5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:19:55.33 ID:ce7+oxll0
Pさん、お疲れ様。

お酒とか、飲んでないよね?

うん、まぁ信用してるけど、一応。
楓さんとか、結構飲んでたみたいだったし。


……ね、車出す前に少しお話してもいい?


…………ふふっ、女がこういうこと言ったら、何かあるに決まってるでしょ?




7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:22:13.26 ID:ce7+oxll0
うん。Pさんならそう言ってくれると思ってた。

えっと、私の宝物の話、かしら。

そう、宝物。

この話はPさん以外には絶対しないから、よーく聞いてよね?


え?ふふっ、意味は自分で考えて。

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:25:13.95 ID:ce7+oxll0
私の宝物はね、化粧ポーチの左のポケットの中。何だと思う?

あ、惜しい。正解はほら、これ。ただのリップスティック。

唇のケアは大切だしね。いつも最高の状態にしておきたいの。

ふふっ、Pさんも私の唇、好きよね?いつもチラッて見るでしょ。

ちゃんとその視線、気付いてるんだから。
……ね、今なら奪ってもいいよ?

あら、残念。

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:27:48.00 ID:ce7+oxll0
……で、このリップスティックの話。

これはちょっと特別でね。使うといつも失敗しちゃうの。
失敗しなかったこと、ないくらいかもしれない。

うん、それくらい私にとっては、ちょっと曰く付きのアイテム。

その、今日のLIVEは大成功だったから、私の失敗について話しても帳消しかな、って。

うん、ありがと。

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:30:58.32 ID:ce7+oxll0
まず私について、ね。

前にも言ったけど、学校では結構マジメで通ってるの。

うん。成績も上から数えたほうが早いし、素行も悪くないし。
三者面談の時なんて、先生に模範生だって言われたくらいなんだから。

そ、つまりいい子ちゃんなの。

え?ふふっ、ピアスなんて今時悪くもなんともないよ。
それにある程度は飾らないと、女の社会は大変なの。

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:34:01.82 ID:ce7+oxll0
はい、ここで問題。私の趣味は何でしょう?

ふふっ、簡単過ぎたね。
そ、映画鑑賞。じゃ、好きな映画のジャンルは?

………なんで当てちゃうかな。もう……

ううん、こっちの話。でも恋愛映画だけは苦手なの。恥ずかしくて見てらんない。

ほら、ベッドシーンとか濃厚な絡みとか多いでしょ?
歯の浮くような台詞が飛び交うし、ちょっと、ね。

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:36:16.10 ID:ce7+oxll0
さて、映画で私が一番好きなシーンと言えば?

ふふっ、そう。キスシーン。

彫刻みたいに整った顔の俳優と女優が、相手を世界で一番愛おしい存在みたいな目で見つめ合いながら、唇を重ねるのを見るの、大好き。

こんな光悦した顔で、お互いの視線がこう………

え、やめて欲しい?

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:38:22.15 ID:ce7+oxll0
ま、真面目ちゃんの速水奏の趣味は映画鑑賞。
特にキスシーンが好き。

夜、ベッドで思い出して、自分の唇とか、いろいろ弄っちゃうくらい……

え、これもダメ?
Pさんは私の一人遊び話には興味無し、かぁ。残念。

あ、ちなみにそのお陰で胸とかお尻とか、結構大きく……

ふふっ、ごめん、からかっただけ。

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:42:29.93 ID:ce7+oxll0
とにかく、昔からキスには興味津々だったってわけ。

で、このリップの話、ね。

何かの映画を見た帰りだったかな?

女優の唇がすごく艶やかで、キスシーンでは月光が唇を照らして揺らいでて。
青白い光が俳優さんの口元まで滑り込んでいくみたいで。
うん、今でもよく覚えてる。

20:   2012/10/21(日) 08:49:18.36 ID:ce7+oxll0
私もあんな風に、みたいにちょっと思って、ほら、事務所の通りの雑貨屋さん。

あそこでリップ試してて、出会ったのがコレ。



ふふっ、この後はPさんも知ってるよね?

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:52:19.56 ID:ce7+oxll0
奏(……あの人、こっちチラチラ見てる……)

奏(………視線は、私の唇?)

