1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:49:05.19 ID:fgN8J0n/0
士「……どうやら、また新しい世界に来たみたいだが」

小学生「せんせー! おはよーございます!」

小学生「おはよーございまーす!」

士「今度の俺は教師、らしいな。とりあえず学校に行ってみるか」




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:49:56.83 ID:fgN8J0n/0
キーンコーンカーンコーン



士「出席を取るぞ。剛田……骨川……源……」



士「一人、来てないやつがいるな」



スネオ「せんせー。ノビタのやつです」

士「ノビタ?」

タケシ「遅刻じゃない方が珍しいよな、あいつ」

クラス一同「アハハハ!」



ガラガラッ!

ノビタ「すみませんっ! 遅くなりました!」

士「……おう。早く座れ」



士(こいつがノビタか。確かにトロそうだ……)


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:51:15.56 ID:fgN8J0n/0
ノビタ「……廊下に立ってなくていいんですか?」

クラス一同「ギャハハハ!」



士「なんだ。いつもは立ってるのか」

スネオ「先生がいつも立たせるじゃないですか」

士「そうか。……じゃあ立ってろ」

ノビタ「はーい……」

カラカラ……



士「ようしお前ら! 授業を始めるぞ!」



シズカ「……」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:53:06.86 ID:fgN8J0n/0
~光写真館~



夏海「士くんが教師!?」

ユウスケ「あっはは。士に勉強なんて教えられるのかよ」



士「やってみたが、案外ラクじゃないな。どいつもこいつも覚えが悪すぎる」

夏海「それは、小学生ですから……」

士「あ、でも、一人だけよく出来るやつがいたな。デキスギとかいったか」

ユウスケ「それで士、この世界では一体何が起こるんだ?」

士「……さあ」





バァン!

ノビタ「ドラえも~ん! またジャイアン達にいじめられ……」

士「ん」

ノビタ「え?」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:55:32.03 ID:fgN8J0n/0
ノビタ「先生!? ど、どうして僕の家に……?」

士「お前こそ。なんでここに」

ノビタ「あ、あれ……? ここ、僕の家じゃない……?」



ユウスケ「なんだなんだ?」

夏海「どうやら、今回はあの子の家が写真館に入れ替わっちゃったみたいですね……」



栄次郎「おーい、士君っ」

士「じいさん」

栄次郎「大変だよ。二階の押入れから変なタヌキが」

士「……タヌキ?」



ドラえもん「タヌキとは失礼な。僕はドラえもん、ネコ型ロボットだぞ」

ノビタ「ドラえもん!」

士「お、おいおい、何だこいつは……」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 19:58:10.33 ID:fgN8J0n/0
ドラえもん「ノビタ君、またジャイアン達にいじめられたの?」

ノビタ「明日のリサイタルまでにお客を集められなきゃ、ボコボコにするって~」

ドラえもん「しょうがないなあ……」



ドラえもん「まあ、それよりも今は」

士「ん……」

ドラえもん「なぜ、ノビタ君の家とここが繋がってしまったのか。謎を解く必要があるね」

士「なんだ。意外と話がわかるタヌキだな」

ドラえもん「タヌキじゃない! ネコ型ロボット!」



士「で? そのネコ型ロボット様はこの世界で何をしてるのか。聞かせてほしいもんだ」



ドラえもん「僕は……」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:01:06.93 ID:fgN8J0n/0
士「ノビタの未来を変えに来た、だと……?」

ドラえもん「うん。ノビタ君の子孫が、僕を22世紀からこの時代に送り込んだんだ」

士「22世紀……今から100年後の未来か」



ノビタ「ドラえもん! 早く何か道具出してよー!」

ドラえもん「ノビタ君」

士「甘やかし過ぎは教育に良くないぞー」

ドラえもん「え……?」



ユウスケ「あっ。士が何か立派なこと言ってる」

夏海「まあ、仮にも教師ですから」



士「お前もこいつに頼ってばかりいないで、自分の力でいじめっ子に勝ったらどうなんだ」

ノビタ「そんな……。僕がジャイアンに敵うわけないよ」

士「だからって、こいつに助けてもらってばかりじゃ、成長できないぜ」

ノビタ「……」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:03:57.12 ID:fgN8J0n/0
カチャ……

