1: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/29(月) 11:09:31.46 ID:SpWIT4U0
勇者と魔王系のssです。

読まなくても大丈夫なはずですが、よろしければ前スレもお読みください。 

勇者募集してたから王様に会いに行った 前編 

勇者募集してたから王様に会いに行った 後編
 
6: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/29(月) 23:51:03.15 ID:SpWIT4U0


--森--

少女「はぁっ、はぁっ!!」

薄暗い森の中を、ワンピースの少女が駆けている。まるで恐ろしい何かから逃げるように。

ガサ、ガササ!!

草の向こう側に、少女と並走する何かが……いる。

ドオオン!!

少女「!?」

突如、何かの爆発音が響きわたる。音の出所は、少女の進路方向。

少女「はぁっ、はぁっ!!」

ガサササ!!

少女は駆ける速度を速め、一気に森を抜けた。

8: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:00:22.98 ID:Y2BUMBg0


--森--

男「ちっ!!くそ、しぶてぇな!!」

眼前に広がるのは崖。そこで男と黒い生物が戦っていた。男は見るからに劣勢で、左腕から血を流している。

少女「大丈夫!?」

男「!?来たか!!」

男は少女が来たことを確認すると、少女の下へと駆けよる。

男「嫌な予感的中だ。あれは似てるとかまがい物なんかじゃない……正真正銘本物の……」

ガササッ!!

?????「オオオオオオオオオオ!!!!」

少女、男「!?」

少女を追って来ていた黒い生物が姿を現した。

9: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:05:30.18 ID:Y2BUMBg0


--森--

???「オオオオオオ!!」

少女と男は、黒い生物に挟まれた形で対峙している。

少女「……さすがに二体も……」

男「こっちだ!!」

男は少女の手を取り、崖に向かって走っていく。

?????「オオオオオオオオオオオ!!!!」

黒い生き物は獲物の逃走を見て咆哮する。

???「オオオオ、ロクショオオ、オオオクホオオオオ!!」

黒い生き物の右腕に光り輝く力が集結する。

少女「!?まずい!!避けて!!」

ドゴオオオオオオオオオオン!!

男「うわっ!?」

少女「きゃあああああああ!!!!」

放たれた光弾。
その強力な爆風により、少女と男は深い谷へと落ちていった。

10: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:14:44.68 ID:Y2BUMBg0


--城下町--

新勇者「はううぅ……なんで……こんな暗い時間に酒場なんていかなきゃならないんだろう……」

新勇者は酒場の前でうろうろと歩きまわっている。

新勇者「べ、別に勇者になんてなりたくないんだけどなぁ……でもお母さんが……」

はぁ、とため息を一つつき、新勇者はチラチラと酒場の入り口に視線を送る。

新勇者「行かなきゃ……やっぱり、駄目だよね……?まずは確か……戦士さんを頼まないと……」

ギ、ギギィ

新勇者「おっ、おじゃま……します」

おっかなびっくりの新勇者は、酒場に足を踏み入れた。

11: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:24:35.00 ID:Y2BUMBg0


--酒場--

屈強な男「あぁん?」

がちむち「なんだ?……なんでこんなところに餓鬼がいやがる……」

マッスルひげ「おい嬢ちゃん、ここは餓鬼の遊び場じゃねぇんだよ。悪いおじさんに何かされる前にけぇんな!!」

新勇者「ぴぃっ!?」

新勇者は大の大人に凄まれて、その場に座り込んでしまう。

屈強な男「たぁく、この酒場も落ちたもんだ。なぁ、マスター?世界を救うために旅にでよう!!最初はそんな夢を抱いてここにきたっつ

ーのに、今ここにいるのはろくでなしとしょんべんくせぇ餓鬼とはよぉ!!」

がちむち「てめぇ……誰がろくでなしだ!!」

屈強な男「どっかの筋肉馬鹿のことさ、勇者勇者勇者勇者って、んなもんがお前をパーティに入れてくれるか、ってーんだよ!!」

がちむち「てめぇっ……!!」

ガタガタっ

屈強な男「勇者な自分の力を活かしてくれるだぁ?笑わせんな!!この間だって組んでたパーティでへまやらかしてクビになったやつが勇

者と組めるわけねぇーだろ!?」

がちむちは屈強な男に掴みかかる。

新勇者「あわわっ!!」

屈強な男「大体勇者なんて本当にいんのかよ!?何百年も語り継がれてるくせに一切表舞台に出てきやしねぇ!!こんな時代なのに勇者は

一度だってこの酒場にこねぇじゃねぇか!!」

12: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:40:53.80 ID:Y2BUMBg0


--酒場--

?「くあぁっ」

テーブルに足を投げ出して寝ていた少年が、この騒動のせいで夢から覚める。

?「……何事だ?」

騒いでいるのはいつもここにいるおっさんとおっさん。

?(また無駄な言い争いか……シネ)

少年は争いに巻き込まれる前に酒場から出て行こうと準備を始めた。

?(質が悪い、程度が低い、ここにはまともなやつがいないのかよ)

ガタガタっ

男達はいよいよ殴り合いに発展しそうだ。

?「マスター、ミルクの勘定おいとくぞ」

少年はコートを着て酒場の入口へ歩いていく。

屈強な男「大体勇者なんて本当にいんのかよ!?何百年も語り継がれてるくせに一切表舞台に出てきやしねぇ!!こんな時代なのに勇者は

一度だってこの酒場にこねぇじゃねぇか!!」

?「……」

少年はその言葉に反応する。

?(勇者……)

新勇者「あ、あのっ!!」

?(ん?)

入り口の前に少女が立っていた。少女は涙目になりながら男達へと近づいていった。

13: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:47:42.48 ID:Y2BUMBg0


--酒場--

屈強な男「なんだ嬢ちゃん、危ねぇから帰れっつわれただろ!?」

新勇者「ひぃぃぃ!!」

新勇者は頭を抱えてしゃがみ込む。

新勇者「あ、ち、違います。ボク、女の子じゃないです、男の子です……」

マッスルひげ「あ?……ぶっ、」

がははははははは!!

酒場は男達の下品な笑いで溢れた。

マッスルひげ「ばかか!!ツインテールの男がどこにいるよ!!」

新勇者「あ、こ、これはお母さんがやっちゃったんです!!……ほ、本当に」

がちむち「おい」

がちむちは新勇者の目と鼻の先にまで顔を近づけた。

がちむち「なんでもいいから帰れって言ってんだよ。お前も血をみるぞ?」

新勇者「ひっ……で、でも」

?「……」

新勇者「で、でも!!その!!……ボク、勇者なんです」

14: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 00:56:19.11 ID:Y2BUMBg0


--酒場--

?(なんだと!?……)

少女の男宣言に続き勇者宣言。酒場はシーンと静まり返った。

ぎゃはははははははは!!

マッスルひげ「こいつあぁおもしれぇwwだったらお譲ちゃんはモンスターを、魔王を倒せるっていうのかよ」

新勇者「え?あ、え、えーと……や、やったことないから……わからないですけど……」

がちむち「お前が俺の探し求めてた勇者だと?……ふざけんじゃねぇ!!」

新勇者「ぴぃ!!!!」

?「確かにそうだな……」

がちむち「あん?……また餓鬼かよ」

?「勇者はその女じゃない、この俺だからな」

新勇者「え、ええええ!?」

15: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:00:29.05 ID:Y2BUMBg0


--酒場--

マッスルひげ「……はは、さすがに酔いも冷めてきたぜ。天下無双の勇者様がこんな餓鬼だったとはな、しかも二人も……もうそのネタじ

ゃぁ笑えねェわ」

新勇者「あ、あや、でもボク、お母さんにあなたは勇者なのよ、って……」

?「俺だって、お父様やお母様から勇者は俺だと言われたぞ」

がちむち「うるっせえええぞ餓鬼がああああああああああああああ!!!!」

バタンっ

その時、酒場のドアが勢いよく開かれた。

??「たっのもーーーうっ!!誰かーーー!!私と一緒に旅しよーーー?」

剣を背負ったポニーテールの少女が万歳のポーズでそこに立っていた。

屈強な男「……また餓鬼?」

??「あ、申し遅れましたーー!!私勇者だよーー!!えへへww」

マスター「……まるで勇者のバーゲンセールですね」

16: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:06:14.37 ID:Y2BUMBg0
10

--酒場--

マッスルひげ「なんなんだ一体この餓鬼どもは……そろいもそろって勇者だと?演劇だかなんだか知らねぇがここでやんじゃねぇ!!」

?「?俺は演劇などしていないぞ。俺が勇者なのは本当のことだ」

??「えーー!?君も勇者なの!?」

新勇者「ぼ、ボクも本当のことを言っただけなんです……本当に勇者なんですよぉ」

勇者を名乗る三人は見つめあう。

?(どういうことだ?……確かに勇者くらい知名度の高い人物なら、名を語る者も出てくるだろうが……こんな子供が)

??(あれれー?パパとママは私が勇者だ、って言ってたんだけどなー?変なのー)

新勇者(うぅ、ボクが勇者なのに……あれ?でもっ、も、もしかして……もしかしてボク、勇者しなくてもいいのかな?)

カーーンカーーンカーーン

マスター「!?」

突如、非常用の鐘が鳴る。

鐘男「モンスターだ!!モンスターが来たぞ!!」

17: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:17:44.88 ID:Y2BUMBg0
11

--酒場--

?「!!」

??「♪」

新勇者「え?え?」

少年と少女は酒場から走り去って行った。


--城下町--

ダダダダダ

?「お前……モンスターが来ているんだぞ?逃げないのか?」

??「なんで?みんなを護るのが勇者のお仕事でしょ??」

?「……」

モンスター「ぐゃああああおおおおおおおおおおおお!!!!」

?「あれは……ミノタウロスか」

眼前に棍棒を振りまわすミノタウロスがいた。
少年は腰のナイフを抜くと、

シュパアアン

ミノタウロス「……ごふ?」

ブシャアアアアアアアアアア

すれ違いざまにミノタウロスの胴を切り裂いた。

18: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:18:50.97 ID:Y2BUMBg0
12

--城下町--

??「おおうっ!!君っ、中々やるね!!」

?「……」

魚人「ぎょぎょぎょぎょ!!」

?「次は魚人か」

少年がナイフを構えると、

??「炎属性魔法レベル2!!」

ボッ

少年の横を炎魔法が通り抜け、

魚人「ぎょおおおおおおおおおおお!!!!」

魚人は炎に包まれた。

19: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:19:18.51 ID:Y2BUMBg0
13

--酒場--

新勇者「あわわわっ!!ほ、本当にモンスターがいるよぉっ……」

ゾンビ「きしゃああああああああ!!」

新勇者「きゃああああああああああああああ!!!!」

がちむち「どいてろ!!攻撃力上昇レベル1!!」

がちむちはショルダータックルでゾンビを吹き飛ばす。

ゾンビ「ぎょえあああああ!!」

マッスルひげ「くそ、なんだっていきなりこんな!!」

屈強な男「王国の警備兵は何をしてやがる!!はあああ!!」

屈強な男は手に持った斧でゾンビに斬りかかる。

ズブっ

しかし思っていた以上にゾンビは硬く、

ゾンビ「はぎょおおおお!!」

屈強な男「!!」

屈強な男はゾンビに噛みつかれてしまう。

20: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:19:46.95 ID:Y2BUMBg0
14

--城下町--

??「範囲炎属性魔法レベル2!!」

ゴオオオオオオオ!!

オーク「がああああああああああ!!」

?「……なるほど……」(確かに勇者を名乗るだけあるか?)

ズバズバっ

??「……ふーん……」(強いなこの子)


--酒場--

がちむち「うおおおおおおおおおお!!」

ゾンビ「きしゃああああああああ!!」

新勇者「もうやだあああああああああああああ!!」

21: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:20:21.19 ID:Y2BUMBg0
15

--酒場--

マッスルひげ「お譲ちゃん逃げな!!ここは俺らがなんとかしてやっから!!」

新勇者「……え?」

マスター「えぇ、こんなお譲さんすら護れないようじゃ、大人しっかくです!!」

マスターは酒場の椅子を武器として装備した。

新勇者「で、でも!!」

ゾンビ「きしゃああああ!!」

マッスルひげ「!?あぶねぇ!!」

新勇者「!?」

ブシュッ

22: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:20:48.23 ID:Y2BUMBg0
16

--城下町--

兵士「モンスター共めええええ!!」

ズバッ

モンスター「ぎゃあああああああああああ!!!!」

?「……ふぅ、兵士達がやっとでてきたか。モンスターの数も残り少ないし、なんとかおさまりそうだな」

??「いい運動だったねー!!」

?(そういやもう一人のあいつは……)

少年は踵を返し、酒場へと戻っていく。

??「あっ!どこいくの?待ってよーー!!」

23: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:21:30.17 ID:Y2BUMBg0
17

--酒場--

?(酒場にはろくなやつがいなかったからな……もしかすると)

少年が壊れた扉から中を覗き込むと、

マッスルひげ「……」

新勇者「ごめんなさい……ひっ……ぼ、ボクなんかの、ひっ、せいで……!」

新勇者は酒場にいた30人くらいの大人に回復魔法をかけていた。

?「……っ!!」(これだけの人数を相手を一度に……)

??「うわーーー!!なんかやさしい光だねぇwww」

マッスルひげ「……お譲ちゃん……めちゃくちゃだな」

ぐちゃ

?「?」

少年は酒場に散乱するゾンビの肉片を踏んだ。

?「……っふ」

24: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/03/30(火) 01:23:53.89 ID:Y2BUMBg0
18

--酒場--

マスター「ありがとうお譲さん、もう私達の怪我は治りましたよ」

新勇者「えぐっ!ほ、本当に……?」

マスター「えぇ……」

?「……決めたぞ」

新勇者「……すんっ……?」

新勇者は少年の方を振り向く。

??「あ、そうだ!!いいこと思いついちゃったww」

少女は嬉しそうに顔を綻ばせる。

?「この三人とも勇者だと言うのであれば、」

??「私達三人で競争しようよ!!」

新勇者「……?」

?「俺らの中で一番最初に魔王を倒したやつが、」

??「誰が魔王を倒せるか♪それで、倒した人が」

新勇者「……え?」

?、??「真の勇者だ!!」

少年と少女の声が重なる。
それを聞いた新勇者はしばらくほうけて……そして、

新勇者「え、えええええええええええええええええええええええええ!?」

絶叫した。


      酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
              第一部
            勇者×勇者×勇者

36: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:23:58.20 ID:otxOsxk0
アリス:自宅なう

ダテ:アリスさんがログインしました。

賢者:勇者さん、こんにちは。僕はこれからバイトいってきます。コンビニはもう飽きたんですけどね。

アリス:>>賢者 ちょwwwばらすなww

ダテ:俺が買っといたカップラーメン食われてるんだけどwwwだれだwww

薫:>>ダテ 自演乙

アリス:……あれ?う、うそだろ?

筋肉:ちょっと近くの本屋に行っていきます。

アリス:G が で た

アリス:ややばああおうぇhご0あw4えg0@あwhrg0あへr0gは

ダテ:アリスさんがログアウトしました。

筋肉:天気のいい日はすがすがしいですね。ちょっと風が強いけれど。

賢者:僕のサドルを盗んだ人、今なら怒らないですから出て来なさい。

ダテ:ゲームやるわ。何がいいかな

アリス:おあ8r4うあおうぇjrgぱwjrぺgじゃうぇいf-あいjhんfvls;

ダテ:まだG処理できてないのか

薫:さぁて、お楽しみの2525動画観賞と行きますか~。……黒字?

賢者:  ジャストフィットなう

37: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:26:53.24 ID:otxOsxk0
筋肉:いい本が無いです。

薫:あぁあん!!ミクちゃん可愛いですねー。最近の歌はすばらしいのが多いですね~。おや?これは……

アリス:G討伐完了なう

筋肉:ん?あそこにいるのは……魔法使い?

ダテ:クロスデイズプレイなう

アリス:>>ダテ  ……

ダテ:2828

薫:!! >>アリス http://www.nicovideo.jp/watch/sm7265930 これ、一緒にやろう!!

アリス:>>薫 だが断る。

薫:>>アリス ハァハァ

アリス:>>薫 アグネエエエエエス

ダテ:2828……ん?誠シネ

薫:>>アリス それは自爆を意味する

筋肉:「お前今日オフだろ?wwww一人で何してんの?wwwテラバロスwwwwww」って馬鹿に言われました。貴方はどうなのかと問い詰めたいです。ルート次第では解雇されるくせに。正直生意気だと思います。

38: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:27:26.03 ID:otxOsxk0
アリス:今日何しよう。そうだ、この前もらったクッキー食べよう……なんでこんなことまで呟かなくてはならない?

薫:>>アリス アリスん家の前なう

アリス:>>薫 ちょwwwまじでいるwwww不審者乙wwww

筋肉:とりあえず適当に本を見繕って本屋を後にしました。お腹がすいたのでラーメン屋にでも行こうかと思います。

ダテ:なんだこれ

賢者:接客なう

薫:>>アリス 寒いなう

ダテ:なんだこれ

39: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:28:07.95 ID:otxOsxk0
薫:>>ダテ つっこんでほしいのか?

賢者:煙草は番号で言ってもらえると非常に助かります。まぁ銘柄覚えちゃったからあまり変わらないんですけどね

ダテ:>>薫 いや、まぁそういうんではないんだが……なんだこれ

アリス:>>ダテ もったいぶってないでさっさと言えよ

薫:>>アリス お前は早くドア開けろよ

筋肉:醤油ラーメンなう

ダテ:俺のろかがあああああああああああああああああああああああ!!!!

アリス:>>ダテ kwsk

薫:>>アリス hyk

筋肉:うはwwww王様が一人でラーメン食べてますwwww

アリス:>>筋肉 写メうp

筋肉:>>アリス ラーメン屋の中で人を写メるのは良くないと思います

アリス:>>筋肉 ……っけ

薫:>>アリス 寒い

40: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:28:44.04 ID:otxOsxk0
ダテ:何このEND?馬鹿なの?すごい心抉られたんですけど

賢者:「最近の雑誌ってすごいねえ~こんなDVDまでついてきちゃうの?ふぅううん」とか呟きながら大人向け雑誌をレジに持ってきたおじさん。なんなんでしょう。

アリス:パ→ → →う→p完成で妹(18)の   うp、っと。何人釣られるかなwww

ダテ:>>アリス 自分のうpするの?27なのに?

薫:>>アリス かぼちゃ   うpキボンヌ

アリス:>>ダテ うるせぇ!!  >>薫 かぼちゃなんてはいてねぇよ!!私のはセクシーだよ!!

ダテ:>>アリス セクシーハ ハ 

薫:>>ダテ ベランダにあるのを見る限り……残念っ!!

アリス:>>ダテ そう私のはすごくせ

薫:慌てて取り込むなう

薫:訂正 慌てて取り込んでるなう

ダテ:>>薫 かぼちゃ?

薫:>>ダテ 縞  

アリス:こらあああああああああああああああ!!!!

