1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 14:58:26.55 ID:1KHDvUwC0
召喚の儀式――セイバー召喚


セイバー「問おう、あなたが私のマスターか」

ルイズ(な、なによこいつ偉そうね……)

ギーシュ「おお、金髪のかわいこちゃ……あだっ!」

モンモランシー「ギーシュ……」ジロリ

ギーシュ「ひぃっ!」

セイバー「……?」

ルイズ「ってそうじゃなくて!なんで使い魔召喚で人間が出てくるのよ!」




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 14:59:00.83 ID:1KHDvUwC0
ルイズ(キュルケはサラマンダー、タバサはドラゴン……使い魔に人間なんて聞いたことないわ!)

セイバー「使い魔、とは?確かに我らサーヴァントは使い魔といえば使い魔ですが……」

ルイズ「だーっ!うるさい!黙ってなさい!」ブンブン

セイバー「マスターがそういうのならば」スス

ルイズ「あら、随分と聞き分けがいいのね」

ルイズ「ミスタ・コルベール!」

コルベール「どうしました?」

ルイズ「もう一度召喚のやり直しを!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 14:59:46.61 ID:1KHDvUwC0

コルベール「それはできない」

ルイズ「えっ……ど、どうしてですか?」

コルベール「この儀式はメイジとして一生を決める神聖なモノ。やり直しなどということはあってはなりません」

ルイズ「そっ、そんな」

コルベール「諦めてその使い魔と契約をしてください、ミス・ヴァリエール」

ルイズ「ぐぬぬ……」ギロリ

セイバー「?」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:00:49.04 ID:1KHDvUwC0
コルベール「さあ、契約の口づけを」

ルイズ「ぬぬぬぬぬぬ……」

コルベール「さあ」

ルイズ「あー!もうわかったわよ!あんた!じっとしてなさい!」ガシッ

セイバー「むぐ……マスター……なにを」

チュッ

「おぉ!」「キマシ」「ざわざわ」

セイバー「……なにを、するのですか」チャキ

ルイズ「なにって契約の口づ」

スパッ

セイバー「私を愚弄するというのなら、マスターといえど容赦しません」ス

ルイズ「! なに、剣?マントが切れてる?」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:01:39.96 ID:1KHDvUwC0
セイバー「今は剣を収めますが、次があった場合は令呪を使いでもしない限り命はないと思ってください」

ルイズ(なによこいつ……早すぎて見えなかったわ)

コルベール(これは……)ゴクリ

コルベール(いや、今は生徒の安全を、おや?)

セイバー「うぐ、体が熱い……、これは、魔力の暴走?……く」シュゥゥ...バタリ

ルイズ(た、倒れた?何なのよこいつ、もう)ハァ

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:02:53.42 ID:1KHDvUwC0
セイバー「く、う」パチリ

セイバー(私は、気を失って……。というかなぜ私は牧草の上で?)

ルイズ「目が覚めたのね」

セイバー「すみませんがマスター、私は一体」

ルイズ「いきなり気絶したのよ。全くあんたを運ぶの大変だったんだから」

セイバー「申し訳ありません……」

ルイズ(なぜか浮遊の魔法は効かないし……)

ルイズ「そんな素直に謝られると調子狂うわ。で、貴女名前は?」

セイバー「……重ねて申し訳ないのですが、今はまだ名乗るわけにはいきません」

ルイズ「はい?」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:04:06.68 ID:1KHDvUwC0
セイバー「この地に召喚された際に大体この世界がどういったものかという情報は得ました。
      だが、おかしい。このような土地で聖杯戦争が起こるとは思えません、マスター。あなたは聖杯という単語に聞き覚えは?」

ルイズ「聖杯?聞き覚えがないわ」

セイバー「やはり……。私は本来この地には召喚され得ない……。失礼ですが、手の甲を見せて頂けないでしょうか」

ルイズ「別にいいけど、はい」

セイバー(令呪は、ない。しかしマスターからの魔力の供給は滞りない、とりあえずこの地に留まる必要がありそうです)

セイバー「ありがとうございます、マスター。私のことはセイバーと呼んでください」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:04:41.07 ID:1KHDvUwC0
ルイズ「わかったわ。あと、その『マスター』ってのむず痒いからやめてくれないかしら」

セイバー「ではなんとお呼びすれば」

ルイズ「ルイズでいいわ、なんかあんた長い名前とか嫌いそうだし」

セイバー「ルイズ。ルイズですね、了解しました。良い響きです」

ルイズ「はいはい」

セイバー「ではルイズ、私はこれから何をすれば」

ルイズ「とりあえず」フクヌギフクヌギ

ポイッ

セイバー「むぐ」

ルイズ「洗濯ね」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:05:51.83 ID:1KHDvUwC0


ルイズ「驚いた、あんた洗濯もできないのね……」

セイバー「も、申し訳ないです……」

ルイズ「もしかしてあんた家事って」

セイバー「私は戦闘専門なので……」

ルイズ(戦闘専門って……いくら騎士みたいな恰好してても私と対して変わらない歳みたいだし、明らかに華奢だし……)

ルイズ(召喚の時のアレは不意打ちみたいなもんだから何とも言えないし……、まぁいいか)

セイバー「そんなことより、お腹がすきました」グゥゥ~

ルイズ「ああそういえば食事の時間ね。行くわよセイバー」

セイバー「食事ですか!」ガタッ

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:06:44.29 ID:1KHDvUwC0
セイバー「ルイズ……なんですかこれは」

パン スープ

ルイズ「何って、あんたの食事よ」

セイバー「これではいざという時に力がでません!」バン!

