1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 22:51:48.00 ID:Bx7BLpLm0
P「えぇー……」

亜美「うっわ、のっけから拒否反応起こされたよ、真美」

真美「酷いよ兄ちゃん……真美達の宿題を、手伝えるんだよ?」ウルウル

P「手伝えるんじゃなくて、やらされる、の間違いだろ?」

P「お前らに一体何度丸投げされてきたと思ってんだ……」

真美「だってこれ、ちんぷんかんぷんなんだもん……古文漢文なだけに」フフン

亜美「日本語でおkってカンジ、だよね~」ヘラヘラ

P「……そのセンスを勉強に活かせよな」

引用元: 亜美「兄ちゃん!」真美「宿題、手伝って!」 



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 22:53:18.71 ID:Bx7BLpLm0
P「つーか漢文はともかく、古文は日本語だろ?」

真美「真美達はさぁ、ほら……現代っ子だから」

亜美「今を生きる亜美達は、過去を振り返ったりしないのだよ」フフン

P「……教えを請う気あんのか、ホントに」

亜美「読み方と意味さえ分かればいいんだよ~、頼むよ兄弟」

真美「オレ達もうソウルフードだろ?ブラザー」

P「お前らはいつから食い物になったんだ」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 22:55:24.02 ID:Bx7BLpLm0
P「大体、小鳥さんや律子だっているだろ?何で俺なんだよ」

真美「ピヨちゃん、中野に行ったっきり帰ってこないんだよ~」

P「(……またかよ)」

真美「律っちゃんの方はさぁ~……」

亜美「私の愛する素敵なダーリンの方が、何でも知ってるわよ?」キリッ

真美「だってさ」

律子「」ガタタッ



P「……律子ォ……」

律子「い、言ってません!愛する素敵な、とか、言ってませんからっ!」ダッ

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 22:58:58.64 ID:Bx7BLpLm0
P「あぁもう、分かった分かった……見せるだけ見せてみろ」

亜美「さっすが兄ちゃん!オレ達にできないことを平然とやってのけるッ!」

真美「そこにシビれるあこがれるゥ!……はい、まずはこれ」パサッ

P「漢文ね……あぁ、これ故事成語じゃないか」

亜美「こじせーご?」

P「矛盾や推敲とか、言ってみれば昔の中国で作られた漢字のことわざみたいなもんだ」

P「故事成語の漢文ってのは、大体その成り立ちが書かれてる場合が多いんだよ」

P「んじゃ、読んでくぞ。孔子……」

真美「ちょ、ちょーっと待った!兄ちゃん」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:05:24.46 ID:Bx7BLpLm0
P「……何だよ急に」

亜美「だからさぁ、亜美達は現代っ子な訳よ?」

真美「こーしだかせーしだか言われても訳分からん訳よ?」

P「孔子は人の名前だ。読み方と意味を教えろと言ったのはお前らだろ?」

亜美「ことわざの説明なのに、人の名前覚えなきゃいけないのー?」

真美「“真美達にも”分かるようにさ~、もう少し分かりやすく説明してほしいかな~って」チラッ

P「やよいの真似をするんじゃない……ったく」

P「分かりやすくするのは構わんが、それで肝心の内容が覚えられなくても一切責任は持たんぞ」

亜美「だいじょぶだいじょぶ~、亜美達はセンスで生きてるから」

真美「うん、イケるイケる!」

P「いいんだな?……じゃ、改めて読むぞ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:08:00.05 ID:Bx7BLpLm0
響「うぅぅっ……うわぁぁぁんっ!」メソメソ

律子「誰か泣いてるようね。美希、訳を聞いてきなさい」

美希「はいなの!」



美希「ねぇねぇ、響はどうしてお墓の前で泣いてるの?」

響「グスッ……自分の、家族……みんな、トラ音に食べられちゃったんだ……」

貴音「がおー」

律子「それは大変だったわね。でも、それならどうしてここを離れないのかしら?」

響「ここ……ヒック……ペット、禁止じゃないから……」グスッ

貴音「ごろにゃーん」 ペロ

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:10:01.54 ID:Bx7BLpLm0
P「――つまりこれが、『苛政は虎よりも猛し』って訳だ」

真美「トラ飼ってたひびきんが悪いんじゃないのこれ?」

亜美「チッチッチ……それは違うよ、真美」

真美「えっ?」

亜美「ひびきんがペットを飼うのを禁止にした、世の中が悪いんだよ」

P「まぁ、そういう事だな。この言葉は、悪い法律や政治は虎よりも恐ろしいって意味だし」

真美「ん~……まぁ、いっか~」

亜美「はい、じゃあ次はこれ」パサッ

P「どれどれ……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:11:35.44 ID:Bx7BLpLm0
千早「困ったわね……春香を飼うのに、必要なお金が足りなくなってきたわ」

