1: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:00:06.98 ID:egWtJvJu0
2: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:04:26.69 ID:egWtJvJu0
「……ここでいいか、お邪魔します」
「埃っぽいし寒い、そして薄暗い」
「……暇だ。もう少し奥に行ってみるか」
「埃っぽいし寒い、そして薄暗い」
「……暇だ。もう少し奥に行ってみるか」
3: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:07:44.44 ID:egWtJvJu0
「階段を昇ったら何やら重そうな扉があった。開けるか否か、いや開けるべきだ。特に理由はないが」ギィ…
「……気味が悪いほどイスがいっぱいある。巨大なスクリーンもある」
『そこでぶつぶつ独り言を言ってるのは誰?』
「声はすれども姿は見当たらず」キョロキョロ
『こっちこっち。座席の一番前の辺り』
「あ、そこね。どうもこんにちは」
『…こんにちは。今日は冷えるね』
「外、雨降ってるからな」
『そっか、道理でね。早く止まないかなあ。寒いのは苦手だ』
「同感。おかげでこんな所で雨宿りすることになった」
『こんな所って言い方はひどいなあ』
「……気味が悪いほどイスがいっぱいある。巨大なスクリーンもある」
『そこでぶつぶつ独り言を言ってるのは誰?』
「声はすれども姿は見当たらず」キョロキョロ
『こっちこっち。座席の一番前の辺り』
「あ、そこね。どうもこんにちは」
『…こんにちは。今日は冷えるね』
「外、雨降ってるからな」
『そっか、道理でね。早く止まないかなあ。寒いのは苦手だ』
「同感。おかげでこんな所で雨宿りすることになった」
『こんな所って言い方はひどいなあ』
4: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:11:54.07 ID:egWtJvJu0
「……なあ、ここからだと声出すの疲れるからそっち行っていい?」
『いいけど怖くないの? ご覧の見た目だけど』
「うーん、生憎さっぱし」
『変な人間だね君は』
「よく言われる、よっほっよいしょ、あっ! ……」
『どしたの? 変な人』
「階段ニ段飛ばししたら軽く足首捻った、ちょっと痛い」
『やーいどじっ子ー』
「うるさい黙れでぶトカゲ」
『失礼だなあ。一応これでも竜なんだけど』
「へえ、竜なんてはじめて見た」
竜『だろうね』
「おお、近くで見るとでかいなあ」
竜『君は近くで見ても小さいなあ』
『いいけど怖くないの? ご覧の見た目だけど』
「うーん、生憎さっぱし」
『変な人間だね君は』
「よく言われる、よっほっよいしょ、あっ! ……」
『どしたの? 変な人』
「階段ニ段飛ばししたら軽く足首捻った、ちょっと痛い」
『やーいどじっ子ー』
「うるさい黙れでぶトカゲ」
『失礼だなあ。一応これでも竜なんだけど』
「へえ、竜なんてはじめて見た」
竜『だろうね』
「おお、近くで見るとでかいなあ」
竜『君は近くで見ても小さいなあ』
5: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:15:33.83 ID:egWtJvJu0
「わあ、ウロコ気持ちわるーおもしろー」ペタペタ
竜『うん、くすぐったい気がするからあまり触らないで欲しいな』
「残念」
竜『と言いつつ手を縦横無尽に這わせるのはやめてよー』
「何これすべすべ! もうちょっとだけ! もうちょっとだけ!」スリスリ
竜『ずいぶん必死だ』
「…ふう、満足」
竜『よかったね』
「ところで1枚もらってもいいだろうか?」
竜『何を? ウロコを? さすがにそれは痛いから駄目だよ』
「とんだケチトカゲだな」
竜『さっきから思ってたけど君結構口悪いよね』
竜『うん、くすぐったい気がするからあまり触らないで欲しいな』
「残念」
竜『と言いつつ手を縦横無尽に這わせるのはやめてよー』
「何これすべすべ! もうちょっとだけ! もうちょっとだけ!」スリスリ
竜『ずいぶん必死だ』
「…ふう、満足」
竜『よかったね』
「ところで1枚もらってもいいだろうか?」
竜『何を? ウロコを? さすがにそれは痛いから駄目だよ』
「とんだケチトカゲだな」
竜『さっきから思ってたけど君結構口悪いよね』
6: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:18:45.99 ID:egWtJvJu0
「ふう。寒いな」
竜『そうだね』
「君さ、竜なら火とか吐ける?」
竜『できるけど?』
「じゃあ早速吐いて暖まろう」
竜『いいけど一歩間違えるとこの建物の周囲一帯が灰と化すよ』
「リスク大きすぎるだろ……」
竜『多分大丈夫だけど、しばらく使ってないからなあ。まあ心配なら止めといた方がいいよ』
「ちゃんと日頃から練習しておけよもう」
竜『申し訳ない』
竜『そうだね』
「君さ、竜なら火とか吐ける?」
竜『できるけど?』
「じゃあ早速吐いて暖まろう」
竜『いいけど一歩間違えるとこの建物の周囲一帯が灰と化すよ』
「リスク大きすぎるだろ……」
竜『多分大丈夫だけど、しばらく使ってないからなあ。まあ心配なら止めといた方がいいよ』
「ちゃんと日頃から練習しておけよもう」
竜『申し訳ない』
7: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:23:35.41 ID:egWtJvJu0
「ああ、それにしても寒いなあ。厚着してくるべきだった、後悔」
竜『ねえ君ちょっと俺の近くまでおいで』
「嫌な予感しかしないんだが」
竜『といいつつちゃんと来てくれるあたり君は素直だね、よっと』ギュッ
「……何故僕は竜に抱きすくめられてるのだろう」
竜『おー哺乳類はやっぱり暖かいなあ』
「爬虫類は冷てえなー。あ、でも腹は柔らかいんだな。ぷにぷにして気持ちいい」
竜『ふふん』
「いや、そんな誇らしげな顔されても」
竜『ねえ君ちょっと俺の近くまでおいで』
「嫌な予感しかしないんだが」
竜『といいつつちゃんと来てくれるあたり君は素直だね、よっと』ギュッ
「……何故僕は竜に抱きすくめられてるのだろう」
竜『おー哺乳類はやっぱり暖かいなあ』
「爬虫類は冷てえなー。あ、でも腹は柔らかいんだな。ぷにぷにして気持ちいい」
竜『ふふん』
「いや、そんな誇らしげな顔されても」
8: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:27:41.30 ID:egWtJvJu0
竜「ぐぎゅるるるるるる…」
「うわ、びっくりした。何今の」
竜『お腹空いちゃった、てへっお恥ずかしい』
「照れるな気色悪いなあ」
竜『何か食べる物ない? 俺としては最悪君でもいいんだけど』
「さ、さらりと恐ろしいこと言うなよ。バッグに食べかけのパンならあるけど」
竜『えー? 間接キスになっちゃうよ?』
「じゃあ当初の予定通り僕が家に持って帰って処分しとくな」
竜『冗談! 冗談だってばもう!』
「うわ、びっくりした。何今の」
竜『お腹空いちゃった、てへっお恥ずかしい』
「照れるな気色悪いなあ」
竜『何か食べる物ない? 俺としては最悪君でもいいんだけど』
「さ、さらりと恐ろしいこと言うなよ。バッグに食べかけのパンならあるけど」
竜『えー? 間接キスになっちゃうよ?』
「じゃあ当初の予定通り僕が家に持って帰って処分しとくな」
竜『冗談! 冗談だってばもう!』
9: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:31:50.58 ID:egWtJvJu0
「ほら、よく味わって食えよ」
竜『わーい、数十年振りのゴハンだー』
「え?」
竜『いただきます。……ほほうこれはキャラメル味ですなあ、このわざとらしくベタつく甘味がたまらないよね』ゴクリ
「一口で食われた……」
竜『大変ごちそうさまでした』
竜『わーい、数十年振りのゴハンだー』
「え?」
竜『いただきます。……ほほうこれはキャラメル味ですなあ、このわざとらしくベタつく甘味がたまらないよね』ゴクリ
「一口で食われた……」
竜『大変ごちそうさまでした』
10: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:34:52.22 ID:egWtJvJu0
竜『あったかいねえ』
「またこの状態か、あーでも確かにだんだん暖かくなってきたなあ」
竜『そういえばさ、訊きたい事があったんだけど』
「んー?」
竜『君の名前は何ですか』
「……少年だよ」
竜『少年…へえ、なんか変な名前だね』
少年「そう言う君はどうなんだよ、大層ご立派なお名前なんでしょうなあ?」
竜『うーん、捨てちゃった』
少年「…意味がわからないんだが」
竜『昔色々あったのさ、もう俺の名を呼ぶ人なんか誰もいなかったし』
少年「ふうん、何かよくわからんけどお疲れ」
竜『どうも。なんなら好きに呼んでくれてもいいよ』
少年「んー? じゃあポチで」
竜『うん、誠に遺憾って感じ』
「またこの状態か、あーでも確かにだんだん暖かくなってきたなあ」
竜『そういえばさ、訊きたい事があったんだけど』
「んー?」
竜『君の名前は何ですか』
「……少年だよ」
竜『少年…へえ、なんか変な名前だね』
少年「そう言う君はどうなんだよ、大層ご立派なお名前なんでしょうなあ?」
竜『うーん、捨てちゃった』
少年「…意味がわからないんだが」
竜『昔色々あったのさ、もう俺の名を呼ぶ人なんか誰もいなかったし』
少年「ふうん、何かよくわからんけどお疲れ」
竜『どうも。なんなら好きに呼んでくれてもいいよ』
少年「んー? じゃあポチで」
竜『うん、誠に遺憾って感じ』
11: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:37:57.67 ID:egWtJvJu0
少年「…………」
竜『少年?』
少年「……ぐう」
竜『もしかして寝ちゃった?』
少年「…………」スヤスヤ
竜『困ったなあ、動くに動けない。動けないと思うと急にこの体勢が窮屈に感じるなあ』
竜『……暇だ、いつものことか』
竜『…ねむ……』ウトウト
竜「……すぴー」
竜『少年?』
少年「……ぐう」
竜『もしかして寝ちゃった?』
少年「…………」スヤスヤ
竜『困ったなあ、動くに動けない。動けないと思うと急にこの体勢が窮屈に感じるなあ』
竜『……暇だ、いつものことか』
竜『…ねむ……』ウトウト
竜「……すぴー」
12: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:41:05.13 ID:egWtJvJu0
少年「……はっ! 寝てしまった」
竜「ぐうぐう」
少年「鼻息が首筋に当たり不愉快極まりない。ポチ起きろ」ペシペシッ
竜『……んあ? あっおはよう』
少年「おはよう、なあ僕達どのくらい寝てた?」
竜『俺の腹時計を信じるなら2時間くらいかな』
少年「そうか、じゃあ外暗くなるし僕そろそろ帰る」
竜『そっか、じゃあね。帰り道気をつけて』
少年「おう、じゃっ」
竜『階段で足首捻らないでね』
少年「あいよ、よっほっよっこいしょ、はい無事到着」
竜『…………』
少年「…………」
竜「ぐうぐう」
少年「鼻息が首筋に当たり不愉快極まりない。ポチ起きろ」ペシペシッ
竜『……んあ? あっおはよう』
少年「おはよう、なあ僕達どのくらい寝てた?」
竜『俺の腹時計を信じるなら2時間くらいかな』
少年「そうか、じゃあ外暗くなるし僕そろそろ帰る」
竜『そっか、じゃあね。帰り道気をつけて』
少年「おう、じゃっ」
竜『階段で足首捻らないでね』
少年「あいよ、よっほっよっこいしょ、はい無事到着」
竜『…………』
少年「…………」
13: ◆yJ9Y64R876 2013/09/28(土) 19:44:02.51 ID:egWtJvJu0
♪再会の雨
少年「…雨、降ったら」
竜『えっ?』
少年「また雨降ったら、ここに雨宿りに来るかもな」
竜『へえ、そう。って…』
竜『……行っちゃった』
竜『……うん』
竜『雨が待ち遠しいのは初めてだ――――』
少年「…雨、降ったら」
竜『えっ?』
少年「また雨降ったら、ここに雨宿りに来るかもな」
竜『へえ、そう。って…』
竜『……行っちゃった』
竜『……うん』
竜『雨が待ち遠しいのは初めてだ――――』
17: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:00:22.77 ID:tv3I/1JX0
―数日後―
少年「また雨だ……それも結構な量の」
少年「そして今日も傘はない」
少年「……? 何か忘れているような」
少年「ああ、そうか。雨宿りしないと」
少年「また雨だ……それも結構な量の」
少年「そして今日も傘はない」
少年「……? 何か忘れているような」
少年「ああ、そうか。雨宿りしないと」
18: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:03:47.93 ID:tv3I/1JX0
少年「どうも。雨宿りに来ました」
竜『いらっしゃい、何もないけどごゆっくり』
少年「ああもう、雨に濡れた結果服が肌に張り付いて気持ち悪い」
竜『脱げば?』
少年「その発想はなかった。いや脱がないけど」
竜『なんで? 実に手っ取り早い解決策だと俺は思うけど』
少年「人間は他者に生まれた時の姿をさらすことに羞恥心を覚える生き物なんだよ」
竜『めんどくさい生き物だなあ、そして困ったなあ』
少年「何が?」
竜『いらっしゃい、何もないけどごゆっくり』
少年「ああもう、雨に濡れた結果服が肌に張り付いて気持ち悪い」
竜『脱げば?』
少年「その発想はなかった。いや脱がないけど」
竜『なんで? 実に手っ取り早い解決策だと俺は思うけど』
少年「人間は他者に生まれた時の姿をさらすことに羞恥心を覚える生き物なんだよ」
竜『めんどくさい生き物だなあ、そして困ったなあ』
少年「何が?」
19: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:06:51.08 ID:tv3I/1JX0
竜『今雨降ってるじゃん?』
少年「うん」
竜『寒いじゃん?』
少年「うん」
竜『だから君の身体で暖まろうと思うじゃん?』
少年「うん…うん?」
竜『でも今の君ぐっしょぐしょだから触りたくないじゃん?』
少年「…………」
竜『ぬーげ! ぬーげ! 真っ裸になれ!』
少年「相手が人間なら変質者ということで警察に問答無用でつきだすんだがなあ」
竜『ふっ、人間共が徒党を組んだところで我が咽喉より迸る地獄の業火にて返り討ちにしてくれよう!』
少年「おーちょっとかっこいい」
竜『ふふんっ』
少年「竜のどや顔とはレアだ」
竜『まず竜自体珍しいでしょ』
少年「ポチにつっこまれるとはショックだ」
少年「うん」
竜『寒いじゃん?』
少年「うん」
竜『だから君の身体で暖まろうと思うじゃん?』
少年「うん…うん?」
竜『でも今の君ぐっしょぐしょだから触りたくないじゃん?』
少年「…………」
竜『ぬーげ! ぬーげ! 真っ裸になれ!』
少年「相手が人間なら変質者ということで警察に問答無用でつきだすんだがなあ」
竜『ふっ、人間共が徒党を組んだところで我が咽喉より迸る地獄の業火にて返り討ちにしてくれよう!』
少年「おーちょっとかっこいい」
竜『ふふんっ』
少年「竜のどや顔とはレアだ」
竜『まず竜自体珍しいでしょ』
少年「ポチにつっこまれるとはショックだ」
20: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:09:58.23 ID:tv3I/1JX0
竜『ねえ、脱がないのー? 脱いでよー俺に君のありのままの姿を曝(さら)け出してよー』
少年「うーんこれはめんどくさい、より適した表現をするならばウザい」
竜『こちとらそれだけを楽しみにしてたのにさー』
少年「ポチさ、いっつもここで何してんの?」
竜『シエスタ』
少年「? 何それ?」
竜『何でも人に訊かず自分で調べることも大切だよ少年。あ、この場合は人じゃないけど』
少年「じゃあ明日図書館で調べよう」
竜『君ほんと素直だよね…』
少年「うーんこれはめんどくさい、より適した表現をするならばウザい」
竜『こちとらそれだけを楽しみにしてたのにさー』
少年「ポチさ、いっつもここで何してんの?」
竜『シエスタ』
少年「? 何それ?」
竜『何でも人に訊かず自分で調べることも大切だよ少年。あ、この場合は人じゃないけど』
少年「じゃあ明日図書館で調べよう」
竜『君ほんと素直だよね…』
21: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:13:01.46 ID:tv3I/1JX0
少年「1まーい、2まーい、3まーい」
竜『えっ? 何?』
少年「ウロコ全部で何枚あるのかと」
竜『へえ、君って馬鹿だろ』
少年「な、なんだとおぉぉー!」
竜『台詞の割に顔が無表情で怖いんだけど』
少年「こんなにあるなら1枚貰っていい?」
竜『君がその邪魔な衣服を今すぐ脱ぎ捨てればあげてもいいよ』
少年「ぐぬぬ…」
竜『恥ずかしがりやさんだなあ』
竜『えっ? 何?』
少年「ウロコ全部で何枚あるのかと」
竜『へえ、君って馬鹿だろ』
少年「な、なんだとおぉぉー!」
竜『台詞の割に顔が無表情で怖いんだけど』
少年「こんなにあるなら1枚貰っていい?」
竜『君がその邪魔な衣服を今すぐ脱ぎ捨てればあげてもいいよ』
少年「ぐぬぬ…」
竜『恥ずかしがりやさんだなあ』
22: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:16:07.56 ID:tv3I/1JX0
少年「あ、そうだ」
竜『ん?』
少年「見てみて、これお餅。こしあん」
竜『やったあー、でも俺つぶあん派』
少年「ウロコと交換ね」
竜『ぐぬぬ…』
少年「どうするんだ?」
竜『……や、優しくしてねっ』
少年「おっけー、よっ」ベリッ
竜「うんぎゃあああぁぁぁ」
少年「……正直力任せに剥がして悪かった」
竜『優しくって言ったよね俺!?』
竜『ん?』
少年「見てみて、これお餅。こしあん」
竜『やったあー、でも俺つぶあん派』
少年「ウロコと交換ね」
竜『ぐぬぬ…』
少年「どうするんだ?」
竜『……や、優しくしてねっ』
少年「おっけー、よっ」ベリッ
竜「うんぎゃあああぁぁぁ」
少年「……正直力任せに剥がして悪かった」
竜『優しくって言ったよね俺!?』
23: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:20:51.63 ID:tv3I/1JX0
♪放送禁止レベル
少年「わあい、すべすべだ」ナデナデ
竜『わあい、お餅甘いーおいしいー…………』
少年「お、おい突然幼児が見たら瞬く間に泣き出しかねない怖い顔してどうした?」
竜『お餅はもうない、当然だ、俺が食べたからね。でも君は失くさない限りウロコがある、どれだけ撫で回してもある。ずるい!』
少年「うーん僕にどうしろっていうんだ」
竜『モット食イ物ヲ寄越セ! ソレカ脱ゲ!』
少年「じゃあ今度はもっと食べ物持ってくるよ」
竜『今度は甘いの以外がいいな』
少年「わあい、すべすべだ」ナデナデ
竜『わあい、お餅甘いーおいしいー…………』
少年「お、おい突然幼児が見たら瞬く間に泣き出しかねない怖い顔してどうした?」
竜『お餅はもうない、当然だ、俺が食べたからね。でも君は失くさない限りウロコがある、どれだけ撫で回してもある。ずるい!』
少年「うーん僕にどうしろっていうんだ」
竜『モット食イ物ヲ寄越セ! ソレカ脱ゲ!』
少年「じゃあ今度はもっと食べ物持ってくるよ」
竜『今度は甘いの以外がいいな』
24: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:26:46.95 ID:tv3I/1JX0
少年「あー帰ったら宿題やんなきゃなー全然わかんねー」
竜『大変だね。教科は?』
少年「えっ、数学だけど」
竜『どれ、お兄さんに見せてみせなさい』
少年「いや、君が見てもわからんだろ」
竜『いいからいいから』
少年「……はい」
竜『ふむふむ……なるほど。……ぷっ』
少年「な、何故笑う?」
竜『こんな簡単なのもわかんないのかあ、と思って?』フフン
少年「う、ウソだ! 僕にわからずポチにわかるものか!」
竜『どこがわかんないの? 言ってみなよ』
少年「……ここ」
竜『うん、ここはね難しく考えずに単純に~~~~ってやるんだよそうすれば~~ってなって~~になるでしょ?』
少年「…超わかりやすい。な、なんで?」
竜『ふははは、尊敬しなさい崇めなさい、そして称えなさい』
少年「うん、普通に尊敬する。ポチすげえ! すごい!」
竜『…て、照れる』
竜『大変だね。教科は?』
少年「えっ、数学だけど」
竜『どれ、お兄さんに見せてみせなさい』
少年「いや、君が見てもわからんだろ」
竜『いいからいいから』
少年「……はい」
竜『ふむふむ……なるほど。……ぷっ』
少年「な、何故笑う?」
竜『こんな簡単なのもわかんないのかあ、と思って?』フフン
少年「う、ウソだ! 僕にわからずポチにわかるものか!」
竜『どこがわかんないの? 言ってみなよ』
少年「……ここ」
竜『うん、ここはね難しく考えずに単純に~~~~ってやるんだよそうすれば~~ってなって~~になるでしょ?』
少年「…超わかりやすい。な、なんで?」
竜『ふははは、尊敬しなさい崇めなさい、そして称えなさい』
少年「うん、普通に尊敬する。ポチすげえ! すごい!」
竜『…て、照れる』
25: ◆yJ9Y64R876 2013/09/29(日) 19:32:00.15 ID:tv3I/1JX0
竜『すっかり暗くなったね』
少年「そうだなー」
竜『帰らないの?』
少年「雨止んだだろうか」
竜『でもそろそろ帰らないと親御さんも心配するよ?』
少年「……そうだな、んじゃ帰る」
竜『ばいばい』
少年「じゃあな……いや、またな」
竜『! またね』
竜『…………行っちゃった』
少年「…ウギャア、ドシャブリジャネエカアア…ー」
竜『遠くから少年の叫び声が聞こえる』
竜『…ふふっ』
少年「そうだなー」
竜『帰らないの?』
少年「雨止んだだろうか」
竜『でもそろそろ帰らないと親御さんも心配するよ?』
少年「……そうだな、んじゃ帰る」
竜『ばいばい』
少年「じゃあな……いや、またな」
竜『! またね』
竜『…………行っちゃった』
少年「…ウギャア、ドシャブリジャネエカアア…ー」
竜『遠くから少年の叫び声が聞こえる』
竜『…ふふっ』
28: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:01:55.32 ID:8zSSngOd0
―次の日―
竜『さぶっ!』
竜『これは雨が降ってるに違いない』
竜『……早く来ないかなあ』
少年「……おい」
竜『あっ少年だ。こんにちは』
少年「えっああ、こんにちは。じゃなくて!」
竜『どうしたの、ひどく興奮して』
少年「昼寝じゃねえか!」
竜『はあ?』
少年「シエスタってただの昼寝じゃねえか!」
竜『……ああ、それかあ。そうだよ? それがどうかした?』
少年「自分で調べることが大切とか偉そうなこと言っといてポチただ寝てるだけじゃん!」
竜『はっはっはっ』
少年「なんで笑ってるの!?」
竜『さぶっ!』
竜『これは雨が降ってるに違いない』
竜『……早く来ないかなあ』
少年「……おい」
竜『あっ少年だ。こんにちは』
少年「えっああ、こんにちは。じゃなくて!」
竜『どうしたの、ひどく興奮して』
少年「昼寝じゃねえか!」
竜『はあ?』
少年「シエスタってただの昼寝じゃねえか!」
竜『……ああ、それかあ。そうだよ? それがどうかした?』
少年「自分で調べることが大切とか偉そうなこと言っといてポチただ寝てるだけじゃん!」
竜『はっはっはっ』
少年「なんで笑ってるの!?」
29: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:06:54.89 ID:8zSSngOd0
♪固着
竜『おっ今日はあんま濡れてないね、さあこっちにおいで』
少年「さも当たり前のように言うなあ」
竜『ふー、この未成熟な身体が持つ子供特有の少し高めの体温、ぬくもり。たまらないなあ』
少年「えっ、普通にキモい」
竜『おっと口が滑った、大丈夫もう口には出さないから。心の中に留めておくから』
少年「もう離れたくてしょうがないんだが」
竜『だめー、ゼッタイ離さないよ』ギュッ
少年「……代わりに後で勉強教えて」
竜『おっけー』
竜『おっ今日はあんま濡れてないね、さあこっちにおいで』
少年「さも当たり前のように言うなあ」
竜『ふー、この未成熟な身体が持つ子供特有の少し高めの体温、ぬくもり。たまらないなあ』
少年「えっ、普通にキモい」
竜『おっと口が滑った、大丈夫もう口には出さないから。心の中に留めておくから』
少年「もう離れたくてしょうがないんだが」
竜『だめー、ゼッタイ離さないよ』ギュッ
少年「……代わりに後で勉強教えて」
竜『おっけー』
30: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:11:19.78 ID:8zSSngOd0
竜『あー…これ言ったらまたキモいって言われそうだけどさ』
少年「じゃあ言うな」
竜『はい』
少年「…………」
竜『…………』
竜『……言っていい?』
少年「…どうぞ」
竜『今さ、俺結構幸せ』
少年「………あのさっポチ」
竜『なあに少年?』
少年「……やっぱなんでもない」
竜『?』
少年「じゃあ言うな」
竜『はい』
少年「…………」
竜『…………』
竜『……言っていい?』
少年「…どうぞ」
竜『今さ、俺結構幸せ』
少年「………あのさっポチ」
竜『なあに少年?』
少年「……やっぱなんでもない」
竜『?』
31: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:15:38.68 ID:8zSSngOd0
少年「けほっけほっ」
竜『風邪?』
少年「いや、ここ埃っぽくて」
竜『古い建物だからいた仕方ないねえ』
少年「…そう言えばここって僕が物心ついたときには既に潰れてたな。築何年だ?」
竜『俺が住み始めた頃にはこんなだったから廃館になってから結構経ってるねー』
少年「取り壊せばいいのに」
竜『壊されたら俺が住む場所なくなって困る』
少年「ホームレス…」
竜『憐憫の目で見るんじゃない!』
竜『風邪?』
少年「いや、ここ埃っぽくて」
竜『古い建物だからいた仕方ないねえ』
少年「…そう言えばここって僕が物心ついたときには既に潰れてたな。築何年だ?」
竜『俺が住み始めた頃にはこんなだったから廃館になってから結構経ってるねー』
少年「取り壊せばいいのに」
竜『壊されたら俺が住む場所なくなって困る』
少年「ホームレス…」
竜『憐憫の目で見るんじゃない!』
32: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:20:10.95 ID:8zSSngOd0
少年「決めた!」
竜『わっ! な、何?』
少年「ここ掃除する!」
竜『またなんで突然、いやまあわかるけどさ』
少年「ここいると僕の肺が汚染される! これはダメだ! 成長期というある意味人生を左右しかねない大事な時期にこんな環境は良くない!」
竜『でもここどれだけ広いと思ってるの? 時間ものすごくかかるよ?』
少年「全部じゃなくてこの周辺だけならふたりでやれば何とかなる」
竜『いや俺シエスタで忙しいし…』
少年「道具は明日持ってくるから」
竜『この手で箒とか塵取り持てって? それは無茶でしょ』
少年「雑巾がけくらいなら出来るだろ」
竜『いやだ! 俺は絶対に働かないぞ! 惰眠を貪るのを誰にも邪魔させやしない!』
少年「手伝ってくれたら好きなもの腹いっぱい食べさせてやるよ」
竜『よーしお掃除頑張ろう!』
少年「ちょろい」
竜『わっ! な、何?』
少年「ここ掃除する!」
竜『またなんで突然、いやまあわかるけどさ』
少年「ここいると僕の肺が汚染される! これはダメだ! 成長期というある意味人生を左右しかねない大事な時期にこんな環境は良くない!」
竜『でもここどれだけ広いと思ってるの? 時間ものすごくかかるよ?』
少年「全部じゃなくてこの周辺だけならふたりでやれば何とかなる」
竜『いや俺シエスタで忙しいし…』
少年「道具は明日持ってくるから」
竜『この手で箒とか塵取り持てって? それは無茶でしょ』
少年「雑巾がけくらいなら出来るだろ」
竜『いやだ! 俺は絶対に働かないぞ! 惰眠を貪るのを誰にも邪魔させやしない!』
少年「手伝ってくれたら好きなもの腹いっぱい食べさせてやるよ」
竜『よーしお掃除頑張ろう!』
少年「ちょろい」
33: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:25:55.57 ID:8zSSngOd0
少年「…………」スヤスヤ
竜『おーい少年?』
少年「ハッ、また寝てしまった」
竜『よく寝るねー、もしかして夜更かししてる?』
少年「してないはずなんだがなあ、どうにも眠い。なんでだろ?」
竜『病気かな?』
少年「こ、怖いこと言うなよ…」
竜『まあ寝る子は育つって言うしいいんじゃない? そう言えば君いくつ? 小学何年生?』
少年「」
竜『どしたの少年? …あっ、そうか数学勉強してるってことは……』
少年「…………14歳」
竜『……なんか、ごめん』
少年「ちっくしょおおおぉぉ!」
竜『だいじょぶ、ほら、なんていうか、その、えと…頑張れ』
少年「励ますならちゃんと励ませ!」
竜『おーい少年?』
少年「ハッ、また寝てしまった」
竜『よく寝るねー、もしかして夜更かししてる?』
少年「してないはずなんだがなあ、どうにも眠い。なんでだろ?」
竜『病気かな?』
少年「こ、怖いこと言うなよ…」
竜『まあ寝る子は育つって言うしいいんじゃない? そう言えば君いくつ? 小学何年生?』
少年「」
竜『どしたの少年? …あっ、そうか数学勉強してるってことは……』
少年「…………14歳」
竜『……なんか、ごめん』
少年「ちっくしょおおおぉぉ!」
竜『だいじょぶ、ほら、なんていうか、その、えと…頑張れ』
少年「励ますならちゃんと励ませ!」
34: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:31:20.96 ID:8zSSngOd0
少年「ていうかそうだよ! いつまでも抱きついてないで早く勉強教えろよ!」
竜『えーしょうがないなあ。また数学でいいの?』
少年「うん、え、まさか他にも出来るの?」
竜『英語も多分教えられるよ』
少年「すごっ! ほんと?」
竜『ていうか俺主要な言語なら大抵習得してるよ』
少年「……なんだこの生き物、竜のくせに天才か……」
竜『まあ使う機会は今までほとんどなかったけど』
少年「じゃあ、今日から使ってもらおう。僕英語もさっぱしだから何とぞよろしくお願いします」
竜『やれやれ』
竜『えーしょうがないなあ。また数学でいいの?』
少年「うん、え、まさか他にも出来るの?」
竜『英語も多分教えられるよ』
少年「すごっ! ほんと?」
竜『ていうか俺主要な言語なら大抵習得してるよ』
少年「……なんだこの生き物、竜のくせに天才か……」
竜『まあ使う機会は今までほとんどなかったけど』
少年「じゃあ、今日から使ってもらおう。僕英語もさっぱしだから何とぞよろしくお願いします」
竜『やれやれ』
35: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:36:30.74 ID:8zSSngOd0
少年「あーだからこうなるのかあ」
竜『そうそう、大分わかってきたみたいだね』
少年「ポチの教え方が上手いからな、ありがとう」
竜『…そ、そろそろ休憩しない? 適度な休息も必要だと思うよ』
少年「りょーかい。あっ、そうだ、約束通り今日は甘いものじゃない食べ物もってきたぞ」
竜『わーい楽しみ何かな?』
少年「はいこれ」サッ
竜『……え? ……え?』
竜『そうそう、大分わかってきたみたいだね』
少年「ポチの教え方が上手いからな、ありがとう」
竜『…そ、そろそろ休憩しない? 適度な休息も必要だと思うよ』
少年「りょーかい。あっ、そうだ、約束通り今日は甘いものじゃない食べ物もってきたぞ」
竜『わーい楽しみ何かな?』
少年「はいこれ」サッ
竜『……え? ……え?』
36: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:41:29.99 ID:8zSSngOd0
少年「竜って何食うのかなーて調べようとしたんだけどよくわかんなくてさ、まあ竜もトカゲも似たようなもんだろーって思ったんだけど」
竜「お、おええええええええぇぇ…」オロロロロロ…
少年「お、おい大丈夫?」
竜『虫なんか食べれるか! 早くそのゲテモノをしまうんだ!!』
少年「えー…せっかくポチのために集めたのに……」
竜『もっと普通のにしてよ……お肉とか食べたい』
少年「肉ならあるよ、あっでも生肉じゃないとダメか」
竜『いいよそれで! Welcome加工だよ!』
少年「そう? じゃあはいコンビニで買ってきたカラアゲ」
竜『やったあ、こういうのを待ってたんだよ。いただきまーす』
少年「どう? うまい?」
竜『……うぅ、うあぁ……ひっく』
少年「うえっ何!? なんで泣くの!?」
竜『……美味しすぎるよぉ、うえええん、なんだこれええぇ意味がわからないよおおおぉぉぉ』
少年「こ、コンビニのカラアゲ食って泣く奴初めて見た……」
竜『うわああぁん、おいしいいいぃぃ』
竜「お、おええええええええぇぇ…」オロロロロロ…
少年「お、おい大丈夫?」
竜『虫なんか食べれるか! 早くそのゲテモノをしまうんだ!!』
少年「えー…せっかくポチのために集めたのに……」
竜『もっと普通のにしてよ……お肉とか食べたい』
少年「肉ならあるよ、あっでも生肉じゃないとダメか」
竜『いいよそれで! Welcome加工だよ!』
少年「そう? じゃあはいコンビニで買ってきたカラアゲ」
竜『やったあ、こういうのを待ってたんだよ。いただきまーす』
少年「どう? うまい?」
竜『……うぅ、うあぁ……ひっく』
少年「うえっ何!? なんで泣くの!?」
竜『……美味しすぎるよぉ、うえええん、なんだこれええぇ意味がわからないよおおおぉぉぉ』
少年「こ、コンビニのカラアゲ食って泣く奴初めて見た……」
竜『うわああぁん、おいしいいいぃぃ』
37: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:46:17.19 ID:8zSSngOd0
少年「よーし宿題終わり!」
竜『お疲れさまーえらいえらい』ナデナデ
少年「その鋭利な爪を生やす手で撫でられると恐怖でしかない」
竜『大丈夫、だいじょうぶ。あーでもこの前お腹が痒くてなってさあ、いつもは手の平なんだけど痒すぎて思わず爪で掻いたらうっかり貫通して皮膚突き刺しちゃってさー、尋常じゃなく血が出たよ、いやああの時は驚いた驚いた』
少年「今すぐその手をどけろ!」
竜『よーしよし』ナデナデ
少年「話聞いてる!?」
竜『なんか楽しくなってきちゃった、なでなでなでなで』ナデナデナデ
少年「ダメだ怖すぎて動けない、ただただ時が早く過ぎるのを待つばかり」
竜『いいこいいこ、よしよし、えへへ』ナデナデナデナデ
竜『お疲れさまーえらいえらい』ナデナデ
少年「その鋭利な爪を生やす手で撫でられると恐怖でしかない」
竜『大丈夫、だいじょうぶ。あーでもこの前お腹が痒くてなってさあ、いつもは手の平なんだけど痒すぎて思わず爪で掻いたらうっかり貫通して皮膚突き刺しちゃってさー、尋常じゃなく血が出たよ、いやああの時は驚いた驚いた』
少年「今すぐその手をどけろ!」
竜『よーしよし』ナデナデ
少年「話聞いてる!?」
竜『なんか楽しくなってきちゃった、なでなでなでなで』ナデナデナデ
少年「ダメだ怖すぎて動けない、ただただ時が早く過ぎるのを待つばかり」
竜『いいこいいこ、よしよし、えへへ』ナデナデナデナデ
38: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:53:15.94 ID:8zSSngOd0
竜『少年さあ、人生楽しい?』
少年「と、唐突に深い問いをするなよ…」
竜『なんかさあ、君たち見てるとよくわかんなくなるんだよねえ。服従した態度を見せても心の中ではどす黒い欲望を飼い馴らしているし、同じ対象をまったく正反対のものとして呼称したりするし、自分で裏切っておいて後々とても後悔したりするし、せっかく苦労して手に入れたものを自分で捨てちゃうし。俺にはよくわかんないよ』
少年「…ポチ?」
竜『よく、わからないんだ。……ごめん忘れて』
少年「……えと、そのさ、人生が楽しいかはよくわかんないけどさ、何て言うか、ほら…あれだ、ここで過ごす時間僕はわりと楽しいから、これは本当だぞっ!」
竜『! ……そっかあ。ふふっ』
少年「と、唐突に深い問いをするなよ…」
竜『なんかさあ、君たち見てるとよくわかんなくなるんだよねえ。服従した態度を見せても心の中ではどす黒い欲望を飼い馴らしているし、同じ対象をまったく正反対のものとして呼称したりするし、自分で裏切っておいて後々とても後悔したりするし、せっかく苦労して手に入れたものを自分で捨てちゃうし。俺にはよくわかんないよ』
少年「…ポチ?」
竜『よく、わからないんだ。……ごめん忘れて』
少年「……えと、そのさ、人生が楽しいかはよくわかんないけどさ、何て言うか、ほら…あれだ、ここで過ごす時間僕はわりと楽しいから、これは本当だぞっ!」
竜『! ……そっかあ。ふふっ』
39: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 20:57:46.61 ID:8zSSngOd0
少年「あー視界が闇に包まれてゆくー」
竜『もう真っ暗だ、夜と言えば幽霊さんが活動し始める時間だねえ』
少年「…………」カチカチ
竜『リズミカルに歯で音を奏で始めてどうしたの? 寒いの?』
少年「そ、そそそその通りさささささ」
竜『…………』
少年「お、おい突然黙るなよ、なんか言ってよ…」
竜『……ばあっ!』
少年「」
竜『お化けだぞーなんてね冗談冗談』
少年「」
竜『き、気絶してる……』
竜『もう真っ暗だ、夜と言えば幽霊さんが活動し始める時間だねえ』
少年「…………」カチカチ
竜『リズミカルに歯で音を奏で始めてどうしたの? 寒いの?』
少年「そ、そそそその通りさささささ」
竜『…………』
少年「お、おい突然黙るなよ、なんか言ってよ…」
竜『……ばあっ!』
少年「」
竜『お化けだぞーなんてね冗談冗談』
少年「」
竜『き、気絶してる……』
40: ◆yJ9Y64R876 2013/09/30(月) 21:03:02.15 ID:8zSSngOd0
竜『おーい少年、そろそろ起きなよー』ユサユサ
少年「ハッ、うわあぁお化けだああぁ! 憑かれるうぅ!」
竜『竜だよ』
少年「あっ……べ、別に怖がってなんかないんだからな!」
竜『へえ』ニヤニヤ
少年「だ、第一幽霊なんて非科学的なものいるわけがないだろ!」
竜『え? いるよ?』
少年「」
竜『俺が言うのもなんだけど竜がいるんだから幽霊がいたって不思議じゃないでしょ、ほら今も君の斜めうし』
少年「さよならっ!」ダッ!
竜『あっ、行っちゃった勿論嘘なのに』
竜『幽霊なんて常識的に考えているわけないのになあ、ぷぷっ』
竜『…………例え存在しても俺は幽霊にすらなれないのか』
少年「ハッ、うわあぁお化けだああぁ! 憑かれるうぅ!」
竜『竜だよ』
少年「あっ……べ、別に怖がってなんかないんだからな!」
竜『へえ』ニヤニヤ
少年「だ、第一幽霊なんて非科学的なものいるわけがないだろ!」
竜『え? いるよ?』
少年「」
竜『俺が言うのもなんだけど竜がいるんだから幽霊がいたって不思議じゃないでしょ、ほら今も君の斜めうし』
少年「さよならっ!」ダッ!
竜『あっ、行っちゃった勿論嘘なのに』
竜『幽霊なんて常識的に考えているわけないのになあ、ぷぷっ』
竜『…………例え存在しても俺は幽霊にすらなれないのか』
43: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:06:30.79 ID:usLe7g1u0
―次の日―
竜『今日は雨降ってないみたいだ』
竜『イコール彼がここに訪れる理由もない』
竜『……ちょっとだけならいいよね?』
竜『…よし』
竜『今日は雨降ってないみたいだ』
竜『イコール彼がここに訪れる理由もない』
竜『……ちょっとだけならいいよね?』
竜『…よし』
44: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:09:52.03 ID:usLe7g1u0
少年「に゛ああああぁ」
少年「何で雲1つないのに雨降るんだ! 天変地異の前触れか!? 誰か説明しろ!」
少年「飛びこめえええぇ」ズサー
少年「何で雲1つないのに雨降るんだ! 天変地異の前触れか!? 誰か説明しろ!」
少年「飛びこめえええぇ」ズサー
45: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:13:14.89 ID:usLe7g1u0
少年「」ガチャッ
竜『やあ少年……ぐちょぐちょやん(やりすぎた)』
少年「晴れてるのに雨降った、わけわからん」
竜『狐の嫁入りって奴だね』
少年「なんでそんなおめでたい日なのに不特定多数に迷惑かけるんだ…」
竜『コンコーン、キューン。どう?』
少年「うまい、うまい」
竜『まあ実際はほとんどギャァ! ギャァ! って感じだけどね』
少年「そんな話聞きたくなかった」
竜『やあ少年……ぐちょぐちょやん(やりすぎた)』
少年「晴れてるのに雨降った、わけわからん」
竜『狐の嫁入りって奴だね』
少年「なんでそんなおめでたい日なのに不特定多数に迷惑かけるんだ…」
竜『コンコーン、キューン。どう?』
少年「うまい、うまい」
竜『まあ実際はほとんどギャァ! ギャァ! って感じだけどね』
少年「そんな話聞きたくなかった」
46: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:16:38.91 ID:usLe7g1u0
竜『さあ早く俺の胸の中に飛び込んでおいで』
少年「ご覧の通りめちゃめちゃ濡れてるんだけど」
竜『俺気付いたんだ。確かに最初は濡れててちょっと気持ち悪いかもしれないけど少し我慢すればお互いの熱で服は乾くって。君は服が乾くし俺は少年の身体を愉しめる良いこと尽くめ。さあ来るんだ』
少年「……もう反論するのもめんどくさい、好きにしてくれ」
竜『わあい、じゃお言葉に甘えて』ダキッ
少年「…………」
竜『…………』
少年「……なんかさ、これ」
竜『蒸し暑い……』
少年「ご覧の通りめちゃめちゃ濡れてるんだけど」
竜『俺気付いたんだ。確かに最初は濡れててちょっと気持ち悪いかもしれないけど少し我慢すればお互いの熱で服は乾くって。君は服が乾くし俺は少年の身体を愉しめる良いこと尽くめ。さあ来るんだ』
少年「……もう反論するのもめんどくさい、好きにしてくれ」
竜『わあい、じゃお言葉に甘えて』ダキッ
少年「…………」
竜『…………』
少年「……なんかさ、これ」
竜『蒸し暑い……』
47: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:20:13.94 ID:usLe7g1u0
少年「暑すぎて嫌な汗出てきた」
竜『乾くまで我慢だ』
少年「…………」
竜『…………』
竜『うん、脱ごうか』
少年「素直に離れろよ」
竜『ありえないね』
少年「断言すんな」
竜『ああ、もういいや。あれでしょ? 自分から脱ぐのが恥ずかしいんでしょ? いいよ俺が手伝ってあげる』
少年「ち、違うよ! やめろ離せ! ちょ、あのホントに離して」
竜『ぐえっへっへっへ、大人しくしろもう逃げられんぞ、その艶やかな柔肌を俺の眼前に曝け出すんだ』
少年「えっ、うそ、ウソやめて、あばばば冗談でしょ? ポチ? ポチ!?」
竜『はいじゃあご開帳です』バサッ
少年「あっ」
竜『乾くまで我慢だ』
少年「…………」
竜『…………』
竜『うん、脱ごうか』
少年「素直に離れろよ」
竜『ありえないね』
少年「断言すんな」
竜『ああ、もういいや。あれでしょ? 自分から脱ぐのが恥ずかしいんでしょ? いいよ俺が手伝ってあげる』
少年「ち、違うよ! やめろ離せ! ちょ、あのホントに離して」
竜『ぐえっへっへっへ、大人しくしろもう逃げられんぞ、その艶やかな柔肌を俺の眼前に曝け出すんだ』
少年「えっ、うそ、ウソやめて、あばばば冗談でしょ? ポチ? ポチ!?」
竜『はいじゃあご開帳です』バサッ
少年「あっ」
48: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:23:21.60 ID:usLe7g1u0
少年「僕の知ってるポチじゃない……怖い」シクシク
竜『ご、ごめん。まさか泣くほど嫌だとは』
少年「…………」ジロッ
竜『うう…』
少年「……寒いんだけど」
竜『えっ?』
少年「この恰好じゃ寒い」
竜『? うん、だからもう早く着て…』
少年「寒いから早く暖めてって言ってるんだよバカ!」
竜『え? あ、それって。いいの……?』
少年「…早くしろよ」
竜『う、うん』ソッ
少年「…あったかい」
竜『あったかいねえ』
竜『ご、ごめん。まさか泣くほど嫌だとは』
少年「…………」ジロッ
竜『うう…』
少年「……寒いんだけど」
竜『えっ?』
少年「この恰好じゃ寒い」
竜『? うん、だからもう早く着て…』
少年「寒いから早く暖めてって言ってるんだよバカ!」
竜『え? あ、それって。いいの……?』
少年「…早くしろよ」
竜『う、うん』ソッ
少年「…あったかい」
竜『あったかいねえ』
49: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:27:12.89 ID:usLe7g1u0
少年「あっ、新発見」
竜『何なに?』
少年「素肌だとポチの腹さらに気持ちいい」プニプニ
竜『俺も素肌だと少年の肌さらさらして気持ちいい』
少年「キモい」
竜『さらさらー、ふにふにー』
少年「顔を擦り付けるなウロコが痛い!」
竜『すりすり』
少年「すりすりってかザリザリだよ! ほらっどけって!」グイッ
竜『ひゃうっ』ビクンッ
少年「えっな、何?」
竜『あ、顎の下は止めて……』
少年「あっ! すごいなんだここ! この上ない触り心地! さらさらってレベルじゃねえぞ!」サワサワ
竜『や、やめ、やめろおおおおぉぉ!』
竜『何なに?』
少年「素肌だとポチの腹さらに気持ちいい」プニプニ
竜『俺も素肌だと少年の肌さらさらして気持ちいい』
少年「キモい」
竜『さらさらー、ふにふにー』
少年「顔を擦り付けるなウロコが痛い!」
竜『すりすり』
少年「すりすりってかザリザリだよ! ほらっどけって!」グイッ
竜『ひゃうっ』ビクンッ
少年「えっな、何?」
竜『あ、顎の下は止めて……』
少年「あっ! すごいなんだここ! この上ない触り心地! さらさらってレベルじゃねえぞ!」サワサワ
竜『や、やめ、やめろおおおおぉぉ!』
50: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:29:51.40 ID:usLe7g1u0
竜『あのね、龍はね、顎の下に心臓があるの。だからそこを覆うウロコは敏感なんだよ、触られると嫌なんだよ』
少年「ごめん」
竜『わかればよし』
少年「顎の下に心臓あるってなんかヘンなの、どんな体内構造だよ」
竜『傷つくなあ、海老だって頭にあるんだよ?』
少年「ああもうダメだ眠い、おやすみ。起きたら勉強よろしく」
竜『ずいぶん唐突だ』
少年「…すうすう」
竜『もう寝たの? 早すぎない?』
少年「…くう」
竜『よく寝る子だ』
竜『…髪いい匂い、かわいい寝顔だ』シュルシュル
竜『離したくない』
竜『もう大切なものを失うのは御免だ』
少年「ごめん」
竜『わかればよし』
少年「顎の下に心臓あるってなんかヘンなの、どんな体内構造だよ」
竜『傷つくなあ、海老だって頭にあるんだよ?』
少年「ああもうダメだ眠い、おやすみ。起きたら勉強よろしく」
竜『ずいぶん唐突だ』
少年「…すうすう」
竜『もう寝たの? 早すぎない?』
少年「…くう」
竜『よく寝る子だ』
竜『…髪いい匂い、かわいい寝顔だ』シュルシュル
竜『離したくない』
竜『もう大切なものを失うのは御免だ』
51: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:33:12.44 ID:usLe7g1u0
少年「…………んあ? さむっ、あれポチがいない」
少年「ポチ-?」
竜『はーい』ゴシゴシ
少年「うす汚れた壁に向かって何してるの」
竜『え? 掃除だけど』
少年「あっ、持ってきてた雑巾がない、というかポチ掃除するなら起こせよひとりでやるなんてズルい」
竜『あんな気持ち良さそうに寝てたらさすがに起こせないよ、あっ服も乾かしといたからもう着れるよ』
少年「ポチが親切すぎて怖い。ぼ、僕バケツに水汲んでくるからっ、確か廊下にあったはず」
竜『いってらー』フリフリ
少年「ポチ-?」
竜『はーい』ゴシゴシ
少年「うす汚れた壁に向かって何してるの」
竜『え? 掃除だけど』
少年「あっ、持ってきてた雑巾がない、というかポチ掃除するなら起こせよひとりでやるなんてズルい」
竜『あんな気持ち良さそうに寝てたらさすがに起こせないよ、あっ服も乾かしといたからもう着れるよ』
少年「ポチが親切すぎて怖い。ぼ、僕バケツに水汲んでくるからっ、確か廊下にあったはず」
竜『いってらー』フリフリ
52: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:35:49.92 ID:usLe7g1u0
♪一方通行
少年「にしても狭い廊下だ。なんか物ごちゃごちゃしてるし、入り口も資材だらけで入るの大変だったし」
少年「ん、待てよ? じゃあポチはあの体でどうやってあそこに入ったんだ?」
少年「…まあいいか。あ、バケツあった」
少年「……でも水ないじゃん」
少年「にしても狭い廊下だ。なんか物ごちゃごちゃしてるし、入り口も資材だらけで入るの大変だったし」
少年「ん、待てよ? じゃあポチはあの体でどうやってあそこに入ったんだ?」
少年「…まあいいか。あ、バケツあった」
少年「……でも水ないじゃん」
53: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:38:39.98 ID:usLe7g1u0
少年「学校に来た」
少年「さっさと水汲んで戻ろう、雨に濡れて蛇口びしょびしょだ」ジャー
少年「……よし重いし半分くらいでいいや、戻るか」カシャン
「あれ? あそこにいるのあいつじゃね?」
少年「!」ササッ
「あいつって誰だよ男1」
男1「ほら、クラスにいる名前が変な奴…なんつったっけ男2? あっ行っちまった」
男2「ああ、あいつか。影薄すぎて忘れてたな」
男1「まあぶっちゃけいてもいなくても変わんないよな」
男2「ていうかアイツよく毎日学校来れるよな? 確かぼっちだろ」
男1「本人に聞いてみれば?」
男2「あんな根暗と話すとか苦行だろ、話しかけても声小さすぎて何言ってるか聞き取れないレベルだぞ」
男1「確かに、実は頭の方ちょっとアレなんじゃねえの?」
男2「…本人に聞いてみれば?」
男1「ぷっ、ははははっ!」
少年「…………(全部聞こえてるんだよ)」
少年「さっさと水汲んで戻ろう、雨に濡れて蛇口びしょびしょだ」ジャー
少年「……よし重いし半分くらいでいいや、戻るか」カシャン
「あれ? あそこにいるのあいつじゃね?」
少年「!」ササッ
「あいつって誰だよ男1」
男1「ほら、クラスにいる名前が変な奴…なんつったっけ男2? あっ行っちまった」
男2「ああ、あいつか。影薄すぎて忘れてたな」
男1「まあぶっちゃけいてもいなくても変わんないよな」
男2「ていうかアイツよく毎日学校来れるよな? 確かぼっちだろ」
男1「本人に聞いてみれば?」
男2「あんな根暗と話すとか苦行だろ、話しかけても声小さすぎて何言ってるか聞き取れないレベルだぞ」
男1「確かに、実は頭の方ちょっとアレなんじゃねえの?」
男2「…本人に聞いてみれば?」
男1「ぷっ、ははははっ!」
少年「…………(全部聞こえてるんだよ)」
54: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:40:58.29 ID:usLe7g1u0
少年「あー疲れたどっこいしょ」
竜『やあおかえり、どうでもいいんだけどおっさん臭い、よ…?』
少年「なんだよ人の顔ジッと見て」
竜『…何かあった?』
少年「な、なんでそう思うんだよ」
竜『否定しないってことはやっぱりそうか』
少年「っ! …………」
竜『俺でよければ相談に乗るよ…?』
少年「余計な、…お世話だっ!」
竜『やあおかえり、どうでもいいんだけどおっさん臭い、よ…?』
少年「なんだよ人の顔ジッと見て」
竜『…何かあった?』
少年「な、なんでそう思うんだよ」
竜『否定しないってことはやっぱりそうか』
少年「っ! …………」
竜『俺でよければ相談に乗るよ…?』
少年「余計な、…お世話だっ!」
55: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:43:39.78 ID:usLe7g1u0
少年「(…なに意地張ってるんだ僕)」
竜『……そっか、じゃあ雑巾絞って。俺のこの手じゃ出来ないんだ』
少年「お、おう。わかった」
竜『ねえねえほら見て! 大分綺麗になったでしょ』
少年「ほー確かに見違えたなあ、ここまでやってくれるとは思わなかった」
竜『カラアゲ100個』
少年「え?」
竜『掃除したら腹いっぱい食べさせてくれるって言った』
少年「…ええとレギュラーで5個入りだから、約4000円! たっか! たっかあい!」
竜『無理なの?』
少年「スミマセン、申し訳ありませんが半分ほどで妥協していただけないでしょうか?」
竜『ええ? だって俺このために頑張ったのに』
少年「そこをなんとか…今月ピンチで」
竜『しょうがないなあ。じゃあ代わりに金銭絡み以外で俺のわがまま1つだけ叶えてよ』
少年「あ、あまり大した事は出来ないと思うんですが」
竜『んー今ちょっと思い付かないから後でお願いするね』
少年「腹一杯食べさせてやると言った昨日の自分をフルスイングで投げ飛ばしたい」
竜『なんにしよっかなーふふふっ』
竜『……そっか、じゃあ雑巾絞って。俺のこの手じゃ出来ないんだ』
少年「お、おう。わかった」
竜『ねえねえほら見て! 大分綺麗になったでしょ』
少年「ほー確かに見違えたなあ、ここまでやってくれるとは思わなかった」
竜『カラアゲ100個』
少年「え?」
竜『掃除したら腹いっぱい食べさせてくれるって言った』
少年「…ええとレギュラーで5個入りだから、約4000円! たっか! たっかあい!」
竜『無理なの?』
少年「スミマセン、申し訳ありませんが半分ほどで妥協していただけないでしょうか?」
竜『ええ? だって俺このために頑張ったのに』
少年「そこをなんとか…今月ピンチで」
竜『しょうがないなあ。じゃあ代わりに金銭絡み以外で俺のわがまま1つだけ叶えてよ』
少年「あ、あまり大した事は出来ないと思うんですが」
竜『んー今ちょっと思い付かないから後でお願いするね』
少年「腹一杯食べさせてやると言った昨日の自分をフルスイングで投げ飛ばしたい」
竜『なんにしよっかなーふふふっ』
56: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:46:33.88 ID:usLe7g1u0
少年「よし、だいぶキレイになったな、こんなもんでいいや」
竜『いやはやこんなに動いたのは何年ぶりだろ』
少年「そんなんだからメタボってんだよ」
竜『ち、違うよ! 元からこんな体型だよ!』
少年「産まれたときからおでぶさんか…」
竜『くそう、一時期は全然スマートだったんだよ』
少年「へえ? どのくらい?」
竜『ええと、腰周り直径2cmくらい?』
少年「ほっそ! 極端すぎるだろ!」
竜『スリムでしょ?』
少年「ポチの美的感覚が僕にはよくわからん…コンビニ行って買ってくる」
竜『いってらっしゃーい、……痩せたほうがいいのかなあ?』プニプニ
竜『いやはやこんなに動いたのは何年ぶりだろ』
少年「そんなんだからメタボってんだよ」
竜『ち、違うよ! 元からこんな体型だよ!』
少年「産まれたときからおでぶさんか…」
竜『くそう、一時期は全然スマートだったんだよ』
少年「へえ? どのくらい?」
竜『ええと、腰周り直径2cmくらい?』
少年「ほっそ! 極端すぎるだろ!」
竜『スリムでしょ?』
少年「ポチの美的感覚が僕にはよくわからん…コンビニ行って買ってくる」
竜『いってらっしゃーい、……痩せたほうがいいのかなあ?』プニプニ
57: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:48:44.04 ID:usLe7g1u0
少年「からあげ50個くださいって言ったら変な目で見られた…へこむ……」
ドシン! ドシン!
少年「な、何か地響きが聞こえる」
少年「しかもあの部屋から聞こえてる気がする、気のせいであってくれ。いややっぱりあそこから聞こえるよチクショウ」
少年「ぽ、ポチ何してるんだよ!?」バタン
竜『あ、少年持ってきてくれたんだねありがとう』ドシンドシン
少年「そんなことよりその巨体で跳び跳ねるのをやめろ! 外にまで音漏れてるんだよ!」
竜『えっ、嘘? それはお恥ずかしい』
ドシン! ドシン!
少年「な、何か地響きが聞こえる」
少年「しかもあの部屋から聞こえてる気がする、気のせいであってくれ。いややっぱりあそこから聞こえるよチクショウ」
少年「ぽ、ポチ何してるんだよ!?」バタン
竜『あ、少年持ってきてくれたんだねありがとう』ドシンドシン
少年「そんなことよりその巨体で跳び跳ねるのをやめろ! 外にまで音漏れてるんだよ!」
竜『えっ、嘘? それはお恥ずかしい』
58: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:50:30.86 ID:usLe7g1u0
少年「え? で何してたの? 新しいストレス発散法?」
竜『いやあ、君に言われて少し痩せてみようかと思って、筋トレしてた』
少年「うん、謝るからそんなはた迷惑なダイエット止めて」
竜『じゃあ俺はどうやってスレンダーな肉体を手に入れればいいんだ、こんなふくよかな身体じゃモテやしない』
少年「そのままの君が一番素敵さ」キラッ
竜『やだかっこいい…惚れちゃいそう…』
少年「まあ茶番はそんくらいにして、はいカラアゲ」
竜『ふふふ、待ちに待ったぞ、いただきまーす』ムシャムシャ
少年「ポチ、君痩せる気ないだろ」
竜『んー? いや、むぐっあるよ。あるけど、んぐっ、我慢も体に良くない、でしょ? けぷっごちそうさま』
少年「まあ人様に迷惑かげずに運動しとけよ」
竜『あーい』
竜『いやあ、君に言われて少し痩せてみようかと思って、筋トレしてた』
少年「うん、謝るからそんなはた迷惑なダイエット止めて」
竜『じゃあ俺はどうやってスレンダーな肉体を手に入れればいいんだ、こんなふくよかな身体じゃモテやしない』
少年「そのままの君が一番素敵さ」キラッ
竜『やだかっこいい…惚れちゃいそう…』
少年「まあ茶番はそんくらいにして、はいカラアゲ」
竜『ふふふ、待ちに待ったぞ、いただきまーす』ムシャムシャ
少年「ポチ、君痩せる気ないだろ」
竜『んー? いや、むぐっあるよ。あるけど、んぐっ、我慢も体に良くない、でしょ? けぷっごちそうさま』
少年「まあ人様に迷惑かげずに運動しとけよ」
竜『あーい』
59: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:52:40.41 ID:usLe7g1u0
少年「しっぽ」
竜『何さ』
少年「尻尾を動かす感覚ってどんなのかと思って」
竜『んー? 別に手足を動かすのと変わらないよ、むしろ手の届かない背中まで届くから便利』
少年「へえーよいしょ」
竜『なんで乗るのさ』
少年「動かしてみ?」
竜『…まあいいけど。それっ』ブンブン
少年「うおっ、おぉ予想通り楽しい、ははは」
竜『それっ、それっ』ブンブンブンブン
少年「はははははっ、楽しー」
竜『何さ』
少年「尻尾を動かす感覚ってどんなのかと思って」
竜『んー? 別に手足を動かすのと変わらないよ、むしろ手の届かない背中まで届くから便利』
少年「へえーよいしょ」
竜『なんで乗るのさ』
少年「動かしてみ?」
竜『…まあいいけど。それっ』ブンブン
少年「うおっ、おぉ予想通り楽しい、ははは」
竜『それっ、それっ』ブンブンブンブン
少年「はははははっ、楽しー」
60: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:55:32.51 ID:usLe7g1u0
竜『へいっ、へいっ!』ブンブンブンブンブンブン
少年「はは、もういいよ、降ろして」
竜『はい高いたかーい』ヒョイッ
少年「あの、ホントに降ろして」
竜『もっと高いたかーい』
少年「あばばば、マジで降ろして怖い怖い」
竜『はい最大高度ー』ピーン
少年「あぁあああぁポチ様許して許してごめんなさいごめんなさい」
竜『あははっ、たのしーね少年っ』
少年「こわいいぃぃ、この高さそのものと恐怖に震え必死にしがみついている僕を見て満面の笑みのポチが怖いいぃぃ」
竜『はははっ、ほら少年もっと頑張らないと落ちるぞー、はっはっはっはっ!』
少年「誰かたすけてえええぇぇ」
少年「はは、もういいよ、降ろして」
竜『はい高いたかーい』ヒョイッ
少年「あの、ホントに降ろして」
竜『もっと高いたかーい』
少年「あばばば、マジで降ろして怖い怖い」
竜『はい最大高度ー』ピーン
少年「あぁあああぁポチ様許して許してごめんなさいごめんなさい」
竜『あははっ、たのしーね少年っ』
少年「こわいいぃぃ、この高さそのものと恐怖に震え必死にしがみついている僕を見て満面の笑みのポチが怖いいぃぃ」
竜『はははっ、ほら少年もっと頑張らないと落ちるぞー、はっはっはっはっ!』
少年「誰かたすけてえええぇぇ」
61: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 19:57:52.73 ID:usLe7g1u0
少年「もう二度と乗らん」
竜『俺のここ、いつでも空いてますよ?』
少年「一生空席でいろバカ」
竜『いやあこれは良い運動になるね、いい汗かいた気分』
少年「僕は実に嫌な汗かいたが」
竜『それは災難だったね』
少年「殴るぞ」ゴンッ
竜『もう殴ってるじゃん、手だいじょぶ?』
少年「いてえ……なんだこのウロコ鉄かよ」
竜『鉄だなんて失敬な、生半可な兵器じゃ傷一つ付けられないくらい硬いんだよ?』
少年「へえ。でもその割りに剥がすのは簡単だったような」
竜『…………』
少年「君が背中を丸めて落ち込んでる姿は正直面白い、シュール、滑稽」
竜『追い討ちかけないでよ……』
竜『俺のここ、いつでも空いてますよ?』
少年「一生空席でいろバカ」
竜『いやあこれは良い運動になるね、いい汗かいた気分』
少年「僕は実に嫌な汗かいたが」
竜『それは災難だったね』
少年「殴るぞ」ゴンッ
竜『もう殴ってるじゃん、手だいじょぶ?』
少年「いてえ……なんだこのウロコ鉄かよ」
竜『鉄だなんて失敬な、生半可な兵器じゃ傷一つ付けられないくらい硬いんだよ?』
少年「へえ。でもその割りに剥がすのは簡単だったような」
竜『…………』
少年「君が背中を丸めて落ち込んでる姿は正直面白い、シュール、滑稽」
竜『追い討ちかけないでよ……』
62: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 20:00:54.27 ID:usLe7g1u0
少年「うーんそろそろ帰るべきか、めんどくさい」
竜『君の家さ、門限とか無いの? いつも結構暗くなってから帰るけど』
少年「…そんなもの家にはないな」
竜『ふうん、時代が変わったのかな? まあ夜道は危ないから気をつけてね、怪しい人についてっちゃダメだよ、飴あげるって言われてもだよ?』
少年「どんだけ子供扱いするんだよ…じゃーまた」
竜『あい、またね』
竜『……ふう行ってしまった、見た目完璧小学生だから心配だなあ』
「…………」
竜『ところでさっきからそこに隠れてるのは誰?』
「! っ……」ダタッ
竜『少年、なわけないよな。……ふむ、これは少しまずいか?』
竜『君の家さ、門限とか無いの? いつも結構暗くなってから帰るけど』
少年「…そんなもの家にはないな」
竜『ふうん、時代が変わったのかな? まあ夜道は危ないから気をつけてね、怪しい人についてっちゃダメだよ、飴あげるって言われてもだよ?』
少年「どんだけ子供扱いするんだよ…じゃーまた」
竜『あい、またね』
竜『……ふう行ってしまった、見た目完璧小学生だから心配だなあ』
「…………」
竜『ところでさっきからそこに隠れてるのは誰?』
「! っ……」ダタッ
竜『少年、なわけないよな。……ふむ、これは少しまずいか?』
65: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 20:04:19.38 ID:usLe7g1u0
少年「……ただいま」
「弟は偉いわね、この前の試験、学年で唯一満点だったそうよ」
「ほう。この調子で勉学に励みなさい、決して誰にも負けてはいけないよ。人生の負け組にだけは決してなるな」
弟「はい、父上、母上。私は常に、周囲の人間に勝ち続けます。お2人のご期待に応えてみせます」
少年「あの、すみません。僕の食事は…」
母上「まあ、なんて頼もしいのかしら、さすが私達の子ね」
父上「ああ、私はお前のような出来た子を持てて実に誇らしいぞ」
弟「お褒めのお言葉、ありがとうございます」
少年「あの……」
母上「うっるさいわね! ほら、金なら渡すから自分で買ってきなさい!」バンッ!
少年「あ、すみませんすみませんすみません……」
父上「ああもうお前のような出来損ないを見ていると実に苛々させられる、早く出ていきなさい」
少年「はい、失礼しました…」
母上「さあ弟、そろそろお部屋に戻って勉強しなさい。何か欲しいものがあればいつでも言ってね?」
弟「はい、…………」
「弟は偉いわね、この前の試験、学年で唯一満点だったそうよ」
「ほう。この調子で勉学に励みなさい、決して誰にも負けてはいけないよ。人生の負け組にだけは決してなるな」
弟「はい、父上、母上。私は常に、周囲の人間に勝ち続けます。お2人のご期待に応えてみせます」
少年「あの、すみません。僕の食事は…」
母上「まあ、なんて頼もしいのかしら、さすが私達の子ね」
父上「ああ、私はお前のような出来た子を持てて実に誇らしいぞ」
弟「お褒めのお言葉、ありがとうございます」
少年「あの……」
母上「うっるさいわね! ほら、金なら渡すから自分で買ってきなさい!」バンッ!
