海未「紙芝居屋さんです」 前編

483: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/22(木) 23:57:31.76 ID:dMn/SPpW
昔の古傷に触れた理事長に苛立ち

自身が持つ最大の呪禁術を放った絵里。


しかし、それすらも消し去ってしまった

天界の長である理事長の奥の手


この世に存在する筈のない、八つ目の道具

天界細隙式零号

484: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 00:11:41.00 ID:ICXnTYel
/cVσ_VσV すみません。
     今日はここまでとさせて頂きます
     明日の夜にまた更新しますので
     またお付き合い頂けたなら幸いです

490: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:10:02.02 ID:ICXnTYel
攻勢に出ても、敢えなく打ち滅ぼされ

逃げの姿勢すらも許さない


理事長『……』

絵里「~ッッッ」ガクガクッ


その、理事長の圧倒的な気迫と視線

やはり、天界の長の名は伊達じゃありません。

491: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:14:40.17 ID:ICXnTYel
絵里「……こ、後悔って、なにっ……かしら?」ガチガチ

理事長『……』

絵里(ど、どうしようどうしようっ!!あの怪鳥を一瞬で消した人よ!?きっと私も……っ)

スッ

絵里「!」

理事長『……』

絵里(し、しぬ──ッ!)


理事長「お尻をぺんぺんします」

絵里「…………は?」

492: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:27:24.21 ID:ICXnTYel
理事長「全校生徒の前でぺんぺんしまぁ~す」

絵里「……っ」ホッ

絵里(……そうだった。この人は基本、こう言う人だったわ、)

理事長「上級はねぇ?周りの人の力もい~っぱい使っちゃうからぁ~、もう絶対に使っちゃダメよぉ~?」

絵里「ふ、ふん!私だって、本当なら関係ない人を巻き込みたくなんかないわよ!」

理事長「うふふ~♪なら良いのよ~」

493: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:28:52.11 ID:ICXnTYel
絵里(……それにしても、)

絵里(どうしよう。逃げ出すこともできない、反撃してもまた笑わされるだけ、)

理事長「~♪」

絵里(こんな膠着状況じゃなければ、有効打もあるのだけれど……)

理事長「さぁ~、大人しくしましょ~ねぇ~」

絵里「うぅっ」

理事長「先ずは新しい制服を用意してぇ~、それから光輪も作って貰ってぇ~」

494: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:32:25.71 ID:ICXnTYel
理事長「羽も専用の漂白剤で真っ白にしてぇ~、それかr」

バタンッ!

「理事長先生っ!!」

理事長「!」

絵里「!?」

穂乃果「さっき凄い音したけど大丈夫!?」

理事長「あら~」

絵里「──ッ!」


絵里「あっ!理事長の足元にゴ○ブ○!!」

495: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:33:41.11 ID:ICXnTYel
理事長「!!?!?」

穂乃果「あ!このひt──」


「きゃぁああああぁああぁああああぁああああああああっっっ!!!!!!!!」


理事長「いやいやいやぁあああああっ!!!!!」

穂乃果「──ッ!?──ッ!!?」

絵里「!」バッ

英玲奈「なんだなんだ!!?」ガチャンッ

こころ「なんの騒ぎですか!?」タタッ

496: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:35:13.72 ID:ICXnTYel
ババッ!

絵里『ひ、飛翔せよ!五国六界の彼方へ、汝の名は留まりしの対極!』ベラベラッ

絵里『呪禁術・懐郷翔転移っ!』キィイインッ

ヒュンッ

絵里「ぶへぇ!?」バチュン!

理事長「むぅ~っ!」

絵里「えっ!?な、なに!?」


理事長「絵里ちゃんきらいっ!反省っ!」

絵里「……ぇ」シュンシュン


「ぇええぇえええええええっ!!?!?」

497: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:37:21.84 ID:ICXnTYel
──キュインッ。


理事長「~っ」プンスカ!

穂乃果「???」

こころ「は?あの人だれ???」

英玲奈「……」

英玲奈「今度は絵里、か。再集結の日も近いかな」フッ


不動の理事長を怒らせてしまった

見習い魔女の絵里。

498: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/23(金) 23:48:05.45 ID:ICXnTYel
しかして、その手には天界魅了式伍号

そして顔面には生クリームパイ


ポンッ

ことり「あ」

絵里「ハァッ、ハァッ…ハァ……ッ」ベトォ..

ことり「お、おかえり」

絵里「~ッッッ」

ことり「なんで、クリーム塗れなの?」

絵里「……貴方の母親に投げつけられたからよぉっ!!」

499: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:00:55.25 ID:CaTpe1d2
ことり「ど、どうして??」

絵里「知らないわよっ!!」

ことり「お母さん、よっぽど怒らないと人にパイなんか投げつけたりしないのに、」

絵里「~っ」

ことり「大丈夫?」フキフキ

絵里「……これ、」

ことり「あ、私の!」

ことり「もしかして、コレを取ってきてくれたの?」

500: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:02:04.83 ID:CaTpe1d2
絵里「……」

絵里「それさえあれば、下界でもどうにかやって行けるでしょ」

ことり「……」

絵里「……じゃ、私お家帰るから」

ことり「え」

ヒュンッ


ことり「……」


ことり「……ありがとう。」

501: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:03:06.79 ID:CaTpe1d2
再び、トサカをその頭上に取り戻した彼女

その足で、人通りの多い場所を歩き回りました。


ことり「……」トボトボ


……すると、


ことり「!」


「なんて美しい……」

「見て、あのトサカ。」

「あぁ、もふもふしたい……」

502: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:05:24.88 ID:CaTpe1d2
彼女の前には、
TDLよろしく長蛇の列が出来上がっていたのです


ことり「……」


ことり「♪」



そして、散々理事長に追い詰められ

矢も盾も堪らず、住処へと帰ってきた

ポンコツ生クリーム堕天使。

503: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:07:37.54 ID:CaTpe1d2
「ただいまぁ」

あんじゅ「あら、おかえり」

絵里「ハァ……」

あんじゅ「顔のソレ、なに?」

絵里「生クリームぅ……」

あんじゅ「……」

あんじゅ「ねぇ、トサカは?」

絵里「え?」

あんじゅ「頼んだでしょ?天界から例のトサカ持ってきてって」

絵里「……ぁ、」

504: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:08:37.03 ID:CaTpe1d2
あんじゅ「……」スッ

絵里「ちょっ!?」

『来たれ。赤熱の業魔を宿し、灰塵へと帰す焔の萌芽よ』ズボォッ!!!

絵里「待って待──ッ」

あんじゅ『呪禁術・混沌ノ若木(オサナギ)』ボゥッ

ズボォオオアアアアアッッッ!!!!!!!

絵里「みんなぁあああああっっ!!!!」

ゴトンッ

絵里「あぁあぁぁぁ……ぱ、ぱぴ○す……さ○ずぅ……っ!」

505: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:10:03.22 ID:CaTpe1d2
「──ねぇ、」

あんじゅ「スーパーポンコツとウルトラポンコツ、どっちで呼ばれたぁい?」

絵里「うぅぅぅ……ウルトラで……」



こうして、晴れてウルトラの名を冠した

この、ウルトラポンコツ生クリーム堕天使。



一方、下界では

世紀のスーパーアイドルが誕生していました。

506: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:12:09.25 ID:CaTpe1d2
ことり「みんな~!ミナリンスキーだよ~!」

『イェーーーーーッッッ!!!!!』

にこママ「わぉーーーんっっ!!!」

にこ「ミナリーーーン!!!」

真姫「聞いて聞いてっ!!あの子の曲私が作ったのよっ!!?凄いっ!!?凄いでしょ!!?」

ここあ「こっち向いてーっ!!」

虎太郎「とさか~」

花陽「きゃあーーーミナリーーンッ!!!!」

507: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:13:25.38 ID:CaTpe1d2
天界魅了式伍号の力は凄まじく

出会う人全てを、その虜にしてしまった

トサカの天使・ことり。


「ミ・ナ・リンッ!!ミ・ナ・リンッ!!ミ・ナ・リンッ!!ミ・ナ・リンッ!!」

ことり「みんな~♪ありがと~♪」

花陽「ミナリンちゃん!!私っ、全力で応援しますからっ!!サイリウムで竹が切れるくらい素振りするからっ!!」

ことり「うん♪わたしも全力で応えるからね~♪」

508: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:14:28.82 ID:CaTpe1d2
にこ「ミナリン様っ!!!コレから私、ミナリン親衛隊を結成しますっ!!」

ことり「わぁ~♪凄いです~♪」

にこ「ニコッスッ!!!」ビシッ

真姫「ミナリン!曲が欲しい時は何時でも言って!夜なべしてでも作るからっ!!」

ことり「真姫ちゃんありがとうねぇ~♪今日の曲も凄く良かったよ~♪」

真姫「~っ///」ゾクゾクッ

真姫「──うっ!」バタンッ

509: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:18:46.84 ID:CaTpe1d2
ここあ「ミナリン大好きだよーっ!」ギュッ

ことり「私もだよ~♡」モギュッ

にこママ「ミナリン!天界の娘の為にサインちょうだい!」

ことり「わぁ!私も天界出身なんですよ~♪」

にこママ「うっし!自慢出来るわっ!」

ことり「えへへ~♪」


ことり「なぁ~んだ。下界でも楽しく暮らして行けそうだね♪」

510: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:19:45.30 ID:CaTpe1d2
この、夢のパレードを率いるのは

ミナリンスキーこと、トサカ天使のことり


こうして彼女は、魅惑のトサカと共に

下界のアイドルとして、


人々を笑顔にして行くでしょう。

511: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:21:59.68 ID:CaTpe1d2
───


海未「……おしまい。」

海未「如何でしたか?」


千歌「り、理事長さん怖いね……」

鞠莉「ファンタジアでぇーす!」

善子「ポンコツ過ぎて説教してやりたい……っ!」

梨子「あ、あの、」

海未「はい?」

512: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:22:59.44 ID:CaTpe1d2
梨子「……壁は?」

海未「……」

海未「あ!」

梨子「……うぅっ」

海未「ご、ごめんなさい!次は壁も百合もてんこ盛りですから!」

梨子「……はいぃ、信じるぅ」シクシク

海未「お、お~よしよし。」ナデナデ

「──コホンッ」

513: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:26:14.65 ID:CaTpe1d2
海未「!」

ダイヤ「……」

海未「うっ、すみません。あまりアイドルらしい物を表現出来ず……」

ダイヤ「……確かに、私が考えていたアイドルとは少し違いました」

海未「~っ」

ダイヤ「どちらかと言うと、ポンコツ堕天使がメインの様なお話でしたが」

ダイヤ「まぁ、可愛らしかったので良しとしますわ」

海未「は、はい!ありがとうございます。」

514: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:33:58.18 ID:CaTpe1d2
ダイヤ「ですが!次こそは歌って踊れるアイドルを描いて下さいまし!」

海未「うっ……しょ、精進しますっ。」

善子「なによ!堕天使の技カッコ良かったじゃない!」

ダイヤ「ですから!アレではアイドル要素が心ばかり程しか無いんですの!」

善子「……愚か者め。食らいなさい!【混沌ノ大樹】」バッ

海未「み、皆さん。ケンカは駄目ですよ?」

「グガッ」

515: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:35:33.64 ID:CaTpe1d2
海未「!」

「……Zzz。」

海未「?」

千歌「お?」

鞠莉「what's?」

梨子「あ、あの子寝てますね。」

善子「慄け。常闇に惑いし者。蛮勇を覆うは夜の帳……」ブツブツ

ダイヤ「アレだけ騒いでたのに、よく寝ていられますわね」

「zz……zzZ」

516: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:36:39.00 ID:CaTpe1d2
ダイヤ「もしもーし、終わりましたわよー?」

鞠莉「hey! wake up!!」

「~zzZ」

海未「あ、あの」トントン

「ふがっ、……なに?」

海未「あはは、気持ち良さそうに寝ているところ、申し訳ありません」

海未「やはり、お話は退屈でしたか?」

「ん、あぁ、ごめんごめん。」


果南「海のお話じゃないから、途中から寝ちゃってたよ」

517: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:38:25.28 ID:CaTpe1d2
海未「……」

海未「……あ、”海”の方ですか。」

果南「?」

海未「次はなんとか、海要素も入れてみせます」

果南「うん。楽しみにしてるよ」

千歌「おまんじゅうは食べた?」

果南「んーん。私、途中から来たからさ」

梨子(え……じゃあ、来て直ぐに寝たってこと?)

518: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:39:28.30 ID:CaTpe1d2
善子「アンタ、よく寝てられたわね」

果南「あはは、私けっこう何処でも寝れるんだよねぇ」

ダイヤ「まったく。紙芝居屋さんに失礼ですわよ?」

鞠莉「そうデェース!リスペクトが足りまセェーン!」

果南「ごめんよ。次はちゃんと観るからさ」

海未「いえ、退屈させてしまったのは私の責任ですから」

海未「次回は必ず、アナタにも楽しく観て頂ける様、努力して参ります。」

519: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:44:13.76 ID:CaTpe1d2
………………
………



海未「──とは言ったものの、」

海未「段々と、訳が分からなくなってきました」

海未「ファンタジーで百合。若しくは壁と堕天使とアイドルが出て来て」

海未「その上、今度は海要素……ですか。」

海未「……」

海未「天界出身で元左官屋の堕天使が、海女さんに転職して海で素潜りの毎日、」

海未「……駄目ですね、何も面白くありません。」

520: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/24(土) 00:45:29.19 ID:CaTpe1d2
海未「と言うか、今の設定で走り出した以上、この天界由来のお話から脱線するのは、明らかに無謀と言うもの」

海未「しかし、今のところ海が出てくる要素が何一つありません。」

海未「雲を海に見立てて?……いや、無理がありますね」

海未「下界は……お医者コンビが実は釣りが趣味。……地味です。」

海未「う~ん」

海未「……」


海未「……かくなる上は、」

528: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 21:54:05.25 ID:JeeNIyHo
【6日目】

~薔薇と謎のオブジェとステージがあって海の見える広い公園~

529: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 21:55:13.11 ID:JeeNIyHo
海未「皆さん、こんにちは」


千歌「こんちかー!」

鞠莉「ヘロー!」

梨子「こんにちわ」

善子「闇の晩餐会へようこそ。」

ダイヤ「お待ちしておりましたわ」

果南「やぁ、待ってたよ。」

海未「ありがとうございます。それでは、今日も楽しく紙芝居を始めますね」

530: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:14:59.44 ID:JeeNIyHo
善子「今日は寝るんじゃないわよ?」

果南「分かってるって、昨日はバッチリ寝たから大丈夫。」

千歌「でもさぁ?どれだけ寝ても授業中って眠くならない?」

果南「あはは、面白いお話なら別だよ」

ダイヤ「そうですわね。要は好奇心が湧くか否か、ですわ」

果南「そうだね。それに、今日は海要素もあるみたいだし、ね?」

海未「はい。ご心配には及びませんよ」

531: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:16:16.11 ID:JeeNIyHo
海未「と、その前に……」ゴソゴソ

海未「先ずは、皆さんにコレをお配りします」

千歌「お~!おまんじゅう~♪」

鞠莉「oh!sweet heart♪」

梨子「ありがとうございます」

善子「白のベールに包まれた漆黒の坩堝……正に、堕落を象徴する聖餅ね。」

ダイヤ「……しまった。お茶を買って来るんでしたわ」

果南「いいねぇ、雰囲気出てるよ」

532: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:17:31.27 ID:JeeNIyHo
海未「そして、今日はコチラも一緒に差し上げますね」パカッ

千歌「んんっ!酸っぱい!」

鞠莉「スカッシュ!」

梨子「このチョイスはなんなの?」

善子「禍々しきクリムゾン!」

ダイヤ「梅干しとは。やはり、緑茶が欲しいですわね」

果南「うっ……」

533: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:18:12.20 ID:JeeNIyHo
海未「皆さん、行き渡りましたか?」

『はーいっ!!』

海未「あ、緑茶が欲しい方はポットに入れて来ましたので、お好きな様にコップに注いで下さいね?」

ダイヤ「す、素晴らしいですわ!」

千歌「お茶ー!」

鞠莉「マリーも貰うわ!」

海未「……よいしょっと、」

海未「それでは、お話を始めます。」

パチパチパチパチッ

534: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:19:16.61 ID:JeeNIyHo
【フラワー・イン・ザ・シー】

535: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:25:48.27 ID:JeeNIyHo
むか~しむかしの、それまたむかし。

ある村に、一人の少女が住んでいました


「はわわわ……ふぎゅん!」ステンッ


花陽「いてて……こ、こんにちわ。」


至って普通の、この女の子


しかし彼女には、
一人の変わったお友達がいます

536: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:26:59.71 ID:JeeNIyHo
花陽「今日は居るかなぁ」

花陽「──オーイ!凛ちゃーん!」


ザッパ~ンッ!


凛「呼んだかにゃ?」


彼女は人魚の凛ちゃん

この二人は幼い頃から、
近くの浜辺で良く遊んでいました。

537: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:28:42.18 ID:JeeNIyHo
凛「ねぇねぇかよちーん、今日は何して遊ぶ?」

花陽「そうだねぇ。……お花摘み、とか?」

凛「えぇ~っ、それつまんないよぉ」

花陽「う、う~ん」

凛「そうだ!海の中で渦巻き作ろっか?」

花陽「うっ、そ、それやって溺れそうになったんだよぉ?」

538: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:29:19.91 ID:JeeNIyHo
凛「あー。海水飲み過ぎて、かよちんのお腹パンパンになってたねぇ」

花陽「うぅっ///」

凛「あっ、隣の島まで泳いで競争する?」

花陽「し、死んじゃうよぉ~っ」

凛「息継ぎすれば大丈夫だにゃ!」

花陽「隣の島だよ?多分、歩いても2日くらい掛かっちゃうよぉ。」

539: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:30:23.06 ID:JeeNIyHo
凛「……んん、水面ジャンプは?」

花陽「で、出来ないっ」

凛「じゃあ、潜水ごっことかは?」

花陽「は、花陽、そんなに潜ってられないよぉ」

凛「大丈夫!凛が足引っ張っててあげるからさ!」

花陽「うぅ、そう言う海の妖怪の話、聞いたことあるよぉ……」

凛「?」

540: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:36:05.25 ID:JeeNIyHo
本人にそんな気はまるでないのですが、

何がなんでも、彼女を海中に引き摺り込もうとする
人魚の凛ちゃん。


凛「分かった!それじゃあ、浅瀬でキラキラする石探そうよ!」

花陽「!」

花陽「うんうん!それいいね!」

凛「よぉ~し。大っきくて綺麗な石を見つけた方が勝ちね!」

花陽「し、勝負なの?」

凛「よーい、どん!」ジャバッ

花陽「あ、待ってー!」ザッ

541: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:38:42.41 ID:JeeNIyHo
こんな感じで、
浜辺を遊びまわる普通の女の子と人魚の子は

今日も日が暮れるまで、海を満喫します。



「……」


そしてこちらは、お空の上の暮らしの住まい
天の国、天界。

その一角にある巨大な図書館

天界大書庫

542: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:39:49.51 ID:JeeNIyHo
「……っ」


「ひっくしゅん!」


「……はあぁぁぁ、」





ツバサ「風邪引いちゃった」グイッ



……の、トイレです。

543: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:53:56.30 ID:JeeNIyHo
ザバアァァァァ……


ツバサ「……ハァ、薬まだ有ったっけ?」

ツバサ「……」ゴソゴソ

ツバサ「無いじゃん。コレたぶん、家にも無いパターンね」

ツバサ「なぁんで、試験期間中に限ってこう言う事になるかなぁ」

ツバサ「あ、そうだ。英玲奈に貰……える筈ないな、うん。絶対持ってないもん」

544: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 22:55:06.81 ID:JeeNIyHo
ツバサ「……仕方ない。買いに行くかぁ」

ツバサ「生徒たちの試験まで、あと1時間くらいしかないけど、」

ツバサ「サッと行ってパッと戻ってくれば大丈夫でしょ」

ツバサ「……」スッ

ツバサ『Забота о детях. играть. под. Нишикино Критическое』


ツバサ『聖天術・ひくいひくい』ヒュン

545: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:00:02.68 ID:JeeNIyHo
<アリガトウゴザイマシタ~


真姫「はーい」

にこ「お大事にこ~☆」

バタンッ

にこ「──ふぅ。」

真姫「さて、それじゃあ次の患者さn」

ギュムッ

真姫「ぐぇっ!!」

にこ「うはっ!?」

ツバサ「やぁ。」

546: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:02:36.70 ID:JeeNIyHo
真姫「~ッッッ」ヨロッ

にこ「ッ」ググッ

ツバサ「ねぇねぇ。私さ、また風邪引いちゃったんだけどさ」

ツバサ「今日は時間も無いし、診察はいいから薬だけちょうだい?」

真姫「……」

ツバサ「てゆーかさぁ、最近本気で忙しくってさぁ、真姫ちゃんから借りた本まだ読めてないんだよねぇ」

にこ「……」

547: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:03:50.97 ID:JeeNIyHo
ツバサ「あ、そう言えばにこちゃんお手製のキャンディー。アレ美味しかったよ!ザクロ味のヤツもっと欲しいな」

真姫「……」

ツバサ「てか聞いてよ~。この前天界に魔女が来てさぁ~、私の同級生なんだけど」

にこ「……」

ツバサ「その子に、おデコ出し過ぎとか伝言で言われたのよ~?助けてあげたのに信じらんないよねぇ」

真姫「……」

にこ「……」

ツバサ「聞いてる?」

548: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:08:16.21 ID:JeeNIyHo
ピシィッ!


