勇者募集してたから王様に会いに行った 前編

532: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:10:22.01 ID:FXW16bQ0
126

--テラス--

勇者「今まで幸せなんてもの、私には来ないんだと思ってた」

男の子「君は古代種が作った重要なシステムのキーだからね」

勇者「でも……みんなに会ってから楽しいことが増えたんだ」

男の子「……執着しないほうがいい。辛くなるよ」

勇者「……君は残酷なことばっか言ってくるけど……私のこと心配してくれてるんだね」

男の子「そうさ、僕だけは君の味方であり続ける」

勇者「ねぇ……トリガー、貴方は何?」

男の子改めトリガー「……僕は死を選んだ古代種達が作った、人類の最後の希望の鐘」

勇者「よく……わからない」

トリガー「この循環でも人類の発展が止められないような不測の事態が発生した時、僕は魔王の意志で人類をリセットするよう、プログラムされている」 




533: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:19:33.95 ID:FXW16bQ0
127

--テラス--

トリガー「魔王の意志、君だ。僕がこの世界に出てきたのはそれが近いことを悟ったからだ。もうすぐ世界のシステムは破綻し、人類の発展が始まる。それを止められるのは君だけなんだ」

勇者「なにそれ……リセットってどういうこと」

トリガー「人類を全滅させるっていうことさ。僕の赤の竜と青の竜を使ってね」

勇者「!!!!もしかしてあの時君が言ってたのって」

トリガー「そうだよ。あぁ、でも仲間は助けるつもりだったよ?僕も色々修正を受けていてね」

勇者「……私の意志で」




盗賊「……」

534: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:29:40.33 ID:FXW16bQ0
128

--南の王国--

6日後。

亜人王「……そうか。わかった。下がってよいぞ」

狐男「はっ!!」

亜人王「聞いての通りです皆さん……王国、北の王国、東の王国、そして……西の連合が明日には我が国へと到達する」

盗賊「……かぁ~。文字通り世界が相手になっちゃったか」

勇まsおu「……」

亜人王「では、貴方達とともに戦う、我が国の精鋭を紹介しましょう。入れ」

?「はっ!!」

城門兵A「失礼しますにゃん」

城門兵B「失礼、あ!!変 だぴょん!!」

盗賊「あああああああああお前達はあああああああ!!!!」

535: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:40:33.49 ID:FXW16bQ0
129

--南の王国--

亜人王「ふむ。昼の門番担当のお前が、この方達と既に知り合っているのはおかしいことではないな」

城門兵A「亜人王~!!この人達変 なんだぴょん!!だめだぴょん!!こんなのに任せてたら国が滅ぶぴょん!!」

亜人王「ほぉ……お前はこの方々が誰だか知らんようじゃ」

城門兵B「知ってるにゃん。人さらいだにゃ、あああああああああああああああああああああああ!?まってまってたすけえええええええ!!」

盗賊と踊子が城門兵Bを担いで走り去る。

盗賊「へそから上は俺、下はお前のだ」

踊子「ラジャッ」

亜人王「……うん……むぅ」

536: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:48:42.38 ID:FXW16bQ0
130

--南の王国--

?「貴方が勇者ですか。なんとおうつく……お可愛らしい方だ。私の名は鷲男。この国一番の戦士です」

勇者「あ、あぁよろしく頼む」

亜人王「そして城門兵……A、Bじゃ。この子達は一見可愛らしいが、我が国の最も重要な役職である、城門兵を任せられるほどの実力を持っています」

城門兵A「やっ!?ちょっ、や、やだにゃんんんんんんんん!!!!んにゃっ!!」

亜人王「……片方は欠けましたな」

537: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 00:57:35.83 ID:FXW16bQ0
131

--宿屋--

盗賊「はぁ~あ。とうとう明日かぁ。……人間達と戦うはめになるなんてなぁ」

賢者「……」

盗賊「……賢者さん、どうしました?」

賢者「あ、いや……うん、大丈夫だよ」

盗賊「……死なんで下さいよ?みんな……誰一人として」

闘士「とう、ぞく」

盗賊「みんな大事なんですから」

賢者「……あぁ!!」


--南の王国--


城門兵A「にゃーん!にゃーん!!」

城門兵B「くっ!!なんてやつらだぴょん!!こんなひどいことを!!」

亜人王「いや、あの人たちはふざけているだけであってだな……」

城門兵B「わかってるぴょん。あの人たちかなり強いぴょん。最初に会った時、私達はお仕事してたぴょん。常に臨戦態勢でいたのに……二度も私をさらったぴょん……」

鷲男「……えぇ、あの人たちはきっと我々の力になってくれるでしょう」

亜人王「……ほっ」

538: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:03:09.34 ID:FXW16bQ0
132

--草原--

草原を埋め尽くさんばかりの兵が整列している。その兵達が来ている鎧は統一されいるわけではない。
東の赤、北の鈍色、西の黒、そして王国の青。

即席で立てられたやぐらの上に三人の王様と代表が立っていた。


王様「皆の者、よく聞くがいい!!」

ざわ王様ざわ

王様「お前達がこれから行うのは決して悪しきことではない!人類の未来を勝ち取るために行う聖戦なのだ!!」

ざわざわじはーどざわ

王様「これから戦いに行く南の王国、別名亜人国はあの勇者をかくまっているのだ!!」

ざわざわ、勇者?ざわざわ貧 ?ざわざわ

王様「勇者と聞いて動揺している者もおるだろう。そうだ、魔王を倒し人の未来を切り開いた者、あの勇者達だ!!」

ざわざわざわざわざわざわ

王様「そこだけ聞けば、何が悪いのかわかるまい。しかしだ。皆は魔王討伐という華やかな部分は知っていても、勇者の側面はわかるまい?」

ざわざわささざわ……

王様「……勇者達は魔王を倒すために、という大義名分を盾に、今まで彼らがやってきた悪行を知っているだろうか?」

ざわわ!?

539: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:11:42.50 ID:FXW16bQ0
133

--草原--

王様「例えば……西の王国壊滅の原因になった……とか」

ざわざわざわわ!?

王様「彼らが西の王国に滞在していた時のことだ……ある魔族がモンスターを連れて西の王国へ進攻してきた」

ざわざわ

王様「偶然居合わせた彼らはモンスター達と戦ったらしいのだが……分が悪いと見るや否や、西の王国の民を見捨て逃げ出したのだそうだ」

東の王様「……」

ざわざわ見殺しざわ!?

王様「ここに生き証人がおる……」

西の代表「私達西の王国の民は、攻めてきた魔族やモンスター達と戦いましたが力及ばず氷漬けにされました……」

王様「西の王国と連絡が取れないことに気づいた我が国は、すぐさま救援を送ったのだが……そこは悲惨なありさまだった」

西の代表「西の王国の皆は……私達数百人を除き、皆殺しにされていました……」

王様「……やつらは勇者でありながらも、勝てない相手だと知ると、民を助けずに逃げ出したのだ……そしてその不手際を隠すべく……誰にも言わずに……」

ざわざわ……

王様「我々が駆け付ける数日前に息絶えた者もいたのだ……勇者達が見殺しにさえしなければもっと助かったかもしれない……」

北の王様「そぉしてぇ、これは皆さんご存知の通りだと思いますがぁ、彼らは魔族を助けて逃亡したのでぇす」

ざわざわきたざわ

540: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:15:05.35 ID:FXW16bQ0
134

--草原--

北の王様「私が思うに、これは勇者達と魔族の間になんらかのつながりがあると言っていいでしょう。そうすれば全てうまく説明できるのですよ。
勇者『私達を見逃してぇん!!この人達は殺しちゃってもいいからあぁん!!』なんて交渉があったり……」

ざわざわおかまざわ

東の王様「……なんにせよ、魔族を連れて逃げているということに違いは無い」

王様「それではここに宣言する。勇者討伐戦争を」

開始する

542: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:21:06.28 ID:FXW16bQ0
135

--草原--

盗賊「あーあ……すんごい量の敵が来てますね。地平線が真っ黒だぁ」

勇者「……あぁ」

賢者「……」

踊子「わたしたちは……いつ戦いをやめられるんでしょうね。魔王を倒した後は、プール尽きの豪邸で毎日遊んで暮らせるもんだとばっかり」

盗賊「……人を斬るのは初めてだけど、モンスター殺せて人間が殺せない道理もないか」

踊子「同種はタブーです☆」

鷲男「なら私は一体どちらに入るんでしょうね」

踊子「どちらかというと……鷹?」

鷲男「私は鷲の亜人なんですけれどもお嬢さん」

勇者「……くるぞ」

……ォォォォォォォォオオオオオオオオオ!!

勇者「みんな!!私は勇者だ!!勝利は我と共にある!!私に続け!!!!」

亜人軍「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


王国連合総兵数、301,764名
南の王国総兵数、21,213名

544: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:28:32.32 ID:FXW16bQ0
136

--草原--

兵士M「あああああああああああああああ!!!!」

波のように押し寄せる兵士の大群。
その先頭に向かって勇者は駆けていく。


勇者「っっく!!!」

ドシュ!!

兵士M「がはっああああ!!!」

一番先頭を走っていた兵士を

きる。

盗賊「いくぞおおおおおおおおおおお!!!」

闘士「おおおおおおおおおおおおおお!!!」

鷲男「我が国を守れええええええええ!!」

亜人兵A「にょおおおおおおおおおおおお!!!」

城門兵A「にゃんにゃあああん!!」

城門兵B「ぴょんぴょおおおん!!」

盗賊「おまいらしまらねぇな!!」

サキュバス「私は急用ができたんで!!」

盗賊「え!?こ、こらああああああああああ!!」

サキュバスはグリフォンに乗って飛んで行ってしまう。

545: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:39:29.27 ID:FXW16bQ0
137

--草原--

西の兵士A「お前らのせいで母さん達は!!!!」

勇者「!?」

勇者に後ろから西の兵士Aは斬りかかった。

盗賊「あぶねぇ!!」

ドン!!

盗賊は体当たりで西の兵士Aを弾き飛ばし、

ザブッ

西の兵士A「ぐひゅっ」


喉笛をかき切って息の根を止めた。

盗賊「馬鹿っ!!死んじゃうだろ!?」

勇者「……うるさいっ!!それよりいつまで私の傍にいるつもりだ!!お前の役割はここじゃないだろ!?」

盗賊「っく!言われなくても行くさ!!生きろよ!?」

勇者「……あぁ」

546: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:45:59.25 ID:FXW16bQ0
138

--草原--

東の兵士A「お前達が前線かっ!!勇者一行!!」

東の兵士B「図体ばかりでかくたって!!」

闘士「おおおおおおおおおおおおおお!!」

ドッゴオオオオン!!

鷲男「!!……地面をひっくり返すとは……!!」

闘士「おで、みんなのために、戦う!!!!」

??「ふぅぅん。おもしろそうなやつがいますね」

鷲男「!!あいつは北の人形使い!!」

人形使い「この前魔王城に遊びに行ったんですがね、おもしろいものがあったんですよ」

シュン

闘士「!?」

闘士は敵の攻撃をすんでの所で交わす。

ワーウルフ「あおいwr8ぎゅあ984」

548: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 01:56:13.22 ID:FXW16bQ0
139

--草原--

城門兵A「にゃっはー!!雑魚共めぇ」

城門兵B「死にたくば、あ、かかってくるがいいぴょん~」

キラン

盗賊「あ、カットインだ。どうやってやるんだろうあれ」

城門兵A、B『奥儀、滅殺猫うさ砲!!』

ドギャギャギャギャアアン!!!!

北の兵士A「ごっふ!!」

盗賊「……やべぇ、百人くらい吹っ飛んだぞ」

城門兵A、B『ふたりは、プ』

盗賊「まてまてまて」

549: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 02:01:34.25 ID:FXW16bQ0
140

--草原--

?「ひひひひひっ、おいらもまぜてくださいでやんす」

盗賊「凡だ君か!?」

?「違うでやんす。北の召喚士でやんす」

盗賊「……特殊職業か」

召喚士「ししししっ、お前らのようなありふれた職業とは違うのでやんす。格の違いを見たらいいのでやんす」

城門兵A「聖にゃる土地を汚す者よ!」

城門兵B「あこぎな真似はやめるぴょん!」

召喚士「よ、よおおくわからんけど、今週のびっくりどっきり召喚獣~」

盗賊「あ、しまた!!」

空中に魔法陣が展開し、そこから巨大なモンスターが二体現れる。

召喚士「さぁいけ二頭巨象、サイクロプスよ!!」

城門兵A、B『来週もまた見てにゃん!!』

盗賊「逃げんな!!」

550: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 02:04:28.00 ID:FXW16bQ0
141

--草原--

魔法使い「黄昏よりも黒いもの、血の流れより早きもの、冷蔵庫の下に隠れし偉大なる汝の名において、我今ここに闇に誓わん」

勇者「はっはっはっ……空が、暗雲に?……まずい!!」

魔法使い「超広域攻撃魔法、ゴキブスレイブ」

勇者「賢者!!踊子!!」

賢者、踊子「はい!!!!」

ガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

巨大な雷が南の王国を襲う。

その魔法を三人の魔法が食い止める。

魔法使い「はぁ、はぁ……氷、水、土による三種複合魔法障壁……か」


勇王「ぐぐぐぐがああ!!!」

踊子「きゃー!!まったこれ、辛い!!」

賢者「目の前を雷が!!雷が!!」

552: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 02:08:24.11 ID:FXW16bQ0
142

--草原--

プスプスプス


ゆうあsh「な……なんっとか……防げたね」

踊子「もう一生分の魔力使い果たした気がします」

賢者「はぁ、はぁ、魔法使い君……君はどれだけ……」

勇者「ゆっくりしてたら二発目がくるわ……わかってるね?」

踊子「あーい。もう勇者様ったら人使いが荒いんですからぁ」

賢者「わかってます……勇者さん、ご無事で!!」

勇者「……君たちこそ」


魔法使い「……そうか。君らが僕の相手か」

受付「私は行かなくてもよろしいのですか?」

王様「お前は対人先頭じゃないと満足に戦えないだろう?我が横で待機していろ」

受付「はい……それでは」

受付は飛んできた矢を叩き落とす。

受付「私の今回の仕事は、主様の警護のみということで」

554: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 02:11:09.04 ID:FXW16bQ0
143

--草原--

ザザザザ

盗賊「!?」

西の代表「……」

盗賊を待ちかまえている男がいた。

ガギィイン!!

盗賊「……どいてくれ。俺はお前と戦いたくない」

西の代表「俺は……お前と戦いたい。否、殺してやりたいんだ」

ギャリィン!!

盗賊「っ!!ツインソードか」

555: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 02:14:17.27 ID:FXW16bQ0
144

--草原--

ギンッガギンッ!!

勇者「はっはっ!!」

???「言い太刀筋だ。が、まだ心が決めかねている、な!!」

ギン!!

勇者「あくっ!?」

???「あんたが伝説の英雄、勇者だというのなら。もっと俺を楽しませてくれ」

勇者(こいつは知ってる。東の……剣豪!!)

564: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:00:39.10 ID:FXW16bQ0
145

--草原--

闘士「くっ、こいつ」

ワーウルフ「あ0お84hr9g8h8!!!!」

人形師「どおおおおおおですかぁあああ?わたしの!!私の人形はああ!!」

鷲男「くっ!!兵士の相手をしてるせいで助けにいけない!!闘士殿!!」

闘士「……お、おでは、あの頃とは、ちがう」

人形師「へぇ??」

闘士「真っ先に、死んだ、あのころとは、ちがう!!」

ボゴキッ!!

ワーウルフ「???あろぐj0394が3えらp」

闘士の左の肘打ちがワーウルフの顔面を打ち砕く。

闘士「おでは、護るんだ!!」

565: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:07:32.24 ID:FXW16bQ0
146

--草原--

鷲男「闘士殿……」

兵士U「ていぇえええええい!!!!」

鷲男「ふぅん!!」

ボッ!!

兵士U「ぐあああああ!!」

鷲男「しかし……多すぎる!!」

人形師「へぇ~……中々やりますね。でも」

ワーウルフ「!!!!」

闘士「!?」

人形師「そいつはただの人形でやんす……あ、間違えた。人形なんです。完膚無きまでに壊されない限り、」

ドゴッドゴッゴッゴゴゴゴゴゴゴゴgg!!!

闘士「おぅらおらおらおらおらおらおらおら!!!!」

ワーウルフ「あお8wg98あ4h9gは9348hg3!!!」

闘士「おらぁあ!!!」

ズゴン!!

566: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:13:31.50 ID:FXW16bQ0
147

--草原--

闘士「はぁっ、はっ」

人形師「!!これは驚きました……ここまで破壊されては、動けません」

闘士「つぎは、お前!!」

人形師「確かに最高傑作は壊れてしまいましたが」

ザっ

人形師「おもちゃはまだあるんですよ、これが」

闘士師範代「……」

闘士「し、師匠……」

567: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:21:20.73 ID:FXW16bQ0
148

--草原--

ワーワー

闘士「し、ししょ」

鷲男「!?闘士殿!!危ないっ!!」

メキメキっ

鷲男「!?」

闘士の蹴りが闘士師範代の●●を蹴りあげる。

闘士「師匠は死んだ、もういない」

人形師「……まさかこうまであっさりやられるとは」

闘士「だけど、おでの●●に、この尻に、一つになって生き続ける!」

闘士の体が緑色のオーラに包み込まれる。

闘士「身体強化・獣化、獅子!」

ガオアオオオオオオオオオオオオオ!!!!

体長三メートルを超す巨大な獅子の亜人がそこにはあった。

568: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:40:09.90 ID:FXW16bQ0
149

--草原--

鷲男「す、すごい……こんなことまでできるのか」

闘士『がおおおおおおおおおおおおお!!』

闘士が疾走するだけで数十人の兵士が吹き飛ばされ、闘士が腕をふるうたびに風が吹き荒れる。

人形師「す、すばらしい!!」

闘士『おおおおおおおお!!』

サイクロプス「ごえええええええええええ!!!!」

闘士「『!?』

同じく巨大な体を持つサイクロプスが体当たりをくらわした。

人形師「怪獣大決戦!!」

569: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:47:26.25 ID:FXW16bQ0
150

--草原--

闘士『があああああ!!!』

サイクロプス『ごええええええ!!』

両者がぶつかり合う度に起こる衝撃波は、周囲の兵士達を吹き飛ばす。

兵士G「こ、こんなとこでなんて戦えない」

鷲男「よし、羽ナイフ乱れ打ち!!」


ドスドスドスドスドスドス!!

兵士達「ぎゃあああああ!!」

鷲男「ペースを掴んできましたよ!!」

570: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/07(日) 23:52:44.94 ID:FXW16bQ0
151

--草原--

二頭巨象「ばおおおおおおおん!!」

城門兵達は二頭巨象にしがみ付いている。


城門兵A「あわわ!でかすぎだにゃん!!」

城門兵B「!?このままじゃ!!やばいぴょん!!この速さでいったらすぐ南の王国まで!!」

ことの重大さに気付いた二人は顔を見合わせる。

城門兵A「……城門は」

城門兵B「……絶対に突破させない」

ドドス!!

二頭巨象「!?」

二人は二頭巨象の二つの頭を同時に刺す。

二頭巨象「ばおおおおおん!!!」

二頭巨象は暴れ狂い二人を払おうとする。

城門兵A「こいつまだ……」

城門兵B「なら……」

二人は二頭巨象の耳の穴に侵入する。

二頭巨象「ぶお!?!?」

そして
どぐしゃあああああああああ!!

両者はそれぞれの頭の頭頂部から姿を現す。

城門兵A「頭蓋をぶちぬけば」

城門兵B「おとなしくなるでしょ」

571: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 00:14:25.60 ID:gK2akfY0
152

--草原--

魔法使い「範囲魔法、レベル2」

ビシャアアアン!!

しかしそれは賢者の魔法障壁に防がれてしまう。

賢者「元々僕の魔法は攻撃タイプじゃないから、こういうのは得意分野なのさ!!」

踊子「勇者様を裏切った悪い子はいねがー!!」

魔法使いの攻撃を交わし、踊子は魔法使いに接近して蹴りを見舞う。

ゲシッ

魔法使い「ふん、裏切ったのはあの女だ。雷属性、鎌精製」

魔法使いは雷の鎌を作り上げる。

魔法使い「お前らもあの女と一緒にいるのはやめろ。今なら俺がなんとかしてやれる」

賢者「!?」

踊子「はんっ、悪いですけど、あの子を置いてどっか行く気はさらさらないんで~!!」

魔法使い「そうか。じゃあ……死ぬぞ?」

572: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 00:43:12.93 ID:gK2akfY0
153

--草原--

踊子「死ぬのは……どっちですかね!!」

踊子は舞いにより速度を上げる。

魔法使い「速度上昇か。だがいくら早くなったとしても、雷より早く動けるのか?」

魔法使いは鎌を振る。すると

バチバチバヂイイ!!

不可避の高速の斬撃が踊子を捕える。

踊子「ぎゃあああ!!!」

賢者「!?踊子さん!!」(雷の……攻撃補助の特性か!!斬撃速度が極限まで高められている!!)

