1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:40:38.31 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「手紙の噂?」

美樹「ぬ~べ~知らないの?おっくれてるぅー」

郷子「今はどこもこの話題でもちきりよ?」

ぬ~べ~「どんな噂なんだそれは」

広「家のポストに誰が出したのかも分からない招待状みたいな手紙が届くんだよ」

克也「中には『まきますか まきませんか』って書いてあるだけ。差出人も宛名も消印もなし」

まこと「もしその手紙に『まきます』とマルをしたら人形がくるのだ」

美樹「そして夜な夜なその人形がぁー……」

ぬ~べ~「ワァー!!」

みんな『ヒィッ!』ビクッ!





2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:41:36.86 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「ってな具合だろどうせ。ただの出来の悪い怪談じゃないか。さぁ帰った帰った。
普段から妖怪騒動に巻き込まれてるお前たちがそんなことでどうする」

郷子「信じてないの?本当なんだからね?」

まこと「隣のクラスでも家に届いたって子がいたのだ!」

ぬ~べ~「はいはい分かったから早く家に帰れ。俺は抜き打ちテストをつくるのに忙しいんだ」

みんな『テストォ!?』

ぬ~べ~「そうだぞぉー?点数が悪いともれなくぬ~べ~印の問題集をプレゼントだ」

みんな『し、失礼しましたー!』

『大変だ早く帰って勉強しないと!それにしてもぬ~べぇ……』ワイワイ



ぬ~べ~「ようやく帰ったか。しかし……」ゴソゴソ

ぬ~べ~「みんなの噂も、あながちデタラメじゃないみたいだな」



    ≪ まきますか まきませんか ≫



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:42:27.79 ID:Fhdkn3S90


     【この世には 目には見えない闇の住人達がいる】

    【やつらは時として牙を向き 君たちを襲ってくる】

【彼は そんな奴らから君たちを守る為 地獄の底からやってきた】

        【正義の使者 なのかもしれない】




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:43:21.22 ID:Fhdkn3S90


ぬ~べ~「ただいまーって言っても誰もいないのはいつもの事か……さて」


    ≪ まきますか まきませんか ≫


ぬ~べ~(この手紙が俺のボロアパートに届いたのは三日前のことだ)

ぬ~べ~(ひと目見て普通の手紙でない事には気付いた。だがなんというか、
妖気とは違う……不思議な力が漂っているとしか言えないのだ)

ぬ~べ~(迂闊に触って呪われでもしたらシャレにならない。ここは慎重にことを構えるつもりだった。だが……)

ぬ~べ~「生徒にまで噂が流れるようになっては、のんびりした事も言ってられないな……えぇい!」

ぬ~べ~「まいてやる!」


ヒュルルルルルルル………ガシャーン!ドカッ!!


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:44:30.39 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「ンゲッ!な、なんだッ!?うわっ!窓が割れてる!」

ぬ~べ~「そ、そうだ!それよりも何かが頭に当たった気がしたんだが
……まさかこの鞄なのか?
だが何故こんなものが空から俺の部屋に……ッ!」ゾクッ

ぬ~べ~(この感じ、あの手紙と同じだ。やはりこいつが原因なのか)

ぬ~べ~「それにしてもコイツ、凄い圧迫感だ。開けるのはここか。よっ」

ガチャリ

ぬ~べ~「中身は人形?こんな大きなの実際に見るのは初めてだな。
それに、まるで生きているかのようなこの精密なつくり……ん?これは、螺子か」

ぬ~べ~「この穴に差し込んで巻けと、そういう事なのか?
……いいだろう。生徒にやらせるくらいなら、俺がやってやるさ」

キリ……キリ……キリ……

ぬ~べ~「鬼が出るか、蛇が出るか……」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:45:51.91 ID:Fhdkn3S90
真紅「…………」パチッ

ぬ~べ~「目を開いた!やはりこいつは生きにんぎょヘブッ!?」

真紅「遅い!どうしてまくかまかないかを決めるだけでそんなに時間がかかるの!」ペシン!

ぬ~べ~「……あの」(何か俺が思っていたのとは違うぞ)

真紅「なに!ここまで優柔不断な男は久しぶりよ!」

ぬ~ベ~「お前はいったい何者なんだ」

真紅「人に名前を聞く時はまず自分からと言いたいところだけれど、のろまなしもべに多くは求めないわ。
よく聞きなさい。私の名は真紅。ローゼンメイデン第五ドール、真紅よ」

ぬ~べ~「驚いた……ここまではっきりと喋れるとは。まさかこんな生き人形があったなんて、
これはゴーレム……いや、もはやこれは錬金術でいうホムンクルスのレベルだ」

真紅「さっきから何をブツブツ言っているの。仕方のないしもべね」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:48:10.01 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「……なるほど、その究極の少女であるアリスというものを決めるために、
君たちローゼンメイデンは時を超えてアリスゲームという戦いを続けているのか」

真紅「そうよ。中々ものわかりが良いのね。ところで鳴介、紅茶はまだ?」

ぬ~べ~「あのなぁ、俺の部屋に紅茶なんてある訳が……
いや、昔もらったものがこの辺に……お!これだこれだ!三年前にお中元でもらったんだ」

真紅「早くいれなさい」

ぬ~べ~「態度のデカい人形だよまったく」

ぬ~べ~(だがこの人形はまるで生徒たちが噂しているような
恐ろしい存在とは思えない……なにか裏があるのか?それとも……)

真紅「何をボサッとしているの。レディをもてなすのは紳士の立派な勤めでしょう?」

ぬ~べ~「分かった分かった。今お湯を沸かしてくるよ。それにしてもお前、ちょっと態度がでかくないか?」

真紅「これが普通よ。それより鳴介、今すぐあなたにしてもらわなければならないことがあるわ。
お湯を沸かしたらこっちに来て頂戴」

ぬ~べ~「なんだ一体」

真紅「この指輪に口づけを」

ぬ~べ~「く、口づけ?俺にそんな趣味はないぞ!」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:49:55.69 ID:Fhdkn3S90
真紅「何を勘違いしているの。この指輪に誓いの口づけをする事により、
あなたは私と正式に契約を結ぶことになるわ。その力をもって私はアリスゲームを戦っていくの。さぁ」

ぬ~べ~「なるほど、そういう事ならば……断る」

真紅「そういい子ね……って断る?あなた自分が何を言っているか分かっているの?
さっきも言ったでしょう。もうアリスゲームが始まってしまうのよ。馬鹿なことを言わないでちょうだい」

クス……

ぬ~べ~「たとえ人間でなくとも、君のような子供に戦いをさせるわけにはいかない。
それも姉妹でだなんて、バカげているぞ」

真紅「あなたよりはよほど大人よ」

ぬ~べ~「いいや子供だ。命の重さが分からない者に大人を名乗る資格はない」

クスクス……

真紅「鳴介、いい子だからわがままを言わないで。私たちは人間ではないわ。
私たちはローゼンメイデン。姉妹で戦い、アリスゲームに勝つのが私たちの使命なのよ」

ぬ~べ~「しかしだな……ん?これは、羽?」


クスクス……クスクス……

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:51:21.61 ID:Fhdkn3S90
真紅「ッ!下がりなさい鳴介!」

ぬ~べ~「うわっ!」

―――ズドドドドドドッ!!!

ぬ~べ~「な、なんだ!外から黒い羽が!」

真紅「……言ったでしょう鳴介。アリスゲームに勝つのが『私たち』の使命だと。
私の愛しい姉妹がやってきたのよ。それも、とっておきの相手がね……」



水銀燈「こんばんわ、真紅ぅ」クスクス…

真紅「水銀燈……久しぶりね。こうやって会うのは236114時間37分18秒ぶりかしら」

水銀燈「236112時間47分25秒ぶりよ。寝すぎて時計がボケたのかしら?それともぼけたのは頭ぁ?」クスクス…

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:52:51.91 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「君もローゼンメイデンなのか」

水銀燈「……感動の再会に水を差さないでくださる?ニンゲン」スッ

―――ドドドドドドッ!!!

真紅「羽がッ!鳴介!逃げなさい!」

ぬ~べ~「この白衣観音経、その程度の攻撃は通用しない!」

真紅「あ、あら」

水銀燈「……ふぅん、アイツの言うとおり、少しはやるじゃない」

ぬ~べ~(アイツ?)

水銀燈「でも、私の力がこの程度だと思ってもらっては困るわぁ
ねぇ真紅……それに、ニンゲン……」


【遊びましょ?】


ぬ~べ~・真紅「―――ッ!」ゾワッ!

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:54:29.96 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~(こ、こいつ!……強い!相当やる!)

真紅「水銀燈……あなた、その力はどうしたの。
そんな禍々しい力をあなたから感じたのは初めてよ」

水銀燈「あらぁ、抑えていても分かってしまうものなのね」クスクス…

ぬ~べ~「下がれ真紅!こいつは危険だ!」

水銀燈「ひどい事を言う人間だこと。ただのお人形相手に危険だなんて、ねぇ」

真紅「……ただのお人形はそんな凶悪な力を持っていないわ」

水銀燈「姉に対する口のきき方を教えてあげないといけないようね……」スッ

ぬ~べ~・真紅(―――来るッ!)

ピーーーーーーッ!!!!

水銀燈「なぁんちゃって。フフッ……さようなら、真紅……それと、ニンゲン。
今日は挨拶に来ただけ。遊ぶのはまた今度にしましょ。
あなた達なんていつでも壊せるもの……」クスクス…

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:55:24.97 ID:Fhdkn3S90
真紅「……逃げた……いえ、見逃してくれた?」

ぬ~べ~「なんにせよ助かったのは事実だ。あのまま戦っていても、勝てたかどうか……
……あ!お湯!……アチチッ!」

真紅「水銀燈……あなた、いったい……」


………………。

…………。

……。


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:56:34.53 ID:Fhdkn3S90

広「うひゃー、ぬ~べ~にそんな趣味があったなんてなぁ」

ぬ~べ~「バカ言え。これは噂の正体だ」

克也「噂?」

ぬ~べ~「昨日お前たちが言っていたやつさ。偶然俺のところにも来たんだ。
それでものは試しとやってみたら……結果がこれだ」

まこと「そのお人形がきたのだ?」

ぬ~べ~「触れるなよ。コイツは呪い人形だ」

郷子・美樹「の、呪い!?」

ぬ~べ~「あぁ。誰がやっているのかは知らないが、
こうやって手紙の送り先に呪いの人形までセットで届けてくるみたいだ。手の込んだことをしてくれる」

郷子「でも良く出来てる人形ね……まるで生きているみたい」

真紅「……」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:57:24.12 ID:Fhdkn3S90
美樹「売ればボロもうけできそう」

まこと「綺麗なのだー」

克也「これ、名前はなんて言うんだよぬ~べ~」

ぬ~べ~「あぁ、真紅って言うらしい。西洋のアンティークドールでな、
霊視してみたんだがこいつはもう何人も呪ってる強者で……いてっ!」

郷子「ど、どうしたのぬ~べ~!?」

ぬ~べ~「な、なんでもない。人形が怒ったのかもな」

美樹「うげぇ不気味ぃ……やっぱり売れそうにないわね、こんなの」

まこと「カクカクレンジャーのほうがかっこいいのだ」

ぬ~べ~「お前たち、もし噂の手紙がきても自分たちだけで絶対に手を出すな。すぐに俺に知らせるんだ」

広「言われなくたってわかってるって。おいそろそろ行こうぜ」

郷子「じゃあねぬ~べ~。前みたいに人形の髪の毛燃やしちゃダメよ」

美樹「私もかえろっと」

まこと「先生さようならなのだー」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 09:58:48.89 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「気を付けて帰れよー………………オイ」

真紅「なにかしら。お望みなら呪ってさしあげてもよくってよ」

ぬ~べ~「お前なぁ!見えない角度から思いきりこっちを突いてくるなよ!」

真紅「あなたが私をこんなところに連れてこなければいいのよ。
そもそも何を考えているの?人形である私を昼間の、それも人の多い学校に連れてくるなんて」

ぬ~べ~「ここが俺の職場なんだから仕方ないだろう」

真紅「そういう問題じゃないでしょう。契約をしないのなら私はあなたに用はないの。
早急に別の契約者を探さないといけないのだから」

ぬ~べ~「その必要はないさ」

真紅「……どういう事?鳴介、あなたまさか昨日言っていたこと……本気なの?」

ぬ~べ~「あぁ、本気だ」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:00:57.63 ID:Fhdkn3S90
真紅「呆れた……こんな人間は初めてだわ。
契約もせずにアリスゲームを共に戦い抜くだなんて、あなたくらいのものよ?」

ぬ~べ~「俺の力を見ただろう?まだ不満かい?」

真紅「当たり前でしょ。あなたは私に無力なまま戦場に立てと言っているんだもの」

ぬ~べ~「俺が君を守る」

真紅「……その目的は?はっきり言って今のあなたは水銀燈と同じくらい不気味よ。
何を考えているのか分からないもの」

ぬ~べ~「姉妹での戦いなんて見過ごせない、それだけさ。
そんな不毛な争いをしてなんになる。絶対に何か他の解決法があるはずだ」

真紅「他の解決法?」

ぬ~べ~「それを探す手伝いをしたいんだよ」

真紅「あなたの自己満足を満たすためにそんな分の悪い賭けに乗れと?」

ぬ~べ~「どうしても嫌なら他を当たってくれ……
だがそれでも俺は手の届く範囲なら君たちの戦いを止めるだろうな」

真紅「……とんだお人よしね。もはや愚かと言えるくらいだわ」

ぬ~べ~「よく言われるよ」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:01:55.07 ID:Fhdkn3S90
真紅「…………まったく」

