1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 21:52:54.57 ID:om2DyWa/0
森「古泉、絶対に油断は禁物よ」

古泉「わかってまーす!不肖古泉一樹、世界のために頑張ります!!」

森「こいず」

古泉「では、行ってきまーす!!」バビュン

森「あっ…待ちなさい!」

古泉「~~~~~~~!~~~~~~~!!」

森「何か叫んでるけどまったく聞こえないわ…今日の古泉は妙に不安ね…」

新川「わかります、私にはわかりますよ」





3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 21:55:45.34 ID:om2DyWa/0
森「新川さん!いつの間に背後に…」

新川「ずっといましたが」

森「あらっ…すみません」

新川「男には、妙にテンションが上がってしまうときがあるのですよ」

森「はぁ…」

新川「そしてそんな時、男は無敵になるのです。たとえどんなに強く殴られたとしても」

古泉「…ぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁ!!!…」

森「こっ…古泉!!ああ、神人に殴られてあんな遠くに!!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 21:58:08.09 ID:om2DyWa/0
新川「フフ…古泉はその領域には達せなかったようですな」

森「いいから救出に行ってください!もう!」

新川「やれやれ、短気なお嬢さんだ」

森「何キャラ気取りだこの野郎早く行け」

新川「あっはい、すみませぇん!!」バビュン

森「まったく…。古泉、大丈夫かしら…」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:01:11.74 ID:om2DyWa/0
翌日放課後 文芸部室

キョン「ちぃーーっす…って古泉!?お前、どうしたんだよ!?」

古泉「はは…ちょっとしたアクシデントですよ」

キョン「ちょっとしたどころじゃねえだろ。両手に三角巾とかどんだけだよ」

みくる「足も両方折れてるそうですぅ…」

キョン「むしろどうやってここまで来た」

古泉「仕事柄、松葉づえの付き方に関してはプロ級なのですよ」

キョン「昨日1日でそうなっちまったのか…痛むのか?」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:04:34.74 ID:om2DyWa/0
古泉「いいえ、麻酔をしこたま打って頂いてきましたから、大丈夫ですよ」

キョン「でも、今までそんな大変なケガしてきたことねぇじゃねえか。昨日のは、特別ヤバかったのか?」

古泉「え、ええ。そうですね、なかなか手ごわい神人でした。すごいたくさんの仲間の力でやっと倒したんですよ」

キョン「そりゃあ大変だったな。昨日、なんかあったっけかねえ…」

みくる「キョンくん、お茶どうぞー」

キョン「ありがとうございます、朝比奈さん」

古泉「なんかあったっけかねえ…ですって?」

 

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:10:07.55 ID:om2DyWa/0
 

前日放課後 文芸部室

ハルヒ「それじゃあ、今日の団活の内容を発表するわ!まずは…」

キョン「ぶぇええーっくしょん!!」

みくる「ひゃあ!」

キョン「あ、すみません朝比奈さん!お茶、かかりませんでしたか?」

みくる「くすっ…大丈夫ですぅ。ちょっとびっくりしちゃいましたけど」

キョン「はは、驚かせてしまってすみません。朝から鼻がムズムズしてたまらないんですよ」

ハルヒ「キョン!団長の発言を邪魔するなんていい度胸ね!!罰として」

キョン「ヒック!ヒック!」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:13:12.46 ID:om2DyWa/0
ハルヒ「今から全員のジュースを買っ」

キョン「ヒック!ヒィイーック!ヒャック!」

ハルヒ「うるさいわね!なんなのよキョン!?」

キョン「なんなのってヒック!ひゃっくりにヒック!決まってるヒック!だろヒュック!!」

みくる「お茶、もう一杯入れましょうか」

キョン「ああ、ヒック!たすかりまヒック!す ァック!ありが」

ハルヒ「もう!!あんたはもうしゃべらないでちょうだい!ほんっとにもうキョンなんだから」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:16:22.67 ID:om2DyWa/0
古泉「まあまあ、仕方ありませんよ。生理現象は誰にでも起こり得ることですし」

ハルヒ「そりゃそうだけど、タイミング悪いやつねえ」

キョン「わるヒック!かったヒック!なヒョック!!」

ハルヒ「だぁから、しゃべるなっつーの!もう…そうだわ!今日の団活は、予定を変えてキョンのひゃっくりを止める選手権にしましょう!」

古泉「それは良いアイディアです。彼のしゃっくりも止まりますし、一石二鳥ですね」

ハルヒ「でしょ?それじゃあ、ルールを」

キョン「あ、治った」

ハルヒ「決めま…え?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:19:11.88 ID:om2DyWa/0
キョン「赤巻紙青巻紙きまきまぎ…よし、本当に止まったみたいだ。朝比奈さん、お茶ありがとうございました」

みくる「いいえ、よかったですねぇ」

キョン「ええ、死ぬかと思いましたよ、はは」

ハルヒ「…~~~~~!!もー!ほんっとキョンは空気読めないんだから!!」

キョン「え?俺なんかしたか?」

古泉「やれやれ」

長門「ユニーク」

ハルヒ「…もういいわ。今日は自由行動。各自好きなことしてちょうだい…」

みくる「ふぇ…」

キョン「そうか。じゃあ古泉、オセロでもやるか。俺、昼休みのうちに白い部分全部黒に塗っといたから」

古泉「なぜそんなことを」

ハルヒ「はぁ…」カタカタ

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:22:09.19 ID:om2DyWa/0
古泉「…といった具合でしたが、もうお忘れですか?」

キョン「え?こんだけ?」

古泉「こんだけとはなんですか!端的に言って、あなたは涼宮さんの邪魔をしたのですよ」

キョン「くしゃみとかひゃっくりはしょうがないだろ」

古泉「確かに仕方がないことかもしれません。しかし、せっかくあなたのしゃっくりを止めて差し上げようという涼宮さんのお優しいお心遣いを、
   いとも簡単に無下にしたのですよ」

キョン「…あん時はひゃっくりに夢中でよく考えてなかったが、そうか、あいつ…俺のひゃっくりを止めてくれようとしたのか」

長門「気づくのおっそ」

古泉「涼宮さんに謝ってくださいますか?今日も若干機嫌は悪いままですから」

キョン「そうだな。謝っとくか」

ガチャ!!

