1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:17:39.45 ID:j5WhuJJe0
昨日立てた
番長「現実は甘くなかった」】SSの続きです

あえて趣向を変えて鬱エンドにしたらやっぱ不評だったのでなんとかあそこからハッピーエンドまで頑張る



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:21:49.00 ID:j5WhuJJe0

一夜明け…


>……ん……朝か……。

>…菜々子は俺の腕の中ですやすや寝息をたてて寝ている。

>そっと布団を抜け出そう…。


>下へ降りてきた。まだ叔父さんも起きていないらしい。

>今日は休日だから二人とも起きる時間は気にしていないのだろう。

>…久しぶりに、俺が朝食でも作っておいてやろうか。

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:26:12.52 ID:j5WhuJJe0


堂島「ふあぁ…………なんだ番長、もう起きてたのか」

菜々子「おはよー…………」

>目が開ききってない二人がリビングにやってきた。


番長「今日は久々に、俺が朝食を作ってみたんだけど…」

堂島「おお、これは…なかなか手の込んだモンができてるな」

菜々子「やったー、お兄ちゃんの手料理だー!」


>みんなで仲良く朝食を摂った…。


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:32:36.40 ID:j5WhuJJe0

番長「ご馳走様でした」

堂島「ご馳走様でした」

菜々子「ごちそう様でした!」


菜々子「それじゃお父さん、今日は約束してるお友達の所に行ってくるね!」

堂島「ああ、気をつけて行くんだぞ」

>菜々子は急いで身支度を整え、出て行った…。


堂島「さて。お前はどうするんだ?」

番長「俺は……町を回ってきます」

堂島「…そうか。昨日はショックの連続だったろうからな…ま、改めてゆっくり町を見て回ってこい」

番長「はい」

堂島「じゃ俺は…久々の休みだ、テレビ見ながらゴロゴロさせてもらうとするか…」


>町へと繰り出した…。

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:37:08.83 ID:j5WhuJJe0

稲羽市 中央通り商店街

>昨日はマル久閉店の衝撃であまりよく見渡せなかったが……。

>…だいだら.と四六は相変わらず続いているらしい。


>懐かしいな。だいだら.の親父と四六のおばちゃんは…俺を覚えてくれているだろうか。

>まずは…四六にでも顔を出してみよう。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:44:40.55 ID:j5WhuJJe0

四六商店

>…おや、誰か先客がいるようだ。


四六おばちゃん「はい、毎日買いに来てくれてありがとね。これおまけにもう一個」

??「ありがと、おばちゃん…」

四六おばちゃん「…なんだかアンタ、昔と比べて元気が無いように見えるよ。大丈夫かい?」

??「うん…大丈夫…」

四六おばちゃん「無理はしないんだよ?おばちゃんでよければさ、いつでも相談乗ってあげるからねえ」

??「へへ、ありがと…それじゃまた」

四六「はいはい、それじゃまたね」


>……!

??「あっ…!」



番長「千枝…!千枝じゃないか!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:48:11.01 ID:j5WhuJJe0

千枝「番長…くん…?」

>顔はだいぶやつれているが、それでも間違えるはずはない。俺の大切な仲間…。

千枝「番長くんだよね…幻じゃないよね…!?」

番長「ああ…久しぶり、千枝」

千枝「番長くん…番長くぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!」

>千枝に抱きつかれた…。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 22:54:03.03 ID:j5WhuJJe0

千枝「会いたかったよ…番長くん…!」

番長「…とりあえず、場所を変えよう」

千枝「うん…」


鮫川河川敷

番長「千枝、単刀直入に聞くが…警察止めたんだって?」

千枝「はは、そこまでもう知ってるの?」

番長「ああ」

千枝「それじゃ…なんで私が警察止めたのかも知ってそうだね」

番長「……」

千枝「お察しの通り。上下関係を利用したセクハラを受けて…今は精神科通ってるんだ」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:00:01.91 ID:j5WhuJJe0

番長「……」

千枝「番長くんになら見せてもいいかな…これ見て」

>……うっ……!!

千枝「バカみたいでしょ?なんだか色々耐えられなくなって…やっちゃったんだ、リスカ」

番長「千枝…」

千枝「でも…こうして番長くんにまた会えたから、少し気が楽になったかも」

番長「……」

千枝「…他のみんなも、なんだかお先真っ暗みたいでさ…もう…どうしたらいいのか…」

>千枝が涙ぐんでいる…。


>ここまで…ひどいのか…。

>くそっ!みんな…!

