歩夢「あの…かすみちゃん…ごめんね」

かすみ「歩夢先輩！？…まさか…」

歩夢「私、付き合ってる人…いるの」

せつ菜「ええっ！？歩夢さんが！？」

愛「うっそー！マジで！？」

かすみ「な、なに考えてるんですか！歩夢先輩！私たちはアイドルなんですよ！」

エマ「いつからなの？」

歩夢「えっと…中学3年くらいの時かな…」

かすみ「アイドルになる前からじゃないですか！！」

果林「へぇ～じゃあもう付き合って2年近く経つのね？やるじゃない？」

彼方「けっこうアツアツなんだね～」

歩夢「え、えへへへ…///」

かすみ「何照れてるんですか！！付き合ってる男がいるのによくアイドルになろうと思いましたね！！」

歩夢「え？」

しずく「えっ！？歩夢さん、男の人と付き合ってるんですか！？」ｶﾞﾀｯ

せつ菜「う、嘘ですよね！？歩夢さん！？」ｶﾞﾀｯ

かすみ「いやだから、さっきから歩夢先輩がそう言って…」

歩夢「ち、違うよ！」

かすみ「え？」

璃奈「じゃあ、やっぱり女の子？」

歩夢「う、うん…///」

かすみ「え？」

しずく「なんだぁ…」ﾎｯ

せつ菜「よかったです…」ﾎｯ

かすみ「いや、何ほっとしてるんですか、何も良くないですよ」

かすみ「何やってるんですか歩夢先輩！！アイドルになる前から付き合ってる上にアブノーマルな恋愛なんて！」

彼方「アブノーマル？」

璃奈「普通じゃない？」

かすみ「えっ…？かすみんがおかしいの？」

せつ菜「女の子は女の子同士で恋愛すべきだと思います！」

愛「かすかす遅れてるね～！今時珍しくないよ～！」

かすみ「いやいや珍しいですよ！？あ、あとかすみんですよ」

しずく「歩夢さん、私は応援しますよ！」

歩夢「ありがとう、しずくちゃん！」ﾆｯｺﾘ

かすみ「もう！侑先輩も黙ってないで、何か言ってくださいよ！」

侑「え？えーっと…」

侑「本人同士がいいならいいんじゃない…かな？」ﾆｺｯ

かすみ「いやいや、侑先輩だって歩夢先輩が誰かと付き合ってるなんて嫌じゃないんですか！？」

侑「そ、それは…」

彼方「というか、歩夢ちゃんの付き合ってる人って侑ちゃんだよね？」

侑「え゛っ！？」ﾋﾞｸｯ

歩夢「っ…！！///」ﾋﾞｸｯ

かすみ「いやいや、そんなわけ…」


せつ菜「あ、やっぱりそうなんですか！」

璃奈「しってた」

しずく「そんな気はしてました」

果林「それ以外ありえないわよね？」

エマ「まぁ…そうだよね？」

愛「歩夢とゆうゆなら納得だね！」


かすみ「えっ…えっ…」

かすみ「え…？」

侑「うう…うまく隠してたつもりだったのに…」

歩夢「ご、ごめんね侑ちゃん…私が話しちゃったから…」

彼方「いや～、歩夢ちゃんが付き合う女の子っていったら侑ちゃんくらいしかいないでしょ？」

しずく「ですね～」

せつ菜「王道ですね！」

歩夢「みんな、今まで隠しててごめんね？これからもいつも通り接してくれたら嬉しいな？」

侑「私からもお願いするよ！」

愛「そんなのとーぜんだよ！」

エマ「うん！私も応援するし、私たちはずっと友達だよ！」

歩夢「ありがとう、みんな！」ｳﾙｳﾙ

かすみ「…」

かすみ（何、この疎外感…）

歩夢「あの…ずっと隠しててごめんねかすみちゃん…」

歩夢「やっぱり…怒ってるよね…？」

かすみ「うう…怒ってましたけど、もう2年も真剣にお付き合いされているなら…」

かすみ「アイドルとしては…あれですが…かすみんはいいと思います！」ﾌﾟｲｯ

