あなたとここで (進撃の巨人) 前編

387: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:48:25 ID:B6OR8RVc0

~~~~アルミンの手紙~~~~

フレイヤへ。

 こんにちは。フレイヤ。すっかり寒くなりました。体調を崩したりしていませんか?こちらは先日雪が降りました。そっちも降ったんじゃないかな?
 ハインリッヒの怪我はそろそろ治る頃かな?治ったらツリーハウスを完成させると言っていましたね。完成したらぜひ見せて欲しいと思います。男のロマン、楽しみにしていると伝えてください。
 そういえば、マリア帰還開拓事業が今月半ばから始まると政府発表がありましたね?新聞を読みました。上手くいけば来年は沢山収穫があるのかな。開拓事業参加者を大々的に募集していたので、ギュンターが行こうかな、と言っていました。本気かな。最初はユトピア南区から始まるそうです。僕は寒いのが苦手なので、もし参加するならクロルバかストヘスの南辺りがいいかなと思います。
 さて、この鳩は初めて手紙を運ぶけど、ちゃんと自分の巣に戻れるかな?

君に会える日を楽しみにしているディルクより

388: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:48:57 ID:9JHjHKTM0

~~~~クリスタの手紙~~~~

ディルクへ

 こんにちは。ディルク。初めてのお手紙、無事届きました。とっても嬉しいです。
本当に寒くなりましたね。毎日の水仕事が辛いです。シャルロッテが毛皮のベストを縫ってくれてみんな大助かりです。今は編み物の真っ最中。私やマレーネも加わって大作にとりかかってます。全員分のベットカバー!まずはマレーネの分から。編みあがったら暖かく眠れます。
家事が忙しくて新聞は全然読んでいませんでした。マリアの開拓が上手く行くといいですね。ハインリッヒにこの話をしたら、マリアに良い土地があったら行きたいと言っていました。このあたりはちょっと土地が痩せているので、麦の育ちが悪いんだそうです。家畜を全部連れて行けるなら行こうかな、となんだか乗り気です。でもフェリックスもマレーネもこれ以上寒いのは嫌!と言っています。シガンシナのあたりが一番暖かいと思いますが、あのあたりの移住が始まるのは当分先かな?

389: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:49:37 ID:9JHjHKTM0

そうそう、またクマが出ました。かなり小柄なのが1頭。ボリスがいち早く気が付いて吠えたので、慌てずに済みました。倒したのはなんと私です。久しぶりに弓を引きました。すごくドキドキしましたが、割と楽に仕留められて良かったです。ボリスは立派な番犬になりました。今はハインリッヒとも仲良しになりましたよ。
お仕事の合間に、また手紙をくれたら嬉しいです。それではまた。
 