筋肉:王様が食い逃げしました。

41: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:29:46.43 ID:otxOsxk0
賢者:フードを被った人来店なう

ダテ:>>筋肉 王様なにしてんだwwwww

筋肉:「この国を治めてるのは私だぞ!?支配者なんだぞ!?」等とわけのわからないことを言ってました

薫:>>筋肉 あのひげ……

ダテ:>>筋肉 あのばか

賢者:フードの人が大人向け雑誌コーナーで立ち読みしてます

賢者:休憩なう

アリス:ちょwww妨害してたのに30レスで完成しちゃったwwww

筋肉:剣豪さんに会うなう

薫:>>アリス うpれよ!?絶対にうpれよ!?

賢者:トイレ行く時にさっと見たら、フードの中に商品を隠してました。万引き確保なう

ダテ:>>アリス >>賢者 kwsk

アリス:し、仕方ないなあー!!みんなどうしても見たいっていうなら……

賢者:フードを取ったら受付さんでしたなう

薫:>>賢者 なう付ければいいと思ってんだろ

42: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:30:20.68 ID:otxOsxk0
アリス:>>薫    うpったwwwwww

ダテ:>>アリス URL

賢者:「お、王様から頂けるお給料が少ないので……」とか言って泣いてます。でもお金持ってるんですよね、この人。買うのが恥ずかしかったのでしょうなう

薫:>>アリス うはwwwまwじwだwwwww……あれ?叩かれてません?

アリス:>>賢者 受付ェ

ダテ:>>アリス URL

筋肉:剣豪さんが事情聴取されています。まぁあからさまに銃刀法違反ですからね。

賢者:ぬ ぎ は じ め た

薫:>>賢者 写メうp

アリス:うわ……なによこれ!!ブス乙とか……顔見せてないのになんで!!

ダテ:>>アリス URL

筋肉:今日は色んな人と会いますね。ほかにもあってしまうかもしれないですね。

賢者:事情聴取なう

薫:>>賢者 意味が……わからない

43: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:30:48.84 ID:otxOsxk0
賢者:>>薫
万引き
確保
話聞く
脱ぎ始める
警察くる
なぜか僕が事情聴取←なう

ダテ:>>アリス URL

薫:>>賢者 大事で小事を打ち消そうという魂胆ですね~ 賢者終わったwww

筋肉:公園に来ました

アリス:あーまじむかつく!これだから匿名性のところはさ!!叩きまくる餓鬼しかいなくてもう!!

ダテ:>>アリス URL

薫:>>ダテ 帰れ

賢者:>>薫 危なかった……監視カメラが回って無かったら僕が逮捕されるところでした……

アリス:わかった!!今度は、    うpする!!

薫:>>アリス 洗濯板キター!!

ダテ:>>アリス URL まじで 本気で頼む

賢者:店長が気を利かして肉まんとからあげ棒をくれました。ありがとうございます

薫:>>ダテ 必死すぎwwww

筋肉:公園で野外ライブしてます。サキュバスさんが

44: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:31:18.96 ID:otxOsxk0
賢者:肉まん水でふやけてる……

アリス:>>筋肉 サキュバスさんwwなにしてはるんですかwww

筋肉:>>アリス この寒い中露出度の高い服装で踊って歌ってます。非常にセクシーです。

筋肉:ただ聞いている人が私を除いて二人しかいないのが残念です。しかしこの二人、踊ってばっかで歌を聞いているのでしょうか?

賢者:からあげが硬くて顎が……え?罰ゲーム?

薫:>>賢者 テラ廃棄wwww

ダテ:>>アリス わかった 俺が写真取る それで手を打とう

アリス:>>ダテ ふざけんな

薫:そろそろ携帯打つのも辛くなりました。いつになったらあの扉は開くのか……

ダテ:勇者、話を聞いてくれ

アリス:>>薫 永久に訪れない

筋肉:サキュバスさんも落ちましたね……

45: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:31:55.79 ID:otxOsxk0
薫:>>アリスていうか、胸じゃなくて顔うpしたらいいんじゃないですかね

ダテ:>>薫 何言ってんだ? 馬鹿なんじゃないの?頭湧いちゃってんの?

筋肉:さて公園をでて適当に歩いてるわけですが……ここはどこでしょう

薫:>>ダテ ……

賢者:今日はもう帰っていいとか言われました……

アリス:>>薫 それだ!!!

薫:>>アリス まじでかwww

ダテ:>>アリス なんで公共の場で顔うpしようとしてんだ!!考え直せ!!

賢者:あれ、闘士君がとぼとぼ歩いてますね

アリス:どうしようどうしよう、じゃあ、最終回のワンピースと麦わら帽子姿で……って、いまさらだけどワンピース+麦わらってあれを思い浮かべるな

薫:>>アリス 貧 王に、俺は、なる!!

筋肉:イン賢者なう

46: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:32:29.72 ID:otxOsxk0
アリス:よっしゃああああ!!とったどおおおおおおお!!!

賢者:

ダテ:>>アリス やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお

薫:>>アリス うpうp

アリス:絵がうpできない……

49: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/01(木) 23:59:37.55 ID:otxOsxk0
薫:>>アリス  絵?

アリス:>>薫 あ、絵じゃないよ写真だ。って駄目だ……まじでなんだかしらないけどうpできない!!なんで!!

ダテ:時間が無くなってきましたね

アリス:なんでなんでえええええええええ

ダテ:>>アリス ネットなんて詳しくないのに手を出すからさ

アリス:ああああああああああもおおおおおおおおおお!!あ、できた

薫:>>アリス ktkr!!

ダテ:>>アリス なんだと

アリス:へへへ

70: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 21:46:01.48 ID:DMPzz8Y0
19

--酒場--

次の日。

?「そういえば名前を知らなかったな」

??「?なんのー?」

?「俺達のだよ……みんな勇者じゃ、呼びづらいだろ」

新勇者「う、うん、確かに……」

?改めアッシュ「じゃぁ、俺の名はアッシュと呼んでくれ」

??改めポニテ「じゃあ私はポニテだから~ww」

新勇者「え?え?あ、じゃ、じゃあ」

アッシュ「お前はツインテだな」

新勇者改めツインテ「ボクは、って、えええええええええ!?」

72: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 21:56:02.51 ID:DMPzz8Y0
20

--酒場--

がちむち「おい嬢ちゃん達、そんでどこに行くつもりなんだ?」

アッシュ「む……魔王討伐だが、実際どこにいるのかわからないしな」

ポニテ「そだねぇー」

マッスルひげ「とりあえず修業のために適当に旅したらどうだ?」

アッシュ「俺はすでに強いぞ」

がちむち「いやいや、お前らレベルなんてごろごろしてるだろ。きっと今魔王と闘ったら……」

ツインテ「ひっ!!う、うぅ……怖いよぉ」

マッスルひげ「そ、そこでどうだ。お前達は3人しかいないわけだし、俺とかパーティに入れてみないか?俺はこうみえて魔法とかがな!」

がちむち「いやいやこんなやつより俺を入れろ!!俺は役に立つぞ!!」

屈強な男「ったく、こいつらが本当に勇者なのかわからねぇってのに……ただツインテの譲ちゃん、俺はお前に命を救われたわけだ……お、お前が付いてきて欲しいっ!!って、た、頼むなら、い、一緒に、行ってやらんでもないっていうか!!」

ポニテ「えへへ、面倒くさいね!!じゃあおじさん達、私と勝負しよっ!!」

アッシュ「なるほど、入隊試験というわけか。おもしろい、俺もやるぞ。俺達に一撃でも入れられたら仲間に入れてやる」

おっさんs『……え?』

74: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:02:14.35 ID:DMPzz8Y0
21

--酒場--

ツインテ「だだだ、大丈夫ですか!?あうあうあうー!!」

ツインテはおっさんsに蘇生魔法をかけている。

ポニテ「おっさん達弱かったねー」

アッシュ「所詮酒場で飲んでるだけのおっさんか」

がちむち「く、くそぉ……俺達だって……ぐすん」

アッシュ(蘇生魔法ですら1分か……)

75: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:09:30.73 ID:DMPzz8Y0
22

--草原--

がちむち「ちくしょおおおお!!何かあったらすぐ帰ってこいよおおお!!」

屈強な男「危ないことはするなよおおおおおおお!!」

アッシュ「……むさいな。シネ」

ポニテ「あははww鼻水まで垂らして汚いよぉww」

ツインテ「うぅぅ……皆さんおたっしゃでええ!!!!ツインテは、ツインテは……!!」

おっさんsは号泣しながら手を振って勇者達を見送った。

マッスルひげ「……俺、ツインテが帰って来たら告白するんだ」

77: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:15:49.53 ID:DMPzz8Y0
23

--草原--


アッシュ「さて、何も決めずに出てきたわけだけど、どこに行く?魔王の居場所はわからないしな」

ポニテ「私わからないけど、おもしろいとこがいいなぁ!!」

ツインテ「ぼ、ボクこの国しか知らないんでっ、あん、あんまり怖くないところが……」

アッシュ「おいお前ら……テーマパークに行くんじゃないんだぞ……?」

ポニテ「でもでも私どこになにがあるとか知らないよ?」

アッシュ「だと思ったよ。じゃあ一応俺が調べておいた所に行くか」

ツインテ「え?もう調べてあるの?」

アッシュ「というか、今現在問題が起きている場所だ。聞いた話じゃ、北の王国がゴーレムに襲われているらしい」

ポニテ「ゴーレム!?絵本でしか見たこと無い!!行こう、面白そうww」

ツインテ「え、え……?」

アッシュ「まだ他にもあるんだが、まぁいいか。モンスターを狩りつつ北の王国を目指すとしよう」

ポニテ「おーー!!」

ツインテ「えぇ?……」

79: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:21:29.25 ID:DMPzz8Y0
24

--草原--

モンスターがあらわれた!

ポニテ「あ!モンスターだ!!」

ツインテ「ひぃいいいいいいい!?」

ポニテ「おお!!モンスターだぁ!!おりゃー、範囲火属性レベル2!!」

モンスター「あぎゃあああああ!!」

ポニテの放った火属性魔法がモンスター達を焼き尽くす。

子モンスター「ぎゅぴいいい!!」

モンスターの中から小さい個体が逃げ出した。

アッシュ「!!逃がさん」

アッシュは走り出しナイフを

モンスター「ぎいいいい!!」

小さな個体を護るように、モンスターが立ちふさがる。

アッシュ「無駄なことを」

ザバシュ

モンスターはアッシュの一刀の下に斬り伏せられてしまう。

子モンスター「ぎゅ、ぎゅぴ……」

ポニテ「逃げちゃだーめっww」

グシャっ

ツインテ「!!」

81: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:33:35.57 ID:DMPzz8Y0
25

--草原--

モンスターをたおした。

ツインテ「あ、あわわわ……い、いくらモンスターが相手だからってやりすぎなんじゃないんでしょうか……」

ツインテの言葉に二人が振り向く。

ポニテ「ほえ?だってモンスターだよ?勇者達はモンスターを倒して強くならなきゃいけないんじゃないの?」

アッシュ「何を言い出すかと思えば。お前……魔王を倒して世界を救う気はあるのか?」

ツインテ「あ、あるよ。でも別にそんな無理やり倒さなくても……」

ポニテ「??よくわからないけど、ツインテちゃんは闘うのがやなの?」

ツインテ「……やだ。だって、モンスターだって生きてるし……家族とか」

アッシュ「っ。それでどうやって魔王を倒す気だ、モンスターを倒し魔族を駆逐し魔王を殺す。それが勇者に課せられた命題だろう?」

ツインテ「……うん」

ポニテ「まぁ、そんな考えない方がいいよー。そんなこと言ったらご飯も食べられないもんwww」

ツインテ「う……うん」

アッシュ(……ポテンシャルに見合わない精神の貧弱さ……)

82: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:38:25.08 ID:DMPzz8Y0
26

--草原--

モンスターがあらわれた。

アッシュ(試してみるか)

ズバッ

モンスター「げこおおああああ!!!」

モンスターをたおした。

ポニテー「ああぁー!!私が倒そうと思ってたのにぃー!!」

ツインテ「あわわわ。蛙男さん……」

アッシュ「ツインテ、回復魔法だ」

ツインテ「え?怪我、したんですか?わかりました」

アッシュ「違う。俺にじゃない。こいつにだ」

アッシュはモンスターを指さす。

ツインテ「え!?どうして……あ!わ、わかりました!!」

ポニテ「……ふーん」

ツインテ(そ、そうだよね!!倒して経験値が入ったら蘇生してあげればいいんだよね!!痛いことして申し訳ないけど……でもこれなら

誰も悲しまない!!)

ツインテの蘇生魔法はモンスターを生き返らせることに成功した。

モンスター「げ、げこ?」

84: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:42:51.04 ID:DMPzz8Y0
27

--草原--

ツインテは生き返ったモンスターに話しかける。

ツインテ「ごめんなさい、でも許して下さい。ボク達はどうしてもまお」

グシャ

振り下ろされるアッシュのナイフ。
ナイフはモンスターの頭部を引き裂き、頭部から噴出した血がツインテの顔を赤に染めていく。

アッシュ「……」

ツインテ「……え」

モンスターをたおした。

ツインテ「な、ななななな何してるんですか!?せ、せっかく、い、生き返ったのに!!」

アッシュ「もう一度こいつを治せ」

ツインテ「なっ!?」

ポニテ「なるほどなるほど。倒す→蘇生→倒すのループかぁww魔力が尽きるまでずっとモンスターを倒し続けられるね!!」

アッシュ「そういうことだ。ほら、早く」

ツインテ「や、やです!!な、何回も死んじゃうなんてかわいそすぎます!!」

アッシュ「でもこいつが犠牲になれば、ほかのモンスターを殺す数が減るぞ」

ツインテ「!!」

アッシュ「なんにせよ俺達はもっと強くなっておく必要があるんだ。さぁ」

ツインテ「う、うぅ」

85: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:45:50.30 ID:DMPzz8Y0
28

--宿屋--

ポニテ「おいしーーー!!牛肉って初めて食べたよーww本当においしーね!!」

アッシュ「……お前……ちょっと食いすぎだろ」

ポニテ「えー?そんなことないよー!おうちにいたころはもっと食べてたもん!!」

アッシュ「……あいつはあいつで飯はいらないとか言い出すし」

ポニテ「あむあむ。ちょっと荒療治過ぎたんだよー。目の前で100万回も死なれたらこたえるよー」

アッシュ「お前こたえてねーじゃん」

ポニテ「私はそういうのは仕方無いって思ってるもん。弱者は強者に食われるものなり、ってね。さすがにあれは可愛そうだったけど。あむ」

アッシュ「……」

ポニテ「……ツインテちゃんのことを考えてのことだったんでしょっ?」

アッシュ「……違う。慣れてもらうためだ。俺らの旅で戦闘をしないわけにはいかない。毎回あーだこーだ言われてたら俺が困る」

ポニテ「www不器用ですねwwwおじちゃん、あと二頭頂戴!!」

アッシュ「ちょっと待って!?」


--寝室--

ツインテ「……ぐすっ」

86: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:46:51.11 ID:DMPzz8Y0
29

--雪山--

ツインテ「あーうー……」

アッシュ「……うーむ」

ポニテ「あはははwwなんか病んじゃってるww」

アッシュ「笑いごとじゃねぇよ……」

ツインテ「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつ」

ポニテ「あはははは……はは」

アッシュ「……やっぱり失敗だった……かなぁ」

87: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/15(木) 22:48:59.20 ID:DMPzz8Y0
30

--雪山--

モンスターがあらわれた。

アッシュ「おい、ポニテ」

アッシュはポニテに小声で囁く。

ポニテ「うん?なぁに?」

アッシュ「昨日の今日だから、ツインテに戦いは見せたくない。ここは逃げとこう」

ポニテ「あれれwww慣らすんじゃないの?ww」

アッシュ「!こ、効率ってもんがあんだよ!!」

ポニテ「はいはい、わかったよーww」

アッシュ「っち、よし、撤退するぞ……て」

ツインテ「うああああああああああああああ!!」

ツインテは杖を持ったままモンスターに突進していく。

アッシュ「……あれ?」

モンスター「うごおおおお!!」

モンスターはそれに合わせて駆けだしてくる。

ツインテ「あはぁ」

ドガッゴッズガッ

ツインテは杖でモンスターを殴打し、

ツインテ「水属性魔法、レベル3」

ドバッシャアアン

アッシュ「……」

ツインテ「あははははははははははははは!!!!」

ポニテ「何かが外れちゃったみたいだね……」

96: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:09:05.58 ID:B3jnFNY0
31

--雪山--

モンスターがあらわれた。

スノーマン「いんじぃえああああああああああ!!!!」

ポニテ「あ、またモンスター!!」

ツインテ「あははははははははははははは!!」

ツインテは笑いながらスノーマンへ接近する。

アッシュ「ま、待て!!ツインテ、ハウス!!」

グシャっドシャっ

スノーマンを押し倒したツインテは、殴打でスノーマンの体を破壊していく。

ポニテ「あちゃ~バーサーカーですなぁw」

アッシュ「う、うーむ」

??「ぶるうるるるるる」

アッシュ「!?新しいモンスターか!?」

勇者達の前に現れたのは、三体の土でできたゴーレム。

ゴーレム「ぶるるるるるる!!!」

ツインテ「!?」

97: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:10:50.94 ID:B3jnFNY0
32

--雪山--

アッシュ「あれが噂のゴーレムか……おい、ツインテ」

ツインテ「あっはははははは!!」

アッシュ「あ、こら!!」

ツインテは立ち上がってスノーマンの頭部を踏み砕き、ゴーレムに狙いを定めた。

ツインテ「かなかなかなかなかなかなかなかなかな!!!!」

ゴッ

ツインテの殴る攻撃。ゴーレムはほんの少しバランスを崩しただけだった。

ゴーレム「ぶるる?」

ゴーレムは拳を天へと掲げ、ツインテ目がけて振り下ろす。

ツインテ「!!」

ガインっ!!

ポニテ「あぶなー!!」

ゴーレムの攻撃をポニテが剣で払いのける。

ポニテ「あんま先走ったら危ないよぉ~?」

アッシュ「!?」(あいつ一瞬で……)

98: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:11:17.13 ID:B3jnFNY0
33

--雪山--

ポニテ「ん~?かったいなぁ。斬りおとすつもりで振ったんだけどなぁ」

ツインテ「はははははは」

ポニテ「ツインテちゃんは後衛タイプでしょ?前は私の仕事なんだよー!だからぁ」

ガイィン!!

ポニテ「怪我する前に下がってね!!」

ゴーレム「ぶるるるる!!」

アッシュ(あれが3体か。俺とは相性がよくなさそうだしな……なら!)

アッシュの右目が光り始める。

アッシュ「スキル、透視眼!!」

目に映る物すべての弱点がわかるスキル、透視眼。

アッシュ「……っな!!」

しかし、それを持ってしてもゴーレムの弱点は見えなかった。

アッシュ(なぜだ!?俺のレベルが足りない?……いやそんな制限なんて無かった筈……)

ゴーレム「ぶるるるるるる!!!!」

ドシンドシン!!

