前回 フレメア「お姉ちゃんをいじめるな、にゃあ」フレンダ「なんであたしハブられてる訳!?」

437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:01:44.88 ID:SypWvixA0
――バッキンガム宮殿。ささやかな宴

エリザード「『――と言う訳でウチのバカ娘がしでかしやがったが、まぁ許して欲しい。取り敢えず座れなくなるぐらいケツを叩いておいたのでな』」

騎士団長「おい一国のトップがケツとか言うなよ!」

エリザード「『いや関係者しか居ないし別に良くね?メイドもどうせ王室派の戦闘メイドだろ?』」

騎士団長「客がいんだっつーのに!」

キャーリサ「おいババアー早くしろー。お前の汚い顔ばかり見てると料理の味が落ちるし」 ポソッ

エリザード「『やっぱその首落としとくか。おい、誰かカーテナ=セカンド持ってこい!』」

キャーリサ「――ってヴィリアンが言ってたし」

ヴィリアン「酷っ!?キャーリサ姉君前と変わっていませんし!?」

キャーリサ「姉妹 がどーこー言ったのはお前の方だし」

ヴィリアン「言っていませんから!?と言うかアレだけ頑張ってこの程度の認識って……?」

騎士団長「お二人とも、一応『外』の方がいらっしゃっていますので、もう少し普段の振る舞いをですね」

上条「あー、ごめんちょっと良いかな?」

騎士団長「なんだ?」

上条「アニェーゼとか参加してないんだ?」

エリザード「『あぁシスター達は基本ローマ正教の出張、と言う体裁だからな』」

上条「つまり?」

騎士団長「ローマ正教でないのにローマ正教を自称した上、私的にとは言え王室へ招いてしまえば、お墨付きを与えかねない」

上条「えっと……?」

騎士団長「喧嘩を起こす口実を与えるな、と言う事さ」

上条「面倒なんだな」

エリザード「『どっかのクソ娘のように、一朝一夕で変わる関係は早々ないからな』」

キャーリサ「つーか煩いからさっさと乾杯の音頭を終わらせて、マイクを切るし」

エリザード「『というか基本お前のためにやってんだぞ?取り敢えず飲んで騒いで有耶無耶にしちまえ、と言う高度な政治的判――』 ブツッ

騎士団長「はいっ!と言う訳で陛下のマイクがアクシデントにより使えなくなった訳だが、不肖この私が音頭を取らせて貰うっ!」

エリザード「オイコラコードを抜いたのは誰だっ!?覚えたジャパニーズ・アニソンを歌う機会が――」

騎士団長「かんぱーーーーーいっ!!!」

一同「乾杯!」

エリザード「あーコラお前達女王より先に食うとは何事だ!」



438: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:02:53.17 ID:SypWvixA0
麦野「……何かアメリカのコテッコテのホームドラマ見てるみたいだわ」

絹旗「宮殿泊が出来るとは、と最初超構えていたんですが、意外と使用人も少なかったですし。快適でした」

神裂「大勢の人間の出入りが多くなれば、それだけセキュリティも厳重にしなくてはいけません。なので理に叶った方法ですね」

麦野「魔術師ってのも結構紛れてるんでしょ?」

神裂「メイドの格好をしてるが実は、と言うパターンですね」

麦野「ちょっと喧嘩してみたい――冗談に決まってんでしょうが。一国の王女が暗部相手に10メートル以内まで近づく以上、それ相応の対策をしてるんでしょ?」

神裂「えっと、まぁ私がここにいるのもその関係なので、お気を悪くしないで頂きたいのですが……」

絹旗「ま、お仕事ですので超仕方がないかと。それより上条と話しているシスターはどちら様で?」

神裂「あぁインデックスですね。聞いていませんか?」

麦野「あれそんな名前だっけ?」

インデックス「とうま、わたし、イギリスへ戻ろうと思うんだよ」

上条「理由、聞いても良いのか?」

インデックス「わたしは10万3000冊の魔導書を記憶しているんだよ。だから悪用されないよう、外からコントロール出来る『鍵』が必要なんだよ」

インデックス「フィアンマが持ち出したのはとうまが壊してくれたけど、でもっ」

インデックス「わたしに必要なのは信頼なんだよっ!悪用されないような、誰からも頼られるようにっ!」

インデックス「そうすればっ、わたしも『鍵』とか無くても生きていけるかもっ」

インデックス「だからみんなに信用されるような、そんな立派なシスターさんになるんだよ!」

上条「……そっか。お前が決めたんだったら、俺は引き留めないよ」

インデックス「とうま……」

上条「でも一つだけ約束してくれ。もしもまたお前を潰そうとしたり、酷い事をしようとする奴が居たら、俺を呼ぶんだ。いいな?」

インデックス「うんっ」

上条「あとな。お前の記憶がリセットされていた頃、お前を神裂とステイルが攻撃していただろ?ありゃ嘘だったんだ」

インデックス「……えっ!?」

上条「お前に嫌われるための演技だ。あの二人は、お前を家族かそれ以上に大事だと思っているよ」

インデックス「でもっ!」

上条「お前だってわかってんだろ?ステイルがお前を見る時の悲しいけど優しい目、神裂がお前を傷つけた者へぶつける身震いする程の怒り」

上条「それが、どんな感情から出て来たもんか、って。今までのお前じゃ分からなかったかも知れないけど、今のお前なら分かるよな?」

インデックス「……うん、なんとなくわかるかも!」

上条「お前の味方は俺だけじゃない。それを忘れてないでくれ――いや、忘れてもいい!」

インデックス「とうま……?」

上条「お前が忘れたって、俺達は忘れないからっ!」

インデックス「とうまっ、とうまっ!!!」 ギュッ

麦野「あーあー泣かせやがったわね」

滝壺「あれは、良い涙……」

絹旗「ちょっと超羨ましいかもです。ちょっと、ですよ?」

神裂「……あなたという人は、本当に。私に一体どれだけ貸しを作れば……」

建宮「――と、まぁお涙頂戴はここまでで良いのよっ!」

神裂「な、何の用ですか!?」

439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:04:25.36 ID:SypWvixA0
建宮「今!あの少年はずっと共に暮らしていた禁書目録との別れで、心におっきな穴が出来ているのよな!」

絹旗「オチが超読めたんですが。神裂、最後まで言わせるんですか?――って超真面目に聞いてるっ!?」

麦野「あぁ成程。聖人ってのは色々とピュアじゃないといけないのね」

滝壺「そうするとあっくあもあの歳で●●」

麦野「おいおい待て待て。そう考えるとこいつらの反応が、まるで中二みたいなのも――」

絹旗「超知りたくもないトリビアを知ってしまいました」

滝壺「そしてあなたは誰かに話したくなる筈……」

麦野「イギリス聖教は妻帯可能だったような?聖職者はどうだったっけかな」

建宮「――優しーく慰める女教皇!芽生える恋!二人が逢瀬を重ねる間に育まれる愛!」

神裂「愛……」

建宮「そしてついに二人の間にはなんとおおおっ!愛のおぉっ、愛の結晶が!!!」

神裂「結晶がっ!!!」

絹旗「とどのつまりは傷心の男につけ込み、既成事実を作った挙げ句、体を使ってつなぎ止め、然るべき時に超一発当てて逃げられなくする、と」

麦野「聖人が使っていい方法じゃねぇよなぁ」

絹旗(まぁわたし達は超使いますけどね)

麦野(――って事を考えてるよな、絶対)

建宮「そのためにもこの堕天使  メイドを――」

神裂「いやだから“それ”は必要ないでしょうが!」

麦野「つーか神裂ちょっと思ったんだけどさ、あんたがいつも着てる  い服もそんなに変わんなくない?」

滝壺「むしろいつものジーンズの方が  いかも……」

神裂「  くないですっ!ですからっこういう術式なんです!」

絹旗「はいちょっと超失礼しまーす」 ムニムニ

神裂「ひゃうっ!?」

建宮「女教皇、え、  いのよなっ!!!」

滝壺「まるで  ゲに出ているかのような……!」

神裂「出てません!他人です!って、 を  のに何の意味が――くぅっ!? っぽ    はダメっ!」

建宮「あ、ごめん。俺ちょっとトイレ」

天草式・男一同「あ、じゃあじゃあ俺も一緒に」

麦野「もう聖職者名乗るのやめちまえよ。 職者でいいだろ。むしろ他人を救う前に救われねぇお前らをなんとかしてもらえよ」

440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:05:21.26 ID:SypWvixA0
絹旗「あぁすいません。なんか超殺意が沸いたので、つい夢中に」

神裂「酷い事をされた上に殺意まで!?」

麦野「で?何がしたかったのよ」

絹旗「なーんか超不愉快に揺れやがると思ったら、着けてないんですね。ブラ」

神裂「え、えぇそれが一体……?」

滝壺「ほんものの 女だった……!」 クワッ

神裂「違いますよ!ですから信仰上の理由から華美であったり、必要以上に豪華な服装は避けているだけです!」

麦野「いやでもおかしくないか?五和とかは普通の服着てるわよね?TPOに合わせたりとか、割とカジュアルな格好してるし」

神裂「そ、そう言われてみれば。確かに!」

絹旗「魔術の事は超分かりませんが、同門である以上お二人の装備は超おんなじか、近い系統なんですよね?」

絹旗「超ぶっちゃけ、五和の普段着を神裂が超真似しても効果は同じじゃ?」

神裂「……」

麦野「つーかさぁ、女子サッカーとかそうなんだけど、アスリートは揺れて邪魔にならないようにつけてるのよね。神裂みたいに大きな娘だと特に必要になるだろうし」

絹旗「あぁでも聖人?なんですし、専用の装備なのかも知れませんね。超  い格好」

麦野「だよなぁ。そうじゃないとあんなに  い格好で外歩けないよな?」

滝壺「まさかと思うけど……たてみやに、騙されてる……?」

絹旗「いやーそれは超無いですってば。幾ら世間知らずだからって、ねぇ?」

麦野「いやいや、分からないかも知んないわよ?『女教皇には質素な格好を!●バンドを着けるなんて言語道断よな!』なんつって?」

絹旗「あーはいはい。それを子供の頃から超言われ続けて真に受けちゃったー、みたいなの」

麦野「ねぇ?まさかそんな冗談みたいな話ある訳が――神裂?どうしたのよ神裂?」

神裂「……すいません、ちょっと野暮用が出来ましたので。失礼します」

麦野(あ、やべ地雷踏んだわね)

絹旗(まぁ神裂、  同人で超前から後からされている責任を取ると言う事で一つ)

滝壺「かんざきっ……」

神裂「ご用があれば後ほど改めて――」

滝壺「ここから東北300メートルぐらいの所に全員いる」

神裂「……あなたに感謝を。では」

麦野・絹旗・滝壺「……」

絹旗「……ま、まぁ色々ありましたが、同じ仲間同士隠し事をせず、超腹を割って話し合える、という事で一つ」

麦野「物理的に開腹されるかもな、あいつら」

441: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:06:52.68 ID:SypWvixA0
滝壺「気になってたんだけど、ふれんだは?」

フレメア「にゃあ?」 モグモグ

麦野「さっきからお肉食べてるじゃない。あーもう、口の周り拭きなさいな」 ゴシゴシ

フレメア「にゃー……」

麦野「あとお野菜も食べないと。グリーンピース残しているわよ」

絹旗「麦野麦野、それ超妹さんの方ですって」

麦野「えっ?……あぁ確かに!分からなかったわー」

絹旗「素で超間違えませんでしたか?」

滝壺「……まずい……!」 ガタッ

絹旗「滝壺?」

滝壺「ふれんだとかみじょう、同じところにいるっ」

麦野「あー、そう言えば姿を消してるわね」

絹旗「第三王女もいませんから、三人で超何か用事でもあるんでしょうかね」

麦野「いや、つっても別になんか起こるって訳じゃないでしょうし、別に放置したって――」

滝壺「……ふれんだのふらぐが立った!」

麦野「そんな事まで分かるのっ!?」

絹旗「超気になるんだったら探してみます?なんかカラオケ始まったみたいですし」

エリザード「『がちゃがちゃきゅー○、ふぃぎゅっあっ○!このほーしーに生まれたえーじぇる○』」

騎士団長「おいバカやめろ!女王が  ゲ主題歌を歌うんじゃねえぇぇっ!誰だ陛下にこの歌教えた奴ぁぁぁぁっ!?」

キャーリサ「あれ?動画サイトにあった奴を紹介したんだが、ANI-SONではないの?」

騎士団長「あぁいえ、私も詳しい事は分からないのですが――」

騎士団長「エスクー○から発売された 18のパソコン用ゲームソフト、フィギュ○メイトの主題歌、電波系ソングでお馴染みのMOSAIC.WAVのみーこさんの楽曲ですね」

騎士団長「ちなみに余談ですが、同作品の初回特典で付属したドラマCD、フィギュ@ラジオではご本人も登場しており、ファンは抑えなくてはならない一品となっています」

キャーリサ「……」

騎士団長「……」

キャーリサ「……なー、騎士団長?クーデター中も思ったんだが、たまにお前のキャラが分からなくなるんだが?」

騎士団長「滅相もない!何故にそのようなお疑いの目で私を見るのですかっ!?」

キャーリサ「あー、いや。なー?」

騎士団長「私は血の一滴までも国家へ捧げた身。キャーリサ様の仰りようは――」

ぴーぴー……ぴーぴーぴー、ぴー……

キャーリサ「笛の音?」

エリザード「おい、次の曲入れたの誰だ?」

騎士団長「『刻む針の○、柔らかなてのひ○、忍びよー○、狂い咲くよくぼ○――』」

麦野「カルタグ○っ!?霜月はる○かっ!?」

絹旗「いやーもう超ダメじゃないですね、ブリテン。戦争起きなくても文化的に超食われてましたって」

滝壺「『あいしてる……おにいちゃん……』」

442: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:08:13.03 ID:SypWvixA0
――同時刻、より少し前。バッキンガム宮殿、ヴィリアン私室

フレンダ「ど、どうって訳?」

上条「おーおーよく似合っているよ。結構、いやかなり」

フレンダ「ほ、ほんとに?結局『雨後にも衣装だよな』とか言って落とさない?」

上条「いや幾ら俺でもそこまでバカじゃないぞ?あと雨後に衣装が出て来たら、それは確実に屍体埋まってるからな?」

フレンダ「いやー、そこら辺は信用出来ないし。ねぇ?」

ヴィリアン「えぇ。上条様のお話を聞くに、ちょっと」

上条「お前何吹き込みやがった!?」

フレンダ「ありのままをフツーに喋った訳だし。と言うか良くこんな小さなドレスとってありましたよね?」

ヴィリアン「えぇ、お父様から送られた品物なので」

フレンダ「え。だったらあたしなんか着るのは勿体ないんじゃ……?」

ヴィリアン「いえ大切なドレスだからこそ、着て貰いたかったのですよ」

フレンダ「ヴィリアン……」

上条(いやーサイズが他になかったんじゃ?一昨日フレンダ服着たヴィリアン、絵的に凄い事になってたもの)

上条の下条さん(永久保存しまつた)

ヴィリアン「あ、ごめんなさい。私戻らないと」

上条「だったら俺達も」

ヴィリアン「(あなたはもう少し見てやって下さい。フレンダ、あなたのために着たんですから)」

上条「……え」

フレンダ「ちょっ、ヴィリアンと上条が内緒話!?あんたまた不用意にフラグ立てて!」

上条「違うって!」

ヴィリアン「じゃ、また後で」 パタン

上条・フレンダ「……」

上条「座るか」

フレンダ「そうね――って何椅子に座ってる訳」

上条「立ってろっつーのかよ」

フレンダ「そーじゃなく、こっちこっち。遠いじゃない」 パンパン(ベッドを叩く)

上条「……いやーベッドで二人並んで座るってのは、ちょっと問題があるような?」

フレンダ「ん、なんかあったっけ?あぁ、上条って人の物に触りたくない人って訳?潔癖性?」

上条「……まぁ大丈夫か」 トス

上条(フレンダって無防備すぎないか?)

444: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:09:35.20 ID:SypWvixA0
フレンダ「いやーでもつっかれた訳よ?」

上条「だよなぁ。何でイギリスまで来てドンパチするんだか」

フレンダ「つーかあんたもうちょっと反省しなさいよ、今回のは100%あんたが悪いんだからね?」

上条「あーうん、ごめんな。次はちゃんとするから」

フレンダ「――その『次』ってのは、結局何をどうするって訳?」 パタパタ

上条「ん、どういう意味だ?あと行儀が悪いから足パタパタやめなさい」

フレンダ「次はあたし達四人を置いてブリテンまで行ってー、あたしらには知らせずに解決してー、何にも無かったですよー、みたいな顔して帰ってくるって訳?」

上条「あー……怒ってる?」

フレンダ「分かんない」

フレンダ「分かんないけど、なんか、こう、寂しかった訳」

フレンダ「結局上条にとって、あたしってのはその程度って事?」

上条「そんな事はっ!」

フレンダ「あ、ううん。別に疑ってるって訳じゃないし。麦野も絹旗も滝壺も、もちろんあたしも、命助けられてるから」

フレンダ「だから多分世界中の人達が上条を疑ったとしても、あたし達だけは信じるよ」

上条「……ありがとう」

フレンダ「えへへ、どういたしました!」

上条「た?」

フレンダ「言ってないし!いや言ったかも?」

フレンダ「あーいやいやそうじゃない訳。そーゆー事じゃ無くって、そのさ?」

フレンダ「上条は、あたし達の事、信じてる?」

上条「はぁ?意味が分からないんだが」

フレンダ「大事にされてるのは分かる訳。文字通り命賭けて色々して貰ってるから」

フレンダ「でも実際、ブリテンへ来る時には誰にも何にも言わなかったじゃない?」

上条「それはっ、まさかこんな事にはなるとは思わなかったからだよ」

フレンダ「そう、よね?あたしの考えすぎたよね?あたし達を置いていったりはしない訳よね?」

上条「大切な仲間なんだから、それは――」

フレンダ「うん。だから――」

ドオオォォォォォォンッ!!!

フレンダ「な、なにっ!?」

上条「……爆発音。同じ階だな」

フレンダ「ちょっくら見てくるワ――」

上条「誰か走ってきている?」

フレンダ「隠れる所、クローゼット、しかない訳ね」キョロキョロ

上条「あぁじゃ俺はちょっと――」

フレンダ「いいからあんたも来る訳よっ!」 グイッ

上条「待て待てっ!この展開だとオチは読めてるっ!?」

フレンダ「どうせラッキー   なんて早々起こらない訳、つーかピンチんなったら向こうの三人が見つけてくれるし」

上条「いやでも――」

フレンダ「(いいから来る訳!来なかったら大声出すわよ!)」

上条「(本末転倒だなそれっ!?)」

パタン、ゴソゴソ

445: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:11:06.12 ID:SypWvixA0
上条「(思ったよりも、狭い?)」

フレンダ「(まぁ庶民派でお馴染みのヴィリアン様だし?)」

上条「……」

フレンダ「……」

フレンダ(あれ?なんであたし達かっつり抱きしめ合ってんの?別に離れたって良くね?)

上条(フレンダ腰細っ!?こないだ見たよりも、お姫様って感じだな)

フレンダ「(な、なんか思ったよりもさ、近いって訳?」)

上条「(そ、そーだよな?なんか近いよな?)」

フレンダ「(狭いから、仕方がない、訳よね?)」 ギュッ

上条「(だよな。仕方がない、んだよな?)」 ギュッ

タッタッタッタッタッタッタッ……

上条・フレンダ ビクゥッ!?

神裂『お待ちなさい!今ならまだ丸刈りで許して差し上げます!』

建宮『髪だけはっ!髪だけはどうかお慈悲をっ!?』

タッタッタッタッタッ、ドォーン……(足音と爆発音か遠ざかっていく)

上条・フレンダ「……」

上条「神裂が、建宮を」

フレンダ「ボーズにしようとしてた、訳?」

上条・フレンダ ハァ

フレンダ「結局よくよく考えれば分かる訳よ。陛下と三王女殿下がいらっしゃるバッキンガムに、バカが突っ込んできたりはしない訳」

上条「それにもしも突っ込んでくるだけの力がある連中だったら、交戦になってこんな騒ぎじゃないだろうしなぁ。はは、ビックリしたー」

フレンダ「ね?ホントよねー」

上条・フレンダ「あははははっ」

フレンダ「――で、なんだけどね、上条」 ギユッ

上条「う、うん。フレンダ、近いかな?」 ギュッ

フレンダ「って言いながら力強くなってる訳だし?」

上条「あ、ご、ごめんっ!そういうつもりじゃ――」

フレンダ「――その、さ、しちゃおっか?」

上条「……え」

446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:12:44.11 ID:SypWvixA0
 

フレンダ「今さ、あたしお姫様じゃない?多分人生一番キラッキラな訳よ」

上条「あぁまぁ確かに?」

フレンダ「だから、ほらっ、ね?初めての思い出作りも兼ねて、って言う訳で――」

フレンダ(よっし!どうよ、これなら上条も落とせるって訳!)

フレンダ(髪良し!服良し!シチュエーション良し!あぁ、全てがあたしに味方している!!!)

フレンダ(最後の最後で人生のメインヒロイン昇格とはっ!今まで散々弄られ続けて来た苦労がやっと実っ――)

フレンダ「……」

上条「……フレンダ?」

フレンダ「ちょっ、ちょっとごめんね?」 クルッ

上条(どうしたんだろ?急に訳分かんない事言い出したかと思ったら、後振り向いて)

フレンダ(まさか、まさかっ――) ペタペタッ

フレンダ「麦野おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおっ!?」

上条 ビクッ

フレンダ「そーかーあぁっ!あの女何で意味の無いボケかましたんだろう、ってずっと思ってたけど、こーゆー事だった訳ね!汚い!麦野汚い!」

フレンダ(何で麦野んちでxxxxにされたのか分かってなかったけど、これか!つーかあん時からあたしを警戒してたって訳!?)