あなたが来る日を心待ちにしているフレイヤより

390: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:51:21 ID:9JHjHKTM0

~~~~アルミンの手紙~~~~

フレイヤへ
 
 またクマが出たと聞いて、驚いてペンを取りました。怪我はありませんか?何か困ったことがあったら、遠慮なく言って下さい。すぐに駆けつけます。
 フレイヤが倒したとのこと。スゴイと思います。でもあまり無理しないで下さいね?離れていると、ただヤキモキするだけで何も出来なくて、とても歯痒いですね。非力な僕だけど、そばに居て君の役に立ちたいと、心底思います。
 開拓の話ですが、シガンシナ周辺への移住もこの冬中に始まるらしいです。シガンシナに今兵士や職人が集まってるので、彼らの食料確保のためだとか。ローゼに運ぶ目的ではないので、他の地区に比べると規模が小さく、募集人員も少ないそうですよ。早めに応募しないといっぱいになるかもしれません。ローゼとシーナは税金が上がるので、免税されるマリアに行きたがる人は少なくないんじゃないかな?
 そろそろハインリッヒの様子が気になると先生がおっしゃっています。時間を見つけて行きたいと思います。
 それではまた、近い内に。

今すぐにでも君に会いたいディルクより

391: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:52:30 ID:9JHjHKTM0





――――――
夜になると、思い出す。両親のこと。エレンのこと。シガンシナのこと。
思い出せないのは、シガンシナからここへ来てからのこと。エレンが、そばに居てくれたような気がするのは、夢?
お母さんが言っていた。人が死ぬと、夜親しい人の枕元に立って、お別れを言うって。
エレン、私にお別れを言いに来たの?

392: 進撃の名無し 2014/04/09(水) 04:53:22 ID:9JHjHKTM0

昼間はいい。サシャが、コニーが、クリスタが、ジャンが、みんなが居る。いつの間にかみんな家族のようになってる。毎日一緒にご飯を食べて、家事をやって。すごく賑やか。とても楽しい。
でも、夜は。

寒い。とても寒い。
マフラーは、もう巻けない。シガンシナで戦った時、千切れて、汚れて、擦り切れて、元の形が無くなって、触れば崩れてしまいそうで、それで、棚の上に置いてある。
エレンはいない。私は私の体を支配することもできない。戦えない。これでどうやって、生きて行けばいい・・・・

寒い。
寒い。

エレンに、会いたい。

393: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 10:58:29 ID:DsZIhakM0



ジャンコニ「おはよー」

サシャ「おはようございます。寒いですねぇ」

クリスタ「良く眠れた?」

コニー「う~ん、それが寒くてちょくちょく目が覚めるんだよなぁ」

ジャン「俺もだ。熟睡できん。今年はやたら寒いな」

394: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 10:59:21 ID:DsZIhakM0

クリスタ「早くベットカバーを編み上げないと、ちょっと辛いね。私は猫と寝てるから平気だけど」

サシャ「猫?!猫と寝てるんですか?」

クリスタ「うん。仲良くなったら、いつの間にかベットに入ってくるようになって。すっごく暖かいんだよ?」

コニー「ノミがいるんじゃねぇの?」

クリスタ「ふふふふ。ノミ除けの薬草を練りこんだ首輪を付けたんだ。だからノミもダニもいないよ?」

コニー「すっげぇな!そんならオレも猫と寝てぇなぁ。寒くてよ」

395: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 10:59:51 ID:DsZIhakM0

サシャ「私もです」

ミカサ「・・・・私も、寒い」

ジャン(ミカサッ!!俺はお前と寝たいッ!!)

クリスタ「じゃあみんな猫と仲良くしないとね」フフフ

396: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:00:23 ID:DsZIhakM0

サシャ「・・・・・」アミアミアミアミ

クリスタ「・・・・」アミアミアミアミ

ミカサ「・・・・・」アミアミアミアミ

サシャ「ねぇ、クリスタ?」アミアミアミアミ

クリスタ「ん?」アミアミアミアミ

サシャ「アルミンの手紙、今すぐにでも君に会いたいってありましたねぇ?」ニヤ アミアミアミ

397: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:00:53 ID:DsZIhakM0

クリスタ「やだもう、サシャったら。そんなんじゃないよ?設定だよ、設定」アミアミアミ

ミカサ「設定?」アミアミアミ

クリスタ「離れ離れの恋人同士、手紙のやりとりをしてるっていう設定なの」アミアミ

サシャ「へぇ?設定ですか?」ニヤ アミアミアミ

クリスタ「何よサシャ?」ム アミアミアミ

サシャ「いえいえ~、案外アルミンは本気なんじゃないかな~と思いまして」ニヤ アミアミアミ

398: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:01:40 ID:DsZIhakM0

クリスタ「え?!やだ、そんなことないよ?ねぇミカサ?」オロ アミアミ

ミカサ「・・・・・アルミンの好きな子の話は聞いたことがない。でも前にクリスタのことをかわいいと言っていた。ので好きになってもおかしくはないと思う」アミアミアミアミ

サシャ「へえ!そんなこと言ってたんですかぁ?」ニヤ アミアミアミアミ

クリスタ「えっ?!や、やだ・・・・」/////////「か、かわいいなんて・・・そ、その、私が小さいからでしょ?」///////アミアミ

ミカサ「それは否定しない。でもクリスタは顔もすごくかわいいと思う」アミアミアミアミ

サシャ「アルミンと並べたら、お似合いのカップルですよねぇ?」ニヤ アミアミアミ

399: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:02:26 ID:DsZIhakM0

クリスタ「ええぇ?や、やだなもう!そんなことないよ!」///////アミアミ

ミカサ「色白で金髪で小柄で童顔。2人ともよく似てる。のでお似合い」アミアミアミアミ

サシャ「ですよねー」ニヤ アミアミアミアミ

ミカサ「クリスタはアルミンのこと、好きじゃない?」アミアミアミアミ

クリスタ「え・・・・・その、いいな、とは思うけど・・・・でも、アルミンだって他に好きな人がいるかもしれないし・・・・」オロオロ アミアミ

サシャ「ん~、他に好きな人、いますかねぇ?この前の帰り際、ちょっとアルミンの様子がいつもと違ったような気がするんですよねぇ?」アミアミアミアミ

400: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:03:15 ID:DsZIhakM0

ミカサ「どういうこと?」アミアミアミアミ

サシャ「なんかそわそわしてるというか、顔が赤くなってたし。まぁそれだけなんですけど」アミアミアミアミ

クリスタ「そ、そうなの?」//////////アミアミ

ミカサ「サシャの勘は悪い方にはよく当たるけど、良い方でもアテにできるの?」アミアミアミアミ

サシャ「いやですねぇ、悪い方だけじゃありませんよ?もちろん良い方でも当たります」ドヤ アミアミアミ

クリスタ「じゃあ、サシャの勘ではコニーは誰が好きだと思う?」シカエシ アミアミアミアミ

401: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:04:06 ID:DsZIhakM0

サシャ「うっ!!そ、それは・・・・・」////////アミ

ミカサ「それは聞くまでもないこと」キッパリ アミアミアミアミ

クリスタ「あら、ミカサにも分かっちゃう?」ニヤ アミアミアミ

ミカサ「サシャの前だと、いつも落ち着きがない。それにサシャのことをよく見てる。サシャも同じ。だから二人は両想い」アミアミアミアミ

サシャ「い、意外とミカサもそういうの見てるんですね。興味ないのかと思ってました」アセアセ///// アミアミ

ミカサ「私は至って普通の十代女子。恋バナだって興味はある」アミアミアミアミ

402: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:04:52 ID:DsZIhakM0

サシャクリ「普通?!」

ミカサ「・・・・なにか?」チラ アミアミアミアミ

クリスタ「そうだよねぇ。ミカサも熱烈に想われてるわけだし、恋愛くらい興味あるよね」アミアミアミアミ

ミカサ「えっ・・・・・」ポカーン

サシャ「ん?ちょっとミカサ?まさか?」ポカーン

クリスタ「えって、え?うそでしょ?」ポカーン

403: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:05:36 ID:DsZIhakM0

ミカサ「・・・・・・え?」ポカーン

サシャ「いやいやいやいや、それはありませんよねぇ?」

クリスタ「・・・・・はぁ・・・・・ミカサ?それはもう鈍感とかそういうレベルじゃないよ?」

ミカサ「あの・・・・?」ポカーン

クリスタ「はぁ・・・・・ホント、とことん報われない人だよね・・・・」アミアミアミアミ

サシャ「ですねぇ。あんなに尽くしてるのに、気が付いてすら貰えないなんて」アミアミアミアミ

404: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:06:27 ID:DsZIhakM0

ミカサ「それは・・・・どういう・・・・?」

クリスタ「普通あそこまで尽くされたらイチコロだよね」アミアミアミアミ

サシャ「というか、あそこまで尽くせるのがすごいですよねぇ」アミアミアミアミ

クリスタ「ねぇ。しかも 訓練兵団に入ってすぐの時に一目ぼれして、それからだから、相当一途よねぇ」アミアミアミアミ

サシャ「なのに想われてる方は気が付きもしないなんて」チラ アミアミアミアミ

ミカサ「え・・・・」オロ

405: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:07:18 ID:DsZIhakM0

クリスタ「ねぇサシャ、私思うんだけど、ミカサって天然系悪女じゃない?」ジロ アミアミアミアミ

ミカサ「あ、あく?!」オロオロ

サシャ「あぁ!そうかも!でも天然となるとやっかいですね」 チラ アミアミアミアミ

クリスタ「そうよね。わざとならただの性悪だし、嫌いになることもできるけど」アミアミアミアミ

ミカサ「し、性悪?!」オロオロ

クリスタ「ミカサはエレンが忘れられなくて、彼の気持ちに応えられないのかと思ってたけど、まさか気が付いてないとは思わなかったよ」ジロ アミアミアミアミ

406: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:53:43 ID:DsZIhakM0

ミカサ「・・・・私とエレンは・・・・」オロオロ

サシャ「家族、は聞き飽きました」アミアミアミアミ

クリスタ「色々辛い気持ちはよく分かるよ?でもね、そろそろちゃんと気持ちの整理をつけて、前を見なくちゃダメ。それに今の状態は良くないよ。彼を弄んでるのと変わらないんだから」アミアミアミアミ

ミカサ「も、弄ぶなんて・・・・・それに、エレンは死んだと決まったわけじゃ・・・」オロオロ

クリスタ「もう帰って来ないよ」キッパリ

ミカサ「でも・・・」オロオロ

407: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:54:15 ID:DsZIhakM0

クリスタ「確かに死んだわけじゃない。多分アニみたいになってるだけ」アミアミアミアミ

ミカサ「それなら・・・・」オロオロ

クリスタ「そうだね。いつかは壁の中から出てくるかもしれない。でもその時ミカサはもういない。とっくに寿命が来て死んで、それからさらに何十年、何百年もたってからの話だよ。だからもうミカサはエレンには会えないよ」キリッ アミアミアミアミ

ミカサ「どうしてそんなことが言えるの?クリスタは何も知らないはず」ムッ

クリスタ「そうね、レイス家の人間として知るべきことはほとんど知らないよ?でもこれだけはハッキリ言える。何回でも言う。ミカサはエレンには会えない。もう二度と」

ミカサ「・・・・・そんなこと分からない。きっと会える」ムッ

408: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:54:52 ID:DsZIhakM0

クリスタ「そうやって、ありもしない希望にすがって時間を浪費するのはミカサの自由だけど、彼を巻き込んじゃダメだよ。彼には別の誰かと幸せになる権利があるんだからね」ギロ アミアミアミアミ

ミカサ「・・・・・」

サシャ「えっと・・・・」アセアセ(クリスタ怖い)「でも私たちここから出られるんですか?」アミアミアミアミ

クリスタ「う~ん、わからないけど、マリアに人が増えたら、近くにも村が出来たりするんじゃない?戸籍上私たちは別人になってるわけだから、正式に家庭を持つことも可能なんだよ?」アミアミアミアミ

サシャ「そうか!そうですよね」アミアミアミアミ

クリスタ「そうよ。シャルロッテとハインリッヒは正式に結婚して子供も持てるのよ?」ニヤ アミアミアミアミ

409: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:56:07 ID:DsZIhakM0

サシャ「け!結婚!?子供?!いや、そんな!」//////カァ//////

クリスタ「サシャは分かってるんでしょ?両想いだって」ニヤ アミアミアミアミ

サシャ「そ、そりゃあまぁ、その・・・・」/////////

クリスタ「早く付き合っちゃえばいいのに」アミアミアミアミ

サシャ「付き合うとかそういうのは、まだ早いというか・・・その・・・」アセアセ アミアミ

クリスタ「どうしてよ?いいじゃない。早いことないと思うけどな?」アミアミアミアミ

410: 進撃の名無し 2014/04/11(金) 11:57:06 ID:DsZIhakM0

サシャ「いえでも・・・やっぱり・・・その・・・・」アセアセ アミアミ

クリスタ「何をそんなにウジウジしてるのよ?コニーって結構素敵じゃない?生活力あるし、優しくしてくれそうだし、背が伸びてかっこよくなったし、サシャとも釣り合うようになったし」アミアミアミアミ

サシャ「・・・・そうですけど・・・・」ウツムキ

クリスタ「それともサムエルのことが気になる?」アミアミアミアミ

サシャ「え?サムエル?」ポカーン

クリスタ「はぁ・・・・・・揃いも揃って天然じゃないの!!」キー

411: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:23:19 ID:KW1x5Fi60





――――――
深夜、ふいに目が覚めて、なんとなく気になって外を眺めてみた。特にこれと言った理由はない。本当にただ、なんとなくだ。
そして窓の外、月明かりに白く浮かび上がるミカサの姿を見つけた。

412: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:23:54 ID:KW1x5Fi60

ジャン「よう、こんなとこで何やってんだ?」

ミカサ「・・・・・」

ジャン「そんな薄着で外に居たら、風邪引くぞ」バサッ「着とけよ」


ミカサは俯いて、着せかけられた上着を握った。伸びた髪が顔を覆って、表情は窺い知れない。
俯いたせいであらわになった白いうなじが寒々しい。

413: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:24:31 ID:KW1x5Fi60


ミカサ「・・・・・今日、クリスタとサシャに言われた・・・・私が、ジャンを弄んでると・・・・・」

ジャン「も、弄ぶ?!」オロッ

ミカサ「ジャンは・・・・・私に・・・・尽くしてくれてる。なのに全然わかってなかった」

ジャン「・・・・」フゥ「それで、何を悩んでこんな夜中に外に出たんだ?」

ミカサ「私は・・・・・」

ジャン「エレンの野郎を、忘れられないんだろ?」

414: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:25:20 ID:KW1x5Fi60

ミカサ「・・・・・」

ジャン「いつか会えるかもしれねぇって、思ってんだろ?」

ミカサ「・・・・・分かってるなら、なぜ?」

ジャン「あのな、そんなこと関係ねぇんだよ。お前はいつでもエレンしか見てなかったんだ。俺のことなんか眼中になかった。いつだってそうだったろ?」フイ

ミカサ「・・・・・気が付かなかった」

ジャン「・・・・・俺は」//////「俺はミカサが好きだ」///////

415: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:25:52 ID:KW1x5Fi60

ミカサ「・・・・・・」

ジャン「初めて会った時から、ずっとミカサが好きだ」///////ジッ

ミカサ「でも・・・・・私は・・・・・」

ジャン「分かってる。それは分かってるんだ。でも、人の心は変わるもんだろ?どうせここまで待ったんだ。もうちょっと待ったところで大して変わりゃしねぇよ」

ミカサ「・・・・・変わらないものもある」

ジャン「お前の気持ちが何年たっても変わらなかったとしても、俺がお前を好きでいたってかまわねぇだろ?」///////「どうせ俺達は当分ここから動けねぇんだしよ。マリアが開発されて、近所に別嬪が越して来たら、そんときは俺の気持ちも変わるかもしれねぇけどな」ニヤ

416: 進撃の名無し 2014/04/12(土) 18:26:22 ID:KW1x5Fi60

ミカサ「でも、それでは私は一体どうすればいい?その・・・・ジャンの気持ちを知っているのに・・・・・」

ジャン「普通にしてろよ。俺はここでの生活が気に入ってるんだ。お前のそばにいて、同じ家で生活して、毎日一緒にメシ食って、それで幸せなんだ。今のところはな」///////

ミカサ「・・・・・」

ジャン「ただ、これだけは言っとく。俺は、この先何があっても」//////「お前を守ってやる。どんなことからも」///////

ミカサ「私が、守られる?・・・・・体が治れば、また戦えるようになる。ジャンに守って貰わなければ生きられないような人間じゃない」ムカッ

ジャン「本当にそうなのかよ?」

419: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 06:38:38 ID:X4rY2cSg0

多分、この時俺はちょっとどうかしてた。告白の興奮がそのまま勢いを増したのか、やっぱりまだ、ミカサがエレンを忘れられないとハッキリしちまったせいで、嫉妬心だか独占欲だか支配欲だかに火が付いたのか、自分でも判断できない。
とにかく気が付くと、ミカサの手首を掴んで引き寄せて、無理矢理抱きしめてた。音をたてて、着せかけた上着が落ちる。
驚きに目を見開くミカサの顔が、やけに可愛く見えて、腕に力が入る。


ミカサ「・・・・・・・なにを・・・・・・」

ジャン「振り払ってみろよ?」

420: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 06:39:09 ID:X4rY2cSg0

ミカサが俺の腕の中でもがく。
暴れる両の手首をがっちりと掴んでねじり上げながら、ミカサ自身の背中に押し付けた俺の腕がビクともしないとみると、ミカサは頭突きを試みる。が、それも想定の範囲内。つい、と頭をそらして避ける。

ジャン「以前のお前なら、そもそも腕を掴むことさえさせなかったんじゃねぇの?こんなに易々と男の腕に抱かれるような女が、どう戦うってんだ?」

ミカサ「くっ!!このっ!!」

421: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 06:39:41 ID:X4rY2cSg0

ミカサの目に激しい闘志が燃えて足をバタつかせる。俺の脚を蹴飛ばし、急所を狙いにかかるが、筋肉の落ちた足は思い通りには上がらない。散々暴れるミカサだが、俺の腕はびくともしなかった。両腕を引き抜くことさえ出来ずに、息を荒くして暴れ続けるミカサを抱きしめる腕に力を込めて身体を前に倒すと、抗えずにミカサは仰け反った。喉元から鎖骨のラインが目の前にさらされて、囚われる。


ミカサ「あ・・・・うぅ・・・・」ハァ

ジャン「お前は強かった。誰よりも強かった。でもそれは過去だ。これからまた前のように強くなれるかどうかは分からねぇけど、少なくとも、今のミカサはここにいる誰よりも弱い。だから守られるのは当たり前なんだよ。強くなりたいなら、もっとちゃんと食え。この身体はなんだよ?」

422: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 06:40:25 ID:X4rY2cSg0

抱き締める身体の細さに、白い肌に、荒い息遣いに、目の前がくらくらする。

ミカサ「ジャン・・・・は・・・なして・・・・はぁ・・・・く・・・るし・・・・」

少し身体を起こして、月夜に潤んで光るミカサの瞳を見つめる。  唇をついばむと、ミカサの身体が硬直するのを感じた。

ジャン「俺は本気だ。本気でお前のことを愛してる。どれだけ時間がかかっても構わねぇ。お前があいつのことを忘れて、俺を見てくれるまで待つ。お前が強かろうと弱かろうと関係ねぇ、俺はお前を守る。お前に俺のすべてをやる。だから」

もう一度   くちづけ

ジャン「これだけでいい。今は、これだけ俺にくれ」

423: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 06:41:15 ID:X4rY2cSg0

そっと、ミカサを解き放つ。
ふらりと一歩後ずさって、そのまま崩れるミカサを抱きとめる。ふわりと、暗闇の中に石鹸の香りが漂った。
美しい黒髪に口よせて耳元で囁く。

ジャン「ミカサ、お前が好きだ」

びくりと身体を震わせたミカサを抱え上げて、そのまま家の中に入り、ベットに降ろしてやる。

ジャン「いつまでも外にいると風邪をひく。早く寝ろよ。じゃあな。おやすみ」

424: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:06:22 ID:X4rY2cSg0





―――――
この気持ちを、私はどう表現すればいいのか、まったく分からない。
戸惑って、申し訳ない気持ちになって、そして驚いて。怒って。
でもまた戸惑って。
なぜか、彼の腕を嫌悪していない自分に気が付いたから。
弱い、戦えない、そう言われたことに腹が立っているのであって、抱きしめられていることには、怒っていないのだと、気が付いたから。
くちづけられたとき、背筋に走ったあの衝撃を、心地よく感じてしまったことに気が付いたから。

425: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:07:10 ID:X4rY2cSg0

私は・・・・彼の腕を知ってる。でも、いつ?

彼の怖いほど真剣な瞳、私を包み込んで強く強く抱きしめる腕、耳元で低く囁かれたあの言葉。


眠れない。
私は、どうしてしまったんだろう。
これから、どうすればいいんだろう。


クリスタの言葉が気になって眠れなくて、ちょっと外の空気を吸いに出ただけだったのに、なぜこんなことになった。


翌朝、私はジャンの顔を見ることができなかった。
食べなければ、体力は戻らないと分かっているのに、喉の奥の堅い何かが、食事を受け付けなかった。

426: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:07:57 ID:X4rY2cSg0





―――――
コニー「おい、なんだよ?あれ。ミカサおかしいぞ?大丈夫なのか?」

朝食後はいつも家の手入れをするのが習慣だったが、どうしてもいたたまれず森に行こうと、そそくさと馬の支度をしていたその時、まだ少し足を引き摺っているコニーが追ってきた。

427: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:08:44 ID:X4rY2cSg0

ジャン「いや・・・・・夕べちょっとな・・・・」

コニー「んんん?なんだよ?ちょっとってなんだよ?まさかお前ぇ、ミカサとやっちまったのか!?」ニヤニヤ

ジャン「ばっ!!ちげーよ!!・・・・そこまでいってねぇよ」

コニー「そこまで?じゃあどこまでいったんだよ?」ニヤニヤ


誰かに吐き出さないとやってられない、そんな気分もあって、夕べのことを興味津々のコニーにかいつまんで話す。

428: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:09:31 ID:X4rY2cSg0

コニー「まじか!キスしたのか!あのミカサに!」ニヤニヤ

ジャン「なんか、すげー強引に言っちまって、今になって心臓が口から出そうでよ、なんか気持ち悪りぃ」ズーン

コニー「そんで朝メシんときお前まで様子がおかしかったんだな。んで、どうだったんだよ?キスは?」ニヤニヤ


どうやらコニーの興味は俺やミカサの心情よりも肉体的接触の方にあるらしい。まぁ思春期の男子なんてそんなものだ。俺だってこれが他人のことならそっちが気になるだろう。

429: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:10:14 ID:X4rY2cSg0

ジャン「はぁ・・・あぁ?キスか・・・それはまぁ・・・もうちょっと勢いが付いてたら押し倒してたかもしれねぇ。あんだけ我慢してたのに、なんか一瞬でダメにしちまった気分だ」ハァ

コニー「そんなに落ち込むなって。ミカサみたいなタイプはちょっと強引にいっといて、こっちを意識させるくらいじゃねぇとダメなんじゃねぇの?だからこれで良かったんだって」


馬房の柵にもたれて痛めた方の足をぶらつかせながらにやつくコニーに少しムッとする。ミカサの気持ちを無視して無理矢理キスするなんてこと、今まで小指の先ほども考えたこと無かったんだ。きちんとミカサに俺のことを見て貰って、お互いの気持ちが重なり合った時に、そうしたかった。だからこそ、あの前後不覚のミカサにどれだけ迫られても、絶対に手を出さなかった。思春期の、女子を見れば頭は  いことでいっぱいになるような年頃の男にとって、それがどれほどの胆力が必要なことか。

430: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:11:03 ID:X4rY2cSg0

ジャン「お前いつからそんな恋愛マスターになったんだよ?お前だってサシャとどうなんだよ?全然進んでねぇじゃんよ?」


腹立ちまぎれに攻撃してやることにする。


コニー「う、まぁ・・・・」

ジャン「サシャの方も、お前のこと好きなんじゃねぇの?わかってんだろ?」

コニー「そう思うか?」ドキドキ////////


初めて見た時から変わらない坊主頭に手をやって、顔を赤くするコニーだった。ちょっと前のチビコニーなら子供っぽくて可愛く見えたかもしれないが、ほとんど身長の変わらない今は、弄りがいのある表情にしか見えなかった。

431: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:11:54 ID:X4rY2cSg0

ジャン「明らかにそうだろ。さっさとキメろよ?」ニヤリ

コニー「いやぁ・・・・なかなかきっかけがつかめなくてよ・・・・最近サシャはミカサ達と家に籠ってるから、二人きりになるチャンスとか、ほとんどねぇし。」

ジャン「まぁそうだな。巨人のこともあるから、前みたいに外に出られねぇし、編み物してるしな」


冬になってから、サシャ達は家に籠ってせっせとベットカバーを編んでいる。以前の住人の置いて行ったものは、あまりにも汚くて洗ってもどうしようもなかった。それで編む羽目になったわけだが、大物だけあって3人がかりでも、全員分を仕上げるのは中々時間がかかるらしい。時々訪れるアルミン達の分も編むつもりらしく、掃除や料理以外はほとんど3人で固まって編み物をしている。

432: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:12:52 ID:X4rY2cSg0

コニー「それになんか・・・・勇気がねぇっていうか、踏ん切りつかねぇっていうか・・・最近、微妙に避けられてる気もするし」


柵の上に組んだ腕の上に顎を乗せて、少し険しい顔になる。確かに、近頃サシャはコニーが少しでも真剣な表情で近づくと、素早く察知して逃げ去る。何かと理由を付けてコニーから遠ざかろうとする。どう考えてもサシャはコニーに気があるはずなのに、そんなことをする理由がいまいち理解出来ない。が、あまりモタついて良い状況でもないはずだ。なにしろコニーには強敵がいるのだから。

433: 進撃の名無し 2014/04/16(水) 13:13:36 ID:X4rY2cSg0

ジャン「そんな悠長こと言ってると、サムエルに掻っ攫われるぞ?」

コニー「うっ。いやでも、たまに来るだけの奴だぞ?」

ジャン「サムエルは相当な手練れだぞ?サシャは恋愛経験ねぇんだろ?あっというまに持ってかれんぞ?」

コニー「ちょ、お前ビビらせんなよ」ビクビク


ビクつくコニーが面白くて、もっとサムエルの脅威を知らしめてやりたくなるのだった。

434: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:25:48 ID:wM40aR3A0
―――――

結局ほとんど食べられないまま朝食を終えた。残すのは勿体ないので、サシャに差し出すと、ちゃんと食べなきゃダメですよ!と説教されて、半分しか受け取って貰えなかった。意外だ。
仕方なく残りを持って外へ出てボリスに見せると、恐る恐る近寄ってきた。けれど後一歩のところまで来て、尻尾を巻いてウロウロする。しきりと匂いを嗅いで物欲しそうな顔をするのに、どうしても私の手から食べることは出来ないらしい。
コニーやクリスタならすぐに飛んできて足元にまとわりつくのに、私の何がそんなに怖いのか。
妙にビクビクする犬と睨み合っていると、突然ボリスの尻尾が持ち上がって走り出した。

435: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:26:29 ID:wM40aR3A0

キュンキュン尻尾パタパタ

クリスタ「ヨシヨシいい子ね、ボリス。あら、ミカサ。井戸端で何してるの?寒くない?」
ミカサ「クリスタ・・・・これ、ボリスにあげようと思って」

そう言って朝食の残りをクリスタに渡すと、とたんにボリスがピョンピョンと飛び跳ねた。クリスタが『おすわり』の指示を出すと、今度はまるで敬礼する兵士のように姿勢良く座る。最近コニーが教え込んだと聞いた。
クリスタの手から食べ物を受け取って、少し離れた場所ではぐはぐ食べるボリスを眺める。

436: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:27:26 ID:wM40aR3A0


クリスタ「今朝ほとんど食べなかったね?」

ミカサ「・・・・・ごめんなさい」

クリスタ「やだなぁ、謝らないでよ。別に怒ってるわけじゃないんだから。心配してるんだよ?」


そう言って笑うクリスタは、女神と呼ばれた頃と変わらない優しい感じに戻っていた。シガンシナ奪還作戦の前後は、もっと険しい顔をしていたような気がする。

437: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:28:19 ID:wM40aR3A0


ミカサ「・・・・喉を通らなくて・・・・」

クリスタ「悩み事があるんでしょ?」

ミカサ「・・・・・」

クリスタ「ねぇ、お茶入れるから、家に入ろうよ?ここ、寒いし」

ミカサ「・・・・うん」



クリスタ「はい、お待たせ」カチャ「熱いから気を付けてね?」

ミカサ「ありがとう・・・・・良い匂い」スゥ

438: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:29:17 ID:wM40aR3A0

クリスタが入れてくれる薬草茶は、ここでの定番になっている。爽やかな香りがして、匂いを嗅いだだけで落ち着く。


クリスタ「・・・・」ゴク「はぁ。美味しい」

ミカサ「・・・・・」ゴク

クリスタ「・・・・最初、ここに来た時には、不安しかなかったの。ユミルが居なくて、また一人ぼっちに戻った気がしたし。今でも、いつ巨人が襲ってくるか分からないから、怖いと思うんだけど、でも、最近は悪くないなって、そう思うの。サシャもミカサも、コニーもジャンも家族みたいで。家族って、本当は今でもよく分からないんだけどね。でも楽しい。兄弟や姉妹がいたらこんな感じなのかなって。時々退屈だなって思うけど、そう思う頃に決まってアルミンが来てくれて、サムエルがお菓子を差し入れてくれて、先生が医学を教えてくれる。だから、私ここが好き。ただ、私にだけ彼氏がいないのはちょっと癪だけど」

ミカサ「か、彼氏って・・・・」アセッ

439: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:29:56 ID:wM40aR3A0

唐突に現れた彼氏、という単語にぎょっとする。
聞いた瞬間、ジャンの顔を連想したのは、きっと告白されたせいに違いない。

クリスタ「付き合ってないけど、コニーとサシャは両想いでしょ?ジャンはミカサ一筋。羨ましいなぁ。私も愛されたいな」

クリスタは可愛い。細くて、小さくて、きらきら光る金髪で、ぱっちりとした大きな青い目で。
訓練兵団の男の子達のほとんどがクリスタに憧れていたのを、恋愛事情に詳しいとは言えない私でも知っていたので、愛されてたでしょう、と言いかけたけれど、何か違う気がして自分の話をすることにした。

440: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:31:03 ID:wM40aR3A0

ミカサ「・・・・夕べ、ジャンと話した。その・・・・話したのは偶然だけど・・・・クリスタに言われたから・・・・・ちゃんと話した方がいいと思って・・・・・」

クリスタ「巻き込むなって話?」

ミカサ「うん。私はまだ気持ちの整理が出来てない。だから・・・・でも、ジャンは、それでもいいから待つって・・・・・その、あ、愛してるって・・・・」/////////

クリスタ「わぁお。情熱的」///////

ミカサ「それで、その・・・・・・・」////////

クリスタ「な、なぁに?」ドキドキ///////

441: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:31:48 ID:wM40aR3A0

ミカサ「抱きしめられて・・・・・き、き、キス・・・・された」/////////

クリスタ「わわ」ドキドキ//////////////「えっと・・・・ミカサ、それはその、初めて?」////////

ミカサ「・・・・・」コク////////////////

クリスタ「それで、どう思ったの?き、キスされて」////////

ミカサ「・・・・・嫌じゃ・・・・なかった・・・・だから、戸惑って。どうして嫌じゃなかったのか、分からない」/////////

442: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:32:37 ID:wM40aR3A0

それまで顔を紅く染めて卓上に身を乗り出していたクリスタが、ガタンと音を立てて椅子の背もたれに凭れかかった。額に手を当てて、やってられない、とでも言いたげな顔をする。


クリスタ「んもう!ミカサってば!それはジャンのこと好きってことじゃないの?普通好きでもない男にキスされたらビンタくらいするでしょ?」

ミカサ「・・・・・そう、なの?」

クリスタ「怪我する前のミカサなら半殺しにして庭の木に吊るすくらいのことはしてるよ」ハァ

ミカサ「でも・・・私はエレンが・・・・」


呆れ顔が一転、目の座ったクリスタにチラリと睨まれる。

443: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:33:16 ID:wM40aR3A0

クリスタ「ねぇ、ミカサもしかして、自分はエレンのことが好きなハズ、だと思ってない?」

ミカサ「え?」

クリスタ「エレンを差し置いて、他の男と付き合うなんてイケないことだと思ってない?」

ミカサ「そんなこと・・・・」

クリスタ「でもジャンに抱きしめられてキスされて、嫌じゃなかったんでしょ?」


反論できない。嫌悪感など無かったどころか、心地よく感じてしまったのだから。
なんとなく気恥ずかしくて俯いた。

444: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:34:06 ID:wM40aR3A0

クリスタ「はぁ・・・・ミカサはエレンにこだわってるだけだと思うな。エレンのこと好きじゃなきゃいけないって」

ミカサ「・・・・分からない」


手が冷えるのか温かいカップを両手で包んで、少し考えるような顔をする。


クリスタ「・・・・ねぇミカサ。好きな人に女として見てもらえなくても、その人と肩を並べて戦うだけで幸せっていう気持ちを否定はしないけど・・・・」

ミカサ「違う、私はエレンを、家族を守りたかった・・・・家族を守る為に兵士になって誰よりも強くなった・・・・」

クリスタ「ミカサ・・・」ハァ「それって男の子からしたら結構屈辱的なことじゃないのかな?」

445: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:34:55 ID:wM40aR3A0

屈辱、と言われて驚いた。家族が家族を守ることの、一体どこに問題があるというのか。私は強い。多分リヴァイ兵長の次くらいに強い。その私が守りたい人を守ることの何がおかしいというのか。
それで、どうして?とつぶやいた。


クリスタ「兵士なら男女問わず守ったり守られたりすることはあるけど、ミカサがやろうとしてたのはそれとは違うじゃない。あんな守られ方して喜ぶような男ならただのヒモだよ?最低な男よ?ミカサはエレンを屑男にしようとしてたんだよ?」

ミカサ「そんなこと・・・私はただ・・・・エレンが危なっかしいから・・・・」

クリスタ「そんなミカサを知っててそれでも好きだって言うジャンだって、さすがに同じようにされたら嫌になるかもね。男としての矜持も何もあったもんじゃないもの」

446: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:36:02 ID:wM40aR3A0

ヒモ?屑?男の矜持?それは一体どういうこと?よく・・・・わからない。


クリスタ「私たち兵士だけど、その前に女の子なんだよ?頼りになる男性に愛されて結婚して子供を産むっていう幸せも、選択肢にあっていいと思うな」

ミカサ「こ、こども?!」/////////


彼氏どころではない。いきなり子供とは何?!飛躍しすぎてる。そう指摘したかったけれど、二の句がつげない。


クリスタ「ミカサのお母さんは、ミカサのお父さんと結婚して、ミカサを産んで、幸せだったんじゃないの?」

ミカサ「・・・・・・幸せだった・・・・と思う」

447: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:36:40 ID:wM40aR3A0

クリスタ「それじゃあ、ミカサが同じように幸せになることを、ミカサのご両親も願ってるんじゃない?」

ミカサ「え・・・・?」

クリスタ「ちょっと余所と違う家に育った私が言うのもおかしいんだけど、普通はそうなんでしょ?」

ミカサ「・・・・多分、そうだと思う」

クリスタ「そういうの、私はすごく羨ましいと思うんだけどな。ん~、うん、ないものねだりのしすぎだけどね・・・・さてっと、随分長話しちゃったね、私水汲みに行ってくるね」

448: 進撃の名無し 2014/04/19(土) 07:37:18 ID:wM40aR3A0

クリスタに言われて、刺青を入れたあの日、母が言った言葉を思い出した。同じものを、私の子供にも受け継がせるように、母は言った。
だから、やっぱり母は私に結婚して子供を産んで欲しいと思っていたんだと思う。

そういえばあの日、私は子供はどうやったら出来るのか聞いて、両親を困らせた。父が困った顔をして、イェーガー先生に聞いたら分かるって言ったんだった。

・・・あれ・・・お父さんの顔・・・ジャンと・・・少し似てる・・・?
ジャンの目つきを柔らかくしたら、似てる。きっとジャンがお父さん位の年になったら、もっと似てくるはず。
だから、それで、ジャンに抱きしめられても、嫌じゃなかったということ?お父さんに、そっくりだったから。

449: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:14:06 ID:A.W3xTT.0






―――――
この食卓の、ビミョ~~~~な空気を、どう表現するべきでしょうか?
朝は地獄の底に落ちたような顔でほとんど食べなかったのに、やけに幸せそうに微笑みながらモリモリ食べるミカサ。
空いた口が塞がらずに手が止まっているのはジャンで、プルプル肩を震わせて笑いそうになるのを我慢してるクリスタ。
そしてなぜかいつも以上にそわそわしているコニー。

450: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:15:43 ID:A.W3xTT.0

サシャ「えっと・・・・ミカサ?何かいいことでもあったんですか?」

ミカサ「うん。ちょっと」////

サシャ「食べないんですか?ジャン?」

ジャン「あ、あぁ、いや、すまねぇ。食うよ」

サシャ「クリスタ?」

クリスタ「後でね?」ニマニマ

451: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:16:47 ID:A.W3xTT.0

サシャ「コニー?」

コニー「なななななな、なんだ?さ、サシャ」ソワソワソワソワ

サシャ「ご飯位落ち着いて食べてくださいよ?」

コニー「お、お、おう!べ、べつにオレは落ち着いてるぞ?」ソワソワソワソワ

サシャ「どこがです?」

452: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:17:39 ID:A.W3xTT.0

コニー「今日のメシは格別美味いな!!なっ?ジャン?」ソワソワソワソワ

ジャン「お、おう」

サシャ「なんですか、これは」

クリスタ「うふふ。大丈夫よ。除け者にしたりしないから」

453: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:19:24 ID:A.W3xTT.0


カポーン


クリスタ「はぁ・・・・生き返るよねぇ」

サシャ「こんなに頻繁に入浴できるなんて贅沢ですよねぇ」

ミカサ「・・・良い気持ち」


カポーン

サシャ「で~、いつ仲間に入れていただけるんです?」

454: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:29:01 ID:A.W3xTT.0

クリスタ「それはねぇ・・・・」////////

サシャ「えぇぇぇぇ!!」///////「じゃ、ジャンがっ!ミカサにこ、こ、告白・・・・さらにキスまでっっっ」//////////

ミカサ「・・・・」////////

サシャ「っで!!ミカサは、どっ、どう思ってるんです?」//////////

ミカサ「うん。ジャンのこと、好き」///////

サシャ「おぉぉぉ!!」/////////

455: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:30:09 ID:A.W3xTT.0

クリスタ(ジャン!良かったね!!今までの努力と苦労と忍耐が報われる時が来たよ!!)ジーン///////////

ミカサ「ジャンって、お父さんにそっくり。だから」/////////

クリスタ「・・・・・・・」ポカーン

サシャ「・・・・はい?・・・・・・今、なんと?」

ミカサ「気が付いた。ジャンの目つきを優しくしたらお父さんにそっくり。そしてジャンはいつも私に優しくしてくれる。ので私にはいつもお父さんそっくりに見える」/////////

クリスタ「・・・・・・・」真っ白

456: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:31:01 ID:A.W3xTT.0

サシャ「はぁ?えっと?お、お父さん・・・・ですか?」

ミカサ「うん。お父さん。顔つきも、髪の色も、背の高さも似てる。優しくて、頼りになるところも」///////////

クリスタ「・・・・・・・」思考停止中

サシャ「え・・・・っと、その、これは、その、ジャンは・・・・喜んで・・・・いい?んですかね?????」

クリスタ「・・・・・・」フラッ サバ

サシャ「クリスタ?もう出るんですか?」

クリスタ「・・・・・・あ、うん、ゆっくり入ってて?」ボー

457: 進撃の名無し 2014/04/24(木) 10:31:40 ID:A.W3xTT.0


クリスタ「・・・・ジャン・・・・」フラッ

ジャン「ん?どうした?」

クリスタ「・・・・・ミカサのこと、好き、なのよね?」

ジャン「あ、あぁ。もちろん」////////「どうしたんだ?」

クリスタ「・・・・・・・・頑張って」フラッ ガチャバタン

ジャン「なんだ?????」

460: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 10:26:29 ID:GI.l6H2g0




――――――
サシャに告白するって決めたのに、なんかタイミングがつかめなくって、結局全然先に進めねぇまんま。
夕べなんかやたらリキんで挙動不審になるし、ほんとにオレって情けねぇな・・・・・。こんなんじゃサシャに嫌われてサムエルに持ってかれちまうかもしれねぇ!!どうしたらいいんだ!!とりあえず、2人きりになる時間を作らねぇと・・・・
そう思って朝メシ前から機会を伺って、やっと1人になったサシャを捕まえた。
よっし!さり気なくだぞ、オレ!

461: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 10:27:16 ID:GI.l6H2g0

コニー「お~、サシャ!今時間あるか~?悪いんだけど、蔦編むの手伝ってくれねぇかな?1人だと捗らなくてよ」アセアセ

サシャ「あ、はい・・・あ、えと、私ミカサの手伝いをする約束があって・・・」フィ

コニー「そうなのか・・・・」ガクッ

最近ずっとこの調子なのはなんでなんだよ・・・・なんかオレ怒らせたのか・・・・?

ボリス ワンワンワンワン!!

コニー「ん?どうした?」

ボリス ワン!

462: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 10:27:57 ID:GI.l6H2g0

アルミン「やぁコニー。どうしたんだい?難しい顔して」

サムエル「元気にしてたか?」

サシャ「アルミン!サムエル!いらっしゃい!先生、お待ちしてました!」ニコニコ

医者「コニー君会いたかったよ?ヒヒヒヒ。ほぅ?また背が伸びたようだねぇ?ヒヒヒ。そうだ、足の具合はどうだい?ヒヒヒヒ」


おい・・・・・来るタイミング悪いだろ、お前ら・・・・・
しかも打って変ったようなサシャの笑顔!くっそ~!!なんかわかんねぇけどサムエルの野郎むかつくんだよ!!

464: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 10:29:26 ID:GI.l6H2g0

医者「んじゃ、次は身長計測ねウヒヒヒ。そこ立って、どれどれ・・・・・ほぉう!いいねいいね、伸びてるねイヒヒヒヒ。まだイケそうだね?ヒヒヒヒヒ」

逃げたい・・・・
この医者怖ぇんだよ。オレそのうち解剖されるんじゃねぇ?

医者「じゃ、ちょっと立体機動使ってみようか?ヒヒヒヒちゃんとガスは持って来たからねヒヒヒヒ」

コニー「え」

医者「アルミンく~ん?ちょっとコニー君を借りるからね?イヒ。さぁ行こうか?ヒヒヒヒ」

サシャ「どこに行くんです?」

465: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 10:30:05 ID:GI.l6H2g0

医者「森だよイヒ」

サシャ「いいですねぇ。私も久しぶりに行きたいです!」

サムエル「じゃ、オレもお供しようかな?」


てめぇはくんな!せっかくサシャが来てくれるってのに!!
つか何があんだよ?怖ぇよ。

466: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:08:15 ID:GI.l6H2g0



アルミン「クリスタ。元気にしてた?水汲みなら手伝うよ」

クリスタ「アルミン!?」バシャ「アルミン!!」 ダッ

アルミン「クリスタ!」///////(必死な顔した女神が僕に向かって走ってくる!!これは夢か現か!?)

クリスタ「アルミン!来てくれたのね!」ウルッ

アルミン「どうしたんだい?何か困りごとでもあったの?」//////(無理してでも来てよかった)

クリスタ「アルミン・・・・」ジワッ

467: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:08:58 ID:GI.l6H2g0

アルミン「え?クリスタ?どうしたの?」オロッ(女神が泣いてる?!なんで????)

クリスタ「ミカサが、かくかくしかじか!なの!!もう私、なんか疲れちゃった」グスッ

アルミン「・・・・・・ジャンがお父さんって、・・・・はぁ」(ミカサ、相変わらず病んでるんだね・・・・)

クリスタ「ねぇアルミン、ミカサのお父さんとジャンって本当に似てるの?」

アルミン「さぁ?僕は会ったことないから分からないけど・・・・・ミカサはほとんど両親の話をしたことがないんだ。目の前で殺されてしまったから、トラウマになってたんだと思う。精神的にエレンに依存してたのは、そのせいだと思うし・・・・」

クリスタ「そうなの・・・・」

468: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:09:49 ID:GI.l6H2g0

アルミン「けど、今お父さんの話が出てきてるのは、悪いことじゃないと思うな。何かがミカサの中で変わりつつあるような気がする。待たされてるジャンや気にしてくれてるクリスタには申し訳ないけど、ミカサがジャンの気持ちに応えられるようになるには、もう少し待ってもらわないといけないかもしれない」

クリスタ「うん・・・・」

アルミン「ごめんね?クリスタ?ミカサに付き合ってあげてくれる?」

クリスタ「うん・・・・私こそごめんね?アルミンはすごく忙しいのに、こんなこと相談して・・・・私、ちょっと疲れちゃったみたい」ウルウルッ

アルミン「い、いや」//////(かっ可愛いっ)「5人以外誰もいないところで閉塞した生活をしてるんだから、こういう悩みも当然だと思うよ?いつでも話を聞くから、ね?」クリスタの肩←ソ

クリスタ「ううん、私のわがままなの。私、自分勝手に腹を立ててたの。サシャもミカサもすごく思われてて、大切にされてるのに・・・・」グスッ「私には誰もいなくって、なのにミカサは・・・・ミカサったらジャンの気持ちに気が付きもしなくて・・・・」グスッ

469: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:10:52 ID:GI.l6H2g0

アルミン「クリスタ・・・・」肩ギュッ

クリスタ「ジャンはミカサにすごく尽くしてるんだよ?見ていて羨ましくなるくらいに、ミカサのこと愛してるの。なのにミカサは」グスッ「全然気が付いてないのよ。その上お父さんだなんて・・・・」グスッ「私、私は・・・・もうユミルにも会えないのにっ」ウッグスッ

アルミン(僕の女神・・・・)「クリスタ・・・・」両手ギュッ

クリスタ「ユミルっ・・・」ポロポロ

アルミン「クリスタ?その、僕じゃ、ダメかな?」///////////

クリスタ「え」グスッ

470: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:11:26 ID:GI.l6H2g0

アルミン「中々会えないし、非力な僕だけど、でも」//////////

クリスタ「・・・・・」ドキドキ/////////////

アルミン「・・・・クリスタ、僕はどんな時でも全力で君を守ります。クリスタが好きです。付き合って下さい」礼!////////////

クリスタ「あ、ある・・・みん?」ドキドキ//////////

アルミン「本気だよ?」///////////ジッ

クリスタ「・・・・・」////////////ジワッ

471: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:12:14 ID:GI.l6H2g0

アルミン「・・・・・」////////////

クリスタ「うわぁぁぁん!!」//////////////シガミツキ

アルミン「クリスタ・・・・」/////////////ギュ

クリスタ「アルミン!!」ウッ//////「私、誰にも愛されてないのかと思ってた」ポロポロ

アルミン「・・・・・・・・そんなことないよ?」////////ギュ

472: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:12:53 ID:GI.l6H2g0

クリスタ「私のこと、大切にしてくれるのは、ユミルだけだと思ってたの!!」ポロポロ

アルミン「僕、クリスタのこと、すごく大切に想ってるんだよ?」////////ギュ

クリスタ「ほんと?・・・・・・アルミン」ジッ///////ウルウル

アルミン「クリスタ・・・・」スッ・・・・・チュ////////

473: 進撃の名無し 2014/04/25(金) 14:13:25 ID:GI.l6H2g0

クリスタ「・・・・・」///////////ギュ

アルミン「・・・・・」//////////ギュ「ごめん、でもひとつだけ、君に話しておかなきゃならないことがある」

クリスタ「何?」////////(真面目な顔のアルミン・・・・凛々しくて素敵)//////////

アルミン「今まで黙っててごめん、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

479: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:11:58 ID:PHjv49wo0




―――――
単調な生活の中、来訪者の存在は俺達にとって一種祭りに近い。
サシャがえらく張り切って子羊を1頭絞めてさばいていて、それは狩猟民にとっちゃありふれた光景なんだろうが、街育ちの俺は最近ようやくこの光景に慣れたところで、まだあどけない様子の子羊が解体されるのは目に辛い。
それでもすっかりバラされて、ただの肉の塊になってしまえば美味そうに見えるんだから我ながら現金なものだと思う。
まぁ実際トロストはもちろん兵団内でもこんな物を食べられる人間は限られてるだろうから、贅沢なのは間違いない。

480: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:13:08 ID:PHjv49wo0

シガンシナや兵団の話をしつつも、つい今夜のごちそうに目が釣られるのはサムエルで、こんな物が食べられるんならオレもここに住みたいとか言い出す始末。目当ては食い物だけじゃないだろう。医者に振り回されて長椅子で力尽きてるコニーが一瞬サムエルを睨んだように見えたのは気のせいとは思えない。
散々コニーを酷使したらしい当の医者は、なにやらブツクサ言いながら帳面に書き付けている。時々唐突に「イヒヒ」とか笑い出すので気持ち悪いことこの上ない。目を付けられたのが俺でなくて本当に良かった。
ハンジ分隊長といいこの医者といい、調査兵団がらみの人間はなぜこうも奇人変人なのか。奇人が集まるのか、奇人しか生き残れないのか、長く残ると奇人化していくのかどれだろう?

481: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:13:47 ID:PHjv49wo0

肉の塊となった子羊に夢中のサシャ。そんなサシャと肉に見惚れるサムエル。長椅子の上からサムエルを睨むコニー、帳面やなにかしらの資料に向き合いながら奇声を発する医者と調査兵団と奇人変人についての思考にふける俺。そして淡々と夕飯の準備を進めるミカサ。
そんな面子の前に登場したアルミンとクリスタの様子に、医者以外の全員が一瞬目が点になった。

482: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:14:26 ID:PHjv49wo0

アルミン「みんなに報告したいことがあるんだけど、いいかな?」////////////

クリスタ「・・・・・」///////

ジャン「・・・・・言われなくても、分かるような気がするのは俺だけか?」

サシャ「・・・・・いいえ。私にも分かる気がします」/////

コニー「オレでも分かるんだが?」

サムエル「いつの間に?!」

483: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:15:02 ID:PHjv49wo0

ミカサ「どうしたの?アルミン?」

エスコートするかのように曲げられたアルミンの腕に両手でしがみつくクリスタ。
そのクリスタの手を空いた方の手で握るアルミン。
時折、いやかなり頻繁に目を合わせては微笑み顔を朱くする2人の様子を見て気が付かないってミカサ、ニブイにも程があるだろ・・・・

アルミン「僕とクリスタは付き合うことになりました!」

ジャン「・・・・・・・・・」

コニー「・・・・・・・・・」

サムエル「・・・・・・・・」

484: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:15:50 ID:PHjv49wo0

サシャ「やっぱり!やっぱりそうだったんですね!!クリスタ!良かったですね!!」

クリスタ「ありがとう、サシャ」///////////////アルミンの腕ギュ

ミカサ「すごい。サシャの勘が良い方で的中した・・・・おめでとう。クリスタ。アルミン?クリスタを幸せにして?」

アルミン「もちろんだよ!悲しい想いはさせないよ?クリスタ」///////////ニギッ

クリスタ「やだアルミンたら、みんなの前で」キャッ/////////////////

485: 進撃の名無し 2014/05/02(金) 05:20:50 ID:PHjv49wo0

こういう時、素直に祝福できるというのは素晴らしい事だと思う。中には口では祝いながら心で呪うなんて恐ろしい女もいるらしいが、少なくともミカサとサシャにはそういう裏表はないに違いない。
一方コニーとサムエルの表情から察するに、俺達3人の胸中は『抜け駆けされた!!』で間違いないと思われる。

医者「青春だねぇイヒヒヒヒ」

ってアンタ聞いてたのかよ!

489: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:32:52 ID:QlIxequY0



―――――
前の戦闘の時少し重く感じた体は、筋トレを欠かさなかったせいか軽くなってて、面白いくらいに動いた。
それでも医者の無茶な指示に従うのはしんどかった。「オレはリヴァイ兵長じゃねぇよ!出来るか!!」って文句言おうとしたら、医者の隣でサシャが目をキラキラさせてオレを見てるんでつい頑張っちまったよ。おかげでサシャには「コニー凄いです!」って褒めて貰えたけど全身がガタガタだ。
ぶっ倒れそうになるくらい立体機動でカッ飛ばすなんて、訓練兵の時以来だ。すんげぇ疲れたけど、すっきりした気分。サムエルの野郎の悔しがる顔も見られた事だし、うん。悪くねぇ(笑)

490: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:34:00 ID:QlIxequY0
夕飯はなんと子羊の香草焼きとか言う贅沢な一品(料理名は医者に教わった。サシャは勘で作ったらしいけど)台所から発掘した先人の遺物、胡椒を使った料理だ。だが胡椒なんて食った事もなきゃ使った事もねぇのに、よくもまぁこんなにウマく作れたもんだと思う。
これはシーナでお店を出せるよ!イヒヒヒ!!と医者から太鼓判を押されてドヤ顔のサシャだが、食う物に関しては文句なしに天才だ。食材や調味料が豊富なシーナでなら、毎日色んな料理を作れるんだろうな。平和な世の中に産まれてりゃ、今頃オレもサシャもシーナで憲兵やって、適当なところで結婚して毎日サシャのウマいメシを・・・・っと、今はそれどころじゃねぇんだった。

491: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:34:51 ID:QlIxequY0

クリスタ「あぁ、美味しかった!サシャは本当に料理上手ね。ご馳走様!」

ミカサ「塩胡椒を大雑把に振ってるようにしか見えなかったのに、こんなに美味しいなんて・・・・」

サシャ「フフン。もっと褒めていいんですよ?」ドヤ

コニー「ご馳走様サシャ。いやぁ、ほんとにウマかった!さてっと・・・・」

ジャン「アルミン、風呂、付き合えよ」ギロリ

アルミン「え?」

492: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:35:40 ID:QlIxequY0

コニー「さぁアルミン、行こうか」ガシッ

アルミン「えぇ?」

サムエル「付き合ってもらうよ?アルミン」ガシッ

アルミン「えぇぇ!!」―――アルミン連行中(ロズウェルスタイル)キャーヤメテー

493: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:36:12 ID:QlIxequY0

クリスタ「アルミン!!」

サシャ「まぁまぁ。男同士の付き合いも大事ですよ?」

クリスタ「えー・・・離れたくないよぉ。ちょっとしか一緒に居られないのに・・・」ブー

494: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:36:46 ID:QlIxequY0
カポーン

ジャン「しっかし、まさかアルミンがクリスタと付き合うことになるなんて、この急展開はなんだよ?手紙の恋人設定ってまさか本気だったのか?」

アルミン「まぁ設定は設定だったんだけどね」アセ

離れて住む恋人同士鳩で手紙を送り合う。
万が一手紙が他人の目に触れてもオレ達だとバレないように、偽名を使い土地の特定も出来ないようぼかして書く。
書き手を替えて筆跡で怪しまれないよう、アルミンとクリスタに限定する。
この2人は微妙に筆跡を替えて書くという隠れた特技を持っていたので、恋人役にうってつけだったってワケなんだが、それが本当に付き合う事になっちまうとは!

495: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:37:21 ID:QlIxequY0

コニー「前来た時ちょっと良い雰囲気だとは思ってたけどよ、実際いつからだよ?」

アルミン「訓練兵の時から可愛いなって思ってたけど、意識するようになったのは最近かな」////////

サムエル「まさかこの4人の中で、アルミンが一番最初に彼女を作るなんて思いもしなかった・・・・・」

アルミンが女を意識してた事自体意外だぜ。もし女に興味があっても自分から積極的に行くようなタイプには見えねぇよ。もっと奥手だと思ってたんだけどな。そう言ったらジャンに「奥手なのはお前だろ?」とブッスリ突っ込まれた。つい「うっ」とか口籠ったら、サムエルが「ほぉ?」とか言ってニヤつきやがった。いちいちムカツク奴だな。

496: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:37:53 ID:QlIxequY0

アルミン「付き合うって言っても恋人らしいことのできる時間はあまりないわけだから、ちょっと気が早かったかなと思うけど。でもクリスタなら待っててくれると思うんだ」

ジャン「そうそう通える距離でもねぇしな。今でもかなり無理してるんじゃねぇの?」

アルミン「まぁね。でも今回は用事があったから」

コニー「オレの足か?治ったぞ?散々森で跳ばされたぜ?」

サムエル「ありゃすごかったな」

コニー「あぁ、久々に限界までやらされた。訓練兵時代を思い出したぜ」

497: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:38:33 ID:QlIxequY0

ギシギシ音を立てそうな筋肉に、風呂の湯が沁みていく感じがする。風呂ってのは筋肉痛にも効くのかな?

サムエル「体重が増えた分スピードが増して、体にかかる負担も大きいだろ?」

コニー「前と全然違ぇんだよな。オレちょこまか動くのが得意だったんだけどよ、ありゃ体重軽くねぇとできねぇわ。回転かけると意識飛ぶんじゃねぇかってくらい遠心力かかるし、身体デカい奴ってすげぇな。普段から訓練しとかねぇと、オレいざって時、立体起動使いこなせねぇよ」

ジャン「それであの捻挫か」

コニー「あぁ。アンカーの刺し具合も前と同じ調子でやってたら、すっこ抜けちまった」

498: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:39:14 ID:QlIxequY0

アルミン「ジャンも少し伸びてるしね。時々立体起動使えるように、ガスの補充を心がけるよ。でも、それより対人格闘も忘れないでくれよ?」

ジャン「もう・・・・始まるのか?」

一瞬で目つきの険しくなったジャンを見て真顔のアルミンが頷く。

アルミン「うん。今回来たのはその件でだよ。予想以上に規模が大きいんだ。船を使えば、短期間に大量輸送が可能だからって。トロストとシガンシナの間の川沿いを中心に開拓が始まる。川の東の方が平地が広いから、そっちの方が中心だけど、もちろんこっちにも人が来る。もう来週にも来始めるから、注意して。もっと規模が小さいと思ってたんだけど・・・・書類上の不備はないけど、なるべく目立たないようにして欲しい」

ジャン「いや、でも来る連中から隠れ続けるのは無理があるだろ?このへんに来られたらどうすりゃいい?」

499: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:39:56 ID:QlIxequY0

アルミン「ここは書類上今でもある貴族の直轄農地のままになってるから、直接ここに来ることはないと思う。今のところ計画書では北の村の跡地にそのまま新しい村を作る予定になってる」

ここから北って言ったら、前に巨人が来た方向だな。確かサシャは塔が見えたとか言ってたが、多分そいつはサイロだろう。農場よりも牧畜の方が盛んだったんじゃねぇのかな。

アルミン「ただ、ここから距離があまりなくて煮炊きの煙が見つかる可能性があるから、君たちは貴族に雇われていち早くここに移って来たことにする。書類上そうなってたら憲兵に目をつけられても手を出されることはないと思うけど・・・・」

ジャン「・・・・・それよぉ、アルミン。なんか臭うぞ?」

アルミン「・・・・・やっぱり、無理だよね・・・・」

500: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:40:37 ID:QlIxequY0

ジャンが呆れたような、妙な顔でアルミンを睨んで、膝を抱えたアルミンがチラッとジャンを見返して苦笑いをした。
その分かりあったような雰囲気は一体なんだよ?
どういうことだよ?ってジャンをつつく。

ジャン「貴族がらみで書類偽造したら、さすがにやべぇだろ?」

確かにそりゃそうだ。見つかったらただじゃすまねぇよな。マリアの開拓が始まったらその貴族だってここのことを思い出すだろうし。

アルミン「隠してはおけないね・・・・。うん、レイス家だよ。どんな事情か知ることは出来なかったけどレイス家も、クリスタを死なせるわけにはいかないらしいんだ。かと言って今シーナやローゼに置くわけにもいかない。王都も壁教の内部も大混乱らしいから。でも兵団に置いておけば何が起こるか分からない。それでね、こういうことになったんだ」

ジャン「援助物資の出所もレイス家か?」

501: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:41:43 ID:QlIxequY0

アルミン「多少はね。だけど、今のところあまり積極的に関わる気もないようだよ?とにかく生きてさえいればいいような雰囲気なんだよね。詳しいことは僕も知らないんだけど」

コニー「いいのかよ?それ、クリスタは知らねぇんだろ?隠しとくのか?」

サムエル「彼女は頭の良い人だから、気が付いてるかもな?」

アルミン「黙ったままには出来ないから話した。気が付いてたよ」

なんだ?ってことは、クリスタは薄々気が付いてたのに、今まで知らん顔してたのか?
クリスタって、レイス家の中じゃ邪魔者扱いされてたって話だろ?普通に考えたら相当複雑な心境になるもんなんじゃねぇのか?

502: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:42:29 ID:QlIxequY0

ジャン「お前さ、そんな難しい状況にある女と付き合おうなんて、随分度胸があるな」

アルミン「そうだね。いや、でもそんな状況にあるからこそ、なんというか、僕が守りたいって、思ったんだよね」

ジャン「お前ぇやるじゃん」ニヤ

アルミン「そういうジャンだって、ミカサのあの状態でよく気持ちが続くよ」

503: 進撃の名無し 2014/05/15(木) 19:43:04 ID:QlIxequY0
コニー「普通なら逃げ出してるぜ?」

サムエル「それかさっさと手を出してるね」

ジャン「サムエルお前という奴は・・・・」

・・・・・こいつ、チャンスがあったら速攻サシャに手ぇ出す・・・・帰るまでぜってぇ~目離さねぇぞ!!

506: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 13:54:08 ID:Wsu31Mww0
―――――
男の子達は浴室に入った。
サシャは剥いだ子羊の皮の後処理をするとかで席を立った。
夕飯の支度をしなかったから後片付けは私がやると言うクリスタに台所から閉め出され、居間のテーブルを囲むのは私と医者だけになった。
高価そうな装丁の分厚い本を生真面目な顔をして読む医者に、話しかけるか少し迷って、思い切る。

ミカサ「あの、先生。すこしお話があります」

医者「どうしたね?ミカサ君ヒヒ」

507: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 13:55:21 ID:Wsu31Mww0

読書の邪魔をして嫌な顔をされるかと思ったけれど、案外機嫌が良くてホッとする。

ミカサ「あの・・・・・私、以前は思い通りに身体を動かすことが出来ました。完璧に動きました。でも今は、まったく思い通りに動きません。また以前のように戦えるようになりたいんです。どうすればいいでしょうか?」

医者「そうだねぇ。それよりもキミ、月のモノはちゃんと来てる?」

一瞬言葉に詰まる。
どうしてそんなことを?関係あるの?
気恥ずかしくて、俯いて小さく「いえ」と答えた。

医者「戦い云々の前に身体の基礎からだよ。貧血が酷いし、骨も弱くなってる。そこを治さないと。まずちゃんと食べる事。少なくとも後5キロは増やさないと、女性としての機能に問題が残るね。戦闘訓練なんかは月のモノが戻ってから考えなさい」

ミカサ「女性としての機能・・・・」

508: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 13:56:13 ID:Wsu31Mww0

医者「子供、産めなくなるよ?今はあまり実感の持てない問題かもしれないけどね。まず体重を増やすこと」

ミカサ「体重が増えて訓練出来るようになったら、また元通りに戦えるようになるでしょうか?」

子供なんて今は考えられない。それよりも、戦える体に戻るかどうかが、今一番重要な事。努力すれば戻るかもしれない。それだけの事かもしれない。でも、今は大丈夫だと言って欲しい。

医者「どうだろうねぇ。キミくらいの年頃の女の子は身体のバランスが急激に変わるからねぇ。立体起動の腕前もそのへんがピークって娘が多いんだよね。ホルモンバランスが急激に変わって、脂肪の付き方も変わるし、精神面でも変わってくるしねぇ。欠かさず訓練してればまだいいんだけど。まぁ、焦って無理矢理訓練なんかしたら身体を痛めるだけだからねイヒヒ、気を付けなさいヒヒ。じゃ、お先に失礼するよヒヒヒ。お休みミカサ君」

ミカサ「・・・・はい。お休みなさい」シュン

先生は、戦えるようになるとは、一言も言ってくれなかった。もう、諦めろと、そういうことなの?
ただの女として生きて行けと、そういうことなの?
女性としての機能・・・・子供を産むこと・・・・一体、誰の子供を?
そんな事、今はどうだっていいのに。

509: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:04:42 ID:Wsu31Mww0





―――――
サムエル「ここはいいなぁ。しょっちゅう入浴できるなんて」

コニー「サムエル、お前のおかげだぜ。良い湯だったなぁ。あちーあちー」パタパタ チラチラ~~~~汗ばむ逞しい大胸筋

サシャ///////////(め、目のやり場が・・・・)ソワソワ

ジャン「先に入らせて貰って悪かったな」パタパタ ムキムキ~~~~汗ばむ鍛えられた腕橈骨筋

ミカサ////////////(わ、私はなぜ緊張を・・・・)ソワソワ

510: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:06:01 ID:Wsu31Mww0

アルミン「あれ?女の子達より先に入るのは初めて?」シャツフワリ チラッ~~~~うっすら割れてる爽やか腹直筋

クリスタ「アルミン・・・」///////////(い、意外と筋肉質なのね)ソワソワ

サムエル(何か疎外感を感じる・・・・)

コニー「そうだなぁ、いつも俺らが後だな」(サシャの入った湯がいいし)パタパタ  チラチラ

ジャン「女子は髪を乾かすのに時間がかかるからな」(髪は大事だ!)パタパタ 腕ムキムキ

アルミン「そっか、そういえばみんな髪が伸びたね」(クリスタの長い髪綺麗)フワフワ 腹チラチラ

511: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:07:23 ID:Wsu31Mww0

女子一同「・・・・・・」//////////(いつも男子がお風呂から出る頃には髪を乾かすのに夢中だったから見てなかったけど・・・・男子の身体がこんなに気になったの初めて)///////////

サムエル「そうだ、サシャ。今回はシーナに行く時間がなくて、お菓子は無いんだ。ごめん」

サシャ「え!!そうなんですか・・・・残念です」シュン

サムエル「でもかわりに」ゴソゴソ「はい。みんなで使ってくれ」コト

サシャ「ん?なんでしょう、これ?綺麗な瓶ですね?」

クリスタ「あら、これはもしかしてオリーブオイル?髪油用の」

512: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:08:15 ID:Wsu31Mww0

サムエル「さすが!クリスタは知ってるね。しょっちゅうお風呂に入るなら、髪につけるオイルがいるんじゃないかと思って。これはトロストでも買えるからね。今回はこれでカンベンしてくれ」

クリスタ「うわぁ!あったらいいなと思ってたの!スゴイ!!でもこれだって高価よ?」

サシャ「そうなんですか??」キョトン

クリスタ「チョコレート程じゃないけど。そもそもしょっちゅうお風呂に入れる人の為の物だもの」

サシャ「そんなに良い物なんですか」ポカン

クリスタ「サシャ、髪を梳くときに引っかかるって言ってたじゃない?」

513: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:09:05 ID:Wsu31Mww0

サシャ「そうですねぇ、長くなったので、毛先が痛んできてるんです」

クリスタ「オイルを付けると引っかかりにくくなるのよ。髪が柔らかくなって艶も出るし」

ジャン(艶?)ピク「おい、冷めちまうぞ?風呂入ってこいよ?」

クリスタ「そうね。早速このオイルを使ってみたいし、行きましょ」

キャッキャッウフフキャハハ

514: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:09:45 ID:Wsu31Mww0


男子一同「・・・・・・・」

サムエル「みんな・・・・分かってると思うが」

コニー「あぁ」

ジャン「そうだな」

アルミン「・・・・・う、うん」

515: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:10:25 ID:Wsu31Mww0

サムエル「彼女達は今!オレ達の全身を包み込んだ湯に浸かっている!!」///グッ

男子一同(アルミン以外)「・・・・・・」///////////////////////ジーン

アルミン(なんかヤダな。僕だけの女神なのに)ムスッ

516: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:26:04 ID:Wsu31Mww0




―――――
ガチャ

サシャ「ふぅ。いつもよりぬるかったので、つい長湯してしまいました」フワッ~~~~ふわふわ甘々チョコレート色の髪

コニー「お、おぅのぼせてねぇか?」////////(湯上り姿には慣れたはず!しかしいつもと違うぞ!!)

サムエル「ふっ」(あの髪に触れるのはオレだ!)////

クリスタ「ん~、やっぱりオイルがあると違うね!」キラキラ~~~~満月のごとく輝く金髪

アルミン「クリスタ・・・・」(君こそフレイヤ!!まさに月の女神!!)///////////ウットリ

517: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:26:50 ID:Wsu31Mww0

ミカサ「少しぬるめのお湯もいい」キラキラ~~~~煌めく星々を抱く夜空のごとき黒髪

ジャン「・・・・・」ポカーン

ミカサ「?」ノゾキコミ

ジャン(目の前に星空が・・・・・)////////

ミカサ「ジャン?」

ジャン「はっ?!」

518: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:27:47 ID:Wsu31Mww0

ミカサ「私の頭に何か変な物ついてた?」

ジャン「いいいいいいやいやいや!!変な物なんか付いてねぇよ?」(オイルだろ?!オイル!!)

サムエル「さぁさぁ、いつまでも濡れたままの髪でいると風邪を引くぞ。暖炉の前で乾かすといい。薪をくべ直しておいたからね」ニコニコ

ジャン(次は何があるってんだ!サムエル!)ワクワク

コニー(なんか企んでやがるな?)ムムッ

519: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:28:30 ID:Wsu31Mww0

クリスタ「ありがとう、サムエル」サラサラ

サシャ「湯冷めする前に乾かしましょう」サラサラ

ミカサ「助かる、サムエル」サラサラ


男子一同「・・・・・・」ゴクリ//////////////

520: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:29:09 ID:Wsu31Mww0

男子一同(これは!!すこし横を向いて俯き髪を乾かすこのしぐさ!)

ジャン(俯くことによって強調される首筋から背筋にかけてのxxx!!)//////////////

アルミン(暖炉方向に向けられてるハズなのにドキドキする流し目!!ほんのり開かれた唇!!)///////////////

コニー(髪を乾かすのに両腕が動くたびに、俯いて緩んだ胸元から  がのぞく!!これが狙いか!サムエル!!)/////////////

サムエル(ふっふっふっ)///////////

アルミン(サムエル!!恐ろしい奴!!)

521: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:30:26 ID:Wsu31Mww0



ミカサ「やっと乾いた。最近乾かすのに時間がかかる」サラッ

ジャン(もう終わりですか!!)//////////

クリスタ「ふぅ、私もそろそろ乾いたかな?」サラッ

アルミン(乾かすと一層綺麗だよ!僕の女神さま!)///////////

サシャ「私はまだ乾きません~」サラサラ

522: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:31:07 ID:Wsu31Mww0

サムエル「ふっ」//////

コニー(サムエルのせいで集中できねぇ)//////

クリスタ「サシャは長いもんね」

サシャ「乾かすのが大変です。すこし切りましょうかね・・・・」サラサラ

クリスタ「う~ん、私もちょっと切ろうかな」

ミカサ「私も・・・・」

523: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:31:53 ID:Wsu31Mww0

ジャンアル「!!」

アルミン「クリスタ、切っちゃうの?綺麗な髪なのに」ブゥ

クリスタ「え」///////「あ、アルミンは長い方がいいと思う?」///////

アルミン「女性の髪形に特別こだわりはないんだけど、クリスタの髪はすごく綺麗だから」///////ポ//////「切っちゃうのは勿体ないなと思ったんだ」////////

クリスタ「アルミンがそう言うなら、伸ばそうかな」//////ポ/////////

アルミン「でも乾かすのが大変ならいいんだよ?風邪を引いてもいけないし。クリスタならショートでもボブでも可愛いと思うし」//////////////

524: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 14:33:37 ID:Wsu31Mww0

クリスタ「やだアルミンたら!みんなの前で、可愛いなんて」キャッ////////////

コニー「・・・・」イラッ(イチャつくんなら2人きりでイチャつけ!)

ジャン(アルミン!よく言った!!)「み、ミカサも切るのは勿体ないんじゃねぇか?髪、き、綺麗だし」//////////////

ミカサ「・・・・・そう?でも立体機動使う時邪魔になる」

ジャン「ミカサは立体機動使えるようになるの、まだ先だろ?」ズバリ

ミカサ「うっ・・・・そうだけど」

525: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:09:31 ID:Wsu31Mww0

ジャン「それに邪魔ならサシャみたいに結んだらどうだ?むしろ編んだり結んだりしといたほうが邪魔になりにくいんじゃねぇ?ボブでも立体機動中に髪が目に入ったりしそうだと思うんだが」

ミカサ「確かにそういうことはある」

ジャン「じゃあ伸ばしとけよ。お前の長い黒髪すごく、き、綺麗だぞ?」///////////

526: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:10:12 ID:Wsu31Mww0