真紅「……ホーリエがあなたを選んだわけが、少しだけ分かったような気がする。
最初はどうしようもない男に見えたけれど……フフ、おかしな人」

ぬ~べ~「ん?どうした真紅」

真紅「なんでもないわ。そこまで言い切るのならやってもらいましょう。
しっかりと私を守り、そしてアリスゲームを終わらせてみなさい、鳴介。
今日からあなたは私の……そうね、パートナーといったところかしら」

真紅「よろしく、鵺野鳴介」

ぬ~べ~「あぁ、よろしくな、真紅」

校長「……さっきから一人で人形相手になにをしとるのかねキミは」

ぬ~べ~「ああぁ校長!?い、いえこれはですね!
そ、その除霊を依頼されて……えぇい出て行けこの悪霊!てやっ!どりゃっ!」バシンバシン

真紅(……やっぱり最低の男だわ)


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:03:09.77 ID:Fhdkn3S90

……。

………。

………………。



郷子「綺麗だったわね」

広「なにが?」

郷子「なにがってアンタ……人形よ人形。ぬ~べ~が持ってたお人形」

美樹「呪い人形が趣味なのアンタ……うげぇ」

郷子「違うわよ!ただあの人形が綺麗だったなと思っただけ!」

広「ま、たしかに綺麗だったよな。おとぎ話に出てきそうな格好でさ」

郷子「でしょ?広もそう思うわよね」

美樹「あれは相当の値打ちものね。ウン十万じゃきかないわよ」

まこと「美樹ちゃんはお金の話ばっかりなのだ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:04:14.94 ID:Fhdkn3S90
克也「……生きてるみたいだったな」

広「呪われてるって言ってたし悪霊が憑いてるんだろ?やっぱり不気味だぜ」

郷子「私はそうは感じなかったけどなぁ……あ、私こっちだから。じゃあねみんな」

広「おう、じゃあな」

美樹「あんまり執着すると憑りつかれるわよぉー」

まこと「また明日なのだ」

克也「じゃあなー」



広「うー、それにしても寒い季節になったよなぁ」

克也「こうやってるとポケットのありがたみが分かるってもんだぜ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:07:56.13 ID:Fhdkn3S90
郷子「みんな怖がり過ぎなのよね。他の妖怪の方があのお人形に比べたら何倍も怖かったわ」

郷子「はたもんばとか、あのちゃんちゃんこの妖怪だって……ん?手紙?」

郷子「こ、これって……まさか……」


≪まきますか まきませんか≫


郷子「……」

郷子「どうしよう、ぬ~べ~は知らせろって言ってたけど……」

郷子「でも、あの人形……すごく綺麗だったなぁ」



………………。

…………。

……。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:10:38.77 ID:Fhdkn3S90

……。

ゆきめ「ただいまー」

翠星石「お、帰ってきやがったですぅ。洗濯物は畳んでおいてやったですぅ。感謝しろですぅ、ゆきめ」

ゆきめ「ふふ、ありがとう翠星石ちゃん」

翠星石「そ、それほどでもないですぅ
あ、お腹空いてないですか?スコーン作ったんですよ?」

ゆきめ「じゃあいただこうかな」

翠星石「かわいいかわいい翠星石の特製スコーンですぅ。味わって食べろですぅ」

ゆきめ「いただきまーす……うん、おいしい!」

翠星石「ゆきめの舌はもう翠星石のスコーンのとりこですぅ」

ゆきめ「あはは、そうかもね」

翠星石「ほ、褒めてもスコーンのお代わりなんて出ないですよ!?」

ゆきめ「そんなつもりじゃないんだけど」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:11:28.99 ID:Fhdkn3S90
翠星石「ふん、まぁいいですぅ……ゆきめ、今日はその……どうでしたか?」

ゆきめ「……ゴメンなさい、ダメだったわ。
知り合いのお店に頼んでインターネットでも話が出てないか調べてもらったんだけど、やっぱり見つからないみたい」

翠星石「そうですか……もう目覚めてるはずなんですけどねぇ。どこにいるのか……」

ゆきめ「ローゼンメイデンの持つ夢を渡る力では探せないの?」

翠星石「Nのフィールドには出られても、そこから蒼星石がどこにいるのかまでは……
向こうから何か合図のようなものを送ってくれればいいんですけれど……」

ゆきめ「それが無いってことは……」

翠星石「もしかして蒼星石はNのフィールドにも入れないような状況に陥っているとか……あああっ!そんなの嫌ですぅ!」

ゆきめ「落ち着いて翠星石ちゃん、頑張って二人で探そう?ね?」

翠星石「……ん、ありがとですぅ……ゆきめ」

ゆきめ「いいのよ。だって私たち、契約しちゃったんですもの」

翠星石「フフン、ミーディアムが雪女だなんて初めてですぅ」

ゆきめ「私も喋るお人形さんと一緒に住むのは初めてよ」

翠星石「かわいいかわいい翠星石と一緒に住めるなんて感謝しろですぅ」

ゆきめ「はいはい」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:13:14.39 ID:Fhdkn3S90

……。

………。

………………。




数日後。

ぬ~べ~「郷子は今日も風邪で休みと。広、お前何か聞いてないか?」

広「なんで俺にふるんだよぬ~べ~」

美樹「あつーいお二人さんのことだから隠し事なんて無いと思ったんじゃないのぉ?」

広「うるせーな美樹は!俺はなんにもしらねぇよ!」

ぬ~べ~「あぁ分かった分かった。帰りにでも俺が様子を見に行こう。
悪い病気とかじゃなければいいんだが」

美樹「郷子にかぎってそんな事あるわけないわよ。ねぇ」

まこと「美樹ちゃんはいつも一言多いのだ」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:14:30.71 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「……さてと、そろそろ郷子の家に見舞いに行くとするか」

真紅「鳴介、少しいいかしら」

ぬ~べ~「ん、なんだ?他の人形の気配でもつかんだのか?」

真紅「いいえ。でも奇妙だと思わない?」

ぬ~べ~「どういうことだ?」

真紅「穏やかすぎるのよ。私はあなたと共にたくさんの生徒の目に触れているはずなのに、
噂の元である手紙の届いた契約者とローゼンメイデンは誰ひとりとしてこちらに接触してこない」

ぬ~べ~「良い作戦だと思ったんだけどな」

真紅「他の子の性格からしても私の事を知ったら
まず顔くらいは見せてくれるはずなのに、どういうことなのかしら……奇妙だわ」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:17:01.20 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「単純にお前が嫌われてるんじゃないのか?」

真紅「失礼ねっ!」

ぬ~べ~「いてっ!お前なぁ。おっと、人がいる……って広じゃないか。
どうしたんだいったい。帰ったんじゃなかったのか?」

美樹「みんなで郷子のお見舞いに行こうって話になったのよ」

広「それでここでぬ~べ~が来るのを待ってたんだ」

克也「おせぇよぬ~べ~、早く行こうぜ」

まこと「日が暮れちゃうのだ」

ぬ~べ~「お前たち……そうだな、みんなに会えば郷子も元気が出るだろう!」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:18:51.36 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「ここだな。すみませーん、童守小学校五年三組で担任をやらせてもらっています鵺野ですが」

郷子母「あら鵺野先生!お久しぶりです!あらみんなも!こんにちはぁ!」

みんな『こんにちはー』

ぬ~べ~「すみません、お電話さしあげた時は私だけだったんですが、
生徒たちがどうしても郷子に会いたいと言ってまして」

郷子母「あらあら郷子も喜びます!でも今さっき寝付いたところで、ごめんなさいねぇ」

ぬ~べ~「いえいえ、あの……では顔だけでも見させてもらってよろしいでしょうか」

郷子母「もちろん。さぁどうぞ、お入りになってください。みんなもどうぞ」

みんな『おじゃましまーす』

郷子母「ところで鵺野先生、その人形は……」

ぬ~べ~「あ、こ、これですか?!これはその、悪霊退治の道具のようなものでして!
もし郷子に何か悪いものが憑りついていたらすぐに祓おうとですね!……ハハハ」

郷子母「あ、はぁ……」(変なところは昔から変わってないわねぇ……)

ぬ~べ~「と、とにかく、お邪魔しますね!」アセアセ

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:21:11.13 ID:Fhdkn3S90
トントントン

ぬ~べ~「……郷子、入るぞ」

広「ほんとに寝てら」

美樹「どれどれ……うわ、相変わらず色気のないパジャマ着てるわねぇ」

まこと「風邪なのだ?」

克也「どうだろうな、でもたいした事なさそうで良かったじゃん」

ぬ~べ~「うむ、そうだな…………ん?」

広「どうしたんだよぬ~べ~。あり、その棚の上にあるやつ、えらくでかい人形だな」

まこと「ぬ~べ~が持ってるやつみたいなのだ」

克也「服装もなんとなく似てるぜ。外国の御姫様みたいなヒラヒラの服だ」

ぬ~べ~(どういう事だ?ただの偶然か?)

美樹「ちょ、ちょっと広!これ!」

広「なんだ美樹!?なにかあったのか!?」

美樹「ほらこれスケスケ!あの子こんなの履いて」

ぬ~べ~「やめんか!」ペシンッ

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:22:42.96 ID:Fhdkn3S90
克也「そろそろお邪魔しようぜ。ここで騒いでちゃ郷子にも悪いって」

ぬ~べ~「ん、そうだな。郷子も大丈夫みたいだしそろそろお暇するか」

まこと「じゃあねなのだ郷子ちゃん」

広「早く学校来いよな、寝てるお前に言っても仕方ないか」

美樹「下着だけじゃなくて普段の服装でも気合い入れていきなさいよーキシシ」

ぬ~べ~「さぁ行くぞお前たち。お母さん、お邪魔しました」

みんな『お邪魔しましたー』


……。


……ノ

……モット

……モット、アソブノ

……ヒナ、モット……

……キョウコト……ヒナ……モット……

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:24:29.57 ID:Fhdkn3S90

………………。

…………。

……。


真紅「行くわよ鳴介。ようやく一人目が見つかったわ」

ぬ~べ~「まさか……あの人形か?」

真紅「あの子の名前は雛苺。あなたの生徒は彼女の夢に取り込まれている。
このままではいずれ夢の世界から出られなくなるわ」

ぬ~べ~「なんだと!?今すぐ助けにいかないと!」

真紅「慌てないで……そうね、大きな鏡はない?
あなたの姿を全て写せる姿見のようなものがいいわ」

ぬ~べ~「ここには無いが、学校に行けばあるぞ。だがそんなものをどうするっていうんだ」

真紅「では急いで学校に行きましょう。私の言う事に従って。
ローゼンメイデンにはローゼンメイデンの戦い方というものがあるのよ」

ぬ~べ~「……分かった。よし、待ってろよ郷子。今助けてやるからな」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:31:20.19 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「これだ。踊り場にある鏡、これなら大丈夫だろう」

真紅「いいわ……開くわよ」グニョン

ぬ~べ~「う、うわ!なんだこれ!」

真紅「Nのフィールドへの入り口よ。さぁ手を握って。大丈夫、怖くないわ」

ぬ~べ~「ええい!郷子のためだ!」グニョン

真紅「ここがNのフィールド。あなた達の言葉で言うのなら異世界、
いえ、世界の裏側とでも言ったほうが良いかしら。数多の次元を繋ぐ世界の架け橋、それがNのフィールドよ」

ぬ~べ~「なんだか浮いてるみたいで進みにくいな」

真紅「慣れれば楽なものよ」

ぬ~べ~「ん?オイ真紅、向こうに何かいるぞ」

真紅「え?誰かしら。まさか水銀燈……いえ、違うわね。あの背格好は、ラプラスの魔」

ラプラス「おやおやこれは赤色の御嬢さん、ごきげんよう」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:32:53.29 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「誰だアンタ……人間じゃあないな」

真紅「ラプラスの魔よ。深く関わらないようにしなさい。ロクなことがないから」

ラプラス「おやおやこれはひどい。ただのウサギに何が出来ましょう」

真紅「何もしなくて結構だわ」

ラプラス「赤色の御嬢さんは手厳しい。ウサギは涙ながらに退散いたすとしましょうか
……あぁそこの人。そう、あなた」

ぬ~べ~「俺のことか?」

ラプラス「ゆめゆめお忘れなきよう。これは薔薇の姉妹の物語。あなたの舞台はべつにございますゆえ……それでは」

ぬ~べ~「……なんだったんだアレ?」

真紅「変人よ。それも関わってはいけない類のね……見えてきた。あそこよ鳴介。あそこに雛苺と、あなたの生徒がいる」

ぬ~べ~「なんだかよく分からんが、郷子!今行くぞ!」ガチャリ

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:34:25.98 ID:Fhdkn3S90
雛苺「アハハハハハ!アハハハハハハ!楽しいの!楽しいのキョーコ!アハハハハ!」

郷子「良かったわね雛苺、次は何をして遊びましょうか」

雛苺「じゃあ次はお絵かきするの!ヒナね、もーっとキョーコと遊びたいの!」

郷子「うん、いいわよ」

雛苺「キョーコだいすき!ヒナもう寂しくないもん!キョーコがいるから大丈夫!」

ぬ~べ~「あの子が郷子を取り込もうとしているのか?」(また想像していたのと少し違う……)

真紅「悪意はないんでしょうけれどね……雛苺!」

雛苺「うゆ?あ!真紅なのー!真紅ひさしぶりー!」

真紅「久しぶりね雛苺。その子があなたのミーディアム?」

雛苺「そうよ!ヒナね、キョーコと契約したの!それでね、キョーコにいーっぱい遊んでもらってたの!」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:36:10.83 ID:Fhdkn3S90
真紅「そう……でもね雛苺、その子と夢で遊ぶのはもうおやめなさい」

