2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:19:14.02 ID:9HTjl/QI0
私は、幼い頃から転校を繰り返していた。

何回したのか、数えられないぐらい。

最初のうちは、転校しても、頑張って友達を作って、仲良くなって…

転校生らしい?学校生活を送っていた。

でも、仲良くなって来た途端、転校…。満足に思い出を作ることなんてできなかった。

そんなことを繰り返すうちに、いつしか私は友達を作らず、いつも1人で行動するようになった。もう、友達との別れで、その輪から自分だけが離れていって、傷つくのは嫌だった。だったら、いっそのこと友達なんていらない…そう思い始めたのだ。

学校では、本が友達で

休み時間も1人

登下校も1人

両親の帰りが遅いから、家でも1人…。

もちろん、寂しかった。

けれど、じきに慣れてしまって、1人でいるのが当たり前で落ち着くようになってしまったのだ。

それでもやはり、寂しかった。

だから私は、高校に通うのに1人暮らしさせて欲しい、と親に願った。

寂しいから、というのももちろん理由の一つだが、ちゃんとした友達を作ってみんなとお昼を食べたり、放課後遊んだり、一緒に帰ったり…ただ、そんなことがしたかったのだ。




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:20:57.58 ID:9HTjl/QI0
両親と話し合い、一人暮らしをする家を決め、スピリチュアルパワーで溢れ返る、

神田明神にバイトも決まった。

新たな生活、初めての経験が待っている。

期待と不安を胸に抱いて、私は国立音ノ木坂学院に入学した。


入学式が終わった後、クラス初のホームルーム。

絵里「皆さん、初めまして。絢瀬絵里といいます。よろしく。」

(この人…)

なんとも言えないけど…絢瀬さんから"なにか"を感じた。

(絢瀬さん…金髪で、綺麗な人だなあ…)

他の人の自己紹介はほとんど頭に入らず、絢瀬さんのことを考えているうちに、

自分の順番がやってきた。

希「東條希です。スピリチュアルなものが大好きです。
  神田明神でバイトしているので、よかったら来てくださいっ。よろしくお願いします。」


4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:24:30.75 ID:9HTjl/QI0
簡単な自己紹介を終えて、諸連絡を済まし、今日は放課。

私は、絢瀬さんを目で追った。すると、既にクラスの子からこれから遊ぶ誘いを受けていた。

モブ「絢瀬さん、この後一緒に遊びに行くんだけど、よかったら一緒に…」

絵里「ごめんなさい、私、忙しいの。」

(…やっぱり、自分から壁を作ってるのかな?……私と…同じ?……自分を崩してまで、友達はいらない?)

ふと、その一瞬、絢瀬さんと目が合った。

そのとき私は、最初に感じた”なにか”を確信した。絢瀬さんは、自分から周りに壁を作っているのだ。

理由なんかわからない。でも、壁を作っているのは私と同じ。

まるで自分のような人を見つけた。それに気付いた瞬間、初めて、

私は自分の壁を自ら壊してまで友達になりたい、仲良くなりたい、

と思える人に出会えたと思った。絢瀬さんのことだ。

上手く話せるかなんてわからないけど、私は絢瀬さんを追いかけて…声をかけた。

希「あの…っ!」

そのまま、勢いで声をかけてしまった。


5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:35:06.76 ID:9HTjl/QI0
絵里「…あなたは?」

さっき誘いを断っている姿を私が見ていたことを、知っているようだった。

なのにどうして話しかけてくるの?そんな彼女の"壁"を感じた。

希「私…っ」

(このままじゃ、まともな会話なんてできない…どうしよう…どうすればいいんだろう……)

普通に話す勇気が無かった。私は激しく迷った。でも、本当に一瞬の時間だった。

ただ話しかけるんじゃだめだ。さっきの子達と、同じ結果になるのは目に見えている。

一瞬、迷った結果、私は、自分でもわけのわからない答えに辿り着いた。

希「…ウチっ、東條希!よろしくな、絢瀬さんっ」

自分で思う満面の笑顔で関西弁。いや、こういうのはエセ関西弁って言うのかな?

関西に住んでいたこともあったので、ある程度ならば自信があった。

それに…私は関西弁に、なんともいえない暖かさを感じていたのだ。

絵里「…東條希さん、ね。自己紹介してたじゃない。神田明神でバイトしているんでしょう?」

(自己紹介、覚えてくれてるんだ…!)

希「そうなんやで!あそこな、この辺だとずば抜けてスピリチュアルパワー
  がすごいんよ?よかったらお参りしてってな」

絵里「そう…機会があったらね。話はそれだけ?私、忙しいの。ごめんなさいね。」

(ここで引いたら…ダメ。多分、もう話せない…っ)

希「絢瀬さん、家、どこなん?途中まで、一緒に帰らへん?」

咄嗟に、口から出た言葉だった。私は、絢瀬さんと話したかった。
…いや、話したかったというよりも…友達になりたかった。何だか、絢瀬さんとならとても仲良くなれる、そんな気がしていたのだ。

絵里「……わかったわ。」

希「じゃあ、帰ろっか」

意外だった。こんなにもすんなりとOKしてくれるとは思っていなかったのだ。

(必ず…友達になる)

もう、ほとんど勢いだった。関西弁って、不思議だなあと思った。

普段の私なら絶対言えないような事や、気持ちの表現が、

すんなりとできて…心地よかった。もちろん、緊張はするけど…。

と、とにかく、一緒に帰れることになった。けど、何を話そう。

果たして絢瀬さんと盛り上がる話題はなんだろう…?

でも、やっぱりまずは…。

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:38:35.50 ID:9HTjl/QI0
希「なあなあ、絢瀬さんって、どこかとハーフなん?
  いきなりこんなこと聞いて悪いんやけど…」

絵里「ああ…よく聞かれるわよ。おばあさまが、ロシア人なのよ。
   だから、ハーフじゃなくて、クウォーターね。」

希「そうなんや。綺麗な金髪やね。ってことは、ロシア行ったことあるん?」

絵里「あら、ありがとう。ええ、小さい頃はロシアに住んでいたのよ。
   だから、ロシア語もある程度なら話せるわ。」

希「へえ?、すごいんやね。ロシアかあ、寒そっ。」

絵里「…ふふっ、何よそのイメージ。ロシアはいいところよ?料理も、私は好きだしね。」

(あっ、今笑ってくれた…?)

希「ふうん、そうなんや。でもなあ、ロシアって…ごめんな、あんまりパッと思いつくものがないんよ。」

絵里「まあ、一般的にはそうかもしれないわね…仕方ないことなのかも。」

希「あっ、そういえば、クウォーターってことは…ロシア人の名前、あるん?」

絵里「もちろんよ。」

希「教えて…くれん?」

ちょっと図々し過ぎるかな?と思って気が引けた。

けど…少しぐらい図々しいほうがいいのかな、そんな気がしたのだ。

絵里「…そうね、まだ…教えたくない、かな。さっきから私の話ばかりで、東條さんの話、全然聞いてないし。」

話を聞くことに夢中になりすぎて、自分の話をしていなかった。

希「あ、ごめんな。わた…ウチ、東條希、神田明神でバイトしてるん。」

絵里「自己紹介で言ってたわね。関西弁だけど…関西生まれなの?」

聞かれてしまった。どうしようと思った。けど…これからのことを考えると嘘はつきたくない。

(…正直に、私の気持ちを伝えなくちゃ。)

希「いや?関西で過ごしたんは、1ヶ月くらいかな?ウチな、親が転勤族なん。
  
  小さい頃から引越しばっかで、色んなとこ行ってるんよ。だから転校ばっかで…高校からなんよ。

  引越しせずに、3年間通えるの。」

あくまで正直に答えた。相手に心を開いてもらいたければ、まずは自分から
開かないでどうするんだ。そう思った。一人暮らしということも、聞かれたら正直に答えるつもり。

絵里「そうだったの…。なんだかごめんなさい。デリカシーのないことを聞いてしまったわ。」

(良い人なんだな、絢瀬さん。どうすれば仲良くなれるかなあ…。)

希「あ、ええんよ。気にしてないで。あのな、ウチ…絢瀬さんと、
  仲良くなりたいんや。その…ウチな、転校ばっかで、もう長いこと、友達いないんよ。
  だから…高校では、友達と一緒に仲良くして、楽しく過ごしたい思ってるん。
  だから…あの……ウチと…ウチと、友達になって欲しいんや…っ!」

もう、この際だ。正直に、ただただ真っ直ぐに。私の思い…想いを、伝えた。

(…言っちゃった。でもいいよね。これで断られちゃっても…
 また、明日話しかければ。完全に拒絶されない限り…私が頑張ればいい。)

そんな自信が、今の私には何故かあった。関西弁のおかげかも。

絵里「…そうなのね。でも…どうして私のところに来たの?
   私が、今日他の子達に遊びにいくの誘われて、断るの見てたわよね?」

(目が合ったからもしかしてと思ったけど…見られてたんだ、恥ずかしい。どうしよう、素直に答えるべき?それとも…)

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:41:29.07 ID:9HTjl/QI0
希「…カードが。カードがな、ウチに告げたんよ。絢瀬さんと友達になるように、って。」

絵里「…?カード?」

希「スピリチュアルパワーや。これのこと。」

私はタロットカードを見せた。

絵里「そういえば、自己紹介でスピリチュアルなものが好き、とか言ってたわね…そういうのって、当たるの?」

希「ウチの占いはよく当たるって評判なんよ?クジ引きも、生まれてから外したこと1度もないんやから!」

正直なところ、今回は占っている余裕も、時間もなかった。
嘘はつきたくなかっけど、照れ隠しってことで…許してな、絢瀬さん。

絵里「ふーん…。まあいいわ。私でよければ…友達になりましょう?」

まさか、こんなにも簡単に。こんなにもすんなりと、絢瀬さんからこんな言葉が聞けるとは
思えなかった。思わず私は、泣いてしまっていた。

希「…ありがとう。とても、とても嬉しい…!」

思わず関西弁を忘れてしまった。

絵里「ちょ、ちょっと、大丈夫?具合悪いの?」

希「う、ううん!嬉し泣き、や。絢瀬さんと友達になれるのが、嬉しくて…それに…」

絵里「それに?」

希「久振りなんや。"友達"って…」

絵里「…そう。そんなに喜んでもらえると…こっちも嬉しいけど、何だか恥ずかしいわね…。
   えっと…希。これからよろしくね。」
(!!い、いま、今、のぞみって…!?)

希「…ん!これからよろしくなんやで、絵里ちゃんっ!」

絵里「…ふふっ。友達になったついでに…私のロシア名、聞きたがってたわよね?」

希「うんっ」

絵里「エリーチカ、って言うの。小さい頃は、かしこいかわいいエリーチカ、なんて呼ばれていたのよ?」

希「エリーチカ、か…いい名前やんっ。呼びやすくて、ウチは好きやで。」

エリーチカ。とてもいい名前だと思った。込められている意味なんて私には分からないけど、
とても、いい名前だなと感じた。

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:43:00.46 ID:9HTjl/QI0
(エリーチカ、かぁ…絵里ちゃん…エリーチカ…えりち…?)

絵里「ふふ、私も気に入っているわ。」

希「…そや、絵里ちゃんのこと、これから、えりち、って呼んでもええ?絵里と、エリーチカを混ぜた感じで…」

えりち。呼びやすいし、仲が良さそうで、とても友達っぽい。
まだ許可をもらえてないけど、私は呼ぶ気満々だった。

絵里「えりち、ねえ。まあ、呼び方は任せるわ。私は普通に希って呼ぶけどね。」

希「ん、ありがとやで。えりち。」

絵里「何もしてないじゃないの…ふふふ、どういたしまして。」

だいぶ…私にも、心を開いてくれたような、そんな気がした。

絵里「じゃあ、私こっちだから…ここまで、でいいかしら?」

希「あ、そうなんや。ウチとはここから反対方向なんやね。あっ…えーと、その…」

明日、一緒に登校したい。でも、何だか気恥ずかしくて言い出せなかった。

絵里「…どうしたの?言いたいことがあるなら言いなさい?」

(は、恥ずかしい…それに、断られたらどうしよう…。でも…でも、
 友達なんだし、別に変なこと言うわけじゃない!聞いちゃえ!!)

希「あ、明日の朝、一緒に学校行かへん?」

完全に勢いだった。

絵里「…ふふふっ。希、可愛いのね。いいわよ、明日の朝、一緒に登校しましょうか。」

笑われてしまった。それに、可愛いなどと言われてしまった。恥ずかしい。でも、OKをくれた、とても嬉しい。

絵里「時間は…また後で決めましょう。はい、これ、連絡先だから。」

そう言うと、えりちは連絡先を紙に書いて渡してくれた。

希「…ありがとう!ん、あとで連絡いれておくで。ふふ、楽しみやんっ。」

絵里「ふふ、それじゃあね、希。また明日。」

希「えりち、また明日!」

こうして、音ノ木坂で過ごす初日は幕を閉じた。私には、大事な、大事な友達ができた。

ひとつめの、奇跡。

(…えりち、えりち、えりち!ふふふ、友達なんて久しぶりだなあ…。明日が楽しみだっ)

私はそのあと家に帰ってから、えりちに連絡を入れ、待ち合わせの時間を決めて、その日はもう寝てしまった。
やはり緊張していたのだろう。疲労感が押し寄せて来た。あ、もちろんお風呂は入ったよ?

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:44:58.36 ID:9HTjl/QI0
ーー次の日ーー

(確か…ここで待ち合わせ、だよね)

私は昨日絢瀬さん…えりちと別れた分かれ道に到着した。約束した時間の15分前だ。

絵里「あら、おはよう。早いのね。」

もう既に、えりちは待っていた。

希「あ、あれ?ウチ、時間勘違いしとった…?遅れてもうてほんまごめん」

(ど、どうしよう、初めての待ち合わせでいきなり遅刻…!?)

絵里「ちょ、ちょっと希?遅れてなんていないわよ。私がただ、30分前に来てただけよ?」

この時私は、驚きを隠せなかった。正直なところ、私はえりちに鬱陶しく思われている、そう勝手に思い込んでいた。

(もしかして、楽しみにしててくれてた…のかな?…まさか、ね。)

そんなわけないと思いつつも、少し期待してしまう自分がいた。

希「なんだ…そうやったんね。いきなり遅刻しちゃった思て、焦っちゃったわ」

絵里「安心しなさい。まだ約束の15分前よ。早いじゃないの。希って、約束した時はいつも15分くらい早く来るの?」

希「いやー…えりちと学校行けるのがな、楽しみで。誘ったのもウチやし、
  待たせちゃあかん、思てな。早めに行こうと思ってたんやけど…もうえりちがおったから。
  どれくらい待たせちゃったんやろ…ごめんな?」

絵里「ふふ、いいのよ。私だって、その…楽しみ、だったんだから。なんかね、
   希って、不思議と話しやすいのよ。その関西弁のおかげなのかしらね?」

とても嬉しい言葉を聞いて、私は気分が良くなる。まさか、まさか、
こんな言葉を聴けるなんて思っていなかった。なんだかカップルみたいなやり取りで、恥ずかしいけどね。

希「…えりちも、楽しみにしてくれてたんや!嬉しいなあ。てっきり、楽しみにしてるんはウチだけやと思ってた。」

絵里「…ふふっ、これからよろしくね、希っ。」

やはり、えりちは優しい人なんだ。どうしようもないくらい、温かくて、優しくて、
面倒見のいい人なんだ。私は昨日、今日と…たった2日間。それも、少ししか接していないけれど、そう確信した。

絵里「じゃあそろそろ、行きましょっか。 歩きながらでも話せるもの。」

希「それもそうやね。」

そんな会話をして、私たちは学校へと向かった。

それからというもの、朝は一緒に登校。学校ではお昼を一緒に食べて、
放課後は途中まで一緒に帰る。そんな毎日を、私たちは過ごした。
もう、えりちは私にとってかけがえのない、大事な大事な親友になっていた。
きっとえりちも…そう感じてくれていたと思う。

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:46:58.01 ID:9HTjl/QI0
そんなある日の放課後…と言っても、学校が始まってまだ1週間しか経ってないんやけどね。
周りのみんなが、部活を決める、という時期。えりちは帰宅部になるらしかった。
私も特にやりたいことが無かったので、帰宅部になった。

絵里「希も帰宅部なのね…。こんなこと言うのはどうかと思うけど、
   正直なところ、安心しちゃった。放課後希と帰る時間とかが無くなっちゃうかと思ってたの…。」

(え、そんなこと思っててくれたんだ…!えりちって、意外と寂しがりやさんなのかな?)

希「お、嬉しいこと言ってくれるやん。ウチもな、えりちと一緒に帰る時間はとーーっても大切なんやで。」

実際、えりち帰宅部になるから、というのは私が部活に入らなかった理由の一つでもある。
だから、えりちが同じ気持ちを持っていてくれて、嬉しかった。

希「そう言えば、ウチらの学年に、スクールアイドル部?とかいうの作った子達がいるらしいで。
  んと、3人だったかな?最近流行ってるやん?」

絵里「スクールアイドルねえ…そうね、最近確かに凄い人気よね。えっと…アライズ?だっけ。」

どこか、納得がいかないような、そんな言い方だった。けど、私にはわからなかったので…気にせずに、話を続けた。

希「A-RISEやね。ウチらと同い年なのにすごいと思うわ。まあ、ウチも詳しいわけやないんやけどな」

絵里「あら、そうなの。でもそれだけ有名ってことよね。私でも知ってるくらいだもの。」

こんな話をしながら、私たちは校門に向かって歩いていた。すると、

にこ「にっこにっこにー♪今度初ライブするにこっ☆ぜーーーったい見に来てねっ♪」

誰だろう、この人。

絵里「……えーっと、希?」

希「なんや………えりち。」

絵里「……知り合い?」

希「ん…?どうしたん?」

にこ「ちょっと!!!無視するんじゃないわよ!!!今度ライブするから来なさいよ!!
   宇宙ナンバーワンアイドル、にこにーの初ライブよ!?」

希「……えりち、帰ろ。」

絵里「そうね、帰りましょう。」

にこ「ちょ、ちょっとあんたたち!?待ちなさいよこらーーーっ!!」

ウチらはそのまま進んでいって、いつもみたいに帰った。

(……にこちゃん、か。クラスは違うみたいだけど…なんだか気になるな)


そんなことを思いながら。

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:49:24.92 ID:9HTjl/QI0
後日。噂だが、アイドル部3人のうち、2人が退部したと聞いた。
私はなぜか気になった。この前初ライブをしたばかりだからだ。

(何かあったのかな…にこちゃん?だっけ、大丈夫かな…?)

そんなことをしばらく思っていた…けれど、私には何もできなかった。声をかけてあげる勇気すらなかった。

そのまた少し後に放課後の雨の中、1人でアイドル部のビラ配りをしているにこちゃんを、
私はただ眺めていることしかできなかったのだ。力になれない、言葉すらかけられない自分が、
凄く嫌だった。えりちに声をかけたときみたいにできない自分がもどかしい。

一体、部員2人から退部届を突き付けられたとき、彼女はどんな気持ちだったんだろう。きっと今の彼女は、
アイドルへの想いだけで活動しているんだ。たった1人で。想いが強過ぎて、他の人と距離を作る。

いや…作ったわけでなく、生まれてしまった、と言うべきか。
埋められることのない距離が存在しているように私には思えた。

だから、アイドルへの想いが強過ぎて、本気で活動したい彼女に、部員2人が付いていけなかったのだろう。

…明日、彼女に声を掛けよう。こんなに強い想いを持っているのに、
誰にも振り向いてもらえない彼女を私はこれ以上見ていられなかった。

(…そう思うんなら今声をかければいいものを。その辺、やっぱり私ってダメダメなんだなあ)

絵里「…希?どうしたの?難しい顔してるけど…。」

どうやら表情に出てしまっていたようだ。


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:52:00.11 ID:9HTjl/QI0
希「ん?いや、なんでもないんよ?」

絵里「…あのビラ配りしてる子が心配なの?矢澤さん…だっけ。」

バレバレだった。さすがえりち。私の初めての友達。

希「ふふ、えりちに隠し事はできないなあ。ご名答やん、あの子…雨の中で1人。
  なんかな、アイドル部ってもう矢澤さん1人になってしまったらしいんよ。だから…心配というか、
  なあ?だから、明日にでも話しかけてみよう思て。」

絵里「…希はお節介さんね。そこが良いところだと思うけれど。」

褒められた。恥ずかしい。

希「…えりちに褒められてもうた。嬉しいけど恥ずかしいやん。」

絵里「あら?ふふ、希ったら、恥ずかしがっちゃって可愛いわね?。」

希「んもう!茶化さんといてー!」

絵里「ふふふっ。その調子なら、大丈夫、かな。」

希「えっ…?」

絵里「すごい思い詰めた表情してたわよ、希。他の人の心配をして、
   お節介するのはあなたの良いところだけれど、自分を大切にしなさい?」

自覚がなかったので、えりちが気付いて心配してくれたことが嬉しく感じた。

希「えりち…。ありがとうっ!」

とても嬉しくて、にやけが止まらない。

絵里「ちょ、ちょっと希?今度はにやにやしてて変よ…?」

希「えりちに気遣ってもらえるのが嬉しいんよ。」

絵里「もうっ…希ったら。友達なんだから、当然でしょう?」

(えりちが友達って言ってくれた!!)

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 22:54:50.95 ID:9HTjl/QI0
希「はは、ありがとさん。でもほんま、大丈夫やから。気にせんといて!」

絵里「まあ…ならいいけど…。いつでも頼りなさいよ?私はいつだって希の味方よ。」

えりちは、人を気遣える、とっても優しい子なんだな…。

(でも私は薄々気付いてたもん!自己紹介の時点で気付いてたもん!!)

絵里「それと、希…?」

希「ん?」

絵里「…あんまり言いたくないんだけれど、私と2人で帰ってるんだから…
   あんまり1人で考え事とか、しないで…欲しいな。……寂しいじゃないの 」

私は耳を疑った。

(!?!?え、えりちが…えりちがああああああ!!!)

希「………」

絵理「ちょ、ちょっと希…?ご、ごめんなさい。今のは…忘れて。気を悪くしないで、希っ…。」

希「ちち、違うんよ!?ごめんな、えりち。そんなつもりはないんよ?これから気をつけるから!ね?」

絵里「で、でも…今固まってたじゃないっ」

希「いや…あんな、すごく照れたっていうのと、えりちと仲良くなれたんやな…
  ウチ、幸せやな…死んでもええな…って感じだったんよ!」

絵里「し、死んじゃ嫌よ!?」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 23:14:18.15 ID:9HTjl/QI0
希「いや、死なんよ!?そ、それだけ恥ずかしくて嬉しかったってことやん!!」

絵里「あ…そう…なの、ね。…よかった。希に嫌われちゃったのかと思った…折角できた、唯一の友達なのに…」

(今さりげなく友達私1人って暴露したよえりち…いや、私もえりちしかいないけどさ)

希「ん、だから安心してな?それと、2人の時は、もう今みたいなことはしないように気をつけるよ!」

絵里「…хорошо。ありがとう、希っ。」

ハルァ…ショー?すごい舌回っとるやん…

希「…は、ハルァショー…?」

絵里「あっ、ハラショー、よ。ロシア語なの。んーと…素晴らしい、とか、
   嬉しい時とか、びっくりした時とかに使う言葉。」

希「はらしょー…ハラショー、か、初めて耳にするやん」

絵里「今まで希の前で使ったこと無かったかしらね。割と口癖なんだけど…」

希「そうなんや。またえりちと仲良くなれた気分!」

(嬉しい?。ってあれ?さっき私、心の中でもエセ関西弁だった気が…)

絵里「…ふふふ、そうね、希っ。」

希「ハラショー!」

絵里「あら…ふふふ、気に入った?」

希「ん!」

(ハラショー!)

絵里「ふふふふふ、じゃあ、ここでお別れね」

希「あれ、もうここまで来たんや…なんか早く感じたなあ」

えりちと一緒にいると、時間の流れとか、帰り道とかが早く感じる。
やっぱり、楽しい時間は早く過ぎる…ってやつかな?スピリチュアルやね!

