第9話『ブレイク・スルー』

《『滅びた世界』 廃墟街》


野分『目標はベースジャバー発進可能時間までの足止め、榛名さんは『クィン・マンサ』を止めてください!」

榛名「私が『クィン・マンサ』を… 了解です!」

野分『私と舞風は残りの機体を止めます!』

舞風『ってあれだけの数を!?』

野分『機動性の高いドム系、あとは対空能力の高い重装のモビルスーツを優先して撃破するように!あとの機体は無視しても構わないわ!』

舞風『それでもドム系と『ガルスK』とか『ザクキャノン』とかってかなりの数が居るのに…』

榛名「ッ!?来ます!」


3機の立って居る場所にクィン・マンサの胸部メガ粒子砲が放たれるが散開して回避した。


野分『舞風は上空からの牽制、私は白兵戦で仕留める!』

舞風『了解!』


舞風の駆るデルタプラスは変形してビル群の上空へと舞い上がり、野分のギャンはサーベルを展開しながら前へ踊り出る。


榛名「私も… バンシィ!」


榛名の声に呼応するようにバンシィ・ノルンの装甲がスライドし、露出されたサイコフレームが金色の光を発した!


榛名「NT-D、リミットまで残り300秒… クィン・マンサを止めないと!」


その攻撃の意志を汲み取ったバンシィはアームド・アーマーDEを背部にマウントさせて加速し、一直線にクィン・マンサへと加速する!

そしてクィン・マンサに向かってポップミサイルを放つがバインダーで防がれてしまう。


榛名「堅い…!」

榛名(私の知識ではあのバインダーには粒子偏向装置を搭載してる筈、ならマグナムは効かない…!弾種をMGaAPに…)

ピキィンッ!

榛名「来るの!?」


クィン・マンサのテール・バインダーから20基近いファンネルが放たれ、バンシィ・ノルンへと迫る!

しかし榛名はバルカンやマグナムを放ち、接近したものはサーベルを使ってファンネルを一つ一つ破壊した。


榛名「装填は終わってる…!今です!」


リボルビング・ランチャーのMGaAPをクィン・マンサに向け、榛名はトリガーを引き絞る!

そして放たれたMGaAPは胸部へと命中し、眩い光を放つ!


榛名(これで…!)


そしてクィン・マンサは閃光と共に爆炎へと包まれた、が…

9: ≫1 2015/06/08(月) 00:44:40.01 ID:cqqslqW10
クィン・マンサを中心とした爆発による煙が風に吹き飛ばされて薄くなっていく…


野分『やった!?』

舞風『え… 嘘、でしょ…?』

榛名「なっ!?」


そこには何も無かったかのように。クィン・マンサの巨体が無傷のまま健在だった!


野分『直撃だった筈よ!?』

舞風『一体どう言う事なの!?』

榛名「わかりません… またファンネルが来ます!」


榛名は殺到するファンネルの攻撃やクィン・マンサのメガ粒子砲をIフィールドで防ぎながら距離を取る。


舞風『こいつっ!』


舞風は変形して地上に居たドム・トローペンに向かってライフルを放ち、その機体の右腕を吹き飛ばす!

そして足を止めたドム・トローペンに野分のギャンがサーベルをその胸部に突き刺した!


舞風『やった…!』

野分『いや、手ごたえが無い… ッ!?』


なんとドム・トローペンは左腕でギャンを弾き飛ばしサーベル胸部から引き抜く。

そしてその部分から機体が再生を始めた!


野分『くっ… 再生能力…!』

舞風『嘘でしょ!?DG細胞でも感染してるの?』

榛名「どうりでこちらの攻撃が効かない訳ですか…」


榛名が今まで撃ち落したファンネルは12基、そして今残っているファンネルは24基。ファンネル搭載数が30基のクィン・マンサでは有り得ない数だ。

そして再生能力がある、と言うのであれば先程のMGaAPの直撃で無傷なのも頷けた。




長波「一体どうなってんだ!?」

陽炎「再生能力って、深海棲艦みたい…」

アポリア「ベースジャバーへの搬入を急げ。最悪不要なものは破棄しても構わん。」

長波「わかってるっての!暖機は?」

アポリア「まだ終わってない。あと4分程かかる。」

陽炎「さっさと運ぶわよ!」

10: ≫1 2015/06/08(月) 01:26:01.81 ID:cqqslqW10
榛名「再生するのであれば…!」


榛名はクィン・マンサに向かってビーム・マグナムを放ちながらサーベルを展開させて接近する!


野分『無茶です!』

榛名「直接制御系統を…」

舞風『危ない!』


クィン・マンサへと気を取られ過ぎた榛名はギラ・ドーガの接近に気付かず、シュツルム・ファウストの直撃を背部のシールドで受けてしまう!


榛名「きゃぁぁぁぁぁっ!」

野分『榛名さん!』


そしてクィン・マンサからパンチが放たれ、咄嗟に榛名はシールドで防御体勢を取るが吹き飛ばされてビルへと叩き付けられた。


榛名「かはっ…」


いくら頑丈な榛名の身体でも耐え切れずに、意識を失ってしまう。

そして榛名が気絶した瞬間、バンシィのサイコフレームから光が消えてユニコーンモードへと戻ってしまった。


舞風『榛名!聞こえる、榛名!?』

榛名「…」

野分『舞風、榛名さんを連れて後退して!早く!』


野分のギャンはイフリートの頭部を破壊しながら舞風のデルタプラスへ呼びかけるが、デルタプラスもゼー・ズールの相手をするので精一杯だった。


舞風『こいつら、本当に邪魔…!』

野分『さっきのギラ・ドーガ、バンシィを狙ってる!舞風!』

舞風『わかってる!』


舞風はゼー・ズールを蹴り飛ばし、デルタプラスを変形させてバンシィへの接近を試みるが陸戦型ゲルググやカプールの攻撃に阻まれる!


舞風『邪魔しないでって!』


グレネードランチャーを他の機体に向けて放ちながらも離脱を試みるデルタプラスにMSが殺到する!


野分『榛名さん!目を覚まして、榛名さん!』


野分は榛名に向かって呼びかけるが気絶している榛名は答える事が出来なかった。

そしてギラ・ドーガのビーム・アックスがバンシィに振り下ろされようとする…


舞風『榛名ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

11: ≫1 2015/06/08(月) 01:49:40.37 ID:cqqslqW10
その時、極太のビーム三条がギラ・ドーガの機体を飲み込み文字通り『消滅』させた!


野分『え…?』

舞風『IFFに応答、友軍機…?』

野分『友軍、って連邦の機体って事…?』

舞風『機種『MSN-001X[G]』にもう一機アンノウン…』


「敵への命中を確認、敵機撃破。」

「嫌な感じがする敵ね… このままフェネクスを前衛に出してデルタカイは援護に専念するわ。大丈夫?」

「はい、NT-Dも暴走する兆候はありません。このまま行きます…!」


無人のモビルスーツが侵攻してくる方角の遥か後方から、高速で機体が接近してくる。


野分『デルタ系、ってことは『ガンダムデルタカイ』!?』

舞風『それにあの金色のモビルスーツは… 一体誰が…』

「そこの二人、聞こえる!」

野分『この声、まさか…!』

舞風『姉さん!?』

瑞鳳「野分ちゃん、舞風ちゃん!二人はバンシィ、榛名さんを連れて後退して!

この戦域は私と蒼龍さんで足止めする!」

蒼龍「そう言う事よ!私達に任せて早く行きなさい!」

野分『は、はい!』

舞風『で、でも何でモビルスーツに…』

瑞鳳「説明はあと!早く!」


402「気をつけろ、コイツら再生するみたいだ。」

蒼龍「うへぇ… よくもまた気色悪い物を…」

瑞鳳「なら、再生出来無いくらいズタズタにしてやれば良いのね…!」

402「そう言うことだ。蒼龍、お前の操縦は私がサポートする。だから全力でやれ。」

蒼龍「わかってるっての…!行くわよ!」


そして2機のガンダムが一つ目のモビルスーツ軍団に向かって踊りかかった!

瑞鳳「」

13: ≫1 2015/06/08(月) 22:36:48.28 ID:cqqslqW10
陽炎「あれ、バンシィが…」

長波「どうして2機に抱えられて…」

野分『バンシィをベースジャバーに固定してする。手伝って。』

アポリア「どうかしたのか?」

舞風『榛名がコックピットの中で気絶してるの!』

長波「何だって!?」

野分『一人だけ突出して不意打ち食らった衝撃で意識を失ったみたい。』

舞風『ギャンはデルタプラスで運ぶからベースジャバーはバンシィを運んで!』

陽炎「操縦する身にもなってよもう…」

アポリア「もうすぐ暖機は終了するが、敵はどうする?」

野分『残りの敵は助けに来てくれた味方が足止めしててくれます。』

長波「味方?」

舞風『あの世界で私を助けてくれた、最強の助っ人が戦ってる。』



瑞鳳「うおりゃあああああああ!」


フェネクスは上空から敵に突っ込み、両腕に展開されたサーベルで敵のマラサイを八つ裂きにした!


402「照準安定、やれ。」

蒼龍「消えなさい!」


デルタカイはウェブライダー形態から変形して上空からハイ・メガ・キャノンを放ち、数機の敵を焼き払う!


蒼龍「数が流石に多い…!」

402「…気になるな。瑞鳳、ちょっと何でも良いから敵のコックピットハッチを破壊してくれ。」

蒼龍「相手は無人機じゃないの?」

402「それにしては対応が人間的過ぎる。私達が強襲した時の焦ったような対応、それにAIのような攻撃方法を取っていない。」

瑞鳳「わかった。 たぁぁぁぁっ!」


瑞鳳は一番至近距離に居たガルスKの両腕を切断し、マニュピレーターでコックピットハッチを引き剥がした!


瑞鳳「これって…!」

402「冗談だろ…?」

蒼龍「冗談ならどれだけ良かった事か…!」

瑞鳳「やっぱり深海棲艦…!」


そう、瑞鳳達が見たコックピットの中に居たのは深海棲艦だった。

深海棲艦がコックピットと融合し、その機体を操縦していた。


瑞鳳「ならもう躊躇する必要は無いよね…!」

402「いや、そろそろ離脱するぞ。」

蒼龍「もう?」

402「ああ。ベースジャバーとデルタプラスが離脱を始めた。私達の役目は終わりだ。」

蒼龍「瑞鳳ちゃん、離脱するよ。デルタカイに乗って。」

瑞鳳「了解です。」


デルタカイは再びウェブライダーとなって、フェネクスを乗せてベースジャバーの向かった方角へと後を追うように飛翔した。

14: ≫1 2015/06/09(火) 00:12:30.87 ID:U03UO+Kf0
《『滅んだ世界』 研究所・医務室》


榛名「うぅ…」

長波「気が付いたか?」

榛名「長、波、さん… ここ、は…」

長波「昨日、私たちが探索した研究所にある医務室だ。」

榛名「私は… 戦闘は!?」

長波「離脱に成功した。全員無事だ。」

榛名「良かった…」

長波「思わぬ増援も来たお陰でな。」

榛名「思わぬ増援…?」

瑞鳳「ゴールデンウィークぶりですね。」

榛名「瑞鳳さん!?どうやって…」

瑞鳳「お母さんに次元転移して行方不明だって連絡があって。で、次元転移装置使ってこっちまで飛んで来ました。」

榛名「よくこの世界だとわかりましたね…」

瑞鳳「『フェネクス』が導いてくれました。」

榛名「フェネクス?」

瑞鳳「『RX-0 ユニコーンガンダム3号機「フェネクス」』、貴女の乗っていた『バンシィ・ノルン』の兄弟機です。

恐らくサイコフレーム同士が共鳴して私達を引き寄せた、のかと。」

榛名「どうして瑞鳳さんがモビルスーツを…」

瑞鳳「私達の世界で北極海に宇宙世紀世界から流れ着き封印されていた機体を私達が発見して回収したんです。まだ改修途中の機体でしたが引っ張り出しました。」

榛名「私達の世界にもモビルスーツが… それで次元転移装置を使えば帰れるんですか?」

瑞鳳「はい。ただオーバーロードして復旧までこの世界の時間で2日程かかる、と連絡がありました。」

榛名「あと二日も…」

瑞鳳「野分ちゃんの話だとこの世界に来て2日経過したそうですね? でも私達がお母さんに連絡貰ってこの世界に来るまで実は半日も経過して無いんです。」

榛名「え…?」

瑞鳳「この世界、どうやら時間の流れが早いようです。だから『この世界』の時間で2日、『私達の世界』の時間だと半日ってことですね。」

榛名「時間のズレ、ですか…」

瑞鳳「では私はこの施設の調査に戻ります。外で402ちゃんとアポリアさんがバンシィの整備、野分ちゃんと舞風ちゃんは周辺の調査、陽炎ちゃんは蒼龍さんと施設の調査をしてます。」

榛名「わかりました。」

長波「さて、どうするんだ?」


行動選択 直下
1.周辺の調査
2.施設の調査
3.バンシィの整備

16: ≫1 2015/06/09(火) 01:16:59.96 ID:U03UO+Kf0
402「機体そのものに異常は無い。補修する箇所も無いしスラスターノズルに入った瓦礫を除けば普通に大丈夫だ。」

アポリア「頑丈だな。」

402「装甲材が普通の金属とは異なるからな。ロボットならばその程度見抜ける筈だろう。」

アポリア「私にそんな機能は付いて居ない。何故貴様は機体の状況を瞬時に見抜ける?」

402「私も人間では無いからだ。元は私はただの兵器、だが人間を学ぶ為に生まれた兵器の意識とでも言っておこう。」

アポリア「兵器、だと…?」

402「巡航潜水艦イ402、それが私だ。だが私は人間として生きる事を望んだ、だから人間と共に居る。」

アポリア「そうか。貴様は人間に希望を見出した、と言う事か。」

402「ああ。…お前も会話に混ざったらどうだ?」

榛名「いや、何か会話がディープ過ぎて入れなかったと言うか…」

アポリア「機体の調子はどうだ?」

榛名「あ、問題無いです。NT-Dもちゃんと起動するようですから。」ピキィン

キィィィ…

402「いや、お前… NT-Dを普通に起動出来る方が問題だろ。」

榛名「え…?」

アポリア「NT-Dと言うのはそんなにマズイものなのか?」

402「マズイ、なんて限度を越えてる。ヘタなパイロットならば機体に意識を支配されるぞ。」

榛名「え、でも瑞鳳さんは…」

402「あの規格外ビックリ人間をまともな人間と同列に考えるほうが間違えてる。」

榛名(瑞鳳さんの扱いが段々酷い事に…)

402「それにフェネクスはヒュウガが暴走しない様に改修を施している。素でNT-Dを使いこなしてるお前は…」

アポリア「どうした?」

402「いや、何でも無い。」

402(アームド・アーマーCXの影響?いや、以前接触した時と何ら変わって居ない… 強化人間の可能性はゼロ。先天的な能力か…?)

榛名「どうかしました?」キョトン

402(コイツ見てると邪気もクソも無いな…)

402「他の機体の整備、と言ってもチェックだけだが一応やっておく。お前はもう良い。」

榛名「手伝いますよ?」

402「知識の無い者に弄らせられる訳無いだろう。もう戻って良い。」


行動選択 直下
1.周辺の調査
2.施設の調査

18: ≫1 2015/06/10(水) 00:11:15.65 ID:k9s9Dxse0
長波「で、この周辺なんて何も無いぞ?」

野分「いえ、さっき変な崖を見つけたわ。」

榛名「崖、ですか?」

舞風「うん。なんか崖にモビルスーツが入れそうな穴があって、そこなら機体を隠せるんじゃないかなって。」

野分「山の天気は変わり易い、だから雨に降られたらモビルスーツの電装系が駄目になってMSに襲撃されたときに打つ手が無くなるし。」

長波「しょうがない… 暗い所ってのが嫌だが、調べてみるか…」

榛名「長波さん、もしかして…」

長波「そーだよ、私は洞窟とかそう言うの大嫌いなんだよ…!」

舞風「うっわー意外…」


《洞窟内部》


榛名「流石に広いですね…」

長波「な、なんか居るんじゃないか…?」※榛名の袖を掴みながら

舞風「ビビり過ぎ…」※探照灯装備

野分「全くね… よく深海棲艦相手に戦えたこと。」※探照灯装備

長波「夜戦は嫌いなんだよぉ…」

榛名「あれ、ここに大きな空間がありますね?」

舞風「ね、ねぇ!見て!」

長波「ひっ、ひぃっ!?」

野分「だからビビリ過ぎ…」

榛名「一体何が…」

長波「これって…?」

野分「まさか…」



何があった? 直下
1.研究施設だった
2.シェルターだった
3.モビルスーツだった(複数機)

20: ≫1 2015/06/10(水) 00:44:28.86 ID:k9s9Dxse0
榛名「大きな鉄の扉… シェルター?」

野分「人が居るのかしら?」

舞風「今まで人っ子一人居なかったのに居たらどうすれば良いの…」

長波「いや、深海棲艦に取り込まれてるかもしれない。」

榛名「…『バンシィ』!」キィン

ドドド… ズシン!

全員「「「」」」

榛名「どうかしました?」キョトン

舞風「なんで平然とサイコミュで操ってるの…」

野分「いや、NT-Dを自力で起動してる時点でお察しだけど…」

長波「いくらなんでもバンシィを呼び出すのはやり過ぎ…」

榛名「でもこの扉、バンシィじゃないと壊すのは難しいですよ?」

野分「それはそうですけど…」

舞風「取り敢えず中調べてみようよ。」

長波「そうだな… よし榛名、やってくれ。」

榛名「わかりました。」キィン

グググ… ズガァン!

舞風「せめてコックピット入ってやってよ…」

野分「…待って、気配よ。」

長波「本気で何か居るのかよ…!」

榛名「えと、バンシィのサーベルを…」

「ひ、人…?」

舞風「あ、普通に人間だ。」

榛名「サーベルは必要無いみたいですね。」

長波「おい、お前は?」

「え、えと…」


誰? 直下
1.高波
2.龍鳳
3.白雪

22: ≫1 2015/06/10(水) 01:07:51.69 ID:k9s9Dxse0
龍鳳「せ、潜水母艦改装空母の龍鳳です!」

長波「艦娘…?」

榛名・舞風・野分「…」

長波「どうかしたか?」

舞風「おっかしぃなぁ… お母さんが居る。」

野分「雰囲気とか見た目とか色々そっくりと言うかそのままと言うか…」

榛名「えぇ…」(困惑)

龍鳳「あの、私の顔に何か…?」


事情説明中…


龍鳳「私が、貴女方の養母に似ている?」

野分「似ている、と言うかそっくりそのままですね。」

舞風「生き写しみたい…」

長波「おい、待て。確か瑞鳳ってヤツとコイツらは一応義理の姉妹だよな?」

榛名「ええ。それで大鯨さんは瑞鳳さんの実母です。」

長波「実母でこの見た目ってどう言う事だ…?」

榛名「さぁ…?」

龍鳳「では貴女達は別の世界から来た、と?」

榛名「そう言う事になりますね。貴女の他に人間は?」

龍鳳「人間も艦娘も、一人も見た事はありません… 人とお話するのもここから出るのも初めてです。」

長波「じゃあお前は生まれてからずっとここに居たのか?」

龍鳳「はい。私は…」

ズガァン!

野分「何っ!?」

長波「この揺れ、敵か…!」

榛名「研究施設に戻ります、バンシィの手に乗ってください!」

舞風「わかった!」

榛名「龍鳳さん、私達と一緒に来てください。ここも危険になる、なので避難可能な研究施設へ行きます!」

龍鳳「は、はい!」

23: ≫1 2015/06/10(水) 01:30:20.04 ID:k9s9Dxse0
榛名「ふぅ…」

野分「偵察の小隊規模で良かったわ。」

402「さっさと降りろ。バンシィとデルタプラスは大丈夫だがギャンは大分ガタついてる。」

野分「わかってるわ。」

402「恐らく次の戦闘で動かせるのは最後だな。」

舞風「ロートル機だしねぇ…」

野分「でもその前に移動する場所を探さないと…」

長波「偵察部隊が来た以上長居は出来無いからな。」

龍鳳「このロボットは…」

榛名「モビルスーツです。この世界とは違う、私達の世界とも違う世界のロボット兵器で宇宙でも活動可能な汎用兵器ですね。」

龍鳳「へぇ…」

瑞鳳「…え?」

龍鳳「あの… 何か…?」

瑞鳳「お母さん、そっくり…」

榛名「あ、この方は龍鳳さんと言うみたいです。この世界の艦娘らしいですよ。」

瑞鳳「どうも、瑞鳳です。」

龍鳳「貴女が私とそっくりな人の娘…」

瑞鳳「似てる、って言っても外見だけですよ。雰囲気とかオーラとか全く違いますから。」

龍鳳「そうですか…?」

瑞鳳「ただ、なんて言えば良いのか… 魂?も似てるような…」

龍鳳「魂って見えたりするものなんですか?」

瑞鳳「あ、ごめんなさい。そう感じただけで他意はありませんから。」


『龍鳳』が、仲間に、加わった。 テッテレー


現有戦力
・榛名(バンシィ・ノルン搭乗)
・舞風(デルタプラス搭乗)
・野分(ギャン搭乗)
・アポリア
・長波(艦娘)
・陽炎(艦娘)
・瑞鳳(フェネクス搭乗 多分生身の方が強い)
・蒼龍&402(デルタカイ搭乗)
・龍鳳(艦娘)

24: ≫1 2015/06/10(水) 22:03:51.91 ID:k9s9Dxse0
《研究所・実験室》

瑞鳳「何このSFみたいな培養器… 一体何を研究してたの…」

陽炎「さぁ…?少なくとも変な研究だったのは間違い無いみたいだけど。」

蒼龍「…ここ、アナハイムの施設に似てるわね。」

榛名「旧アナハイムにこんな研究所が?」

蒼龍「ええ。中国地方の『ムラサメ研』、私が強化措置を施された強化人間実験施設よ。」

榛名「強化人間の…」

蒼龍「『ムラサメ研』以外にもオークランドやキリマンジャロ、そして最大規模の『オーガスタ研』があったわ。尤も、もう既に関係者一同全員逮捕されたけどね。」

龍鳳「強化人間、って何ですか?」

瑞鳳「薬物や特殊なシステムを使用して人間の身体能力や反射速度、感応波などを向上させた人間です。私達の世界にあった『アナハイム・エレクトロニクス社』と言う会社がある人物の目的の為に研究していました。」

蒼龍「私は『ムラサメ研』唯一の生き残り、私と一緒に強化を施された連中は『n_i_t_r_o』って特殊なシステムに適応出来無いで全員死んだ…」

陽炎(広義的に言えば私も強化人間だけど…)

瑞鳳「後はそうですね… 強化人間と言っても普通の人間と大差無い人も居ましたね。」

龍鳳「そうなのですか?」

瑞鳳「はい。私達はある大会で蒼龍さんを含めて8人の強化人間と戦いましたけど全員が私達のチームメンバーに敗れました。

まぁ、私含めて全員異常とも言える程の能力の持ち主ですが…」

蒼龍「強化人間とかぶっちぎってトンデモ能力ばっかりだものね。特に浜風ちゃんと吹雪ちゃん、そして瑞鳳ちゃんは。」

陽炎「で、アナハイムってのはどうなったの?」

榛名「この件を含んで様々な不祥事が暴露された結果アナハイムは解体されました。特に瑞鳳さんと蒼龍さんはアナハイム潰しの立役者です。」

龍鳳「成る程… では、ここは強化人間を研究してた施設なのですか?」

蒼龍「確証は無いけど、でもロクでも無い人体実験してた場所には違いなさそうね。」

陽炎「この拘束式の椅子とかまさにそんな感じよね…」

榛名「あれ、これは…」


榛名が見つけたもの 直下
1.地下室への入り口
2.変な薬
3.特殊な機械
4.その他

26: ≫1 2015/06/10(水) 22:37:17.67 ID:k9s9Dxse0
瑞鳳「どうかしました?」

榛名「この書籍棚の裏、明らかに何かの扉っぽいものが…」

蒼龍「本当だ… 棚が小さすぎて明らかに扉がはみ出してる。」

龍鳳「どかしてみます?」

陽炎「でもこんだけビッシリ書類のファイルやら詰まってたらどんだけ重いんだか…」

瑞鳳「えいっ。」ゲシッ

ドォォォン…

全員「」

瑞鳳「これで出来た。」

榛名「け、蹴りだけで棚を吹き飛ばして壁を突き破った…」

蒼龍「ね、異常でしょ?」

陽炎「一体何なの…」

龍鳳「他の世界にはこんな方もいらっしゃるのですね…」

蒼龍「あれ、これパスワード式じゃない。パスワードわかんないと入れなさそうね…」

瑞鳳「これも壊しちゃいます?」

陽炎「いや、強引に破壊したら何が起こるか…」

瑞鳳「何パターンか試すか…」


<パスワードノ認証ニ失敗シマシタ アルファベットガ違イマス

陽炎「pompom、もハズレかぁ…」

蒼龍「これで私達の思いつく限りの単語は出尽くしたわよ…」

龍鳳「6文字のアルファベット、と言うのは判明したのですが…」

榛名「あ、ちょっと待ってください。」

榛名(先日『ブラックロー運送』の事務所で見つけたパスワード… 試してみましょう。)

龍鳳「パスワード、わかります?」

榛名「ちょっと待ってください…」

榛名(F、e、n、r、i、r… だった筈です。)ピッピッピ

瑞鳳「”Fenrir”…? フェンリルって、北欧神話の…」

<パスワードノ認証ニ成功シマシタ

ウィィィィン

陽炎「嘘!?」

蒼龍「開いた…」

瑞鳳「何故パスワードが解ったのですか?」

榛名「この世界に転移した直後、廃ビルである書類を見つけてそれに書いてあったのです。」

龍鳳「扉、開いたので入ってみます?」

瑞鳳「色々ツッコミたいけど、取り敢えず入りましょう…」

27: ≫1 2015/06/11(木) 00:16:24.00 ID:fZ4Hl+lE0
蒼龍「何、この感覚…」ピキィン

榛名「知ってます、この感じ…」

龍鳳「変な感じがします…」

陽炎「3人共どうしたの…?」

瑞鳳(蒼龍さんは強化人間だから何かを感じられる… でもこの二人は…)

陽炎「あれ、電気がついてる?」

榛名「本当だ… 非常電源が生きてたみたいです。」

蒼龍「気を付けて。何か居る、もしくは何かある…」

瑞鳳「全員、私の後ろに。」

龍鳳「でも…」

瑞鳳「大抵の敵なら何とかなる… 深海棲艦だろうがなんだろうが来なさい…!」


《研究所・地下研究室》

陽炎「冗談でしょ…」

瑞鳳「何よ、これ…!こんなにいっぱい、命が…!」

蒼龍「アナハイムなんか比じゃないっ外道ぷりな研究所ね…!」

榛名「なんて、非道な…」

龍鳳「これって… 赤ちゃん、ですか…?」

蒼龍「いえ、培養槽にへその緒が繋がってるから胎児ね… この感じはこの胎児達の残滓…?」

瑞鳳「命を何だと思ってるのよ…!」

榛名「あれは、コンピューター… 生きてますね。」

龍鳳「動かせますか?」

榛名「はい。これでもコンピューターの扱いは得意ですから。」

カタカタ

榛名「ありました、プロジェクトF… いえ『プロジェクト・フェンリル』、この非道な計画の概要データが。」

蒼龍「全部英語ね…」

榛名「今翻訳をかけます。ちょっとだけエキサイトな翻訳になりますがそこはご勘弁を。」

陽炎「エキサイトな翻訳?」

榛名「滅茶苦茶な翻訳でたまにわけのわからないものになります… 機械翻訳はこれだから…」

瑞鳳「この際文句は言えませんね…」

龍鳳「いえ、多少の英語はわかりますから私に読ませてください。」

榛名「? わかりました。」


龍鳳「プロジェクト・フェンリル。このプロジェクトは対・深海棲艦用の兵器開発計画である。

異世界からの存在である深海棲艦との戦闘には新たに開発された『艤装』の適合条件者、『かつて在りし艦の魂』を持つ存在が有効であると考えられる。

なので本計画では人工的にその艦の魂を持つ存在を生み出す為の計画として立案された。」

陽炎「やっぱり私が追いかけられた深海棲艦はこの世界の深海棲艦だったのね…!」

榛名「それにこの世界じゃ異世界の存在みたいですね、深海棲艦は…」

龍鳳「続けます。

フェンリルとは北欧神話でオーディンを食い殺した獣の名前であり、我々人類を滅ぼそうとする神への反逆として『終末の獣』の名前を付けた。」

蒼龍「『終末の獣』…! まさかこの単語をここで聞くなんて…」

瑞鳳「何で拉致犯が言ってた言葉を…!まさか連中、この研究の関係者?」

28: ≫1 2015/06/11(木) 00:46:15.62 ID:fZ4Hl+lE0
龍鳳「実験の末に完成した個体は4体、その内先に完成した2体と最後の1体は失敗作だった。

何故なら3体目に生み出された個体には特殊な能力を持つ事が出来る可能性があったからだ。何かと融合する事で覚醒する事が可能だろう。」


陽炎「何か…?」

瑞鳳「融合って…」

蒼龍「最早狂気しか感じ無いわ…」


龍鳳「しかしこの世界は保たない。その為我々は完成した個体を連れて他の世界へと転移する。願わくばこの計画がこの研究所で再開される事がある事を祈る。」

龍鳳「抜き出しの翻訳ですので申し訳ありません… 他はもう完全に私の手では負え無いですね。」


榛名「もう充分です… ありがとうございました。」

瑞鳳「こんなもの!」ブォン

ズガァァァァン

蒼龍「こんなデータ、残しておく必要は無いわ。」

陽炎「行きましょう… もうこんな部屋は…」

龍鳳「はい… 早く地上に戻りましょう。」



《研究所・外》

榛名「…」

榛名(『終末の獣』、この世界と拉致犯は因果があった…)

榛名「何で私は…」

榛名(私は何かをあの部屋に感じた… 私は一体…)


誰が来た? 直下
1.龍鳳
2.陽炎
3.長波


30: ≫1 2015/06/11(木) 01:45:12.21 ID:fZ4Hl+lE0
龍鳳「榛名さん…」

榛名「龍鳳さん?どうかしましたか?」

龍鳳「申し訳ありませんが、少し手を貸して頂いて宜しいでしょうか。」

榛名「はぁ…」


《洞窟内・シェルター》

龍鳳「すみません、私の荷物と生活用具もここから運び出そうと思いまして…」

榛名「わかりました。バンシィで荷物を運べば良いのですね。」

龍鳳「お願いします。」


榛名「ここに、誰か住んでいたのですか?」

龍鳳「最初は二人でした。お父さん、と…」

榛名「お父さん、ですか。」

龍鳳「はい、私は外の世界を書物でしか知りませんでした。お父さんの言い付けで外に出る事は禁止されて…

世界は既に滅びた、深海棲艦の侵攻によって。だからこのシェルターだけが私の唯一の居場所でした。」

榛名「その人は今…」

龍鳳「1年前に病気で亡くなりました。 亡骸は地面深くに埋めて…」

榛名「そうですか…」

龍鳳「シェルター内では一応人工的な太陽のようなものがあったので野菜を栽培したり、井戸水を汲んだりお父さんが外に出て食べ物を取って来てくれたので困りませんでした。」

榛名「辛くは、無かったのですか?」

龍鳳「小さい頃からずっとそうだったので辛くはありませんでした。でもお父さんが居なくなって話す人が居なくなって寂しかった…

でもそんな時、皆さんが現れてくれました。そして少しだけ、外の世界に出ることが出来て満足です。」

榛名「これからどうしますか…?」

龍鳳「何も考えてません。お父さんは『もし自由になれたのなら、好きなようにしなさい』と言ってくれたので好きにしたいと思います。」

榛名「龍鳳さん… あの、私たちと一緒に来ませんか?」

龍鳳「榛名さんの世界に、ですか?」

榛名「ええ。私達はあと2日で戻ります、なので再び貴女は一人になってしまう… だから一緒に来ませんか?」

龍鳳「お気遣いありがとうございます。でも、まだ決心出来無いので時間をください。」

榛名「わかりました。」

33: ≫1 2015/06/11(木) 22:15:59.34 ID:fZ4Hl+lE0
実際静岡なのか中国地方某所なのかどっちだかわからないので中国地方と書きました。(そもそも静岡ってサイコが目撃されただけだった筈…)


《翌朝》

榛名「では必要な物資は詰めましたから移動しましょう。」

瑞鳳「海の方角は連中が来るから駄目、この山に沿って北か南に移動するしかありませんね。」

蒼龍「どっちに移動するべきか…」

陽炎「ベースジャバーにそんなに燃料残ってないからそう遠くまで行けないわね。」

舞風「ベースジャバーって航空燃料なの?」

長波「いや、知らん。試してみない限り…」

402「フェネクス以外の推力剤もカツカツだ。特にバンシィ、多用し過ぎ。」

榛名「あ、あははは… すみません…」

野分「食料は全員分、10日は軽く過ごせるだけあります。」

龍鳳「モビルスーツを除く武器も多数ありますね。艤装の方もありますし戦闘になっても困らないかと。」

アポリア「いや、戦闘は避けるべきなのだが…」

陽炎「念には念を入れて、って事でしょ。」

402「いざとなったらチートな人間兵器が居るし問題は無いだろ。」

瑞鳳「誰が人間兵器ですって?」

蒼龍「まぁまぁ… まずは移動先を決めてからにしましょ。」

舞風「じゃんけん?」

野分「何でまた…」

龍鳳「なんでも構いませんから早く決めてください…」

長波「よしっ、勝負だ!私が勝ったら北、お前が勝ったら南!」

舞風「OK!じゃんけん…」


どっちの方角?(コンマ) 直下
00~49 北
50~99 南

35: ≫1 2015/06/11(木) 22:37:10.01 ID:fZ4Hl+lE0
長波「よっしゃ!」

舞風「また負けたぁ…」

榛名「では北の方角に向かう、と言う事で良いですね?」

蒼龍「異論は無いわ。」

402「では行くか。各自自分の機体に乗れ。」

《道中》

瑞鳳『山に沿って北上するだけ、ね。やっぱり退屈…』

榛名「移動を始めて2時間、と言った所でしょうか。流石に変わり映えしない景色はちょっと…」

舞風『敵が来たー、なんてなっても困るけどそろそろ地上に降りたいよー。』

野分『空港か何かあれば降りるのに丁度良さそうだけど…』

陽炎『何で空港?』

野分『空港なら航空燃料くらい残ってそうじゃない。』

402『いや、ベースジャバーの燃料は通常の航空燃料と異なる。意味は無いぞ。』

蒼龍『そんな事したらベースジャバー壊れるでしょ。』

野分『えぇ… って陽炎、操縦がブラついてるわよ?』

陽炎『ちょ、待って… 嘘、燃料そんなに残ってないじゃない!?』

榛名「着陸出来そうな地形は…」


着陸可能場所は? 直下
1.渓谷
2.軍事基地
3.空港
4.その他

38: ≫1 2015/06/11(木) 23:18:04.29 ID:fZ4Hl+lE0
蒼龍『あった。10キロ先に空港!』

瑞鳳『結構大規模な空港ね。最悪ここでジャバー捨てて飛行機かっぱらいましょうか。』

陽炎『誰が飛ばすの?』

瑞鳳『シュミレーターくらいはやったときあるから任せなさいって。』←航空専攻

402『いや、お前はフェネクスに乗ってろ。私が操縦する。』

榛名「操縦経験は?」

402『無い。だが航空機の運用ならしてたことはある。』

舞風『取り敢えず降りてみてからだね。』

蒼龍『あれ、そしたらギャンは?』

402『放棄だ。もう既にガタが来ている、戦闘で使うには少し心許無い。』

野分『そんな…』

402『代わりにデルタカイの複座に乗って貰う。異論は無いな?』

野分『…了解。』


《空港》

瑞鳳「やっぱ地上は良いなぁ…」

蒼龍「物資は色々ありそうね。空港だから。」

榛名「物資があったところで輸送手段が無いと…」

長波「使えそうな飛行機は有り余ってそうだがな。」

龍鳳「取り敢えず探索してみましょう。」


イベント 直下

40: ≫1 2015/06/12(金) 00:07:44.34 ID:oB4SXZXQ0
《格納庫 地下・匿秘ドッグ》

野分「なんでこんな所に… 山の中よ?」

陽炎「これは… 地下ドッグ?」

舞風「船だ… これ、空母じゃない…?」

402「合致する形状はただ一つ… 瑞鳳を呼んでくる。」


瑞鳳「何か頭痛い…」

蒼龍「寝不足?」

瑞鳳「そう言うわけじゃありませんけど…」

榛名「休んだらどうです?」

瑞鳳「じゃあお言葉に甘えて…」

402「瑞鳳、ちょっと来い。」

瑞鳳「ごめん、ちょっと頭痛いから…」

402「その痛みの原因があった。」

瑞鳳「は…?」

402「良いから来い。」



瑞鳳「これってもしかして…」

402「『航空母艦 瑞鳳』。お前の前世だ。」

瑞鳳「何で… うぐっ…!」

舞風「ど、どうかしたの!?」

402「共鳴だ。こいつはこの『瑞鳳』の転生体、『過去の自分』と共鳴する事でその艦の記憶が蘇る。

以前、坊ノ岬沖で一部の記憶は蘇っていたが全て思い出した訳じゃない。完全に記憶が蘇ったのは浜風だけだ。」

野分「陽炎型・浜風の…」

陽炎「じゃあ私の姉妹艦って事…?」

402「ああ。初風やお前達は似ているが浜風は全然似て居ない、恐らく艦娘と転生体だと差が出るのだろうな。」

陽炎「どんな子なの?」

402「チーム・エンガノは全員が異質な存在、それぞれ何かに特化した能力を持つ。その中でも瑞鳳や飛龍、吹雪と並ぶトップクラスに異質な存在だ。

能力は戦術指揮、どんな不利な戦力だろうと自軍に被害を出さず敵を壊滅させられる。ついでに胸もデカイ。」

陽炎「そ、そう… で、放置しても大丈夫なの…?」

402・舞風・野分「あ…」

瑞鳳「」ドサッ

402「気絶した…」

野分「心拍に乱れは無い… 運んでおきましょう。」


さらにイベント 直下

42: ≫1 2015/06/12(金) 01:37:44.65 ID:oB4SXZXQ0
《地下・匿秘ドッグ》

長波「で、私達全員の艦… 魂の元があったのか。」

アポリア「その結果が…」

榛名「」ドサッ

龍鳳「」ドサッ

瑞鳳「」チーン

402「この転生体共は…」

舞風「転生体ってある程度記憶を持つ艦娘と違って完全に記憶が無いから、記憶蘇る時相当頭痛するみたいだね。」

野分「でも龍鳳さんは艦娘では…」

陽炎「多分アレじゃない?異世界の艦娘だから製法も違うと思うし記憶が完全にゼロだったとか?」

蒼龍「その可能性はあるわね。にしても、まさか第二次世界大戦で使われた艦がこんな所で修復されてたなんて…」

舞風「この場に居ない初風たちの船体もあるし、『空母・天城』とかもある…」

長波「と言うか、お前も転生体だろ。何で頭痛がしないんだ?」

402「私はメンタルモデルだ。転生体じゃないし人間ですら無い。」

陽炎「え、嘘… 霧なの!?」

402「今更か… 改めて自己紹介してやろうか?」

蒼龍「いや、その前に瑞鳳と榛名ちゃん運んで。流石に私じゃ龍鳳さん一人で限界。」

402「わかった。」



《『航空母艦・蒼龍』 艦内》

蒼龍「…成る程ね。」

402「何かわかったか?」

蒼龍「艤装システムの一種よ。肉体と船体の神経をオカルトなバイパスで繋いで、船体を操作するって仕組み… メンタルモデルに近いわね。

どうやら船体はレプリカ… だけどオリジナルの『魂の残滓』、一部の残骸を用いてるから『転生体』は共鳴しちゃうみたい。」

402「動かせるか?」

蒼龍「『調整』が必要ね。今の私じゃ動かせないけど、然るべき処置を施せば動かせるわ。」

402「そうか… しかしマニュアルまで完備してるとは僥倖だった。」

蒼龍「ま、動かせ無いんじゃしょうがないわ。それに持って帰れそうに無いし。」

402「土産はバンシィとデルタプラスで充分だ。」


さらにイベント 直下
(ただし艦については無し)