歩夢「かすみちゃん！」ﾊﾟｱｧ

侑「ありがとう！かすみちゃん！」ﾊﾟｱｧ

かすみ「ただし、浮かれて世間に公表してはダメですからね！今後のためにもですよ！」

歩夢「わ、わかりました…」

果林「はい！じゃあ、話はこれで終わりね！」

璃奈「はやく練習に戻ろう！時間がもったいない！」

せつ菜「そうですね！この話はこれでおしまい…」

かすみ「…いや、まだです！」

彼方「かすみちゃん？」

かすみ「歩夢先輩の他にも、まだいるんじゃないですか！？」

7人「！！」ﾋﾞｸｯ

かすみ「怪しい…」ｼﾞｰｯ…

しずく「かすみさん？あまり人のプライベートを詮索するのは…」

エマ「も、もうやめにしない？」

愛「別に隠したいことを無理に言わせなくていいんじゃないかな？」

かすみ「むぅ…それもそうですね…」

かすみ「な～んて言うと思いましたか！甘いですよ皆さん！」

7人「！！」ﾋﾞｸｯ

かすみ「歩夢先輩は真剣なお付き合いだとわかったから認めたんです！しかし！」

かすみ「もしかしたらふしだらな恋愛をしてる人もいるかもしれない！」

かすみ「だから皆さん！この機会に洗い浚い吐いてもらいます！」ﾋﾞｼｯ

璃奈「わ、私…」ｽｯ

かすみ「…りな子！」

愛「っ！！りなりー！やめときなって！」

璃奈「ううん、同好会のみんなに嘘はつけないから…」

璃奈「ごめんね、かすみちゃん…私、付き合ってる人、いるんだ」

かすみ「…そう…なんだ…」

かすみ（まさか本当にいたとは…）

璃奈「隠しててごめんなさい…」

璃奈「でも、私も真剣だから…認めてほしい！」

愛「りなりー…」

かすみ「…わかった！りな子なら変なことにはならないだろうし！」

璃奈「ありがとう、かすみちゃん」

かすみ「えっと…相手は…まぁ、いいや」

かすみ（なんか流れで、愛先輩だと思うし）

果林（まぁ、愛でしょうね）

せつ菜（愛さんでしょうね）

しずく（愛さんですよね）

かすみ「じゃあ、順番に回していきましょう！」

かすみ「愛先輩、今付き合ってる人はいますか？」

歩夢（いきなり聞くんだ…）

愛「アタシ？いないよー」ｹﾛｯ

かすみ（え？あなたは嘘つくんですか？）

かすみ「いや、今のりな子の真剣なカミングアウトを聞いてますよね！？」

愛「え？聞いてたよ？」

しずく「愛さん、見苦しいですよ」

せつ菜「幻滅しました」

果林「失望したわ」

愛「ええっ！？みんな酷くない！？」

かすみ「りな子！？こんな愛先輩でいいの！？」

璃奈「？？…どういうこと？？」

かすみ「え？？」

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

浅希「璃奈いる？」

璃奈「あ、浅希ちゃん」

浅希「ちょっと時間あるかな？ライブに使えそうな出し物を考えてみたんだけど、璃奈の意見が聞きたくって♪」

璃奈「うん」

璃奈「ごめん、行ってもいい？」

かすみ「も、もちろん…」

璃奈「あの、浅希ちゃん…みんなにその…言ってもいい？」ﾎﾞｿｯ

浅希「えっ…///う、うん…わかった…///」ﾎﾞｿｯ

璃奈「みんなに紹介する、私、浅希ちゃんと付き合ってるの」

浅希「…///」ﾃﾚﾃﾚ

しずく・せつ菜・果林「えええっ！？」

愛「あー…アタシ、実はりなりーから相談されてて、実は知ってたんだ…」

歩夢「そうだったんだ！」

かすみ「な、なるほど…それで…」

