1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/11(木) 23:45:34.72 ID:VTUSonkf0
―――斑鳩 ゼロ私室―――

ルルーシュ「蓬莱島に来て数日、中華との交渉も必要な分は全て済んだ」

ルルーシュ「合衆国日本の内政については、神楽耶に指示も出し、滞りなく進んでいる」

ルルーシュ「物資の調達や在庫管理は扇や藤堂に任せてある……問題はない」

ルルーシュ「そしてC.C.とカレンはそれぞれ偵察任務についている……久しぶりに一人だけの、自由な時間だ」

ルルーシュ「一人ではできない事も多いが、逆に一人でなければできない事だってある」

ルルーシュ「あいつらが帰って来ないうちに済ませなければな……よし、決行するなら今だな」





6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/11(木) 23:52:59.56 ID:VTUSonkf0
ルルーシュ「室内の温度、湿度とも数値に異常はない……」

ルルーシュ「俺自身の脈拍、心拍とも正常値……健康状態にも問題はない」

ルルーシュ「メンタルも非常に落ち着いている……先ほどハーブティーを飲んだのは正解だったな」

ルルーシュ「室内には俺一人。現在、誰かが尋ねてくる様子もなし」

ルルーシュ「姿見には汚れ一つない。角度のズレも一切ない……条件は全てクリアされた」

ルルーシュ「では改めて! ゼロとしてのポージングの練習を開始するッ!!」ビシィッ!

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/11(木) 23:58:39.82 ID:VTUSonkf0
ルルーシュ「……ふっ!!」バッ!

ルルーシュ「まぁこの程度は慣れたものか……では次、こうッ!!」バサァッ!

ルルーシュ「……今一つキレというか勢いが足りない……ではもっと大きく動きをつけてみるか」

ルルーシュ「ぃよぉっ!!」シュババッ!

ルルーシュ「ふははははは! いいぞ、やれるじゃないか!」ウットリ

ルルーシュ「だがこの程度は序の口だ……1年の時を経て新生した、より威厳あるゼロのポーズを世に見せつけてやる!!」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:04:17.29 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「ほあぁっ!!」ブワッサァ!

ルルーシュ「……これはダメだな、雄々しさというか、壮麗さが感じられん」

ルルーシュ「では次っ! そぉれっ!!」ビシィッ!

ルルーシュ「……うむ、次にブリッジで主砲の指示を出すときはこれでいってみるか」

ルルーシュ「ならこれはどうだ! はあぁぁぁっ!!」シュビビィッ!

ルルーシュ「ふはははははは! いいぞ、いいじゃないか! これほどの素晴らしいポーズならブリタニアも畏怖する事間違いなしだ!」

ルルーシュ「クククク、なんだか楽しくなってきたぞ……いいだろう、ならば極限を追求してくれる!!」ニヤァ

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:09:25.46 ID:2tCnu24C0
―――数十分経過―――

ルルーシュ「あはははは、素晴らしい! 自身の才能ながら怖くなりそうだ!」

ルルーシュ「ならば次はもっと派手に! 美麗に! 大胆に! 大きなアクションを加えてみるか!」

ルルーシュ「ぃよおぉぉぉっ!!」クルクルクルゥー…

ルルーシュ「ここで……そぉれぇっ!!」ビシィッ!!
プシューッ
C.C.「帰ったぞ……って」

カレン「何、やってんの……ルルーシュ」

ルルーシュ「!?」ビクゥッ!

 

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:15:29.52 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「お、お前達……」ク・ルゥーリ…

C.C.「実にスローな振り向きだな、動きに合わせてギギギィ~と錆びた音が聞こえてきそうだぞ」

カレン「えーっと……その、ね……」

ルルーシュ「み……見た、のか……?」オソルオソル

C.C.「ああ、この曇りのない澄んだ眼で拝ませてもらったとも。お前が姿見に向かって恥ずかしいポーズをきめているところをな」

カレン「正直、見なきゃよかったと思ってるわ」

ルルーシュ「」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:22:22.59 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ(まずい……真剣にまずい! 相手がC.C.とカレンでは『今見た事を忘れろ』とギアスをかける事もできない!)

ルルーシュ(ましてC.C.はこの事をネタにからかってくるに決まっている! こいつの性格はよくわかっている!)

ルルーシュ(最悪この事をバラしかねない……そんな事がディートハルトあたりに知れてみろ、たちまち艦内全域で笑い話にされる!)

ルルーシュ(ならば頼みの綱はカレンしかいない! カレンのゼロへの信頼は絶対だ、ゼロの秘密をバラす事はないはず!)

ルルーシュ「カレン、君ならわかってくれるだr

カレン「ルルーシュ。お願いだからこれ以上あたしを幻滅させないでほしいんだけど」

ルルーシュ「がっ……!?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:25:55.29 ID:2tCnu24C0
C.C.「おやおや、いくら親衛隊隊長殿でもこれは見過ごせないか?」クスクス

ルルーシュ「ま、待ってくれカレン! 俺の話を聞いて―――」

カレン「そりゃ正体知らなかったときは、ゼロの一挙手一投足見てかっこいいと思ってたけど」

カレン「正体がルルーシュだってわかっちゃったら、ルルーシュがあのポーズ決めてるって思うと……」

C.C.「思うと? なんなんだ?」

カレン「……あまり言いたくないけど、正直痛い」

ルルーシュ「」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:31:50.96 ID:2tCnu24C0
C.C.「ふふっ! 痛いか、そりゃ痛いよなぁ?」

C.C.「一人で鏡の前に立って、ビシッ! シュバァッ!って……く、くくくっ」

カレン「そんな事言うけど、あんただって影武者であのポーズやってるんでしょ? 充分痛いわよ」

C.C.「私をそこの坊やと一緒にするなよ。本音をいうと、あんないかにも『俺カッコいい』なポーズやりたくないんだ」

カレン「まぁ普通そうよね……ノリでやってるならともかく、練習までしてるとは思わなかったわ」

ルルーシュ「……黙れ……」ワナワナ

C.C.・カレン「ん?」

ルルーシュ「黙れ貴様らぁぁぁぁっ!! 練習して何が悪いぃっ!!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:38:02.17 ID:2tCnu24C0
C.C.「なんだ逆切れか。大人気ない坊やだな」

ルルーシュ「五月蠅いッ! ……こんな真似するのも、元はといえば君が原因だぞ、カレン!」ギンッ!

カレン「はぁっ!? 何よ、いきなり人のせいにして!!」

ルルーシュ「そうだろうが! あのとき新宿で、俺に言った事を自分で忘れたのか君はぁ!」

カレン「言った事……って確か」

ルルーシュ「言ったよな、俺に! 『最後の最後まで騙せ、今度こそ完璧にゼロを演じきってみせろ』とっ!」

カレン「そりゃまぁ、言ったけど」

ルルーシュ「だからこそゼロとしての完成度を高めるべく研鑽を積んでいたんだ! 文句はあるかぁっ!」

カレン「」

C.C.「やれやれ。子供丸出しだな」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:43:44.85 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「ゼロの演出の妙は派手で壮麗なポーズと共に起きる奇跡に在る! どちらかが欠けてもならないんだ!」

ルルーシュ「そして1年の不在を経てなお健在という事もアピールせねばならない! だから努力を怠るわけにはいかんのだ!」

カレン「だからってあんた、ポーズ先行でやるのもどうなのよ?」

ルルーシュ「まだいうか……えぇい、ならば君が憧れたゼロの仮面を被る! これなら幻滅も何もないだろう!」カポッ

カレン「直前まで素顔見てたわけだし、今更被っても……」

C.C.「恥を隠すどころか上塗りしてるぞ、ルルーシュ」

ルルーシュ「くっ……なぜだ、なぜこんな事に……」スポッ

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:52:57.61 ID:2tCnu24C0
カレン「正直別に練習しなくても、今までどおりでいいんじゃない?」

ルルーシュ「ダメだ。同じものの繰り返しではやがて飽きが来る、新作の開発は急務だ」

ルルーシュ「これから数多くの奇跡を起こす事になるんだ、その都度ポーズが同じというのは絶対に避けるべきだ!」

C.C.「言い換えれば奇跡の数だけ恥をかくわけか」

ルルーシュ「俺は今までのポーズを恥と思った事はない!!」キッ!

