ほむら「魔法少女戦記ホムガイア」 前編

375: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:35:04.32 ID:qbd/xNteo
――――――

さやか「……」

さやか「……はは、何してんだろ、あたし……」

さやか「家の前であれだけ派手に言い争ってりゃ、怒られて当たり前なのにね……」

さやか「人ん家の前で言い争って、怒られたからって逃げ出して…ほんと、何してんだろうね、あたしは……」

さやか「ソウルジェム…もう、真っ黒になっちゃったな……」

さやか「……これがあたしの本体ってなら、濁り切ったらきっとよくないんだろうけど…何かもう、どうでもよくなってきた……」

さやか「マミさん…杏子…ほむら…まどか…ごめん、あたしもう、ダメだよ……」

さやか「恭介…伝えられなくてごめん…勇気がなくて本当にごめん…今までありがとう……」

さやか「あたしって、ほんと……」





376: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:35:31.73 ID:qbd/xNteo
まどか「さやかちゃん!!」

さやか「まどか……?あんた、何でここに……」

まどか「さやかちゃんが心配で探しに来たの。……みんなも一緒だよ」

杏子「さやか……」

マミ「美樹さん…よかった、心配したのよ……?」

プリニー「そろそろ、戻ってきてほしいッス……」

駅のベンチで項垂れているさやかを見つけ、声をかける。その顔はあのときと同じく、錯乱したような顔をしていた

私は1歩前に出ると、彼女へ向けてグリーフシードを放り投げた

377: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:35:59.22 ID:qbd/xNteo
さやか「……だから、何のつもり?」

ほむら「もうソウルジェム、限界なんでしょう?話をする前に、それで浄化しなさい」

さやか「……いい加減しつこいから、貰っとくよ」

そう言ってさやかはグリーフシードをソウルジェムに押し当てる

どす黒く濁っていた彼女のソウルジェムは本来の水色の宝石へと戻っていった

さやか「……これでいいんでしょ?」

ほむら「えぇ。それじゃ、話をしましょうか」

さやか「あんたと話すことなんて…ないね」

ほむら「そっちには無くともこっちにはあるのよ。単独行動なんて始めて、どういうつもりなの?」

378: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:36:36.28 ID:qbd/xNteo
さやか「最初から全部知ってたあんたにわかるわけないでしょ…あたしの気持ちなんて……!」

さやか「あんな話…人間じゃないなんて聞かされて、はいそうですかと納得できるわけない……」

さやか「自分だけじゃなくて、魔法少女のみんなも人間じゃないって考えたら…一緒にいられなくなって……」

まどか「それでさやかちゃん、1人で……」

さやか「そうして1人で行動してたらさ…仁美に呼び出されて、恭介のことが好きだって……」

さやか「ゾンビのあたしに…恭介に好きだなんて言う権利…ないよ……!」ポロポロ

さやか「それでさっき、恭介に怒られたときに…もう何もかもどうでもよくなったんだよ……」

まどか「そんな悲しいこと言わないでよ…さやかちゃん、人間……」

379: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:37:24.70 ID:qbd/xNteo
さやか「だったら…あんたが魔法少女やりなさいよ……!ほむらに守られてばっかじゃなくてさぁ……!」

まどか「え……」

杏子「オイ…何言ってんだ」

さやか「人間のあんたが…わかったようなこと言わないでよ……!同じ立場に…ゾンビになってみなさいよ!!」

マミ「美樹さん…あなた……」

ほむら「……言ったはずよ。まどかは魔法少女にはさせないと」

さやか「誰も…誰もあたしの気持ちなんてわからないんだよ!ゾンビのあたしが、人間を…好きになるなんて……!」

さやか「身分違いも、いいとこだよ……!」

胸の内をぶちまけたさやかは、その場に泣き崩れた。魔法少女の自分と、人間との恋。その狭間で彼女は苦しんでいる

こればかりは、私は何も言えなかった。私が何かを言ったところで、その恋をどうするかはさやか自身が決めなければならない

誰もが何も言えず押し黙っていると、プリニーがさやかに語りかけた

380: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:38:07.95 ID:qbd/xNteo
プリニー「……その気持ち、少しだけわかる気がするッス」

ほむら「……?」

さやか「プリニー……?あんた、何……」

プリニー「魔界にも、そういう身分違いの恋ってのがあるッス。それも、もっと厳しいものが……」

プリニー「……ある魔界を統べていた魔王は…人間の女性と結婚したッス」

マミ「人間と……?」

プリニー「そうッス。そんじょそこらの魔族じゃない、魔王ッス。許されないどころの話じゃないッスよ」

プリニー「その上子供まで授かってるッス。……だから、身分が違うなんて理由で想いを諦める必要なんて、ないッスよ」

さやか「でも…あたしの本体はコレ…なんだよ……?」

プリニー「……オレたちも似たようなものッス」

381: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:39:04.55 ID:qbd/xNteo
ほむら「……どういうこと?」

プリニー「オレたちプリニーは、このペンギンみたいな皮の中に魂が込められているッス」

プリニー「その魂がこの身体を操っている…だからある意味、魔法少女と似たような理屈で動いてるッス」

まどか「そうだったんだ……」

プリニー「むしろまともな肉体がある分、魔法少女が羨ましいッス。こっちなんて投げたら爆発ッスよ?」

杏子「何だ、じゃあここにいるのはまどか以外全員中身すっからかんなのか」

マミ「佐倉さん、笑えないわよ……」

さやか「……はぁ…何かバカバカしくなってきたよ、あんたたち見てたら」

まどか「さやかちゃん……」

382: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:39:43.08 ID:qbd/xNteo
さやか「まぁ…身分が違うってことで諦めるなんて…あたしらしくない…よね」

さやか「とんでもない身分差でも結婚した人…うん、人たちもいるんだ。あたし、頑張ってみる」

プリニー「そうッス、頑張るッスよ!」

さやか「うん。……みんな、迷惑かけてごめん。……もう、大丈夫だから」

プリニーに説得されたさやかが立ち上がる

先ほどの錯乱した顔は消え、どこか吹っ切れたような顔をしていた

さやか「まどか…ごめん。あたし、酷いこと言っちゃってた…よね」

まどか「ううん…さやかちゃん、ちょっとだけ疲れてただけなんだよ」

さやか「まどか…ほむらもごめん。邪険な態度しちゃってさ……」

ほむら「……別に私は……」

さやか「それでも、ね。……あーもう!あたしって、ほんとバカ……」

383: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:40:18.75 ID:qbd/xNteo
ズズズ…

まどか「え…えっ、結界!?」

さやかの話が終わるのを待っていたかのように結界が現れ、私たちを飲み込んだ

さやかが魔女化したわけでもない。ならこの結界は一体……?

そうこうしているうちに、結界はいつかの魔物が現れたときと同じような、開けた広場のような形に変わっていった

ほむら「さやか、杏子、プリニー…この結界……」

杏子「あぁ…あの犬ッコロのときと同じだな……」

マミ「何かしら、この結界…嫌な感じがする……」

プリニー「……やっぱりこの結界、魔界に似ているッス…どうしてッスか……?」

さやか「またあのワン公が出てくるのかな……?」

ほむら「どうかしら…まどか、あなたはもっと下がって。何が出るかわからないわ」

384: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:40:54.47 ID:qbd/xNteo
まどか「……わたしも……」

ほむら「まどか……?」

まどか「……わたしも、戦う。プリニーさん、力を貸して」

ほむら「まどか…あなた、アレで戦うつもりなの……?」

まどか「うん。さっきさやかちゃんも言ってたよね、ほむらちゃんに守られてばかりじゃなく、自分でも戦えって」

さやか「あれは…本心じゃないよ、頭に血が上ってて……」

まどか「それでも、だよ。わたし、みんなの…ほむらちゃんの力になりたい」

ほむら「まどか……」

杏子「ウダウダやってる暇ねぇぞ…魔物のお出ましだ……!」

ほむら「……絶対、絶対に無茶だけはしないで。いいわね?」

まどか「……!うん、わかった!」

プリニー「行くッスよ、まどか様!」

まどか「うん!魔チェンジ!!」

385: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:41:38.07 ID:qbd/xNteo
カッ

まどか「これで……!」

まどかとプリニーが魔チェンジするのと同時に、どこからか魔物の大群が現れた

どうやって現れているのかわからないが、今はそれを考えている場合ではない

現れたのは多数の妖魔族に幻獣族が1体…それに、初めて見る樹の巨人のような魔物が1体

プリニー『あれは…樹巨人族ッス。自己治癒能力があって、中途半端な攻撃をしてもすぐに回復されるッス』

杏子「要するにごっついさやかってことか?」

さやか「ちょっと、あたしとあんなの一緒にしないでよ」

プリニー『動きはのろいのが弱点ッスが…幻獣族が一緒にいられると……』

マミ「それよりも、あのカボチャ頭はどうするの?」

ほむら「数には数…プリニー隊で相手するわ」バッ

386: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:42:53.19 ID:qbd/xNteo
ほむら「プリニー隊、妖魔族の相手をお願い」

プリニー隊「了解ッス!」

プリニー隊と妖魔族の集団戦が始まるのを確認してから、残る2体の魔物へ目を向ける

先日はあの幻獣族に不覚を取ったが、次はそうは行かない

ほむら「さやかとマミは幻獣族をお願い。私とまどか、杏子は樹巨人族の相手をするわ」

さやか「マミさん、あのワン公すばしっこいんで気をつけてください!」

マミ「えぇ、聞いてるわ。美樹さんも注意して!」

プリニー『杏子、あいつは見た通り高い攻撃力と防御力を持ってるッス!気をつけるッス!』

杏子「あぁ、わかった!援護頼んだぞ、まどか!ほむら!」

ほむら「まどかは私が守る。だから安心して」

まどか「うん…ありがとう、ほむらちゃん」

387: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:43:23.72 ID:qbd/xNteo
まどか「わたしから行くよ……!」キリキリ

まどか「スプラインアロー!!」パシュウ

樹巨人族「!!」ガガガガ

杏子「次はアタシだ!食らいやがれ!」ガッ

樹巨人族「……」

杏子「っ……!何だコイツ…硬ぇ……!」

ほむら「杏子!離れて!」ジャキ

ほむら「樹だと言うのなら…これはどうかしら!?」バシュウ

樹巨人族「ゴ……!」

ズドォォォォン

388: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:44:05.24 ID:qbd/xNteo
樹巨人族「ゴゴ……」

杏子「表面は燃えてはいるが…イマイチっぽいな。やっぱアタシがどうにか……!」ダッ

杏子「うおりゃっ!!」

樹巨人族「ゴオッ!」ガッ

杏子「ウソだろ…刃ぁ掴んでやがる……」

ほむら「杏子!逃げて!」

樹巨人族「ゴゴ……!」

杏子「な……」

ドゴォン

389: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:44:49.50 ID:qbd/xNteo
杏子「が……ッ!」

ドガァァァァン

まどか「杏子ちゃん!!」

ほむら「まどか!攻撃は任せるわ、あいつを倒せるだけの攻撃をお願い!」

まどか「え…ほ、ほむらちゃんは!?」

ほむら「私が囮になる…その間に……!」

まどか「わたし…うん、わかった……!」

ほむら「それじゃ、頼んだわよ!」ダッ

まどか「あの巨人を、倒せるだけの秘技……」

プリニー『樹巨人族を倒すには生半可な威力じゃダメッス!』

まどか「……うん」

390: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:45:17.97 ID:qbd/xNteo
まどか「……」キリキリ

まどか(今まで…ほむらちゃんに守られてばかりだったけど……)

まどか(魔法少女とは違う形だけど…わたしだって、戦える!)

まどか(少しでも…ほむらちゃんの力になるんだ……!)

まどか「ほむらちゃん!下がって!」

ほむら「……!わかったわ!」バッ

まどか「行くよ……!オメガコメット!!」パシュウ

樹巨人族「ゴ……!」

391: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:45:58.09 ID:qbd/xNteo
ズガァァァァン

まどか「やった!?」

プリニー『まだッス、まだ生きてるッス!』

樹巨人族「ゴォォォ……!」

プリニー『早く倒さないと自己治癒されてしまうッス!』

まどか「そ、そんなこと言っても……」

ほむら「あとは私に任せなさい」

まどか「え…ほむらちゃん?」

樹巨人族「ゴゴ……」

ほむら「遅いわ…これで止めよ……!」キィィン

ほむら「零距離…バスター!!」

392: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:46:36.42 ID:qbd/xNteo
ズドォォォォン

樹巨人族「グゴオオオオオ……!」ボロボロ

ほむら「崩れていく…倒したみたいね」

まどか「うん…あ、そうだ、杏子ちゃんは……!」

私の攻撃の直撃を受けた樹巨人族はボロボロと崩壊していった

樹巨人族の攻撃を受けた杏子の下へ急ごうと、そう思っていたところで

背後から杏子の声が聞こえた

杏子「すまねぇ、油断した」

ほむら「杏子、大丈夫なの?」

杏子「あぁ、何とかな。……っと、他の奴らもケリがついたみたいだな」

393: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:47:06.01 ID:qbd/xNteo
さやか「これでトドメだっ!」ズバン

幻獣族「グガアアアアア!!」

プリニー隊「これが最後ッス!」ズバン

妖魔族「グゲッ……!」

向こうで戦っているさやかたちの方へ目をやると、さやかが幻獣族を倒したところだった

妖魔族と集団戦をしていたプリニー隊の方も、最後の妖魔族を倒していた

現れた魔物は全て撃破したが…以前のこともある。私たちはさやかたちと合流し、辺りを警戒する

394: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:47:35.59 ID:qbd/xNteo
さやか「……何も来ないね」

杏子「あぁ…結界は消えてねぇけどな……」

マミ「前回みたいなことは…もう起こしたくないわね」

プリニー『オレだって…もうあんな光景は見たくないッス』

ほむら「結界が消えてない以上、まだ何か来るはずよ。気を抜かないで」

『そう。まだ終わりじゃないよ』

どこかで聞いたことのある声がした。その声の方へ目を向けると

いるはずのないインキュベーターが、こちらを見つめていた

395: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:48:28.54 ID:qbd/xNteo
QB「まさか樹巨人族がこうも簡単にやられるなんてね…君たちを少し甘く見ていたのかもね」

ほむら「その口ぶり…この結界と魔物はお前の仕業ね?」

QB「うん、その通り。最初は魔物を魔女の結界に転送するしかできなかったけど……」

QB「今となっては結界を発生させ、そこに魔物を転送することもできるようになったんだ」

プリニー『この魔界に近い結界も、アンタがしたことッスか?』

QB「あぁ、これも僕たちがしたことさ。消滅するはずの結界に魔力を与え、魔界そっくりの環境の結界を造り出す」

QB「おかげで転送した魔物も全力で戦える。便利なものだよ」

396: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:49:08.54 ID:qbd/xNteo
ほむら「それで、お前の目的は何?」

QB「杏子から訊いてないのかい?君たちがワルプルギスの夜を倒すことの阻止さ」

QB「暁美ほむら、君がどういう経緯で魔法少女になり、ワルプルギスの夜の秘密を知ったのかは知らないけど……」

QB「アレが倒されると僕たちとしても非常に都合が悪いんだ。アレがそう簡単に倒されるとも思えないけど、念の為にね」

ほむら「……お前が何と言おうが、私の目的はワルプルギスの夜を倒すこと。邪魔はさせないわ」

QB「ふーん…まぁ、それもここから無事に出られたらの話だけどね」

インキュベーターの背後で何か影のようなものが揺らめいている

あれがその転送されている魔物なのだろうか

397: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:49:56.22 ID:qbd/xNteo
QB「次の魔物はなかなか強いから、注意した方がいいよ。特にまどかはね」

まどか「え……?」

QB「プリニーとの魔チェンジで戦う力はあるみたいだけど、所詮生身の人間だ。1発でも当たれば致命傷になるだろう」

QB「だから僕としては、ここで契約して魔法少女になることを勧めるけど…どうだい?」

ほむら「まどか…あなたは……」

まどか「うん、わかってる…わたしは、契約するつもりはないよ」

ほむら「まどかは私が守る。相手が何であろうと」

QB「そうかい…それじゃ、僕は帰らせてもらうよ。あとは頑張ってね」

398: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:52:09.63 ID:qbd/xNteo
そう言ってインキュベーターは闇に消えていった。それと同時に転送が完了した魔物が姿を現す

今までの妖魔族や幻獣族、樹巨人族と比べると、見るからに悪魔といった禍々しい姿をしていた

さやか「何…あいつ……」

杏子「チッ…またヤバそうなのが出てきやがって……」

プリニー『あ…ああ……』

まどか「プリニーさん?どうしたの?」

プリニー『ほむら様!プリニー隊を回収するッス!急ぐッス!』

ほむら「え?急に何を……」

プリニー『早くするッス!オレたちプリニーじゃアイツには…銃魔神族には勝てないッス!』

銃魔神族「グガガ……」キィィン

銃魔神族と呼ばれた魔物はこちらの存在を確認すると、右腕の巨大な銃を構える

もうプリニー隊を回収している余裕はない。とにかく、相手の射線から退避しなければ

399: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/08(月) 21:52:53.90 ID:qbd/xNteo
杏子「おいおい…何かヤベーぞ……」

ほむら「とにかく全員退避よ!各自散開して!」

プリニー『散開じゃダメッス!防御するッス!アイツの攻撃は……!』

銃魔神族「ガアアアア!!」

銃魔神族からの攻撃を見たとき、プリニーの防御しろという言葉の意味が理解できた

逃げる場所が無ければ、散開したところで何の意味もない。そして……

目の前を覆い尽くさんばかりの光線が、私たちに降り注いだ

408: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:51:15.65 ID:zxhBQHdlo
ズドォォォォォン

銃魔神族「グガッ……!」

杏子「……止んだか、なんつー攻撃だよ……」

さやか「ふぅ…ありがと杏子、助かったよ」

杏子「気にすんな。……それより、他の奴らは……?」

さやか「わかんない、煙が…あ、マミさん!」

マミ「2人とも、大丈夫!?」

杏子「あぁ、アタシたちは無事だ」

マミ「私もなんとか…暁美さんと鹿目さんは!?」

さやか「あ……!ほむら!まどか!どこ!?」

杏子「攻撃の前に見たときは向こうだったな…行くぞ!」

409: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:51:53.29 ID:zxhBQHdlo
まどか「……止んだ…かな……?」

プリニー『そうみたいッスね…爆煙でよくわからないッスが……』

ほむら「まどか…無事、かしら……?」

まどか「う、うん…ほむらちゃんのおかげで何とも…プリニーさんも大丈夫だよ」

ほむら「そう…それはよかっ…た……」

まどか「ほむら…ちゃん……?」

ほむら「やっぱり、私の魔力では…持ちこたえられなかった…みたいね……」

まどか「ほむらちゃん…そのケガ……!」

ほむら「大丈夫…死にはしないから…ぐっ……」

410: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:52:28.06 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族からの攻撃を見て、私は時間を止めようと盾に手をかけた。だが……

あの光線攻撃の範囲がこの結界のほぼ全域だと分かり、すぐに防御魔法を展開して攻撃を防御した

しかし、私の魔力程度では攻撃を防ぎきることなどできるはずもなかった

まどか「ほむらちゃん!……どうしよう、わたし……」

さやか「ほむら!まどか!大丈夫!?」

まどか「さやかちゃん!ほむらちゃんが……!」

杏子「ほむら!オイ、大丈夫か!?」

ほむら「さやか…マミ…杏子…無事みたいね……」

さやか「あたしたちは無事だよ!でも、ほむらが……!」

411: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:53:08.33 ID:zxhBQHdlo
まどか「ほむらちゃん…わたしを庇って……」

ほむら「まどかが無事なら、それでいいの……」

マミ「とにかく治療を……」

ほむら「私のことはいいわ……!それよりも、あいつを倒すことに集中して……」

杏子「ほむら……」

プリニー『今の攻撃、超消滅レーザーと言って…広範囲をレーザーと爆発で攻撃する技ッス』

さやか「物騒な名前だね……」

プリニー『アイツの攻撃はとにかく広範囲、高威力ッス。気をつけるッス』

杏子「あぁ、わかった。アタシとマミ、さやかで行くぞ。まどかはほむらのことを頼む」

まどか「うん、わかった」

マミ「それじゃ、行きましょう。まずはこの煙を……!」スッ

412: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:53:57.45 ID:zxhBQHdlo
ズアッ

銃魔神族「グガ?」

さやか「行くぞ!どりゃあっ!!」

銃魔神族「ガアッ!」ブオン

さやか「うわあっ!?何こいつ、ビームサーベルっぽいものまで……!」ガギン

杏子「だったらアタシが!」ダッ

杏子「食らいやがれっ!」ズバン

銃魔神族「ガッ!?」

さやか「杏子、助かったよ!……次はあたしだ!!」ズバン

銃魔神族「グガアッ!」

マミ「2人とも、下がって!これでトドメよ……!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

413: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:54:26.51 ID:zxhBQHdlo
ズドォォォォォン

マミ「これで倒……」

銃魔神族「……」

さやか「そんな…ティロ・フィナーレの直撃を受けたのに……」

銃魔神族「グオオ……」ブオン

杏子「またビームサーベル…させるか!」ダッ

銃魔神族「ガアア……!」ズズ

さやか「……ウソでしょ……?さっきのよりデカいなんて……」

銃魔神族「グルァァァァァ!!」

杏子「ぐっ…食らって、たまる…か……!」ギリギリ

さやか「杏子!今助けるよ!」ダッ

マミ「佐倉さん!」ダッ

杏子「バカ!来るんじゃ……」

銃魔神族「グ…ガアアアアア!!」ブオン

ズガァァァァン

414: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:55:13.93 ID:zxhBQHdlo
さやか「うぐ…っ」

