1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:42:04.75 ID:WGKI7JqT0
妹「…あの…あに、くん?こう言ってはなんですが、私達兄妹で」

兄「そうだね」

妹「確かに今まで離れて暮らしてて初めて逢ったのが昨日だけど」

兄「20年。長いね」

妹「両親が離婚して父親と姉ちゃんと兄くんと離れなければこんな事にはならなかった」

兄「経緯が凄いな。離婚してたけどたまに逢ってて、母さんは一人で妹産んで」

妹「私がそれを母から聞いたのは15歳で、兄くんはその事情をこないだ知って」

兄「うん。偶然出逢って恋愛関係にでもなってたらもっとドロドロ」

妹「23時枠ドラマか昼ドラ」

兄「いいとこ突くね」

妹「そんな話じゃない」




2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:43:00.67 ID:WGKI7JqT0
妹「…一応兄妹、だよ?」

兄「欧米じゃ挨拶」

妹「ここは日本。それも私の家」

兄「なかなか理屈っぽいね」

妹「いや事実」

兄「じゃあ事実としてこのベッドの上で抱き締め合ってる状況は妹的にどうなの?」

妹「兄くんが寝転がって腕を広げたんだもん」

兄「へぇ、俺のせいか」

妹「…うぅ」

兄「ほう、ますますお兄様の胸に顔を埋めるかね」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:43:43.28 ID:WGKI7JqT0
妹「だってー…」

兄「20年分の甘え?」

妹「…ってことにしといて」

兄「違うの?」

妹「違わないけどちょっと違う」

兄「どっち」

妹「複雑なんだよー…」

兄「事情が事情だしな」

妹「そうそう」

兄「しょうがない」

妹「て、ちょ…っ」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:44:20.73 ID:WGKI7JqT0
妹「ーっ!」

兄「お前おでこ熱いな」

妹「だからなんで…」

兄「隙あり」

妹「んっー…!」

兄「いやぁ、実に触り心地のいい頭だ」

妹「なんなのもう…ぎゅーしてちゅーしてなでなでって…」

兄「じゃあなんでおとなしくされるがままなんだ?」

妹「知るか」

兄「うわ、酷い」

妹「兄くん彼女さんいるのに」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:45:20.92 ID:WGKI7JqT0
妹「怒られるよ」

兄「そうだな。バレなきゃいい」

妹「うわー、浮気者の理屈」

兄「妹は含まない」

妹「あーやだやだ。知ーらない」

兄「妹は今彼氏いないんだっけ」

妹「いないよ、当分いらない」

兄「クールだな」

妹「欲しくなったら求めるからいいよ」

兄「楽天的なリアリストだし?」

妹「うん。まさか性格性質が似てると思わなかった」

兄「血だね」

妹「言ってるそばからまたキスしようとすんな」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:45:58.77 ID:WGKI7JqT0
兄「なんだよ、顔背けやがって」

妹「…なんかすっごくイケナイことしてる気分」

兄「まぁ…倫理的ではないな」

妹「ほら」

兄「でも愛しいって思ってる」

妹「え?」

兄「逢って1日だけど思ってる」

妹「なんなのもう…」

兄「妹は?」

妹「……」

兄「思ってない?」

妹「…………ない」

兄「ないの?」

妹「…そう思ってなきゃおとなしくしてない!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:46:32.43 ID:WGKI7JqT0
兄「何故また顔を背ける」

妹「知るか」

兄「デジャヴか、デジャヴだなこれ」

妹「倫理的じゃないって自分で言っといて…」

兄「客観的視点というのは常に必要だ」

妹「全面的に同意するけどそれは都合のいい主観では」

兄「そうか…世の中案外そんなもんだ妹よ」

妹「私たちも親の都合で離されてた訳だしね」

兄「おう」

妹「…今度は頬ですか」

兄「ほら、そろそろこっち向け」

妹「何よもう…」

兄「こっち」

妹「指先で唇トントンなんて仕草が許されるのは20歳未満の女の子だけ」

妹「そんな事しなくても…出来る」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:47:12.30 ID:WGKI7JqT0
兄「…へ~ぇ」

