1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:24:49.93 ID:PCMV3Vu+0
さやか「これで、トドメだぁ!!」

ズバァァン!

魔獣「コオオオオ……―――」ボロボロ……

杏子「ん、今ので最後だな」

さやか「ふぅ!全く、倒しても倒してもキリないね、魔獣ってのは」

マミ「そうね。でも、美樹さんもだいぶ戦いに慣れて来たみたいね」

さやか「え、そうですか?」

マミ「ええ。もう一人前、と言ったところかしら?」

さやか「いやー、そう言われると照れちゃいますね!」

杏子「マミ師匠免許皆伝、ってか?」

マミ「そんなん大層なものじゃないわ。ただ、そう思ったってだけ」

さやか「ありがとう、マミさん」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:28:56.95 ID:PCMV3Vu+0
杏子「ほれ、さやか。お前の分のグリーフシード」

さやか「ん、ありがと、杏子」

パァァァ……

さやか「………ん、オッケー」

マミ「それじゃ、帰りましょうか。もう夜も遅いし、ね」

杏子「だな。あー、今日も疲れたなぁ……」

ほむら「こっちの方も片付いたみたいね」スタッ

QB「お疲れ様、みんな」

さやか「キュゥべえ、ほむら。丁度よかった、ほい!」ポイッ

QB「おっと」ヒョイヒョイヒョイ スタッ

さやか「ナイスキャッチ!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:33:08.44 ID:PCMV3Vu+0
マミ「じゃあ、美樹さん。また明日ね」

杏子「じゃーな!」

さやか「ん!バイバイ、マミさん、杏子!」ブンブン

ほむら「わたし達も帰りましょう、美樹さん」

さやか「ん」

スタスタ……


さやか「あ、ごめんほむら」

ほむら「? どうかしたの?」

さやか「ちょっと、あたし、行くところあるから、ここでお別れ」

ほむら「行くところ?わたしも付き合うわよ?」

さやか「そう?まぁ、ほむらも同じクラスだし、いっか」

ほむら「……?」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:36:12.63 ID:PCMV3Vu+0
上条の家・正面―――

――~~~~♪

さやか「………」

ほむら「行くところって、上条君の家だったのね」

さやか「まぁ、ね。たまに、こうやって家の前を通るんだ」

ほむら「……」

~~♪

さやか「また、ヴァイオリンの腕、上がったなぁ……恭介」

ほむら「家の前まで来たのだから、ひと目だけでも会ってきたら?わたしはお邪魔だろうから、先に帰るけれど」

さやか「……いや、いいよ。こうやって、あいつのヴァイオリンを聴くだけで、あたしは満足だから」

ほむら「………」

~~~♪

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:40:56.58 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「やっぱり、後悔してるの?」

さやか「ん、何が?」

ほむら「その……魔法少女の契約をした事」

さやか「………どうだろ。あたしは、後悔してるつもりはないけど。こうやって、ここに来ちゃうってことは……心のどこかで、後悔してるのかもね」

ほむら「………」

~~~~♪

さやか「でも、あたしがこうして契約したことで、またあいつの演奏を聴くことが出来てるわけだからさ……やっぱり、嬉しいよ、それは素直に」

ほむら「そう」

さやか「もう、あたしは人間じゃないから……あいつの隣にいる事は、出来ないけど。これで、いいの」

ほむら「美樹さん……」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:45:47.46 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「随分と、一途な想いね」