ハルヒ「ヤッホー!…って古泉くん!あなたどうしたのそのギブス!」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:25:06.44 ID:om2DyWa/0
古泉「こんにちは涼宮さん。いやあ、ギブスダイエットにハマってしまいましてね」

ハルヒ「じゃあその三角巾は?」

古泉「こうしておくと、自然と上腕二頭筋が発達すると聞きまして…」

ハルヒ「へーえ知らなかったわ。…ってバカ!そんなんでごまかされますか!」

キョン「今の乗り突っ込みだよな」

ハルヒ「うるさいわね。で古泉くん、一体どうしたって言うの?」

古泉「すみません。昨日、家の階段で転んでしまって。運悪く両手両足を骨折してしまったのですよ」

ハルヒ「よくここまで来られたわね。入院とかしなくていいの?」

古泉「ええ。ちょっと包帯は大げさですが、ケガ自体はたいしたことありませんので、大丈夫です。ご心配をおかけしてすみません」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:28:17.54 ID:om2DyWa/0
ハルヒ「団員の心配をするのは当たり前よ。もう、早く治ればいいのにね」

キョン「そうだな。あのな、ハルヒ…昨日のことだが」

ハルヒ「なによ」

キョン「悪かったな。俺のひゃっくりを止めてくれようとしたのに台無しにしちまって」

ハルヒ「ふん!別に、そういうつもりで言ったわけじゃないんだからね!ただ、団活として臨機応変に…」

キョン「まあ、どっちでもいいさ。とにかく、ありがとうな」

ハルヒ「つ、次は容赦しないからね!」

キョン「よろしく頼むよ。でだ、今日は古泉がケガしてるだろ?だから、みんなで祈らないか?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:34:10.88 ID:om2DyWa/0
 
ハルヒ「早く治りますようにって?あはっ、いいわね!言霊って言葉があるくらいだもの。声に出せば叶うかもしれないわ!」

キョン「だろ?特に、団長のお前が強く祈れば簡単に叶いそうだしな」

ハルヒ「あたしにそんな力があればいいのにね。いいわ!じゃあ、みんなで祈りましょう!ほら、有希も」

みくる「叫ぶんですかぁ?」

ハルヒ「そうよ。窓全開にして…せーのでね!有希、わかった?あんたも叫ぶのよ」

長門「把握した」

ハルヒ「じゃいくわよ!せーの!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:37:20.64 ID:om2DyWa/0
ハルヒ「古泉くんのケガが早く治りますように!!」

みくる「古泉くんが早く元気になりますように!」

長門「古泉一樹の情報連結の解除を申請する」

キョン「古泉のバカ野郎ー!!」


古泉「みなさん…」

ハルヒ「さ!これできっと早く治るわ!古泉くんも、安静にして早く治す努力をするのよ?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:40:01.86 ID:om2DyWa/0
古泉「はい…!本当に、ありがとうございます。これは嬉しいですね。痛みなんて全然感じなくなりましたよ」

ハルヒ「そう!よかったわ。さて、じゃあ今日こそ新たな不思議探しのアイデアを出し合って、よりよいSOS団ライフをプランするわよ!」

みくる「あ、じゃあお茶入れますねえ」

キョン「…で。どうだ、古泉」ヒソヒソ

古泉「んふ、さすがですね涼宮さんのお力は。痛みはまったくなくなりました」

長門「古泉一樹の怪我は今から1分08秒前、完治した」

キョン「マジかよ!?」

古泉「ほ、本当ですか?」

長門「長門嘘つかない」

キョン「よかったじゃないか」

古泉「ええ。あなたが誘発してくださったおかげです。ありがとうございます」

キョン「いやなに、昨日のお詫びさ」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:43:01.65 ID:om2DyWa/0
長門「しかし、明日突然ギプスを外してくることは望ましくない」

古泉「そうですね。1週間ほどこのまま生活してみます」

キョン「それはそれで大変そうだな」

古泉「いえ、たまには体育を見学したり、移動教室のときに女子の方々にちやほやしていただく生活もなかなかよろしいですよ」

キョン「古泉よ、俺は今ほど自分の行動を後悔したことはないぞ」

古泉「んふっ、冗談ですよ」

ハルヒ「ちょっと!なにを2人でこそこそしてるの!?意見を出しなさい意見を!」

キョン「ああ、悪い悪い」

古泉「すみません」

ハルヒ「もう。…あ!こんなのはどうかしら?あのね…」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:49:10.51 ID:om2DyWa/0
夜 古泉宅


古泉「ただいま」

古泉「…と言っても、誰もおかえりなんて言ってくれないんですけどね」

古泉「さて、ギブスを取りますか」

古泉「うわっ、皮膚ふやけてるじゃないですか」

古泉「どうでもいいですけど、僕ズボンの下にギプスはめてるんですけどね」

古泉「なんか、みなさんすぐギプスに気づいてる感じがするんですがなぜでしょう」

古泉「まあいいです」

古泉「今日は楽しかったですね。みんなであんなに叫んでくれて」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:52:16.88 ID:om2DyWa/0
古泉「長門さんと彼がおかしなことを叫んでいたのは知ってましたが」

古泉「なんだか楽しい雰囲気だったので何も言いませんでした」

古泉「仲間っていいですね」

古泉「涼宮さんのお陰で、他人と時間を共有する素晴らしさを知ることができました」

古泉「確かに閉鎖空間での戦闘は大変ですが」

古泉「自己発散の方法も開発したので、最近ようやく気持ちが追いついてきた気がしますね」

古泉「…さてと、そろそろ出かけますか」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:55:06.40 ID:om2DyWa/0
翌日朝 坂