真姫「冷たい火傷を教えてあげるわっ!!っ!!!」ビシッ

ツバサ「!!?」

にこ「うらぁあああたたたたたっ!!!!」シュバババッ

ツバサ「うわっ!?うわぁああああああっっっ!!!!」ガチャッ

バンッ!

ツバサ「ぐへえぇぇっ!!?」ドザッ

549: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:10:09.01 ID:JeeNIyHo
真姫「診療は順番通りに行いますっ!!!あと!処方箋が無ければ薬をお渡しする事は出来ませんっ!!!」バッ

にこ「おとといきやがれっ!!!」xxxx

ツバサ「ひいぃぃぃぃぃ……っ!」

「フンッ!」バタンッ

ツバサ「~ッッッ」

ツバサ「……な、なによもぅ!ちょっとくらい良いじゃん!」

ツバサ「あの二人、きっとSMxxxばっかしてるからあんなに頭固いのね。絶対そう。」

「あ、あのぅ、」

550: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:32:37.35 ID:JeeNIyHo
ツバサ「え?」

花陽「だ、大丈夫ですか?」

凛「にゃん♪」

ツバサ「あ、うんうん!大丈夫大丈夫。」

花陽「でも、さっきあんなに思いっきり転んでたから……」

ツバサ「あんなの、鞭とメスでやられるのに比べたら全然大したことないって!」

花陽「む、鞭とメスっ!!?」

凛「あー、あの二人持ってたねぇ。」

551: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/26(月) 23:33:28.58 ID:JeeNIyHo
ツバサ「ねぇ!ホント信じられんないよね!?医者が持っていい物じゃないよね!」

凛「まぁ、あの二人は別物だし」

ツバサ「風邪だって言ってるのに、なぁんで受診料まで払わなきゃなんないのさ!?」

<聴こえてるわよっ!!!

ツバサ「ひぃっ!!?」

凛「にゃっははは!」ケラケラ

花陽「も、もうちょっと静かに……ね?」

ツバサ「……はあぁぁぁ、」

557: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:20:35.87 ID:wxVI4j6K
凛「お姉さん風邪なの?」

ツバサ「そうなのよぉ。忙しい時に限ってこうなるんだもん、ホント嫌になるよ」

花陽「た、大変ですね。」

ツバサ「ねぇ~。……ところで、貴方たちはどうしたの?」

花陽「あ、はい。今日は私の診察で来たんです」

凛「凛は付き添い!」

ツバサ「ふぅ~ん。なんでまた?」

558: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:21:33.50 ID:wxVI4j6K
花陽「じ、実は海岸で足の裏を切っちゃって……それで、」

ツバサ「ひえぇぇ……っ。そ、ソレ超痛いやつじゃん!……大丈夫?」サスサス

花陽「は、はいっ///凛ちゃんが直ぐに手当てしてくれたので……」

凛「しました!」

花陽「えへへ。実は、彼女がここまで負ぶって来てくれたんです」

凛「そうなんです!」

ツバサ「うふふ、仲良いのねぇ。」クスッ

ツバサ「──ッ!」

559: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:26:17.31 ID:wxVI4j6K
ツバサ「……貴方、」

凛「へ?」

ツバサ「人、じゃないわよね?」

花陽「!」

凛「おー!変身してるのになんで分かったの!?」

ツバサ「ふふん。ちょっとね~、私も少し違うからからなぁ?」

花陽「お、お姉さんも、ですか?」

ツバサ「そうそう!実はわたs──」ムズッ

560: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:27:23.49 ID:wxVI4j6K
花陽「?」

ツバサ「……ハ……はぇ、」

凛「蝿?」

ツバサ「はっ……ハッ……ッ!」


ツバサ「ハァーックショイッ!!!」ビャッ

花陽「!?」

凛「うわっ!?」

561: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:29:08.96 ID:wxVI4j6K
ザワッ

花陽「──ッ!」

ツバサ「ハアァァァ……鼻ムズムズするぅ……」

花陽(いっ、今、なんか……)

ツバサ「あ、ごめんねぇ。わたし鼻風邪みたいでさぁ」

花陽「へ?う、ううん!私は大丈夫。」

凛「もう!クシャミと咳は手を当てて。だよ?」

ツバサ「ごめんごめん。間に合わなくてさぁ」

562: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:30:39.33 ID:wxVI4j6K
ガチャ

にこ「花陽~、アンタの番よぉ。」

花陽「あ、う、うん!」

凛「凛も行くー!」

にこ「あーハイハイ。大人しくしてるのよ?」

花陽「ごめんなさい。それじゃあお先に失礼します」

ツバサ「ええ。お大事にね?」

花陽「はい、ありがとうございます。」

凛「行ってきまーす!」

ガチャ……バタンッ

563: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:31:54.83 ID:wxVI4j6K
ツバサ「…………アレ?」

ツバサ「なんか、スッキリした気がする」

ダンシ~ン♪ダンシン♪

ツバサ「!」

pi!

ツバサ「はいほー」

「お前!今どこにいる!?」

ツバサ「えー?病院~」

「もう試験始まってるんだぞ!?」

ツバサ「……」


ツバサ「あっ」

564: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:34:46.12 ID:wxVI4j6K
試験のことなど全く頭に無いまま
のんきに順番待ちをしていた

この、おとぼけ監督

診察そっちのけで聖文を唱え、
韋駄天の如く、試験会場へと舞い戻りましたが

565: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:36:37.69 ID:wxVI4j6K
ガラガラッ

ツバサ「お、遅くなりましたぁ!!」バタンッ


フミコ「……」

ツバサ「……アレ?なんでふーみんがいるの?誰か漆号使ったの?」

フミコ「……」

ツバサ「ねぇねぇ」

フミコ「……いつまで経っても来ない試験官の代わりに、英玲奈さんから呼び出されました。」

ツバサ「!?」

566: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:38:47.19 ID:wxVI4j6K
フミコ「ツバサさんが帰って来たら、即刻、理事長室に来い。との伝言も託かっています。」

ツバサ「うぎっ!?」

フミコ「……」

ツバサ「ふ、ふみちゃん?ごめんね?お願いだから、そんなに怒んないで?」

フミコ「……私、天下の七つ道具の一部なんです。結構貴重な存在なんです」

ツバサ「だ、だよねぇ~。凄いよねぇ~」

フミコ「なのに、最近は子守とか迷子探しとか……挙げ句の果てには、トイレの紙がないからって買いに行かされたり……っ」

567: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:43:14.45 ID:wxVI4j6K
フミコ「終いには、こんなアンポンタンの代わりなんてやらされて……っ」

ツバサ(あ、アンポンタン……)

フミコ「うぅっ……私ってぇ、価値の無い存在なんでしょうかぁ……っ」グスッ

ツバサ「そっ、そんな事ないわ!!貴方たちがどれだけ貴重な存在なのk──」

「あー!監督がふーみんの事泣かせたー!」

ツバサ「!?」

穂乃果「いじめちゃだめなんだよー!」

こころ「穂乃果さん!試験中ですから!」

568: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:44:45.24 ID:wxVI4j6K
<そうだそうだー!

<ふみちゃん大好きー!

<漆号の中で一番可愛い!

穂乃果「だよねー!?」

こころ「あぁもぅ……触発されちゃって……」

フミコ「……」

ツバサ「ほ、ほら。みんなふーみんが大好きだってさ?」

フミコ「……」

フミコ「……今日は許します。」

569: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:46:37.19 ID:wxVI4j6K
ツバサ「……っ」ホッ

フミコ「──その代わり、」

ツバサ「!」

フミコ「後で、コットン・ケーキ奢って下さいね?」

穂乃果「穂乃果も!」

こころ「あ、私もお願いします。」

ツバサ「え"っ」

ピンポンパンポ-ン♪


<わたしもおねがぁ~い♪

ツバサ「ハァ!?」

570: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/27(火) 22:47:53.10 ID:wxVI4j6K
使役する筈の天界道具から愚痴を溢され

ケーキまで奢らされる羽目になった監督


どうやら風邪の方は治った様ですが、

コレが思わぬ事態をもたらす事になろうとは


未だ露ほども知らない、このおでこ天使。

577: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/29(木) 23:08:46.25 ID:soG3Yqu/
花陽「……ケホンッ、」


花陽「……っ」ズズッ


そして、何やら様子のおかしい

村娘のかよちん。


花陽「──っ、」


花陽(……声が出ない。)ケホッ


どうやら、風邪を引いてしまった様です。

578: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/29(木) 23:22:24.27 ID:soG3Yqu/
花陽(はぁ。またお医者さんに行かなくちゃならないんだ……)

花陽「……」イソイソ

ガチャ

花陽「……」


「あら、花陽ちゃんじゃない」


花陽「!?」


にこママ「おはよう。今日も良い天気ね」

虎太郎「おはな~」

579: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/29(木) 23:36:44.63 ID:soG3Yqu/
花陽「──ッ」ケホッケホッ

にこママ「あら?どうしたの?なんだか顔が赤いけど」

虎太郎「かぜ~」

花陽「……」

にこママ「あ、風邪ひいたの?ならちょうど良いものがあるわよ。」

花陽「!」

にこママ「ほら、城下町特性の暖かホッカイロ!」パッ

花陽「……」

580: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/29(木) 23:37:30.45 ID:soG3Yqu/
にこママ「コレさえあれば、たとえ猛吹雪の中でも耐えらr」ホカホカ

花陽「──ッ」グッ


花陽『寒々しき枯れ地。永久に咲く沈丁花(ジンチョウゲ)』(コレで寒い日も大丈夫ですね。)


キンッ!!!

にこママ「ちゃうのよ……ね……?」

花陽「!!?!?」

虎太郎「あ~、」

581: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/29(木) 23:50:02.39 ID:soG3Yqu/
カチカチッカチンッ!

にこママ「……」ヒエヒエ

花陽「ッッッ」

虎太郎「こおった~」

にこママ「……そう、ね。耐えられなかったわね……」ヒエヒエ

花陽「~っ」

にこママ「…………返品してくる。」

虎太郎「こだいこうこく~」

トボトボ……

花陽「っ」

582: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:04:11.53 ID:WxjcBKgJ
何処ぞのどなたかに移された風邪

それにより、調子を崩した村娘のかよちん


花陽「……っ!」ケションッ!


しかし、彼女の体に起きた異変は

風邪の諸症状ばかりではなく


花陽「……」

583: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:19:35.96 ID:WxjcBKgJ
つまり、痛めたのどで無理やり喋ろうとすると


花陽「~っ」スゥッ


花陽『……静けさは水琴の調べを熾(オコ)す。』(お水飲みたいな)

ザバァッ!!!

花陽「……」ビショビショ



出てくる言葉の全てが、

何故か、呪文に変わってしまいます。

584: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:29:41.80 ID:WxjcBKgJ
【西木野クリ ̶テ̶ィ̶カ̶ル̶ニック】


コンコンコンッ


花陽「……」


<もう、こんなクソ早い朝にどこのバカよ。

「はーい。」

ガチャ

真姫「……あら?花陽じゃない。」

花陽「……」

585: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:34:11.65 ID:WxjcBKgJ
真姫「どうしたの?まさか、まだ足が痛む?」

花陽「……っ」

真姫「?」

花陽「!」

バッ

真姫「は?」

花陽「~っ」ガリガリ

真姫「……なんで、突然地面にお絵かきしてるのよ?」

586: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:35:15.11 ID:WxjcBKgJ
花陽「~っ」

真姫「……」

真姫「──ッ!」

[風邪ひいちゃった。あと、しゃべる言葉が変になっちゃった]

花陽「っ」

真姫「……取り敢えず、中に入りなさい。」

花陽「!」


咄嗟の機転を利かせ、
何とか、お医者に現状を伝えたかよちん。

果たして、お医者のマッキーは
かよちんを治すことが出来るのでしょうか。

587: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:36:06.06 ID:WxjcBKgJ
「──さて、」


真姫「それじゃあ、先ずは問診をしましょうか。」

にこ「ふあ~ぁ。」

花陽「……っ」

真姫「あ、答える時はそこの紙に書いてちょうだい。ゆっくりでいいからね?」

花陽「……」コクッ

真姫「それで、さっき貴方は喋る言葉が変になったって言ってた……もとい、書いてたけれど」

真姫「アレって、どう言うこと?」

588: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:51:12.34 ID:WxjcBKgJ
花陽「……」カキカキ

[なんかね、無理やり喋るとポエムみたいになっちゃう]

真姫「ポエム?」

にこ「……zz」

花陽「……」

[よく分かんない。その後、なんだか変な事が起きるの]

真姫「……分からないわ。試しに喋ってみてくれないかしら?」

花陽「!」

[だめ!危ないよ!」

真姫「大丈夫。私は街一番の医者よ?何が起こったって対応してみせるわ。」

589: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:52:29.60 ID:WxjcBKgJ
花陽「……」

にこ「zzZ」

[わかった。でも、ホントに気を付けてね?]

真姫「任せなさい。直ぐに原因も突き止めてあげるから」

花陽「っ」

[ありがとう。それじゃあ行くよ?]

真姫「オーケー。」

花陽「──っ」スゥッ


花陽『軋み始める胎動。拡がる奈落への溝帯』

真姫「!?」

590: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:56:23.63 ID:WxjcBKgJ
……ズズズズズズズッ!


グラグラグラッ!!!


花陽「!!?」

真姫「ッッッ」

にこ「!」

にこ「なっ、なに!?地震!!?」

グラグラグラグラグラ…………ッ。

花陽「ッッッ」

[ごめんなさい。こうなるのが分かってたのに]

真姫「……」

591: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 00:57:53.47 ID:WxjcBKgJ
にこ「鍋被りなさい鍋!あと机の下よ!」

真姫「……」


真姫「"天界病"だわ。」

花陽「!」


にこ「早く隠れなさいっ!!なにやってんの!?はやk」

真姫「オコトワリシマスッ!!」ピシィッ!

にこ「ニコッス!!!」バタンッ

花陽「~っ!」

真姫「……失礼。騒がせたわね」

592: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:12:59.69 ID:WxjcBKgJ
花陽「っ」

[それは大丈夫。それで、天界病って?]

真姫「今から説明するわ。」

真姫「──先ず、天使や堕て……魔女が特別な術を使うのは知ってるわね?」

花陽「っ」コクッ

真姫「内在する力を使って、それらを行使してるワケだけど……」

真姫「その力って、実は誰でも持ってるのよ」

花陽「!」

真姫「それで、天界病ってゆーのは所謂、天使にとっての風邪みたいな物なの。」

594: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:16:20.54 ID:WxjcBKgJ
真姫「特定の環境下で罹る疾患なのだけれど、それは割愛するわ」

花陽「……」

真姫「で、天使がそれに罹った場合は、本当に風邪の症状程度で済むの。」

真姫「ところがどっこい、下界の……つまり、人がコレに罹るとね」

真姫「さっきも話した、内在する力が暴走しちゃうのよ」

花陽「っ」

真姫「原因として、疾患した天使。若しくは魔女との濃厚接触が原因の一つなのだけど」

595: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:22:15.88 ID:WxjcBKgJ
真姫「貴方、心当たりある?」

花陽「!」フルフルッ

真姫「……ふむ。今は原因の究明よりも、起きている症状への対抗策を講じないとね」

花陽「──っ、」

[どうすればいい?]

真姫「……そうね。」

真姫「出来れば、極力喋らない様に。と言いたいのだけれど」

真姫「定期的に発散させないと、思わぬ形で力が発露しちゃう上に、貴方が使ってる呪文の特性自体も問題なのよ」
 
597: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:23:55.60 ID:WxjcBKgJ
花陽「?」

[どういうこと?]

真姫「その呪文ってゆーのはね、本来、周りの生き物の力を使って行使するものなの」

花陽「!?」

真姫「つまり、貴方が呪文を行使するたび、周りの人が倒れて行くわね。」

花陽「~ッッッ」ジワッ

真姫「軽い呪文なら、貴方の力で間に合うのだけど」

真姫「もし曲がり間違って、大呪文の文言なんて唱えた日には、辺り一帯の人が……」

598: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:25:04.50 ID:WxjcBKgJ
花陽「っ……っ、」シクシク

真姫「……」

真姫「コレを、肌身離さず持ってて」

花陽「っ」ゴシゴシ

[コレは?]

真姫「力を貯める為の天界道具。通称"タイリキ君"よ」

真姫「それに私とにこちゃんの分が貯まってるから、勝手に力を行使したとしてもそこから発散されるわ」

花陽「……」

599: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:27:07.22 ID:WxjcBKgJ
真姫「メーターの針が"E"に触れる前に持って来なさい。また貯めるから」

花陽「っ」

[ホントにありがとう。でも、できれば治して欲しいかも]

真姫「……」

真姫「……少しだけ時間をちょうだい。貴方に合わせた薬を作るから」

花陽「……」

[どのくらいかかる?]

真姫「…………丸一年。」

花陽「!!?」

600: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:28:20.36 ID:WxjcBKgJ
真姫「ごめんなさい。私の力では、それ以上は短縮出来ないの」

花陽「……」

真姫「その場しのぎではあるけど、いちおう発露する力を抑制出来る薬があるわ」

真姫「ソレさえ飲んでれば、上級三句……つまり、最悪の事態だけは逃れられる」

花陽「~っ」

真姫「他にも手がないか、調べてみるけど」

真姫「……もしもの時は、」

花陽「ッ」

601: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:36:08.84 ID:WxjcBKgJ
真姫「とにかく、少しだけ時間をちょうだい。何とかしてみせるから」

花陽「……」

[真姫ちゃん、本当にありがとう。]

真姫「そのお礼は、治ってから存分に聞かせて貰うわ」

真姫「──ほら!起きなさい!」パシンッ

にこ「ふご!?」

にこ「な、なに!?地震!!?」

真姫「……」

花陽「……」

602: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:36:35.48 ID:WxjcBKgJ
頼みの綱のお医者にも直ぐ治せない。


オマケに、自身が力を使うたび

周りの人々まで被害を被るとあっては


もはや、一歩たりとも家から出たくない

そう思い始めている、村娘のかよちん。


そんな事とは知らず、

あいも変わらずかよちんを遊びに誘う


人魚の凛ちゃん。

603: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 01:38:10.42 ID:WxjcBKgJ
/cVσ_VσV すみませんが、
     今日はここまでとさせて頂きます
     明日の夜にまた更新しますので、
     またお付き合い頂ければ幸いです。

608: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:42:01.22 ID:WxjcBKgJ
「かーよちーん!」


凛「……」


凛「かーよちーん!」

凛「……留守、かなぁ?」

凛「ん?ドアのお花マークが表になってる。やっぱり居るんだにゃ!」

ガチャ

凛「かーよちん。いるぅ~?」

凛「ねぇ~、かよち~n」

凛「!」



花陽「……」

609: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:50:15.70 ID:WxjcBKgJ
凛「いたぁー!」

凛「かよちん!なんで遊びに来てくれないのー!?」


花陽「……」


凛「……どうしたの?」

花陽「……」

凛「てゆーか、なんで真っ暗にしてるの?そんな部屋のスミにいたら駄目だよ?」

花陽「……」カキカキ


[凛ちゃん。]

610: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:51:55.22 ID:WxjcBKgJ
凛「?」

凛「……どうして喋らないの?のど痛いの?」

花陽「……っ」

凛「あ、分かった!風邪引いちゃったんだね!」

凛「もぉ~。だったら、余計にそんなとこいたらダメなんだよ?」

花陽「……」カキカキ

凛「かよちん。また凛が連れてってあげるから、早くお医者さんn」

バッ

611: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:52:58.38 ID:WxjcBKgJ
凛「へ?」

花陽「……」


[もう、会いに来ちゃ駄目だよ]


凛「…………ぇ、」

花陽「……」

凛「な、なんで?」

花陽「ッ」

凛「どうして?なんでなの?ねぇ!」

花陽「~っ」カキカキ

612: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:55:27.60 ID:WxjcBKgJ
[花陽ね、変な病気になっちゃったの]

[それで、喋ると危ない呪文を使っちゃうの]


凛「!?」

凛「じゅ、呪文っ!!?」

花陽「……」


[呪文自体も危ないし、周りの人の力も使っちゃうから、もうお外には出れないんだ]


凛「~っ」

花陽「……」

613: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:56:50.98 ID:WxjcBKgJ
花陽「──ッ!」

ガクッ

凛「え、え!?どうしたの!?」

花陽「~ッッッ」グッ

凛「苦しいの!?大丈夫!?」

花陽「ッッッ」スゥッ

凛「背中さする?それとm」


花陽『大岩を穿つ垂水。押し寄せる歳月の波涛』

614: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:58:23.19 ID:WxjcBKgJ
ズドンッ!!!!!


