2: 代行ありがとう 2012/08/14(火) 20:09:14.23 ID:MilwsPm/O
喪黒「私の名は喪黒福造。人呼んで、『笑ゥせぇるすまん』」コツ...コツ...

喪黒「ですが、ただのセールスマンじゃございません。わたしの取り扱う品物はココロ…」コツ...コツ...

喪黒「人間の、ココロでございます。ホーッホッホッホ…」コツ...コツ...

―――
――





4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:10:31.02 ID:MilwsPm/O
喪黒「この世は老いも若きも男も女も…心の寂しい人ばかり」コツ...コツ...

喪黒「そんな皆さんのココロのスキマをお埋め致します」コツ...コツ...

喪黒「いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます」コツ...コツ...

喪黒「さて、今日のお客様は…」コツ...

―――
――


響「お~い!みんなー!ゴハンだぞ~!」
【我那覇 響(16):アイドル】

―【ともだち】―

喪黒「ホーッホッホッホ…」

―――
――


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:12:16.89 ID:MilwsPm/O
――繁華街
――19:50

響「はぁ…。事務所の皆に会いたいぞ…。いぬ美もハム蔵も人間になれたらなぁ…」トボトボ、トボトボ、

響「今日も事務所の皆とスケジュールが合わなくて一人…。うぅっ、寂しいぞ…」トボトボ、トボトボ、

響「…」チラッ

【喫茶店】

響「ジュースでも飲んで帰ろう…」

――カラン、カラン

響「オレンジジュースひとつ」

響「ありがと。はい、お金」チャリン

店員「ありがとうございましたー!」

響「空いてる席…空いてる席…」キョロキョロ、キョロキョロ

響「…」ハァ...

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:14:11.35 ID:MilwsPm/O
響「どこも空いてない…」ハァ...

??「もし…」トントン

響「…うん?自分の肩を叩くのは誰だー?」チラッ

??「ホーッホッホッホ。相席で良ければ、どうぞ座ってください」

響「いいのか!?えへへっ!ありがと!」ニコニコ、

??「ホーッホッホッホ…」

響「よいしょっ」ストン

響「ほんとにありがとなー?えっと…?」チラッ

??「ホーッホッホッホ。わたしはこういうものです」つ【名刺】

響「喪黒…福造…?」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:15:32.57 ID:MilwsPm/O
響「自分は我那覇 響さー!」

響「それと…『ココロのスキマ…お埋めします、』?」

喪黒「そうです。わたしは、ココロを売るセールスマンなのです」

響「セールスマンかー!何を売ってるんだー?」チューチュー、チューチュー

喪黒「ホーッホッホッホ。私の取り扱う品物はココロ。人間の、ココロでございます」

響「ココロを売るって、どういう意味?」キョトン

喪黒「そうですなぁ。『トモダチのいないコドクな人に、トモダチを紹介する』という事もしています」チラッ

響「トモダチ…」ドキッ

喪黒「…」ニヤリ

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:16:46.88 ID:MilwsPm/O
喪黒「ホーッホッホッホ。今のアナタのココロのスキマ…当ててみせましょう」ニヤニヤ、ニヤニヤ、

響「ココロの、スキマ?」ドキッ

喪黒「見たところ、アナタは東京の人ではありませんね?たった一人で田舎から上京し、この広い東京にただ一人。
芯からココロを許せる友も無く、家に帰ってもただ一人」

響「…」ドキドキ

喪黒「そう。アナタは一人なのです!この広い東京砂漠に、ただ一人でいるのです!」

響「…ちっ、違うぞ!自分にだって友達はいるさー!家にもペットの皆がいる!」バッ

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:18:02.99 ID:MilwsPm/O
喪黒「ホーッホッホッホ。これは失礼しました…」ガタッ

響「…あっ…。怒っちゃった…?」ドキッ

喪黒「…」ニヤッ

喪黒「ホーッホッホッホ。ご心配なく。…そうそう、その名刺の裏に、わたしの連絡先が出ています」

喪黒「もし、わたしの助けがほしい時は…遠慮せずにどうぞ」コツコツコツ...

響「トモダチ…」

―――
――

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:19:27.73 ID:MilwsPm/O
――響の部屋
――22:30

響「…うぅっ。寂しい…」グスッ、グスッ

響「動物の皆は、もう寝ちゃってる…」

響「貴音は…連絡先知らないや…」シュン...