魔法使い「やめろ賢者。俺はお前のことを仲間だと思っているんだ」

賢者「魔法使い……君」

魔法使い「短い間だったが、盗賊と闘士とお前、四人で西の王国で修業したあの日々……俺の人生の中で最も楽しかった時間だ」

573: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 00:52:12.14 ID:gK2akfY0
154

--草原--

賢者「そう思う君が……なぜ王国につくんだ。僕達を仲間だと思ってくれているなら、」

魔法使い「仲間だと思っているからこそ、あの女から引き離そうとしているんだ」

賢者「……どうして君はそこまで勇者さんのことを……」

魔法使い「彼女が世界を滅ぼすからだ」

賢者「そうなるとどうして言いきれる?君も少しだが一緒に旅をしたじゃないか」

魔法使い「俺を……捨てた女さ」

賢者「あれには意味があったんだ!!」

魔法使い「……意味などない。いらない……あの時俺がどれだけ失意のどん底に叩き落とされたと思っている……俺はあの人に会う前からずっと憧れていた。生ける伝説だった。俺は必至に修業しあの人の役に立とうと……なのに魔王だったなんて」

賢者「そのことも知ってたのか……」

魔法使い「俺は王国の軍団長を任されている男だ」

574: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:00:34.19 ID:gK2akfY0
155

--草原--

魔法使い「極秘事項のことですら耳に入る。そしてお前達を助けることもできる。戻ってこい……全て勇者のせいにするんだ。そうすれば」

踊子「やれやれ。女の子無視して男同士で熱い会話だなんて、本当ホ ですか貴方たち……も!!」

魔法使い「……しぶといな。サキュバスには効果的だったんだがな」

踊子「へ、あんなのと一緒にされちゃあ困りますよ……わたしはね」

踊子の体から6色の魔力が流れ出る。

踊子「貴方の嫌いな勇者もどきなんですから!!」

魔法使い「……お前もだったのか」

賢者「踊子さん!!」(僕もサポートを!!)

踊子「くぉ349う34いあ!!」

575: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:12:48.04 ID:gK2akfY0
156

--草原--

魔法使い「だが俺はお前より性能のいい勇者人形と戦ってみたが勝ったぞ?」

踊子「!?」

魔法使い「対単体雷属性魔法、レベル5」

賢者(レベル……5?)

ゴオオオオオオオオン!!!!

横方向に打ち出される白い稲妻。その勢いは踊子だけではとどまらず、南の王国の城壁まで崩す。

賢者「そ……そんな、魔法はレベル4が限界なんじゃ」

魔法使い「人の限界を超えるから天才と呼ばれるんだ」

576: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:22:48.72 ID:gK2akfY0
157

--草原--

魔法使い「わかったろ?抵抗は無駄なんだ。兵力からしてお前らの勝ちはないんだ」

賢者「……そうかもしれません。どの道この戦も……でも」

魔法使い「……でも?」

賢者「魔法使い君、君との戦いには勝たせてもらいます。それがここを任された僕達の仕事ですから」

魔法使い「……勝てるものか。残りはお前一人なんだぞ」

踊子「どどどっだrがどうかなあああ!?!?」

踊子は砂煙中から現れ魔法使いのもとへと走る。

魔法使い「!?なぜだ!!いくらなんでもレベル5が直撃して助かるはずが」

賢者「なら直撃してないんでしょうね。水属性拘束魔法!!」

大地から水が噴出し、魔法使いの体を締め上げる。

魔法使い「直撃していない……!!霧による幻影魔法か!?いつのまに!!」

賢者「どうせその拘束魔法も、貴方なら簡単に破るでしょう。でも一瞬でいいんです。それがチームプレイですから」

踊子「勇者だからこそ出来る必殺技を見せてあげるよ!!」

踊子は右手を前方に突き出すと、六色の光に包まれる。

魔法使い「なんだそれは……」

踊子「全属性複合攻撃魔法、六色剣!!」

ドバアアアアアアアアン!!

578: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:34:45.42 ID:gK2akfY0
158

--草原--

西の代表「思えばお前は、最初から気に食わないやつだった!!」

盗賊「んだよ!!お前が勝手に嫌ってただけだろが!!」

キィン

盗賊は足元に魔法罠をセットする。

西の代表「それはそうだろ!!大した実力もないやつが勇者パーティの一員なんだからな!!」

ヒュン

感情的になりほんの少しだけ振りが大きくなってしまったのを盗賊は見逃さない。

ドシュ!

盗賊「……今は、それなりの実力があるつもりだ」

西の代表「ぐふっ!!」

盗賊(よし、あとはその魔法罠でしばらくしびれていてくれ)

しかし、西の代表が魔法罠に接触しても罠は反応しなかった。

盗賊「あれ?」

ズン!!

虚を突かれた盗賊。今度は逆に腹部を突き刺されてしまう。

西の代表「甘いな……しっかり止めを刺さないからこういうことになる」

579: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:40:10.00 ID:gK2akfY0
159

--草原--

盗賊「がはっ!!」(しまった、くそ!!深い!!)

盗賊は深手により膝をついてしまう。
しかし西の代表も脇腹を押えたまま立つことが出来ない。

東の兵士C「もらったあああ!!」

盗賊「っぐ!!」

盗賊は剣での一撃をナイフで受け止める。

ブシュッ

盗賊(いってぇえ!!)

ザシュ!!

返しの刃で兵士の首を切ることに成功する。

西の代表「……なぜそいつはあっさり殺して俺を殺さない……」

盗賊「はぁっ!!っく……はぁ、はぁ、同じ釜の飯を食った……仲間だもんよ」

580: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:46:40.51 ID:gK2akfY0
160

--草原--

西の代表「馬鹿か貴様。俺はお前のことなど……いや、それにしてもおかしな話だ。かつての仲間は殺せずに、赤の他人なら殺してもいいのか?」

盗賊「はっはっ……いじわる言うなよ。わかんねぇし簡単に答えられねぇ……よ」

西の代表「ふ、魔族を庇って人と戦うようなやつが、まともな思考で戦っているわけがないか」

盗賊「んだよそれ。なら人間同士で戦ってるお前らはまともな思考だっていうのかよ」

西の代表「……」

582: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:52:39.08 ID:gK2akfY0
161

--草原--

剣豪「ほおおおおおおおお!!」

勇者「っ!!」

ギンっ!!ギンギンっ!!

勇者(こんな剣……見たことない!!)

剣豪「ちぇえい!!!」

ピッ

剣豪の得物は刀。この世界に技術は継承されてなく、既に知識でさえ残ってない代物であった。

勇者(ここまで鋭い切れ味は……今までに見たことが無い!!)

勇者な長い間使っていた大剣を、処刑騒動の際に回収することが出来なかったため、今は細身のクレイモアを使用している。

勇者(あんな細い剣、すぐに叩き折れるはずなのに!)

剣豪「どうした?この刀を折るつもりか?」

剣豪は勇者の剣筋を巧みにさばく。

ドッ

勇者の鎧に傷がつく。

583: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:54:09.26 ID:gK2akfY0
162

--草原--

剣豪「それで終いか!!勇者よ!!」

剣豪の斬撃を剣で受けた勇者は、直観的に判断する。彼を倒すにはモンスターを倒す時と同じく、完全なる殺意をもって臨まねばならないと。

勇者「あああああああああああああ!!!!」

勇者の渾身の一振りは剣豪の体にかすりもしない。

剣豪「は、どうした」

その隙をつこうとしたのだが、剣豪は言い知れぬ不安を感じ取る。

剣豪(罠か?)

勇者の体から発せられる闘気には微塵の揺らぎもなかったのだ。

剣豪(ふむ)

剣豪は刀を鞘へと納める。

勇者(?……!!)

一瞬、剣豪が戦いをやめる気なのかと憶測を立てる。が、彼の眼を見てそれが間違いだったと思い直す。

勇者(あの構えからの……技があるのか?)

剣豪「……」

剣豪は勇者にじりじりと近づいている。

584: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:54:46.05 ID:gK2akfY0
163


--草原--

勇者は勇者で、上段の構えをしたまま、いつでも攻撃できるように精神を張り詰める。

じり

じり

亜人兵E「うおおおおおおおおおおおお!!」

その一瞬は、亜人兵の咆哮がきっかけとなった。
目の前の勇者に、横から駆けてくる亜人兵。そこに剣豪が自分の不利を感じ取ったのだ。

シャッ

先に攻撃をしかけたのは剣豪。

剣豪(まだ遠い)

本来ならばあと一歩、いや半歩距離を縮めておきたかった。いつもの間合とは違う。これは剣豪にとって未知の領域だった。

勇者「おおおおお!!」

容赦無く振り下ろされる勇者の剣。その剣を剣豪は左の肩で受けた。

ズブウ

剣豪「ぬぅううう!!」

もはや左手は振るう刀に力を込められぬ。勢いと、残った右手で勇者の左手首を払った。

ブシュウー

勇者「!!!!」

確かに今の攻防で受けたダメージは剣豪の方が大きい。だが小柄な勇者が片手であのクレイモアを自在に振れるだろうか。

剣豪は刀の軌道を僅かにそらし、その力の余韻を利用して、

亜人兵E「!!」

迫る亜人兵Eの首を薙いだ。

585: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:56:43.60 ID:gK2akfY0
164

--草原--

剣豪「勝負あったな、勇者よ」

勇者「っぐ!!」

ズバッ

剣豪の一振りを受け損ね、勇者は自らの赤き血によって大地を濡らす。

ボタッボタタ

勇あしhg「……あぐぁ!!」

余りに深く切り裂かれてしまった。
左斜めからの袈裟斬りは肩甲骨を叩き割り、いくつかの重要な臓器を切り裂いた。

ガラン

勇者は

ゆうsmお「あ……が」

剣を手放しその場に倒れ込んだ。

586: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 01:57:32.45 ID:gK2akfY0
165

--草原--

王様「……頃会いか……よし、人造勇者を投入せよ」

兵士L「はっ!!」

王国連合が完全に押し始めたそのタイミングで、人造勇者は投入された。

588: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:31:32.30 ID:gK2akfY0
すい魔に襲われて気を失っておりました!!
もう少しだけ、霧のいいところまでやらせていただきます!!

589: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:37:27.35 ID:gK2akfY0
166

--草原--

闘士『おおおおおおおお!!!!』

鷲男「イーグルパアアアアアアアアアアット!!」

サイクロプス「げええええええええええ!!」

ズッズウウウン

闘士と鷲男は力を会わせてサイクロプスを倒した。

闘士『どこにいった、人形師!!』

?「彼はもう引いたぞ!!」

??「戦場での役割はもう果たしたのだ!!」

鷲男「何……だ彼らは……赤いマフラー?」

人造勇者一号「人類の未来をまもるため……」

人造勇者二号「王国がつかわした正義の戦士」

人造勇者V3「人造勇者だ!!」

闘士『人造……勇者?』

人造勇者一号「対攻城、雷属性魔法レベル4!!」

人造勇者二号「範囲殲滅、氷属性魔法レベル4!!」

人造勇者V3「攻撃力、防御力、最大上昇の舞!!」

カっ

590: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:42:19.07 ID:gK2akfY0
167

--草原--

城門兵A「がはっ……じょ、城門兵B?……へ、返事をするにゃ……じょ」

人造勇者X「醜き亜人どもめ……」

人造勇者アマゾン「きーーー!!」

人造勇者X「まとめて消えうせるがいいさ、複合攻撃魔法、炎レベル4」

人造勇者アマゾン「風レベルふぉおおおおおおおおおおおお!!」

ゴオオオオオオオオオオオオ!!!

炎の竜巻が亜人兵をのみ込んでいく。

591: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:46:53.75 ID:gK2akfY0
168

--草原--

賢者「……やりましたね」

魔法使いは血を流して倒れている。

踊子「さ、さすがにこの技は耐えられないだろう。勇者スラッシュの元になったようなわざだっく!!があああっ!!」

賢者「踊子さん!!」

人造勇者ライダーマン「我らが同胞魔法使いが虫の息に……」

人造勇者ストロンガー「やっば~早く助けなくちゃww」

人造勇者スカイライダー「うむ」

踊子「くそ!!今はだれも相手なんてできないのに!!」

594: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:51:48.37 ID:gK2akfY0
169

--草原--

盗賊「……!!」

人造勇者スーパー1「お前が勇者か?」

人造勇者ZX「……いや勇者因子を感じない。勇者パーティの一員だろう」

人造勇者BLACK「ならば殺すまでよ。おおお俺は王子なのだから!!」

西の代表「……投入したのか」

596: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 02:56:28.07 ID:gK2akfY0
170

--草原--

人造勇者クウガ「ご苦労様です」

人造勇者アギト「オリジナルの勇者討伐、さすがです」

人造勇者龍騎「彼女の遺体を我が国に運びます」

剣豪「あぁ……いやまだ死んではいない。かろうじてだが」

ゆうさいhsg「あ……ああ」

人造勇者龍騎「止めを刺しますか?」



処刑場の時は怒りがあった。
目の前でみんなを瀕死に追いやられたから。体の痛みも尋常ではなかったのだが、怒りと苦しみが交互に精神を支配したため、理性が失われることはなかった。
dakede
ima
konokokoro wo shihai suruno ha

ナンデイツモワタシダケイタイノ

人造勇者アギト「これがオリジナル……」

ナンデイツモワタシダケクルシイノ

人造勇者クウガ「生かして連れて帰るぞ。いい実験材料になる」

トリガー「進化の袋小路。そこへ行きつく人の旅が始まろうとしている……」

痛い痛いよすごく痛い
声もでないし指もうごかせないやだよ

コンナイタイノハイヤダコンナクルシイノハイヤダ
タスケテミンナ
タスケテ
トウゾク!

トリガー「……ははっ」







            <◯> <◯>

597: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 03:04:47.46 ID:gK2akfY0
171

--草原--

?????「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

人造勇者アギト「!!こr」

ジュッ

?????の傍に立っていた人造勇者アギトは一瞬で蒸発した。

剣豪「なっ……なんだ……これは」

トリガー「やっと……お目覚めだね」

人造勇者クウガ「私の体が震えています……この反応……まさか魔王!!??」

トリガー「ははは。おはよう、魔王勇者」

?????改め魔王勇者「……」

魔王勇者の体を黒い魔力が包み込み、傷を修復し、鎧を漆黒に変える。

人造勇者龍騎「お、臆するな!!俺達は勇者なんだ!!炎属性攻撃魔法レベル4!!」

人造勇者クウガ「雷属性攻撃魔法レベル4!!」

ドギャアアアン!!!!

トリガー「ははははっ!!こいつはお笑い草だww君らが勇者?違うだろ?似たような鍵をいくつ作ったところで鍵穴には合わないんだよ。魔王を倒せるのは真の勇者しかいないんだ!!」

603: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:16:29.17 ID:gK2akfY0
172

--草原--

魔法煙の中から現れた魔王勇者は全くの無傷。

魔王勇者「……どいつもこいつも私を虐める……赤竜」

魔王勇者の直上に体長100メートルを超す竜が出現する。

魔王勇者「炎弾……咆哮」

赤竜の口が開き、炎の魔力が充填される。
そのあまりの熱量に、周囲に存在する人間は次々に蒸発していく。

人造勇者龍騎「……これが……魔王!!」

魔王勇者「放て」

ギュィン

604: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:19:39.55 ID:gK2akfY0
173

--焼け野原--

放たれた炎弾は直進し、戦場に参加していない、王国連合の兵士をも巻き込んだ。
そして爆心地ではきのこ雲が形成されていた。

盗賊「……なん……だ……今の光は」

この一撃での死者数は18万人を超える。

敵味方の区別無く、魔王に虐殺された人の数である。

魔王勇者「……あは」

605: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:24:03.70 ID:gK2akfY0
174

--焼け野原--

王様「なんなのだこれは……あの火は、まさか覚醒したのか!?」

兵士W「ご報告申し上げます!!我らの兵士の……半数以上が消失しました」

王様「!!たったの一撃で……」

大賢者「どうしますか……王……これでは」

王様「……いやそのための人造勇者だ!!やつらがきっと」

王様達のいる本陣に急降下する者がいる。

ドオオン!!

王様「!!??」

兵士M「て、敵襲ー!!」

サキュバス「邪魔よ」


バキャアアアアアン

大賢者「大魔法使い!!」

サキュバス「最後の望みを叶えにきたわ……死んでちょうだい」

サキュバスの氷が王様を襲う。

606: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:29:30.06 ID:gK2akfY0
175

--焼け野原--

北の王様「ひいいいいい!!ま、魔族やああ!!」

大賢者「させると思うか!!」

サキュバス「させるさせないじゃない、されるのよ!!」

サキュバスは氷の矢を一斉に放つ。

大賢者「王様!!」

ドシュドシュ!!!

王様「っぐうう!!」

人造勇者BLACK RX「大丈夫ですか王様!!よくも!!」

サキュバス「人形が……邪魔しないでよ!!」

サキュバスは槍のようなものを作り上げる。

607: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:32:32.63 ID:gK2akfY0
176

--焼け野原--

大賢者「あれは禁術、呪いの槍!!」

王様「火の魔王を倒した時のあれか……」

サキュバス「あの世で大勇者と大盗賊が待ってんのよ!!」

槍が王様に向かって投げられた。

人造勇者BLACK RX「!!間に合わない!!くそお!!」

人造勇者BLACK RXはそのままサキュバスに斬りかかる。

ドブ

大賢者「がっは……」

大賢者は王様の前に立ちはだかり、呪いの槍に貫かれる。

王様「大賢者!!お前!!」

大賢者「一足先に……あのパーティに戻ります……大剣士。貴方が背負ったもの……ゆめゆめ忘れることのないよう……に」

ドサリ

大賢者は倒れ、

ズバッ

サキュバスの首ははねられた。

608: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:39:18.98 ID:gK2akfY0
177

--焼け野原--

盗賊「今の方向……勇者の、方からだ」

嫌な予感が盗賊に走ることを要求する。

盗賊「っく!!」

人造勇者スーパー1「ま、待て!!逃がすか!!」

人造勇者ZX「く!!本陣は無事なのか!?」

人造勇者BLACK「連絡が無い以上、俺らは闘うしかなああい!!」

盗賊「っ」(この傷では逃げ切れない!!)

バヂッ

人造勇者スーパー1「なっ!!こんなところに罠が!?」

人造勇者ZX「っぐうう!!」

人造勇者達は罠にかかり痺れている。

盗賊「さっきは機動しなかったのに……いや、どうだっていい!!」

盗賊は勇者の元へと走る。

西の代表「……好機」

609: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 21:40:42.51 ID:gK2akfY0
178

--焼け野原--

闘士「あああああああああああ!!」

人造勇者二号「貴様ら、あの火はなんだ!!」

人造勇者一号「……恐ろしい……やはり貴様らは一匹残らず駆除せねばならぬ!!」

鷲男「っっ!!これまで……か」

盗賊「!!あれは闘士達……やばい!!やられる!!」


①仲間が殺されてしまう!!助けなきゃ!!
②今はそれより勇者の元へ!!

※非常に重大な選択肢です。
10時までに入った数の多い方の続きを書きます。

616: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:04:37.90 ID:gK2akfY0
179

--焼け野原--

盗賊「ごめんっ!!」

盗賊は闘士を横目に走りさる。

闘士「ぐあああああああああ!!!!」

寄ってたかって放たれる人造勇者の魔法によって闘士は


盗賊「っっく!!」

617: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:08:46.70 ID:gK2akfY0
180

--焼け野原--

魔王勇者「……あそこが本陣か」

魔王勇者は腕を向ける。すると赤竜の首もそちらに向いた。

盗賊「!!勇者あああああああああああああああ!!」

魔王勇者「!!」

魔王勇者の体がびくりと震えた。
声のする方を向くと、そこには

盗賊「駄目だ!!よくわからないけど、それは駄目だ!!」

魔王勇者「とう……ぞく」

靄のかかっていた魔王勇者の心が……少しだけ明確になる。
盗賊は魔王勇者に駆け寄り、肩を抱く。

盗賊「だめだ!!もう、あんなことをしては……!!」

魔王勇者「っ!!」

悲しい顔で叫ぶ盗賊の顔がを見て、心が痛んだ。

魔王勇者「……なんっで……」

盗賊「勇者?」

魔王勇者「なんでよ!!君だって私の目の前で人を殺して見せたじゃない!!殺さなきゃ死ぬって!!一人殺すのは良くて、いっぱい殺す

のは駄目なの!?」

盗賊「勇者……」

魔王勇者「なんでよ!!どうして……うあああああああああああああん!!!!」

魔王勇者は、まるで幼い子供のように泣いた。

618: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:17:47.73 ID:gK2akfY0
181

--焼け野原--

西の代表「……これは」

本陣はめちゃくちゃになっていた。
大賢者とサキュバスの死体、散乱している氷の弾丸と血痕。

東の王様「……魔族が攻め込んできたのだ」

西の代表「なるほど……」

王様は大賢者の死体の傍に立っていた。

王様「すまぬ……昔から面倒ばかりかけたな」

北の王様「ひぃやー!!おおおお恐ろしい!!がたがた」

西の代表「王様……大賢者様は死んだのですね」

王様「?西の代表か……あぁ」

西の代表「そうですか……」

西の代表は剣を抜いた。

王様「西の代表。仇は討てたのか?」

西の代表「えぇ……」

ザン

王様は西の代表の剣に貫かれる。

619: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:23:37.02 ID:gK2akfY0
182

--焼け野原--

王様「が……」

東の「!!……」

北の王様「ひっひええええええ!!??」

王様「き、貴様……助けてやった恩を!!」

西の代表「白々しい……西の民を皆殺しにした張本人が」

王様「!!」

北の王様「!!??」

王様「ば、馬鹿なことを!!誰か!!こいつをうつのじゃ!!ごほっ!!」

西の代表は胸元から一冊の本を出した。

王様「……それは!!」

西の代表「盗賊の家を家探ししている時に見つけたものだ。これであんたの過去は見た」

王様「!!!!」

西の代表の剣は王様の首をはねた。

西の代表「……今から俺が王国の王だ!!」

620: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:28:47.69 ID:gK2akfY0
183

--焼け野原--

遥か遠くの空に煙が上がる。
それは王国連合の撤退の証だった。

盗賊「……今日の戦は終わり……ということか」

魔王勇者「ひっく、えっぐ!!」

魔王勇者は盗賊の胸で泣き続けている。

亜人王「……一日目は防いだ……圧倒的な虐殺で」

亜人王は悲しい顔をして戦場を見ていた。

ザっザっ

賢者「……」

賢者は瀕死状態になりながらも、踊子を担いで帰還した。


その夜。

皆満身創痍だった。城内は死者の身内の泣き声と、傷を負った兵士の呻き声で満たされている。

盗賊「ふざけるな!!!!」

盗賊の叫び声が木霊した。

622: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:36:48.12 ID:gK2akfY0
184