妹「…っ……」

兄「そういう駆け引き遊びを俺にしちゃうとか」

兄「お前遊び人だろ」

妹「お互い様だ」

兄「スミマセン」

妹「私、それ以上のことされてもきっと拒絶出来ない」

兄「うん、そんな感じ」

妹「拒絶の術なんて持ってない」

兄「…酔って彼女と間違えて…とか…」

妹「兄くんはないだろうね」

兄「だな、言ってて現実味ねえもん」

妹「…キスまで」

兄「…だな」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:47:47.52 ID:WGKI7JqT0
妹「今度は私が逢いに行く番」

兄「よし、手料理を振る舞ってやろうじゃないか」

妹「楽しみ」

兄「期待していいぞ。自炊歴長いから」

妹「うん。ひと月後に」

兄「そうだな。新幹線で3時間くらいだ」

妹「長いね」

兄「20年に比べればどうってことない」

妹「それもそうか」

兄「探し続けてくれてありがとう」

妹「逢いに来てくれてありがとう」

兄「ん」ちゅ

妹「…む」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:48:33.47 ID:WGKI7JqT0
妹「…さて、兄くんが帰ってしまった」

妹「まさかこんなことになるとは」

妹「キスとかハグとか…」

妹「……////」

妹「いやいや、それ以上はいけない。いくらすきでもいけないって」

妹「…でも兄くんだったら…とか」

妹「…馬鹿みたい。私。恋心なんてもんじゃない…のに」


妹「…兄妹かぁ」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:49:11.86 ID:WGKI7JqT0
兄「…さて、短い逢瀬だった」

兄「まさかあんなに懐っこいとは」

兄「そして拒絶もしないとは」

兄「…俺のがまずいか」

兄「もしなんかなっちまったら止まんねえだろーなぁ…」

兄「…あいつ、絶対受け入れる」

兄「そしたら俺は…」


兄「あ、メール妹…じゃない、彼女か」


兄「…兄妹ねぇ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:49:45.16 ID:WGKI7JqT0
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ひと月後

妹「やぁ、兄くん」

兄「おう、遥々お疲れ」

妹「いっやー、長かった。車おっきいの乗ってるんだね」

兄「何かと入用でな。荷物それか。貸しな」

妹「え、平気だよキャリーだし」

兄「いいから」

妹「…ありがと」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:50:28.79 ID:WGKI7JqT0
兄「母さんなんか言ってた?」

妹「離れてた分兄妹水入らずで過ごしなさいよーって」

兄「すっげぇ信頼だな」

妹「日頃の行い」

兄「表向きの?」

妹「そそ。不健全に遊ぶにはまず家族の前では健全に」

兄「お前の性格の一端が垣間見える発言だわ…」

妹「さて3日間よろしくね兄くん」

兄「こちらこそよろしく妹よ」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:51:13.67 ID:WGKI7JqT0
兄「はいどーぞ」

妹「お邪魔します。ほぉ、なかなか素敵なお住まいで」

兄「そりゃどーも」

妹「私の理想的な部屋の雰囲気」

兄「そか。荷物ここら辺置いとくぞ」

妹「ありがとー」

兄「何飲む?」

妹「何ある?」

兄「ビール焼酎梅酒ウィスキー」

妹「梅ロック」

兄「あいよ。俺はビールかな」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:51:48.01 ID:WGKI7JqT0
兄「では再会を祝して」

妹「カンパーイ」

兄「煙草失礼。飯は喰ったんだよな?」

妹「うん、お酒と共に行き掛けに」

兄「じゃあ飲んだくれたら風呂入って寝るだけだな」

妹「飲んだくれは決定なんだ」

兄「同じ血であることが酒の強さを証明している」

妹「認めます、そこは」

兄「で、うちはダブルベッドがひとつだ」

妹「一緒に寝るし」

兄「なら問題ない」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:52:21.59 ID:WGKI7JqT0

妹(問題ない…けどさ…)

兄(問題…だよなぁ…)

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:53:01.04 ID:WGKI7JqT0
兄「…さて、ぼちぼちつまみでも作るかね」

妹「手伝いましょうか」

兄「いいよ。俺が作る時はキッチンに誰もいれないの」

妹「ポリシー」

兄「そ。だから大人しくしてなさい」

妹「はーい」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:54:05.70 ID:WGKI7JqT0
妹(お酒!お風呂!ひとつのベッド!一緒に寝る!)