雛苺「え?どうして、そんなこというの?」

真紅「あなたがしている事はミーディアムを衰弱させるだけよ。
いずれあなたのミーディアムは起き上がることもできなくなってしまうわ」

雛苺「うゆ、でもヒナは……ヒナはただ遊びたくて……」

ぬ~べ~「郷子!無事か!?」

郷子「あ、ぬ~べ~……うん、まだ、大丈夫」

ぬ~べ~「まだってお前、分かってやってたのか?!」

郷子「んー、一応体力には自信があったし、それにほら、
なんていうか放っておけなくてさ。あの子、本当に寂しそうにしてたから」

ぬ~べ~「今すぐここから出よう。このままではお前は取り返しがつかなくなる」グイッ

郷子「あっ」

雛苺「……!キョーコ!……いや!やめて!キョーコを取らないで!
悪いやつ!ヒナからキョーコをとる悪いやつ!出て行って!ここから出て行ってよぉ!!!」

真紅「雛苺……ッ!!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:39:43.16 ID:Fhdkn3S90
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


郷子「きゃ、きゃあ!」

ぬ~べ~「あ!クソ!郷子を返せ!」

郷子「ぬ~べぇ~!」

ぬ~べ~「真紅!あれはなんだ!郷子があのデカいクマにつかまってしまった!」

真紅「ここは雛苺のフィールドよ。
ルールの優先権は彼女にある……どうやらあれがあの子の力のようね」

ぬ~べ~「クッ!あれを倒せばいいんだな!?」

真紅「駄目よ。倒してはダメ。
そうすれば雛苺は即座に新しいのを生み出すわ。あなたの生徒の力を無理やり使ってね」

ぬ~べ~「なっ!?だったらどうすればいいんだ!」

真紅「落ち着きなさい鳴介。あなたは私のパートナーであり、あの子の教師でしょう。
戦いでの基本は信頼よ。雛苺は私に任せなさい。
あなたのすべき事はあの心優しい教え子を助け出すこと」

ぬ~べ~「……分かった。気を付けろよ真紅」

真紅「あなたこそ……行くわよ!」

ぬ~べ~「おう!」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:41:52.12 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「白衣観音経!」シュルルルルッ!

グゴゴゴゴゴ

ぬ~べ~「くそっ、なんて力だ!」

ぬ~べ~(鬼の手を使うか?いや、ダメだ!この化け物を倒してもまた次が出てくる!
そうなったら郷子は!)



真紅「……鳴介は苦戦しているようね。早く勝負をつけてしまいましょう」

雛苺「や!来ないで!」

真紅「ちょっと、危ないでしょう……この子は!」ピシャン

雛苺「う!うええええええええええ!」

真紅「……あ」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:43:07.70 ID:Fhdkn3S90
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!


郷子「きゃああああああ!」

ぬ~べ~「なんだ!いきなりこいつの力が強く…ッ!このままじゃ抑えられない!うわああっ!」

郷子「ぬ~べぇ~!」

ぬ~べ~「郷子!クソッ!郷子が投げ出された!あのままじゃ……ハッ!」

真紅『飛ぶようにイメージをするの。ここは精神の世界よ。思うままに望みは叶えられる』

ぬ~べ~「一か八かだ!………飛べ!!」

郷子「きゃああああああああぁぁぁぁ…………あれ?」

ぬ~べ~「なんともないか?」

郷子「……ぬ~べ~が受け止めてくれたの?……っていうか、飛んでる!?え!?」

ぬ~べ~「それ以外に何があるっていうんだ。どうやらここは精神の世界らしいからな。
霊能力者の俺が本気で念じれば、これくらいは出来るみたいだ」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:46:00.08 ID:Fhdkn3S90
真紅「鳴介!無事だったのね!」

ぬ~べ~「あぁこっちはなんとか。そっちはどうしたんだ?」

真紅「ごめんなさい、説得をしようと思ったのだけれど……少し失敗をしてしまったわ」

ぬ~べ~「そうか……いや、お前が無事で良かった。ここはひとまず……」

郷子「…………人形が喋ってる」

ぬ~べ~「あ、ヤベ……きょ、郷子?これはだな、そのぉ」

郷子「その子もローゼンメイデンなの?」

真紅「そうよ。私はローゼンメイデン第五ドール、真紅」

郷子「第五?なら、あなたは雛苺のお姉さんってこと?」

真紅「そうなるわ」

郷子「―――ッ!」パシン!

真紅「………え」

郷子「どうしてお姉さんなら、妹が悲しんでいる時に来てあげなかったのよ!
雛苺はずっと泣いてたのよ!?寂しいって、一人は寂しいって!それなのに!」ポロポロ

ぬ~べ~「郷子、お前……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:48:21.82 ID:Fhdkn3S90
真紅「そうね……私は姉失格かもしれないわね」

郷子「そうだ!雛苺は!?雛苺はどうしたの!?
ぬ~べ~、雛苺のところに連れていって!お願い!」

ぬ~べ~「……分かった。しっかりつかまってろ」

雛苺「うぅぅぅぅ……えぐっ、ぐすっ、うぅぅうう……」

郷子「雛苺!」

雛苺「キョーコ?きょーこぉぉぉぉ!」

郷子「あぁごめんね雛苺、怖かったね、ごめんね」

ぬ~べ~「郷子、その子は」

真紅「待って鳴介……雛苺、さっきはごめんなさい」

雛苺「真紅?……いいよ。ヒナもう怒ってないもん」ニコッ

真紅「ありがとう雛苺。ねぇ、一つお願いがあるの。聞いてくれないかしら」

雛苺「キョーコを取るのはダメ!」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:50:53.07 ID:Fhdkn3S90
真紅「あなたの大切なミーディアムを取るなんて残酷なことはしないわ……
ただ、このままではその子は弱ってしまう。何も言わないお人形になってしまうの」

雛苺「ううぅ……やだぁ……」

真紅「でも、寂しいのよね」

雛苺「うん……もう一人はやなの……寂しいの……」

真紅「……私と来ない?雛苺がよければ、私と一緒にいましょう」

雛苺「いいの!?」パアッ

真紅「えぇ、構わないわ」

雛苺「で、でも……ヒナたちはアリスゲームをしてて……やっぱりダメなの……
ヒナたちはてきどうしなのよ……」

真紅「この男の指を見て、雛苺」

雛苺「……うゆ?指輪、してない?」

真紅「そう。私は契約をしていない。あなたと戦う意思はないわ」

雛苺「じゃ、じゃあどうやってアリスゲームをするの!?
水銀燈にローザミスティカを奪われちゃうのよ!」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:52:48.22 ID:Fhdkn3S90
真紅「そうね。そうかもしれないわ。
でも、きっとそれは姉妹で戦う事に比べればなんてことない……今はそう考えているのよ」

雛苺「しんく……ヒナもね、考えたこと、あるよ?
みんなでいっしょにくらして、あそんで、ごはんたべて、いーぱいたのしいことするの。
もちろんおとうさまもいて、それで……アリスゲームなんでやらないですごすの」

真紅「ステキな考えね、雛苺」

雛苺「うん!きっと、とーっても楽しいの!……真紅はそれを目指してるの?でも、きっと大変よ?」

真紅「それでもやる価値があると教えてくれたのよ……この、ぬ~べ~先生がね」

雛苺「せんせい?ぬ~べ~せんせい?」

ぬ~べ~「あ、まぁ……そうだね。先生といえば、先生かな」

郷子「なぁに言ってるのよ。正真正銘、私たちの先生でしょ」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 10:58:14.03 ID:Fhdkn3S90
雛苺「ヒナもやる!」

真紅「え?」

雛苺「ヒナも真紅のお手伝いする!戦わなくていいアリスゲーム!
すっごくすてきなの!ヒナそれがいい!みんなで楽しく遊んでアリスをきめるの!」

真紅「雛苺……ありがとう」ソッ

雛苺「うゆ?……エヘヘ、真紅に抱きしめられちゃったの」

郷子「もういいの?雛苺」

雛苺「うん!もう寂しくないの!ヒナかえる!
真紅もいるし、キョーコもいるし、それにぬ~べ~先生もいるからへっちゃらなの!」

ぬ~べ~「一件落着ってことでいいのかな?」

真紅「……そうね、これでなんとか―――ッ!?」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:00:01.00 ID:Fhdkn3S90
ドドドドドドドド!!!


雛苺「ふぇぇ……クマさんこわいの……」

真紅「まだアレが残っていたわ。雛苺、あれはしまえないの?」

雛苺「ヒナあせって作っちゃったからよく分からないの」

真紅「困ったわね。このまま放置も出来ないでしょうし」

ぬ~べ~「倒すしかないってことか……仕方ない。みんなここで待っていろ」

雛苺「あ、あぶないのぬ~べ~先生!あれ、とーってもつよいのよ!」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:01:25.69 ID:Fhdkn3S90
郷子「大丈夫よ雛苺」


ぬ~べ~「南無大慈大悲救苦救難」


雛苺「ふぇ?」

郷子「ぬ~べ~はね、普段は貧乏でだらしなくておっちょこちょいでス  でどうしようもないけど……」


ぬ~べ~「広大霊感白衣観世音!!」


郷子「子供たちを守る時にはね……」


ぬ~べ~「我が左腕に封印されし鬼の手よ!今こそその力を示せ!」


郷子「どんな妖怪でも倒しちゃう、無敵のパワーを出せるんだから」

ぬ~べ~「悪霊!退散!」ズシャアアッ!!!

雛苺「ほぇ………すごいの!すっごいのおおおおおお!ぬ~べ~先生かっこいいい!!」

真紅「今回のアリスゲーム、とんでもない男に巡り合ったものだわ……フフ」

ぬ~べ~「いよっし!みんなで帰るとするかぁ!」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:03:22.39 ID:Fhdkn3S90


……。

………。

………………。


???「ほぅ、では……彼の力はそれほどでもないと」

水銀燈「そうよぉ。適当にいなしてるだけで殺しちゃいそうだったもの」

???「あまりなめない方が良いと、忠告しておきましょうか……」

水銀燈「なんでアンタにこの私がそんな事を言われなくちゃならない訳ぇ?」

???「フッ、人の忠告は素直に受けておいた方が得策ですよ」

水銀燈「生意気ね……私に意見する気?」

???「……勘違いをしないことだ。私はお前の下僕でもなんでもない。
私とお前は互いの利害が一致した為に歩調を合わせているだけなのだからな」

水銀燈「やるっていうの?」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:05:03.46 ID:Fhdkn3S90
???「やめておけ……力の優劣くらいは理解できるだろう」

水銀燈「―――っ、フンッ、バカみたい。なに本気になってるのよ。カッコわるぅい」

???「フフフ……その調子で頼みますよ」

水銀燈「フン!」

???「さて……見せてもらいますよ鵺野先生……あなたの言う、愛というものをね」


………………。

…………。

……。


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:06:07.54 ID:Fhdkn3S90

ぬ~べ~「えー、という訳でここの計算は繰り上がりを考えるとー」

広「それで結局大丈夫だったのかよ」

郷子「うん。雛苺もあれからは加減を覚えてくれてるし、なにより……」

真紅「ダワダワダワダワ」

雛苺「ナノナノナノナノ」

のろちゃん「せ、先生ぃぃ!また!また人形が喋ってます!」

ぬ~べ~「なに!?この!悪霊退散!」ペシッ!

真紅(ね、あの子面白いでしょう?)

雛苺(ほんとーなの!今度はおめめをパチパチしてみるの!)

郷子「……まぁ、楽しそうにやってくれてるしね」タハハ

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:07:36.73 ID:Fhdkn3S90
美樹「しっかし本当に呪い人形だったなんてねー。なんだっけ、ろーぺん?」

克也「ローゼンメイデンだろ、美樹」

まこと「変な名前なのだ」

美樹「そのローゼンなんとかがまだ何体もいるって言うじゃない。世の中は広いわよね」

広「他のやつはどこにいるんだろうな」

郷子「雛苺は分からないって言っていたわ」

ぬ~べ~「こらそこ!さっきから何コソコソ話してるんだ!」

広「やべっ!」

ぬ~べ~「まったく……じゃあ次のページにいくぞ。ここはだな……」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:12:55.95 ID:Fhdkn3S90
……。

ぬ~べ~「今日はこれくらいにしておくか。おやリツ子先生」

リツ子「あら鵺野先生……どうしたんですかその可愛らしいお人形」

ぬ~べ~「あ、いやコレは」

雛苺「うにゅう~!うにゅうなのぉ~!」ガバチョモ モ ィ!

リツ子「―――――ッッ!キャアアアアアアア!!人形がああ!!」バシバシドゲシッ!