44: ≫1 2015/06/12(金) 02:45:31.61 ID:oB4SXZXQ0
《倉庫》

長波「いかにも怪しい倉庫だな…」

龍鳳「ええ。完全な状態の飛行機が無いので倉庫にパーツがあるかと思いましたが…」←目が覚めた

陽炎「ここ、一般空港なんかじゃなくて軍事用の基地だったんじゃない?」

龍鳳「可能性は… 何ですか、これ?」

榛名「コンピュータ?でも私も扱ったことの無いものですね。」

陽炎「モニターが複数、変な数値ばっかりね。」

長波「英語ばっかり… 読めねぇ…」

龍鳳「見せてください。…これは、アセンブリ言語ですか?」

榛名「私の知ってるアセンブリ言語とは少し違うみたいですね。」

陽炎「アセンブリ言語?」

榛名「機械語を人にわかりやすい形へと変換する言語、と言えば良いのでしょうか…

取り敢えず調べてみましょう。」

カタカタ…

陽炎「何やってるの?」

長波「さっぱりわからん。」

龍鳳「恐らくここは…」

榛名「でもここ弄ると…」

龍鳳「じゃあこの部分を…」

陽炎「ん、これってヘッドマウント?」

長波「それっぽいな。」

龍鳳「…このシステムの正体、わかったかもしれません。」

榛名「恐らく脳に干渉するものだと…」

長波「なんでわかんだよ…」

榛名「直感です。あ、これはプログラムの名称…?」


何のシステム? 直下
1.ゼロシステム
2.フラッシュシステム(対応機:Gビット)
3.その他

46: ≫1 2015/06/14(日) 02:18:22.22 ID:tmHdMfCE0
榛名「『Zoning and Emotional Range Omitted System』…」

龍鳳「直訳すれば『領域化及び情動域欠落化装置』と言う所、でしょうか?」

瑞鳳「うぅっ… 酷い目にあった…」

榛名「あ、瑞鳳さん。大丈夫ですか?」

瑞鳳「何でこの二人がケロっとしてるのかわからない…」

長波「だってお前と違ってこの二人10秒未満で気絶したからな。」

陽炎「しかも回復早いし。」

瑞鳳「どうせ耐久力バカで回復遅いタイプですよーだ…」

榛名「あ、あははは… あ、瑞鳳さん。このシステム知ってます?」

瑞鳳「『Z.E.R.O.system』… あっ…」(察し)

龍鳳「えと、知ってるのですか?」

瑞鳳「…情報分析と状況予測を行い、毎秒毎瞬無数に計測される予測結果をコクピットの搭乗者の脳に直接伝達するインターフェースです。」

長波「何で知ってるんだよ…」

瑞鳳「アニメだよ… ガンダムシリーズの『新機動戦記ガンダムW』に出てきた『ウイングガンダムゼロ』と『ガンダムエピオン』、その他系列機体に搭載されてる。」

陽炎「一体ガンダムって何種類あんのよ…」

瑞鳳「全部含めて200近いんじゃない?なお現在も増え続ける模様。」

榛名(ガンダムって初代から40年近い作品なのに何で人気なのでしょうか…)

瑞鳳「外伝とか発展しすぎなのよねぇ… ゼロシステムだけでも何種類かある疑惑あるし。」

龍鳳「と言うと?」

瑞鳳「ゼロシステムver2.0とVer2.5とか。2.0は完全な欠陥だけど。システムそのものが欠陥品だから仕方無いとは言え…」

陽炎「欠陥?」

瑞鳳「まぁ暴走するか死ぬか、完全に制御できるかの3つに1つね。使いこなせれば強力、多分NT-Dクラスに。」

龍鳳「うわぁ…」

瑞鳳「まぁNT-Dも似たようなもんですから。現にパイロット死んでるのにフェネクスとか勝手に暴走してますし。」

陽炎「アンタなんてモンに乗ってんの…」

瑞鳳「一応暴走しないように改修はしてあるから大丈夫、だと思いたい。最悪榛名さんに止めてもらうから大丈夫でしょ。」

榛名「えぇ…」

瑞鳳「取り敢えず持って帰るろうかな、使えそうだし。」

47: ≫1 2015/06/14(日) 02:55:01.59 ID:tmHdMfCE0
瑞鳳「飛行機はどうだった?」

402「飛べそうな機体は少ない、それに航空機燃料なんて雀の涙程度しか残って無い。」

蒼龍「どうしましょう…」

402「ただ何故かMS用、しかも連邦製の燃焼剤があったから補給は出来た。ベースジャバーには補給出来無いが。」

陽炎「何でまた…」

402「知らん、私の管轄外だ。後調べて無いのは向こうにある第4~6までの格納庫だけだな。」

アポリア「第1~3までは何があった?」

402「第1には整備不良と経年劣化で飛べそうに無い『ボーイング747』、2には形状不明で風化してる機体、第3は燃焼剤がモビルスーツ5機分。

ギャンは規格が違うから補給はしていない。」

野分「」ガーン

舞風「そりゃぁ、ねぇ…」

長波「ベースジャバーに補給はしないのか?」

402「場合によってはここで戦闘になりかねない。燃焼剤は取っておく必要がある。」

龍鳳「現実的、ではありますね。」

瑞鳳「空港の中は備蓄の類はいっぱいだったよ。」

402「一旦ここで班を3つに分ける必要があるな… 調査も難航してきた。」

瑞鳳「メンバーは10人… 3人×2と4人班にしましょう。そして各班MSは最低1機は配備しとかないと襲撃時に大変な事になる。」

榛名「ではメンバーは…」


探索メンバー ↓3まで

選択可能メンバー:野分・舞風・長波・陽炎・龍鳳
(ただし『野分』を選択した場合『舞風』は選択不能、『舞風』を選択した場合『野分』は選択不可能)

51: ≫1 2015/06/14(日) 15:45:33.81 ID:tmHdMfCE0
榛名「こんな感じですかね?」

・第一班 榛名・舞風・陽炎・龍鳳(バンシィ・ノルン、デルタプラス)
・第二班 瑞鳳・アポリア・長波(フェネクス)
・第三班 蒼龍・402・野分(デルタカイ、ギャン)

龍鳳「第1班が過剰戦力な気が…」

402「いや、人数が多い分過剰では無い。それに瑞鳳なら素手でモビルスーツくらい倒せるだろ。」

瑞鳳「いつも思うんだけど私の認識って一体何なの?」


野分「深海棲艦素手で叩きのめす何か」
舞風「チートとバグの申し子」
蒼龍「THE・クラッシャー」 


瑞鳳「」ガーン

陽炎(今さらっと最後に下が聞こえた様な…)

瑞鳳「倒せない事も無いだろうけどさ…」

長波「倒せるのかよ!?」

アポリア「ではどの班がどこを調査するのだ?」

龍鳳「探索場所は『格納庫』『空港周辺』… あとは『匿秘ドッグ』ですかね?」

瑞鳳「じゃあ第1班から決めてください。」

榛名「では…」


どこを調査? 直下
1.格納庫
2.空港周辺
3.ドッグ


54: ≫1 2015/06/14(日) 16:08:42.57 ID:tmHdMfCE0
榛名「では私達は格納庫を調べたいと思います。良いですか?」

龍鳳「私は構いませんよ?」

陽炎「問題無し。」

舞風「賛成。モビルスーツあれば作業できるし。」

瑞鳳「じゃあ私達はドッグの調査、蒼龍さん達は周辺の調査をお願いできますか?」

蒼龍「了解。こっちのモビルスーツは片方複座で可変機体だから丁度良いわ。」

402「いざとなったら通信を入れる。その時はモビルスーツは防衛、他はベースジャバー内の武器を持って支援だな。」

長波「私と榛名で見つけたロケランやら何やら持って来てるからな。」

陽炎「一応それぞれ艤装は持って歩いた方が良いかも。奇襲のときに役立ちそうだし。」

野分「あと無線用にも使えるから丁度良いわね。」

瑞鳳「取り敢えず終わったらこの場所に一旦集合して報告会ね。」


《第4格納庫前》


榛名「では調べてみましょう。」

龍鳳「扉は… 錆びて開きそうに無いですね。」

榛名「舞風さん、お願いします。」

舞風『はーい。』


グググ… ガァン!


陽炎「まぁ、そりゃデルタプラスで壊したほうが早いか。」

榛名「バンシィでも良かったですけどちょっと頭痛がまだ残ってるので…」

龍鳳「では調査を始めましょう。」

榛名「どうやら企業で借りていた格納庫みたいですが…」


あったものは? 直下

58: ≫1 2015/06/14(日) 22:15:02.70 ID:tmHdMfCE0
舞風『うげっ…』

陽炎「うっわぁ… これまたショッキングな…」

榛名「脳、ですね… しかもかなり大きな…」

龍鳳「ぉぇっ…」

榛名「大丈夫ですか?」サスサス

龍鳳「すみません、慣れて無いもので…」

陽炎「いや、誰もこんなショッキングなモン慣れて無いから。」

舞風『でもこの脳みそ一体なんなの?』

榛名「恐らく何かしら…」

ゴゴゴ…

全員「!?」

龍鳳「ゆ、揺れ!?」

陽炎「ちょ、何よ!?」

舞風『ち、地下から反応が…』

榛名「まさか…!」


ズシン…!


舞風『モビルスーツ!でも機種は…』

榛名「私にもわかりません、でもアレをモビルスーツに乗せてはいけない気が… バンシィ!」ピキィン


スガァァァン!


陽炎「脳みそ弾きとばした!?」

榛名「危なかった…」

龍鳳「オロロ…」

榛名「あ…」

舞風『流石にこの弾けとんだ脳みそはリバースしたくなるねぇ…』

陽炎「で、この機体どうするの?」

榛名「取り敢えず確保で。あ、コックピットブロックもありました。」

舞風「じゃあこれ元は無人機用だったの?」

榛名「恐らく、ですが… 多分あの脳が動かす機体だったのだと思います。」


榛名は『???』を手に入れた。

59: ≫1 2015/06/14(日) 22:23:28.64 ID:tmHdMfCE0
榛名「どうやらこれは『バイオ脳』と言うみたいです。」

龍鳳「ちょっとした自意識を持つ人工知能の様なもの、と考えれば良いのでしょうか。」

舞風『取り敢えずこの機体は運んじゃおう、』

陽炎「それが一番ね。見たところかなり戦力の強化に使えそうだし。」



《第5格納庫前》


榛名「ここは空き格納庫、どこも使って無かったみたいです。」

龍鳳「扉は… ここも錆びて開きそうに無いですね。」

陽炎「舞風、やっちゃいなさい。」

舞風『とりゃぁ!。』


グググ… ガァン!


陽炎「この手に限るわ。」

榛名「まぁ、そうですね。」

龍鳳「では調査を…」

榛名「今度はショッキングなものじゃないと良いですね。」


あったものは? 直下

 

63: ≫1 2015/06/14(日) 23:18:36.63 ID:tmHdMfCE0
陽炎「またこりゃグッチャグチャな…」

榛名「混沌とし過ぎて何がなんだかさっぱり…」

龍鳳「用途不明の機械ばかり、こんなに見つかっても意味はありませんね…」

舞風『そりゃ邪魔なだけだし。』

榛名「小型ロボットのアクチュエーターとか変なプロペラだとか見つかったところで…」

龍鳳「これなんですか?」

陽炎「えっと、何これ…」


龍鳳の見つけた用途不明の機械 直下

65: ≫1 2015/06/14(日) 23:45:11.72 ID:tmHdMfCE0
榛名「ペットロボの類でしょうか?えっと電源は…」カチッ

ハロ「ハロ、ゲンキ。」

龍鳳「ペットロボ、ですね。」

舞風『ハロじゃん。』

榛名「知ってるのですか?」

舞風『ガンダム世界のペットロボだよ。多分U.C.世界のヤツで再生産されたヤツだと思う。』

龍鳳「ハロ、ですか… 何と言うか、愛らしい…」

榛名「龍鳳さん、それ要ります?」

龍鳳「はい、是非欲しいです!」

ハロ「ヨロシク、リューホー。」

龍鳳「よろしくね、ハロ。」


《第6格納庫》

陽炎「今度こそマトモなものがあると良いわね。」

榛名「第5格納庫は正直ガラクタばかりでしたから…」

舞風『じゃあやっちゃうねー。』

龍鳳「お願いします。」

ハロ「ヤッチャエ、ヤッチャエ。」




あったものは? 直下

67: ≫1 2015/06/15(月) 00:36:22.97 ID:kOobcNTP0
舞風『って空っぽじゃん!?』

ハロ「カラッポ、カラッポ。」

龍鳳「いえ、コンピュータと何か大型の機械が…」

榛名「よし、生きてる…」カタカタ

陽炎「この機械、3Dプリンターか何か?」

龍鳳「3Dプリンター?」

舞風『立体的な造形する機械の事だよ。例えばパソコンで造形して、それを3Dプリンターを使えばその形のものを作れるの。』

龍鳳「成る程…」

榛名「これは設計図のデータですね。ただ…」

陽炎「ただ?」

榛名「モビルスーツ、それも試作型の機体ばかり…」

舞風『例えば?』

榛名「サルベージ出来て使えそうなものだとこれくらいです。」


・MSZ-006C1 ZプラスC1
・MSR-100 百式改
・AMX-107R リバウ



陽炎「他は無かったの?」

榛名「あるにはあります。ただ『ガンダム7号機』や『GP01』などバンシィやデルタプラスなど他の機体に比べて性能が劣るもの、『キュベレイ』や『ハンマ・ハンマ』などサイコミュを用いる為に扱いが困難なものが多いみたいです。」

舞風『でもリバウってサイコミュじゃ…』

榛名「これは多分無線操作化しただけでサイコミュはオミット可能みたいです。通信を妨害するミノフスキー粒子が無いこの世界では多分サイコミュ無しで使える筈です。」

龍鳳「もしかしてこれ、その試作機を生成できるのでは?」

榛名「やってみます。でも機体は…」


機体選択 直下
1.ZプラスC1
2.百式改
3.リバウ
4.その他(ただし試作機でU.C.0096までの機体)

69: ≫1 2015/06/15(月) 00:50:26.21 ID:kOobcNTP0
ハロ「ハロ!」ピョン

龍鳳「あ、こら!」

榛名「暴れないで…」

カチッ ウィィィン…

全員「あ…」

陽炎「スイッチ、入っちゃった…」

榛名「え、えと何の機体に… 『百式改』…?」

舞風『何、なんでこんなにデルタ系の機体ばっかなの?』

榛名「そんなぁ…」

龍鳳「あ、あの、どうかしましたか…?」

榛名「移動する事含めればリバウかZプラスが有用だったのに…」

陽炎「あ、確かに…」

舞風『でも、もう完成しちゃった…』

陽炎「はやっ!?」

榛名「…まだ機械は生きてるみたいです。もう一度、今度は可変機を…!」

陽炎「あ、材料切れたみたい。」

榛名「」ガーン

ハロ「ハルナ、ゲンキダセ」

龍鳳「ハロ、多分貴方が言っても逆効果です…」


《その後、滑走路》

榛名「それで私達の収穫は…」

瑞鳳「うん、見ればわかります。」

402「『アマクサ』と『百式改』か。まぁ、上等な機体じゃないか。」

蒼龍「あとはハロってペットロボか… まぁ、無いよりはマシかな?」

402「しかもMSを生成できる機械か。後で回収しよう。」

瑞鳳「ってなると大型の輸送出来るものが必要になるね。」

龍鳳「あの、私この世界の艦娘ですから『龍鳳』に搭載すると言うのは?」

402「それが良いな。色々持ち出すのに使ってみるか。」

71: ≫1 2015/06/15(月) 22:26:35.35 ID:kOobcNTP0
402「そう言えばバイオ脳についてだが…」

瑞鳳「何か分かったの?」

402「ああ。あれは『最終兵士』だった。」

蒼龍「『最終兵士』?」

402「初代ガンダムこと『RX-78-2 ガンダム』のパイロット『アムロ・レイ』… その戦闘データを扱えるように調整されたバイオ脳が『最終兵士』だ。」

榛名「榛名がアマクサに搭載される前のバイオ脳を破壊したのは…」

402「アマクサのプログラムを確認したら識別信号の有無に関わらず攻撃するように設定されていた。恐らくあのままではデルタプラスに襲い掛かって一瞬で舞風は死んでる。」

蒼龍「ちょっと待って、なんでアレがそんなもの扱えるの?」

402「バイオ脳は作られた直後はまっさらな状態、言わば赤ん坊の脳と同じだ。そして戦闘シュミレーションを『アムロ・レイ』のデータを使って行わせる。

無論何度も、恐らく数百や数千は失敗するだろう。しかし完璧にそのデータを使えるようになったら?それはもう、『アムロ・レイ』の完全なコピーだ。」

龍鳳「では心を持たないものが…」

402「そう言うことだ。歴代最強と言われる反応速度を持ち、躊躇無く引き金を引ける…

だから最終兵器ならぬ『最終兵士』だ。」

舞風「あれ、そんなにヤバイもんだったんだ…」

蒼龍「最終兵士の起動を阻止してアマクサが手に入った、これで結果オーライって事で。」

瑞鳳「問題はアマクサと百式改に誰が乗るか、ね。」

402「適任はアマクサが陽炎、そして野分に百式改だ。」

陽炎「え、私?」

402「ベースジャバーの操縦をしていただろう、多分大丈夫だと思う。それに野分もギャンの経験を活かせるからパイロットは続投。」

蒼龍「あれデルタカイはどうするの?」

402「輸送は龍鳳がやってくれる、なら私が続投しよう。」


《その夜》

榛名「…」

榛名(バイオ脳… あれだって、非道なもので…)

榛名「この世界は… 何で平然とあんな非人道的な事が…」


夜会話イベント 直下
1.野分
2.陽炎
3.長波

73: ≫1 2015/06/16(火) 00:26:11.35 ID:SFdtfsnb0
陽炎「やっほ。何してんの?」

榛名「陽炎さん… 少し、考え事を…」

陽炎「昼間の脳みそ?」

榛名「それ以外にも、研究所の事や色々…」

陽炎「まぁ、あんだけショッキングなもんばっかあったら考え込みたくもなるわね。」

榛名「咄嗟に破壊してしまいましたが、あれにも一応自意識はあった… なのに私は…」

陽炎「榛名がやった事は間違いじゃない。」

榛名「でも…!」

陽炎「アンタがやんなかったらアマクサが起動して、舞風を殺してた。だからアンタは舞風の命を救ってる。

自分が生き残る為に分かり合え無い敵を殺すのは間違いなの?」

榛名「…」

陽炎「私は、私達艦娘は数え切れ無い程深海棲艦を殺してる。必死になって自分が生きる為に、『前の肉体の主』が守ろうとしてた物を守る為に。

それは間違ってる事なの?」

榛名「間違ってはいませんが…」

陽炎「だったらアンタのやった事も間違いじゃない、間違ってたのはあんなモン作った連中よ。」

榛名「そう、ですね… 何だかモヤモヤが少し取れた気もします。」

陽炎「なら良かった。否定されてたら私達の立つ瀬が無いもの。」

榛名「戦う為に生まれた、ですか…」

陽炎「知ってるのね、艦娘について。」

榛名「はい。私も艦娘だった妹が居ますし、瑞鳳さんの御両親が引き取った艦娘の皆とは仲良くしてますから。」

陽炎「妹、ねぇ… 知り合いかもね。」

榛名「阿武隈、幌筵のエースだった軽巡洋艦だと聞いています。」

陽炎「ええっ!?」

榛名「どうかしました?」

陽炎「えっと、一時的に直属の上司だったと言うか何と言うか…」

榛名「どんな感じでした?」

陽炎「オドオドしてるように見せかけて実は超ストイックだったわね…

天国はあるか、って誰かが言った質問に『天国は知らないけど、地獄はあると思うよ。ないと困る。あたしたちはそこに行くんだ』とか。」

榛名「そう言うところありますね、言われてみれば…」

陽炎「でも情が厚くて、強くて… 慕われてたってのが印象ね、私は。」

榛名「曙さんと言う事が同じで、阿武隈は慕われていたのですね。」

陽炎「曙…? ってまさかあの『曙』!?」

榛名「知ってるのですか?」

陽炎「ええ、同僚だもの。ただ上司に反発するわ、問題は引き起こすわ… 色んな意味で有名だったわ。」

榛名「そんなに…」

陽炎「何かあると食って掛かってくるし、その癖一人ぼっちは嫌いで泣き虫だし… 私が駆逐隊の嚮導やってるときは少しはマシになったけど。」

榛名「そうだったんですね。帰ってから本人に直接問いただしてみましょう。」

陽炎「止めときなさい、殴りかかられるわよ。」

75: ≫1 2015/06/16(火) 22:34:31.90 ID:SFdtfsnb0
翌日…

瑞鳳「さぁて、今日次元転移装置の修復が終わる筈だけど…」

蒼龍「今402が確認してるわ。でもちょっと問題ありそうね…」


《デルタカイ コックピット》

402「何?次元の穴の座標を指定出来無い?」

ヒュウガ『ええ。次元の穴自体の生成は可能、でも座標は前回の位置… 沖合いから30キロの場所にしかセットできないわ。

さらに問題がもう一つ、アンタ達が深海棲艦って呼んでる化け物が次元の穴に惹かれて大量に湧いてるみたい。』

402「そこを突破しない限り…」

ヒュウガ『アンタ達は帰って来れない。だからアンタ達にちょっとしたプレゼントを贈るわ。』

402「プレゼント?」

ヒュウガ『アンタに搭載されてた小型の次元転移装置、あれをこっちでユキカゼに搭載しておいたわ。小型の次元転移装置なら座標の指定は自由に出来る…

だからアンタ達が海に出た直後に400とユキカゼをそっちに送って、合流出来るようにする。』

402「では400とユキカゼの助力で突破する、と?」

ヒュウガ『それだけじゃないわ。400にアンタのチーム全員、それとちょっとしたオマケを乗せて飛ばす。』

402「オマケ… もしや…」

ヒュウガ『アイツらいきなりハシラジマに押しかけてきて「助けに行くなら行かせなさい」ってせがんできてね…』

402「…榛名や野分も、恵まれているな。」

ヒュウガ『絆、ってやつね… 洋上に出たら連絡なさい。その座標に2隻を送るわ。』

402「頼んだ。」


陽炎「どうだった?」

402「現状で装置は修復し終えている。だが指定海域に深海棲艦が多数存在する事で次元転移は困難だ。」

長波「アイツら… どんだけ迷惑な存在なんだ…!」

402「だが増援の目処は立った。ユキカゼと400を小型の転移装置を使って送ると連絡があった。」

アポリア「転移装置の座標は固定なのでは無いのか?」

402「それは大型のものだ。小型ならば自由に設定できる。

増援は霧の艦艇『ユキカゼ』と『イ400』、そして艦娘が多数と言ったところだ。」

野分「…艦娘で残っているのは飛龍さんと大鳳さんだけでは?」

瑞鳳「えっとね、拉致被害者救出作戦の時に研究所から全員分の適合する艤装かっぱらったの。」

蒼龍「空母多目な感じだけど一応全員訓練は重ねてるから戦力としては優秀よ。」

舞風「何、全員『転生者』だったの!?」

榛名「聞いてる限りではそうなりますね…」

402「以上が報告だ。龍鳳、お前の艦に物資を運び入れ次第動くぞ。」

龍鳳「は、はい!」

ハロ「ガンバレ!ガンバレ!」

76: ≫1 2015/06/16(火) 23:40:01.38 ID:SFdtfsnb0
榛名「龍鳳さん、少し良いですか?」

龍鳳「は、はい!」

榛名「もし私達がこのまま元の世界へと帰還した場合、貴女は一人になってしまう…

だからあの時貴女にシェルターで聞いた質問、その答えは出ましたか?」

龍鳳「…正直、まだ答えは出せていません。あのシェルターには、まだまだ思い出を残しているので…」

榛名「そうですか…」

龍鳳「でも、お父さん以外の人と関わりを初めて持って… お別れが寂しいと、もっと色んな事も知ってみたいと思いました。

でもそこで私がやっていけるのか、何か出来るのかと考えると怖くて… だからそれで迷って…」

榛名「大丈夫ですよ。何かあれば私が守ります、だから共に行きましょう。」



陽炎「うっわぁ、何あの大胆告白…」

野分「そう言う事躊躇いも無く言うから、あの人…」

舞風「野分もたらしの癖に何言ってんの。」

野分「え?」

長波「お前もだ、陽炎。いきなり大好きとか言って抱きつくようなお前が言える事か?」

陽炎「うっ…」

瑞鳳「もしかして二人共天然たらし…?」

蒼龍「いや、瑞鳳ちゃんも人の事言え無いから。」

瑞鳳「わ、私も!?」

402「自分が何人と同時に付き合ってるか考えてから言ってみろ。」

舞風「このたらしトリオは…」

ハロ「タラシ!タラシ!」



77: ≫1 2015/06/17(水) 01:14:42.92 ID:bDOMhHU60
《『航空母艦 龍鳳』 甲板 洋上》

龍鳳「まさか山中から海まで繋がっているなんて…」

瑞鳳「海までわざわざ道作ってたことに驚きだよ。何でこんな無駄技術が発展してるのか問いただしたいくらいに。」

蒼龍「まぁまぁ… 402、そっちのほうは?」

402「今座標を送った。間もなく到着する。」

野分「ちゃんと来れるのかしら…」

舞風「あ、あれ!」

長波「青い光…」

陽炎「綺麗…」

アポリア「光が船の形になていく…」

榛名「どうやら、無事に到着できたみたいです。」

ユキカゼ『こちらエンガノ10、駆逐艦ユキカゼ。潜水艦イ402、応答を。』

402「聞こえている。今はお前が旗艦か?」キィン

ユキカゼ『イセに一時的に委譲されました。』

402「他の連中は?」

ユキカゼ『400に乗っています。私に乗ってるのはお姉ちゃんと浜風、吹雪だけです。』

瑞鳳「じゃあ一旦ユキカゼちゃんのところに行きましょう、」

402「了解した。400の連中も全員集めろ。」


《『駆逐艦ユキカゼ』 甲板》

吹雪「もう、こんな世界で一体何やってたんですか!」

瑞鳳「ごめんごめん。連絡しないままどっか行っちゃってて。」

浜風「ヒュウガさんから連絡貰って驚きましたよ。せめて一言ぐらいは欲しかったです。」

ユキカゼ「そうです。ハシラジマまで最大速力で行って即改修、そしていきなりテストも無しに次元転移なんて… しかも今週末は私の番だったのに…」

瑞鳳「ホントごめん!埋め合わせはちゃんとするから!」

長波「ちょっと聞きたいんだけど、瑞鳳って誰と付き合ってんの?」

蒼龍「全員よ。人間、メンタルモデル、艦娘、強化人間見境無しに。 同性婚と重婚法案が施行されたから正式にプロポーズまでかまして。」

402「とんだ人たらしだよ、アイツは。」

長波「えぇ…」(困惑)

愛宕「あら…」

陽炎「えと、私の顔になにか?」

愛宕「ううん。ねぇ、お姉ちゃんって呼んで… ゲフッ!?」ドサッ

ユキカゼ「被害者は…」無言の手刀

瑞鳳「もう出さない…!」無言の手刀

愛宕「」チーン

蒼龍「言ったでしょ、全員変わり者だらけだって。」

榛名(今まで愛宕さんは結構普通の人だと思っていましたが…)

野分(全員常識って言葉をかなぐり捨ててるから仕方ありません…)

陽炎(私的には船舶振動試験みたいに揺れる胸のせいでインパクトが…)

龍鳳(冗談半分で聞いていましたがこれは本当でしたね。)

78: ≫1 2015/06/17(水) 01:59:04.71 ID:bDOMhHU60
浜風「では作戦概要を説明します。

まずMSはデルタカイとデルタプラスは空中の敵の迎撃、残りの機体は『龍鳳』で砲台の代わりを。ただし瑞鳳さんは艤装を付けて出撃を。」

瑞鳳「フェネクスはどうするの?」

402「私がやろう。NT-Dは使え無いが砲台にはなる。」

蒼龍「じゃあデルタカイは私だけね。」

浜風「申し訳ありませんがお願いします。そして残りの艤装保持者は400に移ってください。」

長波「って言っても私だけだがな。」

浜風「対空は全てMSに任せます。残りは対潜警戒を厳に、何があるのかわからないので。」

龍鳳「は、はい!」

浜風「残りの艦娘は周囲の警戒を。そして戦闘になった際は前衛に展開し、一点突破を目指します。

以上で説明終了です。後は各自の奮闘を。」

402「おっと、榛名とまいのわコンビ、それに龍鳳と陽炎に長波は一度400に行け。」

榛名「?」


《イ400 艦内》

初風「ったく… どんだけ心配かけんのよ!」

野分「仕方無いじゃない、事故だったのよ。」

初風「ハシラジマに戻ったら真っ先にお母さんに謝りなさい。本当に泣きそうだったんだから…」

舞風「まぁ、そりゃね…」

朝潮「ハシラジマに無事に連れて帰るのが私達の役目です。」

秋月「私達は前面に展開するのでお任せください!」

如月「久しぶりの戦場ね… ブランクはあるけど足手まといにはならないわ。」

清霜「みんな清霜がやっつけてやるもん!」

榛名「頼もしいです。」

曙「まさかもう一度アンタと顔を合わせるなんてね、たらしの陽炎。」

陽炎「残念だけど私が居ないからって戦場で泣かないでよ?」

曙「な、何言ってんの!?」

陽炎「私はアマクサのパイロットだもの。前衛は出来無いわ。」

曙「そうじゃない!誰が泣くかっての!」

陽炎「どうかしらねぇ…?幌筵に居た時なんて訓練で毎日泣きそうになってた癖に。」

阿武隈「棚上げは良く無いよ。」

陽炎「あ、阿武隈さん!?なんで…」

阿武隈「そりゃ榛名姉さんの妹だし。自分なんて毎日お魚に餌あげてたんだから棚に上げないの。」

陽炎「あ、あれは訓練が…」

阿武隈「言い訳無用。それとも私の訓練が駄目だったのかな?」

陽炎「そ、そう言うわけでは…」

長波(鬼神・阿武隈、とは言ったもんだ… 訓練なんて何人ゲロったか数えられないし。)

阿武隈「そこの長波ちゃんも。敢えて影に隠れて出ようとしてないのわかってるんだからね。何なら長波ちゃんの過去も暴露するよ。」

長波「す、すみませんでした!」

如月「で、そこのお母さんのそっくりさんは?」

榛名「あ、龍鳳さんと言います。皆さん、仲良くしてあげてください。」

龍鳳「こ、こんにちは!龍鳳です!」

朝潮「よろしくお願いしますね。」

79: ≫1 2015/06/17(水) 22:56:51.40 ID:bDOMhHU60
夕雲「間もなく敵領域に突入します。」

夕張「じゃあ私達は格納庫に行くね。」

400「夕雲に夕張さん、武運を。イク、警戒を厳に。対MS戦闘の想定して。」

イク「いきなり無茶言うななのね!?」

400「唯一出無いんだからそれくらいやりなさい。」

ユキカゼ『対潜ロジックは『タカオ』のデータを流用します。400、データリンクを。』

400「了解。」


翔鶴「実戦なんて…」

瑞鶴「大丈夫だよ、翔鶴姉。なんとかなるって。」

大鳳「ええ、訓練無しの即実戦でも私はやれましたから。」

飛龍「いざとなったら私がフォローするから大丈夫よ。これでも実戦経験だけなら多いし。」

吹雪「よしっ、私も頑張らないと…!」

愛宕「自信持っておかないと後で潰れちゃいますよ、翔鶴さん。」

翔鶴「逆に何でそんなに平然と出来るんですか、愛宕さん達は…」

瑞鳳「伊達に修羅場は潜ってませんから。」

阿武隈(この人達、一部を除いて目が据わってる… まるで実戦を恐れてない…)

曙「何考えてるか知らないけど、コイツらにまともな思考を期待しちゃ駄目よ。」

朝潮「正直曙の言葉を否定したい気持ちはありますが、悔しいけどその通りなので…」

初風「そりゃ全員理不尽が服着て歩いてるようなもんだもの。」

如月「特に姉さんと浜風さん、吹雪さんの3人は…」

阿武隈「どう言う事?」

秋月「深海棲艦の泊地を生身で殲滅する、霧の大戦艦1隻を指揮して1個艦隊を全て撃沈する、少しの努力だけで世界トップに上り詰める…」

清霜「理不尽、としか言い様が無いよねこれ。」

長波「特に前者二人はな。」


402『そちらはどうだ?』

榛名「コーティングは終わりました。」

野分『何故こんな事を…』

402『木製甲板でブーストしてみろ、燃えるぞ。』

舞風『だから耐熱コーティングしてたんだ。』

402『あとナノマテリアルで一部を覆って限定的な強制波動装甲を展開しておいた。これなら多少のダメージは防げる。』

陽炎『そう言う事ね。モビルスーツ、相手も出してくるかしら?』

402『少なくとも「ゼー・ズール」や『ズゴック』くらいは出てくるな。だがそっちは400が対応予定だ。』

野分『浸食弾頭なら、再生すら追いつかない速度で破壊できる…』

蒼龍『…来るわよ、準備して!』

80: ≫1 2015/06/17(水) 23:39:01.58 ID:bDOMhHU60
400『総員、第一種戦闘配備。敵多数接近してきます。接的まで残り1000、全員出撃してください。』

浜風「全員、カタパルトへ!第一艦隊から順に出撃します!」

編成
《第1遊撃艦隊》瑞鳳/浜風/如月(改二)/秋月/愛宕/飛龍(改二)
《第2水雷戦隊》阿武隈/初風/朝潮/曙/長波/清霜
《第3支援艦隊》大鳳/夕張/夕雲/吹雪(改二)/瑞鶴/翔鶴



榛名「来ました…!敵MS接近、対空防御を始めます!」

402『敵MS、『アッシマー』『ギャプラン』と認定。またベースジャバーも後方から数機接近、MS搭載機の可能性あり。』

蒼龍『舞風、付いて来なさい!』

舞風『は、はい!』


デルタプラスとデルタカイは変形し、空中の機体を迎撃に向かう!