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:06:35.92 ID:j5WhuJJe0

番長「千枝、聞いてくれ」

千枝「…?」

番長「みんなを…特別捜査隊をまた全員集めよう。それでこの状況を打破するんだ」

千枝「…無理だよ多分…花村はかなり遠くまで転勤しちゃったし、りせちゃんはもう何年も前から音信不通だし…」


番長「……諦めるな!!」カッ


千枝「ば、番長くん…?」

番長「あの頃を忘れたのか、千枝。俺たちには何でも出来る…そう信じてやまなかったあの頃を」

千枝「でも…もうあたし達、いい大人じゃん。…そんなのが子供のたわ言だってことくらい、もう随分前に気付いちゃったよ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:15:29.25 ID:j5WhuJJe0

番長「たわ言か。結構なことだ。だがそのたわ言のような毎日を乗り越えたからこそ…俺達は仲間になったんじゃないかっ!」

千枝「……」

番長「頼む、この通りだ。俺に力を貸してくれ」

千枝「…うん、分かった」

番長「…ありがとう、千枝」

千枝「考えてみれば…こうして番長くんの一喝で物事が動くことってよくあったよね。あたし…もう一回、番長くんに賭けてみるよ」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:24:33.31 ID:j5WhuJJe0


>千枝と協力して、特別捜査隊全員を再び集結させるべく奔走した…。

>千枝の協力で陽介、雪子、完二、直斗までは連絡がとれた。

>みんな、俺が電話越しに出たらだいぶ元気を取り戻してくれたらしい。


>陽介は九州の方まで転勤になっていたようだが、なんとか都合をつけて向かうと言ってくれた。

>雪子と完二は、それぞれ閉店の張り紙はしてあるがまだ家に住んでいるらしい。

>直斗もかなりふさぎ込んでいたようだが、俺がいるなら行くと張り切って答えてくれた。


>残るは…クマとりせか…。

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:34:28.99 ID:j5WhuJJe0

翌日 ジュネス フードコート

番長「みんな、久しぶり」


陽介「相棒…相棒なんだよな、お前…!」

雪子「番長くん…会いたかった…!」

完二「先輩…へへ、こういう時の男同士は言葉なんかいらねぇよな」

直斗「番長先輩…また会えて嬉しいです…」


>みんな昔より疲れた顔をしているが…俺と会ったことで幾分回復したようだ。


番長「それじゃ、あまり時間もない。あとはクマとりせだが…」

直斗「久慈川さんについては任せてください。僕もかつては探偵…芸能界に張っていた人脈を使って調べてみます」

陽介「それじゃ、俺はクマだな。あいつとは…かなり酷な別れ方をしちまったから」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:44:23.50 ID:j5WhuJJe0

>話はまとまった。

>りせについては直斗に捜査を頼み、手伝いとして雪子と完二も向かった。

>クマを連れ戻す係は俺と千枝と陽介で、三人でまたテレビの中へ入るため家電売り場へ…。


ジュネス 家電売り場

千枝「ここ数年来てなかったけど…ここは全然変わってないねー」

陽介「ああ、俺らが使ってた時まんまだな」

番長「…行こう。クマもきっと俺達を待ってるはずだ」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:55:16.26 ID:j5WhuJJe0

テレビの中

>…ここに来るのも何年ぶりだろうか。

>相変わらず、またあのステージのような場所に出てきた。

千枝「おーい、クマくーん! いるなら出てきてよー!」


クマ「……その声は……チエチャンクマ!?」


番長「クマ!」

クマ「チエチャン…!センセイ…!それに…」

陽介「……」

クマ「…ヨースケも…」

陽介「…すまねえクマ!この通りだ!」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/04(木) 23:57:00.77 ID:j5WhuJJe0

>急に陽介が土下座を…。

陽介「売上悪かった頃に親父が何度かお前に八つ当たりして…それを気に病んでいなくなったんだろ、クマ」

陽介「だがもう親父も一線からは身を引いた。今は俺が店長任されてんだ、だから…」


陽介「戻ってきてくれねえか…頼む!」


クマ「クマは…またそっちの世界に行ってもいいクマか…?」

番長「むしろ、来てくれないと困るよ」

クマ「センセイ…」


クマ「…ヨースケ、顔上げてクマ」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:01:47.66 ID:N/vqTHhJ0

