1: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 10:30:18.50 ID:kUB4wdCKO
GRAND THEFT AUTO V
PS4 / X BOX ONE版発売記念


ジミー「見りゃわかるだろ?」

マイケル「わからないから聞いてるんだけどな?」

ジミー「……父さんのお目目は節穴でちゅか~?」

マイケル「ファッキンシット! このくそ息子!!」

ジミー「何だって?! 愛しの息子にそりゃないだろうよ!」

マイケル「トレバーのオフロードに『また』落書きしてるような奴が、息子だって!!?」

ジミー「そう、またやっちゃった☆彡」テヘペロ

マイケル「クソ、アラモ海に沈めて塩漬けにしてやる!」

ジミー「ワオ。発想がサイコ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418261418




2: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:03:38.85 ID:kUB4wdCKO

ガチャッ


トレバー「フンフンフフーン、ヒー・イズ・xxxマーン♪ ……うん?」

マイケル「……やぁ」

トレバー「おおっ、マイケル? 一体全体どうしやがった、バインウッドから出てくるなんて?」

ジミー「見てくれよ、おじさん。これ」


【インポマンの落書き】


トレバー「フンガーッ! またThe Lost MCの奴ら、懲りずに落書きしやがったか!!」

マイケル「落ち着けよトレバー。これはうちの息子が──」

ジミー「ちょっ」

トレバー「わかってるさマイケル、ジミーは俺にこれを知らせてくれたんだろ、ああ?」

ジミー「そそそそ、そうさ! そうに決まってる! それしかない!」

トレバー「よし、ロストのクソどもをボコしにいくぞ! Let it go!」



マイケル「What the xxxx……また巻き込まれるのか」

ジミー「……ハッ、またやっちまった!!」

マイケル「愛してるぜバッドボーイ。後でお仕置きだ」

3: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:10:50.11 ID:kUB4wdCKO

ブゥゥゥゥーーーンッ

トレバー「レリゴォ~♪ レリゴォ~♪」

ジミー「なんだいそのヘッタクソな歌?」

トレバー「『xxxxとxxの女王様』だ、知らねえのか? ネズミィーの新作だぞ!」

ジミー「ああー、『アナと雪の女王』ね」

トレバー「お? HAHAHA、俺としたことがタイトルを間違えちまったか!」

ジミー「HAHAHA! ワザとだろ、わかるよおじさん!」

トレバー「おっとバレちまったか? まいったなこりゃ! GAHAHAHA!」


マイケル「カーチェイスの最中になんだお前ら」


<待てー!!!

<止まれー、そこのオフロード!!


トレバー「フゥーハハハ! やだね!!」

4: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:19:49.12 ID:kUB4wdCKO
──1時間後、サンディショアーズ・ガススタンド

警察A「おい、出てこい! そこにいるのはわかってるんだ!」

警察B「投降しろ! 抵抗すればそれだけ罪は重くなる!」


トレバー「M、これ使え」

マイケル「これは……?」

トレバー「レールガンだ! トレバー・フィリップス・インダストリィズの新作だ!」



ジミー(軍は早くトレバーおじさんを消すべきだと思うね、あぁ)

ジミー(ちなみにレールガンは次世代機版版限定武器さ)

5: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:23:18.99 ID:kUB4wdCKO

マイケル「ええい、何とでもなれ!」カチッ

バリバリ……チュドォン!!

ジミー「うわっ、ス、スゲーッ!!!」


警察A「……うわ、クルーザーが木っ端微塵に……」

警察B「て、撤収!!!」

警察c「撤収~!」


ジミー「いや、気持ちはわかるけどさぁ!!!」

6: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:25:47.56 ID:kUB4wdCKO

マイケル「……今のうちに俺達は家に帰るが」

トレバー「おう、帰れ帰れ! 気をつけろよ!」

ジミー「楽しかったよ、またねおじさん!」

マイケル「じゃあな」




トレバー「……っはー。ジミーのいたずらに付き合うのも楽じゃねえなァ」

ロン「……いや、君……そんないい大人キャラじゃないだろ」

7: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 11:52:53.32 ID:kUB4wdCKO

トレバー「ハッ!? 確かにそうだ!」

ウェイド「いやいやいや、忘れてたのかい」

トレバー「ああああんっ!!!?」

ウェイド「ウヒィ!? ごごごごご、ごめんなさい!!」


ロン(トレバー……君は以前と同じようなことをしていると、気づいていないのかい。そう、これはまるで──)


ロン(アメリカの陰謀!!!)