少年「あ、すみませんすみませんすみません……」
父上「ああもうお前のような出来損ないを見ていると実に苛々させられる、早く出ていきなさい」
少年「はい、失礼しました…」
母上「さあ弟、そろそろお部屋に戻って勉強しなさい。何か欲しいものがあればいつでも言ってね?」
弟「はい、…………」
66: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 20:05:48.77 ID:usLe7g1u0
少年「ああ、夜は冷えるな。そろそろ冬か」
少年「今日は何にしようか、そうだなカラアゲでも食べようかああダメだ金が足りん」
少年「……さむいや」
弟「おーい、兄さーんやーい」タタッ
少年「お、弟? お前部屋に戻ったんじゃ」
弟「いやあ、見つかると面倒だから窓から抜け出してきた」
少年「お前の部屋2階だよな……?」
弟「そのためにロープ部屋に常備してるんでしょ」
少年「てっきり首をくくるためかと…。2階から伝って降りるだなんて僕には真似できないな」
弟「まあ俺兄さんと違って運動神経いいしね」
少年「おい」
少年「今日は何にしようか、そうだなカラアゲでも食べようかああダメだ金が足りん」
少年「……さむいや」
弟「おーい、兄さーんやーい」タタッ
少年「お、弟? お前部屋に戻ったんじゃ」
弟「いやあ、見つかると面倒だから窓から抜け出してきた」
少年「お前の部屋2階だよな……?」
弟「そのためにロープ部屋に常備してるんでしょ」
少年「てっきり首をくくるためかと…。2階から伝って降りるだなんて僕には真似できないな」
弟「まあ俺兄さんと違って運動神経いいしね」
少年「おい」
67: ◆yJ9Y64R876 2013/10/01(火) 20:06:47.72 ID:usLe7g1u0
弟「冗談だってあはは、ねえいくらアイツからもらったの?」
少年「このくらい」チャリン
弟「わぁお、笑っちゃうくらい少ないね、おにぎり1個くらいしか買えないじゃん。そんなんだから俺より身長低いんだ」
少年「黙れ、まだ成長期が来てないだけだ」
弟「じゃあ今日は金持ちの俺が奢ってあげるよ、なんでもいいよ」
少年「…じゃあカラアゲ弁当」
弟「へえ、兄さんにしては珍しいチョイスだね」
少年「たまにはいいかなって思ってさ」
弟「よしじゃあ、なくなる前に早く買いにいこう! それ走れ!」ダダッ
少年「お、おい待てよ!」
弟「ふははははっ、俺が先に着いたら奢りはなしだぜヒャッハアアアァ!」
少年「う、うおああおおおおおぉぉ!」ダダダッ!
少年「(なんで僕はこんな出来た弟の兄なんだろう)」
少年「このくらい」チャリン
弟「わぁお、笑っちゃうくらい少ないね、おにぎり1個くらいしか買えないじゃん。そんなんだから俺より身長低いんだ」
少年「黙れ、まだ成長期が来てないだけだ」
弟「じゃあ今日は金持ちの俺が奢ってあげるよ、なんでもいいよ」
少年「…じゃあカラアゲ弁当」
弟「へえ、兄さんにしては珍しいチョイスだね」
少年「たまにはいいかなって思ってさ」
弟「よしじゃあ、なくなる前に早く買いにいこう! それ走れ!」ダダッ
少年「お、おい待てよ!」
弟「ふははははっ、俺が先に着いたら奢りはなしだぜヒャッハアアアァ!」
少年「う、うおああおおおおおぉぉ!」ダダダッ!
少年「(なんで僕はこんな出来た弟の兄なんだろう)」
71: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:17:21.95 ID:CHk0du2c0
―次の日―
竜『今日も雨降ってないみたいだ』
竜『でも力は使わないでおこう、連日天気予報外れるのはまずいよね』
竜『……今日は暇になりそうだ』
少年「ういっす」ガチャ
竜『え? あれ? あれれ?』
少年「なんだよ、疑問符を無駄に並べて」
竜『あれ今雨降ってた?』
少年「降ってないけど」
竜『な、何故来たし?』
少年「ポチに会いたかったからだけど?」
竜『ええ!? あ、その、そ、そっか』
少年「昨日さー何気に宿題忘れててさ、罰として今日いっぱい出されたからよろしく」
竜『う、うんいいよ!』
竜『今日も雨降ってないみたいだ』
竜『でも力は使わないでおこう、連日天気予報外れるのはまずいよね』
竜『……今日は暇になりそうだ』
少年「ういっす」ガチャ
竜『え? あれ? あれれ?』
少年「なんだよ、疑問符を無駄に並べて」
竜『あれ今雨降ってた?』
少年「降ってないけど」
竜『な、何故来たし?』
少年「ポチに会いたかったからだけど?」
竜『ええ!? あ、その、そ、そっか』
少年「昨日さー何気に宿題忘れててさ、罰として今日いっぱい出されたからよろしく」
竜『う、うんいいよ!』
72: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:20:55.39 ID:CHk0du2c0
竜『ところでなんだか甘い匂いがするね?』
少年「今僕あめ玉舐めてるから、ほらっ」ペロッ
竜『その色と香りはレモン味かな? 俺の分は?』
少年「ないよ?」
竜『お?』
少年「ん?」
竜『君の口の中にあるじゃない』
少年「どんだけ卑しいんだよ!? ウソだよあるよほらっ」ポイッ
竜『なんだ嘘か』パクッ
竜『…って妙にすっぱい! なんだこれ毒物か!?』
少年「梅干味だけどおいしくない?」
竜『不味くはないけど求めてたのと違う…。まあいいやそろそろ宿題片付けようか』
少年「…………はーい」シュン
竜『ものすごいテンションの下がりよう』
少年「今僕あめ玉舐めてるから、ほらっ」ペロッ
竜『その色と香りはレモン味かな? 俺の分は?』
少年「ないよ?」
竜『お?』
少年「ん?」
竜『君の口の中にあるじゃない』
少年「どんだけ卑しいんだよ!? ウソだよあるよほらっ」ポイッ
竜『なんだ嘘か』パクッ
竜『…って妙にすっぱい! なんだこれ毒物か!?』
少年「梅干味だけどおいしくない?」
竜『不味くはないけど求めてたのと違う…。まあいいやそろそろ宿題片付けようか』
少年「…………はーい」シュン
竜『ものすごいテンションの下がりよう』
73: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:24:10.13 ID:CHk0du2c0
少年「うーん終わらないなコレは!」
竜『ちょっと休憩してみようか、まだ時間はあるし』
少年「あーい賛成」
竜『あーなんだか懐がさみしいなあ、何かこの胸の中にフィットするものないかなー?』チラッチラッ
少年「よいしょっ」ギュッ
竜『わわっ、な、なんで』
少年「僕も寒いから、ふう、変温動物早く体温上げろ、冷たい」
竜『そんな無茶な、……えへへ』
少年「な、なんだよ気色悪いな」
竜『少年から来てくれると思ってなかったからなんか嬉しいや、ふふっ』
少年「ち、違う! 寒いから仕方なく、仕方なくだ!」
竜『あったかいなあ』
少年「そうだなー」
竜『ちょっと休憩してみようか、まだ時間はあるし』
少年「あーい賛成」
竜『あーなんだか懐がさみしいなあ、何かこの胸の中にフィットするものないかなー?』チラッチラッ
少年「よいしょっ」ギュッ
竜『わわっ、な、なんで』
少年「僕も寒いから、ふう、変温動物早く体温上げろ、冷たい」
竜『そんな無茶な、……えへへ』
少年「な、なんだよ気色悪いな」
竜『少年から来てくれると思ってなかったからなんか嬉しいや、ふふっ』
少年「ち、違う! 寒いから仕方なく、仕方なくだ!」
竜『あったかいなあ』
少年「そうだなー」
74: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:31:29.60 ID:CHk0du2c0
少年「まずい、眠い」
竜『少年こうしてる時いっつもそう言ってるよね』
少年「う、うそ?」
竜『まあ少しくらいなら寝ちゃいなよ、起こしてあげるから』
少年「うーん、うん。じゃあ頼む、30分くらいで起こして」
竜『りょーかい、おやすみ』
少年「ん。……すぴー」
竜『相変わらず早い』
竜『…ああもうかわいいなあっ』
竜『(色んな意味で)食べてしまいたい! ……あ、あれ? 何言ってるんだ俺』
「…………」
竜『そこにいる者、姿を現せ』
竜『少年こうしてる時いっつもそう言ってるよね』
少年「う、うそ?」
竜『まあ少しくらいなら寝ちゃいなよ、起こしてあげるから』
少年「うーん、うん。じゃあ頼む、30分くらいで起こして」
竜『りょーかい、おやすみ』
少年「ん。……すぴー」
竜『相変わらず早い』
竜『…ああもうかわいいなあっ』
竜『(色んな意味で)食べてしまいたい! ……あ、あれ? 何言ってるんだ俺』
「…………」
竜『そこにいる者、姿を現せ』
75: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:35:01.49 ID:CHk0du2c0
「! …………」
竜『扉の向こう側にいる貴様だ、何かを隔てれば姿を隠せると思ったか愚か者め。我が視界において如何なる壁も死角にはなり得ない』
「…………」ダッ
竜『…またしても逃げるか。……あ、うっかり昔のダサい口調に戻っちゃった、危ない危ない』
竜『うーん、何とかしないとまずいなあ、ここに俺と少年以外はいらない』
竜『やっぱり片付けるか、いやでもどう考えても面倒臭い事になるよなあ』
竜『んー、そんなことより30分ってどのくらいかなあ』
竜『扉の向こう側にいる貴様だ、何かを隔てれば姿を隠せると思ったか愚か者め。我が視界において如何なる壁も死角にはなり得ない』
「…………」ダッ
竜『…またしても逃げるか。……あ、うっかり昔のダサい口調に戻っちゃった、危ない危ない』
竜『うーん、何とかしないとまずいなあ、ここに俺と少年以外はいらない』
竜『やっぱり片付けるか、いやでもどう考えても面倒臭い事になるよなあ』
竜『んー、そんなことより30分ってどのくらいかなあ』
76: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:38:34.62 ID:CHk0du2c0
少年「……ん、あれポチ?」
竜「すぴー」
少年「君が寝ててどうするんだ!」ペシッ
竜『…あ、おはよー』
少年「ちょっとは悪びれろよ」
竜『ごめんごめん。じゃあ勉強始めようか』
少年「頼むよほんと」
竜「すぴー」
少年「君が寝ててどうするんだ!」ペシッ
竜『…あ、おはよー』
少年「ちょっとは悪びれろよ」
竜『ごめんごめん。じゃあ勉強始めようか』
少年「頼むよほんと」
77: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:41:40.08 ID:CHk0du2c0
少年「おふっ…、もう数字も英単語も見たくない」
竜『ほらもう少しだからがんばって』
少年「うっ…うぅ……」グスッ
竜『泣いても宿題は減らないよ』
少年「ポチの悪魔ぁ…」
竜『……竜だよ』
少年「あとちょっと、がんばれ僕、負けるな僕」
少年「ひっひっふー、ひっひっふー」
竜『君は何を産もうとしてるんだ』
少年「弟が辛いときはこうすると楽になるって」
竜『楽になるのは君には縁のない出産だけだよ……って少年弟いたの?』
少年「えっ、言ってなかったっけ?」チラッ
竜『初耳だけど』
少年「そんなことより今はこのコピー用紙とインクで構成された悪魔をどうやって倒すかを考える方が先決だ!」
竜『あ、そこ盛大に間違えてるね、最初からやり直し』
少年「むぎゃああーー!」
竜『ほらもう少しだからがんばって』
少年「うっ…うぅ……」グスッ
竜『泣いても宿題は減らないよ』
少年「ポチの悪魔ぁ…」
竜『……竜だよ』
少年「あとちょっと、がんばれ僕、負けるな僕」
少年「ひっひっふー、ひっひっふー」
竜『君は何を産もうとしてるんだ』
少年「弟が辛いときはこうすると楽になるって」
竜『楽になるのは君には縁のない出産だけだよ……って少年弟いたの?』
少年「えっ、言ってなかったっけ?」チラッ
竜『初耳だけど』
少年「そんなことより今はこのコピー用紙とインクで構成された悪魔をどうやって倒すかを考える方が先決だ!」
竜『あ、そこ盛大に間違えてるね、最初からやり直し』
少年「むぎゃああーー!」
78: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:44:58.18 ID:CHk0du2c0
少年「幾つもの困難を乗り換えついに僕は悪魔を討ち滅ぼすことに成功した!」
竜『よしよし、えらいえらい』ナデナデ
少年「ひいいぃ、今度は(勉強の)パートナーが敵になっただと」
竜『ぱ、パートナーかあっ』ナデナデナデナデ
少年「何故か撫でる速度が上がった。ってかあっつい! 早すぎて摩擦熱がハンパない!」
竜『わあ、少年頭から湯気出てるよ。ユニークな特技だね』
少年「ポチのせいだから! いい加減離さないと顎触るぞ!」
竜『』ガタガタ
竜『よしよし、えらいえらい』ナデナデ
少年「ひいいぃ、今度は(勉強の)パートナーが敵になっただと」
竜『ぱ、パートナーかあっ』ナデナデナデナデ
少年「何故か撫でる速度が上がった。ってかあっつい! 早すぎて摩擦熱がハンパない!」
竜『わあ、少年頭から湯気出てるよ。ユニークな特技だね』
少年「ポチのせいだから! いい加減離さないと顎触るぞ!」
竜『』ガタガタ
79: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:47:20.35 ID:CHk0du2c0
少年「そ、そんなにイヤなのか」
竜『言っていいことと悪いことが世の中にはあるんだよ…』
少年「もう言わないから隅っこで巨体を震わすのをやめてこっちに戻ってこい」
竜『…触らない?』
少年「触らん絶対に触らん、約束する」
竜『わあい、よかったあ。これで安心して抱きつけるっ』ダキッ
少年「…なんか不公平な気がするなあ」
竜『何が? あぁ、きもちぃー』
竜『言っていいことと悪いことが世の中にはあるんだよ…』
少年「もう言わないから隅っこで巨体を震わすのをやめてこっちに戻ってこい」
竜『…触らない?』
少年「触らん絶対に触らん、約束する」
竜『わあい、よかったあ。これで安心して抱きつけるっ』ダキッ
少年「…なんか不公平な気がするなあ」
竜『何が? あぁ、きもちぃー』
80: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:49:36.92 ID:CHk0du2c0
少年「ポチさあ」
竜『何さあ』
少年「なんで外出ないの?」
竜『めんどくさいからかなあ、寝てるの気持ちいいし』
少年「でもたまには外出た方が健康的だぞ? ずっとこんな所いたらそのうちカビ生えるかもよ?」
竜『あーまあ気が向いたらねえ』
少年「うーん、この感じ絶対外出る気ないだろ」
竜『バレた?』
少年「かといって僕にポチを引っ張っていけるほどの怪力は備わってないし」
竜『なんでそこまでして俺の薔薇色の引きこもり生活を邪魔したいのさあ』
少年「僕は放課後のこの場所だけじゃなく、色んな場所でポチと一緒にもっとたくさんの時間を過ごしたいんだよ」
竜『っ……素直すぎるっていうのは罪だね、相手によっては容易く心を揺さぶる』
少年「ポチ?」
竜『何さあ』
少年「なんで外出ないの?」
竜『めんどくさいからかなあ、寝てるの気持ちいいし』
少年「でもたまには外出た方が健康的だぞ? ずっとこんな所いたらそのうちカビ生えるかもよ?」
竜『あーまあ気が向いたらねえ』
少年「うーん、この感じ絶対外出る気ないだろ」
竜『バレた?』
少年「かといって僕にポチを引っ張っていけるほどの怪力は備わってないし」
竜『なんでそこまでして俺の薔薇色の引きこもり生活を邪魔したいのさあ』
少年「僕は放課後のこの場所だけじゃなく、色んな場所でポチと一緒にもっとたくさんの時間を過ごしたいんだよ」
竜『っ……素直すぎるっていうのは罪だね、相手によっては容易く心を揺さぶる』
少年「ポチ?」
81: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:52:07.03 ID:CHk0du2c0
竜『はっきり言うね。俺は何があってもここを出るつもりはない』
少年「…なんで?」
竜『ここから出るのがめんどうだから』
少年「嘘だ」
竜『うん、嘘だよ』
少年「……なんで隠すんだよ」
竜『俺は隠し事はしちゃ駄目なの? 君はしてるのに?』
少年「何も、隠してなんかないっ」
竜『バケツに水を汲んで来た時のあの表情は何? あと君がさっき弟がいるって言ったとき、正確に言えば「言ってなかったっけ?」って呟いたとき目が僅かに泳いでいたよ、本当は意識的に口に出さないようにしてたんでしょ? 家族の事を隠してる。それに君は自分のことをほとんど話さない、普通竜なんて珍しいものを見たら色々訊きたがる筈だけど少年が何も尋ねないのは質問して逆に自分の事を訊かれるのが嫌だからじゃないの? ねえ?』
少年「…なんで?」
竜『ここから出るのがめんどうだから』
少年「嘘だ」
竜『うん、嘘だよ』
少年「……なんで隠すんだよ」
竜『俺は隠し事はしちゃ駄目なの? 君はしてるのに?』
少年「何も、隠してなんかないっ」
竜『バケツに水を汲んで来た時のあの表情は何? あと君がさっき弟がいるって言ったとき、正確に言えば「言ってなかったっけ?」って呟いたとき目が僅かに泳いでいたよ、本当は意識的に口に出さないようにしてたんでしょ? 家族の事を隠してる。それに君は自分のことをほとんど話さない、普通竜なんて珍しいものを見たら色々訊きたがる筈だけど少年が何も尋ねないのは質問して逆に自分の事を訊かれるのが嫌だからじゃないの? ねえ?』
82: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:54:36.95 ID:CHk0du2c0
少年「……うん」
竜『でもそれが何でかは俺は訊かないよ、訊かれたくないことを無理に訊くほど性格歪んでるつもりはないしね。それで少年は俺がここを決して出ていかない理由を訊くの? どうしてもと言うのなら答えるけど』
少年「…聞かない」
竜『そう。じゃあこの話はおしまい』
少年「…………」
竜『うん、もう十分身体暖まったから離れるね。嫌だろうに付き合ってくれてありがとね』パッ
竜『でもそれが何でかは俺は訊かないよ、訊かれたくないことを無理に訊くほど性格歪んでるつもりはないしね。それで少年は俺がここを決して出ていかない理由を訊くの? どうしてもと言うのなら答えるけど』
少年「…聞かない」
竜『そう。じゃあこの話はおしまい』
少年「…………」
竜『うん、もう十分身体暖まったから離れるね。嫌だろうに付き合ってくれてありがとね』パッ
83: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:57:26.16 ID:CHk0du2c0
少年「……だめだ」ギュッ
竜『えっ?』
少年「僕がまださむい」
竜『でも顔も赤いし暑いんじゃ』
少年「…………」ポロポロ
竜『なななな泣いてるの少年!?』
少年「泣いてるよ泣いちゃ悪いかコノヤロウ!」
竜『い、いやそんなことはないけど』
少年「なんで僕が泣いてるかわかるかポチ!?」
竜『うえっ!? えと、俺が隠し事云々で少年のこと責めたから? ごめん確かに言い過ぎ……』
少年「違うこのバカポチ!」
竜『ええっ? じゃ、じゃあ俺がちょっとムキになって少年に思わず冷たい態度取ったこと?』
少年「惜しいけど違うんだよこのデブトカゲ!」
竜『じゃあもうわかんないよ! 教えてよ!』
少年「僕から勝手に離れるな!!」
竜『えっ? ……え?』
竜『えっ?』
少年「僕がまださむい」
竜『でも顔も赤いし暑いんじゃ』
少年「…………」ポロポロ
竜『なななな泣いてるの少年!?』
少年「泣いてるよ泣いちゃ悪いかコノヤロウ!」
竜『い、いやそんなことはないけど』
少年「なんで僕が泣いてるかわかるかポチ!?」
竜『うえっ!? えと、俺が隠し事云々で少年のこと責めたから? ごめん確かに言い過ぎ……』
少年「違うこのバカポチ!」
竜『ええっ? じゃ、じゃあ俺がちょっとムキになって少年に思わず冷たい態度取ったこと?』
少年「惜しいけど違うんだよこのデブトカゲ!」
竜『じゃあもうわかんないよ! 教えてよ!』
少年「僕から勝手に離れるな!!」
竜『えっ? ……え?』
84: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 19:59:39.41 ID:CHk0du2c0
少年「何勝手にひとりで満足して離してるんだ! さむいんだよ! さみしいんだよ! 悲しいんだよ! ポチが離れたあの瞬間何故だか喪失感がものすごかったんだよ! ご覧の通り思わず泣いちゃったよ!」
竜『そ、それはお気の毒様です』
少年「わかったら早く僕を抱けバカポチ!」
竜『う、うん。…これでいい?』ギュッ
少年「…う、うぅ…それでいいんだよこのバカポチめえ……」グスッ
竜『馬鹿って言うな』
少年「メタボめぇ……」
竜『違う! ふくよか!』
少年「……ひっく、うえぇ……」
竜『…大丈夫、離さない、離れない。俺はここにいるよ』
少年「ずっといるって約束しろよバカ竜がぁ……」
竜『いいよ、約束する』ギュッ
少年「…うぅ、うあぁ……」ギュウウゥゥ
竜『そ、それはお気の毒様です』
少年「わかったら早く僕を抱けバカポチ!」
竜『う、うん。…これでいい?』ギュッ
少年「…う、うぅ…それでいいんだよこのバカポチめえ……」グスッ
竜『馬鹿って言うな』
少年「メタボめぇ……」
竜『違う! ふくよか!』
少年「……ひっく、うえぇ……」
竜『…大丈夫、離さない、離れない。俺はここにいるよ』
少年「ずっといるって約束しろよバカ竜がぁ……」
竜『いいよ、約束する』ギュッ
少年「…うぅ、うあぁ……」ギュウウゥゥ
85: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:01:54.95 ID:CHk0du2c0
少年「離せ」
竜『「僕から勝手に離れるな!」』
少年「離せ」
竜『「ずっといろよバカ竜がぁ」』
少年「離せ」
竜『わかったら早く僕を抱けバカポチ! って台詞知らない人が聞いたら絶対に勘違いするよね! あざといね!』
少年「離せ言うとるんじゃーー!」
竜『ええ? でもさっき離さないって約束しちゃったしなぁ』
少年「知らん! そんな約束は反故だ反故! わかったら離しやがれ!」
竜『ほご? そんなむずかしい言葉俺にはよくわからないなあ』
少年「ウソだ!」
竜『うん、嘘だよ』
少年「シリアス時と同じ会話すんな!」
竜『HAHAHAHA!』
少年「なんで上機嫌!?」
竜『「僕から勝手に離れるな!」』
少年「離せ」
竜『「ずっといろよバカ竜がぁ」』
少年「離せ」
竜『わかったら早く僕を抱けバカポチ! って台詞知らない人が聞いたら絶対に勘違いするよね! あざといね!』
少年「離せ言うとるんじゃーー!」
竜『ええ? でもさっき離さないって約束しちゃったしなぁ』
少年「知らん! そんな約束は反故だ反故! わかったら離しやがれ!」
竜『ほご? そんなむずかしい言葉俺にはよくわからないなあ』
少年「ウソだ!」
竜『うん、嘘だよ』
少年「シリアス時と同じ会話すんな!」
竜『HAHAHAHA!』
少年「なんで上機嫌!?」
86: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:03:58.98 ID:CHk0du2c0
竜『少年元気いっぱいだなあ。喉痛くならない?』
少年「じゃあつっこませるなよ…」
竜『いやあ少年の反応が面白くてつい』
少年「…もう知らん」
竜『拗ねないでよー』
少年「知らん、もうふて寝してやる」
竜『えー? また寝るの? そしたら俺が暇になるじゃん』
少年「ざまあみろ。おやすみ」
竜『しょうがないなあ。おやすみ』
少年「……すぴー」
竜『相変わらず早いなあ、睡眠オリンピックとかあったら優勝候補だねこれは』
竜『……いつまでもここにはいられないのかな』
竜『そんなのは、嫌だ』
竜『約束したじゃないか俺、ずっといるって』
少年「…ん、ポチぃ……」
竜『? 寝言か』
少年「……すきぃ……」ニヘラ
竜『……………………』
少年「じゃあつっこませるなよ…」
竜『いやあ少年の反応が面白くてつい』
少年「…もう知らん」
竜『拗ねないでよー』
少年「知らん、もうふて寝してやる」
竜『えー? また寝るの? そしたら俺が暇になるじゃん』
少年「ざまあみろ。おやすみ」
竜『しょうがないなあ。おやすみ』
少年「……すぴー」
竜『相変わらず早いなあ、睡眠オリンピックとかあったら優勝候補だねこれは』
竜『……いつまでもここにはいられないのかな』
竜『そんなのは、嫌だ』
竜『約束したじゃないか俺、ずっといるって』
少年「…ん、ポチぃ……」
竜『? 寝言か』
少年「……すきぃ……」ニヘラ
竜『……………………』
87: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:06:11.43 ID:CHk0du2c0
竜『深呼吸しろ俺、理性を保て、何考えてるんだ、だから少年に馬鹿って言われるんだ、手のひらに人と書いて飲み込むんだいや俺の場合竜と書くべきなのか』
少年「えへへ……」ダキッ
竜『少年が俺の顔に抱きついてきた、ていうか近い近い』
少年「……ぽ、ちぃ…」
竜『その距離実に数㎝、何と何がとは言わないけど』
少年「……すう、すう」
竜『ほんとに寝てるよね少年?』
少年「……すぴー」
竜『…起きた方がいいよ』
少年「…………」
竜『このままだと奪っちゃうよ?』
少年「…………」
竜『…一応俺言ったからね』
少年「…………」
竜『…じゃあ、この前の約束勝手にさせてもらうよ』
竜『ごめんね』
少年「えへへ……」ダキッ
竜『少年が俺の顔に抱きついてきた、ていうか近い近い』
少年「……ぽ、ちぃ…」
竜『その距離実に数㎝、何と何がとは言わないけど』
少年「……すう、すう」
竜『ほんとに寝てるよね少年?』
少年「……すぴー」
竜『…起きた方がいいよ』
少年「…………」
竜『このままだと奪っちゃうよ?』
少年「…………」
竜『…一応俺言ったからね』
少年「…………」
竜『…じゃあ、この前の約束勝手にさせてもらうよ』
竜『ごめんね』
88: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:07:51.62 ID:CHk0du2c0
少年「……ふわ、よく寝た気がする」
竜『…………』
少年「あ、おはようポチ」
竜『……俺を何も言わずに殴るんだ少年』
少年「な、なんで僕が寝てる間にMに目覚めてるんだよ!」
竜『はやく! 渾身の力でぶちかますんだ!』
少年「いやだって! 殴った方が痛いんだよ!」
竜『じゃあウロコ全部ひっぺがしちゃえ! 全部あげるよ出血大サービスだよ!』
少年「おち、落ち着けよポチ」
竜『誰か俺を断罪しておくれよぉ』
少年「一体どんな罪深い行いをしたんだよ君は」
竜『駄目か…じゃあ自分で自分を徹底的に痛め付けるしかないな』
少年「そんなド変 とこれから付き合っていく勇気はないんだが」
竜『うぅ…自分で自分が赦せない。どうすれば』
竜『…………』
少年「あ、おはようポチ」
竜『……俺を何も言わずに殴るんだ少年』
少年「な、なんで僕が寝てる間にMに目覚めてるんだよ!」
竜『はやく! 渾身の力でぶちかますんだ!』
少年「いやだって! 殴った方が痛いんだよ!」
竜『じゃあウロコ全部ひっぺがしちゃえ! 全部あげるよ出血大サービスだよ!』
少年「おち、落ち着けよポチ」
竜『誰か俺を断罪しておくれよぉ』
少年「一体どんな罪深い行いをしたんだよ君は」
竜『駄目か…じゃあ自分で自分を徹底的に痛め付けるしかないな』
少年「そんなド変 とこれから付き合っていく勇気はないんだが」
竜『うぅ…自分で自分が赦せない。どうすれば』
89: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:09:06.16 ID:CHk0du2c0
♪だから俺は永遠に誰にも赦されない
少年「じゃあもう僕が許すよ」
竜『……え?』
少年「あ、えと、なんていうかポチが自分を許せないってんなら僕が代わりに許してやろうっていう僕の寛大な心構えというか、慈愛心というか、な何言ってるんだ僕、恥ずっ」
竜「ホントだね、恥ずかしいね」
少年「言わないで!」
竜『…………でも、ありがとね少年。本当に、ありがとう…』
少年「? お、おうどういたしまして」
少年「じゃあもう僕が許すよ」
竜『……え?』
少年「あ、えと、なんていうかポチが自分を許せないってんなら僕が代わりに許してやろうっていう僕の寛大な心構えというか、慈愛心というか、な何言ってるんだ僕、恥ずっ」
竜「ホントだね、恥ずかしいね」
少年「言わないで!」
竜『…………でも、ありがとね少年。本当に、ありがとう…』
少年「? お、おうどういたしまして」
90: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:10:26.53 ID:CHk0du2c0
少年「おっ」
竜『なにさ』
少年「81」
竜『え』
少年「ウロコ、背中だけだけど」
竜『…数えてたの?』
少年「実は来る度に地道に数えてた」
竜『時々背中にむず痒い視線を感じてたのはそういうわけかあ』
少年「いやあ満足まんぞく」
竜『ずいぶん時間を無為に浪費したね』
少年「貴様! 人の努力を何だと思っている!」
竜『多分本で調べれば枚数出てきたよ』
少年「……え?」
竜『なにさ』
少年「81」
竜『え』
少年「ウロコ、背中だけだけど」
竜『…数えてたの?』
少年「実は来る度に地道に数えてた」
竜『時々背中にむず痒い視線を感じてたのはそういうわけかあ』
少年「いやあ満足まんぞく」
竜『ずいぶん時間を無為に浪費したね』
少年「貴様! 人の努力を何だと思っている!」
竜『多分本で調べれば枚数出てきたよ』
少年「……え?」
91: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:11:46.57 ID:CHk0du2c0
竜『そういう類の文献に載っているんじゃないかな』
少年「どゆことだよポチ?」
竜『これ以上は、今は、ね』
少年「…調べてもいいってこと?」
竜『ご自由に』
少年「……よしじゃあ明日調べてやる! ポチの恥ずかしい秘密を暴き出してやるから覚悟しな!」
竜『俺の秘密は難しいよー?』
少年「首を洗って待っていな! そうと決まればこうしちゃいられない早速帰ってインターネッツで調べてやるあばよ!」ダダッ!
竜『あーあ行っちゃった、多分わかんないだろうなあ』
竜『わかったら少年はどうするんだろうな、俺から離れるんだろうな』
竜『ならやっぱり言えないなあ、俺の口からは…くち、か……』
竜『…あまかったな』
少年「どゆことだよポチ?」
竜『これ以上は、今は、ね』
少年「…調べてもいいってこと?」
竜『ご自由に』
少年「……よしじゃあ明日調べてやる! ポチの恥ずかしい秘密を暴き出してやるから覚悟しな!」
竜『俺の秘密は難しいよー?』
少年「首を洗って待っていな! そうと決まればこうしちゃいられない早速帰ってインターネッツで調べてやるあばよ!」ダダッ!
竜『あーあ行っちゃった、多分わかんないだろうなあ』
竜『わかったら少年はどうするんだろうな、俺から離れるんだろうな』
竜『ならやっぱり言えないなあ、俺の口からは…くち、か……』
竜『…あまかったな』
92: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:12:38.10 ID:CHk0du2c0
少年「…………」カチカチ
弟「やふー兄さん元気?」
少年「目がしょぼしょぼすること以外は元気かな」
弟「兄さんがパソコン借りたいって言い出したときは驚いたけど何調べてるの?」
少年「んー何となく今は秘密にしといていい?」
弟「俺には兄さんの考えがよくわからないなあ」
少年「あーダメだもう画面見たくない、電源切ってくれ」
弟「あいよ、成果あった?」
少年「も、もちろんさ当たり前だろっ」
弟「まあ明日も貸してあげるから落ち込むなよ」
少年「……うん…じゃあ見つかる前に僕は部屋に帰るよ」
弟「気を付けてよー」
少年「うん、弟には迷惑かけないよ。おやすみ」
弟「おやすみー」
弟「やふー兄さん元気?」
少年「目がしょぼしょぼすること以外は元気かな」
弟「兄さんがパソコン借りたいって言い出したときは驚いたけど何調べてるの?」
少年「んー何となく今は秘密にしといていい?」
弟「俺には兄さんの考えがよくわからないなあ」
少年「あーダメだもう画面見たくない、電源切ってくれ」
弟「あいよ、成果あった?」
少年「も、もちろんさ当たり前だろっ」
弟「まあ明日も貸してあげるから落ち込むなよ」
少年「……うん…じゃあ見つかる前に僕は部屋に帰るよ」
弟「気を付けてよー」
少年「うん、弟には迷惑かけないよ。おやすみ」
弟「おやすみー」
93: ◆yJ9Y64R876 2013/10/02(水) 20:13:24.52 ID:CHk0du2c0
弟「…さて、行ったな。じゃあ履歴履歴、と」カチカチッ
弟「……へえ」
弟「……へえ」
95: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:39:52.90 ID:ImDBasWD0
―次の日―
少年「学校に着いた」
少年「何事もない内に1日が終わるのを祈ろう、そんで早くポチの所に行こう」
竜『(あーマイクテス、マイクてすと。本日は晴天なり、多分)』
少年「やばい、幻聴が聞こえてきた。何か変なものでも食べただろうか」
竜『(幻聴なんかじゃなくてリアルだから心配しなくていいよ)』
少年「(じゃあこの脳内で響く声はなんだよ)」
竜『(まあ双方向性のテレパシー的なものという認識でいいんじゃないかな)』
少年「待ってまって、もしかしてコレ僕の考えダダ漏れ?」
竜『(強く考えてることとかはわかるよ)』
少年「(何も考えない何も考えない)」
竜『(それって結局思考してるよね)』
少年「(黙れ変なこと考えて読まれるよりましだろ)」
竜『(変なことって何? ねえ変なことってなあに?)』
少年「(やめろ思考を誘導しようとするな!)」
少年「学校に着いた」
少年「何事もない内に1日が終わるのを祈ろう、そんで早くポチの所に行こう」
竜『(あーマイクテス、マイクてすと。本日は晴天なり、多分)』
少年「やばい、幻聴が聞こえてきた。何か変なものでも食べただろうか」
竜『(幻聴なんかじゃなくてリアルだから心配しなくていいよ)』
少年「(じゃあこの脳内で響く声はなんだよ)」
竜『(まあ双方向性のテレパシー的なものという認識でいいんじゃないかな)』
少年「待ってまって、もしかしてコレ僕の考えダダ漏れ?」
竜『(強く考えてることとかはわかるよ)』
少年「(何も考えない何も考えない)」
竜『(それって結局思考してるよね)』
少年「(黙れ変なこと考えて読まれるよりましだろ)」
竜『(変なことって何? ねえ変なことってなあに?)』
少年「(やめろ思考を誘導しようとするな!)」
96: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:41:15.10 ID:ImDBasWD0
竜『(残念。少年今どこ?)』
少年「(学校、今教室入ったとこ)」ガラッ
竜『(帰り道気を付けてね)』
少年「(え? 何その不吉な発言)」
竜『(じゃーねー)』
少年「(え、ちょっと待って詳しく説明して)」
少年「(おーい、おーい)マイペースか!」
シン…
少年「あっ……(教室が一瞬にして静まり返った…)」
少年「(学校、今教室入ったとこ)」ガラッ
竜『(帰り道気を付けてね)』
少年「(え? 何その不吉な発言)」
竜『(じゃーねー)』
少年「(え、ちょっと待って詳しく説明して)」
少年「(おーい、おーい)マイペースか!」
シン…
少年「あっ……(教室が一瞬にして静まり返った…)」
97: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:43:03.29 ID:ImDBasWD0
オイ今ノ何…
今言ッタノアノ根暗ダヨネ…
キモ…
アイツ何カヤバイモノデモヤッテンジャネ…
イロイロト終ワッテンジャン…
気持チ悪イ…
気持チ悪イ…
消エレバイイノニ…
ナンデ生キテルンダヨ…
死ネヨ…
死ネ…
死ネ…
今言ッタノアノ根暗ダヨネ…
キモ…
アイツ何カヤバイモノデモヤッテンジャネ…
イロイロト終ワッテンジャン…
気持チ悪イ…
気持チ悪イ…
消エレバイイノニ…
ナンデ生キテルンダヨ…
死ネヨ…
死ネ…
死ネ…
98: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:44:15.35 ID:ImDBasWD0
少年「(聞こえない聞こえない何もキコエナイ)」
少年「(嫌だ嫌だ消えたい消えたいもうこんな現実なんてなくなれ)」
少年「(逃げたい逃げたい逃げたい怖い怖い怖い)」
男1「あのさあお前」
少年「!」ビクッ
男1「聞こえてただろ、今の」
少年「な、何が……」
男1「はあ、マジめんどくさいなお前」
少年「え、あ、そのごめん」ビクビク
男1「もう来るなよ学校」
少年「(嫌だ嫌だ消えたい消えたいもうこんな現実なんてなくなれ)」
少年「(逃げたい逃げたい逃げたい怖い怖い怖い)」
男1「あのさあお前」
少年「!」ビクッ
男1「聞こえてただろ、今の」
少年「な、何が……」
男1「はあ、マジめんどくさいなお前」
少年「え、あ、そのごめん」ビクビク
男1「もう来るなよ学校」
99: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:45:05.07 ID:ImDBasWD0
少年「えっ……今な、なんて…?」ニヘラ
男1「迷惑してんだよ俺ら、お前がいなけりゃクラスの雰囲気格段に良くなるわけ、わかるだろ?」
少年「えっ、あっ、うん」
男1「じゃ、そーゆうわけだから、よろしく」
少年「えっ、で、でも僕…」
男1「ああマジうぜえなお前! 消えろっつってんのわかんねえのかよ!?」ガシッ!
少年「あ……あ…」ガタガタ
男2「おいそれぐらいにしとけよ」
男1「なんだお前コレの肩持つのかよ?」
男2「んなわけねえだろ、ただ騒ぎになったら面倒だろうが」
男1「……ちっ」スタスタ
少年「(よかった離れてくれた……)」
男1「迷惑してんだよ俺ら、お前がいなけりゃクラスの雰囲気格段に良くなるわけ、わかるだろ?」
少年「えっ、あっ、うん」
男1「じゃ、そーゆうわけだから、よろしく」
少年「えっ、で、でも僕…」
男1「ああマジうぜえなお前! 消えろっつってんのわかんねえのかよ!?」ガシッ!
少年「あ……あ…」ガタガタ
男2「おいそれぐらいにしとけよ」
男1「なんだお前コレの肩持つのかよ?」
男2「んなわけねえだろ、ただ騒ぎになったら面倒だろうが」
男1「……ちっ」スタスタ
少年「(よかった離れてくれた……)」
100: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:46:07.15 ID:ImDBasWD0
男2「あのさ」
少年「えっ、あ…」ビクッ
男2「あいつが言ってたこと、多分クラス全員思ってるから」
少年「…………」
男2「意地張ってもいいことないと思うぞ、じゃ」
「はーい、みんなおはよう……どうした何か空気重いぞ?」
男2「なんでもありません先生。早くホームルーム始めてください」
先生「ん? そうか? んじゃ皆席に着けー……」
少年「(学校に来るな、か。でも家にも僕の居場所なんかない)」
少年「(……どこにも居場所がない僕はこの世に存在してはいけないんだろうな)」
少年「えっ、あ…」ビクッ
男2「あいつが言ってたこと、多分クラス全員思ってるから」
少年「…………」
男2「意地張ってもいいことないと思うぞ、じゃ」
「はーい、みんなおはよう……どうした何か空気重いぞ?」
男2「なんでもありません先生。早くホームルーム始めてください」
先生「ん? そうか? んじゃ皆席に着けー……」
少年「(学校に来るな、か。でも家にも僕の居場所なんかない)」
少年「(……どこにも居場所がない僕はこの世に存在してはいけないんだろうな)」
101: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:46:51.84 ID:ImDBasWD0
―放課後―
少年「(学校が終わった、帰ろう)」
少年「(……外靴がない)」
少年「(傘が盗られてるのはいつものことだけど今度は靴か、だいぶ直接的になってきた)」
少年「(とりあえず内履で帰ろう)」
少年「(学校が終わった、帰ろう)」
少年「(……外靴がない)」
少年「(傘が盗られてるのはいつものことだけど今度は靴か、だいぶ直接的になってきた)」
少年「(とりあえず内履で帰ろう)」
102: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:47:33.65 ID:ImDBasWD0
竜『少年が来ない』
竜『…まあ、たまにはそんな日もあるか』
竜『テレパシーはあれだからもう使えないしなあ』
竜『…明日は来るよね?』
竜『…まあ、たまにはそんな日もあるか』
竜『テレパシーはあれだからもう使えないしなあ』
竜『…明日は来るよね?』
103: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:48:07.43 ID:ImDBasWD0
―数日後―
少年「(学校に来たら机の上に花瓶が置かれていた、ずいぶん古典的だ)」
クスクス…
少年「(笑うな笑うな僕を嗤うな)」スッ、ベチャ
少年「(……椅子が接着剤でベタベタだ、情けないことに座ってから気付いた。とりあえず立ち上がらないと)あっ…」ガタンッ
ドシャア
少年「(こけた…)」
プッアッハッハッハッハ…
少年「(うるさい黙れ)」
少年「(学校に来たら机の上に花瓶が置かれていた、ずいぶん古典的だ)」
クスクス…
少年「(笑うな笑うな僕を嗤うな)」スッ、ベチャ
少年「(……椅子が接着剤でベタベタだ、情けないことに座ってから気付いた。とりあえず立ち上がらないと)あっ…」ガタンッ
ドシャア
少年「(こけた…)」
プッアッハッハッハッハ…
少年「(うるさい黙れ)」
104: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:48:56.48 ID:ImDBasWD0
―放課後―
少年「(あの後は昼ご飯に虫を投入された程度で済んだ、おかげで腹は減っているが)」
少年「(外靴が戻ってきてる…ってことは)」
少年「(……ほらね、画鋲がてんこもりだ)」パラパラ…
チッ…
ツマンナイノー
少年「(…帰ろう)」トボトボ
少年「(あの後は昼ご飯に虫を投入された程度で済んだ、おかげで腹は減っているが)」
少年「(外靴が戻ってきてる…ってことは)」
少年「(……ほらね、画鋲がてんこもりだ)」パラパラ…
チッ…
ツマンナイノー
少年「(…帰ろう)」トボトボ
105: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:49:37.75 ID:ImDBasWD0
竜『今日も来ないのか』
竜『…どうして?』
竜『…どうして?』
106: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:50:20.86 ID:ImDBasWD0
―1週間後―
少年「(あれから約1週間、だいぶエスカレートしてきた。さすがに水を頭上からかけられたのには焦った、タオルを準備してて良かった)」
少年「(我ながらよく学校に来てるな)」
少年「(さて、外靴は酸化反応の末黒焦げだしこのまま帰ろう)」
男1「よお」ドン
少年「(誰だ?…)あ……あ……」ガタガタ
男1「すげえなお前、俺だったらもう学校やめてるって」
少年「ま、周りの人達は、だ、誰…?」
男1「何しても来るんだもんな、参ったってホント」
少年「て、手に持ってる……それは」
男1「だからさあ、もっとわかりやすくいくことにしたわ。んでこれね、ナイフ、よく切れる特注品の奴」
少年「こ、来ないで……」
男1「その吐き気がするほど白い肌に一生残る醜い傷跡なんて映えると思わねえか? …取り押さえとけ」
少年「く、来るなあ!」ダダッ
男1「あーあ、逃げられちまった。…あ、いーよいーよ後は俺がやっとくから。え? 自分逹もやりたいって? そう? んじゃ行くか」
少年「(あれから約1週間、だいぶエスカレートしてきた。さすがに水を頭上からかけられたのには焦った、タオルを準備してて良かった)」
少年「(我ながらよく学校に来てるな)」
少年「(さて、外靴は酸化反応の末黒焦げだしこのまま帰ろう)」
男1「よお」ドン
少年「(誰だ?…)あ……あ……」ガタガタ
男1「すげえなお前、俺だったらもう学校やめてるって」
少年「ま、周りの人達は、だ、誰…?」
男1「何しても来るんだもんな、参ったってホント」
少年「て、手に持ってる……それは」
男1「だからさあ、もっとわかりやすくいくことにしたわ。んでこれね、ナイフ、よく切れる特注品の奴」
少年「こ、来ないで……」
男1「その吐き気がするほど白い肌に一生残る醜い傷跡なんて映えると思わねえか? …取り押さえとけ」
少年「く、来るなあ!」ダダッ
男1「あーあ、逃げられちまった。…あ、いーよいーよ後は俺がやっとくから。え? 自分逹もやりたいって? そう? んじゃ行くか」
107: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:51:52.61 ID:ImDBasWD0
少年「(ど、どこに逃げよう)」
少年「(家、は待ち伏せされてるかもしれない)」
少年「(……隠れる場所があそこしか思い付かない)」
少年「(ごめん)」
少年「(家、は待ち伏せされてるかもしれない)」
少年「(……隠れる場所があそこしか思い付かない)」
少年「(ごめん)」
108: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:52:34.90 ID:ImDBasWD0
竜『……お? 来たみたいだ』
少年「はあ…、はあ…」ガチャッ
竜『いつになく興奮した様子だね少年』
少年「ちょっとな…」
竜『最近来ないから心配してたんだよー?』
少年「僕は暇じゃないんだよ、ポチとは違って」
竜『失敬な、俺だって時間を有効活用してたのに。気付かない?』
少年「…何が?」
竜『腹部に注目』
少年「うわ、筋肉きもっ」
竜『腹筋の賜物です』ムキムキ
少年「その体型でよくできたな、すごい」
竜『ふはは、もっと誉めて誉めて』
少年「うわーカッチカチじゃないですか、やだー」ペタペタ
竜『ちょっ、くすぐったいくすぐったい』
少年「こりゃダメだ、ポチ筋肉落ちるまでもう腹筋禁止ね」
竜『俺の努力全否定!?』
109: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:53:05.79 ID:ImDBasWD0
少年「…………」チラッチラッ
竜『どうしたの少年、しきりに扉を気にしているようだけど。扉マニア?』
少年「っ…いや、なんでもないよ」
竜『ふーん、そう言えばなんか調べてわかった俺のこと?』
少年「んーまだほんのちょっとしか調べてないから」
竜『今まで何してたんだよもう! シエスタか!? シエスタにでもはまってたのか!?』
少年「でもさあ、竜って一杯種類あるんだな。その中にポチはいなかったけど」
竜『どうしたの少年、しきりに扉を気にしているようだけど。扉マニア?』
少年「っ…いや、なんでもないよ」
竜『ふーん、そう言えばなんか調べてわかった俺のこと?』
少年「んーまだほんのちょっとしか調べてないから」
竜『今まで何してたんだよもう! シエスタか!? シエスタにでもはまってたのか!?』
少年「でもさあ、竜って一杯種類あるんだな。その中にポチはいなかったけど」
110: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:53:39.51 ID:ImDBasWD0
竜『だろうね』
少年「なんでいないの?」
竜『さあ?』
少年「教えろよー」
竜『じゃヒントね』
少年「よっしゃ」
竜『大事なのは見た目じゃなくて心』
少年「」
竜『その呆れ果てた顔は傷つくなあ』
少年「ポチ意味わからない」
竜『まあせっかくだから考えてみてよ』
少年「わかった、頑張る」
竜『それでこそ少年だ』
少年「なんでいないの?」
竜『さあ?』
少年「教えろよー」
竜『じゃヒントね』
少年「よっしゃ」
竜『大事なのは見た目じゃなくて心』
少年「」
竜『その呆れ果てた顔は傷つくなあ』
少年「ポチ意味わからない」
竜『まあせっかくだから考えてみてよ』
少年「わかった、頑張る」
竜『それでこそ少年だ』
111: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:54:12.38 ID:ImDBasWD0
♪紳士はスマートに仕事をこなす
竜『少年ちょっと後ろ向いて両腕を上げて』
少年「なんで? いいけど」
竜『よっと』バサッ
少年「びゃあああぁ! 何故に衣服を奪った!?」
竜『あー久しぶりだこの感覚、いいねえ』ダキッ
少年「突然脱がすなよ、新手の追い剥ぎかと思った」
竜『だって1週間だよ? 1週間も少年の身体を愉しんでないとか発狂するかと思ったよ』パキッ…
少年「そ、そんなに?」
竜『少年ちょっと後ろ向いて両腕を上げて』
少年「なんで? いいけど」
竜『よっと』バサッ
少年「びゃあああぁ! 何故に衣服を奪った!?」
竜『あー久しぶりだこの感覚、いいねえ』ダキッ
少年「突然脱がすなよ、新手の追い剥ぎかと思った」
竜『だって1週間だよ? 1週間も少年の身体を愉しんでないとか発狂するかと思ったよ』パキッ…
少年「そ、そんなに?」
112: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:54:44.01 ID:ImDBasWD0
竜『やあらけー、ふにふにー。これはあれだね、一種の麻薬だね、味わってしまったらもう抜け出せない』
少年「腹筋が固くて全然気持ちよくない…」
竜『俺は最高に気持ちいいよ』
少年「は・な・せ!」
竜『言うまでもなく断る』
少年「あ、でも筋肉ついたせいかポチ温かい、そこは筋トレしてよかったな」
竜『どやあ』
少年「どやあって普通口に出して言うものじゃないぞ」
竜『そうなの!?』
少年「腹筋が固くて全然気持ちよくない…」
竜『俺は最高に気持ちいいよ』
少年「は・な・せ!」
竜『言うまでもなく断る』
少年「あ、でも筋肉ついたせいかポチ温かい、そこは筋トレしてよかったな」
竜『どやあ』
少年「どやあって普通口に出して言うものじゃないぞ」
竜『そうなの!?』
113: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:55:11.70 ID:ImDBasWD0
少年「この前の朝のあれのことなんだけど」
竜『ん、テレパシーのこと?』
少年「そうそれ、あれってすごい便利じゃないか?」
竜『…まあ使い道は色々あるよね』
少年「な! それ使えばいつでもどこでもポチと話せるもんな! ここに来れない時とかでも会話だけならできる!」
竜『……君は実に馬鹿だなあ』
少年「な、何故だ!?」
竜『でもあれ使うのに厳しい条件があるんだよ、だからあんまり実用性はない』
少年「何それ?」
竜『ん、テレパシーのこと?』
少年「そうそれ、あれってすごい便利じゃないか?」
竜『…まあ使い道は色々あるよね』
少年「な! それ使えばいつでもどこでもポチと話せるもんな! ここに来れない時とかでも会話だけならできる!」
竜『……君は実に馬鹿だなあ』
少年「な、何故だ!?」
竜『でもあれ使うのに厳しい条件があるんだよ、だからあんまり実用性はない』
少年「何それ?」
114: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:55:40.29 ID:ImDBasWD0
竜『まあ言わないけど』
少年「また隠すのかよー」
竜『いやあ、言ったら君に怒られるなあと』
少年「おま、僕の体に何か悪影響とかないよな!?」
竜『いや、害はないよ。うん害はね』
少年「なんだ、よかった。驚かせるなよ」
竜『まあ少年の体に何かしたのは事実だけど』
少年「おい」
竜『知らぬが仏』
少年「じゃ、いいや知らなくて」
竜『扱いやすい子だ』
少年「また隠すのかよー」
竜『いやあ、言ったら君に怒られるなあと』
少年「おま、僕の体に何か悪影響とかないよな!?」
竜『いや、害はないよ。うん害はね』
少年「なんだ、よかった。驚かせるなよ」
竜『まあ少年の体に何かしたのは事実だけど』
少年「おい」
竜『知らぬが仏』
少年「じゃ、いいや知らなくて」
竜『扱いやすい子だ』
115: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:56:08.53 ID:ImDBasWD0
少年「あっ、ごめん。今日食べ物持って来てないや」
竜『』
少年「そんなに期待してたのか」
竜『……うん、食べたかった、唐揚げとかカラアゲとかからあげとか』
少年「今度は持ってきてやるから目をうるませるのやめろ、な?」
竜『今度っていつ?』
少年「え? あーといつだろ…まあ出来るだけ早く来るよ、……来たいんだよ」
竜『少年さ、忙しいって言ってたけど何が忙しいの?』
少年「え、そりゃ学校だよ」
竜『具体的には』
竜『』
少年「そんなに期待してたのか」
竜『……うん、食べたかった、唐揚げとかカラアゲとかからあげとか』
少年「今度は持ってきてやるから目をうるませるのやめろ、な?」
竜『今度っていつ?』
少年「え? あーといつだろ…まあ出来るだけ早く来るよ、……来たいんだよ」
竜『少年さ、忙しいって言ってたけど何が忙しいの?』
少年「え、そりゃ学校だよ」
竜『具体的には』
116: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:57:34.91 ID:ImDBasWD0
少年「あ、えと、ほら……文化祭が近いんだ、その準備でさ」
竜『へーそんな時期なんだー、興味深いなあ』
少年「だ、だからさ文化祭が終わればまた毎日来れるようになるって」
竜『そっかー安心した、ねえ少年』
少年「ん?」
竜『文化祭お友達と一緒に楽しんでね』
少年「っ! ……嘘なんてつくもんじゃないなあ」
竜『…………』
竜『へーそんな時期なんだー、興味深いなあ』
少年「だ、だからさ文化祭が終わればまた毎日来れるようになるって」
竜『そっかー安心した、ねえ少年』
少年「ん?」
竜『文化祭お友達と一緒に楽しんでね』
少年「っ! ……嘘なんてつくもんじゃないなあ」
竜『…………』
117: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:58:11.12 ID:ImDBasWD0
少年「うちの学校文化祭ないんだよね、ていうかイベントがほとんどない」
竜『へえ』
少年「だからさ、さっきのは嘘」
竜『そう』
少年「……なんで嘘ついたか聞かないの?」
竜『前も言ったでしょ、訊かれたくないことを訊くほど俺は性格歪んでないって』
少年「…ごめん」
竜『謝る必要なんてないよ』
少年「…全部吐き出してしまいたい自分がいるんだ、でも言えないんだ、怖くて言葉が続かない」
竜『そっか』
少年「でもこれだけはポチになら言える」
竜『何?』
少年「……苦しいよ」
竜『うん、知ってた。話してくれてありがとう』ギュッ
竜『へえ』
少年「だからさ、さっきのは嘘」
竜『そう』
少年「……なんで嘘ついたか聞かないの?」
竜『前も言ったでしょ、訊かれたくないことを訊くほど俺は性格歪んでないって』
少年「…ごめん」
竜『謝る必要なんてないよ』
少年「…全部吐き出してしまいたい自分がいるんだ、でも言えないんだ、怖くて言葉が続かない」
竜『そっか』
少年「でもこれだけはポチになら言える」
竜『何?』
少年「……苦しいよ」
竜『うん、知ってた。話してくれてありがとう』ギュッ
118: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:58:48.35 ID:ImDBasWD0
竜『…………』
少年「……なんで眠くなるのかわかった」
竜『へえ、教えて』
少年「ポチに抱かれてるとなんだか護られてる気がする、だから落ち着く」
竜『なるほどね』
少年「ずっとこのままでいいかも…なんて」
竜『! ……今日はもう帰るんだ少年』
少年「え、いやいや今のはなんていうか言葉のあやでホントにずっとこの位置に居座るわけじゃなく」
竜『帰るんだ』
少年「なんで…?」
竜『また明日』
少年「…うん、じゃ……」トボトボ
竜『待って、今日はあっちから帰って』
少年「? わかった」
少年「……なんで眠くなるのかわかった」
竜『へえ、教えて』
少年「ポチに抱かれてるとなんだか護られてる気がする、だから落ち着く」
竜『なるほどね』
少年「ずっとこのままでいいかも…なんて」
竜『! ……今日はもう帰るんだ少年』
少年「え、いやいや今のはなんていうか言葉のあやでホントにずっとこの位置に居座るわけじゃなく」
竜『帰るんだ』
少年「なんで…?」
竜『また明日』
少年「…うん、じゃ……」トボトボ
竜『待って、今日はあっちから帰って』
少年「? わかった」
119: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:59:19.48 ID:ImDBasWD0
竜『さてと』
竜『壁が邪魔だなあ、壊そう』ドゴオオオォォン…
竜『やあ君達お待たせ』
男1「」ガタガタ
竜『うん、力はちゃんと効いてたみたいだね。全身が痺れて力が入らないだろう? よかったよかった』
男1「あ…」
竜『ひーふーみー、わあこれはまた大人数だね。大勢でご苦労様。何もないところだけど歓迎するよ』
男1「お、お前は、誰なんだ」
竜『そのまま言葉を返そう、何者だ貴様らは』
竜『壁が邪魔だなあ、壊そう』ドゴオオオォォン…
竜『やあ君達お待たせ』
男1「」ガタガタ
竜『うん、力はちゃんと効いてたみたいだね。全身が痺れて力が入らないだろう? よかったよかった』
男1「あ…」
竜『ひーふーみー、わあこれはまた大人数だね。大勢でご苦労様。何もないところだけど歓迎するよ』
男1「お、お前は、誰なんだ」
竜『そのまま言葉を返そう、何者だ貴様らは』
120: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 21:59:51.46 ID:ImDBasWD0
竜『何てね、ほんとは何となくわかってるんだ』
男1「くそっ、なんで、なんで体が動かねえんだ!」
竜『少年の靴が何故か外靴じゃなくて内履だった、雨も降ってないのに髪の毛が湿ってた、なにより服に発信器が取り付けられてた。もう壊したけどあんな目立つとこに付けるなんて何考えてるの? それとも何も考えていないの?』
男1「なにが、なにがどうなってんだよおい! 誰か! 誰か!」
竜『服を脱がして確認してみたけど幸い傷はまだつけられてないみたいだった。ところで君の持っているこの刃物は何だろう? 危ないなあ。これは隅っこに寄せておこうね』ペシッ、カランカラン…
男1「おい誰か動けるやついねえのか!? なんで誰も返事しないんだ!?」
男1「くそっ、なんで、なんで体が動かねえんだ!」
竜『少年の靴が何故か外靴じゃなくて内履だった、雨も降ってないのに髪の毛が湿ってた、なにより服に発信器が取り付けられてた。もう壊したけどあんな目立つとこに付けるなんて何考えてるの? それとも何も考えていないの?』
男1「なにが、なにがどうなってんだよおい! 誰か! 誰か!」
竜『服を脱がして確認してみたけど幸い傷はまだつけられてないみたいだった。ところで君の持っているこの刃物は何だろう? 危ないなあ。これは隅っこに寄せておこうね』ペシッ、カランカラン…
男1「おい誰か動けるやついねえのか!? なんで誰も返事しないんだ!?」
121: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:00:30.90 ID:ImDBasWD0
竜『ああもう、五月蝿いな。ちょっと静かにしてよ』
男1「誰かいないのか! 頼む助けてくれ! 誰かああ!」
竜『……じゃあ小指から』ポキッ
男1「は?……あ、ああああああぁぁあああぁぁあああ!?」
竜『うーん、ニンゲンの骨は脆いなあ、じっくり骨が軋む感覚を味わわせようとしてもすぐ折れちゃう』ゴリゴリ
男1「俺の! 俺の指が、曲がっ! いだいいだいなんでなんで?」
竜『まだ騒ぐの? じゃあ次は順当に薬指ね』ボキッ
男1「がああああああああぁぁぁああぁいだいいいいぃぃぃ」
竜『これでも喚くの? それ以上耳障りな音を出すなら…喰うよ?』
男1「ぐ、うううぅぅ……」
男1「誰かいないのか! 頼む助けてくれ! 誰かああ!」
竜『……じゃあ小指から』ポキッ
男1「は?……あ、ああああああぁぁあああぁぁあああ!?」
竜『うーん、ニンゲンの骨は脆いなあ、じっくり骨が軋む感覚を味わわせようとしてもすぐ折れちゃう』ゴリゴリ
男1「俺の! 俺の指が、曲がっ! いだいいだいなんでなんで?」
竜『まだ騒ぐの? じゃあ次は順当に薬指ね』ボキッ
男1「がああああああああぁぁぁああぁいだいいいいぃぃぃ」
竜『これでも喚くの? それ以上耳障りな音を出すなら…喰うよ?』
男1「ぐ、うううぅぅ……」
122: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:01:07.60 ID:ImDBasWD0
竜『あはは、じょーだんだってば、冗談。だって君みたいなゲテモノ食べても不味いに決まってるからね。あ、でも少年は美味しそうな身体してるよなあ……』ジュルリ
男1「痛い…痛い…」
竜『まっ、ようやく静かになってくれたから本題に移れる』
竜『今から訊く質問に答えてね、それが答えたくない質問でもだよ?』
男1「…………」
竜『黙秘は1本、嘘は5本。わかる?』
男1「!」コクコク
男1「痛い…痛い…」
竜『まっ、ようやく静かになってくれたから本題に移れる』
竜『今から訊く質問に答えてね、それが答えたくない質問でもだよ?』
男1「…………」
竜『黙秘は1本、嘘は5本。わかる?』
男1「!」コクコク
123: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:01:45.42 ID:ImDBasWD0
竜『素直でよろしい、じゃ訊いてくよ』
竜『君たちは彼をいじめてた?』
男1「…………」コクリ
竜『だろうね、その理由は?』
男1「き、気持ち悪かったから…暗いし」
竜『そう? 俺には健気で素直で優しくて可愛くて愛しくて実に魅力的な子に思えるけど。まあいいや次ね』
竜『いじめてたのは誰? 直接以外でも見て見ぬフリも含むよ』
男1「クラス、全員だ。ぐう…」
竜『ふうん、ごみ溜めの中で暮らしてたんだね少年は、可哀想に。次』
男1「…………」
竜『首謀者はだあれ?』
竜『君たちは彼をいじめてた?』
男1「…………」コクリ
竜『だろうね、その理由は?』
男1「き、気持ち悪かったから…暗いし」
竜『そう? 俺には健気で素直で優しくて可愛くて愛しくて実に魅力的な子に思えるけど。まあいいや次ね』
竜『いじめてたのは誰? 直接以外でも見て見ぬフリも含むよ』
男1「クラス、全員だ。ぐう…」
竜『ふうん、ごみ溜めの中で暮らしてたんだね少年は、可哀想に。次』
男1「…………」
竜『首謀者はだあれ?』
124: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:02:11.32 ID:ImDBasWD0
男1「……知らねえ」
竜『ほんとに?』
男1「本当だ!」
竜『そっ、じゃあ他の皆さんにご質問、この中に首謀者さんはいるかな……わお、すごいね皆君のことを真摯に見つめているよ。目は口ほどにものを言うものだ』
男1「ちが、ちがうんだ……」
竜『じゃ、左手全部いっちゃおうか』グチャッ
男1「」
竜『ほんとに?』
男1「本当だ!」
竜『そっ、じゃあ他の皆さんにご質問、この中に首謀者さんはいるかな……わお、すごいね皆君のことを真摯に見つめているよ。目は口ほどにものを言うものだ』
男1「ちが、ちがうんだ……」
竜『じゃ、左手全部いっちゃおうか』グチャッ
男1「」
125: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:02:42.03 ID:ImDBasWD0
竜『えー? この程度の痛みで気絶? まったく信じられないなあ。そんなつまんない展開駄目だよ、ほら早く起きて』ドカッ
男1「ごへぁっ、げほっ、げほっ」
竜『おはよう、続けるよ。いじめの内容はどんな感じだったのかな?』
男1「…………」
竜『黙秘は1本』
男1「…普通に、無視とか、ぐうぅっ、教科書燃やしたりとか、あと色々、ありがちなことだ…」
竜『ふーん。まっ、肉体的暴力を犯さなかったのは正解だったね、傷なんてつけられてたら俺正気じゃいられない自信があるからね。まあそれも時間の問題だったみたいだけど』
男1「謝るから、謝るからもう許してくれ……」
竜『謝る相手が違うでしょ、あんまり馬鹿な発言してると自分の首を絞めることになるよ?』
男1「…っ……」
男1「ごへぁっ、げほっ、げほっ」
竜『おはよう、続けるよ。いじめの内容はどんな感じだったのかな?』
男1「…………」
竜『黙秘は1本』
男1「…普通に、無視とか、ぐうぅっ、教科書燃やしたりとか、あと色々、ありがちなことだ…」
竜『ふーん。まっ、肉体的暴力を犯さなかったのは正解だったね、傷なんてつけられてたら俺正気じゃいられない自信があるからね。まあそれも時間の問題だったみたいだけど』
男1「謝るから、謝るからもう許してくれ……」
竜『謝る相手が違うでしょ、あんまり馬鹿な発言してると自分の首を絞めることになるよ?』
男1「…っ……」
126: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:03:11.55 ID:ImDBasWD0
竜『んーでもまあ大体訊くべきことは訊いたかな。あ、思い出した』
男1「…なんだ?」
竜『君達の中で以前に少年の跡を付けてここに来た人はいるかな? 1週間前のことなんだけど』
男1「な、何の事だ……?」
竜『ほんとに知らない? 嘘は5本だよ』
男1「し、知らねえ! こんな辺鄙な場所に態々来ねえよ! お前らもだろ!? ……ほらっ」
竜『……へえ。じゃあアイツハ一体誰何ダ?』
男1「…なんだ?」
竜『君達の中で以前に少年の跡を付けてここに来た人はいるかな? 1週間前のことなんだけど』
男1「な、何の事だ……?」
竜『ほんとに知らない? 嘘は5本だよ』
男1「し、知らねえ! こんな辺鄙な場所に態々来ねえよ! お前らもだろ!? ……ほらっ」
竜『……へえ。じゃあアイツハ一体誰何ダ?』
127: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:03:44.35 ID:ImDBasWD0
男1「なあ頼むよ…もう帰してくれないか」
竜『じゃ約束して。もう少年をいじめないって』
男1「約束する! だから」
竜『破ったらこの町潰すから』
男1「……絶対破らない」
竜『あとここであった事を他言しても潰すね、言うまでもなく他の皆もだよ』
男1「…わかった、誰にも言わない」
竜『じゃ、君たちもう帰っていいよ。動けるようにしたから。10秒以内に俺の視界から消えないと消し炭にするからね』
ウ、ウワアアアアアァァァ…
竜『じゃ約束して。もう少年をいじめないって』
男1「約束する! だから」
竜『破ったらこの町潰すから』
男1「……絶対破らない」
竜『あとここであった事を他言しても潰すね、言うまでもなく他の皆もだよ』
男1「…わかった、誰にも言わない」
竜『じゃ、君たちもう帰っていいよ。動けるようにしたから。10秒以内に俺の視界から消えないと消し炭にするからね』
ウ、ウワアアアアアァァァ…
128: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:04:11.37 ID:ImDBasWD0
竜『蜘蛛の子を散らすようにって表現はこういうことを言うんだなあ、実に醜い』
竜『ま、これで少年も前みたいに毎日ここに来てくれるだろう。よかったよかった』
竜『んー、早く明日にならないかなあ』
竜『……筋トレは禁止されちゃったしなあ。趣味にでも勤しみますか』
竜「ぐう…すぴー」
竜『ま、これで少年も前みたいに毎日ここに来てくれるだろう。よかったよかった』
竜『んー、早く明日にならないかなあ』
竜『……筋トレは禁止されちゃったしなあ。趣味にでも勤しみますか』
竜「ぐう…すぴー」
129: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:06:25.70 ID:ImDBasWD0
竜『…ん、あれ懐が暖かい』
少年「……くーくー」
竜『……あー、なんだ夢か。どんだけ俺は少年を欲してるんだ。まあ夢なら力を使って無理やり眠らせる必要もないし存分に愉しもう』
少年「くー…すぴー」
竜『可愛い唇だなあ。いただきます』ペロッ
少年「んっ、……」
竜『うん、美味しい。それにしてもあれだね、人間の最も愚かな文化的行為は衣服を着ることだね、どうせ夢だし破いちゃえ』ビリビリ
少年「…さ、む……」ヒシッ
竜『少年が寒さのあまり抱きついてきた、いい反応だ』
少年「すーすー……」
少年「……くーくー」
竜『……あー、なんだ夢か。どんだけ俺は少年を欲してるんだ。まあ夢なら力を使って無理やり眠らせる必要もないし存分に愉しもう』
少年「くー…すぴー」
竜『可愛い唇だなあ。いただきます』ペロッ
少年「んっ、……」
竜『うん、美味しい。それにしてもあれだね、人間の最も愚かな文化的行為は衣服を着ることだね、どうせ夢だし破いちゃえ』ビリビリ
少年「…さ、む……」ヒシッ
竜『少年が寒さのあまり抱きついてきた、いい反応だ』
少年「すーすー……」
130: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:06:51.34 ID:ImDBasWD0
竜『……これは誘ってるに違いない、えいっ』ベロン
少年「うあ! ひっ、な、なにっ?」
竜『うーんこれはキますなあ。どれこちらも味見』ヌチャヌチャ
少年「ひいっ、や、やめて、ぽち! ポチ!?」
竜『……下も脱ごうか少年』
少年「ま、待ってほんとに待って落ちついて」
竜『よいしょっ』ズル…
少年「い、いい加減にしろ! くらえ逆鱗!」サワサワ
竜『おうふっ!』ビクン
竜『……あれ、感覚。あれ?』
少年「なんじゃこりゃあああ服が破れとる!」
竜『夢…じゃない?』
少年「リアルだよ何寝惚けてんだバカポチ!
