1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:25:42.85 ID:Uv9GoMMZ0
優「ねえ、お姉ちゃん、宿題教えてくれない?」

千早「ええ、いいわよ」

優「これなんだけど…」

千早「数学ね、これはこの公式を応用すると…」

優「…あ、できた!さすがお姉ちゃん!」

千早「ふふ、褒めても何も出ないわよ」

優「んーん、お姉ちゃん歌も上手だし運動も得意だもん!」

優「きっと、お姉ちゃんにできないことなんてないよ」

千早「もう…さ、きりがいいところで晩ご飯にしましょ」

優「うん!」





4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:31:50.15 ID:Uv9GoMMZ0

優「ん…!おいしい…お姉ちゃん、これおいしいよ!」

千早「ホントに…?」

優「うん!お姉ちゃんの唯一の弱点、料理を克服するのももうすぐだね、きっと!」

千早「あら?私にできないことなんてないんじゃなかったの?」

優「それは…お、お姉ちゃんなら努力でどうにでもしちゃうって意味で…だから…」

千早「ふふ、くだらないこと言ってなくていいから、冷める前に食べちゃいなさい」

優「はぁい」

千早「ところで…明日は大丈夫よね?」

優「…うん、部活もちゃんと休むって伝えてきた」

千早「ごめんね…」

優「んーん、お姉ちゃんは何も悪くないよ」

千早「優は優しいわね…」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:36:50.79 ID:Uv9GoMMZ0
------墓地
優「お母さんってどんな人だったの?」

千早「とっても優しい人だったわ」

千早「料理も上手でいつも笑顔で…私達のことを常に一番に考えていてくれていて…」

優「そうなんだ…」

優「お母さん、どうして死んじゃったの…?」

千早「それは、優が大きくなるまでは秘密っていつも言ってるでしょ?」

優「お姉ちゃんのけちぃ」

千早「でも…もう優もだいぶ大きくなったから…そろそろ……」ボソッ

優「え?」

千早「何でもないわ」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:42:40.57 ID:Uv9GoMMZ0
千早「お墓のお掃除終わったら、帰りにどこかでお昼ご飯食べていきましょ」

優「やった!」

千早「優は何が食べたい?」

優「うーん…お姉ちゃんと同じもの!」

千早「もう、そればかりじゃない、自分の意見をちゃんと言えるようにならないと立派な大人になれないわよ?」

優「うーん、それじゃあ…お母さんが好きだったものが食べたいな」

千早「お母さんが…?」

千早「ふふ」

優「?」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:50:04.16 ID:Uv9GoMMZ0
千早「お母さんも、いつも私たちの好きなものでいいって言ってたわ」

千早「私たちの笑顔が一番のご馳走だからって」

優「そうなんだ…」

千早「さ、それは置いておいて、結局優は何が食べたいの?」

優「う…えと…じゃあ、ラーメン?」

千早「どうして疑問形なのよ…」

優「最近あっさりしたものが多かったから、ここらでアクセントに脂っこいものをと思ったんだけど…ダメ?」

千早「…」ポカーン

優「お姉ちゃん?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:56:41.40 ID:Uv9GoMMZ0
千早「あ、ごめん…優、あなたいつの間にか色々考えられるようになったのね」

優「そうかな?」

千早「じゃあ、帰りはラーメン食べていきましょ」

千早「実はね、昨日事務所のラーメン好きの子にお勧めのお店聞いてきたの」

優「え?じゃあもしかして」

千早「ええ、優が何も答えなかったら、ラーメン屋にするって決めてたの」

千早「最近あっさりしたものが多かったから」

優「そう…だったんだ、えへへ」

千早「どうしたの?」

優「何でもない!お水汲んでくるね!」タタタッ

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 00:59:33.78 ID:Uv9GoMMZ0
優「ごめんなさいありがたくいただきますおねえさま」

