1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:21:26.40 ID:8nUhtwEa0
上田「祟り?」

担当「そうです!舞台は山奥にひっそりとたたずむ『鬼が住む』とまで言い伝えられている村。
   そこに根強く残る『オヤシロ様信仰』とは!?過去その村で祭りの日に起こっている事件の関連性とは!?
   どうですか?記念すべき第五作目、相手にとって不足はないんじゃありませんか?」

上田「……た、祟り?」

担当「なんでも地域住民からは土着神である『オヤシロ様』が直々に裁きを降しているとか何とか。
   まぁ連続して事件が起こっているだけで関連性など全くないかもしれませんが。
   とりあえずもう案は通っているのであとは先生が取材へ行って文章を纏めていただければいつでも本は作れます!」

上田「……祟り」

担当「それじゃあ上田先生!今回も、どんとこーい!」

・ ・ ・ ・ ・ ・

上田「祟り……祟り……」





2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:23:18.91 ID:8nUhtwEa0
ドンドンドン!!

上田「おい、山田!居るんだろうが!!」

ドンドンドン!!

上田「聞こえないのか貧 !まな板!ダブルエー!!」

ドンドンドン!!

上田「●のあるふりと家に居ないふりはするなって言ってるだろうがこのえぐれ●!!」

ハル「あぁらぁ、上ぇ田先生!今日もご苦労さんです!」

上田「ああ、どうも」

ドンドンドンドンドンドン!!!!

ハル「やぁまだァ!!アンタ家賃まだ?さっさとはらわねーと追い出すぞ!!」

ジャーミィ「ハルサン!コレ!コレオチテタ!!」

ハル「あぁらジャーミィ。それ何?……やぁまだの奴逃げたなァ!!」

上田「どれどれ?」

 『 旅に出ます。家賃は帰って来てから払います。 山田奈緒子 』

上田「なん……だと……!?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:24:49.37 ID:8nUhtwEa0
上田「あの貧 、人がせっかく仕事をやろうってのに……全くどこに行ってるんだ!」

上田「……祟り」

上田「フン、祟りなんて存在するわけがない。物事はすべて科学的根拠の上に成り立ってるんだ!!」

上田「ん?」

 『 上田 次郎様 』

上田「なんだ?若くて美しい女性からのファンレターか?」

 『 上田先生へ
   いきなりのお手紙で申し訳ありません。いつも先生の本を楽しく読ませてもらっています。
   先生は著書の中で『科学で解明できない奇術・魔術など存在しない』とおっしゃっていらっしゃいますが果たしてそれは真実でしょうか? 』

上田「何?」

 『 事実、私には未来を見通す力があります。所謂未来予知です。
   数時間先から数日先に起きる出来事が手に取るように分かるのです。
   周りの人々は私を土着神になぞらえ、『オヤシロ様の生まれかわり』と呼びます 』

上田「そんな事がある筈がない。未来予知だと?どーせ天気予報を見て『この予報外れそう』とかそんなレベルの奴だろう。
   ……待てよ、オヤシロ様?」

上田「見間違いじゃない、と言う事はこの手紙を送って来た若くて美しくて巨 な女性はナントカカントカ村の人間と言う事か」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:25:46.60 ID:8nUhtwEa0
上田「取材ついでに行ってみるのも悪くないな」

上田「ちゃちなトリックくらいあの貧 なんて居なくても俺一人で見破れるし」

 ・ ・ ・ ・ ・ ・

上田「……祟り」

上田「いや、祟りなんて存在しない。単なる思い込みだ」

上田「手紙の主は……古手梨花か。覚えておこう」

上田「うん?」

 『 追伸
   この手紙が届いてから二日後の○時××駅付近を通る電車には乗らない方がいいです。
   電車の横転事故が起こります 』

上田「……」 シャーン

上田「フン、有り得るわけがない!」

上田「……とりあえず山奥らしいししっかり用意をして、三日後にこっちを出るか」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:26:41.94 ID:8nUhtwEa0
上田「そろそろ着くはずだが……」

 『 この先、雛見沢村 』

上田「ひな・みる・さわ・そん……ひなみるさわそんか。この辺りの地名は呼びにくいな」

上田「なんにせよここで間違いなさそうだ。あとは、古手梨花を探すだけ」

梨花「……みぃ」

上田「うん?」

梨花「……知らない人が車に乗ってやって来たのです」

上田「やぁ君、ひなみるさわそんの子かい?」

梨花「みぃ?」

上田「ん?もしかしてさっきのこうきゅう(興宮)の子かな?」

梨花「……ここは雛見沢村(ひなみざわむら)なのです」

上田「ひなみるさわそんじゃないのか」

梨花「みぃ……まったく違うのです」

上田「フン、ユーを試したんだよ」

梨花「……」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:29:03.37 ID:8nUhtwEa0
梨花「誰なのですか?」

上田「ああ、私か?私は東京の方で学者をやっている、上田次郎と言うものだ。
   この村に若くて巨 で美しい古手梨花という子はいるかな?」

梨花「……みー」

上田「鳴き声」

梨花「古手梨花は僕なのですよ」

上田「……」 ポーン

梨花「……」

上田「……何ぃ?」

梨花「……にぱ~☆」

上田「フン!」 ベシ!

梨花「な、なんでいきなり叩くんですか!!」

上田「まったく、期待させやがって!」 ベシ!ベシ!

梨花「や、やめ、い、痛い!あう!痛!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:29:45.69 ID:8nUhtwEa0

梨花「うう、ひどいのです……」

上田「それで、お前が『オヤシロ様の生まれ変わり』で未来予知能力者だと言うのか」

梨花「その通りなのですよ」

上田「……」

梨花「?」

上田「無駄足だったな」

梨花「ど、何処に行くのですか!?上田!」

上田「帰るんだよ。ファンの美女もいないみたいだしな」

梨花「みー!そう言わずに話を聞いて欲しいのです!!」

上田「未来予知もどうせおままごとみたいな何かだろ?もう聞くまでもない」

梨花「じゃあ、じゃあ!電車の横転事故はどう説明するんですか!?」

上田「そ、それは……ほら、あれだ。偶然が重なっただけだ!」

梨花「なら、なら!ここでもう一度予言を成功させたら信じてくれますか!?」

上田「ふん、出来もしない事を」

梨花「出来ます!!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:30:36.32 ID:8nUhtwEa0
上田「ならやってみろ」

梨花「……今から30分後、大雨になるのです」

上田「降水確率は0%だったし、今も澄み渡るような青空じゃないか」

梨花「信じるも信じないも上田次第。雨宿りがしたければここを真っ直ぐ行った所のL字カーブをホップステップジャンプで飛び越えた先に神社がありますのです」

上田「フン」

――30分後

ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

上田「ば、ばんなそかな!!」

上田「とりあえず何処か雨宿りできる場所へ!」

上田「デュア!!」 ギューン

上田「……飛ぶわけないか」

ダッダッダッダッ

上田「そういえば、神社で雨宿りをして行けと言っていたな」

上田「うおおおおおお!ホップ!ステップ!!ジャンプ!!」 ギューン

上田「つ、着いた!?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:31:43.63 ID:8nUhtwEa0
上田「これぞまさに水も滴るいい男ってやつだな」

上田「……うーん、山田が居ないといつもの調子が出ない。だいぶ毒されてきてるみたいだ、俺も」

梨花「タオル使いますか?」

上田「最高級のバスタオルにしてくれ」

梨花「みぃ……そんなの無いのですよ」

上田「……どうしてお前がここに居るんだ」

梨花「ここは僕のおうちなのです!」

上田「……なに?」

梨花「みぃ?」

上田「……こんな所に住んでるのか、最近の子どもは」

梨花「僕は神様の生まれ変わりですから」 シャーン

上田「ふぅん」

梨花「これで納得できましたか?僕が未来を予知していると言う事が」

上田「……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:32:26.51 ID:8nUhtwEa0
上田「有り得ない」