ゴーレムは巨体を揺らし、勇者達に襲いかかる。

99: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:12:19.41 ID:B3jnFNY0
34

--雪山--

ポニテ「属性付与、炎剣!!」

ポニテの剣が灰色の炎に包みこまれる。その熱にあてられて周囲の雪は一瞬で溶けていく。

ポニテ「おおおおりゃあああああああ!!」

ポニテは跳躍し、落下の勢いに任せた唐竹割りを見舞う。

ブオン!!

ゴーレム「ぶるるる!!」

ガアアン!!

しかしその斬撃はゴーレムの左手で防がれ、

ポニテ「え?そんなあっさrぐぶっ!!」

そして右手で弾き飛ばされてしまう。

アッシュ「ポニテ!!」

ゴーレム「ぶるるるるる!!」

アッシュ「!!」

残りのゴーレムがアッシュの近くにまで来ていた。

アッシュ「ちっ!!魔法罠、束縛!!」

ゴーレム「ぶるるる!?」

地面から光の糸が出現し、二体のゴーレムを縛り上げる。

100: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:12:58.40 ID:B3jnFNY0
35

--雪山--

ツインテ「あはははは!!」

ゴーレム「ぶる?」

ポニテを吹き飛ばしたゴーレムは、次にツインテに手を伸ばす。

ツインテ「対単体水属性魔法、レベル2!!」

ドバアアッ!!

ゴーレム「ぶるっ!?」

強烈な水流を真正面から受けてしまうゴーレム。
しかし、

ゴーレム「ぶるるる……るっ!!」

ばしゃっああ!!

ツインテ「!!」

水流を突破してツインテの右手を掴んだ。

ツインテ「あはh」

ブオン

ツインテはゴーレムに投げ捨てられ、宙を舞った。

101: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:13:39.30 ID:B3jnFNY0
36

--雪山--

アッシュ「くっ!!あいつまで」(まずいぞ、ここは逃げるか)

ゴーレム「ぶるるるるるるるる!!」

ブチブチブチぃ!!

ゴーレムは魔法罠の拘束を自力で解除した。

アッシュ「!!こんな早く自由に」

ゴーレム「ぶるるる!!」

ゴキッ

ゴーレムの蹴りを受けて、アッシュの右手はいともたやすく砕かれてしまう。

アッシュ(っ!!防御しておいてこれか!!)

ポニテ「ポニテちゃん復活!!覚悟ぉおおおおおおおお!!」

吹き飛ばされていたポニテが雪だるま状態で現れる。

ポニテ「あぁ!!みんなやられちゃってる!!もう許さないんだから!!」

102: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:14:21.60 ID:B3jnFNY0
37

--雪山--

ポニテ「奥儀……」

ポニテを中心に、灰色の魔力が渦巻き燃える。

ゴーレム「ぶ、ぶる」

感情無きゴーレムが、その圧倒的魔力量を前にして退いた。

ポニテ「……」

収束されていく魔力は荒れ狂い、辺りかまわず火の海にしていく。

アッシュ「なっ!」

まるで巨竜のブレス……いやそれ以上。
天変地異?いや、恐らくそれですらまだ足りない。

ツインテ「あは……ははは」

ポニテ「I am the bone of my……」

ドゴオン!!

ポニテ「!?」

詠唱を初めた途端、急に足場が崩れた。

ポニテ「わ、ちょ、ちょっ!!」

アッシュ「う、うお!!!」

ツインテ「あはははははははあああああああああ!?」

勇者達は暗い闇へと落ちていった。

103: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:15:01.93 ID:B3jnFNY0
38

--雪の町--

ドオオオオオンン

???「……」

町の近くの山で何かが崩れさる音が町にまで届いている。

若い町人「なんだ?雪崩か?」

活発な少年「うおー!こえー!!」

???「……」

帽子を被った少女は、手に持った本を強く握りしめその場から走り去った。

104: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:16:23.82 ID:B3jnFNY0
39

--雪山--

アッシュ「ん……ん?」

アッシュが目を覚ますと、目の前には泣きじゃくるツインテの顔があった。

ツインテ「ふえ!ごめんなさい~……うあああん」

ポニテ「よしよし~大丈夫だってー」

アッシュ「……ん。助かったのか?」

ポニテ「うんー!ツインテちゃんが正気に戻って障壁張ってくれたり、回復して

くれたりしたからねwwツインテちゃんに感謝しなきゃだめだよぉー?」

アッシュ「そうか……悪いな」

ツインテ「!!」

ぶんぶんとツインテは左右に顔を振る。

ツインテ「元はと言えばボクが悪いんです!!ぼ、ボク、昔からパニックになる

と暴走しちゃって……心に余裕が無いんです……」

アッシュ「……その余裕を無くしたのも俺だ。お前は悪くない」

アッシュは折れた腕を動かしてみる。

アッシュ(完璧だ)

ポニテ「まぁでも骨を折った価値はあったみたいだよ!ほら!!」

ポニテは右手で指し示す。
そこには北の王国、雪の町の入り口があった。

105: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/18(日) 00:17:46.37 ID:B3jnFNY0
40

--雪の町--

アッシュ「ここが雪の町か……ゴーレムに襲われてるっていう割には、案外平和そうだな」

ポニテ「ねぇねぇ!!ご飯いこう!!ご飯!!」

ポニテは目を煌めかせて言う。

アッシュ「……ポニテ、俺らがそんな大金持ってると思うか?」

ポニテ「ん?大金は無くてもご飯代くらいはあるでしょう?ww」

アッシュ「はぁっ、あのな、この前のお前の食事代で全部消し飛んだわ!!」

ポニテ「あえ?」

ツインテ「え!?ボクが持ってきたお金も全部……ですか?結構あったと思うんですけど……」

アッシュ「あぁ?んん……お前が寝てる間にこいつがめちゃくちゃ食いやがってさ……」

ツインテ「ボ、ボクのだけで半年分の旅費ですよ!?それが一日の夕食代で……」

アッシュ「……嘘みたいだろ?死んでるんだぜ、それで(財布が)」

ポニテ「えへ☆」

ツインテ「きれいな顔してますね……」

113: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:05:28.90 ID:CHS9A/g0
41

--雪の町--

???「はっ、はっ、はっ」

帽子を被った少女は、雪のちらつく町の中を走る。
さっきとは違う本を大事そうに抱えて。

ポニテ「ええー!!ごーはーんー!!」

アッシュ「ええい黙れ!!誰のせいで食えないと思ってるんだ!!」

ツインテ「じゃ、じゃあボクが何か作りましょうか?」

???「にゃっ!!」

ドシン

少女は角を曲がってきた勇者達とぶつかってしまう。

ポニテ「あたたたたー……あえ?」

ツインテ「ご、ごめんなさいちゃんと前見てなくて!!」

???「……あ」

アッシュ「いてぇな、どこに目を付けている?」

ぴこっ

ポニテ「ああああー!!猫人間だあああ!!」

???「びくっ!!」

ぶつかった拍子に少女の帽子は落ち、可愛らしい猫耳が姿を現した。

114: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:06:33.26 ID:CHS9A/g0
42

--雪の町--

アッシュ「……亜人か」

???「っ!!」

少女は慌てて帽子を手に取ると深々と被る。やつれた頬に緊張が宿る。

ポニテ「ええええ?!隠しちゃやだー!さわらしてよーーー!!」

ツインテ「ぽ、ポニテさん、怯えちゃってますよ」

村のおばさん「あらいやだ!!亜人ですって!?まぁまぁまぁ!!」

???「!!」

村のおばさん「まだこの国に薄気味悪い亜人がいたなんて……あぁ嫌だ嫌だ!」

???「っ!!」

少女は本を抱えて路地裏へと走っていった。

ツインテ「あ、あう……」

ポニテ「むぅー!ひどいよおばさん!!」

村のおばさん「な、なによ。亜人を擁護するつもりなの?」

アッシュ「……あいつが何か悪いことでもしたのか?」

村のおばさん「そ、そういう問題じゃないのよ!!亜人はけがらわしいのよ!!勇者討伐戦争の時だって」

?「あー、はいはい、おばさん押さえて下さい。相手はまだ子供ではないですか」

村のおばさん「ぼ、牧師様……」

115: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:07:20.04 ID:CHS9A/g0
43

--雪の町--

?改め牧師「嫌い合うなんて悲しいことです。ましてやほら、亜人と人ならともかく、人間同士なんですからww」

村のおばさん「……そうね」

村のおばさんは牧師に会釈をすると、背中を向けて歩いていく。

アッシュ「……」

牧師「ふぅ、やれやれ。さて少年達よ、君達は見たところ旅人に見えるのですが、相違ないですか?」

ツインテ「あ、あの、助けてくれてありがとうございます」

ポニテ「ううん、私達はただの旅人じゃないの。魔王を倒すために旅してる伝説の勇者なんだよー!!」

ポニテは胸を張って答えた。

牧師「ゆ、勇者……勇者ねぇww」

ポニテ「あぁ、笑った!!」

牧師「いえいえごめんなさい。ちょっとあまりにも可愛らしい勇者達だなぁと思ってww」

アッシュ「……先代の勇者も若い女性だったと聞いている。それなら俺達が勇者だったとしてもおかしくないだろう?」

牧師「うーん……」

牧師は上を向いて考える。

牧師「そう言われてみればそうですね……わかりました。信じましょう勇者様。よくぞ雪の町にお越し下さいました」

牧師はやさしい笑顔を三人に向けた。

116: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:07:48.33 ID:CHS9A/g0
44

--雪の町--

牧師「ですが、勇者様方」

牧師は人差し指をピンと立てる。

牧師「この北の王国では、あまり亜人関係の話はしないほうがよいですよ?特に今は……」

ポニテ「えぇ!?なんでなんでー!?」

牧師「この国の国民の大多数が亜人のことを良く思って無いんですよ」

ツインテ「それは……どうしてなんですか?」

牧師「どうしてなんでしょうね……遥か昔にはその理由があったのかもしれませんが……いや、人が何かを憎むのに理由なんていらないのかもしれません」

ポニテ「理由もわからずにあんなひどいこと言ってるの!?」

牧師「多少はあるんですよ?彼らのせいで職を失った人達もいれば、亜人との喧嘩で夫を失った奥さんもいる……」

アッシュ「……」

牧師「でもね、職を奪われた原因はその人が亜人より努力しなかったからに過ぎませんし、喧嘩の話も大抵は人間からしかけたものだと聞いています。本当に憎んでる理由は、もっと深い所にあると思うんです……」

クゥゥウ

ツインテ「あ!///」

牧師の話の途中でツインテのお腹が鳴る。

牧師「あらあらww勇者様方はお腹が空いてらっしゃるようだww」

117: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:08:16.44 ID:CHS9A/g0
45

--教会--

がつがつがつがつ!!

ツインテ「ぽ、ポニテさん!もっとお行儀よく食べて下さい。それにそんなにいっぱい食べちゃったら……」

ポニテ「がもがも?」

ポニテは口いっぱいにパンを頬張っている。

牧師「あはははww気になさらないでください。我が教会には恵まれない人達に分け与えるために、政府から食糧をたくさんいただいてますので」

アッシュ「へぇ……今どき珍しいな」

牧師「はい。我が王国の誇れることの一つに、餓死者数0がありますからww」

ツインテ「すごい、ですね。こんな過酷な土地なのに……」

牧師「えぇ、でもそんなものは知恵と努力でどうとでもなります。北の王国のモットーは、生き延びること!!勇者討伐戦争でも、我が王国の兵士の死傷者数は最も低かったんですよ?まぁ、戦争に行った兵隊の数が他よりも少なかったってのもあるんですけどね」

ポニテ「もがももふもふ!!」

ツインテ「……口の中のものをちゃんと食べ終えてから話してください」

118: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:11:23.46 ID:CHS9A/g0
46

--雪の町--

召喚士「……なんで歴戦の英雄たるオイラ達が見回りなんてやらなくちゃいけないんでやんすかねぇ」

人形師「いぃーではありませんかぁ。ワタシらレベルでないと無駄に犠牲者が増えるだけですからねぇえ」

召喚士「オイラレベルって、その割にはあいつはなんもしてないでやんす!!しかも一番若いのに!!年功序列という素晴らしいシステムはどうなってるでやんす!?」

人形師「これからは老人が働いて若者はパソコンをする時代になるのですよぉ」

召喚士「……笑えないでやんす」

119: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:11:51.53 ID:CHS9A/g0
47

--教会--

アッシュ「そういや牧師さん、この国はゴーレムに襲われてるんじゃないのか?」

牧師「……なるほど。そのことでこの国に訪れたのですか。そうですね、答えから言うとはい、襲われています。一週間に一度くらいのペースで」

ツインテ「こういうのもなんですけど、多いんだか少ないんだかわからない回数ですね……」

牧師「えぇそうですね。でも偶然にも毎週日曜日に襲ってくるんですよ。律義にも」

アッシュ「……俺達も雪山でやつらと出くわしたが、何体くらい来るんだ?」

牧師「雪山ですか……いえね、このゴーレムが少しおかしいんですよ」

ポニテ「むごみち」

ツインテ「まだ食べてたんですか!?」

牧師「警備は万全、どこからも王国に入ってこられる場所は無いのに、いきなり町の中に出現するんです……」

アッシュ「……」

ツインテ「どこからともなく現れるって……も、もしかしてゆ、幽霊……」

120: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:12:25.67 ID:CHS9A/g0
48

--教会--

アッシュ「……だれかが手引きしているのか?」

牧師「その可能性は考えられます。ここでさっきの話に通じるのですが、国民は亜人達がその手引きをしているのではないか、と疑っているんです」

ツインテ「!!そんな……」

アッシュ「ありえないだろ。ただでさえマークされやすい亜人が、厳重な警備の中どうこうできるとは思えないぞ」

牧師「私もそう思います。でもね、少なくとも亜人達には動機がある……と国民は思っているんです。亜人達が耐えかねて自分達に復讐をするつもりなんだ、と。そして亜人達のせいにすることで得をする人達もいるのです」

ツインテ「濡れ衣……じゃないですか」

牧師「かもしれませんし、そうじゃないかもしれません……」

ポニテ「むしゃりむしゃり」

121: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:15:08.90 ID:CHS9A/g0
49

--教会--

ツインテ「あ、あの……話変わってしまうんですけど、いいですか?」

牧師「はい、なんでしょう?」

ツインテ「さっきの、あの子は……」

牧師「あぁ、錬金術師のことですか。彼女がどうかしましたか?」

ツインテ「あの子は……ちゃんとご飯食べてるんでしょうか。ちらりと顔が見えた時には、すごく、痩せて見えました」

アッシュ「……」

牧師「……あの子も私達牧師の保護対象です。ですが彼女からはあまりここにこないのです。ここに来ると辛いことを思い出すのでしょう……」

アッシュ「辛いこととは?」

牧師「あの子は生まれてからずっと路地裏で生きていました。その日の食糧にも困り、頼る身内も無い状態で。ついに精も根も尽き果てて、ボロボロになった状態の彼女を先代の牧師様が助けたんです」

122: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/04/19(月) 00:19:05.25 ID:CHS9A/g0
50

--過去--

???改め錬金術師「にゃあ……にゃっ」

路地裏には、ボロボロになり頭から血を流している錬金術師がいた。

先代牧師「これはひどい……人間達にやられてしまったのか。むごいことを……」

先代牧師は錬金術師を抱えて教会へと走った。



錬金術師「……にあ?」

錬金術師は教会で目を覚ます。

先代牧師「おぉ!!気付いたか、よかったよかった!私の魔力もまだ捨てたものではないな!!」

牧師「牧師様、こういうのもなんですが、こういうことはあまり……子供達がおびえていますよ?」

先代牧師「なぁあにをいっちょるか!子供はみんな子供、神からの授かりものだ!!ささ、みんなも来なさい。この子は新しい友達だよ!!」

赤髪の少年「その子……噛まない?」

先代牧師「お前達の方が歳も体もでかいくせに、何を心配しとるんだ!!いいから来なさい!!」

錬金術師「にあ」

そばかす少女「な、なんか猫みたい……触ったら病気になっちゃうんじゃ」

先代牧師「病気になんてなるわけがないわ!!」

牧師「いえ、でも一応お風呂に入れてあげてからのほうがよいのでは?ずっと外で生活していたようですし」

先代牧師「私なんかこの子の全身  たくてうずうずしとるくらいだ!!!!」

錬金術師「ふ、ふー!!!!」←おぞましいものを感じた。

142: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:15:05.27 ID:LlDY2Gk0
51

--過去--

錬金術師「にゃははははwww」

赤髪の少年「うお!?こら待て!!」

牧師「……あの子も大分ここに慣れたようですね。人語も覚えてきたようですし」

先代牧師「なぁに、子供の適応力ならあっという間よ!!」

そばかす少女「あ、お兄ちゃんがきたー!!」

ひょろっとした男「うーす」

先代牧師「おお、久々に顔を見せに来たか」

牧師「……」

ひょろっとした男「久しぶりーおっちゃん。元気してた?それと牧師も」

先代牧師「元気だ元気だ!わはははは」

牧師「やれやれ、本当にたまにしか顔を出さないんですね、貴方は」

ひょろっとした男「なかなか兵士ってのも大変でさぁ……」

牧師「嘘ですね。貴方のことだから、面倒なだけだったんでしょう?」

ひょろっとした男「そういうなよぉ、今日は城下町の人気のクッキー買ってきたんだからさ」

赤髪の少年「おかし!?やったー!!あんちゃん、早くくれ!!」

ひょろっとした男「ういよ。……ん?あの子は?」

錬金術師「……」

錬金術師は木の陰に隠れて、こちらをじっと見つめている。

143: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:22:41.10 ID:LlDY2Gk0
52

--過去--

牧師「あぁ、彼女は最近うちで面倒を見ることになった錬金術師です」

ひょろっとした男「ふーん。猫亜人?毛が白い……レアな白猫か」

先代牧師「どうだ!?めんこいだろ!?」

ひょろっとした男「そうね。でも俺、なんか避けられてる?」

錬金術師は、木の陰からぴょこぴょこと顔を出している。

先代牧師「あー……まぁ最初はこうなんだ。人間に辛い目に遭わされたからな、彼女なりの品定めなんだろうよ」

ひょろっとした男「ふぅうん……」

錬金術「……じー」

ひょろっとした男「でもまぁ、初対面の人にはちゃんと挨拶しなくちゃな」

錬金術師「!!!!」

錬金術師の視界から男は一瞬で消え、

バサ

ひょろっとした男「今日は何色じゃあああい!!……あ、あれ?嘘……ごめんなさい」

    をめくりあげた。

錬金術師「にゃあああああああああああああああああああ!!!!」

144: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:28:36.51 ID:LlDY2Gk0
53

--過去--

先代牧師「ほぉ、移動スキルか。今度の親衛隊選抜試験の準備は万全のようだな」

牧師「今まで寝坊とか単位足らなかったとかで一回も受けられなかったですからね」

ひょろっとした男「あ~……正直めんどくさいんだけどなぁ」

牧師「……」

先代牧師「今回は牧師も受ける!!二人で親衛隊になってこいさ!!」

そばかす少女「え……牧師お兄ちゃんもどっかいっちゃうの?」

先代牧師「うむ。人生に分かれはつきものだ、それは良いことなんだよ?さびしいかもしれないが、笑って送りだしてやろう!」

牧師「でも、まだ受かると決まったわけじゃないからね」

ひょろっとした男「俺にいたっては受けるかわからないしなwwていうか一人でここまわせるのかよおっちゃん」

先代牧師「あぁ?余裕に決まってんだろ若造!!私だって若い頃はあの亜人王と闘ったことがあるんだぞ!?」

ひょろっとした男「古い上に闘っただけかよ」

錬金術師「うぅうう!!」

145: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:34:18.56 ID:LlDY2Gk0
54

--工房--

錬金術師は地下にある工房室で何かを練っている。地下室は本や資料や標本などがならんでいて、ゆらめく蝋燭の炎に照らされている。

錬金術師「……はっ……はっ……お父さん」

涙を浮かべた必至の形相で……。

146: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:42:34.03 ID:LlDY2Gk0
55

--過去--

牧師「錬金術師ー!錬金術師ー!ご飯の時間ですよ、食堂に来なさい。みんなあなたのことを待っているんですよ?」

錬金術師「あ、牧師……」

牧師「ここにいましたか。なんですか貴方書庫になんてこもって……え?」

錬金術師「……ごめんなさい……この本に書いてあったこと試してみたくて」

牧師「金でできた……本!?」

錬金術師「本に試しにやってみたら……ぴかぴかになっちゃった」

牧師(錬金術師の……才能!!)