妹(しかし私にはそんな度胸ない)

妹(流れ流れて…とか…都合良く行く訳ない…よなぁ…)

妹(ていうか思考がどんどん兄くんとどうにかなる方向へ…)

妹(いかん、これはほんとにいかん)

妹(ちゃんと『妹』しなきゃ、『妹』)

妹(だけど異性との関係としては『彼女』と『友達』しか経験のない私に)

妹(『妹』なんて出来るのだろうか)

妹(あぁぁぁ『はじめての妹』とかなんでないんだろう…)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:55:06.60 ID:WGKI7JqT0
兄(あんなあっさり一緒に寝ようと言われると)

兄(気が引ける気がしないでもない)

兄(いやまぁ最初に抱き締めちゃったのは俺だけど)

兄(でもあいつだってそれなりにノリ気…っつーか…)

兄(いかん、本気でどうにかなろうとしてる)

兄(『兄』でいなきゃだ、うん)

兄(っつーか母さんあんたどんだけ騙されてんだよ!)

兄(ありゃあ不健全だ!末恐ろしい!!)

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:55:39.33 ID:WGKI7JqT0
兄「ほい、ツナサラダとチーズと軟骨揚げ」

妹「素敵居酒屋メニューですね。頂きます」

兄「どうぞ」

妹「ん!軟骨揚げおいしい!」

兄「ビールに合うぞ」

妹「苦くて飲めないんだよねぇ…」

兄「なんだ、おこちゃまめ」

妹「辛いのも苦手だし」

兄「甘やかされたな」

妹「味覚だけね」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:56:11.72 ID:WGKI7JqT0
兄「妹は、兄がいるって知ってどう思った?」

妹「嬉しかったよ。で、すぐに逢ってみたいって思った」

妹「だけど高校上がりたての私にはそんな術もなく」

妹「間抜けなことに仕事関係で父親と遭遇。そして今日に至る」

兄「ほんとチープなドラマだよな」

妹「お似合いだよ。ベタでいい」

兄「ははっ、そうだな」

妹「兄くんは?妹がいるって知ってどう思った?」

兄「やっぱ嬉しかったな。小さい頃から妹欲しいって思ってた」

妹「ふふ。もう大きくなっちゃったけどね」

兄「関係ないさ。嬉しいもんは嬉しい」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:56:46.48 ID:WGKI7JqT0
兄「じゃあ、兄がいたら、したかったこと」

妹「えぇ~…それ結構難しいなぁ…恋愛相談とかお買い物とか…あと喧嘩?」

兄「案外普通だな」

妹「そう、そういう普通がしたかったの。一番はやっぱ『生活』なんだよ」

兄「ふむ。まぁ飲め。そして喰え」

妹「ありがとう、ほんと美味しいよお酒もおつまみも」

兄「これからはいつでも頼んなさい」

妹「!」

兄「兄妹なんだから」

妹「…うん」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:57:27.24 ID:WGKI7JqT0
妹「兄くんはなんかしたかった?」

兄「ん~そうだな。悪い遊びとか教えたかったかもな」

妹「何それ?高校生で煙草とかお酒とか?」

兄「そうそ。あと学校忍び込みに連れてったりとか」

妹「お転婆娘になっちゃうじゃん…」

兄「仕込んでみたいだろ、そういうの」

妹「まぁ7つ離れてたら…ありか」

兄「ありだ」

妹「それも楽しそ。夏の夜のプールとか憧れたな」

兄「げっ、やらなかったの?」

妹「警備会社入ってたもん」

兄「…今ジェネレーションギャップを猛烈に感じた」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:58:09.11 ID:WGKI7JqT0
兄「さて、俺風呂入ってくる」

