1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 19:50:03.72 ID:cSVSFh/f0

346プロダクション事務所:休憩室

南条光「なぁ、何を弄ってるんだ?」

二宮飛鳥「anello di enigma……知恵の輪さ」カチャカチャ

光「へー。ピカピカしてるな」

飛鳥「なかなか良いデザインだったからね、衝動買いしてしまったよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418467793




3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 19:56:01.39 ID:cSVSFh/f0


飛鳥「一時の熱情に身を委ねる生き方も間違いでは無いだろうけれど。ふふ、知性の否定の告白とは、かくもこそばゆい……」カチャカチャブツブツ

光「よくわかんないけど、キラキラしててカッコいいな!オブジェにしてもいいし」

飛鳥「それは、パズルのパズルたる所以の否定になる。この銀色は、解かれたがっているんだ」カチャカチャ

光「ふーん……解けそう?」

飛鳥「まあ、パターンがあるからね。あとは押し込んで……!」カチャコックルンッ

光「……一周しちゃったな。座り込んだらゲームオーバーだ、がんばれっ」エイエイオー!

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:01:22.69 ID:cSVSFh/f0

飛鳥「こういう時も、あるか。……ボクはちょっと失礼させてもらうね」ガタッ

光「じゃあ、戻ってくるまでパズル借りてていいか?」

飛鳥「フッ……いいよ。楽しんであげてくれ、パズルが喜ぶ」

光「パズルが喜ぶ?……よし、だいたいわかった!」


346プロダクション事務所:事務室




飛鳥(……解けないからと言って、一時撤退は理性的な行いじゃなかったかな)

モバP「お、いたいた」カツカツカツカツ

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:04:47.50 ID:cSVSFh/f0

飛鳥「P?どうかしたのかい」

モバP「衣装点検を手伝って欲しくてな。飛鳥のチェックなら外れないだろ」

飛鳥「信用してくれるのは、こそばゆいな……」

モバP「十五、いや二十分くらい付き合ってくれるか?」

飛鳥「新しい状況には、自分から飛び込むべきと学んだからね。喜んで手伝うよ」

モバP「ありがとう」

モバP「ただ、まず最初に結論を言うことを癖にした方が良い」

モバP「最後まで聞かないとわかんない話を聞いていられるほど、奇特な人はそう多くないのだから……」クドクドブツブツ

飛鳥「わかったわかった。何処の衣装室かな」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:06:47.03 ID:cSVSFh/f0


モバP「地下二階の突き当たりだ。俺が案内する」

飛鳥「これで迷うこともない、か」

モバP「大きいものな、この事務所は」

飛鳥(……キミや光たちもね、キミの言う『奇特な人種』なんだよ?)クスッ

モバP「何か?」

飛鳥「何でも」

モバP「そう……。おっ、エレベーターがようやくだ」

チーンッ

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:10:18.10 ID:cSVSFh/f0


事務所地下二階:突き当たりの衣装室

飛鳥「随分あるね……どれを点検したいんだい?」

モバP「co系を頼む。PaPさんが、属性に拘らず衣装の融通を効かせたいみたいでな」

モバP「そのために、ダメージの大きいのは事前に繕い直したいんだ」

飛鳥「アイ・アイ・サー。えっと、ブルーナポレオンB72番系、上から順に良・良・可……」

モバP「そこまで注意して見なくていいぞ。大きな修繕箇所を知りたいだけだから」

モバP「それにしても、よくタグを見ないでわかったな」

飛鳥「マネキンの胸を見れば、一目で理解ることが出来るさ」

モバP「けったいな……どうしてだ?」

飛鳥「言わせないでくれ。愛海の強制特別レッスンのことなんか、ね……」

モバP「むぅ。ご愁傷様」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:13:59.69 ID:cSVSFh/f0


飛鳥「さて、次の衣装は……あ、これは」

モバP「パープルタイプのフリフリドレスは、橘ありすの?状態は良い様だが」

飛鳥「いや、属性関係なく融通するんだろう」

飛鳥「そうとして、光がこれを着たらどうなるのか……ってね」

モバP「フリフリ着ても、走り回りそうだな。売り込みかける時の武器が増えるのは、良いことなんだが……」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:19:08.96 ID:cSVSFh/f0


光『見てみて!ヒカブレラってどうかなっ!?』ハイッー!