さやか「そうかな?あたしとしては、これが普通なつもりだけど」

ほむら「いえ、一途よ。それこそ、愚かしいまでに、ね」

さやか「む……なんか気になる言い方だね」

~~~♪

ほむら「他意はないわ。それだけ想ってくれる上条君は、幸せ者ね」

さやか「………あたしの想いは、もう口にすることはないけど、ね」

ほむら「………」

さやか「今のあいつの隣には……仁美がいるから。あたしの想いは、このままずっと、あたしの胸の内に」

~~♪

ほむら「そう。あなたがそう決めたのなら、わたしがどうこう口出しすることはないわね」

さやか「そゆこと」

ほむら「もっとも、口出しするつもりもないけれど」

さやか「それは喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:49:22.80 ID:PCMV3Vu+0
~~………

さやか「ん……今日の練習は終わり、みたいだね」

ほむら「いい演奏だったわ」パチパチ

さやか「そりゃ、行く行くは世界に届くことになるだろう人の演奏だし」

ほむら「どうしてあなたが誇らしげなのよ?」

さやか「そりゃ、幼馴染ですし。幼馴染の誇りは、あたしの誇り!なんてね」

ほむら「ふふっ……そうね、そう言う考え方もありね」

さやか「それじゃ、今度こそ帰ろうか」

ほむら「ええ」

さやか「―――おやすみ、恭介」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:54:40.81 ID:PCMV3Vu+0
翌日―――

ガララ

さやか「おはよー!」

ほむら「あら、今朝は早いのね、美樹さん?」

さやか「ほむら?そういうほむらこそ、早いね?」

ほむら「なんだか、早くに目が覚めてしまって」

さやか「実は、あたしも」

ほむら「ふふっ、それじゃお揃い、ね」

さやか「実はあたし達、気が合うんじゃない?」

ほむら「それはないわね」

さやか「迷うことなく否定ですか……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 19:58:38.08 ID:PCMV3Vu+0
ガララ

仁美「おはようございます、さやかさん、ほむらさん」

恭介「おはよう、さやか、暁美さん」

ほむら「おはよう、志筑さん、上条君」

さやか「おはよ、恭介、仁美」

恭介「今日は随分と早かったんだね、さやか?」

さやか「ん、いやーたまたま朝早くに目が覚めたから。たまには早朝登校もいいかなー、なんて?」

恭介「今朝、さやかの家に行ったのに、いないって言うんだもん。びっくりしちゃったよ」

さやか「? あたしの家に?」

恭介「実は、渡したいモノがあってね」

さやか「別にわざわざ家に来なくても、学校でよかったんじゃ……?」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:04:50.50 ID:PCMV3Vu+0
恭介「ちょっと、学校では他の人の目にも触れるから、ね……」

さやか「人の目に触れる……?ちょっ、ちょっと待って、何が何だか……」

恭介「はい、これ」ピラッ

さやか「? これ……」

恭介「実は、今度のコンクールに出られることになってね。それのチケット。優待券、二枚しか手に入らなかったからさ……」

仁美「私と、さやかさんを誘おうと思ったみたいですのよ、恭介さん」

ほむら「あら、それじゃわたしの分はないの?」

恭介「あはは……ゴメン。こうなることを予想したから、なるべく人の目に触れない所で渡したかったんだ」

ほむら「ふふ、冗談よ。それは、美樹さんが受け取るべきものだってわたしにもわかるし、ね」

さやか「恭介、ほむら……で、でも、いいの?あたしなんかがこんなチケット、貰っちゃって」

恭介「もちろん。さやかも、僕の大切な人だから。僕の演奏、聴いて欲しい。と言っても、まだまだ昔の勘を取り戻せてはいないんだけどね」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:11:40.49 ID:PCMV3Vu+0
さやか「あ、ありがと、恭介」

恭介「どういたしまして。暁美さんも、よかったら来てくれないかな。優待券はないから、入場料を払ってってことになるけど」

ほむら「そうね、あなたの演奏の話は、美樹さんからよく聞いているわ。すごく、すごく上手な演奏をするんだ、って」

さやか「ちょっ、ほむら!!それは言わない約束!!」

仁美「っ……」

恭介「あはは……そう言われるとちょっと照れるな」

ほむら「美樹さんお墨付きの演奏なら、わたしも是非聴いてみたいわね。当日、時間を作って行けるようにするわ」

恭介「ありがとう、暁美さん」

ほむら「住宅街の一角でひっそりと聴く演奏もいいけれど、ホールでの演奏の方がいいに決まっているものね」

恭介「住宅街の一角?」

さやか「わー!!わーっ!!」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:19:27.93 ID:PCMV3Vu+0
―――授業中

さやか(ふーん……見滝原市民ホール、か)

さやか(この街で一番大きい所だよね。そんなところで演奏出来るなんて、やっぱり恭介はすごいんだなぁ)

さやか(日時は……今週の日曜、夜の7時から、か)