凛「うわぁあああああっ!!?」

花陽「……っ!」ハァハァ

凛「なっ……み、水の柱がっ!?」

花陽「~っ」


[分かったでしょ?凄く危ないんだよ]


凛「っ」

花陽「……」カキカキ


[こんなのが一年も続くんだよ?だから、もう花陽のそばに居たらダメなの]

615: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/30(金) 23:59:21.59 ID:WxjcBKgJ
凛「……」

花陽「……っ」


全てを覚悟した、村娘の花陽は

身を切る思いで、親友との決別を宣言しました


花陽「……」


[今までありがとう。凛ちゃんは、どうか幸せになってね]


凛「……」

616: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:00:28.03 ID:uZS0tD8f
今生の別れを切り出され

様々な想いが沸き上がる、人魚の凛。


凛「……っ」

花陽「……」



そうして、最後に彼女の胸に去来したものは



「大丈夫だよ、かよちん。」


花陽「!」


凛「大好きなかよちんは、凛が助けるから」

617: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:02:49.48 ID:uZS0tD8f
花陽「──ッ」バッ


[ダメ。凛ちゃんが怪我しちゃう]

[そんなの絶対に見たくない。だから、ここでお別れしなくちゃいけないの]


凛「……」

花陽「っ」


凛「んーん、そうじゃないんだ。」


花陽「?」

凛「凛ね、いい事思いついたんだよ」

618: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:05:46.38 ID:uZS0tD8f
花陽「……」カキカキ

[いいこと?]

凛「うん。だからね……」


凛「海に行こうよ!」

花陽「???」


なにか妙案を閃いたらしい、人魚の凛

そして、訳も分からず
凛の後をついて行く村娘のかよちん

619: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:06:28.38 ID:uZS0tD8f
凛「──よし。ここでいいかな」

花陽「……」カキカキ


[凛ちゃん。いいことってなに?]


凛「えっとね、コレが最善って訳ではないんだけど」

凛「呪文って危ない上に、周りの人の力も吸い取っちゃうでしょ?」

花陽「……」コク

620: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:20:25.91 ID:uZS0tD8f
凛「でね、その力ってゆーのは、人より動物とかの方が多く持ってるって知ってた?」

花陽「!」

[初めて聞いた。どうして知ってるの?]

凛「人魚だからね!」

凛「……それでね、凛が思い付いたのは、」


凛「海の中にいる、色んな生き物たちから少しづつ力を分けて貰えばいいんだにゃ」

花陽「!」

621: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:21:39.36 ID:uZS0tD8f
凛「凛もね、呪文の事は知ってたんだ」

凛「てゆーか、凛の変身も呪文だしね。」

花陽「……」

凛「海の生き物たちの力があれば、どれだけすっごいのを唱えても、殆ど影響はないと思う」

凛「それに、水の中なら安全だしね」

花陽「っ」

凛「だからほら!凛と一緒に海へ行くにゃ!」

花陽「~っ」

622: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:23:52.03 ID:uZS0tD8f
[また溺れちゃうよ]

凛「あ、それもそうだね。」

凛「──、」ゴニョゴニョ

花陽「?」

パァアアア

花陽「!?」

凛「うん。コレで大丈夫!」


凛「さぁ、行くよ!」

花陽「っ」

623: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:24:27.06 ID:uZS0tD8f
ドボンッ!


花陽「!」

凛「どぉ?大丈夫でしょ?」

花陽「っ」コクコクッ

凛「ふふ。」

凛「……この海にはね?」

花陽「?」

凛「この海には、本当に、ほんっとーに!色んな生き物たちがいるんだよ」

凛「凛の何倍も大っきかったり、透明だったり、凛と似たようなイカの子だっているにゃ!」

花陽「!?」

624: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:25:49.63 ID:uZS0tD8f
凛「そんな凄い生き物たちが、数えきれないくらいにいるんだもん」

凛「それこそ、かよちんがちょっと呪文を使っただけじゃ、全然びくともしないくらいに」

花陽「……」

凛「だからね」

凛「かよちんが苦しくなったら、凛はいつだってここに連れてくるから!」

花陽「!」

凛「だって、かよちんは凛のお友達のかよちんなんだもん!」

625: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:27:52.99 ID:uZS0tD8f
花陽「──ッ」

ギュッ

凛「あ、……えへへ♪」

花陽「っ」

花陽「!」ビクッ

凛「え?」

花陽「~ッッッ」

凛「ま、また苦しくなっちゃた?」

花陽「っ」コクッ

凛「大丈夫だよ。ここならなんの心配もないから」

626: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:29:50.79 ID:uZS0tD8f
凛「……さぁ、思いっきり使っていいんだよ」

花陽「ッッッ」

凛「心配しないで。万が一大きい術が出ても、近くの町に被害が行かない様に凛も全力でフォローするから!」

花陽「……」

凛「凛にお任せにゃ!」

花陽「……っ」コクッ

627: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:31:02.87 ID:uZS0tD8f
唯一無二の親友からの、
優しくも力強い言葉を受けた花陽


花陽「……」


その身の内に渦巻く力の激流を



花陽「──ッ!」カッ



今、ここに解き放ちます。



『攫え。激浪の坩堝へと。遥か澱みより来る闇の奔流よ』ズズズズズッ!!!


凛「!」


花陽『呪禁術・悲哀ノ海域』

628: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:37:47.05 ID:uZS0tD8f
……ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴ ゴ ゴ ッ ッ ッ


凛「!?」

花陽「っ」


ザザァアアアアァアアアアアアァアアァアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!


花陽「~ッッッ」

凛「こ、コレじゃあ、まるで天変地異だにゃ……っ!」

花陽「!」

凛「あっ!む、村の方まで行っちゃいそうだよっ!!」

629: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:38:33.70 ID:uZS0tD8f
予想を遥かに超える、花陽の呪禁術


このままでは間違いなく、
村の全てを攫ってしまい兼ねない程の

大津波が発生してしまいました。


花陽「ッッッ」ギュッ

凛「!」

凛「…………大丈夫。大丈夫だよ。」


凛「──ッ!」グッ

630: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:39:30.73 ID:uZS0tD8f
そして、意を決した凛は


『聳え立つ城壁は汝を阻む!』


凛『呪禁術・断崖障壁!』


ズンッ!!!!!


花陽「!?」

凛「えへへ。今日は凛、頑張っちゃうからね!」

花陽「~っ」

凛「だって、かよちんの為だもん!」

631: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:41:30.27 ID:uZS0tD8f
……しかし、

四方三海里を揺れ動かす、花陽の上級呪禁術


凛「~ッッッ」グググッ

花陽「!」


その力の前では

凛の唱えた下級呪文など、
まるで砂上の城の如く崩れて行きます。

632: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:43:37.23 ID:uZS0tD8f
花陽「っ」

凛「……くっ、あぁっ!」

凛「や、やっぱり……かよちんはっ、凄いにゃ……」

花陽「!」

凛「波くらいならっ、凛の呪文でもどうにか……なるかなぁって……思ってたけどっ」

凛「こ、コレじゃあ……凛には……っ」

花陽「~っ」ギュッ

凛「……ごめんね。かよちん」

633: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:44:33.35 ID:uZS0tD8f
凛の呪文によって現れた

激流を防ぐための分厚い障壁


それも、もはや風前の灯火となり

次の一撃で、確実に陸地への侵攻を許す事となる





──そのはずでした。

634: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:46:53.25 ID:uZS0tD8f
『聳え立つ萬霊峰(ヨロズレイホウ)。其れら大敵の強襲を阻む』


あんじゅ『呪禁術・断崖大絶壁』


ズゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!!!!


『свет.Питание.воздух. Морская вода .Большое дерево』


ツバサ『聖天術・ねるこはそだつよグングンと』


メキメキメキメキメキッッッ!!!!!!


凛「うぇえええっ!!?」

花陽「──ッ!?」

635: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/10/31(土) 00:52:44.79 ID:uZS0tD8f
なんと、


ここに来て、魔女のあんじゅと天使監督官のツバサ

この、あり得ないコンビの助太刀により


凛の繰り出した術の何倍もある壁の檻と

それらを繋ぐ様に極太の根を伸ばした大樹が出現


コレにより、荒れ狂った力の波涛は

その中で、静かに拡散して行ったのでした。

645: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/01(日) 23:44:17.33 ID:wprtsSDm
ザザザアァァァァァァァァァァァ…………。


花陽「ッッッ」

凛「な、なんとか収まったにゃ~」

花陽「~っ」

凛「いやぁ、一時はどうなるかと思ったけど、何とかなるもんだね!」

花陽「……」

花陽「──ッ!」

646: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/01(日) 23:44:46.42 ID:wprtsSDm
花陽「~っ」クイッ

凛「へ?」

花陽「っ」スッ

凛「なに?上?」

花陽「……」

凛「……ぁ、」



あんじゅ「……」

ツバサ「……」

647: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/01(日) 23:52:20.43 ID:wprtsSDm
あんじゅ「……久しぶりね。」

ツバサ「……」

あんじゅ「ちょっとぉ、何とか言ったらどうなのぉ?」

ツバサ「……」スッ

バチンッ!

あんじゅ「ッッッ」

ツバサ「……」

あんじゅ「なっ、なんなのよっ!!?」

ツバサ「……関係のない子たちを、呪文の影響に巻き込んだ罰よ。」

あんじゅ「は、はぁ?」

あんじゅ「アナタ、一体なんの話を──」

648: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/01(日) 23:54:51.06 ID:wprtsSDm
ギュッ

あんじゅ「!?」

ツバサ「うぅっ、元気そうで良かったぁ~っ、」グリグリ

あんじゅ「……」

あんじゅ「……なんで叩かれたのかも分からないし、抱き付かれてる意味もサッパリだわ」

ツバサ「ふうぅぅぅ……っ」

あんじゅ「てゆーか、どうして肆号を使わなかったの?」

ツバサ「へ?」

あんじゅ「今回のコレも、肆号で改変しちゃえば済む話だったんじゃないの?」

650: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/01(日) 23:58:10.19 ID:wprtsSDm
ツバサ「グスッ、……わたし、まだセカンド・ストーリーの方は使いこなせないもん」

あんじゅ「あらそう。ま、その方がいいのかも知れないわね。」

ツバサ「……ところで、絵里は元気?」

あんじゅ「そうねぇ、相変わらずのポンコツではあるわねぇ」

ツバサ「…………怒ってる?」

あんじゅ「さぁ。」

ツバサ「……」

あんじゅ「ただ、今アンタに会わせたら、天界戦争の引き金くらいにはなるかもねぇ?」

651: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:02:30.29 ID:mlX87O7x
ツバサ「……私は争う気なんかないもん。」

あんじゅ「アナタに無くてもねぇ」

ツバサ「うぅっ、」

あんじゅ「……もしかして、それを書き換える為に?」

ツバサ「……」

あんじゅ「止めときなさい。変えた先の未来が、必ずしも良いものになるとは限らないでしょ?」

ツバサ「自分だってやろうとしたクセに、」

あんじゅ「?」

あんじゅ「…………ちょっと待って、」

652: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:05:00.77 ID:mlX87O7x
あんじゅ「アナタ、まさか一度書き換えてるの?」

ツバサ「……私じゃない。」

あんじゅ「は?アナタ以外に誰が……」

あんじゅ「──ッ!」

ツバサ「そう。壱号を使った子がいるのよ」

あんじゅ「ど、どこ!?どこで変わったの!?」

ツバサ「あんじゅが天界に来た時によ。」

あんじゅ「……」

あんじゅ「……あの子ね。」

ツバサ「……」

653: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:15:32.99 ID:mlX87O7x
あんじゅ「通りで、私の探し物なんて知っていたハズだわ」

ツバサ「まぁ、あの子はちょっと別物だしねぇ」

あんじゅ「は?どう言うこと?」

ツバサ「さ~ねぇ~」

あんじゅ「……」

あんじゅ「……ところで、なんでアンタがここに居るのよ。」

ツバサ「え"っ」

あんじゅ「?」

ツバサ「ぁ、あはは……それがね……」



───

654: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:23:51.98 ID:mlX87O7x
ガチャ

「お邪魔するわね。」

ツバサ「あっ」

真姫「……」

ツバサ「なになに!?どうしたの真姫ちゃん!?定期検診は全然先だよ?」

真姫「……アンタ、この間風っ引きのまま降臨したでしょ。」

ツバサ「いや、それで真姫ちゃんとこ行ったんじゃないの!」

真姫「なんで、天使用マスクもしないで来たのかって聞いてんのよ」

ツバサ「うぐっ!?」

655: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:24:47.01 ID:mlX87O7x
真姫「……」

ツバサ「……ぁ、え、えっとぉ、」

ツバサ「あ、あの時はホラ!わたし試験官で忙しくってさ!?それで……」

真姫「移ってんのよ。下界人に」

ツバサ「……へ?」

真姫「……」

ツバサ「…………ァ...モシカシテ……」ボソッ

「心当たりがある。」

ツバサ「!?」ビクッ

656: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:26:01.37 ID:mlX87O7x
真姫「──と、受け取って良いのかしら?」

ツバサ「あ、あはは……」

ガチャ

真姫「……」カチカチッ

ツバサ「……は?」

真姫「……」ポロロ~ン♪

ツバサ「な、なんでピアノ弾いてるの?」

ツバサ「てゆーか、どうしてキャリーケースに鍵盤が付いてるの?」

真姫「コレはね。通称フレキシブル・ケースって言って、この鍵盤で曲を奏でると用途に応じてケースが変形するのよ」ポロ~ン♪

657: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:27:10.48 ID:mlX87O7x
ツバサ「な、なにそれ!?すっごい!」キラキラ

真姫「でっしょー?」ポンポロ~ン♪

ツバサ「そのケースが凄いのに変形するの!?」

真姫「そうよ~」ジャジャンッ♪

ツバサ「で!?今から何に変形させるの!?」ワクワク

真姫「……そうね。」ジャ-ンッ♪


真姫「私の友人にとんでもない迷惑をかけた愚か者に、制裁を与える為の道具に。よ?」

ツバサ「ッ」ダッ

658: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:29:35.69 ID:mlX87O7x
真姫「ムリヨムリヨ。ドコニイクノ?」カチッ

ガションッ!ガションッ!

ツバサ「ひっ……っ!あ、アイツ頭おかしいっ!!!」ダッダッダッ

真姫「さぁ、食らいなさい。Dr.マッキー秘蔵のフレキシブル・ケース。その第一段階」


真姫『医療用・荷電粒子砲』

ガズンッ!!!


……ヒィィイイイイイイイイイイイッッッ


ツバサ「まっ!待って待っt」

659: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:32:05.04 ID:mlX87O7x
──チュンッ


ズドォオオォオオオオォオオオオオオオオォオオオオンッッッ!!!!!!!!!


ツバサ「──ッ!!?」

ツバサ「か、掠った……っ!!服掠ったっ!!?」

真姫「チッ、外したわ。」

ツバサ「こっ、ここ、この人殺しぃ!!!」

真姫「あら、貴方死んでたの?」

ツバサ「もうちょっとでそうなる所だったんだけどっ!!?」

660: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/02(月) 00:33:29.55 ID:mlX87O7x
真姫「そう。それじゃあ、」

ガチャンッ!

ツバサ「!?」

真姫「次はそうなる様に努力するわ」ヒィイイイッ!

ツバサ「ひいぃぃっ!!?」

真姫「それが嫌なら、私が特効薬を完成させるまであの子の面倒を見なさい」

ツバサ「な、なんd」

真姫「口答えするなら、そのホッペにストロー用の穴を空けるけど」

ツバサ「!!?」

真姫「さぁ、どうするの?」

ツバサ「ッッッ」


───

672: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:41:39.14 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「……」

あんじゅ「あ~。その、制服の裾の焦げ穴はそう言う事なのね」

ツバサ「……アイツ、絶対に医者なんかじゃないわ」

あんじゅ「ご愁傷様ぁ♪」

ツバサ「はあぁぁぁ……」

あんじゅ「でも、あの子魔女の素質タップリね。ウチのポンコツと交換したいくらいだわ」

ツバサ「あ~あ。今度から別のお医者に行こっかなぁ~」

673: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:42:32.63 ID:ZsR3kO8Q
あんじゅ「……ふむ、」

あんじゅ「そうねぇ。折角だし、ここでスカウトするのも有りかも──」

「させるワケないでしょ。」

あんじゅ「!?」

ツバサ「ヒッ!?」


真姫「……」


ツバサ「で、出たぁーーーっ!!!」

あんじゅ「あら、久しぶりね。」

真姫「……そうね。」

674: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:44:09.17 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「ひひぃっ!!!」ダッ

あんじゅ「なぁに?この子に止めでも刺しにきたの?」ガシッ

ツバサ「はなっ!離しっ……っ!!」グッグッ

真姫「ふん。おで子に用はないから」

あんじゅ「あら?それじゃあ、やっぱり私に用なのね」

ツバサ「早く離してっ!!」ジタバタッ

真姫「……」

あんじゅ「で?一体なんの用なのかしら」

675: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:45:59.90 ID:ZsR3kO8Q
真姫「……」

スッ

あんじゅ「──ッ!」

真姫「……」

あんじゅ「……なるほど。」


あんじゅ「そう言う、つもりなのかしら?」スッ


ボゥッ!!!