シズカ「ノビタさーん?」

士「ん?」

ノビタ「シズカちゃん!」

シズカ「あ、あら、先生? どうしてここに……」



士「こいつに何か用なのか?」

シズカ「え、ええ、ちょっとお話が」

ドラえもん「いいじゃない、ノビタ君、行っておいでよ」

ノビタ「うん」



ドラえもん「その間に、僕達は話をしよう……」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:06:27.82 ID:fgN8J0n/0
テクテク



ノビタ「シズカちゃん。どうしたの?」

シズカ「うん……ちょっと、ノビタさんに言っておこうと思って」



シズカ「明日のタケシさんのリサイタル。ノビタさんはどうする気なの?」

ノビタ「えっ。ま、またドラえもんに何か出してもらうよ」

シズカ「……ノビタさんのそういう所、よくないと思う」

ノビタ「シズカちゃん?」



シズカ「リサイタルに行きたくないなら、タケシさんにちゃんと言って断らなきゃ」

ノビタ「! そんなことしたらジャイアンに……」

シズカ「でも。いつまでもドラちゃんに頼りっきりでいいの?」

ノビタ「だって……ドラえもんは僕を助けるために未来から来てくれたんだよ」



ノビタ「ドラえもんは……いつだって僕を助けてくれるんだ」

シズカ「ノビタさん……」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:09:10.21 ID:fgN8J0n/0
士「俺がここに来た以上、この世界には何かが起こってるはずだ」

ドラえもん「何かが、起こってる?」

ユウスケ「そうだよ。士は世界を引っ掻き回す天才だからな」

士「お前は黙ってろ」



ドラえもん「そういえば、最近……この時代が誰かに監視されてるような気配があるんだ」

士「この時代を監視、だと?」

ドラえもん「詳しくはわからないけど。僕以外に、この時代で活動している者はいない筈なのに……」

士「どうやら、俺が戦わなきゃいけない敵は、着実に迫ってるようだな」



ドラえもん「君の方は一体何なんだ?」

士「俺は……世界の破壊者だ。今までも、これからもな」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:13:40.00 ID:fgN8J0n/0
~翌日、空き地~



タケシ「おーう、ノビタ! ちゃんと客は連れてきたんだろうな?」

ノビタ「う、うん……」

スネオ「へー、ノビタが一体誰を連れてきたんだ?」



士「俺だ。不満か?」

タケシ「! 先生!」

士「おまけもいるぞ」

夏海「おまけって何ですか。失礼しちゃう」

ユウスケ「俺も聴かせてもらおうかな」

ドラえもん「……」



スネオ「ノビタ、先生に泣きつくなんてずるいぞ!」

ノビタ「僕はそんな……」

士「俺が自分で聴きにきたんだ。タケシ、歌が自慢なんだろ? 聴かせてもらいたいな」

タケシ「……お、おう」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:15:59.50 ID:fgN8J0n/0
♪ホゲ~



士「な、なるほど、ひどい歌だ……」ヒソヒソ

ユウスケ「た、確かに。士よりひどいな」ヒソヒソ

夏海「士くんは意外と歌上手いんですよ?」ヒソヒソ



ノビタ「ド、ドラえもん、何か出してよ~」ヒソヒソ

ドラえもん「しょうがないな、じゃあ耳せんでも……」ヒソヒソ



ウ―――!