春香「ウキッキッ!」

千早「……春香、ちょっといい?」

春香「?」

千早「あなたに与える餌を朝三つ、夕方四つにしようと思うの」

春香「ウッキィーッ!」プンスカ

千早「お、怒らないで!それじゃ朝四つ、夕方三つにするから!」

春香「千早ちゃん、大好き!」チュッ

千早「あ、あはは……」テレテレ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:13:36.46 ID:Bx7BLpLm0
P「――これが、いわゆる朝三暮四って奴でな」

亜美「……へ?」

真美「兄ちゃん、ちょっと意味が分からないんだけど」

P「は?……いや、朝四つ、夕方三つを朝三つ、夕方四つにしたんだよ。だから……」

亜美「……フツーに増えてんじゃん?」

真美「だよねぇ。別に問題ないっしょ?」

P「(だ、ダメだこいつら……早く何とかしないと)」

真美「あ、次はこれだよ~」パサッ

P「ふむ……こいつはな」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:15:40.50 ID:Bx7BLpLm0
伊織「さぁ、ここに用意した100%オレンジジュース」ドンッ

伊織「一人で飲むには余るけど、数人で飲むには足りなくなるのよね」

あずさ「という訳で、秋月涼君を描いて、最初に完成した人が飲むことにしましょう~」



絵理「伊織さん。これで、いい?」パサッ

伊織「どれどれ……!?ち、ちょっと、絵理!」

絵理「ひぅっ!?な、何ですか……?」

伊織「こ、この●●に描いてあるのは何なのよ!?だ、ダメなんだから、こんなのっ!」

あずさ「あらあら……まぁ、かわいい」

絵理「……実物の通りに、描いたのに……」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:19:00.80 ID:Bx7BLpLm0
P「――蛇足。つまり必要のない、無用なものって意味だ」

真美「あの姉ちゃんに穢れたバベルの塔なんか描き足したらだめだよねぇ~」

亜美「律っちゃんより女神な姉ちゃんに、酷い事をするもんだねぇ~」

P「で、漢文はこれでおしまいか……お前たち、ここまで理解できたか?」

真美「もうバッチリだよ、兄ちゃん!」

亜美「これなら亜美達が中国に行っても、もうペラペラだよね」

P「いや、それはない」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:22:24.95 ID:Bx7BLpLm0
真美「はい、じゃあ……次は古文!」ドサッ

P「!?な、なんだこのプリントの量は」

亜美「次のテスト範囲がこれなんだよ~、全部一つの物語らしいんだけどさ~」

P「なるほどなぁ、そこから色々と抜き出して問題にしようって訳か」

亜美「ホント、出題者は無理難題をおっしゃりやがりますよ」

真美「亜美達にこんなのやれって、そんなの無理なんだい!なんつって~」

P「…」

亜美「…」

真美「……す、すんませんしたぁーっ!」ドゲザァ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:25:47.35 ID:Bx7BLpLm0
P「(ふーむ……所々、場面が飛ばしてあるな)」ペラッ

P「(どうやら、話的に盛り上がる箇所を抜粋してあるようだ)」ペラッ



P「よし、分かった。とりあえず範囲の所は、全部説明してやるよ」

亜美「お~!兄ちゃん頑張って!」

真美「真美達は期待しないで聞いてるかんね~」

P「(元々はお前らの宿題だろうが……!)」イラッ

P「それじゃあ読むぞ。大殿には……」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:27:53.68 ID:Bx7BLpLm0
愛「パイナップル源三さん……じゃなくて、葵上様っ!」

雪歩「は、はい?」

愛「賀茂神社のお祭りには、お出にならないのですか!?」

雪歩「うん……体調もあんまり良くないし、今日も家にいようかなって思ってるの」

愛「ダメじゃないですかー!せっかく、大将様の御姿も見られると言うのに!」

雪歩「それは、そうだけど……」

愛「お忍び用の牛車は私が用意してますから、早く行きましょう!」グイッ

雪歩「あぅぅ……ち、ちょっとまだ、心の準備が~」ズルズル

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:30:00.07 ID:Bx7BLpLm0
ワイワイ ガヤガヤ