147: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:47:06.62 ID:LlDY2Gk0
56

--過去--

そばかす少女「わー!このブローチかわいいー!!ありがとぉー!!」

錬金術師「……うんっ」

赤髪の少年「そんなもんはいいからさー!剣作ってくれよ剣!!」

庭ではしゃぐ子供達と、それを見つめる大人三人。

先代牧師「いやいや驚いた。まさかあの子に錬金術の才能があろうとは……」

牧師「まったくです。この教会はレアスキル持ちの子供ばかり集まりますね」

ひょろっとした男「俺の武器もつくってくんねぇかなー」

先代牧師「あほか!!」

ゴッ

ひょろっとした男「あいたああ!?」

先代牧師「あの子には……闘いに関与する仕事にはつかせん!!」

148: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 22:54:33.20 ID:LlDY2Gk0
57

--過去--

ひょろっとした男「おーい錬金術師ー」

錬金術師「……にゃ?」

ひょろっとした男は教会の裏からおいでおいでと手招いている。

錬金術師「にゃ……」

錬金術師はおそるおそる近づいていくと、

ひょろっとした男「ほれまたたび!!」

錬金術師「んにゃああああああああああ!!??」

錬金術師は一心不乱にまたたびに飛びついた。

ひょろっとした男「前から気になってたんだよなぁ……これ人間の耳あんのかなぁって」

ひょろっとした男は錬金術師を後ろから抱きあげて髪をかきわける。

錬金術師「っっ!な、なにして……るの?」

ひょろっとした男「ん、なぁに、上についてる猫耳とは別に人間型耳がついてるのか気になってさー」

錬金術師「耳っ、み、んっ!?あ、そ、そこ……」

ひょろっとした男「ほれ、じたばたすんな。すぐ終わるから天井のシミでも数えてな」

錬金術師「天井!?な、無いっ!!ふにゃ!!」

ひょろっとした男「あぁ~あんのか。人耳も。四つ耳じゃん。すごい聴力いいっぽそう。あむっ」

錬金術師「ひあっ!?そ、そこ  ちゃ、あっ!!」

ひょろっとした男「じゃあ、しっぽの付け根を、っと」

牧師「なに……してんですか」

149: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:01:20.30 ID:LlDY2Gk0
58

--過去--

ひょろっとした男「うし、じゃあ行ってくらぁ」

牧師「先代牧師様、しっかりと戸締りお願いしますよ?」

先代牧師「あぁ、わかっとる!!二人とも、しっかりな!!」

赤髪の少年「がんばれあんちゃんズ!!」

そばかす少女「弓お兄ちゃんも牧師お兄ちゃんもがんばってね……」

錬金術師「……ふぁいと」

ひょろっとした男と牧師は、親衛隊選抜試験を受けるために城へと向かった。

150: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:06:45.84 ID:LlDY2Gk0
59

--工房--

錬金術師は地下にある工房室で何かを形作っている。手はあかぎれ、目には隈。不眠不休のその行為は、作る物に命を宿す所業である。

錬金術師「……もうすぐで……」

錬金術師は力無く微笑んでいた。

151: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:23:35.38 ID:LlDY2Gk0
60

--過去--

先代牧師「ふむぅ……選抜試験から一週間が経った。そろそろ報告をしに帰ってきてもいいころなんだが」

錬金術師「……お父さん」

先代牧師「ん?おぉ、錬金術師か、どうした?」

錬金術師「……」

錬金術師はもじもじしていて、中々喋ろうとしない。

先代牧師「ははぁん、わかったぞ。本が欲しいんだな?また錬金術の本を読みたいのだろう?」

錬金術師「!!」

錬金術師の体はビクリと跳ねた。

先代牧師「やれやれ、勉強熱心というのも困りものだ。なまじお前は集中力がよすぎるせいで目が悪くなってしまったからなぁ。亜人が眼鏡をかけるだなんて、聞いたことがないぞ」

錬金術師「う……」

先代牧師「それで、何冊欲しいのじゃ?」

錬金術師はおずおずと右手を先代牧師に見せた。立てられた指は三本。

先代牧師「三冊か!?太いの三冊欲しいのか?三冊……いやしんぼめッ!」

152: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:29:35.04 ID:LlDY2Gk0
61

--過去--

村のおばあさん「……はいよ!お釣り」

錬金術師「……」

ぺこりと錬金術師はお辞儀をして本屋から走り去る。

錬金術師「……はっ、はっ」

大事そうに抱える本の重さが、錬金術師の頬を自然と緩くする。

錬金術師(……もっと……もっと勉強して……みんなの役に立ちたいっ!!)

錬金術師は次第にこらえ切れなくなり、満面の笑顔で町の中を走った。

153: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:37:25.43 ID:LlDY2Gk0
62

--過去--

ガーゴイル「あぎゅるるるるるる」

錬金術師「っっ!!!!!」

その笑みも、教会についた瞬間凍りつく。

ガーゴイル「ぎゅあああああああああああ!!!!」

錬金術師「……あ」

教会の礼拝堂には三匹のガーゴイルがいた。どれを見ても共通の羽、大理石のような眼球、赤く染まった口……。

錬金術師「……あぁ」

ガーゴイルの口からはみ出している、見るからに幼い腕からブローチがこぼれおちる。

錬金術師「……あぁあ」

ガーゴイル「あぎゃああああああああああああああ!!!!」

ガーゴイルは口に咥えていたものを吐き捨てて錬金術師へと飛びかかった。

154: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:44:49.24 ID:LlDY2Gk0
63

--教会--

ポニテ「あーお腹いっぱい幸せげぷー!」

ポニテはベッドの上でお腹を幸せそうになでている。

ツインテ「うぅぅ、ちょっとは自重してくださいよぉ……というかよく気分が悪くなりませんね」

アッシュ「……」

ポニテ「だってーww私達が悲しんだ所でなにかなるわけでもないしー。あえ?ツインテちゃんどっかいくの?」

ツインテ「はい……厨房をお借りできるということなので、クッキーでも作って錬金術師さんのところに持って行こうかと……。何をしているのかわかりませんけど、何カ月もまともな食事を取っていないのは、やっぱり……」

ポニテ「クッキー!?私も行くー!!」

ツインテ「ま、まだ食べる気なんですかー!?」

アッシュ(ガーゴイルに襲撃されて教会の人間は全滅。生き残ったのは助け出された錬金術師と試験を受けに城に行っていた二人の青年だけ……か。そして)

アッシュはにやりと笑う。

アッシュ「……よし、ツインテ。さっさとクッキーを作ってこい。みんなで錬金術師の家に行くぞ」

ツインテ「え、アッシュ……君も来るんですか?」

アッシュ「女二人で夜道を歩かせられないからな」

ツインテ「いや……あのボクは……」

337: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 19:44:45.94 ID:3Ppemtk0
154.5(本来の155)

--城下町--

ツインテ「ポニテさん!!早く早く!!」

ポニテ「そ、そんなこと言ってもおおお!!」

牧師「ふしゅる09あwrg0うぃrg!!」

間一髪ポニテが大剣に手を伸ばす。そして振り返ると同時に、


ザブシュッっ


牧師「ぎゅるるあああああああ!!!!」

ポニテ「あれ?随分あっさり斬れた……なにこれ」

ツインテ「なんでも一定時間だけ魔力のガードを突き破る剣らしいです」

ポニテ「す、すごっ!!」

牧師「あおれがいrhんg9い4hg……」

155: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:46:53.86 ID:LlDY2Gk0
64

--雪の町--

アッシュ「ふぅ。まだ7時前なのに外は真っ暗でめちゃくちゃ寒いな」

ポニテ「わーい!夜の散歩ー散歩ーww」

ツインテ「わわ、怖いです……アッシュ君がついてきてくれてよかったかもです……」

召喚士「こらー!!そこの不審人物諸君!!こんな夜になに出歩いているでやんすか!?」

前方から勇者達に話しかける人影が。の

人形師「おやぁあ?これはこれは、まだ子供じゃないでぇすかぁ」

ポニテ「む?私達子供じゃないよ!?もう15歳だもん!!」

召喚士「それを子供と言うんでやんすよ。親御さんから聞かされていないのでやんすか?今この国にはゴーレムが出るんでやんすよ?」

ツインテ「親……お父様とお母様、元気にしてるかなぁ」

人形師「話聞いちゃいねぇでぇすね」

召喚士「まったく!!おいら達伝説の英雄が警備してるからいいものの……」

アッシュ「……」(そうか、こいつらどこかで見た顔だと思ったら、北の親衛隊三隊長の人形師と召喚士……)

人形師「もうしらんでやんす!!せいぜい危なくなる前に用事を済ませて帰宅するがいいでやんす!!そんで万が一危ない目にあったら力いっぱい助けを呼ぶでやんす!!すぐに駆け付けてやるでやんすからっ!!」

人形師は怒りながら歩き去る。

アッシュ「……」


156: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/02(日) 23:48:33.67 ID:LlDY2Gk0
65

--工房--

錬金術師「……よし、後はあれを受け取って組み込めば……」

コンコン

錬金術師「!!……誰か……来た?」

錬金術師は地下室から出てドアの所までやってくる。

ツインテ「あ、あのー……いますよね?ボク達教会から来たんです。ドアを開けていただけませんか?」

錬金術師(教会?……なんで……それに、誰?)

ギィ

錬金術師はほんの少しだけドアを開いて、そこから来訪者の顔を凝視した。

錬金術師(……知らない人……家にいれちゃだめ……)

ギィ

錬金術師は何も言わずにドアを閉めた。

ツインテ「あ、あの!牧師様から錬金術師さんがちゃ、ちゃんとしたもの食べてないって聞いて……その、おいしくないかもしれないですけ

ど、クッキー、焼いてきたんです!!」

ギィ

錬金術師「……クッキー?」

錬金術師は涎を垂らしている。

171: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:02:08.17 ID:hkKaNi.0
66

--工房--

ツインテ「お邪魔……しまーす」

ポニテ「あはは、なんかくさーいw」

錬金術師「……それよりクッキー……欲しい」

ツインテ「あ、はい。ちゃんと四人分用意してありますから」

錬金術師「……四人?」

ポニテ「あえ?アッシュ君、いないねそういえば」

ツインテ「え?あれ?どこ行ったんだろう。さっきまで一緒にいたのに……」

錬金術師「……とりあえず、紅茶いれてくる」

172: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:07:14.69 ID:hkKaNi.0
67

--工房の屋根--

アッシュ「よし、あいつらは中に入ったか。じゃあ煙突っと」

アッシュは煙突から家の中へと降りていった。

アッシュ(煙突が二つあるのに片方からは煙が出ていない。そしてドアから見えた部屋の暖炉には火がついていなかった。ということはこっちの煙がでている煙突の下の部屋で、何かを行っていたということ……)

スルスルスル

アッシュ「これはいきなりビンゴかもしれない……」

アッシュは地下の工房室へ到着した。

173: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:12:33.56 ID:hkKaNi.0
68

--工房--

サクサクサクサク

ポニテ「おいしいねーww」

ツインテ「お口に合いましたか?」

錬金術師「……」こくん

錬金術師はクッキーをひっきりなしに口に運んでいる。

ツインテ「れ、錬金術師さん、その、先代牧師様のことは残念だったと思います。でもしっかり食べないと駄目です」

錬金術師「!!」びく

ツインテ「あ!す、すいません!牧師様にその、話を、聞いたん、です……」

ポニテ「辛くても悲しくてもご飯食べなきゃだめだよーー?」

錬金術師「……」

ツインテ「一年前から教会を飛び出して何かをやっているそうですけれど、何をやってらっしゃるんですか?」

錬金術師「……」

ツインテ「自分をボロボロにしてでもやらなければならないことなんですか?」

錬金術師「そう」

174: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:19:03.50 ID:hkKaNi.0
69

--工房--

アッシュは地下室を探っている。

アッシュ(錬金術の本……月刊エリクシル、THE賢者の石生成術、ホムンクルスの作り方……)

アッシュはいろんな本を手に取りその内容を調べていく。

アッシュ「……決定だな」

???「がががが」

アッシュ「!!」

小瓶ほどの大きさの何かが、部屋の中を駆けまわっている。

アッシュ「……なんだ?侵入者排除システム?」

???「がっががががが」

テーブルの下にそれは身を潜めている。
アッシュはナイフを抜き取った。

175: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:23:05.75 ID:hkKaNi.0
70

--工房--

錬金術師「これは私がしなくちゃいけないこと。私にしか出来ないこと」

ツインテ「で、でもっ、それで具合悪くなって病気になって……そんなことになったら先代牧師様も悲しむと思います」

ポニテ「あの牧師の兄ちゃんも心配してたしねー」

錬金術師「……悲しまない。だって……もうすぐでお父さんは」

錬金術師はそれきり動かなくなってしまう。

176: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:28:49.33 ID:hkKaNi.0
71

--工房--

アッシュ(何がいるのかわからないが、犬とか猫みたいな愛玩動物では無いだろうな……)

アッシュ「スキル、透視眼!」

アッシュは透視眼を発動し、テーブルの下に潜む者の姿をとらえた。

???改めゴーレム「ががががが」

アッシュ「小型のゴーレム!?」

ゴーレム「がっ!」

ゴーレムはテーブルを突き破ってアッシュに飛びかかる。

アッシュ「!?」

ドオオン!!

177: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:32:52.35 ID:hkKaNi.0
72

--工房--

ツインテ(思いつめた目……この子)

ポニテ「まぁまぁ、食いねー食いねー!お腹いっぱいになれば嫌なことも忘れられるよ!!」

ドオオン!!

錬金術師「!?」

ツインテ「な、なんの音ですか!?床の……下から?」

ガタタッ

錬金術師「……まさか」

錬金術師は地下室へと走る。

ツインテ「あ、あの!……どうしよう、ついてきますか?」

ポニテ「そだね、行こう!」


178: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:37:19.12 ID:hkKaNi.0
73

--工房--

アッシュ「ぺっ。こいつ……ちっこいくせにパワーがありやがる」

アッシュは激突し崩れた本棚を払いのけて立ち上がる。

ゴーレム「がががっがが」

バタン!ダダダダ!!

アッシュ(!?ちっ、こんだけ騒ぎを起こせば気付くか。仕方ない)

ゴーレム「ががががが」

アッシュ「移動速度低下レベル2」

ゴーレム「が   が   が」

アッシュはゴーレムに魔法をかけた後、暖炉へと戻り煙突を登り始める。

179: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 19:40:35.89 ID:hkKaNi.0
74

--工房--

バンっ!!

地下の扉が勢いよく開かれる。

錬金術師「はっ!はっ!はっ!……」

ゴーレム「がががががが」

そこには荒らされた部屋と動き回る小さなゴーレム。

錬金術師(ゴーレムしかいない……疑似エリクシルの匂いにあてられて暴走?……)

ツインテ「れ、錬金術師さん!大丈夫ですか!?」

錬金術師「!!」

ツインテとポニテが階段を下りて近づいてきていた。

錬金術師(この子を見られたら……!!)

ゴーレム「まままま」

錬金術師『物陰に身を隠せ。そして機能を停止しろ』

ゴーレム「が」

ゴーレムは素早く本棚から落ちた本の中へと潜っていった。

ダダダダ

ツインテ「こ、これは!!」

錬金術師「つ、積んでた本が落ちただけ。なんでもない」

ポニテ「……」

181: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 20:16:29.25 ID:hkKaNi.0
75

--工房--

ツインテ「そ、そうだったんですか?泥棒さんとかじゃないんでしょうか」

錬金術師「泥棒……いや、違う、大丈夫だから」

ポニテ「あー!なんかぐつぐついってるー!!ねね、もしかしてシチュー!?」

錬金術師「ち、違う!!だ、だからもう、出てって!!」

ツインテ「え、でも本片づけるの手伝いますよ」

錬金術師「いい!いいから、もう、寝るから!!」

錬金術師は二人の背中を押して地下室から遠ざける。

182: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 20:31:43.18 ID:hkKaNi.0
76

--雪の町--

アッシュ「……」

召喚士「顔にまいた黒い布……どっからどうみても怪しいやつ……さては泥棒でやんすね!?」

人形師「えぇ~。煙突から出て来ましたしぃ、泥棒かサンタの二択でしょうねぇえ」

召喚士「サンタ!?サンタだったでやんすか!?ならプレゼントくれでやんす!!子供のころから一回ももらうことなく大人になったので、今までの分も全部くれでやんす!!」

人形師「しかぁし、サンタは赤と白のカラァーリングだと、聞きましたがぁ」

召喚士「え?やっぱ違うでやんす?だまされた!!」

アッシュ「……」

召喚士「なんか言えでやんす!!さびしいでやんすよ!!」

183: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 20:41:16.46 ID:hkKaNi.0
77

--雪の町--

召喚士「まぁなんにせよ、こんな時間に出歩いてちゃいかんのでやんす。事情聴取させてもらうのでやんすよ」

人形師「明日は日曜なんでねぇ、厳しくなるのは仕方がないのですぅぅ」

アッシュ(やばい……こいつら馬鹿っぽいけど、北のトップ3の二人……切り抜けれるか?)

召喚士「……まじでなんもしゃべってくれないでやんす。やれやれ、力を残しておきたいのでやんすがねぇ。まぁ軽めにいくでやんす。召喚、ハーピー」

ハーピー「ぴょろろろろええええ!」

アッシュ「!!」(陣もつくらず一瞬で!?)