上田「いいか、ユー。よく聞け。古今東西、森羅万象、全ての物事には原因と結果が存在する。
   それらはすべてもう、科学で紐解かれているんだ。
   だから未来予知だとか、サイコキネシスだとか、スタンドだとか、ガンツだとか、そんなオカルトはな、存在しない!!」

梨花「……そうなのですか?」

上田「そうなのです!」

梨花「みぃ、真似しないで欲しいのです」

上田「真似して、ないのです!」

梨花「……」

上田「……」

梨花「じゃあ、じゃあ、説明してもらえるのですか?
   どうして僕が横転事故と大雨を予想できたのか」

上田「それは偶……」

梨花「偶然じゃありません。僕が納得する答えを教えて欲しいのです」

上田「……」

梨花「さぁ、上田。どうなのですか?」

上田「そ、そんなの説明しなくとも分かるだろう!」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:33:46.14 ID:8nUhtwEa0
梨花「出来ないのですか?」

上田「なに?」

梨花「説明、出来ないのですか?」

上田「フン、説明した所で子どもが理解できる内容じゃないだけだ!」

梨花「じゃあ大人を呼んできますのです」

上田「無知な奴には、東大卒の俺の理論なんて分かりはしないさ」

梨花「……じゃあ、東京大学の卒業生を連れてくればいいのですか?」

上田「ああ、出来るもんならやってみろ」

梨花「ちょっと待っていてください」

上田「何ィ!?ちょ、ちょっと待てユー!!」

梨花「みぃ?」

上田「居るのか?」

梨花「……にぱ~☆」

上田「……きょ」

上田「今日は調子が悪いから、また今度、東京の私の研究室まで聞きに来い」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:35:27.36 ID:8nUhtwEa0
梨花「どうして研究室なのですか?」

上田「そ、それは……あれだ。日帰りの旅行でね。
   それにほら、あれだ!こんな雨の中来てもらうなんて失礼だろう」

梨花「じゃあこの神社に泊っていけばいいのです!」

上田「」

梨花「明日は晴れる未来なので、村一番のお医者さんを連れて来て、次郎の話を聞いてもらえば解決なのですよ!にぱ~☆」

上田「」

――

上田「……どうやって逃げるかな」

上田「車の鍵もあの少女に取られてしまったし……なんとかしてここを脱出しないと」

上田「……駄目だ、いい方法が全く思いつかん」

上田「この地図によれば……この村は周りを山に囲まれているから抜けだすには山を越える必要がある」

上田「彼女の言葉を信じるなら現在地はこの出口とは真逆の山のあたり……ん?」

  シャーン

上田「待てよ、この地形…………」

上田「そういう事か!」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:36:46.63 ID:8nUhtwEa0
入江「成程、つまりその先生にひと泡吹かせるために協力して欲しいと」

梨花「頼めますか?」

入江「ええ、いいでしょう。明日は丁度回診の予定がありますからそのついででよければ」

梨花「助かりますのですよ」

入江「しかし、東京大学卒かぁ……すごく頭の言い方なんでしょうねぇ」

鷹野「そうでもないですよ」

入江「おや、鷹野さん。東京大学にどなたか知り合いでも?」

鷹野「ええ、少し」

梨花「頭がいいわけではないのですか?」

鷹野「そうねぇ……入った時点で勉強をやめちゃう人もいるし、入学出来れば卒業くらいなら梨花ちゃんでも出来るんじゃないかしら?くすくす」

入江「つまり卒業自体はそこまですごくないと」

鷹野「ええ。確かに入学できたことはすごいですが、大切なのは卒業したという事実ではなく何を学んだかという結果」

入江「成程。言われてみればそうですね」

梨花「二人が難しい話をするから僕にはちんぷんかんぷんなのです」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:38:10.67 ID:8nUhtwEa0
――翌日

梨花「連れてきましたのです」

入江「どうも~、東京大学卒のえらーい先生です」

鷹野「その助手です」

上田「う、美しい…………ん?」

鷹野「あら先生、どうかなさいました?」

上田「いや、失礼ですがどこかでお会いしませんでしたか?」

鷹野「あら、それはナンパですか?くすくす」

上田「いやぁ~、はっはっは」

入江「なんでも、梨花ちゃんの予言を科学的に説明してもらえるとか。是非聞かせていただきたいものです」

上田「はっはっは!任せてください!この、上田次郎に!!」

鷹野(上田次郎……ああ、居たわね。そんな奴も。確か私の二個上の代だったかしら?
   そういえばあの時の主席だけ、六大学同盟に入ってないのよね……)

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:40:14.87 ID:8nUhtwEa0
上田「まず列車の横転事故。これは彼女の予言の文面を見ていただければ分かります」

入江「文面、と言っても時間と場所しか書いてないですよ?」

上田「そこなんですよ。これは一見予言で範囲を絞り私に自分が未来予知の力を持っていると信じさせているように思える。
   しかしそれは全くの逆だったんです」

鷹野「逆、というと?」

上田「場所を指定しなければこの予言は成立し得なかったというわけですよ。つまり……アレは事故じゃない、人為的に起こされた事件だ」

 シャーン

入江「で、ですが、出来るんですか?人為的に列車の横転事故を起こすなんて!」

上田「簡単ですよ。それこそ物理学を使うまでもないくらいにね!」

鷹野「で、その方法は」

上田「線路に小石をおくんですよ」

鷹野「石?」

上田「ええ、ある程度の大きさの石を線路に固定しておけば列車はそこに乗り上げ、脱線してしまう」

梨花「それは実行できるのですか?」

上田「理論上は全く問題ない。ああ見えて列車は脱線しやすい乗り物だからね」

入江「成程、では天気の方は?」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 22:59:24.88 ID:8nUhtwEa0
上田「これはこの村の地形を見れば、ホラ、簡単に分かるんですよ」

上田「見ての通りこの村は三方を山に囲まれている。
   もし、この開けている一方から湿気を帯びた風が流れ込んでくると、どうなりますか?」

入江「それは、雨が降る?」

上田「そう。しかもこの村は山の裾に存在しているため、降水量も決まって多くなる。つまり」

上田「その風さえ見極められれば誰だってこんな予言が出来るっていうわけですよ!!」

鷹野「流石、東大卒はだてじゃないと言う事ですね」

上田「いやぁ、こんなの私にかかれば屁みたいなもんですよ」

鷹野「でも、先生。それっておかしくありませんか?」

上田「?」 ポーン

鷹野「確かに先ほどの方法で列車事故は起こせます。でも、それを梨花ちゃんが行う事は無理なんですよ」

梨花「僕はこの雛見沢から出た事無いのです」

上田「そ、それはほら、あれ、ですよ。誰かにそうしてくれと頼んだ!」

入江「それにいくら未来予知と信じさせたいからと言って、梨花ちゃんがそんな真似をするとは思えませんが」

上田「……みぃ」

梨花「真似しないで欲しいのです」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:00:48.66 ID:8nUhtwEa0
鷹野「それに、先生のおっしゃった通りの方法で雨は降りますけど、それは天気予報士も分かっていると思いますけど。くすくす」

上田「そ、そうなのですか!?」

梨花「そうなのですか?」

鷹野「ふふ、そうなのですよ。くすくす」

上田「…………みぃ」

梨花「上田は一生懸命考えたのに間違っていたのですね。かわいそかわいそなのです☆」

上田「……」

梨花「……上田は大きすぎてなでなで出来ないのです」

入江「でも、間違っていないわけですし。もしかしたらそうなのかもしれませんね」

梨花「入江は僕を疑うのですか?」

入江「いえいえ、決してそういうわけでは。ただ、列車事故については『誰でも起こせる』と言う所についての感想ですよ」

鷹野「警察に説明すれば取り合ってもらえるかもしれませんね」

上田「いやぁ、ははは……」

入江「それじゃあ僕たちは仕事があるのでそれで」

梨花「わざわざありがとうなのです」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:02:39.69 ID:8nUhtwEa0
上田「馬鹿な……俺の、完璧な推理が……」