杏子「何なんだコイツ…今までのと強さが……」

マミ「暁美さん、鹿目さん…逃げ、て……」

ほむら「く……」

銃魔神族が3人をなぎ倒し、こちらに向かってくる。何か、何か策は……

プリニー隊はリーダーを除いて全滅、私を含めた魔法少女は満身創痍、逃げるにも逃げ道は無い

私が…やるしかない。まどかを守る為に。そう思い、立ち上がろうとする私の目の前に

まどかが、立ち塞がった

ほむら「まど…か……?」

まどか「ほむらちゃん…わたしに、任せて」

ほむら「まどか…あなた、何を……」

まどか「わたしが…あの魔物を、倒す……!」

415: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:56:37.51 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族「ガア……」

まどか「よくもほむらちゃんやみんなを……!」

まどか「許さない…絶対に、許さない!!」

ほむら「……っ!」

まどかはそう叫ぶと、銃魔神族を睨みつける。その顔は今まで見たことがないほど、激しいものだった

まどかには途方もない魔力が眠っている。でもそれは、契約して魔法少女となった時の話。契約しなければ、使われることはない

だが、このまどかは契約せずに戦うことが…魔力を使う術がある。本来なら有り得ない形で魔力を使っている

そんな形で使われていた魔力が感情の爆発…恐怖への反動と呼応し、人が変わってしまったように感じさせているのだろうか

ほむら「まどか、下がって……!」

プリニー『まどか様、落ち着くッス!』

まどか「……ドッペルゲンガー!!」

416: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:57:04.77 ID:zxhBQHdlo
ズララララ

さやか「まどかが、あんなに……?」

杏子「まるでアタシの魔法じゃねぇか…でも、アタシのよりもずっと多い……」

まどか「……」キリキリ

銃魔神族「ガアッ!?」

まどか「……っ!」パシュウ

銃魔神族「グガア!!」ズドドド

まどか「これで……!」バッ

ズドォォォン

417: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:57:45.46 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族「グ……!」

まどか「まだまだ……!ジールレーゲン!!」パシュウ

ズドドドドド

銃魔神族「グオ……!」

まどか「……まだ、倒せてない……!」

ほむら「まどか…無茶しないで……!」

銃魔神族を倒そうと、まどかは大技を連発する

だが、あんな無茶な戦い方では、先にまどかの方が潰れてしまう

私はまどかを止めようと、必死でまどかを呼び続けた

418: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:58:24.59 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族「グルォォォォォ!!」

妖魔族「ケケッ!」

ほむら「妖魔族…まだ生き残りが……」

プリニー『……!まどか様!あの妖魔族、早く倒すッス!』

まどか「……え、プリニーさん、何……」

プリニー『早く倒すッス!!早く……』

妖魔族「クケケッ!」

銃魔神族「グオオ……!」パァァ

419: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 22:58:59.18 ID:zxhBQHdlo
妖魔族と銃魔神族が重なった瞬間、銃魔神族が光に包まれた

そして次の瞬間には、巨大な銃魔神族が目の前に姿を現した

銃魔神族「グゴォォォ……」

さやか「ねぇ…ウソでしょ……?」

杏子「オイ…何だコリャ……」

マミ「これって…あのときの……」

ほむら「怒ッキング…向こうもしてくるなんて……!」

プリニー『遅かったッス…こうなったら、早く倒すしかないッス!時間かけるとまた……』

420: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:00:01.81 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族「ガ……!」キィィン

さやか「またあの物騒なレーザーが……!」

まどか「……させない!」キリキリ

銃魔神族「グガアアアアア!!」ズドドドド

まどか「サイコミラージュ!!」パシュウ

ズドドドドド

マミ「凄い…全部相殺した……!」

まどか「ハァ…ハァ…」

ほむら「まどか!もう下がって!」

まどか「これで……!オメガコメット!!」パシュウ

421: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:00:53.42 ID:zxhBQHdlo
ズガァァァァン

マミ「やった……?」

銃魔神族「ガ……!」

さやか「まだ生きてる…けど、だいぶ弱ってるみたい……」

まどか「なら……!」パシュウ

銃魔神族「ガアッ!」ズドン

ガギィン

まどか「弾かれた……!ならもう1発……」

銃魔神族「グオオ!」ズドン

まどか「う…あっ……!」

ほむら「まどか!!」

まどか「……まだ戦える……!これで、終わりだよ……!」キリキリ

まどか「瞬雷!!」パシュウ

422: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:01:25.32 ID:zxhBQHdlo
銃魔神族「……!」ジャキ

ヒュオン

銃魔神族「!?」

ヒュンヒュン

銃魔神族「ガ!?ガア!?」キョロキョロ

杏子「すげぇ…全然見えねぇぞ」

マミ「……見て、上!」

銃魔神族「グ……」

まどか「遅いよ!!」

ズドォン

銃魔神族「グ…オオオオオオオ!!」ズゥン

423: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:02:46.50 ID:zxhBQHdlo
さやか「倒した…の……?」

杏子「みたいだな……」

ほむら「まどか!まどか!!」

まどか「……ほむら、ちゃん……」

ほむら「言ったはずでしょ…無茶はしないでって……!」

まどか「ごめんね…あのとき…許さないって叫んだところで、頭が真っ白になって……」

まどか「でも…目の前にいるあの魔物を…絶対に倒さないとって、それだけははっきりしてたんだ……」

ほむら「だからって……!」

424: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:03:40.67 ID:zxhBQHdlo
まどか「心配かけて、ごめん…ね……」

ほむら「まどか……?まどか!しっかりして!!」

ほむら「私……!私はもう、あなたを失いたくない!!」

マミ「暁美さん、落ち着いて。気を失っただけよ」

ほむら「え……?」

マミ「だから安心して。ね?」

ほむら「……治療をお願いするわ。私はプリニー隊を回収してくる」

425: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:04:47.69 ID:zxhBQHdlo
――――――

さやか「さて、回収も終わったし、治療も済んだ。そろそろ帰ろうよ」

杏子「元はと言えばお前のウダウダが原因だろうが」

さやか「うっ……」

ほむら「そうね。それじゃ、帰りましょう……」

マミ「待って、暁美さん」

ほむら「……何かしら」

マミ「あなた、さっき鹿目さんにこう言ったでしょ?『もう、あなたを失いたくない』って」

ほむら「……そうだったかしら」

マミ「暁美さん、あなたは何を知っているの?何を隠しているの?……そろそろ、教えてはくれないかしら?」

426: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:05:40.84 ID:zxhBQHdlo
ほむら「……以前も隠していたことを聞いて後悔したでしょう?聞かない方がいいと思うわ」

マミ「えぇ。確かに驚いた。絶望しかけたわ。でも……」

マミ「それでも、聞かせて欲しいの。あなたがそこまで鹿目さんに拘る理由を」

結構な声で叫んだわけだし、聞かれていても不思議ではなかったが…まさか問い詰められるとは思っていなかった

私がまだみんなに話していないこと…インキュベーターのこと。私とまどかとのこと。魔法少女の最期のこと

それらを話してしまってもいいのだろうか?

ほむら「……相当キツい内容になると思う。正直、ショックを受けて逃げられても、もう助けている余裕は無い」

ほむら「それでも…聞きたいのかしら?」

マミ「……えぇ。私も…美樹さん、佐倉さんももう大丈夫だから」

さやか「もう、覚悟は決まってるよ」

杏子「洗いざらい、喋っちまえよ」

ほむら「……わかった。私の家で話しましょうか。まどかは私が背負ってくわ」

427: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:06:31.29 ID:zxhBQHdlo
――ほむらの家――

さやか「まどかは……?」

ほむら「ベッドに寝かせてきた。あとはプリニーに任せてあるわ。それより…何から話しましょうか……」

さやか「どういうこと?」

ほむら「私が隠しているのは3つ。魔法少女の最期のこと。キュゥべえの正体のこと。それと…私とまどかとのこと」

ほむら「これが最後の確認よ。本当に話してもいいのね?」

マミ「えぇ」

さやか「怖いけど…お願い」

杏子「頼む」

ほむら「そう…わかったわ。さて、どこから話したものかしら……」

428: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:07:50.23 ID:zxhBQHdlo
私は3人に全てを打ち明けた。昔話を聞かせるように、ゆっくりと、丁寧に

魔法少女の最期を話したとき、誰1人として絶望することなく、私の話を聞いてくれた

キュゥべえ…インキュベーターについて話すと、まさか宇宙人だったなんて…と驚いていた

そして…私とまどかとのことを話し始めた

最初のうちこそ、何でもないような顔をしていたけど…話が進むにつれて顔が曇る

全てを話し終えたとき、3人はぼろぼろと涙を流していた

429: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:08:27.10 ID:zxhBQHdlo
ほむら「……これで全部よ」

マミ「暁美さん…ごめんなさい、私……!」

ほむら「謝ることじゃないわ。あなたの知らないことだから」

杏子「その…あんまりアタシは話に出てきてないから、うまく言えないけどよ……」

杏子「大事な人を失うって辛さは…痛いほどわかる。……アタシもそうだったから……」

ほむら「そう…そうね、あなたも…そうだったわね」

さやか「ほむらぁ……!ごめん…ごめん、ほむらの邪魔ばっかりして……!」

さやか「あたし…その自分が許せないよ……!」

ほむら「マミにも言ったけど…謝る必要はないわ」

430: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:09:05.41 ID:zxhBQHdlo
ほむら「それに…謝らなければいけないのは私の方」

さやか「……?それって、どういう……」

ほむら「私がこの話を隠してたのは…元々あなたたちに話すつもりなんてなかったから」

ほむら「あなたたちを仲間だとは思わない。対ワルプルギスの夜の為に利用した方が好都合。……そう、考えていたから」

杏子「まぁ…あんだけのことがあれば、無理もないか……」

ほむら「揃いも揃って私の邪魔をするのなら、最初から何も期待しない。私が信じるのは自分とまどかだけ」

ほむら「もう誰にも頼らない。そう思っていたのに……」

ほむら「この時間でまどかと一緒にいて…思ったの。私はまどかだけを守りたいわけじゃない。まどかの全てを守りたいんだ、と」

ほむら「だからもう1度…もう1度だけ、信じてみようって……」

さやか「ほむら……」

ほむら「さやか、マミ、杏子。お願いがある」

431: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:10:19.59 ID:zxhBQHdlo
ほむら「あと数日でワルプルギスの夜が現れる。私はどうしてもあの悪魔を倒したい」

ほむら「虫のいい話だとは自分でも思ってる。だけど…どうか、私に力を貸してほしい……!」

マミ「えぇ、わかってる。みんなで協力して、ワルプルギスの夜を倒しましょう」

さやか「ほむら、話してくれてありがと。……あたしもほむらに力を貸すよ」

杏子「ワルプルギスの夜を倒して、キュゥべえ…インキュベーターつったか?あの野郎に一泡吹かせてやるか」

ほむら「みんな…ありがとう……」

マミ「以前はすれ違いばかりだったみたいだけど…少なくとも、今この時間の私たちは…みんな暁美さんの仲間よ」

432: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:10:54.50 ID:zxhBQHdlo
杏子「さて…もういい時間になっちまったし、アタシらは帰るとしようか」

さやか「そうだね。あと数日か…よーし、明日からまた特訓だ!」

杏子「その前にお前は自分の問題を解決しろよ……」

さやか「う…そうでした…あー、どうしたら……」

杏子「あー、その、何だ、絶望する前にアタシかマミにでも相談をだな……」

さやか「フられる前提で話さないでよ……」

マミ「そう言えば…さっきの話、鹿目さんにはしたの?」

ほむら「いえ、まだよ。彼女が目を覚ましたら…話そうと思ってるわ」

マミ「そう…わかったわ。それじゃ、また明日ね」バタン

433: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:11:32.19 ID:zxhBQHdlo
ほむら「……」

彼女たちに全てを打ち明けた上で、彼女たちは協力すると約束してくれた

私とプリニー、それにみんながいれば、今度こそワルプルギスの夜を……

それに、まだ時間はある。万全を尽くせば必ず倒せるはずだ

そう自分に言い聞かせたところで、私は後ろに隠れている彼女に声をかけた

ほむら「もうみんな帰ったわ。そこで聞いてたんでしょう、まどか?」

ガチャ

まどか「……」

プリニー「ほむら様、申し訳ないッス…本当なら連れ戻すはずだったんスけど……」

ほむら「構わないわ。ほら、こっちに来て座りなさい」

まどか「うん……」

434: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:12:06.48 ID:zxhBQHdlo
ほむら「それで、どこから聞いていたの?」

プリニー「ほむら様がベッドに寝かせたすぐ後に目を覚ましたから…ほぼ全部ッス……」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん……」

ほむら「……元々あなたには話すつもりではいたわ。だから…まどか?目が赤いけど…あなた、泣いて……」

まどか「だって…だってわたし、ほむらちゃんのこと…ほむらちゃんを忘れちゃってたなんて……!」

ほむら「……気にしないで。覚えてなくて当然なんだもの」

まどか「それでも……」ギュウ

ほむら「まどか……?」

まどか「それでも……!ごめん…ごめんね、ほむらちゃん……!」ポロポロ

ほむら「まどか…ありがとう……」

435: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:12:58.34 ID:zxhBQHdlo
まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「……何?」

まどか「わたしも…わたしも、ワルプルギスの夜と戦うよ」

ほむら「それは……」

まどか「わたし…もうほむらちゃんが傷ついていくのを見てるだけなんて嫌なの」

まどか「ほむらちゃんがわたしを守ってくれてるのと同じように…わたしもほむらちゃんを守ってあげたい」

ほむら「まどか……」

436: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:14:13.01 ID:zxhBQHdlo
まどか「それに…こんなこと言っても仕方ないとは思うんだけど……」

まどか「わたしとほむらちゃんが力を合わせれば、何だってできる。そう思うの」

まどかが泣きはらした目で私を見る。もう、覚悟は決まっているようだ

魔法少女ではないとはいえ、プリニーとの魔チェンジでの攻撃力は私たちの中では一番だろう

その分防御能力は一般人と同程度だが、私がサポートしてやればいい

ほむら「やっぱり、あなたには敵わないわね……」

まどか「え?」

437: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:14:55.92 ID:zxhBQHdlo
ほむら「……まどか、私と一緒に戦ってほしい」

まどか「……!うん、わかった!」

プリニー「ほむら様、いいんスか……?」

ほむら「防御に関しては私がサポートする。それにまどかのことだから、変に断るより最初から側にいてもらった方がいいわ」

まどか「えぇー…そんな信用ないの……?」

ほむら「信用はしてるわよ、まどかだもの。そういうことじゃなくて……」

ほむら「……ずっとあなたを見てきたもの。そのくらいなら、わかるわ」

438: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:15:36.66 ID:zxhBQHdlo
まどか「それだけ…ほむらちゃんはわたしを見ててくれたんだね。……だとしたら…嬉しいな」

まどか「ほむらちゃんは、わたしの……」

まどか「……わたしの、最高の友達…だよ」

ほむら「友達……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「……何でもないわ。随分と遅くなったし、もう休みましょう」

まどか「え、あ、うん」

439: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:16:45.29 ID:zxhBQHdlo
最後の難関、さやかの魔女化も乗り越えることができた。……彼女の告白の結果次第では多少のフォローが必要になるかも知れないけど

これでもう、障害は何もない。あとはワルプルギスの夜を倒すだけだ

ワルプルギスの夜出現の日までは私とまどか、さやかの特訓に充てることにしよう。今のままではまだ不十分だ

私とさやかは秘技の習得、まどかは私との連携の確認。マミと杏子については何も心配はしていない

それと、気になるのはインキュベーターのことだ

ワルプルギスの夜が倒されることが奴らにとって不都合とはどういうことだろうか

何にせよ、きっとまた何か妨害してくるはずだ。注意した方がいいだろう

思えば、私を含めて魔法少女4人に加え、未契約ながら戦えるまどか、プリニーというイレギュラーの協力もある。今までで最高の条件だ

これなら勝てるはずだ。今度…今度こそ、ワルプルギスの夜を倒して、まどかを…まどかの全てを守ってみせる

440: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:18:11.80 ID:zxhBQHdlo
――数日後――

ほむら「……さて、ついに明日ワルプルギスの夜が現れるわけだけど…みんな大丈夫かしら?」

マミ「えぇ、私は大丈夫」

まどか「わたしも大丈夫だよ、ほむらちゃん」

杏子「アタシも万全だ」

さやか「あたしも大丈夫ー。……はぁ」

杏子「ホントか?どう見ても引きずってるようにしか見えねぇぞ」

441: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:19:00.50 ID:zxhBQHdlo
さやか「んー…大丈夫ってのはホント。どうしてこの天使のようなさやかちゃんをフるかなー、しかし」

杏子「自分でそういうこと言っちゃうからじゃねぇか?」

さやか「やめて…普通に突っ込まないで、今になって恥ずかしくなってきたから」カァ

ほむら「さやかみたいな天使がいたらそれこそ世も末ね」

杏子「案外いるんじゃねぇか?世の中3人は似てる奴がいるって言うだろ。天界もその範疇かは知らんけどよ」

さやか「何この仕打ち…傷心のあたしに何てこと言いやがるんだこいつらは……」

442: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:19:45.47 ID:zxhBQHdlo
あれから数日…ワルプルギスの夜出現の前日の今日、全員集まっての作戦会議をする為に私の家に集まってもらった

心配していたさやかは、告白が上手く行ったわけではないようだが、酷く落ち込んでるわけでもないようだ

さやか「それにしても驚いたよ。まさかまどかを戦わせるなんてねぇ」

ほむら「私だってまどかには安全なところで待っていてもらいたいわ。だけど……」

まどか「みんなが…ほむらちゃんが傷ついて行くのをただ見てるだけなんてできない。だから…わたしも戦う」

杏子「でもお前、攻撃以外は生身じゃ……」

443: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:20:35.17 ID:zxhBQHdlo
プリニー「大丈夫ッス。魔力を使ってある程度の肉体強化はできるようになってるッス」

マミ「それならいいんだけど……」

さやか「まぁ何にせよ、そう言った以上は力を借りるよ?まどか」

まどか「うん!」

さやか「しかしあれだ、ほむらだけ別枠かー。まぁこんだけ同棲してりゃあ…ねぇ」

まどか「べ、別にそんなつもりじゃ……」カァ

ほむら「ほら、作戦会議始めるわよ」

444: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:21:14.93 ID:zxhBQHdlo
作戦会議とは言ったが、正直そんな大層なことでもない

私たちの役割の確認とワルプルギスの夜の情報を伝える程度だ

あれだけ強大な相手に小手先の策を弄したところで意味が無いのは目に見えている。私たちが全力で戦うしかない

私は長いループの中で蓄積したワルプルギスの夜に関する情報を全て伝えた

出現予想地点、攻撃の種類と対策、使い魔の能力……

想像以上の量だったのか、さやかと杏子は途中でわけがわからない、って顔をしていた

仕方ないので要点を書いたメモを2人に渡しておいた

その全てを話し終えたときには、辺りはすっかり暗くなってしまっていた

445: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:21:45.99 ID:zxhBQHdlo
ほむら「……それじゃみんな、明日はよろしく頼むわ」

マミ「えぇ。今日はゆっくり休んで、明日に備えましょう」

杏子「あぁ、そうするか。……最後に聞いておくが、さやか。本当に大丈夫なんだな?」

さやか「……うん。あたしだって、恭介を…この街を守りたい。だからもう、迷わない」

杏子「……その顔なら、もう大丈夫そうだな。強欲の天使がどうのこうの言ってたから心配だったんだ」

さやか「そ、そんなこと言ってたっけ?あたし……」

マミ「……さて、それじゃ今日はこれで解散にしましょう。みんな、明日は頑張りましょう」

446: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:22:26.32 ID:zxhBQHdlo
そう言って挨拶を交わして、3人は私の家を後にした

明日に備えて今日は早く休もうと、いつもより早めに夕飯を食べることにした

しかし…どうもまどかの顔が冴えないような気がした

気のせいだと思っていたが、何か言いたげに私を見て、少しするとふっと視線を逸らす

何なのか検討がつかなったので、まどかが話してくれるまで待つことにした

それからしばらくして、私がお風呂から出たところで、まどかが話しかけてきた

まどか「ほむらちゃん…ちょっといいかな……?」

447: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:23:14.16 ID:zxhBQHdlo
ほむら「何かしら?今日は早めに休んだ方がいいと思うけど……」

まどか「うん…すぐ終わらせるよ」

ほむら「今日はどうしたの?ずっと何か言いたそうにしていたけど」

まどか「……ワルプルギスの夜の前に…ほむらちゃんに、聞いておきたいことがあるんだ」

ほむら「私に……?」

まどか「ほむらちゃんは…どうしてそこまでわたしを守ろうとしてくれてるの?」

ほむら「どうしてって…この間の話、聞いてたんでしょう?」

448: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:24:33.91 ID:zxhBQHdlo
まどか「聞いてたけど…でも、今のわたしはほむらちゃんには何もしてあげてないんだよ?それなのにどうして……」

ほむら「確かに…私に良くしてくれたまどかはとうの昔に死んでしまった。でも……」

ほむら「別の時間軸だろうが、私のことを覚えてなかろうが、それでも…私のたった1人の友達。だから、よ」

まどか「たった1人の……」

ほむら「今でこそさやかにマミ、杏子がいるけど…ひとりぼっちの私に、いつだって優しくしてくれたのは…まどか、あなただけ……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「それに、あなただって何もしてないわけじゃないわ。断ることだってできたのに、こうして私と暮らしてくれているし、夕飯も作ってくれる。何より……」

ほむら「私のことを支えてくれる…あなたがそう言ってくれたことが、私は…何よりも嬉しいの」

ほむら「本当は…あなたにも頼るつもりなんてなかった。全て私1人でどうにかするつもりだった」

ほむら「でも、結局…あなたを戦いに巻き込んでしまった。あなたに頼ってしまった。……ごめんなさい、私が情けないばかりに……」

449: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:25:16.30 ID:zxhBQHdlo
まどか「そんなこと言わないで。わたしだからそういうことを頼っちゃダメだなんて、そんなことないんだから」

