1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/22(月) 21:43:35 RU7BCPsE
魔王「勇者との決闘に遅れちゃう!」
2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/22(月) 21:46:00 RU7BCPsE
タッタッタ
魔王「この角を曲がれば勇者との待ち合わせのばしょ…」
タッタッタ ドンッ
魔王「きゃっ!」
ドスン
魔王「いったぁーい…」
?「…急に危ねぇな」
魔王「なっ…こっちのセリフよ!曲がり角でボーッとつっ立ってないでよ!」
3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/22(月) 21:48:46 RU7BCPsE
?「ギャーギャーやかましい女だな…発情期ですかコノヤロー」
魔王「はっ発情期…///なんて事いうのよ!」
?「俺、急いでっから。じゃあな…」
テクテクテク
魔王「…」
魔王「なっ、なんなのよアイツは~!!!」
4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/22(月) 21:51:26 RU7BCPsE
魔王「そっ、そんな事より急がなきゃ…早く待ち合わせのばしょ…」
テク…
テクテク…
魔王「…」
魔王「…な」
魔王「なんであんたがいるのよー!」
?「あ?だって俺勇者だし。魔王に呼び出されてンだよ」
魔王「な…」
魔王「なんですってーーーー!」
6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 02:55:35 QUYpuuMg
魔王「このいけ好かないやつが勇者だなんて…メールでやりとりした時は優しそうな好青年だったのに…」
ブツブツ
勇者「で、オメーは何なんだよ。俺ぁ勇者、とある出会い系サイトで魔王に呼び出された、世界の救世主だ」
魔王「…私が、その魔王よ」
勇者「あ?」
魔王「だから、私、魔王」
勇者「まじかよxxxxx!」
7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 02:58:01 QUYpuuMg
勇者「こんなじゃじゃ馬娘が魔王だなんてな」
魔王「だっ、誰がじゃじゃ馬よ!」
勇者「オメーだよ…それにしても随分うるさい奴だな…そんなうるさい奴の唇は…こうだ」
スッ
魔王「え、ちょ…」
チュッ
魔王(え…え、え、え…)
魔王(え~~~~~!?)
8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 03:01:23 QUYpuuMg
ちなみにこの勇者
祖母がモルボルであり
死ぬほど口が臭いのである。
魔王(…)
プルプル プルコギ…
魔王「ウボラッシャァァァァァァァァ!」
ゲボゲボゲボ
ガクガクガク
ブルッ
シッキン!シッキン!
ジョバー ジョバンニ!
勇者「うわっ、こいつ漏らしよよった!」
魔王「ウボラッシャァァァァァァァァ!」
勇者「くさ~!ゲロくさ~!」
9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 03:05:41 QUYpuuMg
ちなみにこの魔王
祖父がゾンビで
ちょっとした拍子に
臓物が飛び出るのである。
ビチャビチャビチャ
ビーチャ モンド アーーシタァ!
勇者「うわっ、ゲロの中にモツが!モツが!」
魔王「いっけなーい!うっかりはらわたをぶちまけちゃった!てへっ☆」
勇者「うっかりどころじゃねぇぇぇ!」
10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 03:09:07 QUYpuuMg
ヒョイ パクッ ゴクンッ
魔王「これでよし、と」
勇者「いいのかよ」
魔王「吐いたモツは飲まねばならん、これがな」
勇者「それにしても、ずいぶんファンキーでゴキゲンな魔王だな。想像と随分違ったぜ」
魔王「それは私のセリフよ。まさか勇者がこんなツンツンした男だなんて」
11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 03:13:16 QUYpuuMg
勇者「で、どうする?決闘する為に俺はここに来た訳だけど?」
魔王「そうね。いろいろ想像と違ったけど、当初の目的は果たさなければならん、これがな」
勇者「だよな。俺は人間の為、おまはんを殺さなきゃならん」
魔王「私は魔族の為、あんたを殺さなきゃいけない」
12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 03:18:54 QUYpuuMg
勇者「魔族は人間を襲い殺す。沢山の人が、大切な家族を奪われた…俺達人間は、もはや魔族を許す事は出来ない」
魔王「人間は魔族を迫害し殺す。沢山の魔物が、父や母、兄弟を、子を奪われた…私達魔族は、もはや人間と共存する事は出来ない」
勇者「なら」
魔王「やるしか、ないわよね」
勇者「代表者が」
魔王「決着をつけるため、決闘する」
勇者「そう」
魔王「私達は」
勇者「俺達は」
魔王「今日、ここで」
「「殺し合う」」
14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 13:57:18 QUYpuuMg
魔王「…」
勇者「…」
ヌラリ
魔王(無防備にこっちに来る…誘っているのかしら)
勇者「…」
フラッ シュンッ
魔王「き、消え
勇者「遅い」
シュゥゥゥ
勇者「勇者魔法、ミミアナニホソイハリツキサース!」
15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 14:01:45 QUYpuuMg
説明しよう!