梨花「確かに上田は凄いのです。偶然の事故に事件性を持たせました」

上田「事故?違うな、未来予知なんてありえるわけがない。何か別の方法があった筈なんだ」

梨花「じゃあ、勝負をしますか?」

上田「何?」

梨花「僕が今からある未来を提示します。その未来になれば僕の勝ち。
   その未来を見事避ける事が出来れば僕と上田の二人勝ちなのです」

上田「……勝ち目がない」

梨花「予知しますよ?」

   「 今度の綿流し祭りの後、僕『古手梨花』は何者かに殺される 」

 シャーン

上田「……なに?」

梨花「それが、僕の見た、そして上田のこれから挑む未来」 シャーン

上田「つまり、お前が殺されなければ俺の勝ちと言う事か」

梨花「そういうことなのです」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:11:08.60 ID:8nUhtwEa0
梨花「何か質問はありますですか?」

上田「誰から殺されるんだ?」

梨花「分からないのです」

上田「何処で殺されるんだ?」

梨花「……分からないのです」

上田「どうして殺されるんだ」

梨花「………………みぃ」

上田「つまり、今分かってるのは……古手梨花、ユーが何者かに殺されると言う事だけなわけだ」

梨花「……それだけなのです。でもでも!これは予知で映し出された未来で!!」

上田「はぁ……くだらないな」

梨花「……上田」

上田「いいか、何度も言っているが、有り得ないんだよ未来予知なんて。
   何故なら、未来は常に変わり続けているからだ!」

梨花「……そんな事はないのです。未来は、最初から全て決まっているのです」

上田「ユー、よく聞け。私は5冊の本を出している」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:39:38.50 ID:DWhWx86D0
梨花「4冊ではないのですか?上田の書いた本は、『どんとこい超常現象』だけのはず……」

上田「そう、私の最も有名な本は『どんとこい』シリーズ!なんてったって全国で2000部以上売れてるんだからな!
   しかし、それ以外にも一冊出している。その本のタイトルは」

上田「『なぜベストを尽くさないのか』だ」

上田「ユーは今、『未来は最初から決まっている』と言った。でもな、最初から決まっているなんてありえない。
   人がベストを尽くせば!未来は変わるのだから!!」

梨花「でも、でも!!どうあがいても死ぬ!絶望しながら、打ちひしがれながら!」

上田「何故ベストを尽くさない!!」

梨花「!?」

上田「絶望するのはベストを尽くさなかったからだ。ベストを尽くせば、人は自ずと幸福な道を歩む」

梨花「でも、どうやっても、幸福になれないのですよ?
   例え山の中で野宿していようと、警察に守ってもらおうと、僕は、死んじゃうのですよ?」

上田「それはベストを尽くさなかったからだ。
   俺が手本を見せてやる。ベストを尽くせば人間が幸福になると言うな」

梨花「じゃ、じゃあ!」

上田「気のりはしないが……ベストを尽くして!ユーの死亡予告を回避すると誓おう」

梨花「……上田!!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:41:23.97 ID:DWhWx86D0
上田「……どうしたもんかな」

上田「いつの間にか古手梨花の命を守る事になるなんて……」

上田「山田さえいればパパッ!とアイツを押し付けて帰るって事で済んだんだろうが……」

上田「アイツは俺ほどじゃないが頭が回るから、犯人もすぐに見つけ出すだろうし」

上田「……んん?」

上田「そうか、犯人だ」

上田「犯人さえ見つかれば、そいつを懲らしめるだけで終わりじゃないか」

上田「しかし犯行が起こる前に推理するのか……仲間が欲しいな」

――

友人{で、俺の所に電話をしてきた、と}

上田「ああ、お前警察だったろ?何人かこっちに応援をよこせないか?」

友人{警察じゃない、警察官僚だ。……地元の警察は?}

上田「犯人かもしれないじゃないか。信頼できるお前の紹介じゃないと、安心できないんだよ」

友人{そういう事か。やっぱり上田は頭がいいな。ちょっと待っててくれ}

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:42:58.36 ID:DWhWx86D0
友人{三人だ}

上田「三人?」

友人{ああ、丁度暇そうにしてた公安部の敏腕刑事一人に、ぼんくら二人。
   どいつも旅先で小さな女の子を殺す趣味は無いらしい}

上田「そうか、それだけいれば十分だ。すまないな」

友人{困った時はお互い様だ}

――

赤坂「お二人が、今回同行してくれる刑事さんですか」

矢部「ああ、ども。おたくさんは?」

赤坂「赤坂衛です」

秋葉「あああああああ赤坂ってああああああの伝説の『徹甲弾赤坂』ですか!?
   すげー!めっちゃすげー!!先輩自分も握手したいっす!!」

矢部「はしゃぐな!……つか、なんじゃいその『鉄砲団』とかいうんは」

秋葉「あれ、知りませんか?危険地に颯爽と現れる神様みたいな警察官なんですよ!!」

矢部「何ィ!?か、髪が危険!?」

赤坂「いや、まぁ……よろしくお願いします」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:44:29.43 ID:DWhWx86D0
梨花「上田、何をしているのですか?」

上田「応援要請だ」

梨花「おうえん?」

上田「俺は民間人だから犯人逮捕は不可能。犯人を暴いても証拠不十分で放流する事になりかねん」

梨花「つまり、僕を殺す犯人を捕まえるための警察を呼んだのですか」

上田「ああ、この辺りの人間だと信用できないかもしれないしな。
   それにどいつも殺しの前科や少女趣味は無いらしい」

梨花「そうですか……」

上田「なんだ、その顔は」

梨花「上田や警察が居たところでどうにもならないのです」

梨花「山狗の監視網を掻い潜ってくる敵の前には、上田達四人がどれだけ頑張ろうと、無駄……」

上田「ハン、ほら見ろ」

梨花「?」

上田「ベストを尽くすっていうのはだ、無駄という言葉の対極に存在している物なんだ」

上田「ベストを尽くしてないくせに『未来は決まっている』なんて、腹が一回ねじれて元に戻るくらいの冗談だ」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:45:55.05 ID:DWhWx86D0
梨花「……みぃ」

上田「ところで、なんなんだ?その『コマイヌ』っていうのは」

梨花「……山狗、ですか?」

上田「ん?そういった筈だが」

梨花「上田は意地っ張りなのです」

上田「そんな事はどうでもいい、今は『タチコマ』の話だ」

梨花「……山狗」

上田「……山狗?」

梨花「山狗」

上田「と、とにかく!その山狗がなんなのかと、あと恨みを買っている人間が居ないかを教えてくれ」

梨花「……」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:46:36.93 ID:DWhWx86D0
羽入『梨花……』

梨花『羽入、私がさ』

梨花『上田に全てを話すって言ったらどうする?』

羽入『進めません』

梨花『ふぅん、どうして?』

羽入『ボクたちは最善を尽くしました。一度は最善とまで言える状況を作り、挑みました。
   しかしその過程で……梨花は死んでしまった』

羽入『もうどうしようもないのです。もう、ボクたちは……梨花は、誰かに殺されてしまうと言う運命を変えられないのです』

梨花『アンタらしいと思うわ。正直、私もそう思ってた』

羽入『梨花……じゃあ』

梨花『でもね、まだ足りないのよ。たぶん』

羽入『へ?』

梨花『上田の言葉じゃないけどさ。ベストを尽くしてこそ、勝ち目が見えてくるんだと思う。
   今まではまだベストじゃなかった。それだけなんじゃないかなって思うの……上田のバカ面見てるとさ』

羽入『あ、あぅあぅ……』

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:48:11.91 ID:DWhWx86D0
上田「……」

梨花「以上が僕の知っている全てです」

上田「」

梨花「辛い話もあったかも知れませんが、役に立てばと思って……」

梨花「上田?」

上田「」

梨花「……気絶してる」

羽入『あぅ……上田は本当に頼りになるのでしょうか?』

梨花「わかんないけど、やってみるしかないじゃない!」

――

上田「……成程つまり古手梨花は殺されてはいけない存在なわけで」

上田「寄生虫の親分格で……」

上田「特殊部隊山狗って奴がいて」

上田「……さっぱりわからん」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:49:31.83 ID:DWhWx86D0
上田「しかし殺して得をする人間が居ないとなると、誰が犯人なんだ?」

上田「……もっとこう、バシッ!」 ベシッ!

