QB「僕と契約して、ツインテールの戦士になってよ!」まどか「ツインテール……?」 前編

415: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 00:51:36.05 ID:FHGnfWYt0





パリイイイイイイン

ほむら「……ちっ」

ほむら(結界、破られたわね。予想以上に早いわ。杏子は――まだ、ね)

ケルベロスギルディ「残念だったわね、ブラックちゃん。あんな贋作もどきの空間が地獄だなんて、ちょっと甘すぎるんじゃないかしら」

ほむら「そうね。あれは、しょせん模写の模写だもの。通じなくても別にいいわ。――それより、ケルベロスギルディ」

ケルベロスギルディ「なにかしら?」

ほむら「あなたには……本当に巴マミと一緒に生きる道はなかったのかしら。巴マミがあなたの演出を見破って、あなたに本気でついて行くとは考えなかったの?」

ケルベロスギルディ「……そうね。マミと一緒にいくつもの世界に渡って、彼女をアイドルとして押し上げてツインテールを拡散させる。そういう未来もあったかもしれないわ」

ほむら「……」

ケルベロスギルディ「でもね、やっぱりそれはないわ。そういう悪だくみをするには――彼女は純粋すぎるの」

ほむら「……そう」

ケルベロスギルディ「ええ。そういう悪いことをするなら、もっと執念深くて根暗で二面性のある子じゃないとねん。マミはね、心の底から純粋に――正義の味方なのよ!」

ほむら「……そうね。あなたの言う通りだわ」

ほむら(そうよね。言われてみれば、私も知っていたことよ)

ほむら「巴マミは確かに――」

「――テイル・オン!」ピカアアアア!

ほむら「――あなたの言う通り、誰よりも純粋な正義の味方よ」

417: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 01:16:08.44 ID:FHGnfWYt0

ほむら「……杏子。巴マミは、大丈夫なの?」

杏子「……さあ?」

さやか『さあって、あんた……』

杏子『仕方ねえだろ。マミの問題だ。あたしに解決できるもんじゃねーよ。下手したら襲われるかもな』

まどか『……そうだよね。マミさんにとって、そんな簡単な問題じゃないもんね』

ほむら『まどかの言う通りよ。それに――襲ってきたら返り討ちにするだけよ』

杏子『……だな。そん時はそん時だ』


マミ「……ケルベロスギルディ」

ケルベロスギルディ「――ふっ。一度は折れた小娘がどうした! いま立ち上がって何をする? まさか、再び私に縋り付くのではあるまいな?」

マミ「私は……私、はっ」

ほむら「……」

杏子「…………」

ケルベロスギルディ「…………」

マミ「私は、あなたを倒すわ! あなたに騙されたからって、私の心は折れたりしないっ。今の私はさっきまでの私とは違うわ。あなたに裏切られたとしても、私には――新しい仲間たちがいるもの!」

ケルベロスギルディ「ふ、ふふふ、ふふっ、あはははは! 良かろう。まさかこんなにも早く心が復活し、新たなる敵が生まれるとは思わなかったっ。しかし生まれ変わったと言うならば新たに名乗れ、少女よ!」

マミ「――ホーリーイエロー!」

ケルベロスギルディ「そうかっ。ならば来い、ホーリーイエロー! 新たなる戦士よ!」

マミ「……ええ!」

418: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 01:30:16.90 ID:FHGnfWYt0

杏子「……いいんだな、マミ」

マミ「ええ。ケルベロスギルディのためにも――私は、戦って勝つわ。それがきっと……一番の恩返しになるから」

ほむら「そう。なら精一杯演じなさい。そこのお人よしは知らないけど……残念ながら私は茶番劇に付き合うはないけどね」

マミ「分かってるわ。……迷惑かけてごめんなさい、ブラックさん」

ほむら「……これ以上邪魔をしないのなら、別にいいわ」

杏子「お前、ホント素直じゃないよな」

ほむら「だまりなさい。――いくわよ!」

419: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 01:49:44.19 ID:FHGnfWYt0

杏子「はぁああああ!」

ケルベロスギルディ「……! 力強い槍だなっ。それに――」

マミ「……!」バンッ!

ケルベロスギルディ「なんという正確な射撃か! これが初めての実戦とは思えぬな!」

マミ「……他のエレメリアンだったらわからなかったけれど――あなたの動きなら、予測が付くのよ!」

ケルベロスギルディ「そうかっ。光栄だな!」

ほむら「……」

ほむら(……分裂した一体一体の力はさほどではないわね。心の力であるエレメーラだって完全に質量保存の法則から逃れられるわけではないのね。このままなら、押し切れ――!?)

ほむら「ちょ、杏子っ。近っ――」

杏子「え……げっ!?」

マミ「ブラック、レッド!?」

ケルベロスギルディ「ふっ。かかったな。奥義――ツインテールの聖花輪!」

さやか『うわっ』

まどか『えぇ!? ほむらちゃんと杏子ちゃんの髪が、三つ編みで編みこまれてる……!』

420: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 02:07:46.69 ID:FHGnfWYt0


杏子「な、なんてことしやがるんだ……!」

ほむら「い、痛いっ……杏子! 無理に動かないで!」

ケルベロスギルディ「ただの三つ編みじゃないわ。アタシの力を込めて編んでるから簡単にほどけないわよぉ!」


まどか『あ、あわわ……ほむらちゃんと杏子ちゃんが髪の毛を通してつながって……き、切り落とさないと!』

さやか『まどか!? そのはさみ何!? 二人を助けたい一心で動転してるって信じてるけど、こっからじゃどうしようもないからね!? てか怖いからやめて欲しいんだけど!』


ケルベロスギルディ「これで形勢逆転っ。あなた達二人は倒させてもらうわよ!」

ほむら「くっ……この!」

杏子「いでででででで! 動くなよブラック!」

ケルベロスギルディ「最後まで息を合わせられなかったわね! それじゃあ、止め――」

マミ「ティロ・ブラスター!」

ケルベロスギルディ「――なっ!?」

マミ「ケルベロスギルディ! あなたの動き――演出は読めているの!」

杏子「マミ!」

ほむら「よくやったわ、巴マミ!」

ほむら『インキュベーター! 属性力の解放を行うわ!』

QB『……属性力の解放はどうするんだい?』

ほむら『さっきまどかが解放してくれた属性は、眼鏡だけじゃないわ』

QB『そうかい。なら、叫ぶがいい。君の信じる属性を!』

ほむら『ええ!』

ほむら「トライブライド・オン!」

421: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 02:21:44.39 ID:FHGnfWYt0

杏子「お?」

マミ「きゃっ」

QB『これは……三人の装甲と武器がそれぞれ合体して新たな武器になってるね』

まどか『が、合体……!?』

さやか『まどか! いい加減落ち着いてゆっくりそのはさみから手を離してくんないかな!?』

ほむら「杏子、そっちを抑えなさい。私が反対側を持って……トリガーはあなたが引きなさい、巴マミ!」

杏子「おう!」

マミ「分かったわ!」

ケルベロスギルディ「三体合体、ですって!? こしゃくな……でも、目を離せない……! これが、本当の三つ編みの力……!?」

ほむら「ケルベロスギルディ。絶望の中にいたあなたに、最後の三つ編みを見せてあげるわ」

杏子「あたしと、ブラック、イエロー。全員の息をぴったり合わせた三つの一撃だ!」

マミ「この一撃で、私は――あなたから、卒業するわ!」

さやか『よしっ、やっちゃえ!』

まどか『今だよ、みんな!』

ほむ杏マミ「「「必殺――ティロ・トライアングル!」」」

422: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 02:31:42.14 ID:FHGnfWYt0

まどか『全部のケルベロスギルディさんに直撃したよ!』

さやか『やった……!』

ケルベロスギルディ「ステキよ、あなた達……。」

ほむら「……」

杏子「……」

マミ「…………」

ケルベロスギルディ「マミ。あなたは、仲間がいてこそ輝く逸材だった。華やかさを持つマミにはソロが似合うと思ってプロデュースをしてきたけど、それはアタシの失敗だったわ。アタシは、最後に三人の心を一つにした姿……本当の三つ編みを見れたのね。悔いなく、いけるわ……」

マミ「……ケルベロスギルディっ。私は――」

ケルベロスギルディ「なにも言わなくていいのよぉ。消えてゆく属性を憂うものもいる。それだけ覚えててくれれば……」

マミ「……うん。うんっ」ポロポロ

ケルベロスギルディ「あらん、正義の味方が泣いちゃダメじゃない。……これからも三人で頑張りなさい。三人の戦士――ホーリートライアングル……」

チュドオオオオオオオオン!

ほむら「……」

杏子「……」

マミ「うん、ありがとう……ケルベロスギルディ……」

427: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:14:18.11 ID:FHGnfWYt0

――家電量販店――


ニュースキャスター『昨日ライブ会場でエレメリアンに襲われた巴マミさんですが、まさかのホーリーイエローへの変身を行いました! そのままホーリーレッド、ブラックとともに戦い、見事勝利をおさめました! その様子を写した映像を――』


ほむら「どこもかしこも昨日の戦い一色ね。買い物に来た家電量販店のテレビも、全部同じニュースを垂れ流してるわ」

さやか「そりゃ、大人気アイドルがヒーローになったんだから当然でしょ。でも昨日の戦いってさ、なんだかちょっと……後味悪かったよね」

まどか「うん。あのエレメリアンの人……本当にマミさんと一緒にいられなかったのかな」

ほむら「どうしようもない事というものはいくらでもあるわ。昨日の戦いはそういうものだったの。それに、私たちは今まで当然のようにエレメリアンを倒していたけれども、それが生命を奪う行為だと再確認できたという意味では、いい機会だったわ」

まどか「……そっか」

さやか「……うん! 暗い話はやめやめ! 今日はマミさんの歓迎会だからね!」

まどか「そうだねっ。ほむらちゃんの家で、顔合わせもかねてやろうって話になったんだよね! ……でもほむらちゃん。マミさんの歓迎会の用意をする買い物で、なんで電気屋さんなの?」

さやか「だよね。家電量販店にパーティーグッズはないと思うけど……てか、なんで眼鏡をかけてるの?」

ほむら「……さあ? 自分でもわからないけど、今日は眼鏡の気分なの。変かしら」

まどか「ううん、眼鏡はいいよ? とっても似合っててほむらちゃんかわいいから! むしろ三つ編みにしてほしいなって――」

さやか「あー、はいはい。で、ほむら? なにしに来たの?」

ほむら「それはもちろん、歓迎会に必要なものを買いに来たのよ。一見すれば華々しいデビューを飾った巴マミだけれども、その内実は悲惨なものだわ。ケルベロスギルディとの別れ、精神的にも肉体的にも辛い初戦。表面上は取り繕っていたけれども、いまの巴さんはとても消耗しているはずよ」

まどか「……うん」

さやか「そう、だよね」

ほむら「けれどもね。そんな彼女を精神面でいたわってクリアにするものが家電量販店にはあるのよ。だから、彼女にそれをプレゼントするために来たの」

さやか「へー。気が利くじゃん、ほむら」

まどか「電気屋さん買えるってなると……マッサージ器とか?」

ほむら「残念。外れよ」

さやか「それじゃあ、ゲームとか? みんなでわいわい遊ぶ用のパーティーゲーム?」

ほむら「惜しいけれども、ちょっと違うわね」

まどか「うーん……わかんないや」

ほむら「ふふっ、まどかは降参? ……さやかはどうかしら?」

さやか「あたしもこれ以上は思いつかん! ほむら、正解は?」

ほむら「正解は――  ゲーよ」

まどか「――え?」

さやか「……は?」

430: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:33:10.79 ID:FHGnfWYt0

さやか「ごめん、ほむら。あたしちょっと耳がおかしくなったみたい。もう一回、この家電量販店に何を買いに来たのか教えてくれない?」

ほむら「  ゲーよ。親交を深めるために歓迎会で  ゲーをやる。みんなで  ゲーのプラウザを囲む。パソコンの画面を共有しあって一つの  ゲーをクリアすれば、それはもう親友だわ。そんなの常識でしょう?   ゲーを終えるころには、巴さんもすっかり元気になるはずよ」

さやか「……ほむらが狂ったぁ!?」

ほむら「何よ、失礼ね……。ああ、巴マミの好みの心配をしてるの? 大丈夫よ。この眼鏡はすべてを見通すわ。巴マミの好みに合致した  ゲーをきちんと選んで――」

まどか「キュゥべえ!? ほむらちゃん、どうしっちゃったの!?」

キュゥべえ「おそらくはスモールバストの時と同じだね。グラスを解放した時に受信した何かの残滓がほむらを突き動かしているんだろう」

さやか「歓迎会に  ゲーをプレゼントする残滓って何!?」

まどか「と、ともかくほむらちゃんを止めないと……!」

さやか「うん! ――って、ああ!? ほむら!? あんたそっちはダメ! あの18 のマークが目にはいらんのかぁ!?」

ほむら「18 マーク? くだらないわね。闇の支配者(ダークグラスパー)たる眼鏡の私をこんな布きれ一枚で止めようだなんて片腹痛いわ」

さやか「18 マークなめるなよ!? それには自制心とか羞恥心とか常識とか条例とか法律が詰まってて、ものすごく重いんだからね!?」

ほむら「そんなもの、私の歩みを止める枷にはなりはしないわ。グラスパーとなった時、それらのすべてを捨て去り新たなるステージに進んだもの」

さやか「なに言ってんだお前は!?」

432: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 00:09:30.25 ID:te0X4UN80

さやか「ダメだこいつ。早く何とかしないと……!」

ほむら「……? わけのわからないことを……それで、言いたいことはそれだけかしら。それだけなら、私はさっさと――」

まどか「ほ、ほむらちゃん! わたし達はまだ中学生だよ!? そ、その……え、   なものを買えるわけがないよ!」

ほむら「大丈夫よ。引きこもりの兄の代わりに買いに来ましたとかいえば案外何とかなるものよ。この世の中、結構適当だもの」

さやか「ならねーよ!? 何の残滓か知らないけど、あんた条例と世の中なめすぎだろ!」

まどか「そ、そうだよ! そもそもさっきいろいろ言ってたけど、ほむらちゃんって、えっと、あの……そういう   なゲームしたことがあるの!?」

ほむら「……あら? そういえば、一度もないわ」

まどか「だよね! じゃあ、自分もやったことがないようなもの人に勧めるなんて、そんなの絶対おかしいよ!」

ほむら「……そうね。まどかの言う通りだわ」

まどか「ほむらちゃん……!」

さやか「よ、よかった。何とか正気に戻ってくれた……!」

ほむら「まどか。大切なことを気が付かせてくれてありがとう。私……自分を見失っていたわ」

まどか「ううん。分かってくれれば――」

ほむら「私自身が一本の  ゲーもやっていないなんて、何たることかしら! これはいけないわ。巴さんのプレゼントどころじゃないわね……! まどか。私、まどかにふさわしい素敵な女の子になるべく、ちゃんと  ゲーで頑張って勉強するわ!」

さやか「何を!? 何を勉強すんの!?」

まどか「ぜ、ぜぜぜ全然嬉しくないよ、ほむらちゃん!? お願いっ。いつものほむらちゃんに戻って!」

433: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 00:23:34.49 ID:te0X4UN80

ほむら「さて。ここで騒いでいても迷惑だし、私は行くわ。さすがについて来いとは言わないわよ。私は一人で心置きなく  ゲーを選んでるから、二人は適当なところで休んでいて。大丈夫。状況は五分ごとにメールで詳しく伝えるから」

まどか「ほむらちゃん!? ほむらちゃん! ダメ――」

ほむら「じゃあね、まどか。また逢いましょう」ファサ

さやか「ほむ――ああ……。あいつ……いつもの髪をかき上げるくらいの気軽さで、18 のマークを……」

まどか「さやかちゃん。ほむらちゃんが……」

さやか「まどか……ほむらはもう、私たちの手の届かないところに行っちゃんたんだよ」

まどか「そんな……わたしがちゃんと止めなきゃいけなかったのに……!」

さやか「ううん、まどかのせいじゃないよ」

店員「――あぁ、君達。この子の友達かな?」

ほむら「……」オロオロ

まどか「あ、ほむらちゃん」

さやか(思ったより早かった……てか、ほむらの奴、眼鏡とってるな。そっか。正気にもどっちゃったか……)

店員「困るんだよね。さすがに君達みたいな年の子にああいう場所に入られるのは。しかも制服って……見逃しようがないよ、さすがに」

ほむら「あ、あの……私、なんであんなところに――」

店員「この子はこの子で、眼鏡外した途端に自分がなんであんなところにいたのかわからないなんて言い訳始めるし……」

まどか「はい。ごめんなさい」ペコリ

さやか「ほんとーにご迷惑おかけしました」ペコリ

ほむら「そ、その、あの、私、本当に朝起きて無意識に眼鏡をかけた時からの記憶があいまいで――」

店員「うん。君たちはしっかりしてそうだね。これは余計なおせっかいかもしれないけど、変なことをしようとしたり無謀に挑戦するのを止めるのも、友達として大切だからね?」

さやか「はい」

まどか「ちゃんと覚えておきます」

ほむら「あ、あの……」

さやか「あんたもとりあえず頭下げろ」

まどか「そうだよ、ほむらちゃん」

ほむら「……は、はい。ごめんなさい……」

434: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 00:39:57.93 ID:te0X4UN80

――ほむホーム――


杏子「……おっせーな、あいつら」

杏子(買出しっつってたけど、このままじゃマミの奴が先に来ちまんじゃ……まあいいさ。テレビでも見てるか)ポチッ


ニュースキャスター『――以上が巴マミさんがホーリーイエローになった時の映像になります』


杏子「……なんだよ。相変わらず昨日のニュースか。飽きねぇな、まった――」


ニュースキャスター『巴マミさんが変身したきっかけですが、その力はホーリーレッドこと佐倉杏子さんから与えられたとのことです。それが判明してから、某教会本部ではますます佐倉杏子さんを奇跡の少女として聖人認定する動きが活発化し――』


杏子「――くぶふうっ!?」

杏子(そ、そりゃマミにテイルギアを渡したのはアタシだけど――!)

マミ「お邪魔しまーす」ピンポーン

杏子「!! ――おいマミ! あんたフザケンなよ!?」

マミ「へ? で、出迎えるなりいきなりどうしたの、佐倉さん?」

杏子「うるっせい! あんたのせいであたしはなぁ!」

マミ「お、落ち着いて? ほら、せっかくみんなが歓迎してくれるっていうから、紅茶の葉を持ってきたの。それでも飲んで――」

杏子「あたしはそれどころじゃねーんだよぉ!」

マミ「えぇ!?」


ニュースキャスター『――これからも三人になった正義の味方、ホーリートライアングルの活躍が期待されます。また巴マミさんがホーリーイエローとなったことで、ツインテールが流行の兆しを見せています。ホーリーブラックがツインテールだということもあり、いまでは女の子の髪型はホーリーレッド派のポニーテイルかホーリーイエロー、ホーリーブラック派のツインテールかの二択になっているほどで――』


435: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 01:16:56.03 ID:te0X4UN80

――アルティメギル移動船――


ティラノギルディ「首領様の許可は得た。死の二菱(ダー・イノ・ランヴァス)、ドラグギルディ、ケルベロスギルディの倒れし世界へと向かうぞ」

プテラギルディ「はっ!」

トリケラトップギルディ「……しかし、なぜあの世界へ? 私達死の二菱の役目は、予期せぬ成長を遂げアルティメギル全体の害となるツインテール戦士の駆逐。あの世界の戦士は、幹部を二人倒したといえまだ私たちが向かうほどのものでは――」

ティラノギルディ「ふんっ。俺たちエレメリアンが世界の侵攻に赴くのに、理由などたった一つあればいい! この角が、かつてないほど疼くのだ!!」

プテラギルディ「侵攻……? 我らの部隊は、あくまでイレギュラーなツインテールの戦士の排除が役目。いままで一度として侵攻はおこなっていないはずですが?」

ティラノギルディ「侵攻だ。あの世界には、俺が奪わねばならない存在がいる」

トリケラトップギルディ「……もしや、あの世界には――」

ティラノギルディ「ああ、いる。間違いない。恋愛という始まりを超越し、美を完成させた神の領域! この地上でもっとも気高く美しい百合属性――その究極を体現した存在が、間違いなくいる!!」

トリケラトップギルディ「……なるほど。では、ティラノギルディ殿よ。此度の侵攻は、あの世界で散った二人の戦士の仇討ち、などというわけではないのだな?」

ティラノギルディ「漢にオカマ……百合(ガールズラブ)属性を持つものにとってはゴミ同然! 仲間など不要! 孤高こそ、帝王たる俺の覇道よ!!」

プテラギルディ「……」

トリケラトップギルディ「……ではなぜ――涙されるのだ」

ティラノギルディ「ふっ、愚問だな。知りたくば聞け、我が牙たる副官たちよ」

プテラギルディ「……」

トリケラトップギルディ「……」

ティラノギルディ「ゴミを、洗い流しているのだ……!」



441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 01:03:26.97 ID:lyaFf6b10

――ほむホーム――


ほむら「もう二度とっ、もう二度とグラスの解放はしないわ……!」

さやか「反省しているようで、なにより」

ほむら「反省どころの騒ぎじゃないのよ。もう二度とあの家電量販店に行けないわ……」

さやか「あー……ドンマイ」

まどか「……でも、眼鏡をたまにかけるくらいはいいと思うな」

ほむら「……へ?」

まどか「三つ編みも、たまにしてきてみてもいいと思う」

ほむら「ま、まどか……?」

さやか(……見ないふり見ないふりっと)

杏子「何があったんだ……?」

マミ「さあ? よくわからないけど……とりあえず、紅茶をいれたわよ。みんな、飲む?」

まどか「あ、飲みます!」

さやか「おお! マミさん、ありがとう!」

ほむら「ありがとうございます、巴さん」

QB「グラスの話はそれぐらいにしてもらっていいかな。少し話したいことがあるんだ」

442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 01:20:35.81 ID:lyaFf6b10

まどか「話したいこと?」

さやか「どしたの、キュゥべえ」

QB「新しいテイルギアの話だよ」

杏子「新しいテイルギア……?」

マミ「あら。そんなものがあったの?」

QB「前々から作っていたんだよ。ほむら。この間、君から渡してもらった属性玉(エレメーラオーブ)があっただろう?」

ほむら「この間というと……ああ、ドラグギルディのエレメーラオーブのことかしら」

QB「ああ、そうだよ。テイルギアは、核となるツインテール属性なしには完成しないからね」

ほむら(……不純物、ね。ソウルジェムの浄化に使ったものを処分代わりに渡していたけれども……そういえばドラグギルディのエレメーラオーブは何かに使うとかで浄化前に渡してたわね)

マミ「……まだ新参者の私にはよくわからないけど、キュゥべえはエレメリアンが倒された後に残されるエレメーラオーブを集めているの?」

QB「ああ、そうだよ。エレメリアンが遺すエレメーラオーブは純粋な感情エネルギーそのものだ。エントロピーを凌駕しうるエネルギー源となるんだよ」

マミ「ふうん?」

QB「ほむらはいつもエレメーラオーブを何かに使っているようで、なかなか僕に渡してくれないのは困ったものだけどね。その上、渡してくれるものはなぜか不純物が混ざっているんだ」

ほむら「……うるさいわね。別にいいでしょう」


杏子「でもまあ、確かにドラグギルディの奴だったらテイルギアも作れるくらい純度の高いツインテール属性なんだろうな」

さやか「新しいテイルギア……なるほど! とうとうさやかちゃんが変身するときが――」

QB「無理だよさやか。君にはツインテール属性が芽生える兆しすらないんだ」

さやか「――ぬわんだとぉ!?」

443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 01:39:42.12 ID:lyaFf6b10

まどか「でも、新しいテイルギアはどうするの? わたしはほむらちゃんが変身するときは、ツインテール属性は譲っちゃってるし……」

ほむら「正直言って無駄じゃないかしら、それ」

マミ「暁美さん、いくらなんでもそこまで言うのは……」

QB「別に多くても困るものじゃないだろう? 君たちの活躍でツインテールも流行し始めている。その影響か、ツインテール属性も多く芽生えている。元からツインテールにしている少女だったら、あるいは近いうちにテイルギアで変身できるほどまでツインテール属性を昇華させる人間も現れるかもしれないんだ」

さやか「あたしは!? ねえ、あたしは!?」

まどか「さやかちゃん……髪、伸ばそう?」

さやか「中途半端な慰めはやめてよまどか!」

杏子「まあ、キュゥべえの言うことにも一理あるわな」

マミ「そうね。私も結局は自分で望んで変身したんだもの」

ほむら「……はぁ。あなた達がそういうなら、別にいいわよ」

QB「それじゃあ、このテイルギアの扱いは君たちに任せたよ」

ほむら「はいはい……で、あなた達。まどかはいいとして、なんで私の家に来たのよ。今日は珍しくエレメリアンは現れてないわよ」

さやか「友達の家に遊びに来ただけ」

杏子「避難」

マミ「わ、私、いままでアイドル活動で忙しくって、みんなで友達の家に集まるのってちょっと憧れてて――」

ほむら「……はぁ」

ほむら(転校から二十日目、ね。……幾度もループを繰り返したけれども、こんなバカらしくも平和な時間は、初めてね)クスリ

444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 01:44:24.20 ID:lyaFf6b10

――アルティメギル秘密基地――


『ツインテールの戦士たちに、私は一歩及ばず。しかしならば、ツインテール隆盛の芽は打ち込んだ。老兵は去るが、演出家として最後の仕事、まっとうしたり』

エレメリアンA「以上が、ケルベロスギルディ様の最期の通信です。このメッセージをよこした後に、討死されました」

スパロウギルディ「……ケルベロスギルディ様」

スパロウギルディ(何たる無念……しかし、ホーリートライアングル。幹部の方でも叶わぬ存在となりつつあるのか……!)

スパロウギルディ「それで、応援の部隊の方はどうなっておる」

エレメリアンB「はっ、それが――」

ズドオオオオオオン!

スパロウギルディ「うぉおおおおおお!?」

エレメリアンC「な、なんだ、この揺れは!?」

オニーチャーーーーン…… オニーーーーーーチャーン……


エレメリアンD「こ、これは警報音!?」

エレメリアンE「敵襲か!? まさか、ホーリートライアングラが!?」

エレメリアンF「ありえぬっ。この基地を人間が発見するなど!」

スパロウギルディ「……くっ。総員、戦闘態勢をとれ!」

エレメリアンズ「「「「はっ!!」」」」

スパロウギルディ(まさか、本当にホーリートライアングルが? もしや例の協力者我らの情報を彼女たちに伝えたのでは――!)