ルイズ「うるっさいわねぇ。そんなにご飯が食べたけりゃ何か功績でも上げることね。
    あんたは動物じゃなくてめっずらしい人間の使い魔なんだから何かうまくやれば爵位とかもらえるかもしれないわ。
    戦闘専門だっけ?良かったじゃない、おあつらえよ」

ルイズ(まあ、あり得ないだろうけど)

セイバー「では明日から早速何か仕事を……」

ルイズ「いいえ、あんたは家事の訓練よ!」

セイバー「そ、そんな」ガーン

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:07:17.92 ID:1KHDvUwC0
翌日―授業―

ルイズ(まったくこいつは、ここまで家事の才能がない人間は初めてだわ……)

セイバー「ここが教室ですか、人が大勢いますね」

ルイズ(セイバーは付いてきちゃうし……)

「ざわざわ」「あれルイズの使い魔だってさ」「へえ可愛いじゃん」「でも平民らしいぜ?」

ルイズ(落ち着かない)ハァ

シュヴルーズ「ミス・ヴァリエール。あなたの使い魔は目立ちすぎますわ」

ルイズ「はい、えっと……」チラ

セイバー「私は気にしませんので、どうぞ続けてください」

シュヴルーズ「生徒があなたのせいで集中できていないのです……」


その後ルイズは錬金に失敗し爆発を起こした。
セイバーは後片付けの役には立たなかった。

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:08:01.87 ID:1KHDvUwC0
翌日――中庭

セイバー「…」トボトボ

シエスタ「げ、元気出してください」

セイバー「しかし、なぜ私がこのようなマネを……」

シエスタ「ま、まあ仕方ありませんよ」

セイバー「確かに後片付けも満足にできない私も悪い、ですが給仕の仕事など……」

シエスタ「あはは……」

セイバー「そういえば、あなたは?」

シエスタ「私は学院でお仕事をさせてもらっているメイドのシエスタです」

シエスタ「平民の使い魔さんがいると聞いて興味はあったんですよねー」ニコニコ

セイバー「そうですか……ですが今の私は使い魔というより給仕……」

シエスタ「あ、あははー」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:09:19.58 ID:1KHDvUwC0

ギーシュ「それでね、モンモランシー!僕の使い魔がねペチャクチャペチャクチャ」

モンモランシー(こんなモグラのどこがいいのかしら……)

ギーシュ「ふぅ、話しつかれたな。おい、給仕君」パンパン

セイバー「…はい」

ギーシュ「おや、君はルイズの使い魔のカワイコちゃんじゃあないか!どうだい、僕と食事でも」

モンモランシー「っ、ギーシュあなたまた」

パン

セイバー「失礼ですが、私は女性扱いされるのが嫌いなので」

ギーシュ「……なに?」

セイバー「見たところあなたには決まった女性がいるのではないでしょうか」

ギーシュ「それは……」

セイバー「それなのに私に言い寄るなどと、男の風上にも置けない」フゥ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:10:07.62 ID:1KHDvUwC0
ギーシュ「ふ、ふふふ、言わせておけばこの平民め!」

セイバー(私は平民ではないのですが、昨夜ルイズと話し合った結果私の居た国などはこの世界の歴史には存在しないようなので、平民ということにしていますが)

セイバー(やはり多少訂正したくなります)

ギーシュ「決闘だ!」

「ザワザワ」「オイオイ」「相手は平民だぞ」「ダメだよギーシュはプライドが高いんだ」

セイバー「……いいでしょう、受けて立ちます」

一同「!!」

ギーシュ「ほう、女の子にしてはいい度胸だ。だがまあ僕に勝つのは不可能だろうね。
     その可愛い顔に傷がつかない程度に叩きのめしてあげるよ!」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:13:33.96 ID:1KHDvUwC0
ルイズ「ちょっと!何?なになに?何の騒ぎ?」

「ギーシュと平民が決闘だ!」「やれやれー」

ルイズ「っ、あのバカ!」タタタ

シエスタ「あわわ、ミスヴァリエール……どうしましょう……」

ルイズ「止めるのよ!」

ガシッ

モグラ(ここから先へは行かせねえ!)