谷口「おーっす、キョンよ。今日も無気力ボーイ全開だな」

キョン「この坂を意気揚々と登っていられるやつがいたら顔を拝みたいね」

谷口「それより聞いたか?最近この変に出る不審者の話」

キョン「不審車?AVワゴンか?」

谷口「ちげーよ。不審者だよ、人の方。お前欲求不満かよ」

キョン「まあ否定はしないがな」

谷口「まあ嫌だわ。お尻に気をつけないと」

キョン「お前なんか襲わねえよ。安心しろ」

国木田「じゃあ僕は気を付けとこうかな」

キョン「おお国木田。また突然現れたな」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 22:58:15.79 ID:om2DyWa/0
国木田「まぁね。下から走ってきたんだ」

谷口「げっ。お前は元気でいいよなー」

国木田「なーに年寄りじみたこと言ってんのさ。で、何の話?」

谷口「キョンに尻は向けないようにしようなって話」

キョン「違う違う、谷口が不審者の話をし出したから、なんとなくだな」

国木田「不審者?欲求不満のキョンのこと?」

谷口「まぁキョンもほとんど不審者だがな、そっちじゃなくてマジの方だ」

キョン「谷口だけには言われたくない」

国木田「じゃ僕はいいのかな?この不審者!」

キョン「…なんかいいな。もう一回」

谷口「おいおい、やめてくれよ!俺すごい入りにくい空気!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:01:07.85 ID:om2DyWa/0
キョン「はいはい。で、不審者がどうしたって?」

谷口「あのな、ここ一週間くらい、夜道を歩く女子高生の前になっがーいコートを着たやつが現れるんだとよ」

国木田「ああ、そっち系ね」

谷口「そっち系が何系か知らねえけど…で、そいつコートの下に何も着てないんだ」

キョン「そそり立ったものを女子高生に見せつけてるんだろ?」

谷口「そういうこと。まあ随分お粗末なモノだったみたいだけどな」

国木田「へーえ。でもそんなの珍しくないじゃない。光陽園駅の裏の道なんかで結構出るって聞くけど」

谷口「それが、この一週間毎日違う場所、違う時間に出るんだが、被害者の特徴が一致してんだってよ」

キョン「特徴?」

谷口「ああ。決まって、セーラー服で黒髪セミロングの女子なんだと」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:04:05.94 ID:om2DyWa/0
キョン「じゃあうちの学校の生徒も狙われたのか?」

谷口「昨日の被害者が、うちの制服着てたんだよ」

国木田「っていうか、なんで谷口そんなに詳しいの?」

キョン「そうだよな。昨日の被害者の情報なんてすぐわかるわけねえし」

国木田「今までの事件のことも知ってそうだよね。僕全然知らなかったのに」

キョン「俺も今はじめて知ったぞ」

国木田「谷口、自主するなら今のうちだよ?」

谷口「ちげーって!俺がそんな空しいことするわけないだろーが!…昨日の被害者、実は俺のいとこなんだよ」

キョン「な、マジでか!?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:07:14.97 ID:om2DyWa/0
谷口「マジもマジだよ。しかも俺んちの近くで遭ったらしくてさ…うちに駆け込んできたんだよ」

国木田「そうなんだ。それは災難だったね…いとこさん大丈夫だった?」

谷口「ああ。ムエタイやってるから、スネ蹴って逃げてきたっつってた」

キョン「強いなおい」

谷口「つーかさ、俺のいとこ男だから、力はつええよ」

国木田「ん?どういうこと?」

谷口「あんま言いたくねえけどさ、俺の従兄もう25にもなるのに女装趣味でよー、夜にセーラー服で出歩くのが日課なんだよ」

キョン「ああ、谷口の家系だなあ」

谷口「俺を愚弄するのは構わんが、俺の家系まで悪く言うのはやめてもらおうか」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:10:11.24 ID:om2DyWa/0
国木田「うわー、じゃあ犯人は見せ損だよね。気づいたのかな?」

谷口「いや、それが結構かわいいんだよ。華奢だしな。すぐ逃げたっていうし、バレてはいないんじゃねえかな」

キョン「でもよ、その女装男が被害届出したら逆に捕まるんじゃねえの?」

谷口「ああ、だから従兄の妹の名前で出したって。まあその妹ってのも俺の従妹になるわけだけどよ」

国木田「キョンも気をつけないとね。セーラー服で出歩くのはやめた方がいいよ」

キョン「やんねーよ!なんで俺が女装常習犯みたいになってんだよ」

谷口「まあ、でもセーラー服の女子高生だから北高付近も危ないよな」

国木田「キョン、SOS団の女性陣を守ってあげてね」

キョン「だな。まあハルヒはどうでもいいし長門も自分でなんとかしそうだが、朝比奈さんが心配だな」

国木田「送ってってあげなよね」

キョン「ああ。古泉と相談してみるか」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:13:16.49 ID:om2DyWa/0
授業中教室 

ハルヒ「ねえ、キョン」

キョン「……」

ハルヒ「ねえってば。寝たふりしたって駄目よ」

キョン「スゥー…スゥー…」

ハルヒ「…今すぐ起きないと、ぼんのくぼにシャーペン刺すわよ」

キョン「あぶねーな。わかったよ、なんだよ一体」

ハルヒ「ほーら寝たふりだったじゃない。あたしの目はごまかせないのよ」

キョン「はいはい悪うござんした。で?」

ハルヒ「今朝岡部が言ってた露出魔の話だけどね。あたしたちで捕まえようと思うの」

キョン「はあ?やめとけやめとけ、危ないぞ」

ハルヒ「危ないわけないじゃない。あたしたちは5人、向こうは一人。しかもコートしか着てないのよ。楽勝楽勝」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:16:04.93 ID:om2DyWa/0
支援ありがとうございます 


キョン「捕まえてどうするんだよ。それはお前が望む不思議に該当するのか?」

ハルヒ「ええもちろん!なんで露出するのか、そしてなぜセーラー服にこだわるのか!?謎は尽きないわよ」

キョン「何にしろ俺は賛成しないな。何かあった時、俺と古泉だけでお前ら3人を守りきれる自信がない」

ハルヒ「あたしが露出魔ごときに負けるわけないでしょ!あんたの方が心配よ」

キョン「しかしだな」

ハルヒ「やると言ったらやるの!団長命令よ!」

キョン「…はあ、わかりましたよ」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:19:07.71 ID:om2DyWa/0
To 古泉
件名:non title
本文:今朝連絡があったと思うが、この辺に出る露出魔をハルヒが団活で捕まえるとか言いだした。
   悪いが、機関のヘルプもらえないか