ティラノギルディ「ぐわっはっはっはっはっは! なんだ、みな武器など持ちおって! 負け犬どもよ、不遜な出迎えご苦労!」

スパロウギルディ「あ、あなた様は――!?」

ティラノギルディ「俺の名はティラノギルディ! 死の二菱(ダー・イノ・ランヴァス)の隊長よ! 帝王たる俺が、この世界にて力強く咲く百合の花を摘みに来てやったぞ!」

450: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 23:34:06.29 ID:lyaFf6b10

スパロウギルディ「し、死の二菱……アルティメギル四頂軍の一角であるあなた様方が、援軍で……!?」

ティラノギルディ「今日は小僧っ子の貴様らに死の二菱流を叩き込んでやる。よいか、この世で最も美しいのは、少女同士の愛! 百合こそが綺羅星と輝く至高の属性なのだ!」

トリケラトップギルディ「……死の二菱・左牙の副将・トリケラトップギルディだ。ティラノギルディ殿はあの通り変わり者だ。なじむにはとてつもなく時間がかかるだろうが、共に戦ってゆこうではないか」

ティラノギルディ「死の二菱流とはそれすなわち百合流! 貴様たちも百合の素晴らしさを理解し、負け犬根性を捨てるがいい!」

トリケラトップギルディ「いや、百合属性はティラノギルディ殿一人だ。私は、幼馴染の娘を好むのでな」

ティラノギルディ「幼馴染でも百合はできよう!」

トリケラトップギルディ「百合でない幼馴染がよい」

スパロウギルディ(こ、このやりとりは一体……)

ティラノギルディ「……ふんっ、別に良いわ。おい、そこの。この世界の戦士どもの映像データをよこせ」

スパロウギルディ「は、はい! ただいまご用意いたします。――ホーリートライアングルの映像データをそこのモニターに映せ!」

戦闘員「モケケー!」

ティラノギルディ「ほう、黒、赤、黄とな……。組み合わせがはかどるが、まずは――むうん!」

スパロウギルディ「……? トリケラトップギルディ殿。ティラノギルディ殿は一体なにをされているのですか?」

トリケラトップギルディ「ああ、大したことではない。ティラノギルディ殿は百合をたしなむものならば必ず身に着けている眼力を発動しているだけだ」

スパロウギルディ「眼力、と申しますと……?」

トリケラトップギルディ「私には理解できぬことだが……カップリングに必要な、名前の頭文字二つを見抜く力だ」

スパロウギルディ「は、はぁ……。ですがブラック以外の本名でしたら公開してあるので、そのようなことはしなくともすぐに教えることもできますが――」

トリケラトップギルディ「ティラノギルディ殿の好きにさせてあげようではないか」

ティラノギルディ「――見えたぞ! ほむ、杏、マミ……これがホーリートライアングルか。まさに百合どりみどりではないかっ。組み合わせがはかどるわ!」

451: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 23:36:02.82 ID:lyaFf6b10

※原作ティラノギルディには名前の頭文字を見抜くような能力ありませんが、このSSの作者が色でなく名前で組み合わせたかったという理由ででっちあげました。
またティラノギルディの能力はまだ不明のため、終盤のティラノギルディ戦は能力のでっちあげがされる可能性がございますがご容赦ください。

452: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 00:02:45.31 ID:e2mWvru80
スパロウギルディ(……! 映像を目にした途端に、何という闘気を! これが、首領直属軍隊長のお力か!)

ティラノギルディ「杏マミ、マミ杏、ほむあ――む? 何だ、これは……? ううむ……これは一体……」

トリケラトップギルディ「どうされた、ティラノギルディ殿。ホーリーレッドがうっかりホーリーブラックの胸……胸? ううむ。一応、胸、か……うむ。胸に触れてしまった映像ではないか。貴殿ならばメインディッシュのステーキにも等しかろう」

ティラノギルディ「確かに少女と少女がイチャイチャしているが……何故だ。この映像……いや、この映像だけではない。ホーリーブラックと他の二人との組み合わせに、俺の牙が疼かぬのだ」

トリケラトップギルディ「そうか。ところでそろそろ自艦に戻ってよいか? 貴殿がこの船に私たちの船を無意味に突っ込ませたおかげで、ずいぶん混乱してるのだ。プテラギルディ殿に任せきりにするのも申し訳ない」

ティラノギルディ「百合を愛でるに邪魔する柵を前にしたら、そのようなこと些細な問題だ! なぜだ……ホーリーブラックと他の二人を組み合わせようとすると、なぜか神の見えざる手に阻まれるがごとく、百合の息吹がひねりつぶされる……!」

トリケラトップギルディ「ただ単にその組み合わせの都合が悪いだけではないのか?」

ティラノギルディ「俺は百合属性を極めたのだぞ! 百合に都合の悪い組み合わせなどない! 現に俺は、ほむマミ、ほむ杏、マミほむ、杏ほむにも多大なる可能性を感じている!! だが、それをカップリングしようとすると、やはり神の見えざる手が邪魔をするのだ……!」

トリケラトップギルディ「そうか」

456: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 00:32:02.07 ID:e2mWvru80

ティラノギルディ「なんだ? 何が神域に至った帝王たる俺を邪魔する……? ホーリーブラックで百合を組むのを邪魔する概念でもあるというのか……!? いや、これは決してホーリーブラックのカップリングを譲らぬという断固たる神の意思……? くっ、わからぬ。かくなる上は、直接確かめるしかないな……!」

トリケラトップギルディ「何をだ?」

ティラノギルディ「この謎を解くのが、我ら精鋭戦士のミッションだ。トリケラトップギルディよ。あの二体を呼べ! 奴らならば、この謎を解明してくれよう!」

トリケラトップギルディ「……ティラノギルディ殿よ。伝えたが、買ったゲームがバグ山盛りで先に進めぬため、公式パッチかが配布されるまで一歩もPCの前から動けぬと――」

ティラノギルディ「なぜ与えられるのを待つ! パッチなど己の手で作れい! もう一体はどうした!?」

トリケラトップギルディ「アニメが野球の延長で録画が失敗しないか心配なため、ずっと番組表を見つめていると……」

ティラノギルディ「追跡録画では不安だというのかっ。惰弱な! いいから今すぐ呼べい! 俺の命令が聞けぬはずがない!!」

トリケラトップギルディ「……ふう。――ああ、私だ。すまぬ……いや、だからな…………うむ、わかるが…………仕方ない。これは、私からのお願いということで………………そうか、行ってくれるか」

スパロウギルディ(……き、聞いてはいけぬフォローを聞いてしまった気が――!)

ティラノギルディ「どうだ、トリケラトップギルディよ」

トリケラトップギルディ「うむ。二人とも何とか了承してくれた」

ティラノギルディ「ぐわっはっはっは! やはり俺の命令を聞かぬ隊員などいるはずがないなっ。待っておれ、ホーリートライアングルよ……!」

トリケラトップギルディ「だが、ティラノギルディ殿よ」

ティラノギルディ「……む? どうした?」

トリケラトップギルディ「出撃自体は、やはり明日にしてくれと」

458: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 01:07:32.68 ID:e2mWvru80

――ほむホーム――


まどか「…………」ジー

杏子「――って感じだな。あたしがホーリーレッドになった経緯は」

マミ「じゃあやっぱり、佐倉さんもエレメリアンに――あら、もうこんな時間? ごめんなさい。そろそろうちに帰るわ」

さやか「ありゃ、マジですか? あ、でももう結構いい時間かぁ。今日は結局エレメリアンん出てこなかったね」

ほむら「そうね。そういう日もあるでしょう。あなた達も、もうそろそろ帰ったら? 杏子なんて風見野でしょう?」

杏子「……あたしは最近、家に帰ったら親父から教会本部があたしに聖人認定を下したとかいうことを知らされるんじゃないかって、怖くて仕方ねえんだ。……ほむら。今日、泊めてくんねえか?」

ほむら「いいから早く帰りなさい。――まどか。家まで送るわ」

さやか「何でまどかだけ――って、あれ?」

まどか「…………」ジー

ほむら「……まどか?」

まどか「……へっ!? あ、ああ、ごめん。どうしたのほむらちゃん?」

ほむら「いえ、どうしたのというか……まどかもそろそろ帰る時間でしょう?」

さやか「てか、まどかがどうしたの?」

マミ「ええ。考え事していたという感じでもなかったわね、鹿目さん」

杏子「ああ。虚空をじーっと鬼気迫る表情で見てたけど……どうしたよ?」

まどか「え? そ、そうかな。なんだかよく憶えてないけど、とっても大切な役目をこなしていたような……ごめんね。わけわかんないよね」

さやか「別に謝られるようなことじゃないけど……」

ほむら「そうね。それで、まどか。もういい時間でしょう? 帰るなら、家まで送っていくわ」

まどか「え? ……わっ、ほんとだ! もうこんな時間……! えっと、ほむらちゃん。お願いしてもいい?」

ほむら「ええ、もちろん」ファサ

マミ「ふふっ。二人とも、仲良しなのね」

杏子「……そ、そうだな」

さやか「……ダヨネー」

459: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 01:08:19.68 ID:e2mWvru80
今日はここまで

気が向いたらまた続きを投下します

463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:22:46.58 ID:e2mWvru80





~翌日~


さやか『昨日は襲撃がなくて久しぶりに平和だなぁーって思ってたのに……』

QB『球技場にいるエレメリアンの反応は二体あるよ。ほむら、杏子、マミ。気を付けてくれ』

まどか『帳尻合わせみたいに、今日は二体同時だね……』

杏子「まったくだよ。ま、こっちは三人何だから、相手も頭数増やしてんのかもな」

ほむら「どうかしらね。それにしても――」

マミ「少し蒸し暑いわね。ここ、屋内競技場でしょう? 空調が聞いてないのかし――」

アンモナギルディ「あまり暑すぎてはいかんぞ! しっかり加湿するのだ!」

戦闘員「モケー!」

トリロギルディ「肌が透けるぎりぎりを狙ってくれよ!」

戦闘員「モケケー!!」

ほむら「……」

杏子「……」

マミ「……えっと」

さやか『……何やってんの、あいつら?』

まどか『加湿器で湿度を上げてる、のかな?』

QB『見る限り、まどかの言う通りだね』

さやか『いや、だからなんでそんなことを――』

アンモナギルディ「む。来たか、ホーリートライアングル。俺は死の二菱よりの戦士、 け れ(クリアウェット)属性のアンモナギルディ! 貴様たちには、濡れてもらってよりエレメーラを頂こう!」

トリロバギルディ「同じくその兄弟子、汗(スウェット)属性のトリロバギルディ! さあ、今日は存分に汗をかいてもらうぞ!!」

さやか『ああ、今日はそういうやつらなのね。だから加湿を――』

まどか『汗で け れのほむらちゃん……いいかも』ボソッ

さやか『――……………………ま、まどか?』

まどか『うぇ!? ど、どうしたの、さやかちゃん』

さやか『あ、い、いや。なんでもない……聞き間違えだと思うしね、うん』

まどか『そ、そうだよね! それによく考えれば、いつだって体育で見れるし――』

さやか『まどかっ。ちょっと黙ってほむら達の戦いを観戦しようかぁ!』

464: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:45:44.20 ID:e2mWvru80

ほむら「死の二菱……? なんだか変な部隊名まで出て来たわね」

杏子「フェニックスギルディとかケルベロスギルディのこともあったし、アルティメギルの連中も一枚岩じゃないのは分かってたけど、いろいろなんだな」

マミ「そうね。アンモナイトにトリロバ……今までのエレメリアンは動物か幻獣が元だったけれども、どちらも太古の生物だもの。もしかしたら、そういうエレメリアンがまとまった部隊なのかもしれないわ」

トリロバギルディ「さて、さっそくと言いたところだが、その前にホーリーブラックよ。おぬしに一応確認しておかねばならぬことがある」

ほむら「なにかしら」

杏子(ほむらを名指し……?)

トリロバギルディ「おぬし、百合に興味はあるのか?」

まどか『!!』ガタッ

さやか『まどか!? 座って! とりあえず静かに落ちついて観戦しよう!? ね!?』

ほむら「百合……? 別に花を愛でるような趣味はないけれども?」

杏子「だよなぁ。ていうか、なんでエレメリアンのお前らが花のことなんて聞くんだ?」

トリロバギルディ「いや、別に知らなくともよい! こちらの事情だ。任務は果たした!」

マミ(百合って……たぶん暁美さんたちが捉えているのとは違う意味だと思うけど、黙っておきましょう。知らないほうがいいこともあるわよね)

さやか『何だったんだろう、いまの。義理立てでとりあえず曲解してノルマを果たした、みたいな適当さを感じるけど』

まどか『トリロバギルディさん……もうちょっと、もうちょっとだけ頑張ってくれても……!』

さやか『………………』

466: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 23:08:10.38 ID:e2mWvru80


さやか『今のまどかはほむらの変身につられてちょっと暴走してるだけなんだ。うん。テイルギアの影響でちょっとエレメーラの解放がしやすくなってるだけなんだ。それだけなんだ……!』

アンモナギルディ「トリロバギルディさん! まずは俺に行かせてください! 実にぬれ透け映えそうな鎧ばかりで気合が入ってます!」

トリロバギルディ「ふふ、張り切っておるな、アンモナギルディ!」

アンモナギルディ「ええ。実は俺、この世界で生涯を共にしたいと思えるヒロインと出会いまして……この戦いが終わったら、彼女と結婚しようと思ってるんです」

トリロバギルディ「わははは、ならばますます負けられぬなぁ。いずれ生まれてくる子供にも、子守歌代わりの武勇伝も必要であろう」

アンモナギルディ「ははは!」

さやか『おぉ……なんというか、すごく見事な死亡フラグですな』

マミ「そうね。ヒロインって言った辺りで、携帯ゲーム機を持っていたのは気になるけど……」

まどか『うん。愛があればどんな障害も――それこそ性別の違いだって超えられるとは思うんだけど、さすがに次元の壁は無理なんじゃ……』

さやか『――うわぁああああん! もう嫌だぁ! あたしも変身して戦う! ここで観戦じゃなくて、あっち行って戦うっ。キュゥべえ! 新しいテイルギア貸してよ!! 今ならきっとあたしも変身できるよ!!』

QB『君じゃ無理だって何回言えば理解してくれるんだい、さやか?』

まどか『さ、さやかちゃん。どうしたの、急に? 落ち着いて? ね?』

さやか『今のまどかだけには言われたくないよ!!』

まどか『え? え?』


469: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 23:42:45.67 ID:e2mWvru80
ほむら「あいつらがゲームのヒロインと結婚式上げたところで、いまさら驚きはしないわよ。そういうやつらだってことは分かりきったことでしょう。……巴さん。あいつの死亡フラグをきっちり回収してきてもらえるかしら」

杏子「ん? なんだよ、マミだけにやらせるのか?」

ほむら「ええ。巴さんは私達の中でも特に戦闘経験が乏しいもの。戦いの経験を積ませるには、いい機会じゃないかしら」

マミ「……そうね。私も戦うって決めたからには、一人でエレメリアンを撃破するぐらいはしないといけないわね」

アンモナギルディ「貴様が俺の相手か、ホーリーイエロー!」

マミ「ええ。来なさい、トリロバギルディ! その体、私が打ち抜いてあげるわ!!」

トリロバギルディ「弾丸を食らうのは貴様のほうだ! 食らえ、わが兄弟子直伝の技! 情熱の弾丸――『汗玉』!」

マミ「きゃぁ!?」

さやか『マミさん!?』

まどか『だ、大丈夫ですか!?』

マミ「――ぷはぁ! 大丈夫、だけど……これは、ただの水……?」

ほむら「敵のエレメーラの特性から考えると、本当にただの水球だったのでしょう。でも、巴さん。油断は良くないわよ」

杏子「ああ。敵の攻撃はちゃんと避けろよ。さっきのは攻撃力がなかったからよかったけどさ」

マミ「そ、そうよね。ごめんなさい。次はちゃんと――」

アンモナギルディ「くっ、テイルイエローの胸の大きさつられて、ついつい水量を多くしてしまった……! ずぶ濡れは美しくない! 髪も衣服も適度に張り付くから美しいというのにっ。――仕方ない。濡れ具合を調節するために、この俺がふきふきしてやるぞ!」

マミ「――きゃぁああああああ! こっち来ないでぇ!」バンバン!

470: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 23:45:57.12 ID:e2mWvru80

杏子「お。変 を遠ざける、いい牽制だな。もうちょっと冷静になって欲しい気もするけど」

ほむら「変 に肉薄されそうになったら、あの反応が正常じゃないかしら。それに取り乱しているとはいえ、あの的確な射撃はさすがとしかいいようがないわ。……でも、なんで巴さんのテイルギアは最初から武器があるのかしら」

まどか『あれ? そういえば、ほむらちゃんのテイルギアって属性の解放をしないと武器が出ないよね』

さやか『杏子のはキュゥべえ作じゃないから仕様の違いがあるのは分かるんだけど、マミさんとほむらのテイルギアも何か違うの、キュゥべえ?』

QB『うん、違うよ。ほむらの戦闘データを元に、マミのエレメーラに最適な方向に調整している。武器の銃もそうだし、マミの場合はいちいち属性の解放を行わずともエレメーラの力を行使できるんだ』

ほむら『……インキュベーター。その使用の変更、なぜ私には適用されないのかしら』

QB『うん? だって君の強みは多彩なエレメーラを行使することにあるだろう? マミは保有しているエレメーラの数が君ほど多くない。だからこそできた仕様の変更だ。でも君のテイルギアに同じ調整を施した場合、下手をしたら柔軟性を失って弱体化してしまう』

ほむら『くっ……!』

杏子「こればっかはキュゥべえの言う通りだな。属性力解放のテンションが恥ずかしいのは分かるけど、諦めたほうがいいよ」

まどか『そうだね。それに私、あの口上は結構好きなんだよ? ほむらちゃんに手放しに褒められているって感じがして、とっても嬉しいなって――』

さやか『なんでだ……! なんであたしにはツインテール属性がないんだよっ。あれば、こんな間近で親友の変わりようを見せられることはなかったのに――!』

まどか『――さ、さやかちゃん? さっきから本当にどうしたの? ちょっと様子がおかしいよ?』

さやか『あたしは何にも変じゃないよ! ――キュゥべえ! 杏子が変身できてるんだし、やっぱりツインテール属性以外でも変身できる可能性はなくはないんだよね!? 具体的に言うと、あたしに宿ってるらしい幼馴染属性でさ!!』

QB『君がテイルギアで変身できるレベルのツインテール属性を芽吹かせるよりかはまだ可能性があるかもしれないけど……奇跡か魔法でもないかぎり不可能だとしか言いようがないね』

さやか『あるよ! 奇跡も、魔法も――』

QB『ああ、そんなことより、もうそろそろ勝負が付くよ』

まどか『わぁ! ほんとだ!」

さやか『――人の話を聞けぇ!』

472: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 00:03:49.71 ID:VL+HBdix0

マミ「……ふう。やっと捕まえた」

アンモナギルディ「ぐぅ! 俺を緊縛するこの紐は、リボン……!? 貴様、リボン属性の持ち主でもあったか」

マミ「ええ。胸元にとめてある黄色いリボンは、ケルベロスギルディがプロデュースしてくれたもののひとつ。私と彼女をつなぎとめていた絆の一つでもあるもの。――止めよ、アンモナギルディ!」

アンモナギルディ「ぬぅ! 銃が、リボンにより強化されて――!?」

杏子「おお! カッケぇ!」

ほむら(……技自体は、ほぼいつも通りのものね)

マミ「ティロ・フィナーレ!」

アンモナギルディ「がはぁっ!」

まどか『やったぁ!』

マミ「倒せた、の……?」

杏子「いや、まだくたばっちゃいないぞ」

ほむら「杏子言う通りね。おそらく致命傷だとは思うけれども、相手が爆発するまで油断しないで」

マミ「ええ、わかったわ。確かにまだ、倒し切ったわけでは――」

アンモナギルディ「……トリロバギルディさん。ど、どうやら俺はここまでみたいです……」

トリロバギルディ「バカを言うな! これしきのかすり傷がなんだ!」

アンモナギルディ「トリロバギルディさん。自分の身体は自分が良くわかります。俺は、もう助かりません。目も見えず……代わりに、どうか……見えますか、濡れ透けが……トリロバギルディさんが愛した、汗とのコラボが……」

トリロバギルディ「……目が見えずとも、まだ耳は聞こえるな? 耳を澄ませてみるがよい。聞こえてこぬか、優しい潮騒の音が……!」

アンモナギルディ「き、聞こえます、確かに、寄せては返す汗の潮騒が……!」

マミ「……」

ほむら「……」

杏子「……」

トリロバギルディ「そう――それが流れる汗の音だ! 一面に濡れ透けが広がっておるぞ! だから、死ぬな……! これほどの光景、目に焼き付けずに逝くな!」

アンモナギルディ「……ああ、見えます。俺にも、見えます……汗、が……」ガクリ

トリロバギルディ「うぉおおおおおお! アンモナギルディよぉおおおおおお!」

チュドオオオオオオオオン!

まどか『…………』

さやか『…………』

QB『……? どうしたんだい、君達。なんで黙り込んで立ち尽くしているんだい? 敵はまだ残ってる。いま叩くのが最良のタイミングだ!』

さやか『いや、このタイミングで攻撃とかあんた鬼かよ』

473: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 00:16:54.75 ID:VL+HBdix0

トリロバギルディ「――待たせたな。戦いを再開するとしよう」

杏子(再開しようって……すげぇやりづれーんだけど)

ほむら(別に攻撃してもいいのだけれども……ここで容赦なく攻撃してインキュベーターと同類だと思われたくないわね。それに――)

マミ「……ぐすん」

まどか『ま、マミさん……泣いて……?』

さやか『まさか、さっきので……?』

マミ「ご、ごめんなさい……敵だったとはいえ、私、なんてことを――!」

トリロバギルディ「……礼を言うぞ。死にゆく弟弟子のため、涙を流してくれるとは。その深き慈愛に感謝する、ホーリーイエローよ。――だが、勝負は別だ! 我が生涯の盟友、アンモナギルディが今際に見た理想郷を現実とするために、私は負けるわけにはいかんのだぁああああああ!」

マミ「――ぁ」

杏子「ちっ!」ガキイン!

マミ「さ、佐倉さん……!」

杏子「さがってろ、マミ! こいつはあたしがやる!」

マミ「で、でも――」

ほむら「杏子の言う通りよ。今のあなたの精神状態であいつと戦えるとは思えないわ。さがりなさい」

マミ「……うん。ごめんなさい」

ほむら「別にいいわ。……これから強くなっていけばいいのよ」

マミ「……ええ!」

474: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 00:38:37.27 ID:VL+HBdix0

ほむら「杏子! 巴さんは私が守るわ! 後ろは気にせずやりなさい!」

杏子「ああ! ――とっりゃぁあああ!」

トリロバギルディ「ぐぬぅ……!」


――アンモナギルディよ……すまない。

――門出を目の前にしていたお前を守りきれなったこと、悔やんでも悔やみきれん。

――思えば出会ったばかりの頃は、お調子者のお前を疎ましく思っていた……。

――それが、いつの間にだったかな……見どころのあるやつだと、見習うべきところのあるやつだと、私自身も発奮したものだ。

――本当の弟のように思っていたよ……ホーリーレッドは、強い。おそらく、私も敵うまい。

――あの世でまた、汗と け れを肴に酒を飲みかわそうぞ――!!


杏子「うるっせぇええええええええええええええええええええええええええ! 戦いの最中なに聞かせやがんだてめえはぁあああああああああ!」

トリロバギルディ「たとえ死する運命だとしても! 先に行ったアンモナギルディのためにも、私は我らが生きた証をこの世に残さねばならぬのだぁ!」

マミ「……ぃっく……ぐすん」

ほむら(……RPGか手榴弾で葬り去りたいわ、あいつ)

トリロバギルディ「俺の命を賭した一撃一撃が、貴様の珠の汗一滴へと変化してゆくのだ!! 受けよ、ホーリーレッドっ。我が渾身の一撃……!」

杏子「……はっ! 汗だの濡れ透けだのをあたしに押し付けよう何て、笑わすんじゃねーよ!」

トリロバギルディ「なに!?」

杏子「あたしは愛と平和の架け橋。そして――燃えるポニーテイルの戦士だ! 受けろよ、トリロバギルディ! 汗も蒸発させて燃え上る、正義の一撃を。――グランドバーニングスラッシャぁあああああああ!」

トリロバギルディ「ぐ、ぉぉおおおお! ふ、ははは……蒸発してなおも香る、優しい汗のにおいが……アンモナギルディ、俺も、お前の、元へ……!」

チュドオオオオオオオオン!