ほむら「まどか…私と一緒に戦うって言ってくれて、ありがとう。私に力を貸してくれる……?」

まどか「もちろんだよ。わたしとほむらちゃん、それにさやかちゃんとマミさん、杏子ちゃん。みんなでワルプルギスの夜を倒そう!」

ほむら「まどか……」

まどか「話、聞いてくれてありがとう。それじゃわたし、お風呂行ってくるね」バタン

ほむら「さて…いるんでしょう?インキュベーター。出て来なさい」

450: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:25:44.29 ID:zxhBQHdlo
QB「……こんばんは、暁美ほむら」

ほむら「今更何の用?」

QB「ついに明日に迫ったわけだけど…本当にワルプルギスの夜を倒すつもりかい?」

ほむら「愚問ね。当然よ」

QB「そうかい…残念だ。以前も話したけど、ワルプルギスの夜を倒されると僕たちにとって都合が悪い」

QB「だからその交渉をしに来たんだけど…どうやら無駄のようだね」

ほむら「そうね。話をする余地なんてないわ」

QB「……きっと君たちは後悔することになる。精々絶望しないように頑張ることだね」スゥ

451: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:26:44.42 ID:zxhBQHdlo
プリニー「ほむら様……」

ほむら「プリニー?何かしら。あなたたちも私に話?」

プリニー「そうッス。……オレたちは中の魂が皮を動かしてるって言ったッスよね?」

ほむら「えぇ、そう聞いたわ」

プリニー「その魂…元は罪を犯した人間の魂ッス」

ほむら「……!人間の……?」

プリニー「全部が全部そうというわけじゃないッスが…ほとんどは生前に罪を犯した人間の魂が詰められているッス」

プリニー「もっとも、ほとんどのプリニーはプリニーになった時点で生前の記憶はほぼ失っているッスけど……」

ほむら「そう……。それならきっと、私も死んだらプリニーになるのかしらね……」

ほむら「仕方がなかったとはいえ、まどかを殺し、銃器を盗んで…地獄に堕ちるだろうとは思ってたけど、まさかプリニーになるなんてね……」

プリニー「……魔界のプリニーはオレたちの比じゃないレベルでツラいッスよ」

ほむら「忠告ありがとう。……私はもう休むわ。まどかがあがったらそう伝えて頂戴」

プリニー「了解ッス」

452: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:27:23.88 ID:zxhBQHdlo
ガチャ

まどか「ほむらちゃん…もう寝ちゃったかな……?」

ほむら「……」Zzz

まどか「寝てる…みたいだね。それじゃほむらちゃん、ちょっと失礼するね」ゴソゴソ

まどか「ほんとはちゃんと言った方がよかったんだろうけど…ごめんね」ギュウ

まどか「面と向かって言うと、きっとわたし泣いちゃうだろうから…ここで言わせてもらうね」

まどか「ほむらちゃん。今日までずっと、わたしのことを守ってくれて…ありがとう」

まどか「自惚れじゃなければ…ほむらちゃんはわたしのために、全てを捨ててでも救おうとしてくれてるんだよね……」

453: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/09(火) 23:28:23.67 ID:zxhBQHdlo
まどか「でも、そのせいでほむらちゃんがボロボロに傷ついて…最悪どこかで死んじゃってたと思うと…わたし、胸が苦しいの」

まどか「ほむらちゃんはどう思ってるかわからないけど…わたしはほむらちゃんのこと、心から大事な人だって…そう思ってる」

まどか「きっと…友達よりももっと大事な人だって…そんな気がするんだ。だから……」

まどか「ほむらちゃんにはもう、辛い思いはしてほしくない。今まで辛かった分…ほむらちゃんに笑っていてほしい」

まどか「だから…ここでワルプルギスの夜を倒して…全て、終わらせる……」

まどか「ほむらちゃんは…わたしが守ってみせる…よ……」

466: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:17:52.40 ID:2FpwH2ZLo
――――――

ビュオオオオ

ほむら「……」

マミ「……いよいよね」

さやか「……しかしすごい風ですね。まどか、大丈夫?」

まどか「う、うん。なんとか……」

杏子「お前ら、家族がいるんだろ?連絡はしたのか?」

さやか「ちゃんと避難所にいるよって連絡しといたよ」

まどか「わたしも、ほむらちゃんと一緒に避難したって言ってあるよ」

杏子「そうか、ならいいんだけどよ。……っと、戻って来たな」

プリニー「ほむら様!プリニー隊、配置完了したッス!」

ほむら「そう…後は奴が現れるまで待機して」

プリニー「了解ッス!」

467: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:18:40.25 ID:2FpwH2ZLo
プリニー隊の各地点への配置が完了し、あとはワルプルギスの夜の出現を待つのみとなった

彼らには地上からの援護攻撃と、私たちのサポートを任せることにした

ワルプルギスの夜とその使い魔はともかく…恐らく仕掛けてくるであろうインキュベーターの妨害が心配だ

それにしても…今朝のことは何だったのだろうか。目が覚めたら、まどかが私に抱きついたまま眠っていた

昨日寝るときに私のベッドに入って来たということだが…そう言えば、何かを言っていたような気もする

まどかはどう思っているかわからないが…まどかに抱きしめられているとわかったときに感じたあの気持ち

もしかすると、私はまどかを……

468: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:19:15.06 ID:2FpwH2ZLo
プリニー「ほむら様」

ほむら「何かしら?」

プリニー「これをほむら様に……」

ほむら「これは……?」

プリニー「インペリアルと言って、位の高い悪魔が持つシンボルッス。魔界のお守りとでも思ってほしいッス」

プリニー「もちろん魔界のアイテムッスから、無意味な物じゃないッス。ほむら様の魔力を底上げしてくれるはずッス」

469: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:20:15.47 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「ありがとう…使わせてもらうわ」

プリニー「本当は全員分あればよかったッスが…1つだけしか見つからなかったッス……」

ほむら「無い物を言っても仕方ないわ。それよりも、あなたもそろそろまどかと魔チェンジしておきなさい」

プリニー「了解ッス。……ほむら様」

ほむら「何かしら」

プリニー「オレたち…絶対、ほむら様の力になってみせるッス。だから…ほむら様も頑張るッスよ」

ほむら「……えぇ」

プリニーはそう言うとまどかのところへ向かって行った

もらったインペリアルを首から下げ、握りしめる。確かに少しだけ、魔力が増幅されている。多少は無理をしても大丈夫そうだ

470: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:20:52.37 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「……来るわよ!準備を!」



杏子「ヘッ、いよいよお出ましか……」



まどか「がんばろう、プリニーさん」

プリニー『ほむら様とまどか様の為に頑張るッス!』



さやか「ワルプルギスの夜…あたしたちが倒すべき、悪魔……!」



マミ「この街は…私が守ってみせるわ!」

471: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:21:33.28 ID:2FpwH2ZLo
ゴゴゴ…

ワルプルギス「アハハハハハ!」

マミ「……話には聞いてたけど……」

杏子「何てデカさだ……!」

まどか「ほむらちゃんは…あんなのと何度も……?」

さやか「みんな!ビビってる場合じゃないよ!」

ほむら「さやかも言うようになったものね…プリニー隊、攻撃開始!」バシュウ

プリニー隊「……!合図が来たッス!全員攻撃開始ッス!」バシュウ

プリニー隊「ほむら様から預かった武器、1発たりと無駄にはしないッスよ!」バシュウ

プリニー隊「全部撃ち尽くしたらほむら様たちの援護に回るッス!また魔物が出てくるかもしれないッスよ!」バシュウ

472: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:22:19.40 ID:2FpwH2ZLo
私の攻撃を合図に、各地に展開させたプリニー隊からの攻撃が始まる

ワルプルギスの夜を取り囲むように配置したプリニー隊からの攻撃が、ワルプルギスの夜に降り注いだ

ズドドドドォン

ほむら「始まったわね…それじゃ、こちらも散開するわよ」

マミ「えぇ、わかってるわ。みんな、グリーフシードは持ったわね?」

杏子「あぁ、大丈夫だ。それよりもな……」

さやか「本当にそっち、2人だけでいいの?」

ほむら「えぇ、大丈夫よ。まどかのことは私が守ってみせる」

杏子「ほむらがそう言うんなら大丈夫だろうよ。よし、そんじゃ行くぞ!」

ほむら「そっちも気をつけて」

473: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:24:29.78 ID:2FpwH2ZLo
まどか「……」

ほむら「まどか…怖い……?」

まどか「……正直言うと…怖い。怖くて仕方ないよ。今すぐ逃げ出したいくらいに。でも……」

まどか「さやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん…それにほむらちゃんが傷ついて…死んじゃうかもしれないって思うと……」

まどか「みんなを失う方がもっと怖いから…だから、わたし、戦う……!」

ほむら「まどか……」

まどか「……ほむらちゃん、言ってたよね。わたしのことを、大事な人だ、って」

まどか「わたしも…ほむらちゃんのこと、大事な人だって…そう、思ってる。だから……」

まどか「こうして、ほむらちゃんの隣で…ほむらちゃんの力になってあげられるのが、嬉しいんだ」

474: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:26:31.51 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「……ありがとう、まどか。また私と一緒に、戦ってくれて……」

まどか「ほむらちゃん…よし、行こう、ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ。まどかのことは、私が守る。約束するわ」

まどか「……うん。わたしも、ほむらちゃんを守ってみせる。約束するよ」

そう言ってまどかは私の隣に並んで立つ。その横顔を見たとき、あの時のまどかを見たような気がした

そんなまどかを見て、私は心に決める。まどかのことは何が何でも私が守ってみせる

それが例え…私のこの命に代えることになったとしても

475: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:27:25.52 ID:2FpwH2ZLo
ワルプルギス「アハハハ!」

杏子「野郎、何がそんなにおかしいってんだ……」

さやか「あたしに聞かれても…杏子!使い魔が……!」

使い魔「……」ワラワラ

杏子「わらわら出てきやがったな…マミ!薙ぎ払っちまえ!」

マミ「えぇ!行く……」

ズババババ

使い魔「……!」バチュン

マミ「……何?あ、プリニーさん!」

プリニー隊「使い魔はオレたちに任せるッス!みんなは本体を!」

マミ「わかったわ!……食らいなさい!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

476: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:27:53.92 ID:2FpwH2ZLo
ズドォォォォン

ワルプルギス「アハッ!」

マミ「……さすがに1発当てたところで目に見えた効果はないみたいね……!」

杏子「クソ、使い魔が…あいつら、何が任せろだよ!撃ち漏らしがいるぞ!」ズバン

さやか「でも、プリニーがいなけりゃもっと押し寄せて来てるんだよ!?」ズバン

杏子「それはわかってるけどよ……!マミ、使い魔はアタシたちに任せろ!」ズバン

マミ「佐倉さん、美樹さん…わかった、私はワルプルギスの夜を……!」

477: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:28:30.36 ID:2FpwH2ZLo
まどか「……」

ほむら「……やっぱり、こちらは向こうに比べて使い魔が少ないわね」ズドドドド

まどか「……ねぇ、向こうは大丈夫なのかな」

ほむら「大丈夫。プリニー隊も向こうに多く配置してあるし、杏子とさやかもいるし……」

ほむら「それよりも…あなたはワルプルギスの夜を倒すことだけに集中して」

まどか「……うん」キリキリ

まどか(ワルプルギスの夜…何度も…何度もほむらちゃんを苦しめた悪魔……)

まどか(もう、ほむらちゃんに辛い思いをしてほしくない……。だから…ここで、倒す……!)

プリニー『まどか様!行けるッスよ!』

まどか「……オメガコメット!!」パシュウ

478: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:29:01.44 ID:2FpwH2ZLo
ズガァン

ワルプルギス「アハハッ」

まどか「あれでも貫けないなんて……!」

ほむら「いえ、でも…効いてるわ!まどか、次を……」

ワルプルギス「アハ……!」ズズ

プリニー『ほむら様!攻撃が来るッス!』

ほむら「えぇ、わかってる!まどか、行くわよ!」

まどか「う、うん!」ギュッ

ほむら「絶対、手を離さないで。……時間停止!」カシャッ

479: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:29:34.39 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「あまり長くは持たないわ。急ぎましょう」

まどか「すごい…これがほむらちゃんの魔法…時間停止……」

プリニー『オレたち以外が…全て止まっているッス……』

ほむら「私には…これしかないから……」

ほむら「この能力の為に他の全てを犠牲にしているようなものよ……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「……さて、この辺りまで来れば大丈夫ね。時間停止解除」カシャッ

480: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:30:07.82 ID:2FpwH2ZLo
ズドォォン

まどか「さっきまでいたところが……」

ほむら「これでアイツはこちらを見失ったはず。まどか、攻撃準備を」

まどか「あ…うん!」

ほむら「……マミたちの方も善戦してるみたいね。これなら……」

使い魔「……」

ほむら「……もうバレてしまったみたいね。でも……!」ジャキ

ほむら「まどかの邪魔は…させない!」ズドドドド

481: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:30:55.68 ID:2FpwH2ZLo
――――――

ワルプルギス「ア…ハハ!」ズッ

マミ「く…ティロ・フィナーレ!!」

ズドォォォォォン

ワルプルギス「アハ……!」

杏子「クソ…あと何発叩き込めば倒せるんだ!?」

さやか「マミさんとまどかの攻撃、あれだけ受けてまだ生きてるなんて……!」

マミ「泣き言なんて言ってられないわ!もう1発……!」

482: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:31:25.89 ID:2FpwH2ZLo
ズガァン

ワルプルギス「アハッ!?」

さやか「まどかの攻撃が……!」

ズガァン

ワルプルギス「ア…ハ……!」

杏子「もう1発行った……!」

ワルプルギス「アハハッ」ズズ

ズドォォン

マミ「気が逸れたわね……!行くわよ、ティロ……」

483: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:31:59.95 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「マミ、待って」

さやか「あ、ほむら!」

まどか「みんな!大丈夫!?」

杏子「あぁ、こっちは大丈夫だ。そっちは?」

ほむら「こちらも問題ないわ」

マミ「そう…よかった。それで、どうしたの?分かれて戦うんじゃ……?」

ほむら「……だいぶワルプルギスの夜も弱ってきたと思うの。だから……」

ほむら「まどかとマミの攻撃を合わせれば、きっと……!」

484: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:32:33.86 ID:2FpwH2ZLo
マミ「そういうことね…鹿目さん、やるわよ!」

まどか「はいっ!」

使い魔「……」

さやか「2人の邪魔は……!」ズバン

杏子「させねぇよ!」ズバン

ほむら「2人とも、頼んだわよ……!」ズドドドド

プリニー『まどか様!行くッス!!』

まどか「オメガコメット!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

485: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:33:07.76 ID:2FpwH2ZLo
ズガァァァァァァン

ワルプルギス「ア……!」ギギギ

さやか「そんな!あれでもダメなの!?」

マミ「いえ、よく見て!ワルプルギスの夜にヒビが……!」

杏子「あと少しだ!踏ん張れ!」

ほむら「まどか!マミ!もう1度攻撃を!」

まどか「マミさん!」

マミ「わかってるわ!行く……」

プリニー『待つッス!何か来るッス!』

486: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:33:35.28 ID:2FpwH2ZLo
ズドン

マミ「う…っ……!」

ほむら「今のは…ワルプルギスの夜の攻撃じゃ……!」

『その通り。今のはワルプルギスの攻撃じゃない』

杏子「今の声……!」

ほむら「まさか……!」

背後から声が聞こえる。聞きたくも無いアイツの声が

振り返るとそこには、インキュベーターが座っていた

487: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:34:24.94 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「……私たちの邪魔をしに来たのかしら?」

QB「言ったはずだろう?ワルプルギスの夜を倒されるのは非常に不都合だ。だから阻止させてもらうって」

QB「まぁ、僕自身には何をどうすることもできないけどね。君たちの背後から不意打ちなんて真似はできないから……」

ほむら「お前の御託はどうだっていい。私が聞きたいのはひとつだけ」

ほむら「一体、何をしに来たの?」

QB「だから君たちの妨害だって…あぁ、その内容を訊きたいのかい?」

ほむら「……」

488: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:34:55.94 ID:2FpwH2ZLo
QB「それならワルプルギスの夜の方を見るといい。もうすぐ完了するだろう」

ほむら「……一体何を……!」

さやか「何…あれ……?ワルプルギスの夜が……」

マミ「反転していくわ……」

まどか「それだけじゃないよ…ワルプルギスの夜の周り、見て!」

杏子「……オイオイ、嘘だろ……?アレってまさか……!」

 

530: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 22:59:15.29 ID:nnwXCp85o
 


QB「正直、君たちがここまで戦えるなんてね。まさかあの銃魔神族を倒すなんて思ってもみなかった」

QB「それに、今だって下手をしたら反転する前に倒されていたかもしれない」

QB「だけど、それもここまでだ。反転した全力のワルプルギスの夜と、転送してきた魔物。君たちにもう勝ち目は無い」

QB「それじゃ、幕引きにしようか」

インキュベーターがそう言うと同時に、ワルプルギスの夜の反転と、魔物の転送が完了する

転送されてきたのは、見たことのある魔物、無い魔物…様々だった

転送されてきた魔物の数に、私は自分の目を疑った。空を覆い尽くさんばかりの魔物が、ワルプルギスの夜の周囲に展開していた。そして……

ワルプルギスの夜の笑い声と、魔物の咆哮が辺りに響き渡った

490: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:37:10.01 ID:2FpwH2ZLo
まどか「あ…あぁ……」

さやか「そんな……」

杏子「冗談じゃねえぞ…何て数だ……」

マミ「あんなの、勝てるわけ……」

ほむら「インキュベーター……!」

QB「アレを全部倒しても無駄だよ。魔物はいくらでも造って転送させられるからね」

プリニー『魔物を造る……?アンタ、まさか……!』

491: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:38:27.49 ID:2FpwH2ZLo
QB「君の想像通り。アレは全てクローン悪魔だよ」

QB[もちろん、君たちが今まで戦った魔物も全てクローンさ」

プリニー『そんな…研究所は閉鎖されたはずッス!』

QB「確かに研究所は閉鎖されていたよ。だけど、その作成メカニズムがわかってしまえば、造り出すのは容易いことだ」

プリニー『……どこで造り出してるッスか……?』

QB「潰そうと考えたって無駄さ、人間界には無いのだから。とある魔界に作らせてもらったよ」

プリニー『そんな……』

492: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:40:11.27 ID:2FpwH2ZLo
QB「もちろんアレで終わりじゃない。僕たちがその気になれば、魔神や魔王を呼び出すことだって出来る」

プリニー『そんなこと…そう簡単に魔神や魔王を呼び出せるわけが……』

QB「なら、今からでも呼び出してあげようか?……そうだね、超魔王だった魔王でも」

プリニー『だ…ダメッス!ソイツだけは…絶対にダメッス!!』

さやか「超魔王…名前だけでとんでもない奴だって感じはするけど……」

プリニー『その強さのあまりに…封印されていた伝説の魔王のことッス』

プリニー『……あるときは禍々しい姿。あるときはキノコの魔物の姿。そして…あるときは、オレたちプリニーの姿をしているッス』

プリニー『でも…確かある魔王に倒されたはずッスけど……』

QB「超魔王と言われた魔王だ。1度や2度倒されたところで、そう簡単に死ぬ存在じゃない。ともかく……」

493: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:41:11.36 ID:2FpwH2ZLo
QB「もう1度言うよ。君たちに勝ち目は無い」

ほむら「く…ッ……」

何か打開策はないかと、必死で考える。だが……

もう、策は何も出てこなかった。どう考えても、あの魔物の数が相手では勝ち目は無い

盾の砂時計はもうすぐ全ての砂が落ち切る。それなら

砂が落ち切るのを待って、次の時間へ行った方が得策ではないだろうか

だけどそれは、この時間を捨てるということ。ここでまだ生きているさやかにマミ、杏子、そして……

私と一緒に戦ってくれると言ってくれた、まどかを見捨てるということだ

私の目的を思い出せ。私の目的はまどかを見殺しにすることじゃない。まどかを守ることだ

まどかと約束したはずだ。まどかを守る、と。その約束を破ることなんて、出来るわけがない

ここで逃げ出したら私はもう、まどかに顔向けできない。ならば、答えはひとつだ。私は……

494: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:42:28.52 ID:2FpwH2ZLo
ほむら「……ふふ…ふふふ……」

まどか「ほむらちゃん……?」

QB「何を笑ってるんだい?絶望で気でも触れたかい?」

ほむら「絶望……?何を絶望する必要があるのかしら」

QB「……やっぱり気がおかしくなってしまったのかな?あの魔物が見えないのかい?」

ほむら「無限の魔物?魔神と魔王…それに超魔王?その程度のことで私が諦めるとでも?」

ほむら「まどかが契約せず、生きてここにいる。それなら私は……」

ほむら「まどかを守る…いえ、まどかの為に戦う。それだけよ」

495: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:43:24.74 ID:2FpwH2ZLo
QB「……やれやれ、わけがわからないよ。他人の為にみすみす危険を冒すなんて」

ほむら「お前には一生わからないでしょうね。何にせよ、ワルプルギスの夜は倒させてもらうわ」

QB「……僕はもう何も言わないよ。君たちも同じ意見かい?」

さやか「当たり前でしょ……!」

杏子「ここまで来て…引き下がれるかってんだ!」

マミ「私がいる限り、この街で勝手な真似はさせないわ!」

ほむら「みんな……」

496: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/10(水) 23:44:16.08 ID:2FpwH2ZLo
まどか「ほむらちゃん……」ギュウ