千早「よろしい…ふふ」

優「それより、大丈夫なの?」

千早「うん?何のこと?」

優「今月の生活費だよ、ここまでの電車代だってばかにならないし…」

千早「大丈夫よ、優にはまだ言ってなかったけれど、お給料だって最近ちょっと上げてもらえたのよ?」

優「ならいいんだけど…」

千早「信じてないわね?」

優「そんなことないよ、先月出したCDだってすっごくたくさん売れてたし」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:05:44.50 ID:Uv9GoMMZ0
千早「そうなの?」

優「そうなのって…お姉ちゃん知らなかったの?もうちょっとでダブルミリオン達成だってテレビじゃ大騒ぎだよ?」

優「この時代に、単純に歌の力だけで200万枚売れるのは…何かとにかくすごいってテレビで言ってた」

千早「そういえば春香もそんなこと言ってたわね…」

優「お姉ちゃんさ、そういうの興味ないの?」

千早「興味ないわけじゃないのだけれど…売れた数なんて気にしたってしょうがないわ」

千早「今は、楽しんで歌えている、その事実だけで十分よ。それに…」

優「それに?」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:12:05.27 ID:Uv9GoMMZ0
千早「なんでもないわ、ほら、ラーメン伸びちゃうわよ?」

優「むー、お姉ちゃん最近隠し事多いよー」ズズズ

千早「ふふ、女の子なんてみんなそういうものよ」

------如月家
優「おねーちゃーん」

千早「ん?なぁに?」ジュー

優「手伝おうか?」

千早「大丈夫よ、そんなことより宿題は終わったの?」

優「さっき終わって、暇になっちゃったから来たんだよ」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:18:49.85 ID:Uv9GoMMZ0
千早「そう、じゃあ…お米研いでおいてくれる?」

優「うん、わかった」

優「…それにしてもさ、お姉ちゃんホントに上手になったよね、料理」

千早「そうかしら?」

優「うん、包丁で指も全然切らなくなったし」

千早「まあ、確かに指は切らなくなったわね」ザクッザクッ

優「そういえば、今日の晩ご飯って何?」

千早「このレタスを使ったサラダと…」ザクゥ

千早「ふぅ、あとは生姜焼きよ」

優「なんだかすごいサラダになりそうだね…」

千早「う、うるさいわね」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:25:05.28 ID:Uv9GoMMZ0
優「あ、でもそっちの生姜焼きはすっごく美味しそう!」

千早「ええ、こっちは自信作よ!」

優「でも、早く裏返さないと焦げちゃうよ?」

千早「え…?ってああ!」

優「だ、大丈夫だよ!ちょっとだけ焦げただけだし!」

千早「そうよね…ええ、きっとそうに違いないわ!」

優「うん、それに、豚肉はちゃんと火を通さないとダメだし」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:30:04.61 ID:Uv9GoMMZ0
-------
優「いただきまーす!」

千早「はい、召し上がれ」

優「…」モグモグ

千早「ど、どうかしら?」

優「んく…うん!大丈夫、おいしいよ!」

千早「ほんと!?よかった…」

優「お姉ちゃんさ、明日はお仕事だっけ?」

千早「え?ええ、そうね、明日は音楽番組の収録と…スタジオが空いていれば、ボイストレーニングだけしてくるわ」

優「やっぱりお姉ちゃんはすごいなぁ…」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:36:41.92 ID:Uv9GoMMZ0
千早「そんなことないわよ、私なんてまだまだ…」

優「んーん、お姉ちゃんはホントに凄いよ、元々すごいのに、人の何倍も頑張ってるもん」

千早「それは…周りの人が私に最高の環境を提供してくれるから…」

優「その人たちだって、頑張り屋なお姉ちゃんだから手を貸してくれるんだよ」

千早「でも、」

優「むー、凄いったらすごいの!しかも最近じゃ家のことだって一人でやってるし」

千早「家事をやっている子なら、事務所にもいるわ」

千早「優と同じくらいの歳の子でね、弟や妹が何人もいて…それでもすっごく頑張ってるの」

優「ふぅん…じゃあ、アイドルってみんな頑張り屋さんなのかな?」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:42:13.66 ID:Uv9GoMMZ0
千早「そうかもしれないわね、少なくとも才能だけで全く努力をしない子はすぐに消えていくわ」

