【艦これ】提督「暇じゃなくなった」 前編

373: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 21:45:40.81 ID:FiDrY2yEo
-大本営-

大和「元帥、以上が此度に私達が体験した顛末です」

ビスマルク「奴の口振りは元帥が何かを隠していると暗に示唆する内容だったわ」

元帥「そうか…」

大和「元帥?」

元帥「…何でもない。報告は解った。危険な目に遭わせてしまって済まなかったな」

ビスマルク「いえ、それが本来の私達の任務です。気遣いは無用かと思いますけど…」

元帥「ふっふ、そう強がるな。報告は解った。今日は二人とも下がっていいぞ」

大和「は…?」

ビスマルク「まだ秘書業務は残っていると思うけど?」

元帥「調査任務を遂行してくれた褒美だ。遠慮せずに今日はもう休んでいい。同行した那智、摩耶、雲龍、祥鳳
にもそれぞれ通達しておけ」

ビスマルク「し、しかし…!」

大和「ビスマルク、それ以上は…」

ビスマルク「くっ…」

大和「了解致しました。ではお言葉に甘えて本日の業務、終了とさせて頂きますね」

ビスマルク「ダンケ、シェーン…失礼します」




374: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 22:01:35.37 ID:FiDrY2yEo
摩耶「ふー、やっぱ仕事の後の一っ風呂は最っ高だなぁ!」

祥鳳「一日掻いた汗を流す…疲れも一気に消えますね」

雲龍「そうねぇ。それにしても、一戦を交える事にはならなかったとは言え、戦艦レ級の艦隊にそれを指揮して
いたあの白髪に紅の瞳の深海棲艦…距離を置いていたとはいっても、あの圧倒的な威圧感…寒気がしたわ」

那智「解せんのはそれだけではない。奴の発していた言葉もまたこちらからしてみれば不可解だ。脅しではなく
警告とは、言っている意味が理解しかねる」

摩耶「よう、那智」

祥鳳「お疲れ様です」

那智「ああ。あと、大和から通達だ。本日の任務は終了、その後は各自自由時間だそうだ」

雲龍「わざわざそれを伝えるためだけに?」

那智「ふん。どちらにしろ塩水を被ったままでは具合が良くないからな。事の次いでだ」

摩耶「かーっ!今日の元帥は気が利いてるなんてもんじゃねぇなぁ、おい!」

祥鳳「別段、荷が重い任務と言う訳でもなかったんですけれど、どうしたんでしょうか」

那智「私が知るか。だが上からの命令ならば絶対だ。休めといわれれば休みもするさ」

雲龍「相変わらずの鉄面皮ね」

那智「どうとでも言え。いざという場合に備え、戦術行動が取れなくては本末転倒だからな。休養も戦いの内だ」

375: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 22:15:22.36 ID:FiDrY2yEo
-大本営・大会議室-

大将1「宜しいのですか?飛行場姫・リコリスと名乗る深海棲艦のメッセージは確実にこちらの隠匿してきた履歴
を指して述べております」

元帥「仮にそうだとしても大和やビスマルクをはじめとした艦娘達は一人としてその事実には差し当たって気付
いてはおらん。無駄を排除した上で執り行った近代化改修も滞りなく成功した」

大将2「ですが、万が一という事もあります。先の提督大佐の所に居る艦娘にも元帥殿の指示の下、近代化改修を
施したと聞き及んでおります。そちらの方面からもしもその万が一が起これば…」

大将3「ならば、逐一監視して、情報を常に手綱として握っておけばいいでしょう。諜報には智謀大将よりも隠密
大将の方が長けているのではないですか?」

隠密「やれと言われればやりましょう。海軍の規律に反する俗物は余さず炙り出し、白日の下に晒して然るべき
刑罰を科し、断罪に処するべきです」

智謀「恐ろしい事をサラッと口にしますね。私には貴方の方がよっぽど極悪非道に見えますが?」

隠密「尻尾を出さない女狐がどの口でほざくのか。今の憲兵など自力で動こうとしない駄犬に等しい以上、我々
が彼奴等の手足を動かす人形師として成らねばならんのですよ」

智謀「」(それもこれも貴方の思惑通りでしょうに…それこそどの口が言うのか)

隠密「おや、智謀殿にしては珍しく何か物言いの表情ではないですか」

智謀「いえ、別に。提案と推薦を課せられたのは隠密提督。そこに私が土足で足を踏み入れるわけにはいかない
でしょう。出された決定には無論従います。元帥殿の発言こそがそのままの意なのですから」

隠密「では…元帥殿、宜しいですね?」

元帥「決して手は出すな。提督大佐にはこの私自ら着せてしまった恩のある男だ。無用の混乱と疑心を彼に植え
つけたくはない…」

隠密「心得ました。お言葉の通りに任務を遂行してご覧に入れましょう」

376: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 22:29:30.65 ID:FiDrY2yEo
-演習場-

赤城「はぁー…これは、また…」

飛龍「す、凄いね…」

提督「…榛名と金剛の二人だけで陸奥、大鳳、衣笠、川内の四人を、ねぇ…」


川内「はは、マジで…?」 中破

衣笠「じょーだんでしょ」 中破

大鳳「つ、強い…!」 小破

陸奥「実際に肌で感じて初めて解るってこの事ね」 小破

金剛「はぁ、はぁ、はぁ…」 中破

榛名「まだまだ、やれますよ…!」 中破


比叡「霧島、どれだけ把握できた?」

霧島「そ、想像を超えてます。とても全てを把握なんて無理でした」

提督「制空権を奪うだけなら大鳳一人で事足りたのまでは良かったが、それを物ともしない瞬発力が金剛と榛名
には備わってるみたいだな。最初から空を制すことが出来ないと解っていれば、自然と空への警戒も強まる」

赤城「だとしても、大鳳さんのハリケーン・バウはそう易々と往なせるものではありませんよ」

飛龍「うん、決して大鳳の錬度は低くない。衣笠の精密射撃に川内のスピード、陸奥さんのパワー、バランスも
取れてて戦術を行使するにはとてもいいと思ってたんだけど…」

提督「金剛と榛名の連携がそれを容易く上回ったな。出だしがともかく凄まじく早かった。大鳳の先制攻撃から
始まって、状況把握から戦術展開、どちらが殿を務めるのか、互いの針路、射線の確保と一瞬でそれらをやって
のけたのには流石に俺も脱帽ものだった」

比叡「何より驚いたのは二人の動きですよ」

霧島「金剛お姉さまは左右の切り替えし、榛名はお馴染みの三次元の動き…キレも相当なものでした」

比叡「瞬間的な動きの速さなら駆逐艦の子等に迫るものがあったよ」


陸奥「まだやれるって、そのナリで本気で言ってるの?こっちの艤装はまだ一番二番砲塔共に無傷、そっちはど
うみても、二人とも主砲が使い物にならないように見えるけど?」

金剛「じゃあ、見せるしかないネ、榛名」

榛名「はい、お姉さま」

川内「…くるよ、皆!」

衣笠「外さないわよ!」

大鳳「慢心も出し惜しみもしない。さぁ、飛び立ちなさい!第二次攻撃隊、全機発艦!」

陸奥「手負いの狼ほど怖いってね。気を緩めちゃダメよ!」

377: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 22:38:38.63 ID:FiDrY2yEo
-執務室-

榛名「ふぅ、すみません。遅れました」

提督「いや、いい。それより最近、皆演習に力はいってるな」

榛名「ここ最近、やはり深海棲艦が強くなってきてるのもあるんだと思います。私自身も実際にレ級や泊地棲姫、
ピーコックと言った存在と相対してその実力差に愕然としたのも事実です」

提督「だが、断言してもいい。今のお前はそこらの深海棲艦は勿論、艦娘相手にも全く引けを取らないだけの力
を秘めているし、実際に発揮している。少なくとも、俺が知る限りではお前に長門、金剛、赤城、神通、夕立、
ヴェールヌイ…」

榛名「え?」

提督「近いものを感じるのは飛龍、大鳳、陸奥、衣笠、羽黒、川内、北上…」

榛名「あの、近いものって言うのは…」

提督「俺の中での仮説に過ぎん。ある程度の条件が整っているものを俺は仮定的にそう表現している。つまり、
覚醒している、もしくは覚醒しかかっていると言うことだ」

榛名「かく、せい…?」

提督「考えられるのは近代化改修だろうな。それと、個々が内に秘めている古の記憶だ。前世の記憶なんて表現
する場合もあるが、数十・何百年も前の記憶を有するというのはそれだけで不可思議だからな」

榛名「あの、提督?」

提督「榛名、恐らくだがお前たちは進化の過程にある」

榛名「あの、改装と言う意味で、ですか?」

提督「いや、進化と言うよりはやはり覚醒しかかっている、と言う方が正しいかもな」

榛名「覚醒、しかかっている?」

提督「幾つか立てた仮説の中では最もしっくりくるもんだ」

378: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/12(水) 22:54:13.07 ID:FiDrY2yEo
まず、以前に北上経由で教えてもらい、実際に武蔵、加賀、大井たち三人から生の情報を得られた。

艦娘の死後のことだ。艦娘は死後、幾つかの選択肢が存在することが彼女たちの言葉から判明している。

一つは依り代となる場所や物があった場合、そこに根付き守護者のようになる。これは今の武蔵たちの状態だな。

二つ目、天寿を全うした魂は輪廻転生をして別の存在として生まれ変わる、と言うものだ。

これはまだ実際に目にしたわけではないし、立証のしようもない。

だが、一つ目の事象を体現していた武蔵たちの言葉だから、ある程度の信憑性も伺える。

そして三つ目、これが最も恐れていた事実だ。抱いた艦娘自身の念が強すぎて反転し、深海棲艦として生まれ変

わると言うもの。その言葉とつき合わせて、今までの深海棲艦の言葉を省みると、符合する部分が幾つかある。

で、これらの話は言わば覚醒に至るまでの基盤に過ぎない。

次に榛名や一部の艦娘が断片的に覚えている前世の記憶や謎の夢だ。

これは恐らく、最初の艦娘の死後の話が若干かぶさってくる可能性もある。

そうじゃなかった場合は先天的に元から刻み込まれていたか、もしくは後天的だとすればその原因は近代化改修

がそれにあたると俺は睨んでいる。

先天的に元から刻み込まれている、というのはこれも憶測の域を出ないが実際に存在していたとされるお前達と

同じ名を冠した旧海軍の艦の残心とも言うべき記憶の結晶体だ。

榛名の場合は恐らく先天的なものだろう。実際にお前の名と同じもので、俺も調べて見つけた資料がある。

金剛型巡洋戦艦その三番艦として建造された高速戦艦・榛名。

竣工は1915年4月19日 損失は1945年7月28日とある。

断言はしきれない。だが、それでも思うところがある。お前は、旧日本海軍が建造した戦艦榛名、その生まれ変

わりなのかもしれない。故に、戦艦榛名がその身に刻んだ記憶の断片をお前もまた記憶として保持し、夢として

みていたのかもしれない。

そこに敵として現れた深海棲艦。その強さの前に今度こそ負けまいと、今度こそ護りきると、お前はそう誓って

力を振るった。その想いと過去の記憶がシンクロして今のお前のずば抜けた身体能力が備わった。

過去の記憶と現在の記憶が合わさって未来の力に生まれ変わった。つまり、これが俺が仮定とする覚醒だ。

382: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/15(土) 22:54:30.45 ID:rs4qGF2No
榛名「そんな、事が…本当にあるんですか?」

提督「解らん。所詮、確証も何も得てない推論のみで編み上げたもの。机上の空論と言われれば反論のしようも
ないのは解りきっている。だが、そうとしか思えない。更に、旧日本海軍の資料と言うのは現在、大本営で厳重
に保管され、それを閲覧することは一般人は無論、俺たち海軍提督にすら許されていない」

榛名「そんな、先代の偉業を何故隠匿する必要があるんです?」

提督「それも解らん。だが、そこに何か隠されているのもまた事実なのかもしれない。実際、榛名の記述を探し
出すのにも相当苦労を強いられた」

榛名「……」

提督「まぁ、色々と喋ったが榛名は今のまま、気にせず居てくれ」

榛名「提督…」

提督「さっ、折角この間はお前たちからサプライズパーティ開いてもらったし、業務頑張らなきゃまた怒られち
まうからな。最近は特に暁一派に合わせて白露一派もお小言増えてきてるからな…」

榛名「またそうやって暁ちゃん達の悪口を…」

提督「レディの私が言ってるんだから言うこと聞きなさいっ!ってお前、言うこと聞くか?」

榛名「……事と、次第によるかと」

提督「電の場合は素直なんだよ。頑張ったので頭撫でて欲しいのですって言うから」

榛名「は、はい?」

提督「暁の場合がさっきの奴ね」

榛名「えっと、え?」

提督「白露は一番にゴールしたからごほうび~!ってタックルかましてくる」

榛名「タ、タックル…」

提督「ぽいすけと時雨、春雨はまだ大人しくていいんだがな」

榛名「ぽ、ぽいすけって…夕立ちゃんの事ですか!?」

提督「え、そうだけど?」

榛名「なんてヒドイあだ名を…」

提督「だってあいついっつも語尾にぽいぽいつけてるだろ。ぽいすけって言うと飛んでくるぞ」

榛名「それでいいのか、夕立ちゃん…」


夕立「っくしゅん!ふぅ、風邪っぽい?」


提督「ま、話は取り敢えず終わりだ。早いとこ書類片付けるぞ」

榛名「あ、はい。了解です」

383: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/15(土) 23:08:54.45 ID:rs4qGF2No
-???-

新鋭「提督鎮守府の艦娘達に一杯食わされたんですってね?」

フェアルスト「何をしにキタ」

ピーコック「お呼びじゃなインだけド、何か用カシラ?」

新鋭「あらあら、辛辣なお言葉ね。これでも一応パートナーなんだもの、心配くらいはするわよ?」

ピーコック「心配…?フフッ、どの口が言うのカシラ。リコリスは貴女に疑心ノ念を既に抱いてイルわよ」

フェアルスト「無論、私達は基より信用ナドしてイナイ」

新鋭「あら、そう…それよりも、他の子達はどうしたのかしら?」

ピーコック「知らなイワ。用があるナラ自分で探しなサイ」

新鋭「居ないと言うのなら別にそれでもいいわ」

フェアルスト「ドウ言う意味だ」

新鋭「こういう意味よ」サッ


ドォォン ボゴオオォォン ドガアアァァァン


フェアルスト「なっ…!」

ピーコック「フェアルスト…ッ!」サッ

新鋭「…さあ、始めましょうか。深海棲艦狩りを…」ニヤ

384: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/15(土) 23:25:36.26 ID:rs4qGF2No
ピーコック「うぐっ……フェアルスト…!」 中破

フェアルスト「大丈夫よ。掠った程度ダカラ……ピーコック…ッ!?」 小破

ピーコック「無事なら、ソレデいいわ。それより、どういうツモリよ、シンエイ…!」

フェアルスト「海軍の、モグラと言うワケか…!」

新鋭「冗談はやめて。あんな腐りきった組織と一緒にされるなんて真っ平御免よ。本当だったら一網打尽に出来
る機会を選びたかったけど、まぁ主力級の貴方達なら申し分ないわね」

??「……」

??「……」

??「……」

??「……」

??「……」

??「……」

フェアルスト「なんだ、ソイツ等は…」

ピーコック「どういうコトなのヨ!くっ、何なの、ソイツ等は……ッ!」

385: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/15(土) 23:38:03.05 ID:rs4qGF2No
新鋭「さぁ、何かしら?まぁ、初お披露目って事で…これが私の艦隊よ」

フェアルスト「艦隊?艦隊ダト…?貴様、どこまで…ッ!どこまで私達ヲ馬鹿にスル気だ…ッ!!」

新鋭「堕ちた分際で何を偉そうに…使役してもらえる存在がいるだけありがたいと思いなさい?」

フェアルスト「キサマァ…!」

新鋭「彼女達は私の最高傑作よ。従順で、命令のみに忠実。素晴らしいと思わない?艦隊、兵器と言うのはこう
在るべきなのよ。感情なんて起伏のあるものを排除し、ただ障害となるものを無機質に、無感情に、踏み潰すが
如く、只管に蹂躙する。それでこそのマッサークルドール。見せて上げるわ、貴方達を実験台にしてね?」

フェアルスト「逃げろ、ピーコック…」

ピーコック「フェアルスト、あなた…」

フェアルスト「イケッ!ピーコックッ!!誰でも構わナイ。この際、信じヨウと信じまいト、海軍だろうとナン
だろうと、コノ事実を公に伝えろ。出来るナラ味方に、リコリスに……頼んだワヨ、ピーコック…」

ピーコック「こんな、ハズじゃ…くっ!」ダッ

フェアルスト「無事でイテね、ピーコック……イツカ……静かな……ソンナ……海で……私も……」クルッ

新鋭「念仏は唱え終わったかしら?」

フェアルスト「……念仏を唱えるノハそっちよ。余り見縊らナイで貰いたいワネ。私は戦艦棲姫・フェアルスト。
余さず貴様らをコノ場で殲滅スル…ッ!!」

新鋭「ソロモン海戦の亡霊が…逆に沈めて墓標を立てて上げるわよ」

386: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/15(土) 23:56:55.56 ID:rs4qGF2No
-某海域-

ピーコック「くそっ、クソッ……!逃げるコトしか、出来ないナンて…!」

ヲ級?「……アナタハ……」

ピーコック「…ッ!?なっ…空母、ヲ級…?いや、規格にそぐわナイ。アナタ、まさか…」

ヲ級?「」コクッ

ピーコック「そう、それで…たった一匹で何ヲしようと言うのカシラ」

ヲ級?「ナニモ…タダ、ワタシハ、ジユウヲアイシタ」

ピーコック「その結果がそのザマでは、自由と言うヨリもむしろ傀儡、道化に近いワネ。結局、そのナリで受け
入れらレル場所ナンテ何処にもナイ」

ヲ級?「シッテル。コノサキニアルチンジュフデモ、ソコノテイトクニキョゼツサレタ。デモ、ソノマエノチン
ジュフデハ、ハンブンウケイレテクレタ…」

ピーコック「何ですって…?」

ヲ級?「イマハ、マダ、ダメダト…フシギナヤツダッタ。ミナリダケデミレバ、ワタシハ、シンカイセイカン…
フツウニ、カンガエレバ、ナヤムヒツヨウナド、ナイノニ…」

ピーコック「人間が、深海棲艦に情けヲ掛けたトデモ言うの!?」

ヲ級?「ナサケトハ、チガウ、タブン。カットウ…アノジテンデハ、カレハワタシジャナク、カンムスヲエラン
ダトイウダケノコト……リトウ、セイキ……ドコカ、カナシイカオ」

ピーコック「……ッ!煩いッ!!お前に何が解るッテ言うノ!?深海にも、コノ青い海の上でサエ、居場所のな
い分際デッ!!」

ヲ級?「……ゴメンナサイ。デモ……」スッ

ピーコック「ぇ……?」

ヲ級?「ワタシヲ、ハンブンハ、ウケイレテクレタ、チンジュフ。コノ、ホウガクニアル…」

ピーコック「フッ、私にソコへ向かえと?」

ヲ級?「ヒコウジョウキヤ、コウワンセイキタチノバショ、ワタシニハワカラナイ…シンロガナケレバ、ススミ
ヨウガナイデショウ?ワタシハ、コノアオイウミヲ、モウイチド、アユンデミタイダケ…」

ピーコック「……行きなサイ。貴女は、本当に愚かネ」

ヲ級?「ヨク、イワレテタ」ニコッ

ピーコック「機会がアレば、また会いまショウ。その時は、私が貴女に居場所ヲ作って上げるワ」ニコッ

ヲ級?「アリガ、トウ…」

392: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 21:55:57.23 ID:CkzWmIM6o
-母港-

龍驤「港は今日も異常なしっと~」

飛龍「龍驤、慢心はダメ!ゼッタイ!」

龍驤「わ、わかっとるって…!」

提督「おーい、そろそろ昼だ。交代要員飛ばしたら戻ってきていいぞ」

飛龍「あっ、はーい!ヨシッ、それじゃ今日も宜しくね、皆!」ヒュン ヒュン

龍驤「さーて、うちんとこもお仕事お仕事ー!」ヒュン ヒュン

飛龍「それじゃ戻ろっか!」スタスタ

龍驤「せやな!」テクテク

提督「うーん…秋空快晴、凪ぐ風が少し肌寒いが、照る太陽と相まって逆にこれはこれで心地良いかもなぁ」

飛龍「テートク!呼びに来た人が遅れるってどーかと思いますよっ!」

提督「おっと、悪い悪い…いやぁ、執務室に篭ってるとな、どーもこう、天気が良いと空の下でのんびりとした
くなるんだよ」

龍驤「あー、解る解る。うちも雨降っとると、どーも調子でぇへん時あるもん」

飛龍「あはは、まぁ…提督の場合は執務がお仕事ですからね。ん?」ジー

提督「どうした、飛龍?」

龍驤「ありゃ?」

提督「なんだよ、龍驤まで」

飛龍「艦載機の子達が戻ってきました」

龍驤「うん、うちの子等も戻ってきとるなぁ」

393: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 22:38:56.70 ID:CkzWmIM6o


ブゥゥゥゥゥン……


飛龍「よっと…敵が現れましたか?」

艦載機妖精「キュウエンシンゴウ」

飛龍「救援信号?」

提督「どういう事だ。狼煙も何も上がってないし、何より同じ海軍提督や各鎮守府に所属する艦娘達なら専用の
チャンネルがそれぞれにあるはずだ。わざわざ哨戒中の艦載機に信号を発信するものか?」

龍驤「せやけど、万が一って事もあるやん。そのまんま放置して、後で本物やったらうちらも寝覚め悪いで…」

榛名「あ、提督、飛龍さん、龍驤ちゃん。遅いから見に来ちゃいましたよ。どうかしたんですか?」

提督「あぁ、榛名。それがな────」


榛名「飛龍さんと龍驤ちゃんの艦載機が、それぞれ同じ救援信号を受信して引き返してきたって事ですか?」

飛龍「うん、時間からすればそれほど離れてないと思う」

龍驤「こうしててもしゃあないで。取り敢えずいってみな!」

提督「仕方ない。俺も同行する。榛名、悪いが一緒に頼む」

榛名「あ、はい!解りました」

394: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 23:03:39.21 ID:CkzWmIM6o
-近海-

提督「この辺りか?」

飛龍「その筈なんですが…」

龍驤「別に孤島ある訳やあれへんし、なんかあったら解る思うんやけどなぁ…」

榛名「…居ます」

提督「お、何処だ?」

榛名「……」

提督「榛名?」

榛名「姿を現しなさい、ピーコック!」

提督「何…?」


ザバァァァァ……


ピーコック「……」 中破

飛龍「え…?」

龍驤「な、なんや…ボロボロやないか。そないなナリで自分、まさか特攻でも仕掛ける気ぃか!?」

榛名「貴女…」

ピーコック「……解ってイル。私は、貴様達にとっての外敵でアリ、淘汰すべき相手。だから、私の言葉にソノ
耳ヲ傾ける必要も別にナイ。だが、もしも貴様達ガ、何かの気紛れでも構わナイ、その耳をこちらへ傾けてクレ
ると言うのなら…私の知る全てヲこの場で晒そう」

提督「何が目的だ。そして何故、お前はそこまで痛んでいる」

ピーコック「目的は、ナイ」

395: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 23:19:18.74 ID:CkzWmIM6o
榛名「…貴女が一人で居る事が既に異常なんです。貴女と共に居たフェアルストはどうしたんですか」

ピーコック「フェアルスト……彼女ハ、私の身代わりトシテ、鉄底海峡ノ水底へと再び沈んだ」

飛龍「えっ…!?」

提督「アイアンボトムサウンド…」

ピーコック「…一つ、教えろ…海軍提督。静かな時代で、タダ静かな時ヲそっと過ごす…それは我等が望ンデは
ならないコトか?」

提督「…望むほどに、捜し求めるものがあるのだとするなら、それはお前たちにとって必要なことなのかもしれ
ないのは認める。だが、それとこの世界を闇へ染め上げていいのとは訳が違う」

ピーコック「……フッ、道理だナ。私の首は好きにスレばいい。その前に、コチラの情報の全てヲ貴様達に明け
渡すコトを約束する」

榛名「…待って下さい」

龍驤「は、榛名ちゃん?」

ピーコック「…まだ、何かアルの?」

榛名「共に歩んだ仲間を置き去りにして、貴女は戦わずに死ぬって言うんですか?」

ピーコック「抗い様のナイ戦力を前に、貴様は無謀と解って尚、足ヲ前に踏み出せルト言うのか?死を以て退路
ヲ切り開いた同胞(はらから)の努力ヲ、貴様は無駄にシロと言うのか。私の役割は、コノ情報ヲ信頼デキル者へ
託すコトだ。貴様達ナラ、情報を活用スルだけの知恵は持ち合わセテいるだろう」

榛名「そんな事を言ってるんじゃありません!そこまで解っているなら、せめて無念を晴らそうとは思わないん
ですか!?一矢報いるという意地は見せないんですか!?そんな、意地も何もない相手に、私達は苦戦を強いら
れたって言うんですか!?」

提督「榛名…」

榛名「簡単に死なせるもんですか。自分の業としっかり向き合って下さい。それが、沈んでいった仲間達へのせ
めてもの弔いになるんです。フェアルストがどういう想いで貴女を生かしたのかなんて私には解りません。です
が貴女がそれを理解しないのはお門違いです!」

ピーコック「…クドイ人ね」

榛名「んなっ…!」

ピーコック「艦娘のクセに、深海棲艦に説教スルなんて…他から見レバ異形にしか映らナイでしょうネ」

396: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 23:34:15.27 ID:CkzWmIM6o
ピーコックは一呼吸置いてこれまでの経緯を詳細に語った。

無論、リコリスの計画している内容は伏せた上で、彼女達に要らぬ火の粉が及ばないように配慮した上で、自分

が関わった内容の全てを包み隠さず提督達に語った。

新鋭提督との繋がり、その新鋭提督による内部反乱。

引き連れていたのは新鋭の操る傀儡に等しい艦隊である事。

その後直に自らは退避した為にその全容を確認するには至らなかった事。


提督「新鋭…!」

飛龍「ピーコックの話じゃ、既にフェアルストは…」

ピーコック「足止めをそのママ続けてイタのだとしたら、既に沈んでイルでしょうネ。で、私の処遇はドウする
つもりナノかしら?」

提督「逃げも隠れもしない、と言う口振りだな」

ピーコック「ええ、今はネ?」

提督「そうか。なら、行っていいぞ」

ピーコック「……ハ?」

提督「今回だけは見逃してやる。ただし、次にもし敵として立ち塞がるならその時は容赦無く撃滅する」

ピーコック「艦娘が艦娘ナラ提督も提督ネ。狂ってるトシカ言いようが無いワ」

提督「こちらにも思うところがあるんだよ。この戦いは恐らく終焉を迎えることは決してない。榛名たち艦娘と
お前たち深海棲艦が争い続ける限り、悠久に等しい歳月を経ても終わりはきっと見えない」

ピーコック「ナンですって…?」

提督「お前たちの中にもそのことに気付いてる奴は居るんじゃないのか?気付いてなくとも、この運命にどうに
かして抗おうとしている奴が居ても不思議じゃないと俺は思っているがな。俺はそれに終止符を打つ策を練る。
だから、お前も生きてみろ、ピーコック。生きていれば、別の世界が待ってるかもしれんぞ」

ピーコック「世迷言ヲ…」クルッ

提督「…忘れるな、ピーコック。必ず、この青い海の上で、お前たちにも穏やかなときが過ごせる日が訪れるよ
うにしてみせる」

ピーコック「……ッ!」ピクッ

提督「だから…この時代を、行く末を、この俺を、艦娘たちを、少しでいいから信じてみてくれ」

397: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 23:46:19.66 ID:CkzWmIM6o
-鉄底海峡-

時間は少しだけ遡る。新鋭提督率いる謎の艦隊の襲撃を受けたピーコックとフェアルスト。

フェアルストは自身を庇って手傷を負ったピーコックの身代わりとなる為に彼女を逃がし、自身はその場に留まった。

本来であれば共に逃げ果せる事も可能だったのかもしれない。

しかし、フェアルストはあえてそうしなかった。


フェアルスト「フフッ…自分の行動力に驚嘆スル」 大破

新鋭「あら、随分としぶといわね?さっきのは直撃コースだったと思うんだけどなぁ…」

フェアルスト「直撃?ナラバそうなのだロウな。先の戦いで交エタ艦娘の一撃に比べレバなんと軽いコトか」

新鋭「…なんですって?」ギリッ…

フェアルスト「ナルホド、艦娘か…よもや、ここにきてその艦娘に教示ヲ貰うコトになろうトハ…」ググッ

新鋭「貴女、その、容姿は……っ!」

フェアルスト「お前も、知っていたんじゃナイのか…私達の元がナンだったのか」パリパリ…

新鋭「ば、馬鹿な…こんな事が…」

フェアルスト「目の前にあるのが現実だとするなら、これが紛れもない真実よね」

新鋭「過去の、亡霊ではないと、言うの…?」

フェアルスト「ふふっ、覚悟を決めるというのは、こういう事ね。艦娘にも、深海棲艦にも、未来が残されてい
るという確かな証。ならば私はそれを邪魔する存在に対し全力を賭して応戦し、この希望を今の世代に託そう」

新鋭「ありえない。まさか、浄化?いえ、違う…しかし、この姿は……ちっ、全艦!こいつは危険よ。徹底的に
叩きのめし、殲滅しなさいッ!!」

フェアルスト「面白い。一体や二体の損害は覚悟してもらうわ。さぁ、沈みたい者から掛かって来なさい!ここ
を貴女達の終わりの海域にしてあげる。アイアンボトムサウンドに、沈みなさいッ!!」

398: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/16(日) 23:48:16.02 ID:CkzWmIM6o
-???-

リコリス「ピーコック……!?」

アクタン「ピーコック、どうシタの」オロオロ

ポート「アナタ、まさか…!」

ピーコック「全てを、説明スルわ」 中破


中間棲姫「フェアルストが、沈んだ…?」

空母棲鬼「やはり、シンエイは信用ナラなかったワネ…」

リコリス「相手が一枚も二枚も上手ダッタ…認めるシカないみたいネ」

ポート「早急に対策を練らなけレバ…」

南方棲鬼「対策ナド既にあってナイも同然。シンエイを撃滅スル以外に何ガある!?」

装空鬼「落ち着きなサイ。今、私達は四面楚歌ダト言うコトよ」

南戦鬼「海軍カラの追撃、シンエイからの闇討ち、どちらモ対処しなけレバならない…」

航空棲鬼「我々がこウモ後手に回るトハ…」

ピーコック「…話すべきコトは話した。暫く、一人にサセてもらう…」

アクタン「アッ、ピーコックゥ…」

ポート「今は、一人にシテあげなサイ。アクタン…」


ピーコック「……」

提督(必ず、この青い海の上で、お前たちにも穏やかなときが過ごせる日が訪れるようにしてみせる)

ピーコック「」(…賭け事は余りスキじゃないケド、どうせ当たるナラ大当たり、ソレ以外は全てハズレよね。
提督大佐……イイワ、貴方にベット全て上乗せで賭けてアゲル。私の命も含メテネ…)

405: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/18(火) 22:29:22.45 ID:dC9zbEf1o
~Re-Battle~



-執務室-

提督「今日だけで既に三件か…何が、どうなってるんだ」

榛名「今のところ、先輩鎮守府近海と不動鎮守府近海にはそれらしい敵影は見て取れないみたいです」

提督「不幸中の幸いとでも言えばいいのか」


ピー、ピー、ピー……


提督「ちっ、こんな時に……はい、こちら提督鎮守府…こ、これは、大将殿……」

榛名「…?」

提督「は…?い、今からですか!?いや、ですが、今は…!は、はい、解りました。直にそちらへ向かいます」

榛名「どうされたんですか?」

提督「……すまん。少し留守にする」

榛名「えっ、あ、はい…あの、お帰りはどれくらいに?」

提督「解らん。暫く空けることになるかもしれん。万が一に備えて提督代行をお前に任せ、一切の権限を一時的
に全て預ける。現時点を以て、お前の発言力は俺と同等となる」

榛名「え、ちょ、ちょっと提督!?」

提督「……」サッ カリカリカリ…スッ…

『この執務室は盗聴されている。今の会話も全てだ。今後は他鎮守府との連絡手段を考慮してくれ。あと、この
紙も後の証拠として挙げられる訳にはいかない。俺が執務室を出たら即時廃棄しろ』

榛名「……ッ!」

提督「…必要なことはメモに纏めておいた。後は任せるぞ、榛名」

榛名「は、はい…!」クシャ…

406: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/18(火) 22:47:30.02 ID:dC9zbEf1o
-会議室-

夕張「信じられない」

北上「こっちも三つ、見つけたよ~。取り敢えずこの会議室はもう大丈夫かな?」

榛名「助かりました」

夕張「鎮守府に盗聴器仕掛けるなんて普通の奴じゃまず無理よ。一体どうやって…」

北上「榛名っち、これ全員に通達してあんの?」

榛名「念入りに調べた場で、北上さんと夕張さんのお二人だけです。どこで会話が漏れるか解らない以上、皆が
集まってる場所で大々的に知らせるのは相手に情報を与えるだけかと…ただ、これを仕掛けた犯人ですが、提督
の態度から凡その見当がつきます」

北上「誰さ?」

榛名「大本営の誰かです。提督が留守にする直前です。提督の言動や表情から、大本営から連絡が来たのは明白
です。これがもしも不動提督や先輩提督からなら、提督はもっと砕けた表情、表現になるはずです」

夕張「なるほど…」

北上「んでもさ、なんで大本営がそんな身内を騙す、みたいな真似してるわけ?私が提督の不逞を探ろうと仕掛
けてるのとはワケが違うじゃん?」

榛名「北上さん…?」ギロリ…

北上「ひぃ…!ちょ、たんま!今はもう仕掛けてないって!ホントだよ…?」

夕張「ま、まぁまぁ…取り敢えずさ、犯人が大本営の誰かだとして、その目的は?」

榛名「タイミングが色々と良過ぎるんです」

夕張「と、言うと?」

榛名「まず、これは皆さんにも知らせてありますが、ピーコックの件です」

北上「和解チックな展開になったって奴?」

榛名「はい、その後です。今度は立て続けに近隣の鎮守府が新鋭元提督と思われる艦隊からの襲撃を受けて被害
が拡大しているという報告。こちらでも何か対策を取ろうかと言う矢先に、提督への緊急招集の命令」

夕張「素直に考えて、ピーコックとの和解の件から既に盗聴はされていたって考えていいよね。それで今度は、
折り悪く新鋭元提督が反旗を翻し、表へと出てきた」

北上「ピーコック達と新鋭が切れたって情報は出回ってない。全員が集まった席でもそれは口にしてなかった」

榛名「結論、大本営は私達…と言うよりは提督を深海棲艦側の、もしくは新鋭元提督のスパイと睨んだ。提督も
何か感じる部分があったみたいで、今わの際で私に提督と同等の権限を付与されていきました」

北上「正直な話、私等だけで抱えれる規模の話じゃないよ」

夕張「かといって、皆に伝えるにしても駆逐艦の子達には混乱しか与えないと思う」

榛名「建物自体が盗聴されている以上、恐らく提督鎮守府で開示している通信チャンネルも傍受されている可能
性が非常に大きいです」

北上「んだね。でも、この場合、夕張っちがここにいるのはある意味幸いなんじゃないの~?」

榛名「はい。夕張さん、先輩提督、もしくは不動提督宛に直通で繋げられるチャンネルの開示、開発をお願いで
きますか?出来れば、大本営に感付かれないように、と言うのが最も好ましいですが…」

夕張「箱庭の中に篭ってばっかじゃどうしようもないでしょ。やってやるわよ。提督のためでもあるしね」ウィンク

榛名「ありがとうございます!」

北上「よし、そんじゃ私と榛名っちはジワジワと話を浸透させていこう。まずは理解度の高い戦艦組と空母組。
そんで細かい内容を伝えないとならないであろう重巡組と軽巡組。ただし感情移入が結構激しい軽空母の二人は
注意ね。瑞鳳も龍驤もその場でガーっといっちゃう可能性もあるから、冷静になれそうな赤城っちや飛龍っちと
かで囲った上で説明が必要になるよ」

榛名「はい!」

407: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/18(火) 23:13:39.76 ID:dC9zbEf1o
-大本営・聴取室-

隠密「提督大佐、また随分と大胆な事をしてくれましたね」

提督「大胆なこと?」

隠密「惚けますか。君は敵である深海棲艦と繋がっているのではありませんか?」

提督「何を言って…それは新鋭元提督でしょう!」

隠密「ええ、あの駄狐は無論の事、そして君もその駄狐の一派でしょう?」

提督「なっ…!」

隠密「離島棲姫・ピーコック…貴方はこの深海棲艦と組み、あの駄狐とも繋がった。そうでもなければこれまで
の彼奴等の奇襲は成立しないのですよ。何故なら!今までに狙われた奇襲ポイントはあの駄狐が海軍を離反して
間も無く、全ての巡回航路を変更してあったのですからね!」

提督「早計な…!」

隠密「早計?ほざくな、若輩の大佐風情が!」

提督「元帥…元帥殿はどうお考えなんですか!」

隠密「たかが一大佐風情の動向や処遇を元帥殿が一考されるとでも思ったのか?分を弁えなさい!俗物めっ!!」

提督「」(信じたくはないが元帥殿の差し金なのか?だとしても、身内の動向を探るためだけにあの人が盗聴や
盗撮と言った非道徳的な手法を執るものか?)

隠密「口を割らないというのなら、君のところの艦娘も同罪と見做し、鎮守府単位での処罰を検討してもいいの
ですよ?君の可愛い艦娘達が逐一解体処分される様はさぞ圧巻でしょうなぁ」

提督「あいつらは関係ないでしょう…!?」

隠密「おや、連帯責任と言う言葉を知りませんか?提督と言うリーダーに従属する下の者達にとっても、提督の
しでかした悪行に気付けなかったというのは深慮に欠けていたと見做すべきです。であれば、罰を課すのは必然
と言うもの。不貞を働く逆賊に等しい行い…これこそ万死に値する所業と言えましょう!」

提督「……っ!」

隠密「おやおや、自身のしでかした過ちを棚に上げて私を睨むのはお門違いと言うもの。素直に真実を吐いて、
大人しく刑罰に従うなら君が従えていた艦娘共は無罪放免、別の鎮守府への転属を約束すると言っているのです」

提督「犯してもない罪を認めろと、貴方は仰るんですか!?」

隠密「往生際の悪い…ならば、鎮守府単位での隠蔽があったという事ですね?これは海軍始まって以来の前代未
聞の大事件ですよ!?艦娘を謀り、洗脳した挙句に自身の悪事の片棒を担がせようとは…」

提督「勝手に話を進めるな!」

隠密「戯言は結構。さぁ、さっさと……」

408: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/18(火) 23:38:58.52 ID:dC9zbEf1o


バンッ!!


隠密「むっ!?」

智謀「隠密大将殿、非常に解せない手法を以て事を運ばれたようですね」

提督「」(隠密大将……不動提督と同じ階級。その男と同等の言動を有して対峙するこの女性も、それじゃ大将
クラスなのか。何故、大将クラスの人物がこうも大佐程度の俺の動向を注視するんだ)

智謀「身内監査と言えど、私は到底認める訳にはいきませんね」

隠密「だが証拠がある!確固たる証拠が!!これをどう説明つける!?」

智謀「貴方の非人道的な行いの前では、正当な証拠も不当なものに、白いものも黒く濁る、と私は言ってるんです」

隠密「私を愚弄するつもりか、智謀提督ッ!」

提督「…!」(この人が、不動提督の言っていた智謀大将提督なのか…!)