ほむら「まどか……?」

まどか「ほむらちゃん…ありがとう。わたしの為に戦うなんて、言ってくれて……」

ほむら「……私が今まで戦ってきたのは過去のあなたとの約束の為。だけど……」

ほむら「それと同時に、今ここで約束する。私は、この時間のまどか…あなたの為に戦う」

まどか「ほむらちゃん…わたしも一緒に戦うから……!」

ほむら「……ありがとう、まどか。……それじゃ、行きましょう……!」

まどか「うん……!」

プリニー『ここが正念場…頑張るッス!』

さやか「絶対、負けない……!」

杏子「死ぬんじゃねぇぞ、お前ら!」

マミ「みんな!行くわよ!」

QB「……さて、いつまで持つかな」

502: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:05:54.30 ID:QOoyTiUno
――――――

ワルプルギス「アハハハハッ!」

杏子「クソ……ッ」

マミ「数が…違いすぎる……!」

さやか「1発も当てられないなんて……」

まどか「ほむら…ちゃん、大丈夫……?」

ほむら「えぇ、何とか…まどかも怪我はないみたいね……」

プリニー『プリニー隊にもだいぶ被害が出て来てるッス!これ以上長引くと……』

ワルプルギスの夜に向かって行ったまではよかったが、想像以上に厳しい戦いになった

近づこうにも魔物が邪魔で近づけない。私やマミ、まどかの遠距離攻撃で狙おうにも、魔物が盾となって届かない

そしてインキュベーターの宣言通り、いくら倒しても後から後から転送されて来るようで、キリがない

手持ちの弾薬は底を尽きかけ、砂はとうに落ち切っている。はっきり言って、戦況は絶望的だ

503: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:06:51.60 ID:QOoyTiUno
QB「だから言っただろう?勝ち目は無いって」

杏子「うる…せぇ……!」

さやか「まだ…戦える……!」

QB「もう諦めて消えるのを待った方がいいんじゃないかな。街は破壊されてしまうだろうけど……」

マミ「そんな事…出来るわけないでしょう……!」

ほむら「生きてる限り諦めは……」

QB「そうかい…それなら、そろそろ最後のチャンスかもしれないね」

まどか「え……」

ほむら「ワルプルギスの夜が……」

504: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:08:49.40 ID:QOoyTiUno
私たちに止めを刺そうとでも思っているのか、ワルプルギスの夜は私たちへ向かって来る

それに従って、魔物たちも移動を始めた

まどか「そんな…どうしたら……」

マミ「絶体絶命って奴ね……」

杏子「何かないのか…何か……!」

QB「もう何をしたって無駄だよ。君たちではワルプルギスの夜を倒すことは出来ない」

ほむら「それでも……!」

まどか「ほむらちゃん!?」

残り少ない武器の中から機関銃を2丁引っ張り出して両手に構える

そしてそのまま、ワルプルギスの夜に向かって突っ走った

ほむら「それでも…私は戦う!ここで諦めて…たまるものか!!」

505: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:09:34.48 ID:QOoyTiUno





『そうです!諦める必要なんてありません!』




506: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:10:32.57 ID:QOoyTiUno
マミ「何…今の声……?」

さやか「わかりません…でも……」

杏子「頭に直接……?」

プリニー『今の声…もしかして……』

まどか「……見て、あそこ!」

ほむら「あれは…何……?」

まどかの指差した方を見ると、空から何かが姿を現した

雲を割って現れたそれは、ワルプルギスの夜に引けを取らない程に巨大な人型ロボットだった

呆気に取られているうちに、そのロボットはワルプルギスの夜を押し返し始めた

周りの魔物も、自分たちの邪魔をするロボットに攻撃を仕掛けるが、まるで効いていないようだ

そうこうしていると、目の前に魔法陣が現れる

次の瞬間には、その場に1人の少女が立っていた

507: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:11:32.61 ID:QOoyTiUno
???「皆さん、大丈夫ですか?」

ほむら「え、えぇ…あの、あなたは……?」

???「自己紹介がまだでしたね。わたしはフロン。天界の天使長です」

マミ「天使……?」

杏子「そう言われりゃ、天使の羽が……」

さやか「でもこのちっこいのが……?」

フロン「ちっこいとは失礼な!こう見えても皆さんの100倍近くは長く生きてるんですよ!?」

さやか「マジで!?」

フロン「マジです!」

508: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:13:03.33 ID:QOoyTiUno
魔法陣から現れた少女はフロンと言い、天界の天使長らしい

天使長というからにはそれなりの地位の者なのだろう

しかし…天使にロボットというのはあまり合っていないような気がする

私はフロンにロボットについて尋ねた

ほむら「それで、フロン…だったかしら。あのロボットは一体……?」

フロン「よくぞ聞いてくれました!あれこそ天界の技術の粋を集め、莫大な資金を投じて造った超合金ロボ……」

フロン「その名もグレートフロンガーXです!むふぅー」

509: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:13:58.40 ID:QOoyTiUno
ほむら(どう突っ込めば……)

まどか(えっと……)

さやか(よく見たらあのロボってこの人自身じゃ……)

杏子(家が教会のアタシとしては、コイツが天使ってのは……)

マミ「カッコいい……」

フロン「ふふふ、そうでしょう」

511: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:14:48.09 ID:QOoyTiUno
プリニー『フロン様はどうして人間界に来たッスか?』

フロン「おや、あなたは……」

プリニー『地獄にいたプリニーッス。出荷されたとき、何かの手違いで人間界に送られて来たッス』

プリニー『そのときにほむら様と出会って、今はほむら様の下で働いているッス』

フロン「そうでしたか…それで、こちらに来た理由ですが……」

フロン「彼らの暴挙を見逃しておけなくなったからです」

ほむら「彼らって……」

フロン「そうです。そこにいるのは見えているんですよ?インキュベーターさん」

512: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:16:25.77 ID:QOoyTiUno
QB「……」

フロン「自分たちの目的のためなら手段は選ばない…相変わらずですね、あなたたち最高評議会のすることは」

QB「宇宙の寿命が尽きてしまったら元も子もないだろう?僕たちは宇宙の為に……」

フロン「そのために恐怖や絶望を『畏れ』エネルギーに変換して利用している、と?」

QB「希望から絶望への相転移で得られるエネルギーより、『畏れ』エネルギーの方がずっと効率がいいからね」

QB「その変換コンバーターでもあるワルプルギスの夜を倒されると、僕たちにとっても都合が悪い」

513: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:17:53.50 ID:QOoyTiUno
QB「それにしても、今までのエネルギーよりも効率のいいものが見つかるなんてね……」

QB「このエネルギーを教えてくれた『断罪者ネモ』に少しは感謝しないとだね」

QB「もっとも、彼はエネルギーを独占することだけを考えていたみたいだったけどね」

QB「このエネルギーを利用しない手なんてないのに…彼ももったいないことをしたものだよ、まったく」

フロン「……やはり、あなたたちは止めないとダメですね」

QB「……これ以上の話は無駄のようだね。天使長が出てきたとなると、こちらも……」

514: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:18:59.86 ID:QOoyTiUno
フロン「それは無理ですよ」

QB「……どういうことだい?」

フロン「超魔王ラハール。デビルバスター・アデル。邪悪学園理事長マオ。暴君ヴァルバトーゼ。あなたも知ってますね?」

QB「……それがどうかしたのかい?」

フロン「わたし、彼らにはちょっとばかり顔が利くんですよ?だから、皆さんに『お願い』をしてきたんです」

QB「……お願い?」

フロン「はい。アデルさんにはあなたが呼び出しそうな魔神と魔王の討伐。マオさんには魔物の転送の妨害」

フロン「ヴァルバトーゼさんにはクローン悪魔施設の破壊。そして……」

フロン「ラハールさんには元・超魔王バールの相手をお願いしてきました」

515: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:19:47.74 ID:QOoyTiUno
QB「それは…天界法に触れるんじゃないのかい?」

フロン「確かにそうですが…それを知っているのはあなただけ。それに……」

フロン「宇宙人…それも、最高評議会に関係しているあなたが言ったところで、誰も信じないと思いますよ?」

QB「……」

フロン「もっとも、わたしもそうなると踏んでここまで無茶をしているんですけどね」

フロン「もしバレてしまったら…わたしの立場も危ういですからね。天使長のわたしが人間界でこんなことをしてるなんて……」

QB「……それなら、早く帰った方がいいんじゃないかい?」

フロン「そうは行きません。あなたたちの狙いは何が何でも阻止させてもらいます」

QB「天使長フロン、君は……」

516: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:21:07.81 ID:QOoyTiUno
フロンとインキュベーターが話をしているが、私にはまるで内容が理解できない

辛うじてわかったことは、ワルプルギスの夜は効率のいいエネルギーへの変換コンバーターということだけ

そんな話、今まで聞いたことがない。これもこの時間軸だけのイレギュラーだろうか

フロン「さぁ皆さん、ここからですよ!魔物とワルプルギスの夜を倒しましょう!」

フロン「クローン悪魔はもう転送されないはずです!」

杏子「ワルプルギスの夜は…あと1撃叩き込めれば……!」

さやか「もう増えないってなら、勝機は…ある!」

マミ「魔物は私たちが何とかするわ!暁美さんと鹿目さんはワルプルギスの夜を……!」

まどか「わかりました!」

ほむら「それじゃあ…行くわよ!」ダッ

517: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:22:44.29 ID:QOoyTiUno
魔物「……!」

さやか「ほむらとまどかの道…開けてもらうよ……!」ザッ

さやか「食らえ……!飛天無双斬!!」

ズガァァァァン

杏子「次はアタシの番だ!行くよ……!」

杏子「魔砲流星群!!」

ズドドドドドォン

マミ「私は2人みたいな秘技はない…けど、私にはコレがあるわ……!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

ズドォォォォォン

518: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:23:30.79 ID:QOoyTiUno
ほむら「道が開けた……!まどか、今よ!」

まどか「うん!……これで、終わり……!」

魔物「……!」ワラワラ

ほむら「な…まだいた……!?」

まどか「……っ!ジールレーゲン!!」

ズドドドド

まどか「ほむらちゃん!トドメを!」

ほむら「え!?でも、私は……」

まどか「大丈夫!ほむらちゃんなら…やれるから!」

519: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:24:31.06 ID:QOoyTiUno
ほむら「まどか…えぇ、わかった……!」

銃に魔力を込める。この秘技、今まで1度も成功したことはない。だけど

今の私ならきっと撃てる

さやか「ほむら!」

マミ「暁美さん!」

杏子「行けっ!」

フロン「フロンガーは大丈夫ですから、やっちゃって下さい!」

プリニー『ほむら様!やるッス!』

まどか「……ほむらちゃんっ!!」

ほむら「これで止めよ……!」

ほむら「トーテンクロイツ!!」ズドォン

520: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:25:47.44 ID:QOoyTiUno
ガギィン

ワルプルギス「アハッ?」

まどか「そんな…失敗……?」

ほむら「いえ…これで、終わりよ……」

ワルプルギス「アハ?ア…アア……!」ズドォォォォォォン

ワルプルギスの夜に向かって放たれた魔法の弾は奴の内部にめり込んだ

不発かと思われたが、一呼吸置いてから炸裂する。そして……

ワルプルギスの夜から、巨大な十字架の火柱が上がった

521: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:26:15.96 ID:QOoyTiUno
さやか「ね、ねぇ!?どうなったの!?」

ワルプルギス「アアアアアアア!!」ボロボロ

ほむら「ワルプルギスの夜が崩れていく…ってことは……!」

まどか「ワルプルギスの夜を…倒したってこと……?」

マミ「えぇ…そうよ……!」

杏子「倒したんだな…あの悪魔を……!」

ほむら「私…私、本当にワルプルギスの夜を……?」

まどか「ほむらちゃん!」ギュウ

ほむら「まどか……?」

まどか「ほむらちゃん…お疲れさま……」

ほむら「……えぇ。これで私、やっと……」

522: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:26:48.63 ID:QOoyTiUno
ズズズ…

ほむら「……っ!何、この感じ……?」

杏子「わからねぇ…わからねぇけど……」

マミ「えぇ…もの凄く嫌な感じ……」

さやか「……ねぇ、あれ…何?」

まどか「……結界?」

フロン「……やはり、そう簡単に勝たせてはくれませんか」

プリニー『フロン様…これって、やっぱり……』

フロン「はい…あのときと同じですね」

523: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/11(木) 23:27:50.03 ID:QOoyTiUno
QB「やれやれ…本当にワルプルギスの夜を倒してしまうなんてね……」

QB「だけど…そのせいで君たちは絶望することになる」

マミ「私たちが……」

さやか「絶望する……?」

杏子「どういうことだ……?答えろ、インキュベーター!」

QB「君たちがワルプルギスの夜を倒したことで起動させてしまったのさ」

QB「魔法少女を絶望させるシステム…『ワルプルギスの夜』をね……」

532: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:00:49.45 ID:nnwXCp85o
ほむら「ワルプルギスの夜……?それは今倒したはずでしょう?」

QB「君たちが今倒したのは『魔女』のワルプルギスの夜。……もっとも、アレはもう魔女と呼べる代物じゃないけどね」

マミ「そう言えばグリーフシードを落としていないわ……」

ほむら「……インキュベーター、説明しなさい」

QB「……訊かれた以上、正直に答えるよ。あのワルプルギスの夜は…クローンだ」

ほむら「何ですって……?」

533: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:01:56.31 ID:nnwXCp85o
QB「もう随分昔になるけど…オリジナルのワルプルギスの夜は、ある吸血鬼によって倒されてしまったんだ」

QB「ただ…最高評議会がワルプルギスの夜が倒されたことを良しとしなかった」

マミ「その最高評議会というのは……?」

QB「200億の星々から成る汎銀河連盟の総意を決定するもの…分かりやすく言えば、宇宙人たちの評議会さ」

QB「僕たちの星はその最高評議会に属しているんだ」

さやか「つまりその…宇宙人の評議会で、ワルプルギスの夜が倒されたことがよくないって……?」

QB「そうさ。だから僕たちは、回収したワルプルギスの夜のグリーフシードを元に、ワルプルギスの夜のクローンを造り上げたんだ」

プリニー『クローン悪魔の技術を転用して…ッスね?』

534: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:02:34.39 ID:nnwXCp85o
QB「そういうことになるね。その技術を利用して、『クローン魔女』ワルプルギスの夜を造った」

QB「そして改良に改良を重ね、エネルギー変換コンバーターと、あるシステムを組み込んだ。それが……」

QB「魔法少女を絶望させるシステム…『ワルプルギスの夜』プログラムさ」

杏子「どういうことだよ…ワルプルギスの夜にそんなもんが付いてるなんて、知らねぇぞ!」

QB「それはそうさ。あの結界に入って、生きて帰ってきた魔法少女は誰もいないのだからね」

QB「どれだけ強い魔法少女でも、あの結界に入ったが最後。絶望することになる」

535: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:03:46.62 ID:nnwXCp85o
ほむら「あの結界に入って、生きて帰った魔法少女はいない……?それはつまり……」

ほむら「クローンのワルプルギスの夜は過去に何度か魔法少女によって倒されている…そういうこと?」

QB「そうだね。2回…いや、3回だったかな。クローンのワルプルギスの夜は倒されたことがある」

さやか「ワルプルギスの夜を倒した魔法少女はいるのに…生きて帰った魔法少女はいないって……?」

QB「簡単なことさ。それだけ強い魔法少女でも、あのシステムには打ち勝てない」

まどか「で、でも…それなら入らないってことは……」

536: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:04:32.17 ID:nnwXCp85o
QB「システムが完全に作動してしまうと、魔法少女の本体…つまりソウルジェムに直接負荷をかけ、半ば強制的に絶望させることが出来る」

QB「しかもその影響は全世界の魔法少女にも及ぶ。この2つを聞いて入らなかった魔法少女もいなかったね」

QB「全世界の魔法少女が絶望してしまえば、その数だけ魔女が生まれるということだ」

QB「それだけの魔女が生まれると、魔法少女でない人への影響も計り知れないものになると思うよ」

さやか「それじゃ、あの結界っぽいのを放っておくと……」

QB「いずれは全世界に影響が及ぶことになるだろうね」

杏子「どこまで汚い真似を……!」

QB「用意周到と言ってもらえないかな。僕たちは自分の目的のためにやっているだけさ」

537: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:05:34.99 ID:nnwXCp85o
ほむら「そう…それと、もうひとつ。『畏れ』エネルギーとは、一体何かしら?」

QB「魔界の住人たちの、魔力の源となるものさ。弱い魔物も、最強の魔王も、等しくこの『畏れ』エネルギーから魔力を得ている」

QB「『畏れ』エネルギーは人間の畏れから得られる物だ。だけど、僕たちにはエネルギーを継続して採取する術がなかった」

QB「だから僕たちは『畏れ』エネルギーの研究を始めたんだ。そしてその結果……」

QB「恐怖や絶望といった負の感情の形を変え、『畏れ』エネルギーに変換することに成功したんだ」

ほむら「……つまりそのエネルギーを手に入れる為に、ワルプルギスの夜に魔法少女や襲撃を受けた街の人たちの負の感情を集め……」

ほむら「取り付けたコンバーターで『畏れ』エネルギーへ変換している…ということね」

538: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:06:57.78 ID:nnwXCp85o
QB「そうさ。ただ、一般人の負の感情はおまけ程度。狙いはあくまで魔法少女の負の感情だ」

QB「ソウルジェムを通じて、負の感情が『ワルプルギスの夜』システムの方へ集まるからね」

マミ「ソウルジェムに、そんな秘密が……?」

QB「以前までの君たち魔法少女の希望から絶望への相転移のエネルギーと比べて、『畏れ』エネルギーの効率は目を見張るものがある」

QB「基本的にエネルギーは形を変える度にロスが生まれ、効率は落ちていくものなんだけど……」

QB「負の感情から『畏れ』エネルギーへの変換は逆にエネルギー量が増えているんだ。まさにエントロピーを凌駕した最高のエネルギーだよ」

QB「これがあれば、まどかみたいな強い魔力を持つ者でなくても、ある程度のエネルギーを得られる。僕たちとしては選り好みする必要がなくなって大助かりさ」

ほむら「それで、お前は執拗にまどかへ契約を迫ったりしなかったのね……」

539: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:07:44.61 ID:nnwXCp85o
ほむら「知りたいことは教えてもらったわ。……それで」

ほむら「アレはどうしたら止まるのかしら?」

QB「そうだね…止める方法は3つ。1つはまどかがこの事態の収拾を願って魔法少女になること」

ほむら「却下よ。次」

QB「……2つ目は君たちの誰かががシステム内部で絶望すること」

QB「あのシステムの目的は絶望のエネルギーを採取すること。1人分であろうと、採取できたら止まってしまうんだ」

ほむら「話にならないわ。次」

QB「……3つ目。内部にあるシステムの中核を破壊すること」

杏子「破壊できるんだな…だったら……!」

540: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:09:59.32 ID:nnwXCp85o
フロン「いえ…そう簡単には行かないと思います。インキュベーターさん、これは……」

QB「君はもう気づいてると思うけど…これはあの『恐怖の大王』プログラムを参考にして造ったものだ」

QB「『恐怖の大王』は人類全てに向けて造られたみたいだけど、『ワルプルギスの夜』は魔法少女に向けて造ったものだけどね」

QB「あの結界の入口の向こうはシステム内部に繋がっている。それがどういうことか、わかるだろう?」

フロン「つまり…あの内部は絶望で満たされている、と?」

QB「そうさ。『恐怖の大王』は憎悪で満たされていたように……」

QB「『ワルプルギスの夜』は魔法少女たちから集められた絶望で満たされている」

QB「魔法少女でなくとも、心が圧し潰されることになるだろうね」

541: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:10:42.06 ID:nnwXCp85o
フロン「……」

QB「それに、当然だけど自己防衛機能だってある。簡単に破壊できるとは思えないね」

QB「それと、『恐怖の大王』は生きている憑代に憑りついて起動するものだったけど、コレには必要ない」

フロン「まさか……」

QB「以前に結界へ入って、そして絶望した魔法少女の身体を憑代として、システムの一部にしているのさ」

QB「もっとも、自己防衛機能が魔力とエネルギーで弄っているだろうから、元々が誰だったかなんてわからないだろうけどね」

フロン「あなたは……!」

542: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:11:12.55 ID:nnwXCp85o
QB「とにかく、止めたいのなら好きな手段を取るといい。止める手段については、嘘は言ってないからね」

まどか「ほむらちゃん、どうしよう……」

ほむら「……」

インキュベーターから3つの選択肢が与えられる。しかし、実質選べるのはたったひとつだけ

まどかを契約させる?ここにいる魔法少女の誰かを絶望させる?冗談じゃない

ほむら「……決まってるでしょう。そのシステムの中核とやらを…破壊する」

さやか「そうと決まれば、早く……」

ほむら「いえ…ここからは私1人で行くわ」

マミ「あなた、何を言って……!」

543: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:11:55.03 ID:nnwXCp85o
ほむら「さっきの話を聞いてなかったの?あの結界の中は絶望で満たされているのよ」

ほむら「あなたたち、そんなところに入って魔女化しないと言い切れるの?」

さやか「うぐ…そ、それを言うならほむらだって……」

ほむら「私はもう…絶望には慣れてるから」

フロン「ほむらさん、甘く見ないでください。『恐怖の大王』と同等だとしても、相当な絶望が……」

ほむら「……あなたこそ、私を甘く見ないで。私にとっての絶望は、『まどかを救えないと、自分でそう認めたとき』だけ」

ほむら「それ以外の絶望?そんなもの、絶望でも何でもない」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「……ともかく、誰が何と言おうと、私1人で行かせてもらう。あなたたちは……」

544: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:12:58.42 ID:nnwXCp85o
フロン「待ってください」