さやか(ホールでの演奏なんて、どれくらいぶりだろう?あたしと恭介が小学校に通ってた頃に一度あったきりだったよね、確か)

さやか(それじゃ、少なくとも二年以上前かぁ……楽しみだな)

和子「えーそれじゃ教科書34ページの例題を、美樹さん、読んでくれる?」

さやか(マミさんと杏子にも声掛けようかな。杏子の分のお金なら、あたしが出したげればいいし)

和子「美樹さん?」

仁美(さやかさん、当てられてますわよ!)ヒソヒソ

さやか「へ?え、あ、ハイ!え、ええと……」アタフタ

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:25:02.90 ID:PCMV3Vu+0
―――放課後

マミ「お待たせ、みんな」タッタッタ

さやか「遅いですよー、マミさん!」

マミ「掃除当番だったものだから……」

ほむら「あら、それならひと言声を掛けてくれれば手伝いに行ったのに」

マミ「そういうわけにもいかないわ。当番は当番!しっかりやらなくっちゃ、ね」

杏子「真面目だなーおい」

さやか「それじゃ、今日も元気に魔獣退治、行ってみよう!」

杏子「さやか、今日は随分とはりきってるな?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:29:07.71 ID:PCMV3Vu+0
さやか「そりゃねー。ちょっと、嬉しい事があったからさ」

マミ「あら、何があったの?」

さやか「今週末、見滝原市民ホールでコンクールがあるの、知ってますか?」

杏子「知らねーな、そんなのがあんのか」

さやか「むっ……杏子はもっと音楽に興味を向けるべき!」

杏子「うるせーな、あたしの好きにさせてくれ」

マミ「わたしは知っているわよ。確か、学校の掲示板にも告知が出ていたわね。ウチの学校からも何人か出るって話だけれど」

さやか「ふっふっふ……実はね、そのコンクールに……」

杏子「ま、まさかさやかが出るのか!?」

マミ「美樹さんが!?すごいじゃない!」

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:32:32.37 ID:PCMV3Vu+0
さやか「あー違う違うっ!あたしじゃなくって、出るのは恭介!」

杏子「……恭介?誰だよそいつ」

さやか「ぅおいっ!恭介だよ、上条恭介!あたしの幼馴染!」

マミ「確か、美樹さんの想い人だったわね」

さやか「ぅぐっ……そ、その言い方は、その、どうかと思いますっ!」

ほむら「あら、事実じゃない」

さやか「事実をありのまま口にするのはいくない!」

マミ「彼がコンクールに?」

さやか「そう!そうなんですよ!」

杏子「へー」モグモグ

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:37:48.57 ID:PCMV3Vu+0
さやか「早くも興味無さげ!?」

杏子「だって、興味ねーし」モグモグ

マミ「でも、彼、まだ退院して一ヶ月経ってないんじゃ……?」

さやか「そうなんですよねぇ。それなのに、コンクールに出られるって、すごいと思いません?」

杏子「ま、すごいっちゃすごいな、確かに」

マミ「今週末ねぇ……美樹さんは、もちろん行くのでしょう?」

さやか「当然!優待券も貰っちゃいましたし」

杏子「へぇ、よかったじゃん、さやか」

さやか「それで、もしよかったらマミさんと杏子もどうかなぁ、って思って」

杏子「ヴァイオリンの演奏なんて、興味ねえしなぁ」

さやか「そう言わないでよ、杏子。あたしの祈りの結果、二人にも見て欲しいな、って」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:40:34.11 ID:PCMV3Vu+0
マミ「あ……そう、だったわね」

杏子「………」

さやか「あれ、ちょっと待って何この空気」

ほむら「あなたの言い方が重いのよ。想いが重い、なんてね」

さやか「………」

マミ「………」

杏子「魔獣退治に行く前に、マミの家で紅茶でも飲んで暖まるか」

さやか「賛成」

マミ「そうね、まずお茶してからにしましょうか」

ほむら「何よ、ちょっと場を和ませようと思っただけなのに……」シュン

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:45:34.95 ID:PCMV3Vu+0
マミの家―――

QB「おや、おかえりマミ」

マミ「ただいま、キュゥべえ」

杏子「相変わらず、あんたはナチュラルにマミの家に居座ってんだな……」

QB「だって、キミ達が集まるのは大体マミの家じゃないか。だから僕もここにいるのが自然と普通になってしまっているだけだよ」

さやか「言われてみれば、そうかも……」

マミ「ふふ、気にしなくっていいのよ?わたし、一人暮らしだから。誰かがこうして家に来てくれるのも、嬉しいの」

ほむら「巴さんの家、なんとなく居心地がいいのよね……まるで、魔法少女を引き寄せる何かがあるみたいだわ」

マミ「それは喜んでいいのかしらね……。それじゃ、紅茶を淹れて来るから、座って待っていて」

さやか「了解です、マミさん!」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:51:18.02 ID:PCMV3Vu+0
―――数分後

マミ「お待たせ。昨日のあまりもので悪いけれど、軽いお茶菓子も持ってきたわよ」