妹「はーい」

兄「しかしお前飲むね。何杯目だそれ」

妹「はて…自分で7回は注いだ気が。兄くんだって結構飲んでるじゃない」

兄「まぁそうだけど…程々にな」

妹「はーい。いってらっしゃい」

兄「おう」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:58:55.82 ID:WGKI7JqT0
兄(酒飲みもがっつりとDNAか…恐ろしいな)

兄(顔のパーツもちょいちょい俺や親父に似てたりするし)

兄(たまに見せる表情が姉貴にそっくりだったりするし)

兄(したかったのは『生活』ねぇ…)

兄(今叶えられる事じゃないのが切ねぇよなぁ…)

兄(…寂しかったんだろうか)

兄(楽しそうではあるけど)

兄(抱き締めて、キスまでしたこないだのことを)

兄(あいつはどう思っているんだろう)

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 14:59:48.92 ID:WGKI7JqT0
妹(そこそこに飲める方ではあるけれど流石に酔いと旅疲れも相まってきた)

妹(ちょっと横になっちゃおうかな…クッションずらして…っと)

妹(やっぱちょっとは顔とか性格とか似てるんだなぁ…)

妹(益々『生活』してみたかったよ…どんな私になってたんだろう)

妹(寂しいとか思う程情熱的な生活ってしてこなかったけど)

妹(あんな兄ちゃんだったら楽しかっただろうなぁ…)

妹(でも、暮らしてたら、抱き締めたり、キス、したり…ないよね…)

妹(…どっちが幸せなんだろう)

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:00:24.41 ID:WGKI7JqT0
兄「妹ー」

妹「…んん~」

兄「なんだ、起きてんじゃん」

妹「ん。ちょっと疲れたみたい」

兄「だろうな。風呂入れ。んでさくっと寝よう」

妹「ん。頂いてくる」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:01:01.23 ID:WGKI7JqT0
妹(…上半身裸で出て来るとか)

妹(何考えてんだ馬鹿め)

妹(無駄のない綺麗な胸しやがって)

妹(…思考が不埒だ)

妹(あー、洗面所もお風呂場も彼女さんのものが諸々と)

妹(…写真あったけどどうも好みの女性じゃないんだよね)

妹(…嫉妬…かな……)

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:01:45.74 ID:WGKI7JqT0
兄(そうだよな、流石に疲れただろうな)

兄(なのにもう3時近いし)

兄(つい色々喋っちまった)

兄(…うわ、梅酒の中身軽っ)

兄(…酔いも廻ってるだろうし今日はちゃんと寝よう)

兄(明日観光させてやりたいしな)

兄(明後日には帰っちゃうしな…)

兄(…ん?『今日は』?)

兄(…俺…あいつにどうしたいんだろう)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:02:41.35 ID:WGKI7JqT0
妹「お風呂頂きました」

兄「おう」

妹「あ、ごめんね洗い物」

兄「いいよ。さて、明日に備えて寝ますかね」

妹「寝ますかね」

兄「電気消すぞー」

妹「どうぞー」

兄「んんー…ほれ」

妹「ん?腕枕」

兄「お約束だろ」

妹「お約束だね」

兄「おやすみ」

妹「…おやすみなさい」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:03:35.05 ID:WGKI7JqT0
妹(まぁ現実は)

兄(こんなもんだな…)

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:04:18.47 ID:WGKI7JqT0
兄「…っつー感じで本日の観光ひとまず終了!ただいま!」

妹「ん。楽しかった!」

兄「しかし2時か。朝の7時頃から動くと有意義だな」

妹「だねー。お昼のラーメンでお腹いっぱいだし」

兄「ところで妹よ」

妹「なんだい兄くん」

兄「眠いと思わないか」

妹「奇遇だね、私もそう思っていた」

兄「…昼寝すっか」

妹「ナイスなアイディア」

兄「よし、寝よう」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:04:59.15 ID:WGKI7JqT0
妹「そしてまた腕枕」