ウェイド(違うと思うけど、それ言ったらメンドクサイからいいや)

8: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 13:11:31.05 ID:kUB4wdCKO
──翌朝、リチャーズ・マジェスティック・スタジオ

ソロモン「やあ、相棒! 昨日のカーチェイス、君だろう?」

マイケル「やあ、ボス。なんだ、テレビで中継されてたのか」

ソロモン「そうとも。顔は見えなかったが、私は確信していたよ!」

マイケル「憎めない友人とクソみたいな息子に巻き込まれてな、あぁ」

ソロモン「HAHAHA! まぁ元気そうで結構結構!」

マイケル「それで? 俺を呼び出したからには、仕事なんだろう?」

ソロモン「ああ。これを。新しい映画プロジェクトだ」スッ

マイケル「おおっ!」

ソロモン「その名も──」バサッ


『GRAND THEFT AUTO』


マイケル「……とある車泥棒(グランド・セフト・オート)?」

ソロモン「ああ。主人公は『元・プロの銀行強盗』。他に『ダウンタウンのヤング・ギャング』、『クレイジーな元・相棒』のトリオを考えてる」


マイケル(……どっかで、聞いたな)


ソロモン「まさに特攻野郎Aチームの強盗版さ」

マイケル「いや……こいつはまるで──」

ソロモン「そう、君達だ。君の体験をこの新作に落とし込みたい」

マイケル「……是非、やらせてくれ、ボス」

ソロモン「その言葉が聞きたかったんだ、親友よ!」

10: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 14:58:02.42 ID:kUB4wdCKO

マイケル「だが、なんというか。このままだと良くも悪くもB級だ」

ソロモン「それは重々承知してるさ。だから君の──本物の意見が欲しい」

マイケル「そんな大層なもんじゃ……」

ソロモン「それでも。俺は好きな映画を撮りたいし、そこにクオリティを求めたい」

マイケル「……わかった」

ソロモン「ありがとう、友よ」

11: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 15:09:05.65 ID:kUB4wdCKO

ソロモン「まずは出会いのシーンからだな」

マイケル「ああ」パラッ

────

マイク「おいそこの坊や盗もうとしてるのは俺の車か」

フランシー「違うんだ旦那俺はカッコイイ車だとね」

トレブ「こいつ愛車を盗もうとしたのか」

フランシー「違う勘弁してくれ」

トレブ「そんなクソにはお仕置きだ」


──────

マイケル「なんだこれは!! ストップ! よせ! やめるんだ!!!」

ソロモン「オーマイガッ、早速か!」

マイケル「むしろこれでいいと思った理由を聞きたいぜ、あぁ!」

ソロモン「そ、そんなにひどかったか?」

マイケル「ひどいなんてもんじゃないだろ!」

ソロモン「……今までの映画はすべてこんな風だったんだが……」

マイケル「クソッタレ! つぶれちまえ、リチャーズ・マジェスティック・スタジオ!」

12: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 15:42:02.09 ID:kUB4wdCKO

マイケル「ここはこうして……」カリカリ

ソロモン「……」ソワソワ

マイケル「こうだっ!」

バンッ

ソロモン「ふむ……」

───────

【BAR】

 薄暗く、退廃した店内。

トレブ「よう、マイク」ガタッ

 トレブ、マイクと同じテーブルに乱暴に座る。

マイク「……トレブ。……まさか、まだくたばってなかったとはな」ニヤ

トレブ「てめえこそ、な」ニヤ

 ふたり、拳を突き合わせてタッチ。
 ウイスキーをショットグラスで一気に飲む。

マイク「それで、急に呼び出して何の用だ?」

トレブ「へへ、実はよォ──」

(画面暗転)

─────────

ソロモン「あー、マイケル?」

マイケル「なんだ?」

ソロモン「フランシーがまだ出てないんだが?」

マイケル「そりゃそうだろ。3人一気に出す必要がどこにある?」

ソロモン「あ、あぁ……、そう……だな?」

13: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 15:48:19.89 ID:kUB4wdCKO