ルイズ「ちょっこのっ話しなさいギーシュの使い魔ー!!」

シエスタ「先生を呼んできます!」タタタ

ギーシュ「ま、君が素手で僕が魔法を使うというのは美しくない。これを使いたまえ」ポイッ

セイバー「必要ありません。我が勝利の剣はこの一振りのみです」ヒュンッ

ギーシュ「ぷっアハハハ!君は愉快だね!何も手に持ってないじゃないか!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:15:11.23 ID:1KHDvUwC0
キュルケ「あらあら、面白い見世物やってるじゃないの」

タバサ「……風の魔力」

キュルケ「え?」

タバサ「あの使い魔。ものすごい風の魔力で何か、隠してる。あの魔力はトライアングル以上」

キュルケ「へえ、私は炎ばっかりだからよくわかんないわねぇ。というかまな板のルイズは何をしているの?」

ルイズ「やめなさいセイバー!メイジと決闘なんて怪我じゃすまないわよー!」キーキー

タバサ「モグラと遊んでる」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:18:28.96 ID:1KHDvUwC0
ギーシュ「ま、君が何を考えているなんてのはよくわからないがね。平民がメイジと貴族に逆らってはいけないということをその体に教えてあげるよ!」

「やっちまえー!ギーシュ!」「生意気な平民をたたき潰せー!」「ギーシュ様すてき~」

ギーシュ「逃げ出さないことは褒めてやる。僕の二つ名は『青銅!』青銅のギーシュだ。そして僕が操るのは青銅のゴーレム、『ワルキューレ』だ!」

ズズズズズ

セイバー(魔術による人形の精製……、確かに並みの魔術師ではなさそうです)

ギーシュ「さあ行け!僕のワルキューレ達!」

セイバー(ですが――)

キィン ガラガラ

セイバー「――弱い」ニヤリ

ギーシュ「……え?」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:24:03.26 ID:1KHDvUwC0
「な、なんだ?」「空中で手を振っただけでギーシュのゴーレムが!」「なんだあの平民!」

セイバー(それにしても、いつもより剣が軽いような……?というかこの手の甲の輝きは……?)

ギーシュ「き、君!今何をした!まさか君はメイジか?」

セイバー「メイジ?ああ魔術師のことですか」

ルイズ「っとやっと解放されたわ、まったく手のかかるモグラ!」

ギーシュ「おやルイズじゃないか。今更何しに来たんだい?」

ルイズ「いい加減にしなさいよ!決闘は禁止されてるのよ!」

ギーシュ「それは――(まさかこいつがメイジだなんて思わなかったぞ……、ここはルイズの言うとおりに)」

「バーカだなルイズ!貴族同士の決闘が禁止されてんだよー!」「平民と貴族なら全然オッケーだってーの!」

ルイズ「うぐ……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:28:09.62 ID:1KHDvUwC0
ギーシュ(み、見てるだけだからって余計なこと言ってからに!)

セイバー「話は終わりましたか?」

ギーシュ「ぐう……、調子に乗るなよ!平民が!」フワッ

ズズズズズズズズズズズ

ギーシュ「この量のワルキューレを相手にできるか……?」

キィン キン カィン !!

「おお、押してるぞギーシュ」「やれやれー!」「ワルキューレが六体!ギーシュ様かっこいー!」

ガキィン!! ズザァァ

セイバー「――もう、やめましょう」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:30:34.39 ID:1KHDvUwC0
ギーシュ「ん? なんだ負けを認めるのか平民」

セイバー「――あなたの魔術で私は到底倒せない」

ギーシュ「負け惜しみを!やれワルキューレ!」

パキィン ガラガラガラ

ギーシュ(な――ワルキューレが全て崩れて)

セイバー「勝敗は既に付きました。学園を傷つけないように手加減をしていましたが、これ以上は難しい」

ギーシュ「そんな、バカ、な」

セイバー「これ以上やると言うのなら、少々の怪我は我慢して貰おう」チャキ

ギーシュ「ひ、ヒィッ!」

セイバー「……」

ギーシュ「ま、参りましたぁ!」

「ワァァァァー」「嘘だろおい!」「平民強すぎィ!」

ルイズ「す、すご……」

セイバー「ふぅ、お腹が空きました……」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:33:50.75 ID:1KHDvUwC0
図書館――

コルベール「こ、これは大変だ……」


学園長の部屋――

オスマン「ふむ、土くれのフーケか」

ロングビル「ええ、犯行予告が来ています」

オスマン「放っておけ、学園の宝物個を破れるメイジなどおらんよ」

ロングビル「……では、失礼します」

キィ...バタン

オスマン「さぁてとミスロングビルの残り香でも」スゥー

バタァン!!