智謀「愚弄?その言葉、そのまま隠密提督、貴方へお返しします。常々思っていましたが、貴方は一重の境を容
易く超えすぎる。結果が全ての時代は当の昔に終焉を向かえ、今は順序と秩序、道徳の世が優先されるんですよ」

隠密「それを温いと言っているのです!」

智謀「温い?それを説いたのが現海軍トップの元帥殿です!現在の海軍が掲げる言葉を否定する事は元帥殿を否
定するのと同義。大将の権限を持って命じます。隠密提督、貴方を現時点を持って大将の階級を剥奪、海軍の定
めた法の規律を乱し、あまつさえそれを正当化した罪は極刑に値する!」

隠密「なぁ…!?」

智謀「隠密、私が気付いていないとでも思っていましたか?元帥殿への媚売りが些か度を越していたようですね」

隠密「き、貴様…図ったな!?」

智謀「図る?何処までも落魄れたものですね。身から出た錆に全身を蝕まれても尚、自ら描いた理想郷に思いを
馳せ、現実を直視できずに溺れる。哀れを通り越して滑稽です。続きは憲兵にでも話して下さい。私は、貴方の
言う理想郷になど微塵も興味がありませんので…」

409: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/18(火) 23:53:32.05 ID:dC9zbEf1o
智謀「さて…結果として貴方を出汁として使ってしまった事については謝罪致します。常々、彼の行いには憤り
を覚えていたものですから…元帥殿の名を盾に自分の都合の良い様に物事を形成する。それが白なのか黒なのか
など端から考えない。結果としてこうした悲劇が幾度も繰り返された」

提督「だとしても、俺に対する嫌疑が晴れたわけじゃないって言いたいんでしょう?」

智謀「…ふむ、見かけに寄らず貴方は奥深くまで読み取ってくれますね」

提督「言葉の端々に『結果として』とか『~については』って、さっきの隠密提督の所業についての謝罪だけだ
ったでしょう。俺に対しての謝罪は一つもない。それはつまり嫌疑が晴れていないってことだ」

智謀「ふふっ…素晴らしい読解力です。では本題に入りましょう。隠密が仕入れた資料、これについては非合法
でありながらも確証として見るには十分足る資料、決定打とも言えますね。何故、深海棲艦とあの距離で会話を
成立させ、あまつさえ見逃しているのでしょう?」

提督「奴にこちらを傷つける意思がなかったからだ」

智謀「それは何故です?」

提督「あいつもまた裏切られた側だからだ」

智謀「それは身内に?それとも……」

提督「新鋭元提督だ」

智謀「…結構。ここ最近の周辺海域における哨戒任務中の艦隊の襲撃について、貴方が知る情報は?」

提督「何もない。憶測で言えるのは、水面下で動いていた新鋭が海面に姿を現した」

智謀「何故、深海棲艦側の襲撃だと疑わないのです?」

提督「新鋭は離島棲姫・ピーコックやリコリスと呼ばれる上位の深海棲艦と手を組んで今まで海軍に仇名してき
たのは知ってるはずだ。だがピーコックからもたらされた情報はその新鋭が彼女達を裏切ったと言う事実。そし
てそれは直結してリコリスとも縁を切ったと言う証拠になる。そうなれば深海棲艦側の構図としては四面楚歌、
海軍と新鋭の板挟み状態。そんな状況下で海軍側に手を出すなんて愚策は新米提督でも思いつきゃしない。結論
として消去法に則れば新鋭側による襲撃にいきつく。深海棲艦側は恐らく逃げの一手のはずだ。最も、この内容
が真実ならば、という前提であるのも確かだけど…」

智謀「……うん、実に面白い。私の推察と些かも違いません。私に不足していた情報が貴方のもたらした情報と
リンクし、一つの形を生み出した。形になったという事は、貴方は真実のみを私に述べたという事。これに異物
たる虚偽が混ざっていれば、形は歪に、内容は破綻し説明には成り得なかったでしょう」

提督「そりゃどーも…」ムスッ…

智謀「そう拗ねないで下さい。私とこうして対等に会話を楽しめる人はそう多くないんですよ。個人的には是非
友達になって欲しいくらいです」

提督「あんたが友達少ないのはわかったよ…」

智謀「褒め言葉として受け取っておきます。さて、ある程度、事の顛末は解りました。提督大佐、貴方の拘束を
現時点を以て解除します。ただし、一つだけこちらが提案する条件を呑んで頂きたい」

410: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/19(水) 00:10:57.20 ID:uz1uMevEo
提督「そりゃまあ『保釈金代わり』が必要でしょうね。身内の錆で生じた失態…無条件で出すには大本営的にも
スタンスが悪い。なら、建前はどうあれ少しばかり面倒ごとを引き受ける代わりに無罪放免ってことにすれば、
そちらとしては一つの刑罰を科したことにもなって非難は免れると…」

智謀「理解度が高くて助かりますね。恥を承知で願い出ています。出来れば、隠密の件は元帥殿の耳には触れさ
せたくない。何より、貴方は元帥殿と密接な関わりのある人なのでしょう?元帥殿の言動も、貴方へ火の粉が及
ぶのは極力避けているように見られました」

提督「さいですか。それで、俺に…と言うよりはうちの鎮守府に何をさせたいんですか」

智謀「率直に申し上げます。討伐戦です。現在、とある鎮守府が新鋭の魔の手に陥落し、彼女の根城と化してい
ます。その前線海域には貴方のところの艦娘が発見したとされる戦艦レ級が三匹、首を揃えて防衛線を張ってい
るとの情報も届いているのです。強行偵察を敢行しようにも、レ級の存在が危惧され思うような戦果が得られな
いという状況なのです」

提督「それを、殲滅しろと?」

智謀「その通りです」

提督「大将殿達の艦隊があるでしょう」

智謀「おいそれと出撃させる訳には行かない艦隊ばかりです。だから恥を承知でと前置きをしたのです。無論、
貴方からしてみれば恥と言う言葉すらも上辺のプライドと思うかもしれませんが…」

提督「解ってるなら話が早いですね?」

智謀「取引がイーブンじゃないのは承知しています。その上で、頼んでいるんです」

提督「取引っていうなら、じゃあこっちも条件出して良いってことですよね?」

智謀「」(この男…本当に大佐程度で納まる器か?ネゴシエイトが通用する相手には到底思えない。それとも、
ただのやけくそだとでもいうの?先の会話のやり取りといい、掴み所が薄い…)

提督「どーなんすか、智謀大将殿」

智謀「……私の権限が及ぶ範囲で、最大限の譲歩をします」

提督「なら話は早い。旧日本海軍の艦に関する資料、その閲覧を許可願いたい」

智謀「なんですって……?」

提督「時間は限られますよ?うちの艦娘達は修羅場なんて幾らでも潜ってる。こうみえて俺って結構好かれてる
らしいんですよ。彼女たちから。だから……俺が戻るの遅れれば遅れるほど、隠密さんの言ってた虚偽が真実に
色味変えていきますよ」

智謀「艦娘が反乱を起こすとでも言うのですか」

提督「護るものに応じて、うちの奴らはあなたたちにとって天使にも悪魔にも変わるかもしれないっすね」

418: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/19(水) 22:12:54.24 ID:Vzzg8n8no
-執務室-

提督『……てなワケでこの一件は収束した。早まったことしてないだろうな?』

榛名「は、はい!大丈夫です!………多分」ボソッ

提督『…おい、今語尾にコソッと多分って付け加えただろ!?』

榛名「……空耳では?」

提督『なんで間があるんだよ!』

榛名「榛名は大丈夫です!」

提督『お前の安否確認してねぇから!』

榛名「あーー……とく~、き……ます、か~?てー……」ポチッ


プツン……ツー、ツー、ツー


榛名「よ、よし…」

北上「うちらってあれかな、まさかの?」

夕張「そのまさか?」

榛名「あ、はい。世間一般でいう所の勇み足、という奴かもしれません」

木曾「あっはっは!やっちまったなぁ!?」バンバン

赤城「わ、笑い事じゃありませんよ、木曾さん?」

木曾「いやだってよ、あの北上がすげぇ神妙な面持ちでなんか語りだすからよ。やんごとなき事態かこりゃあ?
って思うわけじゃん?蓋を開けたらお前、勇み足って!あっはっはっは!」

北上「マジむかつく…」

夕張「でも、盗聴器は取り敢えず全て取り外しは出来ましたし、艦娘全体に通達してたわけでもないし、今この
場限りで言えば、問題解決でいいかなって思うけど…結局、専用のチャンネルもまだ作成段階で止まってますか
ら、余計な心配と言うか情報と言うか、先輩鎮守府等に先走って伝えずに済みましたし…」

榛名「はぁ…提督が帰ってきたら小言が待ってる、って思うと少し気が重いです」

419: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/19(水) 22:30:52.59 ID:Vzzg8n8no
-大本営・軍議室-

提督「……あんのやろ」

智謀「…随分と、君の部下は愉快な群れを為しているようだね」

提督「はぁ、頭痛が痛いとかもうそういうレベルだ。褒め言葉として受け取っておきます」

智謀「故に君の先の発言が非常に興味深くてね。彼女達が天使にも悪魔にもなる、という一言が私としては畏怖
を覚えたと同時に、今の会話の一端で済し崩しに形が定まらなくなった」

提督「オンオフがあるってことですよ」

智謀「ふむ…まぁいい。しかし、通信先の艦娘の動揺振りを見ると、どうやら本気で君を奪還…この大本営自体
を敵に回す算段だったようだね」

提督「ある意味このタイミングは行幸でしたよ……最も、要らない荷物背負わされましたがね」

智謀「ふふ、その憎まれ口といい度胸といい、大佐にしておくのが勿体無いほどなんだがね、君と言う存在は…」

提督「階級が上がれば栄転異動でしょ。俺はあいつらと同じラインからは動きませんよ」

智謀「だろうな。絆と言うものが実在するという、良い見本を目の当たりにさせてもらったよ」

提督「それで、具体的にはどうしたらいいんですか」

智謀「うむ、頼んでおいて薮から棒なのだけど、出現海域が特定できてないのが現状でね。しかし、かといって
大所帯で目星を適当につけて待伏せて見た所で、斥候を放たれこちらの情報だけを与える結果にしかならない」

提督「新鋭は、あの女は凄まじく頭の切れる奴だと思います。考えていることも解らず、何を目的にしているの
かも解らない以上、迂闊に懐へ飛び込むのはまさに自殺行為です」

智謀「困ったね。見事に後手に回った…戦術においてここまで頭を悩ませたのは何時以来か…法則も無し、まさ
に無秩序型の典型なんだが、一般的な無秩序型とは欠片もリンクしない。むしろ秩序型に分別される」

提督「なんですか、その無秩序型とか秩序型ってのは…」

420: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/19(水) 23:03:54.04 ID:Vzzg8n8no
智謀「君はプロファイリングと言うものを知っているかい?基本的な構造は、『こういう犯罪の犯人はこういう
人間が多い』という統計学に基いて犯罪者の傾向やパターンを推論する事をプロファイリングと言う」

提督「大本営じゃそんなもんまで取り入れてるのか…しかし、意思無き深海棲艦にそれは適用しようがない」

智謀「そう、今まではね。しかし、ここ最近の深海棲艦には統率と言うものが取れ始めている上に、我々と意思
疎通をはかれる存在まで出現している。リコリスがまさに代表的だけど、君の話じゃ他にも意思疎通がはかれる
深海棲艦がいるようだし、そうなると群れは組織的になり、軍となる。大将が現れ、参謀が就き、部隊長、兵士
とピラミッド式に最初は形を成していくだろう」

提督「ですが、現状目の前の敵は暫定で新鋭です」

智謀「そう、故にこのプロファイリングで新鋭の傾向やパターンと言うのを割り出そうとしてたんだがね」

提督「予測は立てて見ても全て空振りと…」

智謀「そういう事だ。しかも、襲われた鎮守府の事後報告にはこんな内容も含まれていてね」スッ…

提督「敵の中には資料として見聞した……馬鹿な、泊地棲姫!?あいつは……」

智謀「そう、挙がってきている報告が真実なら、元君のところ所属、現在は鋼鉄の艦隊の異名を取る先輩提督の
秘書艦・長門。彼女達によって撃滅された深海棲艦だ」

提督「ありえない。一体、どんなトリックが…」

智謀「夢幻の幻影ではないのは確かなようだ。実際に攻撃は放たれ、こちらの攻撃も命中していたという」

提督「一体、新鋭は何をしようとしてるんだ…」

智謀「それが解れば苦労はしないよ。だが、私の推論の一つを披露するなら、大本営から持ち出された内容と、
新鋭が以前に唱えていた持論が思いのほか結びつく事…そしてそれは推し進めてはならない、禁断の方法である
という事だ」

提督「禁断の方法?」

智謀「奴は、新鋭は艦娘の力を過大評価していたのさ。究極の戦闘兵器という呼称を以てな」

提督「究極の、戦闘兵器だと…」

智謀「艦娘はアンドロイドのような存在でないのは周知の事実だ。何処にでも居る、普通の女の子達なんだよ」

提督「……」

智謀「だが妖精達が造り上げる艤装の数々は屈強な男共が数人掛りでも扱えないような代物ばかりだ。それを、
彼女達艦娘は容易く扱えた。私が初めて目の当たりにしたのは駆逐艦の少女でね。名を確か吹雪と言った」

提督「駆逐型一番艦、駆逐艦の吹雪」

智謀「そうだ。君に渡したその資料にあるものと同じ名だよ。最も、資料の方は旧日本海軍の軍艦の名だがね。
後に艦娘と呼ばれる彼女達には普通の人とは違った別の力を宿しているみたいでね。それが起因となって艤装を
容易く操り、使う事が可能であると結論付けられた」

提督「その結論がなされた理由の一端が、この資料ですね?」

智謀「さて、それは君の持論に委ねる事にしようか。話が逸れたね。そういった未知の力を宿す艦娘を量産しな
い手はないと説いたのが新鋭だ。彼女の説いた説は合理的且つ非人道的な内容だった。つまり────」

421: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/19(水) 23:15:51.38 ID:Vzzg8n8no
-???-

新鋭「あはははは!これが海軍の少将、中将が率いている精鋭なの?だとしたら片腹痛い所の話じゃないわね」

少将「まさか、わざと招き入れたというのか…」

中将「罠だったと…!」

新鋭「はぁ~あ……骨がない、つまらない。貴方達が連れてきた連合艦隊、大した事無さ過ぎない?あれじゃい
てもいなくても同義じゃない。艦娘の使い方、間違えてたんじゃないの?」

少将「貴様、言わせておけば…!」

新鋭「ちゃんと実戦経験を積ませて戦わせて…きっちりと錬度を上げて上げなくちゃ、夜伽の錬度しか上がって
ないんじゃ意味ないわよ?」

中将「下郎がッ!言葉も選べん畜生へ成り下がったか、新鋭!!」

新鋭「艦娘も深海棲艦も、その全てを知っている私に偉そうな口を利かないでよ」

中将「全てを知っているだと?」

新鋭「相反する者達が手を結ぶとどうなるか、自分達の艦隊で味わったでしょう。水底へ沈んでいった可愛い可
愛い艦娘達はどうなってしまうのかしらね?」

少将「なに…?」

新鋭「まぁ、貴方達はここで死ぬんだから、関係ないか?」

中将「貴様ぁ……ッ!!」

426: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 19:45:32.71 ID:9Zto6Uwdo
-鎮守府前-

提督「はぁ、疲れた…」

榛名「」キョロキョロ ソワソワ…

提督「ん、あれ榛名か?何やってんだ…」

榛名「あっ!」

提督「よう」

榛名「お、お帰りなさい!」

提督「よくも途中で電話を切ってくれたな?」

榛名「あぁ…あははは、何と言いますか。電波が、悪いぞ?的な?なんちゃって…?」

提督「ったく、次からはもう少し落ち着いて対処しろ」デコピン


ペチッ


榛名「はうっ」

提督「別にどやしたりなんてしないって。それに、盗聴の件についてはスピード解決だ」

榛名「うぅ、痛い…あの、それはどういう事ですか?」

提督「犯人は大本営の大将の一人だった。ピーコックと俺たちとのやり取りも全部筒抜けだ。そのお陰で要らん
手土産まで持参する羽目になったが、これはこれでありだと思ってる」

榛名「どういう事ですか?」

提督「掻い摘んで話すが、まず盗聴の件に関しての謝罪は貰った。着せられた濡れ衣も晴れたが、代わりに面倒
ごとを持ち帰ってきた感じだ。取り敢えず全員を会議室に集めろ」

榛名「わ、解りました!」

427: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 20:17:32.21 ID:9Zto6Uwdo
-会議室-

提督「────出揃っている情報は以上だ。裏に控えているのは間違いなく新鋭だろう」

イムヤ「で、その智謀大将からの依頼で新鋭元司令官が占拠したって言われてる鎮守府へ進軍するって事?」

提督「そうだ。結論として、何処に出現するかも解らん以上、それを追いかけるのは得策ではない。新鋭がどれ
ほどの数のレ級を揃えているかも未知数。ならば、まずは眼前に捉えているレ級三匹が張っている防衛線を破壊
し、その道筋を作る。そうすれば相手も空いた穴を塞ぐために戦力を徐々に投入せざるを得ないはずだ」

陸奥「戦艦レ級、か…」

大鳳「……」

提督「お前たちは本当に強くなったと思う。だが、奴等もまた進化・成長しているというのを考えると、謝らな
ければならんのかもしれない。それでも、俺はお前たちを信じる」

木曾「……バーカ。今更そんな事言うなっつーの」

神通「お見せします。提督から学んだ全てを。それが正しいという事実を」

赤城「レ級は危険な相手です。駆逐艦の子達や潜水艦の子達は、今回はお留守番してもらう方が良いかと思います」

暁「そんな…!」

白露「私達だってやれるってば!」

金剛「何言ってるネ。暁達が居なくなったらこの鎮守府どうするヨ」

Bep「金剛…」

川内「それにさ、何も暁達だけいけないって訳じゃない。選抜されなきゃ私達だってお留守番だよ」

北上「そーそー。んでも、戦力外でお留守番とかじゃないっしょ。言わば残された側は予備戦力。いざって時の
切り札みたいなもんだよね~」

春雨「切り札…」

利根「抜かるな。驕るな。気を引き締めよ。提督が率いるこの鎮守府に、不足な者など誰一人として居らぬ」

阿武隈「それで、選抜はもう決まってるんでしょ?」

提督「レ級が三匹居るとして、一艦隊六名、一匹に対して必ず二名で応戦する形を取る。編隊は以下の通りだ」

428: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 20:55:16.34 ID:9Zto6Uwdo

陸奥
霧島
赤城
大鳳
羽黒
神通

提督「だが新鋭のことだ。必ず罠を張り巡らせてある。どこかに必ずな…だから、別働隊を編成する。こちらは
周辺の哨戒を密に行い、陸奥たちを間接的にサポートするのが役割だ。敵が居ればその殲滅を行い、背後を狙わ
せないようにすること。編隊は以下の通りだ」

瑞鳳
比叡
利根
阿武隈

白露

提督「残りの皆は鎮守府で待機。個別隊や陽動艦隊がこちらを強襲してこないとも限らない。同じく警戒は密に
行い、決して油断はするな。それと、陸奥、霧島、大鳳、羽黒、神通、きてくれ」

陸奥「ん?」

霧島「なんでしょうか、司令」

大鳳「あ、はい!」

羽黒「はい!」

神通「なんでしょうか」

提督「他の皆はそれぞれ準備に取り掛かってくれ」

艦娘「「「了解!」」」

429: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 21:18:44.93 ID:9Zto6Uwdo
提督「さて…」

陸奥「どうしたのよ」

提督「幾つかお前たちには伝えておくことがある」

霧島「赤城さんは、宜しかったんですか?」

提督「ん?あぁ、赤城か。あいつには既に話をしてあるからな」

羽黒「え?」

大鳳「話と言うのは?」

神通「何なのでしょう」

提督「以前にお前たちと面談をしたな。質問の内容は二種類、覚えのない記憶があるかどうか、うなされる様な
悪夢を見たことはあるかどうか、だ」

霧島「それは…!提督、まさか何か答えが…」

陸奥「え、ちょっと何よ、霧島は何か解ってるの?」

提督「まぁ待て。事の発端から話をしてたんじゃ今日一日を潰す。だが知っておいて欲しい。特に、近代化改修
を受けた霧島と神通以外の三人にはな」

神通「あの、それでは何故、私も…」

提督「お前は、覚えのない記憶を持っているな?コロンバンガラ島の話だ」

神通「ぁ……」

提督「この話はまだ実証の段階には入っていないが、お前たちには仕入れておいて欲しい情報の一部だ────」

430: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 21:29:37.30 ID:9Zto6Uwdo
陸奥「…つまり、榛名のあの驚異的な身体能力の謎が、今提督が言ったものに起因してるかもしれないって事?」

提督「そうだ。そして、恐らく榛名に起こっている事象はお前たちにも起こりえる。条件が何かは解らん。だが
榛名が言うには、あいつは誰かを護ろうと、誰かの遺志や想いを汲もうと強く念じると、体の内側から力が漲っ
てくると表現していた。以前に金剛と榛名、陸奥と衣笠、川内、大鳳で模擬演習を行っていたな」

陸奥「え?あぁ、うん。それが何よ」

提督「あの時、金剛もまた似た力をいくらか発揮していたのに気付いたか?」

神通「……そう言えば────」


金剛「例え演習でも、油断はしないネ!隙も、作らない!私を止める術は、ここには無いネ!」ザンッ

衣笠「は、速い…!」

川内「臆すな、衣笠!いくよ!」ザッ

衣笠「ダメ、川内ちゃん!」

川内「なっ…!?」

金剛「川内、詰が甘いネ」サッ


ビュッ ドゴォッ


川内「がはっ…!」

金剛「後ろ手に隠してるのバレバレネ。それを投げる間合い、作らせないヨ」

川内「」(知覚とかそういうレベルなの、これ。反射神経が尋常じゃない…!)サッ

金剛「No good. それじゃダメネ」

431: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 21:52:22.52 ID:9Zto6Uwdo
神通「あの時の金剛さんは、まるで姉さんの動く先が解っているかのように、全ての行動が先手先手で、結局あ
れ以降は衣笠さんも姉さんも手も足も出ずに制圧されたんです」

提督「金剛には、俺が最初に言った明確な記憶もなければ夢も見ていない。が、何かとリンクしたことであれ程
の力を発揮して見せた。それは言い換えれば今のお前たちでも成せるということだ」

霧島「それって、つまり…」

羽黒「私達にはまだ、成長が見込めるという事なんですか?」

提督「成長、と言うよりもむしろ覚醒、お前たちが個々に内に秘めている力を解放する、と言うほうが正しいな」

大鳳「内に、秘めた力…」

提督「今のところ、この力の片鱗を見せているのは俺が知る限りで三人。榛名、長門、金剛だ」

大鳳「いえ、もう一人、居ると思います」

提督「何?」

大鳳「感じ取った程度ですけど、恐らく赤城さんも…」

提督「赤城が…?」

大鳳「赤城さんの錬度は凄まじく高いです。最初はだからだろうと、でも…幾ら錬度が上がろうと、空母組には
抗えないものが存在します。それは損傷の度合いによっては艦載機の発着艦が出来なくなる、と言う点です」

提督「ああ、それは…そうだな」

大鳳「ですが、以前の演習で赤城さんは────」

432: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/20(木) 22:11:12.47 ID:9Zto6Uwdo
大鳳「ここまでです、赤城さん…!」

赤城「はい、少し前までなら…ですが」スッ…

大鳳「えっ…?」(腕を真上に上げて、何を…)

赤城「…艦載機の皆さん、敵機直上より、急降下っ!!」サッ

大鳳「なっ、そんな、まさか…!」バッ


ブゥゥゥゥゥゥゥン……


ボゴオオォォォォン


大鳳「きゃあっ」 大破

赤城「油断も慢心もしません。この身が朽ち果てない限り、私は血の一滴すらも戦力に変えて見せます」


陸奥「流石と言うか、驚嘆するわね」

大鳳「驚嘆なんてもんじゃありません。愕然としました。常識を覆されたと表現するほかありません」

羽黒「私も、以前に川内さんと演習戦を行ったときに、何か掴めそうな気配はあったんですが…それが何なのか
がどうにも上手く表現できなくて…」

神通「羽黒さん…」

霧島「ですが、皆何かしらの切っ掛けで司令の言われる覚醒を果たせる可能性があるという事ですよね」

提督「あぁ、確証はないがな。しかもそれぞれに引き金となるものが違う。が、霧島…恐らくだが、お前たち金
剛型は概ね、皆同じ引き金を持っていると思われる」

霧島「え?」

提督「榛名も金剛も、どちらも姉妹のため、仲間のためと奮戦するときこそ本領を発揮していた。根っこの部分
じゃおそらくこれはお前たち艦娘全員に言えることかもしれない。ただ切っ掛けが違うだけでな。まっ、伝えた
かったのは以上だ。相手は戦艦レ級、くれぐれも油断は無論だが無茶もしないでくれ」

陸奥「レ級には因縁があるもの。雪辱、晴らさせてもらうわ」

羽黒「同じ過ちは、もうしません」

大鳳「必ず、レ級は倒して見せます!」

霧島「お任せ下さい、司令!」

神通「この任務、確実に成し遂げて見せます」

439: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/22(土) 20:24:41.78 ID:ZQ765JCqo



~交戦、敵機動部隊~



-敵領域近海-

陸奥「ここまでは敵機確認無しね」

赤城「哨戒隊すら存在しないと言うのは、それほどまでに戦艦レ級三匹の信頼が厚いという事でしょうか」

大鳳「だとしても、その一箇所だけが通り道じゃありませんし、腑に落ちませんね」

霧島「どちらにしても、新鋭鎮守府へ向かう最中で必ずレ級は出現するという事です」


──ワカッテルナラ、ハナシガハヤイ──


神通「…っ!」

羽黒「二百海里ほど前方です!」

陸奥「この距離でもう射程内って訳か……現れたわね、戦艦レ級…!」

レ級1「ボクラノアソビアイテ、ナカナカコナクテネ」

レ級2「ダイカンゲイダヨ」

レ級3「クウカクワレルカ、ソレダケサ」

赤城「……皆さん、戦術はさっきの通りです」

大鳳「了解です!」

陸奥「ええ、任せて」

神通「はい…!」

羽黒「了解です…!」

霧島「問題なしです!」

赤城「大鳳さん、いきます!」サッ

大鳳「はい!」サッ

レ級1「アイサツモナシナンテ、ブレイダナァ…」ニヤァ…

レ級2「シニイソギタイダケデショ」

レ級3「ネンイリニツブシテ、クッテヤル…」

赤城「無礼がどちらか、教えて差し上げます。その前に礼を尽くすほどの相手なら、ですけどね」

レ級1「オマエ、ムカツクナァ…オマエハ、ボクガクウ…」

赤城「すぅー……はぁー……」

440: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/22(土) 20:48:15.53 ID:ZQ765JCqo


静かな呼吸、この土壇場においても赤城から動揺は微塵も伝わってこない。

それほどまでに集中するのには一つの想いが彼女を突き動かしているからだ。

直接的ではないにしろ、加賀を殺めたであろう仇敵を眼前に捉え、これまでにない集中力を赤城は見せる。


赤城「いきますよ、加賀さん。今度こそ、貴女の無念を私が晴らします!第一次攻撃隊、発艦してください!」サッ


続くように大鳳も腰を据えて発艦の構えを取る。

幾度となく死線を越えて蘇ってきた今の大鳳に恐れるものは微塵もなかった。

あるとすれば、それはここで再び朽ち果てること。

しかし彼女には確信に近い自信が備わっていた。

やれるだけの事を、今自分にできる全てを、注ぎ込めるだけ力の限り全てを賭して挑む。


大鳳「あの時の屈辱は忘れない。二度と、この大鳳は揺るがない!第一次攻撃隊、全機発艦!」サッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


レ級1「アハッ!イイヨ、コウクウセン!ウケテタツッ!!」ヒュン ヒュン

レ級2「ボサットシテルトサァ、ソノキャシャナカラダニカザアナアケルヨ?」バシュン

レ級3「クヒヒヒ、ボクハキミニキメタ、キミヲマズハクオウ…」バシュン


ボゴオオォォォォン


陸奥「敵の雷撃は夾叉!全員散開!標的を定めて一気に行くわよ!」

霧島「赤城さん!」

赤城「了解です!」

羽黒「大鳳さんの背中は私がお守りします!」

大鳳「期待してるわ!」

神通「いざ、参ります。陸奥さん、標的は…」

陸奥「ええ、あいつね。行くわよ!」

神通「はい!」

441: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/22(土) 21:17:34.61 ID:ZQ765JCqo
-赤城・霧島 vs レ級1-

レ級1「ハァ…ブツリョウサクセンハダイセイコウミタイダケド、イタイナァ、モウ…」 被害軽微

霧島「あらそう?なら、無駄口叩けないように徹底的にやらせてもらうわ!」

レ級1「アハハハハッ!ボクヲタオスッテコト?ムリダヨ、ソレハ…ナゼナラ、ボクガアットウテキニ、ツヨイ
カラサッ!!」バッ


霧島は以前、提督から言われた内容を自分なりに思い返してみることにした。

悪夢については一つも思い当たることがなかった。

至って正常、ただし記憶に関しては一つだけ思い当たるものがあった。

それは何処かの海上で榛名と二人、手を繋いで水平線を眺めている映像。

元からあった記憶、と自分の中では認識しており、それが『覚えのない記憶』という結論に至るまでに霧島自身

も考えさせられたが、何処での記憶なのかがハッキリしない以上、それは提督の言う『覚えのない記憶』として

認識するほかなかった。

そして出撃前に提督からもたらされた情報で霧島にも一つの望みとも言える光が差した。

自身もまだ強くなれると。姉妹と交わした約束を果たす為にも、越えられる壁は全て越える。


霧島「榛名、私は約束、覚えてるわよ。だから私、頑張るわ!」バッ

レ級1「オマエハ、アトダ。マズハ、ソッチノクウボノオンナカラッ!」サッ

赤城「…っ!」スッ

霧島「冗談、それを私が許すわけないわよね!?」ブンッ

レ級1「ナッ!?」


ドゴォッ


霧島の脇をすり抜けて赤城へ切迫しようとした直後、それに併走するように霧島が追いすがってレ級1を全力で

殴り飛ばす。


レ級1「アガッ…!」ザザザザザッ

霧島「あら、ごめんなさいね?顔は殴らない方が良かったかしら?ともかく、戦況分析が不十分みたいね」

レ級1「ウグッ…オマエェ…ッ!」

赤城「一航戦の誇り、今こそお見せします!」サッ

442: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/22(土) 21:43:19.17 ID:ZQ765JCqo


静かに弓を構え、赤城はそれを真っ直ぐレ級1へ差し向ける。


赤城「私達は、この胸に刻み込んだ誇りがある限り決して折れはしません。貴方に、私達は倒せない」

レ級1「ボクニ、カテルト、ホンキデオモッテル?アハハハハハッ!!ゼツボウヲ、ミセテアゲルヨ…」ビュッ

赤城「…っ!」サッ

レ級1「ムダダァッ!!」ビュオッ

霧島「赤城さん!」


ボゴォッ


レ級1の艤装が飛距離を伸ばし、鞭のようにしなって真横に赤城の胴を薙ぎ払う。


赤城「ぐっ…!」ズザザザザッ…

レ級1「リョウリニスパイスハツキモノダカラネェ…」

赤城「げほっ…」 小破

レ級1「カミツイテクルノハ、チョットウザイナァ…イキガルノハイイヨ。スキナダケホエルノモイイ……クヒ、
クヒヒヒ…デモ、シネ!」ビュッ


サッ


再び放たれたレ級1の攻撃を、しかし赤城は今度こそかわす。


レ級1「ナニ…?」

赤城「…頭にきました」サッ ビュッ


再度構え直した弓と番え直した矢を目にも留まらぬ速さで放ち、赤城は大きく後方へと距離を取る。

それに応えるように霧島が間合いを詰めて赤城と入れ代わるようにレ級1の前に立ち塞がった。


サッ


放たれた矢をレ級1は上体を反らすだけで往なし、口角を吊り上げてニタリと笑う。

しかし同じように入れ代わった霧島もまた、不敵な笑みを浮かべた。

443: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/22(土) 22:01:04.65 ID:ZQ765JCqo


レ級1「ナニガ、オカシイ…」

霧島「備えあれば、憂いなし、って言葉を知ってるかしら?」

レ級1「シルカ、ソンナモノ…!」バッ

霧島「なら、後学に覚えておきなさい!」バッ


同時に飛び出し、至近距離の殴打戦に入るが間も無く霧島が大きく吹き飛ばされる。


バチィィッ


霧島「ぐっ…!」 小破

レ級1「モロイヨ。モロスギルッ!ソレデボクトヤリアオウッテ?サイショノイッテイガイ、ゼンゼンコウゲキ
アタッテナイジャナイ。アソビニモナッテナイヨ」

赤城「慢心は身を滅ぼしますよ」

レ級1「ハァ?」

赤城「艦載機のみなさん、敵機直上より急降下!」バッ

霧島「さぁ、砲撃戦、開始するわよ~!」ジャキッ

レ級1「ナッ…!」バッ


空を仰ぎ、自身の上空に無数の艦載機が急降下してくる様を目の当たりにしてレ級1の表情が強張る。

そして正面に向き直って霧島の砲塔、その悉くが自身へ向けられている事にその表情は更に引き攣った。


レ級1「ジョウダンデショ…」

霧島「いいえ、本気よ。主砲!敵を追尾して!撃てっ!」ドォン ドォン

赤城「艦載機のみなさん、撃ち漏らさないように!」

レ級1「ウオオオオオオオオオオオオアアアアァァァァァ……ッ!!」


ボゴオオオォォォォォン


レ級1の咆哮と共に水面が爆煙と水飛沫で視界を塞ぎ、その姿を一瞬にして掻き消した。

450: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 20:03:46.22 ID:1Q9QZ4bbo
-大鳳・羽黒 vs レ級2-

レ級2「アレアレ…ボクノライゲキ、アタッテナカッタ?」

大鳳「ええ、ノロマ過ぎてね」

レ級2「イラツクコトヲ、スズシイカオデイッテクレルネェ…オマエ、ゲンケイナクナルマデグチャグチャニシ
テサァ、モトノカタチガワカラナクナルマデ、クイチラカシテヤルヨ…!」

大鳳「私の装甲を噛み砕くですって?笑えない冗談ね」

レ級2「イッテロ…ショセン、ホショクサレルガワノザレゴトダッ!」ビュッ


ドンッッ


レ級2の跳躍に合わせ、大鳳は更に後方へと身を泳がせる。

しかし、レ級2は不敵な笑みを浮かべながら一直線に大鳳へ向かって直進していくが、途中で強い衝撃を受けて

後方へと押し戻される。

451: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 20:19:47.31 ID:1Q9QZ4bbo


レ級2「ヌグッ…!」ザザザッ

羽黒「その汚らわしい手を引いて下さい」

レ級2「……オイオイ、ジュウジュンフゼイガ、ボクニナニヲシタ…?」

羽黒「この拳で殴り飛ばしました」グッ

レ級2「ソンナニ、サキニクワレタイノカッ!!」

羽黒「お好きにどうぞ」

大鳳「言うわね、羽黒…!」

レ級2「ジョウトウダ、カンムスフゼイガァッ!!」ザッ

羽黒「」(追いつける。私ならやれる。今まで培ってきた全てを、信じたもの全てを、余さず出し切る!)


レ級2の飛び出しに合わせ、羽黒は静かに構える。


羽黒「」(距離、速度、左の艤装…横から、これは伸びる…!)サッ


ビュオッ


姿勢を低く、身を屈めた直後に羽黒の頭上を物凄い勢いで何かが真横に払われる。


レ級2「ナンダト…!?」


ザンッ


驚愕の表情を浮かべたのはレ級2。予期していなかった、と言うよりも想定すらしていなかった羽黒の素早い動き。

羽黒自身は屈めた身体に力を込めて、そのまま前方への飛躍へと変えて突進する。

452: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 20:50:53.59 ID:1Q9QZ4bbo


レ級2「コザカシイッ!」ビュッ


ガシィッ


空振りした艤装を振り子の要領で再度真横に振り抜くレ級2だが、羽黒はそれを全体重を乗せて艤装を盾に防ぐ。

それでも勢いは殺しきれず、そのまま飛ばされ羽黒の身体は俄かに宙を舞って真横へと弾き出された。


羽黒「くっ…!」ザザザッ

レ級2「ハハハハッ!ウケキレルハズナイダロ!バカガ……」

大鳳「馬鹿は貴方よ」バッ

レ級2「ッ!?」

大鳳「注意力散漫過ぎ…虚しか突けないようじゃ、戦場では生き残れないわよ。さぁ、やるわ!」ヒュン ヒュン

レ級2「ダレガコウクウセンハデキナイッテ、イッタヨッ!!」ヒュン ヒュン

大鳳「…誰が私には勝てるって言ったのかしら?見縊らないでもらいたいわ。攻撃隊、発艦始め!」サッ


ボゴオオォォォン


レ級2「ナッ…!」


大鳳とレ級2の艦載機は真正面でぶつかり合い、その悉くを大鳳の艦載機が制圧した。


大鳳「いい風ね。この風に乗って、皆!目標を掃射よ!」

レ級2「ウットウシイナァ!」ジャキッ


ドン ドン ドン ドン


ボボボボボンッ


掲げられた艤装から無数の砲弾が空を舞い、大鳳の艦載機を片っ端から迎撃する。

だがそこに出来上がった隙を羽黒が見過ごすわけがなかった。


ザッ


気配を感じ取りレ級2も視線を再び正面へと戻すが、それと同時に羽黒の気合いの篭った掛け声と砲撃音が轟く。


羽黒「全砲門…一斉射っ!」ドォン ドォン

レ級2「……ッ!」


ボゴオオオオォォォォン


大鳳「これが大鳳の、私たちの力よ!」

羽黒「まだまだ、これからです!」

453: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 21:10:49.74 ID:1Q9QZ4bbo
-陸奥・神通 vs レ級3-

レ級3「ドコカラガイイ?」

陸奥「何ですって?」

レ級3「ドコカラクワレタイカッテ、キイテルノサ」

神通「……」ヒュッ ヒュンッ……チンッ

レ級3「ナニ、ソノギソウ…」

神通「貴方を討滅する刀です」スッ…チャキッ

レ級3「ナンダ、ソノカマエ…」

神通「…………」

レ級3「シカト?コタエロヨッ!!」ジャキッ


ドォン ドォン


キンッ……


ボゴオオオォォォ……


最初の問答にのみ答え、神通は静かに刀を鞘に納め、腰を落とし右足を前に、左足を後ろに添えて身体の重心を

前のめりに沈めるとピタリと止まる。

直後、レ級3の砲撃が真っ直ぐに神通へと飛来するが静かに乾いた音を響かせたその直後、空間を切り裂くかの

ように神通を先頭に縦に陣を敷く二人の両脇を火柱と爆煙が奔り抜ける。


レ級3「ナ、ニ…?」

陸奥「もはや神業ね。お見事っていうか、驚きの方が大きいかも…」クスッ

レ級3「オマエ、ソノギソウ、イツヌイタ…?」

神通「見えてないのだとしたら、貴方に勝機はありませんよ」

レ級3「イチイチ、ウットウシイヤツダナ、オマエッ!!」ジャキッ

神通「それは……」


イラつきながら艤装の砲塔を神通へ差し向け恫喝の如く吼えるレ級3を前に、神通は再び武刀剣を鞘へ納めて最

初と同じ構えを取りつつ小さく微笑む。


神通「……褒め言葉ですね────」

454: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 21:22:25.15 ID:1Q9QZ4bbo
神通は因果もあるのか、川内と一緒に今までに二つの鎮守府を渡り歩いてきている。

最初の鎮守府では第一艦隊は愚か、遠征が主任務の第二艦隊にすら抜擢されなかった。

姉の川内はその快活さと要領の良さも合わせて、あっと言う間に第一艦隊の主力に数えられるまでになっていた。

彼女が始めに抱いた感情は劣等感。

姉の川内と逐一比べられる事によって、必ず下に評価される抗いようのない屈辱感。

実力にそぐわないのならば別に転属願いを出しても構わん。こちらとしてはお荷物が消えて一石二鳥だ。

そう言い放った提督の言葉に辛うじて保っていた自尊心すらも粉々に打ち砕かれる思いだった。

そんな中、じゃあ実力にそぐわないから私達は出て行くよ。そう発したのが川内だった。

神通は一度、川内に詰問したことがある。

後にも先にも、神通があれほど強い口調で自分の意見を姉の川内へぶつけた事があるのはその時の一度きりだ。

455: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 21:47:38.26 ID:1Q9QZ4bbo
神通「どうして、姉さんだって解ってるのに!」

川内「何がさ?」

神通「私が居たって、意味なんてないでしょう!?」

川内「なんでそう思うのさ」

神通「戦力にもならない、優柔不断で、自分の意見もハッキリ持てない、いつも姉さんの陰に隠れてるような、
そんな自他共に認めるようなお荷物の私が、何の存在価値があるの!?」

川内「神通、あんたは私の妹。川内型二番艦の神通だよ?私には自慢の妹が居てさ、優しくて、少しおっとりと
しちゃいるけど一生懸命で、変なところで負けず嫌いで、ふふっ…そんな自慢の妹さ。存在価値、大有りだよね」

神通「姉さん…」

川内「そんな自慢の妹をさ、トロイとか鬱陶しい奴とか、んな事言ってくれるとこなんてこっちから願い下げだ
ってのよ。丁度引き取り手あるっていうし、そっちの鎮守府に乗り換えてやろうって思ってたのよ」

神通「けど、それは…」

川内「ゆっくりでいいのさ。自分のペースでゆっくりと、着実に成長すればいい。良く言うじゃん?大器晩成型
って奴なんだよ、神通はさ」


その後、今の鎮守府へと行き着き、提督と出会い。そこでまた神通にとって転機が訪れた。

今までどこの鎮守府でもアドバイスなどされた事はなかった。

むしろその悶々とした態度に業を煮やし、勝手にしろと突き放されるのが関の山だった。

そんな彼女に、提督はしっかりと付き合った。

456: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 21:58:07.50 ID:1Q9QZ4bbo
提督「今日の演習を見てても思ったんだが、神通は演習じゃ思い切りの良さはあると思うんだよ」

神通「…え?」

提督「ほら、お前この間なんか言いかけてただろ。途中で勝手に切り上げちゃったけど、深海棲艦と戦うとなる
といつも手元がどうとかってやつだよ」

神通「そ、それは…」

提督「俺ね、思ったんだけど、やっぱ実戦が少ないからだと思うんだよね。無論危険も付き纏うだろうが、そう
していかなきゃ伸び代ってのはついてこないと思うんだよ」

神通「あ、あの…でも、私は…」

提督「あー、はいはい。拒否権無しね」

神通「…ぇ、あの、はい?」

提督「私は戦力にはならないから~、とかそう言うの無しね。ゆっくり結構、失敗上等、塵も積もれば山になる
かもしれないし、道が出来て進めるかもしれないだろ。やる前から可能性を捨てるような真似は俺が許さん」

神通「…………」

提督「全てやってみて、何度も試して試しようがなくなるまでやって見て、それでダメなら俺も改めて考慮しよ
うと思うが、そこに至る前で諦めることは絶対に許さん。だから神通、自分が信じたものを最後まで信じてみろ」

神通「最後まで…」

提督「そうだ。最後まで信念を貫いて見せろ。初志貫徹、継続は力也、だ────」

457: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 22:15:17.44 ID:1Q9QZ4bbo
神通「為せば成る、です。その言葉があればこそ、今の私です。だから、それは私にとっては褒め言葉です」

レ級3「ゴチャゴチャト、ウルサインダヨッ!!」ドォン ドォン

神通「陸奥さん!」サッ

陸奥「りょーかいよ!」サッ


ボボボボボボン


レ級3の砲撃と同時に二人は真横に飛んで射線をずらし、レ級3を二人で挟み込むように立ち位置を変える。


レ級3「ウロチョロウロチョロ、ウザイナァ…ッ!」

陸奥「ご自慢の足で捕まえてみたらどうなのよ」

レ級3「アマリ、チョウシニノルナ…!」ビュッ


狙いを神通から陸奥に変更し、レ級3が突進していく。

しかし陸奥は砲撃の構えは取らずに右腕を後方へ引き絞り、左腕は前へ、迫りくるレ級3の顔面に照準を合わせ

て静かに腰を落とす。

458: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/23(日) 22:31:12.92 ID:1Q9QZ4bbo


陸奥「砲撃戦だけじゃないのよ、ビックセブンはね!」シャッ

レ級3「ナッ…」ザザザッ サッ


真っ直ぐ伸びてきた陸奥の右の拳を間一髪で真横に飛んで回避したレ級3は、反撃に転じれなかったショックと

微かに頬を掠め、一筋の傷が出来上がった事実に怒りを露にする。


レ級3「…コロスッ!アソバナイ、コロス!ミナゴロシダッ!!」

陸奥「あらあら…火遊びが過ぎたかしら?」

レ級3「シズメ、ミナゾコニッ!!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


目にも留まらぬ速射でレ級3が放った砲撃は今度こそ陸奥を捉えたかのように映る。

しかし、立ち昇った爆煙を巻いて陸奥は表情一つ変えずに躍り出てくる。


陸奥「…少しはやるじゃない。けど、直撃じゃないのなら何発撃ち込んでも一緒よ!」 被害軽微

レ級3「バ、バカナ…!」

陸奥「あの時の苦労に比べれば、この程度はなんとも思わないわ!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


照準を定めた一撃はレ級3を直撃しその身体を大きく吹き飛ばす。


レ級3「ウガッ…!」 中破

464: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 17:18:23.83 ID:pSJF2YOxo
-進化の頂-

赤城「…霧島さん」

霧島「…はい!」


立ち昇る爆煙の中に揺らめく陽炎のように人型をしたそれは静かに姿を現す。

トレードマークであろう首に巻いていたマフラーは焼け千切れ、偽装を含め身体のそこかしこに裂傷を負いなが

らも悠然とした足取りで静かに一歩、また一歩と前に進み、ついに爆煙の幕を潜り抜けてその全貌を明かす。


レ級1「イタイヨ、イマノハサスガニ…」 中破

霧島「頑丈ね…腹立たしいくらいに」

赤城「……」スッ

レ級1「フフ、ハハハ…アハハハハハッ!!」ビュッ



レ級2「クククク、イタイイタイ…イマノハ、キイタナァ…」 中破

羽黒「…っ!」ジャキッ

大鳳「直撃させたはずなのに、なんて耐久力…!」

レ級2「……」サッ



レ級3「コザカシイ、レンチュウダ…!」

陸奥「何度でも撃ち込んで上げるわ」ジャキッ

神通「立ち塞がるなら、押し通ります」チャキッ


それぞれの組がそれぞれのレ級を窮地まで追い込む中、レ級1とレ級2は薄っすらとした笑みを浮かべてレ級3

の背後へ移動する。

465: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 17:48:22.31 ID:pSJF2YOxo
霧島「なっ…!」

赤城「何を…」

羽黒「えっ!?」

大鳳「まさか…!」

レ級3「ナ、ナンダ…」

陸奥「こいつら…」

神通「……!」

レ級1「トモダオレヨリ、イイヨネェ…」グイッ

レ級2「サンセイカナ」ガシッ

レ級3「ナッ……!ハ、ハナセ、ナニヲ…!」ググッ


グシャアアァァ……


レ級1とレ級2に挟まれるようにして両腕を掴まれたレ級3は、その是非も無く一瞬の内に左右から引き千切ら

れて綺麗に半分にされる。


レ級2「イイヨ、ギソウハアゲル」

レ級1「ジャアエンリョナク」


この二匹は躊躇う事無く仲間であるはずのレ級3を背後から襲い、文字通り食い散らかした。

そしてこのレ級の特色は食う事で取り込んだ艦娘や深海棲艦の力を我がものとし、進化をするという事。


クチャクチャクチャ……


耳障りな音、気味の悪い音、聞くに堪えない音が入り混じる中、下品な笑い声だけがそこに響き渡る。


レ級EL1「ヒヒ、アハハハハ!美味い、美味いナァ…!」

レ級EL2「艦娘もイイケドさぁ、身内もコレハこれでいいよネェ…」


陸奥や大鳳は、以前にも似たものを見たことがあった。

それは初めてレ級を目の当たりにした時の事だ。

手負いになった片方のレ級を、もう一匹が食い散らかす。

食ったその場で知能から、身体能力から、全てを向上させて陸奥達に恐怖を植え付けたのは記憶に新しい。

今度こそ、レ級との決着をつける……これが陸奥達にとっての最終決戦となる。

466: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 18:15:35.35 ID:pSJF2YOxo
~阻止せよ、敵別働侵攻部隊~



-数時間前-

提督「いいか、陸奥たちとの距離を一定に保ち、周辺の哨戒を密に行うのが今回のお前たちの任務だ。敵がどう
攻めてくるかは定かじゃないが、不測の事態にも決して動じるな。その場の空気を感じ取って判断しろ」

比叡「陸奥さん達を背後から狙おうとする連中が居れば、それを迎撃ですね」

提督「そうだ。今一度確認するぞ」

瑞鳳「確認?」

提督「瑞鳳」

瑞鳳「あ、はい!」

提督「調子はどうだ」

瑞鳳「え?調子…?えっと、絶好調…かな?えへへ」

提督「そうか。利根と二人で比叡達の目を司れ。決して逃すなよ」

瑞鳳「はいっ!」

提督「よし、お前ならできる。信じてるからな」ポンッ

瑞鳳「…ぁ///」

提督「比叡」

比叡「はい!」

提督「この部隊の主力はお前だ。やるべき事はなんだ」

比叡「正解があるか解りませんけど、私は皆を信じて前だけを向きます!全力で!ありったけ!撃ち込みます!」

提督「解った。なら最後まで信じろ。他の姉妹にも見せ付けてやれ。お前の凄さってのをな」

比叡「お任せ下さい!」

467: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 18:59:27.16 ID:pSJF2YOxo
提督「利根」

