1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/18(金) 21:58:28.73 ID:h+sE64SJ0
 
501基地 某日 訓練中



ハイデマリー「ミーナ中佐…お久しぶりです」

ミーナ「あら、ハイデマリー少佐、どうしたのかしら急に」

ハイデマリー「長い休みが取れましたので…旧友に会いたくなりまして」

ミーナ「そう、それでこの基地までわざわざ来たってわけね」

ハイデマリー「はい……もしかして邪魔だったでしょうか」

ミーナ「そんなことないわ、こっちが申し訳ない気分よ、せっかくの休暇なのに騒がしいところでごめんなさい」




43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:15:22.98 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「エイラさん!サーニャさんを笑顔にしたいんでしょ!?」

エイラ「あ、ああ」

芳佳「だったら挫けてちゃだめです!信じて下さい私を!」

エイラ「…ああ…!」

芳佳「信じ抜くことです…ダメになりそうな時、それが一番大事なんです…!」

エイラ「ナンダそれ」


   ~ そして夜 浴場 ~


   カポーン…


美緒「ああ…いい湯だ」

ミーナ「2人きりで入るのは久しぶりね…」

美緒「そうだな…」

ミーナ「……美緒、いつも訓練お疲れ様」

美緒「おっ、どうした急に」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:20:24.77 ID:Y7FgpCJX0
 
ガラガラ


ハイデマリー「…………」キョロキョロ

ミーナ「あら、ハイデマリー少佐」

ハイデマリー「……あ、ミーナ中佐…」

ミーナ「どうかしら、扶桑式の露天風呂は」

ハイデマリー「はい、凄く綺麗です」

美緒「気に入ってくれて嬉しいぞ」

ハイデマリー「……となり、失礼しても…」

ミーナ「どうぞ」

ザパアアア


ハイデマリー「ふぅぅぅぅ…んっ…」

ミーナ「あらあら」

ハイデマリー「…今日は疲れちゃいました」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:23:40.17 ID:Y7FgpCJX0
 
ミーナ「あなたは休暇中だというのに、なんだか矛盾してるわね」

ハイデマリー「はい…あの、サーニャさんのことなんですけど」

美緒「サーニャか?」

ハイデマリー「………あの娘、強いです」

美緒「強い?」

ハイデマリー「実は…サーニャさんを励まそうと思ってこの基地に来たんですけど…なんだかサーニャさんと一緒にいると、逆にこっちが励まされてる気になるっていうか…」

ミーナ「……ええ、あの娘は下を向いてなんかいないわ…常にすべての方向を把握できているの…」

美緒「ナイトウィッチの特性だな」

ハイデマリー「あの…手紙の話…本人から聞きましたか?」

ミーナ「手紙?」

美緒「知らんな」

ハイデマリー「彼女、両親に手紙を書いたんです」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:28:31.21 ID:Y7FgpCJX0
 
ミーナ「本当!?」

美緒「一体何故…両親の居場所がわからないんじゃなかったのか…?」

ハイデマリー「はい…でも、親への想いを伝えるためにはこの方法しかないって…本人に伝えたんです…」

美緒「なるほど…ダメもとで送ってみたってわけか」

ミーナ「もし返事が帰ってきたら…素敵な話ね」

美緒「まあ、無いと思うがな。はっはっは」

ミーナ「ちょっと美緒!」

ハイデマリー「もう二度と逢えないって悲しいじゃないですか…だから、手紙を書いて、両親の記憶を心のなかに留めておくのは…ダメなことでしょうか…」

ミーナ「どうかしら…」

美緒「サーニャがそれで納得してるんだったら…なんとも言えん…」

-------


ハイデマリー「ふう………」

  カポーン

ハイデマリー「癒される……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:31:14.17 ID:Y7FgpCJX0
 
  ガラガラ

ハイデマリー「!」ビクッ

エイラ「いたな…!」

ハイデマリー「…ど、どうも…」

エイラ「……」ジリジリ

ハイデマリー「な、なんでしょうか…」

エイラ「……ふうむ…」

ハイデマリー「…?」

エイラ「……えい」ムニュ

ハイデマリー「ひゃっ!」

エイラ「……おおっ……すごい……」ムニュニュ

ハイデマリー「いやっ……ぁ……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:37:07.61 ID:Y7FgpCJX0
 