兄「おう。気持ちいいじゃないか」

妹「そうですね」

兄「ひと眠りしたら、夕飯の買い物だな」

妹「メニューは?」

兄「お好み焼き」

妹「好きー」

兄「よしよし、じゃあ寝なさい」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:05:42.86 ID:WGKI7JqT0
兄「む…?3時半…か…」

妹「すぅ…ん…」ぎゅぅ

兄「……」

兄「……」ちゅ

妹「…むー…」ごろん

兄「起きた。ってうつ伏せになるんかい」

妹「…ちゅーされた」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:06:33.37 ID:WGKI7JqT0
兄「気付かれてちゃあしょうがない」

妹「ん、ちょ、もぅ…」

兄「あー、手の感じそっくり」

妹「へ?あぁ…指細長いよね、ふたりとも」

兄「男と女の違いくらいだな。DNAまじすげぇ。しかし綺麗な手だなー」

妹「自慢のパーツです」

兄「まぁもし貧 だったら偉大なるDNAを恨め。姉ちゃん薄いから」

妹「それは母DNAだ。でも私それなりにあるよ。C程度だけど」

兄「…へえ」

妹「寄せれば谷も出来ますし」

兄「…ほう」

妹「…あの、…横 触るとかなんなんですか」

兄「ふむ、確かに」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:07:30.06 ID:WGKI7JqT0
妹「……」

兄「…どれ」

妹「ちょっ…!」

兄「横だけじゃわからないし」

妹「だからって胸元から手ぇつっこむとか…っ」

兄「ほら、兄としては妹の身体というものを把握しなければ」

妹「んな訳なっ!…っ…」

兄「ね」

妹「…く…」

兄「…ふぅん」

妹「なに……っは…」

兄「いや、肘立てたまんまだし触り易くしてくれてんのかなぁ、と」

妹「違っ…!ん…っ」

兄「違うかぁ」

妹「きゃっ!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:08:16.04 ID:WGKI7JqT0
兄「んん。後ろから羽交い締めも悪くないね」

妹「ちょっと…兄く…!」

兄「こんな硬い」

妹「っ…!」

兄「…腕噛まれた」

妹「…抵抗」

兄「遅ぇよ」

妹「…うぅ」

兄「んーじゃ」

妹「えっ?ちょ…っ…!」

兄「……」クチュッ

妹「……ひぁっ…」

兄「…もうこんな?」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:09:47.00 ID:WGKI7JqT0
妹「…知るか」

兄「もう通じねえぞ嘘吐きめ」

妹「あっ…!」

兄「何、その押さえようとしてる手。それも抵抗のつもり?」

妹「やっ…だぁ…っ…」

兄「足も。開かせるのわかってやってるでしょ」

妹「はっ、っあ…っ!」

兄「…くちゅくちゅ言ってるけど」

妹「言わっ…な……で…」

兄「……」クスクス

妹「はぁっ…な…、に、よ…」

兄「あー…ひとまずここまで」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:10:16.95 ID:WGKI7JqT0
妹「ひとまず、って…」

妹「……ふん」むぎゅっ

兄「おぅふっ。なんだ、兄のそれは把握しておこうとかのあれか」

妹「そうそう。こんなもんなら遊びたくなってもしょうがないねぇ」

兄「…おま……」

妹「……」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:11:00.58 ID:WGKI7JqT0
兄「…俺、多分今夜抱くわ」

妹「……え」

兄「ほんとに抵抗しないし」

妹「…したよ。形式的に」

兄「まさに形式的だったな」

妹「出来ないって、言ったもん」

兄「うん」

妹「楽しい方がいいし、楽な方がいいし…」

兄「…気持ちいい方がいいし」

妹「あははっ!言われちゃった…あー、不健全」

兄「…だな」

妹「倫理的じゃないし不謹慎だし」

兄「うん」

妹「でも、私は嫌じゃない」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:11:51.30 ID:WGKI7JqT0
兄「妹…」ぎゅっ