士「! 何だ?」

タケシ「っ! だ、誰だ? 俺様のリサイタルの邪魔をするのは!」



『申し訳ないな現地の少年。我々はタイムパトロール』



ドラえもん「!?」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:20:02.53 ID:fgN8J0n/0
ドラえもん「あれは、タイムパトロールの航時艇!」

士「なんだありゃ……」



太った隊員「時間犯罪者、ドラえもんの身柄を押さえに来た」

ドラえもん「ぼ、僕が時間犯罪者だって!?」

ノビタ「何かの間違いだよ!」

痩せた隊員「間違いではないぞ。逮捕状が出ている」



少年隊員「ネコ型ロボットのドラえもん。航時法違反で逮捕する!」

ドラえもん「ばかな……!」



士「どうなってやがんだ……」



タケシ「な、何なんだよ、ワケわかんねーよ!」

ノビタ「あの子……デキスギ君に似てるなあ」

スネオ「こんな時に何言ってるんだ!」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:25:00.63 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「我々はかねてから調査を進めていた。何者かが歴史を変えようとしている……と」

ドラえもん「僕はタイムパトロールに目を付けられるような事はしてないぞ!」

少年隊員「黙れ! お前の存在自体が歴史の流れを乱す悪なんだ!」



タケシ「お、おい、ちょっと待ってくれよ」

太った隊員「ん?」

タケシ「ドラえもんが犯罪者とかさ……何かの間違いじゃないのかよ」

太った隊員「そんなことはないぞ」

痩せた隊員「安心してくれ。タケシ君、スネオ君」

スネオ「どうして、僕達の名前を!」

痩せた隊員「我々が、君達にとってより望ましい世界にしてあげよう……」



ドラえもん「は、放せ! 話を聞いて――」

少年隊員「大人しくしろっ!」

ノビタ「やめてよ! ドラえもんを連れてかないで!」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:27:08.41 ID:fgN8J0n/0
士「おい!」

少年隊員「……何か?」

士「未来の世界の警察ってのは、ずいぶん乱暴な事をするんだな」

少年隊員「現地人には関係ない。口を出さないでもらおうか」

士「あいにく、俺はこの世界の人間じゃないんでね」



士「俺の目の前でそいつを連れてくのは、気に食わねえ」

少年隊員「……邪魔をする、と?」

士「口で言って聞かないならな」



少年隊員「……やれやれ。仕方ないな」



少年隊員「こちらタイムパトロール21世紀分隊。G電王システムの発動許可願います」



士「何……?」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:29:00.71 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「我々タイムパトロールには、時間の運行を守るための様々な実力行使が許されている」



少年隊員「その一つがこれだ……。変身!」

ファンファンファン……ギュピーン!



G電王「任務の障害は、排除する」



士「……やっぱり、どこの世界でも、こうなる定めか!」



士「変身!」

【カメンライド――ディケーイ!】





ノビタ「!」



ノビタ「先生が……変身した!?」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:32:55.03 ID:fgN8J0n/0
ユウスケ「士……」

夏海「士くん!」



ディケイド「おい、ドラえもんとか言ったな!」

ドラえもん「!」

ディケイド「捕まりたくないなら、お前も戦え!」

ドラえもん「た、戦えと言っても……」



G電王「お前も、公務執行妨害で逮捕する!」

ディケイド「やってみろ。やれるもんならな」



【アタックライド――スラァッシュ!】

ディケイド「ハッ!」

シュバッ!

G電王「はっ!」

ズキュゥン!


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:35:21.93 ID:fgN8J0n/0
ドラえもん「そうだ、こういうときは……『タンマウォッチ』!」



ドラえもん「時間停止!」

ディケイド「!?」ピタッ

G電王「!」ピタッ



ドラえもん「よ、よし、これで――」

G電王「無駄だな」

ドラえもん「何っ!?」



G電王「22世紀型の時間停止スイッチか。そんなローテクな技術が、我々に通用するとでも思ったか!」

ドラえもん「く……」



G電王「消えろ」

【Perfect weapon!】


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:36:48.85 ID:fgN8J0n/0
G電王「――ハッ!」

バシュゥゥゥゥゥッ!!



ドラえもん「ひ、ひらりマントっ!」

G電王「無駄だと言っただろう!」

ドラえもん「! ばかな、マントも効かな――」



ズガァァァァァン!!