エイラ「……」

ハイデマリー「………なにするんですか」

エイラ「……」

ハイデマリー「………?」

エイラ「……さらばだ!」ダッダッダ

    ガラガラ


ハイデマリー「何なの…」


------

   ~ 脱衣場 ~
 
芳佳「ちょっとなにしてるんですかエイラさん!」

エイラ「無理だ…無理だ……あれを目の前にして会話なんて…」

芳佳「ダメじゃないですか!早いうちにハイデマリーさんとエイラさんの壁を取り除かないと!」

エイラ「私はダメダ…もう…」クヨクヨ

芳佳「仕方ないですね…」

51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:41:59.61 ID:Y7FgpCJX0
 
  ガラガラ

   ~ 浴場 ~


芳佳「あの…ハイデマリーさん」

ハイデマリー「…!」ビクッ

芳佳「あの~ちょっと話したいことが」

ハイデマリー「何でしょう」

   ザバァ……

芳佳「エイラさんについてなんですけど………って!」

ハイデマリー「ど、どうしたんでしょう…」

芳佳「おっ…ふおおお…ふうう…」

ハイデマリー「あ……あの…」

芳佳「……うりゃ!」ムニュッ!

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:42:45.78 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「いやあ!」

芳佳「うりぃ……うう……」ムニュムニュ

ハイデマリー「やめてください……」

芳佳「……はっ!」

ハイデマリー「…?」

芳佳「………私はなんてことを…!」

ハイデマリー「…………」

芳佳「……さようなら!」ダッ!


   ガラガラ


ハイデマリー「………疲れた…」





54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:47:14.47 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「あの、サーニャさん…?」

サーニャ「あ、ハイデマリー少佐……」

ハイデマリー「今日も…付いて行っていいでしょうか」

サーニャ「はい…」


ブウウウウウウウン…

ブウウウウウン……

サーニャ「……この海の果てに、何があるんでしょうか」

ハイデマリー「沢山の人ですよ、サーニャさんのご両親も、きっと」

サーニャ「……たまに、夜飛んでいると無性に悲しくなるんです」

ハイデマリー「それは私も同じです」

サーニャ「でも…今だけはこの海は私のもの。この絶景を独り占めできる瞬間が、大好きなんです」

ハイデマリー「…………あの」

サーニャ「何ですか」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:50:36.22 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「どうして501のメンバーは皆、あんなに仲がいいんでしょう」

サーニャ「…」

ハイデマリー「正直、サーニャさんが羨ましく思えるんです………」

サーニャ「…私もわからないけど…私がこの基地に来た時はあんな感じじゃありませんでした」

ハイデマリー「………?」

サーニャ「…芳佳ちゃんかな…あの娘が501に来てから、なんだか全てが変わったように感じた」

ハイデマリー「そう……」

サーニャ「……」

ハイデマリー「一番仲がいいのは…エイラさんですか?」

サーニャ「はい……」

ハイデマリー「…なんだかエイラさんを見てると、こっちまで元気がもらえます」

サーニャ「…」




57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:55:25.19 ID:Y7FgpCJX0
 
    ~ そんなこんなで数日経過 ~

エイラ「ミヤフジぃ…」

芳佳「うわびっくりした」

エイラ「長かった…長かった…ついに明日だな…」ゲッソリ

芳佳「…そうですよ」

エイラ「……この数日間…飯も満足に喉を通らない……サーニャとまともに会話していない…」

芳佳「お疲れ様です」

エイラ「…どうしてなんだ!どうして私じゃなくてハイデマリーとかいうやつに懐くんだぁぁ!」

芳佳「ちょ、落ち着いて下さいエイラさん」


ガチャ


ミーナ「エイラさん…?」

エイラ「!!!」

芳佳「ミーナ中佐!な、なんでもありません!」

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 00:59:08.18 ID:Y7FgpCJX0
 
ミーナ「…そうかしら?」

エイラ「……」

ミーナ「…ふふふ」

ガチャ


芳佳「………」

エイラ「……………」

芳佳「……」

エイラ「………いったな」

芳佳「行きました…」


エイラ「うぉぉぉぉぉ!サーニャぁぁ!」

芳佳「ハイデマリーさんが帰るまでの辛抱ですよ」

エイラ「うう…グスッ……」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:03:40.39 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「…サーニャちゃんにとって、ハイデマリーさんは憧れの存在だったんですよ…今だけはサーニャちゃんの好きにしてあげましょう」