妹「兄くん?」

兄「…身内の匂いって遺伝子的に嫌だったりするとか聞いたけど」

妹「あぁ、あるらしいね」

兄「でも全然気にならないもんだな」

妹「…うん」

兄「なんて、言い訳にはならないけど」

妹「…いいよ、私達が納得さえすれば」

兄「…ご都合主義」

妹「上等だ」

兄「頼もしい限り」

妹「お買い物行こうか」

兄「そうだな」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:12:37.79 ID:WGKI7JqT0
妹「ほぉー…」

兄「どうした、妹」

妹「スーパーと駐車場がでかい…」

兄「都会っ子め。ほれ、エコバッグこっちに…」

妹「ん?」

兄「……あの、妹さん。手ぇ繋ぐために手出したんじゃなくて…」

妹「うん」

兄「ぎゅっでもなくて…」

妹「何かおかしい?」

兄「…いえ、何も」

妹「じゃ、行こう。キャベツにたまごに紅しょうがー」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:13:24.21 ID:WGKI7JqT0
妹「美味しかった!ご馳走様でした」

兄「お粗末さまでした」

妹「そして本格的に晩酌」

兄「いやぁ、誰かいるっていいな」

妹「普段一人酒なんだっけ?」

兄「結構多いなー。たまに友達来たりもするけど」

妹「ふぅん」

兄「妹は?」

妹「友達と外飲みか家で一人」

兄「毎日のように?」

妹「ううん、全然。気が向いた時だけ」

兄「煙草も吸わないし健全だな」

妹「えぇ、嗜む程度ってやつです」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:14:08.80 ID:WGKI7JqT0
兄「今のそれ飲んだら風呂入っておいで」

妹「ん。もうこんな時間かぁ」

兄「明日はちょっとゆっくり起きて市内観光、で見送り」

妹「早いもんだ」

兄「だな」

妹「月曜日という現実が待ってる…」

兄「俺もだ妹よ」

妹「…お風呂頂きます」

兄「…どうぞ」

妹「……」

兄「なんだ」

妹「いや、一瞬ベタな台詞と展開が浮かんだ」

兄「さっさと入れ」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:14:44.44 ID:WGKI7JqT0
妹(現実が待ってるよほんと)

妹(この後っていう現実とこれからっていう現実が)

妹(あぁぁなんだかどきどきしちゃう…)

妹(…舞い上がってるだけなのかただの欲 なのか)

妹(でも兄くんにキスされた先月の時既に)

妹(私はこうなることを期待してたんだ)

妹(…それだけは間違いない)

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:15:22.93 ID:WGKI7JqT0
妹「お先ありがとー」

兄「おぉ、んじゃ俺入ってくる」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:16:23.82 ID:WGKI7JqT0
兄(現実か…)

兄(これは、愛情なのか、ただの欲 なのか)

兄(それとも母親がいなかった俺の求める母性とかなのか)

兄(身内という安心感に甘んじているだけ、なのか…)

兄(…でも抱きたい)

兄(キスしたあの時からずっと意識していたんだ)

兄(ひと月経っても変わらなかった)

兄(ただの欲 なんかじゃない)

兄(ただ…愛しいだけなんだ…)

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:17:24.94 ID:WGKI7JqT0
兄「ふー…」

妹「おかえり」

兄「ちょっと一服」

妹「兄くん結構吸うよね」

兄「そうだなー。ほんとはやめなきゃいかんのだが」

妹「深いブルー8mg」

兄「ん?煙草?」

妹「煙草吸うひとと一緒にいるとね、吸い方とか覚えてるんだ」

兄「…そりゃ随分とオトナな恋愛をしてきたようで」

妹「好きになるの年上ばっかでねー」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:18:27.52 ID:WGKI7JqT0
兄「ふぅん。何歳くらい」