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 23:21:46.46 ID:9HTjl/QI0
絵里「あら、私もよ。少し寂しいけれど…また明日ね、希。」

希「ん、また明日な、えりち?。」

お互いに手を振りながら、私たちはそれぞれの家へと帰って行った。

(また明日も会えるしっ。学校が楽しみ。でも明日は…にこちゃんに、声をかけるのが目標だなあ)

にこちゃんに、なんて声をかけるのか…考えなきゃな。

家に帰ってからもそんなことを考えているうちに、私はいつの間にか寝てしまった。

あ、もちろんお風呂は入っt(ry

ん?しつこい?ごめんごめん。

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 23:24:09.20 ID:9HTjl/QI0
----次の日----

今日もえりちと登校した。とても楽しい時間だ。

やっぱりえりちと一緒にいるのは楽しい。私にとって、凄く大切な時間。

でも…今日の放課後は、先に帰っててもらわなきゃ。

そんなこんなで、放課後の教室。

希「えりちー。」

いつもなら、このまま一緒に帰るんだけど…。

絵里「希、どうしたの?」

希「今日な、放課後用事あって、帰るの遅くなるから先に帰ってて欲しいんよ。待たせちゃ悪いし…。」

絵里「あら、そうなの…。分かったわ。じゃあ、今日はここでお別れね。」

希「悪いなあ。ありがと、えりち。」

本当にえりちは優しいな…。

絵里「気にしないの。友達なんだから。じゃあ、また明日ね、希。」

希「ん!また明日な、えりち!」

絵里「あっ…明日の朝は、一緒に行けるのよね?」

えりちは、少しだけ寂しそうに聞いてきた。私の気のせいじゃ…ない、よね。

希「…ふふ、えりちはかわええなあ。もちろん、明日の朝も一緒に行こ!」

(えりち…私と一緒にいるの楽しんでくれてるんだね!)

絵里「…ええ!じゃあ、今度こそ、また明日!」

希「ん、また明日~。」

えりちは上機嫌で教室から出て行った。やっぱりえりちには笑顔がよく似合う。
他の子たちは知らないんだと思うと、もったいないなあ。でも…私だけが知ってるっていうのも、
考えてみるとなんだかにやけちゃうな。

希「さて、と…」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 23:41:07.72 ID:9HTjl/QI0
えりちに言った用事…それはもちろん、矢澤にこちゃんのことだ。

(えーっと…アイドル研究部の部室はっと…)

クラスも知らなかったので、部室に行くことにした。
1人になって部活を辞めているという可能性は…この前ビラ配りをしていた彼女の姿からは、想像できなかった。

(ん、ここか…)

教室から少し歩いて、部室棟へ行くと、あった。アイドル研究部の部室が。

(…深呼吸、深呼吸。)

コンコン、とノックすると。

ガチャ

扉が開いた。

にこ「誰…あんた。」

(にこちゃん…!)

物凄い嫌悪感丸出しの表情だ…

希「えっと…」

さて、何を話そうかと思っていると、

にこ「…用が無いなら帰って。入部希望は今は受け付けていないわよ。
   私は1人でアイドル活動を続けるつもりだから。それともなに?ぼっちにこにーを笑いに来たの?
   散々な初ライブの後に1人でキレて、一人ぼっちになった私を。」

何か色々聞く前に全部暴露してくれちゃったよこの子。

(でもやっぱり…うん、予想してた通り、か…)

予想通り、だ。1人になってしまった理由。キレたというよりも、
「アイドルなめんな!!明らかな練習不足よ!!」みたいな感じだったんだろうな。

(それに耐え切れずに退部、か…確かに生半可な気持ちじゃにこちゃんに付いていくのは無理だったんだろうな…。)

でも、だからといってにこちゃんが1人でいることが許されるわけじゃない。
現ににこちゃんは…泣きそうな顔をしている。

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 19:56:37.54 ID:VIkZkVCa0
希「…矢澤にこちゃん、よね?」

にこ「…そうだけど。あんたさっきからなんなの?人の事ジロジロ見て。不愉快なんだけど。」

希「ふむ。」

私は自分でもわけがわからず、にこちゃんの胸を揉んでいた。

にこ「!?!?!?!?ちょ、ちょっと何すんのよアンタ!!!!」

まあ、突然胸揉まれたりしたら当然の反応だよねうん…。

希「まだまだ成長過程ってとこやんな♪」

にこ「はぁ!?あんたねえ、いきなり来たと思ったらなによ!!本気で何しに来た
   ワケ!?わざわざセクハラしにここまできたの!?それともスーパーアイドルにこにーのストーカー!?」

後半は聞かなかったことにして…

希「ん?いやあ、ウチな、にこちゃん…いや、にこっちのファンなんよ。」

にこ「は、はぁ!?やっぱりストーカー!?」

希「いや、ファン。ファンだけど、せっかく同じ学校、同じ学年なんやから、
  友達になりたいな、思てな。」

にこ「友達…?ふん、今や孤高のアイドルにこにーにこちゃんにそんなものは要らないのよ。帰りなさい。」

あっさり拒否されてしまった…けど…
(…泣きそうじゃん。)

24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:08:46.24 ID:VIkZkVCa0
誰が見ても、涙をこらえていると分かるような表情でそんなことを言われて、
引き下がるわけにはいかない。

希「…そっか。でもなあ、ウチな、どうしても友達になりたいんよ、
  にこっちと。だからな、部室いーれてっ♪」

にこ「ちょ、ちょっとアンタねえ!」

(ん、ここなら大丈夫。)

希「無理せんでええんよ。ここにはウチと、にこっちしかおらん。
  我慢しないで。苦しいなら、苦しいって言って。辛いなら、ウチに全部ぶちまけて。
  ウチは全部受け止めるよ。にこっちの苦しみは、ウチにとっても苦しみなんよ。」

にこ「は、ハァ…?アンタ、何言って…」

ぎゅ。無言でにこっちを抱きしめた。

にこ「あ、あんたねえ…さっきから何なのよ…さっきから、意味不明だっつの…うう…」

(まだ泣くの我慢してる……強い子だな。本当に、強い。羨ましい。
 私も、これだけ強ければ…って、そんなこと考えてる場合じゃない。)

希「にこっち。泣いてもええんやで。ウチはにこっちの友達や。
  今こうして、2人きりで話してるんやから…大丈夫だよ。」

なんと言えばいいのか…上手く思いを伝えられない自分がもどかしいけど、
もうとにかく声をかけるしかない。

希「大丈夫、大丈夫だよ。にこっちはいい子。強い子。」

こんなこと言って逆効果だったらどうしよう。
もう言っちゃったからには仕方ないけど…。

にこ「…っ。………うわあああああああああああああああん!!!!!!」

大声を上げながら、にこっちは泣いた。
せっかく部室に入り込んだのに、外に聞こえちゃってるだろうな、なんて考える余裕はなくて。

希「ん、ええ子や、にこっち。よしよしよし。」

そっと、髪を撫でる。なでなでってやつやん?

しばらくの間、にこっち…にこちゃんは、泣き止まなかった。本当に我慢強い子で、1人になってから本当に辛かったんだろうなと痛感する。
それでも弱音も吐かずに頑張っていたんだと思うと…私も辛い。

25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:10:23.47 ID:VIkZkVCa0
しばらくして、

にこ「…情けない姿見せたわね。」

にこっちは泣き止んでから、こんなことを言ってきた。

希「ええんよ。だってウチら、友達やし。」

にこ「…友達になった覚え、私にはさっぱりないんだけどね。」

希「…だめなん?」

にこ「はぁ…アンタ、名前は?私は矢澤にこ。宇宙ナンバーワンアイドル、矢澤にこ。」

希「ウチは…東條希。」

にこ「希、ね…。友達になって欲しかったらね、まず自分から名乗りなさいよ。
   私ばっかり一方的に名前で呼ばれて…全く…。」

そういえば自己紹介してなかったというのを、にこっちに言われて気がついた。

(やっちゃった…)

希「ご、ごめんなあ…?今にも泣きそうなにこっち見てたら、つい、な?」

にこ「そう、それよ。」

希「へ?」

にこ「初対面でいきなりにこっちって何よ。何様よアンタ。」

希「あ…ご、ごめん…。」

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:16:16.50 ID:VIkZkVCa0
にこ「別にいいけどさ…。まあ…見たところ友達も少なそうだし?
   迷惑もほーんのちょっとだけかけちゃったみたいだし?友達になってあげないこともないけど??」

(………ツンデレ!?)

希「…ありがとな、にこっち…じゃない、にこちゃん。」

にこ「にこっちでいいわよ、もう。」

希「…本当?」

にこ「本当よ。てかアンタ、関西弁がキャラ作りってバレバレよ。やるならもっと気をつけなさい。」

希「あ、う、うん。わかったで、にこっち。」

にこ「…これからよろしくね、希。」

希「…ん、よろしくなんやで、にこっち♪」

こうして、私とにこっちは友達になった…というか、なれた。

(にこちゃん、優しい。面倒見のいいお姉さん、って感じ。)

本当のお姉さんだってことを知るのはもうちょっとあとのお話。

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:24:32.51 ID:VIkZkVCa0
2人目の友達。
ふたつめの奇跡。

私の奇跡は、きっとこれからも続く。音ノ木にいる三年間で、きっと、大きな変化が訪れる。
昨日の夜寝る前、占ってみたんよ。そしたら、そんな結果だったん。

(何が起こるかまではわからないけど…きっと。)

そう、きっと、私にとって…大きなことが起こるのは間違いない。

でも、私には友達がいる。それも2人も!!!!

普通の女子校生からしたら、少なっ!!!!!って話なんだろうけど、
この私が、心を許せる人が2人もできたっていうのは、本当に奇跡。

いつか、この2人も仲良くなって…3人で、遊んだりできたら、素敵だな。

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:30:01.65 ID:VIkZkVCa0
にこ「…ところで、希。」

あかん、にこっちいるの忘れてにやにやしてた。

希「ん?」

にこ「いつまでこうしてるつもり?」

抱きしめていることを忘れていた。

希「あ、ごめんごめん、忘れとった。にこっち色々と小さいから…」

にこ「だからって忘れる!?あり得ないでしょ!!」

にこっちは暴れ出した。

希「ちょ、ちょっとにこっち?暴れんといて~。」

にこ「じゃあ離しなさいよ…っ!」

(ふふ、少しは元気が出てきたかな?)

希「仕方ないなぁ…はい」

私はにこっちを解放してあげた。すると、

にこ「…希。その…ありがと、ね。正直、アンタのおかげで助かったわ。」

希「にこっち…ツンデレやん…!!」

可愛い。

にこ「だ、誰がツンデレよ!!」

希「ツンデレにこっち、ふふ。かわいいやん?」

にこ「あんたねぇ…!!」

どこか不服そうなにこっち。まあ、そりゃそうか。

(面倒見のいいお姉さんって感じだけど、子供っぽいところもあるな。かわいい。)

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:45:18.20 ID:VIkZkVCa0
にこ「はぁ…全く。てか、どうして私のところに来たのよ。そろそろ、ちゃんとした理由、聞かせて欲しいんだけど?」

あれ、さっき言わなかったっけ。私はにこっちのファンだって。

希「さっき言ったやん?ウチはにこっちのファンなんやって。」

にこ「でもアンタ、初ライブのとき、いなかったでしょ。」

ばれてた。でも…

希「あちゃー、お客さんのことよく見とるんやねー。でもな、ウチがにこっちのファンだってのはほんとやで。
  …気を悪くしないで欲しいんやけど、にこっちが、雨の中1人でビラ配りしてる姿を見て、それで。」

にこ「…あんな姿見てたの。ていうか、それ昨日じゃないのよ!!」

希「あれ~、そうやっけ?」

にこ「………でも、希。ありがとう。あなたのおかげで、少しは救われた気分だわ。
   1人で惨めな姿だと思ってた。でも、今、私の目の前にはファンであり、大切な友達である人がいる。
   それだけで、私は…アイドルしててよかった、って思うわ。」

希「にこっち…」

にこ「本当は、歌とダンスで心を掴みたかったけどね。」

不満そうに、でも、どこか満足そうに、にこっちはそう言った。

希「アイドル…やめないん?」

思い切って、私の持っていた疑問をぶつけてみた。

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 20:56:45.66 ID:VIkZkVCa0
にこ「…当たり前でしょ。私には、アイドルしか見えない。アイドルだけが、
   私の生きる道なの。私はね、いつだってセンターなのよ。」

にこっちのアイドルへの熱い思い…熱すぎて、大きすぎて、他の部員が受け止め切れなかった思い。

にこ「それにね。やっぱり。私は、みんなを笑顔にできるアイドルが、大好き。
   みんなの前で歌って、ダンスして、みんなと一緒に盛り上がって、また明日から頑張ろうって、
   そういう気持ちにできるアイドルが、私は大好きなの!」

さすが、にこっち。アイドルへの想いの強さ、伝わってきたよ。私はそんなにこっちの想いも受け止めるからね。

(うーん…初ライブのとき、行ってみればよかったかなあ…)

今更とは思うけど、後悔している。でもその時はえりちと仲良くなったばっかりだったしな…

にこ「まあ…いつか、またライブをするとき誘うから。その時は絶対に来なさいよね。ソロでも活動していくつもりだし。」

希「…うん。楽しみにしとるよ、にこっち♪」

にこ「ん、よろしい。さて…今日は練習って感じじゃないし、私はもう帰るわ。じゃあね、希。」

希「ん。またね、にこっち。」

にこ「あ、そうそう。たまには、部室に顔出してくれていいのよ。
   寂しかったらいつでも来なさい。仕方ないから、にこにーが相手してあげるわよ。」

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 21:28:16.04 ID:VIkZkVCa0
こうして、私はにこっちと別れ、下校する。

久しぶりの1人での下校。帰りながら、私はこんなことを考えていた。

というか、さっきのにこっちの言葉って本音は絶対、1人は寂しいですたまにでいいから遊び来てください、だよね?

(ツンデレだなほんとに…って、そういえば…)

にこっちにクラスを聞くのを忘れていた…。

…でも、うん。なんかにこっちはそれでいい気がする。いつでもどこでも仲良く、とかじゃなくて…
こう、なんて言うのだろうか。腐れ縁?悪友?そんな感じで、いいんじゃないかな、と思うのだ。
今日初めてまともに話して、仲良くなれた…と思いたい、そんな相手に対してこう思うのは失礼かもしれないけど、ね。
なんか、にこっちとはそういう間柄が心地良い気がする。
明日はえりちとまた学校に行くんだ。楽しみ。
にこっちにも会いたいけど、えりちも寂しがり屋さんだからな…。
(って…私が言えることじゃないか。)

そんなこんなで帰宅。今日もきちんとお風呂に入り、私は寝た。

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 21:42:32.84 ID:VIkZkVCa0
そのあと…私は、えりちと生徒会に入ったり、にこっちの部活に遊びに行ったり…
自分では信じられないくらい充実した日々を過ごしていた。
とても素敵な、奇跡な毎日。こんな日がずっと続くといいな。
でも、さっきも言ったけど、いつかは3人で仲良くできたらいいな。


そんなことを思いながら、私たちは3年生へーーーーー

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 21:45:19.42 ID:VIkZkVCa0
一気に3年生に飛びます。のぞにこ少ないのは許して…。好きなんだけど、上手く書けないんだ…。
この先はあくまでアニメストーリーに沿って進んでいきます。
所々SIDの設定も混ざってますが、ご了承ください。

35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 22:07:17.92 ID:VIkZkVCa0
のぞえり「「廃校!?!?」」

ウチとえりちは、声を揃えて、思わず叫んだ。

生徒会長、絢瀬絵里と、それを支える副会長の東條希。気付いたら、こんなポジションに。
高校入る前の自分だったらあり得ない。

えりちがずっと、先生たちに「生徒会長やってくれない?」と誘われ続けていて…えりちは何回も断って。
でも、生徒会長になって音ノ木をもっと良くしたい、っていうえりちの本当の気持ちは見え見えで。
つい、
「もしえりちが生徒会長やるなら、ウチが副会長やるよ?そうすれば、これからも一緒にいられるやんな?」
と言ってしまったんよ。
言ってしまった、とはいっても後悔はしていない。えりちはこの音ノ木が大好きみたいだし、
その頃から既に、廃校のウワサだけは立っていた。廃校になんてさせたくない、そう感じたのはえりちだけじゃない。
ウチだって同じ。音ノ木が大好きだし、廃校になんてさせたくない。
高校に通っている間に、標準語よりも関西弁の方が落ち着くような気もしていて、心の中でも自然と関西弁が混ざっているのは内緒やけどね。

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/12(月) 22:49:21.82 ID:VIkZkVCa0
私たちが廃校を知ったのは、3年生となって迎える学校初日。
朝会の準備を進める生徒会の所にやってきた、理事長からの言葉だった

理事長「廃校、といっても、もう決定!ってわけじゃないのよ?
    まずは、今度のオープンキャンパスでの結果次第、といったところかしらね。」

絵里「で、でも…っ!急過ぎます!」

理事長「あなたも知っているでしょう?3年生は3クラス。2年生は2クラス。
    そして、1年生は1クラス。年々、本校への入学者数が減っているのは紛れも無い事実なの。」

その通り。実際問題、私たちの通う国立音ノ木坂学院は年々生徒数が激減している。
今理事長が言った通り、1年で約1クラスずつ人数が減っていて、
このままでは来年度の入学希望者数が少ないのは、明らかだろう。ウワサだってずっとあった。でも…

(えりちの言うとおり、いくらなんでも急過ぎやんな…)

絵里「はい…わかっています。失礼しました。でも…でもっ!!」

希「オープンキャンパスの結果が、もし予想を上回ったら、廃校は逃れられる、ってことですか?」

絵里「の、希?」

今のえりちは珍しく感情的になっている。こんな時、そっと手助けするのも、副会長の大事な仕事やん?

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 20:50:08.92 ID:dDyt/PIu0
私はえりちの背中をぽんぽんと、優しく叩きながら、

希「もし、予想を上回れば。廃校は逃れられるんですか?」

と、まだ残っているであろう、数少ない希望の一つを聞いてみた。

理事長「廃校にはしない、とまではならなくても…
    そうね、もしそうなったら、再検討の余地がある、ということになるでしょうね。」

やっぱり、廃校が確定!ってわけじゃないんやね。

希「わかりました。」

絵里「じゃ、じゃあ…それまで生徒会は、生徒会で、廃校を阻止できるように独自で動かせて頂きます。」

理事長「それは…だめ、よ。」

絵里「な…っ!?なぜですか!?」

理事長「学校のために、学校生活を犠牲にすべきではないわ。これからも、生徒会はよろしくね。」

と言って、理事長はどこかへ行ってしまった。




39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 21:04:45.76 ID:dDyt/PIu0
絵里「………私は」

(…えりち。)

絵里「私は…何をしているのかしら。………ありがとう、希。」

希「ん?」

絵里「…少し、冷静さを失っていたわ。恥ずかしい所を見せたわね。これじゃあ、生徒会長失格、ね…。」

えりちの…想い。

希「ええやん、完璧やなくても。」

絵里「えっ?」

希「そのための、副会長。そのための、ウチ、やろ?全部背負わんでええんよ。
  ウチがいつだって側におる。いつだって、ウチはえりちの味方や!えりちが完璧やったら、
  ウチがいる意味がないやろ?」

…私の想い。

41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 21:28:20.86 ID:dDyt/PIu0

絵里「…希っ。ありがとう。とても嬉しいわ。でもね、」

希「でも?」

絵里「いらない、とか言わないの。希は希よ。生徒会なんて関係なく、
   私にとって、いなくてはならない存在なんだから。」

(えりち…)

私は、高校生になって、本当の友達を作れた…それを再確認した。

照れる。えりち、ウチもやで。

希「ウチも、や。えりちがいなきゃ、ウチはウチでなくなってしまうんや。」

絵里「あら、そうなの?ふふふ。お互い様、ね。」

希「…ん!」

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 21:56:54.33 ID:dDyt/PIu0
 
絵里「…希。さっき理事長が言ってたこと、納得できるの?」

うーん…難しいけど…

希「理事長は、えりちに何か伝えたいことがあるんやないかな?」

なんとなく、そんな感じしか、私にはわからなかった。

でも…廃校にしたくないのは、理事長も同じだと思うし…。んんん…考えると分からなくなってくる…けど。

(えりちが、何を思って廃校を阻止しようとしているか、ってとこなんかな?)