エイラ「…ミヤフジのうらぎりものぉ……」

芳佳「…とにかくエイラさん、"あれ"はちゃんと準備出来てるんですか?」

エイラ「…ああ……グスッ……しっかり用意出来てるぞ」

芳佳「なら大丈夫です!私を信じて下さい!」

エイラ「ああ!頼むぞミヤフジ!」

芳佳「なんだかんだ言っても、サーニャちゃんの笑顔は最後にはエイラさんのものになるんです!」

エイラ「ああ!」

芳佳「この作戦!絶対成功させましょう!」

エイラ「ああ!」

芳佳「今年も海へ行くって…いっぱい映画も見るって…サーニャさんと約束したじゃないですか!」

エイラ「ナンダそれ」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:08:58.81 ID:Y7FgpCJX0
 
  ~ その日の夜 夜間哨戒 ~


サーニャ「……」

ブウウウウウウン…

ハイデマリー「………」

ブウウウウン…



ハイデマリー「あの…!」


サーニャ「……わっ」

ハイデマリー「あっ…ごめんなさい…びっくりさせてしまいました」

サーニャ「…いえ…大丈夫です、どうぞ」

ハイデマリー「……あの、今日の昼のことなんですけど」

サーニャ「?」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:11:21.19 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「宮藤さんと…エイラさん…なにか話してました……ヒソヒソと、まるで秘密事のように」

サーニャ「…」

ハイデマリー「……すみません…少し気になったもので」

サーニャ「……エイラが芳佳ちゃんと秘密の話をするなんて…今まで無かったわ」

ハイデマリー「……?」

サーニャ「………」

ハイデマリー「…サーニャさん…」

サーニャ「?」

ハイデマリー「……手紙はちゃんと送りましたか?」

サーニャ「はい…芳佳ちゃんが出しておいてくれました……」

ハイデマリー「そうですか」

サーニャ「………」

ハイデマリー「…………」

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:17:18.20 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「……あと1日で帰ってしまうんですね……」

ハイデマリー「はい」

サーニャ「…………ハイデマリーさん」

ハイデマリー「?」

サーニャ「悲しいです」

ハイデマリー「……私も……でも、私には帰らないといけないところがあるの……」

サーニャ「………」

ハイデマリー「……大丈夫、サーニャさんは強いひとですよ、誰よりも…」

サーニャ「そんなことありません」

ハイデマリー「サーニャさんは皆に愛されています…仲間にも…ご両親にも」

サーニャ「…………」

ハイデマリー「……」ギュッ

サーニャ「……!」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:21:38.24 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「また…私が帰っても交信しましょう…501のお話、もっと聞かせて下さい」

サーニャ「はい…」

ハイデマリー「…」


ゴゴゴゴゴゴ…


サーニャ「!!!!!」

ハイデマリー「!!!!!!」

ゴゴゴゴ…


サーニャ「大変…!ネウロイだわ…!」

ハイデマリー「そんなっ…」

サーニャ「…至急連絡を…!」

ハイデマリー「待って!」

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:25:37.76 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「…!?」

ハイデマリー「…私が撃墜します」

サーニャ「……ダメです…!応援を待ちましょう…!」

ハイデマリー「安心してサーニャさん、私も強いの」

サーニャ「…!」

ハイデマリー「…サーニャさんほどではありませんが……夜間哨戒中だけでも、撃墜数100を超えるんですよ?」

サーニャ「でも…!でも…!」


ゴゴゴゴゴゴゴ…


ハイデマリー「機材を貸してください…」

サーニャ「…重いですよ」

ハイデマリー「大丈夫」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:29:47.83 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「………」

ハイデマリー「……おっと」

サーニャ「……すみません……」

ハイデマリー「私は、サーニャさんを守りたいの」

サーニャ「……」

ハイデマリー「……ね?」




ガガガガガガガ!


サーニャ「ハイデマリー少佐!」

ハイデマリー「……」



ドガガガガガ!

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:33:16.14 ID:Y7FgpCJX0
        ドオ

    オオ        オオ    オ
      オ    オ
        オ
            オ     オオ!
     オ
                オ!!!     !!