ソロモン「よし。じゃあ、もう脚本は君に全て任せるよ」

マイケル「……何だって……? ……何を言ってるのか……よく……わからないんだが……?」

ソロモン「脚本は君に任せる! スポンサーを納得させるだけのモノを、1週間で形にしてこい!!」

マイケル「……い、1週間? 1週間だと?」

ソロモン「会議まで、時間は限られているんでな」

マイケル「おい、おいおいおいおい! まともな脚本家を雇えば済む話じゃないか!」

ソロモン「予算削減だ」

マイケル「映画は脚本が命だろっ!! 命を削るのか!!」

ソロモン「俺は君のセンスにかけたい。話は以上だ」

マイケル「オーマイガッ……なんてこった……!」

14: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 16:06:42.19 ID:kUB4wdCKO
──自宅

マイケル「……ただいま」

トレイシー「パパ、おかえり!」

アマンダ「おかえりなさい。……あら?」

トレイシー「その、随分疲れてる様子ね?」

ジミー「バニラ・ユニコーンで『遊び』疲れた?」

マイケル「馬鹿言え。……詳しくは言えないが、デカイ仕事を引き受けちまった」

トレイシー「リチャーズ・マジェスティック・スタジオの仕事?」

マイケル「まぁな。……暫く休んでくるよ」

アマンダ「え、えぇ」

16: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 22:19:03.11 ID:kUB4wdCKO
──2日後

マイケル「…………」ブツブツ


トレイシー「パパ、大丈夫かしら」

ジミー「ありゃ重症だね」




──4日後

マイケル「ブチ殺してやる! ……いや、ブッ潰してやる!! ……うーん」ブツブツ


トレイシー「最近ヤバくない?」

ジミー「フリードランダーのところ連れていこうよアレ」



──翌朝

マイケル「で! き! た!」ダンッ


トレイシー「」ビクッ

ジミー「朝っぱらから何事だよ」

アマンダ「びっくりした……」

マイケル「俺の脚本が映画になるぞ!!!!!」


3人「!!?!!?!??!??」ガタタッ

17: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 22:20:30.99 ID:kUB4wdCKO
──1週間後、リチャーズ・マジェスティック・スタジオ

ソロモン「待ってたぞ、兄弟」

マイケル「何が兄弟だ。……プロデューサー、まずはこれを」

っ台本
スッ

ソロモン「おぉ……書けたか!」

マイケル「ここから更に削るつもりではあるが、3時間の大作だ!」

ソロモン「……イイ、イイぞマイケル! ブラミー賞を取ろう!」

マイケル「いや、それはどうだろう」

ソロモン「変なところで冷静になられると俺も困るよ」

18: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/11(木) 22:35:38.28 ID:kUB4wdCKO

テレビショー「なんと、バインウッドから特報!」

テレビショー「あの『リチャーズ・マジェスティック・スタジオ』が、新作を企画しているらしい!」

テレビショー「早速、ソロモン・リチャーズ氏に直撃したぞ!!」

『ソロモン「ええ、事実です。未だ詳細を話せる時期ではありませんが──」

 ソロモン「──素晴らしい作品をお届けできたら、と思うね」』

テレビショー「……とッ、いうわけだ!」

テレビショー「資産家マイケル・デ・サンタ氏が援助し、経営を立て直したR・ M・スタジオ」

テレビショー「今回はデ・サンタ氏のサポートを受けて、大作に取り組んでいる、なんて話も出てる!」

『マイケル「新作の噂? ああ、本当だ。タレントをやってる娘が出演できたら嬉しいが、勿論それはオーディションの結果次第だね。俺も娘も、何より映画の成功を祈ってるよ」』

テレビショー「……な~んて、デ・サンタ氏は実子のトレイシー・デ・サンタの映画デビューについても前向き。プリティ・ポップスターがバインウッド界に華々しく羽ばたく日はあるのかな?」

テレビショー「続報を楽しみにしよう!」

19: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/12(金) 12:29:34.14 ID:i+TFV9/eO
──2ヶ月後

テレビショー「リチャーズ・マジェスティック・スタジオの新作について、続報です!」

テレビショー「昨晩、リチャーズ氏が会見を開いた。その模様をお伝えしよう」


ソロモン「以前から噂になっていたでしょう、当スタジオの新作について、発表いたします」

ソロモン「近年我々は、リメイクやラブコメ、ベタなスーパーヒーローモノを作っては、久しくヒットさせられずにいました」

ソロモン「しかし、我が友マイケル・デ・サンタの援助もあって、メルトダウンは興行的に成功。そこで、我々は新たなタイトルを世に送り出すことを決意しました」


『Grand Theft Auto』

ドンッ!