~~~~~~ミカサ回想・幼少期の思い出~~~~~~~

父「ミカサはお母さん似だな」

幼ミカサ「そうなの?どこが似てるの?」

父「顔も似てるけどこの黒い髪、お母さんそっくりだ。すごく綺麗だぞ?」ナデナデ

幼ミカサ「じゃあ私お母さんみたいに長くする!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

527: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:11:05 ID:Wsu31Mww0

ミカサ「伸ばす」///////////

ジャン(ヨシッ!!ミカサのポニテも見てみたい!!)

アルミン(あれ、何か違和感が・・・・)

サシャ「・・・・・」髪ヒョイ・・・・マジマジ

コニー「!」(これは!何か気の利いたことを言わねぇと!!)

サムエル「サシャはずっとロングだね?長い方が好きかい?」

528: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:11:54 ID:Wsu31Mww0

サシャ「そうですねぇ、特に理由はないんですけど・・・・なんとなく、ですかね?」

コニー(くっそぉ!!先を越されたッ)

サムエル「サシャにはポニーテールがよく似合ってるよ?」ニコニコ

サシャ「そ、そうですか?」////

サムエル「けど、ボブも似合いそうだね。サシャのゆるふわな髪でボブにしたら、可愛いんじゃないかな?」ニコニコ

サシャ「ど、ど、どうでしょうかね?似合いますかね?」アハハハ///////////(ほんとやめて下さい!意識してしまうじゃないですか!!)

529: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:12:59 ID:Wsu31Mww0

コニー(サムエル・・・・コロス)ゴゴゴゴゴゴゴ

サムエル「次に来るときは、すきばさみを差し入れるよ。長くても楽に乾かせるようになるからな」ニコニコ

サシャ「わぁ、それは助かります。サムエルは物知りですね」

サムエル「そんなことないさ。でも喜んでもらえて嬉しいよ」ニコニコ

コニー ゴゴゴゴゴゴゴ

ジャン(だからさっさとキメろとあれほど・・・・)ヤレヤレ

530: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:41:09 ID:Wsu31Mww0



サシャ「はぁ~、やっと乾きました!疲れましたね・・・・」

クリスタ「サシャお疲れ様!」

ミカサ「眠い・・・・」ファ

ジャン「ん?じゃあそろそろ寝るか。夜更かししちまったな」

サムエル「そうだな。明日も早いし。サシャの部屋も2階だろ?行こうか」

531: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:42:09 ID:Wsu31Mww0
サシャ「ミカサ、お休みなさい」

ミカサ「お休みなさい」

コニー(二人きりにはさせねぇぞ)ゴゴゴゴゴゴ

ガタガタ

ミカサ「じゃ、私も・・・お休みなさい」ガチャ

ジャン「お休みミカサ」

クリスタ「え~、もうみんな寝ちゃうの?」アルミンの腕ギュ

532: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:42:58 ID:Wsu31Mww0

ジャン「アルミン。3階、好きに使っていいぜ?」ボソ

アルミン「え?!す、好きにって・・・・」///////////

ジャン「誰も使ってねぇけどよ、使えるようにはしてあるんだ。クリスタと存分にイチャついてこいよ」ボソ

アルミン「い、イチャつくだなんて」カァ////////////

クリスタ「やだ、ジャンったら」カァ///////////////

ジャン「明日帰ったらまた何か月も会えねぇかもしれねぇんだぞ?いいのか?」ニヤリ

533: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:43:58 ID:Wsu31Mww0

アルミン「そ、それは・・・・」

クリスタ「考えたくないな・・・・」アルミンの腕ギュ

ジャン「そんじゃ、俺も寝るわ。じゃあな」ガタ

アルミン「・・・・・・・・・」

クリスタ「・・・・・・・・・」

534: 進撃の名無し 2014/05/19(月) 15:45:07 ID:Wsu31Mww0

アルミン「・・・・・・・・・」モジッ

クリスタ「・・・・・・・・・」モジッ

アルミン「えっと・・・・・・僕は・・・・・その・・・・・」//////////////モジモジ

クリスタ「・・・・・・・・・私、アルミンと一緒にいたいな」//////////////ギュ

アルミン「・・・・・・行こうか?」///////////ギュ

クリスタ「・・・・・・・・・うん」///////////ギュ

535: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:29:32 ID:8Kuikww60




――――――
サシャ「おはようございます、ジャン」

サムエル「おはよう。ジャン」

ジャン「おはよう。おぉコニー、早いな」

コニー「おーっす・・・・」(サムエルとサシャを二人きりにさせない為に誰よりも早く起きたんだよ!!)

536: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:31:35 ID:8Kuikww60

サシャ「今日は珍しくクリスタがまだ起きてこないんですよねぇ。どうしたんでしょう?」

ジャン(ほう?)ニヤニヤ

コニー「そういえば夕べ誰かが3階に上がっていったような音がしたけど、まさか・・・・」ボソッ(サムエルが  いかけねぇように聞き耳立ててたからな!!おかげで寝不足だチクショー!!)

サシャ「え?どういうことですか?」

ミカサ「夕べジャンが2人をけしかけてた。だからクリスタとアルミンは3階で2人きり」ジャン「うぉっ!!み、ミカサっ!!聞いてたのか・・・」///

537: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:32:30 ID:8Kuikww60

ミカサ「私の部屋は居間のすぐ隣なんだから聞こえる」

ジャン(小声のつもりだったんだがな)///

サシャ「ということは・・・・」/////////////(クリスタ!まさかまさか!!)///////

サムエル「へぇ?」ニヤニヤ

コニー「アルミン・・・・展開が早すぎるだろ・・・・」////////////

ジャン「いやいや、お前が遅すぎるだけだし」

医者「青春だねぇヒヒヒヒ」

538: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:33:25 ID:8Kuikww60

ガチャ

アルミン「おはよう、みんな早いね」///////

クリスタ「おはよう」アルミンの腕ギュ///////

思春期のみなさん「・・・・・・・・お、おはよう」//////////////////

コニー(アルミンが眩しく見えるのはなぜだ!!)

ジャン(アルミン、顔が赤いぞ・・・・)

539: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:34:22 ID:8Kuikww60

サムエル(  卒業おめでとう。アルミン)

サシャ(クリスタが大人に見えますね)////////////

ミカサ「クリスタ、今幸せ?」

クリスタ「うん。すごく幸せ」///////////

ミカサ「良かった。さ、ご飯食べよう」アッサリ

540: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:34:56 ID:8Kuikww60

クリスタ「手伝わなくてごめんね?」

ミカサ「気にしないで。今日はアルミンと一緒に過ごせばいい」

クリスタ「ありがとう。ミカサ」/////////

アルミン「ミカサ、気遣ってくれてありがとう」

ミカサ「2人が幸せなら私も嬉しい」

541: 進撃の名無し 2014/05/20(火) 14:35:30 ID:8Kuikww60

ジャン(なんて大人な対応なんだ!ミカサ!)

コニー(メシ食ったらアルミンとっつかまえてやる)

サムエル(もちろん夕べの話はしっかり聞かせてもらう)

サシャ(ミカサは夕べ2人に何があったか気にならないんでしょうか!?)

医者「若いっていいねぇヒヒヒヒヒ」

542: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:14:29 ID:i9ElAw7M0

――朝食終了

全員「ごちそうさま~」

コニー「さぁてアルミン、ちょっと付き合ってもらおうか」ガシ

アルミン「え?!」

ジャン「そうだなぁ、アルミン」ガシ

クリスタ「ちょっと!またなの?!」ムッ

543: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:16:06 ID:2Sab1F/M0

サムエル「ほんの少しだから、ね?」

サシャ「クリスタ・・・・・私もクリスタにお話しが・・・・・」////////

クリスタ「え?!」

ジャン「じゃ、そういうことだ」

アルミン「えぇぇ!!!」――――アルミン連行中(ロズウェルスタイル)イヤーヤメテー

クリスタ「アルミ~ン!!」

544: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:16:55 ID:2Sab1F/M0



コニー「で!アルミン。その・・・・夕べはどうだったんだよ?」////////////キョウミシンシン

ジャン「そのつもりで上がったんだろ?3階に」ニヤリ

サムエル「卒業できたんだろ?どーて・い!」ニヤ

アルミン「卒業だなんて・・・・ひ、避妊具の用意もなしにそんな無責任なことできないよ」/////////////

コニー「んな!なんだとっ!!」/////////ガクゼン

ジャン「アルミン、お前・・・・」ボーゼン

545: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:17:52 ID:2Sab1F/M0

サムエル「10代にしてこの自制心はなんだ!!」キョウタン

アルミン「妊娠しちゃったらどうするんだよ?一緒に暮らせもしないのに、クリスタに申し訳ないよ」

コニー「そりゃまぁ・・・そうだな」///////

ジャン「確かに。お前までここに住むわけにはいかねぇからな」

サムエル「いや、外に出せば・・・・」

アルミン「サムエル」ジト「外でもダメだよ!」

546: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:18:45 ID:2Sab1F/M0

コニー(こいつにはぜってーサシャ渡さねぇ!)キッ

ジャン「アルミン、お前やっぱすげぇわ。尊敬する」

アルミン「ジャンに言われるとなんだか面映ゆいな・・・・僕もさすがに連日となると自制心が持つかどうか自信ないよ。ミカサを大切にしてくれてありがとう」

ジャン「お、おぅ・・・」(いつもギリギリなんだがな)//////////「俺とアルミンは状況が違うだろ。クリスタはそのつもりだったんだし」

547: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:19:21 ID:2Sab1F/M0

アルミン「まぁね」////////「できれば僕も、その、したかったけど」////////「こういう事は男がきちんと責任持たないとね」

コニー「男の責任、か・・・・」

ジャン「・・・・・責任・・・か」

548: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:22:07 ID:2Sab1F/M0



―――――

サシャ「あの、クリスタ?」///////////

クリスタ「なによ」ムスッ

サシャ「あのですね・・・・」モジモジ/////////////

クリスタ「んもう!用事があるなら早く言ってよ!ちょっとでも長くアルミンと一緒にいたいのにぃ!」イラッ

サシャ「いえ、その、アルミンとのことなんですけど・・・・」モジモジ////////////

ミカサ「サシャ、他人の情事について聞くなんてはしたない」ピシッ

549: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:22:57 ID:2Sab1F/M0

サシャ「まだ何にもいってないじゃないですかぁ!」/////////////

ミカサ「全部言わなくても分かる」

サシャ「だって・・・・気になるじゃないですか!ミカサは気にならないんですか?」/////

ミカサ「気にならないわけじゃない。でも慎むべき」////

クリスタ「うふふっ。ミカサも結局気になっちゃうんだ?」////

ミカサ「・・・・・それは、まぁ・・・・私だって興味がないわけじゃない。でも聞くなんてはしたない」////

550: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:23:54 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「ふふっ。でも残念。2人が聞きたがってるようなことは何にもないよ?」

サシャ「えぇ!!でも2人きりだったんですよね?!何もなかったんですか?!」

クリスタ「うん。私は、その・・・・しても良かったんだよ?でもアルミンがね、私のことは大切にしたいから、そういうことはちゃんと準備をしてからにしようって」////////

サシャ「おぉ!!」////

ミカサ「さすがアルミン」////

クリスタ「少し拍子抜けしたけど・・・・でも好きな人に抱きしめられながら眠るって、本当に幸せ」//////////ウットリ

551: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:24:53 ID:2Sab1F/M0

サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」(アレ?それ、知ってるような・・・・?)

クリスタ「そして朝、好きな人のあたたかい腕の中で目が覚めて、彼が微笑みながら、おはようって言ってくれるの」//////////ウットリ

サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」ドキドキ/////////

クリスタ「そしてギュッと抱きしめて、髪を指で梳きながらキスしてくれるのよ」////////ウットリ

552: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:25:42 ID:2Sab1F/M0

サシャ「・・・・・」ドキドキ/////////

ミカサ「・・・・・」ドキドキ/////////

クリスタ「こんな幸せなことがあるなんて・・・・・毎日アルミンと一緒に眠れたらいいのに・・・・・でも今日アルミンは帰っちゃうのよね・・・・」シュン

サシャ「そうですね・・・・・」

ミカサ「・・・・・」

クリスタ「私、いつかアルミンと一緒に暮らせるのかな・・・・・」

サシャ「・・・・・」

ミカサ「・・・・・」

553: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:27:12 ID:2Sab1F/M0





――――

クリスタ「アルミン・・・・」ギュ

アルミン「クリスタ・・・・」ギュ「また手紙を書いて?」

クリスタ「うん・・・・・」ギュ

アルミン「何かあったら、知らせて?飛んでくるから」ギュ

クリスタ「うん・・・・・」ギュ

アルミン「それじゃ・・・・元気でいて?」

クリスタ「うん・・・・・」

554: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:28:04 ID:2Sab1F/M0

アルミンの姿が見えなくなるまで、クリスタは手を振り続けました。
何度も何度も振り返るアルミンをいつまでも見つめて手を振って、アルミンが見えなくなると、肩を震わせながらわんわん声を上げて泣きました。
そんなクリスタを見ていると、なんだか私まで切なくなって、泣けてきてしまいました。おかしいですね。ふと見ると、ミカサまで目元を押えてもらい泣きしていて、結局3人で泣いて、泣いて、泣いて、どうして泣いてるんだか分からなくなるまで泣いて、気が済むまで泣いて、気が付いたら夕方でした。

555: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:30:45 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「やだもう」ヒック「どうしてこんなに泣いちゃったんだろ」ヒック

サシャ「ほんとです」ヒック

ミカサ「よく分からないけど、でもすっきりした気持ち」グスッ

クリスタ「2人まで泣くんだもん」ヒック「おかしいよ」ヒック

サシャ「クリスタが泣くからですよ」ヒック

ミカサ「つられた」グスッ

556: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:31:29 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「でも」ヒック「だからってこんなに泣くことないじゃない」ヒック

サシャ「分かりませんけど」ヒック「なぜかすごく悲しくなって」ヒック

ミカサ「きっと」グスッ「みんな不安だった」グスッ「ので、一度泣いたら止まらなくなった」グスッ

クリスタ「これからのこととか?」ヒック

ミカサ「今までも」グスッ「辛いことが沢山あった」グスッ

サシャ「そうですね」ヒック「仲間を沢山失いました」ヒック

557: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:32:44 ID:2Sab1F/M0

ミカサ「仲間も」グスッ「家族も」グスッ

クリスタ「でも」ヒック「辛いことしか無いって思ってたけど」ヒック「良いことも幸せだと思えることも沢山あるんだね」ヒック

ミカサ「・・・・・」

サシャ「・・・・・そうですね」ヒック


コニー「おぉい!お前ら、いつまで外にいるんだ?いい加減中に入れ。メシ作ってやったぞ!」

サシャ「えぇ!?コニーが?ご飯を?」ヒック

ミカサ「そんな時間?」グスッ

クリスタ「泣き過ぎだね」アハハ ヒック

558: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:37:42 ID:2Sab1F/M0



サシャ「すごい。コニー美味しいです」

コニー「ふふん。すげぇだろ」

ミカサ「うん、美味しい」

クリスタ「コニーって何でもできるのね」

コニー「弟が産まれた時、ちょっと母ちゃん産後の肥立ちが今一つでな、オレが炊事洗濯全部やったんだ。近所のおばちゃんも手伝ってくれたけどな」

サシャ「そうだったんですか・・・・」

559: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:38:26 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「それで、この形の変な野菜は・・・・?」

コニー「そりゃジャンが切ったんだ」

ジャン「変で悪いな。料理はしたことがなくてよ」ブスッ

サシャ「それで手が傷だらけなんですか?」

ジャン「あぁ。包丁ってのは使いにくいもんだな。刃の方がよっぽど扱いやすいぜ」

ミカサ「・・・・・・」チラッ

560: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:39:02 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「2人ともごめんね?気を使わせちゃって」

コニー「気にスンナ」



全員「ごちそうさまー」

クリスタ「あぁ。すっごく美味しかったよ!コニー」

サシャ「ありがとうございました、コニー。さて、洗い物を・・・・」ガチャガチャ

561: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:39:46 ID:2Sab1F/M0

コニー「あぁ、いいよ。オレがやる」ガチャガチャ

サシャ「え?でも、作ってもらって、その上洗い物まで・・・・」

コニー「いいって。今日はお前ら早く寝ろ。疲れただろ?」

クリスタ「コニー・・・・ありがとう」

サシャ「いいんでしょうか?」

コニー「料理ってのはなぁ、後片付けまでやって、初めて料理したって言えるんだよ。ホレ、さっさと歯磨きしてこい」

562: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:43:23 ID:2Sab1F/M0

サシャ「ありがとうございます」////////

クリスタ「ふふっ。コニーお兄さんみたいね」

サシャ「私の方が年上ですっ」ムゥ

コニー「5月になったらオレも16だっつうの!」

クリスタ「あら?じゃ私の方がお姉さんね」

サシャ「クリスタは1月生まれですもんね」

563: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:44:18 ID:2Sab1F/M0

ジャン「・・・・・」ピク

クリスタ「そうだ!ミカサ!」

ミカサ「アルミンの誕生日?」

クリスタ「ミカサ鋭いね・・・・」アセアセ

ミカサ「11月3日」

クリスタ「えぇ~・・・・遠いなぁ・・・・何か贈りたいんだけど・・・」

564: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:44:58 ID:2Sab1F/M0

コニー「誕生日に贈り物すんのか?」

クリスタ「特別な人にはそうするよ?」

コニー「そんな習慣があるのか。初めて聞いたぜ。オレの村じゃそんなことしねぇなぁ」

ミカサ「シガンシナにもそういう習慣はなかった」

サシャ「私も初耳ですねぇ。クリスタは何かもらったんですか?」

クリスタ「うん・・・・すごく良いもの」////////////

565: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:45:37 ID:2Sab1F/M0

ジャン「コニーは5月か、俺は4月だから近いな。サシャは何月なんだ?」

サシャ「7月です。コニーが16歳になったらすぐ私は17歳ですから、私がお姉さんです」ドヤ

コニー「だから何だよ」ムス

ジャン「ミカサはいつなんだ?」ソワッ

ミカサ「私は2月だからもうすぐ」

566: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:46:15 ID:2Sab1F/M0

クリスタ「2月の何日なの?」(ジャン、これで借りは無しよ?)チラッ

ミカサ「10日」

ジャン「へぇ、ミカサもクリスタも冬生まれかー」棒(クリスタ!恩に着る!)チラッ

コニー「ほれ、いつまでもだべってないでさっさと歯磨いて寝る!」

サシャクリ「はーい」

567: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:46:54 ID:i9ElAw7M0



ミカサ「ジャン、その手」

ジャン「あぁ、俺はどうも不器用でいけねぇな。コニーはすげぇわ」

ミカサ「手当を」

ジャン「大したことねぇよ」/////

ミカサ「いけない。ちゃんとしないと」

ジャン「・・・・悪いな」/////

568: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:47:42 ID:2Sab1F/M0



すっかり大きくなった体を少し丸めて食器の片付けをするコニー。畑や家畜のことに詳しくて、みんなの為に一生懸命働いて、頼りになる人。料理まで出来るなんて思いませんでした。弟みたいで可愛いと思ってたのに、いつのまにか私より背が高くなって、肩幅も広く逞しくなって、もう少年じゃなく、大人の男性になりつつあるコニーに、私は戸惑ってばかりです。

傷だらけの手をミカサに手当してもらって顔を赤くしてるジャン。不器用だとか言ってるけど、みんながベットで眠れるように大工仕事を頑張って、燻製小屋もジャンが直してくれたんでした。何よりもミカサを大切にしている愛情深い人。昔はもっと傲慢で感じ悪い人だったんですけど、人って変わるんですね。

569: 進撃の名無し 2014/05/27(火) 11:48:14 ID:2Sab1F/M0

手に負えない数の巨人に襲われて、いつか仲間たちのように食い殺されるかもしれないとか、壁の中の人間全員が私たちを巨人の仲間と疑って、捕まって拷問を受けて殺されるかもしれないとか、ここでの平和な暮らしの中にいろんな不安が隠れていて、みんな忘れたフリをしていたわけじゃないと思うけど、気にしていたら暮らしていけないわけで・・・・

クリスタの言うとおり、辛いことばかりじゃなく、幸せだと思えることが確かに、ここにはあって。だから、この幸せな場所を失いたくないと、切に願うのです。どうかこの幸せが少しでも長く続きますように、と。

571: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:52:06 ID:Cx35QO9c0



――――――
アルミン達が帰った次の日、矢も盾も堪らず、俺は朝の畑仕事を終えたばかりのコニーを捕まえた。

ジャン「コニー、足はもういいんだろ?付き合えよ」

コニー「おぉ。いいぞ。なんだ?」

ジャン「対人格闘」

コニー「あぁ、そういえばアルミンが言ってたな」

572: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:52:58 ID:D6dD9Ks20

ジャン「俺対人格闘はさぼり気味だったからな。エレンとやりあってから多少は真面目にはやってたけどよ、ちゃんと訓練しとかねぇと使い物にならねぇ」

コニー「対人格闘は点数にならねぇからな。オレもさぼってサシャと必殺技ごっこばっかやってたから、あんまり相手にならねぇぞ?」

そう言いつつも、くるくると足首や手首を回して、コニーはやる気満々だ。
今やコニーは身長も肩幅も腕の長さも昔とは大違いだ。体格差のないコニーが相手なら訓練にはちょうどいいだろう。

573: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:53:37 ID:Cx35QO9c0

ジャン「そういやお前らも遊んでばっかだったな」

コニー「ミカサが復活してくれりゃ、一番いい練習になるんだろうけどなぁ」

ジャン「怪我する前のミカサじゃ、手も足も出ねぇだろ」

コニー「だな。よし、柔軟おわりっと」

ジャン「やるか」

コニー「おう」

574: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:54:26 ID:Cx35QO9c0
ビシッ 
バシッ 
ドカッ 