ハイデマリー「やった!」

サーニャ「…ネウロイ撃墜…!」

ハイデマリー「…大丈夫ですかサーニャさん」

サーニャ「……はい」

ハイデマリー「よかった……」

 ピー……ガガガ


ミーナ『サーニャさん!大丈夫!?』

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:40:54.57 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「あ、ミーナ中佐…」

ハイデマリー「…すみません」

ミーナ『ハイデマリー少佐…!? あなたもいるの!?』

ハイデマリー「はい……独断による身勝手な行動、お許し下さい」

ミーナ『…まったく……仕方ないわね…本日の夜間哨戒は終了してちょうだい…』

サーニャ「……」

ミーナ『…サーニャさん、ハイデマリー少佐…あなたたちに無茶をさせる訳にはいかないわ』

ハイデマリー「…はい」




72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:43:09.70 ID:Y7FgpCJX0
 
   ~ 朝 ~

美緒「…おい…これは夢じゃない…よな…」

ミーナ「ええ……確かにこれは…」

美緒「信じられない………こんなことが本当にあるのか…!」

ミーナ「………本当に……手紙が来るなんて…」




  ~ サーニャの部屋 ~


サーニャ「……どうしたんですか急に」

ハイデマリー「……眠い…」

芳佳「それがね…サーニャちゃん」

エイラ「サーニャ…聞いて驚くなよ…?」

芳佳「さっき坂本少佐から手渡されたんだよ…これを」

エイラ「喜べサーニャ!そして私に笑顔を見せてくれ!」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:48:46.83 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「……これは…」

ハイデマリー「手紙…オラーシャからの…」

サーニャ「うそ…」

エイラ「嘘じゃないぞ…!サーニャ、ちゃんと想いは届いたんだよ!」

芳佳「すごいよサーニャちゃん!本当に返事が来るなんて!」

サーニャ「………」

ハイデマリー「………読まないんですか…?」

サーニャ「……」

  ビリビリ


芳佳「…」ワクワク

エイラ「…」ワクワク



サーニャ「……これ、本当にこの基地に届いたの?」

エイラ「ああそうだ!少佐が言ったんだから間違いない!」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:52:03.19 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「サーニャちゃん!はやく読んでみてよ!」

サーニャ「………」

エイラ「サーニャ?」

ハイデマリー「サーニャさん?」




サーニャ「酷いわ…エイラ」

エイラ「なっ!!!!!」

芳佳「何言ってるのサーニャちゃん!」

サーニャ「これ、エイラが書いた手紙でしょ…?」

エイラ「なななぁ!」ギク!

芳佳「そそそそんなことないよ!ねえエイラさん!」

エイラ「ああああ、ああ!ああソウダ! ヤダナアサーニャ、ナニイッテルンダマッタク…」

サーニャ「…だって私が出した手紙…基地の名前や場所なんて書いてないもの…!」

エイラ「!!!」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 01:57:38.60 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「!!!!」

ハイデマリー「…サーニャさん…」

サーニャ「…あえて自分の居場所を書きたくなかったの…親を心配させたくないって……まだ今もネウロイと戦ってるって思われたくなくて…私の想いが届けばそれでいいって…!そう思ってたの…」

エイラ「……ご、ごめん…サーニャ」

サーニャ「だから、返事が届くわけがない……エイラ…せめて筆跡くらいはごまかしてほしいわ…」

エイラ「……あ…」

芳佳「エイラさん…!」

サーニャ「あと…私の親は『~だな』『~するなよ』なんて言い方しないわ」

エイラ「………」

芳佳「………」

ハイデマリー「…………」

サーニャ「…………エイラ」

エイラ「……本当に……ごめん……」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:01:10.81 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「エイラさんは悪くないよ……私が考えたことだもん……悪いのは私だよ……」

サーニャ「…………」

ハイデマリー「…………?」

サーニャ「……………ふふっ」

エイラ「?」

サーニャ「……うふっ…ふふふっ……なんだか可笑しい…」

エイラ「…サーニャ!」

サーニャ「こんな騙す気もない手紙で……『両親からの手紙だぞ!』って……やっぱりエイラは相変わらずね…」

エイラ「さっ…サーニャあ…」ブワッ

芳佳「え、エイラさん…」

エイラ「うぉぉぉ~!ごめんよサーニャぁ~~~!こんな馬鹿なことをしてしまって…!本当に…グスッ…さああにゃああ~!」

79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:06:14.56 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「まったく、エイラったら…ふふふっ」