優「そうなんだ…でも、だったらお姉ちゃんは大丈夫だね!才能もあるし、努力もしてるし」

千早「もう…だから、私はそんなにすごくはないの」

優「そんなことないよ、僕にとってはお姉ちゃんはスーパーマンだもん!」

千早「ふふ、知らないわよ?学校でそんなことを言った次の日に、私のファンが0になっても」

優「そんなことは有り得ないもん、少なくとも僕だけはずーっとお姉ちゃんのファンだし」

千早「調子いいこと言って、何か買ってほしい物でもあるの?」

優「そんなんじゃないよ、ただ何となくそう思っただけ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:49:52.77 ID:Uv9GoMMZ0

千早「優、何か悩みでもあるんじゃないの?」

優「え…?どうして?」

千早「なんだか、さっきから優が無理してるように見えたから…」

優「そんなこと…」

千早「私の思い違いならそれでいいの」

千早「でも、もしも悩みがるのなら一人で抱え込んだらダメよ?」

優「うん…うん、お姉ちゃんありがとう」

優「でも、それはお姉ちゃんも同じだからね!お姉ちゃん、すぐ自分ひとりの力で何とかしようとするんだもん」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 01:57:09.88 ID:Uv9GoMMZ0
千早「ええ、そうね…じゃあこれからはもっと優に頼っちゃおうかしら」

優「うん!どんどん頼ってよ、僕だってもう子供じゃないんだから!」

千早「ふふ、まだ中学生なのに生意気言って」

優「ね、年齢は関係ないよ!大切なのは精神年齢だよ!」

千早「はいはい、わかったから」

優「むー、またそうやって子供扱いしてー!」

千早「ふふ、ほら、生姜焼き冷めちゃうわよ?」

優「もー!最近食べ物ではぐらかしてばっかじゃんかー!…美味しいからいいけど」ムグムグ

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:02:21.42 ID:Uv9GoMMZ0
-------
千早「優…起きなさい」

優「んー…お姉ちゃん……?何で僕の部屋に…」

千早「もう朝よ、いつまでも起きてこないから起こしに来てあげたの」

優「今何時?目覚ましは…って、もうあと5分で出なきゃ間に合わないよ!どうして起こしてくれなかったの!」

千早「だから、こうして起こしてあげたんじゃない」

千早「パンだけ焼いておいたから、それ食べたらすぐ行きなさい」

優「あーーーーどうしよう、遅刻だよお!!」

千早「1分で着替えて2分で食べて残りの2分で歯と顔洗えば間に合うわよ?」

優「確かにその通りだけど…ってそんなこと言ってる間にあと4分!お姉ちゃん、着替えるから出てって!」

千早「はいはい」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:07:25.43 ID:Uv9GoMMZ0

優「じゃあ行ってきます!」

千早「あ、今日はちょっと遅くなるかもしれないけど、大丈夫?」

優「大丈夫だよ、晩御飯までには帰ってくるよね?」

千早「ええ、それは多分大丈夫だと思うわ」

優「っと、時間ヤバいんだった!今度こそ行ってきます!」タタタッ

千早「はい、いってらっしゃい」

千早「さて…と、私もそろそろ支度しなきゃ遅刻ね」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:15:42.10 ID:Uv9GoMMZ0
-------事務所
千早「おはようございま」

パンッ!パンッ!

千早「!」ビクッ

春香「千早ちゃん!おめでとう!!」

小鳥「やったわね、千早ちゃん!私もう嬉しくて嬉しくて…うぅ」

春香「もう、小鳥さんが泣いたらダメですよお」

小鳥「ええ、そうね…!」グスン

千早「あの…おめでとうって…?」

春香「あ、それなんだけどね、千早ちゃん…グラマー賞に選ばれたんだよ!」

千早「くっ…質の悪い冗談ね…」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:22:26.87 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「は、春香ちゃん!グラマーじゃなくてグラミーよ!」

