合は安直だが、口封じの為に殺す…と言った所か。安心しろ…今回の私の任務は
この馬鹿を葬る事のみ。お前はまだ、今しばらくは生かしておいてやる」

提督「なんだと……?」

仮面「どの世界でも同じ事……仁義礼智信を欠く者に先はない。そしてこの世界では弱肉強食がその全て。弱者
や敗者に語る口はない。語らせもしない。待つのは、死のみだ」

提督「その考え方は間違ってる!」

仮面「ほざくな、矮小な若造が…弱くても生きていればそれでいい。そんな幻想を今も眺め、憧れ、溺れている
のはこの海原を垣間見たことのない、陸に生きる惰弱な人類のみだ。私はそんな人類にほとほと嫌気が差した」

提督「お前の世界観の持論なんてどうでもいい。そいつは深海棲艦と通じていた。その最たる証拠そのものだか
ら殺させるわけにはいかないんだよ」

仮面「あくまで私の邪魔立てをするか」チャキッ

提督「人様の鎮守府に土足で上がり込んできてふざけたこと言ってる奴に邪魔立てもクソもねぇ!」スッ

395: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 22:57:38.02 ID:5zsj94Beo
駆逐EL「サキニハ、イカセナイ」

暁「偉そうに…!」

イムヤ「退かないなら、退かせるまでよ!」

駆逐EL「ハハハ…オマエタチガ、ワタシヲヒカセル?ムリダネ」ドン ドン


サッ ボボボン


暁「やってみないと…!」バッ

イムヤ「解らないってね!」バッ

駆逐EL「ハンテン…!?キサマラ、クチサキダケタッシャデ、ニゲルノカッ!」

イムヤ「入り口がそこだけなワケないでしょ?バーカ!」

暁「無駄な消耗してる暇なんてないのよ、マヌケー!」

駆逐EL「コムスメドモガァ…!!」ザッ

イムヤ「ふふっ、きたきた…暁、行くわよ!」

暁「うん…!」


ザバァァ……


駆逐EL「キエタ…ワンヲウカイシタノカ?……コザカシイッ!」

396: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:14:30.73 ID:5zsj94Beo
-近海-

飛龍「目障りな…!」

神通「飛龍さん…演習でお相手したときは、あなたはもっと強かった。私なんかが敵うはずもなかった」

飛龍「何故沈まない!」バッ ヒュン ヒュン

神通「それは、あなたが本来志すべきものを掲げて戦っていないからです!」サッ

筑摩「夜間の飛行など愚の骨頂です。思うとおりに艦載機が飛ばないのは百も承知でしょう」サッ

島風「もーっ!諦めてよね!」ドン ドン

飛龍「くっ…!」ボボボン 大破

鈴谷「作戦勝ちだね」

熊野「このような真似を平然と行うなんて…許せませんわね。他の方々は大丈夫かしら」

397: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:25:42.34 ID:5zsj94Beo
-鎮守府-

駆逐EL「オノレ、ドコニ…」


バシュン


駆逐EL「…ッ!?」


ボゴォォン


駆逐EL「グッ、ナンダ…!」 小破

ゴーヤ「ひゃー、直撃じゃなかった!?」

まるゆ「あ、あれ…私の撃った魚雷、どこ?」キョロキョロ

駆逐EL「キ、サ、マ、ラァ…ッ!!」グッ

暁「ふふん、些細な事でカッカしてると、立派なレディにはなれないのよ」チャキッ

イムヤ「おバカな上に挑発に乗りやすいタイプって、損でしかないわね!」チャキッ

駆逐EL「ナッ……!」

暁「いくよっ!」バシュン

イムヤ「魚雷一番から四番まで装填。さぁ、戦果を上げてらっしゃい!」バシュン


ボゴゴゴォォン


駆逐EL「…………」 轟沈

暁「やったー!」

イムヤ「えっへっへー、海のスナイパーにかかればざっとこんなもんよね」

暁「イムヤ、司令官が心配!」

イムヤ「あっ、そうだった!あの女ね!」

398: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:27:45.31 ID:5zsj94Beo
-近海-

霧島「はっ!」ブンッ


ドゴォッ


能代「うぐっ…!」 中破

霧島「どう?まだやるの!?」

能代「……はぁ、はぁ……死ねぇぇぇぇぇぇッ!!」ドン ドン

霧島「!?」


ボボボボン


能代「ふふ、ははは……あはははっ!」


ブワァ……


能代「……っ!?」

霧島「魂の篭らない攻撃なんて、効かないわ!」

能代「なん、で…ッ!」

霧島「目覚めの悪い子ね。最も、私も随分目覚めは悪かったけど…自分を棚に上げる気はないけど、それでも今
の貴女は随分と酷いわよ。いい加減に、しなさいっ!」ドォン ドォン


ボボボボン


能代「きゃあっ!」 大破

399: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:33:49.33 ID:5zsj94Beo
-作戦室-

提督「ぐっ…」

仮面「口ばかり威勢のいい男はこれだから…」チャキッ

提督「その、剣、捌きは……」

仮面「あぁ、別に何処かの流派とかそういうのはないわ。あえて言うなら、我流よ」

提督「くそ…!」

仮面「さて、そろそろ……」


バンッ


仮面「…っ!」

イムヤ「司令官っ」

暁「司令官から離れなさいよ!」

仮面「」(馬鹿な。駆逐型とは言ってもエリートを送り込んだのよ?それをこの短時間で…まさか、私が真贋を
見誤ったって事?駆逐型エリートタイプよりも、この子達の方が戦術面から何から全てが上回っていた…)

提督「お前ら…」バッ ブンッ

仮面「ちっ…!」サッ

提督「これだけの力を有して、何故人類に敵対する!」

仮面「流石に艦娘も相手にするのは面倒か。やっぱり時間は掛けるものじゃない…賭すものね。今回はやっぱり
貴方の勝ちみたい。残念だけど…」スッ チンッ

後輩「ぼ、僕を見捨てるのか…!」

仮面「ええ、貴方から漏れる情報は痛いけど、それを知った所で大本営に講じる手段なんてほぼほぼないもの。
それに、どうせ近い未来……ふふ、この海原はその全てが深海棲艦の手中に収まる。指を咥えて貴方達はそれを
見ているしかなくなる。その時に選択肢があるのなら、慎重に選ぶことね。行く末の未来なんだから…」

400: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:38:29.50 ID:5zsj94Beo


ズズズズ……


提督「な、なんだ、この音は…」

仮面「貴方のパートナーは誰だったかしら?因みに、これが私のパートナー」

イムヤ「な、なに…?」

暁「なに、これ…怖い…」

仮面「リコリス、挨拶なさい」

リコリス「はじめマシて…飛行場姫のリコリスです」

提督「まさか……こいつが、姫と呼ばれる深海棲艦……」

リコリス「安心シナさい。今回は、アイサツに顔を出したダケ。けど、次に会う時ハ…容赦はシナい。クルとい
うのなら、ソノ全てを沈めてアゲル。何度デモ…水底ニ…沈ンデ…逝キナサイ…私ノ手でネ」

仮面「いくわよ、リコリス。あの男はもう用済みになった。直にこちらの動きも一部はバレるわ」

リコリス「ええ……解ッタワ」


ズズズズ……


仮面「じゃあね、提督大佐?」

提督「……ッ!お前は……!」


フッ……


イムヤ「司令官…怪我…!」

提督「くそっ」

暁「この、男が…今回の元凶なの!?」

後輩「ちくしょう…!あの、アバ  がぁ!!」

提督「後輩…お前らの悪行、洗い浚い喋ってもらうからな…!」ヨロッ…

イムヤ「む、無理しちゃダメだってば!」

提督「ああ…それよりも、外は…」

暁「大丈夫。皆、負けるはずないもの!」

提督「そう、か…すまんが、立ってるのがやっとだ。こいつの見張り番、一緒に頼むわ」

暁「うん、任せて!」

イムヤ「リョーカイ!」

401: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:45:14.94 ID:5zsj94Beo
-あくる日-

提督「洗脳を受けていた子らはやっぱり金剛たちが洗脳を施されたときよりも強烈な施しを受けていたみたいだ」

霧島「そう、ですか…」

阿賀野「能代…」

提督「前向きに捉えろ。能代は生きていた。いつか、また一緒に肩を並べられるときが来る。その時まで、お前
は今よりももっと立派になって能代を見返してやれ。姉さんなんだろ?威厳保て、威厳」

阿賀野「も、もう!それじゃ私が威厳ないみたいじゃないですかぁ!」

霧島「ふふっ、でも…そうですね。司令の言われるとおりかもしれません。幸い、他の鎮守府への攻撃はしてな
かったようですし、厳罰が下ると言う事もなさそうで、そういう意味でも一安心かもしれません」

提督「もう直二週間経って、榛名たちも戻る。お前たちも直に切り替えろとは言わないが、なるべく早い段階で
気持ちは切り替えて今後に備えてくれ」

霧島「お任せを、司令」

阿賀野「はい!」

提督「」(問題が山積みだな…姫と呼ばれたあの深海棲艦。飛行場姫リコリスとか呼ばれてたか。レ級や無線で
会話をした装甲空母鬼と呼ばれる存在。あんな存在が今後も出てくるとなったら、一鎮守府だけで対抗など到底
不可能だ)

阿賀野「提督?」

提督「ん?あぁ、すまない。報告は以上だ。戻っていいぞ」

阿賀野「はい!」

霧島「それじゃ、失礼しますね、司令」


ガチャ パタン


提督「……もっと気になるのは、あの仮面の女か。どこか、見覚えがあったんだが…」

402: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:54:45.45 ID:5zsj94Beo


コンコン…


提督「ん…入ってきていいぞ」


ガチャ…


ゴーヤ「失礼するでち」ポタポタ

提督「おう、どうした」

ゴーヤ「今日はゴーヤが秘書艦代理です!」ポタポタ

提督「そうか。まぁそれはいいんだがな、ゴーヤ」

ゴーヤ「なんでちか?」ポタポタ

提督「水気を切ってから入って来い!」

ゴーヤ「ほああああ、失策でち!」

提督「お前、まさか廊下も……」


キャアッ!イッタ…チョット、ナンデコンナミズビタシナノ!? HEY!ヒエイノパンツマルミエネー


提督「はぁ~……」

ゴーヤ「あ、あははは…」アセ

提督「でち公、俺が言いたい事は解ってるな…」

ゴーヤ「えっとぉ…う、海の中から、こんにちはー…?」アセ

提督「」ピキッ

ゴーヤ「じ、冗談でち!す、直に雑巾で拭いて体も拭いてくるでちぃ!!」ドタドタ ガチャ バタン!


キャッ!ゴ、ゴーヤチャン、ズブヌレジャナイノ! ス、スグニフクデチー!! ドタドタドタドタッ


提督「ったく、喧しい奴だ」スクッ

403: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/23(土) 23:56:21.14 ID:5zsj94Beo
提督「えーっと、し、し…深海……お、あった。えー、何々……」テクテク


深海棲艦とは?

存在が認知されたのはここ数年のことで、誕生の瞬間やどこから来たのか等、その存在の殆どが未知である。

一説には悪霊や怨霊の類ではないかと言われているが、それならば実在する砲弾などが当たる原理と食い違ってしまう。

名の通り、深海棲艦は深海より遣われた使者ではないかとも言われているが、少しも友好的な振る舞いを見たことはない。

もう一つの解釈として、船乗りの間では伝説として言い伝えられている船に宿る妖精が実体化したのでは、ともある。

クラバウターマンと呼ばれるその妖精が宿る船は決して沈むことがなかったと言われ、船でそのクラバウターマンを

見かけると、その船に災い(この場合、大抵が船の沈没を意味していた)があるとされていた。

もしも、深海棲艦がこのクラバウターマンに似る存在だとするなら、何故実体化してまで人類を襲うのか。

また、船を守るはずの存在である妖精が何故、その行いとは真逆の行動に出ているのか、謎は深まるばかりだ。


提督「はぁ…まぁ、実際に深海棲艦を見た事もない連中じゃ憶測でしかものは語れないのも道理か……ん?これは……」


今から遥か昔、1900年代の話。

深海棲艦と今尚戦っている艦娘達と同じ名を冠した海軍の艦が存在していた事は皆さんはご存知だろうか。

今も学校の歴史で習う事も多いであろう戦争に関する記述、その中に登場する戦艦や重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦と

様々な艦が戦時中も活躍していたとされている。

それらの艦には立派な名前が付けられており、どれも凛々しい名を博していたとされている。

無事に航行を終えて各々の鎮守府へ帰還した艦もあったようだが、その大半は海洋作戦の任務遂行中に轟沈し、今も

まだ深い暗闇が支配する深海にその身を下ろして静かに眠っているという。


提督「待てよ…ここ、最近で…記事になるような大きな深海棲艦との戦いは…」パタン…

提督「……ない。じゃあ俺はなんで以前、神通にあんな話をしたんだ?神通も当たり前のように答えてた…」ペラ…

提督「深海棲艦、艦娘、そしてこの手記……」ガタッ

提督「……せん、きゅうひゃく……艦名図鑑、あった……!川内型二番艦軽巡洋艦神通…艦名は岐阜県・富山県
を流れる神通川に因んで命名された。全く、同じ…艦歴、コロンバンガラ島沖海戦…!1943年って…なんで、俺
はこの史実を知ってたんだ。いや、実際にコロンバンガラ島での戦闘内容を知ってたわけじゃない。どういうこ
とだこりゃ、訳がわからん…深海棲艦と艦娘は何かしらで繋がりがあるって事なのか…」

409: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/24(日) 21:27:19.10 ID:pmraf8f3o
-大本営-

北上「ちょ、何今の動き、榛名っちヤバくない…?」

榛名「はぁ、はぁ…」

川内「軽巡の私でも驚く身のこなしだね」

大和「残り後、二日でしたね。正直、私とビスマルクの二人を相手にここまでできるとは思いませんでした」

ビスマルク「Gut. 初期に比べればたいしたものよ。成長著しいとはこの事ね?」

大和「うふふ、そうですね」

ビスマルク「他の四名も、随分と成長したわ」

大和「那智達を相手に善戦してたものね」

410: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/24(日) 21:33:56.65 ID:pmraf8f3o
大淀「以上が今回の榛名さん達の詳細なデータになります」

元帥「……率直に見て、大淀、君はどう思うかね」

大淀「どう、とは?」

元帥「この数値だ。大和やビスマルクを強化した時には見れなかった数値だ」

大淀「……私見になりますが、それでも構いませんか?」

元帥「うむ」

大淀「元帥は感情の起伏による状態の変化、と言うものをご存知でしょうか」

元帥「どういう意味かね?」

大淀「人は感情を昂ぶらせたり、落ち込ませたりする事で潜在する能力が大幅に上下する、というものです。
今回であれば、彼女達七名は常に戦意高揚の状態で演習を行っていたという事ですね」

元帥「それだけでこうも変わるものか?」

大淀「ある一つの思いを常に秘めて、それを成さんと邁進する姿勢、つまりそれは成長しようと努力する姿勢に
も繋がります。結果として、近代化改修の仕様も自ら受け入れ理解し、即座に自らの糧として克服…流れ込んで
暴れようとする力を、大和さんやビスマルクさんは精神力や力でねじ伏せてきましたが、彼女達は全員、一度は
受け入れてそれを中和させ、確実に自らのものにしているように感じました」

元帥「なんと…」

大淀「検証を重ねる毎に、私は確信に近いものを得られたと考えてます。ここまで彼女達の意思を固定化させ、
一つの権化にも等しい存在へと昇華させた思いとはなんなのか、非常に興味を引きますね」

元帥「はっはっは…なるほどなぁ。いや、大淀、君の考えは実に的を射ている。たった一つの信じるもの、か」

大淀「ですが不確定要素であるのも事実です。それを信じきるだけの信念とは如何程なのか…」

元帥「ふふっ、彼女達にはあるんだよ、信じきれるだけの信念がね。揺ぎ無いとはまさにこの事か。錬度を超え
た更なる高みがあるとは…」

411: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/24(日) 21:48:05.16 ID:pmraf8f3o
大淀「彼女達こそ、まさに新星になりえる存在かもしれませんね」


コンコン…


元帥「む?」

祥鳳「失礼します、元帥」

元帥「どうした、祥鳳」

祥鳳「再び、提督鎮守府が襲撃を受けた件で、後輩提督の捕縛に成功したと…その報を受けてこちらで引き取り、
今聴取室への連衡が完了して大将提督二名で聴取を遂行中という事です」

元帥「捕らえたのか!」

祥鳳「はい、ですが提督からは余り宜しくない報告も共に頂いてます」

元帥「それは……」


バンッ


大淀「なっ、摩耶さん!?場を弁えて下さい!」

摩耶「っせー!そんな場合じゃねぇんだよ!元帥、ヤベーって、後輩提督の野郎を大将連中が聴取してたんだがよ、
中将提督がいきなり聴取室に乗り込んできて野郎の発言にブチ切れたのか、後輩提督をブッ刺しやがった!」

元帥「なっ…!」

祥鳳「そ、そんな!」

大淀「なんて事を…!」

元帥「大淀、聴取に加わっていた者達を今すぐ会議室へ召集しろ。なんて失態を…!」

412: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/24(日) 22:04:31.34 ID:pmraf8f3o
-少し前-

後輩「いいから早く僕を殺せェ!」

大将1「何を戯けた事を…貴様の行いにどれだけ周りの者が振り回されたと思っている!言っておくが、貴様の体
が変容したという話は既に聞いている。現時点じゃ殺しもしないが、拘束も絶対に解かんぞ」

大将2「二度に渡る提督大佐の鎮守府に対する奇襲行為。中将鎮守府の襲撃に貴様の鎮守府の壊滅行為。反逆と言
うには些か業が積り過ぎだな」

後輩「平和ボケしてる奴を見ると虫唾が走るんですよぉ…たかが僕一人の尋問に大将が雁首揃えて、はははっ…
ホント暇なんですね、横須賀、舞鶴、佐世保といった鎮守府は!」

大将1「口を慎め。本来であれば貴様の聴取は提督鎮守府の提督大佐自らが執り行う予定だったんだ。だが、貴様
の奇襲と艦娘達の事後処理でそれ所ではない故、改めて私達が遣わされたのだ」

後輩「だったら提督大佐殿を連れてきなよ…来た瞬間、今度こそ殺してやるからさぁ!!」


ガチャ…


大将2「ん……?お、おい。今は我々以外の…」

??「耳障りな声だな」

後輩「ひ……!」

??「もう喋るな、下衆の畜生以下の生物がッ!!」バッ

大将1「お、おい!やめ……」


ドシュッ


後輩「ぁ、が……っ!」


ガシッ


??「本望でしょ?殺せ殺せって喚いてたんだから…願ったり叶ったりでしょう?」ボソッ…

後輩「お…まえ……ッ!」ググッ

??「触れるな、汚らわしい!海軍に対する仁義を捨てた貴様に相応しい末路を与えてやったまでだ!」バッ

大将1「中将、貴様ッ!」

大将2「自分が何をしたか解ってるのか!?」

中将「解っています。ですが間違った事をしたとは微塵も思っておりません!」

大将1「き、貴様…新鋭中将か、何故こんな真似を……!」

新鋭「こういう男が許せないんですよ!仁義礼智信を重んじない、海軍に仇名すような、こういうヤツが!」

後輩「げほ……ッ!」(クソ、女ぁ……ッ!)