少年「うあ! ひっ、な、なにっ?」
竜『うーんこれはキますなあ。どれこちらも味見』ヌチャヌチャ
少年「ひいっ、や、やめて、ぽち! ポチ!?」
竜『……下も脱ごうか少年』
少年「ま、待ってほんとに待って落ちついて」
竜『よいしょっ』ズル…
少年「い、いい加減にしろ! くらえ逆鱗!」サワサワ
竜『おうふっ!』ビクン
竜『……あれ、感覚。あれ?』
少年「なんじゃこりゃあああ服が破れとる!」
竜『夢…じゃない?』
少年「リアルだよ何寝惚けてんだバカポチ!
131: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:07:18.94 ID:ImDBasWD0
竜『…えと、なんでここにいるの?』
少年「その前に説明することがあるよね? なんで僕の服が布切れにクラスチェンジ?」
竜『あー、ほら、俺低血圧だからさ、寝起き機嫌よくないんだよね』
少年「ポチムシャクシャしたら人の服を破壊するの!? 怖いよ!」
竜『心の底からごめん』
少年「あとさ、起きたら僕はポチに食べられかけてたわけだ」
竜『(アレな意味で)』
少年「あのな、確かに食べ物忘れたのは悪かった。でもさ夢だと思ってたとはいえ食欲を押さえきれなくなるぐらいだったら言えよ、コンビニでカラアゲぐらい買ってくるからさ」
竜『…えーと、もしかしてわかってない?』
少年「何がだよ」
竜「……はああああああああぁぁぁ」
少年「何故盛大なため息」
竜『幸か不幸かどっちなんだよって話だよ!』
少年「なんの話だか全然わからん」
少年「その前に説明することがあるよね? なんで僕の服が布切れにクラスチェンジ?」
竜『あー、ほら、俺低血圧だからさ、寝起き機嫌よくないんだよね』
少年「ポチムシャクシャしたら人の服を破壊するの!? 怖いよ!」
竜『心の底からごめん』
少年「あとさ、起きたら僕はポチに食べられかけてたわけだ」
竜『(アレな意味で)』
少年「あのな、確かに食べ物忘れたのは悪かった。でもさ夢だと思ってたとはいえ食欲を押さえきれなくなるぐらいだったら言えよ、コンビニでカラアゲぐらい買ってくるからさ」
竜『…えーと、もしかしてわかってない?』
少年「何がだよ」
竜「……はああああああああぁぁぁ」
少年「何故盛大なため息」
竜『幸か不幸かどっちなんだよって話だよ!』
少年「なんの話だか全然わからん」
132: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:07:52.05 ID:ImDBasWD0
竜『うん、少年だしね。しょうがないね。それで君はなんでここに戻ってきたのさ』
少年「ああ、そのことなんだけど」
竜『うん』
少年「やっぱりポチに聞いて欲しいんだ、僕が何で苦しんでるか」
竜『ああ、いじめのことでしょ』
少年「実はそうなんだ…………おい」
竜『なあに?』
少年「なんで知ってんだ」
竜『気にするな!』
少年「気にするよ! おま、僕がどれだけ思い悩んでここに戻ってきたと思ってるんだ! なんだこのガッカリな感じ!」
少年「ああ、そのことなんだけど」
竜『うん』
少年「やっぱりポチに聞いて欲しいんだ、僕が何で苦しんでるか」
竜『ああ、いじめのことでしょ』
少年「実はそうなんだ…………おい」
竜『なあに?』
少年「なんで知ってんだ」
竜『気にするな!』
少年「気にするよ! おま、僕がどれだけ思い悩んでここに戻ってきたと思ってるんだ! なんだこのガッカリな感じ!」
133: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:08:18.26 ID:ImDBasWD0
竜『まあまあ、少年の口から話してくれたことに意味があるんだからいいじゃない。話してくれてありがとね』
少年「腑に落ちない」
竜『辛かったね、頑張ったね』
少年「……やめろよそういうの、涙腺が刺激される」
竜『もう、大丈夫だから』
少年「何も大丈夫じゃねえよ、…怖いよ」
竜『ううん本当に大丈夫なの。もう君がいじめられることはない』
少年「なんでそんなことが言えるんだ」
竜『俺がそういう魔法をかけたんだよ』
少年「マジで?」
竜『マジで』
少年「…………」
竜『信じられない?』
少年「…奇妙なことに信じられる、わけわからん」
竜『俺と少年の信頼関係のたまものだね』
少年「否定したいが否定する材料がないなあ」
少年「腑に落ちない」
竜『辛かったね、頑張ったね』
少年「……やめろよそういうの、涙腺が刺激される」
竜『もう、大丈夫だから』
少年「何も大丈夫じゃねえよ、…怖いよ」
竜『ううん本当に大丈夫なの。もう君がいじめられることはない』
少年「なんでそんなことが言えるんだ」
竜『俺がそういう魔法をかけたんだよ』
少年「マジで?」
竜『マジで』
少年「…………」
竜『信じられない?』
少年「…奇妙なことに信じられる、わけわからん」
竜『俺と少年の信頼関係のたまものだね』
少年「否定したいが否定する材料がないなあ」
134: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:08:48.94 ID:ImDBasWD0
少年「あ、やばい!」
竜『どした?』
少年「ばかやろう!」ペシッ
竜『ちょ、なんなんだよもう』
少年「服! どうやって帰ればいいんだよ!?」
竜『あー…少年晴れて変質者の仲間入りかあ、おめでとう』
少年「…………」サワサワサワサワ
竜『無言で逆鱗触るのやめて、結構慣れたけど』
少年「どうしよぉ……」
竜『んー頑張れ!』
少年「き、貴様!」
竜『どした?』
少年「ばかやろう!」ペシッ
竜『ちょ、なんなんだよもう』
少年「服! どうやって帰ればいいんだよ!?」
竜『あー…少年晴れて変質者の仲間入りかあ、おめでとう』
少年「…………」サワサワサワサワ
竜『無言で逆鱗触るのやめて、結構慣れたけど』
少年「どうしよぉ……」
竜『んー頑張れ!』
少年「き、貴様!」
135: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:09:24.48 ID:ImDBasWD0
竜『まあ無難に提案させてもらうと誰かに持ってきてもらえば?』
少年「そうするか…、携帯、携帯」
竜『あ、言っとくけどこの部屋に入れちゃ駄目だよ』
少年「なんで?」
竜『言いにくいけど俺の姿を見て冷静でいられた君は異常だよ』
少年「? ああ、確かにポチ顔少し怖いもんなあ」
竜『うん、もうそういうことでいいや』
少年「そうするか…、携帯、携帯」
竜『あ、言っとくけどこの部屋に入れちゃ駄目だよ』
少年「なんで?」
竜『言いにくいけど俺の姿を見て冷静でいられた君は異常だよ』
少年「? ああ、確かにポチ顔少し怖いもんなあ」
竜『うん、もうそういうことでいいや』
136: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:09:55.16 ID:ImDBasWD0
少年「……あ、もしもし、僕だけど頼みがあるんだ、……うん、……に上着を持ってきて欲しいんだが、…え、なんでって…………転んで服破れた」
竜『(苦しすぎる)』
少年「うん、それはもう真っ二つに、まさに奇跡の一瞬だった。うん、うんじゃあ頼むよ、場所わかる? …了解、着いたらまた電話して、じゃ」
竜『誰に頼んだの?』
少年「前に言った弟。恥ずかしい話あいつぐらいしか頼れる人がいないんだよね。親はちょっとアレだし、学校は言わずもがな」
竜『少年の周りにはロクな人間がいないね』
少年「弟はポチに会う前の唯一の良心だったな…兄の立場ながら良くできた弟だと思うよ」
竜『ふうん』
竜『(苦しすぎる)』
少年「うん、それはもう真っ二つに、まさに奇跡の一瞬だった。うん、うんじゃあ頼むよ、場所わかる? …了解、着いたらまた電話して、じゃ」
竜『誰に頼んだの?』
少年「前に言った弟。恥ずかしい話あいつぐらいしか頼れる人がいないんだよね。親はちょっとアレだし、学校は言わずもがな」
竜『少年の周りにはロクな人間がいないね』
少年「弟はポチに会う前の唯一の良心だったな…兄の立場ながら良くできた弟だと思うよ」
竜『ふうん』
137: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:10:29.09 ID:ImDBasWD0
少年「あいつがいなかったらとてもじゃないけどやっていけなかっただろうなあ、面と向かっては言ったことはないけど感謝してる」
竜『あっそ』
少年「…ポチなんか怒ってない?」
竜『別に』
少年「……絶対怒ってる」
竜『なんでそう思うのさ』
少年「雰囲気」
竜『ずいぶん曖昧な根拠だ』
少年「機嫌直せよーなんだやっぱり腹空きすぎたのか? あーゆーはんぐりー?」
竜『少年の中で俺は腹ペコキャラなのか』
竜『あっそ』
少年「…ポチなんか怒ってない?」
竜『別に』
少年「……絶対怒ってる」
竜『なんでそう思うのさ』
少年「雰囲気」
竜『ずいぶん曖昧な根拠だ』
少年「機嫌直せよーなんだやっぱり腹空きすぎたのか? あーゆーはんぐりー?」
竜『少年の中で俺は腹ペコキャラなのか』
138: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:10:54.75 ID:ImDBasWD0
少年「弟が来るまで暇だ、故にしりとりでもしよう」
竜『唐突だね、まあいいけど、なら先手は譲ろう』
少年「じゃあ無難に"しりとり"の"り"から」
竜『"リービッヒ冷却機"』
少年「"きのこ"」
竜『"光化学スモッグ"』
少年「"グミ"」
竜『"ミエローマ"』
少年「ま、"マシュマロ"」
竜『"ロシュミット数"』
少年「う…"梅干し"」
竜『し、かあ。うーんじゃあ"シアヌル酸クロリド"』
少年「あのさ」
竜『唐突だね、まあいいけど、なら先手は譲ろう』
少年「じゃあ無難に"しりとり"の"り"から」
竜『"リービッヒ冷却機"』
少年「"きのこ"」
竜『"光化学スモッグ"』
少年「"グミ"」
竜『"ミエローマ"』
少年「ま、"マシュマロ"」
竜『"ロシュミット数"』
少年「う…"梅干し"」
竜『し、かあ。うーんじゃあ"シアヌル酸クロリド"』
少年「あのさ」
139: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:11:27.32 ID:ImDBasWD0
竜『次は"ど"だよ少年』
少年「…"ドーナツ"」
竜『"対イオン液体クロマトグラフィー"。"ふぃ"でも"い"でもいいよ』
少年「……じゃあ"芋けんぴ"」
竜『"ピアレスマニュファクチャリング"』
少年「"グリンピース"あのさポチ」
竜『うーんそうだなあ、じゃあ"スツーカ"』
少年「(あ、ちょっとまともだ)"カニ"!」
竜『"ニューモノウルトラマイクロスコーピックシリコウ゛ォルケーノコニ……"』
少年「しゃあああらっぷううううぅぅ!」
竜『どうしたの突然奇声をあげて』
少年「こんなんじゃつまんないんだよ! 知らない言葉ばかり使われても面白くないんだよ!」
竜『えー聞いたことぐらいはあるでしょー』
少年「ないよ! 初耳オンリーだよ! どマイナーだよ!」
竜『じゃあもっと一般的な言葉にするかー』
少年「自覚あるじゃねえか」
少年「…"ドーナツ"」
竜『"対イオン液体クロマトグラフィー"。"ふぃ"でも"い"でもいいよ』
少年「……じゃあ"芋けんぴ"」
竜『"ピアレスマニュファクチャリング"』
少年「"グリンピース"あのさポチ」
竜『うーんそうだなあ、じゃあ"スツーカ"』
少年「(あ、ちょっとまともだ)"カニ"!」
竜『"ニューモノウルトラマイクロスコーピックシリコウ゛ォルケーノコニ……"』
少年「しゃあああらっぷううううぅぅ!」
竜『どうしたの突然奇声をあげて』
少年「こんなんじゃつまんないんだよ! 知らない言葉ばかり使われても面白くないんだよ!」
竜『えー聞いたことぐらいはあるでしょー』
少年「ないよ! 初耳オンリーだよ! どマイナーだよ!」
竜『じゃあもっと一般的な言葉にするかー』
少年「自覚あるじゃねえか」
140: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:12:00.15 ID:ImDBasWD0
少年「…………」スースー
Prrr……
少年「…………」スピー
竜『しょーねん、起きて、電話』ユサユサ、ベロン
少年『ふあっ!? あれウソまた僕寝てた!? なんで!?』
竜『いいから早く出て』
少年「う、うん。はいもしもし…わかった、今行く。……来たみたいだ」
竜『そう、またね』
少年「うん、またな」
少年「……あ、いい忘れてた」
竜『なあに?』
少年「ありがとな、じゃ」
竜『?』
Prrr……
少年「…………」スピー
竜『しょーねん、起きて、電話』ユサユサ、ベロン
少年『ふあっ!? あれウソまた僕寝てた!? なんで!?』
竜『いいから早く出て』
少年「う、うん。はいもしもし…わかった、今行く。……来たみたいだ」
竜『そう、またね』
少年「うん、またな」
少年「……あ、いい忘れてた」
竜『なあに?』
少年「ありがとな、じゃ」
竜『?』
141: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:12:33.20 ID:ImDBasWD0
少年「お待たせ、わざわざ悪いな」
弟「それはいいけどさ、兄さんこんな辺鄙な場所で何してたの? 1人廃虚ツアー? はい服」
少年「ちがっ……実はそうなんだ」
弟「」
少年「…やっぱりウソだったってことでいいか?」
弟「いや、俺兄さんの趣味がちょっと特殊でも引かないからさ…」
少年「ごめん! 嘘、ウソ冗談!」
弟「あ、半径2m以内には近づかないで。特に理由はないけど」
少年「明らかに引いてるじゃないか!」
弟「どうでもいいけど早く服着ろよ見苦しい」
少年「ごめん……」
弟「まあ俺も人のこと言えないけどなあー」
少年「ああ、あれかあ。でも気持ちはわかるし別にいいだろ」
弟「そう言ってくれるのは兄さんだけだろうね。兄さんも一緒にどう? いい気分転換になるよ?」
少年「僕にはハードルが高すぎるから遠慮しておく、ありゃあ弟だから出来ることだ」
弟「兄さんもかなり素質あると思うけどなあ、別ベクトルで」
弟「それはいいけどさ、兄さんこんな辺鄙な場所で何してたの? 1人廃虚ツアー? はい服」
少年「ちがっ……実はそうなんだ」
弟「」
少年「…やっぱりウソだったってことでいいか?」
弟「いや、俺兄さんの趣味がちょっと特殊でも引かないからさ…」
少年「ごめん! 嘘、ウソ冗談!」
弟「あ、半径2m以内には近づかないで。特に理由はないけど」
少年「明らかに引いてるじゃないか!」
弟「どうでもいいけど早く服着ろよ見苦しい」
少年「ごめん……」
弟「まあ俺も人のこと言えないけどなあー」
少年「ああ、あれかあ。でも気持ちはわかるし別にいいだろ」
弟「そう言ってくれるのは兄さんだけだろうね。兄さんも一緒にどう? いい気分転換になるよ?」
少年「僕にはハードルが高すぎるから遠慮しておく、ありゃあ弟だから出来ることだ」
弟「兄さんもかなり素質あると思うけどなあ、別ベクトルで」
142: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:13:06.63 ID:ImDBasWD0
少年「あー家着いちゃったなあ」
弟「心底嫌そうだね、まあ俺もだけど」
少年「先に入ってくれ、一緒に帰ったらまずいだろ?」
弟「悪いな兄さん」
少年「そっちはそっちで大変だろうが。お互いがんばろう」
弟「…そうだね。…………ただいま帰りました…………」
少年「……どっちの役回りの方が幸せなんだろうか」
弟「心底嫌そうだね、まあ俺もだけど」
少年「先に入ってくれ、一緒に帰ったらまずいだろ?」
弟「悪いな兄さん」
少年「そっちはそっちで大変だろうが。お互いがんばろう」
弟「…そうだね。…………ただいま帰りました…………」
少年「……どっちの役回りの方が幸せなんだろうか」
143: ◆yJ9Y64R876 2013/10/04(金) 22:13:49.51 ID:ImDBasWD0
竜『そろそろ少年家に着いたかなあ、さすがに服を破いたのはまずかったかなあ』
竜『まっいっか、早く明日にならないかな待ち遠しい』
竜『……弟さんかあ』
竜『邪魔だな』
竜『まっいっか、早く明日にならないかな待ち遠しい』
竜『……弟さんかあ』
竜『邪魔だな』
147: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:37:34.99 ID:0FoM2gn20
―次の日―
少年「さてと、ついに登校時間が到来してしまった。行こう」
少年「さてと、ついに登校時間が到来してしまった。行こう」
148: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:38:54.00 ID:0FoM2gn20
少年「教室前に着いた入ろう」
少年「…………(昨日はああ言ったけどやっぱり怖くて足が動かない)」
竜『(大丈夫だよ少年)』
少年「(ポチ?)」
竜『(大丈夫、俺を信じて)』
少年「(……うん)いってくる」
竜『(いってらっしゃい)』
少年「…………(昨日はああ言ったけどやっぱり怖くて足が動かない)」
竜『(大丈夫だよ少年)』
少年「(ポチ?)」
竜『(大丈夫、俺を信じて)』
少年「(……うん)いってくる」
竜『(いってらっしゃい)』
149: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:40:04.43 ID:0FoM2gn20
少年「(あれ、いつもより人が少ない気がする)」キョロキョロ
男2「げっ、来やがった」
少年「えっ」
男2「おい、ちょっとこっち来い」
少年「うわっ、な、なに、引っ張らないで」
男2「げっ、来やがった」
少年「えっ」
男2「おい、ちょっとこっち来い」
少年「うわっ、な、なに、引っ張らないで」
150: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:41:25.73 ID:0FoM2gn20
少年「(廊下に戻された)」
男2「お前さあ男1を返り討ちにしたってマジ?」
少年「え…なにそれ?」
男2「教室の中お前の噂でもちきりなんだよ。お前が度重なるいじめにキレて男1を全治3ヶ月にも及ぶ重症を負わせたとかなんとか」
少年「ば、バカな! 僕がそんなことできるわけないだろう!」
男2「へえ、じゃやっぱ噂は所詮ウワサか」
少年「当たり前だろ! 集団に囲まれてなんで反撃ができるんだよ! こちとら逃げるの一手のみだったよ!」
男2「なんだ、お前リンチにまで合ってたのか」
少年「今まではなかったんだけどな、さすがにあれは命の危険を感じた」
男2「……お前結構普通に喋れんのな」
少年「? どういうこと?」
男2「お前さあ男1を返り討ちにしたってマジ?」
少年「え…なにそれ?」
男2「教室の中お前の噂でもちきりなんだよ。お前が度重なるいじめにキレて男1を全治3ヶ月にも及ぶ重症を負わせたとかなんとか」
少年「ば、バカな! 僕がそんなことできるわけないだろう!」
男2「へえ、じゃやっぱ噂は所詮ウワサか」
少年「当たり前だろ! 集団に囲まれてなんで反撃ができるんだよ! こちとら逃げるの一手のみだったよ!」
男2「なんだ、お前リンチにまで合ってたのか」
少年「今まではなかったんだけどな、さすがにあれは命の危険を感じた」
男2「……お前結構普通に喋れんのな」
少年「? どういうこと?」
151: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:42:51.93 ID:0FoM2gn20
「おいお前らさっさと教室に入れ」
少年「(あ、無能教師)」
男2「あ、無能教師」
少年「(えっ?)」
教師「男2聞き間違いとは言わせんぞ」
男2「あっ、いや無能っいうのは無農薬の略で」
少年「なに言ってんだこいつ」ボソッ
男2「聞こえてンぞ」
少年「えっう、ウソ?」
教師「はあ。くだらん茶番はそれくらいにしてさっさと教室に入れ」
男2「へーい」
少年「は、はい(クラスの人とまともに話したのは久しぶりだ)」
少年「(あ、無能教師)」
男2「あ、無能教師」
少年「(えっ?)」
教師「男2聞き間違いとは言わせんぞ」
男2「あっ、いや無能っいうのは無農薬の略で」
少年「なに言ってんだこいつ」ボソッ
男2「聞こえてンぞ」
少年「えっう、ウソ?」
教師「はあ。くだらん茶番はそれくらいにしてさっさと教室に入れ」
男2「へーい」
少年「は、はい(クラスの人とまともに話したのは久しぶりだ)」
152: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:43:58.71 ID:0FoM2gn20
少年「あの後周りの視線を異様に感じた以外は何事もなく放課後になった。帰ろう」
男2「お前一人言の声でかいな」
少年「うわっ…男2だ」
男2「人の顔見てその反応はねえだろ」
少年「いじめの影響でクラスメート全員の顔が怖いからしょうがない」
男2「言っとくが俺はいじめに加担してなかったぞ、まあ傍観者も同罪だろうがな」
少年「そうなの? 男1と仲いいからてっきり…」
男2「お前さ、朝はああいってたけど本当に男1に何もしてないんだよな?」
少年「本当だってば」
男2「お前一人言の声でかいな」
少年「うわっ…男2だ」
男2「人の顔見てその反応はねえだろ」
少年「いじめの影響でクラスメート全員の顔が怖いからしょうがない」
男2「言っとくが俺はいじめに加担してなかったぞ、まあ傍観者も同罪だろうがな」
少年「そうなの? 男1と仲いいからてっきり…」
男2「お前さ、朝はああいってたけど本当に男1に何もしてないんだよな?」
少年「本当だってば」
153: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:45:06.76 ID:0FoM2gn20
男2「……パンチ」ドカッ
少年「ごふっ」バタン
男2「こんなのも避けられないんじゃ嘘じゃないっぽいな」
少年「え? それ確かめるために顔面に拳ぶちこんだの?」
男2「……じゃあどういうことなんだ?」
少年「ごふっ」バタン
男2「こんなのも避けられないんじゃ嘘じゃないっぽいな」
少年「え? それ確かめるために顔面に拳ぶちこんだの?」
男2「……じゃあどういうことなんだ?」
154: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:46:28.20 ID:0FoM2gn20
少年「…あのさ、そろそろ僕帰っていいか?」
男2「別に俺は止めてねえよ」
少年「……えっと、じゃあ」タタッ…
男2「…………」
男2「別に俺は止めてねえよ」
少年「……えっと、じゃあ」タタッ…
男2「…………」
155: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:47:34.34 ID:0FoM2gn20
―病院―
男2「よお、元気か……ってんなわけねえか」
男1「何しにきた」
男2「親友が来たのにつめてえなあ」
男1「"元"、だろうが」
男2「まあな、お前があんなつまんねえことやるからだろ」
男1「……なんだ、説教するために来たのか。下らねえ」
男2「ちげえよ、俺がしたいのは復讐だ」
男1「復讐?」
男2「どっちかって言うと敵討ちか、勿論お前のためのな」
男1「……はあ?」
男2「よお、元気か……ってんなわけねえか」
男1「何しにきた」
男2「親友が来たのにつめてえなあ」
男1「"元"、だろうが」
男2「まあな、お前があんなつまんねえことやるからだろ」
男1「……なんだ、説教するために来たのか。下らねえ」
男2「ちげえよ、俺がしたいのは復讐だ」
男1「復讐?」
男2「どっちかって言うと敵討ちか、勿論お前のためのな」
男1「……はあ?」
156: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:48:36.49 ID:0FoM2gn20
男1「誰がそんなダセエこと頼んだよ」
男2「俺が勝手にやりたいんだよ」
男1「馬鹿じゃねえのかお前」
男2「俺もそう思うよ……でさ、誰にやられたんだ」
男1「……言わねえ」
男2「噂通りあいつがお前に反撃したとは思えねえ、それにあいつに味方するやつがこの学校にいるとも考えにくい。元から孤立してるからな。教師はそもそもいじめに気付いてないという無能ぶりだ」
男1「…………」
男2「しかもな、お前のアレに積極的に加わってたやつら全員今日は休みだとよ。関係してないわけねえよな男1?」
男1「…………」
男2「もう一度聞くぞ男1。誰に、ナニにやられた?」
男2「俺が勝手にやりたいんだよ」
男1「馬鹿じゃねえのかお前」
男2「俺もそう思うよ……でさ、誰にやられたんだ」
男1「……言わねえ」
男2「噂通りあいつがお前に反撃したとは思えねえ、それにあいつに味方するやつがこの学校にいるとも考えにくい。元から孤立してるからな。教師はそもそもいじめに気付いてないという無能ぶりだ」
男1「…………」
男2「しかもな、お前のアレに積極的に加わってたやつら全員今日は休みだとよ。関係してないわけねえよな男1?」
男1「…………」
男2「もう一度聞くぞ男1。誰に、ナニにやられた?」
157: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:49:54.89 ID:0FoM2gn20
男1「……言わねえ」
男2「"言わない"のか? それとも"言えない"のか?」
男1「…………」
男2「そうか、実にわかりやすい反応ありがとう。よくわかった」
男2「じゃあな。早く治せよ」ガラッ
男2「"言わない"のか? それとも"言えない"のか?」
男1「…………」
男2「そうか、実にわかりやすい反応ありがとう。よくわかった」
男2「じゃあな。早く治せよ」ガラッ
158: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:51:01.48 ID:0FoM2gn20
男1「…………この町にはバケモノがいる」
男2「…何?」ピタ
男1「バケモノの宝に手を出したら噛まれちまった、それだけだ」
男2「どういう意味…」
男1「面会時間はもう終りだ」
男2「…じゃあな」ピシャッ
男2「…何?」ピタ
男1「バケモノの宝に手を出したら噛まれちまった、それだけだ」
男2「どういう意味…」
男1「面会時間はもう終りだ」
男2「…じゃあな」ピシャッ
159: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:52:20.21 ID:0FoM2gn20
男2「……ふう。あー何やってんだろ俺、ホントに馬鹿だ。まったくもって時間の無駄じゃねえかこんなの」
男2「…いや、無駄かどうかはこれからわかるのか」
男2「…いや、無駄かどうかはこれからわかるのか」
160: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:53:42.69 ID:0FoM2gn20
竜『うーんまた雨降ってる。早く湯たんぽ来ないかなあ』
少年「誰が湯たんぽだ」ガチャッ
竜『おっカイロが来た。早くおいで』
少年「聞く耳持たねえな」
竜『あれ? 少年今日は濡れてないねどうしたの?』
少年「今日は珍しく傘盗まれなかったんだよ、だから濡れずに済んだ」
竜『んーそれって折りたたみ傘携帯しとけば盗まれなかったんじゃないの』
少年「先に言えよ」
竜『普通気付けよ』
少年「」
少年「誰が湯たんぽだ」ガチャッ
竜『おっカイロが来た。早くおいで』
少年「聞く耳持たねえな」
竜『あれ? 少年今日は濡れてないねどうしたの?』
少年「今日は珍しく傘盗まれなかったんだよ、だから濡れずに済んだ」
竜『んーそれって折りたたみ傘携帯しとけば盗まれなかったんじゃないの』
少年「先に言えよ」
竜『普通気付けよ』
少年「」
161: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:54:54.51 ID:0FoM2gn20
少年「というかさ、僕の記憶違いじゃなきゃさ」
竜『うん』
少年「あの位置に壁が確固として存在してたよな?」
竜『うん勿論』
少年「何で壁壊れてるの? おかげでいつも以上に寒い」
竜『適応規制のせいかな』
少年「ポチまた難しい言葉で誤魔化そうとしてるだろ」
竜『まあ簡単に言えばムシャクシャしてやった』
少年「寝起きのときといい物に当たるのよくない」
竜『ごめん、多分もうしません』
少年「仕方ないな」
竜『ありがとー。それにしても寒いなあ、困ったなあ、まったくどうしてこんなことになったのやら』
少年「反省が微塵も見えん」
竜『うん』
少年「あの位置に壁が確固として存在してたよな?」
竜『うん勿論』
少年「何で壁壊れてるの? おかげでいつも以上に寒い」
竜『適応規制のせいかな』
少年「ポチまた難しい言葉で誤魔化そうとしてるだろ」
竜『まあ簡単に言えばムシャクシャしてやった』
少年「寝起きのときといい物に当たるのよくない」
竜『ごめん、多分もうしません』
少年「仕方ないな」
竜『ありがとー。それにしても寒いなあ、困ったなあ、まったくどうしてこんなことになったのやら』
少年「反省が微塵も見えん」
162: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:56:26.24 ID:0FoM2gn20
竜『それにしても寒い、この寒さは変温動物には堪える』
少年「ポチって冬眠するの?」
竜『うん、ご多分に漏れず(しなくてもいいけど)』
少年「そっかあ……じゃあ冬は一緒に過ごせないのか。やだな」
竜『……熱源があれば起きてられるよ、だからほら、ね?』
少年「えっ……ああ! じゃあ僕冬休みになったらいくらでも時間あるから毎日暖めに来てやるよ!」
竜『おおう、予想以上に直球だ』
少年「これで冬も安心だな」
竜『うん、ちょっと冬が楽しみだ。少年が暇人でよかった』
少年「ポチにだけは言われたくない」
少年「ポチって冬眠するの?」
竜『うん、ご多分に漏れず(しなくてもいいけど)』
少年「そっかあ……じゃあ冬は一緒に過ごせないのか。やだな」
竜『……熱源があれば起きてられるよ、だからほら、ね?』
少年「えっ……ああ! じゃあ僕冬休みになったらいくらでも時間あるから毎日暖めに来てやるよ!」
竜『おおう、予想以上に直球だ』
少年「これで冬も安心だな」
竜『うん、ちょっと冬が楽しみだ。少年が暇人でよかった』
少年「ポチにだけは言われたくない」
163: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:57:44.92 ID:0FoM2gn20
少年「ちょっと失礼」サワサワ
竜『わわっいきなりなにさ』
少年「いやあ立派な角だなあと思って」
竜『あっても邪魔なだけだよ』
少年「でもかっこいい、僕も欲しい」
竜『あげれるものならあげたいよ、これ日常生活を営む上ではすっごい不便なんだよ』
少年「なんか低い天井とかなら立ち上がったら突き刺さりそうだよな」
竜『ああ、あるある、すごい焦るんだよね。動いたら天井が崩れると考えると無闇に頭は動かせないし、かといって刺さったままだと段々体勢を維持するのが難しくなるしあれは大変だ』
少年「竜のあるある話は僕には共感できない」
竜『わわっいきなりなにさ』
少年「いやあ立派な角だなあと思って」
竜『あっても邪魔なだけだよ』
少年「でもかっこいい、僕も欲しい」
竜『あげれるものならあげたいよ、これ日常生活を営む上ではすっごい不便なんだよ』
少年「なんか低い天井とかなら立ち上がったら突き刺さりそうだよな」
竜『ああ、あるある、すごい焦るんだよね。動いたら天井が崩れると考えると無闇に頭は動かせないし、かといって刺さったままだと段々体勢を維持するのが難しくなるしあれは大変だ』
少年「竜のあるある話は僕には共感できない」
164: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 19:59:06.43 ID:0FoM2gn20
竜『くそう、君たち全員天井に突き刺さるくらい角生えればいいんだ』
少年「それだとアンバランスすぎるだろ」
竜『なんでもう竜なんかに生まれちゃったんだろう! もっと普通が良かった!』
少年「僕は竜の姿も結構いいと思うけどなあ」
竜『はあ? どこらへんが?』
少年「え、強いていうならビジュアル」
竜『君って変わってるよね』
少年「なんで?」
竜『人間は大抵俺の姿を見ると耳障りな大声を出して逃げ出すけどなあ』
少年「あー、ポチ顔厳ついからな。怒ってるように見えるんだよ」
竜『…そういう問題かなあ』
少年「今すぐ笑顔の練習するべきだ。1、2、3はい!」
竜『えっ、こ、こう?』ニヤアアアアアァ
少年「うーんこれを"笑顔"に区分するのは少々ためらわれる、なんかヘン、違和感を感じる、ありえない」
竜『』
少年「それだとアンバランスすぎるだろ」
竜『なんでもう竜なんかに生まれちゃったんだろう! もっと普通が良かった!』
少年「僕は竜の姿も結構いいと思うけどなあ」
竜『はあ? どこらへんが?』
少年「え、強いていうならビジュアル」
竜『君って変わってるよね』
少年「なんで?」
竜『人間は大抵俺の姿を見ると耳障りな大声を出して逃げ出すけどなあ』
少年「あー、ポチ顔厳ついからな。怒ってるように見えるんだよ」
竜『…そういう問題かなあ』
少年「今すぐ笑顔の練習するべきだ。1、2、3はい!」
竜『えっ、こ、こう?』ニヤアアアアアァ
少年「うーんこれを"笑顔"に区分するのは少々ためらわれる、なんかヘン、違和感を感じる、ありえない」
竜『』
165: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:00:20.11 ID:0FoM2gn20
竜『……ぐすん』
少年「まあまあこれでも食って落ち着けよ」
竜『やったカラアゲだ! いただきます!』
少年「うーん」
竜『ああ、やっぱりおいしい。この溢れる肉汁がたまらない』ニッコリ
少年「ポチ食べてるときは笑顔自然なんだけどなあ」
竜『じゃあ初対面の人間と会うときはカラアゲ食べながらにしよう』
少年「ポチ行儀悪い」
竜『だよねえ。まったく難しい問題だよ』
少年「まあまあこれでも食って落ち着けよ」
竜『やったカラアゲだ! いただきます!』
少年「うーん」
竜『ああ、やっぱりおいしい。この溢れる肉汁がたまらない』ニッコリ
少年「ポチ食べてるときは笑顔自然なんだけどなあ」
竜『じゃあ初対面の人間と会うときはカラアゲ食べながらにしよう』
少年「ポチ行儀悪い」
竜『だよねえ。まったく難しい問題だよ』
166: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:01:36.36 ID:0FoM2gn20
少年「僕も食べようかな」ガサガサ
竜『なあにそれ?』
少年「あんまん。……あげないからな」
竜『…………』ウルウル
少年「やめろ! 雨の日に段ボールの中からすがるように見つめてくる仔犬のような目をまた僕に向けるのをやめろ!」
竜『…クーン…クーン』
少年「ああもう無駄に鳴き声うまいなチクショウ! そんな才能いらんだろ! 半分だけだからな!」
竜『へっ、ちょろいぜ』
少年「こいつ…! ……まあいいか」
竜『なあにそれ?』
少年「あんまん。……あげないからな」
竜『…………』ウルウル
少年「やめろ! 雨の日に段ボールの中からすがるように見つめてくる仔犬のような目をまた僕に向けるのをやめろ!」
竜『…クーン…クーン』
少年「ああもう無駄に鳴き声うまいなチクショウ! そんな才能いらんだろ! 半分だけだからな!」
竜『へっ、ちょろいぜ』
少年「こいつ…! ……まあいいか」
167: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:03:22.67 ID:0FoM2gn20
竜『こ、これは…つぶあんじゃないか!』
少年「そだな、残念だ」
竜『この点においては少年とは敵対するなあ。いただきまーす……うあ!』
少年「なんだよ」
竜『あつっあつっ、なにこれあっついよ!』
少年「ヘンなの。そういうときはふーふーするんだよ」
竜『ふーふー』
少年「違う、本当にふーふー言うんじゃなくて息を吹き掛けるんだ」
少年「そだな、残念だ」
竜『この点においては少年とは敵対するなあ。いただきまーす……うあ!』
少年「なんだよ」
竜『あつっあつっ、なにこれあっついよ!』
少年「ヘンなの。そういうときはふーふーするんだよ」
竜『ふーふー』
少年「違う、本当にふーふー言うんじゃなくて息を吹き掛けるんだ」
168: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:04:34.77 ID:0FoM2gn20
竜「ふうぅぅぅぅぅ…」ヒュゴオオォォ
少年「それはやりすぎ」
竜『あっ、すごいこれなら食べれそうだ、いただきます』
少年「おいしい?」
竜『いわずもがな。おかわり』
少年「残念。もう僕の胃の中だ」
竜『くそう。何とかして取り出せないものか』
少年「自覚ないかもしれないけどポチかなり怖いこと口走ってるよ?」
少年「それはやりすぎ」
竜『あっ、すごいこれなら食べれそうだ、いただきます』
少年「おいしい?」
竜『いわずもがな。おかわり』
少年「残念。もう僕の胃の中だ」
竜『くそう。何とかして取り出せないものか』
少年「自覚ないかもしれないけどポチかなり怖いこと口走ってるよ?」
169: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:05:34.39 ID:0FoM2gn20
少年「あーお金欲しい」
竜『うわあ随分切実な願いだ』
少年「中学生でもバイト雇ってくれる所ないかな」
竜『昔は俺のウロコ結構高く売れたけど』
少年「ああ、触り心地最高だもんな。そりゃ売れるよ」
竜『そういう使い方じゃなくて何かしらの素材の需要としてね』
少年「えーそんなのより皆で撫で回す方がいいのに」
竜『貴重なウロコをそんな使い方したのは君だけだよ、でどうするの?』
少年「何が?」
竜『うわあ随分切実な願いだ』
少年「中学生でもバイト雇ってくれる所ないかな」
竜『昔は俺のウロコ結構高く売れたけど』
少年「ああ、触り心地最高だもんな。そりゃ売れるよ」
竜『そういう使い方じゃなくて何かしらの素材の需要としてね』
少年「えーそんなのより皆で撫で回す方がいいのに」
竜『貴重なウロコをそんな使い方したのは君だけだよ、でどうするの?』
少年「何が?」
170: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:06:37.73 ID:0FoM2gn20
竜『ウロコ、この時代でも場所によっては売れるかもよ?』
少年「売るわけないじゃん、バカなのポチ?」
竜『むっ……、俺があげるって言ってるのになんでさ』
少年「だってウロコ取ったら痛がるじゃん。ポチが痛がってると僕が悲しいじゃん」
竜『そのわりにはウロコ初めて取ったとき躊躇なかったよね』
少年「あ、あれはあんなに痛がると思わなかったし、これで触り放題と思って浮かれてたのも……ごめん」
竜『まあ過ぎたことだしいいけどねー。……人間がみんな君みたいだったらいいのにね』
少年「えっ、僕が言うのも何だがそれは気持ち悪い」
竜『他者の痛みを想像し己の行動を自制出来るというのは誇りに思っていいことだよ少年』
少年「ん? もしかしてそれ誉めてるの?」
竜『そーだよ。えらいえらい』
少年「やった。よくわからんが嬉しい」
竜『なでなでなでなで』
少年「ひいいいぃぃ、浮かれとる場合じゃなかった!」
少年「売るわけないじゃん、バカなのポチ?」
竜『むっ……、俺があげるって言ってるのになんでさ』
少年「だってウロコ取ったら痛がるじゃん。ポチが痛がってると僕が悲しいじゃん」
竜『そのわりにはウロコ初めて取ったとき躊躇なかったよね』
少年「あ、あれはあんなに痛がると思わなかったし、これで触り放題と思って浮かれてたのも……ごめん」
竜『まあ過ぎたことだしいいけどねー。……人間がみんな君みたいだったらいいのにね』
少年「えっ、僕が言うのも何だがそれは気持ち悪い」
竜『他者の痛みを想像し己の行動を自制出来るというのは誇りに思っていいことだよ少年』
少年「ん? もしかしてそれ誉めてるの?」
竜『そーだよ。えらいえらい』
少年「やった。よくわからんが嬉しい」
竜『なでなでなでなで』
少年「ひいいいぃぃ、浮かれとる場合じゃなかった!」
171: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:07:59.52 ID:0FoM2gn20
少年「宿題教えて」
竜『数英どっち』
少年「どっちも、理科も出来れば」
竜『えー』
少年「カラアゲとあんまんあげただろ」
竜『むむっ、give&takeか』
少年「えっ? 今なんて?」
竜『少年リスニングもダメだね』
少年「くそう、バカにされた。大体僕はこの国から出るつもりないから英語なんて覚えなくていいんだよ!」
竜『言語を学ぶことは他文化に触れることだ。そしてそれは限られた価値観から脱却する貴重な機会に成り得る。少年が考えている以上に大切なことだよ』
少年「ほお。じゃあがんばって勉強しよう」
竜『素直でよろしい、じゃ早速英語からやろうか』
少年「英作文なんだけど……」
竜『ふむふむ……』
竜『数英どっち』
少年「どっちも、理科も出来れば」
竜『えー』
少年「カラアゲとあんまんあげただろ」
竜『むむっ、give&takeか』
少年「えっ? 今なんて?」
竜『少年リスニングもダメだね』
少年「くそう、バカにされた。大体僕はこの国から出るつもりないから英語なんて覚えなくていいんだよ!」
竜『言語を学ぶことは他文化に触れることだ。そしてそれは限られた価値観から脱却する貴重な機会に成り得る。少年が考えている以上に大切なことだよ』
少年「ほお。じゃあがんばって勉強しよう」
竜『素直でよろしい、じゃ早速英語からやろうか』
少年「英作文なんだけど……」
竜『ふむふむ……』
172: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:09:16.82 ID:0FoM2gn20
少年「できたー!」
竜『お疲れさま、少年前より理解が早くなってきたね。先生としては成長を感じられて嬉しいよ』
少年「本当? ありがとうございます先生!」
竜『これからはもっとビシバシ厳しくいこうか』
少年「いやです! お手柔らかにお願いします先生!」
竜『とりあえず勉強時間も倍にしよう』
少年「生徒の話に耳を傾けてください先生!」
竜『お疲れさま、少年前より理解が早くなってきたね。先生としては成長を感じられて嬉しいよ』
少年「本当? ありがとうございます先生!」
竜『これからはもっとビシバシ厳しくいこうか』
少年「いやです! お手柔らかにお願いします先生!」
竜『とりあえず勉強時間も倍にしよう』
少年「生徒の話に耳を傾けてください先生!」
173: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:10:30.03 ID:0FoM2gn20
少年「うー最近暗くなるの早すぎ」
竜『冬もすぐそこだからしょうがないね』
少年「どんどん早く帰らなきゃいけなくなる、太陽もっと働け」
竜『その分他の場所で頑張ってるんだよ。さあもう帰りな』
少年「そだな、暗くなるとポチ驚かしてくるしな」
竜『そう言われるとやりたくなってくるなあ』ウズウズ
少年「じゃな! また明日!」
竜『冬もすぐそこだからしょうがないね』
少年「どんどん早く帰らなきゃいけなくなる、太陽もっと働け」
竜『その分他の場所で頑張ってるんだよ。さあもう帰りな』
少年「そだな、暗くなるとポチ驚かしてくるしな」
竜『そう言われるとやりたくなってくるなあ』ウズウズ
少年「じゃな! また明日!」
174: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:11:40.91 ID:0FoM2gn20
―帰り道―
少年「うー寒い寒い、家に帰って早く部屋に閉じこもろう」
男2「よお引きこもり」
少年「あっバイバイ男2」タッタッタ…
男2「いやいやちょっと待てや!」
少年「うー寒い寒い、家に帰って早く部屋に閉じこもろう」
男2「よお引きこもり」
少年「あっバイバイ男2」タッタッタ…
男2「いやいやちょっと待てや!」
175: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:12:50.36 ID:0FoM2gn20
♪背に腹は変えられぬ
少年「来るな! 君を見ると僕はあの悪しき日々をイヤでも思い出すんだ!」
男2「まあ話を聞けよ、そこのコンビニでなんかおごってやるからよ」
少年「えっ、これが究極の選択…!」
男2「そんな大した二択じゃねえだろ」
少年「…仕方がない、か。行こうか男2……」トボトボ
男2「そんな嫌そうな顔されると俺がとんでもねえ悪者みたいじゃねえか」
少年「来るな! 君を見ると僕はあの悪しき日々をイヤでも思い出すんだ!」
男2「まあ話を聞けよ、そこのコンビニでなんかおごってやるからよ」
少年「えっ、これが究極の選択…!」
男2「そんな大した二択じゃねえだろ」
少年「…仕方がない、か。行こうか男2……」トボトボ
男2「そんな嫌そうな顔されると俺がとんでもねえ悪者みたいじゃねえか」
176: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:14:05.65 ID:0FoM2gn20
店員「ラッシャメセー」
男2「何て言ってんだよ、日本語喋れよ」
少年「男2気持ちはわかるけどそんな堂々と…」
男2「んで何食うんだ?」
少年「カラアゲ」
男2「なんだそんだけか?」
少年「50個」
男2「ホントに買って全部口の中に詰め込んでやろうかテメエ」
少年「ごめん冗談、2つでいいよ」
男2「あっそ、んじゃ俺はこれとこれとこれと……」ポイポイ
少年「そ、そんなに買ってお金あるの?」
男2「あ? こんなの大した額じゃねえだろ。……カラアゲ2つとこれ、万札で」
店員「ウィ、オァズリャシヤース」ピッピッ
少年「男2」
男2「なんだよ」
少年「僕から人生を前向きに生きる意欲を奪うな」
男2「なに言ってんだお前」
男2「何て言ってんだよ、日本語喋れよ」
少年「男2気持ちはわかるけどそんな堂々と…」
男2「んで何食うんだ?」
少年「カラアゲ」
男2「なんだそんだけか?」
少年「50個」
男2「ホントに買って全部口の中に詰め込んでやろうかテメエ」
少年「ごめん冗談、2つでいいよ」
男2「あっそ、んじゃ俺はこれとこれとこれと……」ポイポイ
少年「そ、そんなに買ってお金あるの?」
男2「あ? こんなの大した額じゃねえだろ。……カラアゲ2つとこれ、万札で」
店員「ウィ、オァズリャシヤース」ピッピッ
少年「男2」
男2「なんだよ」
少年「僕から人生を前向きに生きる意欲を奪うな」
男2「なに言ってんだお前」
177: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:15:10.15 ID:0FoM2gn20
少年「うぅ、寒いな」
男2「あーそろそろ降るらしいぞ、雪」
少年「マジか、ちょっと楽しみだ。はい」スッ
男2「あ? なんだよこれ」
少年「カラアゲ。君の分」
男2「…俺の金なの知ってるよな?」
少年「一緒に食べるとうまいよ」
男2「……まあいいか、でさお前」カサッ
少年「あーうまい、久しぶりの肉、やっぱり元気がでる」
男2「可哀想な奴だなお前」
少年「なんで? あっ!」ポロリ
男2「せっかく買ってやったのに落とすなよ」
少年「肉……僕の貴重なタンパク源、うぐううぅぅぅぅぅ」
男2「あーそろそろ降るらしいぞ、雪」
少年「マジか、ちょっと楽しみだ。はい」スッ
男2「あ? なんだよこれ」
少年「カラアゲ。君の分」
男2「…俺の金なの知ってるよな?」
少年「一緒に食べるとうまいよ」
男2「……まあいいか、でさお前」カサッ
少年「あーうまい、久しぶりの肉、やっぱり元気がでる」
男2「可哀想な奴だなお前」
少年「なんで? あっ!」ポロリ
男2「せっかく買ってやったのに落とすなよ」
少年「肉……僕の貴重なタンパク源、うぐううぅぅぅぅぅ」
178: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:16:09.01 ID:0FoM2gn20
男2「俺のやるから一々喚くな」
少年「え…いいのか?」
男2「ほらさっさと食え」ムギュ
少年「んんー! …むぐ…ゴクリ。く、口の中に無理やり詰め込むことないだろ! 死因がカラアゲを投入されたことによる窒息死とか嫌すぎる!」
男2「……ぷっ、あっはっはっはっ」
少年「何故高笑い」
男2「いやあお前あれだな。頭おかしいな」
少年「最近僕の周りは僕をバカにする人ばかりな気がする」
男2「つまり正当な評価ってことだろ?」
少年「認めたくないこの現実」
少年「え…いいのか?」
男2「ほらさっさと食え」ムギュ
少年「んんー! …むぐ…ゴクリ。く、口の中に無理やり詰め込むことないだろ! 死因がカラアゲを投入されたことによる窒息死とか嫌すぎる!」
男2「……ぷっ、あっはっはっはっ」
少年「何故高笑い」
男2「いやあお前あれだな。頭おかしいな」
少年「最近僕の周りは僕をバカにする人ばかりな気がする」
男2「つまり正当な評価ってことだろ?」
少年「認めたくないこの現実」
179: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:17:01.44 ID:0FoM2gn20
少年「ごちそうさまでした」
男2「律義だなお前」
少年「それで話って何?」
男2「あー…お前ってさ学校に友達いないよな」
少年「イヤミかい、ああご存知の通りぼっちだよ」
男2「家族以外に仲がいいやつは?」
少年「むしろ家族ともうまくいってないが。僕に知り合いと言える奴はいないと言っても過言じゃない。あ、でもひとりいるか」
男2「お前みたいな変人に付き合う奴がいるのか」
少年「あっちもあっちでかなりヘンな奴だからな、お互い様なんだよ」
男2「類は友を呼ぶってか」
少年「でもさ、男2も結構ヘンな性格してるよな」
男2「あ?」
男2「律義だなお前」
少年「それで話って何?」
男2「あー…お前ってさ学校に友達いないよな」
少年「イヤミかい、ああご存知の通りぼっちだよ」
男2「家族以外に仲がいいやつは?」
少年「むしろ家族ともうまくいってないが。僕に知り合いと言える奴はいないと言っても過言じゃない。あ、でもひとりいるか」
男2「お前みたいな変人に付き合う奴がいるのか」
少年「あっちもあっちでかなりヘンな奴だからな、お互い様なんだよ」
男2「類は友を呼ぶってか」
少年「でもさ、男2も結構ヘンな性格してるよな」
男2「あ?」
180: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:18:06.62 ID:0FoM2gn20
少年「だってクラスで孤立してる僕なんかと話してる所見られたら多少なりとも白い目を向けられるだろ? だから誰も僕に触れない、目を合わせようとしない」
男2「まあな、そういう雰囲気あるよな、あそこ」
少年「なんで男2が話しかけてきたかは知らないけどさ、今思うと結構嬉しかった気がするんだよな。だからありがとう」
男2「……キモい」
少年「礼を言われてそのリアクションはひどい」
男2「まあな、そういう雰囲気あるよな、あそこ」
少年「なんで男2が話しかけてきたかは知らないけどさ、今思うと結構嬉しかった気がするんだよな。だからありがとう」
男2「……キモい」
少年「礼を言われてそのリアクションはひどい」
181: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:19:21.98 ID:0FoM2gn20
男2「そういやさ、お前が避けられるようになったのってやっぱりアレか?」
少年「お察しの通りだと思うよ。まったく両親には恨んでも恨みきれない」
男2「すげえ名前だよな、到底俺には考え付かねえよ、うん」
少年「男の名前にこの漢字使う発想がすごい、その上当て字だし」
男2「なんかすぐ死にそうだよな」
少年「ホントにな、産まれた直後に死刑宣告受けたようなもんだ」
男2「俺あれ見たことないんだよな、お前は?」
少年「ないな、ここらじゃ見れないだろう。見たくもないし」
男2「嫌われたもんだな」
少年「そりゃそうだろ、そいつの存在のせいで僕の人生絶不調だ」
男2「でもお前の変な知り合い? って奴はお前の名前知ってて付き合ってたんだろ? まだ救いがあるじゃねえか」
少年「……偽名使ってる」
少年「お察しの通りだと思うよ。まったく両親には恨んでも恨みきれない」
男2「すげえ名前だよな、到底俺には考え付かねえよ、うん」
少年「男の名前にこの漢字使う発想がすごい、その上当て字だし」
男2「なんかすぐ死にそうだよな」
少年「ホントにな、産まれた直後に死刑宣告受けたようなもんだ」
男2「俺あれ見たことないんだよな、お前は?」
少年「ないな、ここらじゃ見れないだろう。見たくもないし」
男2「嫌われたもんだな」
少年「そりゃそうだろ、そいつの存在のせいで僕の人生絶不調だ」
男2「でもお前の変な知り合い? って奴はお前の名前知ってて付き合ってたんだろ? まだ救いがあるじゃねえか」
少年「……偽名使ってる」
182: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:20:21.38 ID:0FoM2gn20
男2「あーあ……、ちなみになんて名乗った?」
少年「……"少年"」
男2「……は? …少ない年と書いて?」
少年「しょうねん、それであってるよ」
男2「お、おまっ、そのまんま過ぎるだろ! 最早偽名じゃねえよ! …ていうかマジでそう名乗ったのか?」
少年「うん、とっさにそれしか思い付かなかった」
男2「それで相手すんなり信じたのか?」
少年「多分。ごく普通に"少年"って呼ぶし」
少年「……"少年"」
男2「……は? …少ない年と書いて?」
少年「しょうねん、それであってるよ」
男2「お、おまっ、そのまんま過ぎるだろ! 最早偽名じゃねえよ! …ていうかマジでそう名乗ったのか?」
少年「うん、とっさにそれしか思い付かなかった」
男2「それで相手すんなり信じたのか?」
少年「多分。ごく普通に"少年"って呼ぶし」
183: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:21:10.36 ID:0FoM2gn20
男2「確かに変な奴だな……元の名前の方がマシだろ」
少年「僕はそれだけ自分の名前が嫌いなんだよ」
男2「一応親が丹誠込めて考えた名前だろうに悲しいもんだな」
少年「変にひねらず平々凡々でいいんだよ、男2お前は特に気を付けとけ!」
男2「なんでだよ」
少年「お前みたいなチャラチャラしたイケメンは女たらしで早々に子供つくってとんでもない名前つけるんだよ!」
男2「チャラチャラしてねえし女たらしでもねえよ」
少年「でも彼女とかいるんだろ?」
男2「まあ一応」
少年「えくすぷろーじょん!」ドカッ
男2「げふっ、溝尾はやめろ!」
少年「僕はそれだけ自分の名前が嫌いなんだよ」
男2「一応親が丹誠込めて考えた名前だろうに悲しいもんだな」
少年「変にひねらず平々凡々でいいんだよ、男2お前は特に気を付けとけ!」
男2「なんでだよ」
少年「お前みたいなチャラチャラしたイケメンは女たらしで早々に子供つくってとんでもない名前つけるんだよ!」
男2「チャラチャラしてねえし女たらしでもねえよ」
少年「でも彼女とかいるんだろ?」
男2「まあ一応」
少年「えくすぷろーじょん!」ドカッ
男2「げふっ、溝尾はやめろ!」
184: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:21:50.78 ID:0FoM2gn20
少年「うわっ、もうこんな時間か」
男2「なんだ門限でもあんのか?」
少年「ないけどあんまりにも遅くなると僕の晩飯が消失する」
男2「すげえ生活してんなお前、……なんか食い物分けてやろうか?」
少年「いいの!? 本当に戴いてもよろしいのですか!?」
男2「コンビニで買いすぎたし、なんかお前見てると分けないといけない強迫観念に駈られる」
少年「ありがとう! でも、どれにしようか……慎重に選ばねば」
男2「これなんてカロリー高いだろ、これ食って少しは身長伸ばせ小学生」
少年「余計なお世話だ! でもありがとう! じゃ、悪いけどこれで帰らせてもらうな、じゃなっ」
男2「あいよ、じゃあな」
男2「なんだ門限でもあんのか?」
少年「ないけどあんまりにも遅くなると僕の晩飯が消失する」
男2「すげえ生活してんなお前、……なんか食い物分けてやろうか?」
少年「いいの!? 本当に戴いてもよろしいのですか!?」
男2「コンビニで買いすぎたし、なんかお前見てると分けないといけない強迫観念に駈られる」
少年「ありがとう! でも、どれにしようか……慎重に選ばねば」
男2「これなんてカロリー高いだろ、これ食って少しは身長伸ばせ小学生」
少年「余計なお世話だ! でもありがとう! じゃ、悪いけどこれで帰らせてもらうな、じゃなっ」
男2「あいよ、じゃあな」
185: ◆yJ9Y64R876 2013/10/06(日) 20:22:26.35 ID:0FoM2gn20
男2「…………行ったか」
男2「少しは情報がそろったな…方針も決まった、ただ準備は徹底的にしておかないとな」
男2「……ん? これは」ヒョイ
男2「少しは情報がそろったな…方針も決まった、ただ準備は徹底的にしておかないとな」
男2「……ん? これは」ヒョイ
189: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:08:06.17 ID:dVWfdqUE0
少年「やっほーポチ、元気か?」ガチャッ
竜『…………』
少年「あれ、なんだ寝てるのか、シエスタか」
竜『…………て』
少年「ん、寝言?」
竜『……どうして』
少年「何が」
竜『……まって』
少年「…ポチ?」
竜『めを……』
少年「めお?」
竜『行くなっ!』ガバッ
少年「うわっ」ドサッ
竜『…………』
少年「あれ、なんだ寝てるのか、シエスタか」
竜『…………て』
少年「ん、寝言?」
竜『……どうして』
少年「何が」
竜『……まって』
少年「…ポチ?」
竜『めを……』
少年「めお?」
竜『行くなっ!』ガバッ
少年「うわっ」ドサッ
190: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:10:16.33 ID:dVWfdqUE0
竜『…………』
少年「あのーポチさん、そろそろどいていただけないですかね、このままだと僕潰れちゃう」
竜『……あれ、彼女じゃない』
少年「彼女!? 君もリア充か!?」
竜『なんだ少年か、よかった』
少年「ポチ一体どんな夢見てたんだよ」
竜『うん、昔の夢。懐かしい夢』
少年「行くな、って言ってたけど」
竜『ああ、フラれたシーンだったからね』
少年「」
竜『どうしたの?』
少年「本当に彼女いたのか…」
竜『え、なんの話』
少年「あのーポチさん、そろそろどいていただけないですかね、このままだと僕潰れちゃう」
竜『……あれ、彼女じゃない』
少年「彼女!? 君もリア充か!?」
竜『なんだ少年か、よかった』
少年「ポチ一体どんな夢見てたんだよ」
竜『うん、昔の夢。懐かしい夢』
少年「行くな、って言ってたけど」
竜『ああ、フラれたシーンだったからね』
少年「」
竜『どうしたの?』
少年「本当に彼女いたのか…」
竜『え、なんの話』
191: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:12:24.99 ID:dVWfdqUE0
少年「このモテ男が! さぞかし素敵なお嬢さんだったんでしょうね! にゃんにゃんな日々満喫ってか!」
竜『少年何か勘違いしてない?』
少年「ポチですらモテるのに僕という人間はどうしてなんだ…」
竜『少年好きな人いるの?』
少年「まあいないけど」
竜『なんだ、安心した』
少年「なんで?」
竜『俺にもチャンスはあるのかと思って』
少年「? 意味がわからない」
竜『なんでわかんないかなー』
竜『少年何か勘違いしてない?』
少年「ポチですらモテるのに僕という人間はどうしてなんだ…」
竜『少年好きな人いるの?』
少年「まあいないけど」
竜『なんだ、安心した』
少年「なんで?」
竜『俺にもチャンスはあるのかと思って』
少年「? 意味がわからない」
竜『なんでわかんないかなー』
192: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:15:04.46 ID:dVWfdqUE0
少年「お願いがあるんです」
竜『なんですか?』
少年「ウロコを1枚ほど分けて頂きたいのです」
竜『嫌です』
少年「そこをなんとか」
竜『どうして欲しいのですか』
少年「失くしてしまったのです」
竜『あんな貴重な物をどうして失くそうか、いや失くさない』
少年「失くしました」
竜『なんですか?』
少年「ウロコを1枚ほど分けて頂きたいのです」
竜『嫌です』
少年「そこをなんとか」
竜『どうして欲しいのですか』
少年「失くしてしまったのです」
竜『あんな貴重な物をどうして失くそうか、いや失くさない』
少年「失くしました」
193: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:17:10.34 ID:dVWfdqUE0
竜『残念でしたね』
少年「ください」
竜『いやです』
少年「この前はくれるって言いました」
竜『あの時とは事情が違います』
少年「うう…あれがないと落ち着かない、禁断症状が…」
竜『大変ですね』
少年「ご慈悲を! ポチ様ワタクシに何とぞご慈悲を!」
竜『…はあ、しょうがないな。慎重に剥がしてね』
少年「ありがてえありがてえ! こいつぁありがてえ!」
竜『礼はいいから早く』
少年「ください」
竜『いやです』
少年「この前はくれるって言いました」
竜『あの時とは事情が違います』
少年「うう…あれがないと落ち着かない、禁断症状が…」
竜『大変ですね』
少年「ご慈悲を! ポチ様ワタクシに何とぞご慈悲を!」
竜『…はあ、しょうがないな。慎重に剥がしてね』
少年「ありがてえありがてえ! こいつぁありがてえ!」
竜『礼はいいから早く』
194: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:19:37.50 ID:dVWfdqUE0
少年「じゃあいくよ?」
竜『うん、お手柔らかに』
少年「よっ……」ピリッ
竜『んっ…つっ……』
少年「だ、大丈夫か?」
竜『う、ん。ダイジョブ、だから、続けて』
少年「お、おう」ピリピリ
竜『ひうっ……うぁ、くぅ…………』
少年「ごめんな、もう少しだから」
竜『うぅぅ……も、う…む』
竜『うん、お手柔らかに』
少年「よっ……」ピリッ
竜『んっ…つっ……』
少年「だ、大丈夫か?」
竜『う、ん。ダイジョブ、だから、続けて』
少年「お、おう」ピリピリ
竜『ひうっ……うぁ、くぅ…………』
少年「ごめんな、もう少しだから」
竜『うぅぅ……も、う…む』
195: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:20:57.19 ID:dVWfdqUE0
少年「よし取れたぞ」
竜『はぁ、はぁ、はぁ。痛かった、誇張なしに』
少年「ごめんな。ほら、絆創膏貼ってやるよ」
竜『態々準備してくれたの?』
少年「うん、……でも準備不足だったらしい」
竜『どう考えてもサイズ合わないね』
少年「ごめん……」
竜『いいよ、すぐ生えるし』
少年「ほんと?」
竜『うん、見てて。せいっ』ビキッ
少年「うわっ一瞬で再生した気持ち悪い! もう1回みたいもう1回!」
竜『さすがに怒るよ?』
竜『はぁ、はぁ、はぁ。痛かった、誇張なしに』
少年「ごめんな。ほら、絆創膏貼ってやるよ」
竜『態々準備してくれたの?』
少年「うん、……でも準備不足だったらしい」
竜『どう考えてもサイズ合わないね』
少年「ごめん……」
竜『いいよ、すぐ生えるし』
少年「ほんと?」
竜『うん、見てて。せいっ』ビキッ
少年「うわっ一瞬で再生した気持ち悪い! もう1回みたいもう1回!」
竜『さすがに怒るよ?』
196: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:23:16.47 ID:dVWfdqUE0
竜『対価を頂こうか』
少年「いいだろう、はい」
竜『おっ、この黒々とした物体はもしかして』
少年「チョコレートだよ」
竜『おや…?』
少年「どうした?」
竜『少年このチョコいっつも食べてる?』
少年「いや、これ貰い物だから。でも多分安物じゃないよ」
竜『ふーんまあいいか、いただきまーす』パクッ
少年「僕も食べよう、どれどれ」パクッ
竜『あ、懐かしいなこの感じ。おいしい』
少年「にっ、苦いこれ! チョコなのになんで?」
竜『子供だなあ少年は』
少年「なっ、バカにするんじゃない」
竜『まっ、お子様な少年は俺が美味しく食べてるのを黙ってみてなよ』
少年「……ぱくっ」
竜『ちょっと俺の分まで食べないでよ!』
少年「人をバカにするからこうなるんだおええええぇぇ苦いいいいいぃぃ」
少年「いいだろう、はい」
竜『おっ、この黒々とした物体はもしかして』
少年「チョコレートだよ」
竜『おや…?』
少年「どうした?」
竜『少年このチョコいっつも食べてる?』