まだ確信まではいかないけど、そんな気がした。

このあと行われた始業式で、理事長から正式に廃校の可能性がある、という話がされた。
式後も、学校中にお知らせの貼紙があって、なんともいえない気持ちになった。

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:10:30.47 ID:dDyt/PIu0
この日から…えりちの壁は、より一層厚くなったのかもしれない。
ウチに対する接し方は変わらんけど、クラスメートだけでなく、
他の生徒会の子に対しても、はっきりとした厚い壁を感じた。

これまでは、一緒に活動する生徒会メンバーとは、それなりに打ち解けてた感じもしたんやけどなあ。
「仕事仲間」って感じで。

(廃校の可能性を目の当たり…余裕が、無くなってきてるのかもしれんな。ウチが側にいなくちゃ。)

えりちの味方。ウチはそう言い続けて来た。今でもその気持ちが揺らぐわけがない。
副会長なんやから、精一杯頑張らんとな。

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:13:40.89 ID:dDyt/PIu0
場所は変わって、アイドル研究部室。

希「にこっち、廃校やって。どうするん?」

今でもこうして、にこっちに会いにきてる。

にこ「廃校って、今すぐにってワケじゃないでしょ?話聞いてたのあんた…。」

あらら、言われてもうた。意外とにこっちってしっかりしてるよね。

希「まあそうやけど…」

にこ「まあにこたちはもう卒業だしねぇ…そりゃ、地元の昔からある学校-
   しかも、母校が無くなっちゃうってのは嫌だけど。」

希「やっぱそう思う?」

にこ「でも、私が何かしてどうにかなる問題じゃないでしょ。
   もう、アイドルとしてロクな活動もしてない私じゃ、尚更ね。」

にこっちは、2年生の初めにソロライブを行って以来、
目立ったアイドル活動はしていない。やはり、1人だからだろうか。それでも、アイドルとしての意識は高いみたいで…

にこ「まあ、だからといって私はアイドルの夢は諦めていないけどね。
   にこはにこ。今だって美容法はやめてないし、体力作りだって続けてる。」

さすが、としか言えない。にこっちの強い思いには敵わない。

45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:20:23.76 ID:dDyt/PIu0
希「…にこっちらしいね。ウチ、にこっちのファンで、友達でよかった!」

にこ「当然でしょ?私を誰だと思ってるのよ!」

希「まあ?発育的な意味ではこの3年間何も変わっとらんみたいやけど~?」

にこ「そ、それはカンケー無いでしょっ!!!!アンタが良過ぎるのよ!!!」

希「あはは。にこっちの身体も需要はあるやろ~?」

にこ「あったりまえでしょ!!ありまくりよ!!」

こんな、どうでもいいようなやり取り。
他人から見たら下らない会話だけど、私はそんな会話をしている時間がとても幸せで、大切なんや。

そういえば、進級したから、クラス替えがあった。
なんと、にこっちと、えりちと同じクラス!
なんとか2人も仲良くなってもらいたいな…って思ってたんだけど…

(今朝からのえりちの様子じゃ無理だよね…)

しばらくは諦めるしかないか…

にこ「そういえばさ。希って、絢瀬と仲良いわよね?」

希「ん?せやね。どうかした?」

にこ「いや…前々から気になってたんだけどさ。アンタ、あいつと一緒にいて疲れないの?
   近寄んなオーラバリバリで、とてもじゃないけどにこには無理。」

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:38:05.64 ID:dDyt/PIu0
希「そうなん?でもな、結構おっちょこちょいなとこもあるんよ?」

にこ「あの超完璧主義者っぽい感じで?」

希「うん。この前なんかな、えりちが自分の家で、携帯がない!!!!って言うから、
  結構長いこと、一緒に部屋の中探したりしてたんやけど、実は自分のポケットの中に入ってたり。」

見つけたときは二人で大笑いしたものだ。

にこ「…アホね。」

希「おもちゃのチョコレートを本物だと思って食べようとしたり。」

包装まで剥がたのに気付かなくて、口に入れようとしてたから止めるの大変だった。

にこ「…なるほど。」

希「な?意外と抜けてるやろ?」

にこ「まあ、ね…希の話とか、希と接してる姿を見てると…悪い奴ではないんだろうな、とは思うけどね。」

希「そんな感じで思ってて間違ってないで。優しい子よ。」

にこ「まあ…希が言うなら、そうなんでしょうね。」

47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:43:00.94 ID:dDyt/PIu0
希「っていうか、にこっち、ウチのこと実はよく見てるんやね~」

にこ「んなっ!?た、たまたま、たまたま視界に入ってたのよ!!!!!」

希「え~?寂しくて、ウチと話そうかな~とか思ったら、
  もうえりちと話してるの見てしょぼんってなってたんやないの~?」

最近のにこっちとのやり取りはこんな感じ。にこっちはこういういじり方するとかわいいんよね。

にこ「ん、んなわけないでしょ!!そ、そりゃ、話しかけようとは思ったけど!!
   ………あんなに楽しそうな希を見てたら、話しかけるなんて無理に決まってるじゃない(ボソッ」

希「にこっち。」

にこ「え?」

希「にこっちと話してる時だって、えりちと話してる時と同じくらい楽しいで?」

聞こえてない振りをしようか迷ったけど、ここは突っ込んでいく。

にこ「…それくらいわかるわよ。希の顔見てれば。でもさ、やっぱり、なんとなく寂しくなっちゃうじゃない?」

希「…ごめんな。」

にこ「いいの。私は平気よ。それに、こうして希は遊びに来てくれてるじゃない。」

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:55:52.75 ID:dDyt/PIu0
希「でも、これから生徒会忙しくなるかもやから…」

にこ「知ってるわよ。いいの。私のことなんて気にしないで、生徒会頑張りなさい。
   今だって、生徒会抜けて来てるでしょ?」

な、なぜ知ってる…。

希「あれ、バレてたんか…」

にこ「バレバレよ。ほら、早く生徒会戻りなさい。絢瀬もきっと待ってるわよ。」

希「でも…にこっちはそれでええん?」

にこ「いいの。もう十分話したわ。」

にこっち…

希「…わかった。ありがとな、にこっち。」

このありがとうは、楽しい時間をありがとう。

49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:57:11.91 ID:dDyt/PIu0
にこ「ええ、こちらこそ、ありがとう。希。」

そして…

希「ん、ありがとう。またね、にこっち!」

このありがとうは、気を使って生徒会に戻すきっかけをくれてありがとう。

にこっちに言われなければ、もしかしたら生徒会そっちのけで、にこっちと話してたかもしれない。
えりちのことも大事やけど、にこっちだって大事や。

にこ「ん、またね、希。」

にこっちがそう言って、お互いに笑顔になる。

そして私は部室を出て、生徒会室へ向かう---

にこ「全く、世話がかかるわね、希も。」

---にこっちの、お姉さんな声が…聞こえた気がした。

50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:06:22.42 ID:CFrLAbqw0
すっかり遅くなってしまった…続き少しだけ投下です。


さて、場所は変わって生徒会室。

希「お待たせ~」

絵里「あら、希。遅かったわね。今日は学校初日だし、もうほとんど仕事は終わっちゃったわよ。」

希「あらら、ごめんなあ。」

役員1「本当に今日は少しだったので、大丈夫だよ!」

役員2「会長も頑張ってたし!!」

絵里「…当たり前でしょう。明日から忙しくなるから、よろしくね。」

希「ふ~ん…えりち、さすがやね♪」

えりちの仕事の早さは本当にすごいと思う。会長に相応しいよ、えりちは。

絵里「もうっ…。明日はちゃんと来なさいよね。」

希「は~い」

こうして、今日の生徒会はほとんど無かった。えりちたちには申し訳ないけど、にこっちとの時間もとっても大事なんや。

51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:10:01.34 ID:CFrLAbqw0
そして、帰り道。

絵里「ねえ、希…?」

希「んー?」

絵里「私…やっぱり、理事長の言ったことに納得がいかない。
   学校のために、学校生活を犠牲にするのって、おかしいことなの…?」

希「ん~…学校生活を満喫しなさい、ってことやないの?」

こんなこと言ってごまかしたけど…私には、もう、答えが見えてきていた。

多分理事長は…

絵里「でも…生徒会なんだから、学校のために犠牲になるのは当然でしょう?今までだって、そうだったし…。
   しかも、今回は学校が無くなってしまうかもしれないのよ?」

えりちが、どうして廃校を阻止しようとしているのか。

希「そうかもしれんけど…だからといって、生徒会に全ての負担をかけていい理由にはならないんと違うん?」

えりちは、何故学校を存続させたいのか。

52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:23:26.14 ID:CFrLAbqw0
絵里「…そうかしら。私は…どうしても納得がいかないわ。」

えりちのこの想いは…どこから来るものなのか。

希「まあまあ、ウチらはとりあえず、今できることを精一杯やるしかないやん?
  オープンキャンパスでは生徒会が担当する部分もあるやろうし!」

きっと理事長は、えりちの想いを見抜いているんだと、私はそう思った。
ウチも、えりちといつも一緒にいるから分かる。
えりちは…義務感で、廃校を阻止しようとしているんだと。
そりゃあ、学校への愛着だってあるだろうし、お祖母ちゃんが大切に思ってる学校だってのもえりちから聞いていたから、
そういう動機もあるはず。そんなのはウチにだってわかる。

でもな?

えりちの、まず第一の感情は。

「私は生徒会長なんだから、その学校を廃校にするわけにはいかない!!」

こんな感じなんやないかな。

勝手な妄想だけどね。でも、当たらずとも遠からず、だと思う。
えりちの親友で、右腕の私が言うんだから、きっと外れてはいない。

53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:24:58.32 ID:CFrLAbqw0
絵里「……そうね。今は、できることをしっかりやっていきましょう。
   きっとそのうち、理事長も認めてくれるだろうし。」

希「うんうん、その意気やで、えりち♪ウチが一緒におるよ!ウチはえりちの味方や!」

絵里「…ありがとう、希。私、希がいないとダメダメね…。」

ああ…

希「ど、どうしたんや急に。照れるやん。でも、そんな自分を卑下してたらあかんで?」

えりちは自分を過小評価しすぎだ。
でも、こう、弱気なえりちはとってもかわいい。普段はキリッとしてる分、ギャップがあって倍可愛い。

絵里「希がいなければ、きっと認めてもらえないことで悩み続けているだろうし…。
   今朝だって、希のおかげで冷静になれた。」

私は、親友として、副会長として、当然のことをしてるだけ。

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:26:38.79 ID:CFrLAbqw0
希「そんなの当たり前やろ?ウチはえりちの親友で、しかも副会長なんやで?」

だから、私は特別なことをしている意識なんてない。
ただ、えりちが好きだから。大切だから。

絵里「ハラショー…。ありがとう希…。親友って思ってくれて、とっても嬉しいわ。これからも私と一緒に居てね…?」

だから、私はえりちのために動ける。えりちの味方でいられる。

希「もちろんやん!こちらこそ、これからも一緒に居たい!」

えりちと、一緒に居られる。一緒に居たいと思える。

絵里「ええ、もちろん。だって、親友、でしょ?私はいつまでも希と親友よ。」

…ふふふ。少し、自信、取り戻してくれたかな。えりちはわかりやすい。
それにしても、弱気エリチカは、ふとこんな照れるセリフを言ってくるから困る。照れ照れやん。

希「…うん!」

55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:29:52.32 ID:CFrLAbqw0
幸せな時間。今日は贅沢な一日だった。にこっちとも、えりちとも、とっても楽しい時間を過ごせた。
まあ…廃校になるかも、なんてシリアスな話もあったけど。

(それは、それ、だよね。これからきっと、どうにかできる。)

私は、あくまで楽観的なスタンスで構えることにしよう。

絵里「じゃあ、希、また明日。」

希「ん、また明日な、えりち。」

いつもの所でえりちと分かれて、家に到着。今日はなんだか疲れた。早めに寝よう…
おやすみなさい。

56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:41:51.46 ID:CFrLAbqw0
-------数日後-------


放課後。私はバイトなので、えりちと役員の子たちに任せて、今日は生徒会をお休みする。

教室から昇降口へ向かう途中、ふと、かすかにピアノの音と、歌声が聞こえた。

(なんだろう…?この時間に演奏してるのなんて、初めてじゃないかな?音楽室…だよね。)

少し気になった。バイトまで時間もあるし、ちょっと行ってみよう。

やはり、音楽室に近づくにつれて、ピアノの音色と歌声は大きくなっていく。

(凄い…上手。想いの込められた、歌声…)

そして、音楽室の前まで来た。音楽室の中をそーっと覗く。

(…1年生、か。)

音ノ木は、リボンの色で学年がわかる。ピアノを演奏している子は青いリボンだから、1年生だ。
ちなみに2年生は赤。3年生は緑なんやで。

57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 00:42:51.41 ID:CFrLAbqw0
(すごい…なんだろう、この感じ)

演奏と、歌から、何かを感じ取れる。とっても不思議な感覚。

(あの子の、想いが込められている、のかな。)

とっても、強い気持ち。でも、多分。

想いはあるけど、行動できない、失敗が恐くて、自分を守ってしまう。

(そんな感じ、なのかな。)

初対面なのに、これだけ感じ取れてしまった。

…多分、わかりやすい子なんだろうな。

赤髪癖っ毛の女の子…覚えておこう。
もしかしたら、何か機会があるかもしれない。
いつか話してみたいな、と思いつつ、私はバイト先へ向かった。

58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 22:48:24.38 ID:CFrLAbqw0
毎日、これくらいの時間帯に投下していきたいと思います。


今日はバイトや。神田明神で、巫女さんせな。

巫女装束って、私はとってもかわいいと思う。

私にはもったいないくらいかわいい。

結構人気なんよね、巫女さんって。

まあ、そんなことじゃなくて。

バイト中の私に、イレギュラーが起きた。いや、イレギュラーというより…

希「この子たちは…」

思わず、声に出していた。音ノ木の生徒が、神田明神の目の前でダンスの練習をしていた。

希「…ふむ。」

何をしているのか気になる。声をかけよう。

59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 22:50:22.53 ID:CFrLAbqw0
希「君たち、何してるの?」

すると、青い髪の子が、

海未「あなたは…副会長さん、ですか?私たちは…」

穂乃果「ダンスの練習してるんです!!廃校を阻止するために、私たちは流行のスクールアイドルで音ノ木を有名にしようと思って!!」

海未「ちょ、ちょっと、穂乃果!!」

ことり「あはは…。」

どこまでも真っ直ぐな、熱い想い…。

私は………この子を。

希「ふ~ん…そうなんや。というか、ウチのこと、よく副会長だって知ってたね。」

この子たちを。

海未「ええ、生徒会長とよく一緒にいらっしゃるのを見ていましたから、それで。」

希「なるほどなあ。」

えりちとそんなに一緒にいるかなあ…ふふふ。って、そうじゃなくて。

60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 22:51:09.92 ID:CFrLAbqw0
ことり「えっと…副会長さんは、ここでバイトしてるんですか?」

この子たちから、何かを感じて。

希「そうやで。神社は、色んな気が集まる、スピリチュアルな場所やからね。
  3人とも、場所使わせてもらってるんやから、お参りしてき。」

惹きつける、強力な何かを。

穂乃果「…そうだね、お参りしていこうよ、2人ともっ!!」

希「ん、よろしい。」

(…少し、気になるなあ。この子たち。)

少しなんてもんじゃないか…とても、か。

(えりちはどう思うかな…)

…少し、見守ってみようかな。

この子たちは…もしかしたら。

なんて、1人であれこれ考えながらバイトを終え、帰って私はすぐに寝てしまった。


61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 23:05:45.30 ID:CFrLAbqw0
-----次の日----


今日は、えりちが先生に呼び出されているとかなんとかで、1人で登校。

学校に到着すると、ふと、トイレに行きたくなった。

いや、ウチやって人間なんやから。生理現象には敵わんしなあ?

この日は、なんとなく。本当になんとなく。

特に理由無く。普段なら絶対行かないような、少し遠いトイレに行った。

すると…

(…?化粧してるのかな)

音ノ木は女子高だ。化粧をトイレでするのは、別に珍しいことではないし、
化粧している姿を見られるのが恥ずかしければ、こっちの遠いトイレに来るのもうなずける。

でも…

(…あれれ、口紅つけるのやめちゃった?)

その女の子は…悲しそうな顔で。首を横に振りながらつけようとしていた口紅をポケットの中に入れてしまった。

…なんか、見られたくないものを見てしまったのかな、そんな思いがよぎり、
私は静かに別の場所へとお花を摘みに向かった。

…そういえば、さっきの子。髪もショートカットで…化粧も見たところしていない。
口紅をつけようとして…直前で、首を横に振りながらやめてしまった。

…まるで。自分を否定しているような、そんな風に見えた。

62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 23:11:05.76 ID:CFrLAbqw0
さて、お花も摘み終わり、教室へ向かう時。

(あの子たちの…ポスター、か。)

廊下には、スクールアイドル結成!という旨のポスターが貼られていた。
とても可愛らしい、まさに女子高生、って感じだ。
少しの間立ち止まり、確認して、私は自分の教室へと向かった。

すると

(あの子は…)

角を曲がる時、視線の隅に写った、眼鏡をかけた女の子。つい、見惚れてしまった。

ジーッと、熱い眼差しをポスターに向けている。

(1年生、やね)

赤髪の子と同じ、か。でも、あの熱い視線は…

(…6人目、かな。)

なんて。私は、少し考えてしまっていた。勝手な妄想。でも、あの子たちなら。

赤髪の、強い想いを演奏する女の子、
女の子への強い憧れを持つ子、
アイドルへの憧れを持つ女の子。

…ふふ、そうすると、既にアイドルのあの子は7人目かな。

本当に、勝手な妄想。というか、願望かもしれない。

それでも…それでも、あの子たちなら、と思ってしまう自分がいた。

(…誰にもこんなこと話せないな。)

えりちにも、話せないことが…私にできてしまった。

65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/16(金) 22:53:27.12 ID:ZWs6Iwxs0
その日の放課後。生徒会室。

絵里「今日も書類の整理っと…」

希「今日はやけに少ないんやね。他の子たちはこないん?」

絵里「ええ、今日は休んでいいわよ、って言ってあるわ。仕事も少なそうだったしね。」

希「そうなんか。昨日はどうやった?ごめんな、バイトで…。」

絵里「そうね、昨日はかなり忙しかったわね。」

希「ぬぬぬ…かんにんやで、えりち…」

そ、そんな忙しかったなんて…

絵里「ふふっ、冗談よ、希。昨日はみんないてくれたし、やることも少なかったからすぐに終わらせて早めに帰れたのよ。
   簡単に騙されちゃって…全く♪」

な、なんと…えりちに騙された…!

66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/16(金) 23:01:02.35 ID:ZWs6Iwxs0



希「ああ…ならよかった。ウチ、生徒会なのに何してるんやろ思ってしもた…。副会長失格やん思て…。」

なんて、すごくしょぼんとしてみる。

絵里「な、の、希!!ごめんなさい、そんな気持ちにしてしまって…!!」

ふふ、えりちも簡単に騙されてるやん?

希「嘘や、えりち。冗談やで♪」

絵里「の、希~…!」

希「お返し、ってやつやん?」

そう言うとえりちは、本気で悔しそうな表情で、

絵里「そう言われると何も言い返せないわね…。」

なんて言うんだから、本当にかわいい。

希「ふ、ごめんな、えりち。本当に忙しい時は、ウチも一緒に手伝うから。」

絵里「…約束よ?」

希「もちろん!」

えりちとの真面目で不真面目なやり取り。こんな時間も、私にとってとても楽しい時間。
確かに生徒会は大変だけど、えりちと一緒にいられるから、頑張れる。
きっとえりちも…そう思ってくれてる、よね?

67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/16(金) 23:28:10.67 ID:ZWs6Iwxs0
ここから少し、アニメ1話の生徒会室のシーンが希視点で続きます。


さて、一通り仕事が終わり、一息つこうか、という時。

コンコン

生徒会室のドアが、ノックされた。

絵里「あら、行事もないのに珍しいわね…。」

希「そうやね。誰やろ?」

基本的に、生徒会室には役員と、担当の先生たちしか来ないので、
特に行事が無いこの時期にそれ以外の人が来るのは珍しい。

絵里「はい、どうぞー。」

ガチャ

穂乃果「失礼します!」

なんと、やってきたのは昨日神田明神で会った…2年生の3人、だった。

穂乃果「部活動の申請をしに来ました!」

と言いながら、部活申請書の書類を…えーっと、海未ちゃん?が持ってきた。
えりちとウチが、一通り目を通すと、

絵里「これは?」

えりちはそう問いかけた。

穂乃果「アイドル部、設立の申請書です!」

絵里「それは見ればわかります。」

…えりち、ちょっと怖いかも。

68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/16(金) 23:31:36.59 ID:ZWs6Iwxs0
穂乃果「では、認めて頂けますね?」

穂乃果ちゃんたち…

絵里「いいえ」

そう、これではダメなんだ…

ことほのうみ「えっ」

絵里「部活は同好会でも、最低5人は必要なの。」

そう…そうでないと、生徒会が認めることはできない。

穂乃果「ええっ!」

でも…

海未「ですが、校内では部員が5人以下の部活もたくさんあると聞いています!」

でも、私は…

絵里「設立した時は、みんな5人以上居たはずよ。」

こんなことで、この子たちの想いを潰したくない!

希「あと2人やね。」

私は思わず、そう声をかけていた。

穂乃果「あと2人…わかりました。」

穂乃果ちゃんはそう言うと、

穂乃果「行こう。」

海未ちゃんと…えっと、まだ名前聞いてないや…。2人と共に生徒会室から出て行こうとした。

するとえりちは立ち上がり、

絵里「待ちなさい。どうしてこの時期にアイドル部を始めるの?貴方達、2年生でしょう?」

そう問いかけた。

えりち…

穂乃果「廃校をなんとか阻止したくて!スクールアイドルって、今凄い人気があるんですよ?だからっ!」

絵里「だったら…たとえ5人集めてきても、認めるわけにはいかないわね。」

やっぱり、えりちは…

ことほのうみ「ええっ!?」
穂乃果「どうして…!」

絵里「部活は生徒を集めるためにやるものじゃない。思いつきで行動したところで、状況は変わらないわ。」

認めるつもりはないんやね。今の言い回しは…理事長に言われた言葉が頭をよぎったんだろうな。

ことほのうみ「うぅ…」

69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/16(金) 23:33:41.13 ID:ZWs6Iwxs0
でも、私は…。



えりちは、さっき渡された申請書を3人に突きつけて、

絵里「変な事考えてないで、残り2年何をするべきか、よく考えるべきよ。」

厳しい口調でそう言った。3人は、とても悲しそうな表情で、生徒会室を出て行った。

………私は、この3人の。いや、7人の熱い想いを蔑ろにできない。

だから…

えりち…ごめん。
ウチは、えりちにとって…。

初めて、えりちにとって"味方"じゃなくなるかもしれない。


…7人ってのは、ただの妄想の続きやけどね。

71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 21:48:27.89 ID:IJamzkJR0
さて、また2人きり。

少しの間の沈黙。

……私は。

希「さっきの、誰かさんに聞かせたいセリフやったなぁ♪」

えりちに、そんなことを言ってみた。

絵里「いちいち一言多いのよ。希は。」

まあ、本心やけど。

希「うふっ、それが副会長の仕事やし~♪」

えりちの、想いも…ひょっとしたら、ひょっとするかも。まだまだわからんけど…な。

72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:02:32.76 ID:IJamzkJR0
希「でも、このままじゃあ廃校は免れんやろうなぁ。」

絵里「…そうね。でも、生徒会は動けない…どうすればいいのよ、もう…!」

えりちは…やっぱり

希「あの子たちはどうなるかなあ?」

絵里「諦めてもらわないと困るわ。スクールアイドルなんて。
   それに、理事長だってああ言ってたんだし、認めないでしょう。生徒会を認めてくれていないのに。」

やっぱり、えりちは、生徒会なんやね。

自分じゃなくて…他の人のため、なんやね。

自分じゃなくて他人のために動く…

それもえりちの優しさだけど


…それじゃあ、えりちが、壊れちゃうよ。

73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:16:50.74 ID:IJamzkJR0
さて、日は変わり、次の日の朝。

私とえりちは、生徒会室で今後の生徒会の予定をまとめていた。

まあ、今日も私がバイトで放課後出れないから、代わりに今やってるってだけだけどね。

すると、

コンコン

ノックだ。

希「どうぞ~。」

誰だろう…?

穂乃果「失礼します。」

なんと、昨日の今日で、穂乃果ちゃんたちがやってきた。

絵里「…朝からなに?」

うんざりした様子で、えりちが聞いた。

穂乃果「講堂の使用許可を頂きたいと思いまして。」

…昨日とは違う、決意の表情、とでも言うのだろうか。

キリッ!とした様子の3人。

74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:33:12.21 ID:IJamzkJR0
海未「部活動に関係なく、生徒は自由に講堂を使用できると、生徒手帳に書いてありましたので。」

と、言いながら申請書を渡してきた。

すごいしっかり者だ、海未ちゃん。

私は感心してしまった。生徒手帳なんて、私読んだことはおろか、開いたことすらないよ。

希「新入生歓迎会の日の放課後やな。」

ふむ。やっぱり、この子達は。

絵里「何をするつもり?」

海未「それは…」

穂乃果「ライブです。」

うん。

穂乃果「3人でスクールアイドルを結成したので、講堂で初ライブを行うことにしたんです。」

やっぱり、本気なんだね。

海未「ほのかっ」

熱い、熱い、想い。

ことり「まだ、できるかどうかはわからないよ。」

私には確かに、届いたよ。

穂乃果「え~、やるよ~っ!」

だったら、私は…

75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:37:13.14 ID:IJamzkJR0
海未「待ってください!まだステージに立つとは!」

私の妄想…いや、私の願望を叶えるためにも…

絵里「できるの?そんな状態で。」

あなたたちを、見守るだけじゃなくて

穂乃果「だだ、大丈夫です!」

私があなたたちを

絵里「新入生歓迎会は遊びではないのよ。」

私があなたたちの

希「3人は行動の使用許可を取りにきたんやろ?部活でもないのに、
  生徒会が内容までとやかく言う権利は無いはずや。」

味方になるよ。

絵里「それは…。」

えりちは、とても寂しそうに、不満げに言った。

穂乃果「ありがとうございます!失礼しました!!」

3人は、満面の笑みで生徒会室から出て行った。

76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:41:38.37 ID:IJamzkJR0
ぐぬぬ…心が痛む…。

えりちの寂しそうな顔が、頭から離れない。

絵里「…なぜ、あの子たちの味方をするの?」

…今も寂しそうだ。

希「…ふふ。何度やっても、そうしろって言うんや。」

まだ占っていないけどきっと…

絵里「?」

希「カードが。」

絵里「ええ?」

希「カードがウチにそう告げるんやっ!!!!」

そう言いながら私は窓を開けた。全開だ。

すると、

絵里「きゃあっ!?」

突風が生徒会室に!!

机の上に置いといた私のタロットカードが、風で飛ばされる…

その飛ばされた中で1枚だけ、風に飛ばされたまま壁に、ピタッと止まった。

―THE SUN―

正位置、やね。

ほら、やっぱりな?

ウチは占いだけじゃなくて…

直感だって、よく当たるんよ?