カレン「ルルーシュ……あんた頭いいけど、馬鹿なの?」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 00:56:12.72 ID:2tCnu24C0
C.C.「だが実際これまでのポーズも好意的に受け入れてるのは少ないと思うぞ?」

カレン「あたしも正体知る前はともかく、今はちょっと……ねぇ?」

ルルーシュ「違うな、間違っているぞ。少なくとも子供や大きいお友達には大人気のはずだ」

カレン「あたしも去年学園の帰り道に見た覚えはあるけど……まぁ、子供がやる分には微笑ましかったわね」

C.C.「だが年齢重ねればああいうのやるのは恥でしかなくなるぞ」

ルルーシュ「ならば俺は何なんだ!! 決めポーズの数々を恥とも思わなかった俺は!!」

C.C.「ある種の病気だろ。それか素顔隠してるからできる事だ」

カレン「あのさぁ、さっきあたし達が入ってきたときの反応が全てを物語ってない?」

ルルーシュ「なっ……ぐっ、おのれぇっ……!!」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:04:31.36 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「だがそんな意見も未だわずかに二人だけだ、他がどうかまではわからんだろう!」

カレン「だったら扇さん達にも聞いてくればいいわけ?」

ルルーシュ「っ……」

C.C.「いい方法があるじゃないか。お前明日から数日間、エリア11に戻るんだろ?」

C.C.「アッシュフォード学園の生徒達にそれとなく確認してみればいいんじゃないか?」

ルルーシュ「だが学園ではスザクの目がある。大っぴらには聞けないだろう」

C.C.「だからそれとなくといったろ。ゼロの話題だって出るはずだ、そこに聞き耳立てればいい」

ルルーシュ「……よし、やってみるか……C.C.、留守の間は任せるぞ」

カレン「アッシュフォード学園、か……」

ルルーシュ「……やはり、懐かしいか?」

カレン「そりゃ懐かしいけど、今どのツラ下げて戻れるっていうのよ……」

ルルーシュ「……そうか」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:12:02.38 ID:2tCnu24C0
―――2日後 アッシュフォード学園 生徒会室―――

ルルーシュ(結局教室では対してゼロの話題が出なかったな。情報規制の影響か)

リヴァル「ちょいちょい、ルルーシュ! ちょっとこれ見てみろよ!」

ルルーシュ「ん?」

ゼロ『ゼロが命じる……』ウデクロスッ

ゼロ『黒の騎士団は全員、行政特区日本に! 参加せよッ!!』ビシィッ!!

ルルーシュ(あのときの映像か。このシーンが記録されているとは思わなかったな)

ルルーシュ(我ながらあのポーズは会心の出来だった。カレンの平手と生徒会のみんなの想いがあったからの完成度だ)シンミリ

リヴァル「ゼロってさー、一体いくつぐらいなんだろなー?」

ルルーシュ「は?」

リヴァル「いやさ、正直俺らくらいの年であんな事してたら痛くね?」ハフー

ルルーシュ「!?」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:13:51.23 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ(我ながらあのポーズは会心の出来だった。カレンの平手と生徒会のみんなの想いがあったからの完成度だ)

ルルーシュ(我ながらあのポーズは会心の出来だった。カレンの叱咤と生徒会のみんなの想いがあったからの完成度だ)

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:19:33.82 ID:2tCnu24C0
リヴァル「そりゃ派手だから子供とかは喜ぶだろうけどさー」

ルルーシュ「は、はは……そうだな……」

スザク「……」

ミレイ「ねぇねぇ、何見てんの?」

リヴァル「会長も見ます? ゼロの派手なポーズの数々」ホレホレ

ミレイ「うーわ、何度見ても派手通り越してちょっとひくわー」

シャーリー「こんなポーズ決めたがる人、友達にいてほしくありませんよねー」

ルルーシュ「……だよな、俺もそう、思う……」ヒヤアセ

ルルーシュ(そんなっ……これが世間の目だというのか!? 俺の、ゼロのポーズは恥ずかしいというのか!?)

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:27:47.94 ID:2tCnu24C0
スザク「あれ? ルルーシュならかっこいいっていうかと思ったのに」

ルルーシュ「何?」

スザク「だってルルーシュって、子供の時変身ヒーローのもの真似したりして……」

シャーリー「えっ、ルルってそんな趣味持ってたの!?」

ルルーシュ(スザクめ……俺がボロを出すよう仕向けているなっ!!)

ルルーシュ(俺はシャルルのギアスで記憶を変えられた設定だ、ここでイエスと答えては記憶が戻ってる事の証明になる!! だが……)

ルルーシュ「いやだなスザク、そんな事話した事あったっけ?」

スザク「え? いや……」

ルルーシュ「仮にそうだとしても、子供の時の話だし……それに俺だって高校生だ。恥という概念ぐらいあるさ」

リヴァル「そーだよなぁ、さっすがにいい歳こいてやんねーって」

スザク「あー、そう? そうか……」

ルルーシュ「そうそう、まったく……ははは」

ルルーシュ(くぅ……おのれ、おのれ貴様等ぁぁぁっ!!)

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:36:11.99 ID:2tCnu24C0
シャーリー「でもルルがヒーローの真似なんて、見てみたかったかも……」チラリ

ミレイ「シャーリーはルルーシュがやる事ならなーんでも歓迎なんでしょー?」

シャーリー「そっ、そんな事いってませんけどぉ……」

ルルーシュ「勘弁してくれよシャーリー。そんな事期待されても困るって」ハフー

スザク「……だったら僕がみんなに、素晴らしい決めポーズを教えてあげるよ」

リヴァル「え? なになに、スザクってそーいうの好きなんだ?」

スザク「好きとか嫌いじゃなく、騎士として当然の振る舞いだよ」

スザク「いいかい? 右手をこう水平に構えて、背筋伸ばすのと同時に足閉じて……」

スザク「ではみんなで一緒に、イエス! ユアマジェスティ!!」ビシィッ!

一同「「「」」」

ロロ「イエス! マイブラザー!」ビシィッ

ルルーシュ「あー……ハイハイ」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:42:01.04 ID:2tCnu24C0
―――数日後、斑鳩 ゼロ私室―――

ルルーシュ「……」ナミダメ

C.C.「どうだった? 世間様の目とやらは」

ルルーシュ「黙れ……うぅっ」グスッ

カレン「その様子じゃ散々だったみたいね……」

ルルーシュ「なぜだ、なぜみんなあのかっこよさがわからない……」グスッ

C.C.「それが一般の認識というものだ。わかったらあんなポーズの開発なんてやめとけ」

カレン「そうよ、ゼロは仮面とマント姿で佇んでるだけでもちゃんと存在感あるんだし……」

ルルーシュ「俺が……間違っているというのか……」

C.C.「直球でいえば、そうなるな」

ルルーシュ「違う……間違っているぞ!!」ユラリ

カレン「……はい?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:48:14.90 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「ゼロの奇跡はその壮麗なポーズと共に巻き起こる、ありえないような結果! この認識に間違いはない」

C.C.「壮麗かどうかはともかく、まぁそうだな」

ルルーシュ「やはりお前達もわかっているんじゃないか……そう、間違っているのは俺じゃない!! 世界のほうだ!!」

カレン「なんか、やな予感……」タジッ

C.C.「まぁまたバカな事始めるんだろうさ……やれやれ」

ルルーシュ「世界は変わる、変えられる―――」

ルルーシュ「そう、俺はゼロ!! 世界の常識すらも破壊し、創造する男だ!!」

ルルーシュ「フフフ……フフフハハハ……!! フハハハハハハハハハハハ!!」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 01:56:15.02 ID:2tCnu24C0
―――斑鳩 会議室―――
ゼロ「諸君。今日こうして集まってもらったのは他でもない……」

ディートハルト「また新たな作戦ですか? 情報操作でしたらお任せを」

ゼロ「頼らせてもらうとは思うが、まずは話を聞け。……諸君、先日の特区日本の件は覚えているな」

扇「あ、ああ。もちろんだ」

玉城「そりゃゼロの服着るなんて普通ねぇもんよぉ、張り切っちゃったぜ俺!」

神楽耶「まるで身も心もゼロ様になりきったかのようでしたわ♪」

ゼロ「そうか……だが諸君。君達は服を着ただけで私に……ゼロになったつもりでいるのか?」

藤堂「ゼロ、どういう事だ?」

ゼロ「諸君はあのとき、ただ服を着ただけだ! 心からゼロを演じたとは言えない!!」シュビッ!