--宿屋--

盗賊「あんたっ!!何考えてるんだ!!?こんな状況なんだぞ!!」

賢者「……」

盗賊に殴られ口を切った賢者は、右手の甲で拭う。

賢者「こんな状況だからさ、盗賊君。僕は……王国連合に行く」

魔王勇者「あ……う」

盗賊「っっ!!よくもそんなことが言えるな!!南の王国のみんなを見捨てるつもりか!?勇者だってこんな状態だっていうのに!!」

賢者「……君の本音はそこだろ?君は南の王国の人達が大事なんじゃない、勇者さんが大事なんだ」

盗賊「!!」

賢者「それが悪いとは言わないさ。僕も一緒だ。何よりも踊子さんが大事なんだ。君が闘士君を見捨てたように」

盗賊「ッッ……踊子さんがひどい状態だってのはわかるさ、だがなんで今王国連合側に……!!」

賢者「前に話してくれたんだ、踊子さんは勇者を量産するための実験台だったんだって。だから不安定で暴走してしまうし、きっと寿命も……」

盗賊「……」

賢者「だが、今日、盗賊君も見ただろ?勇者の量産は成功していたんだ。技術は確立している、王国へ行けばきっと彼女を助けられるんだ!!」

盗賊「確証も無いのに……出てこうとするのかよ!!……賢者さんの力がいるんだよ」

賢者「……ごめん」

盗賊「っ!!」



亜人王「……」

鷲男「……彼らも……迷っているんですね」

623: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:49:26.69 ID:gK2akfY0
185

--宿屋--

賢者「そうやってなんでもかんでも勇者勇者勇者勇者、君のそれは勇者さんのためじゃなくて勇者さんのせいに聞こえるよ」

盗賊「!!賢者ああああああああああ!!」

魔王勇者「もういいっ!!もういいからっ!!行かせてあげようよぉ!!」

魔王勇者は盗賊を抱きとめる。

魔王勇者「賢者……今までお世話になったね……うっ」

賢者「今まで……ありがとうございました」

盗賊「俺はああ!!……俺の初めての友達だと思ってたのに」


賢者と踊子がパーティから外れた。

625: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 22:58:12.65 ID:gK2akfY0
186

--王国本陣--

踊子「うっ……こ、ここは」

西の代表「……やっと目を覚ましたね」

踊子「へ?誰?こんな設備……」

賢者「ここは王国側のテントだよ」

踊子「!!な、なんで!?……うそ、鹵獲された……」

西の代表「違う、賢者君が貴方を救うために、わざわざこっち側にきたんだ」

踊子「ど、どういうことなんですか!?」

賢者「ごめん……君はきっと反対するだろうと、怒るだろうと思ってた。それでも僕は君を助けたかったんだ」

踊子「怒るに決まってます!!自分だけ助かりたいがために仲間を裏切って敵の所へ来るなんて!!」

西の代表「彼を責めないでくれ……姉さん」

踊子「……なに……言って」

628: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:06:07.76 ID:gK2akfY0
187

--王国本陣--

西の代表「わからなくても無理は無い。俺と姉さんが別れたのは、俺がまだ小さい頃だから……」

踊子「嘘……本当に……弟なの?」

西の代表「あぁ!!……誘拐された姉さんをずっと探してたんだ!!」

踊子「あ、うう」

西の代表「王様の記憶を見たんだ。それで」

賢者(あの本か……)

629: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:09:54.26 ID:gK2akfY0
188

--宿屋--

魔王勇者「……どんどん……仲間……いなくなっちゃうねww」

盗賊「……勇者」

魔王勇者「そうだよね……私……魔王だもんねww」

盗賊「俺は!!」

盗賊は魔王勇者を抱きしめる。

盗賊「俺は……ずっと傍にいるから!!」

魔王勇者「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………w」



翌日。

631: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:18:28.57 ID:gK2akfY0
189

--南の王国--

亜人王「あと少しの辛抱だ!!これで退けられれば我が国に平和がもう一度訪れる!!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


魔王勇者「は……は」

盗賊「……」


--王国本陣--

西の代表「この戦で最後だ!!この戦で、人の醜い争いを終わらせる!!敵陣には魔王がいる!!魔王を倒すんだ!!」


うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!


--草原--

盗賊「はああああ!!」

ザシュ

兵士I「うあああああ!!」


召喚士「こんどはこれを召喚でやんす~」

キマイラ「ぐおおおおおおおおおおお!!!!」





この日南の王国は、勇者達は





敗北した。

633: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:25:20.68 ID:gK2akfY0
190

--王国--

一年後。

踊子「新王様~リンゴ剥いたんですけど食べますか~?」

賢者改め新王「あ、いや、じゃあもらうよ」

王国の新しい王の座には賢者がついた。
魔族を助け魔族側に寝返ったということになっていたが、西の代表の協力もありそれは全くの嘘であると公言された。

踊子「……でもひどいですよね私達……勇者さんの誘惑魔法で操られていたことにしてるなんて……」

新王「……そうでもしないと盗賊君達の家族も危なかったんだ。勇者さんにだけ身寄りがないから……これは生きてる人のための」

踊子「ごめんなさい。貴方のせいじゃないのにね。」

賢者は元々貴族の家系だった。そして魔王討伐パーティの一人であり、新しい王の条件にかなうだけのものがあった。

新王「これからは少しでも幸せに生きよう。勇者さんや盗賊君達の分まで……妃」

踊子改め妃「とか言ってるけどww……もう結構幸せでちゅよねぇ~?」

634: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:34:29.31 ID:gK2akfY0
191

--西の王国--

受付「西の王様。書類をお持ちいたしました」

西の代表改め西の王「あぁ、そこへ置いといてくれ」

勇者討伐戦争の開始時にはすでに、受付は王様から西の代表へと寝返っていた。
王様を殺す際に邪魔をしなかったのはそういうことである。

受付「長く……我が主でいてくださいね」

受付が主と認める者は王の器があるもの。そして老いた王より、野心を持った西の王の方が魅力的だった。

西の王(アサシンの心は読めない……)

西の王は、実の姉のいる王国と和平を結ぶ準備をしている。

635: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:37:21.18 ID:gK2akfY0
192

--南の王国--

戦争に負けた南の王国は、四カ国の植民地と化した。
亜人は首輪をつけられて今日も労働を強いられている。


鷲男「許さん……人間ども……逃げ出した裏切り共も!!」

鷲男は飛行できるため捕まりはせず、毎日近くの山から南の王国の現状を見に来ている。

鷲男「……」

だが鷲男の命があるのも人間のおかげである。最後の最後に、闘士は体を張って鷲男を助けたのだ。

鷲男「……悪の元凶を……必ず討つ」


--南の島--

?「ただいま、今日はいっぱいとれたよ野菜」

??「あ9384gは3jのあsdhがd」

彼女はあれから壊れてしまった。

636: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:40:36.88 ID:gK2akfY0
193

--南の島--

彼女「あ4899い3jgふぁksdg」

時々彼女が何もいないはずのところを見て何かを話している。そういう時俺は話しかけるタイミングを慎重にしなければならない。

俺「もうすぐご飯にしようと思うんだけど」

彼女「おmか0w9」

彼女が何かを伝えたい時は紙に書く。

『きょうのごはんはなに?』

639: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:45:45.12 ID:gK2akfY0
194

--南の島--

彼女「あああああああああん!!ああああああああん!!」

時々彼女は幼子のように泣き喚く。
鏡で自分の姿を見た時もあれば、夜になって急に泣く時もある。

『なんで、あのとき、わたしをつれてにげたのよ』

俺「……ごめん」

俺は震える声でそう答えるのが精いっぱいだった。

641: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:48:14.22 ID:gK2akfY0
195

--南の島--

ここは無人島ってことになってるけど違う。国で生きていけなくなったような人達が、何人もこの島に辿りついていた。
ここは最果ての島。

俺「今日は海に行こう」

彼女『あおいhぐぉjgふぁ』

彼女は嫌々と首を横に振る。

『だって』

俺「貧 とか言わないからさ」

彼女は嫌々と首を横に振る。

『きっと怖がるから』

しっかりとした字で書かれていた。

642: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:51:13.34 ID:gK2akfY0
196

--南の島--

俺「ただいま、今日は魚を……どした?」

俺達が住んでいる家が、誰かが暴れたように荒らされていた。そして彼女が部屋の隅でうずくまっている。
その瞳は涙で濡れていて……俺を睨んでいる。
そして部屋の中には少量の血が点々と。

俺「何か……あった?」

彼女「……うああああああああん!!」

彼女がまた泣いた。

643: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:58:07.87 ID:gK2akfY0
197

--南の島--

俺「う……ん?」

朝目を覚ますと、目の前に彼女の顔があった。

彼女はふとんから降りると、ぺこりと頭を下げた。

俺「え?あ、あぁおはよ」

彼女はさらさらと紙に何かを書いている。

俺「ふああ……どしたの」


彼女「……あhg」









『いままでありがとうございました。もうじゅうぶんです。ころしてください』

644: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/08(月) 23:59:42.74 ID:gK2akfY0
198

--南の島--

俺「そんなことできるはずがないだろ……俺は君を……」

彼女「……」

『私はもう魔王なんだよ、今はかろうじて理性を保っているけどいつまで続くかはわからない』

俺「魔王は……生きていちゃいけないのか?」

彼女「!!……」

さらさら

『なんとなくだけど、わかるの、もうあと数十年もすれば、新しい勇者がくる』

俺「ならそいつを俺が倒すよ」

彼女「!?」

さらさら!!

『無理だよ!!すごく強い!!絶対に勝てない!!』

俺「……俺は」


①君を護る勇者になる

③君のための勇者になる

651: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/09(火) 00:24:01.63 ID:vC.oHh20
199

--南の島--

②君とずっと一緒にいたいから

彼女「……やめてよもう」

俺「!?……え、喋れて」

彼女「みんなみんな、諦めたのに……」

俺「……全て君のせいにしてごめん……でも昔も今も、これからも……俺の生きる理由なんだ」

彼女「……うぅ」

俺「魔王、君が好きだ」

彼女「う……すん……私も……貴方が好きです!!」



俺「これを……」

彼女「え?……これって……」

俺「あの後闘士の遺体を探しに行った時に見つけたんだ」

彼女「綺麗な……指輪」

俺「なんとなく……君に似合うかなっと思って……あ、拾い物ってとこには目をつぶって欲しいんだけどさ」

彼女「……ありがとう……これ……どの指にはめればいいの?」

俺「……この指」

656: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/09(火) 00:36:28.46 ID:vC.oHh20
200

--南の島--

嫁「ほら起きてよ」

俺「……んあ」

嫁「今日は闘士のお墓参りいくんだって言ってたのに!!なんで寝坊してんの!!」

俺「……だってさぁ」

嫁「……早く支度して/////」



あれからちょっとして、角を切った。
ちょっと血が出たけど、やっぱし邪魔なものだったし、町に買い物を行く時とか目立っちゃうし。


嫁「……どうかな」

俺「可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」

白いワンピースに麦わら帽子。季節はもう夏である。薬指の指輪が光って眩しい。いや嫁の笑顔のが眩しい。


角のせいかなんのせいかはわからないけど、もう嫁から黒いオーラを感じなくなった。
いわゆる……輝石?(指輪的な意味で)

やたらめったら厳しい人生だったけど、きっとこれからはその反動で幸せになれるに違いない。

嫁「じゃあ、行こう♪」

俺「まて、パッドはおいてけ」



               勇者募集してたから王様に会いに行った


 
                       完

680: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/09(火) 01:33:14.10 ID:vC.oHh20
                     予告1


79 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/02/23(火) 23:11:27.18 ID:uIY6QQw0
66

--西の王国--

勇者「私と踊子は確定だ。やっぱり同性が一人は欲しいからな」

踊子「はいお姉さま!!」

俺「ん、んんん……まぁそうかもしれないんだけど」

賢者「これは……なんか納得しがたい」

魔法使い「まwさwかwのwww」

闘士「お、おで」

勇者「そうだなぁ、じゃあ……」



①俺を置いていこう
②俺に残ってもらおう
③俺を追放する
④俺を野生に返す

681: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/09(火) 01:36:06.35 ID:vC.oHh20
                     予告2


364 :VIPにかわりましてGEPPERがお送りします [saga]:2010/03/03(水) 00:47:10.60 ID:zXCVVV60
33

--賢者の家--

2時間経過。

盗賊「……ふむ」

賢者「見終わりましたね」

盗賊「最後の俺のかっこよさは異常」

踊子「てっきりまた過去編でもやるかと思いましたが~」

盗賊「魔王の過去については番外編ss『俺勇者だけど魔王に求婚しにいくww(仮)』かなんかで語られるだろう」

賢者「……やっちゃう?」

716: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/14(日) 23:57:35.56 ID:.lbN/sQ0
199EX1

--南の島--

①君を護る勇者になる

彼女「……」

さらさら

『無理だよ。私を守ることなんてできない』

俺「そんなこと……やってみなくちゃわからない」

彼女「……」

さらさら……

『勇者は魔王を倒す存在にして、それ以外の価値を持たぬ者。勇者が魔王を護るだなんて、矛盾だよ……』

俺「そんな誰かが決めたことなんて関係無い……俺は君を」

さらさら

『やめて』

俺「……やめない。何度だって言う。俺には君が必要なんだ」

さらさら!!

『やめて!!もう聞きたくない!!』

俺「俺の目を見てよ!!俺は冗談で言ってるんじゃないんだ。君のことが好きなんだ!!」

彼女「やめろやめろやめろやめろやめろやめろオオおオオオオオオオオ!!!!」

俺「!!!!」

ガブシュ

717: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/15(月) 00:03:16.79 ID:clWE.uU0
200EX1

--南の島--

新勇者「やっと見つけたぞ、お前が魔王……だな?」

魔王「ヴヴヴ」

アァ、ヤットキタ。ニンゲンヲスクウモノ。ワタシヲスクウモノ。

新勇者「……見るからに化物だな。さすがはモンスターの親玉といったところか」

魔王「ヴヴヴ」

ナガカッタ。モットハヤクニキテホシカッタノニ。
デモコレデ

新勇者「魔王、世界の平和のために、覚悟!!」

コレデヤットオワルンダ……ヤット……カレノモトヘイケル……。

新勇者「あああああああああああああああああああああ!!!!」

アッタラマズ、ゴメンナサイヲシヨウ。
ウマレテキタコトニ。
ワタシナンカトシリアッテシマッタコトニ。
ソシテ……


BADEND

718: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/15(月) 00:09:15.53 ID:clWE.uU0
199EX2

--南の島--

③君のための勇者になる

彼女「……」

さらさら

『それは……ちゃんと意味を理解して言ってくれてるんだよね』

俺「……あぁ……」

彼女は……微笑んでいる。

俺「もう、俺に出来ることがそれしかないのなら……もう、苦しむ君を見たくないから……」

彼女「……」

『ありがとう』

俺はそっと、彼女の首に手をかける。

俺「……力不足で……ごめん。こんな形でしか助けてあげられなくて……ごめん。俺、」

彼女「……」

さらさら




『ごめんね』

719: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/15(月) 00:14:07.48 ID:clWE.uU0
200EX2

--南の島--

?「……」

男は誰かの墓の前で佇んでいる。
墓と言っても、どこかで拾ってきた石が土の上に置かれているだけの質素なものだ。

?「君の救った世界は……救う価値のあるものだったのかな……」

木漏れ日の中、彼は目を瞑る。

?「君はあれだけ辛い思いをして……それでも人のために戦って……その挙句に追い詰められて……」

男はしゃがみ込む。

?「……せめて……これからはゆっくりとおやすみ」

男は愛おしそうに墓石をなで、持ってきていた花を添える。

?「……君のいない世界で、俺は何をしたらいい?」

勇者になった男は力なさげに笑う。



TRUE END

735: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:05:39.49 ID:kjg1djg0


--西の王国--

勇者「じゃあ……盗賊を解雇する」

盗賊「!?」

賢者「まぁ……残念ながら妥当ですかね」

闘士「お、おで」

盗賊「えぇ!?」

勇者「これ以上男がいるとむさくるしくなっちゃうし、仕方ないでしょ?」

盗賊「そ、そんな理由で!?」

魔法使い「ざまぁwwwwww」

踊子「それじゃあさようならぁ先輩~」

盗賊「う、うそおおおおおおおおおおおお!?」

737: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:12:47.08 ID:kjg1djg0


--アジト--

三ヶ月後。

ガバッ

盗賊「はっ!はっ!はっ!………またあの時の夢か……」

?「ボス、うなされてましたが大丈夫ですか?」

盗賊「……あぁ、大丈夫だ。問題ない」

?「そう……ですかぁ。何かあったら私に言ってくださいね?……私ボスのためだったら」

盗賊「ん?何か言ったか?部隊長D」

?改め部隊長D「い、いえ、なんでも……」

738: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:18:43.06 ID:kjg1djg0


--アジト--

盗賊「それで何の用だ?次のアイテムの場所の目星でもついたのか?」

部隊長D「はい。例のアイテムの一つであるナイフ、それの所在地が判明しました。東の王国です」

盗賊「……それのどこだ」

部隊長D「ある資産家が運営している博物館です」

盗賊「……ふむ。あの、国宝級のアイテムばかりを展示しているところか」

部隊長D「資産家の所有する財産だけを展示しているようですが……」

盗賊「個人でとは恐れ入る。一体どうやって私腹を肥やしたのやら……」

部隊長D「だからこそ私達はやりやすくなるのですけどね」

740: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:28:25.81 ID:kjg1djg0


--アジト--

盗賊「しかしまたあの国とは……まぁあれだけの国だ。二つあったとしてもおかしくは無いか」

部隊長D「はい。あ、準備なされているということは」

盗賊「部隊長D、すぐに他の部隊長達を集めろ」

部隊長D「はい!」

741: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:32:03.64 ID:kjg1djg0


--アジト--

盗賊「第四部隊からの報告に目を通したな?」

部隊長B「うっわ。また東の王国じゃん。あそこ兵の質が違うんだよなぁ~……」

部隊長F「あそこにいくならワタシの部隊は必須ですなぁ」

盗賊「あぁ、今回東の王国に行くのは、1と3と6の部隊だ」

部隊長C「!!コーーーン!!また暴れられるコーーーーン!!」

部隊長A「……アイテムはあと3つか」

部隊長E「今回わたくしはお休みですか。いた仕方ありません。ボスの命令を聞くことこそが至上」

盗賊「ではすぐに準備しろ。夜には王国に着きたいからな」

部隊長D「はい!我らがボス、盗賊王!!」

部隊長B「……はりきってるところ悪いけど、第四部隊は今回お休みじゃね?」

742: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:41:36.39 ID:kjg1djg0


--死の砂漠--

ザザザ

盗賊王達は砂漠の上を船で移動している。

部隊長A「この調子だと夜のうちに着きそうだな」

盗賊王「あぁ」

部隊長A「……ふっ、本当は昼間に行けば剣豪と戦えたのに、なんて思ってたんだろう」

盗賊王「……思ってない」

部隊長A「嘘が下手だな。お前のことはギルドにいたころからずっと見てきたんだ。わかるんだよ」

盗賊王「……お前達西の王国に戻らなくていいのか?今頃復興で人手も足りない状況だろう」

部隊長A「あぁ、お前が危なっかしいマネをやめたら戻ってやるよ」

盗賊王「盗賊っていう職業上そんなのはありえないだろ」

部隊長C「なんか楽しそうな話をしてるコンね、おいらもまぜておくれコン」

盗賊王「西の王国には狐鍋というものがあってな」

部隊長C「コンンン!!??」

743: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:45:51.38 ID:kjg1djg0


--死の砂漠--

盗賊王「船は砂丘で見えなくしておけ。ここからは歩いていかないと見つかる」

部隊長F「それじゃあ、不可視の魔法をかけときますよぉー。うちの隊の人、よろしいですかぁあ?」

隊員19「はい、それじゃあ幹部の方々からかけますのでこちらへ」

盗賊王(別に俺はいらないんだがな)

744: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:50:00.14 ID:kjg1djg0


--東の王国--

東の兵士Z「ふああぁぁ、夜の見張りはつれぇなぁ」

東の兵士P「今代わったばっかりじゃねぇか。寝るなよ?俺だけが見張りなんてやだからな」

東の兵士Z「わぁかってるって……ん?」

盗賊王(気配だけで気付いたか……やるな)

盗賊王が見張りの兵士達を始末しようと城壁へ向かう。

東の兵士Z「……なんか外おかしくないか?」

東の兵士P「喋るな。さっきから俺も感じている」

東の兵士Z「まさか敵襲」

盗賊王「やはり東の兵は質がいい。よく訓練されている」

東の兵士Z、P「!?」

闇夜から聞こえる声に一瞬で身構える二人。だが

ザシュ

東の兵士Z「がっ!?」

盗賊王のナイフが二人の首をかき切る。

745: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 20:58:35.70 ID:kjg1djg0


--東の王国--

盗賊王「不可視の魔法が解けるまであと3分、だが王国の至る所にいる兵士達に気付かれるだろう、一刻も早く博物館へ急げ」

隊員達「はっ!!!」

部隊長C「ボス、それよりもおいらが反対側で騒ぎを起こして、兵士達を陽動したほうがいいんじゃないかなコン」

盗賊王「ん……」

隊員31「ひぃぃぃ!!それはぼくたちが危険だにょろおおお」

盗賊王「やめておこう。前回使った手が二度も成功するとは限らないからな」

部隊長C「そうだったのコン?前回はおいら連れてかれなかったからなぁ」

746: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:05:49.25 ID:kjg1djg0
10

--東の王国--

兵士N「……ん?」

盗賊王(あいつも気付いたか……足音も極力消してるんだがな……)

ドシュ

盗賊王のナイフが兵士Nの胸を貫く。

兵士N「ぐぶっ!?」

盗賊王「おい誰か、こいつをどっかに隠しとけ」

隊員10「了解であります」

???「ふっ……ふふふ!」

盗賊王「!!」

シャン

何かがものすごい速さで盗賊王の頭をかすめた。盗賊が身をかがめなければ確実に胴体は両断されていただろう。

盗賊王(斬撃か?いやそれよりも俺に感知されずにこんな近くにまで来ているとは)

???「貴様らか……一か月前にもこの国で盗みを働いた不届き者は」

盗賊王「……」(こいつまさか)

???「ずっと会いたかったぞ!!」

盗賊王「……剣豪」

747: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:11:34.49 ID:kjg1djg0
11

--東の王国--

剣豪「この前は用事でこの国にいなかった。そのことを一体どれだけ悔やんだかお前にはわかるまい」

盗賊王「……」

ジリ

剣豪「この国で盗みを犯せるような手練と、合いまみえることができなかったのだからな」

剣豪は少しずつ距離を縮めてくる。それと同時に不可視の魔法が切れてしまう。

剣豪「また来ると思っていた。そうだ、この日を何度待ちわびたことか。このために俺は夜行性になったのだからな!!」

盗賊王「……それは違うんじゃないか?」

748: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:18:38.19 ID:kjg1djg0
12

--東の王国--

剣豪「お前が見たところ頭のようだな……腕も立つ。いざ、勝負!!」

盗賊王「お前達は先に行け、あれを盗み出せ」

隊員10「は、はい!!」

剣豪「いや逃がさんよ」

ザブシュ

盗賊王「!?」

剣豪が振りぬいた刀に、かすりもしないほど離れた位置にいた隊員10が……斬られた。それも真っ二つに。

盗賊王(斬撃を飛ばした……?あの妙な剣には風属性でもついているのか)

剣豪「やれやれ、早くも手の内を一つ見せてしまった。あぁ、だが心配するな、お前にも何か一つ見せろと迫るわけではない」

盗賊王「……」

剣豪「俺にはそれだけあまりある実力があるからな」

749: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:26:32.96 ID:kjg1djg0
13

--東の王国--

剣豪「……」

盗賊王「……」

剣豪は下段の構えをしたまま少しずつ盗賊王との距離を縮める。
盗賊王は左手のナイフを前に出し、右手のナイフを後ろに下げた構えをとる。

剣豪「……ふぅむ」(できる。どうやらスピードではあちらのほうが上のようだな)

剣豪は、盗賊王の軸足への体重の乗せ方や筋肉の付き方を見てそう判断した。
何の確証もない、ただの勘である。

ただの一度も外れたことのない勘に過ぎない。

剣豪(様子見に撃っておくか)

剣豪は手首を捻り、切り返す。
すると

シャッ!!