ジャン「なぁ」ハァハァ 

コニー「なんだよ」ハァハァ

バンッ 
ドッ

ジャン「男の責任って」ハァハァ「なんだろうな」ハァハァ

ビシッ
ガシッ

コニー「なんだよ」ハァハァ「急に」ハァハァ

575: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:55:26 ID:Cx35QO9c0
ギリギリ

ジャン「っつ」ハァハァ「引っかかるんだよ」ハァハァ「色々とな」ハァハァ「つかお前、中々やるじゃねぇの」ハァハァ

ドンッ

コニー「くっ」ハァハァ「自分でも意外だぜ」ハァハァ「リーチ伸びるとやりやすいもんだな」ハァハァ「で、何がひっかかるんだよ?」

ビュッ
ビシッ

ジャン「だからよ、俺らの責任って」ハァハァ「なんだろうな」ハァハァ

ガッ
ドッ

コニー「わかんねぇな」ハァハァ「だけどオレは」ハァハァ「目の前のこと」

576: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:56:25 ID:Cx35QO9c0
ビシッ

コニー「今やれること」ハァハァ「それを全力でやる」ハァハァ「難しいこと」

バシッ

コニー「考えられるタチじゃねぇからな」ハァハァ

ガシッ
ドッ

ジャン「いってぇ」ハァハァ「1本」ハァハァ「とられたな。強ぇじゃんよ、コニー」

コニー「3本勝負といこうや」

577: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:57:13 ID:Cx35QO9c0


ハァハァハァハァハァ

コニー「最初の1本だけかよ~・・・・」ハァハァハァ

ジャン「ははっ」ハァハァハァ「そうそう勝たせるかよ」ハァハァハァ

コニー「はぁ・・・体格が互角になったからって、簡単に勝てるもんじゃねぇな」ハァハァ

ジャン「なぁ、コニー」ハァ

コニー「ん?」ハァ

578: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:58:13 ID:Cx35QO9c0

ジャン「俺らの知らないところで、アルミンは何を背負ってるんだろうな」ハァ

コニー「そりゃまたいきなりだな?」ハァ

ジャン「クリスタのことだよ。ありゃあ相当裏があるぞ」

コニー「レイス家のことか?」

ジャン「壁教もな。アルミンは俺らの知らないこと、かなり知ってるはずだ。その上でクリスタを守るって決めた。ちょっとやそっとの覚悟で出来ることじゃねぇ」

コニー「そうだな・・・・・でも、何なんだろうな。何があるってんだ?」

579: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 09:58:55 ID:Cx35QO9c0

ジャン「・・・・・わからん。だがお前の言うとおりだ。俺達は、俺達にできることを、全力でやる。今はここで生き抜くこと。それが俺達のすべきこと。だよな」

コニー「あぁ。そうだな」

ジャン「なんか俺ら、ここでぬるま湯に浸かりすぎたって、そんな気しねぇか?」

コニー「ん?」

ジャン「俺は、大切な物を忘れてた気がすんだよ。ここの居心地が良すぎてさ」

580: 進撃の名無し 2014/05/28(水) 10:01:57 ID:Cx35QO9c0

コニー「・・・・・オレ、ここが好きだぜ?ここでなら、生きていける気がすんだ。ここでオレ、サシャと暮らしていきてぇ。亡くした家族を弔いながら、自分の家族作りてぇんだ。お前とミカサがこの家に住んでてよ、向かいに俺とサシャの家を建てるんだ。んでアルミンとクリスタがその隣。みんなで畑作って狩りして、春には羊の毛を刈ってよ。そんで街に売りに行って、菓子とか髪飾りとかの土産もって帰るんだ。子供がいっぱい居てよ、お前の子とオレの子が森でオレらの作ったツリーハウスや橋で飛び回ったり、その辺で泥まみれになって夕飯時まで遊び倒してんだ。アルミンの子は本にかじりついててよ」

ジャン「・・・・・いいな。それ」

コニー「だろ?そういうのがオレの今の夢なんだ。叶うといいなって、本気で思ってる。だからオレ、夢を叶えるために今できること、全力でやるわ」

空を見上げながら夢を語るコニーの横顔を見ながら、俺もその夢に浸った。
退屈で単調で平和な毎日。朗らかに笑うミカサと、沢山の子供たち。豊かなこの土地で、家族に囲まれて生きる幸せ。
だが、その前に俺達にはやらなきゃならないことがある。巨人との戦いで死んでいった多くの仲間達のことを忘れて、俺達だけがそんな幸せに浸ることは許されないだろう。

582: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:39:43 ID:xCGGlsmE0





―――――
朝食が済んで、皆それぞれ仕事を始めると、急に家の中が静かになった。
以前はジャンが家のあちこちを修繕する音が響いていたけれど、最近はツリーハウスの材料造りだとかで、外に出ていることが多い。

しん、とする家の中でなんとなく、畳まれたまま数か月放置していた戦闘服に手を伸ばした。
ジャケットはサシャかクリスタが洗ってくれたらしいけれど、血痕が薄黒く大きなシミを作っていて、ところどころ繕った後もある。下のシャツやズボンは治療の時に裂いてしまったとかで、アルミンが新しいものを用意してくれた。袖を通してみると、筋肉の落ちた身体には大きすぎて不格好なくらい生地が余る。ブーツでさえ、ふくらはぎの辺りに信じられない程隙間が空いていて、立体機動で跳んだら脱げて落ちてしまいそうだ。
一通り身に着けてみて、改めて自分の体の衰えを思い知らされる。これでは医者にも元通り戦えると断言して貰えないわけだ。

583: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:40:25 ID:xCGGlsmE0
思わずため息が漏れて俯くと、俯いた顔をさらりと髪が覆った。エレンは、この髪にはなんの興味も無かった。私だって特別自分の髪にこだわりがあるわけじゃない。伸ばしたのは父に綺麗だと言われたから。切ったのはエレンに切った方が良いと言われたから。それでは今、こうして伸ばしているのは何故だろう?綺麗だと言ってくれた父はもう居ないのだし、いっそナナバさんのように短く切ってしまおうか。そう思ってハサミを手に脱衣所の鏡の前に立つ。けれど鏡の中の自分に短い髪を重ねようとしても、どうしてもしっくりしない。それに後頭部の辺りは自分一人では上手く切れそうにないと気が付いて諦める。
傍らの卓に、サシャがいつも髪を結うのに使うのと同じ結紐を見つけて、試しにサシャと同じように高く結ってみた。初めてのことなので少し手間取ったけれど、上手く結えたと思う。鏡に映る髪を結った自分の姿を眺めて、少しほっとする。

584: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:41:08 ID:xCGGlsmE0

これでジャンにがっかりされずに済む
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・え?

頭に突然湧き出た思考に鏡の中の自分が目を見開いた。
私は・・・・ジャンにがっかりされたくないの?
だとしたら、それって一体・・・・どういうことなの?
・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・愚かだ。本当に、愚かだ。それを知って、それでどうするっていうの?
結婚?
子供?
女としての幸せ?
それが何?
この残酷な世の中で、そんなもの長続きするわけない。
ここでの5人の生活だってそうだ。まるで、両親が殺される前のような、壁が壊される前のシガンシナのような、平和な生活だけれど、いつまでも続くわけないんだから。
そうだ。だから私は今、やるべきことをやらなくては。

585: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:41:42 ID:xCGGlsmE0



サシャ「ミカサ!戦闘服なんか着て、どうしたんです?」

クリスタ「それに髪形も。ポニーテールじゃない」

ミカサ「・・・・・ちょっと身体を動かそうと思って。髪も結んだ方が動きやすそうだし。サシャ、結紐借りてる」

サシャ「ポニーテール中々似合ってますよ?けど無理しないで下さいね?」

586: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:43:03 ID:xCGGlsmE0

ミカサ「しようと思ってもできない。アルミンが用意してくれた戦闘服、前と同じ寸法のハズのに、ブカブカ」

サシャ「・・・・しかたないですよ。あれだけの怪我をしたんです。そう簡単には戻りません」

クリスタ「筋肉がごっそり落ちちゃったもんね・・・・」

ミカサ「そうね・・・・でも私はまた戦えるようになりたい。一日でも早く」

サシャ「焦っちゃだめですよ?」

ミカサ「うん。大丈夫。でも少しでも身体を動かしたい」

587: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:43:36 ID:xCGGlsmE0

クリスタ「ねぇ、サシャ。私達もたまには身体を動かさない?ここのところずっと編み物とか縫い物ばかりで、あまり動かしてないし」

サシャ「そうですねぇ。狩りにも行ってませんし、ちょっと動きましょうか」

3人で揃って柔軟を始めて、愕然とした。
以前の半分、いやそれ以下だ。しかもただの柔軟なのに、すこし動いただけで息が切れるなんて、これはあまりにも酷すぎる。

ミカサ「やっぱり・・・・・すごく身体が固くなってる・・・・」ハァハァ

クリスタ「少しずつほくしていくしかないよ。頑張ろう?」

ミカサ「うん・・・・」ハァ

588: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:44:13 ID:xCGGlsmE0

落ち込む私の横で、サシャが跳ねた。

サシャ「それっ」側転クルッ「やっ」バク転クルッ「ほっ」三角跳びからの回し蹴り!「はっ」とどめの踵落とし!

クリスタ「おぉ」パチパチパチ「サシャ身軽!」

軽々と飛び回るサシャに、競争心が煽られる。

サシャ「どうです?ミカサが元に戻ったら、対人格闘、相手になってあげますよ?」ニヤッ

ミカサ「サシャ、絶対勝つから!」

クリスタ「ふふふ、ミカサ頑張れ~」キャッキャッ

589: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:44:45 ID:xCGGlsmE0

コニー「おぉ?なんだお前らも訓練か?」

ジャン「み、ミカサ!!その髪・・・・」(ポニテ!ミカサのポニテ!!良いっ!!)/////

ミカサ「・・・・・」///

クリスタ「ちょっと身体動かしてるの。最近動いてなかったから」

ミカサ「すっかり体が硬くなった」

サシャ「なんだか一度動かしたらもっと動きたくなってきました。ジャン!」

590: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:45:30 ID:xCGGlsmE0
ジャン(ミカサのポニテ・・・・うなじが・・・・)//////ボー「・・・・なんだ?」
サシャ「対人格闘!行きますよ!!」ビュッ
ジャン「おわっ!!」サッ「ちょ!さっきコニーとやってクタクタだっつうの!」サッ
サシャ「問答無用!!」ビュッ
ジャン「コニーとやれよ!!」サッ
クリスタ「コニーは」ビュッ「私とでしょ!!」ビュッ

591: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:46:00 ID:xCGGlsmE0

コニー「うぉっ!!」サッ「クリスタもかよ!!」

クリスタ「小さいからって」ビュッ「甘く見ないでよ?」ビシッ

コニー「へっ!」サッ「チビの手の内はお見通しだぜ!」サッ

クリスタ「ふん!」ビュッ「どうかしら?」バシッ

コニー「くっ!意外と鋭いじゃねぇか!」サッ

592: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:46:59 ID:xCGGlsmE0

ジャンを相手に飛び回るサシャがきらきらと眩しくて、胸が痛んだ。自由に身体を動かすことのできるサシャが羨ましいのかとも思ったけれど、羨望の対象がなぜクリスタではなくてサシャなのか。・・・・・・どうでも・・・・いいはずなのに。
大きな怪我をしたせいとはいえ、私のこの身体は一体どうだろう。固くなって、脆くなって、細くなって。
サシャのしなやかな身体が飛んで、跳ねて、茶色い髪が太陽に照らされて踊って。
いつのまにかまた、あの堅い何かが喉をふさいだ。

サシャ「脇が甘い!!」ドッ

ジャン「ぐあっ!!いってぇ!!」

サシャ「そりゃっ!」ダンッ

ジャン「だっ・・・・!」ドシッ「これはっ」

593: 進撃の名無し 2014/05/31(土) 17:47:43 ID:xCGGlsmE0

サシャ「ふふふふ」ギリギリ

ジャン「ぐ、ぐるぢい・・・・」

サシャ「アニの技です。見よう見まねですが、いかがです?」ニヤリ

ジャン「むり!むり!!」バンバン

まるであの時と同じ。
エレンに寝技をかけたアニを見てひどくイラついた、あの時と。

598: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:34:54 ID:jR2.GEgw0





―――――
気持ち良く身体を動かして適度に汗をかき、肉や卵をふんだんに使った夕飯を食べて、広々としたお風呂にゆっくり浸かって疲れを落とす。こんな贅沢なことが世の中にあっていいんでしょうか?ここでの生活は本当に夢のようです。巨人さえ来なければ、ですけど。
久しぶりの訓練で疲れたミカサはうっかり湯船で眠りかけて、普段より早く自室に下がり、ジャンも今日はクタクタだと言って2階に上がって行きました。
クリスタと2人、編み物を少しやっておくか、寝ちゃうかと迷っていた時、ガチャリ、と聞き慣れた音に振り返ったら、戦闘服に立体機動を付けた完全装備のコニーが立っていました。夕飯も入浴も終わっているこの時間に。

コニー「なぁ、サシャ。ちょっと付き合えよ」

サシャ「え?・・・・・い、いえ、あの」

クリスタ「あ、私眠いから寝るね」ガタッ「お休み」ニヤッ

サシャ「く、クリスタ!?ちょ!ちょっと!!」オロッ

599: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:35:49 ID:jR2.GEgw0

キョロキョロと私とコニーを見上げていたクリスタは、何か悟ったような顔をして笑うと、さっさと立ち上がって行ってしまいました。
ヒドイですクリスタ!私を1人にするなんて!!

コニー「なんだよ?もうメシも後片付けも終わったし、風呂も入ったし、髪も乾かしたし、後寝るだけだろ?」

サシャ「いえ、そうなんですけど・・・・・えと、もう眠いので・・・・」

コニー「なんか最近オレ避けられてる気がするんだけど?」

サシャ「そんなことないです・・・・」

コニー「じゃあ付き合え」

600: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:36:27 ID:jR2.GEgw0

どうしたんでしょう、今日のこの強硬な姿勢は・・・・。いつもならやんわりと拒絶の姿勢を取るだけで引き下がってくれたのに。

サシャ「・・・・・・」

コニー「・・・・・・」

サシャ「どこに行くんです?どうして立体機動装備してるんです?」

コニー「森だよ」

サシャ「こんな時間にですか?」

601: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:37:08 ID:jR2.GEgw0

コニー「馬乗れよ」

サシャ「・・・・・」

用意された馬は1頭。
先に馬に跨ったコニーが、ん、と言って差し伸べた手に、恐る恐る手伸ばすとがっちり掴まれて引っ張り上げられました・・・・・・すごく、強い力で。
ごく自然にコニーの前に座らされてオロオロしている中、急に馬を出されて仰け反ったら、とん、とコニーの体に凭れてしまいました。凭れたコニーは微動だにしなくて、思わず振り返って見たら同じ馬上にあるのに私を見下ろしている彼が居て、その目線の高さと近さに、顔が熱くなるのを感じて慌てて前を向いてグリップを握りしめました。

その、グリップを握る私の手の横で手綱を握るコニーの手の大きさに、決して小さくはない私の後ろで、ちゃんと視界を確保して馬を進めるコニーの体の大きさに、私の心臓が跳ねまわっていて、その音がコニーに伝わってしまうのではないかと怖くてずっと俯いて目を瞑っている間に、私達は目的地に到着したようです。

602: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:38:28 ID:jR2.GEgw0

夜目の利く私にも、ほとんど闇に沈んだ森。間近なはずのコニーの顔すら窺えない中、背中に感じる彼の体温。

サシャ「ここは・・・・ツリーハウス、ですか?」

コニー「行くぞ」ダキッ 

サシャ キャッ「え?なんです?」

コニー「捕まってろ」シュンッ

サシャ「わっ!!」

603: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:38:58 ID:jR2.GEgw0

シュン

シュン

シュタッ

サシャ「わぁ!!」

コニーに抱えられて連れて行かれたのは、森で一番高い木の一番上でした。
そこに木の枝や葉で隠した、小さな小さな小屋が作ってあって、その小屋からきらきら瞬く満点の星空と、月明かりに照らされて私たちの家が見えました。それはとてもとても綺麗な景色でした。昼間に見たら、随分遠くまで見渡せるでしょうね。

604: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:39:34 ID:jR2.GEgw0

サシャ「これ、見張り台ですか?」

コニー「あぁ。ここからだとかなり遠くまで見通せるからな」

サシャ「こんな高い所、作るの大変だったんじゃないですか?」

コニー「まぁな。枝も細いし、苦労はしたけど、いいだろ?ここ」

サシャ「はい。空が綺麗に見えますねぇ・・・・」

605: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:40:10 ID:jR2.GEgw0

コニー「ちょっと寒いな。ほれ、ベットカバー引っぺがして持って来た」

サシャ「あ、ありがとございます・・・・・」

こんな夜遅くに、綺麗な月と星に囲まれて2人きり・・・・
その上背嚢から取り出したベットカバーで優しく包まれたりしたら、ほんの少し先の私達を予想するのは容易くて、ひどく緊張しました。

コニー「なぁ、サシャ」

サシャ「・・・・・や、やっぱり寒いですね。降りましょうよ?」

606: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:40:45 ID:jR2.GEgw0

コニー「お前・・・やっぱりオレのこと避けてねぇ?」

サシャ「そ、そんなことありませんよ?」アセアセ

コニー「なんでだよ?」

サシャ「なんでって・・・・・」

コニー「お前、オレのこと嫌いか?」

サシャ「そんな・・・嫌いだなんて・・・そんな・・・」

607: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:41:53 ID:jR2.GEgw0

コニー「・・・・・サムエルが好きか?」

サシャ「はいぃ?!サムエル?!違いますよ!!」

コニー「じゃ、なんでオレのこと避けるんだよ?」

サシャ「だから!避けてませんって!」

コニー「避けてるようにしか思えねぇだろ?」

すごく、ものすごく真剣な顔をしたコニーが一歩私に近づいて、ただそれだけなのに、目の前にコニーの体が迫って来るようで、威圧感を感じて怖くなりました。
少し前までのコニーなら、私を馬上に引き上げることも、前に乗せることも、抱き上げて木を登ることも出来なかったはずです。
クリスタやアルミンみたいな細くて小柄な子ならともかく。私は結構大きいんですから。

608: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:42:38 ID:jR2.GEgw0

サシャ「・・・・・・怖いんです」

コニー「・・・・・怖い?何が?」

サシャ「・・・・変わることがです」

コニー「変わるって・・・・」

サシャ「何もかもです。何もかも変わってしまう。そのことが怖いんです」

コニー「・・・・・変わるって、悪いことか?」

609: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:43:12 ID:jR2.GEgw0

サシャ「・・・・・悪いことばっかりじゃないって、分かってます。でも、変わるには覚悟がいるんです・・・・」

コニー「お前・・・・怖がりだな」

サシャ「はい・・・・・私は臆病者です。だから、コニーが変わっていくのも怖いんです」

コニー「ちょっとデカくなっただけだろ?」

サシャ「・・・・・・」

コニー「オレ、変わったか?」

610: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:44:12 ID:jR2.GEgw0

サシャ「はい・・・・大人になりました」

コニー「ガキのまんまの方が良かったか?」

サシャ「小さいコニーは・・・・可愛かったです」

コニー「変わらないものなんて、何にもねぇんだぞ?」

サシャ「・・・・・・そうですね」

コニー「変わってもいいじゃねぇか。お前だって、変わったんだぞ?」

611: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:44:48 ID:jR2.GEgw0

サシャ「変わりましたか?」

コニー「変わったよ。前ほどメシにがっつかなくなった」

サシャ「あ。そういえば・・・・」

コニー「だろ?」

サシャ「どうしてでしょうね?」

コニー「さぁな?知らねぇけど、なんか満足できたんじゃねぇの?」

612: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:45:35 ID:jR2.GEgw0

サシャ「・・・・満足」

コニー「お前の大食いって、本当は食いもんじゃなくて別のもんが欲しかったせいかもな」

サシャ「別の物・・・・・・」

コニー「なにかは分からねぇけどよ」

サシャ「・・・・・・」

コニー「なぁサシャ。オレ、お前が好きだ」////////////

613: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:46:09 ID:jR2.GEgw0

サシャ「!」ビクッ

コニー「お前とずっと一緒にいたい。オレと付き合ってくれ」////////////////

サシャ「と、突然ですね・・・・」////////////

コニー「最初っからそのつもりでここに来たんだよ。分かってんだろ?」/////////////

サシャ「・・・・・」//////////////

コニー「・・・・・ま、返事は今度でいいや」

614: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:46:55 ID:jR2.GEgw0

サシャ「・・・・・」

コニー「寒いな。帰るか?」

サシャ「・・・・・いえ、もう少し・・・・景色を見ませんか?」

そうです。私はとんでもなく臆病です。コニーのことを避けてたのは、私が臆病だからです。自分をさらけ出すことが、変わる覚悟を決めることが、怖かったからです。あっという間に背が伸びて、肩も胸も大きくなって。さっき抱きかかえられた時に感じた力強い腕にドキドキして嬉しいのに、そんな気持ちを知られるのも怖いんです。

615: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:47:31 ID:jR2.GEgw0

・・・・
・・・・・
・・・・・・
コニーに・・・・知られたくない。

でも・・・・・

616: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:48:04 ID:jR2.GEgw0

サシャ「コニー・・・・・」

コニー「ん?」

サシャ「私・・・・」フルッ

コニー「・・・・寒いか?」ファサ「ちゃんと被ってろ」

ずり落ちたベットカバーを引き上げて、私の首元まで覆うコニーの大きな手を見つめて、そういえば身長が低かった時も手と足だけは大きかったことを思い出しました。

617: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:48:37 ID:jR2.GEgw0

サシャ「あの・・・・私も・・・・コニーのこと、好きです」///////////

コニー「それって・・・・・付き合うってこと?」///////

サシャ「・・・・・はい」////////////

コニー「・・・・・・・」///////////

サシャ「・・・・・・・」///////////

コニー「ははっ。なんかオレらって、おかしいよな」///////

618: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:49:17 ID:jR2.GEgw0

サシャ「え?何がです?」

コニー「なんかえらく時間を無駄にしたっつうか、遠回りしたっつうか。もっと度胸がありゃ、とうに付き合ってたかもしれねぇのにな」/////////

サシャ「・・・・だめですよ」/////////

コニー「なんでだ?」////

サシャ「だって、あんまり早かったら、私が逃げ出しちゃってますから」////

コニー「はは。そうか。そうかもな」////

619: 進撃の名無し 2014/06/03(火) 19:50:24 ID:jR2.GEgw0

サシャ「ごめんなさい。怖がってばかりで」////

コニー「おかしなやつだよな、お前。104期の上位なんだからよ、そんじょそこらの男より遥かに強ぇのに、そんなに怖がらなくてもいいだろ?」ナデナデ

サシャ「・・・・・」////////

コニー「ま、なんか怖ぇことあったら言ってくれ。オレ馬鹿だからあんま頼りにならねぇかもしれねぇけど、お前が不安にならねぇように頑張るからよ」ナデナデ

サシャ「コニーは、言うほど馬鹿なんかじゃないですよ?時々すごく鋭いこと言ってますから」

621: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:49:57 ID:XpxV6qf.0



―――――
訓練を始めて半月ちょっと。ようやく体の固さが取れ、柔軟だけで息切れを起こすこともなくなった。
家事の最中に疲れて休むことも少なくなったし、ごく軽くではあるけれど筋トレも始めた。
そうして体を動かすと食事もすすむ。胸のあばらが浮き、枯れ木のように痩せ細っていた体に、うっすらと肉が付き始めるとなんだか嬉しい。
中庭の井戸端での水汲みも1人で出来るのが楽しくて、もう二度と満足に戦える体に戻れないかもしれないと、酷く落ち込んでいたなんて遠い昔のことのよう。
サシャとクリスタは心配していたけれど、大丈夫だからと笑ってみせて洗濯を任せてもらって、冷たい水に震えながら全員分の衣類を洗い、干し終わると少し息が切れて、うっすら汗をかいていた。
寒いけれど、とても気分が良い。
物干し場のそばのベンチに腰かけて、真冬の薄い青空を見上げながら、息が整うのを待っていると、ジャンがやってきた。

622: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:50:51 ID:XpxV6qf.0

ジャン「よ、よう、ちょっと今いいか?」////////

ミカサ「かまわない。何?」

ジャン「・・・・・あぁ、えっと・・・・」ゴソ「・・・・これ」////////////

ミカサ「・・・・?」

ジャン「う、動けるようになった祝いだ」アセアセ「それと、た、誕生日おめでとう」////////////

623: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:51:46 ID:XpxV6qf.0

なにか落ち着きがないと思ったら・・・・そういえば前に誕生日の話をしたけれど、ジャンは憶えていたんだ。
顔を朱くして目をそらしたジャンが突き出したのは、柔らかな皮ひもの先に木彫りの花を付けた首飾りだった。

ジャン「元気になって良かったな」////////////

ミカサ「え、えぇ・・・・」////

ジャン「き、気に入らなかったら着けなくてもいいからな。細工は得意じゃねぇから大した出来じゃねぇし」フイ///////////

ありふれた意匠の花に、古い記憶が甦る。

624: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:52:22 ID:XpxV6qf.0

~~~~ミカサ回想・幼少時の記憶~~~~
父「ミカサ、お誕生日おめでとう」
幼ミカサ「えへへ。ありがとう」//////////////
父「これは」ドン「お誕生日のお祝いだ」
幼ミカサ「いつも使ってる椅子が?」ポカン
父「ここをみてごらん?」

625: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:53:01 ID:XpxV6qf.0

幼ミカサ「わぁ!お花が彫ってある!」

父「今日からこのお花の椅子はミカサ専用だよ?」

幼ミカサ「ほんとう?ありがとう!お父さん!」//////////

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミカサ「・・・・いえ、とても良く出来てる」スッ「ありがとう」////

ジャン「っ!」カァ//////////////

626: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:53:36 ID:XpxV6qf.0

斜め上を見ながら顔を人差し指で掻くのは、ジャンが照れた時にするしぐさだと、私はいつ気が付いたんだろう?

ジャン「・・・・こんなつまんねぇモンしか贈れなくて悪いな」/////////////

ミカサ「いいえ。誕生日を祝ってもらったのは・・・・久しぶりだから嬉しい」////「それにこの花、かわいい」////

ジャン「そ、そうか?」////////////テレッ

627: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:54:17 ID:XpxV6qf.0

またやった。
着けなくてもいいとか、つまらないものだとか、ひねくれたことばかり言う癖に、ちょっとしたしぐさに本音がチラついて、少し可愛く見えてしまった。

コニー「おーい!ジャン!何してんだ!行くぞ!!」

ジャン「あ、あぁ!悪い!」/////「じゃ、俺森に行ってくる」////////

ミカサ「えぇ」///

628: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:54:59 ID:XpxV6qf.0

シガンシナには誕生日を祝う習慣なんかなかった。だからエレンに誕生日を祝ってもらった事はない。けれどそれを悲しんだり不満に思った事もない。父が誕生日に贈り物をしてくれたのは多分、近くに誰も住んでいない山の中での生活を少しでも楽しくするために、特別に考えてくれた事なのだと思う。
そもそも今日自分の誕生日だという事も、朝目覚めた時に「ああ、今日で16歳か」と思った程度だ。けれどジャンに祝ってもらって、父から贈り物を貰った時の、飛び跳ねたくなるような嬉しい気持ちを思い出して、胸が暖かくなった気がした。

・・・・
・・・・・
・・・・・・
ジャンの誕生日は、4月だと言っていた。4月の何日だろう?

629: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:55:32 ID:XpxV6qf.0





~~~~~クリスタの手紙~~~~~~

愛しいディルクへ

こんにちはディルク。すこし暖かくなってきましたね。果樹園の木々の蕾も膨らみ始めました。ディルクは元気ですか?私はとても元気です。あなたに会えないのがとても寂しいけど。
マレーネがすっかり元気になりました。毎日一生懸命身体を動かしています。昨日は森に行ってツリーハウスに自力で登り、フェリックスに冷や汗をかかせていました。私も久しぶりに登ったんだけど、ツリーハウスは今すごいことになってます。どうすごいかは今度来た時のお楽しみ。ハインリッヒとフェリックスが冬のうちに完成させると張り切っていて、後少しのところまで来ているんですって。もう少ししたら種まきの季節だけれど間に合うかな?

630: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:56:35 ID:XpxV6qf.0
やっとシャルロッテとハインリッヒが付き合い始めました。始めた、と言ってもディルクが帰ってすぐ後からですけどね。本当にやっと、という感じ。まだなんとなく2人ともぎこちない感じですが、毎日楽しそうで羨ましいです。私も早くディルクに会いたいな。
 ハインリッヒが本格的にボリスを訓練し始めました。遠く離れたところからの指示もすんなり聞けるようになったし、馬を怖がることもなくそばに付いて走ります。すごく賢い子です。
 そうそう、ご近所に新しい人達が引っ越してきました。フェリックスとハインリッヒが様子を見に行きましたが、あまり悪い感じはしない人達で一安心だと言っていました。ご近所といっても少し距離があるので、今のところ関わりはほとんどありませんけどね。
 それではまた。お仕事無理しないで下さいね?