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:04:39.76 ID:2tCnu24C0
千葉「心からゼロを……演じる?」

ラクシャータ「全っ然意味がわからないんだけどぉ?」

ゼロ「わからないという事は、諸君が普段私をちゃんと観察していないという事だ」

ゼロ「この私、ゼロを語るにあたって、この装束以外の特徴がわからないか?」

朝比奈「そりゃ……起こした奇跡? でも特徴じゃないよねぇ」

ゼロ「惜しいと言っておこう。私が言っているのは、諸君らでも再現可能な特徴だ」

扇「と言われても、なぁ……」

C.C.「おい、もう面倒だから言ってしまったほうが早いぞ」

ゼロ「そうだな……では諸君、私のポージングを再現してみろ、今この場で!!」バッ!

一同「「「!!??」」」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:14:16.18 ID:2tCnu24C0
玉城「ぜ、ゼロのポーズを……」

南「再現!?って……」

朝比奈「ゼロ、いきなり何を言い出すんだ!?」

ディートハルト「お言葉ですがゼロ、あのポーズはあなたがやってこそのものです! それにあれは、あの場限りの策だったのでは……」

ゼロ「違うな、間違っているぞ。今後またああいった策を使う機会もあるかもしれない」

ゼロ「それにゼロはあくまで記号の存在。私もいわばゼロを演じている一人に過ぎんのだ」

ゼロ「その一役者の私が不測の事態で倒れる事があったら、代わりに演じる者が必要となる」

ゼロ「代役を務めるものとて、ゼロを演じるなら完璧でなくてはならん。知略もそうだが、まずは入り易い外見からだ」

ゼロ「ゼロの外見はこの装束だけで構成されるものではない、事あるごとにとるこのポーズもセットでゼロの姿なのだ!!」

ゼロ「そして諸君は特区日本の作戦で外見だけとはいえ私を演じた、だがやるならやはり完璧だ!!」

ゼロ「よって!! 諸君には全員!! 私のポージングをマスターしてもらう!!」

一同「」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:20:10.15 ID:2tCnu24C0
千葉「なんだそれは!? わ、私は嫌だぞ!」

ゼロ「ほぅ? 何故だ、千葉よ」

C.C.「正直に言ってやれ。こいつだって言われる覚悟はあるさ」

ゼロ「そうだ。言っていいのは、言われる覚悟のある奴だけだ!」

千葉「な、ならば……(ゴクリ)ゼロ、悪いが正直言って恥ずかしい!!」

扇「す、すまないゼロ……俺も正直恥ずかしいんだ」

朝比奈「僕もこの歳になってあのポーズはちょっと……」

ゼロ「恥ずかしい? ……恥ずかしいとは情けないな」

千葉「なっ、なんだと!?」

ゼロ「我々は二度ブリタニアに敗れ、それでもこうして立っている身だ。今更恥や外聞を気にする必要があるのか?」

藤堂「……ふむ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:27:56.04 ID:2tCnu24C0
ゼロ「私も先の敗戦の一因を担った以上、悔しさはある。ならばその悔しさをバネにし、より高みを目指さねばならない」

ゼロ「それにあたって私は自身の恥や外聞は切り捨てた。そんなもの抱えていては、今こうしてここに立っていない」

藤堂「……なるほどな。言いたい事は察した」

朝比奈「でも藤堂さん! あんな特撮ヒーローみたいなポーズ、いい大人になって―――」

ゼロ「では朝比奈よ、いい大人でありながらああいったポーズをとる私はおかしいのかな?」

朝比奈「う……」

ゼロ「考えてみろ。ゼロを演じきる者が増える事はすなわち、このゼロという記号の存在の秘匿性を高める事にもなる」

千葉「つまり、かつてのように処刑を騙られて姿を消すということも防げるという事……」

ゼロ「察していただけたなら幸いだ。ならわかった者から順次やってもらおうか」

玉城「おうよ!!(シュビッ)こうか? こうだろゼロぉ!」

ゼロ「腰の入りが甘いぞ。鍛錬が足りん」

玉城「ちぇ~っ」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:35:58.04 ID:2tCnu24C0
ディートハルト「ゼロ、つまりあなたが言いたいのは先の作戦同様、『木を隠すなら森の中』を徹底させるという事ですね?」

藤堂「我々の認識はゼロは彼個人だが、世間に対してはそれを特定させない……単純ながら重要な事だな」

ゼロ「そういう事だ。私一人でなく、全員でゼロという存在を完全にしなくてはならない」

南「でもゼロ、やっぱり恥ずかしさはあると思うぞ」

扇「ああ、俺達もう30近いんだし……」

ゼロ「恥は捨てろといったのにまだ言うか……ならば一つ、真理を説いてやろう」

千葉「真理? 一体なんだ?」

ゼロ「古来より日本に伝わる言葉ゆえ、知ってる者も多いはず……今の諸君にはうってつけだ」

ディートハルト「ゼロ、その言葉とは!?」ワクワク

ゼロ「その真理とは……『赤信号、みんなで渡れば怖くない』ッ!!」

一同「」

カレン「(要は一人じゃ恥ずかしいからみんな巻き込もうって事じゃないのぉっ!!)」ヒソヒソ

C.C.「(やれやれ、どこまでも困った坊やだ)」ヒソヒソ

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:44:08.07 ID:2tCnu24C0
玉城「でもゼロぉ、おめーのポーズたくさんあって全部は覚えらんねーよぉ、俺頭悪ぃからよぉ!」

ゼロ「だが全てを覚えてもらわねばならない。それが完全に演じるという事だ」

扇「で、でも……」

神楽耶「まぁ練習すればできなくもないかもしれませんが……」

ゼロ「ほぅ? さすが神楽耶様はわかってらっしゃる」

神楽耶「ですが私は妻としてお傍に控えているべきで、演じる必要はないのでは?」

ゼロ「ダメです、例外は認めません」

藤堂「……ゼロよ、それは我ら黒の騎士団のみが対象か?」

ゼロ「違うな。あのときゼロを演じたのは百万人の日本人。それら全てが対象だ」

朝比奈「子供やお年寄りまでいるのに、全員に徹底させるなんて無理なんじゃ……」

ディートハルト「ですがその無理を現実にすれば、また新たな奇跡となります」

藤堂「ふむ……」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:49:27.66 ID:2tCnu24C0
神楽耶「ねぇゼロ様、その百万人総ゼロ化計画ですが、具体案はあるんですか?」

ゼロ「それを話し合うためにこうして集まってもらったのです」

千葉「つまり、ノープランなのか?」

ゼロ「当初は黒の騎士団総員で先にマスターし、そこから徐々に広めていくつもりだったのだがな……」

藤堂「……温いな」

ゼロ「何っ!?」ガタッ

朝比奈「藤堂さん、まさか!?」

藤堂「ゼロ、ここは私に任せてもらえるか?」

ゼロ「やれるのか、藤堂!?」

藤堂「フ……かつて奇跡と呼ばれた以上、私も結果を出さねばな……」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 02:56:56.47 ID:2tCnu24C0
ゼロ「して藤堂、お前の策とは如何に!?」