新鋭「」ニヤッ…

413: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/24(日) 22:12:31.81 ID:pmraf8f3o
-休憩室-

バタバタ…


榛名「何だか騒々しい感じですね」

羽黒「何か、あったんでしょうか」

飛鷹「んまぁ、私達が気にしても仕方ないんじゃない?」

龍驤「せやせや、うちらは今は強ぅなる事考えて、提督驚かしたらなあかんねん。あと二日間やろ?」

川内「そうだね。まだ完璧って訳じゃないけど、新しい艤装の扱いも慣れてきたし…」

衣笠「あともう一押しってところかなぁ?」

北上「いや~、ただでさえスーパーな私が更にスーパーになっちゃうな~」

飛鷹「スーパーの上って何よ」

川内「え、そりゃウルトラとか?」

衣笠「ウルトラ北上さん?」

羽黒「某特撮のタイトルみたい、ですね…」

衣笠「帰ってきた北上マン」

龍驤「ぶっ」

榛名「」プルプル

羽黒「」プルプル

北上「でっかくなっちゃうよ~」バンザイ

衣笠「帰ってくれ北上マン」

北上「どぉいう事さ、それぇ!」

榛名「あははは!」

羽黒「くす……うふふ」プルプル

飛鷹「アホくさ…」

川内「あっはっは」

北上「アホ言うな!」

榛名「ふふっ、それじゃ今日は着替えて戻りましょうか」

衣笠「休むのも訓練のうちって奴よね」

418: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 20:08:13.77 ID:HhR5dF9Wo


~優悠閑適【ゆうゆうかんてき】~




419: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 20:08:40.83 ID:HhR5dF9Wo
-病室-


サァァァ……バサバサ…


長門「…………」

阿武隈「……長門さん」

看護士「阿武隈さん!?」

阿武隈「ぁ……」

看護士「もう、また勝手に病室抜けて…」

阿武隈「ご、ごめんなさい」

看護士「依然として気分は優れない?」

阿武隈「…気持ちの、整理が…つかないだけ、かも……そういえば、この間も、新しく複数の艦娘が隔離病棟へ
運ばれたって…!」

看護士「もう、何処で仕入れるのかしらね、そういう情報…」

阿武隈「提督は……提督鎮守府の皆は大丈夫だったの!?」

看護士「私は病院の一看護士です。軍の情報なんて解りませんよ」

阿武隈「あ…そ、そうですよね。ごめんなさい」

看護士「さ、少し離れてくださいね。長門さんの容態を……あっ」

長門「……手間を、かけたようだ」

阿武隈「……っ!長門さん!!」

長門「阿武隈か。どうした、覇気のない顔だ。そんな顔でどうする」

阿武隈「し、心配したんですよ!」

長門「ふっ、すまなかったな」ムクッ

看護士「ああっ、まだそんな直に起きたら危ないですよ!今、先生呼んで来ますから!」

420: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 20:28:06.38 ID:HhR5dF9Wo
-鎮守府-

提督「長門の目が覚めたそうだ」

陸奥「えっ、ホント!?」

提督「ああ。でな、俺なりに少し考え見たんだが、これは一つの提案だ」

陸奥「?」

提督「医師からの話じゃ、この先一般的な治療を施し続けたとしても、お前の両腕が動くようになる確率っての
は著しく低いらしい」

陸奥「…………」

提督「一部の神経やなんかがやられてるんじゃないかって話でな。でだ…望みの綱として、お前の両手を動かせ
るようにできるかもしれない策が一つだけある」

陸奥「え…?」

提督「前例もないし、成功すればお前が第一号の前例者となる。未知の領域の話だ」

陸奥「…構わないわ。このまま足手纏いで居るなんてやだもの」

提督「はぁ、お前だったらそういうだろうなって思ったよ」ポリポリ

陸奥「な、何よ…その諦めたような顔…」

提督「聞くだけ野暮だったなって思ったの」ポンポン

陸奥「ちょ、ちょっと!頭ぁ!///」

提督「いや、ほら…お前、腕動くようになったら防ぐだろ」

陸奥「あ、当たり前じゃないのよ!」

提督「なので、今の内にだな…」ペシペシ

陸奥「……頭突きするわよ」ボソッ

提督「え?」

陸奥「頭突きするわよ!」ブンッ

提督「うおっ、あぶねぇ!」サッ

陸奥「相変わらず身のこなしだけはいいわね…」

提督「げ、元気そうで何より…」ニガワライ

421: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 20:52:57.84 ID:HhR5dF9Wo
陸奥「腕動くようになったら覚えてなさいよ…」ジトメ

提督「し、死なない程度でリベンジは頼むわ…」

陸奥「ふんっ///」プイッ

提督「ま、それじゃ、明日にでも長門、陸奥、阿武隈、木曾、大鳳にも大本営の方へ移動してもらう」

陸奥「え?」

提督「ん?なんだ?」

陸奥「いや、話の流れから、私だけなのかなって…」

提督「あぁ…長門は開口一番、私はもっと強くなるぞ、提督。ついでに阿武隈の性根も叩き直すって意気込んで
てな…病み上がりの奴が言う台詞じゃねぇなと…」

陸奥「ふふ、姉さんったら…でも、なんで阿武隈なの?」

提督「レ級の恐怖が体に染み付いたままなんだろう。正直、解らないわけじゃないが…長門なりの荒療法が功を
奏せばって所だな。こっちも一種の賭けだ」

陸奥「それで、木曾と大鳳は?」

提督「強くなりたい病。俺より強い奴に会いに行く病。我こそ、最強の艦娘也病。まぁ色々あるだろうけどそん
な感じの突発性疾患だな」

陸奥「疾患って…」アセ

提督「先に伝えておくが、お前たちに施すのは近代化改修と呼ばれる一種の強化法だ」

陸奥「近代化改修?」

提督「元々は元帥殿が提唱していた艦娘の底力を上げる為に練られた強化実験の名称でな。不確定要素が多過ぎ
て公にするには今一つの根拠と確信に欠けるとして非公式水面下で独自に研究が進められていた内容だ」

陸奥「それを、する事で…私の両腕が動くようになるか以ってことなの?」

提督「元帥殿からの報告によれば、ただ近代化改修を受ければいいと言うものでもないらしい。確固たる意思を
以って、近代化改修の有り方を理解し、柔軟に対処する事が必要、とまぁ何言ってんだ?って話なんだがな…」

陸奥「いいわ、あのレ級とタイマン張れるくらいじゃないと、戦艦としての名折れよ。絶対、復活してみせる!」

提督「やれやれ、根は長門と同じ、やっぱあいつの妹分、長門型二番艦だな」

陸奥「ふふっ」ニコッ

422: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 21:07:08.69 ID:HhR5dF9Wo
-鎮守府・救護室-

木曾「っしゃあ!」

大鳳「言ってみるものね」


────────

────

──


提督「よし、後遺症もなし、問題はないな」

木曾「提督!」

提督「な、なんだよ」

木曾「俺さぁ、知ってんだよねぇ」

提督「何を」

木曾「提督の秘密?」

提督「んなものある訳ねぇだろ」

木曾「あれ、そうなの?」

提督「当たり前だ」

木曾「そっかぁ。いやぁ、じゃあこのDVDガセだったのかなー」チラッ

提督「DVD?」

木曾「おう!なんかこのDVDさ、提督の丸秘映像が映ってるってんで艦娘の間で今話題沸騰中なワケよ」

提督「はぁ?」

423: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 21:22:07.18 ID:HhR5dF9Wo
大鳳「なんの秘密なの?」

木曾「あー、なんでも榛名といちゃこらしてるヤツらしいぜ」

提督「ぶっ」

大鳳「い、いちゃこらって…///」

木曾「でもまぁ、提督がガセだってんだからきっとこれ夕張か北上が録画でもしておいたアニメかなんかだろ。
あ、そうだ!おい、大鳳、どうせ俺等病み上がりだしよ、このあとこのDVD見ようぜ!任務終わった奴等も後から
くるだろうしよ、皆で見れたほうがいいし、食堂で見るか!」

大鳳「え、えっ!?いや、だって、その…いちゃこらって……///」

木曾「え~?ガセだろ、ガセ。どうせアニメかなんかだって!」

提督「待ちたまえ、木曾」

木曾「あ?」

提督「そのDVDは没収だ」

木曾「え、なんでよ」

提督「なんでもだ」

木曾「いや、なんかすげぇ提督目がこえーんだけど…?」アセ

提督「寄越したまえ、木曾」ニコッ

木曾「やっぱこれ榛名といちゃこらした内容入ってんのか!?」

提督「じゃあかしいわ!さっさと寄越せ!!」

木曾「ぜってー渡さねぇ…!」

提督「提督命令に背くのか!?」

木曾「職権乱用だろうが!」

提督「ぐぬぬ…!」

424: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 21:49:18.17 ID:HhR5dF9Wo
木曾「強引に取ろうとしたらセクハラで憲兵に訴えるからな!」

提督「こ、この…!」ピキッ

大鳳「」(なんだろう、この駆け引き…提督に分が全くない…)

提督「いいからさっさと寄越せぇ!」

木曾「やだねー!あ、そうだ。じゃあ一つ条件出してやるよ」

提督「あぁ!?条件だと?」

木曾「俺と大鳳に近代化改修ってヤツ、やらしてくれんなら話聞かないこともねぇなー」

提督「ぶっ」

木曾「どうよ、提督」

提督「お、おま…なんで近代化改修のこと知ってんだよ!トップシークレット事項だぞ!!」

大鳳「い、以前に酔っ払った先輩提督から…私が聞きました」

提督「あの昏睡馬鹿提督、何喋ってんだよ…!」

木曾「で、どーすんだよ、提督。この条件呑んでDVD回収するか、振って艦娘連中にこのDVD見られんの、どっち選ぶ?」

提督「鬼畜生か何かかてめぇは!」

木曾「へっへっへぇ、悪い提案じゃあねぇだろ?むしろアリだな」

提督「極悪非道の盗賊の台詞だぞ、お前…」

木曾「なんだよ、まだ不安なのか?大丈夫だ。俺を信じろ」ニヤリ

提督「お前のにやけ面見て何を信じんだ、アホタレ!くそ、わかったよ…わかったからだからDVD寄越せ」

木曾「お、交渉成立だな?じゃ、この場で大本営に連絡してくれよ」

提督「はぁ!?」

木曾「だって渡した瞬間、やっぱなしって提督なら言いかねねぇだろ」

提督「」(エスパーかよ、くそが!)

大鳳「」(図星だったんだ…)

木曾「目が泳いでんじゃねぇか!やっぱりかよ!!」


──

────

────────


大鳳「まさか脅迫が成功するなんて…」

木曾「ま、あのDVD夕張から借りてたアニメなんだけどな」

大鳳「えっ」

木曾「へっへっへぇ、やっぱうちの提督は解る男だぜ。それじゃ、久々にてめぇの部屋にでも凱旋しますかぁ!」ニコニコ

大鳳「」(木曾、恐ろしい子…)

425: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 22:11:37.41 ID:HhR5dF9Wo
-執務室-

提督「ったく…木曾の野郎、こじつけ方が陰湿なんだよ…」

金剛「提督?」

提督「大体何がいちゃこらしてるDVDだ、ふざけやがって。ただのアニメじゃねぇか」

金剛「目を離さないでって言ったのにィー!提督ぅー、何してるデース!?」

提督「ふぁ!?な、なんだ金剛」

金剛「もー!私の話そんなにつまらないデスカー!?」

提督「す、すまんすまん」

金剛「それより、その真っ二つに割れてるDVDは何ー?」

提督「木曾に掴まされたガセネタだ」

金剛「What?」

提督「気にすんな。それよりさっき話した五名の件も踏まえて折り返す形で榛名たちが戻ると思うが、八月に入
ってまだお前たちに正式な休暇を与えてないと思ってな」

金剛「ここ最近は事件多かったから仕方ないネー」

提督「ま、そんな訳だからあいつらも戻ったばかりで疲れは溜まってるだろうし、少しタイミングとしちゃあれ
だが盆休みを企画した。夕方の全体会議のときに全員に正式に通達するからこの資料を人数分揃えておいてくれ」

金剛「OK!任せるネー!」

426: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/25(月) 22:23:18.76 ID:HhR5dF9Wo
-会議室-

提督「よし…長門、陸奥、阿武隈に関する経過報告はさっき話をした通りだ。リハビリも兼ねてこの三名と木曾、
大鳳には大本営で調整を行ってもらうために合宿じゃないが暫くの間ここを空ける。そして各自に配った資料だが……」

赤城「全員にそれぞれ自分の名前が振り分けてありますが…」

夕張「あ、これ…」

提督「以前に夕張から提案を受けてな。それぞれの身体データと合わせて皆に最適な艤装の調整を行ってもらい
たい。それぞれ使い慣れた艤装ってのはあると思うが、それが最良なのかどうか、今一度自身で吟味した上で考
えを改めるかどうかしてもらいたい。が、明日からの数日間を使ってという訳じゃない。盆休みは盆休みでそれ
ぞれ有意義に使ってくれて構わん。だが配った資料にだけは目を通しておいてくれよ。休み明けに改めて全員の
意見を聞いた上で、資材と相談しつつ妖精さんに艤装の注文を促す。以上だ」


ワイワイ ガヤガヤ


提督「赤城、大鳳、翔鶴、瑞鳳、飛鷹、龍驤の六名に関しては俺の知識不足も相まってこれといった助言が出来
ない状態なんだが、その辺りのフォローってのを大鳳は明日から居ないから、赤城や翔鶴に任せていいか?」

赤城「はい、私は大丈夫ですよ。ただ、新しい子たちについては、ちょっと知識不足かもしれませんが…」

翔鶴「大鳳さんも居ませんから一概には言えませんが、私達の構成や艦載機の仕様等は説明できるかと…」

提督「それで構わん。瑞鳳も二人から話を聞いた上で、自分に最も適した形を見出して見てくれ」

瑞鳳「解りました!」

432: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/26(火) 23:23:22.62 ID:BOlQDnPho
-執務室-

提督「ふぅ…」


ジリリリリリ……


提督「っと…」


ガチャ…


提督「はい、こちら提督鎮守府。提督大佐……」

榛名『あっ、提督!』

提督「おぉ、榛名か。その声、元気そうだな」

榛名『はい!榛名は元気です!』

北上『いぇーい、提督ぅ~、み~てるぅ~?あ、見えないか』

提督「はは、今の声は北上だな?」

衣笠『残念、衣笠さんよ!提督、衣笠さん居なくて寂しくなかった?なかった?』

榛名『ちょ、ちょっと衣笠さん!』

衣笠『あら、妬いてる?妬いてる?ほらほらぁ♪』

榛名『も、もう!』

提督「やれやれ…騒がしい連中だな」


ヤーセーンーッ!!


提督「……今の声、川内だろ。何喚いてんだ?」アセ

榛名『あ、あはは…訓練はしましたけど、昼戦ばかりでしたから』

433: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/26(火) 23:43:29.57 ID:BOlQDnPho
提督「そういや、羽黒は大丈夫だったか?」

榛名『はい、羽黒ちゃん。提督です』

羽黒『あっ、も、もしもし?』

提督「おう、無事乗り切ったな、羽黒。よく頑張った」

羽黒『は、はい!ありがとうございます!』

榛名『もう、羽黒ちゃん、そこでお辞儀しても意味ないよ』

羽黒『あっ、そ、そうでした///』

提督「ははは、ま、何はともあれ元気そうで何よりだ」


アッ、ナンヤネン!ハルナチャン、テートクニデンワシトルヤナイカイ!!ウチニモハナシサセェ!!


榛名『わっ、ちょ、っと……』

龍驤『うちやー!龍驤やでー!』

提督「はいはい、ったくお前はホント自然体だな」

龍驤『しぜんたい?なんやそれ、うちにはよーわからんて。あっ、せやせや!うちと飛鷹むっちゃつよなってんで!』

提督「ほぅ、そうか。じゃあ戦果は期待していいわけだな」

龍驤『とーぜんやん!なー、飛鷹?』


モウ、ソンナオオゴエデハシャガナイデヨ。ミットモナイワネ!