少年「いや、これ貰い物だから。でも多分安物じゃないよ」
竜『ふーんまあいいか、いただきまーす』パクッ
少年「僕も食べよう、どれどれ」パクッ
竜『あ、懐かしいなこの感じ。おいしい』
少年「にっ、苦いこれ! チョコなのになんで?」
竜『子供だなあ少年は』
少年「なっ、バカにするんじゃない」
竜『まっ、お子様な少年は俺が美味しく食べてるのを黙ってみてなよ』
少年「……ぱくっ」
竜『ちょっと俺の分まで食べないでよ!』
少年「人をバカにするからこうなるんだおええええぇぇ苦いいいいいぃぃ」
197: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:25:23.97 ID:dVWfdqUE0
竜『あーあ大丈夫?』
少年「……なんか気持ち悪い」
竜『一気に食べるからそんな風になっちゃんだよもう』
少年「ダメだ、なんかグルグルしてきた。あ、ちょっと楽しい、ふへへへ」
竜『こりゃ駄目だね。早く座るか横にでもなって休みなよ』
少年「そうする、うぉなぜか足がふらつく。実にユニークだ、あっ」ツルッ
竜『よっと、危ないなあ』
少年「おおナイスキャッチ、うひひ。うえへへへヤバい笑いが止まらないふひゃひゃひゃ」
竜『少年が壊れてしまった』
少年「……なんか気持ち悪い」
竜『一気に食べるからそんな風になっちゃんだよもう』
少年「ダメだ、なんかグルグルしてきた。あ、ちょっと楽しい、ふへへへ」
竜『こりゃ駄目だね。早く座るか横にでもなって休みなよ』
少年「そうする、うぉなぜか足がふらつく。実にユニークだ、あっ」ツルッ
竜『よっと、危ないなあ』
少年「おおナイスキャッチ、うひひ。うえへへへヤバい笑いが止まらないふひゃひゃひゃ」
竜『少年が壊れてしまった』
198: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:27:30.39 ID:dVWfdqUE0
少年「あーウロコ冷たくてきもちぃーぺたぺたー、ははっ」
竜『いつもは寒くて嫌っていうのにね』
少年「なんか今体妙にあっつい、風邪かな? どうしようポチ、風邪移しちゃうかも」ウルウル
竜『俺は風邪引かないし、少年も風邪じゃないと思うよ』
少年「なんでそう思うのさー?」
竜『んー少年が面白いから言わない』
少年「ええー? 言えよーケチトカゲーほらほらー言わないと逆鱗触っちゃうぞー? ほれほれー」サワサワ
竜『もう触ってるじゃないか』
少年「あーポチ前ほど反応しなくてつまんないなあ」
竜『君にそこを触られるのは正直もう慣れた。少々くすぐったい程度』
少年「んーじゃあどこ触れば面白くなるかなー、ここか? それともこっちかー? へへっ」サスサスプニプニ
竜『これが俗に言うセクハラか、でも満更でもない』
竜『いつもは寒くて嫌っていうのにね』
少年「なんか今体妙にあっつい、風邪かな? どうしようポチ、風邪移しちゃうかも」ウルウル
竜『俺は風邪引かないし、少年も風邪じゃないと思うよ』
少年「なんでそう思うのさー?」
竜『んー少年が面白いから言わない』
少年「ええー? 言えよーケチトカゲーほらほらー言わないと逆鱗触っちゃうぞー? ほれほれー」サワサワ
竜『もう触ってるじゃないか』
少年「あーポチ前ほど反応しなくてつまんないなあ」
竜『君にそこを触られるのは正直もう慣れた。少々くすぐったい程度』
少年「んーじゃあどこ触れば面白くなるかなー、ここか? それともこっちかー? へへっ」サスサスプニプニ
竜『これが俗に言うセクハラか、でも満更でもない』
199: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:30:15.22 ID:dVWfdqUE0
少年「つまらんー、あきたーポチひまー」
竜『少年宿題は?』
少年「うあー頭痛くなる話するなー、ポチなんて大きらいだー」
竜『理不尽だ』
少年「うそだよー僕ポチのこと大好きだよえへへー」ニヘラ
竜『…俺も少年のこと大好きだよ』
少年「やったーおあいこだねー」
竜『いやあ俺と少年じゃ好きの意味が違うんじゃないかな』
少年「んー?」
竜『所謂LikeとLoveの違い的な』
少年「よくわからんーわかりやすく言ってー」
竜『俺が少年を愛してるってことさ』
竜『少年宿題は?』
少年「うあー頭痛くなる話するなー、ポチなんて大きらいだー」
竜『理不尽だ』
少年「うそだよー僕ポチのこと大好きだよえへへー」ニヘラ
竜『…俺も少年のこと大好きだよ』
少年「やったーおあいこだねー」
竜『いやあ俺と少年じゃ好きの意味が違うんじゃないかな』
少年「んー?」
竜『所謂LikeとLoveの違い的な』
少年「よくわからんーわかりやすく言ってー」
竜『俺が少年を愛してるってことさ』
200: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:32:35.11 ID:dVWfdqUE0
少年「あーなるほどなーなるほどなるほど」
竜『少年よくわかってないだろ』
少年「む。わかってるぞ、こういうことだろー」
竜『え』
少年「えいっ」チュッ
竜『』
少年「えへへふぁーすときすだぞー嬉しいだろー?」
竜『しょしょ少年?』
少年「あダメだもう眠いーおやすみー」ドサッ
竜『このタイミングで!? いやこのタイミングだからか!?』
竜『少年よくわかってないだろ』
少年「む。わかってるぞ、こういうことだろー」
竜『え』
少年「えいっ」チュッ
竜『』
少年「えへへふぁーすときすだぞー嬉しいだろー?」
竜『しょしょ少年?』
少年「あダメだもう眠いーおやすみー」ドサッ
竜『このタイミングで!? いやこのタイミングだからか!?』
201: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:34:35.80 ID:dVWfdqUE0
少年「……ポチ」
竜『やあ少年』
少年「頭いてえ……」
竜『あらら大丈夫?』
少年「ていうか僕いつの間にか寝たんだ? 何してたっけ?」
竜『あーやっぱりそういうパターンかー』
少年「どういう意味だよ」
竜『進展してんだかしてないんだかよくわからないなもう』
少年「会話が噛み合っていない何故だ」
竜『やあ少年』
少年「頭いてえ……」
竜『あらら大丈夫?』
少年「ていうか僕いつの間にか寝たんだ? 何してたっけ?」
竜『あーやっぱりそういうパターンかー』
少年「どういう意味だよ」
竜『進展してんだかしてないんだかよくわからないなもう』
少年「会話が噛み合っていない何故だ」
202: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:36:46.56 ID:dVWfdqUE0
竜『あのチョコレートはもうあんまり食べない方がいいよ、少年弱いみたいだし』
少年「? まあもともと貰い物だからそうそう食べる機会ないし大丈夫」
竜『それはそれで残念だ』
少年「あれそんなにおいしかったか?」
竜『そっちじゃなくて…まあいいや。ところで少年学校は最近どう? もうイジメられてない?』
少年「大丈夫、今はつまらなくも平穏な生活を送れてる。あーでも何故か僕が反撃して病院送りにしたっていうとんでもない噂が学校中に広まってたのには焦ったが」
竜『それはまたずいぶん現実味の薄い噂だねー』
少年「ホントにな。でもさ、1人は本当に入院してるらしいんだよ」
竜『へえ、もしかしたら全てが噂ってわけじゃないのかもね』
少年「どういうこと?」
竜『例えばさ誰かが少年のためにやったとは考えられない?』
少年「うーんそれ前も似たようなこと言われたけどさ助けてくれるような人が思い付かないんだよな」
竜『…………前も言われた?』
少年「? まあもともと貰い物だからそうそう食べる機会ないし大丈夫」
竜『それはそれで残念だ』
少年「あれそんなにおいしかったか?」
竜『そっちじゃなくて…まあいいや。ところで少年学校は最近どう? もうイジメられてない?』
少年「大丈夫、今はつまらなくも平穏な生活を送れてる。あーでも何故か僕が反撃して病院送りにしたっていうとんでもない噂が学校中に広まってたのには焦ったが」
竜『それはまたずいぶん現実味の薄い噂だねー』
少年「ホントにな。でもさ、1人は本当に入院してるらしいんだよ」
竜『へえ、もしかしたら全てが噂ってわけじゃないのかもね』
少年「どういうこと?」
竜『例えばさ誰かが少年のためにやったとは考えられない?』
少年「うーんそれ前も似たようなこと言われたけどさ助けてくれるような人が思い付かないんだよな」
竜『…………前も言われた?』
203: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:38:27.60 ID:dVWfdqUE0
少年「あ、そうなんだよ。最近さクラスの1人が僕にしつこく噂が本当かどうか訊いてきてさ、少し考えればありえないってわかると思うんだが」
竜『……その人は他に何か訊いたのかな?』
少年「ん? 何訊かれたっけかな。確か僕の親しい人について訊かれた気がする、何でそんなことを訊くのか僕にはさっぱり」
竜『…ソウダネ、一体そいつは何を考えてしまっているんだろうね』
竜『……その人は他に何か訊いたのかな?』
少年「ん? 何訊かれたっけかな。確か僕の親しい人について訊かれた気がする、何でそんなことを訊くのか僕にはさっぱり」
竜『…ソウダネ、一体そいつは何を考えてしまっているんだろうね』
204: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:39:33.68 ID:dVWfdqUE0
少年「……大丈夫なのかな」
竜『? 何が?』
少年「入院してる奴さ、結構酷い怪我してるらしいんだ。正直きらいだったけどやっぱり心配だ」
竜『……少年は優しいねえ』
少年「仮にさ、噂が本当だったとして、助けてもらって言える立場じゃないけどやっぱりこんなやり方は間違ってると思う」
竜『? 何が?』
少年「入院してる奴さ、結構酷い怪我してるらしいんだ。正直きらいだったけどやっぱり心配だ」
竜『……少年は優しいねえ』
少年「仮にさ、噂が本当だったとして、助けてもらって言える立場じゃないけどやっぱりこんなやり方は間違ってると思う」
205: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:41:44.06 ID:dVWfdqUE0
竜『確かにね、他に手段はいくらでもあっただろう。最善策じゃなかったかもしれない。でもさ、事実少年の問題は解決したじゃないか』
少年「解決、したのかな」
竜『いじめはなくなったんだろう?』
少年「だってさ、僕自身が何も変わってない。この問題は僕が自分で何とかしなくちゃいけなかった気がするんだよ」
竜『わからないなあ、どうして少年が変わる必要があるの? 周囲が間違ってるならそっちが正すべきだ。少年が周りに振り回される筋合いはないじゃないか』
少年「僕だって間違ってたさ。自分の殻に閉じ籠らずもっと周囲と積極的に関わっていくべきだった」
竜『苦しんでる人を見て見ぬ振りをするような奴らと関わる必要性なんて皆無だと思うけど』
少年「……ポチさ、もしかして人間好きじゃない?」
竜『うん、大嫌い』
少年「解決、したのかな」
竜『いじめはなくなったんだろう?』
少年「だってさ、僕自身が何も変わってない。この問題は僕が自分で何とかしなくちゃいけなかった気がするんだよ」
竜『わからないなあ、どうして少年が変わる必要があるの? 周囲が間違ってるならそっちが正すべきだ。少年が周りに振り回される筋合いはないじゃないか』
少年「僕だって間違ってたさ。自分の殻に閉じ籠らずもっと周囲と積極的に関わっていくべきだった」
竜『苦しんでる人を見て見ぬ振りをするような奴らと関わる必要性なんて皆無だと思うけど』
少年「……ポチさ、もしかして人間好きじゃない?」
竜『うん、大嫌い』
206: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:43:19.92 ID:dVWfdqUE0
少年「即答された…なんで?」
竜『なんで、と言われてもなあ。俺人間と付き合って碌なことがなかったんだよね』
少年「運が悪かったんだな」
竜『…そんな単純理由かな』
少年「うーん世の中には悪い人がいっぱいいるからな、どんまいポチ」
竜『ほんとにね。皆俺を利用することしか考えない自己中だから困ったもんだよ』
少年「きっとB型だったんだな」
竜『血液型性格診断は何の根拠もないよ』
少年「う、ウソをいうな! ポチ自分がB型だからそんなことを言ってるんだ!」
竜『たかが血の型で自身の性格が決められてしまう方が怖いと思うけどなんでそんなに信じたがるかな』
少年「……確かに、じゃあ信じない。あんなものウソっぱちだ!」
竜『なんで、と言われてもなあ。俺人間と付き合って碌なことがなかったんだよね』
少年「運が悪かったんだな」
竜『…そんな単純理由かな』
少年「うーん世の中には悪い人がいっぱいいるからな、どんまいポチ」
竜『ほんとにね。皆俺を利用することしか考えない自己中だから困ったもんだよ』
少年「きっとB型だったんだな」
竜『血液型性格診断は何の根拠もないよ』
少年「う、ウソをいうな! ポチ自分がB型だからそんなことを言ってるんだ!」
竜『たかが血の型で自身の性格が決められてしまう方が怖いと思うけどなんでそんなに信じたがるかな』
少年「……確かに、じゃあ信じない。あんなものウソっぱちだ!」
207: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:45:35.44 ID:dVWfdqUE0
♪テスト
竜『そうだ、血と言えば少年俺の血を飲んでみない?』
少年「なにそのグロい提案。別にニンニクは苦手じゃないが」
竜『俺の血を飲むと長生きできるよ』
少年「えー体にいいという意味なら青汁でも飲んでる方がいいや」
竜『あと鳥が何て言ってるかもわかるようになるかもしれない』
少年「えっそれは心惹かれる」
竜『まあ彼らの知能じゃ多分「ハラヘッタ! ハラヘッタ!」ぐらいしか話せないと思うけど』
少年「じゃあもう飲む必要がなくなった」
竜『あ、語弊があるとまずいから言い直すけど長生きって不老不死のことだからね』
少年「全然違うじゃないか! 余計飲まんわ!」
竜『なんで? 不老不死って人類の王道の夢じゃないの?』
少年「だって不老じゃ身長伸ばせない」
竜『ああ…確かにそれは大問題だ』
少年「そこまで言われるとヘコむ」
竜『そうだ、血と言えば少年俺の血を飲んでみない?』
少年「なにそのグロい提案。別にニンニクは苦手じゃないが」
竜『俺の血を飲むと長生きできるよ』
少年「えー体にいいという意味なら青汁でも飲んでる方がいいや」
竜『あと鳥が何て言ってるかもわかるようになるかもしれない』
少年「えっそれは心惹かれる」
竜『まあ彼らの知能じゃ多分「ハラヘッタ! ハラヘッタ!」ぐらいしか話せないと思うけど』
少年「じゃあもう飲む必要がなくなった」
竜『あ、語弊があるとまずいから言い直すけど長生きって不老不死のことだからね』
少年「全然違うじゃないか! 余計飲まんわ!」
竜『なんで? 不老不死って人類の王道の夢じゃないの?』
少年「だって不老じゃ身長伸ばせない」
竜『ああ…確かにそれは大問題だ』
少年「そこまで言われるとヘコむ」
208: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:47:01.73 ID:dVWfdqUE0
少年「宿題を始める、ポチ援護しろ!」
竜『あいあいさー!』
少年「……待てよ」
竜『これまでに見たことのない神妙な面持ち』
少年「これはポチを利用してることになるのか……?」
竜『え? いや利用するっていうのはそんな瑣末なことじゃなく』
少年「黙れ! こいつは僕が一人で仕留めてみせる! そして人間が悪いやつばかりじゃないことを証明してやる覚悟しろ!」ビシッ
竜『少年が悪い人じゃないことは知ってるけど』
少年「四の五の言わずに黙って見てなさい」
竜『はーい』
少年「まずは数学からである!」
竜『あいあいさー!』
少年「……待てよ」
竜『これまでに見たことのない神妙な面持ち』
少年「これはポチを利用してることになるのか……?」
竜『え? いや利用するっていうのはそんな瑣末なことじゃなく』
少年「黙れ! こいつは僕が一人で仕留めてみせる! そして人間が悪いやつばかりじゃないことを証明してやる覚悟しろ!」ビシッ
竜『少年が悪い人じゃないことは知ってるけど』
少年「四の五の言わずに黙って見てなさい」
竜『はーい』
少年「まずは数学からである!」
209: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:48:32.99 ID:dVWfdqUE0
少年「…………」カリカリ
竜『(間違ってる…! あんな真面目な顔つきなのに間違えまくってるよ少年……! 思わず涙出てきた)』ブワッ
少年「…………」カリカリ、ドヤァ
竜『(アンダーラインを引きながら少年がドヤ顔をしてきた、言いたいっ! 『あなた一問目から全部間違えてますよ』と…!)』
竜『あの、しょうね…』
少年「おっと口出しは無用、もうすぐカタがつくぜ…!」
竜『(つかねえよ! 全部やり直しだよ! 時間ドブに投げ捨ててると言っても遜色ないよ!)そ、そっか……』
少年「…………」カリカリ
竜『(何故数字を書き間違える! マイナスつけ忘れるな! 単位を書け! 約分まだできるだろ! その2式結局同じこと言ってるよ! ほら変形したら同じ式になった言わんこっちゃない!)』
少年「くっ……! ここに来て難問、か」
竜『あーもう全然難問じゃないよ! 少年の実につまらないミスが足引っ張ってるだけだよ!』
少年「な、僕がいつミスをしたって!?」
竜『スタートから現在まで全てに軌跡においてだよ! 言っとくけど全部間違ってるんだからね!』
少年「う、嘘だと言ってくれ!」
竜『真だよ! この命題は論じるまでもなく真である!』
少年「そ、そんな」ショボーン
竜『はい、落ち込んでる暇があったら早くやり直す』
少年「はい…」
竜『(間違ってる…! あんな真面目な顔つきなのに間違えまくってるよ少年……! 思わず涙出てきた)』ブワッ
少年「…………」カリカリ、ドヤァ
竜『(アンダーラインを引きながら少年がドヤ顔をしてきた、言いたいっ! 『あなた一問目から全部間違えてますよ』と…!)』
竜『あの、しょうね…』
少年「おっと口出しは無用、もうすぐカタがつくぜ…!」
竜『(つかねえよ! 全部やり直しだよ! 時間ドブに投げ捨ててると言っても遜色ないよ!)そ、そっか……』
少年「…………」カリカリ
竜『(何故数字を書き間違える! マイナスつけ忘れるな! 単位を書け! 約分まだできるだろ! その2式結局同じこと言ってるよ! ほら変形したら同じ式になった言わんこっちゃない!)』
少年「くっ……! ここに来て難問、か」
竜『あーもう全然難問じゃないよ! 少年の実につまらないミスが足引っ張ってるだけだよ!』
少年「な、僕がいつミスをしたって!?」
竜『スタートから現在まで全てに軌跡においてだよ! 言っとくけど全部間違ってるんだからね!』
少年「う、嘘だと言ってくれ!」
竜『真だよ! この命題は論じるまでもなく真である!』
少年「そ、そんな」ショボーン
竜『はい、落ち込んでる暇があったら早くやり直す』
少年「はい…」
210: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:50:21.88 ID:dVWfdqUE0
少年「……あ、なんでこんな間違いを」ゴシゴシ
竜『少年考え方は良いから素質ないわけじゃないんだけどなあ』
少年「じゃあ何故成績上がらないんだろうか」
竜『なんていうか少年見落としすぎ、細かい点を見逃すから間違えるんだよ』
少年「集中力無いのかな……」
竜『多分だけど解いてる時少年舞い上がってるよね』
少年「ああ、あるかもそれ。何か方針が決まるともう先に進むことしか考えてない」
竜『見直しでもいいけど数学の試験は時間が勝負だからね、間違いを後で直すよりは最初からゆっくりでも正確に解いていくようにしようよ』
少年「うわあ、ポチ本当に先生みたい」
竜『教員免許でも取ろうかな』
少年「じゃあウチの学校で教えればいいよ、基本的に頭いい生徒が多いから楽だろ」
竜『えーそれじゃやりがいがない、俺はアホな子の微々たる成長を噛み締めたいんだ』
少年「……ん?」
竜『だから俺は少年専門の家庭教師でいいのさ』
少年「……よくわからないけど今後ともよろしく!」
竜『成長、してるのかなあ?』
竜『少年考え方は良いから素質ないわけじゃないんだけどなあ』
少年「じゃあ何故成績上がらないんだろうか」
竜『なんていうか少年見落としすぎ、細かい点を見逃すから間違えるんだよ』
少年「集中力無いのかな……」
竜『多分だけど解いてる時少年舞い上がってるよね』
少年「ああ、あるかもそれ。何か方針が決まるともう先に進むことしか考えてない」
竜『見直しでもいいけど数学の試験は時間が勝負だからね、間違いを後で直すよりは最初からゆっくりでも正確に解いていくようにしようよ』
少年「うわあ、ポチ本当に先生みたい」
竜『教員免許でも取ろうかな』
少年「じゃあウチの学校で教えればいいよ、基本的に頭いい生徒が多いから楽だろ」
竜『えーそれじゃやりがいがない、俺はアホな子の微々たる成長を噛み締めたいんだ』
少年「……ん?」
竜『だから俺は少年専門の家庭教師でいいのさ』
少年「……よくわからないけど今後ともよろしく!」
竜『成長、してるのかなあ?』
211: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:52:04.95 ID:dVWfdqUE0
少年「ポチさ、なんでそんなに頭いいの? あ、いや答えたくないならいいんだけど」
竜『俺にはすごい先生がいたからね』
少年「竜の世界にも学校あるのか」
竜『言っとくけど先生は人間だよ?』
少年「そうなの?」
竜『ていうか竜なんて生まれてこの方出会ったことないよー、俺以外はやっぱり存在しないんじゃないかな?』
少年「へえ、じゃあポチ本当にレア物だな」
竜『なんかそう言われると逆に自分の希少価値が急激に下がったような……』
少年「ちなみにどんな先生だったの? 優しい? それとも恐い?」
竜『どちらかと言えば怖かったかなあ、俺に出会った瞬間猟銃をぶっ放してくるくらいだったから』
少年「そんな険悪な出会いかよ」
竜『躊躇なく眼球狙ってきたからね、目がゴロゴロしてちょっと大変だった』
少年「まるでコンタクトレンズを初めて着用した時の感想のよう」
竜『俺にはすごい先生がいたからね』
少年「竜の世界にも学校あるのか」
竜『言っとくけど先生は人間だよ?』
少年「そうなの?」
竜『ていうか竜なんて生まれてこの方出会ったことないよー、俺以外はやっぱり存在しないんじゃないかな?』
少年「へえ、じゃあポチ本当にレア物だな」
竜『なんかそう言われると逆に自分の希少価値が急激に下がったような……』
少年「ちなみにどんな先生だったの? 優しい? それとも恐い?」
竜『どちらかと言えば怖かったかなあ、俺に出会った瞬間猟銃をぶっ放してくるくらいだったから』
少年「そんな険悪な出会いかよ」
竜『躊躇なく眼球狙ってきたからね、目がゴロゴロしてちょっと大変だった』
少年「まるでコンタクトレンズを初めて着用した時の感想のよう」
212: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:53:10.06 ID:dVWfdqUE0
竜『まあなんかかんやあってその人は俺の先生と言える存在になってくれたんだよ、随分たくさんのことを教わった』
少年「省略した部分がとても気になるけどまあいいや。…だからポチ物知りなのかあ」
竜『生きてるうちに自然に身に付いた知識も大概だけどね、だてに長い時間を過ごしてないよ』
少年「ポチってそう言えば何歳?」
竜『んーそれは存外難しい質問だね……正確に言うなら20歳くらいかな』
少年「うわ、大人だ。お酒飲めるじゃん」
竜『酒かー、近いものは昔浴びるほど飲まされたなあ』
少年「飲み過ぎは体によくない」
竜『そうだねえ。アルコールの大量摂取は体に良くなかったやっぱり』
少年「ポチって酔ったらとんでもないことしそう」
竜『いやあ、それは少年の方だよ』
少年「僕そんなに弱そうか?」
竜『ていうか弱いね、断言する』
少年「見たこともないくせに……」
竜『ソウダネー』
少年「省略した部分がとても気になるけどまあいいや。…だからポチ物知りなのかあ」
竜『生きてるうちに自然に身に付いた知識も大概だけどね、だてに長い時間を過ごしてないよ』
少年「ポチってそう言えば何歳?」
竜『んーそれは存外難しい質問だね……正確に言うなら20歳くらいかな』
少年「うわ、大人だ。お酒飲めるじゃん」
竜『酒かー、近いものは昔浴びるほど飲まされたなあ』
少年「飲み過ぎは体によくない」
竜『そうだねえ。アルコールの大量摂取は体に良くなかったやっぱり』
少年「ポチって酔ったらとんでもないことしそう」
竜『いやあ、それは少年の方だよ』
少年「僕そんなに弱そうか?」
竜『ていうか弱いね、断言する』
少年「見たこともないくせに……」
竜『ソウダネー』
213: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:54:12.91 ID:dVWfdqUE0
少年「家帰るの面倒」
竜『じゃあここに泊まっていきんしゃい』
少年「それは嫌だけど。生活するには不便すぎる」
竜『ですよねー。……帰る場所があるなら帰った方がいいよ。待ってる人もいるんだろう?』
少年「いやあ、親は僕のこといないように扱ってるし弟は1人でも十分やっていけてるからなあ」
竜『少年は両親とは上手くいってないの?』
少年「まあな。彼ら曰く僕は"失敗作"らしい。期待に応えられなくなったらあっさり見捨てられたよ」
竜『……普通親という存在は子に無償の愛を与えるものだったと思うけど』
少年「タダじゃくれないらしいよ。まったく厳しい話だ」
竜『…ふうん。親、かあ。俺には未だによくわからない概念だ』
少年「まあそんなわけで僕は家が嫌いなんだよし言えた!」
竜『じゃあここに泊まっていきんしゃい』
少年「それは嫌だけど。生活するには不便すぎる」
竜『ですよねー。……帰る場所があるなら帰った方がいいよ。待ってる人もいるんだろう?』
少年「いやあ、親は僕のこといないように扱ってるし弟は1人でも十分やっていけてるからなあ」
竜『少年は両親とは上手くいってないの?』
少年「まあな。彼ら曰く僕は"失敗作"らしい。期待に応えられなくなったらあっさり見捨てられたよ」
竜『……普通親という存在は子に無償の愛を与えるものだったと思うけど』
少年「タダじゃくれないらしいよ。まったく厳しい話だ」
竜『…ふうん。親、かあ。俺には未だによくわからない概念だ』
少年「まあそんなわけで僕は家が嫌いなんだよし言えた!」
214: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:54:47.19 ID:dVWfdqUE0
竜『よし言えた?』
少年「家族のこと前ポチの隠してるって言われただろ? だからずっと引っ掛かってたんだよなーいやあスッキリした」
竜『……少年』
少年「あっ! 別に僕が喋ったからってポチが言わなくちゃいけないとかじゃないぞ! 本当はものすごく気になるけど待ってやっぱ今のなしで」
竜『あ、……うん』
少年「それとさ、実は僕ポチに名前嘘ついてた」
竜『ああそれは知ってた』
少年「ま、マジで?」
竜『だって"少年"ってそのまんますぎるでしょー、我が子の名前は普通もうちょっと捻るよ』
少年「そうかー……ホントの名前聞きたい?」
少年「家族のこと前ポチの隠してるって言われただろ? だからずっと引っ掛かってたんだよなーいやあスッキリした」
竜『……少年』
少年「あっ! 別に僕が喋ったからってポチが言わなくちゃいけないとかじゃないぞ! 本当はものすごく気になるけど待ってやっぱ今のなしで」
竜『あ、……うん』
少年「それとさ、実は僕ポチに名前嘘ついてた」
竜『ああそれは知ってた』
少年「ま、マジで?」
竜『だって"少年"ってそのまんますぎるでしょー、我が子の名前は普通もうちょっと捻るよ』
少年「そうかー……ホントの名前聞きたい?」
215: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:55:27.63 ID:dVWfdqUE0
竜『んー興味がないわけじゃないけど今はいいや』
少年「なんで?」
竜『所詮名前なんてただの記号だし、正直今更別の名前で呼べって言われても違和感ありまくりだしねー』
少年「そっか。ちょっとほっとした」
竜『だから今まで通り少年って呼んでいいよね?』
少年「うん。僕実はポチに"少年"って呼ばれるの結構気に入ってるんだよ。なんか不思議としっくり来る」
竜『そっかあ。じゃあ少年がよぼよぼのお爺ちゃんになっても"少年"って呼んであげるね』
少年「とんだ矛盾だな……」
少年「なんで?」
竜『所詮名前なんてただの記号だし、正直今更別の名前で呼べって言われても違和感ありまくりだしねー』
少年「そっか。ちょっとほっとした」
竜『だから今まで通り少年って呼んでいいよね?』
少年「うん。僕実はポチに"少年"って呼ばれるの結構気に入ってるんだよ。なんか不思議としっくり来る」
竜『そっかあ。じゃあ少年がよぼよぼのお爺ちゃんになっても"少年"って呼んであげるね』
少年「とんだ矛盾だな……」
216: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:56:33.86 ID:dVWfdqUE0
竜『少年ー』
少年「なんだよー」
竜『さむいー抱いていい?』
少年「ご勝手に」
竜『よいしょ。さあ、少年いつも通り寝るんだ』
少年「そう言われるとむしろ目が覚めてきた」
竜『ねんねーんころーりよ、おころりーよー』
少年「ポチ歌うのへったくそだな」
竜『まあ自覚はある』
少年「ならよかった」
少年「なんだよー」
竜『さむいー抱いていい?』
少年「ご勝手に」
竜『よいしょ。さあ、少年いつも通り寝るんだ』
少年「そう言われるとむしろ目が覚めてきた」
竜『ねんねーんころーりよ、おころりーよー』
少年「ポチ歌うのへったくそだな」
竜『まあ自覚はある』
少年「ならよかった」
217: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:57:06.29 ID:dVWfdqUE0
竜『まだ眠くないの?』
少年「むしろなんで僕に寝てほしいんだよ、何企んでるの?」
竜『べべべべつぬっ痛い舌噛んだ! 別に何も企んでないよっ』
少年「舌大丈夫か?」
竜『痛い……血も出てきた』
少年「いたいのいたいのとんでけー」
竜『気持ちはありがたいけど依然として痛みが口内を支配する』
少年「血! ちぃ! 口からすごい出てるぞ!」
竜『うわ、もったいない』ドバー
少年「うぎゃあ、服に付くから離れろ!」
竜『無理言うなよ』ダラダラ
少年「なんでだよ!? ってぎゃああああぁぁ」ベッタリ
少年「むしろなんで僕に寝てほしいんだよ、何企んでるの?」
竜『べべべべつぬっ痛い舌噛んだ! 別に何も企んでないよっ』
少年「舌大丈夫か?」
竜『痛い……血も出てきた』
少年「いたいのいたいのとんでけー」
竜『気持ちはありがたいけど依然として痛みが口内を支配する』
少年「血! ちぃ! 口からすごい出てるぞ!」
竜『うわ、もったいない』ドバー
少年「うぎゃあ、服に付くから離れろ!」
竜『無理言うなよ』ダラダラ
少年「なんでだよ!? ってぎゃああああぁぁ」ベッタリ
218: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:57:36.20 ID:dVWfdqUE0
竜『なるほどこうすれば合法的に少年を剥くことができる、と』
少年「ふざけるな。……洗濯で取れるかなあ」
竜『すぐに洗わないと取れないよ、今から家に帰っても間に合わないね』
少年「じゃあもう弁償しろ」
竜『やだなあ。俺が金持ってるわけないじゃないかまったく』
少年「働けよニート」
竜『雇えよ社会』
少年「ダメだこいつ…」
竜『まったく世知辛い世の中だね』
少年「ふざけるな。……洗濯で取れるかなあ」
竜『すぐに洗わないと取れないよ、今から家に帰っても間に合わないね』
少年「じゃあもう弁償しろ」
竜『やだなあ。俺が金持ってるわけないじゃないかまったく』
少年「働けよニート」
竜『雇えよ社会』
少年「ダメだこいつ…」
竜『まったく世知辛い世の中だね』
219: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:58:32.84 ID:dVWfdqUE0
少年「……すぴー。た、タラバガニ……」
竜『どんな夢見てるんだ、まあいいや。じゃあいただきまーす』
「…………」
竜『……はあ。また君か、せっかくいいところなのになんなんだい?』
「…………」
竜『黙りしてないでなんとか言いなよ。ああもう、それ外してくれれば動きを封じられるのに面倒だなあ』
「……あなたは何者なの」
竜『竜だよ、そういう君は誰なんだい』
「……女」
竜『どんな夢見てるんだ、まあいいや。じゃあいただきまーす』
「…………」
竜『……はあ。また君か、せっかくいいところなのになんなんだい?』
「…………」
竜『黙りしてないでなんとか言いなよ。ああもう、それ外してくれれば動きを封じられるのに面倒だなあ』
「……あなたは何者なの」
竜『竜だよ、そういう君は誰なんだい』
「……女」
220: ◆yJ9Y64R876 2013/10/09(水) 21:59:20.30 ID:dVWfdqUE0
竜『女、ここには俺と少年以外いて欲しくないんだ。もう来ないでくれるかな?』
女「……さようなら」
竜『ちょっと待ってよ、話はまだ……ああもうなんなんだよ一体』
少年「……うーん、僕はどちらかというとズワイガニ派かなむゃにゃむにゃ……」
竜『なんだか興を削がれた、愛しい少年の寝顔でも眺めていよう』
少年「……ぽちぃ」
竜『…なあに?』
少年「えへへ……」ニヘラ
竜『……これでご飯3杯はいけるな』ゴクリ
女「……さようなら」
竜『ちょっと待ってよ、話はまだ……ああもうなんなんだよ一体』
少年「……うーん、僕はどちらかというとズワイガニ派かなむゃにゃむにゃ……」
竜『なんだか興を削がれた、愛しい少年の寝顔でも眺めていよう』
少年「……ぽちぃ」
竜『…なあに?』
少年「えへへ……」ニヘラ
竜『……これでご飯3杯はいけるな』ゴクリ
223: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:27:57.05 ID:wc9R9zE40
―次の日―
少年「ふう、今日も今日とて学校だ。でもあと数日で冬休みだ」
男2「よお、相変わらず独り言でかいな」
少年「あ、男2この前は貴重な食料をくれてありがとう」
男2「お前はどこぞの恵まれない子供たちか……」
少年「でもあれ食べたらめちゃめちゃ苦いしなんか気持ち悪くなったから買わない方がいいと思う」
男2「ガキだな」
少年「一体どういうことなんだ……あ(向こうから誰かこっちに来る)」
少年「ふう、今日も今日とて学校だ。でもあと数日で冬休みだ」
男2「よお、相変わらず独り言でかいな」
少年「あ、男2この前は貴重な食料をくれてありがとう」
男2「お前はどこぞの恵まれない子供たちか……」
少年「でもあれ食べたらめちゃめちゃ苦いしなんか気持ち悪くなったから買わない方がいいと思う」
男2「ガキだな」
少年「一体どういうことなんだ……あ(向こうから誰かこっちに来る)」
224: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:29:13.44 ID:wc9R9zE40
「おい、男2……」
男2「あ、なんだよ?」
「クラスの奴みんな見てるからさ、あんまそいつと話してると……わかるだろ?」
少年「…………」
男2「は? 知るかよそんなの。俺が用あるから話しかけてんだよ外野が騒ぐな」
「なっ」
男2「こいつと話した俺を孤立させたきゃ勝手にすればいい。ほら散った散った」
「でもお前」
男2「あのさあ、そういうの面倒臭くね? こういう空気ダルいんだよ、俺は降りるわ」
「…………」
男2「あ、なんだよ?」
「クラスの奴みんな見てるからさ、あんまそいつと話してると……わかるだろ?」
少年「…………」
男2「は? 知るかよそんなの。俺が用あるから話しかけてんだよ外野が騒ぐな」
「なっ」
男2「こいつと話した俺を孤立させたきゃ勝手にすればいい。ほら散った散った」
「でもお前」
男2「あのさあ、そういうの面倒臭くね? こういう空気ダルいんだよ、俺は降りるわ」
「…………」
225: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:30:21.89 ID:wc9R9zE40
男2「あーやっと帰ったなやれやれ」
少年「あの、男2、本当にあんなこと言ってよかったのか?」
男2「いいんじゃねえの?」
少年「そんな他人事みたいに」
男2「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。んな情けない顔すんな」
少年「そ、そんな情けない顔してたか?」
男2「ほい、鏡」サッ
少年「あー…」
男2「な?」
少年「これは反論できん」
少年「あの、男2、本当にあんなこと言ってよかったのか?」
男2「いいんじゃねえの?」
少年「そんな他人事みたいに」
男2「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。んな情けない顔すんな」
少年「そ、そんな情けない顔してたか?」
男2「ほい、鏡」サッ
少年「あー…」
男2「な?」
少年「これは反論できん」
226: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:31:50.66 ID:wc9R9zE40
―授業中―
教師「えーじゃあ次男2答えてみろ」
男2「――――です」
教師「正解だ、相変わらず頭だけはいいな」
男2「そんなこと言っていいのか教師」
少年「(あれ、今まで気づいてなかったけど男2ってもしかして)」
教師「えーじゃあ次男2答えてみろ」
男2「――――です」
教師「正解だ、相変わらず頭だけはいいな」
男2「そんなこと言っていいのか教師」
少年「(あれ、今まで気づいてなかったけど男2ってもしかして)」
227: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:33:18.61 ID:wc9R9zE40
―グラウンド―
「位置についてーよーいドン!」
男2「…………」ダダッ
少年「(はやっ)」
「……おおっもしかしてこれ校内新記録じゃねえか? よくやったな男2」
男2「(手抜けばよかった…)」
校内新記録ダッテヨ
マジカヨ……
スゲエナ、帰宅部ノ癖に……
ヒソヒソ
少年「…………」
「位置についてーよーいドン!」
男2「…………」ダダッ
少年「(はやっ)」
「……おおっもしかしてこれ校内新記録じゃねえか? よくやったな男2」
男2「(手抜けばよかった…)」
校内新記録ダッテヨ
マジカヨ……
スゲエナ、帰宅部ノ癖に……
ヒソヒソ
少年「…………」
228: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:34:32.74 ID:wc9R9zE40
男2「あーやっと昼休みだ疲れた、飯食おうぜメシ」
少年「絶交だ!」
男2「なんだよ突然」
少年「頭脳明晰スポーツ万能彼女持ち無気力系男子とか意味わからねえよ! 存在自体がムカつく!」
男2「まあそこらの奴らとはスペックが違うよな」
少年「天は二物を与えないじゃなかったのか……?」
男2「あんなの嘘だな、持ってるやつはいくらでも持ってるし何もないやつはホントにもってねえよ。お前とかな」
少年「調子に乗るなよ小僧!」
男2「小僧はお前だろ、ドちび」
少年「うるさい足長おじさん!」
男2「そう褒めるなよ」
少年「ムッカー!」
「……楽しそうだな」
「俺あいつがまともに話してるの初めて見た」
少年「絶交だ!」
男2「なんだよ突然」
少年「頭脳明晰スポーツ万能彼女持ち無気力系男子とか意味わからねえよ! 存在自体がムカつく!」
男2「まあそこらの奴らとはスペックが違うよな」
少年「天は二物を与えないじゃなかったのか……?」
男2「あんなの嘘だな、持ってるやつはいくらでも持ってるし何もないやつはホントにもってねえよ。お前とかな」
少年「調子に乗るなよ小僧!」
男2「小僧はお前だろ、ドちび」
少年「うるさい足長おじさん!」
男2「そう褒めるなよ」
少年「ムッカー!」
「……楽しそうだな」
「俺あいつがまともに話してるの初めて見た」
229: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:35:40.77 ID:wc9R9zE40
―放課後―
少年「放課後になった」
男2「わざわざ言わなくてもわかってるけどな」
ガラッ
男2「ん、お前は…女か」
女「男2、一緒に帰ろう」
少年「えーと、そちらの方は」
男2「俺の彼女」
少年「ですよねっ」
女「その人はお友達…?」
男2「多分な」
女「こんにちは」
少年「こ、こんにちは」
少年「放課後になった」
男2「わざわざ言わなくてもわかってるけどな」
ガラッ
男2「ん、お前は…女か」
女「男2、一緒に帰ろう」
少年「えーと、そちらの方は」
男2「俺の彼女」
少年「ですよねっ」
女「その人はお友達…?」
男2「多分な」
女「こんにちは」
少年「こ、こんにちは」
230: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:36:51.19 ID:wc9R9zE40
男2「あーと悪い、今日も一緒に帰れねえわ」
女「どうして…?」
男2「用事があるんだよ」
女「最近男2そればっかり」
男2「しょうがねえだろ、今ちょっと俺忙しいんだ」
女「……いつなら一緒に帰れるの?」
男2「明日か一週間後か一ヶ月後か……」
女「どうして? この頃2人で過ごしてない、私さみしいよ」
男2「まあ時間が出来たら、な」
女「嘘つき!」
男2「落ち着けよ女」
少年「(場違いなう)」
女「どうして…?」
男2「用事があるんだよ」
女「最近男2そればっかり」
男2「しょうがねえだろ、今ちょっと俺忙しいんだ」
女「……いつなら一緒に帰れるの?」
男2「明日か一週間後か一ヶ月後か……」
女「どうして? この頃2人で過ごしてない、私さみしいよ」
男2「まあ時間が出来たら、な」
女「嘘つき!」
男2「落ち着けよ女」
少年「(場違いなう)」
231: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:38:09.43 ID:wc9R9zE40
女「…帰る」
男2「おー気をつけてな」
女「…………」パタン
少年「えーとお疲れさま」
男2「あ、お前いたのか」
少年「うん、そう言われても仕方ない状況だったし文句は言わない」
男2「まあいいや、んじゃ帰るか」
少年「あ、じゃあな」
男2「何言ってんだ、お前も来るんだよ」
少年「オマエモクルンダヨ? ごめんちょっと僕日本語しかわかんない」
男2「お前は母国語を忘れたのか、いいからほら」グイッ
少年「やめっ襟がダルダルになる!」
男2「おー気をつけてな」
女「…………」パタン
少年「えーとお疲れさま」
男2「あ、お前いたのか」
少年「うん、そう言われても仕方ない状況だったし文句は言わない」
男2「まあいいや、んじゃ帰るか」
少年「あ、じゃあな」
男2「何言ってんだ、お前も来るんだよ」
少年「オマエモクルンダヨ? ごめんちょっと僕日本語しかわかんない」
男2「お前は母国語を忘れたのか、いいからほら」グイッ
少年「やめっ襟がダルダルになる!」
232: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:39:35.90 ID:wc9R9zE40
ガヤガヤザワザワワイワイ
少年「なんだここは」
男2「ゲーセン。ゲームセンター」
少年「初めて来た、何ここうるさい」
男2「そのうち馴れるって、ほら何かやってみろよ」
少年「どれがどれだか僕にはよくわからない」
男2「……これなら聞いたことあるだろ、ほらバチ持ってみろよ」
少年「重っ…! 何この鈍器?」
男2「面を叩いて始めてみ」
少年「ふんっ…!せいっ!」ブンブン
男2「ああ……ほらそこに幼児用の足場あるから」
少年「なんだこのひどく屈辱的なゲームは……」
少年「なんだここは」
男2「ゲーセン。ゲームセンター」
少年「初めて来た、何ここうるさい」
男2「そのうち馴れるって、ほら何かやってみろよ」
少年「どれがどれだか僕にはよくわからない」
男2「……これなら聞いたことあるだろ、ほらバチ持ってみろよ」
少年「重っ…! 何この鈍器?」
男2「面を叩いて始めてみ」
少年「ふんっ…!せいっ!」ブンブン
男2「ああ……ほらそこに幼児用の足場あるから」
少年「なんだこのひどく屈辱的なゲームは……」
233: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:40:38.29 ID:wc9R9zE40
ノルマクリアシッパイ! ザマア!
少年「ハァ、ハァ……ゲームに罵倒されるとは」
男2「言っとくがこれ一番難易度低いからな」
少年「バカな…だったら人類には攻略不可じゃないか」
男2「まあ見てなって」
キチクモ~ド~
ドドドドカカカッドカドカドドドドカッ
少年「」
フルコンボ!
男2「ふう」
少年「……男2人類じゃなかったんだな」
男2「お前のその体型の方が人外染みてるけどな、ホビット族か?」
少年「食らえバチによる殴打!」シュッ
男2「効かん」パシッ
少年「白刃取られたちくしょう!」
少年「ハァ、ハァ……ゲームに罵倒されるとは」
男2「言っとくがこれ一番難易度低いからな」
少年「バカな…だったら人類には攻略不可じゃないか」
男2「まあ見てなって」
キチクモ~ド~
ドドドドカカカッドカドカドドドドカッ
少年「」
フルコンボ!
男2「ふう」
少年「……男2人類じゃなかったんだな」
男2「お前のその体型の方が人外染みてるけどな、ホビット族か?」
少年「食らえバチによる殴打!」シュッ
男2「効かん」パシッ
少年「白刃取られたちくしょう!」
234: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:41:49.77 ID:wc9R9zE40
チュドーン
少年「避けれるかこんなの!」
男2「動きに無駄がありすぎなんだよ」
少年「見本見せて」
男2「またかよ、まあいいけど」チャリン
少年「わくわく」
男2「……こんな感じに動きは最小限でな」
少年「おおすごいまるでゴキブリのような素早さだ!」
男2「喧嘩売ってんのか」
少年「なんで?」
少年「避けれるかこんなの!」
男2「動きに無駄がありすぎなんだよ」
少年「見本見せて」
男2「またかよ、まあいいけど」チャリン
少年「わくわく」
男2「……こんな感じに動きは最小限でな」
少年「おおすごいまるでゴキブリのような素早さだ!」
男2「喧嘩売ってんのか」
少年「なんで?」
235: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:43:01.50 ID:wc9R9zE40
男2「ほいクリア」
少年「おお、かっこいい」
男2「お前ちゃんと見てたか?」
少年「見てたよ、っていうか気付いたんだけど僕自分でやるより人の見てる方が楽しい」
男2「向上心がないな」
少年「全部難しすぎるんだって、何かもっと簡単なのないのか?」
男2「そうだな……まあUFOキャッチャーぐらいなら操作も単純だし出来るだろ」
少年「UFOキャッチャー!? やりたいやりたい!」
男2「随分食い付いてきたな……ほら500円」
少年「ありがとうパパ!」
男2「誰がパパだ」
少年「よしっ、絶対取って見せる!」
男2「(まあ無理だろうな)」
少年「集中だ…よっ……あ」
男2「(期待を裏切らないなこいつは)」
少年「おお、かっこいい」
男2「お前ちゃんと見てたか?」
少年「見てたよ、っていうか気付いたんだけど僕自分でやるより人の見てる方が楽しい」
男2「向上心がないな」
少年「全部難しすぎるんだって、何かもっと簡単なのないのか?」
男2「そうだな……まあUFOキャッチャーぐらいなら操作も単純だし出来るだろ」
少年「UFOキャッチャー!? やりたいやりたい!」
男2「随分食い付いてきたな……ほら500円」
少年「ありがとうパパ!」
男2「誰がパパだ」
少年「よしっ、絶対取って見せる!」
男2「(まあ無理だろうな)」
少年「集中だ…よっ……あ」
男2「(期待を裏切らないなこいつは)」
236: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:44:27.93 ID:wc9R9zE40
少年「まだだ……まだリカバー出来るはずだ…!」
男2「(お前には無理だよ)」
少年「いけっ頼む届け僕の想いっ…………ですよねー」
男2「ですよねーじゃねえよ。俺の金ドブに捨てやがって、掠りもしねえ奴とか見たことねえよ」
少年「素直にごめん……」ショボーン
男2「……はあ」チャリン
少年「え?」
男2「…………」ポチッポチッゴトン
少年「え? え?」
男2「ほらよ」ズイッ
少年「……なんで男2がモテるかわからされたチクショウ」
男2「なんだそりゃ」
少年「でもありがとう男2」
男2「…どーいたしまして」
男2「(お前には無理だよ)」
少年「いけっ頼む届け僕の想いっ…………ですよねー」
男2「ですよねーじゃねえよ。俺の金ドブに捨てやがって、掠りもしねえ奴とか見たことねえよ」
少年「素直にごめん……」ショボーン
男2「……はあ」チャリン
少年「え?」
男2「…………」ポチッポチッゴトン
少年「え? え?」
男2「ほらよ」ズイッ
少年「……なんで男2がモテるかわからされたチクショウ」
男2「なんだそりゃ」
少年「でもありがとう男2」
男2「…どーいたしまして」
237: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:45:29.54 ID:wc9R9zE40
少年「ふおぉ、ふわふわだすごい」モフモフ
男2「お前趣味変だよな」
少年「なにゆえ?」
男2「まあいいけど、じゃあ次は……」
少年「まだやるのか……ハッ!」
男2「なんだよ」
少年「あ、あそこ……」ブルブル
男2「は?」クルッ
女「…………」ジー
男2「…………」ダラダラ
少年「汗が滝のようだぞ男2」
男2「散開!」ダッ
少年「えっ? えっ?」
女「…………」フラッ
少年「(こっち来たあああぁぁ!)」
男2「お前趣味変だよな」
少年「なにゆえ?」
男2「まあいいけど、じゃあ次は……」
少年「まだやるのか……ハッ!」
男2「なんだよ」
少年「あ、あそこ……」ブルブル
男2「は?」クルッ
女「…………」ジー
男2「…………」ダラダラ
少年「汗が滝のようだぞ男2」
男2「散開!」ダッ
少年「えっ? えっ?」
女「…………」フラッ
少年「(こっち来たあああぁぁ!)」
238: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:46:34.76 ID:wc9R9zE40
オンナが あらわれた!▼
・たたかう
・じゅもん
・どうぐ
・にげる
少年「(な、何が始まってるんだ!?)」
女「…………」フラフラ
オンナが ちかづいてくる! どうする?▼
少年「(これはもう逃げるしかないだろ!)」
にげる← ピッ
女「……逃がさない」シュバババッ
しかし まわりこまれてしまった!▼
少年「(うわああああああぁぁぁ)」
・たたかう
・じゅもん
・どうぐ
・にげる
少年「(な、何が始まってるんだ!?)」
女「…………」フラフラ
オンナが ちかづいてくる! どうする?▼
少年「(これはもう逃げるしかないだろ!)」
にげる← ピッ
女「……逃がさない」シュバババッ
しかし まわりこまれてしまった!▼
少年「(うわああああああぁぁぁ)」
239: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:47:50.33 ID:wc9R9zE40
オンナは もう目の前だ! どうする?▼
・じゅもん← ピッ
少年「命だけは、命だけはお許しください!」
ショウネンは じゅもんというナのイノチごいを した!▼
女「……絶対に許さない」
しかし オンナには きかなかった!▼
少年「(ひぃえええええええぇぇ)」
オンナは ショウネンの クビにてをかけた! どうする?▼
少年「(終わったあああぁぁ!)」
・じゅもん← ピッ
少年「命だけは、命だけはお許しください!」
ショウネンは じゅもんというナのイノチごいを した!▼
女「……絶対に許さない」
しかし オンナには きかなかった!▼
少年「(ひぃえええええええぇぇ)」
オンナは ショウネンの クビにてをかけた! どうする?▼
少年「(終わったあああぁぁ!)」
240: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:48:53.80 ID:wc9R9zE40
女「……教えて」
少年「え?」
女「……どうしたら男2と仲良く話せるの」
少年「えと……」
女「……男2と話したいよ、また一緒に遊びに行きたいよ、男2と手を繋ぎたいよ」
少年「ごめん、僕にはわからない」
女「…………」
少年「え?」
女「……どうしたら男2と仲良く話せるの」
少年「えと……」
女「……男2と話したいよ、また一緒に遊びに行きたいよ、男2と手を繋ぎたいよ」
少年「ごめん、僕にはわからない」
女「…………」
241: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:50:04.72 ID:wc9R9zE40
少年「僕はついこの間まで友達がいなかったんだ。男2と話せるようになったのもあっちから僕に接してくれたからだ。だから人と仲良くなる方法を僕は知らない」
女「……そう」
少年「でもさ、君は男2と付き合ってるんだろ? 君は男2と仲良くなるエキスパートなんじゃないか? 君が一番知ってる」
女「……でも、最近の男2がよくわからない。いつも何か思い詰めてる、でも私に何も言ってくれない。私は、必要ないんだ」
少年「君のことを考えてるから何も言わないんだよ(多分)」
女「……!」
少年「君はただ待ってあげればいいと思う、君の存在が男2の支えとなってるはずだから」
女「…………」
少年「えと、うんそんな感じ」
女「…………」ジー
少年「…………」
少年「(何言ってるんだ僕恥ずかしいいいいいぃ、彼女いない歴=年齢が何大層なこと口走ってるんだ!)」
女「……そう」
少年「でもさ、君は男2と付き合ってるんだろ? 君は男2と仲良くなるエキスパートなんじゃないか? 君が一番知ってる」
女「……でも、最近の男2がよくわからない。いつも何か思い詰めてる、でも私に何も言ってくれない。私は、必要ないんだ」
少年「君のことを考えてるから何も言わないんだよ(多分)」
女「……!」
少年「君はただ待ってあげればいいと思う、君の存在が男2の支えとなってるはずだから」
女「…………」
少年「えと、うんそんな感じ」
女「…………」ジー
少年「…………」
少年「(何言ってるんだ僕恥ずかしいいいいいぃ、彼女いない歴=年齢が何大層なこと口走ってるんだ!)」
242: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:51:10.06 ID:wc9R9zE40
少年「(穴があったらうずもれたい)」
女「……貴方いい人だね」
少年「えっ!? あ、うん……え?」
女「この礼は必ず……」
少年「礼? どういうこと?」
女「さようなら」
少年「あっ待ってよ……行っちゃった。ヘンな子だったなあ」
女「……貴方いい人だね」
少年「えっ!? あ、うん……え?」
女「この礼は必ず……」
少年「礼? どういうこと?」
女「さようなら」
少年「あっ待ってよ……行っちゃった。ヘンな子だったなあ」
243: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:52:15.25 ID:wc9R9zE40
男2「ふう、ここまでくれば大丈夫だろ」
女「男2見つけた」
男2「…マジかよ」
女「私待ってる」
男2「は?」
女「待ってるから」
男2「……あいつになんか言われたのか?」
女「彼はとてもいい人。友達は大切にしたほうがいい」
男2「んなこと態々言われなくてもわかってるよ」
女「よかった」
女「男2見つけた」
男2「…マジかよ」
女「私待ってる」
男2「は?」
女「待ってるから」
男2「……あいつになんか言われたのか?」
女「彼はとてもいい人。友達は大切にしたほうがいい」
男2「んなこと態々言われなくてもわかってるよ」
女「よかった」
244: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:53:22.64 ID:wc9R9zE40
男2「女、絶対守ってやるからな」
女「? どういうこと?」
男2「だから俺を信じてくれ、な?」
女「よくわからない。でも信じる、頑張って」
男2「おう、ありがとな」ポンポン
女「…頭をぽんぽんされるのは恥ずかしい」
男2「でも嫌いじゃないんだろ?」
女「…当たり」
男2「はははっ(明日は次に進むか)」
女「? どういうこと?」
男2「だから俺を信じてくれ、な?」
女「よくわからない。でも信じる、頑張って」
男2「おう、ありがとな」ポンポン
女「…頭をぽんぽんされるのは恥ずかしい」
男2「でも嫌いじゃないんだろ?」
女「…当たり」
男2「はははっ(明日は次に進むか)」
245: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:54:19.35 ID:wc9R9zE40
竜『少年が来ない』
竜『…………』
竜『今度は誰のせいだ?』
竜『…………』
竜『今度は誰のせいだ?』
246: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:55:46.50 ID:wc9R9zE40
少年「ぜえ……ぜえ」バタン
竜『しょ、少年? てっきり今日は来ないものかと』
少年「ほらこれやる」グイッ
竜『え、これは……』
少年「竜のぬいぐるみ、ポチに似てたからさ。かわいいだろ?」
竜『少年趣味悪いねー』
少年「うるさい黙って受けとれ」
竜『うん、ありがとー』
少年「じゃあ悪いけど今日は帰るな、また明日!」バタン
竜『またねー』
竜『しょ、少年? てっきり今日は来ないものかと』
少年「ほらこれやる」グイッ
竜『え、これは……』
少年「竜のぬいぐるみ、ポチに似てたからさ。かわいいだろ?」
竜『少年趣味悪いねー』
少年「うるさい黙って受けとれ」
竜『うん、ありがとー』
少年「じゃあ悪いけど今日は帰るな、また明日!」バタン
竜『またねー』
247: ◆yJ9Y64R876 2013/10/11(金) 15:57:16.80 ID:wc9R9zE40
♪2つのにおい
竜『…うーん俺こんなに不細工かなあ、へこむなあ』
竜『あ、少年の匂いがする、いい匂い。……興奮してきた』
竜『……ああもう! 大好きすぎるよ少年! うああああああ』ゴロゴロバタンバタン
竜『ふう、ふう。今日はこれ抱いて寝よう、おやすみ少年』
竜『…ん?』シュルシュル
竜『誰だこいつは』
竜『…うーん俺こんなに不細工かなあ、へこむなあ』
竜『あ、少年の匂いがする、いい匂い。……興奮してきた』
竜『……ああもう! 大好きすぎるよ少年! うああああああ』ゴロゴロバタンバタン
竜『ふう、ふう。今日はこれ抱いて寝よう、おやすみ少年』
竜『…ん?』シュルシュル
竜『誰だこいつは』
250: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:26:49.60 ID:2qXjT4a30
―次の日―
少年「…………(誰もいないな)」キョロキョロ
少年「最近忘れてたけどちょっと調べてみるか」
少年「…………」ペラペラ
少年「……面白いなあ」
男2「お、ここにいたのか」ガラッ
少年「ぎゃあ、何故ここに?」
男2「お前と言ったら図書館のイメージがあるんだよ」
少年「それは偏見だ、……まああながち間違いでもないかもしれないが」
少年「…………(誰もいないな)」キョロキョロ
少年「最近忘れてたけどちょっと調べてみるか」
少年「…………」ペラペラ
少年「……面白いなあ」
男2「お、ここにいたのか」ガラッ
少年「ぎゃあ、何故ここに?」
男2「お前と言ったら図書館のイメージがあるんだよ」
少年「それは偏見だ、……まああながち間違いでもないかもしれないが」
251: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:29:26.70 ID:2qXjT4a30
男2「何読んでるんだ?」
少年「動物図鑑、借りちゃった」
男2「…ガキかよお前」
少年「結構おもしろいんだよ、知ってる? ヘビって目隠ししても獲物がどこにいるかわかるらしいよ」
男2「ピット器官だろ、生体が発する赤外線を感知するからな。目を塞がれても居場所がわかって当然だな」
少年「…なんで知ってるんだ」
男2「常識だろ」
少年「そうだったのか…。じゃあ問題です! ヘビの舌が二股に分かれているのは何故でしょうか! 制限時間は」
男2「舌にニオイの粒子を付着させそれを嗅覚の役割を持つ2つの穴状のヤコブソン器官に運ぶため」
少年「へえ、そうなのか」
男2「知らなかったのかよ」
少年「動物図鑑、借りちゃった」
男2「…ガキかよお前」
少年「結構おもしろいんだよ、知ってる? ヘビって目隠ししても獲物がどこにいるかわかるらしいよ」
男2「ピット器官だろ、生体が発する赤外線を感知するからな。目を塞がれても居場所がわかって当然だな」
少年「…なんで知ってるんだ」
男2「常識だろ」
少年「そうだったのか…。じゃあ問題です! ヘビの舌が二股に分かれているのは何故でしょうか! 制限時間は」
男2「舌にニオイの粒子を付着させそれを嗅覚の役割を持つ2つの穴状のヤコブソン器官に運ぶため」
少年「へえ、そうなのか」
男2「知らなかったのかよ」
252: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:31:41.43 ID:2qXjT4a30
少年「なあ、男2。竜っていると思うか?」
男2「唐突だな、……まさかお前本気で存在してると思って図鑑読んでたんじゃ」
少年「ばっバカな、違うよただ竜とヘビって似てるかなと、ふと思っただけで」
男2「…まあ世界各地の竜信仰の原型は蛇だと言われてるからな。あながち間違いでもないんだろう」
少年「へえー男2博識だな」
男2「お前昨日も竜のぬいぐるみ欲しがってたよな、好きなのか?」
少年「えっす、好き!? えっと、その知り合いが病的なほど竜好きでさ、そいつの鼻を明かしてやろうかと。ぬいぐるみはその知り合いにあげたんだよ」
男2「(…まさかな)ふうんやっぱり変な知り合いだな。ま、頑張れ」
少年「もしかして男2そっち方面についても詳しい?」
男2「断る」
少年「そこをなんとか!」ドゲザー
男2「やめろっみっともねえ! わかったからさっさと頭上げろ!」
少年「ご教授してくださるのですか!?」
男2「ああうん。めんどくせえけど」
少年「ありがとう男2!」
男2「図書館で大声出すな」
少年「面目ない」
男2「唐突だな、……まさかお前本気で存在してると思って図鑑読んでたんじゃ」
少年「ばっバカな、違うよただ竜とヘビって似てるかなと、ふと思っただけで」
男2「…まあ世界各地の竜信仰の原型は蛇だと言われてるからな。あながち間違いでもないんだろう」
少年「へえー男2博識だな」
男2「お前昨日も竜のぬいぐるみ欲しがってたよな、好きなのか?」
少年「えっす、好き!? えっと、その知り合いが病的なほど竜好きでさ、そいつの鼻を明かしてやろうかと。ぬいぐるみはその知り合いにあげたんだよ」
男2「(…まさかな)ふうんやっぱり変な知り合いだな。ま、頑張れ」
少年「もしかして男2そっち方面についても詳しい?」
男2「断る」
少年「そこをなんとか!」ドゲザー
男2「やめろっみっともねえ! わかったからさっさと頭上げろ!」
少年「ご教授してくださるのですか!?」
男2「ああうん。めんどくせえけど」
少年「ありがとう男2!」
男2「図書館で大声出すな」
少年「面目ない」
253: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:34:51.36 ID:2qXjT4a30
男2「んで、お前はどのくらい竜について知ってるんだ。俺だって最近知っただけで詳しくは知らねえからな」
少年「大きい、飛ぶ、火を吐く、ガオーって感じかな」
男2「…………」ゴスッ
少年「いふぁいッ! 図鑑の角で殴るのはやめろよ!」
男2「…神話上では全ての竜が炎を吐くわけではない」
少年「そうなの? ゲームとか漫画はしょっちゅう吐いてるけど」
男2「見た目が派手だからだろ。実際は、と言っても所詮創作上の話だが水とか毒とかを吐くのが多かったらしいな」
少年「毒とかえげつないな」
男2「竜の原型が蛇だからな。蛇と言ったら毒というイメージを持つ人も多いだろうし、元々蛇が水の神として信仰される傾向があったことを踏まえると納得できると思うんだが」
少年「ほー」
少年「大きい、飛ぶ、火を吐く、ガオーって感じかな」