杏子「おっ、さすがマミ!気が効くな、ちょっと小腹が空いてたんだよ」

ほむら「いただきます、巴さん」

さやか「いただきます!」

マミ「今日はレモンティーにしてみたの。感想を聞かせてもらえるかしら?」

ほむら「ん……」コクッ

ほむら「おいしい……レモンの風味が程良く効いてる」

さやか「ホント!マミさんは紅茶を淹れる天才ですねぇ」

マミ「ありがとう、二人とも」

杏子「あたしには違いはよくわかんねーな」サクサク

マミ「もっとゆっくり食べなさいよ、佐倉さん……」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:54:28.30 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「ごちそうさま」

さやか「ごちそーさま!」

杏子「ごちそーさん!うまかったよ、マミ」

マミ「佐倉さんたら、こういう時だけ調子のいい事言って……」

杏子「うまいもんはうまいって言うよ、あたしは。失礼だな」

マミ「それじゃ、素直に受け取っておくことにするわ」

QB「ちょうどいい感じだね。瘴気が濃くなってきているよ」

ほむら「……行きましょうか、みんな」

杏子「おう!」

さやか「今日も頑張るぞー!」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 20:59:43.05 ID:PCMV3Vu+0
工業団地の外れ―――

マミ「ティロ・ボレー!」ドドドン!

杏子「食らいなっ!!」ズグンッ!

さやか「スマァァッシュ!!」ズバァァンッ!

ほむら「ふっ!!」キキュンッ!

魔獣「コアアアアア……―――」

ほむら「! みんな、ここをお願い!建物の上にも、いるみたい!」

杏子「おう!お前も気をつけろよ、ほむらっ!!」

ほむら「ええ、わかっているわ!」タンッ

マミ「暁美さん、一人の方が、戦い慣れているみたいねっ!」シュルルル

さやか「謎の多い転校生魔法少女だことっ!」スパスパッ

杏子「ま、慣れてるんならそれでも問題ねーってことだろ!」ジャララララ

魔獣「クオオオオオオ……―――」

さやか「もうっ、ほんっとキリないっ!!」カチッ シュピンッ

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:03:56.88 ID:PCMV3Vu+0
数十分後―――

さやか「ようやく終わったぁ……」ドサッ

杏子「なんだ、もうへばったのか、さやか?」

さやか「そりゃあねえ……今日はいつにもまして多かったような気がするよ」

マミ「うふふ、それでもこうして何事もなく戦い終えられるのって、美樹さんのおかげよ?」

さやか「いやいや、そんなことないですよ」

杏子「そうでもねーさ。今日くらいの数をあたしとマミだけで対処しようと思ったら、それこそ途中でギブだ」

マミ「途中でギブアップは流石に冗談だけれど、ちょっと大変なのは間違いないわね」

杏子「あたしは冗談を言ってるつもりはねーぞ?」

マミ「……佐倉さん、そこに直りなさい」

杏子(やべ……マミの逆鱗に触れた)

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:07:52.90 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「お待たせ、三人とも」スタッ

QB「建物の上よりも、こちらの方が数はずいぶんと多かっただろう?大丈夫だったかい?」

さやか「お疲れさまー、ほむら。そっちがどれくらいいたのかは知らないけど、こっちは確かに多かったねぇ」

マミ「いい、あなただってこの街を守る魔法少女なのだから……」アーダコーダ

杏子「あーハイハイごめんなさい反省してますー」

ほむら「……巴さんと佐倉さんは、何をやっているの?」

さやか「杏子の発言に対して、マミさんが説教をしてるの図」

マミ「魔獣は放っておいたら一般人に被害を……」アーダコーダ

杏子「ハイそうですねわかりますわかってますー」

ほむら「……触れてはいけない所に触れたようね。そっとしておきましょう」

さやか「それが賢い選択肢だね……」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:12:34.53 ID:PCMV3Vu+0
数分後―――

マミ「全くもう……あら、暁美さん」

ほむら「お説教は終わったの、巴さん?」

マミ「ええ。暁美さんが帰って来たって言うことは、そっちの方も片付いたということね?」

ほむら「ええ、こっちはそれほど数が多くなかったから」

杏子「あ、足が痺れたっ……」プルプル

さやか「だいじょーぶ、杏子?」ツンツン

杏子「や、やめっ……突くなっ!」ビリビリ

さやか「あはは、ええ反応ですなあ♪」ツンツン

杏子「ほ、ほむら、マミ!助けてくれぇ!」

ほむら「……佐倉さん、助けを求めているけれど?」

マミ「これもお説教の一環です」

ほむら(……ご愁傷様、佐倉さん)

さやか「ほれほれ、ここがええのんか?」ツンツン

杏子「やーめーろー……」プルプル

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:19:41.63 ID:PCMV3Vu+0
~~~