龍驤『なんやねん、さっきまで提督きっとビックリよね!とか言うて自分がめっちゃはしゃいどったやないか……』


ワーッ!!ウワーッ!!


龍驤『なっ、なな、なんやて、やめーや、あぶな……あっ』

434: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/26(火) 23:48:21.48 ID:BOlQDnPho
提督「はぁ……何やってんだか」ポリポリ

北上『っとぉ、セーフセーフ…いやぁ、若いっていいね~、しびれるね~』

提督「往年の年寄りかお前は…」

北上『まっ、でっかいお土産七つがもう直届くからさ、提督も首洗って待ってなさいって』

提督「言葉の使い方おかしいだろ!?」

北上『あれ、そう?首絞めて待ってろ?あれ?』

提督「はぁ、もういい…榛名に代わってくれ…」

北上『はいは~い、愛しいあの子にチェ~ンジ』

提督「ばっ、おま……!」

榛名『も、もう北上さんったら…ご、ごめんなさい、提督』

提督「いや、まぁ…正直ホッとしてる。元帥殿から最初話を貰ったとき、お前らがやるって言ったとき、どっち
も気が気じゃなかったのは事実だよ」

榛名『しかも、私達と入れ違いで今度は長門さん達が…』

提督「あぁ……まぁ、正直賭けだ。長門や木曾、大鳳はきっとスキルアップが目的なんだろうが、心配なのはや
っぱり陸奥と阿武隈の二人だ。元帥殿からの伝で内容は聞いてるだろうが、陸奥の両手は未だに腕の部分から自
力で動かすことができない状態だ。阿武隈もレ級の恐怖が拭いきれず、未だにフラッシュバックを起こしている
って聞いてる。何とかしてやりたいとは思う反面、どっちも俺の領分を当に越えててな」

榛名『最後の望みと言う事なんですね?』

提督「そういうこと。実際、近代化改修を受けてみてどうだった?」

榛名『二週間で計五回実践しました。始めこそ順応するのに苦労はしましたが、新しい感覚とでも言うのか、湧
き上がってくるものは感じ取れました』

提督「そうか…その作用が陸奥の両手を再度復活させる切っ掛けになればと思う。取り敢えず、お前たちは今日
はそのまま寮の方へ戻ってもらって構わない。明日にでも一度執務室の方へ顔を出しに来てくれればいい」

榛名『はい!了解です!』

435: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 00:05:38.69 ID:YuaNVXRyo
-数時間後・鎮守府-

提督「ふぁぁ……はぁ、げっ…もうこんな時間かよ。まぁ、ある意味秘書艦代行してくれた奴等先に帰して正解
だったか。ここまで晩くなるとは想定外だったなぁ。つってもまだフタフタマルマルちょい過ぎか。あぁ~……」ノビノビー


コツ、コツ、コツ、コツ…


提督「ぇ……?」


コツ、コツ、コツ、コツ…


提督「え、何…これ、何の音…」アセ


コツ、コツ、コツ、コツ…


提督「おいおいおいおい、マジかよ。え、出ちゃうの?ここってそういう系?」


ニャー


提督「にゃー?」ソローリ


ガチャ…


キリ「ニャーン」

提督「……なんでお前ここにいんだよ」

キリ「ニャ?」テテテテ…スルリ…

提督「あ、こら…はぁ、ったく…」


バタン


提督「金剛んところから抜け出してきたのか、お前」

キリ「ニャン」ゴロゴロ…

提督「あのな、ここはお前の憩いの場じゃねぇっての…ほら、もう出るんだから、行くぞ」

キリ「ニャー」ピョン トン トン スタッ

提督「だからなんで俺の頭の上なんだよ!」

436: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 00:10:42.79 ID:YuaNVXRyo
キリ「ニャン」フンス

提督「ったく…」スッ


ガチャ…


提督「え?」

榛名「あっ」

提督「おまっ、こんな時間に何してんだ」

榛名「て、提督こそ…っていうか、どうしてキリちゃんを頭に乗っけてるんですか…」

提督「金剛んところから抜け出してきたんだとよ」

キリ「ニャン」ドヤァ

榛名「心なしかドヤ顔でアピールしてますね」

提督「で、真っ直ぐ寮の方へ戻れって言ったはずなんだが、お前は何してんだ?」

榛名「そ、その…一目、顔、みたいなって…でも、ちょっと遅いからいるかどうか、不安だったんですけど…」

提督「疲れてたんじゃないのか」

榛名「つ、疲れてますけど…」

提督「けど?」

榛名「……あなたに会いたかったんですっ!どうしても今日、会いたかったんです!」ガバッ

キリ「ニャッ」ビクッ ピョンッ

提督「っと…!なんだよ、ホームシックか?」ポンポン

榛名「そうかも、しれないですね。あなたの声を聞いて、顔を見たら、とても安心しました」

キリ「ニャー…」ムスッ

榛名「あっ、ごめんね、キリちゃん」

提督「んだよ、邪魔すんなよ」

437: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 00:11:14.59 ID:YuaNVXRyo
キリ「シャー」ネコパンチ


ビシッ ビシッビシッ


提督「いてっ、いてぇって!」

榛名「ふふっ」

提督「んだよ、わかったよ。悪かったよ!」

キリ「ニャアー」ベシベシ グィー…

提督「なんだよ、もう。悪かったって…今度はなんだよ、こら…制服は噛むなって!」

キリ「ニャア!」タッタッタ…クルッ

提督「なんて野郎だ…」

榛名「なんかまだこっち見てますよ」

提督「あぁ?」

キリ「ニャア!」

提督「何なんだよ」

榛名「そっちに何かあるの?」

442: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 23:22:48.87 ID:xi6hv0XCo
提督「はぁ、もうなんだよ…結局外出てんじゃねぇか」

キリ「ニャア…」クイッ

榛名「あっ…」

提督「ん?」

榛名「提督、ほら!あれ!」


ヒュー……ドン ドン ドン……パパパパパッ


提督「おぉ、花火か」

榛名「わぁ、綺麗…」

キリ「ウニャーン…」ネソベリ

提督「夏の風物詩か…そういや、ここに来る前の夏は天龍や龍田、龍驤に筑摩、皆で花火したっけ」

榛名「今年はどうするんですか?皆でやるには、ちょっと大掛かりですよ?」

提督「そうだなぁ…つっても、もうお盆休み突入で各自でしたい事するだろうし…だから」グイッ

榛名「わっ」

提督「花火はお前とやる事にする」

榛名「わ、私の意見は無しなんですか!?」

提督「おっ、先約でも居たか」

榛名「うっ…い、いないですけど…」モジモジ

提督「はは、まぁ今は目の前に上がってる花火でも眺めてっか。あの辺りにでも座るか」

榛名「は、はい」

443: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 23:32:44.43 ID:xi6hv0XCo


ヒュー……ドン ドン ドン……パパパパパッ


提督「やっぱ職人の上げる花火はすげぇなー。よっと…」

榛名「そうですねぇ…どうやってあんな綺麗なのが作れるんでしょうか?」

提督「わかんね」

榛名「もう、少しは考えましょうよ」

提督「んー、あぁ、そういやなんか以前テレビで見たなぁ」

榛名「花火の作り方ですか?」

提督「まぁ、花火作ってる職人さんに密着みたいなヤツ。なんか色んな種類の火薬と炎色剤っての混ぜ合わせて
作るとかいってたな。事故も起こりえるから、最も注意払ってやるんだと。それ以外にもまだまだ色々と工程が
あって、最終的にはサッカーボールくらいのでかさになんだってな」

榛名「はぁ、そうなんですか。なんだか大変そうです。どれくらい期間としてかかるんでしょう?」

提督「テレビでやってたのじゃ、一年の大半は花火玉ってのを作成する時間に費やすみたいだぞ」

榛名「い、一年の大半ですか!?」

提督「そ、でもってこういう夏の季節になると花火大会とかあるから、その準備や打ち上げ作業行ったりで大変らしい」

榛名「はぁ…でも、そのお陰でこんな綺麗なものが私達は見れるんですよねぇ」

提督「最後、打ち上げた花火が夜空でフッと消えた瞬間、職人はやり切った、この花火玉は成功だって思うらしい」

榛名「流石、職人ですねぇ……ねえ、提督」

提督「ん?」

榛名「提督は、どうして海軍に入って、提督になったんですか?」

提督「理由か」

444: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 23:47:01.12 ID:xi6hv0XCo
榛名「榛名、いつも夢に見るんです。青く澄み渡る空、その空をジーッと見据えて、なんでそんな事してるのか
解らないんですけど、でもずっと空を見上げてて、そうしてなきゃいけないような気がして、ふっと気付くと目
が覚めてるんです。今の私の現状と何か関係あるのかなって考えては、結局答えは出ずって感じで…」

提督「……俺はね、元々は海軍に入るつもりはなかったんだよ」

榛名「え?」

提督「でもだからって、済し崩しって訳じゃない。親父が船乗りでね、その日もいつものように、朝も早くに船
を出して、大漁で帰ってくるからなーって、俺に手を振って出てったんだ」

榛名「あ、あの……」

提督「はは、まぁベタな話だよ。察しの通り、親父が戻ることはなかった。船は、船底を貫かれてて沈没…親父
を含めた乗員全員の姿は結局発見されずだ。やったのは深海棲艦だった。報告しに着てくれた海軍の人が、提督
だったんだよ。艦娘を一人従えててね。多分秘書艦だったのかな────」


────────

────

──


海軍提督「…すまない。君のお父さんや、そのお父さんの仲間のご遺体、結局発見するには至らなかった」

幼少提督「そう、ですか…」

秘書艦「…申し訳ありません!」

幼少提督「えっ…」

秘書艦「私達と言う存在が居ながら、見す見す一般市民を危険に晒してしまったこと、深く反省しています」

海軍提督「本当に、申し訳ない…こんな結果になって、本当に……自分も悔しい」

秘書艦「二度と、君のような悲しい子を増やさない為に、私達も一層精進します。必ず…!」

海軍提督「君に誓う。同じ悲劇は決して起こさない」


──

────

────────


提督「その提督さんが今どうしてるかは解らんが、その時かな。あぁ、海軍ってすげぇなって思ったのは…」

榛名「じゃあ、お父様が亡くなって、それが切っ掛けで…?」

445: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/27(水) 23:57:05.29 ID:xi6hv0XCo
提督「まぁ、多分そうかな。船に乗る機会はあんまないけど、道も違うけど、親父と同じ海の仕事に就きたいと
思ってた。開いた扉が海軍だったってだけだ」

榛名「少し、羨ましいです…」

提督「自分が何で艦娘なのか、解らないからか」

榛名「…はい」

提督「今は、それでも良いんじゃないか。いつか解る日がきっとくる。近い未来か、遠い未来か…そこは解らな
いが、きっと解る日がくる。そん時にどうしても不安で心配で仕方ないって時は、俺や皆が待ってるこの鎮守府
の事を思い出せ」

榛名「提督…」

提督「解らんことを今考えてても、どれも憶測だけで答えには辿り着かないしな。だったら今のことを考えて、
何処に戻るのかを考えろ。誰が何言おうが、お前が戻る場所はこの鎮守府で、ここがお前の家なんだから…」

榛名「はい、ありがとうございます」

提督「ん…花火も終わりか。今日は仮眠室にでも泊まるかー」

榛名「私も疲れたのでお供します」

提督「ったく、めんどくさがりめ」

榛名「ふふ、それはあなたも、でしょ?」

提督「ん、違いない」

榛名「あはは」

提督「はは…っと、ほらキリ、いつまで寝そべってんだ。行くぞ」

キリ「ンニャ」キョロキョロ

榛名「キリちゃん、一緒にいこっか。よいしょー」ダッコ

キリ「ニャニャ…」

446: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 00:18:39.28 ID:Zs0n7/48o
羽黒「き、北上さん…!やっぱり、こういうのって良くないですよ!」コソコソ

北上「羽黒っちは真面目だねぇ。一度は寮の方まで一緒に着たのに、一人隠れてこそこそと抜け出すのを見たら
そりゃあ、着けるでしょ」

羽黒「は、発想が飛躍してないですか!?」

北上「まぁまぁ、お陰で二人のイチャラブ見れるんだし、そこらの三流ドラマのラブシーンより貴重っしょ」

羽黒「わ、私は先に戻りますよ?榛名さんにもなんだか悪いですから」

北上「はいよー。気をつけてね~。さてさて…用意した双眼鏡で……あれ、どこいった?んお、あれ金剛っちの
ネコじゃん…さっきまで榛名っちが抱えてたはずだし、近くに~…」

提督「どうだ、よく見えるか?」

北上「いや~、今探してる最中~」キョロキョロ

榛名「見つかりそうです?」

北上「中々……ん?」クルッ

提督「よう、北上さん」ニコッ

榛名「こんばんは、北上さん」ニコッ

北上「うひ……」


ギャァァァァァァァァァァァァァ


羽黒「」ビクッ

羽黒「み、見つかったんだ……さ、触らぬ神にたたりなし、ですよね。うん、きっとそうです」タッタッタ

447: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 00:27:45.40 ID:Zs0n7/48o
-鎮守府-

提督「ったく、あのバカ上め…」

榛名「つ、着けられていたとは…」

提督「隠しカメラとかねぇだろうな…」

榛名「えぇ……ま、まさかそんな事は……」


-艦娘寮-

北上「おにょれ……しかーし、ひっそりと隠して設置したこのカメラで……ポチッとな……」


提督&榛名ドアップ


北上「ひぃ……!」ズザザ

提督(我、明日、北上ヘ誅罰ス)手書き

榛名(北上サン、月夜バカリト思ウ事ナカレ)手書き


ブツン……ザー……


北上「ヤバい……バレた……」


翌日、説教部屋から絶え間なく北上の叫び声が聞こえたそうだ。

451: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:28:58.83 ID:kXXyOBvVo





~遊び尽くせ~



452: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:29:29.73 ID:kXXyOBvVo
-艦娘寮・休憩室-

北上「あ゛~…ヒドイ目にあった。まさかあそこまでブチ切れるとは…」

島風「あれ、北上さんじゃん。何してーんの?」ピョコン

北上「んあ?なんだ、駆逐艦か…」

島風「もー、なによー」ブーブー

北上「べーつにー、する事もないしなんか扱かれたし、見ての通り机に突っ伏してるだけー」

島風「えー、折角のお休みなんだから遊ぼうよー!」

北上「はぁ?それあんたの理屈でしょ~。私には関係ないし」

島風「む、ホントに予定何もないの?」

北上「うっさいなー、ないってば」

島風「じゃあ一緒にあそぼー!」

北上「あのさ、私の話聞いてた?」

島風「聞いてない」

北上「聞けよ、駆逐艦!」

島風「細かすぎー!いいからあそぼー!」

北上「あ゛~、駆逐艦ウザい…」

島風「まーまー、細かいこと気にしてると老けちゃうよ!って事で、白露達にも知らせてくるねー!」サッ

北上「あ、こらっ、勝手に数に……って、もう居ない。速すぎでしょ…んあ~、めんどくさいなぁ、もう…」

453: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:30:45.96 ID:kXXyOBvVo
-結局-

白露「やっほーぃ!」

夕立「お待たせー!」

時雨「急にゴメンよ、北上」

島風「よーし、プール、プールー!」

北上「はぁ、なんでそんなテンション高いわけ…?」

時雨「ふふっ、羽を伸ばす機会はそんなにないからね。少し枷が外れてるんだよ」

北上「っていうか、あんたアレだね~。ふむふむ…」

時雨「え?な、なんだい…?」ドキドキ

北上「あ、いや…まっ、時雨っちらしい感じ?服装、ラフなその感じは嫌いじゃないよ~」

時雨「ふふ、北上のラフさには負けるよ。けど、ありがとう」

北上「うっさいなー、スカートとかあんま好きじゃないんだよ~。足元スースーするじゃん」

白露「ほらほら~、二人とも急がないと!おいてっちゃうよ!」

北上「あ~、ウザい…」

夕立「北上さん、夕立達と遊ぶのヤダ?」

北上「うっ…」(ド直球に聞いてくるかね、普通!これだから駆逐艦は…!)

時雨「夕立、そういう聞き方は失礼だよ」

夕立「え、そうなの?」

島風「えー!楽しいのにー!」

北上「」(このうさぎヘアバント小娘…ひん剥いてやろうかって、そういえば今日はうさぎヘアバンドじゃないな)

島風「ん?なぁに?」

北上「いや、あんた今日はリボンのヘアバンドしてんだね」

島風「ん?あー、うさぎさんは正装のヤツだしね!」

白露「ねーねー、今月からオープンしたっていうプールってさ、どんくらい大きいのかな?」

時雨「さぁ、僕も当然だけど行くの初めてだからね」

夕立「行ってみれば解るっぽい!」

島風「だーよねー!泳ぎまくるぞー!」

北上「はぁ」(なんで私、駆逐艦のお守りしてんだろ。まぁ、暇よりは良いけど…)

454: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:41:01.41 ID:kXXyOBvVo
-プール施設-

島風「てってれー!やってきまーしたぁー!」バンザイ

白露「いぇーい!いぇーい!」ガッツポーズ

夕立「準備運動は必要!」

時雨「はしゃぎすぎも良くないね」

北上「っていうか、なんで私の水着あんた等がもってんのよ」

夕立「ふぇ?なんか寮に置き去りにされてたから私がもってきといた!」

北上「ははは…」(余計な事をぉ!)