璃奈「じゃ、じゃあ行ってきます」ｷﾞｭｯ

浅希「し、失礼します…///」ｷﾞｭｯ

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

かすみ（なんか、前もこんなことあったな…）

かすみ「えっと、気を取り直して、じゃあ、次は3年生の…果林先輩！」

果林「えっ！？わ、私…！？」

果林「い、言わなきゃ…ダメかしら？」

かすみ「…はい」

彼方「というか、もう反応がクロだよね～」

エマ「えっと、果林ちゃんはプライドが高いし、いないって言うのが逆に恥ずかしいんじゃないかな？」

せつ菜「え？そうなんですか？」

エマ「私も果林ちゃんに恋人がいるなんて聞いたことないし、いないんだと思うよ～」

侑「そうなんだ…」

エマ「そうだよね？果林ちゃん？」

果林「その、ごめんなさい…います…」

エマ「」

エマ「あ…そうなんだ…」

エマ「私…知らなかったよ…」

エマ「果林ちゃんのこと…何も…」

果林「ご、ごめんね！エマ！その、何だか言いづらくて…」

かすみ「まぁ…読者モデルで活躍してる果林先輩ならモテるでしょうし、あり得ますよね…」

しずく（かすみさん、だんだん落ち着いてきましたね）

かすみ「どこかの男性モデルさんですかね？」

果林「いや、女の子よ？」

かすみ「なんかもう、皆さん、当然のように女の子なんですね…」

かすみ「ちなみにお相手は…」

果林「えっと、ごめんなさい、言えないわ…」

果林「その、向こうもスクールアイドルだし、できる限り公にはしたくないわ」

かすみ「その情報だけでなんとなくわかったので大丈夫です！」

果林「ええっ！？///」

侑（あ、姫乃ちゃんかぁ）

歩夢（姫乃ちゃんだね）

せつ菜（姫乃さんですね）

彼方（姫乃ちゃんだね）

しずく（姫乃さんですね）

愛「へぇ～誰だろう」

エマ「…」ｸﾞﾇﾇ

ﾋﾟﾛﾘﾝ

果林「あっ、ごめんなさい！今日はモデルのお仕事があったんだった！」

果林「悪いけど今日は帰るわね！」ﾀﾞｯ

かすみ「あっ、はい…お気をつけて…」

・・・

ｽﾀｽﾀ

果林「ふぅ…」

美咲「あ、果林！」ﾌﾘﾌﾘ

果林「えっ！？美咲！？///なんでここに！？」

美咲「ふふっ、会いたくてきちゃった」

美咲「それに果林が仕事場まで迷子にならないようにエスコートしなくちゃね？」ｷﾞｭｯ

果林「お、お願いするわ…///」

※紫藤美咲
藤黄学園で姫乃と一緒にいたスクールアイドル

かすみ「じゃあ次は…」

エマ「」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

かすみ（あの反応からエマ先輩はいないですよね…しばらくそっとしておきましょう…）

かすみ「じゃあ彼方先輩…」

彼方「うん、いるよ～」

せつ菜「はやっ！」

しずく「かるっ！」

彼方「遥ちゃんだよ～」

侑「はやっ！」

歩夢「かるっ！」

かすみ（著者が飽きてきているんですかね…）

かすみ「さすがのかすみんも驚かなくなってきましたよ…」

愛「みんな進んでるね～」

かすみ「って遥ちゃんって妹じゃん！？妹が恋人なんですか！？」

愛「って、おそっ！」

かすみ「いや、何考えてるんですか！？女の子同士は百歩譲っても姉妹はまずいでしょ！？」

彼方「え～？まずいかな～？」

かすみ「そうですよ！家族ですよ！家族！近　　　ですよ！？」

侑「かすみちゃん落ち着いて、彼方さんはそこまで言ってない」