フレンダ「……あー、ごめん。やっぱいいわ。後一ヶ月は待って欲しいって訳」

上条「良く分からないが、出る――」

バキッ、メキメキメキメキッ(クローゼットが無理矢理破壊される)

絹旗「……フレンダ、超何やってるんですか?」 ニコッ

フレンダ「い、いやこれは結局深い訳があるって訳でして、その、ね?」

滝壺「……ふれんだ、ヌケガケ?」

フレンダ「出来なかったわよ!どっかの誰かさんがずっと単発ボケだと思ってた伏線を張りやがったお陰って訳で!!!」

麦野「……へぇ」

フレンダ「ちょっ、違っ!?今の無し無しっ!」

上条「いや別に俺達変な事してた訳じゃないぞ?爆発音が聞こえて隠れてただけだから」

絹旗「あぁあれは超心配要りませんよ。神裂がちょっとオシオキするとか、そう言う話ですから」

上条「……いや充分心配じゃないかな、それ?」

麦野「ふっれっんっだっちゃーーん?一体何をしようとしたのかしらねー?」

フレンダ「イヤだからっ大した事は、ね?」

麦野「よーし!じゃ罰ゲームでもしようかしら?」

フレンダ「ゲーム、なのよね?決して拷問とか、そういうんじゃない訳よね?」

絹旗「何言っているんですかフレンダ。わたし達がそんな事する筈無いじゃないですか」

フレンダ「そうよねっ!する訳ないもんねっ!あたし達仲間だもんねっ!」

麦野「名付けて『フレンダ危機一髪ゲーム!』」

フレンダ「死ぬしっ!?それタルん中に入った海賊に剣刺すアレよねっ!?」

絹旗「いえ、剣(ケン)ではなく拳(ケン)ですが。勿論フレンダが超跳ぶまで続けますよ?」

フレンダ「跳ばないからっ!?タルの中に入った人を殴り続けるって、それただの拷問以外の何物でもない訳っ!?」

滝壺「タマシイ的なものが――」

フレンダ「結局意味は同じだしっ!あと滝壺、その『いい仕事しました』みたいな顔はヤメテっ!」

447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:13:48.08 ID:SypWvixA0
――数日後。必要悪の教会、支部

ステイル「と、まぁ検査の結果は出たんだけれども」

フレンダ「(バーコードっ!ねぇねぇ何で顔にバーコード?)」

絹旗「(こう、コンビニとかで、店員さんが超レジ開けるとき、自分の社員証をピッてするじゃないですか)」

フレンダ「(あーするする。じゃあの人も)」

滝壺「(出勤した時、読み取り機の前で、ピッって)」

絹旗・フレンダ プッ

ステイル ジロッ

麦野「(おいあんた達失礼よ。初対面でしょうが)」

絹旗「(い、いえでも、麦野?背の高いこの人が、毎日毎日、スキャナの前で屈んで、ピッってしてると思うと、笑いが……)」

フレンダ「(見たい訳!その絵っ!)」

滝壺「(いやでも歳をとったらもっと大変……)」

フレンダ「(な、何で?)」

滝壺「(よくよく考えれば、ピッ、はレーザー?だから危険。誰かにやって貰う必要がある)」

滝壺「(もしも頭がバーコードになったら――)」

滝壺「『(あ、おはようございます)』」

フレンダ「『(……ども)』」

滝壺「『(ピッやっちゃいますから、ちょっと屈んで下さいね。あ、はいおっけーです)』」

滝壺「『(あるぇ?反応しませんねぇ、おっかしいなー、機械の故障かなー?)』」 スカッスカッ

フレンダ「『(そっちじゃないですからっ!頭頂部のバーコードはただのハゲですからっ!)』」

滝壺「『(あ、すいませんねー。ついうっかりー、てへ)』」

滝壺「(って毎日弄られる……)」

絹旗 プププッ

麦野「……プッ」

フレンダ「(あ、今麦野プッてした!プッて!)」

麦野「(してねぇよ!つーか黙れ!)」

滝壺「『(ふっ、きさまは確かに強かった。だがダブルバーコードのおれには及ばなかった)』」

フレンダ「『(き、貴様!一体どこにバーコードを隠し持っていたっ!?全裸に靴下のどこにっ!?)』」

滝壺「『(おれの――頭にだ)』」 キリッ

麦野「(……クッ!)」

ステイル「……帰っていいかな?いいよね?」

上条「……うんごめん。ほんとーーにっごめんな?今度、日本のタバコでも送るから、な?」

上条「で、何でお前?お前確か治療関係の魔術駄目じゃなかったっけ?」

ステイル「あれ以来少しは勉強しているし、それに専門用語を日本語へ通訳するとなると、僕が良いらしいね。やりたくはないんだが」 チラッ

滝壺「ん?」

ステイル「……ま、貰った診断書を読むだけだから、時間もかからないし」

フレンダ「よっ!ツンデレっ!」

滝壺「昔読んだKOFの同人誌風に言えば、『目が×してくれと言っている』」

絹旗「それ超幻聴ですよね?」

ステイル「……帰る」

上条「あーもう待て待てっ!悪かったから!後で腹パン入れてとくからっ!」

448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:14:54.75 ID:SypWvixA0
ステイル「まったく。まぁ結論から話せば――魔術的な方法でも治療は可能だ」

上条「やった」

絹旗「よっし!」

滝壺 ボーーーーーッ

ステイル「ただし完治はしない。今まで体晶が体へ与えたダメージは、人間が本来持つ回復力――まぁ時間によって治すしかない」

ステイル「詳しい話をすると、体晶というのは何かの異能の力らしいね。だから右手が彼女に触れた時、その時々で体に残存していた体晶を少しずつ取り除いていたらしい」

上条「それじゃ――」

ステイル「体晶とは能力を暴走させる事で、威力を上げる効果がある。それ自体は魔術師達も古くからやっていた事だ」

麦野「コカの葉やタバコって事?」

ステイル「ハーブなんかも含まれる。トランス状態にして、と言うのは珍しくもない」

ステイル「とは言え君の毒抜きであっても、体内に消費されてしまった部分は消しきれない。それは別の物質に変化してしまったと考えられる」

上条「毒を飲んでも100%毒抜きは出来ない?」

ステイル「……パーセンテージの見解が分かれているが、決して右手を過信してはいけない、との話だ」

麦野「10と90は別モンだと思うけどね」

ステイル「以上により、僕達の世界での治療は『消化された体晶により落ちたり、失った力の回復』と言う方針になるらしい」

ステイル「あぁ勿論二度と体晶には頼らない、と言う前提の元にだが」

ステイル「それさえ守りをすれば、後遺症が出るリスクを最小限に抑えられる“かも”しれない」

麦野「副作用は?期間や費用も聞いておきたい所だけど」

ステイル「皆無ではない。だが無視出来る程小さいレベルではある。それこそ10年、20年レベルで体調を整えていく方法だ」

ステイル「魔術師の元へ、最初の一ヶ月は出来れば滞在しながら投薬を受け、次は投薬を受けながら三ヶ月に一度、半年に一度、一年に一度と伸ばしていくと」

ステイル「費用に関しては……まぁ法外なレベルではないよ。保険は効かないがね」

フレンダ「『ほ――』」

麦野 バスっ(フレンダに腹パン)

フレンダ「……」 パタッ

ステイル「中々シビアな上下関係だね?」

上条「いやまぁ、そのごめんな?空気読めないしアレな子なんだけど」

ステイル「『カーテナ=オリジナル』を正面から盗んで、クーデター決行を遅らせた、とは聞いたんだけど。ただ、空気読まなかっただけなんだね?」

上条「大体合ってる。普通あの場面は、逃げて盛り上げる所だし」

絹旗「あの、ちょっと超良いですか?」

ステイル「大体は話したけど、具体的なハーブの調合方法までは知らないよ」

絹旗「そうではなく。少し前に似たような症状で苦しんでいた知り合いが、エリザリーナ独立国と言う所で治療を受けたら、超劇的に良くなりまして」

絹旗「もしかしてイギリスでは無理でも、そちらの方へ行けばまた話は超変わるんでしょうか?」

ステイル「確かに居るね、『傾国の女』の妹が」

449: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:16:09.55 ID:SypWvixA0
上条「有名なのか?」

ステイル「有能な魔術師として、だけど。確かにそこいらの魔術師が適うような相手じゃないし、可能性としてはブリテンよりも良い解決方法が見つかるかも知れない」

上条「だったら――」

ステイル「ただ、いきなり行って『看て下さい』と言うのはまず難しいだろう。国の指導者であるから多忙な身なのは確実だからね」

ステイル「次に政情が不安定なんだよ。最近ロシア成教の動きが活発になり、ロシア正規軍や非正規軍の動きが活発になっている」

麦野「エリザリーナ独立国へ戦争を仕掛ける?」

ステイル「だね」

上条「うーん……」

ステイル「一応言っておくと体晶を使わなければそれ以上悪くはならない。だからまぁ駄目だったらすごすご戻ってくるのも良いんじゃないかな?」

上条「言い方がムカつくんだが」

ステイル「どうせもう決まっているんだろう?なら僕も無駄な問答はしたくはないさ。これが診断書を紙で印刷した奴、こっちがUSBメモリだ」

ステイル「で、これがエリザード様の紹介状。国の立ち位置側的にはフランス側だが、無いよりはマシだろう」

上条「お前、何だかんだで手際いいのな?」

ステイル「あの子が帰って来た以上、君を殺す必要はなくなったからね――と言うか、一つ良いかな?」

ステイル「喋ったんだな?」

上条「あぁ」

ステイル ガッ!

上条「くっ!」

ステイル「僕達が一体どんな思いであんな真似をしたか――」

麦野「よし。取り敢えず麻酔無しで大脳摘出な」

上条「麦野っ、いいんだ!俺はこいつに殴られるような事をした!」

上条「だがステイルっ!言わせてくれっ!あいつだって立派――ではないかもれしないが成長はしている!」

上条「確かに今までは子供だった。守られる側だったかも知れない」

上条「けど少しずつだけど成長している!お前らのついている嘘なんか、簡単に見破るに決まっているだろ!」

ステイル「……」

上条「戦っただろう、俺達と肩を並べて!あいつだって弱いままじゃないんだよ!」

ステイル「……謝りはしない。僕はあの子に隠すべき、いや隠し通すべきだったと今でも思っているからな!」

ステイル「……出ていってくれ。資料は――あぁもういい、トランクごと持って行けよ」

上条「……分かった」

ギィ――

ステイル「――上条当麻」

上条「うん?」

ステイル「……君達の旅路に、どうか幸多からん事を。そして願わくは邪悪を退ける光が君の右手と共にあらん事を」(十字を切る)

上条「……あぁ!」

450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:17:17.91 ID:SypWvixA0
パタン、コツコツコツコツコツ……

フレンダ「……うーん。怒らせちゃった訳ね」

絹旗「超反省しなさいフレンダ」

滝壺「うん。ふれんだ、めっ」

フレンダ「お約束のようにあたしだけ悪者なのっ!?」

上条「悪いのは俺だよ。あ、いや悪いとは思ってないけど。ステイルが嫌がる事をしたんだから、当然だな」

麦野「――上条、そのトランクなんだけど、さ」

上条「何の話だよ。随分古っぽい奴だけど」

麦野「昔の人は船旅が多かったんだけど、やっぱり船も安全じゃなくってね。時々座礁したり、沈没したりしてたのよ」

麦野「当時はビニール製の浮き袋なんて無かったから、海に投げ出されたら、客は身一つで助けを待たなきゃいけなかったの」

絹旗「超溺れちゃうんじゃ?」

麦野「そうでしょうね。でも中には運良く船の一部だった板きれとか、救命ボートに乗って助けを待ったり――」

麦野「後はやたら頑丈で、大きくて立派なトランクにしがみついたりして、難を逃れたそうよ」

滝壺「じゃ、それって……」

麦野「あるメーカーがシェア殆どを占めた時代もあったんだけど、その内、イノベーションだっけ?」

麦野「馬車が普及すれば徒歩は廃れ、汽車が普及すれば馬車は廃れ、車が普及すれば汽車は廃れって感じに」

麦野「船の安全性が高まれば、大きくて重いトランクの人気や実用性も下がり、生産メーカーも倒産しちゃったんだけど」

麦野「でもそんな、数世紀前に生産停止になったトランクを探し出してきて、その筋の職人へ頼んで新品同様までメンテして」

麦野「そうまでして実用品レベルまで引き上げるのに、手間暇お金が尋常じゃなくかかった“それ”」

麦野「だって言うのに、見た感じルーンの一つも刻むでもなく、只々『多くの持ち主を無事に帰還させてきた』って験担ぎしか無い“それ”」

麦野「そんな大事な代物を、たまたま訪れた嫌いな相手へあっさり送る――」

麦野「そう言う偶然、あったら素敵よね?」

フレンダ「ほ おおおぉぉぉっ」

絹旗「上×ステ?」

滝壺「いや、すて×かみ……」

上条「お前らは綺麗に落とせないのかっ!?」

451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:18:08.33 ID:SypWvixA0
――ロシア・ボシビルスク。学園関係機関、能力開発機構・ロシア支部

浜面「……」

19999号「見ろ、とミサカは地面を指さします」

19999号「棒の影が一番左の石に掛かったら穴を掘り始めろ、場所はどこだって良い、とミサカは投げ遣りな言い方をします」

        太陽



     棒
  /(棒の影)
石   石   石

浜面「……」

452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:18:53.72 ID:SypWvixA0
19999号「次に影が真ん中の石に掛かった時、お前が掘った穴を埋め始めろ、とミサカはどうでも良い事柄を簡潔に告げます」

    太陽



     棒
     |(棒の影)
石   石   石

浜面「……」

453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:19:45.05 ID:SypWvixA0
19999号「最後に影が右の石にさしかかったら、埋めるのを止めて帰って寝ろ、とミサカは業務内容の説明を終えます」

太陽



     棒
       \(棒の影)
石   石   石

浜面「……」

19999号「じゃあなクソ野郎、とミサカは唾棄しながら暖かい建物の中へ帰ります」 ペッ

浜面「……待ってよ!ねぇ待ってよ!?」

浜面「俺なんか悪い事したのっ!?どうして捕虜虐待で告発されそうな最悪の待遇を受けているのっ!?」

浜面「つーか何でロシアっ!?他にもっと暖かい所あるじゃないっ!?」

19999号「その問いに対する答えは『知らない』だ、こっちは撤退戦の準備でクソ忙しいのに、どうしてきやがった、とミサカは怒りを露わにします」

浜面「撤退戦?なに撤退って事は何か終わんの?」

19999号「始まるんだよ戦争がな、とミサカは厳しい現実を突きつけます」

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:21:09.72 ID:SypWvixA0
――ほぼ同時期。イギリス処刑塔

ミーシャ『Gigigigigigigasasasas水翼』

ドオオオオオォォォォォンッ!!!

……

フィアンマ「……死んだらどうする」 モゾモゾ

ミーシャ『fjl;sdkfweirymcvnb』

フィアンマ「あー分かった分かった。何一つ分からん事が分かった」

ミーシャ『行く……Голые и смешные』

フィアンマ「あぁ帰ろうか――我らが大地、ベツレヘムの星へ!」

フィアンマ「多少は不安定だろうが、まぁ人の作った物だから、な」

455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:22:01.48 ID:SypWvixA0
――日本、いつも喫茶店

一方通行『――事情は分かった。だかなァ』

上条「やっぱり戦争、か?」

一方通行『ロシアも本腰じゃねェらしい。電撃戦――さっさと人と戦車送り込んで占領した後、“国内問題ですがなにか?”で通せねェ事ァない』

一方通行『ンだか散発的にスパイやら、魔術師崩れとか、バッカニアみてェな連中が来てるだけだなァ』

絹旗「バッカニア?」

フレンダ「国に認められた海賊、私掠船って訳」

滝壺「王下七武○」

フレンダ「合って……る、かな?」

麦野「正規軍が来ない、ってのも不思議な話よね。宣戦布告した割に何やってんの?」

一方通行『打ち止めの主治医、エリザリーナって奴ァ、時間稼ぎっつってンなァ。何を待ってンのか、何がしてェのかも不明だが』

上条「待つ、待つか」

絹旗「超心当たりでも?」

上条「普通さ、戦争を仕掛けるんだったら準備を揃えてからするだろ?だったらロシア側としても、予測してなかったんじゃないかな?」

麦野「戦争を起こした側が?ありえないでしょ」

一方通行『あァ……それはアタリかもしンねェなァ。戦争を起こしたンじゃなく、起こさなきゃいけない、ってンなら』

絹旗「ロシアの裏にも誰か居るって話ですか?超止めて下さいよ、そんな世界の裏側を仕切る秘密結社があるー、みたいな話」

フレンダ「あ、すいませーん。サバパフェ一つー」

一方通行『何言ってやがンだ。学園都市にしろイギリス清教だかも、似たよォなモンだろォがよ』

滝壺「わたしも、とろろソバ……」

麦野「ま、ベタに考えればロシア成教?がなんかしてるとか」

フレンダ「んじゃそれもー。え?キャンペーン中?」

上条「フランスがユーロトンネル爆破したのも、フィアンマ干渉してたって言うし、無い話じゃないかもなぁ」

滝壺「んー……じゃテンプラもセットで」

絹旗「超メンドいですよね。あーいやでも別に、今行かなくてたって良いんじゃ?」

フレンダ「んー、いいなー。あたしもお腹空いて来た訳」

一方通行『俺もそォした方がいいと思うぜ』

滝壺「半分食べる……?」

上条「戦争ってなると国と国との話だしなぁ」

フレンダ「ありがとー!滝壺愛してるー」

麦野「それはそれで不安だけどね」

滝壺「うんわたしも……」

フレンダ「最後まで言えよっ!?」

上条・麦野・絹旗・一方通行「……」

456: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:23:38.42 ID:SypWvixA0
店員「お待たせしましたー、サバパフェ、とろろソバ天ぷら増量一つお持ちしましたー」

フレンダ「はい、はーいっサバっサッバー」

滝壺「お蕎麦、ありがとう……」

店員「ではごゆっくりどうぞー」

麦野「……ごめんな?ウチのお気楽組二人が」

一方通行『いーンだけどなァ。あー俺もマック○コーヒー飲みたくなってきたァ』

上条「エリザリーナって人は治療オーケーしてくれたんだろ?」

一方通行『可能な限り、だかなァ。そこァ俺と垣根が散々恩売ってンだし』

麦野「それに関しちゃアンタ達バカ兄弟に礼を言いたいんだけど、やっぱりなぁ」

一方通行『口頭とMNW経由で診断書は見せといたが、まァ直接看てみないと結論は出せねェンだと』

絹旗「政情不安ってのは超イタイですしね。向こうが困っているのに、わたし達が押しかけて『超治療しやがれ!』なんて言えませんし」

滝壺「わたし、別に急いでない、よ?」

一方通行『まァこっちはンな感じだ。そろそろ交代の時間だし、切るわ』

上条「いつもありがとうな」

一方通行『まァ最悪、クレムリンまで垣根乗り込ませっから』

上条「やめとけよ!可哀想だろ!?」

一方通行『あァ前向きに検討しとくわァ、んじゃな』 プツッ

麦野「何か変な事になっちゃってるわね。でもまぁ仕方がないけど」

上条「後一ヶ月ぐらい待つのか、それともさっさと行っちまった方が良いか」

ポクポクポクポク(靴の音)

シスター?「あーいたいた!さっきから電話が通じねぇと思ったら、こんな所にいやがりましたか!」

上条「おー、久しぶりアニェーゼ」

アニェーゼ「どーもです」

麦野「(ま、また新しい女か!?)」

絹旗「(キャラ超被ってますね、わたしと)」

フレンダ「(一度過去の女関係を洗いざらい喋らせた方が良いって訳)」

上条「わざわざ日本までどったの?他のシスター?ルチアとちっこいのは?」

アニェーゼ「シスター・アンジェレネも相変わらずですが、今日は居ませんよ。あ、すいません。ちょっと立っちゃくれませんか?」

上条「ん、いいけど」

457: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:25:32.36 ID:SypWvixA0
アニェーゼ ピトッ

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「」

上条「ちょっ何やって!?」

アニェーゼ  ペロ(首筋  ペロ)

上条「何だこれっ!?」

アニェーゼ「……パパぁ……」クンカクンカ

上条 ゾクゾクッ

アニェーゼ バッ(離れる)

アニェーゼ「と、言うわけで、今日はお客人を連れてきたんです」

上条「何でしたっ!?つーか今の一連の行為にどんな意味があったんだっ!?」

アニェーゼ「ではどーぞ」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ

ヴェント「……いやあの、空気が悪いんだけど?」

アニェーゼ「いえいえ、上条さんトコはこんなもんですって。別に意図的に会談が決裂するよう誘導してるとか、そーゆー裏はねぇです」

ヴェント「ゲロってるよなぁ?アンタ完全にゲロってるよなぁ?」

アニェーゼ「昔っからテメェみてーなケバいババア死ねばいい、とか思ってはいませんでしたし、アドリア海の一件の事も全っ然恨んじゃいませんって」

ヴェント「こぉんのガキぃ!」

フレンダ「あー……誰?どちら様?」

上条「ちょっと前に、こうケンカした人?」

絹旗「超仲良くないんですよね」

上条「いやまぁ、驚いたけど座ろっか」

……

458: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:26:53.79 ID:SypWvixA0
ヴェント「ローマ正教は上条当麻の処断命令を撤回する。これが命令書よ」

上条「はぁそりゃどーも……何語?」

麦野「ギリシャ語か……あの、法王って人のサインが入ってるんだけど?」

ヴェント「あぁん?バチカンの奥に居るジジイの事よ。ついさっき目ぇ覚ましたから、署名させて持って来たんだよ」

フレンダ「何やったっ!?世界三大宗教のトップ相手になにしてくれた訳っ!?」

絹旗「超落ち着いて下さいフレンダ。多分あれですよ。転んだ拍子にジジイを押し倒してしまって、  チラした、とか」

滝壺「……説得力がっ!?」

フレンダ「ブラ着けてる法王猊下と上条にそんな出会いがっ!?」

ヴェント「ねぇよ。つーかそんな絵面逆に見たいわね。ともあれ免罪符は確かに渡したわよ」

ヴェント「で、ロシアがエリザリーナ独立国へ宣戦布告――と言うか、『反政府組織の逮捕』と言う形で実質的な侵攻を始めたのは知ってる?」

上条「あれだけニュースでやってりゃなぁ。あぁでも現地では侵攻のスピードがおかしいって話も聞いたぞ」

ヴェント「その戦争が始まる前日、イギリスの処刑塔に幽閉されていたフィアンマのクソ野郎が逃亡したわ」

上条「そうなのかっ!?聞いてないぞっ」

アニェーゼ「それは……まぁ混乱しちまってたんです」

上条「どういう事だ?」

アニェーゼ「ええ。天使みたいな存在、恐らくテレズマで創られた術式か霊装、そいつぁ処刑塔をごっそり爆破。当然現場も上も大混乱」

アニェーゼ「そうしているウチにロシアでデカい氷の固まり、全長数キロっつー非常識なシロモノが空に浮かんで、飛び続けてんです」

アニェーゼ「そっから出されたフィアンマの声明に寄りゃあ――」

アニェーゼ「空飛ぶ氷の固まり、『ベツレヘムの星』へ『禁書目録』を持って来い。さもなくば人工天使のミーシャが西側に乗り込むぞ、と」

上条「ふーん。持っていけば?」

アニェーゼ「えっ?」

ヴェント「えっ?」

上条「えっ?」

上条「いやいやだって本一冊なんだろ?そんなに大事な本なのか?」

アニェーゼ(インデックスの事、覚えてない?)

アニェーゼ「いえでも禁書目録……あぁ!『インデックス』ですね、『インデックス』。『インデックス』は10万ちょいの魔導書を記憶した少女ですからねっ!」 チラッ

ヴェント「(話振るなよ!)」

アニェーゼ「(えー……あたし一人じゃキツいってもんですよ)」

ヴェント「(アタシも直接会った事はないんだって。つかアンタ交戦経験だってあっただろうが!)」

アニェーゼ「まぁ、その、何です?そんな魔導知識を持った女の子を、シスター服で語尾が『なんだよ』とか、『かも』って言う女の子を!」

アニェーゼ「ものっそい食欲旺盛で、ウザい女の子をっ!差し出す訳にゃいかねぇって話ですよ!」

上条「……そうか。分かったよアニェーゼ!」

アニェーゼ「わかってくれましたかっ!」

上条「そんな女の子をフィアンマには渡せないよなっ!!!」

アニェーゼ(あんだけ説明したのにっ!?)

459: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:28:02.18 ID:SypWvixA0
麦野(何となく事情は分かるんだけど、どうしていつもスルーするのかしらね?)

絹旗(超キリッ、ってしているのは良いんですけど、多分全員心の中で突っ込んでますから)

滝壺(がんばれー、いんなんとかー)

フレンダ(身内にも一人ハブってる気配がする訳っ!?)