From 古泉
件名:Re:non title
本文:わかりました。森さんに連絡を取ってみます。んっふ、勇ましい神ですね。


キョン「あいつ、メールに文字でんっふって書いてきやがった…」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:22:10.70 ID:om2DyWa/0
放課後 部室

ハルヒ「というわけで!SOS団の総力をあげて不届きな露出魔を捕まえるわよ!」

みくる「ふぇぇ…ちょっと怖いですぅ…」

ハルヒ「だーいじょうぶよ!キョンはともかく、古泉くんがしっかり守ってくれるわ。…と言いたいところだけど、古泉君両手両足骨折してるんだったわね」

古泉「申し訳ありません。だいぶ痛みは治まったのですが、まだ骨がくっついていないもので…」

ハルヒ「仕方ないわよ。キョン!わかってるわね!?」

キョン「はいよ。とりあえず催眠スプレー、なわとび、バット、タバスコ、さすまた、スタンガン、コンパス、豆腐、魚取り網、まきびしは持ったぞ」

ハルヒ「それじゃあ、今日の張り込み位置を決めるわよ!」バサッ

キョン「どうやって決めるんだよ?」

ハルヒ「今までの出没場所に印をつけてみたわ。だいたい西高を中心に半径500mの間をぐるぐる回ってるみたいね」

キョン「こんな情報、どうやって手に入れたんだ?」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:25:07.41 ID:om2DyWa/0
ハルヒ「生徒指導の先生に聞いたら教えてくれたわ。ね?みくるちゃん」

みくる「はいぃ…帰り道で出会わないか心配ですって言ったら教えてくれましたぁ」

キョン「なるほどな…(朝比奈さんをうまいこと使いやがって)」

ハルヒ「だから今日は、この公園の辺りで張ってみるわよ!一回帰って6時にこのコンビニ集合。女子は制服着用でね!」

キョン「俺らは普通の服装でいいのか?」

ハルヒ「防弾チョッキがあったら着てきてちょうだい。あとは持ち物忘れずに。古泉くんは無理しなくていいのよ?」

古泉「いえ、及ばずながらお力になりたいと思います。足手まといにはならないようにしますから」

ハルヒ「そう?充分気をつけるのよ!危ないことは全部キョンにやってもらうからね」

キョン「おいおい」

ハルヒ「じゃあ一旦解散!最後の人鍵よろしくね!」ガチャ バタン!

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:28:10.09 ID:om2DyWa/0
キョン「で、古泉。機関の応援は来てもらえるのか?」

古泉「はい。外回り部隊全員が来てくれるそうです。有事の際には遠隔射撃で応援すると」

キョン「外回り?」

みくる「ほんとに、現れちゃったりするのかなぁ…」

キョン「ハルヒが現れろって強く願ったら、現れるでしょうねえ…」

みくる「ひぇぇえええ」

キョン「だ、大丈夫ですよ!俺がまきびしたくさん投げつけて退治してやりますから!」

長門「まきびしは投げるものではない」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:31:15.99 ID:om2DyWa/0
古泉「足元にバラまいておくものですよねぇ」

キョン「うるせえな、投げたっていいだろうが」

みくる「わたしも頑張りまぁす!」

長門「私にまかせて。何かあったら局部のみの情報連結を解除する」

キョン「頼もしいな。頼んだぞ」

古泉「さて、我々も出発しなくては。みなさん、後ほどお会いしましょう」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:34:06.63 ID:om2DyWa/0
18時 コンビニ前

ハルヒ「おっそーい!」

キョン「はあ、はあ…これでも激チャしてきたんだがなあ」

ハルヒ「家出るのが遅いんでしょ。罰として、これに着替えること」

キョン「なんだ?この袋」

ハルヒ「いいから!公園に着いたらトイレで着替えるのよ。あんたにも活躍してもらわなきゃね」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:39:05.53 ID:om2DyWa/0
18時10分 公園

キョン「おい、ハルヒ!」

ハルヒ「なによ、トイレの中から呼ばないでよね!」

キョン「こんなの着れるかよ!!」

ハルヒ「遅れてきたあんたが悪いのよ!団長命令よ!それを着て、おとりになりなさい!!」

キョン「女子が制服を着てきた意味は!?」

ハルヒ「女子だけがおとりだと危ないでしょ?2人組で歩くのよ。そうすると女子が一人足りないでしょ」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:42:01.57 ID:om2DyWa/0
キョン「古泉の方が絶対似合うって!」

ハルヒ「両手両足に包帯巻いてたら不自然でしょうがないでしょうが!それに怪我人と女の子だけ働かせといて自分は見てるだけなんて卑怯だと思わないの?」

キョン「(くそ、古泉の怪我はもう治ってるってのに…)ああもう!わかったよ、着りゃいんだろ着りゃあ!」

ハルヒ「最初から素直にそう言ってればいいのよ」

みくる「あのぉ、キョンくんもおとりになるんですか?」

ハルヒ「当然よ!こういうときは、襲ってみたら女装男子でしたってオチが多いのよ!」

キョン「(そのオチは谷口に使われちまったけどな)」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:45:02.06 ID:om2DyWa/0
長門「男性には少なからず女装願望があるもの」

ハルヒ「そうよ、その通り!その願望を叶えさせてあげようってんだから、逆に感謝してほしいものだわ」

キョン「ぜってぇ感謝なんかするか!」ハ'ーン!