目に見えぬ風の刃が盗賊王を襲った。

盗賊王「……」

盗賊王が何かを払うようなしぐさをする。ただそれだけでその攻防は終わった。

750: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:34:07.78 ID:kjg1djg0
14

--東の王国--

剣豪「!!」(こいつ、目に見えぬ風の刃に対応したか……しかも避けるでは無く斬りはらうとは……それもいともあっさりと)

盗賊王「……」

マジックドレイン。盗賊王の持つこのスキルは魔力を奪い取る。盗賊が盗む者は何も物だけでは無い、魔力もその範疇に含まれる。

盗賊王「……」

盗賊王は睨みあいの中で、右手でそっと地面に手を触れる。

剣豪(……罠か。目に見えぬ所を見ると魔法罠)

剣豪は大抵の魔法効果を低下させるアイテムを所有している。罠魔法などたやすくかき消してくれるだろう。しかし物には有限が付きまとう。もし何十個も罠を張り巡らされていては、さすがにそのアイテムでも持たないだろう。

剣豪(時間制限がついている分、やつのほうが不利だと思っていたが……早めに仕掛けたほうがいいか)

剣豪が刀の切っ先を相手に向ける中段の構えにした瞬間、

盗賊王「っっ!!」

盗賊王が剣豪に向かって駆けだした。

751: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:40:03.50 ID:kjg1djg0
15

--東の王国--

剣豪「ぬっ!!」(この一瞬をついてくるか!)

盗賊王の急接近に一手遅れてしまう。

剣豪「ちぇぇい!!」

剣豪は突進してくる盗賊王に突きを繰り出す。

盗賊王「っづ!!」

盗賊王は左手のナイフで突きの軌道を逸らすも左肩を斬られる。

盗賊王(完全な状態での突きじゃないはずなのにこの威力、逸らしきれなかった)

剣豪(交わした!!これはま)

ドシュ

盗賊王は右手のナイフで剣豪の右ひざを切り裂く。

752: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:46:34.73 ID:kjg1djg0
16

--東の王国--

剣豪「ぬぅぅっ!?」

ガクガク

盗賊王(剣豪の剣技には強烈な踏み込みを必要とするのか、この部分だけ異様に弱くなっている……)

剣豪はバランスを崩されて倒れ込もうとしている。

剣豪(勝機!!足のふんばりが無くとも、この刀の切れ味なら)

剣豪は倒れながら体を捻り、

剣豪「シャッ!!」

盗賊王の首筋目がけて刀を振るう。

753: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 21:56:39.00 ID:kjg1djg0
17

--東の王国--

剣豪「!?」

しかし剣豪の刀は空を斬る。そこにいると思った盗賊王は、既に数メートルの距離を置いていた。

剣豪「な、なぜ……」

ドサリ

剣豪(そこは追撃で勝ちを取りに来るところだろうに)

盗賊王「……俺は今回あんたと戦いに来たわけじゃない。アイテムを盗みに来たんだ」

剣豪「……足止めが目的だったと言うのか……俺は、俺は命をかけた仕合を!!」

盗賊王「あんたと殺す気でやったら俺は無事ではいられない。それならホームのあんたのほうが有利だろ」

剣豪「腰ぬけが……なら……どちらの利も無いところで……いつか」

盗賊王「……あぁ」

754: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:01:07.14 ID:kjg1djg0
18

--東の王国--

部隊長C「ボス、アイテム取ってきましたコン」

盗賊王「あぁわかった」

剣豪「はん……部下も優秀なようだな」

盗賊王「あぁ……じゃあな、東の王国3強のあんたと戦えてよかった」

盗賊王はそう言って仲間達と駆けていく。

兵士K「!!なんだ貴様ら!!」

部隊長C「また見つかったコン!!」

ドボッ

兵士K「ふんっぬ!?」

剣豪「ふん……盗賊の小僧、若いのにやるじゃねぇか……俺の息子もあんくらいになるかなぁ」

盗賊王「引き上げるぞ!!」



       勇者募集してたから王様に会いに行った・外伝
          盗賊だけど今日勇者に解雇された

757: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:16:19.52 ID:kjg1djg0
19

--砂漠の町--

部隊長C「いや~!今回も成功でお宝どっさりだコン!!しばらく団員のみんなも生活に困らないコン」

部隊長F「東の王国からそれほど離れてないのですからぁ、補給がすんだら行きますよぉ皆さん」

隊員A「失礼します!報告があってまいりました!!」

盗賊王「……どうした」

隊員A(生盗賊王様!)「は、はい、実はこの近くの第十二のダンジョンがあることが判明しました!!」

盗賊王「……」

部隊長A「だからなんだ?すでに盗賊王は一人で第十三のダンジョンを制圧してるんだ。今更興味はないだろう」

隊員A(す、すごい!!)「し、しかし、今そのダンジョンに潜っているのが勇者一行だということで」

盗賊王「!!」

ガバッ

758: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:22:21.26 ID:kjg1djg0
20

--砂漠の町--

盗賊王「案内しろ」

隊員A「は、はい!!」

部隊長A「行くのか?盗賊王」

盗賊王「……あぁ」

部隊長A「……そうか。部隊長C、支度しろ。俺らも行くぞ」

部隊長B「コン!!」

盗賊王「いい、お前らはここに残れ。東の王国の追手が来るかもしれない。その時は隊員を連れてアジトへ帰っとけ」

部隊長A「そんな役目、部隊長が一人残ってればこなせることだろ。ボスを一人で危険な所へは行かせられない」

部隊長C「負けるとは思ってないコン。でも万が一でも死なれては困るのだコン」

盗賊王「……信用がねぇな」

部隊長F「信用してるからこそですよ。わかりました。後はワタシが引き継ぎます。いってらっしゃいぃ」

部隊長A「……お前、サボりたいだけだな?」

760: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:27:27.43 ID:kjg1djg0
21

--第十二のダンジョン地下二十三階--

勇者「ふぅ、結構敵が強くなってきたな。みんな、大丈夫か?」

魔法使い「バリよゆーwwwww」

賢者「なんとか大丈夫です」

闘士「お、おで」

踊子「しかし最後のほうのダンジョンなだけあって、敵が強いですね~」

賢者「えぇ、明確に弱点属性で攻撃しないとろくに攻撃が入りませんからね」

勇者「え?そう?」

魔法使い「バリよゆーwwwww」

賢者「……勇者さんはごり押し安定ですね」

踊子「魔法使いさんも火力高いから、弱点である土属性以外には押せちゃいますしねぇ……」

賢者「盗賊君……今は何してるのかな」

761: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:33:18.61 ID:kjg1djg0
22

--第十二のダンジョン地下六階--

モンスターがあらわれた!!

モンスター「くしゃあああああ!!」

ミミズのようなモンスターが群れとなって襲いかかる。

盗賊王「……離れてろ」

部隊長A「了解」

盗賊が何かを呟いたかと思うと、周囲に無数の風の刃が出現する。

盗賊王「範囲殲滅、風属性レベル3」

ドシュドシュドシュドシュドシュ!!!!!

モンスター「きゅあああああああああ!!!!」

数十匹いたモンスター達は一瞬で肉塊へと変貌する。

部隊長C「いいのかコン?こんな出だしから大技使ってしまって」

ドスドス

盗賊王はモンスターの死骸にナイフを突き立てる。

部隊長A「マジックドレイン。これですぐさま魔力は満タン……か」

762: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:39:17.43 ID:kjg1djg0
23

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「……どうやらここが最深部のようね」

??「ふおおおふおおおお」

踊子「あれがここのボスですかぁ……なんかキモイですね」

賢者「魚っぽいような軽くジュゴンのような……でも水にいるわけではないし」

ニンギョ「うううううううううううううううううううううううううううう!!!!」

魔法使い「テラサイレンwwwwwwwwwwwww」

闘士「怖いの……苦手」

763: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:46:11.95 ID:kjg1djg0
24

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「先手必勝!!炎属性付与!!」

勇者は自分の大剣に炎属性をつけ、ニンギョに突進する。

魔法使い「先手必勝wwwwwwハイパーサンダーwww」

ビッシャアアアアアアアアアアン!!

ニンギョ「ああああああああああああああああああああ!!!!」

ニンギョは苦しみながら、闇に引きこまれそうな真っ暗な瞳で勇者一行を見る。

賢者「う!!」

人のような顔を持つニンギョの瞳には呪いの力があった。

闘士「う、うご……けない」

踊子「闘士さんはともかくとして、なんで魔法耐性が高いはずの賢者さんまで食らってるんですか!!……さては貴方も怖いの苦手なんですね」

賢者「うっ!?」

764: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:55:19.10 ID:kjg1djg0
25

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「いいいいいいいいいいいやあああああああ!!!」

勇者が剣を振りぬく。

ズバッ

ニンギョ「やああああああああああああああああああ!!!!」

ニンギョは斬られ焼かれて絶叫する。

勇者「う、ぐっ!!」

さすがの勇者もその絶叫には耐えられず耳を塞ぐ。

踊子「こ、これは辛いです!!頭が~!」

魔法使い「そうおん!wwwあwたwまwいwてwえw」

ニンギョ「あああああああああああああああああああ!!!!」

闘士「うぐ……」

ドサリ

闘士がいきたえた。

765: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 22:57:13.43 ID:kjg1djg0
26

--第十二のダンジョン地下三十五階--

踊子「あ、ありゃ闘士さんが死んでますね~……っつ!どうやらこれ、某ゲームで言うところの死の呪文みたいな感じなんですね」

賢者「らしいですね……あの目で動かせなくして呪言で殺す……というわけですか」

踊子「……賢者さん、親父ギャグですか?」

767: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:02:16.54 ID:kjg1djg0
27

--第十二のダンジョン地下三十五階--

ニンギョ「ああああああああああああああああああああああ!!!!」

踊子「てゆうかやばい!!これずっと聞かされ続けてるけど、すごくまずい気がします!!ぐんぐん命が減ってる気がします!!」

勇者「くっっ!!攻撃された痛みを跳ね返してるって感じだなこれは」

賢者「うううう!!か、回復持続!!」

賢者は勇者達に回復魔法をかける。

賢者「も、もっと早めに気付けていれば呪い無効の障壁を貼れたんですけど……ごめんなさいあとは」

ドサリ

賢者がいきたえた。

768: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:08:52.47 ID:kjg1djg0
28

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「!!どうしよう、もう一回攻撃して倒しきれなかったら……さらに強力に跳ね返されて全滅しちゃうかもしれない」

踊子「ぅぐうう!!!」

ニンギョ「ああああああああああああああああああああああ!!!!」

魔法使い「いつ息継ぎしてんだよwwwwwwwおg」

ドサリ

魔法使いがいきたえた。

踊子「……つ、積んだんじゃないですか?」

769: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:13:44.93 ID:kjg1djg0
29

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「くそ!!」(迷ってる時間が無駄だった!!どうせなら全員で攻撃するべきだったか!!)

踊子「ああ……ど、どうします?私もそろそろげ……限界なんですけど~」

ニンギョ「あああああああああああああああああ!!」

勇者「……奥儀を叩きこむ。攻撃力を上げてくれ」

踊子「わかりました~……」

しかし踊子の足はおぼつかず、満足に踊ることが出来ない。

盗賊王「……無様だな」

勇者「!?誰だ……」

ヒュッ

風のような速さで駆けてきた盗賊王は、

ニンギョ「ぎょあ?」

ザバシュ!!

ニンギョの首を切り裂いた。

770: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:18:30.53 ID:kjg1djg0
30

--第十二のダンジョン地下三十五階--

ニンギョ「あぽ8r4yhがじぇがうぇが!!!!」

首を切り裂かれたニンギョは声にならない悲鳴をあげ、血の海に沈んでいく。

ドズン

盗賊王「攻撃射程、攻撃力4段階上昇」

盗賊の右手で持っているナイフが風を纏った。その長さは3メートルに至る。

盗賊王「シッ!!」

ズブズブズブズブっ!!!!

ニンギョ「あおえうりhが9うぇりhがおうぇg!!!!」



勇者「……君は……盗賊?」

771: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:22:56.38 ID:kjg1djg0
31

--第十二のダンジョン地下三十五階--

盗賊王「……違う、俺の名は盗賊王だ」

勇者「!?……もしかして今世間を騒がしているのは……」

踊子「大泥棒さんじゃないですか。よくは知らないけど落ちましたね~」

盗賊王「ざけろ。お前らこそこんな雑魚一匹狩れんのか……人類最強のステータスを持っていながら不甲斐ない……」

踊子「ぴきぴき!!」

勇者「……王国には帰らなかったのか?」

盗賊王「あぁ、俺はまだ目的を果たしていないのでな」

勇者「目的?……」

盗賊王「……魔王討伐だ」

勇者「!?」

772: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:27:14.00 ID:kjg1djg0
32

--第十二のダンジョン地下三十五階--

踊子「……は、貴方なんかが魔王を倒せるわけないじゃないですかぁ~」

勇者「悪いことは言わない、魔王討伐は私達にまかせて君は王国に戻ってくれ」

盗賊王「……魔王の骨を知っているか?」

踊子「魔王の……骨?確か存在しないことの例えとして使われる言葉じゃ……」

盗賊王「魔王の骨は存在する。前魔王の骨がな……そしてそれは7つのアイテムに加工されて世界中に流れた」

勇者(そのために盗みを……)

盗賊「王冠、杖、指輪、ペンダント、目玉の置物、腕輪、ナイフ。そのうち5つは既に俺の手にある」

勇者「……それが本当だとして、そんなものを使ってどうしようって言うの?」

盗賊王「さっきから言ってるだろう、魔王を倒すのだ。魔王の骨から作った武器でな!!」

773: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:29:19.36 ID:kjg1djg0
33

--第十二のダンジョン地下三十五階--

勇者「伝説の言う通りだとするなら……それは確かに可能かもしれない……でも!」

盗賊王「ごたごたうるさいぞ。俺とお前達の戦いはすでに始まっている」

踊子「……」

盗賊王「先に魔王を倒したほうが勇者だ!」

774: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:34:51.03 ID:kjg1djg0
34

--第十二のダンジョン地下三十五階--

踊子(……絶対に無いとは言い切れない……今のこの人の戦闘力はあの頃とは比べ物にならない。伝説のアイテム、魔王の骨を全て集めた状態ならもしかすると……)

部隊長C「ぼ、ボス~早いコン~……亜人より早いってどんな構造してるコンか……ってあれ」

部隊長A「はっ、はっ……勇者一行か」

部隊長C「あれが勇者一行コン?……3人も死んでるし、よわっちそうコン」

踊子「はいぃ?どの口が言いやがりますかこの狐!!」

部隊長C「この口だコン」

ゾク

踊子「!?」

このフロアの入り口にいた部隊長Cは、踊子の後ろから声をかけている。

踊子(速い!!)

部隊長C「確かボスと因縁があるらしいし、おいらがここでヤッチャオウカコン……」

部隊長Cの爪がナイフ以上の長さに伸び始める。

775: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/20(土) 23:37:55.23 ID:kjg1djg0
35

--第十二のダンジョン地下三十五階--

盗賊王「やめろ。その必要はない」

部隊長C「そうコン?でもおいらもうちょっと暴れたいコン~」

盗賊王「アジトに帰ったら俺が相手になってやる」

部隊長C「……それは勘弁コン」

盗賊王「帰るぞ、用はすんだ」

勇者「ま、待て盗賊!!」

盗賊王「……今は盗賊王だ」

勇者「私は!!」

盗賊王「……透過魔法、インビジボォウ」

盗賊王の姿は消えてしまう。

勇者「っあ……」

隊員A「はっ、はっ!」(み、皆さん早すぎる!!)

793: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 21:39:48.21 ID:kryJqqU0
36

--アジト--

部隊長D「お疲れさまでしたボス!例のアイテム盗めたそうで」

盗賊王「……あぁ」

部隊長D「今、お飲み物をお持ちしますね、あ、それともお風呂の方がいいですか……あ……それとも」

盗賊王「茶」

部隊長D「は、はい!!////」

タタタタ

盗賊王(……)

795: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 21:46:09.60 ID:kryJqqU0
37

--アジト--

盗賊王「今回任務にあたった者、御苦労だった」

部隊長B「これで後二個だっけ?サクサクGETできてんなwww」

部隊長D「皆さんが東の王国に行っていた間に、私の部隊で調べてみたんですけど、残りの王冠と指輪の場所が特定できました……多分?」

部隊長A「確定じゃないのかよ……」

部隊長D「ただでさえ伝説のアイテム扱いなので、情報の真偽性が……まぁでも王冠はほぼ確定でいいと思います。王国の王様が被っているものだそうです」

盗賊王「……」

部隊長C「確かボスの故郷だコン?」

盗賊王「……指輪は?」

部隊長D「あ、はい。これがちょっと曖昧なんですけど、死の砂漠に誰も行ったことのないダンジョンがあるんだそうです。そこのボスが」

部隊長F「なんで誰も行ったことのないとか誰も帰って来た者はいない、とかの情報って存在するんでしょうかねぇ」

796: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 21:50:23.99 ID:kryJqqU0
38

--アジト--

部隊長E「しかしこのアジトがあるのも死の砂漠ですが見たことがありません」

盗賊王「場所はわかるのか?」

部隊長D「はい、今日偵察に行ってきた結果、どうもそれらしきダンジョンがあるそうです」

盗賊王「ふん……」

部隊長A「……どうするんだ?」

盗賊王「……よし、次の目的は指輪だ。2、4、5部隊、用意させろ」

部隊長E「!!はい!!わたくしの全てはボスの為に!!」

部隊長B「うぅーし!働いちゃうかぁ」

部隊長D「はい!!ボスのために!!」

盗賊王(なんでこいつら俺のことをボスって呼び始めたんだろう……)

797: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 21:59:24.06 ID:kryJqqU0
39

--アジト--

その夜。

部隊長B「しっかしお前さー働きすぎじゃない?俺達は入れ替わりでやってるから大丈夫だけどお前だけ続けっぱじゃん」

部隊長Bは酒の入ったグラスに口をつける。

盗賊王「俺は俺のやりたいようにやってるだけだ……」

部隊長A「ふ、本末転倒にならないようにな」

部隊長B「しっかしお前変ったよなー、ギルドにいた頃とはぜんっぜん!」

盗賊王「……かもな」

カラン

798: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:09:19.60 ID:kryJqqU0
40

--アジト--

部隊長D「ボスもきっと戦いばっかして疲れてるに違いない!……よ、よおおし今日は私がマッサージをしに……////」

部隊長Dは枕を持ってアジトを徘徊している。

部隊長D(ってあれ!?ボスの部屋の前に誰かいる!!)

盗賊王「……こんな夜中に何の用だ」

隊員A「あ、あのお疲れだと思いましたので、このハーブを是非ボスに……と」

盗賊王「ハーブ?」

隊員A「はい!このハーブは疲れにすごく効くと評判のハーブでして摘んでまいりました!」

盗賊王「……」

隊員A「……お気に召さなかったでしょうか?」

盗賊王「お前は確か、東の王国に行った部隊の隊員だったよな?帰ってきてばかりだと言うのに……」

隊員A「あ」(私のことを覚えていてくれたんだ……)

盗賊王「……ありがたくもらっとく。だが自分の体も気にしろよ」

隊員A「あ、ありがとうございます!!」

部隊長D「……ライバル?」

800: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:16:18.53 ID:kryJqqU0
41

--アジト--

盗賊王「よし、出発する。部隊長A、後のことは頼んだぞ」

部隊長A「任された」

部隊長D(あの女の子は今回の任務にはいないみたいね……うし!)