あなたに会いたくてたまらないフレイヤより

631: 進撃の名無し 2014/06/04(水) 16:57:19 ID:XpxV6qf.0





~~~~~アルミンの手紙~~~~~

愛するフレイヤへ
 愛しのフレイヤ。毎日君のことを考えています。君の綺麗な寝顔を見つめて柔らかな髪に指を絡めながら、君が目覚めるのを待ったあの朝のことが忘れられません。
 最近忙しくて、外の景色を眺める時間もあまりないくらいだけれど、君と一緒に、あの果樹園に咲き乱れるリンゴの花を眺められたらいいなと思います。
 忙しくてしばらく手紙のやりとりは出来そうにありません。ごめんね。
 フレイヤ、僕のフレイヤ。今すぐにでも会いに行きたいよ。
  ディルク

633: 進撃の名無し 2014/06/07(土) 07:29:45 ID:hqr1QlAw0
久しぶりの手紙なので・・・・

* * * 注 * * *
ディルク・・・・アルミン
フレイヤ・・・・クリスタ
マレーネ・・・・ミカサ
フェリックス・・ジャン
シャルロッテ・・サシャ
ハインリッヒ・・コニー
ギュンター・・・サムエル

手紙が他人に見られた場合を考えて偽名使用

634: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:51:16 ID:4qijl.yk0





―――――
クリスタ「・・・・・」フゥ・・・・///////

サシャ「・・・・・」ジ~~~~

クリスタ「・・・・・」ホウ・・・・///////

サシャ「・・・・・」ジ~~~~

クリスタ「・・・・・」//////ハッ!!「!!ちょ!やだっ!!」///////////

サシャ「これはこれは」ニマニマ

635: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:51:48 ID:4qijl.yk0

クリスタ「もう!勝手に見ないでよっ」////////////

サシャ「随分と情熱的なお手紙ですねぇ」ニマニマ

クリスタ「サシャったら!!」プンプン////////////


中庭からの賑やかな声に誘われて行って見ると、顔を真っ赤にしたクリスタがサシャ相手にお冠のようだった。
だが怒っているにしてはどうも迫力に欠けると思っていると、クリスタが握っている便箋が目に留まる。細かい折れ目から察するにアルミンの手紙だろう。
こりゃサシャが色恋がらみでクリスタをからかったんだな。そのうちコニーネタでこっぴどくやり返されるぞ、サシャのやつ。

636: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:52:22 ID:4qijl.yk0

ジャン「おう、なんだ盛り上がってるな?手紙だろ?アルミンなんだって?」ヒョイ

クリスタ「あっ!」

ジャン「おぉう・・・・こりゃ、アルミンのやつ・・・・」


足元でクリスタがピョンピョン飛び跳ねて、俺の手から手紙を奪い返そうと躍起になってるが、身長差がゆうに35センチはあるんだから無理ってもんだ。
意地悪くサシャに加勢してやろうかと思っていたが、ふと何かが引っかかった。

637: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:53:35 ID:4qijl.yk0

サシャ「ものすごく情熱的ですよねぇ。読んでるとドキドキしちゃいますよねぇ」///////

クリスタ「んもう!やめてったら!!」プリプリ//////////

コニー「お、なんだなんだ、俺にも見せてくれよ」ヒョイ「おぉ~、熱いねぇ」///////

クリスタ「ちょっと!!」////////////


さらにコニーが登場して、あっさり俺の手から手紙を抜き取るとサシャと2人してクリスタをからかい始めた。
思春期の多感な俺らには、少々刺激的すぎる内容なんだから仕方ないんだが・・・・

638: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:54:06 ID:4qijl.yk0

この話題は夕飯時まで続くかと思ったが、意外にもサシャとコニーは何も言わなかった。
ただ時々ニヤリと笑っては2人で目を合わせたり、クリスタをチラ見したりする。
クリスタの方はと言えば、そんな2人を拗ねたような顔で睨みつつも、散々からかわれた割にはそれほど嫌そうでもなかった。

だが。アルミンの手紙は、一見して情熱的な恋文だったんだが、俺にはどうしてもそれだけには見えなかった。何かが引っかかった。
いつものアルミンらしくない、そんな気がしてならなかった。
けれどもそれは、あまりにも根拠に欠けるただの勘でしかなく、顔を朱くして愛の言葉に酔うクリスタの気持ちに水を差すようで、口に出すことはどうにも憚られた。
考えたって、手にあるのはあの手紙だけで、それ以上のことは何も分からないんだが、すんなりベットに入る気にもならない。
それでみんなが部屋に入ってもまだ、1人で今の暖炉の火を睨んでいた。

639: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:54:41 ID:4qijl.yk0

カチャ

ミカサ「ジャン、まだ寝ないの?」

ジャン「あぁ、お前こそまだ起きてるのか?」

ミカサ「寝る前に柔軟やってたら、喉が渇いて」

ジャン「・・・・・なぁミカサ」

ミカサ ゴクゴク フゥ「なに?」

640: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:55:38 ID:4qijl.yk0

ジャン「アルミンの手紙、読んだか?」

ミカサ「・・・・・サシャが大騒ぎして見せてくれた」

ジャン「どう思った?」

ミカサ「情熱的な恋文。みんなで回し読みするようなものじゃない」

ジャン「・・・・・そうだな」

641: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:56:08 ID:4qijl.yk0

なるほど、と思う。
ミカサに窘められたんだろう。だから夕飯時、あの2人は大人しかったのか。


ミカサ「どうかした?」

ジャン「・・・・いや、なんか引っかかってよ」

ミカサ「手紙が?」

ジャン「あぁ。どうもアルミンらしくない気がしてな」

642: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:56:38 ID:4qijl.yk0

ミカサ「・・・・・少し、筆跡が乱れていたような気がするけど」

ジャン「何か余裕が感じられないっつうかよ・・・・」

ミカサ「そう・・・・?」

ジャン「どうもなぁ・・・・いや、ただの勘だ。忘れてくれ」ガタッ「そろそろ寝るわ。お前も早く寝ろよ?」

ミカサ「えぇ・・・・」

ジャン「無理すんな?」

643: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:57:33 ID:4qijl.yk0

ミカサ「何が?」

ジャン「訓練だよ。こんな夜中まで柔軟なんかやってると、寝不足になるぞ?」

ミカサ「・・・・気を付ける」

ジャン「おやすみ」

ミカサ「・・・・・おやすみ、ジャン」

644: 進撃の名無し 2014/06/09(月) 10:58:14 ID:4qijl.yk0


俺の例えようのない、もやもやとした不安感と焦燥感は、いつまでも続いた。
レンギョウとかいう花が咲き、ミカサが俺の誕生日におかえしだと言って編紐を手首に巻いてくれるという嬉しい出来事があって、レンギョウが散りつくして地面を黄色く染めても、まだ消えなかった。
サシャじゃあるまいし、一体何がそんなに気になるっていうんだろう。
ただ最近毎日思い出す。誰のものとも分からない骨の燃えカスに誓ったあの日のことを。
アルミンは何を背負っているのか、どういう状況に置かれているのか、俺達には知りようもない。だが、知らないままでいいとも思えない。俺達は、知るべきなんじゃないのか?俺はあの日決めたはずだ。あそこで死んだ奴らに誓ったはずだ。なのに、今この状況はどうだ?
俺達はここで安穏とした生活に浸っているけれど、世界は変わらず悲惨で残酷で無情なままだ。そして多分、アルミンは今、そこにいる。

648: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:43:06 ID:KHnEQ8aY0





―――――
この、マリアの農地に逃げ込んで生活し始めてから、私達の関係は大きく変わったと思う。
仲間から、家族へ。

ジャンとコニーは、父のようでもあり兄弟のようでもあるし、クリスタなんか一番小さいけれど、ほとんどみんなの母か姉のよう。反対にサシャは毎日食事の支度に精を出すところは母のようだけれど、ほとんどの場合みんなの妹だと思う。
私が、みんなにとって母なのか姉なのか妹なのかは、ちょっと分からない。けれども家族のように扱われている、というのは充分理解出来る。

以前は考えられなかったような個人的な問題でさえ、なんでもあけすけに相談し合うし、他人同士なら口をつぐむような些細なことで喧嘩をしたりもする。家族ならではの遠慮のなさ、というものがそうさせるのだと思う。

アルミンとクリスタ。サシャとコニー。この二組が付き合い始めた、ということもあるけれど、恋愛は抜きに考えても、私達の間には確かな絆と言えるものが存在している。

649: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:43:54 ID:KHnEQ8aY0





―――――
この、マリアの農地に逃げ込んで生活し始めてから、私達の関係は大きく変わったと思う。
仲間から、家族へ。
ジャンとコニーは、父のようでもあり兄弟のようでもあるし、クリスタなんか一番小さいけれど、ほとんどみんなの母か姉のよう。反対にサシャは毎日食事の支度に精を出すところは母のようだけれど、ほとんどの場合みんなの妹だと思う。
私が、みんなにとって母なのか姉なのか妹なのかは、ちょっと分からない。けれども家族のように扱われている、というのは充分理解出来る。
以前は考えられなかったような個人的な問題でさえ、なんでもあけすけに相談し合うし、他人同士なら口をつぐむような些細なことで喧嘩をしたりもする。家族ならではの遠慮のなさ、というものがそうさせるのだと思う。
アルミンとクリスタ。サシャとコニー。この二組が付き合い始めた、ということもあるけれど、恋愛は抜きに考えても、私達の間には確かな絆と言えるものが存在している。

650: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:44:32 ID:S7zpz.fM0

・・・・と思う。
いや、思っていた。

・・・・・ここのところ、ジャンの様子がおかしい。
どこか上の空というか、心ここに在らずというか。
気が付くと1人険しい顔で考え込んでいて、話しかけても返事がないことすらある。
そうやってぼんやりしているかと思えば、1人黙々とツリーハウスの資材造りに励んでいて、コニーがサシャと一緒に畑や果樹園に行っている時にも、沈んだ顔でひたすら木を切ったり蔦を編んだりしている。以前なら楽しんでやっていた作業なのに、どうしてもそうは見えない。
何をそんなに思い悩んでいるのかと、何とか聞き出そうとしてもはぐらかされるだけ。
コニーかクリスタなら、と思ったけれど、この2人にもジャンは「なんでもねぇよ」としか言わなかった。

651: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:44:56 ID:KHnEQ8aY0

そのうちに時々1人でどこかに行ってしまうようになった。始めのうちはコニーとサシャが狩りや農作業に出ている午前中で、いつもなら1人で資材造りをしているような時間。てっきり家の近くのどこかで何か作業をしているものと思っていて、ジャンの馬がいないことにクリスタが気が付くまで、しばらくはジャンが居ないことに誰も気が付かなかった。
何度かそんなことが続くうち、ついには丸一日姿を消してしまい、心配したクリスタが、どこへ行っていたのか、何をしていたのか、問い詰めようとしたけれど、まるで取り付く島もないような冷たい表情で一言「ちょっとな」とかわされてしまった。
訓練兵になったばかりの子供っぽい感情的なジャンとも、ここへ来てからの仲間想いで柔らかなジャンともまるで違う、見たこともないような顔のジャンに、みんな一様に怯んだ。
それでも意を決したクリスタが、巨人が出たら危ないから単独行動はやめた方がいい、と止め、男同士ならとコニーが説得してみても、ふらりと馬で消えてしまう。
そういう時には大体完全装備で行くし、ジャンなら巨人が1体くらい現れても切り抜けられるだろうけど、以前のように複数体出れば1人じゃどうにもならない。そう言われても「マリアにも俺ら以外に人間がいるんだから大丈夫だろ」と言って聞かなかった。

652: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:45:32 ID:KHnEQ8aY0

ジャンはこんなに無鉄砲な人だっただろうか?

・・・・正直、ここで暮らすまでジャンを意識した事なんてほとんど無かった。
訓練兵時代はエレンと頻繁にぶつかるので、鬱陶しいとさえ思っていた事もある。
そんな自分を、今になって少し後悔した。もっとジャンの事を知っていれば、何か出来る事もあったかもしれないのに、今のジャンはまるで他人のようで、私はどうすればいいのか分からなかった。

エレンの事なら、こんなに悩まなくても分かってあげられたのに・・・・・

何か私に出来る事はないかと考えて、サシャにジャンの誕生日を聞き出して貰い、クリスタに染料になりそうな草花を教えて貰った。
図案を思いつかなかったので、自分の手首にある刺青を簡略化したものにして、細い糸を何色かに染め分けて編み上げた。それはとても根気の要る作業だったけれど、ジャンに渡す時の事を考えると少しも苦労を感じなかった。

653: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 13:46:21 ID:KHnEQ8aY0


そして4月。

ジャン「あ、ありがとうな」///////////
斜め上を見ながら顔を人差し指で掻く、あの癖。
耳まで朱く染めて、私の作った編紐を触るジャンが、久しぶりにいつもの優しいジャンに戻った気がして、とても嬉しかった。
けれども次の日にはまた、あの険しい表情に戻ってしまっていた。

ジャンは、一体どうしてしまったんだろう・・・・

654: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 14:02:33 ID:KHnEQ8aY0





―――――
もやもやとしたその不安を、俺はそのまま抱えてはいられなかった。
北の村に人が入ったことに気が付き、コニーと確認しに行くと、その不安は益々膨らんでいった。
やって来たのは、成人の男女が全部で21人。パッと見は普通の連中だ。どこにでも居そうな農民という感じで、毎日草を抜き石を拾い地面を耕している。
もともとの住民は牧畜を主に営んでいたようだが、今回来た連中は家畜を育てるつもりはないらしい。鶏や山羊を見かけたが、多分連中の食料分だろう、その数は少なかった。
そして、付いてくるだろうと思われていた憲兵の姿は見当たらなかった。開拓民全部に付けられる程憲兵の数も多くない。シガンシナ奪還作戦の為に重点的に掃討作戦が行われたこの辺りなら、憲兵を付けなくてもいいだろうと判断された、そういう考え方も出来るんだが、どうも引っかかる。

655: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 14:03:37 ID:KHnEQ8aY0

子供も年寄りも居ないから、どこかの集落から丸ごと移住したわけでもなさそうだ。例えば訓練兵を脱落したような連中が集まって、新しい自分たちの村を作ろうとする、なんていう事なら有り得るだろう。だがやっぱり引っかかる。
それでコニーと偵察した後も、時々こっそり見に行った。だが何度見ても、特におかしな動きはなかった。真面目に農地を作ろうとしているようだし、ふざけ合っているような場面に出くわすこともあった。

北の村に不審な点はないらしいと分かると、今度はアルミンから貰った地図で、もともと村や集落があった場所を探して確認して回った。
あちこち見て回って分かったのは、俺達の農地よりも西にはまだ誰も入った形跡がなく、東の川沿いにぽつりぽつりと新たな村が作られている、ということだった。
そのほとんどが比較的若い成人男性ばかりで、時々少数の成人女性がいる、という村ばかりだった。

656: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 14:04:23 ID:KHnEQ8aY0

考えたらそうだ。まだ狩り残しの巨人が居るかもしれない場所に、幼い子供や身動きのとりづらい老人を連れてきたりはしないだろう。まず若い男が入り、安全が確認できたら家族を呼び寄せる、そういうことなのだと理解する。
そちらの村々では時々憲兵の姿を見かけたが、どうやら川沿いの一番大きな村に拠点を設けて巡回しているらしく、すべての村に駐在しているわけではないようだった。
北の村に憲兵が来ないのは何故だろうか?腐敗体質が骨の髄まで染み込んだ連中のことだから、距離を理由にサボっている、というのは充分考えられる。それに奴らのほとんどはまともに巨人とやりあったこともないような腑抜けだし、エレン奪還作戦時に駆り出された憲兵は全滅している。それで恐れを成して巨人が出たらすぐさま川に逃げられるように奥地には足を向けないようにしているのかもしれない。

657: 進撃の名無し 2014/06/11(水) 14:05:05 ID:KHnEQ8aY0

1人で方々を回ってみて、それでやっとあの訳の分からない不安感が収まった。それでも外の状況が分からない事に対する焦りのようなものは残ったが、突き動かされるように飛び出す、ということはなくなった。

そうして落ち着いたとたん、ミカサが心配そうな目で俺を見ていることに気が付いて、心臓が跳ね上がった。ミカサに案じて貰えた、というのが嬉しくて仕方なかった。
そしてクリスタはもちろんだが、コニーやサシャにさえ、俺は心配をかけていたらしい。
こんなにみんなに心配をかけるなんて、俺らしくないことをしたと反省して努めて明るく振る舞い、ツリーハウス造りに専念することにした。
みんなへのお詫びもかねて、立派な俺達のツリーハウスを造ってやると決心して、陽のある内はほとんどその為に時間を費やした。

そして・・・・・・

658: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:46:51 ID:MitFKkRI0





―――――
コニー「よぉっし!!これでどうだ!!」

ジャン「ふー。完成だな」

半年以上かけて作り上げたツリーハウス。いやもうハウスじゃねぇ。これは立派な基地だ。木と木の間に縦横に張り巡らせた渡り廊下。
まぁ廊下、なんて立派なもんじゃねぇんだが、立体機動を使わずに移動できるように板を巡らせて、あちこちから縄梯子をさげて、さらに板を渡せない距離がある場所には、上から垂らしたロープにぶら下がって向こう岸へ跳んで移動できるようにした。垂らしたロープには足をかける板もつけて安定感を増してる。これで腕力に劣る女子でも楽に跳べるし、片手に抜身の刃をもったままの移動も可能!!立体機動みてぇに自由に移動できるわけじゃねぇんだが、ガスの節約にはなるはずだ。これ見たらサシャ、喜ぶかな・・・・

659: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:47:40 ID:MitFKkRI0

コニー「これが俺達の樹上基地・・・・」シミジミ

ジャン「ここまで長かったな・・・・」シミジミ

コニー「まぁこれからも手を入れ続けるけどな!とりあえずはここで完成だ」

ジャン「もうちょっと頑張ったらここで生活できそうだよな」

ようやく完成した巨大樹の基地を眺めてたら、なんかワクワクしてきちまったぞ。サシャに見せる前にいっちょ試しとくっきゃねぇな!

660: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:48:13 ID:MitFKkRI0

コニー「なぁ、ちょっと試してみねぇ?」ニヤッ

ジャン「そうだな」ニヤッ「んじゃ、樹上戦闘訓練、やるか?」ニヤッ


タタタタタタタッ

コニー「ほっ」タッ ロープガシッ ヒュ「うひょ~!」ブラ~ン「とうっ!」スタッ

タタタタタッ

661: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:49:16 ID:MitFKkRI0

ジャン「よっ」タッ ロープガシッ ヒュ「おぉぉ~!」ビュ~ン「よっ」スタッ

コニー「・・・・これは」

ジャン「・・・・やべぇ」

コニー「面白すぎる!!」

ヤッホーイ ブラ~ン ヒャッホ~ ビュ~ン トリャア~ ブラ~ン ヒャッハ~ ビュ~ン
ヤベェ!アソビスギジャネェ?オレラ!!

662: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:50:46 ID:MitFKkRI0

チュンチュン チチチチ サワサワ

自分たちの作った基地を飛んで走って隅から隅まで遊び回って、最後にあの見張り台に登ったところで力尽きて、2人して倒れ込んだ。

自分で言うのもなんだが、オレらすげぇもん造ったぜ!!マジで楽しすぎる!!早くサシャに見せてぇ!!
つかコレ、立体機動使えないガキんちょでも、もっと低くすりゃ訓練がてら遊べるな。英才教育っての?できるんじゃねぇ?いや待て。高さがあっても下にアミ張っときゃ、落ちても大丈夫じゃねぇ?うん、良い案だ。だが相当デカいアミがいるぞ。だが子供が産まれてからここで遊べるようになるには何年もかかるからな。準備する時間はある。

663: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:51:34 ID:MitFKkRI0

・・・・
・・・・・
・・・・・・そもそもオレ、まだサシャとそういうことしてねぇし・・・・
いや、すんげぇしてぇんだけどさ・・・・なんかこう・・・・な・・・・アルミンが言った男の責任っての?あれが気になってよ・・・・
だけど正直どこまで我慢できるか分かんねぇ。ジャンの奴、よく我慢できたもんだぜ。

ジャン「なぁ、コニー」

コニー「なんだ?」

ジャン「シガンシナに行ってみないか?」

664: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:52:11 ID:MitFKkRI0

突然のジャンの言葉に、さっきまで考えてたちょっと  いことが全部ふっとんだ。

コニー「はぁ?兵団のやつらに見つかったらどうすんだよ?」

ジャン「・・・・・お前と俺ならなんとかなるかと思うんだがな。お前は体格がかなり変わったから、よほど親しくしてたやつじゃねぇと気が付かねぇだろうし、俺も農民ぽい格好すりゃ平気かなって」

コニー「なんでそんなに行きてぇの?」

ジャン「・・・・・気になるんだよ」

665: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:52:41 ID:MitFKkRI0

コニー「ん?アルミンか?」

ジャン「あぁ」

コニー「でもそろそろアルミン来るんじゃねぇの?リンゴの花がどうとか書いてあったし。そろそろ花の時期だぜ?」

ジャン「まぁ、そうなんだが、でも手紙のやりとりも出来ない程忙しい奴が、こんなところまで来られるか?」

コニー「サムエルだけ来るとか?」

ジャン「来るとしても、どうしてもこの目で確認しておきてぇんだ。今のシガンシナを」

666: 進撃の名無し 2014/06/12(木) 10:53:33 ID:MitFKkRI0

はは~ん。そうか、そういうことなのか。何がそんなに気になるのか知らねぇがジャンの奴、マリアの中をあちこち嗅ぎ回ってやがったな。
別にみんなに内緒にするこたぁねぇだろうによ。
まぁ、クリスタやミカサはあぶねぇってんで反対するかもしれねぇけどよ、現に何事もなかったわけだし。

コニー「・・・・まぁいいか。ミカサもそれなりに動けるようになったし、ちょっとオレらが留守にしても問題ないだろ。行くか」

ジャン「行こうぜ」

669: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:00:39 ID:3la/tUQY0





~~~~翌日~~~~

ジャン「そんなわけだから、ちょっと出かけてくる」

コニー「悪ぃが、留守頼むわ」

ミカサ「わざわざ行かなくても・・・・・」

クリスタ「本当に大丈夫なの?」

670: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:01:16 ID:3la/tUQY0

ジャン「中まで入りゃしねぇよ。ちょっと外から眺めるだけだ」

コニー「無理するつもりはねぇからよ」

ミカサ「・・・・・気を付けて」

サシャ「・・・・・」

コニー「心配ねぇよ。ボリスもいるんだし、なんかあったら基地に避難しときゃ大丈夫だからな?」手ギュッ

サシャ「・・・・・はい」

671: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:01:54 ID:3la/tUQY0

案の定3人ともいい顔はしなかった。特にサシャはずっと俯いて曇り顔だった。また何か不安になっちまってるんだろう。ここに来てから初めてだからな、こんなに離れんの。
だけど巨人が来たら基地に逃げればいいし、オレらも無茶する気はねぇ。もしジャンがシガンシナに入るとか言い出したら、オレは断固阻止するつもりだ。
サシャが少し心配だったけど、笑顔で手を振って出かけた。無事に戻って安心させてやればいいだけだし、最近ずっと一緒に居すぎてちょっとム ム してたんで、たまには少し離れるのもいいだろ。

戻ったらサシャに飛びつかれたりして。そしたらめいっぱい抱きしめてやんよ。んで・・・・
・・・・ニヤ
・・・・・ニヤニヤ
・・・・・・ニヤニヤニヤ ハッ
おっといけねぇ。妄想が暴走するとこだったぜ。

672: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:02:40 ID:3la/tUQY0



ドカッドカッドカッドカッ

ジャン「もうすぐシガンシナだな」

コニー「あぁ。壁があんなに近い」

ジャン「ん?」

コニー「おい、あれ?」

ジャン「誰か馬で来るな・・・・」

コニー「アルミン達かな?」

673: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:03:27 ID:3la/tUQY0

ジャン「あそこの木立に隠れるぞ!アルミン達じゃなかったら面倒だ」

コニー「おう」

ドドドドドド

コニー「おい!やっぱアルミンだ!おーーーーーい!!」

アルミン「!」ドカッドカッ「コニー!ジャン!」ハァハァ

サムエル「なんでこんなところにいるんだ!!!!」ハァハァ

674: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:04:04 ID:3la/tUQY0

アルミン「クリスタは?!」ハァハァ

コニー「家にいるけど?」

サムエル「一緒じゃないのか!!」ハァハァ

ジャン「どうしたんだよ?・・・・」オロッ

アルミン「早く戻って!!レイス卿が襲撃された!!」ハァハァ

ジャン「なにっ?!」

675: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:04:41 ID:3la/tUQY0

コニー「どういうことだ!?」

アルミン「道中説明するから!!」ハァハァ

サムエル「とにかく戻れ!!」ハァハァ

ジャン「くっそ!」ヒヒーン


ドドドドドドド

コニー「誰がレイス卿を襲ったんだ?」

676: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:05:22 ID:3la/tUQY0

サムエル「・・・・・・言っていいのか?」

アルミン「もう黙っているわけにはいかないよ、サムエル・・・・・僕らはシガンシナにいたんだ。シーナから伝令が来て」

ジャン「死んだのか?レイス卿は」

サムエル「あぁ。跡継ぎと一緒にね」

アルミン「多分次はクリスタが狙われる」

コニー「どういうことだ!?」

677: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:06:11 ID:3la/tUQY0

アルミンの説明は、オレをひどく混乱させた。
エレンとクリスタが親戚だってのはまだいい。言われてみりゃ、あいつら顔が似てるし。
だがクリスタにエレンみたいな能力の資格があるってどういうことだ?資格って何だよ?クリスタも巨人になれるのか?結晶化?巨人を呼び寄せたり操れるやつ?燃えるのか?怪我もあっという間に治せるのか?そもそも能力ってなんだよ?どれも普通に考えたら有り得ねぇことばっかなんだよ!
その能力が意味不明なのは置いといても、どうしてクリスタを狙うんだ?もし巨人を操れるとしたら、この世から巨人を駆逐できるってことだろ?マリアを取り戻せたのは、エレンがその力を持ってたおかげなんだし、クリスタも同じことが出来るってんなら、壁の外の巨人だってなんとかなるかもしれねぇのに。

678: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:07:21 ID:3la/tUQY0

アルミン「今回レイス卿を襲った連中の本当の狙いが、能力資格者の世継ぎの方だとしたら、次はクリスタだ」クッ

ジャン「サムエル」ギッ「お前も知ってたのかよ?」

サムエル「まぁね・・・」

ジャン「俺らだけ蚊帳の外か?そいつを知ってりゃ、今俺らがここにいることなんてなかったのによ!」

サムエル「悪かったよ」

コニー「今怒っても仕方ねぇよ!でもよ、居場所ばれてんのか?」

679: 進撃の名無し 2014/06/13(金) 23:08:11 ID:3la/tUQY0

アルミン「もし、僕らが前から監視されて付けられてたら?北の村に移住してきた連中が、襲撃犯の一味だったら?その可能性は捨てきれないよ!」

サシャ、お前があんなに不安そうな顔してたのに、お前の勘は当たるって知ってたのに、なんで置いて来ちまったんだ・・・・・遠乗りだとか言って、弁当持ってみんなで出かけちまえば良かったんだ!!

ジャン「くっそ・・・・北の村には男だけでも15人居るぜ!!そいつらが全員敵だったら!」

コニー「前に見に行った時にはそれほど悪い奴らって感じでもなかったんだけどな・・・・」

アルミン「無事でいてくれ!!」

ドドドドドドド

682: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:20:29 ID:mtcyuG2U0




―――――
ミカサ「ジャンはどうして急にシガンシナに行くなんて言い出したんだろう・・・・」パンパン

クリスタ「ん~、分からないけど、私もちょっと行って見たいかな?今どんな風になってるのか興味あるかも」パンパン

ミカサ「・・・・・・」パチン

クリスタ「まだ気になる?外扉のこと」パチンパチン

ミカサ「・・・・・・少し」

683: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:21:18 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「・・・・・・さぁ、洗濯終わりっと。」

ミカサ「・・・・・・・」

クリスタ「・・・・・今日は良い天気ね」

ミカサ「・・・・・リンゴが花をつけてる」

クリスタ「そろそろアルミンが来てくれると思うんだ」ニッコリ

684: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:21:50 ID:mtcyuG2U0

ミカサ「そうね」フッ「会いたい?」ニコ

クリスタ「もちろん!」ニコニコ

なぜでしょう。ものすごく嫌な感じがするんです。ミカサとクリスタがそばで楽しそうに話していて、ぬけるような青空が広がって、春の心地いい風が吹いて、足元には黄色いタンポポが揺れて。最高に気持ちの良い陽気なのに、こんなに嫌な感じがするなんて。なぜでしょう?
コニーと付き合って初めて離れるから?それで不安?・・・・いや違う、絶対に、何か違う・・・・

クリスタ「さて、私薬草摘みに行ってくるね!春は薬草になる植物がいっぱいあってすごく楽しい!」

ミカサ「掃除は私がする」

685: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:22:22 ID:mtcyuG2U0

サシャ「待って下さい、ミカサ」

ミカサ「なに?」

サシャ「あの・・・・よかったら私達もクリスタと一緒に行きませんか?」

ミカサ「でも掃除が・・・・」

サシャ「大丈夫ですよ!後で私がやりますから!」

ミカサ「・・・・そう?」

686: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:22:55 ID:mtcyuG2U0

サシャ「みんなで薬草摘み、行きましょうよ!また巨人が出ないとも限りませんし!」

ミカサ「今日はみんなちゃんと立体機動装備してる。なので心配ないと思うけど?」

クリスタ「・・・・サシャ?何かあるなら言って?」

サシャ「いえ・・・・その・・・・別にこれと言ってないんですけど・・・・ただなんとなく・・・・嫌な感じがして、離れたくないというか・・・・」

ミカサ「・・・・・勘?」

サシャ「・・・・はい」

687: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:23:25 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「なにがそんなに嫌なの?」

サシャ「わかりません・・・・」

クリスタ「う~ん・・・・」

ミカサ「サシャの勘は当たる」

クリスタ「じゃあ、天気も良いしみんなで散歩ついでに行く?」

ミカサ「そうしよう」

688: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:23:57 ID:mtcyuG2U0

ワンッ 尻尾フリフリ

クリスタ「ふふっ。ボリスも来るみたい」


サワサワ チュンチュン チチチチチ 

クリスタ「ん~、良い気持ち・・・・」

ミカサ「ジャケットが少し暑いくらい」

689: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:24:30 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「ほんとねー。あっ!見て!あそこのリンゴの枝に花が」

ミカサ「あぁ、咲いてる。そこにも」

クリスタ「綺麗ね。・・・・・ねぇミカサ?アルミンって、リンゴが好きなの?」

ミカサ「・・・・開拓地に居た時、宿舎の近くにリンゴが一本生えてた。実が小さくて不味かったので観賞用だったと思うけど、真っ赤で綺麗だった」

クリスタ「・・・・・」

ミカサ「アルミンはリンゴの花が咲くと、今年も実が生ると言って楽しみにしていた。だ

690: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:25:12 ID:mtcyuG2U0
から好きだと思う」

クリスタ「そうなの・・・・それじゃあ、もしかしたらここへリンゴの花が咲く頃に来るって言う意味じゃなかったのかな・・・・」


絶対に3人一緒に居たい、そう思ってクリスタについて来たんですけど・・・・嫌な予感は増すばかりです。ミカサとクリスタはリンゴとアルミンの話題に夢中ですけど、私はどうしてもそれに参加する気にはなれません。
果樹園の端を3人で歩いていると、ふいに果樹園とは反対の、雑木林に目が行きました。
ブナやニレ、ナラの低い林で、所々下生えが腰のあたりまで茂る、少しだけ暗いその場所。その暗さが、不安を増長するようで・・・・・あれ?今・・・・風もないのに、あそこだけ揺れたような・・・・・?

サシャ「・・・・・ミカサ、あの、今・・・・あっちの方で・・・・」

691: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:25:55 ID:mtcyuG2U0

ワンッワンワンッ!!!

サシャ「!!」ビクッ

クリスタ「どうしたの?ボリス?」

ミカサ「!」ハッ「待って・・・・誰かいる」

あぁ・・・・やっぱり・・・・私・・・・もっと自分の予感を信じるべきでした・・・・

692: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:26:26 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「なに?巨人?!」ビクッ

ミカサ「違う・・・・・」

ワンワンワンッ

ミカサ「・・・・・・・いるのは分かってる。出てきて」

ガサガサガサ

ワンワンワンワン!!

693: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:27:03 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「・・・・・なに」ブルッ

サシャ「・・・・・・」アセダラダラ

果樹園の脇にうっそうと茂る雑木林の中、そのあちらこちらから、草木をかき分け枝を踏み折る音が聞こえてきました。あちらの木の影、こちらの下生え、そちらの茨の向こうから続々と出てきたのは、手に手に刃物を持った男達・・・・

男1「おい、全員立体機動装備してるぜ」

男2「どいつだ?」

694: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:28:20 ID:mtcyuG2U0

男3「そこの金髪」クイ

男4「ふぅん?全部殺っちまうのか?」

男5「生かしとくわけにはいかねぇだろ?」

男6「もったいねぇ。上玉ぞろいじゃねぇか」

男7「高く売れそうなのにな」

男8「殺るのは味見してからでも良いんじゃねぇ?」

695: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:29:24 ID:mtcyuG2U0

男9「バカか。こいつら兵士だぞ?」

男10「全員武装してるんじゃ面倒じゃねぇか」

クリスタ「・・・・私が目的なのね」

ミカサ「・・・・・・これなの?サシャの悪い予感」

サシャ「これ以上あったら嫌です・・・・ミカサ、動けますか?」

ミカサ「巨人でなくて良かった。立体機動もあるし多分大丈夫」

696: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:30:27 ID:mtcyuG2U0

クリスタ「ミカサ、サシャごめんね・・・・でも!」ジャキン「私が守るから!」

叫ぶように「守る」と言った小さなクリスタが、男達と私達の間に立ちふさがって刃を構え、視界の端で、ミカサもすらりと刃を抜き去りました。
私は、ただ・・・・ただ恐ろしくて・・・・膝が震えて・・・・人間を相手に戦うなんて・・・・

ガサガサ

男11「おぉ?随分と勇ましいねぇ。ガキみてぇなナリしてるがさすが兵士だねぇ」

クリスタ「!」

697: 進撃の名無し 2014/06/16(月) 05:31:11 ID:mtcyuG2U0

私達の後ろから、また男が・・・・あぁ・・・・これ以上はもう・・・・無理です・・・・

男12「馬が2頭いない」
男13「小僧どもが出かけてるのは間違いないな」
男14「てことは」
男15「お嬢ちゃんたちだけってことだ」
ミカサ「チッ・・・・・」

698: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:27:18 ID:8ja2r/FY0
>>1

この先流血&非情なアルミンがいます。苦手な方はスルーして下さい

699: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:44:51 ID:8ja2r/FY0





―――――
馬がつぶれるかもしれない。そんな勢いで飛ばして家を目指す。
基地のある森がうっすら目視できる距離まで来ると、もう焦る気持ちを抑えることが難しい。

ジャン「コニー!サムエル!基地を見てきてくれ!!」

コニー「わかった!ジャン!気を付けろよ!」

アルミン「君らもね!銃を持ってたら厄介だ!!」

700: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:45:28 ID:8ja2r/FY0


バンッ

アルミン「クリスタ!!」

ジャン「ミカサ!!」

汗にまみれて泡立つ馬を繋ぎもせずに家の中へ飛び込んだ。最悪の事態を想像していた俺達を迎えたのは、穏やかな静けさだった。

701: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:46:50 ID:8ja2r/FY0

片付けられ拭き清められたテーブル。
台所にはいつも通りに洗われて伏せられた食器と調理器具。
それぞれの部屋の寝具は綺麗に整えられて乱れた様子はない。
1階から3階までくまなく見て回って異常のないことを確認し中庭に出てみる。
紫の藤を背に翻る洗濯物。井戸端に立て掛けられた、たらいと洗濯板。

乱れも血痕もない、いつも通りの、けれど人気の無い、静かな静かな我が家。
その静寂が、恐ろしく心地悪い。

702: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:47:42 ID:8ja2r/FY0

家に誰もいないことを確認すると、燻製小屋と家畜小屋、それに全く使っていない2軒の家も見て回る。以前の住人が逃げ出した時のまま放置された家は、埃と蜘蛛の巣にまみれて恐怖感を増長させたが、その積もり積もった埃に一点の乱れもないことを見てとって、少し気持ちが和らいだ瞬間、轟いた馬蹄に心臓を掴まれて咄嗟に壁際に身を隠す。

コニー「ジャン!!どこだ!!」

バンッ

ジャン「ここだ!!」

コニーの声に安心して埃っぽい家から飛び出る。

703: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:48:17 ID:8ja2r/FY0

コニー「いたか!?」

ジャン「家ん中にはいねぇ!」

サムエル「基地もカラだ」

ジャン「くっそ!どこにいるんだよ・・・・」

コニー「天気が良いから出かけてるのか・・・」

アルミン「馬が馬房にいるから遠くには行ってないと思うんだけど・・・・」

704: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:48:54 ID:8ja2r/FY0

そう言ったアルミンはクリスタの馬に跨って、ミカサの馬の手綱を投げてよこした。俺の馬は、と馬小屋に目をやると小屋の前にある水場でアルミンの馬と並んで水をがぶ飲みしている。あの2頭は今日はもう走れないだろう。

コニー「いやまて、行き先がどこだろうとボリスがクリスタにくっついて行ってるはずだ!ボリス!!」口笛ピュイッピュイッ

ジャン「応えてくれよボリス・・・・」

コニー「近くに居てくれれば・・・・ボリス!!」ピュイッピュイッ

705: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:49:34 ID:8ja2r/FY0

・・・・ワンワンワンワン

コニー「果樹園だ!南西の端!」

ジャン「行くぞ!!」


どうする?もし襲撃されていたら?殺し屋がクリスタを狙って来ていたら?あいつらも兵士なんだ、そう簡単にはやられないだろう・・・・・だが、ミカサはまだ充分に戦えないはずだ・・・・襲撃前に合流できれば一緒に戦える。早く見つけねぇと・・・・

706: 進撃の名無し 2014/06/17(火) 18:50:26 ID:8ja2r/FY0
・・・・
・・・・・
・・・・・・それで、どうするんだ?そいつらを・・・・・捕えて憲兵に引き渡せばいいのか?それとも団長に?
・・・・・いや、殺す気で来てるんだ。しかもそれを生業にしてる連中だとしたら、そう簡単に生け捕りに出来るとも思えない。どうすればいい・・・・?