ほむら「……何かしら」

フロン「ほむらさんの覚悟は聞かせてもらいました。そこで、他の4人の方に伺います」

フロン「今、目の前に大きな絶望が待ち構えています。……最悪、それが世界を滅ぼしてしまうかもしれません」

フロン「それに対して…皆さんは戦うことを選びますか……?」

さやか「……当然でしょ」

マミ「世界が滅ぶかもしれない、ってことはこの街も滅んでしまうかもしれない、ってことでしょう。そんなの、私が許さないわ」

杏子「このまま黙って見てるわけにもいかねぇよ。止める手段があるのなら、最後まで足掻いてみるさ」

まどか「……わたし、世界が滅ぶかもしれないから…それを阻止しようとか、そんな立派なことは思ってない。だけど……」

まどか「ほむらちゃんが戦うのなら…わたしも戦う。絶対に、諦めない……!」

545: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:13:31.59 ID:nnwXCp85o
フロン「……わかりました。では皆さん、もう少しこちらへ。あ、ほむらさんも来てください」

ほむら「……?わかったわ……」

フロンにそう言われ、私たちはフロンの近くへ歩み寄る

何をするのかと思いきや、フロンはどこからか杖を取り出し、魔力を込めていく

フロン「……少女たちに、愛のチカラを……!」

杖の先から発せられた淡いピンク色の光が、私たちの体を包み込む

何だかよくわからないが、体が軽くなったような気がした

546: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:14:09.56 ID:nnwXCp85o
まどか「あの、これは……?」

フロン「皆さんを愛のチカラで包み込みました。名付けて『愛フィールド』です」

フロン「愛と絶望は対極のモノ。愛フィールドがあれば、そう簡単には絶望せずにすむと思います」

ほむら「……ありがとう、フロン」

フロン「いえ…申し訳ないのですが、わたしが力になれるのはここまでです。本来、わたしがここにいるのもマズいことなので……」

ほむら「ここまでしてもらえれば十分よ。後は私たちに任せて頂戴」

フロン「それと…ほむらさん、これを持って行ってください。何が出て来るかわかりませんから」

ほむら「……これは?」

フロンから手渡されたのは、剣の柄のようなものだった

刀身は無く、どう見てもガラクタにしか見えなかった

547: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:15:19.90 ID:nnwXCp85o
フロン「……魔剣良綱。魔界にその名を轟かす、最強の剣…だったんですが……」

フロン「ご覧の通り、刀身がないんです。力を失ってしまった原因は…よくわかっていません」

フロン「元々お知り合いのある魔王の方が持っていたんですが…『使えないならいらない』とわたしに押し付けていった物なんです」

ほむら「……そんなものを渡したの?あなたは……」

フロン「ごめんなさい……。でも、ほむらさんの魔力…いえ、愛のチカラで蘇る。……そんな気がするんです」

ほむら「愛フィールドに愛のチカラ…あなた、一体何なのよ……」

フロン「天使長にして、愛の伝道師です!それに愛があれば、大抵のことは上手く行くんですよ?」

ほむら「わけがわからないわ…それじゃフロン、そろそろ行くわね」

548: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:16:08.31 ID:nnwXCp85o
フロン「皆さん…無事に帰って来てくださいね」

さやか「うん!」

マミ「えぇ!」

杏子「あぁ!」

プリニー『了解ッス!』

まどか「……行こう、ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ…みんな、行くわよ!」ズズ

QB「……さて、彼女たちは本当に止めることはできるかな?完成以来、魔女はともかくシステムを完全に止められた魔法少女は誰もいないのだからね」

フロン(……この件に最高評議会が関係しているのだとしたら、きっとまだ何か……)

フロン「……わたしは1度天界に戻ります。フロンガーをいつまでも人間界に置いておくわけには行かないので」

QB「そうかい?まぁ、好きにしたらいいんじゃないかな」

フロン(何をしてくるかはわかりませんが…とにかく考えうる限りの対策を……!)

549: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:16:57.49 ID:nnwXCp85o
――結界内――

ほむら「これが、結界…もとい、『ワルプルギスの夜』プログラムの内部……」

さやか「……絶望で満たされてる、って言葉だけじゃよくわからなかったけど……」

杏子「あぁ…嫌な感じが纏わりついて来るというか……」

ほむら「……あなたたちは大丈夫みたいね。まどか、マミ、大丈夫かしら」

マミ「えぇ、何とか……」

まどか「これが…絶望……」

プリニー『それで、そのシステムの中核はどこに……』

ほむら「……まだ先があるみたいね。とにかく、進んでみましょう」

550: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:17:26.07 ID:nnwXCp85o
『ワルプルギスの夜』プログラムの内部に足を踏み入れる

聞いてはいたが、確かに内部は絶望で埋め尽くされているようだった

勿論絶望が見えているわけではないが、心がそう感じていた

まどか「ほむらちゃん…大丈夫……?」

ほむら「えぇ。まどかは?」

まどか「何とか……。プリニーさんは割と大丈夫みたいだけど……」

プリニー『腐っても魔物ッスから。負の感情には強いッスよ」

ほむら「あなたもずっと魔チェンジし続けているけど、大丈夫なの?」

プリニー『この戦いが終わるまでは…頑張るッス』

ほむら「そう…まどかのこと、よろしく頼むわよ」

プリニー『了解ッス』

551: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:18:21.61 ID:nnwXCp85o
杏子「さやか、マミ、大丈夫か?」

さやか「杏子…うん、なんとか……」

マミ「この感じだけは慣れそうにもないわね……」

杏子「あんま慣れたいもんでもないけどな」

さやか「魔物のプリニーはいいとして…ほむらも平然としてるように見えるんだけど……」

マミ「入る前に言ってた、絶望には慣れてる…ね……。あれだけのことがあった以上、仕方ないとは思うけど……」

さやか「……悲しいことですよね。絶望に…慣れるなんて……」

杏子「ほむらとまどかには…幸せになってもらいたいな……。あいつらはもう、十分すぎる程に苦しんだんだからよ」

マミ「えぇ…そうね……」

552: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:18:58.49 ID:nnwXCp85o
『ワルプルギスの夜』の内部をしばらく進むと、開けた場所に出た

魔物が現れたときの結界そっくりのその広場の中心に、何やら魔法陣のようなものが描かれていた

ほむら「あれが…システムの中核かしら」

まどか「じゃないかな…もう、これ以上先はないみたいだし」

杏子「で、コレを壊すってどういうことだよ?」

さやか「うーん…とりあえず、魔法陣を崩してみるとか?」

マミ「下手に手を出さない方が…何があるかわからないし」

プリニー『でも、他に案は……』

553: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:19:44.43 ID:nnwXCp85o
ズズズ…

マミ「な、何!?」

ほむら「……!退路が……!」

マミ「ここから逃がさないつもりのようね……!」

杏子「コレがその自己防衛機能ってヤツじゃないのか!?」

ほむら「何が出てくるかわからないわ!注意して!」

まどか「う、うん!」

私たちを察知したのか、魔法陣が激しく反応する

何が起こるかわからない。辺りを警戒しながら魔法陣を見守っていると、その中心から何かが姿を現した

よく見ると、それは人間の体のようだった。インキュベーターの話を聞く限り、恐らくあれはシステムの為の憑代にされた魔法少女の身体…だろう

その魔法少女の身体が完全に姿を現す。しかし、そこに現れたのは……

554: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:20:40.73 ID:nnwXCp85o
さやか「ちょっと…どうなってんの……?」

マミ「わからないわ…でも、きっとこれもキュゥべえたちの仕業だと思うわ……!」

杏子「クソ…どこまでも汚い真似してくれるじゃねぇか……!」

プリニー『ま、まどか様……』

まどか「うん…ほむらちゃん、あれって……」

ほむら「えぇ…これは魔法少女を絶望させるプログラム。だからきっと…こちらの心を折りに来たんでしょうね……」

ほむら「あなたの姿で……!」

偽まどか「……ウェヒッ…ウェヒヒヒッ!」

555: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:21:36.41 ID:nnwXCp85o
魔法陣から現れた魔法少女の身体は、どういうわけかまどかの姿をしていた

しかし、本物のまどかとは比べるまでもなく、何もかもがおかしかった

黒く染まった魔法少女の衣装を纏い、およそ人間とは思えない肌の色。手には黒い弓を携えている。そして……

その顔には狂気に満ちた笑みを浮かべていた

マミ「……偽物とは言っても…鹿目さんと戦うだなんて……!」

さやか「あ、あたし…あたしにまどかを斬れって言うの……?」

杏子「どうしたもんか…やりづれぇな……!」

556: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:22:16.21 ID:nnwXCp85o
ほむら「……」

偽まどか「ウェヒヒッ!」キリキリ

まどか「ほむらちゃん!危ない!」

偽まどか「ヒヒッ!」パシュウ

ガギン

偽まどか「ウェヒ!?」

ほむら「……ふざけるんじゃ…ないわよ……!」

ほむら「たかだかインキュベーターごときが造ったプログラムが、まどかを……」

ほむら「私のまどかを、騙るんじゃないわよ!!」

557: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:23:09.37 ID:nnwXCp85o
ほむら「……お前だけは絶対に許さない。徹底的に破壊してあげるわ……!」

ほむら「さやか!マミ!杏子!いつまでも怖気づいてるんじゃないわよ!覚悟決めなさい!」

さやか「ものすごいやりづらいけど…こうなった以上仕方ない……。覚悟、決めるよ……!」

マミ「あれは鹿目さんじゃないけど…ごめんなさい、鹿目さん……!」

杏子「偽物に惑わされるなんてな…もう大丈夫だ……!」

ほむら「まどか、あなたは大丈夫……?」

まどか「う、うん……!」

まどか(ほむらちゃん…今言ったこと、気づいてないのかな?……でも)

まどか(ありがとう、ほむらちゃん。そんな風に言ってくれて…すごく、嬉しい)

まどか(わたし…やっぱり、ほむらちゃんのことを……)

プリニー『こっちも大丈夫ッス!いつでも行けるッスよ!』

ほむら「みんな、行くわよ!」

558: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:23:54.81 ID:nnwXCp85o
偽まどか「ヒヒッ!」

偽物のまどかが手を翳すと、周囲に魔法陣が描かれる

そこから姿を現したのは、私たちの偽物だった

偽物のまどかと同じく、黒い魔法少女の衣装を纏い、手には黒い武器

その顔にはニタニタと狂った笑顔が浮かんでいた

偽ほむら「……」

偽さやか「ヒヒヒッ」

偽マミ「フフ……」

偽杏子「ケケッ」

559: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:24:34.68 ID:nnwXCp85o
さやか「何あれ!?あたしたちの偽物まで出て来たよ!」

杏子「どいつもこいつも悪い笑顔してんな……」

ほむら「恐らく私たちの偽物の方は偽物のまどかを守るための駒。偽物のまどかを…システムの中核を破壊すれば、消えるはず」

まどか「じゃあ、わたしの偽物を倒せばいいんだね……!」

ほむら「えぇ、そういうこと。……みんな、偽物のまどかに攻撃を集中させて!これで全て…終わらせるわよ!」

さやか「わかった!」

杏子「あぁ、任せろ!」

マミ「援護は任せて!」

ほむら「インキュベーターの造った『ワルプルギスの夜』プログラム…ここで破壊する……!」

560: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:26:06.39 ID:nnwXCp85o
偽まどか「ウェヒッ!」パシュウ

プリニー『今の攻撃……!』

まどか「みんな!散開して!」

ほむら「まどか?……とにかく、全員散開!」バッ

ズドドドド

マミ「散開してなかったら直撃してたわね…でも、今のは……」

まどか「はい…弓の秘技、ジールレーゲン……」

さやか「向こうも秘技使うっての……?まどか、よくわかったね」

まどか「……わたしだって…同じ秘技、使えるんだから……!」キリキリ

まどか「行くよ……!ジールレーゲン!!」パシュウ

561: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:27:22.68 ID:nnwXCp85o
偽まどか「ウェヒヒ!」バッ

ズドドドド

ほむら「向こうもバラけた…これで……!」ダッ

偽まどか「ウェッ!?」

ほむら「食らいなさい……!」ジャキ

偽ほむら「……」ズドドドド

ほむら「な…私の偽物……!」

偽まどか「ウェヒッ!」

偽ほむら「……」

ほむら「……お前はそっちのまどかを守るとでも言いたいのかしら。でもね……」

ほむら「私だってまどかと約束したのよ、まどかの為に戦うって。……だから、負けるわけには行かないのよ……!」

ほむら「行くわよ……!リフレクトレイ!!」

562: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:27:56.82 ID:nnwXCp85o
フォン

偽ほむら「……?」

ほむら「いくら邪魔したところで、これなら……!」バシュウ

偽まどか「ウェヒィ!?」ズガッ

ほむら「……反射させればそう簡単には防げない。さぁ……」フォン

ほむら「四方からの一斉攻撃…防げるものなら防いでみなさい!」バシュウ

偽まどか「ウェッ……」

偽ほむら「……!」

563: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:28:31.16 ID:nnwXCp85o
ドォォォン

ほむら「これで……!」

偽ほむら「……ッ」

ほむら「こいつ……!」

偽ほむら「……マジカル…レイン……!」

ほむら「秘技……!なら、こっちも……!」

ほむら「マジカルレイン!!」

偽ほむら「……!」ズドドドド

ほむら「偽物の自分に…負けるわけないでしょう……!」ズドドドド

564: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:29:01.99 ID:nnwXCp85o
さやか「ていっ!」

偽さやか「キヒッ……」ギィン

さやか「くそ…さすがはあたしの偽物ってところか……!」

偽さやか「ヒヒ…無限剣……!」ズズ

さやか「な、何……?剣……?」

偽さやか「イヒヒヒヒッ!!」ダッ

さやか「く……!」ギィン

偽さやか「ヒヒ……!」ガッ

さやか「次の剣を…そういうことか……!」

偽さやか「ヒヒヒッ!」ダッ

565: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:29:35.96 ID:nnwXCp85o
さやか「くそ…このままじゃ……!」

さやか「そっちが『無限剣』ってんなら、こっちだって……!」ザッ

さやか(チャンスは…あいつが向かって来たとき……!)

偽さやか「ヒヒッ……!」

さやか「……そこっ!」ドガッ

偽さやか「……!」

さやか「これで……!秘剣……」バッ

さやか「闇夜斬り!!」ズバババァン

偽さやか「ガ…ア……」

さやか「……よし、倒した。早くまどかの偽物を……!」ダッ

『……』ズズズ

566: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:30:37.39 ID:nnwXCp85o
偽マミ「フフ……」ズドドドド

マミ「あれが私なんて冗談じゃないわ…ただ撃ちまくる戦い方なんて……!」

マミ「私の戦い方を…教えてあげるわ!」パァン

偽マミ「……」バッ

マミ「……これでいいわ。あとは……」

偽マミ「ウフフ…ティロ……!」ジャキ

マミ「させない……!拘束!」

偽マミ「……!」グルグル

マミ「私以外に使わせはしないわ…食らいなさい!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」ズドォォォォォン

偽マミ「ア……」

マミ「ふぅ…あとは鹿目さんの偽物を倒さないと……!」ダッ

『……』ズズズ
 

579: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:43:55.40 ID:nnwXCp85o
 


偽杏子「ケケッ……」

杏子「チッ…自分と戦うことになるとはな……!けどよ……」

杏子「アタシは…そこまで悪い笑顔してねぇよ!」ブン

偽杏子「クケケ……」ギィン

杏子「クソ……」

偽杏子「ケケ…槍刺……!」ドガッ

杏子「ぐっ……!」

偽杏子「クケケケッ!」ガッ

杏子「な…クソ、離せ……!」

568: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:32:34.91 ID:nnwXCp85o
ズドォン

杏子「ぐ…ッ……」

偽杏子「ケケケ……」

杏子「ク…ソ…すま、ね……」

偽杏子「クク…クケケケケ……」ズバァン

偽杏子「ケ……?」

杏子「……ロッソ・ファンタズマ。アンタはずっとアタシの分身と戦ってたワケさ」

杏子「……っと、こうしちゃいらんねぇな。早いとこニセまどかを倒さないとな」ダッ

『……』ズズズ

569: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:33:55.77 ID:nnwXCp85o
偽ほむら「……ッ」

ほむら「……どうやら私の勝ちのようね。これで、止め……!」ジャキ

ほむら「マジカルレイン!!」ズドドドド

偽ほむら「グ…ガ……!」ズガガガガ

ズドォォォン

偽ほむら「グ……」

ほむら「……所詮は私と言ったところかしら。時間停止がなければ、対して強くも……」

偽まどか「ウェヒ……!」

ほむら「私の偽物は倒した。他の偽物も、みんなが倒してくれた。……もう、観念しなさい」

570: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:34:31.87 ID:nnwXCp85o
偽まどか「……ウェヒッ」

偽まどか「ウェヒ…ウェヒヒッ!」

ほむら「……?何を笑って……!」

偽ほむら「……」ジャキ

ほむら「な……!」

偽ほむら「……」ズドドドド

ほむら「ぐっ……!どう、して……?」

偽ほむら「……」ダッ

ほむら「……合流させるわけには……!」

ほむら「……いえ、1度みんなと合流するべきね……。私も手傷を受けてしまったし……」

571: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:35:27.26 ID:nnwXCp85o
偽さやか「ヒヒヒッ!」

偽マミ「フフフ……」

偽杏子「ケケケ」

さやか「どうなってんの!?こいつら、倒したはずじゃ……!」

杏子「アタシが知るか!……向かってくるんなら、もう1度……!」

偽さやか「……!」ダッ

偽マミ「……!」ダッ

偽杏子「……!」ダッ

マミ「……鹿目さんの偽物のところに戻って行ったわね……」

さやか「でも…何でだろう……?あ、まどか、大丈夫だった?」

まどか「わ、わたしは大丈夫だけど……」

572: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:36:03.12 ID:nnwXCp85o
ほむら「全員…無事のようね……」

まどか「ほむらちゃん!大丈夫なの!?」

ほむら「えぇ、ちょっと背後から撃たれただけよ。油断したわ……」

まどか「……なら、いいんだけど……」

ほむら「それよりも、あの偽物たち…どうにも復活するみたいね……」

マミ「えぇ…私たちも暁美さんの偽物が復活するのを見て、後ろを見たら……」

杏子「倒してもまたすぐ起き上がってくる…ゾンビはどっちだよ……」

さやか「でも、それだとどうやって倒すのさ……」

まどか「……わたしに、考えがあるの」

573: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:36:32.24 ID:nnwXCp85o
プリニー『まどか様?』

まどか「わたしがもう1度、偽物を散開させるから…ほむらちゃん以外のみんなは、それぞれの足止めをお願い」

さやか「……うん、わかった」

ほむら「私は……?」

まどか「ほむらちゃんは、わたしの偽物を…倒せるくらいの攻撃をお願い」

ほむら「……何とかしてみせるわ。でも、私の偽物が……」

まどか「……大丈夫。わたしが…動きを止めてみせるから……!」キリキリ

まどか「行くよ、みんな……!ジールレーゲン!!」パシュウ

574: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:37:43.89 ID:nnwXCp85o
偽まどか「ウェヒッ!」バッ

ズドドドド

さやか「よし、バラけた……!行くよ!」ダッ

偽ほむら「……!」ダッ

まどか「遅いよ……!瞬雷!!」パシュウ

ヒュオン

偽ほむら「……ガ…ッ……」ズドォン

偽まどか「ウェヒィッ!」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ、わかってる……!」

575: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:38:38.81 ID:nnwXCp85o
確実に仕留められる秘技…アレが撃てれば、恐らく倒せるはず。だけど……

インペリアルで増幅したとしても、魔力が足りない。私はインペリアルを握りしめ、願う

ほむら(お願い…私にもう少しだけ、力を……!)