ザワザワザワ


ソロモン「タイトルは『グランド・セフト・オート』……。個性的な犯罪者トリオの活躍を描く作品です」

記者「それは、数ヶ月前世間を騒がせた、連邦保管庫からの大強盗に影響を受けた、と見てよろしいですか?」

ソロモン「ええ。噂では彼らも三人組だったとか。私とマイケルは、彼らの伝記的作品を撮りたい、と思っていました」

パシャッ!パシャッ!

記者「テーマに犯罪を選んだ理由については?」

ソロモン「強盗というのはとても罪深いものですが──」



ソロモン「ある意味で、夢があるでしょう」


パシャ!パシャパシャ!


テレビショー「……と、いうわけで。記者会見の様子でした」

テレビショー「明日もラズロウ……あなた達のハニーがお届けするよ!」

ラズロウ「チャオ!」

20: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/12(金) 12:35:31.51 ID:i+TFV9/eO

ジミー「あのクソ野郎に、チャオは別れの挨拶じゃないぞバーカ、って言っといて」バリバリ

トレイシー「ラズロウ? アイツめんどくさいからイヤ」

ジミー「あれ? 父さんが懲らしめたんじゃないの?」ボリボリ

トレイシー「そうなんだけど、それでも懲りないって、ある意味才能よね」

ジミー「しぶとく芸能界で生き残ってるだけあるぜ」



アマンダ「ジェームズ。ポテチ食べ過ぎよ」

ジミー「あー。甲状腺にいいとかって聞いたんだけど」パリパリ

トレイシー「ないない」

ジミー「ないよねー」ポリポリ

アマンダ「いいから食べるのやめなさいよ」

22: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/13(土) 03:10:58.82 ID:NURi5kzkO

ソロモン「あらすじは……」


『かつてプロの銀行強盗として活躍したマイク。引退し不自由ない暮らしをしていたが、元相棒のトレブが話を持ち込む』

『それは、ロスサントスにある連邦保管庫を襲撃し、一生遊んで暮らせるだけの大金を手に入れよう、というものだった。日々に退屈していたマイクは、これを二つ返事で引き受ける』

『一方、ストリートギャングの青年フランシーは、「仕事」でマイクの家に盗みに入る。しかしマイクに見つかってしまい、利用されることに』

『フランシーは、地味で稼ぎの悪い危険な犯罪を繰り返す仲間たちに嫌気が差していた。トレブがふとこぼした連邦保管庫襲撃計画の話を聞いて、彼はマイクに弟子入りを申し出る』

『冷静なマイクと、柔軟なフランシー。そして豪快なトレブ。3人の一世一代の「大仕事」が幕を開ける』


ソロモン「……クゥッ! なかなかクールな大作に仕上がりそうだぜ」

23: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/13(土) 07:38:25.38 ID:NURi5kzkO

ソロモン「配役はマイケルと2人で綿密に話し合って決定した」

マイケル「ああ。俺にできることはもう……なさそうだな。後は頼むぜ、『総監督』」

ソロモン「任せておきな。だが、何か『イザコザ』が起きたら、頼むぜ『プロデューサー補佐』」

マイケル「ああ。なるべく非暴力的に、な」

24: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/13(土) 07:39:52.49 ID:NURi5kzkO

フランクリン「よう、相棒。今夜飲みに行かねえか」

マイケル「すまんが、仕事が忙しくてな」

フランクリン「仕事? また強盗か? いや、俺達は足を洗った、そうだよな」

マイケル「似たようなもんだ」

フランクリン「?」

25: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/13(土) 07:42:56.33 ID:NURi5kzkO