部隊長E「ボスの身の危険は全てわたくしが排除いたします。この身にかえてでも!!」

部隊長D(しまった……忠実な犬がいたか)

801: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:22:04.84 ID:kryJqqU0
42

--死の砂漠--

盗賊王「なるほど……ここか。確かに地下へと続く扉がある」

部隊長B「しっかし外あちいな。今回はダンジョンだから隊員は少なめにつれてきたけど、そんでも30人くらいいるぞ?どうするんだ?」

盗賊王「……ここはかなり強力な感じがする。俺と部隊長全員、それと回復系の隊員を一人選出して行こう」

部隊長E「回復系ならわたくしの部隊の隊員2がいいかと。回復、補助、状態異常治癒、対呪と一通りはこなせますゆえ」

盗賊王「よし、そいつを連れてく。後の隊員はここでテントを張って待機」

隊員2「どーもーっ!!隊員2でーす。よろしくおねがいしまーすっ!!」

部隊長D「……ライバル?」

802: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:27:40.39 ID:kryJqqU0
43

--隠しダンジョン--

モンスター「ぎょおおおおお!!!!」

盗賊王「!!?」

部隊長E「ボス、これは……」

盗賊王「……あぁ、ここにいるモンスターはボス級の戦闘力を持ってやがる」

隊員2「大丈夫っすよ!!ここはあたしが突破口を!!」

盗賊王「部隊長D、最短ルートを探せ」

部隊長D「了解です。たりらりら~~」

部隊長B「何度見ても占師っていう職業は胡散臭いよなwww」

803: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:36:01.33 ID:kryJqqU0
44

--隠しダンジョン--

部隊長D「失礼な!!私この方外したこと無いですよ!!」

ザシュ

モンスター「はあぁあむなあああぷあうううとらああああああああ!!!」

接近してきるモンスターの波を、盗賊王と部隊長Eが協力して倒す。

ズズン

部隊長E「ボスと共に戦える幸せ。至上の喜び!!」

盗賊王(……ケツは抑えておいたほうがいいのか?)

806: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:43:26.50 ID:kryJqqU0
45

--隠しダンジョン--

部隊長D「ダンジョン深部までの最短ルートがわかりました!!こっちです、ついてきて下さい」

部隊長Dは小さな通路へと走り出す。

盗賊王「わかった。部隊長E、お前は先頭に立って部隊長Dを護れ」

部隊長E「了解」

モンスター「じゅやああああああああああ!!!!」

ケンタウロスのようなモンスターが盗賊王達の後を追ってくる。

盗賊王「部隊長B」

部隊長B「あいよん」

部隊長Bは、全員が通ったことを確認すると振り返る。

モンスター「じゃわあああああああ!!」

部隊長B「ばいばい、地形変化レベル1」

部隊長Bが触れた壁は崩れ始め、

ズズウゥウン

モンスター「じゃわああああああああああてぃぃぃぃ!!!!」

モンスターを生き埋めにし、通路を塞いだ。

807: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:51:14.00 ID:kryJqqU0
46

--隠しダンジョン地下十二階--

ズズウゥウン

鷲男「……ん?」

犬娘「上で何かあったのかワン?」

鷲男「我々以外にもこのダンジョンに潜っている人達がいるのかもしれませんね……」

犬娘「え!?ここの存在を知ってるのは私達亜人だけじゃないんですかワン?」

鷲男「わかりません……最悪戦闘になるかもしれないですね。早く作業を終わらせてしまいましょう」

犬娘「合点承知ワン!!」

808: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:55:22.18 ID:kryJqqU0
47

--隠しダンジョン地下七階--

ニンギョ「ああああああああああああああああ!!!!」

盗賊王「!!こいつは」

隊員2「うっげぇー!?顔だけ人間みたいで気持ち悪!!」

盗賊王(第十二のダンジョンのボスと同じ……しかもざっと30体ってところか?)

ニンギョーズ『ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』

盗賊王「ぐううううううう!!!」

部隊長E「がはっ!!」

部隊長D「こ、これまずい!!」

部隊長B「おい!!最短ルートって道しか占って無かったなんてことないよな!?モンスターとの戦闘も考えた上でのルートなんだろうな!?」

部隊長D「……えへ☆」

隊員2「皆さん辛そうですね」

809: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 22:58:51.28 ID:kryJqqU0
48

--隠しダンジョン地下七階--

部隊長B「って、そこの女子、きつくねぇの??」

隊員2「へへっ、あたしよく人から、人の話を効かないな、って言われるんすよwww」

部隊長B「漢字的にも意味がわからない……」

盗賊王「音攻耐性か……」

隊員2「はいっ!」

ニンギョーズ『ああああああああああああああああああ!!』

隊員2「とりあえずあのやっかましいの、やっつけますね」

盗賊王「お前……回復タイプじゃないのか?」

隊員2「一応そうなってますけど、あたしが好きなのは戦闘なんす♪」

隊員2は背中に背負っていた可変式の弓を取り出す。

隊員2「職業的には狩人ってことになるんでしょうかねw」

隊員2は矢を持たず構える。

隊員2「氷矢精製×12、うおりゃっ!!」

ドドドドドドドドドドドド!!

ニンギョーズ『ぎゃあああああああああああああがあばおお』

ニンギョーズの顔に着弾した氷の矢は、口周りを凍らせていく。

810: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:06:59.93 ID:kryJqqU0
49

--隠しダンジョン地下七階--

部隊長B「ひゅー♪やるねぇww口が凍ってちゃ歌えないわな」

ニンギョーズ『ああああああああああああああああ!!!!』

隊員2「ってまだいっぱいいる。おりゃおりゃ!!」

ドドドドド!!!

次々にニンギョは隊員2の氷の矢によって凍らされていく。

部隊長D「うぅぅ……あの子は活躍しているというのに、私はまたヘマを……」

811: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:11:14.70 ID:kryJqqU0
50

--隠しダンジョン地下七階--

ニンギョーズ『ああああああああああああ!!!!』

部隊長B「っていっこうに終わらないんですけどーーー!?」

隊員2「はっ、はっ、おかしいですね……凍らせるそばから復活してきちゃって……」

盗賊王「……っ」(思った以上の威力だ。あの時をはるかに超えてやがる……これ以上はまずいな)

部隊長E「ボス……わたくしが特攻をしかけます。ボス達はそのうちに」

盗賊王「……いや、俺がやる」

盗賊王は腰のポーチから骨で作られたナイフを取り出した。

部隊長D「!!ボス、それは!!」

盗賊王「隊員2、どけ」

隊員2「へ?」

ドスっ

盗賊王は自分の左手にナイフを突き立てた。

812: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:28:34.26 ID:kryJqqU0
51

--隠しダンジョン地下七階--

隊員2「えええええええええ?自傷癖!?」

部隊長D「違います!!ボスを変 みたいに言わないで!!」

盗賊王「うっぐっ!!」

盗賊王の左手の周囲に黒いオーラが現れる。

部隊長B「!!」

盗賊王「……っは」

ニンギョーズ『ああああ、ぎょ、あがああああ』

ニンギョ達はそのオーラを見ておびえ始める。

盗賊王「……おびえるか。そりゃそうだな。この力は……魔王のだからな!!」

813: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:32:46.12 ID:kryJqqU0
52

--隠しダンジョン地下二十八階--

ゴゴゴオオオオンン

犬娘「ぴっ!?ま、まただワン。やばいワン!!盗掘者だワン!!テロだわん!!」

鷲男「……」(今一瞬……何かが心の中を渦巻いたような……)

亜人兵A「下へ通じる道を見つけました!!」

鷲男「……これは本当に急いだ方がよさそうですね」

814: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:35:41.02 ID:kryJqqU0
53

--隠しダンジョン地下七階--

盗賊王「はっ、はっ、はっ!!」

部隊長D「……すごい……あの数を一撃で……」

部隊長B「おい、大丈夫かよ盗賊王!!」

盗賊王「ん、わからん」

部隊長B「わかんねぇのかよ!!」

ズブっ

盗賊王は自らの腕からナイフを引き抜く。

盗賊王(これ一個でもこの破壊力……そしてこの反動……七個同時に使ったら俺は……)

隊員2「かっかかかかかかっこいいいいいいいいいいいいい!!!!」

815: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:40:29.98 ID:kryJqqU0
54

--隠しダンジョン地下十階--

隊員2「はぁ、めっちゃかっこよかったですねボスww」

部隊長B「あ?俺の方がかっこいいだろ」

隊員2「あたし強い人に弱いんですよぉww」

部隊長B「お前それは俺が弱いっつってんだよな……?幹部に向かって言うじゃねーの」

部隊長E「大丈夫ですかボス、わたくしめが背負って移動しましょうか?」

盗賊王「いらん」

部隊長D「……このパーティ競争率高すぎる……」

816: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:43:20.54 ID:kryJqqU0
55

--王国、王の間--

受付「これが先日に起きました、東の王国での事件です」

王様「うむぅ……またあの盗賊団か……」

受付「徐々に勢力を拡大していますね。トップの思想はわかりませんが、独立国を作ろうとしている、という噂まで流れております」

王様「……あまりに大きくなりすぎたな。そろそろ手を打たねばならないようだ。受付」

受付「は!」

王様「久しぶりにお前の本職だ。砂漠の風のトップを殺ってこい」

受付「仰せのままに。我が主」

817: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:46:42.43 ID:kryJqqU0
56

--隠しダンジョン地下三十二階--

部隊長B「奥儀生き埋めwwなーんつって」

部隊長D「あなたはアホですか!!周りを考えずにダンジョンを崩しまわって!!」

部隊長E「わたくしのボスに傷をつけたら、あなたの命を代わりにもらうところでした」

部隊長B「な、なな!!ひでぇ!!せっかくドラゴンの群れをなんとかしたっていうのに!!お前からも行ってくれよ盗賊王!!」

盗賊王「……出口は潰しちゃダメだろ」

隊員2(つ、つよい……やっぱり幹部クラスは違う……幼生体とは言えドラゴンの群れを……)

818: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:48:39.72 ID:kryJqqU0

57

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「!?」

鷲男は何も無い空間を振りむく。

犬娘「どうかしたんですかワン?」

鷲男「……早い。もう追いつかれるのは時間の問題か」

犬娘「あー……まじですかワン」

鷲男「亜人兵達よ!!先へ行け!!一刻も早く王の命を果たしてきなさい!!」

亜人兵V「鷲男様達はどうなされるんで!?」

鷲男「私と犬娘はここで迎え撃ちます」

819: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:51:36.28 ID:kryJqqU0
58

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長B「……段々息苦しくなってきたね」

部隊長D「貴方のせいです!!」

部隊長B「そんくらいで変わるのかなぁ~~」

部隊長E「しっ、静かに」

盗賊王「モンスターか?」

部隊長D「え?ここにはいない筈なんですけど……あ」

部隊長B「どしたのよ」

盗賊王「……亜人か」

鷲男「……」

820: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:55:06.63 ID:kryJqqU0
59

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「部隊長B、D」

部隊長B「おう」

部隊長D「はい」

盗賊王「上の階に一旦戻って違う所から降りてこい」

隊員2「あれ?でも上の階とこの階をつないでる階段て一つしかないんじゃ」

部隊長B、D「了解」

二人は上の階へと駆けていく。

盗賊王「部隊長Eは俺とこい。隊員2は隙を見てあいつらを突破しろ」

隊員2「りょ、了解です!」

821: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/21(日) 23:58:40.31 ID:kryJqqU0
60

--隠しダンジョン地下四十七階--

ザっ

盗賊王達は階段の影からフロアへと歩いていく。

鷲男「!!」

盗賊王「……」

犬娘「あれ?この人どっかで見た顔だワン」

鷲男「忘れたんですか?二カ月前に我が南の王国に来て、こともあろうに国宝を盗みだした盗賊です」

犬娘「あ!!広場の鷹王様の像の杖を盗んでいったやつだワン!!」

部隊長E「ただの盗賊と一緒にしないで頂きたい。このお方は全てを統べる盗賊王様だ」

犬娘「はんっ、夜中にこそこそ盗みに来たやからが何をいってるんだワン!!」

鷲男「あの時は出し抜かれてしまいましたが、今度は逃げられませんよ!?」

盗賊王「逃げる?……自分の命の心配してろ」

ドゴオン

鷲男「!!??」

真上の天井が爆発する。

部隊長B「うおりゃああああああ!!」

床をぶち抜いて落ちてくる部隊長BとDの奇襲に、亜人の二人が咄嗟に身構える。

部隊長E「×××」

ザブシュ

822: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:02:26.93 ID:TA7JItY0
61

--隠しダンジョン地下四十七階--

たった一瞬気を取られたことにより、

犬娘「っっがは!!」

部隊長Eによって、犬娘の腹部がかき切られてしまう。

鷲男「!?」

それを見た鷲男は一瞬動揺するが、頭上から飛来する二人の攻撃を避けるために横に羽ばたいた。

部隊長D「っ」

落下中の部隊長Dは、上の階にまで繋がっている紐をひっぱる。

ドオン

鷲男「なっ!?」

すると何かがさく裂し、鷲男が回避した先に岩のシャワーが降り注ぐ。

バチィ

鷲男「っぐ!!」

さらに、回避も防御もさせまいと、魔法罠が鷲男の体を捕える。

盗賊王「お前なんかが守護隊長とは、南の王国も終わりだな」

鷲男「っっ!!」

盗賊王は、鷲男を横目で見ることすらしない。

ドゴオオオン!!

823: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:06:49.73 ID:TA7JItY0
62

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長E「ボス、こいつはどうしますか?」

犬娘「ひゅー……ひゅー……」

犬娘は中身のこぼれた状態で羽交い締めにされている。

盗賊王「……いらん」

部隊長E「了解」

ドシュ


ドサ

盗賊王「先行は……ってまだいたのか隊員2」

隊員2「隙を見てって……い、一瞬で全部終わってるじゃないですか!!」

部隊長E「はっはっはっwwまだ甘いなぁ隊員2はwwこれだから……落下の時、挫いたから回復やってくんね?」

隊員2「……はい」

ガラガラガラ!!

部隊長D「!!」

鷲男が岩をはねのけ再び姿を現す。

鷲男「はぁっー!はぁっー!」

盗賊王「……しぶといな」

824: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:11:32.86 ID:TA7JItY0
63

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「よくも……同胞を……まるでゴミのように」

部隊長E「ここはわたくしがやります」

盗賊王「……いやいい。そう言えばこいつと戦ったことは無かった。俺がやる」

部隊長D「でしたら!」

盗賊王「部隊長B、D、E。お前達は先に進んでこいつらの仲間を始末しろ」

鷲男「っ!!」

部隊長B「了解~」

部隊長D「うぅ……了解です」

部隊長達は階段を駆け下りていく。

隊員2「あたしはどうしたらいいんですか?」

盗賊王「俺の横で見てろ。死体見たぐらいでぶるってるようじゃやってけないからな」

隊員2「あ、う」

825: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:14:48.48 ID:TA7JItY0
64

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「はぁーっ!はぁーっ!」

盗賊王「満身創痍だな。すでに」

鷲男は拉げた槍を捨て、腰に差していたナイフを取る。

盗賊王「……亜人らしくないな。そんなに武器を持ってる亜人を見たのは始めてだぞ……己の体に自身を……じゃなかったか?」

鷲男「勝つためにはどうでもいいことだ」

鷲男は地を駆け、盗賊王にナイフを振るう。

鷲男「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

盗賊王「その手じゃ武器はもちづれぇだろ」

ギィン!!

盗賊王のナイフと空中でぶつかり火花を散らす。

盗賊王「ナイフはそうじゃない」

シュカ

鷲男「っっ!!」

鷲男の胸の毛がパラリと飛んでいく。

盗賊王「こうだ」

826: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:18:15.30 ID:TA7JItY0
65

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「っっ!!すまぬっ!!」

盗賊王「?」

鷲男の潰れた翼から、一本の羽根が射出される。



盗賊王「どういうことだ」

いともたやすく盗賊王は回避する。が、

バスッ

隊員2「!!」

後方にいた犬娘の死体に命中する。

盗賊王「……?……ネクロか」

犬娘『ああああああああああああああはっはっはっ!!!!』

馬鹿でかい奇声と共に飛び起きる犬娘。傷は一切修復されず、さながらゾンビのような井出達で。

盗賊王「そこまで肉体派のくせに職業はネクロマンサーだったのか……」

鷲男「私は、我ら虐げられし者達のために、あえて同胞の死体を弄ぶ外道となろう!!」

827: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:21:17.47 ID:TA7JItY0
66

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「隊員2、その死体はまかせたぞ」

隊員2「えぇ!?あ、あたしがこれやるんですかぁ??」

犬娘『きしゃあああああ』

隊員2「きしゃああああとか言ってるんですけど!!すごく怖いです!!」

盗賊王「化物より人間のほうがよっぽどこええよ」

鷲男「……お前達の目的はなんだ。何のためにここへ来た?」

盗賊王「今更それを聞くのか?」

鷲男「……」

盗賊王「時間稼ぎか……なんにせよお前には関係ない」

トッ

盗賊王は目にもとまらぬ速さで鷲男へ突進する。

鷲男「ぬっ!!」

ギィン!!

盗賊王「ナイフは一本じゃないぞ?」

ブシュッっ

828: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:26:05.61 ID:TA7JItY0
67

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「っっ!!ぬわあああああああああああ!!」

盗賊王「!?」

バギっ

振り払った腕にあたり、盗賊王ははじかれる。

盗賊王(中々しぶといな。まるでうちのとう……っち!)

犬娘『きしゃああああああああああああ!!!!』

隊員2「怖い怖い怖い怖い怖い!!!絶対ホラーゲームと勘違いしてるでしょ!!」

隊員2が撃ち放つ氷の矢を悉く避ける犬娘。

隊員2「ああぁあやだあもうう!!もう当分ソーセージ食べれないぃぃ!!」

829: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:29:39.88 ID:TA7JItY0
68

--隠しダンジョン地下四十七階--

ギィンっギギンっ、ブシュッ

鷲男「ぬあっ!!」(さっきより攻撃が激しくなって!!)

盗賊王「っっっ!!」

鷲男は盗賊王が懐に飛び込んできたところを、

鷲男「はあああああああああ!!」

盗賊王「!!」

ゴッっ!!!

膝蹴りでカウンターを見舞う。

盗賊王「う、っぐ!!」(ガードの上からでも決定打になりうる!!)

鷲男「っ!!」(いける!!僅かだが攻撃が単調になっている!!)

830: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:31:48.22 ID:TA7JItY0
69

--隠しダンジョン地下六十九階--

部隊長D「ふぅっ、こっちは終わりましたけど、皆さんはどうですか?」

部隊長B「君がビリ♪」

部隊長E「のろまですね」

部隊長D「っな!!」

部隊長達の周囲には、20人強の亜人達の死体が転がっていた。

部隊長D「……はぁ、まぁそれはいいとして、この後どうしますか?どうも次が最深部らしいのですが」

部隊長E「ボスの命令は亜人の仲間を始末しろとのことです。ボスの命令が絶対にしてボスの命令が全てです」

部隊長B「日本語不自由だな……つまりもう俺らの仕事が終わったからボスの元へ戻ろうってことか?でもよ、命令以上のことをしなきゃ社会人として失格だぜ?」

部隊長E「……!!」

部隊長D「でもこの下にいるダンジョンボスは私達だけじゃきついと思うの。ここは一旦、」

部隊長E「ボスのためにダンジョンボスを倒して指輪を手に入れよう」

部隊長B(こいつは簡単だな……)

831: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 00:33:46.71 ID:TA7JItY0
70

--隠しダンジョン地下七十階--

部隊長B「!!……なんっじゃこりゃ」

部隊長D「すごい……フロア全体が緑色に光っている……綺麗」

部隊長E「ダンジョンボス……ダンジョンボス……ドコナノー……」

???「人の子らよ……」

部隊長D「!?なにこれ……靄みたいなのが」

部隊長B「ん?……確か絵本で見たことがあるな……天使だったか?」

???改め天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

849: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 21:56:46.15 ID:TA7JItY0
71

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「風属性付与レベル2」

盗賊王は風をナイフに宿らせて斬りつける。

鷲男「炎属性魔法レベル3!!」

盗賊王「っ!!」

ボオオオオオンン!!

接近する盗賊に向けて鷲男は炎弾を放つ。風に触れた炎は勢いを増して、フロア全体が炎の海と化す。

鷲男「私の属性と相性のいい風だったとは……」(勝ちが見えた!!)

盗賊王「っ……」(風の魔法じゃ炎を相手にするのは……)

隊員2「あああっついいい!!!!範囲攻撃氷属性レベル2!!」

隊員2の放った氷魔法によって、フロア一帯が氷漬けになる。

バッキャアン!!