人形師「じゃああ、わたしはジャック君でいきますかぁ」

ジャック「あぃrgは09438jがd」

人形師の体についていた人形の一つが動き出す。その人形の手にはナイフが握られている。

アッシュ(……まずいかもしれない)

184: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 20:49:08.41 ID:hkKaNi.0
78

--雪の町--

ツインテ「はぁ……」

ポニテ「いきなり追い出されちゃったねー」

ツインテ「せっかく少しは仲良くなれそうだったんですけど……はぁ」

ポニテ「仕方ないよー。簡単にはいかないこともあるんだよー」

ツインテ「人生簡単にいかないことばかりですね……というかアッシュ君はどこに行ったんでしょう」

ポニテ「どっかで道に迷ってんだよきっとー」

185: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 20:56:33.53 ID:hkKaNi.0
79

--雪の町--

アッシュ「っく!!」

ハッピー「ぴょろろええええええ!!」

ハーピーの鋭い爪がアッシュの肩を切り裂き、

ジャック「あお483うじょrきdげwrr」

ジャックのナイフが頬を斬りつける。

召喚士「ほぉ、中々いい動きするでやんす」(てか気持ち悪い動きでやんす……常時発動スキルでやんすか?)

人形師「しかしぃ、青いですねぇ。背丈からしても子供でしょうかぁ」

召喚士「でやんすね。職業は盗賊かアサシンってところでやんすか。まったく近頃の餓鬼は才能よさげでうらやまでやんすよ」

人形師「ですねぇ。わたし達がここまで上り詰めるには大変でしたからねぇえ」

ズガッ

アッシュ「っっ!!!」

ハーピーの蹴りがアッシュの頭部を揺らす。

召喚士「もうそのへんにしてやめたらいいでやんすよ。ハーピーの爪には毒があるでやんすから」

人形師「ジャックのナイフにも速攻性の神経毒が塗ってありますからねぇ」

アッシュ「はっ、はっ、はっ!!」(2体1とはいえ……なんだこの差は!!)

186: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:01:57.41 ID:hkKaNi.0
80

--雪の町--

召喚士「まぁ別に殺してから蘇生でもいいでやんすけど、明日のためにも教会の牧師の貴重な魔力を使わせたくはないでやんすよ」

アッシュ「……っ!!」

アッシュは右手のナイフを逆手に持ちかえて振り被る。

人形師「おやおや」

ガシッ

ジャック「あおr48gじゃおkれg」

ジャックがアッシュの右腕に纏わりつき、ナイフをザクザクと刺していく。

アッシュ「ぐあっ!!」(これ以上のダメージはまずい!!)

ズブブ

アッシュの右腕が奇妙な音と共に紫色に変色していく。

人形師(?……新技でしょうか?見たことがありませんねぇ)

そしてアッシュの右腕の傷口から紫色の液体が噴出した。

召喚士「あわわわ!!ばっちぃでやんす!!」

ハーピー「ぴょろろろええええ!!」

アッシュ目がけて突進してくるハーピー。

アッシュ「っ!!」

アッシュはジャックに巻きついている右腕をハーピーに突きだした。

ジャック「あおr8gはl3?」

ジャックはぬめっている右腕に捕まりきれず投げ飛ばされてしまう。

187: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:09:16.89 ID:hkKaNi.0
81

--雪の町--

ドガっ

ハーピー「ぴょろろろれえええ!!!」

顔面でジャックを受け止めたハーピーは地上で転げまわっている。

召喚士「何しているでやんすボクのお前達!!」

アッシュ「スキル、インビジボゥ!」

そしてアッシュはスキルにより姿を消した。

召喚士「あ!!」

人形師「……攻撃してこないところを見ると、逃げられたようですねぇ」(……逃げれるだと……?)

召喚士「ぐあああああああ!!!カッコ悪いでやんす!!またあいつに馬鹿にされちゃうのでやんす!!」

188: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:13:39.68 ID:hkKaNi.0
82

--教会--

ポニテ「たっだいまー!!」

牧師「お帰りなさい。錬金術師はどうでしたか?」

ツインテ「クッキーはちゃんと食べてくれました。でも、なにか忙しかったみたいで、あまりお話もできないうちに追い返されてしまいました……」

牧師「そうですか……外は寒かったでしょう?お風呂が沸いてます。お入りなさい」

ポニテ「お風呂!?やったー!!じゃあツインテちゃん、一緒にはいろー!!」

ツインテ「え!?いやだからその、ボク女の子じゃなくて男の子なんです!!」

ポニテ「またまたーwwほら、早くいこっ?もう寒くて寒くて」

ツインテ「え、ちょちょちょ!!本当にまずいですってばあーー!!」

ずるずる

牧師「私は少し用事が出来たので出かけて来ます。遅くなると思うので代わりに戸締りをお願いしますね」

ツインテ「わかりました。って、助けて下さいいいいい!!!」

牧師「ふふ、女の子同士一緒にお風呂に入るのは、別に恥ずかしいことではないんですよ?」

ツインテ「だからああああああああああ!!」

189: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:19:11.75 ID:hkKaNi.0
83

--教会--

ギィ

アッシュ「はぁ、はぁ……くそ、えらい目にあった!!……」

アッシュは床に腰を下ろし、ポーチから取り出した傷薬を体中の切創に塗りこませる。

アッシュ(簡単じゃないのはわかっていた。近くないこともわかっていた……でもここまで遠いか)

包帯で腕を巻いていく。

アッシュ(あいつらにとっちゃ子犬をあしらったに過ぎない労力……)

ダンっ!!

アッシュは床を叩く。

アッシュ「……見てろよ」

ポニテ「きいいいいいいいやあああああああああああああああああああ!!!!」

ドタドタドタドタドタ!!

ポニテの叫び声とこちらへ走ってくる音が。

ポニテ「あああああああああああ!!ってアッシュ君!?帰って来てたんだ!!ってそんなことはどうでもいいの!!ツインテちゃんがね!!ツインテちゃんがね!?こここ、ここにぞうさんが!!」

アッシュ「なんかで隠せや」


--風呂場--


ツインテ「……も、もう、お婿にいけない……」

190: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:25:22.28 ID:hkKaNi.0
84

--教会--

ポニテ「ぶー!!本当に見たんだってばー!!」

ポニテはタオルで髪を拭いている。

アッシュ「夢でも見てたんだろ?大体……」

アッシュは湯上り状態でストレートにしたツインテの顔を見た。

アッシュ「こ、こんな……か、かわ」

ツインテ「?」

アッシュ「……と、とにかく!もう寝ちまうぞ!!明日は日曜なんだし」

ポニテ「うえー?夢だったのかなー?じゃあツインテちゃん一緒に寝よう!?」

ツインテ「まだ男の子だと認められないのか……」

191: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:34:38.08 ID:hkKaNi.0
85

--工房--

コンコン

錬金術師「!!……誰?」

??「私です」

ギィ

錬金術師「牧師……遅かったね」

??改め牧師「今教会にはお客様が来ていましてね」

錬金術師「知ってる……さっき来た」

牧師「貴方の話をしたら心配したようですね。まさか会いに行くとは思いませんでした」

錬金術師「お喋り……」

牧師「で、どうですか?進み具合は」

錬金術師「地下室……来て」

錬金術師は地下室へと降りていく。

192: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:39:07.40 ID:hkKaNi.0
86

--工房--

錬金術師「これ」

牧師「ふむ……すごい量のエリクシル。これに術式を流せば、さぞや良い体が出来るでしょう」

錬金術師「うん……牧師にもらった本によれば、あとあのアイテムがあれば完成する」

牧師「これ、ですね」

牧師は袋から何かの腕輪を取り出した。

牧師「伝説のアイテム……まさか実在するとは思いませんでした。いや、これが本物なのかは試してからでないとわかりませんが」

錬金術師「それが魔王の骨の一つ……腕輪」

193: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:46:25.82 ID:hkKaNi.0
87

--工房--

牧師「今までゴーレムを何体も作ったおかげで、貴女の技術は飛躍的に上昇した。成功率は高いでしょう」

錬金術師「……でも、町の人を……ゴーレム達は襲ってしまった」

牧師「最初だけです。それからのゴーレム達は最初からプログラミングして、町の外へと行くようにしたではないですか」

錬金術師「……うん」

牧師「やっと……私達の父を復活させられる時が来たんです。先代牧師様はまだ我々に必要だ」

錬金術師「うん」

錬金術師は、ぐつぐつと煮たる大きな窯の前へと歩いていく。

錬金術師「もうすぐだよ……お父さん」

錬金術師は牧師に腕輪を求めた。

194: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:50:50.17 ID:hkKaNi.0
88

--教会--

ポニテ「すー、すー」

ツインテ「ぽ、ポニテさん、お、重いですぅ」

ツインテ、ポニテの二人は同じベッドで寝ている。
その頃アッシュは教会の屋根の上にいた。

アッシュ「……もうすぐ、深夜零時。日曜日」


--雪の町--

召喚士「あれから特に怪しいやつもいないでやんす」

人形師「しかぁし、もうすぐ日曜日になりますねぇ。わたしは何かが起きそうな気がします」

召喚士「……でやんすね」

195: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/13(木) 21:55:56.43 ID:hkKaNi.0
89

--工房--

牧師「よし、零時になりましたよ」

錬金術師「お父さん!」

錬金術師は腕輪を窯に入れ、魔力を流し込んだ。

錬金術師『我が野望を叶えよ!!』

牧師「……」

ビカアアアアアアアアアアア!!

窯は目も眩む光を放ち、そして、


ドゴオオオオオオオオオオンンン!!


--教会--

ツインテ「きゃっ!?な、ななな、何の音ですか!?」

ポニテ「ううぅん??」


アッシュ「……なんだ……ありゃ」

アッシュが目撃したものは、

???『ぐばああああああああああああああああ!!!!』

全長30メートルもの巨人だった。

203: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 21:42:11.24 ID:z2Ms.T60
90

--雪の町--

召喚士「な!?なんなんでやんすかあれは!!」

人形師「超巨大な……ゴーレムでしょうか」

召喚士「まずいでやんす!!あのでかさは洒落にならんでやんす!!この町はおろか、下手したら国が」

人形師「……させません。いきますよぉぉ!!」

二人が駆けだした瞬間、

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

人形師「!!」

ゴーレム達が雪山から町に降りてくるのを見た。

召喚士「ちぃっ!!巨大ゴーレムの相手をしなくてはならないと言うのに!!」

204: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 21:46:14.82 ID:z2Ms.T60
91

--雪の町--

ダダダダダダ

勇者達は暗闇の中、巨大ゴーレム目がけて町を疾走している。

ツインテ「ほ、本当なんですか!?」

アッシュ「あぁ、あの方角は間違いない。錬金術師のいる工房だ」

ツインテ「そんな!!……錬金術師さん……どうか無事で!!」

アッシュ「……多分無事だろうな」

ポニテ「なんでそんなことがわかるの?」

アッシュ「……いや」(だってあいつが)

ゴーレム「ぶるるるるる!!」

アッシュ「!?昼間のゴーレム!!」

ポニテ「あやや、あのおっきいゴーレムに呼ばれてきちゃったのかなっ!」

アッシュ(……ありえる)

205: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 21:49:38.50 ID:z2Ms.T60
92

--雪の町--

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

召喚士「っっ!!先にこいつらを片づけるでやんす!!」

北の兵士「召喚士様、人形師様!!」

北の兵士達が二人の下に集まってくる。

人形師(兵士達には巨大ゴーレムの相手は不可能……とするならば)

召喚士「人形師」

人形師「わかってます。早くに片づけてきてくださいねぇ~」

召喚士「一人だからって無茶するなでやんすよ?」

206: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 21:51:52.51 ID:z2Ms.T60
93

--雪の町--

アッシュ「おおおおおおおお!!」

ギギィィン!!

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

ドボッ

アッシュ「ぐはっ!!……こいつら相変わらず硬いな……」

ツインテ「アッシュさん!!」

ポニテ「どいて!私が燃やしちゃうから!!」

アッシュ「いやいい。こいつら炎耐性持ってるんだ、強引に焼き殺せても魔力消費がでかすぎる。その魔力はとっとけ」

ポニテ「でもそれじゃどうしようもないじゃんっ!!」

アッシュ「俺がやる」

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

ガイン!!

ツインテ「そんな!?一人じゃ危険です」

ポニテ「そうだよぉ、この三人の中で一番ゴーレムに勝てそうにないよ?」

アッシュ「……はっきり言うな」

ツインテ「あわ、あわわわわ」

アッシュ「じゃあなおさらだ。一番使えないやつでここを切り抜けられるんだったらお得だろう?」

ポニテ「……大丈夫なの?」

アッシュ「あぁ、お前らは巨大ゴーレムのとこに行け」

ポニテ「ふぅん。うし、おっけー。行くよー!!ツインテちゃん!!」

ツインテ「え?え?ででで、でも!!」

アッシュ「錬金術師を助けたいなら早くいけ」

ツインテ「!!……わかりました。後できて下さいね!?」

207: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 21:58:29.47 ID:z2Ms.T60
94

--雪の町--

???『ごるあああああああああああああ!!!!』

人形師「おっきいですねぇ。なぜか動いていないところを見ると、失敗したということなんでしょうか」

人形師は自分の服についている6体の人形を全て外す。

人形師「さて困りました。こんなでっかい相手をできるようなのは今持っていませんねぇ。ゾロ、ジャック、アリス、ダルタニアン、ティンカーベル、ピノッキオ。愛しいわが子達よ……行きますよ!!」

???改め巨大ゴーレム「ごああああああああああああああああ!!!!」

ドオオオオオン!!!!

208: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:02:12.50 ID:z2Ms.T60
95

--雪の町--

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

アッシュ「昼間は仲間が見ていたから使わなかったが……いやそんなことは無いな。単純にこの使用方法を考え出せなかっただけだ」

ゴーレム「ぶるるるるる!!」

ギィン

アッシュ「そうだ、もっとこっちにこい」

ズブブブブ

アッシュの両腕が紫色に変貌していく。

ゴーレム「ぶるるっるああああ!!!!」

アッシュ「複合スキル、毒沼!!」

アッシュが地面に両手をつけると魔法陣が浮かびあがり、その範囲内にいた3体のゴーレムが地面に沈んでいく。

ゴーレム「ぶるっあ9くぁん39るhごあrごぼ」

アッシュ(泥と石だから毒は効かない。だが毒としては効果が無くとも……その重量なら這い上がってこれまい)

ゴーレム「いrがjんhgkすぢygほsぶし;ほうdそj」

209: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:06:29.74 ID:z2Ms.T60
96

--雪の町--

召喚士「召喚、ヤテベオ!!」

巨大な植物のモンスターが広場に出現する。

ヤテベオ「ふしゅううううう」

ヤテベオ
は触 を伸ばしてゴーレム達を絡め取っていく。

ミシッ、ベキッ

ゴーレム「ぶるるるるるるる!!!!」

召喚士「いっくら硬い石だって、植物の力には勝てないでやんす!!多分!!」

ゴーレム「ぶるるるる!!」

ゴーレム達は一斉にヤテベオに突進し始めた。

ゴレイヌ「ぶるるるる!!」

召喚士「やつらめ、ヤテベオをぶち折ろうという作戦でやんすか。させんでやんす!!ヤテベオ!!片っ端から触    にしちまうでやんす!!」

ゴレイヌ「ぶるるるるるる!!」

召喚士「あぁ!!なんかゴリラみたいなのもまざってるでやんす!?」

210: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:10:53.82 ID:z2Ms.T60
97

--雪の町--

ツインテ「はぁっ!はぁっ!」

ポニテ「見えた!!あ、誰かが戦ってるよ!!」

ツインテ「もしかして錬金術師さん!?」

ポニテ「いや禿げたおっちゃん」

ツインテ「あ……さっきの人か」

人形師「ほえーーい!!」

ザシュドガズンドサっ!!

巨大ゴーレムの足元で、踊るように6体の人形を攻撃していた。

ツインテ「すごい!!6体も同時に操っているなんて。それにそのどれもが綺麗な動き……」

巨大ゴーレム「ぐるるるるああああああああああ!!!」

巨大ゴーレムは自分の足元にパンチを繰り出すが、人形師はいとも簡単に避けてしまう。

人形師「わぁたしはぁああ!!テェクニシャンですからねぇ!!」

211: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:15:49.19 ID:z2Ms.T60
98

--雪の町--

アッシュ「はっ、はっ、はっ……」

ゴーレム「ぶるるる……」

アッシュ(8体くらい沈めたか……しかしまだ……)

アッシュの目の前には20体以上のゴーレムが。

アッシュ(毒沼を警戒して近づいて来ない。時間が稼げるならそれに越したことはないな。このスキルは魔力消費がでかくてきついぜ)

ゴーレム「ぶるるるる」

ゴーレム達はスクラムのようなものを組み始めた。

アッシュ「?……なんだ?」

なんとゴーレム達は、4体がかりでゴーレムを投げ飛ばした。

アッシュ「なっ!!」

ズシィン!!

アッシュの作りあげた毒沼を飛び越えて、ゴーレムはアッシュの傍らにまでやってきた。

ゴーレム「ぶるるるるるる!!!!」

ゴッ!!!

腕を振りまわしただけのゴーレムの一撃。

アッシュ「!!」

しかし防御の薄いアッシュには十分すぎる威力。思いきり民家に叩きつけられ血を吐いた。

212: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:20:10.91 ID:z2Ms.T60
99

--雪の町--

アッシュ「……がはっ……」

頭部からも出血し、その血が目に入った。

アッシュ(やっべぇ……せめて人形師達と戦って無ければこんなには……)

ゴーレム「ぶるるるるる!!」

アッシュ「……って、言い訳がましいな俺」

ゴーレム達は次々にこちらへと飛んでくる。

アッシュ(ツインテ達は……ちゃんと俺を蘇生させてくれるだろうか)

ゴーレム「ぶるるるるるるるあ!!!」

ゴーレムの腕が振り下ろされた。

213: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:26:20.56 ID:z2Ms.T60
100

--雪の町--

?「ん、御苦労、一般市民」

アッシュ「……?」

アッシュが目を開くと、そこには左腕の無いゴーレムが尻もちをついていた。

ゴーレム「ぶ、ぶるるるる……」

?「あんまなぁ、例えモンスターだろうとなんだろうと、むやみにぶっ壊したくないんだけどなぁ」

ゴーレム「ぶるるるるるる!!」

ゴーレム達は再び発射台を形成、屋根の上にいる男に向けて同胞を射出した。

?「……効果付与、貫通」

ギリリリ、と何かが絞られる音が聞こえた。

ズガアアアアン!!

ゴーレム「ぶ、ぶるるるるるるる!!」

アッシュ「……!!」

今度は下半身の無いゴーレムが宙から降ってきた。

?「仕方ねぇ、ちゃっちゃと終わらすか」

アッシュ「!!アンタは!!」

214: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:33:17.67 ID:z2Ms.T60
101

--雪の町--

人形師「ちぃ……硬いですねぇ……一体誰がこれを作ったというのでしょう。わたしは決定打に欠けるんだからそこらへん考慮していただきたいものですねぇ」

ツインテ「ポニテさん、錬金術師さんいましたか!?」

ポニテ「いないー!!どこだよー猫ちゃーん!!」

人形師「……まじめに闘っているのに外野はうるさいですし……仕方ありません。有効かはわかりませんが奥儀使いますが」

巨大ゴーレム「ぶるっるるああああああああ!!」

巨大ゴーレムは右足の照準を人形師に合わせ、踏みつぶさんと下ろす。

ツインテ「あ!!こっちのがれきの中にいました!!ポニテさん、手伝ってください!!」

ポニテ「おけー!!」

人形師「奥儀、って本当外野うるさいですねぇ!!あ」

ドズズズズズン!!!!

