1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 07:57:05 ID:o9AoTolM
シンジ「大人はみんなズルい...大人はみんなロクデナシだ...だから僕は嫌だ」

カヲル「なら、大人にならなくてもいいと思うよ」

シンジ「え?」

カヲル「ふふ。永遠に子供のままで、いたいかい?」

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 07:59:32 ID:0En6hPyw
ミサト(劇をやるから観に来てほしい、って言われたから観に来たけど...何なの、この劇...)

シンジ「そんな場所が、あるの?」

カヲル「勿論さ」

シンジ「....」

カヲル「大人になりたくないんだろう?」

シンジ「それは、まぁ...」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 08:03:15 ID:0En6hPyw
ミサト(ピーターパンを題材にした劇とか何とか言ってたけど、これ...この2人、素でやってない?)

カヲル「じゃあ、行ってみないかい?...ネバーランドへ」

シンジ「そこに行けば、大人にならなくて済むの?」

カヲル「一生遊んで暮らせるさ」

シンジ「行きます。僕が行きます!」

ミサト(なーによ、このシンジ君のどっかで聞いたことがあるような台詞はー)

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 08:06:53 ID:0En6hPyw
カヲル「それが君の望む幸せならね」

シンジ「うん。これが、これが僕の望む幸せだよ」

カヲル「それなら何の問題もないさ」

カヲル「おいで、ファースト、セカンド!」

ミサト(ちょっ!何で妖精がレイとアスカなの!?)

レイ「私を、呼んだ?」

アスカ「何の用?」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 08:09:57 ID:0En6hPyw
カヲル「彼を、ネバーランドへ連れて行こうと思うんだ。それが彼の望む幸せらしいからね」

レイ「...そう」

アスカ「それじゃあほら!妖精の埃!」

シンジ「妖精の埃?何だよそれ」

アスカ「あんたバカァ?ネバーランドに、どうやって行くつもりだったわけ?」

シンジ「め、目を瞑れば行けるとかじゃないの?」

アスカ「世の中そう簡単には行かないの!」

シンジ「で?これがあればどうなるのさ」

レイ「空を飛べる」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 08:13:07 ID:0En6hPyw
レイ「思いのままに、貴方は飛べるようになる」

アスカ「そういうこと。だから、あんたにそれを特別に恵んでやるわ」

シンジ「本当に、空が飛べるの?」

レイ「ええ」

アスカ「ありがたく思いなさいよ!」パラパラ

カヲル「うんと楽しいことを考えてごらん!そうしたら、羽根が生えたのと同じになる」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 08:16:50 ID:OlphnplU
シンジ「僕の幸せ...」

シンジ「エヴァに乗らなくてもいい世界。怖い思いをしないでいい世界。使徒なんか来ないで、みんなが安全に暮らせる世界」フワァ

カヲル「その調子さ」

シンジ「...父さんが僕を見てくれる世界」フワァ

シンジ「本当に、本当に飛べた!」

ミサト(カオスでしかないわね)

カヲル「さぁ行こう、ネバーランドへ!君の望む幸せへ!」

シンジ「うん!」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 21:14:01 ID:UatDl5Ro
ミサト(あたしは一体、何を見せられてんのかしら)

~シーンが変わり~
シンジ「ここが...ネバーランド?」

カヲル「そうさ。素敵な場所だろう?」

シンジ「うん...凄く、素敵だと思う」

カヲル「気に入ってくれて何よりさ。さぁ、僕らの家に案内するよ」

シンジ「君達の、家?」

アスカ「特別に招待するのよ、感謝しなさいよね!」

レイ「碇君が、気に入ってくれると私はポカポカする。だから、気に入って貰いたい」

カヲル「きっと気に入って貰えるさ。掃除も頑張っていたしね」ニコッ

アスカ「あ、あたしだってちっとは手伝ったわよ!」

カヲル「うん。そうだね」ニコッ

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 21:19:25 ID:UatDl5Ro
~カヲル達の家~

カヲル「どうだい?シンジ君気に入って貰えたかな?」

シンジ「僕、人のうちって苦手なんだ。だけどこの家は凄く居心地がよくて...何だか安心するんだ」

シンジ「それに、綺麗だし」

レイ「掃除、頑張って良かった...」

アスカ「どう?この飾り!あたしが選んだの!センスいいでしょ?」ドヤァ

シンジ「うん、凄く可愛いしアスカらしい」

アスカ「ふん!///」

ミサト(パーペキ素でやってんじゃないのー!何よこの劇...他のお客さんの反応はっと...)

客A「この劇、すっごい良くない?」

客B「ポカポカする、って感じだよね」

客A「わかるわかる!」

ミサト(あ、あたしがおかしいの?)