さやか「ちょっとした悪ふざけじゃん!」

杏子「うるせー。さやかなんか嫌いだ」グスン

さやか「機嫌治してよー、杏子ー」

マミ「キュゥべえ、他に魔獣が現れそうな所、ある?」

QB「いや、今日はこれで打ち止めみたいだね」

ほむら「まぁ、巴さん達の方は数が多かったみたいだし、こんなものじゃないかしら?」

マミ「それもそうか……はいキュゥべえ、使用済みのグリーフシード」

QB「任せてよ」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:23:16.75 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「ほら、全部拾いなさい」ポイッ

ヒョイヒョイヒョイヒョイ

QB「この程度、造作もないことさ」スタン

さやか「こっちは杏子と二人分で、締めて10個!」バラララ

QB「ふんっ!」タタタタタタタタ

ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ

QB「回収完了だよ」スタン

杏子「無駄にいい動きだなこいつ……」

マミ「あら佐倉さん、もう機嫌治したの?」

杏子「ロッキー三箱で手を打ってやった」

ほむら「その辺はしっかりしてるのね……」

さやか「もう悪ふざけはしませんごめんなさい」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:28:21.84 ID:PCMV3Vu+0
さやか「それで、どう、二人とも?今週末の事、考えてくれた?」

マミ「わたしは賛成よ。美樹さんの想い人の演奏、わたしも一度聴いてみたいし」

杏子「あたしはなぁ……大体、金もねーし」

さやか「杏子の分の入場料なら、あたしが出したげるよ。二人にも、聴いてもらいたいから」

マミ「二人にも?暁美さんは?」

ほむら「わたしは、教室で上条君から直接話を聞いて、行くと約束しているから」

杏子「そいや、クラスメートだったかぁ……どうすっかな、金出してくれるってんなら、行ってみるかな」

さやか「ホント!?」

杏子「ああ。タダより高いもんはねえからな!」

マミ「それじゃ、当日は四人でホールへ行きましょうか?」

さやか「ありがとう、みんな!恭介も、きっと喜ぶよ!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:33:37.95 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「それよりも、彼の演奏なら、今からでも聴けるんじゃないの?美樹さん」

さやか「えっ?」

杏子「なんだ、聴けんのか?」

ほむら「ええ。演奏を聴ける、特等席が、ね」

さやか「ちょっと、ほむら~……」

ほむら「あら、何かしら?」

さやか「その事は、あんまり他の人には広めないでよ~……」

ほむら「いいじゃない。ホールで聴く前に、一度聴いておくべきじゃない?」

さやか「う~……」

マミ「美樹さんが嫌なら、無理して行くつもりはないのだけれど……?」

さやか「……いや、ほむらがばらしちゃったし。いいよ、行こっか」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:38:21.90 ID:PCMV3Vu+0
上条の家・正面―――

~~~♪

杏子「なるほどなぁ……盲点だったな」

マミ「確かに、ここに来れば演奏は聴こえて来るわね」

さやか「いつでも、ってわけじゃないけど。ここに来たら、聴けるよ、あいつの演奏」

~~~~♪

ほむら「今日も好調みたいね、彼」

さやか「ん……。………」

杏子「しっかし、密な恋だなぁおい。もう告っちまえばいいのによ」

さやか「いいの。こうして、あいつの演奏を聴いてるだけで、あたしは幸せだから……」

~~~♪

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:43:33.39 ID:PCMV3Vu+0
マミ「………いい、演奏ね」

杏子「………だな」

~~♪

さやか「………っ」

ほむら「……?美樹さん?」

さやか「っ、何、ほむら?」

ほむら「………いえ、ごめんなさい。無粋だった、わね」

さやか「………」

~~~♪

杏子「これが……さやかの想いの結果、か」

マミ「……そういうことね」

さやか「ありがとう、三人とも……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:47:16.59 ID:PCMV3Vu+0
~~………