春香「え?そうでしたっけ?」

小鳥「うちの事務所でグラマー賞貰える人って言ったら…そうね、あずささんと美希ちゃんくらいじゃないかしら?」

千早「あの…」

小鳥「って今はグラマーは関係ないわね…」

小鳥「こほん…改めて報告します!」

千早「は、はい?」

小鳥「千早ちゃんは、グラミー賞にノミネートされました!しかも2部門!」

千早「私が…グラミー賞に…?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:27:52.43 ID:Uv9GoMMZ0
千早「私が…」

春香「千早ちゃん…?」

千早「…ありがとう…ありがとう……!」ポロポロ

春香「…うん!ほんっとうにおめでとう!」ギュッ

小鳥「これで千早ちゃんは文字通り世界の歌姫ね」

千早「グスッ…でも、まだノミネートが決まっただけで受賞されたわけではありません」

小鳥「それはそうだけど…ノミネートされるだけでも大変なことよ?」

春香「そうだよ!私なんて一生かかってもノミネートされっこないし!」

千早「ふふ、そのとおりね」

春香「もー!千早ちゃん酷い!」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:33:02.73 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「さて、これから忙しくなりそうね!」

小鳥「えっと、取りあえず授賞式の日のお仕事は全部キャンセルして…きっとマスコミに伝わったら…」ブツブツ

千早「世界…か」

春香「えへへー、これも私のおかげだね!」

千早「どうして?」

春香「だって、私ずーっと信じてたもん!千早ちゃんなら絶対一番になれるって!」

千早「ええ、そうかもしれないわね」

春香「んな、今度はマジメなトーンで返された…!?」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:37:43.13 ID:Uv9GoMMZ0
千早「あのね、春香」

春香「ん?なぁに」

千早「本当に感謝してるわ、春香にも事務所のみんなにも…」

春香「えへへ、嬉しいな」グスッ

春香「あれ…?なんでだろ、嬉しいのに…涙が…」

千早「春香…ありがとう」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:42:20.54 ID:Uv9GoMMZ0
--------
千早「ただいま!」

優「あ、お帰り、お姉ちゃん」

千早「優、聞いて!あのね!私、グラミー賞にノミネートされたわ!」

優「グラミー……?って…グラミー賞!?お姉ちゃんが!?」

千早「ええ!」

優「すごいや!さすがお姉ちゃん!」

千早「ええ!ええ…!!」

優「じゃあ、お姉ちゃんこれから絶対忙しくなるね!」

優「僕も家事とか今のうちに覚えなきゃ!」

千早「…え?」

44: 誰もいないのに投下し続けるの、何か段々楽しくなってきたぞ 2012/06/18(月) 02:46:11.93 ID:Uv9GoMMZ0
優「だって、お姉ちゃん、世界のお姉ちゃんになるんだよね?」

優「だったら、家のことくらい僕がやらなきゃ!」

千早「そんなこと、優に押し付けられないわ!」

優「お姉ちゃんは心配性だなぁ、事務所にもいるんでしょ?僕と同い年くらいで家事をこなしてる子が」

優「僕なら大丈夫だって!」

千早「で、でもっ!」

優「だいじょーぶったら大丈夫なの!お姉ちゃん、夢が叶ったんだよ」

優「これからはお姉ちゃんだけの体じゃないんだから!」

千早「え、ええ…」

千早「私、浮かれてて何も考えてなかったわ…ごめんね、優」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 02:54:28.21 ID:Uv9GoMMZ0
優「ねえ、お姉ちゃん…僕が一番大好きなお姉ちゃんってどういうお姉ちゃんだと思う?」

千早「…?」

優「僕は、歌ってる時のお姉ちゃんがいっちばん好き」

優「だからね、お姉ちゃんの歌が世界中の人に聞いてもらえるって考えるだけですっごく嬉しいんだよ」

千早「優…」

優「お姉ちゃんが笑顔で歌ってる姿が見られるなら、家事なんて屁でもないよ!」

千早「あなた…本当に優しい子になったわね」グスッ

千早「…わかったわ、これから忙しくなるまでにはまだ少し時間があるわ」

千早「だから、それまでに私ができることを全て伝授してあげるわ、覚悟しておきなさい!」

優「うん!望むところだよ!」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:00:33.11 ID:Uv9GoMMZ0
------一ヶ月後
千早「ただいま」