響「…」

響「…」チラッ

【名刺】

響「トモダチ…」

喪黒『そうですなぁ。『トモダチのいないコドクな人に、トモダチを紹介する』という事もしています』

響「…」

響「よし…」

響「…」ガチャッ、

――プルルルル、プルルルル

―――
――

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:20:38.62 ID:MilwsPm/O
一ヶ月後
――765プロ事務所
――10:30

――ガチャッ、

響「はいさーい!おはよーだぞ!」

――バタン

響「あれー?誰もいないぞ…」キョロキョロ

響「…」キョロキョロ、キョロキョロ

響「…」ニパッ

響「…よしっ!」

――プルルルル、プルルルル

―――
――


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:21:53.21 ID:MilwsPm/O
――繁華街
――11:00

響「いきなりごめんなー?事務所に誰もいなくてさー!」ニコニコ、ニコニコ、

?「ふふっ。気にしなくていいのよ?だって私は響ちゃんのトモダチなんですもの」ニコニコ、

響「ありがとだぞ!えへへ…はるかは優しいな!嬉しいぞー!」ニコニコ、ニコニコ、

はるか「わおっ♪響ちゃんにそう言われると、私も嬉しくなっちゃう♪」ニコニコ、ニコニコ、

響「じゃあ今日『も』 一緒に遊ぶぞー!」

はるか「ふふっ。私も張り切っちゃう!」

―――
――

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:23:27.48 ID:MilwsPm/O
一ヶ月前
―BAR【魔の巣】
――23:20

響「こんな夜に電話しちゃってごめんな…」ションボリ

喪黒「ホーッホッホッホ。構いませんよ?それで、ご用件というのは…?」ニヤニヤ、ニヤニヤ、

響「…。家に帰っても、誰もいないんだ。動物たちはいるけど、やっぱり『人間』じゃないんだ…」

響「…。人間の…ずっと一緒にいられるトモダチがほしいんだ…」ハァ...

喪黒「…」ニヤリ

喪黒「ホーッホッホッホ。よろしいっ!では、わたしが力になりましょう!」

響「っ!」バッ

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:24:26.71 ID:MilwsPm/O
喪黒「我那覇さんも、それを目的に…わたしに連絡をしてきたのでしょう?」

響「…」コクン

喪黒「ホーッホッホッホ。ならば、わたしに全てお任せください」

喪黒「きっと、我那覇 響さん…アナタに合った【トモダチ】を、紹介させていただきます」

喪黒「ホーッホッホッホ…」

―――
――

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:26:58.53 ID:MilwsPm/O
――現在

響「あの時、喪黒さんに頼んでよかったぞ!はるかとこうしてトモダチになれたんだからな!」

はるか「ふふっ。私もよ?響ちゃんに出逢えて、ホントにハッピーだわ!」ニコニコ、ニコニコ、

響「~♪」

はるか「…」チラッ

はるか「ねぇ、響ちゃん?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:27:46.25 ID:MilwsPm/O
響「んー?なんだー?」チラッ

はるか「私たち…『ずっと』、トモダチよね?」

響「当たり前だぞー!自分とはるかは『ずっと』トモダチさー!」

はるか「うふふっ♪よかった♪」ニコニコ、ニコニコ、

響「ヘンなはるかだなー!」トテトテトテ、トテトテトテ、

響「ヘンなはるかだなー!」トテトテトテ、トテトテトテ、

はるか「うふふっ。ごめんごめん♪」

―――
喪黒「…」コツ...

―――
――

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:29:30.74 ID:MilwsPm/O
その日の夜
――765プロ事務所
――18:30

――ガチャッ、

響「はいさーい!ただいまー!」

響「~っ♪メール、メール。はるかから来てるかなー♪」ゴソゴソ、カチカチ、カチカチ

P「響…」スッ

響「ん~?どうしたー?プロデューサー」

P「お前、今日一日なにしてた」ジッ

響「えっ?」

P「…」ジッ

響「えっと…事務所に来たら誰もいなくて…だから、休みだと思って『トモダチ』と…」

P「何時だ…」

響「…えっ?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:31:14.57 ID:MilwsPm/O
P「何時に事務所に来た!」バンッ

響「ひっ!」

P「…」ジッ

響「…えっ…えっと…10じ…30ぷん…(こんなに怒ったプロデューサーは、初めてだぞ…)」ビクビク、ビクビク、

P「今日はライブ会場の打ち合わせだから、全員08:30に事務所に待ち合わせ。その後、事務所から会場に移動って言ったよな?」

響「あっ…!」ドキッ

P「思い出したか…」ハァ...