瑞鳳『有視界で敵を捕捉、目的地までの距離は?』

ユキカゼ『約10kmです。』

浜風『全艦へ通達、これより戦闘開始します。

まず目標地点まで『龍鳳』『イ400』『ユキカゼ』を誘導、その後次元の穴が展開するギリギリまで3隻を護衛し元の世界へ帰還します!』


BGM『Laplace』




視点選択 直下
1.榛名
2.瑞鳳
3.400

82: ≫1 2015/06/18(木) 05:57:46.96 ID:mR5/bxuL0
side-瑞鳳-

目の前に立ちはだかるのは人型の戦艦級、甲殻のような艤装を装備している深海棲艦は『ル級』と呼ばれるタイプで黄色に近いオーラから『flagship』と呼ばれるタイプだ。

しかしル級はその場から動けなくなっていた。周囲にこびり付く『何か』がル級を固定し拘束していたのだ。『殺戮者(スローター)』と呼ばれ、何千もの命を奪った存在が何も抵抗出来ずに…

瑞鳳「酔舞!再現江湖デッドリーウェイブ!」

その叫びと共に攻撃がル級の肉体を艤装ごと貫き、瑞鳳の「爆発!」と言う叫びと同時にル級は爆散しその肉を飛び散らした。瑞鳳にとって『殺戮者』すらも格下の殲滅対象でしか無い。

瑞鳳「帰山笑紅塵!」

そしてル級にこびり付いて居た筈のもの、12体に分裂した小さな瑞鳳の分身がその肉体に戻る。

仲間の突然の撃破に怯えたのか、深海棲艦は攻撃を瑞鳳へと集中させるが意味は無い。瑞鳳は自らの髪を結っていた鉢巻を外し、殺到する砲弾を絡め取って正確に投げ返し大量の水柱を生んだ。

秋月「相変わらずの能力です…!」

使えなくなった高角砲の砲身を手馴れた手つきで付け替え、対空迎撃を継続して敵の艦載機を容赦無く破壊して粉々にする。

如月「流石『真紅の戦乙女』、私も負けてられないわ…!」

近くに居た空母ヲ級に如月は肉薄し、胸倉に12.7cm高角砲を突きつけて放つ。そしてヲ級が仰け反った瞬間を逃さず浜風は如月の脇から飛び出して雷撃を叩き込んだ。

浜風「これで7体目のヲ級…!」

瑞鳳、浜風、如月が集中的に狙っていたのは戦艦級と空母級、重巡級だ。この後に控える第2水雷戦隊の道を拓く為に脅威となりうる高い火力を持つ艦を優先的に削っていた。

飛龍「ったく、こっちは1年のブランクがあるんだから加減くらいしなさいよ!」

そう言いながらも飛龍は軽快な動きで砲撃を回避し、『次元の穴』の出現予定地点に密集している深海棲艦に向かって艦載機を放つ。勿論深海棲艦は飛龍の艦載機を迎撃しようとするが飛龍の操る艦載機には通用せず、悉く爆撃と雷撃によってされた。

愛宕「数だけは居るのね、本当…」

飛龍に接近しようとする駆逐艦イ級2体に砲撃を叩き込み、撃沈を確認しないままくるりと回ってその先に居た重巡リ級に魚雷を放ち撃沈する。

飛龍「おっ、やるわね愛宕。今度なんかお酒奢ってあげる。」

愛宕「じゃあ何か日本酒でお願いします♪」

如月(浜風さんと愛宕さん、ね… この二人実戦経験無い筈なのに全く恐怖心なんて感じて無い… 寧ろ余裕すら感じてるの?)

浜風「このまま突破し、目標地点の確保を行います!」


《目標地点》

秋月「目標点到達、これより接近する敵の迎撃を開始します!」

飛龍「えっと、3隻の到達まであと2キロってとこかな?」

飛龍「このまま何も起こらないと…」

その時、龍鳳を中心として左、陸地側から大出力のビームが放たれイ400に直撃した!

如月「嘘!?」

瑞鳳「応答してイク、400ちゃん!?無事なの!?」

400『何とか… しかしあと一発同じ攻撃を食らえばフィールドが…』

イク『で、でもソナーには何の反応も…』

ユキカゼ『どうやら、陸地に居るみたいです。』

402『アイツか…!』

そして瑞鳳が目を凝らした先に居たのは…

瑞鳳「あの時の『クィン・マンサ』…!」

83: ≫1 2015/06/18(木) 21:27:15.28 ID:mR5/bxuL0
榛名「『クィン・マンサ』… あのMAがまだ残っていたなんて…!」

402『せめて潜行出来ればビームをやり過せるのだが…』

陽炎『なんとかなんないの!?』

野分『直接叩くしか… でもここからだとミサイル兵器は撃ち落されるし大気圏内だとビームは減衰するから手持ちの武装じゃ…』

400『吹雪、戻れる?』

吹雪『今全力で戻ってる所!でも次のチャージまで間に合わないかも…』

浜風『400!重力子レーザー砲を!』

瑞鳳『Iフィールドはメガ粒子砲しか防げない、なら重力子兵器は効くはず!』

400『了解。照準合わせ… 発射!』

400はレーザー高角砲をクィン・マンサに合わせて発射し、肩部バインダーを吹き飛ばした!

イク『直撃なのね!』

浜風『次弾が来る前にフィールドに溜め込んだエネルギーを放出してください!

ユキカゼ、吹雪のホーミングデータを使って浸食弾頭一斉射!直撃させなくても牽制かエネルギー放出までの時間稼ぎになれば良いです!』

ユキカゼ『はい!浸食弾頭パターンセット、目標『クィン・マンサ』、斉射開始!』

浜風の指示に従いユキカゼが浸食弾頭による飽和攻撃を敢行する!

浜風『400、続いてアクティブデコイ放出開始。デコイでも位置を合わせれば盾になります!』



浜風の選択 直下
1.龍鳳を沿岸に接近させMSでクィン・マンサを撃破する
2.このまま重力子レーザーと侵蝕兵器で撃破する
3.クィン・マンサを無視する
4.その他


85: ≫1 2015/06/18(木) 22:06:30.29 ID:mR5/bxuL0
浜風『…このまま全速力で離脱を!』

龍鳳『し、しかしあのクィン・マンサと言うモビルアーマーは…』

浜風『400、レーザー高角砲で牽制を継続!クィン・マンサの邪魔をすればそれで構いません!』

400『了解!』

ユキカゼ『全弾着弾… 敵影消失!』

浜風『400は警戒と牽制を継続、ユキカゼは対潜警戒に戻ってください。』

400・ユキカゼ『了解。』

榛名「出番、ありませんでしたね。」

アポリア『無い方が良い。』

陽炎『そうそう。デカブツとやりあうと骨折れるし。』

野分『特に榛名さんは一度クィン・マンサにやられましたからね。』

402『あんなデカブツとやりあう必要は無い。あとは自分の仕事をしておけ。』


《目標地点》


400『目標点へ到達。次元転移装置を作動準備して。』

ヒュウガ『了解。起動まであと5分。』

榛名(無事に起動すれば…)


その時、何が起きた? 直下

88: ≫1 2015/06/18(木) 22:27:27.40 ID:mR5/bxuL0
実は既にユニコーンはフラグが立っていた…



400『これは… 次元の乱れを観測!?装置のものじゃない!?』

ユキカゼ『次元転移現象…!青い光が…』

402『一体何が…』


ドッパァァァァァァァン!


浜風『うぇぷっ!?』

愛宕『もうビショビショ…』

吹雪『一体何なの!?』

夕雲『一瞬緑の物体と白い物体が落下したように…』

『た、助けてください!』

全員『…え?』

瑞鳳『この声、潮ちゃん!?』

潮『ず、瑞鳳さん!?助けてください、このままだと海の底に!』

夕立『ちょ、コックピットが水漏れしてるっぽい!?』

400『潜行して救助します?』

瑞鳳『お願い…』



潮(ユニコーン)『あ、ありがとうございます…』

夕立(クシャトリヤ)『死ぬかと思った…』

榛名「ユニコーンガンダム1号機… 何故潮さんが…」

402『やっぱり拾ってきたのか。』

夕立『大気圏内でクシャトリヤとか馬鹿っぽい!』

陽炎(この声、まさか… でも飛龍さんよりずっと前にMIAになってる筈…)

野分(駆逐艦・夕立… 伝説の駆逐艦… 生きていたのね…)

潮『テスト操縦してたらいきなりこんな所に…』

夕立『こっちに至っては陸地に居たのにいきなり落下したっぽい!』

瑞鳳『さ、災難だったね…』

その時、何が起きた? 直下

92: ≫1 2015/06/19(金) 00:13:29.85 ID:P/OGEQz20
イク『ソナーに感あり、深海棲艦が出現したのね!』

浜風『各隊に通達、『次元の穴』が開くまでの残り時間深海棲艦を迎撃してください!』

大鳳『第3艦隊は西方から接近する群れをやるわよ!』

夕張『二人は私に付いて来て!ここで食い止めるわよ!』

夕雲『はい!ここでやらせる訳には!』

吹雪『あと少し、あと少しだけ持ちこたえれば!』

翔鶴『行くわよ瑞鶴!』

瑞鶴『了解、翔鶴姉!』

瑞鳳『第1艦隊、私に続いて!』

如月『人使いが荒いわねぇ…』

秋月『対空防御ならお任せください!』

飛龍『護衛任せたわよ、愛宕!』

愛宕『はい!』

阿武隈『第2艦隊、護衛戦闘隊形!やらせないように!』

曙『ったく、しつこいのよ!』

初風『あら、怖気づいた?』

曙『誰が!』

朝潮『でも、あと少し…!』

長波『ここを守りきるぞ!』

清霜『叩き潰してやるんだから!』

蒼龍『モビルスーツ隊、敵の艦載機を迎撃して!』

舞風『あと4分ちょっと…!』

榛名「ここが正念場です、行きましょうバンシィ!」

402『接近などさせてたまるか。』

陽炎『こいつら、本気で厄介ね!』

野分『流石に数ばかりは居るのね…!』

潮『な、何が起きてるのかわからないけど… 夕立ちゃん!』

夕立『ファンネル、行くっぽい!』

93: ≫1 2015/06/19(金) 22:38:44.91 ID:P/OGEQz20
400『次元の乱れを確認!大型規模、次元転移装置によって生成された穴です!』

ユキカゼ『残り30秒!』

浜風『総員、次元の穴の範囲まで後退してください!』

初風『まだ敵は…』

浜風『早く!巻き込まれます!』

如月『巻き込まれる…!?』

ユキカゼ『次元の穴、展開します!』


コォォォォォォ…


400『全員、飛び込んでください!』

大鳳『第3艦隊、撤収完了!』

阿武隈『第2艦隊、撤退したよ!』

瑞鳳『第一艦隊、クリア!』

400『イ400、転移しました!』

龍鳳『こ、こちら龍鳳!モビルスーツ全機撤退完了です!』

ユキカゼ『ユキカゼ、撤収しました!』

浜風『二人共、今です!』


ヒュウガ「超重砲艦『イツクシマ』『ハシダテ』コントロール。」

イセ「連動開始、エンゲージ。」

ヒュウガ「エンゲージ。『ミカサ戦術システム起動』、全艦全システムとの連結を確認。」

イセ「重力子エンジン出力140%、リミッター展開解除。補助経路作動、安全装置の停止を確認。」

ヒュウガ「オプションユニット『SGCS-01イツクシマ』『SGCS-02ハシダテ』浮上!」

イセ「船体展開、重力子圧縮縮退域へ。」

ヒュウガ「全艦のエネルギー流路の脈動を光速域へ固定。」

イセ「スタビライザー連動、火器管制。システムをバイパスしてトリガーを私に。」

ヒュウガ「射軸固定、発射態勢!射線に友軍なし、今よ!」

イセ「次元の向こうの敵を貫け!新超重砲発射!」


そして次元の穴から溢れ出そうとする深海棲艦の軍勢に向かって、眩い閃光が放たれた!

94: ≫1 2015/06/19(金) 23:39:00.58 ID:P/OGEQz20
ヒュウガ「次元の穴、閉じたわ。」

浜風「戦闘終了、お疲れ様でした。」

秋月「め、目が…」

如月「目が開けられない…」

愛宕「咄嗟に瞑って良かったわ。」

飛龍「肉眼であの閃光を目にしたらそりゃ痛いわ。直に太陽見るようなもんだもの。」

初風「こんな事まで予測していたの…?」

瑞鳳「ウチの指揮官侮っちゃ駄目よ。」

曙「やってることが滅茶苦茶すぎる…」

清霜「これが霧の戦艦… 凄い!」

阿武隈「やっぱ霧っておかしい。」

朝潮「超兵器ですから…」

大鯨「皆~!」

野分「お母さん…!」

舞風「やっと、戻ってこれたんだ!」

榛名(そして、私達の4日に渡る冒険は終わりました…)

95: ≫1 2015/06/20(土) 02:48:13.43 ID:o2LV1r3+0
榛名(その後のお話です。)


瑞鳳「『バンシィ・ノルン』に『アマクサ』、それに『デルタプラス』と『百式改』… これはハシラジマで預かっておきます。」

榛名「良いのですか?」

瑞鳳「格納庫なら有り余ってますから。必要になる、事はありませんでしょうけど…」

榛名「あと…」

瑞鳳「アポリアさんもハシラジマ預かり、と言う事で構いませんね?」

アポリア「ああ。私はどうやら人間離れしている外見らしいからな。」


榛名(私達の乗っていたバンシィやその他のモビルスーツ、アポリアさんはハシラジマで預かって貰うことになりました。見返りとしてバンシィのサイコフレームの調査、を条件として提示されたので許諾はしておきました。

なんでもフェネクスのフルサイコフレームは未完成の物らしく、バンシィのデータを使って完成させるとの事です。)


大鯨「今回はごめんなさい… 貴女にもしもの事があればご両親に何と報告すれば良いのか…」

榛名「い、いえ!珍しい経験もさせて貰ったので…」

大鯨「しかし舞風ちゃんの話では随分と危ない目にあったとの事で… これはほんのお詫びですので…」つ札束の詰まった封筒

榛名「う、受け取れません!そ、それに大鯨さんが悪いのでは無く野分さんと舞風さんを巻き込んで勝手に次元転移した私の方が…」

大鯨「いえ、榛名さんに非はありません。寧ろ次元転移現象を引き起こす艤装の危険性を見出していれば…」

榛名「ですから艤装も私が勝手に持ち出したものを預けていただけですから…」

初風「いい加減にしろ!」


榛名(大鯨さんは私が次元転移し、危険な目に合わせてしまったと申し訳無く思ってしまったそうです。初風さんから『水掛け論になるだけだからこの件は互いに謝罪して終わり』と仲裁を頂いてなんとか治まりました。

他の皆の艤装は次元転移現象など起こさなかった事、いきなり光るなんて在り得ない事と言う二つの事象を引き起こした私の艤装は硫黄島のヒュウガさんに調査をして頂いています。)

榛名(そして…)

天城「長波ちゃんってどう言う髪の構造なんでしょう…」ナデナデ

長波「だ、だから髪弄るなってば天城姉!」

阿武隈「髪弄らないでって言ってるのに天城姉さんは弄るんだもん… 嫌がられるよ、そりゃ。」

陽炎「だよねぇ… 特に阿武隈姉さん特徴的な前髪してるもん。」

阿武隈「それってどう言う事かな?」ニッコリ

陽炎「ひぃっ!?」


古鷹「龍鳳さん、レジの打ち方は…」

龍鳳「え、えと… こう… あれ?」

青葉「ウチもバーコード対応レジスターにしてみます?」

衣笠「入力式だと値札シール必要だから面倒なんだよね。私あんまレジ立たないけど。」

榛名「検討しておきましょう…」

榛名(長波、陽炎の二人は阿武隈同様に私の妹として引き取りました。早速天城とも打ち解け、仲良くなっています。

龍鳳さんに関しては一応私が保護者、と言う事になっていますが姉妹関係になった訳ではありません。また『人と馴れてからでないと学校にも通わせられない』と大鯨さんと話し合った結果、ウチで働きつつ様子を見ることになりました。大鯨さんは自分そっくりと言う事もあってすぐ仲良くなったそうです。)


榛名(今回の件は様々な謎が多すぎます。何故次元転移を引き起こしたのか、何故私達だったのか、そして私自身の能力やあの世界で感じた違和感についても…

一体、私の運命はどうなっていくのでしょうか…)


――――

「憎イ… 野分、ソシテ黒ノロボットト潜水艦!必ズ、オマエラヲ消シテヤル…!」


榛名(そう、私と野分さん… そして初風さんと秋月さん、朝潮さんに待ち受けていた残酷な運命すら知らぬまま…)

第9話『ブレイク・スルー』終

104: ≫1 2015/06/20(土) 22:13:47.95 ID:o2LV1r3+0
第10話『折れない支柱』


初風「で、進捗状況の方は?」

榛名「実戦投入可能なのは『ヴィクトリアス・ブレイヴ』だけです。後は投入可能間近なのは如月さん、野分さん、古鷹さんの専用艦だけです。」

初風「遅れ気味ね…」

榛名「特殊艤装の方を優先して製作していたことと、異世界に飛ばされたり阿武隈達の為に裁判所や役所に行く事が多かったので…」

初風「そう言えばそうね… アンタここ最近姉さんに拉致られたりテレビに拉致されたりもしてたから仕方無いか。」

榛名「大会まで2週間切ってるのですが無理矢理…」

初風「しかも役所関係以外はほぼ全て巻き込まれ系なのよね。アンタ、どんな星の下に生まれてんのよ。」

榛名「いや、榛名に聞かないでください。」

初風「そうよね… まぁ良いわ、明日の午後に1回戦の相手が発表になるから。」

榛名「わかりました。ネットで確認出来るのですよね?」

初風「それが、わざわざ会場に行って登録してからじゃないと無効になるから登録してこないといけないらしいの。」

榛名「…会場どこでしたっけ?」

初風「代々木第一体育館、そこで抽選会やるんだってさ。」

榛名「面倒過ぎます…」

初風「しかも今回は1週間東京に泊り込みよ?いくら校欠扱い可能、旅費は運営持ちとは言え面倒過ぎだっての。」

榛名「誰に行って貰いましょう…」

初風「え、アンタじゃないの?」

榛名「へ?」

初風「だってこう言うのってリーダーが行くモンでしょ。それにアンタ以外東京なんか行った事無いし、アンタと天城と青葉(ホームレス設定)除けば異世界人と記憶喪失(古鷹、衣笠)?しか居ないのよ?

それに一応私達中学生だし、最低でも年長のアンタが行かないと。」

榛名「デスヨネー…」

初風「あと誰か一人くらい連れてったら?出来れば指揮担当で。」

榛名「指揮担当… 古鷹さんか如月さん、阿武隈と言ったところでしょうか…?」

初風「私をわざと省いて無い!?」

榛名「だって初風さん、明日大鯨さんと仕事で青森に行くのでは?」

初風「忘れてた…」

榛名「まぁ、後で3人に聞いてみますね。」

105: ≫1 2015/06/20(土) 23:21:49.44 ID:o2LV1r3+0
阿武隈「明日学校で模試あるから…」

古鷹「すみません、明日は私も大鯨さんの勧めで病院の方に…」(嘘だったのだが行くハメになった)

榛名「そうですか…」

如月「あら、雁首揃えてどうかしたの?」

榛名「あ、如月さん。明日空いてますか?」

如月「明日… 特に用は無いわよ。中野栄に帰るだけだから。」

榛名「では暇、と言う事ですね?では明日ちょっとお出かけしましょうか。」

如月「え?」


初風「あ、ちょっと文脈にミスがあったけど『抽選はその日だけ』で次の週から『大会が1週間続く』って事だから。」

青葉「誰に言ってるんです?」

初風「なんでも無いわよ、この茶タイツ。」


《翌朝 仙台駅》

如月「ねぇ、出かけるって話よね?」

榛名「はい。」

如月「辛うじて仙台駅に居るってのは理解出来るわ。」

榛名「はい。」

如月「なんで新幹線のホームなの!?」

榛名「お出かけ(東京)です。」

如月「だから何で!?」

榛名「全国大会の登録、そして抽選会に参加する為です。言ってませんか?」

如月「聞いて無いわよ!東京だって聞いてたらもっとオシャレしてきたのに…」

榛名「正直仙台とあんまり変わりが無いような… あ、新幹線来ました。」

如月「席は…」

榛名「グリーン席、私の奢りです。支給されるのは東京から仙台の往復運賃だけでしたらから。」

如月「微妙にケチなのね呉グループ…」


新幹線内イベント 直下

107: ≫1 2015/06/20(土) 23:46:59.06 ID:o2LV1r3+0
如月「ふぁ…」ウトウト

榛名(流石に、少し朝が早かった… かもしれません…)ウトウト

如月(グリーン車の、魔力って、凄まじい、わ…)ウツラウツラ

榛名(あ、これ、駄目…)ガクッ

如月(オチる…)ガクッ



間もなく~終点・東京~東京~



榛名「はっ!?」

如月「き、気が付いたら東京駅に…」

榛名「何だかグリーン料金を無駄にした気分です…」

如月「えぇ、楽しむべきだったのにまさかの寝オチなんて…」

榛名「降りる準備しましょう…」

如月「私達どのくらい寝てたのかしら…?」

榛名「恐らく、白石くらいからだと…」

如月「かなり寝たわね…」

108: ≫1 2015/06/20(土) 23:58:19.00 ID:o2LV1r3+0
《原宿駅》

如月「何で原宿なの?」

榛名「代々木第一体育館の最寄JR駅は原宿ですよ。」

如月「知らなかった…」

榛名「縁が無ければ知らない人も多いと思いますから。私、この辺に住んでましたし。」

如月「よく家賃が捻出出来たわね…」

榛名「幽霊物件です。」

如月「…よく住めるわね。」

榛名「別に出てきた所で除霊するだけですから、塩で。」

如月「効くの!?」

榛名「少なくとも効きました。」

如月「一体幽霊って…」

榛名「えっと今は10時半… 1時から受付ですから、どうします?」

如月「どうするって?」

榛名「原宿見て回ります?」

如月「あら、良いの?」

榛名「ええ。多少の案内なら出来ますから。」


イベント 直下

112: ≫1 2015/06/22(月) 00:40:15.45 ID:fXbiEPlH0
《竹下通り》

如月「この服可愛いわね…」

榛名「あ、これなんかどうですか?」

如月「良いセンスじゃない。榛名さん、スタイル良いから似合いそう。」

榛名「ありがとうございます。じゃあこれを買って…」

如月「これも良いわね… あ、これも… 原宿ってやっぱり良いところね♪」

榛名「気をつけてください、そうやって買い物ばかりしてるとアッサリ財布の中身が無くなりますから。」

如月「平気よ、平気… …いや、駄目ね。自重しておかないとお母さんに怒られちゃう。」

榛名「時として我慢は必要ですよ。」



榛名「このネックレスは阿武隈に合いそう… よし、お土産にしましょう。」

如月「あら、こっちなんてどうかしら?」

榛名「それも良いかもしれません… ではこっちを陽炎のにして…」

如月「…随分と新しい妹を可愛がってるのね。」

榛名「妹、ですから。勿論天城も可愛いですけど。それに、今まで戦う事しか知らなかったんですから愛情と言うものも学んでも良いと思いますよ。」

如月「だから愛情を与える、か… お母さんみたいな事言うのね。」

榛名(私は孤児院で愛情を受けずに育った… だから私と同じに、世界を憎んで欲しく無い… だから私は…)

如月(榛名さん、こうやって時々シリアス顔になるわね… 前からだけどここ最近、『あの世界』に飛ばされてから酷くなってる…)




榛名「ふぅ、これだけ買っておけばお土産には…」

如月「一度ロッカーに預けたほうが良いんじゃない、その量なら。」

榛名「そうですね、預けておきましょう。時間は… あと1時間以上ありますし。」



さらにイベント 直下

114: ≫1 2015/06/22(月) 01:41:22.31 ID:fXbiEPlH0
《カフェ》

如月「なんか落ち着かないわね…」

榛名「こう言う所で食事する機会なんて殆どありませんからね。」

如月「あら、この辺で暮らしてたんじゃないの?」

榛名「正直言って、あまりお金をかけたくなかったので基本的に外食はしませんでしたから…」

如月「あぁ、そう言う事ね。」

榛名「あとはちょっと裏通りに行ったところにある定食屋さんによく通っていました。サラリーマンとかに人気の所だったので。」

如月「そう言うところってあんまり女性居ないんじゃない…?」

榛名「ええ。でも結構優しいおじさんが経営してて何かと大盛りにしてくれたりと、かなりお世話になりました。」

如月「へぇ… あ、お料理が来たみたい… 美味しそう…」

榛名「…」

如月「どうかしたの?」

榛名「もう一品プレート頼んでも大丈夫でしょうか…?」

如月「え…」

榛名「これだと、榛名のお腹の2割程度ってところだと…」

如月(見かけによらず大食いだって忘れてた…!)

如月「で、でも流石にここでもう一品頼むと… 高くつくわよ?」

榛名「ですよね… 後でアメリカンなハンバーガー店にでも行きましょう…」

如月「あぁ、私はパスで… 太りそう…」

榛名「いえ、食べなければ成長出来ませんよ?育ち盛りなんですから。」

如月(多分榛名さんと外食したら確実に太るわね… ビュッフェみたいな所が一番良いのかしら…?)

榛名「では頂きましょうか。」

如月「そ、そうね…」

115: ≫1 2015/06/22(月) 02:04:18.49 ID:fXbiEPlH0
《代々木第一体育館》

如月「えっと、受付は…」

榛名「あそこですね。

あ、すみません。こちらが艦プラバトル選手権全国大会の受付で宜しいでしょうか?」

「はい、合っていますよ。ではチーム名と代表者氏名をお聞かせください。」

榛名「チーム・ホワイトクリーン、代表の榛名です。」

「『ホワイトクリーン』… 宮城県代表ですね。ではこちらのカードお受け取りください。後ほどこのカードにかかれた番号が読み上げられますから。」

榛名「わかりました。」

「では、御武運を。優勝目指して頑張ってください。」

榛名「ありがとうございました。」

如月「で、何番だったのかしら?」

榛名「21番です。参戦チームは60、割と早めの番号ですね。」

如月「で、そのカードを貰った人は… あそこにあるアリーナ観客席の所に行けば良いのね?」

榛名「のようですね…」


「すみません、チーム…」


如月「え…?」

榛名「どうかしましたか?」

如月「何でも無いわ。行きましょう?」

榛名「あ、はい。」

如月(この声、聞覚えが…)

「あれ、もしかしかして…」



誰が来た? 直下

1.睦月(長月・菊月・暁)
2.初霜(若葉・子日・朝雲)
3.白露(涼風・高波・大潮)
4.その他(ただしチームメイトも同時に ※未出駆逐艦のみ、計4人まで)

117: ≫1 2015/06/22(月) 02:31:58.53 ID:fXbiEPlH0
白露「如月だよね!」

如月「え… 白露ちゃん…?」

榛名「知り合いですか?」

如月「え、ええ…」

白露「何でも一番、白露です! まさかここで一番の友達の如月に会えるなんて思わなかったよ~。」

如月「私もよ。まさか、大会に出てたなんて…」

白露「あぁ、ちょっとしたアレでね… あ、番号は?」

如月「21番よ。そっちは?」

白露「勿論一番だよ!あ、ゴメン。メンバー待たせてるから先に行くね!」

如月「また後で…」

榛名「もしかして苦手なのですか?」

如月「そう言う訳では無いけど…」



翔鶴「あれ、確か貴女…」

榛名「貴女は… 翔鶴さん、でしたか?」

翔鶴「ええ、榛名さん。ハシラジマ以来ですね… もしかして貴女も大会に?」

榛名「はい。ではそちらもですか?」

翔鶴「部活動で、です。就活も終わったので合流する事になりました。」

榛名「就活終わったのですか?」

翔鶴「ええ。もう企業内定したので。 ここではお互いライバル、と言う事になりますが…」

榛名「負けるつもりはありませんから。」

翔鶴「こちらもです。瑞鳳や大鳳が居なくても、私達は負けませんよ?」

『ではこれより抽選会を開始します! まず第一ブロック一回戦、28番『風の会』対55番『デルタ隊』!』

翔鶴「あら、ハズレ…」

榛名「何番なのですか?」

翔鶴「39番、そちらは… 21番ですか。」

榛名「初戦で当たるのは…」

翔鶴「流石に嫌ですね…」

『第二ブロック一回戦39番『艦プラ部』対11番『ブランダムール隊』。』

翔鶴「出ちゃった…」

榛名「でも違う相手でよかったです。」

『第3ブロック一回戦44番『ライブラリアン』対33番『カークス隊』…』


『第6ブロック一回戦21番『チーム・ホワイトクリーン』…』

榛名「…」

如月「…」

『1番『一番!』。』

如月「え…?」

榛名「もしかして… さっきのあの子…」

如月「白露ちゃん…」


白露「いきなり、如月と…」


『…そして最後は11番『ブレイウッド隊』対10番『ソウルシスターズ』となります。』

118: ≫1 2015/06/22(月) 02:56:56.10 ID:fXbiEPlH0
榛名「では…」

如月「そうね… 帰りましょう…」

「あ、あの!」

如月「え…?」

高波「チーム・ホワイトクリーンの人、ですよね?」

榛名「貴女達は…」

如月「誰…?」

高波「一番!の高波、です…」

大潮「同じく大潮です!」

涼風「同じく涼風だよ!」

榛名「一番最初の対戦相手…」

如月「白露ちゃんのチームメイト… 何か御用かしら?」

高波「お願いがあって参りました…」

如月「お願い…?」

大潮「単刀直入に言わせて貰います、全国大会一回戦を私達に勝たせてください!」

榛名「ッ…!?」

如月「…」

高波「あ、あの… 白露さんには、どうしても勝たなければならない理由があるんです…!」

涼風「頼む!勝ちを譲ってくれ!」

榛名「…嫌です。勝ちたいなら、自分の力で勝利を奪ってください。」

高波「そんな…!」

涼風「お、お前さっき白露と仲良く話してたよな!?事情は知ってるんだろ!?」

如月「…」

大潮「お願いです、譲って…」

榛名「…これ以上、迫るようなら貴女方を運営に突き出す事も辞しません。」

大潮「でも…!」

榛名「でも、じゃありません!そうやって、泣き脅しして、何でも叶うと思ってるのですか!? 

負けられない? 負けられないのは…」

如月「待って、榛名さん…!」

涼風「この人で無し…!アンタ、こっちの事情も知らない癖に口を挟むな!」

榛名「私はチームのリーダーです!貴女こそ、こっちの事情を…」

如月「待って! ねぇ、それは白露ちゃんが望んでる事なの?」

高波「いえ、私たちの独断です…」

如月「…行きましょう、榛名さん。」

大潮「貴女まで…!」

如月「…今回は聞かなかった事にする。でも…」

涼風「もう良い!行くよ二人共!」

大潮「は、はい!」

高波「ま、待ってください!」




119: ≫1 2015/06/22(月) 03:11:40.35 ID:fXbiEPlH0
 
如月「…」

榛名「如月さん、事情を知ってるみたいですね。」

如月「え、ええ…」

榛名「教えてください。彼女達に、白露さんと言う方に何があったのかを。」

如月「…あの子の妹さん、難病なの。元々は仙台に住んでたんだけど、仙台の病院じゃ駄目だって東京の病院に転院して…

多分、今回大会に出てきたのは妹さんを想っての事…」

榛名「…では確かめに行きましょうか。」

如月「え…?」

榛名「その難病の病名がわかれば治療出来る病院が絞れる筈です。今から行ってみましょうか。

難病の名前は?」

如月「えと確か…」



《病院》


如月「この部屋ね…」

榛名「はい。病院も分かったので受け付けの人にお見舞いと言えば病室まで教えてくれましたから。」

如月「ここに…」

榛名「行きますよ…!」


妹は? 直下
条件:未出の駆逐艦のみ

130: ≫1 2015/06/22(月) 21:12:48.29 ID:fXbiEPlH0
コンコン

榛名「失礼します。」

如月「し、失礼しま~す…」

朝霜「だ、誰だアンタら!?」

榛名「如月さん。」

如月「初めまして、如月です。 白露さんの友人で、ご病気と聞いてお見舞いに来ました。」

朝霜「姉さんの…」

榛名「私は榛名と申します。あ、これケーキです。」

朝霜「あ、ありがとう…」

如月「あそこに飾ってるのは… 艦プラですか?」

朝霜「ああ、あたいが作ったんだよ。」

榛名(アイオワ級や長門級ですけど、ほぼ素組… 病院内では流石にエアブラシなどの機材が使えないのか、それとも…)

朝霜「あたいが作った艦プラで、姉さんが仲間と試合に出てくれてんだ。あんたもチームなんだろ?」

榛名(素組で全国大会まで… やはり彼女は妹想いなのですね…)

如月「いえ私、私たちは…」

コンコン

榛名(もしかして…)

白露「やっほ~、朝霜!今日も…」

朝霜「姉さん、病院では静かにしろって言われてるだろ…」

如月「白露ちゃん…」

白露「如月… 何で…」

榛名「え、えと… ケーキ、食べます?」

白露「食べる!」

朝霜「姉さん…」

如月「相変わらずね、そう言う所…」


朝霜「じゃあアンタらは1回戦で姉さん達と対戦するのか?」

榛名「黙っていて申し訳ありません… 宮城県代表『チーム・ホワイトクリーン』として、お姉さん達と対戦させて頂きます。」

白露「でも絶対に負け無いからね?」

如月「え、ええ…」

如月(3人の話、本当だった… 私、どうすれば…)

榛名(如月さん…)


榛名「やはり、迷いましたか?」

如月「だって、もうすぐ手術で失敗したら… それを勇気付ける為にって、そんなの…」

榛名「迷う事は間違いではありません、でも…」

如月「わかってる… でも私に戦う事なんて…」

榛名「相当重傷ですね…」

榛名(荒療治が必要かもしれません…)


どっちに向かう? 直下
1.潮のところ
2.瑞鳳のところ

132: ≫1 2015/06/22(月) 21:33:12.05 ID:fXbiEPlH0
榛名「すみません、諸用があるので少し寄り道しても良いでしょうか?」

如月「諸用?」

榛名「ええ。少しばかり都内でやるべき事が出来てしまったので…」

如月「やるべき事…」


《東京都内 『模型店エンガノ』》


如月「ここって…」

榛名「勿論知ってますよね。貴女のお姉さんのお店ですから。」

如月「諸用って、もしかして…」

榛名「如月さんの想像とはちょっと違うと思いますよ? 私の艤装についてイセさんに確認に来ただけですから。」

如月「艤装について?」

榛名「はい、なんでもトンデモ無いものが内蔵されてたとか…」

如月「トンデモ無いもの?」

榛名「だからここに聞きに来ました。詳しく知る為に…」


瑞鳳「いらっしゃ… って榛名さん?」

榛名「こんにちは。先日はどうもありがとうございました。」

如月「ど、どうも…」

瑞鳳「それに如月ちゃんも… 今日って何かあったっけ?」

イセ「今日は全国大会の抽選日よ。それに、今日は先日の件で私が呼んだの。」

瑞鳳「あ、そう言う事でしたか…」

榛名「蒼龍さんか飛龍さんいらっしゃいますか?」

瑞鳳「あの二人丁度出かけちゃってるんですよ… 私で良ければ要件を伺いますよ?」

榛名「では如月さん、少し瑞鳳さんと話してみたらどうです?」

如月「え…?」

榛名「貴女のお姉さんに相談してもらって、悩みを解決してもらいましょう。私では上手く相談出来そうにありませんから…」



視点選択 直下
1.如月
2.榛名

135: ≫1 2015/06/23(火) 00:49:57.99 ID:5JnRujm40
side-如月-

瑞鳳「成る程ねぇ… 妹さんの為に戦う友達、さらにその仲間に八百長試合を持ちかけられたのね。」

如月「一体どうすれば…」

瑞鳳「そうだねぇ… 確かにその仲間の言うように友達さんが勝てばその子は喜んでくれる、元気になってくれるかもしれない。でも八百長の事実を知ってしまったら?」

如月「きっと、傷付く…」

瑞鳳「そう。八百長なんて一時的な満足や名声を得られるだけで世間に公表されたらバッシングだって受ける事になるし、実力で勝利した事にならない以上互いに不本意は形の勝負になっちゃう。

だからそのお友達の為にも妹さんの為にもならないし、何より如月ちゃんの為にもならない。」

如月「私の為にならないのは分かってる…」

瑞鳳「…ねぇ、如月ちゃんが戦う理由って何?」

如月「え…?」

瑞鳳「まぁ榛名さんが私みたいに皆巻き添えにしちゃった、って感じで巻き込まれただけかもしれないけどさ。でも全国大会まで来たって事はそれなりの覚悟はある筈だよ。」

如月「覚悟…」

瑞鳳「良い、如月ちゃん?チームで戦うって事は、全員を背負う事になるの。一人が皆の。皆が一人のために戦う事になる…

勝利も敗北も、皆で共有する。その敗北の原因が如月ちゃんの身勝手だったら、如月ちゃんはその敗北を一人で背負わなきゃならない。」

如月「そんな、身勝手って…!」

瑞鳳「勝手に絆されて情が移ったから負けます、なんて身勝手以外の何でも無いよ。それに、チームの全員がその理由で納得出来ると思う?」

如月「出来る訳が…」

瑞鳳「そう言う事。負けるなら『個人的に』負けなさい、決して『チームとして』負けちゃ駄目。」

如月「そう、ね…」

瑞鳳「そうしたい気持ちも分からなくは無いけどね。 こう言う時にこそ『迷いは己を殺す、故に迷うな』って言うべきかもしれないかな。」

如月「お母さんの…」

瑞鳳「そう、お母さんの言葉でもあり私たちの家の家訓でもある言葉。 あとはそうねぇ…

『勝負に嘘を持ち込むな』かな、この場合。」

如月「『勝負に嘘を持ち込むな』…」

瑞鳳「もし八百長試合で負けたらその勝利は嘘になる、姉の勝利に喜ぶ妹さんにも嘘を吐くことになる。だから偽らないで、一つの真実を貫く事が重要なの。」

如月「真実を貫く…?」

瑞鳳「そう。例えば天秤、天秤の支柱はどちらに傾こうと決して折れない。ちょっと違う話になるけど、天秤座のモチーフとなったアストライアーの持っていた天秤はあらゆる嘘を見抜き真実を示したって言われてる。