陽介「クマ…」

クマ「ヨースケは悪くないクマ。謝る必要も無いクマよ」

千枝「クマくん…」

クマ「クマもみんなと会いたかった。だから…また今まで通りに接してほしいクマ」

番長「ああ、当たり前だ」

クマ「…良かったクマ…」


>クマは満面の笑みを浮かべ、陽介と抱擁を交わした。

>これでクマは連れ戻せる。あとは…直斗達がりせを連れてこれるか…。

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:06:12.05 ID:N/vqTHhJ0

翌日 ジュネス フードコート

クマ「この場所…懐かしいクマ…」

陽介「ほらよクマ、詫びのビフテキだ。食ってくれ」

>横では千枝が携帯で話している…。

千枝「うん分かった、もうすぐ来れるんだね。待ってるから…はいはい」


>どうやら…もうすぐ直斗達がりせを連れてやってくるようだ。

>そういえば…。

>叔父さんから聞いたりせの噂…まさかな…。

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:12:07.32 ID:N/vqTHhJ0

直斗「先輩方、お待たせしました」


>りせ…やはりだいぶ覇気の無い顔をしているが…。


番長「やっと会えたな、りせ」

りせ「…せん…ぱい…?」


りせ「先輩…先輩なの…!?」


番長「そう、俺だよ」

りせ「せん…ぱい…せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁいっ…!!」

>りせが抱きついてきた…。

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:18:00.53 ID:N/vqTHhJ0

りせ「先輩…先輩…」

>うわ言のように俺を呼び続けるりせをなだめた…。


りせ「…うん、ありがと先輩…」

>りせは落ち着いてきた。

番長「りせ…これはあくまで聞いた噂なんだが…」

りせ「…分かってるよ。私がプロデューサーにクスリ漬けにされたとか…そういう話でしょ?」

番長「知っていたのか…」

りせ「まあね。自分の名前でネット検索したらもうひどくて…私が落ちぶれたことを笑いのネタにしてる掲示板ばっかりだったから」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:24:18.20 ID:N/vqTHhJ0

番長「それで、その…………本当なのか?その話は」


りせ「正直に言えば…全部本当」


一同「……!」

りせ「…私、話すよ。こんなこと話せるの、きっとみんながいる時くらいしかできないから…」


>りせは俺達にすべてを打ち明けてくれた。

>プロデューサーにクスリ漬けにされて、枕  を強制させられたこと…。

>クスリの副作用がひどくなり、トップアイドルとしての容姿が保てなくなったら今度はAVに出演させられたこと…。

>そして今はなんとかプロデューサーの魔の手から逃れ、中毒を直すために通院していること…。

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:30:02.23 ID:N/vqTHhJ0

りせ「……」

>りせは…唇を噛みしめている。



完二「…………だから何だってんだよ、りせ」

千枝「そうそう、それくらいで何?って感じ」

直斗「あれから苦しかったのは…久慈川さんだけじゃありません」

陽介「大人になって…みんな自分の思い描いてた通りの自分になれなくて…」

雪子「…それでも、頑張って私達は生きてきた」

クマ「リセチャン…気を落としちゃダメクマよ」

>みんな…。

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:35:35.35 ID:N/vqTHhJ0

りせ「みんな…こんな汚れた私でも受け入れてくれるの…?」


番長「そんなことは関係ない」


りせ「先輩…」

番長「誰がどんな人生を歩もうと、俺達の絆は絶対に切れない…みんなで約束したじゃないか」

りせ「先輩…みんな…」


りせ「……ありがとう……」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:39:09.70 ID:N/vqTHhJ0

>りせは静かに泣き崩れた…。



>…りせが泣き止むまで、みんな黙って待ち続けた。

りせ「……えへへ……ありがとみんな。もう気は済んだから」

>ようやく…りせも元気を取り戻してくれた。



>これでやっと…特別捜査隊が全員揃った。

>ここからが本題だ…!

