2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 22:50:43.34 ID:Di/73yiH0

勇者「……」

王様「ま、まて勇者」

勇者「……なんで?」

王様「話せばわかるはずだ。あの頃はワシも必死で……」

勇者「……へー」

勇者「お前が必死ならあのことは許されるもんなの?」





4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 22:53:38.73 ID:Di/73yiH0

王様「必要だったんじゃ!臣下のものたちも賛同していた!」

勇者「論点をズラすなよ王様。許されると思ってるのかを、聞いたんだ」

勇者「……」

勇者「魔王を倒した俺らがそんなに怖かったか?」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 22:56:32.80 ID:Di/73yiH0

王様「……ッ」

勇者「……てめぇがまだ大臣だった頃に、俺は旅に出された」

勇者「それからひたすら戦い続け、この国のためにやっとの思いで魔王を倒した」

勇者「それが2年前のことだ」


6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 22:59:41.07 ID:Di/73yiH0

勇者「最初の半年はチヤホヤされ続けたもんだ」

勇者「煌びやかな衣装を着せられ、豪華な食事を各国のトップたちと食した」

勇者「国民も俺らパーティを慕ってくれていたよ」

勇者「戦士はこの国の元帥に抜擢され、魔法使いは魔法大臣に推薦された」


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:02:10.84 ID:Di/73yiH0
勇者「……それが今はどうだよ?この俺を見てみろ」

王様「……」

勇者「逆賊の扱いを受け、身なりはボロ布1枚だ。人の目を避けるように、この1年間泥をすすって生きてきたよ」

勇者「……お前が俺らパーティに被せたクソみてえな罪のせいでな」

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:04:36.45 ID:Di/73yiH0
王様「ワシも……必死で……」

勇者「笑かすな」ズバッ

王様「ぎゃあああ!!」ブシュッ

王様「み、耳が……!!」

勇者「わめくなよ……」

勇者「まだ耳だけだぞ?」

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:06:30.19 ID:Di/73yiH0
勇者「この城で生きてるのは、もうお前だけだ」

勇者「みーんな、俺が殺した」

王様「ふぅ…!ふぅ…!」

勇者「お前、これおぼえてるか?」ポイッ

カランカランッ


10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:09:48.80 ID:Di/73yiH0
王様「……ゆ、指輪……?」

勇者「……そうだよ。俺が、僧侶にプレゼントした指輪だ」

勇者「てめぇがこしらえたんだろ?」

勇者「国を挙げて祝福しよう、この特別な石を加工して僧侶にあげるといい、ってな」

勇者「飛びついちまったよ。絶対に僧侶が喜んでくれると思ったから」

勇者「特別な石なだけあって、あの爆発でもぶっ壊れずに残ってた」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:13:37.96 ID:Di/73yiH0
勇者「……」ビキビキ

勇者「本当は…!こんな問答せずにてめぇをぶっ殺してやりたい……!」

勇者「死んだ戦士と魔法使いと僧侶への手向けにな……!!」

王様「……!」

王様「やつらは……残念じゃったよ……」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:18:30.49 ID:Di/73yiH0
勇者「うるせえ!!!」

勇者「……僧侶が……言ってくれた言葉が離れねぇ……!そのおかげでてめぇは今生きてるんだ……!」

勇者「肉片1つ残らないはずの大爆発の中で……あいつは俺に笑ってくれた……」

勇者「教えろ……なんで俺らを追放した」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:23:42.82 ID:Di/73yiH0
王様「……お、お前らの力が、強大すぎたんじゃ……」

王様「先代の国王は臆病な方で……たった4人でこの国の軍事力に匹敵するお前らが……」

王様「怖かったんじゃ……。コントロール出来ない力はいらない、とな……」

勇者「……そんなことだろうと思ってたよ」

勇者「……黒幕は国王だけか?」


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:28:19.06 ID:Di/73yiH0
王様「……そ、それは」

勇者「……はぁ」

勇者「ふん」ザグッ

王様「ぎゃああああああ!!!」ブシュゥッ

勇者「……もたつくな。次は小指だけじゃすまさねぇからな」

王様「はぁ…ッ!ッ…!ぐぅ……!」

王様「り、隣国の……ッ!参謀が……ッ!」

王様「話を持ちかけてきていた……ッはずじゃ!」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:34:13.83 ID:Di/73yiH0
勇者「なーるほどね……」

勇者「……隣国かぁ……」

王様「…あそこは……軍事大国じゃからな…っ……お前らが現れるまでは……圧倒的優位にいた……」

王様「しかし……お前らが現れただけで……ひっくり返された……」

王様「それが許せなくて不安だったんじゃろう……!」


勇者「……1人でも……まぁやれるかな……」


16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:39:04.86 ID:Di/73yiH0
王様「まさか……1人で乗り込んで潰すつもりか……?」

勇者「……」

王様「いくらお前と……いえども……隣国を1人で堕とすなど不可能じゃ……!」

勇者「……」

勇者「お前にも報告が上がってるだろ?」

勇者「戦士は1人で魔王城の軍勢を相手に三日三晩戦い続けた」

勇者「魔法使いは幹部を1人で倒し、僧侶は約2万人の人の命を救い続けた」

勇者「てめぇらが恐れていた力を、存分にふるいつくしてやるんだ」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:42:29.19 ID:Di/73yiH0
勇者「てめぇを殺したら次は隣国だ」