コルベール「大変です!オールド・オスマン!」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:37:10.91 ID:1KHDvUwC0

コルベール「それがカクカクジカジカ」

オスマン「ふむ、ミス・ヴァリエールの使い魔が伝説の使い魔ガンダールヴかもしれない、と」

コルベール「ええ、彼女が気絶した際に確認した手の甲の文字。あれは間違いありません」

オスマン「これは、一大事かもしれんのう」


ガチャリ

ロングベル「オールド・オスマン。大変です、広場で決闘騒ぎが起こっています」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:37:44.12 ID:1KHDvUwC0
オスマン「ハァ、暇を持て余した貴族はすぐそういう方向へと……。で、誰と誰が暴れておるのだね?」

ロングベル「一人はギーシュ・ド・グラモン。相手はメイジではなくミス・ヴァリエールの使い魔です」

コルベール・オスマン「なに!」ガタッ

ロングベル「教師の間で『眠りの鏡』の使用許可を求める声がありますが」

オスマン「アホう。子供の喧嘩に秘法なぞ使ってどうするのじゃ。放っておけ……、いや」

コルベール「……」

オスマン「少し見てきてくれるかの、ミス・ロングビル」

ロングベル「わかりました」ガチャリ

オスマン「で、なんじゃったかの?ミスタ・コルベール」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:39:21.17 ID:1KHDvUwC0

セイバー「お腹が空きました……」

ルイズ「全く、貴族相手に喧嘩するなんてバカよ!大馬鹿!」

セイバー「騎士として決闘を拒むなど持っての他です。ルイズ」

ルイズ「なーにが騎士よ!まったくかっこつけて」

セイバー「それに安心してください、私はあの程度の相手には遅れを取りません」

ルイズ「まあそうみたいだけど……。今後は気をつけなさいよね、あんたは私の使い魔なんだから!」

セイバー「ルイズ、食事を」キリ

ルイズ「聞けぇぇーーー!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:41:51.41 ID:1KHDvUwC0
決闘かr数日後――

セイバー「買い物、ですか?」

ルイズ「そうよ」

セイバー「私は特に買うものはないです」

ルイズ「あ・ん・た・じゃ・な・い・わ・よ!」

セイバー「では、ルイズの買い物ですか」

ルイズ「当たり前じゃない!……まぁついでにあんたの服も買ってあげてもいいけど」ボソリ

セイバー「?」

ルイズ「その鎧よ!いつもガッシャガッシャとうるさいのよ!いいから来る!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:47:31.55 ID:1KHDvUwC0
城下街――

ルイズ「わぁ!素敵よセイバー!」

セイバー「そ、そうでしょうか……」

ルイズ「ええ、とても似合ってるわそれ!」

セイバー「しかしこれはルイズの着ている制服では」

ルイズ「何か文句ある?」

セイバー「いえ、こういった服は戦闘には不向きですが、たまにはいいものです」

ルイズ(しかし殺人的に似合ってるわコレ、男が視たら卒倒モンよ)

ルイズ「あ、武器とかはいいの?」

セイバー「武器は持っているので」


キュルケ「ついてきたけどつまんなぁ~い」

タバサ「ユニーク」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:53:24.33 ID:1KHDvUwC0
その後キュルケと一悶着あって――


フーケ「学園の宝物庫、意外とチョロイわね」

フーケ「これが『破壊の杖』フフフ、確かに頂いたわ」

ルイズ「な、なにあれ」

キュルケ「ゴーレム……大きい……」

セイバー(お腹減った……)

フーケ「おさらば!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 15:56:24.80 ID:1KHDvUwC0
翌日――

オスマン「破壊の杖を盗られたじゃとぅ!?」

先生「申し訳ありませんオールド・オスマン……しかし目撃者がいます」

オスマン「……呼んできなさい」

オスマン「……それで、残ったのは土くれだけか。手がかりは黒いローブを着たメイジというだけ」

キュルケ「はい、あの手際の良さは相当の腕ですわ」

ルイズ「確かに……」

セイバー(昨日の騒動でまだご飯にありつけてません……)グゥゥ

オスマン(あれが、伝説のガンダールヴ。めんこいのう)チラチラ

ロングビル「目線が嫌らしいですよ、オールド・オスマン」ガチャ

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:03:07.70 ID:1KHDvUwC0

オスマン「ミス・ロングビル!今までどこに居たのかね?」

ロングビル「ええ、今朝から少々調査を。その甲斐あってか、土くれのフーケの居場所が分りました」

コルベール「なんですとぅ!?」

オスマン「居場所が分ったのなら話が早い。討伐体を組む、誰か立候補はないかの?」

先生たち「……」

オスマン「なんじゃ情けない……、ならば指名して――」

ルイズ「……」ス

キュルケ「ルイズ!?」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:03:52.26 ID:1KHDvUwC0
先生「ミス・ヴァリエール。あなたは生徒じゃありませんか!ここは先生に――」

ルイズ「誰も、立候補しないじゃないですか!」

先生「……」

キュルケ「ルイズには負けられませんわ」ス

タバサ「……」スス

キュルケ「タバサ、別にいいのよ?」

タバサ「心配」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:07:03.24 ID:1KHDvUwC0