707: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:16:50 ID:nbcTF/MI0





――――
細くて低い木ばかりの雑木林と果樹園では、立体機動装置は使い物にならない。
対巨人用の長いブレードは、軽く振り回しただけで枝を引っ掻けてしまう。素早く振って切り落とせればいいけれど、柔らかくしなる刃は速度が無ければ少し太い枝だと噛んでしまって身動き取れなくなる。
15人もの男に囲まれては、存分に動けそうな場所に移動することもままならない。わずかなスキを見つけて走り出そうにも、低い枝が目を打つ。腰をかがめて走れば抜けられるだろうけど、今の私にはその体制でこれだけの敵を振り切る走力は期待できない。

708: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:17:35 ID:nbcTF/MI0

一方相手は、大男からすばしっこそうなチビまで数が居て、手に持つのは鉈やナイフ。この場所に最も適した得物。
自分たちの圧倒的優位性を自覚しているからだろう。にやにやと余裕の笑みを浮かべているものさえいる。

真横のサシャはすっかり青褪めて立ち尽くしている。刃を抜く余裕もないらしい。人間が相手なんて初めての事なんだから仕方ないのかもしれない。
ボリスは尻尾を巻いて私たちの間を落ち着きなくウロウロしていて、戦力としてはアテにできない雰囲気。こちらも人間相手では吠えるくらいしか出来ないようだ。大きな犬なのに。

709: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:18:05 ID:nbcTF/MI0

ざ、と背後の男が踏み出した瞬間、きらりと金髪を翻して風のようにクリスタが目の前を走り抜けた。
驚く男が振り上げた鉈を持つ腕を逆手で切り落とし、そのまま回転をかけて刃を一閃。次の瞬間首を失った男が鮮血を吹き上げながらぐらりと傾いで血の雨が降る中、1人目が倒れるよりも早く間近の男をもう一人血祭りにあげて、我に返った3人目の幅の広いナイフに刃を弾かれて飛びのき、ふっと体を沈めて足を切る。男の凄まじい悲鳴が響いた。

小さくて可愛くて、どうしても非力にしか見えないクリスタの、思わぬ攻撃に思考が止まる男の1人に体を屈めて走り寄って、さ、と刃を走らせる。
男達にとって想定外のこの事態。奴らが立ち直る前に、1人でも多く倒さなくては!

710: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:19:11 ID:nbcTF/MI0

クリスタが動き始めてからわずか数秒の間に3本目の血しぶきが上がって、クリスタが4人目に襲い掛かり、私が2人目に走り寄った時に、男の1人が大声を上げた。

男1「おい!!てめぇら!!なにぼやっとしてやがる!!殺せ!!」

血しぶきを全身に浴びたクリスタが、果樹の枝をすり抜けて舞う。
敵は後10人。

711: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:19:46 ID:nbcTF/MI0



ハァハァハァハァ

クリスタ「・・・・」ハァハァハァハァ(サシャ!サシャはどこ?!・・・私がなんとかしないと!)

ミカサ「・・・・・・」ハァッハァッハァッ(刃が重い・・・・眩暈が・・・・これ以上は・・・・)

男1「くっそ・・・・こいつら」ゼーゼー

男2「手こずらせやがって・・・・」ゼーゼー

男3「よくも仲間を殺りやがったな!!」ゼーゼー

712: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:20:20 ID:nbcTF/MI0

男9「足がぁぁぁぁ!!いてぇよぉぉぉぉ!!」ゴロゴロ

男10~15「」チーン

男4「こりゃあ簡単には殺れねぇな」ゼーゼー

男5「あれっぱかしの金じゃ割に合わねぇ」ゼーゼー

不意打ちから立ち直った男達は、さすがに簡単には倒せなかった。
身軽さと小柄な体格を生かして戦うクリスタも、戦いが長引けば跳躍力を失う。
大事な時に、思ったように動けない自分の体が恨めしい。いくら長身がアダになってると言っても、こんな連中に囲まれて防戦一方だなんて・・・・
クリスタと背中を合わせて互いを守る。動き回るには邪魔な長いブレードも、防御には役立っている。それでも一体どこまで持ちこたえられるか・・・・

713: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:21:15 ID:nbcTF/MI0

それよりも、乱戦の最中はぐれたサシャはどうなっただろう?サシャは最後まで刃を抜かなかった。男達が私とサシャの間に割って入って、サシャが走り出した時も、手には何も持っていなかった。

膠着状態の中、時々吠える以外は尻尾を股に挟んでキュンキュンと情けない声を出していたボリスが、急に尻尾を上げて吠え始めた。
ワンワンワンワン!!

男1「うるせぇ犬だな!!」ケリッ!ガッ キャイン!

クリスタ「ボリス!!」ギラッ「このぉ!!」ビュッ ガキン!!

男1「ふん!!」

714: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:21:54 ID:nbcTF/MI0

クリスタの刃がナイフで弾き返され、体ごと飛ばされる。倒れたクリスタに襲い掛かろうとした男がもう一方の刃で腹を裂かれる。

男1「ぐぁぁぁ!!」

クリスタ「あぁっ!!」

倒れざまにクリスタの腕を男のナイフがかすめた。ジャケットの左袖から、鮮血が滴る。

クリスタ「ぁ・・・ハァッ」

私がクリスタの怪我に気を取られた次の瞬間・・・・
男2~5「囲み潰せ!!おりゃりゃりゃりゃ!!」

ミカクリ「!」

715: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:22:28 ID:nbcTF/MI0

アルミン「クリスタぁっ!!」ザシュッ

男2「はぶっ」チーン

アルミン「ふっ!!」ザシュ

男3「あべしっ」チーン

サムエル「ふんっ!!」ダンッ ザシュッ

男4「げぶっ」チーン

716: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:23:34 ID:nbcTF/MI0

アルミン「はぁっ!!」ドッ ビュッ ザシュッ

男5「おうっ」チーン

雑木林から飛び出してきたのはアルミンだった。素早く走り寄って何の躊躇いもなくあっという間に男達を切り倒していく。
アルミンに続いて現れた長身のサムエルは、避けることなく果樹の枝ごと敵の首を切り飛ばした。

717: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:24:29 ID:nbcTF/MI0

クリスタ「アルミン・・・・・」クタッ

アルミン「クリスタ!遅くなってごめん!!腕が!!」ギュッ

ミカサ「・・・・」ヨロッ

ジャン「ミカサっ!!」ガシッ「大丈夫か!その血は?!怪我はないか?!」

アルミンとジャンの顔を見て、ひどく安堵する。
張りつめていた緊張の糸が途切れて、体中からすとんと力が抜けるのを感じた。

718: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:25:03 ID:nbcTF/MI0

クリスタ「私達は大丈夫よ!でもサシャが!!」ハァハァ

コニー「どうした!?サシャはどこだ!!」

クリスタ「こいつらに襲われて」ハァハァ「戦ってるうちにはぐれたの!」ハァハァ

ミカサ「向こうの方に走っていくのを見た」ハァッハァッ

コニー「くっそ!!」ダッ

サムエル「コニー!待て!!1人で行くな!!」ダッ

719: 進撃の名無し 2014/06/18(水) 12:25:35 ID:nbcTF/MI0

アルミン「サムエル!!頼む!!」

サムエル「任せてくれ!!」

ジャン「何人だ?何人サシャを追って行った?」

ミカサ「3人」ハァッ「3人行った」ハァッハァッ

アルミン「僕らも行こう!ミカサ!クリスタ!大丈夫?走れる?」

721: 進撃の名無し 2014/06/19(木) 10:38:29 ID:hUKieOos0

クリスタ「待って」ハァ「もう足に力が・・・・」クタ

ミカサ「・・・・・」膝ガクガク

へたり込んだ体を、もう一度動かそうとして、すでに筋肉が限界を超えている事に気が付いた。これしきの事で、どうして・・・・・
悔しさで一杯になる。チンケなゴロツキだった。兵士でもない相手に、遅れをとった。全部、倒せなかった・・・・

ジャン「2人とも走れそうにねぇぞ、アルミン」

アルミン「・・・・そうだね」

722: 進撃の名無し 2014/06/19(木) 10:39:33 ID:hUKieOos0

抱きかかえていたクリスタをそっと放して立ち上がったアルミンの顔を見て、ギクリとする。
綺麗にすら見える、表情を殺した、何かを決心した時によく見せる、アルミンのその顔。

アルミン「それじゃぁ、先にこっちを片付けようか」ザッ

アルミンの視線の先には、腹を裂かれて呻く男と、脚の骨を露出させて細く悲鳴を上げる男と、最中に刃を背負ったまま逃げようともがく男。

723: 進撃の名無し 2014/06/19(木) 10:41:12 ID:hUKieOos0

アルミン「ジャン、悪いけど、クリスタとミカサを向こうへ連れて行って休ませてくれるかい?」

ジャン「・・・・アルミン・・・・何をするつもりだ?」

アルミン「頼むよ、ジャン」チラリ

ジャン「!」ゾワッ

ミカサ「・・・・・クリスタ、ボリスが痛がってる。診てあげないと」

クリスタ「え?えぇ・・・・」

737: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:04:54 ID:KhFylzFo0





――――
人間を怖いと思った事はほとんどない。教官や上官はもちろん怖かったが、その怖さは『畏怖』だったと思う。
だが、この時アルミンに感じた恐怖、これをなんと表現したらいいのだろう。こんな得体のしれない足が竦むような恐怖を、同期の、しかもこんな女みたいな綺麗な顔した奴に感じるなんて思ってもみなかった。

アルミン「さて・・・・こっちの人はちょっと助からないね。ほら見て」グィ

男15「ひっ」

アルミン「ねぇ?内臓が出てきちゃってる。助からないのは間違いないけど、すぐに楽になれる訳でもなさそうだね?そう思わないかい?ほら、もっとよく見て」グイグイ

男15「・・・・」ガクガク

アルミン「ね、可哀想だね?このまま苦しみながら、一体どれだけ生きるだろうね?何時間?それとも何日かな?それにほら、こっちの」グィ

男15「うぐっ」

アルミン「こっちの彼、ほら、太腿ざっくり切れて骨が見えちゃってる。この出血量、多分動脈が切れてるね。ほらほら、見てよ」グイグイ

男15「ぐ・・・・はぁ・・・・」

アルミン「出血多量で死ぬのと内臓はみ出して死ぬの、どっちが楽だろうね?君はどう思う?」ニッコリ

男15「ひっ・・・・」ビクビク

アルミン「君は・・・・背中に刃が刺さってるね。この幅広の刃をこんな風に突き刺すなんて普通は出来ないよ。何しろ巨人の項を削ぐ目的で作られたものだからね。刺すのには向いてないんだ。これは見事だなぁ。黒髪の女の子だろ?やったの」ニコニコ

男15「・・・・」ブルブル

アルミン「もう、さっきから僕1人で喋ってるじゃないか。つまらないよ。質問くらい答えてくれてもいいんじゃない?」刃グリッ

男15「ぎゃぁぁぁ!!」

アルミン「ね、これ黒髪の子だろ?刺したの」ニコニコ

男15「ははははは、はいっ」ガクガク

アルミン「やっぱりねぇ。さすがだなぁ。こういうのを才能っていうんだ、きっと。僕にも戦闘の才能があったらいいな、って思ってたんだけどね、最近別の才能に気が付いたんだ。知りたいかい」ニコニコ

男15「はははは、はいっ」ガクガク

アルミン「嬉しいな。」ニッコリ「それはね、目的の為なら」ズイ「人間性をも捨て去れるっていう才能だよ」刃グリッグリッ

男15「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

アルミン「あぁ、ごめん。やりすぎたね。痛かった?」ニコニコ

男15「ハァッハァッ」ビクビクッ

アルミン「君のこの怪我なら、刃を短く折って早く医者に診て貰えば助かるよ?他の人は助からないけど、君は生きられる」ニコニコ

男15「ハァッ・・・・」ブルブル

738: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:05:57 ID:KhFylzFo0

アルミン「でも、その為には協力してもらわなきゃ、ね?」ニコニコ

男15「・・・・」ブルブル

アルミン「誰に雇われた?」ズイ真顔

男15「し・・・・知らねぇ」ブルブル

アルミン「・・・・・はぁ」刃ガシッ「それは困ったな」グリッ

男15「ぎゃぁぁ!!」ビクビク「ホントだ!!ホントにオレは知らねぇんだ!!」ビクビク

アルミン「へぇ?じゃあ誰が知ってるんだい?」グリッ

男15「ぎゃぁぁ!!」ハァハァ「そこのっ腹切られたやつっ」ハァハァ「そいつが」ブルブル

アルミン「そっか。じゃこっちの彼に聞いてみるよ。ありがとう」ニッコリ「でもまともに口聞けるかな?」フム

男15「はぁはぁ・・・・・」ガクガク

アルミン「さて、と。ねぇ?君、まだ喋れるかな?」

男1「・・・・・ク・ソ・・・く・らえ」

アルミン「良かったぁ。まだもうちょっとお話できそうだね?」ニコニコ

男1「・・・・・」

アルミン「さぁ、教えて貰おうか?雇い主は誰?」ズイ

男1「・・・・・ガキが・・・・・い・きがって・・んじゃ・ねぇ」

アルミン「ふぅ・・・困ったな。協力して貰えそうにないね?この人あんまり持ちそうにないし、体に聞いても意味なさそうだしなぁ。この辺痛い?」グチャ

男1「・・・ナメ・・・ん・な・・・」

男15「ひぃっ」ガクガク

アルミン「やっぱり。もう痛みも感じないんじゃ、どうしようもないね」ズルズル

男1「ごっ・・・・ごほっ」チーン

男15「ひぃぃぃぃぃ」ガクガク ジョボ・・・・

アルミン「ねぇ。そこの君、本当に何も知らないの?」ドサッビチャビチャ

男15「ほっ本当だ!!本当なんだよ!!分かってくれよ!!オレは何にも知らねぇ!!仕事はいつも頭から貰うんだ!!だから依頼主の事は頭しか知らねぇ!!そ、そいつは古参だし頭が可愛がってるから、ちょっとは知ってるかもしれねぇけど!オレは下っ端なんだよ!!新参者なんだ!!知らねぇんだ!!」ガクガクブルブル

アルミン「ふぅん?そうなんだ。で、頭って?」

男15「シーナの、地下組織の頭だ。ヤバイ仕事専門の」ガクガクブルブル

アルミン「シーナの地下組織って一杯あるじゃない。どこの誰?」ニッコリ

身の毛もよだつ手段で、その頭とやらの名前と組織名を聞き出したアルミンはあっさりと男を殺した。足を切られた男は、いつの間にか絶命していた。
俺は、こみ上げる吐き気を堪えながら、目を反らそうとする自分と必死に戦っていた。

これだったんだ。俺が知りたかった現実。アルミンが背負ったもの。アルミンの世界。俺が感じた違和感の、正体がこれだった。

739: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:06:55 ID:KhFylzFo0

アルミン「・・・・・ジャン」

俺に背を向けて、男の服で血まみれの手を拭き立ち上がると、感情の無い声でアルミンが俺を呼んだ。

ジャン「な、なんだ?」

アルミン「・・・・・軽蔑したかい?」

ジャン「いや・・・・・」

アルミン「でも・・・・怖かったろ?」

ジャン「・・・・・・いや」

アルミン「嘘言わなくていいよ」フッ「僕も、初めは怖かったんだから」

ジャン「・・・・あぁ・・・・すまん・・・・でも軽蔑はしてねぇよ」

アルミン「・・・・・この事、クリスタには言わないでおいてくれる?」

ジャン「あ、あぁ・・・・」

アルミン「いつか、知る事になると思う。でも、それはいつかの事にしておきたいんだ」

ジャン「あぁ・・・・」

アルミン「こんな僕を、見せたくはないから」

ジャン「あぁ・・・・」

740: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:07:33 ID:KhFylzFo0



アルミン「それで、北の村にはあと何人くらい居た?」

ジャン「男はあれで全部だ。後は女が6人。年寄りと子供は見かけてない」

アルミン「・・・・女も仲間だろうな」

ジャン「あぁだろうな・・・くっそ・・・見抜けなかった!」

アルミン「仕方ない。相手の方が経験値が上だっただけのことだよ」

コニー「で、どうすんだ?」

アルミン「サムエル、伝令を頼む。団長に知らせてくれ。僕らはシガンシナに行く」

サムエル「分かった」

コニー「シガンシナ!?」

ジャン「どういうことだ!?」

アルミン「ごめん・・・・シガンシナに行ってから話す」

コニー「なんだよ・・・それ」

ジャン「・・・・・」

サムエル「オレはもう行くよ。時間がない。サシャの馬を使わせてもらうよ」

アルミン「すまない。気を付けてくれ」

サムエル「あぁ」バタン

アルミン「僕らも準備が出来次第ここを出よう。女の子達の状態が良ければだけど・・・・」

コニー「・・・・様子を見てくる」ガタッ

741: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:08:32 ID:KhFylzFo0

トントン 

ミカサ「誰?」ガチャ「コニー・・・・クリスタ?コニーが来た」

コニー「どうだ?サシャは」

クリスタ「怪我は大したことないみたいだけど、頭を殴られてるから少し心配ね・・フゥ・・それに精神的にショックを受けたみたいだし・・・・シャツはボタンが飛んだだけだったわ。ミカサが付けてくれたから。」

コニー「・・・・・動けるか?」

クリスタ「出来れば今晩は休ませた方がいいと思うけど・・・・ハァ」

コニー「お前の腕はどうなんだ?」

クリスタ「え?あぁ、えぇ・・・・大丈夫よ・・・・思ったより酷くなかったし、ミカサに縫ってもらったから・・・・ハァ」

ミカサ「ダメ、クリスタ。ちゃんと医師に診てもらうべき」

クリスタ「平気よ。大したことないわ・・・・ハァ」フラッ

ミカサ「!」ガシッ フラッ

コニー「おっと!」ガシッ ガシッ「お前らも無理すんな!ダメだなこりゃ、ちょっと待ってろ」ダッ

ミカクリ「・・・・・」ハァ


バタバタ

コニー「おい!ジャン!アルミン!来い!」

アルミン「どうしたの?!」

ジャン「なんだ?!」

コニー「ミカサもクリスタも休ませなきゃダメだ」

アルミン「え!やっぱり怪我が酷いの?」

ジャン「ミカサ・・・・!」

バタバタ


バタバタ

ジャン「ミカサ!」アルミン「クリスタ!」

アルミン「腕はどうなの?まだ血が出てるじゃないか」

クリスタ「・・・・」フルフル

アルミン「立てる?」

クリスタ「・・・・私・・・・人を・・・・」ジワッ

アルミン「・・・・」ヨイショッ ヒメダッコ

クリスタ「!」/////////

アルミン「もうちょっと自分を労わらなきゃ。サシャは大丈夫だから休もう?」



ミカサ「・・・・・」ハァ

ジャン「怪我はないんだよな?」

ミカサ「擦り傷くらい・・・・」

ジャン「どうした?」

ミカサ「急に激しく動いたので筋肉がこわばって・・・それに少し貧血気味みたいで頭がぼんやりして・・・」

ジャン「2人とも休まなきゃダメだな。アルミン、下に集まってくれ。コニーも」

コニアル「わかった」

アルミン「ごめん、クリスタ、サシャ。ちょっと狭いけど2人で一緒に休んで?ミカサ、2人と居てくれる?」

ミカサ「わかった」

クリスタ「・・・・・」コク/////////

サシャ「・・・・・」

742: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:09:53 ID:KhFylzFo0



コニー「今日は動けそうにねぇな」

アルミン「そうだね。でもいつまでもここに居るわけにはいかない」

ジャン「・・・・・アルミン、俺は北の村に行く。襲撃からそう時間がたってないから、まだ仲間が全滅したことに気が付いてないかもしれねぇ」

アルミン「襲撃の途中で馬の気配を感じなかった。見届け役の仲間はいなかったかもしれない。まぁ、徒歩なら分からないけど。でもここはマリアだから、その必要を感じなかったのかもしれないね」

ジャン「・・・・だが、覚悟決めなきゃならねぇ」ギッ

アルミン「・・・・・」

ジャン「相手が女だろうと・・・・」

コニー「・・・・おい・・・・それって、どういうことだよ?」ゾワッ

アルミン「僕らは今夜動けない。逃げる事が出来ないなら、殺すしかない・・・・増援を呼ばれたらおしまいだ」

ジャン「仲間の帰りが遅いことに気が付けば、様子を見に来るだろう。その前にやるぞ」

アルミン「もっともどこか遠くで襲撃の様子を見てたとしたら、もう手遅れだけどね」

ジャン「奴らがバカであることを祈ろうぜ」

コニー「女・・・・殺すのか?」

アルミン「襲撃犯の一味を生かしておけば必ず僕らがやられる。兵士じゃない女性でも馬を飛ばせば夜の内にローゼの壁の前まで行ける。通信手段があるだろうから、そうしたら夜明け前にはここに増援が来るよ。もし僕らみたいに鳩を使ってたらもっと早い。女の子達を休ませるなんて悠長な事は出来ないよ。無理にでも今すぐシガンシナに出発しなくちゃ。あぁ、でもその前に僕らの馬は今日はもう走れないから、奴らの馬を奪わなくちゃ。結局どうしたってすぐには発てないね」

ジャン「そういう事だ。コニー、俺達に他に道はない」

コニー「ジャン・・・・・オレも行くぜ」

ジャン「あぁ・・・・」

アルミン「・・・・2人だけで・・・・大丈夫かい?」

コニー「・・・・・」

ジャン「・・・・・お前ら・・・・慣れてんのな」

アルミン「・・・・・君達よりは」

ジャン「お前らにばっかりやらせるわけにいかねぇよ」

アルミン「汚れ仕事を任せてごめん・・・・」

743: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:12:02 ID:KhFylzFo0



サワサワ チュンチュン チチチチチ カサコソ  パキ パキ
ジャンコニ「・・・・・・」ソッ

女1「ねぇ、男達ちょっと遅くないかい?」

女2「まさか失敗したんじゃないだろうねぇ」

女3「けど相手はガキばっかだろ?」

女4「どうせまた悪い癖が出たのさ」

女5「若い娘相手にお楽しみなんだろ」

女6「やれやれ、困った連中だねぇ」

女1「それにしちゃあ・・・・」

女4「あれ、だって前の仕事の時だって男6ときたら、肝心の標的ほったらかして、標的の娘相手に3回も   まったらしいよ?」

女3「男8なんか5回もさ!」

女5「そうそう、危うく失敗するとこだったって」

女6「おかげてあたしらまでこんな辺境に飛ばされちまってさ」

女4「迷惑な話さ。まぁ今更戻ったところでキツイ仕事しか回って来ないだろうけどね」

女3「おや、あたしはここが気に入ったけどねぇ。薄汚い地下にくらべりゃ、天国じゃないか。巨人も来ないしさ」

女5「ねぇ!それよか、偵察に行った奴の話だと、今度の標的は粒揃いらしいよ?」

女6「はぁ・・・・それじゃ当分帰ってきそうにないねぇ」

女3「ここじゃ邪魔も入らないしねぇ」

女4「ったく、あたしらがちょこちょこ相手してやってるってのに」

女1「けど相手は兵士だろ?いくらガキっつても・・・・」

女2「一応確認しとくかい?」

女3「行ったところで見せつけられるだけさ!」

女5「案外娘も喜んでたりしてねぇ!」

女6「あぁ~ん!もっとぉ!とか言ってたりして?」

女3~6「ぎゃはははは!!」


ジャン「・・・・・・・やるぞ」

コニー「全部いっぺんかよ?キツイぜ?バラけてからの方がよくね?」

ジャン「面倒くせぇよ!」

744: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:12:49 ID:KhFylzFo0


躊躇いを振り払って、俺はトリガーを引いた。これでもう、後戻りは出来ない。

カチッ シュン アンカードシュッ ドシュッ

女1「がっ」

女2「ごふっ」チーン

ジャン「フッ」ビュン「ふんっ」ザシュッ ザシュッ

女3「ごえっ」チーン

女4「ぐふっ」チーン

女5「なんだいっ!!」

女6「ひっ」

コニー「容赦ねぇな!ジャン!」ビュッ ザシュッ ザシュッ

女4「おふっ」チーン

女6「ぎゃっ」チーン

女1「こ、この・・・・ガキども・・・・」

ジャン「・・・・悪いな」シュッ||||

女1「がふっ」チーン

ジャン「・・・・気が付いちゃいなかったようだが・・・・」||||

コニー「・・・・・・」||||ズーン||||

ジャン「後味・・・・悪ぃぜ・・・・・くっそ・・・・」||||ズーン||||

コニー「・・・・だがあいつらを守るためには仕方ねぇことなんだろ?」ギリッ||||

ジャン「あぁ。そうだ・・・・他にいねぇか確認したら馬貰って帰るぞ」ギッ||||

コニー「あぁ」||||

ジャン「・・・・アンカーチェックしとけよ?俺前に巨人にぶっ刺して壊したからよ」||||

コニー「トロスト戦の時か?」||||

ジャン「死ぬとこだったぜ」||||

コニー「ははは・・・・そういやそうだったな・・・・すまねぇ。ありゃオレのせいだったな」||||

745: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:14:17 ID:KhFylzFo0

一通り見て回って、他に誰も居ない事を確認すると、馬を4頭連れ出した。他の馬は馬房から出して自由にしてやる。どこかに隠したんだろう。男連中の乗って来た馬は見つからなかった。
ミカサとクリスタの馬に跨って、両脇に1頭ずつ馬を従えて帰路につく。自由にした馬は少しその辺りをウロウロしてから付いてきた。馬ってのは孤独を嫌う生き物らしい。壁外調査で乗り手を失った馬が最後まで兵団の後について走るってのはよくあることだ。こりゃいい。家まで来てくれれば荷運びに使える。

ジャン「・・・・・・」

コニー「・・・・・・なぁ」

ジャン「なんだ?」

コニー「いつだったかお前が言ってたの、これか?」

ジャン「あぁ?何が?」

コニー「アルミンだよ。手紙がおかしいとかなんとか、言ってただろ?」

ジャン「あぁ・・・・」

コニー「アルミンもサムエルも、妙に慣れてやがった。あいつら、オレらの知らねぇとこで、巨人じゃなくて人間相手にしてたんだろ?」

ジャン「だろうな」

コニー「・・・・それって、今の調査兵団の相手が人間だってことか?それともあいつらが団長の近くにいるせいなのか?」

ジャン「知るかよ」

コニー「シガンシナに行くって事はよ、オレらもこういう事、これからも続くって事だよな?」

ジャン「あぁ・・・・・多分な」

コニー「野郎共の時はよ、サシャに手出されてカッとなってたから、何にも考えずにやれたんだけどよ・・・・やっぱキツイわ・・・・・・サシャに、んなことさせたかねぇな・・・・」

ジャン「・・・・・あいつには無理かもな・・・・」

コニー「お前だってミカサにやらせたかないだろ?」

ジャン「・・・・・あいつは・・・・・」

コニー「・・・・・・」

ジャン「なぁ、訓練兵団入団式の時、恫喝されなかった面子、全部覚えてるか?」

コニー「いや?」

ジャン「あいつらだよ。ライナー。ベルトルト。アニ。ユミル。エレン。それにミカサだ」

コニー「・・・・よく覚えてんな」

746: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:14:51 ID:KhFylzFo0

ジャン「今になってみりゃわかるよ。あいつら、俺達とは全然違う次元で生きてた。俺がトロストで普通に学校行って母ちゃんにガミガミ言われてた頃、ライナーとベルトルトとアニは巨人になって人殺す訓練受けてたんだろ?ユミルはよく知らねぇけど、あいつだって巨人だったわけで、多分並みの奴とは全然違う人生を送ってたわけだ。エレンとミカサはガキなのに強盗3人も殺して、2人とも目の前で親殺されてよ。」

コニー「・・・・・・そうだな」

ジャン「親を巨人に喰われて孤児になったやつなら他にもいたけどよ・・・・エレンとミカサは、あいつらはなんか突き抜けてんだよな」

コニー「・・・・・そう言われてみるとよ、キース教官ってすげぇな」

ジャン「・・・・あぁ」

コニー「そういうの、一発で見抜いてたってことだろ?あいつらが他の、オレらと全然違う人種だってよ」

ジャン「そうだよな」

コニー「・・・・・オレさぁ、実を言うと、もう家族の事ほとんど諦めてんだ・・・・多分、巨人に喰われちまったんだろうなって」

ジャン「・・・・・あぁ」

コニー「だけどよ、それでもオレあいつらみてぇに、なんてぇの?突き抜けたって言うの?そういう人間にはなれそうにねぇわ。ま、あいつらと同じ体験したわけじゃねぇし、当たり前かもしれねぇけどよ」

ジャン「・・・・・あぁ。そうだな。俺もだ」

747: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:15:44 ID:KhFylzFo0





―――――
クリスタ「・・・・・」ブルブルカタカタ

アルミン「・・・・・大丈夫、大丈夫だから。ね」ギュッ

クリスタ「・・・・・」ブルブル ギュッ

ミカサ「・・・・・」(初めて人を殺してクリスタはショックを受けてる)