ドラえもん「」



G電王「機能停止したか。……時間停止を解除」



ディケイド「! ドラえもん!?」

ノビタ「ドラえもんっ!!」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:40:58.16 ID:fgN8J0n/0
ダッ!

ノビタ「ドラえもん! ドラえもん、返事してよ!」

G電王「無駄だ。そのロボットの機能は完全に停止している」

ノビタ「な、なんでこんなこと――」

G電王「タイムパトロールに歯向かった報いだ。そこをどけ、少年!」バシッ!

ノビタ「うっ!」



ディケイド「おい、待てよ。まだ俺がいるぜ」

G電王「……あくまで邪魔を続けるというわけか?」

ディケイド「お前のやり方が気に食わねえ。俺の生徒に勝手に手を挙げたこともな」

G電王「何……?」

ディケイド「俺は仮にもそいつらの先生だ。黙って見過ごすわけには……いかねえな」

G電王「……馬鹿め」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:43:01.83 ID:fgN8J0n/0
シズカ「やめてーっ!」

G電王「ん?」

ノビタ「シズカちゃん!」



シズカ「やめて、ドラちゃんを連れてかないで……! きっと何かの誤解なんです!」

G電王「……この少女は……。そうか。なるほどな」



シズカ「お願い、話を――」

G電王「来い!」ガシッ!

シズカ「あっ!」



ノビタ「! シズカちゃん!」

ディケイド「野郎……!」



G電王「動くな。この少女の命が惜しければな」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:46:33.31 ID:fgN8J0n/0
ディケイド「おいおい。警察がそこまでやっていいのかよ」

G電王「関係ないな。我々の目的……歴史の運行を守るためなら」



【Perfect weapon!】

G電王「死ねっ!」

ズキュゥゥゥゥッ!!



ディケイド「っ! ぐあああぁぁっ!」

ドサッ……



士「……」バタッ

夏海「士くん!」

ノビタ「先生ーっ!」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:50:02.80 ID:fgN8J0n/0
タケシ「このっ……! シズカちゃんを離せ!」ダッ!

太った隊員「おっと!」ガシッ!

タケシ「こ、このやろ、離せっ!」

太った隊員「君達をどうこうする気はない。大人しくしているんだ!」



G電王「……ふん」

シズカ「は、はなして……!」



ユウスケ「こ、こうなったら俺が! 変し――」

G電王「無駄だ!」ズキュゥンッ!

ユウスケ「ぐあっ!」

夏海「ユウスケ!?」



ユウスケ「ぐっ……。やっぱ俺に出番はないのか……」


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:52:53.52 ID:fgN8J0n/0
G電王「見たか。我々に逆らう者はこうなるのだ!」

太った隊員「心配しなくても、君達の記憶は後で消してあげよう」

痩せた隊員「ドラえもんのことなんか忘れて、正しい歴史を生きていくんだ」



ノビタ「そんな……そんな!」

タケシ「納得できないぜ!」

スネオ「僕だってそんなの嫌だぞ!」



G電王「お前ら。ロボットを運び込め」

太った隊員「はっ!」



G電王「お前も、もう用はない」パッ!

シズカ「うっ……」



シズカ「ひどいわ。ドラちゃんが……ドラちゃんが何をしたっていうの!?」

ノビタ「そ、そうだよ! ドラえもんは何も悪いことなんて!」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 20:56:36.76 ID:fgN8J0n/0
G電王「……」シュゥッ



少年隊員「いい気なものだな。そのロボットが、どれだけ歴史の流れを歪めてきたか」



少年隊員「どれだけの人間から正しい人生を奪ってきたか、わかっているのか?」



ノビタ「……?」

シズカ「それって、どういう……」



少年隊員「ノビタ、君なんだよ。全ての元凶は」

ノビタ「えっ?」

少年隊員「君は本来なら、シズカとは結ばれず……恵まれない人生を送るはずだった」



少年隊員「それが本当の歴史なんだ。無理もない。勉強もできず、何の取り得もない君ならな」



スネオ「……言いたい放題言いやがって」

タケシ「ノビタの悪口を言っていいのは俺らだけなんだぞ!」


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:00:32.12 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「事は君達にも関わっているんだよ。スネオ君、タケシ君」