みくる「ひゃああ!」

古泉「これはこれは」

ハルヒ「キョン、案外似合うじゃない。タイツまで履いちゃって」

キョン「な、入れたのはお前だろうが!それにこの寒い中素足は拷問だぞ!?」

ハルヒ「スネ毛ボーボーの足見せてたら露出魔もやってこないかもしれないしね。さて、じゃあ2人ずつに分かれて巡回よ!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/24(日) 23:48:07.03 ID:om2DyWa/0
キョン「最初はハルヒと長門か…」

古泉「涼宮さんの前に現れる確率が高いです。注意しましょう」

みくる「キョンくん、セミロング似合いますねぇ」

キョン「このカツラがなかったら地獄でしたよ。しかしあっついですねこれ」

古泉「170センチの女子高生は迫力ありますねえ。しかしよくお似合いですよ」

キョン「うるさいぞ古泉。絶対お前の方が似合うんだからな」

古泉「僕だって必要とあらばいつでも女装しますよ」

キョン「はあ、変なとこで張り合うのはやめておこう。しかし、ああして公園の外をグルグル回ってるだけってのも充分怪しいよな」



58: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/24(日) 23:52:14.30 ID:om2DyWa/0
 

古泉「そうですね。しかしこうしないとここからお二人の動向がわかりませんから。何かあった時飛び出せないでしょう」

キョン「たかが露出魔だろ?出たところでハルヒは普通に捕まえるぞ」

古泉「そうでしょうね。それが彼女の願いですから」

みくる「じゃあ、長門さんと涼宮さんが危ないんじゃあ…」

キョン「そうなりますね。朝比奈さんの危険と俺の出番が遠ざかれば、それにこしたことはないんですがね」


ハルヒ『なによアンタ!!』


キョン「!!」

59: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/24(日) 23:55:02.12 ID:om2DyWa/0
古泉「出たようですね!」

みくる「ふぇぇえ!男の人がいますぅ!」

キョン「くそっ!まきびし撒いてやる!!」ダッ

古泉「お気をつけて!」


キョン「ハルヒ!長門!大丈夫か!?」

ハルヒ「あっ…キョン!バカ、出てこないで!」

キョン「はぁ!?」

男「君も、この子たちの仲間なのかな?」

キョン「え?…え?」

61: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/24(日) 23:58:07.05 ID:om2DyWa/0
ハルヒ「はあ…この人は露出魔じゃなくて、刑事さんなんですって」

男「なるほどね、露出魔を捕まえようってことかな?」

ハルヒ「そうよ!あたしたちみたいな弱い女子高生に恐怖を与える存在は成敗!とっ捕まえて逆さづりのまま市中引き回しの刑にしてやるんだから!」

男「駄目駄目、帰りなさい。女の子たちだけでそんな危ないことしちゃダメだよ」

ハルヒ「女の子だけじゃないわ、男子もいるのよ!」

男「どっちにしろ高校生だけだろ?その制服は北高だね。名前は?」

ハルヒ「あんたに名乗る名前はないわ!キョン、有希!逃げるわよ!」ダッ

キョン「ちょ、待てよ!」ダッ

男「おい、待ちなさい…!!」

キョン「おーい、ヤバいって…!!」ダダダ

長門「いい。彼の記憶を操作しておく」スタタタタタ

キョン「悪いな、長門。まったく予想外だぜ…」タッタッ

63: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/25(月) 00:01:09.93 ID:9T6Ng/PI0
ハルヒ「古泉くん、みくるちゃん!逃げるわよ!」

みくる「ふぇぇえ!?なんですかぁ!?」

古泉「どうしたのですか!?」

キョン「なんか警察がいて、帰れってさ。ハルヒのやつ、名前聞かれたら逃げやがった」

ハルヒ「あたしの計画を邪魔するようなやつに教える義理はないわ!それより早く行きましょう!」

キョン「おい待てって…!」

古泉「ここは一緒に逃げましょう」

キョン「逃げるって…お前は無理だろ」

古泉「え?…ああっ!」

長門「無事で」スタタタ

みくる「ふぇえ、ごめんなさぁーい!」タッ

キョン「悪い!」ダッ

古泉「あ、み、みなさん…」

古泉「……」

64: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/25(月) 00:04:05.83 ID:9T6Ng/PI0
古泉「…仕方ありませんね。みなさんが無事ならそれで…」

古泉「女装し損の彼よりはマシかもしれませんし…」

古泉「団長の安全最優先ですからね」

古泉「…機関のみんな、この様子隠しカメラで見てるんだろうなあ…」

男「おい」

古泉「うわっびっくりした…な、なんでしょう?」

男「ほ~ら…」バサッ

古泉「え?え?…うわあああぁぁあああ!」

男「うえへへへ…っへへ…ほらほらもっとよく見な…」

65: 1 ◆9x6jPqhXgI 2010/01/25(月) 00:07:07.03 ID:9T6Ng/PI0
ハルヒ「あんた古泉くんになんてもん見せてんのよ!!」ドガッ

男「うぼわぁぁあわがが」バタッ

古泉「あ、ああ、…す、涼宮さん!?どうして…」

ハルヒ「古泉くんが走れないことすっかり忘れちゃってたわ、ごめんね!まさか置いて帰るわけないでしょ!」

キョン「ハルヒにお前のこと言ったら、慌ててUターンしてな。すまん、古泉」

長門「すまなかった」

みくる「す、すみません…」

古泉「いいえ、いいんです。団長の安全が最優先ですから」

ハルヒ「団員の安全を守るのが団長よ!ほんとにごめんなさい。大丈夫だった?何もされてない?」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:10:05.93 ID:9T6Ng/PI0
古泉「はい、いきなりでびっくりしただけです。しかし、よかったですね」

ハルヒ「そうね!こんなに容易く捕まえられるとは思わなかったわ!それにしても、刑事のフリするなんて姑息ね!」

キョン「どうすんだこいつ。お前の両足とび蹴りで完全に伸びてるぞ」

ハルヒ「そうねぇ。とりあえず、なわとびで縛りあげましょうか」

キョン「はいよ。よいしょ…うわ、先にコートのボタンかけないと嫌なモン見えてしょうがねえ」

長門「手伝う」

キョン「いやいや、女子にやらせることじゃねえよ。大丈夫だ」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:13:08.85 ID:9T6Ng/PI0
ハルヒ「それにしても、なんで古泉くんを狙ったのかしら?被害者は、セーラー服の黒髪セミロングじゃなかったの?」