優「あ!お帰り、お姉ちゃん!ご飯できてるよ」

千早「私が帰ってくるまで待っていてくれたの?」

優「うん、一人で食べても美味しくないから」

千早「じゃあ、早速いただいてもいいかしら?優もお腹すいたでしょう?」

優「うん!」


優「…どう?」

千早「うん、そうね…」

優「……」ドキドキ

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:04:08.55 ID:Uv9GoMMZ0
千早「少しお醤油が多い気もするけれど…」

千早「…とってもおいしいわ!」

優「ホント!?」

千早「ええ!たったの一ヶ月で、完全に優に追い抜かれたわね」

優「やった!僕、お姉ちゃんに勝っちゃった!」

千早「優は手先が器用だものね」

優「えへへ!」

千早「でも、ごめんね…それだけたくさん苦労も掛けたってことだもの…」

優「ああもう!お姉ちゃんごめんねって言うのこれから禁止!僕まで暗い気持ちになっちゃうよ」

千早「ご、ごめん…あ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:07:56.66 ID:Uv9GoMMZ0
優「もー!」

千早「…ふふ」

優「えへへっ!」

-------優部屋
千早「優、起きてる?」コンコン

優「……」スー

千早「入るわよ?」ガチャ

千早「もう、電気点けっぱなしで寝ちゃって…」

優「…」クー

千早「あら…?これは…」

優「……んぅ…」クカー

千早「優……おやすみ」

優「……」スー

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:13:29.42 ID:Uv9GoMMZ0
-------
優「ん…朝…?この匂いは…」

千早「優、起きてる?」コンコン

優「今起きたよ」

千早「朝ごはん作っておいたから、味噌汁温めて食べてね」ガチャ

優「うん、ありがと」

千早「それじゃ、行ってくるわね」

優「いってらっしゃい、頑張ってね」

優「…朝ごはんも僕に任せてくれたっていいのになぁ」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:19:54.52 ID:Uv9GoMMZ0
-------事務所
千早「おはようございます」

小鳥「あら、おはよう、今日も早いのね」

千早「はい、音無さんの言うとおり、最近ホントに忙しくなってきたので」

小鳥「大丈夫?無理はしてない?」

千早「はい、なるだけ喉も傷めないよう気を付けています」

小鳥「喉だけじゃなく、心身共に大事にしなきゃね」

春香「おふぁようございますぅー」ガチャ

小鳥「おはよう、春香ちゃん」

春香「今日は朝から生放送ですよ、なまほうしょう…ふぁぁ」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:25:27.45 ID:Uv9GoMMZ0
千早「おはよう春香、今日は早いのね」

春香「え!千早ちゃんもう来てたの!?」

千早「ええ、このあとすぐに雑誌の取材があるから」

春香「そうなんだ…今日は私が一番だと思ってたのに」

千早「最近はいつもこの時間よ」

春香「うわ、私だったら絶対週1回は遅刻しちゃうかも…」

千早「春香、ちょっとじっとしてて」

春香「え?何?」

千早「…」

春香「あ…顔、近い……」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:29:21.87 ID:Uv9GoMMZ0
千早「……」スッ

春香「(え、嘘…顎に手を添えて…これってまさか…キs)」

千早「はい、取れたわ」

春香「え?」

千早「ふふ、口の周りにパンくずが付いてたわよ」

春香「う、嘘…恥ずかしいよぉ」

千早「アイドルなんだから、顔くらい洗ってきなさい?」

春香「あ、洗ってるよぉ、ただ、今日は時間ぎりぎりだったから食べながら来ただけで…」

千早「それはそれではしたないわね…」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:34:29.64 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「ふふ、朝からおあついわね」