盗賊王「ぬ?」

鷲男「足が!」

犬娘『きしゃあああ?』

隊員2「……あ」

全員の足が凍りついてしまった。

850: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:01:32.30 ID:TA7JItY0
72

--隠しダンジョン地下四十七階--

犬娘『きしゃあああああああああああ!!』

バキィン

犬娘は何も気にしないとばかりに、自分の両足首を切り離す。

隊員2「……え」

犬娘『きしゃっきしゃっきしゃっ』

氷上で唯一自由の身となった犬娘は隊員2へ近づき始める。

隊員2「いやああああああああああああああああああああああ!!」

盗賊王「魔法を解除しろ!!」

隊員2「は!!」

盗賊王の声が耳に入り、正常な思考が戻りだす。

隊員2「はい!!」

バリィィン

隊員2は自分の魔法を解除すると、全ての氷が砕けた。

隊員2「すいませんっ、取り乱してしま……」

隊員2が盗賊王の方を振り返った時、肉の焦げる匂いがした。

851: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:09:03.71 ID:TA7JItY0
73

--隠しダンジョン地下四十七階--

ブスッブス

隊員2「ぼ、ボス!!」

身動きのできない状況で、盗賊王は鷲男の炎魔法で攻撃され続けていたのだ。

盗賊王「……中々粘るじゃねぇか。瀕死かと思ってたのによ」

鷲男「ふん」(人間の精神とは本当にふり幅が大きいですね……)

隊員2「回復氷属性レベル3!!」

鷲男「犬娘!!」

犬娘『キッシャアアアアア!!』

隊員2「!?」

盗賊王に回復魔法をかけようとした隊員2は、犬娘に飛びかかられて倒される。

隊員2「うわ!!」

852: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:14:58.30 ID:TA7JItY0
74

--隠しダンジョン地下四十七階--

犬娘『きしゃっきしゃあああああああああああ!!』

隊員2「んああああ!!い、いい加減に!!」

投げ飛ばそうとするも、さすがに亜人の力には勝てず押し込まれる。

隊員2「あくっ!!」

犬娘はその牙を光らせ、隊員2の喉元に食らいつこうとする。

隊員2「やだああああああああ!!!!」

853: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:22:12.27 ID:TA7JItY0
74

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長E「ボスー!!!」

隊員2「!?部隊長達、引き返してきたんだっ!!」

ドッゴオオン!!

部隊長B「おい盗賊王!こいつはやべぇぞ!?ってお前!!」

盗賊王「……?」

盗賊王の焼け焦げた姿を見てぎょっとする。

部隊長B(あいつがこんなにダメージ受けてるなんて初めて見るぜ……)

部隊長D「きゃああああ!!ぼ、ボスが!!」

鷲男「ち、もう引き返してきましたか」

その三人の後ろから、何かがすごいスピードで

ドオオン

部隊長B「もう追いついてきやがったか!!」

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」


854: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:23:07.17 ID:TA7JItY0
上75です。ごめんなさい。

855: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:27:58.45 ID:TA7JItY0
76

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「!?」(これが50年前の……)

盗賊王「……こいつがダンジョンボスか」

部隊長E「こいつはわたくしがおさえます。部隊長Dは盗賊王の回復を!」

部隊長D「はい!!」

隊員2「だ、誰でもいいからこいつなんとかしてくださーい!!」

部隊長B「あん?……お前まだこんなのと遊んでたのか」

部隊長Bはそのままの勢いでドロップキックをくらわした。

犬娘『ぎゃんっ!!』

部隊長B「?あれ?そういやこいつ止め刺した気がしたけど」

隊員2「あ、ありがとうございます。あの鷹みたいな亜人がネクロマンサーだったらしいんすよ」

部隊長「まじか。だてに南の王国守護隊長はだてじゃねぇってか」

856: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:35:18.97 ID:TA7JItY0
77

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長B「部隊長D、お前よりこいつのが回復うまいんだろ?お前は犬亜人のネクロ解除しな」

部隊長D「え!?でもボスのほうが……いや、そっちのほうが確かに効率的ですね。まかせましたよ!隊員2!!」

隊員2「あ、はい!!」

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

部隊長E「同じことばかりしつこいですね。わたくしの望みは盗賊王様の願いが果たされること!!」

天使「……不合格」

天使の瞳が光り、レーザーが発射される。

ビュウン

部隊長E「……っ!!」

857: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:39:50.83 ID:TA7JItY0
78

--隠しダンジョン地下四十七階--

鷲男「……」(今は下手に動けない……いや、なんとしてもここで砂漠の風のトップを落とすべきですね!!)

鷲男はナイフを持つ手に力を込め、盗賊王に向かって疾走する。

ギィン

部隊長B「おっと、お前の相手はしばらく俺がやってやんよ」

鷲男「!!……どいてください」

ドッ

部隊長B「っと!やるなぁ!!最初から1対1だったらやばかったかも」

隊員2「すいませんっ!!あたしのせいでっ、回復魔法レベル3!!」

隊員2は盗賊王に回復魔法をかける。

盗賊王「……お前のせいじゃない」

858: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:45:41.98 ID:TA7JItY0
79

--隠しダンジョン地下四十七階--

犬娘『ぎゃわああ!!きしゃあああああ!!』

部隊長D「はいはいおとなしくしてくださいね。えーとヨリシロは……あった、この羽根ですね。えいっ」

犬娘『ぎぃっ!……ぎ』

体に刺さっていた羽根を取られた犬娘は、元の動かぬ死体へと戻る。

ドサっ

部隊長E「……が」

部隊長D「!?」

部隊長Dの目の前に落ちてきたのは部隊長E。左半身のほとんどが吹き飛ばされていて、見るに堪えない。

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

859: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 22:52:18.93 ID:TA7JItY0
80

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長D「っ!!」(このダンジョンボス、さっきから同じ質問ばかりしてくる……返答がキーになってるのかしら。ということは返答次第でやり過ごすことが出来る?)

天使「汝ら、」

部隊長D「わ、私は」


鷲男「ふううううっ!!」

ギィン!ドガっ!!ドッ!!

部隊長B「っづうう!!」(こいつ、蹴りも殴打もすげぇレベルだ!!致命傷に近いダメージ食らってるはずなのによぉ!!)

隊員2(私の魔力全部使い果たしてもいいから、早く、早く!!)

盗賊王「……もう十分だ」

隊員2「!?そんな、まだ半分も」

盗賊王「今動かないと全滅する」

天使「不合格」

ビュウン

部隊長D「きゃああああっ!!」

861: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:02:12.15 ID:TA7JItY0
81

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「隊員2、お前はあの二人を修復できるように待機してろ」

隊員2「っ……わ、わかりました……でも!死なないでください!!」

盗賊王「死んだら蘇生魔法がある……便利だな」

部隊長B「言ってる場合か!!ごふっ」

部隊長Bは鷲男のスピニングバードキックで吹っ飛ばされた。

隊員2「赤フン」

862: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:09:06.82 ID:TA7JItY0
82

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長D「ボス……ごめん……なさい」

盗賊王「よくやった。後は安心して死んどけ」

部隊長D「……はい」

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

盗賊王「……」(部隊長D、Eの戦いを見た限りでは、不用意に返答するのはまずいな……なら)

ヒュッ

盗賊王「!!」

盗賊王の攻撃が天使の体をすりぬけてしまう。

盗賊王(実態が……無い?)

天使「不合格」

天使の顔が盗賊王を捕える。

863: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:13:52.73 ID:TA7JItY0
83

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「っ!!」(無言も返答か!)

盗賊が振り向くより早く、

ビュウン

隊員2「ボスーーーーーーーーーーー!!!!」


どじゃああああああん!!!!






盗賊王「!?」

何かが盗賊王への攻撃を弾いていた。

864: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:17:33.75 ID:TA7JItY0
84

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「これは……」

ペンダントが宙に浮き、天使のレーザーを弾いている。

盗賊王「!!」

盗賊王は自分のポーチの中を探す。

……無い。

盗賊王(やはりこれは……魔王の骨!)

天使「……」

天使は攻撃をやめる。

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

865: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:22:02.00 ID:TA7JItY0
85

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王(一回の質問に対して一回しか攻撃してこないのか……)

天使「汝ら」

鷲男「南の王国亜人王の意志をそなたに伝えたい!!」

盗賊王「!?」

部隊長B「あー……わりぃ負けた」

盗賊王(あいつ、何かを知っている?どうする、邪魔するかやらせてみるか)

天使は興味を示し、声のする方へと首を向ける。

867: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:28:15.81 ID:TA7JItY0
86

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王(……いや、様子を見てよかったことなどない!!ここは)

部隊長B「ギャルの    おくれー」

天使「……ある意味ごうか……不合格」

ビュウン

部隊長B「あうちっ!!」

鷲男「……壮絶な最期ですね」

869: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:33:09.78 ID:TA7JItY0
87

--隠しダンジョン地下四十七階--

部隊長B「ぼろぼろになりながらも時間稼ぎとかしちゃう格好良すぎる俺様……がく」

鷲男「馬鹿なことを……」

盗賊王「!!」

視線を戻した先には盗賊王がいた。

鷲男「なっ!!」

ズブブブッシュ!!

盗賊王の二本のナイフが、両方とも鷲男の喉を突き破る。

鷲男「ぉrtお48g98gh39!!」

ガシッ

鷲男は朦朧とした意識の中で、盗賊王の首を絞めにかかる。

盗賊王「ぐげっ!!」(コイツ……!!)

天使「汝ら、そなた達は何を求める?」

870: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:43:03.55 ID:TA7JItY0
88

--隠しダンジョン地下四十七階--

盗賊王「っげっげぎっ!!」(早く、早く落ちろ!!)

鷲男「ごぼっごぼぼりhg!!」

ギュッギュギュギュ

盗賊王「だっ」(ま、まずい、指に力がはいら)

ドシャっ

鷲男の両手は隊員2の氷の剣によって切り離される。

隊員2「大丈夫ですか!?ボス!!」

盗賊王「げほっ!!がっは……あぁ」

天使「不合格」

ビュウン

871: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:49:25.97 ID:TA7JItY0
89

--隠しダンジョン地下四十七階--

バッシイイイン!!!

隊員2「きゃっ!!」

盗賊王「……大丈夫だ。これが護ってくれる。こいつの攻撃は、ぐっ!!」

隊員2「ボス!?」

盗賊王「……なんでもない」(頭の中が血の匂いで一杯になっていく……?これは)

盗賊王はむせながらポーチから本を取り出す。

盗賊王(いや、今はこいつを攻略することが先だ。天使について、この鷲亜人が何かを知っているのなら……過去を読む)

872: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:53:49.91 ID:TA7JItY0
90

--死の砂漠--

隊員34「遅い……やっぱりこれは遅いぞ!!ボス達に何かあったんじゃ!?」

隊員50「うん……でもボスの命令はここで待機しろとのことだろ?」

隊員11「でもあの人に何かあったら!!何かあってからじゃ遅いんだぞ!!」



隊員13「!?待って!!扉が!!」

ズズウズズン

隊員27「ボス!!!!皆さんもご無事で!!」

盗賊王「……無事じゃねぇ、こいつらを早く蘇生してやってくれ」

盗賊王は担いできた三人を砂の上に下ろす。

隊員2「あ、あたしもやります!」

盗賊王「お前は休んでろ……よくやった」

隊員2「いえ!やらせてください!!……あたし何もできなかった……!!」

盗賊王「……」

873: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/22(月) 23:58:04.71 ID:TA7JItY0
91

--死の砂漠--

隊員67「それでボス、アイテムは入手できたんですか?」

盗賊王「……」

ポス

盗賊王は指輪を投げて渡す。

隊員54「!!やりましたね!!これで残るはあと一つ!!」

盗賊王「……あぁ。王国……か」

盗賊は夜空に浮かぶ月を眺める。



そんな盗賊王達を離れた位置から見つめる影が一つ。

受付「……」

874: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:03:12.64 ID:1CDJKpI0
92

--第十三のダンジョン地下五十階--

勇者「どうだ?いたか?」

賢者「いえ、本当にいないみたいですね」

踊子(ダンジョンボスがいない?……ラストダンジョンだと言うのにそんなことがあるわけがない……)

魔法使い「もう誰かが倒しちまったんじゃねぇーの?wwwww」

闘士「とう、ぞく」

勇者「……ありえない話じゃないな」

バサッ

??「なんだ、そんなにダンジョンボスと会いたいのかい?酔狂だねぇ」

勇者「!?お前は!!」

??「……いやぁ、モンスターを殺しまわりたいだけなのかもしれないなぁ勇者様は」

勇者「……サキュバス!!」

875: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:08:26.37 ID:1CDJKpI0
93

--第十三のダンジョン地下五十階--

魔法使い「うはwww魔族www」

賢者「もしかしてこいつがこのダンジョンのボス!?」

踊子「魔王の側近がこんなところに常駐してるわけないじゃないですか」

サキュバス「そうさ、わざわざこんなところにまで会いに来てやったのさ。お前達を……」

サキュバスの手に氷の剣が精製される。

サキュバス「殺して食らうためにね!!」

勇者「っ!!」

ギィィン!!

サキュバス「勝負だ勇者あああああああああああ!!恥をかかせてくれた礼を受け取りなあああ!!」

876: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:11:03.54 ID:1CDJKpI0
94

--第十三のダンジョン地下五十階--

賢者「闘士君、魔法使い君、二人で援護だ!!」

闘士「おで!!」

魔法使い「援護wwww」

魔法使いは雷で拳を覆う。

賢者「踊子さん、みんなの防御力を!!」

踊子「もう踊ってます……ってえぇ!?なんでそこで防御力なんですかぁ~ここは」

ドオオン!!

パーティ全員の攻撃力が増大する。

踊子「攻撃力に決まってます~!!」

877: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:14:41.54 ID:1CDJKpI0
95

--第十三のダンジョン地下五十階--

闘士「おおおおおおおおお!!」

魔法使い「電プシーロールwwww」

サキュバス「ふんっ」

バサッ

サキュバスは二人の接近を察知し、翼を使って宙へ逃げる。

勇者「っ、炎属性攻撃レベル4!!」

勇者の掌に周囲をゆがませるほどの熱量が収束する。

サキュバス「はっ!!氷属性攻撃レベル4!!」

対するサキュバスの両手には空気すら凍らせる冷気が。

賢者「まずい!!闘士君達逃げて!!」


ドガアアアアアアアアアアアアアン!!!!

878: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:17:28.70 ID:1CDJKpI0
96

--第十三のダンジョン地下五十階--

シュウウウ

賢者「……っく、みんな大丈夫か?」

闘士「お、おで」

ドサリ

闘士がちからつきた。

賢者「!!闘士君!!」

勇者「ほうっておけ、今はサキュバスを倒すことが優先だ」

賢者「!?」

魔法使い「いでえwww」

踊子「そうですね~後で蘇生すれば問題ないです~」

サキュバス「っつ……はっ、お前達も悪魔だね」

879: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:20:12.57 ID:1CDJKpI0
97

--第十三のダンジョン地下五十階--

賢者「っ!か、回復持続!!」

賢者はパーティ全員に回復魔法をかける。

踊子「はいっ!次は移動速度上昇させますよ!!」

サキュバス「させるか!!」

サキュバスは空中に数十本の氷の槍を作りだし、勇者達に向けて撃ち放った。

勇者「炎属性付与、はあああああああああああああ!!」

炎属性を纏わせた大剣で、氷の槍を撃ち落としながらサキュバスに近づいていく。

バスっ

賢者「ぐはっ!!」

氷の槍は賢者の右太ももを貫く。

踊子「あぁあん、もう!!何やってんですか!!どんくさいですね!!」

880: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:22:59.34 ID:1CDJKpI0
98

--第十三のダンジョン地下五十階--

魔法使い「ちょww空飛ばれたら拳が当らないwww」

勇者「ちょろちょろ動き回るな!!私の剣が当るぞ!!」

魔法使い「しーましぇんwwww」

サキュバス「おやおや、仲間を邪魔扱いとは、噂に聞いた勇者がこんなだとはね」

勇者「うるさい!!」

移動速度が強化された勇者は、一瞬でサキュバスとの間合を詰める。

サキュバス「!!」

勇者「あああああああああああああ!!!!」

サキュバス「氷ぞくせ」

ズバアアアアアアアアアアア!!!!

賢者「……」

881: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:24:53.48 ID:1CDJKpI0
99

--第十三のダンジョン地下五十階--

サキュバス「があっ!!!!」(こいつ、躊躇が一切感じられない!!)

魔法使い「サンダーアアアアアアアアア縄wwww」

サキュバスの周囲に雷の玉が発生し、サキュバスに向かって光が伸びる。

バチバチバチイイイ

サキュバス「ぐああああああああ!!」

勇者「よくやった魔法使い。これで逃げ場は無いぞ、サキュバス」

サキュバス「はっ、はっ……はははっ」

勇者「……何がおかしい」

サキュバス「いやね、多人数で寄ってたかってなぶり殺す……お前達のほうがよっぽど悪魔みたいだなってさ」

勇者「負け惜しみか?」

サキュバス「はん、お前は私たちからしたら悪の魔王なのさ……モンスターの全てが人間を襲うわけじゃない、だがお前達は」

勇者「聞く耳もたない、六色砲」

赤、青、黄色、水色、茶色、緑色をしたそれぞれの魔力が円をなして勇者を取り囲む。

883: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:27:16.74 ID:1CDJKpI0
100

--第十三のダンジョン地下五十階--

六色の属性が勇者の掌に集結したかと思うと、目も眩むような光を放ち始める。

勇者「奥儀、ゆうしゃああああああああああビイイイイイイイイイイイいいいいいム!!!!!!」

サキュバス「!!!!」

ギュドドドドドド!!!!

全ての生を否定する六色の光はサキュバスに零距離で直撃し、照射され続ける。

サキュバス「ごおおおっぐ!!!」(魔王……様……大ゆう)

勇者「ひかりになれえええええええええええええ!!!!」


ドゴオオオオオオオオオオオオン!!


神々しき六色の光は、


ダンジョンごとサキュバスを破壊した。

884: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:30:00.74 ID:1CDJKpI0
101

--教会--

賢者「はっ!!」

魔法使い「wwwやっと起きたしwww」

賢者「……ここ……は」

周囲を見回すとここが教会で、そして自分が死んでいたのだということがわかった。

魔法使い「あんま世話やかすなよwwww」

賢者「ごめん……でも僕、どうやって死んだんだ?」

魔法使い「あ?wwそりゃお前www落ちてくる岩が避けられなくてぐちゃってwww」

賢者「……なるほど」

闘士「お、おで」

闘士は賢者に水の入ったコップを差し出した。

賢者「あ、ありがとう……」(……モンスターを倒すためにはいかなる犠牲もいとわない……多分それが勇者というものなんだ……でも)

886: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:32:15.83 ID:1CDJKpI0
102

--宿屋--

??「この宿に勇者様は泊まっていらっしゃいますか?」

宿屋の店主「あ、えぇ、先ほどダンジョンからお帰りになりましたよ。呼んでまいりましょうか?」

??「頼みます。私のことは王国の通信兵と言ってくだされば」

宿屋の店主「わかりました。通信兵さんですね、しばしお待ちを」

887: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:34:27.48 ID:1CDJKpI0
103

--宿屋--

勇者「王国の通信兵というのはあなたか?」

??改め通信兵「はい、王様から伝言があってきました」

勇者(王様が?……)「聞こう」

通信兵「はい、『勇者よ、魔王討伐の旅はさぞ順調なことだろう。だが、それとは別に今大きな問題が起こっている。勇者も一度は耳にし

たことがあるのではないだろうか。今世間を騒がせている、砂漠の風という盗賊団の名を』」

勇者「!!」

通信兵「『あくまで魔王討伐のついでで構わない。もし彼らと接触するようなことがあったら』」

賢者「あ、勇者さん、お話があるのですが」

通信兵「『砂漠の風を壊滅させて欲しい』」


888: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:35:31.22 ID:1CDJKpI0
104

--宿屋--

通信兵「以上で任務は完了しました。それでは、ご武運を」

ギィ

通信兵は扉を開け去っていく。

賢者「……今の王国の人ですか?どんな話だったんですか?」

勇者「……君は今日一度死んでるんだ。早く休んだ方がいい」

賢者「あ……はい」

889: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/23(火) 00:37:17.26 ID:1CDJKpI0
105

--宿屋--

勇者は窓際に座って月を見ている。窓を開けているためカーテンが夜風で揺れている。

勇者(……)

ギィ

踊子「勇者様~どうもここのお風呂、温泉もあるらしいんですよ~一緒に行きましょwww」

勇者「あ……うん」

踊子「……どうかしたんですか?なんか変な気がします」

勇者「いや、なんでもない。今行くよ」

勇者はバスタオルを取って部屋の入り口に向かって歩いていく。

勇者(何を戸惑っているんだ……私はもう勇者としてしか生きられないんだぞ)

踊子「……なんか知らないですけど、ほら急いだ急いだ~wwww」

勇者(盗賊は……私が討つ)

906: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:21:02.02 ID:5aMGjo60

106

--アジト--

部隊長B「さーて、次でいよいよラストか。どこだっけ?王国?」

部隊長D「多分そうです。そう言えば王国に行くの初めてですね。……あの噂に名高い大賢者がいる国かぁ……」

部隊長A「連れてくやつらの半分は帰ってこれないかもな」

バタン

隊員2「お茶が入ったっすよー!!どうぞ!」

部隊長B「あ!てめぇ!!幹部の会議中に入ってくるんじゃねぇ!!」

隊員2「まぁまぁ、飲みものないと話も弾まないですよ!はいっ、ボス!」

盗賊王「あぁ」

907: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:25:50.35 ID:5aMGjo60
107

--アジト--

部隊長C「けど、王国のどこにあるのだろうかコンねぇ。あちっ!!」

部隊長B「あほ狐~。王冠だぞ!?王冠つったら王様が被ってるに決まってんじゃねぇかww」

部隊長D「そこまでは私の占いでは特定できませんけど……でも王国にあるのは確かなんです」

部隊長F「そのことなんですがね、ワタシがあの後調べたところによりますと……王冠の所有者は北の王様という話なんですよ」

部隊長A「……なんでそれが王国にあるんだ。デマだな」

部隊長F「いえいえそれがね、前、部隊長D女史が占いをした日は丁度王国で会談があった日なんですよ」

908: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:32:38.96 ID:5aMGjo60
108

--アジト--

部隊長D「そっか!北の王様が王冠を持って会談にきていたのだとしたら……って、それってどんな状況ですか。あの人普段王冠かぶって無いですし」

部隊長F「さぁ~、それはわかりません。彼らの話し合いの場で使われることがあったのかもしれませんしそうじゃないかもしれないです。ワタシ達のことは諸王国でも問題視されているそうですからねぇ」