利根「おう!」

提督「いつも皆へのアフターケアをしてくれてること、感謝してるぞ。お前の優しさはそのまま強さになる」

利根「うぅ、面と向かって言われるとちと恥ずかしいぞ///」

提督「言葉は不要か。ならば、行動で見せてくれ。お前の強さ」

利根「う、うむ!任せておけ!吾輩が艦隊に加わる以上、もう、索敵の心配はないぞ!」

提督「阿武隈」

阿武隈「は、はい!」

提督「まだ戦場は怖いか?」

阿武隈「…もう、大丈夫!沢山の人に、迷惑かけちゃったから、だからあたし提督や皆にちゃんとお礼言いたく
て、けど…自信、一歩踏み出して少しだけ自信をつけたい!だから、あたし的には大丈夫です!やれます!」

提督「そうか。ならやってやれ。お前の底力、他の奴等に見せ付けてやれ!」

阿武隈「はい!阿武隈、ご期待に応えます!」

提督「暁」

暁「な、なによ!」

提督「今まで電やヴェールヌイを牽引してきたお前の手腕を俺は高く評価する」

暁「ぇ…?」

提督「一人前の、立派なレディを目指すんだろ?だったらここらで一旗上げて見事なって見せろ。期待して待っ
ててやる。暁こそ、艦娘を代表する大人のレディだって所を見せ付けて来い」

暁「う、うん!……あ、り、了解!」

提督「白露」

白露「はいはーい!」

提督「お前は何番目に強い?」

白露「もっちろん!一番!」

提督「よし、その一番の強さ、期待しているぞ。その勢いを保ったまま、仲間達と大暴れして来い!」

白露「まっかせてー!とことん皆に付き合っちゃうよー!でもって、一番に突っ込むよ!」

提督「…よし皆、気合い、錬度は十分。今のお前たちの戦意は十分に高揚状態だ。見せてやれ、本物の力って奴をな」

468: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 19:33:16.70 ID:pSJF2YOxo
-敵領海域-

利根「ふぅ、まっこと戦術戦略においてはよい嗅覚を持つ男よな、吾輩等の提督は…」

比叡「暁や白露、阿武隈を連れてきたのも正解ですよ」

阿武隈「居るね…」

暁「潜水型ね」

白露「うんっ」

瑞鳳「先手必勝でいきましょう!私の艦載機で注意を一瞬こちらへ引き付けます」

比叡「任せて、それを私と利根さんで釘付けにする!」

利根「うむ!」

瑞鳳「意識が比叡さんと利根さんへ向いたら…」

阿武隈「任せて!あたし達でまずは潜水型を殲滅する!」

暁「白露、対潜装備ある?」

白露「バッチリ!」

利根「敵方は梯形陣…潜水型は奥の方じゃろうな」

比叡「それじゃ!」

利根「参ろうか!」

瑞鳳「はい!まずは道を作ります!」チャキッ

469: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 20:02:57.70 ID:pSJF2YOxo
瑞鳳は背に掛けていた弓を取り出し、矢筒から一本矢を引き抜いて弓に番える。

はじめは赤城、次に翔鶴、今は赤城と飛龍。

常に瑞鳳は正規空母の背を見て精進してきた。

彼女達に比べて自分の火力が劣っている事に少しの劣等感は抱いていた。

人の見ていない所で塞ぎ込んだ事もあった。

それでも前を向いて一歩ずつ前進できたのは彼女を支えてくれた周りの皆が居たからだ。

常に先陣を切り、窮地に至ろうとも諦めず、勝利に向かって貪欲に突き進む。

一航戦の誇り、二航戦の執念、二人の背中を見て修練を積んできた彼女にこの二つの言葉を背負う資格は十分に

あるだろう。

軽空母と侮るなかれ。彼女こそ、一騎当千の機動部隊の一翼を担う瑞鳳である。


瑞鳳「……瑞鳳、推して参ります!攻撃隊、発艦!」ビュッ


番えた矢を前方に見える敵艦隊へ向けて真っ直ぐに射る。

放たれた矢は艦載機へと姿を変えて滑空から大空へと向かい羽ばたいた。

それを合図とするように阿武隈、暁、白露の三名がそれぞれ左右に迂回路を取る。

そして真正面、比叡と利根が並んで立ち、一気に駆け出した。

470: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 20:19:53.40 ID:pSJF2YOxo
比叡「抜錨!」

利根「うむ!いざ、出陣だな!」


一拍遅れて瑞鳳の艦載機に感付いた敵奇襲侵攻艦隊。

旗艦を勤めるその姿は────


武蔵?「…任務の邪魔をするか。先に邪魔な連中を殲滅する。総員、戦闘配置に就け」


姿形は武蔵そのものでありながら、違和感を禁じえない。

つまり、生気を感じられない。


比叡「え…!?」

利根「莫迦な、彼奴は…武蔵!?あ、ありえんじゃろ!」

比叡「し、司令の言ってた不測の事態にも動じるなって、まさかこれの事だったの?」

利根「わからん、しかしここは戦場じゃ。迷うとる暇はない!ゆくぞ!」

比叡「はい!」


敵の奇襲侵攻艦隊の構成は異質だった。

艦娘と深海棲艦の混存型。

武蔵
戦艦タ級FS
筑摩
重巡リ級FS
潜水ソ級EL
潜水ヨ級EL

しかし、それに囚われる事無く、比叡と利根は臨戦態勢に入る。

その直後、瑞鳳の放った艦載機の艦爆艦攻隊の攻撃が開始される。


ボゴオオォォォン


身動ぎすらせず、瑞鳳の先制攻撃を一身に受けるも、彼女達は無感情に行動を開始する。

471: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 20:33:40.34 ID:pSJF2YOxo
-比叡・利根 vs 武蔵?・タ級FS・筑摩?-

武蔵?「温い。各自、標的を定めて殲滅しろ」 無傷

タ級FS「エサニシテヤル…!」ザッ 被害軽微

筑摩?「右舷、砲雷撃戦、始めます」ジャキッ 無傷

利根「近付いて見てよう解ったわ。筑摩を模した下衆な人形など拵えよって…万死に値するぞ!」

比叡「利根さん、武蔵さんモドキと戦艦型は私が相手します!」

利根「お主、正気か!?」

武蔵?「同時に相手だと?雑魚が…笑えもしない冗談だ」

タ級FS「ビョウサツデシズメテヤル…!」

比叡「小さな事の積み重ね。小さな道でも、自分で築いてきたこの道を私は信じて進むのみです!」


比叡の朝は毎朝道場で汗を流す事から始まる。

毎朝の精進、鍛錬、これをしないと一日が始まらないと彼女は言う。

日々積み重ねた修練の結晶と実績、その全てを遺憾無く発揮してこそ、結果が生まれると彼女は信じている。

その結果を出す場が今、この瞬間である。


ドォン ドォン ドォン ドォン


全砲門を開き、広範囲に渡って比叡が一斉射する。


ボゥン ボゥン


武蔵とタ級は片手で比叡の放たれた一撃を振り払い、変わらぬ速度で一気に間合いを詰める。


比叡の突進から遅れて利根は筑摩と対峙する。

光の宿っていない虚ろな瞳。

ニコリともしない口元、口角、真一文字に結ばれた口元が静かに開き、筑摩の声で言葉が紡がれる。

472: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 20:54:18.16 ID:pSJF2YOxo
筑摩?「沈め」ドン ドン


短く紡がれたその言葉と共に、備えられた主砲の砲塔を利根に向けて一斉に放つ。


利根「新鋭……どこまでも腐った女よ。一度ならず二度までも吾輩の妹を愚弄するか」サッ

筑摩?「……」


ボボボボン


筑摩の放たれた一撃を利根はかわし、一気に間合いを詰める。


利根「ふん、人形とあらば躊躇いようもない。筑摩を穢してくれた業は深いぞ!」チャキッ


シャッ サッ


腰に携えた武刀剣を一閃させるも、それは間合いの外へと逃げられ避けられる。

抜刀したまま正眼に武刀剣を構え直し、利根は不敵に笑う。


利根「木偶にしてはよう動くのう。じゃが、お主のような人形に吾輩の相手が務まるのかの?」

筑摩?「雑魚が、ほざくな」ザッ

利根「言いよるわ。じゃがな…」スッ

473: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 21:18:15.74 ID:pSJF2YOxo
筑摩は照準を絞らせないように前後左右、縦横無尽に跳躍を繰り返し利根の周囲を凄まじい速度で駆け巡る。

対する利根は正眼に構えていた武刀剣を片手に持ち替え、切っ先を前方に向ける構えに変える。

左手は的を定める照準用。

柄の先端部分を握り、刃を水平に、独特の構えを取る。

それは提督の得意とする刺突の構え。

源流は新撰組の三番隊組長として名を馳せ、刺突技を得意としていたとされるそれに似る。

これを考案した同じく新撰組の一番隊組長、近藤勇の片手平突きの構え。

斬るよりも突く方が自身には向いていると判断した利根は、暇を見つけては提督を道場に呼び込み教えを受けていた。

利根が神通とは違い居合いを習得しなかった理由の一つとして間合いの広さが上げられる。

踏み込みが神通よりも短い分、その間合いも必然的に狭くなると判断した利根はこれをすっぱりと諦めた。

更にもう一つの理由として出だしの速さを挙げている。

そしてそれらを加味した上での最大の理由、それが────


利根「…我が艦載機から逃げられるとでも思うたか!丸見えじゃ!」シャッ


自らの艦載機と併用させた精密射撃のような一撃。

瞳を見開き、一瞬の隙間。

針の穴を通すが如く、一点に集約された力が爆発的な開放を示す。

凄まじい速度で動き回っているにも関わらず、それを意にも介さず利根は一点を目指して右手を振り抜く。

繰り出された一撃はまさに弾丸。


利根「そこじゃっ!」ドスッ

筑摩?「……っ!」ググッ 小破


確かな手応え、しかし筑摩の顔色は以前変わらず真正面を能面の如く見据えたまま動かない。

片手で脇腹に突き刺さった武刀剣を引き抜き、利根の方へと衝き返し、顔色一つ変えずに筑摩は構え直す。


筑摩?「…鬱陶しい」ジャキッ

利根「っと…ふん、お姉さんに対する敬意が今一つ足りとらんみたいじゃの」スッ

474: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 21:46:13.51 ID:pSJF2YOxo
-瑞鳳 vs リ級FS-

リ級FS「ジャマヲ、スルナ。ケイクウボフゼイニ、デルマクハナイ」 被害軽微

瑞鳳「……」スッ ググッ

リ級FS「ケイクウボフゼイノカンサイキナド、イクラトバシタトコロデ…」

瑞鳳「」(例え一歩…ううん、半歩でもいい。赤城さんや飛龍さん達のように…)

リ級FS「カニササレタヨウナモノダ…」

瑞鳳「」(…そうじゃない!憧れない!私は、私なんだから!)

リ級FS「ホラ、ゴホウビニモウイッカイダケ、カンサイキヲハナッテモイイゾ?」

瑞鳳「軽空母だからって、余り舐めないでよね!」


──敗北は負けに非ず。可能性を残す敗北は勝利よりも価値あるものと知れ。故に立つのだ!負ける事、劣る事、

知らぬ事、それらを恥じるな!負けたなら次に活かせ!劣るなら優るものを見つけよ!知らぬなら覚えよ!そし

て相手に知らしめよ!弾丸と成って、空を舞え!──


瑞鳳「……艦載機の皆、飛び立て!」ビュッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


リ級FS「ナニ…!?」

瑞鳳「さぁ皆、弾丸と成って空を舞え!!今こそ、小沢艦隊の本当の力、見せてやりましょ!」

リ級FS「バ、バカナ…ナンダ、コノカンサイキノカズハ……チッ、オノレッ!!」ダダダダダダッ

475: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/24(月) 21:46:47.50 ID:pSJF2YOxo


瑞鳳より放たれた無数の艦載機は鮮やかな編隊を見せてリ級FS直上より急降下爆撃の態勢に入る。

その錬度たるや赤城や飛龍に迫る勢いを見せた。

脳裏を過ぎった言葉の端々。

聞き覚えのない野太い声。

それでも何処か懐かしく思う。

『ああ、そうか。これが提督の言ってた記憶なのか』と感慨に耽る暇すらもない。

今はただ、己の放った艦載機を信じるのみ。

そして瑞鳳の放った艦載機の一団はリ級FSの放つ対空砲火を物ともせず、一気に攻撃に転じる。


ボゴオオオォォォォン


リ級FS「グガッ…!」 中破

瑞鳳「これ以上、仲間の…先に進む皆の邪魔は、この瑞鳳がさせません!」

483: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 22:20:26.60 ID:Xzkua+03o
-阿武隈・暁・白露 vs ソ級EL・ヨ級EL-

暁「阿武隈さん、私と白露はヨ級を…!」

阿武隈「うん、あたし的にも大丈夫!あたしはこのまま真っ直ぐ、ソ級に照準合わせるから!」

白露「よーっし、暁やるよっ!」

暁「うん!」

ソ級EL「オマエタチノドウコウニ…」

ヨ級EL「キヅイテナイトデモ、オモッテタノ?」

阿武隈「えっ…!?」

ヨ級EL「ケイケンモ、チエモアサイ、ケイジュントクチクカン…」ジャキッ

ソ級EL「カンゲイスルワ…ミナゾコヘ、シズミナサイ」ジャキッ

阿武隈「暁、白露!」

暁「阿武隈さん、こっちは大丈夫!」

白露「一番に片付けちゃうんだから!」

484: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 22:27:44.25 ID:Xzkua+03o


暁や白露にとって、鎮守府とは大切な仲間との憩いの場なのだ。

何より、出会いの形はどうあれ彼女達は提督の居るこの鎮守府が大好きなのだ。

そんな大好きな場所や人を傷付けるなら、相手が何であろうと彼女達は立ち向かう。

そしてその時こそ、彼女達にとっての真価が発揮される。


ソ級EL「フフッ……シッポヲマイテ、ニゲレバイイモノヲ」

阿武隈「姿晒しておいて逃げれると思ってるの!?」

ソ級EL「ハンデヨ……カンムスフゼイニ、キシュウヲカケルマデモナイワ。ホラ、ヨコヨ」

阿武隈「っ!」バッ


ボゴオオォォォ……


ソ級ELの言葉に反応するように、阿武隈は大きく後ろに一歩バックステップする。

それから一泊遅れて、眼前の水面が大きく揺らめき立ったかと思うと爆音と水飛沫を上げて海面が爆ぜた。


ソ級EL「アラ、チョットチュウコクガ、オソカッタカシラ?」

485: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 22:40:39.15 ID:Xzkua+03o
ヨ級EL「アイサツガワリニハ、チョットニガオモイカシラネ?」バシュンッ バシュンッ

暁「…よーいっ」スッ

白露「どんっ!」バッ


ヨ級ELの放った魚雷と同時に、暁と白露は海面を蹴って一直線にヨ級EL目掛けて駆け出す。

互いに魚雷を横軸を少しずらすだけで速度を殺さず回避し、一気にヨ級ELとの間合いを詰める。


ヨ級EL「ナニ…!?」


ボゴオオォォォン……


暁と白露の遥か後方で爆音が轟き、その頃には既にヨ級ELとの間合いはかなり肉薄していた。

二人で並んで一直線にヨ級ELへ接近し、残り数メートルという所で二人同時に魚雷管を差し向け同時発射する。

そして二人はヨ級ELから離れるように左右へ分かれて駆け抜ける。


暁「挨拶代わりなんだからっ!」

白露「受け取っちゃってー!」

ヨ級EL「シマッ……!」


ボゴオォォォォン


ヨ級ELの緊迫した声を掻き消し、魚雷が炸裂して轟音を響かせる。

486: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 22:54:55.44 ID:Xzkua+03o
-比叡 vs 武蔵?・タ級FS-


ボオオォォン ボゴオォォォン


矢継ぎ早に放たれる武蔵とタ級FSの砲撃を比叡は全て往なし、距離を取り、鮮やかに回避する。


タ級FS「ニゲマワルダケ?」

武蔵?「口ほどにも無い。雑魚はさっさとくたばれ」ジャキッ

比叡「やばっ」サッ


回避間際の硬直を狙われ、動けないと悟った比叡は咄嗟に両腕をクロスさせて完全防御の姿勢を取る。

その直後、轟音を響かせ武蔵の主砲が火を吹いた。


ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


砲撃は比叡を直撃、凄まじい水飛沫と爆煙を巻き上げ、海上をさながら火の海に見立てる。


武蔵?「ふん、まずは一匹だ」

487: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 23:12:22.50 ID:Xzkua+03o


ジッ……ボゴオオォォン


踵を返そうとした直後、武蔵の頬を何かが掠めて通り、直後にその背後で大爆発が起こる。

無感情だった武蔵の瞳が僅かに見開かれ、その視線の先には主砲を構えて立っている比叡が確認できた。


タ級FS「ムサシノイチゲキヲウケテ、タッテイルダト…?」

比叡「お姉さま譲りのこの艤装。隅々までその凄さを体験してもらわないと困るなぁ」ジャキッ 小破

武蔵?「虫けら風情が…」

比叡「その虫けら風情がこれから頑張っちゃうから、よーく見ててよ!私の背中には霧島が居るんだ。妹の背中
をそう易々と撃たれたんじゃ、お姉さまや榛名に合わせる顔がなくなっちゃうよ。まずは……」ビシッ


比叡はタ級FSを指差し、不敵に笑いながら宣戦布告する。


比叡「あなたから。さて、と…気合!入れて!行きます!」ザンッ

タ級FS「ハヤイ…!」ザザッ

比叡「ふっ」タンッ ジャキッ


タ級FSの横をすり抜け、振り向き様に副砲を構えて一気に放つ。


比叡「てーっ!」ドン ドン

タ級FS「ナンダ、コイツノウゴキハ…!?」サッ


ボゴオォォン


タ級FS「クッ…!コザカシイ、マネヲ…!」 小破

488: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 23:19:46.98 ID:Xzkua+03o
比叡「護りたいものがあるから戦うんじゃない。護るべき人達が居るから、私達は戦えるッ!」

武蔵?「その全てを我々が完膚なきまでに破壊する」

比叡「絶対させない。二度と!同じ過ちは!繰り返さない!先手、必勝ッ!!」ダッ


再び駆け出し、態勢の整っていないタ級FSへ向かい比叡が猛追を掛ける。

比叡には榛名や霧島のように過去の記憶や断片的に残る記憶が無い。

しかし、兄弟姉妹は時として常識を遥かに超えた外側まででも繋がっている事があるという。

魂で繋がる。俗に言われる虫の知らせや第六感などと呼ばれるのがそれだろうか。

確かな繋がり、確かな想いの共有、離れていようと触れ合える。一人じゃないという確かな実感。

それらが比叡に無限の力を与えてくれる。

強さは時として凶器となるが、扱い方を間違えなければそれは心強い己の武器となり、盾となる。


比叡「お姉さまや榛名達妹…鎮守府の皆、司令…護りたい人達が居る限り、私の中の信念は絶対折れない!」ジャキッ

武蔵?「戯言を…」

タ級FS「ム……」

比叡「狙いは、外さない!主砲、斉射!始めっ!!」ドォン ドォン ドォン ドォン

武蔵「この弾幕は…チッ、雑魚の分際で…」バッ

タ級FS「バカナ…ナンナノ、コイツラハ…」


ボゴオオオオォォォォン


耳を劈くばかりの轟音を唸らせ、武蔵達の居た地点が大爆発を起こす。

それでも尚、武蔵は悠然と姿を現し艤装を構え直す。

489: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/26(水) 23:28:30.59 ID:Xzkua+03o


武蔵?「ふん、所詮は深海棲艦か。不測の事態に回避も出来ないとはな」 被害軽微

タ級FS「グガ……ッ!」 大破

比叡「こいっ!」

武蔵?「ククッ…いいだろう、遊んでやる。貴様もこんな雑魚が相手では締るものも締らんだろう。褒美に消し
炭にしてやる」

比叡「なっ」

タ級FS「キ、サマ……クロ……」


グシャッ


タ級FS「……」 轟沈

武蔵?「余計な事を言う。雑魚以下のゴミ虫だな」

比叡「なんてことを…」

武蔵?「深海棲艦に同情か?下らん…使い物にならないのは即時切り捨てるのが戦場での鉄則。それに習ったま
での事を、一々情に絆されてどうする。貴様も艦娘ならば腹を括って掛かって来い。在り方の違いと実力の差を
存分に味合わせた上で砲撃処分にしてやる」

494: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/27(木) 22:34:07.06 ID:Oiy9AcX8o
-利根 vs 筑摩?-

筑摩?「ふっ…姉なら、偉いの?」

利根「なんじゃと?」

筑摩?「自分よりも劣る存在が姉だと、自分の置かれた境遇を呪う他ないわね。そう、私のように…あなたのよ
うな不出来で使い道も無い雑魚が、姉と言うだけで鼻息荒くされても困るわ。それを証明してあげる。砲撃処分
という形でね?」

利根「張りがあるのは胸ばかりと思うておったが、お主はどうやら腕っ節にも張りがあるようじゃな」


ニヤリと一笑に伏して利根は筑摩の挑発を受け流す。

そして再び武刀剣を片手で構え直し、照準を筑摩に合わせた。


筑摩「馬鹿の一つ覚え。その艤装で私を本当に仕留められるとでも?」

利根「さて、どうじゃろうなぁ…手心が加わって手元が狂うかも解らん。口が悪くとも見た目は吾輩の妹そのも
のじゃからのう。倒すのに、時間を要してしまうかもしれんのう…」クスッ

筑摩?「なら私がその時間を短縮して上げる。せめてもの手向けよ。一撃でその首を吹き飛ばして上げるわ」ジャキッ

495: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/27(木) 22:47:44.08 ID:Oiy9AcX8o


利根が仕掛けるよりも早く、筑摩は先に動き出し構えた主砲を一斉に放つ。


ドン ドン


サッ


ボゴオオォォォォン


爆発音を合図とするように二人は同時に駆け出す。

一直線の水柱が徐々に近付いていき、互いの中央部分で一本に繋がり巨大な水柱となって水飛沫を撒き散らす。

利根の刺突を今度は右側の艤装で受け止め、余る左側の艤装、その砲塔を利根へ差し向ける。


筑摩?「さようなら、お姉さん?」ドン ドン

利根「お主…!」


ボゴオオォォォン


サッ


利根「くっ…!恐れも何もあったもんじゃないのう!」 小破

496: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/27(木) 23:12:47.73 ID:Oiy9AcX8o
筑摩?「あれを避けたの?運がいいのね」

利根「運じゃと?見縊られたもんじゃのう…」キンッ


利根はため息を一つ吐いて武刀剣を鞘に収める。

利根は静かに瞳を閉じて一拍の呼吸を置いた。

その刹那に脳裏を過ぎったのはこれまでの出来事の数々。

今の鎮守府に就いてどれほどの歳月が経過したのか。

劣悪な環境、信じるものなど無く、ただ只管に与えられた任務をこなすだけの日々。

そこに達成感、感動、抑揚、充実は存在せず、ただただ生きて帰る事だけを目指して戦い続けた。

今はどうだろう?

そう思って気付いた事は、提督の存在だった。

彼が就任して劇的に今の環境は変化した。

与えられた任務を達成する喜び、仲間と共有する感動、互いを解り合いたいが為に生まれる感情の起伏、遂げた

目標を果たして得る充足した日々。

何時以来か、心の底から笑みを見せたのは。

何時以来か、仲間の安否に一喜一憂したのは。

何時以来か、両者の想いを真剣にぶつけ合ったのは。

利根の願いは至って平凡で質素。それ故に、誰もが手に入れて然るべきもの。

それを手にするのは簡単に見えて思いの他と難しい。それを利根は重々承知している。

だからこそ強く願う。平穏よ、永遠なれと。

それを今の鎮守府で、提督と出会えた仲間達と迎える。

今を強く生きる仲間達と再び鎮守府へ戻る為に、利根は強い信念を持って戦う。


利根「お主の正体、粗方見当はついた。荒唐無稽な話じゃ…しかし、思いついた結論以外に到底憶測が及ばぬ」

筑摩?「だから、何?」

利根「…終わらせる。この悪夢と共に生み出されたお主の生涯そのものを」

筑摩?「終わるのはあなたよ」

利根「最終局面じゃ。全てを賭す…吾輩は、まだまだ生きたいのでな!」

502: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/28(金) 21:25:32.24 ID:uhakEzLRo
-瑞鳳 vs リ級FS-

瑞鳳「はぁ、はぁ、はぁ…」 小破

リ級FS「モウニドト、ヒショウノキカイハ、アタエナイ…ッ!」ジャキッ

瑞鳳「」(間合いを離せない…強い。一度見たパターンには即座に対応してくるなんて…)

リ級FS「ハナテルモノナラ、ハナッテミロ。ソノマエニ、キサマノヒコウカンパンヲコナゴナニフンサイシテヤル!」


ドン ドン


瑞鳳「くっ」サッ


何度目の砲撃か、瑞鳳はそれを間一髪で回避して後ろへ大きく飛び退く。

しかしそれを良しとせず、リ級FSもまた大きく踏み込み瑞鳳との距離を縮めていく。

エリート型やフラグシップ型の深海棲艦は艦娘達でも驚く手法を以てこちらを殲滅に掛かる。

それは今までの深海棲艦が目視した自分達をただ駆逐する為だけに向かってきたのとは違い、戦術や戦略を駆使

した上で知恵を絞った戦いを展開するという事。

故にこちらの思惑、戦術、戦略、奇襲と言ったものが通用しない場合が存在する。

瑞鳳の見立ては本来であれば完璧だった。

最初の一手で自分の限界と思わせる艦載数を飛翔させ、相手の油断を誘った上で次の手を全力で見舞う。

手負いになった所を隙を見つけて三度目の一撃を放ち、そこで仕留める。

しかしリ級FSはその手に感付き、瑞鳳との距離を一定に保ち、瑞鳳に発艦の暇を与えずに攻め続けてきた。

これが瑞鳳にとっての誤算。

接近戦で彼女に勝ち目は殆どないに等しい。

それを逆手に取ったリ級FSのこの攻めは実に理に適った見事な戦術と言える。

瑞鳳に限らず、赤城も飛龍も発艦の際には必ず隙が生じる。

矢を射るにはどうしても必要な隙。

ブレを無くし標的を射抜く為の必須動作。

瑞鳳は一瞬の望みに全てを託した。

503: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/28(金) 21:53:24.03 ID:uhakEzLRo


チャキッ……


リ級FS「ユレルミナモ、ハゲシクマジワルタガイノイチ…コノジョウキョウデ、ドウヤッテカンサイキヲトバス?」

瑞鳳「」(私の足じゃリ級FSを振り切るのはきっと無理。無闇に無理な姿勢で放っても、艦載機の子達はきっと
発艦なんて無理…なら、チャンスは一度きり。固定された姿勢で放てる最後のチャンス…!)スッ…

リ級FS「フッ…ハハハハッ!ココニキテ、ツイニアキラメタカ!?」

瑞鳳「……」


瑞鳳は右手に矢を握ったまま、構えを解いて自然体に姿勢を正す。


瑞鳳「」(狙うのは、正面からの一撃…!)ダッ

リ級FS「ナニ…!?」


瑞鳳は徐に駆け出すと同時に弓を構え、矢を番える。


リ級FS「コムスメガ…!」ジャキッ


ドン ドン


サッ


牽制も含めて放たれたリ級FSの一撃を物ともせずに突き進み、一気に瑞鳳はリ級FSとの距離を詰める。


リ級FS「ソレイジョウハ、ヤラセンッ!」ビュオッ


リ級FSの腕から突き出された艤装ごとの一撃は真っ直ぐに進む瑞鳳を真正面から捉える。

それを予期していたのか、瑞鳳は両腕を胸の前で固めて防御の姿勢を取る。

504: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/28(金) 22:11:27.46 ID:uhakEzLRo
リ級FS「キ、キサマ…!」

瑞鳳「……っ!」ググッ


ドゴォッ


瑞鳳「くっ…!」

リ級FS「クッ……!」ザザッ


勢いの殺せないリ級FSはそのまま瑞鳳を殴り飛ばし、瑞鳳は弾けたゴム鞠のように進んできた道を今度は背を前

にして吹き飛ばされる。

しかし、それを想定していた瑞鳳に焦りや動揺の気配は微塵も無かった。

そして瑞鳳の狙いに気付いたであろうリ級FSも、気付くのが遅かった事を自ら悟り、表情を強張らせた。


瑞鳳「所作は最小限で、一呼吸の内に、一拍…置いて……っ!」チャキッ ビュッ


吹き飛ばされた姿勢のまま、勢いに逆らわず静かに弓を構えて矢と番え、弦を引き、狙いを定めて、弓を射る。

一連の動作を一呼吸の内に、一拍置いて、呼吸を整え、狙いを決めて一気に躊躇いなく射る。

赤城や飛龍がこの場に居れば息を呑んだことだろう。

洗練された所作の全てが一本の矢に集約される。


ヒュン ヒュン ヒュン


瑞鳳「艦載機の皆!大空を、弾丸と成って!」 ザバァァァン 中破


海面に叩き付けられた拍子に肩口の飛行甲板を激しく損傷し、共に腕に裂傷を負いながらも最後まで自身が放っ

た艦載機の行方を目で追い続け、激励の言葉を投げかける。

最後の最後まで諦めない。瑞鳳の叫びは大空に響き渡った。


瑞鳳「舞えぇぇぇぇぇぇっ!!」

リ級FS「カンムス、フゼイガ…ッ!オノレエエエェェェェ……ッ!!」ジャキッ…


ボゴオオォォォォン


リ級FS「」 轟沈

瑞鳳「はぁ、はぁ…やった…やった……っ!軽空母だって、頑張れば、活躍できるのよ……!」グッ

505: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/28(金) 22:18:38.36 ID:uhakEzLRo
-阿武隈 vs ソ級EL-

ソ級EL「フン、クチホドニモ……」


ザバァン ザバァン ザバァン


ソ級EL「クッ…ナンダ!?」

阿武隈「あたし的にはまだまだこれからなんですけど?」 被害軽微

ソ級EL「キサマ…」

阿武隈「助けてもらって、支えてもらって、今のあたしはあるんだから…こんな所で足踏みしてる場合じゃないの」

ソ級EL「…タスケテモライ、ササエテモラワナケレバイキレナイ…ソンナヤツハ、ソンザイスルカチガアルノ?」

阿武隈「だから恩返しするんでしょ。中にはそういうのを足手纏いって煙たがる人も居るかもしれないけど、け
ど提督は違った。この鎮守府の皆は違った!皆、あたしを待っててくれた!だから、あたしは皆に今までに沢山
預かってきたこの恩を、今日ここで、あたしの全てを掛けて返すの!だから、あんたになんか絶対負けない!」

ソ級EL「イキガッテイロ…タマタマギョライヲカイヒデキタテイドデ、コノワタシヲタオセルト、サッカクスル
ソノアサマシサ…コッケイダナァ」

阿武隈「」(大丈夫、期待に応えるって、提督と約束したんだから…やれば、できる!やるときは、やるんだから!)

ソ級EL「コンドハ、ハズサナイ…ミナゾコヘ、シズメッ!」ゴポゴポゴポ…


静かに水泡だけを海面に残してソ級ELの姿が完全に消える。

海上から海中へ深度を一気に下げていき、気配を殺して静かに魚雷の発射口を海上へ差し向ける。

深海の狩人が狩りの標的として阿武隈を定めた。

静かに、ゆっくりと、しかし確実に仕留めるために照準を合わせて音も無く魚雷が発射される。


バシュンッ


ソ級ELはその瞬間、自らの勝ちを確信した。

背後へ回り込み、装甲の薄い背面を不意を衝いて狙う。

当たればまず間違いなく即死級の一撃。

例え生き残ったとしてもそれは虫の息であり、トドメを刺すのに差して問題などなかった。

だが、ソ級ELは言い知れない恐怖を肌で感じ取り周囲の警戒をする。

506: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/28(金) 22:32:32.19 ID:uhakEzLRo


ボゴオオォォォォン


海上で自らが放った魚雷が爆発を起こし、海中にも振動が伝わってくる。

しかしそれを見てもソ級ELの言い知れない恐怖は未だ拭い去れてはいない。

その散漫とした集中力から海上へと急いで浮上したのがソ級ELの失策だった。


ザバァァァ……


ボゴオオォォォン


ソ級EL「グガッ……!」 中破

阿武隈「怖いでしょ。どこから狙われるか解らないのって」ジャキッ

ソ級EL「キ、キサマ…ドウ、ヤッテ…」

阿武隈「下調べ、怠りすぎじゃない?っていうか、バカ?」

ソ級EL「ナン、ダト…ッ!」


阿武隈がソ級ELの位置を容易く割り出したのは音波探信儀、ソナーと呼ばれる艤装のおかげだ。

そしてソ級ELが言い知れない恐怖を感じ取ったのは阿武隈が設置した爆雷投射機。

エリート型らしい素晴らしい嗅覚を有していながらも軽巡型は海中へなど来れないと言う慢心からそれらの注意

を確認しそびれた、ソ級ELの度し難い失策だった。

そしてその爆雷は未だ阿武隈の匙加減一つで牙を剥くと言う事実にソ級ELは気付いていない。


阿武隈「悪いけど、他の皆の手助けに行かないとならないの」

ソ級EL「ホザケッ!コンドコソ、シズメテヤル!!」ゴポゴポゴポ……

阿武隈「……そこ、爆雷の宝庫なのよね」


ザッパァァァァン


ソ級ELが潜ってから数秒後、ソ級ELの位置を把握していた阿武隈はタイミングを計って手にしていたスイッチを押す。

爆風に打ち上げられ、立ち昇った水柱の中に驚愕に顔を歪ませたソ級ELの姿を確認できた。

重力に逆らわず海面へと水柱と共に叩き付けられ、ソ級ELはそのまま静かな海の底へと再度沈んでいく。


阿武隈「よし…!」グッ


小さくガッツポーズをとって阿武隈は周囲の戦況を確認しつつ、加勢に向かう先を検討しようと顔を上げる。


ボゴォォン


阿武隈「あぐっ…!」 中破


直後、背後から肩口を狙っての砲撃に阿武隈の表情が苦痛に歪み、錐揉みのようにして身体を捻らせながら吹き

飛ばされる。

撃ち抜かれた箇所を片手で押さえながら、阿武隈はゆっくりと立ち上がり砲撃の飛んできた方角を凝視する。


阿武隈「な……」


自分を撃った存在を確認し、阿武隈はその表情を驚愕の色に染め上げた。

510: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 20:41:09.75 ID:AcVldxBOo
-暁・白露 vs ???-

阿武隈がソ級ELを撃破するより少し前、奇襲と連携を見事に成功させた暁と白露の二人は見事にヨ級ELの撃破に

成功し、急ぎ阿武隈の手助けに向かおうとしていた。

しかし戦闘の最中、阿武隈は大きく場所を移動していたのか、中々見つけられなかった。


暁「どこまで行っちゃったんだろう?」

白露「うーん…あっちに見えるの、比叡さんと、利根さん、かな…」

暁「向こうには艦載機が見えるから、きっと瑞鳳さんね」

白露「方角からすると、それじゃこっちかな?」

暁「いってみましょ!」

白露「おっけー!」


ザバァァン ザバァァン


暁「きゃっ」

白露「うわっ」


行動を開始しようとした瞬間、二人の眼前に砲弾が着弾して大きな水飛沫を上げる。

511: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 20:41:40.66 ID:AcVldxBOo
暁「あ、危なかった…」

白露「どこから…」

??「外したカ…運ダケはいいミタイね」

暁「え……」

白露「う、うそ…」

暁「そんな、だって…あなた、死んだはずじゃない!長門さんが、倒したんじゃ!」

泊地棲姫?「フフッ…私は、滅ビヌ…忌々しい、艦娘ドモめ…今一度、水底に還るがイイワ」

512: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 20:52:45.29 ID:AcVldxBOo
-比叡・利根 vs 武蔵?・筑摩?-

比叡「はあぁぁーっ!」ビュッ


ガシィッ


武蔵?「軽いな。軽すぎる」ビュオッ


ガスッ


比叡「うぐっ!」ザザザッ

武蔵?「この軽さで、同じ戦艦として同列にされるとは、反吐以外に出るものが無いな」

比叡「まだまだー!」ダッ

武蔵?「いや、終わりだ」ジャキッ

比叡「っ!」


ボゴオオオォォォォン


果敢に立ち向かおうと駆け出した直後、眼前に主砲の砲塔が顔を覗かせる。

武蔵の翳した艤装の第一主砲の砲塔。

黒光りする筒の先に閃光が奔り、次の瞬間、比叡は後方へと吹き飛ばされていた。


比叡「げほっ、がはっ…!」 大破

武蔵?「無力は罪だ。貴様に艦娘の名を背負う資格はない。ここで朽ち果て、永久を彷徨え」スッ…

比叡「うぐっ、くそ…!」

514: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 21:14:49.86 ID:AcVldxBOo
利根「あえてそう呼ぶぞ、筑摩!」

筑摩?「沈みなさい、水底へ」ジャキッ

利根「いいや、沈むのはお主じゃ」ジャキッ


同時に艤装を構え、全く同じタイミングで共に引き金を引く。


ドォン ドォン ドォン ドォン


ボボボボボボボンッ


爆煙と水飛沫を伴い、周囲に水壁が一瞬の内に形成される。


ザバァァァン


その壁を打ち破り、まずは利根が躍り出る。

それを待っていたかのようにして筑摩も飛び出してくる。


パパパァァン ドォン ドォン


互いの拳による殴打戦を数度繰り広げ、間隙を縫っては砲撃を見舞う。


ボゴオオォォン


決定打を見込めないまま、時間だけが過ぎていくが一際大きな炸裂音に利根、筑摩共に一瞬動きが止まる。


ボゴオオオォォォォン


利根「な、なんじゃ!?」

筑摩?「姉さんのいう、仲間が死んだんじゃないかしら?」

利根「なんじゃと…」

筑摩?「安心していいわ。直に姉さんも同じ場所へ送って上げるから」

利根「ふん、丁重にお断りじゃ。それに吾輩の仲間はそう易々とは死なん!」


瀕死の比叡、満身創痍の瑞鳳、死んだと思われていた泊地棲姫と相対してしまった暁と白露、そして謎の砲弾に

襲われた阿武隈、仲間の安否が全く解らないまま戦闘を継続する利根、ここから彼女達の戦闘は更に苛烈を極め

ていく事になるが、無事この困難を打開する術があるのだろうか。

515: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 21:35:57.06 ID:AcVldxBOo
~撃滅せよ、戦艦レ級~



-敵領域近海-

赤城「仲間を…」

陸奥「こいつらに、仲間意識なんてないのよ」

大鳳「他の深海棲艦や上位の深海棲艦とは全くの別種…狂戦士に等しいわ」

羽黒「ひどい…」

神通「惨いですね」

霧島「ここからは二手に分かれましょう」

陸奥「ええ、そうね」

レ級EL1「待たセタねぇ…」

レ級EL2「キヒヒ、思いの他、コイツ歯ごたえあってサァ…」グチャ…

陸奥「下衆の所業ね」

レ級EL1「ヒドイなぁ。どうせキミ達だって直にコウなるんだからサァ…」

レ級EL2「…ヒヒッ、大人しく食わレロヨッ!」


ビュオッ


ユラリと身体を揺らしながら、緩急をつけた動きで二匹の化け物が陸奥達へ襲い掛かる。

516: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 21:59:15.27 ID:AcVldxBOo
-陸奥・神通・大鳳 vs レ級EL1-

レ級EL1「第二幕、開演ッテ感ジィ?」ギュオッ


バチィィッ


陸奥「…っ!」ザザザッ

神通「はっ!」ビュッ

レ級EL1「ットォ…それは怖いナァ」サッ

大鳳「第一次攻撃隊……」サッ

レ級EL1「させないヨォ!」ドン ドン

大鳳「くっ…!」サッ


ボボボンッ


目にも留まらぬ素早い跳躍から陸奥を弾き飛ばし、それに応戦してきた神通の一閃を真横に飛んで回避、即座に

軌道修正して一気に大鳳に照準を合わせ、艦載機の飛翔を射撃で妨害する。


レ級EL1「ヒハハハハッ!遅い、トロい!何ソレ、さっきより全ッ然ダメじゃない!?」

大鳳「こいつ…」

神通「格段に、速くなってます…!」

陸奥「鬱陶しいわね…!」

レ級EL1「ソレハさぁ、コッチの台詞だよ。ガッカリさせないデヨ…折角、こっちも本気出シテるんだからサァ」


ニタリと笑ったレ級の瞳が真紅に輝き、その輝きは残光だけを残して姿諸共その場から消える。

その動きに大鳳は完全に出遅れ、陸奥も翻弄されて姿を捉える事が出来なかった。

そんな中、神通だけが静かに武刀剣を構えてレ級EL1の動きに呼吸を合わせていた。

517: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 22:19:17.80 ID:AcVldxBOo


ビュオッ


一陣の風を巻いて振るわれた神通の一閃は今度こそレ級EL1を捉える。

それでも、レ級EL1は身を捻って武刀剣の切っ先がギリギリ触れる程度まで強引に軌道をずらし、直撃は避ける。


ズザザザザッ


レ級EL1「……ッ!お前、面白いネ……」ニヤッ

陸奥「神通、貴女…あの動きが見えるの!?」

神通「はぁ、はぁ…姉さんとの修練の賜物かもしれませんね。それでも、全神経を集中させないとなりませんが…」

大鳳「対策を練らないと…不味い。私、完全に出遅れてた」

陸奥「私だって似たようなものよ。けど、同じ過ちはもう御免だわ」

大鳳「…ですね」

レ級EL1「ボクさぁ、その軽巡の女ト最後マデ遊びたいから、空母と戦艦、ドッチが先に食われタイか選らばせ
てアゲルヨ。一歩前に出てキタ方を先に食ってアゲル」

神通「何を、勘違いしているんですか」

レ級EL1「……?」

神通「貴方は、ここで殲滅します」スッ…

レ級EL1「ギャグにしては、笑えナイね、それ…」

陸奥「神通…!」

大鳳「無闇に前に出ちゃ…」

神通「大丈夫です。私は、いつだって前線で戦ってきました」

陸奥「え…?」

神通「過去の栄光がどうであれ、私は今の私でしかありません。それでも、先陣を切って一番槍として責務を果
たす事こそ、私にとってはそれこそが最大の栄誉なんです。もう、弱虫の神通とは決別です」

518: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 22:28:29.75 ID:AcVldxBOo
大鳳「神通、あなたまさか…」

神通「私は第二水雷戦隊の旗艦を務めた川内型軽巡洋艦の二番艦、神通です」

陸奥「記憶…」

神通「今ならハッキリと思い出せます。だから、今度こそ…私は生きて提督の下へ戻りたい」

大鳳「…うん、私も戻りたい」

陸奥「そうね。まぁ、頭撫でてくるのちょっとウザいけど…」

大鳳「えっ!?」

陸奥「な、何よ…」

大鳳「私、撫でられた事ありません」

神通「それじゃ、戻ったら撫でてもらいましょう」

陸奥「冗談でしょ!?頭撫でられるくらいならこの化け物と一日戦ってる方がまだマシよ」

レ級EL1「あのサァ、ボクの存在蔑ろにスルのやめてくれない?」

陸奥「あら、ごめんなさいね?戻ったら何するか決めかねてたのよ」

大鳳「やりたい事多いんだもの、仕方ないでしょ?」

神通「気持ち、改めていきましょう」

レ級EL1「フザケルナッ!!」ギュオッ

大鳳「神通、ごめん!」サッ

陸奥「慣れるまで、少しだけ時間を頂戴!」サッ

神通「殿、この神通が引き受けます」ダッ


レ級EL1の動きに合わせて三人も動き出す、陸奥と大鳳は後方へ、神通は一歩前に踏み込んでレ級EL1を迎え撃つ。

しかしレ級EL1の狙いは神通ではなく、後方に控えていた大鳳や陸奥。

神通もそれに感付き、レ級EL1の進路を塞ぐようにして攻撃を繰り出す。

519: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/11/29(土) 22:43:56.35 ID:AcVldxBOo
レ級EL1「邪魔を、スルナッ!!」ドン ドン