215: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:38:26.14 ID:z2Ms.T60
102

--雪の町--

人形師「わ、わたしとしたことが……」

巨大ゴーレムの攻撃から逃げ遅れた人形師は左足を踏み砕かれてしまう。

人形師「この程度のことで精神が乱れようとは……ダルタニアン」

ダルタニアンと呼ばれた人形が動き、レイピアで人形師の左足を切断した。

人形師「ゾロ」

ゾロと呼ばれた人形が人形師の左足の付け根に抱きつく。いやらしい意味では無くて。

人形師(ごっそり魔力が無くなりました……よもや不可能でしょうが)

人形師「わたしにも北の三隊長としてのプライドがありますからねぇ!!奥儀、オールドール!!」

人形師は自分の魔力を糸に変え、巨大ゴーレムへと伸ばした。

ギシッ

巨大ゴーレム「ぶ、ぶる?」

人形師「さぁ、このまま、わたしの人形になってしまいなさいな」(それが駄目でもここで足止めせねば)

ポニテ「あー!息してないよー!?ツインテちゃん、人工こきゅー人工こきゅー!!」

ツインテ「えぇ!?ボクがやるんですか!?ポニテさん女の子なんだからポニテさんのほうが」

人形師「君達は平和ですねぇええ!!」

216: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:44:41.19 ID:z2Ms.T60
103

--雪の町--

錬金術師「……う?」

ツインテ「あ!気がつきました!?ヨカッタデスー///」

ポニテ「結局一通り全てやったツインテちゃんでした」

ツインテ「言わないでください!!」

錬金術師「!!そうだ!!お父さん!!」

ガバッ

ツインテ「きゃっ!?」

錬金術師は飛び起きて目の前の巨大ゴーレムを凝視した。

錬金術師「……なんで……なんでこんなことに。お父さんは?」

ポニテ「……なんだー、やっぱり錬金術師ちゃんがやったのかー」

ツインテ「へ?何言ってるんですか?」

錬金術師「なんで……なんで……」

217: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:51:27.56 ID:z2Ms.T60
104

--雪の町--

?「ふぃー。矢は消耗品なんだから勘弁してくれっての」

アッシュ「……」

アッシュが戦っていたゴーレム達は、全て土塊と化した。目の前の男の手によって。

?「坊主、大丈夫か?治療出来る奴に見てもらった方がいいな」

アッシュ「……っぐ、大丈夫だ。まだあの巨大なゴーレムの所に仲間がいるんだ、俺はそれを」

?「そっか。ふふぅん、そうだよな。やっぱ男の子はそうでなくなっちゃぁな!!」

アッシュ「?」

?「仲間を助けるためならば自らの犠牲も厭わないってな!!……さて果たして俺はあの時どうだったか」

男は何かを考えるように宙を見つめる。

?「うん、だがまぁ、あれも俺にまかせろ。お前はもう戦えない」

男は俊足を生かして巨大ゴーレムへと向かった。

アッシュ「……北の3隊長、最強の……」

アッシュの意識はそこで途絶えた。

218: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:56:19.96 ID:z2Ms.T60
105

--雪の町--

巨大ゴーレム「ぎ、ぎるるるるる!!」

ギシッギシギシッ!!

人形師「ふ、ふふ……さすがに無理が……ありましたね……もう」

召喚士「人形師!!遅くなったでやんす!!」

人形師「いえ、早いくらいですよ……ちゃんと間に合ったんですから。では、受け継ぎたいとおもいます」

巨大ゴーレム「ぐるっるるあああああああああ!!!!」

ブチブチブチいいい!!

巨大ゴーレムは人形師の魔力の糸を全て振りほどいた。そして、

召喚士「!!人形師!!!!」

人形師「後は頼みました」

グシャア

召喚士「人形師いイイイイイイイイイイイ!!!!」

219: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/17(月) 22:58:56.71 ID:z2Ms.T60
106

--雪の町--

ポニテ「錬金術師ちゃん、あれ、貴女がつくったんだよね?」

錬金術師「……ブツブツブツ」

ツインテ「え?え?えぇ?!」

ポニテは錬金術師の前に立ちはだかり、真正面から目を見据える。

ポニテ「あれを止める方法は?」

錬金術師「……し、知らない……だって……私お父さんを、お父さんを作ったのに」

ポニテ「でもあそこにいるのはおっきなゴーレムじゃん」

錬金術師「知らない……お父さん……」

ツインテ「ダメですよポニテさん!!錬金術師さんも混乱してます!!」

ポニテ「……っ!!でも!早くしないと町ごと、国ごと破壊されちゃう!!」

錬金術師「!!」



229: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 00:08:49.08 ID:7lgl2GI0
歴代勇者について

○初代勇者:赤竜と青竜をその身に宿す少年。普段竜達は剣の形をしている。王国の初代王様でもある。

○二代目勇者:魔王を倒した後の彼女が、魔王として覚醒するまでの話。

○三代目勇者:最も好戦的な勇者。勇者だが忌み嫌われていて、彼は一人で旅をする。

○四代目勇者:人望に厚く有能で礼儀正しい勇者。とは表の顔で……。主人公は勇者パーティーに憧れる戦士(斧)の少女。仲間達とともに勇者パーティーを追っかける。

○五代目勇者:封印された初代魔王の分身。大災害を引き起こしてしまう。

○六代目勇者:魔王に死の呪いをかけられたせいで強制的に旅に出る。大災害後の世界を立て直す。

○七代目勇者:魔王の骨を媒介にして、歴代六人の魔王を操る勇者。

○八代目勇者:指パッチン等格闘系の技を得意とする。奥義勇者パンチは山すら消し飛ばす、歴代最強の勇者。武器は素手。お人好し。

○九代目勇者:貧 。現在も生きている?

○十代目勇者:現時点で複数人存在する?

239: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:08:49.17 ID:7lgl2GI0
107

--雪の町--

ピチャリ

巨大ゴーレムが足をあげるとそこには無残な姿の人形師がはりついていた。

召喚士「……任務ご苦労でやんす……後は……後はオイラに任せるでやんす!!」

召喚士は魔力で召喚陣を描き詠唱を開始する。

召喚士「ハラペコライオンアホ毛にサッカー!!我の下に来たれ!!剣王!!!!」

まばゆい光とともに魔法陣の中から剣を持った人物が現れた。

召喚士「オイラの最強召喚獣の力、見せ付けてやるでやんす!!」

剣王「問おう、あなたが私のご主人か」

240: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:22:10.12 ID:7lgl2GI0
108

--雪の町--

剣王は対峙している巨大ゴーレムこそが、自分の召喚された理由であると即座に判断した。

剣王「これはゴーレム?……なんと大きい。外見もさることながら内に内在する魔力量も馬鹿にできない。民衆に被害が及ぶ前に仕留めます。シロウ、行きますよ」

召喚士「オイラはそんな名前じゃないのでやんす」

剣王は手にした剣を構えた。

巨大ゴーレム「が……がぁ?」

巨大ゴーレムがたじろぐ。構えた剣王から発せられる未知数の力を恐れて。

剣王「X……カリバァァァァァァァ!!!!」

ズバシャァァァァ!!

夜空を貫く圧倒的閃光が巨大ゴーレムに直撃する。

巨大ゴーレム「が、ギャアアアアア!!!!」

堅固な外装が強烈な魔力にあてられ、ぼろぼろと崩れていく。

ポニテ「い、いける!?」

ツインテ「すごい……!!」

242: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:36:10.82 ID:7lgl2GI0
109

--雪の町--

ズゴォォォォ!!

剣王「ああああああああ!!」

巨大ゴーレム「おおおおおおおお!!」

召喚士「やんすうううううう!!」

剣王「アイムハングリー」

バシュッ

ツインテ「……え?」

後一歩というところで剣王は消えてしまう。

召喚士「く、くっ!!剣王は魔力消費が激しいのが難点でやんす……」(他の場所で魔力を使わないでいれたなら……)

巨大ゴーレム「が……がふ」

巨大ゴーレムは半身になり、その身は崩れ始めていた。

召喚士「そこのお嬢ちゃん達……」

ツインテ「?」

召喚士「……逃げるでやんす」

ドサッ

ポニテ「魔力を使い果たして死んじゃった……」

243: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:42:41.79 ID:7lgl2GI0
110

--雪の町--

巨大ゴーレム「だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

半分しか無い顔で巨大ゴーレムは咆哮する。

ツインテ「う、うあ!!ちょ、聴覚保護×27」

ツインテは、ポニテと錬金術師、それと兵士達に魔法をかけた。

ポニテ(音関連の魔法は風と水だった気がしたけど。ツインテちゃん器用だなあ)

錬金術師「お父さん……」

錬金術師は巨大ゴーレムを見上げている。その目には、苦しみ、絶叫する先代牧師が映っているのか。

244: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:49:36.13 ID:7lgl2GI0
111

--雪の町--

ゴーレム「ハヨセナハヨセナ」

ゴーレム「ハヨセナハヨセナ」

ゴレイヌ「キムヨナキムヨナ」

ゴーレム「ハヨセナハヨセナ」

ゴーレムが一斉に巨大ゴーレムに駆け寄ってきた。

兵士「な、なんだこいつらは!?」

そして、

ガシッ

巨大ゴーレムにつかまり登っていく。

ポニテ「……何がしたいんだろ……」(アッシュ君を残してきた方向からは来てない。だから突破されたわけじゃないんだろうけど……大丈夫かな)

巨大ゴーレム「おおおおお!!」

ツインテ「!?ゴーレムが……巨大ゴーレムと融合している……」

巨大ゴーレムは失った部分をゴーレムとの融合で補うだけにとどまらず、以前の姿すら凌駕する大きさを手に入れた。

巨大ゴーレム改めアークゴーレム「ごおおおおおおおおおお!!」

245: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/26(水) 23:59:41.03 ID:7lgl2GI0
112

--雪の町--

ツインテ「こ、こんなの……倒せるわけない……」

パチパチパチ

牧師「いやいやご苦労様でした。剣王を出された時はひやひやしましたが……。うん、想像していたのより少し小さいですが上々ですね」

ポニテ「!?牧師さん……」

錬金術師「っ!牧師……これ、変だよ……お父さんじゃ……」

牧師「やはり貴女は天才でした。これだけ強力なゴーレム、一人でなんてとてもじゃないですが作れませんよ」

ツインテ「……牧師さん、貴方、まさか」

牧師「スキル、人形奪い」

牧師の手から糸が伸び、アークゴーレムの全身に絡んでいく。

アークゴーレム「ごおおおおおお!!」

ポニテ(本当の職業は人形師!?)「そんなでっかいのなんて操れるわけない!!」

牧師「普通なら……そうでしょうね」

途端、牧師の右腕が黒い魔力で覆われていく。

ツインテ「な!……なに、この嫌な気配は……」

ポニテ「!?これって」

牧師「この魔王の骨の一つ、無亜の腕輪が無ければね!!」

246: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:08:04.61 ID:QlV.mg.0
113

--雪の町--

アークゴーレム「ま、ますたー」

牧師「上書き完了……行きますよアークゴーレム。愚かな北の王達を殺しにね」

錬金術師「なにいってるの……それにその腕輪、その精霊の腕輪!お父さんの媒介の一つにしたはずなのになんで」

牧師「久しぶりに同世代の人間と会話して気でも緩んだんですか?あれはこれの模造品にすぎません」

ポニテ(はめられた……)「貴方がやらせたのね!?錬金術士ちゃんに!!」

牧師「ふふふ……」

錬金術師「そんな……私の技術が足りないからゴーレムになっちゃうんだって……だから何体も何体も、町のみんなに迷惑がかかるのを知りながらも作ってきたのに!!」

牧師「……完全に死んだ人が生き返るわけが無いじゃないですか。優秀な貴女のことだ、心のどこかでわかってたんじゃないですか?」

錬金術師「!!」

247: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:12:35.89 ID:QlV.mg.0
114

--雪の町--

錬金術師は崩れるように地面に膝をつく。

錬金術師「だって……お父さん生き返るって……精霊の腕輪があれば……」

錬金術師の頬を一筋の涙が伝う。

ツインテ「……」

ツインテは杖を構えて牧師を見上げた。

ツインテ「ひ、ひどいです。人が故人を想うのは当たり前のことなのに……牧師様はそれを利用したんですか?」

牧師「それが何か?私は錬金術師の才能をフルに生かしたに過ぎません」

ツインテ「……想いは人が利用していいものじゃない!!」

牧師「人はなんだって利用する。人の死でさえ。葬儀屋は人がいっぱい死ねば喜ぶんですよ?仕事が増えて」

ポニテ「うるさい」

ポニテが剣を担いで走りだす。

ポニテ「ツインテちゃんの言う通りだ!だからこんなものは私が」

ポニテの剣が炎を纏う。

ポニテ「私がぶっ壊してやる!!」

ドガァァァン!!

248: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:21:09.57 ID:QlV.mg.0
115

--雪の町--


牧師「は、そんなもの」

アークゴーレム「ごあああああ!!」

ツインテ「ポニテさん!」(潰された人と魔力尽きた人を蘇生すれば……いやでも魔力まで回復出来ないし……こんな状況で魔力を無駄使いはできない)

無駄と言い切るまじ天然。

ツインテは錬金術師を見る。彼女は巨大なゴーレムをずっと目で追っていた。

ツインテ(錬金術師さんのためにもあれは必ず、止める!!)

牧師「さらに巨大になった分、小さな人間の相手をするのは面倒くさいですね。ならば」

牧師から黒い魔力が放たれる。すると夜空から三匹のガーゴイルが現れた。

錬金術師「!!!!」

牧師「さぁ行け我が傀儡。あの羽虫共を食い散らせ」

ガーゴイル「あぎゅるるる!!」

249: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:28:26.06 ID:QlV.mg.0
116

--雪の町--

錬金術師「お、お父さんを殺した、モンスター!」

ツインテ、ポニテ「!?」

錬金術師はガーゴイル達を見て頭を抱えた。

錬金術師「なんでなんでなんで!!」

ツインテ「まさか……教会を襲ったのも貴方なんですか……?」

牧師「答えてやる意味がないですね」

ガーゴイル「ぎゅるあああ!!」

ツインテ「!!」

ガキィィン!!

ツインテは空から襲いかかるガーゴイルの爪を杖で弾く。

牧師「貴女たちはガーゴイルと遊んでいなさい。進め、アークゴーレム」

アークゴーレム「ごあああああ!!」

250: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:32:50.75 ID:QlV.mg.0
117

--雪の町--

ポニテ「っ!!邪魔よ!!」

ガギィン!!

ガーゴイル「ぎゅるあああ!!」

ポニテ(こんなのに力を消耗してられないのに!!)

人形師「おぉどきなさぁい」

ツインテ「!?潰された人!!」

兵士「すいません人形士殿。蘇生で手一杯で魔力の方は……」

人形師「いやいや、い~い働きをしましたねぇ」

人形師はジャックでガーゴイルに切り掛かる。

人形師「……そこの白雪猫のお嬢さぁん。ガーゴイルというのはですねぇ、北の王国の親衛隊選抜試験でよく使われるモンスターなのですよぉ」

錬金術師「……?」

251: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:38:25.71 ID:QlV.mg.0
118

--雪の町--

人形師「ガーゴイルは手軽に強い部類ですからねぇ。ガーゴイルを切れれば剣士として、射てれば狩人として、また操れれば人形師としてそれぞれ親衛隊の近衛兵になれるのでぇす」

ツインテ「そんなモンスターがなんでここ、にっ!!」

ギャァン!!

ガーゴイル「ぎゅるあああ!!」

人形師「それがもし召喚士や人形師であれば、最初の手持ちとして使われるくらいのポピュラーなモンスターなのです」

ツインテ「無視ですか!?」

人形師「北の王国では、親衛隊で無くとも使う人が多いモンスターでぇす。だから二年前……貴女のいた教会を襲ったガーゴイル達は、人為的に放たれたものだったのでしょう」

錬金術師「!!……」

人形師「しかしぃ、三体同時に操るとなると話は違いまぁす。北の王国、いや、世界最強の人形師と言っても過言ではないワタシですら骨がおれまぁす」

ポニテ「……じゃあ犯人はもしかしておじさん?」

ポニテは人形師を指差した。

人形師「……いや確かに能力的にワタシクラスでないと無理ということを言いたかったのではありますがぁ」

252: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:43:54.49 ID:QlV.mg.0
119

--城下町--

アークゴーレムとその肩に乗った牧師が町を踏みつぶしながら歩を進める。

ズシン

北の国民「う、うわあああああああああ!!」

牧師「ふふふ……私の力を理解しなかった愚か者どもめ……」

アークゴーレム「ごああああああああああああああ!!!!」

?「あっちゃぁ……被害甚大だわ」

家の屋根を走りながらアークゴーレムに向かう影が一つ。

?「……しかもなんであいつがあれに乗ってるのよ」

弓と矢を担いだ青年は跳躍する。

253: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:47:13.55 ID:QlV.mg.0
120

--雪の町--

人形師「ワタシ以外にこんなことが出来る人間がいるとすればただ一人ぃだけいるんですよぉ」

ツインテ「流れでわかります。牧師様なんですね……」

人形師「……っち。昔々ぃ、親衛隊選抜試験を受けに国民が集まりましたあぁ。その中にぃ後の親衛隊隊長になる男と、奇妙な力を持った

男がいましたぁ」

ツインテ「舌打ちしたっ!そして何事も無かったかのように!!」

人形師「奇妙な力を持った男はぁ、今までの常識や経験を打ち崩すような不可思議な魔力を操っていましたぁ。確かに戦力は目から喉が出

るほど欲しいですが」

ツインテ「きもちわるっ!!」

人形師「得体のしれないものを王の傍に置くわけにはいかなかったのですよぉ」

ポニテ「……」

ガーゴイル「ぐるるるあああああ!!!」

人形師「ジャック!!」

ギィンン!!