ツバサ「!!?」

真姫「……」

676: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:47:29.87 ID:ZsR3kO8Q
あんじゅ「アナタが何を考えているのかは知らないけど、」メラメラッ

あんじゅ「"約束事"を破った訳でもない私に、中立者のアナタがケンカを売ってくる。──その理由を聞いても?」

真姫「……」

ツバサ「ちょ、ちょっと!二人とも落ち着いて──」

真姫「勘違いしてんじゃないわよ」

ツバサ「……は?」

あんじゅ「……」メラメラッ

677: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:51:42.89 ID:ZsR3kO8Q
真姫「私は、あの子の主治医として、治療の経過観察をしにここへ来たの」

真姫「そしたら、たまたま魔女のアンタがここに居た」

あんじゅ「……」

真姫「アンタもアンタで、この場所にいる為の正当な理由があるし、天使にも下界人にも迷惑を掛けてはいない」

真姫「──そして私は、争い事を好まない。」

あんじゅ「……」フシュ

ツバサ「っ」ホッ

678: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 22:55:45.04 ID:ZsR3kO8Q
あんじゅ「……もぅ。だったら、無言で鞭なんか構えるんじゃないわよ」

真姫「だから、勘違いしないでって言ってんのよ」

あんじゅ「?」

真姫「私が鞭を向けてたのは、そこのボンクラ天使によ」

ツバサ「!?」

あんじゅ「アハハッ、ボンクラ天使ですってぇ」

ツバサ「~ッッッ」

679: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:02:00.55 ID:ZsR3kO8Q
あんじゅ「それにぃ、治療って、そのケースみたいな兵器の開発の事を言うのかしらぁ?」チラッ

真姫「っ」ギロッ

ツバサ「ひいぃぃっ!!だ、だってぇ!」

真姫「余計なこと言ってんじゃないわよ」

あんじゅ「──さて、」

あんじゅ「私の用は済んだし、お家に帰るとするわ。」

真姫「……ねぇ、」

あんじゅ「ん?」

真姫「…………ママは、元気?」

680: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:05:02.44 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「!」

あんじゅ「……」

あんじゅ「えぇ。相変わらず長らしくはないけどねぇ」

真姫「……そう。」

あんじゅ「……」フッ

ツバサ「っ」

「ツバサ。」

ツバサ「ぇ……え?」

ピンッ

681: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:05:36.05 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「あだっ!?」

あんじゅ「やっぱりアナタ、おでこ出し過ぎよぉ♪」

真姫「……」

ツバサ「なぁ!?ま、またっ!」

あんじゅ「アハハッ♪」

あんじゅ「それじゃあ、また何処かで会いましょ。」スッ

シュンッ

682: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:07:44.38 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「くぅ~っ!あ、あの縦巻き女ぁ~っ!!」スリスリ

真姫「ハァ、中立も大変だわ。」

ツバサ「……どうでも良いけど、真姫ちゃん。」

真姫「なによ」

ツバサ「来客用のフワッとさんが限界みたいだけど」

真姫「?」

「お、重いぃぃっ!!」

「ま、真姫さんもう降ろしていい!?」

真姫「…………失礼。」

683: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:09:29.98 ID:ZsR3kO8Q
──天使と魔女。


それぞれの過去を引きずりながらも

お互いが危機に瀕した時は、力を合わせ助け合う。


この両者が分かり合う日は

もしかしたら、近いのかも知れません。

684: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:10:35.92 ID:ZsR3kO8Q
凛「……」

花陽「……」


凛「……なんか、助かっちゃったね。」

花陽「……」


凛「でも、なんでこのタイミングで来たんだろ?」

花陽「……」


花陽「…………なんでだろうね。」

685: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:12:56.33 ID:ZsR3kO8Q
凛「ねぇ、まるで見てたみた──」

凛「……」

花陽「不思議だなぁ。」

凛「……か、かよちん?」

花陽「え?」

凛「っ」

花陽「どうしたの?」

凛「も、戻ってる」

花陽「な、なにが?」

686: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:14:12.75 ID:ZsR3kO8Q
凛「喋りかたっ!!!」

花陽「……」

花陽「……あー、あー、」

凛「~っ」

花陽「痩せたいなー。メガネやめたいなー。毎日ご飯10杯は食べたいなー」


花陽「…………」



花陽「!!?!?」

凛(そんな事思ってたんだ……)

687: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:17:02.24 ID:ZsR3kO8Q
花陽「もっ、戻ってる!!?戻ってるよぉ!!!」

凛「やったねかよちん!!」

花陽「なんでなんで!?お薬も飲んでないのに!?」

凛「やっぱりアレだよ!」

花陽「あ、アレ!?」

凛「ドカーンって一発、大っきいの出しちゃったから、きっとそれでスッキリしちゃったんだよ!」

花陽(ち、違う意味に聞こえる……っ///)

689: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:29:07.21 ID:ZsR3kO8Q
「そう言うことなのかもね」

花陽「!」

真姫「……」

凛「真姫ちゃん!」

ツバサ「やっほ~♪」

花陽「あ、この間の……」

ツバサ「ツバサだよぉ~。よろしくね♪」

真姫「宜しくじゃないわよ」

ツバサ「ヒッ」

凛「?」

691: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:34:25.58 ID:ZsR3kO8Q
真姫「さぁ、謝りなさい。」

ツバサ「うっ……じ、実はですね、」

花陽「え?」

真姫「……」

ズザッ

ツバサ「アナタに風邪移したの、私なんですっ!!!」

花陽「!?」

ツバサ「ごめんなさいっ!!!」ドゴッ

凛「ぇええええっ!!?そ、そうたったのぉ!?」

692: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:36:37.36 ID:ZsR3kO8Q
真姫「花陽。このおで子が自己管理もせずに、天界病を移すなんて結果を招いたのだから、好きにしていいわよ?」

花陽「……」

ツバサ「ひっ……っ!」ビクッ

花陽「……」

凛「か、かよちん?」

ツバサ「~ッッッ」ブルブルッ

花陽「……」



花陽「…………赦します。」

ツバサ「……ぇ、」

693: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:46:52.34 ID:ZsR3kO8Q
花陽「誰だって、風邪は引いちゃいますし、いつ何処で移るかなんて、そんなの分かりっこありませんから、」

花陽「だから、赦します」ニコッ

ツバサ「──ッ」

真姫「……はぁ、」

凛「さすが、かよちんだにゃ~♪」

花陽「もう大丈夫ですから、顔を上げて下さい。ね?」

ツバサ「うぅぅっ!」

ガバッ

694: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:48:54.90 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「ありがとーっ!!!」モギュッ

花陽「うわぁ!?」ヨロッ

凛「えへへ♪」

真姫「もう、調子いいんだから」

ツバサ「ありがとありがとぉーっ!!」グリグリッ

花陽「ちょ!?つ、ツバサさっ──」

ツバサ「好き好き大好きぃー!」グリグリッ

花陽「うっ、うぅぅ……っ」モヤモヤ


花陽『厳かさは雪魄の様相を成す』


『呪禁術・疾霜氷結』ヒュンッ

695: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:50:31.60 ID:ZsR3kO8Q
ツバサ「好きs──ッ」カキンッ!

凛「あ」

真姫「!」

ツバサ「」カチカチッ

花陽「……ぁあっ!?つ、ツバサさんっ!!」

ツバサ「」カチ-ンッ

花陽「はわわわわっ!!」

凛「……真姫ちゃん?」

真姫「……」


真姫「……まぁ、治療は継続ってことね。」

696: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/05(木) 23:51:38.19 ID:ZsR3kO8Q
多少の遺恨は残したものの

生活に支障のない程度には、
件の病を抑える事に成功した

村娘のかよちんと人魚の凛ちゃん。


ザザアァァァン…………。


花陽「……」

凛「……」


二人は、暮れ行く夕日の中

今日のコレまでを、思い返していました。

697: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:09:19.50 ID:EYDU6WW+
花陽「……」

凛「……」

花陽「……凛ちゃん。」

凛「……にゃ?」

花陽「本当に、本当にありがとう。」

凛「……」

花陽「あんな酷いことを言ったのに、それでも花陽の傍を離れないで居てくれたから」

凛「……当たり前だよ。」

花陽「!」

698: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:09:52.31 ID:EYDU6WW+
凛「だって、凛がそうしたかったんだもん」

花陽「~っ」

花陽「あ、あのねっ、花陽……あんな事言っちゃったんだけど……それでも、」


花陽「どうか、花陽のお友達でいて下さいっ」

凛「……」


スッ


花陽「!」

凛「……凛からも、お願いします。」

699: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:10:31.98 ID:EYDU6WW+
凛「どうか、これからも凛のお友達でいて下さい。」

花陽「ッッッ」

花陽「──ッ!」バッ

凛「っ」ギュッ

花陽「うぅぅっ……りんひゃ~んっ!」

凛「えへへ。かよち~ん♪」



改めて、友情の在り処を確認した

かよちんと凛ちゃん


そして、素敵な言葉を口にして

約束された幸せを噛み締めながら


今日という日にお別れを告げます。

700: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:13:33.32 ID:EYDU6WW+
花陽「……凛ちゃん、また明日ね。」

凛「……うん。また明日。」


花陽「うふふ♪」ニコッ

凛「えへへ♪」ニコッ


凛「じゃあ、気を付けて帰ってね?」

花陽「うん。……それじゃあ、」


凛「ばいばいにゃ」フリフリ

花陽「ばいばい。凛ちゃん」フリフリ

スッ

701: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:14:35.77 ID:EYDU6WW+
花陽「~♪」

──ポンッ!

花陽「え?」クルッ

凛「~♪」

花陽「……」

凛「さ~て、帰って呪文の練習~♪」

花陽「…………ぇ、」


花陽「うぇええぇええええええええっっ!!?!?!?」

702: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:16:53.51 ID:EYDU6WW+
凛「!?」

凛「か、かよちん!?どうしたの!?」

花陽「どうしたのって……それはコッチのセリフだよぉ!!」

凛「にゃ?」

花陽「り、りりっ、凛ちゃん……っ」

花陽「その格好なにっ!!?」

凛「へ?格好?」

花陽「凛ちゃんっ、人魚だったんじゃ……っ」

凛「そうだよ?」

703: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:17:49.26 ID:EYDU6WW+
花陽「で、でも!その格好……っ!」

花陽「それにっ……いっつも海で泳いでたし!呼んだら、大体海から出て来るし……っ」

凛「あはは、」

花陽「それに……足のヒレだって……」

凛「あ~、実はね?変身呪文で人魚になって、それで海の中泳いでたらさ、いつの間にかそれが癖になっちゃってね?」

花陽「!?──ッ!!?」

凛「まぁ、ご覧の通り──」


凛「凛は魔女でもあります!」

花陽「!!?!?」

704: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:19:34.15 ID:EYDU6WW+
……どうやら、


今日と言う日にお別れを告げるには

まだ少しばかり、心残りがありそうですが


村娘の花陽と、人魚兼魔女の凛のお話は

ここで一度、幕を閉じる事と相成ります。


彼女たちを取り巻く物語の数々は

コレからもまた、数奇に翔ぶ事でしょう。

705: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:48:40.64 ID:EYDU6WW+
………



海未「……おしまい。」

海未「如何でしたか?」


千歌「は、ハラハラしたよぉ」

鞠莉「マリンファンタジー!」

梨子「……」

海未「ど、どうですか?今回はとんでもなく大きな壁がわんさk」

706: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:49:33.20 ID:EYDU6WW+
カベドンッ!

海未「ひっ!?」

梨子「……貴方、分かってないわ。」

海未「~ッッッ」

梨子「私はね、"コレ"を望んでいるの」

海未「こ、これ……っ?」

梨子「……」ゴソゴソ

梨子「……この本、貸してあげます。」スッ

海未「へ?あ、ありがとうございます」サッ

707: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:50:14.40 ID:EYDU6WW+
梨子「よく読んで、そして勉強して下さいね?」(暗黒微笑)

海未(な、なんですか、このタイトル……"壁と君との間には"……?)

善子「ふむふむ。やっぱり、魔女のあんじゅが一番カッコいいわね。」

果南「いいねぇ、私も潜りたくなって来たよ」

海未「ありがとうございます。ご期待に添えて何よりです。」

ダイヤ「……」

708: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:52:58.00 ID:EYDU6WW+
海未「……あ、あの、」

ダイヤ「私の期待には、応えて下さらないのですね」

海未「うっ、ほ、本当にごめんなさい!私の力量では、海のお話にアイドル要素を加える事が出来ず、申し訳ありませんでした!」

ダイヤ「……もういいですわ。」

スッ

海未「──あ、」

千歌「待って待って!」

鞠莉「Wait!!! 落ち着いて!」

709: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:54:01.54 ID:EYDU6WW+
ダイヤ「……これ以上ないほどに落ち着いてますわ」

ダイヤ「それに、私は歌って踊れるアイドルが見たかったのです。」

海未「っ」

果南「ごめんね。私が無理言って、海のお話なんて描いて貰ったからこうなったんだ」

海未「ち、違います!私が描けなかったのが──」

バッ

海未「!」

果南「……」

710: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:55:19.36 ID:EYDU6WW+
ダイヤ「……」

果南「私が悪かったよ。本当にごめん」

果南「だからさ、また明日もここに来て欲しいな」

海未「ッ」

ダイヤ「…………いえ、私が大人気なかったんですわ。」

ダイヤ「自分の好きなお話を描いて貰えなかったからと、子供みたいに駄々を捏ねてしまいました」

梨子(子供です。とは、口が裂けても……)

711: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:57:01.92 ID:EYDU6WW+
善子「まぁ、気持ちは分かるけどね」

海未「……本当に、すみませんでした。」

ダイヤ「謝らないで下さい。それに、お話自体は可愛らしくて好きでしたし」

ダイヤ「何より、いつも美味しいおまんじゅうも頂いていますしね」

海未「……はい。」

ダイヤ「ふふっ、もうやめにしましょう。このままでは謝り合戦になってしまいますわよ?」

果南「改めて、これから宜しくね?」

ダイヤ「はい。コチラこそですわ」

712: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 00:58:32.25 ID:EYDU6WW+
千歌「えへへ。良かったぁ♪」

鞠莉「いぇーす。みんなフレンズてぇーす♪」

梨子「ふふっ」

善子「深淵の契りを結んだわね。コレから使役されるとも知らずに……ククッ」ブツブツ

海未「……」

千歌「……?」

「ぅ、ぅゅ、」

千歌「え?」


ルビィ「~っ」

713: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:00:04.89 ID:EYDU6WW+
海未「おや、新しい方ですか?見て頂いてありがとうございます」

ダイヤ「あぁ、失礼しましたわ。この子は私の妹です。」

千歌「おぉ!いらっしゃーい!」

鞠莉「Welcome!」

ルビィ「あ、あの……」

海未「はい。どうしました?」

ルビィ「~っ」

海未「?」

714: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:00:46.12 ID:EYDU6WW+
ダイヤ「……ルビィ。ちゃんと言わないと伝わりませんわよ?」

ルビィ「あぅ、え、えっとぉ」

海未「……」

ルビィ「……あ、も、もう一回」

海未「はい。」


ルビィ「もう一回、アイドルのお話を描いて下さい!」

海未「っ」

ダイヤ「!?」

715: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:01:51.77 ID:EYDU6WW+
ダイヤ「あ、あなたっ!」

ルビィ「ピギィ……」

海未「……」

ダイヤ「き、気にしなくて良いんですわよ!?そのお話は──」

「分かりました。」

ダイヤ「!」

ルビィ「っ」

海未「次のお話は、アイドル要素を取り入れてみせますよ」ニコ

716: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:03:15.59 ID:EYDU6WW+
ルビィ「ま、待ってます!」

ダイヤ「……紙芝居屋さん。」

海未「どうか、今しばらくお待ち下さい」

ダイヤ「……」

ダイヤ「分かりましたわ。」

海未「ありがとうございます。必ずや、ご期待に添えてみせますから」


海未「……必ず、」


──────
───

717: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:05:13.59 ID:EYDU6WW+
海未「……」


海未「……私は、本当にこのまま描いていてもいいのでしょうか」

海未「誰かを喜ばせられる反面、ああして誰かを悲しませてしまう」

海未「あの人は、本当に悲しそうなお顔をなされていましたね」

海未「……失望。まさに、そんなお顔でした」

海未「……」

718: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:06:26.99 ID:EYDU6WW+
海未「……私の力が足りないばかりに、必ず誰かの期待を裏切ってしまう」

海未「皆さんの希望を、私が砕いてしまう事になるのでしょう」

海未「そんなつもりは……などと、そんなのただの言い訳ですね……」

海未「……」

海未「万人に喜んで貰えるものなんて、私に描けるのでしょうか」

海未「この、天界のお話にしたって、見る人によっては退屈極まりないものに見えるのでしょう」

719: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:08:10.26 ID:EYDU6WW+
海未「……もしかしたら、退屈どころか見るに耐え難いものに見えるのかも」

海未「……」


海未「…………でも、」


海未「それでも、待ってる人がいる。求める人がいる」


海未「──だから、」



海未「描かなきゃいけないんだ」

720: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/06(金) 01:08:42.76 ID:EYDU6WW+
「私の気持ちは、関係ないんだ。」

743: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:12:02.55 ID:FRw57U57
【7日目】

744: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:12:47.09 ID:FRw57U57
~薔薇と謎のオブジェがあって海が見えて大きなステージのある広くて寂しい公園~

745: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:14:00.90 ID:FRw57U57
海未「……」



海未「……ハァ、」



「あ、紙芝居屋さん!」

海未「!」ビクッ


千歌「やっほー♪」

海未「ど、どうも……はは、」

千歌「?」

「ハァーイ♪」

746: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:15:07.84 ID:FRw57U57
海未「……」

鞠莉「ごきげんよう~♪」

梨子「こんにちわ」

善子「魔力2000万のリトルデーモンを召喚」

ダイヤ「お元気でしたか?」

海未「あ、は、はい。皆さんもお元気そうで、」

747: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:15:57.46 ID:FRw57U57
果南「今日は少し曇ってるねぇ。降らないといいけど」

ルビィ「ぅ、ぅゅ、」

海未「はは……そ、そうですね。」

千歌「……具合悪いの?」

海未「いやいや!元気ですよ!」

千歌「?」

海未「そ、そうだ!先ずはコレを差し上げますね」

748: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:16:45.22 ID:FRw57U57
千歌「え?あ、ありがとう」

鞠莉「オゥ!餅饅頭!」

梨子「なんですか?それ」

善子「あぁ、私の暗闇が白で汚されるっ」

ダイヤ「ふむ。やはり、お茶とおまんじゅうは至高の組み合わせですわ」

果南「待ってました。」

ルビィ「えへへ♪」

749: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:17:22.28 ID:FRw57U57
海未「えっと、コレも一緒に配りますね?」

千歌「……これ、なんだっけ?」

鞠莉「雑草の根っこ?」

梨子「なんか、見たことある様な気が……」

善子「マンドラゴラ!魔力の最大値が上がるわ!」

ダイヤ「コレは……」

果南「うん、わさびだね。」

ルビィ「ピギィ……」

750: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:19:32.06 ID:FRw57U57
海未「……」

千歌「紙芝居屋さん。」

海未「!」

海未「は、はい?」

千歌「……大丈夫?」

海未「……」

海未「そ、それでは、お話を始めますね?」

千歌「え?う、うん。」


パチパチパチパチッ

751: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:20:03.93 ID:FRw57U57
【ホップ・ステップ・アイドル's】

752: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:23:51.52 ID:FRw57U57
昔過ぎてもうよく分からない時のお話。

ある街に、一人の少女が住んでいました


希「ほんにゃらら~♪」


この少女、

街では優秀な占い師として
そこそこ名を馳せているのですが、

753: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:24:28.74 ID:FRw57U57
希「ぬっふっふっ~」

希「さて、今日はどんなエッt……じゃなくて、素敵なお客さんが来るかなぁ~」


同時に、街一番の変 さんでもあります。


「すみませぇん」

希「おっ、来たきた。」


ことり「……」

754: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:25:47.99 ID:FRw57U57
希「コレはコレは、中々いい   ……じゃない」

希「ようこそ」

ことり「……あの、近々この街でコンサートを開くんですけど、それが成功するかどうか占って欲しくて、」

希「おぉ、お任せあ~れ~☆」パッ


自慢の水晶玉を取り出し、適当な文言と共に


希「ひゅぉわぁああああ~」ザワザワ

ことり「!」


怪しげな雰囲気を醸し出す変 占い師。

755: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:27:21.37 ID:FRw57U57
希「む~んむんむん、  イヨ・メッサ  イ……」サワサワッ

ことり(手付きがなんか   ……)

希「さてさて。では、この水晶玉に手を当てて下さ~い」

ことり「は、はいぃ」スッ

ピトッ

希「……やややっ!」

ことり「ど、どうですか!?」


しかし、どうやら力は本物だった様で

水晶玉を使った得意の未来視により、
彼女のこれからを覗き見た変 さん

756: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:30:41.18 ID:FRw57U57
希(ん~?これは、楽屋かな?)

ことり「あ、あの、」

希(うわ、着替え出した!)

希(おっほ~!この子、隠れ巨 やん!)

