1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:12:10.83 ID:g4nmhQBd0
 
☆ アイドル運動会

司会「今回の大会で一番輝いていたアイドル、特別賞が贈られるのはぁ~」

司会「島村卯月! キミだぁ!」

卯月「えっ……私!? や……やったぁ!」

未央「……」

司会「おめでとう! CDデビューも決定だぞ!」

卯月「本当ですか!? やった……やったよ、未央ちゃん!」

未央「……うん、おめでとう。うづきん」

卯月「私、私……」

未央「がんばってたもんね……よかったね……」

卯月「うん、うん……ありがとう……!」 




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:12:54.41 ID:g4nmhQBd0
卯月「あっ、未央ちゃん……それから……」

未央「……ほら、表彰台にあがらなきゃ? 主役なんでしょ! 胸をはって、ね?」ムニッ

卯月「きゃっ!? ちょ、ちょっと未央ちゃん……」

未央「へっへっへ、なかなかのもみ心地だねぇ」

卯月「や、やめてぇ~!」

未央「ほら、じゃあとっとといったいった!」

卯月「う、うん!」

司会「はいはい、いいものをみせてくれてありがとう!」

司会「それじゃあ今回の彼女の活躍をVTRで振り返ってみよう!」

卯月「えっ、そんなのあったんですか?」

司会「あるとも! なんてったってアイドル運動会だからね!」

卯月「なんだかちょっと恥ずかしいですけど……私がんばります!」

司会「いいポジティブさだ! じゃあVTRどうぞっ」

未央(……うづきんもCDデビューかぁ。あはは……出遅れたなぁ)

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:13:25.07 ID:g4nmhQBd0
未央「おめでたいのになぁ、なんでだろう」

未央「……」

凛「……あれ? 未央」

未央「ん、あれ? 凛じゃん。どうしたの?」

凛「未央の方こそ……今頃アイドル運動会じゃなかったの?」

未央「あはは……結果発表なら終わっちゃったよ?」

凛「そっか……どうだった?」

未央「ボロボロ。でもね、いいお知らせがありまーす!」

凛「いい知らせって……?」

未央「特別賞に、卯月ちゃんが輝きました! 拍手ー!」

凛「卯月が……そっか、よかった」

未央「おやおや凛ちゃんや、リアクションが薄いぞー?」

凛「ううん、喜んでるよ。でも……」

未央「でも?」

凛「……なんで未央は今、ここにいるの?」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:13:57.33 ID:g4nmhQBd0
 

未央「なんでなんてひどいなぁ、ボロボロだったっていったでしょー?」

凛「そうじゃなくて」

未央「じゃあなんのことかな?」

凛「だって……卯月が特別賞に輝いたなら、まだ話があったんじゃないの?」

未央「あー、そこはね……私ちょっと体調悪くて! えへへ」

凛「……そう。大丈夫?」

未央「うん、平気平気ー。ただまぁ、早めに帰って寝ようかなーって思ってね?」

凛「そっか。無理しないでね?」

未央「大丈夫だってば。心配ありがと♪ じゃあねー」

凛「うん……また明日」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:14:29.80 ID:g4nmhQBd0
未央「……はぁ」

未央「うづきんがデビューかぁ……めでたいなぁ。本当にめでたいっ!」

未央「なのになんでこんな……胸が痛いのかなぁ……」

未央「……」

未央「……これで一期生で一切レギュラー露出がないのは私だけかぁ」

未央「やれやれ、周りの人達は才能バッチシってカンジだもんね。仕方ないよね」

未央「仕方ない……うん、仕方ないよね……」

未央「……」

未央「帰る前に新譜のチェックとかしてこうかなー」

未央「新曲でてるかなーっと……」

7: オチの最後の1レス書き込む前に落ちたのよね 2012/07/20(金) 00:15:04.79 ID:g4nmhQBd0
未央「出てた出てたっと。このバンドもメジャーになったねぇ」

未央「うんうん、感慨深い!」

未央「家帰って聞こうかな? あー、あと洗剤切らしてたっけ」

未央「買ってかーえろっと……」

―――――

―――




未央「あー、重い……買いすぎたかな?」

未央「ま、いっか。たっだいまー♪」

未央「ママー、お腹減ったー」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:15:49.99 ID:g4nmhQBd0
未央「あー、ちょーお腹いっぱいだしっ♪」