男2「…………」ゴスッ
少年「いふぁいッ! 図鑑の角で殴るのはやめろよ!」
男2「…神話上では全ての竜が炎を吐くわけではない」
少年「そうなの? ゲームとか漫画はしょっちゅう吐いてるけど」
男2「見た目が派手だからだろ。実際は、と言っても所詮創作上の話だが水とか毒とかを吐くのが多かったらしいな」
少年「毒とかえげつないな」
男2「竜の原型が蛇だからな。蛇と言ったら毒というイメージを持つ人も多いだろうし、元々蛇が水の神として信仰される傾向があったことを踏まえると納得できると思うんだが」
少年「ほー」
254: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:37:01.05 ID:2qXjT4a30
男2「次、東洋と西洋について」
少年「ばっちこい」
男2「東洋では細長く翼を持たないフォルムが一般的だな」
少年「ああ、"ぼうやーよいこだねんねしなー"的なあれか」
男2「東洋系では異例はあれど神として崇められることが多かった。自然を司る存在だったらしいな」
少年「なんかかっこいいな」
男2「さっきも言ったが特に水を操る力に長けるのが多い、雨を降らしたりな。豊穣の神だったわけだ」
少年「雨?」
男2「そういや少し前連続で天気予報が外れて雨が降ったな、時代が時代だったら竜神様がお怒りだーとか騒いだのかもな」
少年「……マジか」
男2「何がだ」ズイッ
少年「なな何でもない続けてくれ」
少年「ばっちこい」
男2「東洋では細長く翼を持たないフォルムが一般的だな」
少年「ああ、"ぼうやーよいこだねんねしなー"的なあれか」
男2「東洋系では異例はあれど神として崇められることが多かった。自然を司る存在だったらしいな」
少年「なんかかっこいいな」
男2「さっきも言ったが特に水を操る力に長けるのが多い、雨を降らしたりな。豊穣の神だったわけだ」
少年「雨?」
男2「そういや少し前連続で天気予報が外れて雨が降ったな、時代が時代だったら竜神様がお怒りだーとか騒いだのかもな」
少年「……マジか」
男2「何がだ」ズイッ
少年「なな何でもない続けてくれ」
255: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:39:31.48 ID:2qXjT4a30
男2「…ところが逆に西洋では竜の扱いも正反対だった、キリスト教がいい例だな」
少年「扱いも正反対って?」
男2「キリスト教ではサタンつまり悪魔の別の姿とも言われている。それに蛇はアダムとイヴを唆し禁断の果実を喰わせた罪深き存在だからな、忌み嫌われて当然だ。仮に本当に竜がいて信者にでも見つかったら大騒ぎだったろうな」
少年「ひどい」
男2「物語の中の竜の扱いなんて大概は酷いものだ、英雄が悪しきドラゴンを倒してめでたしめでたしが王道だからな」
少年「そんなの、全然おめでたくない」
男2「大衆にとってはハッピーエンドなんだろ」
少年「…納得いかん」ムス
少年「扱いも正反対って?」
男2「キリスト教ではサタンつまり悪魔の別の姿とも言われている。それに蛇はアダムとイヴを唆し禁断の果実を喰わせた罪深き存在だからな、忌み嫌われて当然だ。仮に本当に竜がいて信者にでも見つかったら大騒ぎだったろうな」
少年「ひどい」
男2「物語の中の竜の扱いなんて大概は酷いものだ、英雄が悪しきドラゴンを倒してめでたしめでたしが王道だからな」
少年「そんなの、全然おめでたくない」
男2「大衆にとってはハッピーエンドなんだろ」
少年「…納得いかん」ムス
256: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:41:51.16 ID:2qXjT4a30
男2「創った奴に言え。まあかなり大雑把に言えばこんな所か」
少年「そっか。ありがとう男2」
男2「でだ、そのお前の知り合いなんだがな。実は一緒に会わせて欲しいんだ」
少年「? なんで?」
男2「どんな変人か興味あんだよ」
少年「変人、じゃないと思うが」
男2「それで会わせてくれるのか、くれないのか?」
少年「彼あんまり人と会いたがらないからなあ、まあ聞いてみるよ」
男2「頼んだぞ」
少年「そっか。ありがとう男2」
男2「でだ、そのお前の知り合いなんだがな。実は一緒に会わせて欲しいんだ」
少年「? なんで?」
男2「どんな変人か興味あんだよ」
少年「変人、じゃないと思うが」
男2「それで会わせてくれるのか、くれないのか?」
少年「彼あんまり人と会いたがらないからなあ、まあ聞いてみるよ」
男2「頼んだぞ」
257: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:44:22.14 ID:2qXjT4a30
男2「……あいつは、行ったか」
男2「さてと、俺も行くか」
男2「さてと、俺も行くか」
258: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:46:18.28 ID:2qXjT4a30
竜『……ダメだ、もう少年の匂いがしない。こんなんじゃ興奮できない』
竜『ていうかなんなんだ、このぬいぐるみの顔は見れば見るほど腹がたつ腹綿引き出してやろうか!』
竜『と言いたいけどそれはプレゼントしてくれた少年に失礼だよね、我慢ガマン』
少年「ハローポチくん」ガチャ
竜『Hello少年、へいパース』ポイッ
少年「うわっ、あっ」ポロッ
竜『落としちゃダメじゃないか少年ー』
竜『ていうかなんなんだ、このぬいぐるみの顔は見れば見るほど腹がたつ腹綿引き出してやろうか!』
竜『と言いたいけどそれはプレゼントしてくれた少年に失礼だよね、我慢ガマン』
少年「ハローポチくん」ガチャ
竜『Hello少年、へいパース』ポイッ
少年「うわっ、あっ」ポロッ
竜『落としちゃダメじゃないか少年ー』
259: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:48:20.46 ID:2qXjT4a30
少年「人があげたもの乱暴に扱うな」
竜『少年今日帰るまでその人形肌身離さず持ってて』
少年「なんで?」
竜『できれば服の下に仕舞い込むんだ』
少年「ポチの考えが僕にはわからん」ゴソゴソ
竜『俺(に似ているというぬいぐるみ)が少年の中に入ってる……ハアハア』
少年「なんだかものすごく近づきがたい、距離をおきたい」
竜『(膨らんだお腹とかまるではら…ダメだそれ以上考えたら興奮を抑えられそうにない!)なら今日はこっちから行かせてもらうよ』ユラリ
少年「こええ! 逃げっあ、足が動かない! なにこれカッチカチ金縛り?」
竜『ふはは、大人しく我が腕の中で永遠の眠りに就くがよい!』
少年「君はラスボスか! ってぎゃあああ」
竜『少年今日帰るまでその人形肌身離さず持ってて』
少年「なんで?」
竜『できれば服の下に仕舞い込むんだ』
少年「ポチの考えが僕にはわからん」ゴソゴソ
竜『俺(に似ているというぬいぐるみ)が少年の中に入ってる……ハアハア』
少年「なんだかものすごく近づきがたい、距離をおきたい」
竜『(膨らんだお腹とかまるではら…ダメだそれ以上考えたら興奮を抑えられそうにない!)なら今日はこっちから行かせてもらうよ』ユラリ
少年「こええ! 逃げっあ、足が動かない! なにこれカッチカチ金縛り?」
竜『ふはは、大人しく我が腕の中で永遠の眠りに就くがよい!』
少年「君はラスボスか! ってぎゃあああ」
260: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:50:33.08 ID:2qXjT4a30
少年「ポチが僕を抱いて僕がぬいぐるみを抱いているこの光景は端から見たらシュール極まりないだろうな」
竜『まるでマトリョーシカだね』
少年「でもこれ背中はポチの腹でぷにぷに、服の中はぬいぐるみでふわふわ、何て言うか幸福の板ばさみ」
竜『そう言えば少年どうして突然ぬいぐるみなんて買ったの?』
少年「買ったというか、取ってもらったというか」
竜『?』
少年「まあ友達に貰ったんだよ」
竜『……少年に友達なんかいたの?』
少年「傷つくなあ、最近できたんだよ。ほら前僕に噂が本当か聞いてきた奴がいるって言っただろ?」
竜『ああ、そいつか(タイミング的に…)』
少年「どうだ参ったか」
竜『…ふうん。まあおめでとう』
少年「ありがとう。あっ、そいつがさお前に会いたがってたぞ」
竜『…は?』
竜『まるでマトリョーシカだね』
少年「でもこれ背中はポチの腹でぷにぷに、服の中はぬいぐるみでふわふわ、何て言うか幸福の板ばさみ」
竜『そう言えば少年どうして突然ぬいぐるみなんて買ったの?』
少年「買ったというか、取ってもらったというか」
竜『?』
少年「まあ友達に貰ったんだよ」
竜『……少年に友達なんかいたの?』
少年「傷つくなあ、最近できたんだよ。ほら前僕に噂が本当か聞いてきた奴がいるって言っただろ?」
竜『ああ、そいつか(タイミング的に…)』
少年「どうだ参ったか」
竜『…ふうん。まあおめでとう』
少年「ありがとう。あっ、そいつがさお前に会いたがってたぞ」
竜『…は?』
261: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:53:19.65 ID:2qXjT4a30
竜『少年俺のこと話したの?』
少年「うん、僕の唯一の知り合いって言った」
竜『俺が竜だってことは?』
少年「さすがに言ってない、はず。言っても信じてもらえないと思って」
竜『賢明だね。そんな突拍子もないこと口走ったらせっかくの友達を失いかねないよ』
少年「でさ、どうする?」
竜『もちろんNOだ』
少年「一目だけでも」
竜『だめ』
少年「ポチの顔がちょっと強面なことはあらかじめ伝えておくから」
竜『そういう問題じゃない』
少年「うん、僕の唯一の知り合いって言った」
竜『俺が竜だってことは?』
少年「さすがに言ってない、はず。言っても信じてもらえないと思って」
竜『賢明だね。そんな突拍子もないこと口走ったらせっかくの友達を失いかねないよ』
少年「でさ、どうする?」
竜『もちろんNOだ』
少年「一目だけでも」
竜『だめ』
少年「ポチの顔がちょっと強面なことはあらかじめ伝えておくから」
竜『そういう問題じゃない』
262: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:55:46.67 ID:2qXjT4a30
少年「ポチやっぱり人間と会うのが嫌なのか?」
竜『結果的にはそうなるね』
少年「人間悪い奴ばかりじゃないんだけどな、どうしたものか」
竜『俺は少年さえいればそれでいい』
少年「むー、そういう問題じゃない」ムスッ
竜『結果的にはそうなるね』
少年「人間悪い奴ばかりじゃないんだけどな、どうしたものか」
竜『俺は少年さえいればそれでいい』
少年「むー、そういう問題じゃない」ムスッ
263: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 22:58:05.25 ID:2qXjT4a30
竜『まあまあ機嫌直して』
少年「…………」ツーン
竜『困ったなあ、ペロリ』ベロン
少年「びゃあ! ビックリした!」
竜『ペ ペ 』ヌチャヌチャ
少年「いや普通一旦やめるだろ! なんなんだよ一体!」
竜『ほら犬とか猫とかって愛情表現に舐めるじゃない?』
少年「うん」
竜『それだよ』
少年「あっなるほど。えっ?」
竜『ペ ペ 少年ペ ペ 』
少年「ポチにやられると捕食されかけてる気分になる」
竜『たべていい?』
少年「いいわけないだろ!」
竜『ちぇっ』
少年「…………」ツーン
竜『困ったなあ、ペロリ』ベロン
少年「びゃあ! ビックリした!」
竜『ペ ペ 』ヌチャヌチャ
少年「いや普通一旦やめるだろ! なんなんだよ一体!」
竜『ほら犬とか猫とかって愛情表現に舐めるじゃない?』
少年「うん」
竜『それだよ』
少年「あっなるほど。えっ?」
竜『ペ ペ 少年ペ ペ 』
少年「ポチにやられると捕食されかけてる気分になる」
竜『たべていい?』
少年「いいわけないだろ!」
竜『ちぇっ』
264: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:00:32.41 ID:2qXjT4a30
少年「…………」カチカチ
竜『何してるの少年』
少年「メール。さっきのこと報告しておかないと」
竜『え? 俺が少年の身体を味わってたこと?』
少年「違う、その前。ポチが会いたくないって言ってるってこと」パタン
竜『よくそんな小さな機械が操作できるねえ』
少年「ポチがでかすぎるんだよ、よくもまあこんなに大きく成長してくれたもんだ」
竜『少年に分けてあげたいくらいだよ』
少年「ちょうだい」
竜『無理』
竜『何してるの少年』
少年「メール。さっきのこと報告しておかないと」
竜『え? 俺が少年の身体を味わってたこと?』
少年「違う、その前。ポチが会いたくないって言ってるってこと」パタン
竜『よくそんな小さな機械が操作できるねえ』
少年「ポチがでかすぎるんだよ、よくもまあこんなに大きく成長してくれたもんだ」
竜『少年に分けてあげたいくらいだよ』
少年「ちょうだい」
竜『無理』
265: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:02:42.36 ID:2qXjT4a30
少年「体交換できたらいいのに」
竜『まったくもってお勧めしかねるけど』
少年「うそぉ。僕から見れば大変魅力的な体してるけど」
竜『具体的にはどこらへんがさ』
少年「その1、体が大きい」
竜『ああうん、それはまあ』
少年『その2、全体的にシュッとしてかっこいい』
竜『かっこいい? ほんと?』
少年「うん、特に…」
竜『特に?』
竜『まったくもってお勧めしかねるけど』
少年「うそぉ。僕から見れば大変魅力的な体してるけど」
竜『具体的にはどこらへんがさ』
少年「その1、体が大きい」
竜『ああうん、それはまあ』
少年『その2、全体的にシュッとしてかっこいい』
竜『かっこいい? ほんと?』
少年「うん、特に…」
竜『特に?』
266: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:04:43.28 ID:2qXjT4a30
少年「な、何でもないっ。つ、次その3!」
竜『特になんだよ気になるじゃん』
少年「その3! 翼がある」
竜『翼? これ?』バッサバッサ
少年「翼があるってことは空飛べるんだろ? あと寒いから今は羽ばたかせないで」
竜『申し訳ない。まあ一応飛べるよ』
少年「いいなあ。僕も空飛んでみたい、気持ちいいんだろうなあ」
竜『うーん、夢ぶち壊すようで申し訳ないけど慣れるまではあれかなりしんどいよ』
少年「そうなの?」
竜『初めて飛んだときは何これ新手の苦行? ってぐらいに疲労困憊したしまともに飛べるようになるまで相当時間掛かるからね』
少年「がっかしだ」
竜『現実はそんなものだ。第一もう俺が空を翔ることはないだろうしね』
少年「もったいない、せっかくあるんだから使えよ」
竜『使う機会がないんだもん』
竜『特になんだよ気になるじゃん』
少年「その3! 翼がある」
竜『翼? これ?』バッサバッサ
少年「翼があるってことは空飛べるんだろ? あと寒いから今は羽ばたかせないで」
竜『申し訳ない。まあ一応飛べるよ』
少年「いいなあ。僕も空飛んでみたい、気持ちいいんだろうなあ」
竜『うーん、夢ぶち壊すようで申し訳ないけど慣れるまではあれかなりしんどいよ』
少年「そうなの?」
竜『初めて飛んだときは何これ新手の苦行? ってぐらいに疲労困憊したしまともに飛べるようになるまで相当時間掛かるからね』
少年「がっかしだ」
竜『現実はそんなものだ。第一もう俺が空を翔ることはないだろうしね』
少年「もったいない、せっかくあるんだから使えよ」
竜『使う機会がないんだもん』
267: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:06:44.56 ID:2qXjT4a30
♪約束未満
少年「んーじゃあさ、僕を乗せて飛んでよ」
竜『…え?』
少年「そうだそうしよう! 我ながらいい考えだ」
竜『それじゃあ俺だけ大変じゃないか』
少年「1回だけ、1回だけだから! 5分、いや3分だけ!」
竜『……まあ、機会があったら考えておこう』
少年「やった! 楽しみだ」ワクワク
竜『やれやれ』
少年「んーじゃあさ、僕を乗せて飛んでよ」
竜『…え?』
少年「そうだそうしよう! 我ながらいい考えだ」
竜『それじゃあ俺だけ大変じゃないか』
少年「1回だけ、1回だけだから! 5分、いや3分だけ!」
竜『……まあ、機会があったら考えておこう』
少年「やった! 楽しみだ」ワクワク
竜『やれやれ』
268: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:09:09.66 ID:2qXjT4a30
少年「そうだ、聞いて聞いて。今日竜についてまた少し詳しくなった」
竜『へえ。なんだかくすぐったい気分になるな』
少年「あっ! ポチ少し前わざと雨降らしてただろ!」
竜『うわあバレるとは思わなかったほんとに勉強したんだね』
少年「嫌がらせか! おかげで毎回びしょ濡れだったんだぞ!」
竜『まあまあもう降らせないから許してよ』
少年「じゃあいいよ」
竜『さすが少年』
竜『へえ。なんだかくすぐったい気分になるな』
少年「あっ! ポチ少し前わざと雨降らしてただろ!」
竜『うわあバレるとは思わなかったほんとに勉強したんだね』
少年「嫌がらせか! おかげで毎回びしょ濡れだったんだぞ!」
竜『まあまあもう降らせないから許してよ』
少年「じゃあいいよ」
竜『さすが少年』
269: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:11:27.45 ID:2qXjT4a30
少年「でもすごいなーポチほんとに神様みたい」
竜『神様?』
少年「今日聞いたんだけどさ、竜によっては神様扱いされていたらしいじゃん。……あれ、ポチも雨自由に降らせられるならえーと、ほうじょーの神? じゃないの?」
竜『少年センスいいねえ。惜しい、惜しいよ』
少年「?」
竜『まあ俺は神様なんて大それたものじゃないよ、ましてや悪魔でもない。でもこの力は多分本物』
少年「ん?」
竜『俺は竜であり龍でありドラゴンだ。きっと俺は寄せ集めの継ぎ接ぎの存在なんだ』
少年「…………?」プシュー
竜『ごめん難しいこと言っちゃったね、理解しようとしなくていいよ』
竜『神様?』
少年「今日聞いたんだけどさ、竜によっては神様扱いされていたらしいじゃん。……あれ、ポチも雨自由に降らせられるならえーと、ほうじょーの神? じゃないの?」
竜『少年センスいいねえ。惜しい、惜しいよ』
少年「?」
竜『まあ俺は神様なんて大それたものじゃないよ、ましてや悪魔でもない。でもこの力は多分本物』
少年「ん?」
竜『俺は竜であり龍でありドラゴンだ。きっと俺は寄せ集めの継ぎ接ぎの存在なんだ』
少年「…………?」プシュー
竜『ごめん難しいこと言っちゃったね、理解しようとしなくていいよ』
270: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:13:29.66 ID:2qXjT4a30
少年「待て、わかるわかるぞ! バカにするな!」
竜『ホント? じゃあどういうことかなあ?』
少年『えっと、ほら、そのさ……ポチ!』
竜『な、なんだよ』
少年「竜とかごちゃごちゃ言う以前に君はポチだ! そういうことだよ!」
竜『……少年自分で何言ってるかよくわかってないだろ』
少年「まあね」
竜『うん、さすが少年だ。だから俺は君が大好きだ』ニコッ
少年「…………」
竜『どうしたの少年突然フリーズして』
少年「な、なんでもない!」
竜『ホント? じゃあどういうことかなあ?』
少年『えっと、ほら、そのさ……ポチ!』
竜『な、なんだよ』
少年「竜とかごちゃごちゃ言う以前に君はポチだ! そういうことだよ!」
竜『……少年自分で何言ってるかよくわかってないだろ』
少年「まあね」
竜『うん、さすが少年だ。だから俺は君が大好きだ』ニコッ
少年「…………」
竜『どうしたの少年突然フリーズして』
少年「な、なんでもない!」
271: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:16:15.86 ID:2qXjT4a30
少年「ぽーちー」
竜『なーに?』
少年「おすわり」
竜『わん』
少年「お手ーおかわりー」
竜『わんわん』ノシッ
少年「いや頭にじゃなくて。伏せ!」
竜『わん!』シュタッ
少年「よしえらいえらい」
竜『ご褒美は?』
少年「え? あ、はいカラアゲ」
竜『ひゃっほーい!』
少年「待て!」
竜『!』
少年「まだだぞー」
竜『グルルルル…』ダラダラ
少年「涎すげえ、よし」
竜『バウ!』ガツガツ
少年「ほんとに犬みたいだ」
竜『なーに?』
少年「おすわり」
竜『わん』
少年「お手ーおかわりー」
竜『わんわん』ノシッ
少年「いや頭にじゃなくて。伏せ!」
竜『わん!』シュタッ
少年「よしえらいえらい」
竜『ご褒美は?』
少年「え? あ、はいカラアゲ」
竜『ひゃっほーい!』
少年「待て!」
竜『!』
少年「まだだぞー」
竜『グルルルル…』ダラダラ
少年「涎すげえ、よし」
竜『バウ!』ガツガツ
少年「ほんとに犬みたいだ」
272: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:18:52.14 ID:2qXjT4a30
竜『けぷっ、ごちそうさま。少年は犬好きなのかい?』
少年「嫌いじゃないけど、大きい犬は怖い」
竜『俺は怖くなくて犬は怖いのかあ、なんだか悔しいな』
少年「犬は吼えるし噛むじゃないか、ポチはそんなことないから怖くない」
竜『がおおおー、がぶっ』カプッ
少年「おおこれが甘噛みか、なんかうれしい」
竜「はむはむ」
少年「あ、涎でべた付くので止めて下さい」
竜『しょぼーん』
少年「嫌いじゃないけど、大きい犬は怖い」
竜『俺は怖くなくて犬は怖いのかあ、なんだか悔しいな』
少年「犬は吼えるし噛むじゃないか、ポチはそんなことないから怖くない」
竜『がおおおー、がぶっ』カプッ
少年「おおこれが甘噛みか、なんかうれしい」
竜「はむはむ」
少年「あ、涎でべた付くので止めて下さい」
竜『しょぼーん』
273: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:21:20.98 ID:2qXjT4a30
少年「ふう、そろそろ帰るか」
竜『もう? さみしいなあ』
少年「明日は学校休みだからすぐ来れるよ」
竜『ほんと? 楽しみ楽しみ』
少年「じゃあまた明日な」
竜『あ、ぬいぐるみは置いてってね』
少年「ああはい、結局これなんだったんだ?」
竜『気にするな!』
少年「腑に落ちない。じゃな」
竜『ばいばーい』
竜『もう? さみしいなあ』
少年「明日は学校休みだからすぐ来れるよ」
竜『ほんと? 楽しみ楽しみ』
少年「じゃあまた明日な」
竜『あ、ぬいぐるみは置いてってね』
少年「ああはい、結局これなんだったんだ?」
竜『気にするな!』
少年「腑に落ちない。じゃな」
竜『ばいばーい』
274: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:23:33.31 ID:2qXjT4a30
竜『……よしよし匂いは』シュルシュル
竜『ムッハー! いいねいいねこれはイイ! なんて芳しい香り最高だ!』
竜『はぁはぁはぁ……駄目だ自らの劣情を抑えられそうにない、それくらいヤバい』
竜『うう、しょうねん……こんなぬいぐるみじゃなくて本物の君が欲しいよ……むちゃくちゃにしたいよ……』ギュッ
竜『…でもこんな気持ち悪い俺を知られて嫌われたくないよお……』ギュウウウ…
竜『ムッハー! いいねいいねこれはイイ! なんて芳しい香り最高だ!』
竜『はぁはぁはぁ……駄目だ自らの劣情を抑えられそうにない、それくらいヤバい』
竜『うう、しょうねん……こんなぬいぐるみじゃなくて本物の君が欲しいよ……むちゃくちゃにしたいよ……』ギュッ
竜『…でもこんな気持ち悪い俺を知られて嫌われたくないよお……』ギュウウウ…
275: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:26:13.14 ID:2qXjT4a30
男2「…………」パタン
男2「ふう、やってみると案外簡単だったな。尾行」
男2「それ相応の準備はしてある、行くしかないな」
男2「鬼が出るか蛇が出るか、それとも本当に…」
男2「……あーいい加減買い換えるか、便利らしいし」
男2「ふう、やってみると案外簡単だったな。尾行」
男2「それ相応の準備はしてある、行くしかないな」
男2「鬼が出るか蛇が出るか、それとも本当に…」
男2「……あーいい加減買い換えるか、便利らしいし」
276: ◆yJ9Y64R876 2013/10/18(金) 23:29:20.32 ID:2qXjT4a30
少年「ただいま、戻りました」
弟「あいつらなら今日いないよ、仕事長引いてるって」
少年「あ、そうなのか。それはよかった」
弟「兄さん明日暇? ちょっと付き合って欲しいんだけど」
少年「明日は…ちょっと予定が入ってるな。どうした?」
弟「いんや、大したことじゃないよ。うんわかった」
少年「ごめんな。あ、そうだご飯どうする? コンビニで弁当でも買ってく?」
弟「鍋の中見て」
少年「? わあこれ何口?」
弟「甘口、じゃないと兄さん食えないだろ」
少年「ば、バカにするな! 牛乳と一緒なら食える! でもありがとう」
弟「うん、食べるならさっさと食べよう」
少年「あ、じゃあ僕が皿だすから待ってて」
弟「はいはい」
少年「…………」プルプル
弟「素直に椅子使えよ」
弟「あいつらなら今日いないよ、仕事長引いてるって」
少年「あ、そうなのか。それはよかった」
弟「兄さん明日暇? ちょっと付き合って欲しいんだけど」
少年「明日は…ちょっと予定が入ってるな。どうした?」
弟「いんや、大したことじゃないよ。うんわかった」
少年「ごめんな。あ、そうだご飯どうする? コンビニで弁当でも買ってく?」
弟「鍋の中見て」
少年「? わあこれ何口?」
弟「甘口、じゃないと兄さん食えないだろ」
少年「ば、バカにするな! 牛乳と一緒なら食える! でもありがとう」
弟「うん、食べるならさっさと食べよう」
少年「あ、じゃあ僕が皿だすから待ってて」
弟「はいはい」
少年「…………」プルプル
弟「素直に椅子使えよ」
279: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 00:58:17.16 ID:vRxL7zLj0
―次の日―
少年「今日は何を買って行ってやろう。ポチ辛いのとか大丈夫だろうか」ズルズル
少年「……なんか重いな。あ、借りてた図鑑入れっぱなしだった、まあ今更置いてくるのもめんどうだしいいや」
少年「にしても今夜が楽しみだ」
少年「今日は何を買って行ってやろう。ポチ辛いのとか大丈夫だろうか」ズルズル
少年「……なんか重いな。あ、借りてた図鑑入れっぱなしだった、まあ今更置いてくるのもめんどうだしいいや」
少年「にしても今夜が楽しみだ」
280: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:00:19.03 ID:vRxL7zLj0
男2「さむ……、さすがに少し早すぎたか」
男2「ここだな、まったくなんでこんな場所に。ホームレスか?」
男2「ええと機械の調子は良好、問題なく録れるはず」
男2「よし行くか」
男2「ここだな、まったくなんでこんな場所に。ホームレスか?」
男2「ええと機械の調子は良好、問題なく録れるはず」
男2「よし行くか」
281: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:02:21.19 ID:vRxL7zLj0
少年「ぐっどもーにんぐ! ポチっ」バーン!
竜『…いい朝だね少年』
少年「……?」キョトン
竜『どうかした少年?』
少年「何かイヤなことでもあった?」
竜『どうしてそう思うの?』
少年「うーんなんでだろ、第六感?」
竜『それはまた根拠に乏しいなあ、別に何もなかったよ』
少年「そう? それならいいんだけどさ。にしても今日は一段と寒いな、ポチ全裸でよく耐えられるね」
竜『まるで俺が変 みたいな言い方はやめてよ』
竜『…いい朝だね少年』
少年「……?」キョトン
竜『どうかした少年?』
少年「何かイヤなことでもあった?」
竜『どうしてそう思うの?』
少年「うーんなんでだろ、第六感?」
竜『それはまた根拠に乏しいなあ、別に何もなかったよ』
少年「そう? それならいいんだけどさ。にしても今日は一段と寒いな、ポチ全裸でよく耐えられるね」
竜『まるで俺が変 みたいな言い方はやめてよ』
282: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:04:32.11 ID:vRxL7zLj0
男2「……誰も居ないな」
男2「(残るはこの上だけか、恐らくあの場所に繋がっているはず)」
男2「(……階段に最近人が通った跡がある、埃がここだけない。足跡も多種多様だ。つまりあいつらもここに来たってわけだ)」
男2「(階段を上りきった先、重そうな扉の横の壁が崩れている。暗くて中はよく見えないが)」
男2「(そして崩れた壁の手前には大勢が倒れたような跡が見える。これは一体?)」
男2「(まあ今はその疑問は今は置いておこう)……よし、開けるか」ギィィ・・・
男2「(残るはこの上だけか、恐らくあの場所に繋がっているはず)」
男2「(……階段に最近人が通った跡がある、埃がここだけない。足跡も多種多様だ。つまりあいつらもここに来たってわけだ)」
男2「(階段を上りきった先、重そうな扉の横の壁が崩れている。暗くて中はよく見えないが)」
男2「(そして崩れた壁の手前には大勢が倒れたような跡が見える。これは一体?)」
男2「(まあ今はその疑問は今は置いておこう)……よし、開けるか」ギィィ・・・
283: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:06:52.09 ID:vRxL7zLj0
竜『むぎゅー』ギュー
少年「ぐええ…ちょ、締めすぎしめすぎ、呼吸できん」バタバタ
竜『…………』ギュウウウゥ
少年「ポチ、どうした? 何かヘンだぞ」
竜『……少年』
少年「ん?」
竜『…………』ブルブル
少年「(震えてる?)」
竜『ごめん余りにも今日寒くてさ、思わず力入りすぎちゃった痛かった?』
少年「いやそこまでではなかったけどさ」
竜『はあ、やっぱりこの状態が落ち着くなあ』
少年「あのさポチ」
少年「ぐええ…ちょ、締めすぎしめすぎ、呼吸できん」バタバタ
竜『…………』ギュウウウゥ
少年「ポチ、どうした? 何かヘンだぞ」
竜『……少年』
少年「ん?」
竜『…………』ブルブル
少年「(震えてる?)」
竜『ごめん余りにも今日寒くてさ、思わず力入りすぎちゃった痛かった?』
少年「いやそこまでではなかったけどさ」
竜『はあ、やっぱりこの状態が落ち着くなあ』
少年「あのさポチ」
284: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:09:09.82 ID:vRxL7zLj0
男2「……誰もいない? ここじゃなかったのか?」
男2「! あれは竜のぬいぐるみ……? ぐおっ」ドサッ
男2「(何だ、全身が痺れる様な……くそっ体がほとんど動かねえ)」ググッ
竜「…………」
男2「(誰か、いや何かがここにいる。だが姿がどこにも見えない……?)」
竜「…………」ノシッ
男2「ぐあ……(首が圧迫されて呼吸出来ねえ!)」
竜「…………」
男2「(やば、し、ぬ……?)」
男2「! あれは竜のぬいぐるみ……? ぐおっ」ドサッ
男2「(何だ、全身が痺れる様な……くそっ体がほとんど動かねえ)」ググッ
竜「…………」
男2「(誰か、いや何かがここにいる。だが姿がどこにも見えない……?)」
竜「…………」ノシッ
男2「ぐあ……(首が圧迫されて呼吸出来ねえ!)」
竜「…………」
男2「(やば、し、ぬ……?)」
285: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:11:00.27 ID:vRxL7zLj0
竜『うん?』
少年「……えーと、あ、今日も食べ物持ってきてやったぞ」
竜『ほんと? わあいありがとー』
少年「ほら、これカラアゲ激辛味」
竜『おいしそーいただきまーす』
少年「あ、そんな一気に食べたら」
竜『ぐえっほ! げほげほ! 辛っ! しぬっ』
少年「言わんこっちゃない、はい口あけて」
竜『え?』
少年「牛乳投入ー」ジャバー
竜『がぼがぼ、ま、待って』
少年「遠慮せずたんと飲むのだー」ジャバババ
竜『ごぼぼぼ…やめ、やめろ!』バシッ!
少年「あ」ベチャッ
竜『あ』
少年「……えーと、あ、今日も食べ物持ってきてやったぞ」
竜『ほんと? わあいありがとー』
少年「ほら、これカラアゲ激辛味」
竜『おいしそーいただきまーす』
少年「あ、そんな一気に食べたら」
竜『ぐえっほ! げほげほ! 辛っ! しぬっ』
少年「言わんこっちゃない、はい口あけて」
竜『え?』
少年「牛乳投入ー」ジャバー
竜『がぼがぼ、ま、待って』
少年「遠慮せずたんと飲むのだー」ジャバババ
竜『ごぼぼぼ…やめ、やめろ!』バシッ!
少年「あ」ベチャッ
竜『あ』
286: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:13:01.73 ID:vRxL7zLj0
竜『…………』スッ
男2「げほげほ! はあ、はあ…(? 首が解放された……? でもやっぱり体が動か)」
竜「…………」グチッ
男2「かふ…」ベチャッ
竜「(……もういい。このまま喉を噛み千切ろう)」ググッ
男2「う、あ……」ピンッ
竜「(? まずい!)」
ピカッ
男2「げほげほ! はあ、はあ…(? 首が解放された……? でもやっぱり体が動か)」
竜「…………」グチッ
男2「かふ…」ベチャッ
竜「(……もういい。このまま喉を噛み千切ろう)」ググッ
男2「う、あ……」ピンッ
竜「(? まずい!)」
ピカッ
287: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:15:37.61 ID:vRxL7zLj0
竜『少年が白濁まみれだ……』
少年「うう、冷たいしにちゃにちゃして気持ち悪……あ、でもこの牛乳甘い」ペロッ
竜『…………』ブバッ
少年「ぽ、ポチ鼻血ものすごい勢いで出てる! 大丈夫か!?」
竜『馬鹿な……興奮して鼻血が吹き出るなんて創作の世界だけの話じゃなかったのか……?』ブシャアアア
少年「てぃ、ティッシュ! ほら早く詰めて!」
竜『駄目だよ少年、ティッシュを詰めちゃうと血管の多いキーゼルバッハ部位を傷つけちゃうからこういうときは圧迫止血を施さないと』プシャアアァ
少年「そんなこと言ってる場合だろうか!?」
竜『顔を上に向けたり首の後ろを叩くのもダメだよ、余談だけどチョコレートと鼻血の関係性も科学的根拠に乏しく……』ダラダラ
少年「その話今する必要無いよな!? なあ!?」
竜『衣服をゆるませ、姿勢は壁にもたれかけさせ……あ、何か眩暈してきた』クラッ
少年「ええい無理やり詰めてやる!」ズボッ
竜『ふがっ』
少年「うう、冷たいしにちゃにちゃして気持ち悪……あ、でもこの牛乳甘い」ペロッ
竜『…………』ブバッ
少年「ぽ、ポチ鼻血ものすごい勢いで出てる! 大丈夫か!?」
竜『馬鹿な……興奮して鼻血が吹き出るなんて創作の世界だけの話じゃなかったのか……?』ブシャアアア
少年「てぃ、ティッシュ! ほら早く詰めて!」
竜『駄目だよ少年、ティッシュを詰めちゃうと血管の多いキーゼルバッハ部位を傷つけちゃうからこういうときは圧迫止血を施さないと』プシャアアァ
少年「そんなこと言ってる場合だろうか!?」
竜『顔を上に向けたり首の後ろを叩くのもダメだよ、余談だけどチョコレートと鼻血の関係性も科学的根拠に乏しく……』ダラダラ
少年「その話今する必要無いよな!? なあ!?」
竜『衣服をゆるませ、姿勢は壁にもたれかけさせ……あ、何か眩暈してきた』クラッ
少年「ええい無理やり詰めてやる!」ズボッ
竜『ふがっ』
288: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:17:53.15 ID:vRxL7zLj0
男2「(影が……あれは、やはり…!)」
竜『(なんでこんな子供が閃光弾なんて持ち歩いているんだ!? だめだ、目を封じられたら毒の視線が使えない!)』
男2「(体が動く! 今の内に)にげっ」ブシャアアア
男2「くそっ…(血が足りねえ)」クラッ、フラフラ…
竜『(だが臭いで辿れば)』シュルシュル
男2「(たのむ、効いてくれ!)」カチッ
竜『(拳銃? そんなもので)』
プシュッ
竜「…………へっくしゅ」
竜『(なんでこんな子供が閃光弾なんて持ち歩いているんだ!? だめだ、目を封じられたら毒の視線が使えない!)』
男2「(体が動く! 今の内に)にげっ」ブシャアアア
男2「くそっ…(血が足りねえ)」クラッ、フラフラ…
竜『(だが臭いで辿れば)』シュルシュル
男2「(たのむ、効いてくれ!)」カチッ
竜『(拳銃? そんなもので)』
プシュッ
竜「…………へっくしゅ」
289: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:20:00.78 ID:vRxL7zLj0
少年「へ、へっくしょん! うぅ」
竜『あちゃあ、もしかして風邪引いちゃった?』
少年「ポチのせいでなっ! ここ来るたびに服が悲惨な目に合う気がする」
竜『ざまあみやがれ! 衣服なんてこの世から消え失せてしまえ!』
少年「予備持ってきててよかった」ゴソゴソ
竜『ええー脱がせるまでの過程が面倒だからやめてよー』
少年「ポチもしかして全部わざとやってた?」
竜『俺がわざとやるならそんな回りくどいことせずにここに来た瞬間破り捨ててるよ』
少年「なんかそこまで潔いと尊敬しそうになる」
竜『ふふん』
竜『あちゃあ、もしかして風邪引いちゃった?』
少年「ポチのせいでなっ! ここ来るたびに服が悲惨な目に合う気がする」
竜『ざまあみやがれ! 衣服なんてこの世から消え失せてしまえ!』
少年「予備持ってきててよかった」ゴソゴソ
竜『ええー脱がせるまでの過程が面倒だからやめてよー』
少年「ポチもしかして全部わざとやってた?」
竜『俺がわざとやるならそんな回りくどいことせずにここに来た瞬間破り捨ててるよ』
少年「なんかそこまで潔いと尊敬しそうになる」
竜『ふふん』
290: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:22:05.84 ID:vRxL7zLj0
竜「へ、へっくしょん! (やられた! 今はあんな形状の催涙スプレーがあるのか!)」
男2「う、おおおおお」ダダダッゴロゴロ
竜『(音の方向から察するに前空けた穴の方に逃げられたみたいだ、今から追っても間に合わない)』
竜『……くそっ!!』ドガッ!
男2「う、おおおおお」ダダダッゴロゴロ
竜『(音の方向から察するに前空けた穴の方に逃げられたみたいだ、今から追っても間に合わない)』
竜『……くそっ!!』ドガッ!
291: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:24:01.39 ID:vRxL7zLj0
男2「ハァハァ…(だめだ、もう意識を保つのが限界だ)」ズル…
男2「……うご、け(無理だ)」バタン
男2「…………(女……)」
男2「……うご、け(無理だ)」バタン
男2「…………(女……)」
292: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:25:59.69 ID:vRxL7zLj0
竜『血、少年が来る前に片付けないと。仕方ない水で洗い流そう』ダバー
竜『そんでもって火炎放射を最小限にして乾かそう』ボウウ…
竜『…………(もし)』
竜『(取り逃がしたアレ、恐らく少年を利用して俺のことを嗅ぎまわっている人間がここの存在を外に広めてしまったら、いや信じるわけがない)』
竜『(見えない怪物に襲われたなんてまともな人間は世迷言としか思わないはず。血だって洗い流した、試薬でも使われなければこの部屋で血痕は見つからないはず)』
竜『(でももし信じる酔狂な人間がいたら? 俺の存在が白日の下に曝け出されてしまったら、俺はもうここにはいられない)』
竜『(そしたら少年にも……もう会えない?)』
竜『……ぅぁぁぁぁぁぁ(こわいこわいいやだいやだいやだいやだ)』ガタガタガタガタガタガタ
竜『(俺の居場所がまた奪われる、なんでみんな俺から奪うんだ、俺はただ平穏に暮らしたいだけなのになんでなんでなんで)』
竜『そんでもって火炎放射を最小限にして乾かそう』ボウウ…
竜『…………(もし)』
竜『(取り逃がしたアレ、恐らく少年を利用して俺のことを嗅ぎまわっている人間がここの存在を外に広めてしまったら、いや信じるわけがない)』
竜『(見えない怪物に襲われたなんてまともな人間は世迷言としか思わないはず。血だって洗い流した、試薬でも使われなければこの部屋で血痕は見つからないはず)』
竜『(でももし信じる酔狂な人間がいたら? 俺の存在が白日の下に曝け出されてしまったら、俺はもうここにはいられない)』
竜『(そしたら少年にも……もう会えない?)』
竜『……ぅぁぁぁぁぁぁ(こわいこわいいやだいやだいやだいやだ)』ガタガタガタガタガタガタ
竜『(俺の居場所がまた奪われる、なんでみんな俺から奪うんだ、俺はただ平穏に暮らしたいだけなのになんでなんでなんで)』
293: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:28:00.66 ID:vRxL7zLj0
竜『(少年に会いたい、ただ逢いたい。逢って彼と話したい、彼に触れたい、匂いを嗅ぎたい、啼かせたい、なにより必要とされたい)』
竜『早く来てよ…!』
少年「ぐっどもーにんぐ! ポチっ」バーン!
竜『…いい朝だね少年(嗚呼、君と共に過ごせるなんて本当に素晴らしい朝だ。愛してる)』
竜『早く来てよ…!』
少年「ぐっどもーにんぐ! ポチっ」バーン!
竜『…いい朝だね少年(嗚呼、君と共に過ごせるなんて本当に素晴らしい朝だ。愛してる)』
294: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:29:48.01 ID:vRxL7zLj0
少年「筋トレをしようと思う」
竜『突然どうしたの?』
少年「僕実は運動苦手でさ」
竜『だろうね』
少年「だろうねって君……まあそういうわけでまずは体力から鍛えようかと思う」
竜『いい心がけだね、具体的には何するの?』
少年「んー走ったり腕立てしたり、腹筋したり?」
竜『曖昧だなあ、どのくらいできるかやってみてよ』
少年「え、ここで?」
竜『はい、じゃあ腕立てからスタート』
少年「ふんっ……ッ…」プルプル
竜『おおっと、少年選手この様子ではまさか1度も腕立てすることなくリタイアかー? え、待って少年本当に貧弱すぎない? 病気?』
少年「失礼な…あ、無理だ」バタン
竜『…………』
少年「違うねん、なんかここ床傾いてんねん、僕のせいじゃないねん」
竜『そうだね少年…』
少年「慈しむような目はやめてくれ!」
竜『突然どうしたの?』
少年「僕実は運動苦手でさ」
竜『だろうね』
少年「だろうねって君……まあそういうわけでまずは体力から鍛えようかと思う」
竜『いい心がけだね、具体的には何するの?』
少年「んー走ったり腕立てしたり、腹筋したり?」
竜『曖昧だなあ、どのくらいできるかやってみてよ』
少年「え、ここで?」
竜『はい、じゃあ腕立てからスタート』
少年「ふんっ……ッ…」プルプル
竜『おおっと、少年選手この様子ではまさか1度も腕立てすることなくリタイアかー? え、待って少年本当に貧弱すぎない? 病気?』
少年「失礼な…あ、無理だ」バタン
竜『…………』
少年「違うねん、なんかここ床傾いてんねん、僕のせいじゃないねん」
竜『そうだね少年…』
少年「慈しむような目はやめてくれ!」
295: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:31:55.01 ID:vRxL7zLj0
竜『次腹筋、はい足押さえとくね』
少年「あ、ありがとう。じゃあいくぞ、ふんっ」プルプル
竜『うーん、こちらもある意味目を見張るものがあるなあ』
少年「くうっ……何故届かない…?」
竜『がんばれがんばれ』
少年「う、おおお」グイッ
竜『おお、これでやっと一回だね』
少年「よし、じゃあ休憩しよう」
竜『甘ったれるな』
少年「ポチスパルタだなあ」
竜『ラケダイモーンに失礼だ、ほらもう一回』
少年「とおっ…と、届いたっ」
竜『その調子その調子』
少年「あ、ありがとう。じゃあいくぞ、ふんっ」プルプル
竜『うーん、こちらもある意味目を見張るものがあるなあ』
少年「くうっ……何故届かない…?」
竜『がんばれがんばれ』
少年「う、おおお」グイッ
竜『おお、これでやっと一回だね』
少年「よし、じゃあ休憩しよう」
竜『甘ったれるな』
少年「ポチスパルタだなあ」
竜『ラケダイモーンに失礼だ、ほらもう一回』
少年「とおっ…と、届いたっ」
竜『その調子その調子』
296: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:33:54.03 ID:vRxL7zLj0
少年「ふんっ…ふぅっ…はあ、はあ」
竜『(荒い息遣いと滲む汗の匂いがなんとも扇情的)』シュルシュル
少年「! ポチそれヤコ…なんたら器官?」
竜『(荒い息遣いと滲む汗の匂いがなんとも扇情的)』シュルシュル
少年「! ポチそれヤコ…なんたら器官?」
297: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:35:53.92 ID:vRxL7zLj0
竜『うん、ヤコブソン器官(に近いもの)だよ。よく知ってるね』
少年「ウソつき!」
竜『え、何が?』
少年「ポチ竜じゃなくてヘビだったんじゃん! 騙された! 僕の夢を返せ!」
竜『嘘じゃないよ、俺は竜だよ。確かに蛇の能力も持ってるけど』
少年「……そうなのか?」
竜『うん、ピット器官とかもあるよ(本物のとは似ても似つかないけど)』
少年「ウソつきって言ってごめん、ポチウソついてなかった」
竜『誤解が解けたようで何より』
少年「でもそのシュルシュルするのダサいからやめた方がいいと思う」
竜『だ、ダサい…』
少年「ポチ顔かっこいいのにもったいない」
竜『顔かっこいい? 怖いじゃなくて? え、ほんと?』
少年「……間違えた」
竜『間違えたってどういう意味でさ』
少年「ウソつき!」
竜『え、何が?』
少年「ポチ竜じゃなくてヘビだったんじゃん! 騙された! 僕の夢を返せ!」
竜『嘘じゃないよ、俺は竜だよ。確かに蛇の能力も持ってるけど』
少年「……そうなのか?」
竜『うん、ピット器官とかもあるよ(本物のとは似ても似つかないけど)』
少年「ウソつきって言ってごめん、ポチウソついてなかった」
竜『誤解が解けたようで何より』
少年「でもそのシュルシュルするのダサいからやめた方がいいと思う」
竜『だ、ダサい…』
少年「ポチ顔かっこいいのにもったいない」
竜『顔かっこいい? 怖いじゃなくて? え、ほんと?』
少年「……間違えた」
竜『間違えたってどういう意味でさ』
298: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:38:08.70 ID:vRxL7zLj0
少年「ふいぃ…疲れた」
竜『お疲れ様、と言える運動量ではない気もするけど』
少年「結果より努力する過程を尊重してもらいたい」
竜『本人が言ったら駄目でしょ…少年汗拭かないと風邪引くよ?』
少年「おお、そうだな。タオル、たおる」フキフキ
竜『…………』
少年「ふう、こんなもんでいいだろ」
竜『少年そのタオル俺に頂戴』
少年「えっ、それならこっちの新しい方やるけど」
竜『それじゃ意味がないだろ! 馬鹿か君は!?』
少年「でもポチ汗かかないじゃん、何に使うの?」
竜『HSHSするんだよ』
少年「はすはす?」
竜『うん、高貴な紳士の嗜みだよ』
少年「へえ、僕もやってみたい。やり方教えて」
竜『えっ何その新しいxxx』
竜『お疲れ様、と言える運動量ではない気もするけど』
少年「結果より努力する過程を尊重してもらいたい」
竜『本人が言ったら駄目でしょ…少年汗拭かないと風邪引くよ?』
少年「おお、そうだな。タオル、たおる」フキフキ
竜『…………』
少年「ふう、こんなもんでいいだろ」
竜『少年そのタオル俺に頂戴』
少年「えっ、それならこっちの新しい方やるけど」
竜『それじゃ意味がないだろ! 馬鹿か君は!?』
少年「でもポチ汗かかないじゃん、何に使うの?」
竜『HSHSするんだよ』
少年「はすはす?」
竜『うん、高貴な紳士の嗜みだよ』
少年「へえ、僕もやってみたい。やり方教えて」
竜『えっ何その新しいxxx』
299: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:40:09.11 ID:vRxL7zLj0
竜『少年今日はいつまでここにいるの?』
少年「結局はすはすって何か教えてくれなかった」
竜『少年には純粋でいて欲しいから…ていうかそんなに拗ねないで襲いたくなるだろ?』
少年「拗ねただけで攻撃されるとは…ちなみに今日僕帰らないよ」
竜『えっ、少年も俺と同じホームレス仲間入り? Welcome to Underground』
少年「違う、自分の意思でだ。ほらこれ寝袋」ゴソゴソ
竜『こんなもんいらん!』スポーン
少年「何故投げ飛ばしたし!?」
竜『そんなものなくても俺が君の寝袋になってあげるよ』
少年「そっか! じゃあわざわざ持ってこなくて良かったなー」
竜『お、おう』
少年「結局はすはすって何か教えてくれなかった」
竜『少年には純粋でいて欲しいから…ていうかそんなに拗ねないで襲いたくなるだろ?』
少年「拗ねただけで攻撃されるとは…ちなみに今日僕帰らないよ」
竜『えっ、少年も俺と同じホームレス仲間入り? Welcome to Underground』
少年「違う、自分の意思でだ。ほらこれ寝袋」ゴソゴソ
竜『こんなもんいらん!』スポーン
少年「何故投げ飛ばしたし!?」
竜『そんなものなくても俺が君の寝袋になってあげるよ』
少年「そっか! じゃあわざわざ持ってこなくて良かったなー」
竜『お、おう』
300: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:41:28.38 ID:vRxL7zLj0
少年「あ!」
竜『どうしたの』
少年「ポチ僕のドーナツ食べたろ!」
竜『え? 食べてないよ』
少年「ウソをつくなっ、ほら真ん中に穴が空いてるじゃないかなんて卑しい食べ方をするんだ」
竜『それは元からそういう仕様なんじゃないかなあ』
少年「まあ冗談はさておきなんでドーナツって穴が空いてるんだろう?」
竜『答えを言うのは簡単だけど是非君の答えが聞きたいな』
少年「うーん……腕につけてファッションアイテムにするとか。お腹が空いたらいつでも食べられる! これは便利!」
竜『そこまで腕の細い人間って限られると思うけどなあ』
少年「あっ、そっか。じゃあ指輪か」
竜『うーんそれだと指の体積が足りないよ』
竜『どうしたの』
少年「ポチ僕のドーナツ食べたろ!」
竜『え? 食べてないよ』
少年「ウソをつくなっ、ほら真ん中に穴が空いてるじゃないかなんて卑しい食べ方をするんだ」
竜『それは元からそういう仕様なんじゃないかなあ』
少年「まあ冗談はさておきなんでドーナツって穴が空いてるんだろう?」
竜『答えを言うのは簡単だけど是非君の答えが聞きたいな』
少年「うーん……腕につけてファッションアイテムにするとか。お腹が空いたらいつでも食べられる! これは便利!」
竜『そこまで腕の細い人間って限られると思うけどなあ』
少年「あっ、そっか。じゃあ指輪か」
竜『うーんそれだと指の体積が足りないよ』
301: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:41:58.60 ID:vRxL7zLj0
♪ヘタレ
少年「じゃあどこにつければいいんだよ!?」
竜『まず食べ物を身に纏おうとする発想を捨てようよ。食物に失礼だ』
少年「えーでも某三角コーンの形状に似たスナック菓子は指にはめるじゃん」
竜『よくわからないけど多分それも間違ってるから即刻やめるべきだ』
少年「でも があったら みたくならない?」
竜『それはわかる、俺も君に みたいし』
少年「え? なにを」
竜『なにって だよ』
少年「A=Aで返されてもわからない」
竜『 んでいい?』
少年「それって痛い?」
竜『全力で優しくする』
少年「じゃあいいよ」
竜『え…………い、いいわけないだろ! 馬鹿言うんじゃありません! めっ!』
少年「怒られたーなんでー?」
少年「じゃあどこにつければいいんだよ!?」
竜『まず食べ物を身に纏おうとする発想を捨てようよ。食物に失礼だ』
少年「えーでも某三角コーンの形状に似たスナック菓子は指にはめるじゃん」
竜『よくわからないけど多分それも間違ってるから即刻やめるべきだ』
少年「でも があったら みたくならない?」
竜『それはわかる、俺も君に みたいし』
少年「え? なにを」
竜『なにって だよ』
少年「A=Aで返されてもわからない」
竜『 んでいい?』
少年「それって痛い?」
竜『全力で優しくする』
少年「じゃあいいよ」
竜『え…………い、いいわけないだろ! 馬鹿言うんじゃありません! めっ!』
少年「怒られたーなんでー?」
302: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:42:37.58 ID:vRxL7zLj0
少年「んーそうだいいこと考えた!」
竜『なあに?』
少年「思い出を残そうと思う」
竜『?』
少年「写メ撮っていい?」
竜『しゃめって何?』
少年「いやあ今までこの機能使う機会なんてなかったから緊張するなあ、はいチーズ」
竜『えっえっ? 乳製品がなんなのさ?』
少年「じゃあ1+1はー?」
竜『に、2?』
パシャリ
少年「よしどれどれ……あれ」
竜『ねえさっき何したのさ?』
少年「写真、撮ったんだけど。その」
竜『……あーそうかわかった。写ってないでしょ俺の姿』
少年「うん、何これ故障?」
竜『そんなピンポイントな故障ないと思うけどなあ』
竜『なあに?』
少年「思い出を残そうと思う」
竜『?』
少年「写メ撮っていい?」
竜『しゃめって何?』
少年「いやあ今までこの機能使う機会なんてなかったから緊張するなあ、はいチーズ」
竜『えっえっ? 乳製品がなんなのさ?』
少年「じゃあ1+1はー?」
竜『に、2?』
パシャリ
少年「よしどれどれ……あれ」
竜『ねえさっき何したのさ?』
少年「写真、撮ったんだけど。その」
竜『……あーそうかわかった。写ってないでしょ俺の姿』
少年「うん、何これ故障?」
竜『そんなピンポイントな故障ないと思うけどなあ』
303: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:43:05.12 ID:vRxL7zLj0
少年「じゃあなんで? ……はっ!? もしや君実は竜の幽霊だったのか!?」
竜『幽霊の割にはベタベタ触ってたはずだけど』
少年「……新種の幽霊とか?」
竜『そんなに俺が生きてるのが不思議か君は』
少年「じゃあなんで写らないんだよ、わけわからん」
竜『うーんそういう体質なんだ俺』
少年「へーそんな体質あるんだ、知らなかった。どんまい」
竜『うん、ありがとう』
少年「でも困った、これじゃ写真撮れない」
竜『どうして人間はそうやって思い出を形にするの? そんなことしなくても必要なら頭の中にあるんだから思い出せばいいだけじゃないか』
少年「確かに」
竜『幽霊の割にはベタベタ触ってたはずだけど』
少年「……新種の幽霊とか?」
竜『そんなに俺が生きてるのが不思議か君は』
少年「じゃあなんで写らないんだよ、わけわからん」
竜『うーんそういう体質なんだ俺』
少年「へーそんな体質あるんだ、知らなかった。どんまい」
竜『うん、ありがとう』
少年「でも困った、これじゃ写真撮れない」
竜『どうして人間はそうやって思い出を形にするの? そんなことしなくても必要なら頭の中にあるんだから思い出せばいいだけじゃないか』
少年「確かに」
304: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:44:20.32 ID:vRxL7zLj0
竜『だからそんなもの撮らなくてもいいだろ?』
少年「……でもほら、直接会えないときでも好きなひとの姿がいつでもどこでも見られたら何か幸せじゃん」
竜『…ほーなるほどなるほど。じゃあ俺も君の写真欲しいな』
少年「えっ、それは何だか恥ずかしい」
竜『好きな人の姿がいつでもどこでも見られたら俺は幸せなんだけどなあ』
少年「ぐぬぬ…僕だって君の写真欲しいのに……」
竜『それはゴメン』
少年「じゃ、じゃあ今度家にあるの持ってくるよ」
竜『出来るだけいっぱいよろしく』
少年「えー……」
少年「……でもほら、直接会えないときでも好きなひとの姿がいつでもどこでも見られたら何か幸せじゃん」
竜『…ほーなるほどなるほど。じゃあ俺も君の写真欲しいな』
少年「えっ、それは何だか恥ずかしい」
竜『好きな人の姿がいつでもどこでも見られたら俺は幸せなんだけどなあ』
少年「ぐぬぬ…僕だって君の写真欲しいのに……」
竜『それはゴメン』
少年「じゃ、じゃあ今度家にあるの持ってくるよ」
竜『出来るだけいっぱいよろしく』
少年「えー……」
305: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:45:03.08 ID:vRxL7zLj0
竜『少年髪長くなって来たんじゃない?』
少年「えっそうかな?」
竜『ほら髪が目にかかってる』ファサ
少年「ポチはいいよな、髪の毛なくて」
竜『遠回しにハゲ呼ばわりするのはやめてよ』
少年「んーめんどくさいけどそろそろ切るかなー」
竜『俺は髪長い方が好きだからちょっと残念だな』
少年「長い方が好きなの?」
竜『うん、まあ俺の勝手な好みだけど』
少年「えっそうかな?」
竜『ほら髪が目にかかってる』ファサ
少年「ポチはいいよな、髪の毛なくて」
竜『遠回しにハゲ呼ばわりするのはやめてよ』
少年「んーめんどくさいけどそろそろ切るかなー」
竜『俺は髪長い方が好きだからちょっと残念だな』
少年「長い方が好きなの?」
竜『うん、まあ俺の勝手な好みだけど』
306: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:45:39.15 ID:vRxL7zLj0
少年「……やっぱ切るのやめた」
竜『え? でも髪目に入って痛くない?』
少年「いいよこうするから」ゴソゴソ
竜『……何それ』
少年「ヘアピン、恥ずかしいから人前では付けてないんだけど」
竜『……うぉぉ、なんだこの心の底から沸き上がる感情は!?』
少年「あーとやっぱり、ヘン?」
竜『ううんいい! すごくいいよ! もうずっと付けてるべきだ!』
少年「そ、そうかな。…なんかポチに言われると嬉しい、えへへ」テレッ
竜『うわあなんだなんなんだこの気持ち! 誰かこの感情の名を教えてくれ!』
竜『え? でも髪目に入って痛くない?』
少年「いいよこうするから」ゴソゴソ
竜『……何それ』
少年「ヘアピン、恥ずかしいから人前では付けてないんだけど」
竜『……うぉぉ、なんだこの心の底から沸き上がる感情は!?』
少年「あーとやっぱり、ヘン?」
竜『ううんいい! すごくいいよ! もうずっと付けてるべきだ!』
少年「そ、そうかな。…なんかポチに言われると嬉しい、えへへ」テレッ
竜『うわあなんだなんなんだこの気持ち! 誰かこの感情の名を教えてくれ!』
307: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:46:15.64 ID:vRxL7zLj0
少年「よいしょよいしょ」ヨジヨジ
竜『突然許可もなしに背中をよじ登ってどうしたの?」
少年「まだだ、まだここは頂上じゃない」ヨジヨジ
竜『ちょ、首はくすぐったいよ』
少年「よっこいしょ、おお絶景なり」
竜『ちゃんと角につかまってないと危ないよ』
少年「大丈夫だいじょぶ、よしポチ走れ!」
竜『やだよめんどくさい、狭いし』
少年「ノリが悪いなあ、そんなこと言ったら写真あげないぞ」
竜『……もうしょうがないなあ』ダダダッ
少年「うわぁー落ちるぅぅごめもう少しゆっくりお願いしますううぅぅ」
竜『問題です、1~10で駐車場があります。車を止められないのは何番?』ダダダダッ
少年「うぇぇーわかんないよぉぉ」
竜『答えは9番、何故なら車は急(9)には止まれない。そう止まれない、もう誰も俺を止められないんだよ!』ダダダダダッ
少年「意味わかんねええええぇぇ誰か助けてえええぇ」
竜『突然許可もなしに背中をよじ登ってどうしたの?」
少年「まだだ、まだここは頂上じゃない」ヨジヨジ
竜『ちょ、首はくすぐったいよ』
少年「よっこいしょ、おお絶景なり」
竜『ちゃんと角につかまってないと危ないよ』
少年「大丈夫だいじょぶ、よしポチ走れ!」
竜『やだよめんどくさい、狭いし』
少年「ノリが悪いなあ、そんなこと言ったら写真あげないぞ」
竜『……もうしょうがないなあ』ダダダッ
少年「うわぁー落ちるぅぅごめもう少しゆっくりお願いしますううぅぅ」
竜『問題です、1~10で駐車場があります。車を止められないのは何番?』ダダダダッ
少年「うぇぇーわかんないよぉぉ」
竜『答えは9番、何故なら車は急(9)には止まれない。そう止まれない、もう誰も俺を止められないんだよ!』ダダダダダッ
少年「意味わかんねええええぇぇ誰か助けてえええぇ」
308: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:46:56.15 ID:vRxL7zLj0
少年「もう二度と乗らん」
竜『あ、なんか既視感だね』
少年「ポチってもしかしてS?」
竜『君に対してだけね』
少年「ひぃえええ」
竜『あ、なんか既視感だね』
少年「ポチってもしかしてS?」
竜『君に対してだけね』
少年「ひぃえええ」
309: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:47:37.25 ID:vRxL7zLj0
少年「なあそろそろぬいぐるみ出していい?」
竜『駄目に決まってるだろまったくもう!』
少年「これ何の意味があるんだろう……」
竜『俺だと思って大切に扱ってね』
少年「わかった、よーしよし君はかわいいなあ。おまけにふわふわしててえらい!」ナデナデ
竜『ちょっと』
少年「何?」ナデナデ
竜『俺も頭撫でてよ』
少年「え、だってポチほめられるようなことしてないじゃん」
竜『し、してるじゃん! さっきだって背中に乗せて走ってあげたよ?』
少年「あれでほめられると思ってるのか! 思い上がるな!」
竜『駄目に決まってるだろまったくもう!』
少年「これ何の意味があるんだろう……」
竜『俺だと思って大切に扱ってね』
少年「わかった、よーしよし君はかわいいなあ。おまけにふわふわしててえらい!」ナデナデ
竜『ちょっと』
少年「何?」ナデナデ
竜『俺も頭撫でてよ』
少年「え、だってポチほめられるようなことしてないじゃん」
竜『し、してるじゃん! さっきだって背中に乗せて走ってあげたよ?』
少年「あれでほめられると思ってるのか! 思い上がるな!」
310: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:48:08.34 ID:vRxL7zLj0
竜『……ほらいつも勉強教えてるし!』
少年「それは僕がいつも食べ物持ってきてるからお互い様」
竜『ぐぬぬ……助けたもん! 俺少年のこと助けたもん!』
少年「いつ?」
竜『そ、それは言えないけど……』
少年「…………」
竜『ううぅ……』
少年「…………」ナデナデ
竜『ふぁっ? えっ?』
少年「よくわからないけど君がそう言うならそうなんだと僕は思う、ありがとう」ナデナデ
竜『あ、やっぱり撫でられるより撫でる方がいいや』ナデナデナデナデ
少年「ひいっどうしてこうなった! どうしてこうなった!」
少年「それは僕がいつも食べ物持ってきてるからお互い様」
竜『ぐぬぬ……助けたもん! 俺少年のこと助けたもん!』
少年「いつ?」
竜『そ、それは言えないけど……』
少年「…………」
竜『ううぅ……』
少年「…………」ナデナデ
竜『ふぁっ? えっ?』
少年「よくわからないけど君がそう言うならそうなんだと僕は思う、ありがとう」ナデナデ
竜『あ、やっぱり撫でられるより撫でる方がいいや』ナデナデナデナデ
少年「ひいっどうしてこうなった! どうしてこうなった!」
311: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:48:40.44 ID:vRxL7zLj0
少年「勝ちたい」
竜『何に?』
少年「貴様だポチ!」ビシッ!
竜『お、俺?』
少年「何だか僕は君に負けてばかりな気がする! 何か1つでも優位に立ちたい!」
竜『うーん、少年無理なものはムリだよ』
少年「ムッカー! バカにするのも大概にしろ! 勝負だ!」
竜『いいけど何で勝負するの?』
少年「……運で勝てそうなもの……道具も使わないもの……」ブツブツ
竜『(運かよ)』
竜『何に?』
少年「貴様だポチ!」ビシッ!