77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:44:19.52 ID:IJamzkJR0
絵里「こ、これは…?」

希「…太陽の正位置やから。成功、祝福、約束された将来、ってとこかな。」

絵里「…何を、占ったの?」

希「ん~?それは秘密、やん?」

絵里「…そう、なの。」

秘密、だなんて言ったけど、えりちは分かっているだろう。

私は、今の想いについて占った。

少しだけ迷いもあったけど…これで、吹っ切れた。

私は、願いを叶えるために頑張るよ。

それはもしかしたら、えりちの敵になってしまうのかもしれない。

一時的とはいえ、えりちの味方では、なくなってしまうのかもしれない。

でも、それでも。

(私の想いは、消したくない…。)

それに…

(えりちはきっと、9人目だ。)

そんなことを私は想い、願った。

…えりち、大好きだよ。

78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:55:17.89 ID:IJamzkJR0
---次の日---

昼休みのことだった。

今日はにこっちとお弁当を食べる約束をしていたので、アイドル部の部室に向かっていた時…。

(グループ名、募集?)

スクールアイドル結成!のポスターのところに、箱が置かれていて、そんなことが書いてあった。

(グループ名、決めてなかったんか…)

でも、もしかしてこれって、チャンス?

……うん。

私は、私の想いを込めた名前を書いて、箱の中にそっと入れた。

"μ's"と。

9柱の芸術の女神、Muse。

音楽 ― music や、美術館 ― museum の語源ともなっている、女神。

それにちなんで、μ's。

なんでかって?

だって、こんなの奇跡やん。

9柱…いや。

9人の音楽―歌の女神、だなんて。

私の願い…夢に、まさにピッタリなんだ。

…自分勝手かもしれないけど。

たまには…いいよね?

79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:55:48.11 ID:IJamzkJR0
その日の放課後には、

グループ名がμ'sに決定しました!!ご応募ありがとうございました!!

と、ポスターが変わっていた。


80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 22:58:38.46 ID:IJamzkJR0
さて、私はバイトなので、えりちとは学校でバイバイして、神田明神にいた。

(3人とも、今日も練習してる…頑張ってるね。)

今日も3人は練習をしていた。階段ダッシュが終わったところらしく、とても疲れているようだ。

(そういえば、穂乃果ちゃんたち、曲はどうするんだろう)

なーんて、思っていた時だった。

赤髪の女の子が、穂乃果ちゃんたちを影でコッソリ見ているのを、私は見つけてしまった。

(…なるほどね。)

なんとなく、私は察したので…回り込んでワシワシしよ!!

テンションがおかしいのは、久しぶりのワシワシだから、やで。

そーっと、赤髪の女の子の後ろに回りこみ…

むにゅっ

真姫「キャーッ!!!!!」

おっと、こうかはばつぐん、みたいやな♪

真姫「んな、な……ナニスンノヨ!!」

ふふ、まだまだ、大きくなる可能性はありそうだね。

少し主張が足りない胸だって、女の子の魅力も一つだとウチは思うんやけどなあ。


81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 23:01:01.57 ID:IJamzkJR0
希「まだ発展途上といったところやな。」

真姫「はあ!?」

希「でも望みは捨てないで大丈夫や。まだ大きくなる可能性はある!」

なんて、遠回しにも程がある。

真姫「な。何の話!?」

希「恥ずかしいなら、こっそりという手もあると思うんや。」

ようやく、私は本当に伝えたかったことを、伝えた。

果たして、この子が何を頼まれたかはわからない。

けど…多分、作曲、じゃないかな。あの綺麗なピアノと歌声は、今でも忘れられないし。

真姫「だ、だから何!?」

素直じゃないなあ

希「わかるやろ?」

と言って、私はその場を離れていく。

…この子、誰かさんに似てるなあ、ふふ。

これで、多分あの子たちの曲は大丈夫だろう。

……多分。

あかん、少し不安になってきた。

まあ、うん、きっと、うん。

(いざとなったら…自分たちでもどうにかするよね…?)

そんなことを考えているうちにバイトは終わっていた。

82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/17(土) 23:03:59.65 ID:IJamzkJR0
ちなみに…今日のお昼、にこっちに、スクールアイドルができたみたいやで、って言ってみたら、

にこ「ふん、どうせすぐ終わるわよ。無駄ね、無駄。」

希「ええ~、そう思うん?」

にこ「もちろんよ。というか、うちの高校にスクールアイドルだなんて、にこが認めるわけないでしょ!」

なんか、私の願いが本当に叶えられるのか、すごい不安になる言葉を頂いてしまった。

でも、にこっちにも熱い想いは秘められているはずで。

そのにこっちの想いは、やっぱりアイドルへの憧れからくるもので…。

…やっぱり、にこっちもそう簡単にはいかなさそうやね。

なんて思う、私だった。

83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 22:15:09.06 ID:YdgsBPMh0
---新入生歓迎会当日---


今日はついに新入生歓迎会、か。

私はあれからも、何度も神田明神で頑張る彼女たちの姿を見ていた。

今朝も、彼女たちは初ライブのお知らせビラ配りをしていた。

今だって、外を見るとビラ配りの真っ最中の3人の姿が見れる。

(ライブまであと1時間、か。)

正直なところ、初ライブは人が来ないだろう。

…えりちはどうするんだろうか。

さっきから、外をぼーっと、眺めている。

その視線の先には、3人の姿が映っているはずで。

希「気になる?」

なんて、聞いてみる。

絵里「えっ?」

はっ、とした様子で、

絵里「希っ。」

反応した。

私はえりちに初ライブに行ってもらいたい。

ならば…

希「ウチは帰ろうかな。」

私がいたら、邪魔…というか、行きづらくするだけだ。

だから、私はわざとらしく、鞄を持って生徒会室から出て行ってみる。

84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 22:31:11.00 ID:YdgsBPMh0
生徒会室を出るとき。チラッと後ろを見てみると…

寂しそうな、悲しそうな、そんな表情のえりちが視界に入り、私の胸が締め付けられた。

(……えりち、ごめんね。もう少し、耐えて。)

生徒会室から出て、本当に帰るわけではない。

私は、3人が…μ’sがライブをする、講堂の入り口にやってきた。

入り口といっても、こっち側は裏口のような扱いで、人はほとんど来ない。

ライブ開始まで、あと5分…。

講堂の中をそっと覗いてみると…

(やっぱり、アニメみたいにはいかないね…)

観客、0、だった。

恐らく、穂乃果ちゃんたちの友達であろう子、何人かが直前の準備に勤しむだけで、それ以外は0人。

(…完敗、やね。)

でも、私は

(でも…今日、9人揃うかな)

なんて、思っていた。

眼鏡の子と、ショートカットの子は仲が良いというのは確認済みだし、ね。

赤髪の女の子は…

チラッ

にやにやしながら、曲がり角を見ると、

85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 22:42:07.09 ID:YdgsBPMh0
真姫「!?」

あらら、隠れてもうた。

希「ふふふ。」

真姫「ぬう…」

ゆっくりと、顔を出してくれた。

希「あれ、どうしたん?ライブ、もう始まるよ?」

真姫「べ、別にライブを見に来たんじゃないわよ!たまたま近くを通ったから、私の曲がどうなるかと思ってっ!!」

ふふ、上手くいったみたいやね。曲。

希「あれ~、あなたが作ったんだ、曲って。」

真姫「ヴぇえ!?ちち、違うわよ!!そ、その、今のは言葉のあやで!!ていうか私、西木野真姫!!
   あなたとかじゃなくて、名前で呼んでください!!」

希「素直じゃないなあ、真姫ちゃんは~♪」

かわいいな、真姫ちゃん。

希「ウチは、東條希、やで!」

真姫「東條…先輩…。」

なんてやり取りをしていると、気が付いたらライブ開始まであと僅かだった。

ふむ。

中の状況は相変わらずだ。

真姫「人…いないですね。」

希「そうやね。でも、ここに2人、おるやろ?」

真姫「…まあ、そうですけど。中入らないんですか?東條先輩は。」

中に入りたい気持ちはもちろんあるけど…もしえりちがいたら、って思うと入れない。

希「ウチはここでええんよ。真姫ちゃんこそ入らないん?」

真姫「だ、だから、私はたまたま近くを通っただけなんですってば!!」

たまたま近くを通ったんだとしても、こっちから普通は来ないよ真姫ちゃん…。コソコソ来たりしない限りは、ね。ふふふ。

希「はいはい、そうだったね~。」

真姫「な、なによ!!」

そんなことを話していると、

ブーーーーーーー

時間を告げるチャイム…ステージの幕を開ける音が鳴り響く。

86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 22:44:17.42 ID:YdgsBPMh0
自然と、私と真姫ちゃんは会話をやめた。

お客さんは、相変わらず0人。

(3人は、大丈夫かな。)

きっと、辛いだろう。

ここから、彼女たちはスタートできるのだろうか。

1分か2分くらい、経った頃、

穂乃果「世の中そんなに甘くないっ!」

泣きそうな声が、講堂に響いた。

(……穂乃果ちゃん)

いつか羽ばたくその日ために、諦めずに最初の1歩を踏み出せるのだろうか。

そんな時、

タッタッタッタッ

向こうから、1人の、眼鏡をかけた女の子がもうダッシュしてきた。

花陽「す、すいません!!」

そう言いながら、ウチと真姫ちゃんの間にある講堂への扉を通って行った。

花陽「あ、あれ、ライブは…!?」

(…間に合った)

正直、来てくれるかどうか不安だった。

この子なら確実に来るだろう、なんて勝手に思ってはいたけど…

(まさか、こっちの入り口から、全力ダッシュで登場するとは、ね。)

そういえば、ショートカットの女の子はどうしたのだろう。

穂乃果「…やろう!!歌おう!全力で!!」

…よかった。

穂乃果「だって、そのために今日まで頑張って来たんだから!!」

これで、きっと。

ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃん!!」

海未「ええ!!」

曲が始まった。すると、ショートカットの女の子が、人を探しているような様子で走ってきた。
そのまま、ぺこり、と頭を下げ、講堂の中へと入っていった。

87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 23:05:02.76 ID:YdgsBPMh0
(…これで、8人。)

実は、にこっちがもうここに来ているのは知っている。
後ろのほうの席の影に隠れているのが、この扉から中を覗くと丸見えだった。

(えりちは…)

来てない、のかな…。わからない、けど…。

(とりあえず、今はこの曲を楽しもう。)

希「ふふふ、素敵な曲やね。」

わざとらしく、真姫ちゃんに話しかけてみた。

真姫「当たり前です。誰が作曲したと思ってるんですか?この私が作ったんですから、当然ですよ。」

希「あれ~?真姫ちゃんが作ったの~?」

真姫「んなっ!!ち、違います、今のは…!」

希「いい加減、認めたら?ふふふ。」

真姫「ヴぇえ…。」

恥ずかしがってる真姫ちゃん、かわいい。

その後は曲が終わるまで、ゆっくりと、じっくりと、彼女たちの歌声と、真姫ちゃんの作った曲を聞いた。

上手く表現できないけど、熱い想いが込められた、歌…。何か元気をもらえる、不思議な感覚だった。

その作曲者の真姫ちゃんは、私が曲に聞き惚れているうちに中に入っていて、私はくすっと笑ってしまった。

(やっぱり、この子たち3人…)

いや、μ'sなら--私たちの熱い想いを、繋ぎ止めて一つの大きな存在にしてくれる

そんな風に、私は確信した。

曲が終わり、講堂の中からは拍手の音が聞こえてくる。

しかし、すぐにその拍手の音は消えて…

講堂の上から下に降りていく、足音が響いた。

チラッと中を見ると…

(えりち…!!)

やっぱり、来てたんや!!!!!

私は嬉しかった。

88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 23:06:50.83 ID:YdgsBPMh0
私は嬉しかった。

穂乃果「生徒会長…」

すると、えりちは、立ち止まって、

絵里「どうするつもり?」

そう、問いかけた…

(やっぱり、えりちは認めるつもりはなさそう、か。)

穂乃果「続けます。」

でも、この子たちの想いも

絵里「何故?これ以上続けても、意味があるとは思えないけど。」

穂乃果ちゃんの…熱い、大きな、想い。

穂乃果「やりたいからです!」

89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 23:12:54.50 ID:YdgsBPMh0
私の、想いも、願いも

穂乃果「今、私、もっともっと歌いたい、踊りたいって思ってます。
    きっと海未ちゃんも、ことりちゃんも。
    こんな気持ち、初めてなんです!やって良かったって、
    本気で思えたんです!今はこの気持ちを信じたい…!」

みんなの、熱い想いも

穂乃果「このまま、誰も見向きもしてくれないかもしれない。
    応援なんて、全然もらえないかもしれない。
    でも、一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って、届けたい…。
    今、私たちがここにいる、この想いを!!」

μ'sなら、きっと

穂乃果「いつか…いつか私たち、必ず…ここを満員にしてみせます!」

きっと…必ず、私たち全員と、その想いを繋ぎ止めてくれる…

絵里「…どちらにせよ、生徒会としては部活動として認められないわ。それは頭に入れておいて。
   あなた達は、学校で公認されていないスクールアイドルなのよ。」

スクールアイドルとして!!

穂乃果「はい、わかっています。それでも、私たちはやめません。
   部活動だって、必ずしてみせます。部員を集めてみせます。」

…部員の数は、すぐに解決する。私の勘だけど。

私の勘は、よく当たるから…解決する。って信じる。

希「ふふ、完敗からのスタートか。」

…にこっちに、声をかけておこうか。

1年生の3人は、もう見守っていれば平気だろう。

近いうちに、きっと…ね。

私は、3年生の残る2人、全力で加入させてみせるよ。

いつか、学校公認のスクールアイドルとなり、大きな舞台へ立つ…

音ノ木坂高校スクールアイドル、μ'sに!

そのためになら、私は、もう見守るだけなんかじゃない。

私の全てを懸けてでも、μ'sを、μ'sにするんだ。

それが、私の願い。

(1年生なら、大丈夫なはず。となると…)

まずは、にこっち、やね。

近いうちに、声をかけなくては。

そんなことを思いながら、私は帰宅した。

95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:30:35.96 ID:wdIRCAIK0
---数日後---


さて、初ライブから数日後。

私とえりちは、理事長室に来ていた。

目的はというと…

絵里「生徒は全く集まりませんでした。スクールアイドルの活動は、音ノ木坂学院にとってマイナスだと思います。」

えりちの、直談判に付き合うためだ。

理事長「学校の事情で、生徒の活動を制限するのは…」

絵里「でしたら、学院存続の為に、生徒会も独自に活動させてください!」

えりち…そうじゃないんや

理事長「それは駄目よ。」

理事長が、生徒会の活動を認めてくれないのは、そんな理由じゃない…。

絵里「なぜですか!!」

(えりちは…いつわかってくれるかな。)

理事長「それに、全然に人気が無いわけじゃないみたいですよ?」

と言いながら、理事長は手元のパソコンの画面をこちらに向けてきた。

絵里「あっ」

96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/19(月) 22:47:40.72 ID:wdIRCAIK0
(…これは)

希「この前のライブの…誰かが撮ってたんやなあ。」

驚きを隠せない私。

理事長が見せてきた画面には、この前のライブ動画がインターネットで公開されていた。

まさか、お客さんもほとんどいないライブで…誰が撮ってたんやろ。
私が講堂の中を覗いた限りでは…そんな人はいなかった。
まさか。

(……まさか、ね。)

私は、視線を、斜め前にいるえりちに向けた。

案外、えりちは…憧れているのかも、しれない。

アイドルとかじゃなくて、穂乃果ちゃんみたいに、自分の想いを純粋に、真っ直ぐ発信できる、そんな姿に。

(…えりち。もう少し、待っててな。)

私の願いは、えりちがいなかったら成立しないんだから…。


97: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:10:33.75 ID:fTTDIpYy0
そんなこんなで、放課後になった。

今日は久しぶりに、アイドル部の部室に来ていた。

にこ「んー、今日も授業疲れたわね~。」

希「もう少ししたらテストやし、にこっち勉強せんとね~」

にこ「にこは別に平気よ?何の問題もないわ。」

希「あれれ~、この前のテストで、前日に数学教えて~!って泣き付いてきたのは、どこの誰やったけなぁ~。」

にこ「さ、さあ?にこは知らないわよ?にっこにっこにー。」

希「ふうん…これは、今度ワシワシするしかなさそうやね…ふっふっふっふ…。」

邪悪な笑みを浮かべる私。

にこ「な、なに言ってんのよ希!!」

希「まあ、冗談は置いといて、と。」

にこ「あんた絶対冗談じゃなかったでしょ…んで、何よ。」

希「この前、新しく出来たスクールアイドルが初ライブやってたみたいやけど、にこっち見に行った?」

にこ「ああ、チラっと、だけね。」

あれ、てっきりにこっちのことだし、行ったことは隠すかと思ったんだけど…

希「そうなんや。どうだった?」

にこ「全然ダメね。基本がなってない。大体、廃校を阻止するためにアイドル始めました!!って。舐めてるでしょ。
   しかもあの出来。あれでよくライブをしようなんて思ったわね。。」

これだけ辛辣なコメントをしているが、にこっちも、穂乃果ちゃんたちを見ていると感じる、
何か、自然と引き寄せられるような、不思議な感覚は体験したはずだ。

98: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:36:21.95 ID:fTTDIpYy0
希「ふうん…そうなんや。さすがにこっち、見かたが違うなあ。」

やっぱり…にこっち手ごわいかも。

でも、にこっちにだって、3人の熱い想いは届いてるはずだ。

だからきっと…きっと、にこっちだって、私の願いを叶えてくれる。

希「そういえば、そのライブの映像が、インターネットで配信されてるみたいなんよ。
  今朝理事長に教えられて知ったんやけどな。」

にこっちのことだし、既に知っているかも、とは思ったが…

にこ「あら、そうなの?どれどれ…っていうか、理事長暇なの?」

どうやら知らなかったらしく、部室にあるパソコンで調べはじめた。最後の一言はスルーで…。

にこ「あったあった。これね………これ、アンタが撮ったりしたとかじゃないの?」

そう思われるのも仕方が無い…けど、

希「いやあ、ウチはそんなことしとらんよ?誰が撮ったのかわからなくてなあ…」

にこ「もしかしたら、絢瀬がやってたりしてね。」

やっぱり、にこっちもそう思うんや。

希「う~ん…ウチも、そう思ったんやけど…真実は謎に包まれている、ってやつやんな。」

にこ「どんなやつよ。まあいいじゃない、誰が撮っただなんて。」

希「まあね~。」

確かに、些細な問題だし、にこっちの言うとおりそんなに気にする必要はないかも。

と思って、私は本題に入る。

99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:38:29.85 ID:fTTDIpYy0
希「そんでな、にこっち。」

にこ「ん?」

どう伝えようか…迷った結果私は、

希「あの3人がな、多分、もう少ししたら6人に増える。メンバーが、ね。
  そしたら、部活動新設を要望してくるはずなんや。」

そう。部活動を新しく作るのであれば、5人以上いれば大丈夫。
だから、1年生3人が加わったとすれば…人数の課題はクリアする。
でも…

希「でもな、きっと、えりちは認めてくれへん。もう既にあの3人のアイドル活動に対して猛烈大反対中やから。
  多分、本校には既にアイドル部が存在するので、新しくスクールアイドルに関連する部活動を新たに作ることは
  認められません。みたいな感じで認めないと思うんや。」

そう。既に、この学校には、今私とにこっちがいる部室を所有している、スクールアイドル部が存在する。
にこっちが1年生の時に立ち上げた部活動だ。

にこ「…嫌よ。」

やっぱり、簡単にはいかないよね。

希「…やっぱり?」

にこ「当たり前でしょう。あんな甘々な連中と、どうして私が一緒にならなくちゃいけないのよ。
   アイドルへの想いが違うわよ、想いが。」

100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:39:48.53 ID:fTTDIpYy0
…確かににこっちの言うことも一理ある。

にこっちのアイドル愛は、恐らく…1年生の、眼鏡の女の子以外は到底敵わない。

そんなのは私にだってわかっていた。

でも…

希「まあまあ、にこっち。あの子達は、そんなに甘々じゃあないと思うで?それだけ頭入れといて。」

あの子達の想いは本物だ。全員胸に抱いている想いは違えど、それをμ'sが一つにつなぎ合わせてくれるはず。

その想いは、にこっちのアイドル愛にだって引けをとらないはずだ。

希「だから、もしあの子達が生徒会に部活動設立を申請してきて、それをえりちが案の定認めなかった時は…ウチは、この
部活動を紹介するで。部室の場所も、ね。」

きっと、あの子達なら、にこっちの想いだって…。

にこ「ふん。知らないわよ、そんなの。門前払いだわ、門前払い。ていうか、希にしては珍しいわね。いつもなら、絢瀬に全
面協力してるのに。」

あらら、さすがにこっち、やね。ウチが…私が、えりちと対立…まではいかなくとも、
非協力的になるというのは、普段の私からは考えられないこと。そこを不思議に感じとってくれるとは。

(仲が良いからこそ、だよね。そう感じてくれるのは。)

101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:41:17.79 ID:fTTDIpYy0
希「…カードがそう告げるんよ。」

見苦しい言い訳だった。私は、もしこれでえりちに嫌われてしまったら、と思うと気が狂いそうになる。
自分の想いを隠してしまいたくなる。えりちとずっと一緒にいたい。これからも。ずっとずっと。
でも、それでも。私は、私の気持ち、想いに嘘をつきたくない。

えりちとだって、そんな卑怯なことをして仲良くしていたいだなんて思わない。

(…えりち)

許してね、えりち。ごめんね、えりち。

でも、きっと、えりちも喜んでくれると思うから。

えりちの本当にやりたいこと、なんとなく、私にはわかってるんだよ。

あとは、背中を押してあげるだけ。

そんな感じなのかな。

そのためにも、今はにこっち。

にこっちのことだって、とてもとても大切だもの。

にこ「…カードねえ。まあ希の占いがよく当たるのは知ってるし、意見はしないけどさ…。
   また絢瀬と喧嘩して、この前みたく部室に半ベソかきながら来るとか、やめてよね。」

な、昔の話を…!

希「ちょ、ちょっとにこっち。それは言わない約束やん。しかもそんな昔のこと~!」

102: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:47:45.46 ID:fTTDIpYy0
にこ「昔って…2年生の終わり頃の話なんだから、割と最近なんだけど?」

希「ぬうう…。まあ…あの時は、ありがとな。にこっちが、お姉さんみたいだった。」

にこ「結局、何もしなくても次の日の朝には仲直りできたんでしょ?すごい嬉しそうな顔で部室にお礼言いにきたのも覚えてるわよ。私何もしてないのに。まあ…希は楽しそうに笑顔でいるほうが似合うし、私はほっとしたけどね。」

そんなことはない。にこっちは、優しい言葉を沢山かけてくれたし、なでてくれたりもしたやん。

(なんか、さりげなく恥ずかしいこと言ってるよねにこっち。照れる…。)

希「そんなことないよ、にこっち。本当にありがとう。これからもよろしく、なんやで。」

にこ「…はいはい、どういたしまして。こちらこそよろしくね。」

…にこっち。これからも、私のお姉さんでいてね。

希「ん。じゃあ、ウチはそろそろ生徒会やから。またね、にこっち。ウチも、にこっちの笑顔が大好きやで!」

にこ「にこは、アイドルなの。笑顔が似合うのは当たり前でしょ?にっこにっこにー♪
   またね、希。ありがとう。楽しかったわよ。」

希「ウチも!」

103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:48:12.37 ID:fTTDIpYy0
こうして、今日はにこっちとはバイバイして、そのまま生徒会室へと向かった。

これからにこっちは…どうするのかな。

私のもう一つの狙いは…にこっちに、穂乃果ちゃんたちを、意識させることでもあった。

(今日話題にあげたし、多分気にはしてくれるはずだよ、ね。)

いつ、1年生が仲間入りして、6人になるかまではわからないけど…

(μ'sがμ'sになる日は、そう遠くないかもしれないな。)

なんて考えにふける、私だった。

104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 00:49:08.59 ID:fTTDIpYy0
今日はここまでです。
ありがとうございました。

また明日も更新できると思います。
おやすみなさい。

105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 22:15:34.77 ID:fTTDIpYy0
さて、それから数日後。

予想通り、1年生は3人ともμ'sに加入したようだ。

そんな中、にこっちは、色々と邪魔をしているようだった。

邪魔というより、嫌がらせ?