ことり「えっと、どうですか?」

希(く、黒!?嘘やろ……意外と……)ツゥ-

ことり「!?」

ことり「は、鼻血出てますよ!?」

希(うわうわっ、し、処理し出した!?)ハァハァッ

757: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:31:25.44 ID:FRw57U57
ことり「占い師さん!」

希(そこやないっ!!もっと真ん中に……っ!!)ガシッ

ことり「う・ら・な・い・師・さんっ!!」

希「!?」ビクッ

希「は、はい!?」

ことり「……聞いてますか?」

希「え?なにが?」

ことり「占いの結果なんだけど、」

758: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:32:04.61 ID:FRw57U57
希「あーあー!それならもうバッチリ大丈夫!」

希「満員御礼フルハウスやで!」

ことり「ほ、本当ですか!?」

希「……ただ、ね?」

ことり「え?」

希「……」ゴニョゴニョ

ことり「……」

ことり「……っ///」

希「気ぃ付けなあかんよ?」

ことり「わ、分かりましたぁっ///」

759: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 10:32:48.65 ID:FRw57U57
希「ぬっふっふ~♪」


一体、何に気を付けるのかは分かりませんが

こうして日々、占いで生計を立てている変 占い師


ことり「そ、それと……ですね。」

希「ん~?」

ことり「私のコンサートが、何事もなく最後まで出来る様に、警護して貰えませんか?」

希「け、警護?」

765: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 22:49:35.87 ID:TI55Rh2r
ことり「はい。最近変なお客さんが多くて……お城にも相談に行ったんですけど、」

ことり「なんでも、兵士長さん?が行方不明で、今それどころじゃないって言われちゃって……」

希「」

ことり「それで、ここの看板になんでも請け負いますって書いてあったので、もしかしたらやってくれるかなって……」

希「」

ことり「占い師さん?」

希「……あ、あーあー。そういやそんな事書いてたっけねぇ……はは、」

ことり「?」

766: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 22:51:12.89 ID:TI55Rh2r
巡り巡って帰ってきた

変 魔女、希の悪行


希(アッカーン!あの岩みたいな兵士戻すの忘れとったぁー!)

ことり「……」


その落とし前をつける時は

どうやら近い様です。

767: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 22:52:52.95 ID:TI55Rh2r
ことり「……やっぱり、ダメですか?」

希「へ?い、いやいや!ヤらせて貰います!是非っ!」

ことり「ほ、ホントですか!?良かったぁ~」

希(そういや、便利屋紛いの広告も出しとったなぁ。……占いばっかですっかり忘れてた。)

ことり「それじゃあ、詳しい事が決まったらお手紙出しますので、よろしくお願いしまぁす」

希「はいなぁ~」

ガチャ……バタンッ。


希「……」

768: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 22:54:35.95 ID:TI55Rh2r
今回、占い師としてではなく

忘れかけていた便利屋稼業として、


今回のお仕事を引き受けた、魔女の希。


希「……ふむ。」

希「メイドさ~ん。」パンパンッ


「ハーイ。」


……テッテッテッテッ。


亜里沙「なんですか?」

769: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 22:56:59.46 ID:TI55Rh2r
いつかの抱き枕だった少女を

あろう事か、給仕さんとして雇ってしまった


我らが変 魔女。


希「お仕事やで~♪」

亜里沙「ご飯の支度ですか?」

希「それさっき食べたや~ん」

亜里沙「ですよねぇ♪」ケラケラ

770: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 23:04:35.71 ID:TI55Rh2r
亜里沙「それで、なんのお仕事ですか?」

希「んっとね~、今回はアイドルの警護なんよ」

亜里沙「け、警護!?」

希「そう、警護。」

亜里沙「で、でも私、警護なんて何したらいいのか……」

希「だいじょぶだいじょぶ♪普通の人相手なんやから、大して危ない事はないよ」

亜里沙「う~ん……」

希「……」


『雷光蒼波』

771: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 23:18:15.67 ID:TI55Rh2r
バチバチバチィッ!!!

亜里沙「──ッ!」バッ

亜里沙『呪禁術・烈風空檄』ズァッ

ビュォオオオオオオオオッッ

希「……」

シュルルルルル……

希「……うん。」

希「もう、相関と詠唱短縮は完璧やんね♪」

亜里沙「なんなんですか!?ビックリするじゃないですか!」

772: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 23:20:40.65 ID:TI55Rh2r
希「うふふ。」

希「その腕なら、そこいらの暴漢なんて全然問題にならないよ」

亜里沙「そ、そうですかねぇ」

希「だぁ~いじょ~ぶ♪コレも修行の一環やしね」

亜里沙「……」

希「……頑張ってお姉ちゃん探そ?ウチも精一杯協力するから。ね?」

773: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 23:46:11.96 ID:TI55Rh2r
亜里沙「!」

亜里沙「は、はい。頑張ります!」

希「いいお返事や♪」スリスリ

亜里沙「きゃあ!?お、お尻触らないで下さいっ!!」

希「力の源やでぇ」


まるで、不貞の輩の様な戯言を吐きながら

幼気な少女を蹂躙する変 。

774: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/12(木) 23:47:23.61 ID:TI55Rh2r
──そして、


所変わりまして、

コチラは、音ノ木第二天界学校。


英玲奈「……ふあ~ぁ。」テクテク


もとい、

音ノ木 ポン・デ・リング

775: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:04:15.22 ID:jCluK8Ln
ガラッ

英玲奈「……ふぁ、」

こころ「起立。」

ガタッ

こころ「礼。」スッ

英玲奈「……」

こころ「着席。」

ガタッ

英玲奈「……」

こころ「……」



英玲奈「え?」

こころ「は?」

776: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:04:54.98 ID:jCluK8Ln
英玲奈「あ~、はいはい」

こころ(あーはいはいって……)

穂乃果「?」

英玲奈「……よぉ~し、これから授業を始めるかも知れないぞぉ」フラ

こころ(あぁ、今日は一段とダメなヤツだ)

英玲奈「そぃじゃぁ……教科書を発見次第、154……6?……まぁ、150番台のページを開いてくれぇ」

こころ「……先生、87ページです。」

英玲奈「んぁ、すまん」

777: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:12:57.26 ID:jCluK8Ln
英玲奈「……」

こころ「……?」

英玲奈「zzZ」

こころ「こらぁ!」

英玲奈「──ん、」

こころ「もうっ!コレ飲んでください!」


【天界生薬】

~仕事に前向き!眠・即・斬!~

:どんなに堕落し切った体も、コレさえ飲めば
 まるで幕末の京都に居るかのような
 スリルと緊張感に包まれる至高の一本!

778: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:22:56.43 ID:jCluK8Ln
穂乃果「で、出た!トンデモなく苦いヤツ!」

こころ「普通の人は一気に飲んじゃダメなヤツですけど、今の先生ならたぶん丁度いいです!」

英玲奈「……」ボ-

こころ「さぁ!コレ飲んでシャキッとして下さい!」バッ

英玲奈「んぶっ!?」ボッ

英玲奈「ン......ン......」ゴクッ ゴクッ

穂乃果「うわぁ……」

779: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:24:24.45 ID:jCluK8Ln
こころ「……」

英玲奈「……」

……ン...ムン ムンッ ムンッ ムンッ!!!!

英玲奈「──ッッッ!!?!?」

ボンッ!!!

穂乃果「!?」

こころ「ひぃ!?」


『ニィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーチェッッッ!!!!!!!!』

780: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:30:26.76 ID:jCluK8Ln
「起立」

「礼」

「着席」


「──オホンッ、」


英玲奈「ええ。今日の授業は"コレ"を使って行うぞ」ドンッ

こころ(やっぱり、シャキッとしてるとカッコいいなぁ……いっつもこうならなぁ~)

穂乃果「zzZ」

英玲奈「その名も【天界鏡映式弐号】」

781: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:47:09.60 ID:jCluK8Ln
英玲奈「コレは、像を映し出すものに影響を及ぼす事が可能な天界道具の一つであり、今、この天界に存在する道具の中でも、最も古い物の一つだ」

英玲奈「この道具は、天、魔、人。この三界の何れにも、その力を発揮出来ると言う優れものであり──」

こころ「ふむふむ」カキカキ

穂乃果「zzZ」

英玲奈「つまり。コレを使えば、目玉だろうがガラスだろうが、人界の水溜りだろうが」

英玲奈「反射さえすれば、ソレを媒体にして近辺を見る事が出来ると言う──ッ」ヒュンッ!

782: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:51:00.80 ID:jCluK8Ln
ペチッ

穂乃果「zzふがっ!」

英玲奈「……代物だ。」

こころ「……」

穂乃果「えっ?なに?地震!?」

英玲奈「ほぉ、中々勤勉だな」

穂乃果「地震なの!?」

英玲奈「下界にしかない"地震"などと言う単語を覚えているのか。……ん?待てよ。」

783: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:51:37.69 ID:jCluK8Ln
穂乃果「???」

英玲奈「そういやお前。下界出身だったな」

穂乃果「……お茶がなくなった。」

英玲奈「?」

こころ「す、すみません!この人、寝起きは人の言葉が理解出来なくなるんです」

穂乃果「ほむまんもない……」

英玲奈「ま、まぁいい。」

英玲奈「それでは、コレより実習を始める」

784: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 00:52:19.00 ID:jCluK8Ln
こころ「穂乃果さん!実習ですよ!」

穂乃果「自習~?やったぁ~……」ボォ-

こころ「もうっ!」

英玲奈「生憎、道具はこの一つしかないから、二、三人でグループを作って行ってくれ」

英玲奈「──おい、そこの寝坊助とチビ助」

穂乃果「……zz」

こころ「!」

英玲奈「先ずはお前たちからだ」スッ

こころ「は、はい!」パッ

785: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 01:01:47.00 ID:jCluK8Ln
こころ(こ、コレが最古の天界道具の一つ、天界鏡映式弐号……)

こころ(……うん。ただのメガネにしか見えない)スッ

穂乃果「あ~、こころちゃんメガネかけてるぅ~」ボ-

こころ「……」

穂乃果「かわいい~」ボヤ~

こころ「……?」

こころ(あれ?何も映らない)

786: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 01:04:22.36 ID:jCluK8Ln
穂乃果「ねぇ、穂乃果も掛けてみていい?」

こころ「え?あ、はい。」

穂乃果「えへへ~」スッ

英玲奈「掛けたら先ず、メガネに手を添えて力を集中してみてくれ」

こころ(あ、そうやるんだ。)

穂乃果「ほいほい」

穂乃果「……ん、」

キイィィィン……

穂乃果「あ、なんか映ってきたよ!?」

787: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 01:07:04.17 ID:jCluK8Ln
英玲奈「そしたら、お前が見たいと思う場所や人物を思い浮かべるんだ。」

英玲奈「すると、可能な限りそれに近い映像が──」

穂乃果「すごーい!どっかのお家の中が見えるよー!」

英玲奈「……まぁいい。」

穂乃果「ねぇ、見て見て!知らないお家が映ってる!」

こころ「見えるわけないでしょ!掛けてるのは穂乃果さんなんですから!」

穂乃果「んぇ?あ、そっかぁ」

788: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 01:07:47.58 ID:jCluK8Ln
英玲奈「付近に誰かがいた場合、その人物との会話も可能だぞ」

穂乃果「ホントに!?」

こころ「前にもらったプリントに書いてあったでしょう……」

穂乃果「誰か居ないかなぁ」

穂乃果「──お?」

英玲奈「ん?」

こころ「?」

ザザッ

794: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 23:11:22.09 ID:jCluK8Ln
「亜里沙ちゃ~ん。」


「はーい」

ガチャ

亜里沙「なんですか?」

希「美少女成分が切れました。抱っこさせてください」

亜里沙「は?」

希「~♪」

亜里沙「……それで呼んだんですか?」

希「ギュッてね?」

795: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 23:24:28.65 ID:jCluK8Ln
亜里沙「……」

希「うーわ、そんな目でウチの事見る人って、あんじゅ以来やわぁ」

亜里沙「あんじゅ?」

希「そうそう。こわぁ~い超ドS魔女がおったんよ」

亜里沙「へぇ~」

希「あ、それでね?」

希「急で悪いんやけど、ちょっとお買い物に行ってきて来れへんかなぁ」

亜里沙「分かりました。何を買えばいいですか?」

796: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 23:26:07.17 ID:jCluK8Ln
希「んっとねぇ、げっへっへ。」

亜里沙「?」

希「先ずは   なコレでしょ~♪次にド   なコレ。そんでぇ、」

亜里沙「……」

希「それからそれからぬっふっふっ♪」

亜里沙「……」スッ


『荒べ。いと高き絶頂の彼方へ。切り裂きしは姿なk──』ビュゥウウウウッ!

希「うそうそうそっ!!!もう   な事言わないからっ!!!」

797: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 23:30:08.40 ID:jCluK8Ln
亜里沙「……少しは反省して下さいね?」スッ

希「は、はい!します!」

希(……本気で上級唱えようとしとったよ?下ネタで街一つ消す気だったよ?)

亜里沙「で、何を買えばいいですか?」

希「あ、はいはい。」

希「えっとね、お医者さんとこで生薬を三つと、城下町で羊皮紙を3ロール。」

亜里沙「ふむふむ。生薬と羊皮紙……」カキカキ

希「残りはお駄賃でええよ。」

亜里沙「え、ホントに?」

798: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/13(金) 23:33:59.10 ID:jCluK8Ln
希「あ、そうだ。序でに音ノ木村でおまんじゅう買って来てくれない?」

亜里沙「分かりました。それじゃあ行ってきますね」

希「うん。気ぃ付けてなぁ~」

亜里沙「はーい!」ガチャ

バタンッ

希「……ふぅ。」

希「さってさて~。その間にぃ、ウチはお仕事の準備をね~」


──ザザッ

799: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:06:11.04 ID:ujpmcnlo
希「ん?」

希「なんや?水晶玉が……」


『……ろちゃんがさ、』

『あ、映った!映ったよ!』


希「!!?」


『こんにちはー!』


希「ぇえええっ!!?なななっ!なにっ!!?」

希(す、水晶玉に話しかけられたっ!?)

800: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:07:59.83 ID:ujpmcnlo
『凄いねコレ!本当に映ったよ!』

『当たり前です!そう言う道具なんですからっ!』

希(だっ!だ、だれ!?この子らだれぇ!!?)

希(……なんか知らんけど隠れとこっ!!)サッ

『あれ?どっか行っちゃったよ?』

『え?』

『お、しっかり映った様だな』

『あ、はい。出来たみたいです。』

希(な、なんなん!?怖い怖いっ!半透明!?半透明のヤツ!?)ガクガクッ

801: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:13:28.43 ID:ujpmcnlo
『どれ、ちょっと貸してみろ』

『は~い』

『……ん?』

『なんだコレ、やたらと鮮明に映ってるな』

希「~ッッッ」

『へ?そうなの?』

『あぁ。何時もはD○D並みのクオリティなんだが、コレだと4kぐらいの画質だぞ』

『せ、先生……?なんの話をしてるんですか?』

802: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:15:35.78 ID:ujpmcnlo
希(と、取り敢えず、今の内に逃げ──)ガタンッ

希「いったぁ!!?」

『むっ、人が居たか。後は任せたぞ』

希「──ッ!」ビリビリッ

『え!?い、いきなり言われても』

『それも実習の内だ。まぁ頑張れ』

希「あ、足……足の小指ぃ……っ!」

『ねぇねぇ!聞こえる!?』

希「!?」ビクッ

803: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:19:16.37 ID:ujpmcnlo
『あ、わたし穂乃果!コッチは』

『いいです!私が掛けてるので、私から説明します!』

『ぶぅ~、つまんな~い』

希「ぁやっ……えっとぉ……」

『──コホンッ。』

『えぇ、初めまして。私たちは音ノ木第二界g』

『ポン・デ・リングッ!!』

『うるさいですっ!!』

804: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:29:03.56 ID:ujpmcnlo
希「ぽん……?」

『失礼しました。』

『私たちは、音ノ木 ポ……ポンデリングの生徒ですっ///』

『そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃ~ん!』

『オホンッ!……えっと、アナタ方が今住んでらっしゃる下界。その遥か上空にあるのが、天の国、天界です。』

希「!?」

『そして、そこに所在する学校がありまして、そこは一人前の天使を育成する為の教育機関。つまり、今私が通っている所なんです。』

805: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:31:33.40 ID:ujpmcnlo
希「てっ、てててて天使ぃ!!?!?」

『まぁ、驚かれるのも無理はありません』

『何しろ、天界からの招待状が届くか、又は昇天寸前の御霊を天使長が引き取らない限り、まず知られる事はありませんから』

『かく言う私も、招待状が届いた事でこの学校や天界の事を知りました』

希「ッッッ」

『やはり、最初はショックですよね』

『だよねぇ』

希(て、天界って……もう、二度と関わらない様にしようって、そう思ってたのに……っ!)

806: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:35:56.96 ID:ujpmcnlo
『あの、大丈夫ですか?』

『もしもーし』

希(え、じゃあ、今向こうが使ってるのも天界七つ道具の一つなんじゃ……)

希(も、もしてしてバレたっ!?)

『返事がありませんね』

『つまんないよぉ!お話しよー!』

希(随分と昔。天界からこっそりチョイして来たこの水晶玉。ウチの必携商売道具、)


希("天界乙女式参号"が──ッ!!)

807: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:44:20.34 ID:ujpmcnlo
『あれ?どうかしましたか?』

希「……っ」

希「あ!ご、ごめーん!」

『え?』

希「う、ウチ急用思い出してさー!出掛けないとダメなんよ~」

『そうですか、分かりました』

希「ご、ごめんね~、ほなさいなら~。」

『はい。お相手頂いてありがとうございます』

ザザッ

808: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:46:25.84 ID:ujpmcnlo
こころ「……ふぅ。」

穂乃果「ねぇねぇ、どうだった?」

こころ「はい。なんだかお忙しい方みたいです。悪いことしちゃいましたね」

穂乃果「でもさ、なんか優しそうな声だったよね!」

こころ「はい。それに、見た目も大人っぽくて落ち着きのある感じでした」

穂乃果「穂乃果もちゃんと見たかったなぁ~」

英玲奈「……」グデェ

809: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 00:49:25.11 ID:ujpmcnlo
こころ「また、お話出来る機会があると思いますよ?だから……」

英玲奈「……」ダラァ

こころ「え、英玲奈先生?机に寝そべったりして、どうしたんですか?」

英玲奈「…………喋るのも億劫だ。」

こころ「……」

穂乃果「もしかして、栄養ドリンクの効果が切れちゃった?」

英玲奈「……あぁ、そうみたいだぁ」

キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

810: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:11:28.24 ID:ujpmcnlo
こころ「あ、先生!お昼休みですよ!」

英玲奈「……」

こころ「き、起立!礼!」

こころ「ちゃ……っ、あ、ありがとうございました!」

穂乃果「ありがとうございましたぁー!」

英玲奈「……ぅぃ、」ズル

ガラッ……バタンッ

穂乃果「英玲奈先生、大丈夫かなぁ?」

こころ(ま、また間違っちゃったっ///)

811: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:13:02.21 ID:ujpmcnlo
天界乙女式参号を通して、

天界鏡映式弍号の力を行使した、穂乃果とこころ。

これが後に、とんでもない事態を引き起こすとは

今の彼女たちには、知る由もありません。

812: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:14:28.52 ID:ujpmcnlo
トボトボトボ……


ドテッ


英玲奈「…………はあぁぁぁ、」


英玲奈「……あのちび助、とんでもない物を飲ませてくれたな。」ダラァ


「あら、英玲奈じゃん」


英玲奈「……」

ツバサ「ヤッホー♪」

813: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:35:01.05 ID:ujpmcnlo
英玲奈「……お~、ツバサかぁ」

ツバサ「なになに?なんかやたらと疲れてない?」

英玲奈「あぁ……、栄養剤の効果が切れたみたいでなぁ……」

ツバサ「栄養剤?」

英玲奈「はあぁぁぁ……」グデェ

ツバサ「なんなのよ。私みたいなため息ついちゃって」クスッ

英玲奈「あ~、気にするなぁ」

814: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:36:15.30 ID:ujpmcnlo
ツバサ「よいしょっと。……コットン・ジュース飲む?」スッ

英玲奈「あぁ、すま~ん。」スッ

ツバサ「~♪」ゴクゴク

英玲奈「……」カシュッ

英玲奈「……今日なぁ、授業で久しぶりに弐号を使ったんだけどな~」スッ

ツバサ「へー」

英玲奈「っ」ゴクゴク

815: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:37:24.96 ID:ujpmcnlo
英玲奈「……ふぅ、」

ツバサ「で?」

英玲奈「ん。その時に、少し不思議に思ったことがあってな」

ツバサ「不思議?」

英玲奈「あぁ、」

英玲奈「最初に見た景色だけが、やたらと鮮明に映ってたんだよ。」

ツバサ「っ」ピクッ

816: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:41:19.24 ID:ujpmcnlo
英玲奈「それが、なんだか気掛かりでなぁ」

ツバサ「……それ、何処の景色が映ってた?人は?」

英玲奈「景色?いやぁ~、誰かの声は聞こえたが、景色は分からんな~」

英玲奈「そもそも、その時は生徒が使ってた訳だし」

ツバサ「……」

英玲奈「ホントになんだったんだろうなぁ」

ツバサ(……間違いない、)


ツバサ(弐号と参号の連結反応だ。)

817: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 01:43:03.95 ID:ujpmcnlo
英玲奈「まぁ、考えてもしょうがない事なんだろうがな~」グデェ

ツバサ「……」

ツバサ「……わたし、ちょっと用事を思い出した」スッ

英玲奈「あ?用事?」

ツバサ「コレあげる!」バッ

英玲奈「?」

ツバサ「じゃあね!」

タッタッタッタッ……


英玲奈「……」

英玲奈「……二本も要らんのだが、」

825: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:46:13.36 ID:6L2Y/KPE
失くしていた天界乙女式参号。

コレを見つけ出す為の、手掛かりを見出した

天使監督官のツバサ。


そして、


またまた場面は変わりまして

コチラ、魔女の辺境。

826: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:50:32.14 ID:6L2Y/KPE
「キラキラミラー!」

「しょー○ゅーけん!」


あんじゅ「……ちょっといいかしら?」


絵里「~っ!」ピコピコ

凛「にゃ!にゃ!」ピコピコ

827: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:52:08.61 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「ちょっと、アナタたち」


絵里「反射バリアー!」ピコピコ

凛「うにゃにゃにゃー!」ピコピコ

絵里「あっ、あっ!?し、死んじゃう!」

凛「トマトゲット~♪」

絵里「凛!それチューして!私死んじゃうからっ!」

凛「じゃあ、そのミラーちょうだい?」

828: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:53:46.20 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「……」


絵里「あげるからっ!チュー!」

凛「やった~♪シ○ラにゃ~♪」

絵里「……もう!私、なんにも能力無いじゃない!」

凛「また吸い込めばいいじゃん?」

絵里「コピー出来るのないんだもん!」


あんじゅ「……」スッ

829: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:55:04.50 ID:6L2Y/KPE
『揺らめきは陽炎の汝(ナレ)を示す。』


絵里「──ッ!!」バッ

凛「にゃ?」


あんじゅ『呪禁術・焦熱火生』メラッ


『静けさは水琴の調べを熾す』


絵里『呪禁術・留水仙渦!』ズッ


ジュゴゴゴォオオオォオオオオオオッッ!!!!!