スネオ「?」

タケシ「何だって?」



太った隊員「時間改変は、君達の子孫の運命をも変えてしまったんだ」

痩せた隊員「あのロボットが君達の時代に来たことで、俺達は……」



ユウスケ「! まさか――」

夏海「あなた達は、スネオ君とタケシ君の……?」



太った隊員「ああそうだ! 俺達はタケシとスネオの遠い子孫さ!」

痩せた隊員「あのロボットのせいで、正しい歴史を生きられなかった人間なんだよ!」



シズカ「ド、ドラちゃんが、一体何を……?」



少年隊員「シズカ。君は……僕の遠いご先祖様になるはずだった」

シズカ「?」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:02:16.14 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「君は、ノビタなんかと結ばれるはずじゃなかった!」



少年隊員「出来損ないのノビタの子孫が、こんなロボットをこの時代に送り込まなければな!」



シズカ「あ、あなた、ひょっとして――」



少年隊員「そう、僕のファミリーネームは“デキスギ”」



少年隊員「歴史改変によって本来の人生を奪われた、哀れなデキスギ少年の遠い子孫だよ」



タケシ「……」

スネオ「……」



シズカ「……デキスギさんの子孫が、そんなことに……」

少年隊員「可哀想だと思ってくれるかい。全てはノビタとこのロボットが原因なんだ」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:04:55.30 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「ノビタ。君を抹殺してしまえば手っ取り早いが、さすがに過去の時代での殺傷は許されていない」



少年隊員「このロボットを連行し、歴史を正常な流れに戻す。そのために我々はこの時代に来た」

シズカ「……」



シズカ「……あなた、最低よ!」

少年隊員「何っ!?」

シズカ「あなたは、自分の好き勝手に過去の時代をいじろうとしてるだけじゃない!」

少年隊員「何を言ってる! こうして修正される歴史こそが本来の歴史なんだ!」



少年隊員「だって、おかしいだろう!? 僕のご先祖様は、勉強もできる、立派な人間だった!

     こんな……ノビタみたいな、バカでグズでノロマで、何もできないガキとは訳が違う!」



少年隊員「君は僕のご先祖様と結ばれなきゃいけないんだ。それが、正しい歴史なんだ」

シズカ「いやよ!」



シズカ「デキスギさんの子孫がこんな出来損ないだなんて。残念でしょうがないわ!」


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:06:31.38 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「く……このっ!」

ガシッ!

シズカ「うっ!」

少年隊員「もう一度言ってみろっ! 僕の家系はエリートなんだ――ノビタなんかとは違う!」

シズカ「は、はなして……!」



ノビタ「し、シズカちゃん!」



ノビタ「シズカちゃんを――放せぇっ!」

バキュゥン!



少年隊員「ぐっ!」

ドサッ!

シズカ「っ!」



ノビタ「ハァ、ハァ……」



少年隊員「あれは、ディケイドの銃……!」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:10:09.24 ID:fgN8J0n/0
シズカ「ノビタさん!」タタッ!

ノビタ「シズカちゃん……!」



少年隊員「こいつ……こいつ! ふざけるな! ただのグズのくせにっ!!」



士「……いや」



士「それは、違うな……!」

少年隊員「ッ! お前、生きて……?」



士「教師の基本だ。世の中には……何の取り得もない人間なんて、いねえ」





(あの音楽)



士「勉強は苦手でも、運動ができなくても……コイツには、他の誰にも負けない長所がある!」

少年隊員「バカな!」


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:16:38.53 ID:fgN8J0n/0
士「一度は便利な道具に頼ろうとしても。コイツは、最後には自分の足で立ち上がる。

  自分の手で、困難に立ち向かって行こうとする!」



士「与えられた人生で精一杯頑張ろうともしないで、全てを先祖の人生のせいにし、

  過去の世界に憂さ晴らしをしにくるお前とは……訳が違うんだ!」



少年隊員「ぐ……! お、おのれ、今度こそ完全に殺してやる!」



少年隊員「変身!」

ギュピーン!