梨花「い、痛!」

上田「っといつもみたいになんとかならないものか……」

梨花「な、なんでたたくのですか!?」

上田「うーむ、手掛かり一切無しでは流石の天才物理教授も……」 ベシッ! ベシッ!

梨花「みー!!た、叩かないで!あぅ!!み゙っ!!」

上田「お手上げだな」

梨花「……上田なんてオヤシロ様に怒られてとっても怖い目に会っちゃえばいいのです」

上田「んん?……そういえばユー、『オヤシロ様の生まれ変わり』と言ってたな。
   それはどういう事なんだ?」

梨花「そういえばその事も説明しなければなりませんね。
   ちょっとこわ~いお話なので、猫さんもがたがたぶるぶるでにゃーにゃーですが」

上田「……い、いや、やっぱりこの話は」

梨花「まずオヤシロ様というのはこの村に代々伝わる神様で……」

上田「……は、話を……」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:51:26.93 ID:DWhWx86D0
梨花「つまり綿流しの綿とは暗にハラワタの事を指していて……」

羽入『梨花、もう気絶してますのです』

梨花「いや、いつ起きてもいいように、ね?」

――

梨花「つまりそういった環境の中で育ち、そういった事件を乗り越えたうえで、『オヤシロ様の生まれ変わり』と言われるようになったのです」

上田「いやー、はっはっは。面白い話だったよ。特にホラ、あの、キムチ鍋に顔を突っ込みたいって辺りとか」

梨花「それはそれで面白そうですがそんな話して無いのです」

羽入『か、考えただけでも恐ろしいのです……』

梨花「つまりオヤシロ様は今この場にもいるかもしれないのですよ」

上田「ハハハ、そんなわけ……」

   ドタドタドタドタ

上田「ヒィッ!?」

梨花『なにしてるのよ、いきなり走りまわって』

羽入『だ、だって!!あぅぁう!!キムチ鍋に顔を突っ込んだりすると辛いのがぐわぁーできゅー!!なのですよ!?)

梨花『……まぁ、いいわ。今から合図出したら飛び跳ねてくれる?』

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:53:17.38 ID:DWhWx86D0
上田「は、はは……いやいや、か、かかか、神様なんて居るわけが!!」

梨花「居るのですよ」 シャーン

 「 上田のすぐそばに 」

 ドタン!

上田「」

羽入『……あう?上田が気絶してしまったのです』

梨花「ビビりね」

羽入『本当になんとかしてくれるんでしょうか?』

梨花「し、信じるしかないでしょう?もう頼れるのは部外者しか居ないんだから!」

羽入『……あう』

――

上田「雛見沢症候群、ダム現場の事件、オヤシロ様の祟り、か」

上田「祟りが存在するわけないんだから、誰かが何かの意図を持ってやっているに違いないんだが……」

上田「御三家、雛見沢、オヤシロ様信仰……そうか!!」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:55:57.52 ID:DWhWx86D0
梨花「犯人が分かったですって!?」

上田「ああ、実に単純な事件だったよ。ユーが帰った後すぐに分かったさ!」

羽入『でも、目の下真っ黒なのです』

梨花『そういう事にしといてあげなさい』

上田「この事件を起こす動機が三つ考えられる。
   一つは『雛見沢の崩壊』。女王感染者と言う事を知った人物が意図的に君を殺す場合。
   これはほとんど考えられない。なぜなら知っている鷹野、入江、山狗は君の味方って事だからな。
   二つ目は『個人的な恨み』。まぁ、これもない」

梨花「そうです。だから、誰が殺したのか……」

上田「話はここからだ。
   三つ目は、『雛見沢の文化の崩壊』。つまり、雛見沢の中軸を折りたいと考えている者の犯行の場合。
   これもほとんど考えられない。なぜならユーはオヤシロ様の生まれ変わり。殺そうなんて考える奴が居るはずがない。
   しかし」

梨花「し、しかし?」

上田「居るんだよ一人。君を殺す事を考えそうな人間が」

梨花「そ、それは!?」

上田「北条鉄平だ」 シャーン

梨花「!?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/08(金) 23:57:28.19 ID:DWhWx86D0
上田「ユーの話を信じるなら、北条家は迫害を受けていた。誰に?雛見沢村全てに。
   聞くが、ユーは排他教育というものを知っているかね?」

梨花「吐いた教育?もどしちゃうのですか?」

上田「排他だ、なんだゲロを吐いた教育って。
   そうだな……ここに山田、B、C、Dという四人が居るとする」

梨花「Aではないのですか?」

上田「山田はAなんだよ」

梨花「なるほど」 ポーン

上田「この四人は非常に仲が良いグループだ。どんな事だろうとこの四人で上手くいく。
   もしそこに、Eという新しい人物が入ってこようとすれば……ユー、どうするね?」

梨花「仲間に入れてあげるのです!」

上田「通常ならそうだ。ただ、もしこのA~Dが男で、Eが巨 の絶世の美女だったらどうする?」

梨花「山田じゃなくなってる」 ポーン

上田「そう。もしグループに入れればA~Dの友好関係が傷付くかも知れない、だから入れない。
   この現象を一般的に『排他』と言う」

羽入『あうあう、難しいのです……』

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:00:09.29 ID:gOnr8QvB0
上田「これを使った教育を一般的に排他教育という。これは『敵』を認識させる場合に使われる事が多い。
   例えばナチスドイツで行われていた教育がそうだ。『ユダヤ人』を『敵』として『排他』するように教え込まれていた」

梨花「それがこの村でも?」

上田「ああ。排他教育というのはな、宗教でも使われやすいわけだ。この雛見沢ではほぼすりこみレベルでそれが行われている。それが」

梨花「オヤシロ様の……祟り」

上田「フッ、俺と話し始めてIQが上がったみたいだな。そう、それがオヤシロ様の祟りだ。
   オヤシロ様に逆らうと祟りが下される、という思想がこの村の根本には存在している」

梨花「でも、鉄平がどうして僕を?」

上田「考えても見ろ。北条家の人間は雛見沢を恨んでいる。でも手を出せば村全体から反撃が来る。じゃあどうすればいい?
   答えは一つ。どんな組織でもな、頭をつぶせばおしまいだ」

上田「北条鉄平も同じ事を考えた。ここでいう頭は御三家である古手、公由、園崎を指している。
   しかし園崎には武力がある。公由は村長をしているから人の近くに居る事が多い。
   弱くて一人暮らしのユーを狙うのは当然だ」

梨花「……みぃ」

上田「自分に不利な排他教育を潰すには根幹をたたき折るしかない。都合よく古手家は女の子しか居ない。
   しかも、だ。その女の子は『オヤシロ様の生まれ変わり』とまで呼ばれている。
   時にユー、後追い自殺を知ってるか?」

梨花「みー?知らないのです」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:01:58.10 ID:gOnr8QvB0
上田「戦国時代に見られた『忠義』を示す死に方だ。誰かが死んだ事に対して『その人が居ないのならば自分の居場所はない』という事で自殺する。
   盲目的な信頼の元に成り立つ特殊なタイプの自殺の動機だよ」

上田「神とまで崇める子どもが死んだら、信仰心の強いご老人達はおそらく……」

梨花「自殺する、というわけですか」

上田「ああ、その状況こそ北条鉄平の狙いだ。
   さっきユーが言ったように『子どもはオヤシロ様信仰が薄れている』、つまり北条鉄平に言わせれば『都合のいい』人物なんだ。
   しかしご老人は違う。オヤシロ様への信仰心も強い。つまりその分村を売ろうとした北条家への恨みも強い。
   そして北条鉄平の恨みも大きい。そんなご老人方が自分から消えてくれる。北条鉄平からしてみれば大喜びの状況だろう?」