杏子(…………そ、そんなにおってねーよな?)クンクン

ほむら「……巴さん、もう泣き止んだかしら」

マミ「……ぐすん。ええ、もう大丈夫よ。――アンモナギルディ、トリロバギルディ。あなた達の絆は、私達の胸に確かに残ったわ」

ほむら「……それと杏子。別に気にしなくてもいいわ。もし気になるんだったら、シャワーぐらい貸すわよ?」

杏子「え!? い、いや別に! 気にしてなんかねーし!?」

ほむら「はいはい、そうね。それじゃあ帰りましょう」

479: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 23:58:09.10 ID:VL+HBdix0

――アルティメギル秘密基地――


トリケラトップギルディ「……どうだ? 参考のために貴殿にもホーリートライアングルの映像を見せたが、ブラックの百合属性について何かわかることがあったか?」

プテラギルディ「残念ながら隊長の百合属性は私には理解できない領分ゆえ、映像を見てもさっぱりだ」

トリケラトップギルディ「ふむ。まあ、そうであろうな」

プテラギルディ「だが、トリケラトップギルディよ。私はいま、運命を目にした。この世界の侵攻には興味がなかったゆえ、任務と割り切るつもりだったが――気が変わった」

トリケラトップギルディ「運命……もしやこの中に、貴殿の求める属性の持ち主が?」

プテラギルディ「ああ。しかし、それは貴様も同じではないのか?」

トリケラトップギルディ「……ホーリーブラックのことか」

プテラギルディ「ああ。フォックスギルディに、ドラグギルディ殿での戦いで見せた能力。これは明らかに――」

トリケラトップギルディ「いいや。残念ながら、ホーリーブラックに私の求める属性はない。この少女の力は、何か別の理によるものだろう」

プテラギルディ「……そうか。残念、だな」

トリケラトップギルディ「いたしかたあるまい。そもそも我ら死の二菱隊は、稀有なエレメーラを求めるが故の問題児の集まり。侵攻ではなく殲滅を目的とする武闘集団。そうそう己がエレメーラの持ち主と出会えるわけではない。……今回の貴殿が幸運であったのだ」

プテラギルディ「……そうだな」

480: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 00:12:35.97 ID:zMYuTAV70

プテラギルディ「……トリケラトップギルディよ。貴様は自分の属性と向き合えておるか」

トリケラトップギルディ「それは……」

プテラギルディ「我がエレメーラ、母(マザー)属性は、エレメリアンにあってはならぬ属性だ」

トリケラトップギルディ「突然、何を――」

プテラギルディ「母君に  本を発見していただき、机の上にそっと置いてもらう。それが一人前の男として認めてもらった証にして、巣立ちの時! 育ててもらった感謝あふれる瞬間――しかし! 私の  本はいつまで机の下にあるのだ!」

トリケラトップギルディ「プテラギルディ殿……」

プテラギルディ「わかるか……。私だけではない。エレメリアンとはそういう存在だ。人の本質にどれだけ近づこうとも、人にはなれぬ。人の営み、人の心……求めて望んでも、思いはせることしかできず、共存など夢のまた夢だ」

トリケラトップギルディ「…………」

プテラギルディ「だが私は、そんな自分を哀れとは思わぬ。それでも私たちは、生きてゆくのだ!!」

トリケラトップギルディ「分かっている。……それで、プテラギルディ殿よ。我が死の二菱・右牙の副将たる貴殿が狙う戦士は、誰だ」

プテラギルディ「――ホーリーイエロー。大いなる母性と、母を求めるマザー属性を同居させた、奇跡のツインテールの戦士だ」

481: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 00:40:03.83 ID:zMYuTAV70






――ほむホーム――


ほむら「……巴さんのことだけれども、エレメリアンに感情移入してしまうのは問題ね」

杏子「ああ。戦闘そのものはかなりいい線いってるんだけどなぁ」

ほむら「今回のエレメリアンが特別うっとうしかったっていうのはあるけれども、今後も同情で隙をさらしてしまっては巴さん自身が危ないわ」

さやか「うん……優しすぎるっていうのも考え物だね」

まどか「でも、マミさんにそれを直せっていうのも、ちょっと……」

杏子「それもそうなんだよなぁ。マミの場合、もともとあたし達よりずっとエレメリアンとの距離が近かったんだ。その分、感情移入しちまうのは仕方ないよ。それをどうにかしろって、面と向かっては言いにくいよなぁ」

ほむら「ええ。私もそう思ったから、巴さんのいない今あなた達に相談してるのよ」

まどか「やっぱり、慣れるしかないんじゃないかな」

さやか「そうだよね。時間が解決してくれるって言ったら無責任だけどさ」

杏子「だな。マミは強いやつだ。あたし達が過度に心配しなくても平気さ」

ほむら「……そう、ね」

482: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 00:50:03.99 ID:zMYuTAV70

ほむら「そうだったわね。あなた達の言う通りだったわ」

まどか「じゃあこの話はお終い! だね」

さやか「ていうか、マミさんに会えなくてちょっと残念だなぁ。仕事がさらに忙しくなったってさ」

まどか「しょうがないよね。マミさん、ホーリーイエローになってからさらに人気が爆発したもんね」

さやか「だよね。ていうか、人気度でいえば杏子も相当なもんだと思うけど、あんた本当に何の用もないの? ほとんど毎日ここにほむらの家に来てるけど、誰にも迷惑かけてないよね?」

杏子「はははは当たり前だろ? あたし、すっげー暇人なんだよ」

まどか(杏子ちゃん……目が笑ってないよ)

ほむら「あなた達も大変ね。それに比べて私は正体が露見されないで良かったわ。平和な日常そのものよ」

まどか「うんっ、そうだね。でも人気っていったら、ほむらちゃんも結構だよ? 正体不明だけどそこがミステリアスでいいって、ファンサイトでも評判だし!」

ほむら「……え?」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」

ほむら「…………え? いえ、ちょっと待って。なにかしらそのファンサイト――」

QB「――む! エレメリアンの反応だ!」

ほむら「ちょ、インキュベーター。ちょっと待ちな――」

QB「しかも反応が大きい! これは幹部級の反応だ! すぐに向かわないと危険だ!」

杏子「ちっ。幹部級か。ケルベロスギルディ以来だな。ほむら、行くぞ!」

ほむら「だから杏子。少し確認したいことが――」

さやか「マミさんがいないけどしょうがないよね。仕事で忙しいらしいから呼ぶのも迷惑だろうし……ほむら、急いで! 早くいかなきゃ危ないんだ!」

ほむら「さやか!? なぜあおるようなことを――」

まどか「ほむらちゃん、頑張って!」

ほむら「――ああ、もういいわよっ。テイル・オン!」

483: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 00:50:56.13 ID:zMYuTAV70
今日はここまで

また気が向いた時に続きを投下します

485: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 23:09:57.09 ID:zMYuTAV70

――住宅街――


ほむら「あそこの家の前……あの鳥みたいなエレメリアンかしら」

杏子「ああ。――って、あれは!?」

海香「お母さんを返しなさい、この怪物!」

プテラギルディ「……ふん。親不孝者めが何か騒ぎたてよる」

さやか『女の人が捕まってる! あれは、人質……!?』

まどか『うそっ? エレメリアンの人がそんなことを!?』

ほむら『いままでエレメーラを奪う以外、一般人には一切危害を加えることはなかったのに……油断してたわ』

杏子『あれは親子か? くそっ、早く助けてやんねーと』

さやか『でも、一般人を人質にするなんて、明らかに今までのエレメリアンとは違うよ。あいつ、何者――』

海香「やめて! お母さんを放しなさい!」

プテラギルディ「ふんっ。おぬしは小説をヒットさせ、その印税で豪邸を建てて家を出るのであろう!? だから私が君の代わりにこの人の子供になるのだ!」

486: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 23:22:01.92 ID:zMYuTAV70

さやか『…………なに? あいつ、マジ何者?』

まどか『さ、さあ……?』

海香「違うわ! 豪邸建設なんてもうやめたわよっ。そもそもあのクソ編集に騙されて処女作を盗作に使われたからそもそも無理だし……! いいからお母さんを返しなさい!」

海母「考え直してくれたのね!」

海香「うん。ごめんなさい、お母さん。盗作に使われたのは、別にお母さんのせいじゃなかったのに、八つ当たりしちゃって……」

海母「ううん、いいの。それに大丈夫よ。世の中悪い人ばかりじゃないわ。次の編集さんは、きっといい人よ」

海香「そうかな……。お母さん、ありがとう。私、頑張るわ!」

プテラギルディ「ふっ。ただ少し気持ちがすれ違っていただけか……まったく、私もとんだピエロだ!」

ほむら「……本当にそうね。バカじゃないかしら、あなた。久しぶりに心の底からアホらしいエレメリアンね」

杏子「つーか結局何がしたかったんだ、お前?」

プテラギルディ「む? ホーリートライアングルか。我が誇り高きマザー属性は非常に育ちにくい属性。こうして地道に親子の絆を確認してもらうことが一番の近道なのだ」

杏子「ふーん。何か慈善活動をやってたかと思ったけど、近道ってことはやっぱりエレメーラを奪うつもりなんだな」

ほむら「なら、容赦する必要はないわね」

プテラギルディ「そう急くな。私は必要以上の争いは好まぬ。――ホーリーイエローはどうした?」

杏子(……今度はマミを名指しに? 何か最近多いな、こういうこと)

ほむら「巴さんは忙しいの。今日は休みよ」

プテラギルディ「そうかならば用はない。さらばだ!」

杏子「なっ、待ちやが――はやっ!?」

まどか『と、飛んでいっちゃたね』

ほむら「あれは……追いつけないわね」

さやか『何だったんだよ、あいつ……』

QB『ほむら、杏子。今のエレメリアンは完全に撤退したわけではなさそうだ。いま君たちがあすなろ市から、見滝原市に向かっているようだ!』

杏子「まだ退却してなかったのかよ……」

ほむら「仕方ないわ。追うわよ、杏子」

杏子「おう! キュゥべえ、ナビゲートしてくれ!」

QB『わかったよ』

487: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 23:45:13.05 ID:zMYuTAV70

プテラギルディ(ホーリーイエローが現れないとは……ならば、取らず攻めずを繰り返せば、囲う人数を増やそうと応援を呼ぶかもしれん……む、この気配は――!?)

なぎさ「…………」ジー

プテラギルディ(あれは……感じる、感じるぞ! まだ芽吹いてはいないが、マザー属性の素質を確かに感じる! この世界、何という……!)

なぎさ「……あのチーズケーキ、結局買えなかったのです」

プテラギルディ「母を求める子の叫びが聞こえるな……!」

なぎさ「え!?」ビクッ

プテラギルディ「どうした、幼子よ。なぜケーキ屋の前に立ち尽くしておる。そこに、貴様が求める母はおらんだろう」

なぎさ「え、エレメリアン、なのですか!?」

プテラギルディ「そうだ。むろん貴様を傷つけるつもりはないが、我がマザー属性のためにも一つ忠告させてもらおう。母の愛はケーキよりも甘く、優しい。もの欲しげにケーキを見つめるのではなく、早く家に帰り母親を安心させるのだ!」

なぎさ「……ぁ」

プテラギルディ「……む? な、なぜ、涙ぐむ?」

なぎさ「お母さん……なぎさの、お母さんは……ぅぅう」ポロポロ

プテラギルディ(母を思って泣いている……確かに感じるマザー属性の素質にこの反応。もしや、この娘――)

マミ「――テイル・オン!」

プテラギルディ「――!?」

マミ「小さい女の子を泣かせるなんて、エレメリアンの風上にも置けないわね! 仕事の途中でたまたま見つけたけれども……あなたみたいな人を許すわけにはいかないわ! 覚悟しなさい!」

なぎさ「……え? と、巴マミなのですか! あのアイドルのマミなのですか!?」

マミ「そ、そうなんだけど……変身してる時はホーリーイエローって呼んで欲しいわ」

488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 00:08:15.28 ID:e9kqOPvv0

マミ「とりあえず、あなたは私の後ろにいて。えっと……」

なぎさ「はいなのです! 名前はなぎさです!」

マミ「分かったわ。なぎさちゃんね。それで、あなたは――」

プテラギルディ「ホーリーイエローか! そこの幼子の素養に気を取られ、貴様に気が付くのが遅れるとはな!」

マミ「黙りなさい! どんな事情があれ、エレメリアンが人を傷つけていいはずないわ! 身体だけじゃない。エレメーラを奪うあなた達だからこそ、心を傷つける罪深さを知っているはずだわ!」

プテラギルディ「むぅ……確かにその幼子を泣かせたのは本意ではない。だがしかし、母を求めて涙するのもまたマザー属性を持つ者のさがよ!」

マミ「マザー属性? あなたの狙いは世のお母さん方だって言うの!? 子供を泣かせたことと言い、ますます見逃せないわね……!」

プテラギルディ「少し勘違いしているようだな、ホーリーイエローよ。母親そのものではなく、母性を求める心こそがマザー属性を生むのだ! その心、マザー属性の貴様にもわかっておろう!」

マミ「……!」

なぎさ「……マミ」ギュッ

マミ「……そうね。大丈夫よ、なぎさちゃん。あなたは、私が絶対に守るから!」

プテラギルディ「ふっ、やはり私が見た通りの母性の持ち主だな。この短時間で、その幼子も貴様の母性に魅せられておる。ホーリーイエローよ」

489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 00:27:50.50 ID:e9kqOPvv0

マミ「来るなら来なさい。守るべき人がいるのなら、私一人でも戦えるわ!」

なぎさ「マミ……!」

プテラギルディ「貴様と戦うのは私とて望むところだ! ……しかし母性を求めるその幼子のことを思うと、貴様のエレメーラ奪取はまだ少々ためらわれるな」

マミ「……何をたくらんでいるの?」

プテラギルディ「たくらむというほどのものではない。ただ、せっかく希少なマザー属性の種を見つけたのだ。その水や土となり太陽となる貴様を、いまこの場で倒してしまうのはどうかと思っているだけだ」

なぎさ「なぎさのことを話しているのですか……?」

マミ「あなたがなんと言おうと、私はこの子を泣かせたあなたを――」

ほむら「追いついたわ……って、巴さん!?」

マミ「――え!? 佐倉さんにあけ……ぶ、ブラック!」

杏子「よっしゃっ、ナイスタイミングだ! マミ、このままそいつを挟み撃ちにするぞ! そいつ、すげえ早く飛行するから気を付けろ!」

プテラギルディ「揃ったか。三人一度に相手取ったところで負ける気はないが、やはり気が変わった。その幼子のマザー属性が芽吹くまで、貴様らのエレメーラ奪取はしないでおこう!」バサッ

杏子「くそっ、また……!」

ほむら(真上に飛んだっ。しかも、やっぱり速い……!)

なぎさ「え?」

マミ「なっ!? それは、これからもなぎさちゃんを狙うことがあるということなの!?」

プテラギルディ「その幼子のマザー属性が芽吹けば、いの一番に奪いに行こう! それを阻止したければ……わかるな、ホーリーイエローよ」

マミ「…………」

490: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 00:35:00.36 ID:e9kqOPvv0

プテラギルディ「それではさらばだ、ホーリートライアングルよ!」

杏子「待ちやがれ! ――くそっ、マミ! 飛んでるあいつ、狙えるか!?」

マミ「ごめんなさい、あそこまで速いと……それに、もう距離が開きすぎていて……」

ほむら「巴さんの責任ではないわ。空中機動ができる相手に逃げの一手を費やされると、追いつくのは無理ね。それでなくともあの速さは脅威だし……何か対策を考えないと」

QB『でも、さっきと違って今度は反応そのものが消えている。おそらく撤退したんだろう』

まどか『さっきの人、マミさんに何か言ってたけど……』

さやか『何だったんだろうね。マザーがどうかと、そこの女の子がどうかとか』

マミ「それは……」

なぎさ「……?」

ほむら「それも含めて話し合いね。私たちも帰りましょう」

杏子「ああ、そうだな。ちょっと気になることも言ってたけど……マミ。あんたはどうするんだ?」

マミ「私は仕事の途中だから戻るけれども、終わったらすぐそっちに行くわ。……それと、ごめんなさい、なぎさちゃん。裾、放してもらってもいいかしら」

なぎさ「あっ、ご、ごめんなさい……!」

マミ「ううん。いいのよ」ニコリ

ほむら「そう。わかったわ。それじゃあ、インキュベーター。私と杏子だけ転送しなさい」

QB『分かったよ』

496: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 22:48:31.93 ID:e9kqOPvv0

――ほむホーム――


ニュースキャスター『先日現れた新たなエレメリアンですが、行く先々で親孝行を強制させるという不審な行為を行っています。現場に訪れたホーリートライアングルをも振り切って続ける強制親孝行。今日はその是非の討論を――』


ほむら「エレメリアンは基本的に迷惑な存在だけれども、奴らが慈善行為に及んだらどうなるかという話ね」

まどか「そうだよね。迷惑って言っても、今まで人的な被害は一度も出てなかったわけだし……」

さやか「それが一転して慈善活動だもんね。そりゃ話題にもなるわな」

杏子「そうやって話題になって『お母さんっていいな』って思わせることがマザー属性の促進につながんだろうがな」

さやか「マザー属性ねぇ。それを聞いた時にも思ったんだけど、それっておかしくない? キュゥべえが言ってたじゃん。本能的な感情とか愛と、エレメーラは別物だって」

まどか「そうだよね。お父さんお母さんを好きだって思うのは、当然のことだよ!」

QB「そうだね。マザー属性――それは、エレメーラとしてきわめて稀有な存在だ。君達人類にとって母親を愛するというのは、どうやらごく当然のことのようだからね。だからこそ、家族愛とは別のベクトルで母性を嗜好としなくてはならないから、一朝一夕に芽生えるものではないようだ」

杏子「へえ」

ほむら「ようするに、ただのマザコンってことでしょう?」

QB「身もふたもなく人間的な言い方をしてしまえば、限りなくそれに近いね」

まどか「でも、そういえば……エレメリアンって、お母さんがいないんだよね」

さやか「言われてみれば、確かに……」

ほむら(……母親がいないといえば、巴さんもそうね)

ピンポーン

杏子「お? マミの奴か? 思ったより早かったな」

ほむら「……プテラギルディの話はここまでね。ちょっと迎えに行ってくるわ」テクテク ガチャ

マミ「あら、暁美さんがお出迎え?」

ほむら「私の家だもの。それじゃ入って」

マミ「ええ。お邪魔します」

杏子「よう、マミ」

まどか「マミさん、こんにちは!」

さやか「ちわーっす!」

マミ「ふふっ、こんにちは。それで暁美さん。ちょっと相談し合いことがあるんだけど――」

497: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 23:00:07.07 ID:e9kqOPvv0






ほむら「却下よ」

マミ「やっぱり……だめ?」

まどか(ちょっとうるんだ瞳で上目づかい……!)

さやか(これは強力だぞ! どうする、ほむら?)

ほむら「そんな目をしても無駄よ。なぎさ、って言ったかしら? エレメリアンに狙われるかもしれないか何か知らないけれども、たいして知りもしない子供をここでかくまうなんて無理よ」

杏子「悪いけどほむらの言う通りだな。ここがマスコミばれることだけは避けなきゃなんねんだよ。特に口の軽い子供なんて入れられっかよ」

さやか「……聖女様が我欲に走ってる」

杏子「ああん? 何か言ったか、さやか?」

さやか「いえー? 別にー?」

マミ「佐倉さん。でもこれは、その子のエレメーラに関わることなのよ?」

杏子「うっ……」

マミ「緊急事態なんだし、さっきのエレメリアンは幹部級なんでしょう? 狙われているのがその子ってはっきりしているんだから、ちょっとくらいの例外は――」

ほむら「ダメって言ったらダメよ。もちろん私だって身バレしたくないという気持ちはあるわ。ただ、それだけじゃないの。……まどかのためにも、ここが知られるわけにもいかないの」

マミ「え?」

まどか「わたし、のため?」

ほむら「そうよ。インキュベーターいわく、まどかはこの世界でも最強のツインテール属性の持ち主よ。この家は認識遮断なんちゃらが張られているらしいから平気だけど、ここが敵に知られてしまえば、まどかのツインテール属性がエレメリアンに知られてしまう可能性があるわ。まどかの身の安全のためにも、ここは死守しなければならないの」

さやか「あー。言われてみれば、そうだったっけ」

マミ「そうなのね。まどかさんが……」

杏子「そういえば、いつものまどかってどうしてエレメリアンに襲われないんだ? ほむらが変身してないときはツインテール属性はちゃんとあるんだろう?」

ほむら「インキュベーターが傍にいて、認識遮断なんちゃらを展開しているらしいわ。私はテイルギアを身に着けているから探知されないわ」

まどか「そうなんだよね!」

ほむら「そういえばインキュベーター。あなたがまどかとなぎさっていう女の子、両方の属性力を隠すことはできないの?」

QB「ほむら。君は僕に分裂しろとでも言うつもりかい?」

ほむら「……? なに言ってるの、あなた? 別の個体を使えばいいでしょう?」

さやか(……別の個体?)

QB「……君がどれほど僕たちのことを知っているかはいまさら聞かないけど、この星にいる固体はひとつだけ――つまり僕だけだよ」

498: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 23:29:42.79 ID:e9kqOPvv0
ほむら「……え?」

QB「もしこの個体が潰されてしまえば、この星でのエネルギー回収の作業はそれでおしまいだ。この星で使える資材も限られている。残念ながら君が知っている僕たちと、いまここに僕には根本的な部分で差異があるようだね」

ほむら(……インキュベーターが、一匹きり? これもまたイレギュラーの一つなの? いえ、でも、むしろ好機? こいつを殺せば、この星からインキュベーターはいなくなるのね!)

QB「……ほむら? 何だい? いまの君の目つきからは危機を感じるのだけれども」

ほむら「……いいえ? 別に、何でもないわよ?」

ほむら(あとでまどか達が見てないところで……いいえ。いっそこの場で時間を止めて――)

QB「一応、念のために言っておくけれども、万が一僕がいなくなったら困るのは君達だよ? エレメリアンの探知、現場への転送、テレパシーでの通信、まどかのエレメーラの認識遮断、テイルギアに万が一があった時の修理。その他諸々、技術的なものはすべて僕が請け負ってるんだ」

ほむら「……ちっ。それもそうだったわね」

さやか(思いっきり舌打ちした)

まどか(ほむらちゃん、なんでキュゥべえのことが嫌いなんだろう……?)

杏子「何の話してるか知んねーけど、話を戻そうぜ。あたし、いい案を思いついたんだよ」

さやか「お? なになに?」

杏子「新しい三つめのテイルギア、あっただろう? あれが認識遮断なんちゃらってのを展開してくれんなら、それをあの子に渡してやればいーんじゃねーのか?」

まどか「あ!」

マミ「そうね! 考えてみれば、私のテイルギアももとはと言えば自衛のためにもらったものだもね」

ほむら「なるほど……。いい案じゃないかしら。どうなの、インキュベーター」

QB「残念ながらそれは無理だね」

499: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 23:44:21.89 ID:e9kqOPvv0

QB「マミの場合はテイルギアを作動できるだけのツインテール属性があった。だからこそテイルギアを認識できたし、作動もできた。でも百江なぎさのツインテール属性は、残念ながらそこまで強力なものではない。変身どころか、認識遮断フィールドも張れないだろう」

さやか「マジかぁ……」

まどか「でも、それだとどうすればいいんだろう……」

ほむら「正直、思いつかないわね」

マミ「でも、狙われているって分かっている子を放っておくなんて」

杏子「うーん。ここ以外で、エレメリアンから守れる場所があれば……ん?」

さやか「ん? どうしたの、杏子」

杏子「いや、あるじゃねーか。ちゃんとした保護者がいて、いつだってエレメリアンに対抗できる人材がいる場所が!」

まどか「え?」

ほむら「そんな都合のいい場所が……?」

マミ「それってどこ、咲良さん!?」

杏子「ああ、それはな――マミの家だよ」

マミ「……へ?」







――マミルーム――


なぎさ「うわぁ! ここがマミの家なのですか? なぎさ、本当にここでしばらくお世話になってもいいのですか!」

マミ「ええ、もちろん。事情は説明して、親御さんにも許可はちゃんととってあるから」

なぎさ「わぁい! お邪魔するのです!」

マミ「遠慮しないで」ニコリ

501: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 00:00:23.85 ID:7zbwW7bS0

なぎさ「ステキな部屋なのです。さすがはアイドルの部屋……!」

マミ「そ、そんな大したものじゃないけど――いい時間だし、夕ご飯作るわね。ちょっと待ってて?」

なぎさ「あ! チーズ! 夕ご飯にチーズはあるのですか!?」

マミ「チーズ? 予定にはなかったけど、ハンバーグを作る予定だったから中に挟んだり上に乗っけるくらいならできるけど……」

なぎさ「じゃあ、中に挟んで上に乗っけて欲しいのです! それはもうたっぷりと!」

マミ「……ふふっ。いいわよ。ちょっとだけ待っててね?」

なぎさ「分かったのです!」

502: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 00:39:06.11 ID:7zbwW7bS0

マミ(なぎさちゃん、思った以上に元気だったわね。ご飯も全部食べてくれたし、おしゃばりもいっぱいしてくれたわ。……でも、今日のプテラギルディに襲われた時のことと、なぎさちゃんのお家で事情を話した時のことを考えると、なぎさちゃんは――)

なぎさ「マミー。お風呂、入って来たので……ぁ」

マミ「あら、なぎさちゃん。お布団の用意はできたから、なぎさちゃんはベッドで寝て? 私は床のお布団で寝るから――」

なぎさ「あ、あの、マミ」モジモジ

マミ「――あら? どうしたの?」

なぎさ「い、一緒に、寝ちゃ、ダメですか……?」

マミ「……」

マミ(……そっか、やっぱりこの子は――なぎさちゃんは、そうなのね。プテラギルディの言っていたマザー属性はそういうもので、あるいはエレメーラというもの自体もそうだと考えると、本能的な感情とかごく当然の愛でエレメーラが生まれないわけも――)

なぎさ「ぁ。い、いや、その……な、なんでもないのです! なぎさだって子供じゃないのですし、もちろん一人で――」

マミ「……ね、なぎさちゃん」

なぎさ「――へ? な、何なのですか?」

マミ「実は言うと、私もね……お母さんがいないの。だから、ほんの少しだけあなたの淋しさがわかるかもしれないわ。それで、淋しいのを悟られないように無理してはしゃいだりする気持ちも、ね」

なぎさ「……ぁ」

マミ「何度も言ってるけれども遠慮なんてする必要ないのよ? もちろんあなたのお母さんの代わりになれるなんて言わないけれども……この家にいる間は、私がちゃんとあなたを守るから。だからね、なぎさちゃん」

なぎさ(マミ、ベッドの方に入って、お布団を持ち上げて……なぎさが、さっき何を言いかけてたのか、分かってくれて……)

マミ「……おいで?」

なぎさ「……」コクン

507: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 00:39:47.46 ID:VwK29EIU0

~翌朝~


なぎさ「ううん……ぁ」

なぎさ(知らない天井……じゃなくて、マミの部屋だったのです)

なぎさ「あれ、でもマミは……」

なぎさ(昨日、一緒のベッド寝て、いろいろお話をしてたのに……ぁ。お布団、まだちょっと温かいのです)ギュッ

なぎさ「マミ……」

マミ「なぎさちゃん。起きた?」ガチャ

なぎさ「ふぇ!?」

マミ「あら、お布団握りしめちゃって……まだ眠いのかしら。今日は日曜日だから、もうちょっと休んでてもいいのよ?」

なぎさ「い、いえっ、起きるのです!」

マミ「そう? じゃあ、いま朝ごはんで食パンを焼いてるんだけど、ジャムをつける?」

なぎさ「いえ、チーズを! そこはチーズを!」

マミ「ふふっ。なぎさちゃん、チーズが大好きなのね」

なぎさ「もちろんなのです!」

508: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 01:07:36.60 ID:VwK29EIU0

なぎさ「ご馳走様でした!」

マミ「お粗末様です。――それで、なぎさちゃん。今日はどうする?」

なぎさ「うーん。特に何も考えてないのです。マミはどうするのですか?」

マミ「わたしはお昼からお仕事よ。だからその間は――」

QB『マミ! 君のマンションの近くにエレメリアンの反応が現れた!』

マミ「――!」

QB『反応からして間違いなく昨日と同じエレメリアンだ。ほむらと杏子はまだ出撃の準備が整っていない。具体的に言うと、まだ寝ているのかテレパシーに応答しない。少しだけ君だけで耐えるか逃げるかしてくれ』

マミ『……わかったわ』

マミ(昨日のエレメリアン……幹部級を相手に、少しの間とはいえ私一人で……?)