竜『お、俺?』
少年「何だか僕は君に負けてばかりな気がする! 何か1つでも優位に立ちたい!」
竜『うーん、少年無理なものはムリだよ』
少年「ムッカー! バカにするのも大概にしろ! 勝負だ!」
竜『いいけど何で勝負するの?』
少年「……運で勝てそうなもの……道具も使わないもの……」ブツブツ
竜『(運かよ)』
312: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:49:32.79 ID:vRxL7zLj0
少年「……! あっちむいてほいで勝負だ!」
竜『(ああもう可愛いなあ)いいよ、それでいこう』
少年「よしじゃあ……ってポチチョキってできるの?」
竜『まあ気合いで、ほらっ』ゴワッ
少年「き、キモい! まあいい、いくぞ最初はぐーじゃんけん……」
竜「(ポチの場合チョキを出すのは難しそうだ、ということは出す確率が高いのはグーかパー。だからパーを出し続けていればいずれ勝てる!)」
少年・竜「『ポン!』」
少年《パー》
竜《チョキ》
少年「無理すんなよおおおぉぉ」バンッ
竜『な、何がだよ』ビクッ
竜『(ああもう可愛いなあ)いいよ、それでいこう』
少年「よしじゃあ……ってポチチョキってできるの?」
竜『まあ気合いで、ほらっ』ゴワッ
少年「き、キモい! まあいい、いくぞ最初はぐーじゃんけん……」
竜「(ポチの場合チョキを出すのは難しそうだ、ということは出す確率が高いのはグーかパー。だからパーを出し続けていればいずれ勝てる!)」
少年・竜「『ポン!』」
少年《パー》
竜《チョキ》
少年「無理すんなよおおおぉぉ」バンッ
竜『な、何がだよ』ビクッ
313: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:50:33.00 ID:vRxL7zLj0
少年「……まあいい、ほら、さっさとあっちむいてほいしろよ。僕が華麗にかわしてみせる(左……いや上だ! 根拠はないが!)」
竜『……少年今上向こうとしてない?』
少年「読心術とか卑怯だろもう!」バンバンッ
竜『使ってないよ、ただ少年上見すぎなんだよ。あと椅子バンバン叩くのやめて埃が飛翔する(上目遣いはあはあ)』
少年「……目を閉じれば読まれまい」スッ
竜『少年今一度よく考えるんだ、その戦法では相手が卑怯な手を使えば確実に負けてしまう』
少年「大丈夫、僕はポチのこと信じてる」
竜『……あっちむいて…』
少年「(まさかもう一度上とは思うまい!)」
竜『ほい(…とか考えてるんだろうなあ)』ピッ
竜『……少年今上向こうとしてない?』
少年「読心術とか卑怯だろもう!」バンバンッ
竜『使ってないよ、ただ少年上見すぎなんだよ。あと椅子バンバン叩くのやめて埃が飛翔する(上目遣いはあはあ)』
少年「……目を閉じれば読まれまい」スッ
竜『少年今一度よく考えるんだ、その戦法では相手が卑怯な手を使えば確実に負けてしまう』
少年「大丈夫、僕はポチのこと信じてる」
竜『……あっちむいて…』
少年「(まさかもう一度上とは思うまい!)」
竜『ほい(…とか考えてるんだろうなあ)』ピッ
314: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:51:14.70 ID:vRxL7zLj0
少年「……これで勝ったと思うなよ!」
竜『30回も連続で負けといてその台詞とは恐れ入ったよ、あっはっは』
少年「…………」ポカポカ
竜『無言で叩くのはよくないよ、手大丈夫?』
少年「僕今日のポチきらい」
竜『俺は毎日少年が大好きだけどなあ』
少年「…………」ポカポカ
竜『どうして叩くのかわけがわからないよ』
少年「僕もよくわからないけど叩かずにはいられないんだよ!」
竜『まあ少年にならいくら叩かれても俺は構わないけど』
少年「…………」ゲシゲシ
竜『蹴るのは行儀よくないよ』
竜『30回も連続で負けといてその台詞とは恐れ入ったよ、あっはっは』
少年「…………」ポカポカ
竜『無言で叩くのはよくないよ、手大丈夫?』
少年「僕今日のポチきらい」
竜『俺は毎日少年が大好きだけどなあ』
少年「…………」ポカポカ
竜『どうして叩くのかわけがわからないよ』
少年「僕もよくわからないけど叩かずにはいられないんだよ!」
竜『まあ少年にならいくら叩かれても俺は構わないけど』
少年「…………」ゲシゲシ
竜『蹴るのは行儀よくないよ』
315: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:52:00.42 ID:vRxL7zLj0
少年「疲れた……なんて無駄な体力を使ったんだ僕は」
竜『ほらもう休みな、俺の腕の中で』
少年「ん、そうする。おじゃましまーす」
竜『はい、いらっしゃ…』
PRRRR……
少年「あ、電話だ」
竜『…………』
少年「はい、もしもし……えっ君は?」
竜『…………(やっぱり生きてたか)』
少年「うん、うんわかった。今すぐいく」
少年「ポチごめん! ちょっとだけ出掛けてくる!」
竜『……そう、早く帰ってきてね』
少年「じゃ行ってくるっ」パタパタ…
竜『……次は殺す』ギリッ
竜『ほらもう休みな、俺の腕の中で』
少年「ん、そうする。おじゃましまーす」
竜『はい、いらっしゃ…』
PRRRR……
少年「あ、電話だ」
竜『…………』
少年「はい、もしもし……えっ君は?」
竜『…………(やっぱり生きてたか)』
少年「うん、うんわかった。今すぐいく」
少年「ポチごめん! ちょっとだけ出掛けてくる!」
竜『……そう、早く帰ってきてね』
少年「じゃ行ってくるっ」パタパタ…
竜『……次は殺す』ギリッ
316: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:52:59.46 ID:vRxL7zLj0
少年「男2!」バンッ
女「静かにして、ここは病院」
少年「あ、ごめん。それで男2は…?」
女「そこ。今は眠っている」
少年「容態はどうなんだ?」
女「一命はとりとめた、らしい」
少年「そうか……よかった」
女「……男2」
少年「どうして男2がこんな目に……」
女「きっと、私のせい」
少年「え?」
女「さよなら」パタン
少年「ちょ、ちょっと待ってよ……行っちゃった」
少年「どうして、こんなことに」
少年「……なんで」
女「静かにして、ここは病院」
少年「あ、ごめん。それで男2は…?」
女「そこ。今は眠っている」
少年「容態はどうなんだ?」
女「一命はとりとめた、らしい」
少年「そうか……よかった」
女「……男2」
少年「どうして男2がこんな目に……」
女「きっと、私のせい」
少年「え?」
女「さよなら」パタン
少年「ちょ、ちょっと待ってよ……行っちゃった」
少年「どうして、こんなことに」
少年「……なんで」
317: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:55:07.83 ID:vRxL7zLj0
少年「…………」トボトボ
竜『やあおかえり少年。元気ないね』
少年「……友達が大怪我したんだ」
竜『そうか、だから心配なんだね』
少年「……何だか、僕に関わった人がひどい目にあっている気がする」
竜『考えすぎだよ』
少年「そうなのかな、なんだか偶然には思えない…」
竜『大丈夫、少年は何も悪くないよ。君が思い詰める必要なんてない』
少年「うん……でも」
竜『やあおかえり少年。元気ないね』
少年「……友達が大怪我したんだ」
竜『そうか、だから心配なんだね』
少年「……何だか、僕に関わった人がひどい目にあっている気がする」
竜『考えすぎだよ』
少年「そうなのかな、なんだか偶然には思えない…」
竜『大丈夫、少年は何も悪くないよ。君が思い詰める必要なんてない』
少年「うん……でも」
318: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:56:08.69 ID:vRxL7zLj0
竜『でも?』
少年「生きてて……よかった…!」
竜『…………(俺が"や"ってしまったら少年は哀しみのあまり涙を流すんだろうか)』
竜『(少年が俺以外のために泣くのは)……嫌だな』
少年「え?」
竜『ほらほっぺたぐにー』グニィー
少年「いふぁいいふぁいてえはなして」バタバタ
竜『うん少年は笑ってる方が可愛いよ、だから笑って』
少年「え? こ、こう?」ニヘラ
竜『うん上手い上手い』
少年「まあポチよりはな」
竜『ひどいなー』
少年「あははは」
竜『(今はこれでいいんだ)』
少年「生きてて……よかった…!」
竜『…………(俺が"や"ってしまったら少年は哀しみのあまり涙を流すんだろうか)』
竜『(少年が俺以外のために泣くのは)……嫌だな』
少年「え?」
竜『ほらほっぺたぐにー』グニィー
少年「いふぁいいふぁいてえはなして」バタバタ
竜『うん少年は笑ってる方が可愛いよ、だから笑って』
少年「え? こ、こう?」ニヘラ
竜『うん上手い上手い』
少年「まあポチよりはな」
竜『ひどいなー』
少年「あははは」
竜『(今はこれでいいんだ)』
319: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:57:56.35 ID:vRxL7zLj0
少年「夜になりました」
竜『そうですね』
少年「今日は月も出てないから何も見えない、ポチよくこんなところで過ごせるな」
竜『俺には少年の姿がはっきり見えるけど』
少年「なんで?」
竜『ピット器官』
少年「ずるい、いいよ今日はちゃんと準備してきたから。ほらランタン」
竜『そうですね』
少年「今日は月も出てないから何も見えない、ポチよくこんなところで過ごせるな」
竜『俺には少年の姿がはっきり見えるけど』
少年「なんで?」
竜『ピット器官』
少年「ずるい、いいよ今日はちゃんと準備してきたから。ほらランタン」
320: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 01:59:43.30 ID:vRxL7zLj0
竜『おお、キャンドルランタンとはまた懐かしいものを。でも明るいねえ』
少年「なんか見てるだけで暖かくなるな」
竜『確かに、なんかこういうのもいいねえ。綺麗だ』
少年「なんかあれだな、ポチとふたりでキャンプしに来たみたい」
竜『少年はキャンプに行ったことがあるの?』
少年「ないよ、親がそういう"無駄"なことに時間を使うのは許してくれなかったから」
竜『自然の中で過ごす時間は今の時代の人間にとって貴重だと思うけどなあ』
少年「だよなあ、……だからさこういう時間を過ごせて少し嬉しい」
竜『バーベキューも森林浴も釣りも花火もキャンプファイアーもないのに?』
少年「確かにその点は非常に、非常に惜しまれるが! ……でもほら、ここにはポチがいるからさ」
竜『……少年はさ、俺のことどう思ってる?』
少年「え?」
少年「なんか見てるだけで暖かくなるな」
竜『確かに、なんかこういうのもいいねえ。綺麗だ』
少年「なんかあれだな、ポチとふたりでキャンプしに来たみたい」
竜『少年はキャンプに行ったことがあるの?』
少年「ないよ、親がそういう"無駄"なことに時間を使うのは許してくれなかったから」
竜『自然の中で過ごす時間は今の時代の人間にとって貴重だと思うけどなあ』
少年「だよなあ、……だからさこういう時間を過ごせて少し嬉しい」
竜『バーベキューも森林浴も釣りも花火もキャンプファイアーもないのに?』
少年「確かにその点は非常に、非常に惜しまれるが! ……でもほら、ここにはポチがいるからさ」
竜『……少年はさ、俺のことどう思ってる?』
少年「え?」
321: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 02:00:48.23 ID:vRxL7zLj0
竜『別に難しく考える必要はないよ、ただ率直に言ってくれればいい』
少年「僕がポチのことどう思っているのか?」
竜『そう』
少年「うーむ…………」
竜『はは、そんな悩まなくてもいいよ。別に友達でも都合のいい話し相手でも、勉強を教えてくれる便利な奴でも何でもいい。絶対に怒ったりしないから』
少年「うーん…………うーん」ムムム
竜『そんなに難しい問いかな?』
少年「……わからん!」
少年「僕がポチのことどう思っているのか?」
竜『そう』
少年「うーむ…………」
竜『はは、そんな悩まなくてもいいよ。別に友達でも都合のいい話し相手でも、勉強を教えてくれる便利な奴でも何でもいい。絶対に怒ったりしないから』
少年「うーん…………うーん」ムムム
竜『そんなに難しい問いかな?』
少年「……わからん!」
322: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 02:01:56.12 ID:vRxL7zLj0
竜『(できれば友達くらい言って欲しかったな)そっか、じゃあしょうがないね』
少年「友達って感じ、ではないと思う」
竜『っ!』
少年「だってさ、最近僕クラスに友達できたけどなんかそいつとは違う気がするんだよ、なんかこう……形容しがたいもやもやした感情がポチと一緒にいると湧き上がるというか何と言うか……」
竜『…へえ、何なんだろうねそれ』
少年「ほんと何なんだよ君のせいだぞポチ!」
竜『そーりー』
少年「あ、でもあれだ今のところ僕はポチのこと1番好きだからな! 光栄に思え!」
竜『やったあ、一等賞だ』
少年「友達って感じ、ではないと思う」
竜『っ!』
少年「だってさ、最近僕クラスに友達できたけどなんかそいつとは違う気がするんだよ、なんかこう……形容しがたいもやもやした感情がポチと一緒にいると湧き上がるというか何と言うか……」
竜『…へえ、何なんだろうねそれ』
少年「ほんと何なんだよ君のせいだぞポチ!」
竜『そーりー』
少年「あ、でもあれだ今のところ僕はポチのこと1番好きだからな! 光栄に思え!」
竜『やったあ、一等賞だ』
323: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 02:03:20.49 ID:vRxL7zLj0
少年「逆にさ、ポチは僕のことどう思ってるんだよ」
竜『えー俺前言ったじゃん』
少年「…そうだっけ?」
竜『ひどいなあ、こちとら一世一代の大告白だったっていうのにさ』
少年「忘れた、もう1回もう1回!」
竜『だーめ、自分で思い出して』
少年「くそう、ケチトカゲめえ…」
竜『竜だよ。あ、でも俺も少年のことが世界で1番好きだよ』
少年「やった、両思いだ」クスクス
竜『そうだね両想いだ』クスクス
竜『えー俺前言ったじゃん』
少年「…そうだっけ?」
竜『ひどいなあ、こちとら一世一代の大告白だったっていうのにさ』
少年「忘れた、もう1回もう1回!」
竜『だーめ、自分で思い出して』
少年「くそう、ケチトカゲめえ…」
竜『竜だよ。あ、でも俺も少年のことが世界で1番好きだよ』
少年「やった、両思いだ」クスクス
竜『そうだね両想いだ』クスクス
324: ◆yJ9Y64R876 2013/10/26(土) 02:04:27.35 ID:vRxL7zLj0
少年「…………」ウトウト
竜『少年もう我慢せずに寝れば?』
少年「いやだ、…もうちょっとポチと話してたいムニャムニャ」
竜『ほら寝言なのか判別つかなくなってきてる、それに早く寝ないと背伸びないよ』
少年「んぅー…じゃあ寝りゅ、る、入れて」
竜『いいよ、はいどうぞ』ギュッ
少年「ん、おやすみぃ……」スースー
竜『あらら灯りも消さずに危ないなあ、よいしょっと』カチッ
竜『……(夜、一つ屋根の下、密着、ていうか抱き合ってる)』
竜『(今気付いたらとんでもない生殺しだこれ!)』
竜『少年もう我慢せずに寝れば?』
少年「いやだ、…もうちょっとポチと話してたいムニャムニャ」
竜『ほら寝言なのか判別つかなくなってきてる、それに早く寝ないと背伸びないよ』
少年「んぅー…じゃあ寝りゅ、る、入れて」
竜『いいよ、はいどうぞ』ギュッ
少年「ん、おやすみぃ……」スースー
竜『あらら灯りも消さずに危ないなあ、よいしょっと』カチッ
竜『……(夜、一つ屋根の下、密着、ていうか抱き合ってる)』
竜『(今気付いたらとんでもない生殺しだこれ!)』
327: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:09:16.21 ID:NFZwBTHL0
―次の日の朝―
少年「ふあっ……あー。朝か」
竜『お、はよう。少年……』ギラギラ
少年「うわっポチ目真っ赤だぞ!」
竜『昨夜は(興奮して)寝付けなくてね…この有様だよ。はは…』
少年「ごめんイビキとかうるさかった?」
竜『ううん、イビキはしてなかったよ。寝言は言ってたけど』
少年「え、ウソなんて言ってた!?」
竜『ふふふ…思わず顔がにやけるようなこと』
少年「心当たりはないが即刻忘れろ!」
竜『俺、記憶力いいからさ』
少年「自慢までしてきやがった! …はあ、まあいいや朝ごはんにしよう」
竜『わあい、今度は何かな』
少年「おにぎり。あ、ごめんもうポチの分ないや」モグモグ
竜『』
少年「これならあるけど、塩(瓶)」
竜『……いただき!』パクッ
少年「にぃああああぁ!? びっくりした! 手ごと食われるかと思った……」
竜『ごくり。ごちそうさま』
少年「ふあっ……あー。朝か」
竜『お、はよう。少年……』ギラギラ
少年「うわっポチ目真っ赤だぞ!」
竜『昨夜は(興奮して)寝付けなくてね…この有様だよ。はは…』
少年「ごめんイビキとかうるさかった?」
竜『ううん、イビキはしてなかったよ。寝言は言ってたけど』
少年「え、ウソなんて言ってた!?」
竜『ふふふ…思わず顔がにやけるようなこと』
少年「心当たりはないが即刻忘れろ!」
竜『俺、記憶力いいからさ』
少年「自慢までしてきやがった! …はあ、まあいいや朝ごはんにしよう」
竜『わあい、今度は何かな』
少年「おにぎり。あ、ごめんもうポチの分ないや」モグモグ
竜『』
少年「これならあるけど、塩(瓶)」
竜『……いただき!』パクッ
少年「にぃああああぁ!? びっくりした! 手ごと食われるかと思った……」
竜『ごくり。ごちそうさま』
328: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:11:37.57 ID:NFZwBTHL0
Prrrrr…
少年「うん? 電話だ誰だろ? はい…もしもし」
竜『(またか…)』
《よお、俺だ、男2だ》
少年「男2!? 目を覚ましたのか? 体は大丈夫か?」
《お前、今どこにいる? 家か?》
少年「えっ今は…」チラッ
竜『…………』
少年「…昨日、前言った知り合いの家に泊まったんだ、だから今そこにいる」
少年「うん? 電話だ誰だろ? はい…もしもし」
竜『(またか…)』
《よお、俺だ、男2だ》
少年「男2!? 目を覚ましたのか? 体は大丈夫か?」
《お前、今どこにいる? 家か?》
少年「えっ今は…」チラッ
竜『…………』
少年「…昨日、前言った知り合いの家に泊まったんだ、だから今そこにいる」
329: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:13:43.16 ID:NFZwBTHL0
《そうか、じゃあもう1つ聞く、昨日お前俺の姿をどこかで見たか?》
少年「え、いや多分見てないと思うけど」
《……じゃあいったい誰が》ボソッ
少年「男2?」
《そうか、わかった。じゃあな》プツッ
少年「えっそれだけ? ってもう切れてるし…」
竜『変な会話だったね』
少年「うん、って聞こえてたの?」
竜『うん、俺耳もいいから』
少年「盗み聞きはよくない」
竜『めんごめんご』
少年「え、いや多分見てないと思うけど」
《……じゃあいったい誰が》ボソッ
少年「男2?」
《そうか、わかった。じゃあな》プツッ
少年「えっそれだけ? ってもう切れてるし…」
竜『変な会話だったね』
少年「うん、って聞こえてたの?」
竜『うん、俺耳もいいから』
少年「盗み聞きはよくない」
竜『めんごめんご』
330: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:15:52.86 ID:NFZwBTHL0
♪灯台下暗し
男2「(昨日俺は襲われた後、建物を出る前に気絶してしまったはずだ)」
男2「(だが通報を受け駆けつけた救急隊員の話では俺は建物から数十メートル離れた場所で倒れていたそうだ、また通報した人間もすでに現場から消えていた)」
男2「(何故だ? 軽くはない俺を態々外に運び込む理由がわからない。どうしてそんな不可解な行動に?)」
男2「(そもそもあの場所に近づく人間は限られている、この件に関係しているのか……敵なのか味方なのか)」
女「どうしたの男2」
男2「うおっ、いるならいると言えよ心臓に悪い」
女「早く病室に戻るべき、医者から外出は許可されていないはず」
男2「はいはい、すぐ戻りますよっ……お前じゃないよな?」
女「? なんのこと、説明が不足しているからわからない」
男2「(いや、こいつがあの場所にいる理由がない。ありえない、はず)なんでもねえよ、忘れてくれ」
女「そう。後でまたお見舞いに行く」
男2「ほう、そりゃどうも」
女「うさぎさん、剥いてあげるね」
男2「ぶっ、んな恥ずかしいことはやめろ! …じゃあな(こいつを危険な話に巻き込むわけには…)」スタスタ
女「……私に、出来ることは……」
男2「(昨日俺は襲われた後、建物を出る前に気絶してしまったはずだ)」
男2「(だが通報を受け駆けつけた救急隊員の話では俺は建物から数十メートル離れた場所で倒れていたそうだ、また通報した人間もすでに現場から消えていた)」
男2「(何故だ? 軽くはない俺を態々外に運び込む理由がわからない。どうしてそんな不可解な行動に?)」
男2「(そもそもあの場所に近づく人間は限られている、この件に関係しているのか……敵なのか味方なのか)」
女「どうしたの男2」
男2「うおっ、いるならいると言えよ心臓に悪い」
女「早く病室に戻るべき、医者から外出は許可されていないはず」
男2「はいはい、すぐ戻りますよっ……お前じゃないよな?」
女「? なんのこと、説明が不足しているからわからない」
男2「(いや、こいつがあの場所にいる理由がない。ありえない、はず)なんでもねえよ、忘れてくれ」
女「そう。後でまたお見舞いに行く」
男2「ほう、そりゃどうも」
女「うさぎさん、剥いてあげるね」
男2「ぶっ、んな恥ずかしいことはやめろ! …じゃあな(こいつを危険な話に巻き込むわけには…)」スタスタ
女「……私に、出来ることは……」
331: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:20:40.06 ID:NFZwBTHL0
少年「…………」
竜『どしたの少年難しい顔して?』
少年「なんか、嫌な予感がする」
竜『あらら虫の知らせかい? 外れるといいね』
少年「まあ僕のカンは大概当たらないんだけど」
竜『なら安心だ』
少年「うん…でも何か引っかかるんだよな、大事なことを見落としているような」
竜『考えすぎだと思うけどなあー』
少年「んー…そうなのだろうか」
竜『そんな漠然とした不安に思考を巡らす位なら勉学に回すべきでは?』
少年「そんなど正論言うなよ……」
竜『どしたの少年難しい顔して?』
少年「なんか、嫌な予感がする」
竜『あらら虫の知らせかい? 外れるといいね』
少年「まあ僕のカンは大概当たらないんだけど」
竜『なら安心だ』
少年「うん…でも何か引っかかるんだよな、大事なことを見落としているような」
竜『考えすぎだと思うけどなあー』
少年「んー…そうなのだろうか」
竜『そんな漠然とした不安に思考を巡らす位なら勉学に回すべきでは?』
少年「そんなど正論言うなよ……」
332: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:25:40.29 ID:NFZwBTHL0
少年「はうあっ!」
竜『奇声を上げてどしたの少年?』
少年「そうだよ明日から期末テストだ!」
竜『わあ、それはそれは絶望的なタイミングで思い出したねー』
少年「まずいまずいまずい、幸い勉強道具は持ってきてるけど時間がない時間がないあばばばば」ドサドサッ
竜『少年今回色々持ってきたんだねー、そんな大荷物で重くなかった?』
少年「うん、初めてのお泊りだからと張り切りすぎた。間違って余計なものまで持って来ちゃったし」
竜『余計なもの?』
少年「学校で借りた動物図鑑とか」
竜『ははん、これで少年ピット器官とか知ったわけか』
少年「えっへん、努力家だろ」
竜『その努力を試験勉強に回せよ。…へえー子供向けの割りに結構これ内容しっかりしてるね、面白い』ペラペラ
少年「あ、じゃあ僕勉強してるから暇な間読んでていいぞ!」
竜『あいあいさー』
少年「と、とりあえず暗記科目から詰め込もう…」
竜『ふぁいとふぁいと』ペラペラ
少年「うう…」
竜『奇声を上げてどしたの少年?』
少年「そうだよ明日から期末テストだ!」
竜『わあ、それはそれは絶望的なタイミングで思い出したねー』
少年「まずいまずいまずい、幸い勉強道具は持ってきてるけど時間がない時間がないあばばばば」ドサドサッ
竜『少年今回色々持ってきたんだねー、そんな大荷物で重くなかった?』
少年「うん、初めてのお泊りだからと張り切りすぎた。間違って余計なものまで持って来ちゃったし」
竜『余計なもの?』
少年「学校で借りた動物図鑑とか」
竜『ははん、これで少年ピット器官とか知ったわけか』
少年「えっへん、努力家だろ」
竜『その努力を試験勉強に回せよ。…へえー子供向けの割りに結構これ内容しっかりしてるね、面白い』ペラペラ
少年「あ、じゃあ僕勉強してるから暇な間読んでていいぞ!」
竜『あいあいさー』
少年「と、とりあえず暗記科目から詰め込もう…」
竜『ふぁいとふぁいと』ペラペラ
少年「うう…」
333: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:29:36.20 ID:NFZwBTHL0
少年「…………」カキカキ
竜『(本を読むのは久しぶりだなあ、昔は彼女によく見せてもらったっけ)』ペラペラ
竜『(あの頃も悪くなかったなあ、色んなことを学べたし一部の人間とは友好的な関係を築けていた。まあ結局は滅茶苦茶にしてしまったけど)』ペラ
竜『(番(つがい)がいないから子孫を残せるわけでもないし、同種で社会を構成することもできないし、別に他の生物の命を食らわなくとも死ぬことはない体だし、そもそも死んでも死ねないし、俺はそもそも1つの生命なのだろうかそう考えると)』
竜『(俺が生きてる意味はなんだろう)』パタン
少年「…………」ウルウル
竜『あー助けを求める時はちゃんと口に出してもらわないと』
少年「ポチ様、私めにどうかご教授くださいませんか」
竜『教科は?』
少年「できれば全部!」
竜『やれやれ骨が折れそうだ(このため…ではないと信じたい、…いやそれはそれでいいか)』ニヤリ
竜『(本を読むのは久しぶりだなあ、昔は彼女によく見せてもらったっけ)』ペラペラ
竜『(あの頃も悪くなかったなあ、色んなことを学べたし一部の人間とは友好的な関係を築けていた。まあ結局は滅茶苦茶にしてしまったけど)』ペラ
竜『(番(つがい)がいないから子孫を残せるわけでもないし、同種で社会を構成することもできないし、別に他の生物の命を食らわなくとも死ぬことはない体だし、そもそも死んでも死ねないし、俺はそもそも1つの生命なのだろうかそう考えると)』
竜『(俺が生きてる意味はなんだろう)』パタン
少年「…………」ウルウル
竜『あー助けを求める時はちゃんと口に出してもらわないと』
少年「ポチ様、私めにどうかご教授くださいませんか」
竜『教科は?』
少年「できれば全部!」
竜『やれやれ骨が折れそうだ(このため…ではないと信じたい、…いやそれはそれでいいか)』ニヤリ
334: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:33:30.49 ID:NFZwBTHL0
少年「あたまぱんくしそう」プスプス
竜『小休止入れたら?』
少年「…いや、もうちょっとがんばる」
竜『そうか、じゃあ俺も付き合おう』
少年「ありがとうなポチ、昨日寝てないから辛いだろうに」
竜『少年のためなら俺はいくらでも頑張れるよ』
少年「…そういうセリフは女の子に言えよ」
竜『? なんで?』
少年「……ヘンなこと考えちゃうだろ」ボソッ
竜『え、ごめんなんて言った?』
少年「べ、勉強しないと!」
竜『(変なことってなんだろう?)』
竜『小休止入れたら?』
少年「…いや、もうちょっとがんばる」
竜『そうか、じゃあ俺も付き合おう』
少年「ありがとうなポチ、昨日寝てないから辛いだろうに」
竜『少年のためなら俺はいくらでも頑張れるよ』
少年「…そういうセリフは女の子に言えよ」
竜『? なんで?』
少年「……ヘンなこと考えちゃうだろ」ボソッ
竜『え、ごめんなんて言った?』
少年「べ、勉強しないと!」
竜『(変なことってなんだろう?)』
335: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:37:55.48 ID:NFZwBTHL0
少年「あれ、なんかさ、勘違いかもしれないけど僕数学前よりできるようになってる気がする」カキカキ
竜『……今俺は感動している』
少年「な、なんで?」
竜『人は成長することに、正しい努力は才能に決して劣らないという事実に!』
少年「まあな! だてに毎日教えてもらってないよ!」
竜『努力は報われるんだなあ……正直何度見捨てようと思ったことか』ホロリ
少年「あきらめないでよかったな」
竜『なんでこんな簡単なのもわからないのかと小突きたくなる衝動を必死に抑えた甲斐があったよ!』
少年「ごめんさすがにヘコむ」
竜『……今俺は感動している』
少年「な、なんで?」
竜『人は成長することに、正しい努力は才能に決して劣らないという事実に!』
少年「まあな! だてに毎日教えてもらってないよ!」
竜『努力は報われるんだなあ……正直何度見捨てようと思ったことか』ホロリ
少年「あきらめないでよかったな」
竜『なんでこんな簡単なのもわからないのかと小突きたくなる衝動を必死に抑えた甲斐があったよ!』
少年「ごめんさすがにヘコむ」
336: ◆yJ9Y64R876 2013/11/02(土) 19:38:49.53 ID:NFZwBTHL0
竜『少年もう暗くなったしそろそろ帰らないと…』
少年「もう少しだけ、もう少しだけここでやらせてくれ」
竜『それはいいけど、少年どうしてそこまで頑張るの? 多分もうそこまで酷い点数は取らなくてすむと思うけど』
少年「この教科だけは普通じゃだめなんだ、だめなんだよ」
竜『……そうか、じゃあ期待してるよ』
少年「任せとけ!」
少年「もう少しだけ、もう少しだけここでやらせてくれ」
竜『それはいいけど、少年どうしてそこまで頑張るの? 多分もうそこまで酷い点数は取らなくてすむと思うけど』
少年「この教科だけは普通じゃだめなんだ、だめなんだよ」
竜『……そうか、じゃあ期待してるよ』
少年「任せとけ!」
338: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 21:56:55.33 ID:LQ0HFKtJ0
―数日後―
竜『……ん、そろそろかな』
少年「ポチーーーー!」パタパタバタンッ
竜『やあ少年、今日は元気が全身から溢れ出してるね』
少年「ふっふっふ、これを見たまえポチ君」ピラッ
竜『なになに、……え、あ』
少年「あれ思ったより反応薄い」
竜『……ま、マジかよ! え、なにこれ幻覚?』
少年「リアルだよ! どうだ見直したか!」
竜「…………ひっく」
少年「な、そこは泣くんじゃなく喜ぶところでは?」
竜『やったね少年…心の底からおめでとう、そしてありがとう』
少年「ポチ嬉しい?」
竜『当たり前じゃないか! こんなに嬉しいこと今までなかったくらいだよ!』
少年「え、えへへっ」
竜『……ん、そろそろかな』
少年「ポチーーーー!」パタパタバタンッ
竜『やあ少年、今日は元気が全身から溢れ出してるね』
少年「ふっふっふ、これを見たまえポチ君」ピラッ
竜『なになに、……え、あ』
少年「あれ思ったより反応薄い」
竜『……ま、マジかよ! え、なにこれ幻覚?』
少年「リアルだよ! どうだ見直したか!」
竜「…………ひっく」
少年「な、そこは泣くんじゃなく喜ぶところでは?」
竜『やったね少年…心の底からおめでとう、そしてありがとう』
少年「ポチ嬉しい?」
竜『当たり前じゃないか! こんなに嬉しいこと今までなかったくらいだよ!』
少年「え、えへへっ」
339: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 21:58:02.56 ID:LQ0HFKtJ0
少年「じゃ、悪いけど僕もう帰るな」
竜『えっ、もう帰っちゃうの?』
少年「ごめん、実は今日知り合いに呼ばれててさ。今も外で待ってるんだ」
竜『……なんだって?』
少年「そういうわけだから、じゃっ」タッタッタ…
竜『……そんな』
竜『えっ、もう帰っちゃうの?』
少年「ごめん、実は今日知り合いに呼ばれててさ。今も外で待ってるんだ」
竜『……なんだって?』
少年「そういうわけだから、じゃっ」タッタッタ…
竜『……そんな』
340: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 21:58:41.15 ID:LQ0HFKtJ0
少年「よっと、お待たせ」
女「うん、607秒待った」
少年「か、数えてたのか…怖い…」
女「冗談」
少年「君が言うと冗談に聞こえないんだが、じゃあ行こうか」
女「…………」コクリ
女「うん、607秒待った」
少年「か、数えてたのか…怖い…」
女「冗談」
少年「君が言うと冗談に聞こえないんだが、じゃあ行こうか」
女「…………」コクリ
341: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 21:59:25.31 ID:LQ0HFKtJ0
少年「あ、それお見舞いの花?」
女「そう、さっき買ってきた」
少年「あれ、でもそれ鉢植えだよな。見舞いの花に鉢植えってあんまりよくなかったような」
女「…そうなの?」
少年「うん、知り合いから聞いた話だけど何か入院が長引くらしいよ」
女「それは困る。……困った」
少年「まあまだ時間はあるしもう1度花屋に寄って行こうよ、その鉢植えは友達にでもあげたらどう?」
女「…………なるほど。じゃああげる」サッ
少年「えっぼ、僕に?」
女「友達にあげたらいいって今貴方は言った」
少年「あ、ありがとう」
女「そう、さっき買ってきた」
少年「あれ、でもそれ鉢植えだよな。見舞いの花に鉢植えってあんまりよくなかったような」
女「…そうなの?」
少年「うん、知り合いから聞いた話だけど何か入院が長引くらしいよ」
女「それは困る。……困った」
少年「まあまだ時間はあるしもう1度花屋に寄って行こうよ、その鉢植えは友達にでもあげたらどう?」
女「…………なるほど。じゃああげる」サッ
少年「えっぼ、僕に?」
女「友達にあげたらいいって今貴方は言った」
少年「あ、ありがとう」
342: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:00:00.66 ID:LQ0HFKtJ0
―病院―
男2「あー、暇だー」
女「…………男2」ガラッ
男2「おお、来たか女、悪いけどまたいつも通りマッサージしてくんねえか。どうも体が凝って…」
少年「…………」
男2「って……えーとなんでお前がここに?」
少年「医療ミスでしんでしまええぇぇ!」ダダダダッ
男2「…女、悪いけど連れ戻してきてくれ」
女「マッサージは?」
男2「今日はいい」
女「わかった」
男2「あー、暇だー」
女「…………男2」ガラッ
男2「おお、来たか女、悪いけどまたいつも通りマッサージしてくんねえか。どうも体が凝って…」
少年「…………」
男2「って……えーとなんでお前がここに?」
少年「医療ミスでしんでしまええぇぇ!」ダダダダッ
男2「…女、悪いけど連れ戻してきてくれ」
女「マッサージは?」
男2「今日はいい」
女「わかった」
343: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:00:43.88 ID:LQ0HFKtJ0
少年「うう…骨髄全部爆発してしまえぇ…」
男2「おいこら怪我人になんてこというんだテメエ」
女「友達にそんな言葉遣いはいけない」
男2「…ちっ、悪かった」
少年「そーだそーだ! もっと謝れ土下座しろ!」
男2「おい女なんでこいつ連れてきた?」ピキッ
女「男2が喜ぶと思って」
男2「今のところ真逆の感情しか沸き上がらないんだが」
少年「でも見た感じ元気そうだな、よかった…安心した」
男2「…きめえ」
少年「安堵しただけなのに!?」
男2「おいこら怪我人になんてこというんだテメエ」
女「友達にそんな言葉遣いはいけない」
男2「…ちっ、悪かった」
少年「そーだそーだ! もっと謝れ土下座しろ!」
男2「おい女なんでこいつ連れてきた?」ピキッ
女「男2が喜ぶと思って」
男2「今のところ真逆の感情しか沸き上がらないんだが」
少年「でも見た感じ元気そうだな、よかった…安心した」
男2「…きめえ」
少年「安堵しただけなのに!?」
344: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:01:19.02 ID:LQ0HFKtJ0
少年「でさ、男2一体何があったんだ? 学校は何も教えてくれないし」
男2「…それはお前が1番知ってるはずだけどな」
少年「? 僕が?」
女「どういうことなの、説明して」
少年「い、いやそれが思い当たる節がまったく…」
男2「女、悪いが席を外してくれないか」
女「どうして」
男2「頼む、黙って言う事を聞いてくれ」
女「…………わかった」パタン
少年「なんであの子に出て行ってもらったんだ男2? 彼女も気になってるんじゃ…」
男2「…………」ギラッ
少年「えっあ、その」
男2「…それはお前が1番知ってるはずだけどな」
少年「? 僕が?」
女「どういうことなの、説明して」
少年「い、いやそれが思い当たる節がまったく…」
男2「女、悪いが席を外してくれないか」
女「どうして」
男2「頼む、黙って言う事を聞いてくれ」
女「…………わかった」パタン
少年「なんであの子に出て行ってもらったんだ男2? 彼女も気になってるんじゃ…」
男2「…………」ギラッ
少年「えっあ、その」
345: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:02:26.04 ID:LQ0HFKtJ0
男2「……いじめ」
少年「え?」
男2「何故なくなったと思う」
少年「またそれか、だから僕は何も知らないって。男1達にも何もしてないし」
男2「そうだお前がやっていないなら誰がお前のために報復した?」
少年「そんなことをする人間はいないって前も言った」
男2「そうだな、確かに"人間"はいない。じゃあお前の知り合いからそれらを除外して考えてみろ」
少年「…………?」
男2「お前本当にわかっていないのか? 何故結びつかない?」
少年「男2が頭いいのは知ってるけどさ、ならなおさら僕にもわかるように言ってくれよ」
少年「え?」
男2「何故なくなったと思う」
少年「またそれか、だから僕は何も知らないって。男1達にも何もしてないし」
男2「そうだお前がやっていないなら誰がお前のために報復した?」
少年「そんなことをする人間はいないって前も言った」
男2「そうだな、確かに"人間"はいない。じゃあお前の知り合いからそれらを除外して考えてみろ」
少年「…………?」
男2「お前本当にわかっていないのか? 何故結びつかない?」
少年「男2が頭いいのは知ってるけどさ、ならなおさら僕にもわかるように言ってくれよ」
346: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:03:22.76 ID:LQ0HFKtJ0
♪決意
男2「…………(ここで暴露するのは簡単だ。だがこの事実をあの怪物が隠したがっているのも明白、下手に洩らせば怪物が暴走するかもしれない。それにこいつはどうやら怪物のことを妄信しているらしい、話したとして信じてもらえず最悪縁を切られる可能性もある。それではこいつに近づいた意味がない、いや……)」
少年「おーいどうしたー?」ブンブンッ
男2「(もう、友達を利用するのはやめだ)」
男2「……受け取れ」シュッ
少年「えっ、あっこれは…」
男2「前にお前が落としたんだよ、なかなか触り心地いいなそれ」
少年「(ポチのウロコだ……)」
男2「もう失くすなよ」
少年「う、うん…ありがとう男2」
男2「ああ」
男2「…………(ここで暴露するのは簡単だ。だがこの事実をあの怪物が隠したがっているのも明白、下手に洩らせば怪物が暴走するかもしれない。それにこいつはどうやら怪物のことを妄信しているらしい、話したとして信じてもらえず最悪縁を切られる可能性もある。それではこいつに近づいた意味がない、いや……)」
少年「おーいどうしたー?」ブンブンッ
男2「(もう、友達を利用するのはやめだ)」
男2「……受け取れ」シュッ
少年「えっ、あっこれは…」
男2「前にお前が落としたんだよ、なかなか触り心地いいなそれ」
少年「(ポチのウロコだ……)」
男2「もう失くすなよ」
少年「う、うん…ありがとう男2」
男2「ああ」
347: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:03:55.84 ID:LQ0HFKtJ0
少年「男2さ」
男2「あ?」
少年「何か悩んでるのか?」
男2「は? なんだそりゃ」
少年「いや気のせいならいいんだけどさ、もし悩んでるなら誰かに言った方が楽になるぞ? これは自信を持って言える」
男2「仮にそうだとしてもお前にだけは言わんがな」
少年「くそう、ヘコんでしまう…」
男2「あーもういいや女呼んできてくれ、多分屋上にいると思う」
少年「う、うんわかった」タッタッ、パタン
男2「…………ほんとの悪者は俺かもな」
男2「あ?」
少年「何か悩んでるのか?」
男2「は? なんだそりゃ」
少年「いや気のせいならいいんだけどさ、もし悩んでるなら誰かに言った方が楽になるぞ? これは自信を持って言える」
男2「仮にそうだとしてもお前にだけは言わんがな」
少年「くそう、ヘコんでしまう…」
男2「あーもういいや女呼んできてくれ、多分屋上にいると思う」
少年「う、うんわかった」タッタッ、パタン
男2「…………ほんとの悪者は俺かもな」
348: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:04:28.19 ID:LQ0HFKtJ0
―病院、屋上―
少年「やあ、女」
女「…話はもう終わった?」
少年「うん、でもあんまり聞き出せなかったよ。ごめん役に立てなくて」
女「そう、気にしなくていい」
少年「……えーと」
女「…………」
少年「あ、明日から冬休みだなっ」
女「そうだね」
少年「女は何か予定あるの?」
女「特には」
少年「そ、そっか……」
女「…………」
少年「やあ、女」
女「…話はもう終わった?」
少年「うん、でもあんまり聞き出せなかったよ。ごめん役に立てなくて」
女「そう、気にしなくていい」
少年「……えーと」
女「…………」
少年「あ、明日から冬休みだなっ」
女「そうだね」
少年「女は何か予定あるの?」
女「特には」
少年「そ、そっか……」
女「…………」
349: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:05:01.78 ID:LQ0HFKtJ0
女「あなたは何かあるの?」
少年「えっ?」
女「長期休暇期間中の予定」
少年「ええと、しいて言うなら知り合いの家に所に入り浸ろうかと」
女「友達?」
少年「うーん、ではないかな」
女「……恋人?」
少年「ぶはっ! ち、違うよ! だって相手男だし!?」
女「男だとだめなの?」
少年「あた、当たり前だろ! だ、だってそれじゃいわゆる…」
女「好きという感情に性差はなんの意味があるの? 私にはわからない」
少年「……女はさ、どうして男2が好きなの?」
少年「えっ?」
女「長期休暇期間中の予定」
少年「ええと、しいて言うなら知り合いの家に所に入り浸ろうかと」
女「友達?」
少年「うーん、ではないかな」
女「……恋人?」
少年「ぶはっ! ち、違うよ! だって相手男だし!?」
女「男だとだめなの?」
少年「あた、当たり前だろ! だ、だってそれじゃいわゆる…」
女「好きという感情に性差はなんの意味があるの? 私にはわからない」
少年「……女はさ、どうして男2が好きなの?」
350: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:05:44.84 ID:LQ0HFKtJ0
女「……考えたこともなかった」
少年「ええ…?」
女「わからないけど、好きなの。この感情はそうとしか言い表せない。それじゃだめ?」
少年「ううん聞いておいて何だけど、どういった答えが正しいかは僕にはわからない。答えがあるのかすらわからない」
女「そう」
少年「……そろそろ男2の所に行こうか、あんまり待たせるとさみしくて泣いちゃうかも」
女「! それは見てみたい、そのために是非もう少し時間をおきたい」
少年「ごめん冗談だから!」
少年「ええ…?」
女「わからないけど、好きなの。この感情はそうとしか言い表せない。それじゃだめ?」
少年「ううん聞いておいて何だけど、どういった答えが正しいかは僕にはわからない。答えがあるのかすらわからない」
女「そう」
少年「……そろそろ男2の所に行こうか、あんまり待たせるとさみしくて泣いちゃうかも」
女「! それは見てみたい、そのために是非もう少し時間をおきたい」
少年「ごめん冗談だから!」
351: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:06:43.25 ID:LQ0HFKtJ0
竜『くそうあの人間め僕から少年を奪いやがってぇ……次は絶対に一欠けらも残さず喰い殺してやるう……』メソメソ
少年「ただいまポチー」バタン
竜『わあ! 少年が帰ってきたおかえりおかえりおかえり!』
少年「ものすごい喜びよう、まるで主人の帰りを待ちわびた犬のようだ」
竜『でも帰ってくるの遅いよーもう日が暮れちゃったよ?』
少年「まあ明日から冬休みだからずっと一緒にいれるし勘弁して」
竜『ほんと!? やった!』
少年「あーそれでさ、この鉢植えいらない?」
少年「ただいまポチー」バタン
竜『わあ! 少年が帰ってきたおかえりおかえりおかえり!』
少年「ものすごい喜びよう、まるで主人の帰りを待ちわびた犬のようだ」
竜『でも帰ってくるの遅いよーもう日が暮れちゃったよ?』
少年「まあ明日から冬休みだからずっと一緒にいれるし勘弁して」
竜『ほんと!? やった!』
少年「あーそれでさ、この鉢植えいらない?」
352: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:07:19.95 ID:LQ0HFKtJ0
竜『これは…少年が買ってきたの?』
少年「そ、そうさ!」
竜『違うのか…』
少年「何故ばれたし」
竜『少年この花の名前知ってる?』
少年「ら、ラフレシア?」
竜『うん、全然違う。これはねデージーっていう花なんだ』
少年「へー全然知らん」
竜『語源はday's eye、日の目でよく恋占いに使われたことからとある国では愛のものさしって言われてたらしいよ』
少年「人がせっかくあげたプレゼントむしるなよ!」
竜『恋占いするならマーガレットだね、花言葉そのものが恋占いだから』
少年「じゃあこので、デージー? の花言葉は?」
竜『純潔、無邪気、明朗…なんか少年みたいだね』
少年「? どこらへんが?」
少年「そ、そうさ!」
竜『違うのか…』
少年「何故ばれたし」
竜『少年この花の名前知ってる?』
少年「ら、ラフレシア?」
竜『うん、全然違う。これはねデージーっていう花なんだ』
少年「へー全然知らん」
竜『語源はday's eye、日の目でよく恋占いに使われたことからとある国では愛のものさしって言われてたらしいよ』
少年「人がせっかくあげたプレゼントむしるなよ!」
竜『恋占いするならマーガレットだね、花言葉そのものが恋占いだから』
少年「じゃあこので、デージー? の花言葉は?」
竜『純潔、無邪気、明朗…なんか少年みたいだね』
少年「? どこらへんが?」
353: ◆yJ9Y64R876 2013/11/09(土) 22:07:56.51 ID:LQ0HFKtJ0
竜『そう言う所がだよ。さ、そろそろ帰りな、明日からはずっといられるんだろう?』
少年「んーしょうがない、じゃあまた明日」
竜『うん、花ありがとね』
少年「どういたしましてー」パタン
竜『…………(デージーの花言葉は確かまだまだあったけど確かその中の1つが…)』
竜『(もしほんとにそうだったら…なんてね)』
少年「んーしょうがない、じゃあまた明日」
竜『うん、花ありがとね』
少年「どういたしましてー」パタン
竜『…………(デージーの花言葉は確かまだまだあったけど確かその中の1つが…)』
竜『(もしほんとにそうだったら…なんてね)』
356: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 19:57:07.78 ID:Wgj7yzpG0
―数日後―
男2「はあ、やっと退院か。長かった、……追試験めんどくせえな」
男2「(しかもそんなめでたい日だっていうのに誰も迎えに来やしねえ、まあ誰にも退院日言ってねえから当たり前だが)」
Prrrrr…
男2「…ん、電話か。…非通知? …もしもし」
《……聞こえる?》
男2「(ボイスチェンジャー? ……一応録音しておくか)ああ、聞こえている」ピッ
《あなたに伝えたいことがある》
男2「なんだ、まどろこっしいのは嫌いなんだ。とっとと言え」
《ロングウィットン、バジリスク》
男2「は?」
ブツッ…
男2「なんなんだ一体…バジリスクはともかく……ロングウィットン? どこかで聞いた覚えがあるような……」
男2「はあ、やっと退院か。長かった、……追試験めんどくせえな」
男2「(しかもそんなめでたい日だっていうのに誰も迎えに来やしねえ、まあ誰にも退院日言ってねえから当たり前だが)」
Prrrrr…
男2「…ん、電話か。…非通知? …もしもし」
《……聞こえる?》
男2「(ボイスチェンジャー? ……一応録音しておくか)ああ、聞こえている」ピッ
《あなたに伝えたいことがある》
男2「なんだ、まどろこっしいのは嫌いなんだ。とっとと言え」
《ロングウィットン、バジリスク》
男2「は?」
ブツッ…
男2「なんなんだ一体…バジリスクはともかく……ロングウィットン? どこかで聞いた覚えがあるような……」
357: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 19:58:45.76 ID:Wgj7yzpG0
少年「はいカラアゲ」
竜『ごちになります、もぐもぐ』
少年「半分ちょうだい」
竜『いいよ、でもさこのカラアゲ包んでいる外装に鶏の絵を描くとかちょっと悪趣味だよね。こんなにかわいい鶏達が憐れこんな姿に! って感じしない?』
少年「大丈夫、これニワトリじゃなくて妖精らしいから」モグモグ
竜『なんて無駄な設定…ごちそうさま』ゴクリ
少年「ニワトリ達に感謝!」
竜『ごちになります、もぐもぐ』
少年「半分ちょうだい」
竜『いいよ、でもさこのカラアゲ包んでいる外装に鶏の絵を描くとかちょっと悪趣味だよね。こんなにかわいい鶏達が憐れこんな姿に! って感じしない?』
少年「大丈夫、これニワトリじゃなくて妖精らしいから」モグモグ
竜『なんて無駄な設定…ごちそうさま』ゴクリ
少年「ニワトリ達に感謝!」
358: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:00:00.74 ID:Wgj7yzpG0
男2「バジリスク、別名バシリスク。全ての蛇の上に君臨する王であり名称の由来も"蛇の王"…」カチカチ
男2「彼らの恐るべき能力の中で特筆すべきものは猛毒の視線を用いて見たものを死に追いやる、もしくは石に変えてしまうことである…か」
男2「(あの時俺の体は突然言うことを聞かなくなった、それこそ四肢が"石"にでもなったように。そしてその呪縛は閃光弾を使った直後解けた…)」
男2「(細部は異なるが要点は伝説に一致している…のか?)」
男2「ロングウィットンの竜…こっちはもっとわかりやすい。この竜の能力は"姿を消す"だ」
男2「(異なる伝説の能力を併せ持っていた…もしかしたら、考えたくもないことだが最悪奴は)」
男2「伝説上に登場する竜の能力を全て使えるのかもしれない」
男2「彼らの恐るべき能力の中で特筆すべきものは猛毒の視線を用いて見たものを死に追いやる、もしくは石に変えてしまうことである…か」
男2「(あの時俺の体は突然言うことを聞かなくなった、それこそ四肢が"石"にでもなったように。そしてその呪縛は閃光弾を使った直後解けた…)」
男2「(細部は異なるが要点は伝説に一致している…のか?)」
男2「ロングウィットンの竜…こっちはもっとわかりやすい。この竜の能力は"姿を消す"だ」
男2「(異なる伝説の能力を併せ持っていた…もしかしたら、考えたくもないことだが最悪奴は)」
男2「伝説上に登場する竜の能力を全て使えるのかもしれない」
359: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:01:41.99 ID:Wgj7yzpG0
♪彼女から聞いた彼の得意技
少年「器用になりたい」
竜『突然どうした』
少年「…器用になりたい!」
竜『そんな語気を荒げられても』
少年「どうすればいい? 教えてポチ先生」
竜『具体的にどう器用になりたいの? 身体的に? 社会的に?』
少年「前者、手先的な意味で」
竜『人体が運動を行うためには、まず大脳運動野から発せられる指令が神経を媒介に…』
少年「そんな説明でこの僕が理解できると思ってるのか」
竜『…やっぱり細かい作業を要する運動を反復するのが効果的なんじゃないのかな、古典的だけど折り紙折るとか』
少年「折り紙かあ…驚けポチ、僕は何一つ折れない」ドヤア
竜『うん、どうしてそれを自慢げに言えるのか俺はますます君に興味が出てきたよ』
少年「折り方教えて、紙ならノート切って使うから」
竜『んーじゃあ鳳凰の折り方を教えよう』
少年「なんでそこでツルじゃなくて鳳凰なんだ…」
少年「器用になりたい」
竜『突然どうした』
少年「…器用になりたい!」
竜『そんな語気を荒げられても』
少年「どうすればいい? 教えてポチ先生」
竜『具体的にどう器用になりたいの? 身体的に? 社会的に?』
少年「前者、手先的な意味で」
竜『人体が運動を行うためには、まず大脳運動野から発せられる指令が神経を媒介に…』
少年「そんな説明でこの僕が理解できると思ってるのか」
竜『…やっぱり細かい作業を要する運動を反復するのが効果的なんじゃないのかな、古典的だけど折り紙折るとか』
少年「折り紙かあ…驚けポチ、僕は何一つ折れない」ドヤア
竜『うん、どうしてそれを自慢げに言えるのか俺はますます君に興味が出てきたよ』
少年「折り方教えて、紙ならノート切って使うから」
竜『んーじゃあ鳳凰の折り方を教えよう』
少年「なんでそこでツルじゃなくて鳳凰なんだ…」
360: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:02:33.84 ID:Wgj7yzpG0
少年「…………」オリオリ
竜『しょうねーん?』
少年「…………」オリオリ
竜『結局鳳凰は断念して鶴を1時間かけてようやく折れるようになったしょうねーん?』
少年「えっ、あ、なに? 説明長っ」
竜『またどうして器用になりたいと思ったのー?』
少年「ポチのためだよ?」
竜『えっ』
少年「はっ! 間違えた忘れろ忘れろ!」ポカポカ
竜『無理、もう俺の灰色の脳細胞に刻み込んだ』
少年「頼む上書きしてくれ…」
竜『(でもなんで俺のためなんだろう?)』
竜『しょうねーん?』
少年「…………」オリオリ
竜『結局鳳凰は断念して鶴を1時間かけてようやく折れるようになったしょうねーん?』
少年「えっ、あ、なに? 説明長っ」
竜『またどうして器用になりたいと思ったのー?』
少年「ポチのためだよ?」
竜『えっ』
少年「はっ! 間違えた忘れろ忘れろ!」ポカポカ
竜『無理、もう俺の灰色の脳細胞に刻み込んだ』
少年「頼む上書きしてくれ…」
竜『(でもなんで俺のためなんだろう?)』
361: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:03:43.80 ID:Wgj7yzpG0
少年「…………」オリオリ
竜『暇ー』
少年「…………」オリオリ
竜『ねえ少年ひまー』ツンツン
少年「…………」オリオリ
竜『無視してるとイタズラしちゃうよー?』
少年「…………」オリオリ
竜『…………お耳にふー』フー
少年「ひあっ、え、あっ」
竜『ペ ペ 、あむあむ』
少年「うあ! やめてこそばゆい!」
竜『やめてほしかったら折り紙折るのは一端終わりにするのだー』ペ ペ ヌチャヌチャ
少年「わかったやめる! やめるから! 入れないで!」
竜『ちっ』
少年「やめたのに何故か舌打ちされた」
竜『暇ー』
少年「…………」オリオリ
竜『ねえ少年ひまー』ツンツン
少年「…………」オリオリ
竜『無視してるとイタズラしちゃうよー?』
少年「…………」オリオリ
竜『…………お耳にふー』フー
少年「ひあっ、え、あっ」
竜『ペ ペ 、あむあむ』
少年「うあ! やめてこそばゆい!」
竜『やめてほしかったら折り紙折るのは一端終わりにするのだー』ペ ペ ヌチャヌチャ
少年「わかったやめる! やめるから! 入れないで!」
竜『ちっ』
少年「やめたのに何故か舌打ちされた」
362: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:04:39.67 ID:Wgj7yzpG0
少年「なんでそうやって度々僕を食べようとするの」
竜『本能には逆らえない』
少年「いつもご飯もってきてるじゃん」
竜『それとはまた違う食欲なんだよ』
少年「…ああ、別腹的な?」
竜『そう、少年専用のスペースが空いてるんだよ。埋めてくれないかい?』
少年「暗いところ苦手だからやだ」
竜『懐中電灯一緒に持ってけばいいよ』
少年「…うーん、そうかあ」
竜『だめだこの子冗談が通じない』
竜『本能には逆らえない』
少年「いつもご飯もってきてるじゃん」
竜『それとはまた違う食欲なんだよ』
少年「…ああ、別腹的な?」
竜『そう、少年専用のスペースが空いてるんだよ。埋めてくれないかい?』
少年「暗いところ苦手だからやだ」
竜『懐中電灯一緒に持ってけばいいよ』
少年「…うーん、そうかあ」
竜『だめだこの子冗談が通じない』
363: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:05:38.25 ID:Wgj7yzpG0
少年「……せい!」
竜『?』
少年「今、ポチにテレパシー送った。届いた?」
竜『いや今別のこと考えてたから聞こえなかった、もう1回やって』
少年「とぉ! (なんでポチって緑色なの!?)」
竜『うーんドラゴンって緑色のイメージない? 多分これはそういうことだよ』
少年「(なるほど! わからん!)」
竜『まあその時によって色々体色変わるけど、前は赤』
少年「(Are you カメレオン?)」
竜『そういう意味じゃないんだよなあ』
少年「(他の色のポチも見たい)」
竜『透明色ならできるよ、ほら』パッ
少年「(やっぱカメレオンじゃん)」
竜『?』
少年「今、ポチにテレパシー送った。届いた?」
竜『いや今別のこと考えてたから聞こえなかった、もう1回やって』
少年「とぉ! (なんでポチって緑色なの!?)」
竜『うーんドラゴンって緑色のイメージない? 多分これはそういうことだよ』
少年「(なるほど! わからん!)」
竜『まあその時によって色々体色変わるけど、前は赤』
少年「(Are you カメレオン?)」
竜『そういう意味じゃないんだよなあ』
少年「(他の色のポチも見たい)」
竜『透明色ならできるよ、ほら』パッ
少年「(やっぱカメレオンじゃん)」
364: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:06:38.98 ID:Wgj7yzpG0
少年「ポチすごいなあ、もしかして他にも一発芸できる?」
竜『伝説級の力をそう表現されるとは…、まあそこそこできるよ』
少年「エントリナンバー1番ポチさんです、どうぞ」パチパチ
竜『一発芸、電球』ピカー
少年「うおっまぶしっ」
竜『一発芸その2、ろくろ首』ニョロッ
少年「あー微妙に伸びた、か? 5cmくらい」
竜『まあお披露目出来るのはこれくらいかな』
少年「あれ案外少ないな」
竜『後は危なかったり、グロかったりするから見せられないなー。俺は何でも出来るわけじゃないんだよ』
少年「物足りない」
竜『伝説級の力をそう表現されるとは…、まあそこそこできるよ』
少年「エントリナンバー1番ポチさんです、どうぞ」パチパチ
竜『一発芸、電球』ピカー
少年「うおっまぶしっ」
竜『一発芸その2、ろくろ首』ニョロッ
少年「あー微妙に伸びた、か? 5cmくらい」
竜『まあお披露目出来るのはこれくらいかな』
少年「あれ案外少ないな」
竜『後は危なかったり、グロかったりするから見せられないなー。俺は何でも出来るわけじゃないんだよ』
少年「物足りない」
365: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:07:39.97 ID:Wgj7yzpG0
竜『俺も少年の一発芸見たいな』
少年「……取り出したるはさくらんぼ」サッ
竜『あっおいしそう頂戴』
少年「口に入れます、もごもご」
竜『俺の分はー?』
少年「もごっ、ん。ほら見て茎が固結び」ペロ
竜『……その器用さがなんで舌じゃなくて手に回らなかったのか甚だ疑問だ(こいつ…誘ってるのか?)』
少年「ほんとなんでだろ…」
少年「……取り出したるはさくらんぼ」サッ
竜『あっおいしそう頂戴』
少年「口に入れます、もごもご」
竜『俺の分はー?』
少年「もごっ、ん。ほら見て茎が固結び」ペロ
竜『……その器用さがなんで舌じゃなくて手に回らなかったのか甚だ疑問だ(こいつ…誘ってるのか?)』
少年「ほんとなんでだろ…」
366: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:08:14.82 ID:Wgj7yzpG0
男2「(もし奴が本当に能力を全て持っているとしたらその元となった竜の弱点も受け継いでいるかもしれない)」
男2「(それを確かめるには…)」
ピッピッピッPrrrrr…
男2「(それを確かめるには…)」
ピッピッピッPrrrrr…
367: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:09:54.65 ID:Wgj7yzpG0
少年「あ、また電話だ。しかも知らない番号」
竜『俺、その機械嫌いだな。それのせいで少年とゆったりした気持ちでお話できない』
少年「んー…わかった、ここでは鳴らない様にしておくよ、はいもしも…」
《コケコッコー!》
少年「…は?」
竜『…………』
少年「……どうしようこれポチ?」
竜『いたずら電話なら切っていいと思うけど』
少年「だよな、わかった。じゃあ切りますね」ピッ
少年「なんだったんだろうね?」
竜『コケッコケコケッ! 鶏のものまねー』
少年「相変わらずうまいなー 今のところ僕の中で1番評価の高い一発芸だ」
竜『(ラドンどんまい)』
竜『俺、その機械嫌いだな。それのせいで少年とゆったりした気持ちでお話できない』
少年「んー…わかった、ここでは鳴らない様にしておくよ、はいもしも…」
《コケコッコー!》
少年「…は?」
竜『…………』
少年「……どうしようこれポチ?」
竜『いたずら電話なら切っていいと思うけど』
少年「だよな、わかった。じゃあ切りますね」ピッ
少年「なんだったんだろうね?」
竜『コケッコケコケッ! 鶏のものまねー』
少年「相変わらずうまいなー 今のところ僕の中で1番評価の高い一発芸だ」
竜『(ラドンどんまい)』
368: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:11:30.20 ID:Wgj7yzpG0
ツーツーツー…
男2「不発みたいだな」
男2「……あの能力の源流がバジリスクではなくコカトリスだった場合雄鶏の鳴き声は弱点にはなり得ないが」
男2「…ダメだな、こんな不正確な情報では勝算にはなり得ない」
男2「別の手を、何も倒す必要はない。奴がこの町から去れば一先ずそれでいい、そうすればあいつに危険はない。そのためには…」
男2「奴の居場所を奪う」
男2「不発みたいだな」
男2「……あの能力の源流がバジリスクではなくコカトリスだった場合雄鶏の鳴き声は弱点にはなり得ないが」
男2「…ダメだな、こんな不正確な情報では勝算にはなり得ない」
男2「別の手を、何も倒す必要はない。奴がこの町から去れば一先ずそれでいい、そうすればあいつに危険はない。そのためには…」
男2「奴の居場所を奪う」
369: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:12:33.07 ID:Wgj7yzpG0
竜『俺はここが気に入ってるんだ』
少年「こんな薄暗くて肌寒い場所がか? ポチって変わってるなあ」
竜『そんな場所にほぼ毎日足繁く通う少年も変わってるよー』
少年「だってポチがここにしかいないからしょうがないじゃん」
竜『前さ、少年俺と色んな場所で一緒に過ごしたいって言ったよね』
少年「んー覚えてはないけど今もそう思うってことは言ったのかも」
竜『どのぐらいそれを望んでいるんだい?』
少年「えっとこれくらい?」
竜『手を広げて表現されてもそれは少年の主観だから俺には把握できないなー』
少年「心の底から思ってるよ! 本気ホンキ!」
竜『それが全てを失う願いだとしても望むかい?』
少年「えっ?」
少年「こんな薄暗くて肌寒い場所がか? ポチって変わってるなあ」
竜『そんな場所にほぼ毎日足繁く通う少年も変わってるよー』
少年「だってポチがここにしかいないからしょうがないじゃん」
竜『前さ、少年俺と色んな場所で一緒に過ごしたいって言ったよね』
少年「んー覚えてはないけど今もそう思うってことは言ったのかも」
竜『どのぐらいそれを望んでいるんだい?』
少年「えっとこれくらい?」
竜『手を広げて表現されてもそれは少年の主観だから俺には把握できないなー』
少年「心の底から思ってるよ! 本気ホンキ!」
竜『それが全てを失う願いだとしても望むかい?』
少年「えっ?」
370: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:13:57.60 ID:Wgj7yzpG0
竜『家族、友人、社会的地位、衣食住の保証、このまま順当に進めば与えられるであろうごく一般的な人間としての未来、それらを失ってまで叶える覚悟があるのかい?』
少年「そ、そんなに大変なお願いだったのだろうか」
竜『実はそうなんだよー、無理でしょー?』
少年「…………ん、でもさ、ポチと一緒にはいられるんだろ?」
竜『…それは、まあ多分』
少年「じゃあ」
竜『駄目だよ』
少年「そ、そんなに大変なお願いだったのだろうか」
竜『実はそうなんだよー、無理でしょー?』
少年「…………ん、でもさ、ポチと一緒にはいられるんだろ?」
竜『…それは、まあ多分』
少年「じゃあ」
竜『駄目だよ』
371: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:15:08.64 ID:Wgj7yzpG0
少年「…まだ途中じゃん」
竜『君は物事をもっと深く考えた方がいい、自分の決断の重大さがわかっていない』
少年「考えてる、よ。多分」
竜『ほらもう自信がなくなってる、そんな覚悟じゃ絶対に後悔するね』
少年「…ポチがそう言うってことはそうなのかなあ」
竜『俺はこのままがいいよ、ずっとここにいたい。だからこの居場所を奪おうとする者を決して赦しはしない』
少年「わざわざこんなへんぴな場所誰も取らないって」
竜『…そうかもね』
竜『君は物事をもっと深く考えた方がいい、自分の決断の重大さがわかっていない』
少年「考えてる、よ。多分」
竜『ほらもう自信がなくなってる、そんな覚悟じゃ絶対に後悔するね』
少年「…ポチがそう言うってことはそうなのかなあ」
竜『俺はこのままがいいよ、ずっとここにいたい。だからこの居場所を奪おうとする者を決して赦しはしない』
少年「わざわざこんなへんぴな場所誰も取らないって」
竜『…そうかもね』
372: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:15:36.16 ID:Wgj7yzpG0
男2「(絶対に犠牲を出さずに奴を追い出すには……)思いついたには思いついた」
男2「だが協力者が必要だな」
男2「待つしかないか」
男2「だが協力者が必要だな」
男2「待つしかないか」
373: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:16:49.40 ID:Wgj7yzpG0
Prrrrr…
男2「よお、早かったな」ピッ
《…調べた?》
男2「おお、調べたぞ。その件については礼を言う」
《別にいい》
男2「そんでだ、実はだなお前に協力して欲しいことがある」
《何?》
男2「奴をこの町から追い出すのを手伝ってくれ」
《…………》
男2「俺に情報を渡したってことはお前もあの怪物の敵、ってことだろ? 手を組もうじゃねえか」
《勝算はあるの?》
男2「ああ、この作戦はお前にも大して危険はない。ただ少しだけやってもらいたいことがあるんだ」
《あなたに危険はあるの?》
男2「赤の他人のことなんか気にするな」
《……条件がある》
男2「なんだ?」
《あなたは私の姿を決して見ないで》
男2「そりゃまた難しい注文だな……まあいい、その注文を飲んでもこの作戦は実行可能だ」
《なら、詳しく聞かせて》
男2「あいよ」
男2「よお、早かったな」ピッ
《…調べた?》
男2「おお、調べたぞ。その件については礼を言う」
《別にいい》
男2「そんでだ、実はだなお前に協力して欲しいことがある」
《何?》
男2「奴をこの町から追い出すのを手伝ってくれ」
《…………》
男2「俺に情報を渡したってことはお前もあの怪物の敵、ってことだろ? 手を組もうじゃねえか」
《勝算はあるの?》
男2「ああ、この作戦はお前にも大して危険はない。ただ少しだけやってもらいたいことがあるんだ」
《あなたに危険はあるの?》
男2「赤の他人のことなんか気にするな」
《……条件がある》
男2「なんだ?」
《あなたは私の姿を決して見ないで》
男2「そりゃまた難しい注文だな……まあいい、その注文を飲んでもこの作戦は実行可能だ」
《なら、詳しく聞かせて》
男2「あいよ」
374: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:17:29.99 ID:Wgj7yzpG0
―夜、少年の自宅―
少年「おーい」コンコン
弟「入ってまーす」
少年「お邪魔していい?」
弟「どぞー」
少年「お邪魔しまーす」
弟「いらっしゃい、どうしたのめずらしい。またパソコン?」
少年「弟に頼みがあるんだ」
弟「うお、正座するとはよほどの頼みか?」
少年「料理を教えて欲しい」
少年「おーい」コンコン
弟「入ってまーす」
少年「お邪魔していい?」
弟「どぞー」
少年「お邪魔しまーす」
弟「いらっしゃい、どうしたのめずらしい。またパソコン?」
少年「弟に頼みがあるんだ」
弟「うお、正座するとはよほどの頼みか?」
少年「料理を教えて欲しい」
375: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:18:32.11 ID:Wgj7yzpG0
弟「え? 料理? いいけどなんで?」
少年「…え、えーと」
弟「誰かに食べさせてあげるとか?」
少年「ななななななんでそう思ったし?」
弟「適当に言ったけどマジでか。すごいね誰に作ってあげるの? 彼女?」
少年「ち、違うよ! 僕は弟と違ってモテないよ! 一目散に爆発しろ!」
弟「まあ家事ができる男は印象いいと思うよ?」
少年「…じゃあなおさらがんばる」
弟「先に台所行って準備してて、着替えたら行くから」
少年「ん、わかった」パタン
少年「…え、えーと」
弟「誰かに食べさせてあげるとか?」
少年「ななななななんでそう思ったし?」
弟「適当に言ったけどマジでか。すごいね誰に作ってあげるの? 彼女?」
少年「ち、違うよ! 僕は弟と違ってモテないよ! 一目散に爆発しろ!」
弟「まあ家事ができる男は印象いいと思うよ?」
少年「…じゃあなおさらがんばる」
弟「先に台所行って準備してて、着替えたら行くから」
少年「ん、わかった」パタン
376: ◆yJ9Y64R876 2013/11/23(土) 20:19:41.29 ID:Wgj7yzpG0
少年「えーとこうやるのかな…」カチカチ
少年「……だめだ、こんないびつじゃ喜んでくれないだろ。やり直し」
少年「時間がない、あと何日だ? うわ、マジか…」
少年「急がなきゃ」カチカチ
少年「……だめだ、こんないびつじゃ喜んでくれないだろ。やり直し」
少年「時間がない、あと何日だ? うわ、マジか…」
少年「急がなきゃ」カチカチ
379: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 19:56:07.05 ID:RhmTn4XG0
―数日後―
少年「おはようございまーす……」ドヨーン
竜『おはよ…どうしたの少年? 体調良くなさそうだけど』
少年「ただの寝不足だよ、気にしないで…」
竜『ちゃんと寝ないと体に悪いよ? 風邪でも引いたらどうするの?』
少年「ん、だからここで寝る…おやすみ……」モゾモゾ
竜『はい、おやすみ』ダキッ
少年「……スースー…」
竜『……俺も…もう1回寝よう……夢の中なら好きにできるし……』ウトウト
少年「おはようございまーす……」ドヨーン
竜『おはよ…どうしたの少年? 体調良くなさそうだけど』
少年「ただの寝不足だよ、気にしないで…」
竜『ちゃんと寝ないと体に悪いよ? 風邪でも引いたらどうするの?』
少年「ん、だからここで寝る…おやすみ……」モゾモゾ
竜『はい、おやすみ』ダキッ
少年「……スースー…」
竜『……俺も…もう1回寝よう……夢の中なら好きにできるし……』ウトウト
380: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 19:57:07.29 ID:RhmTn4XG0
♪とある竜の青春の夢
――――
竜『(……ここは、ああ夢の中か。それもよりによってあの時の)』
竜『君はどうするの?』
「私の生きる意味は失われた。これ以上語る必要はないだろう」
竜『そうか、じゃあ、さよならだ』
「もういくのか?」
竜『ああ、もういくよ。少し、この体は疲れすぎた。もう楽にさせてくれ』
「そうか、手伝おうか?」
竜『いい。自分でやれる、痛いのは慣れた』ベリッ
「さよなら××××」
竜『さよなら××××』ヒュッ
――――
竜『(……ここは、ああ夢の中か。それもよりによってあの時の)』
竜『君はどうするの?』
「私の生きる意味は失われた。これ以上語る必要はないだろう」
竜『そうか、じゃあ、さよならだ』
「もういくのか?」
竜『ああ、もういくよ。少し、この体は疲れすぎた。もう楽にさせてくれ』
「そうか、手伝おうか?」
竜『いい。自分でやれる、痛いのは慣れた』ベリッ
「さよなら××××」
竜『さよなら××××』ヒュッ
381: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 19:57:47.93 ID:RhmTn4XG0
――――
少年「目を覚ましたらポチがめちゃめちゃうなされてるどうしようどうしよう」アタフタアタフタ
竜「グウウゥ……ウガァ」
少年「ポチ、ぽちおきてっ」
竜『さむい…さむい…』
少年「さ、寒いの? 暖めればいいの?」
竜『……なんて大嫌いだ』ブルブル
少年「こういう時こういう時どうすればいいんだっけ……あ、人肌で暖めるとか?」
少年「……いやいや他に何かあるだろ僕!」
竜『うぅ…』ブルブル
少年「ええい何を今更!」
少年「目を覚ましたらポチがめちゃめちゃうなされてるどうしようどうしよう」アタフタアタフタ
竜「グウウゥ……ウガァ」
少年「ポチ、ぽちおきてっ」
竜『さむい…さむい…』
少年「さ、寒いの? 暖めればいいの?」
竜『……なんて大嫌いだ』ブルブル
少年「こういう時こういう時どうすればいいんだっけ……あ、人肌で暖めるとか?」
少年「……いやいや他に何かあるだろ僕!」
竜『うぅ…』ブルブル
少年「ええい何を今更!」
382: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 19:58:43.83 ID:RhmTn4XG0
――――
カツカツ…
竜『(あ、誰かがこっちに来る足音が聞こえる)』
少年「階段を降りたら何やら重そうな扉があった。開けるか否か、いや開けるべきだ。特に理由はないが」ギィ…
竜『(殺るか? それとも姿を消してやり過ごすか?)』
少年「……気味が悪いほどイスがいっぱいある。巨大なスクリーンもある」
竜『(いや、話しかけてみよう、子供なら俺の姿を見たら逃げ出すだろう。例え誰かに告げ口しても夢を見たんだと言われるのがオチだ)』
竜『そこでぶつぶつ独り言を言ってるのは誰?』
少年「声はすれども姿は見当たらず」キョロキョロ
竜『こっちこっち。座席の一番前の辺り』
少年「あ、そこね。どうもこんにちは」
竜『(……あれ、見えてるよな俺の姿?)』
カツカツ…
竜『(あ、誰かがこっちに来る足音が聞こえる)』
少年「階段を降りたら何やら重そうな扉があった。開けるか否か、いや開けるべきだ。特に理由はないが」ギィ…
竜『(殺るか? それとも姿を消してやり過ごすか?)』
少年「……気味が悪いほどイスがいっぱいある。巨大なスクリーンもある」
竜『(いや、話しかけてみよう、子供なら俺の姿を見たら逃げ出すだろう。例え誰かに告げ口しても夢を見たんだと言われるのがオチだ)』
竜『そこでぶつぶつ独り言を言ってるのは誰?』
少年「声はすれども姿は見当たらず」キョロキョロ
竜『こっちこっち。座席の一番前の辺り』
少年「あ、そこね。どうもこんにちは」
竜『(……あれ、見えてるよな俺の姿?)』
383: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 19:59:24.52 ID:RhmTn4XG0
――――
竜『うん、もう十分身体暖まったから離れるね。嫌だろうに付き合ってくれてありがとね』パッ
竜『(あ、これはちょっとケンカっぽい雰囲気になった時だ)』
少年「……だめだ」ギュッ
少年「…………」ボロボロ
竜『(うわあ泣いてる姿も可愛いなあ、実にそそられる)』
少年「何勝手にひとりで満足して離してるんだ! さむいんだよ! さみしいんだよ! 悲しいんだよ! ポチが離れたあの瞬間何故だか喪失感がものすごかったんだよ! ご覧の通り思わず泣いちゃったよ!」
竜『(……本当の意味で俺自身が必要だと言われたのはこの時が初めてだった気がする)』
竜『…大丈夫、離さない、離れない。俺はここにいるよ』
少年「ずっといるって約束しろよバカ竜がぁ……」
竜『いいよ、約束する』
少年「…うぅ、うあぁ……」ギュウウゥゥ
竜『(ああ、この時はっきり自覚したんだ。君への気持ちを)』
竜『うん、もう十分身体暖まったから離れるね。嫌だろうに付き合ってくれてありがとね』パッ
竜『(あ、これはちょっとケンカっぽい雰囲気になった時だ)』
少年「……だめだ」ギュッ
少年「…………」ボロボロ
竜『(うわあ泣いてる姿も可愛いなあ、実にそそられる)』
少年「何勝手にひとりで満足して離してるんだ! さむいんだよ! さみしいんだよ! 悲しいんだよ! ポチが離れたあの瞬間何故だか喪失感がものすごかったんだよ! ご覧の通り思わず泣いちゃったよ!」
竜『(……本当の意味で俺自身が必要だと言われたのはこの時が初めてだった気がする)』
竜『…大丈夫、離さない、離れない。俺はここにいるよ』
少年「ずっといるって約束しろよバカ竜がぁ……」
竜『いいよ、約束する』
少年「…うぅ、うあぁ……」ギュウウゥゥ
竜『(ああ、この時はっきり自覚したんだ。君への気持ちを)』
384: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:00:07.77 ID:RhmTn4XG0
――――
竜『…ん?』パチッ
少年「ま、待ってこっち見るな!」アワアワ
竜『そう言われると見たくなるよね』チラッ
少年「あわわわわ」
竜『……責任は俺が持つよ』
少年「どういうこと?」
竜『少年のハジメテを奪った責任だよ』
少年「え。よくわかんないけど奪ったなら返してよ」
竜『冗談はさて置き……とりあえずズボンぐらいは履いてくれないか」
少年「あ、お目汚しごめん」
竜『むしろ眼福だけどね、ちょっと衝動を抑えられなくなるけど』
竜『…ん?』パチッ
少年「ま、待ってこっち見るな!」アワアワ
竜『そう言われると見たくなるよね』チラッ
少年「あわわわわ」
竜『……責任は俺が持つよ』
少年「どういうこと?」
竜『少年のハジメテを奪った責任だよ』
少年「え。よくわかんないけど奪ったなら返してよ」
竜『冗談はさて置き……とりあえずズボンぐらいは履いてくれないか」
少年「あ、お目汚しごめん」
竜『むしろ眼福だけどね、ちょっと衝動を抑えられなくなるけど』
385: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:00:52.04 ID:RhmTn4XG0
少年「見てみて、ほら鶴折れるようになった」ジャーン
竜『翼ぽっきり折れてるけど』
少年「それはポチの心が汚れてるからそう見えるんだ」
竜『いや明らかに折れてるって、これで直角測れるよ?」
少年「どこで間違えたんだ…」
竜『ちゃんと飛べるように作り直してあげて』
少年「そだな、やっぱ鳥は飛ばないとな。じゃあもう一回最初からやるから間違えてないか見守ってて」
竜『あいよ』
竜『翼ぽっきり折れてるけど』
少年「それはポチの心が汚れてるからそう見えるんだ」
竜『いや明らかに折れてるって、これで直角測れるよ?」
少年「どこで間違えたんだ…」
竜『ちゃんと飛べるように作り直してあげて』
少年「そだな、やっぱ鳥は飛ばないとな。じゃあもう一回最初からやるから間違えてないか見守ってて」
竜『あいよ』
386: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:01:29.25 ID:RhmTn4XG0
少年「今度こそできたー!」ジャーン!