ぬ~べ~「ちょ!待ってくださいリツこせゲフゥ!?」

リツ子「鵺野先生のバカバカ変 !私が怖いの知っててこんなのをわざわざ用意して!
もう知りません!」

ぬ~べ~「あ、あァ……そんな、リツこ……せん、せ……」

真紅「やりすぎなのだわ雛苺」

雛苺「あうぅ、ごめんねなのぬ~べ~先生」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:15:25.16 ID:Fhdkn3S90
郷子「ちょっとぬ~べ~、今廊下をリツ子先生がすっごい顔で歩いていったけど、
何かあったの?……って、あったみたいね」

雛苺「あ、キョーコ!キョーコなの!」

広「俺達もいるぜ」ヒョッコリ

雛苺「ヒロシなの!ミキもマコトもカツヤもいるの!」

美樹「しっかしよく動くわねぇ。本当に生きてるみたい」

まこと「不思議なお人形さんなのだ」

ぬ~べ~「また来たのかお前たち……まぁいいか。ただし、他の生徒には言いふらすんじゃないぞ」

克也「言ってもぬ~べ~クラスの生徒以外は信じねぇよ」

真紅「自分で言うのもなんだけれど、あなた達は不思議な人間ね」

まこと「なんでなのだ?」

真紅「喋る人形に物怖じせず接してくれるような人間は案外少ないものなのよ、ぼうや」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:17:37.06 ID:Fhdkn3S90
雛苺「キョーコ!だっこー!」

郷子「ハイハイ……ところでぬ~べ~、他のローゼンメイデンは見つかったの?」

ぬ~べ~「いや、まだだ。方法を変えてこちらからも探そうとしてはいるんだがな」

真紅「Nのフィールドにもいないし、鳴介のフーチでも反応がないのよ」

ぬ~べ~「この土地は元々霊力や妖気がたまりやすいようで、
それがローゼンメイデンの反応を抑えているみたいなんだ」

真紅「といってもそろそろ……あら。鳴介、ちょっとこっちに来なさい」

……ルル

ぬ~べ~「ん?なんだ一体」

……ュルル

真紅「こっちよ。もっとこっち。そう、そこでいいわ。そこで左を向いてちょうだい」

……ヒュルルルルルル

ぬ~べ~「おいおい、いきなりなンゲフッ!?」ガシャアアアアン!!!

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:19:04.09 ID:Fhdkn3S90
みんな『ぬ、ぬ~べ~!いきなり空から鞄が!』

ぬ~べ~「イテテ……一体なんだってんだ……あぁ窓ガラスが!」

校長「……ん?鵺野くんこんな時間まで何をやっとるのかね?」

ぬ~べ~「こ、校長先生。これはですね」

校長「窓、弁償ね。給料から引いておくから」

ぬ~べ~「…………」バタッ

美樹「あ、倒れた」

真紅「……行ったわね。起きなさい鳴介。あなたも隠れていないでこっちに出てきなさいな、翠星石」

翠星石「…………」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:20:56.83 ID:Fhdkn3S90
雛苺「あ!翠星石なの!」

みんな『新しい人形!?』

翠星石「ひぃ!に、ニンゲンがいっぱいいやがるですぅ!」ササッ

まこと「逃げちゃったのだ」

美樹「なぁによ失礼な人形ね。このナイスバディのミキちゃんを前にしてさぁ」クイッ

克也「翠星石か……なんつぅか、変わった名前だな」

翠星石「―――!バカにすんじゃねぇです人間ども!お前らなんて翠星石が本気をだせば」

広「ワッ!」

翠星石「ヒイイイイィィ!」サササッ

広「アハハおもしれー」

郷子「やめなさいよバカ」ペシン

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:23:03.72 ID:Fhdkn3S90
翠星石「ううぅ、お前らなんて翠星石のミーディアムにやっつけてもらうですぅ!
だから早く来てくれですぅ、ゆきめ!」

ぬ~べ~「ゆ、ゆきめ!?君、今ゆきめと言ったのか!?」ガバッ

翠星石「ひぃぃ!声がデカいですぅ眉が太いですぅ顔が怖いですぅ!」

ぬ~べ~「お、オイちょっと暴れないでくれ!イテテッ!」

翠星石「ゆきめ助けてですぅ!」

ゆきめ「先生!な、何してるんですか!」ガラッ

郷子「あ、ゆきめさんだ」

翠星石「ゆきめぇー!怖かったですぅ!」テテテテッ

ゆきめ「ごめんね翠星石、一緒にいけばよかったね」ナデナデ

翠星石「さぁゆきめ!あの人間どもをケチョンケチョンにしてやるですぅ!」

ゆきめ「だからそれはできないってば」

翠星石「ちぇっ……命びろいしたですね人間ども!
これにこりたらちったぁ翠星石のことを敬えですぅ!」

まこと「いそがしいお人形さんなのだ」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:25:25.83 ID:Fhdkn3S90
雛苺「翠星石はいじわるなのよ。気を付けてね」

まこと「そうなのだ?教えてくれてありがとうなのだ」

真紅「はいはい、一度落ち着きなさい。鳴介、お客様がきたのだからおもてなししなさい。
雛苺は私と席に。ローゼンメイデンの大事な話し合いよ。生徒のみんなはどうしようかしら……
そうね、静かにしているなら同席してもかまわないわ」

美樹(に、人形のくせに見事に仕切ってる。やるわねコイツ)ゴクリ


……。


ゆきめ「落ち着いた?翠星石」ナデナデ

翠星石「ふん、もとから翠星石は冷静沈着ですぅ」

真紅「あらためて、久しぶりね翠星石。元気だった?」

雛苺「おひさしぶりなの」

翠星石「元気でしたよ……目覚めたのは半月ほど前ですぅ」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:27:05.73 ID:Fhdkn3S90
真紅「あら、じゃあ私より早いじゃない。蒼星石は?」

翠星石「蒼星石は……うぅ……」ジワッ

ぬ~べ~「お、おい、いきなり泣き出してどうしたんだ君」オロオロ

翠星石「うるせぇですゲジマユ人間……こっちにもふか~い事情があるんですぅ」

ゆきめ「今日はその事で先生に相談があってきたんです……
この翠星石には、双子の姉妹で蒼星石というローゼンメイデンがいるんですが、その子を探してもらいたいんです」

ぬ~べ~「そうなのか真紅?」

真紅「えぇ。双子のメイデンは庭師をしているの。彼女の妹である蒼星石は、それは見事な鋏捌きだったわ」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:28:41.98 ID:Fhdkn3S90
広「なんだろうなハサミカガミって」コソコソ

郷子「ハサミ捌きよ、さばき。ハサミの扱いが上手ってことでしょ」

まこと「図工が得意そうなのだ」

克也「庭師って言ってたし、そういうのとは違うんじゃねぇか?」

ゆきめ「先生どうかお願いします」

ぬ~べ~「勿論君たちの頼みは引き受けたいんだが
……しかし、恥ずかしい話だがこっちもお手上げなんだ」

真紅「前から他のローゼンメイデンを探してはいるのだけれど、どうにも見つからないのよ。
この土地が原因らしいのだけれど、こんな事は初めてだわ」

翠星石「真紅もですか……翠星石も妙な感じなんですぅ。
Nのフィールドでも今までならなんとなく蒼星石の居場所が分かったのに、
この町ではそれが出来ないんですぅ」

雛苺「おてあげーなのよ!」

郷子「はいはい、暴れないでね」

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:49:57.23 ID:Fhdkn3S90
さるった
ペース落とすわ

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 11:52:26.66 ID:Fhdkn3S90
ゆきめ「そうですか……すみません先生」

真紅「あやまる必要はないわ。こちらとしてはむしろあなた達の行動に感謝しているのよ。
おかげでこうしてローゼンメイデンの一人に出会えたもの」

翠星石「……そのセリフ、真紅はやる気ってことですか?」

ぬ~べ~「お、オイ。姉妹で争うなんてやめるんだ」

真紅「勘違いしないでちょうだい。私にその気はないわ。勿論あなたもでしょう、翠星石?」

翠星石「翠星石は……蒼星石が見つかればそれでいいですぅ。
もし、どうしてもゲームをするのなら、蒼星石に……」

真紅「それはあなたの自由だけれど、私はいまこう思っているの……
みなが争わないですむ方法はないものか、とね」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:02:52.34 ID:Fhdkn3S90
翠星石「皆が争わないですむ?……どういう事ですか?」

雛苺「んーとね!みんなでたのしくあそぶの!それでアリスをきめるのよ!
いたいのとかかなしいのはめーなの!」

真紅「姉妹で傷つけあることなくアリスゲームを終わらせる方法……
蜘蛛の糸をつかむような事だけれども、私はそれをやってみようと思っている」

翠星石「本気ですか?絶対に無理ですぅ。仮に蒼星石が納得しても、
水銀燈が話し合いに応じるとは思えないですぅ。バカナリアは……まぁどうでもいいですけど」

真紅「やってみないと分からない。でしょう?」

ぬ~べ~「ん?あ、あぁ、そうだな。あの子も俺が止めてみせるさ」

翠星石「…………」

真紅「蒼星石は皆で一緒に探しましょう。微力ながら協力するわ、翠星石」

翠星石「本当にそんなことが出来るとはまだ思えねぇです
……でも、本当に、もし本当にできるのであれば……翠星石も手を貸してやらないこともないですぅ」

真紅「フフ、ありがとう。じゃあまずは蒼星石を探す分担を決めましょう。
私はこっち、雛苺はここを、それで鳴介とゆきめは……」

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:09:24.66 ID:Fhdkn3S90
広「俺達はお邪魔みたいだしそろそろ帰ろうぜ」

まこと「カクカクレンジャーの時間なのだ。ぼくも帰るのだ」

克也「……そうだな。俺もちょっと今日は早く帰りたい気分だぜ」

美樹「あら、克也ったら可愛い人形をみて色々考えちゃったの?やだー」

克也「ちげぇよ!そんなんじゃねぇっつーの!」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:13:12.50 ID:Fhdkn3S90
……。

………。

………………。


金糸雀「おいしいかしら……意外だわ」

いずな「文句あるなら食べなくてもいいわよ」

金糸雀「あぁ食べるかしら!ダメぇ!卵焼きカナの!」

いずな「わーかってるわよ。アンタのために作ったんだもの。好きに食べな」

金糸雀「いずなちゃんはちょっとイジワルかしら」

いずな「こんな美少女中学生に拾われてなに文句いってんのよ、みたいな。
男なら生唾モノなんだからね?」

金糸雀「カナは男の子じゃないし、お人形さんだもの」

いずな「そりゃそうだ。今日も行くの?」

金糸雀「もちろんかしら!今日も頑張って真紅たちを見つけて、
ラクしてズルしてローザミスティカいただきかしら!」


 

103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:19:22.85 ID:Fhdkn3S90
いずな「はやく友達が見つかるといいねー、カナ」

金糸雀「ととと友達じゃないかしら!カナがやってるのはきびっしぃ戦いかしら!
甘えは許されないんだから!」

いずな「昨日ぐずってたのは誰よ。ほら、口もと汚れてる」

金糸雀「んむむ……とれた?」

いずな「取れたよ。じゃあ私もう行くから、鍵かけはしっかりね」

金糸雀「まかせるかしら!行ってらっしゃいかしら!」

いずな「おう!しっかり稼いでくるぜぃ!」


………………。

…………。

……。

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:28:22.63 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「……そっか。翠星石が、先生のところにね」

??「あぁ、真紅ってやつと雛苺ってのもいたよ。
でも真紅は戦う意思は無いって言ってたぜ」

蒼星石「翠星石は?」

??「よく分からねぇけど乗り気だった気がする。
でも、なんか変な名前の……水銀なんとかが邪魔をするって言ってた」

蒼星石「水銀燈だね。彼女は危険だ……真紅の考えには絶対に賛同しないだろう」

??「そうなのか?」

蒼星石「彼女は狂信者だからね……もし仮にそうでなくても今の彼女は危険だ。
一度刃を交えてよく分かった。彼女はとんでもないミーディアムと契約している」

??「水銀燈ってお前が戦ったアイツかよ!あ、あんなの……化け物じゃねぇか!
ぬ~べ~でもかないっこないぞ!そんな奴の後ろにいる……誰なんだよ、そいつ……」

109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:33:34.80 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「分からない……でも、少なくともただの人間ではないことはたしかだ。
まるで信じられない話だけどね。まぁ僕が言っても説得力がないかもしれないけれど」

??「……また、やるのか?」

蒼星石「そうだね。もう少し休んで力が戻ったら、もう一度……彼女に挑もうとおもう」

??「ぬ~べ~達に手伝ってもらえばいいじゃねぇか!なんで一人でやろうとするんだよ!」

蒼星石「フフ、君は優しいね……」

??「そんなんじゃ、そんなんじゃねぇよ」

蒼星石「ただのワガママさ。戦いは一対一で、
ローゼンメイデンの誇りをかけて戦うんだ。それが僕の流儀」

??「……バカやろう」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:37:39.51 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「そんな顔をしないで、僕のミーディアム。彼女を倒しておかないと翠星石が……
真紅たちが危険なんだ。優しい彼女たちには今の水銀燈は危なすぎる」

??「それでお前が、壊れちまってもか?」

蒼星石「壊れないように努力はするつもりだよ?」

??「意地っ張り。強情。頭が固いんだよ。
使えるもの使って、なんでもいいから勝てばいいだろうが」

蒼星石「そうだね。だから次の戦いでは僕の全てを出すよ……力を貸してくれるかい?」

??「ッ!…………当然だろ、蒼星石」



克也「俺はお前の、ミーディアムなんだからよ」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:43:06.80 ID:Fhdkn3S90

……。

………。

………………。



数日後。

真紅「ダメね」

翠星石「てんでダメですぅ」

雛苺「ダメダメなの」

ぬ~べ~「お前らなぁ……揃いも揃って人のことをダメダメ言うなよ!」

真紅「ヨレヨレのシャツとネクタイ」

翠星石「ボサボサの髪の毛」

雛苺「おうちはビンボーなの」

翠星石「ゆきめとゲジマユ人間じゃあ月とスッポンですぅ」ヘッ

ぬ~べ~「あ~の~なぁ~!」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:49:01.09 ID:Fhdkn3S90
郷子「まぁまぁぬ~べ~も落ち着いて!翠星石もあんまりからかわないの!」