なぎさ「……マミ?」

マミ「!」

マミ(そう……そうよね。なぎさちゃんがいるのに、逃げるわけにはいかないわ!)

マミ「ごめんね、なぎさちゃん。ちょっとの間、ここで待っていて」

なぎさ「え? ――あ! もしかして、昨日のエレメリアンが!?」

マミ「ええ。でも、大丈夫だから」

なぎさ「マミ……」

マミ「――テイル・オン!」

なぎさ「…………」

マミ「それじゃあ私、行ってくるから。帰ったら、一緒にチーズを食べましょう?」ニコリ

なぎさ「……はいなのです!」

509: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 01:22:14.04 ID:VwK29EIU0

マミ「……」

プテラギルディ「……」

マミ(改めて一対一で向き合ったらわかるけど、すごいプレッシャーだわ……!)

マミ『キュゥべえ。暁美さんたちは?』

QB『ダメだ。杏子は何やらうなされているし、ほむらはやけに幸せそうな寝言を繰り返している。試しに念話を送ってみても――』

杏子『うう……やめろ、あたしは聖女なんかじゃ……!』

ほむら『まどか……あなた、魔法少女にならずに……えへへ……』

QB『こんな感じで二人ともまったく起きる気配がない。いま、さやかとまどかに直接起こしに向かって行ってもらっているところだ』

マミ(くっ。これは本格的に、私一人で何とかしないと……!)

プテラギルディ「……宣言通り参ったぞ、ホーリーイエローよ」

マミ「来たのね、プテラギルディ。時間がかかるみたいな言いぶりだった割には、ずいぶんと早いお越しね」

プテラギルディ「ふっ。それには私のほうが驚いている。……恐れ入ったぞ、ホーリーイエロー」

マミ「何をかしら?」

プテラギルディ「貴様の大いなる母性にだ。まさかたった一晩であの幼子を母性の虜にして見せるとは思わなかったぞ!」

510: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 01:54:57.34 ID:VwK29EIU0

マミ「虜って……な、なんだか人聞きが悪いわね」

プテラギルディ「そのようなことはない。むしろ誇るのだ。母を求める心を癒すその母性。それはマザー属性の闇を照らす――む? そういえば、ブラックとレッドはどうした? 現れる気配もないが……」

マミ「あ、あの二人? えっと、レッドは――」

QB『テレパシーを通して状況を中継するよ』

さやか『……さて、キュゥべえに杏子の教会まで転送してもらったし、さっさと起こしますか。お邪魔しまーす。……あ、モモちゃん久しぶり! 杏子は――ぁ! 杏子のお父さんじゃないですか! え? 朝ごはんはまだですけど……え! ごちそうになっちゃっていいんですか? 杏子? ああ、ご飯食べてからでいいですよー』

マミ「……レッドは、ちょっと遅れそうなの。それで、ブラックは――」

まどか『お邪魔するね、ほむらちゃん。合鍵はこの間もらったし……えっと。ほむらちゃんは寝室だよね。こっちのベッドで……ぁ。ほむらちゃんの寝顔、かわいいなぁ……! 起こすの、もったいないよね、うん。ちょっとだけ、ちょっとの間だけだから……えへへっ、ほむらちゃんのほっぺたすべすべだぁ』

マミ「――……………………ブラックは、来ないかもしれないわね」

プテラギルディ「なに? それは一体どういうことだ?」

マミ「と、とりあえず! あなたの相手は私よ! マザー属性の闇が、どうしたというの!?」

516: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 01:21:20.71 ID:G4AbNfeF0
プテラギルディ「ふむ。そうか、なるほど。一対一を望むとは、また高潔な心掛けよ」

マミ「……」

マミ(申し訳なるぐらい都合のよい勘違いしてくれたわ……! 誤解を利用するようで悪いけど、このままいきましょう。……というか、あの二人はまだかしら)

さやか『いやぁ! 杏子のお母さんのご飯、めちゃウマですね! あたしここの家の子になっちゃおうかなっ! モモちゃんみたいなかわいい妹ができるし――』

杏子『ふわぁ……たっく、嫌な夢を――あ? なんでさやかがここにいんだ?』

さやか『え? なんでってそりゃ……そりゃ……ぁ。ああああああ!』

杏子『……? なんだよ、いきなり叫んで。ま、いいや。飯食いながら聞くか。母さん、ご飯ちょうだい』

さやか『いや、杏子! ご飯なんて食べてる場合じゃないよ!』

杏子『はあ? 人んちの飯食ってる分際がなに言ってんだ?』

マミ(よしっ。佐倉さんの方はもう少しで来てくれそうね!)

プテラギルディ「それにこの話は、貴様だけが聞くのがふさわしいな。母を求めるの子の心……マザー属性の闇、貴様もわかるだろう?」

マミ「え? え、ええ。えっと……」

517: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 01:32:33.71 ID:G4AbNfeF0

マミ(何の話をしてたんだっけ。えっと、確かマザーがどうたら……あ!)

マミ「――ええ。予想はついてるわ。マザー属性の、闇……。それは、報われない母性を求める心のことなの?」

プテラギルディ「そう。失って初めてわかる母の愛……失っているからこそ一方通行にしかならぬエレメーラ。決して報われぬ心から生まれるのが、マザー属性よ!」

マミ「失って、初めて……」

まどか『……ぷにぷにっと。うん。ほむらちゃんのほっぺたも堪能したし、さすがにそろそろ――』

ほむら『むにゃむにゃ……まどか……』

まどか『――ぁ。ほむらちゃん、わたしの名前を寝言で……?』

ほむら『まどか……うん。ずっと一緒に……』

まどか『えへへ、ちょっと嬉しいな。さすがにもう起こそうと思ったけど……もう、ちょっとだけ。うん、ちょっとだけ……ちょっとだけほむらちゃんのお布団に潜り込むだけだから……ちょっとだけ……うぇひひ。ほむらちゃん、あったかいなぁ』

マミ『ごめんなさい、キュゥべえ。気が散るから念話を切ってもらっていいかしら?』

QB『そうだね。戦闘になる君の邪魔になってはいけない』

マミ『ありがとう』

プテラギルディ「ご明察だな、ホーリーイエローよ。だからこそ、私たちは他に母性を求める。そんな我らに対して、貴様の求心力はあまりある!」

518: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 01:47:22.00 ID:G4AbNfeF0
マミ「私の、求心力……?」

プテラギルディ「そうだ。実際私は……お前から感じる母性にもはや抗いきれぬのだ、ホーリーイエローよ!」

マミ「え? わた――」

マミ(――! はやっ!? 間合いを一瞬で――反応でき――ッ!)

プテラギルディ「お母さん、ずいぶん軽くなったね……」ヒョイ

マミ「へ?」

プテラギルディ「苦労かけてごめんね。これからが楽させてあげるからね、お母さん」

マミ「きゃぁああああああああああ! 放してぇえええええ、私はあなたのお母さんじゃないわぁああああああ!」

プテラギルディ「お母さん、すごく肩凝ってるよね……ごめんね、無理させちゃって……」

マミ「肩は確かに凝ってるけどやめて! ……くうっ。ただのおんぶなのに、なんで脱出できないの!?」

QB『それはただのおんぶではないね。プテラギルディのたたまれている翼から力場が発生して、君を逃さないようにしている』

マミ『ただのおんぶに何てことをしているのこのエレメリアン!?』

519: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 02:32:25.24 ID:G4AbNfeF0

QB『でも、そのエレメリアンの親孝行に長い間囚われていると危険だよ。強制的な安らぎに陥れられ、戦意を喪失させられると同時に強烈な倦怠感に襲われる。早く脱出したほうが身のためだ』

マミ『さすがにただ親孝行するだけじゃないのね……!』

マミ(でも、抜け出せないっ。それにこのエレメリアンは、なんだか――必死さが違う。まるで捨てられた子犬のような……母性を求めてけなげに泣いている……?)

プテラギルディ「お母さん。それじゃあ今度は――」

なぎさ「待つのです!」

マミ「なぎさちゃん!?」

プテラギルディ「貴様は、イエローの母性に魅せられた同士……マザー属性を宿す幼子か」

マミ(っ。力場が解けた!)

プテラギルディ「む? 逃がしたか……だが、よい。もう貴様は戦闘できる状態ではないだろう」

マミ「……くっ」

マミ(キュゥべえに言われたように全身がだるいわ。でも、こんなところでギブアップするわけにはいかない……!)

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 02:42:40.90 ID:G4AbNfeF0
なぎさ「マミ……ううん。ホーリーイエローには、手を出さないでください!」

マミ「来ちゃダメよっ、なぎさちゃん! 部屋に戻っていなさい!」

なぎさ「で、でも、なぎさは見てるだけなんて嫌なのです!」

プテラギルディ「やはり、ホーリーイエローにかくまわれた一晩で彼女の母性の虜となったか!」

なぎさ「え? そりゃ、マミのことは大好きになりましたけど……」

プテラギルディ「ならば是非もない。ホーリーイエローの母性は私も堪能した。まずは貴様のエレメーラからいただこう!」

なぎさ「え……」

プテラギルディ「ホーリーイエローももう動けん。そこにツインテールの幼子が現れたのだ。我らがエレメーラを奪わない道理などどこにもない!」

なぎさ「……ぅ」

マミ「させないわ……!」

なぎさ「マミ!」

プテラギルディ「……ホーリーイエローよ。お前はもう戦える状態ではない。おとなしくエレメーラを差し出すのだ」

マミ「あなた、わたし達のことを何にも知らないの? エレメーラを差し出せって言われてはいそうですかって言うようなバカだってデータに記録されているの!?」

524: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:28:27.04 ID:G4AbNfeF0

プテラギルディ「……そうか。あくまで立ち向かうというのか」

マミ「そうよ。なぎさちゃん、あなたはそこにいて! このエレメリアンは私が倒すから!」

なぎさ「……わかったのです! 信じて待っているのです、マミ!」

マミ「ありがとう、なぎさちゃん。……さて、来なさい、プテラギルディ!」

プテラギルディ「……たとえ今の貴様が万全ではないとはいえ、さきほどのような戦士の様子を見せられて容赦するほど私は甘くないぞ、ホーローイエロー!」

マミ「あなたに甘えるほど私は子供じゃないわ。私を甘やかそうだなんて、マザー属性のあなたが母親を気取るの?」

プテラギルディ「ふっ、そうだったな。――ならば来い、ホーリーイエローよ!」

マミ「ええ!」

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:32:54.57 ID:G4AbNfeF0

プテラギルディ「ゆくぞ!」

マミ「!」

マミ(やっぱり速い……あの速度をリボンでとらえるなんて無理だし、かといって速度重視の銃撃だと――)ドンッ

プテラギルディ「ふんっ! 」キィン

マミ(あの鋭い爪で簡単に弾かれる……!)

プテラギルディ「こちらからも攻めさせてもらうぞ!」ヒュッ

マミ「うぐっ」

マミ(避けきれないっ。このままだとヒット&ウェイで削られていく……!)

プテラギルディ「どうした、ホーリーイエロー! その程度か!?」

マミ「はぁっ……はぁっ……くっ!」

なぎさ「だ、大丈夫なのですか、マミ!」

マミ「もちろ、ん、だいじょ、うぶよ、なぎさちゃん……!」

プテラギルディ「強がりは立派だな! しかし、実力がついてきておらん!」

マミ「ぐぅ! ……まだ、まだよ!」

プテラギルディ「……何故だ? 一人では勝ち目のないことは分かっているだろうに、何故そこまでして戦うのだ!」

マミ「つまらないこと、いまさら聞くのね」

プテラギルディ「つまらなくなどない! 他人のために戦う貴様に何が残るっ。その幼子のため戦う貴様には、その人生を背負う覚悟があるとでもいうのか!?」

マミ「自分のエレメーラを、何よりもなぎさちゃんのエレメーラを守るために、私は戦うのっ。人生を背負う覚悟だなんて、大げさなものじゃないわ。でもね、プテラギルディ。この子の心を守るためというのなら、私が命を懸けるのには十分な理由よ!」

なぎさ「マミ……!」

マミ「さあ、続けましょう。私はまだやれるわ!」

プテラギルディ「……ッ。せめてもの情けだ。ひと思いに貴様のエレメーラ、奪ってやろう」

マミ「――え?」

マミ(あれは、エレメーラを奪うリング――ぇ? はや――!)

なぎさ「危ないのです、マミ!」

マミ(あのリングの速度――もしかしてプテラギルディの能力に合わせて速く?――よけきれな――)

杏子「グランドランサぁああああああああああああ!」

バキィイイイイイン!

マミ「――ぁ」

プテラギルディ「むう! 貴様は――!」

杏子「ふんっ。勝手におっぱじめて勝手に負けそうになってんじゃねーぞ、イエロー」

マミ「佐倉、さん……」

なぎさ「助けに来てくれたのですね!」

杏子「当然だよ。仲間の危機に駆けつけない正義の味方なんていないさ。……好き勝手やってくれたみてじゃねぇか、てめえ」

プテラギルディ「……ふっ。まずは名乗れ、推参者め!」

杏子「――ポニーテイルは世界をつなぐの架け橋! ホーリーレッド、見参!」

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:45:14.18 ID:G4AbNfeF0

マミ「レッド……来てくれたのね」

杏子「当たり前だろ。どっかの食い意地張ったバカのせいで遅れちまったが、間に合ってよかった」

さやか『いや、杏子? 朝食よりも大切なものがあるって力説するあたしに向かって、あんたが『食い物を粗末にするんじゃねぇ。殺すぞ?』とか言ったからでしょう!?』

杏子『うっせー! 起こす前に人んちで飯食ってるさやかが悪いに決まってんだろーが!』

さやか『なんだとぉ!?』

マミ『ま、まあまあ。二人とも、落ち着いて』

マミ「それに何にしろ、佐倉さんが間に合ってくれて助かったわ」

杏子「どういたしまして。……ところでブラックはどうした? あっちのほうが遅れてるって考えづらいんだけど?」

マミ「え? あ、あっちは、そのぅ……」

QB『ほむら達の状況かい? 一応寝言を中継してみるよ』

まどか『むにゃむにゃ……原っぱで、ふたりきり……ほっぺた……すりすり……てぃひひ……』

ほむら『すう……すう……ふふっ。白いイス……隣にまどか……ほっぺたをくっつけて……えへへ』

マミ「――ブラックは来ないわ!」

杏子「――だな!」

さやか『――二人で頑張って、マミさん、杏子!』

527: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:56:55.78 ID:G4AbNfeF0

杏子「いくぞ、マミ! 相手は幹部級のエレメリアンだっ。ブラックは来ねえが……あたし達二人で仕留めるぞ!」

マミ「ええ! ブラックは来ないけど……私たち二人でもやれるっていうところを見せてあげるわ!」

プテラギルディ「ふむ。ブラックに何があったかは知らないが……二体一になったところで、負ける気など微塵もないぞ!」ピカア!

マミ「――ぇ。きゃぁ!」

杏子「ぐっ」

さやか『爪からビーム!? あいつ、あんなこともできたの!?』

QB『高速度の空中機動が可能で、接近戦には強靭な二爪。そして遠距離からも光線が打てるとなると……これは予想以上の強敵だね』

プテラギルディ「まだまだ! ――む? これは……!」

マミ「――やっとかかったわね、プテラギルディ」

プテラギルディ「これは、紐……いや、リボンか! ぐぬぅ、いつの間にか、翼に絡まって……!」

マミ「ええ。ぎりぎりまで細くしたリボンを、さっきから張り巡らせていたのよ。動きが速い子にはこういう使い方のほうが有効でしょう? ――佐倉さん!」

杏子「おう!」

さやか『おお! マミさんが張ったリボンを踏み台にして!』

杏子「マミが作ってくれたチャンスだ。絶対無駄にはしねぇ! あたしの燃えるポニーテイルの槍を受けてみろっ! ――バーニングブレイザぁあああああああ!」

プテラギルディ「ぬぅううううううううう!」

ガッキィイイイイイイイイン!

杏子「うぉおおおおおおおおおお!」

プテラギルディ「ぬうううううううううう――ぅううううん!」

杏子「!」

マミ「佐倉さん!」

さやか『杏子!?』

なぎさ「レッドの攻撃が、爪で弾かれちゃったのです……!」

528: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 00:19:17.04 ID:b0a+Iglj0

杏子「くそがっ……!」

プテラギルディ「見事な攻撃だったぞ、レッド! そしてイエローよ! 三人揃っていない貴様らを侮る気持ちがあったのかもしれんな。私もまだまだだ」

杏子「……ちっ」

マミ「佐倉さん、落ち込まないで。確かに攻撃は届いたわ。一度でダメなら、何度でもぶつけてやるのよ!」

プテラギルディ「ふっ。侮るなよ、ホーリーイエロー、レッド。私とて、何度も同じ策にかかるような間抜けではない。なによりここから先は――私も命を懸ける!」

さやか『なっ!?』

なぎさ「エレメリアンの身体が、さらにおっきく……!?」

マミ(絡ませていたリボンを、引きちぎられた……!)

プテラギルディ「これが我が最終闘体だ! そして受けよ、私の最強の技――ぐはぁ!?」

さやか『へ?』

杏子「え?」

マミ「あ」

なぎさ「あれは――」

まどか『みんな、ごめんね! でも、ちゃんと間にあってよかった……!』

ほむら「無事で何よりだわ、杏子、巴さん。――ホーリーブラック、参上よ」

529: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 00:29:38.23 ID:b0a+Iglj0

プテラギルディ「……やはり参ったか、ホーリーブラック!」

なぎさ「ホーリーブラックも助けに来てくれたのです!」

まどか『当たり前だよ! ほむらちゃんはヒーローなんだか――』

さやか『――ほむら! あんた、なんでここに!?』

マミ「ブラック! どうして来られたの!?」

杏子「おかしいだろ、おい!」

まどか『――え』

ほむら「……? 何を言ってるの、あなた達。まどかが起こしてくれたからに決まっているじゃない」

さやか『いや一緒に寝てたじゃん!』

マミ「そうよ! 絶対来ないと思ってたわ!」

杏子「ああ! どう考えてもここに来るのは無理だと思ったよ!」

ほむら「そ、それは悪かったけれども……」

まどか『ご、ごめんね。わたし、お布団の誘惑に負けて、つい一緒に寝ちゃって……』

さやか(布団の誘惑……?)

マミ(もっと違う誘惑だったんじゃ……?)

杏子(ついって状況かあれ……?)

ほむら『結果的に間に合ったのだから、まどかは何も悪くないわ。まあ、目が覚めた時にはすぐ横にまどかがいて、むしろここが夢かと思ったけれども……むしろ好都合よ。今の私は、かつてないほど属性力を解放しきっているわ』

QB『それは一体どういうことだい、ほむら』

ほむら『すぐに目の当たりにさせてあげるわ、インキュベーター。それより、今は目の前の敵よ』

プテラギルディ「……」

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 00:48:30.58 ID:b0a+Iglj0
プテラギルディ「……ホーリーブラックよ。さきほどの攻撃には何の気配もなかったが……あれが例の異なる理による攻撃か」

ほむら「……ふんっ。ドラグギルディにも見破られていたようだし、あなた達も対策をしないというわけではないのね」

プテラギルディ「我らは戦士ゆえ、その程度の備えは当然だ。なるほどその能力は強力無比。確かに私にも有効だろうが――それを振りかざして立ち向かうか?」

マミ「……?」

杏子「なんの話だ……?」

ほむら「気にしないで。それにね、プテラギルディ。これ以上、あなたにさっきの力を使うつもりはないわ。そんな必要ないもの」

プテラギルディ「なに? それはどういうことだ、ホーリーブラックよ!」

ほむら「どうもこうもないわ! 朝起きたら、なぜかすぐ横で寝ていたまどかに抱き枕代わりにぎゅっと抱きしめられ、さらにはほっぺた同士をすりすりさせていた……! あなたにその時の衝撃、理解できるかしら!?」

プテラギルディ「……む? なんだ、突然どうした?」

ほむら「どうしたもこうしたもないと言ってるでしょう! わかるかどうか! 聞いてるのは私よ! とっとと答えなさい!!」

プテラギルディ「い、いや、貴様が何を言ってるか、その……よく、わからん」

マミ(……エレメリアンが――)

杏子(――ちょっと引いてるな)

さやか(あの変 集団の一員すらドン引きさせるとは……ほむらのテンションがいつも以上にひどい……!)

ほむら「なんですって? いまの話の百分の一でも理解できればその天国がどれだけ素晴らしい桃源郷なのか感じ取れるというのに……この幸福を感じ取れないなんて嘆かわしいわね。けどいいわ。この幸せ、誰かにおすそわけしようなんて思えないもの。私とまどか。二人だけのものよ」

まどか『ほ、ほむらちゃん……み、みんな聞いてるから、ちょっと恥ずかしいよぉ……えへへ』テレテレ

さやか『…………………………嬉しそうだね、まどか』

ほむら「何にせよ、まどかによって今の私は多大なる幸福感とともにかつないほどのエレメーラの高まりを感じているわ! あなたは空の支配者を気取っているようだけど、いまの私のエレメーラは成層圏をも突き抜けるわ!」

ほむら『インキュベーター。属性力の解放を行うわ!』

QB『わかった。君の信じる属性力を叫ぶんだ!』

ほむら『ええ!』

ほむら「パフ・オン――&――ドール・オン!」

535: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 00:00:47.44 ID:kyB3KI+P0

さやか『え!? エレメーラを二つ同時に解放した!?』

QB『そうだね。いま、ほむらは頬(パフ)属性と人形(ドール)属性を同時に展開、融合させたんだ。その結果がどういうものになるのかは、僕にも予想が付かない』

マミ「な、なに……? 暁美さんを中心に、原っぱが広がって――」

杏子「風景だけじゃねえぞ。周りをデカい人形が囲ってやがる!」

プテラギルディ「これは、ケルベロスギルディの時に見せた結界とはまた別のものか! それに、私を取り囲むこの巨大な人形は――」

まどか『ほむらちゃんがいっぱいだ! 三つ編みだ! 眼鏡だ! すごいよ! かわいいね、さやかちゃん! 一体欲しいよね!』

さやか『え? いや、絶対いらないけど?』

杏子(結界とやらはまだいいとして、何だよこのでけぇほむらは)

マミ(人形って言ってたけれども、周りを囲まれてじっと見下ろされていると怖いわ……)

ほむら「ここは私の希望が凝縮されて生まれた場所。受けなさい、プテラギルディ。私の希望の塊を!」

まどか『ほむらちゃんパンチ!』

さやか(どう見てもただの振り下ろしだけど……まどかのネーミングセンスって、小学生の頃から成長してないなぁ)

536: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 00:45:43.40 ID:kyB3KI+P0

プテラギルディ「ぬぅ!」

なぎさ「あ。かわされたのです」

マミ「いくら大きくても、あのスピードじゃ難しいわね」

ほむら「うっ。それは確かにそうだけど……でも、予想以上に早いわね。改めて見ると、前回より翼がおおきくなっている……?」

杏子「さっき最終闘体になってたからな。その分スピードが増したんだろ」

ほむら「ああ、ドラグギルディも使ってた……そう。なら、この人形は障害物と足場代わりに動かすわ。それでいい、杏子?」

杏子「え゛? これ足場にすんのか? マジで?」

ほむら「文句言わないで。巴さん。時間は杏子と私が稼ぐわ。――あのエレメリアンはあなたが倒すんででしょう?」

マミ「!」

杏子(そこら辺は聞いてたのか……)

さやか(ほむら、まさか寝たふりをしてたんじゃ……いや、でも気が付いてたらって言ってたし……)

マミ「……わかったわ。任せて!」

ほむら「ええ、任せたわ。……さて。それじゃあ行きましょうか」

プテラギルディ「ホーリートライアングルの三人が揃ったか。これで気兼ねすることもないなっ。その力、見せてみろ!」

杏子「バカの一つ覚えで速さ勝負か! いいぜ、付き合ってやるよ!」

537: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 01:13:30.11 ID:kyB3KI+P0

杏子「――ブラック、合わせろ!」

ほむら「ええ! 足場とあいつの動きの阻害は任せて!」

プテラギルディ「ぐぅっ、バカな。スピードは私がまさっているというのに、なぜ……!」

杏子「くっだらねえな! たった一人きりのあんたに、あたし達が負けるかよ! あたし達はホーリートライアングルなんだ!」

ほむら「ええ! あなた達はツインテールを誰よりも求めていながら、その本質がまったく理解できていないわ!」

プテラギルディ「む!?」

ほむら「心と心を通わせる力。何百何千にも勝る二を結ぶ力。私たちのツインテールが一つになったからこそ、全ての速度を置き去りにして凌駕する。それこそが私と――まどかの絆の力よ!」

杏子「それだとあたし関係ねーじゃねえか!?」

さやか『そこまで言うならもうあんた一人で戦いなよ!』

まどか『ほむらちゃん……』テレテレ

538: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 01:50:02.02 ID:kyB3KI+P0
プテラギルディ「ツインテールの結ぶ絆――ならば、それすら届かない領域までゆくまでよ!」

さやか『うわっ、今度は真上に……』

まどか『すごい高いところまで行っちゃったね』

杏子「あれじゃさすがに届かねぇ。……てかこの結界、どんだけ高いんだ?」

ほむら「エレメーラ解放時の私の思いの丈ぐらいはあるはずだから、成層圏は超えているはずよ」

杏子「マジか。やべえな」

さやか『うん。やばいね。主にほむらが』

ほむら「帰ったら覚えてなさい、さやか。……それで巴さん。準備はいいかしら」

マミ「ええ。十分時間はもらったもの。後は任せて」

まどか『わぁ! すごい!』

さやか『せ、戦車……?』

なぎさ「すごいのです、マミ!」

マミ「ふふっ、ありがとう。それじゃあ、行くわよ!」

539: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 02:10:54.15 ID:kyB3KI+P0
プテラギルディ(戦車……あれは、リボンで作ったものか? となるとホーリーイエローが前に出て来たか。確かにレッドとブラックの届かぬ距離では彼女が頼りに……む。これは、いや、まさか――)

プテラギルディ「――バカな。何故だ、ホーリーイエロー!」

マミ「何がかしら」

プテラギルディ「貴様のエレメーラのことだ。貴様の、尊く美しいマザー属性が……なぜ消えている!?」

なぎさ「……」

杏子「なに?」

ほむら「巴さんのマザー属性が消えている……?」

さやか『そういうことってあるの?』

QB『なくはないよ。強固な心でも、それが永続するとは限らない』

まどか『それはそうだけど……』

マミ「……私のマザー属性、消えているのね」

プテラギルディ「そうだ! この私が見間違えるはずもないっ。貴様の母を思う心はどうした! 母から受けた恩を孝行で返したいという気持ちは、その程度のものだったのか!?」