春香「わ、私と千早ちゃんはまだそんな関係じゃ!」

小鳥「え?まだってことはいつかはそうなるの?」

春香「うぅ…小鳥さんのいじわる…」

小鳥「まあその話はいいとして、時間大丈夫?」

春香「わ、もうこんな時間…じゃあ行ってきますね!」

小鳥「はい、行ってらっしゃい」

千早「頑張ってね、春香」

春香「うん!ありがとう!」タタタ

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:40:29.87 ID:Uv9GoMMZ0
千早「あの…音無さん、実は折り入ってお願いが…」

小鳥「ん?なぁに、千早ちゃん」

千早「実は…弟の誕生日はお仕事休みたいのですが」

小鳥「そうね…たった一人の家族だものね…」

小鳥「ええ、いいわ!完全に一日空けられるかどうかはわからないけれど、極力頑張ってあげる!」

千早「ありがとう…ございます」

小鳥「それで、弟くんの誕生日はいつ?」

千早「ちょうど一ヶ月後の今日です」

小鳥「一ヶ月後の…千早ちゃん、本気?」

千早「はい」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:46:49.74 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「…そう」

小鳥「事務員として言わせてもらうと、絶対反対ね」

千早「…」

小鳥「授賞式の日に弟の誕生日なので休みます、なんてどうかしてるもの」

千早「重々承知しているつもりです!そこを何とか…」

小鳥「こんなこと聞く権利、私にあるのかはわからないけど…」

小鳥「その日は…千早ちゃんにとってそこまで特別な日なの?」

千早「はい、私にとって…いえ、私たち姉弟にとって忘れられない特別な日になると思います」

小鳥「そう…ふふ」

小鳥「わかったわ、一事務員としては賛成できないけれど…765プロの仲間として私も協力してあげる」

千早「本当ですか!?」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:50:39.66 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「ええ、ただしこれは私と社長、あと千早ちゃんだけの秘密よ?」

千早「社長…協力してくれるんでしょうか?」

小鳥「きっと問題ないわ、社長ってああ見えて人の気持ちをちゃんと考えてくれるから」

千早「でも、例え社長の手助けが借りられたとしても…どうやって」

小鳥「あら?大体の計画は私の中でできつつあるわよ?」

千早「え…?」

小鳥「名付けてっ!くっ、感染症にかかってしまって授賞式にはとても出られないわ…大作戦よ!」

千早「……やっぱりあきらめた方がいいんでしょうか…」

小鳥「ちょっと!確かにオペレーションコードはちょっとふざけた感じだけれど…」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 03:56:03.88 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「一応は実用的でかつ確実な作戦よ!」

千早「あの…ちなみにどういった…」

小鳥「一言で言うなら、仮病を使ってドタキャンする、ね」

千早「仮病ですか…そんなにうまくいくんでしょうか?」

小鳥「ええ、まず感染症にかかったら飛行機にも乗れなくなるのは千早ちゃんも知ってのとおりね?」

千早「はい」

小鳥「だから、一週前の生すかあたりで千早ちゃんには倒れてもらうわ」

千早「何がだから、なのかよくわからないのですが」

小鳥「まあ、そこでちょっと伏線を敷いておくのね」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:02:03.32 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「突然病気かかったので休みますー、って言うのと、前日に目の前で倒れられてから休みます…どっちが信憑性あると思う?」

千早「なるほど…」

小鳥「まあ、あとは社長と私の出番ね」

小鳥「スタッフさんへの対応にマスコミへの対応…ああ、考えただけで頭痛が…」

千早「音無さん…ありがとうございます…」

小鳥「ふふ、お礼の言葉は弟君と最高の一日を過ごせてから改めてたっぷり聞かせてもらうわ」

千早「はい…!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:07:04.81 ID:Uv9GoMMZ0
-----3週間後
春香「はい!今週もはじまりました!」

美希「生すか、サンデーなの!」

春香「もー!美希、それ今週は私の言う番だったのに!」

美希「早い者勝ちなの!」

千早「…」

春香「と、タイトルコールの話は置いておいて…最初のコーナーはお馴染み、…」


スタッフ「CM入りましたー」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:10:33.30 ID:Uv9GoMMZ0
春香「千早ちゃん、何か元気ないみたいだけど大丈夫?」