ガラガラ……

愛「着きましたよー!葵上様っ!!」

雪歩「あ、愛ちゃん、声が大きいよぉ……一応、忍んで来てるんだから……」

P「……な、なんで大将殿の従者の俺が、葵上様の牛車を先導せにゃならんのだ……」ハァハァ

愛「あーっ!見つけましたよ、大将様っ!!」

雪歩「えっ……」ピクッ

愛「どけどけー!葵上様のお通りだー!……ほら、早く行ってくださいっ!」

P「い、行けってお前、目の前は人だかりで詰まってんだろ!」

愛「私の牛車にそんな遠慮はありません!あるのはただ、制圧前進のみ!!」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:33:23.83 ID:Bx7BLpLm0
涼「ちょ、ちょっと愛ちゃん、割り込みはダメだよ!」

愛「ああー!あなたは、六条のみやすどころ様の使用人さんですねっ!」

涼「こ、声が大きいよ愛ちゃん……御息所様、だよ」

涼「って言うかここは私達が陣取ってる場所なんだから、他を当たってくれないかな……ね?」

愛「退きませんし媚びませんし顧みません!私の牛車に、逃走の二文字はありませんから!」

涼「あ、愛ちゃん?いくら愛ちゃんでも、それ以上は」

愛「……御息所様が、大将様の愛人だからですか?」

雪歩「(あ、愛ちゃん……!?)」オロオロ

P「(……うわぁ、始まったよ)」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:35:26.30 ID:Bx7BLpLm0
愛「御息所様が大将様の愛人だから、大将様を傘に着てこの場所に陣取ってるんですねっ!」


ざわ……


涼「ち、ちょっと!周囲に丸聞こえだよ愛ちゃん!」

涼「って言うかそれを言うなら笠に着る、だよ……それ以上御息所様の悪口を言うと、私だって怒るよ?」

愛「だって本当の事じゃないですかー!御息所様は良い歳したおばさんで、泥棒猫さんなんですよ!?」

涼「っ……ち、ちょっとそこのあなた!」

P「」ピクッ

涼「大将様の従者さん、ですよね?事情を知ってるあなたからも、何か言って……」

P「……サボテンの花が、咲いているなぁ」シレッ

涼「(……こ、これだから大人はっ……!)」ギリッ

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:38:28.88 ID:Bx7BLpLm0
愛「正妻である葵上様が、大将様の御姿を間近で見る事の、何がいけないんですかっ!」

涼「み、御息所様だって、この日を楽しみに……」

愛「もう埒があきません、最終手段を取らせていただきます……」スゥゥゥゥゥゥ

涼「な、何を……」



愛「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!」ボエー


ガッシャーン


涼「ああっ!な、何てことするんだよっ!御息所様の牛車を止めておく台が……!」

愛「さぁ、とっとと退いてください!」ズカズカ

涼「あれじゃ御息所様が牛車から滑り落ちちゃうじゃないか!酷いよ愛ちゃん!」ダッ

ざわ…… ざわ……

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:41:52.47 ID:Bx7BLpLm0
涼「うぅ……す、すみません、御息所様」

「………」

涼「往来で、御息所様にあんな恥を……」

涼「しかも人ごみで、ここから動く訳にもいかず……何と申し上げればよいか」

「……涼ちゃん。大将様は、何処に?」

涼「丁度、行列が差し掛かっております。大将様は、馬上に」



真「………」シャナリ シャナリ



小鳥「(……こちらには目もくれない。当然よね、こんな遠くからじゃ……)」

小鳥「(あぁ、今一度!今一度だけ、あの方をこの目に……!)」ドキドキ

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:45:14.91 ID:Bx7BLpLm0
小鳥「(あれ以来、私は思い悩むことが多くなった)」

小鳥「(一度伊勢に下ろうとも思ったけれど、男に捨てられて逃げた、なんて噂が広がるのはイヤ……)」

小鳥「(かと言って京にとどまろうにも、お祭りでのあの噂が広まってしまっている……)」

小鳥「(……一体、どうすればいいの?)」

小鳥「(まるで今の私は、荒海に漂うウキのようね……)」

真「……御息所様?」

小鳥「ピヨッ!?……な、何でしょう、大将様」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:47:45.76 ID:Bx7BLpLm0
真「伊勢へ、行かれると聞いたのですが」

小鳥「え、えぇ……でも、まだ行くと決めた訳では」

真「……ボクのようなつまらない者を、見るのも嫌だとお思いになるのはごもっともです」

小鳥「えっ……そ、そんな、違っ……」

真「ですが、そんなボクでもお見捨てにならないのが……」

真「これまであなたが培ってきた情愛、というものではないでしょうか?」

小鳥「っ……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:49:48.16 ID:Bx7BLpLm0
亜美「兄ちゃんしつもーん!」ハイ