マミ「……いいえ。お母さんとお父さんの思い出は、私にとって何よりもかけがえのない思い出よ」

なぎさ「…………」

プテラギルディ「では、なおさら何故だ! なぜマザーのエレメーラを手放した!」

マミ「私たちは、いつか母親から巣立たなければいけないの。お母さんから認められて独り立ちをするんじゃないの。自立を決めるのは――自分なのよ!」

プテラギルディ「!」

マミ「親から自立する。マザー属性が失われるとしても……それが一番の親孝行なのよ!」

540: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 02:31:30.37 ID:kyB3KI+P0

プテラギルディ「……それが貴様にとっての親孝行だというわけだな、ホーリーイエローよ」

マミ「そうよ。自立の心こそが、親を失った私たちにできる最大の親孝行。それこそが天国に行ってしまったお母さんたちを安心させるのよ。一朝一夕でできることじゃないわ。私たちはやっぱり子供だから、他の誰かにすがるように甘えてしまうかもしれない」

なぎさ「……」

マミ「でも、私の中のマザー属性が消えたというのなら、私はきっと乗り越えられたのね。
お父さん、お母さん……そして、ケルベロスギルディ。かけがえのない人たちからもらった心を――マザー属性を持つ戦士、プテラギルディ! しかと受け止めてみなさい」

プテラギルディ「ふ、ふふっ、ふははははは! 受け止めてみましょうぞ、母上ぇえええええええええええええ!」

まどか『ええ!?』

さやか『あのエレメリアン、さらに上へ!?』

QB『爪を合わせて、猛回転しながら上昇……おそらく、折り返して急降下してくるだろう。落下時のエネルギーは想像を絶するものだ。君達三人であれを止められるのかい?』

ほむら「三人で……? 愚問ね、インキュベーター」

杏子「ああ。空気の読めないこと抜かすんじゃねーよ」

QB『え?』

さやか『まあ、そうだよね』

まどか『ここは、マミさんを信じようよ!』

マミ「……」

541: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 02:35:59.29 ID:kyB3KI+P0

マミ「……なぎさちゃん。ずっと信じてくれてありがとう。あなたのおかげで、私はやっと独り立ちができたわ」

なぎさ「そんなことないのです。なぎさは結局、なんにもできなかったのです」

マミ「ううん。私はなぎさちゃんが思ってるよりずっと弱い子だから。きっと、あなたがいなかったらこの戦いの最中でダメになっていたと思うの。だから、ありがとう」

なぎさ「……マミ」

マミ「どうしたの?」

なぎさ「なぎさも、いつかはマミみたいになるのです。いまは無理でも、きっといつかはマミみたいにカッコよく誰かを守れるようになるのです!」

マミ「ふふっ。そのいつか、楽しみに待ってるわ」

なぎさ「はい!」

マミ「ふふふっ。――それじゃ、この戦いに幕を引きましょう、プテラギルディ!」

プテラギルディ「ぬうぉおおおおおおおおおおおお!」

マミ「――ティロ・フィナーレ!」

542: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/06(金) 02:50:44.99 ID:kyB3KI+P0

プテラギルディ「ぐはぁ! ……ふはは。私の負け、か」

マミ「……」

杏子「……」

ほむら「……」

プテラギルディ「素晴らしい戦いだった。特にホーリーイエローよ。母か子か。不安定なもろさに揺れていた貴様は、この戦いの中で成長し、母としてのゆるぎない強さを手に入れた」

マミ「プテラギルディ……」

プテラギルディ「お前のようなゆるぎないメンバーがいれば、ホーリートライアングルの絆はさらに盤石なものになろう」

ほむら「あなた、結構お節介なのね」

プテラギルディ「当然だ! 私は母(マザー)属性。母と認めた方に孝行するのが息子の本懐よ。……せめて、最期だけでもな」

杏子「何が孝行だよ……。親より先に逝く以上の親不孝があるもんか」

プテラギルディ「ふふ、それもそうか……――ぁ。ほ、ホーリーイエロー。それは……!」

マミ「……これは、あなたの本? 私が、さっき見つけたけれども――」

プテラギルディ「あ、ああ……私の  本が……やっと、ベッドの下から――」

チュドオオオオオオオオン!

杏子「……逝ったか。満足そうにしやがって」

さやか『そうだね。マミさんの持ってる本を見たとき、あいつ、すごく嬉しそうだった』

まどか『うん。子供みたいに無邪気な笑顔だった』

ほむら「……巴さん。その本は?」

マミ「分からないわ。気が付いたら、そこに置いてあったの。最期に願いをかなえてあげようと思って話を合わせたけれども……」

ほむら「そう……」

ほむら(気が付いたら、そこに……。あの  本の現れ方は、まるで私の時間停止を使ったような――)

さやか『でもそれ  本でしょ? どうすんの』

まどか『そ、そうだよね。   な本、持って帰るわけにもいかないし……』

杏子「燃やすか」

ほむら「異議なしよ」

マミ「それじゃ、お願い」

549: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 01:52:22.24 ID:RhtKZHIh0





――ほむホーム――


ほむら「――という感じかしらね。昨日の戦いの反省で、まだ何かあるかしら」

杏子「特にねーよ」

さやか「あたしとまどかは直接戦ったわけじゃないからなんにも。……でも、昨日のプテラギルディとの戦いで思ったけど、なんていうかエレメリアンもやっぱりいろいろだよね」

まどか「うん。見た目もそうだけど、やっぱり考え方も行動も、それぞれ違うんだね」

QB「彼らは生まれるもととなっているエレメーラによって生き方が異なっているようだよ。今回のエレメリアンは、希少であり、また報われることない属性に振り回されていたという珍しい個体でもあったね」

ほむら「あるいは、巴さんもそうだったのかもしれないわね。母親が――いえ、両親がいないという環境。そこを助けてくれたケルベロスギルディの喪失。巴さんも、報われない心に振り回される運命だったのかもしれないわ」

まどか「……うん。マミさん、すっごく辛かったと思う」

杏子「でも、マミは乗り越えた。だろ?」

ほむら「ふふっ、そうね。巴さんは、私が思っていたよりずっとずっと強い人だったわ」

さやか「さっすがだよね! ――ていうか、そのマミさんはどうしたの? いまの時間は仕事がないから集まれるって話だったけど……」

ほむら「ああ、さっき連絡があったわ。巴さんなら――」

550: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 01:53:36.71 ID:RhtKZHIh0

――マミルーム――


なぎさ「ケーキ、ケーキ、まぁるいケーキ♪」

マミ「……もう、そんな楽しみなの?」

なぎさ「あったりまえなのです! チーズケーキと聞いて、なぎさが嗅ぎつけないわけがないのです。首をにゅるりんと伸ばして待っているのです!」

マミ「もうちょっとでできるか、待っててね。……本当は、暁美さんたちへのお土産だったんだけどなぁ」

なぎさ「何を言ってるのかわからないのです。なぎさの行けないところにチーズケーキを持ってくなんて、もってのほかなのです!」

マミ「ふふふっ。わかったわ。――でもなぎさちゃん。あなた、強くなるんでしょう? 私の家に入り浸ってちゃ、独り立ちはできないわよ? よく遊びに来てくれるのは嬉しいけど、それがなぎさちゃんのためになるかって言えば……」

なぎさ「なぎさは別に、マミに甘えるためにここへ来てるわけではないので、いいのです」

マミ「え? じゃあ、どうしてここに来てるの?」

なぎさ「ふふっ、なぎさはですねぇ」ニコリ

マミ(……いい笑顔だわ。なぎさちゃんは、私なんかよりずっとしっかりしてるわね)ニコ

なぎさ「なぎさは、チーズを食べに来ただけなのです!」

551: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:04:23.84 ID:RhtKZHIh0

――アルティメギル秘密基地――


ティラノギルディ「ぐわっはっはっは! あのような小娘に敗れるなど、プテラギルディも不甲斐ない! 我が死の二菱。右牙の副将の名折れよな!」

トリケラトップギルディ「……」

ティラノギルディ「しかもホーリーブラックの百合属性の障害を探れというミッションをガン無視し我欲に走った結果があれとは――いっそ清々しいわ! ぐわっはっはっはっは!」

トリケラトップギルディ「……ティラノギルディ殿。貴殿は、プテラギルディ殿の  本のありかを知っていたか?」

ティラノギルディ「プテラギルディの……? いや。奴の  本に百合はなかったであろう。そのありかなど、俺の知ったことではないな!」

トリケラトップギルディ「そうか。プテラギルディ殿は、いつもベッドの下に己の  本を隠していた」

ティラノギルディ「……ふんっ。だから何だ。帝王たる俺に、部下の  本の場所など知る必要もない。トリケラトップギルディよ、俺は部屋に戻り、ブラックの百合属性の解明に努める!」

トリケラトップギルディ「…………ああ。わかった」

552: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 02:22:19.27 ID:RhtKZHIh0

トリケラトップギルディ「…………」

スパロウギルディ「……トリケラトップギルディ様。少し、お聞きしたいことが」

トリケラトップギルディ「……ティラノギルディ殿のことか」

スパロウギルディ「おわかりでございますか……」

トリケラトップギルディ「遠慮せず、不満は私に言うがよい。副官とはそういうものだ。大将は先ほどの彼のように偉そうに笑うのが仕事なのだ。そうでなければ、兵が付いてこぬ」

スパロウギルディ「そのティラノギルディ様の笑いに、兵はついてきておりますか? あの部下への悼みなど欠片もない笑いには、私の部隊はもとより……あなた方死の二菱との間ですら溝があるように思えまする」

トリケラトップギルディ「……――五大修練:ナニイー・テモス・ヴェイル」

スパロウギルディ「は?」

トリケラトップギルディ「ティラノギルディ殿は、その試練を乗り越えたお方なのだ」

スパロウギルディ「なっ……!? アルティメギル五大修練において、もっとも孤独にて過酷とされるあのナニイー・テモス・ヴェイルを!?」

トリケラトップギルディ「そうだ。何を言ってあえて滑り、周囲を白けさせる悪魔の修練。最強の力と引き換えに、同胞とのつながりを失う。――だが、ティラノギルディ殿の悲劇はそれだけではない」

スパロウギルディ「……」ゴクリ

トリケラトップギルディ「実はティラノギルディ殿は、もともと天性の資質でだいぶ滑っておられたのだ。今でも我らがつれぬのは、修業のせいだと思っておられるが……」

スパロウギルディ「なんという……」

トリケラトップギルディ「彼には必要なのだ。修練のせいで人徳がないという事実がな。誰よりも優しい心を持ちながら、力を渇望するあまり力以外のすべてを失った。それが死の二菱隊長・ティラノギルディ殿なのだ」

スパロウギルディ「まさに孤高の帝王、というわけですな」

トリケラトップギルディ「そうだ。……これ以上敗戦が続いては、ティラノギルディ殿が言外に望んでいる、この部隊と仲良くするという望みが達成できぬであろう。大将の笑顔のためにも、ここはひとつ――私が出撃するとしよう」

スパロウギルディ「なんと! トリケラトップギルディ様が!?」

トリケラトップギルディ「ホーリートライアングルの実力とツインテールを見るだけだ。深追いするつもり、ブラックの百合を邪魔する概念とやらにも興味はない。プテラギルディ殿とは違い、私の求める気高き幼馴染属性もあの三人には見受けられぬしな」

スパロウギルディ「それなら……いえ、トリケラトップギルディ様よ」

トリケラトップギルディ「なんだ?」

スパロウギルディ「あなたは何故……そこまでティラノギルディ殿に尽くすのです?」

トリケラトップギルディ「ふっ、単純なことよ」

スパロウギルディ「……」

トリケラトップギルディ「同期の桜(おさななじみ)なのだ。彼と私は、な」

562: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 23:46:59.78 ID:FpWj/Q6b0

――教室――


キーンコーンカーンコーン


まどか「今日も授業終わったね!」

ほむら「そうね。仁美は今日も習い事かしら?」

仁美「ええ。受験も近いのにいつまで続けさせられるのやら……」

まどか「そっかぁ、大変だね」

ほむら「でも、習い事までに少しぐらい時間はあるでしょう?」

仁美「ええ。もちろんですわ」

まどか「なら放課後はどうしよっか。ね、さやかちゃん」

さやか「……」

ほむら「……さやか?」

さやか「――へっ!? ご、ごめん。どうしたの?」

仁美「ただ放課後の予定を放していただけですけど……お考えごとですか?」

さやか「え? いや、別にそういうわけじゃないよ、うんっ」

仁美「そう、ですか?」

さやか「うんうんっ。さって、放課後の予定だっけ? とりあえずファーストフード行こうよ!」

まどか「う、うん……」

ほむら「……?」

563: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 00:09:12.49 ID:+B0i2Pwo0

――ほむホーム――


ほむら「さやかの様子が少しおかしいのよ」

杏子「なんだ、いきなり? ほむらからさやかの話題が出るのも珍しいな」

マミ「というか、暁美さんと鹿目さんが一緒にいないのも珍しいわね」

ほむら「今日はまどかはさやかのお見舞いに付き添って行ってしまったわ。さやかが心配だからついて行きたいって、私は先に帰っててって……」シュン

杏子「ああ。だからさやかのこと解決しようとしてんのか。納得だ」

ほむら「そういうわけで、早急に解決したいの。なんでもいいから心当たりがないかしら」

マミ「うーん……そういえば、この間美樹さんにCDを貸したわね」

ほむら「CD?」

マミ「ええ。実はもう何回か、美樹さんに頼まれているの。お見舞いに持っていきたいとかで、私の持っているのCDをあげているのよ。私も余ってるくらいだから、それくらい構わないの」

ほむら(CDにお見舞い……そういえば、いつもならワルプルギスの夜まで一週間を切っているわ。この時期はいつもならさやかが暴走しやすい時期だったような――)

杏子「CDねぇ。まあ、マミならいろいろ持ってるだろうけど、なに貸したんだ?」

マミ「とりあえず珍しいのが欲しいって言うから、家にあった――」

ほむら(――もしかして、今回も上条恭介関係で何かの問題が……?)

564: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 00:22:06.89 ID:+B0i2Pwo0
――病院――


さやか「はい、これ」

恭介「うわ、すごい……これ、ネットでも手に入らないプレミヤものだよ!」

さやか「そ、そうなんだ……。えっと、知り合いの先輩が持っててね」

恭介「そっか。いつもの人?」

さやか「う、うん……」

恭介「その人にもちゃんとお礼を言わないとね」

さやか「あ、あはは……そうだね」

恭介「この人の歌は本当にすごいんだ。聞いてると、心の底から元気が湧くんだよ。さやかも聴いてみる」

さやか「い、いいのかな……」

恭介「本当はスピーカーで聞かせたいんだけど、病院だしね。ほら、さやかも聴きなよ。さやかが持ってきてくれた――巴マミさんの歌を!」

さやか「……………………あ、うん」

565: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 00:52:02.08 ID:+B0i2Pwo0

さやか(……何を間違えちゃったんだろう、あたし)

恭介「……」

さやか(確かあれはほむらが転校してきた日だったっけな……。いろいろあって、恭介へのお見舞いのCDを買い損ねて、間違えて家にあったマミさんのCDを持っていっちゃんだよなぁ。そして……恭介がドはまりした)

恭介「……やっぱりこの人の歌はすごい」

さやか「恭介。その……指ことは、いいの? もうバイオリンは無理だって――」

恭介「大丈夫だよ、さやか。指が動かなくたって僕は何ともないさ。日常の生活には支障ないぐらいは回復するんだ。バイオリンは弾けなくてもコンサートライトは振れる。これからリハビリをして、自分の足でライブ会場に行くんだ」

さやか「……あ、うん。そっか」

さやか(いや別にいいんだよ? 恭介が元気になってくれてるし? それがマミさん由来っていうのは複雑っちゃ複雑だけど……いや、まあ、なんだ、その。それでも思っちゃうんんだよね)

恭介「昔の僕は、どうしてクラッシックの音楽しか聞いてこなかったんだろう。クラッシックなんて、しょせんは外に向けずに内輪で高めるだけの音楽だ。でも、この人の、マミさん歌は違う。この多くの人を喜ばせる歌は本当にすごいよ」

さやか「ダヨネー」

さやか(……あたし、なに間違ったんだろう?)

578: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 22:26:37.18 ID:RPBQbjW90

さやか「……ごめん、まどか。待たせたね」

まどか「ううん。上条君、どうだったの?」

さやか「恭介は……もう、だめかもしれない」

まどか「え!? も、もしかして指のことですっごく落ち込んじゃってるとか!?」

さやか「ううん。そういうことじゃないの。そういうことじゃないんだけど……」

まどか「ど、どいうことなの?」

さやか「どうもこうもないよ。あたしにはもう、どうしようもないことだもん」

まどか「諦めちゃうなんてさやかちゃんらしくないよ!」

さやか「うん。別にもう、どうでも良くなっちゃったの。結局あたし、一体なにが大切でなにを守ろうとしてたのか……もう何もかも、わけわかんなくなっちゃった……」

まどか「さやかちゃん……?」

さやか「希望と絶望のバランスは差引ゼロだっていうこと、今なら良くわかるよ。確かに恭介は救われたのかもしれないけど、その分大切な何かを失っちゃったんだ。あたし、なんであの時マミさんのCDを持っていっちゃったんだろう」

まどか「……」

さやか「あたしって、ほんとバカ……」

まどか(……なにを言ってるんだろう、さやかちゃん)

580: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 22:47:43.64 ID:RPBQbjW90

――ほむホーム――


まどか「――ていう感じで、さやかちゃんの様子が変なの……」

杏子「それもう聞いたよ。一時間くらい前に、ほむらから」

ほむら「というか、思っていた以上に重症のようね」

まどか「うん。上条君のことが原因だと思うんだけど……」

ほむら「そうね。上条恭介のこととなると……何とか諦めてもらうか、玉砕した後どうやって慰めるか。その話し合いをしようということね。わかったわ、まどか」

まどか「え?」

ほむら「?」

まどか「え、えっと、ほむらちゃん。うまくいかないこと前提なの?」

ほむら「……? ええ、もちろん。それがどうしたの?」

まどか「諦めるとかじゃなくて、できればもっと前向きな話のほうがいいかなって!」

ほむら「前、向きに……? さやかの恋愛を前向きに進めるなんて、それは不可能じゃないかしら」

581: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 22:56:52.68 ID:RPBQbjW90
まどか「えっと……」

まどか(な、なんでほむらちゃん、こんなにさやかちゃんの恋路に絶望的な予測してるんだろう)

杏子「上手くいくいかないかなんてあたしにはよくわかんねーけどさ、肝心の張本人のさやかはどーしたよ」

まどか「さやかちゃんは、なんだか用事があるから今日はほむらちゃんの家には来れないって」

ほむら「用事……」

ほむら(この時期の用事と言えば、まさか仁美……? ちょうど習い事も終わっている時間だし、可能性は高そうね。となると――)

ほむら「……まどか」

まどか「どうしたの、ほむらちゃん。あ! もしかして何かいい案が――」

ほむら「明日、さやかを精一杯励ましてあげましょう? 大丈夫。巴さんはもう仕事に行ってしまったけれども、彼女にも話を通しておくわ。全員で協力してこの部屋で残念会をして盛り上がれば、失恋のことを引きずらないで済むわよ」

まどか「ほむらちゃんどうしてそこまでしてさやかちゃんの失恋を確信してるの!?」

582: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:28:11.82 ID:RPBQbjW90

――ファーストフード店-―


さやか「それで、話ってなに?」

仁美「恋の、相談ですわ。わたくし、ずっと前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきたことがあるんですの」

さやか「え? う、うん……」

仁美「ずっと前からわたくし、上条恭介君のことをお慕いしてましたの」

さやか「そ、そうなんだ……あ、はは。まさか仁美がねぇ。なーんだ、恭介の奴も隅に置けないなぁ」

仁美「さやかさんは、上条君とは幼馴染でしたわね」

さやか「んん、まあ、その、腐れ縁というかなんというか……」

仁美「本当に、それだけ?」

さやか「……」

仁美「わたくし、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって。あなたはどうですか? さやかさん。あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

さやか「な、なんの話をしてるのさ」

仁美「あなたは、私の大切なお友達ですわ・だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですわ。上条君のことを見つめていた時間は、あなたのほうが上ですわ。だからあなたには私の先を越す権利があるべきです」

さやか「仁美……」

仁美「明日、上条君が退院されるという話は聞いています。わたくし、明後日の放課後に彼に告白します。丸一日だけお待ちしますわ」

さやか「あ、あたしは……」

583: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/11(水) 00:13:10.75 ID:vxvu5j9R0






さやか「……」トボトボ

まどか「さやかちゃん……」

さやか「まどか? あんた、ほむらの家にいったんじゃ……」

まどか「さやかちゃんが心配で……ほむらちゃんは何だかもう諦めちゃってるみたいだけど、わたし、さやかちゃんと一緒にいなきゃって思ったの」

さやか「あんた、なんで……なんでそんなに優しいのかなぁ……あたしには、そんな価値なんてないのに……」

まどか「そんなの――」

さやか「あたしね、仁美に言わなきゃいけないことがあったのに、黙っちゃったんだ……」

まどか「……」

さやか「あの時、仁美にちゃんと言わなきゃいけなかったんだ……。恭介は、いまアイドルのマミさんにドはまりしてますって。たぶん、いま恋愛どころじゃないって。告白しても、たぶんマミさんにお熱だから無駄だって、言わなくちゃいけなかったのに……」

まどか「え」

さやか「このままじゃ、マミさんに恭介を取られちゃうよ……でもあたし、何もできない……」

まどか「え、えっと……そうなの?」

さやか「だってマミさん、アイドルなんだもん。すごい人だもん……憧れるななんて言えない……あたしを見てなんて、言えないよぉ……」

まどか「あ、うん、えーと……」

まどか(か、上条君がマミさんのファンで、仁美ちゃんが上条君のことも好きで、それはさやかちゃんもだけど、マミさんはたぶん上条君のことなんて知らなくて……えーっとえーっと――)

さやか「う、うぁぁあああんっ」ボロボロ

まどか(――ど、どうすればいいんだろう、この状況!?)

602: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 00:28:49.82 ID:6VCV6nty0

――風見野・教会――


まどか「――ていうことで、さやかちゃんが落ち込んじゃってるの」

さやか「……」ショボーン

杏子(まどかとさやかが突然教会に来たと思ったら、予想以上にどうでもいいこと相談された……)

まどか「ねえ、杏子ちゃん。どうにかできないかな?」

杏子「いや。さやかの話題出されたのは今日で三回目だけど、一体あたしにどうしろと――」

さやか「……」ズモモモ

まどか「さ、さやかちゃん!? 杏子ちゃん! さやかちゃんがなんだか真っ黒に……! 負のオーラをばら撒いてるよ!? どうしよう!?」

杏子(うわ、思った以上に面倒だな、こりゃ……)ハア

杏子「……なあ、さやか」

さやか「……なによ」

杏子「なんだかやたら落ち込んでるみたいだけどさ、マミに対してどうこうってのは完全に思い込みじゃねーのか?」

603: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 00:35:38.12 ID:6VCV6nty0

さやか「……どういうこと?」

杏子「どうもこうもそのままの意味だよ。上条ってやつがのめり込んでた対象がバイオリンからアイドルのマミになっただけだよ」

まどか「そうだよ、さやかちゃん! 上条君は、あくまでアイドルのマミさんの歌がすごいって、元気になるいい歌だって言ってるんだよね? それはその通りだってわたしも思うけど……やっぱり、それはマミさんのファンだっていう思いだけだよ!」

さやか「そう、かな……。でも、マミさんはすごい人だし、きれいで大人っぽいし……だから惹かれるのもわかるし……」

杏子「アイドルってのは偶像だろ? 上条ってやつはマミ個人を見たわけじゃねーんだ。なのにマミとそいつがどうこうってのは、マミに対しても失礼なんじゃねーのか?」

さやか「うっ……」

まどか「うん。わたしも、それはちょっと考えすぎだと思う」

杏子「だな。たとえばさ、お前いままでのそいつのバイオリンに嫉妬したことあるか? ないだろう? それと一緒だよ」

さやか「……バイオリンに嫉妬……あるし」

杏子「え? マジで? お前バカか?」

まどか「きょ、杏子ちゃんっ。しーっ」

杏子「あ。や、やべ、ついつい……」

604: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 00:53:22.40 ID:6VCV6nty0

さやか「うっさい! 恋する乙女なら、物にだってヤキモチ焼くのっ。恭介とずっと一緒にいるバイオリンがうらやましいとかっ、どうせ恭介はあたしなんかよりバイオリンのほうが大切なんだーっとかさ!」

杏子「ふーん」

さやか「バカだって思ってるっ? えーえーどうせあたしはバカですよ愚か者ですよフーリッシュですよ! ていうか、なに? なんなの? まともに励ましてくれるの、まどかだけじゃん! マミさんに相談するわけにもいかないし、仁美はライバルだし、杏子はバカにしてくるし、ほむらに至っては諦めてるってどういうこと!?」

まどか「さ、さやかちゃん……」

さやか「はぁっ、はぁっ……」

杏子「……で? 大声出して、少しは気が晴れたかい?」

さやか「あ……う、うん」

杏子「そっか。まあ、根本的な解決なんてあたしからは出せないけど、ちょっとは元気出たみたいで何よりだ。なにせ、あんだけ大声だせるようになったんだからな」ニヤリ

さやか「……うん。ちょっと外の空気吸ってくるよ。ついでに頭も冷やしてくる――ありがとね、杏子」

杏子「いいって。行ってきなよ」

さやか「うん」テクテク

まどか「……杏子ちゃん」

杏子「ん? どうした、まどか」

まどか「さっきのは、さやかちゃんの気を紛らわせるためだったんだね。すごいなぁ。わたし、そういうところまで気が付けなくて――」

杏子「いや。さっきのは、ただの本心がうっかりこぼれただけだよ」

まどか「――杏子ちゃん!?」

605: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 01:00:35.63 ID:6VCV6nty0

さやか「……ふう」

さやか(吐き出すもの吐き出したからかなぁ。……だいぶ、気分が良くなった気がする)

さやか「悔しいけど、杏子には感謝だなぁ」

さやか(実際、冷静になってみれば、マミさんが恭介をどうこうっていうのはあり得ないんだよね。そうだよ。まず問題になるのは、仁美が明後日恭介に告白するっていうことだから……)

さやか「……問題なにも解決してないじゃん。そ、そうだよっ。マミさんが問題じゃなくて、仁美が告白するっていうのが問題なんだよ。う、うわぁ……ど、どうしよう……!」

さやか(とりあえず、バカにされるのも覚悟で杏子に相談――……!)