勇者魔法ミミアナニホソイハリツキサースとは
相手の耳穴に細い針を突き刺す恐ろしい魔法なのである!
ツィーン
魔王「ぐっ、三半規管がやられた…これでは平行感覚が…」
ユラァ
勇者「最早おまはんの視界はドロドロじゃろうて」
魔王「えげつない魔法を…だけどね!」
ミミ ツカミ
魔王「あいにく耳だけに頼った戦い方なんかしてないねよね!」
ミミ ブチィッッッ
魔王「ぐぁっ…み、耳ごと感覚器を引き抜いた。これで文字通り、耳障りは消えたわ」
勇者「やるねぇ…実にファンキーだぜ」
16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/23(火) 14:13:36 QUYpuuMg
勇者「なら、次は目を奪わせて…いや、『盗ませて』もらおうか…」
魔王「盗む…?」
※魔王は唇の動きを見て何を話しているか理解しています
勇者「勇者魔法…ノウナイコントロール!」
説明しよう!
勇者魔法ノウナイコントロールとは
怪しい電波みたいなものを発信し
相手の脳内をコントロールして
あらゆる感覚を意のままに操る魔法なのである!
18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/24(水) 19:16:30 wUIX.LIU
ミュインミュイン
魔王「怪しい電波みたいなものが!これは脳内をコントロールされるに違いない!」
勇者「ご名答」
ミュインミュイン
魔王「グガギギギッ…くそっ、完全に脳内コントロールされる前に殺してやる!」
ツメ シャキーン
魔王「魔王奥義、デスネイルクローレイン!」
19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/02/24(水) 19:18:56 wUIX.LIU
説明しよう!
魔王奥義デスネイルクローレインとは
鋭い爪で雨のごとく切り刻む
恐ろしい奥義なのである!
シャキンシャキン
勇者「ぎゃっ」
シャキーン
クビ ボトリ
魔王「ははっ、あっけない。勇者といえど首を落とせばただの肉塊にすぎないわね」
21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:11:40 e1ztYUCc
ナマクビ ギロッ
魔王「!?」
勇者の頭部「頭だけで死ぬとでも思ったか?」
魔王「なっ…化け物めぇ!」
勇者の頭部「お互いにな!」
ピョーン
ガブッ
魔王「ぎゃあ」
勇者の頭部「はふはふはふ(このまま喉を食いちぎってやる)」
魔王「化け物め…首だけで動きよったわぁぁぁ!」
22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:14:28 e1ztYUCc
ガブッ
ギチッ
魔王「あ…意識が…遠く…」
勇者の頭部「はふはふ(頭部だけの俺はもうすぐ死ぬ…お前も道連れだ!)」
ニコッ
魔王「…いいよ」
勇者の頭部「!?」
魔王「私…最初からこうするつもりだったから…」
勇者の頭部「!?」
23 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:17:43 e1ztYUCc
魔王「人間と魔族の戦いは、きりがない…なんらかの形で決着がつかないと…また、たくさんの命が…失われるわ…」
勇者の頭部「…」
魔王「だからね…私は魔族…そして人間の…みんなの為に…命を捧げる覚悟をしたの」
魔王「でも、私だって女の子…死ぬまでに…素敵な人に出会って…普通に恋をしたかった…」
魔王「だからね…いいよ…」
魔王「殺されて、あげる」
魔王「殺して、あげる」
24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:19:31 e1ztYUCc
魔王「これが…この瞬間(とき)が…私の最初で最後の恋…」
魔王「ごめんね…一方的で…自分勝手で…わがままで…」
ポロポロ
魔王「…」
ポロポロ
魔王「…死にたく、ない…」
25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:21:30 e1ztYUCc
魔王「せっかく会えたのに…」
魔王「もっと…もっともっともっと!知りたいのに…」
魔王「知って、欲しいのに…」
魔王「叶わない、なんて…」
魔王「嫌…だよ…」
魔王「…」
26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2016/04/27(水) 04:25:05 e1ztYUCc
しかしこの時点で
勇者の頭部は息絶えていた。
さすがに頭部だけでは長くはなかったようだ。
女の子が当たり前に描く
恋、夢
それらが魔王の口から語り尽くされた時
そこには
勇者の頭部を愛おしく抱いた
魔王が倒れているだけであった…
【おしまい】
転載元:魔王「遅刻遅刻~!」
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