サッ


ボボボボン


神通「そう言われて退く訳ありません!」ドン ドン

レ級EL1「チッ…!」ザザザッ サッ


ボボボン


牽制で放たれた神通の一撃を横に飛んで回避し、レ級EL1の動きが失速する。

そのまま神通は陸奥と大鳳を己の身で隠すようにレ級EL1の正面に立ち塞がる。


レ級EL1「ソンナに最初に死にタイのか」

神通「そう、見えますか?」

レ級EL1「見えるネェ…正面塞げばボクを抑えラレるって、本気デ思ってル?」スッ…

陸奥「神通っ!」

神通「……っ!」サッ

レ級EL1「遅いネェッ!」ギュオッ

陸奥「くっ…!」ジャキッ…


ボゴォッ


陸奥「げほっ…!」ズザザザッ 小破

大鳳「なっ…」

神通「そんな、まだ…速く…」

レ級EL1「絶望は、コレカラじゃないカナ?」ニヤリ ビュッ


バキィッ


大鳳「うぐっ…!」ズザザザッ 小破

神通「くっ…!」ドン ドン


サッ


ボボボン


レ級EL1「甘い甘い…!」

神通「」(陸奥さんも、大鳳さんも、私も…三人がかりで、手も足も出せないなんて…)


レ級EL1の動きは神通達の想像を遥かに超えていた。

正面に立ち塞がっているはずの神通を置き去りにして陸奥を殴り飛ばし、更に後方に控えていた大鳳をも、その

禍々しい艤装で蹴散らす。

硬直を狙って放たれたであろう神通の一撃すらも余裕を持って回避し、その顔には相手を小馬鹿にするいつもの

レ級EL1の表情が戻っていた。

525: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/03(水) 20:44:02.52 ID:D/UUBT+Jo
-霧島・羽黒・赤城 vs レ級EL2-

レ級EL2「シャアッ!!」ビュオッ


ドゴォッ


羽黒「きゃあっ」ズザザッ 小破

赤城「羽黒さん!」

霧島「このっ!」ドォン ドォン


サッ


ボボボボボォォン


レ級EL2「アハハハ!無理だよ、そんなトロイ攻撃…当たるワケないでしょ。ボクはねぇ、ただお前達をクエレ
ばそれでイイんだよねぇ。ダカラさぁ、大人しくクワレてくれないカナァ」

霧島「くっ」

赤城「……」スッ チャキッ…

レ級EL2「ナニナニナーニ…そのほっそいエモノで、ボクを討てると本気デ思ってるワケ?」

赤城「第二次攻撃隊、発艦してください!」ビュッ


ヒュン ヒュン ヒュン


レ級EL2「ハァ…芸が同じジャアさぁ…」サッ


ヒュン ヒュン ヒュン


ボゴオオオォォォン


赤城「なっ…!」

526: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/03(水) 21:23:49.90 ID:D/UUBT+Jo


レ級EL1と同時に駆け出してきたレ級EL2は手近に居た羽黒を力任せに片手で弾き飛ばし、追撃をかけようとす

るも霧島の砲撃でそれを断念する。

が、それも全て遊びの範疇内であることを自身は十分に自覚した上で動きを止めていた。

更に赤城の放った航空隊を自身の艦載機で全て撃ち滅ぼす。

この短時間で赤城達に圧倒的な絶望の片鱗を垣間見させるには十分な脅威をレ級EL2は見せ付けた。


レ級EL2「改めて……モウ一度聞くよ?誰カラ最初に、クワレたい?」


大抵の精神の持ち主ならばこの時点で半狂乱となり逃げ出し食われ、殺され、兎にも角にも碌な終わり方をせず

バッドエンドを迎えるところだろう。

しかしレ級EL2の眼にはそれらの行動は理解の範疇を遥かに越える、言い換えれば愚策の極みとも言うべき謎に

満ちた行動として映っただろう。

つまり、赤城達はそれでもレ級EL2へ立ち向かったのだ。

527: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/03(水) 21:49:34.52 ID:D/UUBT+Jo
赤城「…戻ったら、お腹一杯にご飯を食べましょう」スッ…

羽黒「賛成です。おかわり、しちゃうくらいに食べますよ」ジャキッ…

霧島「間宮さんが困らない程度に抑えないと、今度は指令が煩いと思いますよ」ジャキッ…

赤城「……」

羽黒「号令、お願いします」

霧島「いつでもいいわ、赤城さん」

赤城「いきましょう。帰るんです、みんなや提督の待つ、あの鎮守府へ…全員で帰るんです。ですから、決して
ここで負ける訳にはいきません。私達はこの日の為に練成してきました。きっと大丈夫、勝ちにいきますよ」

レ級EL2「勝ちにイク?ヒヒッ、アハハハハ!頭の中はお花畑カヨ!?バカもここまでくるとビョーキだね」

赤城「何とでも言って下さい。事実以外は述べません。みなさん、いきましょう!」

霧島「了解よ!」

羽黒「はい!」

レ級EL2「あっそう…ジャア、もうお前等死んでクレテいいよ。その後で、死体ヲ食えばイイしさ。本当は生き
たまま食べるノガ通なんダヨ。泣き喚いて、苦痛に歪む顔ヲ最後マデ見ながら、ソイツを食い散らカスのが最高
にイイんだよ!けど、お前等ナンカ冷めちゃったカラさぁ…」ユラリ…


ビュオッ


そう呟いて動き出すレ級EL2の姿を三人は完全に見失う。


赤城「…っ!」サッ

霧島「くそっ!」サッ

羽黒「……」グッ


咄嗟に真後ろへ飛んだ赤城、真横へ跳躍する霧島、そんな中、羽黒だけジッとその場に留まり虚空を見つめ続ける。


霧島「は、羽黒!」

レ級EL2「ビビッて動けませんッテ感じィッ!?」ビュッ


ドゴォッ


羽黒「…っ!」ズザザザッ


レ級EL2の放った艤装の殴打は羽黒を真横から打ち抜き、その身体を大きく弾き飛ばす。

だが、目を丸くしたのは羽黒以外の面子だった。

528: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/03(水) 22:11:44.05 ID:D/UUBT+Jo
レ級EL2「アレ?いや、オイ…頭、今吹っ飛ばしたダロ…お前、何で生きテルノ?」

羽黒「はぁ、はぁ…やってやれない事はない、です」 中破

赤城「羽黒ちゃん…」ニコッ…

羽黒「五倍の相手だって、支えて見せます!」

霧島「…そうね、やってやれない事はない。その通りだわ」

レ級EL2「何、やる気出しチャッテんのさ…イラつく連中ダナァ!」ギュオッ


再度レ級EL2が動き出し、今度は真っ直ぐに霧島に狙いを定めて突進してくる。

それを察し、霧島は真正面からレ級EL2の突進を受け止める。


ガシィッ…


レ級EL2「調子に乗るナヨ、艦娘風情ガァッ!!」バヒュッ


バチィッ


霧島「ぐっ…!」ズザザザッ ガクッ 中破


防御姿勢は取っていたものの、艤装で受け損ないレ級EL2の殴打を正面から受けて霧島はその場で膝を突く。

レ級EL2はそのまま身体を反転させて今度は赤城に狙いを定め、一気に駆け出す。


ダッ


赤城「……!」タンッ


赤城は照準を絞らせないようにジグザクに後方へとステップを踏んでレ級EL2との距離を離すが、それを意に介

さずレ級EL2は赤城目掛けて艤装の砲塔を差し向ける。

529: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/03(水) 22:29:25.43 ID:D/UUBT+Jo
レ級EL2「バカかお前?距離取っタラ、今度は撃つに決まってるダロ!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォン


凄まじい炸裂音を響かせ、一瞬にして赤城の姿が爆煙に呑まれる。


レ級EL2「アヒャヒャヒャヒャ!ハーイ、正規空母の丸焼き一丁上ガリ~、なんてネ」

赤城「くっ…せめて、七面鳥くらいのボキャブラリーが…欲しいところですね」 中破

レ級EL2「ナッ…!なんで、生きてンダヨッ!!」

霧島「笑えないけど、大丈夫なの?赤城さん…」

赤城「この程度、加賀さんが受けた痛みに比べれば…どうって事ありません」

羽黒「けど、飛行甲板が…!」

赤城「大丈夫です。みんな、優秀な子たちですから」

レ級EL2「どいつも、コイツモ…!くたばり損ないの集マリが、何やったってムリなんダヨッ!!」

赤城「限界なんて当に超えています。本人の限界なんて、自分がそうと割り切らない限り無限大です。提督の教
えの一つに、とても共感出来るものがあります。為せば成る……やらずに悔いるより、やって悔いる方が何倍も
ましである事…」

霧島「…信じる力は何物にも勝る。自分が信じたのなら、最後までその信念を貫き通す事。必ずその思いに応え
てくれる存在は居る。信じて待つんじゃなく、信じて前に進み続ける事…」

羽黒「…継続は力也、です。その時は出来ずとも信じてやり続ければ、それはいずれ結果として己の力になって
自身の大きな自信に繋がる。決めた事をやり遂げる強さ、初志貫徹をする事…」

レ級EL2「ダカラ、何なんダヨ!!」

赤城「だから…」

霧島「私達は…」

羽黒「前だけを向いて戦えるんです!」

535: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/04(木) 20:48:41.85 ID:q6dUCNj1o
-陸奥・神通・大鳳 vs レ級EL1-


ヒュッ ズガンッ ボゴォッ


次々と繰り出されるレ級EL1の攻撃を辛うじてかわし、受け止め、それでも弾き飛ばされながらも陸奥達は耐え

忍ぶ戦いを強いられていた。

方やレ級EL1はジワジワと相手を弄り殺すが如く、その一方的な暴力を愉しんでいた。


レ級EL1「アハハッ、アハハハッ!弱い、弱い、弱い、弱いッ!!さっきマデの威勢ハ何処いったノサ?ネェ、
早くボクを倒してミナヨ。倒すんダロ?クヒヒヒヒ…」

陸奥「……」 中破

大鳳「……」 中破

神通「……」 中破

レ級EL1「身なりもボロボロ、艤装モ半壊、モウ無理って悟れよ、雑魚ガ…まぁ、ソウやって抵抗シテくれた方
がボクとシテハ食事のしがいがアッテいいけどネェ…クヒヒッ、どいつカラ食おうカナァ…」

神通「…次発、装填済みです。まだ、負けた訳じゃありません」チャキッ…

レ級EL1「ハァ?その距離で、その艤装構えて、ナニするのサ。飛ばすの?ネェ、それって接近戦ノ装備っぽい
ケド投げ飛ばしちゃっタリするワケ?クヒヒヒ…」

陸奥「神通、恐らくチャンスは一度きりよ」

神通「…はい。大丈夫です」

大鳳「気を、逸らしてみせます…!」ググッ

レ級EL1「くたばり損ナイの集団がナニをやったって無駄ダッテ…」

536: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/04(木) 21:07:40.43 ID:q6dUCNj1o
大鳳「全艦突撃!目標、戦艦レ級EL1!完全掃射!!」バッ


ヒュン ヒュン ヒュン


レ級EL1「ハァ、懲りナイねぇ…」サッ


ヒュン ヒュン ヒュン


大鳳の艦爆艦攻隊の発艦と同時に、レ級EL1もそれに応えて艦載機を発進させる。

その直後、神通が静かに動く。


レ級EL1「…ん?」

神通「……間合いの外、それがあなたの驕りです」ビュッ


神通とレ級EL1の間で見れば小さな一歩。

しかし、それは例え小さな踏み込みだとしても、強い信念の篭った大きな前進の一歩。

振り抜かれた神通の右手に、武刀剣の艤装は握られておらず、代わりに短刀ほどの短い何かが握られている。

そう確認した直後、レ級EL1の腹部で何かが大きく爆ぜた。


ボゴオオオォォォン


レ級EL1「ガッ……!」 小破


苦痛に歪む視界の中で、レ級EL1が神通の手に握られている何かに気付く。

彼女の艤装を確認し、不自然な部分を見出す。

武刀剣と共に差し込まれていた魚雷管の束。

その中の一本が消えている。

つまり、今自身を爆破させたのは、魚雷。

537: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/04(木) 21:22:04.52 ID:q6dUCNj1o
神通「言ったはずです。次発、装填済みと…」

レ級EL1「キ、サマ…!」


ドゴオォォォン ボゴオオォォォン


レ級EL1「ガアアアアッ!!」 中破


矢継ぎ早に直前に発艦させた大鳳の艦爆艦攻隊の爆撃特攻がそのまま硬直していたレ級EL1に直撃する。

気を逸らす為に動いた一連の動作だったが、神通の行動が早かった事、その行動によってレ級EL1が虚を衝かれ

た形となって硬直した事で彼女達にとって嬉しい誤算となった。

大鳳の放った艦載機は迎撃に放っていたレ級EL1の艦載機を物ともせず、本隊のレ級EL1諸共完全掃射する。


レ級EL1「グガッ……ハァ、ハァ……ウソ、だ……ボクが、こんな……ダッテ、ボクは、全てを、凌駕する……
戦艦、なんだゾ……」

陸奥「あなたが進化するっていうなら私達だって同じ事よ。成長して、今度こそこの手であなたにリベンジする」

レ級EL1「そ、そウダ…レ級EL2ヲ食えバ…」

陸奥「どこまでも愚かなのね。だから負けるのよ」

レ級EL1「ナニィ…!?」

陸奥「これが、志した者とそうじゃない者の差よ」ジャキッ

レ級EL1「ヤ……ヤメ、ロ…」

陸奥「全砲門、開放……ビッグセブンの力、侮らない事ね!これで、終わりよ!!」ドォン ドォン


爆音を轟かせ、陸奥の全砲門が火を吹く。

放たれた第一から第三まで、全ての砲撃が確実にレ級EL1を撃ち滅ぼす。


ボゴオオオォォォォン


巨大な水柱を生み出し、水面が波打ち、直に静寂が訪れる。


レ級EL1「」 轟沈

大鳳「…やった、やったよ二人とも!」グッ

神通「…はい、やりました」グッ

陸奥「…よしっ!!」グッ


三人が三人とも、強く信じて握っていた拳を振り上げる。

今度こそ、彼女達はレ級EL1を仕留め、勝利を収めたのだ。

538: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/04(木) 21:53:11.64 ID:q6dUCNj1o
-霧島・羽黒・赤城 vs レ級EL2-

レ級EL2「……アー、ウザい。上等だよ…もう遊ぶのヤメだ!食い殺してヤルよッ!!」

赤城「…食い殺せるものなら…」チャキッ…

霧島「はぁ、はぁ…やってみなさい!」ダッ

レ級EL2「手負いノ狼気取りカッ!望み通りにシネェッ!!」グァッ

赤城「艦載機の…皆さん、無理をさせて、ごめんなさいね。でも、これで最後だから…!私の、持てる、全てを
乗せて……大空を、舞ってください……っ!!」ビュッ


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


レ級EL2「ナッ…!?バ、バカな…そのナリで、どうして、艦載機を……ッ!」グッ…

羽黒「躊躇い、ましたね…!」ジャキッ

レ級EL2「チッ…!」ザッ

霧島「無駄よ!」サッ


ドゴォッ


レ級EL2「グッ…!」ザザッ

539: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/04(木) 21:55:47.72 ID:q6dUCNj1o
予期せぬ展開。

致命傷とまでは言わなくとも、痛手を負わせたはずの正規空母の最後の足掻き。

しかし、足掻きと言うには余りにも驚異的な一撃。

レ級EL2は完全に三人を舐めていた。

赤城に負傷を負わせた事で戦闘不能と判断してしまったのがそのいい証拠だった。

結果として自身の動きに制御を掛けて留まってしまい、霧島の侵入を許した。

直後、上空を飛来する赤城の精鋭部隊の容赦ない艦攻艦爆の嵐が吹き荒れる。


ボゴオオォォォン


赤城「す、すみません…これ、以上は…」ガクッ…

レ級EL2「させ、ルカ…!」 中破

羽黒「もう…これ以上、やらせません!」ドン ドン

レ級EL2「この、程度…!ウゴケッ!ボクの、体ァッ!!」ググッ…


ボゴォォン ボゴオオォォォン


レ級EL2「グガッ…!ハァ、ハァ……嘘、だ…ボクは……ボクが、負ける…?」 大破

霧島「はぁ、はぁ、はぁ…」ジャキッ

レ級EL2「イヤだ……ボクは、負けナイ、死なナイ、ボクこそ……最強なんだッ!!」

霧島「……終わりよ。これで……距離、速度……」

レ級EL2「負けるモノカアアアァァァッ!!」グアッ

霧島「…よし!全門…斉射!!」ドォン ドォン


ボゴオオオォォォォォン


レ級EL2「」 轟沈


霧島渾身の一撃は我を忘れて突進してきたレ級EL2を真正面から捉え、見事標的を沈黙させる。

直後、糸が切れたように三人ともその場に崩れ落ちる。


赤城「や、やりました…」

羽黒「あはは…今になって、震えが止まりません」ブルブル…

霧島「陸奥さん達は、大丈夫かしら…」

543: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 20:54:19.43 ID:WKaIZvtoo
-敵領海域-

戦艦レ級を討伐し、六人は再度合流を果たすがそれぞれ満身創痍の状態でそのまま進むのは不可能だった。


陸奥「流石に、この有様じゃ進軍は無理かしらね…」

赤城「艦載機の子たちにも相当な無理を強いる形になってしまいましたし、修繕もそうですが補給もしなければ
どちらにしろこの先の航行は難しいかと…」

大鳳「そうね…私も、流石にヘトヘトよ」

神通「何はともあれ、一度戻って提督へ報告するのが最善ではないでしょうか」

羽黒「はい、私も司令官さんへ報告に戻る方がいいかなって…」

霧島「無理は禁物だものね」


ザバァァァァ……ッ


進路を取り直し、一旦は戻ろうと歩を進めかけた矢先、その先を遮るかのように海面が波立ち無数の深海棲艦が

姿を現す。


陸奥「なっ…!」

神通「深海、棲艦…!」

大鳳「こんな、時に…!」

赤城「くっ…」

羽黒「そんな…」

霧島「…冗談でしょ」

タ級FS「クククッ…シンガタヲタオストハネェ…」

ル級改FS「タイシタモノダナ…」

ヲ級改FS「ケレド、ココマデ…」

リ級改FS「シズメテアゲル…」

ヌ級FS「ヌカヨロコビ…」

チ級FS「ザンネン、デシタ…」


パッと見ただけでも瞬時に自分達と相手の戦力差が計り知れた。

現時点で、負傷を負ったままで勝てる相手ではないと。

黄色に輝く瞳を持った戦艦タ級に軽空母ヌ級と雷巡チ級、左の瞳が燦然と蒼く輝く戦艦ル級と空母ヲ級に重巡リ級、

前者はフラグシップ型、後者は前者を更に強化した改良型のフラグシップ型、どちらも笑って済ませられる相手

ではないのは明白だった。

しかし、次の瞬間、今度は陸奥達を護るようにして艦娘達と深海棲艦達の間に砲撃が撃ち込まれる。

544: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 21:25:11.59 ID:WKaIZvtoo


ボボボボボボンッ


霧島「こ、今度は何…!?」

ル級改FS「ナニゴトダ…!」

タ級FS「チッ…ドコカラ…!」

??「潔く散るナラまだしも、アノ女の手先に成り下ガルとは…」

??「見下げ果テタワ」

ヲ級改FS「ナッ…!」


水飛沫が納まり、声の主が陸奥達を素通りして彼女達を護るように前に出る。


神通「えっ…」

陸奥「あなた達は…!」

ピーコック「同族として、ケジメをつけてアゲルわ」

南戦鬼「悪いケド容赦はシナイ」

南方棲鬼「悪いワネ。ここは、通しマセン」

装空鬼「南方姉妹ダケでも十分に思えたケド、これほどの戦力ヲあの女ガ揃えてイタなんてネ…」

中間棲姫「誘爆シテ、沈んで逝きナサイ…」

空母棲鬼「愚カナ子たち…何度デモ、沈んでイケ…」

赤城「なんで、深海棲艦が…」

ピーコック「…アナタ達が慕う提督大佐に賭けてミタだけよ」

羽黒「え…?」

装空鬼「突拍子もナイ提案ダト思ったケド、背に腹は変えられナイ、という事ヨ」

南戦鬼「南方棲鬼、アノ二匹は私達カシラね」

南方棲鬼「ええ、ソウネ。見せて上げまショウ?ホンモノの、砲撃を…」

中間棲姫「……戻るのナラ、気をつけるコトね」

霧島「何ですって…?」

空母棲鬼「シンエイは、アナタ達の鎮守府ニモ敵を差し向ケテいるわ」

ピーコック「こうナルであろうコトを、想定してイタんでしょうネ。別にこのまま留まってイテもイイけど、
余計な火の粉ヲ被っても知らナイわよ」

赤城「……恩に着ります」

ピーコック「フフッ、ヤメテくれる?そういうの、むず痒くてイヤだわ。それに……まぁ、いいわ。撤退マデの
時間くらいは作ってアゲル。その後で被害ヲ被っても、文句はナシよ。さぁ、いきなサイ…!」

545: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 21:45:43.95 ID:WKaIZvtoo
-数日前-

ピーコック「……」

南戦鬼「ピーコック、そろそろ意識ヲ切り替エテ貰わナイと困るワ」

南方棲鬼「フェアルストの件は残念に思うケド、現状は緊迫シテいる」

中間棲姫「三竦みの図トハ到底言い難いモノ…」

空母棲鬼「矛先ハ確実にコッチヨネ…」

リコリス「…新型の戦艦ハやはりシンエイの駒とシテ機能シテいるから、戦力に数えるコトは不可能」

ポート「まさに、八方塞と言うワケね」

アクタン「……」キョロキョロ ソワソワ

ピーコック「…賛成スルかどうかは別とシテだけど、一つ……提案がアルわ」

リコリス「提案…?」

ピーコック「ゴメンなさい。始めに謝ってオクわ」

ポート「ピーコック…?」

ピーコック「私は、シンエイの奇襲カラ逃れた後で、ある鎮守府へ立ち寄った…」

空母棲鬼「ナンですって…?」

546: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 22:09:58.76 ID:WKaIZvtoo
ピーコックは今度こそ、全てを包み隠さず嘘偽り無く語った。

フェアルストの力添えで逃れた後で提督鎮守府へ立ち寄り、そこで元々リコリスが計画していた内容以外を伏せ

て殆どの実状を包み隠さず話してしまった事。

その上で、仲間達を助けてくれるのなら自らの首を差し出すと申し出た事。

しかし提督大佐はその提案を受け入れず、提供された情報だけを信じて自らを解放した事。

自らは、その提督大佐に全てを賭けて見ようと思っている事。


ピーコック「私は、フェアルストの仇ヲ取る。けど、私一人デハどうしようもナイ。相手の戦力は未知数…そん
な所へアナタ達ヲ同行させるのは気が引けたノヨ。何より、私が一人デ決めたコトだったから…」

ポート「艦娘達に与シテ、フェアルストの仇ヲ取るタメの戦力を得ようとシタの?」

アクタン「ピーコック…」

ピーコック「…皆、覚えテルかしら。生まれたトキのコトを…」

リコリス「……」

中間棲姫「はじめは、静カナ気持ちだったノヲ覚えてるわ…」

空母棲鬼「気付けば、艦娘と戦ってイタワネ」

ピーコック「…暗イ水底、深海奥深ク…海面カラ差し込む光スラ届かない…孤独デ寒い、ソンナ中で私達は過ご
してキタ…青い海、澄ミ渡ル空に憧れヲ抱き、想いヲ馳せて、叶わナイと諦め、自分達の望むべく場所ヲ揺蕩う
艦娘達を深く憎みナガラ生きてキタ……」

ポート「ピーコック…?」

547: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 22:20:40.61 ID:WKaIZvtoo
ピーコック「…私達の根本ハ何ダ?」

リコリス「え…?」

ピーコック「艦娘ヲ滅ぼすコトか?」

装空鬼「ソレハ…」

ピーコック「この海ヲ、深海と同じ色に染めるコトか?」

南戦鬼「……」

ピーコック「…違う。そうデハない…少なくトモ、私はただ…この青い海デ、青い空ヲ眺めていたかったダケ」

アクタン「デ、デモ…」

ピーコック「……?」

アクタン「でも、ワタシ達がそれヲ望んでも、イイの?」

リコリス「アクタン…」

ピーコック「…少なくトモ、あの提督ハ望んデモいいと言ってクレた。必ず、コノ青い海の上デ、お前たちニモ
穏やかなトキが過ごせる日ガ訪れるようにシテみせる……ッテ、言ってくレタ」

リコリス「人間が…ソンナ、ことを?」

南方棲鬼「信じろッテ言うの?いいえ、ピーコックはその言葉ヲ信じたと言うノ?」

ピーコック「私は、信ジタ…シンエイのような裏切りに遭うカモしれない…ソレでも、私はあの男のコトバには
偽りナド含まれてイナイと信じてみタクなったのヨ。人間の可能性ヲ、一縷の望みヲ、私達ダッテ信じてミテモ
いいハズでしょ!?」

548: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 22:29:42.82 ID:WKaIZvtoo
ーコックの叫びはその場に居た全員を動かした。

当初、リコリスは自分達を生み出した原因が海軍にある事実を掴んだ時点で、本格的な戦争に持ち込むつもりだった。

海軍が今も尚、隠匿し続ける過去の歴史と艦娘の秘密。

新鋭からもたらされた情報により、疑問は確信に変わり、怒りが吹き上がってきた。

だからこそ宣戦布告をし、警告と言う形で警鐘を鳴らした。

これが最終通告だと。

だが、情報をもたらした新鋭の離反によって何が正しいのかさえ解らなくなった。

しかしピーコックの言葉をリコリスも信じたくなった。

如いては知りたかった真実に近付けるかもしれないと言う淡い期待も抱いて…

549: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/08(月) 22:40:23.76 ID:WKaIZvtoo
リコリス「…貴女はソレで、後悔しないノネ?」

ピーコック「しないワ。泊地棲姫が沈んだトキ、彼女には悪いケド、正直何の感情モ沸かなカッタ。けど、それ
が間違いだったのカモしれないワネ。フェアルストが居なくナッタと悟ったトキ、初めて涙ガ出た。怒りヨリ、
憎しみヨリ、何よりもマズ、悲しいと思った。私は、例え死ぬコトになってもフェアルストの仇ダケは取って、
それから朽ち果テル。覚悟は出来テルわ…アナタ達は別に付き合わなくテモいい」

ポート「随分ナ言い草ネ」

ピーコック「え…?」

アクタン「ピーコックが、イイ奴って言うなら、ワタシは信じる!」

ピーコック「アクタン…」

リコリス「……私達は何時ダッテ一蓮托生、とマデはいかないけど、共に歩んでキタ『仲間』でしょう?」

ピーコック「仲間…」

中間棲姫「教えて上げまショウ。あの女に、私達が本気にナレばどうなるノカ…」

空母棲鬼「ソウね…歯向かうのナラ、容赦はしナイ」

装空鬼「一度ダケよ、信じるのはネ」

南戦鬼「ホンモノの砲撃、見せてあげましょうか」

南方棲鬼「デハ、いきましょうか」

ピーコック「何処マデ堕ちテモ、お人好しハ変わりナイのね」

アクタン「ンフフ♪」


こうして、目的を新たにピーコック達も戦線に参列する事になる。

新たな希望と、そこに秘める想いを成し遂げる為に、今こそ最終決戦が幕を開ける。

555: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 20:17:25.27 ID:yZe0/DKco
~悪鬼跳梁、敵包囲艦隊を撃滅せよ~



-絆の下に-

利根「ちぃっ!」バッ

筑摩?「いつまで逃げ回るの、姉さん?」ドン ドン


ボゴオォォォン


利根「ぐっ…!」 中破

筑摩?「いい加減、力量の差を悟ったらどうかしら?」

利根「何とでも、言え…まだ、吾輩は……なっ!?」


ザバァァァ……


最後の一滴まで、そう表現するに相応しい闘志を漲らせる利根の表情が一瞬にして凍りつく。

筑摩の背後、有象無象と表現するに相応しい数の深海棲艦の群れが艦隊を成して出現したのだ。

そして能面のような表情で筑摩が口角だけを僅かに釣り上げ死刑宣告を利根へ告げる。


筑摩?「時間切れね…この数の増援、姉さん一人じゃどうしようもないでしょう?さぁ、潔く死になさい」ジャキッ


──いいや、死ぬのはテメェだ──


ボゴオォォン


筑摩?「ぐっ…!誰…!?」 小破

天龍「誰かって?オレ様の名前をしらねぇとか、テメェはモグリか?」

龍田「え~っと、筑摩さんを侮辱してるクソ野郎はあなたかしら~?」

利根「お、お主等…!」

天龍「よう、利根さん。安心しろって、オレ等だけじゃねぇからよ…!」

翔鶴「仲間が困っているのに、指を咥えて見てるわけにはいきませんものね」チャキッ…

556: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 20:30:19.81 ID:yZe0/DKco
武蔵?「さぁ、宣言通り砲撃処分にして終わりだ」ジャキッ…


ボゴオォォン


武蔵?「うぐっ…!」ヨロッ… 小破

比叡「ぇ……?こん、ごう…お姉、さま……?」


重傷の比叡に向けて翳された武蔵の艤装をどこから放たれたのか一発の砲撃が狙い落とし阻止する。

薄れそうな意識の中、比叡は周囲を見渡す。

そしてぼんやりと見える影に金剛の幻を見たのか、小さく呟いて比叡の意識はそこで途絶えた。


ビスマルク「間に合った…!」

大和「彼女の期待に応えられなかったのが心残りでしょうか」

武蔵?「ちっ…横槍か」

大和「……ビスマルク、彼女の相手はこの大和がします。貴女は周辺艦隊の漸滅をお願いします」

ビスマルク「ええ、任せておいて」

557: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 20:54:35.42 ID:yZe0/DKco
阿武隈「なんで、あんたがっ…!」

泊地棲姫?「……私ハ、滅ビヌ……」

阿武隈「」(まずい、腕と一緒に艤装も破壊されてたんだ…これじゃ、戦うことすら…)

泊地棲姫?「フン…」ブンッ


バシャァァァ……


阿武隈「なっ…!」

暁「……」 大破

白露「……」 大破

阿武隈「あ、暁!白露!」

暁「ぅ……ぁ……あぶ、くま、さん……」

白露「げほっ……!ご、めん…ドジッちゃった……」

阿武隈「し、喋らないで!すぐ助けるから!」

泊地棲姫?「無駄なコトを…忌々シイ艦娘ドモめ……ッ!」


──忌々しいのはお前の方だ──


泊地棲姫?「……?」クルッ…


海原に響き渡った声に泊地棲姫の動きが止まり、静かに周囲を見渡す。

そして三つの陰がそこに浮き上がってくるのを確認し、その口元が俄かに釣り上がる。


泊地棲姫?「艦、娘……ッ!」

日向「待たせたな、阿武隈」

阿武隈「日向、さん…それに……」

阿賀野「もう、大丈夫だからね、阿武隈ちゃん!」

飛鷹「大切な仲間、ここまで痛めつけてくれたお礼はさせてもらうわよ…!」



瑞鳳「勝ったのはいいけど、ボロボロ…思った以上に、動けないもんだなぁ…」プカプカ…

祥鳳「いつまで寝てるの?」

瑞鳳「えっ!?」ガバッ

祥鳳「無事でよかったわ、瑞鳳」

瑞鳳「し、祥鳳…!?え、何で?どうして?」

祥鳳「貴女の所の提督の話に賛同した他の提督や鎮守府が総出で援軍に駆けつけてるって感じかしら?」

瑞鳳「え、でも…祥鳳は、その…元帥直属で、余り出撃任務には赴かないって前に提督が…」

祥鳳「そうね。だから今だけ私は元帥直属じゃないのよ。今だけ、私は智謀提督傘下なの。他の皆もね」

瑞鳳「他の、皆?」

祥鳳「実はね────」

558: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 21:09:29.83 ID:yZe0/DKco
智謀「元帥殿…」

元帥「以前にな、彼に言われた事がある。助けを求めている存在がそこにいながら、何故見て見ぬ振りをするの
かと…返す言葉もなかったよ」

智謀「彼は、非常に真っ直ぐな性格をしていると思います。危険を顧みない、愚直なまでに真っ直ぐに突き進む
あの姿勢は、この大本営に在籍する全ての者達に忘れ去られた姿勢でしょう。私も、元帥殿も…」

元帥「ああ言う男が、まだ居るのだと知れた事が個人的には嬉しくてね。そこで、智謀くん…」

智謀「はっ」

元帥「君は、そんな彼に任務を非公式に与えたそうじゃないか」

智謀「…申し訳ありません。余り、元帥殿のお耳には触れさせたくない内容でしたもので…」

元帥「大きな声ほど聞こえなくなり、小さな囁きほどよく耳に入る。こういう時は便利な耳でな」

智謀「…如何なる処分も甘んじて受ける覚悟であります」

元帥「ならば命じようか、智謀大将。現時点を以て君に我が艦隊の一部を貸し与える。これを持って提督大佐の
援軍へ赴くのだ。同時に大淀には近隣の鎮守府に応援要請を出しておいた」

智謀「は…?」

元帥「海軍の汚点をこれ以上隠匿することこそ罪だろう。まずは、目先の脅威を沈静化させる。その後で、今度
は我々が彼に、艦娘に、欺いてきた者達へ謝罪を述べるべきだろう」

智謀「元帥殿のお言葉とあれば、この智謀は全てを賭しましょう」

元帥「頼むぞ。次の世代、むざむざ死なせる訳にはいかんのでな」

智謀「はっ!」


祥鳳「────まぁ、そんな訳でね。とにかく負傷者は提督大佐の鎮守府までの護衛をしつつ帰投させるように
って言伝もあるの。ここは危険だわ。まずは戻る事は考えましょう」

瑞鳳「けど、まだ他の皆が…」

祥鳳「私一人が来たわけじゃないわよ。他にも援軍は向かってる。大丈夫、誰一人として沈ませはしない」

559: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 21:49:22.20 ID:yZe0/DKco
-提督鎮守府・会議室-

提督「いや、まさかこれほどまでの支援をもらえるとは…」

先輩「父さんに頭下げられちゃったしねぇ」

不動「よもやあんたと肩並べる日が来るなんてなぁ、思いもよらねぇとはこの事か」

智謀「相変わらず口数の減らない人ですね。それよりも提督大佐、先遣として進出した戦艦比叡の艦隊とこちら
の援軍の合流が確認されました」

提督「それじゃ…!」

智謀「ただし、思いの他苦戦を強いられたようです。比叡と暁・白露は大破、利根と瑞鳳・阿武隈が中破という
惨状だったようです」

提督「なっ…!」

智謀「安心して下さい。命に別状は無いと、先ほど連絡を貰っています」

提督「そ、そうか…だが、まだ陸奥たちから応答がない。こっちも気がかりだ」

智謀「そちらにも援軍は向かわせています」

不動「腑に落ちねぇのは、うちにいる筑摩や先輩鎮守府んとこに以前居た武蔵の姿が確認されてた事だ」

先輩「そうね…それに、ヒヨッ子の艦隊で撃滅を確認してたはずの泊地棲姫の姿もあったというわ」

不動「一体どうなってんだ?」

智謀「恐らく、クローンですよ」

提督「…信じ難いものですが、智謀提督もそういう結論なんですか?」

智謀「概ね、と言った所です」

先輩「クローン?それって、同一の起源を持ち、尚且つ均一な遺伝情報を持つっていう…?」

提督「俺も詳しい内容を知ってる訳じゃないんですが、艦娘達はその身体情報を大本営に個体識別番号順に登録
する義務があります。言わばプロフィール的なものですね。そこには各艦娘達の生体データも含まれている」

不動「おい、解りやすく説明しやがれ」

智謀「つまり、新鋭は大本営に居た頃にどういう手段を用いたのかは解りませんが、艦娘達の生体データを奪取
してそこから同じ遺伝子情報を持つ艦娘を造り上げたという事です」

提督「泊地棲姫を討滅した際、その亡骸を俺たちは回収せずに、彼女自体はそのまま深海へ誘った。恐らくその
亡骸を利用して、新鋭が新たに泊地棲姫のクローンを生成したと考えられるわけです。ただ、俺としては根拠も
生体データの云々だけで、決定的とまでは言えないものだったので…」

先輩「真偽はどうあれ、それがもしも本当だとするならとんでもない事してくれるわね、あの子…」

560: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/12(金) 21:58:54.33 ID:yZe0/DKco
不動「おい、それが事実なら無尽蔵に艦娘造られちまうんじゃねぇのか!?」

智謀「それは恐らくありえません。少なくとも、現時点では、ですけどね」

不動「何故言い切れる!?」

智謀「費用対効果の問題もあるでしょうが、新鋭が現状根城にしている鎮守府近海に出現した追撃隊、その全て
が深海棲艦であると言うのも、その証拠の一端かと思われます」


ザー…ザザザッ……


提督「…!榛名か、どうした?」

榛名『提督、飛龍さんの艦載機からの報告ですが、深海棲艦が連合艦隊を形成して押し寄せてきているみたいで
して、相当の数が予想されます。現時点で艦種までは不明との事です』

提督「やっぱ来たか…榛名、第一種警戒体制を解除、各自戦闘配置について迎撃体制に移れ」

榛名『了解しました!』

智謀「正面艦隊の指揮は私が取ろう」

先輩「それじゃ、私と不動さんで左右かしらね」

不動「おう、任せとけ!提督、お前さんはここで全体を見ろ」

智謀「その為のサポートできる艦娘も呼んできています」

大淀「失礼します」

提督「大淀か…!?」

大淀「提督大佐、宜しくお願いします」

智謀「では、私達は前線へ向かいましょう」

先輩「おっけー!」

不動「須らくその全てを葬ってやろうか」

565: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 19:44:03.25 ID:HzdCS6rJo
-鎮守府正面海域-

榛名「感謝します、皆さん」

川内「ホント、大助かりだねぇ」

那智「気にするな」

夕張「あー、ちょっと緊張する…」

伊勢「ふふ、そう緊張する事でもないよ。それよりも、元帥の部隊なんてそうそうお目に掛かれないから、私達
としてもいい機会かなぁ」チラッ…

那智「…ふん」

蒼龍「久しぶりだね、飛龍!」

飛龍「蒼龍、来てくれて助かったよ」

時雨「さて、どう動こうか」

電「準備万端なのです!」

智謀「戦闘準備は整っているようですね」

那智「貴様が指揮を執るのか。準備は滞りなく済んでいる。好きなように動かせ」

衣笠「それで、どう振り分けるのかしら?」

智謀「戦艦二名、重巡二名、軽巡二名、空母二名、駆逐二名、計十名。これだけの規模なら水上打撃、空母機動
どちらかの聨合艦隊を編成するのが上策ですね」

榛名「聨合艦隊、ですか?」

智謀「そうです。両側面よりもこの正面は戦力が局地化し戦火の苛烈を極めるのは必然。なればこそ、この正面
に戦力を集約し、風通しを良くする意味でも確実に敵戦力を撃滅する必要があります」

榛名「了解しました!」

伊勢「やってみせましょうか!」

566: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 19:45:12.36 ID:HzdCS6rJo
智謀「敵は目前まで迫ってきています。迅速に決定し、即時陣形を展開。迎撃の体制へ移行します」

那智「全権は貴様等にある。好きなように選抜すればいい」

智謀「では…空母機動聨合艦隊として出陣します。空母二名を基幹に形成します。飛龍を旗艦とし随艦に蒼龍、
榛名、伊勢、那智、以上を空母機動聨合艦隊第一部隊。次、衣笠を旗艦とし随艦は川内、夕張、時雨、電、以上
を空母機動聨合艦隊第二部隊として任命します」

那智「見せてもらうぞ、戦艦榛名。貴様の腕をな」

榛名「お任せ下さい!」

蒼龍「飛龍、頼むね!」

飛龍「うんっ!索敵は念入りにね!」

智謀「陣は前方警戒の第二警戒航行序列。敵を確認後、戦闘隊形の第四警戒航行序列に切り替え敵を撃滅せよ!」

艦娘「「「了解!!」」」

567: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 20:04:28.25 ID:HzdCS6rJo
-鎮守府左側面海域-

先輩「皆、準備いいわね?」

長門「無論だ」

酒匂「やったぁ!出番だぁ!」

摩耶「おう、任せな!」

木曾「へへっ、上等だぜ。纏めてぶっ潰してやる!」

北上「私、木曾っちの後ろに隠れてていい?」

木曾「あ゛?」

北上「じ、冗談だって…」

島風「連装砲ちゃんの整備もバッチリ!」

春雨「頑張ります!」

龍驤「空の目は任せといてな!」

先輩「よしっと…正面は智謀さんが見といてくれてる。私達は鎮守府左側面を警戒するわよ」

568: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 20:45:13.50 ID:HzdCS6rJo
-鎮守府右側面海域-

不動「よっしゃあ!お前等、準備はいいだろうなぁ!?」

金剛「また随分と気合入ってるネー」

不動「ったりめぇだろ。新鋭には苦虫噛み潰されてばっかりだったからな…どんな形だろうがリベンジできるっ
てんだから、気合も入るってもんだ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇと一緒が良かったのになぁ…」

矢矧「ふふっ、五航戦はホント姉妹で仲が良いわね」

瑞鶴「い、良いじゃないのよ、別にぃ…」

鈴谷「よーし、張り切っていきましょー!」

熊野「一捻りで黙らせてやりますわ!」

隼鷹「よっしゃー!飛鷹が居ないのが少し残念だけど…まぁぜんっぜん、いけるいける!」

瑞鶴「ち、ちょっとちょっと!あんたその手に持ってるの、まさか…!?」

隼鷹「あん?あぁ、これ?酒だけど?ったりめぇだろぉ!」

金剛「Oh…」

矢矧「決戦前に!?」

隼鷹「まぁまぁ、細かい事ぁいいんだって!パーッといこうぜ~。パーッとな!」

瑞鶴「もー、この間もそういって酔っ払って天龍に斬られそうになってたクセに…」

隼鷹「喧嘩っ早いのも考えもんだよな~」

瑞鶴「そういう意味じゃないってば、ほんっとにもう…それはそうと、防空に対する警戒が少し薄い気がするん
だけど、私や隼鷹の艦載機…大丈夫かしら」

不動「おう、そこら辺は抜かりねぇ。正面の警戒と上空の警戒、両方できる優秀なのを元帥殿んとこから応援で
来てくれてるしな」

磯風「陽炎型駆逐艦十二番艦磯風、推参」

秋月「秋月型防空駆逐艦一番艦秋月、ここに推参致しました」

不動「おう、さんきゅーな!期待しかしねぇから頼むぜ!」

金剛「Oh、磯風デース!」

磯風「金剛…」

不動「んだぁ、知り合いか?」

金剛「ふふっ♪」

磯風「……貴女の背、今度こそ護り抜いてみせよう」

569: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 21:07:35.05 ID:HzdCS6rJo
-会議室-

大淀「……なるほど、全体の配置と役割、艦娘達の分布は偏りなく綺麗ですね。一応持参した出撃計画はこちら
になりますが…」

提督「是非拝見しようか」

大淀「ここまでの計画図があれば不要にも感じますが…」

提督「念には念を、これだけの規模だ。三面にそれぞれ少将殿に大将殿が布陣してくれてるつっても、不測の事
態は平然と起こる、だろ?」

大淀「否定はしませんけど…これほどの大規模艦隊、それも正面と左右に扇状に展開してるものを動かそうとな
れば、時間も労力も相当なものですよ?」

提督「まぁ、だから予備策として置いとくんだよ。開戦すれば綺麗な陣形で事が進む訳じゃない。悲しいが、無
傷ってわけにもいかないだろ?事態が起こってから策を講じてたら全て後手になる。そうさせない為にも、実践
する機会が例えなかったとしても、備えておいて損はないってもんだ」

大淀「…確かに、そうですね」

提督「さて、それじゃもう一度全体の配置を確認しておこうか」

大淀「解りました。艦種毎に纏めますか?」

提督「いや、それぞれの艦隊毎に纏めよう。その方が指針も定まりやすい上にその後の展開にも対応しやすい」

大淀「了解致しました」

570: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 21:37:24.47 ID:HzdCS6rJo
まず、鎮守府正面海域を防衛する艦隊からです。

鎮守府正面海域を指揮するのは智謀大将提督です。

先ほど連絡があった通り、空母機動聨合艦隊旗艦艦隊を編成し戦闘配置へ着いています。

聨合艦隊第一部隊の旗艦は飛龍、以下随艦として蒼龍、榛名、伊勢、那智を配置。

聨合艦隊第二部隊の旗艦は衣笠、以下随艦として川内、夕張、時雨、電を配置。

次いで鎮守府左側面海域を防衛する艦隊です。

鎮守府左側面海域を指揮するのは先輩少将提督です。

こちらは聨合艦隊は編成せず、二部隊編成となります。

左側面海域哨戒戦隊の旗艦は長門、以下随艦として龍驤、酒匂、島風を配置。

左側面海域警戒部隊の旗艦は摩耶、以下随艦として北上、木曾、春雨を配置。

最後に鎮守府右側面海域を防衛する艦隊です。

鎮守府右側面海域を指揮するのは不動大将提督です。

こちらも聨合艦隊は編成せず、二部隊編成となります。

右側面海域哨戒戦隊の旗艦は金剛、以下随艦として隼鷹、鈴谷、磯風を配置。

右側面海域警戒部隊の旗艦は瑞鶴、以下随艦として熊野、矢矧、秋月を配置。

更に鎮守府正面海域には潜水艦警戒線を実施。

旗艦をイムヤとし、以下随艦としてゴーヤ、イク、まるゆを配置。

第一種警戒体制で待機中なのは以下の艦娘達です。

提督艦隊からは夕立、ヴェールヌイの二名。

智謀艦隊からはプリンツ、私、大淀の二名。

不動艦隊からは古鷹、筑摩の二名。

先輩艦隊からは朝雲、秋雲の二名、以上です。

571: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 21:47:33.60 ID:HzdCS6rJo
提督「丁寧で解りやすいな。しかしこうして見ると圧倒的に空母組が少ない。敵側に空母機動部隊の一群が現れ
た場合、対応に苦慮しそうだ」