トリケラトップギルディ「―――――素晴らしいエレメーラだ……!」ズドン

606: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 01:09:58.07 ID:6VCV6nty0

さやか「え、エレメリアン!?」

さやか(な、なんでよりによって杏子の教会の近くに!? ……っ。まさか、まどかのツインテール属性のことがこいつらに漏れたんじゃ――)

トリケラトップギルディ「現場に赴くなど久方ぶりだが……プテラギルディ殿の気持ちが今になってわかるな。運命を信じる気になったぞ。そなた、幼馴染だな!」

さやか「!」

さやか(こいつ、狙いはあたし――!?)

杏子「そいつから離れろぉおおおおおおお!」

トリケラトップギルディ「むっ!?」

杏子「――ちっ、外したか。さやか、無事か!?」

さやか「う、うん」

杏子「よしっ。下がってろ」

トリケラトップギルディ「……お前がホーリーレッドか。部下たちが世話になったな」

杏子「このプレッシャー……お前、幹部級のエレメリアンか」

トリケラトップギルディ「いかにも! 我が名は死の二菱・左牙の副将・トリケラトップギルディ!」

607: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/14(土) 01:24:15.46 ID:6VCV6nty0

杏子「左牙の副将……プテラギルディと同格かよ」

トリケラトップギルディ「どうした? 臆したか、ホーリーレッドよ」

杏子「はっ。バカ言うな。後ろに守るやつがいるんだ。てめぇがどれだけ強かろうが……あたしが負けるわけにいかねえんだよ!」

さやか「杏子……」

トリケラトップギルディ「私とて負けるわけにはいかぬな。偶然発見した、とてつもない逸材だ。たぐいまれなる、気高き幼馴染(チャイルドフッド)を持つ少女と出会ったのだ。私が求める希少なる属性にな!」

さやか「幼馴染が希少……?」

トリケラトップギルディ「そうだ、少女よ。幼馴染属性を芽生えさせるものは、世界にあまたいる幼馴染の中でもごくごく希少。なぜならば、幼馴染とは敗北者だからだ。エレメーラが芽吹くには、確固たる克己心が必要!」

さやか「敗北者……!?」

杏子「さやかっ、前に出てくるな! 逃げろ!」

さやか「幼馴染が敗北者って、どういうことよ!」

トリケラトップギルディ「よかろう、少女よ。そなたには聞く権利がある」

さやか「……」

杏子(ちっ。さやかのやつ、頭に血が上ってやがる。さやかの奴が逃げないと、まどかまで心配してこっちに来るかもしれないってのに……!)

トリケラトップギルディ「幼馴染とは……諦め、敗北したからこそ続く関係! 幼馴染という関係を受け入れることは、それすなわち前進を放棄し足を止めた降参の証!」

さやか「な……!!」

トリケラトップギルディ「だが、だからこそ健気で美しい! そんな幼馴染としての関係を享受し、日々を生きる少女にこそ幼馴染属性は宿る! 私はそれを愛するのだ!!」

615: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 21:11:00.62 ID:pYmkNyDB0

さやか「そ、そんな――あたしは……あたしは……!」

トリケラトップギルディ「エレメリアンの私が人間の心持ちを密に理解できるはずもない。しかし、これは幼馴染属性を持つ私だからこそ到達できる真理!」

杏子「黙って聞いていれば……さやかを悪く言うんじゃねぇ!」

トリケラトップギルディ「ホーリーレッド……純粋な少女よ。負けをマイナスととらえるからいかん。敵わぬと分かっていても尽くす。おのいじましい姿こそ、幼馴染の真骨頂ではないか!」

さやか「う、うぅ……敵わないなんて……仁美に勝てないなんて、そんな、ことは……!」

杏子「さっきから好き勝手に言いやがって。黙れよ、トリケラトップギルディ!」

さやか「きょ、杏子……!」

杏子「敵わないのに尽くすだなんて……そんなんただのアホな女じゃねーか! それが真骨頂だなんて、ふざんけんなよ!?」

さやか「ちょっとぉ!?」

杏子「なんにしても、さやかの悪口はそれ以上言わせねえぞ、トリケラトップギルディ。あたしはさやかと違って負けたりはしねーぞ!」

さやか「あんたが黙ってよ! ねえっ、マジで! なんかあたしに恨みでもあるの!?」

杏子「うぉりゃあああああ!」ザシュン

さやか「無視すんなぁあああああ!」

616: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 21:21:10.90 ID:pYmkNyDB0

トリケラトップギルディ「うぬぬ……」

杏子「なんだ……?」

杏子(こいつ、プテラギルディと同格って割にはかなり弱い……? いや、油断は禁物だ。まだ何か隠し持ってる可能性も――……!?)

まどか「杏子ちゃーん!」

杏子「まどか!? お前、なんで来た!?」

まどか「だ、だって、さやかちゃんが戻ってこなくて、それで心配で……!」

杏子「さやかがさっさと戻らなかったせいかよ……!」

さやか「あたし? あたしが悪いの!?」

トリケラトップギルディ「……なに? その少女のツインテールは――」

杏子(ちっ。やばい。さすがに目視されちゃ、認識遮断なんちゃらも効かねぞ!?)

さやか「やばっ。まどか! そこらの物陰に隠れて!」

まどか「う、うん! ――ぁ」ハラリ

杏子(まどかのツインテールがほどけた! ってことは――)

ほむら「まどかから離れなさいこの変 !」

トリケラトップギルディ「ぐはぁ!?」

617: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 21:31:53.76 ID:pYmkNyDB0

まどか「ほむ――ホーリーブラック!」

杏子「ブラック! イエローも、来たか!」

ほむら「ええ! まどかに不届きな視線を向けようとした粛清対象はあいつね。待ってて。すぐ消し去るわ! 巴さん!」

マミ「変身してる時はイエローって呼んで!? ――ティロ・ブラスター!」

トリケラトップギルディ「――」

マミ「なっ!」

杏子「トリケラトップギルディが消えた!?」

ほむら「――っ! 上よ、巴さん!」

マミ「くっ……!」ドンドン!

トリケラトップギルディ「――。……ふむ。なかなか早い迎撃だな」

さやか「あいつ、また消えた……!」

まどか「あれって……テレポート、とか?」

杏子「ちっ。面倒な能力だな」

マミ「それに、当てたはずの攻撃の傷がもう治っているわ。回復力も相当みたいね。気を引き締めていきましょう」

ほむら「……」

619: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 21:43:00.35 ID:pYmkNyDB0
ほむら(瞬間移動に瞬間回復機能……? いえ、あの移動能力は、もしかして――)

杏子「とりあえず、連携して出現直後の隙を狙いながら戦うぞ!」

マミ「分かったわ!」

ほむら「……ええ」

ほむら(……トリケラトップギルディの能力に確信があるわけじゃないし、もし予想通りだとしても杏子の指示は的確だわ。どっちにしても、この場で叩き潰してしまえばいい……!)

トリケラトップギルディ「……なるほど、大した強さだ。しかし、ホーリーブラックよ。貴様の百合属性の謎、少しばかり見えて来たぞ」

ほむら「なんですって?」

まどか「ほむらちゃんの、百合属性の謎……!?」ガタッ

さやか「落ち着いてまどか! 戦闘中だから顔出さないで!」

杏子(ちっ。こいつ、能力以外は大したことねーけど――)

マミ(――出現地点が絞れない。なかなかとらえきれないわね……!)

トリケラトップギルディ「ああ。深く考えればもっと早くに分かっていてもよかったのかもしれぬな。ドラグギルディ殿が戦いのさなかで言っていたこと――貴様のツインテールが、誰かより受け取ったものである、ということをもっとよく考察すれば、な」

ほむら「!」

620: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 22:00:19.13 ID:pYmkNyDB0

トリケラトップギルディ「そして、最後の鍵となるキーワードは『まどか』。いままではブラックのツインテールそのものの名前と疑っていなかったが……」

さやか「いやツインテールに名前付けるわけないじゃん。ツインテールに名前つけるとかどんな変 だよそいつ」

マミ「美樹さん!」

さやか「え? あ、やば……つい反射的に……!」

トリケラトップギルディ「……なるほど。やはり、先ほど姿を見せた少女のことだったのだな」

まどか「……ぁ」

杏子(くそっ。やっぱりさっき、まどかのツインテールと、それがほどける瞬間を見られてたか!)

トリケラトップギルディ「何か間違ったところがあったか、ホーリーブラックよ」

ほむら「……それを知られたなら、絶対に逃がさないわよ。いまここで死になさい、トリケラトップギルディ」

トリケラトップギルディ「そうか。しかし残念ながら、任務は達成した。ここはいったん引かせてもらうぞ。先ほどの幼馴染の少女のエレメーラはまた後日、必ず手に入れて見せよう!」ズズズズ

まどか「く、空間に穴が……?」

さやか「長距離をテレポートするつもり!?」

杏子「ちっ。まずいぞ!」

マミ「このままじゃ鹿目さんのことがアルティメギル側に――」

ほむら「……」カチリ

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 22:17:08.90 ID:pYmkNyDB0
マミ「――え!?」

トリケラトップギルディ「ぬ!」

ほむら「死になさい」ボゴン!

トリケラトップギルディ「うぐぁあああっ! しまった……!」

杏子「おお! あのよく分かんねー移動か!」

マミ「ほぼ瞬間移動みたいなものなのね。トリケラトップギルディは苦しんでるけれど、角が弱点なのかしら……?」

ほむら(ちっ。素手で攻撃したせいで、まだ浅いわ。もう一度――)

トリケラトップギルディ「うぐぐ……いかん、コントロールが……!」

ほむら「!」

まどか「きゃぁ!」

さやか「うわあ!」

ほむら「まどか!?」

杏子「ぐぐっ……なんだ、あのゲートから、すげえ引力が……!」

マミ「まさか、さっきの攻撃でゲートの制御が不安定になって……!? このままじゃ、生身の二人が吸い込まれちゃうわ!」

杏子「つっても……この引力じゃ、あたし達もっ、ロクに動けねぇ……!」

さやか「うぐぐっ、もう、無理……!」

まどか「さやかちゃん、頑張っ――ぁ」

トリケラトップギルディ「くっ……少女達よ。心を強く持つのだ!」パアアアアア

ほむら「ま、まどか!? まどかぁ!」

まどか「ほ、ほむらちゃ――」

ほむら「ま、まどかぁあああああああああ!」

さやか「あたしもいるんだけどぉおおおおおおおおオオオオぉぉぉォォ――……」

マミ「そ、そんな……」

杏子「まどか、さやか……くそっ。トリケラトップギルディのやつも消えてやがるっ」

ほむら「……まどか」ギリッ






622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 22:28:31.10 ID:pYmkNyDB0
――ほむホーム――


QB「やあ。おかえ――」

ほむら「インキュベーター! まどかはどうなってしまったの!?」

QB「――きゅぷっ!?」

ほむら「あのゲートはどこに通じているの!? まさかアルティメギルの基地に行ってしまったのではないでしょうね! だとしたらすぐに乗り込んでやるわよ!」

杏子「お、おい、ほむら。ちょっと落ち着けよ」

マミ「そうよ、暁美さん。二人を心配する気持ちは分かるけど、まずはキュゥべえの分析を聞きましょう?」

ほむら「……っ! ……ええ、そうね。ごめんなさい、取り乱したわ」

マミ「良かったわ。焦ってもいいことなんてないもの」

杏子「そうだな。……で、キュゥべえ。実際どうなんだ?」

QB「映像で見ていたところ、あのゲートは発動者がコントロールを失ったことで、まったく別のゲートに変異してしまったようだね。世界移動の際に発生するものと酷似した波形が感じられた。おそらく、別の世界に転移させられたものと見て間違いない」

ほむら「なっ!?」

マミ「別の、世界……?」

QB「ああ、そうだよ。生身の人間じゃ世界を超える『通路』の中では到底生きられないから生存は絶望的だ」

623: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 22:45:43.38 ID:pYmkNyDB0
ほむら「ふざけないで……! まだ、私とまどかはツインテールを通してつながっているわ! まどかは、確かに生きているっ」

マミ(……なるほど。だから暁美さん、帰って来てからもテイルギアの変身を解いてないのね)

杏子「ほむらがまどかのツインテール属性を持って変身できてるってことは、確かにまどかは生きてるはずだ。だとしたら、たぶん一緒にいたさやかも無事なはずだよな?」

QB「そうだね。転移する瞬間まどかとさやかの周囲に強力な力場が発生していた。トリケラトップギルディがとっさに人間を守ろうとした結果だろうね。かなりのエネルギーを使う方法だから、僕なら魂そのものを固形化して移動の際に耐えきれるようにするけどね」

ほむら「くだらない講釈はもういいわ。まどかと、ついでにさやかを助けに行くためにはどうすればいいの?」

QB「僕の力ではどうしようもできない。まどか達が数多ある平行世界のどこに飛ばされたのかの特定も不可能だし、たとえ特定したとしてもその世界へ渡航する手段の用意もできない。せいぜい変異したゲートの様子から、近似の成功世界のどこかへ飛ばされたのだろうと推測するのが精いっぱいだよ」

マミ「そんな……!」

QB「唯一、か細くともあの二人を手繰り寄せる手段となりうるのは、ほむらのツインテールだろうね」

ほむら「……」

杏子「どういうことだ?」

QB「変身したほむらのツインテールはまどかとつながっている。そのつながりは、世界を隔てても途切れないみたいだ。だから、もう一度トリケラトップギルディにあのゲートを開かせれば、あるいはそのツインテールのつながりでまどかを引き寄せることもできるかもしれない」

ほむら「……わかったわ」

624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 22:55:39.05 ID:pYmkNyDB0

杏子「なるほどな――って、ん? それだと、さやかは?」

マミ「あら、そうよね。その論法だと鹿目さんだけで、美樹さんが戻ってこれないわよね」

QB「まどかが戻ってくるときに一緒に戻ってくるだろう。まどかが帰還するとき傍にいなかったらその限りではないだろうけどね」

ほむら「そう。些細なことね」

杏子「おい。マジでおい」

ほむら「じょ、冗談よ。大丈夫でしょう。遭難しようなものなんだから、離れるとも考えずらいわ」

マミ「そ、そうよね」

QB「とりあえず、ほむらは当面変身を解除しないほうがいいだろう。そのツインテールがほどけてしまったら、本当に二人への手がかりが失くなってしまう」

ほむら「言われなくても分かってるわ」

マミ「じゃあ、しばらくは学校もお休みね」

杏子「あっ、そうだよ。あの二人のこと、どうすんだよ。このままじゃ、行方不明とかで大騒ぎになっちまうぞ!」

ほむら「それも私に任せて」

杏子「どうにかなんのか?」

ほむら「ええ。任せて」

ほむら(魔法を使えば、どうにかなる問題だわ)

マミ「それなら、後は暁美さん自身の問題ね。継続して変身を続けて何か問題があったりはしないの?」

QB「体調に直結するような害は存在しないよ」

ほむら「ならいいわ。トリケラトップギルディが来るまで、多少の不便ぐらい我慢するわ」

杏子「よし。それなら大体の方向は決まったな」

マミ「ええ。トリケラトップギルディが来たら、何としてでももう一度あのゲートを開かせる。そこで暁美さんが、ツインテールのつながりを使って鹿目さんたちをこの世界を手繰り寄せる」

QB「まとめると、それで間違いないね」

ほむら「ええ。絶対に、助けて見せるわ……!」

ほむら(だから、お願いだから無事でいて。まどか! ……さやかも)

625: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 23:07:45.17 ID:pYmkNyDB0





まどか「痛たた……」

さやか「っつう……腰打ったぁ」

まどか「うん。川に流されたみたいな移動だったね」

さやか「ほんっとだよ! ……で、ここどこ? もしあいつらの基地とかだったら最悪何だけど……って、街中かよ!?」

まどか「うんっ。ここ、ほむらちゃんの家の近くだよ! こっちこっち」テクテク

さやか「おおい、走るなって。……でもよかった、変なとこに飛ばされなくって」テクテク

まどか「だね。ここに来た時も、周りに人がいなくてよかった。いきなりでてきたら、大騒ぎになっちゃうもんね」

さやか「あははっ、確かに。でも、ほんとによかったよ。アルティメギルの基地何かに宝利こまれたら、まどかが持ってるテイルギアに頼るしかなかったしね」

まどか「そう、だね……。杏子ちゃんの教会に行くときに、ツインテール属性を隠すために一応つけてきてたけど、変身はしなくてよさそうだね。それに、いまの私じゃそもそも変身できないし……」

さやか「ありゃ、ほんとだ。まどかのツインテール、ほどけたまんまだね」

まどか「うん。まだほむらちゃんたち、戦ってるのかも」

さやか「かもね」

626: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 23:19:23.54 ID:pYmkNyDB0

さやか「とりあえずほむらの家に行って、いつも通りモニターで見守ろうよ。てか浅ななじみが負け犬みたいなこと言われて頭に血が上ってたけど、あんな近くで見るもんじゃないね、やっぱり」

まどか「そうだね。わたしもほむらちゃんの百合の秘密なんて言われちゃったからついつい近くでかぶりついちゃったけど――」

さやか「あー、はいはい。もう着いたから静かにしようね。さっさとまどかが持っている合鍵で部屋開けちゃって!」

まどか「――あ、う、うん」

ガチャリ

さやか「さて、それじゃ勝手ながらお邪魔して――へ?」ゴリ

「動かないで。不法侵入にしてずいぶんと堂々と――……!?」

さやか(あ、あれ? こめかみに何か冷たい感触が……)

「美樹さやか? どうして――」

まどか「な、なにしてるの!? その鉄砲、しまってよ!」

「……鹿目、まどか?」

まどか「そ、そうだよ。わたしだよ! わたしとさやかちゃんだよ!?」

さやか「え? ちょ、ちょっと待って? どういう状況、これは――」

「動くなと言ったはずよ。これが本物だなんてこと、今更説明は不要よね?」ゴリリ

さやか「ひゃい!」ビクッ

まどか「や、やめて! どうしてそんなことするの?」
「……っ!」

まどか「ねえっ、なんで? さやかちゃんにひどいことしないでよっ。――ほむらちゃん!」

ほむら「……」

628: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/16(月) 23:29:07.27 ID:pYmkNyDB0

さやか「ほ、ほむら? このサプライズはちょっーとやりすぎかと……」

ほむら「……くだらないわね」

まどか「え? くだらない……?」

ほむら「ええ。魔女の仕業か他の街の魔法少女の仕業か知らないけど、あり得ない人物を見せて何が楽しいのかしら。理解に苦しむわ」

まどか「ま、魔女に魔法少女……? えっと、よ、よく分からないけど、わたしもさやかちゃんも本物だよ!」

ほむら「いいえ、あり得ないわ」

さやか「あり得ないとか言われても、本物なんですけど……」

まどか「そうだよ! そもそもどうして偽物だなんて思ったの!?」

ほむら「黙りなさいっ」

さやか「!」ビクッ

まどか「ほむら、ちゃん……?」

ほむら「本物のはずがないでしょう! この世界では、美樹さやかも、鹿目まどかも――もう、死んでしまったのだもの!」

644: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/18(水) 23:56:13.38 ID:hce+P4Iq0

さやか「……は?」

まどか「死ん、だ……?」

ほむら「そうよ。鹿目まどかも美樹さやかも、巴マミも佐倉杏子もういない。この時間軸は無為に終わったの。いまさら亡霊のように――」

QB「――ちょっと待ってくれないかな」

まどか「キュゥべえ!」

QB「ふうん。君たちは、僕のことも知ってるんだね」

さやか 「なに今更そんなこと言ってんの!? いいからほむら止めてくんない? 暴走の具合がいつもとは違う方向で危険なんだけど!?」

ほむら「……なんの用かしら、インキュベーター」

QB「君がその引き金を引いて後悔する前に忠告をしようと思って来たんだよ」

ほむら「後悔?」

QB「うん。なにせ、その二人は間違いなく本物の美樹さやかと鹿目まどかだからね」

647: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:12:41.72 ID:N009Ez9R0

ほむら「……どういうことかしら」

QB「その二人は別の平行世界から来た鹿目まどかと美樹さやかだ」

ほむら「なんですって? そんなことがあり得るの……?」

QB「そもそも、君の存在からして違う時間軸の存在だろう? イレギュラーなのは間違いなけれども、可能性としてあり得ないということはないよ」

ほむら「……」

まどか「別の、世界……?」

さやか「え? なにそれ?」

QB「君たちにその自覚はないのかい? 見たところ、生身のまま世界移動をするほどの事態だ。なんの前兆もなかったとは思えないのだけども……」

まどか「じゃあ、もしかして……」

さやか「トリケラトップギルディのやつ、だよね。まさか別の世界とか、予想外すぎるんだけど」

ほむら「本当に心当たりがあるのね」

まどか「う、うん」

さやか「だからその拳銃、いい加減やめて欲しんだけど……」

ほむら「……そうね。本物だというなら他の人間に見つかったら面倒なことになるわ。とりあえず、入りなさい」

まどか「うん……」

さやか「はいはいっと」

648: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:13:17.85 ID:N009Ez9R0







――教室――


和子先生「――それと、今日は暁美さん、鹿目さん、美樹さんが体調不良で欠席とのことです。風邪の流行りはじめかもしれませんので、みなさんも気を付けるように! 本日の連絡は以上です」

仁美「……」

仁美(さやかさん。それがあなたの答えですの……?)

仁美「……あら? でも、まどかさんとほむらさんは何故お休みなのかしら」







649: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:32:15.88 ID:N009Ez9R0

ほむら「……つまり、まとめるとこういうことかしら。あなた達のいた世界では、ツインテールを求める化け物がいて、あなた達はその戦いに巻き込まれて、敵の能力でこちらに飛ばされた、と」

まどか「う、うん……」

ほむら「……バカにしているのかしら? そんな与太話を信じろっていうの?」

さやか「いや、マジだって。確かに信じられないかもしんないけどさ!」

ほむら「…………」

QB「でも、興味深い話だね。話自体に齟齬はないから、もしかしたらそういう並行世界もあるのかもしれないよ」

ほむら「……どうでもいいことだわ。私には関係ないことだもの」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか(何かこのほむら、目がすっごく冷たい。それに壁に表示されている変なの、何だろ? 何かの資料みたいだけど……うーむ。わけ分からん!)

652: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 00:51:05.04 ID:N009Ez9R0

まどか「…………」

さやか「……そういえば、ほむら」

ほむら「……?」

さやか「さっきあたし達が死んでるどうこう言ってたよね。悪い冗談だと思ったんだけど……」

ほむら「……」ピッ

ニュースキャスター『――行方が分からなくなっていた市立見滝原中学校二年生の美樹さやかさんが、今朝未明、市内のホテルで遺体となって発見されました』

さやか「うっ、わぁ……」

ニュースキャスター『遺体に目立った外傷はなく、発見現場にも争った痕跡がないことから、警察では事件と事故の両面で捜査を進めています。続けて――』

さやか「あ、あはは……あたし、マジで死んでるんだ」

ほむら「ええ。失恋して、一人で突っ走って、魔女化して、それを助けようとした杏子とまどかを巻き込んで死んだわ」

まどか「魔女、化……?」

さやか「……え? なに? よくわかんないけど、あたし失恋をこじらせて死んだの?」

QB「その認識で概ね間違ってないね」

653: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/19(木) 01:10:50.52 ID:N009Ez9R0

ほむら「それで? あなた達はどうするのかしら。一応言っておくけれども、自宅へ帰るのはやめておいたほうがいいわ」

まどか「え?」

ほむら「そもそも、出歩くこと自体おすすめはしないわ。下手したら、大騒ぎになりかねないわよ」

さやか「ああ、そりゃ死人が歩いてるようなもんだもんね」

まどか「ど、どうしよっか、さやかちゃん……」

さやか「うーん、家に帰れないとなるとなぁ……。向こうのほむら達が頑張って帰る方法探してくれてるだろうしそこの心配はしてないんだけど、それまでどうするかってのはちょっと――」

さやか(――あれ? こんな展開だったら、まどかのやつ喜んで『ほむらちゃんの家に泊めてよ!』とか言いだしそうなもんだけど――)

まどか「……」オドオド

さやか(……? なんでこんなに――あ、違うか。まどかって、ほむらに合う前はそもそもこういう子だったんだ)

ほむら「……いいわ。少しの間でいいのなら私の家にいてもいいわよ。寝室を使いなさい。布団は一組しかないけれども、そこは何とかして。……それにどうせ、三日後には誰もいなくなる部屋だわ」

さやか「お、おう」

まどか「え、っと……ほむらちゃんは、どうするの?」

ほむら「……私はやることがあるの」

まどか「そ、そうなんだ」

ほむら「ええ」

まどか「……」

ほむら「……」

さやか「……」

さやか(……はぁ。どうしよっかね、本当に)

672: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/20(金) 23:58:00.67 ID:eREJxsk00





――マミルーム――


杏子「うめーな、このパスタ」モグモグ

マミ「ありがとう。……でも、佐倉さん。今日は暁美さんのところに行かないの?」

杏子「……行けーねよ。ほむら、すげえピリピリしてるからな」

マミ「……そう、ね」

杏子「今のあいつに平気で話しかけられるのなんて、それこそ感情がないやつくらいなもんだろ」

マミ「美樹さんと鹿目さんも、もちろん心配だけど……なんでか、暁美さんのほうが追い詰められてる気がするわね」

杏子「そうだな。あたしだってそりゃ心配だけど、ほむらのテンパり具合を見ちまったらあたし達が落ち着かなきゃって気持ちにもなるよ」

マミ「確かにね。暁美さんが余裕のない今、私たちがしっかりしなくちゃね!」

杏子「ああ! ……というわけで、おかわり」

マミ「はいはい」






673: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 00:20:21.89 ID:WNL/7tCY0

まどか「……さやかちゃん」

さやか「んー? どうしたの、まどか。てか、まだ寝てなかったんだ。なに? やっぱ布団一組じゃ狭い?」

まどか「……ほむらちゃん、何をしてるんだろう」

さやか「さあ? 居間でよくわかんない資料とにらめっこしてるみたいだけど、何やってんだろアレ。もう良い子は寝る時間だってのにさ」

まどか「…………」

さやか「……気になる?」

まどか「……ううん」

さやか「そう? なら寝ようよ」

まどか「……うん」

さやか「…………」

674: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 00:53:03.58 ID:WNL/7tCY0

まどか「……すう、すう」

さやか「……」

さやか(まどか、寝たかな?)