藤堂「落ち着けゼロよ。……玉城!」

玉城「お!? おぅ、なんだよ旦那?」

藤堂「お前の抱える問題とは覚えられない事、そう言ったな?」

玉城「おぅよ、しゃーねぇじゃんよ、頭悪ぃんだからよぉ!」

藤堂「千葉! 朝比奈! 扇!」

3人「「「は、はいっ!!」」」

藤堂「お前達はひた恥ずかしい、これが最大の問題なのだな?」

千葉「え、あ……はい///」

朝比奈「藤堂さんの言動なら、いくらでも真似れるんですけど……」

扇「俺や南も、年齢的な事もあるし……」

藤堂「つまり年齢や性別に縛られず、体に直接覚えさせる事が出来なお且つ恥ずかしくない……そういった習得方法を編み出せばよいのだな?」

ゼロ「まさか藤堂、お前!!」

藤堂「私に策が浮かんだ。その全てを解消する策がな」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:04:10.84 ID:2tCnu24C0
藤堂「とりあえずまずはプロジェクトチームを組んだ方がいいな」

ゼロ「よし……ならばまずは私と藤堂、それに―――」

藤堂「千葉、朝比奈、それにディートハルト。お前達にも協力してもらう」

千葉・朝比奈「「藤堂さんのご命とあれば!!」」

ディートハルト「私をご指名という事は、メディアを使うのですか?」

藤堂「ああ。日本人に馴染み易いやり方を採る」

神楽耶「私にできる事はございますか?」

藤堂「いえ、ここはまず見ていて頂きたい」

神楽耶「そうですか~、残念……」

C.C.「ひとまず私達は外されて安心ってところか」

カレン「油断しない方がいいんじゃない? ……あいつと藤堂さんだし」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:10:17.46 ID:2tCnu24C0
―――数日後―――

カレン「……く~……」zzz

カレン「ん……うぅ……るるーしゅの、ばかぁ……」スヤスヤ

ゼロ『諸君ッ!! おはようっ!!』キィー…ン!(※大音量で全艦放送)

カレン「ふわゎぁっ!?」ビクッ!!

ゼロ『起きた者は順次自室のテレビを点けろ! 先日の成果を見せてやる!』

カレン「テレビって、一体何なのよもう……」

カレン「ん……っと」ポチッ

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:17:25.48 ID:2tCnu24C0
ブゥン!
カレン「って何これ、千葉さんと朝比奈さん?」

千葉『み、みんな~、おはよぉ~っ!!///』テェフリフリ

朝比奈『今日から始まる、朝のゼロ体操の時間だよぉ~っ!!』ヒキツリ

カレン「はい?……ゼロ体操って、何??」キョトン

千葉『じゃあみんな、お姉さんとお兄さんの動きに合わせて、いっしょにやってみよぉ~っ!!』

朝比奈『準備はいいかな? それじゃ、いっくぞぉ~っ!!』

チャーンチャラチャッチャッチャチャ チャーンチャラチャッチャッチャチャ チャラチャチャチャラチャチャタララララン♪

朝比奈『腕を大きく広げて、背伸びの運動ぉ~っ!』

千葉『さん、はい♪』

ターン ターン チャーンチャン ターン ターン ターン…♪

カレン「」

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:23:34.69 ID:2tCnu24C0
―――数分後―――

千葉『はい、これでゼロ体操第一はおしまいっ!』

朝比奈『第二もあるんだけど、それはまた次の機会にねっ!』

千葉『みんな、この体操で毎朝トレーニングしながらかっこよさを磨いてね♪』

朝比奈『続ければきっと君も、とうd……ゼロのようになれるはずさ!』

千葉『それじゃあ今日はここまで!』

千葉・朝比奈『それじゃあ、またね~!』

ナレーション『この番組は、合衆国日本国営放送がお送りしました―――』

ポチッ

カレン「……何これ」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:30:23.39 ID:2tCnu24C0
―――斑鳩内 収録スタジオ―――

ゼロ「ご苦労だった、二人とも」

藤堂「よく頑張ってくれたな、ほれタオル」

朝比奈「い、いえ……藤堂さんのためなら、これくらい何でもないです!」

千葉「ちょっと恥ずかしかったけど、まぁ……一応、アリかな~と……」アセフキフキ

カレン「あ、あの~、ゼロ……?」テッテッテッ

ゼロ「カレンか。派手に寝癖が立ってるが……何だ?」

カレン「ふぇっ? あーいや寝癖はともかく! あの、さっきのアレ……何ですか?」

ゼロ「見ての通り。朝のゼロ体操第一だ」

カレン「いやゼロ体操って何!?」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:41:00.90 ID:2tCnu24C0
藤堂「紅月、私から説明しよう」スッ

カレン「あー……はい、お願いします」

藤堂「先日の会議でのオーダーは覚えているな?」

カレン「えっと、年齢や性別関係なしで、体で直接覚える形でなお且つ恥ずかしくない、でしたっけ?」

ゼロ「その通り。ちゃんと覚えていたか、やはり優秀だなカレン」

カレン「え、えへへ……じゃなく、何でそれが体操に?」

藤堂「体で覚えるならば不自然ではなく自然な形で入る事が必要だ。よくよく見ると派手なポーズが自然な形で織り込まれている、私はそれでラジオ体操を思い出した」

ゼロ「そうだ。カレン、君も日本人ならば小学生時代に経験したはずだろう」

カレン「そりゃありますけど」

藤堂「ラジオ体操の様なものなら毎日繰り返す事によって自然と動作を覚える。これにゼロのポージングを上手く織り込むと、知らず知らずのうちに体が覚える事になる」

藤堂「年齢層も性別も関係ない。そして気軽に出来る。それにどうだ、みんなやる事だし恥ずかしくもないだろう?」

ディートハルト「なるほど、この機転こそが奇跡の藤堂と呼ばれる所以……!!」

藤堂「ふ、よしてくれ。大した事はしていない」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:50:03.00 ID:2tCnu24C0
ゼロ「一般国民も私の存在に対して憧れを持っている。その私に近付けるというなら、この体操が日課にもなろう」

藤堂「ああ。加えて体操という以上、健康増進効果も考慮してプログラムを組んでいる。平均寿命が延びて日本の行く末も安泰だ」

ディートハルト「ゼロと藤堂鏡志朗、奇跡の体現者が二人手を組めばこれほどの事が……!」

ゼロ「藤堂、お前という漢がいて本当によかった!」

藤堂「お前に二度も拾われた命だ、出来る限りを尽くすのは当然だ」

ゼロ「藤堂……!!」

藤堂「ゼロ……!!」

ガシィッ!!(握手)

カレン(どうしよう……ものすごくツッこみたいんだけどツッこめる空気じゃない!)

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 03:56:29.56 ID:2tCnu24C0
ゼロ「よし、来週の放送からゼロ体操第一・第二と交互に放送する! 二人ともいけるか?」

千葉「早寝早起きすればいいだけだ、私は問題ない」

朝比奈「藤堂さんのご命令とあれば、不眠不休でも!!」

藤堂「いかんぞ昇悟、少しでも睡眠はとっておけ」

カレン「ってこれ生放送だったの!?」

ゼロ「よし! 放送スケジュールも固まった、あとはやるだけだ!」

ディートハルト「相変わらず素晴らしきカオスです、今後もバッチリ撮らせて頂きますよゼロ!!」

ゼロ「この流れなら国民総ゼロ化も遠くないな!! フフフハハハハハハハハ……!!」

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:06:59.38 ID:2tCnu24C0
―――数日後―――