芳佳「サーニャちゃんが笑顔に…!」

ハイデマリー「宮藤さん…サーニャさんって…あんな笑顔もできるんですね…」

芳佳「はい…あれはエイラさんの前でしか見せない表情です」

エイラ「うわああああ!さーにゃああ!」





 ~ そして最後の夜 ~


サーニャ「……最後の夜間哨戒ですね…」

ハイデマリー「…大丈夫です、私はいつでも、サーニャさんの事を想っていますよ…ご両親のように」

サーニャ「………ありがとうございます//」

ハイデマリー「……一週間、本当に楽しかった…」

サーニャ「?」

ハイデマリー「……あういう仲間に囲まれて…サーニャさんは幸せ者ですね」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:09:36.77 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「そんな……!」

ハイデマリー「……皆…サーニャさんのことが大好きなんですよ」

サーニャ「……//」

ハイデマリー「………照れてるんですか?」

サーニャ「いえ、別に…」

ハイデマリー「魔導針が赤くなってます」

サーニャ「!」

ハイデマリー「信じて下さい、"自分は強い"って、"自分は幸せなんだ"って」

サーニャ「……はい」

ハイデマリー「ほら…」ギュッ

サーニャ「!!!」

ハイデマリー「……私も、サーニャさんのことが好きな人の一人です」ムギュゥ

サーニャ「……//」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:14:36.58 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「……わかりますか…私の魔導針も赤くなっているのが」

サーニャ「……!」

ハイデマリー「ほら…こうやって…」

サーニャ「きゃっ!」ピクン!

ハイデマリー「魔導針同士をこうやってくっ付けると、相手の想いがより一層伝わるんです…」

サーニャ「ハイデマリーさんの…想い…」

ハイデマリー「……ええ、サーニャさんの想いが…いま私に流れて来ています」

サーニャ「……あたたかい…」

ハイデマリー「目を閉じて下さい…もっと強く感じられますよ…」



ハイデマリー「…」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:17:08.70 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「!」



ハイデマリー「これは……」


--------------



   「サーニャは本当にピアノが上手ね…」


          「私に似たんだ!この子は将来、大物ピアニストになるぞ!」

   「あなた、気が早いわ」


                  「こんな子を持って、親として誇らしいことだよ!」


-----------------

ハイデマリー(何これ!?サーニャさんの…記憶…?)

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:23:08.76 ID:Y7FgpCJX0
 
----------

  「ああ、サーニャ…どうしてうちの子が…」


          「…ウィッチに入隊だなんて……私は信じない」

  「この子はピアニストになるという夢があるのよ!? その夢はどうなるの!」


                「もっとウィッチにふさわしい人間はいっぱいいる!どうして…サーニャが…!」

--------

ハイデマリー(これは…)

---------


      「いやああ!やめて!サーニャを連れて行かないで!」


   「この子はまだ幼いんだ!それなのに…こんな子供にネウロイと戦わせるなんて、どういう神経してるんだ!」

                   
                    「サーニャ!サーニャ!お願い!サーニャを返して!」

84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:27:59.27 ID:Y7FgpCJX0
 
------

ハイデマリー(いやっ……いやっ)