トレバー「よォ、M! ストリップクラブで──」


トレバー「『お楽しみ』と洒落こまねえか!!」カクカク

マイケル「すまんが、仕事が忙しいんだ。フランクリンかウェイドでも誘ってやってくれ」

トレバー「え? わ、わかった」

マイケル「珍しく、聞き分けがよくて助かるぜ」

トレバー「お、おう。お前を困らせたら悪いだろ? なっ?」

マイケル「ああ、助かるよ。じゃあな」

トレバー「……お、おう」ポツ-ン

26: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/13(土) 07:44:28.69 ID:NURi5kzkO

アマンダ「トレイシー!」

ジミー「仕事だよ」

アマンダ「ああ、そっか。マイケール!」

ジミー「仕事だよ」

アマンダ「ああ、そっか。なんか気が抜けるわね」

ジミー「明日は俺も仕事の面接だ」

アマンダ「!? そ、そう……なんか気が抜けるわね……」

29: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/15(月) 11:49:16.24 ID:Pmu3OsBCO
──スタジオ

トレイシー「何だって言うのよ、xxxxx xxx!」

M「おいおいおい、止せよ! 喧嘩して誰が得するんだ、ああ?」

トレイシー「シャッラップっ! トレブがいるってどういうこと? 足を洗ったって言ったじゃない!」

T「おいおい、落ち着けよトレイシー」

M「これで『完全引退』だ。……全てのアウトローが俺達をリスペクトする」

トレイシー「ハンッ、素敵な夢ね、結構なこと!!」

M「おいトレイシー! ああ、クソッ」



ソロモン「カァーーーット!! オーケイ! 完璧だみんな!」

トレイシー「やった!」

M「すごいな、トレイシーちゃん。はじめてとは思えないぜ」

T「全くだ。俺のデビュー作なんてヒドイもんだったぜ」

M「テメーは今でもヒドイもんだろ」

T「な、なんだとぉ!?」

トレイシー「まぁまぁ。……喧嘩して誰が得するんだ、ああ?」

M「ははは、すまないトレイシーちゃん! でもそれは俺の台詞だぜ」

T「そうだな。ごめんな、トレイシーちゃん!」



ソロモン「君の娘、既に現場を支配してるよ」
マイケル「そりゃよかった。さすがは俺の天使だ」

30: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/15(月) 12:10:14.39 ID:Pmu3OsBCO
──三ヶ月後、スタジオ

F「ふぅ、うまくいったな!」

T「フゥッハァー! チョロいもんだぜ」

M「まだだ、全部溶かしてちゃんとした金にするまでは気を抜くな」

F「っと、そうだったな、師匠」

T「固いこと言うなや!」


捜査官「動くな!」

M「……チッ、1人尾けてきてやがったか」

F「どうする」

T「俺が──」

パァンッ!

T「グッ!!?」

捜査官「動くな、と言ったはずだ」

T「てめえッ!!」

パァンッ!

T「うおあっ!!?」グラッ


F「ト、トレブ!! トレブが崖下に!」

M「クソが!」

スッ……ドンッ!

捜査官「!?」グシャッ

F「す、すげえ。ショットガンのクイックショットなんて芸当できたんだな、アンタ」

M「初挑戦だ」

捜査官「クッ……こんなところで……」ドサッ

M「大成功だったようだがな」



T「た、助けてくれー!」


F「まだ生きてる!」

M「悪運の強い奴だぜ、全く」

31: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/15(月) 12:22:54.11 ID:Pmu3OsBCO

F「おい、トレブ! 今行くからな!」

T「ぐっ……もう無理だ……先に」

ガシッ

M「見捨てるもんかよ!」

T「マイク……!?」

M「お前がいないと、俺達が退屈するんだ……わかるな?」

F「そうだぜ、ブラザー。俺達は魂のブラザーだろ」

T「ふ、2人とも……!!」

M「手を離すなよ!」

F「勿論。いくぞ、せーのっ!」

ズザァ!