ヴェント(あ、ケーキ美味しいわね)

上条「良し分かった!なら俺が――」

ヴェント「座ってろバカ。アンタじゃねぇ、つーかアンタ達に頼みに来たのよ」

麦野「“ら”ってぇと、『アイテム』にか?」

ヴェント「えぇ、フィアンマの居場所を特定して欲しいのよ」

滝壺「……たわし?」

フレンダ「この緊張感の中っボケる意味が分からないっ!?」

滝壺「あ、違った……」

麦野「つってもなぁ。その『岸田メ○』?」

アニェーゼ「ベツレヘムです、『ベツレヘムの星』。文字数以外何も合ってねぇです」

麦野「――へ、巡航ミサイルでも撃ち込めば?実質脅威になってんのが、天使ちゃんなんでしょ?不人気メインヒロインじゃなくって?」

絹旗「結標の悪口は超やめてあげて下さい。ヨゴレ芸人として頑張って居るんですから!」

ヴェント「……やってんのよ、それはもう」

アニェーゼ「フランス・イギリス海峡の国籍不明の原子力潜水艦から、計6発の巡航ミサイル“と、思しき”ものが発射されています」

アニェーゼ「でも岸田○ルは未だ健在。天使ちゃんが叩き落としたと推測されます」

フレンダ「ねぇ伝染ったの?どうして岸田メ○が伝染した訳?後どうしてミーシャって言わないの?」

ヴェント「ロシア正規軍をエリザリーナで足止めしている間に、魔術師サイドで岸田○ルへ総攻撃をかける計画が立てられている」

フレンダ「あ、あれ、こっちも?」

ヴェント「が、だ。あたしらに二の足を踏ませているのは、クソ野郎の居場所が掴めない事だ」

上条「最悪、ベツレ――岸田メ○が囮、って事か?」

フレンダ「ねぇ?言い直したわよね?何でしたの?」

アニェーゼ「集めておいて手数になった所へ、インデックス盗みに来るかもしれねぇってんです」

滝壺「べつれへむのほ――○しだめる」

フレンダ「それもう岸田○ルが言いたかっただけよね?」

絹旗「超仮の話ですが、岸田メ○ってのはどんな脅威があるんですか?ぷかぷか浮いている氷の固まりでしょう?」

フレンダ「あれ、『アイテム』全滅なの?」

ヴェント「岸田○ルはまぁそれなりに。問題は天使の方だな。イギリス清教がギッチギチにガード固めている処刑塔まで堂々と踏み込んでいる」

フレンダ「そ、そろそろあたしも呼んだ方が良いの?岸田○ルって?金箔ツインソードで一言断ればおしり触ってもOKな人なんでしょ?」

麦野「何言ってんのよフレンダ?遊びじゃないんだからね」

絹旗「そうですよ!岸田メ○先生とベツレヘムなんて一文字もあって無いじゃないですか!」

フレンダ「やっぱ責められるのあたしっ!?どーゆー事よおぉっ!?」

上条(逆ギレするフレンダ見ると、何か落ち着くんだよな)

滝壺(ふれんだ、おいしい……) グッ

460: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:29:39.93 ID:SypWvixA0
ヴェント「分かり易く言えば北の豚首領様に核ミサイルを持たせた、という所かしらね?」

アニェーゼ「下手をすれば魔術師の存在がオープンになっちまいますし」

麦野「学園都市が能力の研究や実現をしている以上、魔女狩りみたいな事にはならないだろうけど、大混乱は必至でしょうね」

ヴェント「と、まぁそれがローマ聖教の言い分よ」

麦野「何とかしてやりたい所だけど、アタシらのメリットは?なし崩し的に巻き込まれて、そっちの闘争に使われるのはごめんだわね」

上条「おい、人助け――いや、滝壺の方が大事か」

滝壺「わたしなら、大丈夫だよ……?」

ヴェント「顔面バーコードから話は聞いている。能力者の体がもう限界で、後一回が最後だって」

麦野(あの、ウソツキ神父)

絹旗(超ナイスツンデレ)

滝壺(楽聖少○……)

フレンダ(今頃かっ!?)

ヴェント「だから魔術師サイド――少なくとも、ローマ正教、イギリス清教としても、それなりの誠意を示す事にした」

ヴェント「交渉過程や筋道はアタシも知らないし、何をどうやったのかも知りたくない」

アニェーゼ「と言うか王室の方からほぼ脅迫が入った、てぇ噂もあるんですけどね」

ヴェント「協力してくれれば、アンタ達全員『暗部』から解放される。悪くない条件だと思うけどね?」

461: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:31:19.77 ID:SypWvixA0
――某国上空。学園特製非武装輸送機内、個室

コンコン

上条「はーい、どうぞ」

滝壺「……おじゃま?」

上条「いや、そんな事はないって」

滝壺「ん……」

上条「座――ってんな、ベッドの上に」

滝壺「ん、ここ。あっち向いて座って」 パンパン(隣を叩く)

上条「うん」

滝壺 ゴソゴソ

上条「……背中合わせ?なんでこの格好?」

滝壺「かみじょうの、前はむぎの、じゃない……?」

上条「前?前ってあったか?」

滝壺「うん、あっくあの時、ぎゅってしてた」

上条「あー、はいはい。あったなー。つーか随分昔の話みたいだ」

滝壺「きぬはたは、左手」

上条「あいつホンっとにくっつくの好きだよなぁ。まぁ年相応っちゃそうなんだろうけど」

滝壺「ふれんだは、右手。ぱきーん、ってしないから、丁度良い……」

上条「……あー何か最近ひっつくようになって来たような?」

滝壺「だから、わたしは、ここ。ここがわたしの居場所」

上条「顔、見えなくないか?」

滝壺「……聞こえる。とくんとくんとくん、って心臓の音」

上条「聞こえるのか?」

滝壺「うん、静かにすれば……」

……

上条「……するな」

滝壺「それに、顔は、見なくても目を瞑れば、浮かぶし」

上条「……」

滝壺「……とくんとくん、ちょっと、早くなった」

上条「いや照れるだろうさっ!?」

滝壺「……でも、わたしもこれがいい……」

滝壺「顔を見たら、とくんとくん早くなりそうだから……」

……

462: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:32:33.01 ID:SypWvixA0
上条「……見えなくても、早くなってるよな?」

滝壺「れでぃにそゆこと言うの、マナー違反」

上条「あー、うん、それはよく言われるかも」

滝壺「まったく、かみじょうは……」

……

上条「……最後まで言えよ」

滝壺「ねぇ、怒ってる?」

上条「……どうだろう?」

滝壺「わたしが、引き受けた事……」

上条「それ自体は、別に、かな?むしろ受けて欲しかったりもしたけど」

滝壺「だいじょうぶ。えりざりーなから、対象に近い所から能力使えば、負担も少ないし……」

上条「そっか。でも実際の所、どうなんだ?」

滝壺「体晶なしでは、学園都市内ぐらいだったら誤差なしで……後はよく分からない」

滝壺「……」

滝壺「とくんとくん、早くなった……?」

上条「……俺さ、言ったよな?一番最初に入った時、お前らを暗部からどうにかしてやる、って」

滝壺「……うん。嬉しかった」

上条「でも、何の事はないんだ。俺、何にも出来なかった!」

上条「アックアん時もイギリスの時だって、お前らに迷惑ばかりかけちまってるし、今回だって俺、滝壺の力になれなかった!」

滝壺「……」

上条「『ふざけんな!そんな方法で『暗部』を抜けなくたって、どうにかしてやる』――そう、言えなかったんだよ!」

上条「言わなくちゃいけなかったのに!俺は、俺はっ!」

滝壺「……」

上条「何が『幻想殺し』だ!大事な人も助けらないのに、何が仲間だってんだよ!」

……

463: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:33:42.70 ID:SypWvixA0
滝壺「……ありがとう」

上条「……なんだよ?」

滝壺「わたし達のために泣いてくれて、ありがとう……」

上条「泣いてなんかねぇよ!顔、見えないだろうが!」

滝壺「見えないけど、分からないけど」

滝壺「わたしはずっと、あなたを、みていたから」

上条「……」

滝壺「むぎのが、暗い所へ行きそうになった時、あなたは助けてくれた」

滝壺「きぬはたが手を離そうとした時、あなたは手を取ってくれた」

滝壺「ふれんだがあきらめそうになった時、あなたは勇気を見せてくれた」

滝壺「そして、わたしはあなたに居場所を作ってもらった」

滝壺「ね、泣かないで?わたし達、もういっぱいあなたから貰っている、から」

上条「……っ」

滝壺「どれ一つ、何一つ欠けても、こうはならなかった」

滝壺「あの日、かみじょうが間違って『アイテム』へ入って来なければ、むぎのは“新入りへ見せしめ”にする事なく、ふれんだをその場で殺していた」

滝壺「そうすれば『アイテム』は壊滅していたし、きぬはたもきっと一人で戦って、命を落としていたから」

滝壺「だから、ね?かみじょうはよくやってくれた、よ?わたし達なんかのために、傷ついて、戦って、涙まで流して」

滝壺「わたし達が辛いときでも、辛くて辛くて、たすけてーって言っても」

滝壺「世界中の誰にも届かなかった声でも、あなたはそれを聞いてくれた」

滝壺「楽しいときは一緒に笑って、辛いときには頑張ってくれて、そんなあなたを――」

滝壺「わたしはずっと、みていた、から」

……

上条「……ごめん。本当にごめん」

滝壺「……ううん。二人だけの秘密」

滝壺「『アイテム』は仲間だけど、これぐらいの秘密はあってもいい……」

上条「……そろそろ、着くかな」

滝壺「……かみじょう、その前に、聞いていい……?」

上条「……うん?」

滝壺「わたしの、わたし達の居場所にあなたはなってくれたけど……」

滝壺「あなたの居場所は、一体どこにある、の……?」

464: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:34:50.07 ID:SypWvixA0
――ロシア某所

ドオオオオオォォォンッ!

ロシア軍兵士「ぐあぁぁっ!?」

アックア「何処へ行っても雑兵ばかりであるな……」

アックア(ベツレヘムの星、ブリテンの脅威になりかねないのである)

アックア(高速移動に探索術式も効かず、視認しか捉えられないのではな)

ドゴォンッ!

アックア(また――プライベーティア……違うであるな!)


――少し離れた場所

ガガガガガガガガガガガガッ!!!

浜面「拙いって死ぬって!?何で俺!?何で俺戦闘に巻き込まれてんのっ!?」

ロシア人「HAMADURAっ!無事かっ!?」

浜面「無事に見えるんだったらお前アタマおかしいからなっ!?」

ロシア人「すまないHAMADURA!まさか、まさかお前が一人で『連中』を引きつけるため、俺達の車を盗んだとは思わなかった!」

浜面(100%誤解ですよ?もうロシア支部がイヤになってエリザリーナへ行こうとしただけですから)

浜面「でもアイツらなにモンだっ!ロシア軍の戦車相手に正面から凹ますし、ギンギンピカピカの装甲って!」

ロシア人「あれは『学園都市』の兵士ではないのかっ?捕虜にしたプライベーティアがそんな事を言っていたぞ」

浜面「学園都市だぁ?俺の居た所はロシア軍来る前にさっさと逃げちまったけどなぁ」

浜面「つーか独断でそんな事かませる訳がねぇ――」

ズガガガガガガガガガガッ!

浜面「あ、ごめん。俺死ぬかも?じゃ、お先っ」

ロシア人「HAMADURA――――――っ!?」

浜面(あー……やべ、走馬灯だ。時間がスローになってるような気がする)

浜面(走馬灯……)

浜面(あれ、俺の周りには馬がいねぇよなぁ?じゃ違うの?良かったぁ、んじゃ俺死なないわー)

ドオオォッン!!!

ロシア人「あの学園都市の兵士達を、一撃で」

浜面「……よ、洋平さんっ!?」

アックア「息災、ではないようであるが、一応生きていて喜ばしいのである、HAMADURA」

浜面「呼び方が変わったっ!?」

アックア「ちなみに走馬灯とは円形の筒がついた明かりの事で、馬以外の絵柄もあるのであるな」

浜面「口に出してないのに突っ込んだ!?エスパーっ!?」

ロシア人「言ってた言ってた」

アックア「ちなみに魔術師である」 キリッ

465: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:36:30.92 ID:SypWvixA0
――三十分後、少し離れたロシア人の集落

ロシア人「――と言う訳でHAMADURAは俺達の英雄なのさっ!」

アックア「ほう……友人として鼻が高いのであるな」

浜面「……止してくれ洋平さん。それよりもだ。今、この国はどうなっているんだ?」

アックア「正直、私にも分からないのである。学園都市製の変 兵器が持ち込まれているかと思えば、HAMADURA居た支部は逃げてしまっているのであるか」

アックア(正規兵が散らばっているのは、ベツレヘムへ電撃戦を挑もうとする際の“盾”であるな。実際に私の歩みも遅くなって居るのであるし)

ロシア人「……兎に角、今日は二人とも泊っていってくれ。大したものはないが、精一杯のもてなしをしよう」

アックア「……かたじけない」

浜面「ありがとな」

ロシア人「毛布を持ってくるよ」

パタン……

アックア「……しかしHAMADURA、あまり無理をするのでは良くないのである。貴様は普通の人間、したがって――」

浜面「ごめん、洋平さん。その、違うんだ」

浜面「俺、車を盗んだだけなんだ。敵の囮になったのは、偶然なんだ」

アックア「……」

浜面「それだけじゃないっ!洋平さんと初めて会った時、上条の事色々聞かれたけどっ!あれも実は――」

アックア「HAMADURA」

浜面「……俺みたいなクズ、洋平さんから友達って言われる資格はないんだ!」

アックア「知っていたのである」

浜面「……え?」

アックア「右手の少年――いや上条当麻の事は後からであるが、先程の車は偶然であろう事は」

浜面「じゃ、じゃどうして……?」

アックア「……嘘を吐かない人間は居ないのである。また人から良く見られたい人間も殆どがそうなのである」

アックア「だがHAMADURA、それがどうしたのであるか?」

アックア「確かに嘘を吐いた。だがブリテンのパブで私を励まし、また燃え落ちるゴーストハウスでHAMADURAは少女に対して泣いたではないか?」

アックア「それは、嘘では無かったのであろう?」

浜面「あ、当たり前だっ!」

アックア「ならば、良いのである」

浜面「洋平さんっ……!すまねぇ、すまねぇ……」

アックア「嘘、で思い出したが……知り合い、と言うか同僚というか。孤独な男が居たのである」

アックア「同じ目的のために集ったとは言え、仲は良くもない集団であったが……その男は嘘すら吐かなかったのである」

浜面「正直者、だったって事か?」

アックア「一面に置いてはそうなのである。正確には“嘘を吐く必要がなかった”と言うべきなのであるか」

浜面「……凄い、お金持ち?」

アックア「か、どうかは知らないのである。高い能力を持ち、才能を持ち、恐らく努力すら万夫の数倍を行ったのであろう。その力は極めて高かったのである」

浜面「へー……居るんだなー、そういう天才肌の人」

466: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:37:38.94 ID:SypWvixA0
アックア「しかし奴は全てが出来るあまり、極めて傲慢で他者を顧みない性格だったのである。慈悲を知らず、恩寵を知らず、愛を知らないのであるな」

浜面「そりゃまた……なんつーか」

アックア「その道を違えた時、私はどうすれば良いのであるか……いや、どうすれば良かったのであるか」

浜面「ぶん殴れば?」

アックア「……は?」

浜面「いやだから訳分かんねぇ暴走してるって事だろ?なら『空気読め』、って全力でぶん殴ってやりゃいいじゃん」

アックア「それは――」

浜面「嫌いでも同僚なんだろ?だったら『余計な仕事増やしてんじゃねぇバーカ!』って言えば良いんだよ」

浜面「俺を、俺を何度も助けてくれた洋平さんなら、きっとそうするんじゃねぇかな?」

浜面「だってテメェの仕事や本当に守りたかったモノとかあんのに、目の前の俺みたいなバカ助けるために駄目にしちまったんだろ?」

浜面「そんな洋平さんが、同僚を助けないなんて、見捨てるなんて、する訳がねぇよ」

アックア「……はは。いや、そうなのであるな」

アックア「ありがとう浜面――いや、HAMADURA!」

浜面「何で今言い直したっ!?その名前にこれっつった意味は無いからなっ!?」

アックア(確かに私は色々なモノを失いはしたが――)

アックア(だが、失うばかりではないのであるな!)

467: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:38:40.74 ID:SypWvixA0
――エリザリーナ独立国。国境付近

垣根「あーだりぃ超だりぃ帰りてー、超帰りてーわ」

一方通行「煩ェ。黙ってバカしてろ」

垣根「バカじゃねぇよ!?番だよっ!?」

一方通行「あ、悪ィつい本音が」

垣根「いやーもう飽きたし。ケンカもこう一方的だとなぁ?」

一方通行「学園都市の兵器らしきモンが確認されてンだからよォ、もうちょォォっと危機感持てませンかねェ?」

垣根「……なぁ、クレムリン落としてくるわ」

一方通行「大人しくしてろよォ頼むからよォ!お前がこないだァ、『見て見てー、ロシアの戦車ゲットしたぜ!』って大問題になったばっかだろォーが!」

垣根「えー、でもエリザリーナの人喜んだぜ?」

一方通行「……空気読もうぜ垣ィ根ェくううゥゥンっ!?そりゃァ引いてンだよ!半笑いなンだよ!」

垣根「あーカップラーメン食いてー。上条に頼んだら送ってくれねぇかな」

一方通行「買やァいいだろォがよ通販で!」

垣根「やってねぇし。2chに書き込むのだって、●と専ブラ必要なん――」

ゴオオオォォォォォォォオオッ!!!

一方通行「学園の音速飛行機だァ……?」

垣根「音が微妙に聞こえるっつー事は、アレか」

一方通行「大分速度落としてる、って事だァな――なンか投下するために」

ヒュンッ

垣根「パラシュート、ねぇ。撃ち落とした方がいいのかな?あー、何か銀色?雪原迷彩服か」

一方通行「一人ってェのも。麦野――は、色々な意味で駄目ンなったし。もう一人の熱血バカってェ可能性も――」

垣根「女だっ!    揺れたっ!」

一方通行「あァうン、良かったですねぇ――」

女?「いやぁそうじゃないと思うけどねぇ」

一方通行(この声――クソったれがアァっ!)

垣根「おっ、スゲー美人」

女?「この場面で女ってぇのは、割とアンタにとって悪夢だと思うけど?」

女?「ちっわー学園都市からのデリバリーサービスでぇす、ご指名ありあとあっしたー」

女?「ミサカは番外個体でぇす、ってミサカはミサカは自己紹介してみる!」

468: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:39:42.32 ID:SypWvixA0
一方通行「テメエェェェェェェっ!!!」

番外個体「サードプラン発動おめでとー、あと抵抗しないでね?じゃないとミサカは遠隔操作でぶっ殺されちゃうみたいだし?」

番外個体「だから取り敢えず――」

垣根「死ね」

ガギギギキィンッ!

番外個体「げぐっ!?」

一方通行「オイ!垣根ェェェっ!?何してやがったンだァっ!?」

垣根「この女は、俺が、殺した。それ以上でもねぇし、以下でもねぇ」

垣根「詳しい事は知らない――あぁいや知ってっけどもよぉ、お前がここで死んだら打ち止めちゃんはどーなんだよ?」

一方通行「……っ煩ェ」

垣根「黙ってろ根性無し。いいか、俺達みてぇな『悪党』はよぉ!引き算しか出来ねぇんだよ」

垣根「守りてぇもの全部何てぇのは、無理だ。それこそ、このクソみてぇな悪夢ん中にどっぷり浸かった俺達が、一体どんな夢を見んだ?」

垣根「テメェの手の大きさ考えろ!ましてや片手しか空いてないテメェはな――」

垣根「あの子の手ぇ掴むだけしか残ってねぇんだよ!!!」

一方通行「……」

垣根「……目ぇ瞑ってろ。DNAも残さずに燃やしとっから」

番外個体「ミ、ミサカは、もう出番、終わりなのかな、ってあの人に聞いてみる……?」

番外個体「培養液の中で……さっさと育てられて、首に、ワケ変わらない機械、着けられて……」

番外個体「助けて?ってミサカは――」

垣根「黙れクソが。テメェは生きる資格がねぇんだよ」

番外個体「なんで?なんでって――」

垣根「誰にも望まれねぇで生まれてきた、それだけだ」

一方通行「……!」

垣根「……次はもうちょっとゆっくり産まれてこい。じゃな――」

ゴオウンッ、パキインッ!

垣根「……おいおい何やってんですか親御さぁん?」

一方通行「……煩ェよ」

垣根「テメェの後に居るのは娘さんじゃねぇですよ、つーか――」

番外個体「マジあざーすっ!!!」

バスバスバスッ!!!

一方通行「ぐァァっ!?」

垣根「反射切りやがったのかっ!?クソが――」

469: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:41:17.86 ID:SypWvixA0
番外個体「やっべぇ超×そうだっ!まーさーかーっこおおおおおおぉぉんなにっ、チョロいとは思わなかったよ!……げふっ」

一方通行「……」 ガクガク

番外個体「あーくそ、肺に刺さってんな」

一方通行「……もう、しねェンだよ」

番外個体「あぁ何か言ったのか負け犬?」

一方通行「俺の前でコイツらを死せンのは、もうシタかねェンだよオオォォっ!!!」

垣根「……お前、死ぬぞ?」

バスッ!