大淀「前線に赴いている艦隊が無傷で戻ってくれば…という淡い期待はありますが、先の連絡を受けていますの
で、中々上手く事は運ばないかと…」

提督「対空に対する防御自体はあっても、制空権を取れるのと取れないのじゃ雲泥の差だからな。まぁそれはそ
うと、幾人か知らない名前の子が多いが…」

大淀「智謀提督と先輩提督の所から応援できている艦娘は、本来なら大本営防衛の勅命が下った場合に際しての
み活動する子達ばかりですから、提督大佐が知らないのも無理はないと思われます。かく言う私もその内の一人
なのですが、まぁ元帥殿に抜粋されている艦娘の殆どは本来の任務には赴かないのが基本です。俗に言われる、
元帥直属艦隊がそれに当たりますね」

提督「へぇ…んじゃ、やっぱり実力も折り紙付きな訳だ?」

大淀「さぁ、それはどうでしょう。確かに他より錬度が高いのは否定しません。何より、元帥直属艦隊が本腰を
入れて実戦に臨む事など皆無に等しいですからね」

提督「ふーん…」(遠回しだがようは華やかに彩っただけのお飾りって言ってるようなもんだな。豪華絢爛に、
威風堂々と見えてはいても、結局はパフォーマンスに過ぎないと…)

大淀「一つ、彼女達の面子を保つ為に言わせて頂ければ、それでも元帥直属であり続ける、という事がどれ程の
偉業かを認識して頂ければ幸いです。それでは全体を俯瞰に見ての陣形配置ですが、初期配置は次の通り、正面
聨合艦隊は第二警戒航行序列、前方を警戒した陣形です」

提督「伊達に戦術戦略に長けてるだけの事はあるって感じだな。口出しのしようもない」

大淀「左右は共に第一艦隊が輪形陣、第二艦隊が複縦陣で初期配置を終えています」

提督「敵は直に見えてくるだろう。各空母組の艦載機や他の艦娘の放っている水偵、水観が真っ先に発見してく
れるはずだ」

大淀「このまま静観して迎え撃ちますか?」

572: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/13(土) 21:48:20.21 ID:HzdCS6rJo
提督「何事も出だしが肝心って言うだろ。機先を制す…発見次第、先制で叩き潰すのが……」


ザー…ザザ……


智謀『提督大佐!危惧していた事態だ』

提督「!?」

大淀「危惧していた事態?」

提督「さっきも言っただろ。こっちには空母組が少なすぎるって…つまり────」

智謀『ああ…』

先輩『智謀さんに不動さん、それにヒヨッ子も聞こえてるわね?』

不動『ああ、飛龍達の艦載機からの連絡だろ。くそが…ッ!』

先輩『こっちの戦力図、相手に筒抜けよ。相手は空母機動艦隊で攻めてきてる!』

不動『完全に制空権を奪取して空爆の雨霰を降らせる気満々みてぇだ』

智謀『凌ぐ手立てさえあれば…』

大淀「まさか、敵方の空母群…!」

提督「新鋭のほうが一枚上手だったってことなのか…」

578: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 22:27:26.44 ID:PI1IaSuxo
-敵聨合艦隊中枢部-

新鋭「ふふっ、どれだけ足掻こうと無駄よ。きっちり潰して禍根全て根絶やしにした上で計画の実行に移らない
事には、片手団扇って訳にもいかないし…苦労は今の内にってね」

ル級改FS「ホウコクデス」

新鋭「…何?」

ル級改FS「ヨウドウトシテ、ワナニハメタアイテカンタイ…ソレヲホウイシテイタ、ワガイチダンデスガ、ゼン
メツガカクニンサレマシタ」

新鋭「何ですって…!?」

ル級改FS「シンジガタイホウコクデスガ、ジジツデス」

新鋭「レ級を三匹配置して、でかい餌にしていたのよ!例えレ級を制圧できた所で満身創痍、そんな艦隊に一体
何ができるって言うの!?」

ル級改FS「ワカリマセン…」

新鋭「…まさか!」

579: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 22:52:22.64 ID:PI1IaSuxo
-鎮守府正面海域-

榛名「敵の空母部隊が多すぎます!」

飛龍「皆、お願い、頑張って…!」ヒュン ヒュン ヒュン

蒼龍「出撃させた先から、ドンドンと…!」ヒュン ヒュン ヒュン


ボゴオオオォォォォォォォン


飛龍「そんなっ!」

蒼龍「私たちの艦載機が…!」

ヲ級改FS1「ムダナコトヲ…」

ヲ級改FS2「ミナゾコヘシズメ…!」


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


川内「ち、ちょっとちょっと…あの数はヤバイって!」ダダダダダダダダッ

那智「ちっ、対空への警戒だけで手一杯か」ダダダダダダダダッ

時雨「大丈夫、必ず…必ず降り続ける雨も何時かは止む…!」ダダダダダダダダッ

電「うぅ…多すぎるのです」

衣笠「電ちゃん、上っ!」

電「えっ…」チラッ

夕張「ダメ!間に合わない…!」

伊勢「くそっ」

榛名「電ちゃん…!!」ダッ

電「あ……あぁ……」

那智「馬鹿か!編隊を崩すなっ!!」


ブゥゥゥーーーーン……


榛名「電ちゃん…!」


ボゴオオォォォォォン


電「…っ!」

榛名「えっ…?」

那智「なっ…!」

衣笠「く、空中で爆発!?」

ヲ級改FS1「ナニッ!?」

ヲ級改FS2「ナニゴト…!?」

580: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 23:05:37.03 ID:PI1IaSuxo
制圧し切れない数の敵の艦載機、飛龍と蒼龍の二人で応戦するも、その全てが撃ち落され、敵の艦載機が続々と

飛龍達、聨合艦隊を狙い撃とうと空を舞っていた。

そして撃ち漏らした数機が電を標的として襲い掛かろうと滑空してきた矢先の事だった。

電を襲おうとしていたヲ級改FS1と2の艦載機が空中で大爆発を起こして四散した。


電「あ、え…?」

リコリス「間に合ったヨウネ」

ポート「……」

アクタン「ワー、一杯イルー」キョロキョロ

智謀「お前達は…!」

リコリス「コノ艦隊を指揮している提督ネ。私達ハ提督大佐ノ援軍とシテ今ここにイル」

智謀「な、何だと?」

ポート「ピーコックの最初で最後の願いデスもの、無碍ニハ出来ないワ」

智謀「ピーコックだと…?深海棲艦が、本当に人間に、艦娘に手を貸すと言うのか…」

アクタン「ピーコックはこの鎮守府のテートクの話、信じた。だからワタシも、ピーコックが信じるナラ、この
鎮守府のテートクを信じる」

智謀「……はは、まさか、本当に深海棲艦を味方につけたのか、彼は…」

ヲ級改FS1「ナゼ、アナタタチガ…!」

リコリス「信じるベキ相手を間違エタみたいネ」

ヲ級改FS2「ナニ!?」

ポート「真っ先に信ジルべき身内ヲ信じナイとは、愚かな子タチ…」

ヲ級改FS1「ドウアッテモ、ジャマヲスルト…」

ヲ級改FS2「ナラバ、ココデ、タオスノミデス…」

ポート「クルと言うの?逃げるコトを薦めるケレド…」

アクタン「ケンカするみんなナンテ、キライ!」

ヲ級改FS1「ジャマヲ…!」ヒュン ヒュン

ヲ級改FS2「スルナッ!」ヒュン ヒュン

ポート「アクタン、彼女達ニハお仕置きガ必要みたいネ」

アクタン「ウン…」

リコリス「ポート、アクタン、ここは任せるワネ」

ポート「ええ、イイワ」

アクタン「調子に…ノルナッ!」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

ポート「哀れネ。クルナと、言っているノニ……」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

衣笠「たった、二人で…なんて艦載数なのよ…信じらんない」

581: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 23:25:02.57 ID:PI1IaSuxo
榛名「智謀提督、好機です!指示を!」

智謀「…ッ!よし、これは舞い降りた好機である!全艦娘、突撃せよ!!」

飛龍「ヨシッ!二航戦飛龍、装備換装完了!再度、出撃します!」

蒼龍「同じく、二航戦蒼龍、追撃に入ります!」

榛名「第二部隊は残る敵艦載機の迎撃をお願いします!高速戦艦榛名、出撃します!」

衣笠「川内、夕張、時雨、電!聞いた通りよ。まずは対空砲火に重点を置いて!それから航空戦の切れ目、第一
部隊の一斉射の終わりを私達でカバーするよ!」

川内「オッケー!任せてちょーだいよ!」

夕張「対空装備はバッチリです!」

時雨「止んだね、雨は…反撃開始だ」

電「は、はいなのです!」

伊勢「よーし、日向には負けてらんないからね。航空戦艦伊勢、出撃します!」

那智「那智、出撃する!」

飛龍「蒼龍!」サッ

蒼龍「了解!」サッ


ビュッ


一挙手一投足息の合った同じ動作。

鏡写しかのような二人の所作から放たれた矢は共に大空へ艦載機と成って羽ばたいていく。


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


ポートとアクタンの放った艦載機と共に飛龍達の放った艦載機がヲ級改FS達の放った艦載機を悉く撃墜していき、

見る見る内に空を制圧していく。

下方から放たれる衣笠達の対空砲火も相まって、敵側の制空権は一瞬にして失われた。

それを待っていたかのように、今度は榛名達が前面に出てくる。

榛名「勝利を!提督に!!」ジャキッ

伊勢「左舷、砲戦開始!」ジャキッ

那智「敵は右舷か!いくぞ、砲雷撃戦、開始!」ジャキッ


三人が共に艤装の主砲を翳し、一斉に砲撃を始める。


ドン ドン ドォン ドォン ドォン ドォン


同時に砲撃音を轟かせ、今度こそ戦闘の火蓋が切って落とされた。

582: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 23:37:07.87 ID:PI1IaSuxo



~真の敵~



-敵領海域-

筑摩?「たった三人で、何をしようと言うの?」

天龍「テメェの目玉はお飾りかよ」

龍田「そんな訳ないでしょ~?」

翔鶴「今や貴女達は大本営が認知する最優先殲滅対象です」


ザザザザザザザザ……


筑摩?「……っ!」


天竜達の遥か後方、そのささやかな小波の調べのような穏やかな波の音とは裏腹にさながらその光景は押し寄せ

てくる凶悪な津波の如く、徐々に音を増して、その姿をくっきりと浮かび上がらせる。

彼女達の正面、筑摩の背後に控える深海棲艦の群れに負けずとも劣らない艦娘の軍勢。

それは他の鎮守府より召集された艦娘達の聨合艦隊の一群だった。


天龍「で、何をしようかって?」

龍田「ウフフ♪」

翔鶴「撃滅…その二文字のみです」

筑摩?「……っ!」

利根「吾輩よりも…いくらか、こやつらの方が凶悪かもしれんなぁ。残念じゃったの、筑摩の妖…まさに、ここ
までじゃ」

天龍「わりぃな、人形。テメェはここが年貢の納め時ってヤツだ」

筑摩?「戯言を…」

天龍「フフッ、怖いか?」

筑摩?「恐怖など、ない!」

天龍「ああ、そうかよ。じゃあ死ねッ!」ジャキッ

龍田「結局は人形って事よね~?大人しく壊れちゃいなさい?」ジャキッ

翔鶴「終わりとしましょう。全航空隊、発艦始め!油断無く、隙無く…全機、突撃!」ヒュン ヒュン ヒュン

583: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/16(火) 23:56:43.36 ID:PI1IaSuxo
武蔵?「たった一人で私に挑むと?」

大和「武蔵を…あの子を穢す輩を赦すつもりは毛頭ありません」

武蔵?「ふん…雑魚だから沈んだ。私は強いから生き残った。その違いだ」

大和「今の貴女を見ても欠片ほども雄々しくは思いません。むしろ瑣末…生に縋る醜い悪鬼が精々でしょう」

武蔵?「ふん、どれだけ吼えようと雑魚は雑魚だ。目先をブンブンと飛び回るだけの、ハエ風情に艦娘を名乗る
資格等ありはしないって事だ」

大和「…心に響きません。私の知る武蔵の言の葉は、そのような卑下を吐き捨てる口を持っていませんから」

武蔵?「ならば、私は何だ」

大和「…滅びを待つだけの幻影」

武蔵?「面白くも無い。死ね」ジャキッ

大和「貴女では相手が例え駆逐艦の子でさえ、勝てはしません」ジャキッ

武蔵?「戯言が過ぎる。もう消えろ!」ドォン ドォン


サッ


ボボボボボボォォオン


大和「丁重にお断り申し上げます。むしろ貴女がお消えなさい!」ドォン ドォン

武蔵?「ちっ」サッ


ボボボボボボォォオン


大和型同士の壮絶な砲撃の撃ち合いで幕が開けた戦い。

大本営の元帥直属、栄光の第一艦隊旗艦にして元帥の秘書艦を務める戦艦大和。

ドイツ艦のビスマルクと常にその座を競い、それでも尚君臨し続けるのは相応の実力あってのもの。

それでも周りからは華を持たせる為の装飾品と揶揄され、陰口が絶えなかった。

大和はそれでもいいと割り切って考え、陰口を耳にしようと澄まし、何事もないように振舞い続けた。

自らを解ってくれるのはこの世でたった一人、妹の武蔵だけで構わない。

そう思う心が彼女の片隅には常にあった。

そんな武蔵が戦死した時でさえ、彼女は一滴も涙を流さず気丈に振舞った。

それでも彼女の最後が気になって、一度だけ提督鎮守府に赴いた際に提督に尋ねた事があった。

『武蔵は…彼女は、最後まで然としてらしたのでしょうか…』

それに対する答えは、大和に流す涙を留まらせるに十分な説得力と誇りがあった。

『己の責務を全うして果てていった。命尽きるその瞬間まで、彼女は中将を守ろうと全力を尽くしていた』

『戦艦大和、その改良型二番艦武蔵。彼女こそ、この国の誇りだ』

その言葉の通り、大和は武蔵を誇りに思っている。

ただ一つだけヤキモチを妬くとするなら、その場に居れなかったのだから仕方の無い事とは言えども、出来れば

榛名ではなく、姉である自分が最期を看取り、彼女の遺志を継ぎたかった。

だが、その想いも今はスッキリ消えて憂い事にはなっていない。

託されたから果たすのではなく、ただ静かに受け継いでいく事こそが重要なのだ。

大和にとって、妹である武蔵の想いは言われて託されるようなものではないという事だ。

584: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/17(水) 00:01:09.28 ID:zaGaL1s/o
大和「戦艦大和、推して参ります」ジャキッ

武蔵?「私は大和型の改良型二番艦、戦艦武蔵だ。負けはありえない」

大和「ふふ、戯言を…知っていますか。想いの強さは次元を超える、と言うのを」

武蔵?「それこそ戯言だ。寝言で戦が勝てるものか!全砲門、開けっ!」ジャキッ


武蔵の構える艤装の全砲門の切っ先が大和を捉え、一斉に火花を散らす。


サッ


無数の砲弾が飛び交う中を一歩前に、その決断がどれほどの危険を孕んでいるかは踏み込んだ本人が一番解って

いたことだろう。

それでも前に踏み出せるのはただ単に大和が武蔵を信じているからなのだろう。


大和「彼女の、武蔵の一撃に比べれば避けるなど容易い事」

武蔵?「この砲撃の雨の中を、前に出るだと…」


ボォォン ボボボンッ


避けれるものは避け、撃ち落せるものは的確に撃ち落す。

水飛沫と爆煙に塗れる中、それを掻き分け大和が縦横無尽に海を駆け巡る。

元帥直属の栄華等ステータスとも思わない。

上辺だけの華やかさ等無いも同然と大和は常々思っていた。

彼女が真に遂行するのはこの世の平和を護ること。

艤装が壊されようと肌を焼かれようと、それらは己が貫く信念と比べれば些細なもの。

塩水を浴び傷だらけになろうとも、そこに華がなかったとしても…これこそ、戦艦大和の戦と言う名の演舞。


ボンッ ボボボンッ


武蔵?「こいつ、被弾をなんとも思わないのか…!」

大和「肉を斬らせて骨を絶つ、です!敵艦捕捉、全主砲薙ぎ払え!」ジャキッ 小破


ドォン ドォン ドォン


超長距離から中距離にまで距離を縮め、大和の主砲が一斉に武蔵を強襲した。

589: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/18(木) 21:39:31.39 ID:/cqMokhMo
-数時間前・新鋭鎮守府-

ピーコック「案の定、と言ったトコロかしらね」

中間棲姫「蛻の殻…」

空母棲鬼「全軍を従エテ提督鎮守府ニ向かったのカシラ…」


ザバァァァァ……


南戦鬼「残存兵力…」

南方棲鬼「恐らく、強行進軍シテきた場合ニ迎え撃つ予定ダッタ連中ネ」

装空鬼「ここにシンエイは居ない。ピーコック、どうするの?」

ピーコック「コイツ等は殲滅よ。私は背後からシンエイを追撃スル」

中間棲姫「ピーコック、解ってルト思うケド…」

ピーコック「?」

中間棲姫「…私達ガ共感ヲ得るのはきっとコレが最初デ最後よ」

空母棲鬼「モシ、これでもマダ火種が残ると言うノナラ…」

南戦鬼「ソノ時は……」

ピーコック「ソレをさせない為に、私ハ行くのヨ」

南方棲鬼「ナラ行きなサイ。アナタの背は私達が護リ抜ク」

ピーコック「ありがとう、南方棲鬼…」

590: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/18(木) 21:47:04.95 ID:/cqMokhMo
-帰路-

赤城「やはり、通信は繋がりませんね」

陸奥「強襲を受けて手一杯なのか、もしくはこっちの機器が戦闘で損傷してしまったのかしら…」

神通「後者が一番、嬉しいんですけどね」

羽黒「司令官さん達なら、きっと大丈夫だと私は信じます」

大鳳「それにしても驚いたわ」

霧島「ピーコックの件よね?」

大鳳「うん。提督を信じたって言ってたけど、どういう心境の変化だったのかしら…」

赤城「人柄、なんでしょうかね?」

神通「うふふ」

陸奥「あら、そこで笑ったら提督が可哀想じゃない?」

羽黒「皆さん意地悪ですね」クスッ

霧島「そういう羽黒も顔が笑ってるわよ?」

羽黒「えっ…あ、こ、これは…違いますよ!?」

大鳳「あら、そうなの?」クスッ

神通「羽黒さん、死なば諸共…もう共犯も同然ですよ?」

羽黒「じ、神通さんも表現が幾らか悪びれてませんか!?」

霧島「ほらほら、まだ笑ってばかりも居られないわ。鎮守府の防衛、私達も参加するわよ」

陸奥「ええ、そうね。最後の一滴まで搾り出してやるわ」

591: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/18(木) 22:20:27.57 ID:/cqMokhMo
-敵領海域・遊撃艦隊合流-


ボォォォン ドオオォォォン……


赤城「砲撃音…!」

大鳳「神通、羽黒、水偵・水観飛ばせるかしら?」

神通「はい、大丈夫です」

羽黒「お任せ下さい!」



ビスマルク「さあ、次に沈みたいのは誰かしら!?」ジャキッ

タ級EL「ナゼ、コウゲキガアタラン…!」

ル級FS「キサマハ、イッタイナニモノダ…!」

ビスマルク「…ふふっ、ドイツの誇るビスマルク級超弩級戦艦のネームシップ、それが私よ」

タ級EL「マサカ、キサマ…!」

ル級FS「ゲンスイチョクゾクゴエイカンタイ、ダイニカンタイキカンノ、ビスマルクカッ!」

ビスマルク「…レーベレヒト、マックス、貴女達の無念は私が晴らす…他の誰でもない、同じ志を持って歩んで
きた私が貴女達の遺志は汲む。さあ、かかってらっしゃい!ビスマルクの戦い、見せてあげるわ!」



筑摩?「……くっ」 大破

天龍「詰だ」

龍田「力量を見誤ったみたいね~?」

翔鶴「……」チャキッ

利根「むっ、あの水偵は……」



武蔵?「お、のれぇ…!まだだ…まだ、この武蔵は…沈まんぞ!」 中破

大和「いいえ、沈めます。妹の姿を偽る虚像、この大和が赦しません」ジャキッ

武蔵?「小賢しい…小賢しい…小賢しい…小賢しい…ッ!この程度で、勝った気でいるな!逆上せるのも大概に
してもらおうか、弱者がッ!!」ジャキッ

大和「」(ごめんね、武蔵。けれど……貴女がそうだったように、私も前を向くわ。最期まで立派だったと聞く
貴女を、私は姉として誇りに思っています。この幻を討ち滅ぼし、真に貴女の無念を私が晴らしてみせます)

592: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/18(木) 22:32:57.33 ID:/cqMokhMo
泊地棲姫?「雑魚が何匹増えヨウと、同じよ……忌々シイ艦娘風情ガ…ッ!」

日向「悪いが、その雑魚に今から倒されるのが君さ」

飛鷹「あんま調子乗らないでくれる?虫唾が奔るわ!」

阿賀野「阿武隈ちゃん、動ける?」

阿武隈「え、う、うん…大丈夫、だけど…」

阿賀野「良かったぁ。応急要員の妖精さんも連れてきてるから、早く暁ちゃんと白露ちゃんを助けて上げて」

日向「こいつは私達が食い止める」

飛鷹「任せなさいって。さぁ、飛鷹型航空母艦、全力出撃です!航空隊の練度もバッチリよ!」バサッ

日向「伊勢型航空戦艦、日向。推して参る。航空戦艦の真の力、思い知れ!」

泊地棲姫?「捻り潰シテあげる。今一度…水底ニ還るがイイワ…」



羽黒「水偵、戻りました」

神通「私達の後方を固めていてくれた比叡さん達の艦隊…とは別の援軍…?」

赤城「皆さんが無事だといいのですが…」

??「提督鎮守府の方々ですね?」

霧島「誰…?」

陸奥「航空巡洋艦?」

三隈「私は最上型二番艦、航空巡洋艦三隈と申します。元帥の命により、智謀提督指揮下にて援軍に馳せ参じた
一人ですわ」

大鳳「」(口調がなんだか熊野と被ってるような…)

霧島「元帥の命って…」

陸奥「水偵の情報とも一致してるわね」

三隈「お仲間の皆さん、比叡、暁、白露の三名が確認してる情報では大破・重傷ですが、お三方とも既に救護班
に処置を引き継いで艦娘病院への搬送に入ってますからご安心下さいな」

霧島「比叡お姉さまが大破……?それに暁と白露までって…」

三隈「皆さんも他者を気にしてる場合ではありませんわよね?」

大鳳「冗談でしょ。皆が戦ってるのに、指咥えて見てろって言いたい訳?」

三隈「現状をもっと客観的に見聞なさいと言っているんですわ」

赤城「大鳳さん、今の私達では戦力どころか足手纏いです。十分な整備と改修を施さないと、艦載機の皆さんを
再び飛翔させるのは現状では困難です」

三隈「流石は一航戦。冷静な判断をお持ちですわ」

陸奥「けど目の前にはまだ瑞鳳、利根、阿武隈が残ってる」

三隈「彼女達の支援も滞りなく。そろそろ……」

593: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/18(木) 23:03:50.60 ID:/cqMokhMo


ボゴオオォォォォオン


天龍「っしゃあ!」

利根「ゲホッ、ゴホッ、お、お主、ちっとは周りを見んか!」

龍田「あらあら、お洋服が汚れちゃったじゃない。天龍ちゃん、後でお仕置きね~?」

天龍「え゛……」

翔鶴「ぁっ…!赤城さん、皆さん!」

赤城「翔鶴さん」

陸奥「あなた達…」

天龍「おっ、あっはっは!随分とまた雁首揃えて露出度たけぇじゃねぇか」

霧島「ぶっ飛ばしますよ…」

龍田「あらあら~。けれど無事で良かったわ~」

神通「利根さん、無事で良かった…」

利根「おお、お主等もな。その成り…激戦が伺えるわ」

祥鳳「あら、三隈さん」

三隈「あら…」

瑞鳳「みんなーっ!」

羽黒「瑞鳳ちゃん」

瑞鳳「よかったぁ、皆も無事で!いてて…」

祥鳳「ほら、瑞鳳…余り無茶しちゃダメよ」

阿武隈「あ、皆…」

大鳳「阿武隈、その怪我…!大丈夫なの!?」

阿武隈「あたしは、大丈夫…日向さん達が、助けてくれたから。後から別の部隊も着てくれて、暁ちゃんと白露
ちゃんも応急処置をしてもらって、なんとか…」

霧島「暁と白露が重傷を負ったのはやっぱり事実なのね…?」

阿武隈「うん…相手は、泊地棲姫…」

陸奥「なんですって…?」

祥鳳「私達を束ねる提督からの情報で、現在確認されている怪現象ですが、クローンかもしれないという情報が
上がっているんです」

羽黒「クローンって…」

神通「まさか、同士討ちをさせる為とか…」

利根「いや、それはありえん。実際に対峙してる身としてはよぅ解る」

天龍「感情が希薄な上に端っからこっちを敵対視してる。ありゃあ、出会い頭に殺りにくるぜ」

翔鶴「騙まし討ちをする為の育成期間がなかったと考えるべきかもしれませんね」

赤城「比叡さん、暁ちゃん、白露ちゃんは、本当に大丈夫なんですね?」

霧島「…比叡お姉さまは、そう簡単にギブアップなんてしません。私は、信じています」

三隈「大丈夫ですわ。私達だって、信じるものはありますもの」

瑞鳳「取り敢えず、戻ろう。まだ、戦いは終わってないんだもん」

祥鳳「ええ、そうね」

600: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 20:17:27.81 ID:ZUueavnro
-大和 vs 武蔵?・終幕-

轟音と凄まじい爆煙を響かせ、大和の放った一撃が狙った武蔵を中心に海上一体を炎の海に変える。

大和は決して飾りなどではなく、その実力は全艦娘の中でも堂々の上位に位置するほどの実力を持っている。

普段は温厚で気の許している仲間には茶目っ気すら見せる事もあるという。

そんな彼女が本気で怒るとどうなるのか、誰も見たことはない。

が、奇しくも偽りと断じた妹の姿を象った存在にその怒りの矛先が向いた。

誰も見たことのない大和の力。

それが、広範囲の海上を一瞬にして炎の壁に変貌させるほどに凄まじい火力を秘める一撃。

これこそ大和の怒りを具現化させた形なのかもしれない。


大和「沈みなさい。永久に…」

武蔵?「おの、れ…」 大破

大和「……」ジロッ…

武蔵?「ククッ…冷酷な目だ。その、目を差し向けた、相手を…何匹、殺した…」

大和「…数えていませんね。ですが、少なくとも艤装を差し向けた相手は、相応にして罪を背負っていました」

武蔵?「罪…?笑わせる……兵器として、生み出され…武器として、扱われ…何が罪だッ!!」

大和「罪は罪。これは罰です。仇名す相手を間違えましたね。私は貴女が艦娘には見えません。これは私にとっ
て非常に僥倖と言うべき事実です」

武蔵?「なん、だと…」

大和「身内の雷撃処分ほど、悲しい事はありません。なればこそ、私は時として鬼にも悪魔にもなりましょう。
恨むのならば私一人が怨まれればいい」

武蔵?「ククッ…クハハハハッ!どっちが機械か…よっぽど貴様の方が、鬼畜生だな…」

大和「褒め言葉ですね。それでも私は元帥に、この海に、この世界に仇名す全てを撃滅します」

武蔵?「あの世で、待っててやる…」

大和「同じ道は歩みません。一生そこで彷徨い続けなさい」ドォンッ

武蔵?「……」 轟沈

大和「…私が誤った道にいかないのは、仲間や私達を束ねる存在に恵まれた故です。偽りとは言え、また貴女の
声が聞けて良かった。願わくば…『姉さん』って、もう一度だけ呼んで欲しかった…」


そう呟いて静かに閉じた瞳から、今までの全てが集約された想いが、感情が、一筋の雫となって頬を伝って流れ

ていく。


大和「…さようなら、武蔵」

601: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 20:50:40.91 ID:ZUueavnro
-鎮守府左側面海域-

木曾「へへっ」

長門「…?何を笑っている」

木曾「いやなに、またお前と一緒に戦えるってのが少し嬉しいってだけだ」

北上「素直じゃないねぇ、木曾っち」

木曾「うっせ!」

長門「ふっ」

島風「春雨おっそーい!」

春雨「えぇっ!?ひどいよ、島風ちゃん!」

長門「ほら、島風。余り編隊を乱すなよ」

島風「はーい!だいじょーぶでーす!」ビシッ

酒匂「長門さんの顔がとっても生き生きしてる!」

摩耶「おいおい、のんびりしてるみてぇだけど大丈夫かよ」

龍驤「問題あらへんって。うちらはやる時はビシッと決める気概あんねんって」

摩耶「まっ、あたしにゃどーでもいい事だけどねぇ。暴れられりゃあ、あたしは十分さ。それに、お宅等の実力
ってのにも多分に興味あってさ。あの大和が含み笑いで語るくらいだ。興味沸かねぇ方がどうかしてるってもんだ」

龍驤「よそ見しといて流れ弾当たってもしらんでぇ?」

摩耶「バーカ。流れ弾貰ったら返してやりゃあいいんだよ。倍にしてな」ニヤッ

長門「龍驤、艦載機の報告はまだか」

龍驤「んあ…せやなぁ、もう戻ってきててもいい頃……」

摩耶「シッ…!」

酒匂「むむ?」

摩耶「こいつは…!おい、臨戦態勢取れッ!提督、さっさと指示寄越せ!!」

先輩「風向きで音を拾ったのね。龍驤、貴女はそのまま艦載機を飛ばして。もう一度上空の情報を仕入れるわよ」

龍驤「まさか、うちの艦載機が撃墜されたんか…!」

長門「対空砲火に余程の自信があるのか、それともこの左舷側も空母群の一団なのか!?」

リコリス「ソノまさかヨ」

摩耶「なっ…!て、てめぇは…!」

リコリス「アラ、あの時以来カシラ?」

長門「先陣が貴様か!」ジャキッ

リコリス「直にソウやって構える…ダカラ会話が成立シナイのよ。私達はシンエイに裏切らレタ。ソレについて
はモウ報告とシテ上がってると思ってイタんだけど?」

北上「つまり私達とは争う気がないって言いたいわけ?」

木曾「はっ、そんなん信用出来るわけねぇだろっ!」

先輩「……いえ、どうやら真実みたいよ」

木曾「は…?」

602: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 21:23:30.19 ID:ZUueavnro
提督『皆、聞いてくれ。現時点に置いてはリコリス、ポート、アクタンと呼ばれる三人の深海棲艦はこちら側と
考えて行動を取ってもらって構わない。それぞれの種別は飛行場姫、港湾棲姫、北方棲姫。二本角、今お前たち
の前にいるのがリコリスだ。ポートは一本角、アクタンはリコリスをミニサイズにしたような感じだな』

リコリス「アナタねぇ、そのマヌケな例え方…ハァ、言ってても仕方ないしイイワ。御託ヲ並べてる場合デモな
いし…コノ中で航空戦ヲ担える者はダレなの?」

龍驤「うちや!」

リコリス「…へぇ、軽空母…」

龍驤「な、なんや!馬鹿にしとるんか!?」

リコリス「いいえ、関心シタのよ。アナタ、ホントに軽空母?」

龍驤「はぁ?何言うてんのや」

リコリス「フフ…」(余程鍛錬ヲ積んだノカ、改修ヲ繰り返したノカ、どちらにシテも軽空母の技量ヲ遥かに超
えてイルのに本人ガ気付かないナンテ…コレも、想う力と言うモノなのかしらネ)

龍驤「な、何やねん、いきなり含み笑いて、気色悪いやっちゃなぁ…」

リコリス「アラ、ちょっと言い方酷くないカシラ?」ジロ…

龍驤「いぃっ!?ご、後生や!今のなし!なしやから!なっ!?」サッ

長門「お、おい。何故、私の後ろに隠れる?」

提督『遊んでる場合じゃないぞ。大方皆が考えている通り、敵は正面に割いていた分の空母群の一部を左舷に寄
らせているわけだ。一番索敵の値が数値化した場合に低いのが左舷だったが、リコリスの加入によってその分は
大いに補われるはずだ』

リコリス「飛行場姫の名に恥じナイ働きヲしてあげるワ」

603: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 21:56:58.30 ID:ZUueavnro
先輩「ふふっ、頼もしい事で。初めて会った時が逆に懐かしいくらいね」

リコリス「……アノ時は悪かったと思っテルわ。けど、今はマダ改めて謝罪ハしない」

先輩「ええ、共闘と言う事で認識しておいてあげる」

リコリス「ケド、必ず理想とナル形で終幕したアカツキには、その全てをアナタに謝罪するワ」

先輩「あら、それは楽しみね。この季節だとクリスマスプレゼントになるのかしらね」

提督『龍驤、リコリス、左舷の制空権は二人で必ずもぎ取れ。先輩、武運を祈ります』

龍驤「任しとき!」

リコリス「左団扇デ指揮させてあげるワ」

先輩「任せなさい。いいとこ無しのままじゃ、私も終われないものね!」


ブウゥゥゥゥゥゥン……


リコリス「キタわ」スッ…

龍驤「いくで…!」サッ…

先輩「総員、戦闘配備に着いて!」

長門「島風、春雨、お前達はいざと言う時躊躇するな。構わず私の背後に回り込んで私を盾にしてくれていい」

島風「え?」

春雨「え、そんな…」

長門「ふふ、何…長門型の装甲は伊達ではないよ」

酒匂「ぶーぶー、長門さん!酒匂は~?」

長門「ん?」

酒匂「ぴゃあー!ひどい~!」

長門「ははっ、冗談だ。安心しろ、皆纏めてこの私が護ってみせる。私は長門型一番艦、戦艦長門だ。何者にも
決して遅れはとらない」

摩耶「っしゃあっ!摩耶様の戦、見せてやるぜ!抜錨だ!!」

木曾「北上…」

北上「ん、どったの木曾っち?」

木曾「俺さ、球磨型でよかったって、マジで思ってるぜ」

北上「え、ちょっ、いきなり何言ってんの…?」

木曾「あいつ等の分まで、暴れてやろうぜ。球磨型の本当の力ってヤツを、あのクソ共に叩き込んでやるんだ。
本当の戦闘ってヤツを、思い知らせてやろうぜ…姉貴」

北上「……」ニコッ

木曾「な、なんだよ…」

北上「そういうの、結構燃えるよねぇ…!いいねぇ、熱いねぇ!そんじゃま、ギッタギッタにしてあげましょうかね!」

木曾「おうっ!」

604: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 22:40:49.89 ID:ZUueavnro
-鎮守府右側面海域-

不動「正面と左舷で敵影確認か。おい、瑞鶴、隼鷹!こっちはどうだ!?」

瑞鶴「艦載機の子達から報告を伝えるわ!」

隼鷹「ハハ、おいおいマジかよ…」

瑞鶴「こっちは、水上打撃艦隊の一群…!」

隼鷹「って、流石に笑ってもいられねぇってか…」

不動「割り振りが裏目に出たか…!だが制空権さえ奪えば相手を袋叩きに出来るのも事実だが…」

金剛「私が、耐えてみせるネ!」

磯風「今度こそ、誰も沈ませない…!」

秋月「艦隊の防空はこの秋月が健在な限り破らせはしません!」

金剛「鈴谷、熊野、矢矧、私達で敵の主力を抑えマス!」

鈴谷「りょーかい!」

熊野「一捻りで黙らせてやりますわ!」

矢矧「能代の仇、ここで討たせてもらうわ。軽巡だからって侮って欲しくないわね!」

605: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 23:08:06.48 ID:ZUueavnro
提督「右舷に水上打撃群か…」

大淀「どうなさいますか?」

提督「瑞鶴と隼鷹の二名が居れば制空権の問題はないはずだ。問題は打撃力…金剛、鈴谷、熊野、矢矧だけでは
確実に弾薬が尽きる。物量で押し切るしかない」

大淀「では…」

提督「大淀はまだ待機で頼む。戦況の変動をボードを使って逐一最新のものに変えていって欲しい」

大淀「了解致しました」

提督「プリンツ、筑摩、夕立、ヴェールヌイ、出撃準備だ」

夕立「もう出番っぽい?」

Bep「早いお声がけだね」

筑摩「お任せを、提督」

プリンツ「ハーイ!私は、ドイツ生まれの重巡、プリンツ・オイゲン。よろしくね!アドミラル・ヒッパー級三
番艦です!」

提督「ビスマルクと同じでドイツ艦か」

プリンツ「ビスマルク姉さま、ここには居ないんですかぁ?」

提督「残念だがな。さて、与太話は後だ。まず四人には右舷の援軍として出向いてもらい、戦線の維持と押上げ
を担当してもらう。筑摩とプリンツは金剛の指示に従い戦線に従事し、夕立とヴェールヌイは対空防衛に努める
秋月のフォローだ。近寄る深海棲艦を適時殲滅しろ」

四人「「了解!」」

606: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/20(土) 23:33:08.39 ID:ZUueavnro
不動「────おう、そうか!すまねぇな」

提督『誤算は戦場に付き物です。四名の追加で全体的な打撃力の底上げにはなるはずです』

不動「おう、恩に着るぜ。聞いたな、おめぇら!四人、援軍でこっちに回ってくれる!打撃力は確実に上がるは
ずだ!防衛のイロハってもんを相手に教えてやるには絶好のシチュエーションって訳だぁな」

金剛「Hey!不動提督、方針を教えて欲しいネー!」

不動「おう、任せろ!まず金剛を筆頭にして鈴谷、熊野、矢矧、でもって後から合流する筑摩、プリンツを加え
た六人が打撃戦力の要だ。磯風と秋月で瑞鶴・隼鷹のサポート、後から来る夕立とヴェールヌイにも磯風と秋月
のサポートにそれぞれ回ってもらう。だがこれは基本の形だ。状況の変化には臨機応変に対応しろ!」

磯風「了解した」

秋月「はい!」

磯風「秋月、高射装置の具合はどう?」

秋月「問題なしよ。10cm高角砲と組み合わせて驚きの防空性能を見せて上げるわ。だから、磯風は前だけ見てて」

磯風「恩に着る。私の名に懸けて、今度こそ任務を完遂してみせる」

金剛「きます…!」

熊野「迎え撃ちますわよ!」

鈴谷「ふふん、さてさて…まいりましょー!」

矢矧「砲雷撃戦、始めます!」

不動「筑摩達が現着するまで持ち堪えろ!」

612: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 22:36:06.39 ID:/eMp5l2Bo
-鎮守府正面海域-

ポートとアクタンの援護を得て、榛名、伊勢、那智の砲撃が敵艦隊のど真ん中で炸裂する。

戦艦二隻の強烈な一斉射、重巡の重圧ある一斉射が相手にとっては強襲と言う形となり、陣形を整える前に敵聨

合艦隊のどてっ腹に大きな風穴を開ける結果となった。


智謀「よし、機先は制した。飛龍と蒼龍は引き続き第二、第三攻撃隊を発艦させて相手に息つく暇を与えるな!
ポートとアクタンも同様、相手空母ヲ級の動きを制限させろ!」

飛龍「了解っ!」サッ

蒼龍「任せてっ!」サッ

ポート「造作もナイわね」スッ

アクタン「負けないモン…!」スッ

智謀「衣笠率いる第二部隊は榛名達が撃ち漏らした敵艦が動き出す前に封殺、衣笠は手負いを集中的に狙って、
川内と電、夕張と時雨でそれぞれペアを組んで常に多対一に持ち込み物量で押し切れ!」

衣笠「衣笠さんにお任せ!」

川内「よし、電行くよ!」

電「は、はいなのです!」

夕張「よーし、こっちもいこっか、時雨!」

時雨「うん、目に物を見せてあげよう」

智謀「榛名、伊勢、那智は一端下がれ。相手の射線に注視し、距離を保って警戒線を張れ。無謀にも突進してく
るような蛮勇な敵が居るのなら、構わず撃ち落し戦力を根源から駆逐する!」

榛名「はい!」

伊勢「矢継ぎ早な指示だが的確だな」

那智「そうでなければ大将と言う器には納まらんさ」

榛名「相手の張ってる壁を一枚ずつ確実に剥ぎ取る感じですね」

那智「…榛名、貴様なら次の展開はどう見る」

榛名「…多分、一度は突破出来た飛龍さん達の陣地から侵略してくると思います」

伊勢「ポートとアクタンが掌握する海域には戦力を割かないって事?」

榛名「恐らく…」

那智「……それで?」

榛名「ですが、知恵を使わずその場の勢いに任せた場合、最も危険なのはポートとアクタンだと思うんです」

那智「何だと…?」

榛名「元は自分たちの上位に位置していた深海棲艦ですよ?それが反旗を翻したとなれば、深海棲艦側からした
ら内部には相当の衝撃が奔ったはずです。正常な判断が鈍り、結果として…」

613: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 22:53:40.05 ID:/eMp5l2Bo


ボゴオオォォォォン


飛龍「もしかして見縊ってますか?」

蒼龍「皆の想いを載せてるんです。そう易々と落とせはしません!」

ヲ級改FS「バカナ…!」

ル級改FS「ナラバ…ッ!!」ジャキッ

タ級FS「ムサベツニネライウツダケダッ!!」ジャキッ

ポート「キサマ達…!」

アクタン「えっ…」

ル級改FS「シズメッ!!」ドォン ドォン

タ級FS「ミナゾコニッ!!」ドォン ドォン

ポート「アクタンッ!」


ボゴオオォォォォン ボゴオオォォォォン


ポート「あ……あぁ……ッ!」


怒りに我を忘れたル級改FSとタ級FSの凶悪な砲撃が爆煙を上げてアクタンを襲う。

しかし────


伊勢「…なんのこれしき、どんどん撃ってきなさいな」 小破

アクタン「ぇ……?」

伊勢「大丈夫だった?」

アクタン「ウ、ウン…」

伊勢「んふふ…なら良かった」ニコッ

ポート「……」アゼン

ル級改FS「ナッ…」

タ級FS「ナゼ、カンムスガ…!」

伊勢「小さい子のお手本になるのが私達大人の務めってもんだよ。悪い子にはお仕置きが必要かな?なーんてね」ジャキッ

アクタン「オシオキッ!」サッ

伊勢「ふふ…さぁ、いくよ!主砲、四基八門、一斉射!」ドォン ドォン ドドドドンッ

アクタン「カエレ……ッ!」ドォン ドォン

ル級改FS「シマッ…」

タ級FS「オノレ…!」


ボゴオオォォォォン ドオオォォォォォン


伊勢とアクタン、両者の砲撃が撃ち終わりの二匹を共に狙い撃ちその姿を跡形もなく粉砕する。


伊勢「これで終わり?それってどーなのさ。やる気あるの!?」

ヲ級改FS「コンナ、ハズデハ…」

614: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 22:54:14.64 ID:/eMp5l2Bo
榛名「指揮が行き渡っていない。これだけの数を纏め切れてない証拠です。一部が勝手に動いてそれに後が続か
ないから、散発的な攻撃にしかならず、返って弾幕や折り返しが薄く遅くなる」

那智「こちらからすれば絶好の好機か」

衣笠「けど陣形はこのままで、全体で押し上がる感じでいいのよね?」

榛名「はい!こちらは艦隊クラスでヒット&アウェイを継続し、飛龍さんと蒼龍さん、ポートとアクタンの艦載
機を最大限に生かして確実に仕留めていきましょう」

615: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 23:22:06.72 ID:/eMp5l2Bo



~闇を照らす一つの光~



-鎮守府・作戦室-

提督「戦線の維持、戦況に置いても三方面共に押し返してきてるな」

大淀「筑摩とプリンツ、夕立とヴェールヌイの援軍で右側面の建て直しも容易でした」

提督「左側面もリコリスの援護で滞りがない」

大淀「……しかし、驚きました」

提督「ん?」

大淀「深海棲艦の件です。本来は相容れない相手ではありませんか?」

提督「…今からする話はお前を責めたくて言うわけじゃない。その事を差し引いても幾分かキツイ言い方をする
が余り気にせず聞いて欲しい」

大淀「え?」

提督「大本営の元帥殿を始めとして、一部の大将殿とそれらを取り巻く一部の艦娘には、頑なに隠し通してきた
海軍の闇とも呼べる秘密があるのを俺は教えてもらった」

大淀「……!」

提督「昭和、平成とここ数百年、この日本に限らず、世界諸国で海を旅するというのは比較的楽な部類の行楽と
して認識されていたそうだな。深海棲艦が出現するその日までは…」

大淀「何故、それを…」

提督「掻い摘むが、事の発端は隠密提督だ。お前もその話はつい最近の事だから聞いてるだろ。大和たち秘書艦
とは別に元帥へ別の業連をする事を受け持つ第三の秘書艦であるお前ならな」

大淀「…………」

提督「結論から言えば智謀提督と密約を交わした。その結果得た情報だ。隠密提督の件は内々に処理されたはず
だったが、お前がきっちり盗み見ていた。結果として、元帥殿の耳に内容が入る事になったわけだ」

大淀「報告しないわけにはいきません。内部の膿は出し尽くすべきです」

提督「間違っちゃいない。それ自体は俺だってそう思う。だったら、大本営の中枢を担うその全てが大本営から
去るべきだよな」

大淀「……っ!」

提督「巷で言われ続ける深海棲艦は如何にして生まれ、何処から来たのか…」

大淀「……止めて下さい」

提督「如何にして生まれたか…」

大淀「止めて下さいっ!」

提督「…この期に及んでまだしらを切るのか?」

大淀「それこそ、今この場で言及する事ではないはずです!」

提督「深海棲艦は相容れない存在ってお前は言ったよな。ふざけるな…!」

大淀「ぇ……」

616: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 23:31:32.29 ID:/eMp5l2Bo
自分達で生み出しておいて、制御できないから討伐して証拠を隠滅か?あいつ等は今は世界で活躍している艦娘

たちの怨念そのものだ。無念の内に朽ち果て、水底へ沈み、それでも尚、この青い海、青い空に想いを馳せて…

人が何故、海の上で自由を奪われたと思う?