パァァ

ほむら「え……?これは……?」

まどか「ほむらちゃんの首飾りが……」

プリニ『あれは…アルカディア……!インペリアルよりも、ずっと上等な物ッス!』

ほむら「……魔力が満ち溢れて来る…これなら……!」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ……!」

576: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:39:12.34 ID:nnwXCp85o
握った銃に魔力を集中させる。……この一撃で、全て終わらせる

偽物とはいえ、再びまどかを銃で撃つことになるなんて……

だけど、アイツは偽物。だったら、躊躇う必要は無い。私はまどかの偽物に向けて、引き金を引いた

ほむら「……インフェルノ!!」ズドォン

偽まどか「ウェヒッ……」

私が放った魔法弾は、まっすぐにまどかの偽物へ向かっていく

そして、まどかの偽物の眼前で炸裂し、大爆発を引き起こした

577: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:39:45.76 ID:nnwXCp85o
ズドォォォォォン

ほむら「……やった…の……?」

まどか「じゃないかな…ほむらちゃんの偽物も消えてるし……」

ほむら「……今度こそ、全部……」

さやか「あんた、なんちゅー秘技使うのさ!」

杏子「あんなモン使うならそう言え!危ねぇだろうが!」

マミ「まぁまぁ…それよりも、倒したのなら戻りましょう?こんな場所、早く出たいわ」

ほむら「……そうしたいのだけど、退路が閉じたままね。どうやって出る……」

578: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/12(金) 23:40:17.34 ID:nnwXCp85o
ズズズ…

ほむら「……ッ!」ゾクッ

さやか「な、何?今の……」

杏子「最初ここに入ったときに感じたのに近いが……」

マミ「えぇ…それよりももっと嫌な感じ……」

まどか「まさか…まだ……!」

私たちの背後から感じた嫌な何か

私たちの偽物は既に消滅している。……それなら、正体はひとつしかない。そう思っていると

爆煙を裂いて、奴が姿を現した

584: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:22:21.39 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「ウェ…ヒ……」

杏子「……やっぱりアイツか」

さやか「でも、もうだいぶ弱ってる。これなら……」チャキ

マミ「待って…様子がおかしいわ」

偽まどか「ウェヒッ…ウェヒヒヒヒヒヒッ!!」ズズズ

まどかの偽物が狂ったかのように笑い出すと、どこからか黒い靄のようなものが現れ、彼女を包み込んだ

靄は少しずつ濃くなっていき、やがて完全に見えなくなってしまった

585: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:22:50.52 ID:aTnDRJ5No
まどか「何が…起こってるの……?」

ほむら「わからないわ……。あの黒い靄は何……?」

プリニー『絶望が収束していく…そんな感じがするッス……!』

杏子「何だかよくわからねぇが…ヤバそうな気はするな……」

マミ「……みんな、見て!」

まどかの偽物を包んでいた靄が少しずつ晴れていき、彼女が再び姿を現す。しかし……

その姿は、先ほどまでとは大きく変わっていた

漆黒のドレスのような衣装に、堕天使のような黒い翼。そして

身の丈を超えるほどの大剣を手にしたその姿は、まるで魔王のようだった

586: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:23:17.37 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「ウェヒ…ウェヒヒヒヒッ!」

杏子「……何だよ、あのフザけた剣……!」

さやか「わかんないよ…でも……!」

ほむら「やるしかないわ……!行くわよ!」

マミ「鹿目さん!あなたはそこにいて!」

まどか「は、はい!」

偽まどか「ウェヒヒヒッ!」ダッ

杏子「向こうもやる気みたいだ…気をつけろよ!」

587: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:23:47.10 ID:aTnDRJ5No
さやか「まずはあたしから……!」チャキ

さやか「うおりゃっ!」ドガッ

偽まどか「……!」

さやか「行くよ!秘剣…闇夜斬り!!」ズバババァン

偽まどか「……ヒヒッ」

杏子「逃がすか!疾風迅雷!!」ズドドドド

杏子「これで…どうだ!?」ズドォン

偽まどか「……ヒヒ…ウェヒヒヒヒッ」

588: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:24:15.26 ID:aTnDRJ5No
杏子「マトモに食らったはずだろ……?どうなってやがる……」

さやか「……!杏子、来るよ!」

偽まどか「ウェヒッ」ブオン

さやか「うぐ…重い……!」ギィン

杏子「アタシはこっちだ!」

偽まどか「ヒヒッ……!」グググ

さやか「そん…な……!」

杏子「……嘘だろ…さやかごと……!」

ズガァァァン

偽まどか「……ウェヒヒッ」ダッ

589: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:24:43.29 ID:aTnDRJ5No
マミ「……来るわよ!」

ほむら「わかってるわ。残り少ないけど……!」ジャキ

ほむら「食らいなさい!」ズドドドド

偽まどか「ウェヒッ!」ギィン

ほむら「……防御魔法……!」

マミ「何としても…倒してみせる!」ズドドドド

偽まどか「ヒヒッ」

ほむら「仕留める……!マジカルレイン!!」ズドドドド

マミ「私と暁美さんの集中砲火…食らいなさい!」ズドドドド

偽まどか「……!」

590: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:25:12.55 ID:aTnDRJ5No
ズドォォォン

ほむら「どうかしら……?」

マミ「倒したとは思えないけど……」

偽まどか「ウェヒヒッ」ダッ

ほむら「まだ……!」

偽まどか「ヒヒッ!」ブオン

マミ「く…私じゃ……!」ギィン

偽まどか「ウェヒヒヒッ……!」グググ

マミ「も、もう……!」

591: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:25:55.40 ID:aTnDRJ5No
さやか「マミさんから離れろ!」ブン

偽まどか「ウェヒッ」バッ

杏子「マミ、大丈夫か!?」

マミ「えぇ、ありがとう、2人とも」

杏子「にしても、強いな……」

ほむら「全員で一気に行くわよ。一斉攻撃なら……!」

さやか「わかった!」

ほむら「それじゃ、行くわよ!」ダッ

592: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:26:23.55 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「……」

さやか「杏子!あんたは右!あたしは左から行くよ!」

杏子「わかった!」

マミ「私と暁美さんは正面から攻撃するわ!注意して!」

ほむら「私たちの連携…食らいなさい!」

偽まどか「……ヒヒッ」スッ

ほむら「……?何を……」

偽まどか「ウェヒヒヒヒッ!!」バッ

619: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:42:09.87 ID:aTnDRJ5No
 


ズドォン

杏子「ぐ…っ……」

さやか「な…何……?」

マミ「あ…足元から……」

ほむら「剣が……!」

偽物のまどかが手を翳す

次の瞬間、私たちの足元から、偽物が持っているような巨大な剣が突き出した

ほむら「ぐ…う……」

偽まどか「ウェヒヒッ」ダッ

ほむら「アイツ…まさか……!」
594: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:27:41.26 ID:aTnDRJ5No
まどか「ほむらちゃん!みんな!」

プリニー『まどか様!こっちに来るッスよ!』

まどか「え!?え、えっと…防御魔法を……!」

プリニー『ダメッス!アレは防げないッス!そのまま斬られるッスよ!』

まどか「そんな…どうしたら……!」

偽まどか「ヒヒ……」ブオン

プリニー『こうなったら…魔チェンジ解除ッス!』パァァ

まどか「プリニーさん……?」

プリニー「1発こっきりッスが…今が使うときッス!」ゴソゴソ

プリニー「食らうッス!プリニガービーム!!」パシュウ

偽まどか「ウェヒ……!」ガギン

595: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:28:33.52 ID:aTnDRJ5No
まどか「弾いた…けど……!」

偽まどか「ウェヒヒッ!」ブオン

プリニー「や、やっぱりまた来たッス!」

まどか「プリニーさん!もう1回……!」

プリニー「も、もう撃てないッス!」

まどか「そんな……!」

偽まどか「ウェヒヒヒヒッ!!」

まどか「あ……」

ズバァン

まどか「……あれ?え!?」

596: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:29:10.04 ID:aTnDRJ5No
ほむら「……が…ふ…ッ……」

プリニー「ほむら様……?」

まどか「ほむらちゃん…ほむらちゃん!!」

ほむら「まど、か…大丈…夫、かしら……」

まどか「わたしのことはどうだっていいよ!!それより、ほむらちゃんが……!」

ほむら「心配…しなくても、大丈夫…よ。アイツを…倒すまでは、死んだり…しないから……!」

今の私には、まどかの目の前に迫った偽物の攻撃を防ぐことも、まどかを逃がすことも出来ない

なら、私に出来ることはただひとつ。身を呈してでも、まどかを守ることだけ

肩口からばっさりと袈裟懸けに斬られ、鮮血が噴き出す

溢れだす血で、みるみるうちに私の全身は真っ赤に染まっていった

597: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:29:47.80 ID:aTnDRJ5No
ほむら「まどかは…私が、守る……!私の…この命に代えても……!」

まどか「そんな…ほむらちゃん……!」

偽まどか「ウェヒヒッ!」ブオン

まどか「ほむらちゃん!!」

さやか「そうは…させるかあぁぁぁ!!」ズバン

偽まどか「ウェヒッ!?」バッ

杏子「まだだ!さっきのお返し…させてもらうよ!!」ズドン

偽まどか「ウェッ……!」

杏子「こ…の……!うおりゃああぁぁ!!」ブオン

ズガァァァン

598: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:30:16.66 ID:aTnDRJ5No
マミ「暁美さん!!しっかりして、今治療を……!」

ほむら「……止血だけで、いいわ……。それより、話を聞いて……」

さやか「話……?」

ほむら「……正直に言って、今の私たちではアイツに…勝てない。まどかが契約でもしない限りは……」

さやか「そんな…あたしたちが協力すれば、きっと……!」

ほむら「私たちの秘技を食らって…ほとんどダメージがないのよ……?力の差が…レベルが違いすぎる……」

ほむら「だけど…私は、まどかが契約するなんて…そんなの認めない……。だから…賭けに出るわ……」

杏子「賭け……?」

ほむら「ここに入る前…フロンから手渡された、魔界最強の剣…『魔剣良綱』を使ってみるわ……!」

さやか「そんなもんあるんなら最初から……」

ほむら「だから、言ってるでしょう…これは賭けなの……。今、この剣には刀身が無いの……」

ほむら「フロンの話だと…私の『愛のチカラ』で蘇る…かもしれないということよ……」

599: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:30:51.91 ID:aTnDRJ5No
杏子「博打も博打、大博打じゃねぇか……。けどよ、その話…乗ったよ……!」

さやか「あたしたちは…その刀身が復活するまで時間を稼げばいいんだね……!」

マミ「……治療、終わったわ。私も、協力するわ……!」

プリニー「オレとまどか様も力を貸すッスよ!」

まどか「ほむらちゃん…ひとつだけ、約束して」

ほむら「……何かしら」

まどか「絶対…絶対に、生きてみんなと一緒に帰ろう。だから…死んだりしちゃ、ダメだからね」

ほむら「……わかった。『約束』するわ」

偽まどか「ウェヒッ……」ガラ

さやか「向こうも行動可能になったみたいだし…よし、行くよ!」ダッ

杏子「マミ!お前、近接型じゃないんだからな!無茶すんなよ!」

マミ「わかってるわ!2人も気をつけて!」

600: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:31:25.80 ID:aTnDRJ5No
そう言って、3人は互いに声を掛け合いながら偽物に向かって行く

私は盾からフロンに手渡された魔剣を取り出す

まどか「……それが、魔剣……?」

ほむら「えぇ。フロンが言うに、知り合いの魔王から譲り受けたらしいわ」

プリニー「魔剣良綱…初めて見るッス……」

ほむら「……少し集中させてほしいの。まどか、私の護衛…お願いできるかしら」

まどか「……うん。ほむらちゃんは、わたしが守ってみせる。プリニーさん、お願い」

プリニー「わかってるッス。魔チェンジ!」パァァ

ほむら「それじゃ…お願いするわね」

魔剣を握りしめ、目を閉じる。フロンは『愛のチカラ』で蘇るなんてことを言っていたが

これが魔界の武器だとしたら、魔力を送り込めばきっと……

そう思い、私は魔剣へ魔力を送り続けた

601: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:31:59.73 ID:aTnDRJ5No
――――――

偽まどか「ウェヒッ!」ブオン

さやか「うぐっ……!」ギィン

杏子「クソ…いつまでかかるんだよ……!」

マミ「刀身は出てるみたいだけど…あれじゃ……!」

さやか「でもいい加減…こっちも限界に近いよ……!」

マミ「グリーフシードももう残ってない…マズいわ……」

杏子「……ほむら、急いでくれ……!」

602: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:32:41.75 ID:aTnDRJ5No
まどか「みんな、がんばって……!きっと、もう少しだから……!」

ほむら「……」

魔力を送り込むことで、何とか刀身を蘇らせることには成功した。だが……

その姿は、魔界最強の剣と呼ぶにはあまりにも弱々しいものだった

完全に復活させるには…魔力と『愛のチカラ』とやらが必要なのだろう

しかし、その愛のチカラとは一体どうしたら……

ズガァァァァン

さやか「ぐあ……っ」

まどか「あ…さやかちゃん!マミさん!杏子ちゃん!」

マミ「く……っ」

杏子「動けよ…アタシ……!」

603: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:33:09.55 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「ヒヒッ……」

まどか「ほむらちゃん…みんなが……!」

ほむら「……どうやらここまでのようね。不完全だけど…やるしか……」

偽まどか「ウェヒヒ……」バッ

さやか「あれ…飛天無双斬……!?まどか!ほむら!逃げ……!」

ほむら「……っ!」バッ

まどか「え、ほ、ほむらちゃ……!」

偽まどか「ウェヒヒヒヒッ!!」

ズガァァァァン

604: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:33:43.97 ID:aTnDRJ5No
杏子「ほむら!!まどか!!」

マミ「2人とも、返事して!!」

さやか「……よくも…よくも2人を!!」ダッ

偽まどか「ウェヒ?」

さやか「うおおぉぉぉ!!」ズガン

偽まどか「ウェ、ウェヒッ!?」

さやか「出ろ!魔王の剣!!」ズズ

杏子「でけぇ…アイツのと同じくらいに……!」

さやか「超魔王……!」ズバン

偽まどか「ウェッ……」

さやか「十字斬!!」ズバァン

偽まどか「ウェ…ガッ……」

マミ「ダメージが……!行けるわ!」

605: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:34:16.53 ID:aTnDRJ5No
杏子「次はアタシだ……!ロッソ・ファンタズマ!!」

ズララララ

マミ「佐倉さん…その魔法……!」

杏子「まだまだ!続けて行くぞ!」ザッ

杏子「ブリュンヒルデ!!」ズドドドド

偽まどか「グ…ガ……」

杏子「トドメだ!食らいやがれ!!」ズドォン

偽まどか「ガアッ……!」

マミ「私の番ね……!秘技は色々あるけど…私にはコレが一番似合ってるわ!」

マミ「行くわよ!ティロ・フィナーレ!!」ズドォォォォォン

偽まどか「ウェ…ヒッ、ウェヒヒッ……」

さやか「まだ…倒せないなんて……!」

606: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:34:44.75 ID:aTnDRJ5No
まどか「最後は…わたしだね……!」

さやか「まどか!大丈夫なの!?」

まどか「うん…多分、ほむらちゃんが守ってくれたんだと…思う」

杏子「ほむらは!?無事じゃねぇのか!?」

まどか「……」

マミ「そん…な……」

まどか「許さない…許さない、許さない!!」

プリニー『許さないッスよ……!絶対、許すものかッス!!』

まどか「行くよ……!弩炎竜!!」ズズズ

偽まどか「ウェ…ウェヒ、ウェヒッ……!」

ズドォォォォォン

607: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:35:11.31 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「……ウェヒッ、ウェヒヒヒヒッ……」

さやか「くそ、まだなの!?」

まどか「なら、もう1発……!」

偽まどか「ウェヒィィィッ!!」ダッ

杏子「まどか!危ねぇ!!」

まどか「え……」

ギィン

偽まどか「ウェ……!」

ほむら「まどかは、私が守ると…そう言ったはずよ……!」

まどか「ほ…ほむらちゃん!!」

608: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:35:44.26 ID:aTnDRJ5No
少しの間、気を失っていたようだ

目が覚めてから最初に見たのが、まどかに向かって突っ込んでいく偽物のまどかだった

再度身を呈してまどかを守ろうとも思ったが、手にした魔剣を見て考えを改める

蘇った魔剣を握りしめ、まどかの下へ急ぐ。……大好きなまどかを守る為に

私のそんな想いに呼応するように、魔剣の出力が上がる。奴の大剣ほどの刀身ではないが、これなら……

そして、まどかに向かって振り下ろされた剣を、魔剣で受け止めた

609: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:36:10.82 ID:aTnDRJ5No
ほむら「まどか…心配させてしまったみたいね……。少し、気を失っていたみたい」

まどか「ほむらちゃん……」

偽まどか「ウェヒッ!」バッ

偽物が私から距離を取る

さやかたちはもう余力はない。まどかも、これ以上長引けばどうなるかわからない

私が決着をつけるしかない

だけど、これを放ってしまったら…きっと私は……

610: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:36:38.47 ID:aTnDRJ5No
ほむら「……さやか、マミ、杏子…それに、まどか……」

ほむら「……ありがとう。後は私に…任せて」

まどか「ほむら…ちゃん……?」

もう、覚悟は決まっている。後は私がアイツを倒して、それで終わり

魔剣を握りしめ、奴を睨む

ほむら「これで、全て終わらせる……。行くわよ……!」フォン

偽まどか「ウェ…ウェヒィッ!?」

611: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:37:07.74 ID:aTnDRJ5No
眼前の虚空へ向けて魔剣を振る。すると、偽物の足元から魔法陣が現れた

魔法陣は幾重にも重なっていき、やがて巨大な柱のようなものへと変わっていった

偽まどか「ウェヒッ!ウェヒィィィ!?」

マミ「すごい…魔法陣の、柱……?」

さやか「ほむら…いつの間に剣の秘技なんて……?」

杏子「魔剣があるから…じゃないか……?」

ほむら「ハァ…ハァ…」

魔法陣で偽物を拘束することはできた

しかし、思った以上に消耗が激しい。だが…アイツを倒すまで倒れるわけにはいかない

612: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:37:46.80 ID:aTnDRJ5No
ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「魔剣を蘇らせるのに必要だった『愛のチカラ』…正体がわかったの……」

まどか「え……?」

ほむら「誰かを敬ったり、好きだったり…『愛のチカラ』って、きっと誰かのことを…愛する気持ちのことだと…そう思うの……」

まどか「そうだったんだ……」

ほむら「だから、まどか……」

そう言ったところで、私は天高く魔剣を掲げた

天を衝く程に巨大なエネルギー状の刀身が現れる。やはり、思った通りだ

私の中の想いを認めただけでコレだ。まどかに伝えればまだ強くなるはず

これが最後になるかもしれない。だから、ちゃんと伝えよう

私は顔だけをまどかの方へ向け、そして……

613: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:38:18.10 ID:aTnDRJ5No





ほむら「大好き……」




614: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:39:09.77 ID:aTnDRJ5No
ズドォォォォ

ほむら「これだけの出力があれば……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん…今……」

ほむら「まどか…ありがとう。私と一緒に暮らしてくれて。私について来てくれて。そして……」

ほむら「……ありがとう。私と、友達になってくれて……」

まどか「ほむら…ちゃん……?」

ほむら「時間を繰り返す度に…あなたと心が離れていく。だけどこの時間軸で…私は幸せだったわ。……もう、心残りはない」

まどか「ほむらちゃん…何を言って……」

ほむら「……さよなら、まどか……。愛してるわ……」

私はそう言うと、偽物へ視線を戻す

そして、その巨大な剣を、魔法陣の柱へ向けて振り下ろした

615: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:39:45.04 ID:aTnDRJ5No
ズガガガガガ

さやか「魔法陣を砕きながら……」

マミ「……頑張って、暁美さん!!」

杏子「行け、ほむら!!」

さやか「アイツを…倒して、ほむら!!」

まどか「ほむらちゃん!ほむらちゃん!!」

偽まどか「ウェヒッ!?ウェヒィィィィ!?」

ほむら「これで…終わりよ……!魔陣……」

ほむら「大次元断!!」

616: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:40:21.17 ID:aTnDRJ5No
偽まどか「ウェ…グ…ガガ……」ギギギ

ほむら「この……!」

魔法陣の柱の中で、偽物が振り下ろした私の魔剣を防いでいる

だが、誰がどう見ても勝負はもう、ついていた

魔剣を握る手に力を込める。そして

ほむら「はあぁぁぁぁぁ!!」

偽まどか「ウェ…ヒ…ッ……」

持っている大剣ごと

偽物を真っ二つに切り裂いた

617: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:40:52.88 ID:aTnDRJ5No
ズドォォォォォォン

偽まどか「ウェヒ…ウェ…ヒ……」シュゥゥ

マミ「偽物が…消えて……」

杏子「アタシたち…勝ったのか……?」

さやか「勝った…勝ったんだよ!あたしたちは!」

偽物の姿が次第に消えていく。今度こそ、倒したようだ

システムの中核は破壊した。これでシステムは止まるはず

別に世界中の魔法少女を救うつもりなんて、ない。まどかを守る…まどかの為に戦った。ただそれだけのこと

でも…どうやら相討ちのようだ。……ワルプルギスの夜を倒して、死んでいったまどかのように

そして、偽物が消滅したのを見届けると

私は、その場に崩れ落ちた

618: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/13(土) 23:41:32.77 ID:aTnDRJ5No
マミ「暁美さん!鹿目さん!私たち、勝った……」

まどか「ほむらちゃん!しっかりして、ほむらちゃん!!」

さやか「……何か、様子が……」

杏子「とにかく、行ってみようぜ」

ほむら「ハァ…ハァ…」

まどか「ほむらちゃん!ほむらちゃんってば!!」

プリニー「ほむら様!しっかりするッス!!」

さやか「まどか!どうした!?」

まどか「さやかちゃん!ほむらちゃんが……!」

マミ「暁美さん…あなた、まさか!?」

杏子「ソウルジェムが…もうヤベェ……!」

マミ「……とにかく、早くここを出ましょう。こんな絶望が渦巻いてるところにいたら……!」



628: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:13:37.67 ID:spCKeI9jo
――――――

さやか「外に出たのはいいけど……」

マミ「もう…どうにも……」

杏子「さやか!手分けして魔女を探すぞ!!まだ間に合うかもしれねぇ!!」

プリニー「オレたちも手伝うッス!無事だったプリニー隊を総動員して……」

マミ「無理よ……。今からでは、もう……」

さやか「そんな……」

プリニー「……嘘ッス……。ほむら様が……」

杏子「……どうしようも…ねぇのかよ……!」

629: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:14:21.41 ID:spCKeI9jo
ほむら「まど、か……」

まどか「ほむらちゃん……!何で…何であんなこと……!」

ほむら「言った…でしょう……?命に代えても、あなたを守ると……」

ほむら「私は…あなたを守れた、もの……。後悔なんて、あるわけ…ない……」

まどか「でも…だからって、こんな……!」

ほむら「『約束』したじゃない……。あなたを…守るって。それだけの…ことよ…ぐ…っ……」

まどか「ほむらちゃん!!」

630: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:15:44.40 ID:spCKeI9jo
ほむら「まどか…私が、魔法少女に…なるときの願い…覚えてる……?」

まどか「うん……!『まどかとの出会いをやり直したい。まどかに守られる私じゃなく、まどかを守る私になりたい』…でしょ?」

ほむら「そう…まどかとの出会いをやり直すってのは…叶ったけど、まどかを守る私になりたいっていうのは…叶わなかった……。でも……」

ほむら「あなたを守ろうと…何度も…何度もやり直した……。そして今、やっとあなたを守ることができた……」

ほむら「私…なれたかな……?まどかを守る私に…なれたかな……?」

まどか「なれた…なれたよ、ほむらちゃん……!わたしを守ってくれて…ありがとう、ほむらちゃん……!」ポロポロ

ほむら「ふふ…よか…った……。もう、心残りは…ない、わ……」

まどか「ほむらちゃん…ダメだよ…死んじゃダメだよ!!」

まどか「ほむらちゃん、約束したでしょ……!生きてみんなと一緒に帰ろうって!!」

まどか「約束…破っちゃ嫌だよ、ほむらちゃん!!」

631: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:16:49.51 ID:spCKeI9jo
QB「おめでとう。無事にシステムの中核を破壊したようだね」