梨花「た、確かに……言われてみれば」

上田「こんなの俺に言わせてみれば下の下くらいの事件だがな。さて、電話を貸してくれるか?」

梨花「何処かに電話をするのですか?」

上田「応援に来てくれる刑事に北条鉄平を捕まえてもらうんだよ。そうすればユーの命を狙うものは居なくなる」

――

上田「あ、もしもし」

矢部{……上田先生?}

上田「……矢部さん?」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:03:17.13 ID:gOnr8QvB0
矢部「成程……わーりあした。要はその北条鉄平いうんをふん縛ればいいっちゅうことっすな」

上田{ええ、お願いします}

秋葉「上田、っていうと山田さんの!?」

矢部「おー、なんでも一人で取材に来ててちょっと事件に巻き込まれたんだと。
   で、その犯人が、北条鉄平らしい」

赤坂「へぇ……じゃあ僕たちの仕事は」

矢部「その北条いうんをつかまえりゃあええんとちゃいます?」

赤坂「分かりました。その人は確かに興宮に居るんですね?
   現地の警察に知り合いがいるので手伝ってもらいましょう」

――

上田「一件落着。しかし、祟りにそんなからくりがあったとはな……
   つまり、寄生虫が人体を乗っ取るって事か。有り得るのか?そんな事」

上田「そういえば昔寄生虫の研究をしてる奴が居たな……確かどこかの大学の教授になったと聞いたが。
   そいつにちょっと聞いてみるか」

――

矢部「ん?」

秋葉「あららら、なんだかでっかいカメラですね。あの人の」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:04:27.54 ID:gOnr8QvB0
矢部「おい、兄ちゃん」

富竹「はい?」

矢部「そんなでっかいカメラぶら下げて何処行こうっつうん?」

富竹「ああ、ちょっと雛見沢の方まで」

矢部「……怪しい」

秋葉「ええ?矢部さん、この人怪しいですか?」

矢部「バーカ、俺ぐらいになるとなァ、本職の奴とそうじゃない奴見分けるくらいできるようになるんじゃ。
   アンタ、仕事は?今日はまだ金曜、しかも昼間やぞ?」

富竹「え、えーと……ハハハ」

秋葉「うわ、めっちゃ怪しい!!」

矢部「やろ?」

秋葉「すんませんけどちょっとお時間いいですかね?」

富竹「あー、えっと」

矢部「なんでも少女暴行犯が居るらしいし、従わんいうなら」

富竹「わ、分かりましたよ!!行きます、一緒に行きますって!!」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:05:36.28 ID:gOnr8QvB0
上田「まさかアイツが結婚してるとはな……
   しかし出張で明日の夜まで帰ってこないとは、使えない奴だ」

梨花「上田、起きてますか?」

上田「ああ」

梨花「明日が僕の死ぬ予定の始まりなのです。
   だから上田には最低でも明後日までこっちに居てもらいますのですよ」

上田「もう犯人は捕まってるんだ。事件が起こる筈がない」

梨花「……本当にそうならいいのですが」

上田「ベストを尽くしたんだ。これ以上の結果は無い!」

羽入『梨花、上田の推理は……』

梨花『たぶんハズレよ。前回の世界では北条鉄平が捕まった後で私は殺された。
   つまり犯人は別にいる……上田も頼りにならないって事が分かったのが今回の進歩かしら?』

上田「はっはっはっはっは、俺の前には祟りなんて問題でも何でもないんだよ」

梨花「すごいのです☆ぱちぱち」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:06:54.71 ID:gOnr8QvB0
鷹野「どういう事よ、ジロウさんの居場所が分からないって」

小此木「なんでも昨日、刑事を名乗るカツラの男性に連れて行かれたらしく」

鷹野「罪状は?」

小此木「婦女暴行です」

鷹野「……呆れた」

小此木「どうしますかィ?」

鷹野「野村さんに伝えておいて。『富竹二佐の始末は困難、よってR始末後に終末作戦の一部として始末する』って」

小此木「へっへへへへ、了解です。すったら」

鷹野「ええ、あとは任せたわ」



鷹野「……ジロウさんの馬鹿」




41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:07:58.80 ID:gOnr8QvB0
――翌日

上田「うーむ、やる事が無い」

上田「表で祭りをやっているらしいが……人ごみの中ってのはどうもな」

上田「……そういえば車のガソリンが無くなりかけてたな」

上田「今のうちに入れに行っておくか」

――PA

上田「ん?アイツ……おい!」

「ん?おお、上田ぁ~。何やってンのこんな所で?」

上田「取材だ。なんとこのたび六冊目の本を出す事になってな!!
   っと、丁度よかった。お前、寄生虫の研究してたよな?」

「おお、覚えてた?」

上田「何度か話を聞いた事があったからな。
   それよりも、聞きたい事がある」

「おお?」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:09:13.81 ID:gOnr8QvB0
「人体を操る寄生虫?」

上田「有り得るのか?」

「有り得るあり得ないで言うなら……有り得るな。
 ほら、針金虫っているだろ?あれも宿主を操って水場に導くって言うし」

上田「人間でも可能、か」

「しかしまさか上田からそんな話が聞けるなんてなぁ。いやぁ懐かしい」

上田「懐かしい?」

「ああ、昔ゼミの後輩にな、いたんだよ。人体を操れる寄生虫は存在するって言ってる奴が」

上田「ほう……その研究は?」

「卒業前に実地で研究をつづけるって言ってたからたぶんその地域に居るんじゃないか?
 まぁこの近くで研究してるだろうから気になるなら行ってみるといいよ」

上田「ど、何処でやってるんだ!?」

「えっと……今G県のこのへんだろ?……ここだ、雛見沢村」

上田「そいつの名前ってもしかして『入江』か?……まさかアイツが本当に東大生だったとは」

「ん?違う違う!結構面白い名前でな。高い野原で『高野』それで34でみよ。
 タカノミヨっていうんだよ」

  シャーン

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:10:06.21 ID:gOnr8QvB0
上田「み、三四さんが!?」

「なんだ、知り合いか?」

上田「ああ、どうもあった事があると思ったが……まさか東大生だったとは」

「ああ、じゃあ高野君にあったらさ。話を聞いてあげてよ。
 彼女もしかしたら強硬手段に出るかもしれないから」

上田「強硬手段?」

「彼女の学説さ、結構批判買ってるんだ。それでも、昔お世話になった先生の意志を受け継ぐって頑張っててね。
 このまま批判ばっかりだったら彼女そのうち笑えない実験するかも」

上田「笑えない実験というと」

「例えばほら、人間の頭開いたり、その寄生虫をばら撒いたり」

上田「!!」

「とはいっても大人しい子だからそんなことしないとは思うが……ってあれ?上田!?
 居なくなってる……」

店員「お会計の方を……」

「に、逃げやがった……!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:10:57.32 ID:gOnr8QvB0
上田「全く気付かなかった、まさか三四さんがそこまでする人だとは」

上田「学説を認めさせるために村一つ滅ぼすなんて、全く笑えない!!」

――深夜

鷹野「周りに人は?」

小此木「全く居ませんな」

鷹野「それじゃあ……くすくす、始めようかしら」

鷹野「残念ねぇ梨花ちゃん。あなたの頼りの上田先生、車で帰っちゃったみたいよ?」

鷹野「ふふ、ようやく、ようやく時は来た!」

鷹野「これで世界は私とおじいちゃんを認める。おじいちゃんはようやく、神になる!
   梨花ちゃんみたいなマガイものの神様じゃなくて、本物の神様にね」

ピーピーピー

鷹野「何?うるさいわね」

小此木「失礼」

小此木「こちら鳳1、どうした?」

雲雀13{こ、こちら雲雀13(サーティーン)!!変な男が、神社の方に!!  ぐぇあ!!!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:11:40.13 ID:gOnr8QvB0
小此木「三佐、なにやら緊急事態のようですが」