この前は神田明神で練習している時に、穂乃果ちゃんにでこピンして、解散しろ!!って言ってきたらしい。
にこっちから聞いただけだから、なんとも言えないけど。

でも…6人は、やめる雰囲気なんか全然無くて。

今日も雨だというのを、屋上へ続く階段で嘆いていた。

真姫ちゃんが階段から降りてきて、帰宅しようとしているようだが…

表情は、とても残念そうだ。

さっき聞こえちゃったけど、どうやら1人でもこっそり練習したりしているみたいで…ふふふ、やっぱり、楽しんでるやん♪

希「どうやらあの子ら、やめるつもりはないようやで?」

私は、近くに居たにこっちに、そう問いかける。

にこ「フンッ。だから何よ。私は認めないからね。」

そう言って、にこっちは部室へ行ってしまった。

106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 22:23:29.39 ID:fTTDIpYy0
(…にこっち。嫉妬?)

なんとなく、そう感じた。

最初こそ、アイドル部として5人で立ち上げた部活。

すぐに3人になり、初ライブをしたと思ったら、1人になってしまったにこっち。

それから、約2年間、にこっちは1人なんだ。

もちろん、アイドルへの意識に関しての不満もあるのだろう。
ダンスも、歌も、普段の態度も、にこっちの理想はとても高い。

でも、にこっちは…

(やっぱり、寂しいんだよね、にこっち。)

私も顔を出しているとはいえ、たまにしか出せていない。

それなのに、にこっちはいつでも熱い想いを無くさなかった。

あくまで、自分の想いに正直だ。

今だって、本気であの子達のことは認めていないだろうし、認めるつもりもないんだと思う。

だからこそ、私が何かをするよりも…

(穂乃果ちゃんたち6人が、にこっちと上手くやることが大切、かな。)

そういう結論が…私の中で出てきた。

私は、あくまでサポート。

そういう立ち位置に。

私が本当に動くのは…

(9人目、やね。)

107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 22:44:37.85 ID:fTTDIpYy0
---次の日---


次の日、ついに来た。

穂乃果ちゃんたち、2年生3人が、生徒会室に部活動申請をするために、だ。

しかし…

穂乃果「アイドル研究部?」

やっぱり、えりちは…

絵里「そう。既にこの学校には、アイドル研究部という、アイドルに関する部が存在します。」

予想通りの理由だった。

希「まあ、部員は1人やけど。」

にこっちが、守り続けている、部活。

穂乃果「えっ、でもこの前、部活には5人必要って…。」

希「設立するときは5人必要やけど、その後は何人になってもいい決まりやから…。」

最初は5人だった、アイドルたち。

絵里「生徒の数が限られている中、いたずらに部を増やすことはしたくないんです。アイドル研究部がある以上、
   あなたたちの申請を受けるわけにはいきません。」

穂乃果「そんなー!」

108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 22:45:18.17 ID:fTTDIpYy0
絵里「これで話は終わり。」

にするわけにはいかない。

希「になりたくなければ、アイドル研究部とちゃんと話をつけてくることやな。」

ごめん、えりち…。

絵里「希っ!?」

えりちは、驚きを隠せずに、私を呼んだ。

希「2つの部が1つになるなら、問題はないやろ?」

私は冷静に取り繕う。

絵里「そ、そうだけど…」

希「そういうことや。部室に行ってみたら?」

穂乃果「はい!ありがとうございます!失礼しましたー!」

こうして、アイドル研究部の部室へと向かった。おそらく、外には1年生の3人もいるだろうから、6人で向かうのかな。

えりちと2人になり、しばらくすると…

絵里「希は…。」

不意に、えりちは私に呟いた。

絵里「希は、どっちの味方なのよ…。」

希「えりち…。」

ついに、聞かれてしまった。えりちが不安な時、寂しい時に聞いてくる質問。

絵里「いつもならすぐに、いつだって私の味方やで、って言ってくれるじゃない…。」

…その通りだ。

希「…ごめんな、えりち。でも、ウチがえりちの味方なのは変わらないよ。」

でも、これが私の本心…。私はえりちの味方。

絵里「…うん。」

えりちはとても寂しそうな表情で、そう答えた。

111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 22:27:15.66 ID:kn3JaHHy0
(えりち、ごめん。ごめんね。もう少しだから。)

正直なところ、怖い。

えりちに嫌われてしまうかもしれない。

私の想像が間違っていて、えりちの本当にやりたいことなんて私にはわからないものなのかもしれない。

それでも…

(私は、私の想いに正直になる。私は、にこっちから学んだんだ。その大切さを。)

だから、私は私の願いを叶えるために頑張るんだ。

そう、決意した。


113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 22:52:03.15 ID:kn3JaHHy0
---次の日---

朝です。

今日もえりちと、いつものように登校しているのだが…

絵里「ねえ、希」

希「ん?どうしたん、えりち」

えりちが改まって話しかけるときは、大抵何か大事な話があるときだ。

絵里「私、希がいなかったら、何も出来ないの。だから、いつも頼ってばっかり」

(あ、あれ?)

希「…そうかな?あんま感じたことあらへんけど」

絵里「そこが希の凄いところだと思うの。いつだって、私のサポートを嫌な顔一つせずしてくれる。
   本当に頼りになる副会長…それが、私にとっての希なの」

希「…なんだか照れるやん」

絵里「でもね」

希「??」

絵里「私にとって、希は…副会長じゃなくて、友達…親友なの」

(え、えりち、どうしたんだろ…)

114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 22:53:35.39 ID:kn3JaHHy0
絵里「本当に、本当に大切な友達。初めて出来た友達。
   初めて、心から頼りに出来て、何でも話せる友達。そんな存在なのよ、希は」

恥ずかし過ぎる。

希「ど、どうしたん?えりち…ものすごく恥ずかしいんやけど…そんな褒めてもなんもでんよ?」

絵里「本音よ、私の。私は貴方がいないと何も出来ない。
   生徒会長にだって、きっとなっていないわ。だから、副会長っていうのは後付けなの」

えりちは、あくまでストレートに想いを伝えてくる。

希「…まあ、ウチだってな。えりちのこと、本当に大切に思ってる親友やし、初めて出来た友達だよ。
  そら、転校ばかりしてきたからいろんな人と出会いはした。
  でも、これだけ密接な関係になる人なんて初めてなんや。
  だから、ウチはえりちが大好き。とっても大切な、大切な、親友」

なので私も、私の素直な気持ちを伝えてみた。

絵里「希…」

115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 22:56:06.27 ID:kn3JaHHy0
希「ウチ、えりちが生徒会長になろうか迷ってる時に、
  ウチもなるから安心して、味方やから。みたいなこと、上から言ったやろ?
  あれな、半分嘘なん。もう半分はな、えりちがこのまま生徒会長になっちゃって、
  ウチが1人ぼっちになっちゃうんじゃないかって…不安になっちゃったからなんや。
  ほら、ウチって、なんもいいとこないやろ?だから…」

と話していたら

絵里「バカね、希は」

えりちに言葉を遮られた。

希「え?」

絵里「私が、希を1人にするわけないでしょう。とても魅力的な人よ、貴方は。
   もし仮に私1人で生徒会になったとしても、1人になんてさせないし、寂しい思いなんて絶対させないわよ」

希「えりち…」

(どこのアニメの男の子や…えりち…)

格好良い、イケメンやん。

えりちに惚れ直してまうな。

って、女の子同士なのにこの感覚はおかしいか。

116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 23:01:16.87 ID:kn3JaHHy0
絵里「だから、希」

希「ん…?」

絵里「私から離れていかないでよ…」

希「んな…」

あまりにも唐突な、えりちの弱々しい言葉。

今にも消えてしまうんじゃないかっていうくらい、寂しそうな、悲しそうな声。

絵里「最近、不安になっちゃうの。希が、どこかに行ってしまうような、そんな気がしてならないの。
   矢澤さんと仲がいいのは知ってるけど、それはそれで気にしてなかった。
   だって、私に矢澤さんの話をしてくれるときも、希は楽しそうで、
   私にあの人の良さを伝えようとしてくれているのがわかるから。
   でも、最近の希は…何をしているのか、何がしたいのかよくわからないの。
   私の側にいてくれるときもあれば、私から一歩離れた所にいる時もある。
   それが、不安でたまらないの。何をしているのか気になるけど、聞くわけにもいかない。
   勇気を出して聞いても、なんだかはぐらかされてしまう。バカなこと言ってるのは分かってる。でも…でも…!」

えりちは、泣き出しそうな顔で、私に想いをぶつけてくる。

(勇気を出して聞いたってのは、昨日のこと、かな)

私は、

希「えりち」

そう言って、えりちをなでなでする。

117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/21(水) 23:03:13.57 ID:kn3JaHHy0
絵里「希ぃ…」

なんか、想像以上に私ってえりちに好かれてたんだね。私だけ、一方的なものかと思ってた。ありがとう、えりち。

希「ウチは、どこにも行かないよ。えりちの側におるよ。安心して。」

一歩離れた所にいるってえりちは言ってたけど…

(その一歩離れた所っていうのは、一歩進んだ所なんだよ、えりち)

きっと、わかってもられる。

もう、引き下がるつもりはない。

μ'sがアイドル部に。アイドル部がμ'sになったとき、私はえりちに想いを伝えよう。

どんな結果になるかなんて想像つかないけど…

(そうしないと、一緒に先へは進めない。私だけが先に進むなんて選択肢はないんだから。)

そんなことが、登校中にあったのだった。

121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/22(木) 22:48:05.48 ID:doNhbl9q0
さて、時間はいきなり登校から放課後へと変わって…

どうやら、にこっち、予想通り昨日μ'sに襲撃を受けたようだ。今朝聞いた話だけれども。

そして、それは今日も同じようで…部室の前で、にこっちが認めてくれないことに悩む穂乃果ちゃんたちを、私は見つけた。

穂乃果「えー!にこセンパーイ!」

部室へ向かって、そう叫ぶ穂乃果ちゃんに…

希「やっぱり追い出されたみたいやね」

私は優しく声をかける。

穂乃果「あ、希先輩…。だめでした…えへへ」

海未「どうすればよいのでしょうか…」

希「まあ、にこっち見ればわかると思うけど、アイドル大好きやからね。前はスクールアイドルの活動もしてたんよ?」

にこっちの、過去。

穂乃果「スクールアイドル?」

海未「にこ先輩が?」

私は、今でも初ライブに行かなかったことを悔やんでいる。

希「1年生の頃やったかなあ。同じ学年の子と結成してたんよ。今はもう、やってないんやけどね」

教えていいのか、わからないけども…

122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/22(木) 22:55:08.94 ID:doNhbl9q0
ことり「やめちゃったんですか?」

許してな、にこっち。

希「にこっち以外の子がね」

想い。

希「アイドルとしての目標が高すぎたんやろうね。付いていけないって、1人やめ、2人やめて」

にこっちの、熱い、熱い、想い。

希「だから、あなたたちが羨ましかったんじゃないかな。歌にダメだししたり、
   ダンスにケチつけたりできるってことは、それだけ、興味があって、見てるってことやろ?」

1人が寂しいのは、私には痛いほどよくわかる。でも、だからといってアイドルの夢を諦めてまで、友達はいらない。
アイドルは、それだけにこっちにとって大事な、大切な、大きな憧れで、夢で…それだけ大きな想いを寄せる、寄せられる存在。

海未「なるほど…。でも、私たちと再びアイドルを目指す、ということはしないのですね…」

…にこっちは。

怖いんやないかな?

さっき言ってた、嫉妬みたいな感じもあるんやろうけど…。

希「ん~、にこっは…もしかしたら、ちょっとしたきっかけで、一気に展開するかもしれんで」

私は、そう言うだけに留めておいた。

この子たちなら、きっと…

(にこっちに、認めてもらえるような、何かをしてくれるはず)

もしダメなら、その時は私も協力だ。

場合によっては、にこっちに一生のお願いをしたっていい。

それだけ、私にとっての大きな想いで、希望なのだ。

125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/24(土) 20:58:38.91 ID:9Gdy32S60
だからといって、事態が急展開するとは思っていなかったので…

私は、次の日の放課後に驚かされたのだった。


---次の日---


私は、えりちと一緒に生徒会室で仕事中だった。

すると、

にこ「はい、にっこにっこにー」

かすかだけど…

(あれ?今の声…にこっち?)

本当にかすかだけど、外から、にこっちの声が聞こえた気がした。

にこ「まだまだぁ!にっこにっこにー!」

???「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」

(聞こえる…にこっちの声が…!)

私は、窓から外を見てみる。

するとやはり、向こうの屋上には、にこっちと、穂乃果ちゃんたち…

いや。

μ'sの7人が、いた。

絵里「希、どうしたの?」

希「えりち」

絵里「?」

希「見て。雨、止んでる」

126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/24(土) 21:06:44.56 ID:9Gdy32S60
なんて、急に言われても戸惑うだろう。雨なんて、今日は元々降っていない。降っていたのは昨日の話だ。

絵里「え、雨なんて降ってたかしら…?まあうん…そうね。」

雨…

にこっちの、心の雨。

にこっちの心は、ずっと曇り空で…雨が降っていた。

それが晴れた、ってことなんやけど。

希「にこっち」

ここからだとよく見えないけど、今のにこっちの仕草を見る限り…

(ふふ、ウルウルしてる)

涙目になっているけど、にこっちは人前では滅多に泣かない。強い子、にこっち。

にこっちの想い、μ'sならきっと、お釣りがくるくらい、いっぱいいっぱいのものをくれるよ。

にこっちがどれだけ厳しくても、あの子達なら大丈夫。もちろん、私も。

127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/24(土) 21:08:41.83 ID:9Gdy32S60
希「始まる。私の物語。私の奇跡の物語が」

さあ、残りは2人。

絵里「…?どうしたの?」

私で1人。

希「えりち。大好きやで」

そして…

絵里「な、なによいきなり…ありがとう」

残る1人、エリーチカ。

私の想いを、近いうちにぶつけなければ。

さて、まずは…下準備、かな。

私は、生徒会室のどこかにあるはずの…カメラを探し始めた。

128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/24(土) 21:32:18.06 ID:9Gdy32S60
希「えりちー、ビデオカメラってどこにしまっとったっけ?」
絵里「カメラなら…ええっと…確か、ここに…」

ガサゴソと、2人で捜索していると、

絵里「あったわよ、ほら!」

何故か得意気なえりちがかわいい。

希「おお、ありがとさん!」

絵里「何に使うの?」

希「いやぁ、そろそろ部活紹介のビデオを撮ろう思ってな。他の役員の子達にも協力してもらえば、すぐ終わるやろうし」

部活紹介ビデオを撮る…私は、もちろん、アイドル部を撮影するつもり。みんなと、少しでも交友を深めておきたい。
えりちに入ってもらうのには、必ずみんなの協力は必要になるはずだ。

絵里「なるほど…そうね、オープンキャンパスで流すこともできるわね。えーっと…じゃあ、希に任せても平気かしら?」

希「ん、任しとき。多分今週中には撮り終わるよ」

絵里「ありがとう。よろしくね」

そう言って、えりちは作業に戻った。

ビデオカメラは確保できたし、あとはササっと仕事を終わらせて帰らんとね。

それから少しして遅れてきた役員の子達と、えりちと頑張って仕事を終わらせた。

129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 21:43:24.45 ID:cQWKexz90
今日は撮影や!

ということで、放課後、私は中庭で、穂乃果ちゃんを撮影していた。

といっても、カメラを撮影するのは凛ちゃんに任せて、私はナレーションだ。

希「これが、音ノ木坂学院で誕生した、μ'sのリーダー、高坂穂乃果。その人だ。」

穂乃果ちゃんはリーダー。きちんと紹介せんとね。

さて、海未ちゃんはっと…

海未「な、なんですか!私は嫌です!!」

希「ん~、最近スクールアイドルが流行ってるし、悪い話やないと思うんや。」

それに…

凛「取材させてくれたら、カメラ貸してくれるって!」

そう、それが、私の本当の目的。

カメラを貸してあげれば…

希「そしたら、PVとか撮れるやろ?」

凛「ほら、μ'sの動画って、まだ3人だった頃のしかないでしょ?」

穂乃果「ああ!そういえば、あれ撮ってくれたの誰なのかわからないままなんだよね…」

私もすっかり忘れていたけど、あの動画、撮影者不明のままだったんだっけ。

でも…おおよその見当は付いてるし、そのうちみんなもわかるかも、だね。

ことり「海未ちゃん、そろそろ新しい曲やったほうがいいって言ってたよね?」

海未「も、もう…!仕方がありませんね…!」

穂乃果「よーし、じゃあ他のみんなにも言ってくるねー!」

ことり「穂乃果ちゃん~、ちょっと待って~」

海未「ちょっと穂乃果ー!?」

ふふふ、仲が良いね、さすがは幼馴染って感じ。

PVの撮影…もし、さっき言っていた撮影者の見当が当たっていれば…

(確実に、目にしてくれるはずやんな。)

そう上手くいくかはわからないけど…少しずつでも、着実に、ね。


130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 22:06:23.08 ID:cQWKexz90
そうして、2、3日の間ことりちゃんに協力してもらって、穂乃果ちゃんと海未ちゃんの普段の様子を撮影してもらった。

穂乃果ちゃんは、授業中に寝てたり、パンを幸せそうにほおばったり、まさに女子高生って感じ、かな。

ただ…これをPRに使えるか、となると、話は別かもしれない…。

対して、海未ちゃん。

弓道部の練習を真面目にこなしていると思ったら…いきなり、鏡に向かって笑顔の練習…

なんやろう。海未ちゃんはしっかりしているイメージがあるけど、この2人、実は似てるとこも多くあるんやね。
これを撮影できることりちゃんもさすが…。

穂乃果「こ、こんなのプライバシーの侵害だよ!!」

穂乃果ちゃんに怒られてもうた。

と、その時

ガチャッ

にこ「しゅ、取材があるって本当?」

にこっちが、死にそうな表情でやってきた。

ことり「もう来てますよ♪」

私は、にこっちに向かって微笑む。

にこっちは、一度後ろを向いて…

くるっ

にこ「にっこにっこにー♪」

あ、これあかんやつや。

にこ「みんなの元気ににこにこにーの、矢澤にこでーす♪えーっとぉ、好きな食べ物はぁ~」

あかん。

希「ごめん、そういうのいらないわ」

にこ「え」

凛「部活動の生徒の素顔に迫るって感じにしたいんだって」

にこ「あ~、そ、そういう感じね、おっけーおっけー」

……これ、にこっちは最後でいいや。

にこっちがなにやら下準備をしているうちに、私たちに外に出る。

先に1年生を撮ろう。

131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 22:26:30.75 ID:cQWKexz90
私たちは中庭へ出て、撮影を再開した。

花陽ちゃん…か。花陽ちゃんは、恥ずかしがりやさん、だね。

励ます凛ちゃんが微笑ましい。この2人も幼馴染なんだと、つい最近知った。

そして真姫ちゃんは…

真姫「私はいいわよ。撮らないで」

つ、冷たい…実はμ'sのこと大好きなくせに…

よ~し…

希「真姫だけは、インタビューに応じてくれなかった。スクールアイドルから離れれば、ただの多感な15歳。
  これもまた、自然なことだ…」

真姫「何勝手にナレーション被せてるの?!」

あ、止められてしまった。真姫ちゃんはプライド高いんかな…。

その後、1年生3人の撮影をしていると…

真姫「ちょっと止めて!」

また真姫ちゃんに止められてしまった。まあ…気持ちはわかる。

穂乃果ちゃんと、ことりちゃんが3人を笑わそうと、変顔したりお面を被ったりしていたからだ。

132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 22:30:31.17 ID:cQWKexz90
私は微笑みながら見守っていた。

まだ私はμ'sじゃないけど…

(楽しい。こんな素敵な時間だなんて)

想像を遥かに超えた時間だった。みんなと一緒に話していると退屈しないし、とても楽しい。

でも…

(寂しいな)

寂しさも、あった。

それはもちろん、えりちの不在だ。

私も、少しはえりち離れしないといけないんかな。

えりちの本当にやりたいことは、なんだろう。

えりち離れなんて、私にはできないな。

なんて考え事をしていたら、

真姫「全く!これじゃあμ'sがどんどん誤解されていくわ!」

真姫ちゃんからこんな言葉が聞こえ、はっと我に帰る。

ふ、やっぱり真姫ちゃん、μ'sのこと大好きやん。

穂乃果「おお!真姫ちゃんがμ'sの心配してくれた!!」

穂乃果ちゃんはとても驚いていた。いや、知らなかったんかい!

思わず心の中で突っ込む。

真姫「べ、別に…私は…」

おお…照れてる照れてる。かわええなあ。

穂乃果ちゃんはすかさず撮影。すると…

真姫「撮らないでっ!!」

怒鳴られた。

これで一通りメンバー紹介の撮影は終了したが…

希「だらけているというか、遊んでいるというか…」

見返してみて思わず、私はこんなことを言っていた。

花陽「ええ!?」

希「まあでも、スクールアイドルの活動の本番は、練習やろ?」

ということで、次は練習風景の撮影だ。

みんなもやる気満々。楽しみや。

133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 22:11:08.49 ID:yZ+JfQ4D0
練習所として使われている、屋上へ、私もお邪魔させてもらった。

やがて練習が始まったのだが…

私はただただ驚かさせられた。

海未ちゃんが前でリズムをとり、6人全員のステップや動きを見る、というのが基本スタンスの練習のようだが…

(すごい…。海未ちゃんは1人なのに6人全員をしっかり見て、
細かく指導してるし…その注意に瞬時に対応するメンバーのみんなも凄い。)

練習風景に見とれていたら、気付くと1時間経っていた。

私は慌てて、ナレーションを入れる。

希「かれこれ1時間。ぶっ通しでダンスを続けて、やっと休憩。 
  全員息は上がっているが、文句を言うものはいない」

うん、こんな感じでいいだろう。私は録画を停止した。

真姫「どう?」

真姫ちゃんが近づいてきた。

希「さすが練習だと迫力が違うね。やることはやってるって感じやね」

本当にすごいと思った。

真姫「まあね!」

134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 22:13:16.30 ID:yZ+JfQ4D0
得意気に、満足そうにそういった。真姫ちゃんかわいい。

希「でも、練習って普通、リーダーが指揮するものじゃない?」

ただ一つだけ、気になることがあった。それが、練習の指揮がリーダーの穂乃果ちゃんではなく
海未ちゃんが執っている、ということだ。

真姫「それは…」

…まあ、なんとなくだけど、察しはついた。

(ん~…μ'sのリーダー、高坂穂乃果。もっと気になる…)

取材するしかないね。

希「ねえねえ、穂乃果ちゃん。」

思い立ったらすぐ行動、やん。

穂乃果「なんですか?」

希「今日、練習が終わった後、穂乃果ちゃんの家に取材にいってもええ?
  リーダーやし、μ'sについて他にも色々聞きたいし」

適当な理由を付けてみた。

穂乃果「私は大丈夫ですよ!むしろこちらから頼みたいくらいです!」

凛「じゃあ凛も行くにゃ!」

よし、アポは取れたし、あとは練習が終わるのを待つばかり、やね。

135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 22:30:39.15 ID:yZ+JfQ4D0
練習終わり、私は穂乃果ちゃんと、凛ちゃんと3人で穂乃果ちゃんの家へと向かう。

穂乃果「いや~、取材って、何だか照れちゃうなー」

凛「私も!アイドルって感じだよね!」

希「そんな気構え無くてええんよ?ありのままの素顔に迫りたいからね。」

穂乃果「でも、やっぱり意識しちゃいますよ!だって取材って…!」

まあ、そりゃあそうだ。取材、なんて言われたら無意識的でも意識してしまうものだろう。

希「穂乃果ちゃんちって、この辺なん?」

私はμ'sメンバーの家は、にこっちの家しか知らない。
どの辺りに住んでいるのか、ということすらわからないので、少し楽しみだ。それに…

希「和菓子屋さん、なんやっけ?」

前に話したときにふと聞いた情報。高坂穂乃果は和菓子屋さんの娘!

