加奈「外はすごい天気だそうですね」

忍「私たちはスタジオの中にいますが、さっき外から来たスタッフさんがずぶ濡れになってましたから……」

蓮実「そういえば、忍ちゃんもずぶ濡れのカードがありましたね」

忍「わわわ、無し！あれは無し！若気の至りだったの！」

蓮実「ふふふっ、大丈夫です。信じてますから」

忍「何が大丈夫なのかよくわからないけど……」

加奈「そういえば、今日って『陽光うららかな日』なんですよね」

蓮実「はい。……といってもその歌の元になった年は4月後半まで桜が咲いていたって聞きましたから」

忍「昔は今みたいに異常気象とかなかったのかなぁ」

加奈「昔だから、エアコンとかないしね……」
（注意。一応、ありました）

忍「そういえば、昨日だいたいの小学校で卒業式って言ってたね」

加奈「あ。私、昨日振袖姿の子を見たけど、それだったのかな？」

蓮実「今は小学生も卒業式は振袖のところがあるんですね」

忍「そういえば、菜々さんに昔聞いたら……」



菜々『ナナの女学生……げふげふ、ナナのおばあちゃんがそのおばあちゃんに聞いた話だけど』

『昔の女学生はいいとこのお嬢様ばかりだったから、縁談話が来ると学生でも寿退社……寿退学になるのかな？』

『……が当たり前にあって、卒業式にみんなが揃うことってなかったんですよ』

『ナナは少し花嫁修業してからお嫁に……じゃなくておばあちゃんがお嫁さんに行ったのは少し後だったんで、取り残されたみたいで寂しかったですよ』

忍「……って」

加奈「へぇ……今なら考えられないね」

蓮実「『命短し、恋せよ乙女』の言葉通り、満足に青春も送れないまま家庭に入り子を成した時代ですから……」

加奈「で、でも恋愛結婚もあったんだよね？」

蓮実「……あるにはありましたが、家長制度があった時代ですから駆け落ち同様というパターンが…」

忍「……」

加奈「……もしかして忍ちゃん。自分に重ねていたりする？」

忍「ん……そういうわけじゃないけどね。もし、私が当時生きていたらどうなってたのかなって」

蓮実「私は母もアイドルになるのを応援してくれましたから……もしかすると割とスムーズになれたのかもしれませんね」

「でも、　　グロナンセンスの時代の後があの戦争への道ですから、果たして自由に歌えたのか……」

加奈「うーん、難しいなぁ」

忍「とりあえず、みんな、今アイドルをやれていることに感謝しないとね」

加奈「はい、プロデューサーさんに感謝です！」

忍「じゃあ、お便りを紹介します。ラジオネーム『おもしろクンさん』……あれ？どこかで聞いた名前だね」

加奈「えっと……『大好きな提督が帰ってこないぴょん。どうしたらいいぴょん？』とのことですが」

蓮実「えっと……？」

加奈「の、法子ちゃんならわかるかも……しれないな」

忍「似たようなお便りで『司令官』『マスター』『プロデューサー』も行方不明みたいで……」

蓮実「いったいどこへ……？」

加奈「とりあえず、皆さんは早く帰ってあげてくださいね！」

忍「ウチだと第十回の総選挙と第二回VAがあるんで……プロデューサーの皆さん、よろしくお願いします！！」



蓮実（……去年のことがありますからね）

加奈（忍ちゃんは余計に必死なんでしょう……）

…………
……

蓮実「そろそろお別れの時間が来てしまいましたね」

加奈「来週のパーソナリティは、315プロのどなたかを予定してます」

忍「それじゃあ、来週もよろしく！あと受験生のみんなは、最後まで諦めないでください」

蓮実「それではまた会える日まで……」





『シーユーアゲイン』

ﾋﾟｰｯ



ｵﾂｶﾚｻﾏﾃﾞｼﾀｰ

加奈「ふぅ……すっごい緊張しました」

忍「生放送じゃないけど、ラジオって大変だねぇ……レギュラー持ってる人がすごいって思うよ」

蓮実「ライブほどじゃありませんけど、疲れましたからね」



加奈「じゃあ、今から少しだけお出かけしない？」

忍「あー、ごめん。今からちょっと……」

蓮実「素敵なお誘いですが……」

加奈「ん、大丈夫だよ。また、晴れた時とかにお花見に行こうね」

忍、蓮実『はいっ！』

加奈「ふぅ……よしっ！」



――靖国神社

加奈「桜は……あ、あった！」

「まだまだ……だね」

「……ねぇ、桜さん。私って妹キャラにメモキャラだけでいいのかな？」

「……少し迷っちゃってて」

「今だって充分幸せだよ。プロデューサーさんに見出だしてもらって、色んな人と出会えて色んなことをして」

「……でも、ふと思うの。もっと私……上に登れるんじゃないかって」

「登って、もっとキラキラした私を見て貰いたいっていつも思ってる」

「だけど、登ったら……それはみんなとの別れ……それもアイドルとしての別れになるんじゃないかって」

「恐くなって……あと、登る時に失敗してもう二度と登りたくなくなるんじゃないかって」

「……臆病なだけかな」

「今度のボイスオーディション……多分、チャンスはそうそうは残ってないから頑張らないといけないのに……ね」

「ダメだよね……やっぱりこのままがいいのかなぁ……」





（予想通り、桜は何も答えてくれなかった……）

（でも、雨の中来た意味はあったみたい）

（人には聞かれたくないことが言えたしね）

加奈「よーし、総選挙上位を狙って頑張れ！！」

「シンデレラは無理でも、目指せ10位以内だ！」





？「加奈……」

？「そんなことを思ってたなんて……な」



加奈P「でも、俺なりの道筋は示してやりたい」

「だから負けるなよ」





続く？