彼方「やったよ～」

侑「やったの！？」

かすみ「こんなふしだら、かすみんは認めませんよ！」

彼方「でも～、女の子同士が良くて家族がダメっていうのもおかしくない～？」

彼方「かすみちゃんからしたら、どっちもアブノーマルなわけだし？」

彼方「それって不公平じゃない～？」

かすみ「…」

かすみ「…たしかにそうですね」

しずく（納得するんだ…）

彼方「あ！ごめん！そろそろバイトに行かなきゃいけないんだった！」

かすみ「ってまたそのパターンで離脱するんですか！都合良いですね！」

彼方「じゃあ、またね～」ﾀﾞｯ


かすみ「はぁ、なんだか一気に疲れました…」

歩夢「あの…私たちも…そろそろ」

侑「帰ろうかなって」

かすみ「あ、すみません先輩たち、何か予定ありましたか？」

歩夢「いや、ないんだけど…」

侑「帰るタイミング逃しちゃったから…」

かすみ「いや、予定がないならいてくださいよ！別にノルマじゃないですから！」

かすみ「さて、あと聞いてないのは…せつ菜先輩としず子ですね」

かすみ（うう…二人ともいそうだなぁ…」

歩夢「かすみちゃん、だんだん心の声が漏れてきてるよ…？」

せつ菜「安心してください！この優木せつ菜、当然恋人はいませんよ！」

かすみ「！！っ本当ですか！？せつ菜先輩、信じていました！」

侑（さっきいそうとか言ってなかった！？）

せつ菜「当然です！優木せつ菜は、ファンのみんなが大好きですから」ﾊﾟﾁｰﾝ

かすみ「せつ菜先輩は味方で良かったです！」

かすみ「じゃあ次、しず子！」

しずく「安心してかすみさん、私も彼氏いないよ？」

かすみ「！！…しず子ぉ！しず子も味方だった！」ﾀﾞｷｯ

しずく「かすみさん、よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

愛（ん？なんかアタシの時と反応違くない…？）

せつ菜「それはそうと、そろそろ生徒会に行かなきゃいけないのを思い出しました！」

せつ菜「私はここで失礼しますね！」

愛「おー、またねーせっつー」

しずく「ごめんなさい、私も演劇部に行かなきゃいけないんでした！」

しずく「私もここでおいとましますね」

エマ「ばいばい、しずくちゃん」


ｶﾞﾁｬ…

ﾊﾟﾀﾝ

せつ菜「…」

しずく「…」

せつ菜「なんとか切り抜けましたね…」

しずく「はい…私も、嘘は言ってません…」

【生徒会室】

副会長「お疲れ様です、菜々」

菜々「！！…副会長…その、学校では会長と呼んでください！」

副会長「右月さんと左月さん含め、他の方はお休みなので、今日は二人きりですよ？」

菜々「そ、それでも…その…学校ですし…///」

副会長「それより菜々、そろそろ私の事も名前で呼んでくれませんか？」

菜々「えっと、その…まだ、心の準備が…」

副会長「わかりました、後でちゃんと呼んでもらいますからね？」

菜々「は、はい…」



菜々（中川奈々に恋人がいますが、優木せつ菜に恋人はいない…）

菜々（…嘘はついていませんよね…？）



副会長「それより菜々！今度こそせつ菜ちゃんのライブ、一緒に行きましょうね！」ﾜｸﾜｸ

菜々「そ、それは、えっと…考えておきます…」

菜々（ここまで親密になってもバレないとは…いつ正体を明かしましょう…）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