そういう意味でもついつい楽しみになってしまう。

穂乃果「もう着きますよ~。ほら、着いた着いた。ここです!私の家!」

そこには

穂むら

という立派な看板を構えた、伝統のありそうな、和菓子屋さんがあった。

136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 22:31:38.33 ID:yZ+JfQ4D0
希「ほえ~、ここが穂乃果ちゃんちなんや…。ほむら…?」

穂乃果「はい、ほむら、と読みます!まあまあ、とりあえず中に入りましょう!」

おお…楽しみや。

凛「ここのおまんじゅう、と~っても美味しいんですよ!」

ガラガラッ

穂乃果「お母さ~ん、学校から取材がきたよ~」

ほの母「しゅ、取材!?それもしかして撮影してるの?!
    そういうことは先に言ってよおお?!ちょっと待って…」

と言って、バタバタと店番そっちのけで奥へと入っていってしまった。なんだかあれこれと聞こえてくる。

穂乃果「生徒会の人だよー?家族にちょっと話聞きたいってだけだから、そんな気合入れなくても~」

ふふ、やっぱり親子、やね。よく似てる気がする。私は思わず横目で穂乃果ちゃんを見つめる。

ほの母「そういうわけにはいかないの!」

穂乃果「っていうか、化粧してもしなくてもおんなじなんだか…ウッ!」

い、痛そう…。お母さんの投げたティッシュ箱が穂乃果ちゃんのおでこにクリティカルヒットや…。

希「あはは…楽しそうなお母さんやね」

穂乃果「いてて…ん~、しょうがない。先に妹紹介するよ…」

といって、奥へと入っていくことに。

137: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 22:36:04.12 ID:yZ+JfQ4D0
って、妹がいるって、知らなかった。どんな妹さんなんやろう。

穂乃果「ここが妹の部屋なんだ~。雪穂ー、いるー?」

といって、穂乃果ちゃんはふすまを開ける。

ガラガラ

雪穂「も、もーちょい…あと……一穴…ッ!!!!」

ガラガラ

穂乃果ちゃんは無言でふすまを閉めた。

うん。

妹さんも穂乃果ちゃんそっくりって感じ。

だめだ、にやにやが止まらへん。

なんて楽しそうな家族なんだろう。

毎日、家にいるだけで幸せそうだな…。

(って、何を考えてるんや、ウチ)

はっと我に返り、慌てる。

こんなこと考えてる時じゃないね。しっかりしないと。

穂乃果「ご、ごめん…とりあえず私の部屋に行こう…」

穂乃果ちゃんは呆れたような、申し訳なさそうな表情でそう言った。

141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 20:25:59.86 ID:UGuUPhab0
 
希「全然平気よ~。ほな、いこか~」

そして、穂乃果ちゃんの部屋にお邪魔する。

3人でテーブルを囲むと、

穂乃果「ごめんね、2人ともあんな感じで…」

と、言い出した。

希「気にせんでええんよ。とっても仲よさそうでいい感じやん。あ、そういえば、お父さんは?」

お父さんはまだお会いしていない…どんな人なんやろか。

穂乃果「ああ…お父さんは…恥ずかしいからいいらしくて…」

希「そっか」

残念だけど、仕方が無いね。そのうち機会もあるかもしれないし。

希「ここは、みんな集まったりするの?」

ここでミーティングとかしているのだろうか。

凛「うん!ことり先輩と、海未先輩は、いつも来てるみたいだよ。おやつも出るし!」

やっぱり幼馴染で仲いいんやね。

穂乃果「あはは、和菓子ばっかりだけど」

そういえば、この机の上にも和菓子が置いてある。

142: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 20:31:37.65 ID:UGuUPhab0
希「ふ~ん…ん?」

少し部屋を見渡してみると、気になるものを見つけた。

希「これで歌詞を考えたりするんやね?」

歌詞ノート、と書かれたノートだ。

穂乃果「うん、海未ちゃんが!」

ふむ…って、

希「え?」

穂乃果ちゃんじゃないんかい。

凛「歌詞は大体、海未先輩が考えるんだ~」

となると…?

希「じゃあ、新しいステップを考えたりするのは…」

穂乃果「それはいつもことりちゃんが!」

………あれ?

というか、何故か得意げだし。

希「んっと…じゃあ、あなたは何をしてるの?」

こうなったら直球だ。

穂乃果「う~ん…」

な、何やら真剣に考え始めた…

穂乃果「ご飯食べて、テレビ見て、他のアイドル見て、すごいなぁって思ったり…
    あ!もちろん、2人の応援もしてるよ!!」

満面の笑みでそう言われた。

いや、あんな考えてそれかい!

開いた口が塞がらない、私。

…リーダー、よね?穂乃果ちゃん。

希「…そ、それだけ?」

143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 20:40:04.23 ID:UGuUPhab0
ま、まさか何もしていないとは…

希「ウチ、前から思ってたんやけど、穂乃果ちゃんってどうしてμ'sのリーダーなん?」

はっきりと言ってしまった…ど、どうしよう。

今更後悔する。

穂乃果「た、確かに…私、いつの間にリーダーになってたんだろう…」

そ、その自覚すらなかったんかい…

凛「明日、みんなで話し合ってみたらどうにゃ?」

穂乃果「ふむう…確かに、それがいいかも!」

…ほっ。

このままμ'sのみんなで解決まで持っていければいいな。

でもまあ…

(にこっちがリーダーってのは、ありえないかな)

なんて。

勝手に思ってくすくす、と笑ってしまった。

希「ん~…じゃあ、今日はそろそろお暇させてもらおうかな。ちょっと遅くなっちゃったし、話し聞くのはまた今度で~」

穂乃果「あ、わかりました!今日はありがとうございました!」

凛「お疲れ様です!」

2人とも元気だなぁ。

希「じゃあ、またね。2人とも」

ほのりん「はーい!」

本当に元気だ。

(リーダー…か)

あんなことを言ったものの…

ここまでμ'sが順調なのは、もしかしたら…

(そのリーダーのおかげなのかも、ね)

話し合っても結論は出なさそうだなあ、なんて考えて。

私は、数日後にアップされたμ'sの新曲のPVを見て、やはりそうだったんだな、と確信した。

144: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 20:42:18.69 ID:UGuUPhab0
「これからのSomeday」

私がPVを見て思ったことは…

ああ…これが、これが、μ's、なんだ。

リーダーとか、センターだとか。

そういうのは、μ'sには関係ないんだ。

みんながセンター、なんだね。

というのも、この曲

1人に1回は必ず、ソロパートがある。

映像だって、ソロパートが全員分きちんと撮影されている。

一応センターには穂乃果ちゃんがいるけれど、そもそも、センターそのものを感じさせないような構成になっている。

それに、動画のコメントや、再生数もどんどん増えている。

着々と、確実に。

(ふむう…最近、校門のとこで出待ちしてる中学生がいたからもしや、とは思ったけど…)

ここまで人気が出てきているとは。

…やっぱり、すごい。μ's。

いい加減、私も…。

私も、行動せんと、ね。

(えりち……)

どうしても、勇気が出ない。

嫌われてしまうんじゃないかと思うと、何もできない。

このまま、えりちと一緒にいるだけでもいいんじゃないかとすら思えてくる。

でも…必死で、余裕のないようなえりちを見ているのは、苦しい。

(どうにかしないとな…)

そんな悩みを、ここ数日ずっと続けている、私だった。

145: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:14:28.93 ID:wCA3IDbB0
---次の日---


私は、えりちと一緒に生徒会の用事で理事長室に来ていた。

理事長「はい。では、いま渡した資料に書いてある通りの進行でオープンキャンパスは実施したいと考えています」

絵里「わかりました。生徒会からの学校紹介の時間は、こちらで用意すればいいんですよね?」

理事長「ええ。よろしくお願いします」

用事というのは、もう再来週に迫ったオープンキャンパスについて、だ。

来週はテストなので、実質準備を出来る期間は、今日とあと再来週のみとなる。

理事長「テストにも手を抜かず、支障が出ないように頑張って下さいね」

絵里「はい、もちろんです。それでは失礼します」

希「失礼します」

用事は済んだ。私は理事長室から出ようと、ドアを開ける

ガチャ

開けた先には、穂乃果ちゃんがいた。というか、μ's全員集合?

希「あら、おそろいでどうしたん?」

(あかん、えりちが。これ、大丈夫かな)

146: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:26:24.83 ID:wCA3IDbB0
穂乃果「あっと…あぁっ、生徒会長!?」

にこ「タイミング悪っ」

穂乃果ちゃん…すっかりえりちのこと怖がっちゃってるな…

にこっちはにこっちで、印象は悪くなる一方や…。凄い顔しとるし…

絵里「何の用ですか?」

一同「・・・・」

沈黙。みんな、えりちのこと苦手なんだね…。

と思ってたら

真姫「理事長にお話があって来ました」

(おお…さすが真姫ちゃん…)

度胸あるなぁ。

そう言って、真姫ちゃんはえりちの横を通ろうとしたが…

絵里「各部の申請は、生徒会を通すきまりよ」

道を遮って、真姫ちゃんへ問いかける。

というか…

(えりちこわいなあ…よく私、最初話しかけられたなあ…)

こんな状況で呑気かもしれないけど、私はそんなことを考えてしまう。

147: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:33:13.26 ID:wCA3IDbB0
真姫「申請とは言ってないわ!ただ話があるの!」

真姫ちゃんの強さも本当に凄いね。私にはかけらもない、強さだね。

穂乃果「真姫ちゃん、上級生だよ?」

優しく、穂乃果ちゃんが真姫ちゃんをなだめる。

でも…

(それ、穂乃果ちゃんが言う…?)

私は気にしてないし、むしろ嬉しいのだが、穂乃果ちゃんは私に対しても割と馴れ馴れしかった気がする…

真姫「うぅ…」

弱った真姫ちゃんって、かわいいな。

こんなこと言ったら怒られるけど。かわいい。

そんな時、

コンコン

後ろから、扉を叩く音が聞こえた。

理事長「どうしたの?」

まあ、扉を開けっ放しにして、目の前でこんなやり取りをしていたらさすがに声をかけてくるよね。

私たちと、μ'sの2年生3人…そしてアイドル部部長であるにこっちが、理事長室に通された…。

148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 22:56:27.78 ID:D9ppLHlG0
理事長「それで…話っていうのは、何?」

理事長が穂乃果ちゃんたちに聞いた。

穂乃果「は、はい。実は、今度、ラブライブ!という大会が開催されることになりまして…」

海未「スクールアイドルの、全国大会、といったところです」

へ~。そんなのあるんや。昨日PV見てたときにはそんなの載ってなかったんやけどな…

理事長「へぇ~、ラブライブ!ねえ」

海未「はい。ネットで全国的に放送されることになっています」

本当に、大規模な大会イベントなんだね。

ことり「もし出場できれば、学校の名前をみんなに知ってもらえることになると思うの」

さて…えりちはどう反応するだろうか。

ちらっと、私はえりちを見た。

149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 23:07:33.54 ID:D9ppLHlG0
絵里「私は反対です」

理事長へ近づいて、そう言った。

だと思った。

絵里「理事長は、学校のために、学校生活を犠牲にするようなことはすべきではないと仰いました。であればっ」

確かに、前に理事長は、えりちに対してそう言っていた。

理事長「そうね。でも、いいんじゃないかしら。エントリーするくらいなら」

あ…えりちの目…

(ウルウル…してる?)

気のせいかもしれない。でも、これまでずっと一緒に居たのだ。微妙な表情の変化くらい、わかる自信がある。

(えりち…)

絵里「ちょ、ちょっと待ってください!どうして彼女たちの肩を持つんです?!」

理事長「別に、そんなつもりはないけど」

絵里「だったら、生徒会も学校を存続させるために活動させてください!」

理事長「ん~、それはダメ」

絵里「…っ、意味がわかりません」

理事長「そう?簡単なことよ?」

150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 23:10:26.69 ID:D9ppLHlG0
絵里「…っ!」

えりちは、そのまま何も言わずに、理事長室から出て行ってしまった。

希「えりち!」

だめだ、行ってしまった…。

…えりち。理事長の言うとおり、簡単なことだよ。

どうして理事長は、穂乃果ちゃんたちはOKで、生徒会はだめなのか…

そもそも、生徒会に対して言っているんじゃなくて…えりちに対して、ダメ、って言ってるんと違うん?

えりちが、何のために頑張っているのか…それを、理事長は見抜いてるんじゃないかな。

にこ「ふん。ざまあ見ろってのよ」

はっと、考え事をしていた私は我に帰る。

…ああ。にこっちにえりちがどんどん嫌われてまう…。

理事長「ただし、条件があります。勉強がおろそかになってはいけません。
    今度の期末試験で1人でも赤点を取るようなことがあったら、ラブライブ!へのエントリーは認めませんよ」

さ、さすがに赤点はいないんじゃ…

と思ったら…

3人、絶望の淵に沈められたみたいな、なんか、うん…。

(にこっちはまあ…知ってるけど…穂乃果ちゃんと凛ちゃんもなんかい…)

151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 23:20:08.60 ID:D9ppLHlG0
海未「えっと…理事長、ありがとうございました。期末試験では、1人も赤点を出さないようにしますので…
   よろしくお願い致します。失礼しました」

海未ちゃんの心強い一面やね。

海未「ほら、行きますよ、そこの3人も」

理事長室からみんな出て行く。もちろん私も。

てかにこっち、もう先輩としての威厳ないやん。

さて…えりちはどこだろう。

慰めてあげたい。余計なお世話かもしれないけど、えりちの側に居てあげたい。

う~ん…生徒会室?

と思って行ってみると…

役員1「あ、希ちゃん、お疲れ様~」

他の役員しかいなかった。

希「お疲れさん。えりち見なかった?」

役員2「見てないよ?」

生徒会室には戻ってないんや…

希「そっか…わかった、ありがと!」

今度は教室に行ってみる。

希「ん~…おらんなあ…」

というか、誰も居ない。シーンとしている。

(まだ帰ってはないはず…確か今日は妹さんと学校の前で待ち合わせだって言ってたし…)

わからない。

ん~…一緒にいてあげたかったけど仕方ない…

とりあえず

希「にこっち、だね」

私は、部室へと向かった。

158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 20:57:07.29 ID:JMMX4hKX0
到着して、部室のドアを開けようとしたら中から騒ぎ声が聞こえる。

どうやら、テストで赤点を取りそうな凛ちゃん、穂乃果ちゃん、にこっちがワーワー言っているようだ。

…ふむ。やっぱり、にこっちの勉強は私が担当しよう。

なんて思っていたら、その話をし始めた。よし、

ガチャ

希「それはウチが担当するわ」

丁度にこっちはどうしようって感じの空気だった。完璧なタイミング♪

みんなからの視線を感じて少し恥ずかしいけど、気にしている場合ではない。

にこ「希…?」

穂乃果「いいんですか?」

穂乃果ちゃんに、笑顔で応える。

にこ「言ってるでしょ?にこは赤点の心配なんてな…」

希「ふっ…」

ぎゅっ!

わしわし…

にこ「ひっ!」

希「嘘つくとワシワシするよ?」

にこ「わ、わかりました、教えてください…」

かわいいにこっちやね。

希「はい、よろしい」

159: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 21:21:18.80 ID:JMMX4hKX0
ということで、にこっちの勉強担当になった私。

なんか、直接的に、μ'sに関わるのは初めてかもしれない。

前にビデオ撮影したとはいえ、あれはあくまで生徒会としてのポジションやったし。

内部から、直接μ'sに関わるのは、多分これが初めて。

そう考えると、ついつい楽しい気分になってしまう。でも、気を引き締めないと。

まだまだ私の願いは始まったばかり。今朝の一件で、また願いが大きくなってしまったし。ふふ。

さて、にこっちの勉強を開始したものの…

(にこっち…こんなに数学苦手やったっけ…)

苦手だというのは知っていた。ただ、ここまでとは…

(これ、赤点回避できるかな…えりち…助けて…)

なんて思ってしまうけど、そんなわけにもいかない。

まあ、なんとかなるだろう。スピリチュアルパワーも味方してくれる!…と思う。

早速にこっちに勉強を教えているのだが…

後ろで苦しみの声がたくさんたくさん聞こえてくる…

にこ「こ、これ…」

希「ん?答えは?」

超基本問題だし、つい昨日の授業でやったばっかなんやけど…

にこ「えーと…に、にっこにっこにー」

にこっち…懲らしめが必要やね

希「………ふっふっふっへっへ」

にこ「きゃああああ!!もう胸はやめてー!!」

勢いよく立ち上がって逃げてしまった

希「次ふざけたらワシワシMAXやよ!?」

にこ「わ、わかったわよー!だから許してえええ!」

やけに素直や…そんなにワシワシされるの嫌なの…

希「じゃあ早く続ける!!わからない時は素直に聞く!!」

にこ「わ、ワシワシしないのね…?」

希「ん~…それは気分によるやん?」

なんて、冗談言ったら

にこ「な、なによそれ…」

本気にされてしまった

希「冗談やで、冗談。だから安心して!」

にこ「ほ、ほんとね!じゃあこれ、わからないから教えて…」

希「この前の授業でやったばっかなんやけどな~」

にこ「…ごめんなさい寝てました」

ま、そんなとこだろうと思っていたので驚かない。

そのあとしばらくにこっちの勉強を見て、場所を移すことにし、私たちは下校した。

というか、初めてにこっちと下校したけど、まるで毎日そうしているかのような居心地だった。

(これが…私とにこっちが2人で作ってきた仲なんだな…)

なんて、考えて感激。これからも、友達でいてな、にこっち。よろしくね。

161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 21:38:13.33 ID:JMMX4hKX0
さて、場所を移して、私たちはファストフードのお店にきていた。

にこっちの数学は本当に深刻で、本気でやらないとまずい状況だ。

にこ「にっこにっこにー」

希「次ふざけたらワシワシMAXやて言ったはずやん?」

にこ「待って!違う!ふざけてるんじゃなくて、こうすると答えが思いつくの!」

希「本当に?」

…本当?

にこ「そ、そうなの!キャラチェンジすると、脳が活性化するっていうか!
   にこでーす!今日はこの問題を解いちゃおうかなー!」

って…そんなわけ、あるわけないやろ!

呆れた目でにこっちを見つめるが、気付かない。

にこ「えーっとぉ、ここにこれを代入して…」

希「して?」

にこ「それで…これがこうだから…」

ほら、分からないんやん…素直に聞いてって言ってるのに…

にこ「えっと…にこわかんないなー♪」

後ろに回りこみ、思い切りワシワシする。

にこ「きゃああ!!!」

希「お仕置きやね?」

にこ「いや、いやあああああ!!」

希「ひっひっひっひっひ」

って、ここ公共の場やん。こんな騒いで大丈夫かな。

と思って前を向いてみたら、

のぞにこ「あっ」

海未ちゃんがいた。険しい表情でこっち見てる。あかん、ウチまでふざけてる思われたかな。

162: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/01(日) 21:52:57.80 ID:JMMX4hKX0
海未「聞きたいことがあるのですが」

希「こ、これはな、違うんよ?にこっちがあんまりふざけるもんやから、つい…」

にこ「なっ!違うわよ!!私は真面目にやってるのに希がちょっかいばっか出してきて!!」

希「んな!!にこっちなんて嘘つくんや!」

嘘にも程があるでにこっち!!

海未「へ?あ、ああ、勉強のことではなくて…生徒会長のことでちょっと…」

え、あ、違うの?

というか、生徒会長のこと?えりちのこと?

…私は一気に冷静になる。

希「…そう。わかった」

ここで話すわけにもいかないし、移動やね。にこっちには悪いけど、また明日ってことで。

希「にこっち、悪いけど…」

にこ「わかってるわよ。行ってきなさい。アイツのことはあなたにしか分からないもの」

…にこっちのイケメンっぷりが!

本当、こういうにこっちの姿には惚れそうになる。

希「…ありがと、にこっち。じゃあ、今解いてる問題明日までに解いてきてな♪」

にこ「じゃあっておかしくない!?」

ふふ。こんなやり取りが、私とにこっちの醍醐味。

希「まあまあ、解き方は後でメールしてあげるから!また明日、やで」

にこ「ちゃんと送りなさいよ!?またね、希」

ん、あとでちゃんとメールせんとね。

希「ん、お待たせ、海未ちゃん」

ということで、海未ちゃんと移動する。よく考えたら私、今日の夜はバイトだった。

164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 22:46:00.37 ID:tcGyzIjY0
希「ごめんな、少し待っててくれん?着替えて、仕事ひと段落するまで…」

海未「ええ、構いませんよ。お待ちしております」

私は、急いで巫女装束へ着替え、最低限の仕事を済ましてから、海未ちゃんの待つ男坂へやって来た。

希「また待たせちゃってごめんね。それで、話ってなんなん?えりちのこと言うとったよね?」

海未「ええ、実は…」

私は、海未ちゃんから、今日の放課後あったことを聞いた。


ファーストライブの撮影者は、えりちだったこと。

えりちは、ライブの映像をアップして評判を落とそうとしていたこと。

そして…

(人に見せられるような、人を惹きつけられるものではない。
 スクールアイドルは全員素人にしか見えなくて、A-RISEでさえ、えりちからしてみれば素人にしか見えない、か)


…なるほどね。

まあ、えりちの言いそうなことやんな。

希「…そう。えりちにそんなこと言われたんや」

165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 23:00:53.09 ID:tcGyzIjY0
海未「はい。A-RISEのダンスや歌を見て、素人みたいだって言うのは、いくらなんでも…」

希「えりちならそう言うやろね」

それに

希「そう言えるだけのものが、えりちにはある」

私は、親友のことを誇らしげに語る。

海未「どういうことですか?」

険しい表情で、海未ちゃんが聞いてくる。

希「知りたい?」

海未「…はい」

正直、海未ちゃんに話していいものか、というより、見せていいものか、かなり迷った。
でも、海未ちゃんなら…必ずプラスの方向へμ'sを導いてくれる、そんな気がした。

(その海未ちゃんを導くのは、私の仕事)

あくまでまだ、見守る立ち位置は崩さない。テスト勉強のお手伝いはしているけど…μ'sとしての活動そのものには、
私はまだ深く入り込まない。だって、それじゃあえりちが一人ぼっちになってしまうから。
もし私がμ'sに入ったから、えりちも入る、なんていう展開にはしたくない。
えりちには自分から、自分の意思で、自分の想いで、μ'sに入って欲しい。そんな私の勝手な想いがあるから。

希「ん、これを見てごらん」

私は、携帯電話を海未ちゃんに見せる。本当はバイト中に携帯を持っているのはいけないんやけど、今日だけは堪忍や。

海未「こ、これは…」

そう一言呟いて…見入っている、海未ちゃん。

それも仕方のないことなのかもしれない。

私だって、初めて見たときは、見入ってしまっていたもの。

えりちの、幼い頃の姿。バレエをする、えりち。

コンクールで入賞できるレベルにある、えりちのバレエ。

えりちがμ'sに対して人に見せられるレベルではない。と言ったのは…

人の前に立つ重みと重大さをを本当に理解しているからこそ、なんだと思う。

166: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 23:02:15.81 ID:tcGyzIjY0
動画が再生し終わったあとも、しばらく海未ちゃんは固まっていた。

(…ちょっとショックが大きすぎたかも)

軽く後悔する。あかん。悪い方向へ進まないでくれるとええんやけど…

海未「…はっ。し、失礼しました。ついぼーっとしてしまって…」

海未ちゃんはようやく我に返り、私に言ってきた。

海未「すいません、今日はありがとうございました。また明日、勉強の方、よろしくお願い致します…」

希「ええんよ。気にせんといて」

感想も気になったけど、聞かないでおく。

少し、気持ちに整理が必要かもしれないからね。

……さて、バイト終わらせちゃおうか。

バイトも無事終わり、帰宅した。

(やっぱり…見せないほうがよかったかなあ…)

なんて、1人で後悔する私。もう遅いのに。

(……明日、海未ちゃんは何て言ってくるやろうか)

そんなの、明日になればわかる。でも、気になってしまう。

(あ、そや…にこっちにメールしてあげんと)

ふとそんなことを思い出して、にこっちに解き方アドバイスを送信。

……今日は疲れた。お風呂入ってはよ寝よう。

明日もお勉強見てあげんとね。

やっぱり、μ'sのみんなと過ごしている時間はとても楽しい。そんなことを思ってしまう。

(でも、えりちがいなくちゃ…私にとってはえりちがいないμ'sなんて、μ'sじゃない)

…もう、進み始めている気がする。

μ'sがμ'sになる時はそう遠くない、そんな気がするのだ。

(って…お風呂入ろうと思ってたのに、また考え事しちゃった…)

いい加減お風呂に入らねば。そして寝るのだ。

お風呂に入っている間も、私は明日のことが気になって仕方がなかった。

けど、やはり疲れていたのだろうか。布団に入ると、すんなりと眠ることができた。

167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 20:11:45.68 ID:jxz/XBN80
---次の日---

の、昼休み。

私は3人の勉強をみるために、部室へやってきた。のだが…

(…いない。どこだろう)

部室には誰も居なかった。もう来ているはずなのに…。

あの3人のことやし、にこっちもおるし。屋上にでも行ってみようかな。

そう思って、屋上へやってきたのだが…

(ビンゴ、やね)

案の定、3人とも屋上にいた。何か3人で楽しそうに話しているが、気にしない。

希「何やってるん?」

にこほのりん「うっ!?」

希「昼休みは部室で勉強って、言ったはずやん?」
にやり。

これは…

希「お仕置きが必要やね」

3人が慌てて言い訳を始めたし、にこっちに至っては後輩2人に責任を押し付けようとしている。でもまあ

希「そう」

にこほのりん「ひっ」

希「まあ誰でもいいやん?どうせ、みんな一緒にお仕置きやから♪」

にこほのりん「ひいいいいいいいいい」



168: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 21:18:56.04 ID:jxz/XBN80
私は3人への距離を一気に詰め、ワシワシを開始する。

ふむ。穂乃果ちゃんなかなか胸大きいんやなあ。触ってみるまで、こんなに大きいとは思っていなかった。

希「穂乃果ちん中々やね♪」

穂乃果「知りませんよそんなのいやああああああ」

にこ「きゃああああああああああああああ」

凛「うわああああああああていうか希先輩楽しんでないかにゃ!?」

うん。楽しんどるよ♪

3人とも反応がかわいいしね~。

しばらくワシワシして満足したので、私は部室へ行くことにした。

3人とも、倒れたまま動こうとしない。まあ死んでないし問題ないやんな。

屋上のドアに身体を向けると、視界の隅に海未ちゃんが入った。

フェンスに寄りかかり、うつむいて…深刻な表情、真剣な表情を浮かべている。

(…ちょっとショックが強すぎたかな)

早かったか。今更、私は後悔をする。

でも…捉え方を変えれば、悩んでいる、とも見れる。

海未ちゃんだからこそ思いつきそうな、悩み。

…まあ、少し様子見るしかない、かな。

とりあえずは勉強やらないとね。

ちゃんと今日のノルマも用意してきたし、ふふふ。

170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 22:16:54.87 ID:jxz/XBN80
さて、部室へと戻ったわけだが…

海未ちゃんと、赤点組以外みんな揃っていて、勉強の準備をしている。

みんないるっていうのがすごいね。μ'sの絆やんな。

希「はい!今日のノルマはこれね!」

どーん!