未央「なんちゃって。お風呂沸くまで音楽でも聞こうかな、っと」

ウィィ……

未央「~♪」

未央「……」

未央「……んー?」

未央「なんか……イマイチ、かなぁ」

未央「最近売れてるからって調子にのってるんじゃないのかな? もうっ」

未央「……ま、どうでもいいや。暑いし入れながらはいろーっと」

未央「ママー、先お風呂はいるねー?」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:16:21.16 ID:g4nmhQBd0
未央「あー、いい湯だったのぅ……」

未央「そうじゃのう、ばあさんや……」

未央「って私は誰だよっ!」ビシッ

未央「……なんちゃってー」

未央「んんー、お笑いセンスはまだまだ足りないかな」

未央「なにか身につけたいけどなぁ……でも二番煎じじゃないのって……」

未央「ん、あれ? 携帯着信アリになってる……えっと」

着信アリ:4件

未央「どれどれ……3件はうづきんからかよっ!」ビシッ

未央「うーん、やっぱりツッコミは難しいなぁ。あとの1件は……」

未央「……プロデューサーか。途中で帰ったこととかのお説教かな」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:16:53.94 ID:g4nmhQBd0
未央「ま。いいや……明日事務所いけば顔あわせるしねー」

未央「大事な用事なら何回も着信して、メールとかもしてくるだろうし?」

未央「だからまぁ……いいや。うん」

未央「プロデューサー、何人も売れっ子抱えて……うづきんまでCDデビュー、売れっ子でビューン♪ みたいな感じで」

未央「……うーん、やっぱりお笑い路線はなしかなぁ」

未央「じゃなくて。どうせプロデューサーは忙しいだろうしね……」

未央「私みたいなのに構ってる時間、ないでしょ。うん」

未央「さっさと寝ちゃおーっと」

未央「……おやすみなさい」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:17:27.60 ID:g4nmhQBd0
時計『ずっと強く そう強く あの場所へ走り出そう~♪』

未央「ん……」カチッ

時計『……』

未央「ふぁ……んんー、よく寝た……」

未央「今日は学校だっけー、っと」

未央「顔洗って、着替えてこよっと」

未央「……」

未央「よーっし、今日もがんばろーっ!」

未央「うん。よし! 準備準備っと」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:17:58.70 ID:g4nmhQBd0
☆ 学校

友「あっ、未央ー! おっはよー」

未央「ん、おはよー! おひさっ」

友「アイドル未央ちゃんも楽じゃないねー。勉強大丈夫?」

未央「余裕だよー。なんてったってアイドルだかんね」

友「あはは、さすがぁ……えっと、昨日って運動会だったんだっけ?」

未央「そうそう。放送もするけど……私映るかなぁ」

友「もー、自信もたなきゃ! ね?」

未央「そうだね……うん、放送はたぶんもう少し先だけどいいお知らせもあるよ?

友「えっ、なになに?」

未央「ずっと一緒にがんばってた……島村卯月ちゃんがCDデビューしまーす!」

友「えっ、すごーい!」

未央「ね、すごいよね?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:18:30.43 ID:g4nmhQBd0
友「そっかぁ、でもそれいっちゃっていいの?」

未央「いいのいいの。ここだけのハナシだよ?」

友「うん、わかってるってば。でもさ……」

未央「うん? どうしたの?」

友「ううん、ごめん。なんでもないよ?」

未央「もーっ、いいたい言葉を途中で忘れちゃうのは痴呆症の初期症状らしいよ?」

友「そんなんじゃないよ、もうっ」

未央「あはは、ジョークジョーク。ね?」

友「はいはい……まったく未央ってば……」

未央「私も、がんばらなきゃ……ね……」

友「未央……?」

未央「あっ、ごめんごめんなんでもなーいよ?」

友「……そう、そうだね! じゃあさ、1時間目の数学のことなんだけど……」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:19:19.38 ID:g4nmhQBd0
男子「あ、あのさ未央」

未央「ん、どうしたの?」

男子「その……お前ってアイドル事務所通ってるんだよな?」

未央「そうだねー。どしたの? サインでも欲しい?」

男子「あ、うん……」

未央「えっ、本当に!?」

男子「渋谷凛の、もらってきてくれね?」

未央「あー……あぁ、うん。聞いてみるね」

男子「いいのか!? マジで! サンキュー!」

未央「いえいえ、この未央ちゃんにおまかせあれー」

男子「ありがとう! 今度なんかおごるわ!」

未央「じゃあ13アイス、トリプルで!」

男子「おやすい御用だ!」

未央「あはは……」

未央(……そう、だよね。私のサインなんか欲しがる人、いるわけないじゃんか)

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:19:52.67 ID:g4nmhQBd0
友「ちょっと、未央……いいの?」