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:45:07.22 ID:N/vqTHhJ0

番長「みんな、聞いてくれ」

一同「…………」



番長「俺は…特別捜査隊のみんなで、会社を興したいと思う」



陽介「会社…?」

番長「そうだ」

雪子「でも会社って、ものすごいお金がかかるんじゃ…」

番長「それに関しては…他力本願ではあるけど、アテがある」

直斗「…会社というのは分かりました。ですがその活動内容は…」

番長「人材派遣だ。俺にはあの一年で培ったステータスがあるから…人を見抜く目だけは確かなつもりだ。そこにみんなの力を借りたい」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:48:06.98 ID:N/vqTHhJ0

りせ「先輩の会社かぁ…」

千枝「あたし、難しいことよく分かんないけど大丈夫かな…?」

完二「黒服くらいならできそうっスけどね、俺」

クマ「そんなら、クマはまたマスコットキャラをやるクマか?」

番長「まあ人事は追々決めるとして…どうだろうみんな、乗ってくれないか」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:53:17.51 ID:N/vqTHhJ0

陽介「……答えなんか、言うまでもねーじゃねえか」

千枝「だね、花村の言う通り!」

雪子「私…頑張らせてもらっていいですか、社長」

完二「よろしくっス、先輩…いや、社長!」

りせ「私でよければ…いくらでもこき使ってね、社長」

直斗「僕も経営に関しては少しかじったことがあります。どうぞ使ってください」

クマ「頑張るクマ…今度は絶対役に立つから!よろしくお願いクマ、シャチョー!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 00:58:18.88 ID:N/vqTHhJ0

番長「みんな……ありがとう」



陽介「んじゃ、まずは資金集めだな。お前アテがあるとか言ってたけど…」

番長「ああ。今から会いに行こう」

りせ「会いに行くって、誰に…?」



番長「桐条……桐条美鶴さんだ」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:03:04.79 ID:N/vqTHhJ0

桐条グループ本社 社長室

>ラビリスの一件で知り合いになった美鶴さんに、すがる思いで出資を頼みにやってきた…。


美鶴「なるほど。君達が会社を興すために、我が桐条グループの出資を受けたいというわけだな」

番長「はい。…お願い、できませんか」

美鶴「……」

>美鶴さんは窓の外を向いたまま黙っている…。

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:17:15.51 ID:N/vqTHhJ0

美鶴「…君達は」

番長「……」

美鶴「君達…いや番長くんは、会社を経営するということがどれだけ大変か知っているのか?」

番長「…俺は社会に出てから、零細の事務員として働いてきました。帳簿を毎日つけていて…どれだけ資金繰りが大変であるかは分かってるつもりです」

美鶴「社長になったらそんなものじゃないぞ。給料や賞与、企業方針に株主総会…倒産すれば残るのは借金だけ、それでも君は会社を興したいのか?」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:24:45.63 ID:N/vqTHhJ0

番長「それでも……俺はやり遂げる決意を持っていると断言できます」

美鶴「…そうか。フッ…」


美鶴(不思議な感覚だ…この子と話していると、キタローを思い出す…)

美鶴(あいつも多才の持ち主だったからな…この子ならあるいは、とんでもない会社を創り上げるかもしれないな)


美鶴「いいだろう。その起業出資、我が桐条グループが引き受けるとしよう」

番長「……ありがとうございます、美鶴さん!」

美鶴「その代わり、桐条グループからの出資を受けた企業として全力で経営に臨むように」

番長「はい!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:40:43.00 ID:N/vqTHhJ0

>なんとか…美鶴さんに出資の依頼を引き受けてもらうことができた。

>これからが本番だ。



>こうして特別捜査隊全員で立ち上げた『人材派遣会社ペルソナ』。

>人事も決定した。

>陽介と雪子には財務・会計・経理を担当してもらうことになった。二人とも自分の家の売り上げを計算するのは得意だったから、と息巻いている。

>千枝と完二には新人指導を任せた。あの二人のしごきに今時の若者がついていけるか心配だが…きっと上手くいくだろう。

>りせには営業に回ってもらっている。一度落ちぶれたとはいえさすがは元アイドル、人心掌握の技術は衰えていなかったらしい。

>直斗には探偵業での洞察力を活かした経営の補助を頼んだ。少しでも弱みを見せたら足をすくわれるこの世界、やはりそういった人間は必要だ。

>クマは言うまでもなくマスコット担当だ。CMで徐々に人気が上がってきている。

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:50:40.76 ID:N/vqTHhJ0

>そうして『ペルソナ』の経営は上手く軌道に乗っていき……。



一年後

陽介「やったな相棒、たった一年にしてウチの会社も一部上場だぜ!」

千枝「お疲れ様、社長!」

雪子「創業から一年…あっという間だったね」

完二「新人の奴らも、社長の採用の目利きがいいおかげで骨のある奴が多くて助かるっスよ」

りせ「ねえ社長、私もすごいでしょ?一年でこーんなに契約取り付けちゃったんだから!」

直斗「しかし、軌道に乗りだしたこれからが勝負でしょう。より大きな企業との競争になります…気は抜けません」

クマ「どんなキギョーが相手でも、ウチのシャチョーが負けるはずないクマ!」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 01:57:28.83 ID:N/vqTHhJ0