ゆきめ「わ、私は鵺野先生のこと嫌いだなんて思ってませんよ!む、むしろ……」

ぬ~べ~「ゆ、ゆきめくん……」

真紅「ハイハイ!時間がもったいないのだわ!そういう事は二人きりの時にして頂戴!
せっかくミーディアムで集まったのだから今後のことを決めていかないと」

雛苺「真紅がおこったのー」

翠星石「きゃーこわいですぅー。ゆきめぇー」

ゆきめ・郷子『ハイハイ、ちょーっと落ち着いてね』

ぬ~べ~(俺と違って上手く手なずけてるなぁ……)



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:55:44.07 ID:Fhdkn3S90
真紅「はぁ……あら、おいしい紅茶ね。あなたがいれたの?」

ゆきめ「えぇ、そうだけど……お気に召したのならよかったわ」

真紅「おいしい紅茶に落ち着ける住まい……正直、翠星石が羨ましいわ」

ぬ~べ~「悪かったな狭い家で」

翠星石「ゆきめは渡さねぇですよ真紅」ギューッ

ゆきめ「まぁまぁ先生、翠星石もそんなに抱きつかないでねー」

真紅「と、いつまでも歓談していても始まらないわね。
この一週間で探した範囲をそれぞれ確認していきましょうか。そうね、まずは私から。今週は……」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 12:59:59.85 ID:Fhdkn3S90
………………。

…………。

……。


金糸雀「ふんふんふーん、今日もNのフィールドを探索かしらぁー」

金糸雀「ピチカート、なにか見つかった?え?何もない?うーん、まぁ仕方ないかしら」

金糸雀「うん?あれは……ゲェェ」

ラプラス「おやおやどなたかと思えば、黄薔薇の楽師どのでしたか」

金糸雀「ラプラスの魔……いやーな奴に会っちゃったかしら」

ラプラス「暖かいお言葉、ありがたく頂戴いたします。さてさてお嬢様、どちらにお向かいで?
まだ現は日も高い、夢に浸るのはいささか早すぎではございませんか?」

金糸雀「カナがいつどこで何をしてようとラプラスには関係ないかしら!」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:05:27.32 ID:Fhdkn3S90
ラプラス「それもそうでした。私とあなた方は捻じれの位置。
互いに見えども触れはせず……あなたがなすことは私となんら関係がない。
たとえここで何をしようとも。たとえばそう、不意に足元が崩れようとも。
あなたがどに落ちようと、なんら私と関係はございません」

金糸雀「……へ?え、ちょ!ちょっと!なにこれ!え!
きゃああああああ!ラプラスぅぅぅぅぅぅ!
覚えてるかしらああああぁぁぁぁ…………」ヒュウウウゥゥ………

ラプラス「忘れなどいたしませんよ……
これは薔薇の姉妹の物語。
一遍たりともあまさず綴らせていただきますゆえ」


……。


蒼星石「……ん、こんなものかな」

蒼星石「幾分マシにはなったけれど、まだまだ手入れが必要そうだ」

蒼星石「翠星石がいればもっと早くできるんだけれど、まぁそうも言ってられないか」

ヒュルルルルルルル……

金糸雀「ぶべっ!」ズシャッ

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:07:21.31 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「……ったいかしら!痛いかしら痛いかしら痛いかしら!
なんなのよもうあのウサギ!いきなりカナを落として何がしたいのか意味不明かしら!嫌い!だいっきらい!」

翠星石「かな、りあ?」

金糸雀「うん?あら、蒼星石かしら……蒼星石かしら!蒼星石ぃー!」ダキッ

蒼星石「ちょ、ちょっと!いきなりどうしたのさ!?」

金糸雀「あぁようやく姉妹に会えたかしらぁー……みんなどこに行ってたのかしら!
カナさみしか……ったぁなんてことはなくってぇ!よ、余裕で見つけられたかしら!
カナがその気になればこんなものかしら!」

金糸雀「……ところでここはどこかしら?」

蒼星石「ここは克也くん……僕のミーディアムの心のなかだよ」

123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:12:15.35 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「心のなか?ねぇ蒼星石、その割には荒れているように見えるのだけれど……」

蒼星石「ウン。克也くんは僕のことで心を痛めてくれる優しい子だから。
こうやって時々手入れをしてあげてるんだ。
彼、夜が遅いからこうやってお昼寝してる時くらいじゃないと入れないんだけどね」

金糸雀「ふぅん。相変わらず蒼星石らしい気の使い方かしら
……あ!そうだったわ!蒼星石、他の姉妹の行方は知ってる?」

蒼星石「聞いてどうするつもりだい?戦いなら止めておいたほうが良いよ。
向こうはすでに真紅を中心に翠星石と雛苺が組んでいる。君ひとりじゃあかないっこない」

金糸雀「べ、別にすぐに戦うわけじゃないかしら!
たしかにアリスゲームは重要だけど、カナはそんながっつくようなことはしないかしら!
見ての通りカナはレディですもの」

蒼星石「フフ……相変わらず金糸雀らしいや」

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:14:04.58 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「あー、なんかバカにされてる気分かしらぁ」

蒼星石「真紅達なら童守小学校のぬ~べ~先生のところに集まってるみたいだから、
暇なときにでも行ってみればいいよ」

金糸雀「それはいい事を聞いたかしら。覚えておこうっと」メモメモ

蒼星石「僕とここにいたっていうのは内緒にしておいてね」

金糸雀「え?なんで?」

蒼星石「なんでも」

金糸雀「なんだか変な蒼星石。でもそこまで言うのなら守ってあげるかしら!
カナに感謝するといいかしら!」

蒼星石「ありがとう、金糸雀」

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:16:50.37 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「フフン……ところで蒼星石、あれがあなたのミーディアムの心の樹?」

蒼星石「そうだよ。少し曲がってるけど立派なものでしょ?」

金糸雀「ほへー、うちのいずなちゃんには敵わないけど、立派な樹になりそうかしら」

蒼星石「いずな?それが君のミーディアムの名前?」

金糸雀「むむむ、思わず口から洩れちゃったかしら。まぁ名前くらいならいっか。
そうよ、いずなちゃんは私のミーディアム。素敵な子かしら……そうだ、良い事思いついたわ」

蒼星石「?」

金糸雀「~~~♪」

蒼星石「……金糸雀」

金糸雀「~~~♪~~~♪」

金糸雀「……ふう!こんなところかしら!」

128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:19:21.74 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「ありがとう金糸雀。克也くんの樹もきっと喜んでるよ」

金糸雀「あったりまえかしら!カナの演奏を聞いたんだからこの子も元気いっぱいかしら!
その元気で……蒼星石を支えてあげてね」ソッ

蒼星石「金糸雀……君ってやつは……」

金糸雀「ふふ、姉からのサービスってやつかしら!ありがたく受け取っておくがいいわ」

蒼星石「そうだね。ありがたく頂戴するよ」

金糸雀「……フフ」

蒼星石「……ッハハハ」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:22:50.57 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「ねぇ蒼星石、あなたはこれからどうするつもりなの?」

蒼星石「僕かい?僕は……水銀燈と戦おうと思っているよ」

金糸雀「水銀燈と?」

蒼星石「僕は前に一度彼女と戦ったんだ……その時は僕の負けだった。
圧倒的な力だったよ……長くアリスゲームをやっていたけれど、あんな強大な力は初めてだ」

金糸雀「じゃ、じゃあ絶対に負けちゃうの?」

蒼星石「分からない。彼女も自分の力を操りきれていないフシがあったから
まだ勝機はつかめるかもしれない……金糸雀、僕はね……彼女を止めたいんだ」

金糸雀「え?止める?」

蒼星石「水銀燈が自ら望んで動いているのか、それともあの力の持ち主に操られているのか
……僕はそれを見極めたいのさ。そしてもし操られているのなら……彼女を止めてやりたい」

金糸雀「……蒼星石は優しいのね」

蒼星石「みんなには秘密だよ?」

金糸雀「カナは嘘つくの苦手だけど……頑張るかしら」

蒼星石「ありがとう」

132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:24:46.26 ID:Fhdkn3S90
……。

………。

………………。


いずな「毎度ありぃー」ヒラヒラ

いずな「いやぁー私の溢れる才能をもってすれば心霊写真の一枚や二枚、ちょろいもんよ」ハッハッハ

いずな「そろそろ警察がきそうだし場所かえよっかなー」

いずな「ん?あらどうだった管狐?……そっか、今回も収穫なしね。ありがと、戻っていいわよ」

いずな「うーん、ここら辺の家はどこもそれらしき人形は持ってない、か……案外見つからないものねぇ」

いずな「噂を広め小学生を怖がらせてどこに手紙が届くのか見つけやすくする作戦、
うまくいくと思ったんだけどなぁ……ズルして楽してとはいかないみたいなぁ」ハァ

133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:26:57.97 ID:Fhdkn3S90
いずな「いっそセンセーに頼むか?いやいや、ぜぇーったい説教されるに決まってるしぃ。
余計なことに口をはさむなーお前は修行してろーとか、そればっかりなんだもん」

いずな「ん?どしたの管狐……そら?空がなんだっての……お!アレもしかして!」

いずな「ちょっとアレそうじゃない?マジでカナが言ってたやつっぽくない?
みたいな?あ!あっち行っちゃう!ちょっと追いかけるよ!」


……。


いずな「なんとか見失わずにすんだけど、あの人形いつまで飛び続けてるのよ……
あーようやく着地するみたい。場所は……びょういん?」

いずな「ここに契約者がいるのかしら。それとも別にただ降りただけ?」

いずな「ま、こんなとこで考えてても分かる訳ないっしょ。ちょーっと行ってみますか」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 13:29:32.15 ID:Fhdkn3S90
いずな「うーん、真昼間から制服姿で病院にくると目立つなー……
見事におじいちゃんおばあちゃんばっかり……もしかして契約者もヨボヨボだったりして?みたいな?」

いずな「行ってみれば分かるか。エレベーターはっと……あったあった」

ガヤガヤガヤ

いずな「おっと団体さんのご到着ってか?……え!?」

いずな「な、ななな、なんでアイツがまだここにいるのよ!他人のそら似!?
それとも『あの』妖怪がアイツに化けてたの!?」

いずな「なぁーんかヤなかんじぃーみたいなぁ……って言ってる場合じゃないカモ……」

141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:06:01.13 ID:Fhdkn3S90
真紅「はぁ……」

ぬ~べ~「珍しいな、お前がため息なんて」

真紅「結果が思わしくないもの。私だってたまには、ね」

ぬ~べ~「どこにいるんだろうな……蒼星石に、金糸雀に」

真紅「水銀燈」

ぬ~べ~「……アイツか。あの力、放ってはおけない」

真紅「はっきり言って彼女の力は異常だったわ……
あの子のミーディアムは相当な力を持っている……鳴介、下手をすれば」

ぬ~べ~「あぁ、相手の実力は俺以上かもしれない」

真紅「それでもあなたは立ち向かうのでしょう?」

ぬ~べ~「ま、やるだけやってみるさ」

真紅「変なところで楽観的なのね。あら、人間だわ」

ぬ~べ~「お前は……いずなじゃないか。どうしたんだ急に」

いずな「やっほぉー、みたいなぁー」

143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:10:39.37 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「お前、まぁたなにか悪さを企んでるんじゃ……」

いずな「そんなんじゃないって!今日は―――あ!その人形!」

ぬ~べ~「ん?あ、あぁ、これはお祓いを頼まれていてな。
少しこうやって一緒にいてやらないと霊が納得しないんだ……別にそんな趣味がある訳じゃないぞ」

いずな「わ、分かったからそんな怖い顔で睨まないでよ。大丈夫だって、
わたしも一応霊能力あるし、その人形からはイロイロ感じるからさ」タハハ…

ぬ~べ~「……で?なんの用があるんだ?」

いずな「うーんっとね……ん、やっぱ……いいや、ウン」

ぬ~べ~「はぁ?いずなお前、なにかあったから俺のところに来たんじゃないのか?」

いずな「まぁ自己解決できたっていうか……
ちょっと事情が変わったっていうかぁー……とにかくさよならっ!」

ぬ~べ~「あ、オイ!いずな!何かあったんなら隠さずに教えろよ!いいな!」

いずな「わぁーかってるって!みたいな!じゃねー!」

 

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:15:38.47 ID:Fhdkn3S90
いずな「……はぁー……話が違うってぇ、みたいなぁ」

いずな「なぁんでセンセーも人形もってんのよぉ。
これじゃあセンセーも敵ってことじゃん。ありえないしぃー」

いずな「あー困った……とりあえずカナに話してみよぉ」

いずな「マジチョベリバ……ちょっち古いか」



………………。

…………。

……。

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:20:17.98 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「ん……」

水銀燈「あらぁ、御目覚め?」

蒼星石「……ハァ、どういう事か説明してもらえるかな。
寝込みを襲うのが君の趣味なのかい?」

水銀燈「今ここで壊れるのがお望みかしら?」チャキ

蒼星石「よしてくれよ。君だってそんな事を望んでいるわけじゃないだろう」

水銀燈「あら、どうしてそう思うの?」

蒼星石「こんな夜更けに、ひっそりと僕にだけに会いにくる……
こんなまどろっこしいやり方を取るのは君の好みじゃないはずだ……
だったら何か理由があると推測するのが筋だろう?」

水銀燈「クス……おつむの冴えた妹で助かるわぁ」

蒼星石「何が目的だ、水銀燈」

水銀燈「私の目的はいつだってひとつ。ローザミスティカを集め、
アリスとなりお父様に会うこと……それだけよ」

蒼星石「真紅は戦わずに済む道を模索しているよ」

水銀燈「知っているわ……マヌケな真紅、かわいそうな真紅、
おかげで私の敵はあなた一人。他の姉妹なんて片手で相手をしても勝てるもの」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:27:32.77 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「いい加減本題に入ったらどうだい
……今の君とは、正直長く話していたくない」