公平に、真実だけを求めるように… まぁ、そのせいで破滅の未来しか見えなくなって結局天秤捨てられるんだけどね。」

如月「へぇ…」

瑞鳳「だから自分を偽らないで、自らの意志を貫く事が大事なの。 きっと如月ちゃんなら、榛名さんと一緒なら出来る筈だよ。」

如月「でも私、ヘタレって言われるし…」

瑞鳳「ヘタレがどうしたっての。んなの根性でどうにかなさい。」

如月「無茶苦茶な…」

瑞鳳「それに如月ちゃん自身がヘタレだったとしても、榛名さんにはそれを越える『勇気』がある。いざとなったら支えて貰いなさい、それが仲間ってもののだから。」

如月「バトルじゃちょっと不安だけどね…」

瑞鳳「そりゃ仕方無いよ、私だってバトル超弱いし。 何かしら人には弱点があるけど、それを補うのもまた仲間の役目…

私は去年、それを皆に教えられたから。今度は私がそれを妹に伝える番だよ。」

如月「姉さん…」

瑞鳳「迷うなら早めに迷ってさっさと吹っ切って、覚悟決めてキッチリ勝負に挑みなさい。そして一人で背負わないで、仲間を頼りなさい。

これが姉として、一人の戦士として伝えられることだよ。」

136: ≫1 2015/06/23(火) 01:30:24.55 ID:5JnRujm40
榛名「では艤装の方は…」

イセ「暫くすれば戻せると思うわ、多分ね。」

榛名「わかりました。」

瑞鳳「あれ、もう終わったんです?」

イセ「ええ。そっちも?」

如月「お陰様でちょっとは迷いが吹っ切れました。」

瑞鳳「じゃあ最寄の駅まで送って…」

Gノレコンギスタタ~♪

瑞鳳「ありゃ、飛龍さんからだ… あ、もしもし飛龍さん?」

飛龍『瑞鳳助けて~… 新幹線が事故で止まっちゃった…』

瑞鳳「うわぁ… あれ、確か今山形ですよね?」

蒼龍『今福島まで着いたところ… でも東北新幹線全部止まっちゃってるみたいで復旧も明日になるってさ…』

瑞鳳「…え?」

飛龍『だから帰れないかも… ねぇ、迎えに…』

イセ「嫌よ、面倒だし。」

瑞鳳「ですって。」

蒼龍『そんなぁ!?』

瑞鳳「…仕方ありません、今から東北本線に乗って仙台駅に向かってください。その後仙石線に乗り換えて中野栄… しまった、お母さんは青森でお父さんもどっかに行ってるんだった…!」

榛名「あ、今日ならウチ大丈夫ですよ。南仙台駅に誰か迎えに行かせますね。それに今日は私も帰れそうに無いので陽炎達が寂しく無いように、旧知の飛龍さんや蒼龍さんが居てくれると心強いですから。」

瑞鳳「ありがとうございます、榛名さん。東北本線で南仙台まで向かって、そこで降りてください。」

飛龍『わかった。榛名ちゃんにありがとう、って伝えといて。』

瑞鳳「わかりました。」


榛名「ではお願いします、陽炎。」

陽炎『はいはーい。あと古鷹と衣笠、今日は病院に泊まるみたい。』

榛名「あ、そうなのですね… あと天城の監視、くれぐれもお願いします。」

陽炎『天城姉さんの料理の恐ろしさは聞いてるから… 目を離さないようにする。』

榛名「お願いします。死人を出さない為にも…」ブチッ

如月(つまり今日は蒼龍さんと飛龍さんに青葉がボコボコにされるのね。古鷹達も上手く逃げたこと。)

瑞鳳(そう言えばあの二人、極端にあのトリオ嫌いなんだよねぇ… いくら恨みがあるとは言え…)

榛名「ではホテルの予約をして、私たちは行きましょうか。」

如月「そうしましょう。」

瑞鳳「夕飯ぐらいご馳走しますよ?」

榛名「いや、でも…」

瑞鳳「今日は二人が帰れ無いので食材が余っちゃいますから。」


どうする? 直下
1.ご相伴に預かる
2.遠慮する

138: ≫1 2015/06/24(水) 02:31:39.86 ID:zcp8RuLA0
榛名「ではご相伴に預かって…」

瑞鳳「じゃあ今から準備しちゃいますね。えっと、今日何人でしたっけ?」

イセ「今日は確か7人…」

ガラッ

瑞鶴「お邪魔しまーす!」

イセ「…訂正、8人。」

瑞鳳「瑞鶴、いい加減料理くらい覚えたら…?」

瑞鶴「良いじゃん、別に。食材費出してるんだから。」

瑞鳳「ハァ… 瑞鶴、夕雲ちゃん呼んで。今日は和食系にする。」

瑞鶴「了解っと。って、今日は見無い顔が居るわね。」

榛名「あ、どうも。」

如月「こんにちは。」

瑞鶴「あ、この前の強行突破作戦の時にバンシィに乗ってた人と第一艦隊で戦闘してた子か。」

瑞鳳「そう、榛名さんと如月ちゃん。如月ちゃんは私の妹。」

榛名「榛名と言います、よろしくお願いします。」

如月「如月です、よろしくお願いします。」

瑞鶴「私は瑞鶴、瑞鳳の幼馴染で同じ仙台出身。」

榛名「瑞鶴… あ、翔鶴さんの妹さんですか。」

瑞鶴「あ、翔鶴姉の事知ってるんだ。」

如月「と言うか、さっき会ってましたから。」

瑞鳳「抽選会に翔鶴さん行ってたんだ。あと瑞鶴、榛名さん年上だからね。」

瑞鶴「あ、すみません…」

榛名「い、いえ!どちらかと言うとフランクに接して貰った方が気が楽なので…」

瑞鳳「瑞鶴、雑談は後で良いから早くしてね。」

瑞鶴「はーい。4階の一番手前だっけ?」

瑞鳳「そこ。真ん中は400ちゃんで奥が蒼龍さんだから。」

瑞鶴「了解っと。じゃあ行ってくる。」

榛名「では榛名もお手伝いを…」

瑞鳳「いえ、榛名さんと如月ちゃんはお客様ですから。ゆっくり待っててください。」

139: ≫1 2015/06/24(水) 03:33:19.85 ID:zcp8RuLA0
大鳳「ただいま… あら、お客さん?」

夕張「あ、この前のバンシィの人ですね。」

榛名「榛名と申します。以後お見知りおきを。」

如月「こんにちは、大鳳さんに夕張さん。」

大鳳「如月ちゃん、あの3人は元気?」

如月「ええ、特に清霜ちゃんは元気が有り余るくらいに。」

榛名「お知り合いだったのですか?」

如月「ええ、大鳳さんは以前に次元転移して私や曙ちゃん達と共闘してるので。」

大鳳「あの時は大変だったわ… いきなり訓練も何も無しで艤装つけて出撃するハメになったんだもの。」

夕張「それを平然とこなしてのける大鳳さんも大鳳さんですけどね…」

瑞鳳「だって大鳳、浜風ちゃんと負けず劣らずのびっくり人間だし。」

大鳳「確かに変な才能しか無いってのは認めるけど… あ、これ八丈小島の研究所に残ってたコンピュータのHDD。」

瑞鳳「ありがと。後で硫黄島に送るように準備しとく。」

夕張「潮風にやられてなきゃ良いですけど…」

イセ「一応ケースには入れてたんでしょ?大丈夫じゃない。」

大鳳「だと良いですけどね。手伝う事は?」

瑞鳳「和食だから大鳳は何か適当な付け合せお願い。イセさんお酒呑みます?」

イセ「今日は要らないわ。飛龍も愛宕も居ないし。」

榛名「他の方々はどこに行かれてるのですか?」

瑞鳳「中学生は受験生ですからハシラジマで勉強合宿中で、愛宕さんは勉強を教える教師役として行ってます。 夕雲ちゃんは私とちょっと箱根まで行っていたので不参加ですけど。」

如月「箱根?」

夕張「夕雲ちゃんの実家は箱根で、旅館をやってるの。 瑞鳳さんが行ったって事はまたドンパチやってきたんですね…」

瑞鳳「バートン財団の次は親戚筋のボンクラで40過ぎのデブいおっさんだったよ。親と一緒に『結婚しろ』とかって迫ってきて、気持ち悪すぎて夕雲ちゃん嫌がってたし襲い掛かってきたから叩き潰しておいた。

親戚筋からも嫌われてるし、『本家の次期当主』と『本家の関係者』に手を出そうとしたからには多分親戚会から排除されるんじゃない?」

如月「またこの姉さんは…」

夕雲「お待たせしました。あら、お客様ですか?」

瑞鳳「うん。だから夕雲ちゃんの力借りようかと思ってね。」

夕雲「そう言う事なら夕雲にお任せください。これでも旅館の跡取り、おもてなしのお料理はお手の物です。」



瑞鳳「では揃ったのでご飯にしましょう。」

榛名「頂きます… 美味しい…!」

如月「上品な味の煮付け… 凄くお料理上手ですね…」

夕雲「ふふっ… それ程でもありませんよ。夕雲は未熟者、まだまだ修業しなくてはなりません。」

イセ「和食に関しては本当に夕雲が最高ね。」

瑞鶴「良いなぁ… 私も夕雲ちゃんお嫁さんに欲しい。」

夕雲「残念ですが、既に先約があるのでお断りさせて頂きます。」

大鳳「フラれたわね。」

瑞鶴「うっさい。」

夕張(因みに瑞鳳さんは卵系と中華料理系に大鳳さんがカレー、私と402ちゃんが洋食系に夕雲ちゃんとイクちゃんが和食、とそれぞれ役割分担が出来ているのである。)

140: ≫1 2015/06/24(水) 23:10:39.81 ID:zcp8RuLA0
榛名「では私たちはそろそろお暇します。」

瑞鳳「あ、ホテルまで車で送りますよ?」

榛名「いえ、ここから少し電車で行った所にあるホテルなのでご迷惑になりますから…」

如月「そう言うことだから、今日は失礼します。御夕飯、ご馳走様でした。」

榛名「ご馳走様でした。」


《ホテル》

如月「ねぇ、一つ聞いて良いかしら?」

榛名「はい。」

如月「…何故Wベッドなの?」

榛名「空いてる部屋がここしか無かったんです… 新幹線が今日中の復帰が無理との事で、予約が急に殺到して…」

如月「はぁ…」

榛名「申し訳ありません… 代わりにホテル代は私持ちにしますから…」

如月「それ言われたら文句も言え無いわねぇ…」

榛名(実はシングル部屋もありましたが、中学生を一人にするのはどうしても怖いので…)


イベント 直下

142: ≫1 2015/06/24(水) 23:45:53.20 ID:zcp8RuLA0
《ホテル内 ゲームセンター》

榛名「さて、まだ寝るまで時間があるからゲームセンターまで来て見ましたが…」

如月「嫌だ、タバコ臭いわ…」

榛名「確かにこれはキツイです… それにゲームもあまり良いものが…」

如月「パチンコ台にスロット、子供向けのメダルゲームに格闘ゲーム…」

榛名「そして脱衣麻雀…」

如月「どうしましょうね?」

榛名「どうしましょう…」



如月「そこはそれを捨てて…」

榛名「いえ、勝負に出ます…!」

<リーチ!

榛名「よし…!」

如月「これでトドメよ!」

<ロン!

榛名「やった、これで全面クリア!」

如月「ねぇ、何が悲しくて脱衣麻雀やらなきゃならないのかしら?」

榛名「ですよね…」

如月「わ、私じゃ無かったら刺激が強すぎて白目向いて卒倒してるところよ?」

榛名「途中までノッてた人が…」

如月「ノ、ノッてなんか無いわよ!」

榛名「脱いだ時、興奮して凝視してたの誰でしたっけ?」

如月「うっ…!」

榛名「まぁ、中学生の前で脱衣麻雀やる私もどうかと思いますが。」

如月「これは一応内緒、と言う事で…」

榛名「私も怒られそうですから…」



さらにイベント(ゲーセン以外) 直下

147: ≫1 2015/06/25(木) 01:13:49.92 ID:7XLJbeQj0
榛名「ゲームセンターの脇にこんなものもあるのですね…」

如月「バトル台… でもこれ、旧式のアナハイム製のものよ?」

榛名「あれ、使用中?」

如月「暫く観戦しましょうか。」



赤城「ふぅ… シュミレーターシステムではパターンが統一されてて面白味が無いですね。」

如月「驚いた… 反射、砲撃命中精度、ダメージの逸らし方も全部かなり高い数値を示してる…」

榛名「作り込みも相当です… あの艦プラ、まるでどこかで…」

赤城「あら… どうかしました?」

榛名「いえ、中々作り込んである艦プラだと思いまして…」

如月「それに戦闘データを拝見させて頂きましたけど、かなり高いものですね。」

赤城「ありがとうございます。貴女達もファイターなのですか?」

榛名「あ、私はビルド専門です。」

如月「一応ファイターではありますけど…」

赤城「では一戦如何です?」

榛名「すみませんが艦プラを持って来ていないので…」

如月「ベースの方もありませんから…」

赤城「では仕方ありませんね。対人戦闘をしたかったのですが明日、選手権に出場する友人と調整をしましょう。」

榛名「選手権… 全国大会ですか?」

赤城「ええ。もしかして貴女達も?」

如月「はい。選手権に出場します。」

赤城「ではお互いライバル同士、頑張りましょうか。」

榛名「私は榛名、この子は如月さん。宮城県代表『チーム・ホワイトクリーン』の所属です。貴女は?」

赤城「私は赤城、東京第3代表『艦プラ部』所属です。」

榛名(翔鶴さんと同じ… これは手ごわい相手になりそうです…)



《ホテル 部屋》

如月「赤城さん、ね… あの能力、相当なものだわ。」

榛名「あの艦プラの作り、どこかで… 瑞鳳さんより大鳳さんに近い、でも少し荒削り…?」

如月「作風で誰が作ったかわかるの?」

榛名「ええ、ある程度ならばわかりますね。どんな技術を使うか、どれ程原型と差が出るかで。

例えばですけど瑞鳳さんなら『オリジナル艤装を優先する、船体は原型に近い形』、大鳳さんなら『プラ板や金属パーツの多用による装甲強化、それによる形状変化』、潮さんなら『新技術の優先使用や他艦種との融合、原型を留めぬ改造』と言う感じで。」

如月「じゃあ大鳳さんが?」

榛名「いえ。大鳳さんにしては少し雑ですが夕張さんは瑞鳳さんと大鳳さんの中間、と言った形でバランスを優先するタイプですから恐らく別人でしょう。」

如月「別のビルダー… 手強いわね…」

榛名「いえ、作風さえわかればどこが弱点なのかも自然と分かり易くなりますから。」

如月「へぇ…」ポチッ

<お前は最後に殺すと約束したな? そ、そうだ大佐、助けてくれ! あれは嘘だ。 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…

如月「…なんでこのシーンからなのかしら?」

榛名「タイミングの問題ですね。」

148: ≫1 2015/06/25(木) 02:10:16.80 ID:7XLJbeQj0
榛名「では、電気を消しますね。」

如月「お休みなさい。」

カチッ

榛名「…」

如月「榛名さん、少し良いかしら?」

榛名「…構いませんよ。」

如月「私ね、さっき姉さんと話したの。その時言われたわ、『勝負に嘘を吐くな』って。」

榛名「勝負に嘘、ですか…」

如月「わざと負ければその勝負は真実じゃなくなる、だから自分の真実を貫く… それって正しい事なの?

誰かがその真実の為に傷付く、そこまでして真実って貫かなきゃいけないものなの…?」

榛名「…榛名からは何も言えません。榛名も、隠してる嘘の一つや二つありますから。」

榛名(まだ隠してる、過去と私の『呪縛』… でもいつかは話さなければならない事…)

如月「その真実は誰かを傷付けるものなの?」

榛名「ええ。誰かが傷付く、だから隠してます。…でも、正直隠し続けるのも無理だと思ってます。

だから時が来ればその嘘を明かし、嘘と言う罪を贖わなければなりません。」

如月「覚悟はしてるのね…」

榛名「はい。そして如月さん、嘘吐きの立場から言います。

優しい嘘でも結局は誰かを傷付けてしまう、なら嘘は無い方が良い… これが私のアドバイスです。」

如月「真実を貫けって事、ね… 私に出来るかしら…」

榛名「きっと出来ますよ。」

如月「だって私、筋金入りの臆病者で、ヘタレで… そんな重荷に耐えられるかどうかだって…!」

榛名「…揺れる天秤、しかしその支柱はどれだけ傾こうと決して折れない。それだけの迷いが心の中で生じている、ならばきっと己を貫く事が出来る筈です。」

如月「…じゃあ榛名さん、一つ約束して。」

榛名「何でしょう?」

如月「私の心の中の天秤が折れそうになったら、その真実の重さに負けそうになったら…」



如月「この弱い私を… 榛名さん、貴女が支えてくれませんか?」

榛名「―――喜んで。」

149: ≫1 2015/06/25(木) 02:31:28.10 ID:7XLJbeQj0
2日後―――


如月「初風ちゃんに古鷹さん、ちょっと良いかしら?」

初風「何?」

如月「1回戦、こっちで編成して良い?」

古鷹「え、でももう青葉と…」

初風「…編成プランは?」

如月「舞風ちゃんと曙ちゃんに清霜ちゃん、そして私。」

古鷹「で、でも指揮は…」

如月「あら、私これでもフロチラ・リーダーだったのよ?それに私たちだけが使える『とっておき』がある。」

初風「『とっておき』、ね… 良いわよ、ただし必ず勝ちなさい。」

如月「ええ、承知の上よ。」


野分「…ヘタレがヘタレて無い。」

舞風「んな馬鹿な…」

曙「嘘、あのヘタレよ…?」

清霜「ふぅん、成る程ね…」

朝潮「雰囲気が以前とは違う…」

秋月「榛名さん、一体何かしました?」

榛名「特には何も?」

青葉「本当ですかぁ?」

衣笠「まぁまぁ… でも何か強くなった感じはする。」

阿武隈「泊まりに行ってる間に何かあったのは確実だよね。」

天城「ま、まさか姉さん… 如月さんに手を…!」

陽炎「姉さんってソッチ系!?」

長波「嘘だろ!?」

榛名「何で私がソッチ系って言う話になってるんですか!?」

龍鳳(天然タラシ、とか言われてましたからね…)

ハロ「タラシ!タラシ!」



榛名「さて、仕上げに入りましょう…」

榛名(如月さんの専用艦、あとこれを組み込めば…!)



如月の専用艦

ベース(戦艦) ↓2

改造内容 ↓4


ベースに出来ないもの:扶桑型・伊勢型・長門型・金剛型・大和型(改・超大和型含め)・天城型・加賀型・レナウン級・Sホルスト級・アイオワ級(アイオワのみ使用不可)

改造内容条件
・『ディスチャージ』『RGシステムtype-HA』を除く『特殊艤装』を一つ装備すること(例としてはPBCなど)



また今回のみ試験的に連投を可能にし、『ベース』の安価を取っても一定時間(3時間)経過で『改造内容』も指定可能とします。

 

 

177: ≫1 2015/06/27(土) 02:40:47.35 ID:HvjRWxsd0
・Bismarck・ Waage 1
☆クイーンエリザベス・ブレイヴ 2
・ノースカロライナ・ブレイヴ 1



クイーンエリザベス・ブレイヴ
艤装
・38.1cm(47口径)連装砲4基
・12.7センチ広角砲(VT)10基
・2ポンド8連装ポンポン砲 (VT)4基
・20mm連装機銃(VT) 20基
・20㎜単装機銃(VT) 14基
・61センチ酸素魚雷5連装4基
・カタパルト(索敵機3)
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式・徹甲弾、2式・粒子圧縮加速、3式・粒子歪曲フィールド)

アームド・アーマー・アサルト ×2
・12.7センチ連装砲1基
・61センチ4連装酸素魚雷2基


概要
如月の専用艦で榛名が製作した二番目の専用艦でもある。
船体に旧型のクイーンエリザベスを採用したのは駆逐艦である如月の要望で比較的小回りの利く小さめな艦を希望したから。
製作には『ヴィクトリアス・ブレイヴ』のテストで得たデータを反映している事から高い性能を誇る。
主砲はビスマルク用の砲身に換装する事で長砲身化、対空兵装は44年仕様をベースに12.7センチ広角砲への換装、機銃の増設、広角砲、ポンポン砲の砲弾にVT信管を採用などの改装が行われている。 更に前後艦橋をフッドとキングジョージ級の物に換装し対艦、対空射撃の精度向上を図っている。 雷装も61センチ酸素魚雷5連装4と、駆逐艦の如月に合わせたものに。
また榛名の『バンシィ・ノルン』への搭乗経験を基に製作した『アームド・アーマー・アサルト』を装備している。
『アームド・アーマー・アサルト』は瑞鳳の『シュツルム・ユニット』をベースに『バンシィ・ノルン』の『アームド・アーマーDE』の攻防一体の能力を取り入れたもの。艦首と艦橋の増加装甲と左右両舷の高機動ユニットで構成される、増加装甲、高機動ユニットは共に可変式で艦首増加装甲は艦首を延長し抵抗を減らすクルーズフォームと装甲が展開して隙間から船体を覆う粒子フィールドを展開するシールドフォーム、ディスチャージ形態の粒子フィールドを増加装甲に集中して衝角とするアサルトフォームの3形態。
高機動ユニットは2等駆逐艦の船体ベースで武装は12.7センチ連装砲1基と61センチ4連装酸素魚雷2基のみ スクリュー推進のクルーズフォームとディスチャージ形態のアサルトフォームの2形態、アサルトフォームでは圧縮したプラフスキー粒子を展開した艦尾からロケットブースターのように推進する形態で瞬間的ながらシュツルムゼナウをも上回る速力を叩き出す、ただし推進力が高すぎる為ほぼ直進しか出来ない。
性能面も『グナイゼナウ・クロイツDrei』に匹敵する程高いものを誇り、如月の『折れない心』と共に圧倒的な力で自らの敵をなぎ払う。




榛名「『クイーンエリザベス・ブレイヴ』… これが如月さんの専用艦です。」

如月「『ブレイヴ』、勇気、ね… 私の覚悟、大会で示すわ…!」

178: ≫1 2015/06/27(土) 03:22:43.84 ID:HvjRWxsd0
《そして…》


『これより、第3回艦プラバトル選手権全国大会を開催いたします。』


翔鶴「全艦、突撃陣形!一気に決着をつけます!」

赤城「わかりました!」

瑞鶴「艦載機順次発艦!目標、敵艦隊の旗艦! やっちゃって!」

加賀「ここはゆずれません…!」


『1回戦第2試合、勝者『艦プラ部』。』


初風「…そろそろ出番よ、準備なさい。」

如月「わかってるわ。榛名さん、サブお願いできる?」

榛名「お任せください。」

青葉「負けないでくださいよ?」

曙「わかってるわよ、この茶タイツ。」

清霜「姉さんの手前、ここで妹達が消えるなんて在り得ないって。」

朝潮「でも油断は禁物です。相手はあの白露さんですから。」

舞風「まさか転校してったクラスメイトと対決なんてね。ま、勝つのはこっちだけど。」

陽炎「いくら病人の妹が居るからって情に絆されんじゃないわよ?」

如月「そんなの、百も承知…!」

秋月「あと使用可能艦プラは『1国限定』ですから『クイーンエリザベス・ブレイヴ』を使用した場合『イギリス艦』だけになります。」

榛名「大丈夫、ちゃんと用意していますから。」


涼風「おい!」

如月「…何かしら、八百長ならお断りよ?」

曙「いくら知り合いの知り合いとは言え、図々しく無いかしら?」

高波「えと、今回は違うかもです…」

大潮「実はあの後、白露さんにこの件がバレて…」

白露「本当に御免!私がちゃんと注意しておかなかったばっかり…」

清霜「白露…」

白露「正々堂々戦って、その上で勝たないと朝霜も喜ばない… だから、皆とは正々堂々と勝負したい!」

舞風「だってさ?」

如月「正々堂々、ね。良いわ、でも勝つのは私たちよ。」

白露「こっちも、負けるつもりは無いからね…!」



自軍編成
・如月(サブ:榛名) 『クイーンエリザベス・ブレイヴ』
・曙(駆逐艦) 直下
・舞風(駆逐艦) ↓2
・清霜(駆逐艦) ↓3

編成条件:イギリス艦のみ

183: ≫1 2015/06/28(日) 22:57:08.59 ID:aGK/O4EK0
自軍戦力

クイーンエリザベス・ブレイヴ(如月&榛名)
艤装
・38.1cm(47口径)連装砲4基
・12.7センチ広角砲(VT)10基
・2ポンド8連装ポンポン砲 (VT)4基
・20mm連装機銃(VT) 20基
・20㎜単装機銃(VT) 14基
・61センチ酸素魚雷5連装4基
・カタパルト(索敵機3)
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式・徹甲弾、2式・粒子圧縮加速、3式・粒子歪曲フィールド)
アームド・アーマー・アサルト ×2
・12.7センチ連装砲1基
・61センチ4連装酸素魚雷2基

Z級駆逐艦ゼファー(曙)
艤装
・114mm(両用砲 4基
・4連装 QF 2ポンド Mk.VIII 対空砲 1基
・連装エリコンFF 20 mm 機関砲 4基
・61cm3連装魚雷発射管
・SC-2レーダー

E級駆逐艦エクスプレス(舞風)
艤装
・119 mm Mark IX 単装砲 4門
・12.7mm Mark III 四連装機銃 2基
・533 mm 四連装魚雷発射管 2基

アドミラルティV級駆逐艦ヴァンパイア(清霜)
・10.2cm Mk.V 単装砲:4基
・50口径7.6cm Mk.I 単装高角砲:1基
・53.3cm連装発射管:2基




Please Set Your KP BASE

Beginning Plavsky Particle Dispersal

清霜「相手は白露かぁ…」

曙「で、ちゃんと覚悟は出来てんでしょうね?」

如月「ええ、二度と迷いはしないわ…!」

舞風「ヘタレの癖にこう言う時だけはカッコいいんだから…」

榛名『始まります、全員準備を。』

如月「わかってるわ。全員、『あの戦術』を使うわよ。」


涼風「悪いがこっちだって負けられない…!」

大潮「朝霜さんがせっかく応援に来てくれてるのに無様は見せられません!」

高波「でも、相手も強そうかも…」

白露「大丈夫大丈夫!」

白露(如月、悪いけど1番になるのは私だから!)

Please Set Your KANPLA

BATTLE START!


如月「クイーンエリザベス・ブレイヴ、如月!」

曙「駆逐艦ゼファー、曙!」

舞風「駆逐艦エクスプレス、舞風!」

清霜「駆逐ヴァンパイア、清霜!」

榛名『チーム・ホワイトクリーン!』

如月「出撃します!」

184: ≫1 2015/06/28(日) 23:09:29.15 ID:aGK/O4EK0
榛名『敵艦隊捕捉しました、データリンク開始します』


敵艦隊
・戦艦 ノースカロライナ(白露)
・駆逐艦 アレン・M・サムナー(涼風)
・駆逐艦 グウィン(グリーブス級)(大潮)
・駆逐艦 ラフィー(ベンソン級)(高波)


曙「馬鹿正直に突っ込んでくるわね… それに陣形も滅茶苦茶」

舞風「戦術なんてないか、それとも何か仕掛けてくるか…」

清霜「多分前者。だって…」

榛名『あ、通信を傍受しました。流します』

白露「あ、あんまり前に出過ぎると…」

大潮「ここは突撃あるのみです!」

涼風「早く来ないとスコア取るぞ?」

高波「負けられないから、突撃かもです…!」


清霜「多分私と同じ人種(バカ)で、駆逐艦だけが突出してるもん」

曙「…時々アンタの謎洞察力には驚かされるわ」

舞風「相変わらずだねぇ…」

如月(仕掛けるか、様子を見るか…)



行動選択 直下
1.牽制しつつ前衛の駆逐艦に対し包囲網を構築
2.長距離からの牽制を行う
3.様子を見る
4.その他

187: ≫1 2015/06/28(日) 23:19:59.77 ID:aGK/O4EK0
如月「…やるわよ、あれ」

清霜「よしっ!じゃあまずは…」

曙「『牽制しつつ敵を中央に固定』でしょ?」

舞風「じゃあ仕掛けるよ!」

如月「ええ。榛名さん、照準補正お願い。着弾位置を敵から逸らしてなるべく一箇所に固まるように。」

榛名『はい、はい!主砲装填完了、着弾予測位置修正。今です!』

如月「主砲斉射開始!」


高波「発砲音!?」

涼風「は、反撃は…」

白露「射程外!こんな距離で…」

大潮「相当改造されてるみたいですね…」


命中判定 直下
90以上で命中

190: ≫1 2015/06/28(日) 23:39:27.78 ID:aGK/O4EK0
クイーンエリザベスから放たれた砲撃はアレン・M・サムナーに直撃し、炸裂した!


榛名『命中1、敵中破相当です』

如月「あら、当て無いつもりだったのに…」

清霜「でも敵は足を止めた…!」


白露「大丈夫!?」

涼風「ダメージコントロールしないと…!」

大潮「あの距離から直撃なんて…」

高波「長距離砲撃の狙いが上手いかもです…」


如月「今よ!全艦纏めて包囲、敵を中央に固定! 榛名さん『アサルトフォーム』のスタンバイを。」

曙・舞風・清霜「了解!」

榛名『は、はい!』


そして曙達の操る艦が4隻を包囲し、円の陣形で追い込む!


白露「うっとおしい…!」

大潮「何を…」



行動選択 直下
1.火力を集中させて反撃能力を削ぐ
2.分断して各個撃破へ
3.その他

192: ≫1 2015/06/28(日) 23:51:50.28 ID:aGK/O4EK0
如月「このまま速やかに火力を集中!」

曙・舞風・清霜「了解!」

曙達はすかさず4隻に対し、砲撃と雷撃を行う!


白露「撃って来た!?」

高波「か、回避運動!」

大潮「に、逃げ場が…」

涼風「これを狙って…」



命中判定

・ノースカロライナ 直下
・アレン・M・サムナー ↓2
・グウィン ↓3
・ラフィー ↓4


10以上で命中


197: ≫1 2015/06/29(月) 21:46:37.55 ID:PBvlKQyR0
グウィンを除く3隻に砲弾や雷撃が直撃し、反撃能力と航行能力を奪い去る!


涼風「大破判定!?航行不能、ダメージコントロール不可!?」

白露「こっちも、動けない!?」

高波「これってピンチかもです!?」

大潮「に、逃げないと…」


曙「もう遅い!」

清霜「如月、やっちゃえ!」

舞風「これでお終いだよ!」

如月「ええ!榛名さん、チャージは?」

榛名『終わってます!オーバードライブ、フィールド展開… フォームシフト『アサルト』!』


粒子のフィールドが前面に展開し、艦尾に粒子が圧縮される!


如月「全艦、射線上から退避!」

曙・舞風・清霜「了解!」


そして3隻は包囲陣を解き、射線上には4隻が残った!


如月「トドメは真ん中を貫く…! これで、終わりよ!」


如月は後部に圧縮された粒子を完全に解放し、クイーンエリザベスを加速させる!


涼風「大潮、逃げろ!」

大潮「ま、間に合いません!?」

白露「こ、こっち来た!?」

高波「さ、避けられないかも!?」



撃沈判定

・ノースカロライナ 直下
・アレン・M・サムナー ↓2
・グウィン ↓3
・ラフィー ↓4


05以上で命中

202: ≫1 2015/06/29(月) 22:57:37.56 ID:PBvlKQyR0
そして損傷し逃れる術を喪っていた3隻にクイーンエリザベスの船体が直撃し、バラバラになった!


涼風「艦プラが!?」

白露「そんな… 撃沈なんて…」

高波「強すぎかもです…」


如月「3隻撃沈、呆れる程に有効な戦術ね…」

舞風「うわっ、えぐい…」

曙「気を抜かない、あと1隻残ってる」

清霜「余裕だね」


大潮「そんな一瞬で3隻… 強すです…」


その中で大潮のグウィンは逃げようとするが…


舞風「残念だけど沈めさせて貰うね」

曙「もう逃げ場は封じた。アンタはもう籠の鳥」

清霜「恨むなら恨んで良いよ」

如月「でも、私達には私達なりの負けられない理由がある…!」

榛名『今です!』

如月「全艦斉射始め!」


撃沈判定 直下
01以上で撃沈

204: ≫1 2015/06/29(月) 23:43:25.95 ID:PBvlKQyR0
4隻からの圧倒的な砲撃の前にラグウィンの船体は粉砕されて、藻屑へと消えた…


榛名『最後の1隻、撃沈を確認しました』

如月「戦闘終了、ね…」



Battle END

Winner“Team WhiteClean”


清霜「清霜達の勝ちだよ」

白露「そんな、せっかく朝霜が…」

曙「白露…」

如月「白露ちゃん、少し良いかしら?」

白露「何、私負けたのに…」

如月「朝霜ちゃん、連れて来て。この会場に来てるんでしょ?」

白露「うん…」

榛名「じゃあ私達は…」

如月「榛名さんは私と来て。私だけじゃ上手く伝えられないかもしれないから」

榛名「わかりました」

舞風「如月、一体…」

曙「私達が詮索する事じゃない。行きましょ」


白露「朝霜、ごめん。私、負けた…」

朝霜「良いんだよ、姉さんは良くやったと思う… で、アンタらは何しに来た?負けた姉さんを笑いに来たのか?」

如月「そんな事しないわよ。ただ伝えたい事があるだけ」

白露「伝えたい、事…?」

如月「リベンジ、待ってるから」

朝霜「は?」

如月「さっきの力は榛名さんが、あの3人が私に貸してくれた力… だから今度は私だけの力で倒す」

朝霜「アンタ…」

如月「だからちゃんと身体を治して挑みに来なさい。全力で迎え撃ってあげるから二人掛かりでも何でもかかってきなさい!」

白露「如月… うん…!今度は朝霜と二人で、必ず倒してやるんだから!」

朝霜「姉さん… おい、そこの榛名とか言うの」

榛名「何でしょう?」

朝霜「あの艦プラ作ったの、アンタだろ?」

榛名「ええ、『クイーンエリザベス・ブレイヴ』は私が製作しました」

朝霜「悔しいがアンタの腕にはあたいは敵わない… だから、病気が治ったら作り方を教えて欲しい」

榛名「はい、必ずお教えします」

白露「如月、ありがと…」

如月「いえ、貴女の一番の友人として当然のことよ。ただ一つ言っておくと、私はこれからも、どんな相手だろうと、負けるつもりは無いわ」

白露「応援するよ、必ず」

如月「じゃあね、白露ちゃん」

白露「バイバイ、如月」

205: ≫1 2015/06/30(火) 00:31:49.14 ID:y7F41wVj0
《都内某所 焼肉屋》

大鯨「では、記念すべき全国大会初勝利を祝って乾杯ー♪」

清霜「待って、ねえ何でお母さんが居るの?」

舞風「仕事は?」

大鯨「ほっぽって来ちゃった♪」

初風「あぁ、私ちょっと胃に穴開きそう… 去年の姉さんの応援に行った時の尻拭いしたのも私なのに…」

大鯨「良いじゃない、ここは私の奢りなんだから」

野分「でも、どこに泊まるの?」

大鯨「そりゃもう…」

瑞鳳「やっぱりウチ!?」

陽炎「何かちゃっかり居た…」

蒼龍「私達も居るわよ」

飛龍「隣がコイツってのが気に食わないけど」

青葉「あばばばば…」←飛龍と蒼龍に両脇を挟まれてる

龍鳳「青葉さんは飛龍さんと蒼龍さんに何かしたのでしょうか?」

長波「泊まりに来た時はボコボコにされるの恐れて初風達のアパートに滑り込んだが…」

古鷹「今回ばかりは逃げ場が…」

衣笠(ねぇ、衣笠さん達そんな直接恨まれることした!?)

天城「まぁまぁ、祝いの席ですしここは穏便に…」

榛名「あれ如月さん、どうかしましたか…?」

如月「…今になって宣言した事の重大さに気付いたの。 負けるつもりが無いって、世界で勝つつもりって事じゃない…」

榛名「本当に私達が負ける、って思ってます?」

如月「でも世界の敵って…」

大鯨「大丈夫よ、私の自慢の娘の一人なんだもの」

如月「お母さん…」

榛名「さ、頂きましょうか」

如月「カロリー、大丈夫かしら…」

曙(ヘタレ度が薄い… こんなの本当に如月なの…?)