【演劇部】

しずく（彼氏はいないってだけだと誰かにつっこまれると思ったけど）

しずく（なんとかせつ菜さんに便乗することでうまくごまかせましたね…）

部長「しずく、今日このあと私の家くる？」ﾎﾞｿｯ

しずく「ぶ、部長…///わ、わかりました…///」

部長「OK、楽しみにしてくるね」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

しずく（部長…やっぱりいつ見ても素敵です…）ﾃﾞﾚﾃﾞﾚ

しずく（しかし、私はスクールアイドルであり、演劇部の女優！恋人がいるなんてバレてはならない…）

しずく（卒業するまでは、なんとか演じきってみせます！）ｸﾞｯ

新聞部「桜坂しずくさん！」ｶﾞﾁｬ

しずく「あ、新聞部さん」ﾆｺｯ

新聞部「部長さんとしずくさんが付き合っているというのは本当なんですか！？」ﾊﾞｯ

しずく「…え？」

【次の日】

かすみ「とりあえず、歩夢先輩、りな子、果林先輩、彼方先輩！もっとスクールアイドルの自覚を持ってくださいね！」

歩夢「ご、ごめんなさい…」

璃奈「反省してる」

果林「気を付けるわ」

彼方「ごめんねぇ～」

かすみ「絶対に周りにバレないこと！いいですね！」

4人「はい！」

せつ菜「まあ、みなさん真面目ですし、大丈夫だと思いますよ！ねぇ、しずくさん！」

しずく「…」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

せつ菜「しずくさん？」

ﾊﾞﾀﾝ

侑「みんな！大変だよ！」

歩夢「侑ちゃん？そんなに慌ててどうしたの？」

侑「今日更新された新聞部の記事を見て！」

かすみ「なになに…『桜坂しずく、演劇部部長と熱愛』…」

かすみ「は…？」

しずく（終わった…）

かすみ「しず子？」ｼﾞﾛｯ

しずく「はい…ごめんなさい…」

かすみ「昨日いないって…」

しずく「ごめんなさい、彼氏は本当にいないんです…」

しずく「でも彼女はいるんです…」

かすみ「いや、そんなトンチきかせてごまかさないでよ」

しずく「ごめんなさい…」

せつ菜「しずくさん！何を考えているんですか！」

せつ菜「みなさんを騙したんですか！？なぜそんなことを！！」

しずく（いや、せつ菜さんも似たようなものじゃないですか）

せつ菜「それだけではなく、すでに噂が学校中に広まってしまってるじゃないですか！」

せつ菜「このままファンにも噂が行き届いたら人気にも影響が…」

侑「ああーっ！！みんな、これも見て！！」

せつ菜「何ですか！？今、大事な話を…」

侑「『生徒会会長と副会長が熱愛！！生徒会室でキス！！』だって！！」

せつ菜「」

かすみ「ん？…せつ菜先輩？」

せつ菜「…」

かすみ「せつ菜先輩も、騙したんですか？」

せつ菜「…」

せつ菜「優木せつ菜には、いませんよ？」

せつ菜「恋人がいるのは中川奈々ですから、私は無関係です」ｷﾘｯ

かすみ「いやいや、もはや屁理屈じゃないですか！」

せつ菜「それに、新聞部にも、副会長にも、中川奈々が優木せつ菜だということはバレていません！」

せつ菜「よってこれはセーフです！！」

かすみ「いや、どう考えてもアウトですよアウト！」

愛「な～んだ、結局せっつーもしずくも恋人いたんだー！」ｱﾊﾊ

かすみ「いや、笑ってる場合じゃないですよ愛先輩」

果林「まぁ、せつ菜の方は大丈夫かもしれないけど、生徒会会長としての信用は落ちそうね…」

せつ菜「うう…次の信任投票で落選するかもしれません…」

せつ菜「その時は真面目で八重歯があって髪飾り強く結びなおしてそうな1年生に会長を任せて、私はスクールアイドルに専念することにします！」

歩夢「ポジティブだね…あとなんでそんなに具体的なの？」

璃奈「今、掲示板のスクールアイドル板を調べてるけど…幸い、まだしずくちゃんの噂は広まってない」ｶﾀｶﾀ

しずく「よ、良かった…なんとか新聞部を説得して記事を取り消してもらえるよう話してみるよ！」

璃奈「ん…？これは…！！」ｶﾀｶﾀ

愛「どしたのりなりー？」

璃奈「『【悲報】藤黄学園スクールアイドル、熱愛発覚』ってスレが…」

果林「え」ｻｰｯ

侑「果林さんの付き合ってるスクールアイドルって…確か…」

璃奈「『紫藤美咲ちゃん、綾小路姫乃ちゃんが虹ヶ咲学園のスクールアイドルと付き合ってるらしい』って…」

果林「…」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

かすみ「めちゃくちゃ広まってるじゃないですかぁ！！」

ﾋﾟﾛﾋﾟﾛ

果林「…」

果林「ちょっと二人のところに行ってくるわ」

璃奈「えっ…今会いにいくのはまずいんじゃ…」

エマ「…私も行くよ」

エマ「なるべく人気（ひとけ）がない場所で4人で話せば大丈夫でしょ？」

果林「ありがとう、エマ」

エマ「じゃあちょっと行ってくるね」

【人気（ひとけ）がない場所】

美咲「…」

姫乃「…」

果林「…」

エマ「…」

姫乃「果林さん、美咲さん！どういうつもりですか？二人が付き合ってたなんて…」

姫乃「そんなこと、一度も言ってくれなかったじゃないですか」ｳﾙｳﾙ

果林「あ、綾小路さん、落ち着いて…」

美咲「ご、ごめんね姫乃」

エマ「姫乃ちゃん、ごめんね…私も昨日知ったから、知らなかったんだよ」

エマ「私たちに話さず、隠れて美咲ちゃんと付き合ってたなんて、本当ひどいよね果林ちゃん！」ｼﾞｯ

姫乃「本当ですよ！果林さん！！どうして言ってくれなかったんですか！？」ﾊﾞﾝｯ!