島風「むー、北上さん私よりおっきい…」モ モ 

北上「うへあ!ちょ、あんた何すんの!?」チョップ


ビシッ


島風「オゥッ!」

北上「ったくもー…油断も隙もない。あー、もうウザいからさっさと泳いできなよ」

島風「はーい!島風、いっきまーす!」ザバァ


ダババババババ…


北上「はやっ!」

白露「さ、流石にあそこまで速いとは…」

455: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:44:39.46 ID:kXXyOBvVo
夕立「それっ」バシャ

時雨「やったな!このっ!」バシャ

夕立&時雨「」キャッキャ

白露「ドルフィンキーック」ドババババ

夕立「はぶあ!」

時雨「うわっ、ちょ…!」

北上「はぁ、やれやれ…」

白露「む、何を澄ました顔をしてるのかな、北上さん」

北上「へ?」

島風「えいっ」


ドン


北上「んあ~!?あ、ちょ、おち……たぁ!!」ヨロッ


ザバァァン


北上「ぶはっ!おいこら、くちk……」

夕立「ソロモンの悪夢、見せて上げる!」バシャァ

北上「ぶほっ」

島風&夕立「「いぇーい」」ハイタッチ

北上「こ、ころす……あんたらねぇ、スーパー北上さま怒らせて、ただでs……」

時雨「残念だったね」バシャァ

北上「はぶあっ」

456: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/28(木) 23:56:10.54 ID:kXXyOBvVo
白露「いーっけぇー!」バシャバシャバシャ

北上「やべろ…はばぶ、げほっ、うるああああああ!!」ザバンザバンザバン

島風「わっ、わわ、北上さんの反撃っ!?」

白露「げほっ、鼻に入った。けほっ…むぅぅ、こんにゃろ!」バシャバシャ

夕立「み、水の弾幕がはんぱないっぽい!」

時雨「こ、これは…あはは、近付けないね」

北上「おらおらおらーっ!」バシャバシャバシャ

島風in水中「」ニヤリッ

北上「むっ、両足に違和感……」


グイッ


島風「バンザーイ!」ザバァ

北上「うわぁ!」ドボン

島風「ふっふっふ。私に勝とうなんt……」


グイッ


北上「しゃおらあああ!」ザバァ

島風「はうあああ!」ドボン

北上「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…次はどいつだ、こんちくしょう」

夕立「あはは、北上さんが本気っぽい?」

時雨「重雷装艦の本気は怖いね」

白露「島風の仇、とるわよ~!」

島風「ぷはぁ!死んでないし!」

460: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 20:14:48.83 ID:Ghn4Wsb7o
-帰り道-

北上「け、結局一緒になってはしゃいでしまった…つ、疲れた…」

白露「楽しかったね~」キラキラ

時雨「うん、海も良いけど、プールっていうのもまた良いね」

夕立「今度はシャーク一号を持ってくるっぽい!」

島風「北上さん、またいこーね!」キラキラ

北上「……は?」ゲッソリ

島風「あれ?」

北上「マジ、もう二度と行かない」

白露「えーっ!なんでー!?」

北上「疲れるからだよ!あ~、もう…帰ってゴロゴロしながらマンガでも読もう…てか、なんであんたら終始そ
のテンション維持できるのか、そっちの方が私は不思議だっての」

白露「えーっ、だって大好きな人とか、一緒に居て楽しい人とか、そういう人達と一緒にこうして遊ぶだけで、
もうテンションうなぎ上りだよ!」

島風「ねー!北上さんと遊ぶのチョー楽しいー!」

461: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 20:34:48.46 ID:Ghn4Wsb7o
白露「よーし、艦娘寮まで競争!絶対、私が一番なんだから!」

島風「むむ、またも私と駆けっこ勝負ですか?負けませんよ!」


ダダダダダダダダ


夕立「さ、流石にあそこまでの元気は、私にはないっぽい…」

時雨「僕も、あそこまでは無理かなぁ」

北上「…はぁ、これだから駆逐艦ってウザいわ。ま、息抜きは出来たよ。ありがとね」クスッ

夕立「ふふふ♪」

時雨「ふふっ」

北上「あ~、このまま真っ直ぐ艦娘寮行くとまた白露っち達に捕まりそうだし、私は鎮守府寄ってから戻るわ~」

夕立「鎮守府に何かあるっぽい?」

北上「ははは…野暮用」

時雨「?」

北上「若人は気にしなさんな~。じゃね~」ヒラヒラ

夕立「北上さんも十分若人っぽい」

時雨「時折、言い回しが面白いね。さ、それじゃ僕達も戻ろうか」

夕立「うん!」

462: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 20:48:18.64 ID:Ghn4Wsb7o




~食い尽くせ~



463: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 20:50:08.68 ID:Ghn4Wsb7o
-弓道場-

赤城「はっ」


ビュッ タンッ


翔鶴「ふっ」


ビュッ タンッ


瑞鳳「ん~…それっ」


ビュッ タンッ


飛鷹「はい、ちょっと休憩よ」

龍驤「ほれ、龍驤さんの特性たこ焼きやで!」

赤城「ふぅ、飛鷹さん、龍驤さん、ありがとうございます」

翔鶴「悔しいけど、赤城さんの錬度にまではまだ達せそうにありません」

瑞鳳「うう、回を重ねる毎に的からズレてく…」

赤城「翔鶴さんも瑞鳳さんも、精度は格段に向上してると思いますよ」

飛鷹「っていうか、折角休暇貰ってるのに練習って…よくやるわね、あなた達」

赤城「ふふっ、それを言うなら飛鷹さんこそ、大本営から戻って間もないというのに付き合ってくれてるじゃな
いですか。お相子ですね?」

飛鷹「はいはい、解ったわよ」

464: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 21:21:16.67 ID:Ghn4Wsb7o
瑞鳳「うーん…」

翔鶴「どうかしましたか?」

瑞鳳「引分けが弱いの、かなぁ…」

赤城「会は引分けの完成ですが、それまでの工程は全て会に至るまで準備、そう考えると精神的には無限の引分けですね」

瑞鳳「え、えっと…はい?」

赤城「構えや引分け、会云々と言うよりも瑞鳳さんにあった型で押し通すべきかと思います」

翔鶴「会者定離、という奴ですね。合うものは離れる。会から離れは一瞬ですから、瑞鳳さんの放つ裂帛の気合
発動と共に、自然と離れへ至ることが求められるかと思います」

瑞鳳「む、難しい…」

赤城「瑞鳳さんのペースでゆっくりと、で良いんですよ」

龍驤「な、なんやエライ、難しいこと言うとるな…」

飛鷹「そ、そうね…」

赤城「ふぅ、でもまぁ…今日はもうお開きにしましょうか。艦載機の子たちを休ませて上げたいですし、弓の手
入れも必要です」

翔鶴「皆様はこの後のご予定は?」

飛鷹「んー、私はどうしよっかなぁ」

龍驤「うちは買い物かなー」

瑞鳳「私は、どうしようかな」

龍驤「せや!どうせやし、空母組皆でお出かけせぇへんか?親睦深めるゆぅやつや!」

赤城「ふふっ、それはいいかもしれませんね」

翔鶴「賛成します」

瑞鳳「それじゃ、汗流して着替えてこないとね!」

龍驤「よっしゃ!そんならうちと飛鷹は先に着替えて待ってんで!」

飛鷹「まぁ、たまには良いかもしれないわね。それじゃ、正門で待ち合わせって事でいいかしら?」

翔鶴「はい、解りました」

465: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 22:02:38.35 ID:Ghn4Wsb7o
-鎮守府・正門前-

赤城「お待たせしました」

翔鶴「少し髪の毛乾かすの梃子摺ってしまいまして」

龍驤「おぉ…二人とも、あれやな…お、大人の女性スタイルやな…」

飛鷹「む、翔鶴のブラウス、デザインいいわね、それ…」

瑞鳳「うわあああ、遅れました!」

赤城「あら?」

瑞鳳「えっ、な、何ですか?あれ、なんか変ですか!?」キョロキョロ

赤城「あ、いえいえ。普段は袴姿の瑞鳳さんですから、スタイリッシュな格好の瑞鳳さんもこれはこれで、と言う意味です」

瑞鳳「あ…えへへ。ショートパンツとかの方が動きやすいので」

飛鷹「……カジュアルなダウンにデニムのショートパンツ。うん、中々これも……」

瑞鳳「あ、あの…飛鷹さん?」

飛鷹「へ?」

龍驤「君、さっきからファッション評論家になっとんで…」

飛鷹「い、いいじゃないのよ、別に!」

翔鶴「うふふ」

赤城「さぁさぁ、夏の日差しがこれ以上増す前に出掛けましょうか」

龍驤「おー!」

瑞鳳「やっぱり向かう先、まずは…」

赤城「食べ処、でしょうか?」

翔鶴「賛成です!」

龍驤「君ら食い意地張りすぎやっ!」

飛鷹「ふふっ、けどお昼時だしいいんじゃないの?」

瑞鳳「うぅ、正直お腹も空いてます」

龍驤「もー、しゃぁないなぁ…」


アハハハハ!




466: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 22:20:19.83 ID:Ghn4Wsb7o
-モール街-

龍驤「おぉ…めっちゃ人おんで」

飛鷹「しっかりと食べるならレストラン系かしら?」

赤城「牛丼屋さんでも私は……」

瑞鳳「女五人、雁首揃えて牛丼屋は、どうかな…?」

翔鶴「うふふ、女の子ですものね?」

赤城「うっ…///」

龍驤「うちはお好み焼き屋とかでもええねんけどなー」

飛鷹「いやよ。洋服に臭い染み付いちゃうじゃない」

翔鶴「あっ、あのお店なんてどうです?」

赤城「ず、随分とハイカラな…」

瑞鳳「あ、かわいい~」

飛鷹「うん、いいわね」

龍驤「なんやこじんまりしてて好かんなぁ」

飛鷹「あんたとサイズ的に同じでしょうが…」ボソッ

龍驤「ん?なんやねん」

飛鷹「べ、別に?」

467: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/30(土) 22:59:45.77 ID:Ghn4Wsb7o
-某テラスレストラン-

店員「五名様、ご案内致します」

龍驤「おーおー、外丸見えやんけ。なんや落ち着かんなぁ」

飛鷹「少しはこうした場所で落ち着く事も覚えたらいいんじゃない?」

店員「ご注文はお決まりですか?」

翔鶴「えっと…この、ナポリタンを三つと、食後にこのチョコバナナパフェを三つ」

赤城「私は…このハンバーグ定食を四つと、抹茶アイス二つ」

店員「」(;`・ω・´)?

瑞鳳「私は、っと…あ、このミートスパゲッティ一つと、このバラエティプレートを一つ!」

飛鷹「私は、そうねぇ…瑞鳳と同じバラエティプレートにたらこ風スパゲッティ一つ、食後にレモンティー」

瑞鳳「あっ、私はオレンジジュース!食後に!」

龍驤「うちは、この…ペ、ペロ、ロン?ペペ、ン?ペロンテーノ?」

瑞鳳「り、龍驤…」プルプル

飛鷹「」ウツムキ プルプル

龍驤「横文字苦手やねん!!」ムキー バンバン

471: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 20:38:22.92 ID:QLhK71Qco
店員「ペペロンチーノ、ですね?こちら一つで……」

龍驤「ちゃうちゃう、何ゆーとるん。二つや、二つ。あとな、この抹茶あんみつ、食後に二つな!」

店員「か、かしこまりました。く、繰り返します。ナポリタンスパゲッティ三つ、ハンバーグ定食四つ、ミート
スパゲッティ一つ、たらこ風スパゲッティ一つ、バラエティプレート二つ、ペペロンチーノ二つ、食後にチョコ
バナナパフェ三つ、抹茶アイス二つ、レモンティー一つ、オレンジジュース一つ、抹茶あんみつ二つ…以上でよ
ろしかったでしょうか?」

龍驤「かまへんでー」

店員「では、メニューお下げします。失礼致します」(五人でどうやってこのメニュー平らげるのかしら…?)

472: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:06:14.48 ID:QLhK71Qco
龍驤「いやー、お腹いっぱいや」

翔鶴「とても美味しかったですね」

赤城「このお店、気に入りました」

瑞鳳「私もチェックしとこっと…」

飛鷹「さて、それじゃショッピングの時間ね!」

赤城「えっと、お会計は……うっ」ピキッ

翔鶴「こ、これは……」

瑞鳳「えっ……」

飛鷹「た、高い…」

龍驤「さ、三万五千て……」

お会計:35190円

赤城「て、提督に怒られそうですね、これは…」

飛鷹「せ…戦犯は赤城と翔鶴よ!」

龍驤「せ、せやな!」

瑞鳳「右に、倣います!」

473: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:06:43.55 ID:QLhK71Qco
赤城「えぇ!?」

翔鶴「そ、そんな…!」

飛鷹「半分に割って、片方を私たち三人で割りましょう。で、残り半分は二人で割って頂戴!」

赤城「なっ……!」ガーン

翔鶴「くっ……!」ガーン

瑞鳳「それでも、五千円近くの出費…」

赤城「諭吉さんが…」

翔鶴「不覚です…」

474: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:15:09.70 ID:QLhK71Qco
赤城「」シクシク

翔鶴「」ウルウル

瑞鳳「け、結局二人は目当てのもの、金額高くて買えなかったみたい…」

飛鷹「お給料前だしねぇ…」

龍驤「せやからお好み焼き屋とかにしといたら良かったやん。めっちゃ安いのにたらふく食えんで」

飛鷹「それは私が絶対にイヤ!」

瑞鳳「ま、まぁ…ほら、赤城さんも翔鶴さんも、立ってるだけで綺麗ですし!そこらの洋服とかじゃ、釣り合わ
ないというか!洋服が負けるというか!」

龍驤「せ、せやな!今日の二人はえらいキマってるし、世の男共がぎょーさん押し寄せてきてもおかしないで!」

赤城「飛鷹さんはさっきから凄い声掛けられてましたね」

翔鶴「瑞鳳さんも…」

飛鷹「うっ…ちょ、ちょっと、瑞鳳!火に油注いだんじゃないの!?」コソコソ

瑞鳳「そ、そんなぁ!」コソコソ

龍驤「ど、どないすんねん!」コソコソ

赤城「特訓です…」ボソッ

瑞鳳「え?」

翔鶴「食費を抑えて貯金ですね…」

赤城「やりましょう、翔鶴さん」

475: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:37:38.97 ID:QLhK71Qco
翔鶴「五航戦、翔鶴。赤城さんに随伴します」

赤城「そうと決まれば早速寮へ戻って計画を練ります!」

翔鶴「了解です!」

モブ男「ねぇねぇ、そこの彼女ぉ!今ひm……」

赤城「……暇ではありません!」

モブ男「え?何、どうかしたの?」

翔鶴「そこを退きなさい!私達には行かなければならない場所があるんです!」

モブ男「え、ちょ……」


タッタッタッタッタッタ


瑞鳳「はや……」

飛鷹「ふ、二人とも速力はあるからね…」

龍驤「なんや、後姿が午後からの仕事に遅れん為に走っとるOLにしかみえへんわ」

476: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:38:26.80 ID:QLhK71Qco




~空蝉~



477: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:39:02.60 ID:QLhK71Qco
-艦娘寮・縁側-

日向「……ふむ、七、八、竜」ピシッ

利根「む……むぅ?」

日向「どうした、利根?」

利根「ま、まて…もう暫く…」

筑摩「利根姉さん、これで三度目……」

利根「むぁぁぁ!」

日向「勝負あり、だな」

利根「くぅぅ、日向、強いのぅ」

日向「誰でも得意なものの一つや二つはあるものさ」

筑摩「あっちは、どうかしら…?」

478: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 21:48:16.46 ID:QLhK71Qco
龍田「Rxh6」

熊野「うぅ…Kg7」

龍田「あら~?それなら、Qf6+……チェックね~」

熊野「ま、まだよ!Kg8!」

龍田「うふふ、それはダメよ~。Rh8#。チェックメイトね~」

鈴谷「うん、さっぱりわっかんないわ」

衣笠「龍田強いわねー」

天龍「おまっ、ざけんな!おい、熊野ガンバれって!おい、罰ゲーム受けんのオレなんだぞ!?」

龍田「あら~、天龍ちゃんが龍田なんかにわかんのか~?なんて言うからいけないのよ~?」

衣笠「自業自得ね。ご愁傷様」

天龍「いつもこんな役回りだよ!オレは逃げるからな!」ダダッ

龍田「あら~、鬼ごっこ?天龍ちゃんとやるのはいつ以来かしら~」ビュッ

鈴谷「き、消えたんですけど…」

熊野「ま、負けるなんて、私が負けるなんてありえませんわ…」

479: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 22:04:31.20 ID:QLhK71Qco
筑摩「あらあら、あっちは騒がしいわね?」

日向「はぁ、全く騒々しいのは伊勢だけで十分だ」

羽黒「あ、あの、皆さん!そうめんが茹で上がりましたけど食べますか?」ヒョコッ

利根「む、そう言えば昼時じゃったな」

日向「羽黒が茹でたのか?」

羽黒「あ、はい。どうせですから皆さんで食べたら楽しいかなって」

筑摩「いいですね」

衣笠「なになにー?そうめん?」

羽黒「はい、一緒にどうですか?」

衣笠「食べる食べるぅ~♪やっぱり夏はそうめんよねぇ」

鈴谷「あっ、羽黒ちゃんちょりーっす♪」☆(ゝω・)v

羽黒「あ、あはは…ち、ちょりーっす」(*´ω`)v

鈴谷「うっわー、そうめんじゃん!え、なにこれ、羽黒ちゃんお手製ってヤツ!?」

熊野「鋭気を養って特訓ですわ!」フンス

480: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/08/31(日) 22:20:53.35 ID:QLhK71Qco
-鎮守府・屋根上-