さやか「……お疲れ様、恭介」

杏子「いいもんを聴かせてもらったよ」パチパチ

マミ「コンサートホールで聴くのが楽しみになったわ」パチパチ

ほむら「ええ。やっぱり、ここで聴くよりはホールでの演奏の方がいいでしょうしね」パチパチ

さやか「うん……。あたしも、ホールで聴くのは、すごい久しぶりだよ」

杏子「その日を楽しみにしておかないと、な?」

さやか「……。だね!」ニコッ

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:51:41.74 ID:PCMV3Vu+0
マミ「それじゃ、帰りましょうか、佐倉さん」

杏子「おう!今日はぐっすりと寝られそうだな!」

マミ「そうね。いい演奏を聴かせてもらったし、ね」

さやか「あっはは、恭介の演奏を褒められるとあたしまで照れちゃうなー」

マミ「美樹さんは、もっと誇っていいと思うわよ?あなたの祈りの結果、わたし達がこうして演奏を聴くことが出来たのだから」

杏子「ああ、あたしもマミと同意見だな」

さやか「二人とも……」

ほむら「よかったわね、美樹さん」

さやか「ほむら……うん、よかった。本当に、よかった……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 21:55:45.66 ID:PCMV3Vu+0
―――数日後・見滝原市民ホール前

ガヤガヤ

さやか「ぅぉお……すごい人の数……」

マミ「わかってはいたけれど、ちょっと圧倒されるわね……」

ほむら「これだけの人の前で演奏するのって、どれだけのプレッシャーがかかるのかしら……」

杏子「何、どんだけ人がいても、精神統一して演奏に集中すりゃなんてこたないだろうよ」

さやか「杏子、みんながみんなそれが出来たら苦労はしないって話だよ……」

杏子「あたしは親父の背中を見て育ってきたからな。大勢の前に出るのだって、大体の予想はつくさ」

マミ「牧師の説法と演奏では、また勝手が違うと思うのだけれど……」

杏子「そんなもんか?よくわかんねーや」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:00:14.74 ID:PCMV3Vu+0
市民ホール内・広間―――

恭介「さやか!来てくれたんだね」タッタッタッ

仁美「お待ちしておりましたわ、さやかさん」

さやか「恭介、仁美!ごめんね、遅くなっちゃって」

恭介「いや、いいんだよ。まだ時間には余裕があるし。暁美さんも、ようこそ」

ほむら「楽しみにしてるわよ、あなたの演奏」

恭介「あはは、そう言われるとプレッシャーだな……それと、ええっと……」

さやか「ああ、紹介するよ。こっちのカール髪の人が、巴マミさん。あたしの先輩」

マミ「初めまして、でいいのかしら?上条君。あなたの話は、美樹さんからよく聞いているわよ」

恭介「初めまして、巴さん」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:02:57.06 ID:PCMV3Vu+0
さやか「こっちのポニーテールの人が、佐倉杏子。あたしの友達だよ」

杏子「初めまして、恭介。ふーん……」ジロジロ

恭介「え、えっと……?初めまして、佐倉さん……?」

杏子「こうして見ると、なかなかいい男じゃねーの」

恭介「えっ」

仁美「きょ、恭介さんは私の彼氏ですわよ!?」

杏子「わかってるよ、話はよく聞いてるからな」

恭介「あ、ああは……一体何の話をされてるんだか……」

さやか「杏子~……恭介と仁美をからかわないの」

杏子「からかってるつもりはねえんだけどな」

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:06:21.13 ID:PCMV3Vu+0
恭介「そろそろ、時間だね」

仁美「頑張ってきてくださいな、恭介さん」

恭介「ありがとう、仁美さん」

さやか「緊張して演奏とちるなよ~?」

恭介「あはは、わかってるよ。それじゃ、行って来る」スタスタ

仁美「それじゃ、私たちは席へ参りましょうか」

さやか「ん!行こう、みんな!」

ほむら「ええ」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:12:02.08 ID:PCMV3Vu+0
PM6:45

ガヤガヤ……

さやか「ホントにすごい人の数……うう、なんかあたしまで緊張してきちゃった」

杏子「なんでお前が緊張すんだよ……」

さやか「な、なんだろう。こう、頑張れー、負けるなー、みたいな?」

杏子「わけわかんねえよ……」

マミ「でも、佐倉さんの行っていた通りではあるわよね。精神統一して演奏に集中すれば、なんてことはないのかも」

ほむら「みんながみんな、そう出来ればいいのだけれどね……」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:14:41.38 ID:PCMV3Vu+0
PM6:55