ゼロ「ディートハルトよ。国民の様子はどうだ?」

ディートハルト「国民の半数近くは毎朝のゼロ体操を実行しているようです。老年層からは、この体操で節々の痛みが消えたのもゼロの奇跡とあがめているとか」

ゼロ「待て、半数近く? 全員ではないのか」

神楽耶「それについては私が説明しますわ」

神楽耶「……かつてのラジオ体操同様、中高年層、及び幼年層は欠かさず行っているようです」

ゼロ「すると……残りの半数とは!?」ガタッ

神楽耶「お察しの通り、問題は若年層ですわ」

ディートハルト「街頭でアンケートをとった結果、『朝に体操なんてかったるくてやってられない』という意見が多いですね」

神楽耶「加えてポージングに抵抗感を持ってらっしゃる方も多い用で……あ、私は毎朝やってますわよ?」

ゼロ「若年層……学生連中か! おのれぇぇぇぇっ!!」

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:15:59.75 ID:2tCnu24C0
ディートハルト「まぁ学生層はオシャレなどに夢中になりがちな年頃ですからねぇ」

神楽耶「奇跡に近付く努力、お嫌いなのでしょうか……」シュン

朝比奈「どうすんの? もうちょっと引き込む要素増やす?」

ディートハルト「ふむ。美形成分を足すなら、特務隊の杉山さんに手伝ってもらいましょうか?」

朝比奈「ほら、千葉ももうちょいこう、色気ある格好でやってみるとかさ?」

千葉「絶対嫌だ! このタンクトップ姿だって結構いっぱいいっぱいなんだ!」プンスカ

神楽耶「私もお姉さん役やりましょうか?」

ゼロ「神楽耶様にそこまで無理をさせるわけには参りません……しかし、若年層を取り込むにはどうする……」ブツブツ

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:33:54.58 ID:2tCnu24C0
ディートハルト「では若年層市場を開拓するため、エアロビクスなどに方向転換されてはいかがでしょう?」

朝比奈「それもありかもね」

千葉「だが相当激しい運動になるぞ、大丈夫か?」

ディートハルト「少なくとも千葉さんの踊る姿は男子の目を釘付けにするかと」

ゼロ「下劣な話はやめておけ。……だがそれでは一部の層を蔑ろにする事になる……何か策は……」

朝比奈「ゼロって軍略や政略は得意なのに、こういう事は弱いんだねぇ」

ゼロ「黙っていろ! えぇい、何かないか……」ブツブツ

藤堂「フ……」

ゼロ「む、どうした藤堂?」

藤堂「案ずるなゼロよ。この体操を生み出すときも、『まずは』と言ったろう?」

千葉「藤堂さん、まさか!?」

藤堂「この程度は想定済みよ。今回の策は二段構えだ!」ニィッ!

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:41:00.77 ID:2tCnu24C0
ゼロ「さすがは藤堂……して、その二段目の策とは!?」ガタッ

藤堂「落ち着け。今度の策は、ここに集うメンバー以外にも援けを求めねばならん」

ディートハルト「さらに増員を? 一体何を……」

藤堂「ちゃんと説明する。ただ言うなれば、今度は体操とはベクトルが異なる」

千葉「え? っていうことは……」

朝比奈「僕らのゼロ体操はもう、御役御免ですか……?」

藤堂「安心しろ、ゼロ体操は続けてもらう。既存市場を手放すわけにはいかん……神楽耶様」

神楽耶「はい?」

藤堂「神楽耶様にもご協力願いたいのですが、よろしいですかな?」キリッ

神楽耶「私の出番ですか? 喜んでご協力致しますわ♪」ニパッ!

ゼロ「藤堂……一体何をたくらんでいる……?」

藤堂「フフ……実はな」ゴニョゴニョゴニョ

ゼロ「! フ、フフフハハハハ!! それならいける、いけるぞぉっ!!」

104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:51:32.48 ID:2tCnu24C0
―――斑鳩 会議室―――

ゼロ「諸君! 集まってもらったのは他でもない、先日結実した国民総ゼロ化計画、それがさらなく飛躍の時を向かえた!」シュバッ!

カレン「飛躍って、また何かやるんだ……」

C.C.「また下らない事なら御免だぞ、ゼロ」

ゼロ「話は最後まで聞け。……ところで、ちゃんと毎朝ゼロ体操はしてるだろうな?」

玉城「ったりめぇよ親友! おかげで毎日すこぶる快調だぜぇ!」

南「神楽耶様がやってるっていうから、俺も毎日やってるよ」

扇「やってると慣れてくるもんだな、最近俺カッコいいかもって思えてきたよ」

ゼロ「結構。では女子勢はどうかな?」

カレン「ま、まぁ……やってます、一応……///」

C.C.「真面目だなお前。私はやらん、ピザ10枚積まれても御免だ」プイッ

ゼロ「C.C.貴様ぁぁぁぁぁっ!!」プンスカ

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 04:58:51.37 ID:2tCnu24C0
藤堂「落ち着けゼロよ。今度はそんなC.C.も虜にする自信がある」

ゼロ「藤堂……そうだな、あの計画なら間違いなくいけるはずだ」フーッ、フーッ

C.C.「ずいぶん自信ありげだな。まぁ聞いてやるから話してみろ」

ゼロ「いいだろう……後悔するなよ?」ユラリ

カレン「(ちょっとC.C.!! 挑発して大丈夫なわけ!?)」ヒソヒソ

C.C.「(あの阿呆共の考えなどたかが知れてるさ。大方エアロビとか女子増強、露出アップとかその辺だろう?)」ヒソヒソ

神楽耶「ふふふ~、きっとC.C.さんやカレンさんにもお楽しみいただけると思いますわ♪」

藤堂「さぁゼロよ、我らのプレゼンの時間だ!!」ニヤリ

ゼロ「よぉし……ではとくと聞くがいい!!」バサァッ!

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:05:40.97 ID:2tCnu24C0
藤堂「諸君、今一度問うぞ……この企画の重要ポイントは抑えているか?」

カレン「あ、はい……年齢や性別関係なしで、体で直接覚える形でなお且つ恥ずかしくない、でしたよね?」

藤堂「見事な回答だ、紅月」

ゼロ「その答えの一つが体操だったわけだが、残念ながら朝の体操では若年層の心を掴むに至らなかった」

南「じゃあ今度は若年層も取り込むってわけか!?」

ゼロ「その通り……若年層をメインターゲットとしつつ、その実全ての年齢層に訴えかけるもう一つの策!!」ゴゴゴゴゴ

C.C.「本当にあるのか、そんなもの」

藤堂「愚問だな、日本人なら惹かれる事請け合いの策だ!!」ニィッ!

扇「そ、その策とは!?」

ゼロ「心して聞けッ!! 新たに全年齢に訴求する策、それはッ!!」ブワサッ!

ゼロ・藤堂「「アイドルだっ!!!!」」

一同「「「「……はい!?」」」」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:19:36.52 ID:2tCnu24C0
カレン「いやアイドルって、いきなり何言ってんですか!?」

ゼロ「日本人は皆すべからくアイドル―――偶像というものが大好きだ。藤堂の言によりこれはハッキリしている」

藤堂「そう、アイドルというものは人の心を熱狂させる。私もかつてどれほどのアイドルを追っかけたかわからんほどだ」

ゼロ「そして昨今のアイドルはただ歌うだけではない、歌って踊れるのが主流だ」

藤堂「そのダンスの中にゼロのポージングを織り込めば、さぁどうなると思う!」

南「そうか……そのアイドルが魅力的であればあるほど注目し、自然と目は向かう!」ガタッ

扇「見ているうちに振りを覚え、いつしか自分でもやりたいと思うほどになる!」ガタッ

玉城「んで覚えた振りは実はゼロのポーズってわけか! さすがだぜゼロぉ!」ガタッ

ゼロ「そう、近年ではカラオケで振り付きで歌う輩も数多い。中には女性アイドルの曲を振り付きで歌う男性もいるほどだ」

藤堂「つまりだ。我々から皆の目を引くアイドルをプロデュースし、ゼロのポーズを織り込んだダンスを踊りながら歌えば!!」

男達「「「国民総ゼロ化も間違いなし!!」」」

ディートハルト「どころか、PVを国内外に流す事によって世界規模で巻き込む事ができるかもしれませんよ?」

ゼロ「フハハハハハ、夢が広がるではないか!!」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:26:12.60 ID:2tCnu24C0
玉城「んでよぉ、実際誰がアイドルなんてやんだよ? 俺ぁそんな柄じゃねぇぜ?」

ゼロ「そんな事はわかっている。すでに候補にも目星はつけている」

藤堂「ほう、そこまでは聞いてなかったが」

神楽耶「まずはゼロ様にその候補を発表していただきましょう?」

ゼロ「ああ、では発表する……カレン!!」ビシィッ!