天龍「はぁ、はぁ…こ、ここまでくれば…」


ウフフフフ…


天龍「」ゾワァ キョロキョロ

龍田「う・し・ろ・♪」

天龍「ひぃ!」バッ

龍田「も~、天龍ちゃんったら逃げるの下手ねぇ♪」

天龍「逃げ場ねぇ…」ガックシ

龍田「うふふ、今回も私の勝ちね~♪」ニコニコ

天龍「はぁ、もういい…疲れた」ジトメ

龍田「んもぅ、そうやって拗ねてる天龍ちゃんもまたカワイイわぁ♪」

天龍「うっせ!」

龍田「うふふ♪」

天龍「ちっ……そういや、龍田はこの新聞、チェックしてある部分の記事読んだか?」バサァ

龍田「あら~、天龍ちゃんが新聞だなんて…っていうか、何処から出したの?」

天龍「細かいこと気にしてんじゃネェ!で、それ見てお前、どう思う?」

龍田「…これ、あの鎮守府に居た頃に…」

天龍「ああ…始めは勘違いかとも思ったんだがよ、翌々考えりゃ見間違うわけもねぇんだよ。実際にこの近辺で
見たわけじゃねぇから断言はできねぇけど、こいつ……なんか変だったよな。あっちに居た頃だって別に襲って
くる気配もなかった。何より寸借、その新聞じゃ解り難いけどあの当時見たときとあんま変わってねぇように感
じんだよ。ちっせぇ」

龍田「そうねぇ…天龍ちゃんの恫喝に怯えて逃げちゃったくらいだし」

天龍「う、うるせぇ!」

龍田「で、この記事ってまさかぁ?」

天龍「そーいう事。この付近の海にいるみてぇなんだよな。何かの手がかりになるかもしんねぇし、丁度休暇中
で任務もねぇ。暇つぶしに探して見るのもいいんじゃねぇかと思ってな」

龍田「私達二人だけ、っていうのはちょっと万が一を考えたら危険じゃないかしら。何より、提督がきっと怒る
と思うのよね~」

天龍「衣笠や鈴谷はうるせぇ上に口軽そうだしなぁ…って、よぉくみりゃぁ……」ニヤリ

龍田「あらぁ…」ニコォ

485: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 01:21:26.14 ID:aEPbKbYoo
-浜辺-


ペタペタ ザッザッ


暁「そっちどーお?」

電「繋がったのです!」

響「暁、シャベルとってくれないかい」

暁「はい、どーぞ。響」

響「スパスィーパ」

暁「よし!」

電「完成なのです!」

暁「お城と…!」

電「トンネル…!」

二人「「でーきたー!」」バンザーイ


ザッパァァァン


暁「うわぁ!」(;>ω<)

電「はわわ!」(>ω<)

響「……み、見事に全て流されたね」アセ

暁「り、力作だったのにぃ!」

天龍「よう!」

龍田「砂浜遊び~?」

電「あっ、天龍お姉ちゃんと龍田お姉ちゃんなのです!」

暁「やっほー!」

響「やあ、二人とも」

天龍「ははっ、寄せて返す波に全部ぶっ壊されたのか」

暁「こ、今度はもう少し遠いところで作るから大丈夫よ!」

龍田「それより、宝探しをしない~?」

響「む…?」

暁「何を探すのよ」

電「おっきいものですか?」

天龍「うーん、どうだろうなぁ…」

486: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 01:22:26.20 ID:aEPbKbYoo
龍田「て、天龍ちゃん…あれ」

天龍「あ?あっ……」

響「ん?」クルッ

暁「どうしたの、響?」

空母ヲ級?「……」 岩場|ω・`)ジー

電「えっ…え、な、なんで深海棲艦が…こんな近海に!?」

響「だ、だけど…あの深海棲艦、なんだか変だ」

龍田「やっぱり居たのね」

天龍「俺等を追いかけてきてたのか」

響「天龍、それどういう意味?」

天龍「あの深海棲艦っぽいのは前の鎮守府でも姿を見せてた」

龍田「その時は、天龍ちゃんが恫喝して逃がしちゃったんだけどね~」

天龍「うるっせぇ!」

暁「あれ、空母型の深海棲艦、よね。けど、なんでだろう…怖さを感じない」

空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))ビクビク

電「む、むしろあっちが怯えてる感じなのです…」

天龍「なんも危害加えないからちょっとお前出て来い」

龍田「天龍ちゃん…それ説得になってないわよ~?」

空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))))プルプルプル

響「むしろ震えてるけど…」

天龍「まじかよ…」

電「敵、に感じないのです」

暁「ねぇ…あんた、ちょっと出てきてよ」

空母ヲ級?「イタイコト、シナイ…?」 岩場|ω・`)

天龍「んだよ、喋れんじゃねぇか」

空母ヲ級?「」 岩場|ω・`)))))プルプルプル

龍田「天龍ちゃんはちょ~っと黙っててね~?」

天龍「ぬぐぐ……」

487: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 01:23:09.23 ID:aEPbKbYoo
響「私達と同じくらい?」

暁「うん、空母型にしてはって感じよね」

電「あなたは電達を見ても敵意出さないのです?」

ヲ級?「ベツニ、ニククナイ…シンカイ、セイカン…デモ、ワタシノコト、ミトメナイ」

天龍「イレギュラーってワケか」

龍田「どうして私たちに接触を図ったのかしら?」

ヲ級?「イバショ、ウシナッタ。モトノ、ムレニハモドレナイ……アナタタチハ、オナジニオイ、スル」

天龍「同じにおいって、それどういう意味だよ!」

ヲ級?「アイツ、コワイ」ササッ 響|ω・`)9m

天龍「」ピキッ

響「だ、大丈夫だよ」アセ

電「天龍お姉ちゃん、ことばが荒いのです」

天龍「危害加えてきてねぇったって、こいつは深海棲艦だぞ!?」

龍田「もしかしたら提督も戻ってるかもだし、提督に伺うしかないわね~」

暁「あなた、名前は?」

ヲ級?「ナマエ?ナニ、ソレ……タベレルノ?」

龍田「深海棲艦には名前が存在しないのかしら?」

響「司令官がなんて言うか、かなぁ。敵意はなくても深海棲艦だ。天龍の言葉通りって事なんだけど…」

龍田「取り敢えず連れて帰って、提督や皆の意見待ちね~。無下に排除したり、捨てておく訳には行かないから~」

暁「ついてきて!」

電「鎮守府を案内するのです!」

ヲ級?「チン、ジュフ…?」

響「電、鎮守府は少しまずいかな」

電「そう、なのです?」

天龍「休暇中で殆どの艦娘が居ないつっても、間宮や資材補充してる妖精、搬入に明石がきてるかもしれないだろ」

龍田「要らない動揺を与えるかもしれないわね~」

488: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 01:23:38.94 ID:aEPbKbYoo
提督「ふぁ~、書類整理も終わったし、俺も今日はのんびり過ごすかぁ……ん?なんだ、あいつら…」


コソコソ…


提督「辺りをキョロキョロ見渡して~…後ろよーし、横よーし、前よーし、で……そこから出てきたのは~……ぶっ」


ガタンッ


提督「あれ、深海棲艦だろ!あ、あいつら何やってんだ!?あの方角、艦娘寮にでも連れ込む気か?」ダッ

489: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 01:24:06.44 ID:aEPbKbYoo
-艦娘寮・裏庭-

天龍「っしゃあ、ここまでくりゃあ何とかなるだろ」

龍田「無駄に見つからないように動いたせいで、ちょ~っと到着遅れちゃったわね~」

電「暫くここで大人しくして、司令官を待つのです!」


ガサッ


響「」ビクッ

暁「だ、だれ!?」

提督「俺だ、バカタレ」

天龍「うおっ…て、提督…」

ヲ級?「」 響|ω・`)ジー

提督「……おい、なんだその威厳もクソもない深海棲艦は……」

天龍「ま、待ってくれ提督。確かにこいつは深海棲艦かもしれねぇが、オレ等に敵意を向けてこないし、オレ等
も、なんでかこいつには敵意が沸かないんだよ」

提督「何を言ってるかわからねぇと思うが、俺も何を言ってるのかわからねぇってか?」

天龍「ぬぐぐ…」

ヲ級?「ワタシニ、テキイ、ナイ」

提督「その言葉を信じろと?」

ヲ級?「コノ、カンムスタチ…シンジテクレタ」

提督「…そうか。だが俺が信じると思うか?」

暁「し、司令官!」

提督「敵意があろうとなかろうと、深海棲艦なんだよ。ここに、置いておく訳にはいかない」

ヲ級?「アイイレナイ、ト…イウノ?」

提督「無理だろうな。世界の縮図がお前を許容しない」

ヲ級?「…………」

提督「差別やなんだと軽蔑してくれて構わない。お前に敵意がないのも認めよう。だから、大人しくこの鎮守府
から去ってくれ。せめてもの情けだ」

電「司令官さん、敵でも……深海棲艦だとしても、助けたいって、おかしいですか?この深海棲艦を、助けたい
と思っちゃ、おかしいですか?」

提督「おかしくはないさ。それでも、今はダメだ」

ヲ級?「……オマエ、ヤサシイナ。アリガトウ、ココカラ、サル」

提督「こちらも追跡、監視、何もしない。出来る限り遠くへ行け。この近海には、他の鎮守府の艦隊も居る」

ヲ級?「カンサイキハ、アル…モンダイナイ」

493: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 23:12:58.37 ID:R4vY0pnfo
-艦娘寮-

暁「何よ何よ、司令官ちょっと冷たすぎない!?実際、私達別に攻撃受けてないのに!」

電「……」

響「暁…」

天龍「はぁ…いやまぁ、提督の言いてぇ部分も解るし、何より提督の立場じゃ二言返事で頷ける訳ねぇよな」

龍田「だから、あんな言い方だったんじゃな~い?」

響「あんな言い方?」

(提督「────それでも、今はダメだ」)

天龍「あぁ……へへっ、やっぱ提督だな」

響「…なるほど。うん、そうだね」

電「え?え?どういうこと?」

暁「ち、ちょっと!勝手に納得しないでよぉ!」

天龍「ははっ、その内解るって」

電「……あの子、大丈夫かな」

響「電は優しいね」

龍田「ふふっ、その気持ちはず~っと持ってるのよ~?」

電「大丈夫なのです!電は忘れたりしないのです!」

天龍「よし、そんじゃ口直しじゃねぇが別のことして遊ぶか!」

龍田「そうね~、それじゃ私も付き合おうかしら?」

暁「スイカ割り!」

響「うん、いいね」

電「やるのです!」

494: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 23:28:28.04 ID:R4vY0pnfo
~夏の夜~

-艦娘寮・夕張の部屋-

夕張「…よし、修理完了!」

川内「おぉ!さすが夕張!」

神通「川内姉さん、もっと物は大事に扱わないと…夕張さん、ありがとうございます」ペコリ

夕張「あー、いいっていいって。私も直したり作るの好きだし

阿賀野「むっ…よいしょ…ほっ……!」

川内「……さっきから阿賀野は、一緒に体動かして何やってんの、あれ」

夕張「新作のゲームが出たんですが、私の部屋にしか対応するハードがなかったので、阿賀野さんが持ち込んで
きて、やってるって感じ?」

神通「ゲームですか?」

夕張「うん、私も興味ある奴だったから、今度貸してもらう約束して交渉成立!」

阿賀野「きゃー、死んじゃう死んじゃう!あっ……」

川内「きっと死んだわね」

神通「あはは…」

阿賀野「うわ~ん、難しい」

川内「そういや、夕張は何作ってたの?」

夕張「良くぞ聞いてくれました!いやー、まぁイムヤちゃん達が花火したいけど、市販のものは飽きたって言う
もんですから、ちょこっと改良してでっかい打ち上げ花火でも、と思いまして!」

神通「機械に限り、じゃないんですね…」

夕張「作ってと言われれば!直してと言われれば!断れないのは世の情け!私の情け!艤装だろうと花火だろう
とお弁当だろうと、作って見せます!」

阿賀野「あれ?川内ちゃん達いつ来たの?」

川内「30分以上前だけど…」

神通「並々ならない集中力を見せていたので、声かけるのに躊躇ってました」

阿賀野「あ、あはははは…ついつい熱中しちゃって」

夕張「よし、できましたよ!」

川内「そもそも自室で花火作成って、相当ぶっ飛んでるね。事故ったら艦娘寮吹っ飛んでたんじゃない?」

夕張「提督と寮長の妖精さんには秘密で!」

神通「悪の片棒を担がされた気分です…」

495: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 23:41:07.74 ID:R4vY0pnfo
-浜辺-

イムヤ「夕張どこかなー」

まるゆ「あっ、イムヤさんあそこじゃないですか?」

ゴーヤ「おー、発見でち!」

夕張「おっ、やっほー!できたわよー!」

イムヤ「無茶振りだと思ってたんだけど…まさか本当に作ってくれるなんて…」

ゴーヤ「ゴーヤもビックリ」

川内「夜はいいよねー、夜はさ」ドン ドン

神通「ね、姉さん!空砲でもいきなりは止めて下さい…ビックリしてしまいます」

川内「え?あはは、ごめんね?」

阿賀野「どんな花火なのか楽しみだねぇ」

夕張「それじゃ、私は打ち上げ作業があるので少し沖のほうまで行って来ます!」ザバババ

阿賀野「わくわく♪」

川内「阿賀野って、なんかあれだよね」

阿賀野「ん?」

川内「妹衆に毎度尻叩かれてるイメージがあるよね」

阿賀野「えぇ?き、急になにぃ!?」

川内「いやぁ、なんか見てて飽きないし、ドジだし?」

神通「姉さん…私達にしてみれば姉さんも相当ですからね?」

川内「え゛……」

阿賀野「じ、神通ちゃんも私の事そう思う…?」

神通「えっ…」

阿賀野「どう、どうなの?」

神通「あ、阿賀野型の皆さんは、とてもしっかり者だと思いますよ?」

阿賀野「えー!?やっぱりー?そうだよねぇ、阿賀野頑張ってるもん!」

川内「」(神通の奴、濁して流したな…)

神通「」(ホッ…)

496: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 23:54:16.28 ID:R4vY0pnfo


アゲルヨー


川内「お、夕張が探照灯照射してる」

神通「はーい!いつでもどうぞー!」


ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ


イムヤ「おぉ…おーっ!」

ゴーヤ「綺麗…」

まるゆ「わぁ…」

阿賀野「わー、すごーい!」

神通「綺麗ですねぇ」

川内「風流だよねぇ。やっぱ夜サイコー!」


夕張「ふっふっふ…我ながら至高の出来……っ!それっ!」


ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ


神通「夕張さんって、普段からこうした色々なもの作ってるんでしょうか?」

川内「んー、私がここに着任した当初から居たみたいだけど、どうだったかなぁ。あん時はここ統括してた提督
がとにかくクソだったし…ここまで皆で仲良くなんたらってな気分でもなかったしなぁ」

イムヤ「夕張は、前の提督の横暴の裏でいつも小細工色々してたかな」

ゴーヤ「ゴーヤも沢山助けてもらったでち」

まるゆ「そ、そうなんですか?」

イムヤ「榛名がミスしたって、なんか提督が喚いてたときとかも、不要だから提督のお手を煩わせないように、
私が先んじて処分しておきましたって助け舟出して…前の提督は勝手に何かされるのすっごい嫌う奴で、案の定
標的を榛名から夕張に変えてネチネチと意味もない嫌味言いまくってたってのは見たかな」

ゴーヤ「結局、ストレスのはけ口が欲しかっただけなのでち。ゴーヤやイムヤも毎回すっごい遠方にまで遠征い
かされてヘトヘトで戻ってきても、直に補給させて近海の警備任務に着かせたり、色々と酷かったのでち」

神通「……」

川内「そう気を落とすなって、神通。今の私達は前とは違うんだからさ。とにかく!今はこの夜を満喫しよう!」


ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ



497: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/04(木) 23:54:46.89 ID:R4vY0pnfo
阿賀野「川内ちゃんはお姉さんだねー」

川内「な、何さ急に…」

阿賀野「うふふ、神通ちゃん見る時の川内ちゃんはとっても優しい目をしてるよー」

神通「え?」

川内「ち、ちょっと…そういうのガラじゃないからやめてってば!」アタフタ

阿賀野「んふふー」ニコニコ


ヒュー……ドン ドン ドン ドン……パラ パラ パラ


神通「今年は、いい年になりそうですね」

イムヤ「うん!」

ゴーヤ「ゴーヤ達でもっといい年にするでち!」

まるゆ「はい!」

川内「よーし、それじゃ景気付けに夜戦しよ!」

神通「しません!」

川内「えぇ~!?やーせーんー!」

神通「だからしませんってば!」

阿賀野「あははは!」

498: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/05(金) 00:02:50.66 ID:HVYIPR7uo
~大特訓~


-大本営-

元帥「後輩提督の容態は?」

大淀「意識不明、こん睡状態です」

元帥「その後、新鋭中将は大本営から逃走、行方をくらましたままか」

大淀「はい…鎮守府はもぬけの殻、艦娘達もその全てが消えていて消息不明です」

元帥「新鋭中将の捜索には大将1に随時捜索を続行するよう伝えろ」

大淀「了解しました。それと、例の提督鎮守府から新たに五名、艦娘が先ほど大本営へ到着したとの報告です」

元帥「そっちは大和を向かわせてある」


大和「お越し、お待ちしておりました。提督大佐」

提督「度々すまんな」

長門「よろしく頼む」

木曾「長門も陸奥も阿武隈も、思ったよりも元気そうでホント良かったぜ」

阿武隈「ごめんね、傷は癒えてるんだけど…」

大鳳「今は謝る時じゃないわ」

陸奥「ええ、必ず…また戻るんだから…!」

提督「それじゃ大和、済まないが案内とかこいつらにしてやってもらってもいいかな」

大和「はい、元帥からも仰せつかってますから、提督大佐は先に元帥の居る執務室へどうぞ」

提督「感謝する」


大和「訓練メニューですが、こちらで設定させて頂いてます。長門さんと阿武隈さん、木曾さんと大鳳さんでそ
れぞれペアを組んで取り組んで頂きます。陸奥さんは、提督大佐が補佐に入ります」