P「おう、どうした」

亜美「まこちんの言い回しが、良く分かんないんだけど」

P「ん、そんじゃもう少しくだけた言い方にしてみるか」



真「君の思ってる通り、ボクが最低な男だってのは自分でも分かってる。けどさぁ」

真「君が育んできたボクへの愛の深さってのはさぁ、それを上回るものだよね」キリッ

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:53:12.59 ID:Bx7BLpLm0
真美「うわぁ……」

亜美「……奥さんいるのにチャラ夫だねぇ、まこちん」

P「そりゃそうだ。古事記なんかを除けば、恐らく最古のハーレム系主人公だからな、光源氏は」

P「んで……ここから葵上が、更に体調を崩して床に伏せてしまうんだが」

P「これがどうも、悪霊にとり憑かれたせいじゃないか、と」

亜美「悪霊?」

P「昔は医者なんていなかったからな。だから祈祷師だのが立派な仕事として扱われた時代なんだ」

真美「悪魔が微笑む時代なんだねぇ~」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/16(土) 23:56:22.59 ID:Bx7BLpLm0
雪歩「うぅ……」

やよい「むむむむむー……かーっ!」ゴォォ


愛「修験者さん!葵上様は、大丈夫なんでしょうかっ!?」

やよい「手は尽くしてるんですけど、祈祷のもやし炒めが効きません……」

やよい「ここまで手強い悪霊は初めてですー、並の物の怪ではないですよ」

愛「葵上様は妊娠中なんですっ!お腹の子に、もしもの事があったら!私は、私はっ!!」

やよい「愛ちゃん、もうちょっと声小さくしよう?」

愛「これはきっと、葵上様に恨みを持つ人達の仕業に違いありませんっ!!」

やよい「……ねぇ、愛ちゃん?聞いてます?」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:00:16.19 ID:PeAN2sZU0
小鳥「(……最近、奇妙な夢を見る)」

小鳥「(とても清浄とした邸に私はいて、そこには美しい姫がいる)」

小鳥「(私はその姫を見、あちこち引っ掻き回して、乱暴に、荒々しくなぶり続けている)」

小鳥「(まるで体を飛び出して、私の魂がそうしたかのよう……)」

小鳥「(それがここ数日に渡って、ずっと起きている。私の、夢の中で)」



小鳥「……正気じゃ、ないわね。何と忌まわしい……」

小鳥「でも、人には話せない……噂が立つのは、辛いもの」

小鳥「……さっさと忘れましょう、こんな事。薄情なあの人と、一緒に」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:03:30.08 ID:PeAN2sZU0
真「(御息所様の様子もおかしいようだけど、今は葵上の方が心配だよ……)」

雪歩「っ……あ、ぁ……!」ガクガク

やよい「なむだいじだいひー、きゅうぐきゅうなーん!」ポイポイ


ゴォォ……


やよい「うぅー、300gのもやしを炒めても一向に良くなりません……300gも使ったのに」

雪歩「あぐっ……た、大将様………」

真「葵上!?」

雪歩「す、少し、祈祷を緩めて……あなたに、申し上げたきことが……」

P「……大将殿、我々は下がります」スッ

真「ありがとう」

P「(……これが今わの際であれば、きっとご遺言の類だろうな……)」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:07:10.83 ID:PeAN2sZU0
真「葵上……」

雪歩「………」

真「(葵上を直に見るのは、初めてだけど……)」

真「(出産を控えてぽっこりと出た、大きなお腹……)」

真「(白い着物……長く伸びて横たわる、結った髪……)」



真「(こう見ると、とても優美で……そして、艶めかしいね)」ゴクリ



真「葵上、ごめんよ。君にこんな辛い思いをさせる事になるなんて」ギュッ

雪歩「うぅっ……ぅ……」ポロポロ

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:10:54.00 ID:PeAN2sZU0
雪歩「グスッ……グスッ……」ポロポロ

真「(泣きやまないなぁ……)」

真「(この美しいボクと死に別れて、もう逢えないと思って、泣いているのかな?)」

真「何事も、思いつめていてはいけないよ。お産なんて、大したことじゃないんだから」

真「万が一君が死んだとしても、またボクと逢えるさ。きっと逢える」

真「転生したって、いつか必ずね。だから、安心して……ね?」

雪歩「いえ……そうでは、ないのです」グスッ

真「?」



雪歩「……祈祷をされて苦しいので、やめてくださいと、申し上げたかったのです」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:14:15.35 ID:PeAN2sZU0
真「そ、それは、どういう……」