古泉「そのはずですが…」

長門「この男に聞けばわかること」

ハルヒ「それもそうね。キョン!縛れた?」

キョン「ああ、もう大丈夫だ。しかし、これ警察に通報しなくていいのかよ?」

ハルヒ「存分に情報を聞き出してから引き渡すわ。まずは謎の解明よ!こいつの目を覚まさないと」

長門「まかせて」スパパパパパパパ

みくる「ひぇぇええ」

キョン「音速を超える往復ビンタ…さすがだな」

ハルヒ「いいわね!今度の不思議探索の遅刻罰ゲームは有希に頼みましょうか」

キョン「げえっ」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:16:04.00 ID:9T6Ng/PI0
男「いっ…いててててててて!!なんぶゎはこりゃあ!!」

長門「これでもか」スパパパパパパ

男「やみぇれ…あじゃじゃじゃじゃじゃ」

長門「しぶとい奴め」スパパパパパパパパパパパパパ

キョン「起きてる起きてる!長門、もうやめとけ!ほっぺがハムスターみたいになってきてるから!」

長門「そう」ポイ

男「うっ…はあ…はあ…な、なんなんだ一体…ん?縛られてる…?」

ハルヒ「ハァイ!刑事さん!目覚めはいかが?」

男「お、お前はさっきの!なんだこりゃ、どうなってる?」

ハルヒ「あんたに質問権は一切ないわ!あたしたちの質問に答えるのみ!」

男「はあ?高校生が何粋がってるんだよ」

ハルヒ「あんた、状況がわかってないようねえ。キョン!」

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:19:08.26 ID:9T6Ng/PI0
キョン「はいよ。バットがいいか?スタンガンがいいか?タバスコもあるぞ」

男「タバスコだと…!?」

ハルヒ「こっちには拷問道具が揃ってるんだからね。一言でも余計なこと言ったら、口と鼻と目と尻穴にタバスコ詰めてやるんだから!」

男「わ、わかった!何を聞きたいんだ」

ハルヒ「まず、なんで古泉くんを襲ったの?」

男「こいずみ?…ああ、さっきの。こいずみってのか…」

ハルヒ「いいから答えなさい!」

男「フン。俺は今までの露出魔とは違う。女子高生に見せて喜ぶのはもう時代遅れだ。幼女もな。俺は違う。俺は新時代の露出魔なんだ」

キョン「新時代の露出魔だあ?」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:22:04.47 ID:9T6Ng/PI0
男「そうよ。俺はなあ、純情そうな美少年が、まさか自分が狙われると思っていない油断しきった時に露出魔に遭った瞬間のあの顔が好きなんだよ…ふぇへへ」

みくる「ふぇぇ…」

ハルヒ「キモいわね。キモイことこの上ないわ!!確かに古泉くんは美少年よ!でも我がSOS団の副団長を襲った罪は重いわ!キョン!やっちゃいなさい!」

キョン「え、もういいのかよ」

男「こんなキモい男の顔、もう見ていたくないわ!」

キョン「じゃあ遠慮なく」ズボッ

男「や、やめろ!!俺はこの世で一番タバスコが嫌いなんだよ…!」

キョン「そうか、そりゃよかったな。ったく、お前のせいで俺は未だに女子高生の格好だしよ…それ!それ!思い知れ!」

男「お、お前男だった…のか…」バタリ

キョン「まだ気づいてなかったのかよ…」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:25:06.54 ID:9T6Ng/PI0
ハルヒ「有希。警察に電話してちょうだい」

有希「了解した。…もしもし!?警察ですか!?あた、あたし今○○町のすずかけ公園で露出魔に遭ったんです!!すぐ来てくださぁい!!…これでいい?」

ハルヒ「ゆ、有希ったら演技派ね。素晴らしいわ!それじゃあたしたちはずらかるわよ!」

キョン「おい、着替える時間ないのかよ!?」

ハルヒ「あんたこいつに女子だと思われてたみたいじゃない。大丈夫よ、とにかくここから離れましょう」

古泉「みなさん、お先に行ってください。僕は…」

ハルヒ「何言ってんの駄目よ!キョン!」

キョン「わかってるさ。長門、荷物頼む」

長門「頼まれた」

ハルヒ「松葉杖はあたしが持つわ。キョン、隣町の公園でね!みくるちゃん、有希!行くわよ!」ダッ

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:28:11.20 ID:9T6Ng/PI0
みくる「は、はいぃ!」トテトテ

有希「頑張って」タッ

キョン「おう。さ、古泉。乗れよ」

古泉「え、え?」

キョン「ほら早く!もう走れるかもしれないが、ハルヒはこれをご所望だ」

古泉「で、でも…」

キョン「いいから早く、たまにゃあこんなのもいいだろ?」

古泉「…そうですね。では、遠慮なく」

キョン「うんせっと。じゃあ行くぞ!」ダッ

古泉「すみません」ユラユラ

キョン「いいってことよ。お前、俺より背でかいくせに軽いなあ」ダッダッ

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:31:10.05 ID:9T6Ng/PI0
古泉「はは、それはよかったです」ユラユラ

キョン「ちゃんと食えよ?たまには俺んちに飯でも食いに来たらいい」ダッダッ

古泉「え?」ユサユサ

キョン「友達だろ?」

古泉「あ、…ありがとうございます」

女子高生「ちょ、あれ見てあれ!」

女子高生「何あれ?女子高生が超ギブスしてる男子背負って超走ってるし!」

女子高生「マジうけるwwwwつええwwww」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:34:01.67 ID:9T6Ng/PI0
キョン「ほい、到着」トン