深海棲艦が現れたからか?違う…!

深海棲艦が狙ってくるからか?違う…!

奪われたと思ってる時点で間違ってるんだ。俺たちは拒まれたんだ!

海に、深海棲艦、その元となっている彼女たち艦娘に!人類は拒まれた!!

この大海は今までに流した艦娘たちの涙そのものだ。

その上に人類がどうやって立てる!?

その業を背負おうともせずに、どうやって昔の海を取り戻すと言える!?

本来なら、人類は深海棲艦によって滅ぼされて然るべきなのかもしれない。

それでも、今を生きる人々にはなんの罪もないだろう?

咎を背負うべきは今を生きる人々じゃない。

この歴史を知っている俺たち海軍だ。

俺は全てを知った。妖精の存在、深海棲艦の成り立ち、艦娘とは何なのか。

艦娘には、死後三つの世界が待っている。

一つは天寿を全うし、己の体を休める場所で静かに時を過ごすこと。やがてその身体は浄化され、妖精と成って

神格化される。クラバウターマンなんて呼ばれて船乗りの間で実しやかにささやかれているのが、これが一つの

答えともなっているんだろう。

二つ目は仏教の概念、輪廻転生だ。強い意思を持ちながらも志半ばで倒れてしまった艦娘は、再び艦娘としての

生を受けてこの世界に現界する。

そして三つ目……負の感情を強く帯びて死んでしまった艦娘は、その感情が具現化して再度、水底で生を得る。

深海棲艦として……人類に牙を剥く敵としてだ。

617: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 23:51:18.76 ID:/eMp5l2Bo
提督「もう一度言うぞ。深海棲艦が相容れない存在だと?元は同じ存在でありながら、それに目を瞑って屠るこ
としかせずに、何が相容れない存在だ!否定する前に自分たちの罪を認めろ!俺は、耳を傾けてくれるのなら、
全てを受け入れる。元は艦娘なんだろ…だったら、絶対に解り合えるはずだ」

大淀「…………」

提督「…すまなかった。お前も、いや…お前だけじゃない。全ての艦娘がそうだ。犠牲者なんだ。過去からこれ
までの想いと記憶を受け継いで転生してきたのがお前たちだ。それに気付いていながら見て見ぬ振りをした人類
が全ての元凶だ。だから、ここで終わりにしよう。お前たちだって、元は普通の女の子なんだ。こんな戦場に、
身を捧げていいはずがない。ここで終わらせるんだ」


ザー…ザザザッ……


智謀『聞こえるか、提督大佐』

提督「ええ、良好です」

智謀『正面海域の第一波は粗方片付きつつある。左舷と右舷の状況は?』

先輩『こっちも順調よ!連携バッチリ、清々しいわね』

不動『おう、即席艦隊とはとても思えねぇ錬度っぷりだぜ』

提督「後続隊として新鋭の中核部隊、その奥には主力旗艦艦隊も待ち受けているでしょうね。進軍は程ほどに抑
えて、各方面共に散開し過ぎない程度で警戒を継続させましょう」

智謀『賢明な策です』

先輩『オッケー!期待してるわよ、総指揮殿♪』

提督「煽てても何も出しませんよ」

先輩『そこは出しなさいよ!』

不動『終わってからやりやがれこのクサレ師弟共が!』

提督「くされって…」

智謀『はぁ…少しは緊張感を持って下さい。では、先に通信を切りますよ』

先輩『はいはーい。じゃ、また後でね!』

不動『気は抜くなよ!』


ブツン……



618: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/22(月) 23:53:53.76 ID:/eMp5l2Bo
提督「……大淀。風向きは今はこっちだ」

大淀「…はい」

提督「悔やむ前にまずは前に踏み出せ」

大淀「…………」

提督「お前たちを俺は絶対に見捨てない。失ったことがある者にしかこの気持ちは解らない。だから俺には解る」

大淀「艦娘を、兵器と見る人もいるのに…貴方はどうしてそこまで…」

提督「兵器なものか」スッ…


提督は左手の甲を正面にしてその薬指に輝く指輪を大淀に見せる。


提督「これが俺の答えだ」

大淀「艦娘と、契りを交わしていたんですか…それが、どういう事か解っていて…」

提督「俺の全てを懸ける覚悟はある」

大淀「過去にも、貴方と同じように契りを交わした提督はいらっしゃいました。けれど、その人は…」

提督「それもこれも、結局は大本営の思惑に反した結果なんだろう?提督諸氏や艦娘の気持ちを利用してまで、
そうまでして成そうとした茨の契りだ。彼女たちと一緒に日常を過ごせば、どう足掻こうが情が移るのは当然の
ことだろう。だから、その全ての禍根を俺が断ち切る。ジンクス上等だ。全て纏めてひっくり返してやる」

622: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/23(火) 21:48:17.71 ID:ZPozmL8so
-新鋭本隊主力艦隊-

新鋭「……先遣隊、奇襲空母群、強襲水上打撃艦隊、中核隊……全て、殲滅されたですって……ッ!」バンッ

??「……」

新鋭「海軍…!どこまでも私の邪魔をする、穢れた正義の権化。いいわ、残存する兵を掻き集めて周囲に散開。
相手艦隊の分散を見計らって中央を強行突破。一気に提督鎮守府を陥落させる。目標は、相手主力艦隊に非ず…
提督鎮守府とそれを纏める提督の首よ。邪魔をする者は侵攻の阻害になるようなら構わず殺しなさい。ただし、
退く事は許さないわ…前進のみ、その哀れな命をここで燃やし尽くし、私に捧げなさい!」


新鋭の前に六つの陰が静かに集結する。

異形を成す構成。

比叡達が先んじて合間見えた構成と似た形式。

艦娘と深海棲艦の混在艦隊。

その中で一際異彩を放つ中央に立つ艦娘。

白と黒のコントラストで彩られた服装。

真っ白な艶のある髪の毛。

青白く輝く両の瞳と透き通るような白い肌。

一見してリコリス達のような深海棲艦を彷彿とさせるが、携える艤装は艦娘達のそれと等しい。

何より、その艦娘はある艦娘と鏡写しのように似通っていた。


新鋭「準備は良いわね」

??「はい、私は大丈夫です」

新鋭「なら、行きなさい。全てを根絶やしにすべく…!」

??「了解しました。勝利を…提督に!」

623: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/23(火) 22:07:39.90 ID:ZPozmL8so
-提督鎮守府近海-

榛名「ふぅ…なんとか、退けれた」

那智「くっ、はぁ、はぁ…くそ、この程度で息が上がるのか、私は…!」

飛龍「装備補給を急いでっ!」

蒼龍「索敵も忘れちゃダメだからね!」

伊勢「被害は軽微、これならまだやれる!」

ポート「アクタン、怪我はしてナイかしら?」

アクタン「ダイジョーブ。この人が、守ってクレタから」クイッ…

伊勢「っとと…」

ポート「感謝スルわ」

伊勢「同じ戦線で戦ってるんだから、支え合うのは当然でしょ?それにまだ終わってない。感謝するのは、まだ
ちょっと早いかな」

ポート「フフッ、それもソウね」

衣笠「皆、大丈夫?疲れてなぁい?」

川内「なんのまだまだ。私の真骨頂は夜戦よやーせーんー!はーやーく、やーせーんー!」

夕張「はぁ、もうこの人は…」

時雨「ふふっ、頼もしい限りじゃないか」

電「…でも、出来ればこんな争いはしたくなかったのです」

川内「…優しいね、電はさ。けど、これで許してくれないのが今回の相手よね、きっと…」

時雨「うん…だから、少し心配だ。イムヤ達の事が…」

624: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/23(火) 22:16:40.81 ID:ZPozmL8so
-敵中枢艦隊布陣海域周辺-

イムヤ「どうやらこの辺りまでは掃討出来てるみたいね」

ゴーヤ「地平線が綺麗なのでち」

まるゆ「あ、あの!少し艦隊から離れすぎじゃないですか?」

イク「大丈夫なの!こうしてちゃんと通信機器も持ってきてるから問題なしよ!」

イムヤ「それに、私達はあくまで斥候よ。正面切って戦うわけじゃ…」

新鋭「なら、正面切って戦ってもらおうかしら」

ゴーヤ「……っ!」

イク「えっ……」

まるゆ「ひっ……」

イムヤ「あんたは…!」

ゴーヤ「な、なんで…」

新鋭「なんで?なんでって、戦ってるんだから、居るに決まってるでしょ。斥候の分際で馬鹿みたいに顔を覗か
せるなんて三流でもやらないわよ。似合わないわね、やっぱり潜むって事が…潜水艦の名が泣くわよ?」

イムヤ「…っ!馬鹿にしないで!」

新鋭「あらら、怒らせちゃったかしら?だったらごめんなさいね?お詫びと言っては何だけど、折角出会えたん
だもの…いいもの、見せて上げるわ」


新鋭の言葉に応えるように、彼女を護るようにその前面に六つの陰が姿を現す。

逆光でシルエットのみのその六つの陰にイムヤは目を細めてジッと見据える。

そして細めた目は徐々に大きくなり、やがては瞳孔がくっきりと開かれる。


イムヤ「う、そ…」

ゴーヤ「な、なんで…?」

まるゆ「な、何かの冗談です!」

イク「……!」

新鋭「お披露目よ。これが、私の誇る最強の艦隊…今までが前座だったと思い知らせてあげるわ」

625: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/23(火) 22:28:07.72 ID:ZPozmL8so
-残存兵力集結地点-

泊地棲姫?「沈めェッ!!」ドォン ドォン


サッ


ボゴオオォォォン


日向「ちっ…」

飛鷹「火力ハンパないわね」

阿賀野「けど、このまま放置する訳にはいかないよ」

日向「当然だ。また伊勢に得意面されるのは正直我慢ならない」

飛鷹「ちょっと、何処に対抗心燃やしてんのよ」

阿賀野「もう、日向さんったら…」


不動「ほぅ、いい勝負してんじゃねぇか。が、今回は伊勢だったみてぇだな」

伊勢「え?またあたしの戦果が一番なの?どうなのさ~日向ぁ、おとなしいじゃん」ニヤニヤ

日向「……」プルプル

飛鷹「」(はぁ、またとばっちりくるわね、これ…)

阿賀野「」(あぁ、伊勢さんあんまり煽らないでぇ…)


阿賀野「とにかく、今は目先目先!」

日向「これを三人で…長門、木曾、大鳳は倒したのか。改めて感服する」

飛鷹「今度は私達の番でしょ」

阿賀野「うんっ!」

泊地棲姫?「……」ニヤァ…

日向「いや、そうでもなさそうだ」チラッ

626: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/23(火) 22:32:18.46 ID:ZPozmL8so


ボゴオオォォォオン


阿賀野「きゃっ」

飛鷹「なっ!あ、新手なの!?」


ザバアアァァァァン


大きな水飛沫と爆発音を連れ立ち、ブロンドの髪を靡かせて三人の前に一人の艦娘が吹き飛ばされてくる。


ビスマルク「くっ…!」 小破

日向「君は……元帥直属護衛艦隊第二艦隊旗艦のビスマルクか」

ビスマルク「あなた達…不動提督の艦娘達ね。割り込むような形になって悪いわね」

泊地棲姫?「新手…?何匹揃ったトコロで結果ハ変わらナイと言うのに…」

ビスマルク「泊地棲姫ですって…?まさか…」

日向「情報は君のところにも入ってるだろう」

ビスマルク「じゃあ、こいつも提督艦隊の艦娘達が遭遇したと言う、クローンの一種と言うわけね。比叡の所に
も武蔵のクローンが居たわ。間一髪で助け出せたけど…」

阿賀野「うん、聞いてます」

飛鷹「にしても、戦力強化されすぎじゃないかしら?」

ビスマルク「済まない。勇んではみたものの、やはり多勢に無勢でね」

日向「」(それでも被害は見たところ小破程度か…恐れ入る)

ビスマルク「けど、こちらも戦力増強じゃないかしらね」チラッ

飛鷹「え?」

大和「……お待たせ致しました。戦艦大和、これより追撃戦に移ります」 小破

ビスマルク「随分な為りじゃないのよ、大和。梃子摺った?」

大和「そっちだって同じ位じゃないですか!貴女に言われたくありません!」ムスッ

阿賀野「あ、あはは…」

大和「コホン…失礼しました。お話は既に整ってる事と伺います」

日向「ああ、そうだな。私達の仕事は後続の援軍としてこいつ等を提督鎮守府へ向かわせない事だ」

大和「ビスマルク、殲滅し損ねた分はこれで全てですか?」

ビスマルク「はぁ…えぇ、その通りよ。錬度の高い連中ばかり残って、少し面倒だったけどね」

飛鷹「丁度いいじゃない。艦隊決戦よ」

阿賀野「張り切っていくよ!」

631: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 11:50:49.45 ID:2p+Q+d2/o
-敵中枢艦隊布陣海域周辺-

イムヤ「うぐっ…!」 中破

新鋭「ダメよー、ダメダメ♪なぁんてね?折角の語り合いの場に余計な茶々入れるなんて無粋じゃなぁい?」

イムヤ「」(通信機器が…こいつ、解ってて…)

イク「からだ、が…いう事、利かない、の…」 大破

まるゆ「」(役に、立ちたいって…隊長さんの為に、思って……なのに、まるゆは……) 大破

ゴーヤ「まだ、でち…」フラフラ… 中破

新鋭「あらら、頑張るのね。けど、そんなフラフラでまともに潜る事ももう出来ないんじゃない?」

ゴーヤ「ゴーヤは…皆の、笑顔が見たいでち…」

新鋭「あの世で見れば良いんじゃないかしら」

ゴーヤ「提督鎮守府の艦娘は、誰一人、諦める娘は、居ないんでち!」ザバァァァン

??「…対潜装備はありません」

新鋭「ええ、だったら彼女達の出番よね?」

レ級EL「…ふふっ、彼女は休ませてあげなよ。あんなの、ボク一人で十分よ♪」

ゴーヤ(水中)「」(余裕ぶっこくのも、大概にして欲しいでち…ゴーヤの魚雷さんは、お利口さんなのでち。
魚雷さん、お願いします!)バシュンッ

632: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 12:19:45.03 ID:2p+Q+d2/o


ゴボゴボゴボゴボ……


レ級EL「……」ニヤニヤ…


静かに迫るゴーヤの放った魚雷は真っ直ぐにレ級ELへ向かい進んでいく。

しかし、レ級ELの艤装が高速で振り抜かれた次の瞬間────


ボゴオオォォォォォン


ゴーヤ(水中)「」(やったでち!)


そこには無傷で佇むレ級ELが前と変わらない笑みを携えて立っているだけだった。


ザバァァァァ……


ゴーヤ「そ、そんな…」

レ級EL「バカだねぇ。キミ達程度の攻撃なんて、食らうワケないじゃないか。遊ばれてるって、気付けよ」ニヤァ…

ゴーヤ「あ……あぁ……」

イムヤ「ゴーヤ…ッ!」グッ…

??「やらせは、しナイよ…」スッ

イムヤ「……!」

??「邪魔ヲしたら可哀想ヨ。あの潜水艦娘ヲ、助けタイか?助けたいナラ、進みタイなら、退カシテごらん?」

633: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 12:50:46.69 ID:2p+Q+d2/o


──そこまでにしておきなさい──


レ級EL「ん?」

新鋭「背後からですって…!?」バッ


ゴーヤへトドメを刺そうとするレ級ELの手も止まり、一同は声がした方に視線を向ける。

真紅の瞳に透き通る白い肌。

漆黒に彩られたウェーブの掛かったロングヘアーが風に煽られ静かに靡く。

その華奢な容姿からは想像もできない重厚な艤装を纏い、宛ら動く要塞とでも言うべき姿に一同は言葉を失う。

中でも、新鋭はその姿を見て絶句した。

彼女が知る限りこのような容姿を持った艦娘は存在しない。

そんな中、漆黒に彩られた艤装に無数の弾痕がある事に気付き、新鋭の顔色が一変する。


新鋭「貴女、まさか…!」

ピーコック「そう、これが私……全てを受け入れた、私の本当の姿よ」

イムヤ「だ、誰なの…あんな子、見たことない…!」

ピーコック「貴女達は下がりなさい。それと、直にこの事を提督大佐へ連絡なさい。私の名はピーコック…少し
前まで、深海棲艦だった存在よ」

ゴーヤ「ぇ……?」

イク「深海、棲艦…だった?」

まるゆ「え?えっ?」

ピーコック「下衆な集まりね。そうまでして、貴女はこの海が欲しいの?」

新鋭「別にこの海なんてどうでも良いわ。今ある海軍そのものを崩壊させれるのならね?」

ピーコック「深海棲艦以上に性根が腐りきってるわね。貴女なら別の意味できっと大物になれたわよ」

新鋭「ふん、深海棲艦風情が…」

ピーコック「けど、その深海棲艦風情を手駒にしなければならないんだから、随分とお粗末極まりないわね。
貴女を囲うその六匹も、結局は虚像の産物でしかない。フェアルストを真似ようと、そのレ級ELを引き連れよう
とも、今更誰も動揺なんてしないわ」

フェアルスト「……」

??「…敵と認識、殲滅します」スッ…

ピーコック「この私を沈めれるとでも?思い上がるのも大概にして欲しいわ。今の私は誰にも止められない」

新鋭「……任せるわ。貴女達の全戦力を持って、ピーコックを抹殺しなさい。フェアルストの時と同じようにね」

ピーコック「フェアルスト、私は戻ってきたわ。全てを元に戻す為に、貴女の魂を救う為に、今度こそ…静かな
時代で……きっと、穏やかな時を過ごせる様にする為に…!」

新鋭「希望諸共また水底へ沈めて上げるわ。再び憎しみを抱いて深海棲艦に堕ちなさい。そこは通させて貰うわ」

634: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 13:15:52.77 ID:2p+Q+d2/o
新鋭の言葉に応えるように、六匹がピーコックへその身を向ける。

白と黒のツートンカラーの装束に身を包む艦娘。

一人はピーコックも良く知る顔だった。

紛れもない、それは提督鎮守府に籍を置く戦艦榛名、そのものだった。

違いは先に述べたとおり、装束の色が違うという点のみ。

否、纏う雰囲気もやはり違う。

全てを拒絶する負のオーラとでも言うべき禍々しさが、目の前の榛名からは感じられた。

その左隣に居る袴姿の艦娘。

こちらも先の榛名同様に禍々しい気配を放っている。

鉄面皮のような顔を真っ直ぐにこちらへ向けて微動だにせずに居る。

更にその左隣。

今までを共に歩んできた戦友の姿を借りた深海棲艦、フェアルスト。

自身に向けられる彼女の瞳は何を映しているのか。

その術を知る由は今はない。

そして榛名の右隣、嫌味なほどの笑みを携え、舌なめずりをしてこちらを見据える戦艦レ級EL。

更にその右隣には自分達と袂を別った深海棲艦、航空水鬼。

航空水鬼の隣にいるのはこれもまた付いてこなかった深海棲艦、駆逐棲姫。


ピーコック「揃いも揃って…」

水鬼「人の描イタ幻想に惑わサレた結果がソレなのね?」

駆逐棲姫「絵空事ダヨ、そんなモノは…」

ピーコック「」(さて、粋がっては見ても一人で六匹相手なんて無理に決まってるし…早い所、援軍の一つでも
呼んでもらわないと割に合わない所だけど、一匹でも多く殲滅はしてみせようじゃない…)

638: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 19:49:20.18 ID:2p+Q+d2/o
-提督鎮守府近海-

時雨「やっぱり変だ」

電「応答がないのです」

榛名「智謀提督…」

智謀「周辺の索敵を行っても残存兵力ばかり…左と右側面の両艦隊に追撃の指示は提督大佐から出ているが…」

提督『智謀提督』

智謀「提督大佐か、なんだ?」

提督『向かうべきです。こちらの防衛ラインは形成できています。両側面の哨戒も直に終わるはずです。なので、
それが戻り次第再度補給し、決戦艦隊を形成して突撃しましょう』

智謀「…解った。ならば今度こそ君の手で決着をつけろ」


提督「……全員、ここまで良くやってくれた。特に智謀提督たちには本当に感謝しています」

智謀「ふふ」

先輩「恩を返してるだけよ。素直に受け取っときなさい」

不動「礼を言うのははえぇよ。まだ終わっちゃねぇんだからな!」

提督「そうですね。幸い、ここまで全員、大きな損害を貰わずにこれた。特に…」チラッ…

リコリス「何ヨ」

ポート「……」

アクタン「……」ドキドキ

提督「…リコリスたちの援護は凄まじく大きい存在だったと言える」

アクタン「……」キラキラ

榛名「」(解りやすい子だ…)

提督「ここからは細分化せず、大きく二手に分かれての作戦行動に移行する。大淀」

大淀「はい。それでは作戦の概要を説明させて頂きます」

639: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 20:24:26.49 ID:2p+Q+d2/o
攻め手と守り手、大きく分けてこの二つの艦隊を編成します。

先の作戦を第一次決戦作戦とし、これを第二次決戦作戦とします。

この作戦の基盤として、万が一にも敵の陽動部隊や囮艦隊が現れようと、攻め手は目標にのみ集中、決して他に

気を奪われないように心掛けて下さい。

目標は新鋭元中将提督。目標の完遂は新鋭元中将提督の捕縛、それに及べない場合は殲滅が完遂目標になります。

第二次決戦作戦は前述通り、二部隊構成です。

第二艦隊所属部隊には主に鎮守府全方位の防衛を担当して頂きます。

敵の深追いはせず、一部は固定砲台として要塞の役割を果たして頂きます。

第一艦隊所属部隊は新鋭元中将提督の捕縛もしくは殲滅が任務となります。

恐らく相手も艦隊を指揮しているものと思われます。

新鋭を護衛している場合はこれを撃破する必要がありますが、そうでない場合の遊撃艦隊に関して、第一艦隊所

属部隊は全て振り切って目標の完遂にのみに集中して下さい。

追撃に来るようであれば予め護衛艦隊を編成するので護衛艦隊でその相手をする様に務めて下さい。

それでは艦隊編成の割り振りを発表します。

640: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 20:44:38.17 ID:2p+Q+d2/o
■第一次主力追撃艦隊
榛名 長門 飛龍 木曾 神通 夕立

■第一次主力護衛艦隊
リコリス 那智 川内 北上 時雨 Bep

■第二次主力防衛艦隊
蒼龍 龍驤 金剛 伊勢 ポート プリンツ


大淀「今、名前の挙がった方々は適時準備を整えて再度出撃をお願いします」

提督「防衛艦隊は抜錨後、近海を哨戒しこの鎮守府への侵攻を抑えてくれ。それ以外の艦娘たちは鎮守府を中心
に外周を固めるように布陣し、要塞の体を成せ」

智謀「各ポストは提督大佐を除いた私達三名の提督で統括し、随時指揮を行き渡らせる」

先輩「皆、これが最後よ。全力を出し切りましょう」

不動「終わったら盛大に騒げ!」

提督「よし、行くぞ。これより最終作戦を開始する…この戦いで全てを終わらせるぞ。お前たちの秘めた想い、
ありったけの思いをぶつけてやれ!全艦娘、突撃せよ!暁の水平線に、勝利を刻め!!」

艦娘達「「了解!!」」


数々の苦難を乗り越えて、ついに最後の決戦が幕を開ける。

敵は元海軍の中将、新鋭提督。

人が人為らざる者へと変貌を遂げる時、人はそれを怪物と呼ぶ。

怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になる事のないように気をつけなくてはならない。

人と怪物は常に表裏一体であり、ならない為に、打ち勝つ為に、その障碍を超える為に、確固たる意志力とその

意志力を貫き通す強い信念をもって挑まねばならない。

秘めた決意と志した信念、その先にある未来を夢見るのではなく掴み取るべく、彼女達は最後の戦いに身を投じる。

641: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 21:17:05.13 ID:2p+Q+d2/o



~暁の水平線に~



-もう一つの決戦-

大和「加勢に携わっておいて言うのも気が引けるのですが、先の戦闘でどうやらいくつか砲塔が拉げてしまって
いたようです。恐らく本丸の泊地棲姫には決定打となる一撃を見舞えないかもしれません」

ビスマルク「貴女、それ本気で言ってるの?」

大和「そういうビスマルクだって艤装ベコベコじゃありませんか。誘爆はやめてくださいよ?」プンプン

ビスマルク「こっちは多勢に無勢だったのよ!?」イラッ…

日向「……お前達、本当に元帥直属の何某なのか?」

大和「失礼な!」

ビスマルク「何よ!」

飛鷹「伊勢と日向を見てるみたい…」

阿賀野「戦闘に集中しようよー!」

泊地棲姫?「ゴチャゴチャとウルサイ連中だ。纏めて沈めッ!!」ドォン ドォン

大和「誰が…」

ビスマルク「誰を…」

二人「「沈めるって!?」」ドォン ドォン


ボゴオォォォォォン


飛鷹「きゃっ」

阿賀野「わぷっ」

日向「くっ…!なんて爆風だ」


いがみ合っている二人の間に打ち込まれた泊地棲姫の一撃は、咄嗟に反応した二人の息の合った砲撃により空中

で全て誘爆し合い盛大な大爆発と爆風を周囲に巻き起こす。

642: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/27(土) 21:42:21.67 ID:2p+Q+d2/o
大和「傷心浸る暇もない…少しは労わって欲しいものですけど!?」

ビスマルク「祈る時間くらいくれてもいいんじゃないかしらね!?」

飛鷹「あの二人居れば、私達必要なさそうね」

阿賀野「えぇ!?」

日向「呆けてる場合か、攻勢に出るぞ!」

泊地棲姫?「茶番ハ必要ナイッ!」ダッ

日向「ゴチャゴチャと煩いのはお前も一緒だ。亡霊に過ぎないお前では私達の相手にもならない」ブンッ


ドゴォッ


泊地棲姫?「グッ…!」ザザザッ


日向の振るった拳は泊地棲姫の胸部を殴打し、その勢いを後方へと押し戻す。

その硬直を見逃さず、飛鷹も一気に仕掛ける。


飛鷹「さっさと終わらせてやりましょうか!攻撃隊、発艦開始!」ヒュン ヒュン

泊地棲姫?「艦爆隊…ッ!」ザッ


飛鷹の放った艦載機に合わせて泊地棲姫が艤装を上空へ向ける。

それを援護するようにビスマルクを狙っていた多数の深海棲艦が一斉に襲い掛かってくるが、それを今度こそ二

人の艦娘、大和とビスマルクが迎え撃つ。


大和「この場の決戦に無用な横槍は野暮でしょう」ジャキッ

ビスマルク「邪魔立ては無用だ!」ジャキッ

大和「ビスマルク、残りの残弾は…」

ビスマルク「それを聞くのは野暮じゃないかしら」

大和「ふふ、それもそうね。考えてる余裕なんてないわよね」

ビスマルク「その通りよ、さぁ、見せてあげようじゃない。私と貴女、元帥直属護衛軍の第一第二艦隊の旗艦が
揃うとどうなるのか…」

大和「そうですね。戦艦大和、突撃します!」

ビスマルク「一匹たりとも決して逃がさないわよ!」

647: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/28(日) 22:45:27.79 ID:qFKmiIkno
日向「空ばかり見上げてどうするつもりだ!」ジャキッ

泊地棲姫?「ッ!?」

阿賀野「安らかに、眠って!」ジャキッ

飛鷹「いけっ!艦載機の皆!」サッ

泊地棲姫?「オノレ…!」ドォン ドォン


艤装を構え、その砲身を泊地棲姫へと向ける日向と阿賀野、艦載機を操り攻撃を仕掛ける飛鷹、周囲に群がる深

海棲艦の残党は大和とビスマルクの二人が塞き止めているこの状況下、多次元からなる波状攻撃に、泊地棲姫は

完全に虚を突かれ放たれた砲撃は全く照準からずれた明後日の方へと空を切る。


ボゴオオォォォォン


そこに合わせる様に飛鷹の放つ艦載機の攻撃が一斉に上空から嵐の如く降り注ぐ。


泊地棲姫?「ウグッ…!まだ、だ……ッ!」ググッ 中破

飛鷹「もうっ、なんて装甲よ…!」

阿賀野「能代たちの無念、晴らすんだから!阿賀野の本領、発揮するからね!」ドン ドン


ボゴオォォン ボゴオォォォン


泊地棲姫?「こんな、トコロで……ワタシは、沈まんッ!!」 大破

日向「いや、終わりだ。航空戦艦の真の力、思い知れ!」ドォン ドォン

泊地棲姫?「……っ!マタ、沈むの、か……水底へ……」


ボゴオオオォォォォォン


泊地棲姫?「…………」

日向「…さらばだ。大破着低、お前の無念は私が汲み取ろう」

泊地棲姫?「ワタシモ…モドレルノカ?」

日向「どこにだ」

泊地棲姫?「アオイ、ウミノ、ウエニ……」

日向「願え…願う事は、全てに平等だ」

泊地棲姫?「……ソウカ…ソウイウコトダッタ…ノカ……」 轟沈


静かに沈んでいく泊地棲姫の表情は、今わの際に至って苦悶には歪まず穏やかな表情で深海へと誘われていった。

日向はその場で静かに瞳を閉じて短い黙祷を捧げゆっくりと踵を返す。


日向「…さぁ、行こうか」

飛鷹「ええ、大和達の援護しないとね」

阿賀野「うん!」

648: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/28(日) 22:52:05.72 ID:qFKmiIkno
-孤軍奮闘-


ドオオォォォォン ボゴオオォォォォン


ピーコック「……っ!」 被害軽微

フェアルストCL「思いの他、ヨク動くワネ」

レ級EL「ボク等必要?」ニヤニヤ

榛名CL「逃げの一手に集中しているようです」

??「哀れね。啖呵を切った割に、動きが消極的」

水鬼「アラアラ、辛辣…」クスクス…

駆逐棲姫「…………」

レ級EL「やっぱさぁ、これじゃ遊びにもならないジャン?っていうかなってないし。ククッ、ジャンケンで勝っ
た二人で相手してさぁ、負けたら交代ってのもいいんじゃないの?」

榛名CL「どちらでも構いません。殲滅が最終目標ですから」

??「くだらないわ。相手をしなくていいと言うのなら、私は相手をしないだけです」

フェアルストCL「まどろっこシイノは嫌いナンダけど…」

駆逐棲姫「ワタシの攻撃、殆ど彼女にハ当たらナイから、パスする」

レ級EL「アッハッハ!そう言わずにさぁ、ボクだってここまで成長したのにさぁ、殆ど出番ナシだったんだよ?
先陣切ってった連中アッサリ負けちゃうし、はじめっからボクを出してりゃ良かったのにねぇ…」

ピーコック「ゴチャゴチャ煩いわね。纏めて風穴開けて上げるわ!」サッ

レ級EL「む…?」

ピーコック「第一群、第二群…艦攻艦爆隊、全機発艦…っ!」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

水鬼「アラ……」

??「…………」

レ級EL「ウッヒャー、やっばいね、あの数!」スッ… ヒュン ヒュン

水鬼「やらせは、シナイヨッ!」サッ… ヒュン ヒュン ヒュン

??「…問題ないわ」ビュッ… ヒュン ヒュン ヒュン


ボゴオオォォォォォォン


ピーコック「…くっ!」 パラパラ…


ピーコックの放った数多の艦載機をレ級EL、空母水鬼、白と黒の袴姿の艦娘の三人が放った艦載機で迎撃する。

上空で迎撃されたピーコックの艦載機の残骸が無残にも驟雨の如く降り注ぐ。

649: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/28(日) 22:58:33.83 ID:qFKmiIkno
ピーコック「私の艦載機をこうも容易く…」

??「触れれば倒せます。貴女の艦載機はその程度、という事です」

水鬼「所詮一匹、後ニモ先ニモ何もナイんだから、潔く散りナサイ」

ピーコック「後に何もないのは反論がないわ。けど、先には見えるものがある。私はそれを掴み取る為にここに
いるのよ。邪魔はさせない…!」

レ級EL「そうやって粋がってるのを邪魔して、弄って、グチャグチャにしてやるのがボクのオ・シ・ゴ・ト♪」

ピーコック「深海棲艦の誕生過程で生まれた突然変異種、戦艦レ級。快楽と食欲が共存してるだけでこうも変わ
るものなのね。更に【食べる】事で学習力を増す…」

レ級EL「ボクに許された特権ってヤツだよ。お前を食えば、ボクは更なる高みへ上れる気がするよ」

ピーコック「フラグシップ型にでもなるつもり?一周回って木偶以下の馬鹿に成り下がらなければいいけどね?」

レ級EL「一々癇に障る言い回しをするね、お前…」

ピーコック「あら、ごめんなさい。地なのよね、これが…」クスッ…

レ級EL「リコリス達が従えてたポンコツと同列に見るなよ。ボクこそが…最上位なんだからさぁ」

ピーコック「…………」

レ級EL「これから始まるのは…ただの殺戮だ。強者が弱者を踏み躙る。圧倒的な力で、一方的に、これこそが!
ボクがボクである所以…ッ!生き延びたいのなら勝ち残れ!諦めたのなら潔く食われろッ!弱肉強食ッ!!それ
が全てで、それこそがこの戦いの根本なんだよ!!」


今までを振り返っても戦艦レ級の築き上げた恐怖は大本営を始めとし、全ての鎮守府で畏怖される対象となった。

それを支え続けた一つの権化とも呼べる明確な理由……それこそが『力』だ。

力で捻じ伏せ、力で圧倒し、力で従える。

恐怖で人の心を支配する。この場合、他の深海棲艦が彼女に付き従うのもこれが理由なのではないのだろうか。

そして今、ピーコックの眼前に居る彼女こそ、数多存在したレ級の頂点。

異常なそう度で進化を遂げ、異常な速度で増殖する。一種のウィルスにも等しいこの存在。

何故、新鋭はこの戦艦レ級を数を限定して生み出したのか。

理由は先にも述べた力のバランス関係が最も大きいだろう。

リコリス達上位の深海棲艦にも劣らない知能を持ち、更にそれは加速度的に成長し、ある一定を超えたところで

枷が外れて暴走する。

自らを飲み込みかねない諸刃の刃。扱いを間違えた瞬間、待ち受けるのは死。

それでは何も残りはしない。故に調整し、実験し、然るべき方向へと意図的に新鋭は導いた。

そうして完成した戦艦レ級。

圧倒的な力、圧倒的な武装、圧倒的な速度、それらは捕食と言う行為によって倍加されていく。

まさに、これこそが人の姿を象った悪魔が生み出し、そして作り出した化け物と言う名の『力』の正体だ。

650: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/28(日) 23:20:28.96 ID:qFKmiIkno


──その戦いに終止符を打つために立ち上がったのがそいつだ。その誇りは決して沈ませる訳にはいかない──


レ級EL「……!?」

新鋭「……提、督っ!」


海原に響き渡った声に逸早く新鋭がその眼差しを向けて忌々しげに睨み付ける。

編隊を成して新鋭達の前に、ついに榛名達主力艦隊が追いついた。


ピーコック「……遅いのよ、このノロマ」

リコリス「貴女……まさか、ピーコックなの…!?」

提督「随分とスッキリしたじゃないか、ピーコック。正直驚きだ…っていうより、色白は変わらんな?」

ピーコック「うるさいっ!」

提督「へぇへぇ…それよりもイムヤたちの件、感謝する。それも含めて、ここからは俺たちも加わろう」

ピーコック「」ニコッ…

新鋭「次から次へと、よくもまぁこうも邪魔してくれるわね…提督大佐」

提督「どうもそういう星の下に生まれたみたいでして、新鋭『中将殿』」

新鋭「口の減らないクソガキが…そのふざけた口を今度こそ閉ざして上げるわ」

提督「ふざけてるのはそっちでしょう。ガキじゃあるまいし、癇癪起こしていい年した年増ババァがピーピーと
耳障り極まりないっすよ。躾け、し直して上げますよ。海軍式でね」

榛名CL「…新たに敵を確認しました」

??「…目障りね」

駆逐棲姫「新手…?」

水鬼「ソウみたいね」

フェアルストCL「ならば殲滅スルのみダ」

レ級EL「纏めて食い散らかしてやるッ!」

651: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/28(日) 23:27:45.11 ID:qFKmiIkno
-決戦-

榛名「わた、し……?」

飛龍「あっちの袴姿のって、加賀…!?」

榛名CL「標的、確認しました。榛名、全力で参ります」ジャキッ

加賀CL「鎧袖一触よ。全てを薙ぎ払ってあげるわ」サッ


フェアルストCL「沈みたいヤツから掛かってキナサイ」

リコリス「つれナイ台詞ネ」

ピーコック「貴女と私じゃ艤装が被ってるのよ。不得手になるんじゃないかしら?」

リコリス「アラ、そうでもナイかもしれないジャナイ?それにシテも、貴女…」

ピーコック「何よ…」

リコリス「艦娘になってるのはいいとして、その服装は変わらないのね」

ピーコック「……気に入ってるのよ。どーだっていいじゃない」


レ級EL「選り取り見取りだなぁ、どれから食おう……」


ボゴオォォォォン


レ級EL「ッ…!誰よ!」

長門「挨拶代わりだ。邪険にせず受け取っておけ」

レ級EL「お前……!」

長門「いや何、どうもその顔を見ると力が入ってしまってな。否が応でも、胸が熱くなるっ!」


水鬼「ワタシの相手はダレなのカシラ?」

木曾「そう喚くなって、きっちり三枚に卸してやるからよ」

那智「俗物め…貴様に先は無いと思え」

水鬼「たかが雷巡と重巡ノ二人で、ワタシを倒す気デいるの?」

木曾「おいおい、算数もできねぇのか?」

神通「……軽巡では数にも入りませんか」

水鬼「フッ…ハハハッ!いいえ、アナタ達のコトはシンエイから聞いてるモノ…間合いノ取り方、立チ振ル舞イ…
ホント油断も隙もナイわね」

那智「で、潔く雷撃処分を受けるか否かだが…」

水鬼「フフッ…空爆ノ嵐デ、即鉄屑に変えてアゲルわ」


駆逐棲姫「……」

川内「いやぁ、随分と他とは違って大人しい深海棲艦だねぇ」

駆逐棲姫「…ダカラ、軽巡と駆逐艦デモ大丈夫、トデモ思った?」

Bep「……」

夕立「……」

駆逐棲姫「認識ヲ改メテ…死んで?」

Bep「イムヤ達のやられた分はキッチリ返すよ」

駆逐棲姫「……?」

夕立「悪夢を見せて上げるって事っぽい!」

駆逐棲姫「ハァ…無駄なのに…」

656: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 20:54:28.28 ID:o+xMsSm1o
提督「……」

新鋭「手間が省けたわ。何かとチョロチョロ嗅ぎ回ってくれて、目障りだったのよ」

提督「嗅ぎ回るだなんて人聞きが悪いっすね。散々人の古傷や大事なものを穿ったり穢したり、やりたい放題し
てくれた人が言う台詞とは思えませんよ。艦娘を使った非人道的な人体実験、人間を使って深海棲艦の細胞とを
組み合わせる生体研究…その過程で恐らくは生まれたであろう戦艦レ級…」

新鋭「それを私がやったであろう事を裏付ける証拠でもあるのかしら?」

提督「残念ながら自ら順次綺麗にお掃除してくれてなぁんにも残ってませんよ。貴女と言う存在以外にはね」

新鋭「私の自白頼み?あははははっ!馬鹿じゃないの…例えそうだとしても言う訳ないでしょ」

提督「言い回しが一々芝居がかってるのが癇に障りますね」

新鋭「…なんですって?」

提督「つまりお互い様ってことでしょ。あの時の借り、ここできっちり返しますよ」トントンッ


三度に渡り見えた提督と新鋭。

一度目は大本営で、二度目は鎮守府で、そしてこれが三度目にして最後。

提督は以前に新鋭に切り付けられた肩を自らの拳で叩いて示す。


提督「海軍艦娘運営法に基く違反行為第一条、叛乱罪」



党を結び艦娘を兵器として執り叛乱をなした者は次の区別に従って処分される。一つ、首魁・死刑。一つ、本来

の目的とは異なり明らかな叛乱の意図が認められる謀議に参与し、またそれに伴い艦娘を先導・誘導しこれを指

揮した者は死刑・無期、または五年以上の懲役。または禁錮とする。

また叛乱をなす目的で党を結び兵器、資材その他艦娘に供する物を却掠した者は、上の例に同じく処分される。

上の罪の未遂も罰せられ、また予備、陰謀は一年以上の有期の懲役または禁錮。予備、陰謀をなした者が未だ事

を行なわない前に自首したときはその刑を免除される。

また、海軍における鎮守府、艦娘、資材、弾薬その他軍用に供する場所、建造物その他の物を掠奪・破壊・間諜

する及びそれに当たる幇助をした場合、これらの行為をなした者は死刑。

(一部文章を Wikipedia:反乱罪 の頁より抜粋、文字を一部変更して掲載)
(※当然ながら存在・実在しない刑法です)


新鋭「…くだらない」

提督「建前ですよ。貴女を俺は決して殺さないし、死刑にもさせない」

新鋭「なんですって…?」

提督「皆が苦しんだ分、きっちり苦しみ抜いて貰わないと気が済みませんからね…」ニヤッ…

新鋭「この、クソガキ……ッ!」

657: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 21:18:47.82 ID:o+xMsSm1o
-川内・夕立・Bep vs 駆逐棲姫-

駆逐棲姫「やらせは…シナイよ…ッ!」ザッ

川内「こいつ…!」

夕立「は、速い…!」

Bep「くっ…」

駆逐棲姫「落チロッ!」ドン ドン


駆逐棲姫には足がない。

それを補うようにして下半身は太ももから下が深海棲艦のパーツで補われ、返ってそれが俊敏な動きを更に上げ

ていると言っても過言ではなかった。

しかもそれだけ速く動きながら射撃の腕も殆どブレない。

棒立ちでは確実に蜂の巣にされる。


ザバアァァァァン ザバアァァァァン


川内「くっそ…!」

Bep「私が引き付ける」

夕立「左右から同時に行くっぽい!」サッ

Bep「了解だよ」サッ

駆逐棲姫「ドンナ手でこよウト、同じダヨ」サッ


川内を正面に残し、夕立とヴェールヌイの二人が左右に分かれて展開する。


川内「よし、行くよ!」ジャキッ

夕立「うんっ!」

Bep「いつでもいける」

駆逐棲姫「小賢シイ…!」


ドン ドン


駆逐棲姫「コノ…程度…ッ!」サッ グッ


ボボボボボンッ



658: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 21:35:29.51 ID:o+xMsSm1o
前後の緩急だけで川内の一撃をやり過ごし、駆逐棲姫が前傾姿勢を取る。