陸奥「えっ!?て、提督って戦えるの?」

大和「うふふ、戦うだけが訓練ではありませんよ?それに今のあなたは両手が使えない状態です。実践的な訓練
は以ての外です」

陸奥「あ、あはは…」

大和「こちらが演習場になります。模擬弾を使用した演習を基本とし、対人、対深海棲艦を模した演習も行えます」

木曾「はぁ~…流石に規模はちげぇもんだな。よっしゃあ!早速……」ザッ

大和「今日は演習も訓練も行わないので、悪しからず」クスッ

木曾「えぇ!?」

大和「最終段階の試験演習として、私の率いる演習部隊と模擬演習を行ってもらいますので、気を引き締めて下さいね」

長門「元帥の第一秘書艦であるお前が自ら先陣に立つのか」

大和「飾りではない、と言うのを誇示したいだけかもしれませんね?因みに、前回は榛名さんと一対一で勝負し
ましたが、彼女は強かったですね。まぁ、まだ先の話ですからまずは基礎を身に付ける部分から取り組めば宜し
いかと思います」

阿武隈「…………」

大鳳「阿武隈、どうかしたの?」

阿武隈「あっ、ううん、なんでもないよ?」

大鳳「そう?それならいいのだけど…」

長門「……今日は訓練はないのだろう?ならば、少し休みたいのだが」

大和「ええ、そうですね。では皆さんのお部屋に案内します」

499: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/05(金) 00:03:25.28 ID:HVYIPR7uo
-大本営・執務室-

元帥「……まぁ、そんな訳だ。君が命を賭けて捕らえてくれたのに、目に余る失態を犯した」

提督「……新鋭中将提督。そうか…!」

元帥「ん?」

提督「後輩があの夜、うちへ急襲してきた時、もう一人仮面をつけた女が居たんです」

元帥「仮面の女?」

提督「仮面のせいで声はくぐもり、聞き取りにくかったんですが、腰に差していた将校剣…あれは今思えば中将
以上の提督が帯刀できる刀剣」

元帥「つまり……新鋭中将がもぐらだと言うのか」

提督「…まず、間違いなく。あの後輩は、あの性格からして必ず周囲を卑下し、罵倒をするような奴です。それ
に激昂した振りを装って強引に乱入し口を封じた。時間は掛けるものじゃなく賭すもの…俺の鎮守府では時間を
掛け過ぎて後手に回った。最後のチャンスとして、後輩が余計な事を喋らない内に始末しに行った」

元帥「そこまでのリスクを背負うと言う事は…」

提督「恐らく、海軍の機密から何まで、その殆どを掌握し終えている。もしくは、互いの情報を天秤にかけて、
もっともリスクがない方を選択した、と考えるのが妥当ではないかと思いますね」

元帥「大局的に見れば、こちらが後手に回らざるを得なくなったと言う事か」

提督「一つ、後輩からは情報を仕入れています。北方海域、その奥地には深海棲艦の泊地の一つがあると…」

元帥「何…?」

提督「以前に大淀から確認も含めて聞いた事があります。現在、我々の進捗状況としては、北方海域のモーレイ
海付近までしか進軍できていないと…その先にあるキス島へはうずしおの関係もあるのか、進行が思うようにい
かないとか…」

元帥「その通りだ。キス島周辺に発生しているうずしおは特殊でな、ある一定の速度を維持できる艦でないと島
まで辿り着けんのだ。そして今現在、キス島には支援、救援を待っている者達が多く存在する」

提督「……!何故、何故それを各泊地の鎮守府へ通達しないんですか!」

元帥「お前が今自ら言っただろう。うずしおの問題もあって、近付くに近付けないのだ。戦艦や正規空母を編成
していこうにも、途中のうずしおで進路を逸らされてしまう。おまけにあの周辺にはフラグシップ型やエリート
型の深海棲艦の巣窟にもなっている」

提督「それと救援を欲している一般市民や身内を捨て置くのは訳が違うでしょう!?北方海域には鎮守府だって
あったはずです!」

元帥「はぁ、君のそういう真っ直ぐな部分がね、時折眩しすぎて困る」

提督「なっ…」

元帥「上に立つとな、大きな声ほど聞こえなくなり、小さな囁きほど良く耳に入る。現状を維持すべきである。
十居る大将全員の意見はそうだった。無論、反論する中将連中は居た。私の娘もその一人だ」

提督「それでも、力でねじ伏せた…」

元帥「解決策がないのだ。あらゆるルートを模索し、全て試したがどれも外れる。あのうずしおは、天然の要塞
なんだよ」

提督「くっ……!」(速力のある艦娘なら、きっとあのうずしおにも翻弄されずに目的地まで到達できるはずな
のに…何故、その結論に至らないんだ……ま、まさか!)

元帥「……」

提督「…既に、一度試みてるんですね?そして、失敗した…速力のある艦娘を集めての迅速の一手、それすらも
功を奏さなかった」

元帥「…その通りだ。駆逐艦を旗艦とした水雷戦隊で三度に渡ってキス島の攻略に向かったが、一隻として戻る
艦娘は居なかった。それ以降、北方海域は現時点では足踏み状態にしかならないと判断し、西方海域への進行へ
と作戦を切り替えたのだ」

提督「そう、ですか…解りました。無礼な発言、申し訳ありませんでした。自分は一旦、これで失礼します」ペコッ

505: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/08(月) 23:23:52.88 ID:TuXFnfc2o
-休憩室-

提督「はぁ……やっちまった」

陸奥「何をやっちまったのよ」

提督「うおっ…む、陸奥か」

陸奥「人を幽霊でも見るような目で見ないでよ」

提督「あぁ、いや…すまん」

陸奥「珍しいわね。提督がそんな顔するなんて…よく言われない?顔に出てるって」

提督「うぐ…」

陸奥「ふふっ、解りやすいもの提督は」

提督「…そんなにか?」

陸奥「そうねぇ…少なくとも、鈍感な子でも解る程度には、かしら?」

提督「はぁ……」(前にもなんか言われた気がするな…そんなような事)

陸奥「私のサポートしてくれるんでしょ!だったら、そんな辛気臭い顔されたままじゃ困るのよ。ほら、気合い
入れなさい、気合い!」

提督「お前元気だね」ニガワライ

陸奥「ええ、そりゃあもう。沢山後悔したし、泣いたし、吹っ切れたもの。それに、約束したでしょ」

提督「あぁ、そうだったな」

506: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/08(月) 23:37:29.22 ID:TuXFnfc2o
陸奥「そうそう!両手治して、死なない程度に提督をフルボッコにする!」

提督「えっ、そっち!?」

陸奥「…何よ。なんか文句でもある?」

提督「いや、ほら…言葉の端々に矛盾点が存在するというかね?」

陸奥「どの辺り?」

提督「死なない程度、なのにフルボッコとはこれいかに?」

陸奥「言葉の文よ」

提督「さいですか…」

木曾「おっ、なんだよ、こんな所に居たのか、提督!」

陸奥「あら?」

木曾「よう、陸奥。体調はどうだよ?」

陸奥「ええ、万全よ。両手以外はね」

木曾「へっ、俺ぁ別に心配してやんねーからな。這い上がって来いよ。戦艦の底力、見せてくれ」

陸奥「言われるまでもないわね。それより、あなたは何しに来たのよ」

木曾「いやー、おいそれと来れる所じゃねぇからな。探検だ、探検♪」

提督「あのな、お前…ここは遊園地じゃねぇんだぞ」

木曾「わぁってるって!どうせ明日からはそんな余裕もなくなんだろ?」

507: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/08(月) 23:43:07.31 ID:TuXFnfc2o
提督「解ってるならあまりはしゃぎ過ぎるなよ」

木曾「ジッとなんてしてらんねぇだけだよ。提督、俺はこの手の届く範囲の全てのモン守れるようになってみせ
るぜ。期待しててくれよ…!」

提督「はは、気合入りまくってるな。その勢い全部空回りさせんじゃないぞ」

木曾「へっっへっへぇ、見事新生木曾様として生まれ変われたら、そん時は褒美の一つや二つは期待していいんだよな?」

提督「そうだな。何かしら考えてやろう」

木曾「ふふん、アリだな」

提督「言っとくが、無茶振りはナシだからな。ほら、さっさと自分の部屋へ戻れ」

木曾「へーへー、解りましたよ。じゃあな、陸奥!」

陸奥「ええ、また明日」

提督「ったく、困った奴だ」

陸奥「ソワソワして落ち着かないのよ、きっと」

提督「人並みって奴か」

陸奥「そっ、強がっても人並みって事よ」

提督「陸奥も明日からリハビリ開始だ。体休めておけよ」

陸奥「はいはい、解ったわよ」

508: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/08(月) 23:44:18.86 ID:TuXFnfc2o


~魔の海域、モーレイ海~




509: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/08(月) 23:54:57.29 ID:TuXFnfc2o
-執務室-

提督「ふぅ…」

榛名「暇っすね?」

提督「パクるな。残念だが案外暇じゃない」

榛名「ですよね。それでその後、陸奥さんの経過はどうですか?」

提督「昨日だったか、指が動くようになってな。だが腕や手首といった部分の動きがまだてんでダメだ」

榛名「そうですか…」

提督「まぁその代わりと言っちゃなんだが、長門、木曾、大鳳が戦線に復帰だ」

榛名「阿武隈ちゃんは?」

提督「長門が付きっ切りで世話焼いてたんだがな。どうにも、艦娘同士の演習ならまだいいが、相手が深海棲艦
となると手も足も止まってダメみたいだ」

榛名「そう、なんですか」

提督「暫く阿武隈はメンタルケアの為に再度艦娘病院へ戻し、陸奥は引き続き大本営で復帰に専念させる」

榛名「長門さん達の戻りはいつになるんですか?」

提督「それはまだ解らん。ただ最終調整には入ったと聞いたから、近い内に戻ってくるのは確かだ。日付を指定
しての強化カリキュラムだったんだがな…思いの他、手間取ったみたいだ。さて、あいつらの情報は以上だ」

榛名「はい!えっと…今日は遠征任務が二つ、第一艦隊の出動任務……これ」

提督「どうした?」

榛名「モーレイ海哨戒任務が発令されています」

提督「巡り巡ってって訳ね。リベンジか…榛名、この資料をコピーしてファイリング、会議で全員に配布する」

榛名「これは?」

提督「モーレイ海で確認が取れてる深海棲艦の種別と航路の最短を記してある」

榛名「いつの間にそんなものを」

提督「何も常にボーっとしてる訳じゃないんだぞ?」

榛名「常にボーっとしてると思ってました…榛名、反省します」

提督「」(#^ω^)

榛名「どうかしましたか?」

提督「はぁ、怒ると疲れるからやめる」

榛名「???」

510: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/09(火) 00:02:01.38 ID:Z0+K4XbJo
-会議室-

提督「全員集まったな」

榛名「それでは本日の任務を割り振らせてもらいますね。一つは潜水艦哨戒任務です。これはイムヤちゃん、
ゴーヤちゃん、まるゆちゃん、夕張さん、四名で行ってもらいます」

夕張「おっけーぃ!任されて!」

イムヤ「夕張、遅刻ゲンキンだよ!」

ゴーヤ「この前は30分待たされたでち…」

まるゆ「が、頑張りましょう、夕張さん!」

夕張「ぐぬぬ…」

榛名「もう一つは…敵地偵察作戦です。水雷戦隊を編成、北方海域の敵情勢を偵察する任務です」

提督「前回、モーレイ海で敗退した経緯もある。偵察任務とは言えども油断は禁物だ。速力を活かした迅速かつ
的確な情報収集が要求される。今回、向かってもらうのは北方海域の偵察任務だ」

榛名「こちらの任務は天龍さん、龍田さん、白露ちゃん、夕立ちゃん、時雨きちゃんの五名で行って下さい」

龍田「任せて~」

天龍「おう、やってやらぁ!」

白露「よーし、ガンバろー!」

夕立「頑張る!」

時雨「うん、任せて」

榛名「午後、昼食後に第一艦隊に任務が通達されています。作戦名:モーレイ海哨戒任務、です」

提督「こっちも同じ北方海域だ。十分に注意を払って欲しい。既に資料は配ってあるから、方針と対策を固めた
上で抜錨すること」

榛名「この任務は私、榛名が旗艦を務めます。随伴艦は霧島、赤城さん、瑞鳳さん、衣笠さん、羽黒さんの計六名」

提督「残りのメンバーは待機し、演習など行うこと。緊急時にいつでも出撃できるように構えておけ。俺は第一
艦隊との通信に従事するために作戦室に篭る」

艦娘達「「「了解!」」」

515: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 19:41:07.97 ID:gLQlTUtAo
-準備室-

霧島「榛名、貴女その艤装を装備するの?」

榛名「うん」

衣笠「あぁ、そっか。霧島さんはまだ榛名ちゃんの本気見てないもんね」

霧島「へ?」

羽黒「ふふ、凄いですよ。榛名さん」

赤城「榛名さんには、期待してしまいますね」

瑞鳳「私達も頑張るんだから!」

榛名「はい、私一人じゃ何も出来ませんから、赤城さんや瑞鳳ちゃんにも大いに期待しちゃいます」

霧島「ふふっ、そう言う事なら特訓の成果、見せてもらうわよ。お三方?」

赤城「そうですね」

瑞鳳「こっちも同じくらい期待しちゃうからね!」

霧島「さてっ!戦力の分析をしないとね。提督から貰った資料だと、モーレイ海に出没している深海棲艦はその
殆どがフラグシップ型とエリート型…前回、長門さん達が遭遇したレ級やその上位に位置する深海棲艦がモーレ
イ海に出現したのはイレギュラーって事だったけど…」

羽黒「油断はせずに、ですね」

衣笠「哨戒艦隊でも既に目撃されてるだけで軽巡ホ級のフラグシップ型、重巡リ級や雷巡チ級のエリート型……
はぁ、結構面倒なのが多く居るんだよねぇ」

羽黒「本隊には空母ヲ級、戦艦ル級のフラグシップ型も確認されてます」

霧島「装甲厚いのは私や榛名で対処かしら」

赤城「昼戦なら上空から援護爆撃します」

衣笠「夜戦になったら私と羽黒ちゃんが大暴れしちゃうわよ」

榛名「取る陣形にもよりますけど、敵の数は未知数ですから、燃料や残弾に気をつけて進みましょう」

霧島「これから出発する天竜達の偵察報告が途中ではいると思うから、それも念頭に置かないとね」

516: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 19:47:30.26 ID:gLQlTUtAo
-港湾-

天龍「よし、お前ら準備はいいか?」

白露「問題なーし!」

時雨「万が一の修理要員も配備したよ」

夕立「出発進行!いつでもいけるっぽい!」

龍田「それじゃ提督、いってくるわよ~」

提督「あぁ、だが不測の事態は常に念頭においとけよ。危ないと判断したら───」

提督&天龍「「何を置いても撤退に専念すること」」

提督「む…」

天龍「わぁかってるって。お前の下に居た期間はなげぇんだ。任せなって」

龍田「いざという時は私が引き摺って帰るから大丈夫よ~」

提督「天龍は名言が多かったからな。内心、不安が勝るんだよ」

天龍「なっ…!どういう意味だ、それ!」

提督「オレを第一線から下げるな、だの…死ぬまで戦わせろ、だの…何度両手両足切り落として口にガムテープ
貼って物言わぬ生きたオブジェにしてやろうと思ったからしれん」

天龍「」ピキッ

白露「え、えぐい…」

夕立「ははは…」

提督「けどまぁ、いざって時は龍田がブレーキ役に徹してくれてるしな。偵察任務、頼んだぞ」

龍田「ええ、報告は確認した段階で提督へ通信で伝えるわね~」

天龍「おう、任せな!よっしゃぁ!抜錨だッ!!」

517: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 19:58:47.90 ID:gLQlTUtAo
-大本営-

長門「くっ…!」

大和「もう終わりですか?ビッグセブンの名がそれでは廃れてしまいますよ?」

木曾「長門、こんなもんじゃねぇだろ!」

大鳳「あなたの底力、見せて上げなさいよ」

那智「戦意はまだある。なら、徹底的に行くわ」

木曾「へっ、上等だぜ…この木曾様を甘く見てるとどうなるか、教えてやる!」

雲龍「貴女の艦爆、艦攻隊はその程度かしら?」

大鳳「いいえ、まだまだこれからです。私達だって、ここで足踏みしてるわけには行かないんです!」

長門「その通りだ…私はもう二度と、膝はつかない!」

大和「では……続きと参りましょう!」ジャキッ

長門「今度こそ守り切る。視界に入る全てを、私のこの手で守り抜く!その為に、こんな前座で足踏みしている
暇はない!木曾、大鳳!一斉に仕掛けるぞ!」

那智「何…?」

雲龍「あなた、正気!?」

大鳳「まだまだ…私の優秀な子たちは、こんなものじゃない!本当の力を見せて上げて!」ビュン ビュン

雲龍「くっ…稼働全機、発艦始め!」ビュン ビュン

木曾「いいねぇ…本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ!」ヒュッ


ボボボボボボン


雲龍「そんなっ!私の艦載機が押された!?二人とも、爆撃に注意を…」

大和「雲龍の艦載機が押し負けたの!?」

那智「ちっ」

518: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 20:25:16.39 ID:gLQlTUtAo


バゴォォォン


那智「くっ…なんとか避けきれたか…」

木曾「へへっ、妙高型二番艦、重巡洋艦の那智、だったな。テメーの妹分の羽黒はどうだったよ?強くなってたろ」

那智「……!」

木曾「俺には自慢の姉達が居てよ……けど、長女と四女は墓の中だ。だから今度はもう手放さねぇ。姉妹だから
とかカンケーなく、俺も俺の視界に映る全てを今度こそ守る!誰にも邪魔はさせねぇ!強くなるって決めたから
とかそんな小せぇ決意じゃねぇ!強くなきゃ守れねぇなら、何処までだって強くなる!あえて言うぜ…そんな俺
に勝負を挑む馬鹿は何奴だぁ!?」ビュッ

那智「」(こいつ、何処まで速く…!)サッ

木曾「それで逃げたつもりなのかい?」フッ

那智「なっ…!?」

雲龍「」(那智が背後を取られた!?)