鷹野「アンタ達でなんとかなさい。そのための山狗でしょう」

小此木「へっへへへ、そういやァそうですな」

鷹野「全く、それぐらい気を聞かせなさいよ」

小此木「それじゃあ鳳5・7、神社の方へ来た侵入者の始末だ」

鳳5「発砲は?」

小此木「やむを得ないなら使え」

鳳5「了解!」

鷹野「それじゃあ気を取り直して」

小此木「……どうやら、すったらんこつもいかんみたいですんね」

鷹野「何?」

鳳7「……た、たいちょ……」

小此木「そっちのアンタぁね?こいつぅこんなにしたんは」

上田「……」

鷹野「あらあら、ナイトの登場ね」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:13:22.09 ID:gOnr8QvB0
鷹野「どうしました?告白ならお断りですわよ?くすくす」

上田「まさかとは思ったが、本当にあなただったとは」

鷹野「あら、何が?」

上田「動機はたぶん、『世界中に研究を認めさせること』
   女王感染者を殺せば、感染者は48時間を待たずして殺し合いを始め、村は壊滅。
   それはあなたの学説の裏付けになる」

鷹野「……」

上田「私の知り合いがね、話してくれましたよ。あなたがどれだけこの研究に力を入れていたのかを。
   人生をかけてでも認めさせたかった学説だ。批判され、貶されれば力技にも出たくなる」

小此木「三佐」

鷹野「くすくす、何の話かしら?」

上田「鷹野三四、アンタのやってる事は!


    全部全てその他もろもろまるっとズバッとあうあうみぃみぃお見通しなのです!!


                                                            」

上田「……決まった!」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:14:14.82 ID:gOnr8QvB0
鷹野「それで?先生には何ができるのかしら?」

鷹野「女王感染者の事を知ってるんなら山狗の事も知ってるんでしょう?」

小此木「外の奴らは技術屋だ。戦闘職に勝てるとでも?」

上田「ふっ!」

   バゴォ!

鳳3「ぬが!!」

小此木「ほぉ」

上田「こう見えても身体には色々と自信があってね」

小此木「面白ぇ!!鳳2・8、白鷺11、突撃しろォ!!」

上田「ふんふん!!」

鳳2「ぬわー!!」 ボガァ!
鳳8「たらばっ!!」 ベギャ!
白鷺11「げふっ!」 ズゴ!!

上田「肩慣らしにもならないな」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:15:01.18 ID:gOnr8QvB0
小此木「次!休ませるなァ!!」

上田「ふん!ふん!ふん!!」

白鷺8「うぽわー!!」  ドゴン!!
白鷺2「目にゴミが……」 ゴシュッ!
鳳10「ぬべぼぉー!!」 ズビシィ!

上田「ふふふふふふふ!!!」

鳳4「ばばばばばばばばばばば!!」 ビシビシビシビシビシビシビシビシ!!

小此木「へぇ、へっへへへ、こいつァ、ははははは、面白ェなぁ!!」

小此木「全員下がれ、そいつァ俺の獲物だ!」

上田「……」

小此木「俺はなぁ、そいつ等とは違う。根っからの戦闘職でね。
    アンタみたいなのと戦いたくてここに入ったんだよ」

上田「ふん!!」

小此木「ッシャア!!」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:15:43.69 ID:gOnr8QvB0
小此木「な、なんでだ!?」
小此木「キャオラァッ!!!!!」

 スカッ

小此木「なんで当たらねぇんだッ!!?」

上田「はいィ!!」

小此木「ぐぁ!!」 ボゴ!!
小此木「こ、このォ!!」 スカッ!

上田「ぬべし!」

小此木「ぐげっ!?」 ドゴ!!

上田「通信教育で面白い技術があってな。
   なんでもインドに伝わる防御法らしく、正面の360度全方位の攻撃に対応できるようになってる」

小此木「……ッ!散眼かッ!!」

上田「はっほー!!」

小此木「クソがァァァ!!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:16:31.95 ID:gOnr8QvB0
小此木(ふざけんな、相手はスポーツ空手を、しかも通信教育でやってるような奴だぞ!?)

小此木(負けるわけがねぇ!負けるわけがねぇのに!!」

小此木「ぐはァ!!」 ズドム!!

小此木「俺は……俺は……!!」


小此木「俺が山狗の小此木だァァァアアアアアアアアア!!!!!」


上田「俺は上田次郎!!」


      バゴォォン!!


上田「……」

小此木「……」


      バタリ……



小此木「」

上田「東京大学卒、日本科学技術大学教授だ」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:17:21.47 ID:gOnr8QvB0
上田「おいユー!!大丈夫か!!」

梨花「……ん、へ?うえだ?」

上田「よし、死んでは無いみたいだな!」

梨花「僕は……」

上田「ああ、犯人は三四さんと山狗だったんだ」

梨花「山狗……上田……大丈夫ですか?」

上田「もちろんだ。なんてったって日本は学歴社会だからな。
   山狗だろうとなんだろうと要は学歴の高い方が勝つ国なんだよ」

鷹野「はい、そこまでよ」

上田「……三四さん」

鷹野「くすくす、私も気絶させておくべきだったわねぇ。そうすればこうやって追い詰められることもなかったのに」 チャキ

上田「……ライター?」

鷹野「拳銃よ。本物のね。
   一歩でも動いたらその眉間に風穴があくわ。
   ちなみに私は東京大学を『首席で』卒業してるからあなたよりも強い事になるのかしら?くすくす」

梨花「上田……」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:18:07.16 ID:gOnr8QvB0
鷹野「さて、最後に何かいい残したい事はあるかしら?」

上田「……梨花ちゃんと話をさせてくれ」

――

上田「梨花ちゃん」

梨花「上田……ごめんなのです。僕のせいで上田まで」

上田「まずはこのコートを着てくれ」

梨花「へ?」

上田「俺が三四さん達に隙を作るから、合図を出したら山の中に逃げるんだ。
   興宮の警察署に行けば俺の知り合いの矢部さんって刑事が居る。その人に事情を話して連れて行ってもらえ」

梨花「で、でも上田は!!」

上田「俺なら大丈夫だ」

梨花「どうして!?どうしてそんな事言い切れるのですか!!こんな状況で!!」

上田「ベストを尽くすからだ」

梨花「!?」

上田「言っただろう。ベストを尽くせば人生は自ずと幸福になるって。
   幸い、俺にはまだ切り札が残ってるしな」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:18:53.07 ID:gOnr8QvB0
鷹野「あら、もういいの?」

上田「その前に一ついいかな?」

鷹野「なぁに?梨花ちゃんを渡してももう見逃さないわよ?」

上田「実は私のひいひいじいさんが呉服屋さんでね、『死ぬ時は服を汚すな』って口うるさく言われてたんだ。
   だから、もしよければ……俺が服を脱ぎ終わってから殺してもらってもいいかな?」

鷹野「プ、あははははははは!!!なにそれ、可笑しい!!真っ裸で死にたいなんて、くすくす、変 もいい所ね!!
   いいわ、早く脱ぎなさい!そのみっともない姿を撃ち抜いてあげるから!!くすくすくすくす」

梨花「う、上田!?」

上田「大丈夫だ、心配するな。これは確実に、成功する!」

梨花「す、すごい気迫なのです……」

羽入『どんな作戦が……』

鷹野「さぁ、あとはパンツ……だ……け?」

  ボ  

鷹野「
山狗 
      !!?
梨花
羽入          」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:19:33.78 ID:gOnr8QvB0
鳳5「ば、化け物だ……」