番長「みんなの頑張りでここまでこれた…改めて礼を言わせてくれ」

陽介「水くせえこと言うなって、みんなあっての会社じゃねーか」

番長「…ああ、そうだな」

番長「それで…みんなにまた言いたいことがあるんだが」



番長「みんなも、自分の会社を興してみたくはないか?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 02:05:23.98 ID:N/vqTHhJ0

雪子「え…?」

番長「この会社をここまで大きくするために頑張ってもらったのは礼を言う。だが…本来ならみんなにもやりたいことがあったはずだろう」

番長「俺を手伝ってくれるみんなの気持ちは嬉しい。だがみんなの夢を潰させてまでというのは俺も嫌なんだ」

一同「…………」

番長「あの頃は…みんななりたい自分に向かって頑張っていたはずだろう。独立の資金は俺が出す、もう一度考えてみてくれ」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 02:11:00.70 ID:N/vqTHhJ0

完二「…そう、っスね。俺も実はあの後…小物のブランド展開とか夢見てた頃もあったんだよな」

雪子「私も…本心を言えば、やっぱり旅館を…」

陽介「俺も正直言うと、自分でスーパー立ち上げたりとかしてみたかったんだよな…」

りせ「…私も、今までの経験を活かして芸能事務所を立ち上げてみたかったりした時期があったかな…」

直斗「僕の家も…単なる私立探偵じゃなく、ちゃんとした法人として立ち上げてみたかった気持ちはありました」

千枝「あたしも、無謀にも自分の警備会社とか夢見てた時期あったんだよね…」


番長「みんなも…夢に向かって頑張ってみてくれ」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 02:14:50.11 ID:N/vqTHhJ0

>それぞれが、自分の夢に向かって歩き出す決意を固めた…。


一年後

>『ペルソナ』に残った特別捜査隊のメンバーは、今は俺とクマだけになった。

>他のみんなは、それぞれの夢を追って独立していき…。

>…今ではみんなの会社が一流企業となっていた。

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 02:25:33.76 ID:N/vqTHhJ0

>陽介は全国展開のディスカウントストア『ジライヤ』の社長になっている。今ではジュネスと肩を並べるほどの勢いだ。

>千枝は総合警備保障会社『トモエ』の社長だ。セキュリティといえばアル○ック、セ○ム、トモエが今の常識になっている。

>雪子は天城屋を建て替え、旅館『コノハナサクヤ』を経営している。不況は相変わらずだが、雪子の努力によってかつての栄華を取り戻しつつあった。

>完二は小物・人形ブランド『タケミカヅチ』のオーナーだ。今では世界中で雑誌取材はテレビ出演のオファーが来ているらしい。

>りせは芸能事務所『ヒミコ』の社長をしている。芸能界の裏と表を知ったからこそできる育成方針で、人気タレントを続出させているようだ。

>直斗は白鐘家を正式に法人化し、『スクナヒコナ』と銘打った探偵会社を経営している。人気は相変わらずのようだ。

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/05(金) 02:47:02.33 ID:N/vqTHhJ0

>みんなそれぞれの会社が相互扶助しながら、七社とも仲良くやっている。


>社員旅行は六社とも『コノハナサクヤ』へ行っているようだ。

>また、陽介やりせの会社は『トモエ』に警備を依頼している。うちも言わずもがな。

>また『ジライヤ』では『タケミカヅチ』ブランドの販売にも力を入れているらしい。

>それぞれの会社がCMを作る時には、『ヒミコ』のタレントを積極的に起用している。

>取引先の内偵調査にはもっぱら『スクナヒコナ』が活躍、みんなが依頼を出している。

>そしてうちの会社も、よくみんなの会社に人材を派遣している……という具合だ。



>こうして俺達七人の会社は、それぞれ一流企業としての歩みを続けていった…。

>二年前のあの日…みんなの現状を知った時は絶望しか見えなかったが、今ではここまでこれた。

>俺達は、乗り越えてみせたんだ。どんな苦境もかならずはいつかは乗り越えられる…。


>さあ、今日は久々に俺自らが営業に出向いてみようか……。



引用元: 番長「現実は甘くなかった…だが乗り越えてみせる!」