カレン「え!?」

ゼロ「このゼロが命じる! 我ら黒の騎士団プロデュースのアイドルとなりたまえ!」ババッ!

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:33:15.98 ID:2tCnu24C0
C.C.「ほう? 思いきったな」

カレン「ちょ、ちょっと! なんであたしなんですか! 千葉さんたちだっているのに……」

ゼロ「カレン。君に自覚があるかどうかは別にして、君の容姿は間違いなく黒の騎士団……いや、合衆国日本中でもトップクラスだ」

ゼロ「整った顔立ち、魅惑的なプロポーション、アイドルとして全く申し分ないと思うがな」

カレン「え? そ、そんな……って、そうじゃなくって! あたしはゼロの親衛隊隊長だし―――」

ゼロ「加えて! 私を助け出してくれた時などに見せた高い身体能力! 激しいダンスでも問題なかろう」

ゼロ「心配いらない、私が―――私達が全力で君をスターにしてみせる!! そうだろう、藤堂!!」バッ!

藤堂「フ……ゼロよ、目の着けどころがいいな」ニィッ

ゼロ「フッ、カレンのことはちゃんと見ているからな」

藤堂「だがまだ甘い!!」

ゼロ「!?」

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:40:46.56 ID:2tCnu24C0
ゼロ「藤堂……一体この私の決断のどこに甘さがあるというのだ!?」

藤堂「紅月を選ぶのは必然といえる。彼女ほどうってつけな人材もいないだろう」

カレン「ホントに、あたし決定なわけ……?」

藤堂「だが今日び、ピンのアイドルのダンスだけで世を席捲できると思うのか?」

ゼロ「まさか藤堂、お前の考えているのは!!」

藤堂「フ!! さすがに察したか……そう、ユニットだ!!」

藤堂「一人より二人、二人より三人!! そしてどうせなら違うタイプの女子で編成する事で更なる効果促進が見込める!!」

ゼロ「お……おおぉ……!! これが、これこそが!! 奇跡の藤堂!!」

藤堂「よせ。わずかばかり長く生きてるだけだ、なんでもない」フッ

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 05:51:25.24 ID:2tCnu24C0
ゼロ「ではカレンと共にユニットを組む者を選抜しないといけないな」フム

ラクシャータ「あたしパ~ス。ダンスするよりこーやってソファにお気楽してる方が性に合ってるしぃ」

藤堂「案ずるなラクシャータ。お前はアイドルよりセクシー女優という方がイメージに合っている」

ラクシャータ「ほめられてんのかしらぁ? でも夜はこーんな寝たきりじゃないわよぉ♪」ペロォリ

ゼロ「藤堂、頼れるお姉さんポジションで千葉はどうだ?」

藤堂「千葉にはゼロ体操のお姉さん役がある。それに新人アイドルとしては年齢的に問題ありだ、浮いてしまう」

ゼロ「そうか……むぅ」

神楽耶「あらー! でしたら私とカレンさんとC.C.さんでいいんじゃないかしら?」

ゼロ「何っ!?」

神楽耶「ほら、ゼロ様を支える三人官女ですし♪」

藤堂「ほう? いつの間にか既にユニットが出来ていたのか」ニィ

C.C.「……ほう?」

121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 06:03:04.10 ID:2tCnu24C0
ゼロ「いやだが、ちょっと待て」

C.C.「私は別に構わんぞ? これでも歌は自信アリでな」クスッ

藤堂「編成としてもバッチリだ。ハーフで活発な正統派美人の紅月、純日本人でちょっとわがままなロリ系の神楽耶様、国籍不明で意地悪xxxなお姉さんのC.C.!! 人数は押さえ目でもこれは売れる!!」

神楽耶「でしょー?」

カレン「……やっぱりもう、後戻り効かない感じ?」

ゼロ「確かに売れるかもしれんが……えぇいC.C.! ちょっとこっち来い!」ズカズカ

C.C.「強引だなぁ、キスの一つもしてくれるのかな? ふふっ」

カレン(まーた二人だけで話しこむー……)ジトーッ

124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 06:15:09.67 ID:2tCnu24C0
ゼロ「(おいC.C.! お前わかって言ってるのか!?)」ヒソヒソ

C.C.「(私だって女の子だ。アイドルというものに対する憧れくらいなくもないぞ?)」ヒソヒソ

ゼロ「(女の子って歳でもないくせに……って違う!)」ヒソヒソ

ゼロ「(さっき言ったろうが、PVは世界規模で流す予定なんだ! 皇帝や嚮団にバレるだろうがぁっ!)」ヒソヒソ

C.C.「(目はカラーコンタクトで誤魔化せばいい。髪は染めるなりヅラ被るなり、最悪ヘアスタイル変えるだけでも充分だ)」ヒソヒソ

ゼロ「(名前はどうする! アイドルの名前じゃないだろ、さっき言ったようにバレるし!)」ヒソヒソ

C.C.「(そんなもん偽名で充分通る。そうだなぁ、クリスティナ・シエラなんてどうだ? ふふっ)」ヒソヒソ

ゼロ「(くぅっ……仕方ない、珍しくやる気のようだし承諾してやる! ただし絶対バレるなよ!)」ヒソヒソ

C.C.「(安心しろ、私を誰だと思ってる? C.C.だぞ)」ヒソヒソ

ゼロ「(……もういい、向こうに戻るぞ。参加の方向で話を進める)」ヒソヒソ

125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 06:29:19.22 ID:2tCnu24C0
ゼロ「……すまない。C.C.も参加するという事で問題ない」

C.C.「アイドルの時はクリスティナ・シエラと名乗らせてもらう。うっかりC.C.と呼んでくれるなよ」

神楽耶「確かにイニシャルはC.C.になりますわね……これが本名ですの?」

C.C.「さぁな? 秘密だよ、お嬢ちゃん」クスッ

カレン「C.C.が入るんじゃ負けるわけにいかないわね……いいわ、やってやるわよ!」

藤堂「私の構想では紅月と神楽耶様の2トップでいくつもりだったが、これは予想以上だな……フフフ、私の胸も熱くなってきたぞ」

ゼロ「藤堂、人数を補うべくバックダンサーを付けるのはどうだ?」

藤堂「ほう?……なるほど、奴らか」

ゼロ「察しが早くて助かる。そうだ、オペレーター3人娘をバックに付ける!」

藤堂「ふむ、バックで経験を積みいずれは世代交代というのもありかもしれんな」

ゼロ「そうだ、そしてメイン3人も追い越されまいとする結果競争心が生まれる! その行く先は更なる未来を生む!」

藤堂「そしてゆくゆくはソロデビューも考え得る……ゼロよ、完璧だな」

ゼロ「ああ! 藤堂、お前がいてくれた事に心から感謝する!!」

ガシィッ!!(握手)

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 06:44:16.38 ID:2tCnu24C0
カレン「あ、そういえば」

ゼロ「どうした、カレン?」

カレン「ユニット名、どうするんですか?」

藤堂「そのまま三人官女でいいとも思うがな」

ゼロ「それに加えてバックのオペレーター3人か……むぅ」

ラクシャータ「せっかくだし公募したほうがいいんじゃなぁい?」

神楽耶「何かいいアイデアが出るかもしれませんしね♪」

C.C.「まぁ、たまにはそういうのもいいだろうさ」

ゼロ「よし! では>>140まででユニット名を公募する!」

ゼロ「そこまでにカッコいいものがあれば採用だ、なければそのまま三人官女! さぁ諸君、悩むがいい!!」

142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 07:45:09.04 ID:2tCnu24C0
ゼロ「ではそろそろ開票するか……どれどれ」ガサゴソ