ありす『そのパラソル、開きませんよ?……ところでこの衣装、足出てて寒く無いですか』

光『アタシは動きやすくていいんだけどなぁ。ありすちゃんこそ、この服って何か転びそうにならない?』

ありす『ひっかかるようなダンスは、しなかったので……あまり意識したことないです』

光『そっかぁ。うーんっ、傘を使ってアクションか』

ありす『……歌舞伎とかどうです?少し調べてみましょうか』

光『おおっ!やっぱりありすちゃんって、頼りになるねっ』

ありす『そんな……私じゃ無くって、タブレットがよく働いてくれるだけです』

光『それを使いこなせるのが、ありすちゃんのすごいところなんだよ!よっ、日本一!』

ありす『……おだてたって、検索結果しか出ないのに』

ありす『……えへへ』

光『あ、なんか出たよ!……へーっ、これが歌舞伎の見栄なんだ!』


モバP「……って風に、仕事そっちのけで暴走しそうというか」

飛鳥「ブレーキが働かないって言うのは、わからなくは無いかな」


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:21:06.08 ID:cSVSFh/f0

飛鳥「しかしその想定だと、ありすがヒーロー服を着ることになるよ」

モバP「もしもの時の融通性を考えてるんだから、本当に着るタイミングが来るかもな?」

モバP「それに、飛鳥に蘭子の衣装を……その逆も、出来るわけだしな」

飛鳥「フッ……同じ属性でもかい」

モバP「フリル系とは少し趣向が違うけどな」

飛鳥「構わないさ。俄然、能率も上がるものだよ」

モバP「頼りにしてる。そうだ、飛鳥が光と交換した場合は」

飛鳥「サイズ差が厳しく無いかい?」

モバP「それもそうか。えっと、次の衣装は……」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:24:05.47 ID:cSVSFh/f0

……………………………………………


飛鳥「……これでフィニッシュ、と」

モバP「お疲れ様。時間は……すまない、十五分オーバーだ」

飛鳥「許容範囲内さ。それに、口を動かしながらだったからね」

モバP「なら良かった。ジュースは何を飲みたい?」

飛鳥「奢ってくれるというなら、ありがたいね。パンダのモーニングスターコーヒーをお願い出来るかな」

モバP「『違いがわかるわ』ってコピーの奴か。どれ、少し離れるな」スタスタ

飛鳥「あ、もう一つだけ。オレンジジュースを一つ」

モバP「了解」スタスタ

飛鳥(……これでお土産は充分かな)

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:26:28.93 ID:cSVSFh/f0

346プロダクション事務所:休憩室

飛鳥(ご立腹……はしてないだろうけれど、三十分は離れすぎたかな)

ガチャッ

飛鳥「ただいま戻っ……えっ」

光「…………」カチャカチャ

飛鳥「光?まだやっていたのか」

光「……♪」カチャカチャ、カチャッ!

光「……!」カチャコッ!……クルンッ

光「……っ」シュン

飛鳥「……お楽しみの途中、失礼するよ」ブンブン

光「……♪」カチャカチャ

飛鳥「……おーい、光さーんやーい……?」

光「…………」カチャカチャッ、ガッチャ!

飛鳥「ジュースあるよー……?」ペチペチ

光「……♪」カチャリンコ

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:28:33.35 ID:cSVSFh/f0


飛鳥(すっかり自分のセカイに入り込んでいる……。ならボクは、構って貰えないのがさみしいのか?)

飛鳥(断じてノゥだ。だが、返してもらえないのも気に食わない)

飛鳥(そうであるなら、スマートじゃ無いが荒事に頼る他無いだろう)

飛鳥(愛海が身体をもって教えてくれた技術を……試させて貰う!)

光「……!」カチャカチャ、カチャコックルンッ

飛鳥(目標は今、過集中をおこしている。そして、光がミスを起こしたタイミングこそ、付け入る隙となるだろう)

光「……っ」……ドンヨリ

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:30:01.52 ID:cSVSFh/f0


飛鳥(背後に……そう。敵のまさかと思うポジションが、こちらの優勢の位置となる)

光「……♪」カチャカチャ、カチャッ!

光「……!」カチャコッ!……クルンッ


飛鳥(今だ。加速して!)ガバッ


こちょこちょ


光「ひゃあっ!?な、何!?』

飛鳥「お目覚めの気分はどうかな、リトルヒーロー」

光「……飛鳥?ああ、お帰り!結構早かったな」

飛鳥「いや、三十分はここを離れてたはずだよ」

飛鳥「……もしかして、ずっと弄ってたのかい」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:31:36.39 ID:cSVSFh/f0