千早「え?ええ…ちょっと体調が…」

春香「授賞式だって近いんだから、無理しちゃだめだよ?」

千早「ええ…」

スタッフ「CM終わり5秒前!4…」

千早「(このCMが空けてからすぐに…)」

春香「はい、ということで、響チャレンジのコーナーでした!」

春香「響ちゃんは無事、富士の樹海から抜け出せるのでしょうか?」

美希「いざとなったらハム蔵を使うの!」

春香「使うって?」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:15:56.22 ID:Uv9GoMMZ0
千早「…うっ」バタン

美希「だからね、ハム蔵をこうして…って、千早さん?」

春香「ちょ、ちょっとカメラ止めてください!」

スタッフ「CM入れろ!急げ!」

春香「千早ちゃん!?ねえ、ちょっと!どうしたの!」

小鳥「春香ちゃん!ちょっと千早ちゃんから離れて!」

春香「小鳥さん!千早ちゃんが!」

小鳥「ええ、大丈夫、大丈夫だから、落ち着いて?ね?」

春香「は…はい…」

小鳥「千早ちゃん、立てる?」

千早「…」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:21:18.95 ID:Uv9GoMMZ0
小鳥「春香ちゃん、美希ちゃん…二人で出来るわね?」

春香「はい…」

美希「春香、そんな顔してたらダメなの」

春香「美希…」

美希「こういうときこそ笑顔なの!ファンのみんなを心配にさせるくらいなら、春香も休んだ方がいいって思うな」

春香「でも…でも…」

春香「ううん…!美希の言うとおりかもしれない…私、この放送は笑顔で乗り切るよ!」

美希「その意気なの!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:27:34.94 ID:Uv9GoMMZ0
------楽屋
千早「本当にこれでいいんでしょうか…」

小鳥「え?」

千早「ファンの方を…果ては仲間まで騙してこんなこと…」

小鳥「みんなには、ほとぼりが冷めた頃に真実を話せばいいわ」

小鳥「きっと、みんな笑って許してくれるから…」

千早「…」

小鳥「それともなに?千早ちゃんには仲間を裏切る覚悟すらなかったの?」

千早「…くっ」ギリ

小鳥「…大丈夫よ、みんなきっとわかってくれるから……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:34:57.93 ID:Uv9GoMMZ0
-------千早部屋
優「お姉ちゃん、いる?」コンコン

千早「ええ…今日は学校早かったのね」

優「お姉ちゃんが倒れたって聞いて早退してきたんだよ…」

千早「ごめんね、あれ、嘘なの…私は元気よ、ちょっと疲れちゃったからわざと倒れる演技をしてやったの」

優「…ぷっ、あはは!」

千早「ど、どうしたの?」

優「努力家のお姉ちゃんでもそういう事ってあるんだね!」

優「お姉ちゃん、毎日朝早く起きて夜遅くに帰ってきて…これで疲れてなかったらお姉ちゃんは宇宙人だよ」

千早「優…」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:40:59.45 ID:Uv9GoMMZ0
優「僕も今日はサボっちゃったし…久しぶりに二人でゆっくりできるね!」

千早「ええ、ええ…」ポロポロ

優「な、なんで泣くの?」

千早「ふふ…優とこうしてゆっくり話せるのが嬉しくって…」グスン

優「今日のお姉ちゃん、なんだかお姉ちゃんっぽくないや」

優「…そんなお姉ちゃんも大好きなんだけど」

千早「もう、年上をからかわないの」

優「ほんとのことだもーん」

千早「優ったら…ふふ」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:46:30.29 ID:Uv9GoMMZ0
-------中学校
男の子「授業参観とかほんとだるいよなー、おまえんち誰か来る?」