士「無駄だぜ。そんな力に頼りっきりのお前が、俺に勝てるか」

G電王「黙れ! お前は一体何なんだ!?」



士「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ!」



士「変身!」

【カメンライド――ディケーイ!】


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:18:40.03 ID:fgN8J0n/0
ディケイド「ハッ!」

G電王「アアァッ!!」





ノビタ「シズカちゃん、大丈夫?」

シズカ「え、ええ。でも、ドラちゃんが……!」



太った隊員「ロボットには近づかせない」

痩せた隊員「君達は黙って見ているんだ!」





海東「……それは、僕もかい?」

太った隊員「!」



バッ!



海東「守りが甘いよ。警察の割にはさ」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:21:00.68 ID:fgN8J0n/0
夏海「海東さん!」

ユウスケ「相変わらず、どっから来たんだよ」



痩せた隊員「ロボットを逃がす気か!?」

海東「逃がす? まさか」



海東「僕は、このポケットが欲しかっただけだ」バッ!

ノビタ「ドラえもんのポケットを!」

海東「これは大変なお宝だからね。まあ、これだけのものを貰える代わりに――」



海東「タイムふろしき、か。これで機能が回復するはずだったね」

シズカ「! 助けてくれるんですか!?」



海東「さあね。僕は、僕のやりたいようにするだけさ」

ファサッ……

ドラえもん「!」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:22:34.02 ID:fgN8J0n/0
【ファイナルアタックライド――ディディディディケーイ!】



ディケイド「ハアアァァッ!!」

G電王「無駄だっ!」

ギィィィィン!



ディケイド「くっ、バリアか……!」



G電王「覚悟しろ、お前もデリートしてやる!」

ズキュゥンッ!

ディケイド「く……!」



バキュンッ!

G電王「っ!」

ディケイド「何!?」



ドラえもん「待たせたね、ディケイド!」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:25:11.01 ID:fgN8J0n/0
ディケイド「お前。……海東の野郎が何かしやがったのか」

ドラえもん「そんなことより。行くよ、ディケイド!」



G電王「ふふふ……ははは! 旧式の武器しかないお前に何ができる!?」



ディケイド「そうかよ。だったら、見慣れないヤツを見せてやるぜ」

G電王「何?」



【ファイナルフォームライド――ドドドドラエモン!】



ディケイド「ドラえもん。ちょっとくすぐったいぞ」

ドラえもん「えっ?」



しゅいーん!



♪てってれれってーてーてーてー

ディケイド「ドラエモンコプター!」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:27:54.18 ID:fgN8J0n/0
シズカ「! ドラちゃんが……」

ノビタ「でっかいタケコプターと空気砲に!?」



ディケイド「はっ!」

バッ!!



G電王「な!? 何だあれは!?」



ディケイド「食らえ!」ズキュン!ズキュゥンッ!

G電王「ぐああっ!」



【ファイナルアタックライド――】



ディケイド「裁きを受けるのは――お前だ!」



【――ドドドドラエモン!】



ディケイド「――はっ!」



バキュゥゥゥゥゥゥゥッ!!



G電王「ぐ……アアアアァァァァッ!!」



ドカーン!


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:30:09.65 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「ぐ……がはっ」



少年隊員「こ、こうなったら!」ダッ!

ノビタ「!?」

少年隊員「死ねっ! ノビタッ!」ボカッ!ボカッ!