妹「10歳上、とか」

兄「げっ、姉ちゃんよりも上か」

妹「そーだね。ファザーコンプレックスもあるかも」

兄「そして今度からブラコンもプラスか」

妹「まぁ大変」

兄「恋愛出来なくなるぞ」

妹「安心しなよ。切り替えはいい方だから」

兄「…そりゃ何より。さて」

妹「わゎっ」

兄「まぁこれもお約束」

妹「お姫様だっこ…」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:19:57.19 ID:WGKI7JqT0
兄「よーいしょ。お前軽いなー」

妹「見ての通り小柄ですから」

兄「ん」ちゅ

妹「むー…」

兄「なんでいつも顔をしかめる」

妹「素直に喜ぶの悔しくて」

兄「なんだそりゃ」

妹「凄い、どきどきしてる」

兄「俺も」

妹「ふふふ」

兄「笑うなよ」

妹「だって…」

兄「……」

妹「…兄くん?」

兄「なぁ、妹」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:21:01.86 ID:WGKI7JqT0
兄「俺達は、兄妹だ」

妹「うん」

兄「俺が妹に対してしてることは、本来兄妹じゃしないことだ」

妹「…うん」

兄「俺が妹に対してしたいと思ってることも、本来兄妹じゃしないことだ」

妹「……うん」

兄「妹は、どうだ?」

妹「え…?」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:21:42.28 ID:WGKI7JqT0

兄「本来しないけど、出来る状況にある」

妹「……」

兄「それでも、望んでくれるか?一番近くにいける行為を」


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:22:29.30 ID:WGKI7JqT0
妹「兄くん…」

兄「ん?」

妹「不健全、だね」

兄「…ああ」

妹「倫理的じゃないって今も思う?」

兄「…そうだな」

妹「だけどそれだけ、って私は思う」

兄「妹…?」

妹「いけないからって理由は、私の中ではルールにならない」

兄「……」

妹「不健全で、倫理的じゃなくて。でもそれだけわかってれば十分だよ」

兄「十分って…」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:23:11.03 ID:WGKI7JqT0


妹「わかってるなら、ふたりともいつでも戻ってこれる」


兄「…妹」

妹「だからね…ーっ」


94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:42:20.72 ID:WGKI7JqT0
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妹(…だからって朝起きて背中向けられてると)

妹(流石にちょっとヘコみますよおにーさま)

妹(…はぁ)

妹(取り敢えず着るもの着よう)

妹(ほんとにしちゃった…んだなぁ…)

妹(でも『それだけ』でもあるんだよ、ね…)

妹(兄くん起きないし)

妹(…二度寝しよ)

95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:43:04.54 ID:WGKI7JqT0
兄(…朝、か)

兄(あれ、妹服着て…一回起きたのか)

兄(風邪引いても困るし着るか。今更だけど)

兄(ほんとにしたんだな…)

兄(だけど『それだけ』としか思わないのは)

兄(異常、だよなぁ…)

妹「ん…」ころん

兄(あ、こっち向いた)

兄(…もうちょっと寝るか)ぎゅっ

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:44:02.12 ID:WGKI7JqT0
妹「あーにーくーん」

兄「…うぅ」

妹「朝」

兄「…ハイ」

妹「お腹すいた」

兄「…デスネ」

妹「…む」

兄「…ちゅーされた」

妹「過剰な愛情表現」

99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:44:39.09 ID:WGKI7JqT0
兄「…んーじゃ朝飯作るとしますかね」

妹「まだ」

兄「おわっ」

妹「……」

兄「…後ろから羽交い絞めも悪くないとかそういう?」

妹「そういう。もーちょっとだけ」

兄「はいはい」

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:45:19.66 ID:WGKI7JqT0
妹「…さ、ご飯」

兄「もういいの?」

妹「うん。顔作らなきゃ」

兄「どこぞのパン男みたいに言うな」

妹「ふふふ。美味しいご飯よろしくね」

兄「はいよ」

妹「…振り向き様にちゅーですか」

兄「…おあいこだ。さ、朝飯朝飯~」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:46:13.65 ID:WGKI7JqT0
妹(思わずキス…しちゃった)