奏(もしかしていい感じ、なのかしら)

奏(ふふっ、これ買っちゃおうかな)

奏(あ、でもこっちのも……)

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 08:55:21.35 ID:ce7+oxll0
P「あの、君、ちょっといいかな?」

奏(………話しかけてきた)

奏(ナンパ……にしてはやる気ないわよね)

奏「はい?何か?」

P「うん。えっと、アイドルとか興味無い、かな?」

奏「…………え?」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:00:06.24 ID:ce7+oxll0
P「こういう者です。ほら、そこの角のアイドル事務所、あそこでプロデューサーやってるんだけど……」

奏「あ、スカウト?」

P「ま、そういうこと。興味があれば是非、話だけでも」

奏「え、そんな急に言われても……」

P「あ、いや、別に急がないよ、大丈夫」

P「名刺の裏にQRコードとかあるから、うちのこと調べてからでもいいし」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:03:37.67 ID:ce7+oxll0
奏「シンデレラガールズプロジェクト……ふーん」

P「うん。気が向いたらここの番号に…」

奏「ね、なんで私に?」

P「え?あぁ、鏡を覗き込む感じとか、すごく様になってたからさ。顔立ちも綺麗だし……」

奏「ダウト」

P「へ?」

奏「お兄さんが見てたのは、私の唇、よね?」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:11:38.79 ID:ce7+oxll0
P「……ああ、口元が際立って魅力的だと思う。女優かと思ったくらいだよ」

奏「…魅力的ってどんな感じで?」

P「うーん、こう吸い寄せられるような感じ、かな」

奏「つまり、キスしたくなるような、ってこと?」

P「ま、まぁそうとも言うな。自然と目が唇を追っちゃう、と言うか」

奏「ふーん……」

奏「お兄さん、私とキスしたい?」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:14:40.51 ID:ce7+oxll0
P「え、あ、いや、それくらい魅力的ってだけで俺は」

奏「ふふっ、冗談よ。このリップのお陰かしらね」

奏「でもこれ、近くで見ると光り方がイマイチな気がするんだけど」

P「ん、そうかな?よく合ってると思うけど」

奏「そう?じゃ、ちょっと近くで見てみてよ」

P「え、ああ……」

P「うん、そんなことないと思う。いい感じだよ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:17:03.28 ID:ce7+oxll0
奏「ならいいかな」

P「うん、よく似合って……」


グイッ

P「え?」

奏「捕まえた」


ちゅっ

P「………え」

P「な、な、な、」

奏「ん、いいかも。じゃ会計してこよっと」

奏「お兄さん、アイドルの件は考えとくね、前向きに」ヒラヒラ

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:20:21.26 ID:ce7+oxll0
ふふっ、あの時のPさん可愛かったよ?
顔真っ赤で、口パクパクさせちゃって。

ね、Pさんってもしかして●●?

え、いいじゃないそれくらい。ケチ。

そうなんだ。

ううん、いいと思う。真面目で誠実なPさんだもん。
逆に遊んでたりしたら、ガッカリだったかも。

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:23:49.52 ID:ce7+oxll0
じゃ、私からも。

その、次に言うこと、嘘じゃないから。
信じてくれる?

ふふっ、ありがと。

ふぅ……えっとね。
実はアレ、私も初めてのキスだったのよ。

あ、ほら信じてない。

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:26:51.54 ID:ce7+oxll0
うん、彼氏、いたことはあるよ。
ちょっと恋人ごっこみたいなこと、してみたかった時期もあったし。

でも手繋いで、なんとなく雰囲気ができてきて、いざキスってなると、なんかね。
自分で理想上げすぎたのかな。なんか自分の唇が勿体無いって思っちゃって。

そんなこんなでそれ以上先までは行けなかったの。

だから、私もPさんと一緒。

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:30:13.25 ID:ce7+oxll0
んー、なんであんなことしたのかって聞かれると、私もちょっとよくわからないの。

衝動的、うん、それかもね。

なんか覗き込まれた時、あ、この人ならって思えて。
欲しくなっちゃったのよ。

あ、ちなみにそのとき以来、しばらくはPさんの唇を思い出しながら夜は一人遊びして……


ふふっ、ホントからかい甲斐あるんだから。

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:33:33.25 ID:ce7+oxll0
これが、最初の失敗。



二度目は……事務所で面接したとき、ね。

………えっと、あのときは、ごめんね?