如月「でね、榛名さんったらベッドの上で… 『私が支えます』って愛を囁きながら…」

榛名「言いましたけどなんでそこ歪曲させるんですか!?」

天城「まさか姉さん本気で如月さんに手を!?」

陽炎「このタラシの姉はどこまで毒牙にかければ!?」

初風(まぁ、その内自爆するでしょ)

如月「うふ、じゃあベッドの上で共に過ごしたあの時間は嘘だったのかしら?」

榛名「いえ、本当です。私が愛を囁いたのも、それ以上に色んなこともしましたね。」カチッ

如月「え、あれ?」

榛名「ねっとり、ねっとりと、それはもう互いで貪りあって… ほらこんな感じに…」←ちょっと怒ってる

如月「ちょ、やめ…!?」プシュー

榛名「それとも、あの時間は嘘だったのですか?」壁ドン

如月「あ、あわ…」ガクッ

榛名「あ、気絶しちゃいました」

姉妹一同(コイツやっぱりヘタレだ)

206: ≫1 2015/06/30(火) 00:57:27.83 ID:y7F41wVj0
《ホテル》

如月「あれ、私…」

榛名「あ、気付きました?」

如月「榛名、さん…?ここ、ホテル…」

榛名「ええ、気絶したので運びました」

如月「御免なさい、さっきは… ちょっと調子に乗りすぎたみたいで…」

榛名「いえ、榛名もちょっと大人気無かったかなと思いましたので大丈夫です」

如月「ねぇ、私… まだ迷いがあるみたい。全国大会を突破したとしても、次に待ってるのは世界だから勝てるのかって…」

榛名「大丈夫ですよ。私達なら必ずやれますから」

如月「榛名さん…」

榛名「折れそうになったら支える、そう約束した筈ですよ?」

如月「あれってもう無効じゃ…」

榛名「有効ですよ、私と如月さんが生きてる限り。と言うか、無効なんて言ってませんから」

如月「そ、そう…」

榛名「知ってますか?この宿泊場の割り振りがどうなってるか」

如月「え、どうかしたのかしら?」

榛名「17人の部屋を3人ずつで割った結果、二人部屋がどうしても出来ちゃうんです」

如月「確かにそうね… まさか…!?」

榛名「はい、私と如月さんが同室です」

如月「えぇっ!?しかもこれWベッドよね!?」

榛名「はい。では、続きといきましょう」

如月「続き…?」

榛名「貴女が捻じ曲げに捻じ曲げた話の内容、ここで実現させちゃいましょうか♪」

如月「ッ~!?///」

榛名「ふふっ、今夜は寝かせませんよ…?」

如月「」ドサッ

榛名「あ、また気絶しちゃいました」

榛名(でも、元の調子に戻ってよかったです。これなら問題はありませんね、多分)


第10話『折れない支柱』 終

216: ≫1 2015/06/30(火) 22:31:53.58 ID:y7F41wVj0
第11話『Lost Memory』


《お台場 プラフスキー粒子研究所・特別製作室》

榛名「あとは塗料の乾きを待てば…」

古鷹「お疲れ様です。どうしますか?」

榛名「乾燥したらすぐテストに入りますけど後少しかかりそうですね」

榛名(私は今、専用艦の未製作艦を作成する為にお台場にある『プラフスキー粒子研究所』に来ています。

古鷹さんに来てもらったのは榛名の製作補佐とシューフィッター、つまり最終調整役の為です)

古鷹「でも、私で良かったのですか?」

榛名「ええ、製作技術も操縦技術もある古鷹さんなら安心して任せられます」

古鷹「お役に立てて嬉しいです。記憶を失くしてから榛名さんにはずっとお世話になってましたからこう言う所でお返ししないと…」

榛名「もしかすれば記憶を失くす前の古鷹さんもバトルをしてたのかもしれませんね」

古鷹「どうでしょうねぇ…」

古鷹(でも、何で私にこんな技術があるんだろ… プラモデル製作は『元の身体の持ち主』が得意だったのかもしれないけどバトルは…)

榛名「何か思い出しましたか?」

古鷹「いえ… 何か引っかかりはあるのですが…」

榛名「そうですか… 検査の結果で何か判れば…」

古鷹「あ、今日ですね。検査の結果出るのは」

榛名「はい。大鯨さんの紹介ですから何かきっかけくらいは掴んでくれる筈ですよ」

古鷹(どうせ、何も無いです。『前の私』の記憶は全部『古鷹の魂』と融合した時に消えてるから…

でも、榛名さんは何で私達をこんなに信じて… こんな胡散臭くて怪しいのに…)

榛名「では少し飲み物を買って来ますからここで艦プラを見ててください」

古鷹「あ、わかりました」


榛名「えと、古鷹さんは確かこのお茶が好きだったと…」

榛名(私はミネラルウォーターで良いですね。このラインナップだとあまり好きなものはありませんから…)ツルッ

榛名「きゃあっ!?」ドサッ

コロコロ…

榛名「あ、お茶が…」

ヒョイ

「どうぞ」

榛名「ありがとうございます…」


誰だった? 直下
1.ナチ
2.アタゴ
3.筑摩

218: ≫1 2015/06/30(火) 23:14:27.81 ID:y7F41wVj0
筑摩「あら… 榛名さん?」

榛名「あ、筑摩さん。お久し振りです」

筑摩「ロケの時以来ですね。本日はどんなご用件で?」

榛名「全国大会で使う艦プラの調整と、あと新規の艦の製作の方を」

筑摩「そう言う事でしたか…」

榛名「筑摩さんはどうしてここに?」

筑摩「これでも私、蒼龍さんと一緒にここの所属ですから」

榛名「そう言えばそうでした」

筑摩「基本的に地方巡業が主なので研究所に来ることは外部の学校等が見学する時か新システムのテスト、会議くらいですね」

榛名「大変ですね…」

筑摩「行き場を失くした私に手を差し伸べてくれたのは潮さん、そして現会長の大和さんですからその恩返しのようなものですよ」

榛名「潮さん、ですか?」

筑摩「あら、潮さんをご存知なんですね」

榛名「ええ、何度か会った時があるので… 私より年下なのに凄く芯が強い人でした」

榛名(殆ど異世界絡み、とは言えませんけど…)

筑摩「確かに芯はかなり強いですね。私も潮さんには2度も助けられてますから…」

榛名「2度、ですか?」

筑摩「ええ。マーサ・ビスト・カーバインに操られていた私を解放した事が1度目、行き場を失くした私を大和会長に保護して欲しいと頼んだのが2度目です。

ですので、本当に潮さんには頭が上がらなくて… でもこの前不注意で…」

榛名「潮さんに何か…?」

筑摩「実は信じられないかもしれないですけど、『あるもの』のテストをしていたら少し潮さんが行方不明になってしまって…

今はもう戻ってるのですけど、その時私も見ていたのですが止められなくて…」

榛名「もしかして『ユニコーンガンダム』と『クシャトリヤ』ですか?」

筑摩「どうしてそれを!?」

榛名「えっと、実はこの前諸事情で異世界に飛ばされて… それで元の世界に戻る為の作戦中に潮さんが飛ばされてきたので協力して一緒に脱出を…」

筑摩「あ、そう言う事でしたか…」

榛名「潮さんと夕立さんは私と一緒にMSで対空戦闘を行ってましたので」

筑摩「榛名さんもMSに?」

榛名「はい。ユニコーンガンダムの2号機『バンシィ・ノルン』で」

筑摩「『バンシィ』…? 瑞鳳さんが3号機の『フェネクス』に乗っているのは聞きましたけど、榛名さんもMSに乗ってるなんて…」

榛名「ちょっとした成り行きで選ばれて…」

筑摩「やっぱりあの系列機体を操れる人はどこか似てるような…」

榛名「どう言う事ですか?」

筑摩「夕立さん、実はユニコーンに拒否されたんです。適正的にはユニコーンですけど、代わりにクシャトリヤに乗ることになってしまったので…

なので『ユニコーン』『バンシィ』『フェネクス』の3機は意図的にパイロットを選んでるのでは無いかと」

榛名「でも402さんはフェネクスを…」

筑摩「NT-Dを使用しなければ勿論夕立さんでも乗れました。しかしNT-Dを起動出来ず、潮さんは意図的にNT-Dを発動出来ました。

感応波の問題かもしれませんがファンネルを操れる以上夕立さんに問題は無いので多分機体がパイロットを選んでると言う結論になったのです」

榛名(私もバンシィに選ばれ、瑞鳳さんもフェネクスを制御してる… この事にどんな意味が…)

219: ≫1 2015/06/30(火) 23:46:48.64 ID:y7F41wVj0
ヴーッヴーッ

筑摩「電話ですか?」

榛名「みたいです… もしもし?」ピッ

『古鷹さんと衣笠さんの保護者の榛名さんでお間違い無いでしょうか?』

榛名「はい、私が榛名です」

『先日病院で検査を担当させて頂いた者ですが、結果の方が全てわかったので連絡させて頂きました』

榛名「あ、先日はどうも…」

『古鷹さんか衣笠さんはいらっしゃいますか?』

榛名「古鷹さんなら居ますよ。では少々お待ち…」

『待ってください。この件はお二人に話さないようにお願いします』

榛名「え…?」

『この件は相当自分ら医師にとっても酷なものでした。なので話した場合のショックが大きく、現在の二人に話すのは少々問題が…』

榛名「そんな…」

『なので今から口頭で伝える事は絶対に伝えないでください。話せば二人はショックで…』

榛名「わかり、ました…」

『ありがとうございます。…結論から言わせて貰います』



『二人の記憶は、二度と戻ることはありません』



榛名「え…?」

『血液検査を実施した結果判明したのですが、彼女達の血液の中にある薬物が紛れ込んでいました』

榛名「薬物…」

『ええ、麻薬などの類のものでは無い薬だったのですが… これは旧アナハイム・エレクトロニクスで開発された未認可の薬です』

榛名「未認可…?」

『記録によればPTSD用の薬として開発されたのですが記憶を完全に消してしまう事が判明し未認可となってしまった経緯があるようです。

しかも記録では治療薬の開発されておらず、もう手の施しようが…』

榛名「そんな…!」

『しかし血中にある薬物だけを取り除ければ可能性は… もしくは何らかのショックを与えれば…』

榛名「ショック、ですか?」

『ええ。物理的では無く精神的なショック、特に記憶の手がかりとなるものであれば可能性があるかもしれません。

ですが古鷹さんと衣笠さんの場合、投与されてからかなりの年数が経過してるので完全に脳細胞がやられている可能性も…』

榛名「脳細胞まで…」

『ですが悲観しないでください。記憶の無い彼女達の支えになれるのは貴女だけです。

貴女なら、心に呼びかけて記憶を呼び覚ますことが出来るかもしれません。ですので希望を持ってください』

榛名「わかり、ました…」

『ではまた何か判ったことがあれば連絡します。お役に立てず申し訳ありません…』

榛名「いえ、ありがとうございました…」

220: ≫1 2015/07/01(水) 00:31:28.09 ID:YcPdsl330
筑摩「…相当ショッキングな内容だったようですね」

榛名「はい、一体どうすれば…」

筑摩「部外者の私が口に出せる事は出来ません… ですが、きっと貴女には何か出来る事があるのでは無いのでしょうか?」

榛名「榛名に、出来る事…」

筑摩「ええ、自分自身でやれる事を見つけてやり遂げる。それが潮さんから学んだ事です。

榛名さんにもきっと出来ますから」

榛名「だと、良いのですけど…」



古鷹「あ、榛名さん。…どうかしましたか?」

榛名「いえ、何でも…」

榛名(この事実だけは伝えられない… どうすれば…)

古鷹「顔色が優れませんよ?」

榛名「いえ、大丈夫です…」

榛名(どうすれば良い? 何が出来る? 誰か教えて… 何でこんな子が、残酷な目に合わなければならないの…)ギュッ

古鷹「え、えと… あの、榛名さん…?」

榛名(教えてくださいお母さん、お父さん… どうすれば古鷹さんと衣笠さんを助ければ…)

古鷹「あの、苦しいです…」

榛名「…ごめんなさい」

古鷹「え…?」

榛名(私じゃ救えない… 記憶を戻す事も出来ない、元の家族を探してあげる事も出来ない、榛名に出来る事なんて無い…

あまりにも無力です…)

古鷹(何だろう、この感じ… 何かに似てる、感じた事がある… きっと『前の私』の…)


≪原宿駅≫

榛名「先程は取り乱してすみません…」

古鷹「いえ… でも、何もわからなかったなんて…」

榛名(古鷹さんには『何もわからなかった』とだけ伝えました。記憶を戻す術も無い、と言う事実も…)

古鷹(術なんか無くて当たり前… だって私は艦娘、記憶は魂が融合した時に失われてるから戻る筈なんて無い。

でも榛名さんは本気で私達を心配してくれている。だから嘘をついてる自分が嫌になってくる…)

榛名「でも、きっと大丈夫ですよ。記憶はきっと戻ります」

古鷹「そうだと、良いですけど…」

古鷹(榛名さんに心配されている私は幸せ者… でも私に幸せを得る権利なんて無い。この手はもう何人もの命を奪って血に汚れてるから…

嘘と言う罪を胸に突き刺しながら向き合わなくちゃいけない。ずっと不幸でなくちゃいけないんだ…)

榛名「…少しだけ、この辺を散歩してみましょうか?」

古鷹「良いんですか?」

榛名「ええ、この辺の地理ならわかりますから」

古鷹「では、少しだけ…」

榛名(この近くの情景が記憶を蘇らせる切欠になれば…)



イベント 直下

222: ≫1 2015/07/01(水) 02:09:40.63 ID:YcPdsl330
≪竹下通り≫

古鷹「鯛焼きなんて、ご馳走になって良いのでしょうか?」

榛名「ええ、小腹が空いていたので丁度食べたかったんです」

古鷹「ありがとうございます… でも何で鯛焼き6つも?」

榛名「古鷹さん、何個食べます?」

古鷹「えと、私は1個で…」

榛名「では2個で」

古鷹「え、でもこんなに貰っちゃ…」

榛名「遠慮する必要はありませんよ。食べれないなら無理に、とは言いませんが」

古鷹「では頂きます… 美味しい…」

榛名「ここの鯛焼き、周辺だと一番売れてるんです。なので今日みたいにお客さんが少ないのは珍しいのですよ」

古鷹「そうなんですか。あれ、箱にあった鯛焼きの残りが2つに…」

榛名「あ、私が食べました」

古鷹「!?」

榛名「恥ずかしながら榛名、大食いでして…」

古鷹(確かにその片鱗は知ってるけど、早食いまであるの!?)

榛名「実は小腹でも結構な量が必要なんです…」

古鷹「…鯛焼き、もう一つ要ります?」

榛名「いえ、4つで充分です」

古鷹「そ、そうですか…」



さらにイベント 直下

224: ≫1 2015/07/01(水) 02:47:14.70 ID:YcPdsl330
古鷹「たこ焼きまで…」

榛名「すみません、小腹どころか大腹が空いているようです…」

古鷹「よく食べれますよね…?」

榛名「昔からなんです。人一倍食べる癖にすぐお腹が空いて、まったく太らなくて…」

古鷹「テレビの大食いの人みたいな体質なんですか…?」

榛名「そう言うわけじゃないみたいなんです。検査したら人一倍栄養が必要な身体らしくて…」

古鷹「何です、その特異体質?」

榛名(やはり幼少期のアレのせいで負ってしまった、食に対する飢え…? でもこれは先天的なものだって…)

古鷹「それにしてもたこ焼き全種類(ノーマル、ねぎ、チーズetc.)を買ってくるなんて…」

榛名「本当にお腹が… お昼だって食べたばかりなのに…」

古鷹「確かに食べたばかりですが…」

榛名「ほとほと自分の大食い体質には嫌気が差します」

古鷹「まぁまぁ、でも何で天城さんは違うんでしょうね?」

榛名「あの子、割と小食ですから」

榛名(私の秘密なんて、言えないです… あぁ、また隠し事が増えていく…)

古鷹「どうしたんです?」

榛名「いえ、何でも…」パクッ

古鷹「あ、冷まさないで食べると…」

榛名「ん゛っ!?あ゛づっ!?」

古鷹「だから言ったのに…」


この後滅茶苦茶火傷した


さらにイベント(食べ物NG) 直下

226: ≫1 2015/07/01(水) 03:21:24.55 ID:YcPdsl330
榛名「あと3周です!」

古鷹「ちょ、何で私達ランニングなんてしてるんですか~!?」

榛名「ちょっと代々木公園の周りを腹ごなしにと思いまして」

古鷹(この人の思考回路どうなってんの!?)

榛名「太りますよ?」

古鷹「うっ… それは嫌ですね…」

榛名「なら走りましょう」


古鷹「ぜぇ、ぜぇ…」

榛名「お疲れ様です」

古鷹「何で、息、切れて、無い、んです…?」

榛名「体質です」

古鷹(何この理不尽)

榛名「体力と運動神経だけは良いんです、私」

古鷹「結構、榛名さんって万能ですよね…」

榛名「私よりもっと万能な人は居ますよ?」

古鷹「誰です?」

榛名「瑞鳳さんです」

古鷹「あぁ、あの人…」

榛名「大鯨さん曰く『フルマラソンを息を切らさず2時間で完走出来る』そうなので」

古鷹「もうそれ人間じゃありませんよね!?」

榛名「他にも大鯨さんの旦那さんは琵琶湖をダッシュで渡りきるそうです」

古鷹「」

榛名「私より凄い人なんていっぱい居ますでしょ?」

古鷹「その人達は人間として規格外じゃ…」

227: ≫1 2015/07/01(水) 03:34:09.09 ID:YcPdsl330
今日はここまで

一応これからの予定ですが

・12話『2対の獣』…榛名&青葉がハシラジマでフェネクスをどうにかする
・13話『決戦への道』…VS翔鶴率いる艦プラ部 金剛登場かも?
・14話『姉妹』…榛名姉妹VS金剛一行 あと榛名と『あるヒロイン』の秘密について 多分天城がおみまいする
・15話『束の間の休息』…旅行回 ついにあのキャラが登場 
・16話『勇気の覚醒』…旅行先で巻き起こる事件を解決する 瑞鳳がある平行世界から登場人物を召喚するかも?

と言う感じです。

ご意見ご要望があれば受け付けますのでよろしくお願いします

231: ≫1 2015/07/01(水) 21:27:26.49 ID:YcPdsl330
≪代々木第一体育館≫


古鷹「皆、どこで観戦してるんでしたっけ?」

榛名「2階アリーナの北側D席のだったと思います」

古鷹「あ、居ました!」

榛名「では古鷹さんは先に行っていてください」

古鷹「どうかしました?」

榛名「…お腹が空きました」

古鷹「…え?」

榛名「恥ずかしながら、またお腹が空いたのでちょっとカフェテリアの方で小食買って来ます…」

古鷹「そ、そうですか… ではお先に行っています」


≪カフェテリア≫

榛名「ホットドッグ1つお願いします」

店員「では500円となります」

榛名(高い…)

店員「500円丁度お預かりします。少々お待ちください」

榛名(これで不味かったらどうしましょうか… ん?)ピキィン

「…」

榛名(気配、そして視線…? でも悪意は無い? 駄目だ、気のせいかもしれないのに… バンシィに乗ってからずっと感覚が過敏に…

サイコフレームの影響?調査結果にはアームド・アーマーXCに『n_i_t_r_o』は搭載されてないと言われたから強化人間化はありえないと…)

店員「お待たせしました、ホットドッグ一つです」

榛名(…検査を受けるしかありませんね。もしくは潮さんに言って『クシャトリヤ』のファンネルで適性があるか…)

店員「お客様…?」

榛名「あ、はい!」

店員「こちら、ご注文のお品です」

榛名「どうも…」

店員「ありがとうございました」

榛名(『ニュータイプ』、か…)



榛名「まだ来る…」

榛名(撒くか、接触するか、無視するか…)


行動選択 直下
1.撒く
2.接触する
3.無視する

233: ≫1 2015/07/01(水) 22:49:18.38 ID:YcPdsl330
榛名(悪意は無い… 無視しても大丈夫かもしれません)

榛名「…行きましょう」

「…」


≪アリーナ 観客席≫

天城「あ、姉さん」

長波「結構遅かったじゃない」

古鷹「本当にホットドッグ買ったんですね…」

衣笠「割と大食いだよね、榛名」

榛名「ちょっと自分でも抑えようとおもっているのですが…」

龍鳳「あまり食べ過ぎは良くありませんよ?」

陽炎「そうそう。何事にも適量ってもんがあるじゃない」

榛名「これが私にとっての適量ですから。あと阿武隈と初風さん、野分さんと舞風さんには少しお話があります」

初風「どうかしたの?」

野分「何故私達に…」

舞風「さぁ?」

阿武隈「姉さん…」



初風「怪しい人?」

榛名「ええ、何か纏わりつくような…」

野分「…確かに、そんなプレッシャーが感じられます」

阿武隈「不振な人が居るの?」

舞風「でも何で私達?」

榛名「一応元軍人ですから護身術の類は使えるのでしょう?特に野分さんは流派・東方不敗を使用可能な者の一人ですから」

初風「清霜でも良いじゃない」

榛名「出来るだけ穏便にしたいので…」

舞風「あぁ、清霜ってやる時穏便に出来無いからね」

阿武隈(こう言う時に一番役立つのは青葉なのに…)



如月「これで今日の分の試合は終わりね」

朝潮「見ごたえのある試合が多かったです」

秋月「明日の対戦相手はもう決まってますからあまり意味がある、とは言えませんでしたが…」

青葉「データだけ、と言うなら意味はあったんじゃないでしょうか?」

榛名「ッ!?」ピキィン

初風「…どうかしたの?」

榛名「近付いてる、怪しいのが…」

阿武隈「野分ちゃん、スタンバって」

野分「はい…!」

榛名(誰かを探している? それに、誰かと似ているような…)

舞風「来た…!えっ…」

榛名(私達の前に現れたのはお父さんやお母さんと同じくらいの、若くは無い夫婦でした…)

234: ≫1 2015/07/01(水) 23:25:31.45 ID:YcPdsl330
「やっと見つけた…!」

榛名「え…?」

「古鷹、今まで一体どこに…」

古鷹「え…?」

古鷹(何、この人… 私を知ってる…?私も、この人を知ってる…?)

衣笠「どう言う事…?」

青葉「わかりません…」

「古鷹、どうしたの?」

阿武隈「…これ以上近付かないでください」

「どうしてだ!娘に会って…」

古鷹(娘…? 何で、どうして…)

野分「老いている方に出来るだけ強行的な手段をとりたくはありません。ですので…」

「またそうやって3年前みたいに、私達から古鷹を奪うつもりなのね!?」

舞風「奪うって…」

初風「衣笠、どう言う事?」

衣笠「私に聞かないでよ…!」

古鷹(3年前、私が艦娘になった時…?でも、私はこの世界の…)ズキッ

古鷹「あ、あた、ま、が…!割、れ…」

榛名「古鷹さん!?」

古鷹(あぁ、そうだった… 何で忘れてたんだろ…)



古鷹「おか、あ、さん… お、とう、さん…」



ドサッ…

榛名「古鷹さん!?しっかり、しっかりしてください!天城、救急車を!」

天城「は、はい!」

「お前達、古鷹をどうする気だ!」

初風「病院に運ぶだけよ!しっかりなさい、古鷹!」

衣笠「一体、何だってのよ…!」

青葉「古鷹… 一体どうして…」

阿武隈「貴方達も病院に付き添いでお願いします」

「え、えぇ…」

235: ≫1 2015/07/02(木) 00:48:31.23 ID:nsL/ztOn0
≪病院≫


医師「精神的なショックによるものですね。恐らく少しすれば目を覚ますでしょう」

榛名「わかりました。ありがとうございます」

医師「では私はこれで…」

古鷹母「ありがとうございました…」

古鷹父「で、キミは?」

榛名「私は榛名、古鷹さんの雇用主です」

古鷹母「雇用主?」

榛名「古鷹さんは四月に記憶喪失で仙台を彷徨っている所を私が保護し、私の経営している模型店で働く代わりに衣食住を保障していました」

古鷹父「そう、だったのか… だが古鷹が行方不明になったのは3年も前だ」

榛名「3年前…?」

古鷹母「ええ、横須賀にある高校に通っていたのですけど3年前の春に始業式に行く途中で行方不明になって… 」

榛名「行方不明に…」

古鷹父「何で仙台に居たんだ… しかも記憶喪失だって…?」

榛名「記憶喪失については検査を行いました。結果ですが薬物を使われて記憶を消されていたそうです」

古鷹母「薬物…?」

榛名「旧アナハイム・エレクトロニクス社の薬品開発部門で開発されたPTSD用の薬でしたが未認可となった薬、とお医者様は…」

古鷹父「じゃあアナハイムか!?アナハイムがやったのか!?」

榛名「そ、そう言う訳ではありません!しかし誰によって投与されたのか不明である以上アナハイムがやった可能性も…」

「無いわよ」

榛名「え…?」

古鷹母「貴女は…?」

蒼龍「私は蒼龍です。アナハイムの元関係者、と言いましょうか」

榛名「どうして…」

蒼龍「大鯨さんに聞かされてね。丁度頼まれ事もあったし」

古鷹父「関係者…」

蒼龍「アナハイムの薬物を使用した強化人間の研究所に古鷹さんのデータは無かった。つまりこの件に関してはアナハイムは無関係です」

古鷹母「強化人間…?」

蒼龍「戦争の為に強化された人間、アナハイムはそんなものも研究していました。日本には『ムラサメ研』があり、被験者リストを調べてみましたが孤児院からが大多数を占めていました」

古鷹父「何でそんな事を知って…」

蒼龍「私も強化人間でムサラメ研に所属していました。少なくともムラサメ研には古鷹さんは居ませんでしたし、開示されているどの研究所のデータにも名前はありません」

榛名「蒼龍さん…」

蒼龍「榛名ちゃん、瑞鳳ちゃんからの預かりもの」ポイッ

榛名「microSD…?」

蒼龍「スマホでそれに入ってるPDF?だったかのデータ読んでみて。古鷹、そして衣笠に何があったのかがわかるわ」

榛名「ありがとうございます…!」

蒼龍「ったく、何で私がコイツの為に…」

古鷹母「あの、古鷹に何か…?」

蒼龍「ちょっとした恨みがありましてね。今から青葉とっちめてここに連れてくる」

236: ≫1 2015/07/02(木) 01:48:49.71 ID:nsL/ztOn0
榛名「このデータですね…」ピッピッピ

古鷹母「一体何の…」

榛名「『転生者拉致被害リスト』…? 転生者って…」

古鷹父「『転生者』…?」

榛名「詳しい事は後でお話します。あった、古鷹さんのページ…!」


古鷹

血液型:O
出生日:10月12日
前世:古鷹型重巡洋艦『古鷹』
住所:神奈川県横須賀市○○・○○丁目○○番地
拉致後の処置:記憶の消去、刷り込み
配属先:海軍省特務諜報部

備考
記憶の消去には『アナハイム・エレクトロニクス』から提供された薬物を試験的に使用。
投与した『古鷹』『衣笠』の結果次第でアナハイムからの購入も検討。
また左目の特異性から実戦部隊に配備せず、『特務諜報部』へ所属させることが決定している。

メモ
どうやらこの子は『人格破壊』は行われなかったようです。恐らく各自軍基地への内偵・潜入などを主にした部署への配属を行われる為に人格を破壊せず刷り込みだけ行われた、と推測されます。
もしくは人格破壊の為の薬物がその時に生産されていなかった可能性もあります。
またこのデータは八丈小島の拉致被害者が集められた研究所に残されていたハードディスクを解析し、サルベージしたデータですので信頼性は高いと思われます。
また現在は3年前以降の記憶は保持している事から何らかの任務でこの世界を訪れている可能性があります。つまり記憶喪失は半分本当、半分嘘です。

メモ記入者:瑞鳳


榛名「そんな… じゃあ衣笠さんも私を騙して…」

蒼龍「衣笠だけじゃないわ。コイツも、よ!」ブォン

ドサッ

青葉「うぐっ…!」

衣笠「痛ッ!?もうちょっと丁寧に扱ってよ!」

蒼龍「残念だけど、アンタらに容赦する気持ちなんて微塵も無いわ。古鷹と衣笠には多少の同情は出来る…

でも青葉、アンタだけには同情も出来無いし、する気も無い!榛名ちゃんの人が好いのに漬け込んで、騙して!」

榛名「止めてください!」

蒼龍「ッ… コイツらは榛名ちゃんを騙してたのよ?」

榛名「でも青葉さんは、私を助けてくれました!衣笠さんや古鷹さんだって…!

それに騙していたとしても、私の大切な人の一人ずつである事に変わりはありません!」

青葉「榛名さん…」

衣笠「榛名…」

古鷹母「あの、落ち着いて…」

古鷹父「1から順を追って話して貰わないと…」

蒼龍「では1から順を追って話しましょう…」

237: ≫1 2015/07/02(木) 02:49:54.07 ID:nsL/ztOn0
蒼龍「まず古鷹さんは第二次世界大戦で存在していた重巡洋艦『古鷹』の魂が生まれ変わった存在です。

榛名ちゃんと、そこの衣笠と同じで。例えば榛名ちゃんは戦艦『榛名』の転生体なので名前も榛名、『かつて在りし艦と同じ名前の女性になる』と言う理があるようですね」

古鷹母「じゃあその『古鷹』って船から生まれ変わった古鷹は…」

蒼龍「はい、重巡『古鷹』の転生体です。

そしてつい最近まで転生体が拉致される事件が多発していました」

古鷹父「確かに拉致された、って人が居るらしいが…」

蒼龍「拉致被害者の一部は奪還に成功し、今療養中です。でも、何人かはもう… それに事情が事情だけに世間に公表できず…」

古鷹母「事情…?」

蒼龍「被害者の殆どが自我を破壊されていた事、そしてその犯人が異世界からやってきたと言う事です」

古鷹父「異世界だって!?ふざけるのも大概に…」

蒼龍「嘘ではありません。この世界には異世界からの来訪者が多数居ます。

その犯人は何らかの方法で次元転移を行って拉致を繰り返しました。まぁ、転移装置は破壊されたのでもう二度と不可能ですけど」

古鷹母「でも異世界なんて言われたって…」

蒼龍「じゃあ証拠、お見せしましょうか?」

古鷹父「あ、あぁ…」

蒼龍「何が良いかな… 一応デルタカイで来てるけど…」

榛名「で、デルタカイは洒落にならないから駄目ですって!?」

蒼龍「わかってる。それにお台場に置いてるからこっからじゃ見えないわよ」

古鷹母「『デルタカイ』…?」

蒼龍「異世界からの拾い物です。これは忘れて構いません。

あ、あった。これです」

古鷹父「銀色の砂…?」

蒼龍「これは『ナノマテリアル』、他の世界のものです。これ自体がナノマシンのようなもので、ある存在が操ればどんなものも再現可能です。

あとはこれか…」

古鷹母「何、そのTの形の石…」

蒼龍「『サイコフレーム』、コンピューターチップを金属粒子レベルで鋳込んだ素材です。

榛名ちゃん、これちょっと持って。」

榛名「は、はい」

蒼龍「そしてここにもう一つのサイコフレームを用意してっと… 共振開始…!」ピキィン

榛名「ッ…!」ピキィン

コォォォォォ…

古鷹父「オーロラ!?」

榛名「サイコフレームの共振…」

蒼龍「ええ。人の意思を乗せたフレーム同士が共振すると、こんな現象も起こるんです。この現象は『サイコフィールド』と呼ばれて居ますが」

古鷹母「これが異世界の…」

238: ≫1 2015/07/02(木) 22:43:39.55 ID:nsL/ztOn0
古鷹父「これは、ホログラムと言うものでは無いのか…?こんな室内にオーロラなんて…」

蒼龍「別にオーロラに触れて構いませんよ?」

古鷹母「え…」

蒼龍「このオーロラ触れますから」

古鷹父「ますます疑わしい…!」

蒼龍「仕方無い… 青葉、触ってみなさい」

青葉「は、はい!」ピタッ

バチィッ!

青葉「あだっ!?」ドサッ

榛名「青葉さん!?」

スゥゥゥ…

古鷹父「オーロラが消えた…」

古鷹母「それよりオーロラに触れた瞬間吹き飛ばされたような…」

蒼龍「私の青葉への『拒絶』の意思がサイコフレームで増幅された結果、フィールドが物理干渉を引き起こして青葉を弾きました。これでも加減はしましたよ?

ま、こんな芸当出来る人間は私と榛名さんを含めて知りうる限りだと数名です。もっと大きなフレームがあれば地球すらも覆い尽くすほどの…」

古鷹父「わ、わかった… 異世界についての話は信じるとしよう」

蒼龍「では話を戻しましょう。異世界の中には『化け物と戦争を行い、滅びに瀕した世界』が存在しています。

そこでは化け物に対抗する為の『ある武器』を使用するのに『かつて在りし艦の魂』を持った存在が必要、と言う事です」

古鷹母「それで古鷹が…」

蒼龍「勿論その世界で人工的に賄おうともしましたが人類の半数以上が死滅している以上、絶対数が足りません。

だからそれを補填する為に『かつて在りし艦の魂を持つ者』である転生体を拉致して自我を破壊し『命令に忠実で余計な事を考えない兵器』にしてしまおう、と言うのが魂胆のようです」

古鷹父「そんな連中の都合で、ウチの古鷹が…!」

蒼龍「自分達さえ助かればそれで良い、それがソイツらの考えです。

そして無理矢理戦わされ、化け物に殺される者も居れば使い潰されて慰み者にされる者も居る… 古鷹さんの記憶消去なんて遥かにマシですよ」

古鷹母「そんな…」

蒼龍「古鷹さんや、青葉と衣笠は『特務諜報部』と呼ばれる部署に配属されていました。詳しくは青葉、アンタが話しなさい」

239: ≫1 2015/07/03(金) 00:09:51.32 ID:uUpsRKqy0
青葉「私達が所属しているのは『不正を秘密裏に暴き、葬り去る』事を主目的とした部署です。

自我を破壊された拉致被害者の人身売買を妨害したり、戦争継続による経済利益を得ようとして味方を敢えて壊滅させようとする輩の消去… 所謂『ヨゴレ』です」

古鷹父「待て!じゃあ何だ、この子も人を殺したって言うのか!?」

青葉「はい… 彼女は既に3人ほど殺害しています。どれもこれも悪人、殺されて当然の…」

古鷹母「ッ…!」

バシィン!

青葉「…」

古鷹母「何で貴女は平然と…!」

蒼龍「そりゃそうよ、コイツ私の知る限りは一番殺してる。殺しなれて、人の死なんてどうとも思っちゃ居ない」

榛名「青葉さん…」

青葉「青葉だって本当は…」

蒼龍「言い訳は要らない。アンタが犯した罪は変わらないし、アンタ達が殺したせいで前線の補給線が滞って大惨事になりかけた事もある。アンタ達が招いた結果で私の戦友が何人も死んでる。何人も… そう何人も、生きてる人を守ろうとした子達が死んでるのよ!

どうせお決まりの『殺したくなんて無かった』とか綺麗言を平気でほざこうってんでしょ!」

榛名「落ち着いてください蒼龍さん!今ここで糾弾した所で…」

蒼龍「わかってる…!でも、コイツらがのうのうと生きようとしてると… 何でコイツらが生きてあの子達が死ななきゃならないのよ…!」

衣笠「…」

青葉「…」

蒼龍「今のは私が悪かった、ごめん。続けて」

青葉「いえ、もう話せる事は…」

蒼龍「…わかった。じゃあ私はハシラジマに戻る。榛名ちゃん、その2つのサイコフレームも瑞鳳ちゃんからの預かり物だから」

榛名「え…?」

蒼龍「目が覚めないならフレームを共振させて榛名ちゃんが古鷹の心に干渉すればきっと覚ませるはずよ」

榛名「わかり、ました…」

蒼龍「…アンタ達も、本当に罪悪感があるなら古鷹を叩き起こす手伝いくらいはしてやりなさい。言っとくけど私はアンタを赦すつもりもわかりあうつもりも無いから」

バタン

240: ≫1 2015/07/04(土) 18:59:40.47 ID:4TRQnyPF0
古鷹母「一体あの人は…」

榛名「あの人は去年、その世界の最前線で戦っていて負傷し次元の穴に飲み込まれた末にこの世界に辿り着いたそうです…

そしてこの世界で無理矢理強化人間にされて… とても悲しい人なんです…」

古鷹父「しかし娘がそんな事を… たった一人の娘なんだぞ…!」

青葉「青葉達からは…もう…」

衣笠「何よ、薬物って… 私も記憶を消されて、従わされてたって事…?もう、訳わかんないよ…!」

榛名「青葉さん、衣笠さんを連れて先に戻ってください」

青葉「でも古鷹を目覚めさせるには…」

榛名「サイコフレームは『ニュータイプ』と呼ばれる存在、サイコミュを使える人間以外に扱うのは難しい…

それに人の思念が流れ込むから、普通の人が扱うには危険が大きいんです」

青葉「でも…!それに榛名さんがニュータイプと言う存在だって保障も…」

榛名「私はサイコミュを、サイコフレームを使った兵器を異世界で操った経験があります。それに先程のオーロラは榛名と蒼龍さんの共振…

互いにサイコフレーム適合者でないと引き起こせ無い現象です。蒼龍さんは強化人間で感応波が使える、なら榛名は何です?」

青葉「それは…」

榛名「状況証拠でしかありませんが、私にも『ニュータイプ』の素質が… 最低でもある程度の感応波が使えます。

だから、私が古鷹さんの目を覚まさせます。青葉さんは衣笠さんを連れ帰り、いち早く安心させてあげてください」

青葉「わかりました… 衣笠、行きましょう…?」

衣笠「触らないで!」バッ

青葉「衣笠…」

衣笠「あ… ごめん、そんな…」

榛名「衣笠さん、お気持ちはわかります。でも、どんなに混乱していてもあまり人を拒絶してはいけません」

衣笠「え…?」

榛名「周りの人が怖い、何を考えているのか解らない… 誰も彼もが敵に感じた、なんて事が榛名にもありました」

衣笠「榛名…」

榛名「だけど、人の善意を信じてみてはどうです?今はちょっと難しいかもしれませんけど…」

衣笠「そう、だよね… わかった」

榛名「ではお二人は先にホテルで休んでいてください。後は私が…」

青葉「わかりました…」

衣笠「じゃあ、お先に…」

パタン

古鷹母「あの、『ニュータイプ』って何かのアニメの…」

榛名「ええ、ガンダムと言うアニメシリーズで使われている言葉です。進化して宇宙に適応した人類の総称ですが曖昧な事も多く、バズワードの一種ですが」

古鷹父「アニメの話が現実にあるなんて馬鹿馬鹿しい…!ふざけているのか!」

榛名「異世界が存在すると言う事は『宇宙世紀の世界』が存在する可能性があると言う事です。そしてその世界の物に触れれば『ニュータイプ』も存在している可能性がある、と言う事になりませんか?