830: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 22:58:53.61 ID:6L2Y/KPE
バシャアァァァァッ!!!

あんじゅ「……あら、」

絵里「ふふん♪」

凛「ぉおー!」パチパチッ

あんじゅ「ふぅ~ん。コレは反応出来る様になったんだぁ」

絵里「そうよ?私だって、いつまでもやられっ放しってワケじゃ──」

あんじゅ『焦熱火生』


ボジュウゥゥゥゥッ!!!

831: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:01:07.59 ID:6L2Y/KPE
絵里「うわぁああああああっっっ!!?!?!?」

凛「なっ!なんて事するのぉ!!?!?」

あんじゅ「やっぱりぃ、コレはまだ出来ないみたいねぇ♪」クスクス

凛「000% よりタチが悪いにゃ!!!」

絵里「なっ、なにもゲーム機壊さなくてもいいじゃんっ!!!」

あんじゅ「シカトするからよぉ。」メラメラッ

絵里「肩トントンすれば!!?それで済む話でしょ!!?」

あんじゅ「……この手で?」メラメラッ

凛「そうなる前にっ!!!」

832: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:03:09.69 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「めんどくさいわねぇ」

絵里「うあぁぁぁ……っ、この有り様ぁぁぁぁ……」

凛「なんなのコレぇぇ……、ゲーム機がもう灰色の何かになっちゃったよぉぉ……」

あんじゅ「はいはい。修行始めるわよ」

絵里「うぅっ……やる前にモチベーション下げないでよぉ、」

凛「ミラーでキラキラしたい人生だったにゃ……」

あんじゅ「いいから、早く外に出なさい。」

833: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:27:56.94 ID:6L2Y/KPE
一人前の魔女による

魔女見習いっ子への実技、学科の訓練指導

今日も、魔女のあんじゅを筆頭に

絵里と凛の特訓が始まります。

834: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:31:57.01 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「さて、それじゃあ今日は呪文の成り立ちについて……」

あんじゅ「……」

絵里「え?」

凛「?」

あんじゅ「……その前に、先ずはおさらいでもしましょうか」

絵里「えぇ~、」

凛「呪文の練習がいいにゃ~」

835: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:35:23.49 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「……」スッ

絵里「ひっ!?」

凛「ま、待って待っ」

ヒュッ

ビュォォオオオオオッッ!!!

絵里「んぶっ!?」

凛「にゃぶんっ!!」

ドテッ

あんじゅ「……そうね。じゃあそっちのおさらいでもしましょうか」

836: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:36:44.10 ID:6L2Y/KPE
絵里「~ッッッ」

凛「ぬぐっ……っ!」

あんじゅ「で、まずは呪禁術の文言についてなんだけど」

あんじゅ「コレらは、下級が一句。中級が二句。そして上級が三句。それで成り立ってるワケよね?」

絵里「……っ」

凛「……」

あんじゅ「……」スッ

837: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:38:55.21 ID:6L2Y/KPE
絵里「は、はいっ!!!」

凛「成り立ってますっ!!!」

あんじゅ「……そうね。」

あんじゅ「でも、その力関係は必ずしも、上、中、下級の名前に則ってるって訳ではないのよ」

凛「どう言うこと?」

あんじゅ「要するに、術の特性にはそれぞれ相関があるってこと」

絵里「……なるほど。」

凛「よく分かんない」

838: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:42:30.12 ID:6L2Y/KPE
あんじゅ「……」

あんじゅ「凛。アナタ、風の中級二句は使える?」

凛「うん、もう出来るよ!」

絵里「え"っ(い、いつの間に……?)」

あんじゅ「ちょっと唱えてみて」

凛「え?タイリキくんは?」

あんじゅ「ココにあるわ。中級5、6発分はあるから大丈夫よ。」

凛「オッケー。」

凛「……」スッ

839: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:46:46.86 ID:6L2Y/KPE
『吹き荒ぶ夜嵐。逸る韋駄天の如き疾走』


凛『呪禁術・烈風大爪迅』ゴォッ


……ビュォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!!


絵里「ッッッ」

あんじゅ「……」スッ


あんじゅ『断崖障壁』


ズドンッ!

840: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/14(土) 23:50:33.31 ID:6L2Y/KPE
ズォオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァ…………


凛「!?」

絵里「えっ?止まった!?なんで!?」

あんじゅ「コレが相性ってヤツよ」

凛「あ、相性?」

あんじゅ「そう。術にはそれぞれ相性があるのよぉ」

絵里「うんうん。」

841: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:05:18.17 ID:/nnH3LpK
あんじゅ「炎は氷に強くて、氷は土に強い」

あんじゅ「土は風に強くて、風は雷に強い」

絵里「ふむふむ。」

凛「ん?んん?」

あんじゅ「そして、雷は水に強くて、水は炎に強い。」

あんじゅ「てゆーか、絵里。」

絵里「え?」

842: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:06:59.85 ID:/nnH3LpK
あんじゅ「アナタ、さっきやってたじゃないの」

絵里「そ、それは、師匠が火を出したから何となく水で……」

あんじゅ「天然って怖いわぁ。」

凛「なんか、頭がこんがらがって来たにゃ」

絵里「──ん?ちょっと待って」

あんじゅ「?」

絵里「私の得意な術って、大体氷じゃない?」

843: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:08:10.65 ID:/nnH3LpK
凛「あ~、そうだねぇ」

絵里「んで、師匠の得意な術は炎でしょ?」

あんじゅ「そうね」

絵里「てゆーことは……」


絵里「私、一生師匠に勝てないってこと!!?」

あんじゅ「そうなるわねぇ♪」ケラケラ

844: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:26:16.81 ID:/nnH3LpK
絵里「なによそれぇ!!?じゃあ私、今から水の呪文練習するぅ!!」

あんじゅ「それもいいけどねぇ、多分、氷ほど上手くは使えないと思うわよぉ?」

絵里「へ?な、なんで?」

あんじゅ「……アナタ、何のために"イロドリ花"があると思ってるのよ?」

あんじゅ「あの種を飲んで、頭に咲いた花の色で自分の属性が分かるってゆーのに」

絵里「そ、それは、」

凛「……」

845: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:27:33.73 ID:/nnH3LpK
あんじゅ「それにぃ、術の相性だけが勝敗の全てじゃないからね~?」

絵里「う~ん、」

凛「……絵里ちゃんの花は、とっても綺麗な空色だったねぇ」フッ

絵里「な、なんで遠い目してるの?」

凛「何でだろうねぇ」

絵里「凛は何色だったの?」

凛「…………ピンク。」

846: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:28:20.71 ID:/nnH3LpK
絵里「ぴ、ピンク!?それってなに属性!?」

あんじゅ「凛は綺麗な真っ茶色だったわね」

凛「うぁあああっ!!!言わないでよぉ!!」

絵里「なんで嘘つくの!!?」

凛「嘘じゃないっ!!!」

あんじゅ「大ウソでしょ~?」

847: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:30:06.89 ID:/nnH3LpK
凛「もぉー!この話はおわりーっ!」

絵里「茶色も悪くないと思うけど」

あんじゅ「──話を戻すけど、コレが術の相関性ってヤツよぉ。」

あんじゅ「特に、上級三句を唱える時は要注意だからね。」

絵里「え?なんで?」

あんじゅ「あんなドでかいの唱えた後じゃ、しばらく応戦なんて出来ないもの」

凛「あ~。なるほどね」

848: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:32:01.06 ID:/nnH3LpK
絵里「え?え?」

あんじゅ「……凛。説明してあげて」

凛「おまかせにゃ!」

絵里「?」

凛「はい!絵里ちゃんお得意の鳥さんを出します!」

絵里「ぇえっ!?今使うの!?」

凛「出したとします!」

絵里「……あぁ、はいはい。」

849: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:32:49.59 ID:/nnH3LpK
凛「それを、凛が炎の中級でやっつけます!」

絵里「えー、無理でしょう?」

あんじゅ「タイミングによっては無理じゃないわよ~?」

絵里「う、うそぉ?」

凛「で、絵里ちゃんがグデってる間に、元気いっぱいの凛が術を唱えます!」

絵里「──あ、」

凛「凛ちゃん大勝利です!」

あんじゅ「ここは幼稚園かしら~」

850: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:41:29.16 ID:/nnH3LpK
絵里「だ、だとしたら!全部の上級を覚えてしまえば、誰にだって勝てるんじゃ……」

あんじゅ「前に言ったでしょ?上級三句は、自分の属性のものしか使えないって」

絵里「で、でも、」

あんじゅ「だったら、試しに私の呪文を唱えてみたら?」

絵里「……やってやるわよ。」

凛「!」

絵里「……」スッ


『来たれ。赤熱の業魔を宿し、灰塵へと帰す焔の苗床よ。』ヒィィイイイッ!

851: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:43:14.12 ID:/nnH3LpK
絵里『呪禁術・混沌ノ大樹!』


ポコンッ


絵里「──へ?」

凛「???」

あんじゅ「……」


ポワワワァ~


凛「わぁ~♪ちっちゃくて可愛い芽が出てきたにゃ~♪」

あんじゅ「ホントね~。しかもコレぇ、ほんのり暖かいわよ~?」

852: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 00:59:25.15 ID:/nnH3LpK
絵里「な、なんで?文言も力の配分も間違ってないのにっ、」

あんじゅ「そんな認識だから、この間の天界でも失敗しまくったのよ」

絵里「……私まだ、堕天したばっかりだもん」

凛「凛の方が先輩だもんねー?」

絵里「ふん!」

あんじゅ「天界時代は、アナタの方が成績良かったじゃないの。」

853: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 01:01:14.63 ID:/nnH3LpK
凛「え?そうなの?」

絵里「あ~あ。かしこいかわいいエリートエリチカだったのになぁ」

あんじゅ「ほぉ~んと、運命って数奇に翔んじゃうものよねぇ」

あんじゅ「まさか、上天第2位のエリートエリチカが、ついこの間まで下界の橋の下で野宿してただなんて」

絵里「ちょっ!!?」

凛「の、野宿!?絵里ちゃん野宿してたの!?」

あんじゅ「泥だらけで野良猫と戯れてるアナタを見た時は、不覚にも泣いちゃったわねぇ♪」ケラケラッ

854: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/15(日) 01:03:50.64 ID:/nnH3LpK
凛「お~よしよし。辛かったにゃ~」ナデナデ

絵里「うぅぅっ///」

絵里「もうやめてよぉっ!!」バッ

あんじゅ「……私もねぇ、あの  み魔女さえ居なければ、晴れてトップ3だったんだけどなぁ」

凛「にゃ?」

絵里「アナタ、希と仲悪かったっけ?」

あんじゅ「あんなヤツ、元から嫌いよぉ」

絵里「?」

863: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 22:29:30.20 ID:q4rPHX15
あんじゅ「──あら?もうこんな時間なのね」

あんじゅ「二人とも、今日はここまでよ」

凛「え?」

絵里「随分早いわね、なにかあるの?」

あんじゅ「ちょっとねぇ。城下町でお洋服の予約をしてたのよぉ」

凛「よぉーし!じゃあ凛たちはゲームの続きを……」

凛「あ」

絵里「……忘れなさい。」

凛「あぁぁぁ……灰色のアレ片付けなきゃ……」

864: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 22:31:37.06 ID:q4rPHX15
あんじゅ「じゃあ二人とも、留守番よろしくね」

凛「行ってら~、」

絵里「ついでにゲーム機買ってきてよ。今度はゲーム○ューブお願い。」

凛「あ!凛ね?ルイー○マン○ョンやりたい!変わりばんこで!」

あんじゅ「……はいはい。有ったらね」

凛「やったー!」

絵里「ち○ロボと動物○長もね!?」

あんじゅ「はいはい。」ガチャ

バタンッ

865: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 22:50:14.85 ID:q4rPHX15
絵里の過去を垣間見ながら

二人の特訓を切り上げ、買い物に行くあんじゅ


希「~♪」


そして、コレまた場面は変わり

変 魔女の希と、給仕の亜里沙が住む場所


占いの館・【NON☆NON】

866: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 22:51:09.37 ID:q4rPHX15
「メイドさぁ~ん♪メイドさぁ~ん♪」


亜里沙「……」

希「好き好きぃ~♪」

亜里沙「……」

希「オゥイェ~♪」

亜里沙「……」スッ

希「ちょっと待ってっ!!!」

亜里沙「……早く用件を言って下さい。」

希「は、はいはい!」

希(うぅ……なんか、段々とあのドSに似てきてる気がする……)

867: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:02:15.08 ID:q4rPHX15
亜里沙「で、なんですか?」

希「うん。あのね?」

希「今日はいよいよ警護の日やけど、亜里沙ちゃん大丈夫かなって」

亜里沙「あ、はい。一応準備の方は整いました」

希「まぁ、一般人相手やから、そこまで気張らなくても心配はないと思うけど」

亜里沙「で、でも、やっぱり緊張しますねぇ」

希「くれぐれも、油断だけはしない様にね?ウチらマジカル専門やから。フィジカルは子犬並みだよ?」

868: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:03:26.29 ID:q4rPHX15
亜里沙「こ、子犬かぁ♡かわいいですよねぇ♡」

希「ホント、可愛いよねぇ~♪げっへっへ~」ジロジロ

亜里沙「……」

希「特にぃ、この括れた腰とかがさぁ~♪」スッ

亜里沙『彼の地へ降り注ぐ怪雨。それは堕落の先触れ』

希「!!?」

『呪禁術・休怠へノ歩』

ズゥウゥゥゥンッ

869: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:07:05.88 ID:q4rPHX15
希「ほへぇ~」ボ-

亜里沙「……」

亜里沙「貴方は、本当に忙しないワンちゃんですね」

希「うぇ~。いそがしいのきらぁ~い」

亜里沙「ワンちゃんさん。準備も出来ましたので、早く行きましょう?」

希「めんどいからおんぶしてぇ~」

亜里沙(……ダラけてる希さん、可愛い♡)ゾクゾク


なんとも退廃的な雰囲気を醸し出してる

変 と二代目ドS魔女

870: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:08:55.80 ID:q4rPHX15
そんな彼女たちを他所に

早々と後輩たちの訓練を切り上げ、
予約していた洋服と、不釣り合いなゲーム機を買う為

一人、城下町へと繰り出しましたるは


あんじゅ「~♪」


初代ドS魔女、あんじゅ。

871: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:10:44.96 ID:q4rPHX15
そして、ここにもう一人


「……」


英玲奈の発言、穂乃果とこころの見た風景
それらを元に、天界乙女式参号の在り処を探るべく

此度も、下界へと降臨しましたるは


ツバサ「……はあぁぁぁ、」


おで子出し過ぎの天使

天使監督官のツバサ。

872: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:16:05.65 ID:q4rPHX15
あんじゅ「全くもう、ゲーム機が嵩張ってしょうがないわ。」

あんじゅ「だいたい、なんで私がゲーム機なんて買わなきゃならないのよ」ブツブツ

あんじゅ「……途中でドブにでも捨てようかしら?」


ツバサ「あ~ぁ。あんな話だけじゃ、場所なんて分かりっこないじゃん」

ツバサ「なんか、城下町のお店っぽい感じではあったんだけど」

ツバサ「穂乃果はなんか要領得ないし、こころちゃんの説明だけが頼りか~」



ツバサ「……ん?」

あんじゅ「あら?」

873: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:17:09.04 ID:q4rPHX15
今ここに、

天使と魔女、二大勢力の一端が
再びの邂逅を果たしました。

874: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:18:01.28 ID:q4rPHX15
あんじゅ「……」

ツバサ「……」


あんじゅ「……アナタ、こんな所で何やってるn」

「あんじゅーっ!!」バッ

あんじゅ「!?」

ギュッ!

あんじゅ「ちょ!ちょっと!?人前でやめてよぉ!!」グッ

ツバサ「また会えて良かったぁ~!」モギュッ

875: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:19:48.38 ID:q4rPHX15
あんじゅ「この間会ったばっかりじゃないのっ!大袈裟よ!」

ツバサ「ふうぅぅぅんっ」グリグリッ

あんじゅ「あ、アナタは猫なの!?無理やり匂い擦り付けてる様にしか見えないんだけど!?」

ツバサ「逆~。あんじゅの匂い付けてるぅ~」

あんじゅ「恥ずかしいからやめてっ!!」

ツバサ「やだぁ~」グリグリ

あんじゅ「~っ」

あんじゅ「……で、ここで何してたの?」

876: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:21:13.38 ID:q4rPHX15
ツバサ「う~ん」グリグリ

あんじゅ「……」ゲシッ

ツバサ「痛っ!?」

あんじゅ「おで子は、今日ここで、何をしてたんですか?」

ツバサ「スネ蹴るな!おで子ってゆーなっ!!」

あんじゅ「だって、おで子なんですものぉ♪」ツンッ

ツバサ「~ッッッ」

877: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:22:36.70 ID:q4rPHX15
ツバサ「ちょっと探し物してるの!」

あんじゅ「探し物?」

ツバサ「……あ、」

あんじゅ「あ?あ、ってなに?」

ツバサ「んーん!な、なんでもないよ!?」

あんじゅ「……」

あんじゅ「……」スッ

『страдание. восстановление』

ツバサ「──ッ!!?」


『聖天術・いい子いい子』

878: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:28:34.15 ID:q4rPHX15
ポワワワワ~ン


ツバサ「~♡」トロ~ン

あんじゅ「──良い子のツバサちゃん。今日はここへ何しに来たの?お姉さんに教えて?」ナデナデ

ツバサ「えへへ~♪んっとねぇ~今日はねぇ~」トロ~ン

ツバサ「天界乙女式参号を探しに来たのぉ~」

あんじゅ「!!?」

ツバサ「それでねぇ~♪」

879: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:29:24.36 ID:q4rPHX15
あんじゅ「ど、どう言うこと!?どうやって場所を知ったの!?」

ツバサ「えっとねぇ~んっとねぇ~、なんかねぇ~それはねぇ~」

あんじゅ「ッッッ」イライラ

ツバサ「この間~、弐号に連結反応があったってぇ~、英玲奈から聞かされてねぇ~」

あんじゅ「れ、連結反応?なにそれ?」

ツバサ「連結反応ってねぇ~、七つ道具だけにあるヤツでねぇ~」

ツバサ「弐号はねぇ~、参号と連結する事が出来るのぉ~」

880: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:31:07.59 ID:q4rPHX15
あんじゅ「それは、一体どう言う効果があるの?」

ツバサ「……うぅ、」グスッ

あんじゅ「え!?な、なんで泣くの!?」

ツバサ「なでなでしてぇ~」シクシク

あんじゅ「あ、あぁ。はいはい」ナデナデ

ツバサ「うふふ~♪」

あんじゅ「で、効果は?」

ツバサ「うん~」

ツバサ「えっとねぇ~。昔と今とぉ、未来の自由な時間のねぇ~、場所とか人とかをねぇ~、見れるようになるんだよぉ~」

881: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:32:25.94 ID:q4rPHX15
あんじゅ(なるほど、弐号と参号の能力を足した様な物なのね。)

ツバサ「でもぉ~、周りの人とお話はぁ~、出来なくなるんだぁ~」

あんじゅ「……確かに、それが出来てしまったら改変も可能になっちゃうからねぇ」

ツバサ「うふふふ~♪」

あんじゅ「で?参号は今、どこにあるの?」

ツバサ「えっとねぇ~、それがねぇ~」

あんじゅ「……」


ツバサ「分かんないのぉ~」

あんじゅ「」イラッ

882: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:34:49.62 ID:q4rPHX15
スパンッ!