サシャ「・・・・・」ポロポロ

ミカサ「・・・・・」ヨシヨシ(サシャはそれに加えて 辱されかけた・・・・私の身体が完全ならあんなゴロツキ・・・・ギリッ)

~~~~ミカサ回想・ジャン登場シーン~~~~

ミカサ「・・・・」ヨロッ

ジャン「ミカサっ!!」ガシッ「大丈夫か!怪我はないか!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ミカサ「・・・・・」/////////(なぜ急にジャン・・・・でも来てくれなかったら、私とクリスタも・・・・ただ殺されるだけじゃ済まなかったかもしれない・・・・)スッ首飾りサワサワ

ヒヒーン

ミカサ「!」

アルミン「!」ダッ「ジャンとコニーだ!帰って来た!」

サシャ「!!」ダッ

748: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:16:25 ID:KhFylzFo0

タタタタッ

サシャ「コニー!!」ダキツキッ

コニー「おっと」ガシッ「寝てなくていいのか?」

サシャ「コニー・・・・」ポロポロ「顔色が悪いです・・・・怪我は?」

コニー「怪我なんかするかよ」

サシャ「この血は?」ポロポロ

コニー「返り血だろ。お前だって酷い恰好だ」

サシャ「お風呂、入りたいですね」ポロ

コニー「そうだな」

ミカサ「用意する」

ジャン「ミカサ、お前は休んでろ」

ミカサ「平気」膝カクカク

ジャン「俺がやるから・・・・」

アルミン「ジャン!どうだった?」

ジャン「仲間の全滅には気が付いてなかった。全部仕留めてきたぜ」||||

アルミン「そうか・・・・すまない」

ジャン「いや、でもこれで時間が稼げるな」

アルミン「あぁ。一晩はここにいても大丈夫だろうね」

コニー「風呂入ろうぜ風呂!」

749: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:18:13 ID:KhFylzFo0



カポーン

ミカサ「クリスタ、腕を濡らさないように気を付けて」

クリスタ「うん・・・・」

ミカサ「髪を洗ってあげる」

クリスタ「うん・・・・」

ミカサ「・・・・・」ワシャワシャワシャワシャ

クリスタ「・・・・・ごめん」

ミカサ「なぜ謝るの?」

クリスタ「狙いは・・・・私だったから・・・・」

サシャ「気にしないで下さいよ」

クリスタ「巨人を殺すのは平気なのに・・・・」フルッ

ミカサ「・・・・・怖い?」

クリスタ「うん・・・・対人格闘の訓練はあったけど、殺すための訓練じゃなかったもん・・・・怖いよ」

ミカサ「・・・・・」

サシャ「すり傷だらけです・・・・」

クリスタ「ほんと」クスッ「みんな戦闘服ドロドロだしね」

ミカサ「洗濯しよう」

サシャ「乾きませんよ?」

ミカサ「シーツで水気吸って暖炉の前に干せば、朝には乾く」

サシャ「でも全員の戦闘服洗ったら、予備のシーツじゃ足りないのでは?」

ミカサ「クリスタはアルミンと眠ればいい」

クリスタ「え!!やだ、ミカサったら」//////////

ミカサ「そうすれば1枚シーツ確保出来る。サシャがコニーと眠れば2枚確保」サラッ

サシャ「んなっ!何をサラッと言っちゃってるんですか!!ミカサは!!」//////////////

クリスタ「!」ニヤリ「じゃミカサがジャンと眠れば3枚確保だね?」

ミカサ「わ、私とジャンはそんな関係じゃない・・・・」オロッ/////////

クリスタ「ふぅん?」

750: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:19:11 ID:KhFylzFo0



コニー「洗濯、悪いな」

ミカサ「構わない」パンパン

ジャン「返り血、かなり酷かったからな・・・・助かる」

ミカサ「私達も気持ち悪かったから」

サシャ「ミカサ、髪乾いたので干すの手伝います」

ミカサ「いい。サシャはもう休んで?」パンパン

サシャ「大丈夫ですから」

ジャン「おい、コニー。サシャ連れてって休ませろよ」

コニー「おぉ。言う事聞いて大人しく寝とけ。行くぞ」腰グィ

サシャ「わっ」////////

クリスタ「サシャお休み」

ミカサ「クリスタも寝なさい。アルミン!」パンパン

アルミン「はいはい。クリスタ、行こう?」

クリスタ「え?でもまだ洗濯物が・・・・」

アルミン「ミカサに任せて、クリスタはもう寝よう?」手ギュッ

クリスタ「う、うん」///////////

ジャン「早く寝ろよ~」手ヒラヒラ「ミカサ、俺手伝うわ」ガタッ

ミカサ「ありがとう」パンパン

ジャン「ミカサも疲れただろ?」バサバサ

ミカサ「少し」パンパン

ジャン「無理すんな」バサバサ

ミカサ「さて」パンパン「これで終わり」バサッ

ジャン「ミカサも寝ろよ」椅子ガタッギシッ

ミカサ「?ジャンは寝ないの?」

751: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:19:49 ID:KhFylzFo0

ジャン「あぁ。俺今夜はここにいるわ。暖炉の火が消えちまったら乾かないだろ?」

ミカサ「いや、でもこの大きい薪を間隔をこうやって・・・」ガサガサ「入れておけば・・・・」

ジャン「それに・・・・また襲撃が無いとも限らねぇ」ギラッ

ミカサ「!」ゾ

ジャン「ボリスが吠えりゃ、すぐ分かるだろうけどな。念の為ミカサは2階の俺の部屋を使ってくれ。1階じゃ危ねぇ」

ミカサ「・・・・それではジャンが1階で1人になってしまう」

ジャン「どうってことねぇよ。ホレ、寝て来い」

ミカサ「・・・・・」ガチャ ガタガタ ガチャ「私もここにいる」ベットカバーバサッ「こっちの長椅子で寝る」

ジャン「あのなぁ・・・・そんな堅い長椅子なんかで寝たら身体休まらねぇだろ?」

ミカサ「それじゃあ」ガタガタ「寝袋を使う」

ジャン「なんの解決にもなってねぇって!!」

ミカサ「ジャン1人で見張りをさせるわけにはいかない」

ジャン「お前もたいがい頑固だな・・・・」ガチャ「ボリス!」クゥン「よしよし、良い子だな。今日は中に入っていいぞ?」キュンキュン「お前は今夜ここで番をしろ。知らない奴が来たら吠えまくるんだぞ?」尻尾パタパタ

ミカサ「ジャン、いつの間にボリスとそんなに仲良くなったの?」

ジャン「さぁな。それより、ホレ、俺には頼もしい相棒もいるんだ。遠慮なく2階へ行ってくれ」

ミカサ「ボリスは吠えるけど、戦えない。ので私はここにいる」

ジャン「んんん~!あぁあ!分かったよ!!」ガチャ ガタンドタン「ったく!」

ミカサ「え!?」

ジャン「どっこら!」ドンッ「しょっ!!」ドシン!!「ここで寝てろ!」

ミカサ「ベットをこんなところに持って来るなんて・・・・」アゼン

ジャン「テーブルとイスをミカサの部屋に持ってって」ガタガタ「こうやって積んどけば」ガタガタ「ベットがあっても狭くならねぇし、窓からの侵入への備えにもなる」ドヤ「ただし本当に襲撃があったら、ここが一番やべぇんだからな」

ミカサ「分かってる」

ジャン「そこで寝とけ。きっちり身体休ませねぇと、明日動けねぇからな」

ミカサ「・・・・うん」

ジャン「分かったらさっさとベットに入れよ」

ミカサ「・・・・うん」ギシッ

752: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:22:08 ID:KhFylzFo0

暖炉パチパチ カラン パチパチ

ジャン「・・・・・・・」パキ ポイ パチパチ

ミカサ「・・・・・・・」ギシッ

ジャン「・・・・・・・」ナイフカチャ フキフキ

ミカサ「・・・・・・・」ギシッ

ジャン「・・・・・・・眠れねぇか?」

ミカサ「うん・・・・・」

ジャン「・・・・・・・キツイ1日だったな」

ミカサ「うん・・・・・クリスタは初めて人を殺したことに動揺してる。コニーも、ジャンもそうでしょう?」

ジャン「・・・・俺ら兵士だけどよ、人を殺す訓練は受けてねぇからな」

ミカサ「・・・・・えぇ」

ジャン「巨人とやりあう覚悟は出来てても、人間と殺しあう覚悟なんか出来てねぇ」

ミカサ「私の怪我の治りが遅いから、みんなに辛い思いをさせた・・・・」

ジャン「何言ってんだ。関係ねぇだろ?それを言ったら、俺がシガンシナに行くなんて言い出さなきゃ、お前らと一緒に戦えた。お前のせいな訳ねぇよ。」

ミカサ「違う!!私は人を殺しても動揺したりしない。そもそもあんなゴロツキ何人居ても、以前の私なら1人で全部倒せた。私が、私があんな風に怠けていたせいで!私の身体が完全なら、クリスタにもジャンにも人殺しなんかさせずに済んだ!」

ジャン「・・・・お前さ、人間殺して何も感じねぇの?」

ミカサ「・・・・あいつらは殺すべき人間だった。私はライナーもベルトルトも殺そうとした・・・・だからあんな連中相手に躊躇ったりしない。私は、私達を殺そうとする相手なら(あれ・・・・)誰でも殺せる」(あれ?)

ジャン「それはなぁ、それこそ人と殺りあう覚悟が出来てるってことであって、平気って訳じゃねぇだろ?」

ミカサ ハッ「・・・・・そう・・・・かもしれない」首飾りサワサワ

ジャン「だが・・・・俺達全員、おんなじ覚悟を決めなきゃならねぇ気がする」

ミカサ「・・・・・」

ジャン「これで終わりじゃねぇよ。多分」

ジャンと話している最中、強烈な違和感を覚えた。自分の気持ちに、今まで気が付いていなかった何かを見つけた気がした。そしてすぐにそれが何か理解した。今までずっと私の中で大きな場所を占めていたはずのものが、いつの間にか他のものに取って変わられていた。
ジャン、あなたの言ったとおりだ・・・・人の心は、いつの間にか変わってしまう・・・・自分自身でも、気が付かないうちに。
変わってしまった自分が、何か嫌なものになったような気がして・・・・・いえ、待って・・・・そうか・・・・やっと気が付いた。クリスタ、あなたの言ったことが、やっと理解出来た。
ジャン・・・・クリスタ・・・・あなた達は、こんなにも私のことを思ってくれて、分かってくれてるのに・・・・私はあなた達を守ることすら出来ない・・・・

753: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:22:49 ID:KhFylzFo0





――――
アルミン「クリスタ、今日は大変だったね・・・・大丈夫?眠れそう?」

クリスタ「・・・・・一緒に居てくれる?」///////

アルミン「うん。もちろんだよ?」ギュッ

クリスタ「・・・・お風呂っていいね。少し、楽になった」ギュッ(アルミンの胸の中、安心する)///////

アルミン「そう?良かった」ギュッ(クリスタ良い匂い)フゥ////

クリスタ「サシャとミカサがね、気にしなくていいって・・・・」

アルミン「そうなの?」髪ナデナデ

クリスタ「私のせいなのに・・・私が一緒にいたせいで酷い目にあったのに・・・・」ポロ

アルミン「いいや、僕が甘かったんだよ・・・・僕がもっとしっかりしていれば、ここが知られることもなかった!」クッ

クリスタ「そんなことない」フリフリ「きっとレイス家の農地も別荘も全部把握してたの。だからシガンシナから逃げたらここに来るって、分かってたのよ・・・・でも私達にはここしか無かった。ここ以外どこにも行ける場所なんか無かったの」ポロポロ

アルミン「ごめん、ごめんね。君を守ってあげられなくて」ギュッ

クリスタ「守ってくれたよ?シガンシナから来てくれたもの。アルミンが来てくれなかったら、今頃・・・・」ゾ「死んでた」ギュッ

アルミン「クリスタ・・・君を死なせたりするもんか」ギュッ

クリスタ「アルミン・・・・」ギュッ「アルミン・・・・私・・・・私のお母さん・・・・首を切られて死んだの・・・・私の目の前で・・・・それなのに今日、私人の首を切って殺したのよ・・・・」カタカタ

アルミン「・・・・・辛い思いをさせてごめん」ギュッ

クリスタ「良かったのよね?私、間違ってないよね?」ポロポロ

アルミン「君は正しいことをしたんだ。ミカサもサシャも、君が勇敢に戦ったから助かったんだよ?」ギュッ「君が2人を守ったんだ。ありがとうクリスタ」ギュッ

クリスタ「アルミン!!」ウワァァン!!

アルミン「・・・・・」ギュッ ナデナデ

754: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:23:42 ID:KhFylzFo0




――――
コニー「サシャ、疲れただろ?ベットに入れよ」

サシャ「・・・・・はい」ギシッ

コニー「ゆっくり寝ろ。隣の部屋にいるから、なんかあったら呼んでくれよ?」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「ん?」

サシャ「助けてくれて・・・・ありがとう」

コニー「当たり前だろ?オレが助けなくて誰が助けるんだ。お前がピンチの時はオレがいつでも助けてやんよ。さ、もう寝とけ」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「ん?」

サシャ「コニーは・・・・もう大丈夫・・ですか?」

コニー「何が?」

サシャ「北の村から戻ってきた時・・・顔色が悪かったから・・・」

コニー「あぁ・・・やっぱ・・・人間相手っつうのは慣れねぇからな。ちょっと気持ち悪かっただけだ。風呂入ってさっぱりしたら吹っ切れた。俺の心配はいいから、寝ろ」ガチャ

サシャ「・・・・・あの」

コニー「はぁ・・・・なんだよ?お前なんか言いたいことあるんだろ?」

サシャ「はい・・・・・」ポロポロポロポロ

コニー「ちょっ!!サシャ?どうした?オレなんか変なこと言っちまったのか?!」オロオロッ

サシャ「いえ・・・・・」ポロポロポロポロ

コニー「ど、どうしたんだ?!」オロオロ

サシャ「・・・・・怖かったんよ」ポロポロポロポロ

コニー「もう大丈夫だ、大丈夫だから!」ヨシヨシ

サシャ「コニー・・・ここにおって・・・今夜は1人で居たくないんよ・・・怖くて怖くて・・・眠れんの・・・」ポロポロポロポロ

コニー「サシャ・・・・」ギュッ「ごめん、一緒にはいてやれねぇよ・・・・」

サシャ「いや・・・・」フリフリ「お願いやけ、コニー」ジッ ウワメヅカイ ポロポロポロポロ

コニー「っ・・・・・」ダキシメッ「・・・・正直に言う。オレ、ジャンやアルミンみたいに一晩好きな女と一緒に寝て手ぇ出さない自信なんかねぇんだ。一緒に寝たら、オレ・・・・サシャが欲しくなっちまう・・・・」ギュッ

サシャ「いいんよ・・・コニー。私・・・いいんよ・・・・」//////////ジッ ウルウル

コニー「サシャ・・・・お前今日嫌な思いしたばっかじゃねぇか。それなのにオレにまで・・・・その・・・・んなこと、されたかないだろ?」////////////

サシャ「ううん」フルフル「コニーはいいんよ。コニーじゃなきゃ嫌なんよ。コニーに抱きしめて貰いたいんよ・・・・朝まで・・・・一緒におってよ」ギュッ/////////////

コニー「サシャ・・・・いいのか?」//////////

サシャ「・・・・いいの」チュッ「思い切り・・・・強く抱きしめて・・・・」/////////ギュッ

コニー「サシャ・・・・」ギュッ チュッ チュッ///////////

サシャ「コニー・・・・」ハァッ///////////////「好きよ、コニー」////////ウルウルッ////////

コニー「っサシャ!」ギシッ チュッ/////////////// ギシッ
ギシッ
ハァッ
・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・

755: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:25:16 ID:KhFylzFo0

メェェェェ コケッココッコッ 
ガチャガチャ ギィィ

コニー「・・・・元気でな、お前ら」

チュンチュン チチチチチ サワサワ

コニー「果樹園の柵、全部直しきれなかったな・・・・」

サシャ「また豚に栗食べられちゃいますね」

コニー「なぁサシャ」

サシャ「はい」

コニー「いつになるかわかんねぇけどよ、全部終わったら」


サワサワサワ チュンチュン チチチチ


コニー「ここに戻って来ないか?」

サシャ「・・・・はい」

コニー「サシャ・・・・オレと結婚してくれ」

サシャ「・・・・今、ですか?」キョトン

コニー「すぐにじゃねぇよ」ハハッ「ここでお前と暮らしてぇんだ」

サワサワサワ チュン チチチチチチチ

サシャ「・・・・・私、ここが大好きです」

コニー「あぁ」

サシャ「戻ってきましょう。ここに」

コニー「あぁ」

サシャ「コニー」チュッ「私、今すぐコニーと結婚したい」ギュ

コニー「オレもだ」ギュッ チュッ

チュンチュン サワサワサワ チチチチチチ

756: 進撃の名無し 2014/06/21(土) 07:27:26 ID:KhFylzFo0




―――――
ジャン「みんな、準備はいいな?」

全員「・・・・」コクリ

ジャン「行こう」バッ ヒヒーン

ドッドッドッドッドッ

ワンワンッ

クリスタ「ボリス!ごめんね・・・」

ワンワンッ タッタッタッタッ

コニー「お前ぇ、付いてくる気か?」

ワンッ タッタッタッタッ

クリスタ「アルミン!いいでしょう?」

アルミン「う~ん、大丈夫じゃないかな?」

クリスタ「やった!行こう!ボリス!!」

ワンワンッ タッタッタッタッ

ドッドッドッドッ

ジャン「・・・・・・」チラ

前日と同じように、心地の良い風が吹く、抜けるような青空の中、俺達は俺達の家を出た。。俺の修理した家。コニーが修理した家畜小屋。コニーの畑。クリスタとサシャの笑い声が響く居間。ミカサと過ごした日々。初めてくちづけたあの夜・・・・
俺とコニーで作り上げたばかりの樹上基地、そのてっぺんの見張り台が、ちらりと木立からのぞく。
俺達の住んだこの場所。
ここに戻ってくる日が、いつか来るんだろうか・・・・

764: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:00:00 ID:ZDbHTzVg0

・・・のどが・・・・かわいたな・・・・みず・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

・・・「ユミル様。私も行きます」

ユミル「・・・・いい。1人で行く」

・・・「いけません、ユミル様。どうかお連れ下さい」


ユミル様、どうか、どうか

・・・
・・・・
・・・・・

・・・あれ・・・・夢・・・か?
喉が渇いた・・・・誰か・・・・水を・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

おっさん「おい!おい!大丈夫か!嬢ちゃん?しっかりしろ!!」

少女「・・・・・ここは・・・・どこ?」

おっさん「安心しろ。もうすぐトロストに着くぞ」

少女「・・・・トロスト????」

おっさん「嬢ちゃん家族はどうした?」

少女「・・・・家族・・・・」

おばさん「あんた大丈夫かい?さっきからぼんやりしてるようだけど?」

少女「・・・・・」

おばさん「名前言えるかい?」

少女「・・・・名前・・・・」

おばさん「大丈夫かねぇ?この子。ほら、水をお飲み」

少女「!」ゴクゴク ゴホッゴホッ

おばさん「おやおや、そう急ぐでないよ。ゆっくり飲みな」

少女「・・・・・」ゴクゴク フゥ

おっさん「嬢ちゃんどうしてあんな所に1人でいたんだ?」

少女「・・・・あんなところ?」

おばさん「もうあんたアレコレお聞きでないよ!あんな所にこんな娘が1人でいたんだ。聞かなくたって分かるじゃないか」

少女(わかるって、何が?・・・・・ここはどこだろう?・・・・・私は・・・・・誰?)

765: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:01:00 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・

・・・「ユミル様!!お逃げ下さい!!」

ユミル「ダメだ!!置いて行けない!!」

・・・「どうか!!それを持ってお逃げ下さい!!」

ユミル「嫌だ!!」

・・・「お願いします!!民をお救い下さい!!民の為に!!どうか!!」

ユミル「ダメだ!どうせ追いつかれる!!」

・・・「ユミル様!!私が囮になりますから!」

ユミル「私がこれを使う!!これで私がみんなを!!みんなの為に!!」

・・・「ユミル様ッ!!!!」

・・・
・・・・
・・・・・

喉が・・・・水・・・・
こんな夢を・・・・いつまで・・・・ヒストリア・・・・・

・・・
・・・・
・・・・・

ユミル「・・・・ヒス・・トリア・・・・」

ハンジ「目が覚めたようだね」

リヴァイ「・・・・」

ユミル「!」ハッ ガチャン「・・・・・ここは・・・・」

ハンジ「見ての通り、地下牢だよ?あ、どこの地下牢かは聞かないでよね?秘密だからさ」

ユミル「・・・・あぁ・・・・そうか・・・・捕まったのか・・・・」

ハンジ「そ。あ!でも安心して。そんなに酷い事をするつもりはないからさ!」

ユミル「フン。そんなに・・・・か。なぁ分隊長さん、水貰えねぇかな?喉が渇いて仕方ないんだ」

ハンジ「そこにあるよ?」

ユミル「とれないんですがね?」ジャラッ

ハンジ「・・・・」カツカツ コト グビグビッ「ぷはぁ~」

ユミル「チッ」イラッ

ハンジ「ふぅ~。いやぁ、ヤケドすると喉が渇くらしくて。お先に頂いたよ?」ニッコリ

ユミル「フン。良い性格でらっしゃる」イライラ

リヴァイ「・・・・・」ジロリ

ハンジ「ありがとう。褒め言葉と受け取っておくよ」

ユミル「で、こんなところに連れ込んでどうする気だよ?からかいに来たわけじゃないだろう?さっさと済ませて貰おうか?」イライラ

ハンジ「そうだね、ユミル。分かってると思うけど、全部君次第なんだよ?」

ユミル「・・・・」キッ

ハンジ「知っている事全部、話して貰おうか」ギラッ

ユミル「・・・・・・・条件がある。あんたらじゃ話にならない。団長さんと話したい」

リヴァイ「調子に乗るなよ。テメェには選ぶ権利なんかねぇ」

ユミル「あんたたちじゃ信用出来ないね。こういう時はアタマと話付けるもんだろ?」

リヴァイ「あぁ?ずいぶん生意気な口聞きやがるな、このガキ」胸倉ガッ

ユミル「ふん。あんたが思うほどガキでもないんだけどね?」

ハンジ「まぁまぁ、リヴァイ。今エルヴィンは来られないんだ。ここで私達が君と約束したことは必ず守るよ。それだけの権限を与えられてるからね。悪いけど信じてもらうしかない」

ユミル「・・・・・間違いないな?」

リヴァイ「あぁ」

ハンジ「必ず」

ユミル「・・・・・・」

766: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:01:56 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・

モブリット「こっちだよ」

サシャ「暗いですね」

ヒストリア「ちょっと怖いかも」

モブリット「悪いねぇ。手伝って貰っちゃって」

サシャ「いえいえ!報酬にパンを頂けるのでしたらいくらでもお手伝いします!!」

ヒストリア「もう、サシャったら」クスクス

モブリット「本当かい?それじゃあ色々頼もうかな?」アハハ

サシャ「お任せ下さい!!」

モブリット「あ、これだ。これを上に運んで貰えるかな?」

サシャ「はい!!」ヨイショ

モブリット「じゃあ、こっちを頼むよ」

ヒストリア「はい」ヨイショ

モブリット「2人ともありがとう。助かったよ」

サシャ「パンの為ならお安いご用です!!」

ヒストリア「副長、パンが無くても私達いつでもお手伝いしますね?」

モブリット「それは助かる」

サシャ「えぇ~!!パン無しですか!?」

ヒストリア「お手伝いのたびにご褒美貰えないよ?サシャ」

サシャ「そんなぁ~!!」

モブリット「あははは。サシャは面白い子だね。さぁ行こうか」

ヒストリア「はい」

サシャ「でもちょっとくらい頂いても良いですよね?ね?」

ヒストリア「んもぉ~、サシャってばいい加減にしなさい!」

サシャ「えぇ~、いいじゃないですかぁ!」

ヒストリア「だぁ~め!」

サシャ「ちょっとだけ!ちょっとだけです!ね?」

ヒストリア「ダメったらダメ!!」

カツカツカツカツ

カチン 蝋燭ポ

ユミル「・・・・元気・・・・そうだな・・・・」

ハンジ「今はね。少し前まで随分落ち込んでいたようだけど」

ユミル「・・・・そうか・・・・」

ハンジ「さぁ、ユミル。約束通りあの子に会わせてあげたんだから、こっちの要求も呑んで貰おうか?」

ユミル「・・・・これで逢ったって言えるのかよ・・・・」

リヴァイ「これ以上は無理だ」

ハンジ「こちらとしては精一杯譲歩したんだよ?」

ユミル「・・・・」ハァ「何から聞きたいんだ?」

ハンジ「そうだねぇ。聞きたいことが多すぎて困るくらいなんだけど・・・・ライナーとベルトルト、それにアニ。君はあの子達の仲間の1人ってことでいいのかな?」

ユミル「・・・・いや。あいつらは仲間じゃない」

ハンジ「それじゃ彼らのことは何も知らない?」

ユミル「あぁ・・・・」

ハンジ「君はどうして巨人になれるの?」

ユミル「・・・・・」ハァ「・・・・長い、長い昔話だよ。聞くかい?」

ハンジ「是非」

767: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:03:01 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
民1「第4地区、全滅しました!!」

民2「第7地区も、もう持ちません!!」

民3「残った住民は全て第9地区に避難させましたが、いつまで持つか・・・」クッ

ユミル「・・・・・」サッ

国王「待て、ユミル。どこへ行く」

ユミル「・・・・・」

国王「ならぬ。ならぬぞ、ユミル。そなたはユミルだ。母の跡を継ぐのはそなたしかおらぬ。短慮をおこすでない」

ユミル「・・・・・もう、他に選択肢がありません。父上」

国王「何を言うか。そなたは民のよりどころなのだ。そなたを失えば民はどうなる?」

ユミル「父上。このままでは民を全て失います。民なくして何がユミルでしょう?民あってのユミルではありませんか?!ユミルは民を救い、民を導く為にあるのではないのですか?!」

国王「・・・・ユミル」

ユミル「父上・・・・ご健勝をお祈り申し上げております」


・・・
・・・・
・・・・・

少年「ユミル様。私も行きます」

ユミル「・・・・いい。1人で行く」

少年「いけません、ユミル様。どうかお連れ下さい」

ユミル「ダメだ。連れて行けない」

少女「わたくしもお供いたします」

ユミル「お前たち!ダメだと言ってるだろう?!」

少年「ユミル様!!お1人では危険すぎます!」

少女「どうか!どうかお連れ下さい!!」


・・・
・・・・
・・・・・
ハァッハァッハァッハァッ

少年「ユミル様!こちらへ!お早く!!」

少女「ユミル様!!お逃げ下さい!!」

ユミル「ダメだ!!置いて行けない!!」

少女「どうか!!それを持ってお逃げ下さい!!」

ユミル「嫌だ!!」

少年「これを持ち帰れば民を救うことが出来ます!!民の為にどうか!!」

少女「ユミル様!わたくしの事はお忘れになって!!もう走れません!!どうか捨て置き下さい!!早く!!ユミル様をっ!!」

ユミル「お前だって大事な民の1人だ!!」

少年「お願いします!!民をお救い下さい!!民の為に!!どうか!!」

ユミル「ダメだ!どうせ追いつかれる!!」

少女「ユミル様!!私が囮になりますから!」

ユミル「私がこれを使う!!これで私がみんなを!!みんなの為に!!」

少年少女「ユミル様ッ!!!!」

768: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:03:44 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「それで気が付いたらマリアに居た。壁外に居たはずなのにな」

リヴァイ「・・・・」

ハンジ「・・・・それが、60年前に起きた事だというのかい?」

ユミル「あぁ・・・・多分、私の国はもう無いだろうな・・・・」

ハンジ「・・・・その時、壁外にはいくつ国があった?」

ユミル「正確なことは分からない。何しろほとんど隔絶されていたからな。大きな所でサルトゥス、モンス、ヒュポゲーウム辺りはまだ残ってるかもな。他の小国はどうだろうか・・・・どこも私の国と変わらない状況にあっただろうから・・・・」

ハンジ「サルトゥス・・・モンス・・・・ヒュポゲーウム・・・・」カリカリカリ

リヴァイ「それで、ライナー達はそのどれかの出身なのか?」

ユミル「多分サルトゥスだろうな」

ハンジ「どうしてそう思うの?」

ユミル「・・・・巨人化の技術、あれを持ってるのはこの壁内の誰かとサルトゥスだけなのさ」

リヴァイ「!」

ハンジ「!・・・・壁内だって?!」

ユミル「面白い事を教えてやろうか?分隊長さん」

ハンジ「・・・・・なんだい?」

ユミル「巨人を生み出したのはね、この国なのさ。この、壁内の誰かが、その昔作り出した兵器、それが巨人なんだ」

ハンジ「な、なん・・・・兵器・・・・だと?巨人がか?!」

リヴァイ「んだと・・・・」

ユミル「サルトゥスとこの壁の国はね、昔パリエースって一つの国だったらしい。そこで生まれた兵器が巨人。おっと、どうやって作られたかなんて聞かないでくれよ?その頃私はまだ生まれてなかったんだ。それに軍事機密だからな。属国の私らには知りようもないことなんだ」

ハンジ「パリエースだって?」カリカリカリ「ユミルは属国・・・・」カリカリカリ

ユミル「そうだ。モンスやヒュポゲーウムとパリエースに挟まれた、しがないちっぽけな国さ。身を守るためにパリエースの犬になった。でもあっさり捨てられて壁外に置き去りさ。そうやって切り捨てられた小国は私の国だけじゃない。まぁ、一番酷い扱いを受けたのはマーグヌスだろうな」

ハンジ「マーグヌス?!それも国かい?」カリカリカリカリ

ユミル「マーグヌスのことは私よかベルトルさんに聞いてくれよ。多分あいつはマーグヌス人だ」

ハンジ「ベルトルト・フーバー?彼がマーグヌス人?!どうしてそう思うんだい?」カリカリカリカリ

ユミル「超大型巨人だからだ。あれになれるのはマーグヌス人だけだと昔聞いたぞ。あんたらの大事な壁の中身は全部マーグヌス人だとな」

ハンジ「あの巨人が?!マーグヌス人なのか?!というかそれはどういうことなんだ?!どんな巨人になれるかは人種や民族に依存するのか?!」グイッ

ユミル「多分な。後は年齢もあるようだが。『ユミルの民』は大体私の巨人のように中型で猿に似た体格だ。四つん這いで動きが早く森のような障害物のある地形に強い」

769: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:04:21 ID:ZDbHTzVg0

ハンジ「さる?!さるとは一体なんだい?!」グイグイ

ユミル「・・・・あの・・・さ、分隊長さん・・・・ちょっと離れてくんねぇかな?近すぎるんだけど」

ハンジ「あぁ、ごめんごめん。つい興奮しちゃって。んで!」グイッ「さるって何?!」

ユミル「壁内に猿はいないんだったな。動物だよ。森に棲んでいて、木の実や虫なんかを食ってて、南の方に住んでるらしい。私も本でしか見たことはないんだけどね、ちょっと人間に似ていたな。種類によってはかなり賢いんだと。大きさは人間の掌に乗るような小さいのから、人間よりデカいのまで色々いるらしい」

ハンジ「へぇ?そんな生き物がいるのか・・・・!」カリカリカリカリ

リヴァイ「・・・・それで、そのさるってのは、ウトガルドに出た毛むくじゃらの巨人とどう関係があるんだ?」

ユミル「・・・・・それはライナーとベルトルトに聞いてくれ。あいつらは知ってるみたいだったぞ?私に分かるのは、あの巨人が『猿』という生き物に良く似ているってことだけだ」

ハンジ「そうか・・・似てるのか・・・・」ムズムズ「み、み、見たいっっっ!その巨人!見てみたいっっっ!!」ハァッハァッ

リヴァイ「落ち着けメガネ」チラリ

ハンジ「ごめん」エヘ「それと、君はエレンの巨人を操る能力について何か知ってるかい?」

ユミル「・・・・『指揮者』だ」

ハンジ「指揮者?」カリカリカリ

ユミル「あれが・・・・私たちは喉から手が出るほど、欲しかった!あれがあったら、巨人から国を守れた。だがあれはこの壁を作った連中が持ってたんだ。ライナー達の狙いもあれだよ。『座標』の能力の1つさ」

ハンジ「座標?」カリカリカリカリ

ユミル「巨人を制御する能力だよ。多分、レイス家に関係があるんだろ。なんでエレンが使えるのか知らねぇが」

ハンジ「制御のとこ!!もっと詳しく!!」グイグイ

ユミル「だから、そこんとこはパリエースの軍事機密なんだよ。私が知ってるのは巨人を操れるらしいってとこまでだ。私のじいさんが『指揮者』が戦場で巨人を操るとこを見たって言ってたがな。あっちを攻撃しろとか、そこで止まれとか、巨人になれ、人間に戻れとかな」

ハンジ「そんなことが出来るのか!!!!すごい!!凄すぎるぅぅぅぅぅ!!」ウォォォォ

リヴァイ「おい!メガネ!」ギロリ

ハンジ「あぁ、ごめん」エヘ「じゃあ、もしかしたらその力で壁を作ったのかな?」

ユミル「そうだと聞いてる・・・・・はぁ。そろそろいいだろ?かなり協力したと思うんだが?」

770: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:05:08 ID:ZDbHTzVg0

ハンジ「そうだね。じゃ片手だけ」ガチャン

ユミル「はぁ・・・・」コト グビグビ プハー「生き返る・・・・なぁ、もういいだろ。疲れたんだよ。休ませてくれよ」

ハンジ「まだ色々聞きたいんだけどなぁ」

ユミル「こっちの条件を呑んでくれるんならいくらでも協力するよ。でも今日はもう勘弁してくれ。頼むから」

ハンジ「・・・・それじゃあ、最後に一つだけ」

ユミル「あぁ」

ハンジ「君は・・・・どうやって知性の無い巨人から人間に戻ったの?」

ユミル「・・・・・・・・・ライナー達の仲間を、喰った」

ハンジ「それは、どういうことかな?」

ユミル「巨人になれる人間を喰うことで、人間に戻れる。そして巨人化出来る人間になれるんだ。」

ハンジ「・・・・・それじゃあ・・・・エレンも・・・・誰かを喰ったということなのか」

ユミル「だろうな。そもそも腹も減らねぇ巨人が人間を喰うのも、人間に戻りたいからなんじゃねぇかと、私は思ってるよ。」

ハンジ「その仲間の名前を、知ってるかい?」

ユミル「・・・・・・マルセル」

ハンジ「ありがとう、ユミル。君が協力的でとても嬉しいよ」

ユミル「・・・・・・」

771: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:05:39 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
ライナー「・・・・ユミル・・・・お前・・・・」

ユミル「ライナー。お前の目的は何だ?故郷に帰ることだろう?ここは協力しても損はないと思うんだけどね?」

ライナー「俺達にはできん」

ユミル「なんで?」

ライナー「俺達は、お前とは違うんだよ。シガンシナの扉を破って、何万人もの人間を殺した。そんな俺達が協力だと?冗談にも程がある」

ユミル「まぁ聞けよ。確かに壁内人類にとっちゃお前らは敵だが、同時にマリア奪還には欠かせない人材でもあるんだ。そうでなかったらどうして今ここで生きてるんだよ?とっくに首掻っ切られててもおかしくないだろ?」

ライナー「しかし・・・・」

ユミル「お前らを赦すことは出来ないって連中は掃いて捨てる程いるだろう。それは間違いないことだが、同時に必要なんだよ。お前らがさ。ここで意地張って頑張ったって殺されるだけだ。上には兵長やミカサもいるらしいからな。逃げられないぞ?上手く立ち回れよ。ズルくなれ。お前らの条件を呑ませて適当に手を貸しゃあ、故郷に帰れるんだぞ?」

ライナー「・・・・・なぁ、ベルトルトは・・・・・無事なのか?」

ユミル「さぁな。死んだとは聞いてない。確かめてやろうか?」

ライナー「頼む」

772: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:06:40 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「よう、ベルトルさん。元気だったか?」

ベルトルト「・・・・・やあ・・・・・」

ユミル「相変わらず辛気臭ぇなベルトルさんは」

ベルトルト「・・・・・・君は・・・・元気そうだね・・・・」

ユミル「あぁ。おかげさんでな」

ベルトルト「ライナーは・・・・・どうしてるかな?」

ユミル「安心しろ。ピンピンしてるよ」

ベルトルト「・・・・よかった・・・・」

ユミル「なぁ、聞いてるだろ?お前も」

ベルトルト「・・・・何がだい?」

ユミル「故郷に帰りたいんだろ?」

ベルトルト「今更・・・・無理だよ・・・・」

ユミル「はぁ・・・・何弱気になってんだよ、お前」

ベルトルト「もう、生きてここから出られっこない・・・・」

ユミル「お前なぁ」

ベルトルト「僕が破ったんだ。シガンシナも、トロストも・・・・・僕が殺したんだ。エレンのお母さんも、ミーナも、マルコも」

ユミル「そりゃそうかもしれんが・・・・」

ベルトルト「僕は!!人殺しなんだよ!!その僕が一体何を協力するんだ!?協力したら許されるのか?!それで仲良くなれるとでも!?」

ユミル「落ち着け!落ち着けよ!!」

ベルトルト「君はいいよね!!誰も殺してないんだから!誰も敵に回してないんだから!!君と僕らは違うんだよ!!ただ巨人になれるってだけさ!君は今からでもエレンのように英雄になれるんだ!!」

ユミル パン!!「落ち着けってんだ」

ベルトルト「・・・・・」ハァハァ

ユミル「いいか、ベルトルト。お前の巨人じゃ、ライナーのようにマリア奪還作戦に協力すんのは難しいだろうが・・・・出来るだけ情報を渡すんだ。な?あいつら意外と話の分かる連中だよ」

ベルトルト「・・・・そんなことしたら、僕らの故郷は・・・・」

ユミル「大丈夫だ。団長達はな、なんかデカいことを企んでるようだぞ?」

ベルトルト「・・・・デカいこと?」

ユミル「あぁ多分な。お前らの故郷、サルトゥスだろ?」

ベルトルト「!!どうして・・・・」

ユミル「年寄りを馬鹿にすんなよ?団長達は壁の外を目指してるんじゃねぇのかと思う。」

ベルトルト「ユミル・・・・それ・・・・信じていいの?」

ユミル「シガンシナだ。一番の狙いはな。そして壁内王政をひっくり返す。その為にはお前らと、お前らの故郷、サルトゥスの力が必要なんだよ。サルトゥスの出方次第だろうがな。そこでお前らが協力すりゃ、お前らは安全に故郷に帰れる」

ベルトルト「アニも?アニも一緒に連れて帰りたい!!」

ユミル「それを条件にすりゃいいだろ」

ベルトルト「・・・・帰れる・・・・故郷に・・・・」ジワッ グスッ

ユミル「あぁ帰れるよ。お前と、ライナーと、アニと、3人でな」

グスッ ウッ ヒックヒック

773: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:07:32 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
ユミル「どうする?ライナー。ベルトルさんは乗り気だよ」

ライナー「・・・・・」

ユミル「泣いて喜んでるけどね?帰れるってさ」

ライナー「・・・・・そうか」

ユミル「・・・・あんたもさぁ、あんまり時間がないんじゃないの?まぁ一番ヤバイのはアニだろうけど。あんたももう早けりゃ後2~3年てとこだろ?」

ライナー「・・・・あぁ」

ユミル「その時が来る前に帰りたいだろ?故郷に」

ライナー「手ぶらで帰るわけにはいかん」

ユミル「そこんとこは心配しなくてもいい。団長はサルトゥスとの協力関係を希望してる」

ライナー「!!どうして知っている!!」

ユミル「私の名前でピンとこねぇかな?」

ライナー「・・・・・・まさか、あのユミルなのか?」

ユミル「もう、ないんだろ?」

ライナー「・・・・・そう聞いてる」

ユミル「私が最後のユミルだ」

ライナー「そうか・・・・・そうだったのか・・・・」

ユミル「私には帰るとこはねぇが、お前にはあるんだ。なんとしても帰れよ。・・・・ベルトルトと、アニを帰してやれ」

ライナー「・・・・・・・・・・・・あぁ、そうだな。あいつらを、連れて帰ってやらないとな」

774: 進撃の名無し 2014/06/25(水) 18:08:14 ID:ZDbHTzVg0
・・・
・・・・
・・・・・
ヒストリア「ユミル!!」

ユミル(ヒストリア!!)

獣「やれ!!こいつらみんな!!」

エレン(巨人の中)「お前が死ねぇぇぇぇぇ!!」

無知性巨人達 ウロウロ オロオロ

鎧 ガァァァァァ!!

ミカサ「はぁぁぁぁ!!」ビュッ

獣「うわぁぁぁぁ!!」

ユミル(くそ!!ヒストリア!!ここは危ない!!)

超大型 ゴォォォォォ!!

獣「アツイィィィィ!!」

エレン(巨人の中)「押し込めぇぇぇぇ!!」

ヒストリア「ユミル!!危ない!!」

ユミル(!!)ドン(ウッ)

ヒストリア「ユミルッ!!」

ミカサ「削いでやる!!」ハッ!! ワイヤードシッ「あ!!」

ジャン「ミカサ!!」

コニー「ジャン!!ダメだ!!」



・・・
・・・・
・・・・・
ここは・・・・どこだ・・・・暗いな・・・・

のどが・・・・乾いたな・・・・水・・・・・

ヒストリア・・・・・生きていて・・・・どうかきっと・・・・幸せに・・・・・



・・・・ヒストリア・・・・お前に・・・・逢いたい・・・・

777: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:30:19 ID:Vjmqk9Tg0
~~~国立図書館・閲覧禁止区域~~~