雪歩「フヒヒ……このような形であなたと会おうとは、全く思っていないのに」

雪歩「妄想に耽る人の魂は、このように抜け出るものだったのですねぇ……」

真「(葵上じゃ、ない……!?)」

真「(こ、この、妄想に耽った時のような、だらしない顔は……!)」

雪歩「悲しみに嘆き、堪えかねて抜け出たこの私の魂……」

雪歩「……どうかあなたの手で、結び留めて欲しいのです」ニタァ

真「……そ、そんな事言われたって、君のことは知らないよ!……君は一体、誰なんだ!?」

雪歩「フヒッ、フヒヒッ、フヒヒヒヒヒ……!」ゴゴゴゴゴ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:17:16.32 ID:PeAN2sZU0
亜美「そ、それで……?」

P「この後、あっさりと無事に出産したそうだ」

真美「え、えぇー……」

亜美「ど、どういう事なの……ってゆーか、ゆきぴょんがフヒフヒ言ってたのは……?」

P「……ラマーズ法的な何か?」

真美「ら、ラマーズ法、だと……!?」

P「この時憑依してる方はモノホンの小鳥さんよりハイスペックだからなぁ。娘さんがいる未亡人だし」

亜美「ま、マジっすかぁー……あのピヨちゃんが………」

P「んで、この後その六条御息所は一方でどうしてたかって言うと――」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:20:18.78 ID:PeAN2sZU0
小鳥「命も危ういと聞いていたのに……無事だったなんて、ね」

小鳥「!……これは、あの方の……臭い……」クンカクンカ

小鳥「……やはり私は生霊となって、あの姫を祟っていたのかしら」

小鳥「あぁ、なんて疎ましいわが身なの……」





小鳥「………」

小鳥「ウヘヘヘヘ……」スーハースーハー

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:24:21.66 ID:PeAN2sZU0
P「――ってぇ所で、テスト範囲としてはここで終わりだな」

亜美「えぇーっ?こ、こんな所で!?」

真美「この後どうなったの?ゆきぴょんとか、ピヨちゃんとかさー」

P「んー?雪歩はお産の後、すぐ亡くなっちゃったんだな、これが」

P「小鳥さんは真から届いた手紙でトドメ刺されて、娘と一緒に伊勢に行って……」

P「なんやかんやで京に戻って出家、源氏に『私の娘には手ェ付けんなよ』っつって亡くなったそうだ」

亜美「ピヨちゃん……」

P「で、その後も嫉妬丸出しの死霊として源氏の周りで大活躍したそうだ」

真美「やべぇー、やべぇーぜピヨちゃん……」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:27:55.53 ID:PeAN2sZU0
ガチャッ

小鳥「音無小鳥、ただ今戻り……」

亜美「う、うわぁー!」ガタタッ

真美「六条御息所が出たぁー!!」ガタタッ

小鳥「は?……ち、ちょっとそれって、どういう意味かなぁ?」ヒクヒク

亜美「の、呪い殺されるよー!」ダッ

真美「とりあえずやよいっちを呼んで来ないとっ!」ダッ

小鳥「待たんかいコルァァァァ!どう考えたって私は夕顔でしょぉぉぉぉぉッ!?」ダッ





P「……夕顔はねーよなぁ」ボソッ

真「ボクが光源氏ってのもないですよね」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:31:50.56 ID:PeAN2sZU0
P「………」

真「どうしました、プロデューサー?」



P「……いつから、そこに?」

春香「私はずぅっと聞いてましたよ、プロデューサーさん!」

P「」



P「あっ、俺、ちょっと急用を思い出しちゃったかな~……みたいな?」ガタッ

雪歩「……逃がさない」ガシッ



P「……ま、またこのパターン?」タラリ

貴音「にゃーん」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 00:35:24.96 ID:PeAN2sZU0
春香「私的にはー、紫上だと思うんですよねー」

P「……いや、それはなっ」ギュウウウウ

P「あだあだだだだだっ!痛っ!いだだだっ!!腿!つねっ……!!」バタバタ

真「ボクも夕顔みたいな恋、してみたいなー。とり殺されるのは勘弁だけど」メキメキメキ

P「ふぁおおおおおおおお!!?やめ、ちょっ!やめっ!やめへぇっ!!」バタバタ

雪歩「四条さん、かみくだく」

貴音「がおー」ガブッ

P「いぃっっっでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」



響「律子ー、源氏物語って何だー?」

律子「紫式部って言う妄想の神様が生んだ、ドロッドロの恋愛寝取り小説よ」

美希「読めばすごくいいベンキョーになるって思うな。ミキは」

律子「………」



おわり