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:39:41.44 ID:ce7+oxll0
社長「なるほど。学業との兼ね合いは大丈夫かい?」

奏「学校はなんとかなると思います。今も成績はいいですし、覚えるのは得意なんです」

社長「そうかそうか。まぁ君がやりたいというなら大歓迎だ」

社長「決して楽ではないとは思うが、是非、トップアイドルを目指してみて欲しい」

社長「どれ、そろそろP君が戻って………」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:42:42.58 ID:ce7+oxll0
P「只今戻りました。……あ、この間の」

社長「お、丁度良い所に。こちらがうちのプロデューサーのP君」

社長「スカウトは彼だったよね?P君、速水奏君だ」

P「えっと、どうも、Pです」

社長「ほらシャキッとしたまえ。速水君、君がもしうちの事務所に入れば、彼が君のプロデューサーになるよ」

奏「あなたが私の……?」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:46:01.50 ID:ce7+oxll0
社長「ほら、君からも何か」

P「は、はい。えっと、君ならトップアイドル、目指せる素質があると思う」

P「君さえよければ是非、俺の見込みを信じてプロデュースさせて欲しいんだ」

奏「……うーん、どうしようかなぁ」

P「一緒にアイドル、やってみないか?シンデレラストーリー、作ってみよう」

奏「そうねぇ…」

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:49:19.67 ID:ce7+oxll0
奏「じゃあ…今、この間みたいにキスしてくれたらなってもいいよ。どう?」

P「………………あ、え?ええ!?」

社長「………P君、少し話を」

P「え、いや誤解です誤解です、ちょっと……」

奏「…なんてね。冗談です。ふふっ! 」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:52:20.53 ID:ce7+oxll0
社長「P君、本当に……」

P「だからほら社長、冗談だって………」

奏「ごめんなさい。私、アイドルやってみようと思います」

P「ホ、ホントか!?」

奏「はい。宜しくお願いします、社長さん、プロデューサーさん」

社長「おお、そうかそうか!」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:55:54.53 ID:ce7+oxll0
社長「それじゃあ………あ、ちひろ君は今日は流通か」

社長「P君、ちょっと事務所を案内してあげてくれ」

社長「私は局の方に用があるから外すが、くれぐれも変な事はしないように……」

P「し、しませんってば!」

社長「まぁそれは後でまた話そうじゃないか。さて、それでは頼んだよ」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 09:58:01.75 ID:ce7+oxll0
P「はい、行ってらっしゃい………はぁ………」

P「えっと、それじゃあ速水、よろしくな」

奏「奏でいいよ。なんか『速水』って呼ばれると学校みたいで嫌」

P「わかった。よろしくな、奏。まぁ俺の事は好きに呼んでくれ」

P「じゃ、事務所だけどまずこっちに……」

・・・


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:03:11.53 ID:ce7+oxll0
P「…こんなとこかな。どうだ?」

奏「うん、大丈夫。ちょっと座ってもいい?緊張して疲れちゃったみたい」

P「ははは、いいぞ。意外だな、もっと飄々としてるのかと」

奏「……見えないかもしれないけど、私だって緊張くらいするわよ」

奏「ね、Pさんも座って?質問もあるし、これからのこと、少し話したいの」

P「おう。なんでも答えるよ」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:06:15.35 ID:ce7+oxll0
奏「…うん、こんなものかしら」

P「よし。それじゃあ奏、これから一緒に頑張っていこう」

奏「……一緒に、ってどれくらい一緒に仕事することになるの?」

P「うーん、具体的には言い辛いけど、うちはマネージャー業務も殆どプロデューサーがやったりするからなぁ」

P「レッスン日以外は割と付きっきりかもな」

奏「ふーん、そっか………」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:08:56.17 ID:ce7+oxll0
奏「あ、Pさん襟元になんか付いてる」

P「え?………よっ、よっ……取れた?」

奏「全然。取ってあげるからこっち来て?」

P「お、おう……なぁ、何が付いてるんだ?」

奏「何も?」

P「……へ?」

奏「でも、ほら、捕まえた」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:12:49.16 ID:ce7+oxll0
P「………え、お、おい奏、この間みたいなのはもう……」

奏「うん、あれはしない」

奏「ね、Pさん」

P「ん、ん?な、なんだ?」

奏「私、舌長いの」

P「?」

奏「多分、すごいよ」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:16:17.88 ID:ce7+oxll0
ちゅっ

奏「………んっ」

ちゅるっ

れろっ、じゅるぅっ

じゅぱっ

P「っ、ちょ、ちょ」

奏「……いいね、これ」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:19:32.56 ID:ce7+oxll0
れろぉ、ちゅっ

ちゅぅっ、れろっ、じゅぷっ

奏「すっごい。病みつきになりそう」

ちゅぅ、ちゅぅぅぅ

じゅぷ、れろ、れろっ

ちゅるっ

奏「ね、Pさんも舌………」

奏「あれ?」

P「」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:22:43.55 ID:ce7+oxll0
あ、あの時の感想聞いてなかったよね。どうだった?

いいじゃない、良かったでしょ?

そう?私はもう、あの日の夜は布団にすぐ潜って一晩中………

ふふっ♪
実はPさんも思い出してしてたりして?