未央「いいのって、なにが?」

友「だってアイツさ、未央のこと……」

未央「あー、私なんて売れてないしさぁ。同期で同い年の凛のほうが気になるのも仕方ないよね?」

友「でも……」

未央「ほらほらそう暗い顔しないのっ、もむよ?」

友「ちょっ、やめてよ!」

未央「ひーっひっひっひ……」ワキワキ

友「い、いやーっ!」

未央「ういやつじゃー、ちこうよれー!」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:20:30.38 ID:g4nmhQBd0
☆ 放課後

未央「あー、疲れたー」

友「お疲れ様、授業大丈夫?」

未央「見てたからわかるでしょー?」

友「……ボロボロだったね、見事に」

未央「うーん、きちんと両立していくつもりだったんだけどなぁ」

友「ほ、ほら! 仕事も忙しくなってきてるから……」

未央「……そうだね、しかたないねぇ。売れっ子はつらいなー!」

友「あはは、未央ってば……」

未央「……」

友「未央?」

未央「あのさ、今日ヒマ?」

友「あー、ごめん……彼氏がさ……」

未央「そっか。ごめん!」

友「こっちこそごめんね。埋め合わせは今度するからさ!」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:21:04.38 ID:g4nmhQBd0
未央「そっかぁ、彼氏かぁ……」

未央「そりゃあこの年ならいるのが普通、だよね……でも……」

未央「……事務所、いきたくないなぁ」

未央「きっと今日はうづきんのお祝い! とかやってるだろうし……」

未央「……なんか、素直にお祝いできる気がしないし」

未央「なんで、かなぁ……」

未央「……どうせ仕事なんてほとんどないんだし、いいや!」

未央「昨日に続いてショッピングー♪」

未央「なに買おうかな? 服とかも最近見てなかったし漫画も新刊出てるかな?」

未央「楽しみだなぁ、うんうん……」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:21:35.32 ID:g4nmhQBd0
未央「ふぃー、買った買ったっと……あれ?」

凛「……」

未央「り、凛!? なんで家の前に……」

凛「……?」クルッ

未央「あっ、やばっ……」

凛「……未央!」

未央「うっ……や、やぁ凛くん。ひさしぶりだね?」

凛「なんで今日、事務所に来なかったの?」

未央「ちょ、ちょっと体調が悪くて……」

凛「嘘。だったらなんでそんなに荷物持ってるの?」

未央「これは……えーっと、道に迷ってる石油王を助けたらお礼をもらって……」

凛「……ふざけないで」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:22:31.72 ID:g4nmhQBd0
未央「ご……ごめん」

凛「本当に……ただのサボりだったの?」

未央「……まぁ、そうだね」

凛「そう……なにかあったの?」

未央「別に。ちょっと気分が乗らなかっただけだよ?」

凛「……本気?」

未央「まぁ……ね。だってさ……」

パシンッ

凛「ふざけないで」

未央「……えっ?」

凛「仕事をサボるだなんて……未央、どうかしたんじゃないの? そんなことするタイプじゃなかったのに」

未央「あはは……あぁ、今叩かれたんだ……だんだん痛くなってきた」

凛「未央? あのさ、プロデューサーも……」

未央「……うるさいなぁ」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:23:34.44 ID:g4nmhQBd0
凛「えっ?」

未央「私は私なりにやってるの! 凛にオセッカイしてもらわなくてもいいんだけど!?」

凛「おせっかいだなんて、そういうつもりじゃなくて……」

未央「なに? 私が怠けてるように見えてた!? やる気が無いって!」

凛「そんなこと思ってない! 私はただ、普段から未央が頑張ってたのに……」

未央「頑張ってた!? でも足りないよね! まだやれっていいたいの!?」

凛「ちょっと、未央……どうしたの?」

未央「どうもしてなんかない……私は……」

凛「……未央?」

未央「……っ!」ダッ

凛「ま、待って! 未央!」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:24:27.09 ID:g4nmhQBd0
未央(なんて……バカなこと言ったんだろう……)

未央(ただのきまぐれでサボって……心配して見に来てくれただろう凛に八つ当たりして……)

未央(私は……私は……!)