T「……助かったぜ、2人とも」

F「当たり前のことだろ。な、マイク」

M「ああ。……さて、この金塊の山をどうするか、ハッカー様と相談するとしよう」

T「ハハハハハ、億万長者だぜ。イェアー!」

32: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/16(火) 13:30:39.77 ID:SdDQjV8aO

 俺達はトラックに山積みの金塊を丁寧に輸送し、レスカーと綿密に相談して慎重にドルへ変えた。

 それぞれ使い方は色々だったが、それぞれが手にした『アメリカン・ドリーム』を満喫している。

 そして俺はトレイシーに誓った。

マイク「この金がなくなるまでは、真面目に生きることにした。君に誓うよ」

トレイシー「あら、それは明後日の話かしら?」

マイク「おいおい。余程無駄遣いしなければ、死ぬまでなくなることはないさ」

トレイシー「どうだかね」

マイク「不動産はいくつも買ったからな。今回の俺は堅実だぜ」

トレイシー「フフ、そう願うわ」

33: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/16(火) 13:31:36.07 ID:SdDQjV8aO



『Grand Theft Auto』



34: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/16(火) 13:38:43.59 ID:SdDQjV8aO

ソロモン「ブラボォーウ!!!!」

マイケル「これでクランクアップだ!」

ソロモン「大ヒット間違いなしだぜ、兄弟ィィィッ!!!」ガシッ

マイケル「うおっ、よせよ兄弟」

ソロモン「はははは! よおおーし、これからまた忙しくなるぞおおお!!」


トレイシー「元気ね、監督」

マイケル「お疲れ様。俺もまだまだ仕事が残ってる。今日はしっかりと家で休みなさい」

トレイシー「ええ、パパ」

M「助監督、おつかれさまです!」

T「お世話になりました!」

F「あざーっした!!」

マイケル「お疲れ。これからまた忙しくなるぞ、覚悟しておけ」

3人「イエッサー!!!」

35: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/16(火) 13:41:44.21 ID:SdDQjV8aO
──二ヶ月後

バシャッ!パシャパシャッ!

記者「今日の試写会、どう臨まれますか!」

ソロモン「みんながどう思うか、楽しみだよ」

マイケル「ウケると確信してるが」

ソロモン「違いねえ!」

トレイシー「2人とも、行くわよ」

マイケル「おっと、すまない」

パシャッ!!

36: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/16(火) 13:52:38.13 ID:SdDQjV8aO

新聞『GTA、興行収入4,000億ドル突破。アナ雪超えた!』

ネット『GTAが面白過ぎる件』

テレビ『グラセフヒロイン、トレイシー・デ・サンタにインタビュー!』

映画誌『リチャーズの描く世界最高の自称・B級映画、GTA!』

Britter『GTA観てきた。面白すぎだろ?あんなホットな映画 #GTA』

LifeInvader『連邦保管庫でやってたの、GTAのロケだったんだな。最高だぜ』



ソロモン「……ふへへへへ」

マイケル「へへへへへ……」

2人「やったぜ兄弟っ!!!」

37: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:12:07.44 ID:sYjmOc/5O
──映画祭

司会「主演女優賞は、トレイシー・デ・サンタ! 自身初の映画出演は同名役。父マイケル氏の素晴らしい脚本を見事に演じきりました!」

パチパチパチパチ

トレイシー「ああっ、なんてことかしら……嬉しすぎて、言葉が……」

司会「おめでとう、トレイシー。お父さんもほら、あそこで」

トレイシー「やだパパったら、私より泣いてるじゃない?」

司会「ハハハ、とても誇らしげだ!」

トレイシー「ええ、最高の父親よ。愛してる!」


ワァァァァーッ!!

司会「親子愛の生み出した傑作だな、これは!」

38: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:17:21.16 ID:sYjmOc/5O
──デ・サンタ邸

テレビ「親子愛の生み出した傑作だな、これは!」


ジミー「その親子愛から漏れた人間がここにいるぜ」

フランクリン「おい、そう腐るなって」

ジミー「母さんもフランスにいるんだぞ? なんで長男は自宅警備なのさ!」

ラマー「気持ちはわかるけどよォ」

ジミー「はーっ、帰ってきたらハグで迎えてやる!」

フランクリン「……トレイシーにか?」

ジミー「モチロンだ!」

フランクリン「……あー、泣いて喜ぶんじゃないか、あぁ」

ラマー「嫌過ぎてな」

ジミー「なんだと、やんのかコラ!?」

ラマー「んだコルァ!?」

フランクリン「うるせえっ!! 今からマイケルのスピーチ始まるんだから静かにしてねえと  の 増やすぞビチグソどもが!!!!」

ラマー「!?」

ジミー「!?」

39: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:27:32.00 ID:sYjmOc/5O

司会「最優秀脚本賞おめでとう、ミスター・デ・サンタ。今回は初の脚本、そして助監督。どうだった?」

マイケル「正直、もっとやれることがあったんじゃないかと今でも思うよ」

司会「貪欲だな! リチャーズ氏との仕事はどうだったかな?」

マイケル「ああ、彼は俺の憧れだったし、一緒に仕事ができて光栄に思う。俺もいち映画ファンだからな」

司会「素晴らしい! じゃあ、娘のトレイシーさんをヒロインに抜擢したのは、やはり君の?」

マイケル「あー、これは各所で散々説明したハズなんだが……」

ワハハハ!