オスマン「ほっほっほ。なら若い者たちに任せようかの。ミス・タバサはシュヴァリエの爵位を持つ名誉ある騎士でもある。
      戦力に不足はあるまいて」

キュルケ「ほ、本当なの?」

タバサ「……」コクン

オスマン「それに、ミス・ツェルプストーは名家の炎使いの令嬢」

キュルケ「ま、まあねえ」

オスマン「ミス・ヴァリエールは家柄も良く――」チラ

セイバー(何か、食べ物が欲しい……)グゥゥ

オスマン「立派な使い魔もおるしの!」

ルイズ(私の価値って家柄とコイツだけなのね……)

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:10:51.37 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「馬車まで出してくれるなんて親切ね」

キュルケ「そこの平民さんも、馬じゃなくて馬車で良かったわね」

セイバー「何を言うのですか。私の騎乗スキルB+にかかれば騎馬程度なんということはありません」

キュルケ「騎乗……なに?」

タバサ「ユニーク」

ルイズ「タバサ、それ何持ってるの?」

タバサ「何か役に立つかもしれない」

ルイズ「そう」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:14:19.54 ID:1KHDvUwC0
森の中

ロングビル「この先は徒歩で行きましょう」

ルイズ「なんか不気味ね……」

キュルケ「あら、ビビってるの?」

ルイズ「違うわよ!」

セイバー「お二人は仲が良いですね」

ルイズ「良くない!」

キュルケ「あぁんルイズちゃんったらひど~い。っていうかセイバーはなんでまた学園の制服を着てるわけ?」

セイバー「ルイズが鎧姿が鬱陶しいと言うので」

キュルケ「ふ~ん。まあでも似合ってるわよ♪」

セイバー「ありがとうございます」ニコリ

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:17:01.51 ID:1KHDvUwC0
森の奥――

ロングビル「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」

ルイズ「廃屋ね。なんだか隠れ家っぽいわ」

タバサ「人の気配がない」

キュルケ「どうする?」

ルイズ「囮を使いましょう。あの中じゃゴーレムは作れないわ」

キュルケ「誰がやるのよ、私は嫌よ」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:17:37.86 ID:1KHDvUwC0
セイバー「見るまでもありません。中には誰もいない。私が行きましょう」スク

ルイズ「ば、バカっ!」ガシッ

セイバー「な、なにをするのですかルイズ」

ルイズ「中に誰か居たらどうすんのよ」ヒソヒソ

セイバー「居ません。絶対に」スタスタ

キュルケ「確かに小屋で誰かが動いた様子はないわね。騒いでるのに」

ルイズ「お願いだから先走らないでよ。メイジにはメイジなりの戦い方があるんだから……」

セイバー「難しいものですね」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:19:15.09 ID:1KHDvUwC0
タバサ「作戦は変更?」

ルイズ「セイバーが囮兼偵察役として小屋に踏み込んで、フーケが出てきたら一斉に魔法を浴びせるっていうのはどうかしら?」

セイバー「私が倒してしまってはダメなのですか?」

ルイズ「秘法を隠してる可能性があるから一人で戦っちゃダメよ」

セイバー「はい……」

ルイズ「……気をつけなさいよ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:20:22.15 ID:1KHDvUwC0

キュルケ「……」ハラハラ

タバサ「……」ハラハラ

ルイズ「……」ソワソワソワソワ

キュルケ「落ち着きなさいなルイズ」ヒソヒソ

ルイズ「だ、だって」ヒソヒソ

キュルケ「はぁ。それにしてもみんなで一斉攻撃なんて、あんた魔法使えるっけ?」

ルイズ「う、うるさい」

キュルケ「あんたお得意の『爆発』で破壊の杖を爆破しないでよね。ゼロのルイズ」

ルイズ「あ、あんた!」

キュルケ「ほーらちょっとはリラックスできたんじゃない?」ニヤニヤ

タバサ「出てきた」

ルイズ・キュルケ「!!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:21:59.51 ID:1KHDvUwC0
セイバー「…」スタスタ

キュルケ「手に何か持ってるわね」

タバサ「破壊の杖」

ルイズ「はぁ~」ホッ

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:26:52.51 ID:1KHDvUwC0

セイバー「これが『破壊の杖』ですか?」

キュルケ「そうよ。宝物庫見学で見たことあるから間違いないわ」

ルイズ「意外とあっけなかったわね」

セイバー「ふむ、これは……しかし」ヒョイ 

ピカー

セイバー(また左手の甲が、これは魔術のルーン?)

ルイズ「セイバー、あんた何か分かる?」

セイバー「ええ、わかります。これは――」

ドゴォォォォォォォォン!!!!

ルイズ「なに!?」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:28:46.56 ID:1KHDvUwC0
キュルケ「フーケのゴーレムよ!」

タバサ「……!」ブン

ゴォォォォォォォォォォォ!!! ドォォォン!!