一方通行「……つっ!」

番外個体「あービックリした、『だから許してよママン』とか言うと思ったのに、きっちり反射解いてんのか」

番外個体「んだよぉ、面白くねぇよお。泣き叫んで命乞いしてくれよ!」

垣根「……このアマ」

垣根(早く意識失えセロリ。そうすりゃ後の奴にぶち込める)

一方通行「……殺したきゃ、殺せ。お前らにはその資格があンだ」

番外個体「はああぁぁぁぁっ!?開き直ってんじゃねーぞ!」

一方通行「……俺はもう、『悪党』なんかじゃねェンだよ」

番外個体「……」

一方通行「だから、もう、誰一人だってお前らを手にかけるつもりはねェ」

垣根「……」

一方通行「片手しか空いてねェだ?引き算しかねェ?……はいはい、そうだな。おまえはそうなンだろォな」

垣根「……」

一方通行「だが、俺はもう違う!そんなとこにゃア居ねェンだ!『悪党』だの『ヒーロー』なんかどうでもイいンだよおおォォっ!!!」

一方通行「こいつを!こいつらを助けるためだったら、なンだってすンだあァっ!」

一方通行「俺はもう、誰一人だって死なせねェよ、そう誓ったンだ……」

番外個体「……ぷっひゃ」

垣根「……あぁ?」

番外個体「あっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!」

番外個体「全っ然面白くねぇよその冗談。つーか笑えねぇし。滑り芸?滑り芸へー、転向したの?」

番外個体「名前何?アクセラ=レー太君?ヤダちょっと可愛い!」

一方通行「……お前、何を――」

470: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:42:24.19 ID:SypWvixA0
番外個体「クソが!止めてよね、そーゆーの嫌い!大っ嫌い!」

番外個体「下らねえし。あなたへの『悪意』を散々植え付けられてきたけど、話も違うし」

垣根「お前……まさかっ」

番外個体「もうちっとその白セロリでダーツゲームしたかったんだけど」

番外個体「……ま、遠隔操作でバチン!ってぇのもミサカらしくないから、自分でするわ」

一方通行「オ、オイっ!?」

番外個体「……おいおい、なっさけない顔は止してくれよ、マイハニー、僕は君の笑った顔が見たかったのさ」

番外個体「……んじゃまぁ、色々、ごめん――」

一方通行「――っ!!!」

上条「あれ、おい御坂、首の後にゴミついてんぞ?」 ブチッ

パキイインッ

一方通行「」

垣根「」

番外個体「あイタっ!?……あ、あれ?爆発、爆発は?」

上条「あれ?髪切った?」

番外個体「ミ、ミミミミサカですかっ!?」

上条「なーんかいつもと違うような?ってあぁ!」

番外個体「は、はい!?」

上条「お前怪我してるじゃねぇか!一方通行っ!」

一方通行「……あァうン、何?」

上条「うんじゃねぇよ!早く病院――って、お前も真っ赤っかだぞ!?」

一方通行「まァ……色々あったンだ」

上条「病院行こうぜ!あ、垣根、悪いけど俺のリュック頼むっ!」 ダキッ(番外個体、お姫様抱っこ)

番外個体「んーっんーっんーっ!?」 (一方通行に助けを求める)

一方通行「……ごめン、多分お前、色々と終わったンだわ」

垣根「だなぁ。まぁ諦めろ」

番外個体「ちょっ――」 (上条と顔近くて硬直)

上条「御坂っ!御坂!」 (もっと顔接近)

番外個体 コテッ(幸せすぎて失神)

上条「御坂、みぃぃぃぃさぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

麦野「取り敢えず落ち着けバカ」 ガコッ

471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:43:36.14 ID:SypWvixA0
――数時間後。エリザリーナ独立国、エリサリーナ私室

エリザリーナ「――えぇと。聞いていたよりも大所帯でビックリしたけど」

上条「あー、何かすいません。でも学園からの援助物資、乾パンとか水の濾過装置とか、非常食とかあるんで、その」

エリザリーナ「うん。それはありがとう」

エリザリーナ「で、一方通行さんからも話は伺っています。私で宜しければ滝壺さん?を看ましょう」

滝壺「はい、よろしくおねがいします……」

エリザリーナ「では一時間後にまた来て下さい」

上条「え、いや俺付き添いで――」

滝壺「見たいの……?」

上条「看たいけど?」

麦野「そっちは良くなってからにしろ。つーか今から脱ぐのよ」

上条「ごめんなっ!?」

滝壺「……ちっ」

絹旗「良くなってからです、ね?」

フレンダ「結局待ってる訳よ」

エリザリーナ「……なにかこう、あなた方の特殊な関係性が階間見えたような……?」

麦野「いや別に普通よ?よくあるじゃない」

エリザリーナ「で、ですよね?」

麦野「サバンナだけども」

エリザリーナ「言葉を選びましょう?こう、大人になりやがれっていうかね?」

472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:44:44.17 ID:SypWvixA0
――少し後、一方通行と打ち止めの部屋

打ち止め「わーい!日本のお菓子だぁってミサカはミサカは全身で飛び跳ねてみる!」

一方通行「あァもう騒ぐンじゃねェ。ありがとう、ってェ言うのが先だろォが」

打ち止め「うん、ありがとうね●●●●のおねーさんってミサカはミサカはペコってしてみたり!」

麦野「……麦野ね、私。つーかまぁ親御さんが板についちゃってまぁ」

一方通行「てめェにゃァ一生関係ねェ話だがなァ」

麦野「●●●毟って永久凍土に埋めんぞコラ」

一方通行「意味が分からねェよ。それ刑罰なのか、壮大な放置xxxなのか、どっちだよ?」

上条「あー、後マックスコーヒ○一箱、あと良く分からないから、適当に何箱か買ってきた」

一方通行「ありがたいンだがな、普通、こう、前もって連絡とか入れねェかな?常識的に?」

一方通行「つーかお前らが来ンの分かってたら、俺ァ無駄な怪我しなくてすンだンだがよォ?」

フレンダ「第一位が常識をっ!?」

絹旗「いやぁ超アレですって、俺の未元物質に――」

垣根「常識は通用し――って言わすなよ」

一方通行「あ、ごめン。人の部屋入って来ないでくださァい」

垣根「あーうん――じゃねぇよ!どうして俺だけのけモンなんだよっ!?」

一方通行「煩ェンだよ!お前ら人が夜勤だっつーのに、毎日毎日トランプ一つで盛り上がりやがって!」

麦野「いいじゃない打ち止めちゃんもほぼ完治したんだから」

上条「あーはいはい、分かったから。垣根もカップラーメンとインスタント味噌汁、あと手紙」

垣根「おーサンキュ。でも手紙?誰から?学校から?」

上条「いや心理定規」

垣根「……ぁっ」

麦野「オイそこのバカ、何で今小さく『アッ』つった?」

垣根「あぁうん。何か忘れてるなー、と思ったらあいつに連絡取るの忘れてたわ!」

一方通行「お前ェ最悪だなァ」

垣根「いやー、だって仕事仲間だぜ、基本?お前らみたいに仲良くしねぇよ」

一方通行「ウチもそうだが、余所は余所だろォがよ」

フレンダ「で、何々っ?なんて書いてある訳っ!?」

垣根「いや公開しねぇよ」 ペリペリ

カチャン

上条「何だこれ、鍵?」

麦野「アンタ……最低だなァ?」

473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:45:47.05 ID:SypWvixA0
垣根「待て待て知らねぇよ!?これ、ウチの鍵じゃないねぇしさっ!?ちょい待ち…………あぁこれだ」 ジャラッ

一方通行「ロシアに自宅の鍵もってくンなよ」

絹旗「あー確かに超違いますね。でもだとすればこれは一体どこの?」

打ち止め「MNWで検索かけた所、彼女の家の鍵じゃないかな、ってミサカはミサカは大人の事情に首を突っ込んでみる!」

フレンダ「どゆこと?」

上条(あ、この二人すぐ仲良くなりそう)

麦野(でも賢いバカと馬鹿なバカって決定的に違うから)

打ち止め「『今まであなたに渡していましたが、取り換えましたから』って、どういう意味なのかなってミサカはミサカは確信犯的に責めてみたり!」

一方通行「……お前、ホンっとに最低だなァ?」

垣根「違うって!……多分?」

絹旗「いえでも限りなく超グレイっぽい気配が……ってか第二位、封筒の中に紙入ってますよ?」

垣根「ほ、ほらぁっ!違うって言ったじゃねぇか!」

上条「じゃあ読めよ。つーか俺読むわ」 ヒョイッ

垣根「あぁコラ勝手に――」

上条「あーなになに、『×月○○日、あなたにお弁当を作ってきました』」

フレンダ「普通じゃん。つーか付き合ってない訳?」

垣根「いや、そういうつもりはねぇけど」

麦野 ウズウズ

一方通行 ギュッ(打ち止めの耳を塞ぐ)

麦野「  関係は?アンタ挨拶代わりに×××握らせてんでしょ?」

一方通行(やっぱこのアマ教育に悪りィよなァ!)

垣根「無実だし!心理定規とは何もねぇよ!」

一方通行「まァ中学生ぐらいだしなァ?」

麦野「アンタはもっと小さくないと駄目なのよね?」

一方通行「違げェよ。つか俺を  コン扱いはやめろ」

上条「『あなたには笑われるかも知れませんが、勇気を出して作ってみました』」

フレンダ「あ、何かちょっといい話になってきた」

絹旗「中学生の超切ない恋愛話じゃないですか」

垣根「えー……いやでも、今までそんな雰囲気なかったんだぜ?」

上条「『ですが、あなたは帰ってきません。なので冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

フレンダ「な、何日前だっけ。日付?」

上条「二週間前だけど……」

麦野「ってか冷蔵庫に鍵て。業務用なの?」

垣根「いやー一人暮らしだし、別に料理もしねぇし。家庭用2ドアだぜ?」

絹旗「あー……それじゃ、買った、とか?その『他の人には超食べさせたくない!』的な目的で」

垣根「あっあー、それそれ!多分それだって!そうじゃないとおかしな話だもの!」

麦野「いやーでも普通冷蔵庫買うかぁ?何か嫌な雰囲気しかしないんだけどな」

474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:47:03.95 ID:SypWvixA0
上条「『×月○×日、お弁当を作ってきました。でもあなたは帰ってきません』」

一方通行「二回?二日連続かァ?」

上条「『なので、冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

麦野「しかも前の入ってんじゃないかしら?――あぁセロリ、打ち止めちゃんの耳離すなよ!」

一方通行 グッ

垣根「……つ、続けて?」

上条「『×月○△日、あなたの彼女と名乗る女の子がやってきました』」

垣根「い、いやーモテる男は辛いなっ!なっ!……何でお前ら黙ってんの?」

麦野「……オチが読めたからよ。現実見ろ!」

上条「『なので、冷蔵庫へ入れておきました』」

全員「……」

垣根「……」

打ち止め「えーなになに、どーしたのってあなた達だけで楽しむのは良くないんじゃないかなって、嘆願してみるっ!」

475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:47:45.77 ID:SypWvixA0
上条「『×月○□日、誰もやってきませんでした』」

絹旗「お、終わったんですか?この悪夢が超終わるんですね?」

フレンダ「よ、良かった訳よ!」

麦野「あ、上条!次最後よね?ちょっと読むの停止、あと中学生二人は部屋の外行きな」

フレンダ「え、でも――」

絹旗「……超行きましょう、超嫌な予感しかしません」

一方通行「悪ィ、こいつも頼ンだ」

絹旗「分かりました。えっと打ち止め、ですよね?」

打ち止め「お姉ちゃん達のお名前はなんて言うの?って――」

パタン

垣根「……俺、聞きたくないんだけどさぁ?」

麦野「アタシもそれが正解だと思うわ」

一方通行「……つーかァこの状況で淡々と読める三下のメンタル半端ねェなァ」

上条「俺だって読みたくはねぇぞ!つーかオチは知ってるから俺だけで終わらせるかっ!」

麦野「……まぁ聞くけどね」

上条「『×月○□日、誰もやってきませんでした』」

上条「『なので、冷蔵庫に入っています』」

上条「『あなたが、開けるまで、待っています、ずっと」

垣根「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

一方通行「……」

麦野「……」

上条「……あー、うん。手紙返すから」

垣根「……」

上条「あ、ごめん!俺ちょっと用事がっ!」

麦野「あの子達、打ち止めちゃんと仲良くしてるかしらねー。親御さん、ここら辺に遊ぶ所ってないの?」

一方通行「あ、あァ。ガキどもの保育所みてーなのを、ボランティアでやってン女がいてなァ、ソイツが色々世話焼いてきて煩ェんだ」

上条「それ、お前に気があるんじゃないのか?」

麦野「こら!  コンに酷い事言わない!」

一方通行「お前の方が殺されても文句言えねェ事言ってっかンなァ?あァ?」

パタン

垣根「……」

垣根「俺をっ、俺を一人にしないでくれよおおおおおおっ!?」

476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:49:14.18 ID:SypWvixA0
――エリザリーナ独立国・個別病室

番外個体「……」

番外個体(あー……眠みぃ。麻酔か?麻酔打たれてんのかな?)

番外個体(生きてる、って事は良かった、のか?ってもなぁ生かされてもなぁ?)

番外個体(白モヤシのために急遽造られて、何か機械埋め込まれて、それでロシアまで直輸されたけども)

番外個体(勝っても負けてもってぇのが、何か――何か、だーよなぁ)

番外個体(……あん?)

番外個体(何か冷たい?あー……マブタ、マブタ開かねぇなぁ)

番外個体(電気信号……)

ヂッ

番外個体(病室暗いしハレーション起こして見えねぇなぁ。まぁ白い服じゃなかったし、学園側の暗殺者って所か)

番外個体(やだなぁ、死ぬ前にパーツでも回収されてんのかなぁ。どうせならオリジナルが好きなあの人にちょっかいかけたかったな)

番外個体(あーでも、お姫様抱っこして貰ったんだっけ?)

番外個体(みさかー、なんて呼んで貰ったりもしたか)

番外個体(でもそれ、よくよく考えたらミサカの名前じゃないんだよね)

上条「……ミサカ、だよな?」

番外個体(あーそうそう。こんな声こんな声)

上条「あーごめん。さっき勘違いしてたみたいだ」

番外個体(いや、勘違いはしねぇだろう。明らかに部分的に違うよな?――って!マジかっ!?本物かよっ!?)

上条「……学園なんだな?お前達に酷い事をしたのは、またアイツらか」

番外個体(いやいや、熱くなるなよヒーローさんよおっ。鬱陶しいんだテメー、つーか何様のつもりだボケ、死ね)

上条「……俺が、約束したのにっ。お前達を護るって約束したのに」

番外個体(……約束?誰と?何の話だよ?)

上条「……あぁ、でも俺が、全て終わらせるから」

上条「この下らねえ戦い、全部終わらせるから!」

番外個体(あっついんだよこのクソが!どっか行けよ!お前なんか、お前なんかっ!)

番外個体(……)

ヂッ

上条「……ん?今、火花が――いや、気のせいか?」

477: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:49:52.06 ID:SypWvixA0
番外個体(気付よクソが!だからお前なんて大嫌いなんだよっ!)

上条「……じゃ俺、ちっと行ってくるから――あれ、換えのガーゼに文字が――」

番外個体(……)

上条「焼け焦げて、そうか!火花でかっ!」

上条「……『シネ』?」

上条「あのさぁ、もうちょっと、こう色々あると思うんだけど」

番外個体(ウルセェよ、どっか行け)

上条「まぁ……ちょっくら行ってくるわ」

番外個体(……行っちまえ)

上条「帰ってくるまで体治しとけよ――番外個体」

番外個体(……!)

番外個体(……ウルセェよ。なんかもう、ウルセェ)

番外個体(オリジナルも、あの人も、白モヤシも)

番外個体(ミサカの心臓も――ウルセェつってんだろ!)

478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:50:54.25 ID:SypWvixA0
――ロシア某所

浜面「洋平さんっ、レジスタンスが何人も『ベツレヘムの光』見たって報告が!」

アックア「無理なのであるな。ランダムに移動しているから、リアルタイムで補足しないと意味がないのである」

浜面「違うんだよっ!スマートフォン――の地図見てくれっ!」

浜面「目撃証言を点で置いていくと、真っ直ぐに移動してんだ!」

アックア「……奇妙であるな。余程急ぐ用事でも――この、先には!」


――エリザリーナ独立国・客間

『我が青竜刀の錆になれいっ!』

『にゃー、愛紗は怒りっぽいのだー』

……

ヴェント「……何か三国志のアニメらしいんだけど、女の子しか出てないってのはどうよ?」

ヴェント「アタシの知ってる三国志、ってぇのはこんな話じゃなかった筈だけど」

アニェーゼ「イノベーション、ってヤツなんじゃないですか。古いババアは若いロリキャラに淘汰されるように」

ヴェント「アンタは確実にケンカ売ってるわよね?あと若くないロリキャラって矛盾してないか?」

アニェーゼ「いえいえそんなとんでもねぇ話ですって」

PiPiPi……

ヴェント「ったく――あぁアックアからか」

アニェーゼ「普通の携帯?あぁ音だけですか」

ヴェント「『どうしたゴロツキ。今更なんの用よ?』」

アニェーゼ「取り敢えず罵倒から入るんですか」

ヴェント「『外?あぁ曇ってはいるけど――雲じゃない?』」

ヴェント「『だったら、アレは――』」

479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:52:08.27 ID:SypWvixA0
――少し前。エリザリーナ独立国、エリサリーナ私室

エリザリーナ「……どう?」

滝壺「体が軽くなった、ような……?」

エリザリーナ「方針自体はイギリス清教と同じよ。ただし使う薬草の類が違うから」

麦野「つまり?」

エリザリーナ「一年ぐらい摂取していれば、それ以上は必要ないわね」

上条「良かった!」

エリザリーナ「あ、勿論もう『体晶』を使っちゃ駄目よ?それだけは絶対に守って頂戴」

滝壺「……」

絹旗「……滝壺?」

滝壺「……それは、いや」

フレンダ「滝壺っ」

滝壺「わたしは、みんなが大切……!だからきっと、危険になったら――」

エリザリーナ「……気持ちは、分からないでもないけど。例えば、ね?あなたが犠牲になって生き延びたとして、他の子達は喜ぶかしら?」

滝壺「それは……」

エリザリーナ「うん、建前では悲しみながら、実は裏では何とも思わずに仲間を遣い潰しているような人達、私は結構見てきたのよ?」

エリザリーナ「でも、あなた達は違うじゃない?夫婦の絆を比翼の鳥に例えられるけど、あなた達はみんなで一つ、って気がする」

滝壺「だから……」

エリザリーナ「あなたの居ない世界、それがあなたのお仲間に耐えられるかしら?」

滝壺「……」

エリザリーナ「……と言ってもまぁ、余裕はないけど極めて深刻でも無いのよね。後はきちんと話し合いなさい、ね?」

滝壺「……はい」

滝壺「あ、でも依頼が一つ。試してみ――」

麦野「どうしたのよ?」

滝壺「近い……?いやでもっ……!」

絹旗「超落ち着いて下さい滝壺、具体的にどのぐらいなんですか?」

滝壺「北に、一キロ……?」

上条「ちょっと待て!?それじゃまさか――」

ドオオオオオオオオオオォォォォォオオォオウンッ!!!

480: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:53:10.08 ID:SypWvixA0
――エリザリーナ独立国、現在

アニェーゼ「少年っ!」

上条「何が始まったんだ!?」

アニェーゼ「ロシア軍正規兵の機甲部隊が攻めてきやがってます!」

アニェーゼ「そっちはまだエリザリーナ義勇軍で持ち堪えていますが――」

ズゥゥンッ!

アニェーゼ「北方約1キロに『ベツレヘムの星』、しかも天使の護衛付きですっ!」

麦野「天使はどうしているの?」

アニェーゼ「学園の白い人と黒い人が抑えていますが、どうにかってぇ感じです!」

上条「ヴェントは?」

アニェーゼ「義勇兵を援護しています!――私は負傷者へ治癒術式を施さないといけないので、これで失礼っ!」 ポクポクポクポクッ

麦野「参ったわねー、こりゃ」

上条「……」

絹旗「逃げる、ってのも超後味が悪そうですし。何とかしたい所ですが――上条?」

上条「ん?あぁいや、どうしたもんかなって」

フレンダ「んー……戦争かぁ。つーかあたしら別に誰も驚いてないって訳よね」

滝壺「……『体晶使わずに済んだから、らっきー』みたいな?」

フレンダ「良いって訳?向こうから来ちゃったみたいだけど」

麦野「一回は一回、証人はエリザリーナも居るしね。とまぁ火力が必要なのは、ロシアの機甲兵団かぁ?」

麦野「セロリと冷蔵庫いなくなって士気ガッタガタだろうし、ちっとドンパチやってくるわね」

絹旗「わたしは超どうすれば?」

麦野「あんたと上条はミーシャ相手、しかないでしょうね」

絹旗「はい!命に代えても――っていひゃいいひゃいいひゃい!!!」 ムニーッ

麦野「馬鹿言ってんじゃないわよ。一人でも欠けたら、私が地獄まで追い掛けてって殴り倒すからね?」

フレンダ「……結局死んでもそんなカルマを背負い続ける訳……?」

滝壺「なむー……」

麦野「残った二人は打ち止めちゃん――と、あぁそういや、ミサカ新型も居たか。二人の護衛をしなさいな」

絹旗「いたた。エリザリーナはどうするんですか?」

麦野「私達が側につくのは色々問題がありそうなのよ、主にスパイ的な問題で」

フレンダ「この国の事はこの国で、っていうのもシビアかも知れないけど」

滝壺「ぶっちゃけ、薬草のレシピやらなんやらは、イギリス清教へメールで送信済み……」

麦野「とまぁそんな感じで。全員、死ぬんじゃないわよ!」

絹旗「はーい、おかあさーん」 ダッ

フレンダ「おっけいっ!ままっ!」 ダダッ

滝壺「かーちゃん、いってくるぜ……」 ダダダッ

麦野「おいこらメスガキどもがっ!!!……ったく本当に」

麦野「……良い娘ばっかりよね――上条?」

上条「あぁうん!行って、来るよ!」

麦野「えぇ気をつけて……?」

482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:54:26.05 ID:SypWvixA0
――義勇兵vsロシア機甲兵団

ヒュンッ、ドオウンッ!

ヴェント(火力が段違いよね。向こうは落ちぶれたとはいえ超大国、こっちは西側の中古兵器のオンパレード)

ヴェント(士気が高いってのはまぁ認めてやらなくはないか)

独立国兵士「下がってください!民間人は早く退避を!」

ヴェント「誰にモノを言っているの?このアタシに命令形は無い!」

独立国兵士「……え?」

ヴェント(水……雪があるから、行けるな!『アドリア海の女王』部分召喚!)

ゴウウン――ドゥンッ、ドゥンッ、ドゥンッ……

ヴェント「ハッハァっ!良い悪意!」


――学園都市序列1位2位vsミーシャ

ミーシャ『laskdfjsa;ofijwooqiwjeqoiwejqopiっ』

垣根「なぁに言ってるのかわっかんねぇしっ!!!」

ズウウンッ!

一方通行「あぁもう面倒臭ェンだよォォっ!」

ゴガッ、ズウウンッ!

垣根「どうにもこうにも膠着状態だねぇ、こりゃ。つーか親御さん、娘さんとこ行かなくていいの?」

一方通行「あのガキ助けてもらった恩も返さねェで逃げるってェのは、俺の性分に合わねェ――つーか今頃、煩ェ奴らが保護してンだろうよ」

垣根「随分信頼してんだコト」

一方通行「口よりも羽根動かしやがれ。来ンぞ!」

ミーシャ『豬憺擇www』

ドウンッ!!!

483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:55:15.55 ID:SypWvixA0
――医務室

番外個体「あークソ頭痛い頭痛い頭痛いっ!ドッカンドッカンしててうるせーっ!」

フレンダ「居た居た。すっごい訳ね、打ち止め」

打ち止め「えっへん!とミサカはミサカは将来立派になる胸を張ってみたり!」

番外個体(あ、しまった。プロテクト外してた)

滝壺「とにかく、ここは危ないから……」

番外個体「あー……おねーさん達、ミサカにも武器をくれないかな?」

フレンダ「使えんの?」

番外個体「つーか白モヤシを殺すためにチューニングされた個体だし?能力もレベル4相当の電撃系だってさ」

滝壺「それは……すごい」

フレンダ「……守りに来たのに、逆に守られてる感がヒシヒシと」

番外個体「あの人には借りがあるし?今日は出血大サービスで、三人とも守ってやっても良いんだぜ?」

滝壺「おおっと、こんな所に、あなたをお姫様抱っこしている画像が……」

番外個体「ぎにゃーーーーーーっ!違うのっ!それは違うって!」

滝壺「あなたのケータイ出して……?」

番外個体「……ん」

番外個体(拾った奴だけど)

滝壺「そうしん……」 ピッ

番外個体「い、依頼料は確かに貰ったぜ!」

フレンダ「今さらハードボイルドっぽい事されても、ねー?」

打ち止め「ねー?ってミサカはミサカはハイタッチしてみる!」 タッチ

番外個体「あーもう、うっぜぇぇぇっ!ミサカこの組もうイヤっ!組変えを要求するっ!」

484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:56:11.64 ID:SypWvixA0
――義勇兵vsロシア機甲兵団

ヴェント「どうにも面倒だな――つーかアンタが来る必要も無かったわね?」

麦野「……いや、正直あたしも引いている。なんだそりゃって感じ。アックアといいアンタといい、バケモンしかいねぇのかよ」

ヴェント「あのゴロツキと一緒にされるのは心外だけどね」

麦野「来てんでしょ」

ヴェント「さぁ?さっきは急いで来る、とは言ったけれど――って第二陣が来るわね」

麦野「次はアンタ休んでろよ。んなハイペースで疲れない訳がないわ」

ヴェント「煩いわね。このアタシに――」

麦野「っと失礼、携帯が。あー……取りたくないわぁ……」

ヴェント「何?借金の取り立てかなんか?」

麦野「だったらどんだけ気が楽だったか――『はい……あー、んじゃ、二人を回収しといて?』」

麦野「『うん。つーか行く所は一つしかないし。こっちから行った方が早いから』」

麦野「『打ち止めちゃん達はアニェーゼに――うん、じゃ』」 ピッ

ヴェント「深刻そうね?」

麦野「ウチの馬鹿が一人暴走したのよ」

ヴェント「あー……もしかして、あっちに?」

麦野「うん。戦場突っ切って、あそこに」

485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:57:18.80 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「どうした上条?不思議そうな顔を……してないなぁ?」

上条「近くまで行けば、お前が拾ってくれそうな気がした」

フィアンマ「つまらないな。折角幾つか台詞を用意していたというのに」

上条「……やり直そうか、最初っから?」

フィアンマ「いや時間が勿体ないだろう?お互いに」

上条「お前は一体何がしたかったんだ?大勢の人を巻き込んでまで、何を――」

フィアンマ「世界の救済だな。俺様の造り上げた秩序の元に、世界を立て直そうとするだけさ」

上条「意味無いだろう!?この世界はお前に救って貰う程、腐ってなんか無い!」

フィアンマ「お前の住んでいる所は、な?だがそれにした所で、たかが高校生相手にローマ正教20億が目の敵にする世界だろ」

フィアンマ「もっと腐っている所は幾らでもある。それぐらいは理解出来るだろう?俺様はそんな下らない世界をどうにかやり直したいのさ」

上条「腐ってなんか無い!確かに俺は、俺達は変な戦いに巻き込まれただけだ!」

上条「けどな、だからつって助けてくれる人は居た!」

上条「お前と違って俺には仲間が居たんだよ!」

フィアンマ「……ふむ。同じ『右手』を持つもの同士、話が合うかと少し思ったんだがな」

フィアンマ「つまりアレか?俺様は独りでお前は大勢の仲間が居る、だから俺様みたいな人間が世界を救うのは相応しくない、と?」

上条「お前に救われる程、この世界は終わっちゃいない――」

フィアンマ「じゃあ聞くが――どうしてお前は今、『独り』なんだ?」

486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:58:32.37 ID:SypWvixA0
――同時刻。vs天使

ミーシャ『ioioieoqwieoweioq!!!』

ドゥンッドゥンッドゥンッ!!!