未央「死にたくなるよ……こんな……なさけないこと……!」

未央「あぁぁぁぁぁ!」

ザワザワザワザワ……

未央「……あぁ、街中だったっけ。注目集めちゃいました? あははー」

未央「……あはは、あははははは……」

未央「カラオケとかいって……時間……潰そう……」

未央「……ひょっとして。仕事してる時よりめだっちゃったかなぁ、あはは……」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:25:00.69 ID:g4nmhQBd0
未央「ヒトカラって初めてかもしれないなぁ」

未央「あーあーあーあー♪」

未央「よし……なにから歌おうかなー」

未央「んー……杏の曲入ってる」

未央「よっしゃー、いっちょやるか!」

未央「働かない、全ての者たちに告ぐ! これはもう遊びでもライブでもない……」


未央(働かない、かぁ……)

未央(いつからだっけ、楽しくないなって思うようになっちゃったの……)

未央(いつからだっけ)

未央(自分がいなくたって普通に世界がまわるって思うようになったの)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:25:32.09 ID:g4nmhQBd0
未央「ふいー。意外と疲れるなぁ……」

未央「次は……えーっと……」

未央「あっ、あのグループの新譜……もうカラオケ入ってたんだ」

未央「……」

未央「綺麗事ばっかり……こんなの信じてたなんて……」

未央「……っと、いけない。歌わないと損だよね……うん」

未央「ラララ……♪」

―――――

―――




未央「……次は……ってもうこんな時間かぁ」

未央「そろそろ探すのも諦めてるだろうし……家、帰ろうかな。遅くなりすぎるとママ怒るし」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:26:03.74 ID:g4nmhQBd0
未央「さーて帰宅帰宅……って」

卯月「……」ポツン

未央「あれって……うづきん? なんで、まだ……」

凛「……探してた、から」

未央「っ!?」

凛「ようやく見つけた……なにやってるの? 未央」

未央「り、凛……なんで……」

凛「いったでしょ。探してたから」ガシッ

未央「やっ……はなしてよ……私なんか……」

凛「ダメ。卯月も、プロデューサーも心配してたんだから……顔見せてあげなきゃ」

未央「プロデューサーが、私をなんてそんなこと……」

凛「あるの。今日……本当はその話がしたかったのに、来なかったから」

未央「……え?」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:26:35.40 ID:g4nmhQBd0
未央「……」

卯月「よかった、よかったよぉ……未央ちゃんが行方不明って聞いて私、私……」

未央「そんな大げさなのじゃないし……凛、なんていったの?」

凛「……未央がちょっとおかしかったっていっただけ」

卯月「違うよ、凛ちゃんすっごく心配してて……」

凛「してない」

卯月「それでプロデューサーさんと、私に連絡がきて探さなきゃ! ってなってね」

未央「……凛」

凛「別に……私も少し強く言いすぎたかもって思っただけ。でも本心だったから」

卯月「凛ちゃん、でも……」

凛「卯月は黙ってて」

卯月「……凛ちゃん」

未央「……本心、って。私の努力が足りないっていいたいの?」

凛「違う。そこじゃない」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:27:06.55 ID:g4nmhQBd0
未央「じゃあ、どこ?」

凛「休んだのがもったいない、ってところ」

未央「……別に。私なんかいなくてもなんでもないでしょ?」

凛「未央……」

未央「私に声援なんて無い。脚光なんてなおさら……モブその1がいいところだよ?」

凛「そんなわけ……」

卯月「そんなわけない!」

未央「う、うづきん?」

卯月「違うよ、私だって……私達一緒に頑張ってたもん! 未央ちゃんだって!」

未央「……あはは。それはうづきんに才能があったからだよ」

卯月「そんなことない。私は……」

凛「……私も。卯月には才能があるって思うよ」

卯月「り、凛ちゃん!?」

未央「ほら、やっぱり」

凛「……でも。勘違いしないで」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:28:10.15 ID:g4nmhQBd0
未央「勘違い? なにが?」

凛「私が……一番才能があると思ったのは未央だよ」

未央「……あはは。ありえないでしょ?」

凛「本気だよ」

未央「私だけだよ? 同期で……シンデレラプロジェクト1期生で一切芽がでてないの」

凛「それでも、私は未央が一番私達の中で才能があると思ってる」

凛「……あの、星井美希みたいに輝けるって思ってる」

未央「……ずいぶん買いかぶってくれるんだね。あのトップアイドル並の才能?」

凛「うん、未央ならやれるって思ってる」

未央「……運動会だって、一切目立たなかったよ」

凛「……映像、見たよ」

未央「映ってなかった、でしょ?」

凛「ううん。卯月を目立たせるために……最高のサブをしてた」

未央「……偶然でしょ。そんなの」

凛「違う。未央は無意識に人のために動きすぎてるだけ」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:29:14.39 ID:g4nmhQBd0
未央「人のため? それこそモブってことじゃん……」