キュルケ「タバサの竜巻でビクともしないの?ならっ!」

ボォォォォォォ!!

ルイズ「キュルケの炎でも無傷!?」

キュルケ「む、無理よこんなの!」

タバサ「退却」テテテテテ

ルイズ「ちょっとあんた達! ええいファイアボール!!」

ボカァァァァァン

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:29:54.03 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「やった、ばくは――」

ゴーレム「グォォォォォォォォ!!!!」

ルイズ「そんな!ならもう一発!」

セイバー「ダメですルイズ。一度引きましょう!」

ルイズ「いやよ!アイツを倒せば、倒すことができれば誰も私のことをゼロのルイズなんて呼べないんだからべなくなる!」

セイバー「ルイズ!」

ゴーレム「グォォォォォォォォォ!!!」

ズシィィィィィン

ルイズ「―――――あ、あれ?」

 

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:33:13.84 ID:1KHDvUwC0
 

セイバー「ルイ、ズ……早く退避を……!」グググ

ルイズ「い、いや!私はこのゴーレムを――!」

セイバー「ルイズ。言うことを!くっ、仕方ないっ」ドカッ

ルイズ「キャッ!」ゴロゴロ

セイバー「ルイズ。先日言ったように戦闘は私の領分です、ルイズは自分の役割に徹してください。自分から無駄死にされては、私でも守りようがない」

ルイズ(なに、この迫力……)コクコク

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:35:55.80 ID:1KHDvUwC0

キュルケ「ルイズ、ほら早く捕まって!」

ルイズ「シルフィード!」

タバサ「破壊の杖も」

ルイズ「た、助かったぁ」

バッサバッサ

ルイズ「セイバー!あんたも!」

セイバー「いえ、ルイズ、キュルケ、タバサ。あなた達は上空へ退避を」

タバサ「分かった」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:36:57.53 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「セイバー!!」

ゴーレム「グォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!」グワッ

セイバー「さて」パッ!

キュルケ「ってなにあれ!一瞬で鎧姿になったわよ?」

ルイズ「や、やっぱメイジなのかしら……」

タバサ「ユニーク」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:38:24.50 ID:1KHDvUwC0

セイバー「せいっ!」ブン

ズバッ!!

セイバー(破壊しても即時再生……厄介な)タタタッ

セイバー(しかしこの左手のルーン。武器を握ると何やら力が溢れてくるような)シュッ

バサッ!! ズシィィン!!

キュルケ「す、すごいわねあんたの使い魔」

ルイズ「でもダメよ、いくらあいつが強くてもあのゴーレムすぐ再生するわ……」

キュルケ「確かにあんな剣一本じゃどうにも……」

ルイズ「やっぱりこれを使うしか!タバサ!お願い!」

タバサ「ついでにこれも」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:40:11.17 ID:1KHDvUwC0

セイバー(これを消し去るには宝具を使うのが好ましいが、ここでは使えない。あれは威力が大き過ぎる……)

セイバー「ってルイズ!何をして!」

ルイズ「えいえい!」ブンブン

セイバー(破壊の杖……確かにあれなら!)

セイバー「それをこちらに!」ダッ

ゴーレム「グォォォォォォォ!!」

セイバー「邪魔をするな!」ブン

ズバン!! ズシャァァァァ!!

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:41:51.92 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「こ、これ?」

デルフ「おう久しぶりのシャバだぜ!!あんたが新しい相棒か」

セイバー「そんな玩具はいらない。そちらですルイズ」

デルフ「」ガーン

ルイズ「破壊の杖?そういえばさっきあんたわかるって」

ゴーレム「グォォォォォォォォォォォォ!!!」ズンズン

ルイズ「うわっこっち来るわ!」

セイバー「ルイズ!タバサ達に離れるように伝えてください!」シャッ カチャカチャ

ルイズ「! タバサ!できるだけ離れて!」

タバサ「…」コクリ

シルフィード「クェー!!」バッサバッサ

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:42:55.68 ID:1KHDvUwC0

セイバー「耳を塞いで!」

セイバー(このルーンから使い方が私に流れてくる。聖杯による召喚と似たモノか……)

ルイズ「何やってんのセイバー!」

セイバー「これは―――」ジャキ

セイバー(風王結界による魔力補助をかけて――!)

セイバー「こう使うのです!!」シュポンッ

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!

ルイズ「わひゃぁっ!」

キュルケ「な、なにあれ!」

タバサ「……破壊の杖」

セイバー(ま、魔力をかけすぎました)アセアセ

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:46:36.42 ID:1KHDvUwC0
キュルケ「焼野原ね……」

セイバー(しかしこれはキリツグに召喚された際に見た……、誰がこんなものを?)