垣根「拙いな、っと!」

ドオオンッ!!!

垣根「――まぁこんで暫く大人しくなんだろ」

一方通行「……弱音吐いてンじゃねェよ。だからお前は使えねェンだ!」

垣根「お前、そろそろバッテリー切れんだろ?」

一方通行「お前にゃ――」

垣根「下がれ。邪魔だ」

一方通行「煩ェよ」

垣根「……分かるだろ?なぁ?」

一方通行「……」

垣根「多分アレは、俺達じゃ無理だ」

垣根「残った時間は打ち止めちゃんと逃げやがれ  コン野郎」

一方通行「  コンじゃねェし、クソが!死ね!」

垣根「うるせぇよ。時間稼ぎしてやろうってぇ人間に死ねとか言うんじゃねぇよ!そこは『垣根君ありがとう!』じゃねぇのかよっ!」

一方通行「あーもうお前死んで来いよ、なァ?死ねばその馬鹿治っかもしンねェから」

垣根「誰が馬鹿だっ、つーか前から言おうと思ってたんだが、なんで俺馬鹿なの?学園二位じゃん?」

一方通行「……意味も分からねェのに、必要もねェのにロシアまでついてきやがって、帰りたい帰りたい言いながら、ダラダラ居座るし」

一方通行「なにやってンだよ!?バカじゃねェのか!?」

垣根「……あーお前居なかったっけ?あん時トイレでメソメソ泣いてたもんなぁ」

一方通行「捏造すンなバァカ」

垣根「ウルセェセロリ。上条に借りがあんだよ、ウチの組織の連中がケンカ終わった後にまでアイツらに手ェ出したってな」

垣根「だから、ケジメなんだよ。テメェなんかのためじゃねぇ、『悪党』である俺のプライドのためだ!」

一方通行「……ワッケ分かンねェ、お前もう死ねば?」

垣根「ウルセェよ。さっさと失せろ!」

一方通行「――テメェみたいな『悪党』、見た事ァねェよ」

487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 10:59:28.17 ID:SypWvixA0
垣根「……」

一方通行「……」 ダッ

垣根「……はは」

垣根「マジかよっ!?あの学園大一位サマから『悪党』って!ははっ、あはははっ!!!」

ミーシャ『ioqiwoqwiqowiqowi』

垣根「だよなー?お前も笑っちまうよなぁ?」

垣根「クソの中のクソだっつーあのバカが、俺を『悪党』って!」

垣根「あーやべー、ちっとやる気出て来たかも?」

ミーシャ『al;sa;sla;sla;sla;sl』

垣根「……いやでも天使がコレて。やっぱ出ないわー、うん」

垣根「いやホラ天使ってのはさ、全裸に翼で?しかも綺麗なんだよ、全裸で?」

ズドオオオオウンッ!!!

垣根「さっさとぶっ殺して、ナンパでもすっ――」

ミーシャ『jqhwjqhwjqhwjqhwjq……一掃』

ズッゴオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォウンっ!!!

488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:00:12.44 ID:SypWvixA0
――ペレホムの星・内部

フィアンマ「俺様の独り善がりである。否定はしないさ」

フィアンマ「だが――だからといってお前はなんだ?俺様との圧倒的武力を知りながら、どうして一人でやってきた?」

フィアンマ「俺様が孤独であるのは認めよう。と言うよりもその通りだ。『右手』に『ベツレヘムの星』、更には部分的ではあるが天使を御したこの武力!一国に凌駕する程にだ!」

フィアンマ「だが、どうして、非力な筈のお前が!精々異能を打ち消すだけの力しか持たないお前が!単身乗り込んでくるのだ?」

フィアンマ「そして――お前の友は!仲間は!同胞達はっ!どうしてお前一人“だけ”を戦場へと送り込むっ!?」

フィアンマ「教えてやろうか、幻想殺し――お前もまた――孤独なんだよ」

上条「違う!俺は今まで多くの仲間を救って――」

フィアンマ「お前が救ってきたのは、本当に『仲間』だったのか?」

フィアンマ「お前の事は恐らくお前よりも知っているぞ。同じ右手を持つものとして、ずうっと見てきたからな?」

フィアンマ「禁書目録――あの小さなシスターに嘘を吐いている事だってなぁ?」

上条 ビクッ

フィアンマ「だが敢えて問おう。お前がアックアに立ち向かった時、ブリテンのじゃじゃ馬へ拳を振り上げた時、お前はどうだった?」

上条「俺はっ仲間と戦った!お前とは――」

フィアンマ「だなぁ?仲間が居なければどの戦いも勝てなかったよなぁ?」

フィアンマ「でもお前は最初、一人で敵と戦おうとしたよなぁ?」

上条「それはっ!」

フィアンマ「あーそうだな。お前にだって色々理屈はあるんだろう。仲間のため、友のため、吐きそうなぐらいご立派な信念だよ」

フィアンマ「なら俺様からの質問だ。お前の言う『仲間』ってのは、ビンテージのワインみたいに仕舞っておくモノなのか?」

フィアンマ「それとも暇な時にちょっとだけ会って遊ぶだけか?どうにも良く分からないなぁ?」

フィアンマ「なぁ教えてくれよ、英雄さんよぉ。俺様とお前は違うんだろ?俺様は力に取り憑かれた狂人なんだろう?」

フィアンマ「俺様は力があるから孤独でも戦える。だがお前は力が無いのに孤独で戦おうとする」

フィアンマ「その大切なお仲間とヤラもお前の周りには見えないなぁ?あぁつまり、アレだ?」

フィアンマ「――お前には仲間なんて、最初っからいなかったのさ」

489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:01:13.66 ID:SypWvixA0
――vs機甲兵団

ヴェント(通常兵器とはいえ数が多すぎるっ!砲撃術式もそろそろ限界か……)

独立国兵士「どうかお下がりください!あなたはもう充分に戦われたのですからっ。あとは我々がっ!」

ヴェント(アンタ達が根性見ている以上、下がる訳にも――)

ヒュウッ!ズゥンッっ!!!

ヴェント「魔術の光、だと……?クソっ!」

ヴェント「ロシア軍を盾にして温存してやがったのか!?ロシアの異端者どもめ!」

独立国兵士「危ないっ!?」

オォンッ

独立軍兵士「……」

ヴェント「……クソッ!クソッ!クソがあああああああああぁっ!」

ヴェント(後の事なんて考えなくて良い)

ヴェント「討ち滅ぼしなっ、『アドリア海の女王』!!!」

ドオオオウンッ!!!

490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:01:56.02 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「おかしいなぁ?おかしいよなぁ?おかしな話だよなぁ?」

上条「……」

フィアンマ「お前は、ただの、無能力者だ。ほんの少しだけ変わった力を持った、学園都市風に言えばレベル0か」

フィアンマ「だのに、世界に20人しかいないと言う聖人は?ルーンを自ら作った天才魔術師は?天草式十字凄教の連中はどうした?」

フィアンマ「お前が助けたシスターは?騎士団は?友であり仲間であるお前を放って置いて、一体を何しているんだ?」

上条「俺はっ、俺は、見返りが欲しくて戦ってきた訳じゃない!」

フィアンマ「だなぁ。その結果、お前には仲間など誰一人出来なかったんだが」

上条「あ……」

フィアンマ「世界を変えるのに大きすぎる力は要らない、か?お前の言葉程空々しいモノはないよ、ヒーロー」

フィアンマ「お前は言う――『俺を信じろ』、と。何だって、どんな事だって、俺が打ち払ってやるから、踏み込んでこいと」

フィアンマ「だが同時にお前は結局誰一人として、何一つとして、『信じなかった』んだ」

フィアンマ「だから誰の力も頼れず、頼らず、最凶最悪の敵相手ですら、こうして一人で来るしか無かった」

上条「違う、俺は――」

フィアンマ「違わないさ。現実に周囲を見渡してみろ、それが全てだろう?」

上条「……っ!?」

フィアンマ「魔王相手に独りで乗り込んでくる勇者なんて、居る訳がない。もし要るとすれば、それは――」

フィアンマ「魔王、と呼ばれるべきだろうな?」

491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:02:47.99 ID:SypWvixA0
――エリザリーナ独立国・市街地

ガガガガガガガッ!

アニェーゼ「くっ!」

キィンッ!

ロシア軍兵士「!?」 パタン

番外個体「へー何かすっごいねー?ちょっと貸して貸して?」

アニェーゼ「巫山戯てる場合じゃねぇでしょうが!前も後も敵、敵、敵!」

番外個体「いやー、こればっかりはねぇ?」

打ち止め「うん、ミサカはミサカは仕方がないのよねって言ってみる!」

アニェーゼ「あーもう何でこの人達の担当があたしにまわってきちまうんですかっ!?」

アニェーゼ「つーかあの人達は何処行ったんですか!?現在の最大戦力でしょうに!」

番外個体「あー、多分、つーか確実に、あそこじゃないかな?」

アニェーゼ「いやでもこの状況をほっぽり出してまでする必要性がっ!」

打ち止め「あのね、生きるよりも死ぬよりも大切な事はあるのよって、ミサカはミサカは言ってみたり」

打ち止め「それがどんなにくだらなくっても、バカにされても、本人達が満足ならいいじゃないかなって、ミサカはミサカは達観してみるっ!」

アニェーゼ「……はぁそんなもんなんですかねぇ?あたしにゃ分かりませんが」

番外個体「そんなこと言ってぇ、ホントは分かってるんでしょー?うりうりっ」

アニェーゼ「あーもう鬱陶しいですっ。班変えっ、班変えを要求するってもんですよ!」

492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:03:37.46 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

フィアンマ「もういい。お前は良くやったよ。それは俺様が評価してやろう」

フィアンマ「だが、ここまでだ、というだけの話。独りでは俺様をどうこうする事は出来ん」

上条「クソがっ!」

ゴウゥッ!

上条「ぐああっ!?」

フィアンマ「あんまり俺様を刺激しないでくれよ――と、話も飽きた。そろそろ終わりにしようか」

上条「まだだっ、俺にはまだお前を……!」

フィアンマ「決着などとうに着いていたのだ。お前が独りでここへ乗り込もうとした、その時に――」

麦野「――だよなぁ、良い機会だからそのバカに教えてやってくれよ」

上条「むぎ、の……っ!?」

フィアンマ「お前はっどうやって!?」

麦野「テメーが犠牲になるのは良いけど、他人が巻き込むのはお断り、なんつーのは仲間でもなんでもねえんだよ」

絹旗「超ですよねー。もう超折檻してやろうかと…… 的な意味で(ボソッ)」

上条「絹旗、まで」

滝壺「ふたりともダメ出しから入るのは良くない……こう言う時には定番がある……」

滝壺「『きちゃった、てへ……』」

フレンダ「結局主旨はあんま変わってない訳?つーかもうちょっと  っぽく言った方が」

上条「みんな……どうしてっ!?」

麦野「そりゃまぁ来たんでしょうよ、『みんな』で」

493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:04:47.04 ID:SypWvixA0
――少し前、vs天使

垣根「……」

垣根「……おおぅっ!?」

垣根「い、今ちょっと死んでたような……?」

垣根「大丈夫だよな?生きてるよな、俺?」

垣根(あーでも全身痛ぇ!超痛い!つーか死んだ方がマシかもっ!)

ミーシャ『hgfjghfjghfjghfjghfjgh!』

垣根「あー……お前は無事なのね、やっぱり」

垣根「白モヤシに啖呵切った手前、もうちょい何とかしたかったんだが。まぁ」

垣根「悪くはねぇか」

ミーシャ『qwqwqwasasasdfdfioi!』

垣根「……天使ってのが、これってのは不満しかねぇけどさ」

垣根「そうなぁ天使ってえのは、アレだ。翼が生えていてだな」

ミーシャ『qwqwqwqwqopwqpop!』

垣根「お前じゃねぇよ。なんつーか、可憐な娘なんだよ!お前可憐要素ゼロじゃねーか!」

ミーシャ『qwruiposidjg;l!』

垣根「いいからさっさと――」

ヒュインッ、グオンッ!!!

ミーシャ『kjf;lkfdgh;odghpo!?』

垣根(なんだぁ……?超高速で突っ込んできやがった)

垣根(学園都市の制服の女子高生……?翼生えている?)

垣根「……」

垣根(俺にも天使ちゃんきたああああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!)

風斬「あの、もう大丈夫ですからっ」

垣根「へっ、喋れんの?」

風斬「え、えぇはい、ごめんなさいっ!」

垣根(腰低いっ!?あ、でも――可憐だっ!)

垣根「あのっ、すいませんっ!」

風斬「はい、何でしょうか?今ちょっと手が離せな――」

垣根「直ぐに終わりますっ。そのっ――」

垣根「一目惚れですっ、俺と付き合って下さい!!!」

風斬「ごめんなさい!」

垣根「……」

風斬「そ、そのっ、巻き込まないように、場所移しますから、失礼しますねっ!?」

ヒュンッ

垣根「……………」

垣根「もう殺せよおおおおおおぉぉぉぉぉっ!一思いにやってくれよおおおぉぉっ!?」

494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:05:40.95 ID:SypWvixA0
一方通行「……何騒いでんだ、バカ」

垣根「ウルセェよセロリ――ってお前、なんで?」

一方通行「……あんだけデカい爆発ありゃ、誰だってわかンだろうが、バカ」

垣根「打ち止めちゃんは?」

一方通行「……今から探しに行くンだよォ、バカ」

一方通行「だから」

一方通行「……さっさと掴まれよ、バカ」

垣根「ウルセェよ。テメェが能力無しで人担げる訳がねぇだろうが」

一方通行「やってみねェとわっかンねェだろうがよ!……クソ、重っ!」

オルソラ「……」 ドキドキ

垣根「あーもう無理だって!誰か呼んでこい、馬ぁ鹿!」

一方通行「煩ェよ、バカ!お前に指図される覚えはねェンだよ、バカ!」

シスター・ルチア「……」 ドキドキ

垣根「つーか何?お前バカバカ言いやがって!ケンカかコラ、ケンカすんだったら買うぞ!?」

一方通行「いや、違げェだろうがよォ!ここでンなバカな事言い出すから、お前はバカって言われンだぞ!?」

シスター・アンジェレネ「(ね、ねぇねぇシスター・ルチアっ!あの二人、いつイチャイチャするんですかねー?)」

シスター・ルチア「(しっ!静かに!お二人の邪魔は神がお許しになりませんっ!)」

垣根「……」

一方通行「……」

アンジェレネ「(あ、あれ?止まっちゃいましたよ?脱ぐんですか、脱ぐんですねっ!?)」

ルチア「(えっとデジカメデジカメ……)」

アンジェレネ「(あーっシスター・ルチア新しいの買ったんですねー!?いいなーいいなー!)」

ルチア「(お待ちなさい!あなたは直ぐに壊してしまうでしょうがっ)」

一方通行「……おい」

オルソラ「何で御座いましょうか?」

垣根「何やってんの?つーか何で戦場にシスターさんいんの?」

オルソラ「私達はイギリス清教のシスターでして、傷ついた方の救助をしに来たので御座いますよ」

一方通行「……だったらこのバカ、なンとかしてくンねェかな?」

垣根「ウルセェよ、バカ」

一方通行「お前の方が煩ェ――って、待て待て待てっ!どォしてお前ら笑顔で生暖かく見守ってンだ!?」

オルソラ「お二人はそう言うご関係なのでしょう?私達が間に入るのは、野暮かと」

垣根「違うからっ!?つーか何とか出来るんだったら、包帯の一つでも巻いてくれよっ!」

オルソラ「あ、私達が何故ここへ来たかと申しますと――」

垣根「会話が巻き戻った!?」

オルソラ「『あの方』のお手伝いで御座いますよ」

495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:06:51.27 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

麦野「ちなみに言わせて貰うと上条、アタシらがあんたを助けに来なかったんじゃない。来れなかったんだ」

麦野「そのバカがデカい結界だか張りやがったお陰で、人も弾道ミサイルも通じなかったのよ」

上条「じゃあ、どうやって――」

麦野「アックア達もどういう魂胆か知らないけど、ここへ乗り込もうとしてたみたいでね」

麦野「学園都市のヘリに同乗するのと交換条件で、結界ぶち破って乗り込んできたって話」

麦野「でも、ソイツの言う事は間違ってないわよ」

麦野「なぁ上条、アンタはなんだ?アタシ達の仲間じゃないのか?それともアタシ達があんたを仲間だと思っていたのは『幻想』なのか?」

上条「……俺は――麦野やみんなを仲間だと思っている。それは絶対だ!」

上条「でも俺には仲間が傷ついたり、死んだりするのは耐えられねぇ――」

麦野「フザケんなっ!フザケてんじゃねぇわよクソ野郎がっ!」

上条「……っ!」

麦野「アタシは人形じゃない!生きた、人間だっ!あんたが欲しがっているのは、都合の良いアンティークドールかなんかでも充分だろーが!」

麦野「……アタシには分かるんだ!この世にはテメェ自身が死ぬよりずっと、辛い事だってあるってっ!」

麦野「アタシにそれを教えたのはアンタだぞ!?責任とりやがれクソッたれが!!!」

496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:07:47.29 ID:SypWvixA0
――少し前、vs機甲兵団

ズゴオオオオォォォォォォォォォォォォォゥンッ!!!

ヴェント「……遅いんだよ、このゴロツキが」

アックア「酷い言われようなのであるな。『天罰術式』は兎も角、『アドリア海の女王』も使わなかったのであるか?」

ヴェント「使ってこのザマよ。はっ、アタシもヤキがまわったのかしら?」

アックア「乱戦になった友軍を巻き込まないように出力を絞っていれば、仕方がないのであるな」

ヴェント「……」

アックア「こっちの青年――少年は、見た目程には酷い怪我ではないのである。どれ」

ヴェント「――っオイ!?空に機影がっ!?」

アックア「……成程、陸戦部隊ばかり展開させておいて、航空支援がないと思ったら、何処ぞの誰かとやり合っていたようであるな」

ヴェント「あれは、味方か?それとも敵?」

アックア「別にどちらであろうが、すべき事は変わらないのである」

ヴェント「……あん?」

アックア「敵であれば叩き潰すだけ、味方であれば肩を並べるだけの話である」

497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:08:37.63 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

絹旗「あーあ、麦野超泣かせちゃったー、超悪い男じゃないですか」

上条「……」

絹旗「ねぇ上条?あなたは超言いました、俺達は一人じゃないって。一人じゃないから、負けないって」

絹旗「大事な人とずっと手を繋いで、離さずに居られるのは『幻想』なんかじゃない、わたしあれ、超とっても嬉しかったんですよ?」

絹旗「でも――どうしてあなたはわたしを超置いて行ってしまうんですか?」

絹旗「子供だから?女だから?頼りにならないから?それとも――」

絹旗「わたしなんか、仲間じゃない、とか?」

上条「違うっ!絹旗はっ俺の大事な人だっ!仲間だし、友達だし、大事なんだよ!」

絹旗「んー……出来ればもう一声超踏み込んで欲しかったですが、まぁ及第点としましょう」

絹旗「わたしは超いい女――になる予定ですから、一つだけ、忘れないで下さいな」

絹旗「わたしはもう、あなたの手を超離しませんよ?」

498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:09:49.75 ID:SypWvixA0
――――エリザリーナ独立国・市街地

ヒュゥウウウウウゥゥッンッ

アニェーゼ「ありゃあ、学園都市の超音速飛行機っ!?」

番外個体「あっちゃー……ミサカのお友達来たかも?」

アニェーゼ「どういう意味です?」

番外個体「元々学園ってのは派閥があってだねぇ、一つの国に右と左がいるようなモンなの」

アニェーゼ「もしかしてロシア軍と一緒に学園都市の兵士が居たってぇのは」

番外個体「『セロリとか第二位とかが活躍すると俺困るんだよなぁ、よしやっちまうか!』って非主流派達。あ、ミサカもその関係で急遽出て来たのよ」

アニェーゼ「色々あるんですねぇ、そっちも」

番外個体「イヤイヤ2000年経ってんのに、未だにお仲間で血みどろの戦いやってる君らには負けるよー、あっはっはっはっはー」

アニェーゼ「――来ましたっ!飛翔体より何か落下!」

ヒュウウウウゥゥンッ……

番外個体「あー……あれ爆弾だったら、逃げようがねぇなぁ。おいちっこいのと  シスター、ミサカの後に来い」

打ち止め「ぶー、ミサカはミサカは――むぎゅっ!?」

アニェーゼ「別に  かねぇですし」

番外個体「声が  い」

アニェーゼ「そんな事言われたの初めてだっ!?」

番外個体「つーかちっこいのに何かあったら、アタシの責任問題だっつーの!親御さんにボコられるのはイヤだけど……」

番外個体(……いや待てよ?これはチャンスかも?)

499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:10:47.21 ID:SypWvixA0
上条『番外個体っ、番外個体っ!しっかりしろ!』

番外個体『か、上条……あの子は?打ち止めは大丈夫たった、の……?』

上条『あぁ!お前が身を挺して庇ってくれたお陰だ!ありがとう、番外個体!』

番外個体『そっかぁ、良かっ……うっ!?』

上条『ど、どうしたっ……!?』

番外個体『あなたの顔が……見えない?だから、もっと側へ……』

上条『俺はここにいる!だから――』

番外個体『寒い、体がっ!?』

上条『番外個体!?』

番外個体『……あなたの体で、暖めて……?』

番外個体「……」

アニェーゼ「どうしちまったんです?もしもーし」

番外個体「」 ビクビクッ

アニェーゼ !?