ツバサ「うぃっ!?」

あんじゅ「……」

ツバサ「……あ、あれ?わたし、」

あんじゅ「下らない事で時間取らせてんじゃないわよ」

ツバサ「え"っ、も、もしかしてわたしっ……喋っちゃった……?」

あんじゅ「えぇ。洗いざらいね」

ツバサ「うああぁぁぁっ……」

ツバサ「てゆーか!魔女のアンタが聖天術使うとか反則でしょ!!?」

883: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:43:28.42 ID:q4rPHX15
あんじゅ「別にぃ?使えるから使っただけよぉ?」

ツバサ「~っ!」

あんじゅ「それで、アンタがここに来てるって言うことは、ある程度の目星は付いてるって事よね?」

ツバサ「……」

あんじゅ「もう、そんなに拗ねないでよ。いきなり喰らわせたのは悪いと思ってるわ」

ツバサ「……謝って、」

あんじゅ「しょうがないわねぇ」スッ

884: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/16(月) 23:59:47.65 ID:q4rPHX15
モギュッ

ツバサ「!」

あんじゅ「ごめんね~、ツバサちゃ~ん。いい子いい子~」ナデナデ

ツバサ「もっ、もういいからっ///」バッ

あんじゅ「あら、せっかく素直に謝ったのにぃ」

ツバサ「~っ///」

あんじゅ「まぁいいわ。ツバサ」

ツバサ「な、なに?」

885: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 00:00:32.14 ID:wm+Y4sE1
あんじゅ「その参号探し、私も手伝うから」

ツバサ「うわぁ……、そうなるから言わない様にしてたのにぃ、」

あんじゅ「アナタが先にボロ出したんだから、自業自得でしょ」

ツバサ「うぅ、」

あんじゅ「さぁ、先ずは預かり屋に行くわよ」

ツバサ「え?なんで?」

あんじゅ「この大荷物を早くどうにかしたいの」

ツバサ「……はあぁぁぁ。」

886: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 00:02:12.57 ID:wm+Y4sE1
昔の上天エリート仲間から

聖天術の不意打ちを喰らった、おで子の天使


呆けたおで子から、無理やり事のあらすじを聞き出し 

件の天界道具探しのお供を、半ば強引に志願した

魔女のあんじゅ


参号を見つける為に、この城下町を縦横無尽に練り歩いてる、天使と魔女でしたが

問題の中心人物である、
変 魔女、希が直ぐそこにいる事は


幸いにも、未だ知り得ないのでした。

892: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:41:55.01 ID:wm+Y4sE1
「──今日は、本当にありがとうございますぅ。」


ことり「お二人が来てくれてぇ、とっても心強いですよぉ♪」

亜里沙「いえいえ、コレもお仕事の内ですから」

希「……」ボ-

ことり「……あの、希さんは大丈夫なんですか?」

亜里沙「き、気にしないで下さい!寝起きで少しボーッとしているだけなので!」

希「……」ボ-

893: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:43:32.49 ID:wm+Y4sE1
ことり「あ、それならコーヒーでも淹れましょうか?」

亜里沙「えっと、大丈夫ですのでどうかお構いなく~」

ことり「は~い」

亜里沙「それで、その変なお客さんって言うのは、いつも決まった方なんですか?」

ことり「はい。何人かは、コンサートで良く見る顔ぶれなんですけど、特に過激ってゆーか……アピールの激しい人がいてぇ」

亜里沙「どんな方ですか?」

ことり「えーっとぉ、」


ことり「背が小さくて黒髪の方と、アンダーフレームのメガネを掛けた女性でしたぁ」

亜里沙「ふむふむ。」

894: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:48:04.96 ID:wm+Y4sE1
亜里沙「分かりました。会場内でその人たちを見かけたら、特に注意しておきますね」

ことり「ありがとうございますぅ」

ことり「それじゃあ、警護の方よろしくお願いしますね?」

亜里沙「はい。お任せくだs」

「めんどくさ~い」

亜里沙「!?」

ことり「えっ」

希「……」ボ-

895: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:49:25.04 ID:wm+Y4sE1
亜里沙「ち、違うんですよ!?"えいえいおー!"って言ったんですっ!!」

ことり「あの……一文字も合ってなかった様な……」

亜里沙「この人なりの気合いの入れ方なんですっ!!」

希「おうちかえりた~い」

ことり「……」

希「お菓子食べて~、ごろごろしt」

亜里沙「それぇっ!!」シュッ

希「ぉぐんっ!?」ボゴッ

ことり「!?」

896: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:51:20.12 ID:wm+Y4sE1
希「……ぅ、うぅんっ、ぽんぽんぺいぃ~んっ」

亜里沙「……」

ことり「ぇ……え?」

希「……あ、あれ?ミナリンちゃん?」

ことり「えっと、本当に大丈夫なんですよね?今日の警護」

希「警護……?あーハイハイ!大丈夫大丈夫!もーまんたいだよ!」

亜里沙「はい。もーまんたいです!」

ことり「……ホントかなぁ、」

897: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:52:40.35 ID:wm+Y4sE1
希「まぁまぁ。騙されたと思って気楽に居ちゃってよ♪」

ことり「だ、騙されてるんですか?」

亜里沙「希さんっ!!言い方!」

希「だぁ~いじょ~ぶ♪」

希「これでもウチら、ぷろ……ぷろ……」


亜里沙「……」

ことり「……」

希「……」


希「任せて下さいっ!!!」

898: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:54:09.19 ID:wm+Y4sE1
新手の押し売り業者のような
抵クオリティのプレゼン力を発揮し、

雇い主の信用度を著しく下げてしまった
この、変 魔女。


そんな裏舞台を尻目に、
世紀のスーパーアイドルを一目見んと

会場前に続々と集まり出すは、
奴r……もとい、下界のファンの皆さん方。

899: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:57:14.87 ID:wm+Y4sE1
「に、にこちゃん!」


にこ「な~に?」

花陽「ミナリンちゃん、今日はどんな衣装で来るかなぁ?」ワクワク

にこ「それはもちろん、定番の天使スタイルでしょう」

花陽「はうぅぅっ、た、楽しみ過ぎるよぉ!」

真姫「……まったくぅ。どうして私まで、」

にこ「アンタは曲の提供者でしょーが。アンタが見なくてどうすんのよ」

真姫「その曲作りだって、元々やる気なんか無かったのよ」

900: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 22:58:36.24 ID:wm+Y4sE1
真姫「……なんだって私、あの子の"お願い"を断れないのかしら」

にこ「光栄に思いなさい。あのミナリンの作曲を担当出来てるんだから」

真姫「あんな歌詞……ホント、作曲者の私を殺しに来てるわ。」

花陽「ま、真姫ちゃんは、とっても優しい人だから、ミナリンちゃんの期待に応えたかったんだよね?」

真姫「……花陽、」

花陽「……真姫ちゃんっ///」


真姫「今日はあんまり騒がないでね?」

花陽「え"っ」

901: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:03:44.79 ID:wm+Y4sE1
真姫「正直、コンサートの時のアナタは悪霊が乗り移ってるとしか思えないの」

花陽「!?」

真姫「アレじゃあ、デスメタルバンドのファンだって言われても納得し兼ねないわ」

花陽「ぇ……そ、そんな事ない……よね?」

にこ「普通でしょ?」

真姫「……」

にこ「てゆーか、なんだかんだ言ってアンタも騒いでんじゃない」

902: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:04:58.23 ID:wm+Y4sE1
真姫「…………今日、記録装置で撮っててあけるわ」

にこ「え?」

真姫「コンサートでのにこちゃんが、どれだけ我を忘れてるのか」

真姫「客観的に見てもらえれば、きっと分かってくれるかと思ってね」

にこ「……ぇ」

真姫「花陽。アンタもよ」

花陽「う、うそぉ?」


「みんな~!お待たせ~!」

903: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:06:37.46 ID:wm+Y4sE1
花陽「──ッ!!?」

にこ「き、来たっ!!?」

真姫「……」


ことり「ミナリンスキーだよぉ~♪」


花陽「きゃああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!」

にこ「ミナミナミナミナミナリイィィィィィィィンンンンンンッッッッ!!!!!!!!!!!」

真姫(……この狂人ども、)

904: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:13:57.99 ID:wm+Y4sE1
ことり「いぇ~い♪」

花陽「いぇええええぇえええええあああぁあああぁあああああああああああああいっっっっ!!!!!!!!!」

にこ「目ェ合ったッ!!?!?目ェ合ったッ!!?!?目ェ合ったぁあああぁあああああああああっっっ!!!!!!!」

真姫(前に見た、回復薬中毒の患者とそっくりね。)

ことり「みんな元気ぃ~?」

<元気ーっ!!!

ことり「えへへ~♪ことりもぉ~、」

905: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:16:29.53 ID:wm+Y4sE1
ことり「今日は~、コンサートに来てくれてホントにありがとぉ~♪」

真姫(私は来る気無かったけどね)

ことり「この城下町広場で開催させてくれた~お城のみんな~!」


ことり「私の"お願い"を叶えてくれてぇ~、とぉ~っても嬉しい~でぇ~す♡」ファサッ

……キイィィイィィィィンッ!!!


真姫「ん?」


真姫「──ッ!!?」グルグルッ

906: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:17:51.56 ID:wm+Y4sE1
ことり「お陰でこぉ~んなに人が集まってくれてぇ~、ことり、とっても幸せだよぉ~♪」

ことり「今日は~、ことりと一緒にい~っぱい楽しもうねぇ~♪」


花陽「ミナリンのためならっ!!!!ミナリンのためなら私いぃぃぃいぃぃぃぃっっっ!!!!!!!!」

にこ「オーィエッス!!!ミ・ナ・リンッ!!!!オーィエッス!!!ミ・ナ・リイィィィィィィィィンッ!!!!」

真姫「みんな聞いて聞いてっ!!!!あの子の曲って私が作ってるのよっ!!!?どぉ!!?凄くないっ!!?神くないっ!!?!?」グルグル

907: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:19:43.74 ID:wm+Y4sE1
世紀のアイドル・ミナリンスキーこと、
トサカの天使、ことりが無自覚に使用している

最古の七つ道具、天界魅了式伍号。

その威力は凄まじく、

アイドルに全く興味を示さなかった
中立者にして、お医者のマッキーですらが

同じ狂人の仲間と化してしまいました。

908: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:29:48.54 ID:wm+Y4sE1
ツバサ「あ~ぁ、疲れたぁ~」

あんじゅ「運動不足なんじゃなぁい?」

ツバサ「そうかなぁ?」

あんじゅ「わたし、疲れてないもん」


時を同じくして、

参号探しのため、城下町を練り歩いていた

天使監督官のツバサと魔女のあんじゅ。

909: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/17(火) 23:47:39.07 ID:wm+Y4sE1
ツバサ「だってさぁ~、日がな一日座りっぱなしなんだよ?こんなの運動不足になってもしょうがないじゃん」

あんじゅ「仕事の後に走ったりとか、軽く散歩するとか、色々あるでしょ?」

ツバサ「えぇ~、つまんないじゃん」

あんじゅ「……その内、オットセイみたいな身体になっても知らないからね」

ツバサ「オットセイ可愛いじゃん」

あんじゅ「知らなぁ~い」

ツバサ「……はあぁぁぁ、」

910: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:06:43.52 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「全く、いつになったら参号は見つかるのかしら」

ツバサ「……っ」

ツバサ(ど、どうしよう……ホントはタイミングを見計らって、アイツとあんじゅを引き合わせるつもりだったのに……っ)

ツバサ(それとも、コレが適切なタイミングだったって言うの?コレが正史なの?)

「──バサ、」

ツバサ(うぅっ、分かんないよぉ!)

「ツバサ。」

ツバサ「!」

911: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:07:53.52 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「私の話聞いてる?」

ツバサ「ぅえ?な、なんだっけ?」

あんじゅ「……はぁ。だから、手掛かりよ」

ツバサ「っ」

あんじゅ「アンタ。何か確証があってここに来たんでしょ?それを教えなさいって言ってるの」

ツバサ「え、えぇっとぉ……」

あんじゅ「……」

ツバサ「うぅ……」

912: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:14:49.91 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「……分かった。包んでるオブラートを取るわね」

ツバサ「え?」

あんじゅ「あの変 の家を見たんでしょ?」

ツバサ「!?」

あんじゅ「例の連結反応とやらで、アンタはアイツの家の風景を垣間見た」

ツバサ「……私じゃなくて、英玲奈の生徒がよ」

あんじゅ「どうでもいいわ。そして、それがこの城下町にあるって当たりをつけたんでしょ?」

913: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:16:02.37 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「違う?」

ツバサ「そ、そうだけど、」

ツバサ「だって……まさか、アンタと一緒に探すことになるなんて思わなかったし……」

あんじゅ「あら、こうなる事は肆号で知ってたんじゃないの?」

ツバサ「アレはっ!」

ツバサ「……あの道具は、1ページ読むだけでもすっごい疲れるから、先のことなんて全然分かんないもん。」

あんじゅ「ふぅ~ん」

914: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:17:25.05 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「まぁ、別に気を使わなくてもいいわ。あんな  み魔の事なんて、もう何とも思ってないから」

ツバサ「うっ……」

あんじゅ「その話をするのが嫌で、今までハッキリと言わなかったんでしょ?」

ツバサ「だって……」

あんじゅ「大丈夫よ。ただ会って、参号を取り返すだけだもん」

あんじゅ「安全でしょ?」

ツバサ「……うん。」

915: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:18:15.92 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「で?あの変 の居場所って、何処らへんにあるの?」

ツバサ「うん。穂乃果とこころちゃんの話だと、雑貨屋さんみたいなお店が見えたって言ってたけど」

あんじゅ「雑貨屋?」

ツバサ「う~ん。もしかして、城下町じゃなかったのかなぁ」

あんじゅ「……ちょっと待って、今さらそれを言うわk」

ワ-ワ-ッ!

916: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:19:23.29 ID:RZ+LOHO4
あんじゅ「!」

ツバサ「ん?なんの騒ぎ?」

あんじゅ「あぁ。誰かのコンサートがあるみたいね」

ツバサ(チャンス!)ダッ

あんじゅ「は?ちょ、ちょっと!?」

ツバサ「お祭りー!」タッタッタッ

ツバサ(ひいぃぃっ!に、逃げ切らなきゃっ!)

あんじゅ「待ちなさいってばっ!!」

917: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:20:16.81 ID:RZ+LOHO4
刻一刻と迫り来る、運命の時。


「亜里沙ちゃ~ん♪」


そうとも知らず、お気楽に仕事をしている

変 魔女の希。


亜里沙「なんですか?」

希「そっちはどぉ?変なお客さんはいた?」

918: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:33:24.23 ID:RZ+LOHO4
亜里沙「う~ん。みんな白熱しちゃってて、何が普通なのか分からなくなりました」

希「あはは、確かにねぇ」

亜里沙「前列の方が凄い盛り上がりですけど、今のところは大丈夫みたいです」

希「そっかぁ。」

希「……ちょっと疲れたから、補給してもいい?」ワキワキ

亜里沙「退職してもいいなら良いですよ」

希「!?」

希「絶対やだぁ~!もうしないからぁ~!」

919: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:34:12.59 ID:RZ+LOHO4
亜里沙「仕事中です。真面目にやって下さい」

希「うぅ……、亜里沙ちゃんに喰らった術がまだ残ってるんやもん、」

亜里沙「そ、それはごめんなさい。あとで肩揉みしてあげますから」

希「期待しとるでぇ」クックックッ

亜里沙「……肩揉みだけですからね。」


ことり「ふ~わふわしたものかわいい~な♪」

<ハァイッ!!!!!

920: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:35:18.83 ID:RZ+LOHO4
亜里沙「す、凄いですねぇ」

希(正直、なんであの歌詞で盛り上がれるのかが分からない)

亜里沙「この調子だと、いつ変な人が出て来てもおかしくないですね」

希「まぁ、いざとなったら精神系の呪禁術で大人しくして貰うだけやしね」

亜里沙「……一般人相手には、あんまり使いたくはないんですけどねぇ」

希「そうは言っても、力で止められない以上、燃やしたり凍らせたりするよりはマシやない?」

921: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:36:17.80 ID:RZ+LOHO4
亜里沙「ん~。風で吹き飛ばすとか?」

希「……それもかなり危ないヤツやん。」

<ワ-ワ-ッ!!!

亜里沙「あ。二人がかりでなら、呪文使わなくても止められるんじゃないですか?」

希「……」

亜里沙「のぞみさーん!」

希「えー!?なにー!?聞こえなーい!」

亜里沙「二人がかりでならー!」


「ミナリンちゃーんっっっ!!!!!!」

922: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:41:33.01 ID:RZ+LOHO4
希「!」

亜里沙「あっ!」


「うぉおおおぉおおおおおっっっ!!!!!!!」

「ミナリイィィィィィィィィンッッッッ!!!!!!!!!」

「婚姻届持ってきましたっ!!!!サインして下さいぃぃぃぃぃっっっ!!!!!!!」


ことり「あ、危ないですよぉ!?」

923: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:46:11.11 ID:RZ+LOHO4
希「出たっ!!!」

亜里沙「私が止めて来ますっ!!」ダッ

希「えっ!?」

……タッタッタッタッ!

亜里沙「そこの変な人たち!!やめなさいっ!!」ダンッ

ことり「あ、占い屋さん!」

亜里沙「ミナリンさんっ!危ないから下がってください!」

924: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:47:54.69 ID:RZ+LOHO4
希「あの子足はやっ!!?」

希「てゆーか!占い屋さんはウチだからっ!!」

ワ-ワ-ッ!!!

希「すいませ~ん!ちょっと通りまぁ~す!」グイグイッ

希「そこ通して下さ~い!」グイッ

希「あ~もぅ、ウチの絶好の見せ場がぁ~!」グイッ

925: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/18(水) 00:50:12.92 ID:RZ+LOHO4
ドンッ!

「きゃあ!?」

希「あ、すみません!」

「いたた……っ」

希「えっと、大丈夫ですか?」グイッ

希「……あ、」

「もうっ!コレだから人混みは嫌いなの……よ……?」グッ



あんじゅ「……」

希「……」

935: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/19(木) 23:50:56.27 ID:W9xQpbWx
遂に出会ってしまった

この、因縁の魔女二人。


希「……」

あんじゅ「……」


もし、何方かがその気になってしまえば、

一瞬で会場内の人々を消し炭にしてしまえる程の実力を持つ、この御両人

正に、一触即発の雰囲気です。

936: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/19(木) 23:53:15.18 ID:W9xQpbWx
希「……あー、」

あんじゅ「……」

希「だ、大丈夫そうですね?そぃじゃあ失礼しま~s」スッ

ガシッ

希「!?」

「……失礼と思ったんなら、」


あんじゅ「貴方の命でお詫びして?」ニコ

希「」

937: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/19(木) 23:56:55.54 ID:W9xQpbWx
ボワァアアアアッッッ!!!!!!