古泉「ありがとうございました。意外にお力があるんですね」

キョン「よせやい」

ハルヒ「古泉くん、大丈夫だった?はい、松葉杖」

古泉「はい。お心遣い、ありがとうございました」

ハルヒ「当然よ。古泉くん。今日のことは悪い夢だと思って、早く忘れなさい!」

古泉「そうですね。明日からの団活には差し支えないよう気をつけます」

ハルヒ「それもそうだけど、あなたのトラウマになったら申し訳ないわ。明日からもっと団活を楽しくして、すぐに忘れさせてあげるから!」

古泉「ふふ…ありがとうございます」

キョン「で、これからどうすんだ?」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:37:34.89 ID:9T6Ng/PI0
 
ハルヒ「とりあえず着替えたら?」

キョン「おお、そうだった忘れてた」

ハルヒ「あんなに嫌がってたのにね。気に入っちゃった?」

キョン「そんなんじゃねえよ。長門、服渡してくれ」

長門「はい。充分温めておいた」

キョン「サンキュ。あちち」ホカホカ

ハルヒ「じゃあ、キョンが着替えてきたら解散ね!今日は本当にご苦労さま。早く帰って温まりましょ!」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:40:02.93 ID:9T6Ng/PI0
21時 キョン部屋

キョン「ふう。風呂入ってようやく落ち着いたって感じだな」

携帯「ブブブブブブブブブブ」

キョン「メールか…誰だ?」


From 古泉
件名:今日は
本文:お疲れ様でした。あなたの背中、意外に広かったですよ。

キョン「はは、うっせ。気色悪い」

   今日の露出魔ですが、今朝連絡があった連続露出魔ではなかったようです。

キョン「なんだと…」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:43:02.13 ID:9T6Ng/PI0
   我々が立ち去ったあと機関が尋問したところ、連続露出魔に紛れて犯行を行っていた便乗犯だったことがわかったそうです。
   このことは、涼宮さんには黙っていてもらえますか?本物の露出魔は機関の方でなんとかします。

キョン「そりゃそうだな。また犯人逮捕に出かけかねん。もうこんなのは懲り懲りだからな」

To 古泉
件名:Re:今日は
本文:わかった。ハルヒの耳には入らないようにしとく。今日はお前も災難だったな。ゆっくり休めよ


キョン「送信…と。しっかし、露出魔ってのはどんどん湧いて出るもんなんだな。何が面白いのかねえ…」

キョン「わからん。わかりたくもないが…ふあぁ、寝るか…」

パチッ

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:46:03.89 ID:9T6Ng/PI0
翌日放課後 部室

キョン「ちーっす。お?ハルヒはまだか。先に出たんだがな」

みくる「あ、キョンくん。こんにちはぁ」

キョン「こんにちは、朝比奈さん。長門も」

長門「…」コクッ

キョン「古泉はまだか…」

みくる「今お茶入れますねえ」

キョン「あ、すみません」

長門「昨日の露出魔は、女子高生を狙った連続露出魔ではなかった」

キョン「ああ、聞いたよ。本物じゃなかったんだって?」

長門「彼は男子高生を狙った露出魔。しかし、男子高生は被害届を出しにくいため、表沙汰になることはなかった」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:49:03.68 ID:9T6Ng/PI0
キョン「ああ、なるほどな。最低なやつだぜ。昨日のやつは、ちゃんと逮捕されたんだろうな?」

長門「古泉一樹の機関の方で証拠写真を提出し、立件できたと思われる」

キョン「そうか。ならよかったんだが…それじゃあ本物の方はどうする」

長門「どうもしない。ただ、また事件が起これば涼宮ハルヒが動くのは確か」

キョン「だよなあ。ここ毎日起こってたってのに、昨日はなかったのか?」

長門「昨日はなかったと思われる」

キョン「なんでだ…?はあ、犯罪者の考えることはさっぱりわからん」

みくる「はい、キョンくん。長門さんもどうぞ」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:52:01.95 ID:9T6Ng/PI0
キョン「ありがとうございます、朝比奈さん」

長門「感謝する」

みくる「えへ。今日はちょっと違うお茶っ葉使ってみたんです。お口に合えばいいんですけど」

キョン「…うん、おいしいですよ。今日みたいな寒い日にはうってつけですね」

長門「美味」

みくる「ありがとうございますぅ」

古泉「こんにちは」ガチャ

キョン「よお」

みくる「こんにちはぁ」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:55:06.45 ID:9T6Ng/PI0
古泉「みなさん、昨日はお疲れ様でした」

キョン「お前こそな」

みくる「お茶どうぞぉ」

古泉「ありがとうございます。涼宮さんはまだのようですね」

キョン「ああ。さて、今日は何やる?」

古泉「そうですねえ…。あ、失礼。…もしもし…?」ガタッ

みくる「涼宮さん、遅いですねえ」

キョン「そうですねぇ。またやっかいなことやらかしてなきゃいいんですが」

古泉「…はい。わかりました。すぐ行きます」シャッ

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 00:58:08.99 ID:9T6Ng/PI0
キョン「まさか、またバイトか?」

古泉「いえ。いえ…女子高生狙いの連続露出魔に関してでした。急ですみませんが、今日はこれで失礼します」

キョン「お、進展があったのか?気をつけろよ」

古泉「はい、ありがとうございます。では…」

みくる「あ、ドア開けてあげますね」ガチャ

古泉「すみません」バタン

キョン「ハルヒになんかあったのか?長門、何か知らないか?」

長門「涼宮ハルヒに関しては、何も観測されていない」

ジョン「そうか。じゃあ例の天蓋領域かなんかなんだろうか…」

ハルヒ「ごっめーん!!遅くなったわね!」バーン

キョン「ハルヒ…」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:01:08.08 ID:9T6Ng/PI0
ハルヒ「なによ、しけてるわね!」

みくる「こんにちはぁ」

ハルヒ「もうっ!みくるちゃんたら今日もラブリードンよ!やられたわ!」ワシャワシャ

みくる「ふぇぇええぇ…ひゃめてくださいぃ」

キョン「ああ、古泉はバイトだそうだ」

ハルヒ「え?あの怪我でバイトしてるの?最低な職場ね!あたしが上司なら即休みを出すのに」

キョン「まあなあ」

ハルヒ「しょうがないわね。じゃあ、今日はあたしが直々に!キョン!あんたと勝負したげるわ!」

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:04:02.82 ID:9T6Ng/PI0
キョン「お前が?珍しいな」