番外個体「あぁ、あの人に言葉  されてみたいっ!!!ものっそい悪い事して説教されたいっ!!!」 ゾクゾク

アニェーゼ「……どう考えてもそちらさんの方が  いんですがね」

ヒュウウゥゥンッ……スタッ

神裂「……ふぅ、もう大丈夫です!私が来たからには、あなた方に手を出させま――」

アニェーゼ「」

番外個体「」

神裂「……な、何か?」

アニェーゼ・番外個体「あんたが一番  い」

神裂「助けに来たのに暴言を吐かれたっ!?」

500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:11:38.67 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

フレンダ「あーもう汚い!絹旗汚いっ!汚い絹旗っ!」

上条「フレンダまで」

フレンダ「いやー、あのね?あたしあんま覚えてないんだけど、さ」

フレンダ「ブリテンで危なくなった時、色々考えた訳よ。そりゃもう一生ぶん考えるんじゃねぇかっつーくらい」

フレンダ「キャーリサ様に踏まれて殴られて、あーあたしこのまま死んじゃうんじゃないかなー、なんて考えた時」

フレンダ「何かみんながウィリアム何とか?って人の名前呼んでた時、実はあたしポカーンだった訳。なんでか分かる?ねぇっ?」

上条「……いや、分からない」

フレンダ「『何言ってんの?はぁ?誰?そんな人来る訳ないじゃんっ!』――って」

フレンダ「『そんな『幻想』ないって訳!』」

フレンダ「『この場面で来るのはあたしの王子様だっつーの!ウィリアム何とかが来る訳ねーだろバーカっ!』

フレンダ「……あたしはね、あたしだけは、絶対、上条が来てくれるって信じてた――ううんっ、知ってた訳よ!」

上条「……王子様?」

フレンダ「言ってない!?そんな事は言ってない訳!?」

上条「いやもう何かグダグダだし」

フレンダ「兎に角っ!麦野と絹旗は難しく考えてるみたいだけど、別に良くね?って」

フレンダ「だって家族が家族同士助け合うみたいに――」

フレンダ「お姉ちゃんが妹のワガママを聞かなきゃいけないように――」

フレンダ「結局、過程は色々あったけど、あたしは今、こうやって上条を助けに来てる訳だからっ!」

フレンダ「それは、あたしにとって当然だって訳よ!」

501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:12:34.77 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部、少し離れた場所

フィアンマ(……あれ?俺様は?俺様の出番じゃないの?)

アックア「少し――遊ぶのであるな」 ポンッ

ヴェント「あークソ、服汚れたっつのーに」 ポンッ

フィアンマ「お前達は――」

アックア「あぁ私の友からの伝言があるのであるな――『空気読め』」 ゲスッ

フィアンマ「がふっ!?」

ヴェント「つーかやっぱりか。アンタ禁書目録も無しにこんなデカい術式動かしてる、って事は制御で精いっぱいなのね?」

ヴェント「だからこっちの最大戦力、ミーシャ潰せるあのバカの心折らないと勝ち目はない、と」

アックア「すまないが――」

ヴェント「ええ。極点へ不時着するよう、進路変えてくるわ」 ヒラヒラ

フィアンマ「待てお前ら!余計な真似を――」

アックア「――あぁ、そう言えばこんな事も言っていたのであるな」

フィアンマ「な、何の話だ!?誰だ!?」

アックア「『余計な仕事増やしてんじゃねぇバーカ!』」 バキイインッ

502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:14:06.25 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

滝壺「……」

上条「……」

滝壺「『きちゃっ――』」

上条「やったからな?それ一回やった所だからな?」

滝壺「……」 ポンポン

上条「え?座れって?また背中合わせに?」

滝壺 コクコク

上条 ストン

滝壺 ペタン

上条(心臓の音、聞こえる)

滝壺「絶対、なんてのはありえないと思う。あるとすれば、それは『幻想』……」

滝壺「人間はいつか死ぬし、人間じゃなくたって死ぬ。この星もそうだから……」

滝壺「人の寿命はあっという間に過ぎるし、ましてあなたは人のために磨り減らす人だから、余計に……」

滝壺「でも、だからこそ。あなたが戦いに行ってもその傍らで。そして帰ってきても、ずっと一緒にいたい……」

滝壺「あなたが命を落とすのならその隣で……わたしが身罷るとしても最期までその横に」

504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:15:00.46 ID:SypWvixA0
滝壺「……」

上条「……」

滝壺「……」 クイックイッ

上条「……どうした?後で何かやって――」

麦野「……」 ストンッ(目の前に座る)

上条「む、麦野?」

麦野「アンタが不幸であるのなら、アンタを襲う不幸から守ってあげるからっ」

麦野「だから、だからっ――アンタが居ない不幸から、私を守ってくれよおぉっ!」

上条「……っ!」

絹旗「……」 ソッ(左手を繋ぐ)

上条「絹旗……」

絹旗「あなたが世界を超守ると言うのなら、わたしはあなたを世界から超守りますっ!」

フレンダ「……」 ギュッ(右手を握る)

上条「フレンダ……」

フレンダ「あんたが泣きたい時には側で騒いで、笑いたい時には側で騒ぐって訳」

滝壺「あなたを独りには、もう、しないから――」

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい」

上条「……みんな」

上条(無駄じゃなかった……)

上条(俺には、居場所も――守るべき人も!)

上条「おれ、俺っ!」

麦野「言わなくていいわよ、それは」

絹旗「別に超今更ですし?」

フレンダ「結局、言葉にしなくたって」

滝壺「……うん。わかってる、から」

上条「…………………………ああ!」

505: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:16:03.63 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・内部

上条「……ってかさ、思ったんだけど。カゴメカゴメしてる場合じゃねぇよな?」

フレンダ「んー、何かあったっけ?」

絹旗「後は超帰るだけですけど?」

上条「いやいやっ!フィアンマ倒さないと!」

麦野「あー……あそこ、ほら」

フィアンマ ボロッ

絹旗「超フルボッコじゃないですか」

アックア「久しいのである、右手の少年」

麦野「テメェは!!!」

上条「あー、しばらくー?元気してた?」

アックア「ん、あぁそれなりは、であるな」

上条「そっかぁ。フィアンマを倒してくれたのも?」

アックア「あぁ」

上条「ありがとなー」

麦野「(何でコイツ普通に話してんだ?)」

絹旗「(いやでもヴェントとかも超そうでしたし、もしかしたら前ケンカってのも)」

フレンダ「(実は死闘でしたー、ってオチって訳?)」

上条「別に命令書つったっけ?アレも撤回されてんだから、大丈夫――なんだよなぁ?」

アックア「特に害するつもりはないのである」

上条「だってさ――なぁフィアンマってどうなるんだ?」

アックア「……多くの人間が、少なからず血を流した以上無罪放免とも行かず、ましてや『神の右席』として受け入れる訳には行かないのである」

上条「……そうか。ちょっと話して良いかな?」

アックア「好きにするのである」

フィアンマ「……笑いたければ笑うが良い。結局、俺様とお前は違って居た――」

上条「いや、同じじゃねぇかな?」

506: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:16:58.57 ID:SypWvixA0
フィアンマ「……はぁ?何をどうすればその発想が――」

上条「俺は仲間が来てくれたし、お前だってホラそこに電柱持ってる人と化粧ケバい人」

アックア「アスカロンであるな」

ヴェント「仕事なんだよ」

フィアンマ「馬鹿な!お前の仲間は仲間を殴り飛ばすって言うのか!?」

上条「そりゃそうだよ。間違ってて言う事聞かなかった殴り飛ばすだろ?」

フィアンマ「……」

上条「俺はお前らの事を良く分かんないけどさ。アックアが小麦粉の人?を割算したけど、お前はしなかった。それってつまり――」

上条「お前の事、仲間だって認めてるんじゃねぇかな?」

フィアンマ「ふさげるなっ!それは俺様を生きて連れ帰る理由が――」

上条「お前って、実は気付いてないだけで、仲間は居たんだよ」

フィアンマ「……え」

上条「そりゃまぁ仲は良くないかもだけど、結局同じ組織にいて、同じ目標?世界の救済?ってのに力を注いでて」

上条「――あぁ勿論俺はお前らのやって来た事は認めないけど、それでも――」

上条「そういうのが、仲間って言うんじゃねぇのか?」


――ベツレヘムの星・極点へ向かって移動中

アックア「……しかしなぁ。良いのであるか?」

上条「まぁ一応。借りがあるからな」

ヴェント「借りねぇ」

上条「あいつがやった事は酷いけど、俺にとっては恩人みたいなモンだからな」

507: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:18:13.48 ID:SypWvixA0
――回想

フィアンマ『バカバカしい!そんな、そんな訳がっ!』

上条『あー、んじゃ試してみようぜ?なぁ、ここって脱出装置ってあるの?』

フィアンマ『あぁ、機械の力で自動的に降下する脱出ポッドが何組かあるが』

上条『うし。逃げちまえよ』

フィアンマ『そんな事コイツらが許す訳が――』

アックア「……」(よそ見)

ヴェント ピッピッピ(ケータイを弄ってる)

フィアンマ『許す、訳が』

アックア『……これは独り言なのであるが――』

アックア『腐った世界を救済する、それ自体は共感できるモノである』

アックア『……ただ、惜しむらくはその方法である。一人が独りで全てを背負うなど、あってはいけないのであるな』

フィアンマ『お前っ!』

ヴェント『無辜な一般人バラしてたカスとは違うんだし、別に?』

ヴェント『つーかアンタそんな大層な術式持ってんだったら、最初から言えよバーカ!』

フィアンマ『……』

上条『お前がまた何か騒動起こすってんなら、俺は止めに入るけど』

フレンダ『俺“達”』

上条『だ、そうだ』

フィアンマ ガコッ!

フィアンマ カタカタカタカタッ(次第に下降している)

フィアンマ『――おいっ!』

上条『なんだー?』

フィアンマ『俺様にもっ!お前、みたいにっ!』

上条『手ぇ伸ばしてみれば良いんだよ!肩からじゃ無くって、“お前”の右手をなっ!

フィアンマ『――――っ』

508: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:19:20.50 ID:SypWvixA0
――現在

麦野「――さて、あの莫迦の敗戦処理だけど、後はアタシらで何とかするわ」

ヴェント「いいのか?このデカブツを簡単に処理できるとは思えないわね」

ステイル『そこはそれ共同作業でね』(遠隔会話霊装の声)

アックア「必要悪の教会であるな」

麦野「ここの霊装?ってのをぶっ壊して、少しずつ削りながら、人の居ない所で落とすって方針」

上条「右席の二人には、戦争終了後のローマ正教の監視をして欲しいんだって」

アックア「あぁ、『ベツレヘムの星』が駄目になった以上、戦争は続けられぬのであるな」

ヴェント「だからって魔術師どもが大人しくなる訳じゃない、か。いいわ、引き受けましょう」

絹旗「外にヘリがあるので、それで超移動をよろしくです」

ヴェント「じゃあな」

上条「ありがとうな、色々と」

ヴェント「死ね」

上条「死なねぇよ。生きるよ」

アックア「上条」

上条「ん?」

アックア「今回は肩を並べたが、次はどうなるのか分からないのである」

アックア「学園都市が世界に覇を唱えんのであれば、我々はまた敵同士。その時に容赦はしな――」

上条「いや?敵同士にはならないぜ?」

アックア「……うむ?」

上条「学園側があんた達の領分を不当に侵すってなら、俺はあんた達と学園と一緒に戦うだけの話」

アックア「……」

上条「もちろん、そっちが因縁つけて攻め込んでくるなら、仲間と一緒に戦うけど?」

アックア「それは……面倒なのであるな」

上条「だろ?俺だってイヤだ」

アックア「ではまた。願わくは――」

上条「また一緒に、な?」

509: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:20:49.81 ID:SypWvixA0
ステイル『――では各自僕の指示通りに動いてくれ』

麦野「時間はどうなの?」

ステイル『考えなくて良いレベルだ』

フレンダ「やっと!爆発物のエキスパートであるあたしのっ!あたしの晴れ舞台がっ!」

絹旗「よし!超頑張ってください、フレンダ!」

滝壺「せかいはふれんだを待っていた……」

フレンダ「二人ともっ!……よし、あたし、頑張るって訳よ!」

絹旗「最後は爆発オチが超待ってますよ!押しちゃいけないボタンを押して、ドッカーン、な超展開です」

滝壺「ふれんだなら、ふれんだなら、やってくれる……」

フレンダ「死ぬからっ!?リアル世界で爆発オチは命と引き替えだからっ!?」

上条・麦野・ステイル「……」

ステイル『……すまない。念のため、巻きで』

麦野「ま、それが懸命よね」

インデックス『とうまっ!?聞こえるかな、とうまっ!?』

絹旗「インデックス、ですよね」

ステイル『すまないが移動しながらでいいから、聞いてやって欲しい』

麦野(身内に甘いなxx神父)

絹旗(超問題になりましたっけ?確か聖職者が 職者だってスキャンダルが)

滝壺(よくあること)

フレンダ(フイクションの話よね?ねっ?)

510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:22:19.68 ID:SypWvixA0
インデックス(ここでわたしの出番なんだよ!)

インデックス(『あいてむ』だかなんだか知らないけど、とうまはわたしを助けるために戦い始めてくれたんだもん)

インデックス(やっぱりわたしじゃないと駄目なんだよ、うんうんっ)

上条「俺、お前にずっと謝らなきゃならないと思ってた」

インデックス(あれ、それってもしかして)

上条「ごめん!俺は騙し続けてきたんだ!」

インデックス(あ、記憶の事。それはもう――知ってるんだよ)

インデックス(わたしはとうまをずっと見てきたから、とうまの事だけを見てきたから)

インデックス『とうま、ううん、もうそんな事どうだっていいんだよ』

インデックス(話してくれなかったのは、ちょっと悲しかったけど)

インデックス『とうまが無事に帰ってきてくれれば、わたしはそれだけで――』

インデックス『もうそれだけで、充分だから』

上条「でも、俺、お前に言わなきゃならないんだ」

インデックス『とうま……うん、じゃ聞くね?』

インデックス『でも、わたしは、とうまのどんな事だって』

インデックス『例えどんな悪い事をしたって、許すんだよ?』

上条「……ありがとう。じゃ、言うな?」

インデックス『うん』

上条「お前さ――――――名前、何つったっけ?」

インデックス『』

ステイル『』

麦野「あー……うん、知ってた」

絹旗「あれ超ネタじゃなかったんですか!?」

フレンダ「良かったー。結局あたしがまた弄られそうで怖かった訳」

滝壺「けどまぁ順当といえば、順当……」

511: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:23:30.11 ID:SypWvixA0
上条「俺、俺はなっ!お前の名前思い出せなくてさっ!いや別に興味ない訳じゃなかったんだよ!」

上条「でもホラっ『あ、そろそろスフィンクス(猫)のご飯無くなってきたよなー』とか考えると、どうしても忘れるだろ!?」

麦野「つまりキャットフード以下の優先度、と。猫の名前は覚えてるのにね」

フレンダ「フォローになってない訳よ、何一つ、全っ然」

上条「いやいやっ!他にも、ほらっ!ティッシュの紙切れるじゃないか?そうすると――」

絹旗「ペット未満から無機物以下の優先度に超チェンジしましたね」

滝壺「あー……まぁ、諦めも大切、うん」

上条「だって玄関出たら『あ、今日も良い天気だなー。一日頑張るぞ!』って思うって!そしたら普通忘れるだろう!?」

絹旗「さっきから遠回しに『俺、実はお前の事大嫌いだったんだ』って超言ってませんか?」

麦野「性格的にそれは無いけど、無いだけに本音で言ってるのが逆に辛いわね。つーかアタシなら、多分樹海行くわ」

フレンダ「……なんか、目から汗がっ!」

滝壺「それは、悪い涙……」

上条「な?わかってくれるよなっ!?」

インデックス『……とうまは死ねばいいと思うよ。むしろ帰ってきて欲しく無いんだよ!』

上条「待ってくれ!部分的には思い出したんだ!部分的にはっ!」

インデックス『……言うだけ言ってみれば?』

上条「『岸田メ○』?」

インデックス『うわあああぁぁぁぁぁぁんっ!?とうまがっ!とうまが酷いんだよっ!?』

上条「待てよ!?もう殆ど合っているだろう!?」

絹旗「同じ文字を一つも使ってない上、文字数すらも超合っていませんし」

フレンダ「共通点は精々『日本語』ぐらい?」

麦野「インデックスは英語……まぁいいか、別に」

滝壺「むかしのおんなは、忘れるべき……」 ウンウン

上条「待てよ岸田○ル!そこまでは思い出したんだ!あともうちょっとで思い出すからっ!!!」

上条「ヒント!ヒントくれよっ!」

ステイル『……君がバカなのは大分昔から知っていたつもりだけど』

ステイル『ましてや、今回の事でも有り難うと言わなきゃならないのに、どうしてだろう、今すぐ君をぶん殴りたい気分で一杯だよ』

麦野「……殴っとこうか?アタシが代わりに」

ステイル『頼む』

上条「いや違うって!岸田メ○までは思い出し――そげぶっ!?」 ガゴッ

フレンダ「……なるほど、仲間が間違ったら殴るってのはこういう訳ね!」

絹旗「超違います。というか女の子の名前超忘れた仲間を殴るのは、また意味が違います」

滝壺「……ま、でもふらぐ折れたし。結果的には、よし」

フレンダ「むしろそれ、最初っから折れてたんじゃ……?」

513: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:24:39.70 ID:SypWvixA0
――ロシア某所

フィアンマ「……」

浜面「――おーい、生きているかー?もしもーし、こんな所で寝てたら死ぬぞー?」

フィアンマ「……?」

浜面「って日本語じゃ通じねぇんだった!えっと挨拶教えて貰ったんだっけ……Голые и смешные?」

フィアンマ「……それはウクライナの  番組、『Naked&Funny』の現地読みだ」

浜面「日本語喋れんだっ!?つーか俺挨拶でそんな事言わされてたのっ!?どんだけ  いと思われてんだっ!?」

フィアンマ「お前は――」

浜面「ほら、立てよ」(手を伸ばす)

フィアンマ「……」

浜面「ここら辺にはプライベーテイア?だかがまだ居るから、危ねぇんだよ。だからホラ」

フィアンマ「……俺様を誰だと思っている?」

浜面「知らねぇから!?誰?有名人なの?」

浜面「いやだから、危ないからさっさと移動しようつって――」

ブルゥウンッ、ブルブルブルッ

浜面「あーもう来やがった!雪上ライダーかっ!」

浜面「あんたも速く逃げろっ!俺が何とかすっから!」

フィアンマ「どうしてだ?どうしてお前は戦っている?」

浜面「この先に世話んなってる町があるんだよ!あいつらどうせそこへカチコミかけるつもり――」

フィアンマ「そうじゃない!力も訓練も積んでないお前が、どうしてだ!?答えろ!」

浜面「知らねぇよ!全部成り行きだよっ!俺だって何で戦ってるのかなんて分からねえし!」

浜面「俺が何言ったってお前が戦う理由にはならねぇ、つーか自分で見つけろよ」

フィアンマ「……」

浜面「すまねぇが俺はここで。北東行けば町があっから、増援呼んで来――」

フィアンマ「――いや、その必要はない」

浜面「い、いや俺一人じゃ無理だし!?」

フィアンマ「手伝ってやる。行くぞ」

514: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:25:40.16 ID:SypWvixA0
――滝壺ルート・エンディング?

何もない一日。だが。

朝。

上条「……あー……っておああぁぁぁぁっ!?」

滝壺 ジーッ

上条「……すまん滝壺。寝起きに無表情で見つめられると、流石に驚くんだが」

滝壺「早く起きて、暇だった……」

上条「寝直せばいいのに」

滝壺「ごはん、つくらないと……」

上条「一緒にやろうつったのに」

滝壺「かみじょう、過保護すぎる。わたしも包丁ぐらい使えるし」

上条「手」

滝壺 プイッ

上条「あ、こら逃げないっ!手を見せなさい!」

滝壺 ムー

上条「あー……切ってるし。消毒した?」

滝壺「ううん」

上条「あーもう」  ペロ

滝壺「んぅ…… っ!」

上条「朝一で  い声を出さない!」

滝壺「……きのう、さんざん、わたしに出させたのはだれ?」

上条「……はい、俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……のりのりで言葉ぜめを始めたのはだれ?」

上条「……はい、それも俺ですね。ごめんなさい」

滝壺「……もう一回もう一回って、何回も続けたのはだれ?」

上条「いやそれは滝壺――じゃないですよねっ!?俺ですよねっ!ねっ!?」

上条「つーかさ?思ったんだけど、滝壺さん俺の奥さんになって長いよね?」

滝壺 コクコク

上条「家事も結構こなす、つーか分担制で問題なくやってるよね?」

滝壺 コクコクコク

上条「何で休みの日の朝は、割と失敗する可能性高いの?何で他の日は100%成功するのに?」

滝壺 プイッ

515: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:26:41.56 ID:SypWvixA0
上条「もしかして、初めて泊った日の時の再現、してる?」

滝壺「気のせい……」

上条「……妥協案。怪我しなくても、するから。出来れば傷つけて欲しくないなー、なんて」

滝壺「右手も?」

上条「いや、しろっつーんなら。でも確かちょっと切ったのは左だよな」

滝壺「はい」

上条「やっぱりワザとかっ!?」

滝壺「……むー」

上条「……まぁいいけど。食べよっか」

滝壺「ん」

……

上条「今日どうしよっか?行きたい所とか、やりたい事ある?」

滝壺「スーパー行かないと……」 チラシ

上条「あ、洗剤とキッチンタオル安い」

滝壺「洗濯終わったら」

上条「おけおけ」

……

上条「うし。掃除も終わったし、行くか」

滝壺「……良い天気、自転車がいい」

上条「あぁ……でもこれ本当は違反なんだよなぁ――ってもう荷台に横座りしてるっ!?」

滝壺「早くっ」

上条「……好きだもんなぁ、これ」

……

516: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:27:39.64 ID:SypWvixA0
チリンチリーンッ

上条「そ、そろそろさっ、車っ、買わないかっ?」

滝壺「わたし、重い?」

上条「あぁいやっ、そんなっ、事はっ、ないんだけどねっ」

キキィッ

上条「スーパー前の『心臓破れ(ハートブロークン)』の坂がキツいなって」

滝壺「かみじょうの、中二は治らなかった……」

上条「放っとけよ!」

滝壺「でもわたしは、そんなかみじょうを愛している……」

滝壺「だから、だいじょうぶ……」

上条「……だから反則だと思うんだ、それ。よっと」 ググッ

ギーコギーコ

上条「いやまぁっ?俺もっ、世界を救ったっ、男っ、ですしっ?」

上条「体力はっ、まだまだっ、負けてませんからっ」

滝壺「……それが今やただのりーまん。何が悪かったのかと」

上条「俺はっ、別にっ、何が欲しいってわけでもねぇしっ」

上条「欲しいものはっ、背中にっ、積んでるしっ」

滝壺「……」

上条「なんかっ、言えよっ」

滝壺 ギュッ

上条「……あぁ、俺もだ」

……

517: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:28:29.57 ID:SypWvixA0
店員「ありがとうございましたー」

上条「おーし帰る――って滝壺?どした、自販機の前で?」

滝壺「新しい、アイス」

上条「『鯖アイス』……食べたい、のか?」

滝壺 ピッ、ピロリロリーン、ピッ

滝壺「ふれんだに送った」

上条「食べんの?」

滝壺「せるふ罰ゲームは、いや……」

上条「だよなぁ。次来るのは来週の週末だっけ?」

滝壺「……みんな一緒に」

上条「んじゃ帰るか。乗って――」

滝壺「うん……」

上条「よーし!じゃしっかり捕まって――」

滝壺 ギュッ

上条「やっぱ食べたい?」

滝壺「そうじゃなくって、その、さっきの坂道」

上条「あぁ別に重くないって。いつまで経っても滝壺はキレイだよ?」

滝壺「そ、それはっ嬉しい、けど。違くてっ!」

滝壺「重くなったの、その、本当だから」

上条「そうなのか?あ、だからダイエットメニューにするとか?」

滝壺「そうじゃなくって!その、今までは二人分、だったから」

滝壺「でも今は、三人分になった、の」

上条「」

滝壺「えっと……」

上条「いやったああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

518: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:29:20.67 ID:SypWvixA0
ギコギコギコギコっ!