部隊長B「うちらが集めてるのが魔王の骨だってわかったやつがいるのか」

部隊長C「そりゃぁ、何かしらの目的があって動いてるだろうとは思うコンよ」

部隊長E「それはありえません!!魔王の骨のことを知っている人物がそういるとは……」

部隊長F「……とまぁ、色々まとまらないんですがどういたします?ボス」

盗賊王「……」

909: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:37:36.50 ID:5aMGjo60
109

--アジト--

部隊長A「俺は部隊長Dの占いを信じる。占いで出た場所が王国なら王国に行けばいい。わざわざ王冠を会談に持っていく理由がわからない」

盗賊王「……部隊長D、前お前が王冠について占った時はいつだ?」

部隊長D「9日前です。同じ内容を占うのであれば、あと6日待っていただければ……」

盗賊王(同じことは2週間経たないと占えない……)

部隊長A「盗賊王っ」

盗賊王(……今は時間がおしい)

部隊長F「……」

盗賊王「……次の目標王冠の奪取……北の王国へ行く」

910: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:42:43.35 ID:5aMGjo60
110

--アジト--

部隊長A「……っ」

盗賊王「次同行する部隊は……」

部隊長C「はいはーい!!おいらがいくコン!!」

部隊長F「情報をとってきたワタシの部隊もいかせてもらいますよぉ」

盗賊王「部隊長B、D、Eは今回の任務で死んでるから……ここは」

部隊長A「……俺はいかんぞ」

部隊長D「!?……あ、じゃあ私行きたいです!!」

部隊長E「わ、わたくしだって!!」

盗賊王「いや、だってお前らは」

隊員2「部隊長がんばって!!あたしも行きたいですから!!」

部隊長B「お前まだいたのかよ!!」

911: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:47:30.32 ID:5aMGjo60
111

--アジト--

部隊長C「うぅ……ひどいコン。その技は人に打つっていうレベルじゃねーコンよ……」

部隊長E「勝ったものだけが盗賊王様を警護できるのだ」

部隊長Cは砂漠に血まみれで横たわっている。

盗賊王「……んじゃ、今回はD、E、F部隊で」

隊員2「YES!!!!」

部隊長A「……」

913: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 22:55:41.19 ID:5aMGjo60
112

--谷--

部隊長D「……」

隊員1「ボス、谷は冷え込みますのでこのま、まふ、マフラーは……いかがです……か?」

隊員2「うぇ!?手作りだ!!今どき手作りだ!!」

部隊長E「ボス……寄り添っても……いいでしょうか?」

盗賊王「……やめてけれ」

部隊長D「敵、女2、男1」

914: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:05:33.45 ID:5aMGjo60
113

--谷--

部隊長F「ひゃああ、吹雪いてきましたね」

盗賊王「……あぁ」

盗賊王は手袋とマフラーとボンボン付き帽子を装備していた。

盗賊王(これで俺の髭を白くして長くしたら完全にサンタだな)

部隊長D「私北の王国初めて行きます。年中雪に覆われてるんですよね」

隊員2「えー?スキーっていったら北の王国じゃないですかぁ。あたしなんか毎年行ってましたよww」

隊員1「私は雪焼けが嫌でスキーなんかする気になりませんね」

部隊長D(どうしよう、若い子との会話がわからないわ……)

915: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:18:38.12 ID:5aMGjo60
114

--谷--

??「……」

モンスターがあらわれた!

盗賊王「こ、こいつは!!!!」

部隊長D「あの独特の帽子とオレンジ色の鼻!!」

部隊長F「スノーマンですねぇ」

隊員2「え?なにこれ。知らない。隊員1知ってる?」

隊員1「いえ、知りません」

部隊長D(ここでもジェネレーションギャップか……?)

916: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:26:58.75 ID:5aMGjo60
115

--谷--

盗賊王「今聞くとすげぇ綺麗な曲なんだが、子供のころはちょっと怖い感じの曲に思えたんだ」

部隊長D「あ!わかります!!悲しいような、さびしいようなww」

部隊長E「うぇるうぉーきんいんじいえあー」

隊員1「……とりあえずモンスター倒しますね」

隊員1はハルバートを構え、スノーマンへ向かっていく。

隊員2「あ、あたしも」

隊員2は弓を構え……

隊員2「あ、あたし雪山じゃ無能だww」

917: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:33:58.35 ID:5aMGjo60
116

--谷--

隊員1「はああああああああああ!!」

ザンっ

スノーマン「……!」

部隊長D「あああああああああ!!スノーマンが!!」

スノーマンの頭部が二つに割れる。

隊員2「あ、楽しそうwwあたしもやるww」

ぼごっ

スノーマン「……!!」

部隊長E「あっ、……あぁ!!」

隊員2のドロップキックによりスノーマンの体が陥没する。

隊員2「とどめだ、土属性付与!!」

隊員2のハルバートに岩石が付着し、巨大な斧へと変貌する。

ズボオン!!

スノーマンは……

盗賊王「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

918: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:39:58.44 ID:5aMGjo60
117

--谷--

隊員2「ひゃっ!?え、ボス?」

隊員1「ど、どうされたのですか。いきなり大声などと」

盗賊王「スノーマンは敵じゃない……友達なんだ!!」

部隊長D「あ、ああああ!!スノーマン……が」

盗賊王「!?」

盗賊王がスノーマンの方を振り返ると、

スノーマン「……」

帽子とボタンと

雪の塊があるだけだった。

919: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:44:03.62 ID:5aMGjo60
118

--谷--

隊員2「……ねぇ、ボス達のテンションがおかしいんだけど」

隊員1「えぇ……。あの世代の人達にとって思い入れが深いモンスターだったのでしょうか」

??「ぎゃおおおおおおお!!」

モンスター達があらわれた。

隊員2「今度は雪男だね」

隊員1「また幹部達の機嫌をそこねる可能性があるのでここは」

ザシュザシュザシュ!!

雪男「あぎょおおおおおおおおおお!!!!」

雪男×45匹を倒した。

盗賊王「もういないか、いくぞ」

隊員1、2「……」

920: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:48:21.60 ID:5aMGjo60
119

--谷--

??「ふふふふふ」

モンスター達があらわれた。

隊員2「雪女!!こいつは手ごわかった気がする!!」

雪女「ふふふ、あらいい男がたくさんいるじゃないか」

部隊長F「えぇと、たしかもってきていたはずなんですが。あ、ありましたね。火の人形、サラマンダー」

小さなトカゲの人形が部隊長Fのポケットから顔を出す。

隊員2「やんっ!かわいいww」

部隊長F「ファイア」

サラマンダー「んぱっ」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

雪女達『ぎゃああああああああああああああああああ!!!!』

隊員1「……え?」

サラマンダーの吐いた炎の息は、その圧倒的な火力を持って雪女達を溶かした。

雪女×111匹を倒した。

部隊長F「さぁ行きましょうかぁ」

隊員1、2「……」

921: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:51:16.92 ID:5aMGjo60
120

--谷--

盗賊王「……見えた」

部隊長D「あれが北の王国ですか。大自然の中にそびえ立つ要塞って感じですね」

部隊長F「……」

部隊長E「わたくしが潜入してきましょうか?」

盗賊王「……いや、部隊長D」

部隊長D「はい!私の出番ですね!!たーりらーりらー」

部隊長E「……メスめ」

隊員1「しかし……やはり長時間いると寒いですね」

隊員2「そそそりゃあガタガタしちゃうわ!!」

部隊長D「見えました!!最も安全なルートは……え!?」

盗賊王「どうした?」

部隊長D「撤退すべき……とでました」

ドス

隊員2「きゃっああ!!」

盗賊王「!?」(矢!?この吹雪の中!?)

???「正しい判断でやんす」

922: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:53:15.98 ID:5aMGjo60
121

--谷--

部隊長E「……召喚士か!!」

吹雪の中から姿を現したのは北の王国の召喚士と、その兵士達だった。

召喚士「にやにやでやんす。もう袋のねずみでやんすよwww……おろ?なんでここに?」

召喚士は砂漠の風の面々を見て不思議がっている。

召喚士「……あっ、そういやそうだったでやんすね、忘れてたでやんす」

盗賊王「部隊長E、どこかに弓矢で狙撃したやつがいる。探しだせ」

部隊長E「了解!」

隊員1「私は回復魔法を使えます!!隊員2さんを私にまかせてくださいませんか!?」

盗賊王「あぁ、頼んだ。部隊長D、敵の規模を占え!」

部隊長D「わかりました!!」

召喚士「あぁ、もうめんどくさいでやんすね。大人しく負けちゃえばいいのでやんす。かもん、ガーゴイル!!」

別次元との扉が開き、そこからガーゴイルが召喚される。

ガーゴイル「ぎゃぎゃぎゃああああす!!」


923: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/26(金) 23:57:23.47 ID:5aMGjo60
122

--谷--

盗賊王「部隊長F、お前は隊員を連れて兵士討伐に当たれ、俺は召喚士をやる!!」

部隊長F「……」

盗賊王「おい、聞いてるのか!?」

???「貴方は私と踊って下さい」

盗賊王「!?」

ギィン!!

横から急接近してきた、黒いフードを被った人物のナイフをかろうじて防ぐ。

盗賊王(っく!!誰だ!?こんな早く動けるやつが)

???「ふふふ」

ギンギンギィギン!!!

盗賊王「!!」(強い!!俺が今まで闘ってきた誰よりも!!)

???「強くなりましたね」

盗賊王「!?」

???改め受付「お久しぶりですね」

924: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 00:00:32.82 ID:lcDZYoA0
123

--アジト--

部隊長C「ったく、どうせこんなアジト襲われたりしないんだから2部隊あればいいじゃないかコンねぇ!?」

部隊長B「負けたやつが文句いうんじゃねぇーよ」

隊員31「お食事をお持ちしました。今日は西の王国のある町の料理を作ってみました」

部隊長B「おおお!!懐かしい!!シュールストレミングの缶もあるぞ!?部隊長A、こっちこいや!!」

部隊長C「……え?まさかこんな密室でその缶開ける気かコン?……正気じゃないコン!!ていうか嗅覚的においら死ぬコン!!」

部隊長A「……」

部隊長B「あ、あー!もうそんなこと言っちゃった?今言っちゃった?じゃあもうこれ開ける係りはコン吉に決定~!!」

部隊長C「死ぬっつってんだろ馬鹿!!」

925: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 00:03:40.22 ID:lcDZYoA0
124

--アジト--

部隊長C「やぁだ!やだっつってるコン!!」

部隊長B「一度やったら病みつきなんだってwww」

部隊長C「や、やだ!!やめるコン!!プシッ、って今いったコン!?や、やだ、や……らめええええええええええええええ!!」

ドオゴオオオオンン!!

部隊長A、B、C「!?」

巨大な爆発音がアジトに響き渡る。

隊員98「きゃああああああああああああああああああああ!!」

遠くの方で女隊員の絶叫が木霊する。

部隊長B「おい、これはただごとじゃねぇぞ!?どうした!?」

部隊長C「敵襲かコン!?すぐに部隊を集めるコン!!」

隊員11「し、失礼します!!大変です!!我がアジトが!!」

926: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 00:08:56.43 ID:lcDZYoA0
125

--アジト--

?「ここが……砂漠の風のアジト」

??「待って下さい、相手は人間達じゃないですか!!本当に僕達がこんなことしなくちゃいけないんですか!?」

???「何いまさら言ってんですかぁ~。私達はこの人のために存在してるんですよ?この人がやると決めたことに逆らっちゃだめです~」

????「お、おで」

??「……っく!!わかりました」

?????「いいじゃねぇかwwwどうせこいつらわるものなんだろ?wwwww」

?「……あぁ、一人残らず、潰せ」



隊員11「我がアジトが勇者一行に攻めこまれています!!」

933: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:10:44.15 ID:lcDZYoA0
126

--谷--

部隊長Eは雪に覆われた谷を疾走している。

部隊長E(この吹雪の中、あそこを狙撃できる場所があるとしたら……)

部隊長Eのもくろみは見事当たる。入り組んだ地形の先、頂きに弓を構える者がいた。

部隊長E「!!」

?「……お兄さんも……盗賊団の人?」

部隊長E(子供っ!……ですか)

934: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:19:14.56 ID:lcDZYoA0
127

--谷--

?「聞こえなかった?僕は聞いたよ」

部隊長E(まだ距離がある。ここはどうしますか……)

?「そうか。自己紹介は自分からしなきゃだめだよね。僕は狩人。北の王国の見習い兵士」

部隊長E(北の少年兵士か)「……わたくしは砂漠の風のE部隊所属、部隊長Eで」

ドッ

部隊長E「?……ぶっ!!」

部隊長の腹部を二本の矢が貫通する。

?改め狩人「やっぱりそうなのか」

部隊長E(い、いつのまに弓をひいた、ぐっ!!)

935: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:22:59.80 ID:lcDZYoA0
128

--谷--

狩人「もう動かないで。僕は盗賊団の人達を動けなくしろって言われてるだけだから。動かないんだったらもう痛くしないから」

部隊長E「……ふ、」



部隊長Eは両手を前に交差して、全速力で狩人に向かって走って行った。

部隊長E(盗賊王様のご命令をわたくしが聞かないわけにはいかないんですよ!!)

狩人「……」

タパパパ

部隊長E「っがぁ!!」

撃ち放つモーションすら見えない高速の射手。
右太ももに一つ。右肩に一つ。両腕に合わせて三本の矢が刺さる。

部隊長E「だが!!」

狩人「あ」

部隊長Eの捨て身の前進は、狩人との距離を1メートル以内にすることに成功した。

部隊長E「っし!!」

部隊長Eは右手に持っていたナイフで素早く斬りつける。

936: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:32:24.82 ID:lcDZYoA0
129

--谷--

ヒュッ

部隊長E「!!」

完全に捕えた筈の斬撃。
だったはずなのだが、

部隊長E(ナイフの刃が……ない?)

部隊長Eのナイフは、既に攻撃力を失っていた。

狩人「近寄らないで」

ドドドス!!!!

部隊長E「!!!!っか!!」

狩人の精確な射撃によって。

937: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:39:00.18 ID:lcDZYoA0
130

--谷--

狩人「もう動かないで。というかもう動けないか。同じ人にここまで矢を撃ったのは初めて。持ってきた矢全部使っちゃったよ」

部隊長E「……ひゅー……」

十数本の矢に貫かれた部隊長Eの体は、激しく血を流し雪を赤に染めていった。

狩人「矢を小屋から取ってこなきゃ」

部隊長E「ま、まて」

狩人「?僕忙しいんだよ」

部隊長E(……凶悪な才能ですね……まだ一桁だろうに)

その事実は部隊長Eに決意を促した。

部隊長E「歳を取り成長すれば……盗賊王様の命に関わってくるかもしれない……」

狩人「ごめんね。止めをさしたげることもできないの。だから」

部隊長E「奥儀、ウカムル」

938: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:45:18.74 ID:lcDZYoA0
131

--谷--

狩人「……?……か、体が動かない。なんで……」

部隊長E(魔力を消費していなくてよかった……これなら確実に)

ドドドドド

狩人「!?……雪崩が……来る」

ドドドドド!

部隊長E(盗賊王様……ご命令は果たせることができそうです)

ドドドドド!!

狩人「!!!!」

部隊長E「どうかお達者で」

939: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:52:56.26 ID:lcDZYoA0
132

--アジト--

賢者「はあああ!!水魔法レベル2!!」

ドバッシャアアアン!!

隊員765「うわああああああああああああああ!!」

隊員573「み、水がああああああああ!!」

踊子「なんだ、やれば出来るじゃないですか~」

魔法使い「テラ虐殺wwwwwサンダーwww」

ビッシャア!!

隊員573「ちくしょおお!!俺達のアジトを!!!!」

賢者「っく!!」

闘士「……ぬん!!」

ドボッ!!

隊員573「がっ!!……あ、あぁあ。と盗賊王……」

ドサ

941: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/27(土) 23:56:11.69 ID:lcDZYoA0
133

--アジト--

部隊長C「なんてことしやがるコン!!!」

ギィイン!!

勇者「私は世界の人々の平和のために戦っている。お前達犯罪者を倒すのも勇者の仕事なんだ!!」

部隊長B「は!!世界平和のためなら人殺しもいとわないっていうのかよ!!」

ドギイイン!!

勇者「黙れ!!お前達の身勝手な行為のせいで一体どれだけの人が傷つき苦しんだと思う!?」

部隊長C「知るかコン!!死んだやつらだって蘇生魔法でなんとかなってる筈だコンよ!!」

勇者「蘇生すれば良いという問題じゃないだろ!!範囲炎魔法レベル3!!」

ゴオオオオオオオ!!!

部隊長B「ぐああああっちい!!!」

部隊長C「おいらの後ろに来るコン!!水魔法レべル2!!」

バッシャアアア!!!!

勇者「!!!!」

部隊長C「簡単に砂漠の風を落とせると思うなコン!!!!」

942: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:04:12.27 ID:t7m6fik0
134

--アジト--

部隊長A「っ!!こいつら本当に勇者一行だと!?」(このタイミングで……おかしすぎる。やはり内通者が!!)

踊子「あ、また一人飛び出してきましたね?魔法使いさん~」

魔法使い「酷使しすぎwwwサンダーwwww」

ビッシャアアン!!

雷が直撃した部隊長Aはその場で硬直してしまう。

部隊長A「うぐっ!?」(……とんでもない威力だ!!一撃で意識が刈り取られるような……っ!!)

部隊長Aはその場で膝をつき、ツインソードを抜く。

踊子「中々しぶといですね……この人いわゆる部隊長の一人かもしれません。早く勇者様の援護に行きたいんですから早くどいてくれないですかね~」

部隊長A「……お前達は……ここで俺に倒されろ」

闘士「おでっ!!」

闘士が巨体を揺らし突進する。

部隊長A「土属性、身体硬化!!」

ガシイイイイン!!

943: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:10:35.92 ID:t7m6fik0
135

--アジト--

部隊長C「勇者の魔法をおいらが食い止めるコン!!部隊長B!!」

部隊長B「おけえええええい!!攻撃力上昇レベル3!!」

勇者「私の属性は一つじゃない!!雷属性魔法レベル3!!」

ビッシャアアアアアアアアン!!

部隊長C「ココココココココオオオオオオオオン!!!!」

部隊長B「まじかよ!!土属性魔法、盾生成レベル2!!」

勇者「!?」

部隊長B「へ!!俺ら二人で戦えば弱点突かれずに戦えるかもな!!」

944: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:13:37.85 ID:t7m6fik0
136

--アジト--

勇者「っく!!目障りだ!!氷属性魔法レベル3!!」

部隊長B「やべぇ俺の弱点だ!!コン吉!!」

部隊長C「おいらだって有利じゃないんだコンよ!!水魔法レベル3!!」

ドバアアアアアアアアアアアアアン!!!!

両者の魔法は空中でせめぎ合い、相殺される。

勇者「……今ので決まりだ。お前達は終わった」

部隊長B「なぁに言ってやがる!!五分じゃねぇかよ!!」

勇者「今のが五分なら、それを一体いつまで続けられる?お前達二人の魔力量より私の方が多いと思うぞ」

部隊長C「……っ!!」

部隊長B「だからなんだ。まだ詰んでねぇよ!!俺達は受け続けるだけじゃねぇ、攻撃だってするし仲間を呼ぶかもしれない、お前はその間一回でもミスらねぇようにしないといけないんだぜ!?」

部隊長C(その一回のミスでも致命傷は与えられないんだろうけどコンね……)

勇者「……ならやってみろ。風属性レベル3!!」

945: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:16:16.73 ID:t7m6fik0
137

--アジト--

部隊長B「うおおおおおおお!!!!」

勇者に特攻をしかける部隊長B。

勇者「っ!!」

ズバッ!!

部隊長B「!!!」

勇者の肩を切り裂く為に払った代価は左手の肘から先。

部隊長C「水ぞ」

勇者「雷属性レベル1」

バシィン

部隊長C「っこ!!」(せっかく出来た隙も、タメの早い低レベル魔法攻撃で埋めてくるコン……)

部隊長B「はっ!はっ!」(伊達に伝説の人物やってねぇな!!)

946: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:18:14.96 ID:t7m6fik0
138

--アジト--

部隊長B「……出し惜しみなんかしてられねぇわやっぱ」

部隊長C「そうコンね、勇者の仲間はきっと部隊長Aや隊員達がなんとかしてくれるコン!!」

勇者「……?」

勇者は部隊長BとCから、先ほどとは違う何かを感じ取る。

勇者(……決めにくるか。勝ちは……捨てたか)

部隊長B「おおおおおおおおおおおおお!!見て驚け!!」

部隊長C「おいら達二人の共同合作奥儀!!」


勇者「六色砲」

ゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

947: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:21:45.86 ID:t7m6fik0
139

--谷--

盗賊王「はっ、はっ……どういうことだ……これは!!部隊長F!!」

部隊長F「ひっひっひっ」

部隊長Fの足元には隊員1と2の死体が横たわっている。

部隊長F「申し遅れましたぁ、盗賊王様。ワタシ、実は名前を偽っていたんですよぉ」

召喚士「……かっこつけてないでさっさとこっちに来るでやんす、人形師」

部隊長F改め人形師「言っちゃった!?……そんな……見せ場だったのに」

盗賊王「北の……人形師……!?」

人形師「ワタシは人形を扱うものですからねぇ。あまり公に姿を見せたことはないのでわからなくても無理はありませんww」

受付「砂漠の風の頭領、盗賊王。軽率でしたね」

盗賊王「……っきさまら」

受付「アジトにも仲間を残してきたのでしょう?私達のような正規の兵士達に狙われてはさぞひとたまりもないでしょう」

盗賊王「!!まさか」

受付「アジトは今勇者一行に襲わせています」

948: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:25:18.07 ID:t7m6fik0
140

--谷--

盗賊王「……勇者……そんなまさか」

受付「本当です。勇者様は喜んでお引き受けになりました。犯罪者を狩るのも勇者の務めだと言って」

盗賊王「……っ」

受付「全滅です盗賊王。貴方の遊び場はこれにて」

盗賊王「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

受付「!!」

ガギイイン!!!!