光「三十分……経ってたの!?ほんと!?」

飛鳥「イグザクトリィ」パチンッ

飛鳥「君の認識にとっては、驚きみたいだね。時の歩む早さは人によって違うと言うけれど、これほどまでとは」ヤレヤレ

光「あ、あははー……」

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:32:37.63 ID:cSVSFh/f0

飛鳥「ところで。答えはパッケージ裏にプリントされてるのに、どうして見ないんだい?」

光「いや!これはアタシとパズルの、真剣勝負なんだ……手出し無用だぜっ」

飛鳥「五分くらいを目安にして遊ぶものだよ、これは。……いいかな」スッ

光「あっ」

飛鳥「思い出したんだ。押し込む前に、一捻り加えることをね」ガチャガチャ、カチャコッ、ツルンッ

飛鳥(本当は、戻りのエレベータでこっそりパターンを再確認したんだけど……まあ、見栄を張りたい時くらい、誰にだってあるさ)

光「……カッコいい!」キラキラキラキラ

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:34:42.61 ID:cSVSFh/f0


飛鳥「そ、そうかい?でも、パターンがあると言ったろう」

光「そのパターンを知ってるから、飛鳥はカッコいいんだよ!飛鳥だって、アタシのヒーローだ!」キラキラキラキラ

飛鳥「……フッ、ありがとうね」

飛鳥(これが、良心の呵責というものか)ズキンッ

飛鳥「しかし、ボクがヒーローか」

光「うんっ!飛鳥に解けないパズルはねぇ!パズルタイムの始まりだ!みたいな感じ」

飛鳥「ふぅん……なら、ボクにもヒーローらしい名前が欲しいかな」

光「うーん、自分で決めるか人に呼ばれるかだしなぁ。ミッシングピース飛鳥とかどう?」

飛鳥「もう貰ってる名前だよ、それは」

飛鳥「……そうだ。光の読んでた雑誌があったね」

光「てれびOんのこと?」

飛鳥「多分ね。それに乗ってたヒーローに倣って、飛鳥・真って言うのはどうかな」

光「それはちょっと止めたほうがいいかも」

飛鳥「む、そうかい」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:35:49.01 ID:cSVSFh/f0


飛鳥「他にもパズルは持って来てるんだけれども……まず、ジュースは如何かな」

光「出来たらパズル先に……あ、オレンジだ」

飛鳥「好きだろう?はい」

光「ン……サンキュ。いただきますっ」カシュッ

飛鳥「待ってくれ。ボクも空けるから」カシュッ

光「おう!……でも、先に飲んでも良かったんじゃ?」

飛鳥「無粋なことは、言わない主義なんだ。乾杯」コチンッ

光「かんぱーい!」コチンッ

飛鳥 光「んくっ、んくっ、んくっ……」

飛鳥 光「ぷはー」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:38:45.40 ID:cSVSFh/f0


光「うーんっ、ジューシーだなあ。丸ごと徳島勝浦みかんー♪」

飛鳥「輸入オレンジだと思うけど。……それにしても、両手で缶を持つんだね」

光「缶ジュースって、なんかサイズ大きいし。ところで、パズル見せて!」

飛鳥「やれやれ。食い気より色気か……」ハァ

光「少し違わない、それ?」

飛鳥「ボクのコトバは、広辞苑なんかに曲げさせないよ。……あった、ギャロップだ」ゴソゴソ

光「おおっ。あんまり馬っぽくない!」

飛鳥「それはご愛嬌だね」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:52:35.20 ID:cSVSFh/f0

光「うーん、まぁいいや。次はアタシが勝つぞ!」

飛鳥「競ってたのかい。……パターンを覚えてないのはアンフェアーだし、いくつか解法を説明させてもらうね」

光「聞かせて聞かせて!」

飛鳥「ふふ。まずオーギャ型って言うのはね……」

光「うんうん!」

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 20:50:08.21 ID:cSVSFh/f0

………………………………………………


ありす「ただ今到着しました。……あれ、あの二人は何をしてるんですか?」

モバP「こんばんは。知恵の輪勝負、だとさ。止めても聞かないし、困ったもんだ」


飛鳥「フ……解き方に焦りが見えてるよ。そろそろ糖分を摂取したらどうかな」カチャカチャガタガタ

光「へへ、そっちこそ。逃げたいのなら降りればいいだろ、このバトルを……!」カチャカチャガタガタ

飛鳥「優しいんだね、光は。……尚更勝ちたくなった……!」カチャカチャゼェハァ


ありす「どう考えても、限界を超えてます!Pさんは、どうして止めないんです!?」

モバP「……言ってどうにかなるのなら、とっくにどうにかしてるよ。なんか俺疲れちゃった」

ありす「ち、ちひろさんを……早くちひろさんを呼ばないと!」ダッ!

二人は無事保護されて終了


おわり

引用元: 二宮飛鳥「メビウスの輪から抜け出せなくて」