竜『やり直しまくって随分くしゃくしゃになっちゃったけどね』
少年「まあまあ今は無事完成したことを喜ぼうではないか」
竜『やったあああぁおめでとおおおぉ!』
少年「ちょ、頭に響くから静かにして」
竜『喜べといったり静かにしろと言ったり我侭が過ぎる』
少年「静かに喜ぶという選択肢はないの?」
竜『やり直しまくって随分くしゃくしゃになっちゃったけどね』
少年「まあまあ今は無事完成したことを喜ぼうではないか」
竜『やったあああぁおめでとおおおぉ!』
少年「ちょ、頭に響くから静かにして」
竜『喜べといったり静かにしろと言ったり我侭が過ぎる』
少年「静かに喜ぶという選択肢はないの?」
387: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:02:12.06 ID:RhmTn4XG0
少年「ふっ! …よっ!」プルプル
竜『はい後10回だよー』
少年「くう…!」
竜『はいお疲れー』
少年「ぜー…ぜー…、ちくしょう腹筋しんどい」
竜『でもすごいね、前より断然体力ついたよ』
少年「ほんと? やった嬉しい」
竜『なんかさー少年変わったよね』
少年「え? そんなに身長伸びた?」
竜『いんやそっちはさっぱし』
少年「ちぃっ! え、じゃあ僕何が変わったの? 目じりの深さ?」
竜『整形はおすすめしない。何ていうか最初に会ったときより色んな事に積極的になったよね』
少年「んー確かにそれはあるかも」
竜『やっぱり? とてもいいことだけどなんで?』
竜『はい後10回だよー』
少年「くう…!」
竜『はいお疲れー』
少年「ぜー…ぜー…、ちくしょう腹筋しんどい」
竜『でもすごいね、前より断然体力ついたよ』
少年「ほんと? やった嬉しい」
竜『なんかさー少年変わったよね』
少年「え? そんなに身長伸びた?」
竜『いんやそっちはさっぱし』
少年「ちぃっ! え、じゃあ僕何が変わったの? 目じりの深さ?」
竜『整形はおすすめしない。何ていうか最初に会ったときより色んな事に積極的になったよね』
少年「んー確かにそれはあるかも」
竜『やっぱり? とてもいいことだけどなんで?』
388: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:02:51.95 ID:RhmTn4XG0
少年「僕さ、あんまり自分が好きじゃないんだよね」
竜『まあ自分が大好き! 俺最高! って人はあんまりいないよね』
少年「でもさ、ポチ僕のこと好きって言ってくれたじゃん」
竜『大好きだよ』
少年「ポチが好きなものは僕も好きになりたいなあ…って思ってさ、なら自分を好きになれるように変えればいいんだ! っていう思いつきを実行してみてるんだけど」
竜『…時々少年の思考回路は俺には理解しかねるなあ』
少年「えーなんとなくわかってよ」
竜『まあ応援してるよ(そうだ)』
少年「ありがとう、だから引き続きご協力お願いします」
竜『おっけー("変化"を望んでいないのはきっともう俺だけなんだ)』
竜『まあ自分が大好き! 俺最高! って人はあんまりいないよね』
少年「でもさ、ポチ僕のこと好きって言ってくれたじゃん」
竜『大好きだよ』
少年「ポチが好きなものは僕も好きになりたいなあ…って思ってさ、なら自分を好きになれるように変えればいいんだ! っていう思いつきを実行してみてるんだけど」
竜『…時々少年の思考回路は俺には理解しかねるなあ』
少年「えーなんとなくわかってよ」
竜『まあ応援してるよ(そうだ)』
少年「ありがとう、だから引き続きご協力お願いします」
竜『おっけー("変化"を望んでいないのはきっともう俺だけなんだ)』
389: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:03:37.68 ID:RhmTn4XG0
少年「次はこれ、長期休暇期間の課題」ドサッ
竜『これはまたてんこ盛りだね』
少年「この量休ませる気まったくないよな」
竜『まあ君らの年代は知識の吸収に最適な時期だから今の内に詰め込ませたいんだろう』
少年「こんなの一気に詰め込んだらパンクしそうだけど」
竜『丸ごと覚えるんじゃなく必要な部分だけ要領よく記憶して行こう、ほら早くやらないと終わらないよ?』
少年「しょうがない速攻で片付けてやる…!」
少年「ふええもう無理だあ、これ絶対終わらないいぃ」
竜『ちなみに宿題開始から30分後の台詞である』
少年「ポチ代わりにやってー」
竜『俺ペン持てねえよ』
少年「……口! 口でくわえれば!」
竜『無理、ほら咥えようとすると』バキィッ
少年「折れるとわかってて何故実践した」
竜『これはまたてんこ盛りだね』
少年「この量休ませる気まったくないよな」
竜『まあ君らの年代は知識の吸収に最適な時期だから今の内に詰め込ませたいんだろう』
少年「こんなの一気に詰め込んだらパンクしそうだけど」
竜『丸ごと覚えるんじゃなく必要な部分だけ要領よく記憶して行こう、ほら早くやらないと終わらないよ?』
少年「しょうがない速攻で片付けてやる…!」
少年「ふええもう無理だあ、これ絶対終わらないいぃ」
竜『ちなみに宿題開始から30分後の台詞である』
少年「ポチ代わりにやってー」
竜『俺ペン持てねえよ』
少年「……口! 口でくわえれば!」
竜『無理、ほら咥えようとすると』バキィッ
少年「折れるとわかってて何故実践した」
390: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:04:06.73 ID:RhmTn4XG0
少年「手が痛い」
竜『腱鞘炎になる前に止めといた方がいいよ』
少年「いやあでもさっさとこっち片付けて集中したいことがあるからさ」
竜『へえ、何それ?』
少年「今はまだ秘密」
竜『ちぇー』
少年「急がないと」カキカキ
竜『腱鞘炎になる前に止めといた方がいいよ』
少年「いやあでもさっさとこっち片付けて集中したいことがあるからさ」
竜『へえ、何それ?』
少年「今はまだ秘密」
竜『ちぇー』
少年「急がないと」カキカキ
391: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:05:37.94 ID:RhmTn4XG0
《作戦決行日は》
男2「今日から7日後、準備はもう出来てる」
《どうしてその日に?》
男2「この日なら物音を聞きつけ巻き込まれる奴は近くにいないだろ、大抵の人間は街中か家にいる」
《わかった、ではその日に例の時間に》
男2「ああ、あれを持ってくるのを忘れないように」
《わかってる》プツッ
男2「……はあ、あいつに何て言い訳するかな」パタン
男2「今日から7日後、準備はもう出来てる」
《どうしてその日に?》
男2「この日なら物音を聞きつけ巻き込まれる奴は近くにいないだろ、大抵の人間は街中か家にいる」
《わかった、ではその日に例の時間に》
男2「ああ、あれを持ってくるのを忘れないように」
《わかってる》プツッ
男2「……はあ、あいつに何て言い訳するかな」パタン
392: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:06:46.93 ID:RhmTn4XG0
少年「…………」スースー
竜『あらら、勉強しすぎで疲れたのか寝ちゃったよ。少年風邪引くよー?』
竜『…ねえ少年、いつになったら君は俺の気持ちをわかってくれるんだろうね?』ダキッ
少年「んん……」スースー
竜『……いや本当はわかってもらわない方がいいのかもしれない。だってさ、気持ち悪いだろう?』
竜『俺みたいなバケモノが、人間の、同性の、子供に本気で欲 してるんだよ? こんなの何から何まで倫理に反している、こんな気持ちが赦される訳がない』
少年「た、たこ焼きはたこ抜きでお願いします…」ムニャムニャ
竜『何度か君に俺の気持ちを伝えようとしたけど今思えば伝わらなくて良かった。だって、俺が君にこんな歪んだ感情を抱いていると知ったら君はここにもう二度と来てくれないかもしれない、いや絶対に来なくなる。そしたら俺は、生かされることに耐えられない』
竜『なら、もう君に俺の想いを伝えようとするのは止めようと思う。君にこんな醜い感情を知られて君に拒絶されるぐらいなら俺はこの想いを封印することを選ぶ』
竜『元々あらゆる意味で叶う筈のない恋なんだ、希望を抱くこと自体が間違ってる。ただ、それでも、俺が一つだけ望んでいいとしたら』
少年「…………」スースー
竜『俺を孤独にさせないで』
竜『あらら、勉強しすぎで疲れたのか寝ちゃったよ。少年風邪引くよー?』
竜『…ねえ少年、いつになったら君は俺の気持ちをわかってくれるんだろうね?』ダキッ
少年「んん……」スースー
竜『……いや本当はわかってもらわない方がいいのかもしれない。だってさ、気持ち悪いだろう?』
竜『俺みたいなバケモノが、人間の、同性の、子供に本気で欲 してるんだよ? こんなの何から何まで倫理に反している、こんな気持ちが赦される訳がない』
少年「た、たこ焼きはたこ抜きでお願いします…」ムニャムニャ
竜『何度か君に俺の気持ちを伝えようとしたけど今思えば伝わらなくて良かった。だって、俺が君にこんな歪んだ感情を抱いていると知ったら君はここにもう二度と来てくれないかもしれない、いや絶対に来なくなる。そしたら俺は、生かされることに耐えられない』
竜『なら、もう君に俺の想いを伝えようとするのは止めようと思う。君にこんな醜い感情を知られて君に拒絶されるぐらいなら俺はこの想いを封印することを選ぶ』
竜『元々あらゆる意味で叶う筈のない恋なんだ、希望を抱くこと自体が間違ってる。ただ、それでも、俺が一つだけ望んでいいとしたら』
少年「…………」スースー
竜『俺を孤独にさせないで』
393: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:07:30.20 ID:RhmTn4XG0
―自宅―
少年「弟ー起きてるかー?」
弟「ちょい待ち」バタバタ
少年「もういいかー?」
弟「いいよ、どうぞ」
少年「また料理教えて欲しいんだけど……」ガチャ
弟「兄さんも熱心だな、あとそれ踏まないで」
少年「うわ、ごめん! 弟の勝負服踏んづけてた!」
弟「いや違うけど、まあいいや。なら先に行って準備しといて」
少年「もうした、ほらエプロンも付けたし」クルリ
弟「…やる気満々だなあ、わかったわかった着替えたら行くから」
少年「いやあ、手間かけさせて悪い」
弟「いいよどうせ暇だし。それに兄さんの色恋は貴重だから是非貢献したいしね」
少年「だ、だから違うって…!」
弟「あ。足元注意ね」
少年「うわ、危なっ、前から思ってたけど弟部屋汚いよな。こんなとこに置いたら割っちゃうだろ」
弟「まあ安物だから割っても大して困らないけど、はいじゃあ着替えるから出てった出てった」
少年「早くなー」
少年「弟ー起きてるかー?」
弟「ちょい待ち」バタバタ
少年「もういいかー?」
弟「いいよ、どうぞ」
少年「また料理教えて欲しいんだけど……」ガチャ
弟「兄さんも熱心だな、あとそれ踏まないで」
少年「うわ、ごめん! 弟の勝負服踏んづけてた!」
弟「いや違うけど、まあいいや。なら先に行って準備しといて」
少年「もうした、ほらエプロンも付けたし」クルリ
弟「…やる気満々だなあ、わかったわかった着替えたら行くから」
少年「いやあ、手間かけさせて悪い」
弟「いいよどうせ暇だし。それに兄さんの色恋は貴重だから是非貢献したいしね」
少年「だ、だから違うって…!」
弟「あ。足元注意ね」
少年「うわ、危なっ、前から思ってたけど弟部屋汚いよな。こんなとこに置いたら割っちゃうだろ」
弟「まあ安物だから割っても大して困らないけど、はいじゃあ着替えるから出てった出てった」
少年「早くなー」
394: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:08:13.68 ID:RhmTn4XG0
少年「あと7日かあ」カチカチ
少年「これ喜んでくれるかなポチ」カチ…
弟(それに兄さんの色恋は貴重だから是非貢献したいしね)
少年「うわ、唐突に思い出した……くそう弟めえ人をおちょくりやがって」
少年「でも、……本当に違うのか?」
少年「……………………いやいや何言ってるんだ僕! ありえんだろう相手竜だし男だぞ!?」
少年「そうだよ、そんなの許されるはずがないじゃんか。そもそもこんなの恋として成り立ってないよ僕」
少年「でも、なんでだろ。よくわかんないけど胸が苦しい」ギュウゥ
少年「…………ほんとはわかってるじゃん僕」
少年「僕気持ち、悪いなあ。あはは…」ポロポロ
少年「これ喜んでくれるかなポチ」カチ…
弟(それに兄さんの色恋は貴重だから是非貢献したいしね)
少年「うわ、唐突に思い出した……くそう弟めえ人をおちょくりやがって」
少年「でも、……本当に違うのか?」
少年「……………………いやいや何言ってるんだ僕! ありえんだろう相手竜だし男だぞ!?」
少年「そうだよ、そんなの許されるはずがないじゃんか。そもそもこんなの恋として成り立ってないよ僕」
少年「でも、なんでだろ。よくわかんないけど胸が苦しい」ギュウゥ
少年「…………ほんとはわかってるじゃん僕」
少年「僕気持ち、悪いなあ。あはは…」ポロポロ
395: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:08:50.22 ID:RhmTn4XG0
―次の日、夕刻―
少年「うおおお宿題オワター!」
竜『おめでとさんー!』
少年「よしじゃあ、僕帰る」
竜『ええ? もう? もっとゆっくりしていきんしゃい』
少年「今ちょっと忙しいんだ、ごめんな」
竜『ねえ、少年。こっち見て』
少年「えっ、なっ何?」
少年「うおおお宿題オワター!」
竜『おめでとさんー!』
少年「よしじゃあ、僕帰る」
竜『ええ? もう? もっとゆっくりしていきんしゃい』
少年「今ちょっと忙しいんだ、ごめんな」
竜『ねえ、少年。こっち見て』
少年「えっ、なっ何?」
396: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:09:39.55 ID:RhmTn4XG0
竜『少年今日俺と目を合わせようとしないけどどうして?』
少年「き、気のせいじゃないかなあ」
竜『あからさまに目が泳いでるよ』
少年「マジで?」
竜『マジで』
少年「まあその件は置いておこう、な?」
竜『じゃあやっぱり見なかったのは間違いじゃないんだー』
少年「…うう、勘弁してください。ちょっとこちらの方でトラブルがあったもんで…」
竜『トラブルなら仕方ないねー』
少年「早急に問題の解決を図っているもので、はい、もう少々お待ちいただければ……」
竜『ちなみにどんなトラブル?』
少年「もう聞くなよバカトカゲ! 怒るぞ!」
竜『うーん逆鱗に触れてしまったようだ』
少年「き、気のせいじゃないかなあ」
竜『あからさまに目が泳いでるよ』
少年「マジで?」
竜『マジで』
少年「まあその件は置いておこう、な?」
竜『じゃあやっぱり見なかったのは間違いじゃないんだー』
少年「…うう、勘弁してください。ちょっとこちらの方でトラブルがあったもんで…」
竜『トラブルなら仕方ないねー』
少年「早急に問題の解決を図っているもので、はい、もう少々お待ちいただければ……」
竜『ちなみにどんなトラブル?』
少年「もう聞くなよバカトカゲ! 怒るぞ!」
竜『うーん逆鱗に触れてしまったようだ』
397: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:10:22.61 ID:RhmTn4XG0
少年「じゃあ今度こそ帰る、ばいばい」トテトテ
竜『まったねー』
少年「……あのさポチ」ピタ
竜『なあに?』
少年「…………6日後楽しみにしておけ!」ビシッ
竜『うんわかった楽しみにしておく』
少年「じゃな!」タッタッタ…
竜『……6日後なんなんだろう?』
竜『まったねー』
少年「……あのさポチ」ピタ
竜『なあに?』
少年「…………6日後楽しみにしておけ!」ビシッ
竜『うんわかった楽しみにしておく』
少年「じゃな!」タッタッタ…
竜『……6日後なんなんだろう?』
398: ◆yJ9Y64R876 2013/11/30(土) 20:11:14.33 ID:RhmTn4XG0
―5日後―
少年「……出来た!」
少年「なんとか期限までに完成したぞ!」
少年「これでポチも寒くなかろう、ふっふっふっ喜んでくれるかなあ……あれ」
少年「……………………バカか僕は!」ベシッ
少年「サイズが途方もなく合ってないよ! こんなのはめたらポチ窒息するわ! なんで作ってる最中に気づかなかったんだよ!」
少年「……どうしよう明日なのに、クリスマスイヴ」
少年「……出来た!」
少年「なんとか期限までに完成したぞ!」
少年「これでポチも寒くなかろう、ふっふっふっ喜んでくれるかなあ……あれ」
少年「……………………バカか僕は!」ベシッ
少年「サイズが途方もなく合ってないよ! こんなのはめたらポチ窒息するわ! なんで作ってる最中に気づかなかったんだよ!」
少年「……どうしよう明日なのに、クリスマスイヴ」
400: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:02:51.73 ID:+uzoi1os0
―次の日―
竜『う、今日いつにも増して寒いな。ここに住み始めて以来の寒さだ』
竜『少年早く来ないと俺冬眠しちゃうよーなんて』
竜『うー、ホントに寒い。ここ薄暗いから尚更寒く感じるんだよね』ブルブル
竜『早く冬終わらないかなあ。春が来て、夏が来て、そんでもって当たり前に秋が来て、いつの間にか1年が過ぎて…』
竜『その頃になっても少年は俺の下に会いに来てくれるのかなあ』
竜『……俺はパフじゃないと信じたいよ少年』
竜『う、今日いつにも増して寒いな。ここに住み始めて以来の寒さだ』
竜『少年早く来ないと俺冬眠しちゃうよーなんて』
竜『うー、ホントに寒い。ここ薄暗いから尚更寒く感じるんだよね』ブルブル
竜『早く冬終わらないかなあ。春が来て、夏が来て、そんでもって当たり前に秋が来て、いつの間にか1年が過ぎて…』
竜『その頃になっても少年は俺の下に会いに来てくれるのかなあ』
竜『……俺はパフじゃないと信じたいよ少年』
401: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:03:27.87 ID:+uzoi1os0
少年「…よし、忘れ物はないな」
弟「お、もう出かけるの兄さん?」
少年「うん、なんだか落ち着かなくてさ」
弟「いやあ毎年無味乾燥なクリスマスを送ってた兄さんがまさかねえ」
少年「弟何か勘違いしてないか?」
弟「さあ?」ニヤニヤ
少年「くぅ…弟は今日どうするんだ?」
弟「兄さんと一緒でデートだよ」
少年「僕は違うし弟は速やかに爆ぜてください」
弟「俺は今日朝まで帰らないけど兄さんはいつ頃帰るの?」
少年「僕はまあ夜までには帰るけど、え? ていうか弟帰らないのなんで?」
弟「それを聞くのは野暮ってもんだぜ兄さん」
少年「?」
弟「お、もう出かけるの兄さん?」
少年「うん、なんだか落ち着かなくてさ」
弟「いやあ毎年無味乾燥なクリスマスを送ってた兄さんがまさかねえ」
少年「弟何か勘違いしてないか?」
弟「さあ?」ニヤニヤ
少年「くぅ…弟は今日どうするんだ?」
弟「兄さんと一緒でデートだよ」
少年「僕は違うし弟は速やかに爆ぜてください」
弟「俺は今日朝まで帰らないけど兄さんはいつ頃帰るの?」
少年「僕はまあ夜までには帰るけど、え? ていうか弟帰らないのなんで?」
弟「それを聞くのは野暮ってもんだぜ兄さん」
少年「?」
402: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:03:54.77 ID:+uzoi1os0
少年「重っ…だがある意味このために筋トレをしたんだ、絶対に無事に持っていく」
少年「ふふふ…ポチの驚く顔が容易に浮ぶぞ、がんばれ僕、ファイトだ僕」
少年「ふふふ…ポチの驚く顔が容易に浮ぶぞ、がんばれ僕、ファイトだ僕」
403: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:04:53.77 ID:+uzoi1os0
竜『ん? 足音が聞こえる』ピクリ
少年「ポチー扉開けてー」
竜『いや、そっちの穴から来たらいいじゃない』
少年「なるほどー、…………ふう! よっこいしょ!」
竜『わあ、少年今日大荷物だねどうしたの? 家出? 夜逃げ?』
少年「ふふふふふポチ君、君は今日が何の日か知っているかね?」
竜『え? なんだろ、天皇誕生日?』
少年「惜しい!」
竜『惜しい? んー…、そもそも今って何月だっけ?』
少年「正解はクリスマスイヴでしたー」
竜『……別にクリスマスはキリストの誕生日ではないよ?』
少年「…そ、そういう説もあるよな」
少年「ポチー扉開けてー」
竜『いや、そっちの穴から来たらいいじゃない』
少年「なるほどー、…………ふう! よっこいしょ!」
竜『わあ、少年今日大荷物だねどうしたの? 家出? 夜逃げ?』
少年「ふふふふふポチ君、君は今日が何の日か知っているかね?」
竜『え? なんだろ、天皇誕生日?』
少年「惜しい!」
竜『惜しい? んー…、そもそも今って何月だっけ?』
少年「正解はクリスマスイヴでしたー」
竜『……別にクリスマスはキリストの誕生日ではないよ?』
少年「…そ、そういう説もあるよな」
404: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:05:25.08 ID:+uzoi1os0
少年「そんなことはどうでもいいんだ! それよりやるぞ!」
竜『何を?』
少年「クリスマスパーティー!」
竜『…………ほえ?』
少年「なんだよもっと喜んでよ」
竜『いやなんかもう予想外すぎて……えっと俺と少年で?』
少年「うん、何を当たり前なことを」
竜『ええ…いやクリスマスイヴって普通家族と過ごすもので、あれこの国は恋人と過ごすって考え方だっけ』
少年「僕がポチと過ごしたいんだからしょうがない」
竜『俺の意向は?』
少年「じゃあポチ誰とがいいの?」
竜『まあ少年以外ありえないけど』
少年「ほらな、えーと…そーしそうあい?」
竜『多分色んな意味で間違ってるよ』
竜『何を?』
少年「クリスマスパーティー!」
竜『…………ほえ?』
少年「なんだよもっと喜んでよ」
竜『いやなんかもう予想外すぎて……えっと俺と少年で?』
少年「うん、何を当たり前なことを」
竜『ええ…いやクリスマスイヴって普通家族と過ごすもので、あれこの国は恋人と過ごすって考え方だっけ』
少年「僕がポチと過ごしたいんだからしょうがない」
竜『俺の意向は?』
少年「じゃあポチ誰とがいいの?」
竜『まあ少年以外ありえないけど』
少年「ほらな、えーと…そーしそうあい?」
竜『多分色んな意味で間違ってるよ』
405: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:06:12.16 ID:+uzoi1os0
少年「さて、この箱の中身はなんでしょーか? 制限時間は…」
竜『あーごめん、実は俺透視できるからもうわかってる』
少年「僕のサプライズ計画があっさり破綻した。うん、まあ中身はこれだよ」パカッ
竜『わーこれはまたオーソドックスな感じだね』
少年「もっと見た目奇抜な方がよかったか」
竜『ううん、シンプルな方が俺の好み。おいしそうだよこのショートケーキ』
少年「だろ? いやあ、がんばったかいがあったなあ」
竜『え? もしかしてこれ少年が作ったの?』
少年「うん、手作りだと思うとよりおいしそうでしょ?」
竜『……少年俺の嫁に来ないか?』
少年「ふぇっ!? なな何を言いなさって?」
竜『ねえ早く食べようさっきから口内で唾液の分泌が止まらないんだ』
少年「ああそう…」
竜『あーごめん、実は俺透視できるからもうわかってる』
少年「僕のサプライズ計画があっさり破綻した。うん、まあ中身はこれだよ」パカッ
竜『わーこれはまたオーソドックスな感じだね』
少年「もっと見た目奇抜な方がよかったか」
竜『ううん、シンプルな方が俺の好み。おいしそうだよこのショートケーキ』
少年「だろ? いやあ、がんばったかいがあったなあ」
竜『え? もしかしてこれ少年が作ったの?』
少年「うん、手作りだと思うとよりおいしそうでしょ?」
竜『……少年俺の嫁に来ないか?』
少年「ふぇっ!? なな何を言いなさって?」
竜『ねえ早く食べようさっきから口内で唾液の分泌が止まらないんだ』
少年「ああそう…」
406: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:06:55.49 ID:+uzoi1os0
竜『おいしいいいぃぃ!!』
少年「うるさっ」
竜『なにこれおいしっ、えっ、美味しい! 見た目普通のショートケーキなのにどうなってんだわけがわからない! うまっ!』モギュモギュ
少年「喜んでくれたようでなによりだ」
竜『うわあ、こんな美味しいもの初めて食べたなあ。少年才能あるね、パティシエでも目指したら?』
少年「才能あるのは弟のほうだろうなー、あいつから作り方教えてもらったし」
竜『ああおいしかった、おかわり』
少年「もうないって」
竜『あるじゃんここに、いただきます』ペロン
少年「……あ(唇舐められた?)」
竜『んー甘い』
少年「ひ、ひきょうだ! 返せよ!」
竜『ええ? 生憎もう食べちゃったし、油断した方が悪いよねえ?』ニヤリ
少年「な、ならこっちだって考えがある! くらえ!」ペロリ
竜『う、うえっ!?』
少年「ふふふこれでおあいこだなポチ…………」
竜『……少年顔真っ赤だよ』
少年「ポチだって照れてるじゃん……なにやってるんだろう僕達」
竜『さ、さあ……』
少年「うるさっ」
竜『なにこれおいしっ、えっ、美味しい! 見た目普通のショートケーキなのにどうなってんだわけがわからない! うまっ!』モギュモギュ
少年「喜んでくれたようでなによりだ」
竜『うわあ、こんな美味しいもの初めて食べたなあ。少年才能あるね、パティシエでも目指したら?』
少年「才能あるのは弟のほうだろうなー、あいつから作り方教えてもらったし」
竜『ああおいしかった、おかわり』
少年「もうないって」
竜『あるじゃんここに、いただきます』ペロン
少年「……あ(唇舐められた?)」
竜『んー甘い』
少年「ひ、ひきょうだ! 返せよ!」
竜『ええ? 生憎もう食べちゃったし、油断した方が悪いよねえ?』ニヤリ
少年「な、ならこっちだって考えがある! くらえ!」ペロリ
竜『う、うえっ!?』
少年「ふふふこれでおあいこだなポチ…………」
竜『……少年顔真っ赤だよ』
少年「ポチだって照れてるじゃん……なにやってるんだろう僕達」
竜『さ、さあ……』
407: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:07:22.99 ID:+uzoi1os0
少年「ジングルベル ジングルベル 鈴が鳴る♪」
竜『Oh, what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh, Hey♪』
竜『じんぐるべーるじんぐるべーるすずがなるー♪』
少年「お、oh, what fun it is to ride
In a one horse open sleigh♪ 言えた!」
竜『おぉーおめでとー』
少年「ありがとう! なんか楽しくなってきた!」
竜『じゃあ次は2番教えようか?』
少年「うん!」
竜『Oh, what fun it is to ride
In a one-horse open sleigh, Hey♪』
竜『じんぐるべーるじんぐるべーるすずがなるー♪』
少年「お、oh, what fun it is to ride
In a one horse open sleigh♪ 言えた!」
竜『おぉーおめでとー』
少年「ありがとう! なんか楽しくなってきた!」
竜『じゃあ次は2番教えようか?』
少年「うん!」
408: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:07:59.18 ID:+uzoi1os0
少年「喉痛い…」ヒリヒリ
竜『歌いすぎたね』
少年「ポチ喉痛くないの…? 僕以上に大声で歌ってたけど」
竜『え? まさか気付いてなかったの?』
少年「何がさ、けほけほ」
竜『俺が今まで少年と話してたとき全部テレパシー使ってたよ』
少年「え? え? ……新手のジョーク?」
竜『竜が人間の声帯なんかもってるわけないじゃないかもうやだなあ』
少年「ええ!? だってだって口一緒に動いてるじゃん!」
竜『昔人間にいきなりテレパシー使ったらすごい驚かせてさ、それで口で喋ってる風にテレパシー使う習慣身についちゃってね。気付かなかった?』
少年「気付かないよ! 君は逆腹話術師か!?」
竜『てへぺろ☆』
竜『歌いすぎたね』
少年「ポチ喉痛くないの…? 僕以上に大声で歌ってたけど」
竜『え? まさか気付いてなかったの?』
少年「何がさ、けほけほ」
竜『俺が今まで少年と話してたとき全部テレパシー使ってたよ』
少年「え? え? ……新手のジョーク?」
竜『竜が人間の声帯なんかもってるわけないじゃないかもうやだなあ』
少年「ええ!? だってだって口一緒に動いてるじゃん!」
竜『昔人間にいきなりテレパシー使ったらすごい驚かせてさ、それで口で喋ってる風にテレパシー使う習慣身についちゃってね。気付かなかった?』
少年「気付かないよ! 君は逆腹話術師か!?」
竜『てへぺろ☆』
409: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:08:26.30 ID:+uzoi1os0
少年「ええー…なんかショック」
竜『なんか騙したみたいな形になってごめんね』
少年「前学校でポチの声が聞こえた時すごって思ったけど、出会った時からテレパシー使われてたとは…」
竜『学校で使ったのと、今こうして会話してるのは原理が全然違うんだけどね』
少年「? 聞こえ方は一緒だけど」
竜『対象が俺の近くにいるときは問題ないんだけど、あんまり遠いと届かないんだよね普段のテレパシーは』
少年「じゃあ学校で何で聞こえたの?」
竜『それは……言いたくない、言ったら、もう君はここに来てくれなくなるかもしれない』
少年「大丈夫、もしもポチが来るなって言っても意地でも来るから」
竜『……君の言葉を信じたい。でも』
少年「僕はまだまだポチと一緒にいたい。だから心配なんていらないって」
竜『…そんなにテレパシーについて訊きたいの?』
少年「正直そんなに興味はない」
竜『ええ…? じゃあ言わなくても』
少年「でも言えないでいるポチが苦しそうに見える。僕もポチに隠し事してた時すごい苦しかったから出来れば話して欲しい」
竜『…………じゃあ、お言葉に甘えて話そうかな。少年なら受け入れてくれると信じて』
少年「よしばっちこい!」
竜『なんか騙したみたいな形になってごめんね』
少年「前学校でポチの声が聞こえた時すごって思ったけど、出会った時からテレパシー使われてたとは…」
竜『学校で使ったのと、今こうして会話してるのは原理が全然違うんだけどね』
少年「? 聞こえ方は一緒だけど」
竜『対象が俺の近くにいるときは問題ないんだけど、あんまり遠いと届かないんだよね普段のテレパシーは』
少年「じゃあ学校で何で聞こえたの?」
竜『それは……言いたくない、言ったら、もう君はここに来てくれなくなるかもしれない』
少年「大丈夫、もしもポチが来るなって言っても意地でも来るから」
竜『……君の言葉を信じたい。でも』
少年「僕はまだまだポチと一緒にいたい。だから心配なんていらないって」
竜『…そんなにテレパシーについて訊きたいの?』
少年「正直そんなに興味はない」
竜『ええ…? じゃあ言わなくても』
少年「でも言えないでいるポチが苦しそうに見える。僕もポチに隠し事してた時すごい苦しかったから出来れば話して欲しい」
竜『…………じゃあ、お言葉に甘えて話そうかな。少年なら受け入れてくれると信じて』
少年「よしばっちこい!」
410: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:09:21.15 ID:+uzoi1os0
竜『えっとね、使う相手が俺の体の一部を一時的にでも体に取り込んでれば、相手と意識を共有出来るんだよね。学校で使った方は』
少年「ふむふむ」
竜『唾液とかって一応俺の体の一部なんだよね。だからそれを摂取すれば短時間だけど使えるというか…』
少年「えっ、僕そんなの飲んだ覚えないけど」
竜『うん、舌をね、あれしたらね、随伴的に吸収するよね』
少年「さっぱりわからん、もっとわかりやすく言って」
竜『いやですからね、睡眠中に少年の咥内に私めの味覚器官を身勝手ながら差し込ませて頂いたというわけでして、はい』
少年「……?」
竜『ここまで言ったらいい加減わかれよ! KING OF 鈍感か!?』
少年「むっかー! なんだよなんだよポチが小難しく言うからこんがらがるんだよ!」
竜『もー! わかれよ仮にも中学生だろ! 多感なお年頃だろ! なんでもそっち方面に思考が行くのが普通だろ!?』
少年「そっちってどっちですかー!?」
竜『口吸いとか親吻とかクスとかベーゼとかオースクルムとかどれか聞いたことあるだろ! そっちだよ!』
少年「はいぃぃ? どこの国のお言葉ですかああ!?」
竜『こんのピュア野郎があああああああぁぁ』
少年「ふむふむ」
竜『唾液とかって一応俺の体の一部なんだよね。だからそれを摂取すれば短時間だけど使えるというか…』
少年「えっ、僕そんなの飲んだ覚えないけど」
竜『うん、舌をね、あれしたらね、随伴的に吸収するよね』
少年「さっぱりわからん、もっとわかりやすく言って」
竜『いやですからね、睡眠中に少年の咥内に私めの味覚器官を身勝手ながら差し込ませて頂いたというわけでして、はい』
少年「……?」
竜『ここまで言ったらいい加減わかれよ! KING OF 鈍感か!?』
少年「むっかー! なんだよなんだよポチが小難しく言うからこんがらがるんだよ!」
竜『もー! わかれよ仮にも中学生だろ! 多感なお年頃だろ! なんでもそっち方面に思考が行くのが普通だろ!?』
少年「そっちってどっちですかー!?」
竜『口吸いとか親吻とかクスとかベーゼとかオースクルムとかどれか聞いたことあるだろ! そっちだよ!』
少年「はいぃぃ? どこの国のお言葉ですかああ!?」
竜『こんのピュア野郎があああああああぁぁ』
411: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:09:47.38 ID:+uzoi1os0
竜『疲れ果てた…』
少年「なあさっき言ってた言葉の意味ってなに?」
竜『さすがにこれ以上は俺の口からは言えないよ…』
少年「じゃあいいや、ポチ僕に話せて気持ち楽になった?」
竜『むしろ俺は余りに純潔なものを汚した事を思い知って罪悪感に押しつぶされそうだよ』
少年「ええと、ほら。ばれなきゃ大丈夫だよ」
竜『君がっ! 言うな!』
少年「ポチなんか怒りっぽいなあ、牛乳飲む?」
竜『それあんまり信憑性ないからなあ。ていうか持ってきてるの?』
少年「成長期にカルシウムは大事だろ」
竜『なんて涙ぐましい努力…この無駄に大きい体をわけてやりたい』
少年「どうやったらポチみたいに大きくなれるんだろう、なりたい、切実に」
竜『サンタクロースに祈ってみれば?』
少年「世界が僕を除いて縮みますように…」
竜『願い事が後ろ向き過ぎる』
少年「なあさっき言ってた言葉の意味ってなに?」
竜『さすがにこれ以上は俺の口からは言えないよ…』
少年「じゃあいいや、ポチ僕に話せて気持ち楽になった?」
竜『むしろ俺は余りに純潔なものを汚した事を思い知って罪悪感に押しつぶされそうだよ』
少年「ええと、ほら。ばれなきゃ大丈夫だよ」
竜『君がっ! 言うな!』
少年「ポチなんか怒りっぽいなあ、牛乳飲む?」
竜『それあんまり信憑性ないからなあ。ていうか持ってきてるの?』
少年「成長期にカルシウムは大事だろ」
竜『なんて涙ぐましい努力…この無駄に大きい体をわけてやりたい』
少年「どうやったらポチみたいに大きくなれるんだろう、なりたい、切実に」
竜『サンタクロースに祈ってみれば?』
少年「世界が僕を除いて縮みますように…」
竜『願い事が後ろ向き過ぎる』
412: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:10:19.88 ID:+uzoi1os0
竜『ところで少年はさ、クリスマスプレゼントもらった?』
少年「僕の家はサンタ契約結んでないから来ないらしいよ」
竜『サンタクロースもビジネス社会に適応してきたなあ…ちなみに貰えたとしたら何が欲しかったの?』
少年「……笑わない?」
竜『内容によるかな』
少年「…………サンタさんのヒゲ」
竜『ぶへっ、あ、ちょっ、ごめ、あひゃははははっ』
少年「だってなんかふわふわしてて気持ちよさそうじゃん! わかるでしょ!」
竜『いやあそりゃ君の家に来ないわけだよ、トレードマーク毟られたくないもん。ていうかプレゼントが髭って…くっくっくっ』
少年「だから言いたくなかったのに…」
竜『ははっ、ごめんごめん。じゃあ髭じゃないけどいいものをあげよう』
少年「えっなになに? 金一封?」
竜『ちょっと目閉じて、手出して』
少年「ん、こう?」
少年「僕の家はサンタ契約結んでないから来ないらしいよ」
竜『サンタクロースもビジネス社会に適応してきたなあ…ちなみに貰えたとしたら何が欲しかったの?』
少年「……笑わない?」
竜『内容によるかな』
少年「…………サンタさんのヒゲ」
竜『ぶへっ、あ、ちょっ、ごめ、あひゃははははっ』
少年「だってなんかふわふわしてて気持ちよさそうじゃん! わかるでしょ!」
竜『いやあそりゃ君の家に来ないわけだよ、トレードマーク毟られたくないもん。ていうかプレゼントが髭って…くっくっくっ』
少年「だから言いたくなかったのに…」
竜『ははっ、ごめんごめん。じゃあ髭じゃないけどいいものをあげよう』
少年「えっなになに? 金一封?」
竜『ちょっと目閉じて、手出して』
少年「ん、こう?」
413: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:10:52.12 ID:+uzoi1os0
竜『はい、目開けていいよ』
少年「ん…これは、ウロコ?」
竜『ただのウロコと思うことなかれ、触ってみて?』
少年「……! この素晴らしい触り心地はもしかして」スリスリ
竜『うん、逆鱗だよ。格別でしょ?』
少年「で、でも大丈夫なの? 確か逆鱗って…」
竜『うん、まあ地獄のように痛かったけど暫くしたらまた生えるし。気になさんな』
少年「でも、僕……」
竜『もー俺は少年の喜ぶ顔を拝みたくてあげたんだよ? ほら笑って?』
少年「ポチ……」
竜『ね?』
少年「……ありがとうポチ! 大好きだ!」ダキッ
竜『うん、俺もだよ』ギュッ
少年「ん…これは、ウロコ?」
竜『ただのウロコと思うことなかれ、触ってみて?』
少年「……! この素晴らしい触り心地はもしかして」スリスリ
竜『うん、逆鱗だよ。格別でしょ?』
少年「で、でも大丈夫なの? 確か逆鱗って…」
竜『うん、まあ地獄のように痛かったけど暫くしたらまた生えるし。気になさんな』
少年「でも、僕……」
竜『もー俺は少年の喜ぶ顔を拝みたくてあげたんだよ? ほら笑って?』
少年「ポチ……」
竜『ね?』
少年「……ありがとうポチ! 大好きだ!」ダキッ
竜『うん、俺もだよ』ギュッ
414: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:11:30.60 ID:+uzoi1os0
竜『忘れ物はない? ウロコちゃんと持ってる?』
少年「心配性だなあ、持ってるよちゃんとほら」
竜『帰り道気を付けてね、こんなに遅い時間に帰るの初めてだからさ』
少年「大丈夫だいじょぶ、小学生じゃあるまいし」
竜『相手はそう思わない可能性が大なんだって、攫われそうになったら大声上げるんだよ』
少年「わかってるって、じゃまた明日ポチ」
竜『うんまたね少年……今日は本当に楽しかったありがとう、こんな楽しい日二度とないと思うくらいに』
少年「大げさだなあ、知ってるかポチ? クリスマスは来年も再来年もあるんだぞ?」
竜『! うん、そうだったね。楽しみにしてる』
少年「来年はもっとおいしいもの食べさせてやるから覚悟しておけ! じゃっ」タッタッタ…
竜『まったねー』ブンブン
少年「心配性だなあ、持ってるよちゃんとほら」
竜『帰り道気を付けてね、こんなに遅い時間に帰るの初めてだからさ』
少年「大丈夫だいじょぶ、小学生じゃあるまいし」
竜『相手はそう思わない可能性が大なんだって、攫われそうになったら大声上げるんだよ』
少年「わかってるって、じゃまた明日ポチ」
竜『うんまたね少年……今日は本当に楽しかったありがとう、こんな楽しい日二度とないと思うくらいに』
少年「大げさだなあ、知ってるかポチ? クリスマスは来年も再来年もあるんだぞ?」
竜『! うん、そうだったね。楽しみにしてる』
少年「来年はもっとおいしいもの食べさせてやるから覚悟しておけ! じゃっ」タッタッタ…
竜『まったねー』ブンブン
415: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:12:07.95 ID:+uzoi1os0
竜『来年も再来年もかあ』
竜『あーだめだ顔にやけてるな俺、幸せすぎて死にそうってあながち間違いじゃないかも』
竜『あーだめだ顔にやけてるな俺、幸せすぎて死にそうってあながち間違いじゃないかも』
416: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:12:39.32 ID:+uzoi1os0
Prrrrr…
男2「お、準備は出来たか?」
《問題ない》
男2「そうか、じゃ、俺の後よろしく」
《わかった》
男2「にしてもお前、こんな日だっつーのに災難だな。元々他に予定とかなかったのか?」
《あなたには関係ない》
男2「おー悪い悪い赤の他人のプライベートを詮索するのはだめだよなあ、聞かなかったことにしてくれ」
《…ではまた》プツッ
男2「はあ、ったく誰なんだろうなこの野郎は」パタン
男2「お、準備は出来たか?」
《問題ない》
男2「そうか、じゃ、俺の後よろしく」
《わかった》
男2「にしてもお前、こんな日だっつーのに災難だな。元々他に予定とかなかったのか?」
《あなたには関係ない》
男2「おー悪い悪い赤の他人のプライベートを詮索するのはだめだよなあ、聞かなかったことにしてくれ」
《…ではまた》プツッ
男2「はあ、ったく誰なんだろうなこの野郎は」パタン
417: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:13:20.06 ID:+uzoi1os0
カツカツカツ…
竜『! (少年?)』バッ
男2「よお、今日は姿隠さないのか?」
竜『……貴様は』
男2「なんかここ前より物が増えてるな。? この写真の山は……?」ヒョイッ
竜『触るな!!』ゴオッ
男2「うおっ、いきなり炎吐くのは危ないだろドラゴンさんよ。大事な写真、燃えるぞ?」
竜『貴様がテュポーエウスの寝室に入室することを我は許可していない』
男2「あいつは許してるのにか? 不公平だな、ていうかこの写真とかどんだけあいつが気に入ってんだよ」
竜『死ね』ドカッ
男2「危なっ、うぉぉ床に穴開くくらいの威力とか本気も本気だな」
竜『! (少年?)』バッ
男2「よお、今日は姿隠さないのか?」
竜『……貴様は』
男2「なんかここ前より物が増えてるな。? この写真の山は……?」ヒョイッ
竜『触るな!!』ゴオッ
男2「うおっ、いきなり炎吐くのは危ないだろドラゴンさんよ。大事な写真、燃えるぞ?」
竜『貴様がテュポーエウスの寝室に入室することを我は許可していない』
男2「あいつは許してるのにか? 不公平だな、ていうかこの写真とかどんだけあいつが気に入ってんだよ」
竜『死ね』ドカッ
男2「危なっ、うぉぉ床に穴開くくらいの威力とか本気も本気だな」
418: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:13:58.78 ID:+uzoi1os0
男2「まあ待てよ、少しばかり話そうぜ。お前は何者なんだ? 何故ここにいる?」
竜『答える義理はない、大人しく息絶えろ』ドカドカッ
男2「くはっ、ほんと危ねえな! 当たったらぺしゃんこってレベルじゃねえぞおい!」
竜『……その双眸に掛けた物体はなんなのだ、実に鬱陶しい』ドカッ
男2「これか? 日食グラスつーもんだ。お前からは俺の目は見えないし、おまけに赤外線も通さない優れものだぜ?」
竜『……何故気付いた』
男2「まあ諸々の状況を整理したらわかるわな。まったく壁ごしですら感知できる器官とかチートだよな。それ使えばちゃちなカメラと違って美女の水着の下だって見放題なんだろ?」
竜『下らん。そのような下種な思惟を有するから我はニンゲンが不好きなのだ』
男2「あいつだって俺と同じ人間だぞ」
竜『少年を貴様等のような下等種族と同列に語るな』
男2「うはっ、マジで少年って名乗ったんだなあいつウケる」
竜『答える義理はない、大人しく息絶えろ』ドカドカッ
男2「くはっ、ほんと危ねえな! 当たったらぺしゃんこってレベルじゃねえぞおい!」
竜『……その双眸に掛けた物体はなんなのだ、実に鬱陶しい』ドカッ
男2「これか? 日食グラスつーもんだ。お前からは俺の目は見えないし、おまけに赤外線も通さない優れものだぜ?」
竜『……何故気付いた』
男2「まあ諸々の状況を整理したらわかるわな。まったく壁ごしですら感知できる器官とかチートだよな。それ使えばちゃちなカメラと違って美女の水着の下だって見放題なんだろ?」
竜『下らん。そのような下種な思惟を有するから我はニンゲンが不好きなのだ』
男2「あいつだって俺と同じ人間だぞ」
竜『少年を貴様等のような下等種族と同列に語るな』
男2「うはっ、マジで少年って名乗ったんだなあいつウケる」
419: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:14:44.63 ID:+uzoi1os0
竜『貴様の目的は何だ、何故我の前に再び相対した?』
男2「いやあ、単純にさこの町から出てって欲しいんだよ。出来れば地球の反対側にでもさ」
竜『それを望んで貴様が何の得をする』
男2「少なくとも住む町にバケモノがいなけりゃ俺の親友は傷付かなかったし、これからも知り合いが襲われる心配はしなくてすむ」
竜『ほう、その知り合いとは友人か、家族か?』
男2「さあな」
竜『ふむ、なら恋人だな。貴様の衣服から雌の臭いが僅かに漂っている』シュルシュル
男2「…だからどうしたんだよ」
竜『恋は偉大だな、物語の中では常に勇者が悪しき竜を討ち姫を救う。貴様が成そうとしてる事はそれとそう変わらぬ』
男2「まあお姫様は囚われてるわけじゃないけどな」
竜『ならば取り戻す者が不在している中この争いに価値など殆どないのではないのか。言っておくが貴様らニンゲンが我に関知しなければこちらから手出しはせぬぞ、我は貴様らに毛ほども興味がないのだから』
男2「嘘吐け。じゃあ親友の両手が使い物にならなくなったことはどう説明する? あれは、"あいつ"が受けていたイジメはお前自身には何ら関係ない問題だっただろうが」
竜『…………』
男2「いいか、もしあいつがやばい事件にでも巻き込まれてみろ、生命を脅かすようなやつだ。お前はあいつのためならそこらの人間皆殺しくらいはするだろ」
竜『……そうだな、彼のためならば我は町一つ程度ならば躊躇なく滅ぼせる。幸か不幸か我にはそれを可能にする力があるからな』
男2「ほらみろ、ヤンデレってレベルじゃねえぞ。お前はこの町にとっていつ爆発するかわからない時限爆弾なんだよ。しかも起爆条件も酷く不安定だ。たかがガキ一人の身のせいで全部終わらせてたまるか」
男2「いやあ、単純にさこの町から出てって欲しいんだよ。出来れば地球の反対側にでもさ」
竜『それを望んで貴様が何の得をする』
男2「少なくとも住む町にバケモノがいなけりゃ俺の親友は傷付かなかったし、これからも知り合いが襲われる心配はしなくてすむ」
竜『ほう、その知り合いとは友人か、家族か?』
男2「さあな」
竜『ふむ、なら恋人だな。貴様の衣服から雌の臭いが僅かに漂っている』シュルシュル
男2「…だからどうしたんだよ」
竜『恋は偉大だな、物語の中では常に勇者が悪しき竜を討ち姫を救う。貴様が成そうとしてる事はそれとそう変わらぬ』
男2「まあお姫様は囚われてるわけじゃないけどな」
竜『ならば取り戻す者が不在している中この争いに価値など殆どないのではないのか。言っておくが貴様らニンゲンが我に関知しなければこちらから手出しはせぬぞ、我は貴様らに毛ほども興味がないのだから』
男2「嘘吐け。じゃあ親友の両手が使い物にならなくなったことはどう説明する? あれは、"あいつ"が受けていたイジメはお前自身には何ら関係ない問題だっただろうが」
竜『…………』
男2「いいか、もしあいつがやばい事件にでも巻き込まれてみろ、生命を脅かすようなやつだ。お前はあいつのためならそこらの人間皆殺しくらいはするだろ」
竜『……そうだな、彼のためならば我は町一つ程度ならば躊躇なく滅ぼせる。幸か不幸か我にはそれを可能にする力があるからな』
男2「ほらみろ、ヤンデレってレベルじゃねえぞ。お前はこの町にとっていつ爆発するかわからない時限爆弾なんだよ。しかも起爆条件も酷く不安定だ。たかがガキ一人の身のせいで全部終わらせてたまるか」
420: ◆yJ9Y64R876 2013/12/24(火) 00:15:33.47 ID:+uzoi1os0
♪護るべき夜空
男2「ていうわけでさ、頼むからここから出て行ってくれないか? あいつのことはスッパリ忘れてさ」
竜『不可だ。我は少年と約束したのだ、ずっとここにいると』
男2「なんつーはた迷惑な約束交わしてくれてんだあいつは……」
竜『我は彼の願いためにこの場所を守らなければならない、ここを奪おうとする者を決して赦さぬ』
男2「…こんな寂れた元プラネタリウムにそれほどの価値が生まれるとは誰も思わなかっただろうな」
竜『仮初の空では我が翼で翔ることは出来ん、我が身を隠す用途以外に価値などない』
男2「だったらとっとと出てけこの引きこもり、お前が存在していい場所はこの世界に存在しない」
竜『……そうだ、ニンゲンは決して我を認めようとしなかった。だから我は我が手で居場所を死守しなければならない』
男2「来いよバケモノ、出ていかないなら力ずくで追い出してやる」
竜『……………………"やれるものならやってみろ!!"』ゴゥッ!
男2「ていうわけでさ、頼むからここから出て行ってくれないか? あいつのことはスッパリ忘れてさ」
竜『不可だ。我は少年と約束したのだ、ずっとここにいると』
男2「なんつーはた迷惑な約束交わしてくれてんだあいつは……」
竜『我は彼の願いためにこの場所を守らなければならない、ここを奪おうとする者を決して赦さぬ』
男2「…こんな寂れた元プラネタリウムにそれほどの価値が生まれるとは誰も思わなかっただろうな」
竜『仮初の空では我が翼で翔ることは出来ん、我が身を隠す用途以外に価値などない』
男2「だったらとっとと出てけこの引きこもり、お前が存在していい場所はこの世界に存在しない」
竜『……そうだ、ニンゲンは決して我を認めようとしなかった。だから我は我が手で居場所を死守しなければならない』
男2「来いよバケモノ、出ていかないなら力ずくで追い出してやる」
竜『……………………"やれるものならやってみろ!!"』ゴゥッ!
422: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:46:59.24 ID:b4HgnNZv0
―30分後―
男2「よっほっうひい!」ピョンピョン
竜『小道具は切れたようだがちょこまかと……』ドカッ
男2「くっ、どうした全然当たってねえぞ? また獲物を仕留め損ねるか?」ハアハア
竜『威勢がいいな、だが貴様の心音の乱れが決着までそう長くないことを告げている、ぞっ!』バクンッ!
男2「ぁ…ぶねえ!! 喰うなら丸呑みにしておけ! 痛いのはやだから!」ダッ
竜『喰らうならヒトよりトリだなあれは美味であった、そして足元注意だ』ドバー
男2「げえっ水!? ふお…踏ん張れ俺!」バシャバシャ
竜『動きを止めたな』ビシュッ
男2「ぐはっ(尾で壁に叩きつけられた…)」ドカッガラガラ…
竜『肋骨一体何本無事だ?』ノシノシ
男2「…………(? なんでこんな場所にナイフが落ちているんだ……?)」
男2「よっほっうひい!」ピョンピョン
竜『小道具は切れたようだがちょこまかと……』ドカッ
男2「くっ、どうした全然当たってねえぞ? また獲物を仕留め損ねるか?」ハアハア
竜『威勢がいいな、だが貴様の心音の乱れが決着までそう長くないことを告げている、ぞっ!』バクンッ!
男2「ぁ…ぶねえ!! 喰うなら丸呑みにしておけ! 痛いのはやだから!」ダッ
竜『喰らうならヒトよりトリだなあれは美味であった、そして足元注意だ』ドバー
男2「げえっ水!? ふお…踏ん張れ俺!」バシャバシャ
竜『動きを止めたな』ビシュッ
男2「ぐはっ(尾で壁に叩きつけられた…)」ドカッガラガラ…
竜『肋骨一体何本無事だ?』ノシノシ
男2「…………(? なんでこんな場所にナイフが落ちているんだ……?)」
423: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:47:38.22 ID:b4HgnNZv0
竜『何か、最期に言い残すことはあるか?』ピタ
男2「……顔が近えよ」
竜『これから生きたまま喰われる者の顔だ、よく記憶しておくことが捕食者としての礼儀かと思ってな』
男2「お心遣いどーも…」
竜『それが遺言か?』
男2「……勇者は姫を救うんだよな」
竜『創作ではな、生憎ここは現実だが』
男2「どうやって勇者は悪いドラゴンを倒すと思う」
竜『……多くは剣を以ってしてだな』
男2「これは賭けだ、都合のよすぎる解釈だ。言わばクリスマスイブの奇跡だ」
竜『何を言っている…?』
男2「あいつ、ふわふわとか"つるつる"した触感が好きらしいんだ」
竜『……聴く価値はなかったな、喰らってやる』ガバア
男2「驕ったなバケモノ! この位置なら逆鱗の下の心臓に手が届く!」ヒュッ
竜『! しまっ(……逆鱗、あげちゃったよ)』
グチャリ
男2「……顔が近えよ」
竜『これから生きたまま喰われる者の顔だ、よく記憶しておくことが捕食者としての礼儀かと思ってな』
男2「お心遣いどーも…」
竜『それが遺言か?』
男2「……勇者は姫を救うんだよな」
竜『創作ではな、生憎ここは現実だが』
男2「どうやって勇者は悪いドラゴンを倒すと思う」
竜『……多くは剣を以ってしてだな』
男2「これは賭けだ、都合のよすぎる解釈だ。言わばクリスマスイブの奇跡だ」
竜『何を言っている…?』
男2「あいつ、ふわふわとか"つるつる"した触感が好きらしいんだ」
竜『……聴く価値はなかったな、喰らってやる』ガバア
男2「驕ったなバケモノ! この位置なら逆鱗の下の心臓に手が届く!」ヒュッ
竜『! しまっ(……逆鱗、あげちゃったよ)』
グチャリ
424: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:48:14.18 ID:b4HgnNZv0
男2「…………」
竜『…………』
男2「がはあっ……」グチャ
竜『……壁に叩きつけられた際、双眸からグラスを取り落とした時点で貴様は負けていた』ギリギリ
男2「な、…だよ、期待…させんな」ドバァ
竜『…この国では死者の弔いは火葬であったか。貴様の最期の一矢に免じて我が炎で天へと送ってやろう』
男2「…………」
竜『さらばだ、……人間』スゥゥ…
女「待って」
竜『…………』
男2「がはあっ……」グチャ
竜『……壁に叩きつけられた際、双眸からグラスを取り落とした時点で貴様は負けていた』ギリギリ
男2「な、…だよ、期待…させんな」ドバァ
竜『…この国では死者の弔いは火葬であったか。貴様の最期の一矢に免じて我が炎で天へと送ってやろう』
男2「…………」
竜『さらばだ、……人間』スゥゥ…
女「待って」
425: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:48:45.33 ID:b4HgnNZv0
竜『! 誰だ!?』バッ
女「私、女」
男2「う、……なん、で?」
竜『貴様か…もう逃げないのか?』
女「もう、決着はついた。これ以上争いは必要ない」
竜『何を言っている、貴様が登場したということは今度は貴様が狩られることになるのが理解できないのか?』
女「違う。もう終わり」
竜『貴様等の灯火がな』
女「いいえ、あなたの負けよバケモノ」
女「私、女」
男2「う、……なん、で?」
竜『貴様か…もう逃げないのか?』
女「もう、決着はついた。これ以上争いは必要ない」
竜『何を言っている、貴様が登場したということは今度は貴様が狩られることになるのが理解できないのか?』
女「違う。もう終わり」
竜『貴様等の灯火がな』
女「いいえ、あなたの負けよバケモノ」
426: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:49:28.99 ID:b4HgnNZv0
♪罪の軌跡
竜『我の負けだと…?』
女「ええ、あなたはもうここにはいられない」
男2「馬鹿野郎、とっとと逃げ…」
女「これを見て」
竜『…? 携帯電話か?』
女「惜しい、それをさらに高機能にさせたものがこれ。スマートフォン」
竜『そのような稚拙な機械で我を倒せるとでも思っているのか、片腹痛いわ』
女「あなたたちの争いはこれで先ほど撮影していた、これは証拠になる」
竜『生憎だが我の声も姿も機械では捉えることが出来ない、映像の信憑性は限りなく薄い。それにどうせ貴様はここから生きては帰れん』
女「撮影した映像はネット上で生放送していた。生放送、わかる?」
竜『…………貴様、まさか』
女「あなたの姿は捉えられなくとも、あなたが傷つけたものは映る。突然陥没する床、ひび割れていく壁、そして傷ついていく彼の体」
竜『貴様、…………貴様』
女「彼の体がぼろぼろになったのは覆しようのない事実。そうなる過程を世界中が間接的に目撃した。ここには確かに争いの跡が残っている、これは」
女「あなたという未知の存在が今、ここに、確かに実在していることの間接的証拠に他ならない」
竜『きさまああああああああぁぁぁ!!!』
竜『我の負けだと…?』
女「ええ、あなたはもうここにはいられない」
男2「馬鹿野郎、とっとと逃げ…」
女「これを見て」
竜『…? 携帯電話か?』
女「惜しい、それをさらに高機能にさせたものがこれ。スマートフォン」
竜『そのような稚拙な機械で我を倒せるとでも思っているのか、片腹痛いわ』
女「あなたたちの争いはこれで先ほど撮影していた、これは証拠になる」
竜『生憎だが我の声も姿も機械では捉えることが出来ない、映像の信憑性は限りなく薄い。それにどうせ貴様はここから生きては帰れん』
女「撮影した映像はネット上で生放送していた。生放送、わかる?」
竜『…………貴様、まさか』
女「あなたの姿は捉えられなくとも、あなたが傷つけたものは映る。突然陥没する床、ひび割れていく壁、そして傷ついていく彼の体」
竜『貴様、…………貴様』
女「彼の体がぼろぼろになったのは覆しようのない事実。そうなる過程を世界中が間接的に目撃した。ここには確かに争いの跡が残っている、これは」
女「あなたという未知の存在が今、ここに、確かに実在していることの間接的証拠に他ならない」
竜『きさまああああああああぁぁぁ!!!』
427: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:50:02.14 ID:b4HgnNZv0
女「きっとここに映像を見た大勢が興味本位でやってくる、姿を消しても辺りを隈なく捜索されあなたは発見される」
竜『……ああ』
女「もうあなたの日常は続かない、彼との逢瀬は叶わない」
竜『…そうだな』
女「彼の、兄の幸せを望むならもう。黙ってここを飛び立ってください。あなたが大衆に晒され辱められる姿を見たらきっと彼は悲しむ、それはあなたも望んでいないはず」
竜『ああ、……待て、今、兄と言ったか?』
女「その前に彼に処置を、このままでは出血死してしまう」
男2「(忘れられてると思った……)」ダラダラ
竜『……ああ』
女「もうあなたの日常は続かない、彼との逢瀬は叶わない」
竜『…そうだな』
女「彼の、兄の幸せを望むならもう。黙ってここを飛び立ってください。あなたが大衆に晒され辱められる姿を見たらきっと彼は悲しむ、それはあなたも望んでいないはず」
竜『ああ、……待て、今、兄と言ったか?』
女「その前に彼に処置を、このままでは出血死してしまう」
男2「(忘れられてると思った……)」ダラダラ
428: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:50:45.14 ID:b4HgnNZv0
男2「……処置うまいな」
女「覚えさせられたから」
竜『貴様先ほど、兄と言ったな。ということは貴様は少年の妹か』
女「違う、私は…弟」
竜『お、弟だと。だがそのような格好は』
男2「やっぱり野郎だったか、電話の時から疑っていたが」
弟「……どうしてわかった、声は変えてたはず」
男2「お前の口調が知り合いにそっくりだったから一応録音しといて後で調べたんだよ。あんな安物のボイスチェンジャーじゃ声紋解析すりゃ一発だ」
弟「…そう」
男2「ちなみになんでその喋り方なんだ? 必要最低限の会話を心がけているようだが」
弟「男だってばれたくないから、たくさん喋ってボロが出ないほど私は演技が上手くはない。本当は顔を見られたらすぐにばれると思った」
男2「いや、自分から正体をばらされなきゃえらくかっこいい女だとしか思いようがないな。んなでかいサングラスで顔隠さなくとも絶対わかんないって」
弟「…ありがとう」
竜『……そうか、そういうことだったのか』
男2「一応聞いておくが何がだ」
竜『この女、……の格好をしたニンゲンに名を問うた時こう答えたのだ、"女"と。誰かと酷似した偽名の使い方だ』
男2「兄が兄なら弟も大概だな……」
竜『少年には男の兄弟がいるという先入観に嵌まってしまった…まさか貴様それを狙って…?』
弟「違う、これは、ただの趣味」
女「覚えさせられたから」
竜『貴様先ほど、兄と言ったな。ということは貴様は少年の妹か』
女「違う、私は…弟」
竜『お、弟だと。だがそのような格好は』
男2「やっぱり野郎だったか、電話の時から疑っていたが」
弟「……どうしてわかった、声は変えてたはず」
男2「お前の口調が知り合いにそっくりだったから一応録音しといて後で調べたんだよ。あんな安物のボイスチェンジャーじゃ声紋解析すりゃ一発だ」
弟「…そう」
男2「ちなみになんでその喋り方なんだ? 必要最低限の会話を心がけているようだが」
弟「男だってばれたくないから、たくさん喋ってボロが出ないほど私は演技が上手くはない。本当は顔を見られたらすぐにばれると思った」
男2「いや、自分から正体をばらされなきゃえらくかっこいい女だとしか思いようがないな。んなでかいサングラスで顔隠さなくとも絶対わかんないって」
弟「…ありがとう」
竜『……そうか、そういうことだったのか』
男2「一応聞いておくが何がだ」
竜『この女、……の格好をしたニンゲンに名を問うた時こう答えたのだ、"女"と。誰かと酷似した偽名の使い方だ』
男2「兄が兄なら弟も大概だな……」
竜『少年には男の兄弟がいるという先入観に嵌まってしまった…まさか貴様それを狙って…?』
弟「違う、これは、ただの趣味」
429: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:51:29.82 ID:b4HgnNZv0
竜『ニンゲン、…そちらの男装をした方に1つ問いたい』
男2「俺は普通に男だ、なんだ?」
竜『貴様この女装が止めに入らねばどうしていた』
男2「そりゃお前が殺そうとしてるんだから死ぬだろ、実際あきらめてたし」
竜『わからぬ、我が床や壁を破壊した時点で種を明かすか逃げ出せば貴様の命は保障されただろうに何故最後まで黙っていた? 有限の命が惜しくはないのか』
男2「惜しいさ。でもこのやり方じゃなきゃ駄目だったんだ、俺の命を掛ける方法じゃなきゃ意味がない」
竜『意味だと?』
男2「友達が、大切にしている奴を手前の都合で勝手に奪おうとしたんだ。自己満足だろうが罪人は罰を受けるべきだ」
竜『それが自らの命を落とすことになったとしてもか?』
男2「ああ。それに俺が死ねばより確実にお前の存在を証明できるしな。…まあ結局助けられて締まらなかったが」
竜『……くっくっく、ははははっ完敗だ。貴様らニンゲンの完全勝利だ。僭越ながら我は貴様らが各々の目的を完遂したことに心から喝采を送りたい』
男2「…そりゃどーも」
弟「…………(これでよかったのだろうか)」
男2「俺は普通に男だ、なんだ?」
竜『貴様この女装が止めに入らねばどうしていた』
男2「そりゃお前が殺そうとしてるんだから死ぬだろ、実際あきらめてたし」
竜『わからぬ、我が床や壁を破壊した時点で種を明かすか逃げ出せば貴様の命は保障されただろうに何故最後まで黙っていた? 有限の命が惜しくはないのか』
男2「惜しいさ。でもこのやり方じゃなきゃ駄目だったんだ、俺の命を掛ける方法じゃなきゃ意味がない」
竜『意味だと?』
男2「友達が、大切にしている奴を手前の都合で勝手に奪おうとしたんだ。自己満足だろうが罪人は罰を受けるべきだ」
竜『それが自らの命を落とすことになったとしてもか?』
男2「ああ。それに俺が死ねばより確実にお前の存在を証明できるしな。…まあ結局助けられて締まらなかったが」
竜『……くっくっく、ははははっ完敗だ。貴様らニンゲンの完全勝利だ。僭越ながら我は貴様らが各々の目的を完遂したことに心から喝采を送りたい』
男2「…そりゃどーも」
弟「…………(これでよかったのだろうか)」
430: ◆yJ9Y64R876 2013/12/25(水) 23:51:59.93 ID:b4HgnNZv0
竜『男装、貴様我が何者で何故ここにいるか訊いたな?』
男2「なんだ? ネタばらしタイムか?」
竜『そうだ、勇者が悪しき竜を打ち倒す話は物語だ。これが物語なら伏線は回収されねばならぬ。話を聞いて納得できるとは限らんがな?』
男2「お前という存在そのものがファンタジーなんだ、どんな話でも驚かねえしとりあえずは鵜呑みにするぞ」
竜『ではニンゲン共が来る前に手短に話すぞ。そう、あれは前回の話だ――――』
男2「なんだ? ネタばらしタイムか?」
竜『そうだ、勇者が悪しき竜を打ち倒す話は物語だ。これが物語なら伏線は回収されねばならぬ。話を聞いて納得できるとは限らんがな?』
男2「お前という存在そのものがファンタジーなんだ、どんな話でも驚かねえしとりあえずは鵜呑みにするぞ」
竜『ではニンゲン共が来る前に手短に話すぞ。そう、あれは前回の話だ――――』
433: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:02:55.05 ID:47+h4pm/0
――――――――
「迷ってしまった」
「不覚だ」
「まあ私の智恵があればこの程度の危機を打破することなど造作もないがなはっはっは!」
「…………私1人しかいないであろう鬱蒼とした森の奥で高笑いを上げるのは止めておくか、畜生が寄るかもしれん」
「迷ってしまった」
「不覚だ」
「まあ私の智恵があればこの程度の危機を打破することなど造作もないがなはっはっは!」
「…………私1人しかいないであろう鬱蒼とした森の奥で高笑いを上げるのは止めておくか、畜生が寄るかもしれん」
434: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:04:11.31 ID:47+h4pm/0
「駄目だ自分がどこにいるか皆目見当もつかん」
「今日は運が悪いのだ、私はベストを尽くしたはずだ。うむ」
「さて、とにかく雨風を防げる場所を探さねばな」
「……さすが私だ。決心するや否やもう見つけてしまうとは。いやはや今日は運がいい」
「……よし」スタスタ
「今日は運が悪いのだ、私はベストを尽くしたはずだ。うむ」
「さて、とにかく雨風を防げる場所を探さねばな」
「……さすが私だ。決心するや否やもう見つけてしまうとは。いやはや今日は運がいい」
「……よし」スタスタ
435: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:05:20.30 ID:47+h4pm/0
♪邂逅
「暗いな、ランプを点けるか」パッ
「うむ、これならば進むのに支障はない」
「(動物の排泄物は……見当たらないな。ならここには猛獣の類いはいないだろう)さすがだ私! 今日の十二星座占いで天秤座は独走に違いない!」
「…………グルルル」
「! …………」ターンー…キンッ
『む、鉄砲玉かこれは。煩わしい』
「な、人間か?」
『貴様らのような下等種族と同列にされるとは実に心外だ。我は竜である』
「竜だと? 馬鹿な、そんな非科学的存在がいるわけが」
竜『ほう、ならば今貴様が見ている存在は幻覚か? 喰らってやらねば現実と空想の判別もつかぬか?』ガバァ
「くっ…」ダタッ
竜『逃げようとしても無駄だ、我と視線を交わした時点で貴様の四肢の自由は我の掌の中だ』ギン!