妹(強がってはみたけど、そんなすぐに切り替わらない)

妹(多分この先、私は兄くんをある程度遠ざけると思う)

妹(でも、甘えたい時も頼りたい時もあるだろうし)

妹(いざって時それがちゃんと出来るようにしたい)

妹(うまく出来るかな、わからないけど)

妹(なれなかった『妹』になっていこう)

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 15:46:52.72 ID:WGKI7JqT0
兄(抱いておいておかしな話だが)

兄(触れてくれた事に安堵してしまった…)

兄(あいつ、思った以上に大人かもしれないな…)

兄(この先、また逢わない日が続いて)

兄(俺はその間に多分今の彼女と結婚する)

兄(あいつにだっていつかそういう時が来る)

兄(兄妹としてちゃんと祝福出来るように)

兄(なれなかった『兄』になっていこう)

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:05:22.09 ID:WGKI7JqT0
妹「…まぁ予想通りではあるんだけどさ」

兄「なんだ?」

妹「家事能力高いよね。オムレツ美味しい」

兄「必然ってやつだ」

妹「兄くんたちの『お母さん』はどんなひと?」

兄「…え…っと。どんなって…」

妹「あ、ごめん。唐突過ぎ?」

兄「いや、ふと聞かれると難しいなと」

妹「そか」

兄「…優しい人ではあったよ。血が繋がってない俺らのことちゃんと見てくれて」

妹「うん」

兄「でも…」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:06:05.90 ID:WGKI7JqT0
兄「やっぱどこか…ぎこちなかったな。俺は『母さん』って呼んだ事ない」

妹「…うん」

妹「じゃあ、ママに逢った時はどうだった?」

兄「あー、俺の顔は母親似なんだなーって」

兄「妹は?親父と逢ってみて」

妹「フツーのいい親父さんだなぁって感じ。気が良くて陽気でちょっとメタボで」

妹「育てられて…みたかったな」

兄「妹…」

妹「なーんてね。ごちそうさま」

兄「お、おう」

妹「今日は片付け私やるよ」

兄「任せた。じゃあ俺はコーヒーでも淹れるかな」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:07:14.23 ID:WGKI7JqT0
妹「今度、うちの方に来る予定ってあるの?」

兄「さあなぁ。なんだ。逢いたいか?」

妹「ふふっ。どうかな」

兄「親父には?」

妹「逢うよ。『目一杯たかってこい』って言われたし報告しなくちゃ」

兄「あぁ。あの親父な、わざわざ電話してきやがった」

妹「そうなの?」

兄「嬉しいみたいだな、妹が案外自分に懐いているの」

妹「そっか…父の日にプレゼントあげたのが効いてるな」

兄「へぇ。可愛いとこあるなあの親父」

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:08:01.42 ID:WGKI7JqT0
妹「さて、コーヒーも飲んだしそろそろ出発?」

兄「そうだな。忘れもんないかちゃんと確認しろよ」

妹「もう、ちっちゃい子じゃないんだから平気だよ」

兄「そりゃ、可愛い妹だからな」

妹「お兄ちゃんは大変だねー」

兄「まったくな」

妹「ふふふっ」

兄「妹」

妹「ん~?わっ」

兄「来たきゃまたいつでも来い」ぎゅっ

妹「…うん」

兄「んーじゃブラブラすっか」

妹「うん!」

116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:08:56.88 ID:WGKI7JqT0
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兄「ほい、荷物」

妹「ありがとう。3日間お世話になりました」

兄「いえいえ。気を付けて帰れよ」

妹「はーい」

兄「じゃ、またな」

妹「うん、またね」

兄「…妹」

妹「なぁに?」


兄「不足な兄貴だけど、よろしくな」

妹「不足な妹だけど、こちらこそ」





123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 16:23:46.24 ID:WGKI7JqT0
支援してくれた人、読んでくれた人ありがとう
見事さる喰らった

続きそうにないから続編はない

引用元: 妹「…ちゅーされた」 兄「過剰な愛情表現」