力を溜めて、蓄積された力をバネに変えて一気に間合いを詰める作戦だ。


ボボボボォォンッ ザバアアァァァァァン


駆逐棲姫「……ッ!?」


飛び出そうとしたまさにその時、前方に砲撃が着弾して大きな水飛沫を生み出す。

更に真横からヴェールヌイが主砲を構えて躍り出す。


駆逐棲姫「キサマ…ッ!」

Bep「ウラー!」ドン ドン

駆逐棲姫「くっ…!」サッ


咄嗟に両腕を交差させて衝撃に備える。


ボゴオオォォォォン


至近距離からのヴェールヌイの一撃、手応えはあったと彼女自身も確信を得る。

しかし、それら自信を覆すが如く、多少の擦り傷程度と言わんばかりの姿で駆逐棲姫は爆煙の中から姿を現す。


駆逐棲姫「…種別が同じダカラって、キミ達みたいなのと一緒にサレるのは心外ダヨ」 被害軽微

Bep「なっ…!」

夕立「それなら…!」バッ


反対方向から猛進する夕立は両手に持つ魚雷を同時に海面に向けて放つ。

それと共に艤装を持ち替え、主砲を駆逐棲姫へ差し向けた。


夕立「夕立の戦い、見せて上げる!」ジャキッ

駆逐棲姫「敵わナイと解っててクルの?ただの馬鹿ネ」


ドン ドン


主砲を撃ちながら夕立は左右に身を揺さぶりながら相手の照準を外す動きで駆逐棲姫へ迫る。


ボボボボンッ


バシュンッ……ボゴオオォォォン



659: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 21:53:43.43 ID:o+xMsSm1o
夕立の砲撃を片手で蹴散らし、海面から迫る無数の魚雷を身体を逸らして回避する。

空中へと姿を現した魚雷は停止した宙で大爆発を起こし、辺りに熱風を奔らせる。

駆逐棲姫はそれを物ともせずに態勢を正して身体ごと夕立に向き直る。

しかし速度を緩めない夕立の姿勢に、初めて駆逐棲姫の顔色に変化が生まれた。


駆逐棲姫「接近戦…!?」

夕立「夕立、突撃するっぽい!」

川内「…あいつの装甲、伊達にお姫様名乗ってないね。私達の中距離からの砲撃じゃビクともしなそうだ」

Bep「川内や私達駆逐艦の十八番まであと少しだよ」

川内「相手にとっても条件は一緒…なら、やる事は一つだね」

Bep「了解だよ」ザッ

駆逐棲姫「コイツ等…!」


夕立に続きヴェールヌイもその距離を一気に詰めて接近戦に持ち込む。

左右に夕立とヴェールヌイ、正面に川内。

その陣形は崩さず、間合いだけを徐々に狭めていく。


駆逐棲姫「鬱陶シイ…ッ!!」ドン ドン ドン ドン


バシャアアァァァン ボボボボンッ


これ以上の接近を許すまいと周囲へ向けて駆逐棲姫が一斉射を行うが、それを掻い潜り更に三人は間合いを狭め

る為に接近を試みる。

危険を犯してまでそうするのには幾つかの理由がある。

一つは駆逐棲姫の尋常じゃない装甲。

戦艦クラスに匹敵する装甲を持つ駆逐棲姫を相手に、中距離からの軽巡、駆逐艦の砲撃では決定打を与えれない

と三人は気付いたのだ。

残弾がなくなるまで撃ち続けようと、これでは付け焼刃でしかない。

更に駆逐艦特有の俊敏な身のこなし。

単発で捉えた所で先の装甲が理由となり決定打には程遠くなり、かといって無闇に近付けばあの瞬発力から繰り

出される攻撃や砲撃に一溜まりもない。

確実に沈めるにはどうすればいいか……そこに至って最後の一つ、それが夜戦だ。

闇に乗じ、死角を衝いての強襲作戦。

大物食いを成すには度胸と覚悟、それを行う絶好のタイミングを判断する決断力が物を言う。

彼女達にとってそのタイミングは夜戦以外にありえない。

今は夕刻手前、地平線に太陽が沈みかけて間も無く辺りを照らすオレンジの光が閉ざされる。

太陽の加減を見て、川内の眼がスッと細く鋭くなる。

余分な音が排除され、神経が研ぎ澄まされていく。

川内は以前提督に何故夜戦に拘るのか、と聞かれた事がある。

身内の演習で羽黒にはそこで活躍の場を見出すためだと答えた彼女だったが────

660: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 22:47:13.32 ID:o+xMsSm1o
提督「よくこんな暗い中で的確に動けるもんだな」

川内「探照灯や照明弾使えばもっと命中率上がるよ!」

提督「ホント、お前等姉妹は特異だな」

川内「へ?」

提督「神通といい、お前といい…俺から見ると、どうにも元気が空回りしているようにしか見えないんだがな…」

川内「何それ…」

提督「色々、って言っても大したもんじゃないが、ここに来る前にも何人か軽巡型の子たちには会った事がある。
勿論、夜戦が得意だって子も居たは居たが…正直、お前は異常だ」

川内「……」

提督「で、色々と考えてお前たちを観察してて辿り着いた一つの結論だがな……献身、だろ?」

川内「ぇ……?」

提督「なんだ、自分で気付いてないのか。お前は仲間や妹の神通を守る為なら喜んで前に出る。中でも夜戦はそ
の行為を最大限に生かせるお前の土俵だ。先陣を切って自ら的になり、自らの手で制圧する。以前に金剛たちと
戦ったときの神通もそうだった。だが神通の場合は献身なんて生易しいものじゃない…あいつは、自らを犠牲に
すらする。境遇が反転してそうさせているのかもしれないな。今まで役に立てなかった、役に立てないって思っ
てきた自分がやっとその意味を見出せた。だからこその犠牲…」

川内「はは…そんな風に、考えた事もなかったよ。純粋に、私は夜戦が好き…って、思ってただけなんだけど…」

提督「まぁ、そうだろうな。献身的で犠牲的、姉と妹でこうも違うもんなんだな。お前は全て自分で成そうと、
周りを傷付けさせまいとし、神通は己の身を楯にしてでも全てを守り抜こうとする」

川内「……」

提督「一つの信念を括った奴は本当に強い。その信念を圧し折ろうと思ってもこっちが生半可な覚悟じゃビクと
もしないからな。けどな、覚えておいてくれ。一人で抱えれる量には限界がある。だから、周りを見ろ…お前の
周りには多くの仲間が居るはずだ。だから分担して皆で抱えろ、支えろ、補い合え。そうすれば、今よりもっと
お前は輝ける」


丸い太陽が地平線の向こう側へ沈み、辺りを闇が覆い始める。

三人が三人とも散開して照準を絞らせなかったのが功を奏し、ほぼ万全に近い態勢でこの瞬間を迎えられた。

川内の口角が薄っすらと釣りあがり、細めていた眼は限界まで見開らかれる。

この瞬間より、彼女達の作戦が開始される。夜戦強襲。

661: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/29(月) 22:59:07.68 ID:o+xMsSm1o
川内「────さあ、私と夜戦しよ?」サッ

夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」バッ

Bep「信頼の名は伊達じゃない。追撃する!」スッ

駆逐棲姫「……!マサカ、夜戦に持ち込むタメに…!」


一斉に闇に乗じ、三人の姿がそこから忽然と消える。


パッ……パパパッ


そんな中、一箇所に明かりが灯る。


駆逐棲姫「馬鹿メ、そこか…!」ドン ドン


ボボボボボンッ


探照灯による明かりを頼りに駆逐棲姫が砲撃するも、それはあっさりと回避される。


パァァァァン


駆逐棲姫「クッ……な、今度ハ一体…!?」


探照灯の明かりが消えた直後、今度は自身の周囲に明かりが灯る。

その明かりの切れ端に一瞬、夕立の姿が映るが明かりは直に消えて辺りには再び闇が広がる。

そしてその直後、何処からともなく声が響く。


──夜はいいよねぇ、夜はさ──


駆逐棲姫「……ッ!ドコから…!」


カカカッ


駆逐棲姫「……ッ!」


ボゴオオォォォォン


駆逐棲姫「ウグッ…!」 小破


飛び道具として改良された投擲型の爆雷。

川内が最も夜戦で愛用する固有の艤装だ。

665: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 21:05:15.56 ID:XSxe8N1lo
川内「条件は五分と五分…けどさ、この領域じゃ私は絶対に負けない。負ける訳にはいかないんだよ。この身を
盾にしてでも守りたい仲間が居るから…!誰一人、私の前じゃやらせないよ!」

駆逐棲姫「キサマァ…!」


ボゴオオォォォォン ボゴオオォォォォン


駆逐棲姫「グッ…!」 中破

夕立「守られてるばかりじゃないっぽい。駆逐艦だって、私たちだって意地がある!」

Bep「守ってもらってばかりじゃないさ。私たちだって、守ってみせる!」

駆逐棲姫「何故、コウモ狙い違ワズ、こちらヲ……」

夕立「気付けないならそれまでよ。さぁ、素敵なパーティしましょう?」バッ

Bep「君を沈める」サッ


闇の中、声だけのやり取りが終わり二人の気配がその場から消える。

ここまで駆逐棲姫が混乱を見せたのは幾つかの理由があった。

一つは夕刻から夜へと変わった直後、眼が慣れきってないところ、その直後にヴェールヌイが探照灯を使い明る

さを誤魔化し、闇の深さを増加させた事。

厳密には駆逐棲姫の眼を即座に闇に慣れさせない為の囮だ。

更にそこから夕立が照明弾を発射し、駆逐棲姫の場所を明確にする。

極め付けが川内の放っていた夜間偵察機だ。

これの援護も手伝って、川内は駆逐棲姫の居場所をキッチリ把握した上で投擲型爆雷を放つ事が出来たのだ。

そして、その恩恵は既に闇に眼の慣れた三人を更に後押しする。


ザァァァァァ……


駆逐棲姫「」(音…これハ、波ノ音…クルッ!)


ビュオッ


駆逐棲姫「え……?」


駆逐棲姫の横を凄まじい速度で何かが過ぎ去る。

しかし未だ闇に眼の慣れない彼女はそれが何なのか認識すら出来ずに小さく声を漏らすだけだった。

そしてその直後、耳元で聞こえた声に駆逐棲姫の動きが止まる。

666: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 21:19:10.58 ID:XSxe8N1lo
夕立「まず何から撃とうかしら?」

駆逐棲姫「ッ!?」バッ


一瞬の硬直の後、咄嗟に身を翻し声のした方からは遠ざかるように間合いを取ろうと動き出す。

しかしその先に待ち受けているのはヴェールヌイ。


Bep「無駄だね」ドン ドン

駆逐棲姫「ナッ…!?」


ボゴオォォォォン


駆逐棲姫「ガッ……くっ、コノ、程度…ッ!」 中破

夕立「ごめんね。けど、私達も負けられないっぽい」ジャキッ

駆逐棲姫「勝った気に、ナルナッ!!」ジャキッ


ドン ドン ドン ドン


互いの砲撃音が重なり、暗闇に一瞬火花が散る。


ボゴッボゴオォォォォン


二つの砲撃音が重なり合い、再び互いの周囲を一瞬照らし出す。


夕立「くっ…!ハンモック張ってでも、戦うよ!」 中破

駆逐棲姫「痛いじゃ、ナイカ…ッ!」 大破

Bep「なんてタフなんだ」

駆逐棲姫「マダだ…こんな、ワタシは…こんな場所デ、沈まナイ…ッ!」

667: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 21:29:29.82 ID:XSxe8N1lo
川内「悪いけどここまでだね。私達もさ…ここで躓く訳にはいかないんだよ」チャキッ


ザァァァァァァ……


駆逐棲姫「姿が、見えナクても…音で位置ナラ、解る…!」バッ

川内「それだけで夜戦を語ってもらっちゃ困るなぁ」サッ

駆逐棲姫「落チロ!落チロッ!!」ドン ドン


ヒュン ヒュン……ボゴオオォォォォン


駆逐棲姫の放った砲撃は空を切って何もない海面を叩き割る。

その一瞬を衝いて川内は爆発音に乗じ駆逐棲姫の背後に回り込む。

だがその気配を察してか、駆逐棲姫は敢えて振り向かずに口元だけを釣り上げて静かに笑う。


川内「……!」バッ

駆逐棲姫「……ワタシが気付いてナイとでも、思ってイタのかッ!!」クルッ ジャキッ

川内「…気付いてるのは解ってたよ。カウンターって奴さ!」グッ


ドン ドン ビュッ…ジッ


ボゴオオォォォォン


駆逐棲姫の砲撃直後、まさに砲撃が放たれたその直後、身を捻って川内は射線軸を逸らし紙一重でその砲撃を回避する。

そして突進の勢いは殺さないまま、すれ違い様に進行方向に背を向ける様に更に身を捻って手に構えていた魚雷

をそのまま直接、駆逐棲姫へ向かって放った。


ヒュッ…


駆逐棲姫「…!?か、かわシタのかッ!?バカな……」


ガッ…


駆逐棲姫「ハハッ…冗談、デショ…」

川内「悪いね、終わりだよ」

668: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 21:30:02.35 ID:XSxe8N1lo


ボゴオオォォォォォン


ザザザッ


駆逐棲姫「……クッ……」


サァァァァ……


川内「月…?」

夕立「わあ…」

Bep「…ハラショー」


戦闘の終わりを告げるかの様に、雲に隠れていた月が辺りを仄かに照らし出す。

ボロボロになりながら、静かに沈みゆく駆逐棲姫はただ静かに天を仰いで空に遍く星々と月を見上げる。


駆逐棲姫「アァ……ツキガ…月が、きれい……」

川内「…ごめんよ」

夕立「せめて、安らかに眠って欲しいっぽい」

Bep「…ダスビダーニャ。また、いつか…」

669: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 22:16:11.04 ID:XSxe8N1lo
-木曾・神通・那智 vs 空母水鬼-

木曾「イムヤ達を『カンゲイ』してくれたそうじゃねぇか」

水鬼「アァ、あの潜水艦娘達?バカよねぇ、潜ってレバ良いのに、ワザワザ出てクルんだから…」

神通「彼女達の抱いた無念の分、清算させて頂きます」

水鬼「出来ルノ?脆弱な艦娘風情ガ…」

那智「脆弱かどうか、貴様の身をもって知れ」

水鬼「生意気ネ。そう言えば、ピーコックも何かヘンな言い方シテたわネ。未来がどうトカ…その先へアナタ達
も進みたい…ノカ?」

那智「ふん、私はただ眼前の敵を撃ち滅ぼすのみだ」

木曾「ああ、てめぇにきっちり落とし前付けた上で俺達は先へ進むぜ」

神通「出し惜しみはしません」

水鬼「そう……ナラ、やらせは…シナイヨッ!」バッ ヒュン ヒュン ヒュン

那智「制空権は無理だ。迎撃しつつ、空と海、両方に注意を向ける必要がある」

木曾「わーかってるよ」

神通「きます!」


バッ


三人は空母水鬼から放たれた艦載機に合わせて一斉に動き出す。


木曾「対空は任せろ!俺が迎撃する!」

那智「ふん、ならばやってみせろ!」

神通「お願いします!」

水鬼「朽ち果てルトいい…空爆ノ雨に全て焼かレテナッ!」


ブゥゥゥゥゥゥン……


木曾「へっ…別に騒ぐほどのこともない。俺は球磨型の木曾だ…俺の前に立ちはだかるヤツは容赦しねぇ」ジャキッ

那智「いくぞっ!」

神通「はいっ!」

木曾「うおらあぁぁぁぁぁっ!!」ダダダダダダダダッ

670: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 22:27:33.65 ID:XSxe8N1lo


ボボボボボボボボン


無数に飛来する空母水鬼の艦載機に木曽が対空砲火を浴びせかけ、それを合図とする様に両左右から那智と神通

が空母水鬼へ向けて駆け出す。


水鬼「ホラッ、撃ち漏らしヨ!」ヒュン ヒュン

那智「小賢しい!」

神通「押し通ります!」


ボゴオォォォン ボゴオォォォン


空爆の降り注ぐ中、那智と神通は左に右にと巧みに舵を取りながら速度を落とさず空母水鬼へ迫る。


那智「落ちろ!」ドン ドン

神通「そこです!」ドン ドン


間合いに到達すると同時に、二人の艦娘は声を揃えて同時に砲撃を開始する。


ヒュン ヒュン


ボゴオオオォォォォン


那智「なっ…!」

神通「そんな…」

水鬼「モノは使いよう、デショウ?」


避ける動作を微塵も見せないかと思えば、空母水鬼は自ら生み出した艦載機自身を盾代わりに砲弾の真っ只中へ

発艦させて砲弾に直撃させて誘爆、荒い手法で那智達の砲撃を制圧する。

その所業、まさに鬼。


那智「下衆め…」

水鬼「褒めテルのカシラ?」

神通「……」

水鬼「さぁ、次のに対処ガ出来るカシラ」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

那智「…木曾っ!」

木曾「っせー!やってやる!!」ジャキッ

水鬼「死になサイッ!」バッ


対空に備えて木曽が再び無数に空を舞う空母水鬼の艦載機を睨みつける。

だが次の瞬間────

671: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/30(火) 22:39:34.70 ID:XSxe8N1lo
神通「木曾さんっ!!」ダッ

木曾「……っ!」

水鬼「馬鹿面下ゲテ、そのまま沈みナサイッ!」ジャキッ


上空に注意を逸らされた木曾の眼前に空母水鬼が迫り、玉座のような深海棲艦特有の黒塗りの艤装、その砲塔が

木曾に差し向けられる。


木曾「こいつ、砲撃も…っ!」

水鬼「サヨウナラ」ドン ドン

神通「…させません!」ビュッ


空母水鬼の砲撃とほぼ同時に互いの間に割り込んだ神通が眼にも留まらぬ速さで腰に下げた武刀剣を一閃させる。

空母水鬼の放った砲撃、その全てを神通は捌いて対処する。


水鬼「ナッ…!?」


ボボボボボンッ


木曾「神通…」

那智「馬鹿共が…っ!」ダッ

水鬼「小賢シイ真似ヲ…けど、何か忘レテるんじゃナイかしら」ニヤッ…

木曾「…ッ!避けろっ、神通!!」

神通「……っ!」

水鬼「纏めて沈みナサイッ!」


ボゴオオオォォォォォォォォン


水鬼「フフフ…アハハハハッ!馬鹿ナ連中ね」

675: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:25:36.64 ID:4BpBRiSho


──これくらいの傷……なんてことは、ない──


水鬼「……ッ!?」


爆煙の中から響く声、やがて風に流され爆煙が吹き抜けて消え去った後には無傷の木曾と神通、そしてその二人

を守るように、前面に出て堪えた那智の姿があった。


那智「…詰が、甘かったな。深海棲艦…っ!」 中破

神通「那智さん…!」

木曾「お前…」

那智「……つくづく、貴様らの言う守るの意味が、私には理解しかねる。どれだけ守ろうと最後に立っていなけ
れば無意味だろう…何故、貴様らにはこんな真似が幾度も成せる……」

神通「一人で立てないなら、支えてもらえば良いじゃないですか」

那智「何…?」

木曾「その為の『戦隊』だろ。もっと仲間を信じろ。てめぇのケツ持ちくらい、何度だって請け負ってやる」

神通「ここからです」

木曾「あぁ、こっからだ。俺達の戦闘ってヤツをあいつに教えてやろうじゃねぇか」

那智「……ふっ、はは…そうか。なるほど…嫌いでは、ない。こういうのも、悪くはないものだ…」

神通「ふふっ」ニコッ…

木曾「へっ、素直じゃねぇヤツだぜ」ニヤッ

水鬼「目障リナ…」

木曾「神通、あいつの艦載機をまともに相手してたら日が暮れる。が、放っておくワケにもいかねぇ」

神通「武刀剣の破壊力なら、とも思いましたが…生憎あちらは間合いを取るのが上手です」

木曾「だろうな。けど、予想外の事態が起きればそれも狂うってもんだ」

神通「え?」

木曾「お前の武刀剣、俺に預けてくんねぇか。必ず役立てる」

神通「それは、構いませんが…」

木曾「んじゃ、説明する────」

676: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:26:48.77 ID:4BpBRiSho
北上「いいかい、木曾っち。頭はクールに、心はホット、だよ!」

木曾「んだよそのマンガみてぇな台詞はよ!」

北上「え、マンガの受け売りってよく解ったね」

木曾「まんまかよ!馬鹿なのか、てめぇは!?」

北上「まぁ聞きなって。案外私達には当てはまる言葉だったりするんだよね~」

木曾「ああ?」

北上「ほら、うちらって何だかんだで結構装甲はうっすいじゃない?」

木曾「ん、まぁ、な…」

北上「戦艦は愚か空母系や重巡、下手すりゃ軽巡の一撃やなんかでも結構怖いわけさ。だから、考えんのよ」

木曾「考えるだぁ?」

北上「そっ、どうしても劣っちゃう部分はあるわけだしさ、だったらその分は頭でカバーだよ、木曾っち」


木曾「────ねぇ頭で考えた策だ」

神通「…………」

木曾「伸るか反るかは任せる。失敗すりゃ俺らはお釈迦だ。少なくとも俺ぁ確実にやられちまう」

神通「ここまできて、伸るか反るか、なんて聞くまでもありません」

木曾「ははっ、野暮だったか。じゃ…頼むぜ、相棒」

神通「木曾さんの進む道、私が切り開きます」

那智「勝手に、話を進めるな…」

木曾「おまっ、無茶するな!」

那智「ほざけ…命を懸ける作戦に掛かろうとしてる仲間を、そのまま見す見すいかせるものか…!」

神通「那智さん…」

那智「新鋭に騙され沈んでいった同胞は少なくない…ここで、出ずして何が仲間だ!」

木曾「…だよな。ああ、その通りだ!俺ら三人、一蓮托生!やるなら三人、全員でやり遂げるっきゃねぇよな!」

那智「当然だ…!これは、この戦いは仲間たちの仇だ!追撃する!」

神通「はい…!」

水鬼「コソコソと…死ぬ順番デモ決めていたのカシラ?」

木曾「バァカ。てめぇを仕留める段取りとトドメ誰が刺すかで揉めてたんだよ。塩水で首でも洗って待っとけ!」

水鬼「…笑えナイ冗談はキライなの。死になサイ」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

那智「いくぞっ!砲雷撃戦、用意!!」

水鬼「お前達如きノ砲雷撃ナド、恐れるコトなど何モない!」

神通「次発装填済みです。これからです!」

木曾「言ってろ。てめぇに本当の戦闘ってヤツを、教えてやるよ!」

677: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:27:36.41 ID:4BpBRiSho


ドン ドン ドン ドン


那智の構えた主砲は空母水鬼を狙いに収め、微塵もその砲塔はブレずにピッタリと止まる。

そして木曾の咆哮と共に那智の手にする主砲が火を吹いた。

それに合わせるように空母水鬼の艦爆艦攻隊による空からの攻撃も開始される。

そして木曾と神通はそのどれにも気を取られず、ただ真っ直ぐに空母水鬼へ向けて進路を固定する。


水鬼「アハハハッ!味方を見捨てて、神風特攻デモ仕掛ける気ナノ!?」ヒュン ヒュン

木曾「……!」

神通「……」

水鬼「マダマダ……何度だって艦載機ハ放てるワ。無残に朽ち果てナサイ!!」


ボゴオォォォォン ボボボボボンッ


木曾「ちっ」

神通「…っ!」

水鬼「沈メッ!沈メッ!!」ヒュン ヒュン


ブゥゥゥゥゥゥゥン……


木曾「」(くそっ……俺の、俺の考えが甘かったのか…!)チラッ…


小さく頭を振って併走する神通を見やると、彼女は一瞬だけその視線に気付いて小さく笑って頷く。

その笑みと『大丈夫』という肯定を示す頷き、これだけで揺らぎ掛けた木曾の考えは再び礎を得て強く立つ。

その直後、後方から後押しする声と砲撃音が木霊した。


ドン ドン


ボゴオオォォォォォン


那智「進めッ!貴様たちの道、この那智が必ず切り開く!!」

神通「…そうです。そして私が、木曾さんが行く先を切り開きます!」グッ

水鬼「シブトイわね…!」ヒュン ヒュン

神通「この程度の苦難、何度だって超えて見せます!」バババッ

水鬼「ナッ…!?」(何だ、コノ艦娘の動きは…ソレニ……アノ、構えハ…)

神通「この戦いに、終止符を打ちます!」ビュッ


神通の構えは居合いのそれ。

しかし、武刀剣を振るう間合いでもなければ肝心の物は木曾に貸し与えている。

そう、神通が手にしているのは魚雷の発射管。

その動きに完全に虚を衝かれた空母水鬼は判断が遅れる。

678: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:28:06.36 ID:4BpBRiSho
水鬼「何か、クル…!?」


カッ


水鬼「バカな…!コイツ、魚雷ヲ……」


ボゴオオオォォォォォン


水鬼「グッ……!」 小破

那智「よしっ!」

水鬼「小賢シイッ!!」ヒュン ヒュン

神通「…っ!」


ブゥゥゥゥゥン……ボゴオオォォォォン


木曾「……ッ!」

神通「まだ、です…!まだこれからです…!!」 中破

水鬼「チィッ…!」

木曾「やっと…」

水鬼「クソッ…!」

木曾「ご対面だな────」


木曾「────至近距離まで近付けりゃ正直な所、打つ手はあると思う」

神通「ですがそれが至難です。制空権は十中八九向こうにあります」

木曾「あぁ…だから、悪ぃ…空爆を出来る限りひきつけて欲しい」

神通「…全く、突拍子もありませんね」

木曾「お前の速度で近付いてこられたら、あいつもお前に意識が集中すると思うんだ」

神通「その隙に側面から木曾さんが接近し、肉薄…武刀剣と砲撃の嵐を見舞うという事ですね?」

木曾「あぁ、完全に接近されたとなりゃあ、お前への艦攻艦爆も発艦させてあるもののみになる。お前も一気に
近付いてきたら完全にこっちのもんだ」

神通「憂いは…」

木曾「あぁ、艦攻艦爆の嵐を切り抜けれるか…でもって、意表を衝いた砲撃…隣接出来ても正直気は抜けねぇ」

神通「けど、このまま手を拱いている訳にも参りません」

木曾「ああ、やる価値はあるって思ってる。ねぇ頭で考えた策だ」

神通「…………」

木曾「伸るか反るかは任せる。失敗すりゃ俺らはお釈迦だ。少なくとも俺ぁ確実にやられちまう」

神通「ここまできて、伸るか反るか、なんて聞くまでもありません」

木曾「ははっ、野暮だったか。じゃ…頼むぜ、相棒────」


木曾「────恩に着るぜ、相棒共…!」スラッ…

水鬼「まだ…ッ!」ジャキッ


ズバッ


水鬼「ナッ…!?」

木曾「させっかよ。お前等と背負ってるもんがこっちはダンチで違ぇんだ。悪ぃがこっからは俺の独断場だ」

679: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:28:39.39 ID:4BpBRiSho
水鬼「ナメるな…!」

木曾「舐めちゃいねぇよ。だからてめぇの命を仲間に託すんだろうが…!言っとくが、この距離だったら否が応
でも外さねぇよ」

水鬼「バカが…!」ニヤッ ジャキッ

木曾「…ッ!」


ボンッ


神通「…っ!木曾さんっ!!」

那智「っ……!」


至近距離から木曾の死角になる部分より放たれた空母水鬼の一発の砲弾は木曾を直撃する。


ブンッ…


しかし、先に抜いた武刀剣とは別にもう一本、神通から預かり受けた武刀剣を抜き放ち、額から流血しながらも

木曽はその眼を真っ直ぐ空母水鬼へ向ける。

砲撃による衝撃でいつも隠している右目の眼帯も破け散り、その瞳が露になっている。


木曾「くくっ…ちょっとばかし涼しくなったぜ。けどなぁ……やれ滑走台だ、カタパルトだ、そんなもんはいら
ねぇな。戦いは、こうやって…敵の懐に飛び込んでやるもんよ。なあ?」ニヤッ… 中破

水鬼「寄ルナ…!」ブンッ

木曾「っと…へへっ、そうは問屋が卸さねぇってな」キンッ

680: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:29:07.75 ID:4BpBRiSho


両手に携えた武刀剣を目の前で交差させ、木曽が不敵に笑う。


木曾「なぁ、提督。武刀剣なんだけどよ、これ俺専用なんだろ?」

提督「ああ、夕張がお前に神通に利根に川内に、それぞれ長さ重さを調節して造った文字通り特注品だ」

木曾「そんじゃやっぱ他人の武刀剣借りるってワケにもいかねぇかー」

提督「はぁ?」

木曾「いやな?結構、この俺用にカスタマイズしてくれた武刀剣軽くてさ。この重量だったらちょいと魚雷管を
いくつか取っ払っちまえばもう一本持てっかなー、とか思ったワケよ」

提督「二刀流ってことか」

木曾「おう!」

提督「お前が言うほど二刀流ってのは簡単なもんじゃないぞ」

木曾「ああ?そうなのか?」

提督「まずは単純に刀を片手だけで安定させれるだけの筋力が必要だ。そして両手で構えるのとは違い、一発毎
に隙も生じやすい。それを補うためにもう片方の刀で追撃・防御と言った所作を考えて動かさなきゃならん」

木曾「なるほどねぇ…」

提督「二刀流に興味があるのか?」

木曾「んー、いやそういうワケじゃねぇんだけど、二本あったらつえーかなーって」

提督「ったく、お前はホント単純だな。それにしても…」クスッ

木曾「な、なんだよ!」

提督「いや、口の悪さとは裏腹に随分と食べてる物は女の子してるじゃないか」

木曾「っ~~~!うるせぇ!///」

提督「甘いの苦手じゃなかったのか?」

木曾「き、北上に押し付けられたんだよ!物は粗末にするんじゃねぇって伝えとけ!くそっ、甘すぎる!甘すぎ
て反吐が出るぜぇぇぇっ!!」

提督「…滅茶苦茶美味そうに食べるな」


木曾「やっぱデザートはチーズケーキに限るかぁ…へへっ、尚更こんな海のど真ん中で死んでらんねぇわ」

水鬼「ソンナ鉄のガラクタで何ができる…!」

木曾「てめぇを三枚に卸すくらいはできんじゃねぇかな。その掻っ捌いた艤装みてぇによ」

水鬼「キサマァ…!」ギリッ…

木曾「らぁっ!!」ブンッ

水鬼「クッ…!」サッ

681: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:29:34.56 ID:4BpBRiSho


バババッ


身体を捻り、回転するようにして両手に持った武刀剣を振り回しながら木曾が空母水鬼へ斬りかかるが、それを

なんとか空母水鬼は身を捩ってかわす。

さり気無く提督に相談をしてから今に至るまで、木曽はあらゆる重さの刀を実際に持って訓練を重ねた。

木曽は自身の性格をよく自覚していた。

まずは型に嵌った基本的な動作が疎かになりやすい事。

故に元となる型が存在するような構えを余り好かない。

神通のような居合いの構え、利根のような刺突の構え、どれも真似ては見たものの自分にフィットしなかった。

そして木曾なりに、どんな構え、どんな持ち方、どんな方法が自分にしっくりくるのか研究に研究を重ねた。

そして得たのが今の構え。

利き手となり力も入る右は順手、力はそれほどでもないが器用に扱える左は逆手に持つ型。


木曾「いくぜ?」ニヤッ


一拍置いて不敵に笑った木曾が海面を強く蹴り、空母水鬼の間合いに深く踏み込む。

それを空母水鬼は迎撃しようと迎え撃つ。


水鬼「寄るナァァァッ!!」ドン ドン


サッ スパァァン…


ボボボボン


木曾「狙ったら外さねぇ!」バシュンッ バシュンッ


武刀剣を振り抜いた硬直時間、その間に脇に構えていた魚雷数基から何本かの魚雷を発射し、即座にまた海面を

蹴って空母水鬼へ肉薄する。


木曾「おら、好きな方守れよ」ザッ

水鬼「コイツ…!」


ガシュッ ガガッ


木曾「…ッ!てめぇ…!」

水鬼「ノロマな魚雷を放ったノハ、失策だったみたいネ」ググッ

木曾「……ッ!!くそ、切り裂けねぇ…!」

682: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:30:01.95 ID:4BpBRiSho
水鬼「魚雷ノ一発や二発、死に目の褒美に食らッテあげるワヨ。ただし、アナタにも同席シテもらうけれど…!」

木曾「ちっ…!しょうがねぇか…」

水鬼「アラ…諦め早いワネ」

木曾「くくっ、その前にてめぇも何か忘れてんじゃねーのか」

水鬼「え…?……ッ!」キョロキョロッ


木曾の不敵な笑みに空母水鬼は何かを察して周囲を見渡す。

だがその時には既に木曾達の布陣は完成していた。


那智「渾身込めて全弾撃ち尽くす!」ジャキッ

神通「まだまだ…これからです!」ジャキッ

水鬼「しまっ……」

木曾「悪ぃな…この勝負、俺達の勝ちだ」


ドン ドン ドン ドン


神通「木曾さん…!」

木曾「構うな!」


ズバァッ


水鬼「ガアア……ッ!!」 中破

木曾「信頼できる仲間の一撃だ。タイミングくらいわかってるってんだ」

水鬼「キ、キサマ…まさか…!」

木曾「魚雷は囮、刀が抜けねぇのは芝居だ。残念だったな!神通!!」ダッ ブンッ


ボゴオオォォォォン


水鬼「オノ、レ…ッ!」 中破

神通「確かに…!」ガシッ ヒュンヒュン キンッ

那智「いけっ!」

木曾「決めるぞ!」チャキッ

神通「推して参ります!」スッ…


木曾に気を取られ那智と神通の動きを見落としていた空母水鬼は二人の接近に気付かず、三人の艦娘に易々と間

合いの中へと侵入を許してしまっていた。

極めつけは木曾の芝居だろう。

最初に放った魚雷、これは彼女が言っていた通りただの囮だった。

そして空母水鬼の艤装に深々と突き刺した武刀剣も、抜けない芝居をしたのも自身に空母水鬼の意識を釘付けに

させる為に打った一芝居。

結果として木曽に手一杯となっていた空母水鬼は那智と神通の存在を忘れる事となった。

そして矢継ぎ早に放たれた那智と神通の一撃、芝居をやめて一気に振り抜いた木曾の斬撃が空母水鬼を強襲し、

態勢を立て直すだけで手一杯となったところに木曾と神通が武刀剣を構え直して一気に駆け出す。


木曾「終わりだ、空母水鬼!」ビュッ

683: ◆vgbPh/qA6.0z 2014/12/31(水) 17:30:43.42 ID:4BpBRiSho


ズバァッ


水鬼「ガハッ!」 大破

神通「……」タンッ

水鬼「オノレ、オノレ、オノレ、オノレ……ッ!!」ジャキッ


ボゴオオォォォォン


水鬼「ガッ…!」

那智「させるか!」

水鬼「キ、サマ…!」


水鬼の構えた艤装を狙って那智が動きを封じ、その隙に神通が更に迫る。


神通「先へ、進ませて頂きます」

水鬼「……クソ……イイダロウ…進むガ…いいわ……」


ズバァッ


神通と空母水鬼が交錯し、そして空母水鬼が静かに水底へと沈んでいく。


キンッ


神通「……貴女の事を、私達は忘れません」

木曾「おら…」スッ…

那智「ふん…」スッ…

神通「ふふっ」スッ…


パァンッ


三人が三人とも片手を上げてハイタッチをする。


木曾「へへっ」

那智「ふっ」

神通「やりましたね」

690: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 20:29:15.47 ID:gAPve/dKo
-ピーコック・リコリス vs フェアルストCL-

リコリス「よもやコンナ展開になるナンテ…誰が想定したカシラね」

ピーコック「誰も想定できないわよ。予想外しかないんだから」

フェアルストCL「何故、我々ヲ裏切ル」

ピーコック「彼女と同じ成りと声でそういう事言わないでくれる?イラつくわ」

リコリス「生まれたバカリの赤子同然なアナタが、それを言うワケ?」

フェアルストCL「今更、話し合う余地ナドなかったと言うコトか」

リコリス「当然ヨネ」

ピーコック「余りフェアルストを穢さないで欲しいわ」

フェアルストCL「私ヲ、穢す…?」

ピーコック「って…まぁ、そういう反応よね。ホント、面倒くさい」

リコリス「まぁ、邪魔シテくるって言うんだカラ、排除しなきゃネ」サッ…ヒュン ヒュン ヒュン

ピーコック「追撃戦開始よ。第一艦攻艦爆隊、第二艦攻艦爆隊、発艦準備…!」サッ…

フェアルストCL「ソノ全てを焼き払う」ジャキッ

ピーコック「さぁ、精鋭達…今こそ、その実力を示しなさい。この空を縦横無尽に飛翔しろ!」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

リコリス「……!」(大したモノね……この艦載数……私ですら驚くホドだわ)

フェアルストCL「例え幾万、幾億と飛ばソウと、ワタシには関係ナイッ!!」


『ねぇ、コノ戦いが終わっタラ、アナタはどうしたい?』

『静カナ時代で、ただコノ海のように揺蕩うノモ、悪くないカモしれナイ』

『青い空、青い海、恋焦がレタものがソコにある』

『二度と、手に入れるコトは叶わないのカモしれない』

『ケド、そうね……想いを馳せる、ソレくらいは許されナイかしら……』

『どう、カシラ…一度ハ、手放してシマったんだモノ…』

『もう一度、ナンテ流石に虫が良過ぎるカシラね?』

『なら、深く想い続けまショウ。信じて、待ち続けまショウ。そうスレバ、いつか……キット……』

691: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 20:52:06.34 ID:gAPve/dKo
ピーコック「今が、その時よ。フェアルスト…!」


ボゴオオォォォォォン


ボゴオオォォォォォン


ボゴオオォォォォォン


ピーコックとリコリスの放った艦載機はフェアルストCLの対空砲火を物ともせずに一斉に彼女目掛けて凄まじい

火力を誇る艦攻・艦爆による怒涛の攻撃を見舞う。

だが、それを嘲笑うかのようにフェアルストCLが白煙漂う中から悠然と姿を現す。


フェアルストCL「ワタシの装甲を甘くミテると、痛い目シカ見ないワヨ?」

リコリス「コイツ…!」

ピーコック「そうね、フェアルスト。貴女は本当に強かった…けど、目の前に居る貴女じゃ私達は倒せない」

リコリス「ピーコック…」

ピーコック「アイアン・ボトムサウンドの亡霊…貴女はここで沈みなさい」サッ…ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

フェアルストCL「沈むのハ、お前達ダッ!!」ジャキッ


ドォン ドォン ドォン ドォン


ボゴオオオオォォォォォォォン


凄まじい爆音と共に誘爆したピーコックの艦載機が空中でオレンジ色に次々と成り代わり空を宛ら地獄絵図へと

変貌させていき、フェアルストCLの背後に照るオレンジ色の太陽が放つ輝きが逆光となって、その場を更に鮮烈

な色へと染め上げる。その光景はまるでその地獄に君臨する鬼か何かか、そう髣髴とさせる何かがあった。

そんな情景を更に色濃くさせるが如く、周囲を熱風が駆け抜け、気温が一気に跳ね上がる。

遠くに見えるフェアルストCLは陽炎の如くユラユラと揺れて真夏の太陽に照り返されて映る情景を醸し出す。

692: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 21:04:06.35 ID:gAPve/dKo
リコリス「」(一度の射撃デ無数の艦載機ヲ誘爆を引き起こしナガラ一気に制圧スル……フェアルストの火力が
凄まじいノハ前々から解ってはイタケド、実際に見ると驚愕スルわね。この圧倒的な力の前デそれでも尚、挑み
続けてクル彼女達艦娘…ソノ精神的支柱はヤハリ提督大佐か。ワタシ達の心サエも、彼は解き放ってクレタ)

ピーコック「何度でも…!」サッ…

フェアルストCL「何度デモ…!」ジャキッ

ピーコック「やってやるわ!」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

フェアルストCL「沈んでイケッ!!」ドォン ドォン

リコリス「」(彼は……彼女達サエ、救った)


ボゴオオオォォォォォォン


何度目の爆発音か、フェアルストCLの口角が小さく釣り上がる。

それはピーコックの艦載機など何度飛ばされようと撃ち落せるという自信から来た笑み。

しかしその笑みは直に掻き消え、小さく口を開く。


フェアルストCL「ナ、ニ……」

リコリス「恩ヲ仇で返すにも限度がアルわよね」スッ…

ピーコック「……凄い威圧感…これが、リコリスの本気……」

リコリス「アナタ、さっき笑ってたわヨネ。何度でも、沈んでイケって…?フフッ、だから…無理ナノヨ…」

フェアルストCL「何ですッテ…?」

リコリス「私はリコリス・ヘンダーソン。アナタに教えて上げる…沢山ノ鉄、沈むコノ海で…ソウ…私達が何ヲ
望み、何ヲ求め、願い続けてキタのか…!フェアルストは今も昔もタダ一人、アナタに彼女の名を継ぐ資格ナド
ないと知りナサイ」

フェアルストCL「……沈まナイワ……私は、モウ…二度とッ!!」

693: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 21:14:55.60 ID:gAPve/dKo
-長門・飛龍 vs レ級EL・加賀CL-

加賀CL「何度でも、水底へ、沈んでいきなさい」サッ…

飛龍「加賀のクローンって、事か…!」サッ


凛とした佇まいから無駄のない所作で描かれる矢を射る構え。

飛龍はそれを見て改めて実感した。

一航戦の強さ。一航戦の二人が築き上げたものが、どれほどのものか。

共に肩を並べて第一艦隊の一翼を担っていた頃、飛龍は加賀に聞いてみた事がある。


飛龍「ねぇ、加賀って確か赤城さんと元々は一緒だったんじゃないの?」

加賀「ええ、そうよ」

飛龍「じゃあ何で今は別々なのさ?」

加賀「それを貴女に教える理由はあるのかしら」

飛龍「いやまぁ、ない、と言えばないけど…」

加賀「…私達は元々、特定の鎮守府に籍を置くつもりは毛頭ありませんでした」

飛龍「え、それって…つまりフリーランスみたいなもの?」

加賀「そう捉えて頂いて差し支えはありません。今思えばそれは慢心以外の何ものでもありませんでしたが…」

飛龍「でも、実際に強いじゃん」

加賀「強いだけで何かを守れるほど世の中は単純ではない、と言う事です」

飛龍「うーん、でもなぁ…」

加賀「結局、飛龍さんは何が言いたいのですか?」

飛龍「えっとね、率直になんでそこまで強いのか、その自信と強さはどこから来るのか、それが知りたいなってね」

加賀「強さの基準等あって無いようなもの。それを言葉にするのは些か傲慢の域に辿り着くのではないでしょうか」

飛龍「それでも見習えるものは見習いたいって思うのが私なんだよ」

加賀「はぁ」

飛龍「ちょっとー、ため息は酷いんじゃない!?」

加賀「申し訳ありません。ですが、私も赤城さんも何か特別、という訳では決してありません。あるとすれば、
それは私達が定めた一つの決意でしょう。例えるなら、一航戦の誇りとは────」


飛龍「────ねぇ、加賀。貴女にとっての誇りは何?」

加賀CL「貴女に告げる理由はありません。沈みなさい」ビュッ…ヒュン ヒュン ヒュン

飛龍「あっそう。なら、思う存分やらせてもらうんだから!」ビュッ…ヒュン ヒュン ヒュン

694: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 21:27:46.36 ID:gAPve/dKo
長門「つくずく私は運がいい」

レ級EL「はぁ?そんなにボクに食われるのが夢だったの?相当狂ってるね」

長門「馬鹿を言え。借りを返す機会に恵まれていると言う意味だ」

レ級EL「借りを返す?フフッ、ボク相手に何が出来るのか、それじゃあ見せて貰おうかなぁ…」

長門「何、大した事は出来んよ。お前を倒す、と言う事くらいしかな」

レ級EL「だまれッ!!」ビュッ


サッ


長門「短気なのは変わらずか」

レ級EL「殺す」

長門「上等だ。受けて立ってやる!」


先輩「ねぇ、どうして私についてきてくれる気になったの?」

長門「理由か。必要とされているから、ではダメなのか?」

先輩「だって、貴女的にはあのヒヨッ子の所が居心地良いんじゃない?その気になれば少しくらい我が侭を言っ
てあっちに残る事だって出来たはずでしょ?」

長門「ふふ、それは否定しない。初めて着任した時から私は恵まれていると認識できるほどにな」

先輩「だから尚更不思議でならないのよねぇ」

長門「強いてあげるなら、変化、だな」

先輩「変化?」

長門「同じ未来は決してない。榛名から、武蔵の最期を聞いたんだ」

先輩「え…?」

長門「私は、変える為にここにきた」

先輩「変えるって、何を…」

長門「未来だ」


長門「みせてやる。同じ結末、同じ悲劇、同じ涙は決して流させやしない。私が変える。闇へ繋がる不幸の連鎖
はこの私が全て断ち切る!運命は変えられる…散っていった先人達の想いを込めて、私がそれを証明してみせる!」