人形師「……彼からしたら屈辱だったんでしょうかねぇ。ライバルのような関係だった男は今や親衛隊長で、自分は親衛隊にすら入れなか

ったのですからぁ」

ポニテ「そんなの牧師が逆恨みしてもおかしくないじゃん!!奇妙な力って言うならなおさらなんで放っておいたの?」

人形師「……お嬢さんのおっしゃる通りなんですが……。どうも、説明しにくいんですがね。危険だなぁとは思ったんですよ?帰り道人気

の無い所でさらっちゃおうとか思ったんですよ?でもなぜか失敗しました!てへっ!!」

ツインテ「……無能さんでしたか」

254: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:53:24.17 ID:QlV.mg.0
121

--城下町--

?「効果付与、貫通」

青年が弓を引き矢を放つ。

ドシュっ

青年の放った矢はなんの抵抗も無くアークゴーレムの左足を貫いた。

アークゴーレム「あごおう!?」

?「……むぅ。あんだけでかいとちょっと穴空いたくらいじゃ意味ないか」

牧師「ん?……!!お、お前!!」

255: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:59:12.14 ID:QlV.mg.0
122

--雪の町--

人形師「多分そういう能力も持っているのでしょう。自分の存在に霞をかけるような……現に教会が襲われた時、ワタシ達は現場に行った

のですぅ。そこに彼がいた。そして事情聴取もした。なのにその場では彼のことを一ミリたりとも疑ってなかったのでぇす」

ポニテ「……それが本当なら結構めんどくさい?」

錬金術師「ガーゴイルを!!ガーゴイルをあの時操ってたのは牧師お兄ちゃんなの!?」

ツインテ「……錬金術師さん」

人形師「おそらくyesです」

256: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 00:59:43.39 ID:QlV.mg.0
123

--城下町--

?「よぉ、久しぶりだな。おっちゃん達の葬式以来か?」

牧師「えぇ……そうですね」

?「……なぁにやってんだよ~。あんだけ国のために尽力して見せるとか言ってたお前が、今は国壊してんじゃん」

牧師「……だまれ」

?「狙いはあれか、俺か。二人で受けに行って俺だけ受かっちまったから」

牧師「!!……今はそれだけで動いちゃいません。あの時はついむしゃくしゃして憂さ晴らしをしてしまいましたがね」

?「やっぱ……お前がみんなを殺しちまったんか」

牧師「えぇ、本当は前から邪魔だったんですよ。試験も近いっていうのに汚い餓鬼を拾ってくる先代牧師やうるさくて私の時間ばかり奪い

取る羽虫ども。あんな奴らの世話ばっかしてたから試験にも落ちたんだと」

ドシュ

その時矢が牧師の頬をかすめた。

?「死んだ奴の悪口言うんじゃねーよ」

257: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 01:01:44.81 ID:QlV.mg.0
124

--雪の町--

錬金術師「っっ!!」

錬金術師は駆けだした。アークゴーレムが通ってできた道を。

ツインテ「!!危ない!!」

ガーゴイル「ぎゅるるるああああ!!」

錬金術師「!!」

ギャンン!!

ポニテ「ばかっ!!錬金術師ちゃんさっきから全然現実見てないよ!!」

ポニテが間一髪でガーゴイルの攻撃を払いのける。

錬金術師「あ!あ、あ、私行く!!私が止める!!」

ツインテ「錬金術師さん、でも今は」

人形師「しかたありませんねぇ、お嬢さん達は行きなさい。ここはワタシと兵士達でなんとかしのいで見せましょうぉ」

ポニテ「おじさん、大丈夫?結構きついでしょ?」

人形師「は、何を言ってらっしゃるのです。ワタシはここよりも危険な所へ行けと言ってるんですよぉ?」

人形師とポニテはしばし見つめ合う。

ポニテ「……へへっww行くよツインテちゃん、錬金術師ちゃんを護りながらでかゴーレムの所へ!!」

ツインテ「え?え?だ、だだ大丈夫ですかね!?一応ボク達のことも考えて言っておきますけど」

258: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 01:02:34.80 ID:QlV.mg.0
125

--城下町--

牧師「へぇ、貴方が怒るとは思いませんでした。へらへらしてるだけでろくに感情なんて無いと思ってましたから」

?「むぅ、また気にしてることを……」

牧師「アークゴーレム」

アークゴーレム「ごああああああああああ!!!!」

牧師「いくら貴方が北の王国最強だとしても……こいつに勝てるでしょうか?」

?「さぁ、わからん。そもそも最強だなんて思ったことないしな」

牧師「……やれ」

259: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 01:03:10.67 ID:QlV.mg.0
126

--城下町--

ドズウウン

ツインテ「!!す、すごい地面が揺れて!!」

ポニテ「怪獣大決戦だね全く~」

錬金術師「は、は、は!!」

三人は潰れた家屋の上を走っている。

ポニテ「すぐ近くに見えるんだけど……やっぱり中々追いつかないね」

ツインテ「それだけあれが巨大だっていうことなんだとおもいます」

ポニテ「……うん、あんまり近すぎても駄目だね、錬金術師ちゃん、すとーーぷっ」

錬金術師「にゃっ!」

錬金術師を抱きかかえるポニテ。

錬金術師「は、はなしてっ!」

ポニテ「いや、だって前」

ゴゴオオオオオオ!!

ものすごい泥の塊がツインテ達の方へと飛んできていた。

ツインテ「に、逃げて下さいーーー!!」


ドオオン!!

260: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 01:04:17.91 ID:QlV.mg.0
127

--城下町--

牧師「な、なんだと……?」

?「効果付与、切断……うん、これは中々有効だな」

アークゴーレム「が、あがああ」

呻くアークゴーレム。その左腕には、鋭利な刃物で斬りおとしたかのような断面がある。

牧師「効果付与……ここまでやっかいとは……ならば」

?(このままのペースでいっちゃぁくれないよなぁ。ん?)

青年は気配を感じて後ろを振り向いた。すると、

ポニテ「あー、あっぶなかったねぇ、まるでインディジョーンズだったね!」

ツインテ「ぼ、ボクは死ぬかと思いました……」

錬金術師「にゃ、にゃあ……」

牧師「何を見て、!」(あれは……)

アークゴーレム「ごあああああああああ!!」

アークゴーレムが右腕を振り回した。

ポニテ「あ」

ドゴオオオンン!!

261: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/05/27(木) 01:04:52.41 ID:QlV.mg.0
128

--城下町--

ツインテ「あ、ああががあああ」

ポニテ「あ、あれ?死んでない」

錬金術師「……お兄ちゃん」

?「ったく。女子供が戦場にでてくんじゃありませんってーの」

青年は一瞬でツインテ達三人を抱えて移動していた。

ドサ

?「ほら、もうお前らががんばってどうこうっていう相手じゃないから。帰んなさい」

錬金術師「!!や、やだ!!」

錬金術師は青年の服を掴みながら叫ぶ。

錬金術師「もう何がなんだかわからないけど、でも、私の作りだしたあれを早く止めないと、私みたいなのが!!」

?「……だから下がってろって。俺が代わりにやってやるから。それともなんか策でもあんのか?」

錬金術師「……うん!!」

牧師「そこにいましたか……相変わらずすばしっこい」

アークゴーレムがツインテ達の方に向きを変える。

ツインテ「わ、わわ!!また来るみたいですよ!!話し合いは後にしたほうが!!」

ひょろっとした青年は、アークゴーレムに乗る牧師を見上げて言った。

?「おい猫。だったら期待しちゃうかんな。時間稼ぎしてやるから頼むぞ?」

錬金術師「あ……う、うん!!」

牧師「……貴女達まで邪魔を……いいでしょう。旅の勇者一行、錬金術師、そして狩人!!全部まとめて排除してあげます!!」

?改め狩人「まぁお手柔らかになぁ」

288: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:05:37.65 ID:H7lTXkQ0
129

--城下町--

ポニテ「狩人って……あの?」

ツインテ「こんなに若かったんだ……」

狩人はアークゴーレムに向かって駆け出した。

牧師「む……」(これ以上アークゴーレムを削られるわけには……)

牧師の腕輪が黒い光を発する。

狩人「いやな気配だなぁそれ……効果付与、転倒」

狩人はアークゴーレムに矢を放った。

しかし、黒い魔力が矢をかき消した。

狩人「!」

ツインテ「な!!」

牧師「う、うぐっ!!」(この心臓をひっかかれるような痛み……長くは使えないですね)

289: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:12:23.17 ID:H7lTXkQ0
130

--城下町--

ツインテ「錬金術師さん、どうするんですか?いくら狩人さんでも長くは持たないです」

錬金術師「……一度だけ読んだことがあるの。禁術の書」

錬金術師は服の内側から敷布を展開させる。

ポニテ「禁術?なにそれ」

錬金術師「威力や用途、効果が異常なもの」

ツインテ(まさかこの場で作る気なんですか……ん?術?)

ポニテ「錬金術師ちゃんて、職業は名前通りでいいの?」

錬金術師「うん」

ツインテ「……錬金術師って、魔法とかスキルまで作れるんですか?」

錬金術師「!!」

錬金術師はびくりと反応した後、全く動かなくなる。

錬金術師「わ、私なりに武器として再現しようと思うんだけど……」

ポニテ「……実体の無い物を実体にかぁ」

290: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:21:33.59 ID:H7lTXkQ0
131

--城下町--

ドゴォォン!

アークゴーレム「ぐぉぉぉ!!」

アークゴーレムは拳での直接攻撃をやめ、家屋を破壊してその瓦礫で攻撃する戦法をとる。

ドゴゴ

狩人「っづ!……ってーな」(被害は増えるし、あーもう)

狩人は背中の矢籠から矢をを取ろうと腕を伸ばす。

狩人「ん?」

スカ

しかしすでに矢は射ち尽くしていた。

狩人「やぁぁべ」

291: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:29:21.10 ID:H7lTXkQ0
132

--城下町--

錬金術師「これから擬似エリクシルに形を与える……」

錬金術師は瓶から緑色の液体を取り出した。

ツインテ「すごい……水なのに水じゃないみたい」

エリクシルはまるで粘土のように姿を変える。

錬金術師(維持するだけでも魔力がかかる……さらに形成と能力を付加するのに一体どれだけ)

ガクン

錬金術師の意識が飛びそうになる。これまでに消耗した体力と魔力がピークを迎えようとしていた。

錬金術師(!!……っだめ!!ここで倒れたらだめ!!)

しかし錬金術の意志とは無関係に、体は機能を停止しようとしている。

錬金術師「う、うう!」

ポニテ「錬金術師ちゃん頑張って!!火が必要なら言ってね!?」

ツインテ(禁術の力を付加するだなんて、あり得ないことをやろうとしてるんだ……今の錬金術師さんには……)

錬金術師「あ、あぐっ」

エリクシルは徐々に形を成そうとしていたのだが、錬金術師の指は動かなくなってしまう。

錬金術師(動け、今動かないとなんの意味もないの……動け動け動け動け)

魔力が流れなくなったエリクシルは、元の水の性質に戻りつつあった。

錬金術師「……っう!!もう……だめ」

ガシッ

錬金術師「にゃんっ!!」

ツインテが錬金術師を後ろから抱き締める。

292: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:35:38.78 ID:H7lTXkQ0
133

--城下町--

ツインテ「ご、ごめんなさい、嫌だろうけど少しだけ我慢して下さい!!」

ポニテ「キマシタワー」

錬金術師「な、な……にゃっ!?」

錬金術師は自身の体に流れ込む魔力を感じた。

ツインテ「これから魔力譲渡、疲労回復、思考力上昇を同時に行います。錬金術師さん……ここが正念場です。頑張って下さい!!」

錬金術師「す、すごい……ぽかぽかする……」

錬金術師は未だ味わったことの無い魔力の量に驚いている。

錬金術師(……あったかい)

閉じかけていた瞼は完全に開き、錬金術師の目に力が宿る。

ギュイイイン

錬金術師は目にも止まらぬ早さで指を動かして錬成を再開する。

錬金術師「……ありがとう」

ツインテ「え?」

錬金術師「クッキーのお礼も……まだだった」

ツインテ「あ、いえ」

錬金術師「名前も……まだ聞いてない」

ツインテ「あれ……そうでしたっけ?」

錬金術師「全部終わったら必ずお礼する……」

ポニテ「お礼!?楽しみー!!」

錬金術師「だから、お願い、力を貸して」

293: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:44:11.43 ID:H7lTXkQ0

134

--城下町--

牧師「矢の無い弓兵なんて、どうとでも料理できます。……詰みましたね」

狩人「どうかなー」

狩人は飛んでくる家の破片を紙一重で交わしていく。が、さすがに量が多すぎる。狩人は回避から防御に切り替えた。

ガガガ

牧師(おかしいですね……常時発動スキル、『見切り』の効果が薄い?……なるほど、あの子達を庇った時にすでに)

狩人(あたた……腹部の内出血が思った以上に致命打だ……戦闘維持のために苦痛緩和の魔法使わなきゃなんないし、見切りに回してられん

……もって2分か)

294: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:44:56.77 ID:H7lTXkQ0
135

--城下町--

ギュイイイン

ポニテ「形はあっという間にできたね。槍?」

錬金術師「ふっ!!……これから効果とそれを発動するための魔力を注ぎ込む」

ギュイイイン

錬金術師は赤い槍に魔力を注入していく。

錬金術師(……それにしても信じられない。これほど魔力を使ってるのに……全然供給の量が変わらないなんて)

ツインテ「もうちょっと勢い強くしていいですか??」

295: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:53:04.79 ID:H7lTXkQ0
136

--城下町--

牧師「……うん?」

牧師が巨大な魔力の存在を認知する。
それは錬金術師達が作る槍から発せられていた。

牧師「このゴーレムを作るだけでも膨大な魔力と精神力を必要としただろうに……」

牧師はアークゴーレムの向きを変更する。

牧師(確実に止めをさしておかないと、この狩人、何をするかわかりませんが……仕方ありません。今はあっちのほうが気になります)

アークゴーレム「ぐおおおおおおおおおおおおおお!!」

ズシンズシン

狩人「あっ。あーあ……行っちゃった。ちくしょう追いたくねぇー」

狩人はアークゴーレムを追いつつ武器になりそうなものを探す。

狩人(魔力媒体として有効なもんがなかなかねぇなあ……ん)

狩人が見つけた物はガラスの破片。

狩人(……んー、仕方ないかぁ)

296: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 22:58:54.48 ID:H7lTXkQ0
137

--城下町--

ポニテ「!!こっちにくる!!」

ツインテ「そんな!!狩人さんは負けたんですか!?」

錬金術師「……」

錬金術師の作る槍はまだ完成していない。

ポニテ「……もうちょいでできるんだよね?」

ポニテは剣を構えて一歩前へと進んだ。

ツインテ「!!ポニテさん、何を!!」

ポニテ「私も時間稼ぎにしにいってくるよ!!後よろしく!!」

ツインテ「だ、駄目です!!待って下さい!!」

ポニテ「ツインテちゃん、でも私が時間稼ぎしないとどの道やられちゃうよ?」

ツインテ「で、でも駄目なんですよ!!多分この槍……投擲するにもかなりの魔力を必要とする気がするんです……」

ポニテ「え?」

錬金術師「……うん。これ投げるにも魔力いる。いっぱい。強い物にはリスクや素養が必要なのはは当たり前」

ポニテ「じゃあ、どうしたらいいのかなっ?私」

ズシンズシン

297: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:07:42.79 ID:H7lTXkQ0
138

--城下町--

牧師「本当のことを言うとですね。優秀な貴女だけは生かしておこうと思ったんです。錬金術師」

錬金術師「……っ!!」

牧師「でも全てを知っているようですし……ここで終わりにしましょう」

アークゴーレム「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

兵士「今だ!!」

牧師「!!」

家屋の残骸に隠れ、無数の兵士達がアークゴーレムの足元へと集まって来ていた。

兵士「地形変化、水!!」

ズボッ

アークゴーレムの右足が地面の中に埋まっていく。

牧師「範囲もせまく片足だけ?……そんなもので」(時間稼ぎか)

298: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:12:33.67 ID:H7lTXkQ0
139

--城下町--

兵士「北の兵士を、なめるなあああああああああああああああああああ!!」

プチ

ポニテ「あぁ!!」

プチプチプチプチプチ

ツインテ「いやあああああああ人間が気泡緩衝材の如く踏みつぶされていく!!!!」

プチプチプチブチュプチ

ポニテ「なんかワインの作り方思い出すね♪」

ツインテ「言ってる場合ですか!!」

299: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:25:16.11 ID:H7lTXkQ0
140

--城下町--

牧師「たく。弱いくせに……」(結構楽しかったです)

アークゴーレムは再びツインテ達の方へと体を向ける。

錬金術師「!!」

ツインテ「錬金術師さん!!って、見るからにまだ終わってないですよね……」

ポニテ「やっぱり私が時間稼ぎに行くしかないよ!!」

アークゴーレム「ぐおおおおおおおおおおおおお!!」

錬金術師「もうちょおおおいいいいいいい!!」

ツインテ「っっ、それしか、ないですね」

牧師「あなたたちもさっさと潰れて下さい」

アークゴーレムは右足を持ち上げた。

300: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:31:46.11 ID:H7lTXkQ0
141

--城下町--

ドガアアアアアン

牧師「!?」

アークゴーレムの右足に何かが着弾、そのまま体勢を崩してアークゴーレムは町に倒れ込んだ。

ドドオオオン!!

牧師「これは……効果付与、転倒!?」

牧師が睨んだ先には、

狩人「ふぃ~……」

左足の無い狩人が血まみれの状態で座っていた。

牧師「!?」(まさか今の攻撃は……自分の足の骨を)

狩人「もう魔力も体力も限界。そろそろなんとかしてもらわんと困るぜよ、若人」

301: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:38:00.74 ID:H7lTXkQ0
142

--城下町--

牧師「最後まで……邪魔をしますか貴方は……」

ズズズズン

アークゴーレムは両手をついて立ち上がった。

狩人「あー、あったまくらくらしてきたあああ」

牧師「やはり貴方はさっさと殺すべきでしたね」


ギュウウイイインン!!


牧師「!!」

牧師はとてつもない魔力の発生を感じた。

牧師(この……アークゴーレムと同等クラスの魔力量!?)