優「え?僕んちは誰も来ないかな」

男の子「いいなー、俺んち両親共にくるんだぜ?って言ってる側からきやがったよ…最悪」

優「へえ、いいご両親じゃん」

男の子「だってよー、親の前で『家族』が主題の作文読むとか…」

優「いいじゃん、今日くらい思いっきり感謝したら!お前いっつも母親の悪口ばっか言ってるし」

男の子「くー、さぼりてえ!」

優「にしてもさ、さっきから廊下何か騒がしくない?」

男の子「何だ?誰かアイドルでもきてんのか?」

優「授業参観に顔出すアイドルとかどんな物好きだよ…」

男の子「あ、アレってまさか…」

優「何?」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:48:08.71 ID:Uv9GoMMZ0
---------
千早「取りあえず学校にはついたけれど…優のいるC組ってどこだったかしら…」

千早「あ…ちょっと道開けてください…」

千早「…あ!あったわ、ここね!」

男の子「あの人…誰の家族だよ…さすがに似すぎだろ……」

優「お、お姉ちゃん!?」

男の子「は?」

男の子「……そういえばお前、苗字何だっけ…」

優「え?きさ…田中?」

男の子「お前!如月千早の弟だったの!?てかあの人ホンモノ!?授賞式どうしたんだよ!」

優「あ…」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:52:36.64 ID:Uv9GoMMZ0
千早「優は…あ、いた!」ヒラヒラ

優「お、お姉ちゃん!」タタタッ

千早「あら、席についてなくてよかったの?」

優「今は休み時間だから…って、そうじゃなくて!」

千早「何?私が授業参観きたら何か問題でも?」

優「むしろ問題しかないよ!!」

千早「そう?」

優「ああもう…」

優「お姉ちゃん…ありがと」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:55:27.94 ID:Uv9GoMMZ0
千早「気の利いたプレゼントはあげられないけれど…」

千早「優にとっては今日が最後の授業参観だものね」

優「うん…お姉ちゃん、帰ったら歌ってよ、僕だけのために」

千早「なぁに、唐突に?まさかプロポーズ?私、一応トップアイドルなんだからね」

優「そんなんじゃないって!」

千早「それより、授業そろそろ始まるんじゃないの?」

優「あ、ホントだ!」

千早「期待してるわよ『僕のお姉ちゃん』」

優「読んだの!?」

千早「ええ、授業参観のお知らせと一緒に熟読してきたわ、予習は完璧よ」

優「もー!」

千早「ふふ」

優「じゃあ、行ってくるね!」

千早「ええ、頑張って」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 04:58:09.98 ID:Uv9GoMMZ0

千早「ぷっ…」

優「いつまで笑ってんのさあ」

千早「だって…まさかあんなに噛みまくるなんて…ふふっ」

優「あんなに大勢の前で作文読むんだもん、だれだってああなるよ!」

千早「私はもっと大勢の前で毎日歌ってるわよ?」

優「それは…お姉ちゃんだからできるんだよ!」

千早「ねえ、優…」

優「ん、何?」

千早「久しぶりに、手を繋いで帰らない?」

優「恥ずかしいよ…」

千早「ふふっ」ギュ

優「ちょっと!お姉ちゃん速い!転ぶ!もうちょっとゆっくり走って!」

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 05:00:37.88 ID:Uv9GoMMZ0
千早「男の子なんだから、このくらい余裕でしょ?」

優「もー!お姉ちゃん意地悪!」

千早「さ、今日は優の誕生日なんだから、家で二人で過ごしましょ!」

優「うん!お姉ちゃん、さっきの約束忘れちゃだめだからね!」

千早「ええ、わかってる!今日は優の為だけに歌ってあげるわ!」



千早「(深い、深い夢を見た)」

千早「(できることなら、ずっとこの夢の世界で生きていきたい、そうも思った)」

千早「(でも、夢から覚める直前、優が私に言っていた気がする)」

千早「(お姉ちゃんの歌を、もっと大勢の人にも聞いてもらいたいって)」

千早「(だから、私は歌い続ける)」

千早「(私の心の中に、優が生き続けている限り)」

優「お姉ちゃん、歌って!」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/18(月) 05:02:24.94 ID:Uv9GoMMZ0
終わる
俺にシリアスss書く才能ないことはよくわかった
何かあればもう少しは起きてます
読んでくれた人ありがとう

引用元: 千早「ハッピーバースデートゥーユー」