王様「まっ、待ってくれ……!」

勇者「……天国には行けねぇだろうよ」

勇者「お前も……俺も」

王様「ま、まつのじゃ!ワシも

スパァンッ



18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:46:06.61 ID:Di/73yiH0
参謀「……戦士の討伐から約半年」

参謀「勇者の行方は以前つかめぬままか……」

側近「腐っても勇者、といったところでしょう」

側近「戦士は単純でしたが、勇者は強かさを持っています……」

参謀「……魔法使いを餌に戦士が釣れたように、僧侶を使えれば良かったんだがな」

参謀「まさか……あの女……自害するとは……」


19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:53:21.44 ID:Di/73yiH0
側近「……あそこで自害出来る……流石は勇者のパーティですね」

参謀「何を言っている。感心などするな」

参謀「我が国の繁栄には邪魔だった。それだけで、排除すべき対象なんだ」

側近「はっ…!」

参謀「とにかく……早く勇者を探し出せ」

参謀「やつは今に、この国に牙をむいてくるぞ」

勇者「よくわかってんじゃねーか」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:56:40.24 ID:Di/73yiH0
参謀「!?」

側近「な、なんだ!?」

勇者「遅い」ズバズバッ

参謀「ぐっあああ!?」ブシュゥッ

側近「参謀様!!」

勇者「おめーも寝とけ」ザグッ

側近「ぎゃああ!!!」ブシュッ

参謀「だ、だれだ……ッ貴様……ッ!?」

勇者「……この身なりじゃわかんねーか」

勇者「おめーらの探してた勇者だよ」


22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/13(土) 23:59:37.15 ID:Di/73yiH0
参謀「ゆ、勇者だと……!?」

参謀「ふぅ…ッ!な、んでここに……!?」

勇者「心当たりないわけねぇだろ」

勇者「うちの王様から全部聞いたよ」

勇者「おそらく明日の紙面は大騒ぎだろうな」

勇者「各国のトップがいきなり死ぬんだ」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:04:39.28 ID:0+Qg62UX0
参謀「ま、まさか……真相をッ…嗅ぎつけたのか!?」

勇者「もうどうでもいいんだよ」

勇者「てめぇらの手前勝手な争いなんて」

勇者「うんざりだ……」

勇者「全部ぶっ壊してやる」


24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:08:16.52 ID:0+Qg62UX0
勇者「俺らを追放した国家も、迫害してきた国民も、全部ぶっ殺してやる」

勇者「まずは……てめえらだ」

参謀「ま、まて!私たちを殺せばくには

ザグンッッ!


勇者「まてまてうるせえよ……」

勇者「……あぁ……良かった……」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:11:31.29 ID:0+Qg62UX0
勇者「こいつらを殺して……満足しちゃうかなって……思ったけど……全然だ」

勇者「全然足りてない」

勇者「まだまだ……殺せるよ」

勇者「待っててくれ僧侶……」

勇者「隣国も、俺らの国も、俺らを死に追いやったやつら全員ちゃんと殺すから」

勇者「天国まで積み上がったら、そっちに渡るよ……」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:14:08.30 ID:0+Qg62UX0
勇者「こいつらを殺したら……満足しちゃうかなって……思ったけど……」

勇者「全然足りてない……」

勇者「この憎しみが薄れなくて良かった……」

勇者「待っててくれ……僧侶……」

勇者「隣国も…俺らの国も…俺らを死に追いやったやつら全員ちゃんと殺すから」

勇者「天国まで積み上がったら……俺もそっちに渡るよ」


27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:14:50.93 ID:0+Qg62UX0
ミステイク!

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:17:47.17 ID:0+Qg62UX0

それから、勇者は隣国と自国を滅ぼした。

たった一人で約370万人を殺し、その強さは魔王を倒したときとは比べものにならない。


魔王をはるかに超える力。


もはや人類に勇者を止める手立てはない。


30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:20:51.93 ID:0+Qg62UX0
勇者「……」

勇者「…………」

勇者「あれ……」

勇者「思ってた……」

勇者「満足感がこない……」

勇者「もう、人もいない」

勇者「なんでだろう」

勇者「誰を殺せば満足できるんだろう」

勇者「はら……減ったな……」

ドサッ

勇者「……」

勇者「もう……いっか……」

勇者「飽きたし……」



31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:28:22.78 ID:0+Qg62UX0

勇者「……僧侶……」

勇者「もう一度……笑ってくれ」


焦土と化した自国の王宮のテラス。

そこで勇者は静かに目を閉じた。


魔界、人間界、その2つを滅ぼした勇者。

ある国で語り継がれていく物語に、勇者は勇者としてではなく、魔王として描かれていった。


32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/14(日) 00:29:46.34 ID:0+Qg62UX0
終わります。

本当に思いつきでした。

オチもなんもなくてすみません。


引用元: 勇者「……だから言ったんだよ」