凛「違う! 私は……見てみたい。未央が自分のために、自分自身のために歌うところを!」

未央「私はやってるよ。私自身の精一杯だよ!」

凛「それなら、わかってないだけだよ! 未央は……未央なら……」

未央「なにさ!」

凛「私は、未央とユニットが組みたいのに!」

未央「……はい?」

卯月「り、凛ちゃん。それ今言っちゃ……」

凛「あっ……」

未央「ユニット? うちの事務所の看板の凛と、私が?」

卯月「……あ、あと私も……かな?」

未央「……2人とも、私のことおちょくってるの?」

凛「……本気だよ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:29:56.44 ID:g4nmhQBd0
未央「あはは……エイプリルフールはこの前終わったでしょ?」

凛「……本気。未央と一緒ならもっとやれると思ってる」

未央「引き立て役にしたって、もっとマシな人がいると思うけどね……」

凛「引き立て役なんかじゃない。私達を引っ張っていける人として、未央が欲しい」

未央「……それこそ笑えないよ。2人はCDデビュー。私はそんな話どころか売れてすらいない」

凛「……初めて未央に会った時」

未央「えっ?」

凛「私は、すごいって思った。同期で、同い年にこんな相手がいるなんてって」

未央「……おだててもなにもないよ」

凛「でも。最近の未央は……人のために歌ってる。人のためにやってるように見えてた」

未央「私は私なりにやってるよ」

凛「……嘘。だって、最初のころは何度も聞かせてくれたじゃんか」

凛「トップアイドルになるって……最近、未央の口から聞いてないよ」

未央「……だって、無理だってわかっちゃったし」

凛「そんなことない。そんなわけない……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:30:28.69 ID:g4nmhQBd0
凛「私は、初めてあったころの荒削りで、破天荒な未央のことが大好きだった」

未央「……」

凛「でも……今の未央は、誰かのためにやってるみたいで、辛そうだから」

未央「……知ったようなこと、いってくれるよね」

卯月「み、未央ちゃん……」

未央「本気で。私がまだやれると思ってるんだね?」

凛「うん。未央は私達よりもずっとすごいアイドルになると思ってる」

未央「……はぁ。そこまでいわれたらやる気出ないとかいえないじゃんか」

卯月「じゃ、じゃあ未央ちゃん……」

未央「少し、考えさせて。今の私じゃつりあわないから」

凛「……未央」

未央「ちょっとだけ、やる気でた。さぼってごめん」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:30:58.50 ID:g4nmhQBd0
未央「それじゃあ、また明日」

凛「……うん。待ってるから」

卯月「み、未央ちゃん。私も……」

未央「……うづきんは年上なのにいじめたくなるなぁ、ほれほれー」ムニッ

卯月「ひゃぁっ!?」

凛「ちょ、ちょっと未央!?」

未央「凛も揉んであげよう!

凛「バ、バカやめっ……」

未央「うんうん、両手に花だね!」

卯月「未央ちゃんやめてぇー!」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:31:35.49 ID:g4nmhQBd0
未央「ただいまー……凛も叩かなくてもいいのになぁ」

未央「……」

未央「私が、やれるって……本気で思ってる……か」

未央「私がアイドルを目指した理由って……なんだっけ……」

未央「……誰よりも、歌もダンスもうまくやれると思ってたから?」

未央「でも現実は違って……うまくやれなくて……」

未央「私がいなくてもいいって思ったのっていつだっけ?」

未央「こんな普通の日々が……辛くて難しいって思ったのは……」

未央「……」

未央「……でも」

未央「凛達は、本気で私のことをできると思ってる……のかなぁ」

未央「才能なんて……私にはないのに」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/20(金) 00:32:08.17 ID:g4nmhQBd0
未央「でも……私にも得意なこと、あったよね」

未央「ダンスなら……まだ、凛にだって負けてない」

未央「歌だって、うづきんにはまだまだ負けてられない……」

未央「……そうだよね」

未央「世界のために、私がいるんじゃない……私は……私らしくいたい……」

未央「私のための、唄なんかない。でも……そんなの問題無い」

未央「私は、私のために歌って……自分のために、歌ってみたい」

未央「凛と、うづきんが……私のことを信じてくれるなら……」

未央「いつか。大きな声で……唯一人のための唄が歌えるような」

未央「強い人に。才能がないって悩む人の憧れになれるように」

未央「……なんてね」

未央「まずは、うづきんや凛に追いつけるようにがんばらなくちゃ」

未央「……やってみせるから。トップアイドル目指して! 二人に、並んで見せるんだから!」

未央「だから今は、おやすみ……思いっきり寝て、明日から本気だすよ」


おわり

引用元: 本田未央「いつか大きな声、唯一人のための唄」