水銀燈「いい子ね蒼星石。敵意のある子は嫌いじゃないわ。
壊しがいがあるもの……三日後、Nのフィールドで待つわ。場所は……」

蒼星石「……わかった。だが何故そこなんだ?」

水銀燈「どうせ壊れるなら綺麗な場所がいいでしょう?姉からの優しさよ」

蒼星石「そう……おやすみ姉さん」

水銀燈「おやすみ蒼星石。限りある時間をせいぜい楽しみなさい……フフフ」



克也「…………」グッ


……。

………。

………………。

151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:32:42.12 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「やめてぇ~それカナの~」

翠星石「ヒーッヒッヒッヒ、出来るもんなら取り返してみろです」ヒーッヒッヒッヒ

郷子「こらぁ!翠星石!金糸雀をいじめないの!」

雛苺「真紅、これはなんて読むの?」

真紅「  崩しね……こう、股を合わせて」

ゆきめ「そっちじゃなくてこっちの絵本を読んでてちょうだい!お願いだから!」

ギャアギャア

いずな「ちょーうるさいって感じ、みたいな」

ぬ~べ~「お前の連れてきたドールのせいか、やけにみんな元気だな」

いずな「ドール?」

ぬ~べ~「彼女たちのことだよ」

152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:36:25.70 ID:Fhdkn3S90
いずな「ふぅん……センセーはあの子たちと結構付き合い長いの?」

ぬ~べ~「まぁな。お前は金糸雀とはどれくらいなんだ?」

いずな「ひと月くらいかなぁ……家のポストに手紙が入ってて、
儲け話にでもなるかと思って手を出したらカナが来たんだ」

ぬ~べ~「しかし意外だな。お前があの子を大切にしているなんて」

いずな「ちょっとアタシをなんだと思ってんの?みたいな?
こう見えても管狐もきちんと育ててるんだからね。むしろアタシの方こそ意外ってかんじぃー。
センセーがあんなロリロリィな人形と仲良く暮らしてるんだから」

ぬ~べ~「そういう言い方をするのはこの口か。あぁん?」

いずな「暴力反対みたいなぁー」

ぬ~べ~「……で、話っていうのはこの事だったのか?」

いずな「え?」

ぬ~べ~「前に会った時、真紅のことを見たら急に逃げ出したろう」

いずな「……あぁ、アレか……当たらずとも遠からずって感じ、かな」

ぬ~べ~「言ってみろ。この事に関しては俺達は一蓮托生みたいなものだ。
互いに協力するのが最善だと俺は思っている」

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:42:17.57 ID:Fhdkn3S90
いずな「うん……ローゼンメイデンのことはカナから聞いてるから
だいたい分かってるんだけどさ、ここにいないドールが二体いるじゃん?」

ぬ~べ~「蒼星石と水銀燈だな」

真紅・翠星石「……」ピタッ

雛苺「うゆ?真紅どうしたの?」

金糸雀「返せかしらっ!……す、翠星石?」

いずな「うん。私、見たんだ……そのうちの一体」

真紅「水銀燈を見たの!?どこで!言いなさい!」

翠星石「蒼星石はどこにいるですか!?さっさと白状しやがれですぅ!」

ゆきめ「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いて」

ぬ~べ~「どっちを見たんだ?」

いずな「……水銀燈。だと思う。黒い服を着て銀髪の人形だった。翼が生えてて空飛んでたし」

真紅「水銀燈……!」

翠星石「そうですか……蒼星石じゃねぇですか……」

156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:47:33.96 ID:Fhdkn3S90
ゆきめ「大丈夫、絶対見つかるから。落ち込まないで翠星石」

ぬ~べ~「行き先や、どこから来たなどは分かるか?」

いずな「分かるよ。カナから聞いてたし尾行したもん……行き先は童守病院」

ぬ~べ~(タマモのいる病院じゃないか……まさか)

いずな「センセー……わたしさ、そこで見ちゃったんだ。
前に倒したと思ってた狐の妖怪、あいつがばけてた人間の医者が普通に働いてるの」

ぬ~べ~「お前はそいつがクサいと思ってるんだな」

いずな「うん。あれ、ヤバい……あの水銀燈って人形の相棒があの男だとしたら、ちょっとマズいよ」

郷子「ぬ~べ~……」

ぬ~べ~「行ってみよう、童守病院に」

ぬ~べ~(信じているぞ、タマモ)
 

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 14:52:24.59 ID:Fhdkn3S90
タマモ「これはいったいなんの騒ぎですか、鵺野先生……」

雛苺「キャー!こわいのー!お化けなのー!」

翠星石「ほーれほれほれ!骨のお化けですよー!」

真紅「やめなさい翠星石、みっともない」

金糸雀「ここ何か流れてるわ……バッハかしら?」

ぬ~べ~「あー、その、これはだな……
ローゼンメイデンという呪い人形の一種で、ちょっとした付き合いで一緒にいるんだ」

タマモ「相変わらず酔狂な人だ」

いずな「……ねぇアンタ……私のこと、覚えてない?」

タマモ「…………いや、初対面だよ御嬢さん。誰かと勘違いしているんじゃないか?」

いずな「そんな訳あるか!アンタは私が退治した―――っ!?」

タマモ「もしそうなら何故私はここにいるんだい?」

いずな「~~~ッ!!ば、化けの皮はいでやるんだから……」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 15:01:59.93 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「す、スマンなタマモ。どうしてもアイツが確認したいっていうもんだから」

タマモ「鵺野先生、あの年頃の子は思いつきで話すことがよくある。あまり全てを真に受けていては身が持ちませんよ」

郷子「ねぇぬ~べ~、それよりも……」

ぬ~べ~「そうだったな。真紅、ちょっと来てくれ」

真紅「ようやく出番ね……」ジイッ

タマモ「呪い人形か。よく出来ている。まるで本当に生きているようだ」

ゆきめ「この子たちには魂があるのよ」

タマモ「冗談を。作り物に魂を宿すなど、人間の芸当では不可能に近い―――それも名も知らぬ人形師などがどうやって」

翠星石「お父様をバカにするなですぅ!」

雛苺「そうなの!お父様をバカにするなんてメーなの!」

真紅「二人とも静かに……違うわ鳴介。この男は契約をしていない。指輪もないし、外した後も見られないわ」

ぬ~べ~「そ、そうか」ホッ

タマモ「だから言ったでしょう。そんな人形に興味は無いと。まったく……」

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 15:05:17.49 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「すまんすまん、今度なにか奢るからさ」

郷子「タマモ先生は何か知りませんか?
この病院にローゼンメイデンの一人が入ったらしいんですけど……」

タマモ「さぁ……なにぶん全ての患者や医師のことを把握している訳ではないからな。
私の担当していない患者が契約者なのかもしれない」

ゆきめ「この病院を探しても?」

タマモ「好きにしろ。ただし患者に迷惑をかけるなよ」

真紅「行きましょう鳴介。この病院のどこかに水銀燈がいるはずよ」

ぬ~べ~「あぁ……じゃあなタマモ」

タマモ「ここで知り合った縁だ。何かあれば私からも伝えてさしあげますよ」

162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 15:09:35.14 ID:Fhdkn3S90
タマモ「……」

タマモ「もう出てきていいぞ」

水銀燈「あーぁ、なんでこの私が隠れなきゃならないのよ」バサッ

タマモ「今見つかるわけにはいかないのだろう」

水銀燈「フン……しかしよくあいつらが来るって分かったわね」

タマモ「お前と契約してから病院の周囲には気を配っているからな。
あの小娘が来た時点でこうなることも予測はしていた」

水銀燈「器用なものね……指輪の後を隠すなんて」

タマモ「変化の術の応用さ。奴らが帰ったら再契約だ」

水銀燈「魂のない人形に傅いて口づけするのはプライドが傷つくんじゃありませんこと?」クスクス

タマモ「フッ、私は目的のためには手段を厭わない……この程度で妖狐の誇りに傷などつかぬよ」

水銀燈「チッ……」

タマモ「フフフ……あと少しですよ、鵺野先生……」

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 15:15:16.47 ID:Fhdkn3S90
………………。

…………。

……。



真紅「あぁもう!どうしてどこにもいないの!」

ぬ~べ~「落ち着けよ。お前が焦る原因もよく分かるが、そんなことをしても水銀燈は見つからないぞ」

郷子「でも真紅が怒るのも無理ないよ……結局病院にも水銀燈の手がかりは無かったし」

いずな「っかしぃなー絶対に見間違いじゃなかったはずなんだけど……」

ゆきめ「また地道に探すしかないですね」

ぬ~べ~「そうだな。もう一度フーチで……おっと、電話だ」

克也『ぬ~べ~、助けてくれ……』

ぬ~べ~「ッ!?どうした克也!何があった!」

克也『蒼星石が……蒼星石が死んじまう!』

196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:18:49.26 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「そ、蒼星石!?どういうことだ克也!詳しく話してみろ!」

翠星石「蒼星石!?いま蒼星石って言ったですか!?」

克也『うぅ……三日前に水銀燈が蒼星石に何か話してて、それで今日起きたらアイツがいなくて』

ぬ~べ~「落ち着け克也!……そうか、分かった。お前はそのまま家にいろ。いいな!」

郷子「ぬ~べ~!」

ぬ~べ~「どうやら、蒼星石と契約していたのは克也だったようだ……
蒼星石は水銀燈と何かの約束を果たすためにNのフィールドへ向かって行ったらしい」

ゆきめ「克也くんが?まさか、あの子がそうだったなんて……」

真紅「なるほどね……今にして思えば色々と納得がいくわ。
あの少年だけ他の子と違ってやけにこちらの事を詳しく聞こうとしていた……
あれはすでに同じような存在と関わり合いをもっていたという事だったのね」

197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:24:47.43 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「――――み、みんな聞いて欲しいかしら!」

翠星石「いきなり大声だすなですぅ!耳がキーンってするですぅ」

金糸雀「か、カナ……カナ……蒼星石に会ったことあるかしら!」

真紅「えっ!?」

翠星石「どどどどういう事ですかバカナリア!全部吐きやがれですぅ!」

金糸雀「や、やめるかしらデコを叩かないで欲しいかしら!言う!言うからぁ!」

雛苺「どこで会ったの?」

金糸雀「蒼星石のミーディアムの心のなかかしら。
Nのフィールドを探索していたらラプラスの魔に落とされたのよ」

翠星石「蒼星石はどんな様子だったんですか!?」

金糸雀「どうって……水銀燈を止めたいって、そう言ってたかしら。
本当は秘密だって言われたんだけど……言われたんだけど!
もう黙ってられないかしら!蒼星石があぶないの!助けて欲しいかしら!」

198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:28:29.57 ID:Fhdkn3S90
ちょいメシ

201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:44:03.05 ID:Fhdkn3S90
いずな「カナまじバカ。助けるに決まってるじゃん。ねぇ、センセー?」

金糸雀「いずなちゃん……ありがとうかしら」

雛苺「水銀燈がみつかったの!蒼星石も助けるの!やることは決まったの!」

ゆきめ「そうね。今は話し合っている時間じゃないわ」

郷子「今すぐ蒼星石のところに行かないと!」

真紅「行くわよ鳴介、Nのフィールドへ」

ぬ~べ~「あぁ、もし二人が争おうとしているのなら止めなければ」

翠星石「っしゃー!待ってるですよ蒼星石!
かわいいかわいい翠星石が今すぐ助けにいってやるです!」

203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:50:57.29 ID:Fhdkn3S90
……。

…………。

………………。


水銀燈「あら、早かったのね」

翠星石「罠をしかけられるかもしれないからね……当然のことさ」

水銀燈「フフフ……だったら今ここにはあなたの仕掛けた罠があるのかもしれないのね。こわぁい」

蒼星石「僕はそんな真似はしないよ」

水銀燈「知ってるわよぉ?あなたは純粋で愚直で周りがまるで見えていない……
そんな可愛らしい私の妹ですもの」


204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 20:57:15.77 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「……最後にひとつだけ聞いておく。水銀燈、争いをやめる気はない?」

水銀燈「今さらねぇ。力のない主張には興味ないわ」

蒼星石「分かった……もうこれ以上は何も言わないよ」

水銀燈「それがいいわ。喋る余裕などもう生まれないでしょうから」フワッ

蒼星石「……ッ!」チャキッ

水銀燈「蒼星石、私の可愛い妹……ウフフ……さぁ」


【遊びましょ?】



206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:03:14.03 ID:Fhdkn3S90
翠星石「とろいですぅ!早くしろですぅ!このままじゃ蒼星石が危ないんですぅ!」

雛苺「ヒナそんなに早く進めないのぉー」

ぬ~べ~「……仕方ない。ここは別れよう」

郷子「え?どういうこと?」

ぬ~べ~「Nのフィールドは鏡でつながっている。
雛苺と郷子、金糸雀といずなはそれぞれ克也と童守病院の様子を見てきてくれ。
克也は出来るならこっちに来させるんだ。万が一の時は俺達の側にいた方がいいからな」

金糸雀「どうしてあの病院に行く必要があるの?」

ぬ~べ~「水銀燈の動きに合わせて病院にいると思われる契約者が動く可能性もあるだろう……
それに、なにか嫌な予感がするんだ……」

いずな「センセーのカンか……信じてみる価値はあるね」

真紅「私と翠星石で出来るだけ水銀燈を止めてみるわ」

208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:21:05.33 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「了解かしら!いずなちゃん、童守病院はこっちかしら!」