自分でも思う。この量は多すぎると。

にこほのりん「鬼…」

3人が口を揃えて言う。

まあ、そう言いたくなるのもわかる。

希「あれ?まだワシワシが足りてない子がおる?」

にこほのりん「ま~さか~!」

ん、効果覿面。サボろうとした罰だと思って、頑張ってね。これくらいやらんと、赤点回避できひんよ?

まあ、サボろうとしてなくても同じもの用意してたんだけど。

171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 22:38:00.00 ID:jxz/XBN80
海未「ことり。穂乃果の勉強をお願いします」

と、海未ちゃんが言い、そのまま部室から出て行ってしまった。

(……決意したんやね、海未ちゃん)

希「ちょっと、生徒会手伝ってくるね。真姫ちゃん、花陽ちゃん、ことりちゃん、任せたわ。にこっちは……うん、がんばっ
て。多分解けないけど」

にこ「ど、どういうこと!?」

希「まあまあ。じゃあ、このページやっておくこと。わからないとこは空白にしておいて」

確認テスト的なページを示して、私は部室を出て行く。生徒会室に行くためだ。

きっと、海未ちゃんも生徒会室に向かっているだろう。

私の予想が正しければ、海未ちゃんはきっと…ふふ。

でも、先輩からのアドバイスもしてやらんとね。

そんなことを思いながら生徒会室の扉を見る。

やはり、そこには海未ちゃんがいた。

今まさに、ドアをノックしようとしているところだった。

(先走りすぎ、だよ)

希「順番があるんやないの?」

172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 22:39:58.66 ID:jxz/XBN80
今は、まだ集中すべきことがある。

海未「はっ…希先輩」

海未ちゃんは、後ろにいた私に振り向いた。

私は笑顔で、続ける。

希「ショック受けたんやろ?えりちの踊りに」

見せてしまったことを後悔しかけていたが、ここにいるということは、杞憂だったということ、だと思いたい。

海未「自分達が今までやってきたことは、なんだったんだろうって思いました。
   悔しいですけど、生徒会長がああ言いたくなる気持ちも分かりました。」

やっぱり、ショックはかなり大きかったんだね。

じゃあ、なぜここに来たか。

希「だから謝ろうと思ったん?」

私はわざと、自分が思っていることとは逆の事を問いかけた。

海未ちゃんの決意がどれ程のものか。ここではっきりと言えるのか。

海未「いえ」

海未ちゃんはこちらに力強い、でも優しい、凛々しい表情で、私に話す。

(やっぱり、ね)

海未「ダンスを教わりたいと思いました!」

173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 22:41:59.22 ID:jxz/XBN80
…ふふっ。私の思ったとおりや。

海未「もし、今のみんなが先輩の半分でも踊れるようになったら…本当の意味で、人を惹き付けられるのにって!」

ああ、いい顔をしているよ、海未ちゃん。

みんなの成長した姿を思い浮かべているのだろうか。とても、とてもいい笑顔だ。

(私が言うべきことは)

希「…ふっ。ウチが睨んだとおりや」

私的ミステリアスな、スピリチュアルな仕草でそう答える。

(精一杯やってみたけど海未ちゃんぽかーんとしちゃってる…恥ずかしいかも…)

って、そんなこと考えてる場合じゃない。

希「あなた達ならそう言うと思ってた」

でもね、海未ちゃん。

海未「希先輩…」

あなた達には、まだやることがある。

希「でも、それなら先にやることがあるんとちゃう?試験まであと5日よ」

今日の海未ちゃんの様子を見て、みんな集中しにくくなってる可能性だってあるんよ。
特に穂乃果ちゃんと、ことりちゃんはね。

それに、えりちに、テスト期間中にお願いしたら何を言われるかわからないし…。

(まあえりちのことやし…
「テスト期間中なのに何を考えているの?部活動は活動休止のはずなのだけれど」
とか言いそうだな…)

とか勝手に想像してしまい、くすっとする。

さて。

にこっちはまだ終わってないだろうし、今日はえりちのお手伝いせんとね。

174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:19:25.89 ID:jxz/XBN80
希「えーりちっ」

そう言いながら生徒会室のドアを開けた。

絵里「あら、希…!」

あ、あれ、なんかすごい嬉しそうなんやけど、気のせい…?

そういえば、最近生徒会手伝ってなかったから…

希「えりち、どうしたん?」

絵里「最近忙しいんでしょ?希と話せる時間が少ないんだもん…」

って、仕事が忙しいとかやないんかい!!

ああ…えりちはかわいいなあほんま。

希「ごめんな、えりち。今日は大丈夫なんよ。帰りも一緒にいられると思うで。」

今日はにこっちから問題集を回収するだけでオッケーだから、えりちと帰れるはず。

絵里「ほ、本当に?嬉しいわ、希。あのね、最近近くに美味しいパフェのお店が出来たらしいのよ…その、よかったら…」

なんだこの可愛い生き物は…

希「はいはい、帰りよろっか。でもえりち、テスト大丈夫なん?」

絵里「ええ、問題ないわ。希こそ、大丈夫なの?あ、やっぱりテスト終わってからにしましょうか…」

物凄く寂しそうに言われたら断れるわけないやろえりち…断るつもりないけどさ…

希「大丈夫大丈夫。いざとなったらえりちに頼るから!」

えりちに頼めばテストなんてへっちゃら!

絵里「もう、ちゃんと自分でやりなさいよ?じゃあ、早くこの書類片付けましょうか!」

ふふ、元気なえりち。

希「ん、がんばろな~」

176: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:28:08.13 ID:jxz/XBN80
書類は昼休み中に終わり、この日の放課後はほとんど仕事をすることなく、えりちと寄り道ができた。

えりちと一緒にいる時間はとても楽しいし、一緒に食べるものは全部美味しい。

幸せな時間。かけがいのない時間。

えりち、もう少し待っててね。

今は勉強を見てあげなくてはいけない。あまりえりちにべったりはできない。

でも、テストが終われば。

オープンキャンパスまでに、えりちに想いをぶつけよう。願いと共に。

そうすれば、えりちもきっと…

その先を考えるのは恐いけど、私は進まないといけない。

μ'sという名前へ込めた、私の想いと願い。

今のままじゃあ、μ'sじゃない。

私は、家に帰ってからそんなことを考えていた。

にこっちの散々な問題を○付けしながら、お風呂に入りながら、お布団に入りながら、考える。

えりち…

えりちの、本当にやりたいことってなんだろう

そんな、生徒会に入ってから思い続けてきた疑問が浮かび上がる。

…それも、テストが終わればわかる、か。

さあ、いい加減寝よう。明日も勉強見んと。というか、にこっちがこのままじゃあかん。

そう思い、私は眠りについた。

180: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 21:11:43.21 ID:wNWE0Xd30
---数日後---


今日は、テストが終わって、全教科が手元に返って来る日。

あれからにこっちには猛指導をし、なんとか水準レベルまで達してもらった。

だから、にこっちは心配ないだろう。というか、にこっちの苦手な教科は既に返ってきていて、
無事に赤点回避した、むしろ平均超えた!!
ということを直接聞いていた。
あの散々な状態から平均超えって、ウチ、勉強教える才能あるんやない?
とふざけて言ってみたら、
にこっちが「そうかもしれないわね。感謝してるわよ、希」と言ってきてとても照れたのは内緒やん?

問題は他の2人やけど…

今の用事が終わったら、ひとまず部室に顔出そう。

ということで、私は今、えりちと一緒に理事長室にいる。

理事長から呼び出しを受けたのだ。


181: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 21:38:03.44 ID:wNWE0Xd30
絵里「理事長、お話というのはなんでしょうか」

えりちがそう聞いた。

理事長「…絢瀬さん、東條さん。落ち着いて聞いてくださいね」

嫌な予感がする

希「はい」

理事長「音ノ木坂学院は、今度開催されるオープンキャンパスでアンケートを実施します。その結果が悪かった場合…」

続きの言葉は容易に想像できた。

理事長「来年より生徒募集をやめ、廃校とします」

絵里「そんな、どういうことですか!説明して下さい!!」

182: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 22:16:50.21 ID:wNWE0Xd30
ガタン!!

唐突に、入り口の扉が乱暴に開けられた。

穂乃果ちゃんたちだ。

穂乃果「今の話!本当ですか!?」

バタバタと理事長室へ入ってくる。

絵里「あなた!!」

えりちが何かを言いかけた、が

穂乃果「本当に廃校になっちゃうんですか!?」

聞いてない。

(穂乃果ちゃんらしいけど…って、私、どうしてこんなに冷静なんだろう)

自分が通っている高校が廃校になってしまう大ピンチが目の前に迫っているというのに、
どうしてこんなに冷静でいられるのか、自分でもわからない。

理事長「本当よ」

ことり「お母さん!そんなこと、全然聞いてないよ!?」

…ん?

え、今、お母さんって言った?うそ、ことりちゃんって、理事長の娘さんなん!?

どうりで髪型とか、似てるわけや…

183: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 23:00:44.97 ID:wNWE0Xd30
穂乃果「お願いします!もうちょっとだけ、待ってください!あと一週間、いや!あと2日でなんとかしますから!!」

この焦りよう、前半部分は聞いてなかったみたいやね。

理事長「………いえ、あのね、廃校にするというのは、オープンキャンパスの結果が悪かったらという話よ」

理事長固まっちゃってたやん…

穂乃果「おーぷんきゃんぱす?」

穂乃果ちゃん、オープンキャンパス知らんの…?

ことり「一般の人に、見学に来てもらうってこと?」

理事長「見学に来た中学生にアンケートをとって、結果が芳しく無かったら廃校にする。そう絢瀬さんに言っていたの」

絵里「安心している場合じゃないわよ。オープンキャンパスは2週間後の日曜日。
   そこで結果が悪かったら本決まりってことよ」

まあ、そういうことやんな。

絵里「理事長。オープンキャンパスの時のイベント内容は、生徒会で提案させて頂きます」

…ま、えりちも必死だし、そう来るやろね。

理事長「止めても聞きそうにないわね」

理事長も、今回ばかりは諦めモード。

絵里「希、行きましょう」

186: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 23:07:28.67 ID:wNWE0Xd30
そう言ってえりちは、理事長室を去っていく。私も慌ててえりちを追いかける。

理事長室を出てすぐに、私はえりちに聞いてみた。

希「どうするつもり?」

タロットで占ってみた。逆位置でTHE STAR。星。

それをえりちに向ける。

明るい可能性があるいい状況でも、将来への不安、悲観、消極的…自信過剰。

うん。えりちが頑張り過ぎて、必死になり過ぎて。

えりちは、μ'sに必要なんよ。

目の前にμ'sという道がある。μ'sに入ることで、きっとえりちという星は、明るい未来を掴む。

でも、自信がない。幼い頃にバレエを楽しんでいたえりち。でも、結果はあまり付いてこなかったと聞く。

それから、えりちは楽しむことに対して抵抗があるようだ。

だからこそ、楽しみながら活動をしている、μ's。

えりちにとって楽しいことである、ダンス。

だから、μ'sに入り、ダンスを楽しんでも、何も変わらない。何もいいことなんて起きない。

なんていう、消極的な捉え方をしているんじゃないかな。

やってみたいけど、できない。自分のことより、他人のために頑張る。

そんな、えりちの姿を私はこれまで見続けてきた。

だからこそ、私はえりちにμ'sに入ってもらいたい。そんな想いもあった。

絵里「…決まってるでしょ。なんとかするの。役員を招集して、オープンキャンパスで何をするかを話し合うわよ」

(前にカードについての意味は大体説明したから意味はわかってると思うんだけど…敢えて目を逸らした感じかな?)

まあ、とりあえずはえりちに付いていくよ。

そろそろ、えりちに言葉をかける時かもしれないね。

穂乃果ちゃんたちが理事長室に来てたってことは…海未ちゃんも、そのうちお願いしに来るだろうし。

190: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 23:42:54.39 ID:XhD+S2q20
絵里「これより、生徒会は独自に動きます。なんとかして廃校を食い止めましょう」

場所は変わって、生徒会室。オープンキャンパスで何をするのか話し合いが始まった。

役員1・2・3「「「えーっと…」」」

役員の3人が、何か言いたげだ。

希「ん?」

絵里「何か?」

役員1「いや…」

希「言いたいことがあったら、言っといたほうがいいよ?」

なかなか言い出せず、行動できず、後で後悔する。そんなの何度も体験してきた。

役員2「あの、これってこの学校の入学希望者を増やすために何をするかの話し合いですよね?」

絵里「ええ」

役員2「だったら、楽しいことをいっぱい紹介しませんか?
    学校の歴史や、先生がいいってことも大事だと思うんですけど、ちょっと今までの生徒会が堅苦しい気がしていて」

確かに、それは私も思う。

役員3「たとえばここの制服って、可愛いって言ってくれる人多いんですよ!」

役員2「それいい!そういうのをアピールしていきましょうよ!」

役員1「スクールアイドルとかも人気あるよね!」

役員3「いいね!うちらの学校にもいるし!μ’sだっけ?」

役員2「あの子たちに頼んで、ライブやってもらおうよ!」

役員1・2・3「「「いいね!」」」

役員のみんなが、続々と意見を出す。活発な、いい雰囲気。けれど…

絵里「他には!」

一気に生徒会室は静まり返る。スクールアイドルってのが琴線に触れたんやろうね。

役員2「えっと…その…あるにはあるんですけど…」

役員1「どうせですし、行ってみましょうか」

行ってみる…?なんのことだろうか。

役員に連れられ、私たちは生徒会室を出て、飼育小屋の方までやって来た。

194: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 21:11:25.06 ID:x84xuhHC0
よく考えたら、私、3年生になって初めて、飼育小屋の方まで来た。

あるのは聞いていたけど、実際にくるのは初めてだ。

希「えっと…飼育小屋に、何があるん?」

役員1「アルパカです!!」

絵里「……はい?」

役員1「こっちです!」

と言って、えりちを引っ張る

そこには、アルパカが2匹いた。

絵里「………これ、ですか?」

えりちは少し沈黙しながらアルパカを見つめ、そう言った。

役員2「はい!他校の生徒にも、意外と人気あるんですよ!」

195: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 21:14:35.55 ID:x84xuhHC0
絵里「ちょっと…これでは…」

んっと…少し、怯えてる?えりち。でも、かわいいと思ってはいるんだろうな…。

えりちかわいいもの大好きやし。

なんて、思っていたら。片方の、茶毛のアルパカから

ビシャッ!

……えりち、ドンマイ。でも、かわええよ。ふふ。

くしゃみなのか、威嚇なのか、私にはよくわからないけど、えりちはアルパカによだれをかけられた。

役員1・2・3「「「ああああああごめんなさいいいいい」」」

3人がかりで、えりちを拭く。いや、3人必要?

とは思ったけど、私は笑顔で見守っていた。

196: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 21:16:19.67 ID:x84xuhHC0
そんな時、校舎の方から凛ちゃんと花陽ちゃんがやってきた。

そういえば、花陽ちゃんは飼育担当だって、この前聞いたっけ。

花陽「生徒会長さん…たち?」

その一言で、役員たちも、えりちも、花陽ちゃんへ注目する。

絵里「あなたたち…」

ああ、きっと、今恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないんやろな、えりち。ふふふ。

役員3「あ!あなたたちスクールアイドルの!」

花陽「は、はい」

役員1「ちょうど良かった!今度オープンキャンパスがあるんだけど、よかったらライブとか…」


絵里「待ちなさい!まだ何も決まってないでしょ?」

言いかけた役員を、えりちが慌てて制止する。

(えりちは、あくまで楽しいことはさせたくないんやね)

……凛ちゃんが、とても不満そうな顔でえりちを見ている。

やっぱり、メンバーからのえりちの評価は低いんだろうな、と再確認してしまう。

…ま、このままここで睨み合ってても仕方ないやん。

希「ごめんね、花陽ちゃん。お世話ご苦労様。オープンキャンパスで学校紹介のネタが何かないかって話になって、
  アルパカを見に来たんよ。ウチらがここにいても邪魔やろし、お暇させてもらうね。
  お世話と練習頑張って~。ほら、みんな、生徒会室に戻ろう?」

そう言って私は、1人で生徒会室へ戻る。すると、みんなも慌てて付いてきた。

多少強引だったかもしれないが、こう着状態のみんなを動かすには仕方がないだろう。

197: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 21:46:10.70 ID:x84xuhHC0
その後は話し合い、ってムードでもなくなっていたので、そのまま解散した。

そんな帰り道…えりちが、こんなことを言った。

絵里「……あの子たち、知り合いなの?」

えりちが、躊躇いつつ聞いてきた。

希「せやで。アイドル部やね」

絵里「そう…。ねえ、希…?」

希「ん?どうしたん?」

絵里「私…」

何かを言いかけるえりち

絵里「…ごめん、何でもないわ。あの子たちとは、どうして知り合ったの?」

…何を言いかけたのだろう。気になるけど…追求するだけ無駄か。

希「んー?この前にこっちに勉強教えてた時にな。アイドル部の部室でやったりしたから、そこで、やね。」

絵里「ああ…テスト前、数学を聞いてきて、やけに詳しく説明させたのは、矢澤さんに勉強を教えていたからなのね。
   全く…自分ができない部分まで教えようとして…」

えりちには、にこっちに教えてることは言ってなかった。

だけど私だけじゃどうしても解らない時に頼ってしまったことがあった。

いや、これで頼っちゃだめだと思ってたんやけどね…。

198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 22:11:37.24 ID:x84xuhHC0
希「あはは…まあ、結果オーライやん。ウチの点数も上がったわけやし…」

絵里「まあ、そうかもしれないけど…矢澤さんはどうだったの?」

ここで、私のことだけじゃなくてにこっちの事も聞いてくる辺り、やっぱりえりちって優しい人だと思う。

私は何だか嬉しくなって、

希「おかげさまで、平均超えたで!赤点ピンチからって、すごいやん?」

弾んだ声でそう答えた。

絵里「あら、そうなの?ふふ、よかったわね。でも、しっかり教えた希のおかげでしょう?」

希「照れるやん。まあ、役に立てたみたいやから、よかったんやけどね」

そんな会話をしばらく続けていたのだが…ふと、さっきのえりちを思い出して、気になってしまった。

(…聞くだけ、聞いてみようか)

199: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 22:30:05.24 ID:x84xuhHC0
希「…なあ、えりち?」

絵里「どうしたの?希」

…一呼吸置いてから、

希「さっき、何言いかけてたん?」

えりちは、やっぱり迷ったような、ひどく困ったような、寂しそうな表情を浮かべ…

絵里「……」

黙ってしまった。迷ってるのかな。

絵里「…いえ、ただね、花陽さん?とどうやって知り合ったのか、気になっただけよ。
   最近、希とあまり一緒にいなかったから、つい…」

……これも本音なのかもしれない、照れる。けど

(誤魔化し方が下手、だねえりち)

さっき言いかけてたのは、そんなことじゃない、でしょ?

だいたいそれ、さっき言い出した時なんでもない、って言ってから聞いてきてたやん…。

まあ、今は聞かなくていいか。えりちが話したくないことは、できるだけ話させたくないし…。

希「…そうやったんか。ごめんな、しつこく聞いてしもうて」

絵里「いや、いいのよ。私も悪かったわ。ごめんなさい」

と、えりちも少し安心してる感じやね。よかった…

200: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 22:39:36.67 ID:x84xuhHC0
希「っと、もうこんな所やん。えりち、今日は生徒会もお疲れさん。また明日ね」

絵里「ええ、希。今日もありがとね。また明日」

気付いたら、もうえりちと別れる場所だった。寂しいけど、仕方ない。まあ、明日の朝にはまた会えるわけやし。

そういえば、今日は海未ちゃんは来なかったな。

もし、ダンスを教えてもらうの頼まれたら、えりちはどう対応するんだろうか…あまり想像がつかない。

でも、もうそろそろ来る頃だろうし…少し、えりちの反応が楽しみ、だ。不安でもあるけどね。

そういえばえりち、家に帰ったらオープンキャンパス当日に発表する原稿を、

妹さんに聞いてもらう、みたいなこと言ってたな。明日、どうだったか聞かんとね。内容は聞いてないけど…

(どうせ、えりちのことやし、学校の歴史とか、特徴とかをただ説明するだけなんだろうな…)

なんて、想像する。明日にはわかることだ。合ってたら、えりちのことそれだけよく分かってるってことだよね?ふふ。

204: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 21:43:24.42 ID:KKMQRuR90
---次の日---


発表原稿のこと、いつ聞こうかな、と思ってる間にえりちから言われた。

朝。生徒会室でのことだ。

絵里「昨日ね、亜里沙に話したの。オープンキャンパスでの学校紹介」

希「ああ、そやったね。どやった?反応は」

私はタロットカードを広げていた。意味は特にない。

絵里「……面白くない、って。亜里沙が連れてきた友達には、居眠りされちゃったし。大幅に直さないといけないかもね」

えりちは、どこか辛そうにそう言った。今話したこと以外にも、何か言われたんみたいやな。

希「…そうなんや」

ん~…聞いて答えてくれるやろか…

と迷っていると、

絵里「実は、紹介が言い終わった後、亜里沙に…これがお姉ちゃんのやりたいこと?って言われたの。どう思う?」

自分から話してくれた。

…そんなこと言われたんや。えりち。でも妹さん…核心を突いたこと言っとるやん。

205: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 21:45:22.61 ID:KKMQRuR90
絵里「面白くなかった、何でこんな話、しているの?って言われたから、学校を廃校にしたくないから、って言ったのよ。
   そしたら、そんな風に言われて…」

えりちの、やりたいこと、か…

絵里「嫌でしょ?自分の学校が廃校になったら」

私は、占ってみる。

希「それはそうやけど」

えりちが、私を見つめる。納得いかない、そんな様子だ。

机に広げたタロットカードの最後の一枚を、拾う。

希「廃校をなんとか阻止しなきゃって、無理し過ぎてるんやない?」

自分のためじゃない、他人のため。

生徒会として、廃校を阻止するのは義務。

そんな、えりちの強すぎる義務感が、無意識に働いているんじゃないかな。

口には出さないけど、私はそう思う。カードを拾い上げて、にやりとしながら。

絵里「…そんな、無理なんて」

えりち、少し苛立っているかもしれない。

希「えりちは頑固やね」

そんなに、楽しいことを避けて、他人の為に頑張るの?