果林「…えっと、私からもいい？」

果林「エマと綾小路さんが付き合ってたのも、私は今日、初耳だったんだけど…」

エマ「あれ？言ってなかったけ？」

姫乃「果林さんには当然、エマさんから言ってるものだと…」

エマ「私は姫乃ちゃんから言ってるものだとつい…」

姫乃「あ、どちらも話してなかったんですか…私たちはいつも果林さんの話をしているのに…」

エマ「ね？果林ちゃんの話で盛り上がりすぎてて忘れちゃってたよ～」ｱﾊﾊ

姫乃「ふふっ…エマさんったら」ｸｽｸｽ

果林「…どちらにしても私だけが責められる筋合いはないわよね？」

美咲「まあまあ、とりあえず、今後のことを考えましょう…」

果林「そうね、私たちは駆け出しだからまだいいとしても、藤黄学園は…」

姫乃「いや、果林さんは読者モデルでファンも多いですよ」

美咲「それに虹ヶ咲学園も、この間のSIFで人気が爆上がりしたし、ここで人気に支障をきたすのは…」

エマ「う～ん」

果林「まぁ、なんとかなるんじゃないかしら？」

美咲「果林？」

果林「私にいい考えがあるの」ﾊﾟﾁｰﾝ

【スクールアイドル同好会部室】

璃奈「スレを読んでいったら、果林さんと紫藤さん、エマさんと綾小路さんが付き合ってるみたいだね」

せつ菜「てっきり、果林さんと姫乃さんが付き合ってるものだと思い込んでいました！」ｱﾊﾊ

歩夢「びっくりだね～」ｱﾊﾊ

かすみ「いやいや！それよりエマ先輩にも恋人がいたことの方がかすみん、ビックリしましたよ！」

愛「そういやあ、エマっちには恋人の有無を聞きそびれてたね～」

かすみ「ということは…かすみんと愛先輩以外みんな恋人いるじゃないですか！！しかもみんな女！！」

愛「あっはっは！すっごい同好会だねぇ～！」

かすみ「いや、だから笑ってる場合じゃないですよ！」

ｶﾞﾁｬ

果林・エマ「ただいま～」

侑「あ、お帰りなさい～」

かすみ「エマ先輩！酷いですよ！どうして騙してたんですか！？」

エマ「ごめんね～、そんなことより…」

かすみ「さらっと流された！？」

果林「私達ね、付き合ってることを隠さないでいこうと思うわ」

かすみ「…え？」

8人「えええーーーーーーーーーーっ！？」

璃奈「なるほど…百合営業」

歩夢「百合営業？」

璃奈「女性同士の同性愛を装う業界戦略だけど…スクールアイドルでも百合営業しているグループは多いと聞く」

かすみ「！！たしかに…かすみんも聞いたことある！！」

しずく「でも…果林さんたちの場合は装ってないですよね？」

果林「それについては問題ないわ、百合営業はむしろ本気と思われた方が効果があるのよ」

エマ「それで、これからも藤黄学園とは深くかかわっていこうって話をしたんだよ」

果林「コラボステージとかもできるし、百合営業効果で人気を上げれれればプラスに働かないかしら？」

せつ菜「な、なるほど…！それは盲点でした！」

彼方「じゃあ、遥ちゃんとイチャイチャしていいんだ～！」

エマ「えっと…節度は守ってだけどね…？」

かすみ「…」

かすみ「確かに、下手に隠すより、そうした方がいいのかもしれませんね」