セイバー(もしや前回の聖杯戦争の効果で何か)

ルイズ「ちょ、ちょっとセイバー……」

セイバー「どうかしましたか?」

ルイズ「こ、腰が抜けて動けないわ」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:49:02.50 ID:1KHDvUwC0

キュルケ「いやぁーこりゃ確かに破壊の杖だわー」

タバサ「…」コクコク

セイバー「弾切れですか、これはもう使えませんね」ポイッ ガシャン

三人「!!」ビクッ!

セイバー「安心してください。あれはもう動きませんよ」

ルイズ「そ、そう」

タバサ「……ミス・ロングビル」

キュルケ「あ!」

ルイズ「まさか、爆発に巻き込まれたんじゃ!」

タバサ「可能性はある」

ルイズ「どどどどど、どうすんのよセイバー!」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:50:09.76 ID:1KHDvUwC0

ロングビル「ご心配なく」ヒョイ

三人「ミス・ロングビル!」

セイバー「あ、その破壊の杖は……」

ロングビル?「フフ……」ニヤリ ガチャ

セイバー(銃口をこちらに?)

ルイズ「どういう、ことですか?」

ロングビル?「さっきのゴーレムを操っていたのは私よ」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:53:31.09 ID:1KHDvUwC0

キュルケ「じゃ、じゃああなたが……」

フーケ「そう。私が『土くれ』のフーケ。フフ、面白いわねこれ。確かに破壊の杖ね」

ルイズ「くっ!」

フーケ「動かないで、さっきのゴーレムみたいに蒸発したくなければね。全員杖を遠くに捨てなさい」

ルイズ「う…」ポイッ

タバサ「……」ポイッ

キュルケ「こんな……」ポイッ

セイバー「……(何を投げましょうか)」ナゲタフリ

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:54:24.23 ID:1KHDvUwC0

フーケ「私ね、この杖を奪ったのはいいけど使い方が分からなかったの」

ルイズ「使い方?」

フーケ「振っても魔法をかけても何も起こらない。これじゃ宝の持ち腐れでしょ?そこであなた達にこれを使わせてみたわけ」

フーケ「ま、計画通りってところかしらね」ジリジリ

ルイズ「それで、私たちの案内役をかってでたわけね」

フーケ「そうよ。魔法学院の者なら知っててもおかしくないでしょ? そこのお嬢さんが使い方を知ってるなんて思わなかったけど」

セイバー「……」

フーケ「さて、この距離なら私も安全かしらね。じゃさようなら。短い間だったけど楽しかったわ」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:55:37.35 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「っ!」

タバサ「!」

キュルケ「!」

セイバー「――ふ」

フーケ「勇気があるのね」

セイバー「引き金を引きたくば引けばいい」スタスタ

フーケ「な、何を言って」カチ

セイバー「……」スタスタ

フーケ「なんで動かないの!?」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:56:50.02 ID:1KHDvUwC0

セイバー「はぁっ!」ドカァッ

フーケ「えぐぅっ……」

セイバー「これは一発しか撃てない武器だ。そこらに捨てていれば愚かな賊が出てくるかと思ったが、ここまでうまくいくとはな」

フーケ「そん、な」

セイバー「眠っていろ、下郎」ガッ

フーケ「かはっ」バタリ

ルイズ「セイ、バー?」

セイバー「終わりましたよ。ルイズ」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 16:59:35.64 ID:1KHDvUwC0


デルフ「いらない……イラナイ……このインテリジェンスソードのデルフ様を……」

タバサ「どんまい」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:01:07.52 ID:1KHDvUwC0

学院長室――

オスマン「ふむ、まさかミス・ロングビルが土くれじゃったとはのう。美人だったもんで油断しとったわい」

全員(死んだほうがいいな)

オスマン「……コホン」

オスマン「さてと、君たちはよくぞフーケを捕まえ、『破壊の杖』を取り戻してきてくれた」

オスマン「フーケは城の衛士に引き渡し、破壊の杖は無事に宝物庫へと戻った。一件落着じゃ」

ルイズ「ふふん」

オスマン「君たちへの褒章は、追って王室から沙汰があるだろう。期待しておきなさい」

キュルケ「わぉ」

タバサ「……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:02:46.69 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「ちょっと待ってください学院長」

オスマン「なんだね?」

ルイズ「セイバーには、三人ということはセイバーには何もないのですか?」

オスマン「……残念じゃが、彼女は貴族ではない」

ルイズ(そんな……今回はほぼあいつの手柄で、私なんて何もしてないのに……)

セイバー「構いませんよ、ルイズ。私が今手にしたいのは聖杯のみです」

ルイズ「セイバー……」

セイバー「私は恩賞などに期待してルイズを助けたわけじゃないですよ?」ニコッ

ルイズ「セイバーがそれでいいなら、私は何も言わないわ」

セイバー「ええ」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:05:35.67 ID:1KHDvUwC0