……あら、図星、だったりする?

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:26:01.83 ID:ce7+oxll0
え、そんなわけないでしょ。男はPさんとしかキスしたことないよ。

あ、あはは……まぁその、法子ちゃんとか、口元にチョコとかつけてると、その、ね?

そうそう。
実はあの時もこのリップしてたの。

あ、わかってきた?

で、えっと、三回目………

ごめん、この後は多すぎて私も覚えてないわね。

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:28:08.57 ID:ce7+oxll0
奏「ね、Pさん」

P「んー?」

奏「アイドルがキスマークつけて出勤したらどうなるの?」

P「は、はぁ!?お前、アイドルなんだからそんな……」

奏「あ、こうなるのね。ふふっ」

ちひろ「あの、スキャンダルは本当にやめてね?お金、飛んで行っちゃうから」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:31:10.34 ID:ce7+oxll0
奏「大丈夫。ちひろさん、じゃあプロデューサーがキスマークつけて出勤してきたら?」

ちひろ「まぁ、アイドルに比べたら全然セーフだけど……ちょっと荒れる、かな?」

奏「ふーん………」

奏「一回やってみよっか」

P「は?」

奏「Pさん、首元失礼するね?」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:34:13.83 ID:ce7+oxll0
ちゅぅっ

P「っ、え、おい」

ちゅぅっ

ちゅぅっ

ちゅぅっ

奏「ん、できた。あ、口元がお留守」

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ

P「んっ、んんっ!?」

奏「っぷはっ、ごちそうさま。じゃ、後は待つだけね」

ちひろ(………………銭の匂いだ………!)

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:37:48.39 ID:ce7+oxll0
・・・

みく「おっはよー!」

P「おう、おはようみく」

みく「Pチャン、今日もかわいいみくのために頑張って…」

みく「……………」

みく「に゛ゃ!!!???」

みく「ぴ、Pチャンがマーキングされとる!?」

みく「誰!?Pチャン、相手ァ誰や!!」

P「……………」

ちひろ(……………)プルプル

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:39:56.69 ID:ce7+oxll0
・・・

留美「おはようございます」

P「和久井さん、おはようございます」

留美「もう、留美でいいって言ってるのに」

留美「ねぇP君?今日のブラウス、少し変わったのを選んでみたんだけどどうかしら?」

留美「近づくとわかるけどほら、この襟のボタンが……」

留美「」

留美「」

留美「」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:43:11.49 ID:ce7+oxll0
留美「あ、あの、P君?」

留美「その、あなたも、しゃ、社会人、なんだから、ね?」

留美「じょ、女性と、関係を、持つこと自体は、ひ、否定、しないけど、その、そういうのは、しっかりと、みえないように、ね」

留美「その、先輩としての、アドバイスというか、なんというか、」

P「………………」

ちひろ(やばい苦しい)プルプル

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:46:14.40 ID:ce7+oxll0
・・・・・

ゆかり「プロデューサーさん、この台本なんですけど…」

P「ん?………ああ、これな。ちょっと役に入り辛いか」

ゆかり「はい、その、『最愛の人が奪われるのを見つめる』なんて経験ないですし」

ゆかり「ちょっと想像がつかないというか…」

P「うーん、演技レッスンの時にベテトレさんに相談してみるか。あとはそうだなぁ………」


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:49:17.44 ID:ce7+oxll0
ガチャ
奏「おはようごさいます」

ゆかり「あ、おはようございます」

P「うーん………映画とか本を通じて………いや、でも……」

奏「Pさん、おはよう」

P「そういや明後日のレッスンの夕枠に………よし、それで……」

奏「………………」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:51:19.83 ID:ce7+oxll0
奏「………………」

スタスタ

グイッ

P「あ」

ちゅぅぅぅぅぅぅっ

P「っぷはっ、おいこら奏!」

奏「挨拶はちゃんとしないとだめよ?」

ちゅっ

奏「ね?」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:54:27.41 ID:ce7+oxll0
奏「あ、ちひろさんこの間の………」
スタスタ

P「………で、演技レッスンでだな」

ゆかり「いえ、もう結構です。また何かあれば聞きますので」
スタスタ

P「………………」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 10:56:58.59 ID:ce7+oxll0
・・・・・

小梅「それで………後ろから…………ネズミが……………」

薫「」ガタガタガタガタ

珠美「」ガタガタガタガタ

P(ちびっこ怪談会……怯える幼女………)

P(いいゾー、これ)

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:00:15.27 ID:ce7+oxll0
P(………うーん、何か企画に………)

ちゅっ

P「っ!?」

P(く、首筋に……)

P(か、奏か?というか奏しかありえん!)