■新生レイス王朝 神話から現代へ■  著H・Bahner

スッ   パラパラパラ

●初代女王ヒストリアの一生●
旧暦835年 レイス卿非嫡出子として初代女王ヒストリア生誕

旧暦847年 女王ヒストリア、クリスタ・レンズを名乗り104期訓練兵団ウォールローゼ南方面隊入隊(*1)

旧暦850年 破壊されたシガンシナ区の外扉を封鎖(*2)した後、旧王政勢力の迫害を逃れ、当時閉鎖中であったウォール・マリア南区旧レイス家直轄農地に身を隠す。(*3)

旧暦851年 調査兵団団長エルヴィン・スミスらとともに、反乱軍を組織(*4)。巨人に関する旧王制と壁教の不正、100年にわたる民衆への欺瞞を追及し、調査兵団、駐屯兵団を掌握、旧王政率いる憲兵団と軍事衝突を起こす。

同年 樹上王国「サルトゥス」との接触を開始。

新暦元年旧暦853年 旧王制・壁教全面降伏。新生レイス王国を樹立し、女王に即位(*5)暦を改める

新暦2年 アニ・レオンハートを伴った新生レイス王国使節団を「サルトゥス」へ派遣(*6)同時に山岳王国「モンス」・渓谷王国「ヒュポゲーウム」との国交交渉を開始。

新暦3年 「サルトゥス」「モンス」「ヒュポゲーウム」との講和条約締結。「サルトゥス」と巨人の共同研究を開始。

同年 「サルトゥス」国王フィン・マク・クールの第2王子オシーンとの婚約成立

新暦5年 オシーン殿下を王都ターラに迎え入れ婚姻

新暦7年 第1王女アンネリース誕生(*7)

新暦9年 第2王女ベアテ誕生

新暦11年 第1王子フィデリオ誕生

同年 女王ヒストリア夭折

ピタッ ・・・・ペラッ

778: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:30:53 ID:Vjmqk9Tg0
(*1)一般的に「伝説の104期」とはこの部隊出身者を差す。
伝説の104期とは・・・・
首席ミカサ・アッカーマン・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。のちに結婚しキルシュタインと姓を改めるが、アッカーマンの姓で呼び表わされることが多い。女王ヒストリアとともに潜伏期間を過ごす。女王ヒストリアの身辺警護の責任者を務めた。当時人類最強と評された調査兵団兵士長リヴァイ・アッカーマンと双璧と言われた名高い立体機動装置の使い手である。東洋系の血を引くと言われるが真偽は定かでなく、またリヴァイ・アッカーマンと血縁であるとする説もあるが、いずれも不明であり、これからの調査結果が待たれるところである。
美貌と美声の持ち主と言われ、女王ヒストリアの死の床で「愛の賛歌」を歌ったエピソードはあまりにも有名。現在でも多くの小説、演劇の主人公として描かれることが多い。

次席ライナー・ブラウン・・・・「サルトゥス」の工作員で鎧の巨人。シガンシナ侵攻時、同区内扉を破壊した。後にシガンシナ外扉を結晶化の能力にて封鎖した。ウォールマリアでの巨人掃討作戦にも参加し多大な成果を残したと言われる。

3位ベルトルト・フーバー・・・・「サルトゥス」の工作員で超大型巨人。シガンシナ外扉を破壊し、マリア侵攻の最初の一撃を加えた人物。後にライナー・ブラウンとともに自らが破ったシガンシナ外扉を封鎖した。

4位アニ・レオンハート・・・・「サルトゥス」の工作員で、男性のような体格の巨人しかいないと思われていた当時、初めて確認された女型の巨人。結晶化や高速での移動、通常型巨人を呼び寄せるなど、多くの能力を持っていたとされる。ウォール・シーナでエレン・イェーガーと巨人体にて戦闘、上流階級に多くの死者を出した。戦闘に負けた後結晶化するが、女王ヒストリアにより結晶化を解かれ、「サルトゥス」への使者として故郷へ赴くこととなる。数年の投獄生活ののち、女王ヒストリアの恩赦を受け「サルトゥス」へ帰還。「サルトゥス」側の記録によると、帰還後は「サルトゥス」の巨人討伐部隊に配属されたが、この頃には巨人体への変 は不可能になっており、立体機動を使用した討伐任務に就いたという。30代の半ばに引退したようだが、記録が散逸しているため、彼女のその後は不明である。
巨人体への変 については別記を参照されたい。

5位エレン・イェーガー・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。ミカサ・アッカーマンの幼馴染。駐屯兵団の研究「生体巨人化実験」の初成功者であったとする文献もあるが、エレン・イェーガー自身は調査兵団所属であったことから誤った情報であろう。また父グリシャ・イェーガーが地下組織の一員であった、母カルラが女王ヒストリアの父と異母兄妹であった、等の説があり、その背景には謎が多い。ライナー・ブラウンらとともにシガンシナの外扉を封鎖した。

6位ジャン・キルシュタイン・・・・ウォール・ローゼ、トロスト区出身。ミカサ・アッカーマンの夫。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごし、後にエルヴィン・スミスの身辺警護の責任者となる。104期には逸材としてのミカサ・アッカーマン、「サルトゥス」の工作員として訓練を受けた3人の巨人など、特殊な人材が多かった為にさほど目立たない存在の彼だが、他の訓練兵団もしくは別期であれば首席でもおかしくない実力の持ち主であったようだ。
妻ミカサ・アッカーマンとの間に2児をもうけたと言われる。訓練兵団入団直後からミカサ・アッカーマンに恋をし、一途に想い続け恋人の心を射止めたことから、妻ミカサ・アッカーマンと共に小説や演劇に多く登場する。一部では恋愛の守護聖人として扱われ現在でも恋する若い女性に人気が高い。

プッ・・・・ ペラッ

779: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:32:12 ID:Vjmqk9Tg0
7位ユミル・・・・ユミル一族の最後の1人。調査兵団第四分隊長(当時)ハンジ・ゾエの記録によると、危機に瀕した国を救う為自らその身を巨人化したが、制御不能に陥り60年の長きにわたり彷徨ったという。ユミル一族に関しては別記を参照されたい。
また別の資料では7位はマルコ・ボットなる人物であり、104期の上位にユミルは入っていないともされる。
女王ヒストリアの親友でもあり、ユミルに向けて手紙が残されたと言われるが、発見には至っていない。

8位コニー・スプリンガー・・・・ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身。ラガコ村民は獣の巨人により巨人化されたといわれ、のちに全体討伐されたとの記録がある。コニー・スプリンガーの親族もこの中に含まれる。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごし、エルヴィン・スミスの身辺警護を努めるも、新暦4年サシャ・ブラウスと結婚。潜伏時に使用した土地を領地として与えられ、王宮に献上する動物、果実や花などを育てその血脈は現代にも続く。

9位サシャ・ブラウス・・・・ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身。女王ヒストリアとともに潜伏期間をすごす。狩りの名手として知られ、現在狩猟と豊穣の守護聖人としても崇められている。ミカサ・アッカーマンとともに女王ヒストリアの身辺警護を務めたのち、結婚を機に夫コニー・スプリンガーと共に引退。5児をもうける。この子供たちに関しては「旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ」を参照されたい。

10位クリスタ・レンズ・・・・女王ヒストリアはクリスタ・レンズを名乗り訓練兵となった。馬の扱いに長け、乗馬の腕は当時の訓練兵団においてトップだったと言われる。

アルミン・アルレルト・・・・ウォール・マリア、シガンシナ区出身。ミカサ・アッカーマン、エレン・イェーガーの幼馴染とされる。上位ではないものの、知略に長け女王ヒストリアの潜伏生活を援助した。エルヴィン・スミスの失くした右腕と言われ、新生レイス王朝の黎明期を支えた一人である。医学と巨人研究に没頭、さまざまな対巨人兵器を考案したことから、しばしば調査兵団ハンジ・ゾエと混同されることも多い。アルミン・アルレルト本人は容姿端麗であったにも関わらず、生涯独身を貫いた。このことから女王ヒストリアの愛人だった、あるいは男色家であった、また女王ヒストリアが王夫オシーンと結婚する前に婚約していた、など様々な憶測がされていた。この件に関しては「旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ」に記す。

780: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:32:51 ID:Vjmqk9Tg0
(*2)「サルトゥス」工作員、超大型巨人ベルトルト・フーバーによって蹴破られたと言われる外扉は、「サルトゥス」工作員のライナー・ブラウンとベルトルト・フーバー、調査兵団エレン・イェーガーとユミルにより封鎖された。「サルトゥス」の工作員をどのように寝返らせ、壊された扉を封鎖するに至ったかという経緯については諸説あるが、エルヴィン・スミスより故郷「サルトゥス」への帰還支援と、「サルトゥス」との講和条約締結等の提案があったという説がもっとも支持されている。

(*3)シガンシナ戦時に重症を負ったミカサ・アッカーマンを連れ、女王ヒストリアが潜伏したと言われる旧レイス家直轄農地。ここでの生活は1年にも満たなかったと言われるが、絵師にこの土地の景色を描かせる(その絵画は「果樹の館)と呼ばれ、絵師は偶然にも筆者と同じ苗字である)など女王ヒストリアは強い郷愁の念を抱いていたようである。戦友でもあるコニー・スプリンガーにこの地を与え、対巨人探索犬を育てさせた他、女王が愛した馬や犬、猫などの動物を時折この地から献上させている。

(*4)女王ヒストリアが反乱軍を組織したとされるが、実際に指揮したのはエルヴィン・スミスで、女王ヒストリアは傀儡であった。

(*5)摂政にはエルヴィン・スミスがつき、反乱軍の時と同様女王ヒストリアが実権を握ることはなかった。

(*6)アニ・レオンハートの結晶化を解く際、女王ヒストリアは非常に体力を消耗したと言う。摂政にはエルヴィン・スミスがつき、「サルトゥス」との交渉等の一切を取り仕切り、反乱軍の時と同様女王ヒストリアが実権を握ることはなかった。

(*7)第1王女アンネリースはのちの2代女王となる。女王ヒストリアによく似た金髪の美女であり、肖像画が現存している。

ペラッ

781: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:33:23 ID:Vjmqk9Tg0
●旧スプリンガー邸と墓地調査のまとめ●

○旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について

1.コニー・スプリンガーによる半野生化植物の成長記録
犬、猫、馬、羊、山羊、豚といった王家に献上する家畜の飼育で知られるスプリンガー邸では果樹、薬草、麦などの栽培も行っていたようである。
一度野生化しかけた植物を再び食用に戻す研究を行っており、その記録が詳細に記されている。

2.サシャ・スプリンガーによる育児記録
記録というよりも日記と言う方が正しいかもしれない。特に長女フレイヤについては詳細に記されているものの、他の子供たちと違い妊娠中の記録が一切存在せず、誕生7日目から唐突に始まる。また他の子供たちについては妊娠中からの記録が存在するが、フレイヤ程詳細に記される子供はいない。さらに他の子供たちの容姿について「コニーに良く似た灰色の瞳」とか「私と同じ茶色の髪」などと書かれているが、長女フレイヤは金髪碧眼で色白の小柄な美少女とサシャ・スプリンガーは日記に書き残している。
サシャ・スプリンガーの産んだとされる子は以下の通り
長女 フレイヤ
次女 マレーネ
長男 ディルク
次男 フェリックス
三男 ハインリッヒ
スプリンガー夫妻はもうけた子供すべてに、潜伏生活時代に使用した偽名をつけている。このことから、女王ヒストリアだけでなくスプリンガー夫妻もまた、潜伏生活時代に強い思いを抱いていたことがわかる。

3.墓地より発掘された手紙
旧スプリンガー邸の敷地には、スプリンガー夫妻の他にキルシュタイン夫妻とアルミン・アルレルトの墓地も存在している。
今回はアルミン・アルレルトの墓地の発掘を行い、数通の手紙を発見した。
手紙の差出人はディルク、フレイヤの2名となっているが、筆跡鑑定の結果、スプリンガー家の子供たちではなく、ディルクはアルミン・アルレルト、フレイヤは女王ヒストリアである可能性が高いと判明した。詳細は以下に記す。

中略

恋文様の内容から、噂でしかないと言われていた女王ヒストリアとアルミン・アルレルトが婚約していたというのは真実であったと言っていいだろう。またそう断定的する理由を副葬品の項にも記す。

ペラッ

782: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:34:04 ID:Vjmqk9Tg0
○副葬品

アルミン・アルレルトの墓地の副葬品は以下の通り

1. 手紙
これについては先の「旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について」を参照されたい。

2.同デザインの銀製の指輪2個
裏面の刻印「アルミンよりクリスタへ愛をこめて」「クリスタよりアルミンへ愛をこめて」シンプルな品で装飾はない。クリスタは女王ヒストリアの偽名の1つであることから、女王ヒストリアとアルミン・アルレルト双方が贈りあったものであろう。王族の贈り物としては非常に簡素な造りであることから、日付の刻印はないものの、女王即位前に贈りあったものと筆者は推測する。

3. 花
死者に花を手向けるのは現代と変わらぬようである。ただしアルミン・アルレルトの棺にはリンゴの枝も入れられた。遺伝子解析の結果、現在でもスプリンガー邸の果樹園に植えられているリンゴと同じ木であると判明した。「旧スプリンガー邸と墓地より発見された書物について」で記した最後の手紙にリンゴの花について触れられている。アルミン・アルレルトの死に際して、手紙の内容を知る人物により入れられたものであろう。なお、スプリンガー邸の果樹においては、すべて女王ヒストリアの時代より挿し木によって増やされており、当時と変わらない品質を保つという。

4. 髪
女王ヒストリアの研究を行う者にとっては、もっとも重要な発見の1つと言っても過言ではない。アルミン・アルレルトの遺体の手には筒状の容器が2つ握らされており、その容器の1つの中にあった髪の遺伝子解析の結果、女王ヒストリアのものであると断定した。
またもう1つにも髪が入れられており、この解析結果を見た時の筆者の興奮は筆舌に尽くしがたい。この髪の人物の遺伝子は、女王ヒストリアとアルミン・アルレルトの間に少なくとも1人、娘がいたことを我々に証明してくれた。その娘がコニー・スプリンガーとサシャ・ブラウスの長女フレイヤであろうことはまだ想像の域を出ないが、長年の論争が1つ幕を下ろした瞬間であると言えよう。

5.手帳
内容のほとんどは、いつ誰に合う、といった事務的なメモである。しかし最後のページには以下の書き込みがされている。
・・・・・・・・・・・・・・・・
ペラッペラッ

783: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:34:47 ID:Vjmqk9Tg0
・・・・・・・・・・・
終章
女王ヒストリアの墓地には、旧スプリンガー邸の景色を描いた絵画「果樹の館」とともに現在も良好な状態で保管されている絵画がある。
共に潜伏期間を過ごしたと言われる面々と共に、戦闘服を身にまとった勇壮な姿の女王ヒストリアが描かれたそれを、女王ヒストリアは生涯寝室の枕元にかけ、死に際しても棺から見える場所にかけるように遺言を残したという。

この絵画を目にした時の筆者の率直な感想としては、戦闘服を身にまとってなお可憐な美少女ヒストリアと、満点の星空を頂く夜空のごとく、と言い表された美しい黒髪のミカサ・アッカーマン、のちに狩猟と豊穣の守護聖人とも言われたサシャ・ブラウス、逞しい青少年ジャン・キルシュタインとコニー・スプリンガー。そして伝承に違わぬ金髪碧眼の美少年アルミン・アルレルトとの、まるで和気藹々とした学生のスナップ写真のようである。その後描かれたどの肖像画も、女王ヒストリアの表情はどこか悲しげであるのに対して、この「学生のスナップ写真」的絵画では楽しげに笑っている。ところがこの絵画は、その華奢な身体を巨人や旧王政勢力との壮絶な戦いに投じた日々の中で描かれたはずである。にもかかわらず、この頃女王ヒストリアはもっとも幸福であったのだ。

遺言に関しては、ユミルについても触れている。シガンシナの外扉を含めた壁の巨人の解放を熱望した女王ヒストリアは、それが自分の能力では叶わないと知ると、ユミルにあてて手紙を残し、いつか壁からユミルが解放された暁には、必ずユミル本人に手渡すように命じた。しかしユミルの消息も手紙の行方も現在不明である。

また壁そのものも現存しておらず、巨人の生息も確認されていない為、そもそも壁や巨人などというものが存在していたのかどうか?という議論が巻き起こっている。壁はある日突然、雷鳴が轟き地響きと共に消失、数万の巨人が壁の中から出現したが、ほぼ同時に全体消滅したと伝えられている。しかし巨人の骨格や遺跡等いかなる物証も発見されていない。またシガンシナ外扉を封鎖したと言われるエレン・イェーガー、ユミル、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーもこの時壁から解放されたはずだが、その消息はいかなる書物にも記されておらず不明のままだ。
今や樹上王国サルトゥスがその王国を築いたとされる巨大樹の広大な森すらも存在していない。様々な書物からその巨大樹はセコイアに似たものと推測されるが、かつてのレイス王朝や樹上王国があったとされる地域にそれらしき樹木は一本も認められない。その為、巨人や長大な壁などは、新生レイス王朝を正当化し、女王ヒストリアを神格化する為に後世付け加えられた「神話」だと主張する向きもある。しかし巨人討伐の為考案されたと言われる戦術や武器などの多くが現在にも伝えられていることから、生物兵器としての巨人は存在していたと、筆者は考えるのである。特にスポーツとしての立体機動は少年少女たちが熱狂するものの1つである。2000年近く経った今でもミカサ・アッカーマン、リヴァイ兵士長らは、彼らにとっては英雄なのだ。
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

パタン  コト

コソッ サッ タタタタタ

784: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:35:32 ID:Vjmqk9Tg0

ザワザワ プップー ピッポッピッポッ
少年「・・・・・・」
◇街頭テレビ◇
「FNNでは現在、世界でも類のない難病に侵されたマリアちゃんの治療の為、皆様からの募金をお願いしています。マリアちゃんは世界中でもヨーロッパのほんの数家族にしか確認されていない、遺伝性の表皮硬化症に侵され苦しんでいます。この病気は特殊な遺伝子を持った女の子にのみ、発症する可能性があるという大変珍しい遺伝病です。現在のところ予防法、治療法ともに確立されておらず、患者数の少なさから研究費用も限られており・・・・」
ザワザワ プップー ピッポッピッポッ

女「待たせたな」
少年「よう、気が済んだか?」
女「あぁ・・・・」チラッ

◇街頭広告◇
監督パズ・ラーマンにより一新された脚本と演出でお送りする超巨編ラブロマンス・・・・豪華俳優陣による圧巻の歌とダンス、若き女王ヒストリアと美少年アルミン、その悲しい恋の結末に誰もが涙する・・・・・「悲恋の女王・ヒストリア」来春公開!



女「なぁ・・・・・似てるか?」
少年「・・・・」チラッ「全然」
女「クリスタはもっと可愛かったよな」
少年「アルミンはもっと童顔だった」
女「見ろ、これジャンじゃねぇの?」
少年 プッ「あいつこんなにイケメンじゃねぇだろ」
女「馬面だしな」
大男「おい、なにしてんだ」
長身男「早く行こうよ」
少年「あぁ」
女「悪い・・・・」
スタスタスタ
女「なぁ、見に行きたいものがあるんだが」
少年「なんだよ?またか?」
女「いいだろ。これが最後だ」
大男「何を見たいんだ?」
長身男「ヤバイ場所じゃないだろうね?」
女「大丈夫だろ・・・・・お前らも来いよ」
長身男「えぇ?やだよ。君の大丈夫は信用できない」
女「なぁ、来いって。絶対見た方がいいって。見ないと後悔するぞ?」
大男 フン「そこまで言うなら付き合ってやろう」
少年「仕方ねぇな」
長身男「・・・・はぁ。もう」
女「さぁ、行こう。あいつらの顔を拝みに」




787: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:57:36 ID:Vjmqk9Tg0
~~~~おまけ~~~~


ミカサ「アルミン?」

アルミン「・・・・・」

ミカサ「クリスタが・・・・逝ったわ」

アルミン「・・・・・・」

ミカサ「これ・・・・クリスタから、あなたに」

アルミン「・・・・・これは」パカッ「・・・・・っ」ポロポロポロポロ

ミカサ「クリスタの言葉を伝える。・・・・・私の心はアルミンのもの。今までもこれからも。愛してる。・・・・・・以上よ」

アルミン「っクリスタぁ!!・・・・・僕はっ!!僕はなんて無力なんだ!!」

ウッ ウワァァァァ アァァァ グスグス ポロポロ

ミカサ「もう1つ、クリスタから頼まれていることがある。ついて来て欲しい」

アルミン「なに?」グスッ

ミカサ「その前に、そのむさくるしい恰好をなんとかして。髪、切ってあげるから」

788: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:58:24 ID:Vjmqk9Tg0
~~~~~~
燦々と降り注ぐ5月の太陽を浴びて、その少女は輝いてみえた。いや、実際にその金髪はきらきらと輝いていた。懐かしいその場所の、りんごの花咲く、果樹の森の中で、木漏れ日をその髪で受け止めてきらきら、きらきら。
ふさふさした尻尾の大きな犬を従えて、天使が僕を目指して走ってくる。



アルミン「ク・・・クリスタ・・・・?」

少女「ミカサ!久しぶりね!」

ミカサ「元気だった?」

少女「父さんったら!ミカサが来るなら教えてくれればいいのに!私ミカサの為にクッキー作りたかったの」

コニー「悪りぃな。急だったんだよ」

ミカサ「クッキー作れるの?」

少女「母さんに教えてもらったの。ねぇ?そちらの方は?」

コニー「アルミン・アルレルト卿だ」

ミカサ「アルミン、フレイヤよ」

フレイヤ「こんにちは!アルレルト卿」ニコッ キラキラッ

ミカサ「フレイヤ?アルレルト卿にお茶をお出ししないと。支度を手伝って来てくれる?」

フレイヤ「はい!」タッ「行くよ!ボリス!」ワンッ

アルミン「・・・・フレイヤ?」ボーゼン

ミカサ「アルミン、あなたの娘よ」

789: 進撃の名無し 2014/06/26(木) 12:59:05 ID:Vjmqk9Tg0

アルミン「・・・・・・・・いくつに・・・・なったの?」

コニー「もうすぐ10歳だ・・・・」

アルミン「それじゃあ・・・・あの時の・・・・てことは、あの頃体調不良だって言ってたのは・・・・・・・・」

アルミン「あの時、クリスタは・・・・あの子を産んだの?能力の使い過ぎで体調を崩して寝込んだっていうのは・・・・・あれは・・・・あの時出産してたの?」

ミカサ「・・・・そうよ」

アルミン「今までずっと・・・・僕に隠してたの・・・・?」

ミカサ「・・・・そうよ」

アルミン「・・・・どうして?」

ミカサ「アルミン、あなたを・・・・守るためよ」

アルミン「・・・・女王の元恋人だから?」

ミカサ「そうよ。王夫殿下は女王を愛しすぎてる。このことが知れたら、嫉妬に狂ってあなたを殺してしまうかもしれない、だから。あの子が産まれたことも秘密。婚約から婚姻の儀まで時間が空いたのもそのため」

アルミン「・・・・ここで・・・・ずっとコニーとサシャが育てたの?」

ミカサ「・・・・そうよ。ここで、コニーとサシャの子供たちと一緒に」

アルミン「・・・・・僕に・・・・僕に、どうして育てさせてくれなかったの!!」

ミカサ「・・・・・あなたが必要だったの、アルミン。モンスやヒュポゲーウムとの交渉や他にも・・・・あなただって分かってるはず」

アルミン「・・・・酷いじゃないか・・・・こんなの無いよ・・・・僕だって、クリスタを愛してたんだ・・・・」

ミカサ「・・・・クリスタもよ。だから、アルミンに内緒であの子を産んだの。それがクリスタのアルミンへの愛の証」

アルミン「じゃあ、そのつもりだったの?あの時・・・・あの時にクリスタは、そのつもりで・・・・」

ミカサ「そう。そしてフレイヤを産んだ後、全部捨てて人類の為に、心臓だけでなく、全部捧げたの。心以外の、全部を」

アルミン「・・・・僕が研究室に引きこもってないで、早くここに来ていれば・・・・・」

フレイヤ「ミカサー!お茶の支度ができたよ!アルレルト卿もどうぞ!お入りになって!」

ミカサ「今行く・・・・あの子、アルミンの小さい時によく似てる」

アルミン「クリスタにそっくりだよ・・・・・」

引用元: あなたとここで