滝壺「さかみちっ、危ないからっ!」

上条「おーしお前ら全員愛してるぜっ!そーか俺もとーちゃんかぁっ!ひゃっほーーーーーーっ!」

滝壺「かみじょうっ!声っ恥ずかしいっ……!」

上条「何だよ?恥ずかしくないって!恥ずかしいけどどうって事もないって!」

キキイッ

上条「えっと、もしかして、滝壺は、その――」

滝壺「……ううんっ、そうじゃないっ、そうじゃなくって!」

滝壺「……わたし、『体晶』のせいで、きっと出来ないって、思ってたから!」

上条「……そっか。よしよし、泣くな泣くな」

滝壺「だれがっ、泣かせてるとっ、おもっ」

上条「あーんじゃ、アレだ。叫ぼうぜ?」

滝壺「さけぶって――きゃっ!?」

ギコギコギコギコッ

上条「俺は、滝壺を、愛してるっ!この世界もだーーーーーっ!」

上条「たがらっ、だからお前は、安心して産まれてこいっ!」

滝壺「……あ」

上条「それまで何からだって守ってやる!お前の父ちゃんは外国にまでケンカしに行ったんだっ!」

上条「世界を終わらせる悪い奴が居たら、俺が右手でぶっ飛ばすからっ!」

上条「話をしよう!お前の父ちゃんと母ちゃんが出会って恋してっ!一緒に冒険したあの日の話をっ!」

上条「お前の母ちゃんの『居場所』になった日の事を!」

滝壺「……ん」

上条「くっだらねぇ事で喧嘩したり、もっとくだらねぇ事で仲直りしたりっ!つーか100%俺が謝る方なんだけどもさっ!」

上条「だからっ、だからっ!」

上条「早く、俺達の――お前の『居場所』へ来いっ!!!」

滝壺「……うん、うんっ!!!」

519: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:30:11.79 ID:SypWvixA0
――ベツレヘムの星・極点移動中

絹旗「滝壺っ!起きてください!超緊急事態ですっ!」

滝壺「……わかってた、うん。なんとなくわかってた……!」

フレンダ「ミーシャ――天使が凄い勢いでこっちに向かってるって訳!」

麦野「最後の最後でデカいの残ってる訳ね」

上条「つっても逃げる訳には行かない、よな」

ステイル『待て!君達だけでは無理だっ!神裂とアックア達を向かわせる!』

麦野「あー、駄目だったらヨロシクね?」 ピッ

フレンダ「あ、切った」

麦野「ぎゃーぎゃー騒がれるのも煩いしね、何が変わるってモンでもないわ」

絹旗「というかわたし達、修羅場に超慣れすぎたと言いましょうか」

滝壺「あれだけやってれば、まぁ……」

上条「しかしどうしたもんかなぁ……あ、そうだ」

麦野「いい手があるの?」

上条「駄目元で良いなら――仲間呼んでみる」

520: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:31:10.99 ID:SypWvixA0
――学園都市・時差+6時間、夕方、とある喫茶店

御坂「――っと、そろそろ帰らないとね」

佐天「それじゃお開きですかね」

初春「ですね」

御坂「それじゃまた――」

PiPiPi……

御坂「『はい?――はいぃ!?』」

白衣「お姉様のあの態度……あの泥棒猫がぁぁっ!」 ギリギリッ

初春「あー、どうどう黒子さん。お薬の時間ですよー?」

白衣「ぐるるるるるるっ」

佐天(白衣さんって、こんなキャラだっけ?)

御坂「『えー……!?分かった!分かったから怒鳴らないでよっ』」

ピッ(スピーカーにして机に置く)

佐天「どうしたんですか?というか、どちら様で?」

御坂「あのバカ。要求は不明過ぎるんだけど、兎に角こうしろって」

上条『聞いているかっ!?俺だっ!直ぐ来てくれ!』

上条『都合の良い頼み事だってのは分かってる!けど、お前にしか頼れないんだ!』

初春「……上条さん、ですよね。でも一体何を話して居るんですか?」

白衣「私達に向かって、と言う内容でもありませんわよね、これ?」

佐天「かといってあたしや初春宛でもないでしょうし。御坂さんへ公開プロポーズかも!?」

御坂「ちょっ!?ナイナイっ!無いから、絶対に!」

上条『……お前にしちゃ娯楽かも知れない!たった少しの暇つぶしかも知れない!』

上条『けどなっ!俺達にとっては、全部が全部“本気”なんだ!』

佐天「『お前』ですか。この中にそう呼ばれる人はいないよね」

初春「他に聞いている人もいませんし?」

白衣「やはり何かの罰ゲームで、恥ずかしい台詞を言わせられているとか?……お姉様?」

御坂「うんっ!?あー、いやいや、別に?」

御坂(良かったー!念のため録音にしといて良かったー)

上条『お前だって、俺達が好きなんだろう?だからこそ、俺達に寄り添ってる!』

上条『頼む!お前の力が必要な――』プツッ

佐天「んー……謎ですねぇ」

初春「わたし達向けのドッキリ?にしてはリアル過ぎたと言いますか」

御坂「……ごめん。ちょっと行ってくるわ」

白衣「お姉様っ!?」

御坂(あのバカ!またどっかで戦ってんのか!)

521: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:32:04.57 ID:SypWvixA0
――極点

上条「切れちまったなぁ」

フレンダ「と言うか良く通じた訳」

麦野「学園都市の輸送機から借りて来たヤツだから、性能は良いと思うけど」

上条「俺の携帯なんて使える訳がないしなー」


――同時刻・学園都市

御坂(――とまぁ、飛び出てきたのは良いんだけど、手がかりは皆無な訳だし)

御坂(今から戻るのは……でもなんか、不安なのよね)

男?「すまない。少し話を良いだろうか?」

御坂「は――ぃぃっ!?」

御坂(な、何か無駄にキラッキラした人が居るんだけど?)

男?「少し話を聞きたいんだが、構わないかな?ほんの数分だけで良いから」

御坂「へ、変な質問じゃなきゃ、良い、けど」

男?「有り難う」

男?「例えばの話だが、君が助けを求められたとしよう」

男?「リスクも高く、下手をすれば助けようとした側が命を落とすかも――」

御坂「助けるわね」

男?「……まだ言い終わっていないんだが?」

御坂「質問は間違ってないわよね?」

男?「理由を聞いても良いかな?それは君が助けられる力を持っているからか?それとも助けを求めているのは知り合いだからかな?」

御坂「どちらでもないわ。助けたいと思った、それだけよ」

男?「ほう?」

御坂「ともだ――知り合いにっ!一人バカがいるの、もーすっごいバカが」

御坂「そのバカは傷つこうか何だろうが、一人で突っ込んでって」

御坂「『何やってんの、あんた力もないのに、知り合いでもないのに、バカじゃないの!?』って言ったら」

御坂「帰ってきたのが、その言葉よ」

男?「……」

御坂「誰かを助けるのに理由は必要?助けない理由はっ、それこそいっぱいあったのよ?」

御坂「力が足りない、経験が足りない、知り合いじゃない、って『助けない理由』は幾らでも」

御坂「でもアイツは、それでもっ!だからアタシはっ――」

男?「――分かったよ。有り難う」

男?「実に『興味深い』内容だった」

御坂「えっと、これ何の話?」

男?「『簡単なアンケートです』」

523: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:33:20.34 ID:SypWvixA0
――極点

?『……l;kjfg;lkjf;kasdfjl;skadfjlsakdfjoiwerpoq……』

麦野「つーか遠くから聞こえるこれ……歌?」

フレンダ「負ける気はしないけど、勝てる気もしない訳」

上条「ま、『アイテム』なら何とかなるんじゃないか?」

絹旗「またそんな超適当な発言を」

滝壺「危機感は、あってもいい……」

上条「駄目だっつっても、どうせこの規模じゃ五人一緒だし?」

麦野「……ま、そうなんだけどな」

絹旗「超後ろ向きなのか、超前向きなのか分かりませんが」

シーン……

フレンダ「歌、が止まった?」

絹旗「映画では超安心した所にガッツリって来るパターンですが」

PiPiPi……

フレンダ「ひっ!?」

上条「何だよ驚くなよ、俺の携帯だろ?」

麦野「アンタはいつもビビりすぎなんだよ。もうちょっと落ち着きなさいな」

滝壺「だからふれんだは」

絹旗「超フレンダって言われるんですよ?」

フレン「言われてないしっ!?そもそも人の名前をオチに使うのは――っそうじゃない訳!それ、上条の私物の方でしょ!?」

フレンダ「何で極点でも使える訳よっ!?」

全員「……」

絹旗「よっしフレンダ!超勇気を出して出てみましょう!ふぁぃっ」

フレンダ「何であたしっ!?」

麦野「頑張れー、私達はあなたの味方よー」

フレンダ「無理矢理出させてる時点でっ!もう味方じゃない訳よっ!?」

滝壺「そんなふれんだをおうえんしている」 ナデナテ

フレンダ「ううっ……」

上条「緊張感無ぇよなぁ……『もしもし?』」 ピッ(スピーカー)

エイワス『あぁ私だ。メッセージは受け取ったよ』

上条「そうかっ!じゃあ――」

エイワス『が、前にも言ったが私は誰にも組していないと』

麦野「ちったぁ手伝ってくれたって良いでしょうに」

エイワス『確かにその通りだ。どちらでもない以上、助けても良いし助けなくても良い』

エイワス『だからアンケートを取ってみた。学園都市230万人中、無作為に超電磁砲を選んで答えを聞いてみたのだよ』

絹旗「超作為的なものしか感じられないんですがっ!?」

上条「ありがとうっ!恩に着るぜエイワス!」

エイワス『――幾つか台詞を用意してきた上、正解発表すらキャンセルされたのは少々気に入らないし、最後は勿体をつけたかったのだが、まぁ良いだろう』

エイワス『今、叩き落とすから。そのまま右手を突き出していたまえ』

プツッ、ツーツーツーッ

524: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:34:26.83 ID:SypWvixA0
絹旗「『叩き落とす』って、今――」

ヒュウウウウウウンゥッ……

フレンダ「降ってくる訳ね、文字通り」

滝壺「えんぜる、ふぉーる?」

麦野「思いっきり力業じゃねぇかっ!……つーか、もしかして最後怒ってたのか?」

上条「何を今更。つーか何だかんだ言って力業じゃなかった時の方が少ないだろ?」

麦野「アックアん時もまぁ、全員でフクロにしたわね」

絹旗「ステファンは……まぁ割と超喋った気がしないでも?」

フレンダ「キャーリサ様は……結局、ヴィリアン様の泣き脅し?」

滝壺「ふぃあんまは、話しかしてない、うん。わたし達は」

麦野「明らかに他の連中が肉体言語使ってた上、敵味方兵器使いまくりだったよな?」

上条「……まぁ、こんなもんじゃないかな?何処に行ったって変わらないものは、変わらないだろうし」

上条「泣いて笑ってバカやって、ケンカしたりケンカしなかったり、フレンダを弄ったり」

フレンダ「最後のは要らない訳よね?」

上条「そんなグダグダな関係が変わらないっていう『幻想』。別にあったって良いと思うけど」

ヒュウゥゥゥゥゥゥ……スガアアンッ

フレンダ「天井をぶち破った!」

麦野「大きな破片はアタシが灼く!絹旗っ残りはっ」

絹旗「超了解ですっ!」

フレンダ「……いや、あのあたしも指方向性榴弾持ってんだけど?」

麦野「口動かす前にぶっ放しやがれっ!」

ドゥンっ!ガガガガガガッ!

滝壺「きたっ……!」

上条「本日最後のおおぉっ――」

上条「その幻想を、ぶち殺おおおおおおおぉぉぉぉすっ!!!」

パキイイィィィンッ!!!

525: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:36:04.28 ID:SypWvixA0
――エンディング0 『アイテム』
10日後。いつもの喫茶店にて

麦野「まぁなんだ上条、私が言うのも何だけどね。もう諦めたら?」

上条「そこをなんとかっ!お願いします麦野さんっ!」

麦野「いやぁ幾ら勉強したって無理なモンは無理っつーか、短期間でそんなに出来りゃそもそも勉強する必要ないって言うか」

絹旗「他の課題とかで超カバーして貰う、とかないんですかね?」

フレンダ「あったらしてる訳じゃない?」

滝壺「てすとで高得点を取らないと同級生になるかみじょう、わたしは応援……」

滝壺「……まぁ、いいか」

上条「してくれよっ!?スルーしないで!?」

フレンダ「あー、落第すれば滝壺と同級生になる訳ね」

絹旗「でしたら4浪してわたしと並ぶっていうのは超どうでしょう?」

上条「縁起でもない事言うなよっ!?成人してからも高校生は嫌だっ!」

麦野「まぁでも?全試験ぶっちぎった割には軽い処分だと思うけど?追試を受けられるだけマシかも」

上条「……いや、お前らだってイギリスとかロシアとか行ってたんだからね?」

フレンダ「あたしら籍はあるけど行ってないし」

上条「良いのか?暗部解体されたから、今までのように給料出ないんだよなぁ?」

麦野「レベル5の人ー、はーい」

絹旗「レベル4の人、超はーい」

滝壺 ピシッ

絹旗「割とえげつない実験とかもしてましたし、そもそも基本給が高かったんで。超お金貯まってるんですよ」

上条「そ、そうなのか?聞いてもいいの?」

絹旗「えぇわたしは別に。書き書きっと」(ノートに書き込む)

上条「」

滝壺「あ、白くなった……」

麦野「結構少ないわねー」

絹旗「麦野と超比較するのはどうかと。あれ、上条?おーい」 ペチペチ

上条「なんだコレっ!?桁数えるのに時間かかったぞ!?」

526: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:37:17.37 ID:SypWvixA0
フレンダ「」

滝壺「あ、ふれんだも燃え尽きてる」

麦野「『アイテム』は均等に分けてたから、そんなに苦しかない筈だけど」

麦野(ここの払いも『必要経費』とか言ってるけど、私が全部出してんだしね)

フレンダ「あたしがコツコツ節約していたのは、一体……?」

麦野「あー……フレメア関係でヤバいんだったら、助けるけど?」

フレンダ「あんまり貸し借り作りたくない、って訳。危なくなったら借りるけど」

麦野「そうしなさいな。ま、嫌だっつっても手を出すけどね」

フレンダ「麦野見てるとたまにママ思い出す訳」

麦野「……私もあんた達相手にしていると、子を持つ親の気持ちが少し分かるわ……」

上条「なぁ絹旗」

絹旗「何です?」

上条「結婚しよう?」

絹旗「いいですよ?」

麦野・フレンダ・滝壺 ブーッ!?

絹旗「わたしが16になったら超結婚出来ますから、あと3年待って下さいね」 ギュッ

絹旗「あ、んじゃ今日から超同棲ですねー。歯ブラシとタオル買うから、コンビニ寄って超帰りましょうかー」

絹旗「わたしのお部屋超狭いんで、暫く上条の部屋で良いですよね?それとも今から不動産屋さん超行った方がいいですかね」

フレンダ「(なんかやったら具体的なプランが進められている訳っ!?)」

麦野「(あれ、この娘こんなに押し強かったっけ?)」

滝壺「(前にいったとおもうけど、同性相手にグイグイいかないし……)」

隣の席のツインテの中学生「女同士だってグイグイ行きますの!!!」

頭に花を載せた中学生「あ、すいません。こういう病気なんですー。ほら帰りますよー?」

麦野「いやだから誰だよ」

上条「ちょっ!?あの、冗談、なんですけど?」

絹旗「あ、そうなんですか。超残念です。超傷つきましたー」

麦野「(ど、どういう展開だっ!?てっきり力業で押し切るもんだとばかり)」

フレンダ「(いやー、多分絹旗はここからがえげつない訳よっ!)」

滝壺「(あ、なんか嫌な予感がひしひしと……)」

527: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:38:40.96 ID:SypWvixA0
絹旗「あ、じゃあじゃあ今、恋人とか超居ないんですか?今今今っ」

上条「いや、居ないけどさ?」

絹旗「好きな人とか?実は『麦野に超片思いでしたー』的な?」

麦野「アタシの名前を出すかっ!?」

フレンダ「(いや麦野ね、多分これそんなチャチいもんじゃないって訳よ)」

麦野「(どういう事よっ!?)」

滝壺「(ほら、ちょっといいな、って想っている人の前で、『好きなんでしょ?』って言われたら、大抵恥ずかしくて……)」

フレンダ「(だからどんな思いでも結局答えはこうなる訳よ!)」

上条「い、いやそんな事はないよ?」

フレンダ「(ほっらーーーーーっ!ねえぇっ?)」

麦野「(うっわなんだろ、予想以上に凹むわね……)」

滝壺「(よしよし……でもまだ終わってない)」

麦野「(あぁ?)」

絹旗「ですかー、それじゃあ超しょうがないですね。だったらわたしとお付き合いしませんか?かっるーい気持ちで」

上条「いやいやっ軽い気持ちってのは良くない!」

絹旗「いえ別にそんなに超深く考える事はないですよ?ほら、年下の子が年上の人に超懐いているようなものですし」

麦野「(はー、外堀ってああやって埋めんのか)」

フレンダ「(うん、つったらダラダラ付き合っている内に既成事実を作られ、人生ゲームのマッチ棒が一人増えるって訳よ)」

絹旗「えー超いいじゃないですか。お休み“ごと”に会ってお話しするだけでも、いいですから、ねっ?」

滝壺「(いつのまにか毎週会う事になっている……恐ろしい子っ)

上条「い、いやほら他の知り合いとかもさ、色々付き合いがあるって言うか?」

絹旗「だったら超紹介してくださいよー。一緒に超遊べばいいじゃないですかー、ねーねーねーねーっ?」

麦野「(そして紹介させたら『彼女ですっ』つって爆弾投げ込んで牽制すんのね)」

フレンダ「(年下、よね?絹旗って?あれ、おかしいな?)」

上条「ま、まぁその話はまた今度な?今は俺の追試の話――」

絹旗「え、それじゃ、前『付き合うならお前が一番だよ、最愛?』って言ってくれたのは嘘――」

フレンダ「言ったのかっ!?中一相手に愛を囁いちゃった訳!?」

上条「『気軽に遊びに行くなら』としか言ってねぇよ!?ねつぞ――」

絹旗 ピッ

上条(録音)『愛してるぞ』『最愛』

麦野・フレンダ・滝壺「……」

528: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:40:06.58 ID:SypWvixA0
上条「お前アレまだ持ってやがったのかよっ!?つーかあれ冗談じゃ――」

絹旗「……冗談?そうですか、上条には超冗談だったんですね……」

上条「え、なにコレ?俺がものっそい悪い事、具体的には一方通○的な犯罪しやがった、つー目で俺を見ているの?」

絹旗「えっと、うんっ!気にしないでくださいねっ?わたし、ちょっと、その、一人で超盛り上がっちゃっただけ、ですから」

絹旗「上条にとって、わたしっ、って……(グスツ)……ぁ、すいませんすいませんっ!大勢の中の一人って、だけで――」

上条「オイちょっと待て絹旗!?どうして君はリアルな演技が出来るのっ!?」

絹旗(超グ○りました)

麦野「……よし。灼くか」

上条「何をっ!?」

麦野「フレンダ、右手頼めるよな?」

フレンダ「あいまむっ!」

滝壺「わたしは左を……」

絹旗「んじゃわたしは超胴体ですかねっ」

上条「待って!絹旗泣いてないじゃない!涙の欠片すら無かったよね、今っ!?」

麦野「――と、まぁ冗談は兎も角としてだ」

上条「冗談なのか!?」

麦野「冗談にしなくても構わないけど」

麦野「(今は人工授精って手もある訳だし)」

上条「冗談ですよねー!いやーびっくりしちゃったなー!」

麦野「真面目な話、あんた達ルームシェアする気ない?」

滝壺「るーむしぇあ、ってなに?」

絹旗「同じ物件に複数人が住み、お家賃や家事を超折半するって事ですね」

フレンダ「なにそれ楽しそう!」

絹旗「でも24時間フレンダのテンション付き合わされるのは超ちょっと」

フレンダ「あたしだけ仲間はずれっ!?」

麦野「しないから。家事も分担、家賃も折半、セキュリティは軍隊並の私が居るし」

上条「……それ、冗談にならないからな?」

絹旗「正しくは『ロシア軍の戦車・砲戦部隊をものともしなかった』が超正解です」

フレンダ「軍隊“並”じゃなくって、軍隊“以上”……」

529: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:41:07.43 ID:SypWvixA0
麦野「そっちなら上条の勉強も、私と滝壺で見てあげられるし?」

上条「お、俺も?」

絹旗「なんです?また超一人で行くなんて寝言言っているんですか?」

上条「そうじゃなくて体裁とか悪いんじゃないかなー、って」

フレンダ「あんたはちっさいシスターちゃんと同棲してたクセに」

上条「……誰?」

フレンダ「へっ?」

上条「俺、こっち来てからずっと一人暮らしだけど?アレ言ってなかったっけ」

絹旗「い、いえあのインデックスは……?」

上条「知らない?目次?」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「」

上条「あーでも最近ちょっとおかしいんだよ」

麦野「……風邪でも引いたの?」

上条「いやいや家の事。何か買った覚えのない歯ブラシとかコップとか、女物の生活用品があったりしてさ」

麦野・絹旗・フレンダ・滝壺「……」

上条「こないだもさ、知らない電話番号から女の子がかけてきて、その子、俺と一緒に暮らしてた、って言うんだぜ?気味が悪いよな」

滝壺「心霊現象、っぽいよね。そこだけ聞くと……」

麦野「そうよね、そこだけ聞くと、だけど」

フレンダ「座敷童?あの子座敷童だったの?」

絹旗「食費的にはむしろ超貧乏神だと思います」

上条「オカルト、つーか魔術師連中も居るから、もしかしたらオバケかもって思ってなぁ」

絹旗「えっと、それはその――」

麦野「絹旗。ここは誤魔化さずにきちんと言った方が良いわよね」

絹旗「え、でも」

麦野「上条がこうなのも、誰かがはっきり言ってやらなかった。なぁなぁにして来たのが原因なの。分かるわよね?」

絹旗「……はい」

麦野「こんな時にこそ『仲間』である私達がしっかりしなくちゃ!そうでしょ?」

絹旗「えぇ!流石麦野です!」

530: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:42:05.81 ID:SypWvixA0
上条「……何の話?」

麦野「上条、今からすっごく大事な話をするわ。茶化さないで聞いてね?」

上条「……ああ」

麦野「上条――あなた疲れてるのよ」

絹旗・フレンダ・滝壺 ブッ!?