オスマン「話もまとまったようじゃな。さて、今日は『フリッグの舞踏会』じゃ」ポンポン

オスマン「『破壊の杖』も戻ってきたことじゃし、予定通り行事を執り行うぞ」

キュルケ「そうでしたわ!フーケの騒ぎですっかり忘れておりました!」パァァ

オスマン「その席で踊ったカップルは必ず結ばれると伝えられている舞踏会じゃ。そして今日の主役は君たち! 用意をしてきたまえ。せいぜい着飾るのじゃぞ」

ルイズ「セイバー、行きましょ?」

セイバー「すみません。私は学院長と少々お話があるので先に行っていてください」

キュルケ「失礼しましたわ」

タバサ「……」ペコリ

キィ...バタン

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:06:54.25 ID:1KHDvUwC0

オスマン「何か聞きたいことがあるようじゃの」

セイバー「あの破壊の杖はどこで手に入れたものか、あなたに問いたい。あれは危険な代物、かつこの世界にはないものだ」

オスマン「……わしもよくわからぬが、それでもいいかの?」

セイバー「はい」

オスマン「十年ほど前じゃったか、突如としてトリステインに化け物が現れたのじゃ。ある説ではドラゴン。ある説では猛獣。わしも見たわけではなく定かではないが、我々は世界の滅びを覚悟した。
     だがそこに現れたのじゃよ、救世主が。」

セイバー「救世主……ですか」

オスマン「黒い衣服を着た30代くらいの人間じゃった。人間離れした動きと、『破壊の杖』を用いて化け物と戦ってくれたそうだ。腕利きのメイジが幾人も死んでいく中、彼は勇敢に戦った」

オスマン「……そして化け物を倒した彼は霧のように消えてしまったが、『破壊の杖』を残していったらしい」

セイバー「それが、今残っているものだと言うことですか」

オスマン「そうじゃ、化け物を滅した危険な代物として当学院の宝物庫に収められて門外不出となったがの」

セイバー(黒い衣服に『破壊の杖』……キリツグなのだろうか……いや、今決めつけるのは早計か)

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:09:21.43 ID:1KHDvUwC0

オスマン「そうそう。その左手のルーンのことなら知っておるぞ。それは始祖ブリミルの伝説の使い魔『ガンダールヴ』の印じゃ」

セイバー「……伝説?」

オスマン「言い伝えによると、『ガンダールヴ』はありとあらゆる『武器』を使いこなしたそうじゃぞ」

セイバー「ふむ」

セイバー(なるほど、そのガンダールヴとやらの力によって先ほどの武器の使い方がわかったのか)

セイバー「そうだ。あなたはその、化け物を倒した人間の名を知っていますか?」

オスマン「んー……なんじゃったかのう。ケリィトゥグ、とか言ったかの?」

セイバー(……キリツグじゃないようですね)

セイバー「ありがとうございました。では失礼します」ペコリ

キィ...バタン

オスマン「んー、めんこいのうあの使い魔」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:10:15.60 ID:1KHDvUwC0

デルフ「ようよう相棒ー!ってどこ見てやがる!こっちだこっち!……無視、無視しないでくれよー!」ガッチャガッチャ

セイバー「なぜ廊下にこのような面妖な物が」

デルフ「パーティー会場に行きたいんだろう?場所知らないだろう?案内するぜ!」

セイバー「知っているので必要ありません」スタスタ

デルフ「そんな……」

タバサ「どんまい」ヒョコッ


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:12:23.87 ID:1KHDvUwC0

パーティー会場

ルイズ「来ないなぁ、セイバー……って私達両方女だったわね、一緒に踊れるわけでもないし待っててもしょうがないか」

ルイズ(群がってくる男共を追い払っちゃったから踊る相手がいないし、そもそもあんなのと踊りたくないしなぁ)

タバサ「……」ガッチャガッチャ

ルイズ「タバサ?...何背負ってんの?ドレスが台無しよ?」

タバサ「問題ない」

ルイズ「そ、そう……」タジタジ

タバサ「……今日は、星が綺麗」

ルイズ「星?」チラ

セイバー(パーティー会場に制服で来てみましたが……何やら男性の視線が痛い……)

ルイズ(あいつ、バルコニーでなにやってるのかしら?)

タバサ「行ってあげたら?」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:14:31.65 ID:1KHDvUwC0

ルイズ「……そうね、私の使い魔が私以外と踊るのを見るのも癪だし!」

セイバー(いえ、恐れる必要はない。私はブリテン王。アーサー・アルトリアなのだから――)

セイバー「む、あれは美味しそうな料理ですね!いただきま」

ルイズ「セイバー!踊りましょ!」タッタッタ

セイバー「……」ショボーン

ルイズ「な、なによ。女同士じゃ嫌?」

セイバー「ふふ。いえ、何の問題もありませんよ。さあ踊りましょうルイズ」


こうして、夜は今日も更けていく――
セイバーは結局パーティーの料理を殆ど口にすることはできなかったそうな――

98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/16(月) 17:17:05.54 ID:1KHDvUwC0




第一部完 

引用元: セイバー「問おう、あなたが私のマスターか」 ルイズ「……人間?」