ノビタ「うっ!」



太った隊員「! ちょ、ちょっ、それは――」

痩せた隊員「現地の人間に手を出すのはやばいですよ!」



少年隊員「うるさいっ! こいつさえ! こいつさえいなくなればっ!」

ノビタ「う……! や、やめろ……!」



ノビタ「やめろっ!」ボカッ!

少年隊員「っ!」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:32:54.18 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「お、お前……生意気だぞ! ノビタのくせにっ!」ガシッ!ボカッ!

ノビタ「く、う……! 僕の……僕だけの力で、君に勝たないと……」



ノビタ「ディケイドが……」



ノビタ「安心して……元の世界に帰れないんだ!」ボカッ!

少年隊員「こ、こいつ……!」





士「ノビタ……。意外と骨もあるんじゃないか」

夏海「そんなこと言ってる場合ですか? 止めなきゃ!」

士「そうだな。……いや」



士「どうやら、それは先生の役目じゃないみたいだぜ」





タケシ「おい、そこまでだぜ!」

スネオ「の、ノビタに手を出すなんて許さないぞ!」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:35:27.57 ID:fgN8J0n/0
少年隊員「何っ!? 黙れ、僕はこいつを――」

タケシ「うるせえっ!」ボカッ!!

少年隊員「うぐっ!」



タケシ「ノビタを殴っていいのは俺だけだ! これ以上やるってんなら、俺が相手になるぜ」

スネオ「そ、そうだそうだ!」



少年隊員「生意気な……現地のガキの分際で!」ジャキッ!



痩せた隊員「じゅ、銃!?」

太った隊員「俺らのご先祖を撃ち殺す気かよ!?」





デキスギ「やめるんだ!」

少年隊員「っ!?」



デキスギ「もう……やめてくれ」

少年隊員「……ご先祖様……」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:38:58.76 ID:fgN8J0n/0
ノビタ「デキスギ!」

シズカ「デキスギさん……!」



デキスギ「僕は。ノビタ君がドラえもんに助けられることを、忌々しいなんて思っちゃいないよ」



デキスギ「ノビタ君が居ようと居まいと。僕の人生は、僕の手で切り開いてみせる」



デキスギ「自分の子孫に、こんなことしてまで助けてもらいたいとは思わない!」



少年隊員「う……くっ!」



少年隊員「くそぉぉぉっ!!」





ウ―――……



『こちらタイムパトロール。21世紀分隊の三人を航時警察権濫用の疑いで逮捕する』





士「終わった……か」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:42:29.20 ID:fgN8J0n/0
……。





ドラえもん「……もう、行ってしまうんだね?」

士「ああ。まだ、俺を待ってる世界がたくさんあるからな」



ノビタ「先生……ううん、ディケイド。本当に……ありがとう」

シズカ「ありがとうございました」



士「俺は何もしてねえぜ。ノビタ。お前が自分であいつに立ち向かったんだろ」



ドラえもん「ノビタ君。僕はこれから、今までみたいに君を甘やかさないようにするからね」

ノビタ「! そ、そんなあ!」

士「はは。それがいい。教育の基本だ」





ユウスケ「士のやつ、すっかり教育者気取りだな」

夏海「まあ……士くんですから。仕方ないですよ」


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/28(土) 21:46:21.67 ID:fgN8J0n/0
海東「……」



士「どうした? 海東」



海東「このポケットに入ってるのは、22世紀の世界だと普通にデパートで売ってる物ばかりらしい」

ドラえもん「まあ、ね」

海東「君に返しておくよ。こんなもの、僕はいらない」ポイッ!

ドラえもん「!」



海東「でも……」

スッ!



ドラえもん「どら焼き!? あ、ポケットに入れてた僕のどら焼きを盗ったな!?」



海東「こっちの方が、よっぽどお宝らしいね。僕はこれを頂くとしよう」

ドラえもん「こ、このやろう、ふっとばしてやる! 地球破壊爆弾!」

ノビタ「ちょ、ドラえもん!?」





士「……やれやれ」







(おしまい)


引用元: ディケイド「ドラえもんの世界か……」