ちゅるっ

P「ひゃっ!?」

P(み、耳!?)

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:03:16.99 ID:ce7+oxll0
薫「せ、せんせぇ?どうしたの?」

P「あ、いや、なんでもないぞ、ははは」

ちゅっ

P「っ」

P(っ、く、暗くて見えない……ど、どこだ?)

ちゅっ

P(いや、そんなに早く動けるわけじゃない) 

P(感触があったらすぐ振り向けば………)

ちゅっ

P(今だ!)

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:05:41.35 ID:ce7+oxll0
バッ

P「…………………」

奏「……………」

P(あっ)

奏「あら、いい男」

ちゅぅぅぅぅぅぅぅぅ

ちゅぱっ

P「お、おい、やめ」

奏「ふふっ、終わってから言われてもねー♪」ヒラヒラ

77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:09:56.28 ID:ce7+oxll0
P「お、おい!!」

薫「ひゃっ!?せ、せんせぇ?」

P「あ……ご、ごめんな、続けてくれ」



珠美(は、はわ、はわわわわわわわわわわわ)

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:12:58.70 ID:ce7+oxll0
・・・・・


ねぇ、Pさんは私のこと、どんな子だと思ってる?

………ま、そうよね。

私も、客観的に見たらそうだと思う。

…こんなはずじゃ、なかったのに。


うん。


失敗、ね。

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:16:04.66 ID:ce7+oxll0
このリップスティックには、失敗の歴史しかないの。
毎回、私に失敗させてくれる。

なんでかしらね。
私、進んで失敗してたのかも。

やだ、泣いてないってば。


……優しいんだから。それで傷付く人もいるのに。


………一般論よ。今はそれが心地良いし。

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:19:58.82 ID:ce7+oxll0
………もう、鈍感ねぇ。

全部言わないとわからない、のよね。



ううん。今日は失敗しないって、決めたから。




純真な乙女の気持ち、全部受け取って?

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:22:16.74 ID:ce7+oxll0
まず、ごめんなさい。
いつもPさんが何も言わないのをいいことに、勝手にキスしたりして。

うーん、なんで、ねぇ。

さっきも言ったけど、一回目は衝動的な感じだったの。

……それ以降は、なんて言うのかしら。
私からのメッセージ、かな。

いつも、気持ちをいっぱい込めてしてたの。


伝わってた?

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:24:19.55 ID:ce7+oxll0
………うん。

ほら、失敗だらけ。



……………もう。
優しくされたらこれでいいって思っちゃうじゃない。



大丈夫。最後まで言わせて?

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:30:06.83 ID:ce7+oxll0
私はね。

きっとPさんが思ってるより、ずっと弱いのよ。

………ううん、Pさんのせいじゃない。
私が、失敗を受け入れちゃったから。

失敗すること、望んでたから。私の、せい。


私が知ってる速水奏はね。

真面目で、一途で、夢見がちな女の子なのよ。

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:33:17.56 ID:ce7+oxll0
でも、Pさんに、あなたに会えて。

初めて、私の目を見て、私が勝手に気にして、気に入ってたとこ、褒めてくれて。

勇気、貰っちゃったの。


だからって、ふしだらな女みたいになっちゃったのは、その、アレだけど。

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:36:19.46 ID:ce7+oxll0
キスする度、失敗して。
失敗して、失敗して、失敗して。

その積み重ねばっかりで。


でも失敗する度に、気持ちが強くなって。

失敗の数だけ伝えられなかった思いがあって。

失敗が、ちゃんと私の本当の気持ち、教えてくれたから。

90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:39:20.50 ID:ce7+oxll0
今日の勇気はリップスティック抜き。

●●のくせに強がって、女の心なんて語ったりして、
これみよがしにキスするバカな私は、ちょっとお休み。

ちゃんと、私の知ってる速水奏になる。

……いいの。

お願い。最後まで、言わせて。

うん。

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:42:49.65 ID:ce7+oxll0
ごめんなさい。

あなたが見込んでくれて。

いっぱい、期待してくれて。

それに応えたくて、アイドルになって。

ちゃんと、なれたのに。

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:45:50.54 ID:ce7+oxll0
アイドルなのに。

プロデューサーのこと。

Pさんのこと。

あなたのこと。

きっと、初めて会ったあのときから。

ずっと、ずっと。もっと、もっと。

93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:47:51.59 ID:ce7+oxll0



大好き、なんです。



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/21(日) 11:51:44.43 ID:ce7+oxll0
おわり

引用元: 速水奏「失敗だらけのリップスティック」