いずな「あ、ちょっとカナ!ったくしゃあないわね、そっちは頼んだぞセンセ!」

雛苺「みんなのおうちはこっちなのー!ヒナ前にこっそり行ったことあるから知ってるの!」

郷子「がんばってねぬ~べ~!ゆきめさん!」

ぬ~べ~「みんな掴まれ!全速力で飛ばすぞ!」

ゆきめ「は、ハイ!」

翠星石「あっちですよゲジマユ人間!」

真紅「お願い……間に合って……!」

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:28:16.67 ID:Fhdkn3S90
……。


克也「うっく……ちくしょぉ……」

克也「急に体が重く……蒼星石が力を使ってるのか……」

克也「俺が、側にいねぇと!アイツ絶対無茶しやがる!クソッ!」

雛苺「とーちゃくなの」

郷子「克也!ちょっとアンタ大丈夫!?」

克也「お、おまえ郷子ォ!?どっから出てきてんだよ!鏡ぃ!?」

郷子「説明は後!早く来て!蒼星石が大変なのよ!」

克也「蒼星石ッ!……わかった、俺を連れて行ってくれ!」

雛苺「よぉーっし!全速力で真紅達のとこにレッツゴーなのぉー!」

211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:34:26.49 ID:Fhdkn3S90
……。


金糸雀「童守病院に到着……ってここ、タマモ先生のお部屋かしら」

いずな「回診中なのかいないわね……そもそもアイツ、本当に何も関係ないの?
絶対におかしいって。なぁーにかあるはずっしょ」

金糸雀「い、いずなちゃん?人の部屋を勝手に漁るのはよくないんじゃ……」

いずな「非常事態よ非常事態。何か私の霊能力者としてのカンがここらへんに―――ッ!か、金糸雀!コレ!」

金糸雀「なに!?なにかしらいずなちゃん!なにかあった!?」

いずな「これ!部屋の隅に隠されてたこの鞄!これって!」

金糸雀「……まちがいないわ、水銀燈のカバンかしら……なんでこんなところに水銀燈のカバンが……
タマモ先生は契約なんてしていなかったはずなのに」

いずな「理由は分からないけどこれでアイツが臭いのは確定したわね!
今すぐセンセー達に知らせないと!フッフッフ!みってなさい!
あのいけ好かない奴の鼻をあかしてやるんだから!」

タマモ「いけ好かないとはひどいな」

213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:39:49.92 ID:Fhdkn3S90
いずな・金糸雀「……っ!?」

タマモ「子ネズミがチョロチョロしているかと思えば……大人しく筋書通りに動いていればいいものを」

金糸雀「い、いずなちゃん……?」カタカタ

いずな「ビビるなカナ!だ、大丈夫よ……こ、こいつは前に一度わたしが倒したんだから……
たいしたことない妖怪のはず……ッ!念力自然発火!」

ゴオッ!

タマモ「この程度の炎、あくびがでる」

いずな「ウソ、効かない?……だったら!フルパワーで!」

ゴオオオオオオッ!

タマモ「少しはやるようだが……私を倒すにはまだまだ甘い!」

タマモ「さぁ、これが全力か?ならばそろそろお前たちには……ん?」



タマモ「……逃げたか」

214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:44:49.06 ID:Fhdkn3S90
金糸雀「い、いいのかしら?逃げちゃって」

いずな「あんなのバカ正直に相手してられないってーの。
それに今はこの情報を届けるのが優先だしね。さぁいくよ、カナ!」

金糸雀「いずなちゃんらしいかしらー。オッケー、カナにまかせるかしら!」


………………。

…………。

……。

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:49:55.40 ID:Fhdkn3S90

水銀燈「ホラァッ!」ゴウッ!

蒼星石「クッ……!」

水銀燈「逃げてばかりじゃお話しにもならないじゃない!少しは抵抗してみなさいな!」ダダダッ!

蒼星石「予想以上の……力だっ!」

水銀燈「なによもう、口ばっかりじゃないのぉ……つまんなぁい」フワッ

蒼星石「……はぁ……はぁ……」

水銀燈「ねぇ蒼星石。あなた、どう壊されたい?」

蒼星石「壊れるのは……御免こうむりたいねッ!」バシッ!

水銀燈「ふぅん。まだそんな力が残っていたのね」ヒョイ

217: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 21:55:08.54 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「僕はまだあきらめないよ。勝負はこれからだ」

水銀燈「いいえ、勝負はこれまでよ。大人しく壊れてしまいなさい」スッ

ドドドドドドドドッ!!!!!

蒼星石「クッ―――――!」

蒼星石(これは……かわせない!もう無理なのか……翠星石!克也くんッ!)




翠星石「待ちやがれですううううう!」

219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:01:26.44 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「す、翠星石!?」

翠星石「ゆきめ!力を貸すです!てりゃああああああああ!」

ゆきめ「いいわよ翠星石!これでッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

真紅「凄い……氷漬けの樹木……あれが二人の力?」

翠星石「これで縛り付けてしもやけにしてやるですぅ!覚悟するです水銀燈!」

水銀燈「イヤぁよ。溶けちゃいなさい」カカッ!

ジュウウウウウ……

翠星石「きいいぃぃぃ!あの余裕ヅラ!むっかつくですぅ!」

ぬ~べ~「もの凄い熱量だ……水銀燈ってのはあんな力があるのか?」

真紅「今までの彼女はあんな力を持ち合わせていることはなかった。
恐らくあれはミーディアムの影響ね」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:07:33.77 ID:Fhdkn3S90
翠星石「しゃあねぇです!もういっちょう!」

水銀燈「無駄よ、ム・ダ。何度やっても溶かしてあげるわ」

翠星石「むっきぃいいいい!」

蒼星石「お、落ち着いて翠星石!僕は大丈夫だから!ね?」

翠星石「フーッ……フーッ……」

水銀燈「ヤダァ、サイみたぁい。野蛮ねぇ」クスクス

真紅「もの凄い力なのだわ。鳴介、タイミングを揃えて仕掛けましょう」

ぬ~べ~「お前はそこまで力がないんだ、下がっていろ。ここは俺が行く!」

水銀燈「―――あら、ようやく本命の登場?じゃあ私もそろそろ本気で―――」

金糸雀「ちょっと待ったかしらぁ!」

223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:13:50.84 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「金糸雀!それにいずなも!」

いずな「センセー!アイツが契約してる相手、突き止めたよ!
あのタマモって医者だった!やっぱりアイツがクロだったんだよ!」

金糸雀「カナも見たかしら。あの人の部屋に水銀燈のカバンが置かれてたかしら!間違いないかしら!」

ゆきめ「なんですって!?」

ぬ~べ~「ま、まさかあのタマモが……水銀燈に力を貸していたなんて……」

タマモ「おや、ついにバレてしまいましたか」

いずな「あ、アンタ!なんでここにいんのよ!病院にいたんじゃ!」

タマモ「フフフ……管と妖狐の区別もつかないとは、とんだ霊能力者もいたものです」

いずな「く、管狐ぇ!?」

タマモ「一応のアリバイとしてね……本物の私は最初からここにいましたよ」

ぬ~べ~「……水銀燈の異常なまでの力……お前がミーディアムであるというのならたしかに納得がいく……
だが!なぜだタマモ!いったいどういうつもりでこんな事をした!」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:20:01.09 ID:Fhdkn3S90
タマモ「どうもこうも。私は彼女と契約し、彼女はアリスゲームを続けている。ただそれだけじゃないですか」

翠星石「お前の力は普通じゃねぇです!水銀燈と組んで何を企んでるですか!」

タマモ「それを説明するのは……おや、最後のお客さまが到着したようだ」

蒼星石「……え?」

雛苺「見えたのー!みんないるのー!」

郷子「ぬ~べ~、克也つれてきたよ!……ってタマモ先生!?どうしてここに……」

ぬ~べ~「……そいつが水銀燈のミーディアムだからだ」

雛苺「あっちょんぶりけなの!」

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:29:38.90 ID:Fhdkn3S90
克也「蒼星石!」

蒼星石「あ……克也くん……ごめんね?疲れちゃったでしょ……僕、戦う時に力を」

克也「バカやろう!そんな事どうだっていいんだよ!」ガシッ

蒼星石「……克也くん、泣いてるの?」

克也「泣いて、なんて……ねぇよ……クソ!」

蒼星石「ごめんなさい……僕……」

翠星石「ドールを泣かせるミーディアムは最低ですよ。
でもね蒼星石ぃ、ミーディアムに心配かけるドールもおんなじくらいさいってーですぅ!
しっかり反省しやがれです!」

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:35:45.09 ID:Fhdkn3S90
蒼星石「……ごめんなさい」

克也「お前が壊れちまうかと思ったんだぞ!ふざけんなよ!」

蒼星石「もうしないよ。約束する」

克也「本当だな?こんなこと、二度とゴメンだからな……」

蒼星石「うん……僕もゴメンだ。翠星石や克也くんを残して壊れるかもなんて、
あんな恐怖……もう絶対に味わいたくない」

翠星石「ったく、世話のやける妹ですぅ」グスッ

ゆきめ「よかったね、翠星石」

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:40:55.89 ID:Fhdkn3S90
水銀燈「……これで全員揃ったわね」

タマモ「そうだな。そろそろ始めよう……ハアアッ!」

ゴウッ!

郷子「きゃああっ!」

ゆきめ「辺りを炎に囲まれた!?狐さん……あなた本気なのね」

真紅「水銀燈、なぜこんなことをするの」

水銀燈「いまさら聞くぅ?そうね……色々とあるけれど、やっぱり一番はオシオキかしら」

雛苺「お、オシオキ?」

水銀燈「えぇそうよ……そんな男の戯言に振り回されて、
お父様の言葉すら捻じ曲げてアリスゲームを終わらせようとする……
そんな妹たちにきつぅいオシオキをしてあげようと思ってねぇ!」

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 22:54:39.30 ID:Fhdkn3S90
真紅「……どうやらやるしかないようね、鳴介」

ぬ~べ~「あぁ……真紅は皆と一緒に下がっていろ。これは俺とタマモの」

真紅「無駄よ鳴介。ほら、あの子の顔を見て。絶対に逃がさないとかいてあるわ」

ぬ~べ~「だがお前の力は!」

真紅「ふふ……笑っちゃうわね。力も持たずに戦場に立つなんて……
それでも逃げられない時というのは来るものよ。やるだけやってみるわ」

水銀燈「フフ……フフフフッ……アーッハッハッハッハ!ようこそ真紅!
そして私のかわいい妹たち!ここで!今から!あなた達をさばいてあげる!
このローゼンメイデン第一ドール、水銀燈が!デキの悪い妹たちと遊んであげるわ!」

水銀燈「全力でね!」グワッ!!


236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:02:40.59 ID:Fhdkn3S90
タマモ「どうしました鵺野先生!普段より動きが悪くありませんかっ!?」ガガガッ!

ぬ~べ~「クソッ!この!」ブンッ!

タマモ「おっと」ヒラリ

タマモ「そんな見え見えの攻撃が当たるわけないでしょう……
やはり彼女が気になりますか?これではさすがの鬼の手も形無しといったところですね」

水銀燈「アハハハハハッ!どうしたのぉ真紅ぅ?このままじゃ当たっちゃうわよぉ?」

真紅「あらっ!ご忠告どうも!優しいのね……水銀燈はッ!」

水銀燈「はいはずれ。バカねぇ、契約もなしに私にかなうわけないじゃない」

真紅「やってみたいと……分からないわ……!」

水銀燈「やってみなくても分かるのよ!そぉれ!」

真紅(やっぱり力に圧倒的な差がある……このままじゃ!)

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:07:56.72 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「真紅!」

真紅「鳴介!?離れなさい!私は大丈夫だから!」

ゆきめ「先生!真紅!いい加減にしなさい狐さん!」バッ!

タマモ「お前はこいつの相手でもしていろ」

管狐「シャアアアアアア!」

ゆきめ「キャッ!」

翠星石「ゆきめになにするですかこのオバケきつねー!」

ぬ~べ~「み、みんな!」

タマモ「スキだらけですよ鵺野先生!」ザシュッ!

ぬ~べ~「ぐああッ!?くそっ!」

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:13:19.30 ID:Fhdkn3S90
タマモ「そんな攻撃が当たるとでも?……水銀燈!」

水銀燈「うるっさいわねぇ……言われなくても……そらぁ!」ドドドドドッ!!

ぬ~べ~「がああああっ!」

真紅「鳴介!どいて!このままじゃアナタが!」

ぬ~べ~「クッ……白衣観音経!」シャッ!

タマモ「ほぅ、お得意の結界ですか……そういえば前にも一度こんな事がありましたね。
あの時あなたが守っていたのは愛しい生徒でしたが、今いるのは縁もゆかりもない生き人形……
フフ、改めてあなたの無敵の力がどれほどのものなのか見せてもらいましょう!」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:18:58.98 ID:Fhdkn3S90
真紅「離して鳴介!」

ぬ~べ~「ダメだ!」

タマモ「火輪尾の術……役小角レベル!」ゴウッ!

水銀燈「あらキレイ。真紅ぅ、そんな男ほうっておいてさっさと逃げたらぁ?」

真紅「黙りなさい水銀燈!鳴介!お願い離して!このままじゃあアナタが!」

ぬ~べ~「大丈夫だ!お前は俺が必ず守る!そう約束したろう?」

真紅「―――ッ!」

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:24:37.47 ID:Fhdkn3S90
タマモ「なかなか頑張りますね。では、これはどうですか……道鏡レベル!」ゴゴゴッ!

ぬ~べ~「ぐああああああ!」

真紅「ダメ……このままじゃ鳴介が……なにか、なにか手は……」

ぬ~べ~「大丈夫だ真紅!お前は、俺が守ってやる!」

真紅(くやしい!私に力があれば……鳴介と契約さえしていれば……契約ッ!?)