木曾「弱すぎる!!」ドン ドン


ボボボン


那智「ぐっ…ああっ!これくらいの傷…!なんてことは……」 中破

木曾「そうかい。けど、この勝負は俺の勝ちだ」ジャキッ

那智「……っ!」

木曾「当然の結果だ。別に騒ぐほどのこともない」

那智「……参った」


大鳳「よそ見していられる余裕があなたにあるの!?」ビュン ビュン

雲龍「…ッ!」バッ


ボボボン


雲龍「近代化改修だけの性能じゃない…なんなの、これは!」

大鳳「一度は捨てた命。もう一度拾われた命。恥の上塗りは二度目までで十分よ。三度目なんてない…二度ある
事も三度目はない!あるのは、その先に見える希望だけ!鎮守府の皆と、提督と、勝利を刻む!もう二度と、負
けないわ!」ビュン ビュン ビュン ビュン

雲龍「なっ……その、艦載機の数は!」

大鳳「演習だろうと関係ない。徹底的に叩きのめす!」バッ

519: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 20:36:14.72 ID:gLQlTUtAo


ボボボボボボボボン


雲龍「きゃあっ」 大破

大鳳「勝負ありね!」


大和「第一、第二主砲。斉射、始め!」ドォン ドォン

長門「全主砲、斉射!撃て!!」ドォン ドォン


ボゴゴゴゴゴゴゴォォォン 相殺


木曾「うぉ…火花散ってんなぁ」ニヤ

大鳳「長門さんならきっと大丈夫よ」

那智「勝者の余裕か」

木曾「あぁ?仲間の一騎打ち見ちゃいけねぇなんてルールは別にねぇだろ。俺とお前、大鳳と雲龍の勝負だって
決着(カタ)ついてんだからよ」

那智「ふん…蛇足だったな。しかし、あの大和と真正面から撃ち合うとは…演習とは言え、正直驚きだ」

雲龍「はぁ、もう…容赦ないんだから。服がボロボロよ」

大鳳「容赦できる相手じゃありませんでしたから」

雲龍「ふふ、褒め言葉として受け取っておくわ」


大和「戦艦大和。推して参ります!」ヒュッ

長門「ふん…ビッグセブンの力、侮るなよ!」ビュッ


ガシィッ


長門「力比べか…!」

大和「だと、したら!?」ググッ

長門「臨むところだ!」ググッ

520: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 20:47:36.10 ID:gLQlTUtAo
大和「じゃあ、これなら?」ジャキッ

長門「…っ!?」


ドォン


ボゴォォン


大和「え……?」

長門「……零距離の一撃、確かに食らえば一溜まりもないが、今のは経験が生きたよ。ふふ、経験者はかく語り
きってやつだな。ふんっ!」ブンッ


ズドンッ


大和「くっ……!」ザザザッ

長門「さぁ、決戦の仕上げと行こうか」ジャキン

大和「」(強い…目に宿る光、意志の強さ、鋼の闘争心。彼女の覚悟は、本物。榛名さんと全く同じ……彼女達
の放つ意志の強さは並大抵のことで培われたものじゃない。一体、どこからこれほどまでの力が……)

長門「狙いは外さん!確実に狙い撃つ…!」サッ

大和「…………」


弾着観測射撃


ドォン ドォン ドォン ドォン


大和「……見事です」


ボゴォォォン




521: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 20:54:14.48 ID:gLQlTUtAo
-モーレイ海・近海-

羽黒「……帰ってきた」

衣笠「大丈夫よ、羽黒ちゃん。私達は強くなったんだから!」

榛名「今度こそ、この海を制覇します!」

赤城「皆さん、艦載機の子たちからの報告です」

瑞鳳「北北東、この先を少し進んだ所で哨戒艦隊を捕捉」

赤城「敵の数は六隻、フラグシップ型の軽巡ホ級を旗艦とし、随伴として重巡リ級、軽巡ト級、雷巡チ級、駆逐
ロ級二隻、随伴してるのは全てエリート型」

霧島「決まりね。この方角を突き進みましょう」

榛名「うん!赤城さんと瑞鳳ちゃんは艦載機の準備を!」

瑞鳳「オッケー!」

赤城「お任せ下さい!」

522: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/12(金) 21:10:42.14 ID:gLQlTUtAo
-モーレイ海・奥地-

??「マタ、ショウコリモナク?」

??「ツクヅク、不運ナ子たちネ」

??「そうか、キタノカ…ならバ、ここで息の根、止めテやる…」

??「貴女ガ行カナクテモ、私ガ……」

??「果たすコトが本来ハない、この海域デ出会うノモ、何かの縁ネ。だかラこそ、私が相手ヲする。貴様ハ、
今暫クハ蓄えに備エテおけ。西方へ戦力を集中シテいる大将クラスの艦隊、アレも目障りダ」

??「装甲空母鬼が陣を張ってはイルが、万が一を考慮セヨ、と通達モ出ている。私とお前は、そっちが先ダ」

??「ワカッタワ。仕方ナイワネ」

??「泊地棲鬼、クレグレも…」

泊地棲鬼「無論だ。出し惜シミなど一切シナイ。全力デ捻じ伏せル。哨戒艦隊トノ交戦に入っタのを確認後に、
奇襲ヲかけて一気に仕留メル」

527: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 20:16:16.55 ID:xo+DDi3ao
-モーレイ海-

霧島「距離、速度、よし!全門斉射!!」ドォン ドォン


ボボボボボン


リ級EL「コンナ、コトガ……」 轟沈

衣笠「同じ重巡と一緒にしないでよね!ほら、そこ!もう一発!!」ドン ドン


ボボボボン


ホ級FS「グガ…ッ!……オノレェェェッ!!」 中破

羽黒「これ以上、やらせません!」ドン ドン


ボゴォォォォン


ホ級FS「ナゼ、ダ……」 轟沈

瑞鳳「やった!」

赤城「……っ!」バッ

榛名「赤城さん?」

赤城「くっ……!」キリキリキリッ

瑞鳳「え、赤城さん何を…」

赤城「第二次攻撃隊、全機発艦!」ビュン ビュン


ボボボボボボボン


羽黒「えっ!?」

衣笠「全機撃ち落された!?ど、どこから!」

528: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 20:32:21.39 ID:xo+DDi3ao
赤城「皆さん、装備換装を急いで!まだ…まだ居ます!!」

泊地棲鬼「見事ナ集中力……賞賛ニ値する。哨戒艦隊トノ交戦が終わっテ、気が緩ンダ一瞬を狙おうト思ってた
ノニ……私の存在ニ気が付くナンてね」

提督『おい、どうした皆!』

榛名「提督、新手の深海棲艦です」

提督『新手?まさか、レ級か!?』

羽黒「ち、違います…この、威圧感……」

衣笠「あんた、まさか装甲空母鬼とか呼ばれてた奴?」

泊地棲鬼「あいつヲ知ってルのか。だが的外れダ。私は泊地棲鬼……覚えてオケ、それが今から貴様達ヲこの海
の水底へと誘うモノの名だ」

霧島「たった一隻で…!?」

泊地棲鬼「たった?ふふっ、ハハハハハッ!分ヲ弁えろ。私一人デ、十分と言う意思表示ダ。新型にも足踏みを
スルような連中ニ、私達ガ遅れヲ取るとデモ思ったか?」

榛名「やってみなくちゃ、解りません!」

泊地棲鬼「なるホド…それも一理ある。ならば、快進撃を進める貴様等提督鎮守府ノ戦力のホド、見させてもら
いまショウか」

529: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 20:50:29.54 ID:xo+DDi3ao
提督「泊地棲鬼……やはり、北方海域の奥地には深海棲艦の泊地の一つが存在する。他の海域で防衛や護衛に当
たっている上位の深海棲艦が居ても不思議はない、ってことか」

提督「……榛名、霧島、赤城、瑞鳳、衣笠、羽黒。この状況はまだ想定の範囲内だ。そして、深海棲艦たちに対
して、痛撃を加える絶好のチャンスでもある。お前たちの力、その泊地棲鬼に見せ付けてやれ!」



衣笠「…よしっ!お達しも出たね」

羽黒「皆さんの背中は私が守って見せます!」

榛名「あなたは、ここで倒します!」

泊地棲鬼「面白イ……」ニヤッ


ブゥゥゥゥゥゥン


泊地棲鬼「……艦載機。目障リネ」

赤城「……第一次攻撃隊、皆お願い!」

瑞鳳「機先を制します!」

泊地棲鬼「いつマデも、我が物顔デ飛ばレルのは不愉快」ビュン ビュン

赤城「……っ!」

瑞鳳「か、艦載機!?」


ボボボボボン


瑞鳳「ま、また…!」

泊地棲鬼「……」ジャキッ

530: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 21:12:54.88 ID:xo+DDi3ao
霧島「皆、散って!散開ッ!」

衣笠「速い!」

羽黒「……!」

泊地棲鬼「このモーレイ海ヲ、アナタ達の沈む海ニして上ゲル」ドォン ドォン


ボゴォォォン 相殺


泊地棲鬼「ナニ……?」

榛名「……」

泊地棲鬼「貴様…なのか、今ノハ」

霧島「……」(今の速度に反応して撃ち落したと言うの!?)

榛名「金剛型三番艦戦艦榛名!全力で参ります!」ヒュッ

泊地棲鬼「バカな…!この、動き!」サッ

榛名「そこ!」ドン ドン

泊地棲鬼「チッ」グッ


ドォォォン


衣笠「いくよ、羽黒ちゃん!」

羽黒「はい!」

泊地棲鬼「重巡洋艦…?」

衣笠「青葉型の二番艦!衣笠さんよ。覚えておきなさい!」サッ

羽黒「重巡洋艦の火力、お見せします!」サッ

泊地棲鬼「左右に分カレて展開ダト…小賢しい真似ヲ!」バッ

霧島「」(二人とも速い!これが、大本営で受けたという訓練の成果!?)

衣笠「振り回して…」

羽黒「照準を…」

泊地棲鬼「こいつら、タダ散開シタわけではない…!この、私の狙いヲ…ッ!」

衣笠「ほら、そこ!」ドン ドン

泊地棲鬼「舐めるナ!」ブンッ


ボボボン


羽黒「それなら…!」ドン ドン

泊地棲鬼「この程度…!」バッ


ドォォォン


榛名「直撃!」

531: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 21:58:07.56 ID:xo+DDi3ao
泊地棲鬼「……」 被害軽微

羽黒「効いて、ない…?」

泊地棲鬼「フン…アナタ達と一緒にされたら困るノヨ」

衣笠「それなら、もう一発!!」ドン ドン

泊地棲鬼「無駄ダ、重巡洋艦!」ブンッ


ボボボボボン


衣笠「なっ…」

羽黒「砲撃を、片手で吹き飛ばした…」

霧島「これが、鬼と呼ばれる深海棲艦の力…」

泊地棲鬼「細切れにシテやる…ッ!」ドン ドン ドォン ドォン

霧島「い、いけない!」

衣笠「なっ…!」

羽黒「……っ!」


ボボボン ボボボボボン


榛名「衣笠さん、羽黒ちゃん!」

衣笠「…っ!まだまだ、この程度は!」 小破

羽黒「被弾…二番砲塔、けど…まだ行けます!」 小破

泊地棲鬼「本体へ直撃ト言うワケにはいかなカッタか。だが、戦力ハ半減だな?」

衣笠「冗談…この程度、まだまだよ!」バッ

羽黒「まだ、負けた訳じゃありません!」サッ

霧島「援護するわ!」ドォン ドォン


ボゴォォン


泊地棲鬼「……あの戦艦の主砲ヲ雲隠れニ使って、コッチの視界ヲ……なるホドね」

衣笠「この、距離ならぁ!」ジャキッ

泊地棲鬼「当たレバね?」クルッ

衣笠「っ!」


ボゴォォン


衣笠「ごほっ…!」 中破

羽黒「まだです!」ドン ドン

泊地棲鬼「無駄ダト……」グンッ


ドォォン


泊地棲鬼「…二度も言ワセるな」 無傷

榛名「横に飛んで!羽黒ちゃん!!」

532: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 22:37:47.44 ID:xo+DDi3ao
泊地棲鬼「遅いわネ」ブンッ

羽黒「ぁ……」


ズドォッ


羽黒「あぐっ……!」 中破

泊地棲鬼「はぁ…イイ加減、諦めタラどう?無意味よ、アナタ達の掲げる、理想モ、力も、この現実スラも!」

榛名「そんな道理は、実際に私達を沈めてから口にして下さい!」

衣笠「榛名ちゃん…」

羽黒「す、凄い、気迫…」

榛名「私達は、多くの犠牲の上に立っているんです。想いを、希望を、未来を、完遂できずに散って逝った仲間
達、彼女達の成し遂げられなかった無念を私達は背負っているんです!だから、諦めるなんて言葉自体、無意味
です!」

泊地棲鬼「ふっ、ふふふ……アハハハハ!けど、散っていったんデショう?結局、力がナイから、散ったノよ。
目の前の現実ヲ御覧なサイ。勇んできた割にハ、大したコトもない」

衣笠「このっ……」

羽黒「くっ……」

榛名「仲間への冒涜は、榛名が許しません!」ジャキッ

泊地棲鬼「許しヲ請うとデモ?コノ世は弱肉強食、敗者、弱者に意見ヲ口にスル道理はナイ。最も、弱いカラ負
け、負けたカラ死んだ…死人に口ナシ、と言うコトね。その死人ノ代弁をシタいのなら、勝つコトね」

榛名「…………」(大和さんと演習をしたときに、確かに感じ取れた。散って逝った皆の想い、願い、託された
んだって…驕りかもしれないけど、それでも汲めるのなら、私はその想いを全て背負ってみせる)


ヒュンッ


泊地棲鬼「ッ!?」(なんだ、コノ艦娘……今マデの、ヤツと、違う!?)

榛名「この主砲の本当の力、知らないって言うなら教えて上げます!」

霧島「」(あれは、46cm三連装砲……操りきれるの、榛名!?)

泊地棲鬼「分不相応ナ獲物ヲ…!」ジャキッ

榛名「主砲!砲撃…開始っ!!」ドォン ドォン

泊地棲鬼「忌々シイ…艦娘風情ガッ!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォォォン


霧島「くっ…!」

羽黒「きゃっ」

赤城「榛名さんは…!」

533: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/13(土) 22:41:06.44 ID:xo+DDi3ao
瑞鳳「あっ、あれ!」

衣笠「と、飛び上がってる!?」

泊地棲鬼「なんだ、ソノ動きは…」

榛名「空から降ってくるのが艦爆隊の攻撃だけだと思ったんですか?」ジャキッ

泊地棲鬼「小賢しい、マネを…!」グッ

榛名「遅い!」ドォン ドォン

泊地棲鬼「おの、れ…!」ググッ


バヒュッ


ドドドドドドッ


榛名「外した…?違う、避けられたの!?」ザザッ

泊地棲鬼「水底へ沈めッ!!」ドォン ドォン

榛名「させない!」ドン ドン


ボボボボボボン 相殺


泊地棲鬼「出の早い副砲で誘爆ヲ引き起こシタのか!?コノ艦娘、ナンなんだ…装甲空母鬼の出しテタ情報トは
全く違う…戦艦榛名、この艦娘ハ…確実にコノ場で沈めなけレバ…」

榛名「絶対、負けない!」ジャキッ

泊地棲鬼「……いいワ。実力は認めてアゲル。だから、私も本気デお前達ヲ排除スル……」


ズズズズズズズ……


霧島「なっ、今度は一体…」


ザバァァァァ……ッ


赤城「な、何…あの黒い球体は…」

瑞鳳「四つもある…」

衣笠「見て、泊地棲鬼の姿が…!」

羽黒「髪の毛の色が白く…」

泊地棲姫「……忌々しい艦娘共、この姿ヲ見て、無事で居らレルと思わないコトね。浮遊要塞、隊列を整えなさ
い。陣ハ輪形陣…!」


サササッ


榛名「要塞…!?」

霧島「冗談きついわね。あそこからまた、更に性能を向上させたって言うの…?」

榛名「そんな、あそこから更に進化なんて…」

泊地棲姫「能アル鷹は爪ヲ隠す、と諺にアルだろう。始めカラ見せるバカ等居ない。けど認メルわ。アナタ達…
特に、戦艦榛名……貴様ハ強い。だからこそ、ここで沈めル!」

538: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/17(水) 00:13:54.59 ID:9tMZtfG0o
提督「……状況が伝わってこない。泊地棲鬼に何かがあったのか。それとも、何か変化があったのか……」


ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ


提督「…!これは、別働隊の識別通信?はい、こちら提督鎮守府……」



赤城「残りの艦載機が、もう直尽きる……」

瑞鳳「くぅ、先の戦闘と初回で私も殆ど…」

榛名「赤城さん、瑞鳳ちゃん、二人は戦線を一度離脱…安全地点まで後退後、提督に通信で事の顛末の説明をお
願いします!ここは、私が食い止めて見せます!」

衣笠「ちょっとぉ、榛名っちゃーん、それは水臭いなぁ」

羽黒「私達だって、居ます」

霧島「悔しいけど、あの泊地棲姫自体には私達じゃ歯が立たない。けど、貴女があれとタイマン張れるくらいの
射線確保はして見せるわ」

榛名「霧島、皆…」

赤城「榛名さん、残りの全艦載機……榛名さんに託しますよ」

榛名「赤城さん」

赤城「大丈夫。皆、優秀な子たちですから」スッ


キリキリキリ……


瑞鳳「よしっ!」リョウホホ パンパン

榛名「瑞鳳ちゃん」

瑞鳳「任せて下さい、榛名さん!空母組は、皆さんの道を切り開く殿も一緒です!」スッ


キリキリキリ……


赤城「そう、この道は…」

瑞鳳「私達が…!」

二人「「切り開きます!」」


ビュオッ


赤城「全艦載機、空を割いて道を切り開いて!」

瑞鳳「お願い、あともう一度だけ…!」


ビュン ビュン ビュン ビュン


衣笠「羽黒ちゃん、まだ動けるよね。うちらは両脇のを!」

羽黒「はい!釘付けにします!」

539: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/17(水) 00:15:13.00 ID:9tMZtfG0o
霧島「正面で邪魔しているのを弾き飛ばすわ。だから榛名、貴女は真っ直ぐ、泊地棲姫に向けて進みなさい!」

榛名「皆、ありがとう。榛名、全力で参ります!」

泊地棲姫「フッ、性懲りもナク、また艦載機にヨル特攻か」

衣笠「最も、艦載機にだけ意識集中させれるならしてなさいよ。代わりに地上から鉛玉ありったけブチ込んで上
げるから!」グンッ

羽黒「二人の意志が篭った艦載機、そう易々と落とさせはしません!」サッ

浮遊要塞A「ギギ……」

浮遊要塞B「グギ……」

泊地棲姫「空と水上カラの波状攻撃!?オノレ、くたばり損ナイ共…!」

霧島「二人とも、合わせて!」バッ

衣笠「お任せ!」

羽黒「はい!」

霧島「主砲!敵を追尾して!撃てっ!!」ドォン ドォン

衣笠「私は左舷!」ドン ドン

羽黒「右舷、狙います!」ドン ドン


ボゴォォォォン


ドォォン ドドォォン ボゴォォォン


霧島「榛名!」

赤城「後を、お願いします!榛名さん!」

瑞鳳「いけーっ!」

浮遊要塞A「ギィ……!」 中破

浮遊要塞B「グゥ……!」 小破

浮遊要塞C「ギガガ……!」 大破

浮遊要塞D「ギギギ……」ジャキッ 被害軽微


ドォン ドォン


榛名「当たるもんですか!皆、ありがとう!」バッ

赤城「さぁ、瑞鳳さん…私達は一度退いて離脱です!」

瑞鳳「的にされて迷惑掛けるわけにはいかないものね」

赤城「皆さん、お願いします…!」

泊地棲姫「何度でも、何度でも……何度デモッ!水底へ沈め続ケル!貴様等艦娘がコノ世から全テ消え失せルま
で、何度だっテ、沈め続ケルぞ!先ずハ、貴様等カラな!」

540: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/17(水) 00:16:07.38 ID:9tMZtfG0o
泊地棲姫『何度でも、何度でも……何度デモッ!水底へ沈め続ケル!貴様等艦娘がコノ世から全テ消え失せルま
で、何度だっテ、沈め続ケルぞ!先ずハ、貴様等カラな!』

提督「……この声、泊地棲鬼の声か?何度でもって…どういう意味だ。あいつらは、一体何なんだ…」



榛名「それなら、私達は何度でも貴方達を退けてみせる!この世界から、深海棲艦の脅威を一遍も残さず、撃滅
します!」

泊地棲姫「やれルものナラやってミロ!力の差ヲ思い知らセ、絶望へ誘っテやる!!」ザッ


ドォン ドォン


ボボボン ボボボボボン


榛名「くっ…!主砲!一斉射ッ!!」サッ


ドォン ドォン ドォン


泊地棲姫「当たるモノか!」サッ


ボボボン ボボボボボボン


泊地棲姫「浮遊要塞、ヤツの足ヲ一時止メロ!」

浮遊要塞D「キィィィ……!」ドォン ドォン


ボボボボン


榛名「くっ、もう一隻、あれを落とさないと…」ジャキッ

泊地棲姫「何処を狙ッテいる、馬鹿め!」ジャキッ

榛名「しまっ……」


ボゴオオォォォォン



541: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/17(水) 00:17:21.86 ID:9tMZtfG0o
霧島「…ッ!榛名!!」


バシャァァン


霧島「くっ…!至近弾…これじゃ、榛名の援護に向かえない!」

浮遊要塞C「……」ニヤァ

霧島「衣笠も羽黒も、あの浮遊要塞相手で手一杯……なんとか、なんとかしないと!」


モクモクモク……


浮遊要塞C「……」ドン ドン

霧島「ちっ……!」サッ


ボン ボボボン


霧島「近付けない…あっ……!」


ギチギチギチ……


榛名「うっ、あぁ……」

霧島「は、榛名ッ!!」

泊地棲姫「フフッ、所詮艦娘……私達に逆ラッタらどうナルか、身に沁みたデショウ?」

霧島「榛名を離しなさい!」

泊地棲姫「ソレは命令か?ソレを、私が聞くと思うノか?今やコイツは、私の匙加減一つデ生死を左右出来る状
態にアルんだぞ?そんな口を利イテもいいのか?」

霧島「うっ……」

泊地棲姫「あはははははッ!ソノ顔だ、そう!そうだ!ソノ顔だ!!恐怖に慄き、絶望し、ソシて挫けて二度ト
逆らえナイように、徹底的に蹂躙スル!大した錬度ノ艦娘であろう、この戦艦榛名ヲ血祭りにスルコトで、その
狼煙が上げラレるのだ!!貴様等艦娘風情デハ、深海棲艦には敵わナイと言うコトを知らしメル!」

霧島「何処までも、卑怯な…っ!」

泊地棲姫「フッ、それヲ私達の間デは『負け惜しみ・弱者の戯言』ト言うンダよ。コノ世は弱肉強食…弱者、敗
者に語る資格ナドはないッ!!」

榛名「負け……る、もの、です……か……っ!」

泊地棲姫「ほぅ、マダそれホドの力を……が、それもココまでだ。楽しかっタヨ、戦艦榛名……」グッ…

542: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/17(水) 00:17:58.31 ID:9tMZtfG0o



───艦隊────に続け!───



霧島「えっ…今の、声は……」

泊地棲姫「なっ……!」バッ


ドドドドドン


ザバァン


榛名「けほっ、こほっ…」

泊地棲姫「おのれ、一体ドコから…」


??「さぁ、どこだろうなぁ!?」ドン ドン


泊地棲姫「ちっ…!」ブンッ


ボボボン


ブゥゥゥン……


泊地棲姫「今度は艦載機ダト!?おのれぇぇ……!浮遊要塞ッ!!」


バッ バッ バッ バッ


ボゴォォォォン


霧島「黒い球体を壁にして自分への被害を抑えた!?けど、これで……!」

衣笠「な、何が起こったのよ!」

羽黒「あ、あれ、見て下さい!」

霧島「赤城と、瑞鳳?その後ろに……」

衣笠「あっはっは…頼もしい援軍じゃないのよ。でも、もうちょっと、早くても良いんじゃないかなぁ…」

木曾「そうでもねぇだろ。むしろグッドタイミングってヤツだったんじゃねぇの」バサァ

大鳳「これ以上の被害拡大は、もうありえないわ」

長門「榛名、世話を掛けた。貸していた迷惑の分、今ここで返済しよう」

榛名「な、長門さん…それに、皆……けほっ、こほ…」

木曾「選手交代、お前等は休んでな。こいつは俺達が相手するからよ」

泊地棲姫「軽巡洋艦風情ガ、私の相手ダト?」

木曾「軽巡洋艦?あぁ、ちょっと前まではな。今は、重雷装巡洋艦の木曾様だ!二文字で名前も覚えやすいだろ?
深海に戻っても呪詛の如く、この水面に届くくらいに俺の名前を呟き続けな!」

長門「赤城、瑞鳳、後は任せてくれ。お前達は休んでいてくれて構わない」

赤城「加勢しようにも、艦載機の残りがもうなくて…すみません」

瑞鳳「大鳳、あと…お願いね!」

大鳳「ええ、任せて。徹底的に叩きます」

泊地棲姫「戦艦、装甲空母、重雷装巡洋艦…イイだろう、何がコヨウガ無意味だと解らせテやるッ!!」

547: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:40:14.20 ID:h3wOIaHuo
『ザー……ザザー……て…く……提督!』

提督「っ!」ガシッ

提督「その声は、赤城だな!?戦況はどうなった!」

赤城『榛名さん、衣笠さん、羽黒さんが中破、霧島さんが小破、私赤城と瑞鳳さんは全艦載機を出し尽くし、戦
線離脱です。ですが、入れ代わる形で長門さん、木曾さん、大鳳さんが援軍として到着しました』

提督「……そうか、間に合ったか。しかし、榛名、衣笠、羽黒に霧島、お前達まで揃っていても泊地棲鬼を出し
抜けなかったってのか…」

赤城『厳密には、緒戦は完全に榛名さん一人で押していました。ですが、姿を変え兵装を換装して、再度相手は
挑んできたんです』

提督「姿を変貌させた…?それだけならまだしも、それで兵装まで変わって戦力まで変化・上昇させたっていう
のか…どうなってるんだ、あいつらは…」

赤城『仮に、泊地棲姫を退ける事が出来たとしても、この先への進出は困難です』

提督「…あぁ、解ってる。今から別働隊を編成、泊地棲姫との戦闘を物量で押し切って、そのままモーレイ海に
鎮座してる深海棲艦を一掃する」

赤城『私と瑞鳳さん自体はほぼ無傷です。物資さえあれば継続して航行は可能ですが…』

提督「そうか。天竜たちにも急遽、現任務を放棄し、手持ちの資材をそっちへ届けるように指示を出した。彼女
たちから資材を受け取って、その後の戦況に応じて任務継続へ移るかどうか判断してくれ」

赤城『了解しました!』

548: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:41:16.45 ID:h3wOIaHuo
木曾「さぁて…仲間甚振ってくれた分の礼をまずはしねぇとな?」スラ…

泊地棲姫「刀、ダト…?」

木曾「おう。てめぇをぶった斬るには十分な獲物だぜ?」

泊地棲姫「私を、斬る?ソンな矮小な武器デ私を仕留める気デいるのか?」

大鳳「私達三人を相手にすれば、隙の一つや二つは出来るんじゃないですか」バッ


ビュン ビュン


泊地棲姫「……艦載機」

長門「さて、見る所戦艦型か…殴り合いなら付き合ってやるぞ?」グッ

泊地棲姫「たかが……艦娘、三匹に……コノ私が遅れヲ取るものかッ!!」サッ


ビュン ビュン


木曾「しょっぱな!任せるぜ…大鳳!!」ザッ

大鳳「上等よ!第一次攻撃隊、全機発艦!!」バッ

長門「いくぞっ!散開ッ!!」ググッ


ボゴゴゴゴォォン


泊地棲姫「なっ…オノれぇぇ……ッ!」 小破


ヒュー……


大鳳「いい風ね。この風が、そのまま私達に勝利をもたらす」

木曾「っしゃあ!大鳳、お手柄だぜ!さぁて、深海棲艦に本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ!」ヒュンッ

泊地棲姫「チッ…!」スッ…


ビュオッ


泊地棲姫「くっ…!」サッ

木曾「デカブツから先に掻っ捌くか」クルクル チャキッ ジャキッ

泊地棲姫「刀と砲塔ヲ同時に……舐めたマネを……ッ!」

長門「おおおおおっ!!」ブンッ


ドンッ


泊地棲姫「がはっ…!うぐ、このヨウな……」 小破

549: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:41:46.20 ID:h3wOIaHuo
木曾「調子乗りすぎだぜ、深海棲艦…幹部クラスだかなんだかしんねぇけどよ…」

大鳳「……第二次攻撃隊、次発発艦準備完了よ」サッ

長門「貴様等の界隈じゃ、弱肉強食なのだろう?ならばこれが必然だな」

泊地棲姫「お、ノレ……ッ!」

木曾「…へへっ、居るのかどうかもわかんねぇけど、お前等の指揮官は無能だなぁ!」

泊地棲姫「何ヲ…!?」

木曾「たった一匹で俺等どうにかできるとか本気で思ってる時点で終わってるってんだよ。ざけんな!」

長門「見縊らないで貰いたいな」

木曾「……いくぜ、深海棲艦」ギラッ ザッ


ドン ドン ドン


泊地棲姫「その程度の、砲撃ナド!」サッ

木曾「あぁ、避けれるだろうな。だがよ…それで逃げたつもりなのかい?」グンッ

泊地棲姫「なっ……」


ザザザンッ


泊地棲姫「ガアアアアアアアッッ!!」 中破

大鳳「第二次攻撃隊、発艦!敵を掃射します!」ビュン ビュン


ボゴォォォン


泊地棲姫「ガハッ…ま、まだ…だ……まだダアアアアアアァァァッ!!」ジャキッ 大破

長門「いいや、これで終わりだよ。覚えておけ、私は長門型一番艦、戦艦長門……貴様等深海棲艦を駆逐する者だ!」

泊地棲姫「」(この三人…先の榛名同様の強さヲ秘めてイルというのカ。馬鹿ナ、ありえナイ…負けるノカ、私ガ……)

550: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:42:21.53 ID:h3wOIaHuo


ドォン ドォン


ササッ


バシャァァァン


長門「ビッグセブンの力、侮るなよ」ジャキッ


弾着観測射撃 ドォン ドォン


ボゴォォン ボゴォォォン


泊地棲姫「────」(侮っていタノは…私の、方……気を付けろ、リコリス…他の者達、コイツ等は……)

木曾「やったか!?」

泊地棲姫「……ワタシモ…モドレルノカ…アオイウミノウエニ……」 轟沈 ブクブクブク……

大鳳「え…?」

長門「……戻るぞ、二人とも」

大鳳「あっ、ええ…」

木曾「榛名達の手当てもしねぇとな」

大鳳「」(なんだったの、さっきの言葉は…)

551: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:43:16.84 ID:h3wOIaHuo
-執務室-

翔鶴「────以上が今回の任務の報告になります」

提督「おう、サンキューな。急遽の出撃で疲労感も一入だろ。翔鶴たち六名は十分に休息を取ってくれ」

翔鶴「ありがとうございます、提督」

川内「ふんふふーん、ふんふーん♪やっせんー、やっせんー、やーせーんー♪やっせんはぁ~、いいよぉ~ねぇ~~~~♪」

提督「……なんだ、あれ。無駄にビブラート効いてんぞ…」

翔鶴「うふふ…夜戦、沢山できたみたいで、とても幸せそうです」

金剛「あんなに上機嫌な川内初めて見るネー」

筑摩「大活躍でしたもの、今回は『うるさい』なんて言っちゃダメですよ、提督」

提督「へぇへぇ、わかりましたよ。今回は長門たちの帰還と未知だった新手の深海棲艦を一匹しとめる事も出来
たしな。収穫としても十分だ。何より、モーレイ海を制圧できたのが大きい。これでキス島へ向けての攻略準備
も一段と進めることが出来るはずだ」

金剛「それで提督ぅー、榛名や霧島達はダイジョーブなのー?」

提督「ん、ああ…問題ない。結構傷だらけで帰ってきたからこっちも大層心配したんだがな……」


榛名「こんなんじゃダメですね。私ももっともっと頑張らないと!」

衣笠「ほーんと、少し自惚れてたかなぁ。これじゃ青葉に笑われちゃうよ。私も精進精進!」

羽黒「意気込みだけじゃやっぱりダメですね。私も、もっと強くなる為に努力します!」

赤城「お腹が空きました!」

瑞鳳「私も!提督!ご飯ご飯!」

霧島「傾向と対策の研究が疎かでした!もっとデータの集積を進めないと…」


提督「…って感じで微塵も心配する余地がなかった」

金剛「そ、そうなんだ…よ、良かったネー」

比叡「あの子達、なんか無駄に逞しくなってますね。私も負けてらんないな。ねっ、お姉さま!」

金剛「あ、暑苦しいのは私勘弁ヨー…」

提督「とにかく、今回は収穫も多かった。霧島も言ってたが、敵の戦力も徐々に開示されてきている。勿論、あ
れで全てのはずもないだろうがな。傾向と対策の練り直しは必須だろう」

552: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/09/18(木) 21:57:33.31 ID:h3wOIaHuo
-???-

リコリス「……泊地棲姫が、死ンダ」

新鋭提督「…そう。そこまで力を付けたのね」

装空鬼「ドウするの?」

新鋭提督「恐らく近代化改修による戦力強化でしょうね。けど、こちらの戦力が全て割れてるわけじゃない。
リコリスと装甲空母鬼の二人は身を晒してるから既に相手も知ってるでしょうけど、その力まではまだ把握して
る訳ではない」

装空鬼「ならば、次ハ私が……」

新鋭提督「いいえ、彼らには暫く北方海域で足を止めてもらうわ」

リコリス「あの子を出す気ナノ?」

新鋭提督「あら、心配?」

リコリス「……まぁ、ドウセ彼女も一緒に居るコトだろうし、問題はナイと思うケド……哀れナノは、相手ネ」

新鋭提督「無垢は時として何よりも邪悪なのよ」

リコリス「一体、何人の艦娘がアクタンの餌にナルのかしらね…」

装空鬼「マスターにしては、早急な対応ニ奔るノネ」

新鋭提督「あら、私も一応提督よ?戦術眼くらいは持ってるわ。蛮勇じゃない所を見せて上げるわよ」

装空鬼「ナラ、私も準備に入るトしよう」

リコリス「…第二幕、どんな進路を取るノかしら。楽しみネ」