藤堂「何々……まずはオノイゼル、か。これはなんとなく避けた方がよさそうだな」

神楽耶「こっちはゼロ様ラブ♥LOVE親衛隊ですね……そのまんまですが、私はいいと思いますわ」

C.C.「冗談よしてくれ。次……000(オーズ)か。特撮みたいだな」

カレン「これは……ゼロの使い魔って、こんなタイトルなかったっけ?」

ラクシャータ「グラストンナイツだってぇ……さすがにマズイでしょぉ、これぇ」

ゼロ「最後の一つは……っ!? き、却下だ! こんなものぉっ!!」

C.C.(さすがに●●坊やにはこたえたらしいな)

神楽耶「どうします?」

ゼロ「……当初の予定通り、三人官女が一番よさそうだな。投稿者達には申し訳ないが、これで決定だ」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:01:53.52 ID:2tCnu24C0
神楽耶「でもそれだとバックの子達が可愛そうじゃありません?」

藤堂「ならば三人官女withラブリー☆オペレーターズとかどうだ?」

カレン「藤堂さん、それだとバックの方が豪華になってます……」

ゼロ「三人官女のみで充分だろう。バックダンサーとはメインの引き立て役に過ぎない」

C.C.「なかなか酷い言い草じゃないか」

ゼロ「違うな、間違っているぞ。自分もその輪に加わりたいという想いが競争心を呼び覚まし、また新たなステップを踏めるのだ」

藤堂「ゼロ……わかっているじゃないか」

ゼロ「よし! ならばあとは曲とダンスの練習だ!」

藤堂「私は振り付け指導と衣装のデザインを行う。そのデザインを元に千葉が衣装を作ってくれるだろう」

ラクシャータ「舞台装置とかはまかせてくれちゃっていいわよぉ☆」

ゼロ「フフフハハハハ……いいぞ、順調だ! では、三人官女、始動っ!!」ブワサッ!

148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:14:06.17 ID:2tCnu24C0
    ―2週間後―
―――蓬莱島・特設会場―――

ゼロ「さすがだなディートハルト。この会場を埋め尽くすだけの観客を集めるとは」

ディートハルト「いえいえ、これもゼロのカリスマのなせる業です」

藤堂「彼女ら自身の努力もあるさ……お前達! 準備はいいかっ!」

3人「「「はいっ!!」」」

ラクシャータ「演出はさっきアンチョコ渡した通りだから、タイミングずれないよう気ぃつけてねぇ~」

藤堂「ゼロ、何か言ってやる事はあるか?」

ゼロ「そうだな……これまで長い間、この記念すべきデビューの日のためによく地獄の特訓に耐えてくれた」

ゼロ「歌もダンスも、これほどまでに短時間で完璧に仕上がるとは思っていなかった。君達の努力の賜物だ」

ゼロ「これ以上私から言う事も特にないだろう。君達の努力の結果を国民に見せ付けてやれ!!」

150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:21:13.15 ID:2tCnu24C0
ゼロ「では私の開会宣言もある事だし、いくぞ君達!!」バサァッ!

藤堂「よし、行って来い!」

ゼロ「!……そうだ、カレン」クルリ

カレン「え? あ、はい!」

ゼロ「立ち位置上では君がセンターだ。気張り過ぎる事はないが、二人を引っ張るつもりで存分に力を振るえ!」

カレン「……わかってます、リーダー張らせてもらいます!」

ゼロ「その意気だ……それと」

ゼロ「(その衣装、よく似合っている)」ボソッ

カレン「! ばっ……」

C.C.「おやおや、これはしくじれないなぁ?」

神楽耶「なんにせよ、折角だし楽しんでいきましょう?」

ゼロ「では改めて、行くぞぉっ!!」バサッ!

154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:37:37.36 ID:2tCnu24C0
ゼロ「ご来場の諸君! 長らくお待たせしてすまない」

ゼロ「予告していた通り、これより! 我が黒の騎士団プロデュースによるアイドルユニット、三人官女のデビューコンサートを開催する!」

ゼロ「ではメインメンバーを紹介しよう! まずはセンターを勤める、黒の騎士団の切り込み隊長!」

ゼロ「見目麗しき姿だが、戦場では紅蓮を駆って血路を開く! 歌って踊れて戦うアイドル、紅の戦乙女・紅月カレン!!」バッ!

カレン「みんな今日はよろしくーーーっ!!」

ゼロ「続いてぇ! 我ら合衆国日本の代表でありながら、その歌声で心を照らす!」

ゼロ「体は小さくても器は大きい、ちょっとやんちゃな幼き女神、皇神楽耶ぁ!!」

神楽耶「楽しんでって下さいね~~♪」

ゼロ「そしてぇ! 私の傍らにコイツあり! 一体お前はどこから来たんだ!?」

ゼロ「風の吹くままピザ香るまま、今日は何をやらかすか!? 謎に満ちたミス・ピッツァ、クリスティナ・シエラァーッ!!」

C.C.「ピザの差し入れならいつでも歓迎だぞ?」

ゼロ「彼女ら3人が集まって、チーム三人官女だ!! ―――では聴いて頂こう!!」

ゼロ「彼女らのデビュー曲……colors!!」

――ワァーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!――

155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:50:05.52 ID:2tCnu24C0
―――数日後・アッシュフォード学園 生徒会室―――

ミレイ「ねぇルルーシュ~、これ知ってる?」ホレッ

ルルーシュ「学校で何を見て……って、ああ。黒の騎士団の」

ミレイ「カレンったらいつの間にかアイドルなんてやってたみたいね~、頑張ってるようで安心したわ♪」

リヴァル「だめっすよ会長~、こいつこーいうの興味ない奴だから」

ルルーシュ「俺だって知った顔だしちゃんと見たよ。まぁ、元気そうで何よりだ」

ミレイ「ってかすっごいダンスよね~……そのくせこんなミニなのにちゃんと中は見えないギリギリ保ってるし」

リヴァル「結構可愛い衣装だよな~、どう思いますかね、センセーは?」

ルルーシュ「……馬子にも衣装だな」

シャーリー「も~、ルルったらすぐそういう事言う! ほんっとカレンには冷たいよねー」

ミレイ「あれ~、シャーリー知らない? ルルーシュがこういう事いうのはねぇ、ホントは褒めてるって事よ♪」

シャーリー「え!? や、やっぱりルルとカレンって……」

ルルーシュ「会長もそういう冗談はやめて下さいよ、全く」

リヴァル「ん~、俺としてはこのクリスって姐さん、いいな~……」

157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 08:58:13.83 ID:2tCnu24C0
ミレイ「へー、リヴァルってばそういうお姉さん好きなんだぁ? まぁ応援したげるから、ガンバレ青少年」

リヴァル「え゛!? い、いやそういうんじゃないっすよ会長ぉ~」

シャーリー「会長! このカレン達みたいな衣装って用意できますか!?」

ミレイ「え? あー、まぁ似たようなのはあるかもだけど」

シャーリー「ないなら私が作るから、私達もやりましょ、このダンス!」

ルルーシュ「……ほぅ?」

ミレイ「ちょ、シャーリーってばちょっとタンマ! どったのよいきなり……って、はっはぁ~♪」

ガラッ

ヴィレッタ「おいお前ら、騒がしいぞ! 生徒会としての自覚が欠けてるんじゃ……」

ミレイ「(ピコーン)うん、いいわね~! じゃヴィレッタ先生も一緒にやりましょっか♪」

シャーリー「ヴィレッタ先生! 私達と一緒にアイドルやりましょう! 歌って踊れるアイドル!!」

ヴィレッタ「はぁ!?」

160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:04:34.45 ID:2tCnu24C0
ミレイ「というわけでここからは女同士の大事な話だから、男の子は出てってねー♪ もう今日は直帰していいから♪」