一つだけでは無く、複数の可能性が広がっている… そしてこのサイコフレームもその可能性世界から持ち出した物の一つです。大丈夫、私を信じてください」

古鷹母「…ここが貴女に任せるしか無いようね」

古鷹父「本気なのか!?」

古鷹母「ええ。目を覚ます方法があるなら、賭けるしかありません… やっと娘にこうして会えたのに…」

古鷹父「…そうだな。娘を、たった一人の娘を頼みます…」

古鷹母「お願いします…!」

榛名「わかりました、お任せください」

榛名(親、か… お父さんとお母さんもこうして想って、心配していたのかもしれませんね…)

241: ≫1 2015/07/04(土) 19:39:48.09 ID:4TRQnyPF0
榛名「古鷹さんの手にフレームを握らせて… では始めます…!」

古鷹母「お願いします…」

古鷹父「娘を救ってやってください…!」

榛名「…!」ピキィン


コォォォォォォォォ…


古鷹母「またオーロラ…」

古鷹父「さっきのとは違う、どこか温かい…」


榛名(古鷹さん、聞こえますか?私の声が、想いが…)

古鷹(…)

榛名(返事をしてください、古鷹さん!)

古鷹(…)

榛名(…解雇しますよ?クビですよ?良いんですか?)

古鷹(…)


榛名「…返事が返りません」

古鷹母「そんな…」

古鷹父「じゃあどうするんだ…!」

榛名「方法は唯一つ、古鷹さんの心の中に直接入るしかありません」

古鷹母「出来るの、そんな事?」

榛名「出来ると思います、多分。ただ意識を深く共振させるのでサイコフレームのオーロラがどう作用するのかわからないのでお二人は病室の外へ」

古鷹父「…頼みます!」


榛名「一番はバンシィがここにあればやりやすいのですが… 無いものは仕方ありません」

榛名(でも、やるしか無い…!私が彼女の仲間として、やれる事をするだけです!)

榛名「目を覚ましてください、私の想いを受け取ってください…!」コォォォォォォ


パァァァァァァ…

242: ≫1 2015/07/04(土) 20:04:07.57 ID:4TRQnyPF0
≪???≫

榛名「ここは…」

榛名(海沿いの住宅街…?)


古鷹(記憶)『何でこんな日に限って寝坊しちゃったのかな、私…!』


榛名(あれは、古鷹さん…? ちょっとだけ幼い気もしますが…)


古鷹(記憶)『せっかくの始業式なのに… そうだ、こっちの近道して行こう!』


古鷹「そう、これが私の始まりでした…」

榛名「古鷹さん…」

古鷹「榛名さん、私ようやく思い出しませた。全ての事を…」


古鷹(記憶)『後はここを… ってこう言う時に限って違法駐車が…』

ガラッ

古鷹(記憶)『えっ…?』

『抵抗すれば殺す。大人しくしろ』ドンッ

古鷹(記憶)『かはっ…』ドサッ


古鷹「その日は高校の始業式だったんです。私が遅刻したのが原因で、近道を使ったのが元凶です」

榛名「そう、だったのですね…」


古鷹(記憶)『嫌!放して!誰か、助けて!』

『大人しくしろ、お前は生まれ変わるんだ』

古鷹(記憶)『助けて!帰りたい、助けて!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…』

『投与完了。あとは経過を見る』


古鷹「そして気が付いたら私は研究施設に居ました。そしてここで薬を投与されて…」


古鷹(記憶)『嫌… 何で思い出せなくなってるの…? 段々、消えて… 忘れたくない、忘れたくないよ…!』


古鷹(記憶)『あれ、なんだっけ… 何を、思い出そうと…』


古鷹「記憶を序徐に失っていって、最後は何を忘れたのかもわからなくなって… 何で怖かったのかすら忘れました」

榛名「ッ…!何で、こんな…」

古鷹「深海棲艦と戦う為です。尤も私は人殺し部隊への配属でしたが… そして私は記憶を消され、新しく『艦娘』としての偽りの記憶と知識を刷り込まれました」


古鷹(記憶)『目標捕捉、出てきます』

『やはり闇ブローカーと繋がりがあったか… 射殺しろ』

古鷹(記憶)『了解…』パァン!


古鷹「こうして、私は初めて人を殺しました。躊躇無く、引き金を人の脳と心臓にライフルで1発ずつ… もう、私の手は血に汚れて…」

榛名「そんな、どうして… 心優しい古鷹さんは…」

古鷹「そう、刷り込まれていたんです。躊躇なく目標を殺せ、と…」

243: ≫1 2015/07/04(土) 20:33:01.23 ID:4TRQnyPF0
古鷹「これが私の記憶です… 軽蔑しましたよね、やっぱり…」

榛名「古鷹さん、私は…」

古鷹「もう私の居場所なんて無いんですよ… もうお父さんやお母さんに合わせる顔も、榛名さんや天城さんに合わせる顔も…」

榛名「そんな事はありません!」

古鷹「でも私は、人を殺して悲しみもしない人間なんですよ?刷り込みをされていたとは言え、許される事ではありません」

榛名「確かに人を殺める事は許されませんが…」

古鷹「しかもそれで多くの人命を間接的に奪ってしまいました。なんで蒼龍さんが私を憎むか知って居ますか?

それは私が殺した相手、裏ブローカーに艦娘を斡旋していた人物が最前線への補給部隊の指揮官をしていてその輸送任務途中で殺害しました」

榛名「そんな…」

古鷹「そして部隊規模で関わっていたが為に私は深海棲艦の制圧海域にわざとその部隊を迷い込ませて部隊ごと消去しました。

私が直接手を下したのは3人ですが、直接でなくとも間接的に殺したのは100人を越えて居ます」

榛名「ッ…」

古鷹「そしてその二次被害で補給線が滞った結果蒼龍さんと飛龍さんの仲間が次々と死んでる… だから私は蒼龍さんや飛龍さんに、初風ちゃんや朝潮ちゃんに憎まれて当然の事をしてるんです…!」

榛名「…」

古鷹「もしかしたら今も初風ちゃんや朝潮ちゃんに憎まれてるかもしれない… 今までは仮面を被れたけど今はもう出来無い…

もう面と向き合う事も出来ない、どうすれば良いんですか私…」

榛名「古鷹さん…」

古鷹「もうこんな、手が血で汚れた店員なんて解雇して頂いて構いません…

両親にも、『私はもう汚れてるから会いたくない』と言って置いてください」

榛名「じゃあ貴女はどうする気なんですか…!」

古鷹「居なくなります。皆にも伝えておいてください、さようならって…」

榛名「ふざけないでください!」

古鷹「じゃあどうすれば良いんですか! どんな仮面を被った所で負ってしまった業は拭え無い…

私なんてもうどこにも居場所なんか無い、誰も受け入れてくれる人なんて居ないんですよ!」


榛名の言葉 直下

245: ≫1 2015/07/05(日) 00:53:24.67 ID:MJH3ykfZ0
榛名「私が受け入れる!」

古鷹「え…?」

榛名「私が受け入れ、古鷹さんを守ります!」

古鷹「言ってる意味をわかってるんですか…?」

榛名「ええ、ちゃんと理解しているつもりです。それがどうかしましたか?」

古鷹「私は…」

榛名「『嘘を吐いて騙していた、だから戻れない』、ですか?」

古鷹「どうしてっ…」

榛名「伝わるんです、古鷹さんは心優しいからそうやって自らを傷を負いに行ってしまう…

騙していた、黙っていた事は確かにちょっとだけ怒ってます。でも、古鷹さんの記憶を取り戻せた事は嬉しい事です」

古鷹「榛名さん…」

榛名「それに古鷹さんはチームに必要な存在… 今更手放すなんてしません」

古鷹「何で… 私は、幸せになんてなれ無い、望んじゃいけないのに… 何で手を差し伸べるんですか!」

榛名「『誰もが幸せになる為に生まれてきた。だから誰かが幸せになってはいけないのは間違えてる』

これは父が私に遺した言葉です。蒼龍さんや飛龍さんが聞いたら怒るかもしれませんが、私は古鷹さんに幸せになって欲しいから…」

古鷹「どうして…!」

榛名「古鷹さんは愛されていた、両親に幸せを願われていた… なのに奪ったのは拉致した犯人です。なら奪われた分の幸せを取り戻すことはいけないのですか?

本当に幸せになっていはいけないのですか?」

古鷹「それは…」

榛名「私も過去に同じ事を考えた事がありました。実を言うと私は天城と血の繋がりの無い、どこの誰の子とも解らない孤児なんです」

古鷹「榛名さんが…?」

榛名「天城は実子ですが私は養子です。そして当時の私は荒れていて、世界を激しく憎んでいました。『自分は幸せを望んではいけない、人の温もりなんてない』と…

思い出すと今でも倒れるくらいにその孤児院で酷い扱いを受けて、幼い心は序徐に歪んで自力で元には戻せないくらいに…」

古鷹「そんなの…」

榛名「でも孤児院が潰れて天城の両親に引き取られ、そしてさっきの言葉を言われたんです。

だから古鷹さん、貴女の罪も何もかも私が受け入れて一緒に背負います。それでは駄目ですか?」

古鷹「でも…」

榛名「まだやり直せる、贖罪の方法はいくらでもあります。貴女を糾弾する人が居ると言うのなら誰が相手だろうと私が守ります」

古鷹「榛名さん… 本当に、良いんですか…?」

榛名「ええ、榛名が背負いますから。だから一緒に戻りましょう」

古鷹「はい…!」


パァァァァァァァァァァ…


≪病室≫


榛名「ふぅ…」

古鷹「…んっ、ここ、は…?」

榛名「やっと起きましたか… では御両親の方を今呼んで来ます」

古鷹「はい…」

榛名「やはり、怖いですか?」

古鷹「少し、ですけど…」

榛名「大丈夫です。榛名が付いていますから」

246: ≫1 2015/07/05(日) 01:38:04.79 ID:MJH3ykfZ0
古鷹「お父さん、お母さん… ごめんなさい、私…」

古鷹父「良いんだ… 何も言わなくても良い…」

古鷹母「そうよ、貴女が戻って来ただけで…」



榛名「雨降って地固まる、ですか…」

榛名(私も、あの時両親と和解出来ていたなら… そう考えるとちょっと古鷹さんが羨ましい…)

大鯨「あら、もう目覚めたのですか?」

榛名「大鯨さんに飛龍さん…」

飛龍「チッ… 目が覚めて無かったら油性ペンで落書きしてやろうと思ったのに…」

榛名「流石にそれは…」

飛龍「冗談よ冗談。それより、話聞いたわよ。 記憶喪失装って転がり込んだのに実はマジで記憶喪失でしたー、なんてマンガかと思ったわ」

大鯨「それに精神的なショックで倒れたみたいで… でも杞憂だったようですね」

榛名「はい。ちゃんと目を覚ましてくれて、今は御両親と向き合ってます」

飛龍「せっかくお見舞いにサイコフレームを登山用リュックに詰めて来たのに…」

榛名「要りませんよ!?」

飛龍「だってフレーム多い方がフィールドを起こし易いって言われたし、ヒュウガ増産し過ぎたせいで溢れかえってるのよね」

榛名「フェネクス用に?」

飛龍「そう。バンシィのデータ解析してアームド・アーマー大量生産しようとしてて… このままだと4号機が出来上がりそうなレベルよ」

榛名「結構作ったのですね… あ、近々ハシラジマの方に赴こうかと思っているのですが…」

飛龍「あぁ、艤装の件ね。トンデモないもん入ってたらしいけど、大丈夫?」

榛名「はい。その部分を除いて改造して頂いたようで」

飛龍「ヒュウガ、マジであれやったの…?」

榛名「あれ…?」

飛龍「艤装にサイコフレーム組み込もうとしてたのよ、この前。しかもバンシィの… なんだっけ、あの爪…」

大鯨「アームド・アーマーVNかしら…?」

飛龍「あ、それです。それ組み込もうとしてたのよ」

榛名「えぇ…」

大鯨「あんなの使えるの瑞鳳くらいよ…?」

飛龍「殴り込みにかかる艤装適合者は瑞鳳しか居ませんよ。さて、ちょっとだけ顔見て帰るか…」

榛名「あの、出来れば…」

飛龍「わかってるわよ。私は蒼龍ほどアイツ等を憎んでない、あの世界は死と隣り合わせだったからそう言う話はザラにある。

たまたま私達の所でそれが起きて、たまたまそれの原因がアイツ等だったって事よ。それに死んだ命は戻らない… 恨んだ所でどうにもならないもの」

榛名「そう、ですか…」

飛龍「でもね、憶えておいて。アイツ等の背負った罪は重い、それと向き合う覚悟はある?」

榛名「…覚悟しています」

飛龍「そう… なら良いわ、じゃあ私は先に病室に行ってきます」

大鯨「じゃあ私からも少しだけお話して病室に行きましょう」

榛名「話とは?」

大鯨「良いニュースと悪いニュースです。良いニュースは衣笠さんの御両親が見つかったことです」

榛名「本当ですか!?」

大鯨「ええ。ただ悪いニュースは両親共にネグレクト気味だったので親子関係は最悪みたいとのことで… これ、伝えます?」

榛名「いえ、伏せておきましょう…」

大鯨「そうですね… 彼女、今の方が幸せそうですから…」

250: ≫1 2015/07/05(日) 18:12:08.76 ID:MJH3ykfZ0
榛名「それで、今後の事ですけど…」

古鷹母「出来ればこの子を引き取ってまた復学させたいのですが…」

大鯨「それはあまりお奨めは出来ませんね。どこの学校かにもよりますが」

古鷹父「どう言う事ですか?と言うか、誰だ?」

大鯨「私は大鯨、榛名さんの後見人です。 まぁ、詳しい事はこの名刺をどうぞ」

古鷹父「どうも… !? し、失礼しました!」

大鯨「いえいえ、この容姿では色々と間違われる事が多いので慣れていますから」

榛名・飛龍・古鷹(一体名刺に何を書いてるの…?)

大鯨「古鷹さんは行方不明となっていた為経歴に空白が出来て居ます。3年間では休学期間を越えている為、高校は既に退学扱いでしょう…

さらに入試のやり直しとなる為、一般の学生との年齢に開きが出て虐めに発展する可能性もあります」

古鷹母「それは…」

大鯨「それにどうやって空白期間の事情を説明しますか?『拉致されてました』や『行方不明でした』、と説明します?

それこそ虐めに発展する可能性だってありますよ?」

古鷹父「確かにそうですが… じゃあどうすれば…」

大鯨「私ならば高卒認定試験を薦めます。通信制の高校でも3年はかかりますから最も手っ取り早いのはこれでしょう。

そして1教科以上合格となれば通信制高校で短期コースを使って残りの単位を修得して、晴れて卒業扱いとなります」

榛名(こんな手法もあるんですね…)

大鯨「でも一番重要なのは古鷹さんの意思です」

古鷹「私、ですか…?」

大鯨「貴女はもう充分大人… 貴女がどうしたいか、何がしたいのかは全部貴女が決めるんです」

古鷹父「しかし…!」

大鯨「お気持ちは理解出来ます。ですが縛り付けていては娘さんの成長にはなりません」

古鷹母「成長…」

大鯨「同い年の娘を持つ母としてですが… 私はかつて、娘を縛りすぎた。

でも大学進学を機に送り出した先で新たな出会いを経て見違えるほどの成長をしました。大型結晶体を破壊し『お台場事変』を終息させる程に」

古鷹父「『お台場事変』を…」

大鯨「育てるのは親の役目、ですが成長は子供次第です。親の干渉すべきことではありません。

古鷹さん、貴女がどうしたいか、何をしたいのかを決めてください。御両親にはその意思を尊重し、応援して欲しい…」

古鷹母「確かにそうよね…」

大鯨「すみません、本来なら私が他の家庭へ口を挟むべきではありませんでしたが…」

古鷹父「いえ、ありがとうございます。古鷹、お前が決めなさい。お前の未来なのだから…」


251: ≫1 2015/07/05(日) 22:19:05.06 ID:MJH3ykfZ0
古鷹「私はまだやる事がある… だからまだ、チームに残って戦おうと思います。

これからの事はそれから考えます」

榛名「…それで、良いんですか?」

古鷹「はい。これが私の決めた道です。榛名さんや天城さんを欺いていた事への払拭、させて頂きます…!」

飛龍(これから、『未来』か… コイツ等も未来に進もうとしてるのね…

罪も何もかも背負ってこれからも生きてやるって覚悟、ちゃんと出来てるみたい。なら私の言う事は無いか…)

大鯨「…では古鷹さんは仙台に戻る、と言う事でよろしいですか?」

古鷹「暫くは仙台で働いて暮らします。榛名さん、構いませんか?」

榛名「ええ、私は歓迎しますよ」

古鷹母「…ねぇ貴方、私達もこれを機に仙台に越してみます?」

古鷹父「う~ん… 今の家はどうする気だ?」

大鯨「私が斡旋しましょうか? これでも不動産もやっているので高く売って、お安く新たな住居も用意出来ますよ?」

古鷹父「うむむむ… 検討しておきます…」



初風「何だろ、凄く嫌な予感がする…」ゾクッ

如月「これ、仕事押し付けられる直前の悪寒の気が…」ゾクッ

初風「胃壊しそう…」

如月「ストレスで枝毛増えちゃう…」



瑞鳳「あれっ、何か鳥肌が…」ゾクッ

402「大方、お前の母親が何かこっちに押し付けてくるんじゃないのか?」

瑞鳳「嫌な事言わないでよ!?」

402「今度は不動産かもな。これでお前の事業も拡大出来てお金がガッポガッポだ」

瑞鳳「不動産経営甘く見ると痛い目合うわよ?」



大鯨「では私達はこれで失礼します」

飛龍「じゃあね。また会いましょ?」

榛名「…これ、流石に持って帰ってください」つリュックいっぱいのサイコフレーム

飛龍「デスヨネー…」

榛名「御両親はどうなさいますか?」

古鷹父「一度戻らせて貰うよ」

古鷹母「応援してるからね、古鷹」

古鷹「ありがとう、お父さんにお母さん」

パタン

榛名「どうします?お医者様に頼んで…」

古鷹「あ、大丈夫です。もう起きれますから、ホテルに戻りましょう」


イベント 直下

256: ≫1 2015/07/05(日) 23:39:35.01 ID:MJH3ykfZ0
青葉「榛名さぁ~ん、青葉達の専用艦ってまだですか~?」

榛名「帰ってから最初にソレって…」

古鷹「こら、青葉!」

衣笠「トマホーク投げ付けられるよ?」

榛名「いや、あれは本気で怒らないと投げませんよ。それに投げるトマホークにも種類にも色々ありますし」

青葉「種類、ですか?」

榛名「こんな感じです」


・トマホーク・ブーメラン:ちょっとした脅し、もしくは1度目
・ダブル・トマホーク・ブーメラン:怒ってる、もしくは複数人
・トマホーク・ブーメラン(両刃):怒ってる、『自分強いアピール』する相手
・ダブル・トマホーク・ブーメラン(両刃):本気で怒ってる、『自分強いアピ-ル』する相手
・トマホーク(2メートル):本気で怒ってる、明確にこちらを傷つけようとしている
・ダブル・トマホーク(2メートル):殺すつもり、相手が格上そうだと判断した場合


榛名「怒らせないように気をつけてくださいね?」

全員「は、はい!」

青葉(この人、単純な戦闘能力だけだと瑞鳳さんよりちょっと下でもかなり人間として高い部類に入るんじゃないでしょうか…?)

榛名「まぁ、一応全員分は完成してますよ?」

衣笠「完成してるのって『ヴィクトリアス・ブレイヴ』と『クイーンエリザベス・ブレイヴ』だけじゃないの?」

榛名「今日は最終調整に行っていたのですよ。ようやく全部完成したので」

青葉「本当ですね… 専用艦用のケースが… あれ、16個?」

衣笠「あれ、一人分足りないよ?」

榛名「…榛名は戦っても、足を引っ張るだけなので自分用のは作ってません」

古鷹(またこの人は…)

青葉「いや、戦わないとは言え一応作っておいたほうが予備になるのでは…?」

榛名「考えておきます…」

衣笠(バトル嫌いも相当だよね、本当…)

榛名「じゃあここで3人用のお披露目しちゃいます?」

青葉「良いんですか?」

榛名「ええ、次の試合は3人と決定しているので。ではこちらが3人の専用艦です」



専用艦

青葉:重巡洋艦

・ベース:直下
・改造内容:↓3
・改造条件:特殊艤装を必ず装備


古鷹…空母

・ベース:↓5
・改造内容 ↓7
・改造条件:指定なし


衣笠…戦艦

・ベース:↓9
・改造内容:↓11
・改造条件:指定なし




・正規空母NG:赤城型・加賀型・蒼龍型・改蒼龍型(雲龍型含め)・翔鶴型・グラーフツェペリン級・ イラストリアス級 ・エセックス級『ヨークタウンⅡ』
・戦艦NG:扶桑型・伊勢型・長門型・金剛型・改大和型(超大和型含め)・天城型・加賀型・レナウン級・Sホルスト級 ・クイーン・エリザベス級
・重巡NG:古鷹型・青葉型・高雄型・利根型・最上型・Aヒッパー級

272: ≫1 2015/07/09(木) 00:29:58.68 ID:+t/J4yus0
カウンティ・ブレイヴ(青葉)
艤装
・SKC34 20.3cm連装砲3基6門
・10.2cm(45口径)単装高角砲4基4門
・4cm(39口径)単装ポンポン砲2基2門
・20mm単装機銃8基8門
・61cm魚雷発射管4連装2基
・スモーク・ディスチャージャー
・アームド・アーマーST
・ディスチャージ改(1式・粒子拡散弾、2式・粒子歪曲フィールド、3式・ハイパージャマー)

概要
青葉の専用艦プラ。
ベースとなっているのが古いカウンティ級である事から艤装を可能な限り新しいものに変更している。
先行・偵察を得意としている青葉用に視認率低下の為の迷彩塗装やスモーク・ディスチャージャーと煙幕弾による視認妨害、航跡を可能な限り消せるように船体への粒子加工などを施している。
また専用のディスチャージとして粒子を歪曲させて妨害電波を発する『ハイパージャマー』を使用可能にしており、全機能をフルで使用すれば捉える事はほぼ不可能になっている。また特殊艤装として『アームド・アーマーST』を装備している。

アームド・アーマー・ステルス
船体のステルス性を高める増加装甲と偵察用X艇で構成される追加ユニット。
増加装甲は防御力はほとんど無いが武装を覆い隠し対レーダーステルスに効果を発揮し更に航跡も目立ちにくくなる様に艦尾の形状も変形させるステルスモードのへの変形機構が実装されている、ただしステルスモード中は火力、速力は大きく低下してしまう。
X艇は非武装で速力を極限まで高められておりいち早く目的地へ展開し潜伏、その場で置き偵察を行う。


インプラカブル・ブレイヴ(古鷹)
艤装
・連装5インチ砲(VT) 8門
・連装2ポンド砲(VT) 48門
・20 mm 機関砲 27基
・隠し20.3cm単装砲1基
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式・粒子硬質化壁、2式・粒子圧縮加速、3式・粒子歪曲フィールド)
・アームド・アーマーBst(533mm魚雷3連装発射管2基)
艦載機
・SBDドーントレス 10
・TDFアヴェンジャー 12
・F8F ベアキャット

概要
古鷹専用の艦プラ。
インプラカブルをベースに『ヴィクトリアス・ブレイヴ』やチーム・エンガノ所属の大鳳が製作した『ヨークタウン・フェネクス』のデータをフィードバックして改修を施している。
軽量化による機動性向上と全対空兵装のVT化による対空能力強化、ディスチャージに大鳳専用だった『粒子硬質化壁』を採用する事で軽量化による防御力低下を補っている。また高い安定性を誇り、急角度の傾斜を除けばありとあらゆる状況で艦載機を飛ばす事が出来る。また有事の際に対艦戦闘を行えるように甲板から内蔵された20.3cm単装砲が出現する。

アームド・アーマー・ブースト
如月用のアームド・アーマー・アサルトの機能を『ブースト』に偏らせて加速性のみを強化させたもの。
こちらも軽量化を施し武装を533mm魚雷発射管に絞っているのでクルーズ・フォームでの加速性はアームド・アーマーASを凌ぐ。
またアサルト・アーマーHMの雛形となる技術を使っていて、回頭性能もASと比較して高い。


ペンシルベニア・ブレイヴ(衣笠)
艤装
・Marks10 35.6cm(45口径)三連装砲4基
・Marks12 12.7cm(38口径)連装高角砲8基
・ボフォース 4cm(56口径)四連装機関砲10基
・エリコン 2cm(76口径)単装機関砲34基
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式『粒子圧縮弾頭』、2式『粒子開放衝撃破』、3式『粒子拡散弾頭』、4式『PBCtype-K』)
・アームド・アーマーHM

概要
衣笠専用の艦プラ。
戦艦ペンシルベニアをベースに『クイーンエリザベス・ブレイヴ』のデータをフィードバックして改修を施した。
また瑞鳳製の『シャルンホルスト・クロイツ』『グナイゼナウ・クロイツDrei』を参考にしており、機動性は少し劣るがかなり高い機動性を保持している。
そして榛名と特製PBC第一号である『PBCtype-K』を装備している。PBCの能力は瑞鳳製のPBC特性(type-Hとtype-Sの『屈折』、type-Zの『貫通』、type-Iの『超射程』、type-Yの『チャージ短縮』)とは異なる特性の『照射』を持っている。粒子消費量は大きいが従来型と比較して10秒ほど照射が続く為、アームド・アーマーHMの回頭能力を使えば前面の敵を『薙ぎ払う』事が出来る。

アームド・アーマー・ハイマニューバ
基本構造はアームド・アーマーASの高機動ユニット同様だがベースに小さめの軽巡を使用しており最高速は若干低下したが回頭性が向上している武装も強化されており15.5センチ単装ガトリング砲塔が2基追加されている、クルーズフォームではあまり性能差は無いがディスチャージ形態のハイマニューバフォームでは推進ノズルのベクタードノズル化やサイドスラスターが追加されており最高速度は低下したが加速、回頭性は劇的に向上、変 的な回避能力を発揮するに至っている。

292: ≫1 2015/07/13(月) 23:46:51.57 ID:QRswhzeC0
榛名「『カウンティ・ブレイヴ』『インプラカブル・ブレイヴ』『ペンシルベニア・ブレイヴ』、この3つです。

それぞれのアームド・アーマー『Bst』『ST』『HM』の3つ、ファイターそれぞれに合わせて調整してるので活かせる筈です」

青葉「そう言えばアームド・アーマーって何なんです?」

榛名「艦プラ用の増加装備です」

衣笠「いや、そうじゃなくて… なんでアームド・アーマーって名前なの?」

榛名「私の使うモビルスーツの武装名から拝借しました」

古鷹「モビルスーツ…?」

榛名「少し前に異世界に飛ばされた時に使った兵器です。ガンダムって言えばわかりますか?」

衣笠「ガンダムって… あのガンダム?」

榛名「ええ。そのガンダムです」

青葉(そう言えば榛名さん、ニュータイプだって… ニュータイプって一体…)

榛名「深海棲艦と渡り合うにはガンダムの力が必要だったので使用したまでです」

衣笠「そのガンダムは…」

榛名「今は瑞鳳さんに預け、隠匿しています」

古鷹(瑞鳳さん、確か拠点に島を所有してるみたいだからそこにあるのかな…?)



榛名「ところで皆さん、何か言う事はありませんか?」

青葉「うっ…」ダラダラ

榛名「榛名、ちょっとだけ怒ってるんですよ?」ゴゴゴ

衣笠「ひっ…」ダラダラ

榛名「天城には話したようですけど、私には何もありませんね?」ニッコリ

3バカ「す、すみませんでした!」

榛名「まぁ、構いませんけど。胴体と首がさようならしたくなければ余り嘘はつかないようにしてくださいね?」

3バカ「は、はい!」

293: ≫1 2015/07/14(火) 00:33:07.23 ID:ZrGM5Mf10
榛名「では如月さんは知っていたのですか?」

如月「ええ。寧ろあの世界出身であの3人の悪名を知らない艦娘は居ないわよ」←同室

榛名「そこまで…」

如月「特に初風ちゃんと朝潮ちゃんは蒼龍さんに飛龍さんと同じ第二航空戦隊に居たからあの3人に恨みを抱いていてもおかしくは無いわ」

榛名「やはり…」

如月「朝潮ちゃんは過去とか割り切れる子だけど、初風ちゃんはそうもいかないかもね」

榛名「どう言う事ですか?」

如月「あの子、何でバトルの最前線で戦闘指揮を行わない理由知ってる?」

榛名「確かに戦闘にあまり出たがらないような…」

如月「あの子、自分の指揮で一人死なせてるの」

榛名「え…?」

如月「瑞鳳姉さんからの又聞きだからどの艦娘だったか名前は知らないわ。だけど瑞鳳姉さんが次元転移した時に発生した戦闘でその艦娘は初風ちゃんの目の前で沈んだって。

瑞鳳姉さんは部屋に監禁されてたから戦線には居なかったから直接の事は何も知らず、ただ『仲間が死んだ』ってポツリと聞かされたそうよ」

榛名「そう、なのですね…」

如月「誰かの死は中々割り切れるものじゃない、特に自分が大事に想っていた相手ならなおさらよ。だけど私達は艦娘、死者に囚われているといずれ死者に足元を掬われて同じ場所に行く事になる。だから割り切らなきゃいけないの。

でも初風ちゃんは優しすぎるから、振り切れ無いの。そして自分の業となって、自責の念で今も苛まれてる… あ、これオフレコでお願いね。バレると私の髪の毛毟られるかもしれないから」

榛名「そ、そうですか…」



イベント 直下

295: ≫1 2015/07/14(火) 01:39:21.54 ID:ZrGM5Mf10
コンコン

榛名「あれ、誰か来たみたいです」

如月「…待って。開けないで!」

榛名「どうかしたのですか?」

如月「あ、怪しい人かもしれないし…」

榛名「?」

如月(この図ったようなタイミング、絶対来る…!)

榛名「覗き窓は… 誰も居ない…?」

如月(ぜ、絶対ノックして屈んでる!)

榛名「ノック逃げ…? 一体誰が…」ガチャ

如月「ま、待って!開けちゃ…」


初風「どうも、未だに死者に引き摺られてる初風です。以後よろしく」テェェェェェェェェン


如月「あ、あわわわ…」

初風「で、アンタ何余慶な事言ってんの?」

如月「い、いつから聞いて…」

初風「最初からよ。このホテルのドア、薄いから丸聞こえだし。ちょっとアンタに仕事の事で用事があったから部屋に来たらこれよ…

…振り切れて無いのは事実よ。でも何がいけないの?私達は戦うのを止めた、だから覚えていて何が悪いの?」

如月「それは…」

初風「私はあの子に何も出来なかった、だから誰かが忘れても私があの子の事を憶えて、ずっと弔ってやるって決めてるの」

如月「…その割りに週2で魘されてる癖に」

初風「否定しないわ。だからそれも含めて、業を背負ってやるの。 青葉達に関しても多少なりとも恨みはあるし、水に流せるものでもない。

だからそれをネタにネチネチいびり倒してやる、ってのが私の復讐よ」

榛名「…初風さん、恨みだけでは…」

初風「わかってるわよ。復讐なんかした所で何も報われないって事もね… でも死者を弔うって事は生きてる人間が現実と折り合いをつけるって事なの。

復讐もそれと同じ、私は私なりに現実と折り合いをつけるわ」

榛名「初風さん…」

初風「と言っても、蒼龍みたいに意固地になってるのは性に合わないから2年位ネチネチ言い続けて止めるわよ」

如月「何と言うか、地味ね…」

初風「そりゃどうも。ところで如月、アンタ勝手に人の秘密詮索してた上に勝手に暴露するなんて許されると思ってる?」ニッコリ

如月「うっ… そ、それは…」

初風「アンタに選択肢をやるわ」ポイッ

榛名「書類と… バリカン…?」

初風「選びなさい、仕事をやるか坊主になるか。言っとくけど、逃がしはしないわよ」

如月「…し、仕事で」

初風「ん?もっと誠意を込めなさいよ?」

如月「し、仕事をさせてください…」

初風「よろしい、これでチャラにしてあげる。あと榛名、憶えておくのは自由だけど口外したら…」

榛名「は、はい!」

初風「よろしい。じゃあ私はコンビニでも行って来る」

榛名「お、お気をつけて…」


さらにイベント 直下

297: ≫1 2015/07/16(木) 00:35:53.40 ID:HYdjHbkh0
如月「あぁ、案の定洒落にならないような書類押し付けてきたわあの子… これ坊主云々言う前に十円ハゲか胃に穴が開くかのどっちかね…」

榛名「だ、大丈夫ですか…?」

如月「何で中学生にこんな事やらせるのかも疑問だけど、こなせちゃう自分もアレなのよね…」

コンコン

如月「ひいっ!?ま、またあの水色ツチノコ悪魔!?」

榛名「つ、ツチノコって… ともかく見てきますね」

コンコン

榛名「は~い」

朝潮「朝潮です。初風が半分キレてる状態でコンビニに行ってくる、と言っていたのですが何か知りませんか?」

榛名「あー… どうします?」

如月「事情説明するから入れて…」


事情説明中…


朝潮「それは如月が悪いです」

如月「だよねぇ…」

朝潮「触れて欲しく無い事もある、しかもそれを他人に話してしまうなんて言語道断です。

特に初風にとって『あの子』の話はタブー… 私や野分、秋月の対応を見ていれば分かるでしょう?」

如月「私が悪かったわ… あの子に後でもう一度謝っておかないと…」

朝潮「榛名さんも、初風に『あの子』の事は聞かないでください。私も、この件は出来れば話したくないので…」

榛名「わかりました」

榛名(この調子では秋月さんも野分さんも駄目ですね…)

朝潮「後、青葉さん達についてですが私はどうとも思ってません」

如月「どうとも思ってない無い?」

朝潮「憎んでもいなければ信頼もしていません」

榛名「朝潮さん…」

朝潮「今は仲間、と言っても一度私達を苦しめた相手を信頼できる程お人好しでは無いので」

如月「まぁ、そうなっちゃうわよね…」

朝潮「信頼しようと努力はしています。でも、私の中にある何かがそれを拒んでいる… もう暫く時間がかかりそうです」

榛名「そう、ですか…」

朝潮「では失礼します、おやすみなさい」

如月「おやすみ」

榛名「おやすみなさい」

パタン

如月「恨みもしないが信頼もしない、か… 青葉さん達には一番酷な扱いね…」

榛名「朝潮さん、色々知ってますから青葉さん達の行動も一番知っているのかもしれませんね…」

298: ≫1 2015/07/16(木) 00:54:09.54 ID:HYdjHbkh0
如月「あら、寝無いの?」

榛名「ええ、課題の方がまだ残っているので」

如月「それでPC出してるのね。情報関係だから」

榛名「はい。今回はJavaでプログラムを組む、と言う課題なので時間がかかりそうですから早めに少しずつやっておかないと…」

如月「あらあら… 寝不足はお肌の敵よ?」

榛名「わかってます。ある程度終わったら寝ますよ」

如月「そう… じゃあおやすみなさい」

榛名「おやすみなさい」



2時間後…



榛名「このくらい、ですね…」

榛名(メールチェックしないと、課題が何時増えるかどうか…)

榛名「あれ、友人フォルダにメール?」

榛名(このアドレスって… 10ヶ月ぶりの連絡ですか…)

榛名「えっと… 添付ファイル…?」

榛名(設計図…?しかも丁寧にCADで作られてる…)

榛名「えと、本文は…」



『応援してる』



榛名「…どこかで、見ていてくれているのですね」

榛名(でも、この設計図は専用艦が揃った今はもう必要無いかもしれません… でもありがたく受け取りましょう)

榛名「返信返信っと…」

榛名(『ありがとうございます。榛名も頑張りたいと思います』… 送信!)