麦野「幽霊なんて居る訳無いじゃない。だからその女物の生活用品も、あなたが買ったに決まっているわ」

フレンダ「(そっち!?そっちに話持ってく訳!?)」

滝壺「(流石レベル5、さっきのきぬはたからもう学習した……)」

絹旗「(いえ、わたしは超ネタだったんですが……)」

絹旗(でもまぁ、うんって言った瞬間に超抜け駆けしてわたしルート確定でしたが)

上条「いやっでも俺、そんな記憶――」

麦野「色々、あったからね。暗部だった私達ですら疲れているのに、あなたは余計に、ね?」

上条「そ、そう言われてみれば、確かにそんな気も?」

フレンダ「(騙されるの早っ!?)

絹旗「(いいんですかねー、これ。超止めなくて?)」

麦野「だから疲れが取れるまで、私達と一緒に暮らしましょう?」

上条「いやだからそれは倫理的に――」

麦野「バカっ!何言ってんだよ!アタシ達は仲間じゃねぇかっ!」

上条「麦野……」

麦野「アンタが困っている時はアタシ達が守る!そうでしょ――絹旗!」

フレンダ「(グルにしようと話振って来やがったーーーっ!?)」

滝壺「(壮大なコント……)」

絹旗「えっ!?いえその、あれですし――」

麦野「(日替わりで添い寝)」 ボソッ

絹旗「上条、わたし達はある意味超家族同然です。あなたは目の前で困っている家族を、何もせずに見ていられますか?」 キリッ

フレンダ「(変わり身はやっ!?)」

滝壺「わたし達は、かみじょうの力になりたい……」

フレンダ「(こっちも添い寝で一本釣りかっ!?)」

麦野「(フレンダ)」

フレンダ「(あ、あたしはっ!その、プライベートは分ける方だし!)」

麦野「(もうハラくくっちまいなさいな)」

フレンダ「(ダメダメダメダメっ!こ、恋人にならないウチはっ、そういうのダメっ!)」

麦野「(人んちのクローゼットの中で誘った女がよく言うぜ)」

フレンダ「(あれはっ……まぁ、勢い!)」

麦野「(でもまぁフレンダが嫌なら、私は無理に勧めないわよ)」

フレンダ「(そ、そう?仲間外れは寂しいけど)」

531: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:43:20.80 ID:SypWvixA0
麦野「『あーもしもしフレメア?実はルームシェアする事になったんだけど――』」

フレンダ「待ちなさいよおおおおおぉぉぉぉっ!?」

麦野「『あーそっか。寮か。だったら週末にでも遊びに――うん、そうね』」

フレンダ「何やってんの!?人の妹に何してくれようとしてんのよっ!?」

麦野「『んじゃまたねー、はいー』……どうよフレンダ。これでもまだ来ない気?」

麦野「いつか上条から『お姉さん』って呼ばれ――」

フレンダ「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!?リアルな想像が出来てイヤアアアアアァァァッ!?」

上条「……あの二人、さっきから何騒いでんの?」

絹旗「落ち着いたらフレメアも超呼ぼう、って事でしょうねきっと」

滝壺「ね、かみじょう、家、引っ越すつもりだったんでしょ……?」

上条「あー、何か気持ち悪いからさ」

滝壺「だったら、わたしたちはしぇあするけど、かみじょうは次が見つかるまで、居ればいい……」

滝壺「ともだちの部屋に、泊まりに来るのは、よくあるから……」

上条「成程、言われてみればそうだよな」

絹旗「(流石は『引き』の滝壺)」 ハイタッチ?

滝壺「(そして『押し』のきぬはた……コンビプレイの勝利)」 ハイタッチ!

麦野「話まとまったわよー」

フレンダ「……」

上条「何でフレンダ燃え尽きてんだ?」

麦野「色々葛藤があるんでしょうね、きっと」

絹旗「こっちも超説得に成功しました」

上条「……うん、短い間だけど、お世話になる事にしたよ」

麦野「気にしなくて良いのよ?私達、仲間じゃない」

上条「あぁ、そうだよなっ!」

絹旗「(そしてまぁ徐々に超既成事実を作って)」

滝壺「(仲間から家族へじょぶちぇんじ……ぽっ)」

フレンダ「(……気が重い……フレメア参加したい、って言い出したらどうしよう……?)」

532: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:44:23.98 ID:SypWvixA0
絹旗「あ、そうです麦野ー」

麦野「はい?」

絹旗「例のクイーンサイズのアレ超どうなったんですか?」

麦野「完全受注生産だけど、そろそろ来ても良い頃だと思うわ。タイミング的にはベストよね」

絹旗「まさに超天の配剤」

PiPiPiPi……。

麦野「って私――げ、あのクソ女か!……『あー何?今人生設計で忙しいんだけど、ニートブサ女は気にしなくて良いわよねー』」

上条「あの女って、暗部解体したんだよなぁ?」

絹旗「えぇでも『アイテム』自体は解散していませんよ、って超言ってませんでしたっけ?」

上条「いや、意味が分からない」

絹旗「暗部はイリーガルな治安維持の役割も超果たしてたんですね。例えばアンチスキルでは手に余る事件の解決とかも」

フレンダ「……結局、あたしらは、裏側から表へ来ようってバカを相手にする事になった訳」

上条「それ危ないだろ!?」

滝壺「……でも、かみじょうは目の前で人が倒れていれば、助ける、でしょ……?」

絹旗「という事は、わたし達も超その人を助けて必然的に巻き込まれるんですし」

フレンダ「だったら最初っから『依頼』として受けた方が、結局儲かるって訳よ」

上条「納得、かぁ?」

絹旗「以前と違って人助けオンリーになるんだから、超ヒーローっぽくて良いと思いますが」

フレンダ「それはそれでまた心配があるけども」 ジトー

上条「俺?いやもう一人で突っ込んだりはしないって!」

フレンダ「いやーそうじゃない訳。結局フラグを乱立させるんじゃない?」

滝壺「あっ、ふれんだ、それふらぐ……!」

フレンダ「えぇっ?」

麦野「おーし依頼よ。何でも『新入生』って連中が暴れて――」

ガッシャアアアアァァンッ!

フードを被った少女「がはァっ!?」

上条(店中に人が投げ込まれて来た!?)

534: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:45:18.02 ID:SypWvixA0
絹旗「あいつ……黒夜、海鳥っ!?」

黒夜「あのクソったれが!?殺す!殺してやンよォっ!!!」 フラフラ

上条「誰だ――つか、傷だらけだし!」

絹旗「えっとわたしの昔居た研究機関の……まぁ超同級生、ですかね?」

上条「そか、絹旗の友達なんだな?」

絹旗「いえ超違――って上条っ!?超危険ですっ!?」

上条「おい、大丈夫かっ!?」

黒夜「テメェは……『幻想殺し』かよっ!?クッソっついてねェ!」 バスッ(窒素の槍)

上条「っと!混乱してるな」

パキイイィンッ

黒夜「やっぱ通用しねェか――ってお前勝手に触ってンじゃねェぞっ!?」

上条「店員さん!タオル持ってきて!早くっ!」 ペタペタ(怪我を確認)

店員「はいっ!」

絹旗「いや、ですからね?それは多分、つーか確実に超ヴィランですし」

麦野「ヤバいの?」

絹旗「例の研究者超皆殺し」

麦野「あー……そりゃ、ヤバいわ」

絹旗「はい、ですからっ!」

麦野「別の意味で、ヤバい」

絹旗「えっ?」

黒夜「離せクソがっ!テメェに関わってる暇は――」

上条「大丈夫だ」

上条「もう、大丈夫だから」

黒夜「……お前に何が分かンだ――」

上条「俺には何にも分からないさ。でもな、もう心配しなくたって良いんだ、なっ?」

黒夜「はぁ?バカじゃねェのか?」

上条「怖かっただろう?一人で戦って、傷ついて、ボロボロになって」

黒夜「それはっ私が選んだ――」

上条「違う!お前が選んだんじゃない、それしか道はなかったんだ!」ナデナデ

黒夜「……あ」

536: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:46:30.89 ID:SypWvixA0
上条「俺はお前の事情なんて分からない。けどな、一つだけ分かっている事は、ある!」 ナデナテ

黒夜「んっ!やめろっ、私に触るンじゃねェっ!」

上条「それはお前みたいな女の子を、傷つけて泣かせるヤツは――そんな下らねぇ『幻想』を持ってるヤツは、俺の敵だって事だ!!!」 ナデナデ

黒夜「……」

上条「ちょっと待ってろ。俺が、全部終わらせてくるから、な?」 ナデナデ

黒夜「……その、よォ」

上条「何回でも言うぜ――大丈夫だ。お前のためだったら、俺は世界相手にだって戦える」 ナデナデ

黒夜「」 カアアッ(真っ赤)

ガッシャアアアァァァァァァンッ!!!

一方通行「いィやっはァはあああァァァッ!どォしたどォしたァァァァァっ!」

一方通行「どォしたンでッすかァっ、くっろっよっるっさアアァァァァァンっ!?」

グシャァァァッ(黒夜のイルカ兵器を踏み潰す)

黒夜「このっクソがっ!」

一方通行「テメェの武器はもォねェンだよォ!後ァ俺に嬲り殺されンのが決定してンだよおおォォッ!!」

一方通行「まずはテメェの薄汚ェ両腕むしり取ってからァ、その足ィ麻酔無しでェ引っこぬ――」

上条「……」

一方通行「……」

上条「……そうか」

一方通行「待て待て待て待てっ!?違ェよっ!?そォかじゃねェっ!お前の考えてる事ァ違ァンだよ!?」

537: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 11:47:38.01 ID:SypWvixA0
上条「麦野。頼めるか?」

麦野「あーうん。その、色々な意味で圧倒されちゃったけど、まぁ、うん、頑張るわ」

絹旗「取り敢えず超こっちへ。今のウチに適当に話超盛っちゃいますから」

黒夜「テメェはっ!」

フレンダ「諦めた方が良いと思う訳。多分もう、手遅れだから」

滝壺「また新しい妹がひとり……居場所が、拡張……」

上条「一方通行、俺は悲しいよ。あれだけ、あれだけ打ち止めのために戦ってたお前が!」

上条「小さな子のっ!腕を引き抜こうとするなんてなっ!」

一方通行「イヤだからっ違げェンだっ!そいつが悪りィ事しようっつーのを俺達がだなァ――」

上条 ガチャ(壊れたイルカを拾い上げる)

上条「こんな、こんなっ!黒夜が大切にしているオモチャを、壊しちまうなんてっ!」

一方通行「オモチャじゃねェよ!それ思いっきり殺戮兵器だからなァッ!?」

上条「黒夜っ!」

黒夜「お、おゥっ!?」

上条「お前はもう独りなんかじゃねぇぞ!俺達『アイテム』がついてる!」

黒夜「……っ!」

上条「行くぜ、最強?俺は友達としてお前のふざけた『幻想』をぶち殺す!!!」

一方通行「だァァァァかァァァァらアァァァあああああァっ!!!?つーか止めろお前ェらよォォォォォォォォォォッ!?」

絹旗「(いやぁ、今止めたら黒夜の好感度超上がりませんし)」

フレンダ「(こういうのは結局理屈とか言葉じゃなくって、行動するかどうかが大切な訳)」

滝壺「(綺麗事を一万回言うより、一回手を差し伸べる……)」

黒夜(コイツバカじゃねぇのか!?見も知らないガキのため、学園最強に突っ込んで)

黒夜(私みてェな、クソを、信じて――)

麦野「……まぁ、なんだ。あんたも色々あるとは思うけど」

麦野「『アイテム』ってのは、この後も大体こういう感じだから――諦めな?」

上条「俺はっ、その幻想をっ、ぶち殺おおおおぉぉぉぉすっ!!!」

パキイィィィンッ


――科学と魔術が交差する時、物語は生まれる――

滝壺「わたしは――わたし達はあなたの居場所になりたい……」 -終-

上条「今日からアイテムの一員になった上条です!」 -完-

548: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:12:52.63 ID:SypWvixA0
――エンディング5 『バッドエンド』
※本編では無かったメタ発言多し。終わった勢いで書いてみた。反省は全くしていない
10日後、学校

小萌「あのですね上条ちゃん、高校は義務教員じゃねぇんだぞっていうか、単位が絶望的に足りねぇぞって言うかですね?」

小萌「こないだニュースで見たブリテン王室の第三女特集の中で、王女殿下のお部屋の中に、やったら引き延ばされた上条ちゃんとのツーショット写真が飾ってあったり」

小萌「エリザリーナ独立国の特集を見ていたら、どっかで見た事のあるツンツン頭の学生の銅像の建設が進められていたり」

小萌「先生はもうどうしたらいいのですか、って気分なんですか、どうすればいいですかねぇ?」

上条「ドッペルゲンガー!そう、世界には似た人が三人居るって聞きますし!日本とロシアとエリザリーナっ、ほら丁度三人ですってば!」

小萌「……そう、ですかねぇ?上条ちゃん先生に嘘吐いていませんよね?」

上条「だ、大体ですよっ?!ボクみたいな一介の高校生が、世界を股に掛けた活躍出来る訳がないでしょうっ!?」

小萌「ですよねぇ?先生の勘違いですよね?」

上条「そ、そうですよっ。自分で言うのもアレですけど、俺ってアレじゃないですかー!」

小萌「今度ブリテンから、軍事技術の視察に来られるキャーリサ王女殿下が――」

小萌「『案内役は上条当麻でいーし。誰?あぁ、ツンツン頭のレベル0の。関係?それは……あー、まだ話すべき事ではないし』」

小萌「『でもまー、もしかしたら万が一にそーゆー事もあるかも知れないから、あまりアイツを粗末にした方がいーし?』」

小萌「って直々の打診があったのも――」

上条「外堀埋めに来やがったなあの女っ!?気を遣う欠片も無ぇしっ!」

小萌「と言う訳で上条ちゃんには一日体験学習をして貰います!何故か留年させないように、と上からものっそい圧力がかかってきました」

小萌「じゃ明日、指定された所へ行ってみて下さいっ。その場所にいる女の人の指示に従うのですっ」

上条「は、はい。頑張ります……?」

549: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:13:48.08 ID:SypWvixA0
――翌日・指定された場所

神裂「――おや、上条当麻。遅かったですね」

上条「お前かよっ!?なんで日本にいんのよっ!?」

神裂「実は常陸の国――今の北関東某所に不穏な動きがあります」

上条「え、何?話進むの?ルート確定したの?」

建宮「あそこら辺はちょいと訳ありな霊格が多いのよな」

建宮「例えば天津甕星なのよ。天体の運行を司り、同時に星の機を織る古い――いや、旧い神なのよな」

五和「他にも続日本紀において、『海ヨリ来タル人ニ能ク憑ク神』を奉っている伝承もありますし」

建宮「何せ太平に出張っているため、様々なモノが流れ着きやすい土地柄なのよ」

神裂「……嘗てはそこに住む人を指して『東夷(とうい)』と呼ばれていた事もありました」

建宮「まぁそこはそれ中央から見ての話で、我らも隼人と呼ばれていたのよな。だから中央に反する気持ちは理解――いや、共感出来るのよ」

神裂「建宮。それを言ってはいけません」

建宮「女教皇、ですが」

神裂「確かに虐げられた歴史を持つ我らではありますが、今では人の理を知り、人の道を説き、人へ手を差し伸べる存在です」

神裂「恨みを未だに引き摺り、それを晴らさんがために多くの罪のない人間を犠牲にしようとする彼ら――」

神裂「東日本の魔術結社、『TOY機関』に大義などありはしません!」

神裂「恐らく戦闘は避けられないでしょうが、どうか我々も気をしっかりと――」

上条「あ、ごめんなさいっ!部屋間違えちゃいましたっ!」 ダッ

神裂「あ、こらお待ちなさいっ!」

パタンッ

……

上条「……ここだよな?さっきのは間違いなんだよな?あそっから『上条「今日から天草式十字凄教の一員になった上条です!」』が始まったりしないよな?」

上条(学園外で日本の魔術師とドンパチするなんて需要無ぇだろ)

上条「……」

550: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:14:52.27 ID:SypWvixA0
上条「……よし、今度こそ」

上条「失礼しまーす!」 カチャッ

アニェーゼ「遅いですよ、上条さん。会議はもう始まっちまってんですから、さぁさぁ中へ入って下さいな」

上条「」

アンジェレネ「あー、お久しぶりですー、上条さん」

ルチア「……どうも」

アニェーゼ「あーもうシスター・ルチアもそんな仏頂面しねぇで下さいよ。今日から仲間なんですから」

ルチア「シスター・アニェーゼ。『深きものども』相手にどうしてこの男の手を借りねばならないのか、不思議で」

アニェーゼ「仕方がねぇでしょう。向こうは精神汚染のプロなんですから」

上条「高校生が相手するには重すぎる敵だなっ!?」

アニェーゼ「取り敢えず、ここ座って下さい」 スッ(席を立つ)

上条「い、いや俺は別に――」

アニェーゼ「そうじゃねぇですってば。遅刻してきた上条さんには、罰として会議の間中わたしを抱っこして貰――」

上条「失礼しました部屋間違えたようですよねすいませんでしたあぁっ!!!」

アニェーゼ「あ、こらっ」

パタンッ

……

上条(何?今度は『上条「今日からアニェーゼ部隊の一員になった上条です!」』なの?)

上条(海外でクトゥルー系の魔術師とドンパチ……うーん、需要はねぇよなぁ)

上条(ルチアが触手責め……いやいやなんでもないっ!)

上条(つかアニェーゼに座られて甘えられたら、何か一生帰って来れなくなりそう……)

551: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:16:09.71 ID:SypWvixA0
上条「……ここ、だよな?」

上条「し、失礼しまー――」 カチャッ

黒夜「おゥ、遅かったなァ新入り――」

パタンッ

……
上条(『上条「今日から新入生になった上条です!」』?)

上条「……」

上条(黒夜更正させて、膝の上に載せてマッタリ――俺が予定よりちょい早く帰ってくれば……嫌いじゃない)

上条(むしろ大好きだけどなっ!いやいやっ違う違う!俺の居場所はここじゃないっ!)

553: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:17:07.10 ID:SypWvixA0
上条「こ、こっちのドア――」

上条「失礼しまーす……?」 カチャッ

レッサー「おぅ、らっしゃいあせーっ!一名様大テーブルご案内でぇーーーーっす!」

上条「」

ベイロープ「いやいや、一人で大テーブルなんてどんだけ寂しいのよ」

フロリス「スコットランドで『亡霊騎行(ワイルド・ハント)』が起きてるってに、随分とのんびりとしてんだな」

レッサー「まぁまぁでもそこら辺にテキトーに座っちゃって下さ――あぁいえいえっ、実はわたしの前しか空いていませんでしたー?てへ」

ランシス「……そのココロは?」

レッサー「わたしの対面に座ったところで、足を組み替えて   見せ放題――」

パタン

……

上条(『上条「今日から『新たなる光』になった上条です!」』?)

上条(スコットランドでゴースト相手に何しろって?いやホラーコメディなら需要あるかも?)

上条「あ、でもレッサーとぎゃーぎゃー言いながら逃げ回るのはちょっと楽しそう」

レッサー「そう思うんだったら来ーいーよーオラっ!今ならニ○ル子さんのコスプレでお持てなししちゃいますからぁんっ!」 グイグイッ

上条「やめて離してっ!?ドア内側から開けるの禁止っ!」

554: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:18:22.78 ID:SypWvixA0
上条「……」

上条(どうしよう、どのドア開けても戦闘に巻き込まれそうな予感がする)

上条(い、いや嫌いじゃないよ?嫌いじゃないんだけども、たまには、こうゆっくりしたいんだよ!)

上条(神様っどうか俺に平和と安らぎを!戦いはもう嫌なんです!普通の高校生に戻りたいんですっ!)

上条「カモンっ!平穏!」 カチャッ

キャーリサ「遅かったし」

上条「普通の高校生は王女と接点ねぇよっ!?神様三番目手ぇ抜きやがったな!?」

キャーリサ「あー大丈夫だし。追っ手は撒いたから。それより今日はどーしたんだ?」

上条「いや、俺も何がなにやら訳分からない状態で」

キャーリサ「よし、じゃお前付き合え」

上条「俺の事情聞いてた?つーか何で話振ったの?」

キャーリサ「映画でも見よーぜ?今日は私の休日に付き合――」

パタンッ

……

上条(『上条「今日からブリテン王室の一員になった上条です!」』?要は婿入りじゃねぇかっ!?」

上条(つーか『ローマの休日』?どう考えてもアレだしなぁ)

555: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:19:14.59 ID:SypWvixA0
上条(……もういや、楽になりたい)

上条(神様本当にすいませんでした。心から謝ります)

上条(だもんでどーーーかっ楽な所が良いです) ガチャッ

少女「あ、当麻お兄ちゃんだっ!わたしずっとずっと待ってたんだよ?」

上条(良かった、まともそうだ。小学生ぐらい?お兄ちゃんって呼んでるって事は、俺の親戚?)

上条(天使堕としの時、御坂の顔してた従妹の子いたったけか。良かったー、家族ルートね)

上条(これなら別に危険もないし、楽な所だよな)

少女「ね、座って座って?」

上条「あー突っ込みすぎて疲れたから、んじゃちょっと――」 ガチャッ

上条「がちゃん……?なんで椅子からベルトが出で俺を身動き出来なくしたのっ!?」

少女「うん、うんっ。こういう時は――」

上条「待て!嫌な予感しかしないっ!?」

円周「『木原』ならこうするんだよね……ッ!」

上条「『木原』ルートは、いやあああああああぁぁぁぁぁっ!?」
 
559: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:39:57.36 ID:SypWvixA0
 

――途中下車(たすけてあげて)

円周「うん、うん。加郡おじさん。こんな時、『木原』ならこんなオチをつけるんだよね?」 ウィィィィンッ、ヴヴヴヴヴヴヴッ(チェーンソー起動)

上条「待て待て待てっ!?その凶器で何をするつもりだっ!?」

円周「当麻お兄ちゃん、右手、ちょうだい?」

上条「嫌です!絶対に!」

円周「分かってるよ、数多おじさん!こんな時、『木原』なら言うんだよね!」

上条「もうイヤその前フリっ!?」

円周「最初は痛いけど――最後まで痛いからねっ?」

上条「それ痛いだけじゃねぇかよおおおおおおっ!?」

上条(『上条「今日から木原一族になった上条です!」』……は、無い!)

561: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 12:42:17.86 ID:SypWvixA0
――校門前 『バッドエンド……の、先』

佐天「上条さんっ、聞いてますかっ人の話!」

上条「えっ!?」

佐天「そんな小○みたいな返しは止めて下さいよっ!プリンか、金髪プリンかっ」

上条「あぁうんごめんな、さい?」

上条(夢オチ?いやでもそれにしては生々しかったような?)

上条(女の子四人と冒険したような、凄く楽しかった)

佐天「ちょっと付き合って欲しい所があるんですよっ、しかも割と緊急に」

上条「俺?良いけどさ」

佐天「はい、じゃこれ持って下さいねー」

上条「学園都市製ハンディカム?何すんの?」

佐天「だーいじょうぶですっば。痛くしませんから」

上条「ビデオカメラで痛覚の刺激は元から出来ないからね?」

佐天「近くの公園でちょっとカメラテストするだけですからっ!」

上条「あぁ、うん。付き合うけども」

佐天「よっし!チョロいです!」

上条「せめて小声で言おうな?ちょっとは気を遣おう?」

佐天「早く行きましょう!時間がないんですからっ」

上条「意味が分からないっ!つーか本当になにすんの?」

佐天「ケーブルテレビの番組作るんですよぉ――ね、上条さんっ!」

上条「うん?」

佐天「今度はっ――あたしと冒険しよーぜ!」
 

――エンディング5 『バッドエンド』 -終-