希「!」

希『とぁっ!!』ザバッ


ボジュウゥゥゥゥッッ!!!


希「ハハ。君も"詠唱破棄"まで出来る様になってたん?やるねぇ」

あんじゅ「……」

希「でも、人前で呪文使うんは感心しないかなぁ?なぁ~んて、」

あんじゅ「……喧しいわ。」

938: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/19(木) 23:58:50.77 ID:W9xQpbWx
ガシッ

希「!?」

あんじゅ『飛翔せよ。五国六界の彼方へ。汝の名は留まりしの対極』

希「な、なにする気なんっ!?」

あんじゅ「ここじゃあお邪魔虫だらけだし、一緒に浜辺デートでもしましょ?」

希「は、浜辺?」

あんじゅ「──ッ!」カッ

『呪禁術・懐郷翔転移』

キュンッ!!!

939: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/20(金) 00:02:15.48 ID:fnfJwulg
亜里沙「……あれ?希さん!?」

「うぉおおおぉおおおぉおおおおおおおおっっっ!!!!!!!」

「可愛いけどどいてくれぇええええええええええっっっ!!!!!!!」

「ミナリイィィィィィィィィンッッッッ!!!!!!!!」

ことり「ひっ!」

亜里沙「──ッ!」バッ

『さざめく様相は春風の如し』

亜里沙『呪禁術・慈愛ノ飄!』ヒュン!

ことり「!?」

940: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/20(金) 00:04:42.74 ID:fnfJwulg
ヒュォオアアアアアッ


「ォオおおおおあああぁあああぁああああああぁああああッッッッ!!!!!!!!!」

亜里沙「……へ?」

「ミィナリィィイイイイイイインッッッ!!!!!!!」

亜里沙「き、効いてない!?なんで!!?」

ことり「……」

亜里沙「ことりさんっ!!にげt──」


『сонливость. футон. песня. Матери. Во сне』

亜里沙「えっ」

941: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/20(金) 00:06:24.02 ID:fnfJwulg
「ウォォオオオオォオオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!!!!!」

ことり「──ッ!」カッ


ことり『聖天術・ねんねんころりよ、おころりよ!』キランッ


~♪~♫♪~♪♪♪


「オオオオオオオオオォォォォォォォ…………」

バタンッ

亜里沙「ッッッ」

「……zzZ。」

947: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:42:17.90 ID:E/KvDO6B
流石は元天使のことり。

亜里沙の呪禁術で止められなかった暴徒たちを

一瞬で鎮めてしまいました。


ことり「──ふぅ。」

亜里沙「こ、ことりさん!?」

ことり「へ?」

亜里沙「あ……あなた……っ」

亜里沙「天使だったんですかっ!!?」

ことり「えへへ~。元、だけどねぇ」

ことり「と言うかぁ、公式プロフィールにもちゃんと掲載してるよぉ?」

亜里沙「う、うそぉ!?」

948: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:44:12.47 ID:E/KvDO6B
ことり「ホントだよぉ~。ほら、このパンフレットにも載ってるんだぁ~♪」

亜里沙「……ホントだ。」

ことり「ね?書いてるでしょ?」

亜里沙「で、でも!だったらどうして警護なんt」

「ミナリンッ!!!」

亜里沙「!?」

ことり「あ」


花陽「えへ、えへへへぇ……っ」グルグル

にこ「ふひひっ……ミィナリィ~ン♡」グルグル

949: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:46:08.29 ID:E/KvDO6B
亜里沙「うわぁ……」

花陽「つ、ついにミナリンと同じ舞台にっ……っ!」グルグル

にこ「ヤバいっ!!ヤバいわっ!!!ミナリンが目の前にいるっ!!!」グルグル

亜里沙(……あれ?この黒髪の人、どこかで)

ことり「こ、この人たちっ!!」

亜里沙「へ?この人たち?」

ことり「そう!朝にお話しした二人って、この人たちなんです!」

亜里沙「う、うそ!?こんな危ない感じの人なんですか!?」

ことり「はい。この人たち……なんですけど、ここまで変 っぽくはなかった気が……」

950: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:48:39.32 ID:E/KvDO6B
花陽「えへへへへへ~♡握手……さ、ささ、サインンンンンンッ」グルグル

にこ「全身サイン入りにしてえぇぇぇ……私ごとプレミアムな存在になるのよおぉぉぉ……っ!」

ことり「ひ、ひいぃぃぃぃぃっ!!」

亜里沙「黙りなさいっ!!危ない事ばっかり言ってると、ちょっと痛い事しないといけなくなりますよ!?」バッ

花陽「危なくないですよおぉぉぉぉ。」グルグル

にこ「そうよおぉぉぉぉ、私はミナリンの味方でえぇぇぇす♡」グルグル

ことり「~ッッッ」

951: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:51:03.76 ID:E/KvDO6B
「それっ!!」

プチッ

ことり「ひっ!!?」バッ

亜里沙「えっ!?」

プシュルルルル~……

花陽「──ッ!」ガクッ
にこ「うぁ!?」グラッ

バタンッ

亜里沙「……は?」

花陽「」

にこ「」

952: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:52:14.53 ID:E/KvDO6B
ことり「えっ、えっ!?」

亜里沙「な、なに……?なんでいきなり……」

「はあぁぁぁ。危なかった」

亜里沙「!」

ことり「あ、」


ツバサ「全くもぅ、理事長が心配してたわよ?」


ことり「か、監督さん!?」

亜里沙(だれ?)

ツバサ「やっぱりコレ、没シュートしないと駄目かもね」

953: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:53:45.11 ID:E/KvDO6B
ことり「ふぇ~ん!監督さぁ~ん!」モギュッ

ツバサ「おっと!」ギュッ

亜里沙「あ、あの……貴方は?」

ツバサ「あー、ごめんごめん。」

ツバサ「私は天使監督官のツバサ。この子とは同郷なの」

亜里沙「えっ、天使?」

「ボンクラ天使よ。」

ツバサ「ひっ!?」

亜里沙「!」

真姫「……」

954: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:55:50.72 ID:E/KvDO6B
ことり「お医者の真姫ちゃ~ん!」モギュッ

真姫「……抱きつきグセは健在ね、ことり。」

亜里沙(あ、町医者さんだ)

ツバサ「あ、あれ?ことりの事も知ってるの?」

真姫「当たり前でしょ。天界人の健康管理も、私の業務に含まれてるのよ」

ことり「私の作曲家でもあるんだよ~♪」

亜里沙「え!?」

ツバサ「作曲!?」

真姫「そんな事はどうでもいいの」

955: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:56:55.86 ID:E/KvDO6B
真姫「ん、」クイッ

ツバサ「……はあぁぁぁ、ハイハイ。」

真姫「ハイは一回。」

ツバサ「……はい。」

亜里沙(なんで、天使より町医者の方が偉そうなんだろう)

ツバサ「ことり。」

ことり「はい?」

ツバサ「アナタが今日まで付けていた、その頭頂部を飾ってたウィッグ」

ツバサ「それは、天界魅了式伍号って言う、最古の天界道具の一つなの」

956: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 21:59:27.25 ID:E/KvDO6B
ことり「……へ?」

ツバサ「中天の試験でもあったでしょ?天界には、古くからの七つ道具があるって」

ことり「う、うん。」

真姫「そう。その一つが、今そこのボンクラが持ってるヤツよ」

ツバサ「ご、伍号の影響から助けたのは私でしょ!?いつまでも調子に乗ってると──」

真姫「今日は第二段階のお披露目かしら?」

ツバサ「うぐっ!?」

ことり「……あの、」

真姫「ん?」

957: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:01:41.15 ID:E/KvDO6B
ことり「伍号って確か……生き物の感情を支配する力があるって……」

真姫「そうらしいわね」

ことり「じゃ、じゃあ……もしかして、今日まで私がアイドルをやれていたのって……」


ことり「……こ、コレのおかげ?」

真姫「……」


ことり「ね、ねぇ?監督さん?」

ツバサ「……」

ことり「……う、占い屋さんっ」

亜里沙「ぅ……そ、それは……」

958: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:02:59.36 ID:E/KvDO6B
今日までの、自分の人気の要因


ことり「~っ」


それが全て、
天界道具のお陰だったと知ったことり


ことり「み、みんな~!」

ガヤガヤッ

ことり「ミナリンスキーだよぉ~!」

ガヤガヤッ

ことり「みんな~……」

ことり「……」

959: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:05:00.65 ID:E/KvDO6B
天界魅了式伍号の力無くしては

この、騒めく観衆に言葉一つ届けられない

そんな、己の無力さを痛感させられた

元、トサカの天使


ことり「…………みんなぁ……」

真姫「……」

ツバサ「……っ」

亜里沙「かっ、」

亜里沙「かわいそ過ぎますっ!!早くソレ返してあげて下さいっ!!」

960: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:09:12.37 ID:E/KvDO6B
真姫「……」

亜里沙「聞いてるんですか!?早くそr」

ツバサ「ダメよ。今は渡せない」

亜里沙「どうして!?」

ツバサ「さっきの暴動を見たでしょ?少なくとも、この観客たちが帰るまでは渡せないわ」

亜里沙「問題ないですっ!!また暴れたら、今度こそ私がっ」ガシッ

亜里沙「!?」

真姫「私は中立者。天界道具による下界での不祥事を、私が見逃すとでも思う?」

亜里沙「うっ……」

961: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:12:45.61 ID:E/KvDO6B
ことり「あ、」

ゾロゾロゾロ……

ことり「ま、待ってくださいっ!わたし、まだ歌えますから~!」

ゾロゾロ……

ことり「待ってよぉ~っ」

ことり「わたし……まだ……」


………………。


ことり「…………うぅ、」


ほぼ全ての観客が家路へと着き

あの、熱狂渦巻くコンサート会場も

今はもう、閑散とした広場へと戻ってしまいました

962: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:22:44.71 ID:E/KvDO6B
ことり「……」


ツバサ「……もういいでしょ。」

真姫「好きにしたら?」

ツバサ「フンッ」

スッ

ツバサ「……はい。返すわね」

ことり「……」

ツバサ「ねぇ、ことり。」

ことり「……」

ことり「……また、一人ぼっちだ。」

963: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:30:32.99 ID:E/KvDO6B
ツバサ「っ」

真姫「……」

亜里沙「こ、ことりさん……っ」

ことり「コレが無いと、私ってなんにもないんだね」

ことり「特別美人な訳でもない。頭も普通。運動は苦手だし、人見知りもするし」

ことり「……これじゃあ、ダメダメだよね」

真姫「……」

ツバサ「……ことり、」

ことり「昔ね?」

ツバサ「え?」

964: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:33:58.54 ID:E/KvDO6B
ことり「昔、私が天界学校に入った頃、お友達が全然出来なくて、毎日毎日、自分のお部屋で泣いてたんだ」

ことり「引っ込み思案だったせいもあるのかなぁ、誰も私に興味を持ってくれなかったんだよ」

ことり「──でも、」

ことり「中天に上がった時にね?母さんがコレをくれたんだ」

ツバサ「……」

ことり「"それを着けてれば、どんな時でもお友達が出来るから"って」

ことり「そう言ってた」

真姫「……」

965: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:41:03.62 ID:E/KvDO6B
ことり「楽しかったなぁ~。本当にお友達が出来たんだって……嬉しかったなぁ、」

亜里沙「~っ」

ことり「コレのお陰で、ここまで楽しく過ごして来れたけど」

ことり「今日からは、また独りの人生に戻るんだね……」

ツバサ「ひ、独り独りって!」


ポロロ~ン♪


ツバサ「!」

ことり「え?」

966: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:42:39.36 ID:E/KvDO6B
~♪~♫♪~♪♪♪


ことり「ま、真姫ちゃん?」

真姫「……」♬♪♫

ことり「あ、あの、」

真姫「……」♪♩♫

ことり「……えっと、」

真姫「何してるのよ」♪♫♪♪

ことり「?」

967: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:44:04.17 ID:E/KvDO6B
真姫「早く歌いなさい。お客さんが待ってるじゃないの」♩♫♪♬

ことり「お、お客さん?」

「そうよ。いつまで待たせる気なの?」

ことり「──ッ!」


にこ「やっと続きが見れるわね」

花陽「み、ミナリンぢゃ~んっ!」メソメソ

にこママ「間に合って良かったわぁ~♪」

ここあ「応援に来たよーっ!」

虎太郎「みなり~ん」

968: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:45:43.12 ID:E/KvDO6B
ことり「み、みんなっ……っ!」

真姫「さぁ、コンサートはコレからよ?」

ことり「真姫ちゃん……」

ツバサ「ことり。」

ことり「か、監督さんっ、」

ツバサ「ツバサ。私はツバサよ」

ことり「~っ」

ことり「……つ、ツバサちゃん?」

ツバサ「そう。私の友達はみんなそう呼ぶのよ?ことり。」

ことり「……うんっ」

969: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:50:53.49 ID:E/KvDO6B
真姫「ボンクラ」♬♫♪♪

ツバサ「うっさいっ!!!アンタなんか友達じゃないからっ!!」

真姫「当たり前でしょ。アンタは私の下僕よ」♩♫♪

ツバサ「ぐぅ……っ!」

亜里沙「ミナリ……ことりさんっ!!」

ことり「占い屋さんっ」

亜里沙「亜里沙。私は亜里沙です!」

ことり「……ありがとう、亜里沙ちゃんっ。」モギュッ

亜里沙「はわっ///」

ジャ-ンッ!

970: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:58:30.44 ID:E/KvDO6B
真姫「──さて、それじゃあ続きを始めましょうか。」

ことり「うん♪」


ことり「みんな~!ミナリンスキーだよ~!」


にこ「イェーッ!」

花陽「ミナリンちゃーんっ!!」

にこママ「ワォワォーッ!」

ここあ「ミナリン大好きぃー!」

虎太郎「すてき~」

ツバサ「きゃあー♡」

亜里沙「ミナリィーン!」

971: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 22:59:25.69 ID:E/KvDO6B
遠い昔に落っことしてしまった自信と、

アイデンティティを取り戻す事が出来た


元、トサカの天使・ことり


この、城下町広場でのコンサートは

まだまだ盛り上がりを見せる事でしょう。

972: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:01:54.70 ID:E/KvDO6B
──そして、


コチラは、以前村娘の花陽が一騒動を起こした

音ノ木村近くにある浜辺【マメイチ・ビーチ】


あんじゅ「……」

希「……」


夕暮れ時の海岸。そこに静かに佇む

件の魔女が二人。

973: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:07:40.00 ID:E/KvDO6B
あんじゅ「……」

希「~っ」


希「……ぁ、あの、」

あんじゅ「先に言っておくわね。」

希「ッ」ビクッ

あんじゅ「私、"あの事"はもうなんとも思ってないから」

希「あ、あの事?あの事ってなんやろ~っ?」

あんじゅ「……」

希「あ!わ、分かった!あんじゅのお昼ご飯食べちゃったこと!?」

974: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:08:33.88 ID:E/KvDO6B
希「ごめんねぇ~。ウチ、めっちゃめちゃお腹空いててさぁ~、我慢出来なかったんよ~」

あんじゅ「……」

希「え?ち、違うの?」

希「じゃあ……上呂の授業のやつ?あの時、植木鉢じゃなくてあんじゅに掛けちゃった事に怒ってるのかな?」

あんじゅ「……」

希「やぁ~、アレはホントにごめんねぇ。まさか、顔中の毛が伸びまくるなんて思わなくってさ~」

あんじゅ「……アンタ、」

希「う、うそ?これも違う?」

975: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:09:20.62 ID:E/KvDO6B
希「えっと……んじゃあ、お尻とか      だこと?……でも、コレは挨拶みたいなもんやしなぁ」

あんじゅ「……っ」

希「あ、分かった分かった!」

希「寝てる間に、鼻にピーナッツ詰め込んだ事やね!?そうでしょ!?」

あんじゅ「ッッッ」

希「アレも大変だったねぇ、片っぽ取れなくなっちゃって、ウチと英玲奈で頑張って取ろうとしたもんね~」

希「どぉ?当たり?当たりでしょ?」

あんじゅ「」


あんじゅ「」プツッ

希「え"っ」

976: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:10:52.84 ID:E/KvDO6B
『……猛る様は情炎。』

希(炎の中級ッ!)バッ


『紮止(サッシ)。逸る韋駄天の如き疾走』ヒュボッ!


希「は?」


あんじゅ『呪禁術・焦熱大爪塵』


ズゴゴゴォオオオオオオオォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!!

977: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:12:03.58 ID:E/KvDO6B
希「うぎっ!!?あっ!?あっつうぅぅぅぅっ!!?!?」

あんじゅ「……」

希(こ、"混唱"まで使ってくるとか──ッ!)

希(どんだけウチのこと嫌いなん!!?)

あんじゅ「どーかしら?雨の日も乾燥機要らずでしょ?」

希「~ッッッ」

希『そ、聳え立つ萬霊峰。其れら大敵の強襲を阻む!』ズッ!

希『断崖大絶壁!』

ズゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!!!!

978: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:15:25.67 ID:E/KvDO6B
あんじゅ「……ふぅ~ん。流石ねぇ」

希「アッチ!?アッツツツツっ!!?」

あんじゅ「土との相関で風を消して、オマケに炎も物理的に防げちゃう」

あんじゅ「お尻に火は着いたみたいだけどぉ♪」

希「フゥーッ!フゥーッ!!ホッ!消えろっ!」パタパタッ

あんじゅ「アッハッハッ!なにそれ?お馬さんごっこかしらぁ?」

希「ひいぃっ!ひぃっ、……はへ、」

あんじゅ「次は何してくれるの?豚のマネ?」

979: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:16:10.25 ID:E/KvDO6B
希「~ッッッ!」イライライラッ

あんじゅ「ほら、どうしたの?早くブーブー鳴きなさいよ」

希「う、ウチはなぁ!穏便に事を済ませようって、そう思ってたんよ!?」

あんじゅ「……」

希「でも!アンタがその気なら、コッチだってそれなりの対応とるからね!?」

あんじゅ「ふぅ~ん。」

希「ふぅ~ん!?ふぅ~んって言ったなっ!!?」

希「謝るなら今のうちだよ!!?土下座までしたら笑って許してあげるっ!!!」

980: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:16:52.37 ID:E/KvDO6B
あんじゅ「……」

希「ほら!まだ間に合うよ!?いいの!?」

希「ごー!よーん!さーん!にー!いーち!」

あんじゅ「……」


あんじゅ「──デ○。」

希「」ブチッ


希「アッッッタマ来たっっっ!!!!!!」

あんじゅ「~っw」

981: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:18:11.23 ID:E/KvDO6B
ババッ

『唸れ。雷鳴の産声と共に。天焦がす蒼奔の霹靂よ』バチバチバチッ!

あんじゅ「あらら。いいの?」

希「……どうせ海の傍やもん。別にええやろ?」バチバチッ

希「それに、あんじゅもそのつもりでここに飛んだんやないん?」バチバチッ

あんじゅ「……」

希「この子出しちゃったらもう後には引けないけど、どうする?」バチッ

982: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:21:23.90 ID:E/KvDO6B
希「さぁさぁ!どうするん!?」

あんじゅ「……うるさいデ○ね。ホントに人間なのかしら?」

希「」ブチチッ!

希「──そう、分かった。」スッ

あんじゅ「……」


「覚悟しぃや。」


バババッ!


『呪禁術・紫彗(シスイ)ノ黒獣』


バリバリバリバリッッッ!!!!!!!

ギャオォォオオオオォオオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォンッッッッ!!!!!!!!!!

983: 名無しで叶える物語(浮動国境) 2020/11/21(土) 23:22:42.06 ID:E/KvDO6B
怒れる変 魔女、希の最大呪禁術。

雷光を纏(マト)い、暗雲の如きどす黒い体毛を棚引せ、天を駆ける漆黒の獣。

そして、ソレは奈落へと続く顎門(アギト)を大きく開ながら、此度の獲物を睨(ネ)め付ける。

引用元: 海未「紙芝居屋さんです」