榛名「よし、送れましたね… さて、私も寝るとしましょう」

299: ≫1 2015/07/16(木) 01:44:01.79 ID:HYdjHbkh0
≪一方その頃 硫黄島≫


ヒエイ「ユニオンコアが一つ行方不明?」

ミョウコウ「らしい。厳重に管理していた筈なのに、一つ数が足り無いそうだ」

ヒエイ「どのユニオンコア?」

ミョウコウ「それが、何も書き込まれて居ないデルタコアだ」

ヒエイ「デルタコアを!?我々の管理ミスと言う事か…」

ミョウコウ「ナノマテリアルはイセ達がハシラジマで管理している。だがイセ達や積極的にハシラジマへ通っているヒュウガは知らんと言っている」

ヒエイ「千早群像と千早翔像に確認は?」

ミョウコウ「千早群像に確認は取った。全401クルーとタカオ、知らないそうだ。 それどころかこちらに協力を申し出ている。

千早翔像とムサシについてはズイカクを軍艦島へと向かわせた。連絡の取れるビスマルク、U-2501クルーは知らないと返答だ」

ズイカク『ミョウコウ・ヒエイ、聞こえるか?』

ミョウコウ『確認は取れたのか?』キィン

ズイカク『ああ。千早翔像もシロ、活動のログを見ても潔白だ。でも…』

ヒエイ『どうした?』キィン

ズイカク『軍艦島に海域強襲制圧艦・レキシントンが居る』

ヒエイ『馬鹿な!? あのレキシントンは坊ノ岬沖で…』

ズイカク『いや、居たのは『元の世界』のレキシントンだ。恐らく、何らかの方法で転移したんじゃないか?』

ミョウコウ『北米艦隊の方か…』

ヒエイ『了解した。引き続き調査を頼む。何なら数隻ナガラをそちらに送るが』

ズイカク『必要になったら貰う。ではまた後で』

ミョウコウ「…デルタコアが必要な存在、何だと思う?」

ヒエイ「超戦艦クラス… ムツか?」

ミョウコウ「確かに現存している超戦艦はムツとムサシ、ビスマルクだけだ。だが坊ノ岬で2隻の超戦艦が沈んでいる」

ヒエイ「総旗艦は瑞鳳と言う人間がコアを粉砕した、とイセから聞いている」

ミョウコウ「だとすれば、可能性が残るのはナガトだ」

ヒエイ「確かにナガトのユニオンコアはまだ発見されていないが。わざわざ他のコアに乗り換える必要は無いだろう」

ミョウコウ「いや、機能が半分以上失われた場合は他のユニオンコアに上書きするかもしれない」

ヒエイ「…その瑞鳳と言う人間がユニオンコアを破壊出来なかった可能性は?」

ミョウコウ「無い。硫黄島到着時の彼女の手にはユニオンコアの残骸が付着していた。彼女の戦闘能力であればユニオンコアを破壊するくらい造作も無いだろう」

ヒエイ「確かに超戦艦級のクラインフィールドを生身で突き破って、ヤマトの船体の半分を一撃で消し飛ばせるなら可能だろうな…」

ミョウコウ「ともかく、だ。400、402、ナチに協力を仰いで見るか…」

ヒエイ「その3隻は索敵能力も優れているから適任だろう。ヒュウガを伝って連絡するか」

ミョウコウ(しかし、何故今になって…)

301: ≫1 2015/07/17(金) 00:00:59.18 ID:zyNcIFhC0
 
翌日


初風「2回戦の選手を発表するわ」

天城「えっと、4人でしたっけ?」

清霜「4人かぁ… でも清霜達出れないんだよねぇ…」

秋月「この制限ルールって面倒ですね…」

榛名「今回の戦闘は4人、制限は『大型艦のみ』です」

阿武隈「大型艦って重巡、戦艦と正規空母クラスってこと?」

曙「でも正規空母は1隻、って制限があるわ」

龍鳳「少し難しいですね…」

初風「ともかく、よ。メンバーと艦プラ発表するわ」


メンバー
・古鷹 インプラカブル・ブレイヴ
・青葉 カウンティ・ブレイヴ
・衣笠 ペンシルベニア・ブレイヴ
・4人目 直下(使用艦も同時に)


出撃可能:初風・秋月・朝潮・野分

使用艦制限:大型艦(重巡・戦艦のみ)

304: ≫1 2015/07/17(金) 00:55:01.76 ID:zyNcIFhC0
初風「一人目、古鷹。使用艦は『インプラカブル・ブレイヴ』、二人目に青葉の『カウンティ・ブレイヴ』。

三人目は衣笠『ペンシルベニア・ブレイヴ』、そして最後は朝潮の『フッド』よ」

朝潮(初風、嫌がらせですか?)

初風(そう言う意図は無いわ。相性の都合よ。 野分は大型艦向けじゃないし秋月は空母、私のポジは古鷹とダブるから適役がアンタしか居ないの)

衣笠「ここで今までの払拭しておかないと…」

青葉「顔向けできません…!」

初風「古鷹、病み上がりだけど戦闘指揮は任せる。やれるわね?」

古鷹「任せて…!」

初風「あと榛名、アンタは古鷹のサポートにまわりなさい」

榛名「わかりました」


自軍戦力

インプラカブル・ブレイヴ(古鷹&榛名)
艤装
・連装5インチ砲(VT) 8門
・連装2ポンド砲(VT) 48門
・20 mm 機関砲 27基
・隠し20.3cm単装砲1基
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式・粒子硬質化壁、2式・粒子圧縮加速、3式・粒子歪曲フィールド)
・アームド・アーマーBst(533mm魚雷3連装発射管2基)
艦載機
・SBDドーントレス 10
・TDFアヴェンジャー 12
・F8F ベアキャット 45



カウンティ・ブレイヴ(青葉)
艤装
・SKC34 20.3cm連装砲3基6門
・10.2cm(45口径)単装高角砲4基4門
・4cm(39口径)単装ポンポン砲2基2門
・20mm単装機銃8基8門
・61cm魚雷発射管4連装2基
・スモーク・ディスチャージャー
・アームド・アーマーST
・ディスチャージ改(1式・粒子拡散弾、2式・粒子歪曲フィールド、3式・ハイパージャマー)



ペンシルベニア・ブレイヴ(衣笠)
艤装
・Marks10 35.6cm(45口径)三連装砲4基
・Marks12 12.7cm(38口径)連装高角砲8基
・ボフォース 4cm(56口径)四連装機関砲10基
・エリコン 2cm(76口径)単装機関砲34基
・RGシステムtype-HA
・ディスチャージ改(1式『粒子圧縮弾頭』、2式『粒子開放衝撃破』、3式『粒子拡散弾頭』、4式『PBCtype-K』)
・アームド・アーマーHM



フッド(朝潮)
艤装
・Mark I 38.1cm (42口径)連装砲 4基
・10.2cm(50口径)MkXVI連装高角砲 7基
・2ポンド8連装ポンポン砲 3基
・12.7mm 4連装機銃 4基
・17.8cm 20連装UP発射機MkI 5基
・53.3cm 水上魚雷発射管単装 4基
・同水中魚雷発射管 2基

305: ≫1 2015/07/17(金) 01:07:04.59 ID:zyNcIFhC0
Please Set Your KP BASE

Beginning Plavsky Particle Dispersal

Please Set Your KANPLA

BATTLE START!


古鷹「インプラカブル・ブレイヴ、古鷹!」

青葉「カウンティ・ブレイヴ、青葉!」

衣笠「ペンシルベニア・ブレイヴ、衣笠!」

朝潮「朝潮、戦艦フッド!」

榛名『チーム・ホワイトクリーン、全艦…』

古鷹「出撃します!」



古鷹「敵艦隊を目視で捕捉!」

榛名『データリンクスタート、全艦のプロットに敵情報を表示します』


敵艦隊
・戦艦 天城
・戦艦 ネルソン
・重巡 エクセター
・空母 サラトガ

青葉「どうします?」

衣笠「一気に決めちゃう?」

朝潮「いえ、隠し玉があるかも…」


行動選択 直下
1.空母を優先的に攻撃し、制空権を奪う
2.牽制しつつ足止め、敵周囲に包囲網を築く
3.航空攻撃による足止め、その後PBCで焼き払う
4.その他

307: ≫1 2015/07/17(金) 01:22:02.65 ID:zyNcIFhC0
古鷹「ここは慎重に… フッドとペンシルベニアで牽制しつつ包囲網を構築するよ!

青葉、ジャマーを発動してレーダーを潰して!そうすればヘタに相手は砲撃出来無い!」

青葉「了解!粒子散布開始、ハイパージャマー起動します!」

古鷹「フッド、ペンシルベニアは敵の左右に展開。そのまま牽制砲撃を加えつつ包囲して!」

朝潮「わかりました!」

衣笠「衣笠さんにお任せ!」

敵艦隊に向け、二手に分かれた戦艦が狙いをつける

朝潮「目標、左舷の敵艦隊。砲撃、開始します!」

衣笠「右側の敵、当てるよ!」

そして2隻の戦艦から砲撃が放たれる!



命中判定

・戦艦 天城  直下
・戦艦 ネルソン  ↓2
・重巡 エクセター ↓3
・空母 サラトガ  ↓4

0~15 命中せず
16~35 至近弾
36~55 小破
56~75 中破
76~95 大破
95~00 撃沈

312: ≫1 2015/07/17(金) 23:51:33.62 ID:zyNcIFhC0
放たれた砲弾はそれぞれに着弾し、炸裂する!


榛名『敵『天城』と『エクセター』小破。『サラトガ』は甲板に直撃弾で発艦不可、『ネルソン』は至近弾です』

古鷹「3隻にダメージ…!これなら…」


しかし古鷹に対し、3隻から砲撃が加えられる!


榛名『敵艦発砲、こちらに攻撃を加えてきます!』

古鷹「回避運動開始、包囲網構築まで持たせます!」


古鷹はアームド・アーマーBstの出力を上げて砲弾を回避しようとする


古鷹「アームド・アーマーの力、見せてあげるんだから!」



回避判定 直下
0~30 命中せず
36~45 至近弾
46~65 ダメージ無し
66~75 小破
76~85 中破
86~98 大破
99~00 撃沈

315: ≫1 2015/07/18(土) 00:16:51.28 ID:mfQtPgBC0
アームド・アーマーによって加速したインプラカブルに砲弾は当たらず、全て水に着弾する!


古鷹「このままやられるのは性に合わない… 艦載機発艦開始、制空権を奪取しつつ敵艦隊にダメージを!」

榛名『了解!ベアキャット発艦、続いてドーントレス及びアヴェンジャーを射出します!』


加速しているインプラカブルから艦載機が飛び立ち、敵艦隊に向けて飛来する!


古鷹「目標『サラトガ』、対空能力が高い敵を優先してください!」

榛名『はい!目標入力『サラトガ』、攻撃開始!』


艦載機の攻撃がサラトガに集中し、サラトガは退避しようとするが…


撃沈判定 直下

40以上で撃沈

317: ≫1 2015/07/18(土) 23:19:11.07 ID:mfQtPgBC0
古鷹の攻撃はサラトガを撃沈すっるまでには至らなかった。


古鷹「逃がした… 艦載機、補給開始。第二次攻撃の用意を」

榛名『わかりました。艦載機を帰還させます』

古鷹(包囲網の形成は殆ど出来上がってる… どう戦おうか…

選択肢としては『このまま飽和攻撃による殲滅』『包囲網構築後PBCによる殲滅』『一度包囲網を解除した上で殲滅』のどれか…)



行動選択 直下
1.このまま飽和攻撃を敢行し、殲滅
2.包囲網を完成させてPBCによる殲滅
3.一度包囲網を解除した上で殲滅
4.その他

319: ≫1 2015/07/19(日) 03:15:57.80 ID:iLu64iCi0
古鷹「包囲網を構築完了後、衣笠はPBC発射態勢へ移行。一気に殲滅します!」

朝潮「こちらは予定ポイントへ到達しました」

古鷹「砲撃を続行、敵を足止めして!」

朝潮「了解」

青葉「ポイント到達まであと10!」

衣笠「こっちもそれぐらい!」

榛名『艦載機の補給、完了しました!』

青葉「第二次攻撃隊発艦開始、敵の戦力をなるべく削ります!」




・戦艦 ネルソン  直下
・戦艦 天城  ↓2

0~15 命中せず
16~25 至近弾(中破)
26~45 中破
46~75 大破
76~00 撃沈

・重巡 エクセター ↓3

0~15 命中せず
16~35 至近弾
36~55 小破
56~75 中破
76~95 大破
95~00 撃沈

・空母 サラトガ  ↓4

0~15 命中せず
16~35 中破
46~65 大破
66~00 撃沈

324: ≫1 2015/07/19(日) 23:13:54.65 ID:iLu64iCi0
艦載機から放たれた弾頭が直撃したネルソンとエクセターは誘爆を引き起こし炎上を始め、サラトガと天城は攻撃の回避を試みるが互いの距離を測り間違え衝突した!

榛名『「天城」及び「サラトガ」、衝突し戦闘続行不可。「ネルソン」「エクセター」は健在です』

古鷹「想定以上の成果…!衣笠、今!榛名さん、遠隔サポートを!」

衣笠「了解!」

榛名『コードPBC起動!リミッター解除、出力100%!』

衣笠「リミッター解除確認、粒子収束開始!ディスチャージ、ブーストモードスタンバイ!」


船体が割れ、アームド・アーマーと発射口にエネルギーが収束する!


榛名『粒子圧縮退域へ突入!発射シークエンス、スタンバイ!』

衣笠「ディスチャージ、サイドキックモード!」


収束されたエネルギーが解放され船体が横向きに加速する!


榛名『射線上から友軍の離脱を確認。縮退域臨界点到達、セーフティ解除!』

衣笠「焼き尽くせ、プラフスキー・バスター・キャノン!」


そしてペンシルベニア・ブレイヴから眩い閃光が放たれた!



撃沈判定

ネルソン 直下
エクセター ↓2

05以上で撃沈

327: ≫1 2015/07/20(月) 01:23:58.57 ID:QJ6Sq/710
放たれた閃光がエクセターの船体を貫通し、ネルソンの船体をも焼き尽くそうとしたが届くことは無かった。


衣笠「嘘っ!?もうオーバーロードしたの!?」

榛名『機関にエラー!? 出力を上げすぎて妙なノイズが…』

古鷹「復旧は?」

榛名『この戦闘中は不可能です。1から調整の必要が…』


Battle END

Winner“Team WhiteClean”

青葉「ありゃ?」

榛名『サレンダー… 降参したようです』

朝潮「恐らく、PBCの威力が牽制になったのかと…」

衣笠「そりゃ世界に一人しか作れ無い、って思ってた武装がアッサリ目の前に出てくれば諦めたくもなるよ」

古鷹「ま、まぁ… 戦闘終了、皆お疲れ様でした」


曙「ふぅん… アイツら、本気で戦ってるようね」

天城「…少なくとも古鷹さんは記憶を取り戻しているので疑いの余地は無いのでは?」

初風「どうだか? ま、チームに貢献してアンタの姉がそれを認めてるなら私から文句を言う権利は無いわ」

秋月「私達も依存はありません」

如月「私達もよ」

阿武隈「榛名姉さんに従うだけ」

陽炎「でも大丈夫かしらねぇ?」

長波「まだ何かあるのか?」

陽炎「天城姉さんしか知らないと思うけど、ちょっと怒っただけでトマホークで服切り刻むような姉よ?裏切ったら本気で首飛ばすかも…」

野分「それに私と清霜、お母さんと姉さんや二航戦の二人も居るから…」

清霜「間違いなく死は免れられないよね。姉さんだったら確実に殺せるし、蒼龍さんだったらデルタカイで踏み潰しかねないし」

舞風「…微妙に可哀想になってきた」

曙「全部自業自得よ。ま、姉さんに成層圏まで吹き飛ばされるか、デルタカイのハイメガで焼き尽くされたら同情してやるけど」


榛名(どうやら三人と皆の溝は遥かに深い… でも何かきっかけがあればちゃんと分かり合える、私はそう信じてます。きっと…)



第11話『Lost Memory』 終

328: ≫1 2015/07/20(月) 01:32:25.51 ID:QJ6Sq/710
ここで第12話『2対の獣』に移る前に小休止的な意味合いで小ネタをやりたいと思います(本編が思った以上にシリアスすぎて…)


今のところ予定は

・『心の光 シェフの本気』…大和に連れられ拉致被害で自我を破壊された者達の面会に行った榛名。NTの力で元に戻そうと試みるが… 一方天城は別の方法で元に戻そうとナチの手と厨房を借りて『おみまい』の準備を重ねていた

・『アンリミテッドの軌跡 浜風編』…チーム・エンガノ最初期メンバーで『最強の戦術家』こと浜風の視点でアンリミテッド編(瑞鳳編)を振り返る。


これ以外に小ネタを3つ程募集しようと考えているのでリクエストの方をよろしくお願いします


リクエスト ↓3まで

335: ≫1 2015/07/21(火) 01:07:06.05 ID:AUGeAN+t0
『心の光 シェフの本気』>>2回戦終了直後の話です


天城「試合が午前中で終わって良かったですね」

榛名「ええ、これならちょっとゆっくりしてから…」

筑摩「あら… どうも、榛名さん」

榛名「筑摩さん。どうかなさいましたか? あとそちらの方は…」

ナチ「はじめまして、呉グループ会長秘書のナチと申します。榛名さんと天城さんでよろしいでしょうか?」

榛名「え、ええ…」

天城「か、会長秘書って…」

ナチ「榛名さん、貴女の事は潮さんと蒼龍さんから伺っております。貴女は純粋なニュータイプとしての才をお持ちだとか…」

天城「…は?何を言って…」

榛名「…確かにある程度の能力はあります。しかし、それがニュータイプとしての力なのかどうかは…」

天城「いや、ニュータイプって非常識にも程が…」

筑摩「確かに信じられないかもしれません。しかし榛名さんはガンダムに、『バンシィ』に搭乗し完全に操る事の出来る存在です。

ニュータイプである可能性はかなり高いのです」

天城「が、ガンダム…? 姉さん、何時の間にゲッターロボからガンダムに鞍替えを…」

榛名「してませんよ!?」

筑摩(好きなんですね、ゲッターロボ…)

ナチ「今から少々お時間の方よろしいでしょうか?」

榛名「構いませんけど…」

天城「ちょ、私を無視して話進めないでくださいよ!?」

ナチ「いえ、貴女も必要なのですよ。榛名さんと天城さんにやってもらいたい事があるのです」

榛名「やってもらいたい事…?」

天城「いや、いきなりそんな事言われても…」

ナチ「勿論タダとは言いません。報酬はそれなりに出します。何せ人命が懸かっているのですから…」

天城「人命!?」

筑摩「詳しい話は車の中で致します。こちらの話を聞いて、受けるか否か判断してください」


≪車内≫

ナチ「大和、お二人をお連れしました」

大和「ありがとう、ナチ。初めまして、榛名さんに天城さん。私は大和、呉グループ現会長です。

尤も今は産休中で業務はナチや潮に任せていますが…」

天城「く、呉グループの!?」

榛名「貴女が…」

大和「貴女方に依頼したいお仕事があります。それは…」


大和「全国で発生した転生者拉致事件の被害者、自我を破壊された者の治療です」


榛名・天城「「…は?」」

大和「榛名さん、貴女は記憶を取り戻し昏睡状態に陥った人を目覚めさせたと聞き及んで居ます。もしかすれば、その力を用いれば自我や記憶を呼び覚ませるかもしれない… だから彼女達を救うために力を貸して欲しいのです」

榛名「わかりました、そう言う事情であれば」

天城(あれ、私要らないんじゃ…)

大和「天城さん、貴女にも貴女の才を貸して頂きたいのです。貴女にしか出来無い、その力を使って…」

336: ≫1 2015/07/21(火) 01:53:17.12 ID:AUGeAN+t0
≪山梨某所 呉グループ保有サナトリウム≫

天城「凄い、まるでホテルみたい…」

大和「それは元々ホテルだったのを買い取って改装したのです」

榛名「成る程… でも…」

瑞鳳「あ、来ましたね?」

榛名「やっぱり瑞鳳さんでしたか… ちょっとばかりお聞きしたい事が…」

瑞鳳「どうかしました?」

榛名「何でサナトリウムの脇に『バンシィ』があるんですか!?それにデルタカイと何か見慣れない機体が2機もありますし!?」

瑞鳳「私と蒼龍さんと大鳳で運んできました。あっちの赤い機体は『AMX-107R リバウ』、そして灰色の機体は『RX-160S バイアラン・カスタム1号機』です。

実はあの後もう一度あの世界に行き、この機体を発見して回収しました。リバウは今ちょっとフェネクスが使え無いので私が、バイアランには大鳳が乗っています。他にも数機回収したのでハシラジマに置いてますけど」

天城「本当にガンダムが…」

大和「本当ならユニコーンを持ってくる予定でしたがユニコーンは潮が生体登録してしまったので急遽ハシラジマからバンシィを運んでいただいたのです」

榛名「そ、そうですか… もしかしてバンシィで…」

大和「榛名さんにはサイコフィールドを発生させ、被害者全員の意識に呼びかけて頂きます。ナチ、天城さんを案内して」

ナチ「では天城さん、こちらに」

天城「は、はい!」

瑞鳳「榛名さんも準備を。蒼龍さん、お願いしま~す」

蒼龍『了解!榛名ちゃん、今からコックピットに運ぶから乗って』

榛名「わかりました」

大鳳『私って呼ばれ損…?』

瑞鳳「だってバイアランのマニュピレーター汎用性皆無だもん」

大鳳『割りとショックなんだけど!?』



榛名(inバンシィ)「準備出来ました」

瑞鳳(inリバウ)『サイコフレーム駆動を確認、私はちょっと離れます』

蒼龍(inデルタカイ)『私も。ヘタにNT専用機をバンシィに近づけとくと危ないし』

大鳳(inバイアラン)『お、置いてかないで!?私だって巻き添えになりたくないのよ!?』

榛名「始めます…!」ピキィン

キィィィィィィィ…

榛名(応えてください、皆さん。私の想いに…)

榛名「ッ…!?」

榛名(な、何これ… 何も無い、虚ろ… 虚無が私の中に流れ込んで、消え、て…)

蒼龍(飲まれちゃ駄目!瑞鳳ちゃん、私達で引き剥がすよ!)

瑞鳳(はい!榛名さん、しっかり!)

榛名「ッ… はぁっ、はぁっ… そんな…」

瑞鳳『大丈夫ですか?』

榛名「お二人が引き離してくれなかったら、今頃虚無に…」

蒼龍『どうやら私達が迂闊過ぎたようね… 自我が無いって事は広がってるのは虚無、30人近くの虚無に一斉に繋げば飲み込まれるのは確実だった…』

大鳳『本当にギリギリ一歩手前じゃないですか!?』

大和『榛名さんに瑞鳳さんは降りてください。こうなったら最終手段を使わなければ…』

337: ≫1 2015/07/21(火) 02:13:43.42 ID:AUGeAN+t0
ナチ「被害者の皆さんを食堂に集めました」

大和「ありがとう、ナチ」

榛名「こんなに…」

瑞鳳「全員に自我はありません。私達が救出した時には既に手遅れで…」

大和「しかし自我を破壊されていない一部の被害者は再び元の生活に戻る事が出来ました。瑞鳳さんがギリギリ間に合ってくれたお陰です」

榛名「でも、やけに怪我人多く無いですか…?」

瑞鳳「…操られた被害者は艤装を使用して襲ってきたので私と大鳳が迎撃し、全員を確保したんです。ただその時に私がちょっとやり過ぎて歯とか鼻折っちゃたり、足の骨が砕けたり…」

榛名「うわぁ…」

ナチ(瑞鳳、彼女の戦闘能力は霧の超戦艦級をも凌駕する… この程度の怪我で済めばまだマシな部類かと)

榛名「もしかして異世界での深海棲艦戦と同じ要領で…?」

瑞鳳「それの4割程度で… あ、あと弁解しておきますけど火傷関連は全部大鳳ですからね!」

大和「まぁまぁ…」

ナチ「どうやら出来たみたいです、最後の切り札が」

榛名「最後の切り札…?」

ナチ「ではどうぞ」




天城「ピストル天城へようこそ!撃ち抜くぞー!おみまいするぞー!」デーン




榛名「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

大和「彼女の腕は聞いております。かなり強いショックを与えれば自我を取り戻せるかも…」

榛名「だからその思考が間違ってるんですよ!?」

瑞鳳「お、落ち着いてください榛名さん!」

榛名「駄目です!皆死んじゃいますよ!?」

ナチ「瑞鳳さん、取り押さえてください!」

瑞鳳「は、はい!」ガシッ

瑞鳳「大鳳、蒼龍さん!バンシィ早くどっか運んでください!」

大鳳・蒼龍「了解!」

榛名「あぁ、最後の希望が!?」

天城「さぁて、本日のメニューはこの『トムヤムクン風オニオンスープ』で御座います!皆さんご賞味あれ!」

榛名「だ、だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

338: ≫1 2015/07/21(火) 02:37:52.89 ID:AUGeAN+t0
ナチ(その後、何があったか完結に説明しましょう…

天城さんの料理を食べた途端、被害者全員がエビによるアナフィキラシーショックを引き起こし倒れました。しかしあまりのショックだったのかは知りませんが全員が自我を取り戻す事に成功しました。

正直、メンタルモデルである私でさえも何が何だかさっぱり解らないのが現状です)



瑞鳳「結果オーライなのか、それとも大惨事なのか…」

大和「今回ばかりは本当に、もう… 取り敢えずお二人共、報酬の方を…」

榛名「報酬は皆さんの治療にあててください。気が付いたらもうエビアレルギーなんて…」

大和「ありがとうございます…」

榛名「…天城、今後一切ウチのキッチンに入るの禁止です。あと学校での調理実習も禁止です」

天城「そんな!?」

大鳳「シェフ天城、恐ろしい…」

蒼龍「番組に出したら放送事故モンよね…」

瑞鳳「昔あったよね、愛の○プロンって番組。よく出演者がゲロってたやつ」

大鳳「アレの方が遥かにマシじゃない…?」

筑摩「正直、こっちの方が遥かに大惨事かと…」

蒼龍「こっちなんて死者が出る一歩手前だったんだから…」




清霜「あれ、榛名?どこ行ってたの?」

榛名「…天城が人を殺す寸前の事をしてました」

衣笠「うえっ!?またおみまいしたの…?」

榛名「今回は30人の被害者が一斉にアナフィキラシーを…」

初風「じ、地獄絵図ね…」

如月「本気で死者が出ないだけマシかも…」



榛名(二度と天城をキッチンに近づけない、私はそう決意したのであった…)



『心の光 シェフの本気』終

343: ≫1 2015/07/21(火) 21:01:38.77 ID:AUGeAN+t0
『アンリミテッドの軌跡 side-浜風-』  ※これは浜風視点のものです


私は、流されて生きてきたのかもしれない。
あの日、あの人と出会うまで… あの日、彼女達に出会うまで臆病な私から逃げられなかった。


正直、私は両親や妹と不仲だ。それは私の性格に起因するものであり、向こう側が望んでいても私が拒絶しているだけかもしれない。

そう私は『臆病』だ。人と関わるのが嫌いで、友と呼べる存在も居らず家族とも最低限の会話しか交わさない。取り柄も無いただの『出来損ない』、それが私だった。

そんな私が嫌になった。変わりたい、そう願った。だからそのきっかけが欲しかった。


そして私はあるお店を見つける。



『模型店エンガノ』



開店したばかりと思われる真新しい店先、そして積み重なっている模型。そこで私は『艦プラバトル』と言う存在を思い出した。バトルをすれば何か変われる、そう思い店のドアを開いた。


飛龍「あ、いらっしゃい」

浜風「ど、どうも…」


私を迎えたのはハキハキとした女性だった。私とは正反対で、美人の女性… こんな人が店員をしてるならここは相当儲かってるのではないか、と考えてしまった。


浜風「あ、あの…」

飛龍「何かお探し?」

浜風「バトル、してみたいのですが…」

飛龍「バトル… あ、艦プラバトルか。えっとバトル台は1個使ってるからこっちの1番台を…」

浜風「ち、違います…!バトルも、プラモもやった事なくて…

それで教えて欲しい、と思いまして…」

飛龍「あ、そういう事。じゃあちょっと付いて来て、今店長の所に連れてくから」


店長、どうせ老人か小太りした男だろうと考えて彼女の背に付いて行く。しかしそこに居たのは私と大して変わりない、寧ろ私の方が多少年上に見えるくらいの少女だった。


飛龍「あ、瑞鳳ちゃん。この子プラモデル作りの講習して欲しいみたいなんだけど」

待て、誰がそんな事を言った。確かに聞きたいとか教えて欲しいとか言ったがそこまで言った覚えは無い。しかし…

RJ「づほ~。ウチにも教えてくれや…」

翔鶴「私達も久しぶりだったから…」

瑞鶴「私にもお願い!」

大鳳「こ、後学の為にお願いします!」


何故この人達は便乗するのだろうか。というか、何でこんなに人数が居るのか… ここまでフランクに接してるとなると友人であるとも考えられたが…

瑞鳳「はぁ、仕方ない… ちょっと騒がしくなるけど構わない?」

浜風「大丈夫、です…」


私はそう言うしか無かった。


瑞鳳「ならやるのは龍驤、翔鶴さん、瑞鶴、大鳳さんと飛龍さん…

後貴女の名前教えてくれない?」

浜風「は、浜風です。よろしくおねがいします」

瑞鳳「そう畏まらないで気軽にして良いよ」


それが私と、後に『チーム・エンガノ』を結成したリーダーとの出会いだった。

344: ≫1 2015/07/21(火) 21:09:10.10 ID:AUGeAN+t0
ただ一つ、この面子に問題があるとすれば

RJ(何や、この胸は…!)

翔鶴(な、何て大きさなの…!)

瑞鶴(見た目は中学生なのに!)

大鳳(運命とは皮肉なものです…)

睨まれた。何故だ… 私はこの人達に嫌われるような事でもしたか?


そして私は彼女に製作を手伝って貰い、初めてのバトルに挑む事になる。その最中私達が放った雷撃が直撃し、1隻を撃沈(後にチームメンバーになった大鳳さんだった)したが迂闊だった。同じ手を返され、私の反応が一瞬遅れたせいで友軍であった瑞鳳さんと飛龍さんの二人に損傷を与えてしまった。でも二人は笑顔で私に向け『味方だから』と言って反撃に転じようと試みる。

私に出来る事は無いか、そう思案すると頭の中に戦い方が浮かんでくる。私の技量じゃ出来るかどうかは不明、でも実行出来るのは私しか居ない現状。『ならば私がやるしかない』、そう私は決意する。今思えばここが私の『戦術指揮官』としての始まりかもしれない。



浜風(それも想定済みっ! さぁこのまま気付くなよ…)

RJ「逃げるな!」

瑞鶴「逃がさないわ!」

翔鶴「二人共、時雨の動きを止めます!」

浜風(5…4…3…2…1… 目標点到達!)

浜風「今です!」

瑞鳳「主砲!」

飛龍「斉射!」

瑞鳳・飛龍「始め!」



私はその戦法を実行し、その作戦は見事なまでに成功し3隻を一斉撃沈し勝利を収めた。そう、初めてのバトルがそのまま初めての勝利へと繋がった。


余談だが私が帰宅しようとお店から出て数分後…


浜風(バトル、楽しかったな…)

ヒュウウウウウウ… ドゴォォォォォォォ!

浜風「!?」

シュウウウウ…

瑞鶴「」チーン

浜風「えぇぇぇ…」(困惑)


いきなり吹っ飛んできた瑞鶴さんが壁に突き刺さった。後に犯人は瑞鳳さんである事が判明し、彼女の身体能力に畏怖する事になるのは別の話である。思えば、彼女は謎が多すぎる(今では慣れたが)。


そして私は両親の都合で沖縄に転校する事になったが様々な理由をでっちあげてここに残る事にした。

私の中にある沖縄への言い知れぬ恐怖と拒絶心、そして親のレールから外れたいと言う私の意志で下宿先を自力で探し出して許諾を貰った。

まぁ、それが意図せず瑞鳳さんの所であると言う謎の偶然が発生したが…


瑞鳳「あれ?浜風ちゃん?そんな荷物持ってどうしたの?」

浜風「あ、瑞鳳さん。実は両親が転勤することになって私だけこの近所に下宿することになったのですが迷子になっちゃって…」

瑞鳳「へ~。今日からウチにも下宿する人くるんだよね」

浜風「え?」

瑞鳳「え?」


…正直、タチの悪いギャグにしか見えないが全部実話である

345: ≫1 2015/07/21(火) 21:26:41.14 ID:AUGeAN+t0
紆余曲折あり、模型店エンガノに同じクラスメイトである吹雪とイクも入居してきた。ここで初めて知ったがイクは瑞鳳さんの従妹らしい。正直雰囲気も何もかも似ていないが。

そして私達は正式に『チーム・エンガノ』を結成した。そう、その時から私の運命はあらぬ方向に捻じ曲がったのだった。…しかし私は今も決して後悔はしていない。大切な人に出会い、絆を育めたのだから。


私は全員の適性を踏まえた結果『戦術指揮官』と言う立場に収まる事になる。全員に指示をし勝利へと導く立場、正直私にはとても荷が重かった…


現に今でこそ慣れているが途中で何度もその重さで潰されそうになっており、瑞鳳さんにも相談を重ねていた。


しかし瑞鳳さんは私を指揮官の立場から下ろしてくれなかった。でも、それで正解だったのかもしれない。


瑞鳳「浜風ちゃんならきっと出来る。自信を持ちなって」



自信なんて無い、でも彼女の信頼に応えたい。だから私は戦い抜く事を決意した。


そして私が戦術指揮官として戦い抜くことを決意したきっかけはもう一つある。

『戦艦 ドレッドノート』、バトルでこそ使えないが私のお気に入りの艦だ。

ドレッドノートの意味は『勇敢な者』、臆病な私とは対極な存在… そのプラモデルを瑞鳳さんに貰った。

その時私は自分の戦う理由について問われた。



瑞鳳「浜風ちゃんはどうして艦プラバトルを始めようと思ったの?」

浜風「強いて言えば自分を変えたかったから… ですね」

瑞鳳「自分を変える?」

浜風「私、少しだけ周囲から浮いちゃって… 内向的だし誰かに話しかける勇気もない臆病者でした…」

瑞鳳「浜風ちゃん…」

浜風「だけど、艦プラバトルなら… バトルなら臆病な私を変えられるかもしれないって思ったんです。」

瑞鳳「大丈夫だよきっと、浜風ちゃんなら。それに浜風ちゃんは臆病なんかじゃないよ。自分が危険に晒されても仲間を信じて単艦で立ち向かった子に臆病なんて言えないよ。
もし浜風ちゃんに臆病者なんて言って来る人が居たら私がやっつけてあげる」

浜風「ありがとうございます。これなら少し勇気が出てきた気がします」

瑞鳳「あ、そうだちょっと待って」パタパタ

瑞鳳「はい、これ」

浜風「これは?」

瑞鳳「『戦艦ドレットノート』。バトルでは使えないけど浜風ちゃんにピッタリの名前の艦だからね」

浜風「艦名が?」

瑞鳳「ドレットノート。その意味は『勇敢なもの』。だから浜風ちゃんにはぴったりだよ」

浜風「『勇敢なもの』…」

瑞鳳「勇気を振り絞れば必ず何かは変えられる。ドレットノートが大艦巨砲主義の先駆けとなった戦艦になったように、きっと浜風ちゃんなら何かを変えられるから」


『勇気を振り絞れば必ず何かは変えられる』

その言葉いつも私の言葉の支えとなっていた。どんなにくじけそうになった時も、プレッシャーに押し潰されそうになった時も…

今でこそ『最強の戦術家』などと囃し立てられるが、私は最強でも何でも無い。心が弱くて、誰かの支えなしでは立てないような人間だ。

346: ≫1 2015/07/21(火) 21:44:09.91 ID:AUGeAN+t0
私達は東京第2ブロック地区大会を勝ち抜き、全国大会へと駒を進めた。

そしてここである事件が発生する。


私達が瑞鳳の叔父さん(イクの父親では無い別の人)の保有するビーチ的な場所に旅行に出かけた時だった。

1日目に海の近くにある別荘に泊まっていた時、それは起こった。

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浜風「」

愛宕「」


私と愛宕さんが同室で、バルコニーに出てお酒を飲んで暴れている彼女を止めようとしている時にそれは起きた。


浜風「…え?」

愛宕「な、なに…?」

浜風「…今すぐ寝ましょう!」

愛宕「そ、そうね… き、きっと幻覚でも見てるのよ…」


遠くで発生した大きな爆発… 私達は幻覚でも見てるのかもしれない、そう思って私達は眠りについた。

しかしそれは現実だった。



大鳳「ん?あれ、なんかクレーターが…」


402・400・ユキカゼがクレーターの真ん中に頭から突き刺さってる


大鳳「」

瑞鳳「」

夕張「」

愛宕「」

イク「」

吹雪「」

浜風「」

飛龍「」

翌日、海岸で遊ぼうと言う事になり出かけて見るとクレーターが出来ていてその中心には三人の少女が突き刺さっていた。

そう、ここで出会ったのが後に私のかけがえの無い親友となった『イ402』だった。


正直、本気で頭が痛かった。

347: ≫1 2015/07/21(火) 22:25:02.64 ID:AUGeAN+t0
彼女達もチームに合流し、戦力を増強したチーム・エンガノ。

快進撃は止まらず、ついには全国大会決勝戦まで上り詰める。しかし、一人だけ問題児が居た。

それが402だった。

学校では誰とも会話を交わさず、ただ黙々と授業を受け(しかし授業もノートを取ってるだけで完全に上の空だったが)家に帰るだけ。

400とユキカゼとは最低限の会話を交わしていたが、それ以外には決して口を開かない。



まるで私を見ているようだった。



しかしその中である日を境に402は少しだけ、二人以外とも話す事が増えてきた。

最初は必要最低限の会話、でもそこから会話が増えていく。何がきっかけかは知らなかったが、良い兆候だと思っていた。

そして彼女と班や体育で組む事が多かった私と会話が増えていった。

互いにあぶれ物同士、仲が良いと言う事だろうか。 そして私と彼女が強い絆で結ばれる出来事、全国大会決勝が始まった。


私は千早群像、メンタルモデル・イオナとメンタルモデル・ヒュウガを相手に囮戦術を展開し指揮官を前線から引き離して戦線を混乱させる作戦に打って出た。

しかし私の技量で数の差は補えずピンチに陥る。しかし突如として1隻の潜水艦に雷撃が直撃し、攻撃の手が緩んだ。

その攻撃を放ったのが402だったのだ。


402「敵潜水艦に命中。中破確認。浜風、救援に来てやったぞ」

浜風「402!?何故来たんですか!」

402「400に向こうは任せてきた。それにお前、こうなることを予測していただろう。

お前のデータが向こうに知られてるとしたらお前はそうするからな」

浜風「…」

402「それも予測した上で空母の連中からわざと遠ざかって囮になってた訳だ。しかも成功確率が高い強襲配置に私を置いて撃沈されたら指揮権を委譲しようとするんだからとんだ食わせ物だ」