人形師「受付殿!!」

受付「私は大丈夫です、下がっていなさい。……どうしました?なぜ怒るのです?悪いことをしている自覚は無かったのですか?それとも罰せられる覚悟が無かったのですか?」

盗賊王「!!!!っ」

受付「魔王を倒すためなら、人々の生活を不幸にしてもいいと?」

949: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:27:21.29 ID:t7m6fik0
141


--谷--

受付「より巨大な障害を除去するためなら多少の犠牲も仕方がないと?」

盗賊王「だまれ!!」

受付「……自分勝手な正義で、タンスから薬草を取るな!!!!」

ズブシュッ!!!!

盗賊王「ぐはっ!!!」

受付のナイフは盗賊王の左目を抉り取る。

受付「……貴方の行動は幼稚です。誰かに認めて欲しいから、自分を捨てた人間を見返したいから。貴方の行動はそんな下らない理由から生まれたただの復讐です。一体いつになったら目を覚ます気ですか」

盗賊王「だまれえええええっ!!そういうお前達だって俺の仲間を!!」

受付「あら?犯罪者に生きる価値があるんですか?」

951: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:30:03.15 ID:t7m6fik0
142

--谷--

受付「やはり存在自体が犯罪者である職業の言うことは違いますね。盗賊。よくも盗人なんかを職業にしたものです」

盗賊王「お前はなんだ!!アサシン!!人を殺すことを生業としている暗殺者が!!」

受付「私は人々の安寧のために害虫を駆除する闇の刃。盗賊風情が暗殺者を語るな」

部隊長D「と、とう……ぞくおう」

盗賊王「!?部隊長D!!」

盗賊王は部隊長Dの元に駆け寄る。

ガバッ

部隊長Dの下半身は焼け焦げていて異臭を放つ。

部隊長D「今逃げ道を……占いました。来た道はだめです……山の方に逃げてアジトへ……」

盗賊王「待ってろ!!今こいつらを」

部隊長D「やめて下さい!」

盗賊王「!!」

部隊長D「無理です……いくら盗賊王でも。この人達が相手では……」

盗賊王「やってみなくちゃわからんだろ!!」

部隊長D「盗賊王だけでも逃げて下さいっ!!」

952: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:32:33.05 ID:t7m6fik0
143

--谷--

召喚士「クソチャンスでやんす♪」

ザリ

受付「まだ待って下さい」

受付は召喚士に制止をかける。

召喚士「ちぇー。早く帰って温かいコーンスープでも飲みたいでやんすのに」


ザク、ザク

人形師「ん?おぉこれはこれは」

狩人「うぅ……寒い」

953: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:35:31.34 ID:t7m6fik0
144

--谷--

部隊長D「……盗賊王、これ持ってって下さい。故郷から出てきた時に妹からもらった……イヤリングなんです」

盗賊王「……」

部隊長D「今度から私の代わりに盗賊王を護ってくれるようにお願いしましたから」

盗賊王「……」

部隊長D「ほら、早く。なぜか相手も待ってくれています。だから……」

盗賊王「……巻き込んで……すまなかった」

部隊長D「好きでした」

ザシュ

部隊長Dは
飛んできた
ナイフが

受付「まさしく茶番でしたね」

954: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 00:36:44.95 ID:t7m6fik0
145

--谷--

盗賊王「……」

盗賊王は部隊長Dの亡骸を雪の上に静かに下ろし、スッ、と立ち上がった。

受付「これで残るのは貴方だけになりましたね」

盗賊王は無言でポーチから腕輪と目玉の置物を取りだした。

受付「!?」(……これが魔王の骨……)

盗賊王「……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

盗賊王は目玉の置物を自分の左目の眼窩に押し込んだ。

人形師「!?これは」

963: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:52:43.64 ID:t7m6fik0
146

--王座の間--

受付「……これで谷での報告を終わります」

王様「そうか……よくやってくれた。御苦労だったな」

受付「いえ、我が主様の命なれば。魔王の骨は目玉の置物を除き、全て回収済みです」

王様「そういえば西の王国の件なのだがな……推測通りだったよ」

受付「本当ですか?西の王国の件と言いますと……」

王様「あぁ……西の王様は古代の対人兵器を掘り起こしていたんだ」

964: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:53:10.28 ID:t7m6fik0
147

--王座の間--

受付「なんという恐ろしいことを……」

大賢者「うむ。もし西の王様のもくろみ通りことが進んでいたら、世界の勢力バランスが崩れていただろう」

王様「それだけじゃない。西は東を滅ぼそうとしていたからな」

受付「人の業とは……深いものなのですね」

王様「このことは国をあげてのものだったはずだ。国民にばれずにこそこそとできるレベルではない。つまり……」

大賢者「国民の大多数……いや、そうだな、大人はこのことについて知っていたはずだ」

受付「……理解いたしました。ご命令を、我が主様。貴方様の一声で、再び私は血の雨を降らしてみせます……世界安寧の為に」

王様「焦るな。お前には他にやってもらいたいことがあるのだ」

受付「お言葉ですが主様、私を以外に」

王様「地下牢に繋いでいるあいつを使うのだ」

受付「……飼いならせますか?」

王様「嘘はこの50年で上手くなったからな……」

大賢者(平和……か)

965: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:53:41.60 ID:t7m6fik0
148

--地下牢--

王様「気分はどうだ、盗賊王よ」

盗賊王「……」

王様「……口をきく気ににもならんか。いや、そうであろうな」

盗賊王「……」

受付「顔をあげなさい。王様の話をちゃんと聞きなさい」

盗賊王「……」

王様「……ふむ。仕方のない……盗賊王よ、仲間を助けたくないか?」

盗賊王「っ!!」

ガン!!

盗賊王は後頭部を牢屋の壁に叩きつける。

盗賊王「仲間だと!?仲間はみんな死んださ!!一人残らずお前らに殺されてな!!」

王様「殺したさ。ただな、まだお前の仲間は死んでいないのだ」

盗賊王「ふざけるっ……な、どういう」

王様「言葉の通りの意味さ。お前が谷で失った仲間達は皆生きておる」

受付「死体を回収し、蘇生させたのです」

盗賊王「!!!!」

966: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:54:11.14 ID:t7m6fik0
149

--地下牢--

盗賊王「あいつらが……生きて」

王様「ただし、谷にいたやつらだけだ」

盗賊王「!?アジトにいた俺の仲間は!?」

大賢者「勇者一行には事前に、やりすぎないよう釘をさしていたのだがな……死体を回収できるような状況ではなかった」

盗賊王「!!!!……あ……あぁ」

受付「うなだれてる暇はありませんよ、貴方にはやってもらいたいことがあるんですから」

盗賊王「俺に……何をさせる気だ」

王様「西の王国に行って兵士達の護衛兼統率を任せたいのだ」

盗賊王「……いやだと言ったら?」

受付「貴方の仲間が目を覚ますことは二度とないでしょう」

盗賊王「……わかった。だがなぜ西の王国へ?」

王様「覚えているか?お前が西の王国にいた数ヶ月前のことを」

盗賊王「……サキュバスに襲われた日のことか?」

王様「そうだ。西の王国の民が氷漬けにされた日のことだ」

967: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:54:45.88 ID:t7m6fik0
150

--地下牢--

盗賊王「それがどうした?そのことと兵士を送ることになにか関係があるのか?」

大賢者「あぁ……この氷漬けになっている民の氷を爆破するのだ……人もろともな」

盗賊王「!?しょ、正気か!?いや、それ以前になぜ今まで放置していたんだ!!お前らそれでも」

王様「お前は魔族について知らないようだな」

受付「魔族の魔力による攻撃を受けると、人間には特殊な症状が現れるのです」

盗賊王「特殊な症状……?」

王様「魔族の魔力は非常に強力でな……通常、人間が攻撃を受けてからすぐに処置を施さないと……」

大賢者「約一日で魔族になり果てる……」

盗賊王「な……」

王様「冷凍状態であれば、確かに死を回避するための24時間のルールからは護られる……だがな、魔族の魔力によってそれが引き起こされたのであれば話は別なのだ……魔力による身体の浸食は凍っている間も行われている……今あそこで佇んでいる彼らが氷から解放されたら……」

盗賊王「そん……な」

968: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:55:18.32 ID:t7m6fik0
151

--地下牢--

王様「理解したか?あの氷が溶けたら、何十万人の魔族がこの世界に恐怖を与えることになる」

盗賊王「勇者……あいつのやったことが裏目にでたのか」

王様「……それなんだがな、どうもおかしいと思わないか?」

盗賊王「……?」

王様「お前達からの報告を見る限り、勇者は魔族に攻撃を誘発したそうじゃないか」

盗賊王「……24時間以内に蘇生するためにだろ?」

王様「私達は魔族の魔力が以下に危険なものであるかを……勇者に教えていたのだがな」

盗賊王「なに……!?」

受付「勇者はそれを知っていて攻撃させた疑いがあるのです」

969: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:55:54.00 ID:t7m6fik0
152

--王座の間--

王様「……あいつは行ったか」

受付「はい。枷をかける意味を込めて、仲間の一人と合わせておきました。よろしかったでしょうか?」

王様「あぁ、実に効果的だ」



--病院--

白いベッドに部隊長Dは寝かされている。

部隊長D「……すー」

盗賊王「……待ってろ。もうすぐ」



--王座の間--

受付「しかし、よかったのですか?西の王国の若者だけは助けることにしてしまって」

王様「そのことは盗賊王には言ってないだろうな?」

受付「はい、兵隊長にだけ伝えておきました」

王様「……子供達は恐らく兵器については知らされてはいまい。これからの世界を担う若者、出来ることなら散らせたくは無いからな」

大賢者(もし知らされている人間がいたらどうするのだ。その甘さが……いつか自分の首を絞めることにならなければよいが……)

970: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:56:55.40 ID:t7m6fik0
153

--西の王国--

兵隊長「……ここは完全に浸食している。爆破だ!!」

盗賊王「……」

ドゴオオン!!

盗賊王(勇者……西の王国の民が魔族になるとわかっていながらの攻撃誘発……そしてアジトの仲間を虐殺……)

ドゴオオン!!

兵隊長(……子供か)「よし、ここは浸食が始まって無い!!若ければ若いほど浸食が遅れるからな、助け出せ!!」

盗賊王(勇者は……この俺の手で!!)

971: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:57:22.69 ID:t7m6fik0
154

それから一週間後……。
勇者は魔王討伐を完遂する。魔王が勇者の手により倒されたというニュースは世界中を駆け巡る。

勇者達は近場の村で傷をいやし、王国へと帰ろうとしていた。

--王座の間--

王様「盗賊王……いや軍団長、お前の役目はわかっているな?」

盗賊王改め軍団長「はい」

王様「ならよい。お前のもう一つの仲間を、お前自身の手によって助けてやるのだ」

軍団長「はっ」


--王国--


軍団長達は、王国の入り口の前で整列して勇者の帰りを待っていた。すると、

賢者「壮観ですね……!それも半端な数ではありませんよ!!国中の兵士が我々を出迎えています!!」

勇者「あれは!!」

兵士達の先頭に黒服の男が立っていたことに気付いた。

魔法使い「盗賊wwww」

972: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:57:54.53 ID:t7m6fik0
155

--王国--

軍団長「皆さん魔王討伐お疲れさまでした。城で王様がお待ちです」

賢者「え……なんでここに君が……いや、その服は王国兵士団、総括軍団長!?」

闘士「う、うほっ!いい男!」

踊子「……私達にフルボッコにされて改心したということなんですかね……?」

勇者「……盗賊」

軍団長「俺は……とんでもない間違いをしていた……それは色んな人達に多大な迷惑をかけた。決して許されることではないと思う。だか

ら、俺は少しでも……償おうと思ったんだ」

勇者「盗賊……わかって……くれたのか」

軍団長「もう、仲間は失わない。絶対にだ。お前達も護り抜く……魔王の手からな」

賢者「え?盗賊君、もう魔王は」

軍団長「勇者を捕えろ」

兵士A、B、C、D、E、F、G、H「はっ!!」

ガチャガチャガチャ!!!!

踊子「……え?」

勇者「!?これはどういうことだ!!」

軍団長「喚くな……魔王め」

勇者「!?」

973: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:58:21.44 ID:t7m6fik0
156

--王国--

賢者「何をするんです盗賊君!!」

軍団長「お前達はこいつの誘惑魔法によって操られているんだ……記憶に覚えがあるはずだ。こいつが犯してきた解せない行動の数々を…

…」

勇者「盗賊!!」


--王座の間--

受付「!?まさかあそこでやると言うの?段取りを無視して!!」

王様「……」

大賢者「どうするのです?王様」

王様「うむ……いや、このままでよい。受付、加勢に行ってやれ。大賢者、お前もだ」


--王国--
踊子「ついにとちくるっちゃいましたか!?皆さん、勇者様を助け出しますよ!!」

軍団長「やめろ!!お前達はもう闘うな!!」

賢者「盗賊……君」

軍団長「こいつのせいで西の王国の民は18万人も死んだんだぞ!!」

勇者「!?」

974: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:58:55.18 ID:t7m6fik0
157

--王国--

踊子「何言ってるですか!!」

賢者「盗賊君、さっきからどういうことなんですか?」

軍団長「魔族に魔法攻撃を撃たせちゃいけなかったんだ。魔族の魔法攻撃には毒性があるらしいんだ。俺らはダメージを受けても回復魔法

ですぐ処置するから問題無い。でも彼らは……そのまま放置された……」

魔法使い「ww……w…………」

軍団長「わからないだろうお前達には……動けない人達を順に爆破して……運よく助かった子供達には親がいないんだ……」

勇者「そんな……そんな私……知らなかった」

軍団長「白々しい!!全て知っていてやったのだろう!?勇者になる人間であるお前が魔族について知らないはずがない!!俺のアジトを

襲った時もそうだ、王国からは死体を回収する旨を言われていたのに!!お前は全員の死体を焼き払った!!お前は少しでも人間を減らし

、魔族を増やそうとしていたんじゃないのか!?全てはお前が次期魔王となった時のために!!」

賢者「!!!!」

勇者「ち、ちがっ……私は」

闘士「お、おで……」

ザリ

受付「勇者一行、お疲れさまでした。お仲間の四人は王様がお呼びしています。さぁ、こちらへ」

踊子「……知りません。知りません知りません知りません!!みんなみんなでたらめです!!勇者様はいつだって人々の平和のためにがん

ばってきたんですよ!?」

賢者「……わかる……気がするんだ」

975: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:59:23.29 ID:t7m6fik0
158

--王国--

踊子「貴方まで何を言ってるんですか!?」

賢者「勇者さんは……目的のためなら手段を選ばない人だった……でもそれが人々の為だと思っていたから従っていたけど……そういうこ

となら話は繋がる」

魔法使い「……www」

ドジュッ

賢者「!?がぁっ!!」

賢者の胸部を雷の剣が貫いた。

魔法使い「どうでもよくね?www勇者は勇者wwww勇者にあだなすもんはwwwwwみんな敵なんだよ!!」

軍団長「賢者!!」

受付「やはり強力な誘惑魔法にかかっているようですね。賢者さんは魔法耐性が高いため効果が薄かったのでしょう」

踊子「魔法使いさんの言うとおりです!!仲間を、勇者様を助け出しましょう!!」

闘士「……う、うがあああああああああああああああ!!」

大賢者「やはり……こうなったか」

976: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 13:59:57.18 ID:t7m6fik0
159

--王国--

勇者「!!……っ、私は勇者だ私は勇者だ私は勇者だ、私は魔王なんかじゃない!」

兵士A「!!??ゆ、勇者が暴れだしたぞ!?ぐああああああ」

軍団長「!?……勇者ああああああああああああ!!」

勇者「!!盗賊ううううううううううううう!!」

ギィィイイイイン!!!!

勇者の大剣と軍団長のナイフが交差する。

受付「……反乱分子とみなします」

踊子「ふ、魔王を倒した私達に勝てると思っているんですか!?攻撃力上昇レベル4!!」

闘士「ぼ、防御力上昇レベル4!!」

踊子と闘士が身体を強化し接近戦をしかける。

魔法使い「レールガンwwwww」

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

その隙間をぬって魔法使いが雷魔法で攻撃する。

スッ

しかし、受付はいともたやすく、三人の攻撃を掻い潜った。

踊子「!?」

受付「相性っていうものがあるでしょ?」

ドスっ

踊子「ぎゃっ!!」

受付は踊子の心臓を突きさした。

977: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:00:29.49 ID:t7m6fik0
160

--王国--

踊子「あ、あがあお98れwgはえりgほえういfdhgせじfdg!!!!」

受付「!?」

踊子の体からあふれ出した魔力の波によって、受付の体は弾き飛ばされる。

受付「ああああああああああああああっ!!」

感電、火傷、凍傷、打撲、切創の症状を同時に発症した受付はもがき苦しむ。

兵隊長「なんということだ……勇者の仲間にも影響が出始めているのか!?兵士達よ!!王国を護るために、勇者一行を倒すのだあ!!」

勇者「どうして、どうしてこんな!!」

軍団長「お前だけは許さない!!!!」

ギィィンギイ!!

大賢者「水属性魔法、レベル4!!」

ドバアアアアアアアアアアアアアン!!

魔法使い「はんwwwwブラックサンダアアアアアアアアア!!!!」

ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!

大賢者「ぬぅ!?」(こいつ!!)

魔法使い「お前らなんかに負けるかよwwww魔法王に、俺はなるwww」


978: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:01:37.78 ID:t7m6fik0
161

--王国--

軍団長「風属性魔法レベル3!!」

勇者「!!火属性魔法」

軍団長「罠魔法、真空領域!!」

勇者「!!」(私の掌の周囲だけに罠!?)

ブシャアアッ!!

勇者「きゃあああっ!!」

軍団長「っ!終わりだ!!」

軍団長はナイフを勇者の首筋に振り下ろす。

勇者「!!ああああ!!」

勇者はそれを素手で受ける。

ブシュッ

軍団長「お前は魔王を倒した!!なら役目はもう終わったんだろ!?なぜそこまで生きようとあがく!?」

勇者「!!……これからなんだ、私の人生はこれからやっと始まるんだ!!」

軍団長「あれだけやっておいて人並の幸せが手に入ると思うな!!」

自分のものとは思えないほどの憎しみが、あふれ出てくるのを感じていた。

ゴロっ

979: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:02:08.33 ID:t7m6fik0
162

--王国--

ギィン!!ギン!!

勇者「はっ!はっ!」(本当に強く……なった!!)

軍団長「はっ!はっ!」(やっぱり……強い……!?い、いかん、あの感覚が、なぜ、今は使って)

ゴロっ

軍団長の左目が不規則に動き始める。

軍団長「あがっ、がああああああああああああああああ!!!!」

勇者「!!……ありえない、まさかこの感じ……魔王?」

軍団長「があああああああああああああ!!」

軍団長の左目から黒いオーラが噴き出し、軍団長の体を覆い尽くす。

受付「こ、これは?」

大賢者「……まさか私達の推測が間違っていたのか!?」

軍団長「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

軍団長は、魔王と化した。

980: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:05:08.00 ID:t7m6fik0
163

--王国--

兵隊長「な、なんだあれは!!もしや……」

踊子「このプレッシャー……魔王!?」

闘士「お、おで!!」

魔法使い「ヒャッハー!!」

勇者「なん……で、一体」

大賢者「……もしかすると、魔王の骨から魔王は生まれるのか?」

軍団長「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

軍団長は勇者に向かって突進する。

勇者「!!はああああ!!」

ドシュっ!!

軍団長「グヌウウッ!?」

理性を失った軍団長の動きは単調で、勇者の敵ではなかった。

勇者「なんなんだ!!何がどうなっているんだ!!」

軍団長「ウウウウウ!!」

勇者「私が次の魔王だと言ったくせに、なぜ君が魔王になんてなっているんだ……」

軍団長「ウゥウウウウウウウウウウ!!」

軍団長は腹を押さえながら勇者へと走っていく。

981: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:07:20.46 ID:t7m6fik0
164

--王国--

ただ見返してやりたかっただけなのに

軍団長「ユウウシャアアアアア!!」

ただ力を認めてもらいたかっただけなのに

勇者「……!!奥儀、」

ただ一緒に旅を

軍団長「オオオオオオオオオオオオ!!!」

……憎み合いたくなんかなかったな

勇者「勇者、スラアアアアアアアアアアアアアッシュ!!!!」

どこで間違えた?

982: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:07:52.30 ID:t7m6fik0
165

--王国--

王様「我々の調査ミスだったようだ。許して欲しい。そなたは時期魔王では無かったようだ……」

勇者「……はい」

大賢者「これからも我々の剣となり、世界を脅威から救ってほしい」(……最も、まだ疑いを捨ててはいないがな)

勇者「……はい」

踊子「はぁーあ!調子いいですねぇ~」

魔法使い「wwww」

勇者(……盗賊)

ズキ

983: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/28(日) 14:08:50.11 ID:t7m6fik0
166

--王国--

看護師「気分はどうですか?」

部隊長D「えぇ、もう大分よくなりました」

看護師「あなたの仲間は既に退院してますよ、これから貴方達は罪を償うために王国に従事していただきます。よろしいですね?」

部隊長D「はい……あ、あの、盗賊王……という人はどうなったんでしょうか?」

看護師「さぁ、私はここにいる方のことしか存じ上げませんので……」

部隊長D「そうですか……ありがとうございます」

部隊長Dは窓から外を眺める。
ふと風を感じたくなって窓を開ける。

ザァ

部隊長D「あれ……妹にもらったペンダント……なんでここに……?」



THE END

引用元: 勇者募集してたから王様に会いに行った