ほむら「……そろそろ、ね」

杏子「ここで聴く演奏がどれほどのもんなのか、楽しみじゃないの」

マミ「ええ……本当に」

QB『みんな、聞こえるかい?』

さやか「!」

ほむら『どうかしたの、キュゥべえ?』

QB『瘴気が濃くなってきた。魔獣が現れるよ!』

さやか『う、嘘っ!?』

マミ『よりにもよってこんな時に……!』

杏子『おい、キュゥべえ!今、どこにいるんだ!?』

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:19:32.01 ID:PCMV3Vu+0
QB『市民ホールの向かい、駅の中だよ!』

マミ『わかった、すぐ行くわ!』

ほむら『さっさと倒して、ここに戻って来なくちゃ!』

杏子『うしっ、行くぞ、マミ、ほむら!』

さやか「ちょっ、ちょっと待ってよ!」

ほむら「っ!」

杏子「さやか?」

さやか「あ、あたしも行く!あたしだって魔法少女なんだ!」

マミ「美樹さん、でもそれは……!」

杏子「ダメだ!あんたはここで、恭介の演奏を聴いてろ!魔獣なら、あたしたちが倒してくるから!」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:23:24.16 ID:PCMV3Vu+0
さやか「だからこそ、だよ!みんなに任せて、あたし一人だけ呑気にここに残るなんて、あたしが自分を許せない!!」

杏子「っ……さやか……」

さやか「それに、前みたいな大軍だったらもしかしたらここにまで被害が及ぶかもしれないでしょ!?だから、あたしも行く!」

マミ「……わかった、美樹さんも一緒に行きましょう」

杏子「おい、マミ!?」

QB『早く!もう姿を現してるよ!』

ほむら「っ、悩んでいる暇はないわ!とにかく行きましょう!!」

マミ「大丈夫、すぐに戻ってこれるわ!」

杏子「くそっ!仕方ねえ、行くぞ!!」

さやか(ゴメン、恭介……!)

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:26:58.81 ID:PCMV3Vu+0
PM7:05

―――駅

魔獣「コオオオオオオ……」

さやか「っ、いた!!」

QB「気をつけて、四人とも!今回も、数が多いよ!!」

マミ「ええ、わかっているわ!!」

杏子「どんだけ多かろうと、あたし達の敵じゃねえ!」

ほむら「来なさい、魔獣!」

さやか「ホールには、行かせない!!」ダンッ

ズバズバァァ!!

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:31:40.72 ID:PCMV3Vu+0
PM7:20

さやか「くそっ、数が多い!」

マミ「美樹さん、もういいわ!後はわたし達が倒すから!あなたはもう!」

さやか「嫌だ!!」

マミ「美樹さんっ……」

さやか「さっさと倒して、みんなで演奏を聴きに行くんだ!魔獣は、放っておいたらダメだよ!」

杏子「無理すんな、さやか!」

ほむら「ちょっと力、使いすぎよ、美樹さん!」

さやか「まだ、あたしはやれるっ……!」

魔獣「コオオオオオ……」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:36:19.91 ID:PCMV3Vu+0
魔獣「カアアアア……」

さやか「これでっ……!!」タァンッ

さやか「終わりだぁぁぁぁぁ!!」

ズバァァァン!!

魔獣「クオオオオオ……―――

さやか「―――……あ」



さやか(なん、だろう、この、感覚)

―――ごめんね、さやかちゃん。迎えに、来たよ

さやか(……誰?)

―――わたしの事、覚えてないかな

さやか(………ううん。覚えてるよ。いや、思い出したって方が、正しいのかな)

さやか(あたしの、一番の親友)

さやか(………まどか)

―――よかった、思い出してくれたんだ

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:39:18.64 ID:PCMV3Vu+0
―――どこかの時間軸