浜風「…402には敵いませんね」

402「そういうわけで約束は無効だ。そして今からお前を援護する。嫌とは言わせない」

浜風「ええ。寧ろ手数が足りなかったので丁度良かったです」

402「では行くぞ!」

浜風「ええ!主砲全門装填、目標敵重巡!」


そして私達は3隻の撃破に成功し、ピンチを脱する。その後400とも合流した私達は追撃戦を仕掛け、3隻を撃破に成功しバトルに勝利した。


そう、この瞬間私達の世界大会出場が決定した。

 

354: ≫1 2015/07/22(水) 23:36:40.42 ID:5yWDF25y0
決勝戦終了後、私達は全国大会優勝の副賞として箱根に行く事になった。

今では箱根は火山活動の影響で殆ど旅行客が寄り付かない土地になってしまったが。

箱根での事は端的に述べさせて貰うと、大鳳さんがゲロ吐いて瑞鳳さんが暴れて夕雲を救った。…本当にこんな感じだったんです。

私達は箱根で地上げを行おうとしたバートン財団の現当主であるデキム・バートンの悪事を防ぎ、夕雲の実家であった温泉旅館を守る事に成功する。

尤も、彼の最後は自爆だが。

そんなこんなで箱根を後にした私達、そして私達のチームに合流した夕雲。平均水準より高い能力を誇っていた夕雲が戦力として加わったのは嬉しい誤算だった。



ここからが本題だ。
この事件以降、私達の運命は大きく動く事になったのだから…




イセ『「一体何が起きてるのよ。」』

浜風「乱入者は… メイジンチクマメン!?」

イセ『「メイジンが乱入者なの?」』

浜風「通信を傍受した結果ですけど…」

イセ『「なんでメイジンが?」』

浜風「知りません! …嘘っ!?飛龍さん、シグナルロスト…」

イセ『「気を抜かないで、こっちに来る!」』


そう、割と近場にあるショッピングセンター『ZEON』で艦プライベントを開催していた私達を妨害する形で『2代目メイジン・チクマメン』が乱入し、参加者の艦プラを無惨にも破壊し始めたのだ。

私と吹雪、イセさんと飛龍さんは迎撃するが圧倒的な艦プラの戦闘能力と人間離れした反応速度に破れてしまった…

この中で唯一渡り合えたのは飛龍さんただ一人であった。

しかし専用艦である『グナイゼナウ・クロイツ』を用いても互角、と言う結果に終わってしまったが。

そしてその夜、私は目にしてしまった。

瑞鳳さんと402、イセさんがある女性と共に外出する姿を、そして帰って来た瑞鳳さんは私が見たことの無いような、険しい怒りに満ちた表情をしていた事を。


後に聞かされた話だが、その時瑞鳳さん達は呉グループの会長・大和と言う女性に会っていたらしい。

その内容は強化人間とアナハイムについての事だったそうだ。

そして瑞鳳さんと大和会長の間で私達チーム・エンガノメンバーの身の安全と引き換えに『メイジンを打倒し確保する』密約を交わしていた。

瑞鳳さんにそこまでさせる程、他人に対して怒ったのは初めてらしい。

私から見ればいつものキレ方と何も変わらないと思うが…


ここでメイジンの正体について説明しておこう。

メイジンの正体は今はエンガノに所属し、『エンガノ14』のコールサインで呼ばれている蒼龍さんだ。

飛龍さんの異世界での相棒だったが最後の戦闘で瀕死の重傷を負って次元転移し、そのままマーサ・ビスト・カーバイン(以降はド下種ババアと呼ぶ。私もコイツだけは大嫌いだ)に拾われ強化人間にされたと言う事らしい。

ド下種ババアによって強化された蒼龍さんは飛龍さんを激しく憎み、その闇は後述する準決勝の時まで晴れる事が無かった。

正直、今でこそどうでしょうで同じチームになるくらいに仲はそれなりだが私達と出会って合流した直後はかなり険悪な仲だった。

しかし彼女の申し出による加入によって、エンガノの戦力は増強され後述する『第二次坊ノ岬沖海戦』や『オペレーション・アンリミテッド』も各人の負担が和らいだのも事実だ。

現在では彼女は信頼できるチームの一員となり、私達と共に『ガンダムデルタカイ』を駆って拉致犯の捜索や次元の穴の警戒などを行っている。

355: ≫1 2015/07/22(水) 23:46:42.66 ID:5yWDF25y0
そんなこんなしている内に8月に入り、私達は世界大会で戦う事になった。


 
チーム・エンガノは第一ピリオドで3チームと対戦、その内2チームを撃破し1チームを降参させた。




浜風「聞こえますか、マグアナック隊の皆さん」

カトル「通信!?」

浜風「これ以上の戦闘行為は無駄です。降伏して下さい」

ラシード「舐めた真似を!」

カトル「待ってラシード。どうしてそんなことを?」

浜風「貴方達は既に戦闘力を失っていて、もうこのバトルで勝つことは出来ません。ですが今日が駄目だったら明日、明日が駄目なら明後日に勝てば良い。その為の艦プラを破壊したくない、ただそれだけです」

アフマド「敵に情けをかけるのか!」

浜風「貴方達には屈辱かもしれません。これも一方的なものでしか無いことも承知しています。ですが私は…」

カトル「キミの意思は理解した。

ラシード、アフマド。降伏しよう」

ラシード「カトル様!?」

アフマド「俺たちはまだ!」

カトル「もう戦闘能力は残されていない。けど艦プラさえ残っていれば、国に残っている皆のために戦うことが出来る。だからここは…」

ラシード「わかりました…」

アフマド「従います、カトル様…」

カトル「すまない皆… 僕たちは降伏する。」

浜風「わかりました」

カトル「僕はカトル・ラバーバ・ウィナー。キミの名前は?」

浜風「浜風、です」

カトル「浜風、か… ありがとう」




対戦したカトル・ラバーバ・ウィナーは優しい人間だった。そして彼から私も『優しい』と言われていたがそうでは無い。

相手を圧倒し戦意を削いで次に対戦するかもしれない相手に見せ付ける事で牽制する、それが私のやりたかった事。

説得の際の言葉なんて詭弁でしかないが嘘でも無い。心の中で説得を受け入れて貰えてホッとしている私はやはり未熟かもしれなかった…

そして第二ピリオドでは飛龍さんがマジギレしていたのが印象に残っている。それ以外の印象が薄いだけかもしれないが。


第三ピリオド、そこからだ。私達の戦いに歪みが入り始めたのは


『私達にだけ』道路の封鎖を通知せず、あのド下種ババアは会場入りを妨害し始めたのだ。

その時の私には知る由も無かったが、その後瑞鳳さんとイクがド下種ババアの元に直談判しに行き脅したらしい。

あと瑞鳳さんがド下種ババアの居る主要VIP用迎賓館を素手で破壊した。何を言ってるのか解らないと思うが(ry

357: ≫1 2015/07/23(木) 00:22:04.58 ID:LZ10Fc3j0
それからも幾多の妨害が実行されたが瑞鳳さんが全て撃退し、仕舞いには国際マフィアを叩き潰したと言うのだから驚きだ。

そして私達は世界大会の決勝リーグまで駒を進ませた。


1回戦はチーム・エンガノの隠し切り札である吹雪を投入する。彼女はヴェールヌイ・スミルノフとの決着をつける為、と言っていた。

ここで私の戦術は悉く読まれていたが、チームの能力差のお陰で辛くも勝利する事が出来た。


そして2回戦から、歪みが表に出て牙を向き始めた。


戦闘中、突如としてアメリカ代表で対戦相手のジョシュア・エドワーズが友軍を破壊。

そのまま飛龍さんと対戦中のグラハム・エーカーを撃破しようとしたがなんとか阻止し、戦闘は私達の勝利に終わった。

だが試合後にジョシュア・エドワーズが亡くなった。

これが『n_i_t_r_o』使用の代償『命を燃やす事』、強化人間の定めであると初めて知る事になる…


試合終了後、夜の宿舎にて瑞鳳さんを問いただした。

瑞鳳さんが答えたのは、強化人間とメイジンの事、『n_i_t_r_o』の事、私達がド下種ババアに目をつけられていたと言う事だ。

その場で全員が彼女と、事情を知っていたイセさんと402を責めた。それはそうだ、勝手に命まで狙われていたのだから。

ここでチームの中に溝が出来てしまう、だがその程度の事でバラバラになるようなチームでは無かった。皆がそれぞれに決断して、瑞鳳さんと共に戦うと決めた。

勿論私も決断した。早めに起きた私は、一人佇む彼女を見つけ話しかけた。


浜風「瑞鳳さん、お願いがあります。」

瑞鳳「お願い?」

浜風「私も戦わせてください。貴女と共に戦い抜かせてください」

瑞鳳「ダメだよ!そんな事したら…」

浜風「覚悟の上です。それとも私は足手まといですか?」

瑞鳳「そんな事は…」

浜風「私はもう決めました。何がなんでも、例え拒否されたとしても貴女と共に戦い抜くと」

瑞鳳「浜風ちゃん…」

浜風「貴女に出会わなければ私は臆病な自分から変われなかった… だから私は貴女と共に戦います。

『ナイトロ』だろうとなんだろうと、私が貴女に貰った『勇気』と『覚悟』で」


そして私の後に続くように、皆が現れ瑞鳳さんに覚悟を伝える。大鳳さんだけは瑞鳳さんを殴りつけたが…

でも問題は瑞鳳さんだった。

彼女は優しすぎる。私達を巻き込むのをそれでも彼女は躊躇した。しかし、彼女の迷いを取っ払ったのは意外な人物だった。



瑞鳳「でも、もし何かあったら…」

大鳳「その時はその時」

瑞鳳「ダメだよ… 私、守りきれないよ…」

「では我々を使え」

「私達も貴女に恩義がある。貴女に使われるなら本望です」

浜風「400、402!」

夕雲「一体何処に行っていたのですか!」

402「少し準備をしていた」

400「付いて来てください」


私は彼女達に連れられて若洲海浜公園に赴く。

358: ≫1 2015/07/23(木) 00:48:15.27 ID:LZ10Fc3j0
イセ「私は元東洋方面第一巡航艦隊・大戦艦イセ。そのメンタルモデルよ」

400「潜水艦イ400。そのメンタルモデルです」

402「潜水艦イ402。そのメンタルモデルだ」

ユキカゼ「元総旗艦艦隊二水戦・駆逐艦ユキカゼ。それが本当の私です」

400「我々は兵器。我々は貴女の命令次第で守る盾にも、敵を打ち倒す矛にもなります」

ユキカゼ「我々は貴女の船として従い、戦いましょう」

イセ「どうするかは瑞鳳次第よ。自分の為でも誰かを守る為でも好きに使いなさい」


メンタルモデル、そう彼女達は言った。

最強の矛であり、最強の盾。その力を彼女一人、そしてチームの為に振るうと宣言したのだ。

もしかすれば自分が人外でありチームから排斥されるかもしれないと言う迷いさえも振り切って、それでも唯一人瑞鳳さんの為に。

もう、ここまで来れば彼女に迷いは無かった。


瑞鳳「皆、ありがとう… 本当に私で良いんだね?」

大鳳「愚問よ。」

飛龍「ええ、瑞鳳と一緒に戦うわ。」

イセ「盾として、矛として。全てを貴女の為に。」

402「お前の為に我々は戦おう」

浜風「瑞鳳さんに貰った『覚悟』と『勇気』で、貴女の為に」



瑞鳳「私は戦う…!お願い、私に全てを預けて!」


バラバラになりかけたチームは再び一丸となった。

瑞鳳と言う一人の女性を中心として、何があろうとどんな敵であろうと抗うと決断した。

もう、ここまで来れば誰一人として迷いは無かった。全員で『了解!」』と返事をするくらいに…



そして3回戦、瑞鳳さんには完全に迷いが無かった。

彼女の実力では正直バトルで危ないかもしれないと思った。でも、それ以上に迷いを振り切った彼女は強かった。

400と協力し1隻を、たった一人で2隻を撃沈し味方を勝利へと導いた。



その戦いの後、私は彼女に告白した。吹雪が1回戦終了後に告白したと聞いて、居ても立ってもいられなかった。

気が付いたら彼女は私の心の中の大部分を占めていたのだ。恩人であり、最高の仲間、そんな彼女を私は羨ましくて、欲しくてたまらなかったからだ。

恥ずかしいけど勇気を振り絞って、好きですと伝えた。その時は迷いが生じるからと彼女の答えは聞かないようにしたが…



そして準決勝、私達はあるものを目撃する。



浜風「なに、これ…」

浜風(わかる、瑞鳳さんの全てが流れ込んで… 優しさも、強さも、想いも全部…)



瑞鳳さんと飛龍さんを中心に発生した『プラフスキー・バースト現象』、想いを伝播するその光は蒼龍さんを救いたいと言う純粋な願い。

その純粋な願いはチームメンバーにも大なり小なりの影響を与えた。勿論私にも…


私が受けた影響は『ある記憶』だった。

痛み、熱さ、そして水底の恐怖… それが何を意味していたのかはわからなかったが、以降『第二次坊ノ岬沖海戦』まで頭痛に悩まされたのは内緒だ

359: ≫1 2015/07/23(木) 01:04:27.93 ID:LZ10Fc3j0
決勝戦へと駒を進めた私達、しかし私達に牙を向いたのはド下種ババアによって操られたカトル・ラバーバ・ウィナーだった。

そして従えているのはド下種ババアの作り上げた強化人間軍団、『n_i_t_r_o』では無く薬理強化を施されていた者達で言動は滅茶苦茶だが強敵だ。

しかし、それでも私達は進むしか無かった。

私はPBCによって敵艦隊の数を減らす指示を出し、それに伴い2隻を撃破するがイセさんの『扶桑・天爾改』がオーバーロードを起こして戦闘が不可能になってしまう。

そこで私が取った選択は『各個撃破』、他のファイターの相手を大鳳さんと愛宕さん、ユキカゼに託して私と瑞鳳さんはカトル・ラバーバ・ウィナーと交戦する。

浜風「そんな…」

瑞鳳『浜風ちゃん…』

浜風「こんな、こんなの…」

浜風「こんなの、私のしたい艦プラバトルなんかじゃない!私は絶対に、認めない!」

瑞鳳『浜風ちゃん… そうだね、こんなの絶対正しいバトルなんかじゃない…!』

浜風「倒します、カトル・ラバーバ・ウィナー。そして、貴方を救い出します!」

カトル「五月蝿い…!」


私は、バトルを始めてからどんなバトルをも楽しもうと考えていた。でもこのバトルだけは楽しめず、逆に時間が経過する度に腸が煮えくり返り冷静さを欠いてしまいそうになる。

だが私は瑞鳳さんの助力を受けてカトル・ラバーバ・ウィナーを撃破することに成功、大鳳さん達もそれぞれ自分の敵を撃破してバトルを終えた。

唯一つ、純粋に楽しいバトルを出来なかったと言う後悔だけを胸の内に残して…



強化人間軍団を撃破した私達を待ち受けていたのは大型結晶体の暴走、ド下種ババアの意思に反応し止め処なくフィールド用の水が溢れ始める。



それはまるで終焉の始まりだった。



ド下種ババアは逃亡を図るも、瑞鳳さんの妹達?(その時初めて存在を聞いた)によってヘリを撃墜されて逃亡を阻止され大鯨さん達によって捕縛された。

でも大型結晶体を破壊しようにも破壊手段が無い、正直手詰まりだった…

そんな時、メンタルモデル・ヒュウガによって霧の『総旗艦ヤマト』と『緋色の艦隊』が人類に対して牙を向こうとしていることを知った私達はそれを止める為に硫黄島に赴くことになる。

チーム・エンガノとして、世界に生きる者として…


しかし私はチームの戦術指揮官、そして戦闘の総指揮は私に委ねられる事になる。

そう、私は一気に世界の命運を背負う事になってしまった。

一つでも綻べばこの世界は滅んでしまう、でもそんなのは認めない…

だから私の全身全霊を懸けて戦いへと身を投じる。『世界最強』のチーム・エンガノの指揮官として、負ける訳にはいかなないのだ。



…正直、胃に穴が開かなかったことが不思議でならない。



私はまず総旗艦達の根城であるハシラジマを攻略する計画を立案した。

ナノマテリアルを確保すれば後の戦いに有利になる、そう考えた結果だ。

だがそんな時に、総旗艦ヤマトから私達に対し会談の要求が行われたのだ。

避けられる戦いは避けたい、そう願って私達は相手の要求する場所である『枕崎漁港』へと赴いた。

それが私の判断能力を鈍らせる出来事を発生させる為のトラップであると見抜けずに…

363: ≫1 2015/07/23(木) 23:53:15.72 ID:LZ10Fc3j0
そう、告げられて思い出してしまったのだ。ヤマトの手によって…


浜風「うっ…」ズキッ

瑞鳳「浜風ちゃん!?」

浜風「頭が… 割れるっ…」

402「しっかりしろ、浜風!」

群像「超戦艦ヤマト!一体この子に何をした!」

ヤマト「何もしていないわ。この子の『魂』が拒否反応をおこしているだけ」

ヒュウガ「『魂』?」

ヤマト「そう… 彼女の『魂』が坊ノ岬沖にある『残骸』と共鳴して、拒否反応を起こしてる」

イオナ「『残骸』?」

ヤマト「ええ。1945年に発生した『坊ノ岬沖海戦』、そこで沈んだ『ある駆逐艦』の残骸」

浜風「…『浜風』」

瑞鳳「浜風ちゃん!大丈夫なの?」

浜風「はい、そして『思い出した』… 私は以前、この先に『居た』…」

402「どう言うことだ?」

浜風「『陽炎型駆逐艦13番艦・浜風』… これが私の… 『前の私』…」


自分が『陽炎型駆逐艦・浜風』の『転生体』であったと言う事を。

私の沖縄への拒絶は転生体としての性、『自分の残骸と因果の地への拒絶』が無意識下で起こっていたのだ。

私がバースト現象で受けた影響は『かつて在りし自分の記憶』、頭痛は魂の記憶が脳内に強制的に入り込んで来たから。

ヤマトの狙いはこれだった。記憶復活による精神的消耗と頭痛による戦術指揮官である私の判断能力を低下させて敗北させる事、まんまと罠に嵌ってしまった。


だが、そうは問屋は卸さない。



大鳳「『第二水雷戦隊』と『ナガラ』の合計28隻、来るわよ!」

浜風「数で押す気か… なら対応の仕方はいくらでもある!

火器管制オンライン、クラインフィールド展開開始。潜行用意、侵蝕弾頭を発射管に装填!」

飛龍「侵蝕弾頭装填完了、いつでも撃てるよ!」

浜風「イセさん、ナガラ2隻に対してハックを仕掛けてください!」

イセ「やってみる!」

浜風「瑞鳳さんは気合でも溜めておいてください」

瑞鳳「扱い酷くない!?」



私は頭痛さえも無視して戦闘指揮を執り続けた。

そしてヤマトの除く全艦を撃破し、瑞鳳さんとイセさんに後を任せて脱出する事になった。

だが、ヤマトの船体の一部が吹き飛んだ直後にソレは起こった。



364: ≫1 2015/07/24(金) 00:07:00.77 ID:nUb0jrtj0
大鳳「嘘…」

飛龍「何よ、あれ… 空間が丸ごと歪んでるじゃない…」

浜風「あれは、402の言っていた『次元空間曲率変位システム』か…

瑞鳳さんとイセさんは!?」

大鳳「通信途絶、シグナルロスト…」

飛龍「嘘よ!あの二人が…」

浜風「まだです!まだ、あの人達がこの程度の事で…」


ヤマトは次元空間曲率変位システムを起動させて、次元を歪めて自分ごと全てを消し去ろうとしていた。

だが私は確証を持っていた、あの二人ならヤマトを撃破出来て世界を護れると…

そしてそれは的中した



浜風「ヤマトが、沈む…」

大鳳「まだ脱出してないの!?」

飛龍「待って、カッターボートよ!」


瑞鳳「お~い!」



大鳳「良かった… ちゃんと生きてた…」

飛龍「待って、イセは!?」

浜風「姿あありません… まさか…!」



瑞鳳「ちゃんと生きてるって~!ほら、ユニオンコアは無事だから~!」



大鳳「まったく、心配させないでよ…」

飛龍「何にせよ、これで前部終わったわね…」

浜風「戦闘終了。これより、他の艦艇と合流し硫黄島へ帰還します!」


瑞鳳さんとイセさんはヤマトを撃破したのだ。最後まで諦めず、抗って…

実は戦闘中、瑞鳳さんも『転生体』であると言う事が判明したが私と比べて記憶の復活が遥かにマシなレベルだったらしい。

彼女は転生体でありながらも、今を生きる人間としてヤマトを大鯨さんに教えられた『明鏡止水の心』と父親から受け継いだ技を組み合わせ自分自身が咄嗟に編み出した最強の技『爆熱ゴッドフィンガー石破天驚拳』によって消滅させたのだ。

イセさんは自分の身を挺してまでシステムを妨害しようと試みたが、最終的にイセさんが生きる事を願った瑞鳳さんに応えるようにシステムの基部を破壊して強引にシステムを止めたらしい。

これで、霧の総旗艦との戦いを終えた。



私達は誰一人欠ける事無く硫黄島へと帰還する事が出来た。

私と瑞鳳さんが転生体であった事を何故ヤマトが知っていたのか、そして『特異点』とは何なのかと言う謎を残して…

365: ≫1 2015/07/24(金) 00:34:27.35 ID:nUb0jrtj0
硫黄島に到着直後、私と瑞鳳さんは倒れた。

無理もない、瑞鳳さんはヤマトとの戦闘で船体を吹き飛ばす程の威力の一撃を放ったのだ。

そして私も頭痛に耐え続けた結果、体力の限界を迎えてしまった。


眠っている間に夢を見た。


『あの戦争』の記憶、前世の私の記憶を…

護れなかった記憶、敵の攻撃で傷付いた時の痛み、そして沢山の命を救えた嬉しさ。

思えば前世の私は不思議な戦歴を辿ったと思う。

戦艦では金剛と武蔵、空母は蒼龍と信濃に飛鷹、そして赤城。多くの大型艦の最後を看取り、大和を除く全ての艦の乗員を救出してきた。

前世の私が救出した人間はおよそ5000人、これは駆逐艦としてかなり多いと思われる。

そして今度の私は人として生を受けて、今度は人類の為に戦う事になった。これは皮肉と言うべきだろうか。

多分、これからのお台場戦で一歩間違えれば人類は滅亡の一歩手前に立たされるだろう。

今度背負うのは乗員の命や救助した者の命なんかの比じゃない、70億近くの命を背負うのだ。

いや、もう背負ったのだ。70億程度の命ならもう坊ノ岬沖の戦いで既に背負った、ならそんなのもう怖く無い。私達に出来る限界、

その『限界を超える』… 


作戦名『オペレーション・アンリミテッド』、それが私達の最終作戦の名前となった。


目を覚ました私はまず、ある人物の所に向かった。

そう、お台場から移動する際に合流した蒼龍さんだ。硫黄島のブリーフィングルームに飛龍さんと居たのを見つけて彼女に話しかけた。


浜風「少し、よろしいでしょうか?」

飛龍「浜風!?起きても大丈夫なの?」

浜風「ええ、なんとか」

蒼龍「…用って私に?」

浜風「はい。貴女に頼みがあって来ました」

飛龍「浜風…」

浜風「私達は400と402、ユキカゼの船体の修理が完了次第お台場に向かい大型結晶体を破壊する作戦に移ります」

蒼龍「ま、そうするしか無いわよね。もうお台場の水没まで1週間切ってるもの」

浜風「大型結晶体破壊作戦には戦力が必要、そこでチーム・エンガノの戦術指揮官としてでは無く私個人の頼みです。蒼龍さん、貴女にはチーム・エンガノへの参加を要請します」

蒼龍「私が参加した所で勝機はあるの?」

浜風「ええ。私の予測では現状の成功率は低い、でも貴女の実力があれば成功率の底上げに繋がります」

飛龍「浜風、蒼龍は…」

浜風「お願いです、このままでは大型結晶体を破壊出来ない… でもこのまま諦めたく無い、皆と出会えたこの世界を護りたい…!」

蒼龍「別に私はチームに参加するのは構わないわ、瑞鳳ちゃんの許可があるならね。

でも解ってるのね? 自分が何を背負おうとしてるのか、自分が何をしようとしてるのか?」

浜風「全部承知の上、覚悟ならしています。 それでも、護りたい世界があるから私は…!」

蒼龍「…なら私が言う事は無いわ、私もやっと大切な者を護る為に戦う事が出来るもの。ただし条件があるわ」

浜風「条件…?」

蒼龍「私が飛龍にリベンジする時、何が何でも付き合って貰うわよ」

飛龍「ちょ!?」

浜風「ええ、構いません」

…飛龍さんには悪いけど、これも世界の為なんです。

そして蒼龍さんには『シャルンホルスト・クロイツ』と『エンガノ14』のコールサインを与えられ、チームに参加することになったのだ。

366: ≫1 2015/07/24(金) 00:54:17.76 ID:nUb0jrtj0
8月29日の夜、私達は硫黄島を出航した。

私はイ402に乗り込み、他のメンバーに作戦概要の説明を行う。


浜風「お台場到着と同時に、私達はバトルシステムの設置可能な場所へ行くことになります

そして全員の艦プラを使用し、一点突破による電撃進攻で会場地下にある大型結晶体を破壊します」

浜風「以降、それぞれをコールサインで呼称。エンガノ01は瑞鳳さん。エンガノ02は飛龍さん。エンガノ03、イセさん。エンガノ04、大鳳さん。エンガノ05は私です

そして吹雪は06、イクは07で夕張さんは08。愛宕さんはエンガノ09、ユキカゼはエンガノ10。400は11、402は12。夕雲は13、そして蒼龍さんは14のコールサインとなります」

瑞鳳「使用艦プラは01・『信濃・天戦艦パッケージ』、02・『グナイゼナウ・クロイツDrei』。03・『扶桑・天爾改』、04・『ヨークタウン・フェネクス』。そして05・『プリンツ・オイゲン・クロイツZwei』。

06『青葉・天』、07『熊野・天』08『グラーフツェペリン・ラング』。09『利根・天 砲撃パッケージ』、10『筑摩・天 誘導魚雷パッケージ』、11『レナウン・ヴォーテクス』、12『レパルス・ヴォーテクス』、13『高雄・天爾改』。そして14『シャルンホルスト・クロイツ』となります」

浜風「また、全艦にシュツルムユニットを装備。

速度を合わせる事で分断される事無く、14隻による連携で敵防衛網を突破します」

瑞鳳「またRGシステムに関しては単独で使用可能になるよう調整を施しておきました。

ただしあくまでも応急での処置なので多少使用しにくい事もありますので注意を。」

浜風「この作戦は『オペレーション・アンリミテッド』と呼称。開始時刻は8月30日0900。

それぞれの奮闘を期待しています。では瑞鳳さん…」


瑞鳳「皆、ここまで私と一緒に戦ってくれてありがとう。私は、4ヶ月前まで艦プラバトルが嫌いでした。

でも飛龍さんとの出会いが私を変えて、皆に出会って、そして皆と一緒にやる艦プラバトルが大好きになった!だから、艦プラバトルを終わらせない為にも、大型結晶体を破壊し事態を収束させます!」

瑞鳳「これがチーム・エンガノのリーダーとしての最後の指示です!全員の帰還と勝利を以って『オペレーション・アンリミテッド』は成功とします!」







瑞鳳「暁の水平線に、勝利を刻め!」






この瞬間、私達の最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

そして作戦開始前にある戦いに終止符が打れる事になった。後に『ダイナミック・ハーレム宣言』と呼称される問題発言だ。

ここで私達の『瑞鳳さん争奪戦争』の幕が下ろされた。


瑞鳳「私は、私をここまで導いてくれた全員の事が好きです。


こんな私で、優柔不断で何も決められないバカな私で良ければ付き合って… ずっと一緒に居てください!」


彼女は全員分の指輪を自作し、私達に告白の返事を行った。

この件について恐ろしいと思ったのが、彼女に金属加工技術や宝石のカット技術が備わっていた事だ。この人はどこまで器用なのだ…

指輪にはめ込まれた大型結晶体と同じ鉱石『アリスタ』、私に与えられたのはアリスタが『ペアシェイプ・ブリリアント』と言う形状にカットされた指輪だった。

後にこの指輪が私達を勝利へと繋いだものになるとは知らずに…

367: ≫1 2015/07/24(金) 01:04:10.12 ID:nUb0jrtj0
瑞鳳「エンガノ01、信濃・天、瑞鳳、推して参ります!」

飛龍「よしっ!エンガノ02、グナイゼナウ・クロイツDrei、飛龍、出撃します!」

イセ「エンガノ03、扶桑・天爾改、イセ、抜錨する!」

大鳳「今日は良い風ね… エンガノ04、ヨークタウン・フェネクス、大鳳、出撃します!」

浜風「エンガノ05、プリンツ・オイゲン・クロイツZwei、浜風、出ます!」

吹雪「エンガノ06、青葉・天、吹雪、行きます!」

イク「は~い!エンガノ07、熊野・天、イク、行くの!」

夕張「エンガノ08、グラーフツェペリン・ラング、夕張、出撃!」

愛宕「エンガノ09、利根・天、愛宕、抜錨します!」

ユキカゼ「エンガノ10、筑摩・天、ユキカゼ、参ります!」

400「エンガノ11、レナウン・ヴォーテクス、イ400、出します!」

402「エンガノ12、レパルス・ヴォーテクス、イ402、出す!」

夕雲「エンガノ13、高雄・天爾改、夕雲、本気で行くわ!」

蒼龍「エンガノ14、シャルンホルスト・クロイツ、蒼龍、出撃します!」


私達の艦プラは大型結晶体に向けて増速を始めた。

襲い掛かる敵を全てなぎ払い、足を止める事無く防衛線を突破する。

途中であの大鯨さんから逃げたド下種ババアに襲撃されたがまた瑞鳳さんの妹に撃ち落されて大和会長へと引き渡されていた。正直邪魔だったので嬉しかった。

世界大会で戦った面々が私達の支援も行われて戦線を序徐に突破していく私達だったが流石に弾切れもあり、途中で翔鶴さん率いる艦プラ部から補給を受けた。


瑞鳳「翔鶴さん、もしかして結晶体の手前まで行ったんですか?」

翔鶴『手前、本当に手前まで何度か…』

夕張「なら結晶体も破壊出来た筈じゃ…」

瑞鶴『それが無理だったのよ』

タクヤ『正直俺達じゃ…』

大鳳「つまり周辺の戦力がそれ程…」

バナージ『違います。絶対に、勝てないんですよ…』


『絶対に勝てない敵』、その存在を半信半疑のまま前へと進む私達。

そして立ちはだかったのは…


瑞鳳「嘘… アレ…」

飛龍「グナイゼナウ・クロイツDrei!?」

蒼龍「信濃・天も居る…!」

浜風「プリンツ・オイゲン・クロイツZweiも…」

イセ「御丁寧に扶桑・天爾改とアマテラス・ツクヨミまで居るわね…」


『世界最強』の存在、チーム・エンガノ… その戦闘記録から生成された私達のコピーだった

368: ≫1 2015/07/24(金) 01:19:25.16 ID:nUb0jrtj0
400「恐らくアレはプラフスキー粒子の塊でスキャンデータを元に形成されています」

402「艦隊陣形のパターンも全て一緒… 恐らく我々のバトルデータを持った敵だ」

吹雪「Wのメリクリウスとヴァイエイトにヒイロとトロワのデータを乗せたMDみたいな奴って事?」

夕張「そんな感じだと思うけど… あれはデュオだからこそ倒せた、でも…」

夕雲「今の私達はヒイロとトロワ… 自分自身を相手にしなければいけないと言う事、ですか」


何を言っているのかさっぱり意味不明なガノタ勢達だが言いたい事はわかる。

『今までの自分は通用しない』と言う事だろう。

自分自身の限界を超えなければこのコピー体には勝てない、でも勝たなければ未来は無い。

やるべき事はただ一つ…!


浜風「私達と同等なら、同じものをぶつければ良い…!」

蒼龍「そう言うことね!」

浜風「各個に散開!目標は自分のコピー!恐らくこれが最後の敵、心してかかって下さい!」


指揮を放棄する事で相手の戦術を乱し、各人の能力を以って敵を討つ。それが私の最後の選択…

そして私は私自身の専用艦のコピー『プリンツ・オイゲン・クロイツZwei』と対峙する。


『敵は模倣するだけ』で行動は以前の蓄積データからの引き出しでしかない。 つまり私達が行うべき行動は唯一つ…


浜風「己自身の思考を超えろ… 浜風!」


不可能、そう断じる事は容易い。だがこの世の中には『やってみなければ分からない事』だらけだ。

だからやる。己を超えてみせなけらばならないのなら超えてみせる。私が瑞鳳さんに教えられたものがあるから。


浜風「『ドレッドノート』… 『勇敢な者』、愚者では無く勇者… プリンツ・オイゲン・クロイツZwei、私に勇気を!」


私はもう前の私では無い。ならば蓄積データは無意味だ。己が勇気を振り絞り、己を打ち倒す…


浜風「行くぞ偽者… 思考も、艦プラも模した所で私の全てを、『勇気』を模倣できると思うな!」


そして私は勇者の名を冠する艦と共に勇気を持ち戦いに挑んだ。



言うは容易いが相手は粒子の塊、ダメージを与えても再生する… だが、それでも諦めたくなかった。

そしてその奇跡は起こるべくして起こった。


瑞鳳「そんな事、させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


指輪から光が溢れ、心の中が澄んでいく… 

私達は瑞鳳さんとアリスタの力で『心を繋いだ』、そして瑞鳳さんの明鏡止水の心が私達に流れ込み力が溢れ出す。

もう、負ける気がしなかった。

今まで苦戦していた筈のコピー体は、既に私達の敵ではなく一瞬でそれぞれに葬られた。

だがコピー体を撃破する事に費やした時間は少なくない。間に合わなくなってしまった…

だけどそれでも諦めたくなかった。



そして瑞鳳さんは、最後の切り札を切った。

369: ≫1 2015/07/24(金) 01:26:48.96 ID:nUb0jrtj0
グナイゼナウ・クロイツDreiのtype-Hとシャルンホルスト・クロイツのtype-S、そして高雄・天爾改のtype-Yと扶桑・天爾改のtype-Iに信濃・天のtype-Z。

全てのPBCを合体させ、私達艦プラの残る粒子全てを放出した一撃での狙撃だった。


蒼龍「縮退臨界!緒元入力、射軸固定!発射体制へ移行、トリガーを飛龍へ!」

瑞鳳「プラフスキー・バスター・キャノン!お願い、私達の未来を!」

飛龍「切り拓けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


そして周囲に存在した見えないバリアをも貫通した一撃は大型結晶体を貫通する。

それでも砕けないなら吹雪が偏向レンズを操って、細かく切り刻む。反動に押されるならば私達が支える。


飛龍「私達の想いに応えて、プラフスキー・バスター・キャノン!」

夕雲「私達の未来の為に!」

イセ「未来を切り拓く為に!」

蒼龍「私達の願いよ…!」

瑞鳳「届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」



そして未来への想いを乗せた一撃は、大型結晶体を消し去った。


402「バッテリー残量ゼロ、遠隔操作システム強制終了」

400「大型結晶体の崩壊を確認…」

愛宕「水を形成していた粒子結合が崩壊して、空気中へと消えていく…」

蒼龍「綺麗ね…」

大鳳「やったの…?」

夕張「私達、終わらせたんですよね…」

イセ「ええ… 私達は、勝ったのよ…!」

夕雲「お台場の粒子が全て光になっていきます…!」

イク「終わったの…?」

吹雪「や、やった!」

ユキカゼ「全部、ちゃんと終わりました…!」

浜風「これで、『オペレーション・アンリミテッド』は終了…」

飛龍「さ、瑞鳳」

瑞鳳「全員へ。ありがとう… これよりチーム・エンガノ全員、艦プラを回収してお台場から撤収します!」

全員「了解!」



そして私達の、4ヶ月に渡る戦いが終わりを告げた。

370: ≫1 2015/07/24(金) 01:37:56.47 ID:nUb0jrtj0
だが私達の戦いは終わった訳では無い。

夏休みの宿題を終わらせていなかったイクを叱り飛ばしたり、ハシラジマを占拠したり、自衛隊を脅したり…

まぁ、やった事はロクでも無いことだ。


これからも果て無き戦いに巻き込まれるだろう、だがどんな未来だって私達チーム・エンガノが切り拓く。


瑞鳳「お~い、浜風ちゃ~ん。早くしないと写真に写れないよ~」

浜風「わかっています!今行きますから!」


私はメンバーの一員として、『最強の戦術家』として矢尽き刀折れるその日まで戦い抜く。


蒼龍「ねぇ、もうちょっと詰めてよ。」

夕雲「このくらい、ですか?」

402「ああ。これで大丈夫だ。」

400「今度はこっちが溢れました。」

ユキカゼ「早くしてください。」

愛宕「ごめん、もうちょっと屈んでくれない?」

夕張「中腰って中々辛いですよ…」

イク「もう少し詰めるのね!」

吹雪「これでも精一杯だって!」

大鳳「最前列でもキツイわ、これ…」

イセ「あと10秒でシャッター切れるように設定しておいたわ。」

飛龍「いっせーのーで…」

瑞鳳「はい、チーズ!」


『勇気』を胸に、地面を踏みしめ一歩を踏み出す。



それが私の、私なりの未来の切り拓き方だ。





『アンリミテッドの軌跡 side-浜風-』  終