ヴィレッタ「おい待て! 一体何が―――」

シャーリー「大丈夫です、悪いようにはしませんから!!」ガシッ

ヴィレッタ「え!? おいこら、何をするシャーリー!!」ジタバタ

プシューッ(LOCK)

リヴァル「ホントに、追い出されちまった……」

ルルーシュ「いつもながら強引だな、ホント……」

スザク「あれ? どうしたんだい二人とも」

ルルーシュ「スザク。いや実は―――」

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:17:36.85 ID:2tCnu24C0
スザク「アイドルやりたいからって追い出されたって?」

ルルーシュ「ああ。カレン達のPV見て火がついたらしい」

リヴァル「クラスの奴らも食いいる様に見てたしな! もう国とか組織関係なく、アイドルとして認知されてる感じだぜ?」

ルルーシュ「そうだな。平和になったら、色眼鏡なしで受け入れてもらえるかもな」

スザク「ルルーシュ、君は―――」

ルルーシュ「……さっきから変だぞ、どうしたんだよスザク?」

スザク「……いや、なんでもない」

リヴァル「っつーかスザクはこのPV知らねーわけ?」

スザク「一応僕も見た。ナナリー総督が興味を持たれたからね」

ルルーシュ(ナナリーが!?)

スザク「総督の目が見えなくてよかったと思う。あんな派手で卑 なダンス、教育上よろしくない! 即刻配信停止すべきだ!」

リヴァル「お前相変わらずかったいねぇ……」

ルルーシュ(スザク……やはり今のお前は俺の敵だぁっ!!)

164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:25:48.84 ID:2tCnu24C0
―――この間、生徒会室内では―――

ヴィレッタ「センターはやはり私だな。引率者がリーダーだろ、当然だよな?」

シャーリー「嫌です! センターは私がやるのぉ!」

ミレイ「さーてシャーリー、理由をどうぞぉ?」

シャーリー「私もカレンみたいに、ルルに『馬子にも衣装』って言われたい~!」

ヴィレッタ「シャーリーお前、その言葉意味わかっていってるのか!?」

ミレイ「やっぱりねー……まぁ私はクリスティナってお姉さんのポジかな~やっぱり」

シャーリー「じゃあヴィレッタ先生があの神楽耶って子のポジション! 決定!」

ヴィレッタ「ちょっと待て! なんで一番年上の私が幼女ポジなんだぁ! ちゃんと考えろお前らぁ!」

シャーリー「ダメです、もう決定! 私はルルに『馬子にも衣装』って言ってもらうのぉ!!」

―――以降、下校時間までドタバタ繰り返し―――

167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:40:17.12 ID:2tCnu24C0
―――再び男共サイド―――

ロロ「あれ? 兄さん、生徒会は?」

ルルーシュ「今日はなしになったんだよ。さ、帰るぞ」

リヴァル「なぁルルーシュ、久々に賭けチェスいかねぇ?」

ルルーシュ「悪いが予定もあるんだ。それに、そこでコワ~イ軍人さんが目光らせてるぞ?」

スザク「リヴァル、やはり高校生が賭け事はよくない!」

リヴァル「うげ……た、退散~! また明日な、ルルーシュ~!」スタコラ

ルルーシュ「まったく……」

スザク「ルルーシュ。いくらアイドルデビューしても、今のカレンは犯罪者だ」

ルルーシュ「……そう、だな」

スザク「戦いもそうだし、あんなダンスの被害者を増やさないためにも、僕は彼女達を潰すよ」

ルルーシュ「お前、何言って―――」

スザク「そうさ、ラウンズ全員でアイドルデビューすれば、三人官女なんて敵じゃない!!」

ルルーシュ「……は?」

168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:47:11.16 ID:2tCnu24C0
スザク「聞こえなかったかい? ナイトオブラウンズ全員をアイドルとしてデビューさせようと―――」

ルルーシュ「スザク、さすがにどうかしてると思うぞ。仕事しろと一喝されて終わりだろう」

スザク「だけど―――」

ルルーシュ「カレンにはカレンの、お前にはお前が進むべき道がある。それでいいじゃないか」

ルルーシュ「話はここまでだ。じゃ、また明日な」スタスタ

スザク(ルルーシュ……!)


ロロ「ねえ兄さん、僕もあのアイドルみたいなダンスすればいいの?」

ルルーシュ「いや、お前にはそういうのは求めてないよ」

ロロ「じゃあどんなことすれば兄さんは嬉しい?」

ルルーシュ「そうだな……適当な格好でひたすら匍匐前身でもしてればいいよ」

ロロ「」

ルルーシュ「冗談だよ、冗談」

169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:48:10.41 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「そうだな……適当な格好でひたすら匍匐前身でもしてればいいよ」

ルルーシュ「そうだな……適当な格好でひたすら匍匐前進でもしてればいいよ」

172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 09:59:57.76 ID:2tCnu24C0
―――さらに数日後、斑鳩 ゼロ私室―――

プシューッ
カポッ
ルルーシュ「帰ったぞ」

C.C.「お帰り、坊や」

カレン「あんたがいない間こっちは大変だったわよぉ……」

ルルーシュ「藤堂から報告は聞いている。新曲も追加してのアンコールツアーやってたらしいな?」

カレン「そうそう、凄かったわよみんな、振りまで全部一緒にやってくれて」

C.C.「あの馬鹿な体操の成果もちゃ~んと出ていたらしいな。よかった、のか?」

ルルーシュ「全ては計算通り、予定に沿って進んだだけの事だ」ムフー

C.C.「予想通りの反応だな」

カレン「ったく、可愛くないわね~」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 10:07:53.70 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「アッシュフォードでもお前達の人気は上々だったぞ。早速シャーリーや会長が真似しようとしてたくらいだ」

カレン「っ……し、知り合いに見られたと思うとすっごく恥ずかしいんだけど……」

C.C.「その知り合い達にもあの恥ずかしいポーズが伝承されていくわけか。やれやれ、とんだ罪人だよ私達は」

ルルーシュ「みんながやってるなら恥ずかしくもないさ。少なくともカレン、そうやってソファの上でミニスカートで胡坐かくよりはマシだ。……見えてるぞ」

カレン「ふぁっ!? み、見ないでよ変 !!」バッ!

C.C.「おやおや、衣装褒められたのが嬉しくてサービスしたんじゃないのか?」

カレン「ち、違うってば! もう!」

180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/12(金) 10:25:21.42 ID:2tCnu24C0
ルルーシュ「少なくとも学園では、一人を除いて君をアイドルとして捉えていた。これなら、きっと終わった後は犯罪者じゃなく一人の女の子として受け入れてもらえるはずだ」

カレン「ルルーシュ……まさか、そのためにあたしをアイドルに……」

ルルーシュ「さぁな……まぁ、こんな戦いだっていいだろう?」

ルルーシュ「何にせよ、国民総ゼロ化計画はアイドル効果により見事第2段階を達成した! 次は第3段階、世界制覇を目指す!!」ビシィッ!

カレン「ってちょっと、趣旨変わって来てない!?」

C.C.「日本解放とブリタニア打倒はどこへいったんだろうなぁ?」

ルルーシュ「違うな! 間違っているぞ。全世界ゼロ化が成されれば、ブリタニアの完全包囲も可能だ。そうすれば日本解放も容易い事!」

ルルーシュ「全ては繋がっている。そしてこの戦いは血を流さない新たな戦いだ! アイドルと体操、そしてポージングが世界を変える!」

C.C.・カレン「」

ルルーシュ「そのために新たな戦略を練るとしよう! 加えて君達は歌と踊りを、俺はポージングをより高みへ昇華させる!」

ルルーシュ「さぁ二人とも姿見に正対しろ! 共に決意のポージングだ! ぃよぉっ!!」シュバァッ!

C.C.「いいかげんに―――」

カレン「しなさいっ!!」

ゴツンッ!!!!

おしまい。

引用元: ルルーシュ「こんな事をしているのは知られたくないからな……」