さやか「あんた……!どこが無事なのよ……!」

QB「アレが完成してから今までに完全停止させた者はいないんだ。それを考えれば、この状況は無事というべきじゃないかな」

QB「それに、魔界のアイテムを使ったんだろう?それならあれほどまでに強くなったのはある意味必然だね」

杏子「テメェ…最初から……!」

QB「確かに、中核の破壊に成功した者はいるよ。ただし……」

マミ「……全魔力を注がないと中核は破壊出来ない…そう言いたいの?」

QB「さすがマミ、理解が早くて助かるよ」

QB「あのシステムから生きて帰った魔法少女はいないって言っただろう?それにはそういう理由もあるのさ」

QB「何より、中核を破壊したその場で魔法少女が身体を残して死んでくれるんだ。それを新しい憑代としてシステムを再構築すれば済む話さ」

さやか「そんなのって…どう転んでも絶望しかないじゃない……!」

632: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:17:28.68 ID:spCKeI9jo
QB「そりゃ僕たちだってアレを完全停止させられる…つまり魔法少女システムを破壊されても困るしね」

杏子「魔法少女システムの破壊…それって……」

QB「君にも話したじゃないか。ワルプルギスの夜…まぁ正確にはプログラムの方だけど……」

QB「アレを止められると、エネルギーの変換ができず、『畏れ』エネルギーが生み出せない。つまり、システムとして欠陥が生じてしまう」

QB「そうなると、僕たちにとってはシステムを破壊された、と言わざるを得ないね」

杏子「そういうことかよ…また騙しやがって……!」

QB「しつこいようだけど、訊かれなかったからだよ。『魔法少女』はあくまでエネルギーを生み出す手段。僕たちの目的はエネルギーの方さ」

マミ「ふざけないで……!」

QB「ふざけてなんていないさ、僕たちは宇宙の寿命を延ばすために最善を尽くしているだけだよ。……さて、彼女はもう限界だ。今なら契約してくれるかもね」

633: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:18:05.56 ID:spCKeI9jo
次第に身体が動かなくなってくる。もう、身体を操るだけの魔力もないのだろう

目の前がぼやける。治した視力が戻ったのだろうか…と思ったが

いつの間にか、目には涙が浮かんでいた

ほむら「まどか…泣かないで……」

まどか「ほむら…ちゃん……!」

血に塗れた手で、まどかの頬にそっと触れる

まどかはそれに手を重ね、私に問いかけた

まどか「ほむらちゃん…さっき、『ワルプルギスの夜』の中で…わたしのこと…好きだって……」

634: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:18:58.27 ID:spCKeI9jo
ほむら「えぇ…私は、まどか…あなたのことが…好きよ……」

ほむら「今までは…友達としてだったけど…あなたと、暮らすようになってから…あなたを意識するようになって……」

ほむら「ここ最近は…あなたのことばかり…考えていたわ……」

まどか「……わたしも…わたしも、ほむらちゃんのこと…大好きだよ……」

ほむら「そう…ふふ、最高の…冥土の土産ね…う、ぐ……」

ほむら「……ごめん…なさい、もう…ソウルジェムも、限界みたい……」

まどか「ほむらちゃん…待って……」

ほむら「あなたに、人殺しはさせないわ……。自分で…始末する……」

まどか「ダメだよ…死んじゃダメだよ!!」

まどか「わたし…ほむらちゃんのこと、好きなのに……!こんな…こんなのってないよ……!あんまりだよ!!」

635: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:19:41.47 ID:spCKeI9jo
QB「まどか、泣いてるところ悪いけれど、僕の話を……」

ほむら「……失せな、さい…インキュベーター……!」

QB「まどか、よく聞いてほしい。今君が願えば、ほむらのソウルジェムを元通りにすることだってできる」

まどか「え……」

QB「ソウルジェムを元通り…つまり、魂を本来あった場所へ…元の人間の姿へ戻す。まどかには、それができるだけの資質がある」

QB「もちろん、ほむらだけじゃない。さやかたちだって、何とかできるはずだよ」

QB「だからまどか…僕と契約して、魔法少女になってよ!」

まどか「……ほむらちゃん、ごめんね」

ほむら「まどか……?あなた……」

636: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:20:24.78 ID:spCKeI9jo
まどか「わたし…魔法少女になる……!」

ほむら「やめて……!私、そんなこと、望んで……!」

まどか「でも……!わたし、ほむらちゃんを救えるだけの力があるのに……!」

まどか「ほむらちゃんが苦しんでいるのをただ見ているだけなんて…そんなこと、できない!!」

まどか「それに…今までほむらちゃんに、たくさん助けてもらった。……今度は、わたしがほむらちゃんを助ける番」

ほむら「まど、か……」

QB「まどかの意思は決まったようだね。それじゃあまどか、君の願いはなんだい?」

まどか「ほむらちゃんにさやかちゃん、マミさん、杏子ちゃん…みんなを、元通りにして!」

QB「鹿目まどか、君の願いはエントロピーを……」

637: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:20:57.57 ID:spCKeI9jo





『その必要はありません!』




638: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:22:23.25 ID:spCKeI9jo
頭の中に声が響いたかと思うと、私の側に魔法陣が現れる

今の声、そしてこの魔法陣は……

フロン「何とか…間に合いましたね……!」

プリニー「フロン様!」

マミ「あなた、今までどこに……」

フロン「少し天界に戻っていました。宇宙評議会が相手なら、必ず裏に何かがある。そう思い、思いつく限りの対策を用意してきました」

QB「天使長フロン…君はどこまで僕たちの邪魔をすれば……」

フロン「徹底的に、です。本当は内部で絶望させ、その絶望のエネルギーを元に破壊された魔女のワルプルギスの夜の修復をするつもりだったのでしょう」

フロン「ですが、中核を破壊されるという手違い…それに、憑代にするはずの身体を残すことなく出てきてしまった。だからそうして時間稼ぎをしている…違いますか?」

QB「……」

フロン「……っと、今はあなたと話している時間はありませんでした。早くほむらさんを助けないと危険ですね」

639: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:23:26.15 ID:spCKeI9jo
まどか「フロンさん!ほむらちゃんを、何とかできるんですか!?」

フロン「……できるにはできます。ですが…条件があります」

まどか「条件……?何ですか、言ってください!」

フロン「……この先ずっと…一生、ほむらさんのことを…好きでいられますか?愛し続けられますか?」

まどか「え!?こ、こんなときに何を……」

フロン「これからすることに…それだけの想いと覚悟が必要なんです。……どうですか?」

まどか「……はい。ずっと…ほむらちゃんを、愛し続けます」

フロン「……わかりました。ではほむらさん、少し失礼しますね」

フロン「……少女の魂に、愛の奇跡を……!」

640: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:24:12.97 ID:spCKeI9jo
そう言ってフロンは杖を天に翳す。すると、私の身体は光に包まれた

私を包んでいた光はソウルジェムに集まり、やがて消えていった

何が起こったのかとソウルジェムを見ると、どす黒く濁ったソウルジェムの中に、弱々しく光る紋様が浮かんでいた。何かの魔法陣だろうか

ほむら「これ…は……?」

フロン「話は後です!ほむらさんのソウルジェムはまだ穢れたままです!」

まどか「え…何とかしてくれたんじゃないんですか!?」

フロン「それは、あなたの役目です。……まどかさん、祈って下さい」

まどか「へ……?」

フロン「祈って下さい。ほむらさんのことを、心から愛している、と」

まどか「……わかりました、やってみます」

フロン「ほむらさんも、まどかさんを愛していると祈って下さい!」

641: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:24:48.08 ID:spCKeI9jo
フロンがそう私に言って来る。死にかけている私になんて無茶を……

だけど、それで…まどかを愛していると、そう祈ることで生きられるのなら…祈ってみることにしよう

まどかは私の左手に手を重ね、目を閉じて祈っている

目を閉じたら2度と帰って来れなくなるような気がしたが、まどかと自分を信じ、目を閉じる

そして、まどかを想う。まどかが好きだ。まどかを愛している。そう、強く念じた

まどか「……」

ほむら「……」

さやか「な、何がどうなってるの……?」

マミ「わからないわ……」

杏子「ほむらは…ほむらは助かるのか!?」

フロン「皆さんも祈って下さい!まだ浄化するエネルギーが足りません!」

642: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:25:40.34 ID:spCKeI9jo
さやか「え!?でもあたしたち、ほむらを愛してるとかは……」

フロン「愛でなくとも構いません。ほむらさんを敬う想いだったり、色んな形の好きだったり…そういう気持ちであれば……!」

杏子「とにかく、ほむらを想って祈ればいいんだな!?さやか!マミ!プリニー!祈るぞ!」

さやか「そんな簡単に言うけど…あぁもう、やってやろうじゃない!」

マミ「暁美さん…絶対、死なせたりしないから……!」

プリニー「悪魔が祈るとは思わなかったッスが…やるッスよ!」

さやか(ほむら…あたしは、友達としてあんたが好き……。だから…死なないで……!)

マミ(私は…友人として、そして先輩として、暁美さんが好きよ。……お願い、行かないで……!)

杏子(……友達…いや、仲間かな…とにかく、アタシだってほむらが好きだ。……絶対、死なせるもんか……!)

プリニー(ほむら様は…こんなオレたちを高待遇で雇ってくれたッス。こんな最高のご主人、他にいないッス。……ほむら様、死んじゃダメッス……!)

643: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:27:11.95 ID:spCKeI9jo
QB「……何をしたかはわからないけど、そう簡単に穢れを浄化できるとは思えないね。君が魔女を探して倒した方がまだ確実性があると思うけど」

フロン「それは流石に誤魔化しきれません。それに、わたしは信じています。……ほむらさんとまどかさんの愛のチカラを」

QB「愛?……全く、わけがわからないよ」

フロン「感情の無いあなたにはわからないでしょう。ですが…愛に不可能はないんです。愛さえあればフロンガーだって月を押し返すことくらい……」

QB「月を押し返す…か。確かにそんな話を聞いたような気はするけど…どうやら浄化は出来なかったみたいだよ?」

フロン「え……?」

ほむら「う、ぐ…あ……!」

まどか「ほむらちゃん!?どうして…どうしてダメなの!?」

644: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:27:44.67 ID:spCKeI9jo
フロン「エネルギーが…もうちょびっとだけ足りません……!」

まどか「そんな……!」

杏子「おいお前ら!本気で祈ってんだろうな!?」

さやか「大マジでやってるよ!」

マミ「手を抜けるわけないでしょう!?」

フロン「他にほむらさんを想ってくれる人はいないんですか!?」

プリニー「無事だったプリニー隊を集めれば、もう少しは増えると思うッスけど……」

さやか「今すぐ必要なんでしょ!?……だったら、これ以上は……!」

フロン「……とにかく、もう1度祈って下さい。心の底から」

杏子「わかった。さやか、マミ、プリニー、やるぞ……!」

マミ「えぇ……!」

645: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:28:16.75 ID:spCKeI9jo
まどか「ほむらちゃん……」

フロン「まどかさん、あなたも……」

まどか「フロンさん…祈る以外って、ダメなんですか……?」

フロン「どういうことですか?」

まどか「誰かを好き…愛する想いを、祈る以外で伝えるんじゃ…ダメなんですか……?」

フロン「祈る以外って…それは……」

まどか「なので、その……」

フロン「わかりました……。わたし、さやかさんたちの方を見てますね」

まどか「……ありがとう…ございます」

646: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:29:28.94 ID:spCKeI9jo
ほむら「まどか…本当に、もう…駄目みたい……」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「だから…魔女になる前に、ソウルジェムを…砕かせて……」

まどか「……ほむらちゃんを、死なせたりしない。絶対に」

ほむら「まどか……?」

まどか「……これからわたしがすること、信じて…受け入れてほしいんだ」

ほむら「……まどかのすることなら、何だって…受け入れるわ……」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん……。じゃあ、行くね……」

647: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:30:31.27 ID:spCKeI9jo
そう言ってまどかは私に顔を近づける。何をするのかと思ったが、これってまさか……

そう思っているうちに、まどかはどんどん唇を近づけてくる。そして……

私の唇に、まどかは自分の唇を重ねた

まどか「……」

ほむら「ん…っ……」

まさかまどかがキスをしてくるとは思わなかった。だけど

こうしてまどかとキスをしていると、心の奥が温かい。身体に力が漲ってくるような気がする

1度は死ぬことさえ厭わないと思った。まどかを守り、救うことができた。私の役目は終わった。終わったはずだった

だけど…まどかが心の底から、私を必要としてくれている。こんな私を、好きだと言ってくれた

必死になって私を救おうと手を伸ばすまどかを見て、思った。まどかと一緒にいたい、と

私はまだ、死ねない。こんなところで、死んでなんていられない。私は…生きる。まどかと一緒に

648: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:31:03.42 ID:spCKeI9jo
パァァ

QB「そんな…馬鹿なことが……」

フロン「……言ったでしょう?愛に不可能はないんです」

ソウルジェムが光り輝く。それと共に、私を襲っていた苦痛が嘘のように消えて無くなった

何がどうなったのかわからず困惑していると、唇を離したまどかが、こう言った

まどか「……祈るだけじゃ、ほむらちゃんを助けることができない…そう、思って……」

まどか「何かいい方法はないかって、そう考えたときに…キスだったら、わたしの想い…全部、伝わる…そんな気がしたの」

まどか「わたしの想い、全部伝えたから……。もう…大丈夫だよ。ほむらちゃん」

649: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:32:03.62 ID:spCKeI9jo
まどかにそう言われ、ソウルジェムを確認する。左手には、私の魂の宝石が美しく煌めいていた

未だに自分の身に起こったことが信じられず、まどかに聞き返す

ほむら「私は…助かったのかしら……?」

まどか「……うん。少なくとも、今すぐ魔女になることもないし、ソウルジェムを砕く必要も…ないよ」

ほむら「そう……。私…生きられるのね……?まどかと、一緒に……」

まどか「うん……!よかった、ほむらちゃん……!」ポロポロ

ほむら「まどか…私は1度、あなたとの『約束』を破りかけた。でも……」

ほむら「みんなと…あなたのおかげで、『約束』を破らずに済んだ。……ありがとう、まどか」

650: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:33:16.52 ID:spCKeI9jo
QB「……」

フロン「これで少しは理解できたんじゃないですか?『愛のチカラ』の素晴らしさを」

QB「……僕たちには感情がないからね。理解に苦しむよ」

フロン「そうですか……。ともあれ、2つのワルプルギスの夜は完全に破壊され、あなたたちの目論みは阻止されたわけですが」

QB「確かに『畏れ』エネルギーへの変換は出来なくなり、効率は以前に逆戻りだ。魔法少女システムが魔法少女によって破壊されてしまうなんてね」

QB「……だけど旧システムは生きている。しばらくはそっちでエネルギーを集め、様子を見ることにしよう」

フロン「……宇宙の寿命を延ばすことは確かに重要なことです。ですが……」

フロン「彼女たちのような少女を利用してまで行うことではない……。わたしは、そう考えます」

QB「そうかい。……それじゃあ、僕はそろそろ引き上げることにするよ。最高評議会への報告もしないとだからね」

フロン「……今回のような非道な方法を次回も行ったとしたら…わたしたちはそれを全力で妨害させてもらいます」

フロン「それだけは、忘れないでください」

QB「……覚えておくよ。そう何度も邪魔されたくないからね」

651: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:33:45.60 ID:spCKeI9jo
さやか「ほむら!!」

マミ「暁美さん!!」

杏子「ほむらっ!!」

プリニー「ほむら様!!」

ほむら「あなたたち…ありがとう。おかげで助かったわ」

杏子「無事だったんだ。気にするな」

フロン「ほむらさん…おかえりなさい」

ほむら「フロン…ありがとう。あなたが来てくれなかったら、私は……」

まどか「それよりも、さっきの魔法は何だったんですか?」

652: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:34:36.60 ID:spCKeI9jo
フロン「先ほどのアレは『愛フィールド』を応用した魔法です」

フロン「皆さんの想いをまどかさんの想いへ繋げて、愛のチカラに変換。最後にほむらさんの想いに同調させ、そのエネルギーで穢れを浄化しました」

さやか「えっと…つまり?」

フロン「愛の勝利です!ほむらさんとまどかさんの愛が起こした奇跡です!」

マミ「愛…って、それじゃ、暁美さんと鹿目さんは……」

フロン「あー、皆さん必死で祈ってたから見てませんでしたね、あのあつーい……」

まどか「ちょ、ちょっと待ってください!見てたんですか!?」

フロン「はい、しっかり見ちゃいました。あのですね、悪いなーとは思ったんですけど、やっぱり気になって……」

まどか「み、見られてたってわかったら、急に恥ずかしく……」カァ

653: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:35:09.52 ID:spCKeI9jo
ほむら「まどか」

まどか「ほ、ほむらちゃん…何?」

ほむら「全てが終わった今、改めて言わせてもらうわ。……大好きよ、まどか」

まどか「……ふふ、ほむらちゃん……」

ほむら「な、何……?何で笑ってるの?」

杏子「自分の姿、よく見てみなよ」

ほむら「え?あ……」

杏子にそう言われ、自分の姿を確認する

髪はボサボサ、あちこち傷だらけ、さらには血塗れと、どう見ても告白するには相応しくない恰好をしていた

654: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:35:40.55 ID:spCKeI9jo
ほむら「こ、これは……」

まどか「ほむらちゃん、そんな恰好で告白してくるんだもん」

プリニー「そういうまどか様だって、顔が汚れてるままッスよ」

まどか「え?……あ、ホントだ」

ほむら「さっき私が触れたときに汚してしまったみたいね…ごめんなさい、今何か拭く物を……」

まどか「……ううん、いいよ。だって、これは…ほむらちゃんが死ぬ気でわたしを守ってくれた、証だから」

ほむら「まどか……」

まどか「ほむらちゃん…わたしも、ほむらちゃんが、大好き…ううん、愛してるよ」

ほむら「まどか…私……!」ギュウ

まどか「これからは…ずっと一緒だよ……」ギュウ

655: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:36:47.49 ID:spCKeI9jo
さやか「ほむら、まどか…よかった……」

マミ「美樹さん、知ってたの?」

さやか「最初に気づいたのは秘技の特訓してる頃なんですけど…ほむらの『ワルプルギスの夜を倒す』ってのに、何か裏があるような気がして……」

さやか「その後にほむらのあの話を聞いて…まどかのことが好きなんじゃないかなって、そう思ってたんです。まどかの方も、ほむらのことが好きだったみたいですし」

マミ「……想いが通じ合って、本当によかったわね」

杏子「血塗れで告白する奴なんて、アイツくらいだろうな。……でも、ほんとよかったよ」

マミ「佐倉さんはあの2人のこと、気にかけていたものね」

杏子「気にかけてたって言うか…幸せになってほしいと思っただけさ。……それに、やっと一緒にいられるようになったんだ」

杏子「……今まで辛い思いをした分、幸せを願っても…バチは当たらねぇよな」

656: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:37:17.02 ID:spCKeI9jo
プリニー「ほむら様……」

ほむら「何?今邪魔するのなら……」

プリニー「そうじゃないッス…他のみんなが見てるんスけど……」

まどか「あ…わ、忘れてた…ほむらちゃん、離してくれない…かな……?」カァ

ほむら「……仕方ないわね」

さやか「2人が現実に戻ってきたところで、そろそろあたしたちも帰ろうよ」

マミ「もう、全て終わったもの。ゆっくり休みましょう」

ほむら「その前に展開させてたプリニー隊を回収しないと…行くわよ、プリニー」

プリニー「あ…ちょっと待ってほしいッス」

657: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:37:43.67 ID:spCKeI9jo
プリニー「フロン様……」

フロン「どうしたんですか?」

プリニー「オレたち…魔界や天界に行かなくていいんスかね……」

プリニー「何かの手違いだったとはいえ、このままずっと人間界にいるのは……」

フロン「……わたしは違うと思います。プリニーさんたちは、ほむらさんとまどかさん…あの2人を助けるために、ここへ飛ばされた」

フロン「わたしはそう思っています。それに、彼女たちは一般人ではなく魔法少女。きっと見つかることもないと思いますよ?」

プリニー「……」

フロン「これからも、あの2人を…助けてあげてください」

プリニー「……了解ッス。これからも、ほむら様とまどか様の為に働くッス!」

658: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:38:18.62 ID:spCKeI9jo
ほむら「フロン、私からもいいかしら?」

フロン「ほむらさん?」

ほむら「これを返そうと思って……」

私は魔剣とアルカディアを彼女に差し出す

魔剣はフロンから手渡されたものだし、アルカディアも魔界の物。自分が持っているより、フロンに返した方がいい

そう思って返そうとしたのだが、フロンは受け取ることなく、首を横に振る

フロン「……それはほむらさんが持っていてください」

ほむら「でも……」

659: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:38:57.99 ID:spCKeI9jo
フロン「ほむらさん…もう、魔法を使えないのでしょう?」

ほむら「それは……」

フロン「なら、やはりあなたが持っていてください。それに、あなたはそれを悪用するような人ではありませんし」

ほむら「……ありがとう、フロン」

フロン「わたしはあなたに魔剣というガラクタを押し付けただけです。それを蘇らせたのは、ほむらさん…あなたですよ」

ほむら「……そうだったわね」

フロン「それでは…わたしはそろそろ天界へ帰ります。色々としなければならないこともあるので」

660: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:39:28.74 ID:spCKeI9jo
さやか「また…会えるかな……?」