さやか「よっこいせ、と」

さやか(まどかを起こさないようにそうっと……)

まどか「……」zzZ

さやか「……よし。それじゃ、話を聞きに行こうかな」テクテク

675: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 01:06:44.66 ID:WNL/7tCY0

ほむら「……何か用かしら」

さやか「いや、ほむらが何してるか気になってさ」

ほむら「そう。……鹿目まどかはどうしたの?」

さやか(……ふーん。こっちのほむらも、やっぱりまどかのこと聞くんだなぁ)

さやか「まどかなら寝てるよ。気になる?」

ほむら「……いいえ。別に」

さやか「そう? それで、その資料みたいのなに?」

ほむら「……ふぅ」ギロリ

さやか(うわ、睨まれた。てか怖ッ!)

ほむら「別の世界から来ただか何だか知らないけれども、あなた、やたら馴れ馴れしいわね」

さやか「そりゃ、別の世界かもしんないけど友達相手だし……」

ほむら「……友達?」

676: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 01:34:03.24 ID:WNL/7tCY0
ほむら「……あなたが? 友達?」

さやか「え? その顔はちょっとショックだからやめてくれない? ていうかなに? もしかして、こっちのあたしってほむらと仲良くなかったの?」

ほむら「……今まで数えるのを諦めるほど繰り返してきたけど、あなたと仲が良かったことなんて一度もないわよ」

さやか「マジか! ……てか、繰り返したって何?」

ほむら「聞いた話だと、あなた達の世界の私も魔法少女になって繰り返していると思うのだけど、そのあたりの話はしていないのね。まあ当然かしら」

さやか「……そういえば、あたし達の事情は話したけどそっちのこと全然聞いてないよね。繰り返したとか魔法少女とか、どういうこと?」

ほむら「別に信じてくれなくても構わないけど、話しましょうか。どうせワルプルギスの夜まで、もうやることもないことだし」

677: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 01:36:20.66 ID:WNL/7tCY0
まどか「ううん……」パチリ

まどか(目が覚めちゃった。……あれ?)

まどか「さやかちゃん……?」

まどか(どうしたんだろ。――あ。話し声が聞こえる)

まどか「さやかちゃんと、ほむらちゃん……」

まどか(……なにを話してるんだろう)コソッ

678: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 01:41:01.10 ID:WNL/7tCY0






――アルティメギル秘密基地――


ティラノギルディ「……お前とこうして差し向かいで話すのも、ずいぶんと久しぶりだな」

トリケラトップギルディ「二人で話しても、ティラノギルディ殿が滑られるからな……」

ティラノギルディ「ふん。今日は与太話などない。貴様の行いについて聞きたくてな」

トリケラトップギルディ「……」

ティラノギルディ「ただの人間を戦いに巻き込み行方知れずにしてしまったと聞いたが、まことか?」

トリケラトップギルディ「……真だ」

ティラノギルディ「貴様……! エレメーラを奪おうと逸ってのことと聞いているが、なぜそこで助けようとしなかった。敵の刃を背に受けてでも、己が罪はそそぐ。それが死に二菱の戦士のあり方であろう!」

トリケラトップギルディ「返す言葉もない。どのみち、あの時もはや私の手に負える事態ではなくなっていたのだ」

ティラノギルディ「貴様らしくもない。失敗しても何度でもやり直すのが、幼馴染属性の盟主たる貴様の信条であろう。なぜゲートに巻き込んだ?」

トリケラトップギルディ「……やり直す、か」

ティラノギルディ「……なんだ? よもや、その場で奪うのではなくさらいあげてエレメーラを奪おうとしたわけではあるまいな。そんなもの、戦士の風上にも置けない外道の行いだ」

トリケラトップギルディ「……すまない。繰り返すことができようとも、とりかえしの聞かないこともあるのだと、気が動転してしまったのだ」

ティラノギルディ「……角を守ったのか?」

トリケラトップギルディ「……ああ。この角を失えば、私は私でいられなくなる」

ティラノギルディ「ふん。だから何だ。そんな言葉で済まされるほど人間の命は小さくないし、我らの誇りも安くはない」

トリケラトップギルディ「分かっている。私とて、あの少女たちを時空の彼方に飛ばしてしまった時のホーリーブラックの悲痛な声が耳から離れぬのです……」

679: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/21(土) 01:41:30.99 ID:WNL/7tCY0
トリケラトップギルディ「やり直しの聞かぬもの――あるいは、私などよりブラックこそが一番そのことを知っているのやもしれません」

ティラノギルディ「……」

トリケラトップギルディ「何にせよ、もう一度出撃します。償いはせねばなりませぬ」

ティラノギルディ「……ホーリートライアングルは、角を守って勝てる相手ではなかろう」

トリケラトップギルディ「……ふっ。帰ってくるまで面白いダジャレの一つでも考えておいてくださらぬか? あなたのフォローは骨が折れますのでな」

ティラノギルディ「抜かせ。貴様の助けなどなくとも、このような負け犬の部隊は掌握してみせる」

トリケラトップギルディ「それを聞いて安心した。……ああ、そうだティラノギルディ殿」

ティラノギルディ「なんだ?」

トリケラトップギルディ「ホーリーブラックの百合の秘密、わかったやもしれませぬ」

ティラノギルディ「なに!? そ、それは一体……」

トリケラトップギルディ「罪の禊が終わってから検証しましょう。それまで、私の本棚にある、カバーを取り換えてある  本でも読んでて待っていてくだされ」

ティラノギルディ「……ふんっ。貴様の持っている  本など、どうせ幼馴染ものだろう? そのようなもの、俺は好かん。貴様の  本など湯無くらいなら、引き出しの裏に隠してある自分の百合本を読んでいるわ!」





693: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 01:25:22.36 ID:IDGLUVdt0

ほむら「――以上が、魔法少女の概要よ」

さやか「うっわ……。こっちのキュゥべえ、そんなことしてエネルギー集めをしてるんだ」

ほむら「……ずいぶんあっさり信じるのね」

さやか「そりゃ、疑う理由もないしね」

ほむら「…………そう」

さやか「なるほどねー。ほむらがあんたのこと嫌っている理由、よくわかったよ」

QB「その反応は心外だね。これでも僕らは君たちに譲歩しているよ? まがりなりにも知的生命と認めたうえで交渉しているんだしね」

さやか「あっそう」

QB「それに、聞いた話だと君たちの世界にいるインキュベーターは、僕とはだいぶ異なる存在だろうしね。けれども……そうだね。僕は君の願いを叶えることができるのは確かだ」

さやか「え?」

QB「君達は元の世界に帰れなくて困っているんだろう? 僕に願えば、それも解決するよ」

ほむら「インキュベーター!? あなた……!」

さやか「……今の話を聞いて、あたしが魔法少女とやらになると思ってるの?」

QB「世界を超えるような技術は、今の人類には存在しない。それとも君には帰るあてがあるのかい?」

ほむら「……」

さやか「お断り。冗談じゃないよ。それに、向こうの世界には絶対に帰れる。私もまどかも、あんたの言葉を聞きはしないよ。……向こうのみんなが、きっと頑張ってるもん」

ほむら「…………」

694: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 01:45:35.08 ID:IDGLUVdt0
QB「そうかい。それもいいだろうね。それに、実際のところ君たちがこの世界にいられる期間は長くないだろうしね」

さやか「え? どういうこと?」

QB「暁美ほむらとはまったく異なる方法でこちらに来た君たちは、この世界にとって明らかに異物だからね。おそらく、明日にはこの世界から弾きだされるだろう」

ほむら「……あなた、何故それを早く言わなかったの?」

QB「聞かれなかったからね」

さやか「あー、はいはい。で? つまりは、ほっといてもあたし達は帰れるっていうことでいいの?」

QB「その保証はできかねるね。この世界から弾かれたのならば、おそらく世界をつなぐ狭間に放り込まれるだろう。それは小舟で大海に漕ぎ出るようなものだ」

さやか「ふーん。ま、それもたぶん、向こうで何とかしてくれるよ」

QB「願望が混じった希望的観測だね」

さやか「かもね。でも、信じるってそういうことじゃん」

QB「ふうん。僕には理解できないけど、君がそういうならそれでもいいよ」

ほむら「……美樹さやか」

695: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 01:55:02.50 ID:IDGLUVdt0

さやか「ん? なに、ほむら」

ほむら「……あなたは、向こうの私をずいぶんと信頼しているのね」

さやか「そりゃ、何だかんだで何度も助けてもらってるしね」

ほむら「……そう」

さやか「そうだよ」

ほむら「…………ねえ」

さやか「なに?」

ほむら「あなたにとって、私はどんな人間だったのかしら」

さやか「そうだね。いつもはそっけないし気にくわないところもあるけど、大事なことは大事だって叫べる良いやつだよ」

ほむら「……分からないわ」

さやか「……そっか」

さやか(わからない、か……)

さやか「……もう遅い時間だし、寝るね」

ほむら「……ええ」

さやか「それじゃ、おやすみ」

ほむら「……」

ほむら(……何が、違ったのかしら)

696: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 02:01:37.58 ID:IDGLUVdt0

さやか「……なにが、違ったんだろうなぁ」

さやか(まあ、話に聞いただけじゃわからならない、か。もういい加減寝ないと……あれ?)

まどか「……さやかちゃん」

さやか「まどか。起きてたんだ」

まどか「うん」

さやか「そっか。……聞いてた?」

まどか「……うん」

さやか「あー……そっか」

さやか(この反応、ほとんど最初から聞いてたっぽいなぁ)

まどか「さやかちゃん。わたし、ほむらちゃんのこと――」

さやか「まどか。今日はもう寝よ」

まどか「――え?」

さやか「で、いま言おうとしたこと、明日あのほむらに言ってあげなよ」

まどか「あ……」

さやか「きっと、そのほうがいいからさ」

まどか「うん!」





697: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 02:02:31.33 ID:IDGLUVdt0

――ほむホーム――


ほむら「……」

QB「落ち着かないみたいだね、ほむら」

ほむら「……黙りなさい」

QB「少しは落ち着いたらどうだい? 一睡もしないで夜を明かしたみたいだけど、君が焦ったところで事態は好転も悪化もしないよ」

ほむら「……」

QB「君のツインテールが形になっている以上、まどかの無事は保障されているようなものだ。そんなに憔悴することはないんじゃないかな」

ほむら「……そうね。まどかが無事なのは、なんとなくわかるのよ」

QB「そうだね。変身した君のツインテールはまどかのそれとつながっている」

ほむら「目印はある。後は、それをたどるための扉を開かせれば――」

QB「――お待ちかねの相手が来たみたいだよ、ほむら」

ほむら「……そう」

QB「……行くのかい?」

ほむら「当然よ。今回は、杏子も巴さんも絶対に来るように言いなさい。……絶対に、逃がすわけにはいかないの」

QB「分かった。そう伝えておくよ」

ほむら「ええ。――テイル・オン」







723: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 21:18:29.29 ID:k+fwAiF/0

さやか「……ふわぁ」

さやか(この天井は、ほむらの家の……あー、そうだった。だいたい思い出した)

まどか「おはよう、さやかちゃん!」

さやか「おはよう、まどか」

さやか(まどか、さっぱりした顔してるな。吹っ切れてくれたかな?)

さやか「んじゃ、顔を洗った後にほむらと話そうか」

まどか「うんっ!」

724: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 21:32:25.18 ID:k+fwAiF/0

ほむら「……ああ、あなた達、起きたの――」

まどか「ほむらちゃん、おはよう!」

ほむら「――え?」

さやか(元気いいなぁ、まどか)

まどか「どうしたの、ほむらちゃん?」

ほむら「い、いえ。あなたの様子が、昨日とずいぶん違ったように思えたから……」

まどか「うんっ。だって昨日の話を聞いて、ほむらちゃんはほむらちゃんなんだって分かったから」

ほむら「……っ。聞いていたの?」

まどか「ごめんね。盗み聞きみたいになっちゃたよね」

ほむら「……別にいいわ。でも、分かったでしょう。わたしはあなたとは違う時間を過ごしているの。あなたの知っている暁美ほむらと、ここにいる暁美ほむらは全くの別人なのよ」

まどか「ううん。何があってもほむらちゃんはほむらちゃんだよ」

ほむら「え……?」

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 21:40:23.93 ID:k+fwAiF/0

まどか「わたしはもうすぐ元の世界に帰っちゃうけれど……きっと、次に会うわたしもほむらちゃんの力になってくれるから。だから、ひとりぼっちになっちゃだめだよ、ほむらちゃん」

ほむら「……いいえ。あなたがそう言ってくれるのは嬉しいけど、それは無理なの。本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ」

まどか「どうしてそう思うの?」

ほむら「繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。……たぶん、私はとっくの昔に迷子になっちゃってたんだと思う」

さやか「……」

まどか「うん。それで?」

ほむら「……あなた救う。それが私の最初の気持ち。それだけでいいのよ。だから――」

まどか「だったらさ、ほむらちゃん」ニコリ

ほむら「――?」

まどか「わたしにも、ほむらちゃんを助けさせてあげてよ」

ほむら「……ぁ」

まどか「大丈夫。きっと大丈夫。信じようよ。わたしがほむらちゃんのことを見捨てるだなんてこと、絶対にないもん」

ほむら「で、でも……私は、まどかとは違う時間を――」

まどか「次はきっと、うまくいくから。ね? きっとほんの少しなら、本当の奇跡と魔法があるかもしれない。……そうでしょう?」

ほむら「……そう、なのかな」

まどか「うんっ。絶対そうだよ! わたしとほむらちゃんは、絶対に仲良くできる。さやかちゃんとも友達になれて、マミさんや杏子ちゃんとも一緒に戦えるよ!」

ほむら「……ふふっ。そうね。もしかしたら、次はそんな都合のよい世界なのかもしれないわ」

まどか「うんっ。きっとそうだよ」

729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:05:43.92 ID:k+fwAiF/0

ほむら「ありがとう、まどか。少し、勇気が湧いたわ」

まどか「ううん。ほむらちゃんの助けになったのなら、それだけでわたしも嬉しいから」

さやか(……うん。ほむらも立ち直ったかな。ずいぶん手間かけさせてくれたけど――まあ、こいつのためなら仕方ないか)

まどか「……ぁ」パアア

さやか「お?」パアア

さやか(なんか、体が光り始めた?)

QB「この世界から君たちがはじき出され始めたようだね」

まどか「そっか……」

ほむら「そんな……! まどかぁっ」

まどか「ごめんね。わたし、もう帰らないと。……でも大丈夫。また、ほむらちゃんもわたしと逢えるから。それまでは……ほんのちょっとだけ、お別れだね」

731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:06:24.78 ID:k+fwAiF/0

さやか(最後まであたしの相手をしなかったなこいつ……。さて、と)

さやか「ほむら。これあげるよ」

ほむら「この腕輪は……?」

まどか「さやかちゃん。それって、テイルギア……?」

さやか「うん。どうせあたし達には使えないからね。あたしはまどかみたいに素敵な言葉は送れないけど……困った時は『テイル・オン』って叫びなよ。間違えなく、あんたなら使えるだろうしね」

ほむら「……そんな恥ずかしい事、できればしたくないわね」

さやか「向こうのほむらは、もう慣れ切っちゃってるけど?」

ほむら「…………」

まどか「あ、あはは……」

732: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:07:41.20 ID:k+fwAiF/0

ほむら「……でも、そうね。お返しに、これをあげるわ」

さやか「ん? なにこれ」

ほむら「この世界のあなたのなれの果てよ」

さやか「え」

まどか「じゃあ、それがグリーフシードなの?」

ほむら「ええ」

さやか「うわぁ、これが? 複雑だなぁ」

ほむら「そう。よかったわ」

さやか「……え? なに? もしかして嫌がらせ?」

ほむら「さあ? それと、一つ忠告をさせてもらうわ」

さやか「……えっと、なに?」

ほむら「わたしが知る限り、あなたが志筑仁美を出し抜いて上条恭介と恋愛関係を成立させたことはないわ」

さやか「何でこのタイミングそういうこと言うのあんたは!? やっぱり嫌がらせでしょう!?」

ほむら「万が一、向こうで失恋をこじらせてまどかに迷惑かけないように釘を刺して置いたのよ。さっさと諦めなさい。それが一番よ」

さやか「大きなお世話だよ! ……ほんともう、あんたってそういうやつだよね。変わんないなぁ」

ほむら「どういたしまして。それじゃあね。…………さやか」

さやか「……うん。じゃあね、ほむら」

まどか「ほむらちゃん、バイバイ! 頑張って!」

ほむら「……ええ」ニコリ


パアアアアア―-ヒュンッ

733: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:11:48.07 ID:k+fwAiF/0

ほむら「……」

QB「二人とも行ってしまったね」

ほむら「……そうね」

QB「それで、君はどうするんだい?」

ほむら「そうね……。このテイルギアとやらが、どこまで使い物になるか試すことにするわ」

QB「ふうん」

ほむら(ワルプルギス戦で使い物になるようなら、盾に入れて次のループに活かしましょう)

QB「僕は彼女たちの言っていたエネルギー回収方法にも興味があるんだけどね。そのテイルギアとやらを僕に解析させてくれないかい?」

ほむら「絶対いやだわ」

QB「そうか。残念だね」

734: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:21:23.85 ID:k+fwAiF/0





トリケラトップギルディ「……ふむ」

キリカ「え、エレメリアン……!」

織莉子「き、キリカっ。ここはわたしが食い止めるから、キリカが逃げなさい!」

キリカ「そんなっ。織莉子を置いていくなんて、できるわけないよ!」

織莉子「いいえ。わたしをわたし個人として見てくれたあなたがいてくれたからこそ、わたしは自分が生きる意味を知れたの。そのあなたをかばうためなら、この身を呈するくらい――」

キリカ「そんな私だって同じだよっ」

織莉子「キリ、カ……?」

キリカ「いじけた子供だった私は君に出会ったことによって違う自分に変われたんだ! そんな君を置いて逃げるなんて、できるわけがないよ!」

織莉子「……キリカ」キュン

キリカ「逃げるときは一緒だよ。だから、一緒に行こう。だって、私たちの愛は――無限に有限なんだ!」

織莉子「……ええ、分かったわ!」

737: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:36:38.58 ID:k+fwAiF/0
トリケラトップギルディ「……むう。これが百合、か? やはり、私には理解できない領分だな。――む」

ほむら「待ちかねたわよ、トリケラトップギルディ……!」

トリケラトップギルディ「来たか、ホーリーブラックよ」

ほむら「ええ」チラッ

ほむら(美国織莉子と呉キリカ……ちっ。今は構っている暇はないわね)

ほむら「さっさと逃げなさい。巻き込まれても知らないわよ」

キリカ「う、うん! 織莉子、逃げようっ」

織莉子「ええ。……ありがとうございます、ホーリーブラック」タタタッ

ほむら「……ふんっ。それで? 幼馴染属性のあなたが、何故あの二人を見ていたのかしら」

トリケラトップギルディ「なに。少しばかり歩み寄れないかと思ったのだが……やはり私には理解できなかったな」

ほむら「……?」

杏子「わりぃ! ちょっと遅れた!」

マミ「お待たせしたわ、ブラック!」

ほむら「ええ。待ってたわ」

740: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 22:49:31.56 ID:k+fwAiF/0

トリケラトップギルディ「レッドとイエローも来たか」

ほむら(……これで、逃がす可能性は限りなく小さくできたわね。でもこいつの能力の性質上、囲むだけでは不安だわ。なら、後は言葉でこの場に釘付けにする……!)

ほむら「トリケラトップギルディ。あなたの能力は、時間の逆行ね」

杏子「なっ!?」

マミ「時間の、逆行……!? そんなとんでもない能力を!?」

トリケラトップギルディ「……やはり貴様が一番に気が付いたか、ホーリーブラックよ」

ほむら「ええ」

杏子「てことは、ほんとに時間を操れるのか、こいつ……!」

マミ「瞬間移動も、体の傷が瞬時に治るのも、その能力を使ってのことなのね」

トリケラトップギルディ「しかしそれを明かしたところでどうする。何か対抗策があるわけであるまい」

ほむら「ええ、そうね。けれどもね、トリケラトップギルディ。あの二人を吸い込んだゲート。あれは、あなたの能力の応用でしょう?」

トリケラトップギルディ「!」

ほむら「あなたは一般人を別世界に飛ばしてしまってたことを後悔していないの?」

トリケラトップギルディ「……何だと?」

ほむら「単刀直入に言ううわ。――あのゲートをもう一度開けなさい。私を時空のはざまに飛ばしなさい」

杏子「なに言ってんだてめぇ!」

マミ「ダメよっ。危なすぎるわ!」

ほむら「だまりなさいっ」

杏子「!」

マミ「!」

741: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:03:20.80 ID:k+fwAiF/0

ほむら「トリケラトップギルディ! あなただって分かっているはずよっ。あの子たちを救出するのに、私以上の適任はいないと!」

トリケラトップギルディ「……どうだ。これで満足か」

杏子(あのゲートだ! よっし。さっきの演技のかいはあったな!)

マミ(開いたわね。演技で挑発できたっ。これで予定通り……!)

ほむら「……」

トリケラトップギルディ「何が見える? 何もできまい! 私とてあの出来事は後悔しているが、どうにもならぬっ。ただの異空間ではない、変異してつながった時間の狭間に飲み込まれては、時間をわずかに操れる私とて、もはや干渉できぬのだ!」

ほむら「……いいえ、感じるわ」

トリケラトップギルディ「なに?」

ほむら「あそこに、まどかのツインテールがあるわ……!」

トリケラトップギルディ「なに……よせ! 下手に時空間に干渉すれば、貴様とてただではすまんぞ! ブラックよ、待つ――ぬう!」

杏子「あたし達じゃ、あっちの助けになれそうもないからな!」

マミ「それでも、あなたの足止めぐらいはできるわよ!」

トリケラトップギルディ「待て! ブラックを止めよ! 仲間の暴走を防ぐの役目であろう!」

杏子「分かったような口をきいてんじゃねぇ!」

マミ「仲間を信じているからこそ、その背中を押すのが役目なのよ!」

トリケラトップギルディ「む、うぅ!」

742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:19:01.36 ID:k+fwAiF/0

ズズズズズ

ほむら「……これが、異世界をつなぐゲート」

ほむら(いくら強固でも、いくら危険でも、扉さえできればあとはこのツインテールのつながりを信じればいい!)

ほむら「まどか……!」

743: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:19:43.53 ID:k+fwAiF/0




まどか「……ぁ」ピクッ

さやか「ん? まどか、どうしたの?」

まどか「いま、ほむらちゃんの声が聞こえたの」

さやか「え? あたしは何も聞こえなかったけど……」

まどか「うん。ほむらちゃんの中にあるツインテールを通して聞こえたから」

さやか(なに言ってんだろう、あたしの親友は)

さやか「で、でも、それなら帰る方向が分かったりする?」

まどか「うんっ。今までは何だかつながりがうっすらしてたけど、今すごくわかりやすくなったから。――こっちだよ」テクテク

さやか「おお、良かった」テクテク

744: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:29:50.19 ID:k+fwAiF/0

まどか「でもここ、なんだか行きとだいぶ違うね」

さやか「……うん」

まどか「来るときは極彩色の中を流されてきた感じだったけど、帰りの今は普通に歩けてるし……なんていうか、コンサートホールみたいな感じ」

さやか「たぶん、こいつのおかげかな」スッ

まどか「あれ? それって、ほむらちゃんにもらったグリーフシード?」

さやか「うん。たぶん、私たちが流れないように結界を張ってくれたんだと思う。この時空の狭間って、生身の人間じゃ耐えきれないものらしいしさ」

まどか「そっか。でも……そんなこと、できるの? ちょっと聞いただけだけど、グリーフシードに意思があるなんてほむらちゃんは言ってなかったけど……」

さやか「さあ? 異空間に放り込まれて何か変質しちゃったのか、それとも化けて出たのか……でもさ、まどかも言ってたじゃん」

まどか「え?」

さやか「ほんのちょっとくらい、本当の奇跡があってもいいってさ」

まどか「……! うんっ、そうだね!」

さやか「へへっ」

745: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:35:36.60 ID:k+fwAiF/0

まどか「なら、これってさやかちゃんがわたしたちを守ってくれてるんだね」

さやか「ふふーん、もっと褒めてくれもいいだぞぉ?」

まどか「もう、さやかちゃんってば」ウェヒヒ

さやか「あははっ」

さやか(……そうだよね。話に聞いただけだけど――あんただって、あんな終わり方、いやだもんね。わかるよ。だって、あんたはあたしだから。あんたは迷って、迷走して、錯綜して、こんな石ころみたいになっちゃったけど、それでもあたしとまどかを守ってくれた。だから、さ)

さやか「さてっと、それじゃ――……!」

ゴゴゴゴゴゴ

さやか「うわっ、ずごい揺れ……!」

まどか「たぶん、ほむらちゃんのアプローチが強くなった影響だと思う。急ごう、さやかちゃん!」

さやか「うんっ」

さやか(……だからさ、正義の味方になりたかった、違う世界のあたし。ほむら達のいる世界に行ったら、今度こそ――正義の味方として、一緒に戦おうよ!)

746: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:43:14.63 ID:k+fwAiF/0





ほむら「……!」

ほむら(感じる。まどかをはっきり感じ取れるっ。まどか、こっちよ……わたしは、ここにいるわ!)

トリケラトップギルディ「……くっ。全宇宙、全世界において厳粛に守られるべき大いなる摂理を……『時間』に挑む無謀さっ、貴様ならばよく分かっていよう,ホーリーブラックよ!」

杏子「てめぇ! まだほざくか!」

マミ「あなたが勝手に時の番人のようなことを言わないで!」

ほむら「そうよっ。あの子たちがいるべき時間は『今』『ここ』なのよ!」

トリケラトップギルディ「お前たちがそれほどまでに守ろうとする少女は……やはり、あの少女は……!」

ほむら「ええ! 私のツインテールは――まどかでできてるのよ!」

ほむら(まどか――帰って来て! まどか、まどか――)

ほむら「まどかぁあああああああああ!」

杏子(……こいつ、完全にさやかのこと忘れてねえか?)

マミ(み、美樹さん、無事に帰って来てくれるわよね……?)

パアアアアア!

トリケラトップギルディ「ぬう!? こ、これは……!」

杏子(ゲートが光った!)

マミ(人影が――出て来た!)