白鷺4「人間じゃねぇ!あんなの人間なわけがねぇ!!」

白鷺1「お、俺の3倍はあるぞ!?」

白鷺2「馬鹿、それはお前のが短くて小さいだけだよ!!」

鳳8「なんて卑 なヤローだ……」

梨花「」
羽入『』

鷹野「ね、ねぇ……男の人のあれって、その、あんなに大きい物なの!?」

鳳12「い、いえ……自分も大きい方だと自負していましたが……アレは正直……」

上田「どうですかぁ~?」

鳳6「無理だ……あんなの、勝てるわけがねぇ!」
白鷺8「ちょ、ちょっとまて……アイツの……あれ」

白鷺8「大きく、なってないか?」

鷹野「  
     !!!?
山狗         」

羽入『あ、あうあう……阿鼻叫喚なのです……』

鳳9「嘘だろ!?まだあれで、臨戦態勢じゃなかったっていうのか!?」
白鷺1「そんな筈はねぇ!だってあの状態で俺のフルバーストよりもデカかったぞ!?」
白鷺2「馬鹿、それはお前のが短くて小さいだけだよ!!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:20:14.88 ID:gOnr8QvB0
鳳12「た、立った……立ちあがりやがった……」
白鷺5「負けた……完全敗北だ……」
白鷺1「そんな、5倍以上だと……有り得るわけが」
白鷺2「だからそれはお前のが短くて小さいだけだよ!!」
鳳2「こんなの聞いてない……こんなの、聞いたこともないよ!!」
白鷺8「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!!」

上田「どうですかぁ~?どうですかぁ~!」

白鷺6「さ、三佐!指示を!!」

白鷺6「三佐!?」

鷹野「無理よ!あんなの入るわけがないじゃない!!ぐす、絶対!絶対裂けちゃうもん!!お腹裂けちゃうもん!!!!」

鳳12「さ、三佐!!指示を出して下さい!混乱して隊が乱れてしまっています!指示を!!」

鷹野「じゃあ何よ?アンタ入るの!?アレ入るの!!?」

鳳12「い、いえ……自分はたぶん無理かと……」

鷹野「うわああああああああああん!!無理だもん!あんなの絶対!!」

上田「梨花ちゃん!今だ!!」

梨花「」

上田「おいユー!!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:20:57.82 ID:gOnr8QvB0
梨花「はっ!!」

上田「さっさと行け!!」

梨花「う、うん!!」

鳳12「さ、三佐!逃げてます!!R逃げてます!!」

鷹野「へ?……うああ」

鳳12「三佐!指示を!!」

鷹野「うわああああああああああああああ!!!!くるなぁあああああああああああああ!!!」

上田「はっはっはー、鬼ごっこですかぁ?」

鷹野「やだやだやだやだあああああああ!!」

鳳12「クソッ!小此木隊長はまだ倒れてるし……そうだ!白鷺1、指示を!!」

白鷺1「」

鳳12「駄目になってる……短くて小さいっていうのがそんなにショックだったのか……」

ピーピーピー

鳳12「今度はなんだ!?」

鶯1{こ、こちら鶯1……男が一人…………山中に…………}

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:22:41.96 ID:dDYUZGQY0

梨花「はぁッ……はぁッ……」

羽入『梨花、大丈夫ですか?』

梨花「信じ、られない……はぁッ……」

羽入『ええ、まさか鷹野が犯人だったなんて……』

梨花「違うわ、上田よ!」

梨花「アイツ、頼りにならなかったのに、なんとかしちゃうんだもん!」

羽入『方法はアレですが』

梨花「方法はアレだけど、ね」

  ガサガサッ!

鶯8「ん!?Rだ!!こちら鶯8!逃走中のR発見!!場所は……」

梨花「だから私もさ」

   ゴリッ!!

鶯8「はぁうッ!!」

梨花「もう諦めない。最後の最後までベストを尽くしてみようと思うの」

羽入『こ、●●にジャストミート……』

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:23:30.01 ID:dDYUZGQY0
  ガサガサガサッ!!

梨花「こ、今度は誰よ!?」

鶯白茸「俺の名は白茸!」
鶯三裸「三裸!」
鶯地球「地球!」

白茸「
三裸     我ら黒い三連鶯!!
地球                 」

梨花「こ、こんな時に三人なんて……ついてないわね」

羽入『梨花!今なら間に合います!!引き返して道を変えましょう!!』

梨花「馬鹿ね羽入。せっかく上田が逃がしてくれたのよ?あそこもそろそろ危ないわ。
   三発で終わればいいけど……」

白茸「いくぞ!三裸、地球!高速回転攻撃だ!!」

   バゴォ!!

地球「俺を踏み台にしたぁ!?」

梨花「!?」

赤坂「り、梨花ちゃん!?」

梨花「あか……さか?」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:24:13.02 ID:dDYUZGQY0
――上田神社到着30分前

ドンドンドン!!

入江「誰だろう、こんな時間に……」

上田「……良かった、無事だった……」

入江「おや、梨花ちゃんの家に居た学者さんですね?
   どうなさいました?」

上田「時間が無いから手短に言うぞ!
   三四さんが梨花ちゃんを殺そうとしている!アンタも危険だ!!興宮の警察まで逃げてくれ!!」

入江「へ!?あ、ありえない!そんな事!!」

上田「知ってるよ!!女王感染者なんだろう!?だから狙われてるんだ!
   鷹野三四の狙いは『雛見沢症候群を認めさせること』!!女王感染者を殺して雛見沢症候群を認知させるつもりなんだ!!」

入江「そ、そんな……」

上田「とにかく逃げてくれ!!もし彼女が雛見沢症候群を他の場所でばら撒いた時に、対処できるのはあなただけなんだ!」

入江「は、はい!!」

上田「興宮警察署に矢部さんという人がいる。彼に話せばかくまってもらえるはずだ!!」

入江「う、上田先生!あなたは!?」

上田「神社で古手梨花を救出してから、そっちに向かいます」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:25:10.34 ID:dDYUZGQY0
矢部「誰や、こんな時間に」

秋葉「なんでも先輩に急用らしいですよ」

矢部「俺ェ~?……変やなぁ、俺ここの警察やないのに……」

入江「や、矢部さん!!で、すね!?」

矢部「……アンタだれや?」

入江「わ、私、雛見沢で診療所をやっている入江と申します!!上田先生の知り合いです!!」

矢部「上田先生のぉ~?んで、何の用?」

入江「……梨花ちゃんを!梨花ちゃんを助けてください!!」

赤坂「!!」

矢部「お?知り合いか?」

赤坂「梨花ちゃん、そうだ梨花ちゃんだ!!入江さん!梨花ちゃんは何処に!?」

入江「確か……神社に居ると、上田先生は」

赤坂「行ってきます!!」

矢部「あ、おい!!」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:25:56.50 ID:dDYUZGQY0
秋葉「じ、自分もいってきていいですかね?」

矢部「ああ?」

秋葉「だってあの徹甲弾赤坂が現場に急行するんですよ!?うわあああ、すげー、絶対すげーよぉおおおお!!」

矢部「……あんなぁ」

富竹「入江先生!!ど、どういう事ですか!?梨花ちゃんが危ないって!!」

矢部「あ、お前……勝手に喋んなや!」

入江「なんでも、鷹野さんが梨花ちゃんを殺そうとしているらしく……」

富竹「み、三四さんが!?」

矢部「……おーい」

秋葉「ちょっといってきまああああす!!」

矢部「あ、おい馬鹿!!」

富竹「刑事さん、僕も失礼します!!」

矢部「ちょ待てや!オイ!!」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:26:57.76 ID:dDYUZGQY0
秋葉「じ、自分もいってきていいですかね?」

矢部「ああ?」

秋葉「だってあの徹甲弾赤坂が現場に急行するんですよ!?うわあああ、すげー、絶対すげーよぉおおおお!!」

矢部「……あんなぁ」

富竹「入江先生!!ど、どういう事ですか!?梨花ちゃんが危ないって!!」

矢部「あ、お前……勝手に喋んなや!」

入江「なんでも、鷹野さんが梨花ちゃんを殺そうとしているらしく……」

富竹「み、三四さんが!?」

矢部「……おーい」

秋葉「ちょっといってきまああああす!!」

矢部「あ、おい馬鹿!!」

富竹「刑事さん、僕も失礼します!!」

矢部「ちょ待てや!オイ!!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:27:40.96 ID:dDYUZGQY0
秋葉「うっわ、神社どこだかわかんねーよぉ……」