愛（けっこうすんなり納得するんだね）

かすみ「幸い、皆さん女性と付き合っているので、バレても人気が落ちるということも…ないのかもしませんね…」

せつ菜「かすみさん…？」

かすみ「…」

【数日後】

かすみ（あれから何度か虹ヶ咲学園では熱愛報道が後を絶たず、私と愛先輩以外の7人全員、恋人がいることがバレた）

かすみ（でも、ファンのみんなは誰も批判せず、応援してくれるコメントばかりで、温かい人ばかりだった）

かすみ（それどころか、以前にも増して虹ヶ咲の人気が出たし、ファンも増えました）

かすみ（結局、かすみんが心配してた結果とは真逆の結果となりました）

愛「どしたの？かすみん？元気ないね」

かすみ「愛先輩、私は間違っていました…」

かすみ「誰にだって恋愛する権利もあるし、隠さなきゃいけないってこともないんですね…」

愛「…そうだね」

かすみ「かすみん、アイドルは恋愛してはいけないって価値観がありました」

かすみ「でも、心の中では、恋人のいる学校生活を送りたいと、思ってたのかもしれません…」

かすみ「みんなのことが羨ましくて、妬ましかったのかもしれません…」

愛「かすかす…」

かすみ「かすみんです…」

愛「じゃあ、かすみんもさ！これからは気にせず、恋に生きてみてもいーんじゃない？」ﾆｶｯ

かすみ「あい…せんぱい…」ｳﾙｳﾙ

愛「それからさ、かすみん…」

愛「愛さん、こんな時だからこそ…かすみんに伝えなくちゃならないことがあるんだよね」

かすみ「えっ…///」ﾄﾞｷｯ

愛「ずっと隠してたんだけどさ」ｼﾞｯ

かすみ「はっ…はい…！！///」

かすみ（え！？嘘！？これってまさか…///）

愛「愛さんね…実は…」

かすみ「…///」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

愛「実は彼女ができちゃったんだよね！」ﾃﾍｯ

かすみ「…」

かすみ「…は？」

愛「ごめんごめん！あの日は本当にいなかったんだけどさ！」

愛「アタシ、みんなの話きいてたら勇気もらっちゃって、あの後、昔からずっと好きだったおねーちゃんに告白したんだ！」

愛「あ、おねーちゃんといっても血は繋がってなくてね、昔から姉のように接してた幼馴染なんだ～」

愛「今度かすみんにも紹介するね！」ﾆｶｯ

かすみ「あっはい」

愛「じゃあアタシ、そろそろもんじゃ屋の手伝いに行かなくちゃ！」

愛「またね！かすかす！」

かすみ「…」


かすみ「…」

かすみ（結局…かすみん以外…みんな恋人が…）

かすみ「…」

かすみ「う…う…」ｳﾙｳﾙ

かすみ「うううううう…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

かすみ「かすみんの恋人はいないんですかぁあ」

かすみ「かすみんはここにいますよぉおおおおお」

かすみ「おおおおおおおおおお」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

コペ子「…」

コペ子「…かすみん」

かすみ「！！」ﾊﾟｧｧｧ



完