フロン「それはわかりません…ですが、もしかしたら…また会えるかもしれませんね」

マミ「それじゃあ…また、会う日まで」

杏子「元気でな」

プリニー「魔法少女のみんなは、オレたちに任せてほしいッス」

フロン「はい…さやかさん、マミさん、杏子さん、プリニーさん…お元気で」

まどか「フロンさん……!」

フロン「ほむらさんにまどかさん…愛を忘れないでくださいね」

ほむら「えぇ…わかってるわ」

フロン「それでは…皆さん、さようなら……」

661: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:40:01.92 ID:spCKeI9jo
そう言うと、フロンは魔法陣の中へと消えていった

辺りには、天使の羽がひらひらと舞い散っていた

さやか「……よし、あたしたちも帰ろう!」

マミ「えぇ。……私たちが守った街へ」

杏子「何かを守る、なんて今までなかったけど…こうして見ると、少しは誇らしいモンだな……」

ほむら「私はプリニー隊を回収しないとだから、これで失礼するわね」

まどか「あ、わたしも一緒に行くよ。……みんな、またね」

杏子「……さーて、マミん家でひと眠りするか…アタシもう、疲れて疲れて……」

さやか「あたしも…マミさん、あたしもお邪魔していいですかね……」

マミ「みんなヘトヘトみたいね…じゃあ、行きましょうか」

662: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:40:29.98 ID:spCKeI9jo
ほむら「まどか…あなたは帰ってもいいのよ?疲れているだろうし……」

まどか「いいの。ほむらちゃんと一緒にいられるなら」

ほむら「まどか……」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何……?」

まどか「手、繋いでもいいかな」

ほむら「……どうぞ」

まどか「ありがとう、それじゃ……」

663: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:40:59.54 ID:spCKeI9jo
そう言ってまどかは差し出した私の手を握る。それも、指を絡めて

これはもしかして、恋人繋ぎという奴だろうか

ほむら「まどか…これ……」

まどか「……わたしたち、もう恋人なんだから…いいよね」

ほむら「……えぇ、そうね」

プリニー「あのー、オレもいるんスけどー…2人の世界に入らないでほしいッス……」

ほむら「ならあなたは盾に戻ってなさい」ヒョイ

プリニー「え?あ、ちょっ……」スポン

664: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:41:31.50 ID:spCKeI9jo
ほむら「私たちの邪魔をするからよ」

まどか「ちょっとだけかわいそうかな……」

ほむら「それにしても…こうしてまどかと2人で歩くのも、久しぶりね……」

まどか「うん…ほむらちゃんと友達になって、あちこち遊びに行ったときを思い出すよ」

ほむら「……あのときも確か、この道…歩いたわね」

まどか「うん……。道はあのときと同じ。だけど……」

ほむら「あのときは友達として…そして今は…恋人として」

まどか「……ねぇほむらちゃん、ひとつだけお願いがあるんだけど」

ほむら「お願い?」

まどか「うん。あのね、わたし……」

665: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/14(日) 23:42:39.00 ID:spCKeI9jo
こうして私の戦いは終わりを告げた

まどかを救うことができただけでも嬉しいのに、まさか私と恋人になるとは、思いもしなかった

今思えば、戦う術があるとはいえまどかを戦わせるなんて、危険なことをさせてしまった

だけど、これからはプリニー隊と、フロンから託されたこの魔剣で…まどかの全てを守る

それと、まどかが言ったあの提案。その内容に驚いたけど、私としてはそう言ってくれたことがとても嬉しい

まどかは、それについての許可を貰う為に、1度家に帰って行った

そして、数日後……

675: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:37:20.79 ID:XXHyuRH0o
――――――

杏子「おーい、マミー?まだかー?」

さやか「あんた、静かに待てないの?」

マミ「お待たせ。……よいしょっと」

杏子「お、来た来た。そんじゃひとつ…うん、やっぱうめぇな」

さやか「マミさん、今日もウマいですよ!」

マミ「そう?ありがとう。……そう言えば、暁美さんと鹿目さんはどうして来なかったのかしら?」

杏子「ほむらから聞いただろ?もう忘れちまったのか?」

マミ「……あぁ、そうだったわね。……今日は2人にとって、大切な日になるのね」

さやか「いやー、めでたいとは思うんですけどねー。でもあたしとしては、どうかと思うんですよね」

676: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:37:58.48 ID:XXHyuRH0o
マミ「あら、どうして?」

さやか「なんだかんだ言っても、あの2人まだ中学2年なんですよ?それを……」

さやか「さ、さやかちゃん、許しませんよ!」

杏子「別にお前に許してもらう必要ないだろ。もうお前の嫁じゃないしな」

マミ「美樹さん、人の恋路を邪魔すると大変なことになるからやめたほうがいいわ」

さやか「……色々心配なことはあるけど…よかったって、そう思います」

杏子「だな。……あぁそうだ、昨日だったか……?あの天使、フロン…だっけ?アイツ、見かけたんだけどよ」

マミ「あら、佐倉さんも?私も見たわ。話しかける前にどこかに行っちゃったけど……。美樹さんは見てない?」

さやか「あー…その件なんですけど……」

677: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:38:33.22 ID:XXHyuRH0o
フロン「呼ばれて飛び出て!」バーン

さやか「うわぁ、来た!なんであたしがここにいるって……!」

フロン「天使長をナメないでください!……あ、マミさんに杏子さん。お久しぶりです」

マミ「え、えぇ……」

杏子「まだ久しぶりってほど別れてたわけじゃないんだがな……」

マミ「……とりあえず、フロンさんの分のお茶を用意しましょうか」

フロン「あ、お気遣いなく。……さぁさやかさん、決心はつきましたか?」

さやか「だ、だからあたしはまだなるつもりなんてないって言ってるでしょ!?」

678: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:39:03.59 ID:XXHyuRH0o
杏子「一体何の話だ?」

さやか「聞いてよ!この天使、あたしに補佐役として働いてほしいとか言ってくるんだよ!?」

フロン「いいじゃないですか。ほんのちょびっとわたしに協力してもらうだけですし……」

フロン「死後は特例で天界で過ごせる破格の待遇ですよ?迷うことないじゃないですか」

さやか「本音は?」

フロン「以前わたしの補佐役だったアルティナちゃんって子がいなくなって寂しいんです」

さやか「お断りだって言ってんでしょうがあぁぁぁ!」

679: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:39:44.53 ID:XXHyuRH0o
杏子「そんならアタシが補佐役になってやろうか?」

フロン「え、ホントですか?」

杏子「あぁ。……それに、コイツの補佐になれば、いずれアタシが天使長にも……」

フロン「あ、あなたの狙いは天使長の座ですか!?……ダメです、あなたは不適格です!」

杏子「なー、そう言うなよ、天使長さん」

フロン「ダメったらダメです!あああ、あなたは今後天界への立ち入りは禁止です!天使長の名において出禁です!」

マミ「はいはい、そこまでにしなさい。……それで、フロンさんはどうしてまた人間界へ?昨日、ちらっと見かけたんだけど……」

フロン「……あ、そのことですね。半分左遷、半分研究の為…です」

さやか「研究と…左遷?」

680: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:40:43.08 ID:XXHyuRH0o
フロン「先日のワルプルギスの夜騒ぎの際、わたしが人間界で色々したことがバレちゃったみたいで、しばらく人間界に……」

フロン「そして、研究は…魔法少女システムについてです。その全貌が明らかになれば……」

フロン「あなたたちのような魔法少女をもう増やさずにすむ…ようになるかもしれません」

さやか「そう…なの?」

フロン「はい。わたしはそのつもりで頑張ってます」

マミ「そう…何か力になれることがあったら協力するわ」

杏子「アタシもだ。……こんなシステム、無かった方がいいんだろうけど……」

杏子「そのおかげでお前らと出会えたことだけは…感謝してるよ」

681: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:41:20.32 ID:XXHyuRH0o
マミ「……そうね。魔法少女にならなければ…私たち、出会ってなかったかもしれないわね」

さやか「そうですね…それにしても杏子、たまにはいいこと言うじゃん」ニヤニヤ

杏子「うっせ。……そういえば、フロンはどこに住んでるんだ?人間界に家なんて持ってるワケないだろうし……」

マミ「そう言えば…まさか、暁美さんと鹿目さんのところに……?」

さやか「……あたしのとこにいるんですよ、コイツ。どうやって調べたのか知らないけど」

フロン「さやかさん、当分の間お世話になります」

さやか「はぁ……」

682: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:41:53.85 ID:XXHyuRH0o
フロン「おや、そう言えばほむらさんとまどかさんはいないんですか?」

杏子「あぁ。今日はあいつら、大事な用事があるからな」

フロン「大事な用事…ですか」

マミ「えぇ。……でも、認めてもらえるのかしら?さっき美樹さんが言ったことじゃないけど、まだ……」

さやか「きっと、大丈夫だと思います。まどかが、真剣に訴えれば……」

杏子「上手く行ったときは、全員で祝いに行ってやろうぜ」

フロン「え?あれ?わたしがいなかった間に、何があったんです?」

杏子「あぁ、そこは説明してなかったな。実はな……」

683: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:42:21.82 ID:XXHyuRH0o
――――――

ほむら「……」ウロウロ

プリニー「ほむら様、少し落ち着いた方が……」

ほむら「落ち着いてなんていられないわよ……」ウロウロ

どうにも落ち着かず、テーブルの周りをうろうろと歩き回る

まどかは大丈夫だろうか。ちゃんと話ができているだろうか

馬鹿なことを言うなと怒られてないだろうか。子供の冗談だと取り合ってもらえなかったりしてないだろうか

どうしても考えが後ろ向きになってしまう。……とにかく、まどかが心配だ

プリニー「とにかく、落ち着いて座って待ってるッス。ほむら様が今できるのはそれだけッスよ」

ほむら「わかってはいるんだけど……」

684: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:43:10.47 ID:XXHyuRH0o
まどかは今日、ご両親に全てを…私のことが好きだということ、そして……

私の家で、私と一緒に暮らしたいということを打ち明けている

説得が上手くいって認められたときは、荷物を纏めたまどかが私の家にやってくる。だけど、もし失敗したときは……

そもそも、私とまどかが恋人だということを認めてくれるかどうか…それが不安だった

もし、それさえ認められないというのなら、私は……

ほむら「……そろそろ約束した時間ね。……まどか、来てくれるかしら……」

時計を見ると、まどかと約束した時間が迫っていた

まどかを信じてはいるが、やっぱり落ち着かない。再度テーブルの周りをうろうろし始める。そんなときだった

685: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:43:37.75 ID:XXHyuRH0o
ピンポーン

ほむら「……っ!」

玄関のチャイムが鳴る。私は急いで玄関に向かう

そして、ドアを開ける。そこにいたのは……

ほむら「まどか…凄い大荷物ね……」

まどか「う、うん……。あれもこれもと持ってきたら、こんなになっちゃって……」

大荷物を抱えたまどかが、立っていた

大きなカバンを抱えたまどかが、今にも荷物を落としてしまいそうなので、まずは家に上げることにした

686: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:44:05.82 ID:XXHyuRH0o
まどか「あ、ありがとうほむらちゃん…手伝ってくれて……」

ほむら「さすがに私もあんな大荷物になるとは思ってなかったわ……」

まどか「わたしが色々と持ち込んだけど、ほむらちゃんの家、まだまだ寂しいからね」

ほむら「そう…まぁその話は置いといて、まずは……」

プリニー「……オレは向こうの部屋にいるッス。終わったら教えてほしいッス」バタン

ほむら「……何だか気を遣われてしまったわね」

まどか「ありがとう…プリニーさん」

687: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:44:44.96 ID:XXHyuRH0o
ほむら「それでまどか、話の方は……」

まどか「うん。ほむらちゃんと恋人になることも、ほむらちゃんと一緒に暮らすってことも、ちゃんと話してきた」

まどか「どっちも、許してもらえたよ」

ほむら「そ、そう…よかった……」

まどかのその言葉を聞いて、体から力が抜ける

そんな私の姿を見て、まどかはおかしそうに笑っていた

まどか「ほむらちゃんってば、そんなに心配してたの?」

ほむら「そ、それはそうよ。私を好きだということだけでも大変なのに、一緒に暮らすだなんて……」

688: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:45:12.80 ID:XXHyuRH0o
まどか「……ほんとのことを言うとね、相手がほむらちゃんだって言ったら、全部許してもらえたんだ」

ほむら「……そうなの?」

まどか「うん。ほむらちゃんと暮らしてたときのことを話してるわたしが、すごく幸せそうに見えたんだって」

ほむら「そ、そう……」

まどか「あと…1度ほむらちゃんを連れて来いって、ママが」

ほむら「え…わ、私、何されるのかしら……?」

まどか「ママがね、ほむらちゃんのこと、気に入ったみたいで…話をしてみたいから、って」

ほむら「……わかったわ。近いうちに、挨拶に行くことにしましょう」

689: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:45:53.04 ID:XXHyuRH0o
まどか「……ねぇ、ほむらちゃん。ひとつ、聞きたいことがあるんだけど……」

ほむら「何かしら?」

まどか「ほむらちゃんってさ…よく、『約束』って言葉、言うよね」

ほむら「……えぇ、そうね」

まどか「ほむらちゃんにとってさ…『約束』って、何?」

約束…私にとって、それは特別なもの。何よりも貴いもの

まどかと交わしたあの約束があったから、今私とまどかはここで、笑っていられる

ほむら「私の…全てかしら」

690: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:46:23.24 ID:XXHyuRH0o
まどか「全て?」

ほむら「私にとって、『約束』は…特別なもの。何より大切なもの」

ほむら「魔法少女のあなたとの約束があったから、私はあなたを救う為に戦うことができた」

ほむら「あなたを守ると約束したから、私はあなたを守り抜くことができた」

ほむら「あなたと生きて帰ると約束したから、私は生きてここにいられる」

ほむら「今の私があるのは…全て、あなたとの『約束』のおかげ。……だから、私にとっての約束は…私の全てなの」

まどか「……そっか」

691: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:46:54.38 ID:XXHyuRH0o
まどか「ほむらちゃん…わたしと、ひとつ…『約束』してくれない…かな」

ほむら「約束?」

まどか「うん。ちょっと待ってね」

そう言って、まどかは私の目の前までやって来る

そして、まっすぐに私の目を見て、言葉を続けた

まどか「わたしとほむらちゃん…絶対、2人で幸せになろうね」

ほむら「……えぇ。私からもひとつ、『約束』して頂戴」

ほむら「私とまどか…何があっても、ずっと一緒にいましょう」

まどか「ほむらちゃん…うん、ずっと一緒にいようね」

692: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:48:16.10 ID:XXHyuRH0o
ほむら「……言ってから思ったけど、約束するまでもないわね、この内容は」

まどか「いいんだよ。ほむらちゃんと交わした『約束』ってことが大事なんだから……」

まどか「ほむらちゃん、過去のわたしとの約束は…もう、果たしたから…それで、わたしと新しい約束をしてほしかったの……」

まどか「以前の約束は…ほむらちゃんを、ずっとこの時間に閉じ込めちゃってた。だけど……」

まどか「新しい約束なら…わたしとほむらちゃん、2人で一緒に未来に向かって歩いて行ける。そんな気がしたから」

ほむら「まどか…ありがとう……」

まどかと新たな約束を交わす

まどかと幸せになる。ずっと一緒にいる。この約束は、絶対に破ることはできない

まどか「ねぇ…ほむらちゃん」

ほむら「何……?」

693: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:49:42.12 ID:XXHyuRH0o
まどか「……わたし、約束ごとってすぐに忘れちゃうんだ。だから……」

まどか「絶対忘れないように…キス…してほしいな……」

ほむら「……えぇ。わかった」

まどかはそう言って、目を閉じる

私はまどかをそっと抱きしめて、目を閉じたまどかの顔を見る

まどかの顔を見ていると、少しだけ不安になる。私と一緒で、まどかは幸せになれるだろうか、と

普通の少女のまどかと、魔法少女の私。身分の違う2人が、いつまでも一緒にいられるだろうか、と

だけど、もう約束したんだ。2人で幸せになる。ずっと一緒にいるんだと。すぐにその考えを振り払う

そして、それを忘れないように、自分に刻み込むように

まどかと、口づけを交わした

694: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:50:26.65 ID:XXHyuRH0o
ほむら「ん……」

まどか「……ぷぁっ」

ほむら「……これで、契約成立…ね」

まどか「契約…うん、そうだね……」

私の魂に刻み付けた約束。言わば、まどかとの魂の契約

そして、私からまどかへの初めてのキス。この前のは、私は死にかけていたのでよく覚えていなかったが

今回ははっきりと覚えている。まどかの柔らかい唇を

ほむら「まどか…愛してるわ……」

まどか「わたしも…愛して……」

プリニー「ほむら様、まどか様、もう終わったッス…か……」

695: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:51:00.74 ID:XXHyuRH0o
ほむら「……」

まどか「……」

プリニー「えっと…その……」ダラダラ

ほむら「……」パァァ

プリニー「ほむら様…どうして魔剣を握っているッスか……?」

ほむら「そうね、どこぞのペンギンにまどかとの時間を邪魔されたからかしら」

プリニー「ま、まどか様……」

まどか「……わたしとしても邪魔されたくなかったから…ごめんね?」

プリニー「ひ…ヒドイッスゥゥゥ!」バタン

696: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:51:32.24 ID:XXHyuRH0o
ほむら「全く…プリニーを出してるとまどかとの時間が作れないわね」

まどか「……ふふ」

ほむら「まどか?」

まどか「……こうして、ほむらちゃんとプリニーさんのやり取り見てると…実感するんだ」

まどか「……わたしも、これからここに住むんだって」

ほむら「もう既にしばらく住んでたじゃない」

まどか「そういう意味じゃなくって、これからずっと……」

ほむら「……わかってるわ。これからは私とまどか…2人で頑張って行きましょう」

まどか「一応プリニーさんもいるんだけどね……」

697: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:52:13.08 ID:XXHyuRH0o
まどかの言葉で、これからのことをより強く実感する

まどかも、きちんとご両親に説明し、許可を得られたのだ。もう、私たちを邪魔するものは何もない

今日この日から、まどかは私の家で、私と一緒に暮らし始める

一緒に暮らすなどと言っても、今まで家事のほとんどをまどかに頼りっきりだった

一緒に暮らす以上、少しでもまどかの助けになれるよう、努力しよう

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「何……?」

698: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:53:11.91 ID:XXHyuRH0o
まどか「えっと、今までもだったけど…これからも、ほむらちゃんのこと、わたしに支えさせてほしいんだ」

まどか「だから…これからまた、よろしくね、ほむらちゃん」

ほむら「……えぇ。よろしく、まどか……」

まどか「……あ、もうこんな時間…ほむらちゃん、夕飯の買い物に行こうよ」

ほむら「そうね…恋人になってから最初の手料理、期待してるわ」

まどか「うん、任せてよ!」

ほむら「それじゃ行きましょうか。……プリニー、留守番頼むわね」

プリニー「了解ッス!ほむら様、まどか様、いってらっしゃいッス!」

699: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:53:54.62 ID:XXHyuRH0o
まどかが私を支えてくれる。それがどれほど嬉しいことか

まどかの言う、私を支えるという言葉。私との約束というわけでもない

あれはきっと、まどか自身との約束。『誓い』とでも言うべきだろうか

私にだって自分自身に誓ったものはある。まどかとの約束を果たしてみせるという誓い

だが、もうあの約束は果たされた。だから、私は新たに誓いを立てる

私はここに誓う。これから一生、まどかを守る。まどかの為に戦う。そして、まどかを愛する、と

700: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:54:33.40 ID:XXHyuRH0o
この先にある未来に、何が待っているのかはわからない。でも、例え何があったとしても

まどかと一緒なら、どこまでも歩いて行ける

私はずっとあなたの隣にいる。だから…あなたは私の隣で笑っていてほしい

それが私とまどか、2人で願った幸せなのだから

ねぇ、そうでしょう?まどか……

701: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/15(月) 22:55:06.55 ID:XXHyuRH0o





Fin




720: ◆SjWXMdM6SY 2013/04/18(木) 23:58:51.91 ID:gMnnJwtto
~次回予告~

突如として見滝原中心部に現れた奇妙な石像、それは倒されたはずの元・超魔王バールだった
まどかの魔力に呼応し、蘇る伝説の超魔王
なす術なく敗れていく魔法少女とプリニーたち
街と、仲間と、愛する者を守る為に魂を賭けて再封印を施す

「『約束』したでしょう……!ずっと、ずっと一緒にいるって……!」
「ありがとう…そして、さよなら……」

バールと戦う仲間を求め、魔界を目指す
不安定な転送で散り散りになってしまう魔法少女たち

「私は巴マミ。あなたは?」
「オレさまはラハール。超魔王ラハールさまだ!」

「まさか素手相手にアタシが負けるなんてな……」
「いや、お前も十分強かった。名前を聞かせてもらえないか?」

「何で魔界に学校があるのさ……?」
「「何だキサマ、邪悪学園への入学希望者か?」

「私と…彼女の『約束』を守る為…力を貸して、『暴君』ヴァルバトーゼ」
「その『約束』に対する姿勢…気に入った」

長い間姿を見せなかった宇宙最強の魔王ゼタ
刃を向けるは、超魔王ではなく魔法少女

「超魔王などどうでも良い。我は魔法少女とやら、キサマたちに興味がある」
「私たちに……」

依頼の為に遠路はるばるやってきた悪霊と
クロームと呼ばれる少女

「あの子たち…魂が身体に入ってない…そんな感じがする」
「……どういうことだい?」

そして動き出す最高評議会の容赦無い攻撃
やって来る宇宙最強艦隊

「ワルプルギスの夜なんかと一緒にしないでほしいな。アレが束になったところで……」
「戦艦『良綱』には勝てないのだから」

天界、魔界、人間界…そして宇宙を巻き込んだ戦い
この日、宇宙は消滅する

次回、劇場版魔法少女戦記ホムガイア 私の大好きな人


「私は…『神』に叛逆する」


※ディスガイア恒例のウソ次回予告です