まどか「ほむらちゃん!」ギュッ

ほむら「まどかぁ!」ギュッ

747: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:47:29.01 ID:k+fwAiF/0

ほむら「良かった、本当によかったわ!」ギュウウウ

まどか「うん、うんっ。……うぇひひ。ほむらちゃん。抱き付いてくれるのは嬉しんだけど……ちょっと痛いよ?」

ほむら「あっ。ご、ごめんなさい……感情が昂って、つい……!」

まどか「ううん、抱きしめてくれてていいよ。……でも、今度はもっと優しくね?」

ほむら「……うん」ギュ


杏子「さやかは? おい、さやかはどうした!?」

マミ「い、逝ってしまったの……?」

杏子「バカ野郎……! まどかを助けるためだからって、自分が消えちまってどうすんだよ!」

マミ「それが、美樹さんの運命だったとでも言うの……!」

さやか「生きてるから! さやかちゃんも無事生還してるから!」

754: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/26(木) 23:59:06.54 ID:k+fwAiF/0

マミ「よ、よかったわ、美樹さん……!」

杏子「命拾いしたな、さやか!」

さやか「まどかは助かって当然で、あたしはぎりぎり助かったみたいなこの差はなに……?」

マミ「いえ、その……」

杏子「だって、なぁ?」

ほむら「……あら、さやか。あなたも生きてたのね。よかったわ」

さやか「わー。冷静だなぁ。なに? あたしなんて帰ってこないほうが良かった?」

ほむら「……あなた、ユーモアセンスの欠片もないわね。二度とそんなつまらないことは言わないで」

さやか「……ぁ。うん。ごめん」

ほむら「ふんっ。ずいぶんと殊勝ね」

さやか「まあ、あっちのあんたの言葉も聞いちゃったしね」

ほむら「あっち……?」

さやか「まあね。あとは、あいつか」

トリケラトップギルディ「ば、バカな……!」

758: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/27(金) 00:14:54.87 ID:biytk9pk0

トリケラトップギルディ「信じられん……!」

さやか「ふんっ。何が信じられないっての?」

トリケラトップギルディ「私が時空の彼方に飛ばしてしまった少女がこうして戻ってくるなど……!」

さやか「エレメリアンのあんたには理解できない絆もあるってことだよ。それと、もう一つ信じられないものを見せてあげようっか」

トリケラトップギルディ「……なに?」

マミ「え?」

杏子「さやか……?」

まどか「それって――」

ほむら「――グリーフシード!?」

759: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/27(金) 00:15:25.14 ID:biytk9pk0

トリケラトップギルディ「……その宝石の形をした魂のなれの果てが、どうしたというのだ?」

さやか「……ねえ、トリケラトップギルディ。この世界に、本当の魔法と奇跡ってあると思う?」

トリケラトップギルディ「魔法に奇跡、だと……? そのようなものはない。この世の奇跡はすべて、我らがアルティメギル首領の手の内にあるのだ」

さやか「……」

トリケラトップギルディ「ホーリートライアングルが持っているテイルギアとて、元はお言えば我らの技術によるもの。魔法や奇跡など、貴様ら人間が手にあるものでは――」

さやか「――あるよ」

トリケラトップギルディ「!」

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ!」

トリケラトップギルディ「大言を吐いたな! ツインテール属性すら持たぬただの少女である貴様に、何がなせるというのだ!」

さやか「本当の奇跡と魔法ってやつを見せてやれるっ。その目をかっぽじってよく見なよ、トリケラトップギルディ!」

トリケラトップギルディ「な、にぃ……!?」

さやか「――テイル・オン!」

761: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/27(金) 00:41:19.28 ID:biytk9pk0

さやか「……」パアアアアア

杏子「青みがかかった甲冑型の装甲……」

まどか「……さやかちゃん」

マミ「まさか、本当に……?」

ほむら「どうして、グリーフシードで変身を……?」

トリケラトップギルディ「バカな……いくら幼馴染属性の持ち主と言えど、ただの人間がエレメーラ変換器もなく変身するなどありえん……!」

QB『僕にとっても予想外だ。一体どうやったんだい、さやか?』

さやか「ふふんっ。思い入れの深い品が変身アイテムになるなんて鉄板でしょうが! 大切な人から髪飾りとか首輪とか胸パッドとかが強化アイテムに変わる! それと同じことだよ!」

杏子(首輪?)

マミ(胸パッド?)

まどか(なんか変なのが混じってた気が……)

ほむら(髪飾りはともかく、後の二つは鉄板からはほど遠いわね)

さやか「さあ、かかってきなよ、トリケラトップギルディ!」

トリケラトップギルディ「ふ、ふふふ、ふははははははは!」

762: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/27(金) 00:42:04.96 ID:biytk9pk0
トリケラトップギルディ「よかろうっ。できるものならば私を倒して見せろ! しかし幼馴染のお前に、それができるか!?」

さやか「あんた言ってたよね、幼馴染が負け確だとかなんだか……!」

トリケラトップギルディ「純然たる事実だ!」

さやか「少なくとも、あたしはあんたには負けない!」

トリケラトップギルディ「ほうっ……! ずいぶんと晴れがましい顔をしているなっ。時空の彼方へと流される前と同一人物とは思えん!」

さやか「かもね! だって、気が付いたんだよ。あたしは一人じゃないっ。助けてくれるみんながいる。だから、助けてくれるみんなを助けたい。あんた達との戦いも――あたし達の恋もね!」

トリケラトップギルディ「どんな世界を体験してきたかは知らぬが、いずれにせよ安心したわ。私も女々しくしょぼくれていたのでな! ブラックたちのやり方は強引であったが、帰還の手助けをしてくれたことには感謝せねばならぬな!」

ほむら「あなたに感謝されたって仕方ないわ。……それじゃあ、改めて仕切りなおしましょうか」

マミ「そうね。さっきまでと違って、もう倒してしまって構わないのだものね」

杏子「ああ、これで思いっきりやれるな! ――さやか。初戦だけど、足引っ張んなよ?」

さやか「もちろん! なめるんじゃないっての!」

トリケラトップギルディ「ふっ。ならばまずは名乗れ、新たなる戦士よ!」

さやか「――ホーリーブルー!」

 

796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/27(金) 23:56:22.06 ID:biytk9pk0

トリケラトップギルディ「しかと聞いたぞ! 来いっ、ホーリーブルー!」

さやか「おうさぁ!」ダッ

ほむら(あの子、一直線に突っ込んで――)

ほむら「レッド、イエロー! ブルーを援護して!」

杏子「おう!」

マミ「ええ!」

トリケラトップギルディ「ぐぬ……!?」

さやか「うりゃぁああああああああ!」ザシュン

トリケラトップギルディ「ぐうっ! み、見ていたか、私がこの角をかばうのを……!」

さやか「その角を攻撃されてビビったあんたのせいであんな目にあったんだからね。借りは返しておかないといけないでしょう?」

トリケラトップギルディ「……ふっ。その通りだ。この姿に固執した私の迷いこそが全ての責! 今こそ捨てよう、我が誇り!」

杏子「なに?」

マミ「誇りを、捨てる……?」

ほむら(三本あるうちの中心の角に、手をかけた?)

さやか「どういうことよ、トリケラトップギルディ!」

トリケラトップギルディ「ホーリーブルーよ。お前が仲間を守る騎士になるというのならば――私は、それを打ち砕く鬼となろう!」バキイ!

797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:07:17.97 ID:0nbkVUr+0

さやか「な!?」

ほむら「自分の角を砕いた!?」

マミ「そ、それどころか、トリケラトップギルディの体表に、ヒビが……!」

杏子「まさかあいつ、自爆する気か!?」

まどか『ど、どうしてそんなことをしちゃうの!?』

QB『いや、違うよ。あの角は――』

「グ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

ほむら「……っ」ゾッ

マミ「こ、このプレッシャーは……!」ゾクリ

杏子「……ははっ。なんだありゃ……」

さやか「赤黒い肌に、二本角で棍棒。なによりこの威圧感――さしずめ鬼のエレメリアンってとこかな……?」ブルリ

まどか『そんな。ここに来てパワーアップだなんて……』

QB『あの角は、本来の力を隠す封印だったんだろう。おそらくあの力は、理性と引き換えに振るわれる暴虐だ』

さやか「理性と引き換えの力……」

オーガギルディ「……そうだ。これが私の最終闘体、オーガギルディ……! 理性を捨て、闘争だけを求める醜い姿だ!」

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 00:29:52.46 ID:0nbkVUr+0

マミ「オーガギルディ……これが、トリケラトップギルディの最終闘体……!」

ほむら「いいえ。最終闘体なんて言ってるけど、ドラグギルディやプテラギルディのそれとは、根本から異なるわ」

杏子「ああ。封印って言ってたし、むしろあれこそがあいつの本当の姿なんだろうよ」

さやか「理性があろうがなかろうが、姿が整っていようが崩れていようが、どーでもいいよ!」

ほむら「……そうね」

マミ「確かに、ブルーの言う通りだわ」

杏子「……だな。あたし達はいつも通り……この変 共をブッ飛ばすだけだ!」

さやか「そうだよ! 食ら――なっ!?」

オーガギルディ「――諦めよ」バキン

ほむら(さやかのサーベルを、片手で握りつぶした!?)

杏子「さやか!」

マミ「ブルー!」

ほむら「だめ! 二人とも、迂闊に飛び込んでは――」

オーガギルディ「ホーリートライアングル――いや、ホーリーカルテットよっ。貴様たちの勝機は、ブルーの恋と同じく……ゼロだ!」


ドゴオォオオオオオオン!


マミ「きゃあ!」

杏子「ぐ、がぁ……!」

さやか「杏子、マミさん!?」

804: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:27:03.57 ID:0nbkVUr+0

マミ「うぅ……」

杏子「くそ、がぁ……!」

ほむら「くっ……! 二人とも、少しの間下がっていなさい!」

ほむら(あの二人が、一撃でなぎぎ払われた。しかもかなりのダメージを負わされている。なんて剛力なの……!)

さやか「この……よくも杏子たちを! 第一、あたしの恋と同じなら、勝機は少しくらいならあるってことでしょう!?」

オーガギルディ「いや、ゼロであろう!」ボゴン!

さやか「っあ……!」

オーガギルディ「これでわかったであろう。お前の非力さが――む?」

さやか「まだ、まだぁ……!」

ほむら「さやか……」

オーガギルディ「まだ立つか。いくら装甲に守られていたとしても、全治三か月はくだらぬほどには食らわしたはずだが……」

さやか「あんたなんかに負けるもんか……! あたしは諦めない。諦めが悪いのが、幼馴染ってもんでしょう……!?」

805: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:27:32.96 ID:0nbkVUr+0

まどか『さやかちゃん……平気なの?』

QB『彼女の傷は尋常でない速度で治っていっている。おそらく、幼馴染属性のエレメーラによる時間の逆光が自動的に展開されているんだろう』

オーガギルディ「なるほど。お前も幼馴染属性を持つものであったな。時間の逆光による傷の治癒は持ち合わせていたか。ならば――これは……どうだ?」

さやか「――え?」

まどか『オーガギルディさんが一瞬でさやかちゃんの目の前に!?』

オーガギルディ「――なるほど。やはり時間操作による移動はできぬようだな」ヒュ

さやか「っ」

さやか(前――後ろ――いや、上――くそっう! 全然追えない……! こうなれば一か八かで――)

さやか「――後ろだぁ!」ヒュン

オーガギルディ「――いいや、正面だ」

さやか「ぁ」

さやか(やば……これ、ダメなやつだ。あたし、やられ――)

ほむら「――っ」

カチリ

オーガギルディ「――む? 消えた……いや、これはブラックの力か」

ほむら「……ふぅ」

さやか「た、助かった……。ありがと、ほむら」

ほむら「いいえ。助け合うのは当然のことよ。わたし達は一人で戦っているのではないの」

さやか「……うん。そうだね」

マミ「そうよ。自分の力に不足を感じたら、その分を補い合えばいいの」

杏子「だな。一回一人で先走って負けちまったことのあるあたしだからこそよくわかるけど、そうやって仲間に補われた分だけあたし達は強くなれるんだ」

さやか「杏子……マミさん……」

806: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 01:28:04.77 ID:0nbkVUr+0

ほむら「あなた達、もう平気なの?」

マミ「ええ。美樹さんが頑張ってくれたもの」

杏子「あんなん見せられて、寝てるわけにもいかねえからな!」

ほむら「ふふっ、そうね。同感だわ。――じゃあ、今度は四人で力を合わせるわよ」

さやか「うん!」

杏子「ああ!」

マミ「ええ!」

オーガギルディ「私の一撃を食らってなお、全員が立ち上がるとはさすがだ。だが四人でかかってきたところで、貴様らに勝てる見込みなどあるのか?」

杏子「……」

マミ「……」

オーガギルディ「勝てるというのか、この私に! 他のすべてを薙ぎ払い、圧倒するような力がお前たちにあるというのか!?」

杏子「……分かってねーな、オーガギルディ」

マミ「ええ。強くなるっていうのは、そういうことではないの」

ほむら「私達は頂点を極めた圧倒的な力なんていうのに、興味なんてないのよ」

さやか「あたし達は……みんなを守る。正義を守る杏子を守る。この世界の人を守るをマミさんを守りたい。まどかを守るほむらを守りたいっ。それは難しいけど――そのためなら、どんなにカッコ悪い戦い方だってする!」

オーガギルディ「それほどの覚悟で戦っていたとは……!」

さやか「そうだよ! そのためなら、どこまでだって強くなれる!!」

オーガギルディ「その底なしの精神性こそが頂点の極みだというのだ……! いわば未完の最強! 未完ゆえの最強形態! 恐るべし……誇り高き戦士、ホーリーカルテット!」

856: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 21:32:06.35 ID:0nbkVUr+0
オーガギルディ「ゆくぞ! 全力の私についてこれるか!?」

ほむら「来るわ! 全員、手を離さないで!」

マミ「いえ、リボンで全員をつなぐわ」

杏子「そっちのほうが動きやすいな!」

さやか「さっすがマミさん!」

オーガギルディ「ホーリーブラック! お前がいかに時に干渉できるとはいえ、いかに幾多ものエレメーラを見に宿しているとはいえ、時間干渉能力を全開にした私についてこれるか!?」

ほむら「できるできないの問題じゃないの。たとえ無理でも……それでも、食らいつくのが私の役目よ!」

857: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 21:33:18.06 ID:0nbkVUr+0

ほむら「はぁああああああああああああああ!」

オーガギルディ「ぬううううううううううん!」


バッチィィイイイイイイイイン!


まどか『すごい戦い……。モニターじゃ、何が起こってるのか全然わからないくらい……!』

QB『どちらも「時間」の上に互いの二足を踏みしめて戦っているんだ。時間干渉能力がなければその全容を把握しようがない』

まどか『うん。でも、みんな戦ってるんだよね』

QB『それは疑いの余地もないね』

まどか『分かってるよ。だって、感じるもん』

QB『感じる……?』

まどか『そうだよ。みんなが頑張ってるって、教えてくれるの。……ほむらちゃんの中にあるわたしのツインテールが!』

871: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 22:17:08.00 ID:0nbkVUr+0

ほむら「――今よ!」

マミ「ティロ・ブラスター!」ドオン

杏子「グランドランサー!」ザシュン

オーガギルディ「ぐっ、がぁ……!」

さやか「どーしたの? 鬼ごっこはもうお終い?」

オーガギルディ「よ、四人がかりとはいえ、私の時間干渉に対抗するとは大したものだ……! だが、何故だブラック?」

ほむら「何がかしら?」

オーガギルディ「時間干渉能力は、どれだけ超絶の装備を得ようと、どれだけ強大な肉体を備えようと、そうたやすく手綱を握れるものではない!」

杏子「はっ、何だよ。いまさら負け惜しみか?」

マミ「お株を奪われた言い訳かしら?」

オーガギルディ「違う、そうではない! たとえテイルギアで強化された肉体、装備、それに匹敵する精神力と言えど、これほど短時間に連続して時を超えれば、時の時のうねりに精神を蝕まれ崩壊してしまうはず!」

ほむら「それ、は……」

オーガギルディ「何故だ、ホーリーブラック! なぜ貴様はここまでできる!」

ほむら「……もう人間じゃないから、かしら」

875: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 22:59:40.74 ID:0nbkVUr+0

さやか「ほむら……」

まどか『ほむらちゃん……』

ほむら「それでも、私は後悔していない。それが必要なことだったから、そのことに対しては――後悔なんて、あるわけがないのよ!」

オーガギルディ「なぜっ、なぜそこまで……! 貴様は何のために戦うというのだ!」

ほむら「過去も現在も、私が祈る願いはたった一つだけ!」

オーガギルディ「なに……!?」

ほむら「守りたい大切な人――まどかの、未来のためよ!!」

ほむら『インキュベーター! 属性力の解放を行うわ!』

QB『わかった。君の信じるエレメーラを叫ぶんだ!』

ほむら『ええ!』

ほむら「チャイルドフッド・オン!」

876: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:00:06.80 ID:0nbkVUr+0

オーガギルディ「チャイルドフッド、だと? なぜだ! 先ほどまで、貴様に幼馴染属性はなかったはずだ!」

ほむら「愚問ねっ。人の思いは一瞬一瞬で進化するし、たとえ幼馴染でなくとも幼馴染属性を芽生えさせることは可能なのよ!」

オーガギルディ「くっ。ならば貴様は、一体どのような思いで今、幼馴染属性を芽生えさせたというのだ」

ほむら「知れたこと! これは――まどかとさやかの間にある、幼馴染という私には決して得られない絆をうらやんで嫉妬していたら生まれた力よ!」

さやか「なんだぁその不毛な理由は!?」

まどか『ほ、ほむらちゃん……』テレテレ

さやか「おいまどかぁ!? いまの照れるところじゃないよね絶対!」

マミ(……聞かなかったことにしましょう)

杏子(……もはや意外でもなんでもねーや)

877: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:01:49.66 ID:0nbkVUr+0

さやか「くっそう。ちょっと親友がひどすぎるんですけど――……あれ? 力が湧いてくる……?」

ほむら「当然。私のチャイルドフッドは援護型のエレメーラ。ブルーの力を底上げする、対ブルー専用のエレメーラよ。身体機能の強化に加えて、痛覚遮断までしてくれる優れものよ!」

さやか「いや、最期の一言に隠し切れない悪意がにじみ出てんだけど……」

マミ(嫉妬って言っていたものね……)

杏子「ま、まあ、何だ。パワーアップできるなら、いいことじゃねーか」

さやか「確かにそうなんだけど――」

まどか『対さやかちゃん専用の……ほむらちゃんが、さやかちゃんに……?』

さやか「――ひぃっ」ゾッ

まどか『考えてみれば、さやかちゃん……向こうのほむらちゃんともすぐに打ち解けてたし……これは、もしかして……?』ブツブツ

さやか「こ、怖いっ。なんかいろいろ怖い! このエレメーラ、誰も幸せにならない! 早く決着をつけよう!? ねえ、レッド、イエロー!」

杏子「お、おう」

マミ「そ、そうね……」

891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:29:55.81 ID:0nbkVUr+0

ほむら「確かに、もう決着をつける頃合いね。さあ、行きなさいっ、ブルー!」

さやか「やめて! このタイミングで名指しはちょっと――うっ」ゾクリ

まどか『さやかちゃん……この戦いが終わったら――ちょっとお話ししよ?』ニッコリ

さやか「うわぁああああああああああああん! もうヤケだぁ! 玉砕覚悟で突っ込んでやるぅううううう!」

オーガギルディ「真正面からとは……見事な潔さだ、ホーリーブルー!」

マミ「レッド! ブルーを援護するわよ! ――最期の前の戦いくらい、花を持たせてあげましょう!」

杏子「おう、わかった! ――ブルー! 最期へのはなむけだ! 止めは任せたぞ! その成果を生きた勲章にしろ!」

さやか「なんでアタシが死ぬこと前提なんだよぉおおおおおぉぉ――うぉおりゃぁああああああ!」

オーガギルディ「ぐ、ぐがぁ、ぁあああぁ――ぐわぁあああああああああああああああ」

892: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:30:47.82 ID:0nbkVUr+0

さやか「ぜえっ、はぁ……か、勝った……!」

杏子「ああ。これは、まぎれもないお前の成果だ」

マミ「ええ。胸を張って誇っていいわよ」

さやか「何でだろう……仲間の優しい言葉をかけられて、激戦をくぐり抜けて手にした初勝利だってのに――」

ほむら「やったわね、さやか!」

まどか『うん! 本当にすごいよ! ねっ…………――さやかちゃん』

さやか「――それだっていうのに、なんでこんな虚しい気持ちなんだろう……?」

マミ(……見てられないわ)

杏子(……神には祈っておくよ、さやか)

オーガギルディ「……ぐふっ――ふっ、浮かぬ顔だな。ホーリーブルーよ。もしや私に同情でもしているのか? 倒した敵に情を向けるようでは、この先が思いやられるぞ?」

さやか「いやそういうわけじゃないんだけど」

オーガギルディ「そうか。そうだな、それで良いのだ。……ホーリーカルテットよ。貴様ら四人と、そして『まどか』との関係は、良いものだな」

さやか「え? そう?」

マミ(美樹さんの目が死んでるわ……)

杏子(帰ったら、できるだけフォローはしておいてやらねえとな……)

899: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/28(土) 23:33:33.83 ID:0nbkVUr+0

オーガギルディ「ああ……。特にブルーとブラックの関係は、羨望すら覚える……」

さやか「やめて。もうやめて……ただでさえ残り少ないさやかちゃんの生還フラグをたたき折るのはもうやめてよぉ……!」

ほむら「何を言ってるのかしら。私とさやかは、幼馴染ですらないわよ。決してうらやましがられるような間柄ではないわ」

オーガギルディ「確かにお前たちは幼馴染ではない。だが、そこに確かなつながりがあるのだ。お前たちのように遠慮のない言葉を交わしあっていれば、あいつも救われたのかもしれんな……」

まどか『…………』ジィー

さやか「こいつ死ぬ直前まであたしにとどめさしに来てるんですけど……」

オーガギルディ「ふっ。そうか。ブルーよ。友人を大切にするのは当然だが――幼馴染も大切にな」

さやか「……ふんっ。敵に言われるまでもないわよ!」

まどか『ぁ……』

オーガギルディ「ふはははっ、そうであったな! 停滞せず先へと進む幼馴染、ホーリーブルー! 貴様こそ、勝者だ!」


チュドオオオオオオオオオオオオオオン!


杏子「……」

マミ「……」

ほむら「……」

さやか「……ばいばい、オーガギルディ」

967: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:12:06.42 ID:AczxukJt0

・おまけ1『さやかのテイル』



ほむら「ねえ、さやか。あなた、トリケラトップギルディとの戦いの時に初めて変身したけれども……その時から実は気になっていたことがあるのよ」

さやか「お、どうしたの?」

ほむら「なぜ変身するとき『チャイルドフッド・オン』ではなく『テイル・オン』と叫ぶのかしら」

さやか「え」

ほむら「あなたは確かにエレメーラの力のみで変身しているわけではないそうだけども……それでもあなたの属性上『チャイルドフッド』のほうがふさわしいんじゃないかしら」

さやか「……」

968: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:14:36.80 ID:AczxukJt0

さやか「……ねえ、ほむら」

ほむら「なにかしら?」

さやか「テイル・オンのテイルってさ……『架空』のテールと『ツインテール』もしくは『ポニーテイル』のテイルにかけてるよね」

ほむら「ええ。そうね。でもあなた、髪型の属性は皆無でしょう?」

さやか「確かにそうだけど……あたしね。並行世界に行ったときにあっちのほむらに聞いたの。このグリーフシードになる前のあたしって、人魚の姿が大本になってるんだって」

969: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:18:02.36 ID:AczxukJt0

ほむら「それは……言われてみれば、確かにそうだったわね」

さやか「でしょ? で、あたしの変身はその人魚になっちゃったあたしの力も借りてるわけなのよ」

ほむら「ふうん?」

さやか「だから、あたしのテイル・オンのテイルは、髪型のテイルじゃない。その人魚になっちゃったあたしが持っていた『尻尾』のテイル、と『架空』のテールのダブルミーニングなんだよ。並べても『架空の人魚』で、意味自体の通りもいいしさ」

ほむら「……」

970: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:21:07.77 ID:AczxukJt0

ほむら「……で? 本当のことを言ってみなさい?」

さやか「いやだってあたしだけ変身の時に『チャイルドフッド・オン』とか叫んだら、仲間外れみたいで嫌じゃん……」

971: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:29:55.51 ID:AczxukJt0

・おまけ2「杏子の事情」


さやか「杏子ってさー、テイルギアで変身したの、ほむらの次だったよね」

杏子「ん? そうだけど、いきなりなんだよ」

さやか「いやー? 変身の順番が二番目で、色がレッド! 戦隊物のいいとこどりで、エレメリアンとの戦闘回数もトップクラスでしょ?」

杏子「お、おう。そうだな……。なんだよ、照れるじゃねーか」

さやか「しかも聖女様ときた!」

杏子「それは余計だボケ」

さやか「あははっ。……でもさ」

972: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:38:41.66 ID:AczxukJt0

さやか「杏子って普通のエレメリアン相手ならともかく、幹部戦であんまりいいとこないよねー」

杏子「なっ!?」

さやか「ドラグギルディには一騎打ちで負けちゃったし、ケルベロスギルディとプテラギルディ戦の主役はマミさんでしょ? んでもって、トリケラトップギルディ戦はさやかちゃんが活躍しまくったわけだ!」

杏子「お、お前なぁ……!」

さやか「んんー? このままだと戦隊もののいいとこどりした聖女様が、対幹部エレメリアンで主役張れないのかな? エレメリアンのラスボスの相手はどう考えてもほむらだろうしさ」

杏子「よし。面かせさやか。ちょっとぶちのめしてやる」

973: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:43:17.41 ID:AczxukJt0

さやか「言葉で勝てないからって暴力かよ!」

杏子「るっせぇ! 肉体言語で話し合おうつってんだよ!」

さやか「赤のあんたがそれ言うなよっ。それは青のためにある言葉なんだ!」

杏子「じゃーなおさらお前と拳で語り合えそうだな、この青魚!」

さやか「んだとぉ!? やるかぁ!?」

杏子「おおっ、やろうじゃねーか!」

974: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/01(日) 01:54:53.87 ID:AczxukJt0
マミ「……あら? あの二人はまたケンカ? 仲が良いのね」

ほむら「ええ、まったくね」

まどか「あ、あはは……」

ほむら(……これで杏子の加入の原因となったエレメリアン、スネクギルディが実は『妹(シスター)か修道女属性(シスター)のエレメリアンがあっちの原作にいなかったので、話の都合上仕方なく出演させたオリキャラ』なんだということを言ったらどうなるのかしら……。杏子が話の主役になったのって、事実上あの一回だけなのよね)

杏子「なんだぁっ、そのへにゃちょこパンチは! 青の風上にもおけねーな!」

さやか「うっさい! 生身のあたしに類人猿並の握力求めてんじゃないわよ!」

まどか「も、もうケンカはやめようよ! それに杏子ちゃんが向き合っている幹部のエレメリアンって、フェニックスギルディさんがいるじゃん!」

ほむら「あら」

さやか「そういえば……」

杏子「そ、そうだった……!」

引用元: QB「僕と契約して、ツインテールの戦士になってよ!」まどか「ツインテール……?」