「ぐっ足が…!」
「暗いな、ランプを点けるか」パッ
「うむ、これならば進むのに支障はない」
「(動物の排泄物は……見当たらないな。ならここには猛獣の類いはいないだろう)さすがだ私! 今日の十二星座占いで天秤座は独走に違いない!」
「…………グルルル」
「! …………」ターンー…キンッ
『む、鉄砲玉かこれは。煩わしい』
「な、人間か?」
『貴様らのような下等種族と同列にされるとは実に心外だ。我は竜である』
「竜だと? 馬鹿な、そんな非科学的存在がいるわけが」
竜『ほう、ならば今貴様が見ている存在は幻覚か? 喰らってやらねば現実と空想の判別もつかぬか?』ガバァ
「くっ…」ダタッ
竜『逃げようとしても無駄だ、我と視線を交わした時点で貴様の四肢の自由は我の掌の中だ』ギン!
「ぐっ足が…!」
436: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:06:17.60 ID:47+h4pm/0
「私を殺すのか…?」
竜『無論だ』
「私が今日この森へ訪れていることを私の友人は知っている」
竜『……! 面倒な真似を』
「…………」
竜『今貴様を殺し行方不明になれば人間どもはこの森を捜索するだろう。最悪の場合我は発見されこの住み処を失うことになる。そして貴様が今言ったことの真偽を確かめる術は我にはない』
「その通りだ、頭の回転が速くて実に助かる」
竜『無論だ』
「私が今日この森へ訪れていることを私の友人は知っている」
竜『……! 面倒な真似を』
「…………」
竜『今貴様を殺し行方不明になれば人間どもはこの森を捜索するだろう。最悪の場合我は発見されこの住み処を失うことになる。そして貴様が今言ったことの真偽を確かめる術は我にはない』
「その通りだ、頭の回転が速くて実に助かる」
437: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:07:31.57 ID:47+h4pm/0
竜『だが、このままおめおめと逃がしたところで貴様はここで見た光景を言い触らすに決まっている。ならば殺した方が幾分我の気も晴れるというものだ』
「私はここでの出来事を決して他人に言い触らしはしない」
竜『それを信じろというのか?』
「第一森に竜が住んでいるなどという世迷い言この科学技術躍進の時代誰が信じるか、今時の子供はサンタクロースの正体すら看破しているというのに。恐らく私は精神科を勧められて終わりだ」
竜『……そう、か。時代が変わったのだな』
「これでわかっただろう? 私を殺すメリットなど存在しないということを」
竜『……いいだろう、私と相見えて臆することなく振る舞って見せたその度胸に免じて生かしておいてやろう。体の震えは押さえられなかったようだがな』
「限りある命が失われる恐怖に襲われているのだ、震えもする」
竜『貴様名をなんという』
「学者だ」
「私はここでの出来事を決して他人に言い触らしはしない」
竜『それを信じろというのか?』
「第一森に竜が住んでいるなどという世迷い言この科学技術躍進の時代誰が信じるか、今時の子供はサンタクロースの正体すら看破しているというのに。恐らく私は精神科を勧められて終わりだ」
竜『……そう、か。時代が変わったのだな』
「これでわかっただろう? 私を殺すメリットなど存在しないということを」
竜『……いいだろう、私と相見えて臆することなく振る舞って見せたその度胸に免じて生かしておいてやろう。体の震えは押さえられなかったようだがな』
「限りある命が失われる恐怖に襲われているのだ、震えもする」
竜『貴様名をなんという』
「学者だ」
438: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:08:21.45 ID:47+h4pm/0
竜『学者、貴様はもう自由の身だ。早くここから立ち去るがいい』
学者「……厚かましい願いなのは重々承知なのだが」
竜『なんだ、申してみろ』
学者「ここに今夜泊めていただきたい。この寒さと暗さでは無事帰還するのは困難を極める」
竜『…………』
学者「意外にも顔面の筋肉が器用なのだな。そのようなあきれ果てた表情はやめてもらいたい」
竜『貴様の頭部には鳥の脳味噌が詰め込まれているのか? 我は今しがた貴様を殺そうとしていたのだぞ?』
学者「私は過去は振り返らない女だ!」
竜『……勝手にするがいい』
学者「ありがたい、ではこの草藁で出来た巨大かつ貧相な寝床を拝借してもいいか?」
竜『貴様自殺願望でもあるのか?』
学者「ちっ、わかりましたよ自分で調達してきますよー」スタスタ…
竜『……ふん』
学者「……厚かましい願いなのは重々承知なのだが」
竜『なんだ、申してみろ』
学者「ここに今夜泊めていただきたい。この寒さと暗さでは無事帰還するのは困難を極める」
竜『…………』
学者「意外にも顔面の筋肉が器用なのだな。そのようなあきれ果てた表情はやめてもらいたい」
竜『貴様の頭部には鳥の脳味噌が詰め込まれているのか? 我は今しがた貴様を殺そうとしていたのだぞ?』
学者「私は過去は振り返らない女だ!」
竜『……勝手にするがいい』
学者「ありがたい、ではこの草藁で出来た巨大かつ貧相な寝床を拝借してもいいか?」
竜『貴様自殺願望でもあるのか?』
学者「ちっ、わかりましたよ自分で調達してきますよー」スタスタ…
竜『……ふん』
439: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:09:30.07 ID:47+h4pm/0
学者「はあ、よっこらせ」ドサッ
竜『ようやく運び終えたのか』
学者「正直少しは手伝ってくれると思ったのだがまったくだったな、とんだ期待外れだ」
竜『そこまでする義理などない』
学者「さてでは、こしらえるか!」
竜『……何故我の寝床の隣に作ろうとしている』
学者「入口付近は風が吹いて寒いのだ。故にこの位置がもっとも望ましい」ガサガサ
竜『勝手に寒さに震えていろ』
学者「…よし完成だ! 我ながら良い出来だな!」
竜『……ただ敷き詰めただけではないか』
学者「何問題でも?」
竜「……ふうううぅぅぅ…」ヒュゴオオオォ
学者「私の労作が霧散していく! 息を吹くのをやめんか!」
竜『そのような粗悪品は見ていて不愉快だ、作り直せ』
学者「無茶をいうな! 今のが私の全身全霊だ!」
竜『我が教えてやる、言う通りに作れ』
学者「ほう、熟練者の助言とは頼もしい。よろしく頼む」
竜『ようやく運び終えたのか』
学者「正直少しは手伝ってくれると思ったのだがまったくだったな、とんだ期待外れだ」
竜『そこまでする義理などない』
学者「さてでは、こしらえるか!」
竜『……何故我の寝床の隣に作ろうとしている』
学者「入口付近は風が吹いて寒いのだ。故にこの位置がもっとも望ましい」ガサガサ
竜『勝手に寒さに震えていろ』
学者「…よし完成だ! 我ながら良い出来だな!」
竜『……ただ敷き詰めただけではないか』
学者「何問題でも?」
竜「……ふうううぅぅぅ…」ヒュゴオオオォ
学者「私の労作が霧散していく! 息を吹くのをやめんか!」
竜『そのような粗悪品は見ていて不愉快だ、作り直せ』
学者「無茶をいうな! 今のが私の全身全霊だ!」
竜『我が教えてやる、言う通りに作れ』
学者「ほう、熟練者の助言とは頼もしい。よろしく頼む」
440: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:10:36.06 ID:47+h4pm/0
竜『違う! 何故言う通りにできないのだ!』
学者「こちとら初心者なのだ! 相手の技術水準に合わせて教えるのが監督者の責務だろう!」
竜『まったく人間とは手先が器用な種だと思っていたが見当違いだったようだ』
学者「ふっ、私には秀抜な頭脳があるからな。そんなものは必要ない」
竜『では己が不器用であることは認めるのだな』
学者「……まあ、天は二物を与えずという言葉が東洋にはあるようだし」
竜『ほう、見た目に反して博識だな貴様』
学者「見てみろこの白衣、私は学者なのだぞ! 頭良いに決まっている!」
竜『森の中を白衣を着てうろつきさ迷う女のどこに知性が感じられるというのだ馬鹿馬鹿しい』
学者「ふふん、畜生にはわからぬだろう。これがギャップ萌えという奴だ」
竜『何を言っているかさっぱりわからぬ』
学者「こちとら初心者なのだ! 相手の技術水準に合わせて教えるのが監督者の責務だろう!」
竜『まったく人間とは手先が器用な種だと思っていたが見当違いだったようだ』
学者「ふっ、私には秀抜な頭脳があるからな。そんなものは必要ない」
竜『では己が不器用であることは認めるのだな』
学者「……まあ、天は二物を与えずという言葉が東洋にはあるようだし」
竜『ほう、見た目に反して博識だな貴様』
学者「見てみろこの白衣、私は学者なのだぞ! 頭良いに決まっている!」
竜『森の中を白衣を着てうろつきさ迷う女のどこに知性が感じられるというのだ馬鹿馬鹿しい』
学者「ふふん、畜生にはわからぬだろう。これがギャップ萌えという奴だ」
竜『何を言っているかさっぱりわからぬ』
441: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:12:25.79 ID:47+h4pm/0
学者「ふむ、腹が減ったな。我が今世紀最大の力作であろう寝床の上にてそろそろ食事とするか」ゴソゴソ
竜『…………』チラッ
学者「……うむ、不味い」モグモグ
竜『なら食さなければいいものを…』
学者「馬鹿な、生物である以上定期的に栄養を摂取しなければこの個体は保てない。生きるには不味かろうが口に入れなければならない事くらい貴様にもわかるだろう?」
竜『……我は、食事というものをしたことがない』
学者「なんだと、貴様光合成でもしているのか? いやだが体表は真紅のウロコにて覆われているな…」
竜『他の生物を糧とせずとも我は生命維持しつつ自由に行動出来る。……学者、我のような生物は貴様の知見の中に他に存在しているか?』
学者「しないな。無から有を生み出すなどこの世の理の外だ。貴様は生物というカテゴリーに分類すらされまい」
竜『……だろうな』
学者「貴様食事したことがないといったな? ならこの携帯食料を食ってみろ。不味すぎて私はもう食う気になれん」
竜『必要ない』
学者「いいから食え、咀嚼する器官が存在しているのなら有効活用するべきだ。あと個人的にどんな反応が起こるか興味深い」
竜『…………害はないだろうな?』
学者「知らん。それを知るために今から実験をするのだ」
竜『貴様……』ギラッ
学者「私の勘では問題ない、何ら根拠もないがな。信じろ」
竜『…………いいだろう。我の体に何かあったら貴様の命で償って貰うことにする。いただくぞ』パクッ
学者「なんだと!? そのような条件私は了承していないぞ! 反故だ反故!」
竜『…………』モゴモゴ
学者「わ、悪いことは言わん今すぐ戻せ。吐瀉物は私が片付けてやる」
竜『……好ましい感覚ではないな』ゴクリ
学者「……ほう。それが"不味い"という感覚だ。よく覚えておけ!」
竜『"不味い"……か』
竜『…………』チラッ
学者「……うむ、不味い」モグモグ
竜『なら食さなければいいものを…』
学者「馬鹿な、生物である以上定期的に栄養を摂取しなければこの個体は保てない。生きるには不味かろうが口に入れなければならない事くらい貴様にもわかるだろう?」
竜『……我は、食事というものをしたことがない』
学者「なんだと、貴様光合成でもしているのか? いやだが体表は真紅のウロコにて覆われているな…」
竜『他の生物を糧とせずとも我は生命維持しつつ自由に行動出来る。……学者、我のような生物は貴様の知見の中に他に存在しているか?』
学者「しないな。無から有を生み出すなどこの世の理の外だ。貴様は生物というカテゴリーに分類すらされまい」
竜『……だろうな』
学者「貴様食事したことがないといったな? ならこの携帯食料を食ってみろ。不味すぎて私はもう食う気になれん」
竜『必要ない』
学者「いいから食え、咀嚼する器官が存在しているのなら有効活用するべきだ。あと個人的にどんな反応が起こるか興味深い」
竜『…………害はないだろうな?』
学者「知らん。それを知るために今から実験をするのだ」
竜『貴様……』ギラッ
学者「私の勘では問題ない、何ら根拠もないがな。信じろ」
竜『…………いいだろう。我の体に何かあったら貴様の命で償って貰うことにする。いただくぞ』パクッ
学者「なんだと!? そのような条件私は了承していないぞ! 反故だ反故!」
竜『…………』モゴモゴ
学者「わ、悪いことは言わん今すぐ戻せ。吐瀉物は私が片付けてやる」
竜『……好ましい感覚ではないな』ゴクリ
学者「……ほう。それが"不味い"という感覚だ。よく覚えておけ!」
竜『"不味い"……か』
442: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:13:57.55 ID:47+h4pm/0
竜『学者、貴様は何故この森を訪れたのだ。人間には殆ど益のない場所だと我は認識していたが』
学者「待て、その前に貴様の名を聞こう。一方的に名を呼ばれるのは不公平であり不愉快だ」
竜『我に同種など存在しない。故に名など必要ない』
学者「なんだと名無しか貴様。仕方ない私が名付け親になってやろう、そうだな……グリムというのはどうだ?」
竜『貴様我の顔を見て決めたな?』
学者「如何にも」
竜『却下だ』
学者「何故だ!? ぴったりな名前ではないか!?」
学者「待て、その前に貴様の名を聞こう。一方的に名を呼ばれるのは不公平であり不愉快だ」
竜『我に同種など存在しない。故に名など必要ない』
学者「なんだと名無しか貴様。仕方ない私が名付け親になってやろう、そうだな……グリムというのはどうだ?」
竜『貴様我の顔を見て決めたな?』
学者「如何にも」
竜『却下だ』
学者「何故だ!? ぴったりな名前ではないか!?」
443: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:15:04.11 ID:47+h4pm/0
竜『…これだから人間は好かんのだ』
学者「やれやれ仕方ない、いずれ貴様をぎゃふんと言わせるような名前を付けてやるからそれまで覚悟しておけ」
竜『ぎゃふん? いや、そんな下らない事より先ほどの我の問いに答えろ』
学者「研究に使うサンプルの採取兼食料の確保」
竜『……見たところそのようなものは所持していないようだが成果はあったのか?』
学者「察しろ」
竜『なかったのだな』
学者「態々口にするな! ……そういえば貴様何故口を開かずに私と会話が出来ている? 腹話術師か?」
竜『知らん。その問いは如何にして歩行を覚えたかというのと同義だ』
学者「……まさかな」
竜『何がだ?』
学者「いずれ話すかも知れん。今は訊くな」
竜『……ふん』
学者「やれやれ仕方ない、いずれ貴様をぎゃふんと言わせるような名前を付けてやるからそれまで覚悟しておけ」
竜『ぎゃふん? いや、そんな下らない事より先ほどの我の問いに答えろ』
学者「研究に使うサンプルの採取兼食料の確保」
竜『……見たところそのようなものは所持していないようだが成果はあったのか?』
学者「察しろ」
竜『なかったのだな』
学者「態々口にするな! ……そういえば貴様何故口を開かずに私と会話が出来ている? 腹話術師か?」
竜『知らん。その問いは如何にして歩行を覚えたかというのと同義だ』
学者「……まさかな」
竜『何がだ?』
学者「いずれ話すかも知れん。今は訊くな」
竜『……ふん』
444: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:15:59.65 ID:47+h4pm/0
学者「さて、そろそろ床に就くとするか」カチッ
竜『これから就眠するというのに何故灯りを点けた』
学者「私は寝る前に数分間本を読むことを習慣としているのだ。それはどんな状況でも例外ではない」
竜『自ら定めたルールに厳格なのだな貴様は』
学者「まあ難解な本に目を通すとよく眠れるという理由もあるが」
竜『少しでも感心した我が愚かだった』
学者「さて、我がバイブルに再び触れるとするか」ペラッ
竜『…………』チラッ
学者「…………」ペラ…
竜『これから就眠するというのに何故灯りを点けた』
学者「私は寝る前に数分間本を読むことを習慣としているのだ。それはどんな状況でも例外ではない」
竜『自ら定めたルールに厳格なのだな貴様は』
学者「まあ難解な本に目を通すとよく眠れるという理由もあるが」
竜『少しでも感心した我が愚かだった』
学者「さて、我がバイブルに再び触れるとするか」ペラッ
竜『…………』チラッ
学者「…………」ペラ…
445: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:17:42.60 ID:47+h4pm/0
竜『……その本には数字やおかしな図形ばかり書かれているな』
学者「貴様、文字が読めるのか?」
竜『昔、見て覚えた』
学者「……数学というものは知っているか?」
竜『数と空間について研究し定理を求めていく学問、と耳にしたことがあるが』
学者「ちっちっち…何もわかっていないな貴様は。数学の本質はそこではない」
竜『ほう。では本質とは何だ』
学者「暴く楽しさだ」
竜『……?』
学者「一見ただの数字の羅列でしかないその世界には幾多の法則が隠されている。その法則を自らの知恵と努力と閃きで見出し隠された答えを暴き出す。これほど愉悦を感じる行為はないのだぞ?」
竜『ふうむ、言葉で言われても今一つ理解できないな』
学者「なら実践するのが早い。問題を出してやる、考えろ」
竜『断る、そんな無駄なことに時間を浪費する気にはなれん』
学者「まあいいではないか、どうせ暇なのだろう? たまには頭を使わなければ脳が腐るぞ?」
竜『なっそれは本当なのか?』
学者「ぷっ、あっはっはっはっは!」
竜『何が面白い』
学者「いや、失敬なんでもないのだよ。では問題を出してやる、なにヒントはいくらでも出してやるから貴様はただひたすら愚直に且つ奇抜に考えろ。それが脳の防腐剤になる」
竜『む、むう。わかった、かかって来るがいい』
学者「ああ、まずは――」
学者「貴様、文字が読めるのか?」
竜『昔、見て覚えた』
学者「……数学というものは知っているか?」
竜『数と空間について研究し定理を求めていく学問、と耳にしたことがあるが』
学者「ちっちっち…何もわかっていないな貴様は。数学の本質はそこではない」
竜『ほう。では本質とは何だ』
学者「暴く楽しさだ」
竜『……?』
学者「一見ただの数字の羅列でしかないその世界には幾多の法則が隠されている。その法則を自らの知恵と努力と閃きで見出し隠された答えを暴き出す。これほど愉悦を感じる行為はないのだぞ?」
竜『ふうむ、言葉で言われても今一つ理解できないな』
学者「なら実践するのが早い。問題を出してやる、考えろ」
竜『断る、そんな無駄なことに時間を浪費する気にはなれん』
学者「まあいいではないか、どうせ暇なのだろう? たまには頭を使わなければ脳が腐るぞ?」
竜『なっそれは本当なのか?』
学者「ぷっ、あっはっはっはっは!」
竜『何が面白い』
学者「いや、失敬なんでもないのだよ。では問題を出してやる、なにヒントはいくらでも出してやるから貴様はただひたすら愚直に且つ奇抜に考えろ。それが脳の防腐剤になる」
竜『む、むう。わかった、かかって来るがいい』
学者「ああ、まずは――」
446: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:19:03.39 ID:47+h4pm/0
竜『ぐう…もう少しで答えが見えそうなのだが』ムム
学者「…なあ、私はもう眠くて眠くてしょうがないのだが」ウトウト
竜『待て、貴様が出してきた問いなのだぞ。最後まで付き合え』
学者「あ、だめだ。これよりスリープモードに入る……」
竜『おい起きろ学者、起きねば喰ってしまうぞ』ユサユサ
学者「ぐがー…ふしゅー…」スヤスヤ
竜『くっ、仕方ない。我だけで考えるか……。ここにこの数式を代入してみるという手がまだあったな……』ガリガリ
学者「ぐごごご…ぐー。…う、さむ」ゴロゴロ、ピト
竜『おい寄るな、貴様の寝床はそっちだ』
学者「…………すぴー」ピトッ
竜『…………まあ書くには問題はないか。……あたたかいしな』
学者「…なあ、私はもう眠くて眠くてしょうがないのだが」ウトウト
竜『待て、貴様が出してきた問いなのだぞ。最後まで付き合え』
学者「あ、だめだ。これよりスリープモードに入る……」
竜『おい起きろ学者、起きねば喰ってしまうぞ』ユサユサ
学者「ぐがー…ふしゅー…」スヤスヤ
竜『くっ、仕方ない。我だけで考えるか……。ここにこの数式を代入してみるという手がまだあったな……』ガリガリ
学者「ぐごごご…ぐー。…う、さむ」ゴロゴロ、ピト
竜『おい寄るな、貴様の寝床はそっちだ』
学者「…………すぴー」ピトッ
竜『…………まあ書くには問題はないか。……あたたかいしな』
447: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:20:19.62 ID:47+h4pm/0
―次の日の朝―
学者「ぐがっ? ……あー、どこだここは」
竜『目覚めたか人間』
学者「うおおおおおぉぉ!?」ズザザ
竜『! …………』
学者「あ、そうか思い出した。すまない、貴様の姿形は目覚め明けには非常に刺激が強いのでな」
竜『……見ろ、これが昨夜出した我の答えだ』
学者「おっどれどれ…ふむふむ」
竜『ど、どうだろうか?』ドキドキ
学者「よし、頭を私の手の届く範囲まで下げてみろ」
竜『何故人間に我が頭を垂れねばならんのだ』
学者「いいから早くしろ、悪いようにはせん」
竜『…………』スイッ
学者「うむ、よくやったな偉いぞ」ナデナデ
竜『何故頭を擦る、火でも起こすつもりか』
学者「人間は相手を褒め称えるときこうするのだ。素直に喜べ」ナデナデ
竜『む、むう…仕方ない喜んでやる。感謝しろ』
学者「ぷっ、ははっなんだそれは」
学者「ぐがっ? ……あー、どこだここは」
竜『目覚めたか人間』
学者「うおおおおおぉぉ!?」ズザザ
竜『! …………』
学者「あ、そうか思い出した。すまない、貴様の姿形は目覚め明けには非常に刺激が強いのでな」
竜『……見ろ、これが昨夜出した我の答えだ』
学者「おっどれどれ…ふむふむ」
竜『ど、どうだろうか?』ドキドキ
学者「よし、頭を私の手の届く範囲まで下げてみろ」
竜『何故人間に我が頭を垂れねばならんのだ』
学者「いいから早くしろ、悪いようにはせん」
竜『…………』スイッ
学者「うむ、よくやったな偉いぞ」ナデナデ
竜『何故頭を擦る、火でも起こすつもりか』
学者「人間は相手を褒め称えるときこうするのだ。素直に喜べ」ナデナデ
竜『む、むう…仕方ない喜んでやる。感謝しろ』
学者「ぷっ、ははっなんだそれは」
448: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:21:14.07 ID:47+h4pm/0
学者「さてと天気は良好、体調も悪くない。てっきり夜の寒さで体力が低下すると思っていたがはて何故だろう?」
竜『…くれぐれもここのことは漏らすなよ、でなければ人間共とてただでは済まさんぞ』
学者「心配するな私は約束は守る女だ。信じろ」
竜『ならとっとと去れ。人間といると空気が汚れて不愉快だ』
学者「わかっている。……では世話になったな」
竜『……うむ』
学者「あ。余り洞窟に篭ってないで外に出たほうがいいぞ? その内ウロコにカビとか生えるかもしれんぞ?」
竜『帰れ』
学者「やれやれ素直じゃない奴…達者でな」スタスタ
竜『…………』
竜『…くれぐれもここのことは漏らすなよ、でなければ人間共とてただでは済まさんぞ』
学者「心配するな私は約束は守る女だ。信じろ」
竜『ならとっとと去れ。人間といると空気が汚れて不愉快だ』
学者「わかっている。……では世話になったな」
竜『……うむ』
学者「あ。余り洞窟に篭ってないで外に出たほうがいいぞ? その内ウロコにカビとか生えるかもしれんぞ?」
竜『帰れ』
学者「やれやれ素直じゃない奴…達者でな」スタスタ
竜『…………』
449: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:21:54.30 ID:47+h4pm/0
竜『ふん、やっと去ったか。まったく災難であった…』
竜『……この胸に広がる空虚感は一体なんなのだろうか。訊ねておくべきだったか』
竜『……くそっ、これだから人間と関わると碌なことがないのだ』
竜『……この胸に広がる空虚感は一体なんなのだろうか。訊ねておくべきだったか』
竜『……くそっ、これだから人間と関わると碌なことがないのだ』
450: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:23:19.49 ID:47+h4pm/0
―1週間後―
学者「失礼する!」バーン!
竜『……我は幻覚を見ているのだろうか』
学者「頬をつねってやろうか? そうすれば現実かわかるぞ?」
竜『そうか、そんなに我に喰われたいか』
学者「この前初めて食事を経験しておきながらその脅し文句は弱いな、経験を積んで出直してこい!」
竜『…ふう、それで何故再びここを訪れた。まさかまた迷い込んだわけではあるまい』
学者「……てへっ☆」コツン
竜『何故か殺意が沸いた。今後命が惜しければその動作を二度と行うな』
学者「ぐはあ…自信失くす……」ズーン
学者「失礼する!」バーン!
竜『……我は幻覚を見ているのだろうか』
学者「頬をつねってやろうか? そうすれば現実かわかるぞ?」
竜『そうか、そんなに我に喰われたいか』
学者「この前初めて食事を経験しておきながらその脅し文句は弱いな、経験を積んで出直してこい!」
竜『…ふう、それで何故再びここを訪れた。まさかまた迷い込んだわけではあるまい』
学者「……てへっ☆」コツン
竜『何故か殺意が沸いた。今後命が惜しければその動作を二度と行うな』
学者「ぐはあ…自信失くす……」ズーン
451: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:24:28.02 ID:47+h4pm/0
学者「見ろ、これが今日の獲物だ!」
竜『猪か。よく獲れたな』
学者「2頭獲ったはいいが一方はサイズが大きすぎて私のような可憐な乙女が全て持ち帰るには重過ぎる」
竜『乙女…? その者はどこにいるのだ?』
学者「貴様の目の前にいるではないか!」
竜『? 我には見えん。霊の類か?』
学者「…………帰る」グスッ
竜『冗談だ』
学者「貴様の冗談はそれに聞こえないのだ自覚しろ!」
竜『猪か。よく獲れたな』
学者「2頭獲ったはいいが一方はサイズが大きすぎて私のような可憐な乙女が全て持ち帰るには重過ぎる」
竜『乙女…? その者はどこにいるのだ?』
学者「貴様の目の前にいるではないか!」
竜『? 我には見えん。霊の類か?』
学者「…………帰る」グスッ
竜『冗談だ』
学者「貴様の冗談はそれに聞こえないのだ自覚しろ!」
452: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:25:19.91 ID:47+h4pm/0
学者「というわけで貴様これを受け取れ、代わりに1泊させてくれ」
竜『いらん。故に帰れ』
学者「遠慮するな、焼いて食うと旨いぞ?」
竜『……"うまい"とはなんだ?』
学者「貴様がこの間経験した"不味い"という感覚の対極的なものだ。知りたければ食え、そして私を泊めろ」
竜『……今回だけだぞ』
学者『恩に着る。では遠慮なく入らせてもらうぞ』ツカツカ
竜『実に図々しい人間だ』
学者「そう褒めるな。照れるだろうが」
竜『…これは褒め言葉だったのか』
竜『いらん。故に帰れ』
学者「遠慮するな、焼いて食うと旨いぞ?」
竜『……"うまい"とはなんだ?』
学者「貴様がこの間経験した"不味い"という感覚の対極的なものだ。知りたければ食え、そして私を泊めろ」
竜『……今回だけだぞ』
学者『恩に着る。では遠慮なく入らせてもらうぞ』ツカツカ
竜『実に図々しい人間だ』
学者「そう褒めるな。照れるだろうが」
竜『…これは褒め言葉だったのか』
453: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:27:02.30 ID:47+h4pm/0
学者「おお! 意外にも私の力作が残っているではないか、既に撤去されているとばかり予想していたが」
竜『片付けるのが面倒だっただけだ。他意はない』
学者「うーむ、この寝転ぶと自然と一体化したかのような感覚がたまらないな。枯れ草が付くのが難点だが」ワサワサ
竜『おかしな人間だな、人間は快適さを求めて自然を淘汰し文明を発展させてきた生物だろうに』
学者「人は時に過去を懐かしむだろう? 思い出の良し悪しに関わらず。これはきっとそういうものだ」
竜『我は過ぎた事など、想起したいと思わないが』
学者「なんと勿体ない。記憶は己が積み上げてきた歴史だ、それを埃の下に埋まらせるなどその瞬間を全力で生きた過去の自身に失礼だとは思わないか? たまにでいいから思い出してやれ」バサァ
竜『枯れ草を飛ばすな、目障りだ』
学者「ふふっ、昔は私に擦り寄って来る男共にこのように枯れ草を顔面にぶちまけて追い返したものだ懐かしい」
竜『貴様に好意を持つ男がいるとは思えんが』
学者「貴様女を見る目がないな。私ほどの美貌を持つ人間などそうはおらんぞ?」
竜『中身が伴っていなければ意味などなかろうに』
学者「外見で判断する愚か者共の期待になど応える必要などない」
竜『ふん、その点は同意だな』
竜『片付けるのが面倒だっただけだ。他意はない』
学者「うーむ、この寝転ぶと自然と一体化したかのような感覚がたまらないな。枯れ草が付くのが難点だが」ワサワサ
竜『おかしな人間だな、人間は快適さを求めて自然を淘汰し文明を発展させてきた生物だろうに』
学者「人は時に過去を懐かしむだろう? 思い出の良し悪しに関わらず。これはきっとそういうものだ」
竜『我は過ぎた事など、想起したいと思わないが』
学者「なんと勿体ない。記憶は己が積み上げてきた歴史だ、それを埃の下に埋まらせるなどその瞬間を全力で生きた過去の自身に失礼だとは思わないか? たまにでいいから思い出してやれ」バサァ
竜『枯れ草を飛ばすな、目障りだ』
学者「ふふっ、昔は私に擦り寄って来る男共にこのように枯れ草を顔面にぶちまけて追い返したものだ懐かしい」
竜『貴様に好意を持つ男がいるとは思えんが』
学者「貴様女を見る目がないな。私ほどの美貌を持つ人間などそうはおらんぞ?」
竜『中身が伴っていなければ意味などなかろうに』
学者「外見で判断する愚か者共の期待になど応える必要などない」
竜『ふん、その点は同意だな』
454: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:28:56.14 ID:47+h4pm/0
学者「さて、私は腹が空いた。然るに貴様も食事にしろ」
竜『何故我が人間に合わせなければならない』
学者「食事は誰かと共にすると旨さが倍増するのだ。故に付き合え」
竜『…あれを焼くのだったか』
学者「うむ。そうだ貴様そのような見た目をしているのなら炎の1つや2つ吐けるのではないか? どれやってみろ」
竜『炎を…吐く? そんな非現実的事象を起こせるわけがなかろう馬鹿馬鹿しい』
学者「今まさに精神遠隔感応という非科学的能力を用いている貴様がそれを言うか。やれないと思うからやれないのだ、自分は出来ると思い込め」
竜『学者とは思えぬとんだ精神論だな…、しかしやれと言われてもその実行方法がわからん』
学者「腕を動かせるからといってその際の筋肉や関節の動きなどを説明できるわけではないだろう。腕を動かすには動かしたいと思うだけでいい。喉奥から火炎が噴出すイメージをしてみろ、炎を吐きたいと願え」
竜『……イメージ、炎……吐く』スウゥ
学者「さあ、己が内に潜む火の奔流を吐き出せ!」
竜「……ふっ!」ゴオオオォォ
学者「ほらみろ出来るではないか! ……いや待てそろそろ止めろ」
竜『…………』ゴオオオオオ!
学者「馬鹿者自らが住む地を燃き尽くす気か!? ええい止めねばウロコを全て引っぺがすぞ!? って固っはがれんっ」ギギギ
竜『がっ! き、貴様よくもやってくれたな……』ヒリヒリ
学者「ああでもしなければ貴様は止まらなかっただろう、感謝こそされど罵られる筋合いは無い」
竜『…元々炎を吐かせたのは貴様だろうが』
学者「それはそれ、これはこれだ。己の中に眠っていた力に気づけたのだ良いではないか」
竜『気づいた所で何の得もないがな』
学者「いやいや得はあるだろう、いつでも肉が焼け、る……」
竜『なんだ、獲物を視界に捕らえたまま直立不動をして』
学者「あれでは食物ではない、もはや炭だ馬鹿者」
竜『炭は食えないのか?』
学者「……こちらに来い」スタスタ
竜『何故我が人間に合わせなければならない』
学者「食事は誰かと共にすると旨さが倍増するのだ。故に付き合え」
竜『…あれを焼くのだったか』
学者「うむ。そうだ貴様そのような見た目をしているのなら炎の1つや2つ吐けるのではないか? どれやってみろ」
竜『炎を…吐く? そんな非現実的事象を起こせるわけがなかろう馬鹿馬鹿しい』
学者「今まさに精神遠隔感応という非科学的能力を用いている貴様がそれを言うか。やれないと思うからやれないのだ、自分は出来ると思い込め」
竜『学者とは思えぬとんだ精神論だな…、しかしやれと言われてもその実行方法がわからん』
学者「腕を動かせるからといってその際の筋肉や関節の動きなどを説明できるわけではないだろう。腕を動かすには動かしたいと思うだけでいい。喉奥から火炎が噴出すイメージをしてみろ、炎を吐きたいと願え」
竜『……イメージ、炎……吐く』スウゥ
学者「さあ、己が内に潜む火の奔流を吐き出せ!」
竜「……ふっ!」ゴオオオォォ
学者「ほらみろ出来るではないか! ……いや待てそろそろ止めろ」
竜『…………』ゴオオオオオ!
学者「馬鹿者自らが住む地を燃き尽くす気か!? ええい止めねばウロコを全て引っぺがすぞ!? って固っはがれんっ」ギギギ
竜『がっ! き、貴様よくもやってくれたな……』ヒリヒリ
学者「ああでもしなければ貴様は止まらなかっただろう、感謝こそされど罵られる筋合いは無い」
竜『…元々炎を吐かせたのは貴様だろうが』
学者「それはそれ、これはこれだ。己の中に眠っていた力に気づけたのだ良いではないか」
竜『気づいた所で何の得もないがな』
学者「いやいや得はあるだろう、いつでも肉が焼け、る……」
竜『なんだ、獲物を視界に捕らえたまま直立不動をして』
学者「あれでは食物ではない、もはや炭だ馬鹿者」
竜『炭は食えないのか?』
学者「……こちらに来い」スタスタ
455: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:30:37.29 ID:47+h4pm/0
学者「これを見ろ」ドサドサ
竜『なんだ? 書物か?』
学者「これを読み一般常識を少しは学べ。貴様はあまりに常識に疎すぎる」
竜『何故我がそのようなことを……』
学者「知識はいくらあっても重荷にならず一生を豊かにする素晴らしい道具だ。貴様は知識はなくとも知恵はある、馬鹿ではない。そのような逸材が機会が与えられないというつまらない理由で埋もれて行くのは私には耐え難いのだ」
竜『…変わった人間だ』
学者「知っている。うん? 待てよ貴様のその手では紙をめくることも叶わんか」
竜『その点は問題ない。こう見えて我は器用なのだ、手を見ていろ』ゴワッ
学者「うおっ、気持ち悪っ!」
竜『…………』
学者「あっすまない、つい本音が出てしまった。なら私は食事にするから貴様は適当な本を読んでいろ。わからん所があったら私に聞け」ガサガサ
竜『……それはまたあれか?』
学者「うむ、栄養の点だけは評価できるからな。保存も効き、匂いもないから畜生が寄りにくい、こういった場では実に重宝する」モグモグ
竜『…我にも寄越せ』
学者「うん? 貴様は食事の必要がなかったのではないのか?」モグモグ
竜『あの感覚を忘れないようにするためだ、わかったらとっとと我にも分けんか』
学者「そう焦るな、半分こしてやる。ほれ」ポキッ
竜『うむ、…………"不味い"な』モグモグ
学者「だが食事を共にする相手がいると幾分ましな気がせんか?」
竜『……ふん、さあな』ゴクリ
竜『なんだ? 書物か?』
学者「これを読み一般常識を少しは学べ。貴様はあまりに常識に疎すぎる」
竜『何故我がそのようなことを……』
学者「知識はいくらあっても重荷にならず一生を豊かにする素晴らしい道具だ。貴様は知識はなくとも知恵はある、馬鹿ではない。そのような逸材が機会が与えられないというつまらない理由で埋もれて行くのは私には耐え難いのだ」
竜『…変わった人間だ』
学者「知っている。うん? 待てよ貴様のその手では紙をめくることも叶わんか」
竜『その点は問題ない。こう見えて我は器用なのだ、手を見ていろ』ゴワッ
学者「うおっ、気持ち悪っ!」
竜『…………』
学者「あっすまない、つい本音が出てしまった。なら私は食事にするから貴様は適当な本を読んでいろ。わからん所があったら私に聞け」ガサガサ
竜『……それはまたあれか?』
学者「うむ、栄養の点だけは評価できるからな。保存も効き、匂いもないから畜生が寄りにくい、こういった場では実に重宝する」モグモグ
竜『…我にも寄越せ』
学者「うん? 貴様は食事の必要がなかったのではないのか?」モグモグ
竜『あの感覚を忘れないようにするためだ、わかったらとっとと我にも分けんか』
学者「そう焦るな、半分こしてやる。ほれ」ポキッ
竜『うむ、…………"不味い"な』モグモグ
学者「だが食事を共にする相手がいると幾分ましな気がせんか?」
竜『……ふん、さあな』ゴクリ
456: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:32:47.36 ID:47+h4pm/0
竜『…………』ペラリ
学者「どうだ? どこかわからない所はあるか?」
竜『話しかけるな、気が散る』
学者「……拗ねるぞ」
竜『…………』ペラ、ペラ
学者「(ふん、いざ読ませてみれば夢中ではないか。この前のことといい素質はあったのだろうが、この姿に生まれたのが災いしたな…)」
竜『おい、読了したぞ。他に書物はないのか?』
学者「…は? もう全て読み終えたのか? まさか流し読みしたのではあるまいな?」
竜『……そうだな貴様三桁までの間で好きな数字を言ってみろ』
学者「335。一体何の意味が」
竜『シアヌル酸クロリドの分子式C3C13NS、分子量は184.41、比重1.92、蒸気圧0.8 mm Hg…』
学者「! まさか」パラパラ
竜『…性質。無色結晶性粉末で水に溶けると加水分解し次亜塩素酸を与え…』
学者「いい、もういい。貴様が書物の内容を一字一句正確に暗唱できるのはわかった」
竜『我は、流し読みなどしていない』
学者「そうだな疑った私が悪かった、すまなかった」
竜『…意外だな』
学者「何がだ?」
竜『言動から貴様は自尊心が高いと推測していた。よもや人間でもない相手に謝罪するとは予想していなかった』
学者「自分が悪いと思ったら素直に謝る、子供でも知っている常識だぞ?」
竜『…記憶しておこう』
学者「どうだ? どこかわからない所はあるか?」
竜『話しかけるな、気が散る』
学者「……拗ねるぞ」
竜『…………』ペラ、ペラ
学者「(ふん、いざ読ませてみれば夢中ではないか。この前のことといい素質はあったのだろうが、この姿に生まれたのが災いしたな…)」
竜『おい、読了したぞ。他に書物はないのか?』
学者「…は? もう全て読み終えたのか? まさか流し読みしたのではあるまいな?」
竜『……そうだな貴様三桁までの間で好きな数字を言ってみろ』
学者「335。一体何の意味が」
竜『シアヌル酸クロリドの分子式C3C13NS、分子量は184.41、比重1.92、蒸気圧0.8 mm Hg…』
学者「! まさか」パラパラ
竜『…性質。無色結晶性粉末で水に溶けると加水分解し次亜塩素酸を与え…』
学者「いい、もういい。貴様が書物の内容を一字一句正確に暗唱できるのはわかった」
竜『我は、流し読みなどしていない』
学者「そうだな疑った私が悪かった、すまなかった」
竜『…意外だな』
学者「何がだ?」
竜『言動から貴様は自尊心が高いと推測していた。よもや人間でもない相手に謝罪するとは予想していなかった』
学者「自分が悪いと思ったら素直に謝る、子供でも知っている常識だぞ?」
竜『…記憶しておこう』
457: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:35:24.24 ID:47+h4pm/0
学者「ううっ寒い! 貴様場所を交換しろ、その巨体なら良い風避けになるだろう」
竜『だが我が寒くなるではないか』
学者「か弱き淑女が震える姿を男子たるもの見逃せないだろう? 我慢しろ」
竜『男子…雄のことか』
学者「む、もしや違ったか? すまん脳に響く声質や口調から判断してしまったのだが」
竜『いや、確か今はそれで合っている』
学者「"今は"? なんだ貴様雌性先熟か?」
竜『前回は、雌だった。その前は性別そのものがなかったな。その時々による』
学者「待て待て何を言っているのだ、まるで何度も性転換を繰り返してきたかのような言い方ではないか」
竜『事実そうだが』
学者「どういうことだ、竜とはそういった生態なのか? そもそも貴様以外の同種はどこにいる?」
竜『我は同種と出会ったことがないが。他に存在しているのか?』
学者「ではなんだ、貴様は無生物から産まれたというのか。馬鹿な、自然発生説はとうに否定された」
竜『…恐らく我は無より生まれている。幾度も』
学者「……さすがの私でも先ほどから頭痛が収まらん。面倒だ貴様がこの世に生まれてから今この瞬間までを掻い摘んで語れ」
竜『だが我が寒くなるではないか』
学者「か弱き淑女が震える姿を男子たるもの見逃せないだろう? 我慢しろ」
竜『男子…雄のことか』
学者「む、もしや違ったか? すまん脳に響く声質や口調から判断してしまったのだが」
竜『いや、確か今はそれで合っている』
学者「"今は"? なんだ貴様雌性先熟か?」
竜『前回は、雌だった。その前は性別そのものがなかったな。その時々による』
学者「待て待て何を言っているのだ、まるで何度も性転換を繰り返してきたかのような言い方ではないか」
竜『事実そうだが』
学者「どういうことだ、竜とはそういった生態なのか? そもそも貴様以外の同種はどこにいる?」
竜『我は同種と出会ったことがないが。他に存在しているのか?』
学者「ではなんだ、貴様は無生物から産まれたというのか。馬鹿な、自然発生説はとうに否定された」
竜『…恐らく我は無より生まれている。幾度も』
学者「……さすがの私でも先ほどから頭痛が収まらん。面倒だ貴様がこの世に生まれてから今この瞬間までを掻い摘んで語れ」
458: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:37:27.35 ID:47+h4pm/0
竜『気が付くと我は初め地面を這い蹲っていた』
学者「ふむ、その頃は四肢が発達していなかったのか?」
竜『そもそも四肢などなかった。我は身を捻りながらでしか動けなかった』
学者「…よくそれで自然界を生き抜けたな」
竜『何故自分がここにいるのか、自分自身が何者なのかもわからぬまま我はただ進み続けた。そうしてある日』
学者「うむ」
竜『空から飛来した猛禽類に我が身は攫われ、生きたままこの身を啄ばまれた』
学者「…は?」
竜『とてつもない苦痛が続いた後我が意識は遠くなっていった。何がなんだかわからなかったがこれで終わるのだと思った、そうして我が意識は消えていった』
学者「……終わってしまったではないか」
竜『目が覚めると見知らぬ場所で我は地面を這い蹲っていた』
学者「…………」
竜『先ほどの光景は夢だったのだろうと我は結論付けまた歩を進め始めた。それから数日後、我は二足歩行の生物が持つ何か鋭利な武器で串刺しにされ息絶えた』
竜『そして気が付くと見知らぬ場所で我は地面を這い蹲っていた。終わり方は異なれど終わることに違いはなかった、…我の場合終わりではないか』
学者「(信じ難い、が虚実を吐く理由もなし、か)つまり貴様は既に何度も死んでいたと。いや、通俗的に言えば転生していたということだな?」
竜『死から生への移行を転生というのならその通りだ』
学者「だが今私と相対している貴様は捕食者でこそあれど被食者にはなるまい。初めの頃と違い強靭な四肢も兼ね備えているがそれは如何にして手に入れた?」
学者「ふむ、その頃は四肢が発達していなかったのか?」
竜『そもそも四肢などなかった。我は身を捻りながらでしか動けなかった』
学者「…よくそれで自然界を生き抜けたな」
竜『何故自分がここにいるのか、自分自身が何者なのかもわからぬまま我はただ進み続けた。そうしてある日』
学者「うむ」
竜『空から飛来した猛禽類に我が身は攫われ、生きたままこの身を啄ばまれた』
学者「…は?」
竜『とてつもない苦痛が続いた後我が意識は遠くなっていった。何がなんだかわからなかったがこれで終わるのだと思った、そうして我が意識は消えていった』
学者「……終わってしまったではないか」
竜『目が覚めると見知らぬ場所で我は地面を這い蹲っていた』
学者「…………」
竜『先ほどの光景は夢だったのだろうと我は結論付けまた歩を進め始めた。それから数日後、我は二足歩行の生物が持つ何か鋭利な武器で串刺しにされ息絶えた』
竜『そして気が付くと見知らぬ場所で我は地面を這い蹲っていた。終わり方は異なれど終わることに違いはなかった、…我の場合終わりではないか』
学者「(信じ難い、が虚実を吐く理由もなし、か)つまり貴様は既に何度も死んでいたと。いや、通俗的に言えば転生していたということだな?」
竜『死から生への移行を転生というのならその通りだ』
学者「だが今私と相対している貴様は捕食者でこそあれど被食者にはなるまい。初めの頃と違い強靭な四肢も兼ね備えているがそれは如何にして手に入れた?」
459: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:39:18.06 ID:47+h4pm/0
竜『目覚める度に我の体には微々たる変化が起こっていた。死を繰り返す内に以前は生えていなかった脚が生まれ、腕が生まれ尾が生まれていった。初めは外部より与えられる暴力に蹂躙されるだけだったが少しずつ逃げおおせることが出来るようになっていった。まあ時間の問題だったのだが』
学者「ふむ、……それが外部からエネルギーを得ることのない者が成長する方法というわけか。いやこれほどの変化であれば進化か」
竜『それから年月が経ち、ある程度今の姿に近づいた頃……ある日人間共に見つかってしまった、人間に発見されるのは今まで何度もあったのだがその時は違った』
学者「ほう、何がだ?」
竜『当時は何を言っているか理解できなかったのだが、今ならわかる。彼らはこう騒いでいた、"我らの神が現れた!"とな』
学者「…なるほどな、それで」
竜『彼らは我を祀り上げ、必要のない捧げ物を押し付け、実に身勝手な願いを口にした。村を豊かにしろ、雨を降らせろ、流行り病を何とかしろ…それこそ数え切れんほどにな。自分達に出来ることを模索しようとせずにただひたすら頭を垂れ、自らが造り上げた偽りの神に祈りを捧げていた。その下らぬ戯言を聞くうちに彼らの言語を覚えたのは皮肉だがな』フフッ
学者「学習能力の高さはその頃から顕在か」
学者「ふむ、……それが外部からエネルギーを得ることのない者が成長する方法というわけか。いやこれほどの変化であれば進化か」
竜『それから年月が経ち、ある程度今の姿に近づいた頃……ある日人間共に見つかってしまった、人間に発見されるのは今まで何度もあったのだがその時は違った』
学者「ほう、何がだ?」
竜『当時は何を言っているか理解できなかったのだが、今ならわかる。彼らはこう騒いでいた、"我らの神が現れた!"とな』
学者「…なるほどな、それで」
竜『彼らは我を祀り上げ、必要のない捧げ物を押し付け、実に身勝手な願いを口にした。村を豊かにしろ、雨を降らせろ、流行り病を何とかしろ…それこそ数え切れんほどにな。自分達に出来ることを模索しようとせずにただひたすら頭を垂れ、自らが造り上げた偽りの神に祈りを捧げていた。その下らぬ戯言を聞くうちに彼らの言語を覚えたのは皮肉だがな』フフッ
学者「学習能力の高さはその頃から顕在か」
460: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:40:52.92 ID:47+h4pm/0
竜『さて学者、この後彼らはどうしたと思う?』
学者「……苦境の中で献上品を捧げているにも関わらず願いが叶わなければ彼らの中には恐らく焦りや不満が生まれていっただろうな。そしてその負の感情の行き先は」
竜『うむ、察しの通りだ。彼らはいつしか正反対のことを口にするようになった。我は実は神ではなくこの村を苦しめる悪魔なのではないかとな。神と崇めたり悪魔と罵ったりと忙しい奴らだ』
学者「実に、人間らしいな」
竜『その後は語るまでもない。村内で我は悪魔であることが決定付けられ、村の者総出で我を退治しに来たわ。皆それで自分達が救われると本気で信じていたのだろうな、どこまでも哀れな奴らだ』
学者「貴様はどうしたのだ、まさかみすみす殺されたわけではあるまい」
竜『…いや、抵抗などしなかった。どうせ殺されようが再び蘇させられる身だ、彼らの気が済むのならそれでいいと思ったのだ』
学者「ふん、私なら私に刃向う全村民半殺しぐらいにはするがな」
竜『下らん、一時的な気晴らしの後に待っているのは虚しさだけだ』
学者「それをわかっていて無抵抗に殺された貴様は非道極まりないな」
竜『…………』
学者「……苦境の中で献上品を捧げているにも関わらず願いが叶わなければ彼らの中には恐らく焦りや不満が生まれていっただろうな。そしてその負の感情の行き先は」
竜『うむ、察しの通りだ。彼らはいつしか正反対のことを口にするようになった。我は実は神ではなくこの村を苦しめる悪魔なのではないかとな。神と崇めたり悪魔と罵ったりと忙しい奴らだ』
学者「実に、人間らしいな」
竜『その後は語るまでもない。村内で我は悪魔であることが決定付けられ、村の者総出で我を退治しに来たわ。皆それで自分達が救われると本気で信じていたのだろうな、どこまでも哀れな奴らだ』
学者「貴様はどうしたのだ、まさかみすみす殺されたわけではあるまい」
竜『…いや、抵抗などしなかった。どうせ殺されようが再び蘇させられる身だ、彼らの気が済むのならそれでいいと思ったのだ』
学者「ふん、私なら私に刃向う全村民半殺しぐらいにはするがな」
竜『下らん、一時的な気晴らしの後に待っているのは虚しさだけだ』
学者「それをわかっていて無抵抗に殺された貴様は非道極まりないな」
竜『…………』
461: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:43:30.42 ID:47+h4pm/0
学者「まあ赤の他人、それも生者でない者のことなどどうでもいい。その後貴様はどうしたのだ?」
竜『我は今まで以上に人間を避けるようになった。日に日に険しい土地へと身を寄せた。しかし、どんな辺境の地に隠れ潜もうが必ず奴らが来てしまう。ありえない偶然が重なり奴らとの邂逅が果たされてしまうのだ』
学者「ほう、なら私が貴様と出会ったのも運命の赤い糸という奴で繋がれていたのかもしれんな!」
竜『言っている意味がよくわからんが…』
学者「後で懇切丁寧に解説してやる、今は話の続きを」
竜『…人間の反応は二択だ。神として崇めるか、悪魔若しくは怪物として畏怖し倒そうとするかだ。これほど単純な反応しか出来ぬのに自らを知的生命体だと信じているのだから滑稽極まりない』
学者「私なら殺さず生け捕りにして全身隈なく調査するところだが」
竜『ああ、そういったパターンも初期にあったな、我にまだ身を守るほどの力が備わっていない頃の話だ。全身のウロコを呪(まじな)いに使用するためといって剥ぎ取られ、爪も煎じて薬にするという理由で全て切り落とされた。神の加護とやらが宿っているらしい』
学者「神を自らの手で苦しめておきながら神の加護を期待するなど呆れて何も言えんな」
竜『結局彼らが好意的に見たところで我は都合の良い道具に過ぎなかったのだろう。人間は合理的な生き物だとはよく言ったものだ』
竜『我は今まで以上に人間を避けるようになった。日に日に険しい土地へと身を寄せた。しかし、どんな辺境の地に隠れ潜もうが必ず奴らが来てしまう。ありえない偶然が重なり奴らとの邂逅が果たされてしまうのだ』
学者「ほう、なら私が貴様と出会ったのも運命の赤い糸という奴で繋がれていたのかもしれんな!」
竜『言っている意味がよくわからんが…』
学者「後で懇切丁寧に解説してやる、今は話の続きを」
竜『…人間の反応は二択だ。神として崇めるか、悪魔若しくは怪物として畏怖し倒そうとするかだ。これほど単純な反応しか出来ぬのに自らを知的生命体だと信じているのだから滑稽極まりない』
学者「私なら殺さず生け捕りにして全身隈なく調査するところだが」
竜『ああ、そういったパターンも初期にあったな、我にまだ身を守るほどの力が備わっていない頃の話だ。全身のウロコを呪(まじな)いに使用するためといって剥ぎ取られ、爪も煎じて薬にするという理由で全て切り落とされた。神の加護とやらが宿っているらしい』
学者「神を自らの手で苦しめておきながら神の加護を期待するなど呆れて何も言えんな」
竜『結局彼らが好意的に見たところで我は都合の良い道具に過ぎなかったのだろう。人間は合理的な生き物だとはよく言ったものだ』
462: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:45:00.60 ID:47+h4pm/0
学者「貴様の人間に対する価値観には幾ばくか興味がそそられるが話が逸れているな。軌道修正を要求する」
竜『ああ、といっても語ることなどもう殆どない。そうして我は可能な限り人の目を避け、この地に身を置いたのだ。恐らく数百年程は見つからなかったためこの地なら、と思っていたのだが…』
学者「いやあ残念だったな、はっはっは」
竜『…………』
学者「まあ見つかったものは仕方がないだろう? 別に私は貴様が神だとも悪魔だとも思っていないわけなのだしそう落ち込むな、な?」バシバシ
竜『気安く触れるな』
学者「まったくつれないな。多少親睦が深まったと思っていたのだが片思いだったか」
竜『人間と親交を持つなどありえん』
学者「うーむ、これは筋金入りの人間不信のようだな。仕方がない私が一肌脱いでやろう」
竜『……何をする気だ?』
学者「近いうちに秘密兵器を携えて来よう。それを見れば、たちまち人間がめんこくなるだろう」フフン
竜『おい、誰が再びここを訪れて良いと言った?』
学者「書物読みたくないのか? 先ほど催促された覚えがあるのだが私の勘違いだったかな? うん?」
竜『ぐっ……勝手にしろ!』プイッ
学者「ふふっ、では勝手にさせて貰うよ」
竜『ああ、といっても語ることなどもう殆どない。そうして我は可能な限り人の目を避け、この地に身を置いたのだ。恐らく数百年程は見つからなかったためこの地なら、と思っていたのだが…』
学者「いやあ残念だったな、はっはっは」
竜『…………』
学者「まあ見つかったものは仕方がないだろう? 別に私は貴様が神だとも悪魔だとも思っていないわけなのだしそう落ち込むな、な?」バシバシ
竜『気安く触れるな』
学者「まったくつれないな。多少親睦が深まったと思っていたのだが片思いだったか」
竜『人間と親交を持つなどありえん』
学者「うーむ、これは筋金入りの人間不信のようだな。仕方がない私が一肌脱いでやろう」
竜『……何をする気だ?』
学者「近いうちに秘密兵器を携えて来よう。それを見れば、たちまち人間がめんこくなるだろう」フフン
竜『おい、誰が再びここを訪れて良いと言った?』
学者「書物読みたくないのか? 先ほど催促された覚えがあるのだが私の勘違いだったかな? うん?」
竜『ぐっ……勝手にしろ!』プイッ
学者「ふふっ、では勝手にさせて貰うよ」
463: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:47:55.56 ID:47+h4pm/0
学者「ふう、さてそろそろ床につくとするか」モゾモゾ
竜『やっとか、貴様が一々話しかけてくるために我は著しく疲れ果てたぞ』
学者「貴様は無愛想ながら律儀に答えを返してくれるからな、恋人にするなら最適だ」
竜『我は人ではない、竜だ。間違えるな』
学者「なら恋竜か? 語感としては微妙だな」
竜『1つ訊きたいのだが…』
学者「一つといわず百だろうが千だろうが何でも訊くがいい」
竜『恋、とはなんだ? 昔人間が恋の成就を願っていったことが何度かあったのだが我にはよくわからなかった』
学者「あー…強いて言うなら脳内物質が生み出す錯覚だろうか」
竜『自ら錯覚を望むのか? わけがわからぬな』
学者「錯覚が現実になることを望むのだ。多分」
竜『そんなことがありえるのか? 空想が実体をもつなど』
学者「錯覚を持つ者同士がそれを認め合えば現実になるというかなんというか…ええいそれは私の専門分野外だ訊くな!」
竜『先ほど何でも訊けと言ったではないか、責任を持て』
学者「私が答えられる範囲でだ! 私だってよく理解していないものはあるのだ自分で答えを見つけろ!」
竜『やっとか、貴様が一々話しかけてくるために我は著しく疲れ果てたぞ』
学者「貴様は無愛想ながら律儀に答えを返してくれるからな、恋人にするなら最適だ」
竜『我は人ではない、竜だ。間違えるな』
学者「なら恋竜か? 語感としては微妙だな」
竜『1つ訊きたいのだが…』
学者「一つといわず百だろうが千だろうが何でも訊くがいい」
竜『恋、とはなんだ? 昔人間が恋の成就を願っていったことが何度かあったのだが我にはよくわからなかった』
学者「あー…強いて言うなら脳内物質が生み出す錯覚だろうか」
竜『自ら錯覚を望むのか? わけがわからぬな』
学者「錯覚が現実になることを望むのだ。多分」
竜『そんなことがありえるのか? 空想が実体をもつなど』
学者「錯覚を持つ者同士がそれを認め合えば現実になるというかなんというか…ええいそれは私の専門分野外だ訊くな!」
竜『先ほど何でも訊けと言ったではないか、責任を持て』
学者「私が答えられる範囲でだ! 私だってよく理解していないものはあるのだ自分で答えを見つけろ!」
464: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:49:20.76 ID:47+h4pm/0
竜『ふむ、書物を積めばわかるだろうか』
学者「こればかりは経験を積まねば難しいだろうな」
竜『学者貴様は恋の経験はあるのか? あるなら語ってみろ』
学者「な、何故私がそのようなことを話さねばならぬのだ!」
竜『先ほど私の過去を聞いておきながら自分は話さないというのは不公平ではないか?』
学者「ぐぬぬ…確かにそれはそうなのだが」
竜『なら語ってみろ、話を聞くだけでも理解できる部分はあるかもしれん』
学者「経験と言ってもあれは私が若輩者だった頃の遠い昔の話だ! 今はそんなものに毛ほども興味などないんだからな!」
竜『興味があるのは我だ。今貴様が何を考えていようと関係あるまい』
学者「ぐっ…し、仕方ないな…いいか一度しか言わんからくれぐれも聞き逃すなよ!」
竜『わかった、一音たりとも聴き洩らさぬ』
学者「うう…」
学者「こればかりは経験を積まねば難しいだろうな」
竜『学者貴様は恋の経験はあるのか? あるなら語ってみろ』
学者「な、何故私がそのようなことを話さねばならぬのだ!」
竜『先ほど私の過去を聞いておきながら自分は話さないというのは不公平ではないか?』
学者「ぐぬぬ…確かにそれはそうなのだが」
竜『なら語ってみろ、話を聞くだけでも理解できる部分はあるかもしれん』
学者「経験と言ってもあれは私が若輩者だった頃の遠い昔の話だ! 今はそんなものに毛ほども興味などないんだからな!」
竜『興味があるのは我だ。今貴様が何を考えていようと関係あるまい』
学者「ぐっ…し、仕方ないな…いいか一度しか言わんからくれぐれも聞き逃すなよ!」
竜『わかった、一音たりとも聴き洩らさぬ』
学者「うう…」
465: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:50:50.83 ID:47+h4pm/0
学者「…とこのような甘く切なくメランコリーな感情を恋というのだ、わかったか!?」
竜『うむ、さっぱりわからん』
学者「ああ正直話を聞いている間の貴様の表情で薄々察しておったわ! 欠伸が2桁を越えたあたりで私の話術の自信は霧散した!」
竜『とにかく我には一生縁のない感情ということは理解した、同種など恐らくこの世に存在せぬしな』
学者「いやそう決め付けるのは時期尚早というものだ。何しろ虎と獅子が子を成す世の中だぞ?」
竜『畜生に執着心など抱くものか』
学者「ならやはり人間だな、美女と野獣の物語など王道ではないか。ほれ軽く私に惚れてみろ」
竜『生憎だが貴様のような捻くれた人間に魅力など微塵も感じられない』
学者「貴様清純派黒髪長髪美少女とか好きだろ、いや絶対そうだ」
竜『…………』
竜『うむ、さっぱりわからん』
学者「ああ正直話を聞いている間の貴様の表情で薄々察しておったわ! 欠伸が2桁を越えたあたりで私の話術の自信は霧散した!」
竜『とにかく我には一生縁のない感情ということは理解した、同種など恐らくこの世に存在せぬしな』
学者「いやそう決め付けるのは時期尚早というものだ。何しろ虎と獅子が子を成す世の中だぞ?」
竜『畜生に執着心など抱くものか』
学者「ならやはり人間だな、美女と野獣の物語など王道ではないか。ほれ軽く私に惚れてみろ」
竜『生憎だが貴様のような捻くれた人間に魅力など微塵も感じられない』
学者「貴様清純派黒髪長髪美少女とか好きだろ、いや絶対そうだ」
竜『…………』
466: ◆yJ9Y64R876 2014/01/19(日) 22:51:28.52 ID:47+h4pm/0
―夜―
学者「ぐがああああああぁぁ…」グビー
竜『…五月蝿くて眠れん』
学者「ごごごっ…ぷしゅぅ…」プクー
竜『おい、離れろ。貴様の汚らわしい鼻提灯が付くではないか』
学者「ぐごっ、ずぃー…ずぃー…ずぃー…」パンッベチャア
竜『…………(こんなもの絶対に喰いたいと思わない)』
学者「ぐがああああああぁぁ…」グビー
竜『…五月蝿くて眠れん』
学者「ごごごっ…ぷしゅぅ…」プクー
竜『おい、離れろ。貴様の汚らわしい鼻提灯が付くではないか』
学者「ぐごっ、ずぃー…ずぃー…ずぃー…」パンッベチャア
竜『…………(こんなもの絶対に喰いたいと思わない)』
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