ツインテ「で、でき……た?」

302: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:46:25.92 ID:H7lTXkQ0
143

--城下町--

錬金術師「でき……た!」

錬金術師が最後に手を加えると、赤い錆色だった外装が崩れ、中から銀色に光り輝く槍が出現した。

錬金術師「何十年も前に作られた禁術魔法、『呪いの槍』!!」

ツインテ「いっ!?」

魔力の鎖から解き放たれた呪いの槍をポニテが掴み取る。

ずしっ

ポニテ「……なるほどね。こっちも魔力で防御してないと吸い上げられちゃいそうだね!」

ツインテ「の、ののの呪いの槍!?超超超危険魔法じゃないですか!!」

ポニテ「え?禁術って言ってるくらいだし危険なのは当たり前なんじゃないの?」

ツインテ「それは確かにそうですけど!!」

牧師「の、呪いの槍!!馬鹿な!!」

303: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:52:58.76 ID:H7lTXkQ0
144

--城下町--

牧師「あの奥儀を……錬成で再現しただと……?」

牧師はあからさまに動揺している。

ポニテ「これ、どうやって使うの??」

ポニテは手の呪いの槍を振りまわす。

ツインテ「ぎゃああーーーー!!やめてやめてやめてーーー!!」

ツインテは慌ててポニテの腕に飛びつく。

ツインテ「駄目です駄目っ!!そんな粗末に扱わないでください!!」

ポニテ「あはははっ、ツインテちゃん慌ててる。おもしろーい!!」

ツインテはポニテの顔に自分の顔を近づける。

ツインテ「いいですか?呪いの槍はですね!投げた相手の寿命を削る槍なんです!!」

304: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/15(火) 23:59:13.93 ID:H7lTXkQ0
145

--城下町--

ポニテ「えっーと。どういうこと??」

ポニテはぽかんとした顔でツインテに尋ねる。

ツインテ「呪いの槍は投擲武器です。標的に向かって投げた瞬間効果は発動。その時から、呪いの槍と対象との距離がそのまま相手の寿命に

なります!!」

ポニテ「ほえ??」

ツインテ「だっだだだからですねっ、呪いの槍が進んだ距離だけ対象の寿命が無くなるってことです!!当たっても当たらなくても寿命をご

っそり削れる、もちろん直撃すれば……即死ですね……」

ポニテ「……まだ若くても?」

ツインテ「若くても」

ポニテ「生物じゃなくても?」

ツインテ「物には物の寿命が存在しますらしいです」

ポニテは自分が掴んでいる槍がどんなものなのかをやっと理解した。

305: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:06:11.18 ID:3Ppemtk0
146

--城下町--

牧師「い、いや、そんなわけがない!!奥儀を錬成で再現できるはずなどあるわけが!!アークゴーレム!!」

アークゴーレム「ごおおおえええええええええ!!」

アークゴーレムはその巨体を揺らし、ツインテ達目がけて走りだした。

ツインテ「!!」

ポニテ「あっぶないねこれ……でもそれならあれ……ぶっ壊せるね!!」

錬金術師(お父さん……)

錬金術師はアークゴーレムを見つめている。

錬金術師(ごめんなさいお父さん……こんな中途半端な形で……こんな)

アークゴーレム(ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)

ポニテ「さらば泥人形、この国の人達をいじめた報いっ!!受けてみろ!!」

錬金術師「うああああああん」


ドシュっ

306: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:12:07.10 ID:3Ppemtk0
147

--城下町--

銀色の槍が流れ星のように光り輝き、そして

アークゴーレム「お、おごおおおおおおおおおおおお!!」

呪いの槍が接近するに比例してボロボロと体が崩れて行くアークゴーレム。

牧師「まさか……まさか本当に再現したのか!!く、くそおおおおおおおおお!!」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

爆音と同時に土塊が町中に飛び散った。

307: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:15:58.41 ID:3Ppemtk0
148

--城下町--

ツインテ「……た、倒したんですか?」

ポニテ「う、うーん……多分」

錬金術師「うっく、ひっく」

巨大なアークゴーレムが一瞬で弾け飛んだので、実感がわかなかったのだ。

狩人「きったねぇ花火だぜ」

狩人は真っ青な顔で空を見上げていた。日の出間近の空を。

狩人「ち、血が足りねぇ……」

そして気を失う狩人。

ガラガラ

牧師「ぐぅぅ!!」

アークゴーレムの残骸の中から牧師が立ちあがった。

牧師「よくも……よくもアークゴーレムを……」

ツインテ「!?」

308: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:22:18.47 ID:3Ppemtk0
149

--城下町--

ポニテ「あれー?生きてるよ牧師ー」

ツインテ「いや……そうですね。アークゴーレムを対象に投げたから牧師さんには効果が及ばなかったんでしょう。けれど、あの高さから

落下して……」

牧師「ぐ、ぐうぅ!!」

牧師の体を黒い魔力が蝕んでいく。

牧師「ぐああああああああ!!」

錬金術師「!!」

ツインテ「何か……まずい気がします。ポニテさん、私達でなんとかしましょう!!」

ポニテ「え?私だけでいーよーw」

ポニテは剣を担いで走り出した。

ツインテ「え、え!?ぽ、ポニテさんだって呪いの槍を投げる時に魔力を使ったのに!!一人じゃ危険です!!」

ツインテは杖を手にとって駆けだす。が、

ツインテ「あ、あれ」

ドサリ

ツインテは躓いて倒れてしまう。

ツインテ「なんで……なんか、足が思うように動かない」

錬金術師「急性魔力欠乏症……じっとしておいたほうがいい」

ツインテ「え、えええー」

錬金術師(あんなに使ったのに……まだピンピンしてる……でもこんなに使ったことなくて、体がびっくりしちゃったのかな)

309: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:26:33.88 ID:3Ppemtk0
150

--城下町--

牧師「ぐ、ぐううう!!」

牧師は頭を抱え揺らめいている。
そこへポニテが突っ込んできた。

ポニテ「おりゃああああああああ!!」

牧師「!!」

ドゴオオオン!!

ポニテ「!!うそっ!?素手で!?」

ポニテの斬撃は牧師の左腕で防がれた。

牧師「貴様らの……貴様らのせいで!!」

牧師の右手に黒い魔力が結集し、

バフォオオオオオオオオオオオ!!!!

ポニテ「あぐう!!?」

ポニテに注がれた。

310: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:32:00.46 ID:3Ppemtk0
151

--城下町--

ポニテ「あがっ、ぎっ」

ポニテは何度も地面に叩きつけならながら吹き飛ばされる。

ポニテ「な、なんだこれ、こんな魔力属性、知らない!!」

ポニテは剣を拾い上げ、再び牧師へと向かう。

ポニテ「対単体炎属性、レベル3!!」

ゴオオオオオオオオオオオ!!!

ポニテの放つ轟炎が牧師を捕える。

牧師「うおおおおおおおおおおおお!!」

しかしさほど効いたようでも無く、牧師は炎の中から飛び出してきた。

ポニテ「う、うっそー……人形師相手に肉弾戦で押されるなんて!!」

311: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:40:18.28 ID:3Ppemtk0
152

--城下町--

ガインっ、ギャインッ

ポニテ(全然斬ってる感じがしない……なんなんだこの黒い靄みたいな魔力っ!!)

牧師「ふっ!!」

ボッ

ポニテ「がふっ!!」

牧師の左拳がポニテの腹部を打つ。

ツインテ「!!ポニテさん!!やっぱり一人じゃ無理だ……」

錬金術師「でも……もう他に動ける人がいない」

312: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:46:04.53 ID:3Ppemtk0
153

--城下町--

ドボッ

ポニテ「んんっ!!」

牧師「うおおおおおおおおおお!!」

錬金術師「……えと……ツイン……テ?」

ツインテ「え?あ、はい、なんですか?」

錬金術師「まだ、魔力……出る?」

ツインテ「多分、出ますけど」

錬金術師「じゃあまたぎゅってして!!」

ツインテ「!?」

313: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:52:39.03 ID:3Ppemtk0
154

--城下町--

ポニテ「こいつ、どんどん強くなってるよ!!」

ガギィン

牧師「あ、あ、akぎr8473j」

牧師は次第に意識が刈り取られていく。

ツインテ「ポニテさん!!」

ポニテ「!?」

錬金術師「新しい剣よ!!」

錬金術師が大剣を投げるかと思いきや、錬金術師の力では持ち上がらずポニテに手招きをする。

ポニテ「取りにいくの!?」

ポニテは剣で牧師を突き飛ばし、大剣のもとへと走る。

ポニテ「うおおおおおお!!」

牧師「あおいせ8hg92t23t!!」

ポニテ「お、追ってくるよォォ!!」

314: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 00:59:08.91 ID:3Ppemtk0
155

--城下町--

牧師の傷は見た目以上に深く、そのまま動くことが出来ない。

牧師「が、あおい8rhg384がd」

錬金術師「……あの……」

ポニテ「え?」

錬金術師がポニテの服を掴む。

錬金術師「……お願い、殺さないで。あの、あの腕輪を狙えばおとなしくなると……思うから」

ツインテ「錬金術師さん……」

ポニテ「……おっけー!!じゃああの腕輪だけ斬るよ」

錬金術師「う、うん!!」

ポニテ「せー、のっ!!」

しゅうううう

ポニテ「!!」

ポニテの剣が振り下ろされる前に、牧師の体から黒い魔力の気配が消えた。

カララララン

腕輪が牧師の腕から外れ地面を転がる。

315: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:05:53.88 ID:3Ppemtk0
156

--城下町--

ポニテ「あ、ありゃ?」

ツインテ「勝手に……取れちゃいましたね」

錬金術師「……っ!!」

錬金術師は牧師に駆け寄った。

ザリっ

??「おやぁ、やっと終結でっか?随分と長い間お疲れさんですっww」

ツインテ「?……え!?」

ポニテ「あれ、どっかで見たことある顔」

??「どうも~北の王ですww」

316: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:11:29.37 ID:3Ppemtk0
157

--城下町--

錬金術師「ぼくしのっ、お兄ちゃん……」

牧師「ぐ、ぐふっ……」

牧師は胸を押さえている。

牧師(……ふ。反動に耐えきれませんでした……か。って、貴女は……なんでこんな私を)

??改め北の王「んん?どうやら今回の事件の主犯がここにいるようですなww兵士っ」

兵士「はっ」

ザザザっ

兵士たちは槍を構えて牧師達を取り囲んだ。

兵士「貴様らを拘束する」

ツインテ「!!」

317: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:16:14.72 ID:3Ppemtk0
158

--城下町--

ツインテ「ま、待って下さい!!錬金術師さんはあのゴーレムを倒すのを手伝ってくれたんですよ!?彼女がいなければ」

北の王「えぇえぇ、わかってます。ちなみにゴーレムを作りだしたのも彼女だと言うこともww」

ポニテ「!!」

北の王「でも悪いようにはしませんよ、理由も調べましたからねwwただ我々国家が保護するだけですっ」

錬金術師「……」

牧師「……っふ」

北の王「これからはそのたぐいまれなる才能を国家の繁栄のために、安定のために使っていただく予定なんですねん」

ポニテ「彼女の自由は!?」

北の王「我が国がこんなにも被害を受けたのは創立して以来初めてなんどすwwまさかその元凶を野放しにはしておけないでっしゃろ??」

ツインテ「……っ!!」

牧師「……っおめでたいですね」

錬金術師「!?」

牧師が錬金術師の首に腕を回し盾にした。

318: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:23:40.39 ID:3Ppemtk0
159

--城下町--

牧師「はっ、やっとおめにかかれましたね北の王」

北の王「ふぇ?なんのまねでっか?ww今更そんなことをしても無駄無駄ぁ」

牧師「こいつは貴方達にはあげません。この腕輪で、またこいつを洗脳すれば、いくつでも強力な戦力が手に入るのですから」

北の王「……ふむ」

錬金術師「お、にいちゃ、何それ」

牧師「どうやら今回は失敗のようですね……北の王、貴方の節穴な目と一緒にその頭を握りつぶしてやりたかった!!……だが次の機会に回そうと思います……」

兵士「に、逃がすわけが!!」

牧師「そこを……どきなさい!この娘を殺しますよ!?」

北の王「……その猫ちゃんは我が国の優秀な人材。死なれては困りますわぁ」

兵士「くっ……」

狩人「あーあ。そんな幕引きかよ」

牧師「!?」

瓦礫に座る狩人がそこにいた。

319: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:28:52.90 ID:3Ppemtk0
160

--城下町--

しっかりと両の足で立ち、牧師を見下ろした。

兵士「狩人隊長、まだ完全には治し切れていませんので無理はなさらずに」

狩人「ん」

牧師「……狩人ぉ!!」

狩人「お前の復讐とやらもここで終わり。別になんら大したことはせず、な」

狩人は牧師に向かって歩き出す。

牧師「ふ、ふふ……いいのですか?こいつは私の人形操りによって操作されていた、ただの被害者ですよ?一般市民を犠牲にしてもいいのですか?」

牧師はピアノ線を錬金術師の喉元にあてる。
しかし狩人の歩みは止まらない。

狩人「やってみろよ、俺は速さには自身があんだよ」

北の王「……」

ザっザっ

牧師「!!」

ドシュっっ

320: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:34:41.19 ID:3Ppemtk0
161

--城下町--

狩人が隠し持っていた短剣が牧師の心臓を貫く。

狩人「……効果付与、通し」

ギリッ

牧師「がはっ!!」

牧師の腕から錬金術師が解き放たれる。
地面に倒れ込んだ錬金術師は、上半身だけ起き上り振り返る。
そこには折り重なるように立っている二人の兄がいた。

狩人「……まぁ、最後はまぁまぁ立派だったかな」ボソッ

牧師「……ふん、やっぱりお前は……いけすかない……やつですね」

ドサリ

321: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:38:37.88 ID:3Ppemtk0
162

--城下町--

錬金術師「お兄ちゃんっ!!」

ガシッ

狩人「犯罪者に寄るな」

狩人は駆けよる錬金術師の胴体をもって担ぎあげる。

錬金術師「っ!!だ、だって!!」

狩人「うるせぇ、ちょっとは黙ってろ」

北の王「ふぅぬ」(……調べはついているというのによくもまぁ)

狩人「北の王、今回の事件の首謀者の討伐完了です」

北の王「……ふふふww」

ツインテ「……ど、どうなっちゃうんでしょうか」

ポニテ「わからない」

322: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:46:41.03 ID:3Ppemtk0
163

--城下町--

北の王「子供のお遊戯ってかww」

狩人(……この人だけはだませないか?)

北の王「兵士さんがた、牧師の死体の回収、それと猫ちゃんを牢に入れといてな」

ツインテ「!!」

狩人「……」

錬金術師「お兄ちゃん……」

ポニテ「まって!!」

北の王「おや、どちらさまでっか?」

ポニテ「私は勇者だよっ!!」

兵士「!?」

ポニテ「勇者であるこの私が命じる、その子を私達に頂戴!!」

323: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:52:12.45 ID:3Ppemtk0
164

--城下町--

北の王「おほほほほww勇者?勇者ですって?あいや~ちっさい勇者様もおるんやなぁww」

アッシュ「そう。ちなみにそこのツインテとこの俺も勇者だ」

ツインテ「!?アッシュ君!!大丈夫だったんですね!?」

アッシュ「当たり前だ……」(ちょっと気を失ってたけど)

北の王「おっほほほほwwこんなちびっこ三人組が勇者とはww冗談もたいがいにしたってくださいなww」

ツインテ「ほ、本当です!!ボク達勇者なんです!!」

狩人「……」

ツインテ「げ、げんにゴーレム達もボク達が倒したんですから!!」

錬金術師「……ツインテ」

ツインテ「そして錬金術師さんの力はボク達の旅に必要なんです!!魔王を倒すための!!」

北の王「……貴方達が本物の勇者だという証拠はどこにあるんでっか??どっかの王国から発行された勇者証明書はもってます??」

ツインテ「うっ」(そんなのいるんだ!?)

ポニテ「なにそれ??」

狩人「……駄目だなこいつら」

アッシュ「俺らが必ず魔王を倒す。それが勇者である証拠だ」

ツインテ「アッシュ君!?」

324: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:56:10.67 ID:3Ppemtk0
165

--城下町--

北の王「……未来に期待しろと??」

アッシュ「あぁ、確定した未来を、だ」

二人はしばらくの間見つめ合う。

北の王(……確かにまだ発現はしていないが、血筋的にどれも可能性はある……か)

錬金術師「……」

北の王「そういやぁ……さっきも首謀者である牧師が言ってましたっけ。この子猫ちゃんは操られていたとかなんとか。それが本当だとし

たらこの子はただの被害者かぁ~……まぁそれでも参考人としてしょっぴきたいところではありますが……まぁええでしょ。世界を救う勇

者様の言うことには逆らえまへんwww」

ツインテ「!!」

北の王「でも壊したらあきまへんよ?北の王国のとびっきり優秀な人材なんでっからw」

アッシュ「……あぁ!もちろんだ」

ポニテ「きゃっほーーーー!!」

北の王「あ、それと夜が明けたら……あー、昼になったら一度城に来ておくんなまし。勇者証明書を発行したげますからww」

ツインテ「あ、ありがとうございます!!」

狩人(なるほど……未来の利益になるとふんだか……最初に勇者認定の証明書を出すということは、勇者排出国家という位置づけになるか

らなぁ)

錬金術師「……」

夜空は既に過ぎ去り、世界は朝日で満たされていた。

325: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:57:39.12 ID:3Ppemtk0
166

--北の城--

十時間後。

北の受付「はい、この証明書が貴方達三人を勇者と認めるという証明になります。絶対になくさないでくださいね?」

ツインテ「はいっ」

北の王様「では三人とも、魔王討伐の旅、がんばってくださいなww」

ポニテ「うんっ!!おじちゃんありがとー!!」

錬金術師「……」

北の王様「それと錬金術師ちゃん」

錬金術師「は、はい!!」

北の王様「勇者様達のサポート、しっかりお願いしますよ!貴女には期待してまんねんww」

錬金術師「……はい!!」

アッシュ「よし、行こう」

326: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:58:11.56 ID:3Ppemtk0
167

--北の城--

召喚士「いいのでやんすか?見送りに行かなくて」

人形師「まぁさか、恥ずかしがってるわけじゃああありませんよねぇえ?」

狩人「ちゃいますよ先輩方」

城門をくぐる勇者達を、北の三隊長は城のテラスから眺めている。

狩人(目の前で兄貴を殺した兄貴。そんなのとすぐ話せるわけねぇだろ)

錬金術師「ぴくっ」

錬金術師の猫耳が反応し、錬金術師は振り向いた。

狩人「あ」

狩人と錬金術師は目が合ってしまう。

狩人「しまった……あいつ耳いいんだった」

錬金術師「……」

狩人「……」

アッシュ「どうした錬金術師?いくぞ」

ポニテ「おいてっちゃうぞー!?」

ツインテ「どうかしたんですか?」

狩人(ほら早くいけよ。新しく出来た居場所が行っちまうぞ?)

錬金術師「今行く」

そう錬金術師は仲間に言って、再び狩人に目線を向ける。

錬金術師「行ってくるにゃ、お兄ちゃん」

327: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:58:48.80 ID:3Ppemtk0
168

--雪山--

ポニテ「ま、またこの寒い所通るのかあああああああああああああああああああ」

アッシュ「うるさい、どなるな。これしかないんだよ道が」

ポニテ「っくしゅっ!!……あー。あ、そういやさ、アッシュ君、結局すぐ戦いに戻ってこなかったけど、きつかったの?のびてたの?負

けたの?」

アッシュ「!!!!!う、うるさい!!そんなことはないぞ!?」

ポニテ「本当にっ!?」

アッシュ「ほ、本当に決まってるだろ!!」

二人は足早に雪道を歩いて行く。それを追うようについて行く二人。

ツインテ「うぅ、ポニテさんにアッシュ君、早いよ……」

錬金術師「……」

ツインテ「あ、錬金術師さん、大丈夫?結構寒いし道も悪いけど」

錬金術師「……ありがとう」

ツインテ「いやいや気にするのは当たり前のことだよ」

錬金術師「違う、色々ありがとう」

ツインテ「……」

錬金術師「私を欲しいって言ってくれて嬉しかった。恩を……返せるから」

ツインテ「あ、そんな気にしなくていいよ、恩を売るためにやったことじゃないから」

錬金術師「返す。絶対返す」


328: Qw0 ◆7b3JfpIY/2 2010/06/16(水) 01:59:22.98 ID:3Ppemtk0
169

--雪山--

ツインテ「……ふふっ、やっぱり」

錬金術師「?」

ツインテ「やっぱり錬金術師さんて、結構いじっぱりだね」

錬金術師「……錬金術師さんていう呼び方、やめて」

ツインテ「え、え、え?」

錬金術師「……これからは……レンって呼んで」

ツインテ「え、わ、わかりました……レンさん?」

錬金術師改めレン「……うん」

ポニテ「ほらほら二人ともおーそーいー!!もう私お腹すいたから早く町に行きたいのおおおお!!」



      酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
              第一部
            勇者×勇者×勇者
               完