さやか「……ごめん、なんか、手間掛けさせちゃったね」

まどか「ううん……いいの」

~~~♪

まどか「さやかちゃんを救うには、何もかもなかったことにするしかなくって……でも、上条君のこの演奏だけは、聴かせてあげたいな、って思って」

まどか「さやかちゃんの祈りは、無意味じゃなかったんだよって。そう言いたくって」

まどか「だから……」

さやか「………うん」

さやか「これでいいよ、あたしは」

76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:43:36.49 ID:PCMV3Vu+0
さやか「こうして、昔の感動の場所でもう一度、あいつの演奏を聴けただけで、あたしは満足」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「きっと、これからもっともっと大勢の人に、届いてくれるよね。あいつの演奏」

まどか「うん、きっと届くよ。さやかちゃんの想いが、ある限り」

さやか「ありがとう、まどか。これだけで、あたしは十分……いや、十二分だよ」

まどか「……そっか」

さやか「まどかこそ、今まで一人にして、ゴメンね。寂しかったでしょ?」

まどか「そんなことないよ。わたしは、わたしがこういう結果になることを望んだんだもん」

さやか「………でも、これからはあたしが側にいるからね。あたしの、一番の親友……」

まどか「それじゃ、行こっか、さやかちゃん」

さやか「……うん」

さやか「バイバイ、恭介……仁美と、幸せにね……」

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:49:33.77 ID:PCMV3Vu+0
ゴオオオオオオオオオオオ………

ほむら「………っ!」

杏子「……おい、さやかは?さやかはどうした!?」

マミ「………逝ってしまったわ。円環の理に導かれて……」

ほむら「……」

マミ「美樹さん……さっきの一撃に、全ての力を使ってしまったのね……」

杏子「っ……!!馬鹿野郎っ……惚れた男の為だからって……自分が消えちまってどうするんだよっ……!」

杏子「まだ、恭介の奴の演奏は終わってないはずなのに……!こいつらを片付けたら、一緒に戻ろうって言ったじゃねえかよ……!」

マミ「……それが、魔法少女の運命よ。この力を手に入れた時から、分かっていたハズでしょう?」

マミ「希望を求めた因果がこの世に呪いをもたらす前に、わたし達はああやって消えさるしかないのよ……」

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:52:53.92 ID:PCMV3Vu+0
ホール・ステージ上

恭介「………」

~~~♪~~……

恭介「………」

パチパチパチ     パチパチパチパチ
      パチパチパチ

恭介「………!」




フワッ………





恭介「………さやか……?」

―――バイバイ、恭介

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 22:58:25.96 ID:PCMV3Vu+0
PM9:00

仁美「お疲れ様です、恭介さん」

恭介「ああ……。さやか達は?」

仁美「それが、演奏開始直前に、みなさん揃ってどこかへ行ってしまわれて……」

恭介「………そっか」

ふと、彼は自身の左手に視線を落とした。

演奏を終えて、疲れているはずなのに、その手はとても温かかった。

まるで、誰かの想いが込められているかのように……

恭介「………ありがとう、さやか」

仁美「恭介さん?」

恭介「きっと、どこかで、聴いてくれたよ、さやか達は」

仁美「そう、でしょうか?」

恭介「なんとなく、ね。そんな気がする」

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 23:02:33.78 ID:PCMV3Vu+0
ほむら「………これでよかったの、杏子?」

杏子「ん……いいのさ、これで」

マミ「ええ……そうね」

ほむら「………」

杏子「何より、あたし達が恭介に合わす顔がないだろ。あたし達がもっと頑張ってれば、さやかは……」

ほむら「……っ」

杏子「……過ぎた事をどうこう言っても、仕方ねえな。また日を改めて、あいつに会いに行こう」

杏子の手の中には、あるものが握られていた。

それは、さやかがいつも付けていた髪留め。

あの場にたったひとつ残された、さやかがこの世に生きた証だった。

86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/02(金) 23:11:31.31 ID:PCMV3Vu+0
その後、杏子達はさやかの墓を立てた。

見滝原の町外れに、ひっそりと。

枯れ木で作った簡素な十字架と、花をいくつか結んで作った花冠。

それと、たったひとつ残された髪留めを供えて。


杏子「悪いな、こんな形でしか作ってやれなくって。でも、ないよりはマシだと思って、な」

マミ「今まで、お疲れ様、美樹さん。頑張った分、ゆっくりと、休んでねっ……」

ほむら「………さやか。あなたの想い人の演奏は、今も奏でられ続けているわよ。あなたの祈りは、決して無駄じゃなかったからね」

新たに買って来た花を、そっと供えてやる。

杏子「……お前は、きっとあいつに本当の事を話すのは許さないだろうからな。でも、いつかはあいつにも、この場所を教えてやるからな」

杏子「その時は、お前の為だけに、演奏してくれるよ。きっと、な………」



終わり

引用元: さやか「これでいいよ、あたしは」