富竹「ハンドル代わって下さい!」

秋葉「へ?はい」

富竹「飛ばしますよ!!」

秋葉「おおおおおおお!!!はい!!!」

――

矢部「行きやがった……んで、入江さん?何が起こっとんのです?」

入江「一言で言うなら……神殺しです」

矢部「か、髪殺し……」

矢部「秋葉ああああああああ!!!絶対止めろよ!!絶対やぞおおおおおおおおおおお!!!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:28:37.52 ID:dDYUZGQY0

小此木「う、うゥん?」

鳳12「あ、隊長!ご無事で!!」

小此木「あ、おお」

鷹野「やだあああああああああ!!おじいちゃん、助けておじいちゃん!!うわあああああああん!!!!」

上田「ホアタァ!!」

白鷺1「ぐぉ……」

小此木「く、馬鹿にしやがって……」

小此木「馬鹿どもがァ!!相手は丸腰じゃねーか!!一物ごとブチ抜いてやれ!!」

上田「クソッ、拳銃か!」

小此木「年貢の納め時ですんね。へっへへへ。出来ればもう一回戦いたかったがな、ここで死んでもらい」

   「右から来ますのですよー、気を付けろー☆」

   「てりゃああああああああああああああああああああ!!!!!」

小此木「グベァ!?」

上田「り、梨花ちゃん!!」

梨花「帰って来ちゃったのです!にぱ~☆」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:29:28.70 ID:dDYUZGQY0
赤坂「警視庁の赤坂です」

上田「日本科学技術大学教授の上田だ」

赤坂「梨花ちゃんから話は聞きました。ありがとうございます。
   おかげで僕は『ようやく』……」

赤坂「ようやく、梨花ちゃんを救えました」

梨花「赤坂……」

上田「はっはっは、これくらい僕には服を着なくてもできますよ」

赤坂「ふ、服は着てください!」

梨花「上田は大きくて立派なのですよ」

赤坂「わわわわわ!梨花ちゃんも見ちゃダメだ!!とりあえず上田さんは服を着てください!!あとは」

赤坂「僕一人で十分ですから」

上田「……」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:30:18.38 ID:dDYUZGQY0
秋葉「くっそおおおおお、見逃しちまったああああああああああああ」

富竹「三四さん!!」

鷹野「ジロウさん……?ジロウさん!!ジロウさん!!!!」

上田「はい?」

鷹野「いやああああああああああああああああ!!!!くるなくるなくるなあああああああああああああああ!!!!」

富竹「三四さん、大丈夫だから。ほら、大丈夫だから」

鷹野「ジロウさん……ひっぐ、ジロウさん!怖かった……えぐ、おっきいの怖かったの……」

富竹「うん、ごめんね。傍にいてあげられなくて」

鷹野「ジロウさん、ありがとう……ありがとう、うあああああああああああ!!!」

富竹「あの気丈な彼女がここまで……何をやったんですか?」

上田「いやぁー、はっはっは」

梨花「上田のミニ上田がにぱ~☆したのです!」

秋葉「とりあえず手錠掛けまくるか!うはああああああ!!こんな人数手錠掛けるのかよ俺えええええええ!!!」

上田「……テンション高いな」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:31:36.09 ID:mvLieJAu0
――翌日

梨花「行ってしまうのですか?」

上田「当たり前だ。勝負に勝ったんだからな」

梨花「……上田」

上田「なんだ?」

梨花「僕には好きな人がいるのです」

上田「俺か?」

梨花「上田よりももっと好きな人です。でもその人には、奥さんがいるのです」

上田「俺じゃないのか?」

梨花「上田じゃないのです。でも、僕はその人が大好きなのです」

上田「……」

梨花「僕は……その人と幸せになりたいのです」

上田「ふっ、要はアレだろ。不倫したいって事だろ?」

梨花「ち、違うのです!!僕は純粋に幸せになりたいだけで!!」

上田「じゃあ簡単だ」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:32:19.30 ID:mvLieJAu0















上田「ベストを尽くせ!!」














69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:33:08.31 ID:mvLieJAu0
梨花「……ふふ、そればっかりですね、上田は」

上田「事実だろう?」

梨花「はい!ベストを尽くしたおかげで、僕はようやく運命に勝てました!!」

梨花「これからベストを尽くして僕はきっと巨 の美人になってみせますのですよ!!」

梨花「ようやくつかんだ未来なのですから。絶対に幸せを掴むのです!!」

上田「そうか、じゃあな」

梨花「はい!」

上田「また何か困った事があれば、この上田次郎に、ど~んとこーい!!」


上田「なのです!」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:33:49.18 ID:mvLieJAu0
side A

梨花「ふふ、何よこれ。おっかしい」

羽入『何を読んでるのですか?』

梨花「これよ」

   「 どんとこい超常現象! ―私は神を救う― 」

羽入『あうあう!上田の新作なのです!!』

梨花「見て、ここ。『その時私は理解した。私の前ではどんな超常現象だろうと丸裸にされるのだと』ですって!
   丸裸になってたのは自分の方なのに。くすくす」

羽入『元気そうでなによりですね」

梨花「ホント、相変わらずみたいで嬉しいわ」

梨花「ベストを尽くせ、か」

沙都子「梨花ー」

梨花「みー、ごめんなのです」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:34:48.38 ID:mvLieJAu0
魅音「まったく、こういう日にしか遊べないんだからめいっぱい遊ぼうって言ったの梨花ちゃんじゃん!」

圭一「魅音はもう受験生だもんなー。どうだ?受験生」

魅音「もーくたくただね!圭ちゃんも早いうちに進路決めといた方がいいよ」

圭一「俺は……んー、まぁやりたいことやろうかな。レナは?」

レナ「レナは……はぅ、お嫁さんになりたいなぁ」

圭一「ほぉ、誰の?」

   バゴン!

魅音「さ、空気の読めない圭ちゃんは置いといて。沙都子たちは何かやりたい事あるの?」

沙都子「私は……そうですわね、トラップマスターになりたいですわ!」

梨花「僕はもう決めてあるのですよ!」

魅音「お、なになに?」

梨花「日本科学技術大学に入るのです」

レナ「大学進学かぁ……遠くに行っちゃうんだね」

圭一「でも大丈夫なのか?学力とか結構大変だろうに」

梨花「大丈夫ですよ!ベストを尽くしますのです!!」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:35:30.30 ID:mvLieJAu0
side B

担当「いやー、上田先生お疲れさまでした!今回も素晴らしい本が出来上がりましたよ!!」

上田「……そうか」

担当「おや上田先生勉強してらっしゃるのですか?」

上田「ああ」

上田「寄生虫について知っておこうと思って」

担当「なるほど、敵を知るには日々の研究こそが重要と言う事ですね!!」

――

上田「ん?この手紙は……ファンレターだな!」

上田「この前はちんちくりんだったが今度こそグラマー!」

  『上田へ   残念ながら僕なのです』

上田「……クソッ!」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/09(土) 00:36:21.39 ID:mvLieJAu0

  『こっちは毎日楽しい事だらけ。上田に会えて本当に良かったと思いますのです』

  『今回手紙を送ったのは他でもなく、未来予知ができたからです』

上田「未来予知?」

上田「まだ言ってるのかあいつ」

  『  九年後、美人で巨 になった僕は日本科学技術大学『名誉』(←重要なので赤ペンで線を引いておきました)教授になった上田次郎のもとで勉強に励む  』

上田「……フッ」

  『僕はベストを尽くしますので、九年間待っていて欲しいのですよ!』

  『オヤシロ様の生まれ変わり、古手梨花より』

上田「どんとこい、だ」

  『追伸、赤坂のミニ赤坂は上田のミニ上田と同じくらいでした。
      上田もきっと結婚できますです』

上田「……」 ポーン

上田「……さーて勉強勉強」


                                ――fin

引用元: 担当「今回のどんとこい超常現象のテーマはズバリ!祟りです!!」