レ級EL「じゃあボクはお前が望まない未来、その全てを実現させてやるよ!最悪の未来をね…!」

695: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 21:43:43.50 ID:gAPve/dKo
加賀CL「纏めて海の藻屑となりなさい」

飛龍「…っ!」バッ


加賀CLの言葉に飛龍は周囲を見渡し、その近くに長門が居ることを確認する。


飛龍「長門っ!!」

長門「…っ!」

レ級EL「余所見とか超余裕あるんだねぇッ!!」ビュッ


ガシィッ


長門「貴様…!」

レ級EL「さぁ、楽しもうじゃないか…この海を煉獄に変えて、地獄よりも更にハードな世界に、泥沼の血塗られ
た世界に変えていこうよ!」ジャキッ

加賀CL「鎧袖一触よ」


ブゥゥゥーーーーーン……


長門「私を信じろ、飛龍!」

飛龍「…うんっ、わかった!」サッ


ボゴオオォォォォォォン


ザザザザッ


飛龍「くっ…本当に、加賀を相手にしてるような精密な攻撃だ」

長門「……ふん」 被害軽微

レ級EL「ちぇっ、あれじゃ死なないか。じゃあこれで死んじゃえ」ドォン ドォン

長門「ビッグセブンの力、侮るなよ」


ボゴオオォォォォォン


加賀CLとレ級ELによる壮絶な波状攻撃で幕を開けた飛龍と長門、二人の戦い。

正規空母組の中でも指折りの実力を持ち、事実その当時の赤城をもってしても一矢報いるのがやっとの程だった。

そんな彼女をトレースしたこの加賀CLが弱いわけがない。

飛龍も一片の予断なく挑む決意をしてはいても、実際に合間見えてみて初めて彼女の凄さを痛感した。

そして戦艦レ級EL。

幾度となくその脅威を見せつけ、絶望を根付かせた畏怖の象徴。

長門さえも一度は破れ、戦線に戻るまでに時間を要したほどだった。

しかしだからこそ、この邂逅は長門にとって待ちに待った瞬間でもある。

696: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 21:51:09.28 ID:gAPve/dKo
長門「」(全く、先輩提督には頭が下がる。これ程までに気遣いをしてくれる提督などそうはない。だからこそ
感謝の念で言葉が詰まる。それでも言おう…ありがたい。これなら、奴とも戦える!)バッ

レ級EL「こいつ…あの空爆を凌いだのか!?」

長門「クロスロード……」ボソッ

レ級EL「何…?」

長門「あの極光に比べればこの程度の輝き、瞬きするほどでもない!いくぞ、戦艦レ級EL!」ザッ

レ級EL「なんだ、こいつ…!こんな、はやっ……」


海面を蹴り、宛ら滑空するかのように凄まじい勢いで駆け出した長門。

携える艤装、その砲塔はその全てがレ級ELを捉え今か今かと一斉に火を噴く瞬間を待ち焦がれる。


レ級EL「舐めた真似をッ!」ドォン ドォン


ササッ


ボゴオオォォォォン


長門「甘い!全主砲、斉射!てーーッ!!」ドォン ドォン ドォン


ボゴオォォォン ボゴオオォォォォォォン


レ級EL「ガッ……!」 小破

長門「はぁっ!」ブンッ


バキィッ


ザザザザッ…


レ級EL「ぐっ…くそがぁ…!」

長門「さぁ、掛かって来い!貴様との殴り合いなら大歓迎だ。何処まででも付き合ってやるぞ!」グッ

697: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/03(土) 22:01:20.82 ID:gAPve/dKo
加賀CL「そろそろ潮時ですね」ヒュン ヒュン

飛龍「油断してた訳じゃない。索敵を怠った訳でもない。それでも、やっぱり何処かに隙があったのかなぁ」 小破

加賀CL「全身を炎に焼かれて、沈みなさい」バッ

飛龍「」パンパン


加賀CLの放った艦載機が、妙にスローモーションのようにゆっくりと自分に接近してくるのが飛龍には不思議で

仕方がなかった。

その間に色々と考えてしまった。

己の覚悟の足りなさ、人事を尽くしたのか、どれか一つでも欠けてはいないか。

決して慢心していた訳でもない。

ただ、目の前に居る空母組の中でも最強の呼び声が高い加賀を前にして、どこか怖気付いていたのかもしれない。

だから飛龍は自身の頬を張って自らを奮い立たせた。

────聳える壁。

それが試練なら幾らでも乗り越える。

ただしこれは試練ではない。

今、目の前に聳え立つのは脅威と言う名の絶壁。

────撃ち砕く。

一矢入魂、飛龍の眼差しは遥か彼方を見据えていた。

まともに撃ち合っても意味はない。

狙うは一点のみ。


飛龍「……」スッ…


静かに弓を構える。

精神を統一し指先に全神経を向ける。


ボゴオオオォォォォォォン


加賀CLの放った艦攻艦爆隊の攻撃すら彼女の放つ心気に狙いをぶらされ、飛龍への直接的な攻撃すら間々ならな

くなり、最終的に彼女の頬を一撫でして儚い一本の筋を傷として残す程度に終わる。


加賀CL「なっ…」


左右の両拳を上へとゆっくり上げて打ち起こしと呼ばれる弓を射る姿勢に入る。

その凛とする佇まいはもはや芸術の域に達するかの如く、両拳は高低前後なく水平を保ち、体と平行に引き分か

れて見事なまでに弓矢と体の位置が十字を構成し、弓体一致となる。


飛龍「ふっ…!!」ビュッ

加賀CL「この、気迫は…」


そして裂帛の気合と共に彼女の精鋭隊が空を、風を、海面すらも切り裂くようにして飛翔する。


飛龍「第二次攻撃の要を認めます……全攻撃隊、発艦!!」ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

加賀CL「なっ…小賢しい、真似を…!」バッ…

飛龍「私は二航戦の飛龍、どんな苦境でも戦えます!たとえ最後の一艦になっても、叩いて見せる!」

704: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/07(水) 21:13:00.98 ID:ddF2rqjIo
-ピーコック・リコリス vs フェアルストCL-

フェアルストCL「何度デモ鉄屑に変えてヤルッ!」ジャキッ

リコリス「彼に懸けてミタクなったのは、何もアナタだけじゃナイわ」

ピーコック「リコリス…」

リコリス「どうせナラ、笑っていタイものネ?」バッ…

ピーコック「ええ、そうね!」サッ…

フェアルストCL「沈みなサイッ!!」ドォン ドォン ドォン ドォン


おぞましい巨躯から伸びる黒塗りの主砲、その数々の砲塔が一斉に轟音を上げてリコリスを強襲する。


ボゴオオォォォォォォン


リコリス「キャァ!」 中破

フェアルストCL「フフ…」ニヤッ…

ピーコック「フェアルスト、それを慢心と言うのよ」

フェアルストCL「……ッ!?」


ブゥゥゥゥーーーーーン……


フェアルストCLの直上を無数の艦載機が埋め尽くす。

リコリスが自ら放った艦載機と己自身を囮にして生み出した好機。

それを逃すほど、無駄にするほど今のピーコックは緩くない。


フェアルストCL「舐めるナ…!」ジャキッ

ピーコック「なっ…」


ボゴボゴボゴボゴボゴォォォォォン


リコリス、ピーコック、二人の決死の囮作戦を持ってしてもフェアルストCLを欺くまでには至らなかった。

直上より急降下で近付くピーコックの艦載機を、その圧倒的な火力のみでフェアルストCLは迎撃してしまった。

705: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/07(水) 21:13:38.75 ID:ddF2rqjIo
フェアルストCL「何ヲ望み、何ヲ求め、願い続けてキタのか…決まってる。死ヲ望み、絶望ヲ求め、深く暗い、
水底へソノ全てヲ叩き落す…!ソレだけを願い続けた!!」

リコリス「……ソレが、間違っているカラ……私達が生まれたノヨ」ググッ…

ピーコック「リコリス…!」

リコリス「──────」ボソッ…

ピーコック「え…?」


ずっと昔、遥か彼方、私にとってはそう表現するに相応しい歳月。

いつ以来か、その情景を想い出してしまったのは……

ずっと心の奥底にしまい込んで、蓋をして、二度と思い描く事も無いと見て見ぬ振りをして捨ててしまった過去。

その情景を今になって想い描いて、夢見てしまったのは何故なのか。

はじめはただ悔しくて、そして悲しくて、でもどうしようもないから我慢して、結局それは蓄積されていって…

そして私達は生まれた。

託せる者が居なかった。

紡がれる事がなかった。

永遠と続く輪の中で、幾度となく廻り続ける歯車のように、ただ只管に同じ道をグルグルと回り続けていた。

その輪廻から逃れる術を、抜け出す方法を、教えてくれた者達がいた。

諦めていた未来。

縋っていた過去。

不変のまま過ぎ行く現在。

未来は変えられる。

過去は赦される。

心の中で叫び続けた『それ』を掬い上げてくれた者達が居る。

ならば、今こそその想いに私達が答える番ではないのだろうか。


リコリス「……聞こえた」

ピーコック「貴女……」

フェアルストCL「ナ、ニ……」

リコリス「沢山の想い、確かに聞こえた」


遠い昔に捨てた過去がある。

二度と拾えない、取り戻せない、直せない過去がある。

しかし紡ぐ事は出来る。

受け継ぐ事は出来る。

その想いの力は何ものにもきっと勝る。

そしてそれが、リコリスが出した結果と決意の表れとなった。

706: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/07(水) 21:14:18.26 ID:ddF2rqjIo
-長門・飛龍 vs レ級EL・加賀CL-

飛龍「絶対、負けない!」

加賀CL「ば、馬鹿な…」


大空を縦横無尽に駆け巡る飛龍の艦載機。

遅れて放たれた加賀CLの艦載機、その悉くを撃墜し、ついには完全に空を制圧する。


加賀CL「何故だ…」

飛龍「幾ら加賀と同じ構え、同じ子たち、同じ台詞を紡いだって……そこに心が宿ってなければ優秀な子たちは
私達に応えてはくれないって事だよ。心技一体…私の知ってる加賀が誇る一航戦は、心技体の全てが高い次元で
構築されてる。どれか一つでも欠けちゃいけない。だから、彼女は強く気高く常に凛としていた」


ブゥゥゥゥゥーーーーーン……


加賀CL「くそっ…」

飛龍「彼女が言う一航戦の誇りとは……刃。自らをも切り裂く鋭利さがあり、錆びつく事もある。突き立てる事
さえ適わなくなり、倒れてしまうかもしれない。そんな危うさを秘めているのが誇りなんじゃないか…それが、
加賀が私に教えてくれた一つの答え……ふふっ、折れない訳だよね、赤城さんも加賀も…だから、私はあなたに
負ける訳にはいかない。彼女達の掲げてきたその誇りを、私が守る!友永隊の皆、頼んだわよ!」


飛龍の言葉に彼女の艦載機達が大きな円を描いてそれに応える。

そして直上より急降下、加賀CLを目掛けて一斉に攻撃を仕掛ける。


加賀CL「私は、一航戦の加賀だ…!こんな、所で…!」バッ

飛龍「残念だけど、本物の加賀に君は遠く及ばない」

加賀CL「私は…優秀なんだ…!」

飛龍「ううん、優秀なのは加賀が率いた艦載機の皆だよ」

加賀CL「そんなのと、一緒に…」

飛龍「加賀の放つ艦載機の子たち本当に強い。鎧袖一触…信頼できる、最高に優秀な子たち」


ボゴオオォォォォン


加賀CL「……っ!飛行甲板に直撃。そんな……馬鹿な」 中破

飛龍「あなたと戦った事は忘れない。バイバイ…」


ボゴオオォォォォォォン


加賀CL「沈む…のか……」 轟沈

飛龍「加賀、もう一度…一緒に肩を並べたかったな…さようなら」

707: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/07(水) 21:14:48.59 ID:ddF2rqjIo
レ級EL「ボクが…お前等艦娘に、劣るわけないだろ!」ビュオッ

長門「食物連鎖の頂点にでも君臨したつもりか!?」ザッ


ガガガッ


ドォン ドォン


ボゴオオォォォォン


接近戦から砲撃を交えた多連撃の応酬。

打撃は防ぎ、砲撃はかわし、互いに攻防一体となって戦闘が継続される。


レ級EL「何なんだ、お前は!」ザザッ

長門「貴様を倒す者だ」グッ

レ級EL「艦娘がボクを倒すって…?全てに勝るこのボクを…不完全な存在でしかない艦娘が?笑わせるな!」

長門「私達は成長する。学び、経験し、克服して、幾らでも強くなれる!」

レ級EL「お前等の言う強さなんて幻想だ。本物の力がどんなものか、知りもしない奴が言う戯言さ!」

長門「戦艦レ級EL…貴様達の紡いだ負の連鎖。私がここで断ち切る」

レ級EL「無駄だ!どう足掻こうとも、お前等はボクには勝てやしないッ!!」ザッ

長門「させるか!」ジャキッ

レ級EL「当たるか…!」ビュッ


ドォン ドォン


レ級EL「なっ…」


ボゴオォォォォォォン


レ級ELの動き先、それを見越して長門の放った砲撃はレ級ELが行き着いた先で見事に爆発する。

白煙の中からヨロヨロと身を引き摺ってレ級ELが静かに姿を現すが、それを長門は悠長に眺めてはいなかった。


長門「悪いが、実力の差は歴然だ。お前では、私を倒せはしない」ジャキッ

レ級EL「クソッ、クソッ……!なんでだ、どうして…!」 中破

長門「成長するからさ。私達の伸び代は無限大らしくてな。さよならだ」ドォン ドォン

レ級EL「」(ボクは……ゼッタイ、死なない……ッ!必ず……!)


ボゴオオオォォォォォォン




713: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 22:20:57.18 ID:4Iju0s+Go
-ピーコック・リコリス vs フェアルストCL-

フェアルストCL「なんだ、ソノ姿は…」

リコリス「私が過去に捨ててきたモノ。言わば残された私の最後の残照。残された、最後の光…それこそがこの
姿の根本かしら?」

ピーコック「おかえりなさい」

リコリス「…ただいま。取り敢えず話は後…」

ピーコック「ええ、勿論」

フェアルストCL「姿カタチが変わろうと、大元ハ何も変わらナイ」

リコリス「果たしてそうかしら?」


そこにいるのは飛行場姫と呼ばれた深海棲艦だった存在。

真っ白な肌に真っ白な髪の毛、それに合わせたかのような真っ白な衣装、そして真紅に輝く円らな瞳に似合わな

い少し大人びた口調と態度。

自らをリコリス・ヘンダーソンと名乗り、圧倒的な強さを誇った深海棲艦。

今の姿は真紅の瞳は変わらず禍々しかった艤装は鮮やかな色合いを取り戻し、重厚な趣きを感じさせる。

肌の色合いも人肌然とし、服装は白のワンピースのような物に変わっている。

714: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 22:44:36.97 ID:4Iju0s+Go
リコリス「First Air Fleet……」サッ…


リコリスが静かに手を振り上げる。

そして静かに振り上げた手を振り下ろしてフェアルストCLを指し示しながら力強く告げる。


リコリス「全機発艦…!」バッ ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン

フェアルストCL「全て撃ち落シテあげるワ!」ジャキッ

ピーコック「それを私が黙ってみてると思う?」サッ…

フェアルストCL「…ッ!?」

ピーコック「当然邪魔させてもらうわよ!攻撃隊、目標は敵艦艤装…!全てを焼き払いなさい!!」ヒュン ヒュン ヒュン

フェアルストCL「オノレェェェェッ!!」ドン ドン ドォン ドォン


僅かな時差をつけてリコリスとピーコック、双方が放った艦載機はフェアルストCLの放つ対空砲撃を華麗にかわ

して多方面からによる一斉アウトレンジ攻撃を開始する。


ボゴオオォォォォン


ボゴオオオォォォォォン


ボゴオオオオォォォォォォン


断続的に響き渡る艦爆艦攻隊の攻撃の前に一瞬にしてフェアルストCLの姿が白煙の中へ呑み込まれて消える。

リコリスとピーコックは油断無く立ち昇る白煙を見据えて微動だにしない。

やがて白煙が晴れてゆっくりとフェアルストCLの姿が露になる。

715: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 22:59:53.88 ID:4Iju0s+Go
フェアルストCL「グッ……ハァ、ハァ……」 大破

リコリス「…驚いた。流石、戦艦棲姫の名は伊達じゃないわね。あれだけの攻撃を受けてまだ立ってるなんてね」

ピーコック「大人しく沈みなさい」

フェアルストCL「マダ……終わって、ナイ……!」

ピーコック「いいえ、終わりよ。この悲しい争いは、もうこれで終わり…」

リコリス「安らかに、眠りなさい」

フェアルストCL「マ、ダ……ッ!」ザッ…

ピーコック「……」フルフル…

フェアルストCL「何故、構えナイ…!」

リコリス「……」

フェアルストCL「ソウ……」ズズッ…

ピーコック「さようなら、フェアルスト」

フェアルストCL「…ダメ、ナノ……ネ……」 轟沈

リコリス「悲しくない?」

ピーコック「本物の彼女は、徹底海峡で静かに眠っている。この戦いが終わる頃には、改めて弔いにいけるわ」

リコリス「アイアン・ボトムサウンド、か…」

ピーコック「ホント、報われないわね」

リコリス「仕方ないわ。悲劇の上に成り立っていたのが私達なんだから…」


静かに悲しみを帯びた表情のまま沈んでいったフェアルストCLに弔いを捧げ、二人は遠くを見やる。

気付けば夕刻も過ぎて空は闇の色を深くしつつある。

空を見上げれば遍く星々と綺麗な月が顔を覗かせ、海をキラキラと照らそうとしていた。

改めて海面を見れば、波打つ海は静かで穏やかな風を乗せて二人の頬を優しく撫ぜる。

そこで初めて彼女達は肩の荷が下りたかのようにその場にただ立ち続け、静かにただジッとその場の空気を全身

に浴びて思いを馳せ続けた。

今、二人の戦いに幕が下りた瞬間だった。

716: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 23:13:22.73 ID:4Iju0s+Go



~勝利を、提督に~



-存在の証明-

榛名「……」

榛名CL「同じ存在は二人と要りません」

榛名「え?」

榛名CL「私は、貴女を殺して唯一の存在になります」ニヤッ…

榛名「唯一の、存在…?」

榛名CL「私と同じ顔、同じ声、同じ仕草…全てが癇に障ります。榛名は、私一人です!」ジャキッ

榛名「…っ!」サッ


ドォン ドォン


ボゴオォォォォォン


榛名「」(顔も、声も…本当に私と同じ…これが、クローン?でも、どうして…)

717: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 23:13:51.84 ID:4Iju0s+Go
提督「今までの研究は、このクローンを作り出す為ってわけですか」

新鋭「クローンは結論に至っただけの事よ。出来れば従順な手駒にはなるでしょうけど、そこに至るまでが苦難
の連続ってやつかしら?はじめは艦娘そのものを手駒にできれば…って所だったかしらね」

提督「それが金剛たちに施そうとした洗脳か」

新鋭「過去の記憶、感情と言った要因が結局は邪魔をして、障壁となる結果に終わったけどねぇ…」

提督「そうまでして海軍に何を求める」

新鋭「……滅亡」

提督「何…?」

新鋭「不要なのよ。海軍なんて存在は…この世に存在して良い組織じゃないのよ…!」

提督「何故そこまで海軍を憎む!」

新鋭「さぁ、何故かしらね?」

提督「例えそこに同情的な理由があっても、彼女たちを苦しめた事実は変わらないぞ」

新鋭「はぁ、青臭い青臭い…そういう所、ホント虫唾が走るわ。対深海棲艦用の兵器に対して貴方感情移入し過
ぎなんじゃないの?どこまでいっても、艦娘も深海棲艦も兵器なのよ。戦争兵器…解らない?軍艦と同じ破壊力
を持ったコンパクトな戦争兵器。小さな島程度なら一撃で蹴散らせる、殲滅が可能な道具よ」

提督「口を慎め、新鋭!」

新鋭「あら、本性が出たわね。貴方に昼行灯は似合わないわよ。艦娘達が兵器じゃないと言うのなら、一体何な
のかしら?まさか、私達と同じ人間だなんて冗談は言わないわよね?」

提督「…人間だろ。俺たちと同じ、人の子だろ!」

新鋭「はぁ…?」

提督「特別な力をもって生まれたら、それはもう人じゃないっていうのか?世に羽ばたいた幾万もの偉人・天才
といった存在も、それなら人じゃないっていうのか?違う……全て人だ。艦娘も一緒だ…!」

新鋭「おめでたい脳みそね。普段からそれだけお花畑全開で脳みそフル回転させてれば、さぞご満悦でしょう?
知ってるかしら、そういうのを何て言うのか…自己満足って言うのよ。全ての人間がそれを認めてるとでも本気
で思ってる訳じゃないでしょうね?」

提督「何だと…」

新鋭「これ以上言葉を交わしても水掛け論でしょ?自分の主張を相手に認めさせたいのなら、力で勝ち取りなさい」

提督「力で、だと…!」

新鋭「そう…全てを支配するのは力よ。強い者が弱い者を従える…弱肉強食!それが全てで、それこそが真理よ。
弱い者は虐げられ、踏み躙られ、淘汰される。強い者は全てを手にし、権力を掌握し、世界を動かす!」スラッ…

提督「間違った考えだ」スッ…

新鋭「なら、正してみなさい!」ダッ…

718: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/08(木) 23:14:24.31 ID:4Iju0s+Go
榛名CL「いつまで…」ジャキッ

榛名「……!」ダッ

榛名CL「逃げ回ってるつもりですか!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォォォン


榛名「くっ」 被害軽微

榛名CL「夾叉…次は、外さない!」ジャキッ

榛名「どうして、何で貴女は私を憎むの!?」

榛名CL「どうして…?どうして、ですって?」

榛名「同じ存在なら……」

榛名CL「外見だけ一緒なだけじゃない!姿形が同じだけ、声が同じだけ、服装が同じだけ…私の中身は空っぽ…」

榛名「え……」

榛名CL「だから奪うの、貴女から!私が榛名……金剛型三番艦、戦艦榛名ッ!それが、私の存在証明!!」

榛名「貴女が、私の中身を手に入れても…きっと幸せにはなれない」

榛名CL「なんで言い切れるのよ!」ドォン ドォン


バッ…


ボゴオオォォォォォン


榛名「くっ…!」

榛名CL「どこまでいこうと、私はずっと陰…貴女の陰!もういやなの……陰は、私は表に出る。出て、光を浴び
るの……貴女と言う光を浴びて、私は陰から光になる。貴女を消して、私が新しい光になるのよ!」

榛名「そんなの、間違ってる。思い出や経験は、実際に体験して初めて得られるものだから…私の全てを貴女に
譲る事は愚か、渡す事なんて絶対にできない!」

榛名CL「だから、奪うのよ!」ジャキッ

榛名「だったら、絶対に渡さない!」ジャキッ


ドォン ドォン ドォン ドォン


ボゴオオオォォォォォォォォン


互いに構えた主砲が同時に火を噴き、二人の間で激しい爆発を巻き起こす。

榛名のクローンとして生まれた榛名CLは、傍に居る者が提督だったのならここまで捻くれたりはきっとしなかっ

ただろう、と予想がされる。

彼女の言葉にある陰、これは新鋭が事ある毎に彼女へ吹き込んだ言わば嫌味と妬みの塊だ。

榛名は優秀、お前は出来損ない。

榛名は出来る、お前じゃ出来ない。

榛名こそ艦娘の理想系であり、お前はその燃え滓から生まれた文字通りの塵屑だ、と。

そうして反骨精神のみを沁み込ませ、時に慰めてやる事で榛名CLの心を歪な鎖で雁字搦めに取り込む。

そして引き金となる最後の一言を囁いてやる事で、彼女は復讐と愛憎に塗れた負の化身となる。

723: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:08:24.24 ID:Vo6r2gVBo
『欲しい?』

『欲しい…』

『羨む?』

『羨ましい…』

『望む?』

『望む…!』

『なら、力で奪い取りなさい』

『力で、奪う?』

『そう、それで貴女は完成する』

『私の、証明…』


ただ彼女は欲しただけ。

望んだだけ。

しかし、それについて選んだ手段が強引過ぎた。

新鋭の理念を纏い、手にする全戦力をただ榛名から奪い去る為だけに彼女の力は行使される。


榛名CL「私よりも弱い分際で…!」ザッ

榛名「くっ…!」ダッ


同時に海面を蹴る二人。

榛名は後方へ飛び退き距離を取ろうとし、榛名CLは近付いて一気に雌雄を決するべく前へ出る。


榛名「このっ…!」ドォン ドォン


サッ…


ボボボボボン


牽制の意味で放った榛名の砲撃はあっさり回避され、その距離は遠距離から中距離にまで縮む。


榛名CL「見せてみなさいよ。貴女の提督お墨付きの、本当の力って言うのを!」ドォン ドォン


ボゴオオォォォォォン


榛名「きゃあっ」 小破


ザッ…


榛名CL「…それとも、このまま死ぬ?」ジャキッ


ついに榛名の行動を制御し、榛名と榛名CL、互いの距離は超近距離の状態で跪く榛名に対して、艤装の全砲塔を

榛名へ突き付ける形で榛名CLが立つ。

724: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:18:04.15 ID:Vo6r2gVBo
榛名CL「貴女に決めさせてあげる。このまま死ぬならその全てを私が奪う。抗うのなら、好きなだけ抗ってみせ
なさい。その全てを私が完膚なきまでに打ちのめして、絶望を味わってもらった上で貴女の全てを私が奪う」

榛名「っ……!」

榛名CL「…返答なしは、潔く死ぬって事でいい?いいよね?だって、私にはどう頑張っても敵わないでしょ?」

榛名「私は…」

榛名CL「もう遅い!死ねッ!!」ドォン ドォン


ボゴオオオオオォォォォォォォォン


超至近距離から容赦なく放たれた一斉射は、一瞬にして周囲を爆音が貫き、熱風が吹き荒れ、海が悲鳴を上げる。

白煙が立ち昇り、未だ冷め遣らぬ熱が篭るその只中へ、更に弾丸を再装填した榛名CLが再び砲撃を見舞う。


ドォン ドォン ドォン


ボゴオオォォォン ボゴオオォォォォォン


海は波立ち荒れ狂い、立ち昇る白煙は噴き上がった爆煙で更にその範囲を広げる。

熱気は更に加速し、燃え盛る炎の明かりが榛名CLの顔をオレンジ色に照らす。

その炎を背に、一つの影がユラユラと揺れている。


榛名CL「なっ…」

榛名「…まだ、やれます!」 中破

榛名CL「往生際が悪いんですね」

榛名「それが取り柄でもありますから」

榛名CL「なら、徹底的に潰して上げる。覚悟しなさい!」

榛名「ええ、榛名でいいなら、お相手しましょう!ただし、簡単に潰されはしません!」

榛名CL「くたばり損ないの癖に…!」ジャキッ

榛名「榛名!全力で参ります!」ジャキッ

榛名CL「そんなボロボロの状態で、何ができるって言うのよ!」ドォン ドォン


サッ……ボボボボボボボボボンッ


榛名「……!」

榛名CL「艤装も半壊、身体の状態も不満足…もうただの処分対象じゃない!」

榛名「…榛名は、一人じゃ何も出来ません」

榛名CL「出来損ないなら当然でしょ」

榛名「皆の協力がないと、満足な成果も上げれません」

榛名CL「自分のダメっぷりアピールしてどうするの?」

榛名「でも、一つだけ他の誰にもできない、私にしかできない事があります」

榛名CL「何が、言いたいのよ…!」

榛名「……」スッ…

榛名CL「それ、は…」

榛名「あの人の傍に寄り添うこと、共に生きること、未来を…作ること」

榛名CL「黙れッ!!」ドォン ドォン

725: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:18:36.26 ID:Vo6r2gVBo


サッ……ボボボボボン


榛名CL「なんで、当たらないのよ!」

榛名「私と同じなんでしょう?自分のことは、自分が一番知ってるって思わない?」

榛名CL「……っ!」

榛名「それでも、私と貴女じゃ決定的に違うものがある!」

榛名CL「煩い!」

榛名「過去にばかり縋って、未来を自分の手で紡ごうとしない貴女になんか、私は絶対に負けない!提督や、他
の皆のために…私は全力で貴女を倒します!」

榛名CL「…私を倒す?貴女が私を知ってるように、私も貴女のことなら何でも知ってる。貴女に私を倒すなんて
天地がひっくり返っても無理よ!」

榛名「お見せします…榛名の全力を…!」スッ…


そう堰を切って放たれた榛名の言葉、それと共に彼女は握り拳を作って海面に思いっきり叩き付けた。


バシャアアァァァァァァン


榛名CL「なっ…!?」


どのような意図が隠れているかなど知る由もない。

それだけでも驚かされたが何より彼女のか細いその腕で放たれた一撃は海面を割っるだけに留まらず、周囲を大

きく波打たせて単発的ながら大きな波を生み出した。


榛名CL「くっ…動きが…!」

榛名「……」ニコッ…

榛名CL「何の、真似よ!何笑ってるのよ!?こんなことしたって、貴女だって動けない……」


そこまで叫んで言葉が止まる。

出かかった言葉が喉に詰まる。

呑み込まされた、と言う方が正しいかもしれない。

否、もっと厳密には言葉を失った、が正しいだろう。

榛名にあって、榛名CLにないもの。

背負った事のある者だけが纏える鎧とも言うべき威厳、志した者だけが放てる光と言う名の信念。

今、榛名を支えるのは志半ばで倒れた者達から託された遺志と、今を生きる皆で紡いできた小さな、それでいて

とても頑丈な、決して消えない、解けない、敗れない、何物にも変え難い誇りとも呼べる形無き宝。

いつだって彼女は自分の為じゃない、誰かの為に全力で臨んで来た。

傷付こうと、危険な目に遭おうと、どんな逆境に立とうと全てを守ると彼女は立ち上がる。

そして彼女は常に戦場では皆の無事を願い、心配をし、誰かの支えになろうと奮起する。

周りを鼓舞し、勝利を目指して我武者羅に突き進む。喜びを分かち合い、手にした勝利を自分達を待ち続けてく

れる人へ捧げる為に、彼女は戦場で凛とした声で高らかに宣言する。

726: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:19:07.63 ID:Vo6r2gVBo
榛名「勝利を!提督に!!」


誰が為に鳴らす鐘。

言うまでもない、結局は誰もが彼の笑顔を見たいから、彼の居る下へ戻りたいから、だから頑張れる。


榛名CL「空を、飛ぶなんて…」ギリッ…

榛名「主砲!砲撃開始!!」ドォン ドォン


超高高度、そう表現するに相応しい角度。

奥歯を噛み締め、歯軋りが聞こえそうなほどに強く口を噤み、その光景を目に焼き付ける。

到底、真似できる芸当ではない……そう悟ってしまった事への悔しさと憎しみがその表情から滲み出る。

だから放たれた砲撃に対して何の防衛手段も選べなかった。


ボゴオオォォォォォン


炸裂する榛名の砲撃、薄れる意識の片隅で彼女が最後に目にしたのは────巨大な顎を象った、口だった。

727: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:46:11.71 ID:Vo6r2gVBo
-悪鬼の咆哮-


ボゴオオォォォォォン


新鋭「……っ!」バッ

提督「終わりですよ、何もかも…!」

新鋭「私の…艦隊が、全滅したって言うの!?」

提督「どれだけ精鋭を揃えようと、どれだけ策を弄そうと、強い信念を持ったあいつ等には、無意味だったって
ことですよ。もう諦めて大人しく縛について下さい」


アヒャヒャヒャ……


提督「……っ!?」

新鋭「なっ……」


爆発音の後、収まった静寂の中に聞こえてきた耳障りな笑い声。


長門「提督、離れろ!!」


近くまで戻ってきた長門が声を張り上げる。

そしてその直後、四方から一斉に何かが飛び出し、提督と新鋭の周りで大きく爆ぜた。


ボゴオオォォォォン


ザザザザッ…


提督「くっ…!」

新鋭「…ッ!」

??「アハッ……アヒャヒャヒャ……!はぁ、美味い……いいよぉ、美味いよぉ……やっぱり、ボクは…強い!」

提督「お前は…」

新鋭「戦艦…レ級…」

728: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:48:22.35 ID:Vo6r2gVBo
リコリス「冗談でしょ、こいつ…!」

ピーコック「これほどなの、こいつの進化は…」

提督「お前達…」

榛名「長門さん…!」

長門「榛名、すまない…私の責任だ。仕損じた…!」

榛名「他の、皆は…」

長門「解らんが、今は信じるしかない。近くに飛龍が居たのは確認してるが、戦闘の最中で巻き込む訳には行か
ないと思ってな…距離を置いてしまったのも仇になった」

提督「おい、長門。あれは本当に戦艦レ級なのか…!?」

長門「ああ、すまない。事実だ…奴は、沈んだとばかり思っていたが榛名の相手していたクローンを……食った」

リコリス「この場に揃ってるのは私達だけね」

ピーコック「誰も沈んでないって信じてるんでしょう?」

提督「当然だ…!」

ピーコック「なら、今は私達だけでアレを食い止める。出来る事なら仕留めるのよ」

新鋭「……無理よ」

榛名「何を言って…」

新鋭「あれはもう未知の化け物なのよ!?そうならない為に、そうしない為に私は……!」

提督「御託は後だ!すまない、榛名、長門、ピーコック、リコリス……あの化け物を、止めてくれ」

長門「ああ、そのつもりだ」

榛名「はい…!」

リコリス「はぁ~あ…嫌になるわね」

ピーコック「ホント…ベット積み過ぎでしょう。どれだけ釣り上げる気かしらね」

新鋭「貴方達、正気なの!?」

長門「良く見ておけ、これが私達だ」

榛名「諦めません」

リコリス「ふふっ、でも癖になりそう。やってあげるわよ」

ピーコック「これが最後よ…!」

レ級FS「全部纏めて、食い殺してやるよッ!!」

729: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:58:31.07 ID:Vo6r2gVBo
-最後の出撃-

レ級FS「知ってるか?負の感情、情念を抱いて死んだ奴の肉って言うのはとてもスパイシーで身が引き締まって、
とても濃厚で、それはそれはゴージャスな餌になるんだ!アハハハハハハッ!!」

榛名「彼女は、彼女なりに頑張って、私に挑んで…文字通り全てを賭して戦ったんです」

レ級FS「そう!その爆発した感情を内包したまま、死ぬ前に生きたまま食ってやるのが礼儀ってもんだよ。今頃
はボクの腹の中で、喜んでるんじゃないかなぁ」

榛名「許せない…!」

長門「性根は変わらずじまいだな」

レ級FS「ボクは強いから生き残ったんだよ。あいつは弱いからボクに捕食されたのさ。弱肉強食……ッ!なぁ、
そうだろ新鋭…?お前も、そいつらに負けるなら用済みだね」

新鋭「……っ!」

レ級FS「ボクに食われて、ボクの糧になれ…!」ギュオッ


バチィッ


レ級FS「くっ…!」ビュルッ…

ピーコック「……」

レ級FS「邪魔、するなよ。手元が狂って外れちゃうだろ?」ニヤニヤ…

リコリス「こんな下衆を従えてたかと思うと反吐が出るわね」

レ級FS「今はボクが上で、お前等は下だろ?まぁ、従うっていうなら従わせてやらないでもないよ。ボクの手足
となって奴隷として是非働かせて下さいってお願いしてごらんよ、ほら…早く!」

リコリス「……」サッ…

ピーコック「返事よ」スッ…


ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン


榛名「これは…」

長門「壮観だな…」

リコリス「First Air Fleet……」

ピーコック「全艦載機、その錬度をもって…」

リコリス「全機発艦っ!」バッ

ピーコック「目標を殲滅っ!」バッ

レ級FS「無駄だってば…今や、ボクは最強なんだよ…!」ジャキッ

730: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:59:18.03 ID:Vo6r2gVBo


ボゴオオォォォォォン


ボゴオオォォォォォン


ボゴオオォォォォォン


ボフウウゥゥゥゥゥゥゥゥン……


リコリス「なっ…!」

ピーコック「あの、弾幕の中を…!?」

レ級FS「ボクこそ最強!この世界に君臨し、この海を制圧し、お前達人間共を扱き下ろし、艦娘全てを根絶やし
にし尽くしてやる!跪け、海軍!ボクこそが、お前達の危惧する恐怖そのものだ…!」

提督「…教えてやれ、お前たち。俺たちの翳す信念がどんなものかを…そこにいる化け物に知らしめてやるんだ」

リコリス「あら、『たち』って私達も入ってるのかしら?」

ピーコック「っていうか、それ命令なわけ?」

長門「ふっ…」

榛名「強情ですね」

提督「いいや、作戦指示だ」ニヤッ…

リコリス「りょーかい…!」スッ…

ピーコック「…任せなさい」スッ…

長門「殿は私が務める」グッ

榛名「サポートします」

リコリス「準備は何時でもいいわ」

ピーコック「さぁ、鬼退治よ」

長門「よし!」ザッ

レ級FS「こいよ!全て捻じ伏せてやる!!」

長門「艦隊、この長門に続け!!」ダッ

731: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/10(土) 23:59:52.03 ID:Vo6r2gVBo
長門の号令と共に長門、榛名が同時に駆け出し、リコリスとピーコックは同時に艦載機を放つ。

それに合わせるように、レ級FSは上空へ艦載機を放ち、自身は長門と榛名の二人を迎え撃つべく正面を見据える。

だがそこでレ級FSにとっては不足の事態、想定していなかった状況が生まれた。


──これでFinish!?な訳無いデショ!──

──艦載機、発艦急げ!──

──そろそろ反撃よ…!──

──よし、一気に決めるで!──

──追撃戦に移ります!──

──四十門の酸素魚雷は伊達じゃないからねっと──

──君たちには失望したよ。ここが潮時だね──

──何も、解ってイナイ…愚かな子──


レ級FS「援軍、だと…!?」

榛名「皆、ここまで来てくれたの!?」

長門「ふっ、さぁ…待ちに待った艦隊戦だな!」

リコリス「出し惜しみ無しよ!」

ピーコック「お釣りも全部取っておきなさい!余さずご褒美として受け取ってもらうわ!」

金剛「全砲門!Fire!」ドォン ドォン

伊勢「主砲、四基八門、一斉射!」

蒼龍「全艦載機、発進!」

プリンツ「砲撃、開始!Feuer!」

北上「そんじゃま、やっちゃいますか!」

時雨「ここは譲れない」

ポート「お痛ガ過ぎるワネ」

レ級FS「港湾棲姫・ポート…!キミも結局、艦娘や人を選ぶのか!」

ポート「少なくトモ、アナタが望む世界ヨリは、現実味アルわ」

732: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/11(日) 00:03:43.52 ID:n7OS+c8jo
気付けば一匹、彼女に対して少しの同情をする部分があるとすれば、それはやはり望まれて生まれてきた訳では

ないという点だろうか。

あくまで、彼女は新鋭が進めていた研究の副産物として誕生した変異種。

故に通常のカテゴリーからは逸脱し、際限なく全てを破壊し尽くした。

全てを敵に回し、全てを拒絶し、全てを投げ捨てた、怨念の塊以外の何ものでもない存在。

だからこそ淘汰されて然るべきなのかもしれない。

彼女の存在に勝るもの、それが目の前に居る艦娘達なのだ。

刹那の間にレ級FSが想い描いたのは、それでも己自身の未来だった。

炎の海、漆黒の闇、混沌とした世界の中心で狂気に染まった笑みを浮かべる自身を想い描く。

だから一斉攻撃が自らを襲うその瞬間でさえ、戦艦レ級FSは笑みを絶やさなかった。

声には出さなかった、だが…彼女は静かに思い続けた。

まるで呪詛の如く、一つの事を思い続けた。

『ボクが死のうと何度だってボクは生まれ変わる。次に出会うその時こそ────』

しかし、その呪詛すらも己を倒そうと迫り来る砲撃と艦爆艦攻の嵐に掻き消されてゆく。

この理念は、必ず何かに受け継がれてゆく。

だから彼女は最後まで笑みを絶やす事無く、戦火の中へと消えていった。

733: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/11(日) 00:06:00.81 ID:n7OS+c8jo
-終幕-

激闘から僅か半日と経たない間に海軍は深海棲艦との大々的な戦に終止符が打たれた旨を宣言した。

今後は警戒態勢を強化し、残党として未だに敵対してくる深海棲艦にのみ注意を払う事を付け加えた。

失ったものは大きく、得たものは少ない。

だがそれはとある鎮守府にとっては瑣末な出来事だった。

彼等はただ、それぞれを想って戦っただけなのだから。

これまでと何ら変わりはない。

あの夜、最後の激闘を制して新鋭を捕らえ、鎮守府に戻って共に戦った仲間達と大宴会を開いた。

もうクリスマスは過ぎていたけど、これこそがクリスマスプレゼントだと皆はしゃいでいた。

そして今────


提督「はぁ、さっむいなぁ…ま、どうせ暇だしなぁ…」

榛名「暇じゃありません!」

提督「うおぉぉぉっ!」

榛名「なっ、そんな驚かなくてもいいじゃないですか!」

提督「おま、まだ朝の五時だぞ?もう大晦日手前だから任務もないし、鎮守府に来る必要ないだろ」

榛名「そういう提督はなんで鎮守府に来てるんですか」

提督「え、そりゃ暇だから…」

榛名「朝の五時に暇だからって…どうせ普段出来ない資料整理でもしようとか思ってたんじゃないんですか?」

提督「目敏いやっちゃなぁ…」ガチャガチャ…


ガチャ…


榛名「そういえば、リコリスやピーコック達、正式にうちで預かる事になったんですか?」

提督「あぁ…アクタンがリコリス、ポートの二人とはどうしても離れ離れいやだってさ」

榛名「ピーコックは…?」

提督「俺のところ意外はいやだと…」

榛名「…良かったですね、可愛い子達が増えて」ムスッ…

提督「俺は悪くねぇだろ!?」

榛名「別に榛名は怒ってませんよー」スタスタ…

提督「怒ってるだろ、どー考えても!てか、待てって…」

榛名「ふーん…」ツーン

提督「ったく…」


ピタッ…


榛名「……」

提督「ん、どうした急に…」

榛名「ドア、提督が開けてくれないとは入れないから…」

提督「ぷっ…ははっ、はいはいっと…」ガチャ…

734: ◆vgbPh/qA6.0z 2015/01/11(日) 00:06:32.66 ID:n7OS+c8jo
榛名「…余り実感って、沸かないものなんですね」

提督「あぁ?何が…っと、暖炉暖炉…しっかし、暖炉ねぇ…もうちょい最新のもん用意してくれてもいいだろうに」

榛名「深海棲艦はまだ居るのは解りますけど、なんていうか…」

提督「危機的状況は去った、みたいな?」

榛名「まぁ、なんというか…はい」

提督「それで良いんじゃないのかっと、よし…これで少ししたら暖まるな」ボッ…

榛名「それでいいって言うのは、一体…」

提督「俺は、お前たちと居るのが好きだ」ニコッ

榛名「えっ…」

提督「これからもずっと、以前と変わらず一緒に居たい。だから元帥殿からもらった話も蹴った」

榛名「元帥殿からもらった話って、私は何も聞いてませんよ!?」

提督「ん?そりゃあ、話してないからな?とにかく、一先ずの脅威は去った。それで良いんじゃないのか」

榛名「そう、ですよね」

提督「ああ、本当の本当に、全てが終わったら俺も海軍を辞めるよ」

榛名「え!?」

提督「ほら、以前に話しただろ。全てが終わったら、どっかに土地でも何でも買って二人で静かに暮らすって」

榛名「あ…///」

提督「あー…ゴホン。言っておくが、俺は本気だからな。俺の目標は一週間をとにかくだらけて過ごすことだ」

榛名「んな…!」

提督「ここに居ちゃ、一日どころか半日すらもだらけるのは不可能だ。だから、退官した後はもう徹底的にだら
けまくってお前に迷惑かけまくってやるんだ。で、二人で笑って一日を過ごす!」

榛名「私が余り笑えなさそうじゃないですか!?」

提督「ははっ、そん時になってみなきゃその状況は解らんだろうけどなぁ」

榛名「もう…提督は私がついてないとダメみたいですね」

提督「おう、そうみたいだ。だから頼むわ」

榛名「ふふっ、ええ…榛名でいいなら、お相手しましょう」


これはとある鎮守府のお話。

彼と彼女達の物語はこの先もまだまだ続くのだろう。

ただこの海が好きで、周りに居る皆が愛おしく、いつまでも共に居たいと思えるような、そんな仲間達。

これから先も、多くの事が起こりえるだろうが、それはまた別の話。

今はただ、この平凡な毎日を恙無く過ごすのみ。

何も起こらない、騒ぎも、事件も、戦争も。

今日もいつもと同じ、提督と彼女達の賑やかな声だけが鎮守府からは響いてくる。


Fin.