マイケル「娘にはオーディションを受けてみるよう促しただけだ。彼女の実力だな」

司会「なるほど、これは失礼を! 最後にファンに向けて!」

マイケル「あー……その、みんな、どうもありがとう。実はこういう場は苦手でね……えー……ソロモン、君のおかげで俺もスターダムに登ることができた。感謝してる」

ワァァァ!

マイケル「『人は毎日数多くの事を忘れるものだ』。……だが、これは一生忘れない思い出になったよ。どうもありがとう」

司会「最後は劇中の名セリフで締めやがった! クールだぜ!」

40: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:33:01.80 ID:sYjmOc/5O

フランクリン「俺への感謝はどうした俺への感謝は!!!?」

ジミー「おおおおおちつけ」

フランクリン「フランシーは俺だろアレ!!!! なあオイ!!!?」

ラマー「やややややめろよ」


フランクリン「クソ、帰ってきたらトレイシーをハグして、マイケルの目の前で求婚してやる!!」


ジミー「ファッ!?」

ラマー「お、ようやくか」

ジミー「……ファッ!?」

ラマー「どうした引きこもり」

ジミー「え? マジで?」

フランクリン「ああ、リングは買ってある」

ジミー「……え、待って? フランクリンとトレイシーが、え? ええっ?」

ラマー「……え、何、テメーの姉貴とテメーのマブダチが付き合ってるの知らなかったのかよ」

ジミー「……オーマイガッ!!! なんて日だ!!!!!」

41: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:37:19.10 ID:sYjmOc/5O
──一週間後

マイケル「」



アマンダ「ほら、フランクリン。これなんかどうかしら?」

トレイシー「やだママ、これ背中出過ぎじゃない?」

フランクリン「似合うと思うぜ?」

トレイシー「もう、フランクリンったら!」



マイケル「」


トレバー「……どうしたんだアレ」

ジミー「あー、まぁ、あちらの円卓会議の影響というか」

トレバー「うん? トレイシーのウェディングドレス選びか。なんだ、結婚の予定あるのか?」


マイケル「」ゴフッ


ジミー「今のはトドメの一撃だよ」

トレバー「えっ」

42: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:43:21.33 ID:sYjmOc/5O

ジミー「幼少からの夢である、映画のプロデュースが大成功」

ジミー「そして大満足で帰国したところ」



──デ・サンタ邸前

フランクリン「トレイシー、主演女優賞おめでとう! そして、結婚してくれ!!」

トレイシー「!!!! よ、喜んで!」

ゴシャッ!

フランクリン「マイケル、今まで黙っててすまな──ゴシャ?」

アマンダ「嫌ッ、マイケル!!!?」

トレイシー「パパ卒倒!?」

フランクリン「嘘だろ、マジか!!?」

ジミー「あー、おかえり……って、なにこれ、なんで父さん五体投地してんの?」

トレイシー「いいから運ぶの手伝って!!」

ジミー「え、ああ、うん……?」




ジミー「信頼していた弟子に娘を掠め取られた父さん、卒倒」

ジミー「ソロモンに言って一ヶ月の療養を貰いましたとさ」

43: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:45:42.35 ID:sYjmOc/5O



『GRAND THEFT AUTO :V』
『Operation Movie :プロデュース大作戦』

Fin



44: ◆8LlLIXvvYY 2014/12/17(水) 10:46:52.81 ID:sYjmOc/5O


トレバー「ちなみに、トレバー・フィリップス・エンタープライズもGTAには協賛してるぜ!!!」


ロン「半ば強引にね」

FIN

引用元: マイケル「オイ、ジェームズ。何やってるんだ?」