ハルヒ「あたしだってたまにはオセロでもしたいわよ」

キョン「そりゃいいが、俺たち特別ルールでやってたからな」

ハルヒ「上等ね。どんなルールよ?」

キョン「とりあえず、白い面も全部黒く塗ってあるから…」

ハルヒ「なんでそんなことを…まあいいわ。負けた方がおごりだからね!」

キョン「やれやれ」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:07:12.07 ID:9T6Ng/PI0
夜 東高校裏通り △△公園前

キョン「うう、さむっ…ったく、こう寒くちゃコンビニにもおちおち出かけてられねえっつの」

キョン「はあ、あんまりこの辺来たことねえしなあ…」

キョン「早いとこプリン買って帰ろ」タッ

「こんばんは」

キョン「おわっ…な、なんだ…?」

「こんな夜中に出歩くもんじゃないですよ?」

キョン「ああ?(帽子で顔は見えないが…聞いたことある声だ)」

「だからこんな目に遭ってしまうんですよ…?」ファサリ

キョン「…げ、ええええ!!おまっ…露出魔かよっ…!!」

「どうですか?この寒さでもまったく強度を失わないマイサンは」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:10:08.56 ID:9T6Ng/PI0
キョン「くっ…(いかん、怖いのか?足が動かねえ…)」

??「そこまでです!」カッ

キョン「うっ…まぶしいっ…!」

「誰だ!」

??「無駄な抵抗はやめて、両手をあげなさい」

キョン「この声…?」

??「私の言うことが聞けないのですか?」

キョン「も、森さん!?」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:13:09.70 ID:9T6Ng/PI0
森「キョンさん、もう大丈夫ですよ。古泉!」

古泉「はい!…さ、こちらへ…早く!」

キョン「こ、古泉!」

森「さて、もう逃げ場はないわ。あなたの正体はわかっています」

「……なぜだ」

森「なぜ?それをあなたが言うのですか?機関の手段はあなたが一番よくご存じのはず」

キョン「あれは…あ、新川さん!?」


103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:16:18.12 ID:9T6Ng/PI0
古泉「…お恥ずかしい限りです」

新川「お前たちにわかるまい!毎日毎日 臭い小娘の機嫌に振り回されて、妻にも見放され、娘も父さんと呼んでくれなくなった。
   それはそうだ、家族よりも優先させなければならない小娘がいるのだからな!しかもお前らみたいな青二才にいいように使われて…」

森「新川さん…」

新川「…もういい。いくら言っても、もう恥さらしになるだけだ。早く連れて行け」

森「…わかりました。…捕えろ!!」

「はっ」ザザザザザ

新川「くっ…そうだ、もっと強く縛ってくれ。もう逃げようなどと二度と考えられなくなるようにな」

森「…連れて行きなさい。拘留所へ」

「はい…」ザッザッ


105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:19:24.67 ID:9T6Ng/PI0
古泉「すみません。機関の私事に巻きこんでしまいまして…」

キョン「いや、そりゃいいんだが、まさか新川さんが連続露出魔だったのか?」

古泉「そうです。外回り部隊が偶然、出かける新川さんを見かけまして、尾行してみると、露出していたというわけです」

キョン「セーラー服、黒髪セミロング…ハルヒに見立てて鬱憤を晴らしてたのかな」

古泉「おそらくそうでしょう。気持ちは…わかります」

キョン「まあなぁ」

古泉「ところで、あなたはこんな時間にここで一体何を?」

キョン「何って…見りゃわかるだろ?」

古泉「見たまま判断してよろしいのですか?」

キョン「ああ、いいさ。お前は友達だからな」

古泉「んっふ。ここでそれを言いますか」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:22:53.71 ID:9T6Ng/PI0
キョン「卑怯か?」

古泉「いいえ。嬉しい限りです。それに、昨日も言いましたがよくお似合いですから」

キョン「素直にうれしいな。昨日着たとき、妙に興奮してたんだよなぁ。返すの忘れたフリして持って帰っちまった」

古泉「それはそれは…実は、僕も以前から同じ趣味を持ち合わせていましてね」

キョン「…マジでか?」

古泉「えらくマジです。これからは二人で出掛けませんか?」

キョン「はは、それもいいな。お前には是非ともポニーテールのカツラをかぶってほしいもんだな」

古泉「こういうときのカツラはウィッグと言った方がいいでしょう」

キョン「ほう、そうなのか。さすがだな、先輩」

古泉「いえいえ、これから頑張りましょう」

キョン「ああ。よろしくな」

古泉「ふふふふ」

キョン「へへ」


森「…………」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:25:21.64 ID:9T6Ng/PI0
数日後 閉鎖空間

森「古泉。もう新川さんの援護はないのよ。慎重に行きなさい」

古泉「わかってまーす!不肖古泉一樹、世界のために頑張ります!!」

森「もう…落ち着きなさい。そしてウィッグを取りなさい」

古泉「あ、忘れてました」

森「あなたの原動力が、まさか女装だったとはね」

古泉「いつの間にバレたのでしょうねぇ」

森「あんた隠す気ないでしょうが」

古泉「ええ、まあそうなんですけどね」

森「どうでもいいけど、ここでは真剣にいきなさい。あなたは神に選ばれし能力者なのよ」

古泉「わかっています。では。…そうだ、森さん」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/01/25(月) 01:28:23.40 ID:9T6Ng/PI0
森「なによ?」

古泉「縄、見えてますよ」

森「えっ?…あっ!こ、これは…!」

古泉「さーて!今日も元気に神人を倒しますか!」バビュン


人には、それぞれ 癖があります。
他人に知られないように、自分だけの快楽に溺れ、己を満足させる。
それがあってこそ、辛い現実に耐えることができるのです。
しかし、くれぐれも他人に迷惑をかけることがないように気をつけましょう。
決して、新川さんの二の舞にならないように…。



おわり

引用元: 古泉「さーて、今日も元気に神人を倒しますか!」