ハイデマリー「いやあああああああああ!!!!!!」

サーニャ「ハイデマリーさん!どうしたんですか!」ユサユサ

ハイデマリー「……はっ!」

サーニャ「ああ、よかった…気が付いた…」

ハイデマリー「サーニャさん…」

サーニャ「…?」

ハイデマリー「ううっ…」ムギュウウ…

サーニャ「ちょ…強いです……苦しい…」

ハイデマリー「ごめんなさい……ごめんなさい……」ギュウウ…

サーニャ「ハイデマリーさん!しっかりしてください!」

ハイデマリー「ごめんなさい……」




85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:30:14.93 ID:Y7FgpCJX0
 
  ~ サーニャの部屋 ~


サーニャ「落ち着きました?」

ハイデマリー「はい…」

サーニャ「………よかった」ホッ

ハイデマリー「……ごめんなさい、急に取り乱してしまって」

サーニャ「気にしないで下さい…」

ハイデマリー「……最後の夜ですね」

サーニャ「……はい……今日は一緒に寝てもいいですか…?」

ハイデマリー「えっ…」

------


 ~ エイラの部屋 ~


エイラ「何故だあああ!どうして今日も私の部屋に来ないんだあああ!」

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:35:08.88 ID:Y7FgpCJX0
 
芳佳「ちょっとうるさいですエイラさん…」

エイラ「ミヤフジぃ…!そして何故お前は私の部屋に来るんだ…!」

芳佳「いいじゃないですかぁ~、エイラさんの部屋、いいにおいがするんだもん」ゴロゴロ

エイラ「…やっぱりハイデマリーのほうがいいのか!? 私じゃ満足できなかったのか!?」

芳佳「ふぁぁぁ…仕方ないですよ…今日はハイデマリーさんが帰る日なんです…最後の日くらい一緒に寝てあげさせましょう…」

エイラ「くそぉぉぉ……手紙作戦は失敗に終わるし……ミヤフジはなんかハイデマリー側についてるし…どうしてこうなったんだあ~!」

芳佳「大丈夫ですよ、今日からまたどうせいつもの2人に戻るんでしょ……ふぁぁあ…」

エイラ「ミヤフジいい!私は悲しいぞぉ!」

芳佳「まったく…エイラさん、むしろ今こそがチャンスなんですよ」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 02:38:18.19 ID:Y7FgpCJX0
 
エイラ「何?」

芳佳「ハイデマリーさんが去ってしまって、悲しんでいるサーニャちゃんを励ませらるのは…誰ですか?」

エイラ「…はっ!…そうか!むしろ私は今サーニャに一番好かれる立場にいるのか!」

芳佳「そうですよ!」

エイラ「ありがとなミヤフジ!元気が出てきた!」

芳佳「真夜中のマシンガンで、サーニャちゃんのハートを撃ち抜けるのはエイラさんだけですよ!」

エイラ「ナンダそれ」





    ~ 滑走路にて ~


ミーナ「それでは、ハイデマリー少佐、体に気を付けて」

ハイデマリー「はい……この1周間、ほんとうに楽しかったです」

美緒「楽しんでくれて何よりだ、また私達に会いたくなったらいつでも来い」

 
1: さるさんくらった 2013/10/19(土) 02:54:01.41 ID:Y7FgpCJX0
 

    ~ 滑走路にて ~


ミーナ「それでは、ハイデマリー少佐、体に気を付けて」

ハイデマリー「はい……この1周間、ほんとうに楽しかったです」

美緒「楽しんでくれて何よりだ、また私達に会いたくなったらいつでも来い」

ハイデマリー「はい」

ミーナ「また騒がしい人たちが出迎えてくれるわ」

ハイデマリー「はい…!」

サーニャ「……ハイデマリーさん……本当にありがとうございました……」

ハイデマリー「サーニャさん、最後に一言」

サーニャ「?」

ハイデマリー「親のことを……いつまでも想い続けて下さい……」

サーニャ「はい…!」

2: さるさんくらった 2013/10/19(土) 02:57:31.12 ID:Y7FgpCJX0
 
ハイデマリー「会えなくても…気持ちがあればいつか届く日が来ます…!絶対に…!」

サーニャ「はい!」

エイラ「ゴメンなサーニャ…あの時は」

サーニャ「気にしてないよエイラ…」

ハイデマリー「それじゃあみなさん!…お元気で!」





ブオオオオオオオオオン……





5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 03:01:05.95 ID:Y7FgpCJX0
 
ミーナ「ねえ、美緒」

美緒「なんだミーナ」

ミーナ「結局あのこと…サーニャさんには黙っておくの?」

美緒「ああ、ずっと私の部屋の引き出しにしまってある」

ミーナ「…そのほうがいいわ…サーニャさんが国へ帰る時…ネウロイがこの世から消滅して、ウィッチが必要とされなくなった時…あの手紙をサーニャさんに渡しましょう」

美緒「そうだな………それにしても…どうしてここに届いたんだ…」

ミーナ「さっき他の隊から連絡が来たの…サーニャさんのご両親…サーニャさんへの手紙をひたすら世界中の軍隊に送っていたらしいわ…」

美緒「なに…!」

ミーナ「サーニャさんへ想いが届くとずっと信じて…諦めずに手紙を送り続けた結果…やっと501へたどり着いたというわけね」

美緒「……そうだったのか…」

ミーナ「素敵な話ね」

美緒「……ああ」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/10/19(土) 03:02:27.56 ID:Y7FgpCJX0
 
サーニャ「あの…坂本少佐…」

美緒「うあ!なんだ!?急に」ビクッ

サーニャ「いえ…早く訓練始めないと………どうしてそんなに驚いてるんですか」

ミーナ「なんでもないわ、さあ、気持ちを切り替えて頑張りましょう」

美緒「そうだな」

サーニャ「?」

美緒「さ、訓練開始だぞサーニャ!しっかり気合入れていけ!」



サーニャ「はいっ!」




    完

引用元: サーニャ「ダメもとで両親に手紙を送ったら…」