真紅「そうよ鳴介!私と契約して!その力があれば私も戦える!」

ぬ~べ~「……ダメ、だ」

247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:36:24.87 ID:Fhdkn3S90
真紅「どうして!もうそんな事言っている場合ではないわ!死んでしまうのよ!?」

ぬ~べ~「姉妹で争う力なんて……必要ないんだよ、真紅……」

真紅「違うの!違うの鳴介!」

真紅(いらない!そんな力、いらない!私が欲しいのは……私が、欲しいのは!)

タマモ「ハハハ!素晴らしいですよ鵺野先生!これが最後です!フルパワー、空海レベル!」

ガガガガガガガッ!!!!!

真紅「あなたを守る力!大切なものを守る力!それが必要なの!
でないとアナタが……アナタが死んじゃう!お願い、メイスケぇ!」

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:43:47.97 ID:Fhdkn3S90
ぬ~べ~「……ッ!」

真紅「―――!!」

グワッ!!

ゆきめ「せ、先生!鵺野せんせい!」

郷子「ぬ~べ~!いやーっ!」

翠星石「しっかりしろです真紅!」

雛苺「しんく~!」


水銀燈「フン……見せてみなさいよ真紅……そのくだらない思いつきが、
どこまで通用するのかをね。まぁムリでしょうけれど」

タマモ「!?……フフ、どうやらそうでもないみたいだぞ……見ろ!」

水銀燈「……えっ?!」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:49:35.91 ID:Fhdkn3S90
カカッ!!!!


ぬ~べ~「……」

真紅「……」


水銀燈「……生きてる?……ふ、フフ……そう!そうよねぇ!
それくらい、やってもらわないと困るもの!いいわよ真紅!
やっぱりアナタは私の手で壊してあげるわ!」

タマモ「無敵の力というわけか……」


ぬ~べ~「真紅……お前、本当に良かったのか……」

真紅「いいのよ鳴介。ありがとう……この力で私はあなたを守れた。
大切なものを守りたいと思う気持ち。その心の強さ。
こんな暖かい力、初めてだわ」

ぬ~べ~「―――暖かい力、か……ハハ、わかった。もう何も言わない。
俺はお前を信じる。その力で……あの分からず屋の姉を止めてこい!」

ぬ~べ~「行くぞ!真紅!」

真紅「えぇ!いきましょう、鳴介!」ザッ!

251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/17(金) 23:54:41.73 ID:Fhdkn3S90
タマモ「素晴らしい!素晴らしいですよ鵺野先生!
さらにパワーアップした私の炎にも耐えきれるとは!これが愛の力ですか!」

ぬ~べ~「何故だ!何故こんなことをしたタマモ!
お前は人間の愛を理解していたじゃないか!それがどうして!目的を言え!」

タマモ「私はねぇ!見てみたかったんです!彼女の『愛』を!
彼女の持つ狂信的なまでの造物主への愛の力を!だから手を貸した!それだけですよ!」

ぬ~べ~「水銀燈の愛は間違っている!」

タマモ「それを決めるのは誰です!神か!ならば彼女を作った父親がそれにあたるはずではないのですか!?
造物者の言葉に従ってアリスゲームを行う彼女の愛が間違っているとは私には思えない!」

ぬ~べ~「違う!……違うんだよ、タマモ!」

255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:01:31.81 ID:lA1vjWI20
水銀燈「そらそらそらそらぁ!どうしたのよ真紅!反撃してみなさいよ!」

真紅「いい加減に、しなさい!」

水銀燈「あらこわぁい……それが鬼の力?」

真紅「鬼?」

水銀燈「あなたのミーディアムよ。左手が妖怪のモノだったでしょう?
私のミーディアムが狐のバケモノのように、あなたのミーディアムは鬼……デーモンよ」

水銀燈「悪魔の力まで借りて戦うあなたが争いのないアリスゲームを行おうとするんだもの……
笑っちゃうわよねぇ!そらぁ!」

真紅「……違うわ水銀燈!この力はそんなものじゃない!鳴介と繋がっている私には分かる!」

水銀燈「何が分かるっていうのよぉ!」

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:05:25.73 ID:lA1vjWI20
真紅「これは……皆を守りたいを思う力!間違った道に進むものを止めたいと思う力!
これは断じて鬼の……悪魔の力なんかじゃない!鳴介の!ぬ~べ~先生の、絆の力よ!」

水銀燈「だから!それがどうしたっていうのよ!コノォ!」

真紅「今なら分かる……私がどうしたかったのか!
争いのないアリスゲームのためにどうすべきなのか!」

水銀燈「ならどうするっていうのかしら?
……私はねぇ、口先だけで丸め込まれるような妹たちとは違うのよ……見せてみなさいよ真紅!
そこまで言うのなら、あなたの信じる愛の力ってものを!
もっとも、お父様がおっしゃた愛より正しいものなんてありはしないでしょうけどねぇ!」

真紅「水銀燈……あなた……」

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:11:00.48 ID:lA1vjWI20
水銀燈「気に入らない!気に入らない!気に入らない!ありもしないものにしがみついて、
お父様の言葉を捻じ曲げるあなたのその澄ました顔……すごく気に入らないわぁ!
お父様以外の愛なんて存在しないのよ!それを教えてあげる!真紅ぅ!」

真紅「ッ!……そう、そういう事なのね水銀燈……いいわ!私はあなたを……止めてみせる!」

真紅「受け止めなさい水銀燈!皆の!薔薇の姉妹の想いがこもったこの一撃を!」

ガガガガガガッ!!!!!

水銀燈「~~~ッ!!!!!?な、なに、コレ……こんな力……冗談じゃ、ないわ……よ……」

真紅「はぁ……はぁ……と、止められたの?水銀燈を……」フラッ

ぬ~べ~「大丈夫か真紅!?」

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:16:18.99 ID:lA1vjWI20
真紅「あぁ……鳴介。わたし、やったわ。水銀燈を止められた……
これが、あなた達の言う愛の力なのかしら」

ぬ~べ~「俺にはまだ愛ってのがどんなものなのか全ては分からない……
でも、お前がしたことは、確かに水銀燈を愛したゆえの行動だと、そう思うよ」

真紅「あたり、まえじゃない……だって水銀燈は、私たちの大切な、姉……なんですもの」

ぬ~べ~「……気が緩んで意識を失ったか。おいタマモ、そっちはどうだ」

タマモ「体の各箇所に損傷はみられますが、まぁそこまでひどくはありませんよ……
しかし、驚いたものです。私の力をフルに注いだこの水銀燈に勝ってしまうなんて……
やはり愛というものは恐ろしい。そして、素晴らしくもある」

ぬ~べ~「お前は愛というものを勘違いしているよ、タマモ」

タマモ「フッ、今日はそういうことにしておきましょう……?」

水銀燈「ふ、ざけんじゃ……ないわよ……そこの、ゲジマユ男……」

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:22:58.22 ID:lA1vjWI20
ぬ~べ~「水銀燈、お前……」

水銀燈「コイツの愛が、間違ってるですって……?
コイツはね……こう見えても、人形の私を……理解しようとしてくれたわ……
どんな愛でも、それが……見ず知らずのお父様のものでも、受け止めてくれた……!
それが、間違ってるんなら!アンタなんて……教師、失格よ……お、バカ、さん……」

タマモ「……いやはや」

ぬ~べ~「タマモ……俺は……」

タマモ「何を悩む必要があります。私があなたを焼き殺そうとしたのは事実ですよ。
それに、私はこの娘を受け入れたわけではない。
愛の研究の一例として考察してやったまでです……それでは」

ぬ~べ~「あっ……オイ!またな!タマモ!」

タマモ「―――ッ!……アディオス、鵺野先生」

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:28:17.87 ID:lA1vjWI20


ラプラス「これもまた一つの結末ですか……フム」

ラプラス「赤薔薇のお嬢様が願った終幕……これもまた一つの答え」

ラプラス「よろしい、それもまたアリスゲーム」

ラプラス「これからも拝見させていただきますよ……終わりなき薔薇の姉妹の物語……」


264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:34:23.61 ID:lA1vjWI20

……。

………。

………………。


雛苺「返してぇー!それヒナのぉー!」

翠星石「ヒーッヒッヒッヒ!くやしかったら取り返してみろですぅ!」

美樹「あの緑色のやつ、相変わらず性格わるいわねぇ……」

まこと「美樹ちゃんにそっくりなのだ」

美樹「なぁんですってまことー!」

蒼星石「まったく翠星石は……いい加減にしなよ、雛苺がかわいそうだよ」

真紅「落ち着いて紅茶も飲めないのだわ」

金糸雀「いずなちゃんの作った卵焼きおいしいかしら~」

広「へぇ、いずなさんって料理得意だったんだな……どれ一つ、いてっ!」

金糸雀「ダメぇ!この卵焼きはカナの!」

水銀燈「……うるっさいわねぇ!静かにしなさいよ!集中して本が読めないでしょ!」

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:41:54.02 ID:lA1vjWI20

ギャアギャア ワイワイ ガヤガヤ

ぬ~べ~「相変わらず全員揃うと騒々しいな……」

タマモ「いつまでもこの若々しさを保つ呪法というのには少々興味がわきますがね」

いずも「あーあーカナまた口が汚れてるじゃん、ったくもー……」

ゆきめ「あんまり走らないでねー、周りの人に迷惑だから」

郷子「はいはい雛苺もすぐに泣かないの。ほら、笑って?」

克也「なんか託児所みてぇ……」

ぬ~べ~「アリスゲームを別の方法で終わらせることを模索してもう一月か……」

タマモ「黒魔術、錬金術、仙術、はてはブードゥーの呪法まで……
世界中の魔術には死者を甦らせ人を作り無生物に魂を宿す秘法が数多く存在します。
彼女たちの『アリス』という存在への道しるべもどこかに必ずあるでしょう」

ぬ~べ~「おやタマモ、もう水銀燈の愛はほうっておいていいのかぁ?」

タマモ「勘違いしないでいただきたい。私はあくまで彼女自身が動くことに意味を見出しているのです。
今の彼女はどうやら別の道を模索しようとしている……
それを支えてやるのがあの強力な『愛』の力を理解する最善策なのですよ」

268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:48:02.05 ID:lA1vjWI20
いずな「狐のくせに言うことがえらっそーなんだから……
それにしてもよくみんな仲良くなったよねぇ。特に水銀燈」

水銀燈「仲良くなってない!勘違いしないでちょうだいニンゲン、
私はそこの狐のもとで学べることが有意義だから暇つぶしもかねてここにいるだけよ……
その気になればこんな子たち、片手で捻れるもの……気まぐれよ。気まぐれ」

ゆきめ「素直じゃないわねぇ」

翠星石「オメーはむかしっからそうやって憎まれ口ばーっか叩いて、少しは成長しやがれですぅ」

水銀燈「アンタにだけは言われたくないわよ!」

雛苺「キャー水銀燈が怒ったのー!」

蒼星石「はい克也くん、紅茶……熱いから気を付けてね」

克也「お、おう……サンキュ」

ぬ~べ~「……ま、仲良きことは美しきかな、ってとこか」

269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 00:52:45.83 ID:lA1vjWI20
真紅「ねぇ鳴介、すこしこっちに来て」

ぬ~べ~「なんだよいきなり」

真紅「抱っこしてちょうだい」

ぬ~べ~「だ、抱っこ!?なんでいきなり!」

真紅「何を照れているの。私はお人形よ?人間に抱かれるのはごく自然なことだわ」

ぬ~べ~「い、いやしかしだな……」

真紅「だめなの?」

ぬ~べ~「……わかったよ。こうか?」

真紅「そう。もっと優しく、包みこむように……ふふ」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 01:03:18.13 ID:lA1vjWI20
ぬ~べ~「どうした?真紅、お前なにかあったのか?」

真紅「いいえ鳴介、何もないわ。そう、あなたのおかげで何もない日常を手に入れることができたの。
薔薇の姉妹が揃いながら、争わず、戦わずにすむ日々がね」

ぬ~べ~「それはお前たち自身の努力のおかげさ」

真紅「あら謙遜?意外と慎ましいのね……最初は粗野でダメな男だと思っていたのに、
優しくて頼もしくて、いざとなったらなんでもやってのけるスーパーマン……本当に不思議な人」

ぬ~べ~「オイオイ、褒めすぎだぞ」

真紅「褒めすぎることなんてないわ。頼りにしてるのよ、ミーディアム」チュッ

ぬ~べ~「―――ッ!?」

272: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 01:09:50.94 ID:lA1vjWI20
ゆきめ・郷子「あ、あぁーーーー!!」

タマモ「おやおや。鵺野先生にそのような趣味がおありとは……」

翠星石「おー!ヒューヒューですぅ!やっちまえですぅ真紅!」

美樹「キャー!教師と人形のただれた恋!秘密の授業は僕の膝の上でー!?」

広「ぬぬぬ、ぬ~べ~がききき、キスぅ!?」

雛苺「やっちまえなのー!」

まこと「ちゅーしたのだ!」

いずな「うわー  コンだー!マジやばー!アハハハハ!」

金糸雀「うひゃああ見ちゃったかしら!キスしてるの見ちゃったかしら!」

蒼星石「真紅って意外と情熱的なんだね」

克也「……すげ」

水銀燈「あーぁ、ばっかじゃないの……ふん」

276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/08/18(土) 01:16:09.76 ID:lA1vjWI20
ぬ~べ~「お前なぁ……」

真紅「フフ、私はあなたの幸せなお人形。これからもよろしくね、ぬ~べ~」

ぬ~べ~「……あぁ、こちらこそよろしくな、真紅」





おしまい

引用元: ぬ~べ~「まきますか、まきませんか?」