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/28(月) 21:22:30 ID:UatDl5Ro
シンジ「ネバーランドって、本当に素敵だよ!」

カヲル「いつまでもここにいたらいいさ。ネバーランドには悲しみも苦しみもないからね」

シンジ「これこそ、僕が求めてた世界だよ!」

アスカ「あっそ。良かったじゃない?」

レイ「碇君がここに残るのが、嬉しい癖に」

アスカ「そっ、それは!あ、あんただって同じでしょ?シンジがここに残るのが嬉しいんじゃないの?」

レイ「ええ。嬉しい。ポカポカする」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 16:52:31 ID:tRSKcFeo
アスカ「ほら見なさい、あんただって同じじゃない!」

レイ「///」

シンジ「2人とも...僕が残るのが嬉しいの?」

レイ「そう。ポカポカするの」

アスカ「嬉しくないこともないんだからね///」

シンジ「ここにいたら、迷惑じゃない?」

カヲル「ちっとも迷惑じゃないさ」

シンジ「ほんと?」

アスカ「あたし達を少しは信じなさいよ!」

シンジ「...ありがとう」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:00:05 ID:tRSKcFeo
ピリリピリリ

ミサト(電話?誰?ひとまず移動してっと...)タタッ

ミサト「はい、もしもし?あ、リツコ!?何よ、どうしたの?え!使徒!?」

リツコ『そう。使徒が出たの。チルドレン達を今すぐ、ネルフ本部へ向かわせなさい!』

ミサト「うへぇ、シンちゃん達カワイソー」

リツコ『そんなこと言ってる場合!?緊急なのよ!』

ミサト「分かってるわよ!それより、そっちの状況は!?」

リツコ『マリが繋いでくれているわ。でも1人じゃやはり厳しいわね。とにかく、急いで!』

ミサト「了解!」ガチャッ

ミサト「...こんな時に、使徒かぁ。シンちゃん達に演劇最後までさせてあげたかったな」ハァ

ミサト「しゃーない、か」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:03:35 ID:tRSKcFeo
ミサト「シンジ君!それに貴方達!」

アスカ(客席から舞台に話しかけるとか、どーゆう神経してんのよ、ミサト!)ギロッ

ミサト(最前列にしといて良かったわね)

ミサト「よく聞いて!たった今、使徒が出たわ。ネルフ本部から連絡があったの。今すぐネルフに向かうわよ!いいわね!?」

シンジ「....」

ザワザワ

客A「なになに?こういう演出なの?」

客B「どういうこと?」

客C「何が起きてるんだ?」

ザワザワ ガヤガヤ

アスカ(マズイわね...場を繋げないと!)

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:07:14 ID:tRSKcFeo
アスカ「シンジ!ミサトの言うこと聞いちゃ駄目よ!あんたを現実の世界に引き戻そうとしてるだけ!」

レイ「でも碇君は、エヴァに乗らない幸せを見つけた。ここで暮らすことを望んだわ。だから、彼女の言うことを聞く必要は、ない」

シンジ「そうだよ、僕はエヴァに乗らない幸せを見つけたんだ!」

カヲル「だから大丈夫。ここに残ればいいさ。何の心配もいらないよ」

ミサト(待って!?演技の延長線だと思ってるわけ、この子ら!嘘でしょ!)

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:10:04 ID:tRSKcFeo
ミサト「あたしの話を聞きなさい!これは本当のことなのよ!」

シンジ「...」

ミサト「辛いかもしれないわ、でもそれが現実なのよシンジ君!現実を受け止めて!お願い」

シンジ「本当、なんですか?」

ミサト「そうよ。早く行かないとマズイことになるでしょうね。マリが繋いでくれてるそうよ。でも、1人じゃ持たないわ」

ミサト「分かるでしょ?」

シンジ「...」

アスカ「マジ、なのね?」

ミサト「勿論」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:12:39 ID:tRSKcFeo
アスカ「ならあたしは行くわ。行って、そして勝って、認めて貰うの」

レイ「私にはエヴァに乗ること以外何もないもの」

カヲル「もう少し演劇をしていたかったけど、仕方ないね。行こう」

ミサト「ありがとう」

アスカ「ホラ、バカシンジ!あんたはどうするの?たった今、お客に避難勧告が出たわ。1人でここに突っ立ってる気?」

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:16:22 ID:tRSKcFeo
ミサト「シンジ君!」

シンジ「結局は、エヴァに乗らない幸せなんかなかったんだ」

ミサト「ええ、ないわ。使徒を完全に殲滅するまで、エヴァに乗らない幸せは訪れない。演劇を最後までさせてあげられなくて申し訳ないけれど...」

アスカ「でもその、使徒殲滅があたし達の目標でもあるし?使徒を殲滅したら、エヴァに乗らない幸せがあんたにも訪れるのよ」

ミサト「貴方にも、ね」

アスカ「どうかしら」

シンジ「...分かりました。行きます!」

ミサト「ありがとう、シンジ君」

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2021/06/29(火) 17:20:35 ID:tRSKcFeo
ピリリピリリ

ミサト「あ、もしもし?リツコ?今からネルフに向かうわ!」

リツコ『説得、大変だったでしょう?敢えて誰とは言わないけれど』クスッ

ミサト「ちょっちね」

リツコ『本当に、”ちょっち”かしら?』

ミサト「んも~さっきから他人事だと思って~!」

リツコ『ありがとね、ミサト』

ミサト「これがあたしの仕事だもの」ガチャッ

ミサト「さぁ、行くわよ!」

シンジ「はい!」 アスカ「早く使徒をぶっ潰すわよ!」
レイ・カヲル「了解」

[完]

引用元: シンジ「僕は大人になりたくないよ!」