自分のやりたいことを、後回しに後回しにして…。

絵里「私はただ、学校を存続させたいだけ」

206: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 21:47:15.26 ID:KKMQRuR90
絵里「私はただ、学校を存続させたいだけ」

と、その時

コンコン

ノックだ。

希「?どうぞー」

穂乃果「失礼します」

絵里「…あなた達。どうしたの、今度は、何の用?」

えりちは先ほどまでの弱った様子は一切見せず、いつもの生徒会長モードでそう答えた。

穂乃果「私たちに…μ'sに、ダンスを教えてくださいっ!お願いします!」

絵里「…私にダンスを?」

穂乃果「はい、教えて頂けないでしょうか?私たち、上手くなりたいんです!」

ついに、来た。

えりちは、黙り込む。迷っているのだろうか。

少しして…

絵里「分かったわ」

私にとっても、μ'sにとっても、待望の一言。

穂乃果「本当ですか!?」

絵里「あなた達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだし、引き受けましょう」

あ、海未ちゃんが満面の笑みを浮かべている…。

絵里「でも!やるからには、私の許せる水準まで頑張ってもらうわよ!!」

うひゃ~…えりちおっかないなあ…

絵里「いい?」

穂乃果「はい!ありがとうございます!」

絵里「じゃあ早速、今日の放課後からやるわよ」

ことほのうみ「よろしくお願いします!」

穂乃果「では、放課後!」

そう言い残し、3人は戻っていった。

希「ふふ。星が動き出したみたいや」

私は、そう呟く。

さっきの占いは---THE STAR。星の、正位置だった

207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/08(日) 22:47:27.49 ID:KKMQRuR90
そして、放課後。

絵里「じゃあ、希。今日は生徒会の仕事もないし、私は練習見に行くから、先に帰ってていいわよ」

希「ん~…どうせやし、待っとるよ。」

絵里「えっ?」

希「待ちたいんや。ふふ、生徒会室の掃除でもして待っとるから、終わったら来てな」

昨日のえりちの言葉を聞いたら、えりちと帰りたい、そう思うのが私やん。

私だって、えりちと一緒にいる時間は大事なんよ。

絵里「…わかったわ。ありがとう、希」

希「ん、頑張ってな~」

えりちは、屋上へ向かった。

しばらくして、えりちは戻ってきた。一緒に帰りながら、今日の練習のことを色々聞いた。

初練習ってことで、かなり厳しくしてきたみたい。

なのに、最後にお礼を言われて、とても驚いていた。

(少しは、あの子達の想いと、本気っていうのが伝わったかな)

だといいな、そんな風に私は思う。

そんなこんなで、えりちとバイバイして、1人。

明日は、何が起こるやろなぁ…。

少し楽しみのような、怖いような、複雑な気持ち。

でも、きっと、いい方向に進み始めてる、よね。

占い的にも…うん。

そう思うことにした。

明日も、楽しみにしておこう。

212: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 22:35:36.64 ID:AZ9dH3d70
---次の日---


絵里「希…」

放課後となってすぐに、生徒会室に行こうとした私を、えりちが呼び止めた。

希「ん?どうしたん、えりち」

絵里「私…あの子達にダンスを教える資格、あるのかしら?」

希「…え?」

えりちから、そんな言葉を聞くことになるとは思わなかったから、つい驚いてしまった。

絵里「確かに、私からすればダンスの技術は目も当てられないレベルよ。
でもね、私には無い物を、あのグループのみんなは持ってる。私にはできないことが、あの子達ならできる」

…何があったんや、えりち

絵里「昨日ね、亜里沙に…あの7人の、新曲を見せてもらったの。正直、驚いたわ。
ダンスも歌もまだまだ。でも、何か惹き付けられる、不思議な感覚。ついつい見入ってしまうような、可愛らしさ」

希「…わかるよ、えりちの言ってること。あの子達の、不思議なパワー、やね」

絵里「楽しそうに踊って、歌って…。
   その姿と、あの子達の強い想いがあんなにも素敵な、元気を貰うような曲にしているのかもね」

希「えりち…」

絵里「……なんて。そんなことを私が言っても仕方が無いわね。
   私は、ただの臨時コーチ。それだけ。私は生徒会なんだから、廃校を阻止するのは当たり前」

ただそれだけ、なんて言うなら…どうして、えりちは今そんなに寂しそうな、悲しそうな表情をしているのだろう。

絵里「引き止めてごめんなさい、希。屋上に行ってくるわ。生徒会の方、よろしくね」

希「…うん、わかったよ、えりち。行ってらっしゃい」

213: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 22:48:15.42 ID:AZ9dH3d70
えりちを見送る。

決心した。今日、えりちに想いを打ち明けてみよう。今まで、私が一緒にいて思っていたこと。えりちのこと。

(えりちは…自分を追い込み過ぎなんよ)

だから、えりちからしてみれば、μ'sのみんな…特に穂乃果ちゃんは、眩し過ぎるんじゃないかな。

そう考えながら、私は生徒会室の前で、えりちを待った。

ふふ、私の前ではああ強がってたけど…今頃、屋上に入れずに、ドアの前で迷ってたりするんやないかな。

凛ちゃんあたりに、無理やり連れて行かれてたりして。

みんなが眩しすぎて、戻ってきちゃうんじゃないか、そんなことを思ったから、私はここで待つ。

まあ、私のスピリチュアルな勘やけどね。

他人の心配はしつこいくらいしてくるくせに、他人に心配は絶対にかけさせない。

自分の悩みは、自分だけのもの。

そんなえりちを知っている私からしてみれば、さっき強がっていたのはバレバレなんやで。

しばらく経った。

とても緊張している。どう、えりちに声をかけようか。えりちに、どんな言葉を伝えようか。

嫌われちゃうかもしれない、なんて事も考え付いてしまう。

でも、止まらない。そうしないと、思い詰めたえりちが壊れてしまいそうな、そんな気もするのだ。

だから待つ。私の、大切な人を。

(…来た)

えりちが俯きながら、険しい表情をして、廊下を歩いていった。廊下の角で待っていた私には気付かない。

私は、立ち止まっていたえりちに声をかける。

214: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 23:24:07.03 ID:AZ9dH3d70
希「ウチな」

えりちが、驚いた様子でこちらを振り向く

結局、何を話すかははっきりと決めていないままだ。

絵里「希っ」

私は、微笑みながら話しかける。

希「えりちと友達になって、生徒会やってきて、ずーっと思ってたことがあるんや」

えりちはこちらを見つめている。

私は、ずっと思っていた疑問を、えりちに投げかける。

希「えりちは、本当は何がしたいんやろうって」

絵里「えっ?」

驚いたような表情を浮かべ、私を見る目が険しくなる。

怖い。これで、これまで築いてきた関係が崩れてしまうのではないか。

でも、私は続ける。思うまま、考え付くまま。

希「一緒にいると、わかるんよ?えりちが頑張るのは、いつも誰かのためばっかりで」

えりちが、固まっている。私の言葉が、胸に刺さっているのかもしれない。

えりちは、いつだって、自分のことじゃなくて、誰かのため、他人のため。

自分のことは、私から聞かないと話してくれない。

希「だから、いつも何かを我慢してるようで、全然自分のことは考えてなくて」

と言ったらえりちは顔を背け、この場から離れようとした。

希「学校を存続させようっていうのも、生徒会長としての義務感やろ!?」

私は慌てて、えりちに疑問をぶつける。

ついつい声が大きくなってしまった

絵里「…っ!」

希「だから理事長は、えりちのことを認めなかったんと違う!?」

ずっと、理事長が生徒会には許可を出さず、μ'sには許可をしていた理由。

もちろんえりちにも廃校を阻止したいっていう強い想いがあると思う。でも、それを隠してしまっていて。

えりちは…ずっと、義務感が前に来て、自分ではなく生徒会長として廃校を阻止しようとしてたんじゃないの?

でも、穂乃果ちゃんは、自分の想いで動こうとしていた。だから理事長の許可をもらえたんじゃないの?

215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 23:26:49.38 ID:AZ9dH3d70
えりちは、私を…ひどく弱った表情で見ている…。

(……どうしよう、言い過ぎた?)

私は、真っ直ぐと見つめ返す。

希「えりちの…えりちの本当にやりたいことは?」

そう、言った。

……しばらくの沈黙。

私も、えりちも、何も言わない。

屋上から、海未ちゃんのダンスを指導する声が聞こえてきた…ような気がした。

絵里「何よ」

…えりちが、沈黙を破った。

絵里「何とかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!」

えりちが、そう怒鳴った。

後退りしたくなる。今になって、後悔した。言い過ぎた。

絵里「私だって、好きなことだけやって、それだけでなんとかなるんだったらそうしたいわよ!!」

えりちは…憧れていたの…かな?

やりたいことを真っ直ぐに追いかけられる、実行できる。

やりたいことをやれる、穂乃果ちゃんたちに。

今の言葉を聞いて、私はそう思った。

(…!!)

気付くとえりちの目に、涙が浮かんでいる

絵里「自分が不器用なのはわかってる…!でもっ!今更アイドルを始めようなんて、私が言えると思う…?」

泣きながら、自嘲的な笑みを浮かべて、えりちは私にそう言った。

絵里「…っ!」

希「あ…」

えりちは走ってどこかへと行ってしまう。私は、何も声をかけられない。

216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/09(月) 23:36:45.83 ID:AZ9dH3d70
……ああ。言い過ぎた。

何をやっているんだろう。

えりちが追い詰められていたのはわかってた。だから、助けになりたかった。

でも、そのえりちにとどめを刺したのは、私だ。

…折角できた初めての親友。

これまで2年間、いつだって一緒に過ごしてきた。

だから、わかっているつもりだった、でも、本当は全然わかっていたなかった。

わかっていれば、もっと上手く言葉をかけられたはずだもん。

やっぱり、えりちに私は釣り合わないなぁ…

……そんなことを思い、つい、泣き出したくなる。

ふと、私はさっき聞いたえりちの言葉を思い出す。

今更アイドルを始めようなんて言えると思う?

確かに、えりちはこう言った。

……泣くのも、諦めるのもまだ早い。

えりちは…アイドル、やりたいのかもしれない。

廃校を阻止したい、その気持ちも本物。

その想いを、引き出せた気がする。

……そうだ。

えりちが、アイドルに入りやすいような、自分からアイドルをやりたいって言えるような、そんな場面を作ってあげれば。

そう考え、私は屋上へと向かった。

222: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:11:30.44 ID:wWZHFRUh0
屋上へ行く間に、さっきと同じようなことが頭の中に浮かんでくる。

でも、私はそれを考えないように、必死になっていた。

今、私がすべきことは、穂乃果ちゃんたちに、一言言う、ただそれだけだ。

少しして、屋上に到着した。

私が屋上へのドアを開けると、ステップの練習を丁度終えたところのようだ。

穂乃果「あれ?希先輩、どうしたんですか?」

にこ「希、どうしたの?あんた…泣きそうな顔して…」

あかん、顔に出ていたみたいや。

慌てて私は笑顔を取り繕う。

私が、今ここにきた理由

希「あのな、みんな。今、ちょっとええ?」

海未「…はい」

希「えりちがな、μ'sに入りたがってるんや。スクールアイドルを、やりたがってるんや」

みんな「えっ?」

希「でもな、なんとなくわかるやろ?自分から言い出せないみたいなんよ。
  だからな、みんなに協力して欲しいと思って…みんなから誘って欲しいな、って思って…」

にこ「…あいつが?」

ことり「せ、生徒会長が…μ'sに!」

打ち明けて、お願いしてみたものの、とっても不安だ。

今まで、えりちがμ'sに対して取ってきた態度を考えると、みんなは恨んでいたりするんじゃなかろうか、とか考えてしまう。

でも、みんなならきっと…

223: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:16:09.67 ID:wWZHFRUh0
穂乃果「ほ、本当ですか、希先輩!」

希「うん、本当だよ」

…沈黙が訪れる。

にこ「いいんじゃない?悔しいけど、あいつのダンスは本物みたいだし。
   ルックスだって、このにこにーに引けを取らないわ」

少しして、沈黙を破ったのは、にこっちだった

(にこっち…ありがとう)

私に、微笑みかけてくれる。

にこっちが天使に見えた。

続いて、みんなも

穂乃果「……チャンスだよ!みんな!」

海未「私も、そう思います」

穂乃果「にこ先輩の言うとおり、生徒会会長が入ってくれれば、確実に私たちみんなにとってプラスになると思う!
    練習だって、毎日見てもらえるようになるんだよ!?」

ことり「私は、穂乃果ちゃんがいいと思うなら、それでいいと思うよ♪」

真姫「ふん、見返してやるんだから!」

凛「凛だって!身体が柔らかくなった姿絶対に見せてやるんだもんねー!」

花陽「ダ、ダンスのコツを聞きたいです…」


心配なんて、必要なかったね。

だって、この子たちだもん。

えりちに、練習を頼んで

きつい練習にも耐えて

次の日も自分達からお願いする、この子たちだもん。

224: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:16:55.00 ID:wWZHFRUh0
海未「これで…しっかり者が…」

…最後の海未ちゃんの声は聞かなかったことにして。

…それじゃあ

希「…みんな、ありがとう。じゃあな、これからえりちがいると思う場所に行きたいと思うんやけど、
  ついてきてもらって、ええ?」

みんな「はい!」

希「よし、それじゃいこか!」

私たちは校舎に入り、教室へと向かう。

私と、にこっちと、えりちが毎日通う教室だ。

教室へと向かっているとき、にこっちが近づいてきた。

225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:20:17.56 ID:wWZHFRUh0
にこ「ねえ、希。絢瀬、本当にアイドルやりたがってるの?」

希「うん。そうだよ、にこっち。…にこっちは、えりちのこと、苦手なんよね…」

悲しいけど、そう聞いていた。

にこ「…まあ、苦手っちゃあ苦手だけどさ」

希「ん?」

にこ「あんたと、あいつが話してる姿見てると…やっぱり、悪い奴じゃあないんだろうな、と思うわけよ」

希「にこっち…」

にこ「あいつ、1人だといつも追い詰められたような、余裕が無さそうな表情してさ。
   まるで、昔の私みたいで、見てられなかった」

にこっち、そんなこと思ってたんや

にこ「だから、μ'sに入るのは、ピッタリだと思うの。私だってこんなこと言ったり、後輩にいじられたりしてるけど」

希「・・・」

にこ「μ'sに入れて、まだ、スクールアイドルの夢を続けられて、本当に良かったって思ってるわよ」

希「にこっち、そんなこと」

にこ「μ'sの裏では、常にどこかで希が動いていたのも、私はちゃーんと知ってるんだからね。
   何のつもりだかはわからないけど。私が、今こうしてμ'sにいられるのも、
   そもそも、μ'sが順調にここまで来ているのは、希の活躍のおかげよ?だから希」

希「…?」

にこ「…ありがとう」

希「…にこっちは、卑怯やね」

にこ「」

卑怯や。泣いてまうやん。これからえりちがμ'sに加入するっていう、感動的なシーンを見られるはずなのに。

その前に、泣かせるんだから。

にこ「ふん、私を誰だと思ってるの?」

そんなこと言いながらハンカチを渡してくれて…本当ににこっちってもう…!

希「はいはい、宇宙No.1アイドルさんっ」

にこ「ふんっ、にっこにっこにー!ほら、そろそろ教室よ」

…にこっち、ありがとう。私の様子を見て、励ましてくれたんやね。

本当に、にこっちはお姉さんみたいだよ。色んな意味で小さいけどね。

226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:21:27.59 ID:wWZHFRUh0
ついに、教室に着いた。

どうしてえりちが教室にいるのがわかったかっていうのは…まあ、前にもこんなことがあったんよ。

えりちと喧嘩した時とか、えりちが悩んでいる時とか。

そんな時は、いつもきまってえりちは窓際の自分の席に座って、空を眺めてる。

だから、今日もそうだろうと思っていたが…

(やっぱり、いた)

じゃあ、穂乃果ちゃん…

と、言う前に、穂乃果ちゃんは教室の中へ、えりちの側へと歩いていた。

みんな、無言でそんな穂乃果ちゃんを追う。

静寂の、教室。

一切音の聞こえない、無音な空間。

絵里「私の、やりたいこと…そんなこと」

えりちの、独り言。

穂乃果ちゃんは無言で手を差し伸べた

笑顔で、えりちに向けて、手を差し出す。

それに気付いたえりちが、こちらを向く

私たち、μ'sの方を。

絵里「あなたたち…」

えりちは驚きを隠せない様子。まあ、そりゃそうだ。いきなりだもんね。

というか、にこっち、どうしたんや。私にべったりくっついて。

穂乃果「生徒会長…いや、絵里先輩。お願いがあります」

穂乃果ちゃんが、初めてえりちのことを先輩、と呼んだ。……気がする

227: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:22:48.95 ID:wWZHFRUh0
絵里「っ…練習?なら、昨日言った課題を、まず全部こなして…」

穂乃果「絵里先輩」

穂乃果ちゃんが、えりちの言葉を途中で遮って言う。

穂乃果「μ'sに入って下さい!」

…やっぱり、穂乃果ちゃんは、すごいよ。どこまでも真っ直ぐなその姿に、憧れる。

絵里「…えっ?」

穂乃果ちゃんは、手を差し出しながら、続ける

穂乃果「一緒に歌って欲しいです!スクールアイドルとして!」

絵里「何言ってるの?私がそんなことするわけないでしょう?」

えりち…そんな、悲しそうに、言わないで。

もう、自分に嘘をつかないで。

もう、自分の想いを隠さないで。

海未「さっき希先輩から聞きました」

えりちが、はっと反応した。私の名前に反応してくれたんかな…?

にこ「やりたいなら素直に言いなさいよ♪」

にこっち…ありがとう。その言葉は、えりちに響くはずだよ

真姫「にこ先輩に言われたくないけど」

あはは、その通りやね

絵里「ちょっと待って!別に、やりたいなんて!大体、私がアイドルなんておかしいでしょう?」

もう、えりちは、いつまでそうやって自分の想いを隠し続けるの!!

228: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:24:12.30 ID:wWZHFRUh0
我慢できずに、私が話す

希「やってみればいいやん」

大事なのは、挑戦すること

希「特に理由なんか必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんやない?」

さっきの失敗もある。だから私は、自分の思う満面の笑みで、えりちに言った。

私は、1年生の時えりちに話しかけてみて、本当によかったと思ってる。

スケールは違うかもしれないけど、やってみるって、大事なことやと思うよ。

自分が本当にやりたいと思っているなら、尚更ね。

海未ちゃんが、えりちの肩にポン、と手を置く。

海未ちゃんにとって、えりちは憧れの存在なんやろうね。えりちが仲間になるのを、心待ちにしているような、そんな感じ
がするよ。

えりちは…私を、見た。

私は、その視線に笑顔で応える。

えりち、もう迷わなくていいんだよ。私だけじゃない、μ'sのみんなが、いてくれるんだよ。

もう一度、穂乃果ちゃんが手を差し出す。

えりちは、迷っている。

少しして、おずおずと…でも、最後はしっかりと。

えりちは、穂乃果ちゃんの手を握り締めた。

229: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:25:26.97 ID:wWZHFRUh0
(……これで、これで!!)

ことり「これで、8人!」

ことりちゃんの、何気ない一言。よし、これに便乗や!

希「いや、9人や。ウチを入れて」

これで、μ'sは…

穂乃果「えっ、希先輩が?」

希「占いで出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって。だから付けたん。
  9人の歌の女神、μ's(Muse)って」

占いで出てたっていうのは、照れ隠し。

本当は、この9人の熱い想いが、μ'sっていうスクールアイドルを通して繋ぎ止めてくれているだけ。

だから、名前は違っても、この9人は必然的に集まっていたんじゃないかな。

折角だから、私がピッタリな名前を付けただけなんよ♪

みんな「えっ!?」

みんな、凄い驚いてる。恥ずかしいやん

穂乃果「じゃ、じゃあ、あの名前つけてくれたのって…希先輩だったんですか!?」

希「んふふっ」

つい、笑みがこぼれる。

ふふ、私がどんな想いでこれまでみんなのことを考えて、見守って来たと思う?

230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:30:34.46 ID:wWZHFRUh0
絵里「希…全く、呆れるわ…」

そういいながら、えりちは教室の出口へと歩く。

あらら、えりちに言われてもうた。ふふ、でも、今のえりち…

(とっても、とーっても、いい笑顔してるよ)

迷いが晴れたような、そんな顔。

海未「どこへっ?」

絵里「決まってるでしょ、練習よ!」

…ふふふふふ、本当に、本当にいい顔、いい笑顔だよ、えりち。

(…よかった。えりち。本当によかった)

これからもよろしくな、えりち。

後で、伝えよう。

私はそう思い、えりちの後を追う。

みんなも、着いてきた。

さあ、μ'sが、μ'sになった瞬間だ。

これから始まる、私たちの物語。

この9人が、今ここで出会えた奇跡。

私たちなら、この9人ならきっと。

大きな夢に向かって、大きな事ができる。

そんな気がした。

232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/10(火) 23:41:38.48 ID:wWZHFRUh0
エピローグ的なもの

希「えりち」

絵里「…希。本当にありがとう。そして、今日は本当にごめんなさい。声を荒げてしまって…」

希「ううん。言い過ぎた私が悪いんよ」

絵里「そんなことないわ。希は、間違ったことは何も言っていなかったもの」

希「そんなこと言ったって、えりちを泣かせたのは変わらんもん」

絵里「いいの、あれは…忘れてっ。ああ、もう!過去の話はおしまいにしましょう!」

希「…ん?」

絵里「これからのことを、話しましょうよ。せっかくだもの」

希「やだ、えりち、お嫁さんみたいなこと言っちゃって~」

絵里「もう、からかわないでよ!」

希「ふふ、えりち照れてる?」

絵里「て、照れてなんていないわよ?」

希「ふふふ。これからのこと、か…」

絵里「そう、これからの、μ'sのこと」

希「えりち、ウチな」

(9人が揃って、μ'sが揃って、満足したつもりだった私に…)

絵里「どうしたの?」

希「まだまだ、先の話になるんやけどな。いつか、いつかね?」

絵里「ふふ、何よ希、凄い嬉しそうな顔して…」

希「あのな、この9人で……やりたいことができたんよ」

絵里「あら、気になるじゃないの。教えて、希っ♪」

希「あのね……」

おしまい

引用元: 希「奇跡」