P「仕事用のケイタイに電話しても繋がらない。プライベートのケイタイに電話しても繋がらない…。
それ以前に、ここ一ヶ月は仕事も上の空でやる気も見られない」

響「…」

P「それが…なんだ?」フゥ...

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:32:43.95 ID:MilwsPm/O
P「トモダチと遊んでただぁ?」ギリッ

響「…」

P「辞めちまえ…」ボソッ

響「…えっ?」ドキッ

P「そんなハンパな覚悟なら、アイドルなんか辞めちまえ!」バンッ

P「…」

P「明日から…もう来なくていい」

響「…えっ?」ビクッ、

P「我那覇 響は、無期限休養だ」

響「えっ?えっ?ちょっと!ちょっと待って!」

P「今日はもう帰れ…」ガチャッ、バタン

響「どうしよう…」ビクビク、ビクビク、

―――
――

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:34:04.79 ID:MilwsPm/O
――繁華街:路地裏
――21:30

響「…うっ…うぅっ…」トボトボ、トボトボ、

響「…アイドルじゃ…なくなっちゃった…」グスン

喪黒「…ホーッホッホッホ。お久しぶりです。我那覇さん」スッ

響「…喪黒…さん」キッ

喪黒「ホーッホッホッホ。どうですか?わたしが紹介した、【トモダチ】は」ニヤニヤ、ニヤニヤ、

響「…せいだ…」ボソッ

喪黒「…」ニヤニヤ、ニヤニヤ、

響「喪黒さんのせいだ!喪黒さんが、【トモダチ】なんか紹介するから!自分は!自分は!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:36:16.19 ID:MilwsPm/O
喪黒「ホーッホッホッホ。ですが、アナタが望んだのです。【トモダチ】を。アナタが望んだのですよ?『ずっと』一緒にいる、アナタだけのトモダチを」ジリッ...

響「もういい!自分はアイドルなんだ!『ずっと』一緒にいられなくてもいい!」

喪黒「なりません」ジリッ...

響「…えっ?」ビクンッ

喪黒「なりませんよ?我那覇さん」ジリッ...ジリッ...

響「…えっ?えっ?」

喪黒「アナタは、『ずっと』一緒に【トモダチ】といるのです」

喪黒「ずっと…ずっと…ずっと…『ずっと』一緒にアナタだけの【トモダチ】と過ごすのです!」

響「…ひっ!」ジリッ...

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:37:39.06 ID:MilwsPm/O
喪黒「ドーーーーーーーーーーン!!!!!!」つドーーーーーーーーン!!!!!!!!

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:38:59.61 ID:MilwsPm/O
響「…ひっ!ひぃぃぃぃぃぃぃっ!」グルグルグルグル...

―――
――


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:41:17.70 ID:MilwsPm/O
次の日
――響の部屋の前
――09:00

P「響…。昨日の俺の一喝で、眼を醒ましてくれたらいいんだが…」

P「響、いるか?俺だ」

――トントン

P「ひびきー?」

――カチャッ、キィ...

P「…ん?開いてる?」

――ガチャッ...

P「…入るぞー?」ソーッ

――アハハ、ハルカハアワテンボウダナァ...

P「…なんだ。いるんじゃない…か…?」ビクンッ

響「アハハ。ハルカハアワテンボウダナァ。ゴハン、コボシテルゾー?」ベチャッ、グチャッ

P「響!おい響!どうして人形にカレーを塗ってるんだ!?」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:43:13.16 ID:MilwsPm/O
響「アハハ。ホラ、ジブンハリョウリモトクイナンダゾー?ソウカー!ハルカニヨロコンデモラエテウレシイゾー!」ベチャッ、ベチャッ、ニヤニヤ、ニヤニヤ、

P「響っ!眼を醒ませ!響っ!」

―――
――

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/14(火) 20:44:33.78 ID:MilwsPm/O
喪黒「ホーッホッホッホ。今の時代、ココロを許せる自分だけの【トモダチ】がいるコトは…何よりのシアワセなのでしょう」チラッ

響「アハハ。カレータベタラ、オフロニハイロウナ!モチロン…イッショニ」

響「ジブントハルカハ、ズットイッショダカラナー!」

P「響!響!」

喪黒「ホーッホッホッホ…」コツ...コツ...コツ...

おわり

引用元: 響「ココロの…スキマ?」